1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十七日(金曜日)
午前十時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
土田國太郎君
平林 剛君
森下 政一君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 眞一君
木内 四郎君
白井 勇君
藤野 繁雄君
片柳 眞吉君
岡 三郎君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
中川 幸平君
木村禧八郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
政府委員
大蔵省主税局長 渡辺喜久造君
大蔵省理財局長 阪田 泰二君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
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本日の会議に付した案件
○証券取引法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○証券投資信託法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/0
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。
証券取引法の一部を改正する法律案及び証券投資信託法の一部を改正する法律案を一括議題にして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/1
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002・菊川孝夫
○菊川孝夫君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この証券取引法の一部を改正する法律案の審議に当って、やはり今問題になっております証券市場は非常に不振である。従いまして、正しい意味の、この投資市場としての証券取引所は、やはり発展をさせねければならぬと思うのでありますが、そこで投資市場としての証券取引所の振興方針、この方針について大蔵大臣何かお考えを持っているか。それとも成り行きにまかしていくか。あなたは日銀総裁として在任せられました当時に、よく、今の証券取引所は行き過ぎておる、ちょっとこれは投機に走り過ぎているという談話を発表されて、一万田法王の談話の発表によって市場は多少動揺を来たした、こういうことがあったのでありますが、その後、新木さんも証券市場についてちょいちょい発言されておるようでありますけれども、一体どういうお考えで、この証券取引所というものを今後振興さしていくかということをお考えになっているか、一ぺん伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/2
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003・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) これは非常に大きな問題になります。第一には、この証券自体の、企業自体の健全性を今後回復していきまして、株式等に対する一般の信頼を増していく。同時に市場的には、証券市場に向くようなものを誘致する。さらに、投資家から見れば、大衆が株式に対して、この投資をしやすくする。同時にまた、こういうようなことが総合されて、株式の売買、換貨が容易になる。こういうようなことが総合されないと、なかなか私は人為的に証券市場を盛んにするというわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに考えておるのであります。そういう意味合いにおきまして、何としても資本の蓄積ということの増強が今日急務である、同時にまた、若干問題になっておりますが、大衆が株式に対して信頼を持っていく、この点については、私は特に日本の今日の状態は、戦争に負けてすべてが荒廃しておる、従って産業資金というものは非常にこれを調達するのに株式の役割が大きいのでありますから、株式というものに対する考え方、これは非常に危険であるというような考え方は日本の現状として是正をしていくべきである、が、同時に、そういうものが危険でないという考え方になった場合に、それが真実に危険でないように株式の健全性を打ち出していく、こういうふうなことを私は考えておるのであります。具体的にどうするかということは、株式金融に対して特殊な金融会社を設置する、あるいはまた証券投資信託を育成する、あるいは短期資金、特にコール・レートを下げていく、あるいはまた銘柄でありますが、上場銘柄についての適切な措置をとる、あるいはまた今後において株式の単位について、果して五十円単位が適切かどうか、こういうふうに今後研究されるべきことが多々ある、大体私はさような考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/3
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004・菊川孝夫
○菊川孝夫君 最近の証券市場の模様を経済雑誌あるいは新聞その他の報道によって承知しておるところによりますと、今のような大衆が出動するということとはおよそ逆行いたしまして、最近では地元の仕手筋の策動によってのみ市場が左右されておるのが今の実情のように、われわれは部外から見ておりますと言えるのでありますけれども、それでは健全なる投資市場としての機能を十分に発揮することができないのではないかと思うのでありますが、特にそれにからんで、あとに問題になりまする、投資信託と密接な関係があると思うのでありますが、投資信託は非常に、まあ広告を見ておりますと、いなかへ参りまして、四大証券の名前で、まるで木に金がなるような広告を出している。誇大な広告を出してはいかんというのは、この前のあの闇金融の際にもあったのだが、若干われわれから見ると、まあ闇金融のようなひどいととは、保全経済会のようなひどいことはないが、保全経済会だって、あの全盛当時に、誰もあんなことになるとは——われわれはかねてから警告をしておったのでありますが——なるとは思わなかったのでありますが、ああいう事態になったのであります。そこで、もしも投資信託については、これは必ずもうかるのだから、これに投資しなさいと言って、一方においては広告をしておる。それだから大衆の方では安心して、四大証券がやっているのだから大丈夫だろうと思って買っておいたのが、今度は額面を割りそうになった。しかも償還期限が今年の十月から十二月にかけまして大体達した額が七十億くらいある。七十億を現金でこれを返すということになると、どうしても証券を市場へ売るか、あるいは新たに募集した投資信託にころがして処理するか、どちらかをしなければならんと思う、そうすると、証券市場はますます悪化して、結局先ほど申し上げましたように、地元の仕手筋の策動によって証券市場が動く。こういうことになって、健全なるべき投資市場がどうしても大衆と遊離した投機市場になる危険があるのだが、そこでお尋ねいたしたいのは、投資信託の償還期限を再延長するかしないかということが一つの大きな課題になっている趣きでありますけれども、大蔵大臣としては、この問題についてどういう処置をお取りになろうと考えておられるのか。一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/4
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005・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) これは私の考えでは、そのときの情勢を見きわめてきめるはかなかろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/5
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006・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、場合によっては、そのときになってもう一年延長するということもあり得るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/6
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007・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) それはあり得る……、延長することもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/7
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008・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、まだ何回でも、もう一年延長して、それでもまたいかんというときには、何回でも、それが元に戻るまで、大体額面を割らない程度までは延長してやっていこう、こういう方針ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/8
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009・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 二年でありますから、あと一年は延ばす、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/9
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010・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは、もうあと一年だけ延ばして、どうしてもいかんというときには、これでやむを得んから、たとえ額面を割っておっても、そのときには、そのまま償還をさせると、こういうことですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/10
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011・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) これは、このすべてが額面を割っておるという前提にお立ちにならなくてもよかろうかと思います。今日この投資信託でも、これはあとで政府委員から数字的に申し上げることができると思うのですが、高いときに設定したのは、むろん額面を割っておるものもあると思いますが、二十九年等に設定されたものでは、私は大体額面は割っていないだろうと、こういうふうに考えます。二十八年頃の高値の設定が今日下っておる、こういう状況であろうかと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/11
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012・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは次に角度を変えて、この投資信託につきましては、もうそろそろ警告を発するような意味の、経済雑誌等においても、論調がそろそろ出だしておるのであります。ちょうど保全経済会が危なくなったなという警告が出だした当時におきまして、もうだいぶ危ないぞと言って、われわれはやかましく言ってからやはり一年くらいになって、まさかあんな保全経済のような状態にはわれわれはなるとは思っておりませんけれども、今の、広告も非常に派手な広告、それから派手な店舗を持っているというようなところからすると、どうも四大証券がややもいたしますると、大衆の金を集めて、そこで操作でうまくもうけておったときはいいけれども、もうけておったやつは、広告費やあるいは派手な店舗の設置等に使ってしまって、そうして損をしたやつは今度大衆投資家に背負わせる、こういう危険があるような気がするのでありますが、これらについて監督官庁として一つ大蔵大臣がどうお考えになっているか伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/12
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013・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 大へんごもっともな御注意であるので、そういう傾向も私は否定ができないと思っているのでありまするが、しかし私どもといたしまして指導いたしておりまするのは、そういうふうに過大な広告をして特に株式に誘惑をしない、またそれをやる場合においては、私の考えでは、株式が安いときに設定をして、株式が上るときにそれを償還するというふうな形を取るのが非常に健全な行き方で、それがこの株式に対する民衆の信用を得るゆえんである。同時に、株価の動きを調整ができる。こういうふうに考えているのであります。今日の設定の状況から見ますると、残高が七百七十億円に上っていると思いますが、信託会社の信託財産を株式に運用している、それを見ますと、その運用しております株は上場株式に比べると、低いので七%ぐらいな率であったかと思うのであります。そういうふうな状況で、特に今日まだ過大になるようにも思えませんが、十分注意をいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/13
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014・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それならもう一点、この投資信託について伺っておきたいのは、あの投資信託法ができました当時におきましては、株式の数も非常に少なかったわけでありますが、その後、増資が行われ、それから株式の数も多くなった、それからこの投資信託法が制定されましたときにおきましては、どちらかというとまだインフレ的な様相を帯びておりましたために、株式が非常に上り下りも激しく、値動きも値幅も大きかったのでありますが、その後、経済界も落ちついたというか、デフレの方向に向ったといいますか、とにかくあまり幅も少いのでありまするから、長期投資という方面にこれからは指導していかなければならない、長い目で見て、五年なり十年なり……。従って投資信託法そのものを、あの当時に設けられた投資信託法を、こういろ一部の改正で、ただ事務的の改正でなくて、根本的にもう一遍改正する段階に来ているのじゃないか。長い目で投資をさしていく、健全な投資をさしていく、こういうふうな根本的な改正の検討をする必要があるのじゃないか。
また一面におきまして、証券業者は大衆から預かった金を過大な宣伝費に使ったり、またはあまり華美な店舗を設けまして、そうしてこれで大衆を誘惑するというような方法じゃなしに、真に健全な投資信託の運営ということに、これから特に指導していかなければならんのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、そういう意味から、投資信託法を長期にわたって、しかもこれには監督を厳重にすると同時に、長期間の設定をさせると、こういうふろに持っていく方がいいんじゃないかと思うのですが、これらについてお考えになっているかどうか。だいぶ情勢が違ってきている。投資信託法を制定されたときと今とは、ずいぶん証券市場の様相も、経済界全般の動きも違って来ているのでありますから、違った法律を、やはり今の情勢に合うように、これは格本的改正は必要じゃなかろうかと思うのですが、大蔵大臣これについてどういうお考えを持っているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/14
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015・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) ごもっともな御説で、十分検討を加えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/15
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016・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは、これはまあ検討されるというのだから、一つ早急に検討されなければならん問題だと思いますので、御検討願いたいと思います。
次に証券市場の方におきまして、清算取引の再開という問題が、これは一部証券業者のうちでは、反対もあり、賛成もあるようでありますけれども、中小証券向きの方では、相当清算取引の再開の問題について陳情もきておりまするし、意見もそれぞれ述べられている模様でありますが、大蔵省の、これを許可する方針であるか、それとも、もう清算取引というものは全然復活させるという意向がないものであるかどうか、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/16
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017・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は今長期信用取引を復活する意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/17
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018・菊川孝夫
○菊川孝夫君 その理由。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/18
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019・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) それはまあ、特に株式を大衆に持っていきたい、こういうふうな関係からも、株式自体がやはり投機性を持つということはよほど注意をしなければならん、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/19
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020・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは次に、中小証券会社の、最近、まあ特に小と申しますか、四大証券を除いての中小証券会社は非常に経営が苦しくなっているということがいわれておりますが、従いまして、大蔵省からもちょいちょい免許の取り消しというような処置もとられていることが新聞にも発表されております。こういう証券会社の免許取消を受けるときには、必ずその店を利用しているところのお客に対して迷惑を及ぼしていると思うのです。これは大なり小なりその証券会社自体が全部しょっちゃって、あと、よそには迷惑を及ぼさないというような倒れ方はないのでありまして、大てい倒れるときは客に迷惑を及ぼしている。そうすると、これを監督する大蔵省としても、一つ責任があると思うのですが、ますますそういう傾向が顕著になってくるのじゃないか、年末に向って顕著になってくると思うのでありますが、大蔵省としての対策、何かお考えになっておるか。そういうふうな危険のないように、なるべく大衆に迷惑を及ぼさないように監督を厳重にせなければならんと思うのですが、これらについての対策をお持ちになっているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/20
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021・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) これは結局、やはり今日の経済組織におきましては、証券会社自体が堅実性を持つということに元をおかなくてはならんと考えております。ことに終戦後におきます占領政策のもとにおきまして、株屋さん、証券会社は、届出をすれば誰でもやれる、従ってまあ非常にたくさんの証券会社ができた。ちょっと生活のために証券会社を作るというようなことは、届出をすればいい、私の考えではこれは検討を今後において十分加えなければならんと思うのですが、これも大衆の金をやはり扱っている、そうして株式という——株式の考え方も、先ほど申しましたように、よほど日本の現状に即して変えていいと思うのでありまするが、しかしこの価格の変動というものは、ほかのものに比べてやはり激しいと思う点がある。そうしますと、証券会社というものについて、よほどまあ、しかし私これは検討を加えにゃいかんですが、単に届出をすれば幾らでもできるというふうなことはどうかという考えは持っております。それから、その結果非常に数がふえたわけです、終戦後。ですから競争が非常に激しい。ここに特に今日この小さい証券業者の不況の大きな原因になっておる。かつまた、こういうふうな関係から投機性を持つ清算取引を復活してもらいたいというような意見も出てくるのではなかろうか。むろんこの清算取引については別個の見地もありますが、そういうふうな今日の情勢からも好ましくない。こういうふうに考えておる。私としては、証券会社の弱いところは、合併とか、あるいは証券業者共同の力でこれを整理していくというふうにして、大衆に御迷惑にならないようにやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/21
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022・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今大蔵大臣は、証券業者は皆、届出制で、だれでもかれでもやれるんだというんだが、なかなかこれはそうではないんで、この証券取引法によりますると、そう簡単に届出すればやれるわけではなくて、いろいろ制約はあるわけですから、その点を一つ誤解のないように、大蔵大臣にしっかりよく話しておいてもらわんと困る。届出をすればだれでもやれると、そう簡単な商売と違うんだから、その点よく話しておいてもらわなければ困ると思います。
それから次に、証券の担保による、証券担保の金融についても、やっぱりこれだけ証券の数が多くなった場合は考えなければならんと思うんですが、これらについて大臣は一体どう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/22
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023・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 証券担保、おそらく株式担保金融のことでおありと思いますが、これは別に止めてあるわけでもありません。株式担保の金融は市中銀行ではやっておるわけであります。どういう御意向か——これは株式の相場が非常に安いというよう血場合は、掛目は非常に低くなるものでありまして、これは止めてあるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/23
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024・野溝勝
○野溝勝君 一つ大臣に、お忙しいところでありますが、お伺いをいたします。特に大臣は、財政方面はともかくとしても、金融方面はオーソリテイと自他共に許しております。そこで私はしろうとのことですから、あるいは筋違いかもしれませんが、最近銀行屋がでかくもうけて、あなたがもうけさしたんですが、でかく銀行屋がもうけて、町のまん中といえば大体銀行屋が占めている。特に中央の銀行ばかりであるならともかくも、この頃いなかの金を集めて、いなかの預金者乃至は、いなかの産業方面にこれを融資するならばわかるのでございますが、いなかで集めた金を中央へ持って来て、どこへ融資しているかしらないけれども、とにかく、うま味は東京にあるとみえて、さかんにいなかの銀行が東京あたりへ来てもうけておる。それはもうけることは自由でございますし、また許されておるのだからやむを得ないのですが、一体、金融統制を説いて特に先般の銀行総会においても大臣は銀行の合同論などをちょいともちかけて、少し問題を起したやに聞いておりますが、そんなことは、まあどろでもよろしゅうございますが、とにかく合同乃至は統制乃至は内容充実の方針を説く前に、一つそういうでたらめのやり方を押える意思があるかないか、これが一つ。
第二は、投資信託並びに取引法の一部改正に関連した問題でございますが、銀行屋は金利を、鼻くそまるめて万金丹ほど下げて、まあ下げたことはけっこうです。ところが同じ金融機関である投資信託の方の信託銀行の方は、下げたということを聞かないのですが、きょうは大臣も銀行局長もお揃いでございますので、この席でお伺いするのでございますが、信託銀行は普通銀行とどういうところが違うのですか、この際お伺いしておいて、さらにまた信託銀行が他の銀行と違って金利をまだ下げておらない。下げたかどうか聞いておりません。下げたら下げたでよろしうございますが、そういう点について一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/24
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025・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 銀行が派手な店舗を町の主なところに出しておる、こういういろいろの御意見があったが、これは営業の上からあるいは止むを得ない点もあると思います。また必要なこともあると思いますが、限度を越えることは、これはもう慎しむべきで、今御注意になりましたような状況がないとも言えません。従いまして、十分今自粛を求めて注意を与えておるわけであります。
それから信託の金利、これは長期金融の金利になるのでありますが、これも私は近いうちに下げることになる、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/25
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026・野溝勝
○野溝勝君 大臣のまことに卒直なる御答弁に対しまして、人民を代表して感謝をするものであります。
確かに投資者から見まして非常に重大な問題でございます。なぜならば、投資信託に投資をしたものは信託会社じゃないのだから、五大証券じゃなくて、ほんとうに人民が投資したのでございますから、そこへ投資した金を今度は委託会社か何かが銀行へ持っていくわけでしょう。そうすると、ただお取り次ぎ機関ですから、だから、それは痛くもかゆくもないが、しかし投資者がその金利が下がるということについて、相当投資者の利益になるのでございますから、これはその通りだと思うのでございますが、大臣、所見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/26
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027・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 大体お話の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/27
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028・野溝勝
○野溝勝君 そこで大臣にもう一つ、ついでにお伺いしておくのでございますが、今大臣の御答弁によりますると、近い機会に金利引き下げをいたす予定であるということでございますから、それでまあ納得ができたのでございますが、大体もしとの金利引き下げをするとすれば、一般普通銀行と同率に見て差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/28
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029・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 具体的に金利をどこまで下げるか、これは一つなお今相談いたしておりますから銀行と同じになるか、これは私はお答えできないと思いますが、なるべくそういたしたいと思います。
それから先ほど大体お説のようにと言いましたが、投資信託で信託会社が何か特別に利益をおげておることはないのであります。それだけ修正をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/29
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030・野溝勝
○野溝勝君 いや、私は投資信託会社が利益と、こういう意味じゃないのです。銀行がそういう金利を引下げておれば利益になる、こういう意味で私もお尋ねをしたのでございますが、そういうことには間違いないと思います。そういう意味でございます。投資信託会社が利益をしておるというふうには決してまあ決定的には申さなかったつもりであります。銀行の方ですが、銀行の方が利益をしておると思うがいかがでございますか、銀行局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/30
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031・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今お話の投資信託における信託銀行のあり方、立場というものは、必ずしも直接に普通の金銭信託等におけるような立場に実は信託銀行はないわけで、従いまして、これは一種の有価証券の管理信託のようなものになっておりますので、普通の金銭信託から出て来るような利潤というものとはおのずから性質が違うと御了解願いたいと思います。いずれにしましても、銀行のみならず、信託におきましても、金利の引き下げに努めることは当然必要なことと思います。従いまして、今大蔵大臣から御答弁がありましたようにできるだけ信託銀行につきましても金利の引き下げについて引き下げを実行するようにいたさせたいと思います。現に短期の金利につきましては、すでに銀行と同じように下げております。今後は長期の金利問題でございますが、これもできるだけお話のような趣旨に沿うように尽力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/31
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032・山本米治
○山本米治君 今日は証券関係の二法案を主として質問することになっておるようでありますが、大蔵大臣はこの委員会へ出席されることは非常に少いのでありますから、この機会にちょっと、別の事柄でありますが、この問題と関係がないわけでもない。たとえば株式の額面を五千円にしようというようなこともある。そういうことと関連した問題ですが、最近一万円札が出されるということが、まだ決定はしていないようですが、まあ、うわさに上っております。これは最近の金利引き下げの問題と関連して、銀行は経営を合理化しなくちゃならない。それには、やはり一万円札を出した方が経費の節約にもなるということで問題になっておることを聞いております。この一万円札を出す問題はすでに一昨年の暮に問題になったようですが、当時はまだ通貨価値がはっきり安定していない。一万円札を出すことがかえってインフレ心理を誘致するというようなことではいけないということで見合せたように聞いておるわけですが、そこで私は、少し質問が長くなるかもしれませんが、実は一つの提案を持っておるわけです。これはデノミネーションの問題でございます。一万円札を近々出されるかどうかまだ知りませんが、一万円札が一昨年の暮に問題になったときには、まだ通貨価値がはっきり落ちついていないから、おもしろくないということで取りやめられたのですが、今これを出そうという気運になって来たということは、やはり通貨価値が落ちついたということですか。私は今の日本経済の再建には、いろんな必要なことはありましょうが、一口には資本蓄積が一番大事といってもいいと思います。資本の蓄積は非常に重要視するもので、その観点から、政府は税制その他の面でいろいろ施策を講ぜられていることも、万々承知しておるわけなのですが、そういう意味合いで、私はこの辺で一つデノミネーションをやったらどうか、これは非常に資本蓄積に効果があるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけであります。で、われわれは昔の物価の安い時分を回顧して、よき昔の時代を回顧して非常に楽しむわけなのです。昔は、たとえば、たばこにしましても、チェリーというやつが十銭ぐらいだった。それからバットというやつが七銭ぐらいだった。一円か二円持てばちょっと牛肉をつついて一、二本お銚子もつけられた。こういうふうに昔は万事物価が安かった。戦前に比べて大体物価は三百五十倍ぐらいになっていると言われておりますが、でありますから、大体戦前に物価を返すとすれば三百五十分の一に切り下げなければならぬわけです。私はその必要はない。むしろそれは中途半端な数だからおもしろく安い。もしデノミネーションをやるならばゼロを二つ取る。すなわち百分の一に切り下げることがいいのじゃないか、こういうふうに考えておる。ここで世間に非常に誤解があるのは言葉の問題でありまして、インフレ盛んなりし時分、あるいは平価切り下げという言葉を用いたり、あるいは額面価値の切り下げという言葉を用いたり、あるいは通用価値の切り下げという言葉が用いられて、ここに思想の混乱を来たしておるわけです。現に、そういうふうに切り下げをやっても物価がそれだけ下がるかどうか。百分の一に金を切り下げるが、物価が百分の一になるかどうか。もし、ならないとすれば、非常にこれは社会的に不公平じゃないか。財産を持っておる者と金を持っておる者との間に不均衡を来たすのじゃないか。それだから、そういうデノミネーションなんか非常に危険だというふうに言う人があるのですが、これは誤解なんでして、私の言うデノミネーションは、単純に通貨の単位といいますか、数字の整理であって、世の中の何人にも、すなわち金を持つ者にも物を持つ者にも、何人にも損得のないやり方、単純な通貨の整理、こういう意味のデノミネーションを私は提唱したいというふうにかねがね考えておるわけであります。それで、果してそれじゃ金を切り下げて物がその通り下がるかどうかという、この誤解が非常に多いのですが、これは誤解でありまして、私の言う方法なら害がないということを理解してもらうためには、一定期間、たとえば三ヵ月でも六ヵ月でもよろしいのでありますが、二つの貨幣を併用させる。並び流通させるということを考えてもらえば、少しも誤解はないだろうと思う。これは現にドイツが、第一次大戦後の一九二三年に、非常なインフレのあとにレンテンマルクを出したときにやったことでありまして、歴史上も経験済みなんであります。すなわち百分の一に切り下げる場合に、新旧通貨をしばらくの間併用させるわけであります。たとえば一般の人の月給が百分の一に切り下がれば、たとえば今二万円とか三万円という月給は、二百円、三百円の月給になるわけであります。その場合に、それじゃ物価が下がらなければ非常に困るじゃないかというお話でありますが、月給をもらうのに、たとえば今まで通りの通貨ならば、二万円の月給取りには千円札を二十枚やる。新しい貨幣で月給を受け取りたければ新しい十円札を二十枚やる。あるいは両方まぜてもよろしい。今までの千円札を十枚に新しい十円札を十枚、すなわち百円分、これだけまぜてもよろしい。こういうようなやり方でやる。そしてわれわれが買い物に行く。たとえば三越デパートに行く。そしてそこに千五百円という商品があるとする。それを支払うのに、古い金ならば従来の千円と五百円を受け取りましょう。新しい金ならば十五円受け取りましょう。あるいは両方まぜてもよろしい。今までの千円札一枚と今度の新しい五円札と、これでもよろしい、こういうことになる。月給を受け取る、その他の所得を受け取るにも、旧通貨でもよろしいし新通貨でもよろしい。これを払う場合、われわれの支出の場合でも、新通貨でもよろしい。旧通貨でもよろしい。そうすれば、そのときの商品について、旧通貨ならば、たとえば千五百円、新通貨なら十五円という相場が立つわけでありますから、貨幣を百分の一に切り下げても物の値段が果して百分の一になるかどうかという疑問は全然ないわけであります。全然そういうことは問題にならないわけであります。そうして、やがて三ヵ月なり半年なりの後に、旧通貨を回収して新しい通貨のみにすれば、百分の一のデノミネーションが行われるわけであります。そうすると、われわれの月給も、あるいは二百円なり三百円、昔の通りじゃありませんが、せいぜい月給の高い人でも五百円くらいになるということになれば、金を大切にするという感じが非常に起ると思う。大体やはり金の値打ちというものは、その国々の、これは歴史的な意味合いからきておるのでありますから、今のままでも、要するに通貨価値というものは浮動しないということが大事であって、安定しさえすれば、昔に比べてどうだろうと、かまわないわけであります。今、もろ日本は三百五十倍に物価がなってしまった。これで落ちつけば、これまた、けっこうであります。また為替相場から見ても、たとえばフランスのごときは一ドルが三百五十フランで、大体日本の円と同じくらいの価値でありますから、このままでもいいのでありますが、ただこのデノミネーションをやる利益はどこにあるか——大して実はないのであります。例を二つとると、帳面をつけるのが簡単になる。それからまた、そろばんではじくのも簡単になる、こういう利益があります。しかし、まあ、それは、それほど利益でないとも言えるかもしれませんが、私の最も重要視する利益というのは心理的な影響でありましてつまり金の値打が出るのであります。われわれは、もう、今子供がちょっとあめ玉を買いに行くのに、百円札を握って行くというのがこの頃普通に行われているわけですが、もし百分の一に切り下げるというと、なかなか百円の金は大へんな金になりますから、洋服一着が百円くらいで買えるようになると思うのですが、そういう意味で、私はデノミネーションということを今やる時期じゃないか。インフレの最中にやりましても、また通貨が続々増発されればこれはだめになっちゃう。それからまた、第二次大戦後に起った各国のインフレーションのとき行われたあの貨幣価値の切り下げというやつ、たとえば、ドイツが十マルクを一マルクにした、あるいはソ連が五ルーブルを一ルーブルにしたという、ああいうやり方は、たとい、やっても百害あって一益ない。あれはインフレが上昇途上にやむを得ずやったと思いますが、ただ金を持っているやつだけをいじめる。金の値打を切り下げていじめる。物価はそれだけ下らない。十分の一に下っても物価はせいぜい半分くらいにしかならないということが、物を持つ者と金を持つ者との間に非常に不均衡が行われる。こういうやり方は非常に悪いやり方でありますので、私の今言ったようなデノミネーションはこの際とるべきではないか。つまり価幣価値が安定したということをすでに国民はだいぶこの一、二年間のデフレで信頼してきているのでありますから、ただいまさらにこれを裏づける、こういう意味合いにおきまして、一万円札を出すのも一つのやり方でありましょう。今の貨幣価値を変えなくてもあえて差しつかえないのであります。私は、この際、デノミネーションをやって、その場合に昔の物価に返すという意味じゃない。三百五十分の一にするということじゃない。例を二つにとるという方法によるとして、デノミネーションは非常に資本蓄積のために有効であると思いますので、これに対して大蔵大臣はどういう御見解でありますか向いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/32
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033・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。
今のお説で、私が一番やはり問題といたしますことは、そういう処置を、いっとるかということにあるのであります。とる方法、とった後の効果等については、私はお説に異論はありません。ただ、とる場合は、通貨価値が確実に安定をしたということが私は必要であると思う。通貨価値が安定ということになれば、これは内外の通貨価値が安定した、言いかえれば、国内において物価というものが長期にわたってこれは安定をする。まあ、そういう場合に、特に大きなファクターは、財政というものが、まことに現実を、将来健全財政の線はこわれる気づかいはないだろう。少くともそういう見通しが十分立つごとが私は必要である。国際的にいえば、これは日本の輸出が十分増大が認められ、国際収支が必ず黒字が累績されていく見通しが立つ、こういうふうなこと。二つの状況が確立され、その上にやはりそういうことをするような場合においては、これはクレジットの形によるか、国際収支の差額によるか、相当やはり為替資金というものを日本は蓄積して持つ必要があるだろう。そういうような条件が十分見通されれば、これは私はそれ自体において異論はないのであります。そういう点について私はなお慎重な態度を必要とするというふうに考えております。それは賠償一つとりましても、なかなか今後の復興関係からみましても、むろん貨幣価値は安定していくように最善をつくすのでありますが、なお努力するように、またそういろ意味におきまして、また私は、御例示の一万円札というものにおいても、私は一万円札を発行する考えを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/33
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034・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっとお諮りいたします。この際、今議題となっておりますが、証券関係二法案に質疑を集中していただいて、かねての理事会打ち合せの通り、討論採決をいたしまして、そのあとで引き続きその他の問題について質問することにいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/34
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035・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それで、すぐ終って、採決してしまって、それからまた大蔵大臣に質問することになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/35
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036・青木一男
○委員長(青木一男君) いや、そうじゃない。討論採決はあとなんです。質疑終了後です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/36
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037・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうですか。先ほど、菊川君の質問に対して大蔵大臣は、投資信託制度についてこの際やはり根本的に考え直してみたいという御答弁があったのですが、菊川君の質問の趣旨は、この投資信託制度を設けた当時から相当情勢が変っている。また私の考えからいえば、あのときの投資信託制度を作った動機からも問題があると思うのですけれども、そこで、どういうふうな制度に、これを根本的に直すようにお考えになっているか。私も菊川君の御意見と同様に、この際、やはりこのままでは相当問題が起きてくると思いますので、やはり根本的にこれは考え直してみる必要がある。何かそれに対して積極的なお考えがありましたら伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/37
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038・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 今、私、具体的にどういうふうに制度を変える、あるいは運用の面においてどうするという、具体的にお答えするだけの用意をもっておりません。これはまあ木村さんあたりの御意見をよく聞きまして、よくしたいというので今研究いたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/38
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039・木村禧八郎
○木村禧八郎君 先ほど山本米治さんの御発言がありましたが、実はそれは山本米治さんあたりも非常に御熱心に御提案になっている。最初この投資信託法の制度を作る動機ですね。これは大蔵大臣も御承知と思うのですが、証券会社にこういうことをやらすということになったについては、当時証券会社が非常に、株式を持ち抱えておって、処理に困っておったのですね。それで、その根本の動機は過剰手持ち株式の処分にあったことは、これはもう明らかであったのです。そこで、当時非常に問題になりまして、昭和二十八年の四月選挙には、山一証券、野村証券、日興証券、大和証券の四大証券が自由党に各百万円ずつ献金しておるのです。それからまた、証券取引所及び証券業協会として自由党に七百万円献金しております。これは選挙管理委員会に正式に届け出たものでありますから、裏口には何倍かになる献金があるかもしれませんが、そういうことはわれわれわかりませんが、自由党に株屋さんの大どころが金を非常に出したということは、はっきりしているのです。それで一説には、四月選挙と、その前の選挙の二回で、自由党のために二億円以上の金を当時池田さんは集めたといわれている。その二億円のうち、証券界から相当金が入っている。こうも言われておりますが、その当時どうしてそんなに証券界が金を自由党に献金したかというと、それは投資信託というものを、早くこれを実行してもらいたいためだということは明らかにわかるのです。当時そういう大証券会社は過剰の手持ち株式処分に弱っておったのですね。何とかこれを処分しなければならん、こういう動機からきていることは、非常に私は今後投資信託の問題を考えるときに重要問題である。いわゆる投資者の保護という立場からいえば、実は信託会社にそういうことをやらせて、これは岡崎さんなんかも、またそういうアメリカの事情をよく御承知の自由党の方の中にも、そういう正しい意味での投資信託を、いわゆる受益者の受益擁護という点からいえば、そういう形の方が安全性もあり、正しいのではないか、こういう見方もしておる。あるいはそこで、動議がそうでありましたから、ほんとうに投資信託による受益者の保護が真剣に考えられていないのではないかという気がするわけです、動機がそうでありましたから。
それから先ほど菊川君も言われましたが、当時は事業会社の自己資本が少い、他人資本が非常に多くて、やはり増資をどんどんしなければならない。そいうう情勢にあって、どんどん増資をしたのですが、ちょうど株の景気がよかったので、その増資がどんどん消化された。その消化された割合を見ますと、山一証券の調査によりますと、個人層が八割一分なのです。事業会社が一四%、信用金庫が一・六%、非営利団体が一・五%、銀行一%、その他〇・八%なので、個人層が圧倒的に多いのです。そこで、もしこれが万一のことがあると、個人層に相当、保全経済会みたいな悪影響がある。現に、もうすでに朝鮮戦争以後、株式が非常に低落して、額面の五千円を割って、元金の五千円を割っておるものも相当あるわけです。それで中途解約するものが続出してきておる。もしこれが殺到すれば銀行の取付みたいになってくるわけです。そういう事態は予想されないわけじゃなくて、一時非常に危惧されたことは大蔵大臣も十分御承知であると思うのです。そこで、この満期償還がきた額面割りの投資信託期間を延長する、こういう問題が起ってくる。で、一年二年延長して一応事態を収拾しておると、そういうような、実に今の状態は非常に姑息的な、糊塗策を講じておる。一年二年を延期して事態を収拾しておるという、そういう状態なわけです。従って、投資者の保護という立場からという、自己売買のできるような証券取引所自体にもまた問題があると思う。アメリカのようにディーラーとかアンダーライターが別になっておるような事態じゃなくて、スペキュレーションができるような証券取引制度になっておる。そういう証券会社がそういうものをやるということは、一時過剰手持ち株の処分としては効果があり、そうして、そのためにまあ自由党さんにたくさん献金しまして一応その目的は達したのですが、今後においては、今度はほんとうの投資者という立場から、投資者の利益擁護の立場から、もう一度これを再検討しなければならない。そこで、これはまあ信託会社にやらせるか、あるいはまた証券取引の制度ですね、今の証券会社というのはアメリカあたりと違っておって、そういう投機的なことができるような制度になっておりますから、そういう証券取引制度を根本的に一つ変えるか、変えた上でやるか、何かそこに根本的に考え直さなければならぬ点があるのじゃないか、そういう意味で御質問しておるわけです。この点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/39
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040・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 木村さんの御意見、大体私も投資証券に関する限りにおきましてこういうことがありますことは……。お説のように、この方法は大衆から産業資金を調達する新らしい方法として試みられたので、それ以外のものではない。その点が私、幾らかあなたと見解を異にするかもしれませんが、これは私は別に証券会の救済的な意味においてやったとは考えておりません。これはその後における証券会社の持株の増減から見ても大体証明ができるのではないかと考えておるわけであります。いずれにいたしましても、大衆が株式を持つ、日本の現場ではやはり株式による産業資金の調達というものは極めて必要である、こういう見地からいたしまして、この大衆を保護する、株式を持つことによって大衆が非常に損をするようなことがないような何かのことを考える必要があるのではないかという点につきましては、私も同じように考ております。これは私、非常にむずかしいと思うのですが、それで先ほど申しましたように、この運用に当って、株式の安いときに設定をするようにしていきたい、株が高くなったときにこれを操作して、そして、かりにそれが配当にすぐならんでも、ある程度の何をつけるとか、いろいろ運用面においても改善をして、そしてこの方法によって株式を持っておる大衆の保護をできるだけ可能ならしめるような措置をとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/40
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041・木村禧八郎
○木村禧八郎君 大蔵大臣は、大衆の投資者の利益をやはり保護しなければならんということについて強調されましたが、非常にこれはまあ資本蓄積の上から適切なことだと思うのです。それに関連しましてこういう問題が最近起ってきているのです。大衆の預金が払われないでいるという事例が起ってきているのです。これは今後の金融政策上重大な問題ではないか。たとえば三井精機という会社がある、この会社がつぶれたのです。そこで会社更生法の適用を受けましたが、この会社に労働者が預金をしておった、会社にです。いわゆる勤務先預金と言いますね。そうしたら、それが棚上げになってしまった、一般債権と同じようになってしまって払われない。そういう事例がそれ以外に最近非常にたくさん出て参りました。労働者は会社に相当たくさん金を預けておるのです、最近の調査では、二十九年三月末で百五十六億八千万円あるのです。組合数は一万六千七百一件、人数は百六十二万になっているのです。こういう問題は一体どうお考えになるか。これは私、実は、前の「出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律」、これに違反するのではないかと思うのですが、この点を簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/41
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042・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 今御指摘の職場のこと、これは私、非常に検討を要すると思うのです。労働者の預金を会社が使っているのです。これは、私は、預金ではあるが少し話が違う。職場で、会社で集める、それを更に銀行に預けるというような預金の中間措置ならば私はいいと思うのです、銀行に対しては十分な預金者保護をやりますから……。これは検討を加えまして、改正すべき点は改正しなければならないと思っております。なお細かい点は銀行局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/42
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043・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今御指摘のいわゆる勤務先預金制度でありますが、これはお話がありましたように、法律的にも実質的にも相当問題があると思います。第一に、法律的には、今御指摘のありました預け金出資等に関する取締りの法律、あの第二条に触れるのではないかという問題が一つ、この点を約一年ぐらい前から関係の当局といろいろ打ち合せをいたしましたが、あの法律の解釈が非常にむずかしいのでありまして、現在のところでは、はっきりした結論に至っておりません。さらにこの問題は検討を加えなければならんと考えます。それから実質的には、やはり今お話のように非常に弊害を伴うおそれがある。かりに法律上の解釈としてそれが違法でない、あるいは、かりに違法であるとすれば、それを適法にするような法律的な措置をとるにしても、実質的にそういう制度が果して労働者の方々の利益を保護するゆえんになるかならないか、この点は相当慎重に考えなければならん問題であると思います。
今大蔵大臣からもお話がありました通り、この点については、私は非常に関心を持って現在研究を続けており、しかも、あまりいつまでも放っておくわけにいかん問題でありますから、なるべくすみやかに成案を得次第、この問題についての措置をいたしたい。ただ問題の趣旨は、必ずしも労働者の不利益のためにこういう制度を、つまり、何と言いますか、使用主の利益のためにこういう制度ができておるのではない、やはりむしろ労働者の利益のためにできておるのじゃないかという面もあるのですから、それらの点を十分考えた上で、労働者の利益保護という点について欠けておるところがあるのではないかと思いますが、もう少しこの点を検討いたしまして、しかもこれは労働者に関係いたしますので、十分考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/43
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044・木村禧八郎
○木村禧八郎君 直接今の議題と関係がございませんから、簡単に質問しまして終りますが、一、二点お尋ねいたします。
すでに大蔵省では、これがやはり違法であるという結論に達して、それを通達したところが、労働省の反対にあって、そうしてこれがうやむやになっておるやに聞いております。それから、日経連、全銀協、ことに日経連、資本家団体などが非常に反対した。それで大蔵省も困って、一応違反である。それが、二十九年六月二十三日の百九十五号の法律ですね。今おっしゃったあの法律の違反であるととは、はっきりしておりながら、これを禁止することができない。それからまた、これを労働者のためにそういう預金を許しておるのだと言いますけれども、金利も非常に高くて、労働者の中では、金利が非常に高いものだから、よその人までも誘い合って預けさしておる者があるのです。それで会社はこれを運転資金に使っている。労働基準法によれば、これは福利厚生施設に使わなければならない。それならいいのです。ところが運転資金に使って、しかも会社によりますと、預けてしまうと退職するまでこれを払わない。で、これを労働基準局に訴えた者が相当あります、払わないために……。そういう実情でございますから、その点は何か日経連あたりの圧迫によって、大蔵省あたり、せっかく先ほど大蔵大臣が御答弁になったように、これはどうも銀行業類似のあれになる。それで、これは違反であるというふうに一応きまったのに、通達を出したやに言われておるのですが、それがあいまいになっておるということは、どうもあるいは日経連の圧迫によってこれが実際に実施されないのであるか。それから日経連は労働金庫をつぶすためにこういう組合預金を強化せよという指令を出した。それが日経連の新聞に出ておるのです。これは労働金庫か何かつぶすというような、そういうような意図があるとなると、ますますこれは問題になってくる。これは意見にわたるようになりますが、この点についての銀行局長の御意見を伺って、そうしてこの点についてはこれだけの質問にとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/44
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045・河野通一
○政府委員(河野通一君) 研究を続けたいと思います。それから、お話のように、大蔵省としてこれが法律違反なりという結論に到達し、通達を出したということでありますが、そういうことはいたしておりません。ただ非常に疑いが濃いということで省議までいたしましたが、省議で結局どうも結論が出ない。関係当局の間でも、法務省初め法制局の方と話合いをいたしましたが、いまだに、はっきり結論が出ていない。それから日経連等が、この問題について、大蔵省がそういうものを禁止するのではないかというようなことから、それは禁止してもらっては困るという意見書の出ておりますことは承知いたしております。しかし、そういう意見書が出ておるから、その圧迫によってこれらの問題をうやむやにしてしまおうとしておるということは全然ございませんから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/45
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046・岡三郎
○岡三郎君 この証券の投資信託の問題ですがね、七百七十億ぐらいに増加してきた、これを現在においてもなお設定をしております。しかし一方においては支払いを延期してきておる。で、今の市場の状況では今年において、まあ、あと一年ですね、法律的に余裕があるにしても、一年を延ばすか延ばさないかというふうな相当重苦しい状態にある。結局初めにやったのは二年間であった、それが三年間に期限がなった。こういうふうなわけで、一方において額面を割っているもの、その回復が非常に遅い。しかもそれが期限的に十月、だいぶ時間に余裕があるようですが、あまり夏相場も出そうもないというので、大体この点が今後の市場の状況を左右するのではないかというふうに一説には言われているように、投資信託自体が市場に対して好影響を与えるということよりも、最近においては、もたれかかった空気になってきておるのではないか、こういうふうな点で、この設定額というものに対して政府は今後どういうふうにこういう面について考えるのか。いわゆる自転車のペタルをふむように、片一方においては返さないで、しかもこれは一方、株としてはある程度のものが塩漬けになっておる。その間に、これを償還するために売り買いがあったとしても、大局的にそういう状態になっておる。そうして片一方のほうにおいて設定をしていくにしても、これが状態が改善されればいいけれども、これがまた、いつどういう状態になるかもわからんというふうに考えていった場合に、この追加型のほうではなくて、現在の契約型の証券の投資信託の設定高ですね、これが支払い延期の形との関連において大蔵省としてはどういうふうにお考えになっておるか、それをお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/46
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047・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) この設定額は今のような情勢で、これはもうお客さんといいますか、大衆のほうから考えても当然これは小さくなる。最近の情勢では特に小さい。月十億ぐらい、多いときは四十億以上、四十九億、五十億近い。今は十億、これは当然そういうふうにならざるを得ないというふうに考えております。大蔵省としても、これは当然そういうふうな傾向をとるべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/47
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048・岡三郎
○岡三郎君 それで、かりにもう一年延期した場合には、一応法的にぎりぎりのところにいくわけですね。そうすると、これはまあ予測ですが、来年の十月の償還期になると、ぎりぎりになる。結局それまでに何とか片をつけていかねばならんというところにくるわけですね。そういうことになると、最近言われているように、初めは株価の操作に投資信託の金が相当有効であったけれども、最近においてはかえって、いろいろな材料が市場に反映するのを投資信託が逆にチェックしているような形になっているのではないか、こういうふうにまた言われておる。そういうような段階において、いわゆるオープン投資信託というのですか、追加型投資信託というものが登場してきたわけなんですがね。いわゆるオープン投資信託というものが、現在大和で取り扱われているだけだと思います。オープン追加型投資信託というものに対して、今後他店に拡げていくのか、こういう点についてはどうお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/48
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049・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 今のオープンのお話、これも他の証券会社でやりたいというのもあるようであります。私はすみやかに、今言うような御意見の点もありますので、制度なり運用について、急速に考えて参りたい。単にオープンを許すとか許さぬとかというようなことでなくて、もう少し理論的に考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/49
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050・岡三郎
○岡三郎君 今の点については、先ほど各委員から言われているように、私は株というものが、本来投機的なものであるという考え方のものもありますけれども、しかし現在においては、投資という角度から、ものを考えていかねばならぬというふうに考えるのであります。そうしないと、清算取引をやらせないという理由も私はないというふうにも考える。そこで健全投資という面から、投資信託というものが、個人々々が投資するということになるというと、ずいぶん損害というものも多いわけです。専門家が多角的にこれを取り扱って、そうして損害が起らないようにというふうに宣伝広告に書いてある。くろうとだけにこれを任せて利潤をはかるべきだというふうに宣伝広告しているわけであります。そうすると、基本的には、個人の利益を保護するというふうにいかなければ、結局また責めが大蔵当局に、保全経済とは形が変っているといっても、やはり投資者保護という面から言えば、この問題に対して今の大蔵省の態度というものは、だらだら延ばしに延ばしていったじゃないかというふうにもなると思うので、今大蔵大臣が言ったように、急速にという言葉を使いますが、投資信託全般について、オープン追加型投資信託を含めて、これが一体株式市場との関連及び個人の投資保護といろ建前から、どうすべきだという点を、明確に私はしてもらいたいと思う。そうしないと、これがだんだんぎりぎり一ぱいのところまで行って、損得は株の常道でやむを得ないのだというだけでは、私は済ましきれぬと思うので、すみやかに検討して、これに対して態度をはっきりしてもらいたいと、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/50
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051・菊川孝夫
○菊川孝夫君 最後にもう一言だけ、大蔵大臣にこの際伺っておきたいのは、俗に今の保守両政党は、民主党は金融業である銀行に勢力を持っている。それから、そこで自由党はもう銀行には手が出ないというところから、証券業者を資金網としているということを言われておるのでありますが、これはなるほど今度の予算修正の場合をみましても、民主党はまず銀行に都合のいいような、預金利子に対して課税をさせない、こういう所得税法の改正案を出した。ところがこれに対して自由党は、民主党ばかりにいいことをやらせないぞというので、今度は配当控除について、二五%を三〇%に引き上げる。そこで保守二大政党が、銀行にいいように、それから証券業界にもいいようにというので妥協できたのが、あの予算修正の私は実態じゃないか、こういうふうにみえる。なるほど火のないところに煙は立たないということをつくづく感じたのであります。そこで証券取引法と投資信託法の一部改正が出ました場合には、もしもこれを通しておいたときに、あとでまた第二の造船疑獄の問題こういうものが起きてくる危険が絶対にないかどうか、この点を一つ一万田大蔵大臣からしっかり、これは大蔵省の政府提案でありまするから、そういうことになると、これで賛成した場合においては一波かぶらなければならんということになりますので、一つはっきりと御言明を願っておきたいと思います。そういう危険がないかどうかということだけをしっかり責任を持って御答弁願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/51
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052・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) これはまあこういうことを私申し上げるまでもないのでありますが、私の考えは違うと思うのです。預貯金を今回免税にするのも、これは私はやはり勤労大衆ということを頭に入れておるのです。勤労大衆の協力なくして日本の再建ができんこともこれも百も承知いたしております。それで勤労大衆のために雇用の機会を私はどうしても作らなければいかん。それには今いろいろ仕事をする何をするといっても結局金がない、金がない、金利が高い、採算がとれない、こういう状況ですから、ここは私は時限的ではあるが、この期に思い切って資本蓄積をし、金利を下げるように、そして金も借りやすくなり貸しやすくなる、事業もそこで起り、コストも下る、そこで雇用の機会も起る、これがねらいでありまして、その目的を達するための手段として一時こういうことをやる。決してこれは銀行をもうけさせようとかあるいは金もうけとか、そんなことは決してありませんから、そうお考え下されば……。
それから配当の関係は、まあ一々これは金利関係ですから、資金の調達の上であまりへんぱがないようにということで、これは調整のことであります。そう考えて下されば万事解決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/52
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053・菊川孝夫
○菊川孝夫君 大蔵大臣うまいことを言われたのだが、これは預金利子の免税については、勤労者に雇用の機会を与えるための一つの手段としてやるのだと、こうおっしゃるのだが、そうするとわれわれの目から見ますると、今大蔵大臣もお考えだと思うのだが、どこの町へ行っても、戦災を受けた町あるいは受けない町に行っても、非常に戦前とは違ってはなやかになってりっぱになったということは一応わかるのでありますが、見たときに何がりっぱになっておるかとこういうことに目をつけてごらんなさい、それは金融機関ですよ、あの店舗のはなやかになっているのは。戦前にネオンサインをつけてやっておったような銀行がありましたか、ネオンサインをつけてやっておったような信用金庫がありましたか、これはみんな金融業者がそれだけもうかっているということなんです。そういうふうに、資本蓄積というのならば、何も金融機関というのがネオンサインをつけたり、あんなはなやかな店舗を作らなければ金が集まらんというようなことではないのだろうと思います。これは信用の問題だと思いますが、ネオンサインをつけて信用を増すようにしているというようなことであったらば、あなたの指導方針はそろいう方針でもって金を集めるということをやっておるのか。そんな町角のいい目抜きのところは銀行でなしに小売業者や百貨店があるというのならわかるのだけれども、銀座あたりは戦前と比べますと戦後は銀行の支店ばかりになっておる、あんな高い土地を買えるのは銀行よりない。もうけたからして、どうせこれは税金でとられるか何かして、もうかり過ぎますから……、配当は幾ら何でもそう配当できんから、いよいよこの際だから銀座のいい土地でも買って、いいビルディングを建てて、ネオンサインをつけておけ、こういうふうに私から見ると見える。あなたの方から見ると、これで預金の利子をふやして、金をもうからしたら、またこれでもって集まるから、それで雇用の機会を作るそういうふうに進めばいいが、ますますもって銀座は銀行支店のオンパレードになる。あそこに銀行のネオンサインがどんどん輝くということになったのでは、あなたのお考えとは逆の方にいってしまう、こう思うのですが、この点はあなたはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/53
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054・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は今お話しのような悪い面を極力やめて、そして私が申し上げましたような方向に持ってゆく、こういう決意でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/54
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055・木村禧八郎
○木村禧八郎君 今のに関連して、資料を銀行局長に一つ出してもらいたい。それは金額別の預金のパーセンテージ、これを出していただけばはっきりしてくる。どういう金額の預金が多くて、どういう金額の預金が何パーセント……、これは大体私は古い統計では見ておるんですが、それは大口預金というものが非常に多いのであって、そうして今は勤労者の方の預金というのは、小口は非常に少いのです。法人預金なんかが多いんです。それが一つと、もう一つは、大蔵大臣は資本蓄積のために銀行預金の利子税を下げる、あるいは株式配当の課税を一五%とか二〇%下げ、今度またさらにその控除を上げるというんですが、しかしそれだけで資本蓄積になりますか。私はひもをつけなければ資本蓄積にならないと思う。これはどういう方面に投資しなければならないというひもをつけなければ……、今大蔵大臣よく御存じの、予算委員会でも問題になっておりますが、いわゆる現金による貨幣資本蓄積と実体資本の蓄積が遊離しちゃって、今はもう設備としては、設備投資は非常な過剰投資、二重投資、非常なむだが行われておる。これは私は鉄鋼のストリップ・ミルなんかは問題にならないと思います。新らしく設備投資をしてそれが六割しか稼働していない。砂糖だってそうです。問題の砂糖なんかもどんどん設備投資して、三割五分しか稼働していないんですよ。ですから資本蓄積資本蓄積と、そのために預金の利子に対する免除をする、株式配当に対する免除をする、そうして貨幣資本に蓄積されますが、それの効率的運用、これについては全然手がふれられてないんです。これでは非常にむだだと思うんです。もう今は各産業で非常に過剰投資です。この点を大蔵大臣それとにらみ合せなければ……。それから法人税の減税でも、これも前にも交際費の問題がありましたが、ひもをつけないで法人税を幾ら免税してもこれはまた社用族に使われる。いわゆる資金規制触り資金統制は、これは法律でやるかやらんかは別でありますけれども、この方を考えないで、ただもう資本蓄積資本蓄積、今はもう実体資本からいえば蓄積過剰ですよ。一体何を蓄積しようというんですか、その点は私は非常に疑問に思うんです。貨幣資本の蓄積と実体資本の蓄積には関連がないんです。そういう関連がないものによって、ただ資本蓄積と称して、不労所得のためにどんどん減税してゆくということについては非常に問題があるんじゃないかと思うんです。その点どういうふうにお考えですか、大蔵大臣及び銀行局長にも伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/55
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056・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) その点については今後におきましても企画庁になりますが、あそこで産業計画とかを順次立てまして、そうしてこういうふうな方向で日本の一これはまあ産業構造の上においてでありますが、同時に長期にわたってこういうふうにしていきたいという計画が樹立される。これは十分私今後の資金の流れを規制しなければならんと考えております。このやり方はどうやるかというと、今お話しのように自主的にできるだけいけば私は金融の本質からいいと思いますが、必要があればまた考えなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/56
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057・河野通一
○政府委員(河野通一君) この点は従来から蓄積された資金の効率的といいますか、重点的な運用については、できるだけその効果を確保するように努めて参ったのでありますが、今後におきましても当然そういうことがさらに強化されることが必要だと考えますが、問題は程度及びその具体的な方法にあると思います。で、私どもは直ちにそういうことのために立法によって強制することがいいかどうかということについては、さらに検討しなければいけないと思いますけれども、お話しのような方向に進んで、投資その他についてむだがないように、率を上げてゆくように今後といえどもできるだけそういう方向で努力したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/57
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058・木村禧八郎
○木村禧八郎君 投資信託をも含めて全体の蓄積される資金の運用については経済審議庁なんかでやる、そんなことでゆくもんじゃなくて、総合経済六ヵ年計画、これについて一番問題なのは資金の問題ですよ。資金の蓄積はいろいろな形でするとしても、これをどろいうふうにしてあの総合経済六ヵ年計画に沿うように資金の流れをやってゆくかということは、これは今度資金委員会を作るとか何とか言っておりますが、何か内閣に強力なインベストメントに対するボードみたいなものを作って、そこでやらなければならない。もう日本はぼやぼやしているような経済ではない。今までのようにそんなぼやぼやしたやり方をやっていられません。毎年人口は百万もふえて、七十万、八十万近い労働人口がふえてきて、それに対して今年でも六十万くらいしか職が与えられていない。二十万人くらい失業者は慢性的に過剰になっておる。こういう状態は、雇用計画、産業計画とあわせて資金のむだのないような……、そんなことじゃないと思います。個々のインベストメントのむだだけじゃなくて、総合的なむだがないようにしなければずいぶんむだがあります。こんなロスのある経済というものは貧乏な日本の経済にありましょうか。実態を御覧になって、そういう一環としての投資信託の問題も考えなければならぬ、みんな個々ばらばらで考えてはだめである。それが総合性という問題だと思います。投資者保護の問題もあります。その見地からも私は質問したのですが、そういう総合的な見地からもどうしてもわれわれ聞かなければならない。これは特に民主党とか自由党とか、そういうあれじゃなくて、国民経済的な観点からいったらどうしたってそうなければならない。そうしなければ、こんなむだなことをやっていてどうしてこれからの人口がふえていくのを養えますか。個々の資本の利潤だけの確保の経済、それだからこうなってきます。利潤追求経済というものはいかにむだであるかということをこれまた実証した。これではどうしたって私はだめだと思います。証券投資信託もやはりそういう点からも着眼して、そのくらいの考えは持たなければならぬ段階にきた。これだけ追いつめられてきて、今までのマンネリズム的の考え方ではどうもならぬところにきておる。そういうような点から考え直さなければならぬということと、それからもう一つ伺いたいことは、証券取引制度自体がやはりこれは再検討しなければならない時期ではないかと思うのですが、どうですか。やはり投資信託とからんでおりますが、それは証券取引法がでてきたときに当初問題になったことでもあるし、それは外国の、アメリカの制度を輸入しながらアメリカのいいところは捨てちゃっている。それはいわゆるスペキュレーションができるような形になっておる。今の証券業者というのはそういう形でなく、やはりこれもこの際考え直さなければならぬことじゃないかと思いますが、二つの点についてもう一度御意見を伺っておきたい。大蔵大臣から一つ…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/58
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059・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私も御意見に異論はないのであります。ただ、どういうふうな方法でいくかという点に重点がある、十分検討を加えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/59
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060・木内四郎
○木内四郎君 証券取引所法の百五十六条の四に関連してちょっと一言だけ伺っておきたいのですが、この条文によりますと、証券金融会社が申請人の人的構成、信用状態及び資金調達の能力並びに有価証券市場の状況等に照らして、その適格性があるかどうかということを調べなければならないということであります。ところがその次の項に、大蔵大臣は、「次の各号の一に該当する場合を除いて、その免許を与えなければならない。」と書いてあります。この条文をずっと読みますというと、専門家はとにかくとして、しろうとが見ると、幾つもの証券金融会社の認可の場合を予想しておるような書き方だと思いますが、私どもに言わせれば二項では大蔵大臣は次の各号の一に該当する場合には免許をしてはならない、そういうふうに書けば済むのだと思います。にもかかわらず、次の各号の一に該当する場合以外は免許しなければならないというふうに書いてあるところを見ると、いかにも証券金融会社を幾つも認可することを前提として立案された条文のように思われますが、しかしこの間理財局長から伺うと、この証券金融会社は当該証券取引所の決済機構を、利用してその業務を行わなければならない、しかも当該取引所と契約を結んで業務を行わなければならないから、実際上は一つになるだろうというようなことを想像させられるような御答弁だったのですが、今日日証金は一つで相当いろいろ取引の円滑化に貢献しておることはもちろんですが、また独占ですからこれに対する非難も当然あると思う。独占になりますと弊害もあるし、同時に弊害がないにしても、外部の者からいうと、ややもするとひがみを持ちやすいものだと思うのですが、この百五十六条の四にこういうふうに書いておいて、この欠格条項にはずれておれば認可をしなければならないということになると、いかにもたくさん認可されるようでありながら、なお独占的にやらしておくということであると、一そうひがみを起させる面を伴うのじゃないかと思うのです。それに関連してこういう条文を書かれた立法の趣旨からいって、五千万円以上の資本金をおいて、こういう罰金刑に処せられたとか、こういう欠格条項に当らない場合には幾つあっても認可されるというおつもりであるかどうかということを、との条文に関連して伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/60
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061・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) 私からお答えいたしますが、百五十六条の四の規定は第一項と第二項がある。第一項の方で免許を与える場合についての積極的な、こういう資格を持っていなければならないということを書いてある。積極的な資格要件がある、そういうものに対しては与えるわけでありますが、第二項の方ではいわば消極的な要件、こういうものには与えられないということを例としてあげておる。そういうふうな書き方で、大体免許の法律を書きますにはこういう書き方をするのが例でありまして、第一項の積極的な条件を備えたものについては第二項の消極的な要件がなければ免許が与えられない、こういうふうな書き方をしております。こういう技術的なことになりますが、大体免許のあれを書きます場合には前例になっておるやり方で、こういう条文を書いておるわけであります。お尋ねのような点につきましては、昨日お答え申し上げました通りでありまして、実際上ここで取引所の決済の機構を運営していくその関係と結びつけて証券金融の業務も行われますので、幾つも会社があるということはこれは実際上非常に不便、非能率なことになりますので、一つの会社でやるということになりますと、そういうふうな業務の運営につきましてちょっとお説のような独占的なことのようになって、いろいろと業務が円滑にいかない、こういうようなことにはならないように、この法律によりまする監督規定を活用しまして、十分に指導して参らなければならぬと思いますが、法律の規定といたしましては、ただいま御説明申し上げましたようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/61
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062・木内四郎
○木内四郎君 今あなたの言われることは、説明を聞かなくても条文を読めばわかるのだよ。一方は積極的にやり、一方は消極的にやっておる。第二項を私ども読んだときに、該当する場合を除いて免許を与えなければならないという……、戦後議員立法のある特殊な機関についてこういう条文を入れたのがおそらく先例になっておるのだと思うのですが、じゃなぜあっさりと左の各号の一に該当する場合には免許を与えちゃいかんと書かないか、それを除いた場合には認可をしなければならない、こういうようなことを書くと、しろうとの国民一般は、いかにもだれでもやれるような印象を受ける。法律上の技術的な問題はあなたに説明を聞かなくても、ここにいる者はそれくらいのことはみなわかっておると思う。そこであなたの言われたようにその前の条文の百五十六条の三、「当該証券取引所の決済機構を利用して貸し付ける業務を営もうとする」という、それに関連してあなたから御説明を聞いたのだが、実際問題としては一つになるだろう、それでなければ弊害があるだろうということもこれはわかるのですよ。わかるのだけれども、この条文の書き方をこうやっていくと、ただでさえ独占的な企業に対してはほかの人はひがみを持つ。こう書いてあるが、おれには許さないであそこばかりやっておる。こういうふうな誤解を生ずるおそれがありはしないかと思ったから、私は伺ったんですが、これは、今こういう規定であるけれども、一つしか認可をしないのだという方針か、幾つも認可をするという方針か、大蔵大臣から伺えばいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/62
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063・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えいたします。一つを認めることにいたします。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/63
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064・木内四郎
○木内四郎君 まあ、それは御趣旨は、この間理財局長から伺って、そういう考え方でやっていく方がいいのだということはいろいろわかっておるのですが、それならもう少し端的に書いておいてもらわないと、私どもも証券のことはしろうとだし、一般国民もこれを見て、おう、みんなだれにも許すことになるんだ、にもかかわらず日証金だけしか許さない、あれは日銀から人間が来てるんだから……、こんなひがみを持たれたら損じゃないかというのが、まあ私の質問の要点なんです。一つしか許されないんならそう書いておいた方がいい。ただでさえ、今日の日証金に対しては、私は外からのひがみだと思うんだけれども、ずいぶん非難があるんです。それは、名前をあげるのはあれだけれども、日本銀行からいっているのだからどうだとかいうことをとかく言われておる。それは私は間違いだ、外からのひがみだと思うけれども、それに関連して、もう少し端的に、さらにそういうひがみを助長するような規定は除いておいた方がいいのじゃないか。たとえば二項に、大蔵大臣は左の各号に該当する場合には認可しちゃならぬと書いておいたら、もうそれで実にあっさりした書き方だと思うんですがね。まあ一つしかしないと言うんなら、大蔵大臣はそこに修正案を出された方がいいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/64
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065・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は昨日もこの点を阪田理財局長に聞いたんですがね。これではどうしたって二つでも三つでも申請して、この欠格条項に当てはまらなければできるように思う。ただ、取引所の機構を利用してということだから一つだとあなたは昨日も答弁しておる。今、一萬田大蔵大臣も一つだというんだが、そうすると独占に陥りやすい。日歩の計算等につきましても、一一こまかくあなたの方では認可して、その程度の日歩でよろしい、こういうことで監督をされるか。そうすると監督するものによっては、法律にうたわれていないのですから、大蔵省のさじかげんによっては日歩も動かし得るということになるんですか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/65
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066・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これは一取引所に一会社できる。その結果独占的になってかってなことをやるんじゃないかというような点につきましては、これは、この法律の規定にもございますように、会社を作ります場合には、まだどういう貸付をするか、株式の貸付金利、その他どうするかという業務の種類及び方法、これをはっきりきめまして、それで認可を受けるわけであります。またその業務の方法なりやり方が不適当でありますれば、昨日もお尋ねがありましたように、百五十六条の八、こういう規定に基きまして、これの変更を命ずることもできる、こういうことにいたしまして、すべて、お尋ねのような貸付その他の点につきましては、ちゃんと認可された条件に従って、あるいは命令されたようにやっていくように指導いたして参るわけでありますので、まあ御懸念のようなことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/66
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067・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると貸付の利率その他については一体どのくらいのところを考えておられるのですか、認可する場合に。一萬田大蔵大臣もだんだん金利は下げていく、こういうお考えを持っておられると思うが、今たちまち認可される場合はどの程度の認可をされるのですか、この法律に基いて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/67
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068・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) この貸し出しの金利につきましては、御承知のように、現在の実情におきましても、各証券金融機関によって多少違います。なお貸付金額がふえると日歩が加重せられるというようなことになってくる、そういったような状況等に応じて貸付金利が調整されるという問題、さらに一方からいいますと、それぞれ証券金融会社が取り入れております資金のコストの方から問題があると思います。コールとか、あるいはその他銀行等で借り入れ融資をまかなっておると思いますが、そういったものがどういうように動くかという問題もあります。両方の問題がありますので、今から、この法律が施行されまして、実際証券金融会社が認可を申請して参ります場合に、こういうような金利で、こういうような条件で持ってくれば認めてやるのだと、そこまで具体的には考えていないわけであります。大体従来からの例もありまするし、いろいろな要素を考慮いたしまして、適当なところに許可するということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/68
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069・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それはだれかそのぐらいなところが適当であるという判定を下す権限が……、やっぱり大蔵大臣がお持ちですか、それとも日銀総裁の方で考えられるか、これはだれがそいつを判定するのです。大蔵大臣の権限になるか、あるいは委員会でも設けて、そいつはこの程度でよかろうということに考えられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/69
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070・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) これはもちろん認可の申請をして参ります場合に、大蔵大臣が判断いたしまして認可するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/70
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071・菊川孝夫
○菊川孝夫君 日銀総裁がよく株式の今の相場の動きはどうも行き過ぎであるとか何とかいうような談話を発表するようですが、日銀総裁の息がそこまでかかってくるのだということになると、そういう証券金融会社が手当てするところの資金のコストに影響するから、日銀総裁の発言というものは影響してきたんですか、そういう意味かね。いわゆる銀行の方から借りてくるのは、株式があんまり過当投機にわたるというような危険があるようだから、もっと利息をかけるぞ、こうやったら、日証金から借り入れる場合には日歩が高くなるので、おかげで相場ははねなくなる、こういうことになって、株式相場が落ち付いてくる、こういうような操作を考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/71
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072・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) まあこれはかりにそういったような場合に、証券市場へ影響があるというようなことがあるといたしましても、それはただいまお尋ねのような筋で影響があるというのではなくて、やはり日本銀行の方針というものが世の中の一般の金融界、経済界に影響する、その反映として株価の方にも反映する、そういう一般的の影響の方が大きいのではないか。これは私の個人的な考えです。そういったようなことが主になるじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/72
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073・木村禧八郎
○木村禧八郎君 これで質疑が終って採決に入るのだろうと思いますが、その前に、一応大蔵大臣の御答弁とこの提案理由とちょっと食い違っておるところがありますから、それだけ確かめておきたいと思います。
それは追加信託を容易ならしめるために今度の投資信託の改正をやるんだ、こういうことになっておりますが、今これを具体的に適用されるのは大和証券一つですね。そこで先ほどの大蔵大臣の御説明では、これをもっと拡大する意思はないのだ、拡大するかしないかについては、先ほど来の質問もあるので、慎重に考えてみたい、こういう御話だったんですよ。そうすると、大蔵大臣は、現在は大和証券だけであるけれども、との法律案の提案理由によると、追加信託を容易ならしめるためにこういう改正をやるんだとすると、それは大和証券だけではなくて、今後将来ほかの方にも拡大するということがこの提案理由になっておるわけです。ところが、大蔵大臣は先ほどいろいろの質問が出てきたもんですから、これは一つ考え直してみなければならぬと、拡大するかどうか、そのことは慎重に考えてみるということになると、この提案理由の趣旨と違うですね。ただここで答弁だけはそういう答弁をしておいて、実際にはもっと拡大するということになると、それはもう違ってくるわけですから、その提案理由と大蔵大臣の答弁とは違うんです。そこはどういうわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/73
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074・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、私は、先ほど申しますのは、もう少し広い範囲で全体の証券に関する制度につきましてもう少し基本的に、かつ総合的に考えていきたい、こういうふうな答弁をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/74
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075・木村禧八郎
○木村禧八郎君 はっきりしていませんね、委員長まだはっきりしません。この改正案は大和証券に関する限りだけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/75
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076・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) ちょっと私から申し上げておきますが、この追加信託の規定は、これは従来からございましたものでありましたので、しかもまあ実際やっておりましたのは大和証券だけであります。その他の証券会社ももちろんやることにして申請してくればできる可能性はあったわけであります。その追加信託の規定に、多少従来の規定では実行上不便な点がありましたので、それを直そうというのが今回の改正で、もちろん改正規定は、大和信託以外のその他の会社にも当然適用があるわけであります。その結果便利になりますために、その他の証券会社におきましても今まででもできたわけでありますが、今後これを取り上げてやろうという会社が二、三出てくるのじゃないかと、こういうふうな御説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/76
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077・木村禧八郎
○木村禧八郎君 そうするとますます違ってきます。先ほど大蔵大臣は、いろいろ御議論があるので、これを拡大していくという考えがあるのじゃないのだ、今の阪田局長の御説明ですと、この改正をすれば、二、三のほかの証券会社からもやりたいという希望があるかもしれない、こう言っておる。そうするとこれをもっとこういう制度を便利ならしめ、もっと拡大させると、こういう意図から出ているのであるということは、これはもうはっきりしたわけです。それはこの提案理由からいってもそうなんですよ。そうするとそこはこれまで投資信託に対するいろいろな心配があるので、一般の委員の議論の焦点は、やはりこれは拡大をあまりさしてはいかんと、そういう点で質問したのだと思う。それに対して大蔵大臣は、もっと拡大する意思はないのだというような御答弁だ、はっきり言えば。いろいろな御議論もあったからもっと慎重に考えていきたい、そういうところだった。今の阪田局長は、改正すれば二、三の証券業者から申請があると思う。そういう便ならしめるために改正するということになってくると、その点は非常に食い違っておると思うのです。根本のまた趣旨において違っておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/77
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078・阪田泰二
○政府委員(阪田泰二君) ちょっと私の御説明が不足しておったように思いますので、重ねて申し上げますが、従来から投資信託は、御承知のように単位型と追加型と二つの型がございました。従来もっぱら単位型が行われておりまして、追加型は大和証券が一つだけやっておりました、こういう状態になっておりましたわけであります。その追加型というような制度、あるいはどちらをやるかというような点につきまして、この追加型の制度が従来あまりやられておりません。それにつきましては多少規定上も不便な点がありましたので、今回まあそういうような点も直そうと、従いましてこういう制度ができればこういう方面に転換して、こちらの方のやり方をやってみようという会社も出るのじゃないか、こういうふうな御説明を申し上げたわけであります。
この追加型の投資信託を非常にこれから拡充しようとか、今の単位型を含めました総体の投資信託にしても、こういう制度を設けて、総額といいますか、全体を大いに積極的にこれからふやそう、こういうような意図は持っていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/78
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079・木村禧八郎
○木村禧八郎君 それではわれわれの態度の誉め方が非常に違ってくる。私は最初、一応この程度のさっきの大蔵大臣の説明なら賛成してもいいんじゃないかと思っておりましたけれども、しかし実際の腹を聞いてみますと、やはりこれをやれば二、三の証券業者からも申請があるだろうというんで、実際問題として大和以外の、さらによその証券会社も追加型をやるようになる。別に積極的に奨励するんじゃないと言っていますけれども、この改正によってそういう道が聞かれてくるということになると、これは実質においては積極性を持っておるわけで、そういう意味でこれはちょっと態度を今度は考え直さなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/79
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080・森下政一
○森下政一君 理財局長にちょっとお尋ねしますが、さっき木内君が証券取引法について指摘した点でございますな、実際問題としては証券金融会社は各証券取引所にそれぞれ一つでき上ってしまっておるわけですね。で、先刻大蔵大臣が言われたような、一つだけしか認めないつもり並んだということなら、現在すでにでき上ってしまっておるものに、あとからこの第五章というものを入れて、わざわざ証券金融会社のことをここへ入れるんですから、木内君が言うた通りに、だれが読んだってこれはある要件を備えておれば、当然認めなければならんようになっておると私は思うんですね。ところが実際には一つしか認めないということになるんなら、どうもそこのところはしっくりしないと思うんです。これは委員長どうでしょう。採決をそうお急ぎにならんで、ことに参議院先議の法案でもありますから、同時に投資信託法の問題も木村さんの指摘したような点もあるので、一ぺん全員の協議会を開いていただいて、超党派的に、これはこういうふうに直せばいいんじゃないか、簡単な修正で私はいろんな誤解をとめることができるんだと思んですが、一ぺん全員の協議会を開いて相談してもらうことに、委員長からお諮り願いたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/80
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081・平林剛
○平林剛君 私も今の森下委員の意見に対して賛成です。それで今の零囲気のままで午前中に採決に入るというのは適当でないと思います。昨日私が質問いたしました五千万円以下の金融会社の措置を今後どういうふうに指導し、または措置をするかということについても、統合、もしくは別な措置があるようなお話も聞いて、私もちょっとこの法案について明瞭でないところが、瞬間が一つ生れてきておりますから、すぐに採決ということでなくて、この際休憩をして、午後にでも回してもらう。そうして今の森下委員のような取扱いでも、また別個の措置でも委員長の方においてお取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/81
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082・青木一男
○委員長(青木一男君) ちょっと申し上げます。この際暫時休憩をして、その間に理事会を開いて、各派の意見を持ち寄って今の件を相談したいと思います。
暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後三時十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/82
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083・青木一男
○委員長(青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
都合により本日はこれにて散会いたします。
午後三時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X01819550617/83
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