1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月十四日(火曜日)
午後二時八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 笹森 順造君
理事
木村 守江君
吉田 萬次君
荒木正三郎君
委員
雨森 常夫君
大谷 瑩潤君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
堀 末治君
加賀山之雄君
高橋 道男君
高田なほ子君
矢嶋 三義君
村尾 重雄君
松原 一彦君
政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部大臣官房総
務課長 田中 彰君
文部省大学学術
局長 稲田 清助君
文部省管理局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出頭に関する件
○国立学校設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・笹森順造
○委員長(笹森順造君) ただいまより文教委員会を開きます。まず参考人の件につきまして御報告いたします。前回国立学校設置法の一部を改正する法律案に関する原子核研究所設置に伴う諸問題について、参考人より意見を聴取することを決定し、その人選、日時等については、委員長に御一任願いました。その結果、明後日午前十時開会の委員会において、大阪大学教授菊池正士君より意見を聴取することに手続をとりました。右御報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/1
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002・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。ちょっと速記とめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/3
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004・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/4
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005・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて。
本案に関して御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/5
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006・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本法案の審議に関連して、先般の委員会で大学制度そのものについての基本的な質疑が同僚委員からなされたわけでありますが、その角度から若干残っておる点を伺いたいと思うのでございます。
それはよく既設の大学学部を充実する。それからいわゆるタコの足大学、駅弁大学と通称いわれている大学を整備充実するということが言われておりますが、局長に伺いたい点は、その後国立文教施設の整備状況はいかようになっているか、それからいわゆるタコの足大学の整備、これに対する現在の方針はどうなり、また戦災施設もまだ完全に復旧していないのでありますが、それらの復旧に対する年次計画等から、今から時間的に、また予算的にどの程度の計画の下にこれを完遂しようとしているかという、要するに国立文教施設の整備という角度から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/6
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007・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) ただいまの御質問でございまするが、所管といたしましてこの件は管理局長の所管でございますので、ただいま管理局長出席いたしますように手配をいたしております。この部分につきましての答弁はしばらく御猶予いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/7
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008・矢嶋三義
○矢嶋三義君 委員長におかれては、関係政府委員の出席を要求しておいていただきたいと思います。と申しますことは、本委員会としては三十年度の文教予算を単独の形ではまとまった審議をいたしませんでした。これはお互いの申し合せで今後法律案の審議と並行して審議しようということで参っておりますので、大学関係の法律案が出まするというと、かつて委員長が宣言されました審議方針から、大学関係のあらゆる予算関係の質疑も出てくるわけでございますので、関係政府委員の出席を要望いたしておきます。
そこで、やや今度は具体的になりますが、ここに学部、学科の増設をする案が出されているわけでありますが、施設でなければ大学学術局長は答弁できると思うのでありますが、統廃合について、これは今どういう方針でおるのですか。たとえば最近大学の第一分校であるとか、第二分校、第三分校というようなものがあれば、これらは廃止するという動きがあるようですが、それらについてどういう方針でおるのか、答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/8
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009・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この件も管理局長の所管でございまするが、一応私から御答弁いたしますれば、現在施設といたしましては、戦災復旧あるいは老朽校舎の復旧という点を第一に考えておりまして、お話の統廃合という点につきましては、なかなか財政その他の関係で進んでないのでございます。大学といたしましての将来計画としては、なるべく一カ所中心に各学部、学科、研究所が集まることを欲するのでございまするけれども、今いろいろ使っておりまする校地、校舎等を放擲して一カ所に集めるというような計画はなかなか実現しにくいので、さしあたりのところは、お話の統廃合というような点につきましては、ほとんど進んでないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/9
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010・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点承おりたい点がありますが、管理局長がおいでになってから伺った方が適切な答弁がいただけると思いますので、この点あとに譲ります。
かわってお伺いいたしたいのですが、それはこの法律案の内容というものは、すでに四月一日から発足しているのでありまするかどうか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/10
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011・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 現存いたしまする事実といたしますれば、県立でありますものを国立に合併するのは、県立の学校として教育を営んでおりまして、法律施行と同時に所管が国にかわるわけであります。
それから学部、学科を中心として新設いたしますのが幾つかありますが、これは現在学科として授業を行なっておりまして、法律が通りますれば、それが学部という形態に変るのでございます。
それから短期大学のほうは、県立のを合併するのは県立として教育を営んでおりまするが、茨城大学のごとき新設は、まだ発足していないのでございます。原子核研究所の方もこれは今建物土地等、物的の施設をいたしておりまして、この法律が通りましてから研究機関としての機関の設置をみる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/11
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012・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは四、五月分の暫定予算とは何ら関係ないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/12
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013・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 一つ申し落しましたが、この大学院でございます。本法の付則で御覧いただきまするように、第三条の二の改正規定は四月一日からとありまして、学年進行にかかわりまする大学院につきましては暫定予算に計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 暫定予算が出て参りましたから、それに関連して伺いますが、先般この四月、五月分の暫定予算学校別内訳というものを資料として出していただきましたが、これを見ますと、本省に相当の金額を保留してあるようでありますが、これは何ですか、どの程度保留される方針ですか、またその保留されたものはいかように処理されるのでありますか、その点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/14
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015・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御承知のように予算決算及び会計令第十八条の九によりますると、普通の年でありましても四半期ごとに予算を各機関に令達いたします。令達いたしまする場合におきましては、その時期において予見し得る必要の限度におきまして令達するわけであります。今回の暫定予算もそれと相似た状態でありまして、たとえば修繕費でありまするとか、あるいは退職金でありまするとか、赴任旅費でありまするとか、そういう事故が発生いたしましてから初めて必要にかりまする予算金額等も相当ございます。これは要求がありましてから令達することになっております。それから一部欠員の補給等はこれはまあ年々やはり操作のため残留するのを例といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/15
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 こういう表を見るときに、昨年の法の改正で大学別の定員が政令に委任されて、文部省の国家公務員のあなた方の手で自由自在にできることになられたわけですが、私はこの予算金額並びに定員のワク内の分配闘争が行われるようになっては私は非常に嘆かわしいことだと思うのです。で、大学の学長あるいは教授が自分の大学に一人でもよけいの定員をとるために、また予算の分配を少しでも自分の大学に融資してもらうために文部省の石段を何回も上り下りするというような光景というものは私は嘆げかわしいことだと考えているのですが、これに対して局長はどういう御見解を持っておられるか。さらに今度この法律が通過成立したのちに各大学別の定員の変化というものはいかように変って参るのか、さらに昨年の法の改正の前と法の改正後において各大学別の定員の割当て等に相当変った点があるのかないのか、それらの点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/16
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017・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 各大学別の定員はたしか資料として今日お手元に差し上げたはずでございます。それが昨年の定員とどう変っているかということは、大学別に申し上げることは少し煩瑣でございますが、全般的に申し上げたいと思います。定員総数六万一千三百六十九人でありましたのが、総数六万一千四百四十四人になっております。七十五人の増であります。七十五人の増になりましたのは、一方において行政整理で六百八十二人の減、これに対しまして新たに増員が七百五十七人、その内訳四百四十四人が学年進行、三百十三人が新規の増員でございます。
それからその前にお話になりました文部省が勝手に定員を大学に配付しやしないかという点でございますが、昨年も申し上げましたように、この定員というものは、毎年きまっております定員を基礎といたしまして、ただいま申し上げましたように増は増として積み上げ、減は減として差し引きますから、各大学におきましては新しい予算において何人ふえたか、何人減ったかは、大学それ自身が予算決定に至るまで、はっきり知っているわけであります。文部省がその間においていろいろ操作する余地は全くございませんことを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 昨年と本年度の定員の云々という資料は、私のところに目につかないのですが、委員部の方から、あったら一つ持ってきて下さい。
次に伺いますが、この博士課程のみを置く大学院が丸新設されることになっております。いただいておる資料の中の修士及び博士課程を置くもの国立十二となっているのは、これはこの中には医学は入っていないのだと思いますが、どういう内容のものか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/18
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019・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) この法律の改正は、今まで大津院というものを全く持たなかった大学が大学院というものを持つ部分がここに現われて参ります。従いまして東京大学、京都大学のように、従来は大学院というものを持っておりましたが、今回医学の博士課程を初めて置くというようなのは、この法律改正には現われて参らないのでございます。そういう点で医学をおきます大学はこのほか既存の大学院の中に相当あるのでございますけれども、改正法としては出ないことを御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/19
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020・笹森順造
○委員長(笹森順造君) ちょっと矢嶋君に申し上げますが、先ほどの質問に対して、管理局長が来ておりますから、発言させたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今大学院のところに入ったのでちょっと、大学院の方はもうちょっと切りがついた方がいいのじゃないかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/21
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022・笹森順造
○委員長(笹森順造君) それではどうぞ続けて御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまの修士及び博士課程を置くもの国立十二の内容の説明がなかったようですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/23
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024・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 修士及び博士を置く国立十二と申しますると、一口に申し上げますと、旧帝国大学を基礎といたしました大学及び医学、歯学以外の旧官立大学を基礎といたしました大学、これが全体で十二でございます。これは今まで修士課程というものを持って今日まで及んで参りました。本年から初めて博士課程に入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この表から見ますと、医学関係の大学院が一番多いのですね、しかもこの医学関係の大学で大学院を置くことになっていない大学はまだ若干残っておるようですが、これは将来大学院を置かれる考えでございますか、それとも医学関係の大学で、大学院を置く大学と置かない大学とを二種類と申しますか、そういう形態でゆかれるお考えですか、その辺伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/25
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026・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御承知のように旧大学令によります大学には、必然的に大学院があったわけでございます。そういうような次第でございますから、それが転換いたしまして新制大学になりました場合にも、文部省としては旧制において大学院を持っておりました学部には、新設の大学院をおく予定でございます。しかし御指摘にございました三つの医学部は、まだ設備あるいは人的内容その他未完成な分が多少ございますので、本年におきまして大学院を設置することを躊躇いたしました。しかし、と申しながら、将来この三大学に大学院を置かない方針ではないのでございます。なるべくすみやかにその学部を充実いたしまして、先ほど申し上げましたように、これは旧医科大学たりしものでございますから、なるべくなら大学院をすみやかにおきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/26
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027・矢嶋三義
○矢嶋三義君 学芸大学で大学院を持つ修士課程、博士課程いずれも大学院を持っている大学はないと思うのですが、具体的に伺いますが、たとえば東京教育大学あるいは広島大学ですね、そういう方面に将来、いわば教員養成を主とするような大学ですね、そういうところに博士課程あるいは修士課程の大学院を置かれるお考えでおられるのかどうか、その点お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/27
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028・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御指摘の東京教育大学、広島教育大学には、教育学に関しまする研究科、すなわち大学院の課程を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 教育学だけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/29
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030・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 東京教育大学には理科系及び文科系、文科系といいますと文学系及び社会学系の大学院と、教育学の大学院とを持っております。広島の大学におきましても文学、理学系及び教育学系の大学院を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ということは、こういうお考えでおられるわけですね。高等学校の一級免許状を持つところの教育者の養成は、かつて東京と広島に高等師範学校があって、当時の中等学校の教育者充足の教育機関あるいはそれと似通った高等学校の一級免許状を持つところの教員養成は東京と広島でやる、こういうお考えのように受け取れるのでありますが、さらに関連しますが、もとの時代は東京、広島だけ考えても、あるいは奈良とかあるいは金沢にも昔の地域的に考えると中等教員の養成機関というものがあったわけです。ところがまた当時と違って新しい時代になれば、地方の各大学の教育学部あるいは学芸単独の大学においても、具体的に高等学校の一級の免許状がもらえるような教育機関というものがあってしかるべきだと、かように考えるのでありますが、この点いかにお考えになっていらっしゃるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/31
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032・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御質疑にいろいろな要素が包含せられておりますので、お答えを落すと大へん恐縮だと思いながらお答えいたすのでありますが、第一に私どもは高等学校の教員につきましては、計画養成を全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 おりません……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/33
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034・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) おりません。従いまして御指摘の両大学に教育関係の大学院ができましたのは、そこの大学を中心として高等学校の先化を養成しようという趣旨ではないのでございまして、一般に国立大学において修士課程を持っております。全体の方針としてこれは、要するに研究者の養成でございます。教育研究科は、教育学に関しまする大学の教授たるべき者を養成したい。それから教育大学あるいは広島大学にあります理科系、文学系の研究科は、それぞれ理学あるいは文学の研究者を養成したい、こういう意図であります。それを出た者が、たまたま高等学校の一級免許状を持つかもしれないのでありますが、それは、それを目的とした国の施設ではないのでございます。先般免許法の改正の際にも申し上げましたが、高等学校の教員につきましては、中等学校教員以下の、非常に需要供給の点から見て、まだ計画養成の必要はないのでありまして、一級免許状を大学院あるいは専攻科あるいはこれに準ずべきものを経まして得る道は開いたのでありますが、これは結果としてそういうことが得られるというのにとどめた意図であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の伺っているわけは、あなたの今述べられた考え方というものは正しいと思うのです。そうしなければならぬと思いますが、しかし明美的に、地方の大学の教育学部並びに学芸大学の卒業者は、義務制の学校の教員。それから新制高等学校の教員の充足機関は、かつての東京高等師範の後身、それから広島高等師範の後身である大学で、というのに今なりつつあると、私はそういうふうに見ているのですが、その傾向というものは、私はかんばしくないと思うのです。あなたの先ほど言われたような考え方でゆかなければならぬと思うのですが、従って私は地方の学芸大学においても、その修士課程の大挙院というものができて、そして高等学校の一級免許状が、地方の大学でも獲得できるようにさるべきではないか、こういう考えを持っておりますので、伺っているわけですが、現実的に現状の分析をあなたはどういうふうに把握されているか、あわせてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/35
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036・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 御指摘の両大学に限らず、一般の国、公、私立を通じましての文学部、理学部、あるいは農、工、商、水産、商船、電気通信といったような学部の卒業者が、それぞれ教職課程をとりました者が高等学校に進出しまして、それからまた多くの部分の中学校の先生が高等学校のほうへ転出するというのが、今高等学校の供給の状況であろうと思います。お話のように、もとの高等師範学校たりし学校のみが、高等学校教員養成の中心になっているというような事実は私ないと思っております。また一面、学芸大学あるいは学芸学部を出ます人々は、これはもともと私どもの方からいいますと二万三千人の、例の中学校、小学校の先生の計画養成であります。教育内容も中学校向き、小学校向きというような点について、学校当局が非常に心して養成しておられますから、自然これを出た方は、中学校、小学校にとどまるのが大勢だろうと思いますけれども、道としてはそういう方々が再教育を受け、あるいは検定を受けるというような方法をもって高等学校教員の上級免許状を取得するということはもちろんできるのでございます。ただわれわれといたしましては、その間計画養成と非計画養成の領域というものは、規模としてはなるべく=然と分かってゆきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一点重ねて簡明にお答え願いたいと思いますが、旧帝国大学でない大学の教育学部あるいは独立の学芸大学ですね、こういうところには修士課程の大学院を将来逐次設置してゆくお考えでございますか、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/37
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038・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) かなり近い将来におきましては設けることが困難だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 では次に、新制大学院数調べというこの資料を見ますると、入学志願者数は入学者数に比べてかなり多いようでございます。私この表を見て伺いたい点は、志願者は、少し無理な質問かもしれませんが、大学を卒業された諸君の中において質的に優秀な人が多く志願されているのか、あるいは経済的に余裕のある方が多いのか、あるいは大学卒業直後就職ができないので大学院に進まれるという方が多いのか、まあ概括的なことでよろしいですからお答え願うとともに、念のために伺いますが、修士課程並びに博士課程の大挙院の学生に対して、日本育英会等からどの程度の学修の援助をしているかという二点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/39
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040・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 発足以来まだ二年しかたっておりませんので、全般的に一定の傾向というものはつかみにくいと思うのでございますれども、国立大学等におきましては従来の伝統等がございまして、大学院に残り得る学生というのは非常に優秀な学生に限られておるわけでございます。大学院の目的も研究者養成でありまして、まだ、一方社会におきまして、その修士を受け入れる処遇の状況が一定しておりませんので、お話のように特別に就職目的をもって大学院に停滞しておるというようなことは、まだ傾向としては現われてこないのではないかと思います。しかも大学院の定員というものが今非常に少いのでありまして、そうした人々を入れるだけの余裕はないのではないかと思っております。それからわれわれとしては、経済上の理由によって優秀なものが大学院に進めない、あるいは経済上余裕のあるもののみが大学院に進み得るというようなことを緩和いたしたいと考えておりまして、ただいま御指摘の日本育英会におきましても、大学院のために特別の予算を設けております。一部は月六千円、一部は月一万円の単価をもって学資を貸与いたしております。そうして、もしこの学資の貸与を受けましたものが将来大学院、研究所等に研究者として残る場合におきましては、償還を猶予、免除するという特典を与えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点伺いますが、大栄院に学んで十分の成果を上げるためには、やはり研究の施設設備というものが充実していたければならんと思います。私伺いたい具体的な点は、大学院を置いてない旧帝国大学の大学と、それから大学院を置いてある大学の講座研究費というのは変らないのだということを聞きますが、これは大学院を置けば、それだけ講座研究費というものがふえたければ大学院の研究というものは十分に進捗しないのじゃないかと、まあそういうふうに直感的に考えられるのですが、実情はいかようになっておりましょうか、承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/41
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042・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 大学院を置きます基盤となる学部の組織はいわゆる講座組織になっております。大学院を置かない大学の基盤となる教員組織は講座組織でないのであります。そうして講座組織の研究費は、講座組織でない教官の研究費の約倍になっております。さらに大学院大学につきましては年々、昨年は理工方面本年は生物方面というふうに設備も充足いたしますれば、また不完全講座の充足というような点にも一昨年は百人、昨年は九十五人、本年は百四人というふうに増員いたしております。そういう点で特別に大学院に要する人員、設備、研究費というようなものは、大学院のないものとは区別いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで一般論として伺いますが、講座組織の大学と講座組織でない大学、講座組織でない大学というとおおむね戦後できた一県一大学という主義の大学になるかと思うのですが、そういう大学が一方は講座研究費、一方は教官研究費という名目にして、しかもその費用は、予算額は二対一になっておる。かようなところに、実質的には日本の国立大学を階級差をつけて文部省ではこれを見、また予算の配分をそうされておるわけですが、これは教育の機会均等という原則論からは、いかように説明されるものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/43
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044・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 階級差ではないと考えるのでございます。特色の差と申しまするか、一方におきましては学部の上に大学院というものを持っております。大学院の学生も研究いたします。それを指導するようなわけでありまして、大学院を持っておりまする学部の講座というものは非常に研究費もかさみまするし、また人手も要る、そういう職能の相違であろうと思います。一般に大学は教授研究すると、まあ規定せられておりまするが、特に研究という点に特別軍費をになっておる大学につきましては、それだけの働きをなし得る設備をすることは、われわれとしては当然の責務だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私が伺っておる点は、予算の配分に当っても、はっきりと大学に階級差をつけてやられておるでしょう。これはどの大学でも大学設置基準によって設けられた大学で研究をするという立場については同じことですから、私は予算の配分というものが非常に旧帝国大学に重く、さなきだに貧弱な新制大学に軽いということは、大学を平等に眺め、全国の子弟に教育均等の機会を与える立場からは、私は芳ばしくないことだと考えておるのですが、これに対する所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/45
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046・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) 学生に対しまする教育というような点につきましては学生経費も、学生費も平等でございますれば、厚生補導費も平等でございます。また教授に必要な陣容というものは大学設置認可申請の際審査いたしまして、十分これは合格したものだけ学部を構成しておる。今大学院を持っております大学におきましては、学部の教育以外に大学院の研究指導という特別に加わったものがございまするから、その加わった部面に対応する経費がかさんでおりますることは、これは当然のことではないかと私どもは考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大学院関係の質疑は、私はこれで一応切りますが、ほかの人があったら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/47
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048・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 小林局長に御質疑がございましたなら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 管理局長がおいでになる前伺ったわけですが、いわゆるタコの足大学の整備統合という方針を、かつて文部省は発表したことがあるわけでありますが、現在における方針並びにその方針に基く進捗状況の概要について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/49
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050・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 一般の大学の施設の整備のことからまず申し上げたいと思いますが、御承知のように大学は戦争中戦災を受けたものが非常にございます。また最近の学術の進歩に伴っていろいろやはり整備充実していかなければならぬというようなこともございまして、国立の学校、病院、研究所等の施設につきましては、文部省といたしましても計画を立てて、年次ごとに実は整備していきたいと考えて努力をしておるのでございます。私どもの期待するような工合に年次計画もなかなか予算の制約もございまして進まないのでございますが、ただこの施設の整備をいたして参ります上に、いわゆる新制大学の中で統合整備の問題でございますが、これもやはり各大学それぞれのいろいろな事情がございます、統合の際の事情等もございまして、各大学においてそれぞれの統合整備計画というものを持っておられます、ただやはり整備計画を持っておられましても、予算の制約上それが順調に進捗しないというものが、かなり実はございます。文部省といたしましては、緊要度と申しますか、緊急度を見定めまして、でき得る限りの大学の御意向に沿って、地元の御意向に沿って一応計画された統合というものを実施したいと思って努力をしておりますが、本年度の予算等で、いわゆる統合関係の施設の整備というものが、きわめて分量から申しますと少い状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 戦災施設の復旧も十分まだできていないわけですが、今あなたのところで持たれている施設復旧の年次計画はどの程度立てられ、それからその所要予算は幾らとつかんでおられるか。私は義務制の学校の施設、設備も不十分でありますが、これらはやはり父兄寄付というような形で好ましくないのですが、形の変った大衆課税の形で、細々ながら施設、設備が整ってゆきつつあるわけですが、国立大学となりますと、その面はほとんど国庫に頼る。ところが国の予算面でそれが十分確保されないから、国会で学部、学科等の増設は、次々に法案としてかかってこられるけれども、戦争後十年も経過して、国立学校の施設整備が遅々として整備されないという状況は、まことに私は遺憾だと考えておるわけです。従って概略的な数字でよろしいですから、それを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/51
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052・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お話の通りに戦災の復旧につきましても、大体これは二十九年当時の数字でございますが、まあ大体六〇%の復旧率でございます。それから老朽改築あるいは設置施設の整備充実、今後の学術方面の進歩に伴った施設の整備充実というようなものを合せまして、大体文部省としては整備すべきものとして約八十三万坪、それを金額に直しまして大体五日三十五億というような一応の全体計画を持っております。しかしこれが現在の財政の状況から早急に解消されるものとは考えませんので、文部省としましては、その中に特に緊要と申しますか、緊急に整備をしなければならぬものを選びまして、その額が大体百億程度になっておりますが……百三億という数字になっておりますが、これをできたら三、四年の間に解消したい、私どもは三年でできたらと考えておりますが、そういった計画で予算の獲得に努力をしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 時間が参りましたから最後に具体的なことを一つ伺います。それは大学の整備統合ということは、大学の教育を実質的に上げるために、方針としては私はいいことだと思うのですが、たとえば具体的な例をあげますが、九州大学の第二分校ですね、いわゆる昔の久留米高専ですね、これが当時一県一大学主義という方針のもとに、当時の九州帝国大学に吸収され、そのときはいろいろ条件があったわけですが、今の段階になって、あの久留米の土地にあって、しかも久留米高専ができる場合は、地元に物心両面の大きな寄与をさせてできた。その九州大学の第二分校を廃止してしまって、全部第一分校である昔の福岡高等学校のあとに移すというような計画が文部省にあるというようなことが伝えられて、地元では大学整備統合の一つの問題として、かなり大きく取り上げて世間を騒がしているやに聞くのでありますが、この一つの具体的な例で、あなた方の方針を、またこの九州大学の第二分校の解消と申しますか、それらについて、どういうお考えを持っておられますか、もし第一分校にこれを移した場合には、第二分校のあとをいかように教育施設として活用されようとしているのか、それらの御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/53
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054・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) お話の点は九州大学の教育理想の点から見ますれば、すみやかに九州大学本部の附近に移すべき性質のものだと思っております。それからまた具体的の状況といたしましては、先般の北九州の災害によって通学路線に当っております橋が落ちまして非常に分校の学生が今日まで不便を忍びながら、あるいは危険を感じながら通学して参ったような事実があります。これらの点から見て、九州大学としては統合を急いで参ってきております。われわれといたしましても、この点は統合をすべき方角だと考えておりますが、ただいま御指摘のように、地元において相当哀惜の念があるわけでございまして、これにかわるべき何か教育施設が欲しいという希望が起っております。これについては地方的の問題でありまするので、県知事その他地方当局の意見を十分に聞きまして、いろいろ協議しなければならぬというような点からいたしまして、まだ統合の実施を断行いたしておりません。なるべく速かに地方との話し合いをつけて統合の線に進んで参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 具体的にそういうものを統合したあとの教育施設はいかようにされるのですか。かわるべきものとはどういうことをお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/55
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056・稲田清助
○政府委員(稲田清助君) ほかにはいろいろの事例がございます。ただ、具体的にこの場合につきましては、まだ文部省といたしましては、あとどうするかという考えをもっておりません。まず第一に地元の知事その他の意見、希望あるいは計画等十分聴取いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 こういう具体的の問題については、いずれ個人的に伺いたいと思いますが、ただ私は一般原則論として、新しい大学を作るとか学部を増設する、これは時世の要求あるものであったならばもちろんやらなければなりませんけれども、それ以上に今あるところの大学を、過去の歴史、行きがかりを尊重して、地域住民の意向を尊重した立場で整備充実するという方向にさらに力を入れなくちゃ、そうなくちゃならないと思います。これは具体的な問題でありますからあとで伺いますが、もし一県一大学主義の方針で統合する場合には、久留米工専の施設は必ず残すということを条件にして統合しておりますが、今これを一分校に統合して第二分校を閉鎖するということになれば、これは当時国と地域の人々と取りかわした申合せは、じゅうりんされることになるわけで、一般論としてそういうことのないように十分心を配っていただきたいということを要望して、本日私はこの法案に関する質疑はこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/57
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058・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案の審議につきましては、本日はこの程度とし、産休に関する懇談会に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/58
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059・笹森順造
○委員長(笹森順造君) さよう取り計らいます。
なお、先刻原子核研究所設置の件に伴う諸問題について、参考人としてさらに一名加えたいと思います。すなわち日本学術会議原子核特別委員会委員長朝永振一郎君を参考人として出席を求めることにいたします。御報告いたします。
速記をやめて下さい。
午後三時八分速記中止
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午後四時二十七分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X01219550614/59
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060・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。本日はこれで散会いたします。
午後四時二十八分散会
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