1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十二日(水曜日)
午後一時四十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
山本 米治君
土田國太郎君
平林 剛君
委員
木内 四郎君
白井 勇君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
小林 政夫君
岡 三郎君
中川 幸平君
木村禧八郎君
政府委員
大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
大蔵省管財局長 窪谷 直光君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
参考人
日本輸出入銀行
総裁 山際 正道君
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本日の会議に付した案件
○日本輸出入銀行法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○租税特別措置法等の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○国有財産特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより委員会を開会いたします。
まず日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(予備審査)を議題として、質疑を行います。参考人として、日本輸出入銀行総裁山際正道君が出席されておりますので、この際、議案審査の参考として、輸出入銀行の最近の業務の状況について、概略お話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/1
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002・山際正道
○参考人(山際正道君) 御指示によりまして、日本輸出入銀行の最近の状況に関しまして、概略御説明を申し上げたいと思います。
輸出入銀行は御承知の通り、昭和二十五年の暮に設立せられまして、翌二十六年の二月から営業を開始いたしましたのでございます。何分にもプラント輸出と申しますものは、わが国の貿易の形態といたしましては、戦後そこにわが国が経済上の発展の道を見出すべく、新たに努力を傾注して参った新しい分野でございますので、それが一般的に世界市場の認識を得まして漸次その仕事が伸びていくというためには、やはりある程度の期間の経過が必要と考えられたのでございます。なおまた業務開始以後一両年の間は、仕事の量が比較的低調でございました。もっぱらその期間は、業界においては日本製品の宣伝その他販路の開拓に努力をいたして参りましたけれども、自然この輸出入銀行に反映をする業績の程度といたしましては、さして飛躍的な増大は見込むことができなかった状況にあったのでございます。しかるところ、昭和二十八年の下期から、よほど様子が変って参りまして、にわかにプラント輸出が伸張をいたしまして、その結果、本行の活動につきましても、よほど活況を呈して参ったような実情でございます。お手元に御参考までに、業務開始以来の活動の状況を数個の表で差し上げてございますが、それをごらんいただきましても、昭和二十八年度の下期以来、にわかに事業の分量が増大をいたしております。その趨勢は、二十九年度においても比較的上昇の一途をたどっておるのでございまして、たとえば最近に終りました昭和二十九年度の業績について見ますと、昭和二十九年一カ年中の本行が融資の承諾をいたしました金額は三百五十八億に上ったのでございまするけれども、その以前、設立後三年二ヵ月を経過いたしたのでありますが、その期間の融資承諾の全額は、大体二十九年度一カ年中の数字と同じように、三百七十六億ということになっております。融資承諾額のうち、融資を実行いたしました金額につきましても、設立以来の三年二カ月は三百七億円でございましたが、二十九年度一年中の融資の実行額は二百八十七億円、こういう状況でございまして、最近二十九年度の一カ年は前の三年二カ月と大体匹敵するぐらいに事業活動が活況を呈したのでございます。
今日までの融資の状況並びにそれが対象として破り扱いました輸出物件の種類、また輸出の仕向け地先の地域別その他の概況は、お手元の表によってごらんを願いたいと存ずるのでございます。ことに二十八年下期以降の活況を呈しました原因といたしましては、たとえばパキスタンに対する長期延べ払いの協定が成立をいたしましたり、あるいは二十九年度において見ましたような船舶輸出が世界的趨勢から顕著な上昇を示したというような事態が、主としてこれらの業況の展開に原因をなしておるのでございます。で、そのうち船舶輸出等につきましては、二十九年度においては、一部御承知の通り、リンク制などの補助政策もあったのでございますが、これが廃止を見まして、その後の状況については業界一般にその前途をやや心配する向きもあったのでございますが、今年度に入りましてからの状況は、船舶輸出に関する限りはますます活況を続けておるのでございまして、採算の関係においても、それらの補助政策がなくなりましても、幸いにして各方面の努力によりまして大体収支償う、また場合によりましてはある程度の収益を見込み得るような良好な契約も出て参っておるわけでございます。この点は長い間努力をいたしましたかいがありまして、いろいろ市場の情勢にもなれ、この種の物件を売り込む技術等についても修練を重ねまして、だんだんその効果が現われて参っておるのではないか、かように考えるのでございます。
二十九年度末の計数はお手元にございます通り、融資承諾の金額は開行以来七百三十四億円でございますが、そのうち実行をいたしました金額が五百九十三億円、しかしてその間にすでに三百四十六億円を回収いたしまして、融資の残高としては二百四十六億円を残しておる。なお承諾済みでいまだに貸し出しに至りませんものが、二十九年度末において百三十五億ある、こういう計数に相なっておるのでございます。そこで、本年度のプラント輸出の状況等を貿易の趨勢からいろいろと測定をいたしまして、さらにまた本行にいろいろ活動の分野が将来出て参るであろうと思われる、たとえば東南アジア各国における経済協力の関係等による所要の金額等も推定をいたしまして、どうしてもこの際相当大幅に本行の資金を御充実を願うことが必要であるということに結論を得まして、別途これは予算をお願い申し上げておるようなわけでございます。
そのうち、さらに資本金によって御実行を願いたい分もございます。自然それが法律の改正となって御審議を願っておる関係かと思うのでございます。この二十八年度以降の趨勢を見ますと、一方において、実はこれは世界的傾向でございますけれども、プラント輸出を織り込みますのに、長期の分割払いの条件というものがだんだんふえて参っておるのでございます。従いまして、本行の貸し出しにいたしましても、融資期間がだんだん延びて参るという傾向にございます。たとえば昭和二十七年度に取り扱いました融資の承諾について申しますと、平均期間が一年二カ月ぐらいでございます。それが二十八年度になりますと平均二年七ヶ月ぐらいに延びております。さらに二十九年におきましては三年四ヶ月というふうに漸次長期化いたして参っておるのでございます。自然、資金の回転はおそくなって参っておりまして、従って一定の事業分量を持ちますためには、所要資金が勢い増加せざるを得ないという趨勢にあるのでございます。ただ幸いにいたしまして、従来取り扱いましたものにつきましては、回収は、はなはだ順調でございますので、本年度の活動につきましては、過去数年間における貸付金の回収を資源として計算をいたしておりまするが、おそらくこれは予定通り回収をみまして、新規貸出しの財源として予定し得るのではないか、かように考えておる次第でございます。
なお詳細の点はお尋ねをいただきましてお答えを申し上げるのが適当かと存じますので、一応冒頭の状況御説明はこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/2
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003・小林政夫
○小林政夫君 こういうふうに非常にプラント輸出が多くなって輸出入銀行の資金繰りが窮屈になってくる、大いにまあ貸出額がふえるということは非常に御同慶の至りでありますが、だいぶ前に申し上げましたプラント輸出不振のときに非常に金が余った、最近それがむしろ足らなくなって、あとから予算措置等を講じなければならぬ、こういう事態でありますが、余ったときも問題だし、足らないときも問題、むしろ足らないときに、せっかく至上命令としての輸出振興が資金の関係で行き詰まるという事態が起ってもならぬわけでありますが、二十九年度、二十八年の下半期からの急激なプラント輸出上昇に伴って、輸出入銀行の資金繰りの関係から、そのあとづけが十分できなかったというようなことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/3
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004・山際正道
○参考人(山際正道君) 二十八年度以降急激に事業がふえて参りましたに対しまして、一面これに対する資金手当の点でございまするが、幸いにいたしまして、今日までの経過におきましては、資金の手当の方もはなはだ順調にやっておりまして、資金が乏しいがゆえにせっかくの輸出伸張がその実現を見ずに終ったというケースは幸いに遭遇いたしておりません。これは幸い政府の方で預金部その他からして短期ないし長期の資金をお貸し願うという途もあったわけでございますが、いずれにいたしましても、今日までのところ、その懸念なしに過ごし得たことは非常に仕合せだと思っております。まあ今年度の見込みでございますが、これもいろいろ通産省の貿易計画、貿易の趨勢見込み等、いろいろお打ち合せをいたしまして、今御審議を願っております通り、二百二十億の資金増加ということになっておりますが、まあ大体この程度でございますれば、現状をもって推定する限りにおいては資金上差しつかえなく推移し得るのではなかろうか、かように見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/4
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005・小林政夫
○小林政夫君 私の前から言っていることは、もう少し何といいますか、弾力性のある資金調達ができるような道を輸出入銀行について考えてみたらどうか、こういうことで、たとえば本年度の資金運用部資金の資金繰りというものを考えると、非常にぎりぎり一ぱいのところで、政府の原案に対して与党の方である程度ふやし、さらに民自予算折衝によって二十八億というようなものを捻出をするというようなことで、本年度急激にプラント輸出が増大するというようなときに、足らなくなったら資金運用部から借りるといっても、金がないという事態が起るかもしれない。起らなければ、はなはだ幸いでありますが、そういうようなときに、一応本行で審査されて、これは適格なもの、こうなったときに、スムースに金が出る方法、こういうことについて何かこうもあったらいいんだがというような御案はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/5
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006・山際正道
○参考人(山際正道君) ただいまお尋ねの点は、銀行の運営の実際から申しますと、まことにそれは望ましい点であろうと思うのであります。ただ本行の性質が、資金の調達を見るのは政府資金に限るという建前でできております。それに対して弾力性ある資金調達の方法を考えますと、その大きなワクを、あるいは、はずさなければうまい方法がないかとも思いますが、こうなりますと、また銀行の本質に触れます重要な問題でございますので、なおこの点は私どもとしては十分検討を進めるべきだと考えておりますが、まだこれという成案は得るに至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/6
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007・小林政夫
○小林政夫君 銀行局長に聞きますが、日銀の直接借り入れという方法、もちろんあとは翌年度において財政資金で裏づけすることですが、そういうプラント輸出、輸出振興ということは至上命令ですが、これがどの程度そういう一時的な金融操作をする必要が起ってくるかは別として、そういう場合には日銀からの直接融資借り入れというようなことが考えられるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/7
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008・河野通一
○政府委員(河野通一君) 私はこの問題はなかなか重大な問題だと思います。悪い前例もあります。日銀からの信用によって、政府機関がその資金をまかなったということによる悪い前例は御承知の通りたくさんあるわけであります。私は、単につなぎ資金だからということによって、日銀からの借り入れを政府金融機関が安易に受けるという道を開くということは、将来に向って非常に悪い禍根を残すおそれがあると、かように考えておる次第であります。従いまして他に幾らも方法が私はあると思うのでありまして、それらの方法を尽しても、なおかつ輸出入銀行が必要とする資金をまかなうことができないという、いわば最後のどたんばにきたときに、そういった問題を考えるか考えないかということはあり得るかと思いますが、今この際としてただちにそういう安易な道につくということは、私はこの際としては適当でないと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/8
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009・小林政夫
○小林政夫君 そのやるやらぬは別として、一応立法的にそういうこともやり得る態勢を開いておくかどうか。まあこれを開けば、他の金融機関も全部入るでしょう。そういう心配があるわけでしょうが、プラント輸出、輸出振興という、当面、たとえば時限立法でもいい、何年間を限るというようなことでやっていく、あとは、しかし必ずそういうつなぎをやったものは次年度において財政資金で繰り入れをする、こういう原則ですね、これは確立しなければならぬと考えるので、一考をわずらわしておきます。
それから、本日特に御出席を求め比ゆえんの質問したい点は、相当長期分割払いの融資がふえ、ただいまも御説明のように、だんだん平均融資期間というものが長くなって参っております。もちろん輸出入銀行は円資金の融資をやるわけでありますが、本来は輸出振興、すなわち外貨獲得が目的であります。その融資された資金によって円滑にプラント輸出ができ、あるいはそれに附随する輸出ができる。この代金の外貨による回収、輸出入銀行は国内の円貨によって回収しさえすれば損はない。国としての本来の輸出入銀行設立の目的からいって、外貨が確実に回収で選るかどうか、こういうことについての融資に当っての御配慮はどのようにとられているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/9
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010・山際正道
○参考人(山際正道君) ただいまお尋ねの点は、私ども融資を実行するに当りまして最も大切な点であると心得ておるのでございます。従いまして、そもそもの当初からその点は最も厳重なる考え方をもって臨んでおるのでございます。従いまして、かりに国内の非常に大きな、信用強固、何人も疑わぬような会社が借入れ申し込みいたしましても、その債権が果してうまく回収できるかどうかというめどが立たぬ限りは、いかなる強大なる会社であっても融資はいたさぬということで、その点は特に配慮いたして参っておるのであります。当初慣れません間は、あるいは銀行としては回収に疑念がないのだから、そうまでやかましく言う必要はないのではないか、あまりやかましく言うと、せっかくのお得意が逃げてしまうというようなことで、多少訴えてきたようなこともあったのでございますけれども、今日といたしましては、輸出入銀行というものが国家によって作られて、そうしてこの種の業務を何ゆえに営んでおるかということの理由がはっきり業界にも徹底いたしまして、その外貨債権の確保については、各種メーカー自身が最近に至りまして非常にこれはしっかり考えてくれるようになっておるのでございます。実際の方法といたしまして、今日までやって参った実績について申し上げまするならば、たとえば延べ払いの代金の支払いについて、相手方の中央銀行なり、有力なる普通銀行等が、あるいは信用状であるとか、あるいは保証状であるとか、そういうものを出しておる場合、あるいは保険会社等が保証状も出すということもございますが、それらのものがございます場合は、それを担保としてこちらに取りまして、それを引き当てに融資を実行いたしているのが少くございません。また相手方が政府であるか、あるいは政府機関であるかというような場合におきましては、十分に政府が果して予算を取っておって、権限を持っているかどうか、それらの事情を取り調べまして、差しつかえない場合は、政府についてはその信用において、また政府機関においては政府の保証によって、それらを目当てに融通をいたしております。また輸出の物件が船舶でありますような場合、ことに船主が英米の船会社等でありますような場合に、政府保証、あるいは中央銀行の保証というようなこともなかなかむずかしいのでございますが、さようなものが取り得ません場合は、その船舶の建造をいたしまして引き渡す船舶の上に、むろん第一順位の抵当権を設定いたします。それからまたバイヤーのほうで振り出しました約束手形には、その会社はむろんのこと、場合によっては親会社、もしくはその会社の実権を持っている個人の保証等をも添えさせまして、その約束手形を裏書譲渡を受けるというような方法もとっております。またその船がたとえばタンカーでありまして、どこかに用船をされて利用されるというものにつきましては、船舶が建造されて引き渡しを受けるまでにその用船契約を作って、その契約に基いて支払われる用船料は、これはその債権を当行へ譲り渡しをさせまして、そうしてまた、これは用船者にもその点は承諾させまして、用船料は直接に日本へ送ってこられて、この代金の返済に充てるという方法もとっております。また用船されないような貨物船のような場合におきましては、単に新造船の上に第一順位の抵当権を設定するばかりでなく、その船会社が持っておる他の船舶についても抵当権を設定するという方法もとっております。また船舶に抵当権を設定する場合においては、本行が承認をいたしております保険会社に保険契約を締結させまして、その保険証券に対して、当行が質権を設定するということもやっております。あるいはまた場合によりまして、先方の土地に建設されます工場設備に対して、先方の国の法律による抵当権を設定いたした場合もございます。またあるいは鉱山開発等の場合に見ますように、開発されて生じまする鉱石を、長期にわたって日本が買い取るという長期契約をさせまして、その契約によって入って参ります鉱石を、必ず一定部分は直接この債権の回収のためにそれを用いるという約束をいたさせておるような場合もございます。その場合その場合に応じまして、外貨債権の確保につきましては、それを作りまして輸出をいたしまする業者と緊密に連絡をいたしまして、外貨債権の確保の上には法律的に遺憾なきよう十分な配慮をいたしておるわけでございまして、今までの実績におきましては、大体これらの債権は、これらの確保手段によりまして、まずまず無事に確保されてきておるように考えておるのでございます。ただ御承知のように、それぞれのたくさんにある外国におきまして、それぞれの国々の法律に従いまして担保物件を設定するなり、その他債権確保の手段をとるということは、法制的にもなかなか手続がむずかしいのであります。場合によりましては国際私法的な措置を考えなければならぬ場合もあるのでありまして、最もわれわれが苦心をいたしておる次第であります。ただいまのところは、今まで申し上げましたようなところで、大体満足すべきような状態で推移して参ったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/10
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011・小林政夫
○小林政夫君 長期の債務——長期の向う側から言っての債務に対する保証状、信用状等は、これは絶対間違いないことでありますが、そういう事例が今までお扱いになった事例の中で、大体のラウンド・ナンバーでいいのでありますが、何%くらいは金融機関の保証状、信用状ということになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/11
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012・山際正道
○参考人(山際正道君) ただいまお尋ねの点についての適確な数字を用意いたしておりませんので、正確な数字は申し上げかねますが、大体の記憶といたしましては、現在融資をいたしておりますものの約半分は船舶でございます。船舶以外のものにつきましては、ほとんど全部銀行の信用状、あるいは保証状、もしくは政府の保証というような形で行われておるのであります。船舶につきまして、ただいまるる申し上げました通り、なかなか全体的の保証状というのは、むずかしいのでありますから、やむを得ない場合は、そのようないろいろ手の込んだ各種の方法をとりまして、債権確保に当っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/12
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013・小林政夫
○小林政夫君 船舶以外のものが、大部分が金融機関の信用状、保証状によって保証されておるとすれば、これはこの方は問題ないとしまして、船舶の方について、今のお話のような船を担保にとる、こういうことであると、まかり間違えば、なるほど船はこっちへ返ってくるけれども、日本も外航船舶をどんどん作らなきゃならない時代でありますから、今は当面は大したことはないにしても、この輸出入銀行が金を作って自国船舶を増強したという結果になってくる。この外貨債権の保証の点について、向う側から言っての船舶輸入、日本から言って船舶を輸出する、その船舶を買ってくれる相手の信用状態というものは、ただ船を担保にとっただけでは、必ずしも外貨債権の保全にならないと思うのですが、その中には一ぱい船主のような者もあるのじゃないか、そういう向う側の、購入者の信用というようなものについては、どういう方法で御調査になるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/13
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014・山際正道
○参考人(山際正道君) なかなかお尋ねの点は、実際の調査方法がむずかしいのでございますが、まず船会社につきましては、やはりこの船に関係を持つ金融機関はむろんのこと、各種の業者、あるいはその他信用調査機関がいろいろその国にございますが、それらの機関によりまして、直接間接にいろいろ信用調べをいたすのでございます。しかし御承知のように、そう遠隔の地に一々それを当ることはなかなかむずかしいのでございますが、しかし先ほど申し上げましたように、造船会社自身の方でも外貨債権の確保については非常に協力的でございますので、その手を通じましても、いろいろな資料、情報、その他参考となるべきものを取っておるのでございます。彼此勘案いたしまして、大体においてその業者の信用程度というものを測定いたし、債権確保の方法として、ただいま申し上げましたような具体的な方法をとれば、まずこの船主ならば長期で物を売ってもいいのではないかという判断をつけまして、それから具体的の折衝に入るという手順にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/14
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015・小林政夫
○小林政夫君 まあ、だんだんそういうふうにやって行く……、輸出入銀行のこの業務概況を拝見すると、カラチへ出張するほか、方々視察には行かれておるようでありますが、——どうしても諸外国へ、手足がゆるんでしまいますから、そうしないと十分に取引の実態、相手の信用というようなものについて、なかなか隔靴掻痒の感というか、——海外進出、店舗設置の意欲を、まあほしいなあというお気持はお持ちじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/15
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016・山際正道
○参考人(山際正道君) その点は、必要のございますことは御指摘の通りでございます。ただ従来私どもといたしましては、なるべく協調銀行、その他民間各種機関に協力してもらうことによりまして、できるだけその点をカバーして参りたいと思うのでございますが、まあパキスタンの例のごとく、非常に件数が多く、そこに固まるというような場合におきましては、やはりこれは専門の者を派遣しておきますことが、何かと、この債権確保の上に良好なる結果をもたらし得ると考えますので、それを実行いたしましたようなわけでございますが、将来ともさようにひんぱんに、こちらが利害関係を持って、常時周密なる注意を払わねばならぬ地域、たとえば今後はおそらく中南米等も問題になろうと思いますが、それらのものについては、必要に応じては、今パキスタンでやっておりますようなことをやる必要があるかと考えておりまするし、あるいはまた今後ビルマを初め、各地の賠償関係による経済協力のような問題が具体化されます場合に、やはりこれはそういうふうな必要も生ずるのではないかと実は考えておりますので、その関係上、本年度の予算におきましても相当額の予備費を御計上願っておりますので、必要に応じてそれらを使わしていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/16
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017・小林政夫
○小林政夫君 そこで私は、お耳に達しているかと思いますが、先般予算委員会で大蔵大臣に、一体輸出入銀行は当初は時限立法であった、それでだんだんその時限立法を、われわれがここで廃止して、今は時限立法でない状態でありますが、いつまで輸出入銀行という仕組みでやるのだということを質問をいたしましたが、当分輸出振興ということで、むしろだんだんもっと力を入れてやりたいと思う、こういうことでありましたが、すでに為替銀行ができて、日本の対外取引、金融取引については、おおむねモノポリーにやるという趣旨ではないけれども、為替銀行を、まあいわば窓口として使っていこう、こういう建前で、各諸外国に店舗を置いて、もし他の為替銀行、為替を扱う銀行と競合する場合においては、今の為替銀行に優先的に店舗を開設するというような特典といいますか、を与え、為替銀行として育成していくということになっておりますが、そういう外国の法律による担保を設定し、あるいはいろいろな信用調査等のことをやるについては、どうしても私は海外にある程度の、——それは非常にごく微量な件数だろうと思います。ともかくお話のような、取引の集中している国には、——駐在員もいるだろうし、その辺、常時市場開拓という意味からいっても、市況を正確に把握するという意味からも、窓口が必要である。そうすると、その機能は為替銀行とある程度重複してくるのではないか。また一方国内には長期信用銀行法ができて、その長期信用銀行法に基く銀行として興銀と日本長期信用銀行というのがありまして、また純然たる政府機関の開銀もある。こういう事態において、この輸出入銀行のあり方というものについて、私は相当考えてみる必要もあるのじゃないかといって大蔵大臣にも質問したわけです。こういうようなことになってくると、輸出入銀行総裁としての山際さんというよりも、金融制度のベテランとしての山際さんとしては、何かそこに将来の金融制度としてもお考えがあってしかるべきじゃないかと思うのですが、その点は何か御構想はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/17
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018・山際正道
○参考人(山際正道君) 私がお答え申し上げるのが適当であるかどうか存じませんが、私だけの考えで申し上げますならば、実は私どもは、そもそもこの銀行が必要とせられ、それを作られた当時の趣旨なり目的なりをいまだに順奉しているつもりでございます。と申しますのは、この銀行は申すまでもなく、市中その他通常の金融機関の機能の足らざるところを補完するというのが目的でございます。そこで、自来経営に当りましても、先ほどもちょっと申し上げました通り、できるだけ市中のそれらの金融機関に仕事をしてもらうという建前で、もうやむを得ないところだけをわれわれは直接にいろいろと働くというような方針でやって参っておるのであります。わが国全体の金融の建前から申しますと、私はこの種の業務は戦後に始まった一つの新しい金融方式ではないかと実は思っておりますが、御指摘のように、似寄りの金融機関といたしましては、為替銀行その他市中銀行、それからまた長期信用銀行、それらのおのおのの部分を寄せ集めたような一種の中間的な金融方式ということが、ちょうどこの銀行に今課せられている任務ではないかと思うのであります。そこで私どもは、極力事務の取扱いに関しましては、協調銀行であるそれらの銀行に対して十分な研究の機会、また修練の機会を持って参りまして、一日も早く、それらの銀行が単独で、自分の力のみで、この種の金融をやり得るように鋭意心がけているような次第でございます。遺憾ながら、当初五年間の時間を限っての立法でございましたが、正常金融機関の制度、活動、力その他が十分整うに至らず、一方、貿易振興の急務に押されまして、その五年という制限を一応はずしていただきましたけれども、銀行を設けられました趣旨そのものにつきまして何らそこに変革はなかったと見ておるわけでありまして、今後といたしましても極力民間の正常な普通の取引において、これらの業務が十分まかなわれていきますように、銀行といたしましても、その点については十分注意し、かつ促進いたして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/18
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019・小林政夫
○小林政夫君 それと関連して、この前だいぶんその法律改正のときにはわれわれも問題にしたのでありますが、やむを得ざるものについての直接貸し出し、これは融資残の中でどの程度の比重を占めておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/19
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020・山際正道
○参考人(山際正道君) 直接に貸し出しておりますものは、実はまだ一件もございません。それはいろいろの意味もございますが、先ほど来いろいろお話のございました通り、財源確保の問題からいたしましても、その他諸般の点から申しまして、やはり民間の各種の金融機関と協調いたしましたり、あるいは、こちらのほうで業者なりメーカーなどを通じまして金融するということによって、常時皆がその財源の確保に遺憾なきを期するような手段を講じたい、こういうつもりでやっておりますので、今まだ一件もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/20
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021・藤野繁雄
○藤野繁雄君 輸出入銀行が非常な皆さんの努力によって年々発展し、わが国の貿易上貢献しているということはまことに喜ばしいことと思いますが、二十九年度の予定損益計算と三十度の予定損益計算とを比較研究してみまするというと、二十九年度の予定損益計算では、国庫納付の引当金、本年度利益金というようなものも相当額計上してあるのにもかかわらず、三十年度においてはこれらの金額が全くないというのはいかなる理由であるか、これをお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/21
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022・山際正道
○参考人(山際正道君) 輸出入銀行の融資の条件といたしましては、国際的な競争の条件をよく見まして、むろん行き過ぎはなりませんけれども、これに十分対抗し得る程度の便宜を貿易業者あるいは製造業者に与えるという方針でやっております。そのために、この銀行が融資をいたします金利の点は、相当これは日本内地における金融よりは安くなっているのでございます。最低の金利は今年四分を出しております。ところが、その財源でございますが、政府からお預かりをするお金は、出資金としてお払い込みをいただいておりますものは、むろん利子はございませんが、相当部分を借入金に仰いでおります。資金運用部のほうにおきましては六分五厘の利子をお取りになります。それを拝借いたしまして四分ないし四分をやや上回る程度の金利で出しておりますものですから、そこで経営上は金利の面において損がいくわけでございます。それは要するに、資本金の部分と借入金の部分との割合によりまして利益が十分残るか、あるいは一ぱい一ぱいの経営であるかということになろうかと考えます。三十年度の予算といたしましては二百二十億の資金の手当をお願いいたしておりますが、うち百四十億は出資金でございますけれども、八十億円は借入金でありまして、それに対しては、今申します通り相当の逆ざやと見られる六分五厘を払わなければなりません。その関係におきまして、まあ、所要の内部留保に努めまして、まずまずそれでやっても一ぱい一ぱいで、遺憾ながら納付金までは出てこないということで、予算上そういう数字を計上いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/22
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023・藤野繁雄
○藤野繁雄君 ただいまのお話の通りであるといたしましたならば、今後資金をさらに多く要する場合になれば、さらに多く要するときに、借入金によってやるというようなことになってくると、赤字になってこなくちゃできません。結局輸出入銀行の将来の経営状態からいえば非常に不安な状態に陥ってこなくちゃできないという結論になりやしないかと心配するのであります。でありますから、そういうふうな心配がないようにするのについては総裁はどういうふうな対策をとればいいとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/23
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024・山際正道
○参考人(山際正道君) 私どもといたしてもお願いいたしたい点は、今後の資金増強はできるだけ資本金の払込みによっておやりを願いたいという点でございます。万やむを得ず資本金の払込みという方法がとれません場合には、どうかわれわれの経営上引き合う程度の金利の政府資金をお貸し願えるように御配慮をいただきたいと実は思うのでございます。一説には、普通の条件でお金を借りる、足りないところは補給金を出そうというようなお考えもあるやに伺いますけれども、しかし国際環視のうちにおいて銀行業務を営みます場合に、銀行が補給金を受けているというような姿は、いかにもこれは何か貿易のために無理をしているというふうな感じを与えます。それらの点もございますので、願わくは冒頭申し上げました通り、今後の資金手当はできるだけ出資金の増加によっておまかないを願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/24
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025・藤野繁雄
○藤野繁雄君 資金の回収は非常に順調であるということでありますが、また一方においては貸付金の融資期間がだんだん長くなっているということでありますが、融資期間が長くなっても融資の利子は期限通りに払ってもらっておるのであるかどうか、あるいは利益が少いということは、そういうふうなものが滞納になっているからというような点がないのであるかどうか、さらにお尋ねいたしたい思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/25
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026・山際正道
○参考人(山際正道君) 幸いにいたしまして現在までのところ元利滞りなく回収をいたしております。そのゆえに収支が窮屈になっておるという点はございません。ただ何分にもだんだん長期化される次第でございますから、今後その点につきましては一層注意をいたしまして努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/26
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027・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから、これは輸出入銀行から出してもらった資料と大蔵省から出してもらった資料とに資料に相違がある。例えて見ますというと、政府から出してもらった資料によれば、船舶の融資のパーセントは六一・八%であるのにもかかわらず、輸出入銀行のは五三・六%、それから繊維機械については、政府から出したのが二二・六%、銀行のは一七・六%、それから車輌については、政府は四・五%、銀行は一一・九%、こういうふうに非常に差がもるのは、何か資料をとられる際の相違であるかどうかという御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/27
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028・山際正道
○参考人(山際正道君) 私どもがお手許に差し上げました表の百分比は銀行開始以来の通計を分類いたしましたものでございます。政府のほうからお出しになりました資料は二十九年度の実績についての割合であったと考えます。それから生ずる差であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/28
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029・青木一男
○委員長(青木一男君) 山際総裁に対する質疑は他にございませんか……ないようでありますから、総裁よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/29
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030・河野通一
○政府委員(河野通一君) この際、きのうでございましたか、各委員の御質疑に、私、資料がございませんでお答えできませんでした点がございますので、この機会にお答え申し上げたいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
第一は、小林委員から、開発銀行の利下げによる収入減の影響はどうなっておるか、このウェートは電力と外航船によってどういうふうになっておるかという御質問でございます。これはいろいろ計算のやり方がむずかしいのでありますが、かりに電力について申し上げますと、七分五厘から六分五厘まで引き下げた、それを平年度に直して計算いたしますと、これが利下げによる収入減が十四億余り、こういうことになります。船の方は、これもまた計算の仕方が非常にむずかしいのでありますが、二十九年度の平均残高に対して七分五厘から一度六分五厘に下げて、その六分五厘からさらに三分五厘まで下げた、この二回にわたっておりますが、この両者を合せますと、平年に直して四十億数千万円という数字になります。従いまして、先般お答え申し上げましたように、一番大きな影響はやはり外航船の金利引き下げによる影響である、こう御了承をいただきたいのです。これはもちろん小林委員も御承知の通りでありますが、外航船の六分五厘から三分五厘まで下げたその差額の三分は、言葉は常に悪いのでありますが、出世払いということに相なっておるということだけを御了承をいただきたいと思います。
それから第二点は、藤野委員からの御質問に対してお答えが残っておりましたので申し上げたいと思います。一つは、開発銀行の延滞の特に多いものの理由を質問になったのでありますが、第一点は、見返資金の中で化学工業が特に延滞率が多いのはどういうわけかという御質問であったと思います。これは特殊な理由はないようであります。個々の会社につきまして一々調べましたが、たとえばこの中に含まれておりますものには、新薬品の製造、アルギン酸ソーダ、フェロニッケル、ヨード等の特殊なものがみな入っております。これらの個々の会社が、その会社の特殊事情及び一般的な経済の状況のあおりを受けまして業績が不振のために滞っておる、化学工業というものに特殊の理由というものは今のところは見出せない。それから御参考のために申し上げますと、今貸出残高として残っておりますものは、貸付総額十二億のうちの四億、その四億というのは、大体回収できるものはどんどん回収してしまってしわが寄っているところに残っておりますから、それに対する延滞の割合が高くなって出るということは一つ御了承いただきたいと思います。
それから第二点は、開発資金のうちで窯業が特に延滞の割合が多いが、これはどういうわけだという御質問ですが、これもお手元にございますように、貸付総額は十八億で、それに対する残高は五億になっております。従いまして普通は大部分は回収になっているわけであります。その残っておる五億のうちで一億ばかりが延滞ということになっておるのでありますが、この業種は耐火煉瓦です。製鉄関係の耐火煉瓦の関係でありまして、これは業況一般の影響を受けて割合に立ち直りが遅れたというようなこともありまして延滞になっております。しかし鉄鋼全体の業況が逐次立ち直って参りまするに応じまして、このうちの一億百万円のうち五千百万円は本年の五月に返済になっております。これはちょうど三月末の数字でありますが、五月に五千百万円返済になっておりますから、残りは五千万円という数字になっております。これを今申し上げましたようなパーセンテージで出しますと、大体一〇%、延滞率一〇%ということになっておりまして、決して少いことはございませんが、先ほど来申し上げましたような点から見ますと、これもそう特に目立った事情はないと、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
それから、ちょうど山本委員おいでになりませんが、山本委員からの御質問にこれもお答えが十分できておりませんでしたが、特殊の金利を出しておる業種に対しては貸出金のウエートはどの程度占めるかというお話でございました。大体六割程度だとこの間申し上げたのでありますが、電力及び外航船を合せまして二十九年度末における状況は七八%を占めておる、こういうことでございますので、この前の答弁は若干誤りがございましたので、訂正さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/30
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031・小林政夫
○小林政夫君 私はあなたに注文をしたわけではないのです。開銀の人に、この前、造船利子関係の問題の時にしたのですが、今の出世払いの分の経理は船会社にどういうふうにしてやらしておるのか。出世払いの今の六分五厘と三分五厘の三分ですね、その支払い利息の経理を未払金としてはっきり帳簿にあげて経理をさすのかどうかということについて、明確な答弁がなかったのですが、その後どうしておるのか、一ぺん調べて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/31
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032・河野通一
○政府委員(河野通一君) 承知いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/32
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033・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、
法人税法の一部を改正する法律案、
租税特別措置法等の一部を改正する法律案、
以上いずれも予備審査の三法案を一括議題として、ただいま衆議院大蔵委員会に提案され審議されております修正案について、便宜政府当局から説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/33
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034・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対しまする修正案の内容につきまして、便宜私から御説明を申し上げます。
所得税法の一部を改正する法律案に対しまする修正案でございますが、これは十五条の二から十五条の五までにつきまして所要の改正をしております。十五条の二は御承知のように不具者控除の裁定でございます。十五条の三は老年者控除の規定でございます。十五条の四は寡婦控除の規定でございます。十五条の五は勤労学生控除の規定でございます。これらは現在四千円に相なっておりますが、これを千円上げまして五千円にしようとしておるわけでございます。それから、これらの控除のうちに遺族等援護法二十三条の規定によって遺族年金を受ける者、それから遺族等援護法第七条の規定によりまして障害年金を受ける者、これらにつきましては現在六千円ということに相なっております。これも同じように千円を引き上げるということで七千円に改めるというのが修正案の内容でございます。これらの税額控除は、これは二十七年に設けられましてから、従来は所得控除でございました、税額控除に直りまして、それ以来四千円で現在まで据え置きになっておったわけでございます。所得控除は、御承知のように、所得控除額を引き上げますと、累進税率の高い方の適用を受けるところの人の方が、低い人よりも、所得控除を引き上げた場合におきまして多くの減税を受けるというようなことに相なるわけでございます。税額控除の方はどのお方に対しましても同じ税金を引きますので、いわば低額者の方に、一般の累進税率の考え方からいたしますと、低額者の方に所得控除の場合よりも有利になる、かような考え方ができるわけでございまして、そういう意味におきまして、これらの寡婦控除や勤労学生控除、老年控除というような控除は、低額者の控除という点から考えられておるという意味で、税額控除にしてあるのであると、私ども解釈しておるわけでございますが、そういたしますと、所得控除が引上げられまして、あるいは税率が軽減せられまして一般に減税が行われますと、税額控除自体は何ら変らないといたしましても、実質的には税額控除が引き上げられたと同じような作用を及ぼす、こういうような意味で、従来減税が行われたにもかかわらず、税額控除の方は据え置かれておったというように考えておるわけでございます。しかし寡婦控除等、特に低額者の所得税を軽減するというような趣旨で、今回の修正案におきましてはかような改正がなされたものと私どもは承知しておるわけでございます。
それから次に横書きでいろいろと修正いたしてありますのは、これは今の額の改正に伴いまして、別表の方の月額表その他の表につきましてもそれに伴いました数字の改正がなされておるわけでございます。最後の方に、「附則第八項第一号中「同年分の所得税額の計算上控除した」を「同年分の所得税額の算出の基礎となった事実に基き新法の規定により計算した」に改める。」となっておりまするのは、これは改正後の額を予定納税基準額につきましても及ぼすというような意味におきまして改正がなされておるわけでございます。
次は法人税法の一部を改正する法律案に対しまする修正でございますが、これは御承知のように、法人所得年五十万円以下につきまして三五%の軽減税率を設けようとするのが主眼になっておるわけでございますが、まず第一に、十条の三第一項の、いわゆる外国税額の控除につきまして修正がなされておりまするのは、今までは法人税率が一本でございましたので、外国税額を控除するという場合におきましては、所得の按分で、全体の所得の中におきまして、外国から源泉が生じた、こういう所得の占める率によりまして一応出しまして、そうしてそれに対応する税額を引く、かような規定でよかったわけでございますが、税率が二本になりますと、その外国から源泉が生じた所得に対応する税額といいますものがどの税率ではじくかという疑問が出てくるわけでございます。まあ、よくよく考えてみれば、それは按分で、三五になった部分と四〇になった部分とを計算いたしまして算出するということになるだろうと思いますけれども、規定上いささか疑問が生じてくる可能性もございますので、今回その点を、全体の税金を出しまして、そうして税金を所得の方の按分で出しまして、そうして外国の税額を引くというように、はっきりさしたというのがこの改正でございます。それから十七条の改正に関する部分の修正でございますが、これは百分の三十五の税率を百分の三十にすると、こうなっておりまするのは、これはいわゆる公益法人、それら特別の法人——第五条に、民法三十四条の規定により設立しました公益法人その他のいわゆる公益法人の規定がございます。それから第九条の六項に、農業協同組合その他のいわゆる特別法人の規定がございます。これらはいずれも現在三十五に税率がなっておるわけでございますが、これにつきましては、今回小法人の、いわば低額五十万円以下が三十五に引き下がるという点と権衡をとりまして、三十五を五%引き下げまして三十にするというのがこの修正でございます。それから百分の四十二の税率を二つに分けまして、年所得五十万円以下につきましては三十五、年所得五十万円をこえるものにつきましては四十、かように改められております。ただ、これは次のところに「前項第一号の場合において、事業年度が一年に満たない法人については、同号中年五十万円とあるのは、五十万円に当該事業年度の月数を乗じたものを十二分して計算した金額とする。」と、かような規定が挿入されておりますが、これは所得を年五十万円ということで押えましたので、六カ月決算というような場合においてはどうなるか、かような問題が起ってきますので、六ヵ月決算の場合におきましては、月数按分で二十五万円までで計算する、二十五万円までを三十五にすると、かような意味におきましてこういう規定が入っておるわけでございます。
それから清算所得につきましては、法人税率が一般的に四十二から四十に軽減されるにつきまして、四十六の清算所得の税率を四十五に改めておるわけでございますが、今回特別法人につきましても各事業年度の税率が引き下がりましたので、それに応じまして、特別法人に対しまする清算所得の税率の方も四十一から四十に引き下げるというように相なっておるわけでございます。
それから次のところの「第四十三条第一項中『事実に基く税額』の下に『として命令の定めるところにより計算した金額』を加える。」と、かようになっておりますが、四十三条の規定は過少申告加算税額及び無申告加算税額の規定でございます。過少申告加算税、無申告加算税は、過少申告いたしました場合におきまして、その過少申告の差額の部分につきまして加算税を加算すると、かようになっておるわけでございますが、その場合に、今回税率が二本になりましたので、それに三十五で課するのか四十で課するのか、かような問題が起ってくるわけでございます。従いまして、それは命令におきまして現在の方法をきめよう。実態といたしましては、たとえば所得が百万円本当はあった、申告が八十万円であったといたしますと、二十万円の部分につきまして過少申告加算税がかかるわけでございますが、そういう場合におきましては、五十万円以下の税率が三十五でございますから、その二十万円につきましては四十の税率でかかると、かように相なるわけでございます。ところが所得が三十万円であった、それを二十万円で申告した、かような場合においては、差額の十五万円はそれは三十五の税率の部分がかかる。いわばその分が上積みで計算になりまして、それに基きまして過少申告加算税を加算すると、かように相なるわけでございます。
それから附則第四項は、これは規定の整備でございまして、実体的な問題としては特に申し上げるべきことはないかと存じます。
それから「附則第五項を次のように改める。」と書いてありますのは、今回の修正に関連いたしまして、それをいつから適用するかという問題でございます。で、政府が改正を提案しておりました四十二を四十に下げるというのは、七月一日以降事業年度が終了した部分から適用することになっておりますが、今回の修正の部分は、十月一日以降事業年度が終りました部分から適用する、かようになっているわけでございますので、一応本文の方では、五十万円以下につきまして軽減税率を設けるという意味の規定を設けております。そうして一応その適用期間の附則の方で、この適用を十月一日以降にいたしまして、七月一日から九月末日までの間におきましては、やはり百分の四十でするというように規定いたしまして、この間の関係を明確にしているわけでございます。
次は租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対する修正案でございますが、まず第一条の第二条の六の規定は、これは配当控除の額の引き上げの規定でございまして、特別に説明するまでもなくおわかりかと存じますが、三十年分と三十一年分の所得税につきましては、所得税法の十五条の六の規定による配当控除額が所得税法では百分の二十五になっておりますので、それに配当所得の百分の五に相当する額を加算いたしました百分の三十にするということがこの規定でございます。
それから次の五条の四、これがいわゆる選択による概算所得控除の規定でございまして、相当各項に分れているわけでございますが、
まず第一項は、所得税法の一条第一項、いわゆる居住者と考えられております者の所得税につきましては、総所得金額、退職所得の金額、山林所得の金額、それの合計額の百分の五をその者の選択によって控除をする。で、選択があれば一般的に百分の五を控除するということに相なっております。その場合に、給与所得者につきましては、現在の所得税法の規定するところによりますと、総所得金額は給与所得の収入金額からその一割五分を引いた額が総所得になっておりますので、この場合も、総所得金額という規定のままにいたしておきますと、八割五分につきましてその百分の五と、かように相なるわけでございますが、これは給与所得者につきましていささか酷に失するのじゃないか、やはりこの場合においては収入金額というものを考えることが適当であろうという意味におきまして、給与所得者につきましては一割五分を控除する前の金額を基礎として引くということにしてあるわけでございます。それからその百分の五を引くわけでございます。この場合には、百円未満の端数があるときにはこれを切り上げまして、そうして納税者に有利になるようにこれは規定してあるわけでございます。それから一万五千円をこえる場合におきましては一万五千円にとめられているわけでございます。
次に、これらは選択によりまして控除を受けるということの規定になっておりますので、その選択する旨の記載が必要であるという意味におきまして、予定納税額減額申請書、七月予定申告書、十一月予定申告書、予定納税額更正請求書、確定申告書その他におきまして控除の記載をしなければならない。もし記載しない場合においては適用しないという意味におきまして、所得税法第二十五条の四第一項及び同法第二十八条の規定を準用すると、規定しておるわけでございます。
それから次に一項飛びまして、こういう選択がありました場合におきましては、所得税法の第十一条の三から第十一条の五までの、いわゆる所得控除の規定のうち、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除の規定を適用しないということになっております。それから災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する規定も適用しない。これは雑損控除と、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する規定とは、現在選択になっておりまして、雑損控除を選択するか、あるいは災害減免のほうを選択するか、これはどちらかは納税者の選択にまかされておるわけであります。従いまして、この二つの条項はいわば同列に立っておりますので、従いまして、所得概算控除の選択をいたしました場合におきましては、両方ともこの適用をしない。従いまして、三つのうちどれが一番有利かを考えた上で、納税者は選択していただく、かようなことになっておるわけでございます。そこで、このように所得控除のほうの適用の規定が排除せられておりますので、納税者が概算控除のほうの選択を一度やられた。ところが、その後、災害等が起ってきて、どうも災害減免の適用を受けた方が有利であったというような事態が生ずることもあるわけでございまして、ことに災害減免の規定は、七月の予定納税をしまして、次の十一月の予定申告の期限がくるまでの間において災害が起ったという場合におきましても、所要の規定の適用を受けられぬ問題がございますので、こういった点をも考慮いたしまして、そのような場合においては、選択の取り消しもできるというのが、いま一項を飛ばしましたその中の方の規定になっておりまして、一度選択した場合においては、災害により被害を受けたとき、その特別の事情が生じました場合においては、当該選択を取り消すことができる。取り消して、災害減免なら災害減免の方の規定の適用を受けることができるということになっておるわけでございます。
その次の項は、雑損失の雑損控除は、後年度に繰り越して控除するということができるわけでございますが、これは概算控除のほうの規定の適用を受けますと、雑損失はもう適用がないわけでございますから、従いましてその分の後年度の繰越という問題も起らなくなるわけでございます。その意味の規定の整理をいたしまして、カッコ書きで、概算所得控除の適用を受けたために適用が受けられなかったところの雑損失の金額というものは、後年度においてはもう繰り越されない、こういう意味の規定になっておるわけでございます。
次の項の規定は、これは条文の整理をやっておるわけでございまして、別に御説明をすることもないと存じます。
その次の規定は、給与所得者につきまして、年末調整によって概算控除の適用を受けしめる、かような規定で、少々複雑な条文になっておるわけでございますが、趣旨は、一万五千円に達しないところの社会保険料を支払っておる給与所得者につきましては、これは当然一万五千円までは選択することが有利になるわけでございますので、特別に選択という手続を経ずして、年末調整において一万五千円ないし所得の百分の五までの控除をいたしまして、そうして年末調整をするというのがこの規定でございます。で、それらの人が、もし雑損失その他の控除のほうが有利であるというような場合におきましては、医療費控除、雑損失の控除は現在確定申告において認めておりますので、そのような人は確定申告をお出しになって、そこでそちらの方を選択いたされれば、これは年末調整しましたところの額と差し引きいたしまして、そこで清算をするということに触りますので、この点は特に選択というような手続の煩雑を省略いたしまして、一般的に納税者に有利になるように控除をしてやるというのが、この条項でございます。
次の項は、これは、このような規定が設けられましたのに伴いまして、別表におきまして読みかえ規定その他の所要の規定が必要でございますので、その他の必要なことを命令に譲りまして、細部の規定を設けたいという規定になっております。
それから次の、「附則第三項中所得税については同法第十七条」云々という規定をしておりますのは、これは措置法の利子所得に対します附則の規定につきまして、この際、所要の整理をはかっているわけでございます。
それから次の附則の四項は、特別に御説明をすることはございません。
五項は、今まで申し上げましたことは、平年度の規定でございまするので、初年度におきましては、これを半額にするという意味におきまして、三十年分につきましては、所要の読みかえ規定を設けておるわけでございます。まず百分の五は百分の二・五、それから一万五千円は半額の七千五百円、それから概算所得控除を選択いたしました場合におきます医療費控除、雑損控除の適用が排除せられるわけでございますが、初年度におきましては、概算所得控除のほうが半分になっておりますので、残りの半分につきましては、医療費控除、雑損控除の適用を受けしめる必要がある、さような意味におきまして、半分だけは当然、雑損控除、医療費控除を受けさせまして、二分の一につきまして概算控除との選択を認める、かような意味の規定を設けているわけでございます。
それから六項、七項は、これは特別に御説明することはないかと存じます。
その次の最後の、読みかえ規定の最後に、相当長くなっておりますが、これは平年度におきましては百分の五または一万五千円のいずれか低い額と、かようになっているわけでございますが、初年度におきましては、これを、ただいま申しましたように、二分の一にするわけでございます。そこで年末調整に当りまして、先ほど申しました計算をいたします場合に、概算所得控除、選択等の対象となりますところの所得控除、すなわち医療費控除、それから雑損失の控除、これは三十年につきまして受け得るところの額、それから百分の五の額と合計いたしまして、その二分の一を引くと、かようにいたしておりますのは、先ほど申しましたように、いずれも二分の一ずつにするということになりまするので、医療費控除、雑損控除の年間の額の二分の一の額、それから百分の二・五の額との合計額を引いてやるということを、かような規定において表わしておるわけでございます。
その次の六項は、これも必要な事項を命令に譲っておる規定でございます。
それから七項でございますが、七項は、三十一年分の予定納税の基準額の算定につきまして、所要の規定を設けているわけでございます。三十一年分の予定納税の基準額はどうなるかと、これを考えてみますと、これは三十年分の確定申告の税額を基礎といたしまして、三十一年の予定納税をしていただく、かようになるわけでございます。そういたしますと、三十年分の確定申告は、概算控除額は半分、二・五%を受けた額で確定申告がなされておるわけでございます。それから、あとの雑損控除は年間の半分だけ受けてなされておると、かように考えられるわけでございます。その場合におきましては、二・五%を選択した人は、これは二・五%の方が有利であったから二・五%を選択しておられるはずでありますから、その人は三十一年分につきましては当然その選択せられた方の二・五%の方を基礎として計算すべきであろう。そういたしますと、これは三十一年につきまして五%になるわけでございますので、その選択概算控除額の二倍を引いて、予定の基準額を計算をする、そのような規定になっておるわけでございます。その場合にカッコ書きで、(譲渡所得、一時所得又は雑所得の金額があったときは、当該金額に係る部分として命令で定める額を減じて得た額)といたしておりますのは、これは予定納税基準額の計算上は、譲渡所得、一時所得または雑所得は除外されることになっておりますから、従いまして、それに相応する分は除外して計算するという意味の規定でございます。それから八項に、今回このような概算所得控除が設けられましたにつきましては、との法律が施行になります前に、三十年分の所得について決定を受けた、もうすでに税額がきまっておった、たとえば外国に行ったとかあるいは死んだ人というような、いわゆる準確定と申しておりますが、こういうような人につきましても、やはり三十年分の所得税として所要の軽減措置をしてやる必要があるという意味におきまして、かような人は、この法律の施行の日から起算しまして二月以内に政府に対して更正の請求をすることができるということで、所要の整理をしようとしておるわけでございます。
以上簡単でございましたが、一応内容の説明をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/34
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035・青木一男
○委員長(青木一男君) 質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/35
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036・小林政夫
○小林政夫君 今、選択控除制をどうして租税特別措置法でやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/36
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037・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 選択控除制につきましては、まだいろいろ議論の余地もございますし、まあちょっと本法へこのまま全部織り込むにつきましては、もう少し検討する余地もあろうかというような議論もございまして、一応とりあえず租税措置法で規定して、さらにこの制度をもう少し完備したものに、まあ、なるかならないか、疑問がありますが、さらに整理さした上で、本法に入れるべきものなら入れる、御承知のように、アメリカの選択制度、選択の対象になっておりますもので、ずいぶん項目がたくさんございますが、それに基いて一〇%の選択制度があるわけでございます。日本の場合におきましては、多少それと違った意味を持っているものでございますから、とりあえずは租税措置法に入れておいて、今度の税制調査会などの機会にもう少し検討した上で、入れるべきものなら本法に入れる、こういった意味の考え方が提案者にあったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/37
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038・小林政夫
○小林政夫君 それから、急ぎませんけれども、この税収見積りの計算したのがありますね、租税収入見積り……印刷になっておるのがあるでしょう、あれを一つこの改正案によって直してもらいたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/38
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039・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) かしこまりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/39
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040・小林政夫
○小林政夫君 それと、もう一つは、配当の利回りと、それから預金金利を全免したわけですね、預金利子に対する税を。その結果による所得階層と、また所得の質によってだいぶん違ってくると思うのですけれども、今度衆議院修正による配当の課税の修正ですね、変ってくると、それによるものとの配当の利回りと、預金利息の利回りといいますか、それとの比較を、ちょっとサンプル比較をやってみて下さい。まあ極端なことを言えば、配当だけの所得の人とそうでない人とだいぶ違うでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/40
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041・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 過去におきまして、今、小林委員の御要求になりましたような表といたしましては、たとえば百万円程度の所得があった人が、その上に配当した場合、あるいは二百万円の人といったように、ちょうど税率の区分がございます。その税率区分のあれに応じまして、一応たとえば六五の税率が適用になった場合と六〇の税率が適用になった場合、そういった場合における各利回りというものを出すことで、大体御要求に応じ得るんじゃないかと思いますが、それでいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/41
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042・小林政夫
○小林政夫君 その百万円なら百万円の所得が、その上積みになる配当があるならば、それでいいのです。百万円という所得が全部配当所得であるとした場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/42
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043・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) そういう意味におきましては、平均税率の問題になりますですね。平均税率の方を御要求なら平均税率の方を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/43
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044・小林政夫
○小林政夫君 平均税率というよりは、こういう仮定に基いて、これは非常に特殊な場合ですけれども、そういうことは税率で計算した方がいいか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/44
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045・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 従来われわれの方でよく作っておりますのは、要するに配当だけの所得でありますけれども、たとえば過去において持っている株式によって一応百万円なら百万円の所得があった、今度新しく十万円なら十万円あるいは二十万円なら二十万円投資しようとする場合に、一体これを貯蓄に向けようかあるいは株式に向けようかということで選択するとすれば、まあ百万円の上のその上積みになった分として超過累進税率のその率で税引きになったものを比較すべきであろう、こういうものの考え方が一応できるわけでして、その意味におきまして、一応超過累進税率の各税率を見まして、一五の税率が適用される場合から六五の税率が適用される場合において、それぞれの利回りがどうなるという、こういう計算などをやってみましたが、それが大体小林委員の御要求に、まあ見方はいろいろありますが、合うんじゃやないかと、…そういう表を出しましたら、ごらん願うときにそれをどう御解釈になるかということで、御要求に沿い得るんじゃないかと思いますが、そういう表なら出し得る。ただ配当の平均利回りをどう見るかという点については、これはちょっと議論があろうと思っております。現在の上場株式の平均利回りをそのままとっていいのか、たとえば電力株などは一割二分の配当をしておっても、額面を割っておるものはずいぶん高利回りになりますから、その辺、株式の利回りをどう考えて行っていいか、これはちょっと議論があろうかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/45
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046・小林政夫
○小林政夫君 その点は上場株の平均利回りを一応資料にして……。まあ今おっしゃったことでいいんですけれども、今度配当控除が違ってきますからね、前の百万円という所得が極端に言って配当だけであった場合には、多少、多少ではない、だいぶん違ってきますからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/46
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047・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) その関係では、この間、衆議院でいろいろ御論議になりましたのは、株式配当の所得だけでもって所得がなっている人の場合に、幾らの場合には所得税を全然払わなくて済むか、こういう数字があるわけでございまして、これは今度の改正税法で、政府原案でずいぶん変ってきましたし、またさらに修正によってそれが上ったことによってずいぶん変ってきましたが、この数字は別途議論になりましたが、ただ、今申し上げました表を作りますと、たとえば六五%の税率の場合の表におきましては、配当の三〇%が引かれますから、三五%の利回りとなる。百分の三十五ですね。こういうふうな計算で、一応、ごらん願えばわかるのじゃないかと、かように思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/47
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048・平林剛
○平林剛君 この所得税法の一部を改正する法律案のうちで、税額控除のことでありますが、十五条の二から十五条の五までの税額控除の方の四千円から五千円に引き上げた何か基礎がございますか。さっき、あなたの御説明では、この税額控除は低額者に対する措置と考えておって、今までの税制改正のときには行われなかったから、この際これを何とか引き上げるというような御説明があったわけでありますけれども、何か数字的な根拠というものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/48
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049・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 四千円を五千円に上げるにつきまして、二割五分上ったわけですが、二割五分上げるについて、直接的な根拠といいますか、こういう計算の結果こうなったという意味のものは、厳格なものはないと思います。ただ、まあ二割五分程度それがちょうど一千円程度と、この程度引き上げるのが一応この際としては適当じゃないかといった、非常に抽象的な根拠に基くものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/49
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050・平林剛
○平林剛君 抽象的な根拠というよりか、政治的な根拠と(笑声)こう言った方が早いかもわからない。
もう一つお聞きしたいと思うのでありますが、今度の選択控除の問題ですが、社会保険料をひっくるめて五%で操作してしまったために、勤労者が非常に割が悪くなった改正になったわけでありますが、私は何とかしてこれを、この改正をさらに改正したいという気持をもっておるわけですが、この段階になりますというと、かなりの財源の関係もあって、非常に困難になりつつありますが、一体、この社会保険料という字句を削除いたしましたならば、どのくらいのこれは減収になるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/50
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051・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは全所得者につきまして五%ないし一万五千円をやった場合の減収額から、ただいま四十億ないし平年度八十億と、こういっております額を差し引くことでございますので、今ちょっとここに、手元に正確な数字を持ち合せていないわけでございますが、一万五千円を限度といたしまして五%の控除をやった場合におきましては、平年度おそらく百五十億ないし二百億に近いような減収になるのじゃないかと考えておるわけでございます。そういたしますと、その差額といたしましても平年度七、八十億程度さらに減収が増加するのではないか。これはちょっと今正確な記憶に基いておりませんので、あるいは間違いがあるかもしれませんので、後日正確な数字を申し上げますが、ざっといたしました感覚といたしましては、そのような程度になるのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/51
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052・平林剛
○平林剛君 大体今まで、一般の国民の利益に関すること、特に租税の分担などにつきましては、今まであった恩典をなくすときには、何かこれにかわるべきものを与えて、そして、権衡をとるということが、私は当然の政治的配慮だと思うわけです。特に租税の負担をする場合においては、一そう、そういう考慮が必要でありますし、また一般的にはそういう配慮が今までとられておったと思うのです。特に今回税金の問題を論議するに当って、誰でも常識的には勤労者に対する税金の負担が重いということがびんとくるのでありまして、そのゆえに今回の政府の措置もここから私は出発すべきだくらいに考えておるわけです。ところが、今回は勤労者の一つの特典ともいうべき社会保険料の控除というものが、いろいろオブラートに包んで見えにくい形になっておりますけれども、実質的には、私はこの社会保険料という字句を削らない限りには、今回の措置というものは大へん租税負担の公平というものを害したように思うのでありますが、一体、今まで税制改正のときに与えてあった特典を削り取る場合に、今度のような措置をとったことがございますか、専門的にあなた方が携わっておって。私はこれは初めてのような気がするのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/52
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053・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 従来認めていたある意味のフェーバーを、その税法改正によってなくなすといったようなことは、決して、全然ない事例ではないと思っております。ただ、今度の事例でございますね、今の問題は、たとえば、シャウプ税制でもって生命保険料控除というのがとられましたが、これを全部やめてしまった。それからその後の税制改正でまた復活してきたと、こういった事例、これはまあ一つの事例で、これがこれと見合うかどうかは別です。まあ抽象的にそういう事例があるかという御質問に対しましては、そういったことがございます。ただ今度の社会保険料控除の今の御議論につきましては、これは衆議院でもずいぶん社会党の議員の方から御論議が出たところでございまして、それに対しまして、これはいずれ修正案の提出者が当委員会に御出席になるでしょうから、そのときいろいろ御議論が出ることと思いますが、われわれ伺っておりましたところでは、修正案の提案者は、現在ある社会保険料控除のフェーバーを別になくするものじゃないのだ、ただ、要するに、現在社会保険料控除のフェーバーを受けていなかった人、これもまあ、あるいは実際は社会保険料を払っていながらも、確定申告書に書けなくて受けなかった人もありましょうし、あるいはまた社会保険に入っていない、しかし病気にかかればやっぱり医療費は払わなくちゃならんという、そういった人もあり、そういう人は、この際さらにフェーバーを広げていくという意味で、現在の社会保険料の分を、たとえば一万五千円以上払っておれば、もちろんそのフェーバーをそのまま受けられるわけでございます。五%以上払っておりましても、もちろんそのフェーバーを受けられるわけであります。現在のフェーバーは、それを剥奪するものじゃないのだ、ただフェーバーを受けておった人に対しては、同じような意味におけるフェーバーを一定限度で与えようとしている、こういう趣旨であるということを提案者は盛んに言っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/53
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054・平林剛
○平林剛君 社会保険の恩典を受けなかった人に対しては、今度の措置はある程度救いの手を伸べたということになると思います。あなたと議論をしてもしようがない話ですけれども、現在の社会保険の料金の問題その他が議論されているときに、やっぱりこういう改正ということは適当ではない。私は今回政府の説明を聞いて、この選択控除を租税特別措置法の中に入れたという配慮は、やっぱりあなた方の若干の良心があったように思うのです。やはりこれは、将来もう一度、何か今度は数の力でまとまることがあっても、租税の公平というような面からいきますと、再検討しなければならんというふうに考えておりますから、その意味では、まあ、せめてもの措置だと思って聞いたわけですけれども、これにかわるべき何かの措置を政府当局の方で御検討になるという気持は現在ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/54
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055・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 今度の税制改正に関しましては、一応民自両党の修正案が出まして、そして政府もこれを承知しておるわけでございますから、この機会にこれにかわる措置とか何とかということを考えるということは、政府としては、するつもりはございません。ただ、先ほど小林委員の御質問にもお答えしましたが、一応今度の選択控除の問題は、いろいろまだ将来の恒久税制の上に取り入れていくについては、検討する余地もあるのじゃないだろうか。従いまして、大蔵大臣も税制調査会などを開いて大いに検討したいということを言っております。これは税制一般の問題でございますが、その機会におきまして、こういう選択控除の問題などもあわせて、これは各国の事例もやはり参照しながら検討すべき問題じゃないか。この意味においては政府として検討する用意がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/55
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056・平林剛
○平林剛君 私は、今の答弁は、どうもあなたの腹のうちと多少違っているような答弁をしているのではないかと思う。なぜかというと、大体との改正案が出る前は、あなたの方は今度の税制の問題については政府の提案をしたわけでしょう。あなたはその責任者として、一つの租税の原則に従って、負担は平等に、なるべく政府の政策を盛った形で一つの案を作り上げてきたわけです。ところが、自由党と民主党の諸般の事情からこういう改正案が生れてきた。その改正案を見れば、明らかに指摘できるように、一方においては、あるいは銀行利子に対する免税であるとか、配当金に対する税の措置をまたよい方向に持っていき、一方においては、勤労者の税負担の面においては、これは総額について言えば前よりはいい人もふえたことは事実だけれども、公平という面から見ると今までの概念をくずしていったものになりやせんかと思うのです。そういう点について何の考えも今持たぬということでは、今まで税のできるだけ公平な負担ということを中心に考えられておったあなたとしては、何だかどうも十分なお答えのように聞えないのですけれども、もう一度その点のお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/56
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057・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 政府提案の場合におきましては、三百二十七億初年度現在と、こういうワクで一応税制としては掲げております。修正案の場合には、さらに六十七億プラスされた。減税の幅が大きくなっておるわけです。従いまして、その減税の幅の大きくなった場合において、やはり今度は政府案と違った意味におきましてプラス・アルファの減税をすると、これはまあ一つの考え方があるわけです。その場合において、それではどういうふうな点においてその六十七億なら六十七億の軽減を配分するか、これが第二の問題に出てくるわけであります。そこで、今の撰択控除の問題でございますが、これはいろいろな考え方が私はあると思っております。従来におきましては、社会保険料控除というものを、これは昭和二十七年から実施してきた制度でございますが、それまではそういう制度はなかったわけでございます。昭和二十七年から社会保険料控除の制度をやった。それに対しまして、これは社会保険料を支払っておる人たちにはいい制度だが、しかし社会保健料を支払わない人には、これはやはり非常に不利な状態ではないか。この現状について、これはやはりそういう人についても一応の選択の上においてある程度のフェーバーを与えるべきだと、これが修正案の提出者の論議なのでございまして、結局、政府としましてもいろいろ検討した結果、一応それを一つの御意見として政府としても受け入れ承認したわけでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/57
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058・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御質疑がなければ、次に国有財産特別措置法の一部を改正する法律案(予備審査)を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/58
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059・藤野繁雄
○藤野繁雄君 この前要求した資料が出ておりますから、資料について一つ御説明を願いたいと思います。まず最初に第五条からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/59
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060・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) これは現在の特別措置法の第五条の第一項によりますと、地方公共団体から国に対しまして特定の用途に供する目的で寄付をされました財産がありました。その財産につき、国がその寄付の目的であります用途を廃止いたしました場合には、その寄付をした公共団体そのものが自分の公共の用に供しますかあるいはまた直接にその用に供する場合に限って譲与することができるということに相なっております。これは、実質から申しますと、まあ返還をするという趣旨のものでございますが、ところが、この現行法によりますと、直接に国に寄付をいたしました公共団体ということに限られておりますために、たとえば学校でございますが、市が学校の施設の一部を負担をいたしまして県に寄付した。従いまして、当初は県立の学校として運営をされておったのでありますが、それがその後の学制改革等によりまして、国の学校に変ってきたということに相なります。ところが今度また、国の学校に変って参りましたあと、教育上の必要からできるだけ設備を統合整備をするということに相なりますると、国が一たん受けました学校の施設が、国の学校としては不用に相なって参るという事例があるのでございます。その場合に、従来の法律によりますと、現行法によりますと、県には返還ができるけれども、自治体に、その財産を寄付をした市には返還ができないということに相なっておりまして、具体的な例として私どもの耳に入っておりますものは浜松市にこういう事例がございます。それからなお長崎県の大村と諫早でございましたか、そういう事例がございまして、何とかならぬものだろうかというふうな公共団体の方からのお申し出もございました。私どもいろいろ検討いたしました結果、これはまことに事情やむを得ないと申しますか、そういう措置の道を開くことが適当であろうということから、今度の改正案を提案をいたしましたわけであります。なお改正法によりますと、その後いろいろ市町村の境界の区域が変更して参りまして、寄付をいたしました団体そのものはいろいろなほかの町村に合併をされましたり、あるいはまた分割して新しい団体になっているというようなこともございまして、それらの間に適当な措置がとられるようにというのが第五条の改正案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/60
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061・藤野繁雄
○藤野繁雄君 第五条の改正案は、ぜひこういうふうにすべきものだというようなことで、大蔵省にもいろいろ過去において交渉をいたしたことがあるのでありますが、それが今回取り上げられて改正案が出たということは、まことに喜びにたえないのであります。ただ、これに該当するものがどのくらいあるのであるか。資料としてはただこういうふうなものだという大体のことを書いてあるだけでありますが、具体的に示すような資料があったらば、具体的にどこどこだということをお示し願いたいと思います。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/61
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062・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) ここで事例として書きましたものは、実は市当局から話を私ども聞いておりますものでございまして、中にはおそらく、これに該当するものでございますが、現行法でできないということになっておるものでございますから、やむを得ないというようなことで、私どもの耳に入らぬものもあるかもしれぬと思うのでございますが、そういうものをちょっと調べますにつきましても、公共団体にそれぞれ照会を発しなければならぬというようなことでございますので、取りあえず私どもの耳に入っておりますものを二、三の例として御提出をいたしましたような次第でございます。差しあたり全部を一覧にしてお目にかけるということはちょっとむずかしいかというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/62
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063・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから第二は、国有未利用機械の処理の問題でありますが、これもこの前資料をお願いいたしたのでありますが、未利用機械が、あるいは建物のようなものもありますが、これを処理するについては、学識経験者の意見を徴して処理をするというようなことなのです。しかし私どもの聞いておるところによりますと、この処理についておもしろくない問題が起った例も聞いているから、そういうふうなことがないように十分注意をされるでありましょうが、一体どういうふうな大体の手続によって処理せられるのであるか、大体の模様を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/63
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064・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) これは御承知の通りまだ相当多数の国有の機械が残っておりますが、これは終戦当時大蔵省が引き継ぎを受けましたものは約四十五、六万台あったかと思います。その中で、すでに機械として活用し得るものはそれぞれの処置を講じております。それからなお、これは占領政策の一環として、兵器製造所というものは、原則として破壊をするというような占領政策をとられまして、くず化をいたしたものも相当ございますが、それで昨年の十二月に一斉に調査をいたしまして、現状はどうなっておるかということを見ますと、残っておりますものが二十五万台ばかりございまして、そのうち駐留軍その他に貸付をして利用をいたしておりますもの、それからさらに所管がえその他の手続進行中のものを除きまして、未利用のものが約十九万二千台ということに相なっております。これらのうちで残すものとくず化いたすものとのふるい分けの手続でございますが、残す方のものといたしましては、すでに各省に、政府で使えますものは、当然これはくず化から除外すべきものでございますので、先般、各省とそれぞれのところに照会を発しました。これはもちろん従来といえども、ずっと、各省で使えますものについては、優先的に所管がえをして、経費の節約にも資するという考え方では来ておったのでありますが、さらに全般的に照会を発しまして、それぞれ、たとえば文部省関係で申しますと、学校、研究所その他で必要なものは、現地で機械の現物を見て一つ希望を出してもらいたいということで照会を発しておりました。これがそれぞれ各出先の方に文部省から通達が出まして、現地でそれぞれ調査をいたしております。
それからもう一つ、今度中小企業の設備合理化のために留保すべき機械としては、これは中小企業庁を通じまして、各府県の中小企業関係の部局に対しまして、現地の中小企業の組合その他代表者の方々等と協議をして、一つ現物を見た上で、中小企業向けとして適当なもの、これはマークをして報告をしてもらいたいということでやっておりまして、現在までに二十三府県ばかり報告が参っておりますが、そういう手続をやっております。
それからもう一つは、たとえば四日市でございますとかいうふうな、一括して転業することを適当とする施設でございますが、これは私ども自体で調査がある程度可能でありますし、また通産省等の技術関係部局の協力も得まして調査が可能なのであります。
あと残りました一番むずかしい問題は、そういうふうな特別の需要を満たすというものでなくて、やはり機械として使えるというふうなものの見分けをすることも非常に困難な状態でございまして、これは従来ともにやっておったのでありますが、まあ、くず化できるということでございますと、いつでもできるというふうな考え方もございまして、当然くず化していいような機械も、なおかつ保存されているような面もございますが、こういうものは割合簡単なのでありまして、ある程度現在の機械のその進歩の程度等も勘案しながら、主としては機械を使う方の方々から一つこの委員になっていただきまして、これは機械として使うことが適当かどうかというふうなことを、個々の具体的な機械について判定をしていただくという以外に実はなかろうかというふうに考えておりまして、財務局の職員も大変機械のことをやっておりますけれども、そこまでの判定の問題になりますと、なかなか能力はございません。そこで今度メーカーに依頼するということになりますと、これはまあ、どっちかというと、つぶしてしまえというようなことになっても、はなはだまずいことでございますので、むしろ使う側の判定を中心にしてやってゆくべきだろうというふうな考え方でいたしておるのであります。またその場合に、個々の判定といいますと、人によっては、それぞれまた主観によって違って参りますので、その辺はある程度統一的な基準ができれば作ってみたい。たとえば経過年数等をも耐用命数が一つございますが、それを超過したようなものについては、原則的にどういう扱いをする、それを見まして、経過年数は超過しておるけれども、機械が非常に特殊の機械であってというような場合には、個々に判定をしてもらうというようなことで、できれば統一的な、その一般的な基準を作りますと同時に、その基準を機械的に適用するということなしに、やはり現場で専門家の意見を十分に徴した上で決定いたしたい。これは、くず化してしまいますと、あとで取り返しがつかぬことになりますので、その辺は慎重にやって参りたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/64
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065・藤野繁雄
○藤野繁雄君 これは特殊の例でありますけれども、あるいはこういうふうな例が各県にもあるのだろうと思ってお尋ねいたします。それは問題は、まず具体的の事実から申し上げます。これは厚生省の所管で結核療養所です。それだから土地を使用しているのは厚生省です。それから土地の所有者は農林省なんです。そして農林省の土地を厚生省がどうやって使っているかということ、療養所を作る際に、土地を寄附せよ、そうしたならば療養所を作ってやる、こういうふうなことなのです。そこで土地は寄附しましょう、療養所を作って下さい、こういうふうなことで大体話がまとまったものだろうと思います。事実は存じませんけれども……。それで、いよいよそれならば土地の買収にかかろう、こうなって買収にかかってみるというと、大部分の土地は買収に応じたけれども、一部分の土地は法律によってどうしたって売り渡しができない、だから買収して政府に寄附することができなかった、こういうようなことなんです。その後、厚生省の方では、できるだけ早く買収して寄附してくれ、農林省にこういうようなことだから売ってくれ、こういうようなことを言ってみるというと、今度は時価でなくては売れないという、その当時の値段であったらばある一定の価格で買収ができたのでありますけれども、政府の都合によって買収期間を延ばした、延ばしたために時価が上ってきた、上った金で買収して寄附しなくちゃできない、こういうふうなはめに陥っておるところの地方がある。これは政府の所有のものであって、政府が使用しておるのだから、最初の予定したところの金額を地方団体が寄附したならば、国有財産の移管によって処理することが適当であろうと思うが、この点についてどういうふうにお考えか、一通りお尋ねしたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/65
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066・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) これはおそらく結核療養所のほうは一般会計だと思います、それから農林省が持っておりますものも、一般会計の財産でございますと、これは無償で所管がえができるわけでございますが、おそらくこれは農林省の開拓財産が何かではなかろうかと思いますが、そうしますと、特別会計所属の財産になっておりますので、現在の国有財産法の規定では、十五条という規定がございまして、それによりますと、「国有財産を所属を異にする会計の間において、所管換若しくは所属替をし、又は所属を異にする会計をして使用させるときは、当該会計間において有償として整理」しなさいということに相なっておりますので、有償の所管がえということになるわけであります。この有償の所管がえの有償というのは一体どういうことかと申しますと、所管がえのときにおける価額ということに相なりますので、現在、数年前から話がございましても、現在厚生省のほうに所管がえをいたしますということになりますと、現在の時価でやらなければならぬということに現行の建前では相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/66
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067・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今の問題は、交渉の当時の時価でやってくれ、それは交渉の当時その土地が移管ができなかったというのは、政府の都合で移管ができなかったのだ、原因は政府にあるのだ。しかるに、原因は政府にあるのにもかかわらず、おくらして土地の値段が高くなったから、時価でその土地を買うて政府に寄附しなくちゃできないということは、少しく無理じゃないか、こういうふうな問題なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/67
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068・窪谷直光
○政府委員(窪谷直光君) まさに私も何とかならぬものかという感じはいたしますけれども、これは国が売ります場合にも、売買でございますので、売買というものはお互いにいろいろな支障が排除されて合意が成立して初めて売買が行われるというふうなことから、おそらく何か農林省の方の開拓財産からはずすということについて、若干のいろいろな手続に、あるいは農地委員会にかけたり何か、そういう手続があったのじゃないかと思いますが、そういう支障が排除されて初めて国が買入れの申し入れに対して応じ得るということに相なりますので、従いましてまたこれもやはり私ども国有財産を処分いたします場合の原則として、契約のときの価額によるということに相なっておりますので、話は少し前にございましても、現実に契約を結ぶとき、これも現実に契約を結ぶときと申しましても、数カ月の、若干の開きはございますけれども、大体それに近い時点の評価価額によらなければならぬというふうなことに相なっておりますので、従いまして、そういうふうな事例につきましては、できるだけすみやかにそういうふうな手続をすることによって、お申し出の時期と、現実に売買契約を締結いたします時期との時間的な開きをできるだけ少くするという以外にはちょっと方法がない、こういうふうなことに相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/68
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069・藤野繁雄
○藤野繁雄君 これは特殊な事情だから、あとでゆっくりお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02019550622/69
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070・青木一男
○委員長(青木一男君) それでは本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。
午後三時五十八分散会
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