1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十一日(火曜日)
午前十時四十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小笠原二三男君
理事
伊能 芳雄君
石村 幸作君
小林 武治君
赤松 常子君
委員
伊能繁次郎君
西郷吉之助君
高橋進太郎君
安井 謙君
岸 良一君
島村 軍次君
秋山 長造君
中田 吉雄君
若木 勝藏君
松澤 兼人君
有馬 英二君
深川タマヱ君
政府委員
警察庁長官 斎藤 昇君
警察庁刑事部長 中川 董治君
法務省人権擁護
局長 戸田 正直君
労働省婦人少年
局長 藤田 たき君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査の件
(人身売買の現状並びに取締状況に
ついて)
○銃砲刀剣類所持取締令等の一部を改
正する法律案(内閣提出)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/0
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001・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 委員会を開きます。
本日は、まず地方行政の改革に関する調査中、警察行政に関する件といたしまして、人身売買に関する現況並びにその収締り状況について調査したいと存じます。
政府側から出席の方は、齋藤警察庁長官、中川刑事部長、戸田法務省人権擁護局長、藤田労働省婦人少年局長が見えられております。資料がお手元に出ておりますので、順次簡単な御説明を願ったあとで、質疑を続けたいと存じますが、いかがですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/1
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002・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) では、さよう取り計らいます。
まず警察庁の関係につきまして、齋藤政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/2
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003・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 人身売買の事項は、社会情勢を反映いたしてでありましょうが、警察といたしましては相当取締りに力を入れておりまするが、どうもあまり減少するような傾向は見えないのをきわめて遺憾に思っております。警察といたしましては、あらゆる機会、あらゆる情報をつかまえまして、人身売買に関係があると考えられる事件はできるだけ力を入れて調べることにいたしておるのであります。昭和二十九年中におきまして、被害者として検挙いたしましたものは五千百十一名でございます。昭和二十八年に比べますと三十八名減少いたしておりますが、しかし被害者の届といいますか、側から見ますと、被害者が千三百八十六名も増加をしておるというような状況でございます。お手元にお回しいたしました資料で大体御了解が願えることと存じまするが、われわれといたしまして一番苦慮をいたしておりまするのは、やはり何といいますか、家庭の状況等からいわゆる正当な職業を求めたい、また求めさせたいという要求につけ込みまする悪い周旋人、あるいはこれに類するものというものとの間に行われまするいわゆる人身売買事件が多いのでございまして、被害者側から見ますと、人身売買という感じを持たない。しかしながら実際よく今の法例に照らしてみても、また実質的に見ても、人身売買的な事柄が行われておるという事態が非常に多いのであります。その間におきまして、いわゆる被害者と、それから人身売買の被疑者といいますか、これとがときによると経済的な利害が一致しておる。道義的に見てまことにけしからぬことであるにもかかわらず、金銭的な、あるいは利益的な面において利害が一致しておるという面が相当多いわけでありまするので、さような意味合いから、実際の人身売買というのはわれわれの統計等にあがってくるものより以上に相当多いのではないだろうかというように見ておるのでございます。
詳細の点は御質問に応じまして、お答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/3
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004・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) では、次に戸田法務省人権擁護局長に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/4
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005・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 人権擁護局のいたします仕事は、御承知のように憲法に規定されております国民の権利義務、いわゆる人権保障の規定に関する面でかなり広い意味を持っております。人権擁護局で取り扱います事件のおもなものは、公務員による人権侵害、この公務員の中には、警察官等によるもの、教育職員によるもの、刑務職員によるもの、税務職員によるもの、その他の公務員によるもの。それから私人による人権侵犯事件、この中には人身売買、村八分、差別待遇、私刑、いわゆるリンチでありますが、酷使、虐待、労働権の侵害、強制、圧迫、その他のいろいろの事件でありますが、かように大別して事件を取り扱っております。その中で人身売買につきまして、お手元に簡単な資料でございますが、御配付いたしておりますが、最近の人身売買事件の取扱い状況を申し上げますと、昭和二十六年が百十九件、昭和二十七年が百五十七件、昭和二十八年が百五十五件、昭和二十九年が二百二十五件、かように毎年上昇いたしております。その他事例として二、三あとの方につけてございますので、これはお読み願いたいと思いますが、人身売買という言葉でございますが、これは法律的な言葉ではございませんので、一体人身売買ということはどういうものかということについて一定されたものけないかと思うのであります。ただ私の方では一定の前借金で一定期間人身を拘束するというようなものを大体人身売買と、かように解釈いたして事件を取り扱っておるようなわけでありますが、人権擁護局といたしましては取締りをいたす――取締りあるいは捜査の仕事を専門にいたす所でございませんので、人権擁護局として取り扱います事件は、主として申告によるもの、その他新聞によって情報を得たというような場合のみに事件を取り扱っておりますので、事務局の取り扱いました件数も、先ほど申し上げたような程度の範囲でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/5
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006・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 次に、藤田労働省婦人少年局長に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/6
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007・藤田たき
○政府委員(藤田たき君) ただいま人権擁護局長からお話しのありましたのと私どもの方は比較的似ておりまして、取締りというものには権限として第一に当たる所ではございませんで、調査、啓蒙ということが私どものいたしますおもな事事になっております。それでございますので、私どもといたしましては、昭和二十三年のころからいろいろとこの人身売買――私どもの方では不当雇用慣行と申しておるのでございますが、この人身売買についていろいろと調査をいたして参ったわけでございます。その調査の、お手元に差し上げましたものの一番初めに書かれておりますのは、これは資料調査でございまして、各官庁によって把握せられましたものを私どもの方でいろいろと研究し、まとめたものでございます。このころにはあまり各官庁によってこういうような統計がございませんものでしたから、これを皆様方のところにお送りいたしまして、これによっていろいろと啓蒙していただいたりするというようなものに作ったわけでございますが、ここにございます通り、第一回から第五回まで私どもとしてはいわゆる資料調査をいたしたわけでございます。これはもちろん十八歳以下の年少者についてでございます。書いてございます通り、そうしてその中でもすべてがこの数字の中にとらえられているわけではございませんで、まことに氷山の一角にすぎないと思うわけでございますけれども、この資料調査によって把握された被害者数は、ここにお示しいたしました通りでございます。そこで一つ御注意いただきたいと思いますのは、男と女の数が非常に違っておることでございます。女の方が多いわけでございます。そしてその女の人のうちの大多数がいわゆる淫行関係に売買せられておる。これは非常に重大なことでございますのを一言申し上げさしていただきたいと思います。
第二ページに書いてございますところの、実態調査によって把握された被害年少者数と申しますのは、これは一昨年初めて調査のための予算が、わずかでございますけれども与えられましたので、資料調査でなく、実態調査をしなければほんとうのことはわからないと思いまして、実態調査を始めたわけでございます。すなわち、小学校や中学校で長欠をいたしておりますところの人たち、それからまた中学校を卒業いたしましてから三年の間、どこに行ったかはっきり勤め先がわかっていない、その勤め先が危ないというような人たち、そういう子供たちを対象といたしまして、人身売買を未然に防ぐというような目的をもって、この調査を去年東北に、今年九州に、そしてまた三十年度の予算には関東甲信越地区を調査さしていただきたいと思って予算をお願いしてあるわけでございます。ここに出ております数は非常に少いのでございますけれども、私どもは実態調査の関係において東北の調査をいたしましたときには二百三十八名、九州調査に当りましては八百五十八名の人を対象といたしまして、いろいろと実態調査をいたしたわけでございます。そして出ました数字はまことにわずかで、ほんとうに不当雇用に該当する者が、東北調査で十四人、一応合法的な形をとって、実態は不当雇用の場に置かれているという者が四十一名、九州の場合は、不当雇用に該当する者十九名、一応合法的な形をとって、実態は不当雇用の場に置かれている者が三十八名でございましたが、こういう人たちを私ども発見いたします。その過程におきまして、調査だけでなく、啓蒙もいたしておるわけでございます。そういう親や本人や、勤め先の人々に会いまして、その間いろいろと啓蒙をいたしたわけでございます。
次のページに、婦人少年室及び同協助員の連絡活動の事例として五、六あげておきました中に、たとえば長崎の婦人少年室長が人身売買らしいということを発見いたしまして、その対象者の北海道の婦人少年室長が追いかけて、それから青森の方に移っているというので、青森の婦人少年室長がその子供を探しあてまして、そしてその子供を東京まで送り届け、東京の駅長などの非常な助力を得まして、その子供を長崎まで送り帰し、そしてその子の望んでおりますところのパーマネント業の仕事を覚えさすというふうなこと、そういうのは珍しい一つのケースにすぎませんけれども、そういったように、婦人少年室は取締りの権限はございませんけれども、啓蒙いたしましたり、保護いたしましたり、相談相手になってやるというような事例は、一年に二、三十は持っておりまして、そのうちの、ことにここに出しましたのは、実態調査をいたしまして、その過程において見つかった事例を出しておいたのでございますが、そのほかに、婦人少年室にかけこみ訴えなどがございますので、そういう人たちに対しましてはできるだけ指導をいたしております。それから一般の大衆に対しましては啓蒙をいたします。それは、また自分の身を売ることが親孝行というように考えておりますものですから、そういった間違った考え、また子供を売ることが親の権利のように考えておる、それに対して啓蒙いたしているのでありますけれども、何分にも人数は少うございますし、予算もきわめて少うございますので、思うことの万分の一もできない状態でございまして、まことに相済まないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/7
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008・高橋進太郎
○高橋進太郎君 今国警長官並びに各関係者から人身売買の問題をお聞きしたのですが、私は、人身売買を大きく分けますと二つのカテゴリーになると思うのであります。一つは、私らの方にも関係があるのですが、たとえば南京小僧などといって、南京袋の着物を着て、そうして特に漁村などで労力の不足から子供を買い取って、そうして漁村の労働不足を補うというような、そうした慣行から少年の売買が行われる、こういった、何と申しますか、制度的にも根強いものか特に東北にあると思います。まあそれはそれとして、あとお聞きしたいと思うのですが、もう一つの問題は、いわゆる婦女子が売春というもののために取引の対象になっていかれる。そこで、私はいつでも不思議に思いますのは、たとえば殺人であるとか、麻薬であるとか、こういったようなものについては比較的検挙がすみやかに行われ、また非常に法の罰則というものも厳格にやられるにかかわらず、その売られていく婦女子から見ますれば、精神的にも、また肉体的にも、ほとんど自分の一生を俸に振る、こういう形において売春がやられているにかかわらず、それを取り扱う者、すなわちボスと申しますか、あるいは業者と申しますか、あるいはその中にあって中間的に、たとえばそれらの女の頭をはねて、そうしてあるいは着物を買ってやるとか、あるいは身のまわりのものを世話してやるとか、しかもそれは普通の市価よりも二倍なり三倍なりで売りつけて、そうしていわゆる借金のかせでどうにも動けないようにしていく。まあある意味から言えば、人のからだをだしにして、ちょうど窃盗と同じじゃないかというふうに考えるわけなんです。この間私の町で、そば屋で五百円の無銭飲食をした、こういうので、初犯であるにかかわらず懲役六カ月、執行猶予にたりましたけれども、まあ厳重な法の拘束を受けて、そういう判決を受ける。要するに、わずか五百円ぐらいの無銭飲食ですらも法の厳罰がふるにもかかわらず、人のからだを基礎にして何万何千というふうにもうけたものについてはどうもあまり看過されておるじゃないか、言いかえるならば、私は売春ということよりも、それを基礎にして中間搾取と申しますか、いわゆるせっ盗にひとしいことをやる、あるいは殺人にひとしいことをやる、あるいは麻酔剤を売ることと同じようなことをしている。そのことについて、どうも新聞なりあるいは各秘の情報等から見ますると、警察が果して、取り締っているのかどうか、あるいはもし取り締れないとすれば、そこに何らかの法の欠陥があるのかどうか、どうもその点か明瞭でないのであります。せっかく公娼制度か廃止されたけれども、まあ公娼のときにはむしろ警察の監督というものが厳格であって、比較的あるいは守られた、そうするとかえって公娼制度を廃止したためにそういうものが地下へもぐって、しかも警察というものがほとんどどうも見て見ぬふりをしておる。ただ、思い出したようにときどき検挙する。こういう何か一つの慣行的な形において社会から黙認されておるというふうなこの形、その警察とこれらの犯罪事実と申しますか、これらの事実等が、一体法に欠陥があるのか、取締りというそのことか何か困難なのか、よく売春の問題を聞きますと、今国警長官が言われたように、どうも売春と本人の利害と一致する場合があるのたとこういうことを言っておられる。私もそれは売春婦自体について見ますれば、売春するにはいろいろな理由もありいろいろな原因もあって、これはなかなか簡単にいかんと思うのです。いかんけれども少くともしかしそういうものを、何と申しますか、他人のからだを土台にして、そうして早い話がどろぼうに等しいような行為をし、殺人と同じような行為をし、傷害罪と同じようなことをしていながら、ほとんどこれが刑法上の問題にならぬというところに何か一体欠陥があるのか、その点を一つ国警長官にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/8
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009・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 私の感じといたしましてはかように考えます。たとえば窃盗とか強盗とか、これはその被害者はたれもどこまでも加害者を検挙してほしいという意欲があります。ところが今のような人身売買の事件になりますると、先ほども申しますように、あるいは子供を売ろうとする親、それからそれを買おうとする人、それから子供の中にはこれが家を救う一番いい方法だというように考えている、これは考えの間違いでありましても、現実にさように考えておる者もある。ことに大きくなって参って、二十才以上になりましても、むしろこの商売をやっている方がいい、それをやるのにはこういう契約で入っている方がいいというように思い込んでいる者が相当多いのであります。結局これらは何といいますか、いわゆる法が許していないにもかかわらず、そこに契約が成り立ってやっておるという事態があるわけであります。これが他の犯罪と非常に違うゆえんだと私は思います。従いまして、親なりあるいは本人なりが、自分の意思に反してこういうことをやらされているというようなことを訴えてくるなり、また警察が探知いたしました場合に、はっきりそのことの事実を話してくれますと、事件の検挙は非常にやさしいのでありますが、警察がこれは明らかな人身売買だとして検挙に着手いたしましても、いわゆる悪周旋屋、これによって利益を得ているという者も、それからそれによってからだを提供している者も、できるだけその事実を隠そうとして、そういう事実はないと言う、そういうような事柄が実際面として非常に多いのであります。これらがわれわれとしまして検挙に非常に苦労をする私は隘路であると考えております。従いまして、こういうことが人間の一番尊い人権を尊重するゆえんでないという、そういった意識を国民的にもっと高めてゆくということが一番肝要ではないだろうかと、かようにわれわれ取締りに当っておるものといたしましては、感を深くいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/9
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010・高橋進太郎
○高橋進太郎君 私は、国警長官のお話を聞いてなるほどと思ったんですが、どうも私はやはり国警長官の検挙の考え方、あるいはこの種の犯罪捜査に対する態度というものが従来の個人主義的な、要するに何と申しますか、自分自身がそれを容認しているからそれは相手の犯罪をも容認するのだ。従ってあまり検挙の端緒としてもつかみにくいし、またほかの犯罪とも違って、本人がそういうような状況で早い話が好きこのんでやるのたからと、こういう考え方からきているのじゃないかと思うのです。しかしこれは私は非常に個人主義的な、要するに十九世紀の古い刑法的な考え方で、私の申したいのは、理由のいかんにかかわらず、とにかく人のからだを、本人が承諾したにしてみても、本人のからだ、あるいは本人の弱い立場を利用して、先ほど申し上げました通り、中間搾取的な、あるいは人の一生を踏みにじるというような、そういうそれ自体の社会的な犯罪性と申しますか、社会的なそうした現象というものはどこまでもこれは個人の意思というものをこえて、やはり取り締ってゆくところに法の社会性というものがあると思うのです。今の国警長官のお話を聞くと、いかにそれが社会的な犯罪であっても、個人々々がそれを容認しているならば、それはそれでいいじゃないかという考え方というのがおかしいのじゃないか。従って、実際は個人々々もそれは弱い立場にあるから容認したかのごときカモフラージュをするけれども、もっと取締り官庁というものはそうした弱い立場のものをこえて、社会正義的な観点から、こうした中間搾取的な、あるいは人のからだを利用して金もうけしようというそのこと自体をもう少し取り締っていかなくてはならないと思うが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/10
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011・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 私が申し上げましたことが非常に誤解を招いたと存じますが、私としては、警察としてそういうつもりでやっているという趣旨ではございません。高橋委員のおっしゃいますように、これは私は人権に関する基本的な問題だと思っております。警察といたしましては、こういった事件の検挙に全力を注ぐべきはもちろんであります。また現に注いでおります。しかしながら、ただいま申しましたように、取調べに当っての隘路がそういうところにあるということを申し上げたわけであります。実際検挙をし送検をいたしますのには、そういった証拠がそろわなければならぬわけでありますから、これを証拠をあげることが他の犯罪とは違って非常にむずかしい点があるという点を申し上げているのであります。決して、個人と個人の間が満足をしておりましても、しかし社会的に見て許すべからざるものは、これはどこまでも厳重に取り締り、社会正義と申しますか、これの確保に当らなければならんことは当然であり、またそれに重点置いておりますことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/11
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012・高橋進太郎
○高橋進太郎君 この問題を抽象的にいろいろ論じ合っていてもしようがないのですが、国警長官、どうですか。かみしもを脱いで一つお話し願いたいと思うのですが、たとえばそうした赤線区域といいあるいは青線区域といっても、昔の公娼時代たち監督なり何なりがあって、ある程度までそうした中間ボス的な、あるいは中間搾取的なものも是正されるという形になっていましたが、今は実際の実情はどうなっているんです。組合なら組合というものに一応まかせて、そうしたものでやって、あるいは警察があれなんですか。とにかく公然の事実になっているんですから、そうしたものに対する警察権との関係、そこらのところはどんなふうなやり方をしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/12
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013・西郷吉之助
○西郷吉之助君 関連して。さっきの長官の説明がありましたが、たとえば上野の駅、ああいう所で家出娘がいる。これはアサヒグラフに実態の写真か出たり、こういうことは公々然と行われている。そういうことが上野の駅の例をとっても、そういう常習者というものは管轄の警察が知らぬというはずはない。もし知らぬということになればそれは非常に怠慢なのであって、東京の上野駅なんというものは、そういうものの常習者の仕事場みたいになっている。そういうものを所轄警察というものは常習者はわかっているはずだ。そういうものをなぜもう少し具体的にやらぬか。今、岡橋委員の御質問に長官が説明されたけれども、取り締りにくいということばわかるのですけれども、常習者というものは相当おって、上野駅なんというものは有名な所なんです。そういう所をなぜ峻厳に取り締らないか。そういう具体的なことについて御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/13
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014・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 赤線区域等における取締りでありますが、これはその組合長とか何とかいう、そういうものにまかしておるというようなことは、これはございません。警察といたしましては、そこでいわゆる淫行が行われるというような事態に対しましては、これは区別なく取り締るべきはもちろんであります。ただ御承知のように、最近そういった場所が非常にまあふえて参りまして、そこで、そういう何といいますか、現行犯を検挙するということが非常にむずかしくたっております。あるいは旅館等の取締りの法規も御承知のようなことになっておりまして、警察官の臨検の権限もありませんし、令状がなければ中へ入れないという状況でありますから、これらにつきましては非常に苦慮いたしておるのであります。できるだけそういうことをなくするように、警察としましても限りのあることでありますから、まあ重点的に住宅地域とか、あるいは学校の近辺とか、そういう所にそういうような業態がはびこらないように、あるいは警らその他の警察活動を用いて留意をいたしておりますが、十分の成果を上げまして、そういう業態が一掃されるという状態になっていないことは非常に遺憾であり、また申しわけないと考えております。西郷委員のおっしゃいますように、まあ上野駅は新聞その他でもときどき出ております。警察と上野署の一番大きな仕事の一つといたしまして、やはりあそこに出てくる家出の人たちの保護というのに力を注いでおりまして、家出人らしい人たちがありますたびに、警察はこれを警察自身の手で保護し、あるいは関係の保護の団体、矯正保護の団体その他の機関に一々連絡をし、場合によりましては直接父兄のもとに送り届けいたしておるのでありまして、上野署といたしましては、常時上野駅及び公園付近の取締りのために制服、私服の警察官常時三十四名が配置につけるようになっております。もちろんこれは交代制度をとりまするから、これに従事しておりまするのは五十六名いるわけでございます。また署自身にも助犯少年係九名を置きまして、ただいま申し上げましたような事柄に力を注いでおるのであります。もちろんただいまおっしゃいました、いわゆる常習犯的な人間というものに特に目星をつけまして、相当これらを検挙いたしておるのであります。上野署で扱いまするのは、まだそういった者の手に入る前に保護をする事柄が一番多いのでありまして、昨年上野署で保護をいたしました家出人は、約二千五百件に達しておるというような状況でございます。なお、先般も毎日新聞でしたか、探訪記者の実験談が出ておりましたが、それに基きまして上野署として今後さらに一そう力を注ぐべき点はありはしないか、再検討を加えてもらうように警視庁にも通知をいたし、警視庁、上野署、この点に重点を置きまして、もっとよりよき取締り方法がないかということを今いろいろ検討さしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/14
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015・西郷吉之助
○西郷吉之助君 今の長官の御説明がありましたが、その程度のことはやっておられると思うけれども、依然として公々然と新聞とかグラフとか雑誌にそういう状況が絶たないということは、報道されておるということは、所轄警察署というものはそういうことに慢性になっておる。怠慢のそしりは免れないと思う。ですからそういうことをやって、根が絶えているというのならばいいけれども、公々然と毎日々々そういうことが行われておる。それが実態であるということは警察側の怠慢のそしりは免れないので、そういうことに慢性になった人間はかえて、人間の配置転換を行なって、もっと厳重にやるべきではないか。こういうことが公々然と行われておって、それで取り締っておるということはちょっと国民には通じないと思うのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/15
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016・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) おしかりを受けまして、まことに恐縮に存じますが、警視総監初め上野署自身も相当力を入れてやっておることは、実情はおくみ取りいただきたいと存じます。なお今後いかに力を注いでいくか、私も警視庁の計画あるいは実情なりをさらに十分検討いたしまして、ただいま御意見のありました事柄に十分沿うようにいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/16
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017・秋山長造
○秋山長造君 今の問題なんですが、これはまあざっくばらんな話なんですけれども、警察が犯罪捜査をやられる場合に、赤線区域とか特飲街だとかいうような所をですね、犯罪捜査の手がかりなり、あるいは情報の聞き込みなんということに利用される機会が非常に多いと思う。そういう関係からして、いつとはなしにまあ因縁といえば語弊があるけれども、多少ともそういうものが醸成されてきて、そのためにそういう所を舞台に行われておる人身売買というような問題に対する取締りの手がおのずから鈍りがちになってくるというようなことはないかどうか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/17
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018・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 私は率直に申しまして、ただいま秋山委員のおっしゃいまするような事柄が絶無とは申し上げられません。警察の監督にあります責任者といたしましては、地方におきましても、この点に絶えず意を注いでおりますが、ときどき事件の面から見て、ただいま秋山委員のおっしゃったような事柄から起ったと見られる事件もある。こういうような場合には厳重に懲戒をいたしております。従いまして、絶無ではないと私は感じておるのでございます。でそういうことのあるなしにかかわらず、ただいまおっしゃいますような点は、機会あるたびに注意をいたしております。またそういうような事柄を発見いたしました場合には厳正に懲戒をし、どこどこでこういうような事態があった、特別な因縁関係から人身売買的な問題を見のがしたと認められるこういうような事件があったと、他にこういうようなことのないようにという注意を全国に喚起をいたし、こういう者が一人でもありませんようにいたしたいと努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/18
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019・秋山長造
○秋山長造君 その件については、長官も率直に絶無ではないということをお認めになっておられるが、私は絶無でないという程度以上に、かたりやはり現実にはそういう点があると思うのです。特にあの警視庁なんかが始終行われる暴力団狩りですね、暴力団狩りなんかだって、これは最も秘密のうちに計画を立ててやられるわけなのだけれども、今までの例から言えばまあ十が十、事前に情報が漏れている。そのために所期の効果があがらないということはわれわれよく聞いておる。同じようなことがやはりこの人身売買なんかという――事柄の性質上先ほどおっしゃった暴力団狩りなんかよりももっとこれは考えようによってはむずかしい。たからそれだけに情報が漏れるという――一齊収締りでも情報が漏れるような形で取締りが行われるのかどうか、私は知らぬけれども、とにかく結論として、警察側の人身売買事件に対する追及の手が鈍りがちである。またこれに対する取締りが非常にどうもわれわれ一般市民から見てぴったりこないというような面が相当あると思うのです。これはただいま西郷委員がお尋ねにたった上野駅の附近における常習的な仲介業者のばっこというようなことにしても、これは多少とも私はさっき申し上げたようなことがあるのではないかと思うのです。まあこの点は一つ警察の威信のためにも、それからまた人身売買そのものから言っても、断じてそういう疑いを多少とも一般世人から受けるようなことがあっては困ると思うのです。この点についてもう一度長官の御決意をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/19
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020・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) ただいま秋山委員のおっしゃいます点は、私といたしました警察のあり方、警察の管理という面から見まして、私は根本的な問題だと考えておるのであります。人身売買に関係するとかというだけでなしに、これは警察のあり方として根本的んs問題で、第一線の警察官の教養、監督として一番大事な問題として考えておるわけであります。今後も十分ただいま申し上げますようた意味から、そういうことの絶無を期して参りたいと思っております。ただここで申し上げますだけでなしに、これを実際の面に効果をあげるようにして参りたいと考えております。幸い最近徐々ではありますが、こういう点も徹底しつつあるかのように思いますので、よい方に向いておると思っております。これを絶無の状態によもっていくというように、ざらに細心の注意を加えて、また努力をいたしたいと思っております。御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/20
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021・秋山長造
○秋山長造君 それからもう一つちょっとお尋ねを落したのですが、まあ警察を中心にして治安協力会とか、警察後援会だとかというようなものが全国的にどこにもあるわけですが、特にこういう特飲街だとかあるいは赤線区域だとかという地帯にたとえば派出所を作る、あるいは警察の派出所の修理をしたいというような場合に、そういうような関係の業者が率先して警察に協力し、その寄付を申し出るというような例が相当あるのじゃないか、それからまたそういう地帯を牛耳っておるところの業者というものは大体町のいわゆるボスと言いますか、たちの悪い有力者、一種の有力者というのが多いと思う。だからそういう連中がいろいろな形でそういう警察後援会だとか、治安協力会だとかいうようなものの役員などに名前を連ねて、そうしてまあいつとはなしに警察関係とのつながりを深くしていって、そうして警察の方が悪意でなしにまあ知らず知らずのうちにスポイルされていくというようなきらいが相当あるのじゃないかと思う。結局この警察寄付の問題については後ほどまたあらためて御質問したいと思っておりますが、そういうことの事実はないですか。そういう点をお調べになったことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/21
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022・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 特にそういった特飲街と警察の寄付の問題、あるいは協力者の問題というのを全国的に調べた何はございませんが、これも私は絶無とは言いがたいと思っております。絶えずそういうことのないようにという注意はいたしておりますが、従ってそういうような事実がありました場合には、先ほど申しますように、こういうことではわれわれの考えとは全く背馳しているのではないかというので厳重に処置をいたしておりますが、先ほど申しましたように警察のあり方という問題から、そういったボスあるいは特殊な人間とのつながり、これを断つということが大きな必要なことの一つだと私ども考えております。今後もそういうことのないように事前に注意をいたしまして、そういうことがないかどうかということを監査監督を厳重にいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/22
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023・赤松常子
○赤松常子君 警察庁長官にお伺いいたします。二、三年前から売春取締法が非常に要望されておりまして、そういう機運にだんだん動いておることも事実ですし、また目にあまる人権じゅうりんが数々起っておりますことに刺激されまして、最近取締法の制定が非常に要望されております。ところが従来の傾向を見て参りますと、どうも取締り当局が非常に消極的でございます、この売春法の制定に関しまして。その理由はせっかく法律ができても、第一線に働く側といたしまして十分な取締りができないということで、この法律の成立に対して非常に消極的でいらっしゃるのでございます。この前の法務委員会でも警視庁当局の忌憚ない御意見を伺ったときも、そういう御意見のようでございましたが、齋藤長官はこの売春取締法ができて、そうしていくことに御賛成でございましょうか。それとも今言ったような取締り面を考えて逡巡していらっしゃるのでございましょうか。御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/23
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024・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 私は率直に申しまして、取締りだけでは到底売春の根絶はできるものではない。これと並行をいたしまして、いわゆる転落の防止の措置、またすでに転落した者を保護する措置でありますとか、また社会的にそういったことが憎むべき社会悪であるという、そういった一般の世論の支持というものと相待ちませんと、ただ取締り一本だけで売春した者は処罰する、それで取り締れというだけでは、これはいかにいたしましても、なかなかやれるものではない。それと並行をいたして初めて効果があがるわけでありますから、さような並行をするように措置をしていただきたいということを警察としては望んでおるのであります。さような措置とともに取締りの法令ができまするならば、警察といたしましては法を厳重に執行をいたしたいと思っております。それにつきましても、取締りのしやすいようないろいろな事柄を考えてもらいたいということも、立法当局には申し入れておるのであります。これはどういう結論になるかわかりませんが、たとえば宿屋等のまあ臨検というようなこと、これは一方には弊害がありましょうが、いやしくも旅館の中に警察官が入って行くのに令状がなければ入って行けないというようなことですと、この売春の取締りも実際は非常にむずかしいことになる。取締り技術の面から要望する点もただいま要望をいたしまして、審議会で今いろいろ御審議を願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/24
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025・赤松常子
○赤松常子君 今齋藤長官のおっしゃいますことは、一応お互いにわかっている上で私お尋ねしたわけでございます。もちろん防止もせんければなりません。更生施設も作って、収容施設もせんければなりません。それはたびたび言っておることでございますものですから、それを私略して申し上げたのでございますが、しかしながらいろいろな条件が整わなければこの法律は作ってはいけないということではないと思うのであります。それで今のこの現状で作られたとして、取締りの当局が今具体的なことをおっしゃって、私大へんよかったと思うのですが、もっとこういうことが足りない、こういうことがもっと必要だということは、この現状に立御していろいろお考えがあるだろうと思うのであります。もちろん今申しますいろいろのことは、徐々にしていかなければならないということはこれはよく了解の上で、この現状において取締りの方のもっと法の不備、あるいけ法の盲点というようなものを具体的におっしゃっていただいて、それは今の機会でなくてもよろしゅうございますから、もっと具体的にその辺の御研究というものを私説明していただいて、それでまた御相談して参りたいと思うのでございますが、今の現状においてこの法律ができるということには、長官は御異議はございませんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/25
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026・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 現状においてとおっしゃいますのは、今の転落防止とか保護とかいうことを抜きにして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/26
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027・赤松常子
○赤松常子君 徐々にしてですね、徐徐にいたしますけれども、それを完成する日はこれはすぐに望まれるわけではございませんものですから、ここしばらくの間この実情でこの法律ができた場合に、できたといたしますことに御賛成でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/27
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028・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) こういう法律ができました場合に、執行が完全にいきやすいかどうかということは、やはり何と言いますか、国民全体のあと押し、気がまえということと非常に関係を持つと私は思うのであります。従いまして、転落防止や保護施設と関連したものが、まあ、完成をしなければとは私は申しませんが、やはり画期的にやらなければならないのだということになり、それに着手をする、国民も全面的にそうだという気持になるという、その気持で出発をいたしますならば、私は完成をしなくてもけっこうだ、なるべくそういうようにいたした方がよろしい、かように考えております。ただ、徐々にするのだ徐々にするのだという、何と言いますか、一応の逃げ言葉のようなことであっては相ならぬ。その決意が国会を通じ、また政府を通じて示され、国民もそれに協調するということであれば、私は今の段階でもけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/28
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029・赤松常子
○赤松常子君 藤田局長にお尋ねしますが、この一例を拝見いたしまして、協助員の方がずいぶん御活躍いただいておりますことをうれしいと思っておりますが、実際協助員の方の活動費、それからまた具体的には交通費だとか、そういうものはどのくらいになっておりますか。児童委員、福祉委員、そういう方々と協力していただいて、その発生する根元をもっと目を届かせていただくということが大事なことは言うまでもないのでありますが、そういう目が地方の農村地帯の方にどういう程度になされているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/29
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030・藤田たき
○政府委員(藤田たき君) ただいま赤松委員から協助員のことについて御質問いただいたのでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げました婦人少年室長が全県に四十六人、それの補佐が一県に二人ないし四人いるのでございますが、そのほかに婦人少年室長を援助するという意味で、婦人少年室長に協力し、婦人少年室長を助けるという意味でもって協助員という組織を持つようになったのでございますが、この協助員につきましては、その予算がまだ非常に少うございまして、協助員の手当と申しますのが一千円、一年で一千円でございまして、それから研習費と申しますのは、婦人少年室の協助員としていかになすべきか、どういう仕事をすべきかということについて、まだ当初でございますので、研究してもらわなくちゃなりませんので、そういったような研習費、それからその管轄内、管轄内と申しなすのは主としてその監督署の管轄内でございますが、その管轄内の旅行をいたしますこと等のために約二百数十万円、はっきりした数字は今おぼえておりませんけれども、二百数十万円は非常に少いのでございますが、協助員と申しますのは非常に熱意を持っておりまして、今のところほとんど無報酬、それからお金を自分で持ち出してやっていただいて、ことに初年度におきまして、私どもといたしましては、売春並びに人身売買の力に骨を折ってもらっているわけでございますが、来年度予算はもう少しいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/30
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031・高橋進太郎
○高橋進太郎君 国警長官にちょっとお伺いしたいのですが、どうも大分中へ入ってきたので話が中絶したようになりましたが、先ほどあなたの方からお話しのように、たとえば赤線区域における現行犯がなかなかつかめないから、どうも大いに取り締るつもりだけれども、なかなか技術的にゆけぬというお話しでありますが、しかし先ほど申し上げました通りに、私はもっとかみしもをぬいでお話しをしていただきたいと思うのですよ。赤線区域でなかなか淫行の現行犯がつかめないからなどというような白々しい答弁でなく、私の申し上げているのは先ほど申し上げました通り、その淫行そのものを言っているのじゃない。それはあなたのおっしゃるように、これにはこれのいろいろな社会的な、また歴史的な、経済的な事情がありますから、それはそれとして、これはいろいろ問題だと思うのです。私のお伺いしたいのは、どうも先ほどほかの委員からもお話しのおったように、何か警察官なり警察取締りの方がなれ合いになって、そしその中間搾取をするところのそれらの業者、あるいはまたたとえば淫行の慣行のない者を客をとらせると、そういうものに目をつぶっておられて、何らほとんどまあ検挙をなされないのじゃないか、そういう点を従来公娼ならば、たとえば女との分け分を半々にするとか、あるいはまた年期が来れば解放してやるんだとか、公娼は公娼なりの監督があったと思うのです。ところがそれがやみに入ったため警察官がなれ合いになって目をつぶるならば、どんな不当な中間搾取なりいろいろな方法でやられてもそれは泣き寝入りになっているのじゃないか、その点自体を一体どのようなふうに、たとえばそれは組合長なら組合長を呼んでとまどき座談的にやっているとか、何かもう少しかみしもを脱いだ、しかも現実に合うような実情のお話しを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/31
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032・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 赤線区域にもいろいろありましょうが、大体はただいまおっしゃいますように、以前の公娼制度が転化をいたしまして、そして飲食店あるいは料理店をやっておる。そして依然まあ女はいる。そこでいわゆる人身売買的な事柄が伴ってはいけないというので、契約その他以前のようなやり方は変えさすというので公娼制度の廃止が行われました。で、その場合においてそういった何と言いますか、女の人たちのそこで仕事をするかしないかは自由であるということだけは保障をしなければならぬぞということで、あの公娼制度の廃止が行われたわけであります。そこで従前公娼地域と称せられておりましたところにこれが飲食店とかいうような名義に変りまして、事実ただいまおっしゃいますような事態があるというわけでございます。そこでああいった地域につきましては、売淫的な事柄がこれは強制によるのでなければまあ黙認しようじゃないかというような形で当時移行したように見られます。それが今日まで続いておるのじゃないか、それが中心であろうと思いますが、現実に実際ありのまま申しますると、私はそういう面がまだやはり残っておるとこう考えます。しかし人身売買に関係をするというような事件はこういう地区におきましても、これは警察は厳重にやっておるのが実情であります。で、中で売淫行為をやっているかどうか、これはまあ売春取締条例のある所とない所とによって取締りのあれは違いますが、ただいまおっしゃいますように売春取締条例のない所では、その内部で行われる売春行為は実際はまあ黙認という実情になっておることは私は現実だと思っております。ただ先ほど申しました人身売買という点につきましては、この地域といえども容赦なくやっておるのは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/32
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033・高橋進太郎
○高橋進太郎君 どうも私はあなたの答弁中、故意に逃げておられるのか、私の言うことをよくあれなのか、私自身は今言う通り、そういう地域における売春行為そのものも、一応これも問題ですけれども、それはそれとして、そういう何と申しますか、売春行為そのものの上に中間搾取をして、たとえば不当にあるいは着物を売るとか、あるいは何を売るとかいうような形で搾取したり、あるいは前借のような形で搾取したり、あるいはそういうことについて、場合によっては暴力を伴ったり、恐喝を伴ったり、そういうことをしていても何ら取締りがなされていないようだけれども、一体そのこと自体についてはこれは法の不備でやれないのか、警察官がなれ合っているためにやれないのか、そういう点をお伺いしたい、こういうわけなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/33
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034・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) それらの点につきましては、これらは特殊な業者として許可をしておるわけではない。従ってそういった業態に対する特別の行政的な取締りの法令は何もないわけであります。ただもう刑事事件として取締りをするという以外に現在は手がないのであります。そこで本人からこういう契約をしいられている、あるいは、自分は身を自由にしたいと思って出ようとするのに、それを拘束するという訴えがあったり、あるいはそういうことを聞きこんだりする場合に、警察は刑事事件としてこれは検挙をいたしておるというのが実情でございまして、事前に絶えず調べに行って、行政的な取調べをあわせ行うという措置は今講じられてはいないのでありまあして、この点が物足りなく見られる原因ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/34
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035・高橋進太郎
○高橋進太郎君 どうも国警長官のお話は、前に戻るのですが、何かあなたのお話を聞くと、犯罪があっても犯罪関係者が告発しない限りは警察は手がつけられないと、こういうようなお話のように承わるのですが、先ほど申し上げました通り、人の貞操というものを、からだというものを基礎にして不当に金銭を取得したり、あるいはまた恐喝してそれをしいたりなんかしても、本人から何か言って来なければ警察としては手がつけようがないのだと、こういうのでは私はどうも納得ができないじゃないかと思うのですよ。というのは、それはね、普通の場合であるならばすべての点もあれだと思う。しかしそういう女自体が、そういう弱い環境にあって、しかも弱い環境にありながら、その女がやはり自由人と同じように犯罪行為を訴えたり何かしなければ、ほとんどそこに犯罪行為にひとしいあれがあってもやれないということは、われわれは人の財布を盗んだり、人をばかにして詐欺で金をとるよりも、なおそういう弱い立場にある者を基礎にして不当の金をもうけたり、中間搾取をやったり、目に余るような恐喝やなんかでやっているのだということが、本人のあれがなければ警察としてはそれはどうにもしようがないのだというそのこと自体が、どうもこれは納得いかないのですが、それはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/35
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036・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 高橋参貝のおっしゃいますことも私はよくわかりますが、ただまあ警察といたしましては、ああいった公娼が廃止されまして、女の人たちはその部屋を間借りするという形をとったり、いろいろな合法的な形をとっているわけです。そこで今おっしゃいますように、女の人たちの所に行ったり、あるいは来てもらって、ほんとうに合法的にやられているかどうかということを、一々調べれば私はもっと出ると思う、実際は……。しかし、女の人としては、自分はここでやっていなければ生活が立たないのだということで来た場合に、ほんとうのことを言えば、雇い主と言いますか、あるいは家主という形になりますか、そういう人たちも処罰をされるし、自分らもこの仕事はできないということで、まずほんとうのことを言わない方が相当多いということが一つと、それをずっとやった場合に、どこまでも事実を発見して皆検挙してしまうという場合に、その婦人の方々の処置ができるかというと、ちょっと警察は自信がない。先ほど申しましたように、転落の防止、あるいは保護施設というものをやっていただいて、それとタイアップしてやっていきたい。先ほど赤松委員からおっしゃいました売春取締法なり、それをやっていただきたいという御要望もあり、私の方もそれと伴ってやりたいという意欲を持っておるわけであります。そういうわけで、実際こちらから積極的に関係者について当って、一々そういうことがないかということを調べるのは非常に困難な実情が存在しておるということを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/36
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037・高橋進太郎
○高橋進太郎君 どうも私は国警長官のおっしゃることがよくわからないので、どうも何かああいう業者の代弁をしていられるような気がするんですがね。私の申し上げているのは、どうもそういういわゆるわれわれから見れば、経済的にも社会的にもかよわい女を基礎にして、そうして不当に金をもうけたり、あるいは脅迫によってそれをしいたり、いろいろわれわれから見れば不当な手段によってやられる。同時にそれ自体が犯罪行為になると思うんですが、そういうことにどうして目をおおわれるのか。それも本人から申し出がなければやられないのか。そういうものを積極的に取締るということと、それからその女を警察がかかえこんで嫁に世話するとか、職業の世話をするということは、これはまた別問題だと思います。私の申し上げているのは、むしろそうしたかよわい女を、これは本人の意思であろうとあるいは家の事情であろうと、そういうものをあれにして不当にいろいろなことをやられる、その点はむしろ公娼制度の方が行政的な取締りがあって、ある一定の年期が来れば帰してやるとか、あるいは歩合分けはどうするとかいうふうにきまっておったと思いますが、今の場合の方は、なお不当なそういう中間搾取的なあれがはびこるような気がしますが、それについての取締りなり検挙なりというものについてできないのかどうか。その点なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/37
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038・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 私の申しておりますのは、ただ本人から言って来なければやらぬという趣旨じゃありません。警察はあらゆる何と言いますか、目と耳を働かしまして、そして今おっしゃいますような犯罪があるという端緒をつかみたいという意欲と、それからつかんだ場合には必ずやるということで実行いたしておりますが、しかしこれは、この業態は必ず全部犯罪者だという予定をして、そして一齊に網をかげるというやり方は今の捜査としては邪道なやり方でもありますし、先ほど申しましたような点もありまして、そういった犯罪ありという端緒をつかむことには、これは努力いたしております。しかし、その努力が足りぬじゃないかとおっしゃるかもしれません。ああいうところはみな犯罪にきまっておるのだから、一々引っぱるか、あるいは調査に出向いてやっていけばもっとあがるだろうという御意見であろうと存じます。これらはしかし、今の人権擁護局なりあるいはその他のこういった関係の団体の方々、あるいは労働省の関係の方々とも協力をしながらやっているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/38
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039・高橋進太郎
○高橋進太郎君 どうも国警長官は私の申し上げることをすなおに聞いていただいていないようですが、私も一齊に網を張るとか、そういうことを申し上げておるのではない。ただ、そういうふうなかよわい女のそういうからだを――その個人から見れば、ちょうど傷害罪なり、あるいは殺人罪にもひとしいようなことを基礎にして不当に金を取ったり、脅迫によってしいたりする。それを一つでも二つでも検挙すれば、私は業者に対する一般予防的な、一般警告的な意味があると思うんですよ。ところが、第三者的な観察、このごろの各種新聞等において身売りの話等も出ておりますが、ほとんど警察はそれに手を触れない、どうも今の国警長官の話を聞いていても、まあ本人が言って来ないんだし、なかなかむつかしいからやらないのだというようなことで、言ういかえれば、ようまあ警察の方じゃ手が入れぬという安心感の上に業者が横になっておるじゃないか。私はそれが非常にああした社会を悲惨な状態に陥れ、またそうしたかよわいものを政府でも見放しているんだ、こういう感じを与えており、また非常に困る者については泥沼に陥れるといったような形になるじゃないか、そのことを国警長官にお聞きしているんですがね。どうも長官何か特別にそういったような業者をかばわなければならぬ理由があるのですかね。どうも納得いかぬですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/39
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040・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) まことに恐れ入りましたが、決して私はそういう業者と因縁がありませんし、かばう意思も毛頭持っておりません。お手元に出しました統計の中からも、別表の(八)をごらんいただきますと、まあ人身売買として検挙をいたしましたものの被害者八千六百人のうちで、いわゆる接客業をやったということで被害を受けた者か七千三百人、ほとんどがこの就業なんです。この接客業者は、今おっしゃいます赤線区域のものだけではもちろんございません。ございませんが、今おっしゃいますように、われわれといたしましては、そういう点には重点を入れてはいるわけです。ただ、それじゃ赤線区域、青線区域、あるいは何でもない所というものと同様の効果を現わしておるか、こうお尋ねになりますと、まあ重点的には、たとえば新宿の駅の附近、あるいは渋谷の駅附近、あすこらを相当警視庁は力を入れてやっておりますが、それでは鳩の町とか、あるいは以前公娼制度のあった所はどうかと言いますと、そちらの方は若干私は手が抜けていやしないだろうかと考えておりますが、それらも手を抜かせないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/40
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041・高橋進太郎
○高橋進太郎君 これ以上国警長官にこのことをお聞きしても、どうも国警長官は下情に通じないようですから、よく実態をお調べ願ってまた御答弁いただくようにして、これはあらためて警視総監か何かに来ていただいて私はお聞きしたいと思う。
そこで人権擁護局にお聞きしたいですが、先ほど上野の話も出ましたけれども、何かこの間の新聞を見ても、人権擁護局とか労働基準局の人がやはり人身売買ということで現地へ行ってみたところが、そのおかみに買収されて、とりこになって機能を果せなかったというようなことが載っておったんですが、どうも人権擁護局といろのが手が足りないのかどうか、かりに今の上野の駅の問題にしても、私は人権擁護局の人がああいったような最もひどい所については、自分のところの係官を常駐させるとか、何かもう少し第一線に立ってそうしてもう少し親切に相談に乗ってやる、人権擁護局の出先機関なりそういうものにかけこむならば、そういう自分の不当に人権を侵害されていることについては、もう少し救ってもらえるんだ、こういうような何と申しますか、第一線的な親切さと申しますかね、そういうものがあってほしいと思うのですけれども、どうもその点についてどういう措置をとられるか、何かわれわれから見ますと、法務省の奥深いところにだけおられて、ただ件数だけをお調べになっているように思える。どうもピンと来ないような気がするのですが、その点一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/41
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042・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) こういう席でどうかと思うのですが、せっかく今出ましたのでお答えいたしたいと思いますが、先般の、幾日でございましたか、数日前の毎日新聞にある婦人議員から、人権擁護局のM事務官が売春業者の事件について何かいかがわしい関係があるかのごとき記事が見られたのであります。これはここで詳細説明はいたしませんが、事実無根でございまして、果してこのまま黙っておっていいかどうかという実は感じがいたしているのでありますが、この事実はございません。人権擁護局の事務官でもありませんが、これは東京の法務局のある事務官の問題のようでございますが、新聞に出ておりましたごとき事実は一つもございませんことをはっきり御承知を願います。
それはそれといたしまして、人権擁護局がもっと積極的にこういう問題をあれしていいのじゃないか、こういう御説明でしたが、御趣旨はごもっともでありますが、ただ先ほど申し上げましたように、人権擁護局のいたします仕事は取締り官庁ではございませんので、おのずから仕事に限度がございます。ただ人身先買等の問題が人権擁護上きわめて重大な問題で、私の方も先ほど統計を申し上げました通り、私人に関する人権侵犯事件としては最も重大な問題として取り扱っておりまして、決して統計だけ取り扱っておるのじゃございませんので、私の方は事実調査をして適当な処理をいたしております。先ほどちょっとお話がありましたか、これも国警長官の前でどうかと思いますが、警察がこれに関与して、むしろ売春業者に結果において協力するような事例も二、三ございましたので、これは調査の上勧告いたしまして、警察当局としてもこれを率直に認められて、全部懲戒処分にいたしております。ただ私はその点において謙虚にいろいろ処分されたことを実は喜んでおりますが、決して統計だけをあげているのじゃございませんので、先ほど申し上げたような二百二十五件という、わずかの件数のようでありますが、これは私の方の可能な範囲において申告によって、なるべく情報によって得られたものという限度で調査いたしたのであります。ただ先ほど来お話のありますように、の問題はおそらく氷山の一角だろうと思います。非常に全国的には多数の事件がございますので、私の方としても、人権擁護局の最もやりいい方法としては、この啓蒙活動ということが非常に重要だと思います。先ほど藤田婦人少年局長からもお話が出ましたが、この点についても私の方ではかなり力を入れておりまして、特に上町方面等におきましても、この人身売買をいかにして防止するかということについて関係者の座談会等をかなり行なっております。一例を申し上げますと、この関係者の中には、主催が台東区長と、私の方と、人権擁護委員の協議会、これが主催しまして、人権擁護委員、それから警察関係として浅草警察、蔵前警察、上野警察、坂木警察、谷中警察、あの周辺の関係警察署の署長においでを願って、それから上野職業安定所長、上野、浅草の保健所長、台東の福祉事務所長、児童相談所長、それから上野労働基準監督署長、婦人団体協議会理事長、上野補導会婦人会副会長、上野駅長、その他保護司、それから区の関係者、それから人権擁護局関係の職員、こういうものでこれをいかにして防止するかということについて、真剣な協議を数回いたしております。結論として、いろいろの皆さんの意見を聞いて、結局この問題が農村の経済的貧困が原因であろうというので、地方のまず多く売られる、人身売買のもとになる農村の啓蒙活動に力を入れまして、そして一方上京者の救済機関として気軽な相談所開設が急務ではないか、いわゆる役所式な相談所を設けましても、家出して来た者がとうてい来るわけがございませんので、いかにそういうりっぱな機関を設けましても、役所であるというような感じを持たしては家出娘等は来るわけがございませんというので、気軽に誰でも相談できるような相談所を開設することが急務だと、このために対策協議会というものを作って常時あれしていきたいというようなところまで、実は相談がまとまったのですが、予算等の処置がないためにこの対策協議会、相談所開設というところまでは行っておりません。機運はそういうところまで来ておりまして、その方面についてできるだけ関係方面と協力してやっていきたい、かようなことでいたしております。まだ十分な成果も上っておりませんし、また事件としての取扱い件数も決して十分であるというようなことには思いませんので、今後できるだけの努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/42
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043・高橋進太郎
○高橋進太郎君 もう一点だけ。先ほど労働省の婦人少年局長のお言葉では、どうも二言目には予算がないからということが理由になるのですが、私はやはり役所仕事というものはもう少し親切にやっていただくということが必要ではないかと思う。まあ自動車を買ったりする金はあるけれども、なかなかそうした街頭に出て相談所を作る金は予算がないと、 こういう形ではいつまでたっても救えないのじゃないか、やはりいいことは私はほんとうに頼めば、駅前の所でも、上野駅前の構内でも机一つあれしてもやはりあたたかく相談に乗ってゆくと、要するにもり少し役所のものが街頭に出ていただく、人権擁護局みたようなのはそうあるべきだと思います。
そこでお聞きしたいのは、そういう意味から、言うと、麻薬取締官のように、何か人権擁護取締官というか、あるいは人権取締官、あるいは人権擁護官とか、何かそういう特別な権限を持った従来の警察官ではやはりこういう問題については、私から言うとどうも先ほどの国警長官の御答弁のように、どうもあれなんですが、何か専任の麻薬取締官と同じような一つの特別なあれが必要へなように思うのですが、その人にはある意味から言えば、相当の権限を与えて、そしてこういう問題については専念してもう少しやっていただくというようにしたらと思いますが、その点についてどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/43
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044・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 麻薬取締官というような捜査をするような職員を持ったらどうかという御意見でありまして、一応それは将来の研究ということでお承わりいたしたいのでありますが、ただ私としては従来の私のやって参りました気持から申しますと、この問題だけに限ってそういうような取締りをする権限を持った調査官等を作ったらどうかということには、あえ反対はないのでございますが、ただ一般的に人権擁護局の職員が権限を、そういう強制的な権限を持つ、取締り的な権限を持つということには実は私従来反対をいたして参った。と申しますのは、これも長くなりますので結論だけ申しますと、権限があるから乱用をされるのでありますから、もし人権擁護局の職員が人権擁護の仕事をする上にもし行き過ぎてこれが乱用された、行き過ぎがあったということになりましたならば、人権を擁護せんとし人権を侵害してしまったというようなことになりますと、これは一体人権擁護局の人権侵害に対して、これをさらにどこでどうするかということになりますと、私はきわめて重大な問題であると考えておりますので、今の場合私の考えとしては、人権擁護というような仕事の性質上から見て、強力な警察あるいは検察等のお持ちになっておるような権限を持つということには非常な危険があるのではないかというようなことを考えますと、今の段階においては、私は一般的な人権擁護局の職務等に権限を持つということには直ちに賛成をいたしがたいのであります。従って人権擁護局のする仕事も限界がございますし、また調査等にも非常に問題があり、ときには人権擁護局は一体何をしているのかというような御批判もあるかと存じますが、もっと根本的な問題を考えます場合に、私はそうした権限を持つということには今直ちに賛成いたしかねるのでございまして、ただ、今の人身売買等に限られた範囲において、そうしたものを持ったらどうかというお説に対しましては、これは相当考慮する余地があるのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/44
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045・藤田たき
○政府委員(藤田たき君) ただいま高橋先生から、予算が少い少いというような御注意を受けまして、ごもっともだと存じますが、私どもが先ほど例にお示しいたしましたようなのは、ほとんど予算の範囲外にいたしておりますのでございますし、その上私どもといたしまして、さっき赤松先生からおっしゃって下さいました、婦人少年室協助員と申しますのは、私といたしまして予算が足りませんので、それにまた定員法というものによって縛られて、一人の職員の増加もできませんので、何とかそこを切り開いていきたいと思いまして、一千名の協助員を全国に置いていただくことにいたしまして、この人たちに調査啓蒙の手伝いをしてもらう、ただいま人権擁護局長がおっしゃいましたように、権限を与えるというようなことはできませんのですけれども、婦人少年室長の監督のもとに婦人少年室長を助けるという意味でもって、この一千人の人たちに働いていただいて、人身売買、また売春を禁止するように、売春が行われないように努力いたしておるわけでございます。でございますけれども、もちろんまだ足りないところも、私どもの熱意において、また親切さにおいて足りないことが多いと存じますけれども、女の婦人少年局といたしまして、できるだけ官僚的でないように努めておるのでありますが、今後とも一そう努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/45
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046・赤松常子
○赤松常子君 齋藤長官に要望申し上げておきます。また、ぜひ積極的にお願いしておきたいのでありますが、先ほど長官がおっしゃいました、そういう転落女性が更生する施設がない、十分じゃないとおっしゃっていらっしゃいます。もちろん十分じゃございませんけれどとも、すでに私立、それから宗教団体で作っております施設が全国で十七ヵ所ございますことを御承知のことと思います。それの収容人員の能力は十分ございますけれども、まだ半分しか収容しておりませんものがあるのです。これは私札幌でも拝見いたしまして、三十人の収容人員で、その収容しておりますのはたった十五人であります。これはいろいろ、なぜそういう施設があるのに入らないかというところに問題があって、もうあそこを出てくるのは命がけなんです。せっかく出てもまたボスに追っかけられるというようなことがあって、そういう場合に非常に警察力を発揮して、そういうボスをつかまえてくれるといいけれども、なかなかそういうこともない。それからまたそういう施設も知らない。出て行くのが容易でないものですから、せっかくあるのが十分使いきれないということであります。そういうことは私どもまた考えるといたしましても、どうぞ収容施設があるのですから、これをもっともっと連絡を密にして、十分使って下さいますように、そしてことしその収容施設の予算も三千万円計上されておったのですけれども、これを大蔵省が削ろうとしたことに対しまして、婦人団体が熱心に交渉して、その三千万円を獲得することに成功いたしております。少しではございますけれども、施設の芽は出ておるのでございますから、十分御利用下さいますように、もっと積極的に御要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/46
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047・中田吉雄
○中田吉雄君 齋藤長官にお尋ねしますが、人身売買にからんでの駐留軍をめぐってのそういうものはどうなんですか。私は人権じゅうりんの度合いにおいてはもっとただいま御説明にあったようなのとはひどい人身売買、人権のじゅうりんのひどいのがあると思うのですが、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/47
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048・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) ちょっとお尋ねの趣旨がわかりかねますが、駐留軍をめぐっての人身売買……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/48
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049・中田吉雄
○中田吉雄君 ええ、駐留軍をめぐってそれにからまる人身売買はないですか。それに女を世話をする、そういうものはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/49
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050・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 駐留軍人を相手にする婦人の多いことは事実でございます、これは。従いまして駐留軍を目当てにする婦人を獲得するための人身売買もこれは私は相当あろうと考えておりますが、ただ駐留軍関係は、日本人を相手にしている者よりも駐留軍関係を相手にしている者の方が、いわゆる自由意思でやっている者はまだこちらの方が多いと思います。ただそうかといって駐留軍を相手にしておる女で、これを搾取をして、そうして人身売買的な行為をやっておるという事件もこれは相当ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/50
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051・中田吉雄
○中田吉雄君 じゃあこれの中にやはりそれも含まれているのですか。ただ大体ですね、合意で自由意思によるものとしてほとんど治外法権を認めているように、かまわないということになっているのですか。私はまあ西郷委員が言われたように、上野やあちらこちらでかくも公然とやられたということは、やはり駐留軍がお手本を示して――それとの関係もやはり取り上げないと、一般的な風潮というか、こういうものに対してもっと厳粛な感じを与えるにはもっとはっきりしなければいけないと思う。自由意思で合意にやられているものとしてほとんど不問にされているのですか。駐留軍相手にやられる人身売買はそういうものはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/51
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052・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先ほど申し上げましたように、そういうものもないことはございません。その表の中にそういうものは入っておると思います。しかし先ほど申し上げましたように、駐留軍関係は何といいますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/52
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053・中田吉雄
○中田吉雄君 刑事裁判権。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/53
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054・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 刑事裁判権の問題になりますと、これは駐留軍自身が人身売買をやっておるということは私聞いておりません。従って駐留軍を相手にする婦人を獲得するために人身売買が行われるということは、これはあり得ます。これはこの中に入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/54
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055・中田吉雄
○中田吉雄君 それじゃ幾らくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/55
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056・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) ちょっと内訳はわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/56
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057・中田吉雄
○中田吉雄君 それじゃその問題を別にしまして、警察がいろいろ発言があったように、自主的に独立性を守ってと言いますか、いろいろボスその他に影響されずにやるということが大切なんでしょうが、警察法が変って、警視総監に対して警察庁の発言権も強くなったんですけれども、そういうことによって、ともすれば言われておったような関係はずっとなくなって、独立性は従来よりももっとよくなったんでしょうか。たとえば東京都庁の汚職にしても、これを警察がやらずに検察庁がやったというところで非常に主体性というか、独立性というか、自分の上に乗っかってるものに対しては遠慮したようなことが、非常に世論でも問題になっておりますが、警察法が変って、警視総監の任免に対して権限を持たれるようになってから、従来とは変ったんでしょうか。その点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/57
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058・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 外部的にはっきりするほどにはどうかとまだ私は思いますが、気分といたしましては相当変りつつあると、かように申し上げてよろしいかと思います。ただいまの都庁の汚職の問題は、検察庁の手をつけました問題は検察庁がやっております。それから警視庁が手をつけました問題は警視庁がやっております。警視庁自身も都庁の職員を相当取り調べをいたしておりますので、地方のボスとのつながりというような事柄も、一挙にというわけには参りますまいが、もし従前ありといたしましたならば、今後だんだん少くなっていくようになるだろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/58
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059・中田吉雄
○中田吉雄君 それに関連して、やはり府県警察になってから、私はやはり県庁等にからまる問題が起きても、なかなかその予算等の関係をめぐって、従来よりめんどうな関係が起きたんじゃないかと思うのですが、そういうことはないでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/59
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060・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) そういうことがありはしないかと私ども心配をいたしておりますが、しかし現在のところ、府県側に気兼ねをし、あるいは府県側の制肘によって思うことがやれなかったというようには現在のところ聞いておりませんし、今後またそういうようにならないように指導いたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/60
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061・中田吉雄
○中田吉雄君 警察庁からいただいたこの資料の中で、被害者の家庭生活の状況調査がありますが、先にも局長が、経済的な貧困が主のように言われ、われわれの通念としてもそう理解しておったのですが、この資料によると、八千六百三十五件の中で、中流ないし上流で、やはり千数百、中流家庭で千三百十三、上流家庭で四十三というふうに一割五分もあるのですが、これは一体どうなんでしょうか。性格的に、もうそういう先天的な性質と理解することもできぬと思うのですが、これは一体どういうふうなことに理解したらいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/61
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062・中川董治
○政府委員(中川董治君) 数字の説明でありますので、お答え申し上げます。ただいま御指摘の別表四は、各警察におきまして、生活状況を上中下というように、比較的常識的に見て分けてみろ、こういう照会を発しまして分けましたところが、御指摘のように出たわけであります。結論は御指摘のように、上流もあることはあるんだが少い、下流になるに従って多くなる、こういう実情であります。原因の点は、犯罪社会学の問題になろうと思いますが、原因の点まで詳細には調べていないのでございますが、大体いろいろケースを、地方の関係職員等の話を聞いて参りますと、その下流のもので生活に困った面でやっている傾向が非常に多いから、婦女子の関係の中では、比較的収入の点なんかに関連して、こういう被害者になりやすい性格を持っている方がおりますので、そういった方が数字としては少うございますが、ケースに出ているのではなかろうかと思いますが、以上私は、いろいろ地方の関係職員の話を総合してのお答えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/62
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063・中田吉雄
○中田吉雄君 中流の千三百というのは、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/63
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064・中川董治
○政府委員(中川董治君) 千三百も、今言ったような感じを基礎にして申すのでございますが、そういう性格的なものも若干入っておる。そういう犯罪社会学的の問題でありますから、多元的でありますけれども、生活の面に加えて性格と申しますか、この仕事によって収入を得る方が、他のミシンその他によって収入を得るよりも自分に向くと、こういうような性格を一部持っておる、 こういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/64
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065・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 本調査は適当な機会を見て、また続けることといたしまして、本日はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/65
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066・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) ではさようにいたします。
では午前はこの程度にいたしまして、午後二時まで休憩いたします。
午後零時二十七分休憩
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午後二時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/66
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067・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) では、ただいまより委員会を再開いたします。
銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案について御質疑のおありの方は御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/67
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068・小林武治
○小林武治君 この法律の名称についてこの前質問をしたのでありますが、これはいろいろの都合で今直せないということでありますが、私どもが考えるには、この所持取締令というのはポツダム政令から出ておる。ポツダム政令というのは、どなたがお考えでもわかるように、占領政策を実施するために出た政令で、臨時的なものである。従ってこれの存続期限というものはおのずからその臨時的と、こういうふうな制限があるべきものと思います。こういうふうに考えておりまするが、このたびの改正のように、飛び出しナイフあるいはあいくち等、ほとんど恒久的の立法でもっていたすべき当然の私は規定である、こういうふうに思うのでありますが、そのゆえんからいたしますれば、私はこういうポツダム政令などというものは全文改正をあえてしてまで、なくしてしまうことが政府として私は当然すべきことでないか、こういうふうに思うのでありますが、私はこの前も質問して、この題名だけを変更したらどうか、こういうことを申したのでありますが、題名だけの変更では法律を引用する場合に困る、こういうふうなこともありまして、私はそれも一つの理由になると思うが、せっかくこういうふうな改正をするのだからして、政令というようなものはやめて、そうして銃砲刀剣類等所持取締法というふうにやってしまうのが当然の行き方ではないか、こういうふうに思うのでありまするが、思い切ってその法律にしてしまう、実体、形式ともに法律にしてしまう、こういうことについていかがでございますか。すなわち私はこういう恒久的な法律について、依然としてポツダム政令でそのまま規定することは不適当である、こういうふうに考えるのですが、政府全体の問題としてこの種のポツダム政令は、こういうふうな改正の機会において一切形式、実体ともに直す方がしかるべきものだと思う。この点をもう一度お考えを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/68
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069・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 御趣旨の点はごもっともに存じますので、私どもとしては別にそういった意味では異論がないわけであります。ただ法制局としましては、法律体系全体として反対であるという意向なんでございますから、一つ法制局の意見をお聞きいただきましたならば一番ありがたいと思います。ただこのポツダム政令が、日本が独立をいたします際にこれを存続せしめる――法律によって存続をさせることに相なりまして、その際に、ポツダム政令を依然法律として有効に存続させるというときに、全部従前の政令の名前で存続させることにたっておるものですから、法制局がさような意見を言うものと考えております。私どもとしては異論はございません。しかし法律体系全体からして法制局の意見をお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/69
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070・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/70
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071・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) じゃ速記をつけて。
他に御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/71
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072・伊能芳雄
○伊能芳雄君 飛び出しナイフの犯罪に利用された統計が出ているのですがね。その大きさによっての統計というのは別にないですか。小さいものは利用されないとか、この統計じゃちょっとその寸法などの出たものがないように思うけれども、何かそういう調査統計の結果が出たものはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/72
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073・中川董治
○政府委員(中川董治君) ただいまの御質問の点は、御提出いたしました印刷物の資料で、二十九年中の資料でございますが、印刷物のうちで四十ページにございますが、四十ページの2の方でございますが、これが寸法別の、刃渡りの長さ別の取締りの対象になった数でございます。これによりますと、ごらんの通り五センチから六センチくらいのもの――それでずっと計上されているわけでございますが、まず当時の生産状況を調べてみぬとわかりませんので、出時の生産状況が四十ページの九の欄でございまして、二十九年中には大体まあこの九の統計でお示しいたしましたごとく、七センチから十センチまでのものが一番多くて、その次に七センチと五センチの間のものが多い。生産がわり方五センチ以上のものに多く生産されておった、こういう実情と合せて、警察がこういうものによってめっけるという場合においては大きいものほど目につきやすい、こういう実情から考え合せていただかぬといかんと思うのでありますが、そういう点を考慮に入れてごらんいただきますと、五センチ、六センチまでの分が全体の一・四%あったとこういうことになろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/73
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074・伊能芳雄
○伊能芳雄君 そうすると概して言うと、ですから五センチ、六センチというような程度のものはまあ生産の関係もあるが、犯罪に利用された件数が少いと、こういうことが言えるわけですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/74
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075・中川董治
○政府委員(中川董治君) 大勢的にはその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/75
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076・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 他に御発言ございませんか。御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/76
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077・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/77
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078・石村幸作
○石村幸作君 私はただいまの銃砲刀剣数等所持取締令等の一部を改正する法律案につきまして、一部を修正して賛成するものであります。提案理由にも説明があります通り、空気銃の所持は現在無制限野放しでありまして、傷害等の事犯もあり、危険性が大いに伴っておる。これを何とか制限をしたらどうかという世論も相当あるのであります。また飛び出しナイフにつきましては、現在の世相として不良少年、まあその他これを使用するのは非常におもしろくない結果が多々あるように思います。よってこれを相当制限を加えるということはまことに時宜を得た措置と存じます。その他刀剣類、銃砲等の手続等の問題もこれは賛成するものでありますが、ただこの中の飛び出しナイフ等につきまして一部修正をいたしたいと存ずるのであります。ただいまその修正の内容を申し上げたいと存じます。この修正は、ただいま申し上げるように一つ修正をしたいので、皆さんの御質問を得たいと思います。
銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第一条のうち第一条の改正規定中「あいくち及び」の下に「刃渡五・一五センチメートルをこえる」を加え、「又はさやと刃体とが直線に固定するための特殊の装置」を削る。
かく修正をいたしたいのであります。その理由を簡単に申し上げますと、原案は余りに画一的にすぎまして、いわゆる飛び出し式になっておるというだけで、文房具にすぎない小さなナイフ、及び単にさやと刃体とが直線に固定するための装置を有するという理由だけで他に実用性のあるジャック・ナイフ類までを禁止しようとするのは行き過ぎであると思われるのであります。これはもう少し実情に即して緩和する必要がある。これが修正の理由であります。そこで一言つけ加えておきたいのでありますが、このあいくちの製作等につきましても、またただいま制限からはずした直線固定式のナイフ、こういう面につきましても、製作面に対して行政的指導を与えていただいて、そうしてこれが危険であるし、また実際使用する面からかんがみてこれが危険である、また実用に即しないというような面は一つ十分製作者に対して指導をしていただきたい、こう考えるものであります。
以上述べまして、私の賛成討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/78
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079・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 他に御発言はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/79
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080・深川タマヱ
○深川タマヱ君 私は日本民主党を代表いたしまして、石村委員御提出の修正案に賛成いたします。ただし、その理由は、業者の方は製品のストックもあり、またすでに小売店へ出しているものが返品になるので損害が大きくて困るという御事情を陳情されましたので、業者の方々のお立場を考慮いたしてのことでございますので、私はやはり小学生などの年少者が、学校など多数人の集まっておる場所でこの飛び出しナイフを使用することに危険を感じますので、今後はなるべくこの種の品物をこれ以上たくさん作ることを自粛していただくことを望みます。しかし、現在ありますさやから出しにくい品物もまた子供には不便であると存じますので、今後は危険のない実用的なものを御発明されることを望みまして、修正案に賛成いたします。なお、修正案を除きます令部に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/80
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081・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 他に御発言はございませんか。――御発言がなければ、討論は終局したものと認めて、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/81
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082・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 御異議ないと認め、これより採決に入ります。
まず、討論中にありました石村君提出の修正案を問題に供します。石村君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/82
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083・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって石村君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/83
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084・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって修正すべきものと議決せられました。
なお、委員長の本会議における口頭報告の内容、報告書の作成等につきましては、前例により便宜委員長に御一任願うこととして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/84
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085・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を修正議決することに賛成の方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
深川タマヱ 若木 勝藏
有馬 英二 松澤 兼人
高橋進太郎 石村 幸作
西郷吉之助 小林 武治
伊能 芳雄 伊能繁次郎
岸 良一 島村 軍次発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/85
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086・伊能芳雄
○伊能芳雄君 この法案はここで可決されましたが、あいくちの解釈というものは非常にデリケートな問題のようですが、警察がただ取締りの上で勝手な解釈をしないで、犯罪予防上客観的妥当な取締りをするように、この点は一つ特に御注意を願いたい。
もう一つは、ここに今固定装置を除き、また五・五センチをこえるものだけの取締り、つまり五・五センチ以下のものは前の通り野放しにしたわけです。こういうものが今後犯罪にしばしば供用されるというような傾向が見えたときには、われわれはただ新聞で知るだけで知らないでいますから、そういう状況が見えるようであれば、その状況を適切な時期に地方行政委員会に資料を付して明示されたい、こういうことを希望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/86
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087・小笠原二三男
○委員長(小笠原二三男君) 委員長からも付け加えて希望申し上げておきたいと存じますが、この直線式固定装置のそれが原案から削除せられましたことによって、現行の飛び出しナイフを固定装置づきのナイフの方に生産がえをして、やはり大量販売しようということで、好奇心をねらった悪用されやすい形態の固定装置ナイフが多く市販せらるるような状況が防犯上見られる際には、即刻当委員会に警察庁の方から御報告を願いたいと存じます。そのことによって、当委員会としては再度検討するということが前提要件として先ほどの修正があったことを念のために申し添えておきます。
それでは、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十八分散会
――――・――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214720X01219550621/87
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