1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月六日(火曜日)
午後二時十二分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 椎名悦三郎君 理事 前田 正男君
理事 岡 良一君 理事 志村 茂治君
稻葉 修君 加藤 精三君
小平 久雄君 中曽根康弘君
山口 好一君 岡本 隆一君
田中 武夫君 原 茂君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
調達庁次長 丸山 佶君
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
委員外の出席者
総理府事務官
(原子力局総務
課長) 島村 武久君
参 考 人
(財団法人原子
力研究所理事) 久布白兼致君
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三月一日
委員楠美省吾君辞任につき、その補欠として赤
澤正道君が議長の指名で委員に選任された。
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三月五日
日本原子力研究所法案(内閣提出第九三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本原子力研究所法案(内閣提出第九三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
本日は、日本原子力研究所法案を議題といたし、まず政府より提案理由の説明を求めます。正力国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/1
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002・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいま議題となりました日本原子力研究所法案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
原子力の開発が、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興をはかり、人類社会の福祉と国民生活の水準向上にきわめて重要な意義を有するものでありますことにつきましては、今さら論を待たないところでありまして、政府におきましても原子力開発の重要性にかんがみまして、一昨年以来原子力に関する行政機構の確立と研究開発の実施機関の早急整備を意図しており、昨年末原子力基本法が制定されました後、本年一月からは原子力委員会及び原子力局の発足を見た次第であります。
研究開発の実施機関につきましては、諸外国における研究開発の進展状況にかんがみましてわが国におきましても早急に研究に着手することが望ましいこと、アメリカ合衆国との間における濃縮ウランの受け入れ協定の成立に伴いまして、これが受け入れ機関を早急に整備する必要があること等の理由から、法律の裏付を待つことなく、とりあえず財団法人として昨年十一月三十日原子力研究所を発足いたさせました。しかしながら、これは当面の措置でありまして、原子力基本法にも規定されております通り、法律に基く国家的機関としての研究所を整備いたしますことが必要であり、政府におきましても原子力委員会を中心に慎重に検討して参ったのであります。その結果この研究機関といたしましては、原子力開発がきわめて広範囲にわたる技術の総合の上に成り立ち得るものであること、高度の技術水準が要求されていること並びに広く各界にわたる協力体制を確保する必要があり、これがためには単に資金的な面ばかりでなく有能な研究技術者の交流をはかる必要序から、民間各界の協力が不可欠の要請であること等の諸要件を満たし、わが国における原子力開発のセンターとなるべき研究開発実施機関としての実質を整えるために、民間の出資をも認め、しかも政府の強い監督に服する特殊な法人とすることといたしました。
この法案は、以上の経緯及び観点に立ちまして、原子力基本法に基き、原子力の開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行い、原子力の研究、開発及び利用の促進に寄与させることを目的といたしまして、日本原子力研究所を設立しようとするものであります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上ます。
まず第一に、日本原子力研究所の資本金は、政府及び政府以外の者からの出資金の合計額とし、政府は一般会計から研究所の設立の際三億五千万円を出資することになっております。また政府は出資に当っては、土地、建物等をもって現物出資することができるようにいたしております。
第二に、研究所の役員として、理事長、副理事長、理事及び監事を置くこととし、その任命につきましては、理事長にあっては原子力委員会の同意を得て、副理事長及び理事にあっては、理事長及び原子力委員会の意見を聞いて、監事にあっては、原子力委員会の意見を聞いてそれぞれ内閣総理大臣が任命することといたしております。
第三に、研究所の行う業務でありますが、日本原子力研究所設立の目的に従いまして、原子力に関する基礎的研究及び応用の研究、原子炉の設計、建設及び操作、原子力関係研究技術者の養成訓練、放射性同位元素の輸入、生産及び頒布等の業務を行わしめることといたしております。なお、研究所は、その業務を行うに当りましては、原子力委員会の議決を経て、内閣総理大臣が定める原子力の開発利用に関する基本計画に基いて行わなければならないことといたしております。
第四に、研究所の財務及び会計でありますが、研究所の予算、資金計画、事業計画、財務諸表、利益の処理、借入金、財産の処分等につきましては、内閣総理大臣の認可または承認を要することとしておりますが、これは研究所の業務の公益性によるほか、政府の出資金がその資本金の二分の一以上に当ること並びに研究所の特殊な法人としての性格上、政府以外の出資者の発言権が認められないため、内閣総理大臣がこれらの者にかわり研究所の財務及び会計に関与する必要があること等の理由によるものであります。また政府は、研究所の研究開発実施機関としての特殊性にかんがみまして、その業務に要する経費の一部を補助することができることといたしております。
第五に、研究所は内閣総理大臣の監督に服するのでありまして、内閣総理大臣は研究所に対して、監督上必要な命令をなし、また報告を徴し、所属職員をして立ち入り検査ができることにいたしました。
最後に、研究所の設立に関する事務は、内閣総理大臣が設立委員を任命してこれを処理させることにいたしておりますが、研究所の業務をなるべくすみやかに開始する必要がありますので、必要な準備を急速に行いたいと考えております。
一方現在の財団法人原子力研究所は、この研究所の成立のときにおいて解散し、その権利義務は研究所が承継するとともに、職員もそのまま引き継ぐことといたしております。
なお、登録税法及び地方税法の一部をそれぞれ改正し、研究所に対する登録税、不動産取得税、固定資産税及び電気ガス税をそれぞれ減免する等の措置を講ずることとなっております。
以上がこの法律案の提案の理由並びにその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/2
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003・有田喜一
○有田委員長 以上をもって、政府の提案理由の説明は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/3
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004・有田喜一
○有田委員長 この際、お諮りいたします。財団法人原子力研究所理事、久布白兼致君を参考人といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/4
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005・有田喜一
○有田委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/5
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006・有田喜一
○有田委員長 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますからこれを許します。前田正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/6
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007・前田正男
○前田(正)委員 ただいま御提案になりましたところの日本原子力研究所は、わが国の今後の原子力の開発、研究に当って重要なる問題であると思いますので、詳細につきましては、また別の機会に質問をいたしたいと思いますけれども、そのおもなる点につきまして、二、三基本的な問題をお聞きしておきたいと思います。
まず第一点の問題でございますけれども、この原子力研究所の名前は、日本原子力研究所ということになっておりますが、この法律の目的に書いてあります通りに、これは原子力基本法に基いて設けるというふうになっておるようであります。従いまして、原子力基本法の方は、単に原子力研究所となっておるのであります。これはこの原子力基本法に基くところの原子力研究所に該当するものであるというふうに法律では書いておりますが、名前が違っておるように思いますけれども、この点について、基本法の修正とかその他の問題が必要であるかどうか、基本法との間に食い違いがあるかないか、こういう点について、政府の明確な御答弁をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/7
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008・島村武久
○島村説明員 大臣にかわりましてお答え申し上げます。基本法には、第七条に、御指摘のように、原子力研究所を置くということになっておりますので、この新しい法律に基きます、原子力研究所も、そのまま原子力研究所という名称にいたしたいと考えておったわけでございますが、何分にもただ原子力研究所と申しますと、いささか抽象名詞化したきらいがございまして、この際「日本原子力研究所」というふうに、はっきりと固有名詞的な名称に変えた方がよかろうというところから、かような名称をつけたのでございます。これにつきまして、原子力基本法で書かれました名前と違うがゆえに、原子力基本法の方を直さなければならないかどうかという問題につきましては、これは議員立法で昨年の臨時国会で可決せられました法律のことでございますので、その関係も慎重に検討しました結果、特にこの基本法でうたわれました原子力研究所という意味は、そのまま固有名詞というふうに解さなくてもよろしかろうという法制局の見解もございまして、原子力基本法の方はそのままにおきまして、なおこの研究所に日本原子力研究所という名前をつけることは可能であるという結論に到達いたしましたわけであります。しかしながら、この第一条にはっきり書いてございますように、「日本原子力研究所」というふうに、「日本」という名前はつけましても、原子力基本法に基いて作られたものであることには間違いございませんし、基本法に定められておりますところの、そのままの原子力研究一所であるとお考え下さいまして間違いないところでございますので、その点はどうぞ御了承を願いたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/8
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009・前田正男
○前田(正)委員 政府の法制的な解釈もそのようであるならば、基本法に基いた研究所として、われわれは審議をしていきたいと思うのであります。
次に、この法律で、内閣総理大臣というのが非常に出てくるのでありますけれども、過日この委員会で科学技術庁設置法案が可決され、衆議院を通過して、現在参議院にいっているのですが、科学技術庁設置法案が成立いたしますならば、科学技術庁が当然この仕事をやることになると思うのでありますが、その点はどういうふうになるのか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/9
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010・島村武久
○島村説明員 御指摘の通り、科学技術庁設置法案は、現在衆議院を通過いたしまして参議院で御審議を願っておる最中でございますし、本法に表われて参ります内閣総理大臣という用語は、所管大臣としての意味の内閣総理大臣でござまいすので、科学技術庁長官というふうに書いて絶対に悪いということはないと考えます。ただし、第十二条あたりをお読み下さるとよく駒わかりかと思うのでございますけれども、原子力関係の——特にこの法律におきましては、原子力委員会との関係が非常に出て参りますし、また直接的でございませんでも、間接的に原子力委員会との関係を考慮しなければならぬ点が多々あるわけでございますが、原子力委員会は、御承知の通り、科学技術庁長官の諮問機関あるいは補佐機関というような形にはなっておりませんで、内閣総理大臣に直属するような形になっております。従いまして、ここで、科学技術庁長官というふうな使い方をいたしますことは、いささか不都合があるというふうにしえるわけでございます。
なお、その他の点につきましては、科学技術庁長官というふうに書いて悪いことは決してないのでございますけれども、従来このような法人の監督等のような場合は、一応外部的にも所管する権限を持った所管大臣としての内閣総理大臣という用語を使っておるのが従来の例でございますので、その例を踏襲いたしまして、内閣総理大臣ということにこの法律では一応統一してございます。しかし、、実質的には、お話しになりましたように、原子力関係の行政は科学技術庁長官の所管するところとなりますので、内閣総理大臣と書いてございましても、実質的には科学技術庁長官がおやりになるということになるわけでございます。内閣総理大臣というふうにいたしました理由につきましては、ただいま御説明申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/10
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011・前田正男
○前田(正)委員 科学技術庁設置法にも、明瞭に、原子力の研究を科学技術庁が行う権限があると書いてあるわけでございますが、これによりますと、一今のお話のように、実質的には科学技術庁長官がやるということになるようでありますけれども、たとえば、認許可事項があるようでございますが、こういうようなことは、内閣総理大臣から科学技術庁長官の方へ常時委任されて、科学技術庁長官の名前で認許可ができるのかどうか。あるいは総理大臣の判をもらわなければならないのかどうかという問題が出てくると思いますが、その委任事項は、閣議等で明瞭に委任されておるのかどうか、そういう点はどうなっておるか、一応お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/11
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012・島村武久
○島村説明員 御指摘の通り、科学技術庁設置法等にもはっきりと科学技術庁長官の権限であることがうたわれておりますけれども、その権限はあくまで内閣総理大臣の持っておられるところの権限を補佐するという意味におきまして、科学技術庁長官が、内閣総理大臣の所管に属する権限を行使せられるという趣旨でございますので、従いまして、科学技術庁設置法にはっきり出ておりましても、そのもとはやはり内閣総理大臣にあるわけでございます。従いまして、実質的には、科学技術庁長官でなく、内閣総理大臣という意味ではございませんで、あくまで科学技術庁長官の所掌せられるところに属しますけれども、法文といたしましては、従来の慣例によりまして、そのもとであるところの内閣総理大臣ということにしてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/12
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013・前田正男
○前田(正)委員 次に、原子力研究所の性格の問題でありますが、今後民間も多少出資するようでありますけれども、この研究所の性格から見まして、多額の政府の資金というものを今後投じていかなければならぬということで、これは非常に大きな公益性のあるものであります。またそれによって研究されましたものは、民間が利用できるという、民間にとっても有利な問題であると思うのであります。しかし、こういうような多額の政府資金を要するようなものは、本来ならば、当然公社的な、政府機関的なものでやりまして、これを公平に国民が利用できるというふうにすべきであって、一部の出資者がこれを私的な発言権を持ってやるというようなことは困るわけであります。この法案を見ますと、出資は証券であって、発言権がないようになっておりますけれども、しかしこの点は、特にこれを監督される科学技術庁長官が留意しなければならぬ点であると思うのであります。これを平等に、公平に国民が利用できるように、——出資者であるとか、出資者でないということにかかわらず、国民の多額の金で研究をしていくわけでありますから、留意しなければならぬ点であると思いますが、これに対しまして、大臣の監督していかれる根本的なお考えをどういうふうに持っておられるか、一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/13
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014・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまお尋ねの点については、まことにごもっともなことでございまして、本来ならば、政府が全部出資するはずでありますけれども、いろいろな運営の都合上、民間の出資を認めました。しかし、これは株主の出資のように、これには権利は伴うておりません。すべての運営その他ことごとく政府においてやりますから、そういう御懸念はないと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/14
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015・前田正男
○前田(正)委員 今の大臣のお話で、われわれもそういうふうに公平な監督をしていただきたいと思うのでありますが、しかし、特にこの問題について考えますのは、人事に対する発言権は、この法律にもありません。内閣総理大臣が原子力委員会の意見を聞いて、あるいは理事長の意見を聞いてというようなことで任命できるようになっております。なっておりますけれども、事実上は、やはり出資した人たちがいろいろと大臣の方に話を持ってくるとか、あるいはこれは財界の方の意見だから、こうしてくれとかいうような話を持ってくることもあると思うのであります。この法律を認めましても、これが設立されますときには、現在の財団法人の研究所は、職員をそのまま引き継ぐことになっておりますけれども、役員につきましては、この法律の適用を受けまして、新たに内閣総理大臣が任命されることになっております。内閣総理大臣が任命されるに当りまして、政府といたされては、一部の出資者の発言とか、あるいは財界の圧力とかいうようなことでこの問題がゆがめられるということは、非常に困るのであります。われわれは、巷間において、そういう話をよく聞くのであります。特に電力関係の人たちは、自分の金で研究していかなければならぬものを、政府の多額の金を使って研究をして、その発言権を占めていくというようなことで、一部出資をするような特殊法人にしたというふうな意見を聞くのであります。われわれは、そういうようなことは困るのでありまして、なるべく公社的な性格にしてもらいたいと思ったのでありますが、先ほど大臣も述べられましたように、今後の運営の問題について、民間の協力を要さなければならぬ、人材を集めなければならぬという点において、一部民間の出資を入れた特殊法人的なものにいたしまして、公社的な制限とか窮屈な問題を緩和しようというので、この方針をわれわれも認めたのであります。しかしそれは少くとも提案理由において述べられた範囲内においてでありまして、そういうふうな一部出資をした人間、あるいは財界の人間が発言権を持ってこの研究所を運営するのだということであっては、国民の金を使う政府として、あるいはまたこれらの出資をわれわれが見ていく国会としても困る問題であると思うのであります。従いまして、この点については、特に新らしく人事の任命をされるわけでありますから、出資したとか出資しないとかいうことにかかわらず、政府としては、原子力委員会あるいは理事長等の意見を聞いて、公平な人事をされるようにぜひお願いしたいと思いますが、大臣のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/15
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016・正力松太郎
○正力国務大臣 先刻も申し上げました通り、民間の一部出資は認めていますけれども、これには権利というものは認めておりません。従って、人事問題あるいはその他について干渉することもありませず、また干渉しても言うことを聞きません。すべて政府の信ずるところ、すなわち、なお委員会の意見などを聞きまして、ごく公平にいたしますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/16
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017・前田正男
○前田(正)委員 次に、現在の原子力の研究所のやっておられること、及び今度の予算によりましてどういうふうなことをやろうかということについて実はお聞きしたいと思います。きようはまだ手もとに資料をいただいておりませんので、その詳細の内容は、その資料をいただいてから御質問したいと思います。ただここでちょっとお聞きしておきたいと思いますことは、今度一の政府の予算の中では、一応二億五千万円を出資しておられると思いますけれども、これはもっと固定した、いわゆる出資金となるべきものは大体五億程度あると私は考えるのでありますが、この政府の予算の中で、一体どのくらいのものが将来出資金となる可能性があるかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/17
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018・正力松太郎
○正力国務大臣 今度の研究所の予算として、政府からとりましたものは、十九億五千万円でありまして、このうち七億をキャッシュとして出して、十二億五千万円は債務負担になっております。ここに二億五千万円を資金で出しても、あとまだ四億五千万円あるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/18
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019・前田正男
○前田(正)委員 第一回の出資を二億五千万円とするというようなことは、一方の民間の集めます資本と大体同じ程度の出資を政府は常にしていくのだという考え方が、これで現われてくると非常に困るのであります。今後政府が、まだ出資し得る金があるならば、当然今後におきましても、政府の出資の方がずっとよけいになる、来年度あたりから予算をとっていくときには、民間出資の何倍、何十倍という出資金をとっていかなければならぬと思うのであります。そういう点からいって、設立のときは、民間の資本とバランスしていくのだという考え方でいきますと、今後の予算をとるのにも非常にやりにくい。当然また四億五千万円も出資できるような可能性があるといたしますならば、この設立時においては、一応二億五千万円でもけっこうでありますけれども、今年度の予算では幾ら出資できるか、出資金は幾ら、予備費は幾らということをこの法案の審議に当って明らかにしておいていただきたい。ことしの出資金はこれだけ、ことしの補助費はこれだけということを明瞭にしておいていただかないと、今後の予算をとっていく上において、非常に差しつかえてくると思いますので、後ほど資料としてそれを明瞭に出していただきたいと思うのであります。その事業計画の内容につきましては、資料をいただきましてから一つ質問させていただきたいと思います。
さらにもう一つ、本年度、民間からは、設立するときには大体どのくらいの出資額を見込まれておられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/19
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020・正力松太郎
○正力国務大臣 今年度は、大体、民間から二億程度と考えております。それで、先ほどちょっとお尋ねもありましたが、この二億五千万円としましたのは、別に民間とバランスをとるのじゃないのでありまして、最初は、そんなに金が要らないのでありますから、民間で二億出るなら、こっちが二億五千万円出してもよかろうというのでありまして、将来必要に応じまして、まだ四億五千万円ありますし、そのほか債務負担が十二億五千万円ありますから、場合によっては全部政府出資になることがあるかもしれませんから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/20
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021・前田正男
○前田(正)委員 大体その方は、もう少し資料の方で、予算の内容・事業計画の内容について、固定されるものと、出資金とみなされるものの明細をいただいてから御質問したいと思います。
最後に一つ、昨日の夕刊及び本日の朝刊に出ておりましたところの原子力研究所の敷地の問題について、お聞かせを願いたいと思うのであります。原子力研究所の敷地については、一応武山を希望するというようなことで、これを返還する可能性があるかどうかというようなことをアメリカの方に問い合せられまして、その返事がけさの新聞かに出ておったように思います。この辺の今までの折衝の経過、その返事の内容等について、調達庁の方から一つお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/21
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022・丸山佶
○丸山政府委員 武山のことに関しましては、たしか二週間前かと記憶しますが、原子力局の方から、研究所の敷地にしたいが、返還の可能性があるかどうか、調達庁から向うの返還に関する所管の者に交渉してみてほしいという御依頼がございまして、非常にお急ぎのようなふうにも受け取られましたので、これらの問題に関しまする日米合同の施設委員会というのがございまするが、さっそく施設委員会の向うの代表者に希望を話しまして、向うの意向を至急知らせて下さいと申し入れました。これに関しまして、きのうこちらに一応自分たちの意向というものの返事が参ったのであります。大体新聞にあります通り、あの武山施設は、アメリカとしてはまだ必要な、重要なものと考えておるが、日本政府がほんとうになおより以上重要なものに使いたいということであるならば、半分くらいは返還のことを考慮しよう、しかしながら、自分の方もこの施設は重要に考えておるので、何か代替のものを考えてほしい。この点日本政府側が考慮してくれるならば、先ほども申しましたように、今の施設が約四十数万坪ありますが、そのうち半分程度は考慮しよう、こういう返事があったのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/22
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023・前田正男
○前田(正)委員 そこで、今のお話を聞いておりますと、一応正式の提案で一もないし、また政府は正式に提案されたものではないように思うのでありますけれども、しかしこの問題について、どういうような敷地がいいかということについては、一応研究所の方で希望があったと思うのであります。しかし、この研究所自身は、今、提案になりましたように、法律といたしまして、どうせ解散をいたしまして、新しい研究所ができるわけであります。そういったような関連もあるばかりでなしに、これは当然原子力委員会がすべての問題を基本的な方針として決定していかなければならぬと思うのであります。原子力委員会としては、この武山を希望するというようなことを正式に委員会に諮られて、アメリカの方に申し込まれたものかどうか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/23
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024・正力松太郎
○正力国務大臣 この研究所の敷地については、これは重大なことでありますから、原子力局として、また委員会として、十分慎重に考えまして、まず最初研究所において選考委員というものを選びまして、その選考委員をして各地の敷地を選定させました。それが十数カ所候補地がありまして、その中からだんだん選考に選考を重ねた結果、武山がすべての条件が一番よかろうということになりました。しかし何分武山は米軍に接収されておりますから、一つ米軍の意向を聞こうということが原子力委員会できまりまして、委員会の決定に基いて、原子力局が米軍の方へ調達庁を通じて意向を非公式に先ず聞いたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/24
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025・前田正男
○前田(正)委員 そうすると、非公式に聞いて、今、調達庁の返事がありましたような大体の返事があったようでありますけれども、その返事を聞いておりますと、まず二分の一、そうしますと二十万坪程度と思いますが、原子力研究所は、最小限二十万坪でいいかもしれませんけれども、しかしたしか五十万坪ばかりの敷地の予定をしておられたと思うのであります。その点も多少問題があると思います。もう一つ、今の代替地を出せというような問題が出てきますと、これはやはりなかなか問題になると思います。これは、政府としては、もう一度代替地の問題であるとか、あるいは坪数の問題であるとか、こういった問題について検討されて、正式に合同委員会に対して申し出るというようなことをされる意思があるかどうか、政府としての意思を決定されなければならぬと思うのでありますが、大臣はどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/25
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026・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまお話の通りに、原子力の研究所の敷地としましては、二十万坪では足らぬのでありまして、やはり四十万坪でも五十万坪でも要るのであります。ところが武山の土地がすべての条件を備えておりましたから、とりあえずあそこに研究炉を置こう、研究炉だけを置くならば、あれでも間に合うのです。それで動力炉を置こうということならば、二十万坪では間に合わぬのでありまして、あそこに動力炉まで置く計画ではありません。とにかく急ぐのは研究炉でありますから、とりあえず武山が一番よかった以上、一つアメリカの意向を聞こうということで聞いたのであります。ところが、残念ながら施設の代替を出せということでありますので、これもなかなか重大な問題でありますから、よく委員会と相談しまして、態度をきめるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/26
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027・前田正男
○前田(正)委員 それは、いろいろな条件においては確かに武山が便利であったかもわかりませんけれども、しかし代替地の問題とか、そういう非常に困難な問題が新たに生まれてきておりますのと、それからなるほど二十万坪で研究炉は置けますけれども、しかし無理に二つに分けるということは、いろいろな方面において不便が出てくるのではないかと私は思う。できるものならば、一つにやったにこしたことはないじゃないかと思います。従って、全部武山を返してくれるというならば、ある程度そこで満足できると思いますが、研究所を何も二つに分けなければならぬということはないと思います。ただ、いろいろの条件で武山が便利であるということでお考えになったようでありますけれども、こういうふうに新たに代替地の問題も出るし、できるならば一つところにお集めになる方が政府としてはいいのじゃないかと思いますが、大臣の御意見はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/27
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028・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほど申し上げます通りに、一カ所に集めることが便利であり、有効でありますけれども、どうも近いところにそれほど便利なところが二十万坪も取れなかったものでありますから、とりあえず、急ぐ研究炉だけを置くところを近くに置こう、原子炉を別に置くことにしようとしたのであります。それで、実は先ほど申した武山にきめたわけでありますが、武山のそういう施設の代替地を出せということでありますので、この点は考究いたしまして、一カ所にまとめたいのが本心ですけれども、どうもそういういいところがなかったわけであります。今後なおよく考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/28
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029・前田正男
○前田(正)委員 それは、完全な条件のそろったいいところはなかなかないと思うのですが、やはり場所としては、相当広い場所も話として新聞その他に出ております。そのかわり、おのおの欠点もあるようでありますけれども、しかし、やはりいろいろと武山でも新たな問題が出てくるというふうに、そういうようなすべての点を考慮されておやりにならなければならぬと思うのです。いずれにいたしましても、これは今のままでは非公式の問題であるようでありますから、正式に政府として態度を早くきめられて、アメリカに返還を正式に要求されるか、あるいはまた別の場所にされるかということを早急にきめていかなければならぬし、また事実上、すでにアメリカに原子炉を買付けに行っておられるようですし、この法案の審議に入ったのに、どこに場所ができるかわからぬということでは困るわけでありますから、政府としても一日も早くこれをきめられなければいかぬと思います。いつごろまでに正式に武山にされるのか、あるいは別の候補地を新たに求めようとされるのか、大臣のお考えがありましたら、一つ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/29
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030・正力松太郎
○正力国務大臣 一つなるたけ早くきめたいと思いますが、何分アメリカが代替施設を出せと言うておるのは、それはどういう意味かということも多少考えなければならぬ面もありますので、いずれにしても、金曜日には原子力委員が全部そろいます。そこでよく相談をするつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/30
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031・前田正男
○前田(正)委員 政府として態度がきめられるについて、もう一点大きな問題は、今私が申し上げました通り、この研究所の敷地というものを早くきめなければならぬ問題だと思うのです。武山の問題で、代替地をどうするとかこうするとか話をしておりまして、正式にもしこれが代替地を探すことになれば、相当の日数がかかるし、あるいはまた実際にいつごろ返還するのか知りませんけれども、私は今から武山を日米合同委員会に持ち出して、代替の候補地を探して、それから正式に返還の手続をするということになりますと、相当先の話になるのではないかと思うのであります。原子力研究所の法律はなるべく早く成立、することにしたいし、予算も四月の一日からとれるというようなときになりまして、果してこの返還を求めるということが時期的にも、時間的にも間に合うかという問題も出てくるのではないかと思うのであります。こういった代替地の問題とか、返還の時間的な問題とか、あるいはまた条件は悪くても、一カ所に集められるというようなほかの候補地もあるようでありますから、武山の問題を金曜日なら金曜日の委員会で御研究になるときは、武山にとらわれずに、広い観点から各候補地の欠点、いい点を一つ御検討願って、それでもなお武山の返還を求めた方がいいという結論を下されるならば、それも政府のお考えとしてけっこうでありますけれども、単に今までの非公式の関係があるからということで、それにとらわれることのないように願いたい。われわれ新聞を見ておりますと、第一候補は武山、第二候補はどこというふうに書いてありますけれども、そういうような第一候補、第二候補というようなことにとらわれないで、原子力委員会が政府として決定されるのであって、財団法人の原子力研究所の意見にとらわれる必要はないのでありますから、原子力委員会で広く公平に各地の候補地のいい点、悪い点を見られて、なるべく早く御決定を願いたいと思うのであります。われわれも、この法案が現実の問題として審議の日程に上ってきたわけでありますから、この法案が通り、四月一日から予算ができまして、いつからこの原子力研究所が動き出すんだということで、われわれとしても資料を御提出願って、事業内容について御説明を願いたいと思っているのですけれども、敷地の問題がはっきりしないから、いつから原子炉が据え付けられて、いつから原子力研究所が動き出してくるんだということがはっきりしてこないと思うのです。せっかくわれわれも急いで審議をするわけですから、なるべく早く原子力研究所が動き出すように、政府のお考えをまとめていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/31
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032・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまの御趣旨はごもっともと思いますから、慎重にやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/32
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033・有田喜一
○有田委員長 他に御質疑はありませんか。——他に御発言がなければ、本日はこの程度にいたし、次会は明日午前十時より開会いたし、質疑を続行いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X00919560306/33
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