1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十五日(水曜日)
午前十一時三分開議
出席委員
委員長 松山 義雄君
理事 今松 治郎君 理事 臼井 莊一君
理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君
理事 中居英太郎君
有田 喜一君 生田 宏一君
岡崎 英城君 佐伯 宗義君
關谷 勝利君 中嶋 太郎君
原 健三郎君 眞鍋 儀十君
早稻田柳右エ門君 井岡 大治君
下平 正一君 松岡 駒吉君
山口丈太郎君 小山 亮君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 吉野 信次君
出席政府委員
運輸政務次官 伊能繁次郎君
運輸事務官
(船員局長) 安西 正道君
運輸事務官
(自動車局長) 山内 公猷君
運輸事務官
(観光局長) 間島大治郎君
委員外の出席者
運輸事務官
(鉄道監督局国
有鉄道部長) 細田 吉藏君
専 門 員 志鎌 一之君
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三月十四日
委員松田鐵藏君及び加藤高藏君辞任につき、そ
の補欠として熊谷憲一君及び有田喜一君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員熊谷憲一君辞任につき、その補欠として松
田鐵藏君が議長の指名で委員に選任された。
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三月十四日
船舶職員法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第七五号)(参議院送付)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八〇号)(参議院送付)
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三一号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
船舶職員法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第七五号)(参議院送付)
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八〇号)(参議院送付)
旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三一号)(予)
国鉄一般単位関係職員の昭和三十年十月以降賃
金改訂に関する調停案に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/0
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001・松山義雄
○松山委員長 ただいまより運輸委員会を開会いたします。
最初に昨十四日参議院より送付、本委員会に付託されました船舶職員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七五号)及び道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)を一括して議題といたします。
両法案に対しまして質疑はございませんか。——質疑がなければ両案に対する質疑は終了いたしました。
これより両案に対しまして討論に入りたいと思いますが、討論の通告がございませんので、討論を省略して直ちに採決いたします。
船舶職員法の一部を改正する法律案及び道路運送車両法の一部を改正する法律案を原案通り可決いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/1
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002・松山義雄
○松山委員長 御異議がございませんので、両案は原案の通り可決いたしました。
なおただいま可決されました両案に対する報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/2
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003・松山義雄
○松山委員長 それではさよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/3
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004・松山義雄
○松山委員長 昨日付託されました旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。伊能政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/4
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005・伊能繁次郎
○伊能政府委員 大臣参りまして御説明をせられるはずでありますが、おそらく今予算委員会からこちらへ参る途中ではないかと存ずるのでありますが、時間の御都合もございますと存じますから、大臣が御説明申し上げた方がよかろうと存じますが、私かわりまして御説明申し上げます。
ただいまから旅行あつ旋業法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
旅行あつ旋業法は、広く内外旅客の旅行あつせんを業とする者の監督取締りを目的として昭和二十七年七月公布、同年十月から施行を見たものでありまして、本法の施行に伴い悪質業者は減少し、業界の粛正に大きな役割を果して参りましたが、三年半に及ぶ本法の施行経過に徴しまするに、その取締り規定が不十分なため、いまだに各種の不正行為を行う業者や無登録業者も相当ありまして、いろいろな欠陥が表面化いたしております。そこで旅客等の保護の徹底をはかるとともに、旅行あつせん業の健全な発展を促すために、お手元に御配布してありますような改正法案を作成し、本国会に上程することといたした次第であります。
今改正のおもなる点について御説明いたしますると、その第一点は登録要件を強化いたしたことであります。現行規定におきましては、形式的要件さえ満たせばだれでも登録を受けることができ、そのため業態が不健全で旅客を初め交通業者、宿泊業者等に迷惑を及ぼすおそれが多分にある者でも登録せざるを得ず、いろいろな弊害をかもしております。そこで今回の改正に当っては、登録の要件中に「当該事業を遂行するに足る資力信用及び旅行あつ旋に関する経験又は能力を有する者であること」という項目を加えることといたした次第であります。
改正の第二点は登録に更新制を採用いたしたことであります。業者が一たん登録を受けましても、その後資力が不足するような場合も少くありませんので、一定期間を置いて業者の資力信用その他の資格要件を再び審査する必要上、登録の有効期間を三年とし、三年ごとに登録の更新を行うことといたしたのであります。
改正の第三点は旅行あつ旋約款に関する規定を設けたことであります。現行法におきましては約款に関する規定が全くありませんので、旅行あっせん業者と旅客との間の旅行あつ旋契約がきわめて区々となっており、旅行を中止したような場合、旅客が不当に不利をこうむる場合が少くないのであります。そこで今回新たに旅行あつ旋約款を届出制といたしまして、旅行あつ旋契約の態様の明確化をはかるとともに、その約款が旅客の正当な利益を害するおそれがあるものであるときに、その変更を命じ得ることといたした次第であります。
改正の第四点は職員による営業所等への立ち入り検査であります。従来は単に報告を徴し得るにとどまり、業者の取締り上徹底を欠くうらみがありますので、本法の目的達成上必要な限度において登録行政庁の当該職員が業者の営業所等に立ち入り、帳簿書類その他を検査し、及び関係者に質問し得ることといたしたのであります。この場合、当該職員には所定の身分を示す証票を携帯せしめることはもちろん、その検査に当っては、犯罪捜査に類する行為になるようなことのないよう厳に配意する所存であります。
改正の第五点は罰則の強化でありまして、現行規定におきましては、無登録営業等に対しても最高十万円の罰金を課し得るにとどまり、他の類似法令に比しましても低きに過ぎ、取締り上遺憾な点が少くありませんので、法務省とも十分協議した結果、罰金の最高額をおおむね二倍に引き上げることといたした次第であります。
以上が今回の改正のおもなる点でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/5
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006・松山義雄
○松山委員長 本案に対する質疑は次会に譲ります。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/6
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007・松山義雄
○松山委員長 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/7
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008・松山義雄
○松山委員長 陸運に関しまして調査を進めます。
調停委員会より出されました国鉄に関する調停案に対して質疑の通告がありますので、これを許します。下平正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/8
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009・下平正一
○下平委員 大臣にお伺いしたいのですが、先月の末に公共企業体関係の当面の問題の論争点になっておりました賃金の問題について、調停委員会から調停案が出されたわけなんですが、その後調停案の回答期限も相当時日経過をしております。先日国鉄当局等にこれらの点について同僚委員、私を通じていろいろ質疑をした際に、国鉄当局としても、なるべく受諾をしたいというふうな意向の表明があったわけなのですが、直接の監督責任者としての運輸大臣あるいは政府、こういった関係の意向をまずお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/9
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010・吉野信次
○吉野国務大臣 その内容についての意見というものは、まだ私が責任ある立場から申し上げる段階にはなっておりません。つまりあの調停案は、私の承知しているところでは、組合のある者はこれを受諾し、ある者はこれを拒絶しているわけです。また肝心の国鉄の方がまだ意思表示をしておらない。こういうふうな段階でございますから、個人の意見は——私もいろいろ経過については深甚な注意を払っておりますけれども、今ここで、公けの席上でどういう意向かということを表明するにはまだ少し早いだろう、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/10
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011・下平正一
○下平委員 政府の調停案あるいは仲裁制度等に対する最近の態度をいろいろな角度で御質問をすると、たとえば本会議においては鳩山総理大臣は仲裁裁定を尊重するという言明をされているし、あるいは各委員会等における答弁を見ても、仲裁裁定なり調停案というものは尊重をするという態度を表明されてきております。このことは単に口先だけの尊重するということでなくて、法規なりあるいは従来の労働慣行等によって打ち立てられてきたいろいろのことを尊重する意味だと思うのです。そこで調停案が出て、もうすでに約半月を経過をしておるような状態なんです。まだ調停案に対する態度を明確にする時期ではないというようなことを言うておられるのですが、調停案を出された趣旨というものは、この際社会不安を除去するために労使双方とも耐えがたきを忍びというような文句で、受諾をしてくれ。そこで社会不安を醸成するというような労働組合の争議行為といいますか、これを貫徹するための実力行使というものは、依然として第三波、第四波が続けられるような情勢にあるのです。そこで、まだその時期ではないと言いますけれども、私ども考えれば、すでにもう時期がおそい。大臣はさっき国鉄の方の意思表示がないというようなことを言いましたけれども、これは国鉄に意思表示をさせるということ自体が無理です。今日国鉄が経理の問題に関して、特に補正予算の問題、あるいは給与総額をこえる問題、あるいは四十四条二項によって業績給与を出す場合においてもあらかじめ認可がなければ出せない。だから態度をきめる一番中心は国鉄じゃない。運輸大臣のあなたが、この調停案に対する態度を一応の目途をつけなければ、問題はどこからも発展をしていかないのです。時期がまだ早い、そんな時期ではないと言われるけれども、私どもはもう時期がすでにおそい、こう考えているのですが、調停案に対する検討その他も全然なされていないという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/11
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012・吉野信次
○吉野国務大臣 検討は十分に私もやっております。ただ仲裁は最後のものですから、これは鳩山総理も今回述べました通り、私も十分に尊重せねばならぬ。調停はその一つの段階でございまして、当事者の間にもみ合っているのです。だから調停というものは今お話の通りに、内容的に言えば主管大臣というものの承認を求めなければならぬというようなことがあの内容にはあるのですけれども、しかし調停制度というものが団体交渉という形で行われているのですから、その制度そのものが、いいか悪いかという議論をやってもしょうがございませんので、調停の制度というものはやはり調停の当事者の間においてもみ合って、そしてその間に結論が出る、結論が出て初めて運輸大臣がそれに対して必要があれば意見を述べる、こういう段階だ、そういう意味において今公式の何では私はそれを述べることはまだ早い、こう申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/12
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013・下平正一
○下平委員 労使の間において紛争がなされている、その紛争に介入はしないという意味らしいのですが、今具体的に問題になっているのは、労使の紛争の結果、第三者の調停が入って、一応の解決点としての調停案が出てきているわけです。そこでこの調停案をのむかのまぬかということについては、大臣はどうお考えになるか知りませんが、国鉄当局には能力がないのです。これは大臣もお認めでしょう。たとえば四十四条の二項を発動するということなれば、当然補正予算の問題になってくるのです。そこでこれは国鉄公社自身はこれを消化する当事者能力を欠いているのです。この調停案に対する当事者能力を持っているものは、政府であり、あるいは運輸大臣であるわけなんです。そこが態度をきめなければ、公社自身で態度をきめることはできないと思うのですが、その点は大臣はどうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/13
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014・吉野信次
○吉野国務大臣 私はこう考えております。今のお話の通り、あの調停の内容には確かに予算上の云々のことがございますが、これは予算を動かすか動かさぬかということは、調停の問題にはならないのです。当事者で言い得ることは、そういう措置を関係大臣に申し述べる、こういうことでしょう。関係大臣はまた今の法規によって大蔵大臣と協議するということであって、あの調停の内容というものは、予算を補正するとかしないとかいうことをきめるものでないことは明瞭だろうと思います。それですから、あの文句も予算の措置をすると書いてありますけれども、予算措置をするということはどういう意味なりやということが、また私としては一つの疑問になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/14
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015・下平正一
○下平委員 ちょっと質問と答弁の焦点が違ってしまっているので困るのですが、三公社五現業、官公労を通じてのいわゆる春季闘争の問題の解決なんですが、特に三公社五現業の調停案を解決するためには、私はやはり政府が調停案に対する態度を明確にしない限り、解決のめどはないと思うのです。あなた方も閣議においてこの調停案をのむかのまぬか、あるいは政府としてどうするか、倉石労働大臣を通じていろいろ政府としての所見を発表しているでしょう。だからこの調停案をのむかのまぬか、調停の段階において争議を解決するかしないかということをきめる能力を持っている人は政府であり、直接の所管の運輸大臣である、こういうふうに考えているのですが、これは間違いなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/15
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016・吉野信次
○吉野国務大臣 その点は少しも間違っておりません。お話の通りです。ただ調停案をのむかのまぬかということは、さっき申し上げました通り当事者の一方ではまだきめていないのです。そこでいよいよ双方が腹をきめるときには、お話の通り主管大臣に渡りをつけなければいけませんから、渡りを持ってくるでしょう。そのときに初めて政府としてはその意見を述べる段階である、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/16
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017・下平正一
○下平委員 最初に私が言ったらその通りと言ったのですが、あなたの今のその通りであるという答弁と食い違っているのです。公社に今調停案をのむのまぬという問題、あるいは解決の能力がない、これはやはり政府の問題であり、所管大臣の問題であるのは、その通りだったらその通りと言ったらいいでしょう。そうすると、この解決の問題点というものを公社に押しつけていくという形がおかしい。しかも政府の態度がきまらなければ公社が態度をきめられっこない。いつまでたってもきまりません。これは政府がはっきり仲裁裁定に持ち込むか、調停の段階で解決するかという腹をきめなくて、この問題が解決しますか。しかも公社自身がなぜ一体きめかねておるか、明らかに政府の方針、あなた方の方針がきめさせない方向をとっておるからではありませんか。あなた方が全然無関係で、全然関与しないという立場なら、労使の当事者として解決のめどを出すはずです。ところが今公社が結論を出せないというのは、明らかに閣議なり政府の方針が今切り出してはならぬという方向に動いておるから解決がつかない。最初私が言ったでしょう。この問題を解決するのには、政府が仲裁に持ち込むか、調停の段階で解決するという態度をきめなければならぬ。これが解決のポイントだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/17
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018・吉野信次
○吉野国務大臣 ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、終局的には政府というものの方にこなければならぬのですけれども、今お話を承わっておりますと、何か前提として国鉄側ものむことにきまった、それだからお前の意見はどうかというふうに聞えますけれども、その点については国鉄側の方はまだ意思表示をしていないのです。それで国鉄側がいやしくもこれを取り上げるという段階になって、お話の通り主管大臣の方に承認を求めにくるのでしょう。そのときに初めて私の意見を述べる段階であって、今は公式には述べる段階ではない、こういうことを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/18
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019・下平正一
○下平委員 僕は何も国鉄がのむときまったということを言っておるわけではありません。ただ態度として国鉄としては争議の矢面に立っておるから、一日も早く解決したい、そのためにはこれは調停の段階で解決をしたいという意向はあるようです。これは委員会の答弁を通じてみても明らかです。それにしても国鉄がのむと言っても、これはのめないでしょう。内容がいろいろな条項にわたっておるでしょう。これはあなたのところに相談に行って返事をいただかなければ、のめぬと言ってもどうにもならぬことです。予算上、資金上の問題に関係してくれば、国鉄は明らかに法律で当事者能力を奪われておるのですよ。予算上、資金上の当事者能力を持っておるのはあなた方でしょう。これは日鉄法で明示されておるでしょう。予算上、資金上の決定権を持っておるあなた方が態度を決定しなければ、どうしてのめますか。今度の調停案が予算上、資金上関係のない単なる協定、協約の問題ならば、これはあなたの言う通りでしょう。しかし予算上、資金上の問題は政府の問題です。そこで日鉄法からいって当然この際大臣が、もっと明確なる意思表示をする段階にきておると思うのです。私は何もだだをこねたり、横車を押しておるわけではない。法律でそうなっておるのですから、大臣の答弁も法律に基いた答弁をしてもらわなければ、答弁にならないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/19
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020・吉野信次
○吉野国務大臣 だから、私は法律に基いて答弁をしておるのです。つまり今お話のようなことであれば、それならそもそも政府の権限内で、組合と政府と直接その問題をやらなければならぬ建前になるわけです。ところが法律はそうなっていない。法律は私が直接に組合と——私の権限に属することでありますけれども、それは調停という団体交渉の段階を踏むようになっておるのですから、一応団体交渉の当事者がこれをのむかのまないかということをきめなければならぬ、その意思があって初めて政府の意見を述べる、法律の建前がそうなっているのですから、何と仰せられましても今の段階では意見は言いかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/20
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021・下平正一
○下平委員 そうすると、一萬田大蔵大臣が調停案に対して、調停案はのめないという意思表示をする、倉石労働大臣が政府を代表する立場で、その調停案はのめないというような意思表示をする。このことは法律的にはきわめておかしいことだと思う。そういうことを大臣は了解されますね。労使双方の間において自主的な解決をするということが今の政府の方針であり、法律の建前であるとするならば、政府が大蔵大臣という立場で、労働大臣という立場で、この調停案をのむのめないという意思表示することは、明らかに違法であるということをあなたは認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/21
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022・吉野信次
○吉野国務大臣 それは違法ということではないでしゃう。私の承知する限りは、大蔵大臣の新聞の記事のことであれば、あれは調停案をのむとかのまぬとか言っていない。ただ大蔵大臣としては予算措置をしないということを言っておる。だから別に調停案をのむとかのまぬということを、私の承知する限りは、新聞記事だけでは大蔵大臣は言っているのではない。ですから大蔵大臣なり労働大臣の言うたことが、別に違法だとは私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/22
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023・下平正一
○下平委員 言い回しがどうであっても、業績賞与を出すということを、三項、四項、五項にわたって補正予算を組めということが、調停案の骨子となっていることは大臣も御承知でしょう。補正予算を組まないと言えば、明らかに調停案をのまないということでしょう。もし違法でないとしても、今大臣が言ったこの調停の段階における問題は、一切国鉄当局と国鉄労働組合、いわゆる労使当事者の問題であって、われわれがそこに口をはさむべき問題ではない。違法でなくても、これは明らかに政府の圧力でしょう。そうお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/23
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024・吉野信次
○吉野国務大臣 別に政府の圧力というものではないと思うのです。ほかの大臣はどう言ったか私は知りませんが、私の立場は、とにかくそういう立場にありますから、公けの立場について意見を述べるということは、調停の両方の当事者のバランスに対する圧力ではないかもしれないけれども、少くとも暗示を与えるような気配がありますから、私は当事者の意見がきまるまでは、事前にはそれに対して意見を述べることは差し控えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/24
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025・中居英太郎
○中居委員 関連して。ただいまの大臣の答弁はその通りだと思います。法律の建前上それは認めます。しかし先般国鉄の小倉副総裁あるいは十河総裁を呼んで、当委員会で質疑応答を試みました。ところが小倉副総裁も十河総裁も、国鉄当局としては調停案を受諾したい意思は持っておる。しかしとどのつまりは、政府の方針がいまだ明確ではないから、これ以上の答弁ができないということを、当委員会で十河総裁ははっきり答弁しております。従いましてこの調停案をめぐりまして、国鉄労働組合はすでに受諾の意思を表明しております。しかし一方の当事者の国鉄当局が意思を表示していない、受諾はしたいが政府の方針が明らかにならないから答弁できないのだということを言っております。従いましてこの調停案をめぐりましての問題の解決点は、政府がすみやかにこの調停案に対する暗示なりあるいは意思の表明をすることが、最も緊要な事態ではないかと思うわけでありまして、下平君の質問の趣旨もそういう点にあると思いますから、重ねて御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/25
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026・吉野信次
○吉野国務大臣 よく御質問の趣旨はわかりました。わかりましたが、国鉄当事者がそういうことを言うたとすれば、これは私から言わせれば言葉が少し過ぎていると思うのです。それならまず私の方に公式の意見というものを聞かなければいけないのです。私の方にはまだ公式の意見は申してきていないのです。そうしてとにかく今いろいろ計数を整理したり何かして、今いろいろの段階をやっているでしょう。いずれきまれば、私に向ってどうするかということを言うてくるだろう。あの性質からいえばこなければならぬのです。そのときに初めて私は私の立場で意見を述べたい。こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/26
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027・井岡大治
○井岡委員 関連して。ただ法律の建前という立場で今お話しになっておるのだが、二十八日の当委員会における大臣の答弁はそういうふうになっておらないのです。大臣お忘れになっておるかもしれないから読んでみましょうか。下平君の同様の質問に対して、先ほど大臣は調停というものは今もみ合っている段階である。仲裁であれば私の意見を申し述べる、こう言うておられるのですが、「それはやはり制度上そういうふうになっておりますものですし、調停というものは私が言うまでもなく一つの司法的な公けの手続ですから、そういうときに行政大臣というものは」こういうことを言っておられる。これに引き続いて私の言ったのには、いわゆる行政的な司法的な判決とひとしいのだから、それに従わなければいけない、そういう意味で第二波の問題を早く解決してもらうためには、起らないようにするためには、調停を早く出してもらうように私の方からも督促をしておるし、国鉄からも当然督促しておるものと思う、こういう御答弁でした。そういうことになりますと、すでに調停案は出たわけなんです。司法的判決と同様のことだ、こうおっしゃる大臣であるならば、当然その司法的判決に従って、これをのむという態度をおきめになるのがやはり必要なことだと思うのです。ただ大臣は、それは国鉄当局の方でまず態度をきめて、そうして私のところに相談に来たら私はそのときに私の意見を申し述べる、こういうように言われておるのです。しかしそうでなくて、すでに第三波が行われ、第四波が計画されておる、こういうときには大臣としてはこの調停案に対してどういうような態度で臨むかというようなことについて、すでに腹はきまっているのだ、こう思うのです。それをおっしゃらない、これは卑怯というものですよ。はっきりその点は、私はこういうように考える、こうおっしゃればよろしい。同時に今国鉄が一番困っておるのは、先ほど同僚委員の下平君が申しておりましたが、これをのむということになるとお金が要る。十河総裁もはっきり言っておるのです。これをのみたい、組合員の意向をくんでやりたい、けれどもお金が今ないのだ、どういうふうにしてお金を出すかということに苦慮しておるのだ、こう言っておられる。だから大臣がその苦慮しておることを助けるというとこれは非常に語弊がありますが、直接指導されて、たとえばことしの予算は私たちは非常に無理していると考えております。同時に国鉄当局も非常に無理しておる、こう言っておる。そのときに大臣は私は値上げしませんと言って、一方的に言い切ってしまっている。そういうところにも金をこしらえるのに苦慮している理由があると思う。そういう意味からこの際大臣が態度をきめてあげるということは当然のことなんです。それを今法律の建前がこうなっているからということでやっている。法律の建前ばかりでうまくいくのだったら、世の中というものは学者にまかしておけば政治はできるのです。学者にまかせないで、われわれいわゆる学者でないものが政治をやっているというのは、政治というものが生きていることなんです。ですからそういう学者の話はこの際おやめになって、いわゆる行政大臣としての責任ある答弁を一つお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/27
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028・吉野信次
○吉野国務大臣 それは少しもこの前申し上げたことと矛盾してないのです。要するに司法手続に準ずるのです。裁判ではないけれども、そういう手続のそういう性質のものであるから、行政権は介入してはいかぬという理由になるのであって、その判決に似たものだから、それに従わなければならぬという意味のことは、私は言うた覚えもないし、そういうふうに考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/28
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029・井岡大治
○井岡委員 あります。私の質問に対して大臣は尊重します、こう言った。尊重ということはのむということですか、こう言ったら、そんなに早のみ込みをしてもらったら困る、こう言った。それで私は畳みかけて、本会議の席上で内閣総理大臣はこう言ったじゃないか、そういう意味から尊重ということはのむのだ、こういうように解釈することは差しつかえないだろう。その通りですと言って、あなたは答弁しているじゃないか、そんなばかなことは言わないで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/29
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030・吉野信次
○吉野国務大臣 それはまた法律論になりますけれども、非常に違うのです。総理大臣の言うたのは仲裁、裁定でしょう。最後の段階なんです。ほかにどこにも持っていくことのできない段階のものであるがゆえに、それを尊重すると言った。それをあなた調停と一緒くちゃにして、理論をこんがらかされては困るので、それは意義明白に考える方が行政官としてもよろしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/30
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031・下平正一
○下平委員 法律論議は別といたしまして、私は政治というものは生きものであるし、特に今度の国鉄の争議の問題等は、直接国民生活に重大な影響を与える問題なんですよ。単にこの委員会で法律談義に花を咲かせている段階ではないと思う。しかも運輸大臣という職責は、そんな法律論をあっちこっちひねくり回しているのは運輸大臣じゃない。この具体的に起きている、調停委員会でいえば社会不安、輸送が麻痺するというような状態をどう解決していくかというところに、運輸大臣の監督の責任があると思う。その立場から私は一つ大臣にお伺いしたいのですが、今大臣は法律の建前がそうなっている——必ずしも法律の建前がそうだとは思いませんけれども、それは別として、現実に起きている争議、続いて行われようとしている第三波、第四波を何とか阻止をして、この不安を一掃するということは、あなたの監督上の責任でしょう。そこでいかにあなたが言われようとも、公社自身としてはどういう要求をしてきたかと言えば、どうしてもお金がないから運賃の値上げを認めてくれということをあなたに申し出ている。ところがその運賃の値上げはまかりならんぬと言っているでしょう。そこでどうにもならぬから、解決をする立場に立ち、政治的な責任の上に立って、あなたがこの争議なり調停案に対して無関心であっていいということは言えない。重大な関心を払うべき段階だと思うのです。そこでそういう政治的な配慮、現実の社会不安の情勢の中から、大臣としては一応この問題に対するめどなり、解決の方策なんというものを考える段階に来ていると思う。たとえば先日の国鉄当局に対する質問に対して、国鉄当局は、調停案を否決すれば労働組合に錦旗の御旗を奪われてしまうと言っている。今日の段階にくれば、調停案をじんぜんとして日を延ばしていること自体に、明らかに政府なり当事者の責任ということが出てきているのです。これは大臣も真剣に考えてもらいたい。そういう立場から調停案に対する取扱いの方法なり考え方なりをある程度明確にしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/31
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032・吉野信次
○吉野国務大臣 お話は大へんごもっともだと思うのです。私も責任ある役人として、この争議というものに無関心であるということではない。非常に関心を持っております。国民の公共の利害に重大な関係を及ぼすものですから、なるべくすみやかに解決することを私は望んでいるのです。それですから私もいろいろなことを考えないわけではないので、個人的な話なら、いろいろな考えを持っております。持っておりますけれども、今の責任ある立場として、責任あるこういう席上で、今調停の段階にある場合に、おれはこう思うとか、あるいはああ思うとか言うて、当事者に暗示を与えるような言動は、厳に慎しまなければならぬ、こういう意味で、一つ答弁をごかんべん願いたいということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/32
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033・下平正一
○下平委員 大臣は調停の段階にあると言われるが、一応解決のステップとしては三段階あると思うのです。一つは労使双方間の団体交渉によって結論を出す、これが正常な結論の出し方だと思うのです。それで出なければ、そのあとに調停の段階があって、最後に仲裁という段階ですね。一応当事者の段階という立場を離れて、調停という立場になってきて、一応第三者のいわゆる公正な結論が出た段階ですね。これに対する意思表示というものがなければ、前進していきませんね。それを拒否するにしてものむにしても、意思表示をするということが、この争議の解決を前進させる段階だと思う。仲裁に持ち込めば、一カ月、二カ月後にいずれにしても結論が出るでしょう。そこで調停案に対する意思表示を拒否しているということは、争議をだんだん向うに送っていくことになる。このことはどのみちどっちにとっても有利ではないと思う。特に国民大衆としては、どうして早く第三者の調停案に対して双方意思表示をしないのだろう、組合は意思表示しているじゃないか、相手側はどうして意思表示をしないかということが、非常に疑問になってくる。そこで当事者の国鉄が間違っていることを言ったかもしれませんけれども、おそらくこの委員会で発言したことは、当事者の意思は間違っているとは思っていない。手続を踏んだか踏まないかということは別問題として、国鉄当局は総裁以下、何とかこの段階で争議を解決したいという意向を持っておる。そこで大臣として、やはり行政的な立場、政治的な立場から早期に解決をと言いますけれども、国鉄当局にこの間聞いたら、二、三日中に解決するというようなことを言っているが、それがずっとおくれてきているのです。だからもう少し大臣としての明確なめどを聞きたいと思うのです。
それともう一つは、大臣は相当検討されていると思うのです。この問題については無関心ではないと思うのです。そこで大臣が問題にされているのは、おそらく三項、四項、五項の問題で問題にされていると思うのです。三項、四項、五項は、御承知のように補正予算を組むということになっていますね。そうなっているでしょう。三項、四項、五項は補正予算を組みなさいという調停案になっておりますね。このことで大臣は苦慮されていると思う。今補正予算を組むということが政府としてはできないということで、苦慮の問題点はそこにあると思うのですが、そういう点について、解決の時期の見通しとか、調停案の政府あるいは大臣として苦慮しているネックになっている問題等を、二、三お答えを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/33
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034・吉野信次
○吉野国務大臣 先ほど申し上げました通り、今の段階で私は意見を言わない方がいいと思うのです。しかしせっかくせいて、何でもかんでも言えということでありますと、今の話でも、この調停案自体が非常に簡単ではないのです。おっしゃるから私申しますけれども、大体との係争が何であるかといえば、二千円のベース・アップをしろ、これがその係争なんです。そうしてそれが団体交渉でまとまらないために、組合側の方でこれを調停に出したわけなんです。だからその主文に対して——この調停案というものは、私は理由もよく見ましたけれども、主文に対して一体いかなる判定を与えるかということが明らかでない。二千円のベース・アップについては、顧みて他を言うように、期末手当か何か知らぬが、五千円以上出したらいいだろうとか言ってくるのであって、これはまたあなたに言うとしかられますけれども、法律的に言えば、一体案件にならないものに対して顧みて他を言うような調停案というものが、効力があるかどうかという問題もあると私は思う。しかし調停制度というものはあっせん調停ですから——仲裁なら問題ないと思う。もし仲裁にかかってそういう裁定をしたならば、これは無権限の仲裁裁定でありますから、私の法律の常識から言えば、これは効力について問題がある。しかし調停はそこまでやかましく言わなくてもいいと思うのです。調停あっせんですから、そう窮屈な、やぼな法律論はしないで、こういうことは一括して考えてもいいだろう。それは私も認める。しかし予算の——あなたは今補正予算をするようになっている、こう言うけれども、これは幾ら調停委員会であっても、補正予算をするしないというのはこれは政府の権限なんですから、それを縛るような調停案の内容というものはあり得ないわけです。ですから、予算の措置をするという文句は書いてありますけれども、これはあなた方の解釈と違いまして、補正予算をすべきだという調停委員会の決定であると私は解釈しない。ただ国鉄としては予算の措置を講ずるのだから、国鉄側としては補正予算を組んでもらいたいということを運輸大臣に申し述べてもらいたい、こういう意味のことはあるでしょう。それはあるでしょう。しかしそれはただそういうことだけであって、補正予算を組む組まぬということは、国鉄の幹部としてはどううもこうもしょうがないですね。だから、この調停においてもし国鉄幹部としてやり得るものがあるとすれば、五千円以上の期末手当を出すかどうか、これだけの問題です。しかしこれも一部の労組が解釈するように、この五千円というものは期末手当じゃないのだ、ベース・アップの一部として見るのだということになると、私は国鉄の幹部が、この解釈について簡単に労組と意見が一致したとは考えない。これは私の個人の意見です。先ほど申しました通り、私の個人の意見は、まだその段階に来ておりませんから言いたくないのですが、何か言えとおっしゃいますから言うのですが、そういう調停案自体が、係争の事件に対して右か左かというはっきりした調停案でないものですから、そこにいろいろなあやがございまして、これを決定するのに、おそらく国鉄の幹部といえども、考えれば考えるほど右せんか左せんかといって迷うだろうと、私は同情して想像しておるだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/34
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035・下平正一
○下平委員 今大臣が言われた中で、補正予算を組むか組まぬかは政府の責任であって、そんなことは人に言われる必要はない、第三者が介入すべき問題ではないというような御答弁がありました。しかし事労使の問題であろうと、あるいは一般的な問題であろうと、双方の意見が食い違っておるために、調停なりあっせんなりという第三者の立場が出てくるのです。その第三者の出す意見というものは、相手の権限を多小締めますよ。政府に対してもこうやれ、労働組合に対してもこうやれ、こういうふうに言って、政府がのめないようなものでも、政府の権限を侵すようなものであっても、それをやることが解決の道だといたしますれば、第三者のあっせん案として出てくることは当然でしょう。仲裁案を受諾するという立場に立てば、やはり誠意をもって第三者の言う通り行うという立場がなければだめなんです。さもなければ、あっせん調停なんというものは意味がない、私はそう考えています。
それともう一つ私が聞いておるのは、この調停案をのむ場合のどうのこうのということではなくて、調停案については大臣が今何とか言いましたけれども、はっきり予算の補正をしろと書いてあります。たとえば今までいろいろな設備改善等の問題があった、それで筋道が立たなくても、この際争議を解決するには、多少労働組合の言い分を入れたり、あるいは去年の調停案を政府がのんだけれども、それを予算措置をしていないから、せめてそのくらいのことをやれば労働組合もがまんをするからやりなさいというのが、調停案の趣旨です。それには明らかに補正予算を組め、こういうふうに書いてあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/35
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036・吉野信次
○吉野国務大臣 書いてないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/36
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037・下平正一
○下平委員 補正の措置を講じろと書いてあるじゃありませんか。鉄道部長は妙なことを言っているけれども、書いてあるでしょう。予算措置を講じろとちゃんと書いてあるのです。だからその予算措置を講じろということは、この調停案があいまいもことしているとか、いろいろなことがあっても、調停案の言おうという趣旨は、三項、四項、五項については、補正予算を組めということを言ってあるでしょう。このことはお認め願えるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/37
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038・吉野信次
○吉野国務大臣 それは私は認めないのです。補正予算ということはどこにも書いてないのです。予算措置を講ずるように努力しろということなんです。補正予算ということは政府がやることですから、調停委員会はただ鉄道当局に対して予算措置を講ずるように努めろ、こういうことなんです。それに応じて今度は私の方にそれが来れば、私の方は大蔵大臣と協議をして、全般の問題を考えてそれをやる、こういう段取りになっている。それですから、その間に非常にあやがあるのです。そう結論的に取り上げられたのでは、やはり困りますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/38
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039・下平正一
○下平委員 たとえば三項については、昭和二十九年十一月二十四日の調停案を政府も当局も受諾したのです。受諾をすれば当然これに対する原資というか、予算的措置を講じなければならぬはずです。それを講じてないから、昭和三十一年度予算に組み入れるようと書いてあるのです。これは三項です。四項はどういうことが書いてあるかというと、これに要する予算措置を講じ、所要の原資を確保すべきである、こう書いてあるのですよ。これは鉄道部長はどう勘違いしておるか知らぬけれども、明らかに調停案にはそう書いてある。これをのむとかのまぬとかいうことは別問題です。調停委員会の言わんとしておる趣旨は、三項、四項、五項について補正の措置を講じなさいということを言っておるということは、大臣も十分わかるでしょう。これは日本字で書いてあるのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/39
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040・吉野信次
○吉野国務大臣 それは政府に向っておるのではないのです。補正予算を講ずるというのではなくて、予算的措置をするように国鉄の経営者は努力しろ、こういうことです。それだけの意味です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/40
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041・下平正一
○下平委員 国鉄当局に命じても、どこに命じても同じことです。調停委員会の言おうとしておるところは、どうしてもこれをやるためには今の給与総額ではできないのです。どなたがやってもできないのです。御承知のように、給与総額というのははっきりきめられておって、びた一文も動かすことはできないでしょう。だからこれは原資を確保すると同時に、調停委員会としては予算の補正をしろ、こういうことを言っておるので、この調停委員会の言わんとしておる趣旨は、大臣もよくわかっておると思うのです。その点を聞けばよいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/41
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042・吉野信次
○吉野国務大臣 そういう意味です。そういう意味ということは、そのことをあまり簡単に申し上げますと誤解を生じますから、注釈して申し上げますけれども、そういうふうな予算的措置を講ずるように国鉄側としては努力しろ、こういうことです。それに基いて国鉄側がいろいろな措置を講じて、それで初めて私の方にその問題が来ると、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/42
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043・下平正一
○下平委員 その理解はしてもらったと思うのですが、誤解を起してはいけないから、私も念のために一言言っておきますが、調停案の言わんとする趣旨は、三項、四項、五項については補正予算を組んで実施をしてもらいたい、こういうことを言っておるのです。それを公社が組むか組まないか、大臣の方に組んで答申するかどうかということは、これは取扱いの問題になりますから、別の問題です。しかし、くどいようですが、調停委員会の言わんとしておる趣旨は、この三項、四項、五項については、補正予算を組んでこの処置をしなさい、こう言っておるように解釈しておる、これでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/43
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044・吉野信次
○吉野国務大臣 それは下平さんの御解釈の仕方はそうでしょうが、これには補正ということは書いてないのです。予算措置を講じろということを書いてあるのです。予算措置のことで、お話の通り、どうしても絶対に補正しなければだめだというものもありましょうし、あるいは給与総額の中でいけるものもありしょうし、それはそういうふうに一概に補正というように書いてあるのだといわれますと、どこにもここにも書いてない言葉を形容詞につけてこうだということは、ちょっとまだ早いだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/44
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045・下平正一
○下平委員 私が補正と言ったのは間違いです。予算措置を講じろ、原資を確保して予算措置を講ずるのだ。特に第三項についてはこれははっきりしております。三十一年度予算に組む、こういうことになっております。だからいずれにしても、原資を確保して予算措置を講じろということが調停委員会の言わんとしておる趣旨だ。こういうことは大臣も十分御理解を願えるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/45
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046・吉野信次
○吉野国務大臣 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403830X01819560315/46
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047・松山義雄
○松山委員長 本日はこれをもって散会いたします。
午後零時十分散会
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