1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十日(火曜日)
午前十時五十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 荒木正三郎君
理事
秋山俊一郎君
白波瀬米吉君
三浦 辰雄君
戸叶 武君
千田 正君
委員
青山 正一君
池田宇右衞門君
大矢半次郎君
重政 庸徳君
長谷山行毅君
飯島連次郎君
奥 むめお君
溝口 三郎君
森 八三一君
江田 三郎君
清澤 俊英君
三橋八次郎君
森崎 隆君
東 隆君
棚橋 小虎君
菊田 七平君
政府委員
農林政務次官 吉川 久衛君
農林大臣官房会
計課長 武田 誠三君
水産庁長官 前谷 重夫君
通商産業省通商
局長 板垣 修君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 倉田 吉雄君
常任委員会専門
員 林 達磨君
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本日の会議に付した案件
○開拓融資保証法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○農林水産政策に関する調査の件
(昭和三十年度農林水産関係予算に
関する件)
(日中漁業協定に関する件)
(海苔の輸入に関する件)
○参考人の出頭に関する件
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001・三浦辰雄
○理事(三浦辰雄君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
今日開拓融資保証法の一部を改正する法律案が議題となっておりますが、政務次官、ちょっと今なにか席に見えないそうですからこれは見え次第やることにしまして、まず第一番に昭和三十年度農林省関係予算案の件、これを議題にいたします。この件については本日はとりあえず農林省の事務当局から説明をお聞きとり願いまして、その結果残された重要問題については、日をあらためて農林大臣その他関係者の出席を求めて御審議を願うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/1
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002・三浦辰雄
○理事(三浦辰雄君) それでは官房の会計課長さん、一つ御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/2
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003・武田誠三
○政府委員(武田誠三君) 農林省の会計課長でございます。三十年度の農林関係予算につきまして御説明を申し上げます。お手元に予算の各こまかい数字についてお配りをいたしておりますが、全体につきましてごく概要を御説明いたしたいと思います。
昭和三十年度の農林関係予算案につきましては、米麦等の主要食糧を初めといたしまして、畜産物、水産物を含めて総合的に田内食糧の自給力を高めますように各施策を効率的に実施して合理的な増産をはかり、あわせて食生活の改善を進めることによりまして国民食生活の安定に資しまするとともに、農林畜水産物の価格安定と農林漁業経営の生産性の向上及び多角化を進める等諸般の措置を講じましてその所得の確保を期し、農山漁家の安定をはかりますほか、農畜水産物等の集荷その他流通取引の改善及び消費の増進をはかる等の施策をもその重点といたし編成したものであります。
三十年度の農林関係要求予算につきましては、一般会計及び特別会計を通じまして、従来の施策であって引き続き実施すべきものはその継続実施をはかりますとともに、新規に着手実行すべきものはできます限りこれを実施することといたし、重点的効率的な運営をはかるよう特に留意して参りたいと存じております。
まず最初に一般会計における農林関係予算案の総体についてでございますが、農林省所管合計といたしましては八百四十九億五千二百万円(前年度九百六十六億一千六百万円)となっております。
また総理府所管の公共事業費五十七億九千六百万円(前年度五十六億八千九百万円)及び大蔵省所管の農林漁業金融公庫出資九十五億円(前年度九十五億円)を加えました農林関係予算合計は一千二億四千九百万円となり、金額において前年度千百十八億六百万円に対し百十五億五千七百万円の減となるのであります。
かように関係予算におきまして減額を見ましたのは第一に災害復旧事業費において四十四億三千六百万円の減、第二に農業保険費において赤字補てん金繰り入れの減少等による二十六億三千八百万円の減、第三に食糧増産及び公共事業費において九億四千百万円の減、第四に開拓者資金融通特別会計に対する一般会計からの繰り入れが(前年度十五億一千九百万円)本年度は資金運用部よりの借り入れ十億円に切りかえられたことによる減、第五に農業委員会補助金において十四億七百万円の減、第六に二十八、九両年度における被害農家に対する米麦の安売りに伴う損失補てん費において四億七千六百万円の減等計約百十四億円に達する減額となる実質上の原因があったことによるものであります。従ってこれらを除きますと農林省関係予算は実費的にはおおむね前年度に近い規模になっておると存じます。
〔理事三浦辰雄君退席、委員長着席〕
次に主要経費について簡単な説明を申し上げたいと存じます。
まず第一に食糧増産対策経費についてでありますが、いわゆる土地改良、開拓事業等の農地の拡張改良による食糧増産経費は関係予算としましては二百三十七億五千百万円で前年度二百四十五億三千四百万円に比べまして七億八千三百円の減となっております。
しかし、一方財政投融資計画中におきます余剰農産物見返円資金より農業開発用資金として三十億円が予定せられておりますのでこれを加えますと前年度に比べて二十億一千七百万円の増加といえるわけでございます。
なお、右のほかに本年度におきましては世界銀行から農業開発のための資金も別途考慮しております。
土地改良事業費は関係予算に関する限りでは百十六億八千八百万円で前年度百二十三億九千九百万円に比べまして七億一千百万円の減となっております。そのうち国営潅漑排水事業は五十五億五千五百万円(前年度六十億五千六百万円)都道府県営潅漑排水事業は二十九億九千万円(前年度三十二億六千万円)団体営潅漑排水事業は十四億五千九百万円(前年度十五億七千四百万円)でいずれも前年度に比べまして若干の減額を見ているのでありますが継続事業の早期完了をはかる等重点的に配分いたしまして、事業実施はできるだけ効率的に行うように努めて食糧増産の基本施設造成の確保を行いたいと考えておるのであります。
特に三十一年度以降におきまして一段と食糧自給度の向上を期するための準備として土地改良調査計画費は前年度一億五千万円でありましたが、これを二億一千六百万円に増加し、その他防災関係事業につきまして九億六千五百万円を、前年度は八億四千百万円ですが、重点的に計上いたしております。
次に耕地整備事業費につきましては暗準排水、客土、区画整理、農土、索道等従来の事業のほかに新たに区画整理確定測量費を加えまして二十一億三千百万円を計上いたしておりますが、前年度二十三億二千五百万円に比し一億九千四百万円の減となっております。
開拓事業につきましては前年度七十億三千九百万円に対しまして、七十億七千六百万円を確保しております。このうち開墾建設事業が三十八億六千万円(別年度四十億九千二百万円)干拓建設事業が二十五億八千四百万円(前年度二十五億二千百万円)計画費が二億三千八百万円(前年度一億八千四百万円)開拓事業費補助が三億九千三百万円(前年度二億四千万円)計上されて光ります。
開拓に伴います新規入植戸数としましては五千五百戸を予定いたしましたか前年度の七千戸に含まれた一部非助成(一千戸)の制度は取りやめまして、全部が助成入植となっております。入植助成のためには以上の開拓事業費のほかに、開拓実旅費として二十五億四千三百万円(前年度二十五億八百万円)を計上いたしております。
なお開拓事業に関連いたしまして開拓者資金融通及び開拓融資保証の点について一言申し上げますれば営農資金及び役畜乳牛導入のための中期資金につきましては十四億五千九百万円(前年度十四億八千五百万円)を従来通り開拓者資金融通特別会計で貸し付けることとなっております。これは別に申し述べますように本年度は一般会計からの繰り入れによりませんで同特別会計が資金運用部資金十億円を借り入れる方法によることとなっておるのでございます。
さらに開拓者の短期資金融通の円滑化をはかりますため前年度の五千万円に引き続き中央開拓融資保証協会への一般会計からの政府出資を引き続き今回も五千万円計上いたしております。
以上の一般的な食糧増産対策経費のほか鉱害復旧事業といたしまして九億四千万円(前年度四億四千百万円)災害関連事業といたしまして八億三千万円(前年度八億五千三百万円)を計上いたし、これら事業の促進をはかることといたしております。従って前述の食糧増産経費二百三十七億五千百万円にこれらを加えますと二百五十五値二千百万円(前年度二百五十八億二千八百万円)と相なります。
なお、新規経費といたしまして小団地開発整備促進に必要な経費一億一千六百万円を計上いたしましたが、これは農山村の小団地を対象として該当市町村等が計画的に行う小規模の土地改良等に要する事業費の補助を行うものでございます。
第二に耕種改善に要する経費でございますが、まず農産物種子対策につきましては、米麦、大豆、緑肥作物の原々種圃原種圃の設置、災害対策用農産物種子の予備貯蔵のほか、米麦等主要食糧農作物の原種決定試験事業を引き続き実施いたすこととし、総額におきまして五億八百万円(前年度四億六千七百万円)を計上しております。なお、稲以外の採種圃につきましては前年度限り国の補助事業を休止いたしまして地方公共団体等の自主的な実施にまかせ、国としてはそのための指導にもっぱら力を入れることといたす方針でありますが、水稲健苗育成のための保温折衷苗代設置補助につきまして、先の国会で成立を見ました水稲健苗育成施設普及促進法に基きまして右の経費のうちに二億二千六百万円を計上いたしております。
次に土壤対策につきましては、低位生産地解消のための調査費秋落水田及び酸性土壤並びに特殊土壤対策の経費として三億七百万円(前年度三億一千三百万円)を要求いたしております。
次に農業改良普及事業につきましては、十六億七千五百万円(前年度十四億九千九百万円)を要求いたし、農業改良普及員、生活改善普及員及び専門技術員の給与単価を引き上げますとともに、普及事務所の運営費として新規に四千三百万円を計上いたしております。
次に植物防疫事業につきましては、総額においては五億四百万円(前年度六億九千六百万円)を要求いたしておりますが前年に引き続きまして、病害虫の発生予察、防除組織の整備に努めますとともに農薬備蓄制度を強化することといたしました。
次に農業関係試験研究事業につきましては、その整備と内容の充実強化に努めることとし、農業技術研究所及び農業試験場の経費として十二億七千百万円(前年度十一億五千五百万円)都道府県指定試験、育種試験、施肥改善試験、営農試験地の事業及び都道府県農業試験場拡充強化等、試験研究関係補則として二億百万円(前年度二億一千二百万円)を計上いたしております。
なお、西南暖地におきます水田年産力増強のための水稲早植栽培施設の助成のため五千五百万円(前年度五千七百万円)を計上いたしております。
次に北海道農業振興につきましては前年度に引き続きまして六千六百万円をもって心土耕、混層耕用の機械購入をはかるとともに甜菜の生産確保のために前年度同額の一千三百万円を計上いたしております。
以上のほか耕種改善事業としましては輸出振興の一翼として特殊農作物及び園芸農作物の生産確保改善の経費として二千四百万円(前年度三千百万円)を計上いたしております。
第三に畜産振興の経費について御説明をいたします。まず家畜の導入についてでございますが、集約酪農地区の設定につきましては二億円(前年度二億三千四百万円)を計上いたしまして継続四地区のほか、新規二地区を加え計六地区に千八百頭のジャージー種乳牛を導入することといたしております。
また品種改良のための種畜購入費として二千三百万円(前年度六千九百万円)同じく補助として三千五百万円(前年度四千九百万円)を計上いたしますとともに有畜農家創設資金利子補給に必要な経費としましては二億九千三百万円(前年度二億五千万円)を計上しておりますが、これによりまして本年度約九億八千万円の融資が行われるものと考えております。
次に自給飼料対策でございますが、まず牧野改良対策として草地改良に一億五千三百万円(前年度一億二千五百万円)牧野改良センターに四千四百万円(前年度四千二百万円)北海道に補助としまして八百万円(前年度千二百万円)を計上いたしまして牧野改良事業の機械化を急速に推進いたすことといたしましたほか自給飼料増産のために飼料自給経営施設補助として前年度と同額の一千五百万円を計上いたしております。
また畜産技術の振興をはかりますために畜産技術振興補助として新規に二千万円を計上いたしましたが、これは全国及び県における畜産共進会及び畜産技術講習会の経費等を内容とするものでございます。
さらに第四といたしまして、蚕糸業の振興に要する経費についてでございます。生糸の輸出増進のため昨年設置されました中央蚕糸協会ニューヨーク事務所における宣伝事業費を七千万円(前年度五千万円)に増額いたしますとともに、国内における原料繭の合理的な増産と生産費低減の措置といたしまして、従来の経営改善特別指導施設費補助として六千五百万円(前年度六千七百万円)老朽桑園の改植の推進を目的といたします桑園能率増進施設に対する補助として六千二百万円を新規に計上いたしました。このほか蚕糸の技術改良関係の経費といたしまして二億三千七百万円(前年度二億三千七百万円)を計上いたしております。
第五といたしまして、農畜水産物等、並びに生産資材の流通改善及び価格安定に関する経費について御説明をいたします。農林漁業の経営の安定と所得の確保をはかりますためには農畜水産物等の価格安定生産費の低下をはかることが何よりも急務であることは言うまでもないところでございます。これらに関します予算措置といたしましてはまず化学肥料につきましては一般会計におきまして臨時肥料需給安定法に基きます需給調整のための肥料保管措置による欠損補てんの経費、及び肥料市況調査等の経費として一価四千五百万円(前年度六百万円)を計上いたしました。
購入飼料につきましては、食糧管理特別会計におきまして海外の市況調査費として百万円を計上いたしましたほか、同会計におきまして輸入飼料の売買操作により需給及び価格の安定をはかることといたしまして、そのために要する欠損額約四億四千万円を負担することと相なっております。
また生鮮食料品の流通改善対策といたしまして、生鮮食料品の取引を公正にいたし、生産者及び消費者の利益を増進するための流通施設等の新増設の経費補助として一般会計において一億円を計上いたしました。
砂糖につきましては、特殊物資納付金処理特別会計が大蔵省所管で設置されまして、農林省その他関係省において所要の施策を講じたいと考えておりますので、一般会計におきまして、その適正な標準価格を設定するための調査費(四十五万六千円)を計上いたし、関係措置に資することとした次第でございます。
また牛乳乳製品につきましても、現在の需給事情の改善に資することがきわめて緊要と思いまして一般会計におきまして農業協同組合に簡易な牛乳処理施設の設置を助成することといたしましてその経費を二千二百万円計上いたし廉価な牛乳の供給と消費の拡大をはかることといたしておりますほか、今般国内産脱脂粉乳が学童給食に使用されることとなりましてその購入費補助として六千六百万円を計上いたし、この面からも消費の促進に資したいと存じております。
第六に農林漁業関係の団体の経費について御説明いたします。まず農業委員会関係につきましては、全国農業会議所、都道府県農業会議に対する事業活動促進に必要な助成を前年に引き続きまして行うことといたし五千万円(前年度四千二百万円)を計上いたしておりますが市町村農業委員会費補助につきましては、本年度からは職員二人の担当する事務のうち二分の一人分の事務に相当するものに対し補助することといたしまして残り一、五人分につきましては地方財源計算に組み入れることといたしました。これによりまして前年度二十四億一千六百万円に対しまして本年度は十億一千三百万円に縮少をいたしております。
次に農業協同組合につきましては、同中央会の事業活動促進補助五千万円(前年度二千万円)を要求いたしますとともに農林漁業組合の検査指導につきましては九千七百万円(前年度九千九百万円)を要求いたしましてその監督に遺憾なきを期しております。またそれらの組合に対します増資奨励金等に充てますため四億五千七百万円(前年度四億六千六百万円)を要求いたしましてその再建整備を促進いたしますとともに調整勘定益金を見返りといたしまして農業協同組合役職員奨学資金といたしまして七千万円、全国養蚕農業協同組合信用保証協会基金補助といたしまして三千二百万円を要求いたしております。
右のほか沿岸並びに内水面の漁業調整委員会に要する経費といたしましてはほぼ前年同額の一億一千七百万円を計上いたし、また養蚕技術員に対する補助金もおおむね前年度に準ずる一億一千八百万円を計上いたしました。
第七に農業災害補償関係の経費についてでございます。農業災害補償制度につきましては前年度以来農業災害補償制度協議会を設けまして制度改善について検討いたして参りましたがいまだ全面的な結論を得るに至りませんでまた一部中間答申がございましたがこれについても実施上なお研究と準備を要しますので三十年度におきましては現行制度に即した形で予算を編成いたしますとともに現行制度につきましてはその運用と指導面においてできる限りの考慮を払うことといたしたく存じております。この関係予算は総額百四十玉偏八千五百万円(前年度百七十二億二千四百万円)を計上いたしております。
このうちで農業共済再保険特別会計繰入分といたしましては、水稲、陸稲、麦、蚕繭、家畜の保険料国庫負担分及び業務取扱費として九十二億八千七百万円(別年度七十九億九千百万円)を、同特別会計再保険金支払財源不足補てん金といたしまして二十八億円(前年度六十七億円)を計上いたしました。なお以上のほか農業共済事業事務費負掛金として二十三億一千百万円(前年度二十三億八千万円)を要求いたしております。
第八には農林漁業におきまする財政投融資と営農資金等の利子補給関係経費について申し上げます。まず農林漁業金融公庫でありますが、一般会計の出資九十五億円(前年度同額)資金運用部からの借入金百五億円(前年度同額)に償還金五十五億円(前年度計画二十五億円実績五十二億円)を加えて、二百五十五億円を確保し、従来に引き続き土地改良、林業漁業並びに農林畜水産共同利用施設等に対する融資を行いますほか自作農維持と営農施設の増強をはかるため新たに農地担保金融の道を開きまして、本年度はさしあたり右のワク内におきまして二十七億円を充てることといたしまして将来の拡充を期することといたしたのであります。
特別会計によります農林省関係の政府融資ないし融資保証の制度としましては、開拓者資金融通及び中小漁業融資保証保険の両特別会計があることは御承知の通りでありますが、開拓者資金融通特別会計の融資予定額としましては十四億五千九百万円を計上いたし、また中小漁業融資保証保険特別会計におきましては、年間百五十億円の保証を予定しております。
一般会計による利子補給金といたしましては、昭和二十八年及び二十九年発生災害の被害農家に対する営農資金利子補給、十勝沖地震による農業施設災害復旧資金に対する利子補給並びに水産関係のルース台風、十勝沖地震、カムチャッカ沖地震等によります漁業災害及び昭和二十九年発生漁業災害に対する復旧資金の利子補給等を含めまして十八億九千二百万円(前年度十八億四千万円)を計上いたしましたほか、有畜農家創設資金利子補給につきましてはさきに述べた通りでございます。
第九といたしまして林業振興のための経費について御説明申し上げます。まず山林公共事業費につきましては、治山事業に四十四億五千九百万円(前年度四十六億六千二百万円)造林事業に三十億八千四百万円(前年度三十三億二千九百万円)林道事業に十六億五千六百万円(前年度十七億三千六百万円)計上いたしましたが、治山事業の中では新たに水源林造成補助事業を長期計画的に拡充実施することといたしまして、本年度は前年度三億一千四百万円に対し約二倍である六億二百万円を計上いたしております。
また、これに関連しましては、国有林野事業特別会計におきまして公有林野の官行造林事業を大いに拡充し、特にその中で水源林の造成に重点を置くことにいたしました。この両者を合せて水源林造成事業強化の初年度といたしたいのであります。
一般民有林対策としましては、森林計画に五億四千六百万円(前年度五億七千九百万円)保安林整備計画実施に三千六百万円(前年度三千四百万円)森林病害虫防除に二億三千七百万円(前年度二億四千百万円)林業改良普及に一億四百万円(前年度九千八百万円)等を計上いたしております。
第十といたしまして水産業の振興の経費につき御説明申し上げます。水産業の振興のためには沿岸及び沖合におきます資源枯渇の傾向にある現状にかんがみまして従来の水産増殖事業を継続するほか海外漁場への発展、新漁場の開発に特段の努力を払うことといたしております。
水産資源の増殖につきましては一億二千万円(前年度一億三千四百万円)を計上いたしまして、前年に引き続きまして内水面における種苗生産及び放流施設、貝類増殖、浅海増殖を実施いたす方針であります。
新漁場の開発につきましては、沿岸及び沖合におけるものに対しまして新規に一千万円、インド洋開発のため一千五百万円(前年度三百万円)アルゼンチン沖合における調査開発のために新規三千万円を計上いたしております。
また漁業取締り関係につきましては、北洋関係一億百万円(前年度九千八百万円)太平洋及び東支那海関係一億八千四百万円(前年度二億九百万円)沖合関係八千七百万円(前年度八千八百万円)を計上いたしております。また新規に国際関係の調査取締として生物調査、アラフラ海白蝶貝採取取締り等のため三千七百万円(前年度七百万円)を計上いたしておりますほか、漁場開発調査のため、官船一隻(五〇〇トン)の建造費一億八千万円を計上いたしております。
次に漁港施設の拡充につきまして既着工地区の早期完成をはかることに重点をおきまして十八億三千九百万円(前年度十八億四千万円)を要求いたしております。
第十一、農地、林野、漁港関係の災害復旧費について申し上げます。農地及び農業公共施設の災害復旧に百二十七億七千六百万円(前年度百六十七億六千万円)治山施設及び林道の災害復旧に七億三千百万円(前年度九億八千五百万円)漁港の災害復旧に十三億二千六百万円(前年度十五億二千四百万円)合計百四十八億三千三百万円を計上いたしましたが、前年度百九十二億六千九百万円に比べまして四十四億三千六百万円の減少となっております。もっとも前年度予算には補正予算で計上されました当年度分の災害復旧費十七億九千百万円が含まれておりますので、これを差引きますと減少額は二十六億四千五百万円となるわけであります。
本年度におきましては、これによりまして二十七年以前の災害につきましては残事業量の三分の一を完了し、二十八年災害につきましては総事業量の六五先、二十九年災害につきましては同じく五五%まで完了いたすことを目途としておるのでございます。
以上をもちまして農林省関係一般会計における主要な経費についての御説明を終ります。
次に、引続きまして昭和三十年度の農林関係特別会計予算について御説明いたします。
第一に食糧管理特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出はともに七千二百四十五億九千七百万円(前年度七千百四十九億六千三百万円)となっております。
米穀の管理制度につきましては、先般の米穀懇談会の答申の趣旨を極力尊重しまして、三十年産米については、集荷制度を新たな事前売渡申込制に切りかえることといたしまして、その集荷数量は二十九年産米の集荷予定数量と同量の二千三百五十万石と予定いたしまして、来米穀年度におきましても本年度程度の配給量を確保する計画となっております。
国内産麦については、ほぼ二十九年産買入実績程度の数量の買い上げを予定しております。
輸入食糧につきましては、配給外米の品質の向上に留意することといたし、準内地米の輸入数量を増加することとし、小麦も若干輸入量を増加して内地食糧の不足を補うことといたしました。
生産者価格について申し上げますと、米につきましては米価審議会の専門委員会におきまして算定方式その他を検討いたしておりますので、予算上の価格としては一応前年産米の生産者格価決定時における想定農家平均手取価格を計上いたしまして、麦につきましては、予算上の価格として前年産の価格を計上いたしております。
また消費者価格及び政府売渡価格につきましても予算上は米麦ともに現行通りの価格で算定することといたしました。
食生活改善のための学童給食用小麦の廉価払い下げに伴う損失補てん金といたしまして十六億九千三百万円及び前年度風水害、冷害による被害農家に対する飯用米麦の特別価格払い下げに伴う損失補てん分として一億二千万円(前年度五億九千六百万円)を一般会計より繰り入れることといたしております。
米麦以外の農産物等につきましても前年に引き続き、でん粉、テンサイ糖、甘藷、生切干、菜種、飼料の買入費を計上し、農産物等の価格の安定及び農家所得の確保をはかる措置を講じたいと考えております。
第二に農業共済再保険特別会計について申し上げます。この会計の各勘定を通じまして、歳入、歳出はともに百四十六億六千二百万円(前年度百七十三億八百万円)となっております。このうちまず農業勘定でありますが、三十年度特別会計予算では前年度の同会計予算に比べまして、予算算定上の米の基本価格と繭の推定価格が変更いたしました。その結果共済掛金の国庫負担額は増加を来たしております。また二十九年度の風水害、冷害によります再保険金支払財源の不足補てん分としてさしあたり二十八億円を予定いたすこととし、この経費を含めまして百十四億二千二百万円(前年度百四十億三千九百万円)を一般会計より受け入れることといたしております。
次に、家畜勘定につきましては、死亡、廃用事故と疾病傷害事故の共済掛金の国庫負担額につきましては一応予算上におきましては、前年度程度を予定いたし五億七千四百万円(前年度五億五千五百万円)を一般会計より繰り入れることといたしております。
第三に森林火災保険特別会計につきましては、歳入、歳出ともに三億二千七百万円(前年度二億九千百万円)を予定いたしております。
第四に漁船再保険特別会計につき申し上げます。まず普通勘定につきましては、歳入、歳出ともに十二億六百万円(前年度九億七千六百万円)でございます。三十年度から新たにこの勘定におきまして、搭載漁具の保険をも引き受ける道を開くことといたしました。
特殊保険勘定は、歳入、歳出ともに五億七千万円(前年度五億九千三百万円)を計上いたしております。
また、給与保険勘定につきましては、特殊保険と同様の考えのもとに保険事故が発生した場合の再保険金の財源として資金運用部より三千五百万円の借入を予定し、歳入、歳出とも六千五百万円を計上いたしております。
第五に自作農創設特別措置特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は二十五億五千八百万円でございまして、土地の買収につきましては、既墾地四千町歩、未墾地一万七千百町歩、牧野千五百町歩を、またその売り渡しにつきましては、既墾地六千町歩、未墾地四万九千町歩、牧野三千町歩を予定いたしております。
なお、従来この特別会計の余裕金によりまして、自作農維持のため、農地の買収、売り渡しの方式による資金融通を行なっておりましたが、三十年度からは農林漁業金融公庫において農地担保金融を行うこととし、その資金計画中に施設に対する融資も含めて二十七億円のワクを確保することといたしましたことは先に申し述べた通りでございます。
第六に開拓者資金融通特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は十七億三千八百万円(前年度十九億五千五百万円)でございます。
三十年度は新規入植者五千五百戸を予定いたしております。二十八、二十九年の入植者を含め、これらに対し営農資金及び共同施設資金として十億七千五百万円を貸し付けることといたしております。また営農促進対策資金のうち乳牛の貸付につきましては、従来入植後五カ年以降の者に限っていたのでありますが、特に一年早め、入植後四年目の者に対しても融資いたすこととし、乳牛三千二百頭(前年度七百七十頭)役畜四千八百頭(前年度五千五百頭)計大家畜八千頭(前年度六千二百七十頭)を導入させるため三億八千四百万円を計上し、既入植者の安定をはかることといたしました。これらの資金は従来一般会計よりの受け入れによりまかなっておりましたが、三十年度は償還金と借入金によりこれをまかなうことといたしまして、十億円を資金運用部より借り入れることといたしております。
第七に国有林野事業特別会計につき申し上げます。この会計の歳入、歳出は四百七億八百万円(前年度三百五十四億一千万円)で、前年に比し増加いたしましたのは、主として二十九年度十五号台風等により北海道等に発生いたしました風倒木を前年に引き続き処分いたすための歳入増でありまして、歳出におきましてもこの処分に必要な諸施設の増強を行うと同時に、官行造林事業を強力に行うため、種苗養成費を含めて十億四千三百万円を予定いたしておりますこと等のため増加いたしておるわけでございます。また治山治水対策の重要なる一環として前年に引き続き治山治水上重要なる地域における民有保安林な本会計をもって買い取り、これに対し治山工事を施行することといたしまして、この経費三十一億七千六百万円を計上いたしております。
第八に糸価安定特別会計につきましては、歳入、歳出ともに六十八億九千二百万円(前年度二十二億八千七百万円)を予定いたしております。
生糸の価格は現在のところ急激な変動はないかと思われますが、本特別会計予算におきましては、三十年度の政府の買い入れは一応三万俵(前年度一万七千俵)とし、買上価格は一応十九万円と予定して算定いたして、買入費として五十七億円を計上することといたしたのであります。これは現状に即しまして、特に繭糸価格の安定措置を強化するためにこの会計の現在保有する資金のみでは事態発生の際は買入費に不足を来たすおそれがありますので、別途糸価安定特別会計法を一部改正いたしまして、借入金の道を開くことを予定いたしております。
また蚕糸業の経営の安定をはかりますため、繭価が異常に低落のおそれある場合には、養蚕農業協同組合連合会をして乾繭の共同保管をなさしめることといたしました。このために必要な経費は、本特別会計の予備費より適時支出する方途を講じて参りたいと考えております。
最後に、中小漁業融資保証保険特別会計について申し上げます。この会計は二十七年度、五億の基金で発足いたしましたが、二十八年、二十九年は保険金の支払い少く、基金は利子とともに繰り越されて参りました。三十年度は保証額を百五十億円、これに伴う保険金支払いは四億三千四百万円と推定いたしまして、歳入、歳出ともに八億二百万円を予定いたしております。
以上をもちまして農林省関係の一般会計及び特別会計予算のおもな事項についての概要の御説明を終ります。よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/3
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004・吉川久衛
○政府委員(吉川久衛君) 私が農林政務次官の吉川久衛でございます。大そうごあいさつがおくれて失礼をいたしております。この機会に、参議院の農林委員各位に格別御指導御鞭撻を願わなければなりませんのでよろしくお願いを申し上げます。
昭和三十年度農林関係要求予算案の御審議をお願いいたします機会に当りまして、予算案の編成の基本となりました農林漁業対策及び食糧対策の考え方についてまず一般的に申し上げます。
わが国の農林水産業が、国民経済の基盤として最も重要な産業であることは申すまでもないところであります。従ってわが国当面の自立経済達成のため、その果すべき役割のきわめて大なるものがあることは言うまでもないところであります。しかして、今やわが国は、経済自立を達成し、生産、消費の水準を高め、完全雇用に接近することに万全の力を尽すべき転機に立っておると存ずるのでありますが、これがために政府は全体としまして、総合的な長期経済計画を立て、各般の施策を講ずることとして、本年はまずその地固めをし、近き将来の経済の拡大均衡に転ずる基礎を確立するときであると考えているのであります。特にわが国としては、世界各国との交流及びこれに伴う経済競争に一そう留意して参らねばならぬ情勢にありますが、わが国農林水産業としましては、最も直接的に関連する世界の農林水産業の推移や、特に一部の農産物について供給の過剰傾向、価格の低落傾向さえ現われている実情にかんがみまして、国内における農林水産業の実情と、この国際的環境につきまして、十分な認識を持ちまして、今後の農林漁業対策の方向を誤まらず、遺憾なきを期せねばならぬときであると考えるものであります。本三十年度は、ただいま申し上げましたように、明年度以降におけるわが国経済の指向すべき態勢を整え、準備することとして、農林漁業対策及び食糧対策としましても、米麦等主要食糧を初め、畜産物、水産物を含め、食糧全体として総合的に国内自給力を高めるよう、各施策を効率的に実施して、合理的な増産をはかることといたし、あわせて食生活の改善を進めて、もって国民食生活の安定に資する考えであります。農林漁業者に対しては、農林畜水産物の価格の安定及び農林漁業経営の生産性の向上及び多角化を推し進める等、諸般の措置を講じまして、もってその所得の確保を期し、農山漁家の経済安定をはかりたいと存ずるのであります。特に肥料、飼料その他の生産資材の供給増加及び価格の引き下げに力をいたし、米穀その他農林畜水産物の集荷その他流通取引の改善を行い、消費の増進をはかる等、各般の施策をも加えますことは、一はわが国農林漁業の国際的抵抗力を強め、他は農山漁家の経営の安定と、国民生活の安定に資する重要なことと考えております。大部分が零細な所得階級に属する農山漁家について、租税負担の軽減もできる限りこの目的に資するよういたしたいと存ずるのであります。従いまして三十年度の農林省関係要求予算につきましては、一般会計及び特別会計を通じ、現段階におけるわが国財政経済と国民生活の状況に応じまするとともに、農林漁業対策及び食糧対策に極力遺憾ないことを期しまして、従来の施策で引き続き実施すべきものはこれを継続して行い、特に実質的な確保をばかりまして刷新し、または新税に着手、実行すべきものは極力これを行い、またはその準備を整えて、来年度以降の発展に備えるよう配慮をいたしまして必要な経費を計上したつもりであります。
財政投融資に関しましても、右一般会計及び特別会計の予算とともに、またはこれと相補いまして、両者を通じ、施策に遺憾なきを期しているのであります。
以下おもな事項について、なお少しく詳細に申し上げます。
まず第一は、国内の総合的な食糧の自給度の向上であります。これにつきましては、農地の拡張、改良、耕種改善、畜産振興及び水産振興等の措置を通じ、現段階におきまして、必要、かつ、可能な増産を達成できるような基礎をつちかい、関係者の増産意欲の向上に留意して、平常の条件におきましては、農林水産関係の経済計画の初年度の目標を少くも達成できるようにして参りたいと考えております。すなわちその経費のおもなものとしましては、まず一般会計におきまして、農地の拡張、改良に二百三十七億五千万円、耕種改善に十四億七千万円、畜産振興に十二億一千万円、水産振興に二十五億三千万円を計上いたしております。また農林漁業金融公庫予算、土地改良関係百十四億円、漁業関係二十四億一千万円、その他農林関係の共同利用施設関係四十五億五千万円を融資することにいたしておるのであります。また世界銀行からの借款に期待するとともに、余剰農産物の見返り資金からの資金確保を相当額予定いたしておりまして、これにより、農業開発を一段と進めて参りたいと存じておるのであります。農業生産性向上の基盤であります農地の拡張、改良の実施に当りましては、経済効果及び増産効果を高めるよう、できるだけ効率的な事項に力をいたし、実質的な効果の増加をはかりたいと考えております。なお、従来土地改良事業の助成の対象となり得なかった小規模の土地改良事業につきましては、新たに小団地開発整備事業として取り上げ、土地改良事業のすみやかな実効をあけるよういたしたい所存であります。
次に耕種改善につきましては、水稲健苗の育成、植物防疫の確保等のほか、従来の生産確保措置を引き続き推進し、また畜産につきましては、自給飼料及び購入飼料の供給確保を行い、畜産物等の価格の安定に努め、流通改善及び消費増進等の措置を加えて、畜産の振興と安定をはかりたいと存じております。
水産の振興につきましては、国際関係の好転による遠洋漁業の拡大に期待し、実情に即する沿岸及び沖合の漁場における生産力の維持増進に努める所存であります。これらの施策による総合的食糧の自給度向上対策と相待ちまして、国民の食生活の改善を促進し、国内及び国際事情に即応した食糧自給の総合調整に努め、国民経済の安定をはかって参りたいと考えております。
第二に、農林漁業経営及び経済の安定に関することであります。最近における国内及び国際事情にかんがみまして、農林漁業経営の安定をはかることが急務でありますので、このためには特に意を注がねばならんと存ずるのであります。これがため、まず肥料、飼料、農薬、漁業用燃料等、重要生産資材につきまして、その増加と価格の低廉化に特段の努力を払う方針であります。これにつきましては、すでに一部その具体化を見たのでありますが、特に肥料につきましては、今後も合理的な増産と値下げができるよう、各種の措置を講ずることとし、また飼料につきましては、国内飼料の増加とともに、輸入の増加をはかり、政府の買い入れ及び売り渡しの措置により、価格の適正化に努める所存であります。さらに自作農経営の維持安定と営農の高度化に資するため、従来の農業金融制度に加えて、農地担保による長期、中期の低利な資金の融通を行う道を開き、このために三十年度におきましては二十七億円を予定し、農林漁業金融公庫を通じて融資をいたす所存であります。
次に、農山漁家の経営安定上、重要な災害に対する復旧及び補償に関しまして申し上げます。三十年度予算におきましては、前年度に比しまして、公共事業としての農地、林野その他の施設の災害復旧に関する経費は約百四十八億三千万円で、前年度に比し、かなり大幅に減額となっておりますが、これは一つには処理すべき災害の度合が、三十年度においては二十九年度に比しまして少かったことと合せて、経済自立の地固めの年として、財政事情をも考慮いたしまして、河川その他の分野における施設災害復旧率とほぼ同様にとどめることとし、将来を期した次第でございまして、次年度以降におきまして、一段とその復旧の促進に努めたい所存であります。
また農業災害補償に関しましては、農業共済再保険特別会計の予算は、農業勘定におきまして前年に比し約二十六億円の減額となっておりますが、これもまた主として二十九年の災害が異常災害の年であった。二十八年の災害に比して少かったことに基因するものでありまして、その他の経費につきましては、ほぼ前年と同様に計上されておりますので、災害補償制度の運用については、別段支障がないことになっております。さらに災害補償制度の根本的改正に関しましては、関係方面の異常な御努力にもかかわらず、いまだ最終的な結論に到達いたしておりませんので、なお引き続き研究を進めることとし、本年度においてはさしあたり町村合併に伴う農業共済組合の整備と、その事業運営の適正化に格段の努力をいたしたい所存であります。
次に、農業団体につきましては、ようやく農業会議及び農業会議所や農業協同組合中央会が発足いたしておりますので、これらの団体の機能の充実強化を期待いたします。農業委員会に関しましては、本年度は約十億七千三百万円の補助金を一般会計に計上しており、二十九年度に比して約十四億円の減少と相なっておりますが、これはおおむねこの減額に近い程度を地方財源計算に組みかえたのでありまして、この支出による各町村の農業委員会の機能が各地方の事情に適応しまして確保せられることを期待しております。
右に関連することとしまして、農林漁業施策の末端浸透の組織の確保をはかるため、地方公共団体の職員設置に対し、助成の措置を講ずるとともに、生産技術の指導体制の強化をはかって参る所存であります。すなわち、これら団体関係、地方公共団体の職員設置関係、生産技術の指導体制の強化関係経費として、約総額九十一億円を計上しております。
次に、農林畜水産物の流通改善及び消費増進について申し上げます。
せっかく増産せられた農水産物等が、現状の需要と供給の関係で相当な価格下落の徴候が見られるものがある状況におきましては、生産者の増産意欲を喪失させ、政府の施策の目的にも反することになりますので、今後におきましては流通取引の改善の面からいたしましても、生産者には手取りを多く、消費者には低廉に供給することに努力をいたすべきであると考えております。特に今後増産に大なる期待を寄せられている畜産物、水産物等につきましては価格安定に重点を加え、消費増進と流通改善の対策を積極的に講ずることとし、三十年度予算におきましては、そのために約一億九千三百万円を計上いたしました。
次に、国民生活に最も重要な影響を持つ米穀につき、その管理方式につきまして申し上げます。食糧管理制度につきましては、今後も引き続き慎重検討すべきものがあると存じますが、さしあたって緊要な昭和三十年産米の集荷制度については、すでに実情に沿わなくなっている従来の供出割当制度はこれを廃止し、主として生産者の自主的な事前売り渡し申し込み制度と、農協その他の集荷団体の能率的な集荷に期待した新しい集荷方式に切りかえることといたし、さらにこの制度による実効を確保するため、米価の適正を期するとともに、集荷業者及びその団体の集荷力を育成するための集荷奨励金の増額、売り渡し代金についての減税措置、申し込みにかかる売り渡し分についての価格差の設定等について考慮いたしたい所存であります。また国民食糧の確保のためには、これに即応して必要なる輸入食糧の品質の同上及び必要な供給の確保をいたすことはもちろんでありまして、少くとも当分の間は現行の米の配給はこれを維持確保いたしていく考えでおります。なお、砂糖につきましては国内テンサイ糖に関する従来の措置を継続するのは申し上げるまでもないところでありますが、供給の大部分を占める輸入砂糖につきましては、需給関係及び外貨事情等に基因して企業に過当な中間利潤が発生する場合におきましては、国内農産物の価格との調整をはかりつつ、価格安定と需給調整をする必要があると存ずるのでありまして、過分の中間利潤についてはこれを吸収し、その適切な使用措置を考慮いたしたいと考えております。また単作地帯の農業に関する対策につきましては、従来に引き続き、また米の新集荷制度に関連しても、できるだけ遺憾のないようにする所存であります。
第三に、農林水産物の輸出振興について申し上げます。農林水産物の輸出がわが国輸出額額の約二割に近い比重を占め、しかも外貨取得率がきわめて高いことに着目して、主要な輸出農林水産物につきましては必要な施策を講じて、その生産確保と輸出増進をはかりたいと存じます。なかんずく生糸につきましては、海外宣伝事業の強化、絹糸価格の安定強化のため、糸価安定特別会計による買い入れ額の増大をはかるための借入金制度、または蚕糸証券の発行制度の創設による資金の確保、繭価維持のための乾繭共同保管に対する助成、その他の適切な措置を総合的に講ずるとともに、原料繭の合理的増産と、生糸製造の合理化に努めて参りたいと考えております。農林水産物の輸出振興関係の一般会計の経費として約二億八千万円を計上し、他の資金源とともに遺憾なきを期したいと存ずるのであります。
第四に、治山治水、林業対策について申し上げます。国土保全の建前から、治山、造林、林道等の事業につきましては、引き続きこれを効率的、計画的に実施いたしたいと存じておりますが、なかんずく国有林以外の水源林野、公有林野の造林事業については、三十年度一般会計及び特別会計を通じ、約十六億円の経費によりまして計画的な拡充強化を行い、本年度を初年度として、計画的な水源林造成計画を実施して参りたいと考えております。なお、木材利用の合理化の促進を努めるとともに、住宅対策に資するため、昨年の台風による北海道の風倒木の処理を引き続き強力に実施し、その迅速化に努めて参る所存でありまして、これら山林事業関係の経費として、国有林野事業特別会計の官行造林事業を加えまして約百十億円計上いたしました。
以上きわめて簡単でございますが、御説明を申し上げた次第であります。なお、必要に応じまして詳細な点は事務当局から御説明申し上げることといたしたいと存じます。
大要以上申し上げました考え方に基きまして本年度の農林省関係の一般会計予算及び特別予算案等と法律案を提出することといたしておりますので、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/4
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005・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) ただいま政務次官から御説明のあった点については、後ほど印刷にして皆さんのお手元へ配付することといたします。質疑は後刻に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/5
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006・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 次に開拓融資保証法の一部を改正する法律案、これを議題にいたします。本法律案は、本十日、内閣から、閣法第二十九号をもって本院先議をもって提出せられ、直ちに当委員会に付託せられたものであります。まず提案理由の説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/6
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007・吉川久衛
○政府委員(吉川久衛君) 開拓融資保証法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
わが国食糧自給態勢確立の一環である開拓の重要性にかんがみ、開拓者の農業経営の確立をはかることは何よりも緊要でありますので、政府は、これらの開拓者に対しその必要な資金の融通について各般の措置を講じている次第であります。
すなわち、政府は、これらの開拓者に対し農機具、家畜等営農の長期基本資金は、開拓者資金融通法をもって直接融通しているのでありますが、その他の肥料、飼料等を購入する短期営農資金融通の方途として昭和二十八年七月開拓融資保証法を施行し、中央開拓融資保証協会を設立して、現在までに一億五千万円の政府出資を行い、この基金をもって開拓者の債務を保証し、営農資金の円滑な導入をはかってきたのであります。
その後、この制度に対し開拓者の加入もふえ、また営農の進展に伴い資金の需要も増大して参りましたため、現在の中央開拓融資保証協会の基金をもってしてはとうてい開拓者の債務保証の要請にこたえられない段階に立ち至りましたので、政府は、さらに五千万円を昭和三十年度一般会計から中央開拓融資保証協会に対し追加出資してその保証力の増大をはかり、開拓者の必要とする短期営農資金の融通を円滑にし、もって開拓者の営農の確立を期する次第であります。
以上が改正法律孝を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/7
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008・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 本法律案の審議は後日に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/8
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009・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) ではさようにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/9
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010・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 次に日中漁業協定に関する件を議題にいたします。かねて問題になっておりますこの件については、民間代表者から事情を聞き、あわせてこの問題に関する政府の方針を確かめるため、来たる十三日午後一時から委員会を開いて、この問題を議題にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/10
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011・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) では御異議がないようでございますから、さように決定をいたします。
なお当日民間代表者に参考人として出席を求めることになりますが、これら参考人について御意見がございましたら、お出しを願いたいと思うのです。なお、参考人の腹案としては別紙印刷にいたしまして御配付しておるわけでございます。もしこちらの方で予定いたしておりまする人たちでよければ、そのように決定したいと思いますが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/11
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012・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 御異議がないようですからさようにいたします。
それでは来たる十三日午後一時からこの件について参考人の出席を求め、意見を聞くことにし、さっそく所定の手続を踏むことにいたしますから、御了承を願います。
午前中はこれで終りたいと思いますが、御異議ございませんか。ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/12
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013・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 速記を始めて下さい。
それではこれで休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後二時五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/13
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014・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) それではただいまから委員会を再開いたします。
初めに江田委員から要求がございましたノリの輸入の件を議題に供します。質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/14
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015・江田三郎
○江田三郎君 ノリの一億枚の輸入という問題が需給調整協議会の方で相当前にきまっておるように聞いているのですが、まだこれが最終的決定に至っていないということを聞きますが、その間の事情はどうなっているか、それをまずお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/15
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016・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ノリの輸入につきましては、われわれといたしまして、ノリの生産状況等から考えまして、需給状況がどういうことになっているか、それによって輸入の必要性があるかということを検討いたしております。御承知のようにノリは九月か十月ごろから本年の四月ごろまでが、ノリの採取の時期であるのでありまして、目下具体的な生産の事情を調査いたしております。まあ概括的に申しますと、大体平年作まではいかないが、昨年よりもいいんじゃなかろうか、こういう見通しを持っておるわけでありまして、価格の状況等から考えまして、生産時期をはずした四月以降における輸入につきましては、われわれといたしましてもある程度の輸入を認めて差しつかえないのではなかろうか、かように考えておりまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/16
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017・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) ちょっともう少し大きい声で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/17
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018・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 一応数量的には最終的に決定いたしておりませんけれども、一億枚程度の輸入は可能ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。具体的にまだ最終的の数字の決定が出ておりませんから、決定に至っておらないというのが現在の事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/18
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019・江田三郎
○江田三郎君 一億枚の輸入というのは、水産庁としては、この需給調整協議会というのがございますね、そこの答申をもとにして大体考えておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/19
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020・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 水産庁といたしましては今年の生産状況、需給の状況等も勘案いたしますが、同時にまた需給調整協議会の意見も徴して考えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/20
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021・江田三郎
○江田三郎君 そうすると水産庁としての独自の見解からしても、また需給調整協議会の言う一億枚というのがちょうど合致するようなことだと思いますが、これがただいまの長官のお話でも生産時期が四月ころまで、これからまあこの生産時期がはずれて又季節的にも今月あたりが需要が一番大きいときだと思うのですが、この輸入公表がまだ行われないというのは通産省にはどういう事情があったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/21
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022・板垣修
○政府委員(板垣修君) お答えいたします。今水産庁長官からお答えいたしました通り、大体一億枚ないしは私ども金頭で見ると百万ドル程度のものを入れ得るという見通しがつきましたので、通商局といたしましても輸入の手続を進めております。ただその入れ方につきまして多少まだ議論がございまするので最後のところまで、決裁を得るところまで至っておりませんが、水産庁の方で需給数量でもきまりましたならば、相伴いまして私どもの方でも輸入手続の方をなるべく早く決定いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/22
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023・江田三郎
○江田三郎君 この一億枚ということになるのか、百万ドルということになるのか知りませんが、大体一億枚と百万ドルというのは似たようなことなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/23
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024・板垣修
○政府委員(板垣修君) 昨年の一ドルという単価にしますと同じでございますが、今年は八十セントくらいの値段という見当になりますので百万ドルということになると少し一億枚をこえるということになると思いますが、大体まあ同じと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/24
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025・江田三郎
○江田三郎君 このノリの問題について昨年度の一億枚という予定が、輸入実績が多少オーバーして、それがまだ残っているというようなことがあるのでございますか。それからまた現在密輸入品も、どこに置かれているかしりませんけれども、そんなものがあるわけですか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/25
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026・板垣修
○政府委員(板垣修君) 昨年度は、百万ドル、一億枚ということで輸入をいたしたのでありまするが、単価の関係で、実際は一億枚入れ得なくて、三千万枚ばかり税関に残っておるものがあります。そのほかに、昨年の暮ごろから密輸の形で来ているものがあるということは聞いておりますが、それはどのくらいになりますか聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/26
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027・江田三郎
○江田三郎君 今の三千万枚というのは、一億に入れて三千万枚残っているということになるのですか、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/27
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028・板垣修
○政府委員(板垣修君) 一億枚入れ得なかったのであります。一ドルの単価で百万枚入れるはずであったんですのが、一ドル四、五十セントになりましたので、結局数量の方を切りまして、七千万枚程度しか入らなかった。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/28
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029・江田三郎
○江田三郎君 水産庁の方としては、今の一億枚というのは、今のお話の、昨年三千万枚入っていないのは切って、本年度は一億でよろしいということですか。本年一億ということをきめたのは、昨年の残りの三千万枚さらにプラスということですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/29
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030・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) われわれの考えといたしましては、ノリの年度からいたしまして、四月以降五月以降に輸入するものが一億枚程度が適当と、かように考えております。従いまして、現在日本にありまして、国内の市場に出回っておらないものはそれは新しい輸入と同様に内数として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/30
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031・江田三郎
○江田三郎君 密輸の数量なり、取扱い者とか、管理されている港とか、こういうことはおわかりになっておりますか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/31
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032・板垣修
○政府委員(板垣修君) 全然わかっておりません。一部はあるいは税関で押収されまして税関のところにとまっているものもありましょうけれども、そうでなく、陸揚げされていないものが相当あるのじゃないかと思います。一時昨年の暮ごろは船の上にあったといいますが、いつまで船の上にあるわけではありませんから、結局まあ韓国に戻っていったのじゃないかと思います。その辺はよくわかりません。数量もいろいろ差がございまして、三千万枚あるいは四千万枚という説もあり、それより少いという説もあります。全然数字の方はつかめておりません。税関で押えているのはそう多くはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/32
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033・江田三郎
○江田三郎君 それは何らかの方法で、もう少し実態を調べて御報告願いたいと思いますが、まあこれは別にして、一体密輸入品の今後の処置についてはどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/33
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034・板垣修
○政府委員(板垣修君) 密輸入のものにつきましては、日本政府といたしましても、これを合法的に入れるというようなことは考えておりませんし、また韓国政府に対しましてもこの輸入を、たとえば無為替の形で入れるというようなことは、韓国政府といたしましては、知っておりましても、向うとしては承知しないと思いますから、私どもとしてはこれをLCを開いた正規の手続で入れるなら別でありますが、それ以外の方法で輸入を認めるというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/34
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035・江田三郎
○江田三郎君 その点はっきりお答えでありがたいわけですが、正式にLCを開くということができるのですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/35
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036・板垣修
○政府委員(板垣修君) この密輸入のノリにつきましては向うのシッパーとしてはわからないわけでございますから、おそらく正規の商取引に乗せるのは非常に困難ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/36
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037・江田三郎
○江田三郎君 そうしますと、密輸入品につきましては、韓国政府との関係からいたしましても、今後これがこのまま入ってくるということはないものだと、こう考えていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/37
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038・板垣修
○政府委員(板垣修君) そうお考え願っていいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/38
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039・江田三郎
○江田三郎君 それから本年度の分が輸入公表がおくれているというのはいろいろ事情があってというようなこともおっしゃいましたが、一体どういう関係なんでございますか。もう少し内容をお聞かせ願えればいいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/39
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040・板垣修
○政府委員(板垣修君) 主として輸入方式の問題でございまするが、韓国のノリにつきましては、私ども通商局といたしましても、韓国貿易拡大の見地から、できる限り、ノリその他の水産物は入れたいという実は希望がございますけれども、これは一面国内の生産業者に非常な関係がございますので、この点につきましては、農林省とともに生産者側の意見を聞いて、需給関係を見ながら入れ方をきめるわけでありますが、そういうような関係からいたしまして、この韓国のノリにつきましては、もう少し自由に入れたらどうかということで、いわゆる自動承認制にしてくれという要望も相当あるのであります。この考え方に対しましては、私どもの方といたしましては、韓国貿易の拡大の点から望ましいのでありますけれども、一方、これをやりますると、非常に価格もつり上りますし、不測の困難を生産業者に与えますので、私どもといたしましては、一応AA制は不適当じゃないかと考えております。このAA制という考え、それから入れるにしましても、その割当において、過去の実績の点とか、そういうような点につきましても、いろいろ議論がありまして、ただいまこの点の調整をはかりたいというので検討いたしております。そのために多少おくれているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/40
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041・森崎隆
○森崎隆君 今の江田さんの御質問に対するお答えの中で、ワクが二つございますね。一億枚というワクと百万ドルというワクとがありますね。それが、昨年は、ドルの上において値段が高くなったから三千五百万枚ほどまだストックになっておる。実際は六千五百万枚ぐらいしか入らなかったわけですね。そういうようになると、国内の需給の問題にも影響してくるわけですね。今年はまた八十セントだということになると、一億枚プラスアルファというものが今度ついてくるわけですね。その場合通産省並びに水産庁も同じでございましょうが、どちらにウエートを置いてこれを規制するかという方針はきまっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/41
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042・板垣修
○政府委員(板垣修君) その点につきましては、ただいま水産庁長官からは一億枚、しかも今まで税関にとまっておるものは内数として考えるというような御答弁がありました。通商局といたしましては、まだその点十分割り切っていない。正直に申しますと、割り切っていないのでありまして、できますれば百万ドルという金額を主にいたしまして、そうすると、場合によって一億枚をちょっとこえるかもしれませんが、そういたしますと、もちろん数量はこえますので、この点につきましては、農林省を通じまして、生産業者と十分な協議の上実行するということが前提でございまするが、その点について農林省と私の方で十分まだ意見の一致を見ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/42
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043・森崎隆
○森崎隆君 それでは水産庁の方じゃ一億枚という基本線、これを中心にしていくという方針がきまっておるわけですね。それから通産省としてはやっぱり百万ドルというワクで押えていきたい、数量についてはそのときの時価で多少枚数に増減があってもやむを得ぬというように今のところ基本的に考えていらっしゃるというふうにわれわれはとっていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/43
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044・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この際お答えいたしますが、実は昨年度におきましても、一億枚という数量を水産庁として需給の関係からはじき出したわけであります。しかし、為替の割当の面からいたしますると、金額的になりますので、その数量と金額を大体一致するように両省で相談いたしまして、そうして決定して参るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/44
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045・森崎隆
○森崎隆君 その問題が価格の問題とこれはもちろん関連する問題ではございまするが、三十年度分としてやはり一応一億枚という基本的な点は今の協議会の答申もあるし、尊重されるという話でございましたね。そのことを決定する前に、昨年の未輸入分ですね。三千五百万枚ですか、三千六百万枚ですか、これがまだ大阪にストックされたままで、朝鮮ノリとしてそのままでおる分をどう処理するかという問題が先決問題じゃないかと思うのですね。これを本年の一億枚の中に入れてやるのか、言いかえれば、昨年中に輸入した六千五百万枚で打ち切る、いわゆる百万ドルというものを中心にして考えると、今年はこれを含めて一億枚にするのか、あるいはまた、二十九年度分は未解決だから三千五百万程度のものは、これはまあ別途昨年のドルワクというものを逆算的にふやしてこれを入れて、その上に新しく三十年度には一億枚を入れるという方針か、そのあたりをはっきりしてもらいたいと思うのですね。これはやっぱり国内需給関係で、国内の生産者についても重大な関係があるし、関心を持っておるだろうと思うわけです。この点についてどういう方針か、少くとも今年の一億枚をきめる前に三千五百万枚の未輸入分については解決しなきゃならん、とられる責任はあると思うのですね。それはどうするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/45
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046・板垣修
○政府委員(板垣修君) その点につきましてはまあ先決と、税関にあります三千万が先決と申しますか、私どもの考えといたしましては今年入れる分と同時に解決をしたいと、こういうふうに考えます。従いまして、私どもの希望としましては、金額中心でありますから、あるいは一億枚少しこえるかもしれん。いずれにいたしましても一億枚入れてそれに少しプラスする分が生産者側と話がつきましたならば、それの内数として同時に解決をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/46
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047・森崎隆
○森崎隆君 それで今年の輸入ですね。これは協議会の方からも、端境期を重点に置いて、国内生産者を圧迫しないように、言いかえましたならばノリの価格に圧力を加えないようにやってもらいたいという強い要望があるわけです。これは十分尊重されることだと思いますが、この問題は、ずっとシーズンというものは大体きまってるんじゃないかと思うのですね。そうするともう五月もはや相当進捗して来た今日ですね。早く決定すべき問題じゃないかと思う。早く決定しようとすれば、少くとも過去のデータに即してきめられる問題じゃないかと思うわけなんですね。そのあたりについての見通し、きめるとすればいつごろまでに大体決定できるか、これはまだわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/47
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048・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ノリの出回りからいたしますと、森崎先生も御承知のように、大体北から南へ行きまして五月の初旬までに大体生産が終るわけであります。これからシーズンが始まるわけでございまして、われわれといたしましては従来から輸入の時期につきましては生産時期を避けてもらいたい。生産が終ってから輸入してもらいたいと、こういう立場をとっておるわけでございます。従いまして五月以降において輸入していただきたいということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/48
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049・東隆
○東隆君 私は今お二人のお話を伺っておりますと、通商局長さんの方は貿易を金の方で行く、それから水産長官の方のお話は需給関係ですね。そこで私は非常に問題があると思うのですが、片貿易になってもいけないのです。その場合に国内の生産者を助けてやっていくというために別なものはとれませんか、韓国から、たとえば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/49
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050・板垣修
○政府委員(板垣修君) 水産物以外ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/50
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051・東隆
○東隆君 以外です。米を考えてみれば相当解決がつくと思うのですが、これは通商局長さんの方では金を中心にして考えますからこれはでて来ないのですが、農林省として考えた場合に、米を入れるということをやれば相当解決がつくと思うのですが、この問題はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/51
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052・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) ちょっと待って下さい。ノリの輸入の問題について江田君の質問があって、関連質問があったのですから、まず江田君の質問を終ってから、それから東さんの方にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/52
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053・江田三郎
○江田三郎君 さっきのお話でAA制をやることは反対、これは私ども考えても国内の生産事情というものを考えて、そう簡単に利益のとれるものではない、しかし同時にこれは外貨割当をやった場合に、今度は一ドルになるかなんぼになるかわかりませんけれども、相当の超過利得の出るということもあるわけですが、超過利得の問題については先般来砂糖の問題とか、あるいはバナナの問題とかいうものも問題になっておりますが、これは一体外貨割当をする場合には、何か通産省の方では基準を持っておやりになっておるのですか。ただ過去の実績ということだけでおやりになるのですか。何かそのほかに考慮される問題があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/53
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054・板垣修
○政府委員(板垣修君) 昨年のやり方は、基準としましては、民間貿易開始以来の輸入実績というのを基準にいたしまして、ただそれだけで十分であるかどうかにつきましては多少の議論もございますので、今回その点もあわせて検討しておるので、ちょっとおくれておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/54
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055・江田三郎
○江田三郎君 大体昨年度ドルを取り扱うインポーターは何社ぐらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/55
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056・板垣修
○政府委員(板垣修君) 九十社ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/56
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057・江田三郎
○江田三郎君 大口はどこでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/57
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058・板垣修
○政府委員(板垣修君) 大口は十六社でございます。具体的に名前を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/58
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059・江田三郎
○江田三郎君 これは重立ったものを三、四社お知らせ願っておけばいいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/59
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060・板垣修
○政府委員(板垣修君) 伊藤忠、東京食品、第一物産、高島屋飯田……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/60
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061・江田三郎
○江田三郎君 そのくらいでけっこうです。どうもわれわれこのいつもそういう超過利得を伴うものについては疑問を持つものでありまして、そうかといって、そういう問題について私どもとしてはもっと通産省の立場とは違った考え方が必要なんじゃないか。あなたの方はいつでもインポーター強化ということをお考えになりますけれども、もっと、インポーター強化以外に最終の実需者というものも考えていかなければならぬし、また国内の生産者の保護育成ということも考えていかなければならぬと思うのですが、そういう点を今後ある程度考慮の中にお入れになるかどうかということ、そうかといって、簡単に砂糖のように超過利得を吸い上げるということも不可能なものと思うのですが、そういう去年とは多少違った方法でというのは、問題になっておる要素はどういう要素でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/61
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062・板垣修
○政府委員(板垣修君) 昨年と違ったといいますか、方法というのはただ割当の基準だけの問題でありまして、その超過利潤というものは果して非常に大きいかどうか研究の余地があると思います。私は砂糖ほど大きくはないと思います。また御指摘のように吸収すると言いましても、吸収の方はちょっと考えつきませんけれども、そういう点についてただいまのところ頭にはございません。輸入業者の割当における基準について、もしそれで検討の余地がありますれば検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/62
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063・江田三郎
○江田三郎君 まあ私どもはあなた方といつも意見が違うのでして、インポーター第一主義というのでなしに、もっと国民全般を考えてやっていただきたい。インポーターを強化すれば国民全般に利益になるのだと言われればそれまでですが、その点は必ずしもイコールにならんと思うのです。その点は一つ要望として申し上げておきたいと思います。
それから密輸入品についてはこれはLCをするということも不可能であるから、これは輸入できないだろうとさっきおっしゃいましたが、これは問題は違いますけれども、この前コンニャクの密輸入品がございましたね、これは何か入札で国内で払い下げをなさいましたが、ああいうようなことになるおそれはございませんか、なってもらっちゃ困るのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/63
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064・板垣修
○政府委員(板垣修君) コンニャク例は私は知りませんが、ノリにつきましては先ほど申し上げました通りで行きたいと思いますが、かりにもし税関で押収されたものがある程度あるということになりますと、この処置としましてあるいはそれの払い下げということも起り得るかもしれません。その際にはこの数量の問題が非常に大きくなりますれば、全体の数量の中に入れるという問題も起って来るかと思いますが、先ほど御指摘のように税関でどれくらい押収品があるかということをちょっと調査して見ないと、その実態を調査してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/64
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065・江田三郎
○江田三郎君 その税関の押収品を処分した場合の処分代金というものが不正な輸入をした人に渡るということはございませんか。そのときの金はどういう工合に処分されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/65
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066・板垣修
○政府委員(板垣修君) それは税関の方の規則に従って国庫帰属になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/66
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067・江田三郎
○江田三郎君 まあそこまではっきり言っていただいたので一応安心なんですが、どうも僕らはこの農林委員会におりますと通産省の、特に通商局のお方というのは本当は心服していないのです。たとえば砂糖輸入についても先般立川の無為替輸入というものがありまして、私はこれについてもいろいろ調べてみた、どう考えても私の調べによると納得いかない、それでそこまで局長が言われるから間違いないと思いますけれども、無為替輸入ということのないように、そうしてルートを乱すことのないようにお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/67
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068・東隆
○東隆君 先ほどお伺いしました問題ですが、水産庁の場合は数量の調節をやって国内の生産者を考えておる、それから通商局の方はそうではなくて貿易のバランスの面、それでこれの調節をやる場合に私は金でもって計算をしないで別のものでもって、もう少し違ったものでもって片貿易を是正する方法はないか、この問題なんですが、それで先ほどお聞きした通りに米をもってこれに代替できる、ノリの代りに計算する、そういう計算はできないか。ノリの問題はこれは昨年生産が非常に悪くて今年の生産が非常にいい、こういうような関係で昨年の数字をそのまま持って来るわけにはいかんのじゃないか、こんな問題があると思います。そんなような関係でこの問題は、これは私は日韓貿易を通して別な角度から考えなければならん問題じゃないか、こう思うのですが、その点で一つお二人から御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/68
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069・板垣修
○政府委員(板垣修君) ただいまのお話の点は、私の申し上げたのはもちろん韓国との貿易拡大が非常に主眼としておりますから、しかしそれだからといって国内で要らないものを入れようということではございません。たまたまノリにつきましては国内の全体の生産量からいたしましてやはり韓国ノリに対して需要がある、従ってその需要、しかし一方生産者の関係の面がございますので、生産者等これらをかね合せて大体の数量なり時期をきめて入れておるわけでございます。その点につきましては私どもの考えと水産庁の考えとそう大きな懸隔はないわけでございます。それからそれ以外に韓国の貿易で入れるものはないか、この点は私どももいろいろ研究しておりますが、遺憾ながら韓国から水産物と米以外には大物はないのでございます。無煙炭が少々、あと二、三の非鉄金属類があるだけでございまして、やはり大口なものはどうしても米と水産物ということになります。御承知の通り米は従来入りませんでしたが、ただいま韓国米の購入につきまして多少話が進行中でございます。こういう点などが入りますれば相当大きな金額の輸入になりまして、韓国貿易の拡大に非常に役立つと思います。そういう点から考えますとノリの金額なんというものはそう大きな地位は占めておらないわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように国内の生産量と摩擦が生じない限りは、ノリも少々、水産物も少々入れてほしいというのが通商局の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/69
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070・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ただいまの数量と金額の問題でございますが、これはわれわれといたしましても一定の数量ということで、これはまあ金額との関連におきまして一枚も違わないということを言っておるわけではございませんで、大体それに近い数字と、数量と金額になればいいということで協議をいたして参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/70
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071・東隆
○東隆君 水産庁長官は前に食糧庁長官をされておられたのですが、それで水産庁長官として今年のノリの増産、国内の増産というものはこれは相当なものであろうと思うが一昨年は非常に悪かった、こんなような関係から問題もやはり非常にあると思う。それから今米の輸入の問題についてはこれは始まるそうですが、もちろんこいつを大きく進めて行くべきではないか。朝鮮事変の前に一応米の輸入が多少あったのですが、それで朝鮮事変でもってとまっておったわけですから、これから開始をして行く可能性が十分にあると思いますが、近い所からおいしい米を入れた方が一番いいのじゃないか。こういう考え方がありますから、これを農林省としては通産省の考え方を是正する意味において大きく米の輸入を考うべきではないか。こういう考え方を持つわけですが、幸い農林政務次官も見えておりますから、そういう考え方についてどういうように考えておられるかお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/71
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072・吉川久衛
○政府委員(吉川久衛君) 農林省といたしましてはできたら韓国から入れたいと考えておりますが、ただいまのところ取引の条件、価格等について相当の開きがありますのでまだ具体的になっておりません。同じような希望を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/72
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073・青山正一
○青山正一君 先ほど韓国の輸入魚のお話がありましたが、この機会に一つ水産庁の御意見はどういうふうな御意見か、それから通産省の方はどういう御意見か、その点について一つ御説明を願いたいと思います。もう一つは、ノリの数字はもうはっきりきまっているのですが、これをいつごろやるのですか、その時日の決定は見ていないようですが、これはいつごろになるのですか、その点はっきりしてもらいたい。この二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/73
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074・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 鮮魚の問題につきましては御承知のように、今韓国との問題につきましては漁業のいろいろの問題がございます。われわれといたしましては水産物の全体といたしまして国内自給が当然できるし、また当然国内自給でやるべきだ、かように考えております。ただ国民生活の必需品でございまするイリコとかそういう国民の必需的なものにつきましては需給状況によって例外的に認めて参る、かように考えておるわけでございます。従いまして鮮魚につきましても特殊の例外を除きまして原則としては輸入は好ましくないというふうに考えておるわけでございます。ただ通商上の問題もございますが、同時に先方の沿岸のものと、あるいはその魚類につきまして国内で非常に不漁である、価格的に相当高騰を来たしておる、こういう状態がありまする場合におきましては、われわれとしても再検討をする必要があろうと思いますが、原則としては国内で自給すべきものだ、かように考えておるわけでございます。
それからノリの輸入の時期につきましては私たちといたしましては生産時期をはずれた五月以降であれば差しつかえないと、こういう態度をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/74
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075・青山正一
○青山正一君 これは水産庁の御意見ですか、それから農林省も通産省もその御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/75
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076・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 大体そういうことを通産省と協議いたしまして、そういう両者の間に意見の違いはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/76
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077・青山正一
○青山正一君 五月以降というと、五月に決定するというのか、それとも六月になり、七月になるというかっこうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/77
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078・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 水産庁の立場だけを申しますと、生産時期をはずれた時期、五月以降ということになっておるわけでございますが、これは先ほど江田委員からもお話がございましたように、需要の時期もございますが、通産省の準備が整えばできるだけ早くということに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/78
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079・青山正一
○青山正一君 何かその数量的な問題について、たとえば金の問題と、それから数の問題ですね。その問題でちぐはぐになっておるので、両者の間の意見が一致しないままでこれがまとまらないのですか、それとも通産省内で何かほかにいろいろ議論があってそれでまとまらないのですか。聞くところによりますると、政務次官なり局長なり皆さんが判を押しておるが大臣が判を押さないので困っておるように聞いておるのですが、その真偽のほどを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/79
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080・板垣修
○政府委員(板垣修君) 通産省でおくれておりますのは、農林省との間に金額、数量の問題でもめておるわけではございませんで、ごくわれわれの通産省内部の割当の方法、輸入の方法でまだ議論があるからおくれておるのでございまして、大臣が無理を言って判を押さないという意味ではございません。この点がもっとはっきりすればじき決裁が頂ける状態になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/80
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081・青山正一
○青山正一君 それから通産省は先ほど水産長官がおっしゃったようないわゆる輸入魚ですね、鮮魚、この問題についてどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/81
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082・板垣修
○政府委員(板垣修君) 先ほど申しましたように、私どもといたしましては韓国貿易発展のためにできるだけ輸入をふやすという意味で、希望といたしましては鮮魚も入れ得るならば入れてほしいということでございますので、ただいま水産長官からお話がありましたように、特別の例外の場合を除いてはなかなか困難な事情があるということになっておりますので、それを無理に押してまで私どもは入れようという考えはございません。ただ従来、従って入れ得る活魚であるとか、あるいはイリコとか、そういうようなものを入れておりまするし、もし日本の事情が許しまして、日本では比較的生産が少い高級鮮魚というようなものが国内の需給上差しつかえないということであれば入れてほしいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/82
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083・青山正一
○青山正一君 時日の決定はやはり五月中にやるお気持ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/83
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084・板垣修
○政府委員(板垣修君) できるだけ五月中に決定をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/84
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085・青山正一
○青山正一君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/85
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086・森八三一
○森八三一君 今までの質疑をちょっと聞いておりまして非常にわけがわからんような気持になっておりますが、というのは、この問題は去年問題になりまして、かなり論議をされて一応昨年結論が出たのですが、今伺っておると一億枚は百万ドルだという議論が出ておりますが、これは昨年来の経過をよくお考えになれば今そういう議論がここへ持ち上って来るわけはないのです。というのは、去年の通産当局の御意向は二百万ドル入れたいということであったのです。が、しかし国内の生産者を圧迫してはならんという、国内産業を保護しつつ輸入をやって行くという大原則に立っていろいろ考慮された結果、国民生活を圧迫してはならんので需給関係から考えて一億枚というものが決定をされたのであります。でございますので、本年も水産当局の方で需給情勢を考えて一億が妥当であるという線であればその数量で当然決定されてしかるべきものと、こう思うのです。百万ドルという議論がここへ出て来るはずはない。そういう議論が出て来ることは実に不可解だと思います。それから昨年から繰り越しておる三千万枚とか三千五百万枚とかいうものをそれをどうするかという問題でありますが、これは昨年の需給は済んでしまったのでありますが、今去年の分を食えと言っても食えるわけではございませんので、今年の需給関係から当然律せられるべきものであります。そうすれば今年の需給関係で一億というものが正しかるべき数字であるといたしますれば昨年のストックを加えて一億、本年新しく入って来るのは三千万、こういうことにならなければ筋がちっとも通らない、こう私は思うのです。でございますので、百万ドルとかいう議論はこの際一つやめていただきましてやはり民生の安定という線と国内における零細漁民の保護という通商貿易の大前提をはっきり考えてこれを割り切ってもらうということでなければならんわけです。その辺は如何なものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/86
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087・板垣修
○政府委員(板垣修君) 先ほど私が要らんことを申し上げたかもしれませんが、百万ドルといった、これは私の議論として取り上げたわけではありません。ただ百万ドル一億枚かどうかという点はまだ最後のところ農林省と最後の決定をしておりませんので、ただ私どもとしましては希望としてそういう考え方があるということでございますが、一億枚ということは今年の需要上動かせない数字だというようにきまりますればこれは即日でもきまるわけでございます。私どもとしましては百万ドルの問題で特に議論のために持ち出しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/87
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088・森八三一
○森八三一君 そうしますると生産主管官庁である農林省で、本年の生産事情と国内における需要の実態を勘案して本年度における輸入期待数量というものが一億ということは水産長官ははっきり水産庁として、と申しますか農林省としての見解を表明されたので、その数字がこれはもう現段階においては動かしてはならん数字である。将来需要がふえてくるとか、あるいは生産数量というものは見込みでおそらくおやりになると思いますので、その見込みが狂って来て数字に変化が生じた場合は別です、別ですが、少くとも現段階における資料に基く輸入可能数量というものは諸般の考慮を払った結果一億ということで御決定を願いませんとこれは筋が通らない、昨年からのいきさつから考えてそうでなければならんと考えているのですが、そういうふうに通産当局はお考えになりませんかどうか。価格が八十セントに下ったかどうかという議論はこれは一つの的はずれの議論になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/88
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089・板垣修
○政府委員(板垣修君) 私どもの方は金額で申しまして、結局輸入する際には金額になりますので、かりにもし一億枚、八十セントということになりますれば八千万ドルということになるわけでございますが、いずれにいたしましても数量につきましては責任官庁である農林省と協議し、農林省の意見を徴しまして輸入をしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/89
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090・森八三一
○森八三一君 そうしますと大体数量の点においては農林当局のお考えが現在の需給情勢から考えて一億ということであるとすれば、通産当局もその一億ということを認めるという結論になるわけでございます。そこで一億という数字がはっきりした、面も需給調整協議会におきましては輸入業者と生産業者との懇談の結果がやはり同じ結論を得て答申をしておるということでございますから、これはもう一億で即時断行ということになりませんと、生産時期はすでに過ぎ、需要時期はその最盛期に入っておるのですから、これはまごまごしておると、また昨年の轍を踏んで需要時期に間に合いませんで国民にも難儀をかけるという結果が生まれるわけでございますので、一刻も早くその決定をされたい、こう思うのであります。ところが先刻来のお話を聞いていると、その割当等についてまだ通産当局の中で多少の問題が残っておるというお話でございますが、これは今年初めて起きた問題ではなくて、すでに昨年相当論議は尽して協議会というものを作るについて通産省当局の非常な御配慮のもとに進んだことでございまするので、昨年の輸入の実績、ルート、取扱業者というものもあろうと思うのでございます。そういう歴史があり、経験があるのですから数量ということがきまればそうむずかしい問題が起きようはずはないようにわれわれは常識的に考える。それが何か問題がありそうなお話はどういうことなんでございますか、ちょっと了解できないのでございます。昨年の歴史があり、実績がありいたしておるのでございますから、そう新しい連中が顔を出して来て割り込もうということではなかろうと思うのであります。またそういうことであってはならん、こう思うのでありますが、それに何かもやもやしているというのは、これは私の想像でございまして、当らないかもしれませんが、先刻江田委員からも御質問がありましたように、いわゆるやみのルートで入ってきておるものがあり、そういうものは数量ははっきりつかんでおらんが、巷間伝えるところでは、三千万とか今言っている話もある。そういうようなものまで考えなければならんというようなことまで御心配になっておるようにも思われるし、そういうものは正式の為替を開くわけにいかん、取り上げるわけにいかんというはっきりした御答弁をいたしますところを見ますと、そういうものではないというようにも思われるといたしますると、その割当問題ですでに農林省も一億という数字をおきめになり、関係者も一億を答申をしておって、すでに二カ月毛時間が経過して需要の最盛期を失いかけてきておるというようなことでは、これはおかしい話である。こう思うわけでありますが、その割当で非常にお困りになっておるというのはどういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/90
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091・板垣修
○政府委員(板垣修君) 先ほど江田委員にお答えいたしました通り、割当の方法につきまして、昨年私どもでいろいろ研究しまして、できた輸入方式というものは、私の方では依然として事務的には最善であるというようにも考えておりますけれども、しかしこれは非常に問題の多い輸入物資でありますので、常にほかの議論は出てくるわけであります。従いまして輸入方式としてAA制を考えてはどうかという意見も出てきたのでありますが、これは別に密輸入の問題とは関係ないのでありまして、ただ純粋の一つの考え方としてAA制の方式を考えたらどうか。韓国の貿易の発展のために、向うの数量も限られておることだし、みな入ったところで大したものではないではないかという、いわゆる拡大貿易論であるのであります。そういうことでちょっともめておる。それを一方水産庁側の方としても少しおくれておるということで、もうしばらくの間、五月中には決定し得る段階ではないだろうかと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/91
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092・森八三一
○森八三一君 そうすると自動承認制の問題が問題になる、そう考えます。そうだとすると、それは一億枚という話とそこで食い違ってしまう。そういう議論は、今の議論としてはここへ出て来ない議論ではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/92
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093・板垣修
○政府委員(板垣修君) その通りです。現在はその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/93
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094・森八三一
○森八三一君 そうしますと大体話はわかりましたが、今月中に一億枚ということで御決定を願うということに大体われわれは理解しておりますので、これ以上この問題は繰り返しませんが、その残っておる昨年の三千万とか幾らという数字が、これが一億のうちへ入るのか入らないのかという問題も一つ残ると思いますが、一億という数字がどこから出てきておるかという根拠をお考えになると、これはきわめて明確な問題なんです。今年度輸入する全体数量が一億ということでございまするから、昨年からの持ち越しまでを加えて一億という結論が出ないと、今年の需給調節をはかるという趣旨がこわれるということは、十分一つ念頭に入れて処置していただきたい。そうでなければ筋が通らんと思いますので、そのことを一つ希望として申し上げておきます。
その次にお伺いしておきたいのは、やみで入ってきておる数量が、幾ばくであるのかは、通産当局でまだしっかりした資料をお持ちになっておらん、これは当然であると思うのであります。大蔵省の方でありますれば、税関のルートを通じてあるいはわかるかもしれませんが、通産当局はわからんということはわかりますが、かりにその数量がはっきりした場合、その始末は一体どうなるのか。それが正規のルートを通じて入ったものではないのだから、それぞれの法規に照らして没収をする。没収いたしましたものを捨てるわけに参りませんので、これはやはり国内で、何らかの姿を通じて出回るということになりますと、これは実質的に一億枚というああいうワクはこわれるのです。結論的にこわれるということになりますと、ここで一億という議論をすることが、また非常に問題になってくる。そういうものはあくまでも現地へ送還するという手続をおとりにならなければ、一億という議論はナンセンスになってしまう。こう思うのでありますが、やみルートで入ってきておるというものは、現在は不確定だ、確定した暁、それをどう処分されるのか、その方針を一つお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/94
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095・板垣修
○政府委員(板垣修君) 先ほど申しました通り、実は実態は把握しておりませんが、もし税関に没収されて、すでに陸揚げせられたものがあるとすれば、これは捨てるわけにいきませんから、競売に付するわけであります。その際もし必要になれば、一億枚ということは絶対に動かせないという前提の線に立ちますれば、それは内数にして処置する。ただ私どもの理解しますのには、盛んに密貿ノリがあると言われておりますが、これはどうも日本と韓国との間に横行しておるので、日本に陸掲げされたものはそうたくさんないと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/95
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096・森八三一
○森八三一君 その点、今おっしゃるように、陸揚げされたものはそうないということで、一億枚というものはそう一枚違ってもいかんという数字でもないと思いますので、お話のごとくであればこれは問題はないと思いますが、巷間伝えられておる通り、三千万とか四千万という大量に上っておるといたしますれば、それが没収処分ということになりますると、その数字は一億の上にプラスされる、ということになりますると、非常に大きな不利を生ずるということになりますし、それがもし一億のうちに入るという計算をいたしますると、これは密貿易を結果的には認めたというような変な姿が、経済的には起きませんよ、起きませんが、形の上ではそういうことが実現してしまうということになる。その辺の取扱いはきわめてデリケートな問題でございまして、今ここで私は御答弁を伺おうとは思いません。思いませんが、あくまでもこの韓国ノリの措置については昨年の二月から二、三カ月にわたって当委員会で論議を尽して農林省、通産省でよく御了解を願い、通産省も非常な熱意のある御指導のもとに円満に今日を得ておる。このことがこわれませんように措置をされたいという希望を申し上げ、今年分については御実行を願いたいということを希望をいたしまして、私の質問を終ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/96
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097・千田正
○千田正君 私は特に政務次官にお伺いしたい。これは御承知の通り韓国との間は李承晩ライン等をしかれて日本の漁民があそこに行けない。圧迫されておるから。今もってこの問題は未解決のままである。にもかかわらず一方においては韓国の生産のノリを入れて、国内の零細農民を苦しめなければならない。この問題を一体どういうふうに政治的にあなたはお考えになっておられるかということ。通産当局側からの説明に、この前から、われわれは昨年以来幾回となくこの問題を討論したのでありますが、韓国との貿易は比較的片貿易になっておる。早い話輸出、この決済においては、もう貸しになっておる。その回収はどうしてもある程度ノリのようなものを入れなければこの決済のバランスがとれない。こういうので韓国のノリを入れるのだという通産当局の説明である。しかしわれわれから言いますれば、通産当局の説明の理由もありましょうが、水産当局の考えからいえば、一方においては漁業のいわゆる操業を禁止し、あるいは暴力をもって圧迫されて、片一方では商売が成り立たないのだから、それを入れなければならないと、国内の水産の零細漁民まで圧迫しなければならないということは、これは矛盾した政策だとわれわれは考える。この調整をどうするのか。それでしぼった結果が先ほどから論争の重点になりました一億枚というところにいったんでありますが、これをずっと継続していくのかどうか、こういう問題を私ははっきりしてもらいたい。通産当局といつも問題になるのは、そういう問題が常に最後にいくというとセクショナリズムのような関係になってしまう。たとえば石油の輸入の問題にしてもその通り、実際もうけておるのはだれかということを考えると、元請の外貨の割当を受けたものはもうけておる。実際のその配給を受けてそうして日本の今のような輸出貿易のための生産に従事しておるものは高い石油を買わなくちゃならない。この調整はうまくできないものかどうか。私はこの点を、これはいつでもこの問題が出てくるたびに思うのですが、絶対韓国ノリはわれわれは、去年の水産委員会としましては、絶対輸入を禁止する。禁止するのは当然である。少くともこの李承晩ラインを撤廃しない限りにおいてはこういう問題を禁止して、われわれは国内の水産業を保護しなければならない。こういう観点のもとに、強く農林当局にも申し入れておったはずであります。この点について今後の政策はどういうふうにお考えになるか、一応承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/97
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098・吉川久衛
○政府委員(吉川久衛君) お答えいたします。御意見の点については全く同感でございます。御質問の点につきましては、御案内の通り、韓国とわが国との関係はただいままことに好ましからざる状態にあるといって差しつかえないと思います。しかしながら最近——韓国においては李承晩大統領が日本との貿易をきらい、何か感情的であるがごとくわれわれには受け取れるようないろいろの行為、行動等が見受けられますが、最近ではアメリカとのいろいろの貿易において非常に国内のインフレ等で苦んでいるようでございますから、日本との貿易をもっと盛んにして、通商貿易の面からこの韓国の今の政治経済の行き詰った情勢を打開したい、これを通じてこの好ましからざる状態を改善していきたい、こういうような声が韓国内にも起きているというような情報を聞いておりますので、ただいまのノリの問題等につきましても応報的な行動に出るよりは、むしろ国内の消費者あるいはノリの生産者の立場を十分顧慮しながら、価格と需給の安定を重点に考えていけば、必要な部分についてはやっぱり入れていった方がいいのじゃないか。それから先ほど東さんからも御質問があったのですが、ただいま韓国では米を日本へ何とかして買ってもらいたいという非常な熱心な要望がございますが、御案内と思いますけれども、ただいまのところ価格の面においてどうもまだ折り合わないところにございます。それについて技術的にいろいろの、プライベートではありますが条件等が出されておりますけれども、これらの問題をもっと日本政府としては積極的に取り上げて、この調整に乗り出していく必要があるのじゃないか、技術的に解決できる問題があるとするならば、そういう面から打開をして、もう少し貿易通商を通じて両国の間をよくして、そして李承晩ライン等の好ましからざるいろいろの問題の解決にも資していきたい、かような方針で進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/98
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099・千田正
○千田正君 これは農林次官のお答えはごもっともと思いますが、われわれから特に言いたいのは、こういうチャンスをつかまえて、きょうは外務省の責任者はおりませんから、外務省に向って要求はできませんけれども、こういうチャンスをつかまえて、今まで両国の間に横たわっておるところの、ことに国力の伸張に関係する李承晩ラインの問題、竹島の問題、こういう問題を解決するためには、やはり一方においてはそうした通商貿易というようなものを掲げて、はっきりこの際韓国の貿易を正常に戻すなら、一面において国権の回復というもの、あるいはその公海におけるところのいわゆる国際法上からいえば当然自由に操業さるべき問題等を回復するまでに積極性を持ってもらいたいと思うのです。これはもうこっちはとめておいて商売はしたい、こういうことでは私は納得いかないじゃないか、これはどうしても今の問題のように、かりにただ貸しになったからそれを取るためにノリを入れるという考えじゃなく、おそらくそうじゃないとは思いますけれども、貿易を正常化して韓国との間に親善をさらに増そうというならば、一面においてあれだけの問題を、今両国の間に最もむずかしい問題となっておるところの李承晩ラインの撤廃問題、竹島の占領問題という問題に対して、一方においてはこうした実質的な問題から解決する一つの大きなキー・ポイントとしてこれを積極的に出してもらいたい。ことに農林当局からこれは強く外務当局にも要請してもらいたいと思いますので、この際つけ加えまして要望申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/99
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100・吉川久衛
○政府委員(吉川久衛君) 全くごもっともでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/100
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101・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) ほかに質疑ありませんか、この問題について……。
ではこの問題については終ります。
ちょっと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/101
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102・荒木正三郎
○委員長(荒木正三郎君) 速記を始めて下さい。
本日はこれにて委員会は終ります。
午後三時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X00419550510/102
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