1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二十二日(水曜日)
午前十一時十四分開議
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議事日程 第二十六号
昭和三十年六月二十二日
午前十時開議
第一 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第二 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第四 証券投資信託法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第五 水防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第六 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第七 銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第八 建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第九 酒税引下げに関する請願(六件)(委員長報告)
第一〇 ビール税引下げに関する請願(委員長報告)
第一一 第二種原動機付自転車等の物品税撤廃に関する請願(委員長報告)
第一二 葉たばこ耕作農家救済に関する請願(二件)(委員長報告)
第一三 建築板金業の所得税軽減等に関する請願(七件)(委員長報告)
第一四 楽器の物品税の免税範囲拡大に関する請願(委員長報告)
第一五 楽器の物品税に品種別免税点設定の請願(委員長報告)
第一六 理容用タオル消毒器等の物品税免除に関する請願(委員長報告)
第一七 洋紙の物品税撤廃に関する請願(委員長報告)
第一八 中小企業金融対策に関する請願(委員長報告)
第一九 電気トースターの物品税撤廃に関する請願(委員長報告)
第二〇 大型真空掃除機の免税点に関する請願(委員長報告)
第二一 銅器の物品税軽減に関する請願(委員長報告)
第二二 岩手県にたばこ再乾燥工場設置の請願(委員長報告)
第二三 岩手県に国立たばこ試験場設置の請願(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/0
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001・河井彌八
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・河井彌八
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/2
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003・安部キミ子
○安部キミ子君 私はこの際、在鮮同胞引揚促進及び日鮮貿易問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/3
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004・天田勝正
○天田勝正君 私は、安部キミ子君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/4
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005・河井彌八
○議長(河井彌八君) 安部君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/5
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006・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。安部キミ子君。
〔安部キミ子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/6
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007・安部キミ子
○安部キミ子君 私は社会党第四控室を代表いたしまして質問いたします。
最近の国際政局は、それぞれの国が話し合いによって国際的懸案を平和的に解決しようとする動きが顕著になって参りました。国際的緊張は、雪解けのようにゆるんできつつあります。日本政府がソ連邦とロンドンで国交正常化についての交渉を開始していることは、この意味から誠に時宜に適した措置だと思います。中華人民共和国と日本との間も、最近貿易協定が締結され、通商代表部を相互に設置する準備が進められており、日中両国は国交正常化に向って着実に前進しつつあるし、政府はこの方向に向ってさらに積極的な態度をとるべきだと思います。
ところが日本とは地理的にも歴史的にも最も緊密な関係にある朝鮮とわが日本との関係は、必ずしも改善されていないし、日本政府も、このために積極的な努力を払っていないことは、はなはだ遺憾であります。この問題を考えるとき、去る二月二十五日朝鮮人民共和国の南日外相が、朝鮮と日本との国交正常化に関する声明を発したということは、まことに注目を要すべきことだと思います。この声明は、あの悲惨な朝鮮戦争の停戦後に、ひたすらに平和建設に邁進している朝鮮の人民が、日本との間に、日本との国交正常化を目ざして、経済、文化の交流を開始しようと提案したものであります。
私は最近アジア諸国会議出席の日本代表九名とともに、朝鮮人民共和国の首都平壌を訪問し、朴昌玉副総理その他政府の要路と会見し、南日声明に含まれる諸問題について具体的に話し合いました。朝鮮人民共和国政府は、ますます熱烈に真剣に、日本と朝鮮との国交正常化を望んでおることを私は確めてきたのであります。しかも朝鮮人民共和国政府のこの問題の処理に対する態度は、きわめて実際的であり具体的であり、誠心誠意その解決に当ろうとしているものであることを確めて来たのであります。日本みずからが仕掛けた太平洋戦争によって、アジア諸国との外交関係は破壊され、戦争が終ってからすでに十年にも及びながら、アジアの数多い国々といまだに正式に国交が開かれてないということは、日本国民にとってまことに不幸な事実であり、またアジアの平和にとっても、大きな障害となっていることは否定できません。これにはいろいろな原因もありますが、日本政府がアメリカ一辺倒の外交政策をとり、アジアの国々との国交正常化について正しい認識と誠意ある努力を払ってこなかったところに最大の原因があると私は考えています。(拍手)私はアジア諸国会議に出席して、アジア諸国の代表といろいろ会談する機会を持ちましたが、日本が一日も早く、太平洋戦争によって今なお破壊されたままになっているアジアの国々との国交を正常化してもらいたいということを熱望しておりました。これはアジア諸国民の要望であり、われわれ日本人がこぞって要望しているところであります。このような情勢の中で、朝鮮人民共和国政府から、われわれに向って国交正常化の希望を南日外相の声明をもって正式に表明してきたのであります。この声明が発せられてから、すでに四カ月近くになります。日本政府は、この間において十分にこの問題を討議し、これに対応する措置をとることができたと信じます。日本政府はこの南日声明に対し、いかなる見解を持っておられるか、鳩山総理、重光外相の答弁を願います。
次に、朝鮮人民共和国政府は、日本との国交の正常化は、両国が当面する個々の具体的問題を一つ一つ解決していく中で実現していきたいという意向を私に表明しました。すなわちます第一に、日朝両国間の貿易を発展させたいと希望しております。これは日本関係者がひとしく希望しているところでありまして、中国・ソビエトとの貿易と並んで、朝鮮との貿易をすみやかに発展させることは、日本の経済自立のためにも絶対に必要だと思います。私はこの問題について、朝鮮人民共和国の朴昌玉副総理及び国際貿易促進委員会委員長金教英氏らと話し合いましたが、朝鮮側としては、一日も早く日本との間に貿易をしたい、通商機関を開設したいと熱願し、朝鮮側として輸出入可能な物資のリストも私に提示したほどであります。しかし両国間に貿易を始める場合には、もちろん日朝間で交易可能物資を相談し、また決済、輸送など相当厄介な問題を日朝間で話し合って解決しなくてはなりません。従って日中貿易関係にも見られるように、両国間に貿易協定を締結しなくてはならないと思います。朝鮮側でも全く同意見であって、一日も早く両国間の責任ある代表者が会談して、貿易協定を締結したいと提案しました。この協定はもちろん日本政府と朝鮮人民共和国政府間の協定として締結されることが望ましいのであります。しかし実際問題としては、多くの隘路があり困難がありましょう。しかしその場合には、関係業者の代表がこれを締結するという次善の策も考えられるのであります。いずれにしても、朝鮮側は日本代表が貿易協定締結のために朝鮮を訪問するならば、いつでも歓迎すると言明しました。私は、この機会を逸しては絶対にいけないと思います。すみやかに日本側から通商使節団を朝鮮に派遣すべきだと思いますが、政府はこれをどう考えておられますか。もし民間から通商使節団を派遣する場合、政府はこれに旅券を出されますか、重光外相の答弁を求めます。
次に、朝鮮との貿易開始の問題に関連して、輸送の問題について政府の意見を確かめたいと思います。朝鮮側では日朝間の貿易は、日本あるいは朝鮮の船舶による両国間の直接輸送を希望しました。すなわち日本船が、日本の港から朝鮮の港に直接物資を輸送し、また朝鮮の船舶が、日本の港に来航することを望んでいます。そこでたとえば日本船が新潟あるいは敦賀の港から、清津、羅津、元山などの港の間を往復するという場合が想像されますが、運輸大臣はどう考えておられますか、答弁を求めます。
次に、朝鮮沖合いの漁業の問題であります。朝鮮沖合いの漁業が、日本の漁業家にとって重大な利害があることは言うまでもありません。漁業資源については、南鮮の沖合いが北鮮の沖合いよりも重要であるという意見が多いりでありますが、しかし最近調査されにある専門家によりますと、むしろ北鮮側が六〇%、南鮮側が四〇%という意見も出ております。いずれにいたしましても、日本の漁業家は、南鮮、北鮮いずれの漁場も重大な利害を持っており、ことに李承晩大統領が李ラインを設けたため、日本の漁業家は、不当な打撃をこうむっております。私は、朴昌玉副総理とこの漁業問題について会談いたしましたが、副総理は、李ラインは困ったものだと言明しました。そして朝鮮人民共和国政府は、朝鮮沖合いの漁業発展のために、いつでも日本の漁業関係代表者と話し合う用意があると言明しました。また日本の漁業家から漁業の技術を学びたい、日本から漁船も漁網も漁具も買いたいと言うのです。そうしてこのために、日本漁業家の代表が朝鮮を訪れるというならば、いつでも歓迎すると申しております。裏日本の漁業家は、李ラインの問題で漁場を失い、漁獲不振で非常な困難に陥っております。そして北朝鮮方面に漁場を求めて出漁したいという希望は、ますます切なるものがあります。彼らはたまりかねて、思い思いに朝鮮人民共和国政府機関にその希望を手紙で申し入れつつあるというのが現状であります。このようなときに当り、朝鮮人民共和国政府の責任者が言明した右のような事実について、日本政府はどう考えられますか、農林大臣の答弁を求めます。
次に、朝鮮にいる在留日本人の帰国場問題について、政府の意見をお尋ねします。私たちはこの問題について朝鮮赤十字会の責任者と話し合う機会を持ちました。現在北朝鮮には二百十余名の日本人が在留し、そのうち二十ないし二十五名が帰国を希望しているとのことであります。あるいはもっとふえるかもしれません。帰国希望者に対しては、朝鮮側はあらゆる協力を惜しまないと言っております。そして日本側では、日本赤十字社、日朝協会が、この仕事に当ってもらいたいというのが朝鮮側の希望でありますが、日本政府は、帰国希望者のためにどういう措置をとられるつもりか。帰国希望者の人数も必ずしも多くはありませんが、しかし留守家族の心情を察して、朝鮮の港に船を派遣して、帰国を実現させる用意があるかどうか、厚生、運輸両大臣の答弁を求めます。
次に、朝鮮と日本とは古くから文化交流の歴史を持っております。日本の文化をかの国に紹介し、または、かの国のすぐれた文化は日本にも紹介すべきだと思います。最近日本と朝鮮との間に、芸術、文化人の使節を交換したいという希望が日朝両国民の間に高まっております。日本政府は、朝鮮からの文化使節の入国に対し査証を与えるべきだと思います。ソビエトや中国からのこうした入国には、すでにとびらが開かれております。朝鮮からの文化使節の入国にも当然許可を与えるべきだと思うのですが、外相はどう考えておられますか。
最後に、在日朝鮮人の問題でございます。現在、日本に居留している朝鮮人は、六十余万人だと言われております。これら在日朝鮮人の生活、教育、人権の問題について、朝鮮人民共和国の要人からしばしば質問を受けました。政府は、在日朝鮮人の措置について、いかなる方針をもって対処しておられるか、明快なる答弁を求めます。
以上をもちまして私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/7
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008・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) 安部さんの御質問にお答えいたします。
南日声明に対してのわが国の態度について御質問がありました。南日声明の中には、わが国の立場と相いれない呼びかけの言葉がありますので、慎重に対処せねばならないと考えております。
同声明の中の国交の正常化について、御答えをいたします。韓国との関係、これは国交の正常化に努力をしておることは御承知の通りであります。北鮮との経済、文化の交流を行うことにつきましては、韓国との関係を阻害して悪影響を及ぼす限りは、経済、文化の交流をするわけには参りませんと思います。
その他の御質問に対しましては、関係当局から御答弁をいたします。
〔国務大臣重光葵君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/8
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009・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 御質問に対して、お答えをいたします。
朝鮮が、現に南北に分れて敵対状態にある。この状態はまことに隣国として日本の最も遺憾とするところでございます。従いまして、一日もすみやかに朝鮮の統一が実現をいたしまして、南北の境がなくなるように、朝鮮民族の融合ができるようになる時期の来たらんことを、衷心から希望するわけでございます。しかしながら、今のように実際問題として分れておる状況に対処するためには、またわが方の対策も実際的でなければならぬと思います。韓国が現に国際連合によって承認をされて、朝鮮政府として承認されて、そして韓国問題が取り上げられておる。日本も韓国の代表者を迎えて事実上承認をいたして、そうしていろいろ国交の正常化をはかっておる現在におきましては、まず日本の最も近い一衣帯水の関係にある韓国、すなわち南朝鮮との関係を正常化し、これを円滑にするということが最も利益であり、またそうなければならぬことだと考えております。その上で、漸次に世界情勢の変化と相まちまして、そうして北鮮及び南鮮の形勢の融和するにつれて、北鮮の対策が生まれてくると考えておる次第でございます。そうでありますから、今、韓国との正常関係を樹立するということに対して根本的な障害となることは、避けなければならぬと考えております。従いまして、まず韓国との関係正常化に全力を尽しまして、そうして一般の形勢に順応して、北鮮に対する関係を進めていきたいと、こう私は考えております。従いまして、今お話のありました北鮮と直ちに貿易関係、漁業関係その他の関係を政府として取り結ぶということは、これは避けたいと考えております。形勢を待ちたい。
それから御質問のありました朝鮮在住の日本人のことでございます。韓国からの引揚問題は、実際においてございません。これは自由に相なっております。問題は、北鮮の問題でございます。現在は約二百人ばかりまだおるようでございます。今、お話もたしかそういう数字であったと思います。そのうちに、実際二十人ないし二十五人くらいが帰国を希望しておるようでございます。ところが、不幸にして北鮮とは何も外交機関の交渉がございません。(「赤十字社」と呼ぶ者あり)そこで赤十字社を督励して、これらの人の引き揚げに便宜をはかるようにいたしております。そうして赤十字社は中共の紅十字社と連絡をして、これらの北鮮における日本人の世話を見ておる次第でございます。直接船をやるというほどの人数もございませんので、さようなことでやっておるわけでございます。
それから日本における朝鮮人の帰国の問題は、これは北鮮に帰る人々は、非常に便宜が少いのでございますが、日本政府といたしましては、何も制肘を加えておらないのでございます。韓国、すなわち南鮮に対する引揚朝鮮人は、これは自由にできるわけでございます。
大体それでお答えを尽しておると考えます。以上であります。(「査証はどうしましたか」「旅券の問題」と呼ぶ者あり)
旅券の問題は、その旅券申請のあったときにこれを考慮して十分……。今あらかじめ旅券をみな出すということの言えないことは当然のことでございます。
〔国務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/9
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010・石橋湛山
○国務大臣(石橋湛山君) 私の名前をおさしになった点がなかったように思いますが、しかし、多分貿易についてのことだろうと思う。私は、よく聞いておりましたが、通産大臣から答弁を求めるというお言葉はなかったようであります。しかし実質問題でありますから、お答えいたします。
今、外務大臣から答えられましたような関係に現在北鮮とはありまするので、そこで政府としては、北鮮との貿易について何らの処置を今いたすことはできません。何かそういう貿易の希望があるという話は耳にいたしておりますが、それだけでありまして、今、政府として何もいたしておりませんし、同時に今後も当分の間、政府としてこれに何らかの処置を施すという意思を持っておりません。
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/10
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011・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) お答えいたします。
現在、日本船舶は北鮮には配船をいたしておりません。それは物資の交流がないからでございます。もし物資の交流が起って参りますならば、十分に配船をする用意を持っておるのでございます。またそれだけの余裕は、日本船舶は持っております。また今、安部さんの御指摘のように物資の交流が起って参りますならば、日本の港から直接に北鮮の港に物資を運んで行くことは、向うの北鮮側が特別の制限をしない限り、これは可能でございます。また、現在においても、日本の開港場に対して北鮮の船舶が入るということについては、制限をしようという意思はございませんから、自由でございます。
引き揚げの問題については、外務大臣お答えの通りでございます。
〔国務大臣川崎秀二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/11
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012・川崎秀二
○国務大臣(川崎秀二君) 北鮮よりの引き揚げ問題に関連いたしましてお答えいたします。
ます昨年の一月六日に日本赤十字社からジュネーブの赤十字連盟を通じまして、残留者の帰還の援助と留守家族との文通の許可及び情報の提供方を北鮮赤十字社に依頼いたしましたところ、その翌月に同連盟を通じまして、第一に、きわめて少数の日本人が残留していること、第二に、外国人と同待遇を受けていること、第三に、北鮮赤十字社は日本人のうちに帰国を希望すという回答に接したのでありますが、その後日本赤十字社からも数回にわたって各種の申し入れをなし、あるいは昨年、来訪せられました中国紅十字会の李女史等のごあっせんもあったのでありますが、その後は具体的には進捗しておらなかったのであります。しかるに、本年に入りまして、ニューデリーで開催されましたアジア諸国会議に出席しました北鮮代表団が残留日本人の送還を計画し、その準備を進めているということを表明しました。そこで四月の三十日に日本赤十字社から北鮮赤十字社に対しまして、本件に関する通報を求めましたところ、このことを確認をいたして参りました。そうして一方北鮮を訪問されました、これは安部議員も含まれておると思うのでございますが、日本赤十字社あてに、二百十人の日本人が残留していること、そのうち帰国希望者は二十人ないし三十人である、ということの通報があったのでありますので、こういうような情報を受けまして、政府としても日本赤十字社と協議いたしまして、これらの人々の引き揚げに関しましては、大体次のような方針によることといたしております。それはさきにも申し述べました通り、引き揚げ人員がきわめて少数でありますので、これが帰還のために特別に帰還船を用意することはいたしません。しかし大連または天津まで陸路で輸送しまして、同地から便船により帰還するという方法が最も適当であると考えておる次第であります。この便船と申しますのは、第一に、現在日本の貿易船が大連もしくは太沽に六月は二、二日おきに就航いたしておりますし、また第二には、英国のバターフィールド所属の定期船がこれまた天津・香港間を一週間に一回、それから香港・日本間を一週間に一回ないし二回就航いたしておりますので、このいずれかの方法を利用したいということでありまして、この方法を去る五月三十日に日本赤十字社から北鮮赤十字社に提案をいたしまして、その回答を待っておるわけであります。しかしこれに対して今までのところ、何らの回答に接しておりませんけれども、おそらく近く具体的な回答に接するのではないかと思いまして、日本側としては、さらにこれを督促いたす方針でございます。
〔国務大臣河野一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/12
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013・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
朝鮮との漁業の関係につきましては、先ほど外務大臣からお答えのありましたような両国間の関係でございますので、今政府といたしましては、漁業の問題として交渉をする用意はございません。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/13
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014・棚橋小虎
○棚橋小虎君 私はこの際、米価問題に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/14
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015・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私は、棚橋小虎君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/15
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016・河井彌八
○議長(河井彌八君) 棚橋君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/16
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017・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よってこれより発言を許します。棚橋小虎君。
〔棚橋小虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/17
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018・棚橋小虎
○棚橋小虎君 私は日本社会党を代表して、米価問題に関して二、三の質問を政府にいたしたいと思います。
政府は、すでに今年度において米穀の事前売り渡し制を実施することを決定したのでありますが、その後の政府の動きを見まするのに、政府は果して真剣に、事前売り渡し制の実施を考えているかどうか、はなはだ疑問とせざるを得ないのであります。言うまでもなく、事前売り渡し制が円滑に実施されるためには、まず農民が自主的に進んでこれに協力する態勢がとられなければならないのは言うまでもありません。そのためには、農民の理解と納得とを深め、その制度の適切な受け入れ態勢を整えるなど、万全の措置がとられねばならないのでありますが、まず何よりも重大なことは、いかに適正なる価格をもって農民から米を買い入れるかということであります。言いかえれば、農民が喜んで政府に米を売り渡しできる価格をすみやかに決定することであります。しかるに、政府は、当初植付前に買い入れ価格を決定すると称しながら、じんぜん今日に至り、その後河野農林大臣は、たとえ米価を決定するにしても暫定米価でよろしい、正式には秋になってきめると言明し、次いで米価審議会が早急に米価を決定するようにとの決議を行うに至りまして、再び米価を早目にきめる方針になったようであって、そのための米価審議会を招集しておきながら、なおかつ政府案なるものをきめておらないのであります。政府部内には予算成立後に延ばそうという意見も有力であるとのことでありますが、事、米価に関する限り、政府の意見は全く統一を欠いておると言わなければならないのであります。政府はなぜこのようにいつまでも米価について確固たる態度をおきめにならないのであるか。政府はこれで果して新しい管理方式が実施できると考えておるのでありましようか。われわれは、今日予見されるような条件のもとにおける事前売り渡し制には反対でありますが、管理方式のいかんにかかわらず、米価を早期に決定することは、農家が安んじて生産にいそしむ上に絶対必要であると考えるものであります。政府はこの際、すみやかに米価を決定すべきであって、一体いつおきめになるつもりであるか、まずその点に対してお伺いをいたしたいのであります。
次に、政府は生産者米価を一体幾らにするつもりであるか、これが農民の最大の関心事であります。農民といたしましては、それによって再生産を十分に保障し、均衡のとれた生活を維持するに足る米価を望むことは当然であります。今日までの供出制度が、完全にその機能を発揮することができなかった大きな理由が、農民の納得のいかない低米価にあったことは明らかであります。従来のパリティ価格を基礎といたしまして算出された米価が、ついに農民の満足をかうに至らなかったのは、それによって再生産を保障することもできず、また世間並みの生活を保障もされなかったからであります。これがために昨年九月の米価審議会においては、従来のパリティ方式にかわって、生産費方式によるべきことを決議せられ、その決議に基いて専門委員会が設けられ、ある程度の報告が政府になされておるはずであります。政府は本年新たに事前売り渡し制を実施するに当って、多数農民の要望であり、また権威ある米価審議会の決議でもある、この生産費方式による生産者米価の算出方法を採用される意思があるかどうか、これをお尋ねいたしたいのであります。
さらに、政府与党である民主党においては、三十年度産米の価格を二十八、九両年度の平均価格の一万二百六十円とし、政府をしてこれを実施させようとしているとのことであります。このような過去の数字を加えて二で割るというようなやり方は、便宜主義のはなはだしいものであって、合理的に国民を納得せしめるものではないのであります。米価の算定は、このようなそのときどきの政治的考慮によって恣意的にきめられるものであってはならないのであります。すでに繰り返して申しまする通り、あくまでも生産費を十分に償うものとして、一定の根拠の上に打ち立てられた米価でなければならないのであります。従って生産費は、単に参酌する程度の従属的に取り扱うべきものではなく、あくまで生産費を本位に、第一義的に考慮しなければならないものであります。これを抜きにして、米価を政府の都合のよいところに落ちつけようとして策を弄するのは、全く農民を愚弄するものと言わなければならぬのであります。事前売り渡し制を前にいたしまして、米価について最も妥当かつ農民の納得し得る価格を打ち出すことも、特に考慮しなければならないこの際において、政府の米価決定に対する態度は、もっと慎重で誠意があり、かつ真剣なるものでなければならないと思うのであります。政府は、米価審議会の決議や専門委員会の報告にもかかわらず、御都合主義によって漫然従来の算定方式をそのまま踏襲し、あるいは過去の実績を基準にする等の安易な措置でお茶を濁す考えであるのか、その点お伺いいたしたいのであります。
聞くところによれば、大蔵大臣はかつて閣議において、生産者米価を現行価格以下に引き下げることを主張せられ、また先ごろ大蔵事務当局の見解として、三十年米価は従来通り価格パリティ方式によって算出し、奨励金に該当する分については、昨年並みに支出することとして、石九千六百二十七円を主張しているようであります。これは減収加算を加えた二十九年の米価九千九百九十九円を下回ること実に三百七十二円でありまして、農民にとりましては、まことに三斗の冷水を浴びせられるの感があるのであります。また最近では、食管会計内において操作し得る範囲内ならばよろしいというように言われているのでありますが、この大蔵大臣なり、大蔵事務当局なりの米価に対する考え方は、決して米穀の再生産や農民の生活に考慮を払ってなされたものであるということはできません。ただ国の財政が許さない、食管会計が赤字となる、こういう財政的理由からだけであります。さらに一歩突っ込んで言えば、資本主義的な経済の発展をはかるためには、米価を上げれば都合が悪いという資本家本位の打算から打ち出されたものであり、さらに憶測を加えるならば、農民はまだまだ景気がよ過ぎるから、その消費を抑制する必要があるという偏見から編み出されたものであります。農林大臣は、財政当局のこのような米の生産事情や、また農家経営の実態から遊離した米価算定に関する考え方に対して、いかなる見解を持っておいでになるか、お伺いしたいのであります。また大蔵大臣は、今でもかような考えを正しいとお考えになっているかどうか、この点お伺いいたします。
米価の決定に当って、政府がかたわら財政的支出能力について考慮を払うことは当然でありましょう。三十年度予算において政府が計上したいわゆる予算米価は石九千七百三十九円であります。それによって現行消費者価格との間には、管理費を加えて約百三十億円の赤字が生まれる。これを他の収入益でカバーすることになっているが、さきに決定した減収加算分三十三億円も合せて食管会計のワク内で操作するとのことでありますから、これ以上の支出をするとすれば、一般会計からの繰り入れによるか、あるいは奇想天外の妙手を編み出す以外、どこにも財源はないはすであります。政府は、どうやらこの妙手の発見に苦心されているようでありますが、われわれは、一般会計において防衛費や資本家救済の傾向の強い補給金、補助金がふんだんに使われている点を指摘いたしまして、これらの費目を節減しても、国民の生命のかてである主食については、二重価格制度をとって、生産者米価の引き上げを実現すべきものであると考えるのであります。この点については、民主党に参加した旧改進党も同じ意見であったのであります。民主党になってから旧改進党の諸君がこの持論を放棄したということは、まだ寡聞にして私は聞いておらぬのであります。ところで、食管会計の現状が、すでに生産者価格と消費者価格との開きを認めている以上、形式的には一般会計の負担でないというだけのことで、明らかに二重価格になっているのであります。結局何らかの形で消費者が負担するのでありまして、消費者価格を上げないと言いながら、酒米の値上げをはかり、輸入食糧の低落で当然安く配給せられるべきものを据え置いて、収益の増加をはかるというのでは、これは消費者価格の据え置きは、明らかに消費者を欺瞞するものであって、むしろ一般会計からの繰り入れを行う方が国民の負担の均衡からいって、はるかに当を得たものであると考えます。この際、大蔵大臣及び農林大臣の二重米価に対するお考えを承わるとともに、特に大蔵大臣に対しましては、政府が現在とっている財政方針からして、生産者米価引き上げの余地が、いかなる限度まで許されるかについて、はっきりその所信を承わりたいのであります。
要するに、政府が従来の低米価政策を維持しながら、事前売り渡し制を実施しようとするのは、事前売り渡し制の完全なる実施をねらっているのではなくて、むしろその崩壊を予想し、ここに河野農相年来の主張である米の統制撤廃を一挙に実現しようとする魂胆であると考えられないことはないのであります。もし事前売り渡し制が、所期の目的を達成することができず、失敗に帰したならば、もはやこれを再び従前の統制方式に引き戻すことはとうてい不可能であります。中途半端な統制は、特に生産者の立場を無視した統制は、おそかれ早かれ崩壊すべき運命にあると言わなければなりません。今日、事別売り渡し制の実施に当って、価格について特別の考慮を払うことをせず、とうてい農民の協力を期待し得ない水準を固持するがごとき政府の態度は、まさに意識的に統制の放棄を企図していると言わざるを得ないのでありまあう。輸入米を含めて月間平均のわずか十五日の配給しか保障されていない今日の食糧需給のもとにおいて統制の崩壊は直ちに国民生活を不安に陥れ、社会的混乱に導くことは明らかであります。政府は、現在の米穀統制をあくまで維持していくつもりであるか、それとも統制を撤廃しようとしているのであるか、これを明らかにされたいのであります。
以上六点について政府当局の責任ある御答弁をお願いいたす次第であります。(拍手)
〔国務大臣河野一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/18
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019・河野一郎
○国務大臣(河野一郎君) お答えをいたします。
第一は、米価の決定がおくれておるということでございますが、これは、かねていろいろな機会に申し上げました通りに、実は私といたしましては、最初この米価をきめるに当りまして、米価の本来の決定の要素からいたしまして、豊凶を加味してきめるということも一つの考え方であるというような意味から、九月にきめるということも一つの考え方ではないか、と考えたのでございますが、これを、予約制度を実施いたしまするにつきまして、この予約取引の際に暫定米価でやるよりもほんとうにきめた方がよろしいという御意見も非常に多いので、これを前回の米価審議会の懇談会に御意見をお尋ねいたしましたところが、審議会の方から、早期に決定をせよということでございましたので、そこで私は、すみやかに米価を決定しなければいけないという方針をとって今日まで来たのでございます。ところが、御承知の通りいろいろむずかしい問題でございますし、各方面の御意見も十分尊重して、農民諸君、一般国民諸君の納得のいく米価を決定いたさなければなりません建前から、各政党の御意見も拝聴する必要もございましたし、また、特に民主党方面の意見も取りまとめてこれを伺う必要もございましたので、私といたしましては、これらの条件を整えるために鋭意努力をいたしたのでございまするが、微力にして今日今なお決定の段階に至っておりませんことは、はなはだ遺憾なことでございますが、しかし私といたしましては、最善を尽して、一日もすみやかに米価の決定のできるように努力をいたしておる次第でございます。いつごろきめるかということでございまするが、これは、以上申し上げましたるような理由におきまして、すみやかに決定いたしたいということでございますから、決して今お話しになりましたように、予算が済んだらとか何とかというようなことは毛頭考えておりません。どうぞその点は御了解願いたいと思うのであります。
第二の、米価はどのくらいにきめるかということでございます。これについていろいろ御意見もございましたが、御承知の通り、米価決定の算式は、食糧管理法の規定によってこれはいたすのでございまして、これを逸脱することのできませんことは御承知の通りでございます。ただ、その間におきましてパリティ方式に重点を置きまして、生産費方式について従来とかく欠けるところがあったというようなことから、前々回の米価審議会において生産費方式に重点を置いてやるようにというお申し出もありましたことも御説の通りでございます。従いまして政府におきましては、自来専門委員会を設置いたしまして、その専門委員会の中間の御答申もちょうだいいたしまして、これに算数を入れまして、そうしてこの集約をいたしておるのでございまして、これの取りまとめも、実はまだ計数の取りまとめ中というようなことでございます。そういうようなことで、本日も私、この本会議におくれましたのは、御承知の通り米価審議会の小委員会で、この生産費方式について小委員会が開催されておりますので、その方に出席しておりまして実は遅刻いたしたのでございますが、この点に最も力を入れまして、せっかく専門家、小委員の方々によって鋭意御検討を願っておりますので、これらも十分貴重な資料として決定をしなければならぬと考えておる次第でございます。
第三に、米価の決定は民主党方面においていろいろ案があるが、それらについての御批判があったのでございます。しかしこれはただいま申し上げましたように、どなたも今日の米価を決定するには、食管法の規定を逸脱して決定があるわけではないのでございまして、これはそれぞれの立場におかれまして、いろいろ御議論はございますが、いずれも私は、この食管法に明記しておりまするところの生産者米価というものは、その規定に基いて案をお立ていただいておると思っておりますし、また政府におきましては、どこまでも合理的、合法的に決定をしなければならぬことは申し上げるまでもないのでございます。
第四に、大蔵省がいろいろのことを考えているが、それについてお前はどういうふうに考えるかということでございますが、いろいろ経過において御意見はございます。ございますが、結論におきましてわれわれ両省の間においてもしくは大蔵大臣と私との間において意見の扞格はなく、一致してこの米価をただいま申し上げました線において決定することにいたさなければなりませんし、また、いたしますということをここで申し上げておきたいと思うのであります。
第五に、二重価格制についてお話がございました。私はかねがね二重価格制について、いろいろ御意見のあることも拝聴いたしております。私もかつては、こういう意見をとったこともあります。しかし財政負担等の点からいたしまして、なかなかこれは困難であるという、私の考えでございますが、私はその考えをもちまして、今日この二重価格制で食糧政策に対応していくことは、私は困難であるというような見地に立っておるのでございまして、この点につきましては、いろいろお話もございました、ただいまの政府のやっておることは、しからば二重価格ではないかということになりますと、現在とりつつありますことは、まだ私は二重価格制の限界に達しておるとは考えておりません。
第六に、現在のようなやり方をしておれば、これはついにこの制度は、今の予約買付制度は、今のようなことではこれはだめにしてそうして自由取引に、自由販売に移行することを考えておるのだろうということでございますが、この種のお尋ね、御疑問は、しばしばちょうだいいたしますが、私といたしましては、決してそういうことは考えておりません。政府といたしまして、最善を尽しまして協同組合その他農業団体の諸君、全国農民諸君の御協力によりまして、ぜひこの制度を完全に完遂いたしまして、そうして国民食糧の面において御奉公をしなければならぬと、かたく決意をいたしておるものでございます。
〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/19
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020・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 米価が農業生産の重要な柱でありますことはむろんでありまするが、他面、またこの米価が財政経済全般にわたりまして、あるいはまた国民生活にわたりまして、重大な影響を持つことも、これは御承知の通りであります。特に今回の米価の決定は、私は非常な重要な意義を持つと考えておるのであります。これにつきましては、従いまして米価審議会等、関係の方々の意見を十分聞きまして、そうして政府としてもこの決定をしたい、こういうことに考えておるわけであります。
二重米価の問題ですが、これは財政当局としては、財政の負担の上から、ほとんど私は困難を通り越しておる、まあかように考えておるのであります。
なお、今後における米の配給制度と申しますか、いわゆる統制の問題ですが、これがどうなるかということにつきましては、私は十分研究すべきことであろうかと考えております。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/20
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021・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第一、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。法務委員長成瀬幡治君。
〔成瀬幡治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/21
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022・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ただいま上程になりました、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過及び結果につき御報告申し上げます。
この法律案は、最近町村合併促進法の施行等による町村の廃置分合等が全国的に行われておりますので、それに伴って、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律に所要の改正を加えようとするものでありまして、その改正の要点は、簡易裁判所の名称及び管轄区域の変更と同法別表の整理であります。
すなわち第一に、簡易裁判所の名称は、従来その大部分が所在地の市町村の名称を冠しております関係上、市町村の廃置分合またはその名称変更に伴い、簡易裁判所の名称もまたこれを改める必要がありますので、神奈川県津久井郡津久井町の設置に伴い、神奈川中野簡易裁判所の名称を津久井簡易裁判所と改めるのを初めといたしまして、合計三十三の簡易裁判所の名称を変更しようとするものであります。
第二に、簡易裁判所の管轄区域については、従来行政区画またはこれに準ずべき区域を基準として定められております関係上、市町村の廃置分合等に伴い、関係簡易裁判所の管轄区域に変更を加える必要が生じたので、春日部市の設置に伴い、大宮簡易裁判所の管轄に属する埼玉県南埼玉郡旧豊春村の区域を越ケ谷簡易裁判所の管轄に変更するのを初めといたしまして、合計百三の簡易裁判所の管轄区域を変更しようとするものであります。
第三に、市町村の廃置分合、名称変更等に伴い、同法の別表第四表及び第五表については、当然必要とされる整理を行おうとするものであります。
以上が本法律案の改正の要点であります。
委員会におきましては、中山委員より法務省及び最高裁判所当局に対して、「簡易裁判所の廃合についての根本的計画、交通事件即決裁判事件を取り扱う簡易裁判所の問題、設置後現在に及んでもなお未開庁のままである簡易裁判所の処置、及び裁判官の欠員のままである簡易裁判所の充員対策」について質疑がなされ、関係当局よりこれに対して、「簡易裁判所については先に事物管轄が拡張せられ、同時に民事事件を取り扱わないものも生じたので、その廃合については根本的に検討したい。交通即決裁判事件を取り扱う簡易裁判所としては、東京、大阪のような大都市に限り特別のものを置く方針である。未開庁の簡易裁判所については、その主たる原因は適切な庁舎の敷地が得られないのにあるが、その開庁に努力する。簡易裁判所の欠員については、現在四十九名の欠員があるが、本年中か来春までには全部補充の予定であるから、これにより解決の見込みである」旨の答弁がありました。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に御発言もなく、直ちに採決に入り、全会一致をもって可決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/22
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023・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/23
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024・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めて可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/24
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025・河井彌八
○職長(河井彌八君) 日程第二、道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。まず委員長の報告を求めます。運輸委員長加藤シヅエ君。
〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/25
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026・加藤シヅエ
○加藤シヅエ君 ただいま上程になりました道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近における自動車の発達がきわめて顕著でありまして、本法が制定されました昭和二十六年当時は三十数万両でありましたのが、現在は百三十万両に及び、さらに増加の一途をたどっておりますので、これに伴いまして、当然に自動車の登録、検査に関する事務も増加しておりますが、他方予算及び定員は、車両の増加に比例して増加し得ない現状にありますので、増加してゆく事務を円滑に処理するため、複雑な手続等の事務を簡素化、合理化して、行政の能率化をはかろうとするものであります。
次に、本改正案の主なる点を申し上げますと、第一は自動車の登録関係でありまして、自動車の登録事項から自動車の形状、自動車検査証番号及び原動機付番号を削除し、原動機の型式を追加したことであります。
第二は、自動車の検査に関することでありまして、営業用旅客自動車の検査証の有効期間を、整備がよく、かつ車令、走行距離等が基準に適合するものについては、一カ年の範囲内で伸長することができるようにしたことであります。その他、若干、自動車の登録、検査及び整備に関する規定の整理を行なっております。
委員会におきましては将来における自動車の増加を見込み、自動車の登録、検査事務に携わる職員の定員、予算等につき、政府に対し若干の質疑がなされましたほか、格別の質疑もなく、質疑を終り、討論に入りましたところ、討論省略の動議があり、直ちに採決に入りましたところ、全会一致をもちまして、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/26
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027・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/27
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028・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/28
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029・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第三、証券取引法の一部を改正する法律案
日程第四、証券投資信託法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/29
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030・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。大蔵委員長青木一男君。
〔青木一男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/30
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031・青木一男
○青木一男君 ただいま議題となりました二法案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず証券取引法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案の概要を申し上げますと、第一点は、有価証券市場における信用取引の円滑な運営に資するために、現存の証券金融会社について新しく監督規定を設けようとするものであります。すなわち証券金融会社とは、証券取引所の会員に対し、信用取引の決済に必要な金銭または有価証券を、当該取引所の決済機構を利用して貸し付ける業務を営む会社と規定し、その業務を営もとするものは大蔵大臣の免許を必要とし、資本の額が五千万円以上の株式会社でなければならないこととしようとするものであります。
なお商号の変更、貸し付け方法又は条件の決定と変更等は、大蔵大臣の認可を受けなければならないこととし、必要ある場合には、大蔵大臣は貸し付け方法または条件について変更を命ずることができることとするほか、監督のために必要な規定等を設けよとするものであります。
第二点は、証券業者についての監督規定を整備しようとするものであります。すなわち業者の名義貸しを禁止し、有価証券の割賦販売等を営業としようとするときは大蔵大臣の承認を要することに規定を整備する等、所要の改正をしようとするものであります。
委員会の審議に当りましては、既存証券金融会社のうち、資本の額が五千万円以下のものについて、六カ月の猶予期間内における整備の見通し、貸付の方法、または条件について大蔵大臣が変更を命ずることができるとするのは、証券市場に対する不当介入となる危険はないか等について熱心な質疑がなされましたが、それらのうち、特に問題となった点を申し上げますと、「本案の第百五十六条の四の規定によると、証券金融会社の免許申請があり、それが適格である場合には、大蔵大臣は免許しなければならないことになり、数社の設立が予想されるが、他方これまでの政府当局の答弁によると、一取引所について一社以外のものは実際問題として認められないであろうとのことであって、この間に食い違いを生ずるがどうか。また、一社のみに限定した場合には、将来独占的弊害を生ずるおそれがないか」ということでありまして、これに対して大蔵大臣より、「法律の規定上は一社に限定されるものでなく、二つ以上の証券金融会社が免許を受けることもあり得ることとなっているが、実際上は一取引所に一社が免許されることが、その業務の運営上適当であると思う。免許した会社については十分な監督をし、いわゆる独占的弊害のないよう適正な運営について留意したい」との答弁がありました。
右の詳細につきましては、速記録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、証券投資信託法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、昭和二十七年六月から実施されました追加型証券投資信託について所要の改正をしようとするものであります。
以下、本案の内容を申し上げますと、追加型証券投資信託の受益証券の記載事項について、現行法では、「その発行の際までに追加信託をした信託の元本の額及び受益権の総口数」を記載しなければならないこととなっておりますのを、今回元本の追加信託を容易ならしめる等のために、「その発行の日の属する計算期間の期首における信託の元本の額及び受益権の総口数」に改め、その信託約款に定めるべき事項について現行法に規定されているもののほかに、追加信託できる元本の限度額及び元本の追加信託についての公告に関する事項を定めなければならないこととし、さらに元本の追加信託をしたときは、委託会社は遅滞なく届出なければならないこととする等の改正をしようとするものであります。
本案の審議に当りましては、証券投資信託の現状、償還期限繰り延べの問題、受益者保護の問題等、実情に即した熱心な質疑がなされましたが、詳細は速記録に譲ることといたします。
質疑を終了し、討論、採決の結果、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/31
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032・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/32
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033・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって両案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/33
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034・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第五、水防法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。建設委員長石川榮一君。
〔石川榮一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/34
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035・石川榮一
○石川榮一君 ただいま議題となりました水防法の一部を改正する法律案について建設委員会の審議の経過及び結果を御報告いたします。
本案は、水防活動の強化をはかるため洪水予報及び水防警報、水防従事者の災害補償及び報賞、水防費用の負担等に関する現行水防法の規定を整備せんとするものであります。
その主要なる点の第一は、洪水予報に関するものであります。現在利根川、淀川等の重要河川については、建設省と中央気象台が協力をいたしまして洪水予報を行なっておるのでありまするが、この際、これを水防活動の一環として水防法に規定し、建設大臣及び中央気象台の共同責任において的確迅速な予報を行おうとするものであります。第二は、洪水、または高潮により、国民経済上重大な損害を生ずるおそれのある河川、海岸、湖沼については建設大臣が、またそれ以外の河川、海岸、湖沼については都道府県知事が、水防活動を行う必要がある旨を警告する水防警報を行うことといたしまして、水防機関の出動及び準備に指針を与えることであります。第三は、水防団長、団員が水防に従事して死傷した場合における損害の補償につき、公務災害補償制度を確立することでありますが、なお一般住民が水防に従事することによって死傷した場合も、これに準ずることとしたことであります。第四は、挺身水防に従事し、著しい功労があった者に対しましては、建設大臣が報賞を行い、その功労に報いる道を開いたことであります。第五は、水防管理団体の水防によって著しい利益を受ける市町村が、その費用の一部を負担する制度を設けたことであります。第六は、従来予算措置でなされておりました国庫補助を法定いたしまして、水防施設の整備促進をはかることであります。
委員会におきましては、提案理由の説明のほか、建設省及び中央気象台当局との間に、多くの質疑応答を重ねましたが、詳細は速記録によって御承知を願いたいと存じます。
審議のおもな事項といたしましては、洪水予報、水防予報を発するにつきましては、全国各地における気象観測施設の状況、建設省、中央気象台間の連絡、水防資材の補充、水防施設に対する国庫補助、水防従事者の公務災害補償と報賞制度、水防受益団体の費用分担等の問題についてであります。特に災害補償と報賞の問題につきましては、警察及び消防両当局、大蔵当局等の出席を求めまして、本案の制度と警察及び消防機関におけるものとを対比いたしまして、多くの質疑応答を行いました。水防従事者が同時に消防団員を兼ねる場合、水防活動による災害につきましても、その身分関係から、消防機関における補償がなされること、また補償に任ずる水防管理団体の負担力にかんがみまして、消防機関の補償について府県単位の互助制度が設けられておる例にならう必要があるということ、この場合両制度の連繋、統合についても質疑がありました。また、最近十年間における莫大な額に上る災害とその復旧状況から、水防活動の強化が強調せられ、災害補償及び報賞についても弾力性のある運用が必要であるということにつきましても、慎重な審議がなされた次第であります。
かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、小澤委員から、逐年激増する災害と、ますます重要性を加える水防活動に対し、本改正案を一応了承するが、次の要望を付する。
一、公務災害補償及び水防法第十七条による水防従事者に対し補償義務を有する水防管理団体は、従来の経験によると、その負担にたえぬ場合もなしとしない。また地元の負担能力に従い補償に公平を失することも生ずる可能性がある。よって政府は災害補償に関しては適切なる指導及び国の負担を考慮して、右のような事態を生ぜしめないような措置を講ずること。二、報賞に関しては政府は十分な財政的措置を講じ、精神的のみならず、物質的にも報賞の実を上げること。三、水防費用の補助は水防施設のみを対象としておるが、水防資材に対しても十分なる補助の道を講ずること。この要望を付して賛成する旨の発言があり、赤木委員からは、本案は一段の進歩であるから賛成する、そのうちでも水防費用の分担については、その運用に十分注意すること。湯山委員からは、要望を付して賛成する。すなわち第一は、予報、警報の用語について建設省と中央気象台の間に食い違いがあるが、両者の間に十分な連絡をとること。第二は、洪水予報施設及び水防施設に対する計上予算が減少しておるのに対して、本案を実施するのであるから、政府は今後根本的対策を講ずること、との意見が述べられ、田中委員からは、災害補償その他本改正案の精神には賛成である。費用の負担、報賞については、その運用に問題がある。生命を賭する現業に対する報賞制度については、近い将来単行法を考慮すること。本案の実施の責任については強く要望する旨の発言があり、武藤委員からは、本改正案に賛成する。その運用に当っては中央気象台及び報道機関との連絡、報賞制度の活用には十分な注意を望む旨の意見がありました。
かくて討論を終り、採決の結果、全会一致可決すべきものと決定いたしました。
以上、報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/35
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036・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/36
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037・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/37
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038・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第六、国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。文教委員長笹森順造君。
〔笹森順造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/38
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039・笹森順造
○笹森順造君 ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過と結果について御報告申し上げます。
まず本法案の提案の理由と内容の骨子について申し上げます。
この法律案は、昭和三十年度予算に照応して所要の改正をいたすものでありまして、国立大学の学部、大学院の開設、夜間の短期大学部の開設並びに研究施設の設置等について規定するものであります。
改正の第一点は、弘前大学及び佐賀大学に農学部を、大阪大学に薬学部を開設し、香川県立大学、鹿児島県立大学を、それぞれ香川大学及び鹿児島大学に吸収移管いたすことであります。
改正の第二点は、医学及び歯学の大学学部の学年進行に伴って、群馬大学等九つの大学に新たに大学院を開設いたすことであります。
改正の第三点は、茨城大学及び静岡大学に短期大学部を併設することであります。
改正の第四点は、東京大学に共同利用の研究施設として原子核研究所を新設すること等であります。
委員会の審議におきましては、短期大学制度並びに大学及び大学院制度についての問題、なかんずく勤労青年のための夜間大学の増設、教員養成大学の充実、国家の要請にこたえる国立大学の配置、整備拡充計画等について活発な質疑応答がかわされました。なお、原子核研究所の設置につきましては、特に関係学者を参考人として招き、専門的意見の開陳、これに関する質疑を展開いたしました。
次に質疑応答のおもな点を申し上げますと、今回の学部の増設等は従来の予定を実現したものであるが、政府は将来大学の新設は差し控えて、むしろその内容の充実をはかりたい方針であること、そのためには来年度以降講座研究費等の増額をはかりたい予定であること、旧制の医学研究科を持つ大学院未設置の医学部には、将来において、その内容の充実を待って、新制大学院が設置されるであろうこと、短期大学制度については、中央教育審議会の答申もあり、政府として十分検討を加えたいことなどでありました。
なお、原子核研究所は、東京大学に付置する共同利用の研究所であるが、「将来東京大学の専門となるおそれはないか」との質疑に対しましては、「運営委員会等を設けて十分所期の目的に沿うようにしたい」との答弁がありました。
かくて質疑を終り、討論に入りましたが、別段の発言もありませんでしたので、直ちに採決の結果、全会一致をもって、本案は可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/39
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040・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/40
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041・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/41
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042・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第七、銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。地方行政委員長小笠原二三男君。
〔小笠原二三男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/42
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043・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ただいま議題となりました銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果について御報告いたします。
本法案は、内閣提出にかかるものでありまして、最近空気銃、飛び出しナイフ等による事故が漸増している実情にかんがみ、これらの所持について規制を加えることを眼目といたしております。以下改正の主要点を拾って内容の概略を申し上げます。
第一に、空気銃の所持について、金属性弾丸を発射する機能を有する空気銃については、狩猟用等の装薬銃砲と同様に、公安委員会の許可制とするとともに、銃砲による危害防止を一そう徹底するため、狩猟用等の装薬銃砲も含めて狩猟の場合、射撃場における射撃の場合等を除くほか、おおいをかぶせ、容器に入れる等、直ちに発射できないようにして携帯しなければならないこととしたこと、なお、空気銃の製造及び販売についても、武器等製造法の一部を改正して、猟銃と同様、都道府県知事の許可制としたこと。
第二に、飛び出しナイフ及び刃渡り十五センチメートル未満のひ首については、その所持は禁止しないが、携帯について制限を加えているのが現行制度でございますが、近ごろ一部の者が、これらのものを悪用して、弊害をかもしている現状にかんがみ、今回、飛び出しナイフ及びあいくちの所持を一般的に禁止することとしたこと。
第三に、刀剣類は、美術用刀剣としてのみ、文化財保護委員会の承認を受けて製作できるが、輸出用として製作することも認めるようにして、その場合の所持を合法化することとしたこと。
第四に、建設用びょう打銃等、建設業の用途に供する銃砲については、現在では試験研究用から実用に供すべき段階に達したので、屠殺銃、救命索発射銃等と同様に、公安委員会の許可を受けて所持することができることとしたこと。
第五に、銃砲刀剣類等所持取締令、質屋営業法、古物営業法、風俗営業法及び道路交通取締法の規定により、道公安委員会の権限に属する許可等の事務について、方面委員会に委任して行わせることができるようにしたこと等であります。
地方行政委員会におきましては、六月十四日大麻国務大臣より提案理由の説明を聞いた後、政府委員との間に質疑応答を重ねましたが、その詳細は速記録によってごらんを願いたいと存じます。
六月二十一日討論に入り、石村委員より、次のような修正案が提出されました。
すなわち、今回規制の対象として刀剣類の中に加えられたいわゆる飛出しナイフは、刃渡り五・五センチメートルをこえるものに限り、小さなものは規制のワクからはずすとともに、原案は飛出しナイフの定義として、「四十五度以上に自動的に開刃する装置又はさやと刃体とが直線に固定するための特殊の装置を有するナイフ」というものを、「又は」以下を削って、飛出しナイフとは、「四十五度以上に自動的に開刃する装置を有するナイフ」ということに修正するのであります。深川委員は、右修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の旨を述べられました。
かくて採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案、いずれも全会一致をもって可決されました。よって本法案は修正議決すべきものと決定いたしました次第であります。
なお最後に、他の委員より、「本法案ではあいくちの解釈があいまいであるが、当局はよろしく行政指導の面において、その不備を補い、十分妥当な取締りが行われるように努められたい。本法案が成立実施された上で、もし法の精神を運用して、社会に危険な害悪を及ぼす等、遺憾な事態を招来するようなことがあれば、当委員会としてはいつでも再検討の用意があることを前提として、今回の修正を行なったのであるから、当局は法の執行に当って十分注意されたい」旨の要望が述べられました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/43
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044・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/44
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045・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって委員会修正通り議決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/45
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046・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第八、建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず委員長の報告を求めます。内閣委員長新谷寅三郎君。
〔新谷寅三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/46
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047・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法律案の改正の要点を御説明申し上げますると、次の通りであります。
その第一点は、従来宅地の利用の調整に関する調査及び企画についての事務は、住宅局において処理して参ったのでありまするが、住宅対策の拡充強化に伴いまして、宅地問題の解決に積極的に当らねばならぬことは明らかでありますので、宅地制度そのものにつきましても根本的に十分研究し、住宅対策の基礎とするために、建設省の所掌事務及び権限の一部を改めたことであります。
その第二点は、ビルマとの賠償及び経済協力に関する協定が成立いたしまして、今後賠償事務が増大し、特に今回の賠償には役務賠償も含んでおりますため、これに関係する建設省所管事務が少くないと想像されますほか、さらに国交回復が順調に行われるに従い、特に東南アジア方面からは建設事業の引き合いが相当参っておりますので、これらの事務を建設省において統一的に総合調整するため、これを大臣官房において処理せしめるための改正であります。
その第三点は、建設省所管の統計事務を強化するため、指定統計の実施及び業務統計の総合調整事務を大臣官房において統一的に行わしめるための改正であります。
その第四点は、受託に関する権限規定を整備し、建設省の所管または助成する建設工事と工事施行上密接な関連を有する工事についても受託し得ること、また受託し得る相手方として住宅金融公庫をも他の公社等と同様に取り扱うこととし、さらに建築研究所におきましては、建築物、敷地、建築資材に関し、民間では実施困難な調査、試験及び研究につき、相手方が民間でありましても、これを受託し得ることとするための改正であります。
その第五点は、建設省の所管に属する建設工事用機械につきまして、その貸付などに関する規定を設け、これを明確にするための改正であります。
以上が、この法律案の改正の要点であります。
内閣委員会は、前後四回にわたり本法律案の審議に当ったのでありまするが、その審議によって明らかになりました諸点は、第一に建設省の所掌事務として宅地制度全般に関する調査と企画とを行うこととなりまする結果、この事務に当る定員十三人が増員せられ、所要の課を住宅局に新設せられる見込みであること。第二に、建設省関係の統計事務を強化統合するため及び賠償その他国際協力に関する事務を所掌するためそれぞれ大臣官房に所要の課または室を置く見込みであること。第三に、営繕関係の業務量の減少に伴いまして、建設省の定員二百二十人が減少することになりまするが、建設省当局では、この減員となる者は新たにできる日本住宅公団に配置がえを行うほか、建設省の現在の定員上の欠員で埋め、退職者を出さない見込みであること。第四に、建設省の部局内には定員法のワク外におかれている常勤労務者及び常勤的非常勤職員が多数存在しておりまするが、これらの職員の根本的処遇改善につきましては、政府においては公務員制度調査会に付議し、目下検討中であって、早急に結論を出し、成案を得るよう最善の努力をしておること等であります。
なお以上のほか、建設省関係の賠償に関する問題、建設省所管の統計事務の強化に関する問題等につきましても、質疑応答が行われましたが、その詳細は速記録に譲ることを御了承願いたいと存じます。
昨日の委員会におきましては、本法律案に関する質疑を終了し、討論に入りましたところ、千葉委員より、現在、建設省には膨大な数に達する常勤労務者及び常勤的非常勤職員が定員法のワク外に存在しておる。このような職員の処遇の問題につき、政府は早急に適切な解決策を講ずべきである旨の意見を付して、本法律案に賛成するとの発言があり、右の討論終了後、直ちに本法律案について採決いたしましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決せられた次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/47
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048・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/48
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049・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/49
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050・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第九より第二十三までの請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/50
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051・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事西川甚五郎君。
〔西川甚五郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/51
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052・西川甚五郎
○西川甚五郎君 ただいま上程せられました大蔵委員会付託の請願につきまして、本委員会における審議の経過並びにその結果を御報告申し上げます。
大蔵委員会におきましては、特に小委員会を設け、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取いたしまして、その上質疑応答を重ね、慎重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。
日程第九は、酒税を引き下げ、安い酒価で大衆に提供し、その結果、密造酒を駆逐して国民の保健並びに国家財政に好影響を与えられたいとの趣旨であり、日程第十は、同じくビールの酒税を引き下げられたいとの趣旨であり、日程第十一は、第二種原動機付自転車及び自動自転車に対し、物品税を免除し、軽四輪乗用車に対する物品税を免除、もしくは五%に軽減せられたいとの趣旨であり、日程第十二は、たばこ専売法施行規則による災害補償制度中、「十分の七に達しない場合」とあるのを「十分の八・五」に改め、葉タバコ耕作被災農家を救済せられたいとの趣旨並びに鹿児島県下の葉タバコ耕作が、災害等により現収納価格では再生産が危ぶまれるから、収納価格の引き上げを実施せられるとともに、助成策を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第十三は、建築板金業、すなわちブリキ屋が工賃のみによって生計を立てている日雇労務者にすぎないのであるから、これら業者の所得税を勤労所得税並みに扱われたいとの趣旨であり、日程第十四は、楽器の物品税を免除ぜられるか、またそれが不可能の場合は、少くとも教育用免税品の範囲を用途及び種類において拡大せられたいとの趣旨であり、日程第十五は、楽器に対する物品税の免税点を引き上げるとともに、品種別に免税点を設定せられたいとの趣旨であります。日程第十六は、理容用タオル消毒器、同顔そり用湯沸器の物品税を営業用に限って免除せられたいとの趣旨であり、日程第十七は、生活必需品たる洋紙に課税するのは不合理であるから、物品税を撤廃せられたいとの趣旨であり、日程第十八は、中小企業者の金融難打開のため、国庫余裕金の金融機関指定預金引き上げを延期せられたいとの趣旨であり、日程第十九は、電気トースターを食糧政策及び保健衛生上の見地から、物品税を撤廃せられたいとの趣旨であり、日程第二十は、大型真空掃除機の業務用の免税点を、性能の向上により入力六百ワットをもって十分充足し得るようになったから、入力六百ワットに免税点を引き下げられたいとの趣旨であり、日程第二十一は、銅器に対する物品税の税率の引き下げ並びに免税点の引き上げ措置を講ぜられたいとの趣旨であり、日程第二十二は、岩手県において葉タバコ増産に最も必要な再乾燥工場がないため、生産面に非常な支障を来たしているから、再乾燥工場を設置せられたいとの趣旨であり、日程第二十三は、東北地方のタバコ栽培振興のため、盛岡市周辺に国立タバコ試験場を設置せられたいとの趣旨であり、いずれも妥当と考えられます。
よって以上二十七件は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/52
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053・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
これらの請願は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/53
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054・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よってこれらの請願は、全会一致をもって採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。
次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十六分散会
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○本日の会議に付した案件
一、在鮮同胞引揚促進及び日鮮貿易問題に関する緊急質問
一、米価問題に関する緊急質問
一、日程第一 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第二 道路運送車両法の一部を改正する法律案
一、日程第三 証券取引法の一部を改正する法律案
一、日程第四 証券投資信託法の一部を改正する法律案
一、日程第五 水防法の一部を改正する法律案
一、日程第六 国立学校設置法の一部を改正する法律案
一、日程第七 銃砲刀剣類等所持取締令等の一部を改正する法律案
一、日程第八 建設省設置法の一部を改正する法律案
一、日程第九乃至第二十三の請願発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102215254X02619550622/54
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