1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月十九日(火曜日)
午後二時四十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 新谷寅三郎君
理事
長島 銀藏君
宮田 重文君
木下 源吾君
松原 一彦君
委員
井上 知治君
木村篤太郎君
中山 壽彦君
野本 品吉君
千葉 信君
田畑 金光君
小柳 牧衞君
委員外議員
八木 幸吉君
衆議院議員
高橋 等君
国務大臣
国 務 大 臣 大久保留次郎君
政府委員
内閣官房長官 根本龍太郎君
総理府恩給局長 三橋 則雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○国務大臣の私企業等への関与の制限
に関する法律案(八木幸吉君外三名
発議)
○恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(山下義信君外三
名発議)
○恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
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001・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから内閣委員会を開きます。
国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに提案理由の説明も聞きましたので、この際本案について政府の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/1
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002・根本龍太郎
○政府委員(根本龍太郎君) 現在国務大臣の私企業等への関与に関しましては、これは特別職でございまするので、その場合においては所属長官の許可によって従事することができることにしておりまして、実質上は自分の業で万やむを得ず、しかも行政上何らの支障ないものに限って許可しておるというようなことで、実質上は強い制限を与えておる状況でございます。従いまして、この方針については、趣旨については内閣としても何ら異存のないところでございまするが、しかし法律をもって絶対禁止条件にすべきかどうかについては、若干これは考慮の余地があるのでないかとは思っておりますが、積極的にこれには反対であるという意思は持っておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/2
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003・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 政府に対し御質疑のある方は御発言を願います。
別に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/3
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004・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
それでは直ちに本案の討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/4
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005・野本品吉
○野本品吉君 この際討論を省略いたしまして、直ちに採決に入られることの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/5
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006・長島銀藏
○長島銀藏君 ただいまの野本君の御動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/6
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007・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまの野本君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/7
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008・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/8
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009・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案通り可決せられました。
なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/9
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010・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
なお報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
松原 一彦 小柳 牧衞
井上 知治 野本 品吉
木村篤太郎 中山 壽彦
宮田 重文 千葉 信
木下 源吾 長島 銀藏
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/10
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011・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/11
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012・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて下さい。
次に、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(参第一二号)、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(衆第二八号)を一括して議題といたします。
前回に引き続き御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/12
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013・野本品吉
○野本品吉君 昨日来いろいろ御質問申し上げたのですが、そこで繰り返し繰り返し提案者及び大久保大臣等からの御答弁の中に、たとえば文官に恩給制度があるから軍人にも恩給制度がなければならぬ、あるいは文官と軍人とのアン・バランスの調整がこの法律案の趣旨であるというようなことの御説明がありました。私はここでやはりたしかにその点につきましてはいろいろと考えてみなければならぬ問題があろうと思いますので、お伺いするのですが、私は文官と軍人との、現段階における旧軍人の恩給と文官の恩給との本質的な相違というものを一応考えてみる必要がある、かように考えますので、以下数項目にわたりまして私の所見を申し上げまして、提案者並びに政府の御見解を承わりたいと思います。
第一に、私は大体におきまして軍人の恩給制度というものは、国家保障というような考え方の上に成立しているものだと、こう理解しております。と申しますのは、たとえば西南戦争のときに初めてそれに刺激されたと私は思うのですが、初めて陸軍の恩給条例というものができた、翌年になりまして海軍の恩給条例というものができた、しかも相当最近まで陸海軍の恩給、陸海軍の人たちに対しましては恩給納金というものは一文も支払はなくともよろしいということになっておった。こういうようなことは、戦争あるいは戦闘という不測な事態によって生まれて来ますいろいろな問題に対しまして、国が補償すべきものであるという考え方の上に立てられたものだと私は思う。文官の恩給はこれとは全く違いまして、現在の国家公務員法で規定しておりますように、その職務に忠実に服すと、職務に専念して、しかも永年勤続させることによってその能力を遺憾なく発揮させる、ここにその狙いがあろうと思う、こういうふうに考えますというと、文官の恩給と軍人の恩給というものは、性格その他において非常な相違がある、もう一つは今の国家公務員法では、御承知の通りに文官の恩給というものは、健全な保険数理の上に計画されなければならぬということが、恩給制度の基本の原理になっておる。健全な保健数理の上に恩給というものが計画されるということになれば、現在公務員が何人おる、年齢的に見てそれがどういうふうに分れる、あるいは在職年数から見てどういうことになる、そうすると、来年の普通恩給の支給者はこれくらい、再来年のはこれくらいという一応の確実な見通しの上に恩給の問題が考えられる。ところが軍人の恩給の問題はそういう見通しというものがつかない、と申しますのは、戦争なり、事変なりというものがありますというと、そのことによりまして増加恩給にせよ、遺族扶助料にせよ、その他の普通恩給にせよ、予測せざる大量な、急激な変化あるいは増加というものが考えられる。それからもう一つは、現段階におきましては、軍人というものはないのです。従って旧軍人軍属その他の者は、これの軍人関係の恩給法によって律せられ、それの適用を受ける、すべての軍人関係の者はことごとく過去の人に属しておる。全部が過去である。新らしいものは一人もできてこない。ところが公務員の恩給制度というものはそうじゃない。公務員の恩給制度というものは、過去の公務員、現在の公務員、将来の公務員、この過去、現在、将来につながる一連の公務員の生活に直結している問題なんです。ここにも相違が現われる。それからして、その法律の適用対象になる者の数と質が全く違う。今度の軍人関係の恩給法の改正によりましてさらにふえるのでありますが、しかしながら、先刻来提案者の高橋さん等からの御説明にありますように、あの六百幾億の多額の金のうち八割何ぼというものが遺族扶助料、それから増加恩給というものも相当あるわけだと思う。ところが公務員の恩給の百六十億前後のものは、その大部分が私は普通恩給であろうと思う。従ってその法律の適用対象というものが全く違う。それからさらにこれはちょっとえげつないようなことでありますけれども、財政負担、財政との関連において考えますというと、軍人からは一文も入って来ません。ところが公務員は御承知の通りに、月々俸給の百分の二を源泉徴収される。私は先般これは人事院に依頼して調査したのでありますが、恩給法の適用職員が防衛庁を除く職員で三十九万六千人、それからして防衛庁関係で十二万七千人、合計いたしまして五十二万三千四百になる。それからして公社の職員、あるいは地方の一般吏員、教育職員、警察職員等、合計いたしますと七十四万八千八百という数字になりまして、この合計は百二十七万二千二百人ということになっておる。で、その百二十七万二千二百人の俸給の月額が二百二億五千八百万円、この百分の二が国の収入として恩給納金として入ってくる。こういうことになりますと、大体私の推計では四十億あるいは四十何億というものが入ってくべきことになっておる。以上のような点から考えますと、私は旧軍人の恩給というものと、それから公務員の恩給というものは全く質的にも違うと思う。こういうように非常に本質的に違っております両者を、一本の恩給法で扱うことが妥当であるかどうかということに関しまして、年来私は大きな疑問を持っております。そこでこのきわめて不自然な法体系というものを取らざるを得ないその結果、制度的にも事務的にもいろいろと混乱を起しておる。また文官の方がいいとか、武官の方がいいとかいうことで、両者の間にいろいろの問題をかもしまして、そうして私ども初め、こういうことを言う際には、何やら軍人の方に当るんじゃないかと、気をつかわなければならぬというような状態なんです。そこで私は次の二点に関しましてお伺いしたい。
私がただいま申し上げましたように、軍人の恩給と公務員の恩給というものは、その本質において非常な違いがあるということに関する提案者、政府当局の御見解が一つ、もう一つの問題は、そういうものを一本の法律で扱うということが適当であるかどうかということについての御所見、この二点につきまして関係の皆さんの御意見を承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/13
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014・高橋等
○衆議院議員(高橋等君) ただいまお話になりましたような個々の例を、現在のこの軍人というか、今後新たに軍人というものが発生しないことから生ずるいろいろな問題というようなことは、御承知のように、それは具体的に考えるとたしかにございますが、ただその根本はやはり恩給制度の根本として、公務員が国家に対して自分の、どう言ったらいいですか、副業等も禁じられて国家のために働いた、その国家対使用人としての関係という大きな筋においては私は差異がないものと考えております。なおこのいわゆる旧軍人恩給というものを一般恩給の中で操作をいたしておりますことは、これはこの前の二十八年の改正以来でございまして、その当時私たちは大体文官と同じような制度の上で行き方をする方がよろしい、共通点が非常に多いということで、あの法案に賛成を実はいたしたような次第でございます。これは政府提案にかかるものでございますから、政府より詳しく御説明をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/14
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015・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今、野本委員から軍人恩給とそれから軍人以外の一般公務員、つまり一般文官の恩給とは本質的に差異があるのではないか、こういうような御質問でございまするが、たびたびこの席上におきまして恩給の本質につきまして論ぜられてるのでありまするが、また従来から政府におきましても説明しておるところであり、またこの席におきまする御意見の中にもあったのでありますが、また高橋議員からも説明されておりますが、その恩給の本質から考えてみました場合におきましては、軍人の恩給とそれから文官の恩給との間におきましては、本質的な差はないものと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/15
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016・野本品吉
○野本品吉君 私は軍人の恩給を減らせとか、どうしろとか、そういうこととは全く無関係でこの点を承わっておる。ただ昭和二十八年のときにそうしたからということが、いつまでもそのままでいいということにも言い切れないと思うのです。これは私が申し上げるまでもないので、本則と付則と比べるというと、むしろ付則の方が量的にも多いような格好をしているのです。こういう法律というのはこれはあまりよそでは見ない、従ってこの軍人恩給の額の増減とか、あるいは適用対象の範囲の問題であるとか、そういうこととは別個にいたしまして、すっきりした別立てのものにして、そうして先ほど申しましたように、制度的にも事務的にも混乱錯綜を起さないような考慮が払われてしかるべきである、かようにまあ私は、いろいろ御意見もあるようでありまするけれども、私としてはそう考えざるを得ない、そういうような考慮は二十八年のときも相当問題として払われたわけなんですが、やはり依然としてその考えは変らないということを承わりまして、私はちょっと了解に苦しむわけであります。恩給法そのものがおそらく恩給局の特定の幾人かでなければ、これはだれが何べん繰り返して読みましてもわからないほど複雑難解なものになっておりますことは、私どもはやはり法律としましてこれは好ましい状態ではない、こう思いますので、一応そういう考え方を私は一貫して持っておる、私はかような意味におきまして、軍人の方がもっと優遇する必要があるというのならば、それは優遇するにいたしましても、この恩給法そのものをもう少しすっきりした平明なものにすることが必要であるという、まあこれは意見になりますから差し控えますが、その点を申し上げておきます。
それからさらにお伺いいたしたいと思いますのですが、それは今度の法律案を審議するに当りまして、一番の手がかりと申しますか、拠点は、何と申しましても仮定俸の問題であろうと思うのです。そこで私がお伺いしたいのは、旧軍人軍属の方々の仮定俸はお説の通りに恩給特例審議会の決定されました一万円ベースの四号下であると、そこで四号の引き上げということと、つまり一万二千円ベースにベース・アップするという措置がとられたわけでありますが、一体特例審議会のあの仮定俸は何を根拠としておきめになられたのかということを、これは三橋恩給局長にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/16
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017・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 恩給特例審議会におきまして答申いたしました答申案の中の旧軍人の恩給扶助料年額の計算の基礎になっております仮定俸給はどうして作ったかという御質問でございまするが、これは軍人恩給の廃止されまする前におきまして、旧軍人の恩給、旧軍人遺族の扶助料、遺族扶助料の年額計算の基礎になっておりますところの俸給、その俸給と同じ俸給が恩給年額の計算になっている、文官の方々の恩給、これを考えまして、そういう文官の方々の恩給があの答申をされます際におきまして、どういうように増額されてきているかという、こういうことを考えまして、その増額されましたその金額の計算の基礎俸給を基準といたしまして作られたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/17
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018・野本品吉
○野本品吉君 その決定された金額のその基準はどこですか。これは私の想像では、おそらく昭和二十一年法律三十一号による改正前の恩給法のいわゆる別表の第一号表に基いたものであると想像するのでありますが、どうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/18
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019・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 旧軍人の恩給及び遺族の扶助料につきましては、軍人恩給廃止前におきまして、今お話のごとくに特に仮定俸給というのが作ってございました。これら仮定俸給を元にいたして作ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/19
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020・野本品吉
○野本品吉君 そこでさらにお伺いいたしますが、それは別表の第一号表の仮定俸給の年額というものは、一体どういうふうにおきめになられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/20
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021・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 昭和八年ごろまでであったと思いますが、旧軍人の恩給は階級別に、また在職年別に恩給の年額がきまっておったのでございます。たとえば少尉でありますれば、十三年でやめた場合においてはその普通恩給の年額が幾ら、また十四年でやめた場合においては普通恩給の年額は幾らと、こういうふうにきまっておったのであります。その後文官の恩給が御承知のように、退職時におきます俸給を基礎といたしましてその百五十分の五十が最低の恩給の額であり、その最低の願に普通恩給所要最短在職年を超ゆる一年ごとに若干の金額をふやして計算するというような工合になっていることにならいまして、法律が改正されまして、そして、今申しましたような旧軍人の階級別、在職年別の恩給を、文官と同様に退職時の俸給を土台として計算をした恩給とした場合におきましては、どういうような仮定俸給にすれば従前の恩給と、すなわちそれまで軍人のもらっておった恩給の年額と比較いたしまして、多くもならなければ少くもならないという措置が講ぜられるか、こういうことを検討いたしまして、そして一つの仮定俸給を作って、その仮定俸給によって恩給の年額が計算されるようになったと承知いたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/21
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022・野本品吉
○野本品吉君 その恩給の仮定俸の年額をきめられる場合に、旧軍人の在職年別の恩給表というものを基準にしておきめになったのか、私の知っている限りにおきましては、あの在職年別の恩給額というものを三倍したものが仮定俸にきめられたと思うのですが、それで間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/22
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023・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 大体さようなふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/23
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024・野本品吉
○野本品吉君 そうしますと、ここに大きな問題が出てくる。それは何かと言いますと、軍人の恩給のその当時の最短の在職年は十一年であったと思う。その十一年の大将のもらう、大佐のもらう、中尉のもらうその恩給額を三倍したものがこの別表第一号表の仮定俸給になった、それで間違いないと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/24
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025・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 大体そういうふうになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/25
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026・野本品吉
○野本品吉君 そこで私お伺いしたいのは、文官の恩給の算定の基準俸給は、そういう理論で行きますと、やはり文官が最低在職年が同じ、つまり文官が十一年になったときの俸給が幾らになった、これを基準にして文官の仮定俸給の基準がきめられなければならぬと思う。軍人のは恩給の最短年限としての十一年が基準になってそこから出ている。そうすると、文官のも同じように考える、いわゆる公平の原則という点から考えれば、十一年のそれを基準にして仮定俸の基礎にしなければならぬ、こういう論理が展開されると思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/26
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027・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私はそれには必ずしも同意いたしません。と申しますのは、今の俸給という問題につきましては二つの場合があるのであります。恩給年額計算の基礎となる俸給と、現実にもらう俸給、こういう二つの問題を考えなければならぬと思います。野本委員の申されておりますのは、恩給年額計算の基礎となる俸給の問題でございます。しこうしてその基礎俸給は、旧軍人の方でありまするならば十一年で恩給がつく場合のことを想定いたしまして、十一年で恩給がつく場合において、その恩給の年額計算の基礎俸給は今仰せられたようになっていました。こういうことであったのでございまするが、これは現実に給される俸給とは私は必ずしも一致していなかったと思うのでございまして、現実に給される俸給と、それから今の恩給年額計算の基礎となる俸給とは切り離して考えるべきものではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/27
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028・野本品吉
○野本品吉君 さらにそれに関連しました問題を私はお伺いしたい。それは軍人を除いた一般の公務員は退職当時の俸給をもって恩給計算の基礎にした。ところが軍人はただいま申し上げておりまするような第一号表というものによってやったと、ここで私が特にはっきりしておきたいと思いますことは、大東亜戦争給与令、それから未復員者給与規程、これらによりますと、大将の俸給は月額五百五十円、少尉の月額は七十円、大尉が百三十七円、まあこういうことになている。ところが少尉の恩給計算の基礎になりますのは、俸給の額面が七十円である少尉が、現実には百十六円ということで恩給計算がされている。そこで私がお伺いしたのは、一般の公務員に対しては退職当時の額面通りの俸給で恩給が計算されているにかかわらず、軍人がこういうふうな扱いを受けたということには何かわれわれの納得のできる理由があろうと思うのでありますが、その点を一つ知らしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/28
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029・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今のお話は終戦時の例をとってのお話でございまするが、終戦時におきましては、確かに少尉の現実に給されておりました俸給は千四百円以下であったと思いますが、恩給年額計算の基礎となる俸給は千四百円になっておったのでございます。ところでこれは先ほども申上げましたように、昭和八年、軍人の恩給に関しまする改正が行われました結果、ずうっと終戦時まで引き続き行われておったものと思っているのでございまして、特別な理由は私はないと思います。ただ文官につきましては、それはどういうふうになっておったかと申しますと、終戦時までは野本委員も御承知のように、昭和六年に官吏の減俸が行われましたので、減俸後におきましては減俸前の俸給として土台として給された場合の恩給を確保すると言いますか、確保する目的をもって退職した場合の俸給ではなくして、減俸前の俸給に還元されたその仮定の俸給と申しますか、その仮定の俸給をもって恩給年額が計算されるようなことになっておったのでございます。そこでその文官の還元されましたところの俸給と現実にもらっておった俸給、それから軍人の現実に給されましたところの俸給と、それから今問題となっておりまする軍人の仮定俸給とを比較してみますると、下の方の佐官以下におきましては幾分か特別な取り扱いがされたのじゃないかというような気がしないでもありませんが、将官の、上の方におきましては必ずしも文官に比較しまして有利な取り扱いはされていなかったように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/29
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030・野本品吉
○野本品吉君 今、恩給局長さんは上の方の云々と言い、また下の方と言われておりますが、一般公務員の減俸後の還元の計算は一応私も了解いたしております。しかしながら、当時昭和六年でございますか、昭和六年に官吏の減俸ということが行われた。その官吏の減俸というものは大体俸給の百円以上の者に対して行われた。従って百円以下の者に対しましては、恩給局長さんの言われる還元の問題はこれは適用されない、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/30
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031・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/31
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032・野本品吉
○野本品吉君 そうしますと、さっき私が申しました少尉なり、それ以下の軍人、たとえば少尉の場合におきましても還元されないんですから、この程度の一般公務員は……。そうすると、どうしても私はここに恩給計算の基礎になります俸給、あるいは仮定俸というものの基準というものに非常な疑問を持つ、それからもう一つは、先ほど大東亜戦争給与令、未復員者給与規程というものがあったわけですが、これはこの規程によって当時恩給が算定されておったと思うのですが、従って七十円の俸給の少尉が千四百円、月額百十六円で扱われたということのその間の消息を明確にしますことが、やはり恩給の問題は軍人と文官との関連において考える上においては非常に重要な点だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/32
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033・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) その点は最初申し上げましたように、昭和八年に旧軍人の恩給が階級別、在職年別の定額制になっておりましたのを、現行恩給制度のように仮定俸給を土台として恩給年頭を計算するようなふうに法律を改正しました結果といたしまして、従来、今お話の少尉に給されておった恩給を仮定俸給に逆算した場合において、従来よりも不利にならない取扱いをするために招来された結果であろうと私は思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/33
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034・野本品吉
○野本品吉君 それはよくわかる。今の恩給局長さんの逆算のこともよくわかります。よくわかまりすが、私がお伺いいたしたいと思いますのは、七十円の少尉が百十六円で恩給が計算されたというそのわけと申しますか、理由と申しますか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/34
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035・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) それは今私が申し上げますように、昭和八年、法律が改正されました際に、今のような措置がされなかったとしますというと、改正の前後におきまして、おそらく同じ少尉の間におきまして、前にやめた方は恩給が多くして、あとにやめた方は恩給が少い、こういうようなことになってくるのじゃなかろうか。すなわちそのために改正の前後におきまして、同じ少尉であった人の間において、不利な取扱いを受けることのないような措置が講ぜられたのではなかろうかと私は思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/35
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036・野本品吉
○野本品吉君 さらにそれと関連して、私にどうしてもわからぬことがもう一つある。それはどういうことかと申しますというと、下士官以上の者から百分の一の恩給納金を、軍人の方からも出していただくことにきまったときに、恩給の納金は七十円の百分の一なんですね。そして恩給を計算する基礎俸給は百十六円、納金は七十円の百分の一で納めて、恩給の方は百十六円で計算する、これは一体どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/36
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037・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) それはほかにも例のあることでございまして、先ほど申し上げましたように、官吏の減俸後におきましては、すなわち昭和六年に官吏の減俸が行われました。その後におきましては、国庫納金は現実にもらう俸給を基礎として納めておったのでございます。しかし恩給の年額を計算しまする場合におきましては、その国庫納金の元になる俸給ではなくして、減俸前の俸給を土台として恩給が計算されるようになっておったのでございます。従いまして、国庫納金の金額は、現実に給せられるところの俸給を基準としまして計算されるようになっておるのが従来からの例でございますから、特に軍人の場合だけに特別の取扱いをしたということも言いかねるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/37
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038・野本品吉
○野本品吉君 それでは、今の減俸後における還元の問題は、私の質問に正確に答えておるとは私は受け取れぬのであります。と申しますのは、私が今あえてその例としてあげております少尉の場合、この程度の人は一般公務員におきましても減俸されておらない。当時俸給百円以上のものが大体減俸されたのです。そうすると、少尉の俸給程度のものは、減俸令の適用を受けておらないから、今の局長さんの説明では、私には納得いかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/38
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039・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 私が今御答弁いたしましたのは、国庫納金は、現実に給されるところの俸給を基準として計算されるべきものか、あるいはそうでなくして、恩給の年額の計算の基礎となるところの俸給を基礎として計算すべきものか、こういうような問題と考えましたので、今申し上げたようなお答えをしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/39
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040・野本品吉
○野本品吉君 そこで私は、その納金は現実に受ける俸給によって計算し、恩給の計算はそれよりも非常に有利な仮定俸によって計算するということになっておった。それはその当時はやむを得なかった、それで納得されたかもしれませんが、それでは立場をかえて、今新らしく軍人の恩給の問題を考えますときに、かような考え方を適用されることが適当であるとお考えになりますか、どうですか、これは提案者にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/40
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041・高橋等
○衆議院議員(高橋等君) われわれは恩給特例審議会の結論によって、昭和二十八年の法律改正で作られましたものを基礎としてやって参っております。それを基礎として文官との間の不均衡の是正をはかる、こういう筋でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/41
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042・野本品吉
○野本品吉君 それでは、高橋さんのお立場は私はわかります。そういうお立場でお考えになれば、そういう御意見が出ることもごもっともだと思いますが、それと別個の問題としまして、私がただいま申しましたようなことを切り離して考えるときに、そういう考え方は適当であるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/42
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043・高橋等
○衆議院議員(高橋等君) 非常に過去へさかのぼっていろいろやりましたことを手直しをするという、この手直しの必要があるものについては、なおやらねばならない。たとえば昭和二十三年以前の文官の問題等については、十分考えなければならぬ点があると思いますが、今出しておりまするものは、私はいろいろな各般の積み上げられた事実を基礎としてこれを尊重して参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/43
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044・野本品吉
○野本品吉君 私が申しましたのは、歴史上の事実を述べておるのではありませんで、現在この法律が生きて適用されておるのでございますが、これはまあ意見の相違になりますから、あえて議論はいたしません。それからもう一つ、これははっきりお伺いしておきたいと思いますことがあるのですが、それはこの在職年の問題なんです。第六十一条の第五項、これによりますというと、軍人は最高恩給年限が五十年になっておる。一般文官は四十年であります。四十年以上幾年勤めても、それは四十年で計算される。それで軍人を特に五十年というふうに、十年一般文官よりも上に持って行った、その立法の趣旨、精神等がおわかりでしたら、ちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/44
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045・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 恩給局にこの点につきましてのはっきりした書類もございませんし、また法律の原議にも今お話がありましたようなことをはっきり書いたものもございませんので、従いまして、私が申し上げますことは、これは単なる一つの推測に終るかもわからないのでございますが、私が察しまするのに、御承知のように軍人につきましては、昔は実際の在職年のほかにいろいろの加算年がつくようになっておりまして、軍人は一般の文官に比較いたしまして、加算年のつく機会が非常に多かったように察せられるのでございます。そういうことから考えまして、加算年と実際の在職年と引っくるめまして考えました場合におきましては、文官の四十年は軍人の五十年ぐらいとして、初めて軍人が加算年をつけられることに意義があるのじゃなかろうか、こういうような、これは私の推測でございますが、そういうようなところからいたしまして、軍人の在職年は最長五十年というところで押えられたのじゃなかろうか、こういうように想像いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/45
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046・野本品吉
○野本品吉君 その次のは再就職の場合の規定でありますが、五十八条の第一項に、準士官以下の恩給受給者は町就職をしても恩給は停止にならない。一般の文官ではそうではなかったと思う。これらのやはり考え方でございますね。これを私は一応伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/46
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047・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) これもどういうことでそうなったかは、はっきりした資料を私は見受けませんのでございますけれども、また私の単なる推測に終るかもしれませんが、準士官で退職された人が一般の民間に、あるいはまた官庁に就職された場合におきましては、新らしい就職先において受けられる給料というのは、俸給というのはわずかなものであるであろうというような、そういうことを考え、俸給と恩給との両方の収入が現実には入るようにしなければ、そういう人たちの生活の安定は得られないだろう。こういうような特別の配慮からかくのごとき規定が設けられたのではなかろうか、こういうように思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/47
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048・野本品吉
○野本品吉君 私ばかり御質問申し上げて大変失礼でありますが、あとこまかい点につきましては、また別の機会に譲りまして、もう一つだけ伺いたい。それは先ほど私の申し上げました大東亜戦争給与令によりますと、兵隊さんから長年粒々の苦心をしたいわゆる特進の将校、特進の少尉は百十八円であります。それから中尉が百四十一円、大尉が百六十五円、少佐が二百二十円、ところでこの仮定俸給を見ますというと、長年苦労をした少尉さんは百十八円という数字であるにもかかわらず、仮定俸給においては百十六円とマイナス二円で扱われておる。それから中尉は百四十一円がそのまま扱われる。それから大尉は百六十五円が百九十五円に扱われておる。これを特進以外の少尉、中尉と比べますというと、そこにもまた私にはわからないものが出てきてしまう。と申しますのは、特進でない少尉は、たびたび申しますように七十円のものが百十六円で恩給計算がされる。特進の人は百十八円のものが百十六円でマイナスされて恩給計算の基礎になる。そうするというと、長い間軍隊で鍛え上げられた人たちはほとんど恩給計算の基礎となります仮定俸というものは、現実の給与と同じもしくはマイナスになったものだ。それにもかかわらず、一方におきましては現実の給与よりも三割、四割という増額された仮定俸で扱われておる。これはどういうのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/48
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049・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) これは終戦前のことでございますので、これも資料その他にはっきりしたものは見当らないのでございまするが、これも私の想像になるのでございまするが、今のお話の特務士官の方々に対しましては、今お話のように在職年も非常に長いということを考慮されまして、ほんとうの俸給のほかにいろいろの手当その他を給するかわりに、これらを俸給という形において俸給の中に入れて特別な取扱いをしておった結果、そうなったのじゃなかろうかと思っておるのでありまして、そういう特別な士官は本官、何と言いますか、ほんとうの将校の人に比較いたしまして俸給を割合多く受けておったにかかわらず、それが恩給の計算の基礎になっておらなかったということは、ただいま野本委員の言われる通りでありますが、どういうわけでそういうふうになったかということにつきましては、これははっきりしたことは申し上げかねますが、今申し上げたようなことからではなかろうかと思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/49
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050・野本品吉
○野本品吉君 私は恩給の計算は、退職時の俸給と在職年数というものが決定的な条件であり、またあるべきであると考えております。そうしますと、兵隊さんからたたき上げました少尉なり、中尉なりの人は相当長い在職年限を持っておる。ところがそうでない少尉の人はいわゆる士官学校を出ればすぐ少尉になるのですから、これは在職年限はきわめて短かい。そこでこういう扱いをしますと、恩給計算の決定的な条件としての在職年限というものが全く無視されておる。それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/50
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051・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 在職年限が全然無視されたということもちょっと言いかねるのでございますけれども、これは今お話のように、確かに退職時の俸給を基礎として計算をしていなかったということにつきましては議論があるだろうと思うのであります。従ってこの退職博の俸給を基礎としないような制度になっておったかっての軍人恩給の制度そのものの内容につきまして批判を加えて改めるという意見もありましようが、これについては、またいろいろの見方があるだろうと思います。しかしてまた、長年の間そういう一つの秩序の中において恩給制度というものが維持されてきた、その維持されてきたその秩序そのものを壊してしまうか、あるいはそれを一応是認して経過的な措置を講ずるか、こういうことが一つの問題ではなかろうかと思うのであります。かって……、かってと申しましても、昭和二十八年に法律第百五十五号が制定されたのでございますが、そのときにおきましては、その過去のものにつきましては、一つの経過的なものとしてすべての措置を講ずるという建前から措置されてきておるのでありまして、新たなる見地に立って新たなる角度からいろいろな批判を加えて改正するということでございますならば、いろいろな見方があることは私も是認するところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/51
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052・野本品吉
○野本品吉君 私がかようなことを非常にくどくお伺いいたしますのは、実は兵隊からたたき上げましたいわゆる特務将校、これらの人たちにこの前の軍人恩給の復活をしました当時のあの措置が非常に不当であるということで、全国の特進の諸君が非常に不満を持っている。この不満は、私は先ほど申しましたように在職年数その他長年この苦労したことを考えますと、当然配慮に値する不満であろう、こういうような点につきまして提案者は御配慮があったかどうかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/52
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053・高橋等
○衆議院議員(高橋等君) これを起案いたしますに当りましては、もちろん各団体からのいろいろな陳情等を十分にしんしゃくして実は起案いたしましたつもりでございますが、寡聞にして、私はただいま申し述べになりましたようなことにつきましては、本日ただいま初めて伺ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/53
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054・野本品吉
○野本品吉君 これはまた非常に私としては驚き入った次第なのです。この軍人の恩給の問題についていろいろお骨をおられました方々の中には、いわゆるたたき上げの特進の方がおらなかったせいではなかろうか、私がかようなことをお伺いいたしますのは、これらの長いこと苦労された人たちが、しからざる人たちに比べてもしも冷たく扱われているというような結果になるといたしますならば、一つには先ほど申しました在職年数を無視したと申しますか、無視しないとすれば軽視されましたその考え方に対しまして疑問を持つ。それからもう一つは、それらの人たちに対する処遇においての考慮が多少かけておったのではないか、こういうふうに考えるわけです。
私は以上いろいろなことを申しましたが、おそらく高橋さんはあるいは私の気持を誤解されるおそれがありますので、あえて申し上げておきますが、私は軍人恩給をつぶせとか何とか、そういうのじゃない。やはりこれだけの大改正をするのでありますから、筋の通った、だれもが納得して、なるほどというふうなものにするための最善の努力を尽すべきだ、かように考えておるから以上の点を申し上げたのです。細部の点につきましては追って質問いたしたいと思います。一応私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102214889X02919550719/54
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055・新谷寅三郎
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御質疑ございませんか……。木曜日からさらに質疑を続行いたしますが、なるべく木曜日にはまとめて御質問を願いたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十三分散会
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