1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十八日(火曜日)
午後二時二十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
植竹 春彦君
松原 一彦君
委員
井上 知治君
木村篤太郎君
中山 壽彦君
中川 以良君
長島 銀藏君
上林 忠次君
野本 品吉君
加瀬 完君
千葉 信君
松浦 清一君
三好 英之君
委員外議員
商工委員長 吉野 信次君
国務大臣
国 務 大 臣 高碕達之助君
政府委員
内閣官房副長官 松本 瀧藏君
法制局第二部長 野木 新一君
科学技術行政協
議会事務局長 鈴江 康平君
経済審議政務次
官 田中 龍夫君
経済審議庁総務
部長 酒井 俊彦君
経済審議庁計画
部長 佐々木義武君
運輸政務次官 河野 金昇君
運輸大臣官房長 山内 公猷君
労働政務次官 高瀬 傳君
労働大臣官房総
務課長 堀 秀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 川島 孝彦君
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本日の会議に付した案件
○運輸省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○総理府設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○労働省設置法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○経済審議庁設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/0
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまより内閣委員会を開会いたします。
まず、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対し御質疑があれば御質疑をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/1
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002・長島銀藏
○長島銀藏君 本案に対しましては質疑ももう終了したと考えますので、討論を省略して、ただちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/2
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003・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいま長島委員の御提案になりましたように、それでは本案につきましては質疑を終局し、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。
それではただいまより運輸省設置法の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/4
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005・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容及び第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、恒例により委員長にこれを御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/5
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006・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
松原 一彦 松浦 清一
加瀬 完 三好 英之
野本 品吉 中山 壽彦
上林 忠次 中川 以良
長島 銀藏 木村篤太郎
千葉 信
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/6
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007・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し残余の質疑があれば御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/7
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008・中川以良
○中川以良君 本案につきましては、すでに質疑は終了したものと存ぜられますので、この際討論を省略いたしまして、直ちに採決に入るの動議を提出いたします。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/8
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009・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいま中川委員より御提出の動議の通り、質疑を終了し、討論を省略して、直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/9
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010・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
それではただいまより総理府設置法の一部を改正する法律案の採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/10
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011・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容及び第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他の事後の手続につきましては、恒例によりこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/11
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012・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
松原 一彦 松浦 清一
千葉 信 加瀬 完
三好 英之 野本 品吉
中山 壽彦 上林 忠次
中川 以良 長島 銀藏
木村篤太郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/12
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013・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、労働省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対し残余の質疑があれば御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/13
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014・千葉信
○千葉信君 労働政務次官に御質問申し上げて果して妥当かどうかは別としまして、この際一つの疑点についてお尋ねしておきたいと思います。悪口を言うように聞こえるかも知れませんが、鳩山内閣では、選挙のときにはかなり国民の弱点をとらえて、その公約等も非常に巧妙に国民にしているという印象を私どもは受けております。しかし実際上は住宅の対策にしましても、四十二万戸建設という公約をしながら、最後には二十五万戸も、これは国民が自腹で建てる住宅の数を計算に入れたというような具体的な政策になってきております。それからまた社会保障制度の全般的な問題はもちろんのこと、部分的には、たとえば失業保険金の問題等にいたしましても、今回の政府の提案によりますと、非常に巧妙に有利な条件になったかのような印象を与えていますけれども、しかし事実はその労務者たちの勤続年数が割り合いに短かいという実態をちゃんと把握しておいて、そうして勤続年数の短かいものの分については、かえって支給率を下げてきている。それから同時に国家公務員の退職手当の支給の問題にいたしましても同様に、その最低保障におきましても、国家公務員諸君の勤続年数の実態をよく知っていて、そうして長期勤続者に対しては有利な条件になっていますけれども、しかし非常に勤続の短かい諸君に対してはひどい低率を今度は押しつけてこようとしている。この失業保険金や退職手当の関係を十分に調べてみますと、長期のものは率が上ったけれども、短期のものの率は非常に下った。しかも実際の勤続年数等の関係を見ますと、一般の場合でも、それから公務員の場合でも、短い勤続者が非常に量の上において多いということ、同時にまた従って実際支給する場合における計算から言いますと、失業保険にしても、公務員の退職手当の関係におきましても、むしろ予算が大蔵省の係官の計算から言いましても、三%ないし四%は余るということをはっきり言っております。こんなに予算の余るような格好で、この保険金の問題、退職手当の問題等を処理しております。で、まあ同時にこれは私ども誤解かもしれませんが、この委員会に提案されている定員法の関係について、実際退職制度の予算の関係も、実は指名退職制度による新規予算の計上は行わずに、既定予算の中からちゃんと生み出すような方法が退職手当の関係でとられている。こういう一連のやり方が、今度のたとえば失業対策の問題にしても、今度の労働省設置法等における失業対策部の設置の問題にしても、この法案を拝見いたしますと、五十六人で失業対策部を担当する。しかもそのうちの三十五人というのは失業対策課の定員の振りかえ、省内の定員の差し繰りで十一人で四十六人、労働省ともあろうものが事務補助員などという定員をことさらに、ほんとうは労働省なんかは労務雇用関係においてはサービス官庁として、しかも政府の模範的な雇用者としての立場をとらなければならないはずの労働省で、こういう定員外の職員を、臨時の十人もここに置くというような格好でやっと五十六人をまかなった。一体こういう程度の失業対策部で提案理由の説明に言われているような失業対策の完璧を期することができるかどうか。予算にしては四十九億円ふえていると言うし、それからまた建設省、運輸省等の関係各省との事業の施行方法について、当該各省に予算の移しかえを行なって失業対策の完璧を期するという、こういう趣旨に沿うような方針を、この程度の一体失業対策部の陣容をもってして十分にやれるかどうか。ここにも私はやはり羊頭を掲げて、羊だ、羊だと言って犬の肉を売ろうとしている鳩山内閣の性格が出ていると思う。これで一体十分にやれるという確信がおありかどうか、その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/14
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015・高瀬傳
○政府委員(高瀬傳君) ただいまの御質問でありますが、現内閣は、御承知のように前の自由党の内閣と同じように一兆円のワク内でいろいろな国策を遂行しようと、こういう立場をとっておりますから、失業対策の問題につきましても、これは非常に重大な問題でありますので、予算措置は十分とったつもりであります。いろいろお立場によって御批評はあろうと思いますけれども、今回は一般の失業対策あるいは特別失業対策等も合わせまして約百六十八億の予算を計上いたしまして、昨年度よりかなり増額いたされました。従ってこれらのせっかく失業対策方針を確立した以上、独立の部を設けて、ぜひともその運用を完璧にしたいというので、予算のワク内で、官吏の定員をふやさずに何とかその対策の運営の万全を期したい、こういうつもりで今回の組織法の改正を提案いたしました。決してこれは羊頭を掲げて狗肉を売るというような考えではなく、現政府としては誠心誠意、こういうような対策を立てて、今後の皆様方国会の御協力を得て大いにこの充実をはかって行きたいという決意でありますから、どうか一つその点もおくみ取りをいただいて、ぜひとも御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/15
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016・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/16
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017・野本品吉
○野本品吉君 本件に関しましては、大体質疑も終了したようでございますから、これで討論を省略いたしまして、直ちに採決に入られることの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/17
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018・長島銀藏
○長島銀藏君 ただいまの野本君の御意見に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/18
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019・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいま野本委員から御提案のありましたように、質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/19
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020・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
それではただいまより採決に入ります。労働省設置法等の一部を改正する法律案を議題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/20
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021・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他の事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/21
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022・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
なお、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
三好 英之 井上 知治
野本 品吉 中山 壽彦
上林 忠次 中川 以良
長島 銀藏 木村篤太郎
松原 一彦 松浦 清一
加瀬 完 千葉 信発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/22
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023・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。
午後二時四十五分速記中止
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午後三時八分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/23
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024・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
御報告申し上げます。ただいまお手元に差し上げましたような申入書が、参議院農林水産委員長江田三郎君から内閣委員長宛に提出せられております。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案についての申し入れでございますから御報告申し上げておきます。委員においても御研究おき願いたいと思います。
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025・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、経済審議庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
お諮りいたしますが、本案の審議に関しまして吉野商工委員長から委員外の発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/25
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026・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) それではさように決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/26
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027・吉野信次
○委員外議員(吉野信次君) 皆さんお世話になりました。この前の委員会のときに、第十一条の関係で、政府に御質問申し上げておったのですが、その法制的なまず答弁を一応伺って見たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/27
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028・野木新一
○政府委員(野木新一君) 前回は、吉野先生の御質問の点を一応非公式には承わっておりましたが、詳細に承知しておりませんでしたので答弁を延ばしていただいた次第でございます。その後商工委員会の会議録、内閣、商工連合委員会の会議録等によりまして、吉野先生の提出せられた問題点はよく拝聴をいたしました。従いまして、論点は数点にわたるようでありますが、逐次整理いたしまして申し上げたいと存じます。
その中で一番問題になる点は、勧告の法律的性質はどういうことであろうかということになろかと思います。それでありますからまずその点から申し上げて行きたいと思います。勧告の法律的性質はどうか、もっとはっきりと申しますれば、勧告はこれを受けたものに勧告の内容と申しましょうか、趣旨と申しましょうか、その勧告に従うべき法律的義務を発生せしめるべきかどうかという問題になろうかと存じます。まず私どもの方の結論を先に申し上げますれば、勧告は勧告を受けたものに、その勧告に従うべき法律上の義務を生じさせるものではないということになるわけであります。その点がいわゆる指揮とか、何とかいう言葉と非常に違うことになると存じます。すなわち勧告は、ある事項につきまして相手方にある措置を勧める行為と申しましょうか、あるいはある事柄を申し出て、その申し出に沿うような相手方の措置を勧めることといってもよろしいだろうと存じます。これは今日初めてこういう解釈を下すわけではございませんでして、過去の勧告に関する立法例等を調べてみましても、原則として同様な用例に従っておるわけであります。勧告につきましては、戦前におきましてはそういう文字等もほとんどなかったと思いますが、戦後よく使われ出した言葉でございます。それで戦後の立法を調べてみますと、勧告という制度を使っているものは相当ございます。それにはいろいろの類型があるわけであります。たとえばある大臣から他の大臣に対して勧告するというような例、たとえば行政管理庁設置法、それからこの前この委員会でも御指摘になったようでありますが、鉱山保安法、国土総合開発法などにその例が見えるようであります。またある行政機関の付属機関からその大臣に勧告するというような例は相当たくさんあります。たとえば航空技術審議会設置法とか、社会保障制度審議会設置法などであります。また国と地方公共団体、あるいは地方公共団体の間において勧告をするという制度が用いられている例があります。それは地方自治法などにその例が見えております。なお、ある大臣からある業者に対して勧告するという場合にも勧告という言葉が用いられている例もございます。それは陸上交通事業調整法などでございます。またさらにある機関から内閣なり、あるいは国会なりに対して勧告するという制度もとられた例もあります。現在残っているものといたしましては、よく問題になります国家公務員法二十八条関係の、給与に関して国会及び内閣に勧告しなければならないといったようなことがございます。なお、なくなりましたが旧地方行政調査委員会設置法ですか、このときもその委員会は内閣及び内閣を経由して国会に勧告するという制度を用いられた例もあります。こういうのを通じて考えてみました場合に、この場合には原則として勧告ということは、先ほど私がお話申し上げましたような解釈のもとに立案されておるわけであります。ことに原則と申し上げましたのは、実は一、二の例外があるから申し上げたわけでありまして、便宜例外の点を指摘してみますと、すなわち勧告があったならば、これに従わねばならないといったように、従わなければならないと書いた立法例も一、二ございます。たとえば消防法三十五条とか、少年院法五条とかいうものがそれでございます。しかしこれは例外でありまして、何も書いてない場合等につきましては、勧告は私が先ほど申し上げましたような趣旨に解釈しております。そうしてこの例外の場合も、文字は勧告という文字を用いておりますが、実質は勧告でないと、そう解しておる学者もあるわけであります。
次に、それならば過去においてこの勧告ということが国会で問題になったことがあろうかという点を念のために調べてみましたら、実はこれは非常に問題になったことがございました。すなわち第六回国会の参議院の地方行政委員会におきまして、先ほど申し上げました地方行政調査委員会設置法審議のときに、これが非常に問題になりましてすなわち勧告の法律的性質であるとか、勧告には法的拘束があるのかどうか、まさに今いった点が非常に問題になりましてこのとき今の法制局長官である林さんが政府委員として答弁しておるわけでありますが、そのときの記録を調べてみましたところ、ちょうど今私が申し上げた趣旨の答弁を申し上げて御了承願っておるわけであります。そういたしまして、当時その点につきまして、今、成蹊大学の教授をやっております佐藤功さんが、勧告に関する論文を書きまして、その論文におきましても今の林現長官の見解を支持した論文を書いておる次第でございます。そうして念のために一般の学者はどうだろうと思いまして、たとえば手近の岩波の法律学辞典を開いてみましても、勧告の定義として、私が今申し上げたような定義を下しておるわけであります。こうしてみますと、勧告ということは大体私が先ほど申し上げたように解釈してほぼ過ちなく、それが通説だろうと存ずる次第であります。この点は吉野先生のこの前の速記録で拝見した意見と反対のような結果になるわけでございますが、大体通説としては、ただいま申し上げたようになっておるものと存ずる次第であります。
次に、それとしても、勧告することができるというだけではあまり意味がないじゃないかという点もちょっと見えました。で、勧告のいろいろの制度を見ますと、勧告に従わなければならないといった先ほどの消防法の例は暫らく別問題としまして、たとえば勧告に基いて緊急事態の布告をするといったような警察法の規定とか、あるいは運輸省設置法などは、運輸大臣などは運輸審議会の勧告があったときは、これを尊重して必要な措置をとらなければならないといったような例もあります。また独占禁止法などにも、公正取引委員会は一定の法律違反がある場合にはその違反者に対して勧告をすることができる。そうした場合には、勧告を受けたものは遅滞なく当該勧告を応諾するか、どうかについて通知しなければならないというような、別途法律的の手続き的と申しましょうか、別途の効果を結びつけている例もございます。しかしながら、大体としては勧告することができるということで、これだけの例が非常に多いわけでございます。それで、勧告することができるだけでは大した法律的意味がないじゃないかという点は確かに一つの御見解と存じますが、私どもといたしましては、いやしくもある官庁の権限として勧告という権限を与えた以上は、ある機関が他の機関に対して勧告できるという場合におきまして、その甲の機関と乙の機関との法律的関係はどうなるかと申しますと、勧告権限を与えられた機関が、勧告を受ける立場に置かれる機関に対してある勧告をすると、そうしたならば、その受ける機関は少くともその勧告を受け取って、これを検討すべしと、そういう程度のこれは法律上の義務と言いましょうか、法理上の立場に置かれている、こういうことはあると存じます。そうして一般に勧告という制度は、制度の建前といたしまして、勧告を受けたものが、勧告を受けたら大体それを尊重して、自分の方に支障のない限りこれを尊重して行くというような精神を前提としているものじゃないかと存ずるのでありまして、何も法律的に規定しなくても、事実ある官庁が他の官庁に申し入れをするという場合に対して、先ほど言ったような法理的関係が生ずるという意味において非常に重みがある。この前の第六回国会のときの議論のときにもそういうような説明を下してあるわけでありますが、単なる事実上の勧告にくらべて、やっぱり俗に言えば重みがある、重みをつける。そういうような効果はあろうかと存じます。しかし法理的に申しますと、勧告の内容に沿ってそういう措置をしなければならない、そういう法律上の義務はいずれにせよ生じないということになろうかと存じます。
次に、ある非常に限定せられた特定の事項について勧告という制度を認めるならばともかく、本法案のような場合にこれを認めることは、何と言いましょうか、行き過ぎではなかろうか、どうだろうかというような点でございますが、その点につきましては、結局これも程度の差、あるいはその意見の相違ということになろうかと存じますが、勧告という制度は、先ほど申し上げましたように、法的の力としてはあまりそう強くないものでございますので、たとえば本案で見ますと、経済審議庁は「長期経済計画の策定及び推進」等の事務を所掌いたしまして、その「長期経済計画に関する関係行政機関の重要な政策及び計画の立案に関する総合調整」をするというようなことをやっておりますので、そういう庁の長官といたしまして、その長官がこの長期経済計画を推進して行くという、そういう立場から見て、そういうために必要があるときには、本法案の認めるように、各行政機関の重要な政策及び計画の立案について勧告するという権限を与えるのも法理的にはもちろん不可能ではないし、政策という意味でも法制局としては必ずしも行き過ぎとも言えないのではないかという意見で、この法案の審議の際にこれを認めた次第であります。
次に、同じランクにある行政庁同士の間に勧告というものを認めるのは、行政法の理論から見てどうだろうかという点がございます。これはまた、ことに行政の大臣同士の間にそういう関係を認めるということは、内閣制というものは内閣を構成する大臣がなるべく平等の、総理大臣は別といたしまして、平等の立場にいた方がいいんじゃないかというような点を考え合せてみますと、たしかに論点にもなり得ると存じますが、私どもといたしましては勧告が、先ほど申し上げたように、指揮などという言葉と違いまして、相手にその勧告に従う義務を負わせるものでないという立場に立ちますので、ある機関が他の機関に対して指揮をするといったような場合と、非常に何と言いましょうか、法理的な意義が違ってくるのではないかと存じます。そうして行政の運営上、こういう勧告という制度を認めることによって、行政が全体として円滑に運用できるんじゃないか、そういうような必要がある場合、そして個々の場合を考えまして、まあ適当と認められる限りはこれを認めても、行政法理論として必ずしもこれに反するとまでは言えないのではないか。結局立法政策として果してそれだけを認める実質的に必要があるか、果してまたそういうのが妥当かという議論になるのでありまして、法理的に不可能という点はないと存じます。また法理的に見て非常に非妥当だと、あるいは非常という言葉を取りまして妥当ではないというほどのこともないのではなかろうかと存じます。
次に、内閣を構成する大臣の間において、総理大臣は別といたしまして、そういう差別を設けることはどうであろうかという点、あるいはこれは内閣制度との関係という言葉で表現されているのではないかと存じまして、その点ちょっと触れますと、新しい憲法では申すまでもなく「行政権は、内閣に属する。」といたしまして、そうして「天皇の国事に関するすべての行為」につきましては、「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。」というような憲法の規定になっておりまして、この点、旧憲法で「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責ニ任ス」とあったのと、だいぶ違ってきておると思います。従いまして、旧憲法のころは国務各大臣が天皇を輔弼するということでありまするから、何か大臣の間に差等を設けたり、一方の大臣が他の大臣を指揮したり何かすることは、何かその責任の所在がはっきりしなくなりはしないかというような、あるいは疑問も生ずるのではないかと思いますが、新憲法ではその点は旧憲法のときほどそう深刻な疑問にならないのではないかと存じます。そして新しい内閣法におきましても、各国務大臣は、まあ原則として、「主任の大臣として、行政事務を分担管理する。」ということに内閣法でなっておりまして、そういう行政事務を分担管理する大臣といたしましては、その間に一方が他を指揮いたすような関係があまりあっては好ましくないということは確かに言えるものと存じます。そうして現在の法制を見ましても、そういう立場で大臣が他の大臣を指揮するという法例はあまりない、ほとんどないのではないかと存じます。ただ一つ、ちょっと目に触れましたのは、国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律というのがございまして、「前条第一項の訴訟については、」、これはまあ国の利害に関係ある訴訟ということになりますが、それにつきましては、「行政庁は、法務大臣の指揮を受けるものとする。」というような規定がありまして、この行政庁には各省大臣も入るというような通説になっておるようでございます。これなどが非常にまれな例だと思いますが、これを考えてみますと、訴訟というのは非常に特殊な事柄についてでありまして、それでありまするから、比較的問題になっていないことだろうと存じます。従いまして、一般的に大臣同士の間に指揮というようなことを認めるのは、それは非常に問題になる点があると存じますが、私どもが先ほど申し上げたような、勧告というような非常にゆるやかなものであるならば、それほど問題にする必要はないのでありまして、やはりそのときどきの問題につきまして、それが必要妥当であるかという点を一々論じて行けば足りるのではないかと存ずる次第であります。
次に、かりにまあ法律的に可能だといたしましても、そのようなことは閣議できめればいいので、何も経済企画庁長官に他の大臣に対する勧告権のあれを認めなくてもいいじゃないかというような点も一つ問題になるかと存じますが、これも結局この勧告をいたしましても、先ほど申しましたように、勧告は拘束力というものはございませんので、各省大臣が自主的に自分の責任で自分の担任する計画を立てる。そのために長期計画の間にでこぼこが生ずるというような場合には、結局やはり閣議で調整する、そうするよりほかに仕方がないわけでございますが、しかしながら、この勧告という制度を認めておけば、これが適正に運用せられる限りは、各省大臣におかれましても、そういう点からいって十分そういう点を考慮に加えて考えて行くという余地が相当あろうかと存じます。その意味におきまして、実際上もむだな制度でもなかろうし、また法律的にいってもそこに意味があるのではないか、そういうような考えから、この法案の審議に際しましては、これを認めることにいたした次第でございます。
大体以上のことを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/28
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029・吉野信次
○委員外議員(吉野信次君) 大体今の御説明でわかりました。わかりましたが、まあ法律の専門家に対してこういうことを申し上げるのは、しろうとで、はなはだ申しわけないのですけれども、もう少し掘り下げてこの勧告というものの法律上の性質を私は研究せねばならぬと思うのです。これはアメリカによくある制度ですから、アメリカの行政法の理論も私は参酌してお考えにならないといけないと思うのです。ということは、今あなたは指揮命令なりは問題ないとおっしゃった、指揮とあればこれは計画の立案について勧告することができるが、かりにこれが立案について指揮命令することができると、こう書いてあれば、この法律の反射的の効果として、相手方にはそれに応ずる義務を生ずることはこれは当然でしょう。勧告ならなぜその義務が生じないか、そこに私はもう少し精細な法律論がほしいと思う。従わなくてもいいということは、この法律からきておるのじゃないと私は思うのです。それは勧告ということの自体からきている。命令と違うのだから、勧告ということはいわゆる勧告であって、その通りしろということじゃない。それはその通り従う義務は一つもない、これはここに書いてある「勧告することができる。」ということの法の反射として受けた人が受けた省庁が勧告に応ずる義務があるという事実の解釈を曲げるものじゃないと私は思う。ただほうっておいちゃいけない。いやしくも勧告することができるのであれば、受けた方はこれにすぐに耳を傾けなくちゃならない。ただ勧告であるがゆえにその通りやる必要はない。それだからいろいろやってみたけれども、お説の通りはしなかったということもできましょう。あるいは一部だけをやるということもできましょう。少くとも勧告というやわらかい言葉だからといって、受けた方はほったらかして何でもしていいということは私は法律的にはこないと思う。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/29
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030・野木新一
○政府委員(野木新一君) ただいまの御意見で非常にはっきりしましたが、大体私の申した趣旨も、吉野先生がただいま勧告について申されたことも大体同じ線ではないかと存ずる次第でございます。もちろん勧告という言葉は指揮命令という言葉と違いまして、日本語の言葉自体といたしましても、ただ勧めるという程度の意味しかありません。ただ法律に勧告ができると、ある機関が他の機関に勧告ができるという権限を与えますと、勧告を受ける側の機関といたしまして、法律の権限に基いて勧告がきましたならば、それをはねつけたりすることはできない。少くとも受け取らなければならない。受け取って誠意をもって読んでみなければならない。読んでみて、これをできるかどうかということを検討しなければならぬ。しかもその勧告の趣旨を何というか、尊重するというような精神で検討しなければいかぬという、それだけの法律上の義務、義務と申しましょうか、法律上の関係は生ずると思います。ただその勧告がこうしろと言った場合に、そっちの方向へ絶対従わなければならないという義務は生じないという意味におきまして、法律上の義務はないと申し上げたのであります。大体吉野先生がおっしゃったこととほぼ同じなのではないかと存じます。
それからいま一つ、アメリカの行政法のことでございますが、これは勧告という制度がわが国に入れられましてまだ数年でありまして、私の見た範囲では、特にこれを研究した論文といたしましては、先ほど申し上げました佐藤功さんの論文ぐらいでございまして、この論文も先ほど申し上げました林現長官の国会の答弁を元にしてできた論文でございまして、必ずしもアメリカとの比較法研究という点はできていないようであります。この点はなお十分研究を要する点があるということは御指摘の通りだと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/30
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031・吉野信次
○委員外議員(吉野信次君) あまり長くおじゃましちゃ悪いのですけれども、つまり私の趣旨を認めるならいいので、「勧告することができる。」と書いてあるけれども、これは反射的に、やはり受けた方からいけは勧告に耳を傾ける法律上の義務があると、それはやはりただ勧告という事柄自体からは、これは命令じゃないのだから、きいてもきかなくてもいい。それだからもっと自由法学的な解釈をとれば、規定がなくても受けた方はその結果を報告しなければならぬ、こういう解釈さえ生ずる余地がこれはあるものだろうと思います。それだから内容が、勧告といい、命令といい、それは非常に違いますけれども、法律的には同じことなんだな、あなたの頭から言えば……、そこで同じ閣議で、総理大臣の指揮監督のもとにまとまっているものの間同士において、右の手が左の手の方にそういうふうに指揮命令することがおかしければ、勧告をすることもまたおかしい、こういう法律の論も立ち得るのじゃないか、こういうのが私の申し上げた質問の要旨だったのです。しかしこれ以上は何ですが、ただなぜここに来て皆さんのおじゃまをしたかと申しますと、この間高碕長官から六年計画というものについて大体の御説明が商工委員会であったのです。そこでこれは一つの計画経済ですから、自然にほうっておいちゃいけないので、国の権力でもって民間の経済活動に干渉することでしょう、六年計画ということは、そうするとどういう一体道具立てを持っていますか、言うことをきかないという場合に強制する必要も生じてくるでしょう、あるいは法律の強制がなくても、金をうんと置いて、この金をおれの言うことをきけばやるという、そういう方法もあるだろうし、いろいろな道具立てが要るだろう、その道具立てを承わりたいと、こう言ったときに、高碕長官は、この勧告があると、こういうお話だったものですから、道具立てとしては、その勧告では実ははなはだ心もとないことじゃないですか、この次でいいから、もう少しあとさきをお考えになって、道具立てを整備してもう一ぺんやって来なさいということで、実はこの問題に深入りをしまして、かように皆さんに御迷惑をかけた次第ですが、実は私の方の商工委員会の質問の、要点はむしろそこにあったわけですから、これ以上この問題を何しましても水かけ論になりますから、私はこれで質問は打ち切ります。ただ委員長初め各委員の方に貴重な時間をさきまして、私に対して質問の機会を与えて下さいましたことをお礼申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/31
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032・松浦清一
○松浦清一君 今の御質問なり答弁をされておる内容の問題ですが、企画庁の長官が各省大臣に必要な資料の提出を求める、あるいは関係行政機関の長に必要な勧告をするというところに、私もただいま質問のあったようなことについての疑点を持っておるのですが、今の御説明によりますと、勧告することは拘束力がないと、こうおっしゃるのですが、もしそういうことを勧告したり、資料を求めて、いや、おれの方は別に計画を立てているので、別に出す必要を認めないと言って、けってしまった場合にはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/32
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033・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) ただいま法制局の第二部長から御説明がありましたように、まず六カ年計画を円滑に遂行いたしますために必要がある場合には勧告をいたしまして、もしもその勧告が必要でないということでございますれば、これは法律上はその責任の大臣がおやりになるということについて、これは無効だ、違反だというような意味において法律的な拘束力が出て参りません。ただその場合、まあ最終的には、長官といたしましては、大臣といたしましては、勧告をしても従っていただけない、しからば六カ年計画遂行上これは非常に工合が悪いということになりますれば、やはり最終的には閣議においてお話合い願って、いずれか方向をきめるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/33
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034・松浦清一
○松浦清一君 この提案の理由の説明書を読んで行くというと、非常にたくさん長期経済計画の推進とか、単に長期経済計画の策定とかいうことが書いてあるのでありますが、今度のこの設置法の改正の目的というのは、いわゆる完全雇用の実現をはかることを目的とした経済六カ年計画の構想を実現、推進するために、このように改正する必要を考えたのだろうと思うのですが、この法律を改正しようと考えた根本的な原因、動機というのは、やはり経済建設の六カ年計画というものが元になっていると思うのです。この委員会で、もし私が出席しなかったときに経済六カ年計画というものについての御説明を承わって、それが記録に残っておれば、私はそれを調べますけれども、もし記録に残っておらなければ、高碕長官に御出席を要求して六カ年計画というものについての構想を具体的に聞かないというと、それを実現するために作った改正法律案ですから工合が悪いと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/34
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035・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) まだこの点は、この委員会としては具体的には聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/35
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036・松浦清一
○松浦清一君 しからば、ほかの委員の方々がそんな説明を聞く必要はないとおっしゃれば、必ずしも私だけに時間をそのためにさこうとは思いませんが、しかしこの法律を審議するためには、やはりこれを改正する原因になった六カ年計画というものを聞く必要があると、こう思うのですが、どんなものでしょうか。大体六カ年計画というものがどんなものやらわからぬで、設置法の改正だけやってもしようがないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/36
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037・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 松浦委員に申し上げますが、今高碕長官は、あるいは予算委員会の方に行っておられるかもしれないのですが、もし時間的にこの委員会に出てこられる余裕があれば、今すぐに出席を求めるようにしておりますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。それからもし今日どうしても出られないようでありましたら、田中政務次官がおられます。田中政務次官からも六カ年計画の概要については御説明申し上げることができるということなんですが、その場合には政務次官から御説明をお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/37
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038・松浦清一
○松浦清一君 今そういうふうに委員長から御配慮を願って、長官の御出席がすぐ願えれば、それに越したことはございませんし、都合で御出席がどうしてもできないということであれば、次官から説明を聞くということでもけっこうですけれども、一応それを承わって、その上で相当の質疑があろうかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/38
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039・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと私から法制局にお尋ねしますが、先ほどの吉野委員長の御質問に関連いたしまして、たとえば運輸省関係の例示されました運輸審議会のあの結論を、勧告をした場合にはそれを尊重するというようなことがございましたね、結論を答申した場合に尊重する。この設置法によりますと、尊重というようなことは何も書いてないのです。そうすると、いかにも聞きっぱなしのような感じを受けるのですけれども、尊重するという法律の条文があるのとないのと、実際は法律上はどう違うというお考えですか、あってもなくてもそれは同じだというお考えですか。もし同じであれば、法律上も統一された方がよかったのではないかという議論も出るわけなんですが、その間の法制局の御見解を、ついでですから伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/39
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040・野木新一
○政府委員(野木新一君) 勧告を受けた場合は、これを尊重しなければならないということを書いたのは二、三あります。それと、勧告することができると書きっぱなしの場合と法律上の差異があるかと申しますと、勧告することができる、あるいは勧告しなければならないという書きっぱなしの場合におきましても、勧告という制度自体が、先ほど申し上げましたように、他の機関がこれを受理して勧告を検討し、十分それを尊重して取捨選択して行くということを前提とした制度でありますから、法律的には結局同じになるのではないかと思います。ただ勧告を受けた場合に、これを尊重しなければならないと書きますと、少し何と言いますか、重々しさが加わるという程度のことで、書いてなくても制度、趣旨自体には、そういうことでありまするから、結局法律的に差異があるかないかということを論ずるほどの差異はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/40
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041・加瀬完
○加瀬完君 今の委員長の御質問に関連をするのでありますが、これは審議庁の方にお尋ねしますが、勧告を、十一条でございますか、「勧告することができる。」とありますのは、一体どういうふうな行政措置をしようという目的で「勧告することができる。」という字句をお使いになったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/41
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042・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) これは後ほど六カ年計画の御説明を申し上げることになると思いますが、総合経済六カ年計画というものを立てまして、これは総合した国の経済の方向を示すような大きな計画でございます。その大きな方向の中のいろいろな事項につきましては、これは別個にまたその六カ年計画に従ってそれを推進するための個別の計画ができるわけであります。その個別の計画は大体において各省大臣の御責任で計画をしていただくことになると思うのでありますが、そういう重要な計画なり、政策なりというものが、この全体を総合した六カ年計画と矛盾した方向に行きそうな形勢がある、相当方向は違ってくるような場合がある。そのときには総合いたしまして、六カ年計画というもので経済政策をやって行こうというのでありますから、これを、長期計画、いわゆる六カ年計画に合わしていただくように、各省大臣の計画なり、政策を再検討願いたい、こういう意味で勧告することができると、こういうふうにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/42
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043・加瀬完
○加瀬完君 総合六カ年計画というものの基本線に沿ってこれを推進するために、個々の問題については各省に計画をゆだねる、そうすると、各省の計画というものは、少くとも基本線においては総合六カ年計画に沿って行われなければならないものだと思うのです。しかしながら、今の御説明によると、各省で計画を進めますと、これはある程度基本線と矛盾を生ずるおそれがあるので、これを再検討させる意味で勧告するのだ、こういうようにお話を承わったのでありますが、それでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/43
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044・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 多少私の御説明が悪かったかもしれませんが、各省といたしましては、もちろんこの経済六カ年計画を法律的には閣議を要しませんけれども、事実問題として国の重要な政策でございます場合に閣議をすることになろうと思います。従ってその閣議でおきめになった線に沿って政策なり、計画を立てていただく。各省大臣がそういう計画なり、方向をおとりになるということが当然そこから期待されるわけでございます。各個の、個別の計画なり、政策なりになりました場合に、やはり実行問題として多少そこに方向の背離するものができてくるという場合も予想せられますので、そういう場合に勧告をする、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 具体的にどんなような問題が起りそうだということを御想定なさったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/45
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046・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 具体的にこれこれというふうには想定いたしておりませんけれども、たとえば各省で造船計画の何年計画であるとか、あるいは石油開発の何年計画であるとか、その他いろいろあるわけでございます。石炭の何年計画とかいろいろなものが予想、これはほんの予想でございますが、想定されますが、そういう場合に、方向において大体合致しておれば、その実施は各省大臣の御責任におまかせしていいのでありますが、そういう計画をお作りになるときに総合六カ年計画、これは資金面も、物の面も、あらゆる面を総合してバランスをとったものにしてございますが、各個の面を見ます、そういう全体のバランスから見て多少修正していただかたくちゃいかぬものが出てくるのじゃなかろうか、そんなことを考えまして勧告することができるというふうに規定をおいたわけでありまして、今各省がお立てになります計画が、おそらくある程度狂ってくるであろうというようなことは全然予想はいたしておりません。しかしそういう場合があり得るという想定のもとにこの規定を入れていだだくようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/46
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047・加瀬完
○加瀬完君 この基本線についてはいずれ閣議によって決定されることであるので、その閣議の決定というものによりまして、個々の実施というものは各省大臣の責任において行うようになる。しかしながら、今のような御説明でありますると、当然各省の大臣の責任において行わるべきいろいろの事実というものは、これは閣議決定のがっちりとしたワクの中のものでなければならないと思う。もしそれをはずせるということになりますと、これは結局勧告という先の法律論になるのですが、一体先ほどから法制局の御説明になっておる勧告というふうな程度のワクで、一体総合六カ年計画を進められるという、基本線にがっちりと結びけるような行政的措置ということになし得るか、こういう問題が残ると思うのですけれども、いかがでしょうか。もう一度申しますと、ただいま御説明のような方法で進みますると、少くとも閣議の決定のがっちりとしたワク中のことしか各省の大臣はできないずなんです。もしそれにはずれるとしたならば、よほどのワクの中と申しましょうか、基本線に結びつくような強い行政的措置というものがなければ、六カ年計画というものはばらばらになるおそれがある。そうなって参りますと、先ほどからの法制局の御説明のような、勧告というような内容程度の行政措置で総合計画を進めるということがなし得るか、勧告というような言葉で、果して今の御説明のような目的が達し得るか、こういうようなことが感じられるのですけれども、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/47
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048・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 御承知のように、経済六カ年計画は大体の基本的な政策なり、方向なりは打ち出して参りますが、こまかい数字等の点に当りまして、各個別計画までがっちりと規定するというところまでは、とうてい行き得ないと思います。それらのこまかい具体的な実施計画といたしましては、これは各省大臣がすでに閣議できめられました六カ年計画の線に沿っておやりになるわけでありますが、数字までがっちりきめておりませんので、従っておもな数字はきめますが、こまかい点の数字はとうていきめられませんので、従って具体的にやって参ります場合に、多少そこに問題が生ずることがあると思うのでございますから、その場合に、しからば勧告することができるという、このくらいのことで調整がとれるかということでございますが、これは先ほど法制局の方から御説明がありましたように、現行の内閣制度のもとにおいて、各同じランクにあります各省大臣に対して、これ以上強いことを認めるということは相当問題がございます。これは現行内閣制度のもとにおいては、これを勧告することはできるという、このくらいが限度だと思います。それ以上にこの勧告を使いましても、どうしても工合が悪いという場合には、先ほどお答え申し上げましたように、最終的にはさらに閣議で調整をいたしまして、そうして各省大臣のその自主計画の方がいいんだということになれば、そのように六カ年計画の方を再検討し直す必要がございましょうし、六カ年計画という線で、これはこうあるべきだという経済審議庁長官の考え方の方においてまとまりまするならば、各省の計画をやはりそれで直していただく、結局最終的には勧告ということで片づきません場合には、閣議で調整されるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/48
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049・加瀬完
○加瀬完君 これは松浦委員から御指摘がありましたように、六カ年計画というものは詳細にわたって御説明を承わらなければ、一体各省の仕事の分野というものもわかりませんし、従って勧告の発動される対象というものも明瞭にならないわけでありますが、私は先の吉野さんの御質問に関連して、この勧告というものを取り上げて結論としては伺っているのであります。と申しますのは、勧告ということが非常にこのごろ、こういうふうな法文の中に使われるようになりましたけれども、どうもこれは明瞭に法律的責任というものを表現しているとは言い切れないと思うのです。ややこしいことを申しましたが、どうも勧告という言葉は、法律的責任を非常に不明瞭にしている言葉じゃないかと思うのです。で、この十一条で、やはり同じ勧告という言葉が使ってありますが、どうもこの勧告という言葉で先ほど説明されておられまする六カ年計画の、各省への浸透と言いますか、各省の責任というものが明確になりますかどうかという問題が、私はこれだけでは解決できない。残るものがあるというふうに考えられるのでありますが、法制局どうお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/49
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050・野木新一
○政府委員(野木新一君) 六カ年計画の内容とか、実際面については私はあまり知識はありませんが、法律的な見地から申し上げますと、勧告する権限を与えられたものは、単に勧告するだけでありまして、しかし法律で権限を与えられた後に、適正に勧告すべきときに勧告をしないということがあれば、それで何らかの責任があるということになると思います。
今度は勧告を受ける側から申しますと、勧告を受けた方が、これを受け取ってよく検討して、十分考慮するということの義務は、先ほどの吉野先生の言葉で言いますと、法律上の義務と、そういうことを言ってもよろしいかと存じますが、そういう義務があると思いますから、もし勧告を受け付けなかったという場合には、これは受け付けなかったということは、内容を検討してみた上で採用しなかったというのでなくて、てんから受け取らなかったという場合は、勧告を規定した法律上の、先ほど言った義務ですか、それを果さないということになります。しかし内容を検討した結果、果して取るべきか取るべからざるかということは、やはり勧告を受ける側の官庁の責任でありまして、それはあくまで自主的なそちらの責任になっておりまして、勧告を受けたから、それに従ってやったというだけでは、その責任は免かれないのではないかと思います。すなわちやはり勧告を受けた上で、その内容を取るべきか、取るべからざるか、それを決定するのは、その受けた側の官庁の、やはり自主的の責任と、そういうことになるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 そこに問題があるわけですが、結局六カ年計画に戻るのですけれども、六カ年計画というものを各省におろして行った場合、そこに閣議なら閣議で決定された基本線というものとそごを来たすのじゃないかというおそれが十分にあるために勧告するのだというのであれば、その勧告というものは相当法律的に強いものでなければならない。少くとも六カ年計画というものを、勧告によってもとの線に帰させるというものでなければならない。ところが今の法制局の御説明によりますと勧告はわれわれはそういうふうに解釈しておりますが——勧告する権限のあるものが勧告をいたしまして、勧告を受ける側は、これを受けて検討するということになりましょう。しかしそれは結果から見れば、検討したか、検討しなかったかということはわからない。しなくても、今の御説明のように、自主的にわれわれは検討の結果決定して受けないことにしたのだということであれば、それきりのことなんだ。勧告というものには、受けなければならないという法律的な根拠は何もない。そうなって参りますると、勧告する目的というものは、勧告するというこの法文だけでは解決ができないという問題が残るわけです。この問題を一体どのように考えておられるか。もう一回申しますと、どうしても勧告の目的を達しなければならないという事態を生ずるというおそれがあるならば、勧告というふうな言葉では、その目的は達せないのじゃないか。勧告というふうな言葉をこの十一条の通りに受け取るならば、ただいままでの審議庁の御説明の六カ年計画というものは、各省において受けられないというおそれもあるということを生ずるのじゃないか。この間の矛盾というものがまだ解決されておらないというふうに受け取れるのだが、この間の御説明をもう少し承わりたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/51
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052・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) お説のように何か矛盾を現実に生じました際、おそらくはそういう矛盾は、六カ年計画と各省のお立てになる個別の計画なり政策なりが矛盾を来たすということは、まず普通の場合ないというふうに期待いたしておりますが、もしそういうことが起りました場合に、それをどうするかということになりますと、お説のように、勧告権だけでは片づかない場合もあります。しかしながら先ほど法制局からお話がありましたように、まず閣議で最終的にそれを調整いたします前に、こういう勧告の制度がございまして、勧告を受けた方も、それに耳を傾けて検討するだけのことはしていただくということでありますから、勧告ということを使いまして、むしろ問題を何でもかんでも閣議まで上げないでも、その段階でそうだったのかということで、お互いに計画がうま行くということがかなり予想されるのではないか。それでもなおかつ六カ年計画と各省の個別計画とが食い違うというときは、これは最終的には閣議外その調整をはかるということになると思います。六カ年計画はもちろん一つの計画という字を使っておりますが、これはまあある目標のようなものでございまして、もちろんいろいろな状態を前提といたしまして計画が立っております。従ってその前提がいろいろに変化してくる場合には、六カ年計画もだんだんと現実の情勢に合うように再検討する必要があるのであります。そういう意味で、この六カ年計画に従って各省がおやりになる政策、あるいは計画というものをお立てになる場合にも、現実に情勢の認識が多少違ってきておるというようなこともおありになると思います。そういった場合に、まあ最終的には閣議において、それじゃ六カ年計画の方をそういうふうに合わして考え直すのか、あるいは各省の計画を引き戻すのか、この最終調節を閣議でやる、かようなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 長官が見えられたようでありますから、私の質問は保留して、松浦さん先ほどからお待ちでありますから、長官の御説明を先に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/53
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054・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 松浦委員、長官が見えましたから、御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/54
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055・松浦清一
○松浦清一君 経済審議庁設置法の一部を改正する法律案の提案理由の説明、また法案の内容によりますと、経済計画の推進あるいは実行というようなことがもとになって、この一改正がなされておるように見えますので、総合経済六カ年計画の構想というものが、まだ正式に御説明を承わっておりませんので、この機会に長官から詳しく御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/55
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056・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 大へん私おくれまして、まことに申しわけないことであります。大へん失礼いたしました。なるべく早い機会に、総合経済六カ年計画につきましては御説明を申し上げなければならなかったのですが、今日までおくれましたことは、まことに申しわけないと思います。
御承知のごとく日本の経済が、戦後いろいろ変遷を経ておりますが、大体これで占領政策も過ぎ、経済も安定して行かなければならぬ時期でございますので、ここで、六年後の日本の経済はどうなるか、日本の経済をどういうふうに待って行ったらいいかということの大体の経済の目標を作りたい。それには六年後の日本の人口が幾らになるか、これが一恭大きな問題であります。ところが六年という半端な計画を何で立てたかという御疑問がございましょうが、ちょうど六年後には日本の人口はかくかくになるという正確な数字が、厚生省、人口研究所の方において出ておるものでありますから、その数字を基礎にいたしまして計画を立てたわけであります。その六年後の日本の人口は、お手元に配付いたしましたこの総合経済六カ年計画の構想というのにあります通りに、大体昭和三十五年になりますというと、日本の人口は、現在八千七百万でございますが、これは九千三百万になる。九千三百万人になりますというと、この九千三百万人の中の人が何人働くかということを想定いたしますというと、十四才以上の人たちの数量をここに出しまして、その十四才以上の人たちの中で六六%ないし六五%の人が働かなければならぬ。この数字が出ました。それをつまり労働力人口として書いたのでございますが、これが昭和三十五年になりますというと、四千三百七十一万人になる。で、そういうわけでありまして、それだけの人たちに完全なる雇用をして、それで経済を自立さすのにはどれだけの生産をしたらいいか、この数字を持って行かなければならぬ。その数字はこれはアメリカのコルムという人がやりました式を用いまして、いろいろ計算いたしました結果、現在のところ日本の人口、労働する人の一人が働く一時間の生産力を勘定いたしますというと、大体七十五円くらいになっておる、生産力として。昭和三十五年になりますというと、それを八十七円くらいに上げて行こうじゃないか、つまり労働者一人について八十七円の生産をするというのが基準であると、そういうふうな数字から割り出してみますというと、ここに国民総生産というものが、三十五年に相なりますと八兆八千十二億、こういう八兆八千億の生産をしなければならない。そういうふうに相なりまして、この生産を上げるためには、どれくらいの輸入をしたらいいか、どのくらいの輸出をしなければならないか、どのくらいの工業生産をしなければならないか、どのくらいの農林水産物の生産を上げなければならないかということを克明にずっと計算して参りまして、それがつまり昭和三十六年度にはこういうふうになるという数字が、ここに皆さんのお手元に差し上げた通りに出ておるわけであります。これがつまり経済六カ年計画の目標でございまして、その目標を達成するためには毎年の計画を立てまして、その計画に沿うようにすべての経済の施策、経済の方針を立てて行かなければならぬ。それがつまり経済六カ年計画の根本の構想でございます。こうすることによって、それだけの生産を上げることによって、日本のふえるところの人口に完全なる雇用を与えて、失業者の数を少くし、同時に日本の経済が自立すると、こういうことに相なるわけでございますが、従いまして政府は長期にわたるこの六カ年計画を立てまして、毎年これにおける数字を出し、その数字を基礎といたしまして、各省間の連絡をよくし、そうしてこの基礎によって予算も組み、その基礎によって計画を立てるというのがこの経済の計画性を持たす経済六カ年計画の根本思想であります。そういう意味におきまして、経済審議庁が立てますこの経済計画そのものも、これは単に経済審議庁だけで立てたものではなくて、これには経済審議庁には経済審議会というのがありまして、この審議会は実業界の人たち、労働界の人たちも、各方面の委員が寄りまして、その方々にこの数字を検討していただきまして、この数字が間違っておるかどうかということもよく検討して、そうしてこの数字は少くとも国民全体の支持によって立てた数字だということに相なって、持って行きたいとこう存ずる次第でありますが、つきましては、この計画を遂行するためには、各省の連絡を完全にするということも大事でございますが、ただいまのところ各省との連絡を十分やっておりますから、大きな差しさわりはございませんけれども、これを法的に相当権力を持たしていただいて、それには各省から材料報告を徴するだけの一つの機能、そうして各省が計画を立てます上におきまして、経済審議庁が立てましたこの長期の経済計画に沿うように、その方針を変えてくれないかという勧告をするというところの一つの権能を持たしていただきたい。こういうわけで、単に計画を立てるだけでございますれば、これは別に勧告する必要もございません。これを実行に移します上におきましては、これを勧告をするという、それだけの権能を持たしていただきたい、こういうのが、今日経済審議庁の機構を改革して御審議を願っているような次第でございます。以上をもちまして、簡単に説明させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/56
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057・松浦清一
○松浦清一君 まことに簡単ですが、要を得た説明で、輪郭がわかりましたが、法案そのものの内容ではなしに六カ年計画の計画の立て方の中の一部分ですが、たとえばこの輸出の面だけ見ますと、昭和二十八年度が十二億四千五百万ドルであったのが、三十五年度には二十三億四千万ドルに輸出が上ってくるのだという、こういう数字が出ているのですが、どういうことを根拠にしてその輸出がこのようにふえて行くというお見込みでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/57
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058・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) これは昭和二十八年度は十二億四千五百万ドルでございましたものが、二十九年には急速に増加いたしまして、これが十六億二千万ドルになっております、ここに数字はございませんが。それで私どもは、三百十年度に十六億五千万ドルというふうに上げたのでございますが、この数字も現在では少くないだろうかという批評があるのでございますが、私どもは、この三十二年度に十八億八千万ドルと、こうなっておりますが、これは過去の実績と、将来かくあるべきだという数字をいろいろな点から推定いたしまして、どちらかというとこれは内輪に書いておるわけであります。三十五年に二十三億四千万ドルというのは、実際はこれよりもよけいふえるという大体の目安はついておりますけれども、あまり輸出がよく行くだろうと思って予算を組むというと、金がよけい入ると思って金を使い過ぎるということで、どちらかというと内輪に書いてある。これをどうしてもあげて行かなければならない。この目安を示しておいて、ここに行かなければ困る、こういうことを国民初め輸出業者、あるいは輸出に関係している人たちに示して行きたい、こういうわけでありまして、この数字は何かと申しますと、一つは推定と、一つは過去の実績と、それから現状いろいろな点から考えてこういう数字ができたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/58
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059・松浦清一
○松浦清一君 二十八年度から二十九年度に輸出が四億ドル増加しておるということは大体知っておりますが、ふえたという原因はどういうことか。そうしてその二十八年から二十九年の間にふえてきた通りに上昇して行くという具体的な根拠はどこに求められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/59
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060・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) この二十八年から二十九年の増加は、どちらかというと、これはアブノーマルでございまして、政府の緊縮政策によって消費が幾らか減退する、一方は金詰まりになる。そうして物価は下る。そういうわけでありましたことと、もう一つは輸出リンク制度がありまして、いろいろな方策から、予想しておった以上に、十三、四億のものが十六億にふえたのであります。この十六億にふえたこの率をもって、それでは二十九年から三十年にふえるかといえば、これははなはだむずかしかろうと思いまして、先ほど申しました通り十六億二千万ドルを十六億五千万ドル程度に今年は上げたのであります。ところが現状におきましては、これはそれよりも上回っておりまして、この状態で行きますと大体十七ドルくらいに行くだろうと思っておりますが、二十八年から二十九年に上ったような大きな飛躍は望めないわけでございます。けれども幾らか増加すると、こういう現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/60
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061・松浦清一
○松浦清一君 その輸出がふえてくるということははなはだけっこうなことですが、私がお尋ねをしたのは、具体的にどういう事実に基いてこれがふえておるのか、三十五年度までに二十三億ドルにふえるというのは、想定ではなくしてどういう具体的な根拠に基いてふえるという予想を立てたのかと、こういうことを伺っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/61
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062・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 具体的の数字を政府委員から説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/62
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063・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 御説明申し上げます。過去の数字から御説明申し上げますとよくおわかりかと思いますが、ただいま長官から御説明されましたように、二十八年から二十九年、去年までは三億六千万程度増加いたしました。これはあのように海外情勢が非常に輸出に有利になったという点、あるいは国内的には引き締めて物価が下ったと、こういったような原因が根本的にはあろうかと思います。そこで二十九年以降本年度、三十年度からどういうふうな足どりで考えておるかと申しますと、大体年に一億程度あるいは若干それから増すという年もございますが、年に一億程度の上昇というふうに考えてございます。その率からいたしましても、パーセンテージをとってみましても、世界の貿易の大体年に伸びる率というものは四%、五%くらいは毎年伸びてございまして、今後の施策のよろしきさえ得れば、言いかえますと経済の安定ということ、通貨価値というものは動揺させない、できればもっと引き締めて行くというふうな根本的な建前の上に乗っかりまして、あるいは企業の合理化によるコストの引き下げとか、あるいは経済外交の刷新とかいったような、いろいろ貿易振興の方策を講じますと、少くともそのくらいの、年に一億程度、まあ大体月にいたしますと一千万ドルでございますが、そのくらいの上昇は、努力のしようによっては可能じゃなかろうかということで、一応地域別あるいは商品別等に分って考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/63
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064・松浦清一
○松浦清一君 何か法案の審議で横道に入ったようでまことに恐縮でございますが、やはり経済の六カ年計画というものを十分に知ることなくして法案の審議をするということは上滑りするかと思われるので承わります。一体日本の品物がどのような国にどのような物が買われてこのように上昇してきつつあるのかという具体的な数字、今お手元でおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/64
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065・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 六カ年の今お手元へ差し上げてあります一月に定めました六カ年計画のときにはある程度ございまして今度の分でもあまり年度計画のように地域別、商品別に詳しく分析したのはございませんけれども、大体こういう足どりでというのはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/65
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066・松浦清一
○松浦清一君 それをあとでもよろしゅうございますから、貿易の実態についての資料を輸出入両方とも御提出願えませんか。
それから貿易外の収入とはこれは船舶による運賃を指しておるわけですか、それ以外にどういうものが含まれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/66
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067・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 貿易外の収入の中には、たとえば援助物資だとか、それから今回なにいたしました余剰農産物の受入れだとかも入っておりますが、実際問題といたしましてそれは時期的の問題でございまして、将来はこれを全部船舶の収入、それから海外における移民の送金、そういったようなものがこれに入るわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/67
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068・松浦清一
○松浦清一君 貿易外の収入が一般貿易外と特需と二つに分けるわけですね。特にこの表は二つに分けてありますね。そうすると貿易外という場合のは船舶の運賃のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/68
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069・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 一般貿易外、貿易外と、こういうふうなものを二つに実は分けておりましてちょっと悪いのでございますが、両方を足したものが貿易外でございます。一般貿易外の内訳はどうかと申しますと、今お話のように船舶あるいは海外からの送金、あるいは余剰農産物の投資部面そういうものがみな入ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/69
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070・松浦清一
○松浦清一君 その船舶による運賃収入の見通しと、それから造船の計画とはこの数字は合っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/70
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071・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) これは計数は合せてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/71
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072・松浦清一
○松浦清一君 それは年間何トンと計画しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/72
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073・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 前の六カ年計画は、一月きまりましたのは、初め三カ年はたしか二十万総トンで三年目から二十二万というふうに考えてございますが、今度の改訂ではその点少し落しまして、初めずっと三カ年間は二十万総トンくらいで行くのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/73
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074・松浦清一
○松浦清一君 そうするとこれから六カ年間に年間二十万トンくらい建造して行けば、今の一般貿易外収入が一億五千六百万ドルから三億二千万ドルにふえる、こういう計算ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/74
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075・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) これは船舶収入のみではありませんが、船舶収入に関しては手取り率と考えまして、外洋船舶の増加に従って横取り比率、あるいは回転比率等どういうふうになるか詳細検討いたしまして、外貨の数がこういうふうにふえると計算されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/75
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076・松浦清一
○松浦清一君 それから鉱工業生産水準、これがこの数字に書いてあるように、三十五年までずっと上昇して行くという数字が一般に出ておるのですけれども、それほど日本の鉱工業生産というものが三十五年度までにふえて行くという具体的根拠はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/76
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077・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) これはこの六カ年計画の立て方が長官から御明もありましたように、総生産というものを初めに出しまして、そしてその総生産の出し方は就業人口労働と一週当りの労働時間並びに生産性というものを掛け合せて出すものでございまするが、それを出して、それの有効需要がどういうふうに配分されるか考えましてその国内有効需要と国外有効需要を見た結果、そういう需要であるならばこういう生産が望ましいという点を出しまして、そうして産業構造を勘案しながら、生産財の中で鉄はどのくらい、あるいは繊維はどのくらいというふうに考えまして、そうしてそれに必要た諸材料を調整して行くというふうな好格にして出したものでございます。従いましてこういうふうになぜ伸びるかという問題は、むしろそこまで伸びなければいかぬというふうな、そういう雇用を伸ばし、就業者の機会を増大し、あるいは輸出を伸ばし、国民総生産というものを伸ばすのであるならば、どうしても生産はここまでなければならぬというゾルレンでありまして、しからばそれはどういう手段によって増すのかという問題でございますが、増すための手段といたしましては、先に申しましたように有効需要がついているということでございます。従って、貿易はどうしても輸出のところまで伸ばさなければならぬ、国内では消費需要、生産需要、そういうものがここの表にあります民間資本形式、政府購入、経常海外余剰、個人消費支出、その四つが有効需要に該当する部分でございますが、そういうものがそれぞれふえてきておる。従って蓄積もふえ、消費もふえ、輸出もふえる。そういう結果、当然このくらいの生産規模はあってしかるべきものだと、こういうふうな計算になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/77
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078・松浦清一
○松浦清一君 貿易の関係で、貿易とそれから輸出ですね、輸出と工業生産との関係というものは、これは密接不離な関係で、日本で物をたくさん作れば、それを消費する経済的な力が国の中にできるか、それとも外国が日本で作った品物を買うかという以外に道はないわけですね。ですからこの輸出の問題についても、詳細なる数字と、それから日本の品物を買ってくれる国と、その品物は何であるかという数字を見ないと最終的な検討はこれはできないのです。今の御説明を承わりますと、昭和三十五年度四千三百万人の労働人口を就労せしめるためには、二千百三十八億ですか、それの生産を上げなければならぬという、それだけの言葉を聞いておりますと、それだけの労働人口を働かせるためには、これだけの生産をやらなければならぬという単なる数字上の理想論のように見えるのですが、具体的に実証されるものはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/78
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079・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 先ほどから御説明申し上げましたように、この表自体はかくあるべしだ、こういうしたい、こうすれば雇用もあるいは経済自立もできますという数字でございまして、このためには二つの問題がございます。一つは、これを達成するための手段、政策というものがそれではしからばどうかという点と、それが年々、年を追うてどういうふうになって行くのかという二つの問題がございますが、前者の政策の問題に関しましては、このお手元に差し上げましたものにもそれぞれ政策の大綱が書いてございますけれども、こういう諸政策をさらに具体的に盛りまして、そうしてさっき二番目に申し上げました年間々々のそのつどの、実際のこういうものにつかせるための施策というのは、何と申しましても一番困難になるのは財政投融資あるいは税、あるいは外貨予算等でございますので、そういうものを駆使いたしまして、手段として使いながら、どうしてこういう政策を実施して行くかというのが問題の焦点になろうかと思います。そこで私どもの考えでは、こういう三十二年あるいは三十五年等の目標を作りまして、こういうのが好ましい国民経済の姿であるならば、そういう大きい政策のラインに従って、たとえば蓄積はこれほどしなければならぬとか、輸入は締めて、しかも輸出はこれだけ伸ばさぬと経済自立ができないとか、あるいはそのためには国民の生産性というものはこれまで高めなければならぬ。高めるとすれば合理化というものはどの程度までやらなければならぬといったような指標が出てくるわけでありますから、そういう指標を満足し、実現するために、財政は今申し上げました金融等、諸般の現在可能な間接的な統制手段と申しますか、実施手段で考えまして、そうして毎年度そういう目標に一歩でも近づけるように問題を展開して行くんだ、こういう考えでやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/79
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080・松浦清一
○松浦清一君 こまかいことを聞いてはなはだ恐縮ですが、この鉱工業生産水準の数字は、これは指数ですか、何か金額で示してあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/80
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081・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) この表に出ておりますのは指数でございます。昭和九—一一年を一〇〇にいたしまして、そうしてそれに対する伸びがどうなっているかという指数でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/81
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082・松浦清一
○松浦清一君 この五カ年計画を、単なる理想論でなしに、実際に実現せしめるためと、それから国の予算との関係はどういうことになりますか。今の一萬田大蔵大臣の予算委員会等における説明によりますというと、今年の予算はともかくも、来年の予算も大体一兆円程度でやって行きたいという考え方を述べておられるのですが、生産を高め、輸出を高めて行くということのためには、やはり相当額の投融資の幅を広げて行かなければ、これを実現することは不可能だと思うのですが、一兆円の緊縮予算のワクの中でこれだけの計画が実現されるというお見込みでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/82
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083・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 大体にこの三十年、三十一年と三十二年の前半期、前三カ年だけは、これは地固め政策をもって行きたい、こういうことで、鉱工業生産にいたしましても、輸出にいたしましても、内輪めに見ておるわけでございます。あとの三カ年、三十三年、三十四年、三十五年には、これは拡大均衡の方針をもって行きたい、こういうふうな大体の計画でございます。従いまして一兆円というワクになるか、あるいは多少はみ出すか、これはよく来年度の計画を立てる上におきまして、実際の積み立て式の数字をもって行きますときに、よく大蔵省とも検討いたしたいと存じておりますが、ただいまのところは、大体の方針はそういう方針で行って、非常に大きな飛躍は前三年の間にはなし得ない、こういうふうな方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/83
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084・松浦清一
○松浦清一君 鉱工業生産と、それから農林水産一切のその生産の関係、それと人口の関係、それから一人当りの消費水準というものがここに書いてありますが、昭和二十八年度を一〇〇として、三十五年度に一一四・九%に上昇するという、その一人当りの消費準が上って行くということのためには、それだけの何といいますか、収入がふえるということにならなければやって行けない。しかも四千三百万人にも及ぼうとする労働人口を全部完全就労させて、その上に一人当りの消費水準が一一四・九%まで上ってくるというところに、何かその辺にちょっと矛盾がありそうな気がするのですが、これは矛盾なしに解決する問題でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/84
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085・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) この個人消費水準というのは国民総生産の内訳でございまして、先ほど申し上げましたように、主要労働人口、働く人間がそれほどおって、それが一年間四千二百二十時間ですか働いて、そうして一時間当り現在確か七十八円ぐらいでございますか、それが最終年次には五十何円か六十何円かに、数字はあとで詳しく申し上げますが、かりに上昇させたいと、これはまあ無理のない生産性の向上の数字でございますが、そういうふうにして、生産性はこれで当然上るんだということで考えて参りますと、当然その国民総生産というものはふえるわけでこざいます。国民総生産がふえた場合に、言葉を言いかえますと、それがどういうふうに分配されるかということでありますが、その分配は個人消費はこの程度まで当然行くのであろうというような、今の傾向から見ますと行くであろうというふうな考えございます。できれば個人消費の方は少しかたいめに押えまして、そうして蓄積の方にこの金を回して、実際の生産の健全な発達をはかるたいという考えではございますが、それにいたしましても、ますます個人の消費水準が増すのは当り前でございまして、指数から申しましてもまあ国民総生産の伸びとほぼ同じくらいの間隔で個人の消費水準というものが上るわけでございます。そこで一人当りの消費水準というのはどうして出すかと申しますと、その個人消費支出を全人口で割ったものでございますから、これは当然個人消費支出が伸びればというだけで、客観的には、一人当りの消費水準というものは伸びて行くというような関係で、伸ばしておるわけであります。これはあくまでも名目的な個人消費でございますが、実質的にもそう上るのかと申しますると、物価との関連で、物価が上れば結局結果においては水準が下るということになるのでございますが、こういう議論にもなるわけでございますが、結局国内物価は経済価格を押えまして、二十八年度の価格をそのまま伸ばすと言っておるわけでございますから、そういう点は理論的には矛盾のないようになっております。そこで第二段の鉱工業あるいは農林水産生産というものと消費水準とはどういう関係になっているのかという点でございますが、御承知のように農林水産の方は相当、水産関係なりあるいは畜産の方は伸びる可能性はございますが、林業の方は非常に力を入れましても、割合に鉱工業生産等に比べまして、あるいは付加価値と申しますか、伸びと申しますか、どうしても鉱工業生産の方にウエートを置いて、全般的な総生産を高めるというのが筋じゃないかというように考えられるのであります。これは雇用の面から申しましても当然でございますが、そういたしますと、この鉱工業生産の水準を上げ、そのことがまた当然それに働く労働者等の生活水準が上って行くという格好にもなりますので、このくらいの個人消費の増加ということは、このくらいの総生産があるのであれば、当然かというように考えられます。むしろ個人消費の指数の見方が少な過ぎるのではなかろうか、もっと実は蓄積しないと、消費の方に使われるのではなかろうかというのが大方の批判でございまして、あるいはもう少し手放しにしますれば、消費の方が伸びて、蓄積の方が減るという格好にも相なろうかと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/85
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086・長島銀藏
○長島銀藏君 今、松浦委員から御質問がありました貿易額の累進の率でございます。これは今自由国家群だけの基準でやったのでございまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/86
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087・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 中共、大陸貿易に関しましても、若干考慮に入れまして、当然今よりは改善されるものということでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/87
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088・長島銀藏
○長島銀藏君 中共貿易、あるいは共産圏貿易がどれくらいふえるというお見込みでやっていらっしゃるのでありますか。私、あまりふえないと思っておるのでございますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/88
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089・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) これはほんとうにまだ目の子でございまして、はっきりした計算はもちろん不可能なわけでございまするが、それほど大きい数字は見込んでございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/89
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090・長島銀藏
○長島銀藏君 大体現在二十九年度と三十年度、今までの実績、三十年はむろんわかっておらぬと思いますが、どれくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/90
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091・佐々木義武
○政府委員(佐々木義武君) 御質問に関しましては、二十八年度は四百五十四万ドル程度、二十九年度が非常に伸びまして千九百十万ドル程度でございます。輸入の方はそれに比しまして、二十八年度は二千九百七十万ドル、二十九年度は四千七十七万ドル、非常に入超の傾向でございます。そこでこういう現状を、それがその後どういうふうに伸びると見るかと申しますと、さっき申しましたように、あまり大きくふえるという計算はしておりませんが、こういうアンバランスのものはなるべく輸出をふやして輸入との均衡をとるようにすることが望ましいというような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/91
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092・長島銀藏
○長島銀藏君 もう一つ長官にお伺いしたいのですが、先ほど長官は国民総所得が三十五年になると、私の聞き間違いかもしれませんが、八兆八千億という御説明でありました。ここに私どもいただいておりますこのパンフレットを見ますと七兆三千九百四十四億ということが書いてあるのでございます。どちらがほんとうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/92
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093・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 国民の総生産が、私はあるいは間違ったかもしれませんが、八兆八千億になっております。国民の所得はお話のように七兆三千九百四十四億、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/93
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094・松浦清一
○松浦清一君 せっかく長官においでをいただきましたが、ただいま初めてこの六カ年計画の御説明を承わったのであります。いろいろ御質問申し上げたいことございますが、お伺いを申し上げてもお答えに対してそれは違うのではないかと、若干疑点とするところがございますが、残りのものは保留をさせていただいて、この次の機会にお伺いをいたします。従って法案自身の質疑をすべきですけれども、委員の方々もだいぶ御退席だししますから、私のほかに質問がなければ、私はきょうはこれで保留をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/94
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095・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) ちょっと発言させていただきたいのですが、この私どもの作りましたこの数字は、決して完璧なものでないとこう存じておりますから、どうかどなたでもけっこうでございますが、御意見がございますればいかなる場合でも承わりますですから、よく聞かしていただきまして、そしてこれは完璧なものに作り上げたいと、こういう所存でございますから、どうぞ御遠慮なく今後御批判願いたいと、この席上お願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/95
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096・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 幸いきょうは高碕国務大臣がもう少しまだ時間がおありで、質疑に答えていいということでございますから、なるべく大臣に対する御質疑がありますれば松浦委員からのお話もございまするが、本日もしできればもう少し続けていただいた方がよろしかろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/96
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097・加瀬完
○加瀬完君 長官のいらっしゃいます前に私は十一条の勧告という問題について伺っておったわけでございますが、長官はこの勧告という内容について、どういうことをお考えでこの勧告という文句をお使いになったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/97
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098・高碕達之助
○国務大臣(高碕達之助君) 私は法律上のことはよく存じませんで、間違っておるかもしれませんですが、現在までやっておりますのではどうも農林省は農林省で勝手な計画を立てる。それから通産省は通産省で立てる。それで運輸省は運輸省で立てる。それで総合的にどうしてもできない点があるものでございますから、これは大体大臣間で話し合いをつけますというと、大体話し合いはつくようでありますけれども、どうしてもかりにこれが話し合いがつかなかったという場合を考えますと、一応審議庁で立てますもののこの建前は、閣議の決定を経て出すわけであります。これを実行してくれないということになりますと、勧告を出しまして勧告に応じないということになればこれはもう一ぺん閣議にかけて、これはどうも勧告に応じないのだけれどもどうしようということで幾らか意見が一致しないといった場合を見込みまして、それで総合計画に同調していただく、協力していただくというような工合に勧告したい、こういうわけなんでございますが、実際の話といたしましてはただいま別にえらい引っかかりはないわけでございますが、そういうことが将来予想されますものでございますから、それを今度法制化していただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/98
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099・加瀬完
○加瀬完君 よくわかりました。そこで長官におかれましても各省の計画がまちまちになって総合性を欠く場合があるということは、御想定なさっておられると思う。その際に大臣間で話し合いが簡単につけばいいのですけれども、つかない場合もありますので、そういう場合は勧告をして、聞かぬ場合はもう一度閣議の話し合いに戻す、こういうことでございますが、もしそういうことであるといたしまするとこれは法制局関係の問題になるかもしれませんが、先ほどから御説明を承わっておるところの内容といたしまする勧告ということでは、今長官の必要とされるような事件の解決ということには、この勧告ということでは非常に弱いというふうに考えられますが、この点法制局どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/99
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100・酒井俊彦
○政府委員(酒井俊彦君) 詳しいことは法制局から御説明していただくといたしまして、私どもといたしましては、まあさしあたりこのくらいのところでやって参りますれば、少くとも閣議に一々かけないでも、勧告という段階でかなりのものが実質的に話がつくのではないかと考えております。それ以上に強い権限をある大臣に付与するということになりますと、これは先ほどから問題になっております現行の内閣制度というものにも直接触れてくる問題でありますから、現在のところではこの辺がちょうど限度ではないかと思います。そうしてまたこの程度でまあ取りあえずやってみる、おそらくこの程度の権限でもうまく行くんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/100
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101・野木新一
○政府委員(野木新一君) 勧告の法律的性質につきましては、先ほどからるる申し述べた通りであります。勧告の法律的性質は先ほどから申し上げた通りでありますので、勧告というものは万能薬というような形ではとうていありませんでして、やはりある限度がありますことは御指摘の通りであります。これをもっと強くしてまあ指示とかいうように、あるいは勧告したならばその内容に沿って措置をすべき義務を格段に負わしたらどうか、しかももっとひどく言えば、それに罰則でもつけたらもっと強行できるのではないかというような議論まで、ずっと突きつめて行くと、なるわけでありますが、今、酒井さんからも申し上げたようにそういう強い権限をある大臣に認めることは、しかもこのような場合に認めるということは、今の内閣制度等との関係で、なお慎重に研究してみるべき点もあるし、かたがた今の勧告という程度の権限によりましても、相当程度問題は解決されて、スムースな行政の運営ができるのではないか、そういうように考えて、法律、制度としてはまあ現在のところはこの程度が、まあ必要にして、かつ適当なところだろう、そう判断してこの法案の審議をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/101
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102・加瀬完
○加瀬完君 その勧告という内容の説明は先ほどから承わっておりますからよくわかるんです。勧告という法律的な解釈はそれでいい。しかし長官に先ほどから御説明していただいておりまする内容のような、この十一条の法文の目的を達するために、この勧告というふうなことが一番適当か。私はそうではないというふうな気がするんです。法文そのものが、長官が要求するような要件を満たしたいというならば、「勧告することができる。」ということでなくて、ほかの書き方で、もっと長官の要求するような趣旨というものを明瞭にさせることができるのではないか、そういう点は法制局としては、法制局に対する要求は、当然長官が先ほどから御説明なさっておるようなことで御要求があったと思うのでありますが、その要求を、「勧告することができる。」という、こういう体裁において可能であるというふうに考えておられる、その根拠というものは私にはわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/102
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103・野木新一
○政府委員(野木新一君) 法律の制度といたしまして、非常に新しい例を作るという場合には、慎重にいろいろな点を考えてみなければなりませんのでありまして、幸い勧告という制度は、終戦後の新しい制度ではありましても、相当使われてきておる制度であります。そうしていろいろ長期経済計画の推進というような観点からのお話を承わりまして、現在のところでは十一条の第三項の制度を置いて、しかも閣議の決定ということと相待てば、長期経済計画の推進ということもできるだろうと、そういう観点からこのような規定をしたのでありまして、長官のただいまおっしゃったことを達成するために、これでは非常に不適当だとも必ずしも思えないようにも存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/103
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104・加瀬完
○加瀬完君 法制局の立場から、法文の体裁というものをどうも重視するように私には感じられる。法文の体裁というものから考えれば、これは少くとも間違っておらない。しかし目的は、なぜこの法律案を作るかということになりますと、これは経済六カ年計画というものを達成させるという大きな目的があってこの法文を根底に置いて作っておるわけです。それじゃ六カ年計画を推進する上で一番障害になるのは何かということになりますと、それは第一……ということにはならないかもしれませんけれども、少くとも重要な一つとして各省のあるいは官庁のセクト主義というものがあると思う。これは計画を進めて行く上に非常に支障があるということは、これは審議庁においてもお認めになっておる。それならばそういう障害というものを除去するためには、十一条というものでその間の問題の解決をしようとするならば、相当今までとは違った、法文の体裁にはとらわれない法文の目的の達成をされるような内容というものを盛り込まれた条文というものにならなければ私はうそだと思う。そうなって参りますと、私は勧告というふうな言葉では、どうもその目的を達成するということにはいささかたよりない条項ということになるように感じられるので、伺ったのです。ちょっと意見を差しはさんで申しわけありませんが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/104
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105・野木新一
○政府委員(野木新一君) 御指摘のような点を間然なく達成しようと考えますならば、実質を、勧告でなくて、要するに企画庁長官がある事項を申し出たならば、それを申し出られた行政機関の長は、それに従わなければならないというような義務づけをしなければ、なかなか御指摘の点を十分達成することはできないのではないかと存じます。しかしこの際そういう義務づけをすることが果して法律的に見て行き過ぎとかいう点がないかどうか。なお内閣制度などと関連しまして、十分検討の余地がありますし、そこまでしなくても、さしあたってはこの程度のことで、なお、閣議で決定することもできるという点をもあわせて考えれば、この長期経済計画の推進という目的を達成する手段としては足りるのではないかという意見で結局こういうことになった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/105
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106・加瀬完
○加瀬完君 大へん長くなりまして申しわけありませんし、これからの質問がちょっと今審議中の法案から外れる嫌いがありますが、法制局も参っておりますから、一つ伺っておきたいのですが、勧告という言葉が、これも非常に法文の中に使われる。しかしこの勧告ということがいろいろの法律の解釈の上に、あるいはこの法律に基く行政の施行の上に、あいまいな弊害をもたらしておることも事実だと思う。この点勧告という言葉がずいぶん使われておりますが、この勧告という言葉のあいまいなために、非常に法律的な、何と申しましょうか、勧告といういい場面のほかに、マイナスな場面というものがいろいろ生じていると思われるのですが、この点については法制局はどういうふうにお考えになっておりますか。またここにこの文句を使うについて、勧告というもののあいまいなためにかもし出されているところの法律的な、いろいろな解釈の不明瞭というものをどう勘案してこの言葉を使われたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/106
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107・野木新一
○政府委員(野木新一君) 勧告という法律的性格が、先ほど申し上げたようにある程度弱いと申しますか、弱いものでありますので、これに対して非常に強く期待しているという側の立場の人から見れば、そんな弱いものでは意味ないじゃないかという議論にもなりますし、逆に、その程度のことで実際の運営は相当円滑に運ばれることになるという観点からの議論をする人もあるわけでありますが、私どもといたしましては、勧告についてこれは訴訟上裁判所で問題になったということはまだ聞いておりません。その他審議に当って、特に勧告で非常に意義があいまいだということで、こういうよな場合に問題になったということは、あまり承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/107
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108・松浦清一
○松浦清一君 ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/108
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109・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/109
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110・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X01919550628/110
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