1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十七日(水曜日)
午前十一時五十二分開会
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委員の異動
七月二十六日委員伊能繁次郎君、小幡
治和君及び佐藤清一郎君辞任につき、
その補欠として大屋晋三君、大達茂雄
君及び松野鶴平君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 成瀬 幡治君
理事
剱木 亨弘君
宮城タマヨ君
市川 房枝君
委員
井上 清一君
岩沢 忠恭君
中山 福藏君
河合 義一君
赤松 常子君
一松 定吉君
衆議院議員
田中幾三郎君
古屋 貞雄君
国務大臣
法 務 大 臣 花村 四郎君
文 部 大 臣 松村 謙三君
政府委員
法務省刑事局長 井本 臺吉君
文部省社会教育
局長 寺中 作雄君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 眞道君
説明員
法務省参事官 高橋 勝好君
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本日の会議に付した案件
○幼児誘拐等処罰法案(中山福藏君発
議)
○裁判所法の一部を改正する法律案
(衆議院送付、予備審査)
○接収不動産に関する借地借家臨時処
理法案(衆議院提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(売春対策に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/0
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001・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) これより委員会を開きます。
裁判所法の一部を改正する法律案を議題に供します。
本件について、まず発議者から提案理由の説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/1
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002・田中幾三郎
○衆議院議員(田中幾三郎君) 裁判所法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
違憲の法令、処分を阻止し、憲法解釈を統一するため、最高裁判所による違憲法令、処分自体の審査制度を確立することは、憲法の精神を護持し憲法政治を推進する上に、きわめて、重大な意義を持つものと信じます。
ところで、憲法第九十八条には、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」との定めがあり、第八十一条には、「最一局裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」との定めがあるにもかかわらず、最高裁判所の判決によれば、いかに歴然たる違憲法令、違憲処分がなされようとも、具体的争訟事件とならない限り、これを除去し、これを無効ならしめる道はないとされております。ここにおいてか、現実政治の面にあっては、大多数の憲法学者が違憲なりと断定する事態が発生し、次第に既成事実化してゆく傾向を生じております。もし、法令、処分の違憲審査制度を確立することなく、この事態をそのままに放任するときは、やがて、憲法そのものさえ破壊せられるに至るであろうことが、憂慮せられるのであります。
されば、現行裁判所法を改正し、具体的争訟事件を前提としなくとも、最高裁判所が、直接、法令、処分自体の違憲性を審査し得るよう、すなわち、最高裁判所が憲法裁判所的機能をも持つよう、明確にする必要があります。
この機能を果すため、本改正案は、現行裁判所法第三条に新しく第二項を加え、最高裁判所には新たに法令、処分自体の違憲審査権を与えられることも明らかにし、同時に、第七条に規定する最高裁判所の裁判権は具体的争訟事件に関する裁判権であることを明かにしようとするものでございます。
これが本法律案提出の理由でございます。
何とぞ慎重審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/2
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003・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 本案につきましては、本日は説明を聴取するにとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/3
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004・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 御異議ないものと認めまして、次の議題に移りたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/4
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005・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) それでは次に、接収不動産に関する借地借家臨時処理法案を議題に供します。
本件について、まず発議者から提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/5
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006・古屋貞雄
○衆議院議員(古屋貞雄君) ただいま議題となりました接収不動産に関する借地借家臨時処理法案について提案理由の御説明を申し上げます。
終戦直後旧連合国占領軍の進駐をみるや、占領軍は直ちに不動産の接収を開始したのであります。この不動産接収は戦後の非常処置であったのにもかかわらず、日本国政府は土地工作物使用令のはかは特別の法律を設けませんでした。これがため民法における賃貸借の規定や、借地借家法等では、接収解除後の不動産に関する権利者間の紛争は処理し得られないのであります。
すでに平和条約発効後駐留軍に対する不動産の提供につきましては、行政協定に基く土地使用等の法律による不動産の提供が根拠法となっておるわけであります。従いまして戦災地との対比からも、接収地に対する権利の調整のため、何らかの臨時特例法による解決が必要であるというのが内容から見た本案の提案理由であります。
考えまするに占領軍の接収の跡始末は、政府みずからなすべきものであります。しかるに特別調達庁、法務省、大蔵省、東京都庁等の間に議が合わず、特別調達庁の立案いたしました連合国軍使用不動産に存した費借権等保護法案も、次官会議におきまして成案を得なかった由を聞きましたので、接収不動産関係者の損害を見るに忍びず、やむを得ず衆議院法務委員会において立案に着手するに至ったものであります。白来本法案は第十三国会、第十四国会、第十五国会を経て第十八国会まで継続審議となり、第十九回国会においては衆議院を全会一致にて通過しましたがその後の解散により参議院にて廃案となったのであります。接収不動産の問題の解決方法としては、国家補償、賃貸借期間の進行停止等が考えられますが、いずれも政府、裁判所等により早急に実現される可能性が少いのでありまして、解決方法としましては、戦後最も国民に親しまれている罹災地に関する法律に準じて行う方法があります。よって接収不動産の処理を原則的に罹災都市僻地借家臨時処理法の規定により解決する方法をとることにいたしました。しかしながら接収地域と罹災地域とは戦争を原因とする被害では同様ではありますが、終戦直後の住宅事情と、接収解除後の建物事情とでは相当の差異がありますので、罹災都市借地借家臨時処理法の若干な規定を接収地域に準用するにとどめました。
次にこの法案の主なる内容について申し上げますと、第一に、接収当時借地をしていた者は、解除後敷地の優先借り受けができる。接収当時借家していた者は、原則として解除後建物の優先借り受けができないことになっております。
第二に、接収当時の土地や建物の所有者は、解除後自己使用する場合や、すでに権原により自己または第三者が使用している場合には、接収当時の賃借人の優先借り受けを拒否することができることになっております。
第三に、その他の規定の多くは、借地において互いに利害の相反する賃借人と所有者との権利を調整した規定であります。すなわち、賃借人の承諾の擬制や、優先借受権の存続期間や、土地使用の義務や催告による賃借権の消滅などは、いずれもその両者調節の規定であります。
第四に、接収とは何ぞやの問題がありますのでその定義を掲げ、かつ、この法律の目的を条文の冒頭に掲げました。
第五に、強制疎開地にして後に接収せられた地域についてこの法律を適用し、借地の賃借人に救済の手を伸ばしております。
最後に、本法案施行には予算を必要としません。
以上提案理由の御説明を申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/6
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007・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 本案につきましては、本日は説明を聴取するにとどめたいと思いますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/7
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008・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 御異議ないものと認めます。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/8
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009・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 速記を起して。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/9
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010・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 次に、幼児誘拐等処罰法案を議題に供します。
本案についてまず法務省当局の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/10
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011・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの幼児誘拐等処罰法案に関しまして、法務省の考えるところを申し上げてみたいと思います。
結論を最初申し上げますというと、この極事犯を重く処罰しなければならない、この必要性は十分認めるものでございまするが、しかしこれについて直ちに特別法を設ける必要があるかどうか、これについては大きな疑問を持つものであります。現在刑法全般につきまして、いろいろ法定刑その他に再検討を施されつつありますので、刑法改正の一環としてこれを考えた方がいいのじゃないかと、こういうふうに考えるものであります。
その理由を以下二、三点申し上げてみたいと思います。確かに今度の事件は世間の親に対して重大な脅威を与えております。これにつきまして犯人を重く処罰しなければならないという必要性は、先ほども申し上げました通り重々あるのであります。しかしながらそれも現在の刑法二百二十四条、二百二十五条、またそのやり方によりましては、恐喝罪に関する規定あるいは脅迫罪に関する規定、もし被拐取者を傷つけ、またはその命を取ったというような場合には刑法百九十九条あるいは二百十条その他の諸般の規定を適用することによって、ほぼ厳粛処罰の目的は達し得られる状態にあるのではないか、こう思うのであります。過去の実績もほぼそれに近い状態を示しておるのであります。さらにこのたびの幼児誘拐等処罰法案の内容を拝見しますというと、これについてはやはり二、三の疑問点がないわけではないと考えるものであります。
まず第一に、ここに七才に満たない幼児とこういうふうに特に取り上げてあるのでございますが、御承知のようにアメリカ、ニューヨーク刑法によりますと十六才、フランス刑法では十五才未満、ドイツ刑法では十八才未満というふうに世界の主要国におきましては割合に高い年令をもってこの標準といたしておるのでございまして、ここに七才というふうなことについては、まだここに考える余地があるのではないか、こう思われるのであります。それから第二項に参りますというと、第二項は現在の二百二十五条の中には身代金その他の財産上不法の利益を要求することが入らないというふうな前提のもとに書かれておるように思いますので、この点については多少疑問がないわけではない。二百二十五条の中に当然そのものも含まれるのじゃないかという意見も一部にはございました。従いましてこういう規定を設けることによりまして、かえって解釈案を、解釈案と申しますのは第二項に該当するような事項につきましては、たとえ恐喝もしくは脅迫罪が成立する場合においても、当然ここに含まれて別罪は構成されないというふうな解釈論も生まれるおそれがありますので、やはりこの点もさらに考える必要があるのではないかと、こう思われるのであります。
そういたしまするというと、結局この法案の主眼点は第一項にありますところの法定刑の引き上げということに尽きることになると思うのであります。法定刑の引き上げにつきましては、先ほども申し上げましたように刑法全体につきましてかなりこれは再検討する必要がある、こういうふうな考えのもとに現にその作業を進められておりますので、実体は刑法そのものでありますこの法律案につきまして、特に特別法でこういうふうに強い刑を盛りますというと、刑法全体の刑のアンバランスという問題が出て参りまして、かえって困る場合ができるのではないかとこう考えられるのであります。たとえばこの一項の適用について考えますというと、七才以下の幼児につきまして営利の目的のために略取、誘拐いたしますときには三年以上の懲役、ところが七才を越えるものにつきましては、未成年者でありますと依然刑法の二百二十四条あるいは二百二十五条にしますというと三月以上五年以下ということになりまして、その間にかなりの大きなアンバランスができてしまう。そういうことになりますので、やはり冒頭に申し上げましたようにこの法律案につきましては、刑法改正の一環として考えた方がよろしいのではないかとこういうふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/11
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012・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 御質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/12
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013・赤松常子
○赤松常子君 ちょっと今御説明の中で雷が鳴りましてよく聞き取れなかったのですが、諸外国の例をお知らせ下さいませ。イギリス、フランスのその幼児の年令を何才でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/13
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014・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ドイツ刑法では二百三十四条によりましてこれは十八才未満となっております。それからフランス刑法では三百五十五条でございますが、これは十五才となっております。もっとも参議院からちょうだいしました資料にはこれは十六才となっておりますが、この法律案は一九五三年と思いますが、五十三年に改正がありまして十五年になっておりますので、現行法は十五年が正しいと思います。それからニューヨーク刑法、これは千二百五十条、誘拐の罪であります。それには十六才未満となっております。主要国は大体その辺の年令でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/14
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015・赤松常子
○赤松常子君 もう一つその刑量、二、三外国の例を教えて下さいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/15
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016・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) まず一番重い刑は、ニューヨーク刑法の千二百五十条に規定してありますが、それは身代金を得る目的で略取または誘拐した場合には死刑、無期となっております。しかしながら、その裁判の確定前におきまして本人が返されました場合には、陪審は二十年以上の懲役に処することができる、こうなっております。ただニューヨーク刑法で注意すべき点は、誘拐の罰を行なった者がその被拐取者の父または母であって監護人でない者、たとえば夫婦が離婚しましてその監護人の父または母の一方が監護人になっている、そうでない者結局ある意味の他人になるということになる場合に、その別れた者が自分の地位をあるいは立場をよくするために、その子をさらって、その上で交渉をしようとこうした場合におきましては、ニューヨーク刑法におきましては特に千年以下という軽い刑になっております。そういたしますると、今度の幼児誘拐等処罰法案によりますと、その場合にどうするかということが何も規定がございませんので、おそらく日本でも従来幾つかの事例もございましたように、そういう際にやはり三年以上の懲役ということになりますと、この処置もまた困る点ができるのではないかとこう実質的に考えられるのでございます。次に、ドイツ刑法によりますと、普通の暴行脅迫によりました場合は一般の未成年者の略取誘拐が五年以下の、一日以上五年以下でございますが、恐喝的な子供の誘拐、すなわち身代金を得る目的をもってやったという場合にはこれが三年を下らない重懲役をもって処断する、こうなっておりますから、最低は三年でございます。三年以上の軍懲役、それからフランス刑法によりますと過重になります。すなわち身代金を得る目的を持って行なったような罪につきましては三つの場合がございまして、拐取された未成年者が十五才未満である場合には終身強制労働、これは三百五十五条第一項にございます。それから犯人が身のしろ金を受けた場合、この場合、ただ本人が無事に返された場合は強制労働ではなくて有期懲役となっております。それからもしこの拐取によりまして未成年者を死に致した場合、これは死刑、三百五十五条の三項にございます。そういうふうになっております。それからこれも先ほど申し上げたニューヨーク刑法の、同じように監護権のない父または母がこの犯人であった場合、これは特に一月以上一年の禁錮もしくは二千フラン以上六千フランの罰金、こういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/16
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017・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) なお、念のため申し上げますが、法務省の検事の宮本さん、鈴木さん両方おみえになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/17
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018・中山福藏
○中山福藏君 ちょっとお尋ねしますが、刑法一般改正のときに持ち込んだ方がいいだろうといわれるのですが、刑法一般改正は審議を尽してそれが一つの法律にまとまるのは一体何年かかるのですか。それをあなた一つ責任を持っておっしゃっていただきたい。今にもでき上るようなことに聞こえますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/18
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019・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいま中山委員のお尋ねの点は、これは前例で申し上げますというと、現在の刑法を改正すべく刑法並びに監獄法改正委員会というのが大正十五年に設けられまして、そしてそれ以後現在の法制審議会と同じような作業をえとなんで参りまして、結局昭和十五年に刑法改正仮案というものを発表されております。そうしますとその作業に十五年かかっておりまして、しかしその刑法仮案で現行法に取り入れられました点は、たとえば談合罪に関する規定とかその他二、三件しかございません。そういう関係上刑法全般について再検討を加えなければならない。さらに先ほど申し上げましたように法定刑をどういうふうにするかということにつきましては事務当局としては着々検討はいたしておりますのですが、これがいつできるのか、またいっそういうふうな機構が持たれ、いつごろまでにできるかということは、残念ながら申し上げられない、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/19
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020・中山福藏
○中山福藏君 いま一つお尋ねいたしておきますが、ただいま諸外国の立法例、法律の状況をお話くださったのでありますが、そのうちにスペインの法律だけはお述べにならなかった。これは明かに七才という上下を区別しての刑罰を執行しておるわけですが、あなたはただいまお述べになりました全体の刑というものは、私の提案いたしておりまする刑とどちらが重いとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/20
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021・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの点は、やはり諸外国の刑の方が重く、ここに議題になっております法案の方が軽いとこういうふうに考えられます。しかしこの法案におきましても現行法の刑法の規定から見ますと、だいぶ重くなっておる、こういうふうに考えます。先ほど申し上げました現行法とアンバランスをきたすものではないかとこう申し上げたのはその意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/21
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022・中山福藏
○中山福藏君 それでは最後にもう一つお尋ねしておきますが、身のしろ金の要求に関する判例というのは、ほとんど日本にはないのじゃないかと私は考えておるのであります。たまたま住友令嬢事件とかいろいろなことが横浜の裁判所において判決があったのですが、あれは営利誘拐罪と恐喝罪との競合した併合罪のように取り払っておるのでありますが、これとても判決を読んでみるというと、文章の上から申しましてもあまり割り切る書き方ではないのですね。だから牽連罪か併合罪かということについても、裁判所自体がこれは私ははっきりしたお考えを持っておられないのじゃないかと思うのです。また身のしろ金の性質についても、現在の刑法の上からいいますと、身のしろ金というのは、一体法律解釈上営利誘拐の中に入るかどうかということも、これは非常な無理の判決の書きようではないかと実は考えております。ですから、提案いたしました法案には、そういうあまり疑義のある問題については、やはり営利というものの目的をもってということにみなしておかなければ、これは私は最高裁判所なりが判決なさるのに非常に不仲じゃないかということを考えてみたのでありますが、そういう点について、これを画一的に断定しておく必要があるのじゃないかと思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/22
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023・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいま仰せの問題は、確かに判例学説上わからない点である、こうお答えする以外にはないと思います。御指摘の昭和二十一年十月三十一日の横浜地方裁判所におきます住友令嬢の誘拐事件でございます。これは明かに党利誘拐と恐喝とを併合罪として扱っているように受け取られるのでございますが、私も理論上はこれはやはり併合罪じゃないか、こう思われます。しかし第二の問題の、この刑法二百二十五条には身のしろ金を得る目的をもって行なった場合も、当然に含まれるかどうかということにつきましては、学説必ずしもはっきりしておりません。むしろ反対説の方が、含まないという方が多いように思われますが、新しい学説などではそれを含むかのごとき口吻の見えるのも二、三見あたるのでございます。
なお、昭和二十四年から二十八年まで五カ年間におきます略取誘拐事件の現実の裁判の処理結果に照らしてみますというと、たとえば昭和二十四年には三十六件のうち、三年以上の処罰を受けたものが三件、一年以上が二十九件、一年未満が四件、二十五年は五十五件のうち三年以上が五件、一年以上が四十一件、一年未満が七件、二十六年は総計九十一件のうち、三年以上の刑のものが八件、一年以上が六十四件、一年未満が十九件、二十七年は総計百十八件のうち、三年以上が七件、一年以上が九十四件、一年未満が十七件、二十八年は総計百一件のうち、三年以上が十件、一年以上が八十五件、一年未満が六件、こういうふうになっております。もちろんこの略取誘拐にはほかの要素も入っていると、こう考えられますので、身のしろ金要求に関する事案のみではございませんので、的確な資料ではございませんが、一応そういうふうな裁判の運用の実績になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/23
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024・中山福藏
○中山福藏君 これは略取誘拐ということに主眼を置いての御意見が多分にあると私見ているのですが、あなたは検事として色情犯罪に関する統計をすでにごらんになり、また知悉しておられると考える。色情犯罪が専門家の発刊せられた印刷物によって私が調べてみますというと、大体アメリカ、ドイツあるいはイギリスその他の岡におきまして色情犯罪者は大体七才から三才までの少女を犯しておる場合が非常に多い。これは統計の上で明らかに出ておる。そういうふうなことを兼ねてのこの身代金の要求ということが、必ず私は日本にも起ってくると、こう思うのです。いわゆる連鎖反応的な、伝染病的な性質をこういう犯罪はもっておるのでありまするから、私は何年か先にできるかわからないというような刑法改正を待つということは、これは私は社会治安の上から申しましても、安寧秩序を保持する上から申しましても、やはり特例というものを設けて、刑法を改正するのではございません、この法律では。いわゆる刑罰の程度に対する特例を設けるわけでございまするから、こういう法律泉は暫定措置として必要じゃないかということを私自身としては考えるのですが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/24
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025・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまの御意見は、見方によってはその必要性が私はあることにつきましては、決して反対するものではございません。しかしながら先ほども申し上げましたように、もしこの法案が法律として施行された場合には、同じような犯罪に対して七才未満のものを対象とした場合は三年以上の有期懲役、ところが七才を越えるものに対しましては三月以上五年以下というふうなことにならざるを得ないことになりまするので、その辺のことが刑の権衡上いかがかと、こう考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/25
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026・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 ちょっと一点だけ伺います。今の誘拐罪のあの検事の求刑とそれから判決の刑ですね。それが大体わかっておりますか。それから執行猶予されているような件数なんかわかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/26
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027・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの問題につきまして、詳しくは資料を持ち合せておりませんのですが、先ほど申し上げました横浜地方裁判所の判決は懲役十五年の求刑に対しまして懲役十年の判決になっております。それからあと個々の問題につきましての検事の求刑はわかっておりません。おそらく調査もむずかしいのじゃないかと思います。それから執行猶予の件は、先ほども申し上げました件数は、昭和二十四年から二十八年まで総計三百九十九件でございまして、うち執行猶予になりましたのが百二十四件、総件数のうちの三一%が執行猶予になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/27
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028・赤松常子
○赤松常子君 誘拐罪のその人々で男性、女性はどのくらいの比率でございますか。刑の成立したその従来の成績というのですか、男性、女性どのくらいの割合でこういう罪悪を犯しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/28
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029・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの件はここに資料を持って参りませんでしたが、調査いたしますれば、これはすぐ出てくると思います。この次の機会に申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/29
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030・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/30
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031・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 速記を起して。暫時休憩をいたします。
午後零時三十五分休憩
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午後三時三十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/31
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032・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 午前中に引き続き、委員会を開会いたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査のうち、売春対策に関する件を議題に供します。本件について御質疑のおありの方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/32
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033・赤松常子
○赤松常子君 文部大臣、大へんお忙がしい中御出席いただきまして、ありがとうございました。大へんお待ち申し上げていた次第です。それで実は売春等処罰法案が否決されましたことは、ほんとうに私どもとしては遺憾この上もないことでございます。また一般社会の良識ある世論も、非常にこの否決に対しましては遺憾であるという気持を持っておると思うのでございます。私は文教の府にいらっしゃいます大臣がこういう処罰法などに対しまして、もっと積極的に意思をはっきりなさって、むしろ文部省当局がこういう問題に対してこうあるべきだという一つの示唆をなさっていただきたいくらいに実は思っておったのでございますけれども、こういう売春等処罰法案に対しまして、そういう動きを文部省当局でなさらなかったかということは、私大へん遺憾に思う次第でございます。そこで私お尋ねいたしたいのでございますが、十九日に自由党、民主党の委員の方から附帯決議がなされましてその中に今後、文教、保健、それから道義、社会秩序そういう点を考慮いたしまして総合的な対策を立てるという文句をうたってございますが、こういうことに対して文教の府においでになります大臣が、将来売春等処罰法に対し、どの程度熱意をもってそういう総合対策をお立てになる御所見でございましょうか、お伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/33
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034・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げますが、私の方で言えますことは、今日の社会の状態が風教の上においてどういうふうになっておるかということでございます。売春の問題もその一部であるわけでございます。これは理想的に申しますならば、そういう法で取り締らなくて、道義の面でそういう自尊の心、それからまたそういうことをせんでも生活が立っていく社会の面からしてこれを矯正していきますことが、私どもはこれが理想的の道であろうと考えます。
そこでそれができない場合において売春法などというものがお考えになられることになるわけでございますが、私そういう意味から申しまして、できるだけそういうことはなくとも、世の中がきれいになっていく道をとるのが私どもの責任であろうと考えておるわけでございます。現に、これは私の口からこういうことを申してどうかと思いますけれども、売春という名を打たない風教の頽廃というものが、私どもお預りいたしております教育のまだ年若い人たちの間に相当にあるといわれております。たとえば鹿児島辺りの事件などは、これは売春になるのでありますけれども、そうでない風教の乱れというものが、実は私これを否定することができません。現にやはり婦人の方で、ずっと全国の学校のそういう風教を調べた方がおられまして、そういう方のお話を承わりましても、それを半分に聞きましても、これは捨てておけぬという気分がいたすのでございます。私として、お尋ねになりますならば、こういう面に何とかして学校教育の道義といいますか、純潔教育といいますかその面、それから社会の風教の改善という面へ、これは国もそうでございますが、皆さん有識の方々がその面へ全力を注いでいただかなくっちゃならないことと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/34
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035・赤松常子
○赤松常子君 文部大臣が最近の社会道徳の頽廃、それから学校教育の中に、その生徒たちの中にもそういう風潮が非常に高まっておるということをお認めになったということは、私はさもありなんと思うのでございます。それならそれで、どういう教育対策をなさっていらっしゃいますのか、純潔教育をどういう計画をもってなさっておいでになるのか。具体的にこういう売春及び道義の頽廃に対して、特に教育対世をお取り上げになった事実がございましょうかどうか。そういうお考えはあるということは伺いましたけれども、それを、具体的にどういう方法をもってそれを少なくする、あるいはきれにするという対策をお立てになったのでございましょうか。事実があったら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/35
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036・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) これはなかなか一つの道からは矯正はできませんけれども、いろいろの面から矯正しなくっちゃならない。すなわち社会の風教を直すという根本的の面からが一つ。それから学校教育の上から申しますと深く検討しなければならぬ。それは重大な問題でございますから、決してここに断定的に申しませんけれども、男女共学などということは、これは純潔教育が完全に行われ得るということを前提としないならば危ないです。それでこの男女共学の風を維持していきますのには、純潔教育に今後うんと力を入れてやっていかなくっちゃいけない、そしてやはり学校の社会教育と申しますか、品性の陶冶ということに、まあこればかりじゃありませんけれども、それに非常な重点を置いてやっていかなくっちゃならぬと考えまして、私どもはそれに全力を注ぎたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/36
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037・赤松常子
○赤松常子君 私将来のそういう御計画をお聞きするのではおそいと思うのでございます。もうこういう事実は、日に日に深刻に社会面に現われている現象でございますのですが、それを特に取り上げてどういう対策をなさっていらっしゃいますかということをお聞きするのであって、これからそういうことをしたいとおっしゃることは、もうそれは当然のことでございますが、特に最近、ここ二、三年制服の女子がサロンに現われたりするようなことがたびたび報ぜられておるのでございます。そういうことに対して特に警告を発するとか、あるいはその純潔教育の重要性を取り上げて勧告をなさったとか、それがあったら伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/37
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038・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) これまでにおきまして地方の教育委員会等へ常にこれらのことにつきまして注意もいたし、勧告もいたして参っておるのであります。ただ、今日の教育制度の上から申しまして、決して責任を避けるわけじゃございませんけれども、勧告、注意くらいの程度であって、直接これに作用することはできませんから、学校学校の要請も十分にして、直ちにこれに対する措置はできませんからでございますけれども、もちろん権限の許される範囲内においてはできるだけのことは努めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/38
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039・赤松常子
○赤松常子君 文部大臣のお気持は私よくわかるのでございます。よくわかるのでございますが、もっと私真剣にお取り組みになっていただきたいと思うのでございます。松元事件で現われました事柄でもわかりますように、制服の娘たちの問題が話題になったのであります。それからまた最近は、火だるま事件のような、誠に恐るべき事件も起きておるのでございます。そういうことがひんぴんとして学生を中心として起きております。現在特に文部省としてそういうことをお取り上げになって、あるいは省内でも問題としてお取り上げになったのか、そういうこの具体的に何をなさっていらっしゃるのか、今なさろうとしているのか、特にこういうことが省議として取り上げられたことがございますのか、それも伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/39
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040・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) これは教育全体の面でございますから、今これ以上特に取りたてて具体的に申し上げることはございませんけれども、この面については、相当に神経的に考えまして、できるだけの措置をいたしておりますのと、品性の教育といいますか、道義の、倫理の面と申しますか、この面を特に重視して今日やっておりまするし、私になりましてからも、先任者の考えを継承いたしましてやってきておるのであります。しかし一般の道義の高揚に対する何は、長い間閑却されてありましたので、やはりこれから効果を上げなくちゃならん問題になっているわけであります。純潔の問題も同様でございまして、効果はこれからの努力によってあげたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/40
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041・赤松常子
○赤松常子君 三十年度の予算で、新生活運動の展開が文部省を中心に計画されておりますことは、私ども大へん希望的に考えておる次第でございますが、新生活運動と、この売春を絶滅する運動及び純潔教育を進める運動、そういうふうなことと何か関連して御計画がおありでしょうか、どうでしょうか。新生活運動の中に、こういう問題をお取り上げになるお考えでしょうか、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/41
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042・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) 実はあの新生活運動は、これはごく最近に、総理大臣から各階級の代表的のお方々をお呼びいたしまして、そうして、この国民の生活の規制ということを道義的にも経済的にも、また文化的にも立て直したい、そういう趣旨において御協力、御協力じゃない、あなたがたの手でこの運動をお始め願えませんかと、こういう呼びかけをいたしまして、そうして、これらの方々の御協議によって、これはあらゆる団体の方々のお寄りのところで何をやるかということもそれでお取りきめを願いたい。こういう考え方で出発いたそうと考えております。それは政府がやりますと、他から何しますと、いわゆる上意下達といいますか、翼賛体制のようになってはなりませんので、まずそういうことで出発を最近にいたすことになっておりますが、しかしながら、それはその団体ができましたらば、生活といいましても、これはやはり道義に結びつき、裏表をなすことは当然でありますし、この社会風教の面のことも、やはり生活の一端だろうと思います。従いまして、新生活運動の重大な面として、こういう風教のことが取り入れられますことは、これは私どもは信じて疑いません。また、それを取り入れられますならば、私どもこれに協力をいたして、そうして全国のこの乱れた生活を引き締めなくちゃならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/42
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043・赤松常子
○赤松常子君 もう一つで終りたいと思うのでございますが、十九日の衆議院法務委員会で最後に売春法案が否決されましたときに附帯決議がつけられたわけです。その中に今申し上げましたように、文教や保健、各方面の立場からいろいろ総合対策を立てて十分なる法案を次の国会には出したいという内容でございますが、その中に特に文教とうたってございますのですが、この売春法の成立に、ぜひ文部大臣もっと決意をお持ちになっていただきたいと要望いたしますが、特に文教方面からこの売春法、完全な売春法の制定にどういう御抱負、それからどういう点を織り込みたいお考えでいらっしゃいましょうか。その点を伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/43
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044・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) 実は私文教の上から申しますならば、先刻も申し上げました通りに、できるだけ法によらないでも引き締めができるようにというのが私どもの考えでございまして、今日の状態においてどの程度のことをいたしたらばいいかという、法的にやればいいかという研究は私十分いたしてはおりません。しかしながらその規定は、これはよほど今申した世の中の乱れということは、必ずしも法一つではなかなかみていくことはできませんもので、矯正ができませんから、その事態はどうしても文教の面から大きく働いていき、そうして法で取り締るものは、これはやむを得なかろうというところのものである方が私は理想であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/44
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045・赤松常子
○赤松常子君 ほんとうに文部大臣のおっしゃるように、教育のことは法律以前のことだと思うのでございます。そういう考えであればこそ、私はもっと明確に、こういうことをなからしめるためには、どう教育をしなくちゃいけないか、どういう具体的な純潔教育のプランを立てなくちゃいけないかということを、十分御立案願いたいと私は念願する次第でございます。だからこそこの新生活運動と結びついているわけであるのでございます。そこで私ども新生活運動でお願いいたしたいことは、民間の婦人団体で、この新生活運動を官製に終らせたくない、民間から盛り上った力で運動を進めたいという目的をもちまして、新生活運動促進協議会というものを持っている次第であります。そこで新生活運動で何を取り上げるべきかというようなことがいろいろ協議されて会合をたびたび重ねておって、中にある団体は、やはり売春問題を絶滅するために五千万円の予算を使わせてもらいたいということを言っておられる団体もあるくらいであります。これが全部それに使われるということは不可能ではございましょうけれども、どうぞ五千万円の予算で今大臣のおっしゃるように、売春は法律以前の教育問題であるという御観点から、相当の予算がこういう売春を絶滅する、またその根本である道義を高めていくという方面に回していただけるものかどうか伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/45
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046・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) その点でございますが、ただいま私の方針といたしておりまするところは、そういう一つの大きな国民運動の組織ができますれば、そこでいろいろの計画がきまると思います。たとえば食生活の改善、衣類の改善、あるいは今お話しの国民風教に関する粛正の面、いろいろされております。そしてそこに一つの計画が必ず組織的に立ってくると思います。それに予算を流そう。すなわち新生活運動のまとまった、大体そこの計画ができたときに、それの方に流そう、こういう考え方を持っておりまして、すべては民間の盛り上る機構へ流して、今お話しのような日本では今いろいろ新生活の運動をやっていらっしゃる、古くからやっていらっしゃる団体が相当にありますから、そういうのに今申したような点から新生活運動の本部で統一のあるなにをやっていただきたい、こういうふうに考えております。風教のことは必ずしも婦人団体だけでできることじゃありません。従って総合的の運動としてやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/46
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047・赤松常子
○赤松常子君 もう一つちょっとお願いいたしておきますが、より完全な売春等処罰法を作るということがこの決議にうたわれておるのであります。どうぞ最初に申し上げましたように、法務省だけにまかしておく問題でございませんで、それ以前の教育問題、教育運動、これがことに大きな根にならなければならぬと思うわけでございますから、文部当局におきましてもこの法案の作成に当りまして、もっと積極的に意見をお出しになり、もっとこの法案の促進に、ほんとうに教育の面からの新しい一つの理念というものをお示しいただいて、十分お考えを出していただくようにぜひともお願いいたしたいと思います。従来どうも文部当局がこういうことに対してはほんとうに熱心さを欠いていらしたということは、私ども大へん遺憾に思う次第でございますので、今後こういう促進のためにもつと教育関係の方々が十分なる力を惜しまず出していただきたいということを強く強く要望いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/47
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048・中山福藏
○中山福藏君 私は文部大臣に三点お伺いしておきたいと思います。大体国家社会の進歩ということは、いわゆる時代感覚というものを子供に間違いなく浸透させるということが必要だとみております。それで善悪の標準というものは、時代とともに変ってくる。たとえば社会主義というものは二十年前は非常に最悪のものだと日本で考えられておった、社会主義というものは現在はそんなに悪いものじゃないということになっておる。現在ではソ連では共産主義というものは最善の道徳だと見ておる、日本では最悪の道徳だ、これは所と場所によっては最悪の標準が違うわけですね。そこで今日の子弟教育というものは、善悪の標準の区切りをようつけぬ。そうしていたずらに死を賛美する。その煩悶の中に彼らは死を賛美してあるいは琵琶湖の心中、あるいは青酸カリを飲んで死ぬ、結局落ちつくところはそういうことになっておる。これは社会の指導者の一部を担任しておられますいわゆる文部当局というものは、時代感覚の正しい認識を子供に符させるということに手落ちがあるのじゃないかと実は見ておる、そこでこの善悪の標準というものは必ず移っていく。これは哲人の目から見れば善悪はないでしょう。しかし平面的に社会というものの立場から見ると善悪は生れてくる。だからこの世の中は悪と善との戦いです。だから私どもは子供に善を植えつけて悪を圧倒する力を与えるというところに、教育の標準を置いていかなければならぬと私は考えております。しかるに今日日本では文部省は二つあると見ておる。教職員組合というものは膨大な組織を備えて、あなた方の言うことはなかなか聞かない。そこに文部省としてはどういう筋道を立ててこの移りいく善悪の標準というものを子弟の頭に浸透させるような処置をとっておられるかどうか。またそういうことについては全然関心がないのかどうか、これをまず承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/48
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049・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) お話しの通り世の中の移り変り、変遷が道義の立て方にもありますことは、これは申すまでもないことでございます。しかしながら道義と善悪とは何ぞやと申しますれば、社会に人と人とが交わってお互いによく生きることが、すなわち善であろうとわれわれは考えておるわけであります。そういう意味から申しますと、私どもは教育の標準というものは何としても一つは高い道義、品性、それは世界のどの民族と交わっても尊敬を受けるだけの品性と技術、それと豊富な常識を涵養させることが大体教育の根本でないか、こういうふうに考えておりまして、それを目標として人を仕立てていくべきであると考えております。ことに交通がこのように発達してもう十年、二十年後になったならば世界の民族は、今東北の人と九州の人がおつき合いするがごとく頻繁な交通をするにきまっておりますから、そういう人間を作るのが教育の本筋でなかろうかと思うものでございます。たださらに必要なことは、日本の民族であるがゆえにその民族を愛する、祖国を愛するという気分は、これは家庭に生れて家庭を愛すると同じことなんですから、愛国と言えば軍国主義に使われたから今日は使いませんけれども、しかし同胞愛、民族愛というものは、これは当然あってしかるべきもので、これは私どもは力を尽して高揚すべきものであると考えます。それでこういう方針がこの教育の基礎と考えましてそれを普及するために文部省も努力をいたし、私どももその趣旨で今日やっておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/49
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050・中山福藏
○中山福藏君 日本においては憲法第十九条において思想の自由、良心の自由を憲法で保障しておるわけであります。でありますから現在行われておりますいわゆる超国家的な思想が、この憲法第十九条のこの規定に立脚して何を言ってもいいのだと、ことに世間から尊敬を受けるような人が野放しに勝手ほうだいな思想というものを宣伝してゆく、そうして新奇な好むところの青少年はこれにつられてついてゆく、そこで私は文部大臣にお尋ねしたいのは、この憲法第十九条の思想並びに良心の自由というものは、これは社会公共の福祉を超越したいわゆる憲法上の思想の保障かどうか、あるいはまた教育の力によってそういう憲法の保障があったとしても、これがあなた方の力でたとえこういう規定があっても、おれは文部省の責任者として青年の指導に対してはこういう目標を示さなければならぬという確信のあるあなたに指導目標を、心のうちに持っておられるかどうかということが一つ、それから大体この善といい、悪といい、これはその国々による惰性的な一つの信仰であると見ておる。これがなぜ善かということはだれでもこれを肯定し否定することのできない思想上の問題でありまして、私どもは国民としてこれを惰性的にこれは善だと、これは悪だと考えている。だからその善悪の標準というものは、ただいま文相の仰せられた通りに東西交通のひんぱんな今日におきましてはこれは時々刻々変るのです。だから今までのような鎖国的な甘木の善悪の標準というものは、今日世界に共通しないということになってきておる。そこで非常に青少年は迷うのです。それが一つなんです。そこでこう言うて、時間が制限されておりますから、あわせて私は第二の問題に移るのですが、そういう点文部省として十分御研究にならなければならないということ、三、四代の文部大臣の、これは大へん失礼ですが頭の程度を私は静かに見ておる。見ておるというとどうも時代感覚にそれてやせぬかということをいつもその点から感ずるわけなんです。どうかお願いしておきますが、議論すれば果てしがありませんから、これは私は希望しておきます。そういう点についても文部省はぜひとも時代の先端に立って、善はかくあるべきものであるし、ただいまの善はこういうふうに自分なんか判断しておるという一つのちょうちんだけは、文部省の手によってつけてもらいたい。そういうことでなければ、青少年はやり切れません。今日のような雑多な思想がはんらんしておる今日におきましては、これは私はお願いしておきます。議論すれば果しがありませんからその点議論しません。第二の問題は大体演劇、芝居というものは、げすの道徳と昔から言われておるのです。今日思想の悪化とか善導とかいうものは、どうしてもこの演劇あるいは、浪花節あるいは、落語というものに待って、これが私は一番いい善導の方法だと見ているのです。この間私は明治座に水谷八重子の芝居を見に行きましたが、あれなんか実に上品です。ああいうふうな演劇とかなんとかいうものは、相当の文部省が手をお打ちにならなければ、これは幾ら五千万円の新生活運動の費用をお出しになっても効果がない。結局そういうふうなことをやる人の毎月の暮しのかてになるのじゃないかということをおそれているのです。それはむしろ手っとり早く現在やっておりまする演劇、そういうものに一つ手をつけられて、金の要らない社会善導の方策を講じられたらどうかということを考えておりますが、文部大臣の御意見いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/50
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051・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) ただいまのお話しでございますが、思想の自由は、これは憲法の保障するところでありますが、しかしそれが行動に移り、ときにはやはり国、国民の社会を破壊するような言動は、これは制約を受けることは当然であろうと思います。ただこの教育の面はお話し通り非常に変るものでありますから、それはよほどの見識を持ってぜひみていかなくちゃならないのではなかろうか。一例を申しますならば明治維新の後に福沢諭吉先生の、当時武士の封建思想の最も、まだ破れないうちに拝金宗と言われ、前だれ掛けと言われたあの慶応義塾の教育などというものも、当時としては実は思い切ったことであったろうと思いますが、それが明治の繁栄をきたす原動力となっておるわけでございます。そういうような点からみますと、先刻もお話しの通り、これは将来を見抜いて教育をあらかじめ画一的にするわけにもいかないのではなかろうか、しかしながらそれにも大よそ限度があるわけでございますが、こういうことを考えてみますと、文教というものはいかにもこれはむずかしいものであるのでございますが、ぜひ正しい道を進むようにしなくちゃいかぬというように考えております。演芸演劇、それから映画等につきましては、これはお話しの通りでございまして、今私どもはそれに相等に力を入れているのでございます。一面には映画あたりを何とかよくしてもらいたいと思うて、その経営者をどにも絶えざる接触左保って何をしてもらっておる。もう一つは、教育映画なども作りまして、そうして教育の面に映画を利用するようにやっております。現に民間で作りました教育映画を指導する、あるいは文部省で教材を作るというようなわけで、相当にこれを使っておりますが、何分まだ初めでございますから、十分のところまでいきませんけれども、漸次これが教育の上において大きな面を占めるようになることは明らかだと思います。それと教育上の放送と、こういうことも努めて今日やっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/51
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052・中山福藏
○中山福藏君 私はこれで最後でございますが、私は文部当局は他の省と違って少くともその宗教的な信仰を持っておらなければ、今日の日本の建て直しはできないと思っておるのです。私は二番文部省に期待を持っておるのです。また文教問題について私は最大の努力を払いたいと思って、今日議席を持つということに努力したつもりでおります。そこで最後にお尋ねしておくのですが、先ほど文相が、男女共学というのは、やはり性の問題について非常な悪い影響を及ぼしておる、私はこうみております。これは国民性というものが、鎌倉時代からの日本の廉恥心というものが日本の道徳を構成していると私はみているのです。この廉恥人がなくなる教育というものは、これは何をやっても野放しなんです。日本の今日の状態は、ことに社会科の六年生の私は書物をきのう食堂で読んでみた。これなんかめちゃくちゃですね。今日の教科書なんていうものは、そういうふうな男女共学のところへもってきて教えるこの教科書というものは、これはもう私ども見て実際慨歎にたえない教材というものを織り込んであるのを、私は痛感いたしました。それで私はやはりこの日本の国情に即した、あるいはただいま文相のおっしゃいまするように祖国を愛する気持があれば、もう少し男女共学についてもただ単にこれを悪いというだけじゃなくて、これをどうすればいいかということを善悪のなにがわかったら、すぐ手を打っていただかなければ、売春問題なんかということも、やはり性に対する欲求がそのうちに一つ含まれているということは私は間違いないと思うのです。なるほど貧乏な家庭からそういう人が出ることもございましょう。しかし性に対する興味を持っているんです。ちかごろの青少年は。これは文相の言われまする通りに男女共学ということが一つの遠因をなしておると私は思うのです。私が男女共学を非難するというと、あれは時代おくれだと言って、私を逆にまた攻撃する人があるということを私は知っております。しかしときと場所とところというものを頭に描いていない、何と申しますか、頭の程度の低い人の言うことだと私は笑っております。そこで最後に私がお尋ねするのは、男女共学の問題についてどういうふうな措置を文相の御在任中におとりになる気持か、それを一つはっきり灰おっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/52
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053・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) これはただ私の気持を先刻お尋ねに対して申しただけでございまして、これに対する措置等につきましては、いまだこれを十分の検討もいたすひまもございません。またことは重大でございますから、かりそめなことも申し上げられないと思いまして、今後の研究に待ちたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/53
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054・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 文部大臣に当委員会におでまし願うようにお願いしましてから数カ月でございます。いろいろ伺いたいことがたくさんございますが、時間がございませんから売春等処罰法案に関しての御意見はまたの折に譲りたいと思っております。ただ一、二点伺いたいことは、文部省が性に対します教育について、その根本精神はどこにお置きになっておるかということでございます。それは以前は家庭教育でも学校教育でもその通りでございますが、女子教育というものを特別に扱いまして、ことに女子の貞操というような問題は、女子教育の中心において取り扱われておったものでございますが、今日新しい憲法になりまして、この女子だけの貞操問題というようなことは考えられません。そこで文部省のお取扱いになります教育の根本方針というものは、自然に新しい憲法によって変ってきているはずだと思っておりますが、その点について一つお話し願いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/54
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055・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) こういうことを申してどうかと思いますけれども、事実でありますから事実のままを申しますが、これまでは御承知の通りその地方々々の地方教育委員会及び教師の大体考え方によってこれらの問題は取り扱われてきたものと思われます。そうして倫理などを正課とすることは、もちろん社会科のうちでなにすることもある程度の物議があるのは御承知の通りであります。そういうことでありまして、現在において今日までとられてきたものと申しますならば、性教育という側から純潔の問題が取り扱われてきておることと思います。その性教育の問題から純潔を説くということは、これは非常に困難なことでございまして、また教師の人柄によって非常な効果があるのと非常な害がかえってあるようなのがございまして、その間のなには全く苦しんで参ってきた、こういうふうに申すよりほかないのでございます。今後は社会科の方においてもそういう面を強く打ち出して、いわゆる貞操と申しますか、純潔と申しますか、その問題に十分重点を置いてやってゆきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/55
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056・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 この文部省の教育の根本方針というものは、内閣が変りましょうが、大臣が変りましょうが、私は一環したものがなければならない、こういうふうに考えております。それで純潔教育などという、ことに今日の世相にかんがみまして、最も重大な教育の重要性を持っておりますこの問題などにつきましては、もうとっくに文部省がその根本方針をどこに置くか、もちろん地方の教育委員会に託する点もございますと思いますけれども、しかし私はどうしても文部省の動かざるところの根本方針は立ててなければならないものだと思っておりますが、それは今までなかなかむずかしい問題であるから、確立したものはないと仰せになったように伺ってよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/56
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057・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) それはないわけではございません。教育勅語がついえまして、そうして終戦後の教育の方針というものがどこで示されているかと申しますと、御承知の通り教育基本法の法律として示されている。こういうわけでございまして、あの基末法の条項を祖述しているのが今日の文部省の教育の根本方針だ、こうお答えするよりほかないのでございます。その中に性教育もしくは品性の問題につきましては、人格ですか、たしか人格を完成するという文句があったと思いますが、そういう意味をふえんすれば、自然にそれらのものの方へもくるわけでございますけれども、大体あの基本法を基礎としている、こういうわけでございます。しかしながらこれは法律でございまして、そうして多くの人がこれを周知いたしておりません。またいろいろの議論もございまして、それでまた教育勅語のようなものではないが、やはり文書に書いたものを作ったらどうかということは以前からあったようでございますけれども、これは教育勅語にかわるような教育の大木を示すものを文書で一体文部省から出したといたしても、そういうものがどれだけの力になるかと考えますと、どうも私は自信を持てぬのであります。なぜかなれば、ああいう道義の考え方というものは、やはりお釈迦さまだの、クリストだの、孔子だのという偉い人から出て、初めて千年も二千年も感化を人類に及ぼしている。明治の教育勅語というものも権力で普及させたものでもありましょうけれども、やはり明治大帝という人の個人の人格というものがあそこまできたものでありますから、今文部省でわれわれが教育の方針はこれだというようなことを出してみても、なかなかああいうふうには行われないと思っております。従いまして私どもは文革では書かないけれども、教育の紙本方針は先刻もお答え申した通りに、大体国民が常識をもって、親たちもこういうふうに子供を育てるんだという常識的に考えらるるようになって、初めて動かざる教育ができるんだと考えまして、そういう意味において今日やっているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/57
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058・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 残念ながらその点につきましても、もう時間がございませんから次回に譲りまして、いま一つ伺いたいのは、今日この風教の乱れております。そうしてことに純潔教育に関係している諸問題につきまして一体文部省はどういうふうに調査をし、どういうふうに手を打っていらっしゃるかというその実際問題をありのままをおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/58
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059・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) これも何もかもありのままに申し上げます。これは御参考になっていいと思います。地方の学校々々の情勢がそのまま直ちにわれわれの方に右から左にわからんのです。地方の教育委員会から私どもの方が頼めばたまに報告をよこすくらいのものでございましてわからない。昔視学の制度がございました。視学の制度がありましたが、それも今日では地方の学校に対してはございません。こういうようなことでございまして、全国の学校の状態は、これはこういうことを申してはほんとうに相済まぬことでございますけれども、一々手にとるように文部省には集まってこない組織になっているわけでございます。それでこれでは文部省は監督権も指導権もないわけでございますから、そういう必要はないということになっているでしょうなれども、これでは全く事情がわからずに文政をやっていくということは、めくらでやっていくというようなことでこれはいけませんから、これから地方の教育の情勢が文部省ではよしあしともによくわかるようなことにやりたいと思って、今各方面へ手をつけているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/59
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060・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そうすると今の文部省は役に立たないので、文部省がほんとうに文部省らしい仕事をするような機構に変えなくちゃならぬということに承わっておきます。
それから先ほども大臣の御答弁の中に、実は一婦人が地方の学校の風紀を全国的に調べて歩いている者がありまして、それから聞いたとかというようなお話をなさったのでございますが、私はこういうことはまことに残念なことでございまして、せんだって鹿児島の事件が起りましたときに、文部大臣が本会議で藤原委員の質問に対してお答えになりました、今日その速記録を持っておりませんけれども、あの事件につきましても十分に調査をしましたところが、言葉をもって言うに忍びないような状態でございましてと、今ここで言うのもはばかりますというような御発言がございましたように記憶いたしております。そこで私はどういう御調査ができているか、秘密会議でも開いて委員会で十分一つ伺いたいと思っておりましたのでございますが、私の調査いたしましたところによりますと、これはあの松元事件に関係いたしました高等学校の生徒というものは、あの事件以前に学校の問題があるということを私は文部省が調べていないということはないと思う。高等学校同士で男の子と女の子と大へんな問題を実にたくさん起しているという。しかしながら学校ではそれを発表することを非常におそれまして隠しておりました。その事件は御承知でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/60
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061・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) 実はあのときは十分にわかりませんものですから、鹿児島へ電話をかけまして、そうしてあそこの教育委員会の責任者に上京していただきまして、そうしていろいろな話を聞いて、それであのようなことがわかった、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/61
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062・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 承わっておきます。それではあれは高等学校の生徒が制服をつけてということで非常に問題を大きく取り上げたのでございますが、大臣のひざ元でございます東京あたりで今日生徒に、また学生に制服を脱がせて、たくさん売春婦に宿屋が、料理屋が、飲食店が使っているという事実を御存じでございますか。それは数におきましてとてもたくさんいるであろうということは何から推しますかというと、今日家庭裁判所の少年事件としてそういう二十才以下の子供が非常に虞犯少年、犯罪少年としてあげられております。そのあげられておりまするところから推定してみますとずいぶんな数に上っているということを私ども憂えております。文部当局はそういうことを御存じでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/62
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063・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) 詳しい調査は、信醸すべき調査は持っておりませんけれども、今お話のことをそうでないと否定することができませんことは、まことに残念であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/63
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064・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 まことに残念でございます。そこで最後に一つ伺いたいのは、今日学生のアルバイト、こういうものは非常にアルバイトの範囲が広く、そうして女の子はやはり性道徳についての考え方が非常に違っておりますものですから、身体の一部分をもってアルバイトをするのが何だ、正しいじゃないかという言いわけをしながら、アルバイトとしてかせいでおりますところの生徒、学生がたくさんおりますのでございますが、一体文部省はアルバイトについて野放しするおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/64
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065・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) ここに参りますと非常に困難な問題でございまして、東京あたりにおきましては学校のことは大体見当はつきますけれども、放課後家庭に帰ってからどうするかということは、実際わかりませんものですから、今お話しのようなことはないということは申し上げることもできません。今のお話しのことはこれはやはりせんじつめてみますと道義の、品性の問題でございまして、それを強く学校で教えていくよりほかに道はないということを考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/65
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066・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 そこでこれは文部省の教育の根本方針というものが非常に問題があると思っております。等々いろいろございますけれども、時間がございませんので、また次回にお願い申し上げたいと思っておりますが、私の今日の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/66
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067・赤松常子
○赤松常子君 文部大臣に一つ要望申し上げたいと思います。今後売春処罰法を完全なものをお作りになるという政府の意向でございますが、どうぞそれに対しまして法律以前の売春絶滅対策と申しましょうか、あるいは道義を引き締める対策と申しましょうか、そういうことを一つ文部省の立場において、文教の立場において一つ要綱というものをお作りになっていただきたいと思うのであります。従来そういうものを示されていないと私思っておりますが、このチャンスに、この機会に文部当局としてこういう問題をどうして絶滅したらいいのかということを一つ体系的におまとめ願いたいと思うのでございまして、それをできるだけ早く御発表願えれば仕合せだと思うのでありますが、それをお願いいたしておきますが、どうぞちょっとお考えをお開かせ下さいませ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/67
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068・松村謙三
○国務大臣(松村謙三君) よく法務大臣と御相談申し上げて善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/68
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069・赤松常子
○赤松常子君 花村法務大臣に伺いますが、私衆議院におきまして、この売春等処罰法案の審議を全部傍聴する機会がございませんでしたけれども、大事な委員会及び最後の委員会にはずっと出席いたしまして、大臣のお言葉も大体承わったのであります。私まことに失礼なことを申し上げるかも存じませんけれども、まことにつかみどころのないと申しましょうか、ほんとうに私どもといたしましてもっと誠意ある御所見が伺えるものだと思っておりましたものですけれども、最初はかなり誠意ある御答弁であったのでありますが、具体性のある御答弁でございましたけれども、だんだんおしまいにいくにつれまして、どこがどうだかわからない態度なり、御所見に変って参りましたことは、ほんとうに私どもはとても残念、失望をいたした次第でございます。それで私最後にこの附帯決議というものが可決されまして、これも何だか私どもすらっとすなおに受け取れない後味の悪いものを感じつつ、これがきまってしまった次第でございまして、売春等処罰法案を葬る、その一つの手段に、こういう決議を出してあるからいいじゃないかというような言いわけ的な感じを受け取ったのでございます。これは正面私どもの感じでございますし、社会の良識もそういう受け取り方をしたと思うのでございます。そういう段階になりまして、これからなんでございますが、この決議に従って法務大臣は関係当局を督励なさいまして、これにうたってありますように、次の通常国会までには必ずもっと完全な、今出されて否決されましたそれに欠けているものをつけ加えて、あらゆる角度から非難のない法案を作成してお出しになるお考えでございましょうか、まず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/69
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070・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 私の売春法案に対する答弁は、始まりとあとと違ったというお話しでありまするが、私といたしましては終始誠意をもって答弁をいたしてきたつもりでありまして、その点は神明に誓って相恥じざるものがあると申し上げてよろしいと思います。そこでただいまの御質疑でありまするが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、むずかしい問題でありますがゆえに再三国会に提案せられても、まだその通過をみないというようなことに相なっておりまするので、まことに私どもも遺憾であるとは存じておりますが、しかし社会から売春等に関する行為を抹殺して、そうしてきれいな世の中を作らなければならぬという意味においては、私は双手をあげて賛同する次第でありまして、この見地に立ってやはり売春法案も必要であろうと考えておるのでございます。従いまして今回衆議院において附帯決議がついて否決をせられたのでありますが、政府といたしましてはただいまありまするところの売春問題等対策協議会が多分八月の九日に最終の結論を出して、そうして大体答申という運びに相なっておるという話しでありまするので、従って八月の九日にいずれりっぱな答申が出るであろうことは想像にかたくないのでありまして、法務省といたしましてはその答申に基きまして、そうしてこの国会の決議をあくまでも尊重するという建前のもとに、りっぱな法案を作って、国会になるべく早い機会に提案をいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/70
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071・赤松常子
○赤松常子君 また私はなるべく早い機会にというようなことで、あやふやな雲行きになりかねないと思うのであります。この決議には次の通常国会には必ずとはっきり明記してございますのですから、そういうめどというものが一応できておると思うのでありますが、法務大臣はこのめどはどういうふうにお取り上げになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/71
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072・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) その準備ができれば、なるべく早い機会に出したいと、こういうのでありますから、あながち通常国会を待つまでもなく、あるいは臨時国会までに間に合う場合においては、臨時国会に出してもいいという意味でありまするから、考え方としては通常国会に出さなければいかぬというような考え方より一歩進んでおると私は申し上げてよろしいと思う。臨時国会に出すことがいかんということでありまするならば別ですが、なるべく早い機会に出したいということは、私はけっこうじゃないかと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/72
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073・赤松常子
○赤松常子君 法務大臣どうぞ茶化さないでいただきたいと思うのでございます。従来の法務大臣の態度、言論からいたしまして、通常国会を待たないで臨時国会に出してもいいじゃないかとおっしゃること、まことに私うれしいような、また茶化されているような、ばかにされているようなそういう受け取り方しかできないということ、私は法務大臣に対して失礼だと思うのでございますけれども、そういう印象を今まで与えておいでになったからだと私こう思います。どうぞどうぞ、早ければ早い方がよろしいのでございますから、ほんとうに真剣に、誠意をもって臨時国会に、じゃお出しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/73
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074・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 前からたびたび申しておりまするように、なるべく早い機会に出したいと、こう考えておりまするから、そのまためどに向って万々の準備を進めていきたいと考えておるわけでありまして、決して神聖なる国会において国家の代表でありまするあなた方を茶化そりというような、そんな大それた、大胆な気持は持っておりません。私は正直でありまするがゆえに、いついっかまでに出すというて、もし出せん場合には皆様方に申しわけないと考えておるがゆえに、なるべく言うたことは実行に移していくべきだという意味において、正直のあまり私は率直に気持のまま言うておるのでありまするから、悪い意味に取らなんで、善意に一つ御解釈な願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/74
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075・赤松常子
○赤松常子君 それでは、善意に理解いたしまして、私が通常国会と言うから、法務大臣が裏をかいて臨時国会でもいいじゃないかとおっしゃる。私が、じゃあ臨時国会にお出し下さいますかと言うと、なるたけ争い機会にと、またそこをつるっとおはぐらかしになる。ほんとうに私どこをとらえていいかわからないという、これ一つの例なんでございますが、まあ私善意に解釈いたします。できるだけ早い、臨時国会にでもお出しになる御意思があると、そう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/75
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076・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) これはなかなかむずかしい問題でありまして、口で言えばまことに簡単でありまするが、御承知のように、たとえばただいまありまする売春問題等対策協議会の答申がありまして、その答申に基いて、法務省でよりよい案を作ったと仮定いたしましても、それで直ちに国会に出し得るものじゃございません。もちろん御承知のごとく、この問題に対しては厚生省も関係しておれば、ただいまもいろいろお話しのありましたごとく、文部省も関係しておる、さらにまた労働省も関係があるということでありまするから、それぞれの関係官庁と協議を経て、そうしてあらゆる角度から、やはり衆知を集めた、多くの人の納得のいき得るりっぱな案を作って、そしてなるべく早く出したいと、こういう意味でありますから、日をいつ幾日までに出すということをきめられたからというても、その日通りにいくものでもありませんし、またわれわれがいつ幾日までやりたいと言うても、私一人でやることじゃありません。そういう関係官庁の協力を得なければならぬという関係もありますので、一人でだんごを丸めるようなわけに参りませんから、そこで私は早急に、なるべく準備を早く進めて、早急に出したいと言うゆえんのものはここにあるのでありまするから、それを一つお含みおき下さいまして、簡単にできることなら、何もそうくどいことを申し上げる必要もありませんし、単刀直入に申し上げるのですが、しかしどこまでも誠意を持って、やはり責任のある処置をしていこうというのでありまする以上は、やはり自分がいかなる点においてもその責任を背負って立ち得るところの立場を作っていかなきゃならぬということが、これが当然でありまするから、そういう意味で私は申しておるのでありまするから、責任観念はあくまでも強いという意味に一つおくみ取りを願いたいと思うわけでありまして、が通常国会に今それでは出されるかというお話があったのですけれども、先ほどもたびたび申し上げるように、なるべく早急に出したいという、その言葉の中には、やはり臨時国会という意味も含んで、多分に含んでおるものであるという御解釈を願ってけっこうであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/76
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077・赤松常子
○赤松常子君 これは法務省だけでおまとめになれるということでないことは、まあ私どももよく存じ上げております。今おっしゃるように、文部省、厚生省、労働省あたりとの連絡、いろいろな協議、これもたび重ねていらっしゃって、そうして総合的に完全なものがまとまるということもよく存じ上げております。これは私、もう去年あたりからいろいろ連絡協議会を各省でお持ちになっていただきまして、そうしていろいろ衆知を集めておいでになること、存じております。また内閣にございます売春対策審議会も、ほんとうに民間の権威者がお集まりになって、そうしていろいろ協議、審議なさいまして、その法案が出そうだという時期であるということもよく存じ上げております。それからもう去年からずっとこれが提出されましてから衆議院でも論議されております。その経過によってみましても、もうほとんどこの議論というものは出尽しておるわけなんでございます。今さらこういうだんごをつくね始めるというのじゃなくて、大体もうでき上っている時期なんでございますから、今さらこの時期をこれからかけて、そしてあっちの意見もこっちの意見も聞く段階ではないと、これは私はそう言い切れると思うし、また私法務省の事務当局も、それは、そういうことは万々御承知だと思っているのでございまして、これから始めるというその時期をかす必要はないと信じます。ですから、今法務大臣のおっしゃることを私どもはまじめに善意に解釈いたしまして、そうしてきたるべき臨時国会にお出しいただく気持、今法務大臣がおっしゃったように、あるめどというのは、臨時国会をも含めた意味も大きいとおっしゃったことをそのまま私ども受け取りまして、そうしてこれを婦人団体及び社会にも公表いたしたいと思っております。まあそういうふうに受け取りまして、一応めどというものはそういうところに置くように私どもは受け取ってよろしうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/77
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078・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) さあ、その私の言葉をどう受け取られますか、それはあなたの一つの御自由に、いかようにでも受け取っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/78
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079・赤松常子
○赤松常子君 どうもああ言えばこう、こう言えばああと、ところてんみたいにお抜けになりますものですから、これは私ゆっくりほんとうに個人といたしまして、一応法務大臣に一ぺんお伺いしたいと思うのでございます。こういう席上でございますから、一応まあ責任の立場におありになるあなた様としては、申しにくい点はあるとお察しはいたしますが、まあこの点につきましては、ゆっくりほんとうに真意をお聞きする機会を持ちたいと思っております。
その次は、この決議でございますけれども、今大臣がしばしばおっしゃいましたように、従来の審議会、もう一年ばかりかかりまして、十分会合を重ねて一つの結論に急いでおられます審議会、これは私どもは非常に信頼をいたしておりますのですが、この間のこの決議では、この際内閣に強力なる審議会を設けという文字がございますが、これと従来ございます審議会との関連は、どう解釈いたしたらよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/79
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080・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) ここに新たに審議会を設けることになりまするかどうですか、議会の決議はさようになっておりまするので、議会の決議を相なるべくは尊重していかなければならんという建前から申しますれば、ここに新たなる協議会を作ることも一つの考え方であろうと思いますが、かりに作るといたしましても、その新しい協議会の性格をどう考えるかということによって、おのずからその結論が出てくると思うのでありまするが、その性格を今まである審議会と変ったここに新たなるものを設けることにするか、あるいはまた今までの審議会をのんで、そうしてこの新しい審議会のうちにおさめる審議会にするかというようなことによって、審議会の審議が重複するかどうかという問題が起きてくるのでありまするが、先ほども申し上げましたように、従来の審議会はすでに八月の九日にその答申案ができるということでありまするから、そういうことであれば、その審議会の性格がどうあろうとも重複するようなおそれはないのじゃないか、こう私は考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/80
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081・赤松常子
○赤松常子君 ではその審議会の答申の内容いかんによりましてですね。具体的に申しますと、政府のお気に入るような答申か、あるいは政府のお気に入らないような答申、案の内容か、それによりまして政府の態度をお変えになるつもりでございますか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/81
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082・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それは旧来の審議会の答申とはこれは別個の問題でありまするから、答申に結びつけて考える必要はないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/82
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083・赤松常子
○赤松常子君 じゃその答申の内容いかんによりまして、従来の審議会の結論を尊重なさいますか、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/83
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084・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) もちろんこの議会でも、政府としても早くこの種法案を出すべきであるという要請も強かったのでありまするが、それについてはただいま売春問題対策協議会に政府として諮問をいたしておるのであるから、その諮問に対する審議会の結論を得た上で法案を作りたいのだ、そういう意味で、政府の案というものが今日まで出ておらないのであるという説明を申して、今日に至っておるのでありまするから、従って売春問題対策協議会の答申は、あくまでも尊重していくべきであろうことは、多く申し上げるまでもなかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/84
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085・赤松常子
○赤松常子君 私大へん好意的なお答えで少し安心いたしたのであります。その結論を得るまでに、すでに一年半足らずの日時を要しているくらいの困難な問題だったのです。結論を得るまでにそういうことを一方でお感じになりつつ、この決議案ではまたあらたに作るようなこの言葉でございますが、その後尊重したいというお気持と、またここに新しく作るということでは、どうもそこが……、尊重するとおっしゃることを信じられないのであります。何だかそれはもう前内閣の作ったものだ、それはどうも信頼できない、今度はまた新しく作ってやり直すんだという感じを私どもは持つのでございますが、あくまで今法務大臣のおっしゃるように、以前からある審議会の答申を相当尊重していく。だから新しく作る必要はないのだというところまで法務大臣は結論をお進めにならないんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/85
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086・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 旧来の審議会以外に、ここに決議に基く新しい審議会を作る必要があるかどうかということは、議会の決議もありましたので、その決議にのっとって十分に決議を尊重する建前のもとに研究をしていきたいと思います。まだ審議会を作るとも作らぬとも考えておりませんから、これからその問題は研究課題となることであると申し上げてよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/86
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087・赤松常子
○赤松常子君 先ほど非常に早い期間に出したいとおっしゃっておりますが、臨時国会といい、通常国会といい、あと数カ月後に迫っていると思います。そういう期間でございますわけで、まだ新しく審議会をもしお作りになると、従来でも、今申しまし、ように日時がかかったのでありまするので、とうてい次の臨時国会、通常国会に間に合う結論は、新しく審議会をお作りになったら間に合わないと思うのです。そういう応問的な面から考えまして不可能ではないでしょうか。それでもお作りになりましょうか。お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/87
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088・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 新しき審議会を作ってこの問題を討議するということでは、臨時国会までも間に合わぬじゃないかというお話しでありましたが、私もそれはそう考えます。しかし間に合う間に合わぬということよりも、新しく審議会を作る必要があるかどうか。もしそれ必要なしということであれば作らぬでもよかろうと思います。国会の意見を尊重せんければならぬことは当然であり、また尊重してきておるのでありまするが、もし必要なしということでありまするならば、必ずしも議会の決議にのっとらずとも、議会の方では別におしかりはあるまいと思いますので、かえってそういう無益なものを作ることは、あるいは時間の軽視、労力等の見地からみて、必ずしも好ましいことではありませんから、従ってもっぱら作る必要あやゃいなやを真剣に各方面から検討をいたしまして、そうして考えたいとこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/88
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089・赤松常子
○赤松常子君 作るやいなやのその決定は、おもにどういう理由でなさいますのですか。作っていいか悪いかという決定は、何によっておきめになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/89
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090・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それは、そうです。内閣に作れという決議であったと記憶いたしておりまするが、現在の審議会も内閣所属になっております。ただ内閣所属の審議会であるのでありまするが、問題が問題だけに、法務省でそれを、つまり何と申しまするか、世話役になって、その審議会を推進しておるということが真相でありまするので、従って内閣に作れということでありまするならば、もちろんこれは法務省のみによって断ずるわけには参りませんから、いずれ閣議においてその問題が論議せられることであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/90
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091・赤松常子
○赤松常子君 私はその所属を云々しているのではございません。所属はまた次の、私問題でございます。それはまたあとから御質問いたしたいのですが、審議会を作るか、作らないかというその判断を、何にお求めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/91
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092・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それですから、その作るか、作らぬかということは、一にかかって、もう内閣で相談をしてきめることであろうと、こう申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/92
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093・赤松常子
○赤松常子君 内閣で相談するとおっしゃいまして、相談の内容は何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/93
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094・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 相談の内容は、それはおそらく官房でやはり従来の例にならって腹案を作って、そうして閣議に提出するという段取りになるのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/94
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095・赤松常子
○赤松常子君 その腹案の内容……、腹案の立案はどういう点を中心になさいますのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/95
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096・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それはただいま申し上げましたように、早急にやるわけではありませんから、どういう内容になるとか、どうとかいうことはここで申し上げられませんし、また内閣でやるべきことで、ここで一法務大臣の意見を、私見を述ぶべきものではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/96
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097・赤松常子
○赤松常子君 私、もっと具体的に申し上げますと、従来ある審議会の結論が、非常にこの新しい審議会を作るか、作らないかということを左右すると懸念するからでございます。私はその点をはっきりさせていただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/97
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098・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それは先ほども申し上げましたように、御懸念なさらなんで私はいいのじゃないか。いずれの面から見ても、重複するようなことはなかろうと、こう考えるので、その考えをそのまま申し上げたわけでありまするが、これをどう扱うかは、要するに政府そのものがきめるわけでありまするから、それをきめる前に法務大臣がとやかく言うべきものではないと存じますので、その腹案等に関することは遠慮をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/98
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099・赤松常子
○赤松常子君 しかしながら、一番長く、それからまた深く責任持ってお取扱いになっていらしたのは法務当局でございますから、法務当局の意見というものは相当内閣の意思を左右すると思うのでございます。どうぞ従来ある審議会の結論が、新しい審議会を作る作らないの基準にならないことをお願いいたしたいと思う次第でございます。なお、さらに従来ある審議会というものの性格が非常に弱かったということが、委員の口から私どもに伝えられております。というのは、内閣の了解事項として審議会が取り扱われていたのであって内閣の予算でこれが運営されていたわけじゃない。それで各省からいろいろ予算を、会議費用や何かを持ち寄って、そうしてやったものであるから、回数も十分重ねることができなかったという、予算の面から非常にはばまれたということを委員も言っておられたのです。そういう点どうぞこれほどの重要な問題でございますから、内閣が十分なる予算をもって会合をたびたび開けるように、委員の方々の御活動を便ならしめるようにということを私はお願いをしたいと思うのでございまして、審議会の性格、運営についても一つ要望をいたしておきたいと思います。
その次に、この決議の中に、従来ある現行の法令並びに行政措置により、可能なる範囲においては政府の責任においてすみやかに実施励行すべきであると、非常にこれはいいことをうたってあると思うのでございます。従来売春に関連のあるいろいろな法令というものが死文にひとしく、これが生きていなかったというところに、いろいろ盲点があったと思うのでございますが、これもまあ解釈のしようによっては、まだ従来通り、あってもなきがごときことになりはしないかと、非常に私どもは残念に思うのでございますが、この点に関してもっと責任を持ち、積極的に従来ある法令の活用、これを徹底させるということに新たに御決意をお持でしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/99
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100・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 新たに決意を持つものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/100
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101・赤松常子
○赤松常子君 もう私法務大臣にけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/101
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102・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 法務省部内でも花村大臣は正直でもう名の通っているお方で、ときにあまり正直だから困るというようなこともございますけれども、私どもは正直で困ることはもっともございませんので、法務大臣のお言葉そのままを正直に受け取りまして、今日非常に私心強く存じております。
そこで先ほど正直な法務大臣が、通常国会を待たないで、臨時国会にでもあるいは提案するかも知れないというようなお言葉があったのでございますが、これはまあ法務大臣のお言葉にございましたのでございますから、これは臨時国会が開かれるようにとってもよろしゅうございますか。どうぞ正直におっしゃって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/102
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103・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 私は臨時国会に出してもよろしいというた意味じゃありません。なるべく早急に出しますと申し上げたので、なるべく早急に出しますという言葉を分析していろいろ申し上げれば、通常国会も臨時国会も含まれることになりましょうということを申し上げたので、私は臨時国会までとか、あるいは通常国会とかいうそういう言葉はいまだかつて用いておりません。なるべく早急にという言葉で、その内容の解釈はまあ皆さんのお勝手でありまするが、そのうちには臨時国会も入るかというお話であったから、それは入るという意味に御解釈を願ってもいいという、なるべく早急にの私は説明をしただけで、臨時国会までに出すとか出さぬとかいうことは申しておりません。また、そういう意味ではありませんから、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/103
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104・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 それでは次に一つ伺いたいのは、二十七年に第十二面国会がございました。あの二十七年の平和条約が締結されましたときに、ポツダム勅令は全部廃止になりました。そのときにポツダム勅令の中で、勅令第九号というものは、これは廃止されちゃ困るということで、私ども法務委員会におきましては、このポツダム勅令を廃止いたしましたときに附帯決議をつけまして、そうして政府にこういう要望をいたしたのでございます。
本法案中勅令第九号婦女子に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令は、婦女の人身売買の防止並びにその基本的人権の保護については極めて不十分である。
よって政府は、右勅令の根本的な改正案を速やかに国会に提出すべきことをここに要求する。
右決議する。
これがこの十三国会を通過しておりますので、そうしてその二十七年からすでにもう三年もたっております。今日これが野放しになって、空文にもひとしいことになっておりますということは、これは私は政府の責任を、ほんとうは追及したいと思うのでございます。もしこれに対する手当がすでにできておりましたならば、今日この大騒動をして売春等処罰法案などといって、騒ぐ必要はございませんので、せめて業者だけでも、もう厳罰ができることになるとこう思っておりますが、一体政府は、この決議案に対しましてどのぐらい責任をもって、包めてこれだけでもやろうかというような議が起ったことがございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/104
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105・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それは鳩山内閣の責任ではありませんから、私がここではどうこう申し上げる筋でもありませんが、鳩山内閣がもしもっと早くできたならば、今おっしゃられた決議は、あるいはもうすでに実行に移っておったかもしれんと思うのでございますが、前内閣のことでありまするから、前内閣の批判は私は避けたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/105
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106・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 これは内閣が変りましたからといって、前内閣だけが責任を持って、あとは知らないというようなことにはいかないのじゃないかと私は考えるのでございますが、その売春対策協議会が今度は売春対策審議会に変りますようなことも、前内閣がやったことなんだから、今度は新らたにして、この内閣でもってもっと完全なものをやって責任を果したいというようにとりますことも私はおかしい。そういたしましたら一体国民はどうすればいいのですか。内閣が変るたびに何もかも無責任になって、国会できめたこともまた政府が頬かむりしていいかということになったら、これこそ手間がかかって仕方がない、そうして非常に内閣というものは無責任だということになる。こういうふうに考えておりますが、まあ、それはともかくといたしまして、こういう決議案が出ております以上、しかもこれは業者をしばろうというわけなんでございますから、今回の衆議院の問題になりましたあわれな婦女子を救済しないで処罰だけできるかという、そこに賛成できないという皆さんの意向でございましたが、これを、もしもこの勅令九号というものを完全な法律に書きかえるということについては、今度の衆議院の意向に沿っていることだと思っておりますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/106
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107・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 私も宮城さんの質問に関連して御質問申し上げたいと思いますが、先ほどから青少年の風教の問題等が論じられておりますが、実際青線区域と申しますか、そういうものがどんどん発展して参りまして、小学校の窓からああいう行為が見えるところがたくさん出てきている。あるいは公園に子供が写生に行っても、そういうような所でもそうした場面を見せつけられる。そういう責任が、あげて子供が悪いのだ、あるいは教育が悪いのだと言うが、私はやはり社会の罪だというふうに解釈しなければいかぬと思う。そういうものをやはりなくしていく上においては、今売春処罰法というような問題が論議されておるわけですが、これに関連して、あれをやりますと、厚生施設やなんかにそういうものにたくさんなお金がかかって、とてもでき得ないのだというのが、私は衆議院の否決の理由であり、あるいは法務省当局の御見解だと思っておった。そこでこれをそれだからといって野放しにしておけば、私は社会はとんでもない方にいってしまう、だんだん悪くなる以外にないと思う。そこで答申案はどういうものが出るか私は想像はいたしませんけれども、このままにしておいてはいけないのだから、予算も取れないということになれば、次善の策として先ほど宮城委員の言われたような勅令第九号のものを法文化したような、簡単に言えば業者だけでも取り締るというような法案を次善の策としてでも出される。それは臨時国会ということでなくて、早い機会にでもそういうようなものを早く出したい。次善の策としてはやむを得ないからそういうことでも考えておる。そういうことをお考えになっておるかどうか、あわせて御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/107
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108・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) まことに傾聴に値いする御質問であると存じますが、このことは売春問題対策協議会の答申が八月九日に出て参りますので、その答申を見た上で一つ考えたいと存じまするが、それ前にやはり私からこうすべきである、こうするのがよろしいという意見を述べることは、これは必ずしも適当でないと、こう私は考えますので、もちろんただいま申されました御質疑の点は私自身としての考えもあり、また私自身としてどうすべきか、またどうある方が最も適切であるかという考え方はもちろん持っておりまするが、しかしここでその法案の中心となるようなことを申し上げることは差し控える方が穏当であると、こう私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/108
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109・宮城タマヨ
○宮城タマヨ君 最後に一つ私大臣にお願いでございますが、今度の衆議院におきましては売春等処罰法案がああいう結末になりまして、しかも新聞に、その翌日の新聞でございましたか、朝日でございましたか、非常に業者が暗躍しておりまして、しかも国会議員が大分金を取ったということが出ております。私はそれは信じたくないと思っております。だけれども私自身に関係したことで、実は私の選挙がまる二年ほど前にございましたときに、ある所ということに申しておきますが、ある所に旅行いたしましたときに、三十名くらいの業者に襲われまして、そうして大へん強迫されたような形でございました。そうして最後にあなたのためにずいんたくさんの金が集っておるが、法案をもう作成しているらしいが、どうだ引っ込めないか、こういうことを言ったのでございます。それは私ども第十五国会にやはり売春等処罰法案を参議院の有志の者で出そうと用意しておったそのときだったのでございます。それは選挙の直前のことでございましたが、そのときに多額の金を集めてあなたにあげるが、そしてもしもこの金を取らないで、どうしても売春処罰法を出すと言うのなら、全国の業者に指令して、選挙運動をも含めたすべてのものに対してあなたを絶対に支持しないように指令するがいいかと言うのです。名前もわかっております。私は参議院の選挙に負けるくらいなことは何でもない、命を捧げておりますよということを、そのときはっきり業者に答えました。もちろん私どもが、一つの法案と取り組みますときに、命を惜しむなどということは議員として考えていないと思っております。ですけれども、そういうことから思いますと、あるいは業者は金をまいているのではないか、あるいはそれを取った議員もあるのじゃないかというような、新聞なんかを見ますと、いかにもそうらしく思えるような点もございます。このことは、私は国会としては非常な由々しい問題で、また国会議員の人格を落しますこと、ちょうど汚職問題あるいは乱闘国会のあの時代、あのときの議員の人格を失墜しましたこととほとんど似たようなものじゃないかと私非常に苦慮しているのでございます。そこで私はこういう問題についていろいろ議論もございましょう。立案者として、法案の立案をまとめるということも、立法技術の上においてもなかなかむずかしいということは十分にわかっております。けれどもこれを一日延ばせば一日だけ世間の疑惑を増すことだと思っておりまして、そしてこれは国会議員全体の体面の上に問題になると思っております。どうかその点をよくお考え下さいまして、法務大臣が花村大臣であればこそ、私はここにあらためて早く立案して御提案下さいますようにお願い申し上げておきます。そしてほんとうにそれがむずかしいとおっしゃることでございましたら、やむを得ません、また私どもが、これに何とか手当しなければならないと思っておりますが、これは御答弁願う必要もございませんが、もう私の強いお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/109
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110・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 国会に黄白がばらまかれているのではなかろうかというような御意見がございましたが、私はかくのごときことは断じてないと信じておりまするが、しかしもしかりそめにもかくのごときことがありまする場合においては、これは由々しい重大事でありまするので、人のいかんを問わず、もしそういう事実の真相を知られておりまする人がありまして、ありのままのお話を願い得るならば、これは捜査の面において断固たる処置をとることに、決して知はちゅうちょ逡巡するものではございませんが、しかしおそらくかくのごときことはないことを私はあくまでも信ずるものであります。ただいまのなるべくすみやかに出すべしという御意見は私も同感でございまして、いろいろの派生的問題の起きる起きないは別として、やはりこういう社会悪はなるべく何らかの機会をとらえては、除去する方向に一歩ずつでも進めていくべきが当然であるという見地に立って考えました場合において、たとえ法の効果がどの程度ありまするか、これは大いに問題でもありましょうけれども、その法の効果のいかんにかかわらず、あらゆる処置をしなければならないというその処置の一環をなしている法案の提出に対しましては、私も誠心誠意すみやかに提案するように努力をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/110
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111・赤松常子
○赤松常子君 一つでございますが、十九日の衆議院の法務委員会の最後の日に、御所管の中の最高裁判所の職員の方が業者の団体に頼まれていろいろ調査に当っておられるという事実が明るみに出されたのでございます。そのときに、局長は知っている面もあるし、知らなかった面もあるというお答えでしたが、なるたけ早く調査してみたいという御答弁でありましたが、その後法務当局はこの問題をどの程度調査なさり、その処置をどうなさいましたでしょうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/111
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112・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それはまだ法務省としては調査にかかっておりません。最高裁判所の方で調査をするというお話しでありましたので、その調査の結果がどうであろうかと私の方では待っておるような次第でありまして、ただそれだけの話があったからというて検察権の行使をいたしますると、御承知のごとくとかく人権じゅうりんの問題が起きて参りますることは火を見るより明らかでありまして、新憲法の精神にのっとって基本的人権はあくまでも尊重しなければならぬという建前に立って、法務省としても検察権を行使をする場合においては、あらゆる面から慎重を期してやっておるような次第でありまして、もし最高裁判所の調査の結果、法律に触るる行為ありとする場合においては、断固として処置をとることにちゅうちょするものではございませんが、しかしそういうものがありませんければ、これはどうも法務当局としてもあまり行き過ぎたことはできないのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/112
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113・赤松常子
○赤松常子君 問題が問題でございますし、関係している人が、社会人がほんとうに公正であるべしと考えております最高裁判所の職員の人が、そういう業者に関連を持ったということ自体、道義上許すことができないと思うのであります。法律がどうのこうのというその前に、これは道義として看過できない重大な問題だとお感じにならないでございましょうか。私はどうぞその調査が、その調査の結果どういうことになろうとも、一応これは真相を明らかにするということは法務当局の責任だと思うのであります。そういう疑惑を社会に与えたということ自体が、私は非常にこの最高裁判所に疑惑を持たせることになったら大へんだと思うのでありまして、なければないでりっぱでございます。けっこうでございますが、そういう疑惑の目をもって見られているという自体をはっきりされるということが責任だと思うのでございますから、十分御調査なさいましたその結果を、早く当委員会に御報告願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/113
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114・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 役人がそういう問題に関係を持ちますことのよくありませんことは、これは官吏服務紀律の上から申しましても、あるいは徳義の上から申しましても、あまり望ましいことではないと存じますが、しかし最高裁判所の説明によれば、今は最高裁判所に勤めておらぬのである、前に勤めておったことがあるのだが、今は関係がないのであるというような御説明であったようでありまするが、そういう犯罪行為としての的確な証拠なり、あるいは犯罪と断じ得る四囲の事情等がありません限りにおいては、法務当局としては、やはり個人の問題に対して進んでこの捜査を進めるというようなことは、これはやはり慎しむべきことである、とかく人権じゅうりん問題がそういうただ一片の想像や、あるいはまた世間のうわさや、あるいはその他重要な問題であればあるだけに、その想像をたくましゅうして、そうしてこの捜査に乗り出す等の問題がとかく人権じゅうりんの種をまくのでありまするから、こういう点についてはやはりあくまでも慎重に、やはり犯罪ありと認め得るある程度のやはり証拠がありませんというと、法務当局としてはやはりそういう問題にタッチすべきではないのじゃないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/114
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115・赤松常子
○赤松常子君 私はその犯罪を構成するということになると、これはまた大へんなことだと思うのであります。一応疑惑の目を持って見られる事件が起きておるということは、これはもっと私は最高裁判所の権威のためにも潔白になさる必要があるのじゃないかと思うのであります。確かにその調査に参加し、そうしてその調査の結果が発表されておるということも聞いておるのでございまして、単なるうわさとか聞き込みということではない。一歩進んでやっておられるということを報告を受けておるのでございまするから、犯罪になったらこれは大へんでございます。その事実があるかないかということぐらいは、捜査というむずかしい言葉をお使いにならずとも、お取調べになるということは必要だと思うのでございますが、ぜひその辺を明らかにして報告書というものを御作成いただきたいと私は思います。最高裁判所の権威のために。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/115
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116・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) 私とは見解
を異にされておるわけで、いつまで論じても結局同じことでありまするから、私はそういうやはり犯罪行為にならざる問題に検察当局が出ていくべきものではない。こういう問題はやはり最高裁判所みずからが解決すべきものである。しかもこれは最高裁判所の役人fないということであれば、最高裁判所もこの問題にはタッチできぬと
いうことになりはしませんか。そういうやはり微妙なところに人権じゅうりん問題が起きて参りまするから、これはやはりあくまでも慎重なる立場に立って考えなければいかないと思いまするので、そういう観点からやはり慎重に考えておる次第でありまして、やはり法を守る者として当然なすべき措置であろううと、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/116
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117・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 赤松君に申し上げますが、最高裁の宇田川家庭局長に来ていただいて、もう少しこの問題について伺われますか、あるいはこれで十分でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/117
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118・赤松常子
○赤松常子君 私はもっと今法務大臣のお考え、少し深入りして私の言葉をおとり過ぎになっていると思います。私は検察当局が犯罪を捜査をするというような、強い権力で調べて下さいというのではないのであります。今その方がいらっしゃらなければ、その方を使っていらっしゃった上長の方が、自分の部下の行跡に対し世間の疑惑を生むようなことをしたことはほんとうかうそか、そういう程度の取調べでけっこうなんでありますから、それすらできないとおっしゃるのでございましょうか。別に私は検察当局がどうのこうのということを、そのことを報告していただきたいというのではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/118
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119・花村四郎
○国務大臣(花村四郎君) それは最高裁判所の問題でありまするから、法務省の所管に属せざるわけであります。法務省の所管に属して調査をする場合においては、その道徳上であるとか、あるいはまた官吏の服務紀律の上からであるとかというようなそういう手ぬるいことに対して、捜査当局が調査をけるとかどうとかいうような捜査行為はできぬわけですよ。それはやはり犯罪ありという確証を得るにあらざれば、みだりにそういうことはできぬわけです。それは法律上明確にさように規定せられておりますので、法律に準拠せずして、そういうあなたがおっしゃられるような取扱いはするわけにはいかぬわけです。しかし最高裁判所が自己の所管の上からお調べになる、あるいはその内部に勤務しているという意味において調べるということならこれはいいでしょうけれども、そこにあなたと私との間における事実の見方が違うわけですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/119
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120・赤松常子
○赤松常子君 わかりました。それではあらためて最高裁判所関係の方に来ていただいて、よくただす機会を与えられんことをお願いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/120
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121・成瀬幡治
○委員長(成瀬幡治君) 承知いたしました。
別に御発言もなければ、委員会はこれをもって散会いたします。
午後五時四十二分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215206X02119550727/121
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