1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年二月二十九日(水曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 前尾繁三郎君
理事 石坂 繁君 理事 北澤 直吉君
理事 須磨彌吉郎君 理事 山本 利壽君
理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
大橋 忠一君 菊池 義郎君
高岡 大輔君 並木 芳雄君
大西 正道君 戸叶 里子君
福田 昌子君 細迫 兼光君
和田 博雄君 岡田 春夫君
出席政府委員
外務政務次官 森下 國雄君
外務事務官
(大臣官房長) 島津 久大君
外務事務官
(欧米局長) 千葉 皓君
外務事務官
(経済局長) 湯川 盛夫君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
外務事務官
(国際協力局
長) 河崎 一郎君
外務事務官
(移住局長事務 石井 喬君
代理)
委員外の出席者
外務省参事官 森 治樹君
大蔵事務官
(主税局税関部
業務課長) 崎谷 武男君
大蔵事務官
(為替局総務課
長) 佐々木庸一君
専 門 員 佐藤 敏人君
—————————————
二月二十七日
委員田中織之進君辞任につき、その補欠として
北山愛郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十八日
委員北山愛郎君辞任につき、その補欠として田
中織之進君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
外務公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
国際金融公社への加盟について承認を求めるの
件(条約第一号)
日本国とカンボディアとの間の友好条約の批准
について承認を求めるの件(条約第二号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/0
-
001・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより会議を開きます。
外務公務員法の一部を改正する法律案、国際金融公社への加盟について承認を求めるの件、日本国とカンボディアとの間の友好条約の批准について承認を求めるの件を一括して議題といたします。質疑を許します。質疑は、最初に外務公務員法の一部を改正する法律案についての質疑をやっていただきたいと思います。石坂繁君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/1
-
002・石坂繁
○石坂委員 私は外務公務員法の一部を改正する法律案についてごく簡単に質問いたしたいと思います。この法律の改正によりまして特派大使の法制上の地位を明確にしようとする外務省のお考え方は私もよくわかります。そこで提案理由の説明その他の質疑応答によりまして、私も実は最初はこれはごく簡単に考えておったのでありますが、その後いろいろ考えてみますと、ただいま御提案になっている改正だけで、果して特派大使というものの法律上の性格、地位が明確になるかならないかという点について、だんだん疑問が出て参りました。先般北澤委員の御質疑によりまして、特派大使が公務員であるという御解釈の点は、官房長によって明確になったのでありますが、特派大使がすでに公務員であるという明確な解釈をとりますならば、この改正によりまして、国会法三十九条の規定によって、国会の両院一致の議決によりまして、公務員としての特派大使を国会議員のうちから任命することができるかどうかという点について、私は法理論的にだんだん疑問を持って参ったのであります。御承知の通りに、国会法第三十九条の改正前の条文は、「議員は、その任期中別に法律で定めた場合を除いでは、官吏又は地方公共団体の吏員となることができない。」これが三十九条の第一項であります。そして第二項に、「議員は、その任期中内閣行政各部における各種の委員、顧問、嘱託その他これに準ずる職務に就くことができない。」そして第二項にただし書きがついております。これはごらんの通りであります。「但し、法律で定めた場合又は国会の議決に基く場合は、この限りでない。」こういうふうなものが改正前の三十九条でありますが、この三十九条が改正になりまして、「議員は、内閣総理大臣その他の国務大臣、内閣官房長官、政務事官及び別に法律で定めた場合を除いては、その任期中国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない。」こういうふうな規定に改めまして、その法文のうちに、ただし両院一致の議決に基いて云々ということになっておりますが、いろいろ法理論的に解釈いたしてみますと、このただし書き以下の行政各部における各種の委員、顧問、参与その他これに準ずる職というものは、公務員にあらざるこういう委員もしくはその他の職、こういうふうに解釈せなければいけないのではないかという疑問が出て参ったのであります。そういうふうに解釈いたしますならば、この特派大使というものがすでに公務員である以上は、国会法第三十九条ただし書きによりまして、かりに両院一致の議決ができましても、国会議員からは特派大使を任命することができないという法理論的の結論になるのではないかと思われるのでありますが、この点について外務省はどういう解釈をとっておられるのか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/2
-
003・島津久大
○島津政府委員 ただいま御指摘の点は、先日も北澤委員から御質疑がございまして、特派大使、全権、政府代表、そういうものを三十九条のただし書き以下で読むことにつきましては多少の疑義がある、将来の問題として対策を研究いたしますということを申し上げた次第でございます。従いまして決して完全ではないと思うのでございますが、ただこの特派大使、全権、政府代表いずれも公務員ではございますが、臨時的のものでございまして、かつまた本俸も支給されない、その目的のために外国に参りますときの手当その他旅費、日当、そういうものを支給されるだけの性質のものでございますので、臨時的のものだという解釈で、今日までやってきておるわけでございます。しかしそれらの点は十分研究に値すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/3
-
004・石坂繁
○石坂委員 私どももその点はなお研究いたしますが、外務省におかれましても一そう御研究を願いたいと思います。ことにただし書きの規定によりまして問題の解決をいたすといたしましても、特派大使その他政府代表、全権というものを、その他これに準ずる職というふうに扱いますことも、地位上どうであるかという議論も出て参るわけであります。重ねて御研究を願います。
なおもう一つの実際問題といたしまして、この国会法三十九条ただし書きによって、この疑義を解決するといたしましても、もし特派大使派遣の必要が、国会の開会中ならばよろしいのでありますけれども、閉会中にさような事態が起りましたときには非常に不便であります。この点について外務省としてのそれに対する処置はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/4
-
005・島津久大
○島津政府委員 閉会中におきましては特派大使を国会議員中から任命することは困難と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/5
-
006・石坂繁
○石坂委員 この点につきましてはこれだけで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/6
-
007・前尾繁三郎
○前尾委員長 穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/7
-
008・穗積七郎
○穗積委員 政務次官は今の与党の諸君のお話をお聞きになったと思いますが、与党からああいうような修正案が出たら、あなたは党と外務省と両方の最も緊密な連絡の中心に立っておられるわけでありますから、そういう意味で外務省としてはこれを賛成せられますか。国会法を殺す修正案ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/8
-
009・森下國雄
○森下政府委員 これはもう少し研究しなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/9
-
010・穗積七郎
○穗積委員 同時にあなたは与党の幹部でもあるわけですが、もうすでに修正案提出についてはお打ち合せになっておりますか、政務次官の立場から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/10
-
011・森下國雄
○森下政府委員 まだ案がよくできていないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/11
-
012・穗積七郎
○穗積委員 それでは今のようなお話が炉重要な点ですから、その問題については出てからにしたいと思いますが、事務的にちょっとお尋ねします。官房長か条約局長かどちらからでもいいのですが、そういうやり方を期待して今度お出しになったのですか。つまり今言ったような、休会中は国会の承認を要さないという、三十九条を殺すような修正案を出す。これはそれほど必要としますか。特派大使というものがそれほど必要ですか。議員の中から選ばなければならぬという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/12
-
013・島津久大
○島津政府委員 国会との関係につきましては、実は案を作ります際には考えていなかったわけでございます。と申しますのは、特派大使の制度が現行の法令でも解釈できるわけでございますけれども、その点を少し明確にいたしたいという趣旨で考えたわけでございます。従いまして国会との関係は、ただいま問題になりました三十九条のただし書き以下で解決できる考えであったわけでございます。従いまして国会の休会中にはなかなかめんどうな問題と申しますか、任命が困難だということもまた事実だと思います。しかし特派大使の制度そのものはどういう人から選ぶかということは非常に範囲が広いわけでありまして、特に国会関係ということを頭に置いては立案をしなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/13
-
014・穗積七郎
○穗積委員 私が今伺っておるのは、国会議員から特派大使を選ぶ場合の関係を伺っておるわけですから、それに限ってお答えをいただきたいのです。それに問題を局限してお答えがいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/14
-
015・島津久大
○島津政府委員 国会議員との関係は国会の方でいろいろ御研究になっておる段階と承知しております。まだ私どもの方には具体的にどういう案ということまでお示しをいただいておりません。その点は明確にお答えできない段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/15
-
016・穗積七郎
○穗積委員 国会議員から特派大使を選ぶ必要というか、外務省としての必要性は最近生じておるわけですか。むろんこういうものをお作りになる場合には、そのことをお考えになっておられるだろうと思います。そうなりますと、国会議員は国会法によって縛られるわけですから、国会法との関係というものはこんな簡単な法律でございますから思い落すということはないわけで、事前に研究なさっておられるのが至当だろうとわれわれは思うのです。第一どういう修正案を出すか出さないとかいうこまかいことは別にしまして、国会議員の中から特派大使を選ぶということが、一つの大きな問題の焦点でもあるわけです。ですからそれについてどういう必要があるか、実際に外務省の対外的な使節派遣について、特にそういう必要をお感じになっておられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/16
-
017・島津久大
○島津政府委員 先ほど申し上げましたように、特派大使選考の範囲はなるべく広い方がよいというのがわれわれの考えでございまして、従いまして国会議員の中からも特派大使にきわめて適当な方もたくさんおられることだろうと思います。できることなら国会議員の中からもどしどしお出になっていただきたいわけであります。しかし国会はまた国会としてのお立場もあるわけでございますから、それらの点は国会の方でおきめを願う性質のものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/17
-
018・穗積七郎
○穗積委員 私の言っておるのは、国会から出すときの出し方は国会できめますけれども、外務省としては国会議員の中からピック・アップする必要がそんなにあるのかということを聞いておるのです。だからその範囲を国会から出せるような機構にしていこうということでしょう。外務省としての実際の必要性、必要の痛感度を聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/18
-
019・島津久大
○島津政府委員 具体的な御質問のようでございますけれども、そのときどきで必要度は変るものだろうと思います。ただ一般論としまして、国会議員の中からは任命できないというような禁止規定はない方がよいという考えなのです。外国の例を二、三とってみたのでありますが、禁止規定はあまりないようでございます。ただ慣行として大いにやっておるか、やっていないかということはございます。あまりたくさん実例はないようでございます。しかしたとえばドイツの場合は禁止規定はないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/19
-
020・穗積七郎
○穗積委員 正直にお尋ねしますが、一体この案は党から出てきたのですか、大臣から出たのですか、それから事務当局が原案をお作りになったのですか。こういう原案を作るに至った動機、もやもや燃え上った火の手はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/20
-
021・島津久大
○島津政府委員 外務省で立案をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/21
-
022・穗積七郎
○穗積委員 外務省の担当局はどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/22
-
023・島津久大
○島津政府委員 官房でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/23
-
024・穗積七郎
○穗積委員 それじゃあなたがこういうことを考え出したのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/24
-
025・島津久大
○島津政府委員 責任は私にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/25
-
026・穗積七郎
○穗積委員 いや責任のことを聞いているのじゃないですよ。だれがそういうことを言い出したかということです。機構上は外務省のことで、こういう法律を作る場合は官房長が責任があるでしょうが、そんなことを私は聞いているのじゃなくて、一体こういう着想はどこから燃え上ってきたのか、あなたのところに来るときは自然に燃え上ったのか、他から出てきて火がついたのか、どっちですか聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/26
-
027・島津久大
○島津政府委員 直接の動機は、これはお聞き及びのことと存じますが、参議院の堀木さんがブラジルに行かれますと遂に、どういう手続でおいでになるかという問題があったわけであります。結局政府代表という形でおいでになったのであります。特派大使ということで行っていただければ一番よかったのでありますが、これも先ほど申しましたように特派大使の制度と申しますか、現行の制度でも特派大使の任命できないことはないわけであります。その辺はもう少しはっきりさせまして、今度そういうような場合が起りましたときは、政府代表というようなことでなくて、特派大使としておいで願うようにしたい、その方が目的に適合する。そこでこういうような案を出したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/27
-
028・穗積七郎
○穗積委員 だからそういうことを思いついたのはだれか、あなたが思いついたのですか、党からそういうことを言ってきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/28
-
029・島津久大
○島津政府委員 党からの申し入れではございません。ただいま申しましたような経験にかんがみまして、この際はっきりさした方がいいということが外務省で出たのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/29
-
030・穗積七郎
○穗積委員 今の堀木さんのことが
一つの動機になった、チャンスを与えたということですが、堀木さんの問題は外政省で考えるべきことじゃないですよ、国会が考えるべきことなんです。彼を出すか出さないかは、外務有でそんなことまで考えて、国会のついておるくさりを解除しようというようなことを考えるのは越権ですよ。国会では、国会で出す必要があるかないかを、すなわち国会議員は昔の名誉職とは違うから、国会は国会議員としての職務をまず第一に優先的に考えて行動すべきであるというので、ああいう妥当な禁止規定があるのです。そのときにあなたの方では堀木さんが適当だというので外務大臣が考えたのでしょう。やってみたら彼は国会議員であった。そこで国会議員は国会法の規定によって動かなければならぬというのでやってみるというと、特派大使というようなことはちょっといかぬということで議員を中心にしてもめた。だからあいまいな政府代表である。内では政府代表、外へ行けば特派大使というので二重看板で行くのではないかというようなことが起きた、そういうことで問題になったと思うのです。だから従って私の問題にしているのは、今言った国会議員がエクスキュートの中へ入り込んで、いろいろなことがあっちだかこつちだかわけのわからぬヌエ的な行動をとらないようにして、国会議員はあくまで国会の審議に当るのが、立法府の仕事に当るのが主目的でなければならないと解釈すべきであって、それを考えるのは実は国会から考えなければならないはずです。党または国会で考えるべきものを外務省の官房長が事務的に考えて、その国会法を解除するような法律をお考えになるということは私は不適当だと思うのです。だからどこか出場所があるに違いない、立案をした責任、取扱いの責任は政府提案にねっておりますからあなたのところにあるということはわかります。今おっしゃいました理由がもちろん動機になっているということはわれわれもわかっているのですが、そういう場合は国会が考えるべきことであって、むしろこの提案はやるのなら国会提案にすべきことである。順序が違っておると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/30
-
031・島津久大
○島津政府委員 政府から提案しております点は、ただいま御指摘のような国会の権限を軽くするとか、そういう点には全然触れていないわけでございます。特派大使の制度が慣行としてございますが、現行の制度は運営に多少の疑義があるので、この点をはっきりさせようというのが外務省の提案の趣旨でございます。国会の権限には触れていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/31
-
032・穗積七郎
○穗積委員 しかし国会からも選びたいというお気持はあるのでしょう。現に選んでおられるでしょう。松本さんもそうだし堀木さんむそうですし、これからも池田勇人何がしそのほかの者を選ぼうということなんですから、必要があるのではないですか。国会と関係がありますよ。財界から選ぶというなら別ですけれども、そういう話を私はしているのではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/32
-
033・島津久大
○島津政府委員 私が申しますのは国会の承諾なしに特派大使が任命できるという趣旨ではないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/33
-
034・穗積七郎
○穗積委員 これはしかし今までの制度で私は何ら痛痒を感じないと思うのですが、現状でいいのじゃないでしょうか。堀木さんも行っているし松本さんも行っているし。松本さんの場合には具体的にどういう不便がありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/34
-
035・島津久大
○島津政府委員 再々申しましたように、現状で特派大使を送れないことはないわけでございますが、それをもう少しはっきりさせるという趣旨でございます。事態を変えるのでは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/35
-
036・穗積七郎
○穗積委員 ところが事態が変ってくるのです。さっきのようないろいろな意見が出てきてだんだん変ってくるから私は言うのです。これは乱用されます。そういうふうにお考えにならぬでしょうか、乱用の危険のことについては御討議になりましたかどうか、討議されたらその経過を報告していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/36
-
037・島津久大
○島津政府委員 国会の権限を変更するものでございませんので、従いましてこの外務省案がかりに通りました場合を考えまして、運用に違いはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/37
-
038・穗積七郎
○穗積委員 乱用の弊についてはちっとも御討議になりませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/38
-
039・島津久大
○島津政府委員 乱用のおそれはないとと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/39
-
040・穗積七郎
○穗積委員 これはおそらく与党の諸君から修正案が出されるだろうと推測するのです。他党のことですから私はその腹の中に入って見たわけではありませんが、この間からのいろいろな質問を通じて出されておる意見を伺いましてそう推測するわけです。従って私はきょうはこれに対する質問は留保して、与党の諸君の意見をよく聞いてから審議にかかりたいと思いますから、質問を留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/40
-
041・前尾繁三郎
○前尾委員長 松本七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/41
-
042・松本七郎
○松本(七)委員 この前の委員会のときに、この特派大使は儀式だとかそういうものに参列するときにやる制度だ、こういう御答弁がありました。それ以外にたとえば先般の例みたいに、日ソ交渉とかあるいは賠償問題で特に国会議員をやりたいというような場合に、この特派大使として今後やられるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/42
-
043・島津久大
○島津政府委員 特派大使は儀礼の目的が多いだろうと思いますが、必ずしも儀礼に限らないという点は、先日御説明申し上げた通りであります。交渉の関係は全権あるいは政府代表、そういうようなものが適当だろうと思います。大体特派大使は儀礼関係が多いだろうと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/43
-
044・前尾繁三郎
○前尾委員長 次に日本・カンボジア友好条約についての御質疑を続けていきたいと思います。菊池義郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/44
-
045・菊池義郎
○菊池委員 カンボジアの経済協力に要する日本の資金は大体どのくらいに見通しをつけておられますか、お伺いしたいと思います。どなたでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/45
-
046・森治樹
○森説明員 カンボディアの経済協力というものをどの範囲にとるかによって違ってくるわけでございますが、ただいまカンボジア側からわが国に基本的調査を依頼してきておりますキリロムの都市建設については、カンボディア側の見積によりますと、大体七億円程度を、この計画自体を実行するとすれば必要じゃないかという見積りになっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/46
-
047・菊池義郎
○菊池委員 それで、その資金の調達方法はどういうようなことになりますでしょうか。民間からも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/47
-
048・森治樹
○森説明員 カンボディア側といたしましては、この計画に伴う償還計画は一応立てておるわけでございます。たとえば水道あるいは電気等の事業の一定期間の経営あるいはこの都市に至る輸送機関の日本側による経営等によってこれを償却するという計画になっておりますが、果してこういう償却が可能であるかどうかということを、今度近く調査団を派遣して調べてみたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/48
-
049・菊池義郎
○菊池委員 過般カンボジアは中共と友好条約を結び、さらに経済協力の約束もして帰っておるのでございますが、一方においては日本に呼びかけ、また一方においては中共に呼びかけておる。自由主義国家と共産国家と両方に経済協力を求めておるようなわけでありますが、日本が無計画にうっかりと資金をつぎ込んで経済開発に協力してみても、もしか中共の進出によって日本の経済計画がぶちこわされるようなことはないか、こういう心配が出てきます。それでつぎ込んだ資金がふいになるようなことはないかという心配を伴うわけでありますが、これに対する外務省側の見通しはどんなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/49
-
050・下田武三
○下田政府委員 カンボディアは旧仏印三国のうちで、先般来朝しましたシアヌーク殿下の英明さもありまして、前の母国たるフランス自体からも最も信用されておる安定した国でございます。先般日本に参りました。フィリピンにも参っております。そこでシアヌーク殿下が結局同国の政治の首脳者でございますが、殿下は決していわゆるひより見主義的な中立主義を考えておられるようではないことははっきりいたしております。自分の国は小国であるが、四万の軍隊を現在持っておって、これを増強してきておる、つまり自国の独立を守るために断固として備えをなす、しかし現実にアジアに位置する国として、ある陳営だけとつき合い、他の陳営とは貿易その他も何もしないということは、国の存立からいっても不可能なことである、従って中立的と見られるような危険はあるかもしれないけれども、自国の利益に従って、自主独立の見地から対外関係を処理したい。しかし先般フィリッピンでもシアヌーク殿下が言っておりますが、万一自分の国が侵されるようなことになれば、明白に自由陣営の国の側に立つのであるということもはっきり言っておられます。でございますから、どっちつかずな、危なっかしいような感じは私どもとしても持ちません。十分信頼し得る、従ってこの国と協力し、この国の経済開発に日本が参加すれば将来捨て金になるというような危険は全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/50
-
051・菊池義郎
○菊池委員 友好条約を結ぶことは別に何らの損にもならないことで、これはどしどし締結すべしでございますが、そういう点に深甚の考慮を払われて、そうして経済協力を進めていただきたいことの希望意見をちょっと申し上げまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/51
-
052・前尾繁三郎
○前尾委員長 穗積七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/52
-
053・穗積七郎
○穗積委員 この間もちょっと出ましたが、第四条のこれから結ぶ協定については、政府は最恵国の相互原則で進む方針でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/53
-
054・下田武三
○下田政府委員 相互主義による最恵国待遇と申しますことは、第三条の外交官及び領事官の特権免除に関して規定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/54
-
055・穗積七郎
○穗積委員 それはわかっております。あとの協定、通商航海条約とか貿易協定とか、名称はどうなるかわからないが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/55
-
056・下田武三
○下田政府委員 通商航海条約は、実は将来の問題でございまして、日本としては当然なるべく広い最恵国待遇に均霑することをねらいたいわけでございますが、向うはまだどうしても後進国でございますので、いかに信頼する日本に対するとはいえ、完全な最恵国待遇を与えてくれるかどうかという点には多少疑問があると存じます。しかしこれは十分カンボジア側の危惧その他につきましては、これを安心させるように持って参りまして、日本としててはなるべく広い最恵国待遇を期待するというような方針で交渉をいたしていく必要があると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/56
-
057・穗積七郎
○穗積委員 むろんこれは将来のことになりますが、この協定を結ばれるときにそういう話をされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/57
-
058・下田武三
○下田政府委員 先般シアヌーク殿下一行が来朝されましたときは、通商航海条約的の話し合いよりも、むしろ貿易支払い関係の現実の通商関係の事項を討議いたしまして、最恵国待遇等の通商条約のプリンシプルに関する問題は実はまだ話し合っていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/58
-
059・穗積七郎
○穗積委員 公式の話ではしなくても、プライベートでもけっこうですが、少し当ってごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/59
-
060・下田武三
○下田政府委員 プライベートにもいたしておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/60
-
061・穗積七郎
○穗積委員 そうすると、最恵国待遇を受ける協定を結ぶことがあるいは困難ではないかという推測は、一般情勢かうそういうようにお考えになったのですか。何を根拠にしてそういうふうにお考えになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/61
-
062・下田武三
○下田政府委員 実は友好条約を締結する際の日本案には、できればそういう趣旨の規定を入れたかったわけでございますが、しかしそれは先方が多少警戒しまして、向うがそれは通商航海条約のときに一つ相談しましょうということで逃げたわけなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/62
-
063・穗積七郎
○穗積委員 わかりました。そうすると私はこれは相手としては無理からぬと実は思うのです。私も当然最恵国待遇の原則をあらゆる国との協定に実現をすべきだというふうに考えますけれども、これは今おっしゃったように、過去における日本の経済進出の実績を見たら、さらに現状においても、その実力といい、その方針といい、どうも移民は受け入れて大いに国の開発に使いたいが、貿易その他のことについては、まだ安心ができないという警戒心を持つのは、向うに原因があるのじゃなくて、むしろこっちに原因があるというようにわれわれは考える。紙の上で空想的に観念的に考えますと、相互主義による最恵国待遇協定というものは非常に平等であるようですが、国内で、階級的にいえば巨大な独占資本と労働者一人々々の協定が、自由にして平等な賃金契約になっておりますが、実際はそうではなく、イソップ物語にいう獅子と羊でしたか、ウサギでしたかの契約というような現実の結果になる。そういう意味で考えますと、アメリカと日本の関係もそういう実情にあるわけです。これは協定そのものではございませんよ。協定の基礎になります経済関係なり実力のことを私は言うのです。今のカンボジアとの間におけるときに、向うがそういう心配をしたように、アメリカとの関係に立てば、日本のカンボジアの立場に立つ実情にあるというふうに私どもは考えるわけですが、現状においては、そういうふうに外務省御当局は御判断になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/63
-
064・下田武三
○下田政府委員 穗積委員の御意見実は私ども同感でございます 日本は先進国でありますが、アメリカ等に比べてまだおくれております。結局先進国と後進国との中間に置かれたものの悩みでございます。そこでヵンボジアのような後進国との通商航海条約の締結の問題を考えます場合に、理論的に申しますならば、通商航海条約を締結して、入国し、居住し、滞在し、そこで事業を営むことを得るということに相なるのでありまして、理論的にはまっ先に先行するものが通商航海条約ではございますが、お話のような実情であるといたしますならば、場合によりましては、まず現実のビジネスを容易ならしめる貿易支払協定から入りまして、日本人が今入っていくのには現実に歓迎するといっておるのでございますので、支障がないのでございますから、日本人が大ぜい参りまして、過去の日本と違ってサービスをする、奉仕的精神で働いていく、そうして徐々に日本人というものに対する危惧というものを失わせて、むしろ日本こそわれわれが提携すべき国民であるという気持になってから、通商航海条約に入る手も確かに考えられるべき手ではないか。理論的にまっ先に無理やり門戸を開放させようとするよりも、穗積先生のおっしゃいますような現実的見地から、むしろそれはあと回しにして、実際のビジネスを可能ならしめる程度のものからやっていくという方がいいのではないか。私どもも実はそういうことを日ごろ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/64
-
065・穗積七郎
○穗積委員 まことに明敏なお考えで、その考え方には賛成です。その考え方に立って日本とアメリカとの関係を見ますと、表面は相互主義、最恵国主義の徹底した協定をこの前結んでいるわけです。そこで現実を見ますと、さきにこちらは結んだわけだが、今もおっしゃたように、アメリカ人が入ってきて、日本の経済復興のために協力してくれる。それからこれは軍事、経済、文化、全部面にわたっての関係が入り込んで深入りしておりますから、それを通じてみて、経済的にも軍事的にも文化的にも、アメリカ経済に食われる心配はない、隷属化の心配はないということで日米間の協定を結ぶ考え方、これは日本の対米関係の場合においてはその原則が正しいと私も思う。そうなると、この問題に関連してわれわれ考えたいことは、現実は条約で門戸開放をやってしまった。そのときは、おやりになった方は信頼したわけでしょう。われわれは、あれによって、日本経済のアメリカへの隷属化の心配がある、あるいはまた市場その他の侵略される心配がある、さらにまた向うの資本主義的な経済方式が、アメリカ資本が日本国内に入っておって実力を持っているのみならず、あの日米通商航海条約の中で示されている原則によってさらにそれが強化され、日本が経済的に侵略を受けるのみならず、今後の日本経済の方式、すなわち資本主義か、社会主義かという言葉をその当時わかりやすいために使いましたが、社会主義化をやるために、その原則すらもうアメリカのために否定されておってできがたくなる。そういうような協定になっていることを心配したわけです。結びましてから今日まで見ていると、重光さんを中心とする外務省の方は、何パーセントか知りませんが、そんな心配はないとお考えになっているか知りませんが、しかし国民の多くの諸君は、軍事協定でも、あるいは相互主義、平等であって全く巧妙な対等の形式をとっており、経済関係でも、あの通商航海条約は全くその相互主義による互恵平等という原則に表面はなっているが、その後の実際を見ますと逆であって、今言いましたように、ウサギが獅子に食われる危険が出てきているというふうに思うのですが、そうなりますと、今カンボジアが日本との協定をこれから結ぶについてとっている態度は、理想の形ではないけれども、現状のある段階においては、実力的に対等な独立ができるまでは、経済、技術、文化すべてについて対等な実力を備えるまでは、そういう相互主義の美名にひっかかって、われわれが隷属化され、支配されていくような協定を結ぶのを防ぐようは余地を残しておく必要がある。そういうようにわれわれは考えるわけです。そこでそういうふうにお考えにならないかどうか。そこでその原則に立つとすれば、この際対米関係においてはカンボジアのとっているこの基本方方針、これをアメリカにやれば、日米通商航海条約の修正の問題が出てくると思うのですが、そういうお考えはございませんか。みずからを顧みてどうでしょうか。正直に一つ御感想を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/65
-
066・下田武三
○下田政府委員 日米通商航海条約に関しましては、遺憾ながら穂積先生の御意見と一致し得ないのでございますが、日本とカンボジアがかけ離れているほど日米間のかけ離れというものはございません。世界市場におきまして日本とカンボジアは決してライバルではないわけでありますが、日米両国は、提携する面もありますが、確かに世界市場におけるライバルであります。日本も相当の実力を持って出るわけであります。また日本の伝統的の行き方としまして、この狭い、至言の貧弱なところに大ぜい人間がおる。やはり世界を舞台として、どこの国でも最恵国待遇を受け、また相互主義に基いて自由な活動ができるということが日本の進むべき唯一の道である。そういうところから、明治以来いかに不平等条約の打開のために、相互主義の平等な条約の締結のために、われわれの先祖が努力されてこられたかという跡を振り返ってみましても、また太平洋戦争勃発前にアメリカの日米通商条約廃棄によってわれわれがいかに痛手をこうむり、そして憤慨したかということを顧みますると、日米間の差ぐらいならむしろおそれるところはない。なるほど戦時中の十年以上のギャップがございますが、これもわれわれが努力して生産性を向上し、コストを安くして、競争力を十分持つに至れば、日米間の平等な相互的な条約があっておそれることよりも、むしろそれによって利することがはるかに大である。そしてアメリカだけに対して、日本が日本より進んでおる国に対して門戸を閉ざすという態度をとる以上・いかにして日本の背後に控えておるアジア諸国との間に解放的な条約を求めることができましょうかということを考えますと、御指摘の点は絶無とは申されませんが、しかしながらこれに対しては防ぐ方法があるわけでございまして、日米通商条約が締結されたからといいましても、外資法の制限はあるのでございます。また為替送金の制限も課し得るのでございます。また一番大事なガットに入る前からガットの待遇に均霑し得るというような利益も得ております。またいろいろな面で当時われわれとしては善処して、御懸念のような点の起らない措置をとった上であの条約を結び得たのでございますから、これは日本にとってマイナスではなくして、日本自身の努力によっては非常なプラスの条約であるというように私どもは考えておりますので、その点は御意見と違う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/66
-
067・穗積七郎
○穗積委員 これは見方の相違ですからあまり追及してもしょうがないので、そういうことも一つ研究をしていただきたいと思うのです。
それからちょっと政務次官にお尋ねします。第二条の第二項であります。両国間に生ずるいかなる紛争をも平和的手段に上って解決する云々ということがあります。現在の日本の平和憲法があります間は、このことはあまりせんさくする必要はないと思うのですが、あなた方がお考えになっておるように、再軍備を合法化して、しかも量的にも質的にもその攻撃武器まで持ち込もう、そして外地出兵の可能性または対外的な軍事同盟締結のことも構想の中に出てくるというようなことになりますと、この平和的手段ということの問題がわれわれには実は心配になってくるのです。そこで平和的手段とは一体観念的にどういうことを言っておられるのか、どういうふうに理解しておられるのか、そのことについて一つお導ねしておきたいと思います。
これは申し上げますが、この前も岡田君がちょっと一般的に言われましたが、向うは平和五原則の精神によってやっておる。こちらは、平和五原則を認める、賛成する、積極的にこれを支持するという態度は表明できないような態度でおるわけです。平和に対して非常に消極的な態度を持っておる。そういうことでもあるし、同時にまた、今経済問題について話を伺ってみますと、外務省ですら経済的な侵略あるいはダンピングによるか、いろいろな形でしょうが、そういう心配すら向うはしておるということですから、従って将来平和的手段によって解決するということを一体どういうふうにお互いに理解しておるか。その理解の仕方によって問題が変ってくると思いますから、この第二条の——私は観念的には申しません。私二条の第二項の平和的手段によってということをどういうふうに日本政府は理解しておれれるかということをこの際伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/67
-
068・森下國雄
○森下政府委員 憲法改正のいかんにかかわらず、紛争の平和的解決はわが国の根本方針でありますから、そういう方針で進みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/68
-
069・穗積七郎
○穗積委員 私が伺っているのは、平和的手段とは一体何を言っておるのか、その限界を聞いておるのです。これは協定の文書になっておるわけですから、向うが考えておる内容とこちらが考えておる中身と合致しないと国際文書にならぬわけです。そこに独断的な解釈があって、武力的ね威嚇をしても、またはそれによる無言の圧力を加えても、これは平和的手段というふうな解釈をする。また将来移民ができるということになりますと、その移民の生命、財産等の保護の問題等が出てくることになると思うが、そうなりますと、これはかって日本人であったというようなことで、あるいはまた国籍を移す者も移さない者もあるかもしれませんが、そういう場合に、その生命、財産を保護するというような名目で、日本の、今は自衛力、やがては軍隊、それの出動あるいはまたそれによる無言の圧力、こういうものが出てくる危険があるわけです。平和方針というようなことではなくて、もう少し具体的に平和的手段によってということを文書の中で一条設けて規定しているわけですから、この文書の第三条第二項の平和的手段ということは、一体どこに限界を置いておられるかということを伺っておるわけです。もっと具体的にお答えをいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/69
-
070・森下國雄
○森下政府委員 平和的手段ということは、武力を使わないで、調停裁判等の平和的方法で解決したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/70
-
071・穗積七郎
○穗積委員 関連して第五条について伺いますが、移住の問題でございます。これは、国籍を移す、移さぬは本人の自由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/71
-
072・森下國雄
○森下政府委員 これは本人の自由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/72
-
073・穗積七郎
○穗積委員 お見込みはどうでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/73
-
074・森下國雄
○森下政府委員 これはやはりそのときがぶっつかってきてみないとわからないのじゃないか、はっきり言うないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/74
-
075・穗積七郎
○穗積委員 それでは伺いますが、この間話したのは、年に一万人でしたか、あるいは五ヵ年でございましたか、そういうような一応の話があるわけですが、今後これをさらに多くしていきたい。それには、たとえば年令、能力それから性別、思想あるいは宗教、いろいろな希望条件がお互いにあろうと思うのですが、そういうことについては逐次話して、いくことになるわけでしょうか。特にカンボジアとの関係については、貿易の問題より——貿易の問題もやがて需要重要な問題として出てきましょうが、当面の問題としては、文化交流、これもある意味では実があってないような観念的な話ですから、移住の問題が当面の大きな問題になってくるわけですが、その移住を、この条約によりますと、「移住することを希望する他方の締約国の国民に対上、」と書いてありますから、希望に上ってということになるわけですね。それを話し合うときには、随時政府が向うの政府と協議して、受け入れの条件等を決定していくわけでございますか、その間の事情を少し説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/75
-
076・森下國雄
○森下政府委員 移住局次長から、詳細な説明をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/76
-
077・石井喬
○石井(喬)政府委員 ただいまこの問題につきまして、移住局長が向うに行っておりまして、いろいろこまかい話をいたしておりますので、その結果を待ちませんと、何とも申し上げかねますけれども、私どもの考えといたしましては、大体の基本的な条件だけはこの際はっきりきめまして、それから個個のいろいろな形態が入って参ると思いますので、個々の形態につきましては、そのときそのときで話し合っていくより仕方がないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/77
-
078・穗積七郎
○穗積委員 今までに明らかになっておる、何といいますか、具体的な話し合いはどこまできまっているのか。それから、どこから先はペンディンクになって、今お互いに研究課題として残っているのか。さらに第三に将来の見込みはどうか。これらの点について、もう少し具共体的に明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/78
-
079・石井喬
○石井(喬)政府委員 この前シアヌーク殿下がこちらに参りました際に、向うの希望条件を聞いたのでございますが、その際には、御承知のように毎年一万人ずつ五年間人を入れてもらいたい。それで最初は、向うは全部独身者を送ってもらいたいということだったのであります。それで向うは独身の男を考えていたようでありますが、私の方はそれだけでは困るのはないかということで話をいたしまして、向う側は二千人くらいの女が入ってもよろしい。そういたしますと、女が独身で行くことは考えられませんから、これは夫婦ものがまず四千人になり、六千人が単独者というふうに考えられるわけであります。そこで今度は、それでは夫婦ものの場合に子供はどうなるかということを話しましたら、これは向うは全然考えていなかったというようなことで、これは交渉団が来たときに交渉しようというようなことで別れたのであります。そのほかは、一人頭十ヘクタールくらい、十町歩くらいの土地をただでやろう、それから家を建てる材木を切る権利だけは与えてやろうという程度のほか、実は何もなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/79
-
080・穗積七郎
○穗積委員 家を建てる材木をただでくれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/80
-
081・石井喬
○石井(喬)政府委員 ただでやる、それを伐採権という格好で向うは言っておったのでございます。それで私どもの方は、これだけではとても話にならない、もう少し、たとえば入る形態にいたしましても、いわゆる開拓移民というような形態で入るのか、あるいは多少企業的な形態を加味して入るのか、あるいは入ります際に、日本人がどの程度まとまってもいいものか。向う側はそのときには話が出なかったのでございますが、その後いろいろ新聞等を見ますと、二つの矛盾した考え方がございまして、一つは日本人は分散さして入れたい。ところが一方、現在カンボジア人がいないようなところに日本人が入って、それを開発してもらいたいという話がありました。前者の話でありますと、分散して入らなければなりませんが、後者の場合には、やむを得ず集団的に入るというようなことになります。そういうような点も実は何も話がきまっておりません。それから先ほどお話に出ました帰化の問題でありますとか、あるいは向うに参りまして兵役がどうなるかというような問題があって、いろいろ問題がございますので、そういうのを今話し合いをしている最中でございます。しかしまだ実は向うからの報告は届いておりません。こちらの疑問点を向うに持ち出して、いろいろ折衝しているけれども、結局最後の決定権はシアヌーク殿下が持っているのですが、中共から帰られまして、それから病気をされましたり、その後例の戴冠式の仕事とかで、なかなかシアヌーーク殿下をつかまえることができないで、 決定に至らない面が非常に多いのであります。それで一週間ばかり日数を延ばしてくれという電報がきている程度でありまり。従って具体的な内容については、まだ報告がきておりません。参りましたら、さっそく報告したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/81
-
082・穗積七郎
○穗積委員 ちょっと御注意申し上げておきますが、殿下というのは、これはエグゼキューティヴの代表者でも何でもないのですから、そういうお言葉をお使いにならないで下さい。首相または総理、こういうようにちゃんと言ってもらいたい。そうでないと、殿下と話したって何の意味はないので、エグゼキューティヴの責任者としての総理とこちらの首相と話し合うのでありますから、外務省の有能なお役人か、そういう不用意なお言葉をお使いにならぬように注意を申し上げておきます。これからの御答弁の中には、首相なり総理という言葉で話していただかぬと、殿下の身分は続いておったが、いつの間にやら首相でなくなったというようなこともあり得るのですから、首相としての彼に話をして意味があるわけですから、そういう点ははっきりしておいていただきたいと思います。
そうしますと、年一万人、それから五カ年間くらいということは、これは了解に達した、お互いにそういうようなオブリゲーションを生じたと理解してよろしゅうございますか。単なる向うからの申し入れにすぎないと見てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/82
-
083・石井喬
○石井(喬)政府委員 今のところは、私どもは五年間に五万人ということは、向うからの申し入れというふうに考えております。と申しますことは、私どもがいろいろ専門的に考えますと、毎年一万人を出すということは、これは非常にむずかしいことではないか。向うへ参りまして、その人々が十分立っていけるだけのことを考えてやって、しかも向うの財政状況その他
から考えまして、相当部分というもの
は日本が負担してやらなければならない。そういたしますと、年に一万人出すということは、非常にむずかしいことではないかと思っておりますので、年に一万人ずつ五年間によこしてくれ、出すということは、これは不可能に近い。従いまして、将来を見越して、一万人ということは考え得ると思いますが、それを五年間にというふうに限定することはできないと思っております。私どもは、向うからの申し出というふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/83
-
084・穗積七郎
○穗積委員 そうしますと、五万人以上の見込みについてはいかがでございますか。まず日本の予算のことは別にして、向う側の受け入れの事情を言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/84
-
085・石井喬
○石井(喬)政府委員 実は向う側の事情につきまして、私どもも現地につい
ての文献等もいろいろ調べ、あるいは現地に移住している人の話もずいぶん聞いたのでありますが、何分にも十分に資料がございませんので、果してどういうことになるか、今は申し上げかねるのでございます。従いまして、私どもはまず小人数から始めまして、向うに十分定着さして、多少の試験的な期間を経て、その後に、もし大量の、五万人以上が入り得るものであれば、そして向う側が希望するのであれば、さらに向うと話し合いをしまして、できるだけ多くの人を送りたいというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/85
-
086・穗積七郎
○穗積委員 そうなりますと、どういうふうにお結びになる予定でございましょうか。言葉は協定になるか何か知りませんが、あるいはこちらの移民会社が向うの政府との間で——あるいは向うに移民協会のようなものがあるかもしれないが、政府、協会または会社、これとの間で契約を結ぶ。それは輸出契約か輸入契約か知らぬが、そういう契約を結ぶことになるのか、政府間で協定を結んで、それを移住会社に実行をおろすのか。それから、その場合におきましては、五年間または十年間に五万ないし七万、十万どっちでもいいが、そういう総ワクの、やや長期にわたった、それで最後のピリオドじゃない、また次にくるかもしれないが、そういう長期の移民契約を、協定を結ばれるつもりか、今年度は向うは一万人申し入れてきた、それに対して五千人出せるということで、ちゃんと計画を立てて、年度別に協定を結んでいかれるつもりか、その両方をかね合せておやりになるつもりか、そういう方針はどういうところでございましょうか。どちらでおいきになるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/86
-
087・石井喬
○石井(喬)政府委員 これも結局向う側との話し合いでございますので、ただいま矢口局長が向うに行って話をしております。おのずからそういう話が出てくると思いますが、私どもといたしましては、基本的な面につきましては、やはり日本とカンボジアの間に協定のようなはっきりした格好のものを一つ作っておきまして、しかしこれは原則だけでございまして、具体的な問題につきましてはこれを取り扱いまする団体と、向うにもしそういう団体がございますれば団体、なければ政府との間に一々契約を結んでいかなければいけないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/87
-
088・穗積七郎
○穗積委員 そうするとこちらの方は、移民の問題については昨年移住局ができて統一されたし、実施の機関としては会社ができたわけですね。そうするとこちらの方は一体どういうふうになさいますか。政府間または向うの協会とでやるのか、予備的な交渉は政府でやるが、あとの協定または契約は実施機関に結ばせるつもりなのか、日本側はどういうふうに使い分けていかれるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/88
-
089・石井喬
○石井(喬)政府委員 基本的な問題はできるだけ政府間の協定という格好にいたしまして、実施面につきましては日本海外協会連合会というものがこれに当りまして、それが必要に応じて向う側と契約を結んでいくということになると思います。それから振興会社は、これは必要があります場合に金融面を担当していく。これが向うに出ます場合にも、いろいろと向うの政府なりあるいは関係のその他の機関がございますれば、そういうものと契約を結んでいかなければならないということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/89
-
090・穗積七郎
○穗積委員 協定または契約の結び方については、その方針にわれわれは賛成でございます。その方針で進まれるべきだと思います。そしてなるべく政府が責任を回避しないように、政府間におけるちゃんとした協定を結んで、日本側におきましても移民の問題については、相手の国との個々の協定については、政府が強い責任を感じてやり得るような協定の結び方をすべきだとわれわれは考えますから、ぜひその方針でいくべきだというふうに申し上げたいのであります。
そこで第二に協定の内容でございますが、できるだけ長期にわたって、計画性を持って、相手の政府にも協力のオブリゲーションを持たせるようにして、細目のものは、たとえば五カ年間に五万として、それを必ず実行できない場合も出てきましょうが、それがこちら側から送り出すことができれば送り出すことのできる総ワク、いわば銀行に融資のワクを置くような問題だが、そういう意味で理解して、長期にしかも規模を大きくそういう話し合いを進めるように努力すべきだとわれわれも考えますが、その協定の内容について政府のお考えはどうでございますか。これは相手のあることですから、結論はこちらの思う通りにいかぬかもしれないが、いやしくもこういう問題について交渉に当る以上は、こちらの方針を持たなければならない。協定の内容について一言政府の方針を明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/90
-
091・石井喬
○石井(喬)政府委員 私どももただいま仰せの通りの考え方を持っておりまして、一応向う側からの申し入れば五カ年間五万人ということでございますが、われわれの現在の考え方ではとても五年間に五万人というのは不可能だと思っております。できるだけ長期にわたってまたできるだけ多くの人を入れるようにしたい、内容につきましてはもちろん日本政府がはっきりその責任を負い、相手国政府もその責任を負うはっきりしたものにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/91
-
092・穗積七郎
○穗積委員 その場会現在の日本の行動半径に予算だと思うのだ。あるいはまた予算の中で移民に対する政府の支出の経費の問題だと思うのですが、その場合に、こういうような移民々々と口では言いながら兵隊ばかり作って、移民にはさっぱり金を使わないような政府が必ずしも続くとは限りません。今のあなたの判断では五年間で五万人はむずかしいと言うかもしれないが、五年間で十万も可能です。移民を希望する者は非常に多い、優秀な人間は多いのだが、問題は政府の予算の方針がこれをチェックしていくだけなのだ。そういうことですから、今の総ワクでいくという基本方針はそれでけっこうです。それに今度結ばれる場合に五年間五万ということは実行ができる見込みがないから、五年間で二万ないし三万だというようなけちな協定の結び方は避くべきであって、向うで受け入れる可能性のあるものを最大限までこちらも希望する。極端な言葉ですが五年間に十万でも二十万でもけっこうでしょう。数字は必ずしも一々言うわけではない。先ほどから伺っておりますと、かの国の首相が提案した五年間に五万ということすらもできないと頭からきめてかからないで、来年社会党内閣ができればこんなものはすぐできるように、兵隊の費用を削って、自衛隊の諸君もこちらへ行ってもらったらいいと思う。ですから協定を結ぶにはあとになって悔いを残さぬようにもう少し大幅に結んでおくように希望いたしますが、そういうお考えはありますかどうかこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/92
-
093・石井喬
○石井(喬)政府委員 ごもっともでございまして、私どももできるだけ多くの人が入れるように協定を結んでおきたいと思います。ただ、五年間に五万人はむずかしいのではないかと申し上げましたのは、もちろんその予算面がございますけれども、同時にもう一つ考えられますことは、ブラジルその他でも日本に比べまして相当民度が低いということが言えると思います。しかしこの場合にはアマゾンその他ほとんど現地に人のいないようなところでしかも土地のいいところがございます。そういうところに入りまして日本人社会を作るというと非常に向うがいやがるのでございますけれども、そういうところで建設事業をやっていくあるいは開拓事業をやっていくということは、ほかにあまり影響なしに生活の道を開いていくことができると思います。カンボジアのような場合には相当に人口もございまして、その生活民度が低い。そういうところに日本人が行って、日本人が行ったことによって向うの民度がずっと上っていくのならば非常にけっこうですが、従来の歴史等を見ますと、逆に日本人の方が下っていくというようなことも考えられますので、慎重にやる必要があるということを、実はなかなか急にはいかないという言葉で申し上げたつもりだったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/93
-
094・穗積七郎
○穗積委員 しかしそのワクは、大幅にいくことには賛成でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/94
-
095・石井喬
○石井(喬)政府委員 それは賛成でございます。できるだけ多くの人を外へ出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/95
-
096・戸叶里子
○戸叶委員 関連して一言伺いたいと思います。移民といいますと今までの歴史を見ましてもなかなか御苦労が多かったと思うのです。そして必ずしもいいところへ行かないで気候なども悪いところへ行くというような傾向が多かったと思うのですが、今度はそういうようなことも考えまして、移民の方方に当然お医者さんなりあるいは技術者なりがついていかなければならないのではないかと思います。そういう点を考えておられるかどうか。もし考えておられるといたしましたならば、一年一万人のワクの中に入れずに考えていられるのか、それともそのワクの中で考えられるのか、この点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/96
-
097・石井喬
○石井(喬)政府委員 私どももただいまおっしゃいましたように医者なり技術者なりというものは、ぜひ出さなければならぬと考えております。これはただ単にカンボジアだけでございませんで、中南米におきましても、私どもはこういうことを考えて向う側といろいろ話をしておるのでございます。
そこでこれを一万人のワクの中にするか、外にするかという問題につきましては、私どもは実はどちらでもいいではないかというふうに考えているのでございますが、これも向う側と話をいたします一つの項目にいたしまして、今話をしているところでございます。ただカンボジアの場合はどうでございますか、今話をしておりますが、それ以外のところでは、日本のお医者様の現状というものはそのまま通用しないところがございますので、そういうような点もやはり考えていかなければならないのではないか。向う側といたしましては、一万人の耕作者を送ってくれということを抽象的には言っております。それが、耕作者というのが果して農業労働者の意味であるのか、あるいは企業的にやる者も一応その耕作者に入れているのか、そういう点もはっきりしませんが、向う側としましては、一応耕作者を送ってくれということを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/97
-
098・戸叶里子
○戸叶委員 そうすると、耕作者の内容などはこれから交渉をしてきめるということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/98
-
099・石井喬
○石井(喬)政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/99
-
100・穗積七郎
○穗積委員 カンボジアのシ首相には私もこの間会って、顔も見たし考えも多少伺いました。彼は能力のほどはわかりませんが、非常に純情で親日的であることは事実です。そして日本の過去についても、今はアメリカの隷属国ですけれども、かつてはアジアにおける唯一の独立国であったし、文化的にも高かったし、勤勉でもあった。危惧も持つとともにある意味の敬意も表しておる。そういういわばわれわれにとっては実にいい友だちです。しかも移民なり貿易の問題については、かの国自身としては今まで日本との関係が少い、いわばヴァージン・ランドに近いところですから、これからやる移民ないしは貿易のやり方は、彼が持っております国の方針、できるだけ今までの親日的な方針でいきたいという気持をますます助長せしめて、そして深い友好関係を結ぶことができるか、またはやはり日本はあの侵略国的性格を持ってきたということで、今ああいう友好的態度をとったことはあやまちであったというふうな後悔をせしめるかは、これからの移民のやり方と、移民で行った人の生活態度と、それから政府の方針によってきまると私は思うのです。そういう意味で、この間も岡田委員が平和五原則を認めるのか認めないかということを言われたときに、平和五原則を認め、これを支持しますというその精神に立って、政府はこの協定を結ぶということを言い切れなかったのです。その逆をいえば、実はあの人のいい首相も心配して互恵平等主義がとれない、われわれも国内で、また間違ったことを繰り返しはしないかという心配を、こういう協定を審議をするときにしなければならぬということは、実に悲しいことでございますから、どうか一つその移民の選定あるいはやり方、指導等についても、政府の態度が基本になって参りますから、その点は重々一つ気をつけてもらいたいということ、これは質問ではなくてむしろ、要求をしたいのだが、国会のことですから要望をいたしておきます。
ところでこれに関連して政務次官にお尋ねいたしますが、当面カンボジアとの関係は移民問題が中心になっておる。そうなりますと、おそらくは多くの日本人は——向うでは独身者六千人もらって向うの人と結婚をしてもらいたいというような希望を持っているでしょうが、そうすればあるいは定着して帰化するかもしれないが、中には政府の今の私が申し上げましたような方針について心配があると同時に、移民をされる方も一旗組のような精神がまだ残って、そうして旅の恥はかき捨て、人のものは取れるだけ取っておけというような考え方で、かの国の経済を引き上げ、かの国の国民生活を引き上げ、かの国との友好関係を深めていくような精神で行かないようなことも心配される。そうなるとおそらくは多くの人が帰化はしないで、日本人国籍をそのまま持っておる。そのと遂に向うにおいていろいろな国際関係が変り、国内の政情が変ったりして、この日本人の移民の生命、財産が多少危険にさらされる。そのと遂に日本人がすぐ手っとり早く考えがちなことは、たとえば平和憲法を持ちながら、竹島問題が出、李承晩ライン問題が出ると、すぐ鉄砲を出してぶっ放せというような議論が、国会議員の間においてすらそういう言葉が堂々と出るように現になっている。しかもそれが少数党ではなくて、政権を握っておる多数党の議員、やればすぐで遂る立場におる議員の諸君の間から出るようになるわけですから、そこでさっき私が言いました第二条第二項の平和的手段の問題と関連してくるわけです。私はこれ以外に具体的な平和手段ということが、向うがこれで安心だと思ったのが、安心ではなくて、この解釈はまちまちになって、こっちが独断的に勝手な解釈をえて、そしておかしなことをせぬとも限りません。その場合に一番問題になりますのは、移民の生命、財産保護という名目で武力的な圧力を加えていくというようなことが心配になるわけですが、そういう国際的、国内的情勢の変化によって、移民の生命財産の心配が起きたような場合においては、政府はあくまで、何といいますか、あなた方がこれから結ぼうとしておる西太平洋における軍事同盟条約を悪用してみたり、それから憲法改正によって海外出兵もできるようになって兵隊を悪用してみたり、言いがかりをつけておかしなことをする心配があるからわれわれは事前に聞いておく。そんなことをしない前から、すでに鉄砲をぶっ放せという議論が今の平和憲法の中でもできるし、船田長官は他国の軍事基地の攻撃も今の憲法でできるのだ、自衛行為の範囲だということを堂々と国会において答弁するようになったのですから、そこで私は政務次官に、一つ政府を代表して、平和的手段とは一体どこを限界にしているのか、いろいろな場合が想定されますが、具体的な今言ったような場合を一応想定してみて、そこでもう一ぺん具体的なあなたの平和に対する信念を——信念というよりは、平和的手段というこの協定文の解釈について伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/100
-
101・森下國雄
○森下政府委員 御承知のように、日本の元来の移民政策というものは、長い間苦い経験をなめて参りまして、あらゆる努力を払ってきたが、それを顧みるとなかなか思うようにいかない。行く人も、あなたのおっしやるように、一旗組が行ってみたり、いろいろと現地に行ってなじまなかったりするのであります。日本国内における政治家も国民も、送り出す移民に対しまして、君たちが向うに行ったら出かせぎ根性を捨てて、ほんとうに移民として働いてそこに世界を打ち立てる。現地の人にもなじみながら、一つの誇りを持って行くことだ。われわれ移民の現地を見て参りまして、ほんとうにどこへ行っても、移民の成功している方々はやはり日本の内地において働いても成功する人でございます。日本内地で成功できないで、そうして一旗移民に行こうなんという人は、とうてい成功するものでないということを、苦いほどわれわれは経験してきておるのでございますから、今仰せの通りに、今度カンボジアに参ります移民に対しましても、しかも民度が低いというようなところへ行きましては、あらゆる方法でこれを教え、これを導き、現地に送りましてもまたあらゆる方法で現地人と連絡をとりながら、その生活を守ってやるぐらい、また一つの切り開いてやるぐらいの気持で行かなければならないと思いますので、たとえばキリスト教の教会の人たちが入っていって守るように、私どもよくそれを守りまして、現地で働く、また現地で結婚してもほんとうに現地で本人たちが結婚してそこに定着したいということであれば、それは仕合せな世界がそこにできてくるのだ、かように考えております。今仰せの通りまたそこで変な問題が起きて、不平や何かが起きて、あるいはいろいろなことが起きたらさあ騒げ、あなたのおっしやるような竹島問題などということは、これはまたいろいろと誤解からくることもありましょうし、また先方の悪い場合もありましようし、竹島問題を例に引いたことはあまりいいことじゃない、穗積委員のおっしゃることでございますが、そういうようなことはこれには毛頭ないことと私どもは信じますし、武力を持ってこれにどうしようなどと国内で騒ぐようなことは私はないと思う。これは私どもほんとうのこうした新しい世界に新しい一つの移民の世界が建設されて参ります以上は、どこまでも日本の移民は一つのプライドを持っていいのだということを送り出すまでの間によく教育もしてやる、さらにあちらへ参りましても、くれてやったのだからもうかまわないという気持ではあるかもしれぬけれども、しかしながらそうではなく、よく政府も国民もこれを助けてやるという気持で、東南アジアに対する新しい角度を持って出て参りますこういう問題に対しましては、日本はできるだけの努力を示してやるべきだ、武力なんかは、断じてそんなことは考えて詰りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/101
-
102・穗積七郎
○穗積委員 きょうのこの条約を審議するに当って、私の質問にかの国の総理は感謝するでありましょう。そしてまたこのことは日本のかの国に対する移民または貿易を促進するために非常に役立つと思うのです。そこでくどいようですが、今度は条約局長に平和的手段についてお尋ねしますが、前文の中で平和友好の精神をもってということじゃなくて、条約の中で一条設けてちゃんと平和的手段ということを局限して書いておるわけだが、こうなるとこの平和的手段というのは、あくまで先ほど申しましたのは一例でございますが、トラブルが起きたと遂に日本の政府のとるべき手段としては、まず政−府間で話をする、またはそれで解決しなければ国際司法裁判所へ提訴するなり、あるいは国連の世論または政治的な取り計らいに訴えるというようなことが、ここで考えられる平和的手段であろうとわれわれは考えます。それ以外にそれを越えるものは私は平和的手段ではないと思うのだが、この解釈について、あなたは条約局長の立場から、この条約文のタームの解釈を一つはっきりしておいてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/102
-
103・下田武三
○下田政府委員 この第二条の規定は、実は日本側から提案しましたものが、そのまま先方の同意を得まして条約に採用されたわけでございますが、提案するに際しまして私どもの念頭にありましたものは、申すまでもなく国連憲章の原則でございます。特にその国連憲章第二条の国連の最も重要視する理想であるところの平和主義の規定をとってもってこの友好条約の冒頭に掲げたいというところから出たわけでございます。平和的手段によって解決するという、その平和的手段というものは具体的にはどういうことかという御質問でございますが、これはやはり私どもといたしましては国連憲章に掲げられておりますようなことを意図しておるわけでございます。国連憲章の三十三条に平和的手段といたしましてはまず第一に当事国間の交渉あるいは事実審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決等の平和的手段が列挙してありますが、本条で申します平和的手段と申しますのも、将来万一日本とカンボジアの間に何らかの紛争が起りましたならば、ただいま申し上げましたような平和的手段で解決する、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/103
-
104・穗積七郎
○穗積委員 それをひっくり返せばそれ以外のものは平和的手段ではない、だから絶対にとらぬという解釈で間違いないかどうか言明しておいてもらいたいが、きょうは大臣がおらぬから政務次官からはっきりしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/104
-
105・森下國雄
○森下政府委員 ただいま条約局長から申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/105
-
106・前尾繁三郎
○前尾委員長 松本七郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/106
-
107・松本七郎
○松本(七)委員 矢口局長はいつごろ帰る予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/107
-
108・石井喬
○石井(喬)政府委員 三月六日の夜こちらに着く予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/108
-
109・松本七郎
○松本(七)委員 そうするとその間に中間報告などが到着する予定はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/109
-
110・石井喬
○石井(喬)政府委員 報告してもらいたいと思っておるのでございますが、まだ来ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/110
-
111・松本七郎
○松本(七)委員 それでは中間報告が来ましたらなるべく早く報告していただくのと、それからまた帰られたら御報告を聞くようにするということを一つ委員長にお願いしておきたいと思います。
それから条約局長に、さっき御答弁された現実的にカンボジアの信頼を得るためには、移住した人たちは人間的なつながりから早く信頼されるということが大事だと言われたのでございますが、これは非常に大切な点だと思うのです。結局今穗積委員の質問とも関連するのですが、もちろん移住した人の心がけ、それから移住政策も非常に大事ですけれども、やはり一番大事なのは国全体の外交政策の方針が左右してくるのだろうと思います。特に昔の日本のやり方を警戒しているカンボジアなどから見た場合、日本が今後どういう外交方針を基本にしておるかということが中心問題になるだろう。今平和の手段とはどういうことかという問答がございましたけれどもも、日本としてはあくまでも平等の立場でまたカンボジアの立場を尊重して、そうして平和的な手段でやっておるつもりであっても、向うがどう判断するかが大切なことなんです。そういう点から考えますと、われわれが将来の一つの中心問題になるとして予想されるのは、この前シアヌーク総理が中国へ行かれ、共同声明も発表される、そして今度は例のSEATOに加入することを拒否している。こういう動きは一つの具体的な、SEATOというようなものはやはり軍事的な同盟だ、こういうふうに見て、後進国としてはこういうものでは自分たちの利益は守れないという観点から、おそらくこれを拒否している態度に出ておるのだろうと思います。こういうことになってくると日本としてもカンボジア一つではない、この前から言っておりますように、今アジア諸国、アフリカ諸国はだんだんに今言ったNATOとかあるいは、バグダード条約とかSEATOだとか、そういったやり方というものに抵抗して、中ソの友好親善を進めていこうという方向に向っておるのは日本としては見のがせない傾向だと思う。特にカンボジアその他の国と親善関係を結ぼうという日本の今後の外交方針をきめる場合に、私にはこれが一番大きな問題になると思われる。過去を顧みると、軍部が外交面であろうと何だろうと、相当いろいろなところにくちばしをいれ、牛耳って、これを外交面からもう少し外務省あたりががっちり食いとめる努力をしておれば、こういう悲劇はあるいは起らなかったかもしれない。そういう点から考えれば、この際私は、日本の外務省が中心になって、今の日本の軍事力を中心にしたブロック、これにたよっていって平和を維持しょうというようなやり方をすみやかに食いとめ、改める努力をしなければ、過去のあやまちを日本は繰り返すだろう。このSEATO問題を中心にして、こういう点について日本の外務省はどの程度の考え方を持っておられるのか、この際お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/111
-
112・下田武三
○下田政府委員 カンボジアの外交政策は、先ほども申し上げましたように、またただいまお話のございましたように、第三国から見ますといわゆる中立主義のカテゴリーに入る国でございます。しかし、これは御指摘の中共等との関係からいいますと、だいぶ日本と置かれておる地位が違いますわけ一でありまして、国民政府との間の条約上のコミットメントもございませんし、その点では割合自由な地位にございますのと、もう一つは、地理的に見まして、日本のように大陸から海洋で隔絶されておる国と違いまして、大陸自体の中にある小国でございますから、隣のヴェトナムは北の方には共産軍がおり、また北の方のラオスの方にも共産勢力があるというような緊迫した情勢のさなかに置かれておる国としまして、明白に反共陣営に立つことを宣言することをはばかる地位にあるのは当然だろうと思います。しかし先ほど申しましたように、フィリピンで新聞記者にシアヌーク総理の考えは、カンボジアの地位からしてどちらに入るということはしないけれども、一たん侵略を受けた場合には、明白に自由陣営に入る。また現実に危険があるので、小国ではあるが、現在の軍隊を増強する方針であるということを言っておるわけでございます。でございますから、インドのごとき大国の中立主義とは非常に違った、カンボジアという国が置かれておる地理的条件また小国であるという点、そういうようなところからきた中立主義である。もちろんどこの国もそれぞれの置かれた地位によりまして、外交政策があるのでありまして、日本といたしましては、他国の外交政策に容喙するということは毛頭なすべきことではなく、それぞれの置かれた国の外交政策はその国の自由であるわけでありますから、それを度外視しまして、もっぱら、日本とカンボジアの両国の共通の利益ということが、日本・カンボジア両国間の外交を進めるに際しての関心事でなければならない、そういうように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/112
-
113・松本七郎
○松本(七)委員 もちろん両国の立場、情勢は違いますけれども、私の聞きたいのは、カンボジアはSEATOに対してどのような態度をとっておるかというそのいき方というものが、ただひとりああいう地位にあるカンボジアばかりではなしに、今後アジア・アフリカ諸国の傾向になるだろうという予想のもとに、日本は今後外交政策を考えていかないと、大きな誤まりを来たすだろう。そういう意味から今の御説明ですと、やはり立場の違った日本としては、SEATOのようなああいう軍事ブロックには相当高い評価をすべきであるというふうにも聞えますけれども、SEATOに対する評価は、それでは一体どういうふうに考えられるか。今後のアジア・アフリカ諸国の傾向、見通しの上に立っての日本から見たSEATOあるいはその他のNATOのようなものに対する評価について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/113
-
114・下田武三
○下田政府委員 御指摘の、東南アジア諸国が中立主義に走る傾向というものは、わが国といたしましても十分重要視すべきことだと思います。ヨーロッパにおけるごとく、必ずしもNATOを中心とするヨーロッパの軍事体制というものが東南アジアではできないという現実の事実、これはわが国としても、それが好むと好まざるとにかかわらず十分に認識してわが国の外交政策を立てなければならぬ、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/114
-
115・松本七郎
○松本(七)委員 それから安保条約と関連するのですが、かりに国際連合の決定なしに台湾海域あたりで何か武力的な紛争が起きたというような場合には、あの解釈からすれば、在日米軍が出動するような場合に、おそらく日本はこれを拒否することができる建前であろうと思います。国際連合の何かの機関、たとえば理事会あるいはユーナイティング・フォー・ピースによる総会の決議等があれば別ですが、それがない場合の武力紛争に対して在日米軍が出動する場合には、日本はこれを拒否することができる、こういう解釈が立つだろうと思うのです。たとえば安保条約の審議の際の参議院の特別委員会における前の西村条約局長の答弁なんかを見ても、やはりそういうふうに解釈されておると思われるのですが、その点についてのあなたの解釈は同じでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/115
-
116・下田武三
○下田政府委員 安保条約に基きまして日本に駐留いたします米軍は、日本自体の安全と極東の平和及び安全の維持のために駐留しておるわけでございますが、ただいま御提起になりました問題、つまり東南アジア方面で動乱が起った場合に、在日米軍が日本から出動するのを禁止し得るかどうかという点でございますが、これは禁止し得ないと思います。これは行政協定によりまして、日本の港とか飛行場とか軍港とか、その他の施設に対する完全なる出入の自由を認めておるわけでございまして、在日米軍が入りあるいは出るということを阻止することはできません。しかしながら朝鮮動乱が起りましたときに、その事態に処するために、吉田・アチソン交換公文というものがございまして、単に日本から朝鮮に出入することでなくて、それにプラスいたしまして、国連軍耳に対し日本を後方の基地として、つまりいろいろなロジスティックですか、後方のサポートとそういうふうなことを自由に容易ならしめるために、日本はこれをサポートするという義務を負っております。でございますから、かりに台湾海峡方面でそういうような動乱が始まりました場合に、日本は出ていくのをとめることはできませんけれども、日本を後方の基地として、そこでいろいろな後方活動をすることを日本が支持するという義務は現在ないわけでございます。従いましてそういう場合に、もし吉田・アチソン交換公文みたいな取りきめでもできまして、日本が後方基地としての援助を与えるということを約束しない限りは、現在のところ出ていくなら勝手に出ていけというだけの関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/116
-
117・前尾繁三郎
○前尾委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01319560229/117
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。