1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十四日(火曜日)
午前十時三十四分開会
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委員の異動
五月二十日委員亀田得治君辞任につ
き、その補欠として河合義一君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 江田 三郎君
理事
秋山俊一郎君
白波瀬米吉君
戸叶 武君
千田 正君
委員
青山 正一君
池田宇右衞門君
大矢半次郎君
重政 庸徳君
関根 久藏君
田中 啓一君
飯島連次郎君
奥 むめお君
溝口 三郎君
森 八三一君
河合 義一君
清澤 俊英君
三橋八次郎君
森崎 隆君
東 隆君
棚橋 小虎君
菊田 七平君
政府委員
外務省参事官 寺岡 洪平君
外務省アジア局
長 中川 融君
農林省農地局長 渡部 伍良君
水産庁長官 前谷 重夫君
建設省計画局長 渋江 操一君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 倉田 吉雄君
常任委員会専門
員 林 達磨君
説明員
外務省アジア局
第五課長 鶴見 清彦君
通商産業省通商
局次長 大堀 弘君
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本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査の件
(第六あけぼの丸沈没事件及び第三
十一、第三十二山田丸撃沈事件に関
する件)
(海馬島における難破漁船に関する
件)
(オットセイ保護条約に関する件)
(海苔の輸入に関する件)
○開拓融資保証法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
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001・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
まず最初に第六あけぼの丸の沈没及び山田丸撃沈事件の件を議題といたします。
本年二月長崎沖において第六あけぼの丸が韓国フリゲート艦によって衝突沈没をせしめられ、乗組員二十一名が死亡しております。また昨年十一月シナ東海において第三十一山田丸、第三十二山田丸が国民政府所属の艦艇に銃砲撃を受け沈没し、乗組員七名が死傷しております。いずれも賠償その他責任ある措置がとらるべきであると考えられますが、韓国並びに国民政府との交渉の状況についてまず外務省から説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/1
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002・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) それではただいま委員長から御指摘のありました第六あけぼの丸の衝突事件に関する韓国政府側との折衝状況につきまして御報告申し上げます。
ただいま委員長から申されましたように、本年二月の十四日に長崎県の沖合におきまして、韓国の海軍フリゲート艦PF61号と日魯漁業の第六あけぼの丸が衝突いたしまして、第六あけぼの丸の二十五名の乗組員中二十一名の方が行方不明になられたわけであります。この件につきましては、さっそく国内の関係諸官庁にも連絡いたしまして、いろいろ事件概要の調査その他もお願いいたしましたわけでありますが、事件直後におきまして、二月十八日に在京の韓国代表部の金公使から外務大臣あてに被害者及びその家族に対して深い弔意を表するという趣旨の書簡が参っております。この書簡の中には、補償問題、あるいは賠償問題というのは全然触れておりませんが、取りあえず被害者の乗組員の方々に深厚の弔意を表するということを二月十八日に大臣あての手紙で申し入れてきております。ただいま申し上げましたように、海上保安庁あるいは水産庁にお願いいたしまして、当時のこの状況あるいは損害の程度というものにつきまして調査をお願いしておった次第でございますが、三月三十日になりましてその調査結果が一応まとまりましたので、その調査結果を公文にいたしまして韓国の代表部の方を通じまして、韓国政府側の方に申し入れを行いました。国内の関係当局の調査によりますと、当時のPF61号、第六あけぼの丸の衝突の、何と言いますか、直接なる真因あるいは原因というものが必ずしもはっきりしない。従って責任が明確に韓国側のPF61号に帰するかどうかという点が、先方のPF61号側のいろいろな状況を具体的に聞かないと、はっきり出てこないというような状況でございましたので、三月三十日に申し入れの公文の中には、まず第一にPF61号の当時の行動状況につきまして具体的に韓国側の調査結果を知らしてもらいたいということが第一の段階に出ております。第二の段階といたしまして、日本側水産庁その他で調査していただきました第六あけぼの丸に伴う損害というものが約一億八千万円になるということを、損害をあげまして、とにかくこういう損害が生じておるということを先方に通告いたしますとともに、衝突の事後処理におきまして韓国のPF61号の方でとりました措置が必ずしも十分でなかったと思われる節が多分にありましたので、たとえば衝突すぐに日本側に連絡をしなかったという点、それから救助のランチをおろしましたけれども、そのランチが一人ずつ救助してはまた本船に引返えして、また救助に来るといったような状況で、救助の措置が必ずしも万全の策が講ぜられていなかった点が認められるという点を指摘しまして、先ほど申し上げました一億八千万円の損害を提示いたしますとともに、そういう状況でありますので、適切なる補償が行われることを期待するという趣旨の申し入れになっております。その申し入れが行われましたあと、韓国側からは正式には何らの意思表示もございません。私どもといたしましては、とにかくまず韓国側の調査結果というものを知らしてもらいたいということを連絡いたしておりまするが、今までのところ正式な回答というものは参っておりません。しかしながらその四月初め以来二、三回外電が伝えるところによりますると、韓国の海軍の方では韓国のPF61号は権利船であって全然法律的責任はないということを言っておりますが、これを裏付けする具体的資料といったものは全然わが方には正式には通知して参っておりません。また四月の下旬あるいは本月五月の上旬の外電によりますると、韓国政府の方では見舞金といいますか、死亡乗組員に対する弔慰金として一人当り二百ドルを支払う用意がある、もし日本側で韓国側の責任というものを追及しないならば、二百ドルずつ一人あたりに弔慰金として支払う用意があるということが伝えられております。この点につきましても何ら韓国政府からこの韓国代表部を通じまして正式に日本政府に対して意思表示があったわけではございません、ただ外電がそういうふうに伝える程度だけでございます。
以上がこの第六あけぼの丸につきましての韓国側との折衝経過でございます。簡単でございまするが、御報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/2
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003・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 ただいまのお話によりますと、いまだ何ら正式の回答もなしにただこちらから要求といいますか、通告を出したのに対して、やりっ放しの状態になっておるというようなことでありますが、こういうことでは今後日本の船舶が安心して航海もできないという形になりますので、いま少しく外務省としては、日本政府として特に厳重に交渉をしてこの問題の解決を促進しなければならないのじゃないかと思います。今のお話によりますと、ただ私ども新聞では今お話のように見舞金程度のものを出す意向があるかのごとき記事によって承知をしておる程度であって、今日までほとんど何らの進展を見ていないということで、非常にわれわれも遺憾に思っておるのでありますが、三月三十日にこちらの日本側の調査の状況、結果を申し入れ、同時に韓国側のフリゲート艦の当時の航行状態等について照会をしても何らの回答がない、その後において政府はどういうふうに韓国側に折衝をしておられますか。ただ外電の報ずるところにのみよっておるのであるか、そのままになっておるのでありましょうか。その点ちょっとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/3
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004・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) その点に関しましては先ほど申し上げましたように一人当り二百ドルの見舞金というようなことが外電に伝えられておりまするが、政府といたしましてそういう点について韓国側にどうなんだということを照会することは、むしろ策として適当ではないというふうにまあ判断いたしておりまして、まず先ほども申し上げましたように、第一段階としましては韓国側が当時の衝突事件の調査結果というものをとにかくまず日本側に知らしてもらいたいと、その点を早く追及いたしまして、それによってさらに先ほども申し上げましたようにはっきりした明確な責任の帰趨、あるいは衝突の原因というものが日本側だけの調査では必ずしも明確でないという状況でありまするので、まず韓国側の調査結果というものを、詳細な調査結果をもらって、それに基いてさらに折衝を進めて行きたいという考え方に立っておりまして、従って早く調査結果を日本側によこすようにという線でもって韓国側には折衝をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/4
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005・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 その折衝の状況なんですがね、もちろん衝突でありますから両方がぶつかったんだから片一方だけでは十分でないことはわかりますが、こちらからの調査の結果を申し入れて向うの回答を待っておるが、回答がこない、それではその間にどういうふうな折衝をしておるか、ただこの金公使と電話かなんかの交渉であるか、そういうふうな交渉の実態を聞かしていただきたい、何回ぐらいやっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/5
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006・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) その点につきましては公文を正式に出して、金公使を次官が呼びまして、出しましたのが三月三十日でございますが、それ以後は正式に金公使を招致したりあるいは柳参事官というものの来訪を求めて督促をするというようなことはやっておりませんが、事務的な段階におきまして韓国代表部の方に対し電話連絡等によりまして回答督促の措置をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/6
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007・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 その点ですが、もう少し私は事務的でなしに、もっと上の方から金公使なりあるいは柳参事官等を何べんでも呼びつけて、それを一つ督促をして進行されるという御意思はありませんか。どうもこういう状態で、たとえ向うが艦船であろうと日本の船を沈めたり多数の人命まで失わせてそれで僅か二百ドルくらいの見舞金なら出そうということはなめた話だ、もってのほかだと思うが今少し日本は強硬な態度でもってそれを判明させるなら判明させるような、もう少し強く交渉をしてもらいたい。これは単に一漁船というわけに行かないと思う。日本の国威にも関する問題である。これをいつまでも今度は事務的に電話連絡をやっておったのでは、なかなか片がつかない。あとにお聞きしたいと思うが、台湾の問題でもそうですが、もう少ししっかりした腹を据えて交渉をしていただかなければ、朝鮮との問題は何一つ進展はしない、こういうようなたび重なる朝鮮の何といいますか非常に非友好的な扱い方に対して、われわれは非常にふんまんを抱いている。もう少し上層部の方において交渉をされるということはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/7
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008・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 今秋山委員の御指摘のありました次第でございますが、御期待に沿うように私どもといたしましても努力いたしたいと存じまするが、冒頭に申し上げました通り明確な責任の帰趨といいますか、それから衝突の明確な原因といいますか、その点が先方の調査結果を待たないとはっきり出て来ないということがありまするので、いわゆる賠償、補償という面におきましてもまずそれをとることに全力を注いでいる次第でございます。しかしその点につきましてはさらに上司ともよく打合せをいたしまして秋山委員の御期待に沿うように努力いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/8
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009・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 もうすでに事件が起きてから三カ月を経過しております。そして日本側で調査した結果を通報しておるのに、向うから何らの回答もなければ措置も講じておらんということは、われわれは非常に不満であります。それで、もし先方の艦船の航走状態その他衝突の当時の状況を報告しろということであれば、それを追及して、その報告を早く出させるということによって解決の一段階を画することになるのではないかと思う。われわれはその実態がわからないのにただ要求しろというのではありません。そういったような調査を要求しておるなら、その要求に対する回答を迫るべきで、強く迫らなければ、事務的に下の連中が電話で話しておるくらいでは、私は進展しないと思う、政府として考えていただきたい。その点は私は強く要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/9
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010・千田正
○千田正君 関連しましてお尋ねいたしますが、これは鶴見さんがこういうことにお答えなさることが妥当であるかどうかそれはあなたの判断でやってもらいたいが、問題は、今のような具体的な問題と少し離れますが、いわゆる韓国との問題は何一つ解決されておらないが、外交折衝をする際に、貿易とか通商の問題も裏付けの問題として交渉しておられるのですか。それは朝鮮の問題で今この農林水産委員会の問題となっておりますのが韓国ノリの輸入の問題があるのです。いつでも原始産業は、こういうふうに李承晩ラインの問題、竹島の問題あるいは今のような砲撃の問題、拿捕の問題と、たび重なるところのいわゆる不法事件によって一番迷惑をこうむる、損害をこうむっておるのは、こうした漁民のいわゆる原始産業に携わっておる者である。ところが一方においては、日本政府としては韓国からノリを入れて、そうして一方こうした生産漁民に対する圧迫を加えようとしておる。これが政府の一貫した外交政策とわれわれは認められない。そこで今の問題のようなものが三カ月になってもなお解決ができない。ちっとも朝鮮との、いわゆる韓国との問題の解決は一つとしてついておらないのですが、一体外交折衝をする際に、そうした貿易、通商の問題も裏づけの問題として交渉しておるのですか、どうですか。それは全然、ちっともやっておらないのですか。これは通産省が勝手にやるのだと、こういうふうな建前で日本の外交交渉が行われておるのですか、どうですか。その点はあなたの知れる範囲内でいいですからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/10
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011・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 今千田委員から御指摘のありました点でございまするが、ノリの輸入の問題につきましては、私は直接の所管ではございませんが、韓国との関係全般につきましては、私どもの考えといたしましては、できるだけ一つ一つの問題を片づけることに努力いたしまして、そして全般の下地、全般の日韓両国間の懸案になっておりまする会談再開といいますか、それによりまして諸懸案を解決して、日韓関係を正常関係に持って行くという、そういうための下地として、一つ一つのものを除々に、できるだけ解決して行こうという考え方に立ってやっておる次第でございます。従いましてそういう観点に立ちましてこれを動かして行きたい。従ってこの第六あけぼの丸の問題につきましても、何といいますか、日韓両国間の摩擦の一つでございまするから、そういう問題を早く解決するように、従って韓国側に対しましてもこういうものを早く解決することが一つ一つの下地を作って行く上に必要なんだということでもって進めて行きたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/11
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012・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 ただいまのお話の中に何か韓国の権利船というのですか、であるから韓国側に責任がないということを外電で報じておるということをおっしゃっておりますが、その点をもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/12
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013・鶴見清彦
○説明員(鶴見清彦君) 外電では韓国側の海軍当局の発表という形で、あの際に韓国側が権利船の立場にあった、権利ですね、権利船の立場にあったので、むしろ漁船第六あけぼの丸の方が退避すべきであったという建前に立って、従って韓国側にはこの衝突事件については法的責任がないのだというふうに言っておるようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/13
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014・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 もしそういうことを言うならば、もうすでにある程度の衝突当時の状況というものはわかっていなければならぬのです。ただそういう一言くらいのことによって責任回避をするということでは納得が行かないのです。そう言う限りにおいては、当時の状況は韓国にもわかっておるわけです。その状況を詳しく日本に通報してくるべき、回答してくるべきだと思います。そういう場合にも、まあ外電でありますから何も韓国側から非公式にも正式にも申し入れたわけでないのですけれども、とにかくそういう新聞報道等によって事が起きてくるのでありますから、そういう場合にも早速それによって交渉を始めるべきじゃないか。ただ最初に三十日に調査を依頼したのみで、単なる電話連絡くらいでは、従来の朝鮮の態度から見て決して進展しないと思う。これはアジア局長お見えになりましたから、私はこの問題が単に下で事務的にばかり交渉しておっても、とても進展しない、政府としての態度をきめて一つ交渉してもらわなければ、殺されたら殺されっぱなしで、沈められたら沈められたきり、あるいは拿捕されたものは帰ってこないといったような、まことに不都合きわまる態度であると思う。もうあんまりいつまでも隠忍しておってはいけないと思います。もう少し強硬な態度で臨めないかと、かように考えるのですが、局長の御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/14
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015・中川融
○政府委員(中川融君) お説ごもっともでございまして、われわれもこの船の衝突、沈没事件につきましては、ただいま第五課長から御説明申したと思いますが、早速手を打つという措置をとったのでありますが、そのとき韓国側に対しましては、こちらの海上保安庁、水産庁の調査に基きまして、当時の実情というものを詳細に説明した資料をつけまして、これに対して適切な補償の措置をとるようにということを要望したのであります。外務次官が韓国公使を呼びまして口頭で申し入れ、同時に正式書類を手交したのでございます。韓国側も至急研究しようということであったのでありますが、その後今に至るまで正式回答はございません。しかしながら機会あるごとにこれについては先方の注意を喚起いたしまして、私も直接韓国の参事官と会談いたしましたり、この点につきましてしばしば注意を喚起しているのであります。先方の状況は、新聞報道等にもときどき出ておりましたが、ある程度の謝金のようなものを考えておったようであります。しかしながら謝金を払うということについて、正式の申し出はまだございません。なおその際の金額等につきましても、新聞の報道程度でございまして、的確なことはわれわれにはまだ通報されていないのでありますが、私といたしましては、この事件の重大性にかんがみまして、通例……通例といいますか、伝えられるごとき解決方法ではとうてい満足が行かないということを十分話しまして、日韓関係の打開という見地からみましても、至急にこれの実際的かつ適切な解決をはかることが必要であるということを強調しているのでございます。韓国側におりましても、全然これを拒否するというような態度ではないようでございます。何らかの考慮を払う考えであるようでございますが、目下先方において依然研究中であるということのようでございます。引続きましてあけぼの丸事件の解決につきましては、最大の努力を払いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/15
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016・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 もう一点、これは台湾の撃沈事件とも関連のある話でありますが、あるいは政府が共産主義国、ソ連あるいは中共等との友好関係といいますか、国交正常回復というようなことで、非常に力を入れておられるが、同じ自由国家群の最も近接した事件については一向力を入れてないように思う。私は遠方もいいけれども、手近なところを、もう少し力を入れてやるべきじゃないか、かように考える。一番手近で最も問題をしょっちゅう引き起して、大きな損害を受けている問題は一向進展しないで、遠方のところにはずいぶん力を入れているような現政府の状態でありますが、私は同時に手近かな問題に大きな力をもって解決していくことが先決じゃないかと、かように考えるのです。政府としても韓国問題は一つ腰を入れてやっていただきたい、こういうことを要望します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/16
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017・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 続いて山田丸の事件の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/17
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018・中川融
○政府委員(中川融君) 第三十一及び第三十二山田丸が、昨年の十一月の末に大陳島沖におきまして国籍不明の軍艦により攻撃を受けまして沈没した、非常な損害を受けたのでございます。死者二名を出しまして、負傷者も相当数出ました。非常な損害を受けたのでございまして、これにつきましては、その当時本委員会においても御説明いたしましたが、日本側といたしましては発生当時の実情というものを詳細に調べまして、時間の関係その他詳細に調べまして、その資料を全部これを国民政府に提出いたしまして、われわれが見るところでは、どうもこれは国民政府の軍艦がちょうどその同じ時に大体同じ場所で中共の艦船群を攻撃して二つの船を沈めた、こういう発表がございますので、それと同一事件であると思われる。先方の調査した内容とわれわれの調査いたしました内容とは、発生した場所におきまして若干の食い違いがございます。これもせいぜい十海里という程度のものでございました。何らかのこれは観測の間違いか何かによって起きた災いではなかろうかと思われますので、その点を十分納得の行くような、できる限りの説明資料を作りまして先方に調査を求めたのであります。先方もこの点について至急調査しようということでございましたが、その後先方から参りました回答では、調査した結果、国民政府の海軍が行いました攻撃の結果日本の漁船を沈めたという確証を発見し得ないという返事が参ったのであります。それに対しましてはこちらは、そうは言ってもあらゆる調査の結果がほとんど符合しておるではないか。わずか発生地点が若干差異があるだけであり、しかもそれもいろいろな状況、そのとき国民政府の軍艦から見れば、いわば実際の戦闘に当っておったという考えでおったわけでありましょうから、自然に観測等においても必ずしも詳細を期し得なかったのではなかろうかということで、さらに再考を求めますと同時に、とにかく的確に地点が例えば合致しなくても、大体これは常識的に見て国民政府の軍艦がしたその行為の結果起きた同一事件であると思われるのであるから、その事実にかんがみて、一つ適当な補償措置を講じてもらいたいということをさらに申し入れたのであります。ところがその申し入れに対しまして、この申し入れは一月の十日にさらにしたのでございますが、その申し入れに対しまして、最近に至りまして国民政府から回答が参りまして、どうしても国民政府の軍艦がした行為であるという証拠がない、それのみならず国民政府の軍艦はしなかったのであるから、これについて山田丸の事件について、国民政府が責任を負うべき筋合いではないということを回答してきたのであります。これは四月三十日付の文書をもって芳沢大使あてに回答をしてきております。この回答はわれわれのとうてい受諾し得ない回答でございました。つまり第一回の回答におきましては国民政府の軍艦がした行為であるという確証はないという回答であったのでありますが、第二回の回答では国民政府の軍艦がしたことでないことはすでに明白であるという字句が使ってあるのであります。これに対しましては早速今まで国民政府から通報のあった経緯から見て、国民政府の軍艦がしたことでないという証拠はどこにもなかったように……国民政府の軍艦がしたのであるという確証はたとい出なかったにしろ、国民政府がしたのでないという反対の証拠も出ていなかったはずであるのに、今日の回答において国民政府の軍艦がしたことでないことはすでに明白であるということを申したことは、どうした新しい事実に基くか、その新しい事実があるならそれを知らしてもらいたいということを申し入れるとともに、この経緯は従来は外交交渉の関係もあり、先方の立場というものも尊重いたしまして、できるだけ公表ということをできれば避けて行きたいと思ったのでありますが、こういうことになって参りますと、これは国民に対して実情を明らかにするという意味でも、あるいは公表しなければならなくなるかもしれんということをはっきり申し入れるようにという訓令を発したのでございます。
大体以上が経緯でありまして、三十一、三十二山田丸につきましては、われわれは事理を尽しまして、これの何とか実際的な解決をはかるということを主眼にいたして交渉を続けてきたのでありますが、国民政府側の回答というものは結局満足な回答が今までのところきていないのでございます。しかしながらまだ外交交渉というものを決してこれであきらめるときではないのでありまして、さらに本件につきましては、できる限りの交渉を継続して行きたい、またこちらが事理を尽すことによりまして、国民政府側の考え方というものも変えることができるのではないかという希望を持ちまして、さらに交渉を続けて行きたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/18
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019・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 これはもうすでに半年になっておりますが、当時先ほどお話にもありましたように、国民政府の方から当時の戦果の発表があったときに、ちょうど符合するような敵船を撃沈したような報告を出しておるそうであります。そういうようなことから考えても、今さら国民政府の艦船の行為でないことは明瞭であるということは、とうてい言えないと思うのです。政府としてはいろいろ当時の資料、あるいは砲弾あるいは船の鉄板等の資料を集めてたしか出しておるわけであります。初めのうち、国民政府の顔が立つような考え方でおだやかにやったらどうだろうかというような考え方もあったようでありますが、それがかえって今日居直ったような格好になっておるわけであります。この点だけは少くとも日本政府の、あるいは被害者の言が正しいと私どもも絶対に確信しております。今日それが居直られたということになると、国民の感情としても悪くなるのではないか、これは公表する必要もありましょうが、これも又同じ自由国家群でありまして、ただ日がたつに従って悪化するというような状態では本当に困ったものです。この点もあわせて私はもっと強い態度で臨んでもらいたい。ちょうど芳沢大使が第二回目の赴任をする当時の話でありまして、芳沢大使が交渉すればまとまるのではないかと私どもは期待しておったのが、今日まで何ら報告がなかったものですから、懸念をしておったわけであります。今日最近の情報として、何ら国民政府の行為でないということを言明したことについては、私どもは非常に意外な感を持つわけであります。これらに対して、もしあくまでも先方がした行為でないと言った場合には、日本政府としてはどういう態度をとられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/19
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020・中川融
○政府委員(中川融君) ただいま御報告申しましたように、四月三十日付の文書をもって国民政府側は、中国軍艦が撃沈したものでないことはすでに明白であるということを言ってきておるのでございまして、これはただいま秋山委員の御指摘になりました通り、従来日本側が交渉をされて受けておる各種の情報から見ますと、どうしてもふに落ちない主張になるわけでございます。これに対しては一体どういう根拠ですでに明白であるということを言うのかということを問いただしております。その返答の結果を待ちまして、何らか新らしい事実でもそれを裏書きするようなことでもあるなら、これはまたそれに基きましてさらに調査を進めるということをしてもよいのでございますが、何ら根拠がなくただこういう断定を下したということであれば、これは承服し得ないことでございますので、こういう承服し得ない理由をもって日本側の申し入れを拒否するということは、われわれ日華の国交からみて非常に遺憾にたえぬということで、さらにそういう面からの交渉に切りかえて行きたい、かように考えております。その交渉がなかなからちがあかない際にどうするかということは、われわれとしてはやはりあくまでも交渉で事理を尽して解決して行きたい、こう考えておるのでございまして、それ以上の措置ということはただいまのところ、その方法もこれはちょっと残念ながらないのではないか、この件に関しましてその点何らか交渉以外の方法で片づけるということは方法がないのではないかと思いますので、何とかこれを外交交渉によって片づけて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/20
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021・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 そういったような四月三十日の国民政府の行為でないことが明瞭であるという回答を出させたことについて、出させたと言っちゃ悪いですが、そういう日本に対して通告してくるに至った経過のうちに、何か少しまずかったことはないのですか。そういう公文書をもって申し入れさしたことは、これを今後撤回さすということは、なかなか容易じゃないと私は考えるのです。その間に、外交交渉のうちに何かまずかったことがあったんじゃないか。私はこういうことになってきますと、慣行の問題であって簡単に解決しないと思う。日本の外交は非常に弱いものになって、がんばりさえすればいいんだというように、われわれとしても考える。こういうことでは一つとして解決の道が進まない、こう考えるのですが、何かそういう今までの交渉のうちにまずいことがあったんじゃないかと、私はそういうふうな感じがするのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/21
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022・中川融
○政府委員(中川融君) 交渉中に特にまずいことがあった、こういうふうには私は考えておりません。この点は結局海軍が、先方で言えば海軍の主管事項でありまして、国民政府としましても、結局海軍の報告、海軍の調査というものの結果を、日本側に取り次いでくるというのが実情のようでございます。従って海軍としては結局こういう態度、こういう回答を出してもらいたいということで政府に連絡し、政府がそれをそのまま取り次いできたのではないかというふうに思われます。従ってさらに国民政府自体としてもっと大所、高所からことを考えるべきである、単に軍の意向をそのまま取り次ぐということでなしに、大所、高所からこれを考えるというような方法を、従来も大いにそれは強調しておるのでありますが、さらにこういう事態になれば、その点に重点を置きまして交渉を続けるということによって、打開の道が出るのではないか、かように期待しておるのであります。特に交渉の内容なり、やり方なり何なり、その他においてまずかったということは心当りがないのでありまして、文書による正式の申し入れをいたしますと同時に、口頭によってさらにそれを引続いて注意を喚起し、さらに回答を促すというような方法をとってきておるのでございまして、特に交渉のやり方がまずかったというようなことはなかったと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/22
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023・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今のお話、海軍と国民政府とが別個のような感じがするのですが、少くとも国民政府の名をもって日本に通告してきたものであるならば、今の海軍の報告を取り次いだというふうに考えるのは少し甘過ぎはしませんか。私は少くとも国民政府として申し入れた以上は、責任は国民政府にあるのでありますから、それは十分検討して出てきたものと思う。それで海軍と蒋政権が別個のものではないのですから、そういう考え方は私は非常に甘いと思う。これはあくまでも国民政府の意思によって出たものという観点から、強い交渉をしていただかなければ、別個のものとは考えられぬと私どもは考える、しかしその間に何かそういうふうな言いわけでもあって出したのなら別ですけれども、そういう不見識なことは、幾らこれは国民政府でもやらぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/23
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024・中川融
○政府委員(中川融君) 今国民政府の海軍との関係ということを、ちょっと中へ突っ込んだような観測をいたしましたが、それは交渉の当初から外交部では、本件は海軍の事項であるから海軍に調査を依頼するということを言い、さらに催促をするごとに、いや、軍からまだ調査の結論が出ないというようなことを言って、さらに回答に当っては、海軍で調査した結果こうであったというような回答をしてきた経緯がありまするので、私は本件については、ほとんどその内容の大部分が、国民政府海軍の調査の結果を、取り次いできていることではなかろうかというふうに観測したのでありまして、その観測を申し上げたのであります。もとより正式には国民政府外交部の名前できているのでありますから、もちろんただいま御指摘にありました通り、国民政府としての正式な回答ととるべきであります。しかしながら交渉するに当っては、どこかに何とか道を見つけて、それを利用しながら交渉を推進するというのが、やはり方法でございますので、その方法に亘ってちょっと御説明申し上げたわけであります。もちろん表面的、形式的に申しますれば、これは国民政府の回答になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/24
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025・千田正
○千田正君 今の秋山委員の質問に関連してお尋ねいたしますが、ただいまのアジア局長のお話であると、今後も交渉を続ける、こういうお考えのようでありますが、この際所信をはっきりしていただきたいと思うのは、御承知の通り台湾政府は国交を回復しないとか何とかという政府でなく、日本との友好の間柄にあるところの政府であり、しかも平和裏のうちの問題であってみれば、当然これは外交折衝によって解決できるものであるとわれわれは感ずるのです。しかし今までのお答えによるというと、どうもうやむやに、この問題が没になりそうな感が深いのです。あなたの所信としまして、これは外交問題として、あくまでこの解決はできるのだ、やるのだという御決意があるのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/25
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026・中川融
○政府委員(中川融君) 日本と中華民国とは友好関係にあるのでありまして、しかも大体におきまして同じ自由国家群と称せられるものの中にあるというわけでありまして、当初からこの山田丸事件はそういう客観情勢のもとにおきまして、しかも調査の結果、先ほど申し上げました通り大体において事実が符合しておるのでありますから、たとえ的確な最後のきめ手である証拠がなくても、何とか話合いによって、大局的見地から片づくものであろう、また片づけるべきものであるという考えに基きまして、折衝してきたのであります。最近の先方からの回答というものが、ただいま御報告申し上げました通り不満足なものであったのは、はなはだ遺憾でありますが、しかしこの客観的な情勢というものは、依然として存在するのでありますから、その情勢に基きまして大局的にこれの交渉を続けることによりまして、解決ができるであろうと私は考えております。またそういう信念のもとに、この交渉に当って行かなければならない、かようにも考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/26
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027・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それでは次に海馬島における難破漁船の件を議題にいたします。
去る四月十八日ソ連側から外務省に、樺太の海馬島において日本漁船が難破し、乗組員四名の死体が漂着しているという報告があったそうでありまして、この問題について発言を求められておりますので御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/27
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028・千田正
○千田正君 今委員長から御報告があった通り、この北海道の函館市古川三良という船主の持っている第三金栄丸が、樺太の海馬島で難破した、乗組員十名の行方が不明であったのですが、そのうち四名の死体がなぎさに打ち上げられて、ソビエト側としては、日本の漁夫である、そしてはるか六百メートルの海面に第三金栄丸という標識があったから第三金栄丸の乗組員らしい、死体が見つかったから引き取ってほしいということを文書をもって四月十八日に外務省に申し入れた。しかるに外務省はいまだ国交を回復しておらないところの相手国からの申し入れであるから、表面切ってそれに対して答えるわけには行かない、こういうような意味合いからこの問題を日本赤十字社にまかして、赤十字社とソ連側の交渉に移したやに聞いておるのであります。しかし私は、こういう問題は外交的に見ましても、国交が回復していないから、それは外務省は知らないのだということでは、いつまでたっても外交の回復なんということはあり得ない。これはソ連に抑留されておる捕虜の交換というような問題であれば、そういう問題は一国と一国との交渉の上において、あるいは平和条約あるいは戦争終結条約というようなものが一つの標準として行わるべき問題であるでしょうが、平和のときにおいては、こうした問題は少くとも外務省は親心をもってこの問題の解決に乗り出すべきである、いまだ国交を回復しておらないからそんなことは知らぬという態度は、私は、はなはだ遺憾であると思いますが、外務省の見解はどういうふうに考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/28
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029・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) ただいま千田委員のおっしゃった点につきまして多少違いますので、私から説明をさしていただきます。
海馬島の遭難いたしました船につきましては、四月十八日に、元ソ連代表部のチャソブニコフが、欧米局の六課に参りまして、これは従来難船の問題であるとか、行方不明の船舶につきまして情報を求めるときには、よく参りまして、書類を置いて参るのであります。この際も書類を置いて参りまして、その中には四月三日南樺太西方の海馬島海岸に日本人死体四及び漁船の破片、カッコいたしまして、第三金栄丸古川所有としるした板ぎれ、木片が発見され、その死体を埋葬したという旨のことが書いてございました。そこで外務省といたしましては、従来からこの内容につきましては、海難につきましては、これを海上保安庁の方に連絡いたしまして、海上保安庁の方に調査をお願いいたしましたところが、二月末から同方面の海域に出漁していた函館市の古川氏所有第三金栄丸乗組員十名が海馬島での遭難船であるということが判明したわけであります。そうして海上保安庁から同船の乗員の家族に遭難の趣きを通報いたしましたところ、死体引き取りの強い希望が寄せられたわけであります。そこで大日本水産会等からも死体引き取り方につきまして私どもの方に強い要請がございましたので、先ほど御指摘になりましたように、元ソ連代表部は政府として認めておりませんので、日赤、これは抑留者の引き揚げ等につきまして従来からソ連側の赤十字と連絡もございますので、日赤に対して引き取りに関する打ち合せをやってくれということをお願いしたわけでございます。そうして日赤から電報を四月末にお願いしたのでございますが、電報が実際に出ましたのが五月六日になっておりまして、その電報は今までの経緯を書きまして、元ソビエト代表部からの通報で、日本人の死体が四つ海馬島に漂着した、それについてはぜひ家族も死体引き取り方を希望しておるので、日本側から船を出すから、もしもできるならばどの港に入ったらいいか、またいつ行ったらいいかということについて連絡してほしいということを頼んだわけであります。現在に至りましてもまだ返事が参っておりませんが、御指摘になりましたように、政府といたしましてはぜひ遺族の希望をかなえまして死体引き取り方に協力したいのでございますが、元ソ連代表部を通じてということにつきましては、いろいろ問題がございますので、同じくソ連側でその意思がありますれば協力してくれるものと考えまして、日赤を選んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/29
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030・千田正
○千田正君 ソ連代表部を認めるか認めないかということは、それは日本政府のいろいろな政策上の問題でしょうが、こうした問題とそれとは全然私はかかわりないと思う。ソ連代表部としては好意的に日本側に通告してきたわけです。だから日本政府としては、あなた方は、ソ連との間の外交の交渉が軌道に乗らないうちは正式にそういう交渉はしたくないというお考えのようです。伺っておりますと……。それはそれでよろしいですが、向うが好意的に通告してきたことに対して、こっちはそれの受け入れ態勢を作らないということはないと思う。赤十字社の方にあなた方が申し入れたというけれども、五月になってから赤十字社として電報を打ったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/30
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031・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 五月六日です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/31
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032・千田正
○千田正君 やはりまだ通知がこない、重ねて赤十字社に対してあなた方のほうから何かそういうことに対して要請がありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/32
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033・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 赤十字社といたしましては本日実は催促するようにこちらからお願いいたしておりますが、本件のごとき問題は向う側の意思がはっきりしない限りはきまらない問題でございますので、もしもソ連側に意思さえございますれば、本来手続の港、その他日時につきましてはアレンジができさえすればこちらに返事がくるものと期待しておりましたが、もうすでに、六日でございますから、約三週間も経過しておる次第でございますので、もう一ぺん催促してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/33
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034・千田正
○千田正君 どうも私はそういう点は甚だ腑に落ちない。私が引揚の委員長のときには日本の外務省は正式にやっておらんから私自身ソ連代表部に乗り込んで行きましたよ。会わないはずはない。会うのです。会って話をつければできる。日本漁夫が捕虜になったという問題がありましたから、外務省を通じていては話にならんから、私自身行きました。会ったら解放してくれた。だから赤十字社の人たちが電報でかれこれ言うよりは、現在の麻布の、日本におるソ連代表部と称しておるところを通してあなた方の方にそういうことを通告してきたのです。電報で本国にそういうことをかれこれ言っておるひまがあったら、赤十字社の方の島津君でもいいし、それから工藤君でもいいじゃないですか、直接行ってかけ合ってきたらいいじゃないですか、そういうことをあなた方の方から示唆する力はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/34
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035・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 元ソ連代表部の組織につきましては、御承知のように最近の機会に日ソ間の交渉が開かれることになっておるのでありまして、これはもちろん私の方から御説明申し上げるまでもなく、そういう機関は相互にあることが基礎でありまして、従って平和条約にソ連邦が調印しなかったということによってこの機関の存在を拒否しておる次第は御承知の通りであります。従いまして機関を認めていない限りにおきましては、これは少くとも将来の交渉におきまして、わがほうとしてその事態につきまして相互主義で交渉しなければならないことは御承知の通りで、従いまして今度の場合に、日本政府がこの機関を法的に認めるということは、少くとも今後の交渉につきましてはいい影響を与えないということが、われわれの考えの基礎でございますので、今回の問題につきましては現実的に結果をおさめるという趣旨では、赤十字を通しましても、適当な方法であるという見解で、実はやっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/35
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036・千田正
○千田正君 それはあなたの立場はよくわかるんですよ。それは形式的な外交をやるためにはそれでけっこうです。しかし、代表部というものをいまだ日本側が正式に認めていないのだから、その代表者が来て、あなたの方に申し入れたとしても、われわれは正式に受理していくわけにはいかない、聞いておくということで、これは外交の問題としては、いわゆる公式な立場においてのあれとしては認めないのだから、公式に返事はできない、それは、われわれ今までにも、交渉はあなた方がやっておるのはみんな知っていますよ。そういうことを言っているのじゃない。そういうことについて、将来の日ソ国交が阻害されるとか何とかということなら、別の問題ですから、それはそれでいいんです。それは正式の交渉をあなた方にやれというのじゃないんだ。赤十字社の方にあなた方が頼んでおるとするならば、赤十字社の諸君に、電報で公式に交渉していたりなんかするほどの問題じゃない、問題が死体を引き取ったらどうかということに対して引き取りましょうということの交渉であれば、赤十字の方が何も狸穴に行って交渉しても差しつかえないのじゃないか。そのくらいのことをやったっていいじゃないか。そういうことをあなた方の方から暗に示唆してやったらいい。私が言っておるのは、あなた方に正式に交渉してくれということじゃないのです。あなた方が正式に交渉するころには、死体が白骨になって、何が何だかわからんことになってしまって、おそらく引き取れるかどうかわかりませんよ。松本全権が行ってからじゃなければ、あなた方の方では正式の交渉がやれないということの観点に立っておるのだから、そんなことを聞いておるのじゃない。死体が今あるんだから引き取ったらどうかということを聞いておるので、それならば正式のお答えができないでしょうから、民間の外交に移してでも、こういう人道的な問題であれば、受け入れる態勢をしましょうという考えであるならば、赤十字社にさっそく交渉さして下さい。そこの狸穴だったらわずか十分か二十分で行けるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/36
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037・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) ただいま千田委員のお話を伺っておりますと、元ソ連代表部が、すでに死体引き取り方について、何らか意思表示をしたように伺えるのでございますが、実は本件につきまして、水産会の代表部の方が私のところに見えました際に——水産会の代表が狸穴に参りまして、死体引き取り方の交渉をなさったそうであります。その際に向う側の考えとしては、日本政府が正式に文書をもって言ってくるならば大いにあっせんしてやろう、こういうお話であったということを聞きました。そこで、まあこれは私の考えでございますが、もしもソ連が政府の方に死体引き取り方につきまして好意的に協力をしてくれる意思がございますならば、いずれの機関を通じましてもこれは同じである、その意味から、先ほど申しましたように、ソ連代表部に正式に文書をもって交渉するということは、今のところ差し控えた方がよかろう、日赤を通じましても、向うに意思さえあればできることでございますから、日赤を通じてやるのが適当である、こう考えてやっておる次第でございまして、これはいわゆる方法論の問題でございますから、その点御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/37
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038・千田正
○千田正君 あなたのお答えは大体わかりますが、まあ水産会の代表者、あるいは遺族からの懇請によって行ったときがそういうお話だったのでしょう。そこで今度は言葉をかえまして、日本の政府は公式にまだ国交を回復しておらんのだから、直接の交渉はできないが、日本赤十字社が政府にかわってこれをやるということは通知をしてありますか。日本赤十字社からソ連側に対し単なる赤十字社としてやっておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/38
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039・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 日本赤十字社からは島津社長の名をもちまして、向うのモスクワの所長あてに電報を打っております。その中に、これは英文でございますから読んでみます。
mr domnitsky of for mer soviet mission tokyo informed japanese foreign ministy that four japanese dead bodies were found april third on coast maneron islet off sakhalin and that by partof wrecked ship these bodies were identified crewmen of japanese fishin gvessel daisan kineimaru stops hips owner furukawa being desirous of receiving these dead bodies we would like arrange japanese ship being sent to soviet waters to have them handed over stop if agreeable please let us know name of port to which ship should go and date of her calling shimadzu president japancross
つまり、この報告が参りました経緯も書いてございますし、日本側で遺体を引き取りたいという希望も出ておりますし、また方法につきましても、向うの都合を聞いておるわけでございまして、私といたしましては、これで十分意を尽していると考えておる次第でございます。
それから赤十字が元ソ連代表部に対して接触するかどうかにつきましては、これはやはり赤十字社のいろいろしきたりもあると存じますので、私どもといたしましては、あっせん方をお願いしておる以上は、何もかれこれこういうふうにしたらどうかということにつきましては意見を差し控えておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/39
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040・千田正
○千田正君 それは、こういうのは将来起きてくる問題だと思うので、国交が回復しない限りにおいては、今でも北洋漁業に相当漁民が出漁しておる、それらがどういう障害——いろいろの漂流あるいは難破するかもしれない、必ずこういう問題が起きてくる。一体、そういうたびごとに外務省としては、正式に向うは認めていないのだから、いつでもこれは赤十字か何かを通じてやらなければ仕事にならぬということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/40
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041・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 決してそうではございませんので、現にこの六月の初めから開かれます日ソ交渉にも本件は問題として提出するつもりでありますが、すでに日ソ交渉を始めますときに大使館から大使館にというルートはつけておるのでございますので、こちらから向うの公式機関に対して接触をするということにつきまして反対があるわけでは決してございません。要するに、たとえばワシントンなりロンドンの日本の大使館からソビエトの大使館に連絡をいたしますときに、向うがこちらの要求を受けるかどうかということだけがそこに残っておる次第でございまして、こちらは何も問題によりまして、直接大使から大使に話を持っていくということに反対があるわけでは決してございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/41
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042・千田正
○千田正君 この問題は、まあ政府としてはできるだけ手を尽したつもりで赤十字にあっせん方を委嘱した、これ以上の範疇を出ないようです。重ねて私は要求するのは、早く赤十字からのお答えを得ていただきたい。これはあなたの方でやらないといえばこれは民間側でやらなくちゃならない。あなたの方はそういう結論ですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/42
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043・寺岡洪平
○政府委員(寺岡洪平君) 決してそういう結論ではございませんで、赤十字社の方で催促することにつきまして、先方の意見を聞きたいと思っておりますが、同時に御要求の点もございますので、政府としては、大使館から大使館に通ずる方法をぜひ考慮してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/43
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044・千田正
○千田正君 船主にしても、遺族にしましても、一日もその死体の所在その他を明らかにしたいという希望なんです。熱望ですから、これは単なる一人や二人の死体ということばかりでなく、将来もこういう問題が起きないということはわれわれは断言できない。しかもいまだ国交は回復しておらないとすれば、こういう事件が将来とも起きてきます。ですから、この際こういう問題に対しては、やはり政府としても熱意を示してもらいたい。民間側としてももちろん赤十字社に対してお願いをしましょう。しかし政府も相当の熱意を持っていただかないと、こういう問題は解決しませんよ。お話によるというと、今日あたり赤十字社にお答えを求められているようですが、農林委員会から寺岡参事官が出席を要請されて赤十字社へ申請したじゃないですか。そういうことはありませんかね。そういうことのないように、一つ政府としてもう少し熱意を持ってやっていただきたい。特にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/44
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045・江田三郎
○委員長(江田三郎君) では、次にオットセイ保護条約の件を議題といたします。水産庁からオットセイ棲息調査状況並びにオットセイ保護に関する新条約締結のための交渉準備等について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/45
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046・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) オットセイの条約につきましては一九一一年に条約ができたわけでございますが、昭和十五年に廃棄通告をいたしまして、昭和十六年にその効力を失ったわけでございます。従いましてその後政府といたしましては、オットセイの海上捕獲を許可いたしましたわけでございますが、戦争終了後占領下におきまして総司令部よりオットセイの海上捕獲を禁止すべき旨の指令があったわけでございまして、従来オットセイの海上捕獲について許可制度をとっておったわけでございますが、この指令に基きまして現在許可をいたさないでやっておるわけでございます。この間におきましてその後昭和二十七年に日・米・加の三国の生物学者が参加いたしまして、共同のオットセイの調査を行なったわけでございます。その調査の目的といたしましては、標識によりましてオットセイの日本近海に参りまする資源の状況がどういうふうな、どこから来ておるかというふうな点の調査でございますとか、あるいはオットセイの生物学的なデータを集める、また胃の内容物をとるというふうな目的をもちまして、三国でもって共同調査を行なったわけでございます。その結果の概略を申し上げますると、大体いろいろ条件がございますし、またその捕獲頭数が約三千頭でございますが、この小部分の調査でございますので、これでもって確定的な結果が得られるということではございませんが、その調査の結果によりますると、日本の沖に来ておりまするオットセイのうち、プリビロフから参っておるものが大体三〇%程度に達しておるということが出ておるわけでございます。ただこれも捕獲数量なり、あるいは時日等の関係でいろいろ条件がございますが、そういう結果が出たわけでございます。
それから胃の内容物等を調査いたしますると、ハダカイワシ、これはもう食用にならぬようでございますが、これがその内容物として相当多く摂取されておる。そのほか少量でございまするが、サケ、マス等も食っておる。またイカも食っておる。こういうふうな形になっております。ただオットセイの回游の時期、またその魚の回游の時期等によりましてこの内容物の、オットセイの食性がそういうものを好むというふうな最終的結論まではこれによっては出し得ないようでございます。ただ調査委員会といたしまして、共同調査の結果出ておりまするのは、食性につきましてはオットセイは食物についての選択性がない。つまり周囲にあるものをどれでも食っておるということは言えるようであるということが委員会の結論として、大体そういうことが言われておるようでございます。またこのオットセイの食習慣と申しますか、食性からいたしまして、日本の近海におきまする有益魚種に対する影響はどうかということにつきましては、これはデータの関係もございまして、何ら結論が出てないように承知いたしておるわけでございます。こういう共同調査を行いまして、その後本年の漁期までの間にぜひ一つ三国間及びソ連も入れました条約の締結についての交渉を持ちたいということで、外務省を通じまして再三アメリカ及びカナダと交渉いたしておるわけでございます。で、ソ連邦に対する招請も承諾いたしておるわけでございますが、開催日時につきまして、カナダ側におきましてどうしても十一月を固守いたしておるわけでございます。われわれは二月を当初交渉いたしまして、さらに三月というふうに開催日につきましてできるだけ早くということを目標にアメリカ側にもあっせんを頼みまして、相当回数を重ねて折衝をいたしたわけでございますが、カナダ側がどうしても、向うの人の都合で、ほかの国際会議がたくさんございまするので、そういう事情からしてどうしても十一月以前に開催することについて同意をいたしておらないわけでございます。従いまして開催につきましても十一月を予定されておるのが現在の実情であるわけでございまして、これにはソ連邦に対しましても招請する手はずにはなっておるわけでございます。
以上が今までの条約締結につきましての交渉経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/46
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047・千田正
○千田正君 このオットセイの捕獲に対する問題は長い間の問題であります。しかもこれは日本の国辱的な条約であるということは私は言うまでもありません。それは何回も私は繰り返して言う通り、日本の国内の、日本の領土内に住んでおらないところの動物に対しての国内法をこれは制定されておる。御承知の通り日本におけるその国内法としてラッコ、オットセイ取締法なる法律の中には、日本の漁夫は、あるいは日本人がだれでもですよ、殺したりあるいは皮を持っていたり、肉を売ったりした者は相当の処罰に処せられる。しかも漁船であれば船まで没収される。こういう私は不平等な条約を甘受けしておらなくちゃならないということは、この問題に対して私は憤りを感ずる。一体日本の領土の中に一体どこにラッコ、オットセイが住んでるんですか。しかもラッコ、オットセイが食ってるのは、日本の近海へ来るところの魚族を食っている。日本の国内法で、一方においては魚族の資源保護法という、資源を保護する法律を作っていながら、一方においては外国の動物を保護しなければならない。こんな矛盾したことを日本でやっているという手は私はないと思う。日本の領土内にラッコ、オットセイの住んでいるところはどこにもありませんよ、しかもですよ、長官は御承知かもしれませんが、このラッコ、オットセイの毛皮はどこで処理しているか、アメリカ一国であります。しかも処理しているものは一体だれかというと毛皮商だけであります。アメリカの毛皮商は年間何千枚という一つの区切った枚数を世界のマーケットに売り出して、その価格の低落を防ぐためには一切の保護条約というものにある程度の関係をつけている。アメリカの毛皮商を保護するために、日本の漁民がああした食うための魚族までもやられながらみすみす黙ってなければならない。しかも最近においてはやむにやまれずラッコ、オットセイをとったために法律に触れて、そうして罰金を何十万、あるいは船を没収する、漁具を没収すると、こういうようなみじめな、国内法にしばられておる。一日もこういうふうな不平な条約は改正しなければならない。これはわれわれが長年主張しておるのであります。マッカーサー・ラインが撤去され、そうして日本の漁民は自由に公海において漁業ができると思ったところが、直ちに今度は日米カナダ漁業条約のような問題で領海を制定されたようなかっこうになっておる。ラッコ、オットセイなんか日本の領土のどこに住んでおるのですか。日本の動物じゃないんだから、これは外国の動物にまで日本が国内の漁民を圧迫して保護法を作らなくちゃならないという理由はない。ですから早くこういうものは改正しなきゃならない段階に来てるんですから、それを国際的な紳士条約として一応日本は自粛するという態勢で今までやって来ておるのです。かれこれここで五、六年も辛抱してるんですから、これを解除してもらわなくちゃならない。そして何も乱獲するというのじゃないのです。日本側の自粛態勢から言えばアメリカ、カナダ、あるいはソ連とこの三国と日本は一カ年何万頭とるとか、何千頭とるということの仮定のもとに条約を結ばれてもいい。あるいはその期間内といえども、調査して何千頭かとらせなければ日本の漁民はやっていけませんよ。魚族がどんどんやられていく。逆にラッコ、オットセイが何万頭かふえておる。金華山沖から三陸北海道にかけて日本の魚族がどれだけ食い荒されておるかということは、すでに皆さん十分承知しておられる。私は、こういう国内法で日本の零細漁民がアメリカの毛皮商を保護するために苦しみながら何もできないというような法律は改正してもらいたい。あるいは、それを改正の前提として今のラッコ、オットセイの漁獲に対する一つの方法を考えてもらいたい。これに対して、水産庁長官としては一体今年はやはりがまんしていかなければならないのか、あるいは何頭かは折衝の結果において捕獲できるかどうか、その点の交渉はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/47
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048・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) オットセイの条約につきましては、これは明治四十四年からやっておりました。そしてソ連、カナダ、日本アメリカと四カ国で昔からの条約があったわけでございますが、これが先ほど申し上げましたように、日本側が廃棄いたしまして現状に至っておるわけでございますが、これにつきましては、われわれといたしましても、国際的な問題といたしましてできるだけ早く条約を結んで、そうしてそれによりまして、正当な形におきまして、また国際的に資源保護の立場からいたしまする正当なる理由づけのもとにやって参りたい、かように考えて条約の促進を種々交渉いたしましたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、カナダの関係におきまして、本年の十一月ごろが条約の交渉の開催日として予定されておるわけでございますが、これにつきましては、いろいろ先般の共同調査に基きまするデータのほかに、海上捕獲の問題としてわれわれはいろいろなデータもさらに用意いたしておるわけでございます。この十一月の条約交渉を控えておりまするので、本年度におきましては自粛していただきまして、またわれわれも自制しまして、そうしてこの条約によりまして、……その交渉を通じまして、正当に海上捕獲ができるように努力いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/48
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049・千田正
○千田正君 自粛するのは、まあ将来の日本の漁場獲得のために、あるいは国際的な観念の上から必要だというのであればあえて何も言いません。しかしながら、自粛の陰には幾多の零細漁民が泣いておる。漁業として一つの生業としてやってきておる人たちが泣いておるという事実は現実にあるのです。しかも国内法を作られたために、五頭や十頭のものをとっただけでも直ちにつかまって裁判にかけられて何十万円という罰金を課せられる、こういうことは私は実に嘆かわしい。今も言うた通り、外国の、これはもうほんとうによく調べていただけばわかる通り、アメリカのラッコ、オットセイの毛皮を商売にしているのは、わずか十社か十五社ですよ。それが世界のマーケットをモノポライズするくらいの仕事をやっておる、その片棒をアメリカの政府がかついでおるにすぎない。そういうことの犠牲になって日本の漁民は泣いていなければならぬということは耐え得ない。私は何もアメリカを排撃するとか、どこを排撃するとかいうのではない。そのために国内の漁民が泣いておるというこの現実に対して、われわれは早くこういう問題を解決しなければならない。どこかの動物を保護しなければならぬというのならば、いつもわれわれが言う通り、どこだって、アフリカのライオンであれ、朝鮮のトラだって、日本で保護法を作って保護しなければならない、こんなばかなことになっちゃう。こういう国辱的な法律を改正しなければならない。一日も早く急いでいただきたい。これは特にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/49
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050・青山正一
○青山正一君 このラッコ・オットセイのこの法律は第一回国会におきまして水産委員会の初めてのこれは議案だろうと思うのです。アメリカの占領中のときに向うさんから非常な圧力が加わってこれはできたものだろう、こういうふうに私は解釈してよかろうと思う。それまで日本は一方的な法律であって、ただいま千田さんのおっしゃったような意味合いの法律で進んでおったわけなんですが、占領中の第一回国会において、水産委員会の一番初めの議案において、これが検討されて無理押しに強姦されたというようなかっこうになっておるのですが、この点についても私どもなり、当時社会党におりました丹羽五郎、これはラッコ・オットセイの会長でありますが、こういった大方議員の連中もこれは非常に反対しておったのですが、うやむやのうちにこれは通されたというかっこうになっております。そういうような意味合いからして、現在はほとんど占領的な建前から抜け切っておるわけなんですから、その意味合いからして、もう少し強い気持で政府が進んでいただき、どうしてもそれができない場合には、場合によれば、これは農林水産委員会としてもこれは決議でもして進んでいかなければならないほどの重大な意味を持つものだと私はそういうふうに解釈しております。そういった点をよく考慮して、一つこの次の国際会議には日本の建前をよくはっきり鮮明していただきたいということを強く希望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/50
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051・千田正
○千田正君 もう一点最後に、これはいつまでもあれしておる、ぐずぐずやっておるならば、日本の立場においてこれは戦前においても一方的に廃棄しておる、日本側がもう条約に参加しない、一方的に廃棄しておるのですから日本側の立場において自由に捕獲する、そういうわれわれとしましては、こういう国内法を政府として保存しておくというならば、われわれの委員会で皆さんとお諮りして、こういう屈辱の条約というものはわれわれは一方的に廃棄してもいいし、そういう法律はこの際放棄して差しつかえないと私は思う。真剣になって日本政府がこの問題は取っ組んでもらいたい。こういう国辱的なかつての占領下におけるところのまるで何といいますか、戦敗国民は黙って言うことを聞け、毛皮でおれたちはもうけておるのだからその残滓をお前たちにやるのだから黙って聞いていろ、こんな法律は日本の国辱であると思う。真剣になってこの問題はやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/51
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052・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 十一月の条約の交渉を控えてわれわれもいろいろデータをとっております。そして問題は海上捕獲の問題、それから資源の問題等につきまして御趣旨に沿いまして十分交渉いたしたい、努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/52
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053・森崎隆
○森崎隆君 水産庁長官に一言なおつけ加えてお願いしておきますがね。先般の共同調査というときも、あれは対等の調査じゃないのですがね。調査をするために相当射殺したラッコ・オットセイ問題ですがね、あの毛皮はアメリカさんの方に全部吸い上げて持っていかれちゃった。こんな共同調査というものはない。私らに言わせると、もう少し自主的な立場において、さっき千田委員の強調されたように、日本の立場というものを考えて、特に日本の水産業というものに対してこれを庇護し援護するという態勢をとるならば、それだけの立場をとってもっとこの問題についてはわれわれとして打つべき手が政府にあるのじゃないか。ですから、これはアメリカさんの言いなりになる点が水産界については多いのですが、この問題だけは一つ正当論を主張していただきたい。決して無理をする必要はない、正当のものを御主張いただきますれば当然の結果として千田委員また他の各委員が申されたような妥当な線が出てくるわけなんですから、これが最も中正な私は意見だと思うのです。ですからそういう観点に立って今から十分腹をきめて一つこの問題の処置をやっていただきたい。特に一つつけ加えてお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/53
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054・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 御趣旨の点はわれわれもそのつもりでいろいろデータを集めております。ただ共同調査の結果の毛皮の問題は、共同調査をやりました費用の配分、費用の分担率に応じまして毛皮の収入を按分いたしております。日本に対しましては百二十枚の割合で金が来ることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/54
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055・森崎隆
○森崎隆君 小さな問題ですけれども、その毛皮を売却した売却料がどうだこうだということではないのです。一応猟獲物そのものを当然の権利として公平に配分するならわかる。現物が問題なんです。それを金に換算させられるというところにこの問題の根本の問題があるわけです。全部そうなんでしょう。アメリカの一商社が一手販売でやっているのですよ。そこに問題があるのです。そこの原理、原則というものをもう少し考えていただいたら今のような御説明はそれは私は長官としてはしない方がいいと思うんですがね、その点よくおなかにおいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/55
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056・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 長官に一つ考えてもらいたいのだが、今私聞いておって、実は青山、森崎各委員から言っているが、独立国として三年もたって、まだかような問題を残されたということでは、独立国はどこにあるかというふうに、国民はこんなことを聞いたら疑うと思う。そこで長官の答弁を聞いていると、しっかりやる、しっかりやると言うその先から糸をほごすようにくずれてしまうという傾向がある。今青山委員からは、農林水産委員会の全会一致の決議をもって、屈辱的なかような条約は排斥して、独立国として対等な立場をとって、漁民の保護をすると同時に、日本の漁業権に対して、独立的な態度をはっきりさせるまことに好時期であるという御主張を聞いたが、私はそれが当然であると思う。今の長官はアメリカの長官ではなし、また占領国の長官ではない。日本の農林省におけるところの長官で、日本のあらゆる漁業水産面をあずかっている人としては、もっと毅然的態度をもって、この委員会の委員の皆さんの意見を体して、あくまでも独立国の職責を全うして、十分にこの主張を主張いたしますと、このくらいの決意をここに委員会に言ってもらわなかったら、ここにいるわれわれにしろ、あの正直な漁民がほんとうに今日国政に協力する機運が出ませんから、長官の決意を一つはっきり、自分があくまでも職を賭してもこの問題は解決するというぐらいの信念を一つ披瀝願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/56
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057・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 十一月に条約交渉がございますので、従来の日本側の主張は、海上捕獲をやるということでもっていろいろデータを作っているわけでございますから、その主張に基きまして十分に条約交渉をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/57
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058・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/58
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059・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 速記を始めて。
これで休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後一時四十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/59
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060・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ただいまから委員会を再会いたします。
ノリの輸入の件を議題といたします。韓国ノリ輸入の問題につきましては、先般当委員会で問題といたしましたが、その後外貨の割当並びに輸入方式等についてどういうような経過になっておるか、その点を通産省当局から説明を聞きまして、それから質疑を行いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/60
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061・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 韓国ノリの輸入につきましては、先般本委員会におきまして御質疑がございましたが、私どもとしましては、その後慎重に検討を加えておりましたのでありますが、昨年来ノリ需給調整協議会の御意見を承わりながら、われわねとして検討して参っておりますが、いろいろ本問題の処理がむずかしい問題でございますので たとえばAA制であるというような御意見があったのでありますが、日本といたしましては、先般も御意見ございましたように、一億枚程度の線で外貨割当をやって参りたいという考え方をとっております。ただ問題といたしましては、絶対量の問題につきましては先般も御意見ございましたように、これは一つの重要な要素でございますが、個々の割当をどういたしますかという点につきましては、いろいろまあ輸入いたします場合に、その物資の状況なり、相手国の事情なりによりまして、輸入業者の実績あるいはその他の条件を考慮しまして割当をいたしておりますが、輸入実績でやるということは、必ずしもこれは絶対の議論というわけにも参りません関係上、その間の事情を考慮いたしまして、一部は輸入実績を考え、一部は先方からノリの輸入ができまするファーム・オファーをとった人に対しましては、申請の量に按分して割り当てるというような行き方をいたすことが、諸般の状況からみましてやむを得ない線ではないかというふうに考えて、目下具体的な検討を進めている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/61
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062・森八三一
○森八三一君 先般の委員会で大体通産当局の方針ははっきり御回答があったものと私は了承し、最後に希望を申し上げたと記憶いたしておりますが、ただいまの次長のお話は、そのときのお話を受けて、数量的には農林省で調査をせられ、国内生産の数量と需要の実態をかみ合せますると、現在の段階においては、とりあえず一億枚程度が適当であろうという結論が出ておりますることと、かねがね通産当局に御指導願って設けられておりまする協議会の意見も同様、目今の情勢においては一億枚が妥当であろうという答申をいたしておる、その二つを勘案いたして一億枚という絶対量については措置をする考えであるが、その具体的な外貨の割当については、過去の実績者だけではなくて、いろいろの事情がございますから、何か話を聞いておりまするというと、非常に拡大をして、新規の輸入業者、取扱い者を認めるというようなお話のように伺うのでありますが、外貨の割当についてもう少し詳細なお話をしていただきたい。私の受け取ったように、むずかしい事情があるから、実績だけではなくて、申請をしたものの申請液量に按分をして全体を認めて行くというようなことでありまするかどうか、その辺を明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/62
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063・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 輸入実績でやりますることは、これは貿易の外貨割当の際にいろいろのケースがございまして、必ずしも一律ではございませんが、根拠は、特別の事情がない場合、輸入の実績によるということが通例行われているわけであります。ただ、まあ今までも、いろいろのケースがございますが、特殊な事情、特に韓国等の場合におきまして、大きな商社が非常に大きな実績を持っている。今まで取引きの量というものが、民貿以来五年間やっておりますけれども、いろいろそのときどきの行き方でやって参っておりますので、そういう場合に、実績が百パーセントウエイトを持つという行き方も必ずしも適当でないという見解も相当理由があるわけでありまして、私どもとしましては諸般の事情を考えまして、実績で参ります分と、それから一部は申請で参ります分を併用して参りまして、一人当りの最高の割当獲得量の限界をおきまして、その辺で今回の分は実施いたすことが一番妥当ではないか、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/63
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064・森八三一
○森八三一君 その結果は私の想像をいたしておりまするように、取扱い業者の数が相当にふえるという結果に相なると思いますが、今の次長の御説明の結論は、そういう結果になるかどうかということを一つ御説明いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/64
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065・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 体制といたしましては、やはり新規の人が相当入ってくる可能性はあるかと思います。現在実績者の数は、数から言いますとやはり相当量、百人ぐらいおったかと思いますが、その中で実績の大きい人はごく数が少いのでありまして、今度のかりに制度を実施いたしました場合に、ものをとれない、たとえば経験もないし、取引きもできないような人がかりに申請いたしましても、これは注文をとることができないわけでございます。これは先ずそういう人が出てくることはないと思いますが、注文をとりますればだれでも申請ができる、申請量が割当の予定を超過いたしました場合は、これは按分で分ける以外に公平な方法はないわけでございますから、按分で分けることになると思いますが、その結果は人数がどのくらい殖えますか、現在でも相当、数としましては多いのでございますが、その範囲の中の方が相当量お取りになるか、その辺はちょっとふたをあけてみないとわかりませんわけであります。態勢といたしましては、新規の人も相当入り得る態勢になっておりますから、あるいは若干ふえるかも知らぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/65
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066・森八三一
○森八三一君 そうすると、そこで基本的な態度をお伺いをいたしたいと思うのですが、それは三月三十一日に、次長もこの席においでを願って、当委員会では油の問題を取り上げて質疑をいたしたのであります。そのときに通産当局の御方針を明確に説明をされております。ここに速記録もありますので読んでもよろしいのでありますが、これはおそらく通産当局の基本的な態度として従来も堅持されて参り、今後もこの方針で行くのだということを明確に言っておられる。「商社の強化というものは」、その前は「今よく言われます商社の強化といいますか、そういうことをやはりやっていかなければいけないのではないかというように考えるのであります。商社の強化というものは単に石油だけでなくて、あらゆるものにつきましてももっと商社を強化しなければ、日本の輸入なり、あるいは輸出というものはなかなかうまくいかん」、こういう態度で通産当局は輸出入貿易に臨むのだと、こういうことを明確に言っておられる。ノリについてはその基本原則を今くずすということをお考えになっているように伺うのでありますが、くずさなければならぬ必要性がどういうところにあるのか、もしこれが今後の通商当局の基本的な態度としておとりになるということであれば、油の問題等についてもその他たくさんあります。われわれはさらに今後新しい問題にいろいろ議論を展開せにゃならぬというようになるのでありますが、その基本的態度について、何だかこう基本的な態度ははっきりしておるが、いろいろのむずかしい事情がありますので、ノリは特別だというふうにも聞えるのであります。だとすれば、ノリの特別にむずかしい事情のありまする点を納得の行くように詳細御説明をいただきたい、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/66
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067・大堀弘
○説明員(大堀弘君) お話の通り、商社強化ということは私どもとしましては、一般論としましては今日でも同じ考えを持っておりますが、これは割当の技術といたしまして、ノリもたまたま一例でございますが、非常に利益が多いと考えられておるために、非常に申請者、希望者がたくさんおる。ことに韓国貿易等につきましては、昔の大陸貿易と同じように、やはりその専門の商社といいますか、国内取引と同じように一般的に行われる傾向もあるわけでございまして、そういう場合に従来民貿開始以来やっておりますのが、大きな商社数社が非常に大きな実績を持っておる。それでこういった非常に利益があるかのような、私は現実にどの程度利益があるかわかりませんが、相当利益のありそうなもので、大ぜいの方が希望しているものについて、これをあくまで今までの実績でやるということが果して適当かどうかという問題になりますと、これはもう少し広くやらせるべきではないかという御意見についても一分の理由があると考えられますので、その間の具体的な事情を考慮いたしまして、申請割りというものも、この本件につきましては相当考えなければならんのじゃないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/67
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068・森八三一
○森八三一君 そういうことにもなるであろうという心配があったわけで、昨年の、当時水産委員会でいろいろ論議がなされた結果、五月十日に当時の水産委員会は全会一致の決議をいたしまして、それを関係当局に申し入れをいたしたのであります。衆議院の委員会における決定は、韓国ノリの輸入は一切禁止すべしという強硬な主張であったのでありますが、当委員会も基本的な態度としては同様なことを申し上げておりました。がしかし、その当時における日韓貿易の実態、隣邦韓国との友好をさらに一そう深めていかにゃならぬ、李承晩ラインの問題その他をめぐって早急に解決をしなければならぬことなどもあるということを考慮いたしました結果、原則的な態度はさようであるけれども、きわめて例外的な措置として、国の要請に基いてどうしても輸入をしなければならぬという場合には、最小限度の数量にすること、それからそのことが国内における零細な多数の生産漁民を圧迫すると、その生産を萎靡沈滞せしめる、崩壊に導くということがあってはならぬので、生産関係諸君の十分な了解を得た上で実施をすべしという結論を得て、通産、外務その他の関係当局に意見の申し入れをいたしておるのであります。そのことを受けられまして通産当局は、関係の生産者、輸入の業者など合わせて、調整協議会というようなものを御指導いただきまして、それができ上り、非常に円満に推移されて来ておるのでありますが、今お話のように通商貿易の基本的な態度としては、商社の強化ということを考えて行くという基本的態度には変りはないが、ノリについてはそういうような基本的態度にもよりかねるので、ある程度新規なものも認めるという臨機の処置をとりたい、そのおとりになる場合に当院の水産委員会が全会一致で決定をして通産省当局に申し入れをし、その旨を受けて今日まで非常に御苦労を願って来ておるこの需給調整協議会の関係は今後どういうように御指導になるつもりなんであるか、その辺の考え方を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/68
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069・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 実はこのノリの需給調整協議会は昨年の夏に設立いたしましてから、実は私が関係いたしておりまして、皆さんの御協力を得てやっておるわけでございまして、私といたしましては、ノリ需給調整協議会の意見を最大限度に考慮して参りたいという考え方は今日も変っておりません。今後におきましても、私としましてはできる限り御意見を尊重して参りたいと考えておる次第でございますが、今回の問題につきまして、私は一億枚という量の問題は、これは生産者に対して決定的な影響のある問題でございますので、この点は御意見通りに処置いたしたいと考えておるわけでございますけれども、輸入の割当の問題になりますと、これは先ほど申し上げましたように、百パーセント実績で行くのがよろしいのか、あるいは一部が競争でやれる場合もあけておくということがよろしいかということになりますと、これはまあ絶対の議論はできない問題でございますので、先ほど申し上げました理由によりまして、そういった方法を併用して参る以外にないんじゃないか、その場合にもし新しい輸入業者の方が実績をとられたり、そういう方がもし割当をとって輸入された場合に、こういう方に対しても将来は需給調整協議会に協力していただいて、一緒になって韓国ノリの輸入が円滑にできますように協力していただくということにお願いしたいと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/69
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070・森八三一
○森八三一君 調整協議会というものは、別にこれは法律に根拠を持っておる団体ではないので、今お話のように希望をする、期待をすると、こういうことでありましても、必ずしも割当を受けた取扱い者がその協議会に参加をする必要はないというような問題にも私は発展して行く危険がありはしないかということを心配するのであります。そうなりますると、生産者の意見も十分聞いて、このことが円滑に進められて行くようにしていくべきであるという当委員会の趣旨が、そこで乱れてくるという結果が生れてくるおそれが多分にあると思うのであります。とすれば、むしろこの際は通商当局の輸入貿易に関する基本的態度をそのままぐっと押し進められましても、決して支障を起すことはないというように思われるので、あえて例外的な臨機の措置をとる必要はないように思うのでありますが、臨機の措置をとることが必要であるという限りにおいては、かねがね御心配をいただいておる協議会の趣旨が十分に達成されるような形でなければならぬと思うのであります。そういう点について通産当局は責任をもって処置するというように言い切れますかどうか、法律に根拠を持っておらぬ協議会のことでありますので、その辺はどうお考えになっておるのかを承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/70
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071・大堀弘
○説明員(大堀弘君) これは私どもとしましては、強制的に加入をしろということは行政的には現段階では参らないと思うのであります。あくまでも皆様の御協力を得てそういう方向にしていきませんと、結局韓国ノリの輸入はやはり円滑に行われない結果になるのであります。それはお互いの、またやっておられる方からいえば工合の悪いことでもありますし、従いまして、そういう意味で今後はやはり一緒になって協力してやっていただきたいという指導といいますか、行政指導の方法によりまして進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/71
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072・森八三一
○森八三一君 建前としては私はもちろんそういうことであろうと思いますが、通商の基本的態度はあくまでも商社の強化ということであって、数をふやすということは賛成しないということをはっきり万般の物資について述べられておるのであります。それをこのノリの場合には実情にかんがみて臨機の措置をとろうというのですから、その臨機の措置をとることが国内における流通過程なり、生産の方面にまで悪影響を及ぼすということでありまするならば、その臨機の措置はとるべきでないという私は結論を得られていいと思うのです。だから、もちろんこれは行政的な指導でありまするが、臨機の措置をとる限りにおいては、そういう国内の混乱を巻き起しませんという約束の上に立って行わるべきであって、その約束がない限り臨機の措置をとるべきじゃない、こう思うのでありますが、そういうきぜんたる方針がおとりになれないのかどうか。もしとれないとするならば、これはあくまでも基本的態度として商社の強化という一線で進む方が、当局の貿易に関する方針を堅持をして、正しい方向が示されると、こう思うのでありますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/72
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073・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 先ほど申し上げましたことに戻るわけでございますが、私どもはやはり商社強化ということは一般論としましては考えておるわけであります。また具体的ケースによりますと、必ずしも実績でやるということが適当でないという結論が出ます場合が今回に限らずあるわけでございますが、そういう場合はやはり結局何といいますか、くじ引きできめるといいますか、あるいは申請によって按分で分けますか、こういったことになるわけでございますが、お話の点もよく私どもも了解できるのでございますが、本件につきましては諸般の事情を考えまして、その辺の措置が適当ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/73
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074・森八三一
○森八三一君 その諸般の事情、諸般の事情というそれがどうもぼやけてしまうのですが、去年の輸入についても何ら支障はなく円滑に行ったんです。それをあえて通商当局の原則をここに曲げて、新しい外貨の割当をおやりになるということなんですから、その結果が昨年と同じように、国内における流通過程というものは円満に推移するということが確保されなければおかしいと思うのです。そのことのために当局の御指導によって協議会が生れたのですから、その趣旨が生かされて行くという方向が確保されないという前提に立って臨機の措置をとるということは、これはどうも私には理解しかねる。もしそうだとすれば、その裏面にはもっと我々は議論をしなければならなぬ不明朗なものがあるということまで、これは想像したくはありませんけれども、そうなってくる。でありまするので、特にノリについては実情をかみ合せて、基本原則を離れて臨機の措置をとるということであるとすれば、その臨機の措置に包含されてくるものが需給協議会のメンバーとして国内の流通過程に混乱を巻き起さぬということを約束したものだけに限られるということは、私は当然の措置だろうと思うのですが、それができないというお話ですが、形式論としては法律に根拠を持っておらぬ協議会だかから、こうおっしゃるけれども、事実としては臨機の措置をとるのですから、そのくらいの措置は行政措置として当然考えられて然るべきである。それが考えられないということであれば、国内の生産に悪影響のある方法についてはわれわれは承服できないという結果に戻ってくるのであります。もう少しその辺をはっきり御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/74
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075・青山正一
○青山正一君 ただいまの森委員のお話に関連しまして私からもお聞きしたいと思いますが、先ほどから諸般の事情、こういうふうなことを数回にわたっておっしゃっておりますが、それはその裏面に何か政党とか、政治的な圧力のもとに、たとえば新規企業者をふやさざるを得ないというような事情にもなったというような意味も含まれているのじゃないかと思うのですが、そういう点はありますか、どうなんですか、その点。それからもう一つは、先ほど森さんがおっしゃったように、昨年の五月の通常国会におきまして、衆議院の委員会におきましては絶対に禁止すべきである、こういうふうな結論を出しましたのですが、私どもはやはり国際情勢なり、あるいは日本の貿易とか、あるいは韓国とのいろいろな情勢の関係からして、生産者の納得するような方法ならばこれはやむを得ないのじゃないか、納得する方法でやるならば輸入を許可してもいいのじゃないかというような結論を出したわけでありますが、その結果、需給調整協議会というものができまして、そこで生産者も加わって、大体日本のいわゆるノリの時期はいつ頃からいつ頃か、韓国から入れるべき時期はどういう時期か、あるいはその値段はどうなるというようなことが、この需給調整協議会で生産者をまじえていろいろ検討されておったわけでありますが、ところがこれが申合せ的なものである。だからそういうことはおれらの知らないことだということになればそれまでのことであって、何ら権威のない団体でありますからして、ことに新規企業者を本年度は五〇%ふやす。半分は前の実績のあるもので、あとの半分は新規企業者である。そういうことになりますと、新規企業者が需給調整協議会に入らない。私は新規企業者がいかにふえましょうとも生産者が納得するものであればけっこうだと思う。そういった意味からいえば、このノリの問題にしましても、あるいは韓国の鮮魚の問題にしましても、たとえば水産団体の大日本水産会はどんな意向を持っているか、こういうことを通商局自身がいろいろお話になって、サバが多いから輸入してもらっては困る。しかしブリとか、サワラの場合はどうだろう、時期的にはどうだろうというふうなことで、生産者が納得すれば私はいいのじゃないか、こういうふうに考えておりますから、その点よく御研究願いたいと思います。その辺のことを森さんの問題に関連しましてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/75
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076・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 諸般の事情につきましてお尋ねがございましたが、ノリの問題につきましては私どもにはこれはいろいろ意見はございます。これは業界にしましてもそれぞれの立場の御意見もあるわけでございます。別に私どもは政治的圧力にどうしてということはございませんが、諸般の事情を考えまして、ここは適当であると私は信じている次第でございます。なおただいまお尋ねの需給調整協議会の一番大事な点は、やはり輸入数量を幾らにするか、これはもう直接国内の生産に影響がございますので、この点は私どもとしては十分考慮して参りたいと思っております。同時に、もう一点は、輸入時期の問題につきましても、生産期である十一月乃至四月に入れるということは、非常に影響が大きいのでございますから、その期間に入れない、端境期に入れるんだという点につきましても、十分御意見を尊重いたしまして、四月までは輸入を差し控えて参っておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、誰に入れさすかということにつきましては、これはちょっと絶対的な議論はできない問題ではないか、従いまして、その点につきましては私どもも需給協議会の立場を最大限度に考慮いたしまして最後の案をきめたいと思うのでございますが、その点につきましては一つわれわれの立場も了承いただいて、需給調整協議会としてもその辺は御了解をしていただきたいとお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/76
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077・千田正
○千田正君 私途中から来たんだけれども、今の話を聞いていると、諸般の事情によって、今度協議会以外の人たちにも割り当てようというお考えらしいですね。諸般の事情というのは何ですか。はっきり言えば、金力か、権力か、暴力か、その圧力によってあなた方は屈服しなければならないという結果を来たしたということなんですか。私は率直に言いますよ、どうなんですかそれは。というのは、昨年水産委員会が政府に向って魚の輸入を絶対に禁止するということを、われわれは決議を出して政府に申し入れた。そのときあなたが来て答弁したことは、そういうことなしに、何か生産者と消費者と、それから輸入業者の間に協議会を作って円満にこの問題を解決したい、そういうことで、申し入れたわれわれに対する答えとしては、国内の生産者もそれから貿易業者もそれから販売業者も、円満な解決をしたい、こういうことを昨年堂々とあなたは委員会で述べて、そうしてこの協議会において円満に解決をつけたわけです。今年は協議会は無視して、新しく諸般の事情によって協議会以外の人たちにも割り当てなければならないというその理由をはっきり言って下さい。そういうことであるならば、われわれはもっと基本的な問題であなた方に申し上げたい。生産者の犠牲においてそういうことをやるというならば、われわれとしては考えがあるのです。一体どういう諸般の事情なんですか、はっきり言ってもらいたい。権力ですか、暴力ですか、金力ですか、どちらなんです。はっきり答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/77
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078・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 金力でも暴力でもございません。先ほど来申し上げましたように、これは実績の問題ということは、私どもとしてはこれは絶対の原則であるということは言えない問題でございますので、先ほどお見えになる前に申し上げたのでございますが、非常に利益が多いといわれているこういったものにつきまして、実績者の中で相当大きな方が数社で相当の部分を占めてしまうというようなことにつきましては、かなりやはり反対の御意見が出るのも一部の理由があるわけでございまして、その辺もやはり業者といたしましては勘案して参って行かなければならない点でございますので、そういうような点を考えまして、私どもとしましては両方の方法を併用することがこの際の解決としては妥当ではないかというふうに、私の判断といたしまして考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/78
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079・千田正
○千田正君 午前中私は外務当局に話したんですが、これは単なる通産省だけの問題でなく、少くとも韓国との間にこういう問題を解決するためには、一方においてはいわゆる李承晩ラインの撤廃の問題、あるいは竹島の占拠の問題、あるいは操業中に拿捕された船舶の問題、しわ寄せは全部この漁民の方へかかってきている。そういう問題を解決するところの一つのテーマとしては、この韓国のノリの問題というものは、ある一面において外交問題とうらはらの問題である。そういうことを考えながらあなた方がやっているかどうかということを、まず第一に私は心配しているわけです。最近この問題でちまたのうわさを聞くというと、あたかも金をばらまいて政府の要人を買収したかのごときうわさが飛んでいる。だから私はさっき率直に金力か権力か暴力かと言って聞いているんです。私どもは長い間この韓国との問題を、どうしたならば漁民が自由に公海において操業できるかということについて心配をし続け、交渉し続けているのであります。かりにこれが韓国のノリや何かの輸入によって韓国との間に親善関係が結ばれ、あるいはそうした今までの閉ざされた韓国との間のこういう問題を解決できるというならば、あるいはあえて甘んじてそういうことも考えましょう。しかしながら、一方においては閉ざしておいて、そうして片っ方においては漁民の犠牲においてこういうものを輸入しなければならないということは理論的に成り立たない。私はそういう意味において、あなたはどういうふうに考えておられるか、外交とこれはうらはらによってやって行けるかどうか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/79
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080・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 韓国との貿易の全体の問題につきましては、ただいま御質問の趣旨の通り、私も韓国に対しましては、日本から御承知のようにほっておけば物はどんどん出る。しかしながら先方から買うものがないために、結局累積債権が四千七百万ドルにも推積している。それは今日のその他の政治的な条件もございますが、貿易が停滞している一つの理由でございまして、私どもといたしましては、韓国の物資の買付については、その他の政治的な条件は別としましても、経済打開の意味において大いに促進をいたしたいということで、昨年来私も非常に微力ではございますが、この点については非常に努力して参っておりまして、米の問題その他につきましても、だんだん打開の線に近づいて参っておると考えておる次第でございます。その点はお話しの通りで、あるいは韓国物資の輸入を促進するということは非常に重要な問題ではないか、ただノリの場合も同様でございますが、水産物、魚の場合も、あるいは韓国のメンタイを入れます場合におきましても、あるいは農産物の、たとえばかますを入れます場合、こういった場合の個々のケースをとりますと、かなり国内の産業、農業、その他との利害に対立する場合が出て参るわけでございまして、これらの点は相当考慮をしなければならぬと思いますが、大局から見ますれば、私は大いに輸入を促進すべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/80
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081・千田正
○千田正君 あなたの議論に一歩譲って、そういうふうに考えても、私どもは韓国との間に一日も早く親善外交ができるようにこれは望んでやまないんです。もちろん日本の国民の誰しもが望んでいるんですが、ただ私はこの際、せっかく昨年でき上った協議会によって、国内のこうした生産者、あるいは貿易業者、あるいは販売業者の一貫した協議会によって、スムースに韓国からのノリの輸入が最末端まで届くような一貫した一つの協議会が持たれているのにかかわらず、新しくそれをあたかも乱すような方法をとるという理由は、どうもわれわれは腑に落ちない。何かそこにあるのかと、さっきから森委員も、それから青山委員も質問しているんです。諸般の事情、諸般の事情という諸般の事情に隠されている。私はあなたをいじめるのはまことに気の毒でしようがないんですが、この諸般の事情を説明できるのはあなた以外にありませんか。誰かほかにありますか。どうも諸般の事情というものはいろいろある。どうもその諸般の事情というものをあなたがわれわれに申し開きができないとするならば、まことに不明朗なことであって、われわれ委員会としては、これを勝手な、この協議会以外に割り当てるなどということに対しては承服できないんです。農林水産委員会としては農林水産委員会の立場から、この点は弱く政府に要望しなければならないと思いますが、諸般の事情というものは、今まで御説明になった以外には、あなたはこれ以上に御説明できない、こういうわけでありますか、その点を一点聞いておきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/81
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082・大堀弘
○説明員(大堀弘君) 私以外のお方でもお答えができると思いますが、この問題につきましては非常にむずかしい問題でありまして、私も下僚まかせにいたしておりません。これは私の責任で今日までやっております。ただいま申し上げましたことも私の判断で、私の考え方を申しておるわけであります。諸般の事情につきましては、先ほど来申し上げました通りで、私としましてはそれが適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/82
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083・千田正
○千田正君 水産庁長官にお伺いしますが、今通産省の大堀次長からの御説明によるというと、諸般の事情で今までの協議会の持ってきたところの基本的な線がくずれようとしておる。それで国内におけるこうした問題に対して支障を来たさないかどうかへ水産庁長官はどういうふうに思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/83
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084・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 水産庁といたしましては、この前申し上げましたように、数量なり時期なりの基本線はこれは堅持いたしております。ただいま通商局からもいろいろ御説明がありましたが、通商局も先ほどもお話がございましたように、輸入と国内の生産、流通との円満な運営という面からいたしまして、韓国ノリの需給調整協議会に対しては、できる限りの行政指導をもってこれを育成して行きたいという気持はお変りはないと思います。ただ先ほどもお話がございましたように、これは法制に基く基礎でございませんので、行政指導をもってそういう方向にやって行きたい、私は通商局の御意見もそうであろう、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/84
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085・千田正
○千田正君 行政指導が徹底しないから生産者側からこういうような要望が出てきているのでしょう。行政指導では、あなた方の行政指導が順序よく正しく徹底しておるならば、今日のような事態が起きてこない。私はそう思いますけれども、諸般の事情とか何とか隠れた事情がある。こういうような問題が出てくるのは、われわれははなはだ不愉快である。去年御承知のように一応の一つの協議会が持たれて、そうしてそこにちゃんとした行政指導ができていれば今日のような問題は起きてこない。生産者は不満である、反対であるということをはっきり言っているのですから、水産業の組合員連中は、協議会に対しては、今度のような割当に対しては、協議会のメンバーが十分納得の行くようなやり方ならばともかくとして、通産省が今までの割当とは違って、メンバーでもなかったものに対して外貨の割当をするということは不賛成であると、はっきりそういうことをわれわれに陳情してきている。そういうことは行政指導が徹底しているとはわれわれは言いかねる。それをどういうふうにスムースに軌道に乗せて、その人たちを納得させて行けるか、そういうことに対して自信があるならば私はお答えを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/85
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086・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 先ほども申し上げましたように、私、水産庁といたしましては、数量、時期を押えておるわけでありますが、具体的にこれをどういう業者に輸入するか、あるいはその輸入の割当の方式をどういうようにとるかということは、通産省でもちろんいろいろ御意見があると思います。ただ水産庁といたしましては、この韓国ノリの需給調整協議会を育成して行きたい。こういう気持は十分持っておるわけでございまして、これに対しましては通産当局といたしましても御異論がないことと思います。ただこの新規のものが出た場合にはどういうようにするかといいます場合に、法律的にこれを強制加入させる方法はないわけであります。できるだけ両省協力いたしまして、その加入を行政指導でもって奨励して行くとか、できるだけの努力をいたしたい、こういうことを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/86
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087・千田正
○千田正君 それじゃこの三者とも納得されておるのですか。今度のあなた方の行政指導に対して……。納得していないから、われわれに対して陳情書がきておるのですが、納得しておられるというならば、それでけっこうですが、納得しておらぬ。そういうことは納得しておられますか、あるいは納得させるだけの自信がありますか。その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/87
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088・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 実はこの具体的な方法につきましては、まだ協議会からも具体的に私の方に対していろいろお話は、私まだ承わっておらないのです。ただ通産当局の方とのいろいろなお話合いがあるということを漏れ承わっておるわけです。従いまして水産庁といたしましては、先ほど申し上げましたように需給調整協議会は、これは生産、流通、輸入というものを一貫した一つの組織でございまして、これを育成して参るということは、これは国内の生産、流通にも非常に好影響であるということを考えておりますので、そういう意味におきまして、そういう気持を持っておることをよく申し上げたわけであります。具体的にこの協議会とどういうふうにこの問題について話し合ったということには、まだなっておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/88
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089・青山正一
○青山正一君 前国会において通産当局から、生産者団体を入れて何か協議会を作ってやった方がいいのじゃないかというふうなことで、今の次長さんの下におられる課長さんから、酪農の問題を例にあげて御説明を願ったわけです。それで、私どももこういった需給調整協議会ができ上って、そうして国内の漁業生産者、こういった関係のものが中に入っちゃって、それに関連を持って行けば非常にいいじゃないかということで、この設立に対しまして非常に賛成の意を表しておったわけであります。ところが一年もたたぬうちに、これらがほとんど力もない、ことに実績者もあまり入らないのに、今度は新規業者がたくさん出て参りますと、ほとんどこれも入らないというふうなことになりますので、一応こういった新規業者を全部需給調整協議会に入ってもらうという建前にして、それからあとに割当をやったらどうか、そういうような行き方でやはり指導していただいた方が一番いいのじゃないかと思うのです。その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/89
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090・大堀弘
○説明員(大堀弘君) お話は自然に入っていただくということかと思います。これは、なお考えさせていただきたいと思いますが、これは申請の場合にはまあ一応どなたでもやり得る建前になっておりますし、強制加入といいますか、そういうこともできませんので、行政的にちょっとそこまで参りかねるかと思われます。御趣旨の点は十分考慮いたしまして、私どもとしましてはやはり将来は需給調整協議会に集まっていただいて、協力してやっていただくということは、先ほど水産庁長官のお話しになりました通り、私も全然同意見でございますということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/90
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091・青山正一
○青山正一君 まあくどく申し上げるわけですが、このノリの問題にしましても、それから韓国の輸入魚の問題にしましても、私どもは、通産当局が、水産庁ばかりでなしに、生産者団体と、よく納得の行く方法で、たとえば、こういう時期には困る、こういう品種では困る、というふうなことを、よく忠言を聞き入れてやって、そうして、このものを、どの程度入れればいいか、あるいは悪いか、そういう点をやはりよく生産者団体と相談してやってもらいたい。そして生産者が納得が行けば、それでもかまわないじゃないか、方式はどうあろうともかまわないじゃないかという考え方でおりますので、そういう点一つお含みおきの上、今後処していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/91
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092・森八三一
○森八三一君 非常にくどいようでございますけれども、大堀さんは昨年来の経過をよく御存じのはずです。昨年申しましたように韓国ノリの輸入はいけない。阻止すべきである、ということが委員会の総意であったのです。が、それでは日韓の貿易を進捗せしめて行くために非常に支障があるということを懇々通産当局からお話しがあって、そこで、国内の生産者も取り扱い業者も納得のできるような方法を編み出して、その了解のもとに進めようということで、これは通商当局から御発案があって、入れる数量についても時期についても、国内における流通の問題についても、支障の起きませんように措置をするというお話しがあったので、われわれは原則はあくまでも原則として、韓国ノリ輸入禁止という一線は守っておりますが、そういう措置がとられるようになれば、その範囲内においてということで、一応の了解をしたという経過なのです。その御説明に基づいて、協議会ができた。そこで今お話のように、申請は自由、これはわかっております。申請することは自由です。が、申請したもの全部に許可しなければならぬという理由は私はちっともないと思う。申請したものには全部許可しなければならぬという理由はないと思う。それはやっぱり国内のそこが行政指導であって、去年お話のあったような生産配給関係者の内部に混乱を巻き起さないようなことを考えなきゃならぬと思うのです。考えるために協議会ができたのですから。その協議会に参加せず、勝手にふるまうということを前提にしておるものを新らしく参加せしめる必要は、私は行政的にないと思うのですが、それをもあえて押し切るということはどういうことなんですか。申請したものを全部許可しなければならぬということは私はないと思う。だから通産当局が御発案になった需給調整協議会の線に乗ってやって行く、国内の混乱を招来せしめないというはっきりした御確約のできるものだけに新らしい例外的な外貨の割当をおやりになるということで、決して何も問題が巻き起ろうはずはないのです。それをあえてゆがめられようとするところに、説明のできない諸般の事情というやつが登場してくるのです。それをはっきりなさったらどうですか。その辺はいかがでございますか。申請したものに全部やらなきゃならぬということはないでしょう。だとすれば、取捨選択が行われるのですから、その取捨選択は国内の流通過程等についても混乱を巻き起さないという見通しのはっきり立ったものだけに進めて行くということも、これは行政上の措置としては当然であると思いますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/92
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093・大堀弘
○説明員(大堀弘君) ただいまの御発言につきましては、私どもこの場で、ちょっと行政的にそういう措置がとれますかどうか確信がございませんのですが、なお十分検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/93
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094・江田三郎
○委員長(江田三郎君) いろいろこの問題については意見があると思いますが、今、森委員から発言がありましたように、ファーム・オファをとって申請したものをどうするかということは、これはただ単純に按分比例ということもありましょうし、あるいは将来の日韓貿易なり、ノリの生産なり、流通なり、大きな目でどうやったら一番そういう問題がスムースに行くかということを考えた面から輸入申請に対処するということもあり得るわけでして、まあその点はおそらく大堀次長の方も水産庁の方も同じようにお考えになっていると思いますが、何しろこれは法律に基かざる措置ですから、そこをあるいははっきり言い切れないというような事情もあるのではないかと思いまして、まあその点この需給調整協議会が生産、流通、輸入、一貫した円満なる調整なり発展をはかる機関であるとして、お二人ともこの調整協議会を発展さして行かなきゃならんということについては、はっきりおっしゃっておられるわけですから、この程度にしておいて、今後の通商局なり、水産庁のやられることを見て、さらに不適当な措置があれば重ねて問題にするようにしたらどうかと思いますが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/94
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095・千田正
○千田正君 委員長の御提案まことにけっこうですが、しかし私は承服できません。それはちまたにおいていろいろなうわさが飛んでおる。そういうことをわれわれ国会議員が黙って見のがすわけに行きませんからね。しかもその協議会というものは通産省自体が、去年いろいろな問題が提議された場合に、われわれが積み立てて作ってそうしてスムースにやるからということを委員会に報告して作ったのですよ。それをみずからの手で破ろうというようなことは、われわれは許すわけに行きませんよ。だからこの答えをきょうは聞かなくてもいいですから、これは大堀次長ができないとすれば、局長なり次官なり大臣なりからはっきりした答弁をしてもらいたい。次の機会に呼んでいただきたいと私はお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/95
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096・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 千田君のおっしゃるのは、諸般の事情というのはただ輸入の超過利得の大きいものを従来の業者だけが取扱うということでなしに、ある程度新しいものを入れてはどうかというだけでなしに、そこに政治的なあるいは経済的な、暴力的な圧力が加わっておるのが諸般の事情だというのですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/96
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097・千田正
○千田正君 そういうふうに、私はあるいは誤解かもしれません。しかしちまたのうわさにはそういうことがたくさん飛んでおる。そこで私はせっかく去年作られたものであるとするならば、それを強化する意味において申請する人たちはどんどん入れてやって、その取捨選択は自主的に、民主的に運営して行けばやれることなんです。それを協議会に入らないものに割り当てるというところに、私ははなはだ納得の行かないところの行政指導があるのじゃないかと、それを明確にしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/97
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098・江田三郎
○委員長(江田三郎君) そこで今、千田君のおっしゃる問題につきましては、もしさようなことがあれば、これはわれわれとしましてもゆるがせにできないことなんでございますから、今後の成り行きを重大なる関心をもって見詰めると共に、さらに事の成り行きを、適当な機会に重ねて問題として取り上げると、こういうことにしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/98
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099・青山正一
○青山正一君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/99
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100・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それじゃそういう工合にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/100
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101・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それでは次に開拓融資保証法の一部を改正する法律案を議題にいたしますが、本法律案につきましては去る十日及び十九日の委員会において提案理由の説明、法律案の内容及び参考資料等について農林当局から説明を聞きましたので、本日は直ちに質疑に入ることにいたします。
なおここで午前中に申し上げましたように、建設省の方では本年相当大規模な住宅計画を持っておられるわけでありますが、これらの住宅計画に必要な用地についてどういうようなことになるのか、一方において開拓事業を推進しておるのでありますが、もし片方におきましてさようなものが宅地等に使われ、転換されるということになりますというと、これまた放置しがたいことになりますので、その問題をも合せて問題にいたしたいと思います。従って出席されておりますのは農地局長及び農地局管理部長と建設省の計画局長でございます。御質疑がありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/101
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102・溝口三郎
○溝口三郎君 本法の改正の理由は簡単でございまして、入植者の数だけ開拓地がふえたに従って融資の保証金をふやそうということでございますから、大した問題はないと思っておりますが、二、三お伺いしておきたいのでございますが、入植三年までは政府から長期の融資が出る、三年以後になると資金がなくなる、その営農資金について中金等から借りるものの基金がこの法律の対象になっておるということでございますが、先般説明を受けましたが、開拓営農の概況について入植者と開拓地について資料が出ております。それによりますと二十七年以前の入植者に対する開拓地、そして二十七年以後今日までの増加した耕地の面積に対して出資しておる入植者に対する資金が、今年約十七億ぐらいございます。それの六分の一が基金の元になるということの説明を伺ったのであります。こういう考え方で行きますと、今後毎年増加するに従って、この法律の改正をして、基金を増加していくようなお考えであるのかどうか、その点からお伺いして行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/102
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103・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 開拓者の開拓事業が進みまして営農が拡大するにつれてこういった資金の必要が増加するのは当然でありますので、そういった需要量の増加に従って金を増加して行きたいと思います。これを毎年やるかどうかということが問題でありますが、実は開拓地の協同組合が五千近くありまして、それの強化を待たなければ、なかなかこういった金を融通するにつきましても問題がありますので、それと相待ちましてこの金も増して行きたい、こういうふうに思っております。しかし最近の実績を見ますと、去年も増加し、今年も増加する、こういうことになっておりますので、われわれのほうではいわゆる不振の地区の開拓者、開拓地の協同組合というものの強化をはかっておりますから、それに応じて借り入れ能力ができるということであれば、来年も増加しなければならない場合もできてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/103
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104・江田三郎
○委員長(江田三郎君) ちょっと溝口君、済みませんが、建設省の計画局長がちょっと急いでおられますので、計画局長の方へ御質問があれば、それを先にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/104
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105・森八三一
○森八三一君 今度の予算を拝見いたしますと、民主党の公約であった四十二万戸の住宅建設が遂行される。そこで一面国内における食糧の自給度を高めていくということのために、各般の施策が講ぜられておる。その一環として今ここに議題になっておる開拓の問題が強く推進をされておる。そこで急激に膨大な住宅が建築をせられるということになりますると、開拓農地との関係が一体どうなってくるのか、それが国内食糧の自給度との問題の関連で、どういうような結果を持ち来たすのかというのが、われわれの心配の点なんですが、その点を一体どういうふうに建設省の方では計画されておるのか、具体的にお話を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/105
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106・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) この住宅宅地の需要と農地の保全という関係でございますが、これは住宅政策の上で従来からもまあきわめて重要な問題の一つになっておったわけでございます。御質問の点はごもっともだというふうに存じております。従来の経過を申し上げますと、毎年々々の何といいますか、コンスタントな住宅需要というものを、当然一面におきまして現在の市街地内で消化できないというような関係からいたしまして、農地のつぶれ地転用という形において現われてくるような状況になっておったことは御承知の通りであります。大体実績といたしまして、これが毎年平均七百万坪程度のものが、農地から宅地に転用をされているというように、私どもは農林省の統計等を通じて承知をしているのであります。これらにつきましては、個々の農地の転用という形、あるいは宅地の造成としての区画整理事業の一方に行われているというような結果からしまして、かような農地の転用七百万坪というようなことがそれぞれ出てくるというふうに考えておりますが、そのうちで国が関与し、あるいは公共団体が関与し、あるいは建設省の指導の関係で、いろいろ問題にしなければならない点と申しますのは、都市計画の適用の取り方、それから区画整理を対象とする区域の取り方、こういったようなことが、建設省の指導の上で考えられなければならない問題点だと存じております。さような点につきましては、前回の国会であったと思いますが、土地区画整理法という宅地の造成の基本法を御審議いただきましたわけでありますが、この法律の運用の上におきまして、また規定の立て方の上において、農地との調整をとる必要がございまして、その点は規定の上で明確に農地との関係を、協議の上で、区画整理の施行地域を取り上げて行くというような関係を盛り込んだように承知いたしております。それが従来の経緯でございましたが、今回の住宅政策から出て参ります農地との関係でございますが、具体的に今申し上げました土地区画整理、これは普通公共団体で行われるのが従来の例でございますが、今回新らしく四十二万戸の計画に伴いまして、日本住宅公団という一つの機関を新らしく設けて、これの一つの業務として、宅地造成事業を行わせるということが新らしく出て参ります。これは新らしく今回の住宅政策の上で農地との関係、すなわち宅地造成という観点において、問題として新らしく出て参りましたのであります。これの規模でございますが、大体百万坪という宅地造成を行うということに計画をされておる。大体今年度の住宅政策で、とりあえず宅地造成で問題にいたしておりますのは、その点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/106
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107・森八三一
○森八三一君 今の宅地造成というのは、今われわれが議論をしておる現に食糧の直接生産に関係のない国土のうちから、新らしく住宅用地として適当な開発をして行くというように理解してよろしいのですか、現在米麦その他の食糧が生産されているもののうちから、これの百万町歩を住宅の建設用地として計画して、転移して行くということになるのか、この点は一体どういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/107
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108・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) 私どもの考えといたしましては、できるだけこれはやはり御指摘がありましたように、生産力の高い、食糧政策上も重要視されている農地を、できるだけつぶさない方法において、この百万坪確保の方法が立てば、それに越したことはないと考えておりますが、実際問題としては、なかなかそうも行きかねるという事態が起るのではないかというふうに思っております。さような関係におきまして、住宅政策のそもそもの出発点から、宅地の政策につきましては、農林省と緊密な連絡のもとにこの計画を立てて行かなければならないということで出発をいたして参っておりますが、現在まだ具体的にはどの場所を宅地として開発する、宅地候補地にあげるかということがまだはっきりきめられておりません。きまっておらないわけであります。さような点から、どの程度の、ただいま御指摘のありましたような農地がつぶれて行くかといったようなことは明確にはまだ申し上げられる段階になっておりません。しかし全体の考え方としては、さような農地を転用して宅地にするという事態は、できるだけ他の方法において求められない場合において考えるという基本原則に立って、この宅地の造成等の仕事を行なって行かなければならぬ、まあかような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/108
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109・森八三一
○森八三一君 農村地帯と都市周辺地区とは実態が非常に異なっておりますから、一がいにこれを論ずるわけにはいかぬと思いますが、最近町村の合併や何かで市の区域も相当拡大せられて、かなり広範な地積を持つようになって参りましたので、その市の所要する住宅建築用地というものも市の中で相当求められるような情勢になったことは間違いないと思います。そういう場合に、既耕地をつぶしませんでも、かなり地方に参りますれば丘陵地帯のような、むしろ開墾をして畑にするよりか、住宅としては適当な山林、山林と称するほどでなくても、囲まれた、住宅としては実にいい場所がある、ただそういう場所は交通の施設、上水道の施設等が、そういう地点は非常に完備されておりません地域であるので、そこへちょっと一つ住宅を作りますと、これは非常に生活が困難で困る。しかし今度の集団的に建設省、政府が責任を持ってお作りになるというような場合には、相当の戸数が一ぺんに建築されるわけでありますので、そういう地点を開発して参りますれば、集団的に電気の施設も、水道の施設も、下水の施設も、あらゆる施設が完備できる。そうして生活地域としては、むしろ水田のまん中に作ったような非衛生的な地帯よりは、高燥な丘陵地帯を選ぶことの方がよろしい。そういうような交通の問題なども今度の住宅建築計画にはお考えになっておるかどうか。そういう問題が考えられませんと、これはおのずから交通至便な、生産力の高い既耕地がつぶされるという方向に私は必然的に行くと思う。だからそういう点が一体考えられておるのかどうかということをお伺いしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/109
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110・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) 結論的に申し上げますと、お話の通りに考えてみるということに向っておるつもりであります。従来の宅地造成あるいは農地の転用という方式の場合には、これは先ほど申し上げましたように、いわゆる個人々々の需要当事者の土地の売買ということだけで解決されておったのでありまして、どちらかと申すと、それについては国、公共団体はやや当事者の責任にまかすという形をとっておったわけでありますが、今度の住宅政策の一つの特色には、その点は集団的な住宅開発をして行く、集団的な住宅を建てて行くと、こういう考え方でありますから、今申し上げましたように、百万坪の土地造成というようなのも、そういう集団住宅地のいわゆる需要に応ずるという考え方で打ち出してきたわけであります。それの候補地は、お話のようにいわゆる山林地あるいは荒蕪地といったような、耕地の条件にかなわない所でも十分宅地として利用できる余地のある所をむしろ優先的に考えて行く、これは土地の合理的利用の上から当然なことでありますから、そういう考え方で候補地を物色して行くという方針を立てたいと思います。ただお話のように、従来の場合にはそういう計画を持ちませんで、しかも集団的でありません関係からいたしまして、いわゆる公共施設、上下水道の問題にいたしましても、道路を作るにいたしましても、非常に不経済な形に、一戸々々のために土地、上下水道ということが考えられませんで、そういったような点が非常に不経済な形で行われていた。それがまた従ってそういう土地を物色することを困難ならしめたというわけでありますが、その点は今回はそういう配慮を加えて、住宅公団の国の出資の積算の基礎にさような上水道の施設を整備する事業費等、あるいはその区画整理をいたします関係からいたしまして、そういう補助的な街路、幹線道路は、これは別に公共事業でプラスして行くという必要があるかと思いますが、そういうような事業費が織り込まれて実施の形になっておりますので、結論的に、御意見のような点が十分考慮されて行かれるのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/110
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111・千田正
○千田正君 今の森さんのお尋ねに関連して伺いますが、今度の住宅の計画には非常に庶民階級の住宅、しかも十坪とか、六坪とかというのが、そういうのが多いのですね。むしろそういうのをたくさん建てることによって平面的な土地がつぶされるのが多いのじゃないか。むしろ立体的に計画を立てられた方がはるかに土地の利用度が効果的である。と同時に、今十坪や六坪のうちを建てても、五年や十年たつとまた建てかえなければならないような不経済な計画よりも、もう少し考究されて、立体的な、そうして収容能力の多い効果的な計画を持たれる方がはるかに私はいいと思うのですが、その点はどういう割合において計画を立てられておるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/111
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112・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) あとで資料で詳しく数字的に御説明申し上げたいと思いますけれども、大体におきまして高層率というのは従来よりも率を高めております。従いまして、戸数の絶対量がふえておるのに対しましては、むしろ土地を、いわゆる敷地面積をつぶす率を高層率の方で補って行こう、こういう考え方を打ち出しておりますので、御心配の点は比較的慎重に考えたつもりでありますが、なお数字を後ほど持って参りますから、それによりまして説明をさしていただきたいと思います。従来よりも住宅のいわゆる建坪を減らしまして、いわゆる六坪あるいは八坪という、いわゆる小さい住宅戸数をふやしたということがいろいろ言われておりますけれども、これも一戸建ての小さい住宅を建てるという、今申し上げました六坪とか、八坪の一戸建てを建てるという考え方でありませんで、むしろアパートの一戸々々の坪数を、今申し上げましたように、従来より狭めて、いわゆる母子世帯でありますとか、新婚世帯でありますとか、そういうものの需要に応ずる、こういう考え方で打ち出しております。数字その他はただいま持って参りますから、その上で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/112
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113・千田正
○千田正君 そのアイデアは非常にけっこうですがね、日本の建築技術も相当進んできておりますしね。ですから耐震、耐火等においても相当耐えられるような技術は相当進んできておると思います。土地の少い、ことに敗戦後におけるところの今日のような土地の少い、しかも農耕地はある程度つぶさなければならないというような状況にあっては、やはり六坪だとか、七坪だとかいうものは何階建の高層な建物の中に収容することによって、そういう問題の解決に向って行かなければならぬと、こういうふうに思うのですが、どうも建設省の御説明は、私今日初めて聞いたのですけれども、二階建、三階建程度のアパートであったならば大した差がないのであります。むしろ八階か、九階のコンクリート建の方が収容能力も多いし、つぶす土地も少いし、そうした効果的な面をねらって計画を立てられた方が、予算上から言っても、また将来性から言っても、効率から言っても非常に効果的だと思いますが、そういう点の割合はどういうふうに出ておりますか、ちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/113
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114・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) まあこれは公団住宅と公営住宅と、公庫住宅という三種類に分けて、国の資金による住宅の供給を考えておるわけでありますが、その点で公団住宅の方はこれは大体中層以上の高層化をねらう、こういう考え方でとっておりますので、御趣旨の点に副っておるのではないかというふうに思います。で、標準建坪もいわゆる八坪とか、六坪とかいう小規模ではなくて、十二坪以上を予定しております。そこで公営住宅の場合は、今お話に出ましたような非常に規模の小さい住宅をよけい建てる、こういう線を打ち出しておるわけでありますが、そのうちで第二種、これは収入額の低い階層をねらって供給しようという考え方でありますが、それにこの小規模な住宅供給という形が出ているのであります。その中で木造の八坪というのを二十九年度で七千七百戸程度を考えておりましたのを、今回七千五百、これは従来の絶対量を下廻っております。そのほかに八坪の簡易耐火という耐火構造の要求にはかなっておるのですが、これが従来の一千百二十七戸に対しまして今回は一千、これも絶対量は従来よりも落ちております。それから新たに簡易耐火アパート、これがまあ御指摘の問題になる六坪の八千戸というのを新しく計画いたしております。ただ、これは今申し上げましたようにアパート式でありまして、二月建をとらないという形で、量は非常に多い。規模は小さいというのでいろいろ御批判はございますけれども、高層化の方法はアパート方式をとっておりますので、その点は宅地面積の方では経済的な方法をとっている、こういうふうに考えていただいてよろしいかと存じます。それからお話の中に、もっと高層化の程度を高くしたらどうかというお考えであります。これはまあ私どもの部内としていわゆる高層化の程度を高くするという考え方は非常に賛成なわけであります。ただ予算上の制約に伴いまして、四階以上に高層化することについては、やはり附帯設備として、たとえて申しますと、エレベーターを必要とするとか、まあそういったようなことで一戸当りの建築費が非常にかさばります。さような予算上の制約、限界というものが伴いますので、四階以上の高層化というのは、かなり家賃がかさばるということを条件にしてその方の供給を考える、こういう方法をとっておりますので、全部が全部その方式に切りかえるということは困難である、こういう状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/114
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115・江田三郎
○委員長(江田三郎君) 計画局長の方はよろしいですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/115
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116・溝口三郎
○溝口三郎君 先ほど説明を伺いましたが、宅地造成の百万坪でございますが、これは住宅公団の二万戸の建築に見合う敷地なんでございますか、それとも別個に百万坪こしらえて民間自力建設の方に廻す予定になっておるのでございますか、その点お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、理事千田正君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/116
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117・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) 百万坪の宅地造成計画を出しましたのは、計画といたしましては、三カ年間に三百万坪、三十年度初年度百万坪、こういう考え方でございます。それでその三百万坪三カ年間の計画を出しました基本は、従来の市街地の供給可能面積、その従来の供給可能面積というのは 市街地の遊休宅地並びに既成市街地内のいわゆる不良住宅の改造、その他いわゆる高層化等の措置によりまして供給可能な宅地面積量を差し引きまして、それからすでに区画整理を済ました、いわゆる宅地としてもう造成されている既成の宅地がございます。それらの供給可能な面積を差し引きまして、新しい四十二万戸の需要宅地面積に応じ得る残りの分を計画として盛り込みましたものが、今申し上げた三百万坪という格好になっております。従いまして、これは公団の二万戸分のほかに民間自力建設の需要に応ずる分が含まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/117
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118・溝口三郎
○溝口三郎君 緑地の五百万坪の開放という問題があるようでございますが、それについて説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/118
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119・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) 緑地の五百万坪の件でございますが、これはあるいは御承知かと思いますが、東京都の周辺に緑地地域という一つのいわゆる公園的な、空地比率の高い地帯を、グリーン・ベルトと私ども呼んでおりますが、外国の都市にもやはりそういったようなグリーン・ベルト式な、いわゆる緑地帯というものを都市周辺に設けまして、都市計画上のいわゆる施設を考えておるわけでありますが、さような地域が東京の場合でございますと、例の戦時中の防空上の措置その他の上でとられました空地、これらを戦後に、いわゆる緑地としまして計画的に転用したわけでありますが、そういったような地域が約三千五百万坪ほど実はございます。これらの現況は大体が農耕地でありますが、都市計画上の制限の上では、要するにこれらに建物を建てる際の土地と建物面積の比率でございます。これを私ども普通建蔽率と呼んでおりますが、建蔽率を一割以上にしてはいけない。つまり土地の全体の敷地面積の上で一割分しか建物を建ててはいかぬという制限が緑地地域の制度の上では立てられておるのでございまして、そういう地域を実は五百万坪ほど解除したということは、五百万坪程度一割の制限を緩和した、こういうことに措置をいたしたわけであります。これは実際の現況は、今の一割制限ということを一応都市計画上の計画の上では決定されておりますけれども、現状は住宅地の方がかなりそれははなはだしい、結果といたしましては、一割制限は必ずしも守られておりませんで、そのうち二割が建物敷地面積になったりしたり、そういう事情がかなり現われております。それらを放任しておきますと、いわゆる一割制限という線が無計画的にくずれて参りますので、それらのことを考慮いたしまして、計画的に一割制限は二割制限まで高めて、いわゆる市街地化してもやむを得ない地域というものをある程度とりまして、それらを解除する考え方に立ったのであります。それらが今申し上げました五百万坪の解除という結果になったのであります。従ってこれは従来その中には農耕地であったものもございますし、すでに宅地という形に変っているものもございます。しかし建物を建てる制限率の方では一割制限というものは、宅地の場合でありましても、農耕地の場合でありましても、同様に働らいておったのでありますが、その制限を五百万坪の地域にわたって解除した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/119
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120・溝口三郎
○溝口三郎君 本年度五百万坪で、先ほどの宅地造成のように、本年度百万坪で三カ年三百万坪といったように、来年、再来年の分もあるのですか、緑地について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/120
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121・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) 緑地の解除につきましては、都市計的にみてもグリーン・ベルトの存置を必要とするというような見地に立ちまして、これ以上の解除は実はしない方がいいんではないかというふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/121
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122・溝口三郎
○溝口三郎君 公営住宅の計画は本年度五万戸、三年計画で十五万戸というような案を持っておられるように承わっておったのでありますが、五百万坪は本年度の五万戸に見合うような宅地になるのか、というと、来年からは土地に対しては計画がないのですか、その辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/122
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123・渋江操一
○政府委員(渋江操一君) お話の御質問の趣旨は、五百万坪と五万戸という関係が当然結びついているのじゃないかというお話ですが、これは全然それは計算外にいたしておるのであります。五百万坪の緑地解除というのは三百万坪の三年計画を立てる上においては全然計算に入れておりません。そういう関係からいたしまして、この点は明年にも糸を引くという問題ではないように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/123
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124・千田正
○理事(千田正君) ほかに御質問ございませんか。
〔理事千田正君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/124
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125・溝口三郎
○溝口三郎君 開拓地の増加に伴って、漸次基金をふやして行くのは当然だと思いますが、開拓者というものの考え方をどういうふうに考えたらいいのか、おそらくこの開拓者は終戦後緊急開拓ができて、そこに入った人たちを開拓者というのだと、二十一年から現在までに十三万六千戸の人が残っている、で、本年この資料によりますと、二十七年以前の開拓者が約十三万戸、そして耕地面積が二十四万町歩、その後二十九年度に、一年間にその人たちの耕地が二万八千町歩ふえた、それが元になっているようでありますが、来年になりまして、二十八年度までの入植者の分になっているそれが八千戸になっている、元の二十七年までに入った人はそのままでいいのかどうか。漸次そうやって行った場合に、開拓者というものはどの程度に限界を置くように考えておられるか。ずっと先まで開拓者という考えでその人たちは融資をしてもらえる対象に置くべきなんだというはづきりした考え方がないと、二十一年ごろに入った人たちはいつから融資を切られてしまうのだというような不安が出ないとも限らないと思いますが、その辺をはっきりしておきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/125
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126・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは戦後の開拓者を全部対象にしたいと考えております。それははっきり申し上げたいと思います。というのは、大体早ければ六、七年で開拓者が独立できる、遅ければ、いろいろな理由があると思いますが、十四、五年もかかるわけでありまして まだ少くともどこの地区を見ましても、ひとり立ちができるという地区は、ある部落なら部落を取るとそろってりっぱになっても、一つの開拓地を見ますと、どうしても開拓者が一丸になってやらなければいかぬ。そういうふうに感ぜられますので、ちょうど何と言いますか、戦争後こういうふうに緊急開拓で急にふえているというのが一つの時期を画したということで、それ以後のものをこの制度の開拓者として取り扱って行きたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/126
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127・溝口三郎
○溝口三郎君 それはわかりますが、現在では戦争以後、昭和二十一年の開拓事業始まって以後の入植者を開拓者というということになっておりますが、漸次この制度が続いて行った場合に、大蔵省あたりではなるべくこういう予算を切ってしまった方がいいのだというようなことから、昭和二十五年以前のものを切ってしまうとかいうような問題が早晩私は出て来ると思う。そこで農林省は戦争以後のものは開拓者と考えていると言いますが、どうもその点がはっきりしないので、開拓者というものは、いつからということが法律か何かできまっていないと、予算折衝のつど、そういうことに脅かされると私は思うのでございますが、その点をもう一遍伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/127
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128・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) それはただいまはこの法律に書いてありますような、地方の信用保証協会と中央の保証協会との保証額が同額になっているわけなんであります。これにつきまして開拓者の営農が成功してりっぱになれば、そのりっぱになった人の何といいますか、保証でもっと保証ができる可能性ができるわけなんであります。従って地方の保証と中央の保証とかえていいじゃないかという議論が当然出てくると思いますが、われわれとしましては、少くとも終戦後の、先ほど申し上げました開拓者についてはやはり一丸として扱わないと、その開拓地のそれぞれの地区が成功して行かないと、こういうふうに考えておりますので、そういう問題が当然起ることは、まあさきざきに行って考えなければいかぬと思いますけれども、扱いは、途中で何年度以前の入植者を切ると、こういうふうな考え方はしておりません。一方補助する方は、これはある程度行けばあとは自力でやって行ったらいいじゃないかというので、古い開拓者の分の補助を切っておるのがあります。この資金のやつは政府出資で保証をするとはいいながら、もともとは自分たちが金を集めて相互に助け合おうという制度でありますので、ただいま申し上げましたように、ある年数がたては、これはまあ五十年、百年たてば変ってくるかと思いますが、ここ当分の間は途中で切るという考え方は全然持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/128
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129・溝口三郎
○溝口三郎君 五十年、百年先のことはわかりませんが、今戦争以後の入植者についてはこの制度の対象になるのですが、たとえば昭和十六年、十八年くらいに開発営団当時にやりました入植者には、この制度はないのでございます。そういうような実例から言いまして、私は大蔵省あたりでは、もう二、三年もたったら、昭和二十三、四年以後の分とか、こういう予算の説明の仕方から言うと、私は必ずそれは毎年出てくるのじゃないかと思う。だから法律か政令に、この対象になる開拓者はどういうものを言うのだというようなことを明文ではっきりしてないと、いつでも毎年脅かされるようになるから、その点について私はよくお考えを伺っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/129
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130・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在その法律の制度としては、政令で開拓融資保証法施行令の第一条で、昭和二十一年度以降入植したものという趣旨の規定があるわけです。しかしこれは法律制度の問題じゃなしに、実質的な問題としてお話のような点があるのじゃないかと思って申し上げておるわけでございます。法律の規定では現にあるわけでございまして、これを将来とも確保して行きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/130
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131・溝口三郎
○溝口三郎君 もう一点伺っておきたいのですが、中央保証協会の出資金と地方保証協会の出資金の割合が、今度改正になりますと二分の一ずつになるわけでありますが、一番当初のは中央出資の方が三分の二で地方の方か三分の一というのですが、この率についてははっきりしていない。予算のつど、こういうふうに変ってくるのではないかと思うのです。中央と地方は半々にするとか、今年こういう予算になるのでありますが、そういうことを確定しておくような立法措置はできないのですか。切られてしまうと、今度はもっと減ってくるかもしれないということになるのです。この改正についてという参考資料をいただいたのですが、それの二ぺージ目に、昭和二十七年六月末の地方保証協会の出資は一億七百万円、中央は一億九千万円、これは三分の二と三分の一なんです。今度の改正によると、三十年六月末は地方も三億、中央も三億ということになるのです。中央と地方の率が、予算のとれる腕のあるときには余計になったり、また少くなったりする。こういう点についても、二分の一ずつ出資するとかということが明文化されておると安心ができると私は思うのです。その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/131
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132・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは法律の規定では、地方の保証協会も中央の保証協会も出資の六倍まで保証するということになっております。従ってこの二分の一ずつというよりも、中央の保証協会の出資金が地方の保証協会の出資金以下である場合は、地方の保証協会の会員たる組合が出資を増しても、その差額だけは保証を中央でしてくれないということになるわけでございます。そこで地方の組合の充実によりまして、出資金がふえる程度までは中央のやつを増して行かなければ運用がうまく行かないのであります。そこで大体の地方の出資の伸び方を見、また先ほど申し上げましたように、開拓組合の経営を刷新することによって出資を増加させまして、それに見合う政府出資を作って行っておるのであります。従いまして、地方の成績がよくなれば、当然中央のものは増して行ってやる義務がある、政府としては義務を感じなければならない、こういうふうな状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/132
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133・飯島連次郎
○飯島連次郎君 政府出資金の算定の基礎が参考資料によると、肥料の資金額ということで計算されておりますが、別な資料によると、やはり融資保証による短期資金の需要の状況を見ると、金額が少いとは言え、あるいは飼料の資金であるとか、或いは農耕資金とか、家畜家禽の資金等が逐年増加の傾向にあるように思うし、また開拓農家の経営の状況を資料によって見ましても、特に開拓地の農家経営には畜産部面の比重がかなり大きいし、またそうでなければ開拓農家の経営はなかなか立たないのではないかということが一般の常識であろうと思います。そういう点から考えて、こういった資金の算定等が、九割を占めているからという理由だけで肥料だけを表に出して、ほかのことが軽視されているというか、陰に隠れたような格好になっていることは、少くとも財務当局等に対しては誤解を招き、あるいはそういう面が非常に軽視される懸念があるように思うのですが、これは実際問題としてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/133
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134・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 御注意の点ごもっともでありますが、実はこの町当り肥料所要資金、一万四千九百円と、こういうものが書いてございますが、これがある程度幅のある金額でありますもので、一応これだけ見ておけば、そのほかのものもカバーできるのじゃないかと、こういうふうなラフな考え方でありますが、確かに資料の作成方法としてはまずいんじゃないかと思います。その点は今後、われわれ資料作成なり、あるいは大蔵省に要求する場合に十分注意したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/134
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135・飯島連次郎
○飯島連次郎君 さらに、ただいま溝口委員から御質問のあった点、私どももこの制度自身については単に補助金にたよるという考え方を捨てて、こういった自助的な、しかも自主的な方法で、だんだんに営農の発展や経営の主体を確立しているこの法の精神はまことに意を強うすることでありますから、そういう見地からいたしまして、開拓者の数が年々増加をすれば、それに伴って自動的に資金需要が多くなって行くということは、これはもう当然のことでありますが、そういうことを、つまり大蔵当局等に対しては最初の予算折衝なり、法の成立のときに大体確認されているのかどうか。つまり年一年と開拓者の数が増加するに従って、当然増加する資金需要が並行的に認められて行くのかどうか、その点……。それからもう一つは、単に開拓者の数が年一年と入植戸数を増すに従って増加するのみならず、今度は一方においてみずからの出資が義務づけられているわけでありますから、出資の状況等を拝見して、こういう出資が、これも当該開拓農家の出資も、この表に見るがごとくに、だんだんある程度の制限があるのではないかと思いますが、これらの資金の状況がどうなっているのか、それらの点が、この問題を将来運営して行く場合の一つの大事なポイントじゃないかと思うので、その二点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/135
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136・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) まず第一の点でありますが、第一の点は趣旨としては大蔵省も認めておるわけでありますが、ただどの程度という問題になると、そのときそのときによって問題が出て来ると思いますが、第二の点は先ほどちょっと触れましたけれども、五千あまりの単位開拓農協のうち相当数の開拓地が地の利を得ない、あるいは開拓地の一地区の組合員の数が少いとか、いろいろな理由でなかなか運営がむずかしいのでありまして、ことに先ほど申し上げましたように、いいところは非常に早く、もう五、六年で付近の既農家以上の経営をやっておるところもありますけれども、地の利を得ないというようなところでは非常に苦しんでおるというところがあります。従ってこれらに対しましては、三十年度の予算に僅少でありますけれども不振開拓農協の経営刷新に関する指導費でありますとか、あるいはまた開拓の実態の調査、ちょうど二十一年から十年目になりますので、もっと徹底的に、いいところは相当よくわかっているのですが、悪いところがなかなかつかめていないというようなので、そういう調査費もとっております。そういう営農のもっと掘り下げた指導、これは既農家の協同組合と違って非常に熱心な指導者がおりまして、現実にいろいろなことをやってきておるのですが、大体の方向がきまったので、ぜひこの不振組合の指導の費用を予算にとってくれ、こういうような関係で、むしろそっちの力でとれたような関係になっております。従ってそれらが伴いますれば、信用保証の基礎となる、基金となる出資も単位組合から上って来る金額が多くなってくると思います。われわれとしては、先ほどの表にありますように、肥料だけを見ましても、開拓地の面積からいえば三十数億要る、それに飼料だとか、あるいはその他の経営資材のものを入れれば、現在でも借りたい金は三十五億も四十億にもなるのでありますが、実際は信用度が薄いために、そこまで金融機関等の協力を得られないのでありますから、そういうものを解消するために開拓者農家の経営を刷新し、ひいては組合の経営を強化して、できるだけ開拓地の生産力の向上なり、経営の向上を期して行きたい、こういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/136
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137・千田正
○千田正君 今のお答え、飯島委員のお尋ねに関連してお伺いしますが、開拓農協ばかりじゃない、普通の農協でも同じようでありますけれども、相当実力のある協同組合には比較的重点的に借りられるチャンスが多い、実際苦しくて必要なところへはどうも大蔵省の方針か、あるいは農林省の方針か知らぬが、とかく行かないところが多い、私は今のお話を聞いて、まあいろいろお考えがあるようでありますが、一番苦しいのは私は土地的に恵まれない、条件に恵まれないところは何とかして金を借りるなり、補助なりをもらって営農を楽にして行きたいということ、これは当然だと思う。ところがその手続きの方法なり、あるいはいろいろな関係から、貸す目標はむしろ苦しいそういう組合や、あるいは農家ではなくて、比較的国から借りても返しやすいところの方へ金が流れておるというのが従来の行き方であったようでありますが、今度のこの融資法によっては、そういうほんとうに苦しい、どうしても借りなくては生きて行けないというところに均霑するような方法をとっておられますか、それとも従来と同じような、大蔵省がうるさいのだから返せるところへまず先に貸してやる、こういう方法で行くのか、この点を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/137
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138・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) この実際の金の融通は系統機関でございますので、大蔵省とは関係はないのでありますが、お話のように、ずいぶんもんちゃくがあるわけなんです。安全なところへ貸したがるのが金融機関でありまして、それをほんとうに必要なところに貸すようにするのには、どうしてもこういう保証がある上に、まあ農林省ももちろんでありますが、あるいは連合体を作って、連合会がそういう地方には、経営状態が悪いので組合も当然不振ですから、特別にみんなが寄って助けてやるので、貸せという指導方針をとっておるのであります。しかし、これはなかなか言うはやすく行うは難くで、開拓の農協連あるいは開拓連盟等の人も相当けんか腰になって中金の人あたりとかけ合っております。われわれもそれに向ってはできるだけの援助をやっておるのでありますが、これは今後ますます本当に腹を入れて行かなければ、不振地区に必要な営農資金が行くということは容易でない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/138
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139・東隆
○東隆君 私は既設の農協と、それから開拓農協との関係ですね、これは私は大変将来問題になってくると思うのですが、開拓農協は今平均どれくらいの規模になっておりますか、組合員はどれくらになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/139
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140・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 私の方で調べたのでは三十五くらいになっております。大きいので二、三百程度ですね、七、八戸というのもあるものですから、これはどうしても地理的に、一方では当然そういうところは既存の組合に入れてくれたらいいじゃないかと、こういうのが、その組合で入れてくれないが故に独立の組合を作っておるというような関係もありまして、そういうふうなのを平均すると非常に小さい規模になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/140
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141・東隆
○東隆君 私は非常に小さいもの、それから大きいものはこれは別でありますが、小さいものは既設の農協に加入をして、そうして非出資の農業協同組合というような形でもってやって行くのが、これが一番いいのじゃないか、こういう考え方を持つのですが、そういうような場合に、いろいろな法律その他の問題もあると思うのですけれども、農林省は私はかえって開拓農協の設立を非常に強要したんではないかと思うのですが、そういうふしはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/141
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142・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは法律上の問題よりもむしろ事実上の問題だと思います。理屈としては先ほどちょっと触れましたが、東委員もおっしゃったように、既存の農協に小さい地区の分は入れるべきであるというふうに考えるのでありますが、御承知のように、緊急開拓、その後の数年間の開拓では相当既農家との間に摩擦といいますか、協力がうまくない面が相当あったわけです。もちろんうまくやっているところもあるわけでありますが、そこで現在こういう小さい規模の農協をどうしてやるかというので今開拓連のほうで検討しております。その方法としては既存の組合の方に吸収してもらうことができれば、それが一番よろしい、そうでなければ、地域を町村に限らずに少し広域の開拓者だけが寄って、つまり今のある個々の小さい組合を合併するという格好になります。そういういろいろな方法を考えておりますので、まだ決定的な結論が出てないようであります。これは非常にむずかしい問題がありまして、広域にすると、たとえば販売、購買についても、その配給費なり販売費が余計かかるとか、そういう問題があって決定的な結論は出ておりません。私の方としましても、もう少し検討して行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/142
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143・東隆
○東隆君 その今のような場合に、購販事業だの、それから信用事業、そういうようなものは既設の単協を通してやるという態勢を確立した方がいいのじゃないですか。それは既設の単協のものは厄介なものは来てもらいたくない、こういう考え方を一応これは持っているわけです。それから今度は開拓農協の諸君はどういうことを考えておるかというと、政府が特別の助成をする、特別な手を講じておる、その金を既設の農協のものが利用するのじゃないか、こんな猜疑の目的をもって見ておる向きもあると思うのです。これはやはり早いうちにこれを一つにするという態勢を作るために、先ほど申し上げましたように非出資の農業協同組合ですね、そういうようなものにしてその区域内の単協に加入させる、そうして開拓関係でもって手厚い助成をしたり、あるいは金融の面、その他のときにはそこにまとまった形でもって流す、それから普通の農業資材関係であるとか、その他のものはこれは既設の農協を通してやった方が確かに有利に行くのだし、何も問題がない。それをわざわざ一つの村の中に別々な経済係をこしらえて、そうしてしかも非常に資本的に少い形でやって行く、それは背景に農林省の農地部があるかもしれませんけれども、私はこれはまずいと、こう思うのです。それからそういうような意味で私は一つの行政区域を中心にして農民が結集をして行くという態勢をとって行った方がこれは一番いいので、そいつになずまないような形の指導をやることが私は間違っているのではないかと、こういう考え方を持つわけですが、その点はいつかまた御意見を伺いたいと思います。そこで私はここに関係があることなんですが、広島県の開拓融資保証協会、こういうようなところで代弁済をした例がある。こういうふうに書いてありますが、これは一体どういうような事故の場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/143
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144・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 前段のあれでありますが、問題になっておるのは地元の既農家の協同組合との仲が悪いという点をどうするかという問題でありまして、おおむねのところは、同じ日本人ですからおおむねと言いますか、半分か半分以上くらいまでになると思いますが、うまく行っているわけです。あとに問題になっているのは、結局何と言いますか、既存の協同組合も十分活動しておらない。あるいはそういう場合でありますと、そこに入っても仕方がないからと、開拓者だけでもがいているというふうな例もあります。ですからこれは別々になっているという理由では、一概にすぐ解決できない問題があるものですから、われわれの方でも開拓連の方でも頭を悩ましておるわけです。これをはっきり割り切ってこうだと言ったところで、そういう今までむずかしいところはなかなかいきませんから苦心をしておるのであります。それから代弁済のお話だと思いますが、これは広島県で一件あったばかりでありますが、組合の不振、それに関連して使い込みがあったというようなことであります。これはたしか二十九年だったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/144
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145・東隆
○東隆君 今の場合ですね、前の場合ですが、同一の村で、しかも市街地に開拓農協の事務所ができているわけですね。それで北海道のような場合には既設の農協の中に開拓農協が机をおいて、そうして仕事をやっているというようなところは割合にうまく行っている。ところが同じ市街地に、中心部に開拓農協の事務所をこしらえて、そうしてあたかも張り合うような形でやっておるのがあります。で、私はこのようなものも指導のやり方によっては一緒にやれるのではないかと思いますけれども、経済部とそれから農地部との関係でこれがみんな違った形になっておるわけです。そういうようなことを考えますと、協同組合の指導という関係からいって、これにやはりまとまって行かなければほんとうの開発はできぬと思いますが、既設の農協といかにしてマッチして行くかと、こういう問題を一つ考えて行かなければならぬと思うのですが、まあこの点はいいわけです。そこで私はこれもやはり農地金融関係の問題ですが、おそらく開拓農家は資産もその他何もないのでして、今農地担保金融の問題なんかも問題になっているのですが、一番先きにやらなければならないのは開拓農家になっているのです。実際から言えば……。そこで開拓農業の関係の組合員に対して農地担保の金融なんというものはお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/145
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146・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 当然開拓者といえどもその恩恵に均霑させなければならないと、こういうふうに考えております。ただし御承知のように、開拓者の初めの分は中金資金、それから補助金等が行っておりますので、相当営農が確立して、もう自力でやらなければいかぬという場合に、そういう問題が起って来るのじゃないかと思います。すなわち六、七年以上たった場合に、そういう問題が起ってくるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/146
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147・東隆
○東隆君 これは何ですか、開拓農地金融なんですね。開拓者資金融通法という法律と、それから開拓者融資保証法、この二つの関係は非常にその関係があると思うのですが、その場合に、短期融資の場合もなおかつ保証法でもってやって行こうというわけですか。長期融資の場合は保証法で行くというのではないかと思うのですが、短期融資の場合もこの保証法で行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/147
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148・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 長期、すなわち大農機具であるとか、家畜等は開拓者資金でやって、いわゆる流動資金に相当するものをこの保証法でやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/148
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149・東隆
○東隆君 そうすると、私の考えておるのは逆なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/149
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150・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/150
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151・東隆
○東隆君 そうすると、これは開拓者に結局もう少し長期の資金を融通するときには、前の開拓者資金融通法でもってやるわけですが、その場合に何を担保にするか、信用がないわけですから、その場合にどういう方法で融資をするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/151
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152・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは開拓者は特に担保はない、しかし国の食糧増産の関係等から、どうしても開拓政策を実行しなければならないというので、開拓者の営農の基本が確立するまでは、これは無担保で当然必要な資金、あるいは助成をやることにいたしております。流動資金の方は、これはその間はもちろんでありますが、それ以後についても開拓者は、既農家の中にも十分でない人がもちろんあるわけでありますが、開拓者の方は入植してから日がなお浅いというので、特別に信用保証制度というものを考えたのであります。すなわちやはり信用力が既農家ほどできていないというところにその理由があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/152
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153・東隆
○東隆君 そうすると、結局開拓者には長期の資金を融資しない、そうして短期の資金は保証法で融資をするのだと、こういう関係が出てきますね、開拓者資金融通法というものは国が信用を創設して貸してやるわけですね、貸してやるのだけれども事実上はないのだから、資金の融通をするときには短期の資金として、保証法までこしらえて融通をしておるのだ、だから長期の資金は開拓者には行かないのだと、そういう何は出てきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/153
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154・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは開拓者を創設するときには、開拓者には信用がないのだから、国が全責任を持って、国の開拓者資金融通法は特別会計でありまして、特別会計から国の損失負担において貸しておるわけです。ところが信用保証法というのは開拓者が金融機関から借りる場合の保証をしてやろう、こういうわけです。従って短期資金は国の責任において国が融通してやる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/154
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155・東隆
○東隆君 私はこの保証法というものは、かえって長期の資金に当てはめるべきものであって、これは金利は少し高いから実際のことを言えば不合理ですけれども、保証法によって長期の資金が出て行くという態勢をとるべきであって、短期の資金はこれこそ国が貸してやればいい、こういう形が出てくるわけです。それからもう一つ、農地担保の金融関係の法律は名前を変えて出るようですが、その場合でも私は土地を担保にして金を融通するなんというのは、これは問題だろうと思う。その土地を処分をして払わなければならぬということになれば、農業をやめなければならぬということになる、私はこれは問題だろうと思うのです。それからそういうような場合に何かほかに信用をつける方法があると思うのです。たとえば今の農業協同組合による生命共済であるとか、あるいは火災共済であるとか、ああいうような方法によってやることもできるし、それから昔の農業動産信用法というような法律によって、購入した動物そのものを保険に入れることによって金融の対象にすることができるし、いろいろな方法があると思う。そういうような方法を考えて行くべきものであって、それをやらないで土地という生産手段を担保に入れてしまって、それをなくしてしまったのではこれは問題にならぬ。開拓の場合にも私はその点を考えていって、そうして大きな既設の農協に連繋をとって、そして信用条件を附与する、こういうようなことをやってやるべきじゃないか、こういう考え方を持つのですが、これは大へん外にそれてしまっているのですが、そういう考え方ができますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/155
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156・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 今の開拓者はまだ熟知もされていないし、信用も少いから、全責任を持ってその基本を造成する金を政府が出す、ほかからではそういう金はちょっと出て来ないのじゃないかと思います。極端な言葉で言えば無一文の人にみずてんで金を貸す、こういうことになりますから、従って開拓者の、先ほど質問がありましたように、かりに農地担保制度が実施された場合均霑するか、こういう問題でありますが、これは基本はそういう国の施設でやる、流動資金は信用保証でやりますが、さらに規模を拡大し、経営を改善して行きたい場合は、そういうある程度既耕地化した土地を持って来て、これでそういう金を貸してくれといった場合に、それを拒否する理由はない、こういう意味でやっぱり同等に扱わなければならない、こういうふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/156
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157・東隆
○東隆君 私は今の場合の考え方は何かというと、非常に短期の金を貸すから問題だと思うのです。私は一応金を融通したものは、これは満拓の場合なんかよりも、あれよりももっと長い期間でもって借りる、こういう態勢を作らんければ、なかなか開拓なんか進むものじゃない、基礎的な条件が一つも備わらないで生産を上げるということはできないのです。基礎的な条件に対して金を長期に、しかも安い何でもって貸す、こういう態勢にまとめて行った方が私はいいのじゃないかと思うのです。これは全然違うのです。今のやり方は……。資金の融通の仕方が非常に短期にやって、そして助成金の形でやっているのでは……。そうでなくて、かえって長期に資金を貸して、そしてやって行くというやり方をやって行かなければ、経営なんかの基礎的な条件というのは備わらぬ。私は開拓者の方面においてそういう考え方が今出て来てもいいのじゃないか、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/157
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158・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 現在の開拓入植者に対する金のつけ方が少いじゃないか、不十分じゃないか、この点は全く同じで、これは最初に、たとえば簡単な例を申し上げますと、土壌改良なら土壌改良、タンカルを一定のペーハーのところに一ぺんに三百貫入れなければいけないところを、金が少いゆえに、あるいは補助が少いために五十貫入れる、あるいは百貫入れる。三年間百貫入れれば同じじゃないかというのですが、それぞれ同じことしか出て来ない。そういう問題があるので、これらについてはできる限り予算で増加する方法を交渉しておりますが、なかなか過去数カ年の例が実績になっておりまして突破できません。ことし確かにできたのは、乳牛の導入の頭数が開拓資金で八百頭から三千頭くらいに増す。あるいは家屋の補助等について多少色がついたという程度で、これは根本問題として残っております。これは全く同感です。これはちょっと悪いと思うのですけれども、機械開墾についてまあ示唆を与えたわけですが、示唆によりますと、はっきり出てくるわけです。今大蔵省とそれを中心にして、今までの開拓政策が足りなかった一つの理由は、極端な話が、たとえばあるポケット・マネーを持って行った人は非常に成功しているわけです。国から助成をもらっただけでは足りない。それで県によっては、たとえば入植するのには最低三十万円持たなければ入植選考にかけない。これは愛知県の例ですが、そういうこともやっております。しかし、そういうことをやっておったのでは、金がない人はいつまでたっても入植できないという問題がありますので、そういう問題を根本的に考えなければならないのではないかということで、今大蔵省と議論最中でございます。これはことしの予算には間に合いませんけれども、どうしても解決しなければならない問題ではないか、そういう面では御趣旨御同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/158
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159・清澤俊英
○清澤俊英君 旧軍用地などにだいぶ開拓が入ったのですが、それがまた駐留軍や飛行場の拡大等でだいぶ取り上げられた人が方々に出ておりますが、現在取り上げられたのはどれだけあるか、今取り上げられようとしておるものはどれだけあるか、それの処理はどういうふうな処理をしなければいけないか、これを一つ早急に資料を出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215007X01019550524/159
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160・江田三郎
○委員長(江田三郎君) それでは本日はこれで散会いたします。
午後四時十四分散会
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