1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十四日(水曜日)
午前十一時八分開議
出席委員
委員長 有田 喜一君
理事 小笠 公韶君 理事 椎名悦三郎君
理事 長谷川四郎君 理事 南 好雄君
理事 岡 良一君 理事 志村 茂治君
赤澤 正道君 稻葉 修君
加藤 精三君 小平 久雄君
須磨彌吉郎君 中曽根康弘君
西村 直己君 橋本 龍伍君
岡本 隆一君 佐々木良作君
田中 武夫君 堂森 芳夫君
原 茂君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
委員外の出席者
総理府事務官
(原子力局総務
課長) 島村 武久君
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本日の会議に付した案件
日本原子力研究所法案(内閣提出第九三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/0
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001・有田喜一
○有田委員長 これより会議を開きます。
日本原子力研究所法案を議題といたします。
本案に対する質疑は、昨日一応終了いたしておりますので、他に御発言がなければ、これより討論に入りますが、討論の通告がありませんので、これより直ちに採決に入ります。
本案に賛成の方の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/1
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002・有田喜一
○有田委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
この際小笠君より発言を求められておりますので、これを許します。小笠公韶君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/2
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003・小笠公韶
○小笠委員 ただいま議決になりました日本原子力研究所法案に関しまして、附帯決議の動議を提出いたしたいと存じます。
まず附帯決議の案文を朗読いたします。
政府は、日本原子力研究所の運営に当っては、特に左記の点につき、遺憾なきを期すべきである。
一、原子力基本法の本義に徹し、原子力委員会の意向を尊重して、その民主的運営に万全を期すること。
一、研究所に対する政府の出資は、民間出資との均衡にこだわることなく、その運営に支障なからしめ、所期の目的を貫徹せしめること。
以上であります。
本動議提出の理由につきましては、すでに皆様方十分御了承のことと存じますので、これを省略いたしたいと思うのであります。何とぞ皆様方の御賛同あらんことをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/3
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004・有田喜一
○有田委員長 岡君より、ただいまの附帯決議に対し、討論の通告がありますから、これを許します。岡良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/4
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005・岡良一
○岡委員 ただいま御提出になりました附帯決議については、わが日本社会党も全面的に賛意を表するものでありますが、なおこの機会に、いささか今後の原子力研究所の運営について、具体的な点に触れての希望を申し述べたいと存じます。
第一の問題は、すでに原子力研究も発足いたすことと相なったのでありますが、原子力の放射能のために引き起されるところの障害、あるいはまたその障害を防止するための安全措置というふうな、いわゆる原子力に関する安全保障、障害防止の関係法規というものをいまだ御提出になっておりません。これはきわめて片手落ちであって、遺憾なことだと存ずるのであります。御存じのように、原子力に基く放射能の障害は、いまだ医学の水準をもってしては、これを防止し、またこれを治療することに非常な困難を感じておるというのが現実でありますので、これがはっきり責任ある保障の措置を法律として政府は当然提出されるべきものであるにもかかわらず、いまだ御提出がないということは、まことに遺憾であります。そういう意味で、政府としては努めてすみやかに、放射能の障害防止に関する法律案を御提出を願いたいと存ずるのであります。
次に、日本原子力研究所が発足をいたしまして、いよいよ日本にも原子力研究開発のセンターができたのでありますが、今後のわが国におけるその研究、開発の発展は、まことに期して待つべきものがあろうと思います。それにつきましても、ここに若干の希望を申し添えたいのであります。第一の問題は、すでに附帯決議においても明瞭にうたわれておりますので、国庫において予算的な責任をあくまでも持ち、担当大臣あるいはまた担当の各位は、この点にあくまでも積極的な御努力を払っていただきたいのであります。
なお研究所の運営についても、附帯決議通り、平和の目的はもとより、公開、民主、自由の原則というものはあくまでもこれを守って、運営の基本的な立場に徹していただきたいのであります。ただ研究所は発足早々でありますので、アメリカからの実験原子炉等の輸入に待つという状態に相なっておりますが、この点について、いささか私どもの主張をこの機会に申し述べたいのであります。と申しますのは、御存じのように、アメリカにおきましても、去る一月三十一日の原子力の平和利用の影響に関する専門委員会のアメリカ上下両院に対する報告を見ますと、明らかに、アメリカといたしましては、海外において発電を目的とする原子炉の建設のために、しかも百万キロワットという発電を目的といたしまして、海外において、共産圏を除く諸国との間に、国際的なブロック的な協定を結ぶべき旨を強く勧告をいたしております。それかあらぬか、最近において、アイゼンハワー大統領も、四十トンという莫大な濃縮ウランの放出を言明いたされました。ところが、そのうち二十トンは海外向けということに相なっておりますが、二十トンの濃縮ウランは、専門家の意見によれば、百万キロワットないし百五十万キロワットの燃料に値すると言われておるのでありまして、そういうことは、必然に、わが国においても、従来の対米関係から、ずるずるにいわゆる秘密資料の通報を含む動力協定という方向に導かれる可能性がきわめて強いと思われるのであります。これは先般も湯川原子力委員が明確に言明をいたされましたように、このような協定は、現段階においては問題にならないし、これは明らかに原子力基本法の根本的な原則にもとるものであるから、この点は十分今後の原子力研究所の運営に当って留意をいたしていただきたいのであります。
いま一つは、日本におきましても、今後おそらく各民間の大経営においては、原子力研究に向ってそれぞれ力こぶを入れることと存じますが、それにつきましても、アメリカにおける原子力工業の発展の歴史というものを見るときに、私どもは、日本においても、アメリカのような形において、民間産業が原子力の問題と取り組んでくれるかということについては、大きな疑義を持っているのであります。と申しますのは、すでにアメリカにおきましても、初めメイ・ジョンソン法が原子力法として出発した、これが変って、三転をいたしまして、一昨年の改正に相なっております。このアメリカの原子力法の変遷の歴史というものを端的に指摘いたしますと、結局、当初においては軍部の独占という形に置いて、その秘密を漏洩する者は死刑という極刑をさえもって報いられておったのであります。それが、逐次原子力行政がいろいろな委託研究あるいは請負というふうな形において、アメリカの少数の大資本の手にだんだんと独占をされる傾向となり、先ほど申しましたように、アメリカにおきましては、先般の専門委員会が、百万キロワットの発電、地域的なブロック的な国際協定を勧告するに至り、アイゼンハワー大統領がそれに呼応して、四十トンの濃縮ウラン放出を言明するという形になった。しかもこの専門委員会の報告をしさいに検討いたしますと、冒頭にはっきりと、海外において約三百億ドルの原子炉の潜在市場があるということを述べているのであります。そういう事情からいたしますならば、アメリカのコンマーシャリズムに乗った原子炉の輸出というものが、今後大きく出て参ると思うのであります。この点、うかつに日本がアメリカのコンマーシャリズムに乗ぜられるということになりますと、結果から見て、結局エネルギー資源という大きな基幹産業の基幹的な分野において、アメリカ資本のわが国に対する不当な進出を招来するのでありまして、この点は、原子力研究の当初に当って十分に思いをひそめて、今後の運営の万全を期していただきたいと存ずるのであります。
なおまた原子力につきましては、すでに各国においてもそれぞれ多角的な協定というものが結ばれましてインドのごときは、すでにカナダやベルギー、イギリス、アメリカ、ソビエトの五カ国との間に協定を結んでおるようであります。先般は、カナダからわが国に対しても援助の申し入れがあったと伝えられております。現在、国際的に原子力の問題を見ますと、いわゆる競争的共存というふうな立場において、原子力の問題が、外交政策の上において新しきブロックの対立の一つの焦点を示しておるようであります。こういう事態の中で、日本が平和目的を明確に打ち出して、いよいよ原子力行政を発足させるとするならば、いずれのブロックにも属さないで、できるだけ多角的な、多辺的な協定の中に日本の原子力を育て上げていこうとすること、この努力こそが、原子力基本法の諸目的に合致するゆえんであろうと信ずるのであります。この点につきましても、今後とも政府は格段な御留意を願いたいのであります。なおいろいろ申し述べたいことは、すでに質問において尽しましたので、以上を申し述べまして、ただいまの附帯決議に賛意を表するとともに、原子力研究所の発足に当って、わが党のはなむけの言葉にいたしたいと存ずるのであります。
以上をもって、私の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/5
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006・有田喜一
○有田委員長 以上をもって、本附帯決議案に対する討論は終了いたしました。
小笠分離君提出の附帯決議についてお諮りいたします。ただいまの附帯決議に賛成の方の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/6
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007・有田喜一
○有田委員長 起立総員。よって、本附帯決議は可決いたしました。
この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。正力国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/7
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008・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまは、満場一致をもって、提案に御賛成下さったこと厚く御礼を申し上げます。
なお、附帯決議の点はできるだけ尊重いたしますし、また岡委員からの御発言は、まことにごもろともな発言と思います。これもできるだけ御希望に沿うようにしたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/8
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009・有田喜一
○有田委員長 この際、お諮りいたします。ただいま議決いたしました議案に関する報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/9
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010・有田喜一
○有田委員長 御異議なければ、さよう取り計らいいたします。
本日はこの程度にいたし、次会は、明後十六日、金曜日、午前十時より開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403913X01419560314/10
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