1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十年七月十二日(火曜日)
午後二時二十八分開会
―――――――――――――
出席者は左の通り。
委員長 笹森 順造君
理事
木村 守江君
吉田 萬次君
竹下 豐次君
荒木正三郎君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
堀 末治君
加賀山之雄君
高橋 道男君
安部キミ子君
高田なほ子君
矢嶋 三義君
村尾 重雄君
松原 一彦君
委員外議員
相馬 助治君
衆議院議員
赤城 宗徳君
国務大臣
文 部 大 臣 松村 謙三君
政府委員
文部政務次官 寺本 広作君
文部大臣官房総
務課長 田中 彰君
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏彦君
常任委員会専門
員 工樂 英司君
説明員
総理府恩給局審
議課長 畠山 一郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○教育公務員特例法第三十二条の規定
の適用を受ける公立学校職員等につ
いて学校看護婦としての在職を準教
育職員としての在職とみなすことに
関する法律案(衆議院提出)
○女子教育職員の産前産後の休暇中に
おける公立学校の義務教育の正常な
実施の確保に関する法律案(木村守
江君外五名発議)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/0
-
001・笹森順造
○委員長(笹森順造君) ただいまから文教委員会を開きます。
先刻行われました理事会の経過について御報告いたします。本日の議事の取り扱い方に関しましては、本日の会議に付する案件として参議院公報に掲載しておりまする通りにすること、すなわち、教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案。次、女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案。次、教育、文化及び学術に関する調査(教育財政に関する調査)。その他公報掲載の三件とすること。さらに教科書問題については今会期中適当な機会において取り上げること。その日時並びに問題、内容の取り扱い方等に関しては後日の理事会においてさらにはかること。また新制中学校の屋体新築補助問題について湿潤地帯等におけるものは積雪寒冷地帯と同様に予算的措置をはかるごとく立法化をするために各党において今後研究を進めることとする。以上であります。ついては本日の議事の進め方については、以上の通りにいたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/1
-
002・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
ついてはただいまより教育公務員特例法第三十二条の規定の適用を受ける公立学校職員等について学校看護婦としての在職を準教育職員としての在職とみなすことに関する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/2
-
003・吉田萬次
○吉田萬次君 私はこの案につきまして、適正なものだと考えまするが、提出軒にちょっとお伺いしたいと思いますることは、本案施行に座する経費としては約二百万円の見込みであるということでありまするが、この金額としては、二百万円の金額はきわめてわずかなものでありまするが、しかしながらこれはやはり予算に関係あるものであり、これに、この支出する方面におけるところの大蔵省その他に対しての了解を求めて、そうしてその承認を得てこの本案を提出されるのか、その経緯を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/3
-
004・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 経費は二百万となっていますが、御承知の通り高等学校の養護教諭につきましては、国庫で負担いたしまして、これはことし該当するものは二人か三人くらいであります。あとは地方で負担することになっておりまして、その合計が約二百万、こういう額になっておりまして、この点につきましては大蔵省当局と話し合いましたが、大蔵省当局は、この案そのものに対して賛成をいたしておりません。額の点まで入りませんで、大体賛成いたしておりませんでしたが、私的に話し合いました結果によりましては、国会においてこれを通されるにおいては異議は言わぬ、こういうような主計官の意見もあったのでありますが、公的には賛成とも反対ともまだ意思表示はありません。従ってその額のことについて交渉したことはないのでありますが、今、現在の予算の卸四内でこれはできる、こういうことのために二百万の予算を見越して本案を提出した、こういう事情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/4
-
005・吉田萬次
○吉田萬次君 今年の、いわゆる九月以降の金額になると思いまするけれども、しかしながらそれはきわめてわずかなものでありましょうし、一人や二人の問題ではないと思います。しかしながら将来に関して、予算にやはり関係のあるものでありまするから、御提出になるについては相当のしっかりした考えと、それからその見通しをもって御提案になったことと存じまして御質問申し上げた次第であります。大蔵当局としては、そうするとあなたの御税ですと、了承しておらぬと解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/5
-
006・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) これは私直接閣議に参加しておりませんで、閣議の様子は開きませんが、承わりますところによりますというと、文部省の方では調査中、こういうことで、大蔵省として、はっきり賛成とも反対とも意思表示はなかった、そのままで提出した、こういう事情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/6
-
007・高橋道男
○高橋道男君 本問題につきまして、十分の把握ができていないかもしれませんので、若干のお尋ねをいたしたいと思います。本法案の対象としておる年限に関する範囲でありますが、これは御説明を伺ったところなどから考えまして、昭和十六年以前の人、こういうように考えていいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/7
-
008・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) おっしゃる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/8
-
009・高橋道男
○高橋道男君 そういたしますと、法案に現われておりまする昭和四年十月二十九日以後という文字が現われておりまするが、その昭和四年の十月から昭和十六年の間の人と、こういうように考えておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/9
-
010・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) その当時に学校看護婦という名称で勤務しておりたものでありますが、その後においても続いて学校看護婦という名前が変りまして、学校養護教員とか教諭とかなっておりましたが、しかしその後においてもまだ正規の資格を持ってたかった者も含むことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/10
-
011・高橋道男
○高橋道男君 そうすると、ただいまおっしゃった、このさしあたり対象となるべき人数でございますね。先ほどは高等学校に関するものは二、三人というようなこともおっしゃいましたが、それにとどまらずこの法案の対象としておる人数はどのくらいになっておりまするか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/11
-
012・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 概算約一千一百二十人くらいになります。そして昭和四年度から就職して任用されるまでの年数、二分の一として、任用後の年数を合せて恩給を受給されるものとみなされるものは概算約五百七十四人と、こういう数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/12
-
013・高橋道男
○高橋道男君 ただいまの人数はこれは直ちに恩給を受けるという人数であるのか、その中には現在も引き続いて勤務をしておる人があるので、その数、直ちに恩給の対象になる人はそれより減るのかどうか、それもお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/13
-
014・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) ただいま申し上げました五百七十四人となるものを、例年の退職者の数を調べますと、平均約四%でありますので、まあかりに退職予定者を五%とするというと、毎年約二十九人くらいが退職することになる、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/14
-
015・高橋道男
○高橋道男君 私のお尋ねいたしたいのは、直ちに恩給を受けるべき人の数でございますね。それはそのうちの何人くらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/15
-
016・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 今のお尋ねのことでございますが、先ほど申し上げましたように、直ちに該当する者、この法案が通るものといたして該当する者といたしましては約二十九人くらいの人数になる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/16
-
017・高橋道男
○高橋道男君 今の二十九人という数字は、これは先ほど高等学校関係者が二、三人とおっしゃいましたが、地方の方も含んで二十九人と、こう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/17
-
018・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 今おっしゃる通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/18
-
019・高橋道男
○高橋道男君 次にお伺いいたしまするのは、昭和四年以後と伺いましたが、昭和四年以前にはこれに該当し得るような人は残されていないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/19
-
020・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 昭和四年以前にもこれに類似した職制はありましたが、昭和四年の十月二十九日に御承知の通り文部省訓令が出まして、学校看護婦の資格とか、あるいは職務内容等がはっきりいたしましたので、そのときを区切って、それ以後の者に該当させようということでありますので、それ以前には全然該当を見込んでおりませんし、該当させるつもりもないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/20
-
021・高橋道男
○高橋道男君 この法文には、はっきりと現われていないのでありますが、学校看護婦等として常勤した者だけを対象になさるのか、あるいは非常勤とか臨時とか、そういうような人たちは含まれていないのかですね、それを念のためにお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/21
-
022・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) ちょうど昭和四年十月二十九日に文部省訓令で学校看護婦に関する件というものが出ておりますが、それは先ほど申し上げましたようにその内容には、養護学校看護婦の資格とか、あるいは職務内容が相当はっきりきまっております。で、御承知の通り昭和十六年の二月二十八日に国民学校令が施行されまして、この国民学校令が施行されて、今までの文部省訓令に規定されておりましたこととほとんど同一の内容を吸収しておることになっておりますので、その後昭和十七年の七月十七日ですか、養護訓導の執務要綱という文部省訓令が出ております。その訓令を見ますというと、職務内容等もさきの昭和四年の文部省訓令とほとんど同一でありまして、その付則に、昭和四年の文部省訓令学校看護婦に関する件を廃止すると、こういうふうになっておりますので、この昭和四年の文部省訓令と昭和十六年の国民学校令による学校看護婦を法的に認めている国民学校令との間に一貫性がある、承継をしておる、こういうふうに私ども解釈しておるのであります。その内容を見てみまするというと、職務内容から言いましても、非常勤の者ではこれは勤まらん、当然常勤でなければならない、こういうことがうかがわれるのでありますが、なお実際において私どもが調べたことによりますというと、非常勤の者はなかった、こういうふうにまあ調査をしております。なお法的にいろいろお説のような意見もありましたので、調べて見たのですが、この母法といいますか、この法案の母法ともいうべき教育公務員特例法の三十二条でありますが、三十二条の中に、公立学校の職員の規定があります。その中に、詳しくは申し上げないでも御承知と思いますが、講師について、「常時勤務に服することを要する講師」というような、「常時勤務」というようなものがつけ加わっておるものが二つばかりあります。特に「常時勤務」と、こういうふうに規定されておるようであります。これの特例法のようなこの法案でありますので、当然常時勤務に服するものをやって、常時勤務に服しない者は含まないと、こういうふうに、まあ解釈といいますか、見ておるのであります。なお市町村立学校職員給与負担法の中にも、これは常勤というような名前はついておりませんが、講師につきまして第一条及び第二条に講師の規定がありますが、これは別に常時勤務とも、そういうふうな字句は書いてありませんが、解釈上当然常時勤務の者と、こういうふうに講師を見ておる、こういうふうに考えておりますので、いろいろの点から、法的解釈からも、あるいはまた事実上から見ましても、非常勤は含まない、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/22
-
023・高橋道男
○高橋道男君 この法案の題となっておる教育公務員特例法第三十二条の規定の適用をするので、当然この非常勤の者は含まない、こういう御弁解でございますね。それにまあただいま非常勤の者はないと、こうおっしゃいましたが、なかったはずだとおっしゃいましたが、それにつきまして文部省での御調査などはいかがでございましょうか。はっきりと、今赤城議員からおっしゃった非常勤者はなかったということは、はっきりいたしておるのでありましょうか。文部省の方からも伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/23
-
024・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 私どもの調査では、非常勤の者はなかった調査が出ておるのでございますが、かりに非常勤の者がありまするならば、それは該当させる趣旨ではないと、こういうふうに一つ御解釈願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/24
-
025・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 文部省といたしましては、ただいま調査中でございまして、まだ全部まとまっておりません。これは各個の人の経歴を詳しく調べております。それがまとまりませんと、はっきりしたことは今申し上げかねる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/25
-
026・高橋道男
○高橋道男君 緒方局長に、もう一度押してお尋ねいたしますが、そうすると、調査ができていないというのは、この法律ができた場合に対象となるその人の人数もはっきりわからないと、こういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/26
-
027・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはいろいろ推定はできると思いますが、やはり法律上の条件がいろいろ引き続いて勤務しておる人とかございますので、各個の人につきましては、詳しく調べる必要があると思いまして、ただいまその調査をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/27
-
028・高橋道男
○高橋道男君 先ほど提案者からおっしゃいましたこの対象となる人が一千百余名とおっしゃいましたが、緒方局長の御推定ではやはりそのくらいの人数だと、かりにはっきりした調査はできていなくても、大体そのくらいのものと御推定されるというような御見解なんでしょうか、これも全然わからんというようなことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/28
-
029・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいま
せっかく精密に調査いたしております。ちょっとただいま推定を申し上げるのはいかがかと思いますが、その点はどうぞ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/29
-
030・高橋道男
○高橋道男君 この提案者の御説明の中で、今川のこの法律案の対象とするところの者は、現在の養護教諭、養護助教諭の前身たる学校看護婦と、こういう御説明がございましたが、そうしますと、恩給法の関係において新しいものをつけ加えると、しかもそれを遡及してつけ加えるというようなふうに私ども考えるのでありますが、そういうように考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/30
-
031・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) お説の通り、恩給法の建前から言いますと例外的なものになると思いますが、例外の例外というような意味におきまして、遡及することになって適用されるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/31
-
032・高橋道男
○高橋道男君 この学校看護婦の方々のお立場などにつきましては、もちろん十分御同情できるのでありますけれども、ただいま仰せられた恩給法の建前からすれば、例外中の例外だというような御見解であるようでありますが、この法律案が成立することによって、例外中の例外というものが、例外がなくなるというように押し広められるおそれも、おそれという言葉は当らんかもしれませんけれども、国民の保護という上からいたしますれば当らんかもしれませんが、非常に拡大される。たとえば大学の講師というような身分の方は、 現在では恩給の対象になっておると思いまするけれども、以前にはそういうような方は対象になっていなかったと思いますが、当然そういうものまで押し広げられる道が開かれるというようなふうに思うのでありますが、その点の御見解はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/32
-
033・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 今のお話のような例も始終聞かされるのであります。ただそういう場合と比較しまして、私どもこの養護看護婦を認めるのは、養護看護婦という時代に、養護看護婦の上に何かなるべき地位はなかったのか、たとえば雇とか、あるいは代用教員などもありますが、代用教員の場合には、準訓導になるとか、さらに訓導になるとか、その人個人についてその上に上り得るところの道が開けている、養護看護婦のときには養護看護婦時代が最高の、その当時でいえば職制である養護看護婦からその上になるという道は開けておらなかった。個人的に上り得る場合をとってみまするというと、たくさん例はあると思います。しかしもう一つの職制として、特別の職制としても最高の職制であって、養護をつかさどる者としては最高の職制で、それから何か文官になるとか、上になる、公務長になるような道が開けていなかった、こういうような観点から、このことによってあらゆる方面に拡大されるおそれはないのであります。こういう見通しと、それから制度そのものを吸収したかといいますか、追認したかといいますか、国民学校令において、文部省訓令できまっておったのを追認したような形、制度に含まれているものを追認した、こういう形であるからして、これと同じようなものはあまり見当らないような気がいたします。従ってほかに拡大されるということにはならんだろうと思います。こういう見通しを持っているのでありますけれども、また何かいろいろありましたらばお教えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/33
-
034・高橋道男
○高橋道男君 同様なものがあまりあるまいという御意見でありますけれども、あまりあるまいということは全然ないということではないのでありまして、その点私も検討が足りませんので、どの範囲までの人がなおこのほかにあるかということについては、もちろん申し上げることはできませんけれども、今仰せられた、ある見方からいたしますれば、見忘れられておったというような人たちを、いわば拾い上げるのでありますから、そういう意味においては非常に結構でありますけれども、先ほど申したような、大学の講師とかというような身分は昔からあったのですから、新しく拾い上げる身分の者が入るのであれば、当然前からあった身分の者で、恩給の対象になっているものは当然拾い上げなければならないというようなふうに私は考えるのでありますけれども、その点、もう一度御意見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/34
-
035・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) いろいろの例を研究してみたのでございますが、ほかの例で言いますと、階層を持っているといいますか、二段か三段階の階層があって、この階層にあって、これは今まで注意されておらなかったが、その当時で言えば、その次の階層に上り得る、こういう機会があったものが非常に多いようなんでございます。この養護看護婦の場合は、この階層が一つといいますか、この上に上り得るという階層がなくて、そうしてずっと来た、続いてその職務を行なってきた。こういうような形でありますので、どうもこれと比較されるような適切な例というものを実はあまり発見できないで、そういう理由から他に例を見ないことであろう。まあほんとうに信念を持ってとまで実は言いかねるのですが、調査が不十分ですが、私の調査した範囲ではほかには例を見ない、こういう見解からこのまま提出した、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/35
-
036・高橋道男
○高橋道男君 文部御当局にお尋ねいたしますが、この法律案が成立した場合には、同等と見なされるようなものがほかにあるかないか、私はまあ以前の大学の講師ということを申し上げたのでありましたけれども、そういうような、該当し得るようなものについての御見解はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/36
-
037・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私は所管が初中局でございますので、文部省全体としましてはちょっと申し上げかねますが、私の関係におきましては、おそらく同様なケースはないのじゃないか、かように考えます。お答えは不十分でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/37
-
038・高橋道男
○高橋道男君 大学などで附属病院がございます。これは提案者の御説明によりますと、その附属病院の看護婦の中で、あるいは交代して学生、生徒の公衆衛生指導というようなことに当っておった人もあるのじゃないかと思うのですが、そういう人は、先ほど仰せられた非常勤の者は対象にならないというような御見解からすれば、入らないと思うのでありますが、そういう人たちについてはどういうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/38
-
039・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 国立病院の看護婦というような例も実は私聞かされたことがあるのでございますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、国立学校の看護婦ですと、公務員になる道が開かれており、この学校看護婦の場合には公務員になる道が開けていなかった階層が二つ三つあるのじゃなくて、一つで公務員になる道が開けてなくて、ずっと続けてきた。だからこれと同一に見られないというふなことで、かりに国立学校の看護婦の場合に、そういうものを含めるような法律を出すというようなことにいたしまするならば、この今出ております法律は趣旨が違う、こういうふうに解釈がまた拡大されるとも考える、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/39
-
040・高橋道男
○高橋道男君 ある大学の附属病院の看護婦などは公務員になる経路がある、こうおっしゃいましたけれども、その経路まで至らずしてやめたもの、それでこれに該当するというようなものはないだろうかと私は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/40
-
041・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 公務員に至らずしてやめられたといたしましても、その当時公務員になる道が開けておったということでありまするならば、この提案の学校看護婦の場合とは性質が違うと、こういうふうにみております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/41
-
042・高橋道男
○高橋道男君 ちょっと了解いたしかねるのでありますが、そうしますと、公務員にならなかった者は対象にならない、除外するということに考えるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/42
-
043・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 今の場合公務員にならなかった者を除外するということでなくて、この法案の、学校看護婦というものは公務員になる道が初めからなかったのであります。そのためにこの法案ができているということでありますが、今の国立学校の場合でございますが、国立学校の場合には、実はいろいろ研究いたしましたが、適用はないことになるのでございます。ちょっと足りませんけれども、一応お答えといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/43
-
044・高橋道男
○高橋道男君 この法律案をみますと、今おっしゃったことをはっきりと受け取っていないのかも知れませんけれども、法律案の中には、はっきりと国立の学校ということも明示してあるのでありますが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/44
-
045・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 改正前の恩給法の四十二条と、それから二十二条でありましょうか、二十二条によりまして「教育職員トハ公立ノ學校ノ職員ニシテ官ニ在ルモノヲ謂フ」、「準教育職員トハ國立又ハ公立ノ學校ノ助教諭ヲ謂フ」、この規定から国立には適用がないように解釈されることを法案を出してから実は気がついたのでございます。どうも詳しいことは法制局にでも少しお聞き願うとなおわかると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/45
-
046・高橋道男
○高橋道男君 その点今提案者からもお話がありましたが、これはこの法律案の冒頭に「公立又は官立若しくは国立の学校」ということを示してありますので、今の御見解などについて法制局の方がおられたら御説明を伺えれば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/46
-
047・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 高橋委員に申し上げますが、ただいま連絡をとって法制局の者を呼びます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/47
-
048・高橋道男
○高橋道男君 じゃあとでお聞きすることにして次に進みたいと思います。
もう一点お尋ねいたしますのは、この付則で、現在在職している者に限って適用するとありますが、そうしますと現在在職していない、きのうまで、あるいはこの法律が公布されるまでにやめた人には適用されない、こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/48
-
049・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/49
-
050・高橋道男
○高橋道男君 この法律施行の際に在職すると認められる人がその千百何人、こういうことに考えられるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/50
-
051・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 現在そういう数になっておりますので、当然法律施行の際に在職する者、こう見られるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/51
-
052・高橋道男
○高橋道男君 くどいようでございますが、そうすると現存やめておって、やめておってと言うか、やめておる人、これはどのくらいあるか、御推定はござませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/52
-
053・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 残念ながらやめておる者の推定数の調査はしてありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/53
-
054・高橋道男
○高橋道男君 私がお尋ねしたいのは、この付則のただし書きによりますと、現在やめておっても、もう一度就職すればこの恩典に浴せるように読めるのですけれども、そういうことでございますね、このただし書きは。つまり現在やめておっても、もう一度就職すればあらためてこの該当者になり得る。それを押していけば、先ほど千百何名とおっしゃったけれども、この数は相当大きなものになるかもしれない、こういうふうに思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/54
-
055・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 調査によりますと、国民学校令が適用されてからの任用が、昭和十六年に二十八人くらいあります。昭和十二年の任用が八百四十七人くらいであります。現存この法律が施行されて、これに該当されるものは、先ほど申し上げました二十九人くらいでありますので、この法律が施行される前に給与事由の生ずるものというのはごく少いわけでございます。法律が施行されてでも、このただし書きの「この法律施行前に既に給与事由の生じた場合」、この生じている場合というのはごく少い数になります。しかし給与事由の生じたものにもただし書きで適用される、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/55
-
056・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 高橋君にちょっと申し上げますが、先ほどの法制局の当事者に対する御質疑は、総理府の恩給局審議課長が答弁ができるということでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/56
-
057・高橋道男
○高橋道男君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/57
-
058・笹森順造
○委員長(笹森順造君) それで畠山審議課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/58
-
059・畠山一郎
○説明員(畠山一郎君) ただいまの高橋先生のお尋ねは、国立病院の看護婦に対して恩給法の適用を受けることがあるかと、こういうような御趣旨ではなかったかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/59
-
060・高橋道男
○高橋道男君 国立学校の付属病院の看護婦を、学校看護婦として兼務というか、そういう格好で勤めておった人もあるだろうと思いますが、そういう人はこの法律に該当しないか、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/60
-
061・畠山一郎
○説明員(畠山一郎君) 兼務の発令の形式いかんだと存じます。原則として続かないことになるのじゃないかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/61
-
062・高橋道男
○高橋道男君 そうしますと、先ほど提案者が言われた、この法案提出後調べたところによると国立学校の関係で該当する者がないと言われたことは、そのまま受け取っていいのでしょうか、恩給局としてはそこまでおわかりになりませんでしょうが。ということは、国立学校の該当者が全然ないということならば、これは法文に入れることがあるいは無理かとも思うが、こういう点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/62
-
063・畠山一郎
○説明員(畠山一郎君) お答えいたします。私の方ではこの養護看護婦の実態は全然わかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/63
-
064・矢嶋三義
○矢嶋三義君 議事進行について。
本件については、まれに見るほど詳細なる参考資料を発議者において出されたことに敬意を表します。この参考資料と発議者の提案理由並びに補足説明を通じ、さらに本日の吉田委員の質疑並びにそれに引き続いての高橋委員の詳細にして適確なる質疑によって本件の内容というものは大体尽されたものと私は存じます。それで先般の理事会のお話し合いもあった次第でありますが、格別質疑がなければ、ここで質疑を一応打ち切り、次の段階に進まれてはいかがかと存じますので、委員長においてお諮り願いたいと存じます。
〔「まだ質疑がある」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/64
-
065・笹森順造
○委員長(笹森順造君) まだ質疑があるそうでありますから……。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/65
-
066・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/66
-
067・松原一彦
○松原一彦君 提案者に伺いますが、今高橋委員からも質問がありましたが、国立大学の付属病院で何年間か看護婦をしておった人が、その後昭和十六年以後の、恩給を受ける資格を取った後の職員に就任した場合、その国立大学の病院に勤務しておった年数を同様に準用、これをこの解釈の中に入れられますか、入れられませんか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/67
-
068・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 昭和四年の文部省訓令による学校看護婦である場合はもちろん含むのでありますが、そういう者が、引き続き国立または官立、もしくは岡立の学校の養護訓導という法律の内容になっておりますが、この場合、引き続き国立学校の養護訓導の場合は包含されますが、官立もしくは府立の場合は、これは適用がないと、こういうように実は解釈をあとで気がついたのですが、恩給法の、今改正されてなくなっておる恩給法の四十二条と二十二条の規定からこういうふうに見られるので、よけいな字句だと見ておるのであります。前に国立学校の看護婦であった場合に、この文部省訓令による養護看護婦であった場合は含むと、こう解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/68
-
069・松原一彦
○松原一彦君 看護婦という仕事は非常な大事な仕事であって、人命を預かって、たとえそれが医師の指揮のもとに働くものであっても、重大な仕事であるにかかわらず、長い間看護婦が大学等の職員として何十年勤めても恩給の対象になっていなかった。最近においては看護婦の資格も非常に向上して、専門学校以上の教養を持つことになったのでありまして、そうなってくるというと、従来のような単なる労働者扱い、臨時職員のような扱いであったことは、私は非常に不公平であると思います。そういう意味から、同じく国の施設である大学等の病院に従事しておる看護婦諸君のために何か優遇の途が開かれれば非常にけっこうでありますが、今度御提案になった法律では、たまたま学校に勤務しておった看護婦の方は、これによって二分の一の恩給年限の計算があるが、数十年大学の病院に看護婦としてりっぱに勤めておった人には何らの恩典がないということになれば、それが引き続いて学校に転勤した場合、養護教諭として転勤した場合においても、採用せられて勤務についた場合においても、同じ条件を持っておりながら恩給法上から計算せられないということになると、大きなアンバランスを生じやしないか、そういうケースの人がほかにもありゃしないかということに私は心配を持つ、この点について、そういうこれと同じようなケースの方々が他にありゃしないかどうか、恩給局の方からお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/69
-
070・畠山一郎
○説明員(畠山一郎君) この法律案に既定されております学校看護婦と同じようなケースがありゃしないかという御質問でございますが、今御指摘になりました国立病院その他の看護婦などもそうでありましょうし、またもっと広く、同じようなケースという意味をもう少し広く考えますならば、判任官の待遇を受ける者は原則として恩給法上の公務員としては扱われておりませんでして、たとえて申しますと、現業の職員、現業庁におきまして現業に従事しております職員は、従前は用人あるいは特務雇員というような待遇でありまして、それ以上上れなかったわけでありますが、その後待遇官吏として、すなわち判任官の待遇を受けるものという途が一つ開けまして、判任官の待遇を受けることはできるようになったわけでございますが、この場合も、やはり恩給法の適用は受けてはおりません。その後終戦直前でございましたか戦後でございましたか、各庁職員の優遇令ができまして、初めて本官になることができたわけでございまして、その場合に初めて恩給法の適用を受けることができた、こういうことになっております。従いまして、同じようなケースと先生仰せられましたことで、あるいは間違ったお答えを申し上げたかもしれませんが、そういったケースは現業庁の職員には相当あるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/70
-
071・松原一彦
○松原一彦君 今のように同じようなケースが非常にたくさんあった場合、私はこの法案を決して否認するものじゃない、こうして途を開けるということはけっこうではあるが、さかのぼって途を開けるということになると、及ぼす影響が非常に大きいように思う、そのアンバランスは法の公正なるあり方からいってあまり大きいアンバランスを持つということにはよほど用心しなければならんと思うのですが、この点について文部大臣はどういうふうなお考えでしょう、文部省側のお考えはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/71
-
072・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) 私のほうでは他との比較等について研究をいたしておりませんが、この法案そのものだけで見ておりまして、ほかとのアンバランスの点は、実は私のほうでは詳しく調査もいたしておりませんのでして、ここにお答えをすることはちょっとできないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/72
-
073・笹森順造
○委員長(笹森順造君) この問題で発案者から発言を求められておりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/73
-
074・赤城宗徳
○衆議院議員(赤城宗徳君) 先ほども高橋委員に申し上げたのですが、国立病院等の看護婦、そういう点についてのアンバランスができやしないかというお尋ねのようでありましたが、たしかに世の中にはそういうふうに救済しなければならん者もありましょうけれども、学校看護婦の場合とは私は違うと思う。国立病院の看護婦というものは、看護婦として公務員の途も開かれ、いろいろありまするので、この建前が違う。この学校看護婦というものは一つの制度なんです。昭和四年文部省訓令できまった学校看護婦という制度があり、その資格について、あるいは職務内容についても相当厳格な規定があったのだけれども、残念ながら法律上これは認めておらなかったが、昭和十六年に国民学校令によって、そうして同じような資格、同じような職務内容で、そのままそっくり吸収された、だから国民学校令によって追認された、こういうような形でありまするからして、ほかの場合とアンバランスなものがあるということを見つけ出せば病院も困るじゃないか、あれも困るじゃないか、社会保障全般にわたるようなことになりはしないか、この場合は制度的に吸収されたのであるからして、これはほかに累をあまり及ぼさない、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/74
-
075・笹森順造
○委員長(笹森順造君) ちょっと速記をとめて下さい。
午後三時十九分速記中止
―――――・―――――
午後三時三十一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/75
-
076・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。本案に関する審議は本日はこの程度にいたしまして、次の議題に移ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/76
-
077・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 次は女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常な実施の確保に関する法律案でありますが、全国女子教育職員の産前産後の休暇中における公立学校の義務教育の正常な実施の確保に関する法律案が当委員会に付託されましたので、審議の進め方について御協議したいと思います。ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/77
-
078・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて下さい。次に女子教育職員の産前産後の休暇中における公立学校の義務教育の正常な実施の確保に関する法律案を議題といたします。まず提案者の趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/78
-
079・木村守江
○木村守江君 趣旨説明を申し上げます前に、まず皆様方におわびを申し上げておきます。いろいろ手続きの食い違いがありまして、本日皆様の前に正式に印刷物をお配りでき得なかったことをまことに申しわけないと考えております。それにもかかわらず、教育に熱心なるわが委員会の方々が本日本議題の趣旨説明をお許し願いましたことを私心から厚くお礼を申し上げる次第であります。
ただいまよりこの法案につきまして趣旨説明を申し上げたいと存じます。
ただいま議題となりました女子教育職員の産前産後の休暇中における公立学校の義務教育の正常な実施の確保に関する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容のおもなる点を御説明申し上げます。
今日義務教育を担当しておりまする教育職員は約五十万人を数えておりまするが、その約半数は女教師であります。これらのうち年々出産をする人々は、相当数に上るわけでありまして、これら女教師の産前産後の休暇については、現在労働基準法第六十五条において十二週間の休暇を取り得ることになっておるのであります。これは母体の、あるいは胎児の健康並びに嬰児の発育上重要な規定でありまして、婦人の保護に関する条約である母性保護条約においても認められておるところであります。しかるにこれら女教師の休暇の実態は、日本教職員組合の調査によりますれば、十二週に満たないものが相当数に上っており、六ないし七週の休暇は珍しくないありさまであるのであります。これに比しまして昭和二十八年度の一般事業場における婦人労働者の産前産後の休暇の状況を労働省発表の資料について見ますると、産前休暇日数は平均三二・六日、産後休暇日数は平均四三・六日で、合計いたしますると七六・二日、約十一週となっておるのであります。従ってこれに関する労働基準法違反件数もきわめて少く、昭和二十九年度においては十九件であったのであります。昭和二十四年度の八十五件を頂点といたしまして、逐次この法律が実施され、この違反件数が減少して参った状態であります。
思うにこれら両者の休暇日数のはなはだしい差違は、教育職員の職場の特殊性に基くものと考えるのであります。
すなわち第一には、女教師が休暇を取る場合に他の事業場と異なって、適当な代りをする職員が直ちに得がたいこと。第二には、教育という仕事は一日も放置でき得ない特殊性をもっておる関係上、当該教師は合併事業、自習等の措置をできるだけ避けるように努めることであります。第三に、地方公務員である教育職員の場合、労働基準監督言の職務は、人事委員会もしくは任命権者たる地方公共団体の長が行うことになっておることであります。第四番目には地方財政の一般的窮乏から、女教師の休暇のための補助教師を十分に採用する余裕がないこと等に基くものと推察されるのであります。しかし、事態をこのままに放置しておきまするならば、女教師の母体、胎児を保護する立場からまことに遺憾であり、さらには教育の正常な実施の遂行がはなはだ危ぶまれるのであります。この点に関しまして地方公共団体に対しまして義務教育の正常な実施についての必要な財政的措置を講ずるよう努めさせるとともに、女教師の産前産後の休暇をとる場合において、その休暇中、当談学校の教育職員の職務を行おせるため教育職員の臨時的任用に関し規定を設ける等、教育の正常な実施の推進を期して、ここに本法案を提出いたした次第であります。
次に本法案の内容のおもなる点について御説明申し上げます。先ず第一点は、この法律における「学校」とは、小学校、中学校並びに盲学校及び聾学校の小校部及び中学部であることでありまして、「教育職員」とは、校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、常勤の講師及び寮母をいうことを明らかに定義いたしたのであります。第二の点といたしましては、都道府県の任務といたしまして、公立の学校に勤務する女子教育職長が産前産後の休暇をとる場合において、当該学校における義務教育の正常な実施を確保するため必要な財政的措置を講ずるよう努めねばならぬという倫理規定を掲げた次第であります。第三点の規定は、公立の学校において女子教育職員が産前産後の休暇をとる場合、その休暇中において、義務教育の正常な実施が困難と認められる期間を任用の期間といたしまして、臨時的に教育職員を任用しなければならないことにいたしております。なお、市町村立の学校におきましての臨時的任用についての認定は、市町村教育委員会の申し出により、市町村教育委員会と都道府県教育委員会とが協議して行うということといたしておるのであります。第四点といたしましては、臨時任用をされた教育職員は、市町村立学校職員給与負担法第三条に規定する都道府県定数条例による定員のワク外にすることを明らかにいたしました次第であります。これは認定があった場合必ず任用するという建前から一応定数のワクを外したのでございます。
なお、さらに関係法令につき所要の改正を規定しておりますが、全般的に申しまして、本法案の趣旨は、今日の地方財政の現状並びに地方自治の精神に立脚して、一方においては義務教育の正常な確保を期するため、都道府県は必要な財政的措置を講ずるよう努めなければならぬと規定しつつ、他方においては女子教育職員の産前産後の休暇に伴う補助教員の臨時的任用は都道府県教育委員会の認定によるものとすることにいたした次第であります。
なおこの法案の成立に伴いまして要する経費の問題でありまするが、この都道府県の支出の実績いかんによって決定されるものでありまして、きわめて推定が困難でありまするが、ただいま一例を申し上げてみまするならば、一年間に出産する女教員の数が大体一万四千と推定いたしまして、これが十二週間、いわゆる八十四日間の休暇をとるといたしますると、大体三千二百名の補助教員を必要といたすのであります。ところが現在実際補充を得ているものは千九百名でありまして、残りが千三百名ということになっております。すなわち無処置の分が千三百名ということになっておりますので、もしもこの千三百名を補充するために年間十万円の経費といたしますれば大体におきまして九月以降必要とする経費は七千万円となって参りまして、国の負担が三千五百万円、府県の負担が三千五百万円ということになって参りまするが、この法案に示しました通り、もしも教育委員会等におきまして必要と認めない、正常な教育が実施されるというような場合を考えてみまするならば、たとえば二十学級で二十六人の先生がある、いわゆる六人の多い先生があるというような場合に、その六人のうちでカバーできるような場合におきましては、補助教員を頼まなくてもいいというようなことも考えられまするために、この三千五百万円という国庫の負担というものは三千五百万円が最高でありまして、教育委員会並びに学校当局等におきまして勘案することによりまして、この金額を下廻って参るということになって参ると考えるのであります。
以上のような次第でありまして、このきわめて雑駁な説明でありまするが、どうか慎重審議の上に速やかに本委員会において本法案の可決されますよう心からお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/79
-
080・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 本案に対する質疑は後日にゆずることといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/80
-
081・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 御異議ないと認めます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/81
-
082・笹森順造
○委員長(笹森順造君) それでは本日の会議の初頭に御報告申し上げて御賛成を得ましたように、次に高田なほ子君外六名の提案になりまする女子教育職員の産前産後の休暇中における学校教育の正常なる実施の確保に関する法律案を議題にするに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/82
-
083・笹森順造
○委員長(笹森順造君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/83
-
084・笹森順造
○委員長(笹森順造君) 速記を始めて。
本日の会議はこれにて散会いたします。
午後四時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215077X02019550712/84
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。