1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月九日(水曜日)
午前十時四十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
平林 剛君
森下 政一君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
白井 勇君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
小林 政夫君
杉山 昌作君
岡 三郎君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
井村 徳二君
小柳 牧衞君
中川 幸平君
政府委員
日本専売公社監
理官 宮川新一郎君
大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
大蔵省理財局長 阪田 泰二君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一部長 白石 正雄君
大蔵省理財局証
券課長 小林 鎭夫君
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本日の会議に付した案件
○証券取引法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○証券投資信託法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○たばこ専売法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○日本専売公社法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○租税及び金融等に関する調査の件
(予算修正に伴う税制改正案に対す
る修正要綱に関する件)
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。
証券取引法の一部を改正する法律案、証券投資信託法の一部を改正する法律案、以上二法案を一括議題として、前回に引き続き質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/1
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002・岡崎真一
○岡崎真一君 今審議に入っております投資信託法の一部を改正する法律案について伺いたいのですが、この間、今度の改正を提案なすった提案理由を見ますと、追加型投資信託をもっと法的に整備してゆこうという御趣旨のように承わったのですが、これを整備してゆこうとしておられる根本の趣旨は、今の投資信託が相当いろんな意味において状態が悪くなっておるというような印象も受けるわけです。これを強化して、もっと今から投資信託を活用してもらうようにという意味合いもあると思いますが、巷間では、この間もお話があったと思いますが、このままの状態においてこれがゆきますと、結局、受益者が非常に困っておる、事実、解約を求めても、現在の法案そのままでは解約が非常にむずかしい。これは、つまり先へゆかないと途中で解約できない、解約をしにゆくと約束の金を払ってもらえないというのが実情らしいのですが、こういうことについて、あなた方の方でいろいろお調べになっておることがあろうと思いますが、こういった問題について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/2
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003・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 最初のお話にございました今度のいわゆる追加型の投資信託に関します規定の整備をはかりました趣旨は、これは現在行われております投資信託、これは普通単位型といったような言葉を使っておるわけですが、一つの契約ごとに大体五億とか十億とか申しますこういう一かたまりの単位の金銭を投資信託をいたしまして、それを運用をする、そしてこの各回ごとに全然別個のものでございまして、新しく設定されるものは、以前の回のものとは全然別個に一財産として運用する、かような形のもので、今ほとんど大部分行われておるわけでございますが、これに対しまして追加型と申しますのは、一つの財産と申しますか、基金と申しますかをもとにいたしまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/3
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004・岡崎真一
○岡崎真一君 それはわかっております。それは根本はわかるのです。その説明は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/4
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005・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) それから、かような基金追加型に対する規定を整備いたしますのは、必ずしもいまの一般に行われておりまする単位型が行き詰まっておるからという趣旨ではございませんで、かような追加型というものは一つの特色があるわけでございまして、一つの基金によって伸び縮みをする、償還期間によって拘束されて運用されるというようなこともないし、たくさんの契約を持っておりまして、その間にいろいろ事務的な面におきましても簡素化されてくる面もあるわけでございますので、かような一つの特色のある投資信託というものは、これを円滑にできるようにするということは、またそういう投資信託を希望する投資者もあるわけでございまするので、投資信託制度全体を伸ばす意味から必要じゃないか。こういう意味で取り上げたわけでございます。
それで、このあとのお話のございました、現在やっております形のものについて、解約等も自由にいきません面があるじゃないかというお話でございましたけれども、これは約款では解約、買い戻しに応ずることができるというふうになっておりまして、まあ特別のいろいろの証券市場の状況等がありまして、特殊の場合は別でございますが、まず普通の場合においては、これらの買い戻しに応じておるのが原則でございます。約款上はできることになっておりまするけれども、大体原則としては応じておりますが、ただいまお話のようなことのございまするのは、この買い戻しの場合に、現在のやり方でいきますると、会社としてはある程度まとめた取扱いをするといったような場合が出てきておるのじゃないかというように思われるのでございまして、これは個々に、そのつど、そのつど買い戻しをするという……、一日二日は、いろいろの関係でまとめた取扱いをするために遅れるといったようなことは、あるいはあるのじゃないかと思うのでございまするけれども、解約、買い戻しに、そういうものに応じないということは、これはまず約款はともかくとして、実際上は応ずべきような扱いに従来なっておりましたから、応ずべきものだと思うのでございまして、まあ私どもとしてはさようなつもりで考えておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/5
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006・岡崎真一
○岡崎真一君 今の応ずべきという、これは法律的にはそうなっています。それをやっておるのです。しかし今あなたの御説明の実情と、それから約束通りに履行されておるということについても一致していないというのが、どうも実情らしいんです。それをあなたに私は考いてみたのだけれども、それはあなたの答えは、約束通りこうなっているのだから、そうしておるものと思いますというような御説明があったわけですね。それは監督行政という意味からいけば、もっと突っ込んでなさるべきだろうと私は思うので、今それをやっておられるかどうかということを聞きたかったのですが、これはあなたから聞かなくたって大体見当はついておりますから、その問題については、まあ一応突っ込んでは申しませんが、実はそういったような趣旨の下にこの法案というものをいろいろ考えてみますると、実に法律的には整備せられた法案であり、監督も十二分に行われておるにもかかわりませず、実情はそうでないということがたくさんある点を、私は一つの例として今指摘したわけなんです。
そこで、それに関連しまして、今回のこの法案を改正して、整備するという趣旨である、この投資信託、オープン信託型ですね、この問題について、組み入れ銘柄を追加することができる。そこで、それをごく容易にする法案であろうと、その改正をしておると思うのですが、その追加銘柄の、あるいは認可基準といいますか、こういうものについて一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/6
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007・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 最初のお答えの中に、ちょっと補足させていただきたいと思いますが、買い戻しにつきましては、現在は約款上はこの買い戻しに応ずることができるという意味で、買い戻しをする場合もあるという意味の規定でございまして、買い戻しをすることの約款上義務があるようなものにはなっておらないのでございまして、ただ実際の扱いとして、従来大体においてこれを買い戻しに応じておるというような例でございまするから、そういう例に従うことが普通の場合であろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。
あとの組み入れ銘柄の問題でございまするが、これは現在のやり方といたしましては、認可ということでは書けてはおりませんのでございまするが、指導といたしまして、組み入れる銘柄は、まず第一に上場銘柄であるということ、それからある程度収益力のある、配当といったものが、ある程度見込まれるものである、また配当は、かりに見込まれる割合が少いといたしましても、会社に含みがありまして、株式の内容として価格が期待されるものである、こういった、投資信託として、一口に申しますると、投資の対象として適当であろうというふうに思われるものを組み入れるということによって指導をいたしておるわけでございまして、現実にこれは認可とか承認ということにはなっておりませんで、会社としまして、これはまあ、そのつどつどの会社の運営にもよるわけでございますので、そのつど、承認とか、認可とか、あるいはあらかじめ承認を受けるということではなく、あらかじめこういう範囲のものを上場銘柄とするということで届出を受けておりまして、その届出を受けたものを見まして、私どもで多少どうかというものについては、指導として注意をしていく、はずすというようなことをしているわけでございます。約款上は、上場銘柄についてこれを組み入れるというふうに書いてありますので、約款上は上場銘柄なら何でもいいというふうにもなるわけでございますので、指導としては、そういうふうにしてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/7
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008・岡崎真一
○岡崎真一君 今の御説明で、約款によれば上場株だけだというお話なんですが、そのあとは、端的に言えば話し合いで、これはよかろうと、届け出ればこれは認可してよろしいと、こういう実情のように私は受け取るのでありますが、今まではその点について、たとえば上場株とか、配当を二年間以上続けている株とするといったふうのものを、あなた方の方で標準として認められて、認可というのは、むずかしい意味ではなしに、組み入れることをいいだろうという了解を与えられる範囲について、おのずと、そこに、何らかのさしを作っておいでになるかと思うんです。それについて私は説明を求めたわけなんです。その場合は、はなはだあいまい模糊たるような御説明で、私はこれに対しては非常に不満です。そうしまして、私が今追加組み入れのことについて申し上げたのは、今まで投資信託として、常識的に考えて、いいだろうと思われるような株以外のものに拡張していこうという御趣旨でしょう。今までの銘柄より拡張していこうという御趣旨がここにあると思うんです。その点について改正なさる際に、今あなたの方で何かお考えになっていることがあるかどうかということを伺ってみたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/8
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009・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 今回の改正の点は、組み入れ銘柄の追加というところには関係はないことなんでございまするが、今回お出ししました案は、追加型投資信託、いわゆるオープン型と申しておりますが、これにつきましての発行を容易にするために受益証券の記載事項を改めるということと、信託約款に記載すべき事項をきめるということ、あるいは追加したときにその追加の事実の届出をする、こういうことだけでありまして、組み入れ銘柄については、今回の改正においては別に何ら触れてございませんので、さような意味の改正ではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/9
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010・岡崎真一
○岡崎真一君 私の伺っていますことは、この法案というものへあなたが答弁に立っておりますけれども、私は内容なり実情を説明をしていただきたいと思って質問しておるわけなんです。従って、あなたが、これを今度は改正することによって、そういう問題について、次から次と銘柄がふえていくだろうということを容易にするという趣旨でありますから、その趣旨に沿ってその銘柄を拡大していかれる際に、これを監督上どういうふうな目安を置いてなすっていくお気持かということを、私は聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/10
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011・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 今回の追加型の改正によりまして、それで特に信託財産の設定がふえていくということ、あるいは、そういうことによりまして、従いまして組み入れる株式がふえていくということはございましょうが、銘柄そのものの数がふえるということにつきましては、特にこの改正に関係しては考えておりませんわけなのですが、銘柄につきましては、一体、現在も、上場銘柄のうち、オープン型でありますと、今信託財産の単位が一口大体一回五千万円見当でございまするので、そう多くの株数を組み入れられませんし、銘柄の数も限られておりまして、一般の場合でございますと、銘柄数は相当少くなっておる状況でございます。この銘柄につきましては、今後も、これはあくまでも、今まで通り、組み入れる株は投資信託としてふさわしいものであるということが必要なのでございまするから、オープン型でありましても、これが一般の単位型と同じように、投機的な銘柄が組み入れられるということは好ましくないというふうに考えております。特に銘柄につきましては、従来と同じ扱い方にしようと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/11
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012・岡崎真一
○岡崎真一君 今の御説明を伺っておりますと、投資信託である限りにおいて、利回りとか、資産が堅実である株ということをわれわれは希望しておるという御説明であって、同時にそれが投機的なものであるということについては、これは避けるべきだという、こういうお話に私は聞いたのです。そういうことであった。つまりその投機的な意味合いの性格を持った株というものについては、なるべく排除しておるという御説明でしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/12
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013・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/13
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014・岡崎真一
○岡崎真一君 そうですね。ところが、現在市場では、そういうことを今度の新しく投資信託を募集する場合に、配当その他の観点から、むしろ配当するというよりは、そういうスペキュレイトによって、投資の興味というものをそそるがごとき印象の宣伝をして、そういう銘柄を加えるということをもっぱら言いながら、業者はそれをやっているということが実情らしいのです。それは、あなたの耳に入っているかどうか知りませんが、それでは、なぜそういうことをしなければ多くの新しい加入者が来ないかという問題を追及していきますと、今までは相当しっかりした人が持っておったが、今度は零細なというか、金額の少い、いわゆる一時証券の大衆化ということを盛んにうたって、そして多くの人が業者に踊らされて、そうして大いに株というものはこわいものだという印象を持って引っ込んだような、そういう人たちに、また利益で働きかけて、人のうわさも七十五日で、忘れたころにやろうとする。それから、いろいろパチンコ的な意味合いで投資信託を持とうとする人たちに呼びかけて集めようとする手段だと、これは独断的な考えかもしれませんが、私、個人的に考える。そういうような形に投資信託がいくということであれば、これは非常に危険がある。これはいわゆるマラソン的に、投資信託というものを次から次とふやしていかないと、結局期日が切れたものを、それを解約して返すというときに困るというような問題もありましょうし、そのためには、新しいいわゆるマラソン的なやり方、こういったような実情に投資信託というものを現在は置いている、私は思うんです。これは多くの識者もそう考えておろうと思います。そういう趣旨が私は入っているんじゃないかと思いますが、そこで、そういったような投資信託というものの観点を、法規はこうですけれどもといって、法規の運用をそこで手かげんを加えれば、こういう危険がますます出てくるわけで、そういったようなことで、私は今御質問申し上げたのは、そういう銘柄とか、そういう監督というような証券の行政監督、こういったような問題について、あなた方が何をその点について考えておられるかということを聞きたい。これは、へたをしますと、こういう投資信託の趣旨に反するような結果をあなた方が生ませる危険があると思います。これは私の今度の質問をしております趣旨は、法案の改正とは関連はあります。しかし直接一々の字句にわたって聞いているのではない、もっとほかの大きな第三者的な観点から私は質問しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/14
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015・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 投資信託の運営でございまするが、次から次へと投資信託を設定をしていかなきゃならんような運用の状況になっているんではないだろうか、あるいはまた銘柄等につきまして投機的な要素が加わって、さような意味で資金を集めるというようなことになっていくのではないだろうかというような御質問でございまするが、私ども投資信託につきまして、投資信託が急速に発展をいたしましたあとで、市場の情勢が変化をいたしまして、株価が全般に非常に下落を見たわけでございますので、その影響を投資信託も受けておるということ、またそのために証券市場の影響を受けて、いろいろ運用のむずかしいということにつきましては、ありますわけでありまするから、十分いろいろな点について注意をいたしておるつもりなんでございまするが、運営そのものにつきましては、何と申しますか、結局今あるいは価格が下っておるということ、また償還期にきているというような、それが何か投資信託の運営自身に非常に悪いような運営があるんじゃないかというようなふうにも見られがちなんでございまするが、これにつきましては、投資信託としましても、結局株式の投資信託でございまするから、株価が下った影響があるわけでございまして、運営上の問題といたしましては、証券市場の全般的な影響を受けざるを得ないという結果がそういうことになっておるわけでございます。これが続いて現在償還の延期をいたしておりますのも、前回御説明申し上げましたような、受益者の意思というものを尊重いたしまして延長をしておる。それが、証券市場のため、また受益者のためにも、結果において有利になっておるというふうに思っておるわけでございます。現在も、設定そのものが、別に次から次に設定しなければいけないというふうな事態には、これはなっておりませんわけで、現在も募集額自身は減少しておりまするが、別にこの募集額を無理にあげなければ運営がつかないというような事態では全然ないわけでございます。それから、今の銘柄の点でございまするが、一応証券会社の方に対しましての私どもの指導といたしまして、大体お話し申しましたような一つの考え方の基準といたしまして、まあ利回りが八分くらいはあるものが必要じゃなかろうかということ、それから売買高が相当多くて流通性があるということが必要じゃないか。それから原則として価格というものは額面を維持しておるということが必要じゃないかというようなことを言っておりまして、これに対しまして、もちろん株式でございまするから、機械的には判断することもできない面がありますので、利回りがかりに八分なら八分欠けているんだからいけないといったようなことでなく、株式全体としてみて、同時に銘柄がいいかどうかということで判断することをもって指導しておるわけであります。これも私どもといたしましては一つの基準を示しておるだけでございまするので、こういうことが、何と申しますか、やはり当事者として、委託者として、専門家としての判断をすることが、その職務であるわけでありますが、それの一つの基準として通達をしておるということでございます。さような通達に従って現在やっておりますのを見てみますと、非常に銘柄が分散をいたしております。分散投資というのが、これが投資信託の建前であります。大体五億くらいを組み入れましても、銘柄といたしましては百五、六十から二百銘柄くらいのものを、五億ないし十億くらいのもので入れておりますので、非常に分散をしておりまして、片寄った投機的な株に投資しているという事実は、これは全然ございません。また、今後追加型でありますか、追加型がよく言われますのは、これは時価で売買するもの、従って株式に近い性質を持っているものであります。投資信託と申しますけれども、普通に三年間預けて、そしてそれを運用委託するという意味の投資信託と違いまして、時価が発表されまして、時価でいつでも売買できるという性質のものでありますから、投資者の立場に立ちますと、やや株式投資に近い性質のもの、直接の株式投資に近い性質のものでありますが、さような形のものでありましても、やはり直接株を買うということでなくて、頼んで、共同の財産として専門家に委託して運用してもらうという趣旨の投資者がこれに加入するわけでございますので、そういう趣旨からこれが、何と申しますか、仕手株的なもので運用されるということは、全然性質そのものが違うものでございますので、そういう仕手株的なものに片寄って運用するということは現在もやっておりませんし、私どももそういうふうにならないように今までも指導して参りましたし、今後も指導するつもりであります。そういうような投機的な資金を集めるという意味のこととして私ども全然考えておりませんし、またさようなことをかりにもし考えるものがありましても、私どもとしては、そういったことの運用はすべきでないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/15
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016・岡崎真一
○岡崎真一君 今説明を聞いておりますと、実に立派な作文だと思うのです。実際はそうでないようですが、これは私の見解とあなたの見解と違うでしょうから、これは議論する余地がないと思います。今あなたのお話のうちにもあったと思うのですが、だんだん今度の改正というものを見るというと、投資信託的傾向から株式投資的な信託投資的な傾向を持つようなふうに移行するような傾向のことについて、少し触れられたと思うのです。それで、もちろんそういうことは、投資信託の趣旨からいけば、これは排斥すべき問題だと思うのですが、そもそもこの投資信託というものを始めたときの最初のいきさつは、あなたもよく御承知だと思うが、それは、要するに資金に困って、そして証券業者が手持ちの株をどうさばくかというようなことのためにこういう案を作ったのだと思う。しかし当時としては、一種の証券業者の救済策で、それはまあ一応は、いろいろそういう字句は並べてあります。理論的にも一応筋が通っておるので、誰も批判の打ちどころがないようになっておったわけです。それでやってきて、そのときに私は、根本的はこの問題については将来禍根があるぞということは考えておって、投資信託そのものの本筋は、しかしこれは証券業者が扱うべきものじゃないという考え方で、これは、この前の改正のときにも、局長でしたか、誰でしたかと相当私は議論をして、あるいはその点については先方も納得して、私の議論はよくわかっておるのでしたでしょうけれども、わかっている立場上言いにくかったようなこともあって、そういうようなわけで、あいまいな答弁をなさいましたが、そのように、証券業界が不調でありますと、一時よくなってそして進んできて、さらにまた悪くなると、こういったような問題が再燃してくる、そのたびにこういったような問題がいつも起ってきて、まあいろいろなことが繰り返えされる。保全会の問題じゃないけれども、やはり問題が起るような傾向をわれわれは心配をするわけであると同時に、大衆投資というものに対して、多くの人が、その趣旨を、いいものであるにかかわらず、こわがってしなくなって、結局、結論において、自分で自分の、証券業者の首を締めていくような、あるいは企業に対する資金というものに投資しなくなるというようなことになってくると思いますけれども、そういう傾向がもう近ごろ現われておるように私は思うのです。そこで私は、まあ、あなたに質問して、あなたから答えを得ても、これはつまらんことですし、また責任ある答弁を求めることができぬと思うのです。その前に私が突っ込んでも、あなたがさっきみたいに私の言うことを、実際問題について個々の例をあげれば限りなく反駁する材料をあなたは持っております。しかし、それはまあ、あまりげすっぽい話だから、そんなことは、お互いにこういう事情に詳しいものにはわかっておる、あなた方はよく腹の中で御承知でいるのだから、それはあえてここでは申しませんが、大体この投資信託というもの自身を証券業者が扱うべきものじゃなしに、これはあくまで信託業者が扱って、証券業者そのものが、これはいわゆる窓口の役をする、そうして信託証券そのものをオープン型のもっと融通性のあるものにしていくということの方がこの投資信託の趣旨をもっと健全なものにしていくのじゃなかろうかと、こう思うのですがね。これについては業法の改正も要りましょうし、いろいろあると思うのです。ただこの投資信託そのものが、つまり信託者がほんとうに業者にやることができないというような信託業法の改正を要する点もありますから、それよりも、こういうことを考え出したのは、要するに証券業者が考え出した問題であったから、自分たちのいいようにして、あるいは売買の利益とか、いろいろなことに突っ込んで、まあその救済策としてやったものであることは、これはもう明らかなんです。そんな観点からして将来この問題を見ると、根本的にこの投資信託というものを証券業者は触れないのだ、これはいわゆる株の売買を受託者の注文でやる、また投資信託そのものの売買を扱うというようなふうにもっていくべきでなかろうかと思いますが、これに対するあなたの、まあ責任ある御答弁は求められませんでしょうが、一応担当課長としての考えをちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/16
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017・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 投資信託の運営について、まあ証券業者が関与すべきでなく、他のものが、信託会社が当ることが適当じゃないかということですが、現在の建前、信託会社と証券会社、委託会社と申しておりますが、これが契約をいたしておりまして、信託契約をいたしまして、すべて信託財産の名義人は信託会社でございます。また信託財産は、株券になっておるものも、一部金銭になっておりますものも、全部これは信託会社が管理しておるわけでございまして、証券会社が現金、現物に手を触れるというようなことはもちろん全然できませんし、またもちろん、この財産は証券会社の財産と全然別個のものであることも当然でございまして、これも信託契約という形で一切は信託会社の管理下にあるわけでございます。そこで、今委託会社と申しておりますのは、これは法律上はもちろん証券会社ではございませんで、委託会社という一つの会社があるわけでございますが、その委託会社の業務を現在証券会社が営んでおります。その証券会社が現在営んでおりますのは、証券会社として法律が認めておりまするところの証券の投資の指図をする、運用をする。これはいかなる株を組み入れるか、いかなる時期にいかなる価額で組み入れるか、かようなことは一つの専門家として知識、経験があり、能力がある者の指図にまかせることが適当であろう。こういうことでさような能力のあるものが委託会社として免許せられましてその仕事をやっておるわけでございまして、それ以外の点については証券会社、まあ委託会社といたしましてやっておりますることは、この証券会社の業務といたしまして募集の仕事をやり、また買い戻しの仕事、これは受益証券も有価証券でございますから、その有価証券の募集なり買い戻しの仕事をしておりますが、財産そのものの運用ということにつきましては、指図以外には現物管理等につきましては一切信託会社の仕事になっておるわけでございます。
そこで今お話しの、さような場合であってもやはりなお委託会社としての仕事はやらすべきでなく、これは証券会社以外のものが運用、指図をすべきものじゃなかろうかと、かようなお説もあろうかと思いまするけれども、これはまあ証券会社が必ずやるべきものでもなければ、また証券会社がやっていけないということでもなく、そういう知識経験なり、能力のあるものが、これが当るということでいいわけでございまして、まあ今実際問題といたしまして、もしこの指図につきまして大きな弊害でも起るということでございますと、これは考えなくてはならぬということになるかと思うのでありまするが、現実の問題といたしまして、ただいまの状況においてさような弊害というものはないのじゃないかと、こういうふうに見ておりまするし、またかえって一方におきまして、これが別の会社になりますと、これはアメリカの例がそうなんでございますが、実際は委託会社と申しまするのは証券会社の出資でできております。ただ看板が違っておるといいますか、系統会社でございまして、結局その系統会社がやっておるのが例でございますが、実際問題といたしまして、かような指図をする専門の会社というものはなかなかできにくいような状況はどこでも同じじゃないかと思うのでございまして、証券業務というものがその性質上、さような調査部とかいろいろの指図に関しまする適当とする組織を持っておるわけでございます。また委託会社といたしまして、証券業務をやっておりまするが、販売網を持っておって、実際上これを集めることができるというようなことになっておるわけでございまして、これを切り離しますると、米国の例においては非常に高い販売手数料をとっておるというような条件もございますので、投資者の保護という面と、その実際等をよくにらみ合せた上で、私どももまあ今後も考えていかなくてはならないというふうに思っておるわけでございまして、ただいまのところでは、別にすぐさような方向に持っていかなければならぬというふうにも考えておらないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/17
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018・岡崎真一
○岡崎真一君 信託契約がありますから、あなたのおっしゃる理屈は筋が通っております。実は私はあえて理屈理屈ということを盛んに今言っているのですが、しかし早い話が、証券業者が投資について一番の経験者であるということについては、これはいろいろ考え方があろうと思います。まして商売でありますから、自分の利益というものを忘れてそしてやっておるとは、これは考えられません。これはまただれがやってもそうでしょう。そこにこの問題の根本の何があるわけです。そこでその理屈と実際とが違うじゃないかということを私が言っておるのは、そこに根本があるわけであります。あなたは弊害がないとおっしゃるが、しかし弊害の事実を列挙してみましょうか。あるいはそういう必要もないでしょうからこれはやめますけれども、してもいいですよ。それを言えば、あなた方の監督不行き届きだということを私は究明しなければならないから、それは私差し控えたいと思いますが、私はそういう問題は別にして、あなたは専門々々ということをおっしやるけれども、そのうちに言葉のトリックというものがあるように思うので、あえてこういうものがすっきりとした業者、証券業者という……、また同時に証券取引法のうちの業者の取引に預金を受け入れる行為は認められてないというのがあるでしょう。これに反すると思われる節もあるのですがね。これについてはいろいろ局限の仕方はあろうと思います。しかしこういう趣旨からいっても、あくまでも証券業者というものは窓口の仕事をすべきものであって、こういうような運用的な仕事は、これはどうしても信託会社か、あるいは信託会社的性格を持った別個のものがすべきものであろうというふうに私は考えるので、これについてあなたの見解をただしてみたのですが、むしろそれよりも現在の方がいいのだという御見解だから、これは見解の相違ということで、追及してみたところで切りもない。これはまた場合によれば業法の改正とか、そういうものに関連しての問題をまた出さなければならぬかもしれません。そうしませんと、非常に今の投資信託というもののあり方が、今後こういう形で進んでいくならば非常に弊害が起きるという心配をしているということを、まあ警告だけをすることにして、質問は一応打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/18
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019・野溝勝
○野溝勝君 私は岡崎さんのように金融界ではありませんけれども、率直にまあお伺いするのですが、きょうは阪田理財局長もおりますから、政府委員席にお着き願いたいと思います。御両氏にお伺いするのですが、これは一種の銀行の歩積みと解釈していいのですかな、私はそういうように解釈されてならぬのですが……。なぜそうかというと、一体この改正案のうちに、今度は一つの何といいますかな、追加型証券投資信託の受益証券についてということで改正をされたようでございますが、今日までも投資信託をしておる方方は、いわば払い戻し等を受けないで追加証券をした場合があるんでございますが、それを今後は明らかにすることになったのですけれども、一体こんなことをしなければ何かめんどうのことがあるんですかな。何か投資信託がもうけが薄くなって、やりにくくなって、株の変動がないしするから、そこでさらに投資信託をやったものの一切を歩積みして取り上げようと、こういうように解釈していいのですかな。私はしろうとですからざっくばらんに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/19
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020・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) ただいまお話しのような趣旨のものとは全然これは違っておるのでございまするが、この今度の改正は、単に今やっておりまする投資信託の一つの形に追加型投資信託、普通オープン型とかいっておりまするが、一つのまとまった、個々にそのつど設定されて、投資信託が幾つもできてくるのではなくて、一つの財産としまして運用いたしまする形の追加型投資信託というのがございまして、その追加型投資信託に関しまする規定といたしまして、法律の規定で若干不備な点もございましたので、そこでその不備の規定を手直しをするという程度のことでございまして、その一つは、受益証券の記載事項について記載事項を改める、あるいは信託約款に記載する事項を改めるというようにいたしまして、まあ制度の運用をなめらかにやれるようにする、また監督上必要な規定を設ける、これだけでございまして、投資信託そのものについて別にとかくの、何といいますか、方針等に関しますることを攻めるとかいうようなこととは全然関係ございませんで、単なる規定の手直し的なものなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/20
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021・野溝勝
○野溝勝君 受益証券の記載の手直しというのは、今までやっておりますよ。私も三枚買っておるのですが、なけなしの金で三枚買って、有力会社が有力株の銘柄を発表してやっておるから、これを買っておけば、この会社が何か株の操作にうまいことをやって、少し配当でもあるかしらと思って、私は小手調べにやっておるのですが、まあ三枚ぐらいのことは大したことではございませんが、私にとっては相当の額です、一万五千両でございますから。ところがそういうことで、あれは現金にかえることもできるから、その点は確かに便利だ。便利だが、どうも一万五千円じゃ配当をもらうわけにもいかんから、それをまた繰り越して積み立てるというふうにするのだが、そのお金では足りないからまた足して買うということになるのでございますけれども、たくさん持っておる方々は、結局現金にかえるか、さもなければそんな払い戻しなどは取らないで、それにさらに加算をいたしまして、もっと株をふやすということをやっておると思うのです。だから何もここで受益証益の記載を明記しなければならん、そのために法律の改正をしなければならんというだけでは私はおかしいと思うのですが、もしそれがおかしいということなら、見のがしていた政府当局側が私はおかしいと思うのですが、そういう点はどうですか。もしそういうことでないというのなら、私は理財局長から言明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/21
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022・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 野溝委員のおっしゃったのは追加型の分でありますか、契約型の分でありますか、ちょっとはっきりいたしませんが、大体従来御承知のように、一定の単位をきめて最初に募集した額だけで、途中で解約があります型、最後まで行く型、これは途中でだんだん元本が増加するという二つの型があったわけです。あとの方の型はあまり多くは普及しておらなかったわけであります。その関係の規定が不備といいますか、不便でありまして、随時元本を増加していくという場合に、証券面の記債事項というのは、随次適切な場合にどんどんふやしていけるというふうになっておりませんでしたので、記載事項を今後直していこうと、これだけのことであります。それ以上今おっしゃった点に関連して特別に問題になるような点は何もないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/22
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023・野溝勝
○野溝勝君 最初の契約をした投資、それにまた追加をした投資信託、いずれを問わず、前にそういうことを書いた場合にでも、そんな法律改正じゃなくてもちゃんと投資信託では扱っておったのですよ。私は委託会社というのは、これはトンネル会社だか手続会社だか知らんけれども、とにかく私はこういうめんどうなことは別にして、一応私としては投資信託を対象にして考えております。そこでそういう会社で今まで手続をしておったのです、われわれはめんどうなことなく。またそういう投資信託をした方に聞いてみるとそうらしいのですよ。それがもしこの法律を改正しなければできないことならば、違法を犯しておったことになると思うのだが、その間はどうかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/23
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024・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) この法律の改正点であります。現在までに、ここにありますような追加型証券投資信託にいたします場合には、現在の法律の規定通り、適法にやって参ったわけであります。ただそれでいきますと、この追加型の特徴として、随時に元本をふやしてゆくということがあるわけですから、それに不便でありますので、今後それを便利にいたそう、それだけのことでありまして、従来別に違法なことをやっておりましたわけではありません。従来ちょっと不便な点がありましたので、そこを直そうというだけのことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/24
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025・野溝勝
○野溝勝君 阪田さんにお伺いするんですが、投資信託を相当持っておる方が追加する場合があるんですよ。そういう場合は法律上はできないことになっておるかもしらんが、今までそれを便宜的にやっておったところがあるんだ、そういうのはどういうのかというんですよ、どういう形でやっておったのか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/25
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026・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) それは具体的にいろいろな場合があると思うんですが、普通は追加するという場合には、従来は追加型の投資信託はあまり出ておりませんでしたから、普通投資者がおやりになっておるのは、そのつど新らしく発行されるものを買い増ししていかれる、こういうことをやっておられたかと思います。それは今回の改正の規定には全然関係のないことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/26
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027・野溝勝
○野溝勝君 そうすると追加信託というのは今まではしなかった、そこで今度は追加信託というのを認められた。今までの契約をしておったものをさらにふやすというのは、それは今回のあれとは別に関係はない、こいういうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/27
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028・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) ちょっと御説明が不足しておったようですが、投資信託、まあそれぞれ十億とか五億とかいったような単位ができておるわけですが、その単位が閉鎖的になっておると、最初に発行した単位で最後まで行くのが従来の一般に行われておりましたルールでありますが、従いまして従来買い増しされるというような場合には、そのつど新らしく発行されるほかの単位、ほかのユニットの分を買われる、こういう、形になっておると思います。今回追加型という場合に追加追加と申しておりまするのは、同じ単位の五億なら五億、十億なら十億で発行されたものがだんだん追加してふえてゆくという、そういう別の型の投資信託であります。おそらくお話しの場合は、従来の普通行われておりました、基本のきまっておる型の投資信託でありまして、別のユニットで発行されるものを買い増しされる、こういう問題ではないかと思いますますが、それでありますれば今回の改正には全然関係がないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/28
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029・野溝勝
○野溝勝君 わかりました。さらに小林さんにお伺いするんですが、先ほど御答弁の中に、銘柄は投資信託の建前上分散することが建前になっておる、こういう御答弁でございまするれども、一体投資信託が有力銘柄を発表するのはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/29
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030・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 投資信託は分散をして投資するということが、危険を分散するという意味で一つの建前にもなっておるわけで、信託約款におきましても、その分散の程度につきまして規定があるわけでございます。現在やっておりまする投資信託つきまして、大体各単位、まあ発表いたしておりまするものは二百程度あろうかと思います。上場銘柄のうちから選びまして、二百程度ぐらいの銘柄は発表されておるわけでありまして、特に有力と申しまするか、特定のものを選んで、それに投資するというようなことに発表はいたしておらないわけでございます。相当多数の銘柄に組み入れておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/30
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031・野溝勝
○野溝勝君 二百になっておるか、三百になっておるか、そんなことは私は知らないんですけれども、上場銘柄は幾つでもよろしいが、とにかく小林課長さんも御承知だと思うのでございますが、銀行でもそうでございますけれども、投資信託会社へ行きまするというと、有力銘柄というものをこれが有望だということで盛んに投資信託加盟者にさような暗示をするんでございます。結局投資信託に加盟しておる人は、まあ大半と思うんでございますが、大体自分の金を投資信託しておるのでございますから、その投資信託会社を信頼することは当りまえでございます。そうするとその投資信託会社がやはり有力銘柄ということを発表すれば、勢いそれにつられることは当りまえだ。さらに私はこの投資信託の建前からいって、やはり有力株を持つ、そういうことになると、結局その投資信託が、たとえば五大証券が好意を持っておる会社、ないしは、その有力株といっても、実際は内容がよくなくて、まさに倒壊するというようなものに、さらに頓服注射をしなければならぬという場合、従来も相当援助して参っておるのであるから、さらにどうもこの際つぶしてはたまらぬということで、結局有力株だというようなことで、むしろ投資信託がそれに非常な援助をする場合がないとも限らぬと思うのです。そういうような場合は、私はむしろ今日まで証券会社のやってきたことであって、今小林課長さんの話を聞くと、そういうようなことは危険があってできない。むしろ分散をやっておるというけれども、実際にそのいうことをもし真実に一貫してやるならば、私は証券会社はあらゆる会社の、特に五大証券などはいろいろの会社の株主になっておるじゃないですか。みんないわゆる大株主になっておれば、その会社がかわいいことは当りまえなんですよ。そうすれば、結局その会社の内容が悪いときには、やはりその投資したところの投資信託もこれはたまらぬというわけで、積極的な無理をすると私は思うのです。そういうようなことはあるかないか、もしないとするならばないでよろしうございますが、ついてはそういうことのあやまちを犯さぬためにはどういう監督をしておるか、どういうことをしておるかということについて一つお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/31
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032・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 証券投資信託を営んでおりまする会社は、お話のように、ある株式につきまして、これをまあその内容なりは、現在の時期として推奨と申しますが、買い付けについていろいろ広告をするということがございますわけでありますが、これは会社といたしまして、いろいろの調査の結果、投資者に対する一つの参考の、投資相談の材料といたしまして、さようなことをやっておると思うのであります。かような株につきまして、それが会社がさような広告等をしておるという関係から、投資信託の財産に無理な組み入れ等がせられるようなことはなかろうかというような御質問だと思うのでございまするが、投資信託は相当まとまった金額を扱っておるわけでございまするから、ある株に特に集中等をいたしまするというと、株価の騰落によりまして、非常にこれは信託財産の中身に影響することが、大きいわけでございまして、投資信託自身を営んでおる委託会社といたしましても、やはりこれは投資者のためにはかるということ、これはまた自分の会社の信用の問題でもございまするし、一つの競争でもございまして、さように何と申しまするか、信託財産の中身を悪化させるようなおそれのあるよう銘柄を特に多数組み入れて片寄らせるような運用をするというようなことは、これは今までもございませんです。私どもはさような意味で、分散投資ということが一つの建前のものでございまするから、私どもとして、法律なり約款なりに分散投資に関する規定もございまするから、その趣旨を徹底するように指導をしておりますし、現在まではさようなことがいなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/32
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033・杉山昌作
○杉山昌作君 関連。その場合に今一、二の銘柄に集中しないということですね、たとえばまあ一億なら一億のユニットで十なり十五の銘柄を初めやりますね。そうすると、そのうち一億で銘柄が十あるのだが、このうちどの銘柄を何%、どの銘柄に何%というようなことは、現実にどういうことになっておるかということは、広告をしてまた公けにわかるようなことになっておりますか、それはどうなっておりますか。まあ一億でも五億でもそれはいいのです。単位ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/33
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034・小林鎭夫
○説明員(小林鎭夫君) 一億ぐらいでございますと、大体百銘柄以上に投資しておりまして、十とか二十とか、少数の銘柄ではございませんので、これは非常に極度に分散投資をしておることになります。その分散の内容につきましては、これは受益者としましては、信託会社なり証券会社、委託会社の店頭におきまして、いかなる投資をしているかということにつきましては、これを照会していくことができる組織になっておるわけでございます。ただ新聞等に内容を発表するということは、これは運営の問題でございまして、株式に対する影響がいろいろございまするから、発表いたしておらぬわけでございますが、受益者としては知り得ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/34
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035・野溝勝
○野溝勝君 最後に一つお伺いしておきたいのですが、この点は先ほどの岡崎さんとまことに私は考え方が同感なんですけれども、投資信託のやっておる業務でございますが、信託銀行と非常に混合するのです。これはまあどちらもやって悪いということにはなっておらんらしいのですが、特に私は証券業と信託業というものは、非常に関連はあるかもしれんが、非常に私は産業金融面において一貫性を持っておるかのごとく見えていて、非常にまた弊害もある。また誤解もあるのです。こういう点については、理財局長と銀行局長との間に十分話し合ったことがあるかどうか、この際一つ聞いておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/35
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036・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 先ほど証券課長から御説明申し上げましたように、まあ投資信託という場合に、受託者になっておりまする信託銀行、それから証券会社のやる仕事の関係、これはまあちゃんと法律上分界がありまして、先ほど御説明申し上げましたように、信託銀行が信託財産の名義を持ち、管理もすべてやっておる。証券会社はこれに対していろいろ運用の指図をするだけだ、こういったような関係がはっきりいたしております。その意味から、問題にすべき点は現在のところ私はないと思っております。具体的に銀行局とそういう点につきまして相談したということはございません。ただまあいろいろ考えられることといたしましては、たとえば会社型の投資信託を作ったという場合、あるいは投資信託関係の仕事は証券会社のやる仕事から切り離して、別の会社にやらしていくことが適切じゃないかという意見も一部聞いたことがございます。それから御承知のように信託銀行というもの、これもいろいろ全体の業務の上、金融の体系の上からいってどういうふうに持ってきたらいいのかという点、これはまあ多少問題がある。これも御承知の通りです。そういうような点で、これからやはり大きな見地から、いろいろ研究していった方がいい問題が御指摘のようにあると思うのです。しかしまあ具体的に銀行局と私どもの方とそういう点につきまして、具体案について相談をいたしておるというようなことは現在のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/36
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037・野溝勝
○野溝勝君 希望だけ述べておきます。その点は特にこういうような金融情勢になって参りますると、特に特定の投資信託と信託銀行とが非常に金利上の問題についておもしろくないといういきさつのあることも聞いておりますし、非常にうまくいっておるということも聞いております。なおそういう点で、特に投資信託と信託銀行の首脳部の間にリートの大きな取引が行われておるということも聞いておるし、これはまあうわさであれば幸いでございますが、特に金融の最高峰を行く諸君の間で、さような忌まわしきことのないように、一つ理財局長と銀行局長の方において、十分御調査を願って、指導誤まりなきを期してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/37
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038・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) ただいまちょっと御指摘のような点は具体的には私どもとしては余り承知いたしておりませんが、まあ注意いたしまして、十分監督いたしまして、間違いのないようにいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/38
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039・杉山昌作
○杉山昌作君 今配付になりました証券投資信託に関する資料、これはちょっと伺いますが、「秘」の判がついてありますので、以下の問答を、もし速記録から除く必要があるというなら除いてけっこうですが、これはまあ今までの累計だと思いますが、この表を見て、ちょっと異様に思うのは、設定額が千三百六十億で、一部解約額が約三分の一の四百三十億もある、こういうことで、非常に一部解約額が多いのですが、これはどういう関係でこういうことになるんでしょうか。僕の想像では、せっかく投資信託をやろうという人はまじめな投資家であって、途中で解約しようというようなことではなしに、着実な考えを持っているだろうしするから、長く続くべきだが、途中で解約がこんなに多いのは、募集に非常に無理があったか、信託のやり方が非常に下手で損をさせるという見込みがあったか、そういうことで不安にかられて解約をしたんじゃないかと想像されますが、どういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/39
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040・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これは少し具体的に数字の内容につきまして検討してお答え申し上げた方がいいのじゃないかと思いますが、大体のことを申し上げますと、設定総額は千三百六十二億でありますが、そのうちまあ償還額というのが百五十二億ですか、出ておりますが、これは大体償還が二年でありますから、償還期限がきたものが、ことに昨年の十月だと思いましたが、償還期限がきたものから償還を一年延ばしておりますので、そういう意味で償還額は割に少いわけです。現在まだみんな残っておるという関係です。それから解約額が多いのは、これは非常に歩が悪くなったので解約になったという問題もまあ一部にあると思いますが、一面また非常に投資信託の内容がよい、五千円投資したものが倍になっておるということで、これは手仕舞いするという意味で解約して、その調子のいいときに元を取ろうという意味で解約するものもある。まあそういったような解約額の累計がこういうことになっておるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/40
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041・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっと理財局長にお尋ねしますが、今の質問は速記録に載せておいてよろしゅうございますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/41
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042・杉山昌作
○杉山昌作君 今、理財局長のおっしゃったように、五千円の投資証券が七千円にも八千円にもなったから、今のうちに解約して七千円せしめてやろう、こういうことで解約が多いなら、これは投資信託に入っている人が非常に採算的にやっているのだからけっこうだ、まあけっこうというか、けっこうです。しかし、そうじゃなくして、非常に無理があって、投資信託をさせた。しかしその後不景気になって金が要るからということで途中で解約をせざるを得ないというようなことのためだということであると、今後の投資信託の募集の仕方にも相当の考慮をしなければならない。これは先だってから木村委員から話があるように、非常に株式民主化というようなことでじゃんじゃんこれをやって、しかし結局今日ば額面を割るようなふうになっておるので、はなはだ大衆に損をかけるようなことに相なっておるじゃないかというような御注意もあったですね。従って今の解約をするということはそういうことにも関連するわけで、この数字をすぐにどうこうとは申しませんけれども、そういうふうな趣旨の解約が多いということであるなら、今後の信託の設定について、木村君なんかの御注意のあることも十分考えられて、御監督を願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/42
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043・山本米治
○山本米治君 二、三質問したいですが、この表はなぜ「秘」なんですか。今お渡しになった表です。などういうことで「秘」にする必要があるのですか。大して「秘」にする必要はなさそうだと思うが、各会社の設定額の大小が直接信用にかかわるというわけでもないし、一部解約が多いということで「秘」にするというんなら、今の速記録に載せたことはすでに「秘」を破ったことだし、どういうことで「秘」なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/43
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044・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) この設定額の数字あるいは償還額の数字、これは外部に募集してやるのでありますから、はっきりしておるわけであります。償還額の数字なんかも、償還期限があるので、償還すればこれも明確になるわけでありますが、一部解約額の数字は、これは実は従来出しておらない数字であります。ことに各社別に出ておりますので、各社別に解約の状況がどうであるかというようなことは、多少それぞれの社の営業のいろいろな問題にも関係いたしますので、やはりこういうものは正式に出したということにいたさない方が妥当であろうと考えますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/44
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045・山本米治
○山本米治君 了承いたしました。それから次に、今まで投資信託は、初め募集の際に予定配当というようなものもありましたわけです。一割とか一割二分とか、最近はもっと下っておるようですが、株式の配当とか、あるいは場合によったら利子もあるかもしれませんが、そういうものが当初は非常に高かった。最近はだんだん少くなって、この予定配当に達しないので、一部売買収益をもってやはり予定配当の中に入れておるということを聞いておるわけですが、最近この予定配当はどんなふうになっておるのか。あるいは予定配当を実行するために、ほんとうに配当だけでやっているのか、あるいは売買益を一部繰り出してやっておるのか、その辺を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/45
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046・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) お尋ねの予定配当ということでありますが、この投資信託につきましては、実績に応じて配当いたすわけでありまして、予定配当というのは、確定利付きといいますか、利子がきまっておるというような観念はないわけです。ただ、多少これは見通しを宣伝の際に言うというようなことで、一割の予定配当というようなことを申しておったのであると思います。ただ、それにつきましては、そういう投資信託の性質からいたしまして、何か確定利付きであるような印象を与える宣伝方法は適当でないと私どもも考えましたので、これはよほど前から取締りまして、そういうような宣伝方法はさせないようにいたしております。それで配当の内容といたしましては、これはまあ投資信託の内容から、投資しておりまする証券の配当、あるいは預金、社債等の利子収入、こういうものがありますから、こういうものは手数料を引きまして、投資信託の配当に充てるわけであります。そのほかに売買益がありまして、売買益も加えて配当できることになっておったわけでありますが、ただ現実の問題といたしましては、最近の状態におきましては、売買益で配当し得るようなものは非常に少くなっております。ごく一部のものにつきまして、ごくわずかの額をやっておる程度であろうと思います。配当率も、これも実績に応じてやるわけでありますから区々でありますが、最近では大体八分見当になっておるような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/46
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047・山本米治
○山本米治君 昨年の秋に二年目の償還期が一応きたのについて、一年の延長措置が講じられたわけですが、きのうの説明によりますと、このときには受益証券の所有者の意思を聞いて、過半数が延長希望なのでやったということでありましたが、意思を聞くと、やっぱりこれは記名式だから全部郵便でもって問い合せしたのでしょうが、その場合過半数の場合だけ延長したというのか、その辺の延長したやり方について、一つ御説明願いたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/47
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048・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) それは証券投資信託は実はすべて無記名証券になっておりますので、券面では所有者というものはわからないわけでありますが、大体まあこれを最初に売りましたときに、あるいは配当いたしますので、大体所有者はわかっておりますので、わかっておるものにつきましては、すべて照会して一応承認するかどうかということを聞いておるわけなんでございます。なお、新聞に広告等もいたしております。なお延長を承認するといいますか、延長するか、承認するかどうか聞いてやります際にも、何といいますか、延長すれば先でよくなるとかいったような印象を与える聞き方をすることは、厳重にいたさないようにいたしております。そういうことなしに照会をする、それで大体照会に対しましてすべて返事がくるとは限らないのでありますが、返事のくるものは、大部分——大体ちょっとはっきりいたしませんが、半分ぐらい返事が参っておりまして、返事が参っておりますものは、大部分延長する、それを承認するという方であります。それで期限が参りましたときに、この際解約したいというものにつきましては、期限がきて償還を受けると同じような条件で、解約礼金がもらえるようにしてあると思いますが、実際そういうようなその権利を行使しまして解約といいますか、解約しておるものは大体六、七%ぐらいだと思います。非常な少い率になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/48
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049・山本米治
○山本米治君 もう一点伺いたいのですが、これは投資信託が始められた当初から多少懸念しておった問題なんですが、委託会社がこのユニット内の証券の売買を指図するわけです。こういうものを今度売って、こういうものを買う、そうするとその利益が証券会社の利益に帰属するわけですが、その場合に不当に手数料をもうけたいために、不当に売買をする、今百なら百の銘柄が入っておると、それをまあこのままでもいいけれども、一つこれをAとBとを差しかえる、差しかえることによって証券会社は手数料がかせげるわけですが、不当に差しかえるという傾向はないかどうか、これはなかなか証明のできがたいことで、このAをBにかえたのは、指図した証券会社としては、確かにこのAが悪くてBががよさそうだからかえたということをいうかもしれないが、これは証明の方法はないと思うのです。それが乱用されている傾向はないかどうか、その乱用する傾向に対して制限の方法がなかなかむずかしいと思うのですが、その辺の事情を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/49
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050・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 投資信託になっておりまする証券、これは先ほど申し上げましたように、信託会社の利益でありまして、売買いたしましても損益の問題は、これを信託財産、投資信託に帰属するわけで、証券業者にはその権利がないわけです。で、その証券業者が売買を扱いますとき、売りと買いと両方に手数料が入るわけでありますが、そういった関係上、その手数料を多くするために、むやみに売買するのじゃないか、こういうようなお尋ねかと思うのですが、これはそういうことをいたしますと、売買のたびに、そのたびに利益が信託財産としても上っていく。信託財産の内容がよくなっていくという場合でありますればいいわけでありますが、ただむだに手数料をかせぐために売買の数を多くするということでありますと、これはやはり信託財産から手数料も出るわけでありますから、やるたびに信託財産の内容が悪化するということになります。投資信託の内容が悪くなりますれば、これはやはり投資信託を募集しておるその証券会社の信用にもかかわる問題でありますから、まあまあそういう極端なことはいたさないのじゃないか、現実におきましても、そういったような事例があるといったようなことは私ども今まで聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/50
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051・藤野繁雄
○藤野繁雄君 この資料ですね、この資料で見てみると、大和証券だけが追加型の投資信託をやっているが、その他のものは追加型はやっていないんですか、現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/51
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052・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 大和証券だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/52
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053・藤野繁雄
○藤野繁雄君 もし現在大和証券だけであるとしたならば、今度の法律改正によって、別な証券会社のようなものも追加型をやろうという希望があるというようなことをお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/53
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054・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これはまあそれぞれまだ各証券会社ともはっきり態度をきめたわけでもないと思いますが、規定の改正なり、そうした暁にはある程度やってみようという気持を持っておる会社もあるように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/54
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055・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうしますというと、この法律改正の結果は、各社とも追加型の投資信託が増加するものであると、こういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/55
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056・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 大体現状よりも追加型投資信託にかなり力を入れるようになると思いますが、ただこれが通りましたからといって各社ともすべてやる、あるいはこれに主力を注ぐというふうには、現状ではちょっとならないんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/56
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057・藤野繁雄
○藤野繁雄君 きのうからの説明を聞いてみるというと、しかし追加型の投資信託の方が大体において有利だからというようなことで今回法律を改正されるというようなふうにも伺ったのでありますが、そうするというと、提案の理由と少し違っているようなことになろうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/57
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058・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これはどうも追加型投資信託の方が、すべての点において有利であるといいますと、ちょっとやはりそういう御説明をしたとすると、ちょっと言い過ぎであろうと思います。やはりこれはそれぞれの何といいますか、特徴といいますか、利害がありまして、どれがいいとは一概に言い切れるものではなかろうかと思います。また投資する方の側の感覚からいたしましても、どちらをとるかということに問題があると思います。いろいろな利点を持ったものを出して、できるだけ普及をはかっていきたいというのが証券会社なり投資信託の関係の者の考え方であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/58
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059・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから新聞やラジオの報道によってみまするというと、さっきから各委員からいろいろお話があったように、投資信託は最初はある程度有利なものであるとされておったのが、だんだん有利でないというような方に向っているというようなことを聞いておるのでありますが、果してそうであるとしたならば、この法律制定以来の各社の投資信託がどのくらいの利回りになっているということは、今御発表できたらば発表していただきたい。しかしそれは秘密だということだったならば、秘密で発表していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/59
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060・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これは配当率の問題、それから償還のときの償還がどの程度になるか、こういう二つの問題があるわけでございます。それぞれこれは既往のものにつきましては、すでに出ておるのでありまして、別段秘密というものではないと思いますが、大体配当率は一割二分五厘、最高三分程度やっておりましたのですが、昨年あたりの非常に不況の際には六分あるいはその以下ぐらいに配当率が下ったこともございます。それから最後の償還期のときの償還金につきましては、最近は御承知のように額面以下、額面よりも少くなるというようなことで、償還を延期しておるというような問題がございますが、好景気には払い込みは倍額以上の償還をしたのでありました。こういうふうな実情でございます。個々の会社のユニットによりましてそれぞれ違っておりますので、今すぐにそれぞれにつきましてどうということは申し上げられません。大体の状況はそんなふうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/60
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061・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今私が申し上げたことについて、過去のは決定しているということですから、今わかっているものだけをあとで資料として御提出を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/61
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062・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっと政府委員の都合で、この問題は午前中はこの程度にして、たばこ専売関係の質疑に移りたいと思うのです。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/62
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063・青木一男
○委員長(青木一男君) たばこ専売法等の一部を改正する法律案、
日本専売公社法の一部を改正する法律案、
いずれも予備審査の二案を一括議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/63
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064・平林剛
○平林剛君 今日は大へん時間が遅くなりまして、十分質疑が尽せないときにはまた別の機会にお願いすることもありますから、あらかじめ御了承願っておきたいと思います。
私は、日本専売公社法の一部を改正する法律案と、たばこ専売法等の一部を改正する法律案に関して若干の質問を行いたいと思うのであります。
日本専売公社法の一部を改正する法律の中で、第九条関係についてであります。今回、政府が御提出になりましたのは、その第四項中「葉たばこ」を「たばこ」に改めるというだけでありますが、この条項は、御承知のように、専売事業審議会に関してのことであります。私はこの専売事業審議会というのは、「学識経験のある者、葉たばこを耕作する者その他専売事業に直接関係を有する者及び公社の職員の中から、大蔵大臣が任命する」とありますが、この点についてまずお尋ねをしたいと思っておるわけであります。現在の専売事業審議会の構成につきまして、この条文から照しまして具体的にはどういう形で選任されておるか、それを最初にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/64
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065・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 学識経験ある者といたしましては、渋沢敬三……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/65
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066・平林剛
○平林剛君 名前はいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/66
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067・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 委員長一名、委員八名でございまして、そのうち葉タバコを耕作する者を一名委員に含みまして、公社の職員のうちから一名を充てまして、残余の六名と委員長一名は学識経験ある者から選定する、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/67
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068・平林剛
○平林剛君 まあこの専売事業審議会の運営については、学識経験のある人が非常に数が多くなっておりますが、私はこの法律の条文から照してみまして、例示から見まして、もう少しタバコを耕作する者、あるいは公社の職員の中からの代表が加えられてもよいのではないか。特にその他専売事業に直接関係を有するものの中からも加えられていないという現状であります。そういう点からみますと、どうも選考が片寄り過ぎているのではないか。もう少し各方面の意見が反映できるような形をとって運営をされることが必要だと思っているわけであります。特に私はお尋ねしたいのでありますが、公社の職員の中から選ぶ委員につきまして、これはまあ専売公社の職員の団体として労働組合がありますが、労働組合の代表の中から選ぶというようなお気持は現在お持ちになりませんか。私がこういう質問をいたしますのは、今回の日本国有鉄道において、同じ公共企業体の一つでありますが、新たな総裁が参られて、そうしてこの国有鉄道の経営調査会が労働代表を参加させて、そして今後の国鉄経営に乗り出そうという考えを持っておられるわけであります。これと専売公社の経営全般と比較をいたして見ますと、私はもう少しこの専売事業審議会の中に、それらの意見、国鉄と同じ程度の意見が反映するような運営をしてもよいのではないか、こう考えているわけであります。そこでこの機会に、あなたは監理官でありますので、いずれ総裁にもお聞きしたいと思いますが、そのことについて御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/68
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069・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 先ほど委員の構成につきまして、葉タバコを耕作する者一名、公社の職員一名、残余は学識経験ある者と申し上げましたが、ちょっと訂正させていただきたいのでございます。専売事業といたしまして、御承知のように塩がございますが、塩の事業に直接関係を持っている方、これは別の観点から見ますると、学識経験ある者とも言える方でございますが、加わっておりまして、葉タバコのみならず、塩の事業にも関係しているものも入っているということに御了承を願いたいと思うのであります。
それから、公社の職員の中から一名だけでなく、もう少しふやしたらどうか、労働組合の中からふやしてはどうかという御意見でございますが、ただいまのところ、私、監理官といたしまして、専売事業審議会にしょっちゅう出ているわけでございますが、議題に供される事柄は、専売事業といたしましては、タバコの耕作関係、販売関係、製造関係、塩脳関係、その他公社の労働問題各般にわたっておりまして、各代表委員からみな的確な御意見がございまして、ただいまのところ専売事業審議会は、十分その設置の目的に沿ったお働きを願っていると考えておりまして、ただいまのところ現在の構成メンバーを特に変更するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/69
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070・平林剛
○平林剛君 まあ現在の経営の状態が監理官として見た場合に、特別取り立ててむずかしい問題はなく運営できているというような考え方は一つの見方だと思います。しかし最近のような、公共企業体の経営そのものがかなり社会的にも問題になっているときには、もう少し新しい意見というものを注入するという考え方があってよいと思うのです。これが今回の国有鉄道のいろいろな経営上の失策や弛緩が起きたことにかんがみ、新たに労働代表を二名加えて、国有鉄道の経営調査会というものを発足させる一つの新しい行き方になってきているわけでありまして、私は、専売公社もそういう新しい考えというものを大いに取り入れた経営をやってもらいたい。特にこれは法律上の解釈としては、別に法律改正をしなくても、専売公社、大蔵大臣の考え等によって選任できるものと判断をしておるわけでありますが、差しつかえないと思うのでありますが、まあその点をちょっとお伺いしておきますが、法律改正をしなくても、現在の運営の面においてそういう選任ができると思うのでありますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/70
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071・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) ただいまのお尋ねの点につきましては、特に法律の改正を要せずしてできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/71
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072・平林剛
○平林剛君 大体それで、私はまあ経営全般についての私の意見を申し上げて、将来皆さまの御検討を願いたいと思っておるわけでありますが、十七条の二の削除の件について今度は質問いたします。特別に今申し上げた点と関連をするわけではありませんが、しかし遠くからながめると関連をするかもしれません。私はこの第十七条の二を、今回の一部を改正する法律案の中に含めて参りましたことについて質問をいたします。この削除の理由については、政府は、離職後の就職制限の根拠になっていた物調法が昭和二十七年の三月三十一日をもって失効したから空文化しておる、だからこれを削除するのだ、こういう御説明がありました。この点私はまことに疑問に思うのであります。この物調法によって制限を受けている会社、まあ公社において従事し、または監督していた「割当の事務と密接な関係にある営利を目的とする会社その他の団体」というのは、具体的にいうとどういうことを示すのか、まず明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/72
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073・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 具体的には、専売公社関係におきまして、この十七条の関係の物調法の関係で該当する営利団体にはどういうものがあるかということにつきましては、ただいまちょっと資料がございませんので即答いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/73
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074・平林剛
○平林剛君 あらためて私の方へ提出をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/74
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075・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/75
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076・平林剛
○平林剛君 そこで、この法律で削除の理由の根拠になりました物調法は、確かに昭和二十七年に失効はいたしておりますが、その後二カ年経過した今日、あらためて今提出する理由が私には明瞭ではないのであります。もちろんこの法律の趣旨からながめてみまして、「離職後二年」とありますから、二年たった今日削除するということを提案をしてきた、つまり二カ年待ったんだというようなふうに解釈できないことはありませんけれども、しかし最近特に吉田内閣が倒れたというのは、各事業団体や、陸運疑獄であるとか造船疑獄というようなことで、疑獄事件が続いて、そして吉田内閣も退陣せざるを得なかったというのが最込の政局でありました。これは私は、専売公社には幸いにして首脳部である幹部もしっかりしておるし、あなた方もしっかり監督が行き届いておるから、さような事件がなかったということは大へんよいことだと思っておるのであります。けれども、この二カ年間に相次いでそういう問題があったときに、こういう削除の法律案を持ってくることは、私はいろいろな物議をかもすのではないかというような感じを受けるのであります。私は監理官としての神経の面からいって、良心といいますか、その面からいきまして、この際この一部を改正する法律案の中にこれを含めたということについて、将来のことを心配いたしましてお尋ねをしたいわけであります。その点についてあなたの見解はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/76
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077・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘のように、今回新しくこの条項を廃止したように見えるのでございますが、決して特別の意図があったのではございませんで、本来空文になっておりますので、このまま捨て置いてもいいようなものではございますけれども、もう全然適用のない法律に関連した条項を置いておくのもいかがなものであるかというような点も考えまして、今回法律改正の機会にこれを削除することといたしましたのと、お話しにございましたように、やはり二年間ということは、その間待つ必要がございますので、二十七年三月三十一日から二年たった二十九年、本来ならば昨年あたり削除すべきであったのかもしれませんが、特にこれだけを法律改正をいたしまして国会の御審議をわずらわすほどのこともなかろうというようなことで、今日訂正をいたすこととした次第でございます。それから平林先生が御指摘になりましたように、専売公社関係におきましては、こういう役職員の就職等によりまして、専売公社事業に関連しまして、不正不当な事案というようなことは全然今日までのところございませんし、将来そのような懸念は私ないと確信いたしております。従いまして、特別にこの法律を削除することによりまして、人を特に売り込むことをするとか、そういうような目的をもちましての改正ではないということを断言いたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/77
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078・平林剛
○平林剛君 私はその点が間違っていると思います。もちろんこれからの専売公社の経営全般についてさようなことはないと思うという、今は言葉通りではそれは通用すると思います。しかしこれからたばこ消費税の問題において、地方にかなりの権力が分散をするというような傾向が現われてきているわけです。専売益金の使い方について、そういうことからみて、また現在までいろいろなことがなかったことにかんがみ、この際諸般の情勢を考えて、何も今あなたの言うように、すぐ出してこなくてもいいという程度のものであれば、ここに入れるという理由がまた別の理由があれば別ですけれども、そうでないとすれば、非常に根拠が薄弱だと私は思うんです。特に私は専売公社というのは、一面公共企業体で経営をされておりますが、一面国家公務員と比較されることがしばしばあるわけです。国家公務員法の百三条を見ますと、やはり国家公務員に対しては、私企業からの隔離ということが行われている。必ずしも私が今指摘している点と同一ではありませんけれども、しかしその精神、趣旨という面においては関係があると思うのであります。こういう点も含めまして、私はもう少し監理官がこの点については、将来の経営ということを考えた良心的な措置をとるべきではないだろうか、こう思うのであります。私はまあこれを指摘しましても、現在専売公社の中にとやかく何かある、こういうわけではありません。それはこまかい専売公社の運営自体について、私は各地方で外郭団体のことについて耳にすることはあります。耳にすることはありますが、しかし現在のところ私が取り立てて指摘をするほどのことはないということは先ほど申し上げたようにけっこうなことだと思う。しかし将来のことを考え、また専売公社の運営が真に民主的であり、それから大衆のための専売事業ということにするためには、こういう点についてもう少し将来指摘を受けない前に考えておくべきではないか、また現行の法律の、削除しない法律の中においても、たとえば将来、物調法による割当と関係がないとか、あるいは利益と結びつくというようなことがないというふうに判断をされた場合には、これは政府が例外規定を設けて、弊害がないと認めたときは、その役職員に就任することを認めておるわけであります。私はこれを特に今回削除するという理由が、今の質疑の中においても非常にあいまいなものが含まれている。これはまあ本日は予備審査でありますから、いずれ適当な機会に政府でも検討してもらうということを希望しておきたいと思います。きょうはこの点についてはこの程度にとどめたいと思います。
次に、たばこ消費税の問題に関連をして、この法律でいきますと附則の五項に関連をして質問をいたすのでありますが、今回また専売特別地方配付金というものが設けられました。昨年度はたばこ消費税というものが設けられました。専売益金というものは新たに二つの面において活用せられることになったわけでありますが、これに関連をいたしまして、昨年のたばこ消費税の実績についてお伺いしたいと思うのであります。昨年の予算は大体二百七十六億七千四百万円と、こうなっておりますけれども、大体これは決算ができたと思うのでありますが、今日までのたばこ消費税の実際の成績というものは地方にどういうふうに貢献をしておるかという点で、数字を一つ簡単に説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/78
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079・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) はなはだ恐縮でございますが、ちょっと今数字が見当りませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/79
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080・平林剛
○平林剛君 どうも法律を提案をしておきながら、あなたの方は法律に関する答弁が十分でないのは大へん遺憾です。これは当然これに関連して聞かれるべき性質のものでありますから、もう少し一つ用意をしてきてもらいたいと思います。まあ別の機会にこれも提出をしてもらいたいと思います。
そこで私の指摘したい点は、これらの業務を実際に行う場合、去年の消費税の問題もそうでありましたが、またここに専売特別地方配付金という制度が出されてくるわけでありまして、面倒な手続きになってくる、法律自体でも複雑になって参りますが、大体こういう新たな煩瑣な手続きを必要とした場合、専売公社の人員の増加の問題について、監督官としてはどうお考えになっておるか、お聞きをしたいわけであります。私の計算によりますと、昨年のたばこ消費税の設置に伴って、地方のこれらの実際の業務を取扱う場合に、地方に対してはかなりの人員数というものが増加されなければならん。少くともたばこ消費税設置に伴って、これらの業務を受け持つべき人員は全国で七百名程度は必要だという推定がされておるわけでありますが、昨年はこれに関して一向に増員の手配がされなかった。また今回専売特別地方配付金というような制度ができますと、これまた、ただ手をこまねいてこれらの手続がとれるものとは考えられません。そうなると、引き続き煩瑣になる専売公社の業務に対して、人の面についてはどういう配慮が行われておるか、これをお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/80
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081・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 今回たばこ専売特別地方配付金の財源に充てまするために、四十四億七千四百万円というものを専売益金の中から特別会計に納付することに相なったわけでございますが、昨年創設されましたたばこ消費税の関係につきましては、そのために特に人員配置をいたしましたかどうか、その点はまあ公社内部で操作いたしておることでありまして、今までのところ、それがために特に他の事務に能率的に支障を来たしておるというようなことも聞いておりませんので、従来の消費税に関する限りは、人員増加を行わずして特に問題なく推移してきておるのでございますが、今回のたばこ専売特別地方配付金がまた新しく設けられたわけでございますが、これは御承知のように専売公社が各地方局、あるいは本社と一緒になりまして、特定の金を特定の府県なり、あるいは市町村に配付するものではございませんで、本来国庫に納めます益金のうちから、ある特定の金額、四十四億七千四百万円という金額だけを政府の交付税及び譲与税特別会計に納付するだけでございますので、特に経理上特別の支障はないと考えますので、これがために人員の増加を特に考える必要はないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/81
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082・杉山昌作
○杉山昌作君 ちょっと今の数字ですが、今四十四億七千四百万円と言ったけれども、この法律では「三十億円を限り」と書いてありますが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/82
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083・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 大へん失礼いたしました。原案としては御指摘の通り三十億円でございますが、今回衆議院におきまして予算の修正が行われまして、回り回りまして特別会計に繰り入れます金が四十四億七千四百万円にふえましたので、その方の関係は、こちらの方で御審議を願います前に、私の方から先に申し上げたのははなはだ遺憾でございますが、そういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/83
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084・平林剛
○平林剛君 時間が切迫していて、まことに申しわけございませんが、定員の問題はいずれ機会を求めて私は自分の意見を述べたいと思います。たばこ専売法について急いで質問をいたします。このたばこの専売法に関係をいたしまして、たばこの減収加算金の制度の問題について質問いたしますが、政府の措置を先回要望いたしておきましたが、その後米の加算金制度の問題が起きまして、衆議院においては御承知のように政府と野党との間に論議がかわされまして、米については加算金制度がとられて、百四十四円かの支出が行われることはあなたも御承知の通りであります。これとたばこの冷害による減収加算の問題と直接関係はないにいたしましても、間接的な影響というものはあり得ると思うのであります。特にこの問題とともに私が指摘したい点は、最近岡山県でひょう害がございまして、これはまあ農林水産委員会でも議論せられておりますが、農作物が大損害を受けたわけであります。たばこも同様でありまして、写真等を見ても、かなりどひいものがあるようであります。タバコ耕作のみを生活の手段としている耕作農民がかなり多いわけでありまして、これの生活に与える影響あるいは心理的な動揺というものが大きいと思うのであります。この際専売公社当局と大蔵当局に対しまして、この問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、岡山県のひょ害に対して政府はどういう措置をおとりになったか、たばこ専売法によりますと、耕作者が著しい損害を受けた場合は、「大蔵省令で定める額の補償金を交付することができる」と、こう書いてあるわけでありますが、具体的にどんな措置をおとりになったか、この際お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/84
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085・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 岡山県その他を中心といたしまする先般のひょう害関係につきましては、公社内部におきまして地方出先の局よりの報告を受けまして、私詳細なことはよく存じませんが、取りあえず芽をつむとか、いろいろな肥料の追肥を行いますとか、当面の事態に即応しました応急措置を指導いたしまして施策をいたしました上、公社の担当責任部長を現地に派遣いたしまして、一応実情を調査いたしたのでございます。意外にひょ害が大きいことに驚いている次第でありますが、ただいま御指摘になられた災害補償の関係につきましては、九月を前後といたしまする収穫期における最終的な結果を見まして、法令の定るむところによりまして、適切な処置を構じたいと思っておるのでありますが、その間におきましては、七月二割の概算払いをいたしまするとか、その他の葉タバコ以外の農作物のひょう害に対しまする農林省の施策等も一体となりまして、営農資金の貸付けなり等につきまして、万全の措置を構じたいとただいまのところ考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/85
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086・平林剛
○平林剛君 今の御答弁中に七月から災害補償の基準を二割にするというようなことがありましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/86
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087・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) それは私の言い方がまずかったと思うのでありますが、概算払いを、収穫予定額の二割を概算払いをするということを申し上げたのでありまして、災害補償の率を二割とかなんとかいう数字じゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/87
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088・平林剛
○平林剛君 まあこの措置につきましては、いずれ私の方にもいろいろな要請もきておりまして、専売公社当局ででき得る措置につきましては、あらためて要望いたして参りたいと思うのであります。
そこでもう一つの冷害加算金の制度の問題については、かなり早くから要望いたしておきましたが、とうとう暑い夏になってしまった。私は政府当局自体としてはなはだ熱意が足りないというふうに思うのであります。かりに加算金制度の復活が困難でありましたとしても、別の措置、たとえば今私ちょっと質問いたしましたように、災害補償の基準を現行の三割というのを二割に直すというようなことで、何かの救済措置がとり得ると思うのでありますが、こういう点につきまして、政府の、あなたの方の措置はその後どういうふうに進展をしておるか。特に私は強調しておきたいのですが、今回の国会に提出をされておりますところの昭和二十九年の台風及び冷害による被害農家に対して、米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案というのがありまして、大変長い法律案でありますが、この法案によりますと、この特別措置をとる対象は被害地域としては三重県を初め、兵庫、岡山、徳島、高知、大分、宮崎といろいろありますが、冷害については北海道、岩手などが含まれております。この場合に減収量が一〇%をこえる都道府県を選んで特別措置を講じておるわけであります。もちろんこれは冷害加算の問題と、ここに今私があげた長い法律案の特別措置とは全く同じではございませんよ。同じではありませんが、とにかく加算をするにしても、あるいは米麦を特別価格で売り渡すというような措置にせよ、そういう対策を講ずる場合の一つの基準として一〇%を選んでおる、こういうようなことから見ましても、私は今の三割というものを二割にするという災害補償の基準というのを、三割を二割にするというのは当りまえのように思うのでありますけれども、なかなかこれも実現しそうもないのでありまして、それで監理官としての考えをこの際一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/88
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089・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 前回平林先生から御質問がありましたときに、御答弁申し上げましたように、減収加算につきましては、全体といたしまして、九七%弱の収穫がございまするので、一律に減収加算をすることは適当でないと考えます。なお、災害補償につきましては、他の米麦、繭等に対する農業共済保険との均衡等も考えまして、七割を八割に改めることは適当でないという結論に、大蔵省といたしましては、達しまして、何らの措置を講じないまま今日に至ってきたわけなのでありますが、その後お話にございましたように、米につきまして、ある種の減収加算が行われまして、米の場合は御承知のように全国的に九二%強の作柄でございまして、タバコの場合に比しまして、かなりに減産になっておるということを考えますと、タバコにつきまして減収加算を行うのもやはり適当でない。それから省令を改正いたしまして、災害補償の七割を八割に改めることも適当でないというふうに考えておりまして、その間国会を中心とされまして各般のお働きかけがございまして、そのつど私どもさように申してきたのでありますが、いろいろ事情を伺い、さらに詳細に分析してみますと、このまま放置しておりますれば、次年度以降の葉タバコの増産ないしあるいは現在程度の耕作の維持ということについても懸念されるのではないかというような点もあわせ考えまして、何らかの形をもちまして、二十九年度特に災害の影響の著しかった地域の耕作者に対しまして、本年以降、三十年度以降におきまして、さらに葉タバコの耕作に従事し、あるいは増産していただくような趣旨の交付金と申しますか、何らかの金が出まするように予算措置を講じたいと思いまして、監理官の立場といたしましては主計局方面にも働きかけ、公社ともよりより協議いたしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/89
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090・平林剛
○平林剛君 どうも監理官の答弁も肝心のところに行くというと漠然としていて、まことに不満足であります。私はこのタバコの災害に対する措置については一般の農作物の場合と多少違っていいと思うのであります。タバコの耕作は政府の強制的な措置で行われておるのでありますし、またタバコ専売法の違反者に対する罰則もかなり苛酷なものがあるわけです。特にタバコの収納代金による所得の所得税としての負担の面においても、これはかなり厳格に、勤労者と同じ程度に源泉課税のような形で取扱われている。これは当りまえの話でも、一般の農作物の場合の、割合と幅があるのと違って、とにかく収納代金がはっきりしているだけに、かなりその面における窮屈さがあるわけであります。私はこの角度から見て、一般の農家と必ずしも比較されない点があるのではないかというふうに考えておるのでありまして、もう少しこれらの面については全般的な考慮ももちろん必要でありますが、そういう点を強調されてしっかりやっていただきたいと思っておるわけであります。特に今度の国会では専売益金は政府はうまく使っているわけです。ある場合にはたばこ消費税の方でうまく使って、一兆円予算をこわさないようにしてみたり、ある場合には今度のような制度を設けまして特別交付金のようなものを作るとかいうふうな工合に、かなり専売益金をうまく使っておるわけであります。この専売益金確保のためにかなり努力をせられておる。特に零細なタバコだけで生きている人たちの生活を保障する意味では、こういう制度の復活を見たり、あるいは今私が指摘した災害補償の基準三割を二割にするというようなことを省令でできるわけでありますから、大蔵当局にお願いをしたいと思うのであります。同僚の杉山先生も私らとともにこの問題をお願いしておるわけでありますから、一段と政府当局に引き続いて配慮をお願いして私の今日の質問は終っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/90
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091・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 御趣旨はよく含みまして善処いたしたいと思います。なお、先ほどおしかりを受けました消費税の数字でございますが、最終的な決算の数字ではございませんが、予算は御承知のように二百七十六億七千四百万円に対しまして、ほとんど決算に近い数でございますが、二百七十一億四千万円、三十年度の予算が三百九億二千八百万円と相なっております。なお、さらに確かめまして、計数は後刻差し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/91
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092・青木一男
○委員長(青木一男君) 暫時休憩いたします。
午後零時五十一分休憩
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午後二時三十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/92
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093・青木一男
○委員長(青木一男君) 休憩前に引き続いて会議を開きます。
税法関係の質疑に入る予定でございましたが、委員各位の御希望もありますから、先般衆議院において、自由党、民主党の共同修正が税法関係でどういう結果になっておるかということを、大蔵省の事務当局から説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/93
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094・青木一男
○委員長(青木一男君) それでは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/94
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095・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 先般の民自両党によりまする税制の修正につきましては、まだ法案は最終確定になっていないようでございますが、大体の内容を私ども承知いたしておりまするので、それにつきまして一応の御説明を申し上げたいと思います。
お手許に税制改正案に対する修正案要綱といたしまして、三、四枚の紙を配付しておりますので、それに基きまして御説明をいたしたいと思います。
まず、最後のところを見ていただきますと、三枚目のところに表がございまして、そこに修正案による事項別減収見込額調というのがございますので、それで大体の内容をまず申し上げます。
今回修正を受けました事項は、ここにあげてありまするように、四点になっております。第一点が「選択による概算所得控除の新設」、これが四十億になっております。次が「寡婦控除等の額の引上」、これが六億五千五百万円、次が「配当控除額の引上及び配当所得資料の提出限度の引上」、これが十億であります。次が「五十万円未満」となっておりますが、これは以下の間違いでございます。「五十万円以下の法人所得に対する税率及び特別法人の税率の引下」、これは十億四千五百万円、以上合計いたしまして六十七億円の減税と、こういうことに相なっておるわけでございます。
以上の四点につきましては、それぞれ所得税法、法人税法、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきましての修正と、こういう形で修正がなされることになると考えるわけでございますから、まず所得税法の御説明を申し上げます。
所得税法の一部を改正する法律案の修正につきましては、寡婦控除、不具者控除等の額を五千円に引き上げるということになっております。御承知のように、税額控除の制度といたしましては、寡婦控除額、不具者控除額、老年者控除額、勤労学生控除額と、こういうのがございまして、これがいずれも四千円になっておるわけでございます。これは二十七年に、従来は所得控除の制度であったわけでございますが、それを税額控除に改めたわけでございます。そのときが四千円であったわけでございまして、今日までずっと四千円で据え置きになっております。所得控除の方は、たとえば基礎控除とかあるいは扶養控除というように、減税のたびごとに引き上げてきたわけでございますが、税額控除の方はずっと据え置きになっておった。これは私ども考えますのに、所得控除の方であるいは税率の引き下げで減税をいたしますと、その出ますところの税金が減るわけでございますから、税額控除の方はその出た税金からさらに引くと、こういうことになる関係もございまして、税額控除の方はそう引き上げなくてもいいのじゃないか、こういうことで今まで据え置きになっておったものと考えるわけでございます。政府は今回税制改正の法律案を提案するにつきましても、同じような考え方から、税額控除につきましては別に改正を加えなかったのでございますが、今回の修正におきましては、寡婦控除、不具者控除というようなものにつきましては、やはり特にこの際軽減する必要があろうというような点から、千円の引き上げがなされたものと承知しております。それから、そのうちに戦傷病者戦没者遺族等援護法の規定によりまして、遺族年金や障害年金を受ける者につきましては、ただいま申しました四千円の額が特に六千円の額になっているわけでございます。これはやはり遺族等援護法の適用を受けるという人につきましては、特別に控除額を高くする、こういうことから出されているものと考えるわけでございますが、それも同じように千円引き上げるというのが、今回の修正のようでございます。
次は法人税法の一部を改正する法律案の修正でございますが、これはもうこちらの委員会におきましても、しばしば論議せられましたように、中小法人の税を特に軽減するという意味から、所得五十万円以下の分と、それをこえる分とに区別いたしまして、法人税率を二段階にすると、こういうこととなっているわけでございまして、五十万円までの分を三十五に引き下げる。従いまして五十万円までの分につきましては、四十から三十五に下げるわけで、五%の引き下げでございますから、二万五千円の税金がここで減税になる、こういうことでございます。それに伴いまして、協同組合等のいわゆる特別法人の税率が現在三十五になっておりますから、これもやはり五%下げて三十にする。と同時に、公益法人の収益事業に関します税率もやはり三十に引き下げる。こういうことが相関連して考えられているわけでございます。
それから清算所得の方につきましても、特別法人の各事業年度の税率が下るに伴いまして、清算所得の税率も引き下げるということで、四十一から四十に引き下げるということになっております。それから、この施行期日でございますが、適用関係は、十月一日以降に事業年度の終了するものから適用しよう、これはある意味から申しますと、その適用関係が、あるものは七月一日以降、あるものは十月一日以降と、だらだらになりますのは、考えようによりましては、おかしいわけでございますが、減税財源というような関係もございまして、十月一日ということになったものと承知しております。
それから次は、租税特別措置法の一部を改正する法律案の修正でございますが、選択による概算所得控除の制度というのが新らしく設けられるということになっております。これは新らしい制度でございまして、まだ私どもも必らずしも十分研究していないわけでございますが、アメリカにおきまして、これに類似した制度がございますので、その制度にならいまして、今回こういう法律が考えられたものと承知しております。アメリカの内国歳入法におきましては、日本の所得税に当るものにつきまして、スタンダード・デダクション——どう翻訳いたしますか、選択控除制度とでも申しますか、そういう制度があるわけでございます。アメリカにおきましては、まず総所得というのがありまして、グロス・インカムと申しておりますが、そのグロス・インカムから事業上直接必要な経費を引きまして、そうしてこれを調整総所得金額と呼んでおるわけであります。グロス・インカムから事業上に必要な経費を引いたのがアジャステッド・クロス・インカム——調整総所得金額というのが、まず出るわけです。この調整総所得金額から一定の控除をいたしまして、課税所得というものを出す。その調整総所得金額から引くところのものに二種類ございまして、事業外の経費控除と人的控除と二つございます。人的控除は、日本の基礎控除とか扶養控除に当るものでありまして、事業外経費控除というのは、わが国の税法では、これにそのまま当てはまるというものが見当らないわけでございますが、事業外経費控除という控除があるわけであります。これは一例を申してみますと、非常にいろいろたくさんのものがありまして、私どもよく詳細を存じておりませんが、二、三申してみますと、たとえば、子女を世話する扶養費というようなものを引く。慈善団体とか、教育機関に対してなす寄附金、これも引いてやる。共同住宅法人に支出した租税及び利子金額というものがあります。投資に関連して支出する会議費、保管費、賃貸料、使用人の手当とか、事業用資産以外の資産、こうなっておりますから、居住用の家屋というものが考えられるわけでありますが、そういったものの減価償却費も引く、こういう法律になっております。それから医療費とか、看護婦のユニホーム——これはどういうことでございますか、警察官のラバー・コート、ヘルメット、長靴及びユニホーム及び洗濯費、消阪夫のラバー・コート、ヘルメット及び長靴、また背任行為に関する訴訟における被用者の抗弁費、いろいろさまざまなものがございまして、租税も引くということになっております。この租税というのも、いろいろあると思いますが、事業経費になるような租税は、前申しました総所得から調整総所得を出す場合に引く、その経費の方に事業上の租税はなると思いますが、その事業上の租税にならい、その他の租税がここに引かれることになると考えられるわけでありまして、そういう租税とか、賭博取引による損失とか、こういった項目が、ここにあるだけでも三十数項目ありますが、こういったものを引きまして、そうして課税所得を出す、こういうことになっておるわけでございます。この場合に、事業外の経費控除にかえまして、今申したスタンダード・デダクションという制度があって、そのどちらかの選択と、こういうことになっておるわけであります。アメリカでは、これは調整総所得金額の一割または一千ドルと、こういうことになっておりまして、この選択が認められておるわけでございます。そこで、これにならいまして、今回選択による概算所得控除の制度を作ろうというのが今回の修正案でございます。一応ただいま考えられておりまする内容といたしましては、社会保険料控除、医療費控除、雑損控除と、こういった所得控除がございますので、この控除にかえまして、この概算所得控除を認める、その額は所得金額の五%または一万五千円のいずれか低い額、初年度におきましてはそれを半分にするというふうに考えられております。今まで社会保険料控除、医療費控除、雑損控除が認められる人、こういう人につきましては、その額が所得金額の五%または一万五千円をこえておる場合におきましては、従来通りのそれぞれの控除の適用を受ける、今までそういった所得控除の適用が全然ないような人またはその額が所得の五%または一万五千円のいずれかの金額に達しないという人、その人は、その差額につきまして今回減税の恩恵を受ける、このようなことに相なるわけでございます。
それから次は配当控除額の引き上げでございますが、これは利子所得との権衡というような点も考慮せられまして、三十年分または三十一年分の所得税を限りまして、従来の百分の二十五という配当控除額を百分の三十に引き上げるということが考えられております。
次に、配当所得につきましての資料提出の限度でございますが、これは現在施行細則で、一口三千円に満たない場合におきましては提出の要がないということになっておるわけでございます。これを五千円に引き上げまして、少額のものにつきましてはこの際総会を免除するということになされるということがこの内容であります。
以上簡単でございましたが、今回の修正案の内容につきまして御説明をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/95
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096・青木一男
○委員長(青木一男君) 今の点について質疑のある方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/96
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097・小林政夫
○小林政夫君 今の選択控除ですね。選択による概算所得控除の新設による減収見込額、初年度四十億と平年度八十億というのは、どういうふうにやって推算をされたか。なかなかむずかしいと思うのだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/97
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098・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは全納税者の現在の課税所得がわかっておりますので、それで所得金額の五%ないし一万五千円、一万五千円で頭打ちということで、その金額がいくらかになるというのがこれは出るわけでございます。次には、社会保険料控除、雑損控除、医療費控除、こういったものの過去におきます実績というものが出ておりますので、その実績に基きまして、昭和三十年につきましては、大体この程度そういった控除がなるだろう、こういう推定が次にできるわけでございます。そこで、その両方からみ合わせまして算定をしいたしておるわけであります。その場合に問題になりますのは、おわかりの通り、雑損控除や医療費控除というのは一人一体いくらになっておるのかという点が、非常に算定が困難でございますので、その点が相当推定がまじるわけでございます。私どもの考えといたしましては、一応医療費控除や雑損控除は相当の金額になっているので、従いまして、今回の制度によってはそう多くの影響は受けないだろう。ただ問題は社会保険料控除額の場合が相当一般的であります、二十八年の実績から見ますと、事業所得者につきましては、つまり申告いたしましたものにつきましては、当時二百十九万ぐらいの納税者のうちに社会保険料控除を受けましたのが六十九万人でございまして、大体三分の一になっておるわけでございます。そういたしますと、自後の三分の二の人は、所得の五%、一万五千円の減税の恩恵をこの際全部受ける、かように相なるわけでございます。それから勤労者につきましては、社会保険料控除の適用を受けておりますのが、二十八年では千二百万人の納税者のうち大体一千万人に達しております。従いまして、自余の二割程度の人につきましては、この際まるまる減税の恩恵を受ける。それから自余の——すでに適用を受けている一千万人の中につきましては、これは階級構成別にどの程度の人からが今回の減税によって恩恵を受けるかと、こういう推定が必要になるわけであります。これを調べてみますと、大体勤労者におきまして四十万から五十万程度の人は、すでに社会保険料控除一万五千円程度を受けているわけでございます。それ以下の人が今回は差額につきまして減税の恩恵を受けるということになる。税制改正の要綱で、お手元に配付してあります表で見ていただきますとわかりますように、二十万程度の所得者のところでは、社会保険料控除の平均は三・三%ということで、こういうことで大体推定しておるわけでございます。これは民間給与実態調査その他から大体推定いたしまして、大体その程度になっているわけでございます。そういたしますと、今回五%という額は、三・三%に対しまして一・七%だけ減税の恩恵を与えると、かように相なるわけでございます。従いまして、こういった点を考慮いたしまして、いろいろ推定しました結果、大体四十億ならば間違いないと、こういうことで概略算定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/98
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099・小林政夫
○小林政夫君 それで、気持として、あなたの方のそろばんのはじき方としては、大き目に見ているのか、低目に見ているわけですか。推定がだいぶ入っておるようですが、その気持としては……推算の腹づもりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/99
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100・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは非常にむずかしうございますので、私どもいろいろ各方面から考慮いたしまして、最も適正になるようにということで見積っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/100
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101・小林政夫
○小林政夫君 大体六十七億という減税予想額の割当を受けたようなもので、この四十億というものの減収額というものをふくらますことによって、当初の政府原案の減税措置の範囲をひろげなくて済むということにはなる。六十七億から概算していけば、この選択による概算所得控除額による減収がふえてくれば、他の減税措置というものの幅を広げなくていい、こういうことにはなるわけで、そういう配慮があったかなかったかということは別として、この四十億というものを低目に見るか多目に見るかによって、この六十七億という自民の話し合いによる減税総額六十七億のワクの中で何ができるかという問題になってくると、相当この四十億というのは大きな数字だし、問題があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/101
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102・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) まあ六十七億の内容について、あとでいろいろ論議されたというわけで、そうした御議論が起ると思いますが、われわれの方といたしましては一応推定でございますから、われわれの推定の仕方に誤まりがあるかないか、これはいろいろ御批判を仰いでけっこうだと思いますが、一応出しました数字を特にふくらませたり、あるいは特にへこませたりというような意味の措置は別にいたしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/102
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103・小林政夫
○小林政夫君 それから、前に出してもらった、法人の一定金額以下の所得について軽減税率を適用するものとした場合の減収見込額、この減収見込額と、今度の五十万円以下の法人所得に対する三五%の税率になった場合の減収見込額とのかね合せた意味において、まあ資料をもらっただけで説明を聞いていませんが、説明をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/103
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104・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 前の数字がちょっと私の手元にございませんが、たしか平年度の額で計算しておったのではないかと思いますが、これは五月二十五日付で出しております資料は、所得金額百五十万円以下、三百万円以下、五百万円以下、こういうような数字で算定がなされております。今回の案は、先ほど申し上げましたように、五十万円以下でございます。その施行の期日が十月一日以降終了する事業年度分ということに今回のものはなっておりますので、そういった点から減収額が相違をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/104
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105・小林政夫
○小林政夫君 だから初年度の金額は非常に違うわけですけれども、平年度としての五十万円以下の法人所得に対する三五%の税率にした場合の減収額は四十四億六千万円、前の五月二十五日提出の資料によると、百五十万円以下の所得を三五%にとった場合の平年度減収額というものは、対政府案減収額として上げられている六十三億だろうと思います。四十四億六千万円の減収見込も、政府案四〇%一律の税率の場合に比べて、四十四億六千万円の減収ということだろうと思うのです。その差額は十八億四千万円の差額だ、こう了解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/105
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106・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) お答えいたします。
おっしゃる通りで、結局、ごく荒っぽく目の子でお考え願うとわかると思いますが、五十万円以下の分について三五%と言いましたけれども、五十万円以上の所得である場合には、一会社について年額二万五千円の減税、従いまして、そこだけ考えていただきますと、まず第一段の計算としては、会社の総数を考えて、そしてそれに二万五千円をかける。同時に、全部の会社が二万五千円というよりも、五十万円以下の所得の会社があるわけでございます。この分につきましては、二万五千円まで減税にならんわけでございます。従いまして、それじゃ所得五十万円以下の会社がどのくらいあるか、これを計算しまして、そして、その分だけマイナスしますと一応数字が出るわけでございます。それで百五十万円ということになりますと、まあ今の二万五千円が一万五千円になるわけでございますが、同時に百五十万円以下の所得の会社の数は、これは実は相当たくさんあります。会社の所得の会計面から見て参りましても、現在まで会社の数は非常に多うございますが、大部分がいわゆる同族会社であり、同時に所得の額からしますと、まあ非常に小さい会社が数としては多いわけです。そういうような関係で、一見ちょっと御疑問があるかもしれませんが、今言ったような結果の計算になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/106
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107・小林政夫
○小林政夫君 いや、疑問は疑問としていいんですが、要するに五月二十五日出された六十三億という数字は同じぺースにおいて計算されておるわけだから、将来動くことはないでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/107
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108・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 現在手元にございます資料から言えば、同じベースで計算した数字ですから、動くことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/108
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109・小林政夫
○小林政夫君 結局そうすると、先ほど言うように、この百五十万円以下の所得を三五%とする場合と、五十万円以下の所得に対して三五%とする場合との差額というものは十八億四千万円の差額だと、これに間違いはないということなのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/109
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110・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/110
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111・小林政夫
○小林政夫君 それで大体あなたの方でおやりになったのでないのだから、説明をしてもらうのが少し無理かとも思いますが、しかし事情はお聞きだろうから、いずれ提案者から聞きますけれども、政府の方からわかっている範囲でお答え願いたいのは五十万円以下という……、五十万円で線を引いたのは、地方税法による法人割の場合に五十万円という線が引いてありますが、五十万円以下という数字はどういうところから出たものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/111
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112・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) これはまあ小林委員も提案者からお聞き下さって……われわれも、そうしていただきたいと思いますが、ただわれわれが一応御参考に幾つかの数字を申し上げておきますと、一つは、先ほど申し上げたように、地方税法で五十万円であります。それから所得税、現在御承知のように国税局の調査課で大法人を調査しております。それから小さな法人は税務署で調査をしておる、こういうことをやっておりますが、それで、まあ今度いろいろ、これは小林委員などしばしば御論議になったところですが、要するに大法人の方は措置法のいろいろな特典をフルに利用できるが、どうも小さな法人はフルに利用できないのでございますが、まあ法人だけの見地に立ってみれば非常に不公平だと、御議論はわれわれもよく伺わされましたが、税務署所管の法人の所得の平均というものを大体見てみると、まあ五十万円近くの数字になります。それをそのままおとりになったかどうかということは、これは私が申し上げます限りではございません。ただ一応の五十万円という数字に近い数字というものがどこにあるかと言えば、税務署所管の法人、これは数は非常に多うございます、まあしばしば議論の対象になる問題の点なのですが、税務署所管の法人の平均の所得額、これがたしか五十二、三万円でございます。大体五十万円近い数字という数字はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/112
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113・小林政夫
○小林政夫君 念のために、それでは一応聞いておきますが、税務署の所管と調査課所管との法人の分け方は資本金によってやっておるようですが、それを一点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/113
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114・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) ちょっと恐縮ですが、以下か未満かちょっとはっきりしませんので、あとであらためてはっきりお答えしますが、払い込み資金を元としまして五百万円の線を引きまして、五百万円以上か、これ以下か、どちらかがはっきりしませんが、それを調査課の方で調査し、それに足りないものを税務署の所管としている、これが原則でございます。ただ、これは税務署で調査するか調査課で調査するかは、税務署の方の便宜の問題が多分に加味されるわけでございます。今申しました要件から言えば、税務署で所管をするものに該当しておりますものでも、調査課で所管した方が適当であると思われる分につきましては、調査課の方へ持っていっている事例はございますが、数から言えばこれは非常に少いものだ、大部分は今申しましたような原則で所管をきめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/114
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115・小林政夫
○小林政夫君 もう一点。それでは、今の税務署所管の法人の、もちろん欠損法人です。それから最低の方は全部マイナスですか、最高の所得実績で行くと、どの程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/115
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116・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その点につきましては今ちょっと数字を持っておりませんので、御答弁いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/116
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117・小林政夫
○小林政夫君 あとで知らして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/117
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118・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の修正案の要綱を御説明願いまして、大体新聞でも承知しておったのですが、どう考えても、これは所得税法の一部改正で、各工場あるいは本社工場等にもいろいろ色をつけておりますけれども、結局は財産から収入を得るものには非常に重く修正される。なるほど自由党らしい基礎の上に立った今度の修正だと思うのですが、そういう考えから二、三御質問申し上げたい。
第一審に、選択による財産所得控除の新設ですが、これをおやりになるよりも、たとえばこのうちの医療費控除というやつですね。医療費控除も社会保険料及び雑損、これを全額を加えて一万五千円までは所得控除ということになるわけですね。そうしますると、この医療費なんというものは、一万五千円の医療費なんか、一体控除してもらって、実際どのくらい恩恵があるかということが一番問題だと思うのです。というのは、医療費で、きょう日、一万五千円なんというようなことは、ちょっと重い病気にかかってペニシリン少し打てば、すぐこの一万五千円ということになるのですからね。それと社会保険料や何か加えて、医療費控除と、いかにも医療費の要った場合は控除してもらえるのだと、これは見せかけで実質は何ともならんと思うのだが、実際からいうと、この医療費控除なんかは、もっと増額しても私は差しつかえないものだと思うのですが、これらの点について、これは今のは全部寄せて一万五千円というのか、一万五千円というのは、医療費の今の実態からいって、どのくらいありがたみがあるかということを、あなた方お考えになって、こういうことを盛られたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/118
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119・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 多少今修正案についての点について説明が悪かったのか、十分でないように思います。御理解が十分いっているのかどうか、もう一ぺん御説明させていただきたいと思います。
現在医療費控除という制度はございます。これは御承知の通りです。あの医療費控除の制度を受けますと、あれは限度十五万円まで医療費の控除が受けられるわけでございます。それを所得の五%をこえていた場合に、医療費が所得の五%をこえていた場合におきましては、総額十五万円を限度として医療費の控除は受けられるわけでございます。それで、受けられるということは、これは今度の修正において別に影響はないわけでございます。ただその医療費控除を受けますと、もう五%の控除はなくなってしまう。受けられない。逆に言えば。それから医療費控除を受けると、ほかの方の控除は別といたしまして……医療費控除の話だけいたします。そうすると、医療費控除の制度に当らぬような場合も考えられます。普通に単純に、ちょっと、かぜをひいた。薬屋でかぜ薬を買ってきた。こういうような場合は医療費控除に当らぬわけです。そうしたような場合に、医療費といってはちょっと語弊があるかもしれませんが、いわゆる医療費控除に該当しない場合、あるいは極端に言えば全然お医者さんにかからんで過ごす場合もあるかもしれません。そういうような場合にも、一応まあ医療費だけがこれは目的ではございません。そうしたことを頭に置きまして、雑費の五%ないし一万五千円の控除は受けられるのです。だから、どちらかといえば、今まで医療費だけとにらみ合せますと、医療費控除を従来受けていたような方は、これはもう別に今度の選択控除の方を受けることは出て来ないわけです。ただし従来受けていた医療費控除を、それが幅が狭ばまるとか何とかいう問題は、これはないわけです。ただ元来医療費控除を受けることができなかった人ですね、それはお医者にわからなかった人もあるかもしれません。わかりましても、今医療費が五%以上は制限になっておりますから、あまりそれに該当する要件を満たさなかった、こういうことで、お医者にかかっていても医療費控除を受けなかった、こういう人が考えられる。こういうような人が今度の選択控除によって、五%、一万五千円を限度に受けることができる。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/119
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120・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうですか。それでわかりました。次に第二番目にお伺いしたいのは、配当控除額の引き上げ、これは何をねらってこの構想をおやりになったかということを、これはあなたに質問なんですが、大体配当控除そのものは、どう考えても余りに優遇をし過ぎるんじゃないか、株式を持っている者については……。まああとで預金の方もありますから、それはあとで触れることにしますが、優遇し過ぎるのではないか。で、渡邊さんにちょっとお伺いしたいのは、この現行法によりましても、たとえば八十四万円配当所得があるとしますと、現行法によりますと大体二十万……、まあ扶養家族の数によって多少は違いますけれども、扶養家族四人くらいなところで二十万七千円くらいの税額になるわけです。すると八十四円の百分の二十五ということになりますと、四分の一ですから、二十一万円の税額控除、こういうことになりますと、八十四万円の配当所得だけであったならば、税金を一文も納めることは要らぬと、こういうことになるのですが、それで今度は、こいつが三〇%ということになるなら、まだそれ以上に高い百万円くらいの人でもほとんど税金を納めることは要らぬというようなことになってくると思うのですが、ところが今度は逆に、八十四万円の給与所得であったならば二十万円の……、これは多少変るのかもしらぬけれども、二十万七千円の税金がかかる。扶養家族をかかえておって、それだけの税金が二十万円かかる。配当所得で受けるものであったならば税金がかからぬ。従って八十四万円の配当所得があるのだったら、今の株式の平均利回りからしましたならば、一千万円くらいの株を持っておって八十四万円くらいの所得ができると思いますが、一千万円の株券を持っておって、うちで寝ておっても、税金が一文もかからぬ。ところが毎日弁当を持って通っておる者は、二十万円税金を納めなきゃならぬ。こういうことになるように思うのですが、これはあまり一つ……、考えがどうか知りませんけれども、構想は、いかがになっているのかどうか、お伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/120
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121・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 結論だけ申し上げれば、菊川委員のおっしゃる通りであります。これは話を早くした方がいいかと思いますから、結論を早く申し上げました。で、なぜそういうことになるのかという点については、これは、この委員会でもしばしば論議されておりまして、一体、法人税というものをどう考えるか、この議論から出てくるわけであります。それでイリギスなどにおきましては、御承知にように、法人に対して所得税をノーマル・タックスとして……、普通税ですね、ノーマル・タックスを課税する、これは、いわば日本で言えば、配当所得の源泉課税と同じように、納めた税金はそのまま差し引いております。従いまして法人税の負担は別にしてしまいまして、それで個人の負担でけ考える。同時に法人税の法人に対する所得税は、これはほかの人が払ってくれたものだというふうなことを考えて参りますれば、菊川委員のおっしゃったような結論になるわけです。ところが、ものの考え方と言いますか、要するに税法の理論構成において、法人で払った税金は個人の税金の前払いだ、結局個人としては、法人税がなければ、配当だって、もっと一割配当が一割五分っ二割もらえる、それを、要するに、法人税を払ってありますがゆえに一割配当だ。それはむしろ税引さの配当だ。こういうふうな考え方に立って、シャウプの税制改正以来、一応日本の税制がきておりますから、従って、それは、配当所得者として考えて行けば、自分としては直接払う税金はないが、しかし、その人がもらう配当のうちには……、もうこれは税金を引かれた配当だ、こういうふうに考えて行くところに、二割五分控除という制度があるわけでございまして、従いまして、そういう現在の税法のできている建前というものを、全然それはもうおかしいという立場でおっしゃる通りのことになります。たとえば二割五分引かれるのですから、税率が二割五分以下であれば、これはおっしゃる通りにゼロになります。ただ、まあ現実の問題としましては、他の所得が全然なくて、配当だけで、ほかの所得は全然ない。あるいは配当か利子だけの所得だと、これは割合に数としては少いのじゃないかというふうに思っております。
それから今度は、五%上げたということについて、どういう気持か。これはまあ私は提案者にお聞き下すったらいいと思っておりますが、まあ、いろいろ論議の際には、こういう話はあったように思います。政府の方で今度は源泉徴収の税率を十五から十に下げる、五だけ下げております。これはただ要するに、そうしましても、総合課税を受けて申告納税する人は、結局十だけの源泉の税率を、総合課税の際に差し引かれる。従って源泉の方は五だけ下ったけれども、申告の方のときに五だけ余分に取られる。従って朝三暮四と言いますか、前に少く取られて、あとでたくさん取られて、実際のフェーバーはちっともないじゃないか。で、預貯金の方は現在分離課税が建前になっている以上、これはゼロにつく。これは実質的なフェーバーがあるわけで、従ってちょうど配当控除の二十五を三十に上げますと、源泉課税の十五を十に下げたことが、そのまま申告納税の方にはちっとも響かぬ。結局源泉の分だけがフェーバーが行く。まあ、そういうおつもりでなすったかどうかということは、これは提案者に御質問願いたいと思いますが、まあ一応そういう結果にはなるということは申し上げていいと思います。
それからもう一つ、先ほどの小林委員の御質問に対して、私の答弁が中途半端になりましたが、調べましてわかりましたから申し上げておきます。現在調査課で担当しておりますのは資本金五百万円以上の会社でございます。税務署で担当しておりますのが五百万円未満の会社であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/121
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122・小林政夫
○小林政夫君 ちょっとそれに関連して……。そうしますと、あなたの方で出されておる、五月十九日提出の二十八年度のこの法人の払込資本金階級別の所得金額調というものがありますね。それによって、五百万円未満の会社の税込の利益金額を、この利益をあげた会社数で割ってみると、一社当りの平均利益金額は、所得金額は百五十四万円ということになりますよ。あなたの言われた平均所得五十万円というのは、どういう計算で五十万円になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/122
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123・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今の点はもう少し確かめまして、あとで御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/123
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124・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじゃ渡邊さん、もう一つ。
これはまあアメリカのような国においてはなるほどその理論は通用するかもしれぬが、日本の今の状態において私は通用すると思わぬ。これは見解の相違で、今さらそんなことを論議してみたってしょうがないが、次にお伺いするのは、預貯金とか、公債というものの利子を免税にするというのは、これは、やはりだれかが税金を払っているからという……これは配当は、なるほど法人がもうけたやつから法人税を払っておるということになる。預貯金や公債利子等も税金を払っているという理屈はどこから成り立つのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/124
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125・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その点、私は利子と配当とは性格が違っていると思います。利子のほうは、例えば会社が利子を払えば会社のほうが損金になるのでございますから、従って配当のように、会社が税金を払っている、従ってそれを頭に入れなければならん、二重課税を避けるという意味で頭に入れなければならんといったような問題は、利子の場合には出て参らない。また、かつて、その問題で、配当についてはよく二重課税問題というのもかなり論議されましたが、日本の税法の沿革を見てみましても、かつては会社に全然課税しなくて個人だけに課税していた。これは会社制度の全然発達していなかった明治三十年の時代ですが、その次の明治三十一年の改正で、会社に課税するという代りに個人所得には全然課税しなかった。それから大正九年の税制改正で、今度は配当で個人に課税しませんが、会社のほうにおきましては、超過所得、留保所得、清算所得という三つの形では課税しました。いわゆる配当所得については会社のほうでは課税しなかった。それから大正十五年の税制改正のときにおいて初めて普通所得の制度ができまして、そうして会社のほうにも課税し、同時にその課税は個人のほうには控除しないで課税する、その場合においても、経過的な形におきましては、個人の配当額を四割控除するとか、過去においてもいろいろな経緯がございましたが、利子に関しては、かけるか、かけないかという問題だけに終始しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/125
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126・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、あなたの言うのは、ただ税金の負担力説というようなのは全然取り入れずに考えた場合には、それは言える、理論としては一応考えられると思います。担税能力において税の負担を行うということになると、これは……しかし、そんな議論は別にしまして、次にお尋ねするのは、配当所得についての資料提出の限度を、一回につき五千円、年二回配当として云々となっているのですが、これは三千円を五千円に引き上げたのだが、そうすると、一会社から五千円もらっているものは一つよりないが、これは三十あっても百あっても、みんな五千円以内の配当になるように株をずって出資しておけば、百あっても二百あっても、それには資料を提出しないからして税金がかからんと、こういうことになるわけですか、見のがすと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/126
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127・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 資料の提出の限度の問題ですが、それは一つには、やはり資料を提出していただく会社の手数の問題も考えに入れてのことだと思います。従いまして、その場合におきましては、合算した上で幾らになったといったようなことになりますと、結局こまかい資料がやはり提出された上で初めてわかる問題でございますから、結局そういう点がやはり考えの基礎にあるものでございますから、そうまあ千にも分割することは万あるまいというようなことを前提にしておりまして、やはり今お話のように、一回の支払い金額が幾らというところを限度としてやっている。これはまあ、ある意味において負担能力の問題というよりも、多分に手数の問題を考慮してのやむを得ざる措置ということで、一応の限度がきまっておるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/127
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128・菊川孝夫
○菊川孝夫君 手数ということになりますと、こんな手数は、私は資料提出というような手数は大したことはないと思うんだが、受けた税務署のほうで処理するのに手数がかかると思う。提出する方には手数はそうかからんと思うんだが、やはりそうすると、この配当控除額の引き上げという思想は、はっきり言うと、なるべく一つの会社の株をたくさん持たずに、なるべく分散して持っていたほうが、まあ税金というものはすぐ地方税にも影響してきますからね、なるべく分散して持っておって、脱税の、脱税と言っちゃ何ですけれども、税を免除される恩典があるということを示すわけですな、実質的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/128
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129・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) いろいろな考え方、解釈の仕方はあると思いますが、手数の意味からしますと、やはり大きな会社となれば万と名のつく株主もって持おりますから、これは私はそう無視できないんじゃないかと思います。結果的にいえば、そういうふうな考え方が出て参りましても、まあ現在の税法としましては一応そういう結論にはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/129
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130・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その次に、預貯金、公債等の利子の所得についてですが、貸付信託とか投資信託の受益証券に対する配当というものは、これはどっちに入るんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/130
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131・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 貸付信託の場合は利子でございます。それから投資信託の場合は、御承知だと思いますが、投資信託の分配する収益は大体三つの要素からできております。一つは配当、それからウエートは少いですが、もう一つ利子、それから、最近はどっちかといえば元金割りしていますから、必ずしもどうかと思いますが、株の値段が上昇期にありましたときは証券の譲渡益、この三つに分解されるわけでございます。それで、現在の課税のやり方といたしましては、配当に相当する分については配当と同じような取扱いの課税の仕方をしております。利子に相当している分については利子、それから譲渡益については御承知のように今これを課税しないことになっております。これは譲渡益並み、こういうふうにやっております。それで、もう少しちょっと簡単にいいますと、毎期の支払いですね、この分については、大体配当相当分が三分の二、それから利子は一応ないものとして、ネグレクトして、三分の一が譲渡益として、これは税法に規定がございますが、そういう前提の下に、毎期の投資信託についての利益の場合は、そのやり方で一応課税して参ります、で、投資信託の期限が切れまして解約するときが参ります。そのときになりまして一応清算をしてみます。そうすると、配当に相当する分が幾ら、利子に相当する分が幾ら、それから譲渡益に相当する分が幾ら、これが一応分解できまずから、そこで五年なら五年に亘つての税額を出しまして、そうして過去に納めていた税金を差し引いて、差額を納めてもらうなり、返すなりして清算する、こういうやり方で課税をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/131
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132・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、この配当控除額の引き上げにも、当然配当に相当する三分の二についてはこれが適用になるということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/132
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133・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 適用になることになります。その投資信託の利益の中で三分の二に相当する配当と一応想定されておる分ですね、その分につきましては配当の場合と同じような扱いをすることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/133
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134・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは最後に、この修正案と関連してお尋ねしておきたいんですが、もうシャウプ勧告といいますかな、これは、それでやってきたんだけれども、もうこれは日本の実情に合うように全然無視しても差しつかえないと思うんですが、今でもあれは、あなたのほうでは尊重して、今後税法の改正をするに当りましても、一応その思想というものは貫いて今でも守り続けておられるのか。これは占領当時においては、なるほど尊重もしなければならんかもしれんけれども、今では、これは日本の実情に合うように一つ直していくようにしていかなければならぬのじゃないか、こう思うのですが、幸いにあなたの方から改正案が出て修正される場合において、一体今度はこれを再検討するというところまで踏み込んで論議されているものかどうか、この点を伺っておきたい。一貫して貫かれてそれを守り続けようとされるのか、あるいはそれともどんどん修正していこう、こういう考え方の上に立って改正案を出し、修正案もその上に立って構想を練られておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/134
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135・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 修正案の問題になりますと、ちょっと私が御答弁する限りじゃないと思います。われわれが本年の改正案を作ります場合におきましても、いわゆるシャウプ勧告というものにつきましてこれにスティックするような意味においてシャウプ勧告というものを特に尊重する、そういったような考え方は、われわれは特に持っておりません。ただ税の問題につきましては、あえてシャウプ勧告だけじゃございませんが、いろいろ各国の歴史あるいは現在の税制、これをわれわれとしては常にトレースしながら、同時に日本の現情、この方がより大きい問題だと思います。それを中心にして、現在の日本の現情においてどういう税制が一番いい税制かという問題でわれわれはものを考えていくべきだと思います。その場合においてとにかく一応シャウプ勧告というものがございますから、これは占領下といいますか、あるいは二十五年当時における日本の経済というものについて、それを前提としてこういう一つの勧告があった。これは一つの歴史的な事実でございますから、その意味において参考にするという意味においてシャウプ勧告というものをわれわれは全然頭からないものには考えておりませんが、しかしシャウプ勧告の線に沿ってものを考えていくとか何とかということで全体は考えてはおりません。また事実現在の税制はシャウプ博士に見せたら、これはおれの勧告した税制とは全然違った税制だと言われると思われますほど、現在の税制はシャウプ勧告の線からかなり離れた税制になっておる、こう私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/135
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136・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一つだけお伺いいたしますが、今度の改正案を見ましても、せっかくこういうふうな利子に対する免税だとかあるいは配当に対しての恩典ということをやるのならば、それだけの財源があるので、あったならば、もっと給与所得の面に振り向けた方が私はいいんじゃないかと思うのですが、われわれの考え方からするならば、この点は検討されて、給与所得はこのくらいのところでよかろう、これと見合せて、いわゆる資本からの収入、不労所得と申しますか、われわれの言葉でいうと不労所得と言うのだが、そういう言葉は使わないとしましても、資本から入ってくるものについては、なるべく大幅に優遇していって、給与所得、いわゆる勤労によって得る所得についてはこの辺で我慢させようというのが、今の主税当局並びに政府の考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/136
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137・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その点はこの間ちょっといろいろお話しが出たと思いますが、租税の原則というものの考え方からいけば、これは私はやはり一つの所得があるところには常に所得税はあるべきものだ、同時にたとえば勤労所得、資産所得、どちらに担税力があるか。これは資産所得に担税力がある。そういった意味のことを従来財政学者が主張してきた。そこでわれわれは租税理論に全然反対の理論を持っておるものではありません。やはりわれわれも同じような考え方をしているものでございます。ただ現在のような時期におきまして、国が何か政策を行なっていこうという場合におきましては、これは私の個人的な意見かもしれませんが、端的にいえば、国が日本経済というものをある方向に持っていく意味において、何らかの刺激、ステミュレーティブを与えようとすれば、結局補助金を与えるか、税金をまけるか、金融をつけるか、ミッテルとして残っているものは私は大体その三つじゃないかと思います。その場合に一つの考え方がある。少くとも税は租税原則だけでもって貫いて、必要があれば、補助金を出すなりあるいは金融をつけるなり、税をまけるなり、そういうものとは無関係な状態におくべきだ、これは私は一つの考え方としてはあり得ると思います。しかしわれわれとしてはこの三つのミッテルが適当に使われざるを得ない、使うべきだ、こういう考え方を持っておるのであります。従いまして、たとえば貯蓄の奨励だ、資本の蓄積だ、とにかく資本の蓄積というものが現在日本経済において、何といってもまず日本経済を将来伸ばしていくためにどうしても現在必要だという議論に、一応われわれが調整を考える場合におきましては、租税原則かういえば、そこに一応の離脱がありましても、やはり貯蓄の奨励のために利子所得に対する負担を軽減するあるいは配当に対する負担を軽減するとかいったような考え方が、そこへ出て参るのもやむを得ないじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/137
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138・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじゃもう一つ。その一つのねらいは銀行預金等がどんどんふえることを期待して、これはやられたのじゃないかと思いますが、資本蓄積というその考えが一つは利子の方には考えられておると思います。もう一つ配当控除額の引き上げにつきましては、やはり今ここに出ております証券取引法の一部を改正する法律案、それから証券投資信託法の一部を改正する法律案と密接な関係があると思うので伺っておきたいのですけれども、こういうふうな措置をして、今投資信託の償還期限がそろそろきて額面を割って困っておるというときだ、ここで措置をしてちょっと振り合いをして、この危機を乗り切ろうとする動きがあって、これはやられておるようにどうも思えてしょうがない。そうして論議をされる場合には、当然あなたの方は意見は聴取されたと思うのですが、今の証券市場の状態を大した変動もなしに維持、持続していくような構想の上に立って、これはやられておるのか、それとももっと証券市場に反映さすようなことが一つ政策的な意味において盛られておるのかどうか、あまり配当控除、配当控除というやつが大きく浮び上ってきておるので、一言伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/138
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139・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) われわれが御論議を伺っておりますとき、証券市場との結びつきにつきましては、一応の結びつきがあることはこれは伺っておりますが、たとえばこれをしたから現在の証券市場がすぐに回復するとか、それほど密接にいわゆる証券市場対策として、こういう措置をといった意味としては政府は伺っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/139
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140・菊川孝夫
○菊川孝夫君 いや対策の一環として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/140
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141・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 証券市場対策という意味では、直接的な問題として、当面の問題としてそういう措置をとるというふうには伺っておりません。まあいろいろ御論議されたのは、どちらかといえば、利子に対する課税それから配当に対する課税との振り合いからこれはこれでいいだろう、同時に利子に対する課税を免除する問題はいわゆるオーバー・ローン解消などといった問題とも結びついておるわけですが、しかし銀行に預金が集まるということは、結局産業資本の面から見るならば、他人資本がふえる源泉になるだけじゃないか、より大事なのは産業資本としては自己資本を充実させることが大事じゃないか、その面において、自己資本充実という面において、今度の政府の原案は欠けるところがあるだろう、従って利子の面と並行して自己資本充実という意味において配当所得を優遇する必要がある、こういう意味で今度の修正案が出されたように伺っております。それが証券市場にある程度の好材料であるとは思いますが、しかしそれによって証券市場が回復するとか、そういう直接的な影響、直接的な効果をねらってこの修正がなされたというふうには私は伺っておりませんが、しかしこれは修正者のお考えですから、修正者からよくお聞き下さる方が間違いなしに言えると思います。私としては一応の御論議の上に立って一つの推察をしただけでございますから、その程度でお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/141
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142・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじゃ最後にもう一つだけ、一番初めに戻りまして、寡婦控除、それから不具控除、勤労、学生控除、これは当然控除額は相当引き上げられても差しつかえないと思うのです。それぞれの負担能力によって負担させるということから考えて当然だと思います。これは幾ら引き上げられても文句は、不平はないと思います。これを五千円くらいにいたしまして、傷痍軍人の方の七千円に対しまして、実は五千円未満税額控除ですから、五千円の適用を受けないものと、それから五千円以下であって税金をかける必要のないものと、それから税金をかけるものとのパーセンテージというのは一体どのくらいにわかっておるのですか。この寡婦控除とか、不具者控除というのに対してそういうのはおかわりになっておらんのですか。勤労学生というのはそんな三千円も税金を払うというのは少ないと思うのだがね、五千円に皆ひっかかっちゃって当然だと思うのだが、不具者にいたしましても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/142
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143・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 菊川委員の御要求の資料は実はわれわれの方にはございません。と申しますのは税金のかかっているもので、そしてこの要件にかなっておりますがゆえに、一応控除を受けているものの人数はこれはわかります。税金がかかっていなく、これはまあ要するに、この上であるもの、それは境目の人は考えられますが、主としては基礎控除とか、そういうところで所得税には全然縁がないという方で、不具者とか寡婦だとか、そういう人がどのくらいあるかという、これはわれわれの方には数字はございません。それから勤労学生についてちょっとお話がございましたが、勤労学生として普通菊川委員あるいはわれわれが考えているような、いわゆる学生のアルバイトですね、これはもうこうした控除の上に税金がかかるとか、かからないという問題にはほとんど触れて参りません。現在勤労学生の控除を受けておりますのは、主としては、たとえば役所などに勤めていて、夜学に通っていらっしゃるそういうような方が、これが勤労学生の控除という一応の条項に該当しますので、まあどちらかと言えば、昼間に、まあもちろん給与も低いでしょうが、一応お勤めを持っていて、そして同時に夜間の大学なり何なりに通っている、こういう人が大体勤労学生控除の対象になっておりまして、むしろ昼間の学校に通っていて、そして家庭教師だとか、あるいはその他のアルバイトをやっている、こういうような人は勤労学生控除というようなところまでこない前に、基礎控除なり何なりというところで、課税の対象からはずれていく、こういう実情にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/143
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144・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、それぞれ一千円の引き上げによって、この適用を受くる人員というものは大体推定されて出ているのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/144
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145・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 二十八年度の実績の数字がございます。この数字は人員で申しますと、申告の関係でもって、実人員が二十九万八千人、それから源泉所得税の関係で三十万人、これは不具者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、これを全部合せた分の数字でございます。なお内訳も別にございますが、細かく申し上げることは一応差し控えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/145
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146・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、それだけ適用を受けるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/146
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147・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今申しました六十万人の方が一応適用を受けるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/147
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148・平林剛
○平林剛君 今の税額控除の点でありますが、ここに書いてあるのは寡婦控除と、不具者控除と書いてあるが、老年者控除も勤労学生の控除も同じように現行四千円を五千円に引き上げると、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/148
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149・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 直接的なお答えだけ申し上げますと、さようでございます。結局今同じような四千円の税額控除の制度がございますのは四つございまして、不具者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除とわれわれ呼んでおりますが、所得税の。その四つがいずれも今の四千円から五千円に上げると同時に、それぞれの状況におきまして現在六千円の控除を受ける場合がございます。その六千円の控除を受ける場合に七千円の控除になる。もう一度申しますと、所得税法の十五条の二に不具者控除という制度がございます。十五条の三に老年者控除という制度がございます。十五条の四に寡婦控除という制度がございます。十五条の五に勤労学生控除という制度がございます。この十五条の二から十五条の五に至るそれぞれの控除につきまして一せいに引上げよう、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/149
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150・平林剛
○平林剛君 その点はよくわかりました。租税特別措置法の一部を改正する法律案の修正の中の選択控除ですね、この点先ほどの御説明を伺っておりましたが、どうもこれは一種のごまかしのように感ぜられるのですが、予備的知識を得るために、ちょっとあなたの御見解を聞いておきたいのですが、これによりますと、今までやった社会保険料の控除が大体勤労者の場合に三・三%、それから医療費の控除は最高限度を十五万円にしてある。これを採るか、あるいは百分の五に相当する金額の控除を採るかという二者選択ということになりますと、今までの税法の中で除かれていた社会保険料の控除とか、あるいは医療控除などの赤字がこれに消えていくのじゃないだろうか。今まで一応租税の負担の原則に従って公平にやって来た控除も、それが今回の改正によって五%の選択控除があることによって、今までのその方のよい面が失われていくのではないだろうかという、まあ私は疑問を持ったのでありますが、その点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/150
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151・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) お話のようになるのではないかと思っております。ただいろいろ議論をしていた間に出た話でありますが、同じ給与所得者にしましても、大きな会社に勤めている人、こういう人は社会保険の制度が相当……。社会保険に入っているから、従って三・三%というのはこれは平均的な数字でございますが、そういう控除をいただいている。ところが中小企業などのところに勤めていらっしゃる給与所得者ですと、必ずしも社会保険に入っていない、そういう人においては同じ給与所得者であっても、従来の制度であると社会保険料控除は受けられない、これはおかしいじゃないか、あるいは社会保険というのは確かにそれだけ保険料を払うわけですが、同時に国も相当の金を出して、それによって病気の場合は治療を受けるとか、いろいろなことがある。中小企業者というような方々ですと、なかなかそれに入っていない。そういうような場合を考えると、少くともこういうようなことの考え方がより公平じゃないだろうか。既定の事実の上にのっかって、社会保険料控除というのは当り前だ、これは当然だという考えにのっかっておっしゃる、それをもう一つひっくり返して考えると、こうじゃないかというのが修正者の御意見のように私は伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/151
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152・平林剛
○平林剛君 その点についてはかなり角度を違えて検討仕直す必要があると思うのです。あなたと議論するつもりはありませんけれども、勤労者にとって社会保険料の控除というのは、一五%控除のほかにかなり大きい部分であったと思うのです。それが今度の五%にすりかえられて今までの特典というのはかわってくると、あなたのかりに説明のように、受けつぎかどうかしりませんけれども、その説明のように千二百万人の人がこういうことをやったと、二百万人の人がこれによって救われるとおっしゃるけれども、私は租税の原則の面から言って、やはり税源というものをもう少し温存するということが大事だと思うのです。今日の勤労者は、私は所得税の中でもかなりの部分の負担をしておるわけですね。これらの税源体となっているのは、勤労者はかなり大きい分野を占めていると思うのです。その勤労者に対してあまり今度の修正案というのはいじめ過ぎているのではなかろうか、つまりかなりの租税の税源になっているところをあまり痛めつけると、私は今度は租税負担能力というものは次第に衰えてきて、政府の今後の徴税の面において逆の面に悪影響があると思う。あなたの仰せのように、残った二百万人の人を助けるということも租税の公平だという理屈は、ある面はあったとしても、逆の面からいくと、租税の負担能力の大母体をこういうことによっていじめるということは、私はどうも正しい租税の取り立て方になっていかないのじゃなかろうかと思うのです。いじめているのではなく、ほかにも軽減しているのだという理屈は別の面で立つかもしれないが、それには配当控除額の引き上げとか、銀行利子の免税の面から見ると、勤労者と比較すると、片方は優遇している。今回の所得税の選択概算所得控除の新設などのごときは、まさにそういう意味からいくと、勤労者にとってかなり割の悪い修正になっていると思うのです。こういう点からいくといかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/152
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153・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 社会保険料控除と一応置きかえられますから、従いまして従来社会保険料控除において相当のフェイバーを置いていた人は、これに新しい五%の選択控除によって受けるフェイバーは場合によってはゼロであります。一万五千円以上の社会保険料を払っている人はゼロであるかあるいはその額が少い。しかし同じ勤労者であっても社会保険料を受けていなかった人はフルに受ける。こういうことは政府提案のものと、今度の修正と比べればその通りだと思います。しかし、これはどちらがいいかといったような問題になりますと、これはいささか私がここで御議論を受けるのもいかがかと思いますので、あまり申し上げることは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/153
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154・平林剛
○平林剛君 その点はまた提案者の方といろいろ議論をいたすつもりであります。しかし私の指摘したい点は、今度の五%の選択概算所得控除がありましても、勤労者は切りかえしを受けているということだけは明らかになったわけですね。切りかえしと言うとおかしいが、逆にこの程度あらってさらって持っていかれるところもある。これに反し配当控除額については、また今度の十億円ばかりの税源をもって新たに配当控除額の引き上げをやられるわけでありますが、私これを通じて考えることは、どうも政府の、何と言いますか、経済政策の面において、これはあなたに聞くのはちょっと違うかもしれませんけれども、こういう感じがするのですよ。さっきシャウプ勧告の話も出ましたが、最近の政府のやり方を見るというと、公債政策でもとるために、これから一年間か二カ年の間資本蓄積というような名目を立てて、だんだんそれを温存させて、経済政策の面を次第に公債発行の面で補っていくというような準備をしているような感じがしてならぬわけです。つまりこの一カ年ないし二カ年の間銀行利子に対しては免税するとか、配当所得に対しては軽減をするとかいって、大きな資本を擁護していって、そして将来公債発行のような経済政策に切りかえる準備をもうしているんじゃなかろうか。こういう心配を私はするわけであります。その点はどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/154
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155・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今度の政府の原案なり、それから修正案におきまして、資本蓄積を促進したい、それに税制におきましても、ある程度その意味をこめた税制改正を行いたい。これはその通りだと思います。で、それは銀行等について考えてみれば、従来のオーバー・ローンを解消する、事業会社について考えてみれば、自己資本を充実する。こういう方向によって初めて日本経済というものが健全な発達をしていくのだ。従ってそういう方向に進むように税制もやはり一応強力な建前をとる、これは言えると思います。ただそれからすぐ公債発行の準備というのは、少くともわれわれとしては公債を発行する事態に持って行くことを考えておりませんので、これがその基盤であるということは、ちょっと私はまだそこまではすぐには結論が出てこないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/155
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156・平林剛
○平林剛君 やっぱりにおいはするよ。なぜかというとね、この一年ないし二年後には、銀行利子に対する免税の措置、あるいは配当金に対する軽減の措置をやめるとなると、これは今度はえらいたくさんの陳情がくると思うのですよ。そして銀行利子に対する免税や、配当所得に対する軽減は、引続きやってもらいたいというようなことで、どうせまたそういう方面の圧力と言えばおかしいけれども、陳情懇請があって、引続きそういうことをとるというような事態がある。そういう事態が私はまあ必ず起きてくるのじゃないだろうか。それからもう一つは別な角度からでありますけれども、これからだんだん政府の政策が自衛隊を増強していくようなことになりますと、今日の減税政策は国民に公約したからしようがないと言っては語弊がありますが、あまりはっきり公約し過ぎたから、一応片づけなければならないので減税を行うと言っているけれども、これからいろいろの面において、内政費が必要であるという段階においては、今後この財源をどこに求めるかということになれば、やっぱり公債の発行というようなことにいく、私はこういうことを、今回の税制改正の中で、配当控除額の引き上げであるとか、銀行利子の免除であるとかいうようなことを認めると、ずるするとそういう坂道をだんだんに下っていくような感じがせられるのでありますが、これは別なときの議論でよござんす。
それで、私の聞きたい点は、こういうようなことについて大きな資本を持っている人たちに対しては割合に有利な税制改正が今回行われようとしているわけでありますけれども、私はやっぱり勤労者あるいは中小企業者、農民に対する配慮からみるというと、どうしてもこの大資本擁護の政策にいかざるを得ないと思うのであります。それで特に逆な面からいって、最近の税金の取り立て方の中で、私は銀行預金にしても、投資信託にしても、最近無記名というやつが制度としてとられているわけですね。あれは脱税の温床になっている傾向が現われているんじゃないかと思うのですがいかがでしょうか。そういう点について私は今後どうせ税制を改正するなら、そういう面についてあなたの方で何か特別な対策を考慮すべきではないだろうか。特にいろいろ問題も起きまして、ある有名な資産家の資産を調べてみたら、自分名義のものが一銭もなかった。そういうわけであるはずだなという人がお金がない。一文もないのだという形式的なようなことがよく問題になることがありますが、こうして大きな金を持っている人が便宜的に方々いろいろな形を変えて脱税できるような仕組みになっているように思うのであります。こういう面に対する対策をこの税制の改正にからんで、何かお考になったことがないかどうか。そういうことをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/156
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157・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) いろいろな問題があるわけでございまして、いわゆる脱税の防止的な面につきましては、これは国税庁等におきまして査察課というものがありまして、この場合に一応の端緒がつかめますればこれは相当突っ込んだ調査をすることになっております。ただ預金の秘密性とか、いろいろなことがいわれておりまして預金の、貯蓄の奨励という面からいいますと、やはりこれがある程度ものをいっているようです。従いまして税務当局が必要以上に、預金なら預金の方は何でもかまわず網を拡げて、そして一から十まで調べて、そこから変なものが出てきたらといったような意味の措置は、これは税務当局としても相当遠慮すべき問題ではないか。しかし税務当局の方で他の材料を中心にしていろいろ、問題がどうもおかしいぞといった場合において、その裏づけ、あるいはその問題をさらにはっきりと裏づける、あるいは発展させていく意味においての調査ですね、これは金融機関にも御協力をお願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/157
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158・平林剛
○平林剛君 私はこれで大体最後にしますが、どうも全般の御説明を受けていて、やはり勤労者や小さい法人などは、今度の修正案にかかわらず、あまりよい修正になっていないと思うので、むしろ今度の修正の予算は他の適当なところに振り向けたいという気持で一ぱいでありますけれども、特に私先ほど申し上げた税源の温存というような意味で、勤労者に対する何らかの措置ということが、これとは別に必要な感じを持っているわけであります。特に私は昨年度の実際の租税収入状況などをみますと、源泉所得税が他の各種の税金に比較するとオーバーしているわけですね、大体において源泉所得税が。大体全勤労者のやつが予定の予算よりも二十六億五千二百万円ばかりふえているのじゃないか。これはほかのものに比べて勤労者の方が完全徴収はおろか、取り過ぎをしているというような現状になっていると思うのですが、一体これはどういうところに原因があるか、この際ちょっとお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/158
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159・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 国税庁で徴税をして参りますのは、これは結局税法の定めるところによってやっているわけでございまして、税法の関係からいってそこに取り過ぎがあるという問題は、これはないと思います。ただわれわれが見積った場合と結果との間にある程度各税によってふえるものもあり、減るものもある。これは正直にいいまして、実はある程度私はごかんべん願えなけばやむを得ない。ことしは御承知のように予算の編成が相当遅れましたために別でございますが、通常としてでございますと、たとえば昭和三十一年度の予算を組もうといたしますれば、われわれの方としましては昭和三十年度の十一月中あるいは十二月の遅くも初めまでには一応計数をある程度整理してしまわなければならんのが、これは事務の方からくる実際の要請でございます。従いましてごく荒っぽくいえば、一年ないし一年半先の見通しを実はやらなければならぬわけです。そこで給与所得の場合において特に出るわけですが、ベースが実は百円、二百円、あるいは八百円違いましても、数が多うございますし、従いまして、特にまあ現在の所得税の建前でありますと累進税率をとっておりますから、われわれがたとえばベースが一万五千円と計算した場合と、一万五千八百円と計算した場合で、その八百円が非常に大きな額に出てくるわけでございまして、われわれとしては前年の傾向だとかいろいろなものを見まして、できるだけ予算の正確を期しておりますが、やはりそこにある程度のプラス、マイナスがあるということはやむを得ないのじゃないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/159
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160・平林剛
○平林剛君 それで私は、まああなたの力の見込み違いを指摘しておるわけではないのですよ。源泉所得税を担当しておるところの勤労者層が、とにかくいずれにしても予定よりも二十数億円増徴せられておる。これはあなたは勤労者の場合を例にとってこの程度の誤差はやむを得ないと言われますが、これは法人税の場合においても、他の税の場合においてやはり同様だと思うのであります。しかしそれにもかかわらず、増徴されておる。私はあなたがいつか予算委員会でこういう発言をしたと覚えているのですがね。たとえば農家の問題と比較をするわけでありますが、本年度の米価の問題に関連をして、予算で見積る額との差から、ある程度まあ税の収入が増になるという要素があることをあなたが認めておるわけです。これに対して、もしその指摘を受けたことに対して、さようなことがあった場合には、供出に協力をするというようなために、何かの軽減措置を講じたいということを政府答弁としてお答えになっておるわけであります。これから見ると、勤労者の場合においても二十数億円という増徴があった場合には、何かの軽減措置が講ぜられてしかるべきものだと私は思うのでありますが、この点私はまあこの選択所得控除が非常に勤労者に不利なようになっておるから、せめてこちらの方でおまけをするくらいの量見をあなたの方で持ってもらいたいと思うから、この際あなたの御見解を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/160
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161・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 予算委員会でお話を申しましたのは、実は御質問によってお答えしたのじゃなくて、私の補足説明として申し上げたわけでございます。それは結局こういう事情であることをお話し申し上げたと思っております。従来米の関係におきまして、農業所得につきましては超過供出とか、それから飯米超過供出の奨励、早場米奨励金というものについては、これは免税の立法が出されておりまして、今度供出制度が変るに当りまして一応こうした早場米の奨励金だとか、供出奨励金だとかいう制度はやめまして、これを基本米価に織り込むということに一応まあ政府が考えておるわけでございます。で、その場合においてとにかく一応毎年々々の立法でございますが、超過供出なり早場米供出についてそういう奨励金を免税していた経緯がありますので、これがまあ自由価格に、自由販売になれば私は話は別だと思います。一応食管法が改正されないで現在のような立法である限りにおいては、やはりそれで、同時に今の供出の奨励金が全部基本米価に織り込まれる、そうすると税の方は何にも措置をしないということになれば、基本米価がどうきまるかは別としまして、従来の奨励金を織り込んだそれで基本米価が現在きまるとすれば、税負担だけがそれだけ多くなるわけでありまして、やはり米価はかわらない、しかしその税金だけは多くなる、そうすると、農家の税金を引いた手取りはそれだけ減る、こういう実は結論になるわけでありますが、これはどうも現在の米の供出制度、あるいは政策というものを考えて、どうも適当でないものじゃないか。そこで大体現在見積っておりますのは、昨年の基本米価をもとにして歳入を見積っております。それでどの程度ということは、これは今後いろいろ研究すべき問題です。大体昨年におきましてそうした各種奨励金を免税したことによっての減税ですね、この減税は、これはやはり何かの形で維持した方がいいのじゃないか。それは結局米の価格とか、いろいろな問題と結び付いてきまる問題でございますから、現在はまだ法案を作成する時期に至っておりませんが、しかし一応そういうことを頭においてそうしてやっております。こういうことを実は申し上げたわけでありまして、これは予算で見積った数字よりどうも徴収がたくさん入るから、従ってその分だけは軽減するといったものと私は性質は違うのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/161
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162・平林剛
○平林剛君 まあ性質は違うにしても、考え方の趣旨は僕はそう大きな違いはないと思うのですよ。それでこれはいずれこの問題についても議論をする機会があると思いますから、きょうはこの辺で質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/162
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163・岡三郎
○岡三郎君 時制がたっておりますから、一つ二つ聞いておきたいと思います。これは教えてもらうことになるかもわからぬが、大体現在の税収の状況からいって、まあだいぶまだ減税をする余地があるのかどうか。というのは一萬田財政論でいくというと今八合目だと、常識的に保守党の方々も、また社会党の一部の中においても、一兆億円の財政規模というものを何も無理して固執する必要はない。そうするとその財政規模は三十一年度の予算においてはどうなるか。今後補正の問題も起るので、そういうふうな拡大均衡という点が大体指向されて、常識化されてきておる段階において、こういう減税等の問題をやって、税収の弾力性といいますか、そういったものから見て、その拡大均衡の財政規模とのにらみ合せから考えて、主税局長の一つ見通しというか、そういった点をちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/163
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164・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 私は今度の三十年度の歳入見積り、それの自然増収が、たとえば二十九年度、二十八年度といったときのようにそう出る見積りだと実は思っておりません。昨年におきましても同じような考え方でやったのですが、どちらかといえば、われわれの方がこれはおじぎをしなければなりませんでしょうが、デフレがもっとシヴィアにやってくるのではないかと実は見過ぎていたわけです。で、情勢からしまして必ずしもそうでない。同時に現在の程度でもって大体横ばいしていけば、日本経済の基礎もだんだん固っていくのじゃないか、外貨の収支など最近多少悪くなっているが、大したことはない。そういうような基礎に基きまして一応今度の減税案ができているわけでございます。
従いまして予算から見ますと、酒の収入が百九十億ふえる、それから砂糖の収入が五十何億ふえることになっていますが、昨年の、従って自然増収後の実績と比較していただきますと、そんなに大きくふえておるわけでは実はないのです。それで政府原案で三百二十七億、今度修正を入れますと、それが六十七億加わりまして三百九十四億になりますが、それだけの減税がなされ、それで來年度になりますとさらに平年度化してそこに相当の額がふえるが、税収としまして、ある程度私は本年度程度の税収はこれは維持できると思いますが、それは修正後の……、しかしそこにさらに大きな来年自然増収が出てくる、まあそれは三十一年度における三十年度との比較における自然増収と申し上げたいと思いますが、そう大きな額が出てくるとは実は思っておりません。もちろんこれがインフレの方にころがっていけば、これは実質はとにかくとして、名目的な数字の上の額はふえます。しかしこれじゃ全然意味がないんです。同時に従来の自然増収の姿を見て参りましても、やはり朝鮮ブームとか何とかあって、そうして物価が相当思い切って上ったこういったときは実は一番われわれの見積りが相当狂うのでございまして、われわれはそこでもって物価が上るということを予想していなかったのにまあ物価が上った。で今度の見積り、今後の経済情勢というものがそう物価が上るといったようなことを予想されておりませんから、まあそういった意味から見ますと、私が今申し上げたことが大体そのまま決算の方にも家現していくのじゃないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/164
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165・岡三郎
○岡三郎君 そうするというと、私は外貨の方の状況を見ても一応楽観ができないのじゃないかと思います。実際の面においてそうあまり楽観できないのじゃないか。で、まあこういうふうに減税することもけっこうだし、それからまあいろいろと支出するのもいいんですが、結局今八合目だと、こういう論があったんですが、八合目という論から十合目に一ぺんに行って、そうしてその中で拡大均衡という点からインフレ化して、そうしてそのしわ寄せがまた弱いところにくるということになってしまうというと、どうしても勤労者の方にこのしわ寄せがくる心配をしている一人なんです。そういう点から考えて今回の修正並びに補正予算必須という声もあるわけなんです。そういうふうな中において税収の状態、特に自然増収、この自然増収というものが、二十七年、二十八年の当時より比べて、二十九年度、本年度と、だんだん下降状態になっていると推察できる。そういう中で、一方において思い切っていろいろの施策をとることもいいけれども、それがバランスを失するというと、やはり勢い公債、金融債の増額、そういったような方法で調整をとらなければならぬようになってくる、やはりこういう方法で資本蓄積をやられていく。大会社は助かるけれども、やはり何かこう勤労者の方が心配な情勢が強いのじゃないかと思う。まあ貯金、配当利子を減収するということで、インフレになれば貯金もどうしても頭打ちになってきますから、その準備で今ごろからあまり貯金が減らぬように、今、少し貯金の増加を期待して急いでおる。あるいは配当その他で資本蓄積を急いで、そうしてインフレに再会してもある程度までその面においては抵抗力を作っていこうというふうな考え方、そういうふうな面がしろうと考えでももうあるわけですが、勤労所得税ですね、勤労所得税というものはどうしても日本の税金の中では一番きつ過ぎるのではないかというふうな点で、将来のインフレ化という面について自然増収していくという、いろいろ財源のもとになる問題が勤労者の負担にならぬように一つ主税局長に頼んでおきたいですが、どうも心配があるので、それは政治の動向がそうなっていくのだからといっても、大体常識的に非常にきついという点でそういうふうな考え方を持っておるんだが、その点を一つ主税局長に頼んでおきたいのですが、自信を持って一つやってもらいますわ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/165
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166・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 現在の税制、さらにこれにつきましては一応検討を加えるという、これは大蔵大臣も言っておりますし、お話のような意味のことはわれわれもさらに考えていきたいと思っております。ただまあ御心配になっている基本的な問題、いわゆる公債を発行することによってインフレに持っていく、それによって結局、勤労者、あるいはそういうところへしわが寄っていくのじゃないか。これはわれわれも同じように、もしそうなればそうなる。同時にそれだけこれはわれわれとしては十分慎重に考えていかなければならん。たとえば預貯金利子に対する課税を下げましても、とにかくインフレになれば元のほうが相当もうすっ飛んじまうのですから、とにかく昨年におきまして預貯金が非常に伸びたという事実は、やはり経済がとにかく一つの安定の軌道に乗ってきた、これが私は一番基本的な問題だと思っております。税金がとにかく一割程度の利子に対して、しかも利子の一割ですから、定期でもって六分にしましても、税金のまかるのはもうさらにその十分の一ですから、千分の六の問題でして、とにかく物価が一割上ればもうすぐそれでもって税金の軽減された分とか分でないとか、これはもう問題でなくなってしまうのですから、結局やはり貯蓄が順調に推進されるという一番の基盤は、物価が安定するといいますか、貨幣価値が安定する。同時に日本が将来貿易というものに重点を置いて考えて参りますときに、やはりそこにおいても物価の安定ということが一番機軸をなしていくものではないか。そういうことを考えて参りますときにおいて、ぜひとも大蔵省におきましては、その基本的な線は、一番日本経済を動かしていく上においての基盤として堅持しなければならん問題である。これはわれわれその信念において今後の仕事はしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/166
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167・岡三郎
○岡三郎君 結局今度の修正にわれわれの反対するところは、やはりどの程度まで経済の基盤ができたか、これは論争の的になると思いますが、結局インフレ化を増長していくものではないかというところで、大蔵当局としては、本年度は地固めの時期だということを強く言ってきたわけですね。それが途中においてすでにくずれかかってきておる。しかも税収その他の見込みは相当きつくなってきておるところへ、常識的な趨勢は拡大均衡というものへまっしぐらに今後進む情勢にあると思う。そういうふうな情勢の中において、果して現在の状態が八合目半から九合目にきているのかどうか。それから来年の財政規模が一体どうなるかということで、物価というものが非常に今横ばいの状態でいいわけですが、これがいつ変調をきたすかわからぬというような点で、酒、砂糖その他の税収を見積っても、今後ともなかなかむずかしい段階になると思う。そういう点で、われわれとしては現在の状態の中において、勤務者はべース・アップもないし、五千円くらいの免税をしてもいいのじゃないかと言っても、なかなかそのところは首を縦に振ってくれないのですがね。そういう点から見て、この際将来インフレになるとするならば、ますますこの際一ぺんぐらい勤務者に少しは喜ばしてくれてもいいのじゃないか、こういうふうな点で五千円くらいの免税を出せぬということは、これは私はおかしいと思うのだがね。これはまあ水かけ論になるからこの程度でやめておきますが、とにかく五千円の免税よりも何よりも、インフレを招来するという一つの見通しの上に立って私はやはり今御質問しているわけですが、そういう点で、この前も木村さんが言ったように、税収がだんだんきびしくなってきて自然増収になる。そうしてここで切りかわって頂上に行くという点で、それが無理だということになれば、すりかわって公債その他の政策がとられてくるような段階に追い込まれてきたときに、そのときになってわれわれが騒いでもちょっとおそいのであります。今から騒ごうと思っているわけですが、一つその点、今一つの例として出した勤労者に対するところの減免措置というものを、これを一つ十分考えて、今後大蔵委員会に衆議院の社会党の提案が回ってくるのですがね。これは委員長においても、五千円くらいの免税という点については極力通してもらうように私はやってくれなければ困ると思っているのですが、一つそのときには主税局の方は、大手を振って、総体的に考えたときにやむを得ないぐらいの返事をしておいてもらいたいと思う。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/167
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168・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) インフレの点につきましては、われわれそれを警戒し、そういうことに絶対にならぬようにということについてそれをすべきである。これはお説の通りそう思っております。
それから五千円の夏季手当についてわれわれが必ずしも賛成申し上げられない点を一言だけ申さしていただきます。われわれの方で、労働省の調査によりますと、これは数字でございますが、民間で勤労者三十人以上を使っているもので、これの調査でございます。夏季手当を全然もらっていない人が総数の二割くらいおります。われわれはその財源が許し、将来の見通しが許せば、それは勤労者といわず、たとえば基礎控除を上げるとか扶養控除を上げるとか、そういったいろいろな施策によってこれを、税を軽減していくことにはやぶさかであるものではございません。ただ、今言ったように、勤労者の、しかも一部の方だけがもらっているものにそうした措置をとることが果して妥当であろうか、これには多分に疑問を持っております。
そこで要するに問題として、もしやるならば、勤労者なら勤労者だけがいいのか、あるいは中小企業者、農民までこめてやるのがいいのか、そうならば基礎控除をもっと上げるとか、あるいは扶養控除を上げるとか、そうした線での問題でございますれば、これは財源との見合いで、われわれもやはり勤労者の一人として、高い税金を背負っておる者でございますから、それはやっていくべきだ。ただボーナスとか何とか特殊な給与の形態をとって考える場合には、それによってフェーバーを受けている者は、同じ勤労者の中でも一部の者であろう、これはいかがか、こういうふうな見解を持っていることだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/168
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169・岡三郎
○岡三郎君 一言私は言っておくけれども、今の問題は、上を見るな下を見ろという意見で、それくらいの勤労者全般に対する考え方があるならば、もうさっき言ったように、選択して税金をどうするかというようなことじゃなくて、もう少しそういうふうに勤労者をどうしてくれても、そうでない連中は反対しませんよ。農家の人々だって勤労者の税金が多いということはもう万人が承知している。だからその点でいいますと、部分的であるという面はあるとしても、まあそこら辺から一つぼちぼちと一ぺんやってみようというところでやってもらいたいと思うのですが、ここでこれ以上言ってもしょうがないから、委員長これでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/169
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170・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 先ほど小林委員から五百万円未満、当時の平均を五十万円と申し上げましたところが、百五十万円なんじゃないか、こういうような御質問があったわけであります。今試算してみますと五十二万円になりますので、間違いございませんので、はっきりさせておきます。小林委員は五百万円から百万円までの間の計算をやっておられましたので、それが百五十万程度になります。五百万未満の全部を平均いたしますと五十二万になりますので、さよう御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/170
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171・菊川孝夫
○菊川孝夫君 あまり一人でやっていていかぬと思いますので……。
渡邊さんにお伺いしたいのは、直接税と間接税の比率は、今度の改正案でも戦後初めての間接税がふえて、そうして直接税が減ってきているのですが、これはあなたの方からお出し願いました予算の説明によりますと、今年の改正案が、戦前は別といたしまして、戦後初めて間接税がこういうことになっているのですが、直接税と比較いたしまして、これから将来ずっと、民主党の政策といいますか、現内閣の政策というものはこのように間接税でたくさんとっていこう、こういうふうなお考えのもとに進めていかれるのですか、修正案もやはりそういう構想の上に立ってやっていかれようとするのか、一萬田さんの健全構想というのは、酒をたくさん飲ましたり、たばこをたくさんすわしてふやしていこう、率直に言って、こういうふうな答弁だったが、やはりそういうふうな構想ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/171
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172・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 直接税と間接税とをどういうふうに振り合いをしていくべきか、これは私いろいろ議論があると思っております。今度の結果は、確かにおっしゃる通りになっておりますが、われわれとしては、現状においてはやはり直接税の方の負担が重圧感が強い。従って減税をするにもこちらの方に重点をおいて減税すべきだ、こういうふうな考え方でむしろ全体を調整しております。昨年はむしろ政策的には間接税の方をふやして、直接税の方を減らすのだ、相当一つの意図的なことをやりました。しかしそれにもかかわらず、自然増収の方の数字が直接税の方が大きくて、間接税の方がそれほどでなかったために、間接税の方を税制改正して引き上げて、直接税の方は減らしながら、なおかつあとの答えで見てみますと、直接税の方がむしろ大きくて、間接税の方が小さかった、こういうことになるわけです。今年は意図的には特にそうした意図は、間接税の方を増税して、直接税の方を減税するという意図はなかったのですが、ただ三百二十七億という減税をやる場合におきましては直接税の方に集中してやるべきだ、こういう意図はございました。ただ、将来の問題として、間接税を中心にやるべきか、直接税を中心にやるべきかは、いろいろな議論があろうと思っております。
多少私の個人的な見解を申し上げて恐縮ですが、昭和二十三、四年ころ私がつくつぐ感じたことは、間接税は大衆課税だ、直接税はそうじゃないこういう議論で、これはごくオーソドックスなものの見方であります。ところがあの当時におきましては、直接税自身が実は大衆課税になってしまった。そのために納税者の数も千何百万という非常に大きな数字、たしか千九百万……、そうしますと直接税であるか、間接税であるかということは、大衆課税であるかないかということを規定するものじゃなくて、直接税自身が大衆課税になった。
もう一つ感じましたことは、直接税による大衆課税ということは、非常に問題が多い問題でございまして、結局税務行政自身が下手をすると麻痺をして動かなくなります。従って間接税でやる。もしどうしても大衆課税をやらなければならぬという情勢なら、むしろこれは間接税でやるべきじゃないかと思いましたが、しかし、といって適当なる間接税もなかった。そういうような意味におきましてなかなか具体的な策ができなかった。結局その後においてあらゆる減税の機会においては直接税を中心に減税してきた。こういうのが現状でございます。
将来の税制をどう持っていくかという問題につきましては、一体直接税による課税でどれだけの財源を確保できるか、まずもって中心はそこから出発すべきものだと思っております。そうしてこれはやはり数の問題でもございますので、財源確保の場合におきましては、大衆の方にもある程度は負担してもらわなければならぬという事態になりましたときに、どういう方法でそれを負担してもらうかという問題を第二段として考えるべきだ。できるだけは大衆の負担にならぬようなことでまず主要の財源を確保する。第二段の問題として、それじゃどうしても財政がまかない切れないときにどういう方法でやるべきかというとき間接税の問題が出てくるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/172
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173・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この間法人税を三五%に引き上げるときには、非常に当時の主税局長は平田さん、今の国税庁長官ですが、引き上げようという、そのかわりに租税特別措置法によって処置をしようというのが構想だったが、あなたの方は、渡邊さんの方は、法人税を引き下げていこうとするのだが、引き下げる反面において租税特別措置法による減免処置ということについてはあわせて考慮をされて引き下げる、こういうふうにあなたの方は考えておられるのですか。平田さんは非常に努力されて法人税の引き上げをやられた。あなたは今度はそれを引き下げようとするのだが、引き下げようとする場合においては租税特別措置法と密接な関係があると思うのだが、これは一体そういうふうにあなたと前の局長との間にちょっと違っておるが、もちろん政府もかわっておりますが、これはあの当時は朝鮮ブームでもうかっておるから法人税を上げたのだが、もうかっておるから法人税を上げるというのは、率をよけいにしても、欠損が入っておれば税金がとれないから、税の額は違ってくる、率によってどうするということはおかしいと思いますけれども、どういう構想によってこれを下げようとするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/173
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174・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 私はやはり四二%に上げたときは、その三五%に据え置きましてもちろんその税収は上りますが、あのときはいわゆる超過所得税をやったらいいのじゃないか、いろいろな議論が出たように聞いております。それで再評価の問題もまだ片づいておりませんでしたし、それで四二%という考え方が出てきたわけだと思っております。同時に税負担が高いということで、一つはやはり租税特別措置法によるいろいろな措置も考えられたと思っております。ただ四二%という率は、昨年の税制調査会におきましても相当御議論がありました。いかにも高いじゃないか。特に地方税の事業税、あるいは法人税割といったようなものを加算して参りますと、加算の仕方にはいろいろ議論がございます。低く見積っても五十幾つという数字が出てくる。ただ単純に加算すれば六十近い数字が出る。それが事業税が十二ありますから、四十二に十二足すとそれで五十四になってしまう。それに法人税割を加えますと、これは計算の仕方で、事業税が経費になるということで、単純な計算をするということについては別な議論がありますが、ごくしろうとわかりのいいように税率だけ単純に寄せていきますと、五十六ですか、何かそんな数字が出てくる。そうすると百もうけても五十六が税金だ、会社に残るのは四十幾つ、それから配当もしなければならぬ、留保もしなければならぬ、どうしても法人税を中心に税率を下げていく必要があるのじゃないか、こういうふうな答申がありました。
われわれもその御答申の趣旨を十分に感じておりますものですから、それで今度は四十二を四十に下げた。ただそれと関連して菊川委員お話しになった、とにかく片方で上げたときに租税特別措置法を相当ゆるやかにしていろいろな措置を講じた。だから下げればそれは整理さるべきじゃないか、これは一つの御意見だと思います。ただ四十二を四十に下げたという程度で下げた幅も非常に狭うございますし、それから租税特別措置法を検討するにつきましては、やはりいろいろな問題も伏在しております。今度税制調査会などによって御審議を願う場合におきましては、やはりこの問題をそのまままともに取っ組んでいただきたいと考えておりますが、今回の税制改正の場合におきましては、租税特別措置法をすぐに整理するという案は別に提案しなかったわけでございます。後日の問題として、これはわれわれの方としても検討の問題としては十分考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/174
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175・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これでやめます。法人税も下げる、さらに前の、株式の配当控除のときには、法人税で税金を払っておるのだから、今度は配当控除は考慮するのは当りまえだ、こう言う。そうすると法人税も下げる、それからまた配当控除の方も今度は率を上げていくということになると、二重にこれに対しては恩典を与える。しかも租税特別措置法についてはそのままほうっておくということだったら、渡邊構想といいますか、非常に株式会社に対しましてはきわめて温情のある税改正案であり、修正案である、こういうふうに理解できるのですがな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/175
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176・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 現在の二十五は、前に法人税が三十五にきまっていたとき二十五なるものがきまって、四十二に上げましたときにこの二十五はそのまま据え置かれた、これはいろいろ、要するに議論がありますが、ただ事実だけ申し上げますと、そういう事実はございます。それで確かに法人税を下げる機会に配当控除を上げると、これは今度の税制の修正を加えた改正だけを考えると、いろいろお話しのような御議論もあるかと思っております。しかし一応論をなす人は、現在の二十五というのは三十五のときにきまったのじゃないか。従って一応四十二が四十に下ったとしても、そこにやはり問題があるのじゃないかというような議論は片方にあるわけでございます。ただ、まあ私は今度二十五をとりあえず、このとりあえずというか、二カ年と限りまして三十にしたというようなことにつきましては、大体二十五がいいとか、三十がいいとか、あるいは三十五とかいうような意味の計数の論理的な結論というよりも、源泉をとにかく五を下げた、しかし結局それが申告に入って全部取り戻されるので、下げることは意味をなさない。この前菊川委員の言ったように、何でそれは減税したんだ、どこが軽いのだというような御質問を受けたことがありましたが、そういった意味において、結局二十五を三十に上げることによって、源泉を下げたことがそのまま株主のフェイバーになるといった意味でお上げになったのじゃないか、私はこれは推察でございますから、必ずしもそうだと申し上げるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/176
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177・菊川孝夫
○菊川孝夫君 もう一点だけ。そういうことになると、今度は最後にいま一度だけ聞いておきたいのは、物品税について、一体マッチであるとか、それからラムネのようなものだけに物品税をかけなければならない理由、もうそろそろ消滅しておるのじゃないかと思いますが、これを修正のときにお考えにならなかったのはどういう理由か。マッチ、ラムネに物品税をかけるというのは、まあテレビジョンだとか高級の写真機というのならば僕らもわかると思いますが、これは何かどうしてもかけなければならない理由があるのですか、一つ伺っておきます。ほかの税との振り合い上……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/177
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178・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 物品税についてはいろいろ議論は実はございます。で、マッチ、ラムネというようなものだけを取り上げて議論をしますと、またいろいろ、それならマッチ、ラムネならこれもあるんじゃないかというような議論がたくさんあるわけでございまして、修正のときの議論としては、直接税中心にして、とにかく減税するならそれをやろう。物品税の問題につきましては、御議論はございませんでしたが、われわれとしましては、物品税の問題は、これは実はことしはちょっと手が回りませんでしたが、将来の問題として税制調査会などの、場合によってはそうした他に特別の小委員会でも作って、一ぺんとっくり検討してもらいたいというふうに思っております。いろいろな面の議論があるわけです。消費者の立場からすれば、とにかく奢侈品というものについて課税してもいいわけなんですが、片方においてそれを作っているメーカーのことを考えますと、ものによっては非常に中小企業者が作っている。従ってある論者は、中小企業者の作っているものはなかなかやりにくい、これの要するに税金を考えたらいいじゃないか、消費者がこれも負担するんだという、それは確かに税法の建前はそうです。しかし現実の経済の動きというものを見ていますと、必ずしもそうでない面がある。これは菊川委員は私よりよく御存じだと思っておりますが、だからそういった二つの矛盾した要素があるわけでございます。そこをどう調整していくという問題として、やはり物品税については全面的に考えていく、もちろん時期がもうきているかもしれないと思っておりますが、今度の改正によりましてはなかなかちょっとそこまで手が回りませんでしたので、これは私の少くとも希望として、ことに税制調査会などにおいてとっくり御審議願った上で一つの方向を出していきたい。社会党などで奢侈品課税といったような御意見もあるように伺っておりますが、一体奢侈品とは何を言うかという、その科目を拾い上げてみますと、そういうふうに具体的な問題になりますというと、なかなか問題があるわけでございまして、われわれとしても今後大いに勉強していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/178
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179・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは今の答弁になっておらんので、ラムネ、マッチに物品税をかけなければならん理由、どうしてもほかの税とのつり合い上残しておかなければならんものか、当然こいつは対象になるべきものかどうか、この点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/179
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180・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その点につきましては、今度の修正では議論はありませんでした。それは結局修正によって減税の幅を大きくしようとする場合には、やはり現状においては直接税を中心に考えていくべきだ、こういう考え方が基礎になったように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/180
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181・青木一男
○委員長(青木一男君) 本日はこれにて散会します。
午後四時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01419550609/181
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