1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月三十一日(火曜日)
午前十一時一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
植竹 春彦君
木下 源吾君
松原 一彦君
委員
井上 知治君
中山 壽彦君
野本 品吉君
千葉 信君
松浦 清一君
三好 英之君
国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
建 設 大 臣 竹山祐太郎君
政府委員
内閣官房副長官 田中 榮一君
内閣総理大臣官
房審議室統轄参
事官 賀屋 正雄君
法務政務次官 小泉 純也君
外務政務次官 園田 直君
外務大臣官房長 島津 久大君
労働政務次官 高瀬 傳君
建設大臣官房長 石破 二朗君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
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本日の会議に付した案件
○連合審査会開会の件
○外務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○建設省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
○労働省設置法等の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○総理府設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○法務省設置法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず連合審査会に関してお諮りいたします。去る五月二十三日、決算委員会から、会計検査院法の一部を改正する法律案につきまして、当委員会に連合審査会の開催を申し入れて参りましたが、これを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/1
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002・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。なお、連合審査会開会の日時等につきましては、決算委員長と協議の上決定いたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/2
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003・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、外務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案について政府側から提案理由の説明を聴取することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/3
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004・園田直
○政府委員(園田直君) ただいま議題となりました外務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容を説明いたします。まず提案理由を説明いたします。
今般の改正において、外務省といたしましては、本省内部部局及び附属機関につきまして、次の方針を持っております。第一に、移住局を設置すること。第二に、賠償部を設置すること。第三に、横浜移住あっせん所を新設すること。まず移住局の設置について説明いたします。本邦人の海外移住に関しましては、昭和二十九年度中、三千七百余人の計画移民を送出し、また本年度は五千五百人の送出を計画する等、年々著しい増加をみておりますが、一方、中南米の諸受入国の受け入れ計画ないし受け入れ態勢は、一般的対日感情の好転とともに、わが国にきわめて有利になってきております。政府といたしましては、この好機を逸せず、わが国民の海外移住を一層促進する方針でおりますが、このために外務省の移民関係担当部局を統合強化する必要があると認められますので、現在欧米局が所掌しております移民、渡航関係事務を同局から分離し、新たに移住局を設置し、同局にこれらの事務を統合所掌せしめたい所存であります。
次に、賠償部の設置について説明いたします。ビルマ国との賠償及びこれに伴う経済協力に関する協定は、去る四月十六日効力を発生し、目下同国との間に実施に関する細日取りきめを交渉中でありまして、これに基き、近く協定実施の段取りとなる予定であります。政府といたしましては、誠意をもって賠償義務を履行する方針でおりますが、この実施業務な関係各省と密接な連絡、協力を保持しつつ、総合的かつ円滑に遂行するため、アジア局に賠償部を設置したい所存であります。なお、インドネシア、フィリピン等との間の賠償交渉が妥結いたしました際には、その実施業務も、この賠償部に所掌せしめる予定でおります。
最後に、横浜移住あっせん所の設置について説明いたします。さきに申し述べましたとおり、海外移住は年々増加の趨勢にあり、政府も大いにこれを促進する方針でおりますが、これら移民に対しまして移住に必要な教養を与え、及び渡航に必要な手続をあっせんする機関といたしましては、現在神戸移住あっせん所一ヵ所であります。これでは、増大する移住あっせん業務に支障を来たすおそれがあるのみならず、東日本方面からの海外移住者にはきわめて不便であり、かたがたボリビア・コロンビア等の国が、横浜にのみ領事館を設置しているという関係もありまして、この際、外務省附属機関として、新たに横浜移住あっせん所を設置し、あっせん業務の円滑化をはかりたい所存であります。
以上の方針をさらに実施に移すには、法律上、外務省設置法の一部を改正する必要がありますので、今般この改正法律案を提出する次第であります。
以上が本法律案の提案理由の説明であります。
次に、本法律案の内容の説明をいたします。まず移住局の設置につきましては、外務省設置法第五条に本省内部部局として移住局を追加し、新たに第十三条の二といたしまして同局の所掌事務を規定し、同時に第九条の欧米局所掌事務から移民・渡航に関する事務を削除いたしました。次に、賠償部の設置につきましては、第五条第二項といたしまして、アジア局に賠償部を置く旨規定し、さらに第八条のアジア局所掌事務に賠償実施関係事務を追加し、同条第二項に賠償部が右の事務を所掌すべき旨、規定いたしました。なお賠償部設置のためには国家行政組織法の一部改正を要しますので、これを本法律案附則第二項に規定いたしました。最後に、横浜移住あっせん所の設置につきましては、第十五条の二を改正しまして、神戸移住あっせん所に並ぶものとして、横浜移住あっせん所を規定した次第であります。
以上をもちまして本法律案の提案理由及び内容の概要の説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/4
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005・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案について提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/5
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006・竹山祐太郎
○国務大臣(竹山祐太郎君) ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案の提案理由をご説明申し上げます。
今回の改正は、第一に、住宅対策の拡充強化に伴いまして、宅地問題の解決に積神的に当らねばならぬことは明らかでありまして、このため従来宅地の利用の調整に関する調査及び企画についての事務を住宅局において処理して参ったのでありますが、利用の調整にとどまらず、宅地制度そのものにつきましても根本的に十分研究いたし、住宅対策の基礎といたしますため所掌事務及び権限の一部を改めたことであります。第二に、ビルマとの賠償及び経済協力に関する協定が成立いたしまして、今後賠償事務が増大して参りますが、特に今回の賠償には役務賠償を含んでおりますため、建設省所管事務が少くないと想像される次第であります。さらに国交回復が順調に行われるに従い、特に東南アジア方面からは建設事業の引き合いが相当参っておる次第であります。これらの事務を建設省におきまして統一的に総合調整いたしますために、この事務を大臣官房において処理せしめることといたしたことであります。第三に、建設省所管の統計事務を強化するため、指定統計の実施及び業務統計の総合調整事務を大臣官房におきまして統一的に行わしめることにいたしたことであります。第四に、受託に関する権限規定を整備いたし、建設省の所管または助成する建設工事と工事施行上密接な関連を有する工事につきましても受託し得ることとし、また受託し得る相手方として住宅金融公庫をも他の公社寺と同様に取り扱うことといたしました。さらに建築研究所におきまして建築物、敷地、建築資材について、民間では実施困難な調査、試験及び研究については、相手方が民間でありましても、これを受託し得ることといたしたことであります。第五に、建設省の所管に属する建設工事用機械につきまして、その貸付などに関する規定を設け、これを明確にしたことであります。
以上がこの法案の概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御議決あらんことをお願いいたす次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/6
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007・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、労働省設置法等の一部を政正する法律案を議題といたします。
本案について政府の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/7
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008・高瀬傳
○政府委員(高瀬傳君) 労働省設置法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
現下の失業情勢は、いわゆるデフレ経済の進展によりすでに相当悪化しておりますが、ここしばらくは、なお経済正常化の努力を必要とする段階であり、従って一般経済活動の著しい改善は早急に期待できない実情を思いますとき、失業情勢はなお当分の間楽観を許さない状態を持続するものと考えられます。雇用失業問題の根本的解決をはかるためには、長期経済計画の推進により、経済の拡大均衡をはかり、もってわが国経済の自立達成と雇用の増大を期さなければなりませんが、その過程において生ずる摩擦に対処するためには、総合的な失業対策の樹立、運営が必要となるのであります。
政府といたしましては、まずこのような失業情勢に対処して、現行失業対策事業のワクの拡大をはかるとともに、新たに特別失業対策事業として建設的な事業を大規模に実施することとし、本年度は失業対策事業費補助として百六十八億円の予算を計上し、二十二万人の失業者を吸収することといたしたのでありますが、これは昨年に比し、金額にして四十九億円、人員にして五万人の増加となるのであります。なかんずく特別失業対策事業につきましては、これに要する経費として約三十五億円を労働省予算に計上しているのでありますが、この建設的効果をも十分挙げうるよう、建設省、運輸省等の関係各省と事業の施行方法について協議の上、当該各省に予算の移し替えを行なって、これを実施することといたしているのであります。さらにこれに加えて、鉱害復旧事業、都市建設道路事業に失業者を吸収する等の設置を講ずることをはじめ、失業対策事業と公共事業、財政投融資対象事業等との総合的計画的運営をはかることが必要でありまして、そのためには労働省と他の経済各省間の緊密な連絡が要請されるのであります。
失業対策事業のワクの拡大は、それ自体これに伴う事務の分量の増加をもたらすものでありますが、さらに政府の施策が真に実効を挙げるためには、特に一部を設けて失業対策事業を計画的に実施するとともに、総合的な失業対策の樹立運営をはかることが是非とも必要であると考えるのであります。従来失業対策の事務は労働省職業安定局失業対策課において所掌して参ったのでありますが、本改正法案の内容は、以上述べた考え方に基き、労働省設置法の一部を改正して職業安定局に新たに失業対策部を置き、責任ある部長の下に失業対策の実施に遺憾なきを期することとするとともに、これに伴い国家行政組織法の別表の一部を改正しようとするものであります。
以上、提案理由と本法案の概要を御説明いたした次第でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/8
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009・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する政府の提案理由の説明を求めます。田中内閣官房副長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/9
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010・田中榮一
○政府委員(田中榮一君) ただいま議題となりました総理府設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明いたします。
今回の改正は、総理府に附属機関として航空技術研究所及び海外移住審議会を設置することが目的でありまして、まず航空技術研究所の設置につき申し上げますと、航空技術の向上をはかるために、近代の航空技術に即応した研究及び試験を実施することのできる充実した航空技術研究機関を国に設けますことは、かねてから行政機関、大学、民間会社など関係方面の強く要望するところでありました。しかしながら、航空技術の試験研究に必要な施設や設備は、風洞をはじめ多額の経費を要するものが多くありますので、国費の節約をはかるためにも、これらの施設を一ヵ所に集め、共用の機関として運用することのできる航空技術研究機関な設置することが適当と考えられるのであります。このことにつきましては、航空技術審議会からも、政府の諮問に応じ、関係者行政機関の共用に供する航空技術研究機関設置の基本方針についての答申がありましたので、ここに、航空技術研究所を設けることといたした次第であります。
また、海外移住審議会の設置につきましては、このたび、海外移住に関する行政事務機構といたしまして、外務省に移住局を置くこととし、別に外務省設置法の一部を改正する法律案を提案いたしましたが、今後における海外移住問題の緊要性にかんがみまして、海外移住政策に関する重要事項について審議する諮問機関を設ける必要があると考えられますので、ここに海外移住審議会を設置することといたした次第であります。
次に、改正法律案の概要を申し上げます。第十条の改正は、附属機関として航空技術研究所を加えたものであり、第十四条は研究所の目的、実施事項等を規定したものであります。第十四条第一項では、航空技術の向上をはかるために必要な研究及び試験並びに調査で、この研究所で行う研究、試験及び調査の範囲を規定し、あわせてこの研究所は、その施設及び設備を関係各行政機関の共同使用に供することを目的としておることなどを規定し、第二項では、その施設及び設備は民間に対しても使用させることができる旨を、第三項及び第四項では、設置の場所及び内部組織に関して規定いたしております。また、第十五条の改正は、その他の附属機関として海外移住審議会を加えたものでありまして、審議会の目的としては、内閣総理大臣又は関係各大臣の諮問に応じて海外移住政策に関する重要事項を審議するものである旨を規定いたしました。審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員については、政令をもって定めることにいたしております。なお、右に伴いまして、字句等について所要の改正、整理をいたしました。
以上がこの法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/10
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011・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する政府の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/11
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012・小泉純也
○政府委員(小泉純也君) ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
出入国管理、行政は、わが国におけるすべての外国人の出入国、在留あるいはその退去に関し、第一次に法令の執行に当るものでありまして、その取扱いのいかんは、直ちに当該外国人個人の利害に関するのみならず、ひいては各国の対日感情に影響するところも少なくないことは御承知の通りでありますが、入国管理局は発足後いまだ日が浅く、子の機構上不十分の点がありますので、この際その二、三の点を改善し、出入国管理行政の一層有効適切な運営を行い得るよう、その体制を整備いたしたいと存ずるのであります。
まず第一は、川崎入国者収容所の新設であります。現在入国者収容所は、大村と横浜の二ヵ所にありまして、横浜入国者収容所には主として欧米人の法令違反者を収容いたしているのであります。しかるに、この横浜入国者収容所は、元キャバレーの敷地及び建物を買収し、急遽改装したものでありますため、その設備ははなはだしく貧弱、かつ不完全で、被収容者の運動場はもちろん、地震、火災等非常に際しての設備、その他被収容者の食堂、面会所、診療室等、処遇上当然に必要な施設すら完全に設けられておらず、また入国警備官の休憩、待機、宿直施設等も不整備のため、被収容者の処遇上及び警備上著しい支障を来たしておるような状況であります。その上環境も悪く、この収容所はつとに内外各機関、特に各国領事、報道関係者等の批判の的となっておるばかりでなく、その警備に当る職員も疲労の極に達し、健康上も憂慮すべき状態を招来しておる実情であります。そこで、この際、羽田空港と横浜港とをその両翼に擁し、京浜一帯の中心に位し、しかも交通至便な川崎市に収容所を新設し、主として欧米人のための理想的な収容所とし、もって出入国に関するわが国の法令を犯した外国人に対しては、人種、国籍等による差別なく、強力かつ公正に法を執行し、国際的にも恥しからぬ出入国管理行政を実現したいと存ずるのであります。
第二には、大阪入国管理事務所の新設であります。入国管理局の出先機関たる入国管理事務所は現在十二ヵ所にございますが、近畿地方の中心地たる大阪には、神戸入国管理事務所の出張所が設けられているだけで、独立の入国管理事務所はまだ設けられておらず、業務の遂行に種々不便を来たしているのであります。すなわち現在の神戸入国管理事務所は、全国最大港の一つたる神戸港を擁するとともに、全国在留外国人の三二%を占める大阪、兵庫、京都、滋賀、和歌山、奈良の二府四県を管轄区域とし、その事務量において他の管理事務所をはるかに凌駕し、また地理的にもその場所が片寄り、違反調査、在留資格関係等の業務の面において関係者に無用の労力と費用の負担をかけ、また関係機関との連絡にも不便がある等、いろいろの不都合を生じているのであります。そこでこの際、新たに大阪に入国管理事務所を新設し、神戸入国管理事務所の事務を一部これに移管したいと存ずるのであります。すなわち神戸入国管理事務所には、約六万人の在留外国人を持つ兵庫県を管轄させるとともに、出入国外国人数の多い神戸港と広畑港を配属し、横浜入国管理事務所とほぼ相似した型の事務所として存置し、大阪入国管理事務所には、大阪府(在留外国人約十一万)、京都府(同約四万)、滋賀県(同約八千)、和歌山県(同約六千)及び奈良県(同約五千)を管轄区域とし、かつこれに大阪港、和歌山下津港、舞鶴港、田辺港、宮津港を配し、もって出入国管理行政の合理化をはかるとともに、関係機関との連絡に万全を期したいと存ずるのであります。
第三には、大村入国管理事務所の管轄区域を福岡入国管理事務所の管轄区域に変更することであります。従来大村入国管理事務所は便宜的に大村入国者収容所に併設されているため、同管理事務所の職員は、回収容所の職員と兼務の状態にあり、その間とかく業務の混乱が起きないとは言えない状態にあったのであります。そこでこの際このような便宜措置をやめ、同収容所をしてその本来の行政に専念せしめることが最も適当であると信じますので、比較的事務量の少い同管理事務所を廃止し、その管轄いたしておりまする区域と出入国港とを福岡入国管理事務所の管轄に移したいと存ずるのであります。
最後は、前に申し述べました入国管理事務所の新設あるいは廃止に伴う各出張所の所属変更と港業務の繁閑に伴う港出張所の整備でございます。すなわち神戸入国管理事務所、大阪港出張所、同和歌山下津港出張所を大阪入国管理事務所に、大村入国管理事務所長崎港出張所及び同佐世保港出張所を福岡入国管理事務所にそれぞれ所属変更いたしますほか、新たに下関入国管理事務所尾道港出張所及び同宇部港出張所並びに福岡入国管理事務所厳原港出張所を設置するとともに、既設の仙台入国管理事務所塩釜港出張所及び名古屋入国管理事務所敦賀港出張所並びに神戸入国管理事務所舞鶴港出張所を廃止しようとするものであります。元来出張所は入国管理事務所の事務を分掌させるためのものでありますが、その主たる業務は出入国港におきまする外国人の出入国管理にあるのであります。この出入国港は、現在全国に八十六港が指定されており、そのうち四十一港に出張所が置かれ、その他の四十五港では外国船舶の出入のつど、所轄入国管理事務所またはもよりの出張所から入国審査官が出張し、審査に当っている現状であります。ところが従来の実績に徴しますると、現在出張所の置いてない尾道及び宇部の両港には出張所を置く事が望ましい反面、塩釜、敦賀及び舞鶴の三港にはその必要が乏しいので、その間の整理統合をいたしたいと存ずるのであります。また厳原港は、御承知のように不法入国者の取締り上重要な地点であるとともに、地理的にも本土から隔離された土地でもありますので、ここに出張所を新設し、いわゆる港業務のほか不法入国取締り上の業務をも行わせ、不法入国防止の万全を期したいと存ずるのであります。
以上、この法律案の提出理由を御説明申し上げましたが、以上の措置は、川崎入国者収容所の新設に要する費用を除いて、いずれも与えられた予算と人員の範囲内で行うものでありますから、この点お含みの上、何とぞすみやかに御可決あらんことを切望いたします。
なお、後ほどあらためて正誤表をお配りいたす所存でありますが、ただいま御説明申し上げました提案理由説明中、最後のところで、「以上の措置は、川崎入国者収容所の新設に要する費用を除いて、いずれも」云々と申し上げましたが、すでにお手元にお配りいたしました印刷物には、この部分が落ちておりましたのを、この際挿入いたしましたので、この旨御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/12
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013・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/13
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014・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) ただいま議題となりました厚生省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は厚生省の本省及び附属機関たる栄養研究所の所掌事務について所要の調整を行いますとともに、引揚援護局関係の附属機州及び地方支分部局のあるものを廃止いたしますことを内容としているものでありますが、この法律案に規定しております改正点の第一は、国立栄養研究所の所掌事務を拡充して食品の栄養効果について委託試験を行い得ることとしようとするものであります。最近食品の栄養効果について試験を実施してほしいとの要求が集団給食施設等から栄養研究所に持ち込まれることが多いのでありますが、現行の法律ではこれに応じ得る規定を欠いておりますので、この際これに応じ得るための根拠規定を設けようとするものであります。その第二は、国立療養所に看護婦等の養成所を附置することであります。看護婦の養成はでき得るならば綜合病院において行うことが望ましいのでありますが、療養所の病床の増加その他に応じ看護婦を十分に確保いたしますためには、この方法のみでは十分でありませんので、特例の措置として国立療養所に、昭和二十六年から看護婦の養成所を事実上設け、看護婦及び准看護婦の養成を行い現在に至っている次第でありますが、別段の支障が認められませんので、この際これを法律上も明確に規定しようとするものであります。その第三は、援護所及び舞鶴地方復員部を廃止しようとすることであります。海外からの引揚が終末に近づきつつある現況と、旧陸海軍の復員に関する事務が次第に縮減して参りました現況にかんがみ、これらの機関は独立の機関として存置する必要がないと認められるに至りましたので、これを廃止しようとするものであります。その第四は、厚生省の本省の権限に若干の調整を行いますことであります。これは所掌事務にかかる賠償及び国際協力に関する事務を行うための根拠規定を設けようとするものであります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/14
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015・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 以上の各法律案につきまして、資料の要求でもございましたら委員長までお申し出を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/15
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016・木下源吾
○木下源吾君 いろいろ今の説明を聞きますと、大体首切りがだいぶ出そうなのがあります。それと関連した首切りの数字、配置転換等を行う意図があるならば、そういうものの計画、そういう計画の何を一つ出してもらいたい。建設省であるとか、厚生省であるとかというような内容を、今ちょっと聞いただけでもそういうのは相当あると思います。今日の説明の中で関係している首切り、そういうものの何を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/16
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017・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 木下委員に申し上げますが、いずれこれは、定員法の改正案が出ておりますから、その際にそういったものは十分政府からも資料を要求するし、審議できるかと思うのでありますが、また別個に要求いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/17
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018・木下源吾
○木下源吾君 それは一ぺんもらえばもうもらわぬから、今の関係のやつを一つ出してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/18
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019・松浦清一
○松浦清一君 ただいま説明を聞いたばかりで、どの資料が必要だかということがまだ思いつかないのですが、今気のついたことは、労働省設置法等の一部を改正する法律案の説明の中で、失業対策事業費百八十六億可が予算に計上してあると御説明がありましたが、この百八十六億円で二十二万人の失業者を吸収するというのでありますが、その各府県で、何県から何人とか、予算の総額が各県にどのように分配される計画であるか、そういう計画ができておるならばその資料をもらいたい。気のついたことはこの一点だけで、あとまた調べて、のちほど要求します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/19
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020・千葉信
○千葉信君 今資料の提出について委員長からお話がありましたが、説明を聞いたばかりで、今、松浦君や木下君の方から要求が出ましたけれども、この法案の審議が進みますと、相当いろいろな資料の必要が生じて来ると思う。ですから、そのつど私どもの方から要請申し上げますが、各省の方でも、少くとも、もう少し親切に、いま見ますと、ほとんど資料等も出ていない。だから、こちらから要求がなくても準備をしておいてもらいたい。そうして私どもの方の要求がありましたときには、即座に出せるような態勢をとってもらうということにして、私は今日は資料の問題はこのくらいにしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X00719550531/20
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021・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) さように取り計らいます。他に御発言ございませんか……。それでは本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十五分散会
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