1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十九日(木曜日)
午前十一時十五分開会
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委員の異動
四月八日委員羽仁五郎君辞任につき、
その補欠として大山郁夫君を議長にお
いて指名した。
四月二十二日委員大山郁夫君辞任につ
き、その補欠として羽仁五郎君を議長
において指名した。
五月十三日委員藤原道子君辞任につ
き、その補欠として成瀬幡治君を議長
において指名した。
五月十八日委員亀田得治君辞任につ
き、その補欠として河合義一君を議長
において指名した。
委員長の補欠
五月十三日藤原道子君委員長辞任につ
き、その補欠として成瀬幡治君を議長
において委員長に指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 成瀬 幡治君
理事
泉山 三六君
剱木 亨弘君
宮城タマヨ君
委員
岩沢 忠恭君
大屋 晋三君
松野 鶴平君
河合 義一君
一松 定吉君
国務大臣
法 務 大 臣 花村 四郎君
政府委員
法務政務次官 小泉 純也君
法務大臣官房経
理部長 竹内 寿平君
法務省民事局長 村上 朝一君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
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本日の会議に付した案件
○商法の一部を改正する法律案(内閣
送付、予備審査)
○少年院法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(昭和三十年度法務省関係予算に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/0
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001・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) これより委員会を開会いたします。
今度私が藤原委員長のあとを継いでやることになりましたから、どうぞよろしく一つお願いいたします。
それでは商法の一部を改正する法律案、及び少年院法の一部を改正する法律案、両案を便宜上一括して議題に供します。
まず両案につきまして、政府から提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/1
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002・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 商法の一部を改正する法律案について提案の理由を説明いたします。
商法につきましては、昭和二十五年法律第百六十七号をもって会社編を中心とする改正が行われたのでありますが、この改正は占領下において早急に行われた関係上、わが国の経済界の実情に対する考慮が十分でなかったうらみがあり、実施後間もなく経済界の各方面から再改正を要望する声が出て参ったのであります。そこで、政府は、商法の改正について検討する必要があると認めまして、昨年七月六日法制審議会に対し「商法に改正を加える必要があるとすれば、その要綱を示されたい。」という諮問を発するとともに、商法の改正について調査研究に努力して参ったのであります。同審議会においては、現在なお審議を継続しているのでありますが、会社編の一部につきましては、緊急に改正を要するものと認めまして、その部分について、本年三月二十五日同審議会の答申を見たのであります。この法律案は、右に申し述べました法制審議会の答申を基礎として立案したものであります。
この法律案の中心をなすものは、新株引受権に関する規定の改正でありますが、まず株主の新株引受権について申し上げますと、現行商法においては、株主の新株引受権に関する事項は、定款の絶対的記載事項となっており、また、会社が発行する株式の総数の増加についてもその効力発生要件となっております。その結果、株主の新株引受権に関する定款の定めに不備がありますと、その原始定款または定款変更令部が無効となり、ひいては会社の設立または新株発行の効力にも影響することとなるのであります。しかしながら株主の新株引受権に関する事項をかように厳格なものとすることは、必ずしもその必要がないばかりでなく、現行法の規定には、解釈上疑義が多く、定款作成について実務上幾多の混乱を招いたことは、御承知の通りでありまして、経済界においてもこぞってこの改正を強く要望しており、新株引受権に関する事項を定款の絶対的記載事項から削除することには、学界においても全く異論のないところでありますので、この法律案におきましては、これを定款の絶対的記載事項でないことにいたしました。
しかし、株主が新株引受権を自己の手に保留することを欲するならば、定款にその定めをすることができるのでありまして、いわゆる定款の相対的記載事項ということになり、たとえ、その定めに不備がありましても、定款の他の規定や、会社の設立、新株発行の効力には影響がないことになるのであります。そのほか、この法雄案におきましては、株主の新株引受権に関し定款に定めがない場合には、新株発行に関する取締役会の決議によってこれを定めることができるものといたしました。これによって、授権資本制度の本旨とする新株発行による資本調達の機動性を最もよく発揮し得ることになると考えるのであります。
株主に新株引受権を与える場合には、取締役会の決議によるものといたしましても、少しも弊害はないのでありますが、株主以外の者に新株引受権を与える場合には、これを取締役会の決議によるものといたしますと、取締役会がその権限を濫用して、不当に新株引受権を縁故者等に付与し、その結果、株主の利益を害するおそれがあります。さりとて、株主以外の者に新株引受権を与えることを全く許さないことといたしますと、資金調達上不便な場合も生じますのでこの法律案におきましては、株主以外の者に新株引受権を与えるについては、取締役会の決議のみによらず、株主総会の特別決議をもって、その新株引受権の目的となる株式の額面無額面の別、種類、数及び最低施行価額を定めなければならないものとしたのであります。さらに、その決議の効力が長く存続してもよいということにしますと、再び現行商法のもとにおけるような弊害を生ずるおそれがありますので、その決議は、決議後最初に発行する新株で、その日から六月内に払い込みをしなければならない新株についてだけ効力を有するものといたしました。
次に、株主に新株引受権を与えるにつきましては、その割当株式につき一株に満たない端数、いわゆる端株を生ずる場合がありますが、この端株の処置については従来説が分れておりますので、これを立法的に解決することとし、新株発行事務処理の迅速をはかることを考慮しまして、端株は切捨ててよいことにいたしました。
また、株主に新株を割り当てる場合には、通常いわゆる割当日を定めていますが、現行商法には、これに関する明確な規定がありませんので、規定を新設し、名義書換を終っていない株主を保護するため、株主が新株引受権を有すべき場合には、必ず割当日を定め、これをその日の二週間前に公告しなければならないものとし、もしその日が株主名簿の閉鎖期間中であるときには、その期間の初日の二週間前に公告しなければならないものといたしました。さらに、新株引受権を有する者に対する失権予告付の通知または公告は、現行商法においては、申込期日の三十日前にしなければならないことになっておりますが、これを二週間前にすればよいことに改めました。これも新株発行の事務の迅速をはかることを考慮したものであります。
新株引受権以外の点につきましては、現行商法のもとにおいて生ずる会社の事務処理の不便を除いてその便宜をはかり、その他現行商法の若干の規定の不便な点を改めてあります。これらを列挙いたしますと、株式申込証、社債申込証または転換株式もしくは転換社債の転換請求書は、現行商法においては二通作成することになっているのを、一通で足りるものとしたこと、株主名簿の閉鎖または基準日の設定は、現行商法によれば、定款にその旨の定めのあることを必要としているのを、定款に規定がなくてもなし得るものとし、株主名簿の閉鎖期間及び基準日と株主等の権利を行使すべき日との間がそれぞれ六十日となっているのを二月に改め、これらを臨時に定める場合の公告を三十日前にしなければならないのを二週間前にすればよいこととしたこと、少数株主の株主総会の招集は、現行商法においては、その請求があった後二週間内に総会招集の通知が発せられないときには、裁判所の許可を得てみずからなし得ることになっているのを、その請求があった後遅滞なく総会招集の手続がなされないとき、または、その請求があった後おそくとも六週間内に総会が開かれるような手続がなされないときに、裁判所の許可を得て少数株主みずからなし得るものとしたこと等であります。
以上がこの法律案における商法の改正の主要点でありまして、この法律案は、なおそのほかに、この法律施行によって生ずる経過措置を定めましたが、特に新株引受権に関しては、混乱を生じないように若干の規定を設けたのであります。
さきに述べましたように、現行商法においては、株主の新株引受権に関する定款の定めに不備がありますと、会社の設立、新株の発行、定款の他の規定等はすべて無効となるのでありまして、一部の極端な説に従えば、現存する株式会社の大半がこれに該当することになりますが、この法律案は、まさにこのような現行商法の欠陥を是正しようとするものでありますから、この法律の趣旨を、この改正法律施行後において実施するのみならず、この改正法律施行前に定めた新株引受権に関する定款の規定の不備がある場合にも及ぼすのでなければ、徹底を欠くこととなります。そこで、このような定款の規定の不備は、会社の設立、合併、組織変更、新株発行、定款の他の規定の効力には影響を及ぼさないものとしたのであります。もっとも、株主の新株引受権に関する定款の規定そのものの効力は、現行商法の認める範囲において、そのまま維持させることとし、ただ、この規定を廃止し又は変更することができるかについて疑義の生ずるおそれもあるかと考えまして、この点を立法上明かにいたしました。しかし、株主以外の者の新株引受権については、前述のように、株主総会の特別決議を必要とすることにいたしましたので、現行商法のもとにおいて定めた定款の定めは、ほとんど意味がなくなるのみならず、疑義の生ずるおそれもありますので、この改正法律施行後は、すでに申し込みのあったものを除き、すべて効力を失わしめることにしたのであります。
さらに、この法律案では、非訟事件手続法及び会社更生法の一部を改正しているのでありますが、これらは、以上述べました商法の改正に伴い関係規定に所要の整理を加えたものであります。
以上がこの法律案の提案理由の大要であります。なにとぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
ただいま上程になりました少年院法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を簡単に御説明いたします。
この法律案の要旨は、少年院の在院者に対し、死傷手当金を支給できるようにすること、逃走した少年の連戻しについての措置を明らかにすること、及び最近の少年院の状況にかんがみ、暴行、逃走等のおそれがある場合においては、やむを得ないときに限って、在院者に対して手錠を使用できることとすること、並びに若干の事務手続の簡素化をはかるとともに、同法中の用語の整理をしていることの四点であります。
第一の死傷手当金について申し上げますと、従来、少年院の在院者が、職業の補導等を受けるに際して、負傷し、なおったとき障害を残すような場合に、何等の手当金も支給できなかったのでありますが、このような場合には、たとえわずかでありましても、何等かの措置を講じてやる必要があると思いますので、今後はこのような場合には、その災害の程度に応じて若干の手当金を給与できることとし、その支給の範囲、金額及び方法等は、すべて法務省令に譲ることといたした次第であります。
第二に、少年院の在院者が逃走した場合の連戻しについては、従来、その方法及び時間的な制限等について明確な規定を欠いていたため、連戻しについて、機宜の措置を敏速かつ適切にとることが困難であり、連戻しの時期を失して、逃走者を犯罪に陥し入れ、社会不安の一因となるとともに、他面、逃走した少年の前途をますます暗くさせることにもなりますので、この際、逃走者を連れ戻す場合の措置を明確にして、少年院の在院者が逃走した場合には、敏速かつ適切な措置によって、社会と本人の利益のために、なるべく早く連戻しができるようにしたのであります。
第三点としましては、最近の少年院の状況を申し上げますと、在院者には、反社会性の非常に強い者が多いのでありますが、そのため往々にして集団的な逃走や騒擾等が起る場合があるのであります。これ等の場合におきまして、それを防止する適切な方法がないため、少年院の適正な運営に著しく支障をきたす傾きがありますので、この際、在院者が逃走、暴行または自殺をするおそれがある場合に、それを防止するため、やむを得ないときに限って、手錠を使用できることとしたのであります。しかしながら、少年院の性格から、手錠の使用はできるだけ避けなければなりませんので、その使用については、原則として、院長の許可を受けなければならないこととして、特に慎重を期したのでありますが、いやしくも濫用することのないよう厳重に監督する方針であります。
第四点としましては、従来、少年院に収容された者の所持する金品を預かる場合には、本人にそれぞれ受領証を交付しなければならないこととされておりますが、現実には領置手続を煩雑にするのみで実益に乏しいので、この際、その手続を簡素化し、受領証を交付しなくてもよいこととするとともに、その他少年院法中の字句について、若干の整理を加えたのであります。
以上が提案の理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/2
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003・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 引き続き、商法の一部を改正する法律案の逐条説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/3
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004・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) 商法の一部を改正する法律案につきまして簡単に逐条的に御説明を申し上げます。
この法律案は、ただいまの提案理由の説明の中にもありましたように、本年三月二十五日法制審議会から答申されました商法の一部を改正する法律案の要綱に基いて立案されておりますので、その要綱と対照しつつ各条文について御説明いたしたいと思います。
まず、第百六十六条第一項第五号の改正でありますが、これは要綱の第一にあります「新株引受権に関する事項は、定款の絶対的記載事項としないこと。」という点を条文の上に表わした次第であります。現行法の第五号の規定は、前回改正の際に新たに加えられたものでありますが、株主の新株引受権に関しましては、立案の際、法律上原則として株主に新株引受権を認めるべきであるという見解と、法律上当然株主の新株引受権を認めない方がいいという見解との対立がありました。その妥協といたしまして、どちらの原則をとるかは法律に定めないで、会社の自治にゆだねる趣旨で、株主の新株引受権の有無及び制限に関する事項を定款の絶対的記載事項と定めたのであります。ところが、この規定につきまして解釈上多くの疑義を生じましたのみならず、絶対的記載事項でありますために、新株引受権に関する定めに不備がありますと、定款自体が無効となり、会社の設立無効の原因ともなりますので、その影響するところははなはだ大きいのであります。これによって生ずる不当な欠陥を除去いたしますために、新株引受権に関する事項を定款の絶対的記載事項としないことといたしたのであります。この点につきましては、第二百八十条の二に別に規定を設けております。
次は、百七十五条の第一項でありますが、これは要綱の第四にあります株式申込証は一通で足りるものとする改正であります。現行法は株式申込証を二通作成することを要求しておりますが、それはその一通を会社に保存するために、一通を設立登記申請の際の添付書類として、登記所に提出させるためのものでありますが、登記申請の添付書類につきましては、さきに非訟事件手続法の改正によりまして、株式申込証を提出することを必要とせず、株式の申し込みを証する書面を添付すればよいことと改められましたので、今回商法の方も、一通作成すれば足りることに改めたのであります。
次は、百八十条第三項でありますが、これは前回改正の際の整理漏れの補正をするのであります。決議取消の訴に関する二百四十九条が、創立総会の準用条文の中から漏れておりましたので、これを加えることにいたしたのであります。
次に、百八十八条第二項第一号は、初めに申しました百六十六条第一項第五号の改正に伴う整理であります。
次の二百二十二条の五の第一項、これも要綱の第四にあります株式の転換請求書を、現行法で二通となっておりますのを一通に改めたのでありまして、株式申込証と同様の趣旨でございます。ただ、この方は非訟事件手続法の改正が今までされておりませんので、この法律の附則第六項において非訟事件手続法の規定も、株式申込証の場合と同様の趣旨に改めることにいたしたのであります。
次に二百二十四条の二でありますが、これは要綱の第五を条文にしたのでありますが、株主名簿の閉鎖または基準日は、定款の規定によらなくて定め得るものとし、株主名簿の閉鎖期間、基準日と権利を行使すべき日の期間が六十日となっておりますのを二カ月とし、これらを臨時に定める場合の公告は二週間前にすべきことといたしたのであります。現行法によりますと、名簿の閉鎖及び基準日の制度は、定款に規定されなければ利用できないのでありますが、これはこれを利用することによって株主に利益にこそなれ、なんら損害を与えるおそれはないものでありまして、ことに大企業の会社にありましては、総会の招集、配当の確定等につきましては、これらの制度を利用しなければ事実上不可能でありますして、一般がほとんど例外なく定款に株主名簿閉鎖の規定を置いておる実情であります。それでこの改正案におきましては、株主名簿の閉鎖または基準日は定款の規定によらずに定め得ることといたしたのであります。名簿の閉鎖期間及び基準日と権利を行使すべき日との間の期間を二カ月と改めましたのは、期間を計算する便宜の上から六十日という日数で表わしますよりも、月で表わすほうが実務上便利であるということでありますので、事務の能率化のためにかような改正をいたしたのであります。次に、現行法では臨時に株主名簿の閉鎖または基準日を定める場合には、三十日前に公告すべきことになっておりますが、これらを利用する必要があるのは、緊急を要する場合が多いので、三十日の期間はやや長きに失すると考えられます。従いましてこれを二週間と短縮いたしたのであります。
次に、二百三十七条第二項でありますが、これは要綱の第八によりまして、少数株主の請求による総会招集の要件を整備いたしたのであります。現行法によりますと、少数株主から総会招集の請求があった後二週間以内に総会招集の通知が発せられませんと、少数株主は裁判所の許可を得て、みずから総会を招集することができることになっているのでありますが、この規定には二つの点において非難があるのであります。その一つは、総会招集の準備のために株主名簿の閉鎖その他の準備期間を要しますので、二週間以内にその通知を発すべきことを要求するのは不可能を強いるに近いということであります。もう一つは、総会招集の通知が二週間以内に発せられたとしましても、総会の開催自体が遅滞なく行われないときは、少数株主にこの権利を認めた趣旨が没却されてしまうということであります。そこで総会招集の通知の発送または公告をなすべき期間を延長するとともに、総会を開催すべき日を一定の期間内に制限する必要があるわけでありますが、会社が当初から総会招集の意思がなく、その手続を進行しない場合のあることも考慮しまして、少数株主の株主総会の招集は、その請求のあった後遅滞なく総会招集の手続がなされないときは、裁判所の許可を得てみずからすることができるものとする。さらにその請求があった日から六週間内の日を会日とする総会の招集の通知が発せられず、または公告がなされないときも同様に取り扱うこととしたのであります。
次の二百八十条の二は、要綱の第二及び第三を基礎といたしたのであります。百六十六条第一項第五号の削除によりまして、新株引受に関する事項を、定款の絶対的記載事項からはずしたのでありますが、この二百八十条の二におきまして、株主及び株主以外の者に対する新株引受権に関する事項を規定しているのであります。新株引受権は株主に対しては取締役会の決議をもって自由に与え得るものとし、株主以外の者に対しましては、一定の事項につき株主総会の決議を要するものとして、その決議のあった範囲内において、取締役会の決議により与えることができるということに改めたのであります。まず、株主の引受権について申し上げますと、現行法では前回の改正におきまして授権資本制を採用いたし、新株発行による資本調達の便宜をはかったのでありますが、新株引受権につきましても、法律上当然には株主には認めないこととして、新株発行に関する取締役会の決議をもって与えることができるものとするのが、その授権資本制を認めた趣旨を一そう徹底させ、意義あらしめるものと考えられるのであります。かような考えからこの法律案では新株引受権を与えるべき者、引受権の目的たる株式の額面無額面の別、種類、数及び発行価額を新株発行に関する取締役会の決議事項の一つとしております。二百八十条の二に第五号を加えましたのがそれであります。もとより取締役会の決議事項につきまして、定款をもって別段の定めをなし得ることは従来の通りでありますので、株主の新株引受権につきましても定款に別段の定め、たとえば定款をもって株主に新株引受権を与えない旨の定めをすることができるのは申すまでもないのであります。
次に、株主以外の者の新株引受権について申し上げますと、結局この場合も新株発行の具体的内君は、取締役会の決議によってきまるのでありますが、取締役会がその権限を濫用して縁故者その他の者に不当に低廉な発行価額でもって新株引受権を与えるということがありますと、株主の利益が反面において害せられるおそれがあるのであります。さりとて株主以外の者に新株引受権を与えることを全く認めないといたしますと、特別な資金調達の場合に支障をきたすおそれもありますので、株主以外の者に引受権を与えるについては、株主総会の特別決議を要するものとしたのであります。
次に、二百八十条の四でありますが、この規定は要綱の第六に相当するのであります。すなわち株主が新株引受権を有すべき場合に、割当日を定めてこれをあらかじめ公告すべき旨を定めたのであります。なお、そのほかにこの四の第一項に但書を加えましたのは、これは要綱には現われておりませんけれども、先ほど提案理由の中で申し上げましたように、新株引受権を有する株主に新株を割当てる場合における端株の処理について規定を設けたのであります。新株発行事務の迅速能率化をはかるために、端株を切り捨てることとしたのであります。
次に、二百八十条の五の第三項、これは要綱の第七によるものでありまして、新株引受権を有する失権予告付の通知または公告と申込期日との間の期間を二週間に短縮しようとするものであります。これも新株発行事務の迅速をはかったのであります。
次に、二百八十条の六第三号でありますが、これは前にも申しました百六十六条第一項第五号の改正及び後にあります三百四十七条の改正に伴いまして、株式申込証の記載事項を整理したのであります。
二百八十条の八第一項は、さきに申しました二百八十条の二の改正に伴う整理であります。
三百一条第一項、これは要綱の第四に基くものでありまして、百七十五条第一項の改正と同様の趣旨によるものであります。
次に、第三百四十一条の四の第一項これも要綱の第四に当るわけでありまして、同様の趣旨による改正でございます。
次に、三百四十七条第二項及び第三項、これは会社が発行する株式の総数を増加する定款変更をします場合に、株主の新株引受権に関する事項をその定款変更の効力発生要件でないことにするものでありまして、その改正の趣旨とするところは、百六十六条第一項第五号について申し上げましたところと同様でございます。
次に四百八十九条第一号の改正は、二百八十条の二の改正に伴う整理であります。
次に、附則のうち第二項は、経過的な事項に関する新旧両法の適用についての一般的規定でありますが、特に第三項について御説明申し上げますと、現行法によると、株主の新株引受権に関する定款の定めは定款の絶対的記載事項となっておりますので、もしこの点に関し疑義がありますと、定款全部または変更された定款の部分が無効になって、ひいては会社の設立、新株発行等の無効をきたすことになるのであります。最近一、二の下級裁判所の判決におきまして一部の少数説に従いまして判決した例があるのでありまするが、その経過に従いますと、現在大部分の会社の定款における新株引受権に関する定めが無効ということになるおそれがあるのでありまして、経済界にかなり不安を与えているので、解釈上の疑義を一掃して、これらの不安を解消するために、新法の趣旨をこの法律施行前に定めた新株引受権に関する定款の規定に及ぼし、かりに不備な点があるとしましても、会社の設立、新株の発行、合併、組織変更、または定款の他の規定の効力に影響を及ぼさないこととしたのであります。
第四項は、この法律施行前に定められた株主の新株引受権に関する定款の規定につきまして、こに法律施行後における効力を明らかにしたのであります。
第五項につきましては、新法によりますと、株主以外のものの新株引受権につきましては、定款の定めいかんを問わず、株主総会の決議を必要としておりますので、従前一般の会社が定めておりますこの点についての定款の定めは、ほとんど無意味になってくるのでありますが、解釈上の疑義を避けるために、この点についての規定を設けたのであります。
第六項の非訟事件手続法の改正は、大体におきまして以上申し上げました商法の改正に伴う非訟事件手続法の改正でありますが、なお一点そのほかに会社の役員等の印鑑の証明に関する規定を整理いたしております。
第七項は、商法の改正に伴う会社更生法の整理。
なお最後に施行期日について申し上げますが、本年七月一日から施行するということに附則第一項にあげてございます。先ほど申し上げましたように、この新株引受権を中心とする現行法の規定につきまして、経済界におきましていろいろ不便を感じている面があり、また一部の下級審の判決等によって不安を抱いている向きもかなりあるようであります。この改正法の実施を少しでも早くという希望が強いようでありますので、なるべく早く施行していただくという趣旨で、七月一日と規定いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/4
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005・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 商法の一部を改正する法律案の逐条説明は、都合により次回に行いたいと思います。また両案に関する質疑は次回以後に譲りまして、次の議題に移りたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/5
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006・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/6
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007・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) それでは次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。昭和三十年度予算につきまして、まず法務省関係予算について御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/7
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008・竹内寿平
○政府委員(竹内寿平君) それでは法務省所管、昭和三十年度予算の内容につきまして、その概略を説明申し上げます。
当省所管の二十年度歳出予算の予定経費要求総額は、二百二億三千三百九十九万三千円でございまして、これを前年度の予算額百九十七億八百五十七万円に比較いたしますると、五億二千五百四十二万三千円の増加となっております。その内容につきましては、お手元に差し上げました参考資料、昭和三十年度法務省所管予定経費要求説明参考資料でございます。これをごらんを願いたいのでございますが、同資料の三ページ、すなわち月別比較表というところをお開きいただきますとわかるのでございますが、まず増加をいたしました主なるものとしましては、第一に人件費関係におきまして二億三千万三千円、第二に五ページの施設費関係におきまして一億五千六百四十八万三千円、第三に庁費関係、これは四ページの3のところでございます。庁費関係経費の中で刑務所等の収容者の食糧費の増加額といたしまして一億一千八百三十万八千円、これは3のカッコに入っております(10)の収容者の食糧費でございます。次に第四としまして、供託金利子予算の大蔵省から移しかえに伴う増加額といたしまして五千六百万円、これは六ページの14のところにございます。等でございます。これらの増加額に対しまして、旅費物件費等、経常経費の節約による減額と、もう一つは昨年九月一斉に実施されました外国人登録法に基く在日外国人の登録証明書の切りかえに要した初度的経費などの減額がございますので、それらを差し引き計算をいたしますと、先刻申しました通り五億二千五百万円の増加となるのであります。
当初予算構成の大要を申し上げますと、人件費が百二十三億千六百万三千円でございますから、総予算の六一%に当るわけでございます。そのほか使途別に分類をいたしますならば、旅費が八億八千四百十五万四千円でございますし、物件費が五十一億七千五万六千円、施設費が事務費を除きまして四億五千八百五十二万八千円、補助金、委託費等が四億七千三百六十九万九千円、その他が九億三千百五十五万三千円ということになっておりますのでございまして、法務省予算は所管事務の性質上、去年度に引き続いて経常的な事務経費がほとんどすべてであると申してもよろしいかと存じます。すなわち特別の性格による新規事業というような行政事務がほとんどないわけでございますが、特に前年度と異なるものとして、新たに増加をみました主なるものを列挙して御説明を申し上げてみたいと存じます。
資料の九ページ、「組織別」「事項別」比較表とありますが、そこをお開きいただきたいと思います。これによっておわかりをいただくことと思いますが、まず第一に法務本省の、組織の十一ページのところにいきまして、17のところに、最後のところでございますが、これと検察庁の組織の、これは十二ページでございますが、組織の五番目のところ、最後のところでございます。ここにあります。「衆議院議員総選挙及び地方選挙の取締に必要な経費」、これは今年二月行われました衆議院議員総選挙、ならびに四月に実施されました地方公共団体の長および議会議員の選挙の公正を期するため、厳正適切な検察を行う必要がございましたので、本省におきましては刑事局および検察庁を通じて、検察費および超過勤務手当等の行政費としまして六千百十二万二千円の予算が新たに計上されております。
第二は、外国人登録法第十四条の規定に基く外国人の指紋採収事務経費でございまして、今回外国人登録法指紋に関する政令、外国人登録法第十四条及び第十八条第一項第八号の規定の施行期日を定める政令等によりまして、昭和三十年四月二十八日から指紋採収を実施することとなりました。それに要する経費として資料の十ページの終りの方でございますが、法務本省の組織14の番号のところの(1)外国人の登録事務に必要な経費八千五百十一万六千円という数字が上っておりますが、この中に常勤労務者の給与十三名の新規増員分、これと登録、庁費、地方公共団体委託費等の経費を合せまして千六百七十三万一千円が含まれて計上されておるのでございます。
それから第三には、資料の六ページに戻りますが、日別の比較表でございます。最後の行にあります供託金利子でございますが、これは供託金と供託金利子との支払事務を一元化して、現行制度の簡素化と合理化をはかる必要がございますので、これに要する経費として五千六百万円を新たに計といたしました。なお、この経費は従来大蔵省の所管に計上されていたものを、今年度より当省所管に計上したものでございます。以上が新たに計上した経費の概要でございます。
次に資料の三ページ目別比較表にもう一回戻りまして、若干経費別に御説明をいたしたいと存じます。
まず第一は、1の人件費関係から申し上げますると、法務省所管の定員は前年度末常勤労務者を除きまして四万四千六百三十九人に対しまして、四万三千五百七十四人すなわち千五十五人の減員となります。これに前年度に引き続きまして行政整理によって一千百六十一人が整理されることとなりましたが、一方におきまして奄美群島関係の百六人が定員に組みかえ増員になりましなので、それによる差引の結果でございます。これによって予算案が編成されておるのでございます。増加を見ました理由は、昇給、昇格などに要する職員俸給等の自然増加額でございます。
第二に、事務費及び物件費について申し上げます。この種の経常的経費に対しましては極力節約の方針がとられたことは御承知のことと存じまするが、事務量の増加によりまして増額を認められたものも多少あるのでございます。これらの状況をお手元の資料の三ページ及び四ページ、すなわち目別比較表の2以下によって増減のおもなるものを御説明申し上げることにいたしたいと思います。
まず、2の旅費関係につきまして、これはごらんの通り各自において増減がございます。総額におきましては三百五十七万一千円の減少となっております。増減の内訳を申し上げますると、減少のおもなるものは、その欄の第一行目の職員旅費の目における二百六万五千円の減少、第二行目の赴任旅費の目における二百九十五万五千円の減と、第四行目のその他の旅費のうち護送旅費などで二千六十九万四千円などの減、すなわち合計いたしまして二千五百九十二万九千円の減でございますが、これは本年度の予算編成方針が、前にも申し上げましたように、極力節約がとられまして、旅費につきましては原則として一五%の節約をするということでございましたためによるものでございます。これに対しまして増額をみたおもなるものは、ごらんの通り、訟務旅費、検算旅費、登記登録旅費等でございます。訟務旅費、登記登録旅費はいずれも事件の増加に基いて増額が認められたものでございます。検察旅費は、前にも申し上げた、選挙経費の新規増加による増額分でございます。
次に数学の3の、四ページに参りまして、庁費関係に移りたいと思います。これもごらんの通り、各目において増減がございますが、結局総体におきましては八千四百九万四千円の増額になっておるのでございます。この増減の内訳を申し上げますと、まず(2)の図書購入費の百三十三万三千円、(6)の収容諸費四千四百六十四万六千円、(7)の作業諸費七百七十一万二千円、(9)の収容者被服費二千七百十六万七千円、(12)のその他の庁費で八十六万三千円の減少となっておりますが、これは前に申し上げた旅費の削減と同じ考え方に基いて一〇%ないし一五%の節約がかけられたためでございます。また(8)の看守等被服費一千三百三万七千円の減は刑務所、少年院等の行政整理と節約によるものでございます。その他の月はいずれもごらんの通り増額になっておるのでございます。それを上から順に御説明申し上げますと、(1)の庁費の八百九十二万二千円の増、これは法務局における群島庁費の単価の是正及び登記等の事件の増加に伴う増額と検察庁における選挙経費の新規増加等によるものでございます。次に(3)の通信専用料の百万円の増加、これは専用線の増加及び値上げによるものでございます。次に(4)の土地建物借料の二百三十六二千円の増加、これは値上りによるものでございます。次に(5)の名所修繕の三百二十六万の増加、これは庁舎の坪数の増加によるものでございます。次に(10)の収容者食料費の一億一千八百三十万八千円の増加でございます。これは刑務所、少年院における収容者のお菜代の一円引き上げによるものでございます。次に(11)の公安調査官調査活動費の四千五百万の増加、これは最近の公安情勢にかんがみ増額を承認されたものでございます。
次に、委託費関係、これは五ページの4でございます。委託費についても旅費、物件費と同じ方針のもとに節約がなされました結果、ごらんの通りほとんどの目について減額となっております。ただ(6)の更生保護委託費、これは保護観察の対象者などを保護会等に委託する際の経費でございますが、事件数の増加にかんがみまして八百四十八万四千円の増額となっております。(7)の地方公共団体委託費、二千三百二十三万四千円の減額は、前に申し上げました外国人指紋採取事務に必要な経費のうち、地方公共団体委託費として一千三百五十八万五千円が新たに増額にはかりましたものの、当初に申し上げたように前年度において初度的経費として計上された外国人発録証明書切りかえに要した三千六百三十万五千円の減になりましたために、差し引きいたしますとこういう結果になったのでございます。
次に、5の営繕施設費関係、ごらんの通り一億五千六百四十八万三千円の増額となっております。これは資料の十五ページの営繕施設費の年度別経過という表がございますが、これをごらんいただきますとおわかりのように、二十九年度予算において大巾な削減を受けました。これは官庁営繕費を極力切り詰めようとする予算編成方針によるものでありましたが、これによりまして種々の支障をきたした点を考慮いたしまして、必要やむを得ない個所、たとえば東京地方検察庁、須坂刑務所、川崎入国者収容所その他でございますが、等につきまして所要経費の増額によるものでございます。このほかに法務省関係の営繕経費は別に建設省所管に八千三百四十二万七千円が計上されております。これは前年度の予算額建設省の所管に計上された分、一億二千三百五十万二千円に比較いたしまして四千百七万五千円の減額となっております。結局、法務省関係の本年度の営繕予算は、建設省所管計上分を含めまして、この4のところに警備艇建造費というのが掲げてございますが、これを除きますと五億三千百九十五万五千円となるのでございまして、これを前年度の予算額四億一千七百四十四万七千円に比較いたしますると、右のような計算方法で計算いたしますと、一億一千四百五十万八千円の増額をみたことになるのでございます。
次の6が補助金関係、7が諸謝金関係、8が、原材料費となっておりますが、この7を除きまして、6、8、それから8から12に至るまでの各目の増減は、特に御説明申し上げるほどのこともないと思いますから省略させていただきます。
次に7でございますが、諸謝金関係、この経費の中には調査指導等に対するいわゆる謝金と、刑務所の収容者に対する作業賞与金、この中には死傷手当金も含まれているわけでございます。これがごらんの通り五百八十二万四千円の増額となりましたが、その最も大きな原因は、死傷手当の現行給与額を二倍に改訂したことによるものでございます。これは現行の給与額が、昭和二十五年当時の未帰還者留守家族援護法の未帰還者障害一時金というのがございますが、その額に準拠して算定されておりまして、同年四月一日以降今日まで据え置きになっておるものでございます。その後未帰還者障害一時金が昭和二十八年八月一日以降二倍に増額されております。それに歩調をあわせて増額したためでございます。第二は、現行の作業賞与金の給与額は一人一日平均二円三十六銭でございます。これは昭和二十三年以降据え置かれたままになっておるのでございましたが、これを約一・八倍に増額されたことによるものでございます。
次に六ページに参りまして13の賠償金および実費弁償金関係でございますが、この経費の中には人権擁護委員の実費弁償金と保護司に対する実費弁償金および代用監獄における留置人に対する実費弁償金が一括して計上してここに掲げてあるのでございます。ごらんの通り三千二百八十六万七千円の増額となりましたが、その原因のおもなるものは、第一は代用監獄に対する実費弁償金でございまして、これは旧国家警察と旧自治体警察が五大市を除きまして昨年七月以降都道府県警察に一体化したことによりまして、留置人の延べ予定人員の増加によるためでございます。すなわち国家警察に対する場合には、この実費弁償金をしていなかったのが、都道府県の警察に切りかえられましたために、その分がふえてきたということになるのでございます。第二には、人権擁護委員の実費弁償金でございまして、これは人権擁護委員の二十九年度の予算委員数三千九百二十三人べースに対しまして現在の状況が四千八百八十三人でございまして、そのベースに切りかえて増額されたためでございます。
最後に14の供託金利子、これは前に本年度新たに増額をみたおもな経費のうちの第三点のところで御説明申し上げた通りでございます。大蔵省所管に計上されていたものを、本年度から法務省所管に移しかえたものでございます。以上の増減が結局差引いたしますると、最初に申し上げましたように約五億二千万円の増加となるわけでございます。
以上法務省所管の歳出の概要について申し述べたのでございまするが、歳入の関係につきまして一言申し上げておきたいと思います。昭和三十年度の法務省主管歳入予算額は三十一億四千百九十五万三千円でございまして、前年度の予算額三十二億五千七百五万八千円に比較いたしますると一億一千五百十万五千円の減少となっております。この中には刑務作業収入の十八億二千五百四十九万六千円、物品の売払収入、少年院の製品の売払代金、不用品売払代金などを含むのでございますが、これが六千七百十五万六千円、それと罰金等の懲罰及び没収金五億七千八百六十九万六千円等を含む雑収入及び政府資産整理収入が含まれております。いずれも過去の実収、実情等を基礎として算出されたものでございます。
なお、三十年度暫定予算につきまして一言付け加えさしていただきたいと思います。三十年度の法務省所管の暫定予算補正予定経費要求額は六月分追加額でございますが、これが二十一億四千二百六十一万円でございまして、さきに成立いたしました三十年度暫定予算四月、五月分三十二億三千九百九十七万九千円に加えますると五十三億八千二百五十八万九千円となるのでございます。で六月分のいわゆる暫定予算の追加額は、今申しました通り二十一億四千二百六十一万円でございまするが、六月分の暫定予算は四月、五月分の暫定予算の追加として編成されたのでございまして、原則として三十年度の本予算を基礎として人件費、事務量その他経常的経費につきましては本予算の一カ月分、ただし職員の特別手当は六月分の所要額すなわちこの十二分の一を計上したのでございまするが、営繕費につきましては四、五両月分の暫定予算計上額と合せまして年額の三分の一を計上いたしております。このほか特に加算計上いたしました経費を申し上げますると、地方選挙の取締りに必要な経費といたしまして一千六十九万一千円、それから赴任旅費といたしまして八百二十七万六千円、これは法務局、地方検察庁における行政整理に伴う後任補充のための異動旅費でございます。次は職員旅費といたしまして百三十三万五千円、これは検察庁および刑務所関係における会同旅費でございます。第四点といたしまして、更生保護会の補助金として五百八十二万七千円を計上いたしました。これは更生保護会の補助に必要な経費でございまして四月、五月の暫定予算において未計上のものでございましたが、今回十二分の三を計上いたしたのでございます。
以上が歳入歳出予定経費要求の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/8
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009・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 裁判所関係の予算につきましては後日説明をいたすことにいたします。質疑をこの際おありになったら、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/9
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010・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 その前に少年院法の一部改正の資料をちょっとお願いしたいのでございますが……。今出ております資料に追加していただきたいのは、少年院の在院者数、二十七年以降はございますが、終戦直後から一つ願いたい。少年院の在院者数、それから逃走者数もそれに従ってお願いしたい。それから少年刑務所の在所者と逃走者、それと手錠の問題に関係いたしますが、少年院の現在の収容者のうち、ヒロポン中毒で犯罪をいたしました者の数、そしてできればその研罪状態をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/10
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011・剱木亨弘
○剱木亨弘君 実は議運でなるべく予算に関係のない法律は参議院を先議にしてほしいという審議の促進の上から、今日少年院法の一部改正と、商法の一部改正と出ているわけでございますが、少年院法の方で多少予算に関係があるかと思いますが、これも大した問題じゃないと思いますが、これは法務省として何か衆議院先議にした特別な理由があったのでしょうか。これは議運のあれもありますから、一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/11
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012・小泉純也
○政府委員(小泉純也君) ただいま仰せられました通り、予算に関係のないものはできるだけ参議院先議にすべしという衆議院の議運でも要請がございまして、法務省においてもよく了承をいたしておるところでございます。商法の一部を改正する法律案が衆議院の先議に相なりましたのは、参議院先議に持っていきたいということはもちろん考えておりましたが、これも法制局との関係、閣議決定が非常におくれまして、ちょうど閣議の決定が済んだ直後に衆議院の法務委員会が開かれまして、衆議院からも少し法案を急げというような要請がございましたので、それでは一つだけ商法の一部を改正する法律案が上ったのであるから、提案理由の説明をして審議してもらおうかという、何と申しますかそういう時間的な関係で、とりあえず衆議院の先議にかけましたようなわけでございまして、今後は今仰せられました通り、できるだけ予算に関係のないものは参議院先議にお願いをしたいと考えておる次第でございますから、この点御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/12
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013・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) それでは本日の委員会はこれをもって散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X00319550519/13
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