1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十九日(水曜日)
午後二時五十分開会
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委員の異動
本日委員白井勇君及び小柳牧衞君辞任
につき、その補欠として田中啓一君及
び最上英子君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 青木 一男君
理事
西川甚五郎君
土田國太郎君
平林 剛君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
藤野 繁雄君
宮澤 喜一君
小林 政夫君
杉山 昌作君
前田 久吉君
岡 三郎君
菊川 孝夫君
天田 勝正君
井村 徳二君
中川 幸平君
最上 英子君
衆議院議員
大蔵委員長 松原喜之次君
国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
政府委員
大蔵政務次官 藤枝 泉介君
日本専売公社監
理官 宮川新一郎君
大蔵省主計局法
規課長 村上孝太郎君
大蔵省主税局長 渡邊喜久造君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵省主税局税
関部長 北島 武雄君
日本専売公社総
務部長 小川 潤一君
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本日の会議に付した案件
○関税定率法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案(衆議院提
出)
○たばこ専売法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本専売公社法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○砂糖消費税法案(内閣提出、衆議院
送付)
○物品税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/0
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001・青木一男
○委員長(青木一男君) これより委員会を開きます。
まず関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
提案者より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/1
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002・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案の趣旨と内容を御説明申し上げます。
関税定率法の一部を改正する法律の一部改正については、別途政府から関税定率法等の一部を改正する法律案が提出されておりまして、目下衆議院大蔵委員会において慎重審議中であります。この政府提出案中には、従来暫定的に関税を免除されて参りました石油のうち原油、重油及び粗油の一部に対して軽度の税率で関税を復活することとする改正規定が織り込まれており、この改正規定を本年七月一日から実施することといたしておるのであります。しかしながらこの石油関税の一部復活ということはきわめて重要な改正でありまして、これが是非ないし当否に関しましては、今後なお日を重ねて充分慎重審議を必要とすると考えられますので、とりあへず六月一杯で切れる関税の軽減免除に関する現行法律規定の適用期限を本年七月三十一日まで一カ月間延長することといたしたいと考えまして、衆議院大蔵委員会におきましては全会一致をもつて本改正案を起草提出いたした次第であります。
なお本改正案による減収は約一億三千八百万円と見積られるのでありまして、大蔵委員会は本改正案の提案を決定するに際しまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、政府に対して意見を求めましたところ、政府においては、やむを得ない旨の意見を開陳せられました。
以上がこの法律案の提案の趣旨と内容であります。
何とぞ御審議の上、御賛成あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/2
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003・青木一男
○委員長(青木一男君) 質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/3
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004・小林政夫
○小林政夫君 この関税定率法の一部を改正する法律案のもとの政府提案は、衆議院へは、いつ付託されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/4
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005・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) 五月二十八日でございます。間違えました。提案は五月十九日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/5
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006・小林政夫
○小林政夫君 今日まで、五月十九日から本日、まあ昨日ですか、六月の二十七日、大かた一カ月半あるわけでありますが、かねて当委員会においては、また参議院としては、議長から衆議院議長に対しても、こういう期限の定めのある法律案につきましては、十分われわれにおいて審議の余裕を見て本院へ回付を願いたい、こういうことを再三にわたって申し入れをいたしたのであります。また、とのたびの国会になりましても、本委員会の委員長より、厳重にその点は貴委員会に対して申し入れをいたしたはずでありますが、いよいよ明日に迫ったこの施行……、まあ明日限りで何らかの措置をしなければならぬこの法案等について、昨日結論を出されて、そうして本院へ回付されるということについては、いかようなお心組みであったか。また、ただいま政府から提案された……、一応承わっても、衆議院においては十分審査される日数はあったと思います。その間の御事情はいかがなことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/6
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007・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) 貴委員会の御意向につきましては、実は正式にお申し入れを受けましたことは、本国会においてはなかったのでございまするけれども、各党を通じてさような御意思は確かに承っておりましたので、私どもといたしましては、極力貴意に沿うようにというので、相当努力をして参ったのでございまするが、従いまして政府から提出されました三十八件の法案中、十九件はすでに回付済みになっておるような次第でございまするが、なお税制一般との関連もございまするし、さらにまだ通っておりませんこの他の委員会との関係のございまするガソリン税法等との関係もございまするものでございまするから、従って遺憾ながら今日に至りまして、やむを得ずかような一カ月延ばすというような改正法案を提出せざるを得なくなったわけでございまして、この点はまことに委員長といたしましても遺憾に存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/7
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008・小林政夫
○小林政夫君 まあ遺憾の意を表されたのでありますけれども、なるほど正式な申し入れというのは、この国会になってからはなかったと……、あなたが衆議院の大蔵委員長に就任されてからは正式になかったというお話があったのでありますけれども、まあ一応常識的にお考え願っても、われわれとしてかなり審査の時間が要る。またそれは予備審査で、一応法案は回付されております。従って内容の検討等については、われわれは、やる余裕を持っておりますけれども、しかし最終的な参議院の意思決定をもちまして、それを万一衆議院から回付された案に対してわれわれが修正をするというような場合において、日にちの関係でなかなか間に合わない。従って実質的には、もう衆議院の意思通りに参議院は呑め、こういうことに相ねるのであります。この点は先般も、あなたの方の委員会ではなかったですけれども、補助金等の整理に関する法律を、衆議院において御修正になって、参議院に回してこられた。あの際も、衆議院の特別委員会の委員長、理事の方が見えて、ここで提案理由とか、いろいろ質疑応答をされたときに、私たちはもう厳重に、むしろ衆議院を代表して責任を持ってもらいたい、こういう日ぎりの法案については、参議院に十分審議の、意思決定の余裕を与えるように、相当の余裕を持って送り込んでもらいたいということを申し入れまして、以後そういうふうにいたしますという、こういう確約をなさってお帰りになったわけであります。大蔵委員長ではなかったわけでありますけれども、この関税定率法は、今おっしゃったごとく、地方道路税等との関係が多少ある、こういうことで向うの態度がきまらぬからというようなこともありましょうが、まあ、あったかもしれませんけれども、それにしても、地方道路税法にしても、相当の審査期間があるわけでありまして、もちろん政府提案の内容について賛否はわれわれも別であります必ずしも賛成するかどうかは別といたしまして、しかし結論を出して、意思決定をなさってこちらに持ってくるということについては、相当の日にちがあるわけであります。特にまた物品税法の一部を改正する法律案にいたしましても、施行期日は七月一日からのはずであります。それをまあ昨日にあなたの方で結論を出された、こういう問題に
ついてもわれわれは非常に不満なんであります。で、いろいろなまあ意見が多いであろうと思われるような法案について、えてして、そういう傾向があるわけであります。衆議院のほうにおいて長く抱ておられればおられるほど、いろいろな各方面からの意見が出て収拾がつかない、こういう事情があるのじゃないかと思うのでありますが、まあ参議院というものがあって、もう一回審査をするという憲法の建前でもあるし、どうかわれわれのほうにも十分な実質的な審議期間を与えるという意味において御協力をわずらわしたいし、今後さようなことのないように、一つ大蔵委員長としては御誓約を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/8
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009・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) お説、しごく、ごもっともなことでございまして、従って私は常に参議院の審議期間というものを考慮において衆議院の審議を進めなければならないという趣旨に従って、実は委員長としての仕事を進めて参っておるのでありまするが、ただ遺憾ながら各党各派の意思が必ずしも一致しかねるような場合も相当にございまするし、さらに他の法案とも牽連になっておるような場合に、どうしても思うに任せないとようような事情がございまするので、できるだけ御趣旨に沿うつもりでおりまするが、どうかそういう事情をも一つ御考慮いただきまして、あまり厳格にその点を私から約束させるというようなことは一つ御容赦を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/9
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010・小林政夫
○小林政夫君 それでは別の観点から聞きますが、実はこの国会になってからは、だいぶ政務次官に対してとか政府委員に対しても、いろいろそういう意味の、先ほど来申し上げるような意味の衆議院における審議促進について要望もし、希望もしましたが、そうきつい希望はいたしておりません。まあだいぶ前の国会においては、かなりわれわれ強く難詰をしたこともある。そのときわれわれの方の参議院側の邪推からいたしますと、どうもいろいろ問題があるような法案はなるべく衆議院において一回限りで、もんでもらって、参議院でもう一回もみ返すことをやめてもらいたい。そこで政府委員のほうもできるだけ衆議院にぎりぎりまで持っておいてもらって、参議院において修正の余地なからしめるように法案を参議院に送ってもらいたい、こういう気持があるのではないか。それならば実にけしからん、こういうので大分やったのでありますが、このたびについて、政府委員から委員長に対して法案審議の促進についていかような努力が払われたか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/10
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011・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) 政府当局におかれましては、ここに見えている藤枝政務次官を初めずいぶん努力をせられております。(笑声)
〔岡三郎君、「ほかの委員会より成績がいい方だから、半分通っているのだから、きょうは一つやめてもらいたい」と述ぶ〕
〔木内四郎君、「どうですか、本件の採決をされたら」と述ぶ、笑声〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/11
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012・小林政夫
○小林政夫君 努力されている、ほかの委員会より成績がいいといっても、これは施行期日があるのだから、それが問題なんですよ。だから党派を超越して参議院対衆議院の問題なんです。社会党左派の委員長だからというても(菊川孝夫君「お手やわらかに願います」と述ぶ、笑声)私はこうなると、努力されましたというけれども、どうも政府の努力も足らないのじゃないか。実際いかような努力を藤枝政務次官や政府委員がやられたのか。われわれの意のあるところは今度の国会になってもその都度申し上げているわけであります。こういう段階においてこういうものを突きつけられて、法案の内容についての賛否は別ですよ、実際に参議院の実質的な審議を拘束するというこの法案の扱い方については、政府も責任を負わなければならないと思う。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/12
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013・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) 各種の法案につきまして、衆議院の御審議の期間を十分にいただくように、衆議院が先議の法案につきましては、かねがねからその点を申し上げまして、審議の促進方をお願いして参ったのであります。政府のはなはだ力が足りませんで、このような形になりましたことは、まさに御指摘のように政府にも大きな責任がございますので、申しわけなく存じております。ただ衆議院で御審議になります場合にも、いろいろ関連の法案や何かの問題がありまして、内容の賛否を御決定なさるのに非常な時間のかかる場合もありますので、このようなことになりましたことは、政府といたしましては非常に申しわけなく存じております。ただ先ほど御発言がありましたように、むずかしい法案はなるべく衆議院だけで引き延ばしておいていただいて、参議院の審議期間を少くするというような不心得の考え方は絶対に持っておりませんことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/13
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014・小林政夫
○小林政夫君 大体以上で申し上げたいことは申し上げたわけでありまして、とれ以上言うと、何べんも押し問答をすることになると思うのですが、どうか衆議院においても良識によって、一つ今後とも参議院の審議を実質的に拘束しないように特段の御尽力御配慮をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/14
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015・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ちょっと今の衆議院の大蔵委員長から提案されました提案理由の中に、「政府においては、やむを得ない旨の意見を開陳せられました。」というのですが、これはやむを得ないというのはどういう意味のことであるか、ちょっとわれわれ了解しにくいのでありますが、この点について一つ主税局長なりあるいは政務次官からもっと具体的に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/15
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016・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) 昨日衆議院の大蔵委員会において、ただいまこちらへ配付されましたような法案を御提出になる点につきまして、衆議院規則によりまして政府の意見を求められました。政府といたしましては、実は一カ月延長するために一億三千数百万円の減収にもなりますことでありますし、また国会の会期もいまだ決定いたしませんで、とにかく明日限りで国会も一応会期が切れるというような時期でございますので、このような法案をご提出いただきますと、実は政府といたしましては、財源の関係から、またその後の取扱いの関係からいたしまして、非常にいろいろと問題はあると存じましたので、その点は申し上げたのでありますが、ただ国会の御意思がこれでこういう法律に落ちつかれたといたしましたならば、それにつきましては、その成立いたしました法律を忠実に執行いたしますという意味において申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/16
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017・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の政務次官のおっしゃられることはもう当り前のことでありまして、それは当然で、政府の出されたものがそのまま国会を通らないで修正になるということも当然でありますが、私のお聞きしているのは、こういうふうに一月延ばしておいたならば、再来月八月の一日からは、政府の原案通りに、すべて今心配になっているような点が、話し合いあるいは法律の修正とか条文の挿入によりまして、円満に政府の原案というものが大体において通るというような各党間の話し合いとかあるいは申し合せとかあって、その上でこう回されたのだから、これは一つくらいやむを得ない、こういうふうににとってお尋ねしたわけですが、今お聞きしましたようなその点の経緯をもう少し具体的に……。これは二つの面があると思うのであります。一つは、重油について関税を今まで免除されておったことによって利益を受ける面からは、これの継続方を強く要望してくる。また重油の圧迫によりまして今非常に、いろいろの条件がありましょうけれども、一つは重油の圧迫のために非常に不況にありまする石炭産業の方面からは、でき得るだけやはり国内の燃料資源を使って、国外から入ってくる輸入品については、ある程度の関税障壁といっては極端でありますけれども、調整のための関税をこの際かけてもらいたいという、こういう要望がありまして、それぞれ主張が相対立するのであります。関税の問題については、いつも両方からの反対的な陳情が出て参りまして、いつでも国会は取捨選択に非常に困るというのが率直に言って実情なんであります。そういうふうな面が一月間のうちに調整されて、政府原案が大体この両方の中をとったものであるから、この辺で落ちつく見通しのもとに一月間の調整期間をお置きになったのか。その辺の経緯をお聞きいたしたのですが、その辺で、一月間の調整期間のうちに話し合いもつくと、こういうふうに文面から今受け取ったので、それの経緯をお聞きしたわけでありまして、大蔵政務次官が言われる形式的なことは聞かなくても当然のことであると思います。その点お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/17
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018・藤枝泉介
○政府委員(藤枝泉介君) 石油関税につきまして、ただいまお話のありましたような両面のあります点を考慮いたしまして、実は政府原案のようなものを提出した次第でございます。ただいまの一月間に調整がとれる見込みがあってやむを得ないと言ったのかということでございました。これは今後の衆議院の御審議にもかかることでございますが、私ども政府側といたしましては、この間に調整をしていただいて、原案を御通過いただけるものというふうに考えまして、お答えを申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/18
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019・土田國太郎
○土田國太郎君 ちょっと、私、欠席いたしましてよくわからないのですが、今度の新課税の目的が、大した金額でもないようですが、収入にあるのか、あるいは石炭援助対策というような意味も含まれておりまするのですか、それをお伺いしたいのです。われわれ重油を消費しておるのでありますが、ずいぶん重油につきましては通産省あたりから施設がえを命ぜられて、大分犠牲を払っておる。今度は石炭がああいう不況の関係上、石炭援助という意味からされるのであった場合に、今度は重油だけでなくて、石炭施設をやるようにということになりますと、主ことにこれは迷惑をきたすので、民間人といたしましても困るような問題ができはしないかとも思われるのですが、その辺のところをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/19
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020・北島武雄
○説明員(北島武雄君) 政府で御提案いたしております関税定率法の一部を改正する法律案の中の重油関税の復活につきましてちょっと御説明申し上げます。実はいわゆる炭化水素油の関税につきましては、昭和二十六年の関税率の全面改正の際までは、原油、重油、粗油につきましては従量税でありました。一キロ七円ないし十四円の関税がかつておった。二十六年の全面改正の際に従価税一割に改正いたしました。これはもちろん国内資源といたしまして石油の生産は比較的わずかではございますが、国策としまして原油の採掘を保護しなければならぬことは道理でありますので、従価一割の関税を設定いたしましたわけでございます。ただその当時は、輸入の原油、重油は、タンカー運賃の関係から非常に高うございまして、このために一挙に今までの従量税で、インフレーションのためにほとんどノミナルになっておりましたのに対しまして、一割の関税をかけるということは、相当影響するところ大きいというわけで、国会で御修正になりまして、暫定的に免除するということになったわけであります。その後、毎年この免税につきまして期限の延長をお願いしてただいまに至ったわけでございます。その後、主としてタンカー運賃の大幅な値下りがございまして、そのために、輸入の原油、重油等の価格は著しく低落して参りました。一時に比べましてキロリットル当り約二千円程度も下った。そうなりますと、もともと基本税率といたしまして関税を一割かけることにいたしましたのに対して免税しておる理由が非常に乏しくなって参ったのであります。一昨年あたりからそろそろ炭化水素油の関税を復活しはければならない機運になったのであります。何分影響するところ大きいものでございますので、慎重を期しましてただいまに至ったのであります。一方、原油増産開発五カ年計画が政府において立てられておりまして、今後原油を五年後には年産約百万キロリットルにしようという計画でございます。この方面からもやはり関税を復活すべき機運にあったのでございます。ただいきなり一挙に原油、重油等の関税を復活いたしますと、たとえば水産用あるいは機帆船用等につきましてやはり相当響きが大きうございますので、差し当りは、石炭対策をも兼ねまして、石炭と消費面において競合するところの陸上のBC重油に対しまして従価八%の関税をかけることを目途にいたしまして、ただし海上用についてはこれを行政指導によって値上げさせない、従って関税の賦課によるところの値上げはすべて陸上のBC重油にぶっかけるという構想のもとに、平均的には重油に対して六・五%の関税をかける、同じような思想から原油に対し二%の関税をかける、こういうことになった次第であります。ごく簡単でありますが、政府の提案の趣旨をちょっと説明いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/20
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021・土田國太郎
○土田國太郎君 よくわかりましたが、今の関税部長の御説明のうちに、船の方、漁船ですか、これには行政指導で安くお売りになるというお話が今あったのですが、実質的にそういうことができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/21
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022・北島武雄
○説明員(北島武雄君) これは本格的に御審議いただきます際に通産省の担当の政府委員から御答弁願うのが適当かとも存じますが、私の存じております程度で一応申し上げますと、一般に石油の販売機構は他の物資に比べまして非常に整備されております。元売店から末端の特約店、代理店に至るまで、おのおの系統別に組織されておりまして、ことに水産用につきましては漁港基地別にちゃんとした機構がございます。この機構を通じて、行政指導によって、関税の負担を水産用等の海上用の重油には及ぼさないようにいたすことになっておるのであります。果してそれでできるかどうかというお尋ねでございますが、これにつきましては、すでに四月一日から、水産用のA重油につきまして一キロリットル当り七百円程度の値下げを行政指導によって行いました。当初は多少の円滑さを欠いた点もあるようでありますが、その後引き続き順調にこれが守られておるようでございます。こういう機構を通じまして、海上用の重油に対しては関税負担の影響を及ぼさせないということにすることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/22
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023・小林政夫
○小林政夫君 まあ政府の方はあとで聞くとして、提案者である衆議院側にお尋ねしますが、いろいろ御承知のように問題があることはわれわれも承知しておりますが、衆議院の方で、今の審議の段階では、重油関税復活の意見と、それから復活しない方がいい、このまま政府案には反対だと、こういう意見と、どういうふうな状況ですか。政務次官は何とか政府原案を一カ月以内に呑んでもらうようにいたしますということですけれども、現在の状況はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/23
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024・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) お説の通りでございまして、とれに賛成する意見と反対する意見とが今なお調整がついておらない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/24
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025・木内四郎
○木内四郎君 本案は一つ採決をされたらいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/25
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026・青木一男
○委員長(青木一男君) 本案は都合によって採決は延ばしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/26
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027・木内四郎
○木内四郎君 いずれ質疑は政府提案の法案を審議する際に内容について質疑をするということにして、これは衆議院で意見がまとまらないから延ばしたいという衆議院の意向も尊重して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/27
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028・青木一男
○委員長(青木一男君) 今の点は、なお、この問題について党として審議したいという党派がありますから、その結論が出るまで待とうと思います。しかしながら明日は遅くも採決に入ります。今の問題について質疑がなければ次に移りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/28
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029・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に日本専売公社法の一部を改正する法律案、たばこ専売法等の一部を改正する法律案、二案を一括議題といたします。
両案はいずれも衆議院において修正されておりますので、まず衆議院側より修正の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/29
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030・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) ただいま議題となりました日本専売公社法の一部を改正する法律案ほか一案に対する修正案につきまして、修正理由を御説明申し上げます。
この二修正案はともに今回の予算修正に伴うものでありまして、修正案の案文は御手元に配布いたしましたから、ごらんいただきまして、朗読を省略いたします。まず日本専売公社法の一部を改正する法律案に対する修正案について申し上げます。内容は、今回の予算修正による所得税及び法人税の減税措置によりまして、国税の収入額は初年度六十七億円、平年度約百四十一億円の減少が見込まれ、従って、これに応じて地方交付税におきましても初年度十四億七千四百万円、平年度約三十一億円の減少が予想されるのであります。
これに対する措置といたしまして、さきに日本専売公社が昭和三十年度タバコ専売特別地方配付金の財源として交付税及び譲与税配付金特別会計に納付することとしておりました三十億円にさらに十四億七千四百万円を増額して、四十四億七千四百万円といたそうとするものであります。
次にたばこ専売法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、御説明申し上げます。
との内容は、今回の予算修正に伴う国税の減税措置によりまして、昭和三十一年度以降の地方交付税額の減少分を補てんするために、さきに本法案原案におきまして、日本専売公社が売り渡す製造タバコの小売定価中には、当該小売定価の百分の六に相当する道府県タバコ消費税及び同じく百分の九に相当する市町村タバコ消費税を含むものといたしておりましたのを、道府県タバコ消費税の税率について原案「百分の六」を「百分の八」に改めることといたしたものであります。
なお、本修正により、三十一年度のタバコ消費税の収入見込みは、道府県分約百九十億円、市町村分約二百十四億円、合計約四百四億円となり、原案に比し約四十八億円の増となる見込みであります。
以上がこれら二修正案を提案する理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/30
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031・青木一男
○委員長(青木一男君) 衆議院側並びに政府に対する質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/31
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032・杉山昌作
○杉山昌作君 大蔵大臣お急ぎのようですから、さっそくこの際、大蔵大臣に御質問申し上げたいと思います。御承知のように、タバコというと、すぐ専売ということが頭に出てくる、専売というと財政上の収益を上げるんだと言う。従ってタバコの問題となると、すぐ財政上の益金を上げるということだけが、まあ政府側においても公社側においても、世間ではそれだけしか考えていない。そのためにいろいろなことをやってこられた。ところが実際地方を歩いてみますと、今日葉タバコの耕作は、耕地は少い、人手は余っているというような農村にとりまして、非常に農村振興といいますか、農業経済のために非常に適切な作物であるということで、地方では非常にタバコの耕作熱が盛んになっております。で、これは地方側からみると、財政専売とか、財政収益とかいう問題とは別に、地方産業という意味、あるいは農業経済という意味からみている問題だと思うのです。それと同時に、今日輸出を一生懸命やるということは、これはどの方面でも非常に必要なことでありましょうが、御承知のように、葉タバコというものは世界貿易において非常に大きな貿易量を持っております。従ってやりようによっては日本の葉タバコの外国輸出というようなことも、非常に大きな貿易量を持っておる状態でありますからやれるのじゃないかと思う。それで、これは養蚕というふうな輸出用の農作物が非常に衰えておりまする今日、タバコというふうなものを輸出することができれば、輸出の面だけでなく、農村の振興という面からも非常にけっこうなことじゃないかと思う。それで、専売公社も従来輸出の問題を取り上げておりますけれども、先に申し上げましたように、タバコといえば専売だ、専売といえば財政収入だ、これ一本やりでありますからして、輸出なんていう方面には非常に小さい関心しか事実持っておらないのであります。ところが今のように、タバコすなわち専売だ、専売収入だという一本やりの考え方を直してタバコにはそういう面はむろん重要であるけれども、さらにタバコ産業というふうに広く考える。専売の面のほかに農村の振興であるとか、外貨獲得とか、輸出増強であるとかいうふうな、財政面とは違った、産業、経済的な視野からタバコ事業というふうなことを、新しい分野を作っていくことが、この際、必要なことじゃないかと思うのであります。もっとも、そういうことをするには、今申し上げましたように、頭の切りかえを要するので、専売という頭だけじゃいかぬでしょう。経済、産業という方面にタバコ産業を活用するというふうなことで、これは公社の問題というよりも、むしろ政府の御方針の問題だと思うわけでございますが、それについて大蔵大臣は、今後うんと、そういう方面をやってみようというようなお考えありやなしや、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/32
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033・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、このタバコといえば専売、専売といえば財政収入を考える、これはまあ、ある意味においてやむを得ないと思いますが、しかしまた今お話のように、農業の多角経営の一つであり、特にまた輸出と関連が深い、こういう意味におきまして、お説のように、そういう面の助成といいますか、そういうことにも今後力を注いで、従来とも私は、それは、やっておると思うのですが、あるいはどうでありますか、御意見のように十分でない点もありましょうから、今後はそういう点も気をつけていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/33
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034・杉山昌作
○杉山昌作君 それからもう一つ、専売事業の問題ですが、専売公社の予算の形式といいますか、出し方なのです。これは御承知のようにいわゆる歳入歳出予算というそのものが中心になっております。ところが歳入歳出予算は、申すまでもなく、役所の経費の統制というか、経費規制ということが大体根本の考え方なのです。しかし一体、企業体の予算というときに、経費統制とか経費規制ということだけでやったら、事業は死んでしまう。どうしてもそれではいかんということは当り前だと思うのでありますが、やはり従来通り歳入歳出予算を中心にして、そうして、その事業計画であるとか貸借対照表であるとか、損益計算であるとか、いうようなものは、これは従たる添付書類になって来る。むしろ私はこれは逆にして、企業会計におきましては、歳入歳出以上の、経費の規制を頭へ置いたやり方でなしに、事業計画とか貸借対照表とか損益計算というふうなものを主にして、ただあれだけ大きな事業でありますので、やはり金の出し入れが金融にも関係がありますので、大体の金の出し入れというような見当をつける。あるいは内部におきまする経費統制の意味から、内部においてある程度の支出見込み、支出予算というふうなものを作るのはいいけれども、国会へ出す予算書はむしろ逆にした方がいいのではないかというふうに考えております。しかも出ております予算を見ると、専売公社の予算は項までで、以下がない。そして款がないから、せっかく国会でこれを審議いたしましても、款以下は大蔵大臣が勝手に流用ができる。で、国会へ出しておきながら、国会を通ったあとは国会の拘束を全然受けないで、全部大蔵大臣の認可によって流用ができるような出し方をしている。款がないのです。これは結局やはり、こういう企業だけに、こういうような歳出予算を作ることが無理だから、それを実際やっていく上にどうしても大蔵大臣にまかしてもらわなければならんからということで出たと思いますが、それと同時に、国会の審議権に対して非常に私は大きな点があるのじゃないか。国会にせっかく出しておきながら、出てしまったら一切がっさい大蔵大臣が項以下なら全部流用できるというような予算の出し方はないのじゃないかと思うのです。これは要するに、先に申し上げましたように、企業経営における予算を歳出歳入をもとにするというお役所的なやり方だからここへ、こう、芽が出て来たのじゃないかと思うのです。むしろ逆に歳入歳出予算を従たるものにして、そうして事業計画とか貸借対照表とか損益計算書というものを主たる予算にするというふうにお考えになる御意思がありませんか。承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/34
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035・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 非常にごもっともな御意見と拝承するのでありますが、まあ私の考えでは、逆にもっていくということはどうかと思います。しかし相当弾力性を与えるようなところがいいのじゃないかと、かように考えております。
それから款ですか、そういうものがない、こういうふうにお話でございました。これは合理化審議会に今聞きましたところは、一ぺんよく検討してまとめて、まあこの辺でよかろうというような結論になっておるようでありますが、こういう点につきましては、やはりいろいろな情勢の変化もありましょうし、なお検討を続けてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/35
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036・小林政夫
○小林政夫君 大臣ではちょっと何でしょうけれども、かねてからわれわれ主張しておった、予算委員会でもちょっと言いましたが、専売益金を税金の形で取るということを主張しておったのでありますが、今の審議会の議を経て国民が知らずに税金を納めたということから、われわれの言っておった、たばこ消費税的な税金、製造原価と販売価格を別にするという考え方を今度とらずして、それにかわるのに、予算の参考書類として原価計算表を添付された、こういうことでありますが、今後この会計を運営していって将来いろいろな問題が起って来ますが、ここにあげられた原価を越えるものは必ず益金と、こういうもので、少くともこの一年間はこの製造原価というものを基調としていく。直ぐには変えない。こういう心組みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/36
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037・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 小林先生が前国会当時から御主張になりました、たばこの益金の納付の仕方につきまして、税金の形で取ってはどうかという点につきましては、政府当局といたしましては、やはり先生のお説のように、税として確実に取れるほうがベターではないかと考えまして、昨年開催せられました三公社合理化審議会の専売部会の方に提案いたしまして、御審議を願ったのでありますが、御承知のように、たばこの専売制度というものは、国民、消費者がたばこを消費することによりまして知らず知らずのうちに税金を納めるようにすることが専売制度の妙味のあるところではないか。また、かりに税金相当部分と企業利益相当部分に分けてみました場合は、専売公社に残すべき基礎利潤に相当すべき額を非常に小さく押えます場合には、これをもう益金として取り上げるのとほとんど大差のないということに相なる。また原価の計算にいたしましても、原価のうちの主要部分を占めておりまする葉タバコの購入代金が、その年々の豊凶のいかんによりまして非常に支出額が上下いたしまして、はっきりした予定原価というものが立てにくい。こういうような点から、技術的にも税金として固定することが困難ではないかという慎重な御意見がたくさん出まして、一応今年度より実施いたしましたようなことにいたしたわけでございますが、一応のこれは措置でございまして、今後なおもっと合理化するために、この税金として適当な方法で取るというようね方向につきまして、なお検討いたしたいと考えておる次第でございます。なお、ここであけました原価以下になった場合は、これは当然益金部分がふえることに相なりますので、そのまま国庫に入ることになるわけでございます。かりに原価が予定しておりまして、原価よりも高くついた場合にどうするかという問題があるのでございますが、これらの立て方からいたしますれば、これは今年度の決算といたしましては、出て来た益金だけを国庫に納めざるを得ない。それ以上のものを追及することはできない。ただし三十一年度以降の予算査定に当りまして、無駄な経費がないかとか、あるいは原料代等について明年度厳格な査定をいたしまして原価の高騰を防ぐとか公社の経営能率を上げますとか、そういう点について十分政府としては監督を加え、公社も努力してもらう、こういう方向で、ただいまのところもっていきたいと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/37
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038・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、示された予定原価よりも上った場合でも、専売益金は予算成立と同時に払う、その場合には、来年度において十分合理化等について、コスト低減について努力を続ける、そして予定原価よりも安くできた場合に、もちろんそれだけ利益がふえるわけでありますから納付されるわけですが、これは本当に専売公社の企業努力でできた利益であると、こう考えていいのか、それほど確信のある予定原価なのかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/38
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039・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 一応過去の計数等から、これまでの物価の状況等を勘案いたしまして、一応立てた原価でございすまして、これで必ず参るという、そうしてまた、これ以下にとどまりまするならば、それは全部公社の企業努力によるものであるというふうに断定できるほど、確信のある予定原価ではございません。もちろんこの予定原価よりも原価の下りました場合には、公社の企業努力によるものもありましょうし、あるいは一般的な経済事情の変動によりまして自動的に生じた利益もあろうかと思うのでありますが、その辺の判断は結果を待ちましてさらに検討し、予定原価というものの立て方をさらに厳密に検討して、妥当なものにするように努力を傾けて参りたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/39
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040・小林政夫
○小林政夫君 この示された厚価の内訳の中で、原料費、材料費というものは、これは市価によって変動があるわけで、まあ市価ということがいいか悪いかは別として、一応情勢によってこの予算のときのような値段でないことが起ってくることが予想されるわけですが、私の聞いておる趣旨は、年度末にボーナス、特別賞与を出す、ここに平林君がおられますが、そういう公社と従業員との関係において、企業利益を分配しろというような問題のときに、今の原料費、材料費を抜きにした、まあ材料費は別勘定にして、あとの労務費、工場経費というようなものが、この予算に示されたものよりも安く上ったというような場合は、これは企業努力と見られる筋なのかどうか。もう一点重ねてその点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/40
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041・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 業績賞与の支給につきましては、常々問題が起りまするので、実は合理化審議会におきましても、また公社内におきましても、何らか一定の算定基準を作って明確にいたしたいという希望がございますのでありますが、御承知のように業績賞与は給与一般にも影響する問題でございまして、専売公社のみならず、電々その他国鉄との関係もございますし、実はこれよりも、予定原価、この項目よりも経費が落ちれば、この項目についてはそれだけの企業努力として業績賞与の基準にするとかいうような点につきましては、大分勉強してみたのでございますが、遺憾ながら最終的に結論を得るに至っておりません。従いまして、お示しの、このたとえば原料費を安く買ったならば企業努力に帰するか、あるいは材料費を安くするとか、このいずれの項目につきましても、それが安くなった場合、それが全部企業努力によるものであって、業績賞与の対象になるというところまで、はっきり申し上げかねる計数に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/41
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042・小林政夫
○小林政夫君 もう一つ、葉タバコ収納所の設備は一体どうなっていますか。今大分まだ全国的に足らないと思うですが、中には、それがないために、小学校を利用して、教室を利用して、収納最盛期には二、三日学校を休まなければならぬというような地区もあるやに聞いておるわけですから、今専売公社の現状として、収納設備はどの程度不足しておるのか。坪数及びこれから建てるとすれば、どのくらい金がかかるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/42
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043・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 現在専売公社の葉タバコ取扱所は、常設取扱所が五百十五ヵ所、うち社有のものが三百十ヵ所、臨時取扱所が四百二十三カ所でございます。従いまして、社有のものは三百十カ所、その他は六百二十八カ所ということになっておりまして、これは農協の倉庫でございますとか、今お話がありました学校教室でありますとか、耕作団体の建物等を賃借いたしておるわけであります。公社といたしましては、予算の許す限り、できるだけ公社所有のものをふやす方針で参っておるのでございますが、何分全般的な財政状況にかんがみまして、この方面に支出し得る予算もそう十分ではございませんので、公社といたしましては、公社側の収納品の回送の便否、経費の点等を彼此勘案いたしまして、ここにたとえばAなる地区に建てますることによって、相当これが利用度があるというようなところには、優先して新設をはかるというようなことをいたしますとともに、能率の悪い、同じ地区に、近所の地区に二カ所三カ所が並存しておるというようなところは、合併をはかるというようなことをいたしまして、整理統合をはかりつつ、必要なととろには、予算の許す範囲内におきまして、新しく公社有の取扱所を設けるという考え方で進んで参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/43
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044・小林政夫
○小林政夫君 それから、今の現状で、理想的に、学校等に迷惑をかけないで、こういうことで収納所を作る、施設をするとすれば、これは農協なんかの建物を借りているのは、これはかまわぬけれども、どれだけ費用がかかるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/44
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045・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 二十八年度におきましては、約九ヵ所買収いたしまして、二千六百五十万円を支出いたしましたが、二十九年度も二ヵ所ばかり買収いたしまして、ただいま公社総務部長の話によりますと、大体現状において支障なく運営できるという状況になっておる趣きでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/45
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046・小林政夫
○小林政夫君 現状において、もう学校等を使う必要はないと言い切れますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/46
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047・小川潤一
○説明員(小川潤一君) かわって申し上げます。今申しましたように、非常に工合の悪いところは地方局から申達させまして優先的にやっておりまして、今度も今御審議願っております予算が通れば、五、六ヵ所取ることによって、差し当り、まあそれは理想を言ったら限りがありませんけれども、まずまず今年はこれでがまんできるというところまで今御審議願っております予算で買い取っていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/47
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048・小林政夫
○小林政夫君 それでは大蔵大臣に特に聞いておいてもらいたいのですけれども、そういうように収納設備なんというものは一つの生産設備ですね。これをそういう窮屈なことにしておって、たとえば私は先般仙台に行ってびっくりしたのは、鉄筋コンクリートの実にりっぱな専売公社の工場が建っておる。あれだけあの工場にかけるくらいの金があるならば、収納所くらいできるじゃないですか。虎ノ門の本社にしても、これは、できてしまったごとだから、しょうがないのですが、実に堂々たるビルディングである。一体、企業経営の本質を間違っておるのじゃないか。企業管理なんというものは一番最後にやればよい、生産に直結して。しかも農村の児童の教育を阻害してまで収納設備に使っておる。この設備ですね、収納設備をほっておいて、実にまれなりっぱな管理設備を作っておるというような状態は監理官としてどう思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/48
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049・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 専売公社本社の庁舎につきましておしかりを受けました。はなはだ私事にわたって恐縮でございますが、実は庁舎の問題は、私、監理官の着任の前でございましたが、御指摘の通り、管理事務を行うための施設がりっぱなものが先にできて、必要な公社事業の運営のための施設が十分でないということがありましたならば、それは本末転倒であると考えます。ただ御指摘のありました仙台のたばこ工場につきましては、これはもちろん今後一部増築いたしまして事務所を作る計画があるようでございますが、ただいま建てましたのは、もうほとんど非常に古くて、一番古くて、工場能率の非常に悪くなっておりまする工場を近代化した点におきまして、虎ノ門にある専売の庁舎とは多少趣きを異にしておるので、まだ恕すべき点があるのではないかと考えております。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/49
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050・小林政夫
○小林政夫君 それはそうでしょう。仙台の工場のほうは、まだ恕すべき点があるということは、建て方だってこっちの方、今のような収納、よそへ迷惑をかけておる収納施設に使う金とあの工場建物を建てる金とは相当考えなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/50
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051・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 小林さんのおっしゃることは、非常に私、ごもっともと思います。私今度ひまができたら地方を回って歩きまして、そういうことのないように注意をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/51
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052・平林剛
○平林剛君 ちょっと大蔵省でも専売公社でもいいですが、資料を要求しておきます。専売公社が取り扱っておる葉タバコ収納所の地方局別の数、それからその収納所の賃貸先別、どういうところから借りているのか、学校とか耕作組合で買って建てたやつを借りるとか、いろいろあると思いますが、その種類別、もしかりに学校など買うわけにいきませんけれども、耕作組合が先に自分たちの金を納めて建てたものを買収するとしたならば、大体どのくらいかかるかという予算額、これを一つ一覧にしたものを提出願いたい。
それから委員長にお願いしておきますが、私は収納所の問題についても、またたばこ関係のことについても、若干の質問があるわけであります。しかしきょうの専売公社法の改正については、直接関係がありませんから、それに関する質疑を留保しておきます。適当な機会に当局を呼んで質疑を行う機会を与えてくれるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/52
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053・青木一男
○委員長(青木一男君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/53
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054・木内四郎
○木内四郎君 衆議院の委員長に念のために伺っておきたいのですが、今の専売公社法の一部を改正する法律案は、これは衆議院は全会一致で通ったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/54
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055・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/55
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056・木内四郎
○木内四郎君 そうすると、社会党の左派も右派もこの建前に同意されたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/56
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057・松原喜之次
○衆議院議員(松原喜之次君) 予算がすでに通っておる、その通った予算の跡始末でありますから、これに両派社会党も同調したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/57
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058・木内四郎
○木内四郎君 わかりました。それから私は監理官にちょっと伺いたいのですが、六号ですが、「前項の規定により公社が納付した金額は公社の昭和三十年度の損益計算上損失金に算入しない」ということはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/58
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059・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 現在の立て方から申しまするならば、専売公社といたしましては、主としてたばこでございますが、たばこの販売によりまして得ました収入金のうち、経費といたしまして必要としたものを損失といたしまして、その差額を一般会計に納付いたしております。昨年度創設されましたたばこ消費税は、これは経費として落しておるわけであります。今回三十年度を限りまして御審議願っておりまするように、衆議院で修正になりました金額、四十四億七千四百万円という金額を限りまして、政府の交付税及び譲与税配付金特別会計に納付いたしまして、これを財源といたしまして、たばこ専売特別地方配付金として配付するものとなったわけであります。本来から申しまするならば、たばこ消費税にかわるべきものと心得るのでありまして、来年度からは別の法律でもって御審議願っておりますように、地方税法に規定されておりまする百分の八を百分の九に相当する税金額が、たばこ消費税として専売公社から地方に納められまして、それは経費として落ちまして、残りが一般会計に入ることになっております。ことしだけが非常な中途半端な格好になっておりまして、税率が固定いたしておらない関係もありまして、これが直ちにたばこ消費税として公社の損失金に落すわけに参りませんので、一応益金として計上するわけでございますから、その益金のうちから四十四億を引いたものを一般会計の方に納める、こういう仕組みにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/59
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060・木内四郎
○木内四郎君 そうすると、この六号で損失金にして算入しないということは、その結果益金ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/60
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061・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/61
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062・木内四郎
○木内四郎君 そこで益金を二つに分けた理由ですね。この益金を二つに分けてある。自由に分け得るということになれば、差異がないということですか。三十億円丁と掲げてあったが、それを四十四億七千万円に上げたわけですね。こういう例を開き始めるときりがないように思いますが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/62
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063・宮川新一郎
○政府委員(宮川新一郎君) 先ほど申し上げましたように非常に異例の措置と考えておりまして、このような前例は努めて避くべきものと考えております。今後は公社関係につきましてはこういうふうなことはやらないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/63
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064・木内四郎
○木内四郎君 どういう目的でやったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/64
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065・村上孝太郎
○政府委員(村上孝太郎君) 私から補足的に説明させていただきますが、先ほども申し上げましたようにこの四十四億がたばこ消費税の身がわりであるということはその通りでございます。たばこ消費税ならば損金として落すわけでございます。その経過的措置といたしまして、本年度に限りましてこの四十四億のたばこ消費税のかわりに国といたしましては一般会計の財源を地方公共団体の財政の補てんに充てるために財源を譲与した、こういう形でやって参るわけでございます。このたばこ専売の益金と申しますのは、これはいわばたばこに関する独占権を公社に国が付与しまして、そのフランチャイズと申しますか、特許料的なものが一般会計に納付される、こういうふうに考えるわけでございます。その益金の一部を国が地方公共団体に対するたばこ専売特別地方配付金という形で別途の財源を作りまして、これを地方公共団体に譲与する。その関係でたばこ専売公社から直接に交付税特別会計に入れる。こういう形になっておるわけでございまして、こうした例はたとえば国の普通の国税でございますが、地方道路税という税を創設いたしまして、そのすべてが地方公共団体の財源に充てられるという性格から、租税収納資金から直接に交付金特別会計に入れられるのと、目的歳入としては同じ性格ではないかと思うのでございます。この大きな千数百億にわたります専売益金の一部を分けるという前例は、ただいま宮川監理官から申しましたように通常の措置とは申しがたいといいますか、一般会計の財源を守るという意味から申しますると、非常に特別な措置である、こういうようにわれわれも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/65
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066・木内四郎
○木内四郎君 私はこの専売益金をこういうふうに分けてやることはあまりいい例ではないと思うのですが、ただいま監理官からも主計局の方からもあまりよくない例である、前例にしたくないというお話しでありまするので、私はこれ以上申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/66
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067・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、二案の質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/67
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068・青木一男
○委員長(青木一男君) では衆議院側は御退席を下すってけっこうでございます。
これより二案を一括して討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言がないようでありますが、討論は終局をしたものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/68
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069・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。
まず、日本専売公社法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/69
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070・青木一男
○委員長(青木一男君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、たばこ専売法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/70
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071・青木一男
○委員長(青木一男君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は慣例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/71
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072・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、砂糖消費税法案を議題にいたしまして、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 実はきょう陳情を受けたのだけれども、大カン練乳用砂糖というのは今まで免税になっておったのに、今度復活させるかもしらん、こういうことを言っていますが、政府のお考えはどうなんですか。これは法律の問題じゃないらしい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/73
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074・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 大カン練乳の問題、これはわれわれの方でも現在問題にしております大カン練乳と申しますのは、石油カンのような大きなカンに入って売買されている練乳のことでございますが、大体練乳につきまして砂糖消費税を免除して参りました趣旨は、主として育児用の練乳についてこれに使う砂糖を免除する意味だというふうにわれわれは考えております。従いまして育児用の家庭で消費されます砂糖であります限りにおきましては、これはおのずからカンに限度があるわけでございまして、従いましてこうしたカンの砂糖を免除するということにつきましては、われわれもカンに入る練乳についての砂糖消費税を免税する、これはまあ厚生省の方ともいろいろ話し合っておりますが、われわれはこの制度を続けていくことについては別に異論を持っておりません。ただ大カンで、大きなカンで売られている練乳は、その消費されている実態を見て参りますと、おおむね菓子の原料に使われております。ほとんど全部が菓子原料に使われているというふうに申し上げても差しつかえないように思っております。従いまして戦前は、そういうふうな大カンの練乳につきましては砂糖消費税を免除することをしておりませんでした。大カン練乳についての砂糖消費税を免除することになりましたのは、特に終戦後でございますが、練乳の供給が非常に不足いたしまして、やはりどうしても大カンでもって運んで、まあ各戸に適当に分ける、配給時代の遺物と申しても過言でないと思っております。そういうような意味からいたしまして、これを続けていくということについては、本質的な意味からしますと、どうも現在としましてはその意味を失っているように思っております。ただしかし他面現在の畜産工業といいますか、そうした点を考えて参りますと、御承知のように牛乳の値段が相当下っている。それの製品が下っている。こういったようなことが現実の問題として目に見えてきておりますので、従いましてそうした過去の、まあ遺物と申しては言い過ぎかもしれませんが、遺物的な存在になっているものにせよ、今にわかにこれを廃止しますことにつきましては、そうした練乳工業の方の影響も十分考慮しなきゃならぬじゃないだろうか。そこで実は本日も農林省の畜産局長ともいろいろ話し合ってきたわけでございますが、まあ畜産局の考え方としましては、至急粉乳にする設備を作りたい、で、そういうふうにして現在の牛乳につきましての処理のやり方について新しい方途を講じたい、従ってそれと見合いながらとの措置を、まあ廃止するということに考えてもらいたい、こういうような話でございました。従いましてその時期をどういうふうに考えていくかとか、こういう問題につきましては、いろいろな問題がございます。農林省の希望している線と、われわれがこの辺までは待てるけれども、それから先は無理じゃないかという線とは、現在のところまだ意見は一致しておりません。従いまして、さしあたりましての措置としましては、とりあえず政令で定める日までは従来の措置を続けていこう、それでいつをもってそれじゃやめることにするか、これはやはりある程度ゆとりをおいてやらなければならぬと思っております。きょうやめることにきめたから、もうあしたからいかんということでは、これは業界もとても対処できないことですから、従いまして、本日までのところではちょっと両方の意見の一致をみませんものでしたものですから、非常に恐縮ですが、窮余の策として一応政令で定める日にしておきまして、その政令で定める日をいつにするかということは、至急これは話をつけてきめようじゃないか、で、やはりこれは一定の期日、めどをおきまして、片方の練乳工業との事情も考えながら、一応の期限をおいて、そしてその日限りでもってこの大カンの措置は、もう免税することはやめる、こういう措置に持っていくべきではないか、現在政府の方で考えておりますのはそういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/74
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075・藤野繁雄
○藤野繁雄君 小林委員の質問されたのと同じ問題でありますが、御承知の通り、日本では蛋白資源が少いために国民の健康上も非常に重大影響を及ぼすのであります。こういうふうな蛋白資源の資源としては、現在政府においても畜産の奨励をやっているのでありますから、この畜産の奨励に応じてできたところの牛乳の処理に対しては、政府は相当責任を持ってこれの育成強化に努めなくちゃできないのであります。もしもこれに課税をするというようなことになって参りますというと、練乳の生産が減じ、練乳の生産が減ずるということは、一方においては畜産の奨励に反比例するということになってくるのであります。でありますから、また農林省との打合せが済んでいないというのでありますが、すみやかに農林省とも協議して、日本の食糧問題の解決、蛋白資源の解決、こういうふうな方面に万全の策を講じていって、こういうふうな方面に遺憾のないようにしてもらいたいという希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/75
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076・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 蛋白資源の供給確保につきまして、その必要性を認めることにつきましては、われわれも人後に落ちるものと思っておりません。ただ、今申しましたように、大カン練乳が実際どういう方面に消費されているかといえば、これは菓子原料に消費されている、こういうことははっきりだれしも認めているようでございまして、そうしますと、それに使う砂糖消費税をまける、免税するということは、どうも筋としては通らないのじゃないか、ただこれを先ほども申しましたように、そういうことは筋が通らないにしろ、その面からいえば筋が通らないにしろ、急にそれをやめる、それはすぐに練乳工業に影響し、畜産業に影響する、従ってやはり一応の準備期間をおき、徐々にこれをやはり正常な姿に戻す、それによって藤野委員の御心配になっておる、そうした産業の面にも大きな変動を与えないという点につきましては、われわれもそうした配慮が必要じゃないか、こういうふうに考えておりまするが、大体御趣旨の点はわれわれも同じような気持でおります。ただ具体的にそれじゃどういう程度の猶余期間をおくべきか、これは今農林省とよく相談をしておりますので、その結論を待ちまして実施に移すことにしたい、で、当然ある程度、政令で公布し、それを実施するまでの間には、やはり一応の猶余期間がおけるような、準備期間がおけるよう宏措置をとりたい、その意味におきまして、いつ頃まで認めていくかということにつきましては、今農林省と相談をいたしておりますが、御趣旨の点につきましては、われわれとしましても十分考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/76
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077・藤野繁雄
○藤野繁雄君 私はこの前の委員会の際においてもお尋ねしたのでありますが、どうも御答弁がまだ正確でなかったのでありますから、再びお尋ねするのであります。自家用砂糖の免税の数量、それをどのくらいの程度におかれるのであるか、明らかにしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/77
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078・渡邊喜久造
○政府委員(渡邊喜久造君) 結論から先に申しますと、一人あたり年十五斤というくらいの数字でいいじゃないかというふうに思っております。多少敷衍して申しますると、普通の家庭消費の量でございますと、大体月一斤ぐらいの消費になっておるように思います。それからしますと十二斤という数字も出るのでございますが、これは御承知の通り黒砂糖でございますし、まあ黒砂糖を使っておるようなところにおきましては、普通の家庭消費と多少違った意味の、菓子がわりといっては語弊がありますが、多少そうした意味の消費もあるようでございますので、大体年十五斤、今考えておりますのは九月一日ぐらいのデーターをとりまして、と申しますのは、製糖期が大体十二月ぐらいから始まります。やはりそれと多少ゆとりのある前の時期をとりまして、製糖業者の間から、家では大体家族が九月一日現在で何人いるということを、一応税務署のほうに申告してもらいまして、その人数によって事後一年間の分といいますかに自家用としてそれだけ消費しましても、それには砂糖消費税をかけない、九月一日をとりますと、その後において年間を通じてみますと、あるいは家族が殖えたり減ったりということもあろうと思いますけれども、百斤四百円、一斤四円の税金でもございますから、一応その辺のところでは、これはプラスになるとともあれば、マイナスになることもあるわけでありますから、大体九月一日現在の家族の数で押えまして、一人について年十五斤ということでやったらいいじゃないか、現在政令の案としてその程度のことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/78
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079・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御発言がないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/79
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080・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/80
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081・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。砂糖消費税法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/81
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082・青木一男
○委員長(青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと思います。それから多数意見者の御署名を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/82
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083・青木一男
○委員長(青木一男君) 次に、物品税法の一部を改正する法律案を議題にして質疑を行います。
なお本件につきましては過半参議院逓信委員長より大蔵委員長に対してテレヴィジョン受像機およびラジオ受信機に対する物品税引き下げに対する申し入れがあったことを申し上げておきます。なお、聞くところによりますと、衆議院におきましても逓信委員長から大蔵委員長に対して同じような申し出があったそうでございますが、大蔵委員会は、それにもかかわらず、原案通り可決して当院に送付しておる次第でございます。このことを申し添えておきます。
別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/83
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084・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/84
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085・小林政夫
○小林政夫君 賛成いたします。取りあえず賛成いたします。
物品税については、かねて申し上げている通りでございます。本来は減免さるべきであると思います。しかし少くともかりに行うとしても、さらに品目について検討すべきものもありますので、今国会の会期もある程度延長されるようで、その間に衆議院等においても、適当な善処があるものと期待して、取りあえず本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/85
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086・青木一男
○委員長(青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/86
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087・青木一男
○委員長(青木一男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。物品税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/87
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088・青木一男
○委員長(青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 青柳 秀夫
前田 久吉 土田國太郎
小林 政夫 岡崎 真一
木内 四郎 藤野 繁雄
最上 英子 中川 幸平
井村 徳二 杉山 昌作
岡 三郎 平林 剛
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/88
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089・青木一男
○委員長(青木一男君) 明日は午前十時より委員会を開きまして、残った関税に関する法案の採決をいたしたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十八分散会
————・————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214629X02519550629/89
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