1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月一日(木曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 前尾繁三郎君
理事 石坂 繁君 理事 北澤 直吉君
理事 須磨彌吉郎君 理事 山本 利壽君
理事 穗積 七郎君 理事 松本 七郎君
伊東 隆治君 大橋 忠一君
菊池 義郎君 福田 篤泰君
渡邊 良夫君 福田 昌子君
細迫 兼光君 森島 守人君
岡田 春夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
外務政務次官 森下 國雄君
外務事務官
(大臣官房長) 島津 久大君
外務省参事官 法眼 晋作君
外務事務官
(大臣官房会計
課長) 中川 進君
外務事務官
(経済局長) 湯川 盛夫君
外務事務官
(条約局長) 下田 武三君
外務事務官
(情報文化局
長) 田中 三男君
委員外の出席者
総理府技官
(原子力局管理
課長) 堀 純郎君
外務省参事官 森 治樹君
大蔵事務官
(主税局税関部
業務課長) 崎谷 武男君
専 門 員 佐藤 敏人君
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本日の会議に付した案件
外務公務員法の一部を改正する法律案(内閣提
出第三五号)
国際情勢等に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/0
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001・前尾繁三郎
○前尾委員長 これより会議を開きます。
まず外務公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を許します。森島守人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/1
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002・森島守人
○森島委員 ちょっと簡単にお尋ねしたいのですが、この説明書によりますと、従来行われておった制度を成文化したということが書いてございますが、従来はどういうふうな手続でおやりになっておったのですか、ちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/2
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003・島津久大
○島津政府委員 戦後は特派大使という資格で出た例はございません。実際上特派大使の仕事に類するような場合に、政府代表ということで出しておったことはございます。特派大使として派遣した例はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/3
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004・森島守人
○森島委員 最近、衆議院から松田竹千代さんが行かれ、私、名前を忘れましたが、参議院からもどなたかブラジルに行かれたと思いますが、これは国会法との関係をどういうふうにお取り扱いになっておるか、念のために伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/4
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005・島津久大
○島津政府委員 国会法との関係は国会法三十九条のただし書きの、これに準ずる者というところで解釈をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/5
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006・森島守人
○森島委員 今度明文化せられましても、会議員に関する限りは、このただし書きで取り扱うというのが外務省のお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/6
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007・島津久大
○島津政府委員 外務省の原案はさようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/7
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008・森島守人
○森島委員 そういたしますと、これは相当無理な解釈ではないかと私は思うのです。たとえば「行政各部における各種の委員、顧問、参与その他これらに準ずる職務に就く場合」とありますが、準ずるといいますと、これより大体同格以下というふうに考えるのが常識的な解釈だろうと思う。特派大使ということになりますと、従来の例は別といたしましても、相当大きな仕事を持ち、重大な権限を持って行かれるので、ここに列挙されておるようなものとは、同列に扱うというようなことはできないのじゃないかと私は信じております。この点は政府としては相当無理な解釈をしておられるのじゃないかと思いますが、国会法のこの点を改正するという御意向はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/8
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009・島津久大
○島津政府委員 ただいま御指摘の点は、先般も北澤、石坂委員からも御指摘がございまして、その点は私どもも、議論の余地があると思います。十分研究をいたします、というお答えを申し上げた通りでございまして、ごもっともなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/9
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010・森島守人
○森島委員 それではよろしゅうございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/10
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011・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは国際情勢等に関する件について質疑を許します。岡田春夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/11
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012・岡田春夫
○岡田委員 あらためて申し上げるまでもなく、去年原子力の協定が締結されて、それに基いて日本でも原子力の研究が進められるようになったのですが、大臣も十分御承知のように、去年きめられた日米の原子力協定というのは、原子炉は売るのですけれども、濃縮ウランについては貸与する、という条件によってきめられたわけです。そのウランを貸与するということについて、いろいろ私も質問をいたしました。そのことによっていろいろなひもがつくのではないか。たとえばあの原子力協定を通じてごらんになっても、ウランの内容について分解することを許さないとか、あるいは燃焼後における灰をそのままアメリカへ返さなければならない、あるいはまた報告の義務があるとか、あるいは観察される義務を日本が受けなければならないとか、一切がっさいこのようなことは私はひもだと考えておる。それからまた政府側としては必ずしもひもではないと考えておるような、いろいろな懸念のあった問題については、所有権がアメリカにある濃縮ウランを日本の国に貸与することによってできた、こういういろいろな事情があったわけです。ところが新聞で御承知のように、この間アイゼンハワーは、濃縮ウラン四十トンを今後放出する。この四十トンの放出の場合においては、研究のため、あるいは動力用のため、そのどちらの場合においても、これは貸与または売却をする——今度は売ることができるということになってきたわけであります。そうすると、事態は非常に大きく変ってきたといわざるを得ないわけでありますが、原子力担当の大臣である正力さんとしては、今まで通りの協定による貸与の形で、原子力の研究を進めていかれようとお考えになっておるのか、あるいは今度は売ると言っておるのですから、売るような協定を結んで、アメリカからひものつかないような形で研究をお進めになるお考えなのか、この点をまず伺いたいと思います。すでに御承知のようにオランダ、オーストラリア等とは、売るための協定の交渉が進められておるという事情もあるわけでありますから、こういう点もからめて一つ具体的に御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/12
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013・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいま御質問の点につきましては、私も実は新聞で見たのでありまして、アイゼンハワーはまだ日本政府には何とも言ってきておりません。言ってきましたならば、今度は原子力委員会もありますから一つよく相談をしてきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/13
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014・岡田春夫
○岡田委員 新聞でごらんになっただけだというお話ですか、しかしもしあの新聞記事が事実だとすれば、売るということについては日本政府としてはどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/14
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015・正力松太郎
○正力国務大臣 今のお話は、仮定の上のお話でありますので、私として何とお答えしていいかわかりませんが、いずれにしても重大な問題でありますから、これは委員会によく諮りまして、お答えしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/15
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016・岡田春夫
○岡田委員 そうなると、これは正力さんの原子力に関する熱意を実は疑わざるを得ない。売るといってひもがつかなくなる、こういう事態ができてきたならば、むしろそれに対して私はこう思うという、原子力委員会の委員長としての御意見があってもいいのだと思う。そういう意見ぐらい私はあってもいいと思うのですが、個人的な見解でもけっこうでありますから、この際お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/16
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017・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまは仮定問題になってきますから、事があまり重大で、あまり個人として先ばしってもいけませんから、よく相談した方がいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/17
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018・岡田春夫
○岡田委員 前の原子力協定は、貸与によるところの原子力協定であったわけでありますが、今度の売却ということになると、当然協定を変えなければならない、あの協定によっては適用できないと思いますが、この点下田さんにお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/18
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019・下田武三
○下田政府委員 かりに売る場合に、協定が必要であるかどうかも問題だと思います。と申しますのは、何らの岡田委員のおっしゃいますいわゆるひもというものがなければ、これは日本の政府官庁なりあるいは公社が、商業的ベースで金を出して買ってしまえばいいのですから、買い取ってしまえばあとはこっちのものでございますから、そういう場合には、向うの売り出したものを買うという、単に政府機関または関係公社等の調達行為にしかすぎないわけでございます。そういう全然条件についての取りきめを必要としない買い取りでございますならば、これは事実行為として買ってしまえばいいわけであって、協定を必要とするということすら私は疑問だと思います。しかしこれはまだ全然政府として、アメリカ側の意向を確かめておりませんので、目下のところ何とも申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/19
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020・岡田春夫
○岡田委員 しかし現実にオランダと売却に基く協定がアメリカでは進んでいるわけです。オーストラリアにおいてもそういう協定が進んでいるわけです。単なる商取引としての契約関係ではなくして、協定を結んだ上で、そういう形をやっていこうとしているわけですから、そういう協定が現実に進んでいるとするならば、現在の日米原子力協定ではそういう形は行い得ない、こういうように法解釈上からいっても私は考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/20
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021・下田武三
○下田政府委員 これも確かめませんとわかりませんが、予想といたしましては、やはり何らかの取りきめを必要とするに至るだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/21
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022・岡田春夫
○岡田委員 事きわめて重大であるから、原子力委員会に諮らなければわからないという正力さんの御答弁ですが、それではいつごろ御相談になるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/22
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023・正力松太郎
○正力国務大臣 要するに向うが正規に言って来なくちゃできぬと思いますが、なお一言申しておきますと、国家のためにさえなれば、いつでもやりますよ。要するに問題は、そういうことをやって国家のためになるかどうかということであります。ただアメリカが売ると言って来たところで、どういう条件かもよく聞かなくちゃいけません。問題は申し上げるまでもなく、それが国のためになれば喜んでやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/23
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024・松本七郎
○松本(七)委員 ちょっと関連——新聞でごらんになっただけだというお話でございましたが、正力さんは非常に原子力については熱意を持っておられるので、ちょっとわれわれから見ますと、新聞で見て、まだアメリカから何も正式に言ってきておらないから、何も考えていないという御答弁ですけれども、本来ならば、このくらい熱意を持っておられる正力さんとしては、アメリカに問い合せるくらいのことをされて、一体そういう意向があるかどうかというくらいのことをなさるのが、むしろ正力さんらしいやり方だとわれわれは考えざるを得ないのです。そういう御意向はございませんでしょうか。ただ向うから言ってくるのをじっと待っているだけで、こちらから問い合せる御意向はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/24
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025・正力松太郎
○正力国務大臣 それはこの間新聞に出たばかりですから、もう少し言うてくるのを——問い合せも必要によってやります。教わりましたわけではありませんが、そんなにいつまでもほっておくわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/25
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026・岡田春夫
○岡田委員 これでは質問にならないので、正力さんの熱意を非常に私は疑うのです。疑いますよ。これほど重大な問題を、正力さんは向うの言うてくるのを待っているわけでもないけれども、もう少し考えてみるという話だが、新聞にはあれほど連日のように出ているわけですね。こういう重大な問題は、あなた自身、日本の原子力研究のために、一体これはどうなんだということをおそらくお考えになっているだろうと思う。そういう点について一つ意見を伺いたいというのですから、率直にこの際正力さんの御意見を一つ伺わしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/26
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027・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほども申し上げましたように、向うの条件さえよければ、つまり日本の国家のためになれば喜んでやります。しかし新聞に出たばかりですから、いずれアメリカからも何するし、こっちからその点をつついて聞いてもみます。その方法もとりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/27
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028・岡田春夫
○岡田委員 今一両日前から原子力の国際管理の草案を作るために、十二カ国が集まって研究を始めておるわけです。この草案について、日本としてはどのような原子力プールの機構ができたらいいかということについて、何か御意見があるだろうと思いますが、この点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/28
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029・正力松太郎
○正力国務大臣 その点についても、なお委員会とよく相談をしておるわけでありますから、まだここで申し上げる程度までいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/29
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030・岡田春夫
○岡田委員 それでは原子力の国際管理ということについては、賛成ですか反対ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/30
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031・下田武三
○下田政府委員 先ほどの御質問にも関連するわけでございますが、ただいまの会議の仕事につきましては、日本は非常に前から深い関心を持っておりますし、日本は実は特殊の地位にあるのでありまして、日本の一番重要視しますところは、日本の特殊の地位が擁護されるということであります。すなわちベルギー、アメリカその他カナダ等の、原子ウランの原鉱を生産し得る、原鉱を持っておる所有国側の利益と、アメリカ、イギリス、ソ連等の、製造をする製造国側の利益と、日本はウラン鉱も持っておりませんし、製造の方もまだこれから始めようという、その特殊の地位にある日本のような国の利益がよく守られなければいかぬということを、アメリカその他についてよく希望を反映しております。ただいま、これが機構ができますと、十二ヵ国が理事国になるというようなことであっては、所有国側と製造国側だけが理事のメンバーになってしまって、日本のような中間の国がオミットされないように、早目にもう手を打って、日本もできれば理事国のような地位につきたいという希望とまたそれに必要な工作をすでにやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/31
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032・穗積七郎
○穗積委員 関連。正力さんにちょっとお尋ねいたしますが、今度のアメリカのアイゼンハワーの提案が直接日本政府にあるないということは別にいたしまして、あなたの先の見える目で見ると、もうすでに原子力というものは一国の独占の時代ではなくなっておると思うのです。従って逆にいえば、もう売り競争の時代に入っておると思うのです。そうなりますと、今度の提案もさっき岡田君からもお話がありましたように、われわれも新聞で見ただけですが、見ただけでも、貸与または売却となっております。そうなるとこれは自由売買になる、ただ違いますのは濃縮度がちょっと違う。これはもうほんの程度の問題であって、濃縮度を二〇%以上にしましても、もうすでに自由販売の段階に入ってきておるのであります。そうなりますと、日本はケースバイ・ケースで、アメリカのみから買う必要はないのであって、よりいいものを、より安いところから自由に買い取って利用してよろしい、こういうことになると思うのですが、そういう考えがあるかどうか。それからもう一つは——私どもはそういう情勢判断をいたしますが、そうなるといずれの国を問わず、ケース・バイ・ケースで、こちらが必要とするときにそれに合うものを買うということが一点、同時に、そうなりますと、昨年結びました日米間における原子力協定というものは、これはいろいろの制限がついておりますが、日本の自主、それから平和利用、民主主義の原子力基本法の三原則から見ますと、これはない方がいいにきまっていると思います。そういう特殊な制限を加えられる貸与協定というものは——ただこの場合におきましては買う場合よりは借りる場合ですから、金は少し違うけれども、これも私は将来は無条件による賃貸または貸与ということが、可能な段階に入ってくるのじゃないかと思うのです。そうなりますと、第二の質問としては、そういう情勢判断に立ちますならば、昨年の協定はもう有害無益なものに考えられるが、そうなると話し合って、こういう協定はやめるというようなことが考えられるが、先の見える正力さんですから、少し商魂と士魂とをかねて、一つはっきりした答弁をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/32
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033・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまのお話、まことにごもっともです。私個人としてはむろんそれで行くべきものと思っております。またそうなりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/33
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034・岡田春夫
○岡田委員 そうなるだろうということで、私伺いたいのですが、買うとなると問題が一つ起るわけです。日本の所有権によって原子力ウランを使って、日本の釜の中で運転するというと、今度プルトニウムが日本の所有権で生産されるわけです。これは日本ばかりではありません。アメリカがもしあらゆる国々に濃縮ウランを売るとするならば、プルトニウムがあらゆる国において作られるということになる。そうするとこれは原爆になるということです。日本でも原爆を作り得る条件が出てくるということです。それから日本の場合にこのプルトニウムの生産についてどういう形で対処するかということと、もう一つ伺いたいのは、日本ばかりではない。台湾でもプルトニウムを作るわけです。あるいはその他の国においても作るわけです。あらゆる国が原爆を持ち得るということです。そういう場合にこれを管理して原爆を使わせないようにするためには、どういうようにしたらいいか。その点が一つと、日本の国内においてプルトニウムを戦争の目的のために使わせないということのためには、一体どうしたらいいか。そこの点について、これは重大な問題ですから御意見を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/34
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035・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまのお尋ねでありますが、原子力は先ほど申し上げたように平和にのみ利用するものです。平和以外には利用いたしません。従って戦争に使用させるようなことはしてはいかぬと私は思っております。しからばどういうふうにしてそれを防ぐかということについては、またよく相談しなければなりませんが、いずれにしても平和に利用することに限っておりますから、戦争には使わせません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/35
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036・岡田春夫
○岡田委員 私の言ったのは二つあるのです。国内では使わせませんというのが基本法であるから、それを一応信じたとしたならばそれは使わないで済むかもしれません。しかしほかの国でプルトニウムがどんどんできて原爆ができた場合に、隣の台湾でも持つ、中華人民共和国でも持つかもしれない。そうなってきた場合に、これをどういうようにして使わせないようにするかということは、原子力関係の大臣として何か御抱負があるだろうと思うが、こういう点についてはどういうようにされるかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/36
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037・正力松太郎
○正力国務大臣 繰り返すようでありますが、原子力というのは平和以外には利用せぬということになっておりますから、もしもそういうような問題がありますればそれこそ重大問題であります。よく相談してそういうことをさせぬように極力努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/37
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038・岡田春夫
○岡田委員 ですから国際管理機構が必要になるのです。原子力の国際プールが必要になってくるわけです。ですからさっきあなたに原子力の国際プールの案についてはどういう考えを持っておるかということを先に伺ったわけです。国際管理機構の案については日本側としてはどういうお考えを持っておるのですか。このことが原子力を原爆に使わないための一つの方法としてあるのだと思う。まだほかにも方法はあります。原子力のプール案について今会議が行われておる。この案について日本の政府としてはどのようにお考えになっておるか、この点の御意見を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/38
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039・下田武三
○下田政府委員 原爆の製造が今日のような少数の大国だけに限られず、各国に普及しましてどんな小さな国でも原水爆が作られるという事態になりましたら、これは当然私は軍事的の使用禁止に関する国際協定の成立を容易ならしめると思うのであります。現在はごく少数の大国が原水爆兵器を所有して、それによって世界をリードしておるわけでありますけれども、これがかりに小国が、たとえばパナマのような小国が原水爆を握って、隣りのアメリカのような大国に向って、おれの言うことを聞かないと原爆をぶっぱなすぞとおとしてごらんなさい。これは国際的なアナーキーになってしまいます。そうすると現在の大国のみが持っておる時代とはまるで違ってくるわけです。そういう事態になりましたら、かっての毒ガス禁止が容易に国際協定化したと同じように、原水爆兵器禁止という協定が成り立つことになると思います。しかし直ちに来年そうなるかどうかという点は、まだそこに達するまでには幾多の過程を経るだろうと思いますけれども、全般的の傾向からいいますと、今日大国の独占ということがなくなった暁においては、国際協定の成立はきわめて容易になるであろうということだけは申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/39
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040・岡田春夫
○岡田委員 容易になるでしょう。しかし特に問題になるのは、先ほどあなたが御答弁なったように、協定を結ばないで単に売買契約によってやり得るようになってくると、パナマにしろどこの国にしろ、プルトニウムの生産ができるようになってくるわけです。それだけに国際原子力の管理機構が必要になってくるのだと私は思う。そういう意味で国際管理機構というものについて先ほどから伺っているわけです。
そこで一点伺いたいのだが、中華人民共和国はソビエトとの間に原子力協定を結んで、今原子力の研究をやっておるわけです。そうするとアメリカがウランを放出するということになってくると、ソビエト側も濃縮ウランを持っておりますから、中国においてもプルトニウムの生産がやれるようになってくると思う。日本のお隣りの国である中国にプルトニウムの生産ができる、こうなってくるとかねがね日本の国は自衛だとか——きのうの鳩山総理大臣の答弁だと、基地を侵略するということまで言い出しているのですから、この基地を侵略するという相手国側に原爆があるとするならば、この原爆を使わせないようにしなければならないと私は思う。原爆を使わせないようにするためには ここで下田さんに伺いたいのだが、原子力国際プールの機関の中に中華人民共和国をも加盟させることが、日本の政府として望ましい態度でなければならないと思う。この点は一体どういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/40
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041・下田武三
○下田政府委員 私は何も中共が原爆を持つに至るから国際機構に中共を加盟さすべきだということにはならないと思います。これは何も原爆関係の国際機関に限らず ユネスコでありますとか、ILOとか、現在日本でもいろいろな会議も行われるようになりましたが、一般に国際機関における中国というものの代表権を、中共側に認めるか台湾側に認めるかという問題の一環にすぎないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/41
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042・岡田春夫
○岡田委員 それじゃ野放しにしておいていいというわけですか。現実にプルトニウムを作るようになったら、日本の国はこの点がおそろしいのならば——私は中国ばかりじゃないと思う。そういうようなプルトニウムの生産をやる国は全部国際原子力の機関の中に加盟すべきだと思う。そうでなければほんとうの原子力の国際管理機構というものは確立されないと思うのです。中国は条約上違うからこれは入れないんだといっても、その違うといっておる国が実力を持っていて、プルトニウムの生産を始めた場合に、これを入れないで野放しにしておいていいかどうかということになる。それは条約上どうなるかという問題ではなく、現実の問題です。その場合に日本政府としては、入れるべきだとお考えになるべきだが、正力さんはいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/42
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043・正力松太郎
○正力国務大臣 私も同感です。原子力を野放しにしておくことはできません。そういうことがかりにできてきたならば、みんな入れなければなりません。それは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/43
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044・岡田春夫
○岡田委員 いいですね。大臣が言ったことは間違いないんだから、あなたがいかに外務省の立場で言ったってだめですよ。これは現実の問題だから、正力さんは入れるべきだと言っておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/44
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045・下田武三
○下田政府委員 問題のもう一つの面があるのでございます。それは原水爆の国際管理というものの成立を日本が望むのは、何も中共がプルトニウムを持つようになるからではないのでありまして、日本は最初の原爆の被害国として早くから、中共がプルトニウムを持つに至るか至らぬかという問題とは無関係に、まことにシピヤーな気持で原水爆禁止、実験の禁止を叫んでおるのでありまして、国会でも累次の決議がなされまして、政府としてはあらゆる機会を通じて、あらゆる方法によってこれを叫んでおるのでありますから、これは中共がプルトニウムを持つかどうかということとは無関係に、その必要を叫ぶ地位にある、そういうことであります。そこでしからばその機関に中共が入るべきかどうかという問題は、これは何も原水爆の国際機関に限らず、一般的に国際機関に対する代表権を認めるかどうかという問題の一環にすぎないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/45
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046・松本七郎
○松本(七)委員 大臣にちょっと伺いたい。原子力を平和以外には絶対に使わない、その御決意、熱意は非常に頼もしいと思うのです。そこで今の国際管理の問題になるのですけれども、現在のところこれはまだできてないわけですね。大臣としてもおそらくそれが早くできることを望まれるだろうと思います。そこで今日のように原子力が急速に進んでくれば、今下田さんが言われるように、最初の被害国である日本は、直接まだ原子爆弾を持った国でもなければ、動力原子炉をまだ持っていない国ではあるけれども、最初の被害国として、やはり世界にアッピールする力というものは非常に強く持っている日本ですから、この国際的な原子力の管理案に対して、日本としては、こういう案で世界はいくべきだという積極的の案を各国に提案するくらいの熱意を、私は一つ正力大臣に持っていただきたいと思う。現にたとえばアメリカから言っておる室中査察案というようなものもあります。けれども原子力の禁止をやらないで査察だけをやったのでは、これはやはり疑心暗鬼を生んで、かえって原子爆弾の競争になるんですね。そういう危険をはらんでおる提案については、これは反対論が出てくるのは当りまえだと思う。そういうふうに両者のまだ一致しない、二大国米ソがこの管理案にしろ、禁止案についての方策にしろ一致しないときですから、しかも原子力は急速に発展してくる、この段階において、やはり私は日本においてそういう案を積極的にすみやかに作って、そうしてこれを世界に訴えることを一つ正力さんがまっ先に立って、平和利用を進めると同時にこれをお願いしたい。そういうお気持があるかどうか。並びに私は鳩山内閣としても正力さん、一つ閣議でこのことを大いに強調していただきたいのですが、憲法調査会を作ることよりも、まずこの原子力の国際管理の調査会でも作って、そうして積極的にこれと取り組んでいただきたいのですが、一つその御意思があるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/46
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047・正力松太郎
○正力国務大臣 今の話まことにごもっともなことでありますから、けっこうだと思います。なおよく考慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/47
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048・岡田春夫
○岡田委員 先ほどの大臣の御答弁、非常に私も意を強うしたし、これは重大な答弁をされておると思う。やはりあらゆる原子力の研究をやり、原子力を持っておる国は、国際原子力機構の中に加盟すべきだと私は考える。こういう点について日本政府としては、それを堂々と世界に訴えるべきだと思う。これは今松本暦の言われた通りだ。この点について十分訴えられるおつもりがあるかどうか、原子力委員会としてもその点を十分世界的に訴えるおつもりがあるかどうか、この点念のために伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/48
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049・正力松太郎
○正力国務大臣 今の話まことにごもっともと思いますが、世界に率先して訴えるかどうかということについては、なおよく考慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/49
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050・岡田春夫
○岡田委員 今の点をもっとはっきり言えば外務省は困るのですから、もっとはっきり言って下さいよ。
そこで話を少し変えましょう。ソビエトとエジプトの間に協定が結ばれました。イギリスとインドの間に協定が結ばれました。これをどういうようにお考えになりますか。
それからきょうは課長がお見えのようですから、この協定の内容をあとで資料として御提出を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/50
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051・下田武三
○下田政府委員 ただいまその資料を持っておりますかどうか私は存じませんが、入手次第差し上げるようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/51
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052・岡田春夫
○岡田委員 大臣感想はありませんか。どういうふうにお考えですか。原子力のエキスパートだから大臣の感想を聞いているのです。原子力担当の課長がいるから、課長でもいいですよ。感想はないのですか。テレビと同じように原子力を五年以内に実用化するというのだから、何か言ったらいいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/52
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053・正力松太郎
○正力国務大臣 御趣旨はまことにごもっともなお話だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/53
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054・岡田春夫
○岡田委員 いやいや、これは困った。(笑声)ソビエトとエジプトと協定を結んだ、イギリスとインドと協定を結んだのは非常にごもっともだ、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/54
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055・正力松太郎
○正力国務大臣 それはちょっと違いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/55
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056・岡田春夫
○岡田委員 もっともだと思うなんて困るよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/56
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057・下田武三
○下田政府委員 中近東諸国で、最近はタンクでございますとか、ミグのごとき航空機もソ連圏から輸入しているようでございます。従いまして原子関係の物資をソ連圏から中近東のある国が輸入するといたしましても、これは私は別に驚くべき事象ではないと思います。より条件の有利な国からほしいものを求めるということは、国際間の自然な流れでございますから、そういうことが起りましても、別段驚くことはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/57
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058・岡田春夫
○岡田委員 私は驚いておりません。非常に喜んでおります。どんどんこういうふうに原子力についてあらゆる国との協定の結ばれることは、喜ぶべきことだと私は考えている。特に正力国務大臣に一言申し上げておかなければならないことは、セイロンはアメリカとの協定で——御承知のようにセイロンという国はゴムを中共に輸出した国です。そのためにあらゆる経済的な制裁を加えるということで、アメリカはいろいろな援助をしないと言っていた。ところが最近になって東南アジア、アラブ諸国に対して、ソビエトがどんどん経済援助をやるようになった。アメリカは非常にあわてて、今まで制裁を加えると言っていたセイロンに対して、今度は原子力協定をやるというのですが、そのときのコテラワラという総理大臣は私は偉いと思う。鳩山さんよりも偉いな。正力さんよりも偉いかもしれない。というのは、アメリカとの協定でひもがつくのなら私はお断わりだとはっきり言った。ひもがつくのならば、これはアメリカとの協定を結ばなくてもいいと言い切っている。これは重大なことだ。だから私は先ほどからあなたに聞いている。ひものつくような貸与協定などをやりなさんな、ひもがつかないならば、ほんとうに売ってもらえるような協定をやって日本の原子力研究を進めなさい、こう言っておるのです。だからこういう意味でもうあらゆる国々において、アメリカがひもをつけるならそんな協定は結ばない、そういう現われとしてエジプトとソビエトとの間に協定が結ばれた、あるいはイギリスとインドとの岡に協定が結ばれた、こういうような状態になってきた。このことは何を意味するかというと、アメリカの原子力独占の時代はもはや終ったということを意味しておる。だから今や日本は自主的な立場に立って研究を進めなければならない段階に来ておる。そのためにはさっきから再三申し上げておるように、原子力の国際管理の機構を早く確立しなければならぬと思っておる。そういうことが重要だと思う。同じことを繰り返すことになりますから、この点は意見として申し上げてこの程度にしますけれども、最後にその点についてどういう御感想を持っておられるか。もう一つは細目協定の交渉が今始っておるはずです。この細目協定は大体いつごろアメリカとお結びになるのか、なぜ今日までおくれておるか、これを国会に提出するということは重光外務大臣が再三言っておりますが、お出しになるのか、この点についても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/58
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059・正力松太郎
○正力国務大臣 いろいろお話がありましたが、私根本的に申し上げたいと思います。何んでもかんでもアメリカと結ぶ気はないのです。アメリカとやるのが得だから、国家のためによいからやるのです。もしアメリカ以外によいことがあれば喜んでやります。すべてのことは言うまでもなく国家本位ですよ。日本のためにならぬことは断じてやりません。それはどうぞ御安心して下さい。これは当然のことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/59
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060・下田武三
○下田政府委員 細目協定は日本に設置いたします原子炉のタイプがきまりましてから、従ってそれにどういうものが要るということがきまりますので、原子炉設置のタイプがきまってからという建前でございましたが、大体見当がつきましたので、予想よりも早く、つまり原子炉設置の実現を見る前に締結し得る見通しとなって参りました。しかしこの細目取りきめを国会に承認の対象として正式に御提出いたしますか、あるいは資料として差し上げることに相なりますか、これはただいまのところ見通しがつきません。細目取りきめの内容によりましてきまるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/60
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061・岡田春夫
○岡田委員 大体原子力の細目協定は四月ごろに締結することになっておるのじゃありませんか。課長、御存じでしょう、知りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/61
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062・下田武三
○下田政府委員 最も早くいきまして、あるいは四、五月になるかもしれません。それより早くなることはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/62
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063・岡田春夫
○岡田委員 二十四日の原子力委員会に四月ごろという報告があって、それを了承しているのじゃありませんか、どうなんですか。正力国務大臣御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/63
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064・正力松太郎
○正力国務大臣 そういうことは私知りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/64
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065・岡田春夫
○岡田委員 知らぬことはないですよ。河崎国際協力局長が四月に締結できると報告しています。あなたそのときいなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/65
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066・正力松太郎
○正力国務大臣 ちょうどそのとき出ていなかったので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/66
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067・岡田春夫
○岡田委員 それではそれはいいですが、せっかく課長が見えたのですから一点だけ伺います。正力国務大臣は五年以内に原子動力用発電をやると言っておられるが、実際やるのですか、やらないのですか。動力用発電は採算が合うのですか、合わぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/67
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068・正力松太郎
○正力国務大臣 この問題はたびたび質問されますが、原子力の委員会で声明した通りに、五年間にやるように努力するということは、委員会一致できめております。しからば果して五年間でできるかどうかということについては、これこそ全く見通しでありますから確言を申し上げることはできません。しかし、私はできるだろうと思います。この前申しました通りに、もうすでにイギリスはことしの秋に原子力の発電をやりますし、アメリカは来年発電をやります。こういうふうにもう外国はみな今年、来年と発電をやるのです。日本は原子力も理論物理、基礎学においては劣ってはいないのです。この基礎的な知識があって、しかもこの原子力はそれこそ先ほどのテレビ以上に日新月歩です。だから今できないと思ってもすぐできるようになるかもしれないので、五年ということは決して無理ではなし、また採算が合うということは明言ができませんが、結局この日新月歩から考えて、そこまでいくのではなかろうか、これは見通しであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/68
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069・岡田春夫
○岡田委員 その見通しは間違っておると思います。それはどうしてかというと、去年の国際原子力のジュネーヴの会議に、ウランによって、熱中性子によって原子動力用発電をやる限りは石炭と比べて安くならない、石炭よりも安くなる原子力の研究は不可能だという結論がイギリスから一応出されております。だからウランではだめです。まだトリウムの方が安い。そういうような点から考えて、ウランによって、いかにあなたがさか立ちになってやられても、テレビのようにどっこいうまくいきませんよ。これは採算が合わないのです。トルウムでやるか、その他の方法でやらざるを得ないわけです。今イギリスで研究しておるのは、トリウムの場合と、もう一つ高速中性子の研究であります。この高速中性子の研究をやって、ゼロ・リアクターを動かすようになれば、これは石炭と比べて採算が合う。この研究を今日本がやらない限り、五年以内に動力用発電をやるというのはナンセンスです。ウランでやっておったのでは、そんなことはできません。熱中性子を通じてやっておる限りにおいては決してできないと思う。こういう点技術的にそういう可能性があるのかどうか、課長として技術的にもし御意見があれば伺いたい。それから今申しましたように高速中性子による研究を日本は進めておるのか、進めるつもりがあるのか、最後にこの点だけ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/69
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070・堀純郎
○堀説明員 ただいまは、ウランによっては採算に乗るような原子炉はできないであろうというようなお説でありましたが、そういうことを唱えておる学者も世界にはおります。それから将来トリウムによれば採算に乗るだろうということでございますが、その見通しは、トリウムを使いますと、いわゆる増殖炉という炉になりますから、これになればおそらく採算に合うだろうと私は思っております。それからもう一つ、高速中性子を使うという点でございます。これはウランを使う増殖炉であります。これを作ればやはり将来採算に合うだろうと思っております。それからただいまそういう増殖炉の研究をすでに始めておるかどうかというお話でございますが、これはただいままだ着手いたしておりません。しかし、遠からずして日本としてもこれに着手するだろうと思っております。そういたしませんと、将来原子力発電を盛んにするということは無理だろうと思います。将来の傾向は世界的に見ましても全部こちらへ参る、日本も従ってその道を歩むものと技術的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/70
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071・岡田春夫
○岡田委員 トリウム並びにウランを使用する高速中性子の研究というのは日本ではまだやっていない、これからやらなくてはならないということですが、これでなければ採算には合わないのです。今の熱中性子では私は採算は合わないと思う。そこで正力国務大臣の問題になってくるのですが、この研究をこれからやるとすれば、五年以内にこの研究はおそらくできないと思うのです。そうすると、採算に合うような原子動力用発電というのは、五年以内にはできないという結論になってくる。なぜならば、イギリスでさえこの研究は二十年かかると言っておる。イギリスにおいて二十年かかるのなら、日本がいかにしゃちほこばってやっても、五年以内にそんな研究はできませんよ。そうすると採算に合うような動力用発電は、五年以内にできないという断定を下さざるを得ないではないか。あなたはやりたい、やりたいと言っておるが、それはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/71
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072・正力松太郎
○正力国務大臣 岡田さんの原子力に関する研究の行き届いた該博な知識には驚きました。私はしろうとでありますから、専門家に相談しておるのですが、専門家はみんな研究しておるのです。私がやらしておる専門家は、岡田さんより知識はずっと上です。その専門家を信頼して、専門家が努力するのを——私はしろうとであるが、原子力の担当として、いかに専門家を督励するか、いかに専門家をして働きやすいようにするかというのが僕の仕事です。その専門家によりますると、少くとも五年以内には発電はできるだろうという見通しがついておるのでありますから、どうか岡田さんこの点は御安心して下さい。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/72
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073・前尾繁三郎
○前尾委員長 それでは三十一年度外務省関係予算について外務当局より説明を聴取いたします。森下政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/73
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074・森下國雄
○森下政府委員 外務省は御承知のように非常に多岐にわたる仕事をやらなければなりませんのに予算が少うございまして、昨年度は五十八億でございましたが、本年は皆様方の御理解ある御援助をいただきまして、ちょうど七億円ですか、こまかに申し上げますと六億九千九百万円本年はふえて参りまして、それをそれぞれ配分いたしまして重点的に使うことにいたしました。しかしながら経済外交を初め、あらゆる方面に仕事をやらなければならない来年度に入りまして、ぜひとも皆様方の特別なる御支持をいただきたい、かように考えます。詳細の点は会計課長から御報告をいたしますが、何とぞお聞き取りを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/74
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075・中川進
○中川(進)政府委員 ただいま政務次官から御説明申し上げましたように、本年度の外務省予算に比べまして明三十一年度の外務省予算は六億九千九百万円、約七億円の増になっております、さらにこのほかに、外務省に直接ついておりませんが、外務省関係の予算といたしましては、懸案の庁舎の建築資金の一部といたしまして一億円が建設省についております。それから昨年できました移住会社に対する投資といたしまして一億二千五百万円というものが出資金といたしましてこれが大蔵省についております。
次に、この内容について御説明申し上げます。
まず一番初めに外務省の一般の行政に必要な経費といたしまして約五億五千万円入っております。
その次に外務省とそれから出先公館との連絡に要する費用、おもに電信料等でございますが、これに一億五千八百万円入っております。
次に在外公館に対する電信事務の適確な処理及び通信施設の改良、整備というもののために二千九百万円入っております。
それから、その次が国会で特に問題になりました報償費でございますが、昔の機密費にほぼ該当する費用でございます。これが昨年から比べまして一億五千万円増加となりまして、三億七千八百万円入っておるのでございます。
その次がアジア諸国との経済協力、おもにコロンボ・プランその他の海外事業の費用でございますが、これが一億一千八百万円入っております。
賠償実施業務の処理に必要な経費といたしまして、二百五十六万円、それから国際連合への協力に必要な経費八千九百万円、情報啓発事業実施に必要な経費といたしまして千六百万円、国際会議参加及び国際分担金支払い等に必要な経費といたしまして二億八千三百万円入っておるのでございます。
それから在外公館等借入金の整理事務に必要な経費といたしまして、百七十八万円、日量文化会館及びヴェニスにおきますところの日本館建設費補助に必要な経費といたしまして二千五百万円入っております。
それから、そのほかのアジア局、あるいは欧米局、経済局、情報文化局等の各局のおもに運用の予算でございますが、一括いたしまして約一億二千八百万円というものが入っております。
それから旧外地関係の整理事務費といたしまして七百万円、旧外地官署引揚職員等の給与支給に必要な経費といたしまして四千万円、移住振興に必要な費用といたしまして六億七千九百万円それから移住あっ旋所業務処理に必要な経費といたしまして三千万円入っております。
以上を合計いたしまして外務省の本省につきましたお金は二十五億四千二百万円ということになっておるのでございます。
次に在外公館につきましたお金の内容を御説明申し上げます。在外公館の事務運用に必要な経費といたしまして三十七億六千二百万円というもが入っております。それから在外公館の新設、今度は五ヵ所新設が認められましたのでございますが、それに必要な経費が一億二百万円ということになっております。既存の在外公館の増強に必要な経費としまして六千百万円が入っております。それから対外宣伝及び国際文化事業等実施に必要な経費といたしまして四千九百万円、国際会議事務処理に必要な経費といたしまして千百万円、これを合計いたしまして在外公館のために必要な経費といたしまして総額三十九億八千七百万円が入っておるのでございます。
きわめて大ざっぱな説明でございますが以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/75
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076・松本七郎
○松本(七)委員 たとえば今度の日ソ交渉など、そういうことに要する費用は款項からいうとどこから出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/76
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077・中川進
○中川(進)政府委員 これは外務省の予算ではございませんで、平和回復善後処理費というものが、ございまして大蔵省所管になっておりますが、その中から必要なたびごとにもらって参りましてまかなっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/77
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078・松本七郎
○松本(七)委員 伝えられるところによると、四ヵ月以上たつと経費が少くなるとかいうので、向うの大使は非常にいい生活をしているにかかわらず、全権団はだんだんホテルを変ったり非常にみじめな生活になってきているということが伝えられているのですが、そういう事実があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/78
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079・中川進
○中川(進)政府委員 ただいま御指摘の点は、外国旅費の問題だと思うのでございます。全権団が今ロンドンに参っておりますが、これは外国出張費ということになっておりまして、現在の旅費法によりまして外国に長期滞在をいたしますと、旅費が逓減していくごとになっておるのであります。一カ月たつと二割減、二カ月たちますと三割減ということになっております。その点で今御指摘のような、向うに在勤しております館員に比べまして、出張しておる者は非常にもらうお金が少くなっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/79
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080・松本七郎
○松本(七)委員 ああいう重要な任務を持っておって、長くなったからといってホテルを変えたりすることは、みじめなみっともない話でありますから、何か便法でもってもう少し優遇する方法が談じられないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/80
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081・中川進
○中川(進)政府委員 外務省の役人も公務員でございまして、法律に縛られるわけでございますから、法律の規定に違反してよけいに旅費を出すということは不可能でございます。ただしこの制度はどうしても御指摘のように不都合だ、少くとも妥当でないと思われますので、ただいま大蔵当局に対しまして、この旅費法の改正方を申し入れ中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/81
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082・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、現在すみやかにそれによって処置が講じ得る見込みでしょうか。それでないとすれば、政務次官にお伺いしたいのですが、何か他に便法——規定を曲げることはできない、違反することはできないと思いますが、機密費だとか、そんなことで一時回すとかいうような便法が講ぜられると思いますが、何かそういうことを考えておられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/82
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083・森下國雄
○森下政府委員 これは容易ならざることでありますので、至急便法を考えて講じたい、かように考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/83
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084・中川進
○中川(進)政府委員 ただいま政務次官からお答え申しましたように、私どもといたしましても、できるだけ現在の法令の許す範囲内において、全権団に居心地よく安心して交渉をしていただきたいと思いまして、できるだけの努力はしておりまして、たとえば従来のあそこの交渉には交際費というものは特についておらなかったのでございますが、昨年の十二月以来交際費といりものを新しく大蔵省にお頼みしまして、つけていただきましたり何かいたしまして、できるだけ全権団に外交活動を存分にしていただけるようにしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/84
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085・松本七郎
○松本(七)委員 これはちょっと話が違うのですが、前から外務大臣には私御注意していたことなので、あまり詳しく言うのは恐縮ですけれども、実は今度アメリカ大使で行かれた谷さんが、交際費をずいぶんよけい使って、外務省にツケを回したというようなことが伝えられておるのです。これについては実はこの前も委員会で外務大臣にちょっと申し上げたのですが、これは多分内容を申し上げないと話しになりませんから、少し申し上げますが、今度赤坂でずいぶん飲んだり食ったりするツケを外務省に回しておるということが伝えられておるのですが、それと実は関連のあることを外務大臣に私はそれとなく御注意していた。それはわれわれのところに投書がきた。これは谷さんが巣鴨におられた、ちょっと名前を忘れましたが、戦犯になられた元の軍人さんと関係が深い。——そういう私行をずいぶんいろいろあげて、そういうことはここでは申しませんが、それと関連して赤坂に谷さんがしょっちゅう行かれて、酒の席でフィリピンの賠償問題などに触れて、自分が賠償はこういうふうに片づけるのだ、あるいは今賠償交渉がこうなっているということを公言される。そういう酒の席で——酒を飲まれること自体をどうこう言うのではないけれども、そういう公けに関することを言われることは、非常に困るといってわれわれのところに投書が来たのです。そのころちょうど谷さんをアメリカ大使にというようなうわさがあったものだから、その人は心配をして、そういうことの多い谷さんはアメリカ大使には不向きだ、それを問題にしてくれと言ってきておる。憂国の至情やみがたくわれわれのところに言ってきた。そういう公けの問題をあからさまに出すことは、はなはだ心もとないので、私は大臣に特にこのことはそういうこともあるので注意してもらいたいということを内々申し上げておったのですが、最近また巷間伝えられるところによると、そういう赤坂におけるツケが全部外務省に回っておるということが言われておるのです。それは交際費の名目か、また実際に交際されたのかどうか知りませんけれども、そういうツケを外務省が払ったという事実はあったのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/85
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086・中川進
○中川(進)政府委員 谷顧問が実際赤坂でお酒をお飲みになりましたかどうかということは、私も全然存じないのでございますが、顧問をしておられます関係上、やはり必要な外交活動は必ずしもオフィスの中でのみ行われるというわけでもないと思いますから、そういうこともあり得たかと存じますが、私どもといたしましては、そういう設宴ということになりますと、一々こういう理由で、こういう人を呼んで、こういうところでこれくらいの予算でやるのだということで、事前に上司の御決裁を得て初めて行われるわけでございますから、谷顧問は、外務省で払いましたというときには、そういう成規の手続を必ずおとりになっておることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/86
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087・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、その顧問が省外でいろいろ外交活動に必要な接待その他をやるそのツケというものは、いついつの費用これこれの顧問というふうに、個々に外務省の会計の方に回っていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/87
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088・中川進
○中川(進)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/88
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089・松本七郎
○松本(七)委員 政務次官にお願いしたいのですが、今申し上げたようないきさつがありまして、これはわれわれとしては相当実際に問題にしなければならぬことだと思う。政務次官から大臣にきょうの私の発言内容をよくお伝え置き願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/89
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090・森下國雄
○森下政府委員 仰せの通りこういうことを一つ大臣にもよく申し上げまして、その趣旨をお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/90
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091・森島守人
○森島委員 昨年二、三カ国と文化協定が結ばれたそうですが、この文化協定には何らか予算の裏づけがございますかどうですか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/91
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092・田中三男
○田中(三)政府委員 現在御承知のように五つばかりの文化協定ができておるのでありますが、そのうちフランスの文化協定は二年ばかり前から効力を発生し、その他のものは昨年の秋に効力が発生いたしたわけでございます。そこで来年度の予算でございますが、この文化協定に関しまして直接予算がついておりますのは、メキシコに日墨文化会館を建てる、この補助の予算が二千三百万円、それからヴェニスの日本館建設の補助金として三百万円ついております。そのほかは別段具体的にこの協定にはこういうことをやるという関係の経費は組まれておらないのでございます。と申しますのは、文化関係の事業の内容が報償費的な関係でございまして、大蔵省の方にはいろいろ予算折衝したのでございますが、そういうはっきり画一的でないようなものは、報償費の方を使うようにというふうな主計局からの話などがございまして、今年審議願っておる予算案につきましても、従来とあまり変っておらないのでございます。報償費は多少増額を見るようでございますので、この報償費を私どもとしては相当部分文化関係の方に使わしてもらいたい、こういう心づもりで今内々いろいろの案を立てまして、外国側とも話をし、また省内でも官房等にお願いしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/92
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093・森島守人
○森島委員 日本側でこういう文化協定の実際の事務に当る機関は、外務省でむろんおやりだと思いますが、そのほかにも補助団体等があろうと思います。国際文化振興会でございますか、これなんかもその一つだと私は思っておる。それは間違いありませんか。——そういたしますと、国際文化振興会なるものに対する補助金、こういう項目が載っておりますが、私はあまりに少いと思う。第一国際文化振興会には何人くらいの人が働いておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/93
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094・田中三男
○田中(三)政府委員 国際文化振興会に今働いております具体的な数はちょっと記憶がないのでありますが、大体七、八名……(「二、三十名だよ」と呼ぶ者あり)ただ国際文化振興会は、外務省の補助はわずかに二百万円そこそこでございますが、さらに民間の寄付を得ましてやってきておるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、二百万円ばかりの補助金でもって文化事業——特にわれわれとしては外務省の外郭団体と心得て、できるだけこの機関をもって文化振興をやりたい、こう考えておる次第であります。決して十分とは考えておらないのでありますが、なかなか予算の関係で補助金を取るのはむずかしいのでございます。そこで補助金は今年度も今のところ増額に成功しなかったのでございますが、実際の事業の面で援助をいたしたい、かように考えて、今申しましたようなあの中に織り込んで計画を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/94
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095・岡田春夫
○岡田委員 関連して情文局長にちょっと伺いたいのですが、私は文化協定の面を報償費の方から出すということについて問題があると思うのです。と申し上げることは、私の記憶が間違いないとするならば、フランスとイタリアの協定の場合には、協定の条文の中に混合委員会ができることになっております。混合委員会というものは、当然経営費、既定経費として取るべきものだ、こういう既定経費、経常費として取るべきものを、報償費から出させるということは、私は筋としては通らぬと思う。その点が一点と、そういう点で報償費を使ってやっていくというならば、混合委員会というものは実際上動かしていないのではないか。混合委員会としての経費というものは取れてないということは、逆にいうと、混合委員会というのはまだできていないのじゃないか、協定があるのにやっていないのじゃないか、こういう疑問がわいてくるわけです。こういう点について一体実情はどうなっているか。それから混合委員会の運営は、フランスと日本の場合ならお互いに対等の立場において、十分に活用されなければならないと思うのだが、どうも情文局長を初めとして日本の外務省は、文化活動については熱意がないのじゃないかというように感じるのですが、こういう点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/95
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096・田中三男
○田中(三)政府委員 混合委員会の費用といたしましては、実はきわめて少額でありますが、役人以外の民間の方方の委員手当というものが、きわめて少額ついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/96
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097・岡田春夫
○岡田委員 経営費になっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/97
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098・田中三男
○田中(三)政府委員 委員手当というものが予算の中に組んであります。現在までのところ今申しましたように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/98
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099・岡田春夫
○岡田委員 報償費から出すというなら、筋が通らないということを言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/99
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100・田中三男
○田中(三)政府委員 それでは会計課長から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/100
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101・中川進
○中川(進)政府委員 ただいまのお話でございますが、委員手当と申しますのは、在外公館、先ほど一括いたしまして三十九億ということで非常に大ざっぱな御説明をさせていただいたのでございますが、この在外公館の中の一、二、三、四、五という数字がありますが、五の委員手当というのに七万二千円入っておるのでありまして、これは日仏、日伊合せて委員手当が今申しましたように七万二千円あるのでございます。
それから御質問の第二点の運営に関する費用は、報償費でやるのは間違いだという点でございますが、その点は運営に関する費用といたしまして直接日仏委員会運営に要する費用、あるいは日伊委員会運営に要する費用としては入っておらないのであります。しかし右両委員会の委員手当自体がまず入っておりますのと、それからさらに在外公館には会議費でありますとか、会場借料費でありますとか、渡切費でありますとかいう予算がついておりまして、委員会をいつでも開くことができます。従ってもちろん限度はございますが、現在の実情に沿うだけの予算的措置は一応ついておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/101
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102・岡田春夫
○岡田委員 在外公館の経費で出しておるということになりますと、混合委員会は、フランスならば先方の日本の大使館でやっているわけですか。日本の東京において混合委員会があるわけですか。在外公館の経費だけから見るならば、パリにあるように想像されるのだが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/102
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103・田中三男
○田中(三)政府委員 混合委員会は今御指摘のように、日伊文化協定と日仏文化協定と二つあるわけでありますが、日伊文化協定はまだ運営がきまっておりません。この間から大使館及びローマの方と連絡をとりまして、人選を進めております。ほぼきまりまして、われわれの案を出したのでありますが、向うからまだその回答に接しておりません。従いまして日伊の混合委員会はまだ成立しておらないのであります。従ってできておりますのはフランスだけでありますが、いずれもローマ、パリと東京相互に置くということになっております。委員は東京の混合委員会は日本側が三名、相手側が二名、パリなりローマの混合委員会は先方が三名で日本側が二名ということで、委員長はそれぞれ東京の場合は日本側が委員長になり、パリ、ローマの場合は相手国が委員長を出すということでやっておるわけであります。実際の費用から申しましては、民間の委員をお願いした場合の、きわめて少額の委員手当だけでありまして、実際の会合の費用等は大使館を利用したり、あるいは外務省の部屋を利用したりいたしますので、具体的に費用が要らないわけでございます。ただ混合委員会できめました事業を進めるのに経費が要るわけでございます。この事業は今申しますように予算的にははっきり組めませんので、われわれとしては話し合って、この仕事をやろうという話し合いがついた場合には、経費の点も十分会計当局と相談して、もしわれわれの持っておる費用が足りなければ、報償費守から出してもらうようにする、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/103
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104・岡田春夫
○岡田委員 それでは局長に伺いたい。おかしいと思うのだが、パリの混合委員会の方は在外公館から出すのはそれはそうだろうと思う。ところが今情文局長の答弁を聞くと、日本にもフランスの混合委員会があるわけです。するとこの経費は、額の多少は別として、筋道として伺っておくのだが、東京にある混合委員会は本省の経費としてこれは払っていくのが当りまえだと思う。本省の予算については御説明がなかったのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/104
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105・中川進
○中川(進)政府委員 私は在外のことかと思いまして、在外のことのみ御答弁いたしまして、失礼いたしました。本省に関しましても委員手当というものが、非常にわずかでありますが入っております。それから会議費も使います。そのほか会場借料費、その他使いますから、本省にも予算措置は講じてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/105
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106・森島守人
○森島委員 アジア諸国との経済協力に関する事務に必要な経費が一億千八百余万円計上されております。これは果して経済協力に用いられておるかいないかは私多少疑問があると思う。ここにあげてある財団法人国際学友会補助金二千二百万円、それからアジア協会の補助金三千八百万円、財団法人日華学会の補助金等が支出されておる、これは経済に関係があるかないかは別としまして、外務省の予算にしては相当な経費であるわけであります。この方面に力を尽されることは適当であると思いますけれども、しかしこれに比べますと、アジア以外の諸国との文化振興というふうなことに当っておるのは、私が先ほど指摘しました国際文化振興会ですか、これが主として当っておる。アジアばかりでなく数十カ国を相手にやる経費としてわずかに二百万円そこそこ、こういうことでは人件費ぐらいしか出ない。言葉を悪くとれば、外務省の退職者を養っておるというくらいで、実績を上げておらぬ。私はこの点に一そうの努力を払われて、いやしくも今後文化協定を結ぶ場合には、予算的措置を十分におとりになり、また文化振興会等に対しましても、十分なる御折衝を大蔵省並びに省内において御努力相なって、名実ともに文化振興を促進するという実績を上げられるように御配慮をされることが最も必要ではないか、こう考えておるのでございます。今年度はこれはいたし方はないけれども、来年度においてはこの方面に対して一そうの努力を払われんことを切に私は希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/106
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107・岡田春夫
○岡田委員 関連して。アジア協会に三千八百万円というのは、私の資料には書いてないのだからわからないけれども、それはどういうわけですか。国際文化振興会あたりは、たしかさっき田中情文局長は二百万円と言ったけれども、三百万円と私は記憶しているのだが、まあ二百万円でも三百万円でもいい。ところがアジア協会の方には三千八百万円も出て、文化振興会の方はそれくらいだ。アジア協会は何か特別なそういう仕事でもやっているのですか、その点が一点、アジア協会というのは一体何をやる団体なのかという点が第三点、第三点は、何か新聞等によると、アジア協会が中心になって今度はカンボジアに都市建設に行くという話があるが、この都市建設というのは、考えようによると、この前からカンボジア友好条約の質問で私は聞いているのですが、一部の人は新満州をあそこに作るという腹が多分にある。いわゆる侵略主義をああいう形で現わそうとしている考え方、都市建設という形で現わそうとしている危険が非常にあると思うのだが、こういうふうな都市建設のために予算的な措置を何か外務省として考えているのか、こういう点についても伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/107
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108・森治樹
○森説明員 アジア協会は、当時アジア関係の個別的な国を相手とする団体でないアジア全般を相手とする団体が多数ございましたので、それを昭和二十八年末になるべく統合したいという趣旨でアジア協会というものが設立されたわけでございます。アジア協会のおもな事業は、日本が一昨年十月に加入いたしましたコロンボ計画に基く日本の技術者の東南アジア地域への派遣、及び東南アジアから来るコロンボ・プランに基く技術者の受け入れ、及びアメリカのICA計画に基きまして日本で訓練を受ける学生が多数ございますが、これの受け入れあっせん、及び国連の諸機関が日本から専門家を派遣し及び研修生を日本に派遣するその受け入れ、これらのいわゆる技術協力に関する受け入れ、派遣のあっせん業務というのが、アジア協会の一つの大きい仕事でございます。もう一つの仕事は、アジア地域に関する政治、経済事情の基本的な研究、この二つがアジア協会の大きい仕事でございます。第三の御質問でございますが、カンボジアの都市建設の件につきましては、過般シァヌーク総理が日本に見えました際に、カンボジアとしてはインドのシムラにあるヴェトナムのダラトに相当するがごとき夏の避暑地がない、そこで何とか都市を建設したいのだが、これを日本の手で一つ協力してくれないかというわけで、カンボジア側としましては一つの償還計画を立てまして日本側に依頼があったわけでございます。これに応じまして、日本側としても、果してカンボジア側で提示されているような償還計画で都市建設ができるかどうか、その基本的な調査をやるのが先決問題であるからというわけで、外務省の予算の中から技術調査団を選定いたしまして、近く出ることになっております。従いまして、これはアジア協会の主宰するものではなくて、外務省が中心となって派遣する団体でございます。なお、このための予算というものは、カンボジア側では一応償還計画を立てておりますので、わが国の予算の中には計上いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/108
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109・岡田春夫
○岡田委員 ちょっとわからない点がある。そうすると、最近新聞に出ている岩田何とかいう人が行くというのは、あれはアジア協会として行くのじゃなくて、外務省として派遣するというわけですか。その点が第一点と、その償還計画があるというのは、調査費についても償還計画があるという意味ですか、それは都市建設の償還計画なんですか、そこの点不明確だと思うので、その点が第二点、第三点は、ジョンストンという人が今度来て東南アジア公社を作るというようなことを言っている。これはあとで一般情勢でいろいろ聞きたいと思っているので、これとアジア協会との関係はどういうようなことになるか。何かアジアの技術協力をやるというようなことを言っておるのですが、東南アジア協会との不可分の結びつきででも出てくるというような考えでもあるのか、そういう点も伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/109
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110・森治樹
○森説明員 第一点は、岩田アジア協会副会長に外務省が委嘱したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/110
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111・岡田春夫
○岡田委員 外務省として行くということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/111
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112・森治樹
○森説明員 はい。第二点の償還計画は、都市建設の計画実現のための償還計画でありまして、基本的調査は日本の予算で旅費及び滞在費を支出するということになっております。第三点のジョンストン氏のいわゆるアジア投資会社的な機関の設立という構想につきましては、詳細は承知いたしませんけれども、あの考え方というものは、御承知の通り、従来日本がエカフェ等の会議において提唱したところでございます。これが実現いたしました際には、これはアジア協会とは直接の関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/112
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113・穗積七郎
○穗積委員 政務次官お急ぎのようですから一点お尋ねいたします。直接予算の問題はあとで申し上げます。
昨年の暮れに片山哲さんが中国を訪問いたしました。そのとき周総理と文化交流について話し合いをいたしました。実はその前に、あなたの方の党に所属いたします上林山榮吉君が国慶節招待の国会議員団長として行きましたときに共同コミュニケを発表いたしました中に、文化交流の促進ということをうたったわけでございます。その話が出て、そこでそれを具体化するために、実は片山さん、周総理は調印者にはなりませんでしたが、その一行の諸君が対外文化協会の人たちとの間に文化交流に関する申し合せをして参りました。これは絵画、彫刻、建築、映画、演劇、そのほか科学等を含みます文化交流をしましょう。向うにはそういう機関がありますが、こちらにはその機関がないので、そこで片山さんまたはその所属する憲法擁護連盟が受け入れ機関になるのは不適当であるから、そこで調印者のあっせんをして、そして別の受け入れ機関を作ってこの申し合せを実行しょうということで帰って参りました。その後この問題は国内におきまして非常な支持を得まして、まず朝日、読売、毎日の三大新聞を初めといたしまして、広報関係の諸君も非常に熱心にこれを支持し協力する態度に出、それから今申しましたような各絵画、彫刻、演劇、映画並びに科学技術界、こういうものもほとんど代表的な人物が全部賛成されておる。一例を申しますと、科学界においては学術会議の議長の茅さんが率先して世話人に参加される、演劇界では久保田万太郎さん、絵画の関係では梅原龍三郎さん、音楽では山田耕筰さん、こういうような代表的な方々が参加されて、そのほか各界の文化関係の方々がほとんど賛成をされて、近く発会することになっております。その名称はまだきまっておりません。発会式できまるわけですが、いわば日中間の文化交流協会というような内容のものでございます。これに対して外務省は妨害されるおつもりですか、これを歓迎されるおつもりでございますか。この問題について一つ御所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/113
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114・森下國雄
○森下政府委員 これは実は私寡聞にして初めて伺ったのでございます。一つ省内とよく相談いたしまして、善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/114
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115・穗積七郎
○穗積委員 善処というのは、どういう意味ですか。具体的にその構成なり内容なり方針なりを聞いてみなければ、賛否の態度は明らかにできないが、その上のことであるというのか。今私が申しましたことはうそではございません。事実でございます。何らの政治的な陰謀も何も入っておりません。そういう政治思想を超越した純粋なる文化交流であります。政界の方面では、あなたの党では星島二郎、楢橋渡、北村徳太郎、平塚常次郎、池田正之輔、参議院の鶴見祐輔、こういうような諸君が、個人参加ではなく、党と相談をされた上で、こういう純粋なる文化交流については、特に日本と中国との古い歴史的の文化関係を見れば、これはぜひやらなければいけないということで、率先して党の了解を得た上で参加されております。この事実は間違いございません。そういうことをお聴きになった上で、その党から構成されておるこの内閣は、これに反対されるのか。そうではなくて、善処という意味は、そういうことはけっこうだ、具体的にどういうことで協力ができるかは別として、そういうものが望ましきものとして、正しく誤まりなくいくことに善処されるという意味かと私は了解いたしますが、さよう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/115
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116・森下國雄
○森下政府委員 もちろん賛成であります。個人でありませんから、よく調査いたしまして、必ず善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/116
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117・穗積七郎
○穗積委員 一例をお伺いしておきたいが、この前ここの席で外務大臣に実は私がお尋ねいたしましたら、外務大臣は明確にお答えになった。何の問題かというと、例の指紋の問題です。これは両国の文化経済の交流並びに引き揚げの促進、あるいはまた人事の往来等の場合に、すべてこの規定がじゃまになっておる。特に今度朝日新聞が主催になりまして、かの国の梅蘭芳を中心とする京劇を迎える計画がここから出発いたします。同時に、秋には東京におきまして、かの国の美術の展覧会をやろうと思っておる。これらはともにその準備のために、あるいは事後処理のために、来る人の滞在が二ヵ月以上になることは今から明瞭でございます。従って、これは終戦当時アメリカが、アジア人の生活の感情、ものの考え方を理解せずして、強制的にディレクティヴで作らしておった悪法であると考えるから、今後のアジア諸国との交流については、国交回復をしておる、してないは別として、政治的な悪意や陰謀がない限り、こういうアジア人のお互いの感情に反するような指紋をとるというようなことはないような措置を決定すべきだと思うが、外務大臣いかがでありますかということを申し上げたら、私も賛成ですから、そういうふうに実現するように努力いたしたいと、この委員会で御答弁になっております。今の文化交流問題を実施いたしますと、その問題がすぐ出てくる。金を出せ出さぬというような話は、これはあとの話でございますから、そういう外務省の予算の問題は別にして、今の外務省が金なくして実行のできる指紋の問題、これらはしごく簡単でございまして、先般これは法務省と打ち合せをいたしまして、法務省は大臣も次官も入国管理局長も、外務省にしてそういうふうな理解ある態度をとっておられるならば、われわれは全く異存はありませんという態度でおられるようです。ですから外務大臣もすでにその原則については了承されておるのですから、こういう文化交流に伴う長期滞在の場合に、これから除外する方法——その方法は具体的にいろいろあろうと思いますが、そういうことは当然われわれとしては考えますが、そういうふうに御協力いただけるものと理解してよろしゅうございますか、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/117
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118・森下國雄
○森下政府委員 御承知のように、入国管理令という、実はああいうものがありまして、その規定がありますから、これは法務省とよく協議しまして、善処していきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/118
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119・松本七郎
○松本(七)委員 いろいろな社団法人や財団法人に補助金を出しておるようですが、それは何を基準にして補助金を出すべきかどうかを決定されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/119
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120・中川進
○中川(進)政府委員 それが大きく申せば日本のためになる、外務省のためになるということを基準にして、補助金を請求しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/120
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121・松本七郎
○松本(七)委員 それを判定するのはどこでやるのですか。何か特別の機関か何かありますか。臨時に会議でも開くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/121
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122・中川進
○中川(進)政府委員 これは事務的にはもちろん事務当局のいろいろの意見がございますが、大臣の御判定に待つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/122
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123・松本七郎
○松本(七)委員 最終的にはもちろん大臣でしょうが、どこで検討し、立案するのですか。いろいろな団体ができてきた場合に、どれにやったらいいかということをやはり意見具申をするでしょう。それはどこで扱うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/123
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124・中川進
○中川(進)政府委員 この昭和三十一年度予算を例にとりましても、たくさん補助金がついておりますが、その補助を受ける団体の世話をしておる局がございます。そのおのおのの局長なり課長なりの意見をまとめまして、外務省全体の意見として決定するわけでございます。最後の決裁はもちろん大臣のされることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/124
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125・松本七郎
○松本(七)委員 その場合に、あらかじめ何か項目をきめて、こういうものに該当するものというような規定か何か作ってありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/125
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126・中川進
○中川(進)政府委員 これは従来のしきたりもございまして、各補助を受けます団体が、来年度はたとえばこういうような事業をしたい、ついてはそのためにはこういうふうな金をもらいたいという計画を全部出させまして、それを各所管の局課において審議いたしまして、大体これくらいのものをそれでは大蔵省に予算要求をすべきであるというふうにして、予算概算要求を提出しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/126
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127・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、たとえば今穂積さんの言われた、新しく中国との文化交流協会でも作ろう、これは非常に意義のあることだから、政府の補助を仰ごうというような場合、それは新しくできた協会から外務省のどこにその話をしたらいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/127
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128・中川進
○中川(進)政府委員 ただいまの松本先生の御質問でございますが、たとえば穂積先生のおっしゃられておりますような文化交流に関する一つの団体であるということでございましたならば、仕事の面から、主管の情報文化局長、あるいはまた政治的なインプリケーションが大きいということでありましたならば、もしアジア地域でありましたならばアジア局長というふうに一がいにどういう団体だからどうということはございませんので、外務省の主管の局長にアプローチしていただければけっこうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/128
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129・松本七郎
○松本(七)委員 そうすると、どこへ持っていくかよくわからぬ場合は、会計課長のところに行けば、どこに持っていけばいいかわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/129
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130・中川進
○中川(進)政府委員 その場合には一つ官房長のところへお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/130
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131・穗積七郎
○穗積委員 きょうは予算について大蔵省査定済みの予算を平面的に一応伺ったのですが、官房長にお伺いしたいのは、予算を外務省自身として編成された場合に、現在並びに将来にわたって、どういうところに力点を置いていきたいという点があるだろうと思うのです。外務省の事務当局の、予算によって裏づけられるいろいろな方針ですね。それを少し伺っておきたいと思うのです。先ほどは課長から本庁舎の建設の問題も一つお話がございました。これはこれとして私も理解できますが、そのほか特に外務省が今回の国際情勢から判断をして十分なる活動をするために、どういう点、たとえば在外公館の予算が足りないとか、そういうことについての自己反省といいますか、逆をいえば御要望でございますが、それを少し重点的に、御意見がありましたら、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/131
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132・島津久大
○島津政府委員 外務省予算につきましては、かねて外務委員会から多大の御支持を受け、激励もいただいておるわけでございます。先般、前回の国会で在外公館の新設を提出いたしました際に、附帯決議が出まして、その中にも、外務省の出先公館の活動を盛んならしめるために、できるだけ流動的な経費を増額するようにというようなお言葉もあったわけでございます。今回の予算編成につきましても、その点を心がけまして、できるだけ在外公館が活動できるように心がけました。従いまして、経常的な費用も前年度に比べましてかなり増額をされております。同時にまた報償費も相当増額を見たわけであります。それからまた在外公館の新設、あるいは既存の公館の拡充というような点にも努力をいたしたわけであります。結果といたしましては、まことに不満足な程度でございますけれども、それでも先ほど会計課長が御説明申し上げたように、前年度に比べましては、金額的にも七億円近い増額になっておるという状況でございます。ただこれを戦前の状況ないしは他国の状況に比べますと、まだまだ不満足なのでございます。全体から申しまして、規模から申しましても、国家予算の中の外務省の経費の占める。パーセンテージが大体〇・六%前後であります。これは戦前はやはり一%以上になっておった。また主要な外国の例をとりましても、〇・五%、〇・六%というようなところはあまりないのでございます。大体は一%あるいは一%以上に及んでいるわけであります。ごく概略でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/132
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133・前尾繁三郎
○前尾委員長 ちょっと穂積さん、菊池君が大蔵省を呼んで来ているので、できるだけ簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/133
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134・穗積七郎
○穗積委員 私も急ぎますからあと一点だけ伺います。そこで流動費の問題がこの前からも問題になって、私今お尋ねしようと思っていたのです。というのは、在外公館の設備費は固定資産みたいなものできまりますね。その次に人件費ですね、これも任地によって本給は全部一律に役人の等級によってきまるのですが、そのほかの活動費ですね。一例を言えばアメリカまたは欧州に行っている、非常に忙しくて重要な任務を帯びている在外公館と、たとえば比較的ひまであると思われる台北の公館、そういうものの流動費をこれは区別してやっておられると思うが、何を基準にしてあんばいしておられるのか、それをお伺いしたい。それが果して適切にあんばいされておるかどうか、これは在外公館の機能を十分発揮するためには、おのずからその間に軽五を置いて流動費の配分を考えなければならぬと思いますが、その実情を聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/134
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135・島津久大
○島津政府委員 ただいまの活動費でありますが、個人の給与は法律にきまっております通りでございまして、報償費その他の活動費は人には一々分けない。公館で特定の仕事あるいは特定の必要が生じました際に、その在外公館に本省から配賦するというやり方をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/135
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136・前尾繁三郎
○前尾委員長 菊池義郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/136
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137・菊池義郎
○菊池委員 関税のことで大蔵省の方にお伺いいたします。密輸入がこれまでもたびたびあり、これからも多くあることばどうしても免れないと思う。貿易港以外のところから陸揚げする。この間も中国人の縁の下に時計が二千個あったということもありました。台湾あたりからも盛んに砂糖の密輸入がある。ところで密輸入者が逃亡してしまって、密輸入の本人に対して密輸入品を没収することもできず、課税することもできないという場合に、その税金をどこから徴収するか。それについては大蔵省の関税関係の方にまだはっきりした特別の法律がないように思われる。先ほど大蔵省の方から承わりましたが、ないように思います。実例を申しますと、こういうことがあるのです。昨年の正月に私の知っている運転手が円タクの中に金時計が七十個忘れてあったのを、持ち主がわからないので警視庁に届けた。一年たって持ち主がなくてその運転手は金時計七十個の所有権を取得いたした。そうすると警視庁は税関と打ち合せて、その拾得者、運転手に対しまして税金五十万円を吹っかけてきた。そういうことがあったのです。そういう善意の第三者に対してまでも今は税金を課することができるものか。私は法の理論よりしてそういうことはできないと思う。そういう善意の第三者に対しても税金を課するという特別の法律がない限りは、その人から税金を徴収することはできぬと思うのです。特別法がある場合は、一般法に先んじて特別法が適用されるのでありますから、そういった法律があれば、その善意の第三者から徴収することができるのでありましょうが、そういう特別の法律がない以上、善意の拾取者から税金を徴収することはできないと思うのでございますが、こういう点について大蔵省当局はどういうふうな考えを持っておられますか。何か特別の根拠になる法律でもあるものですかどうですか。あるならばお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/137
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138・崎谷武男
○崎谷説明員 菊池先生の御質問の遺失物に関しまして、私ども今こういうことがお答えできると思います。およそ関税は国の債権でありますけれども、法律に明文がない限り免除できるものでありません。この場合関税というものは外国貨物にかかるものでありまして、問題は遺失物が外国貨物なりやいなやということになると思います。外国貨物というものは関税法上は外国から本邦に到着しました貨物で、輸入許可以前のもの、こういう規定があります。従いましてこの場合、遺失物が外国貨物であることは明瞭でありまして、その遺失物を遺失物法によって、一年後に所有権が移る場合におきましたのは、その拾った人間、新たに所有権を獲得する人間から関税を取る、こういうことになるわけであります。法令の規定からいいまして、外国貨物というものは保税地域のほかに置ことはできないということになっております。遺失物法によって警察に届け出たものは保税地域に置かれたものと同様な扱いをしております。保税地域から引き取りますときには、税関に申告をしまして検査を受けて関税を払わなければならぬ、これは当然明文がございます。従いましてこの場合遺失物で拾得しましたものを国内に引き取ります場合、その引き取る本人から関税を取るということになります。また一方この裏づけといたしまして、遺失物法によって拾った人間に警察官から物を渡す場合、これは税関に通報しなければならない、関税法にこういう規定があります。これは国税を徴収する前提としての通報義務を規定したものであります。かれこれ考えますと、遺失物の場合といえども関税を免除すべきでなく、関税を当然払う義務がある、こういうことに私ども解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/138
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139・菊池義郎
○菊池委員 いつか大量にコンニャクを輸入したという例がありましたね。その輸入者が逃亡してわからなくて、品物はある。あとから逃亡者が現われた。現われたけれども、その人は税金を払うことができなくて、その品物を発見した人が税金を払ったということを聞かされましたが、そういう場合には結局密輸入者から取るべきを、その品物を持っておる人が、密輸入者から品物を譲り受けたかわりに密輸入者の代理として関税を支払うというふうに解釈すべきであろうと思うのであります。それで特別法がない限りは密輸入者以外の人、善意の第三者から取るということは、法理論に合わぬと思います。もし取るならば、あくまでもその密輸入者を探し出して、その人から取るべきであって、密輸入者が見つからない以上は、課税権というものはそこで消滅するものと解釈すべきであると思いますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/139
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140・崎谷武男
○崎谷説明員 密輸入品で犯人がわかりません場合にどうするかという問題でございますが、現在犯則として処理いたします場合に、犯人がかりにわかりましても、品物が善意の第三者に行っております場合には、善意の第三者から関税を取るということになっております。それで密輸入者がわからない場合にも——密輸入者がかりに出て来ましても、善意の第三者が現在持っておれば、犯人から没収ができないわけですから、そのかわりに善意の塙三者から関税を取るということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/140
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141・菊池義郎
○菊池委員 どうも善意の拾得者から税金を取るということは、遺失物拾得法からいっても税の理屈に合わぬと思うのです。国税犯則取締法というのがありますが、それを見ましても、別にあなたのおっしゃるようなことに該当するものはないと思うのです。そうすると、やはり善意の第三者から徴収する場合には、何かの規定がなければならぬと思いますが、特別に何かございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/141
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142・崎谷武男
○崎谷説明員 密輸入で検挙されまして、犯則の基準にかかります場合に、これが善意の第三者にわたっております場合には関税法の百十八条に明文がございます。
なお保税地域に置くことができない一般の外国貨物につきまして、特に遺失物につきましては、警察官署に置くことができるとか、それから警察の通報を受けるというような、先ほど申し上げましたような明文がございますので、遺失物といえども関税を免除すべきものではないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/142
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143・菊池義郎
○菊池委員 たとえば自動車を密輸入してそれを売った、情を知らして売った場合には、もちろんその買った人が関税を払う義務が生ずることはわかっております。しかしそういう場合でもやはり情を知らない善意の買受入が税金を払うということはどうもわからぬ。あなた方はむろんこれまで慣例としてそういうことをやってこられたのでしょうが、今までもそういうことはたびたびあったでしょうし、これからもたびたびあることでしょう。そうなりますと、理に合わないことを大蔵省がやっているということになりますので、それをはっきりと特別法を設けて善意の第三者からも徴収することができるという法律でも議会に諮って作ってもらうという意向はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/143
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144・崎谷武男
○崎谷説明員 今の犯則にかかります場合には、これは善意の第三者からも取れるという明文がございまして、これは今法務省その他と検討はいたしますが、さしあたってこれを変える必要はないかと存じます。
なお遺失物につきましても、結局実体を考えますと、本来なら関税は当然かかるべきもの、国の債権である関税が当然免除されないものであります。遺失物は、実際から考えましても、関税くらいは当然払っても、拾った本人がもともと損をするわけのものではございません。当然私が先ほど申し上げましたような関税法の構成からいいまして、関税は免除する必要もないものと思っておりますので、さしあたりは遺失物につきまして関税を特に免除するような改正をする必要はなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/144
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145・菊池義郎
○菊池委員 関税くらいは何でもないじゃないかとおっしゃりますけれども、運転手はせっかく七十個の時計を拾って、それを楽しみにして何百万円かになるつもりでだいぶ借金をしたということです。ところが売り方を何も知らないので、自分の通いつけの質屋にこれを持っていったが、値切り倒されて、結局五十万円で売ったが一銭も残らなかった。関税なんというものは問題じゃないという考え方は必ずしも当らぬと思うが、これはのれんに腕押しみたいで意見が違うので、これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/145
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146・岡田春夫
○岡田委員 関連して。犯則という場合には密輸をした事実が明らかな場合ということでしょう。その場合には関税法の、いい悪いはともかくとして、規定があるということになりますね。ところが民法上の規定からいくと、この点六法全書を持っていないから明確に調べられないのだけれども、善意の第三者に売り渡した場合に、たとえば品物を盗んでおったものを善意の第三者に売り渡した場合には、善意の第三者の権利関係を不当に侵害することはできないように私は記憶しておるのだが、そうすると関税の場合に特別にその点の規定があるからそれはかまわないということになるのか、そこの点、民法との関係が今六法全書を持っていないから明確にわからないのだが、それが一つ。もう一つは遺失物ということになると、それがどういう方法を通じて国内に入ったかはともかくとして、すでに国内のものとして扱うべきではないか、ということになってくると、その遺失物を届け出た者がそれを取得するということに対して関税をかけるということは、関税法の拡張解釈になって、先ほどの犯則の規定だけを適用することによっては、その解釈は出てこないと私は思うのです。そこの遺失物という国内に入ってしまったものに対して関税をかけるということについて、何か先ほどの犯則に関する規定以外に、関税法の特別の規定があるのかどうか、規定がないとするならば、どういうところからそういう解釈をされておるのか、そういう解釈が果して妥当なものとして考えておるかどうか、こういう点重要な問題ですからちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/146
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147・崎谷武男
○崎谷説明員 岡田先生の第一の御質問ですが、これはもちろん善意の第三者の取引を侵害することになりますが、民法に対しましては関税法のこういう特別な規定でありますので、それで解釈できると思います。
それから第二の遺失物の問題でございますが、これは先ほどお答えした中で、少し混乱しておったかと思います。ちょうど犯則と答えを一緒にしましたので、犯則と同じようにお聞きになったと思います。犯則の方は犯則で、遺失物の方は遺失物の方でいいと思いますが、外国貨物は保税地域に入れなければならない。外国貨物の遺失物を警察に届け出た場合には、保税地域に入れられた品物と同様に扱うということが関税法の施行令にも明文がございます。でありますから、この遺失物は、なるほど国内に一たん入ったようなものでございますけれども、警察官署に届け出られた限りにおきまして、そういう処分をする場合には、警察から税関に通報があり、実際保税地域から引き取ると同じようなふうに取り扱うということが、法律なり施行令なりに定めてあるわけであります。ですから、国内に入ったものではありますが、関税の負担を伴う特殊な貨物ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/147
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148・前尾繁三郎
○前尾委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければ本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102403968X01419560301/148
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