1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十日(金曜日)
午前十時三十分開議
出席委員
建設委員会
委員長 徳安 實藏君
理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君
理事 荻野 豊平君 理事 薩摩 雄次君
理事 瀬戸山三男君 理事 前田榮之助君
理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 大高 康君
木崎 茂男君 中村 寅太君
二階堂 進君 廣瀬 正雄君
松澤 雄藏君 山口 好一君
今村 等君 楯 兼次郎君
中島 巖君 西村 力弥君
農林水産委員会
委員長 村松 久義君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
安藤 覺君 五十嵐吉藏君
井出一太郎君 伊東 岩男君
石坂 繁君 大野 市郎君
大森 玉木君 川村善八郎君
木村 文男君 楠美 省吾君
小枝 一雄君 鈴木 善幸君
中馬 辰猪君 綱島 正興君
原 捨思君 本名 武君
松浦 東介君 松野 頼三君
赤路 友藏君 淡谷 悠藏君
井谷 正吉君 伊瀬幸太郎君
小川 豊明君 神田 大作君
川俣 清音君 中村 英男君
日野 吉夫君
出席国務大臣
建 設 大 臣 馬場 元治君
出席政府委員
建設事務官
(計画局長) 町田 稔君
委員外の出席者
建 設 技 官
(計画局総務課
長) 前田 光嘉君
農林水産委員会
専門員 岩隈 博君
建設委員会専門
員 西畑 正倫君
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本日の会議に付した案件
土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五〇号)
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〔徳安建設委員長委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/0
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001・徳安實藏
○徳安委員長 これより建設委員会、農林委員会連合審査会を開きます。
案件を所管しております委員会の委員長であります私が委員長の職務を行います。
土地収用法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず本案の趣旨について説明を求めます。町田計画局長。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/1
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002・町田稔
○町田政府委員 土地収用法は公共の利益となる事業に必要な土地、権利等の収用または使用について、その要件、手続、損失の補償等を規定して、公共の利益の増進と私有財産との調整をはかることを目的としたものであることは御承知の通りでありますが、近時、ダム、道路、河川事業その他の公共の利益となる事業に必要な土地の取得については、土地収用法の手続によるものが相当数に上っております。そこでこれらの土地収用の実績を検討いたしました結果、土地収用法の適用につきまして、一そう公正かつ迅速な運用をはかることが必要であると考えまして、この際収用または使用の手続をさらに合理化し、かつ収用委員会の審議を円滑にするため所要の規定を整備いたしまして、公共の利益の増進と私有財産との調整に万全を期することといたした次第であります。
今回の改正の要点を三つに分けて御説明することができると思うのでありまして、従来知事に認定権が与えられておりました事業につきまして、そのうち六項目を建設大臣の事業認定に変更いたしました点が第一であります。
第二は土地収用法に関しまして手続の合理化をはかりました点でございます。
第三は収用委員会に裁決を申請する者が納めなければならない手数料の額を、実情に合うように多少引き上げたという点であります。
以上が大体の今回提案いたしました土地収用法改正案の御説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/2
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003・徳安實藏
○徳安委員長 これより質疑を行います。質疑の通告がありますから、順次これをお許しいたします。淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/3
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004・淡谷悠藏
○淡谷委員 この土地収用法を適用する段階というのは、その以前においてお互いの間に話し合いを進めまして、適当な一致点を見出さざる場合にとられるところの一つの強制手段であるとわれわれは理解しております。従ってこの適用をもし誤まりますならば、非常に私権の侵害になると同時に、日本の農民のような零細経営性の上に立つ者は、その生活権さえ奪われるといったような惨状をしばしば見て参りました。特に最近ダムの建設、基地、演習地等の設定等に関しましては、この問題に関連いたしましてしばしば深刻なトラブルを見ておることはすでに世上もう明らかになっておりますので、この改正につきまても非常に慎重に扱わなければ、この実施に当って思わざる紛争をかもすようなおそれが多分にあると思うのでありますが、特にこの話が一致しないという原因は二つの点に集約されると思います。一つはその土地を公共の用に供することはよろしいが、それに対する補償額が非常に当を得ない、こういう事例がしばしば見られるのであります。もう一つは、私主として原林水産委員会の立場から農家について申し上げまするが、その土地が、その農家が生業を営む上に、あるいは今夜での慣習上どうしても手放しがたいというところを無理やりに取り上げられている例がしばしばあるのであります。
そこで私まず第一に補償金についてお聞きいたしますが、土地収用法の中に定められました補償額につきましては何か一定の基準がありますかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/4
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005・町田稔
○町田政府委員 ただいま農地を収用する場合等における補償の問題につきまして御質問がございましたが、土地を強制的に取り上げます場合、ことに農地を強制的に収用いたします場合には、被収用者に対しまして適正な補償を必要といたすことはもとよりでございます。従来土地収用にかかって参ります案件を見ておりますと、起業者が土地について評価をいたしております額は、収用委員会において裁決をいたします額よりはなはだしく下回っておる場合が多いのでございまして、収用委員会における裁決の補償額は、起業者の評価額よりは非常に多いという場合がおおむねでございます。そういう意味におきまして土地収用委員会における裁決の補償額は、被収用者にとりましてはきわめて適正なものであると考えるのでございます。それで収用委員会におきまして損失について補償いたします場合には、十地収用法第六章の損失の補償に関する各種の規定が適用になるのでございまして、今お尋ねの基準はこの第六章に書いてございます各条がその基準をなしておるということを申し上げることができると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/5
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006・淡谷悠藏
○淡谷委員 お答えの点で私の質問がはっきりしたと思うのでございまするが、条件に従って受けておりますいわゆる公共の事業の補償額が一般民間起業者の補償に比べて非常に少い。そういたしますと、一般的な経済観念から申しまして果して適当な補償額として払われておるかどうか。同時にまた一般の長家が、国の補償が少いので、国の収用はがえんじませんけれども、一般の起業者の土地収用に対しては喜んで応ずる、むしろ公的事業に対する収用法適用の効果が薄れていくといったような感じがするのでございまするが、そういった心配はございませんか。公的な事業の補償額と私的な事業の補償額との間に非常に差がある。さようにはお考えになり質せんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/6
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007・町田稔
○町田政府委員 ただいまの御質問の趣旨を私誤解いたしておる点があるかもわかりませんので、御質問の趣旨に沿った答えにならないかもわかりませんが、先刻私が申し上げましたように、むしろ一般民間の事業におきまして当事者間の話し合いがつかずに、土地収用に訴えるような場合におきましては、お互いに協議しておりましたときの土地の算定額よりも、むしろ収用委員会の委員が入りまして公正にきめた額の方が上回るといいますか、適正であるという場合が非常に多いのでございまして、土地収用委員会には、御承知のように起業者がこの土地を幾らで買いたいという見積額を必ずつけて参ります。その見積額で、従来お互いに話し合いをしておったわけでございますが、その見積額を上回って収用委員会において土地の価格を決定する場合が多いということでございますので、土地収用によって、特に被収用者が損失の補償について損をするというような事態はないと思うのでございます。
それから土地収用以外の当事者間の協議によって価格をきめる場合に、協議の相手方が国の場合にはむしろ非常に低い価格で土地を取り上げるようなことがあるのではないかという御質問でございましたとするならば、これは現在両当事者間でお互いに話し合いをして、お互いに納得ずくで土地の売買がなされるわけでございますから、この価格については特に第三者において客観的に高いとか安いとかいうことを批判することがなかなか困難であるということが多いと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/7
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008・淡谷悠藏
○淡谷委員 別段あなたのお答えが私の質問とは違っておるように考えません。その通りなんでございますが、ただ御承知の通り農地改革のあとで土地の価格が大へん変りました。前には最高価格を押えておりましたのが、最高価格を放したのであります。その結果農林省では土地を手放す農家の利益をはかるという理由で、田畑の価格が非常に騰貴をいたしました。一般売買が普通土地収用委員会等できめます額のはるかに上を回っておるという実態が現われておる。特にお互い同士そういう価格で話し合いがつけば、土地収用法の適用まで持ち込むような形が出てこない。その話し合いがつかないから、土地収用法にかかるのでございますが、その場合の補償の基準というものが非常に弱いように私思いますので、ややもすれば収用の価格までも一種の権力をもってきめようという実例をしばしば見てきたのであります。特に私、観念的な議論を避けたいと思いますので、実例を二、三申し上げますが、たとえば米軍による土地使用なども公共のため、公益のためと理解されておるかどうか、同時にまた今の自衛隊の演習地の接収等の場合も、やはり公共の利益として土地収用を行うという考えか、その点明確にしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/8
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009・町田稔
○町田政府委員 ただいま御質問になりました米軍関係の土地収用につきましては、別個の法律によりまして、必要な土地の強制使用をしておるのでございまして、直接には土地収用法は関係がないのでございます。御承知のように日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法が制定されておりまして、この法律によりましてそれらの土地は使用または収用されております。ただこれらの法律に土地収用法を適用いたしている部分は非常に多くございますが、適用になっておりません部分も大へんたくさんございます。たとえば今御質問のありました事業の認定等につきましては、土地収用法によらずに、この特別措置法によって規定をされておるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/9
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010・淡谷悠藏
○淡谷委員 その際やはり特別措置法の内容を検討しますと、どうしても土地収用法に読みかえなければならない場合がたびたびあるのは御答弁の通りであります。自衛隊の演習地も、これに準じてやられますかどうか。これは特別措置法ではだめだろうと思いますが、いかがなものでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/10
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011・町田稔
○町田政府委員 自衛隊につきましては、土地収用法によって、必要な場合は土地の収用または使用をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/11
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012・淡谷悠藏
○淡谷委員 その場合に現在収用法までいきませんけれども、自衛隊の買収いたします土地の価格が非常に浮動であります。一例を申し上げますと、青森県東津軽郡のある村の土地は、一反歩が三万五千円で買い上げられております。これを実際売り放しました農民は、三万二千円か三千円しかもらっていない。同じ条件の愛媛県温泉郡の小野村における演習地は、同じような条件の土地でありながら、一反歩が十六万円で売られておるのであります。これは土地収用法とは関係がないといえば、ないのですが、収用法などを適用いたします場合に、この極端に違った土地価格の間の決定を一体どのような基準でなされるかということが問題です。これは地価から申しましても同じなんです。売買価格が同じような場合であっても、その土地の抵抗いかんによっては、幾らでも金を出すという事例がしばしば見られる。こういう点は、もしも地元との間に話し合いがきまらないで土地収用法を適用いたします場合には、一体どういうふうにおきめになるおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/12
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013・町田稔
○町田政府委員 ただいまの御質問にございましたように、当事者同士の話し合いの場合には、土地の価格につきましてきわめて差異の大きい取引がなされておりますことは、お話の通りであります。土地収用法を適用いたしました場合におきましては、収用委員会は、土地収用法の第七十二条におきまして「収用する土地に対しては、近傍類地の取引価格等を考慮して、相当な価格をもって補償しなければならない。」という規定がございます。これに上りまして、一般に取引されております近傍類地の価格を参考といたしまして、適正な価格で取引がなされるということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/13
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014・淡谷悠藏
○淡谷委員 私の心配いたしますのは、土地収用法というものを、手続を簡便にして、いつでも発動されるような、非常に便利な、手ごろなものにいたしますと、この利用によってお互いの間の協定を圧迫する面が非常に出て参ります。たとえば今お話し申し上げました愛媛県の事例について申し上げますと、自衛隊の買収官というものが買収事務所の看板をその地元にかけまして、まず第一には、供応の盛んなやり方をするのであります。宿屋を買い切りまして、だれが金を出すか知りませんが、村の重立った人たちを呼び集めて盛んにごちそういたしまして、何とか土地を売ってくれという。次には、一方で金を出して、今承諾するとこの金をやるのだが、承諾しなければ土地収用法の適用によってもっと安い価格で強制的に買い上げるのだ、この事例はほとんど例外なしに全国に行われている。今のむずかしい土地収用法の手続であっても、これだけ自由な契約の取りきめを妨害する役に使われておりますのに、この収用法がもっと簡単になりましたならば、この点でもっと一般農民にとっては不利な道具になるように思われさするが、その懸念はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/14
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015・町田稔
○町田政府委員 現在建設省関係だけの公共事業におきましても、工事をやっております個所が年間五万カ所に上っております。すべての、土地収用法で土地収用のできます事業、第三条に網羅してございます事業は、おそらく年間十万カ所以上行われていると思うのです。ところがいずれも全部土地を対象とする事業でございますが、このうち実際に土地収用法の手続によって土地を収用するようにいたしております件数は、近ごろ多くなったと申しましても年間せいぜい四十件か五十件、きわめて土地収用法に訴える事例は少いのでございます。実は公共事業等を実施して参りますときに、一番のネックになっておりますのが土地の問題でございますが、国にいたしましても、あるいは私的な起業者にいたしましても、土地収用法に訴えることが、事後に非常にいろいろの問題を起します、感情的な問題等も残りますので、努めて土地収用法によらずに円満に解決をしたいというので、非常に努力をいたしておるわけでございまして、むしろそのために土地を持っておる者が一種の非常に強い力、地位を得ておりまして、多少のことならば事業をする者は忍んでも、話し合いで解決をつけようというような方向に至っております。それが土地の取得を非常に困難にいたしておる原因と思われるのでございますが、しかも一たん土地収用にかけましても、土地収用の事業認定申請から裁決に至ります間が二年、三年かかるというのが現在の実情でございます。それでどうしても土地収用によって解決をせざるを得ないというような場合におきまして、一たんかかった以上は、なるべく手続を合理的にするという意味の今回の改正でございますので、この改正がありましても、ただいま御心配になられましたような事態は、将来絶対に生ずる余地がないというように、私たちは確信をして、改正案を提案いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/15
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016・淡谷悠藏
○淡谷委員 大臣がお見えになったようですから、あなたに対する質問はあとに延ばしまして、大臣にまず基本的な問題で二、三お尋ねしたいのでございます。
今私が質用いたしました中に申し上げておきましたが、自衛隊は演習地を作るために、非常にたくさんの耕地がつぶれておりますが、一体この自衛隊の演習地を作るために土地を求められて、これに応じなかった場合、この土地収用法の適用がなされるという御答弁でございましたが、自衛隊の演習地は公共の利益のための使用と考えてよろしいかどうか、その点を大臣のはっきりした御答弁を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/16
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017・馬場元治
○馬場国務大臣 自衛隊が必要とする土地につきましても、本法の適用があると解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/17
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018・淡谷悠藏
○淡谷委員 その際自衛隊の買収価格というものが、さっき実例を申し上げておきましたが、場所によっては非常に違っている形が現われて参っておりますので、土地収用の土地買収の基準というものを、たんぽと畑で、現在全国的にはどの点で押えられるか、一つ具体的な御説明を願いたい。これは建設方面の土地というものは案外少いのですが、演習地などでは非常に大きな土地が買われまして、農林省が開拓地として指定したところまでも、しばしば演習地でつぶれておりますので、これが農民に及ぼす影響は大きい。この場合に土地収用法まで持っていこうというのは、価格の折れ合いがつかないために行く例も非常に多いのであります。はっきり建設大臣に現在の農地の価格についてのお考えを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/18
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019・馬場元治
○馬場国務大臣 協議による価格の決定につきましては、自衛隊と所有者との間の協議でございますので、建設省としてその価格についてかれこれ申し出るべき筋ではないと思います。両者の意思の合致によってきまる問題でありますから、双方話し合いの上できまるものはきまる、協議の整わないものは整わない、こういうことでありますから、特に建設省として価格に対して容喙するものではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/19
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020・淡谷悠藏
○淡谷委員 実は土地収用法が建設大臣所官のものとして今論議されておりますが、私どもは農地の維持増進の上からいって、この法律が非常に悪用される危険を感ずるのであります。さっきも実例を申し上げておきましたけれども、土地収用にかけるぞということをどうかつの手段に用いて、この合理的なお互いの間の協議を妨害する例がしばしばございます。特に今申し上げました演習地など、広範なる土地を使う場合は、この土地収用法の性質いかんによっては、地元の農民を圧迫する非常に強力な武器になると思いますので、この点、大臣の農林行政に対する非常に大きな顧慮を私は要求したい。
特にもう一点、大臣のお考えを確かめておきたいのは、米軍の演習地ができました場合には、海岸線を使う例が非常に多いのであります。海岸線の収用によりまして、実際上海上の魚獲が困難になっている例が多分にございますが、この海岸線の土地収用が漁業権とどういう関連を持つとお考えになっているか。この辺まで大臣の認識がございますかどうか、確かめておきたい。非常に大きな困難な問題です。波打ちぎわの収用によってその海上の漁業権がどういうふうに変化を受けるか、特に地びき網等の場合は土地の収用によって全く漁業権がなくなるのでございますか。ただ電気事業その他の狭い土地を収用するだけのものでなくして、農林行政の上に非常に大きな影響を及ぼしております収用法でございますので、そういうものに対する大臣のお考えがどの程度まで進められているのか、あるいは顧慮されていないのか、その点を明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/20
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021・馬場元治
○馬場国務大臣 基地の設定に当って農地がつぶれる、これはゆゆしい問題であるから考慮しろ、こういう御意見のように承わりました。お話のように、農地のつぶれ地ができますことは、あらゆる場合に防止をしなければならぬという考えを持っておりますことは、おそらくどなたも同様であろう、かように考えております。
アメリカの駐留軍との間の問題については、調達庁の方で特別の取扱いをいたしておりますことは、御承知の通りであります。
いま一つの海岸の問題でありますが、海岸一帯を収用することによって漁業権に支障が及ぶ、かような場合には、その使用の制限によって生じます損害を補償するということに相なっておるのでありまして、これまた農地と同様に、漁民の利益を保護するために、相なるべくはさような海岸線の収用がないことを、少くともその範囲が狭小であることを希望いたしておるのでありますが、やむを得ざる場合におきましては、ただいま申し上げましたように、その使用の制限、もしくは使用ができなくなったという場合の損害の補償をやることに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/21
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022・淡谷悠藏
○淡谷委員 私、大臣のその御認識では非常に不安を感ずるのです。私どもこの土地収用法が建設事業の面でこういうふうな御要求の出る気持はわかります。けれども、事はただ建設事業だけでなくて、日本の農林行政に非常に大きな影響を持つというこの点の深い御認識を持っていた、だきたいと思う。特に今のお話の中で、アメリカの演習地の問題は調達庁がやると申しますが、最後にはやはり土地収用法でおどかしてくるのであります。その場合に、さっきも申し上げておきましたが、土地収用法を適用した場合に補償される土地の買収金額と、自由に取りきめた金額とが違うということをはっきり言って、どうかつしておる。土地収用法を適用すると非常に安く買われるのだから、そこでまずがんばるのをやめて納得しろといって、当事者が納得しない金額で土地を買収することを押しつけておる。利用されておるのであります。
それからもう一点具体的に大臣に申し上げますが、漁業権と土地の問題を特に申し上げておきましたのは、地びき網等の場合に、海岸の土地を収用いたしますと、海岸で網をひくという理由のもとに漁業ができない。この補償がなされておりません。これなども、収用法の改正と同時に、非常に重要な問題としてお考えになる必要がある。
特にここで私お尋ねしておきたいのは、大臣お急ぎのようですから、もう一点にとどめておきますが、この収用法に、今まで知事の認可を必要としましたものを、大臣の認可に移そうという意図がございますが、これはどういう必要からなされておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/22
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023・馬場元治
○馬場国務大臣 従来都道府県知事にまかしておりましたものを、今回建設大臣において認定を行うということにいたしました理由は、施行いたします仕事の及ぼします影響が、単にその施行地だけでなくて、二府県以上にまたがる、あるいは道全部にまたがる、こういつたような問題につきましては、当該都道府県知事の認定にまかせるよりも、総合的に全体的に判断し得る立場にある国家機関をしてその衝に当らしめることが必要である、しかも公正妥当な判定ができる、かような意味合いからいたしまして、従来都道府県知事にありました権限を建設大臣の方において行う、こういう意味合いでかような改正をいたそうとするのであります。何も知事の権限を特に縮減しよう、圧縮しようという気持は毛頭ございません。全体的な問題、二府県以上に影響目の及ぶような問題については、国の機関において認定をする方が妥当である、かような考えからこの改正をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/23
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024・淡谷悠藏
○淡谷委員 重大な問題でございますから、大臣お急ぎでしょうが一点お聞き願いたいのですが、私はこれを見ました場合直接きましたのは、砂川の問題、新潟の問題であります。現在土地収用を行わんとする主体が国である場合が非常に多い。そのとき地元の知事は、この土地収用あるいは土地の要求が適当でないと認めまして、しばしば国と知事との間に意見のそごを来たしている例が具体的に現われて参っております。特に現在のように民選知事である場合、やはり民意を代表するものは知事であると思う。その知事が地元民の意思を代表して、これは適当ならずとした場合に、なお大臣が強制的に国の意思を押しつけるのではないかという危惧を多分に持つ。大臣が今おっしゃったように、大臣が認定をするのは、二府県以上にまたがった地域に関する問題だけであるか、一府県の場合でも、知事と国との意思が一致しない場合は、大臣の権力によってこの認定を行う、こういう建前なのか、はっきりさせておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/24
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025・馬場元治
○馬場国務大臣 施行地域が一府県でありましても、その及ぼす影響が二府県以上にまたがる場合、こういうふうに理解をいたしておりまして、しかもその具体的なケースについては、条文に列挙いたしてあります場合に限るのでありまして、従いまして、施行の場所といたしましては一府県の範囲内でありましても、その及ぶ影響が二府県以上もしくは道全体にまたがる、こういった場合には、当然府県知事の認定でなく、大臣において認定をする、かようなことに相なるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/25
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026・淡谷悠藏
○淡谷委員 それでは知事の意見と国の意思とが相違った場合に、民意を圧迫する意味で大臣が権限を取るということでないということは確言てきますね。その御確言を願いたい、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/26
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027・馬場元治
○馬場国務大臣 民意を圧迫するという意向は毛頭持っておりません。総合的な見解から判断をするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/27
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028・淡谷悠藏
○淡谷委員 今大臣の御答弁にもございましたが、この土地収用法は非常に他の事業とも大きな関連を持つので、この検討は慎重にやっていただきたいと思うのでございます。今はっきり御答弁を得なかったのですが、一体漁業権の問題と土地の価格の問題は、事務当局ではどう考えておりますか。現在の全国的な土地価格というものの基準をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/28
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029・町田稔
○町田政府委員 漁業権に関しましては、土地収用法によりましてこれを収用することができる規定がございますので、収用いたしますが、その場合には七十二条の損失補償に関します規定が、漁業権の補償につきましても読みかえによって準用されております。それで七十二条の趣旨に沿いまして、補償がされるわけ宅ございます。漁業権を任意に当事者間の話し合いによりまして補償をする場合には、事業官庁においてそれぞれ定めました基準に従って補償をいたしておるのでございますが、その基準はおおむね土地収用法等の精神を貫いておりまして、ただそれになお一そう詳細な規定がされておるということになっておるわけでございまして、それらの定められました基準で補償がされておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/29
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030・淡谷悠藏
○淡谷委員 適当なる共進という言葉は、非常に重要な言葉でございまして、これはどのようにでも適当できる。もっと具体的に私確かめておきたいのですが、少くとも現在他の民間の企業会社が、お互いの間に協定をして取りきめた補償価格に下らざる額を土地収用法適用の場合でも補償できますか、はっきりお答え願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/30
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031・町田稔
○町田政府委員 土地収用法によりまして漁業権を補償する場合には、あくまでも収用委員会におきまして適正であると認めた価格により補償いたすのでございまして、たとえば民間において、その価格が特殊の事情によりまして特別に安く補償されたり、あるいは高く取引されたりした場合には・必ずしもそれらの例にはよることを得ないのでありまして、あくまでも客観的に収用委員会が適正であるという判定をした価格によって補償額を定めるのでございます。ただ土地収用法といたしましては、各種の条件におきまして、各種の場合の取引に関する基準を定めておりますので、言葉は勢い抽象的にならざるを得ないわけでございます。千差万別の事情における取引について、いわば一種の価格決定の方法を規定いたしておるのでございますから、その規定がきわめて抽象的であるということは、法律の性質上やむを得ないというように御了承をいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/31
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032・淡谷悠藏
○淡谷委員 法律の条文はともかくも抽象的にねるでしょう。けれどもこれを行う場合に、行う者の心がまえ、法律改正のほんとうの精神を確かめておかなければ、先ほど申し上げました通り、この土地収用法、特に簡単化された土地収用法を意識的にか無意識的にか一般農民のどうかつの具に供することがたびたびある。それを心配する。少くとも土地収用法というものは決してそういうどうかつの具に供さるべきものじゃない、こういう点を明らかにしておかなければ、思わざる紛糾を招くもとになると思う。ことにこの条文の第一の部分は大して気にいたしませんけれども、第二以下の手続法の改正の中には、従来民意を代表して非常に戦って参りました土地収用法の委員会などが、ともすれば大臣の認定のもとに、一挙強権をもって圧伏されるようなおそれが多分にある。むしろこの法律改正の趣旨は、各地で起りました民間の要求の強い動きに手を焼いてしまったので、これを一つ権力的にやってしまおう、こういうふうな意図を感ずるのでございますが、そういう点はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/32
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033・町田稔
○町田政府委員 先刻も申し上げましたように、土地収用をできます事業は年間全国で十万近く行われておりますが、しかも実際に土地収用に訴える件数は、年間四十件または五十件余りでございます。それで事実土地収用に訴えるということは、今のお言葉にございました、どうかつ的に土地の取引を起業者がいたしておるということがありましたといたしましても、それはきわめてまれな場合ではないかというように考えられるのでございまして、もし事実土地収用が非常に件数が多いといたしますならば、そういういわば一種のおどしも、農民に実際上の脅威として映ると思いますけれども、事実はほとんど土地収用で事を解決するというのは九牛の一毛でございまして、どうかつに使うのには、あまりにも数が少いと思います。
それからなお事実、土地収用にかけました場合には、おおむねの場合起業者が言うております額よりも、収用委員会はより一層適正な額で補償額を決定いたします。私たちが収用委員会から報告を受けております起業者の見積額と収用委員会の決定額を比べてみますと、起業者の見積額の方がはるかに少いのでございます。そういう意味におきまして、むしろ土地収用委員会にかかるということは、農民にとってはかえって適正な補償を受けるということで、損にならないというのが実例であるというように考えるのでございまして、今お話のございましたように、絶対にこの法律の改正によりまして、土地収用委員会を圧迫いたしましたり、農民その他の被収用者を圧迫するという意思は毛頭ございませんし、そういうような意味の改正点は今回の改正には絶対にないということを、確信をもって申し上げられると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/33
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034・淡谷悠藏
○淡谷委員 御意思がそうであれば、この改正案というものは御意思とは全く別な方向に向いておる。たとえば第三を見てごらんなさい。今あなたは九牛の一毛とおっしゃるけれども、土地収用法をどうかつの具に供した例は、枚挙にいとまございません。山形県の大高根がそうです。妙義山の問題がそうです。長野県の問題がそうです。愛媛県がそうです。板付がそうです。小牧がそうです。砂川がそうです。最近国家が公益の名においてするものは、ことごとく収用法というものを恐喝の具に供しておる。そうして知事までもこの要求は不当であるといって認めた場合、国家はこれさえ聞こうとしない。その知事の意志が第三において抹殺されようとしているじゃありませんか。これが果して民意を重んずるものかどうか、これが第一点。
第四はどうです。土地等の「権利の取得若しくは消滅に関するあっ旋委員のあっ旋当事者官の合意が成立する見込がないことを理由として事業の認定があった後に打も切られたときは、」協議を省略する。早くこういう協議をまとめちゃって、収用法一本で強権でやろうという意思が歴然として出てきた。
第五はどうです。やっぱりそうじゃありませんか。当事者の述べる意見、申立、審問その他の行為が「裁決を不当に遅延させる虞」——おそらく「不当に遅延させる虞」というものを考えるのは、収用委員会なり、あるいは県の意思だろうと思う。この改正は、今までこの収用法によって圧迫されてきて、しかもこの収用法に対して激しく戦ってきた民意の側につくものじゃなくて、さらに強権的な法律、もっと一そう強権化しようといったような意思がはっきり現われておる。あなたが民間の意思を圧迫しないというのであるならば、私はもう一ぺんこの各条文について慎重なる検討が必要であると思う。他の同僚の質問もございますから、私の質問はこれでとめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/34
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035・町田稔
○町田政府委員 今の御質問にございました各種の場合についての御例示は、すべて特別措置法に関する問題でありまして、今回知事の認定権を建設大臣に引き上げました部分は、全然関係がないのでございます。それで今まで御例示になりましたものは、特別措置法で従来から総理大臣が認定権を持っておったものばかりでございまして、今回のこれは全然関係ございません。それで今回の改正がそれらの点について特に不当な影響を及ぼすということは心配がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/35
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036・淡谷悠藏
○淡谷委員 私その点は非常にあなたごまかしていると思うのです。特別措置法なんと申しますが、あなたもしろうとじゃない。はっきり見たら、特別措置法が具体的に発動するのは土地収用法ですよ。土地収用法に読みかえなかったら、特別措置法にはちっとも力がない。そうなんです。特に第三項は、認定をいたしますけれども、都道府県知事を経由することを要しないで、添付書類を送ることができる。これが重大なんです。この書類を送りました場合に、これ弄公示しなかったのは町長であり、知事です。どうにも手がつかない。そこからきたのでしょう。はっきり申し上げる。あなたごまかしているのです。私やめようと思いましたけれども、そんなごまかしでやろうというなら、もっと質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/36
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037・町田稔
○町田政府委員 ただいま私がごまかして答弁しているんじゃないかというおしかりでございましたが、特別措置法の第十四条に土地収用法の規定を適用しない条文が列挙してございまして、その中に、第三章は全部土地収用法の規定によらずに特別措置法自体で取り扱えるようになっておるのでございます。それでただいま御指摘のございました今回の改正のうち経由の関係は、第三章のいわゆる特別措置法によりまして土地収用法を適用除外いたしております部分に関係するのでございまして、この改正によりまして特に特別措置法に基く土地収用が簡素化されるということはないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/37
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038・淡谷悠藏
○淡谷委員 重大な一点です。では、この土地収用法の一部改正は限定した法律なんですか。ある部分には適用し、ある部分には適用しない。特別措置法はほとんど土地収用法の発動によって実効を上げているんですね。しかるに、特別措置法に関するものには今度の改正は全然影響がないとあなたはおっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/38
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039・町田稔
○町田政府委員 ただいま、申し上げましたように、特別措置法の十四条で除外されておる部分に関する改正は、全然関係がございません。第三章で除いております部分につきましても、特別措置法には関係がなくなって参ります。そこで今回の改正で、特別措置法で適用されてその結果関連が出て参ります規定は、第四十条の改正の点と六十四条の改正の点だけが、今回の改正の結果特別措置法にも影響を持ってくるということでございまして、事業認定その他に関する部分は全然関係がないということを申し上げることができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/39
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040・淡谷悠藏
○淡谷委員 事業認定はそうでございましょうけれども、国家の意思をある程度以上地元民に強制しようとする場合には、当然これは土地収用法の適用ということになる。そのときは、特別措置法であるといなとにかかわらず、今度の改正が影響するじゃないですか。認定は別です。実際に土地を収用せんとする場合は、特別措置法ではできますまい。収用委員会を開いて収用法によらなければ、特別措置法による認定の土地であっても収用できないじゃないですか。その点でもなお関係ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/40
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041・町田稔
○町田政府委員 実は今の点は特別措置法の問題でございまして、特別措置法においてこの土地収用法を適用するという規定があるわけでございます。特別措置法にあるわけでございますから、特別措置法の改正の問題、もしこれが不適当であるならば特別措置法自体を改正するかどうかという問題になってくると思うのです。それで、そういう事業を認定するということは、特別措置法自体で認定をするのでございます。今回の改正がもしこちらに関係するといたしますならば、しかもその関係がいけないというならば、特別措置法の改正として考えるべき問題だと私たちは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/41
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042・淡谷悠藏
○淡谷委員 どうもあなたのお考えは私には納得ができない。認定は認定としても、特別措置法が土地収用法に関連を持ち、最後には土地収用法の適用によって具体的に土地を引き上げる。その場合に土地収用法が変ったならば、措置法に手をつけなくても、実際において特別措置法の影響が変ってくるじゃないか。何もしなくても、土地収用法そのものが変れば、この土地収用法の読みかえを行う特別措置法の内容は変化してくるでしょう。それでもなおあなたは関係ないとおっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/42
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043・前田光嘉
○前田説明員 ただいま局長から申し上げましたように、特別措置法によりまして収用できる権限、及び土地収用法の条文の中で特別措置法による収用の場合に適用すべき条文を明らかにしてございます。ですから、その明らかにされた条文に該当する分につきましては、特別措置法による収用のやり方につきまして影響を持ってくることになることは事実でございます。今御指摘のありました事業認定に関連する分につきましては、これは収用法にはありませんで、措置法にございますから、その土地についてはこの法律の改正は関係ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/43
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044・石田宥全
○石田(宥)委員 関連して。今の答弁では認定だけの問題です。淡谷委員の質問された問題は全体を言っておられるのですよ。四十条では土地の所有者及び関係人との協議に関する関係だから、これは当然今度の改正に関係するのです。今度の改正に関係しないということは詭弁ですよ。だから六十条にいたしましてもその通り、会議及び議決であって、収用委員会の会議それから会長の権限、これが一番重要な改正点の一つ並んです。それが関係ないとは一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/44
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045・前田光嘉
○前田説明員 今申しましたのは事業認定については関係ない、その他の、今御指摘の四十条、六十条は関係があるということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/45
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046・淡谷悠藏
○淡谷委員 はっきり関係があるということはわかっているでしょう。私はむしろこの改正案というものは、今まで非常に土地収用法で圧迫を受け脅迫を受けてきました一般の民間の意思が、もっとはっきり委員会に反映し、もっと合理的に問題が解決されるのがほんとうであって、強かった土地収用法をもっと簡単に、もっと強力にやろうというこの改正案は、さらに再考を要するものと思うのでございますが、この意見を添えて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/46
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047・小川豊明
○小川(豊)委員 関連して。具体的にお聞きしたいと思いますが、今この収用委員会にかかるときには所有者の利益が保護されるのだ、こういう答弁ですが、これは非常にいいと思うのです。ところが現実には住宅公団の方は、収用法にかかると安い、かからないうちに承諾した方がいいということを、土地所有者である農民にそういうことを言われているけれども、今おっしゃったように、収用法にかかる方がむしろ所有者の利益が保護されるのだという考え方と非常に違ったことが現地において行われているが、これはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/47
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048・前田光嘉
○前田説明員 ただいまお話のような事案があるということを聞きましたけれども、そういうことを用地の担当官が申すことは非常によろしくないのです。法律の適用を見ておりますと、先ほど申し上げましたように、収用委員会にかかった場合が一般あるいは起業者がやるよりも必ずしも安いとは感じておりません。むしろ第三者の適正な判定によりまして、合理的かつ公正な価格でやっておるようであります。ただしそういうことを法律にいたしまして、早く用地を取得するため努力するというふうなことがありますれば、その用地担当官につきましては十分指導を加えまして、円滑な話し合いを進めるようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/48
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049・小川豊明
○小川(豊)委員 今住宅公団ができて盛んに土地を取得しょうとして努力しておるわけです。そこでこの住宅公団が農民の土地に対して交渉するのには、今言ったように収用法にかかると安くなるから早く承諾しろということを書類をもって承諾させている。こういうことが行われている。
そこでもう一つお尋ねしたいのは、農民が土地を五万坪なり十万坪なり渡さなければならない。従って農民が離農しますね。そこで承諾した場合に、住宅公団は、その五万坪なり十万坪なりの区画整理の部分、それを減歩という形でもって大体三〇%、四〇%、農民から土地を出させているわけですね。そういうことがあるということは御承知でしょう。たとえばそこに五十戸なり百戸なりで、十万坪の土地を持っていて離農する農民が、減歩として三〇%なり四〇%出し、その残ったものを買い上げられても一つも利益にならない。このことが公団の土地取得についての非常に大きな一つの問題になっていると思う。農民は離農してその土地にいなくなる。その土地にいなくなるものが、土地がよくなるからといって何も減歩を出す必要は毛頭ないと思うが、どういうことで公団の方は農民に要求するのですか、この点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/49
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050・町田稔
○町田政府委員 区画整理を行います際には、御承知のように区画整理によりまして従来の道路が拡幅されましたりあるいは公園ができたり、学校敷地ができましたり、新たに道路がついたりいたしますので、土地の価格が非常に上ります。それで前と同等の価格の土地を換地として与える場合には、減歩によりまして換地をいたすわけでございまして、価格的には同様なものを土地所有者は取得するというわけでございますが、その場合に、農地である際には、今お話のようないろいろの問題が発生することが予想されるのでございます。具体的に住宅公団がどういう事業計画でどういうように実施いたしおりますか十分承知をいたしておりませんので、住宅公団等につきまして事業計画をよく聴取いたしまして、事実が判明いたしました場合に、それが不当でありましたならば、十分指導を今後加えて参るようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/50
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051・小川豊明
○小川(豊)委員 そとに道路ができ、水道が敷かれるということならば土地がよくなる、これはあなたの言う通りです。ところが農民はその土地は住宅公団の土地になって住宅が建つから、そこから離れてよそに行かなければならない、移動しなければならない。農民はその土地が幾らよくなろうともそれは自分と関係がない。むしろ自分はもっとひどい、条件の悪いところに行かなければならない。そういう中で農民に減歩を要求するというのはどういうことかということです。減歩というのは、当然その土地がよくなるから、その土地のよくなったところのその恩恵を受けられるから減歩を要求されるのでしょう。むしろ条件の悪いところに行かなければならなくなるのを、減歩を三〇%、四〇%も要求するということがどうして許される。そういうことがあるから非常に紛争して、東京の周辺、千葉や埼玉、茨城などに大へんにこういう問題が起っておる。これはどうしてそういうことを要求なさるのか。よくなるならいいのです。よくなっても何ら恩恵の受けられないものを住宅公団はどうして要求するのか、この点をお尋ねしたい。むしろこの場合は離作していくのですから離作料を払ってもらい、そしてよそへ移って家まで建てなければならぬ、そういう費用を負担してやってこそ円満にいくでしょう。ところがそういうことが何らなされず、減歩を要求しておるというのが私どもにはわからない。しかむ応じなければ収用法でやるんだ、承諾書に押さなければ収用法でいくんだ、これではまるで恐怖政治です。この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/51
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052・町田稔
○町田政府委員 具体的な公団のやり方につきまして、現在正確な知識を持っておりませんので、十分御満足のいくお答えができないのでございますが、おそらく農地につきまして住宅公団が区画整理をいたします場合には、宅地に地目の変換をするという予定で区画整理をいたしておるので血いかと思うのでございます。それでただいま御意見のございましたように、もし将来農地として使うというので区画整理をいたしますならば、これは御説の通りだと思いますが、住宅公団がいたします場合には、農地であったものを市街地にする、それで区画整理をするということだと思うのでございまして、そうすれば宅地としての取扱いをすることになりますから、これは一般の区画整理の方法でやっていいのじゃないかと想像をいたしておるわけでございます。なお宅地整理の減歩と土地収用とは全然関係がないのでございまして、区画整理について言うことを聞かないから土地収用をするという事例は、生じ得ないのではねいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/52
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053・小川豊明
○小川(豊)委員 区画整理と土地収用が関係がないのは私は知っておるのです。知っておるが土地が農地として改良されるならば何も住宅公団がやる必要はない。農地を改良して住宅公団が土地を手に入れるというのならば、それは住宅を建てるのが目的なんです。従って住宅がどんどん建っていくのなら、農民がそこで農業ができるわけじゃない。当然そこを売り払ってよそへ行かなければならぬ。その場合減歩を農民に要求するから非常に損をする、損をするから反対をする。そうすると土地収用法にかけるというのなら、あなたの方としては関係はないと言うが、減歩を要求して、減歩の要求に応じねければ収用法にかけるというなら、事実として関係が出ておる。これは千葉県の松戸でも起っている、茨城県でも、東京周辺でたくさん起っている。この点を今あなたの方では研究してないからと言われているが、現実に方々に起っておる。しかも住宅公団を所管しているのはあなたの方です。この点は十分にしかも急速に研究調査を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/53
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054・徳安實藏
○徳安委員長 石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/54
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055・石田宥全
○石田(宥)委員 先ほど来の同僚委員の質問に対する答弁でほぼ明らかになっているのでありますが、現在の土地収用法というものが、農民にとっては自分の所有地を権限によって剥奪されるという、これはいかに大きな脅威であるかはきわめて明瞭であります。従って成立いたしてまして以来今日までしばしば改正は行われておりましけれども、それは時代の推移に伴ういろいろな公共事業の範囲を拡張するというところに改正の大部分の点が置かれておって、根本的には少しも改めておらないことは、憲法によって保障され、保護されておろ私権の尊重の立場から、あえて今までのような取扱い規定を作り、また改正が行われないできたのであろうと思うのです。先ほどの局長の答弁によりますと、公共事業として認定されておるものは五十万件にも及ぶけれども、裁決をしたものは四十件か五十件である、だからしてこの改正はそれほど大きな脅威を与うるものではないとおっしゃるのであるけれども、むしろ土地収用法という最後のダンビラを振りかざしてこれを協議の方向に追い込む道具に使っておるからこういうことになっておる。また一面から言えばそれがために私権の保護がどうやら行われてきたんだ、私はこう思うのです。ところが今度総括いたしますと、一言にして言えば手続上の簡素化と言い得ると思うのでありますが、そういうことからいたしまして、おのずから今までとは趣きを異にいたしまして、簡単にその所有権を剥奪されるんだという脅威感が一そう身に迫ってくる、こういうことはいねめないと思うのです。そこで最初に伺いたいのは、一体このような改正を行われるに当っていろいろな新しい航空法による飛行場または航空保安施設、あるいは放送協会の放送事業というような点をここに付加するということは、これはわかるのでありますけれども、本改正案を拠出されるところの動機というものは、一体いかなる不便、不利があってこのような根本的精神を改めなければならないのか、その理由は一体どこにあったのか、飛行場の拡張にあったのかあるいは電源開発にあったのか、あるいはその他の事情があったのか、これは一つ率直に承わっておきたいと思います。
〔委員長退席、荻野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/55
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056・町田稔
○町田政府委員 今回改正をはかりました理由は先刻来一、二回お答え申しておりますように、全国で非常に多くの件数の公共事業が行われておりますうち、土地収用にかかっております事業は総件数に比べればごく少いのでありますが、他のものは当事者間に非常に曲折を経た協議によって土地が取得されておるのであります。この協議によって土地の取得がなされております場合におきましても、実は土地所有者がかなり無理なことを言う場合もありますが、しかし土地収用を使いますことは自後の関係においておもしろくないというので、土地収用を使わずにきておる場合もたくさんありますとともに、土地収用法を利用いたしますと非常に長く期間がかかる、むしろ多少金がかかっても土地収用法によらずに話し合いをしてしまう方がいいという例、そういう考えで土地収用法にかけた方がむしろ適当に話し合いがつくものを、かけない例が実は非常に多いのであります。しかもそれらの土地は実は農地関係のものは、これはもちろんございますが、農地以外に一般の宅地等につきましても、非常に広大な宅地を持っておる人がどうしても公共事業のためにごくその一部分を使われる際にも承知しない、たとえば電柱一本立てるにいたしましても、五坪の土地を要する場合に、同時に百坪買ってくれと主張をして、どうしても話し合いがつかずに、結局土地収用法に訴えるということから想像しますと、起業者側といたしましては泣き寝入りをして、相当な高価な価格をもって土地の入手をしておる例も多いのでございます。そういう場合に土地所有者が圧倒的に強くなって、公共事業の施行が妨げられるということはいかにも残念でございまして、あくまでも公共の利益と私権の保護の調整がうまく保たれなければいけないと思うのであります。しかも先刻申し上げましたように、土地収用にかかりましてから長いのは三年九カ月、こういう例が非常に多うございまして、平均土地収用に要する期間は一年なのであります。それでこういうような長期にわたります収用手続を、被収用者の犠牲を全然要求せずに、その点は全然触れずに、官庁側の事務が多少煩瑣になることは忍んでも、この際何らか合理化し得る方法があるならば合理化しようというので考え出しましたのが今回の改正でございまして、今御心配のありましたような被収用者側の権利を幾分でも犠牲にするという点につきましては、絶対にないように慎重に研究をいたしまして改正案を立てたのでございます。今申しましたように、そういう点に触れずに合理化しよう、そして土地収用にかけてから後も、二年も三年もかかるというようなことを幾分でも迅速にするようにしようというのが今回の改正の要点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/56
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057・川俣清音
○川俣委員 関連してお尋ねいたしますが、今の答弁をお聞きすると、器地と農地以外とを区別して御答弁になっている。農地以外についての説明であったが、農地と農地以外とはこの法律上区別するというお考えでございますか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/57
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058・町田稔
○町田政府委員 私は、被収用の土地が農地以外の場合もあるという例、しかも道路等の場合におきましては特にそういう例が多いという意味において申し上げたのでございますが、法律自体といたしましては、農地につきましても、宅地につきましても、土地収用法が一様に適用されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/58
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059・川俣清音
○川俣委員 今のあなたの答弁は、農地以外についてるる説明をされた。従って不便だからこう改正しなければならないという御説明であった。前のときは別々な説明をされて、今度は適用を一つにされるという考え方はおかしいじゃないですか。農地と農地以外とは明らかに適用の範囲を区別しなければならないというのがあなたの説明じゃないですか。説明とこれとは違っているじゃないですか。そちらの方が農地よりも多いので、多いものを対象にして作ったというが、それならそれを対象にして法律を改正されるのですか。修正されますか。修正の動議に同意されますか、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/59
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060・町田稔
○町田政府委員 私の説明が、農地以外の点に非常に片寄った説明になったといたしましたら、これは大へん説明がまずかったのでありまして、土地収用法自体は、今申しましたように、農地及び宅地に同一に適用をされるのでございます。ただ農地が多く問題にねります場合は、電源開発等のダム工事の場合が多いのでございますが、四十件なり、五十件なりの土地収用の件数のうち、ダム等に関する部分は年に一、二件でございます。その一、二件が常に非常に大きな土地を要しまするので、大きな問題になるわけでございますが、件数といたしましては、ダム寸は年間土地収用にかかりますものが一、二件であります。その他は学校敷地、病院敷地、それから道路等、九〇%まではそういう例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/60
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061・川俣清音
○川俣委員 そうすると、農地はダムだけだ、ダム以外は適用しない、こういうお話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/61
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062・前田光嘉
○前田説明員 道路といいます場合には、農地も該当する場合がございます。しかしその場合には宅地の場合が相当ある。ダムの場合には農地が大部分を占めておりますが、大部分を占めておりますが、それ以外の河川の改修あるいは道路の築造につきましても、宅地よりも農地の方が多いことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/62
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063・川俣清音
○川俣委員 そうすると、今度の改正では「イからヘまでに掲げる事業のために欠くことができない」云々とあって、「土石の捨場、材料の置場、職務上常駐を必要とする職員の詰所」これは農地は適用されない、そう理解してよいのですか。そうするとこの法律はそういうこともあえて含まれることになってくる。従ってこれは除くなら除くということの意思がはっきりしませんと、私ども修正の動議が出せないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/63
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064・前田光嘉
○前田説明員 ただいまの御質問の趣旨は少し理解いたしかねますけれども、今御指摘の通路、橋、鉄道、軌道等につきましては、これは本事業を行います場合に必要欠くことのできない付帯的な施設でございまして、これも本事業と同一の事業認定をする者が事業認定をするのが適当であるということから、現行法におきましてはこれらの付帯手業につきましても収用できますが、そのうち建設大臣が事業認定をする分に関するここにあげた付帯事業は、やはり本事業と同一の人が認定すべきであるということからここに掲げてあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/64
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065・川俣清音
○川俣委員 そんなことはわかっておる、農地を対象にするのかしないのかということ存聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/65
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066・前田光嘉
○前田説明員 この場合に、この通路なり橋なりがある場所が農地であればもちろん農地の収用の対象になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/66
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067・川俣清音
○川俣委員 およそ農地は対象にならないという今までの説明ではありませんか。それではあらためてお聞きしますが、この改正案によって補助助成を考えておられるのですか。民間会社に対して補助助成をするという考え方が入っておるのですかないのですか、この点を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/67
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068・町田稔
○町田政府委員 実は農地を除外したという御説明はしたつもりはなかったのですが、私の言葉が大へんまずくてそういうようにお受け取りになったと思いますので、私はその点は取り消します。農地も全部適用かございます。それから会社等の起業者に補助をするという趣旨は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/68
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069・川俣清音
○川俣委員 それではちょっとお尋ねしますが、私はこれは補助助成を考えての法律だと思うのです。もし間違いであったら御説明願いたい。一体今農地として造成するために国がどのくらい補助助成をいたしておりますか。宅地造成にはほとんど補助はありません。農地にだけ国の補助助成が行われておろ、この補助助成をしたものは今まで積算してどのくらいあるとお考えになりますか。これが一点。
第二点は、これは農耕地とするために補助助成されたものである。従って本来は農地以外に適用する場合においてはこれを還付させなければならないということが大体の建前です。補助助成をしたものが今度収用法でこれらの目的に使用する場合は、当然補助助成の対象になった土地であります。従って補助助成を受け継いでおるわけであります。従って民間会社になぜ補助助成をしなければねらないというお考えであるか。これが第二点。
それから材料の置場等が土地収用法でもしも対象になった場合において、農地の場合、これを材料の正場から宅地に編入する場合の責任はどのように追及されるおつもりであるか。一旦土地収用法で必要なる材料の置場としてまたは土石の捨て場として収用したものが他の目的に利用される、これは非常に多い場合です。材料の置場でありますから、建設にこれが必要になる、その場合にはどのように処理されるおつもりであるか。いやしくも国権をもって取り上げたものが、収用法をもって取り上げたものが他の目的に利用されるようなことをおえて黙認をされるというのは、どこに根拠があるのか、この三点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/69
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070・町田稔
○町田政府委員 ただいま農地については国がどれだけの補助を出しているかというお話でございますが、この点は資料を現在手元に持っておりませんので、まことに残念でございますが、あとからまた調べまして、お答え申し上げたいと思います。
それから起業者が補償をいたします場合には、買収関係は土地の補償でございますから、特に今お話のございましたような補助という、いわゆる一般的に国等が補助する場合には該当をいたさないと考えます。それからこの点は会社に所属いたしておりませんから、いわゆる農民に所属するのでございますから、補助にはならないというように考えております。それからトの事業につきましては、これは一時的にすべて必要な施設でございまして、一時的に使用するだけのものを原則としてここに掲げてございます。それで使用が済みました後には、それぞれ元の土地所有者に返還をいたすことに原則としてなっておりますので、今御質問のような事例は起らないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/70
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071・川俣清音
○川俣委員 今あなたは、それはほんとうのつもりで答弁しているのですか。土地収用法というのは、賃貸する分も含めて土地収用法で賃貸する、こういう意味ですか。あなたの説明はそうですね、一時的使用だというのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/71
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072・町田稔
○町田政府委員 使用の場合には使用料を払うということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/72
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073・川俣清音
○川俣委員 そういたしますと、この場合は土石の捨て場、材料の置場などは、所有権を取得するのでなくして賃貸料だ、賃貸料を確保するために収用するのだ、こういうふうにあなたお考えになって提案されているのですか。そうですが。あなたの説明はそうなんだ。法律はそうは読めませんよ。あなたの説明と法律は違うですよ。そこをよく——ただいまの説明通りとすればやはり修正を要するから聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/73
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074・町田稔
○町田政府委員 御承知のように土地収用法は、これは土地収用ということになっておりますけれども、第一章総則第二条によって「土地の収用又は使用」となっております。使用の場合も含めて規定をいたしておりまして、使用をする場合にも、この改正にございますように事業認定をしなければならない。それで事業認定をいたしまして使用いたしました場合には、損失補償のところで適当な使用料を払うということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/74
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075・川俣清音
○川俣委員 ですからこれは一時的に法律の対象となるというのであるからして、所有権を取得してという考え方はないのだ、そういうようにあなたはお考えになっている。一時的なものだと。ところが一時的なものだということは、所有権を獲得する意味でない。その場合には、所有権を獲得する場合の収用法の対象にはこれはならないのだ、賃貸だけの適用だ、こういうようにあなたは説明された。一時的なものだからしていわゆる所有権の移動による対象にはならないのだ、こういう答弁でしょう。ところがどっちでもできるようになっているから、もしもあなたのような答弁であれば、土地収用法の中の賃貸の分だけ適用する、とこうならなければならない。一緒くたにしておいて、何でも権益を拡大しようとという考え方はいかぬ。説明と違うような法律を持ってきたんではだめですよ。説明がほんとうなのか、法律がほんとうなのか、どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/75
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076・町田稔
○町田政府委員 第十七条に掲げましたのは、事業認定をすることを得る事業、それがここに列記してざいます。それで事業認定をいたしました事業につきましては、先刻申し上げましたように、その事業に必要な土地を収用または使用することができるわけでございます。そこでここのトに書いてございますような事業は、多くの場合においては一時的に土地を使用すれば事が足りる事業でございますから、この事業のためには実際においては使用で足りる場合が多いのでございます。しかしながらどうしてもこの事業のために収用を必要とする場合がありますれば、もとより事業認定がしてございますから、その必要な限度においてこの用途のためにも収用することができる、というように土地収用法で手続ができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/76
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077・川俣清音
○川俣委員 説明が違う。あなたにお尋ねしたのは、土石の捨て場や材料の置場は、農地をつぶす場合において、国が大きな補助助成をした土地を対象にしているのだ。それはなぜ国が補助助成をするかというと、農耕地であるがゆえに補助助成をしたのだ。これは個人の農民の所有権プラス国の補助というものが入った対象になっている農地だ。そうなんですよ。それを買収すればいいという考えだけでは足りないので、もしも買収するならば国の補助までこれを補償しなければならない。所有する人にかつて国が農地のため補助助成したのだから、農地以外に使う場合においては、その使用者または所有権を獲得したものは、国の補助または助成された金を国に還付する、というような考え方があるのかないのか、と聞いたのが第二点なんです。ところがあなたは、これは一時的に使用するのであるからしてそういう補償はしなくてもよろしいという答弁だったでしょう。速記録をごらんなさい。一時的な使用の対象だ。そうして一時的な使用の対象ということは、所有権を目的としたものでなくして、宅地権を目的としたものだ、また農耕地にもどるのだ、こういう大体あなたの答弁だったでしょう。
〔荻野委員長代理退席、委員長着席〕
そうすると両方対象にするのだという説明になる。前に質問したときには、答弁をのがれるために一時的なものだ。また突っ込んでいくと両方対象になるのだ。こういうように拡大していくことは、法律を拡大解釈できるようなことは別問題にいたしましても、正当に解釈しても対象になるようなことは、民間へ本社にあなたが法律をもって利益を与えようとする態度じゃないか。そんな法律の乱用は許されませんよ。法律をもって民間会社になぜ援助しなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/77
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078・前田光嘉
○前田説明員 ただいま御指摘の点は、補助を受けた農地を起業者が土地収用法によって収用した場合には、その正当な対価として農民にその農地の価格に相当する分がいくと思います。でありますから、その農民が農地で得たものが農地でなくなりましたので、その得た価格を——助成金が入っておると思いますから、その助成金の入ったと考えられるその価格を補助した国等に返すかどうかという問題は、その収用の対価をもらった農民と国との関係、これを御する農地法その他の法律でできると思いますので、土地収用によって紀業者が直ちに国に対して関係が出てくるということにはならぬかと思います。そのために特に起業者に対してこの規定によって助成をしたという形にはならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/78
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079・川俣清音
○川俣委員 もう一つはどうですか。二点尋ねているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/79
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080・前田光嘉
○前田説明員 私はこれだけだと承わりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/80
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081・川俣清音
○川俣委員 この対象になるのは、所有権の移転まで対象にしないという考え方かどうか、あなたの説明はそうなっておったのだが、説明通りだとすれば、これは両方適用されることになるから、これは賃貸借にだけ適用するのだ、こういうふうになさるのかどうかという点が一つあるのです。今のあなたの答弁は違うのですよ。あなたは土地収用によって土地収用委員会で取得されておる金額はどのくらいだとお考えになっておるのですか。土地の造成については国は相当な価格を出しておるわけです。ところが造成して国が非常に金をかけておるけれども、売買対価というものはそう高くない場合もあるのです。あなたが首をひねっているのはよく調べていないからなんです。干拓なんかのときには幾らかかっていますか。国が一体どのくらい料費をかけているかということがわからないで、安い高いというのがどうして言えるのですか。調べてみなければこれはわかりません。安い、高いということをなぜ言うのですか。安い、高いというから聞いているのですよ。安いも高いもあなたは調べないで、根拠がないのに議論されているのです。相当な価格なんというけれども、相当なんというのはどこから出てくるのですか。国が経費をかけた、それより上回っているとか下回っているとかいう考え方があるなら別ですよ。従って宅地とかなんとかいうものは一つの統制を受けていない、国の援助を受けていないのだからこれは個人と会社の一体でしょう。農地になりますと、全然性町が違ってくる。たとえば耕地整理をする場合においては国が補助いたします。干拓などの場合においては非常な国の経費をかけておりますけれども、農地として配分する場合においては、農地法に基いて安い価格でこれを配分しているのです。安いのだからということで安く売ってもいいじゃないかということは成り立たないのです。農地の場合はいいですよ。農地以外に転用される場合においては——当然国が農地として補助、助成をした、農地以外になる場合においては補助の対象にならなかった。この対象になったものを転換させるというときに、この収用法を拡大して参りますと、そういう問題が当然抵触してくるのです。これの抵触しないのは、おそらく港湾法によるものだけでしょう。このイの項だけでしょう。特にヘになって参りますと本質が違っていますよ。たとえばイの場合は、これは農地であろうとも、主として一つの県なり国なりの施設です。利益が上るものじゃないのです。従ってそのイの場合は、私は適用されることもやむを得ないと思います。一方ヘになると民間企業なんです。これから利益が上った場合において、あなた方はこの利益を税金として取る以外に方法はない、そうでしょう。税金以外にこれら民間の会社が利益を上げた場合にこれを国として収用する方法はありますか。ないにかかわらずなぜ権利を与えるのですか。なぜ利益を与えるのですか。これを収奪すると申しますか、何かの形において、税金以外の形においてこれを補償させるなら別ですよ。補償もさせないで、なぜ利益を与えるかと私はお尋ねをしておるのです。港湾の場合は全然別ですよ。これは利益の対象にならないものです。イの港湾の場合とヘの場合も一緒に考えているから間違いなんです。公衆の道路というようなものもそうです。これは直接利益の対象にならないから別の問題です。材料の置場とか土石の捨て場なんというものはよそへ持っていって幾らも捨てられるじゃないですか。経費を節約したいということから手近なところを収用しよう、こう考える。これはとんでもない間違いだ。土石なんというものはどこへ持っていっても捨てられるのです。経費がかかるから近くで収用したい、こういうわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/81
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082・前田光嘉
○前田説明員 先ほど御質問ございました一時的な使用というふうな説明が強く出たように感ぜられましたが、それは二十条の規定によりまして事業認定をする際には収用すべきかあるいは使用すべきかという点を十分に事業内容を考えていたします。その場合にただいまお尋ねのありました土石の捨て場その他の付帯事業につきましては、通例一時的な使用で足る場合が多いのでありまして、そういう意味において使用をする場合が多い。この場合には使用料を払う。しかし、ものによりまして、場合によりましては、土地を収用する必要があるならば事業認定をする際に収用と認めまして、これは土地の所有権を収用するということになる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/82
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083・石田宥全
○石田(宥)委員 私は、先ほどこの改正案は主としてどういう必要から起ったのか。今までどういう不便不利があったのか。たえば例をあげまして、電気事業のためにか、あるいは飛行場拡張のためにか、一体どういうところからこういう改正の問題が起ったのかということをお尋ねしたのでありますが、ただ従来の手続法では非常に時間がかかるからというだけの御説明であったのですが、前段の方を一つもう一度承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/83
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084・前田光嘉
○前田説明員 最近公共事業、特にダムに関連いたしまして——これは電気関係もございますし、あるいは治水関係もございます。そのダム関係の用地問題で相当困難を加えてきまして、これに対処する方法を三年前から関係各省といろいろ相談をして参りました。で、これに対処する対策といたしましてはいろいろな面が考えられますけれども、土地収用法の手続が非常に複雑でせっかくある収用法の運用もなかなか円滑にいかないという点がございます。その点については一応関係各省の間で話し合いがつきましたのでこれだけの改正案を出したのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/84
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085・石田宥全
○石田(宥)委員 最近起っておる飛行場の拡張問題で、先ほど局長は何か関係のあるかのごとくないかのごとくものを言っておられるのだけれども、実際はそういう方面から起った問題じゃないのですか、どうなんです一か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/85
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086・町田稔
○町田政府委員 その点は全然ございません。今回の改正によって飛行場が特に事業認定ができるようになったというわけではないのでございまして、従来の規定によりまして飛行場は、自衛隊がもし作るといたしましたならば、先刻申し上げましたように第三条の三十一号でできるのでございまして、今回の規定とは全然関係がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/86
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087・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで局長に、従来は時間的に非常に長くかかるので困ったような事例がある、こうおっしゃるのでありますが、なるほど一番長いのは堰堤の築造関係で岩手県ですか三年十ヵ月ほどかかっておる。しかし短かいのは四ヵ月、五ヵ月、六ヵ月というのが、三ヵ月からずっとあるわけでありまして、これはことにダム工事等の場合におきまするならば、計画をいたしまして、それから事業認定の申請を出してから工事に取りかかるまでの相当な準備期間というものがあるのであって、一年や一年半ぐらいかかっておってむしろちょうどいいように考えられる。工事に着工するまでには三ヵ月や四ヵ月でできるということならほとんど問題はないと思うのです。私がなぜこういう点の資料を要求して追究するかと申しますと、あとで御質疑申し上げようと思っておりまするところの、たとえば相当の期間であるとかあるいは不当に遅延をさせられるおそれがあるとかいうようなことで、いろいろ取扱いの規定があるのです。そこで一体改正されるあなた方の立場から見て、どのくらいな期間を相当の期間と考えておるのか。どのくらいの期間になれば、それは不当に遅延するというふうに考えられるかという、一体目安をどういう点に置くか、この点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/87
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088・町田稔
○町田政府委員 ここにダム等につきまして三ヵ月の例がございますが、これは収用委員会にかけますまでに、もう二年も三年ももみまして、どうしても話がつかない一部分のものにつきまして、収用委員会にかけて論点が非常にはっきりいたしておりましたので、特別に手続が早く済んだという点があって、こういうように短かくなっておりました。
なお土地収用についてどのくらいの期間を相当の期間と考えるかというお話でございますが、公共事業におきましては御承知のように単年度で予算が組まれております。毎年予算がついたらその執行はその年度内にしなければなり擁せんので、土地の獲得のためにいたずらに日にちがかかりますと、事業の執行ができません。それで少くとも半年程度の問に事業認定から収用までが行われるということが理想ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/88
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089・石田宥全
○石田(宥)委員 主としてダムの問題を言っておられるようでありますが、ダムのような問題でも、もちろんこれは電源開発のダムもありますけれども、最近は多目的ダムで土地改良等の関係とも関連はもちろんありまするが、私がさっきその改正の主なる原因というものは、どこにあったかということをお尋ねしたのは、川俣委員も指摘いたしておりまするように、今農地法というむのは、だんだんと弱体化されてその運営が妥当を欠いておって、年々三万六、七千町歩ずつ壊廃しておるのではないかと考える。そういうような農地法との関連がございまするので、この改正案を作るに当って、農林省との間で、そういう関係について十分協議が行われたかどうか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/89
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090・町田稔
○町田政府委員 農林省とは十分協議をいたしまして、農林省からもいろいろ意見がありまして、協議のととのった案を今回提出いたしたのでございます。協議は十分ととのっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/90
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091・石田宥全
○石田(宥)委員 それからもう一つ、この資料が出ておりまして、閣議了解というのがあるのですが、これは補償料の問題です。補償料の問題は、私は必ずしも高くさえあればいいということは考えておらないので、むしろ土地改良事業等をやる場合に、それに関連する公共事業として土地のつぶれ地が起るような場合におきましては、農民みずからがときによると非情に迷惑をする場合もあるわけであります。そこで閣議の了解事項によりますると、調達庁は協力謝金の支給基準というものを作った。こういうふうな基準ができますと、たとえば耕作反別面積六反以上となると反当三十五万円、こういう標準が出ておる。四反から六反というものは、三十万円というような標準が出ておる。しかもこれが損害の賠償の金額でなくて、それとまた別の協力費というようなものが出る。これはこういうものがつぶれ地に対する補償料の一つの標準になるのです。そうねりますと調達庁が関係しておるようなものは、これは特別な性質を持つからとおっしゃるかもしれないけれども、関係しておる農民にとって、自分の農地がつぶれるその犠牲の痛さ、苦しさというものは同じことなんです。飛行場のためにつぶれるのもあるいは道路のためにつぶれるのも、学校のためにつぶれるのも、あるいは土地改良工事のためにつぶれるのも、それは同じことなんです。そうするとこういうものは、幾ら内容を分けまして協力費と言おうがあるいはその他の費目を用いようが、これがやはり一つの標準にされる。そうすると今度農民の集まっておる土地改良区等の事業を遂行する場合におきまして、これは非常なガンになるあるいは只見の電源開発の場合におけるダムのつぶれ地の補償もその通りであって、反当四十八万円ぐらいの補償が行われた、それがために新潟県、福島県等における一般の公共事業の際に、それが標準とされまして、只見ではこういうような標準が出ておるじゃないか、われわれもそれでなければ承知できない、こういう問題が起ってくる。起ってくるので地方における公共事業遂行の面に非常な障害をなしておるのです。そういう点については一体どういうふうに考えておられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/91
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092・町田稔
○町田政府委員 土地につきまして任意で売買価格が定まります際には、これは国において特にその価格を統制をするということは現在いたしておりませんので、今御質問のありましたような事態が生じておりますことを私たちも承知いたしております。それでこれを一律に適正な価格によって売買を行わせるというためには、むしろ土地収用法等の強制的な、あるいは第三者による公正な価格の決定という方法でやっていく以外に、現在のところは法制上他にいい方法がないのじゃないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/92
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093・石田宥全
○石田(宥)委員 局長は一体今の調進庁の閣議了解のこの標準というものに対して、これは妥当であると考えておられるかどうか、また妥当でないと考えられるならば、これに対して何らか意思表示をされておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/93
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094・町田稔
○町田政府委員 ただいまお活のありましたこの調達庁の基準につきましては、実は特別の何らかの理由がありましてこういう基準ができておることと思いますが、事情を詳細承知いたしませんので、今私から私の意見を申し述べるだけの確信を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/94
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095・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで今申し上げたように、調達庁は調達庁で一つの基準を作り、電発会社は電発会社の一つの基準のようなものを持っておる、農林省は農林省の一つの基準を持っておる、建設省は建設省の一つの基準を持っておる、やはりそれぞれの基準となるべき額があるですね。あるのにもかかわらず法律はこれを一本に取扱う、ここに矛盾を感じられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/95
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096・町田稔
○町田政府委員 各省で作っております基準は任意売買の際の基準でございまして、しかもこれらの基準はいろいろ補正をすることができる旨の規定があるのが通例でございまして、これらの基準で一応算定して、具体的な場合にはそれ以外に各種の事情を考慮して補正をしろということになっております。ところが土地収用法に定めてございます基準は、起業者は収用委員会がその基準できめました際にはそれによって支払わなければならないのでございまして、しかも収用委員会は土地収用法にきめました基準によらなければならない、補正をする余地はないような規定になっております。それで両者の間にはおのずから相違がございます。性質上、法律上の相違がございますので、規定の仕方に相違がございましても、これはやむを得ないところであるというように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/96
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097・石田宥全
○石田(宥)委員 矛盾があるかないかということなのです。どうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/97
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098・町田稔
○町田政府委員 必ずしも矛盾はないというように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/98
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099・石田宥全
○石田(宥)委員 そうすると矛盾がないということであると、こういうことですか。建設省は建設省の考え方で、農林省は農林省の考え方で、電発は電発の考え方で、調達庁は調達庁の考え方でそれぞれしかるべくやる、それでいいのだ、矛盾はないということはそういうふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/99
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100・町田稔
○町田政府委員 各省で作っております各基準につきまして、実は比較考量、詳細な検討をいたしておりませんので、確信のあるお答えをすることはできませんが、各基準間にはそれほど……。(「今矛盾がないと答弁したじゃないか」と呼ぶ者あり)各基準の間にはそれほどの相違はないようでございます。それでただいま申しましたように、土地収用法とこれらの基準の間には何らかの矛盾がないかという御質問だと思ったものでありますから、両者の間には、おのずから性質が違いますので矛盾はないということを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/100
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101・石田宥全
○石田(宥)委員 そこで私がよくお尋ねしたいのは、今申し上げるように、各省によって違い、事業によって違うということであるならば、それを一本の法律によって取り扱うということが適当であるかどうか。できるならば電源開発は電源開発を中心として別の法律手続を規定するのが適当だと考えられないかどうか。土地改良とかあるいは教育関係とかいうようなものが全部同じ法律で取り扱われるというと——今申しまするような補償の基準においてすら格段の相違がある……。比較検討していないからとおっしゃるが、実は私せんだってその資料を要求したけれども、出してない。なぜ出されないのですか。私はそれぞれの基準を出していただきたいと言ったのですが、出ていない。それでは不勉強ですよ。あなた方が法案を改正しようというのに各省間の基準もよく調べていない。そういうようなことでは私はこの改正案というものは非常にずさんなものだと考えざるを得ない。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/101
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102・町田稔
○町田政府委員 先般御請求になりました資料は、基準案を、現在できております分につきましてはお手元に差し上げたのでございます。それからなお土地の評価についての一般に適用できるようね基準につきましては、これは統一的な一つのものがあることが望ましいということは考えております。任意売買の際にも一つの基準があって、それによってお互いに任意売買をするようにできますることが、一番好ましいことでございまするから、そういう統一的な基準ができることは適当だと思います。建設省におきましてもいろいろ土地収用法との関係でこれらの基準を研究はいたしておりますが、何しろいろいろの条件が違うところについての土地の値段を定める基準でございまするので、その作成がなかなかむずかしいのでございまして、現在検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/102
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103・川俣清音
○川俣委員 あなたにお尋ねしているのは——今の答弁でよくわからないのでお尋ねしたのですが、建設省の基準と土地収用委員会の基準と相違するのはやむを得ない、こういうことのようですね。そうすると、建設省の基準は建設省では妥当であるとお考えになる、この法案を出されるにはこの収用委員会が持っている基準も妥当だ、こういうわけですね。両方妥当である。違ったものが両方妥当だというのはどういうわけなのですか。建設省で持っている基準は誤まりで収用委員会で持っている基準が正しいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/103
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104・前田光嘉
○前田説明員 収用法にあります基準は、御承知の通り法律に書いたものが基準でございます。建設省で持っております基準と申しますものは、収用法によらない場合において、建設省がみずから任意交渉をする場合に、被収用者と交渉する際の価格を算定する際の一応の基準でございます。根本精神におきましては、土地収用法による収用も、時価、近傍類地の価格を勘案いたしまして正当な価格でいくべきでございますし、建設省が任意交渉で払うべき対価も適正でなければならぬと思います。しかし法律に規定いたしますと、勢い用語を抽象的にいたしませんと個々の場合に当てはまりかねる場合がございますし、適用を誤まるおそれがございますので、勢い法律は簡単でございます。ところが建設省の方につきましては、これは任意交渉の材料でございますから、これについて法律的な強制力はございませんので、法律よりは幾分規定の仕方が複雑詳細になっております。たとえば時価を算定いたしますにつきましては、法律には近傍類地の取引価格という言葉を使ってごさいますが、これを建設省の方の案では相続税法による評価というふうにいたしまして、その取引価格を算定するのにだれが見ても一番わかりやすい表現をしております。しからばといいまして、相続税法による評価額がほんとうに正しいかどうかということは、法律上明定すべきではないと考えております。そういう意味におきまして、多少表現は逢う、あるいは考えによっては内容も違うということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/104
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105・川俣清音
○川俣委員 建設省も国の行政機関ですから、やはり妥当な基準を持っておられる、これは民間の機関と違うのです。政府機関です。従ってその基準というものは、妥当性がなければならないはずです。妥当性を持たないというふうには思っておられないでしょう。それも妥用だし、収用法の基準も妥当だ、そこに相違がある。妥当性に相違があるというのはおかしいじゃないですか。一般の国民の権利義務に関することであるから、土地収用法を使おうと、協議であろうと、いずれにしても妥当性がなければならない。妥当性を法文化されたものなんです。妥当性のないものを法文化することはおかしいのです。妥当性があるから法文化してあるのでしょう。あなたの方で妥当性ありとして出された基準と二つ持っておって、どっちも妥当だというのはおかしいじゃないか。受けるところの国民の権利義務に差がある。同じ政府機関、しかも法律の場合と政府機関の建設省の場合と違うというのは、どこにある。従って、いずれにしても妥当性がなければならぬ。両方に妥当性があるといっても、二つ違ったものが出て両方妥当だとは言えません。世間にはそういう常識はないのです。違ったものが二つあって、どっちも妥当だという話はない。そうすると国費の乱費になる。どっちが妥当なんですか。今行政事務に携わっておられるあなた方が、妥当だというのならば、法律をそう改正されたらいい。作った法律の方が妥当性があるとすれば、あなたの方の基準を変えるのがほんとうじゃないかと思う。協議であろうと収用であろうと、権利義務は同じである。法律だからむちゃくちゃにとってもいいということはないでしょう。協議だから特別多くやってもいいということにはならないでしょう。これは国費ですから……。どっちも同じところに基準がなければならないはずじゃないですか。それが異なっておるというのは事情が違うからおそらくそう言うのだと思うのです。ところが事情が違うものを法律で一辺倒にきめるというところに矛盾があるのだ、こういう意味ですか。どうもそんなふうに解釈するより仕方がない。あなたの方の説明を聞くとわかりにくいから、私の方で何したのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/105
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106・前田光嘉
○前田説明員 法律には近傍類地の取引価格を考慮して相当な価格をもって補償しなければならないと書いてございます。これは妥当な規定と考えます。これを具体的に適用するにつきまして、これを算定するのに、この規定ではどれで算定していいか困難を感じますので、建設省の案といたしましては、この精神によりまして相続税法による評価額を基準として考慮するというふうに書いてございますので、一つの算定方法としてはこういう基準が妥当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/106
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107・石田宥全
○石田(宥)委員 さきに基準についての資料を配ってあるというのですが、私の手元には入っていないのですが、ありますか。
それから、さきの私の質問の中で申し上げたように、全面的に、一律にこれを取り扱うことは必ずしも妥当でないのじゃないかと私は考える。そこで、これを、一般の場合と、発電所のダムというような問題、あるいは飛行場の拡張というような場合の取扱いをもっと別なものにしてはどうか。いわゆる一般的な公共事業の学校とか、道路とか、土地改良とかいうような場合は従来通りにしておいて、特別な事業等に関する問題に限って、もしそういうものを中心にしてこの改正案を作らなければならないということであるならば、そういう面はそういう面だけで別に改正をして、他の一般のものは従来の法律によって取り扱うということで差しつかえがないのじゃないかと考えるから、その点を伺っておったのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/107
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108・前田光嘉
○前田説明員 用地問題の解決の方法といたしまして、今御指摘のような考え方も意見としてございました。われわれも関係の方面といろいろ相談いたしましたところが、土地を収用される側の立場から見ますと、何の事業で取られる場合も、あるいはその他の事業で取られる場合も、特に法律上差を設けて取り扱う根拠は困難でございますので、将来十分検討を要する問題といたしまして、現在のところ当分やはり取られる側の立場におきまして同じ扱いでいくのか妥当だろう、こういう考えから特別の措置を特定の事業のために価するということなしに、一般的に改正を行なって参りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/108
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109・石田宥全
○石田(宥)委員 同じ法律でやるということなら、基準や何かも関係各省が全部協議の上で統一すべきじゃないか。そうして今金額をきめることは困難だとおっしゃる。なるほど法律では時価ということになっておって、私は金額を今明らかに法律できめようというようなやぼなことは言わないけれども、いやしくも土地、建物、宅地というような——土地にしても田畑、山林、原野というふうにそれぞれあるわけでありますが、そういうものの算定の基準というようなものが、たとえば米麦価を決定する場合においても、いろいろな算定の基準がある、方程式がある、そういうふうな方程式を作って、そうして一町歩も二町歩も作る者がわずかに二曲や三畝つぶされるような場合と、それから大部分の農地を失ってしまって、他に転業しなければならないとか、あるいは移住をしなければならないというような場合との算定の方程式は、関係各省間の連絡協議の上でこれを決定しておくということは、今もしこの法律を今度改正をして、あくまで全面的に統一して一本でいこうということであるならば、そういう措置を一体考えておられないか、こういう点を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/109
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110・前田光嘉
○前田説明員 ただいまできております補償の基準は、各事業をする場合の任意交渉の際の基準でございまして、土地収用法の適用によって法律上収用される場合の基準ではございません。収用される場合の基準は、法律に書いてあるのが現在の基準でございまして、これの運用につきまして、土地収用委員会でそれぞれの具体的な場合に適用しております。この用地問題を解決するために、御指摘のように補償につきましては、やはりある程度その基準を確定する基礎となりますので、関係各省集まりまして協議を進めて参っております。ところがたとえば農地につきましても、現在の、書いてございますような富裕税法上の評価によるとか、あるいは相続税法上の評価によるとかいうようなことでは、とても問題を処理できません。場合によっては農地を再取得する場合の価格を考慮する必要がある、あるいはまた鉱業権につきましても、いろいろな方式がございまして、これは簡単に関係各省で話がまとまっておりません。ただいま関係各省と打ち合せておりますけれども、すぐに政府といたしまして一本の基準を作るわけにいきませんので、現在できておりますところの電源開発関係に伴う補償基準とか、あるいは建設省の補償基準というものは、多少の用語例は違いますけれども、大体において同一の考え方でいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/110
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111・石田宥全
○石田(宥)委員 まだ同僚委員の質疑もだいぶあるようでありますから、端的に要点だけ二、三承わって私の質疑を終りたいと思います。
第十七条、二十四条、二十六条に関係することでありますが、利害の影響が一都道府県存をこえ第十七条の第三号のイからトまで、重要港湾、電源開発、電気等の各事業の認定処分を建設大臣が行うことにする、また事業認定申請書の写しを知事を経由して関係市町村長に送付し、そして公衆の縦覧に供していたものから、知事を経由することをやめて直接市町村長に送付する、そのあとに知事に写しを送付すること、さらに事業認定の告示をする場合、知事に通知し、かつ関係書類の写しを送付することになっているが、この関係書類の写しは重複するから送付しないことに、今度はするようであります。このように従来知事が行なってきたもの、または知事を経由してきたものを建設大臣に引き上げ、または知事に送付しないことにしたのは、地方分権の基本原則に基いて地方的事件は知事に委任するという地方自治の建前に重大な変更を加えることになる。地方自治の原則が都道府県における総合開発事業その他の諸事業の円滑な遂行に悪影響を与え、あるいはまた与えつつあるという具体的な事例が一体存するかどうか。われわれの知っておる範囲においては、従来の新潟飛行場の拡張等の問題において、これはお困りになっておられるようでありますけれども、その他法律の改正までしなければならないというような今日までに起った事例、また現にお困りになっておるような事例を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/111
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112・前田光嘉
○前田説明員 新潟の例は詳しくは承知しておりません。土地収用法ではなくて、特調関係の事件だと思いますが、公共事業につきましては、先ほどお配りいたしました資料にございますように、相当処理するのに期間がかかっております。この処理する期間のほかに、事業認定をする前に実は相当な期間がかかっております。これは具体的には資料としては出ておりませんけれども、われわれ聞いておりますと、その添付書類を作るのに相当な時間が実はかかっておるのであります。たとえば今回改正いたしました意見書を求める場合がございますが、意見吉を求める場合に、土地の管理者の意見書、あるいは関係行政機関の意見書を求めますのに、これが七十日とかあるいは五十日とかいうふうな相当な日数がかかっております。この日数がかかった上で初めて事業認定の申請書を出しまして、それからなおまた一年以上の日数がかかって最終的な結論が出るということでございますので、しかもその意見書をとる場合には、単に意見書を出すだけではなくて、その意見書を出すに際していろいろなことを起業者に対して条件とする場合が相当あるようであります。それがたとえば補償が全部完全についたあとでなければ意見書を出さないというふうなことがあるとするならば、土地収用法というものがありましても、公共事業の用に供するために当事者同士の話し合いがつかない場合に収用するという規定が、事実上適用できなくなるという場合もございます。あるいはまた補償の関係のない場合、その際は起業者に一定の寄付を申しつけるとか、そういうことによりまして、この意見書の提出がはなはだおくれる、あるいは意見書を出さないというふうなこともありまして、そのために起業者はやるべき当然の価格以上の対価を払いまして、一応土地問題を処理しておるというふうな例もございますので、そういうことのないように努力は一応してもらいましても、その努力をこえた範囲内においては、添付書類としなくてもよろしい。ただし関係方面の意見その他は事業認定する際にはどうしても参考にする必要がございますので、事業認定をする都道府県知事または建設大臣においてみずから求めてこうした意見を承知の上で事業認定をするというふうに解釈しているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/112
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113・石田宥全
○石田(宥)委員 答弁を中心に議論をしておっては時間が長くなりますから、要点だけを一通りやりたいと思います。現行法の第三条の規定で、「土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業」として三十三の事業が掲げられているのであるが、今回の改正案では、一の都道府県の区域をこえて利害の影響を及ぼす第十七条第三号の各事業のみを引き出してこれらのみを特に建設大臣の行政処分の対象として掲げた理由はどのようなことであるか、具体的に説明を承わっておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/113
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114・前田光嘉
○前田説明員 三十三号の掲げてございます事業は、それぞれ公共の利益となる事業でございますが、そのうち特にその事業の及ぼす利害は都道府県の区域をこえて全国的な影響を及ぼす事業を特に選んだわけでございます。その事業といたしまして、三十三号掲げた中から検討いたしました納米、港湾法による港湾施設で重要港湾に係るもの、これは国の利害に重大な関係がある事業でございますので、都道府県知事が判定するよりも建設大臣が中央の立場で判定する方が適当な判定ができるということであげたわけでございます。それから航空法による飛行場、これは飛行場の性質上、たといその飛行場の所在地が一都道府県にございましても、性格上これは全国的な、むしろ国際的な影響を持ちますので、これをあげたのでございます。国際電信電話株式会社につきましては、これは国際電信電話に関係する施設につきましては、国際電信電話株式会社と電信電話公社と二つございますが、電信電話公社の方は他の法律で、建設大臣が事業認定をすることになっておりますので、漏れております国際電信電話株式会社につきまして、この際これを建設大臣の事業認定にすることが妥当であるという見地からあげたのでございます。日本放送協会につきましては、日本放送協会自体は国の全域にわたって放送することを目的としている事業でございますので、やはりこれも国が事業認定をすることが妥当であるという見地からあげたのでございます。それから旧公益事業令による電気事業と申しますのは、いわゆる電力会社あるいは都道府県がやっておりますような電気会社でございますが、これは電気事業そのものがその事業の性質上全国にわたって、あるいは相当多数の府県にわたって電気を供給しておりまして、その電気の供給いかんが国全体の経済的な利害に相当重要な影響がございますので、これをあげたのでございます。電源開発会社もそれと同じように、特に全国にわたる見地から電源開発を行う会社でございますので、これが行う事業はやはり国が判定したらよかろうという趣旨からあげたのでございます。トにつきましては、これらのイからヘまでの事業に付帯して必要な通路あるいは橋、鉄道等につきましては、単独に知事だけが判定いたしますときには誤まります。むしろこれは本事業を認定する際に同時に判定すべき事業でございますので、ここに掲げまして事業認定を建設省で行うということにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/114
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115・石田宥全
○石田(宥)委員 第十八条と二十一条の関係ですが、現に徴用されておる土地で、これを新たに収用する場合、起業者は事業認定申請書に管理者または関係行政機関の意見書を添付することになっている。それが得られないときは、その事情を疎明する書面を添付することによって足れりとし、また事業の認定処分を行う場合、土地管理者または関係行政機関の意見聴取を行うことになっているが、これについては、土地の管理者が確知できないときはこれを省略してもよいということにしたようであります。このことはかねて起業者、特に電気事業者等から、土地取得の迅速化、事業認定手続の法定書類完備の困難性によるその簡素化の主張に応じて、その要望をいれたものと思われるのであります。しかしながらこの改正案によって意見聴取等の手続を省略することは、新たに旧法の官憲的な色彩に帰するものであって、さらに起業者が悪意を持って意見書の添付を怠る機会を与えるような危険性ほしとしないと思うのであります。が、これらについては、だれがそれを監督し、そのような危険を防止することになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/115
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116・前田光嘉
○前田説明員 事業者が意見書を聴取できなかった事情につきましては、疎明書に詳細に書かせますので、その内容を、事業認定をする知事なり、あるいは建設大臣が見まして、それがむし十分な努力をしてなければ、もちろん企業者にさらに努力させます。もし内容においてやむを得ないということが判明した場合には、一応その意見害がない事業認定申請書を受けつけまして、かわってこれを事業認定権者の方で聞くということにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/116
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117・石田宥全
○石田(宥)委員 今申し上げたように、土地管理者が確知できないときはこれを省略しても云々、こうなっておるわけでありますが、一体その土地の管理者というものはどういうものをさしておるか。たとえば土地改良工事中は、土地改良区がその管理者になるとか、あるいは部落有のような場合であるとか、いろいろあるのですが、そういう場合に確知できないというようなことが果して考えられるかどうか。またその土地の管理者というものの考え方、今日まで土地収用法を適用されるような場合に起ったところの実態の例などがあれば、一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/117
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118・前田光嘉
○前田説明員 土地の管理者は法律によりまして事業認定を受けることができる事業の管理者でございますので、必ずしも公共団体とかなんとかというばかりでなくて、私人がこれに該当する場合がございます。たとえば鉱業法によりまして、坑口、もしくは用排水路あるいは池井を作る場合でございますが、これは法律で事業認定ができますけれども、この管理者と申しますのは、鉱業法によりますと、別にその資格は限定しておりませんので、一般の私人でもできます。こういう場合に、それが相続されるとか、売買、移転されるという場合に、だれが現在管理者であるかということにつきましては、これを確知することが困難である。それを追及しておりますことは相当期間を要しますし、現在におきましても、そういう事情やむを得ない場合には一応意見書がなくてもやむを得血いということに処理せざるを得ないような場合がありますので、そういう場合を考えておいたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/118
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119・石田宥全
○石田(宥)委員 そこでもう一点承わりたいのは、手続の簡素化が行われまして、今度はきわめて短時日の間に——この点も伺いたいと思ったのですが、委員長の権限が非常に強化されて、もし適当な人を得ず、独裁的な性格の人が委員長等の職についたような場合においては、きわめて短時日の間にその裁決が行われることになるわけであります。しかもそれが知事の所管事項が今度大臣に移されますと、裁決は済んだ、そうして従来の訴願と訴訟の道が開かれておったものが、今度は大臣の所管になりますと、訴願という道がなくなって、直ちに訴訟をやらなければならないということにるんじゃないかなと思う。そういうことになりますと、あとで裁判をすることになりましても、一旦死刑の執行を受けて首を切られてしまってから裁判をやって、あとで裁判の結論がどう出たとしても、それでもう私権は完全に処分をされてしまっている。これでは悪法の精神に反することになるのであって、どうしてもこういうふうな一審制というものはいろいろな弊害を伴うので、これを二審制にして、もう一段階の審議機構を作るべきではないかと考えるのですが、この法律の改正に当ってそういう点について十分検討が加えられたかどうか、またなぜ二審制をやらないで一審制にされたのか、この点を明らかにしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/119
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120・前田光嘉
○前田説明員 収用を適正に、しかも慎重に行いますために二審制度を設けたらどうかということでございますが、この点につきましては、土地収用法の改正に関連いたしまして従前からいろいろ検討を加えて参っております。この際の改正といたしましても検討を加えました。ところが、二審制度を設けますと、一体どういうふうな二審機関にするか、現在収用委員会は都道府県に設置してございますが、これと国に設置すべきところの第二審級との関係、県の機関である現在の収用委員会と、国の機関である収用委員会とどういう関係をつけるかという問題がございます。それからどういう問題を第二審に持ってくるべきか。普通の一般の裁判所でございますと、その裁判に対して不服があったものが訴え出るということになっておりますけれども、現在収用法におきましては、不服があったものに対しましては、あるいは裁判所に出訴するとか、あるいは訴願をするという制度が認められております。この二つの制度がございますので、そういう現在の出訴権との関係をどう調整するかという問題がございます。また場合によっては、この案といたしまして、地方の土地収用委員会が一定期間に裁決をしない場合には中央に持ってくるということも考えられます。ところが中央の委員会と申しますのは、法律判断をするのなればこれはけっこうでございましょうけれども、収用委員会のように、具体的な土地につきまして、具体的な収用の時期とか、その範囲もしくは価格をきめるということになりますと、やはり現地において詳細に事情を知ることにいたしませんと、あるいは利害関係者を中央に呼んでくるとか、あるいは中央から地方に行くということになりますと、かえって土地所有関係人に対しまして不利益なことが起ってきますので、必ずしも中央に第二権制を設ける必要がない。むしろ法律問題については、裁判所の系統で以後まで検討すべきであるというふうな議論が出まして、容易に結論が出ませんので、一応一つの案として検討いたしておりますけれども、今回の改正には提案をするに至らなかったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/120
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121・徳安實藏
○徳安委員長 日野吉夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/121
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122・日野吉夫
○日野委員 どうも驚くべき片手落ちな、しかも時代に逆行する改正で、われわれは承服できないのですが、最近の要求は、収用法の一つの大きい部分であり、損失の補償のことが、一番先刻来問題になっている点であろうと思うが、この点に一つも触れないで、収用法の最も欠陥である手続の簡素化ということで、きわめて簡単に権利を没収ないし収奪できるような方法にされてあることが一点。もう一つは、きわめて例外やむを得ざる場合に限らるべき範囲を、ノー・ズロースにどこまでも広げていった。こういう一番悪いところだけを改正して、重要な補償の点に一つも触れてないじやないか。過般来問題になっておりますのは、あとで訴訟をやればよろしいというけれども、これは権利を収奪されて、あとで訴訟をやっても、今の民法の損害賠償の規定や、土地収用法の規定では、一つも間接補償の規定がない。今後土地収用法で考えらるべき補償というものは、間接補償までも当然に想定したものでなければならない。過般、閣議了解事項、これを中心にして公共事業の遂行をやっていたのに、横紙破りに田子倉のダムの補償の問題で、今相談中の補償が暗礁に乗り上げた。さらに一度きめた補償も再補償の要求が出て、公共事業の遂行ができなくなったから、国が何とかしてくれということで、府県の代表が集まった会議に僕も出たことがあります。これは星島さんが議長になってやった。建設省からもみな来ておった。これは補償を中心にして、国が一本で——各省ばらばらで、そして強制力を持たない閣議了解事項だけでは公共事業を遂行できないから、何か法律を作ってくれ、単行法を作るか、土地収用法の改正でいくか、これは、補償の問題が中心になる。土地収用法の改正をやれば補償を中心にして、しかもこれは今の収用法で規定している民法の損害賠償の規定だけでは、とても今日の何はやれぬから、間接補償を規定した一つの改正か、単行法を作るか、こういう話になって、次には損失補償を中心に土地収用法の改正ということが課題になっていたはずです。しかし出てきたこの法律を見ると、一つも補償の問題には触れずに、今までは手続がめんどうである。補償が安いし手続がめんどうであるから協議できめていた。協議がととのはなくて、収用法にかけても、この手続がめんどうで進行中に何とか協議がととのうということで、ちょうどいい工合にいってたのです。それが今度のような改正になると、どんどん手続が進行されて、あとは訴訟をやれと言ったって、それではとても私権が回復できるものじゃないです。こういう改正の仕方というものは、僕は非常に片手落ちであると同時に、時代に逆行するものであると思うが、あなたはそう考えませんか。一応この改正に当って、さっき石田君からも言われましたが、改正しなければならなかった経過等について、もう一度どうしてこういう改正をしなければならぬか、改正をするならば、むしろこれよりも間接補償も考慮した補償の点に重点が置かるべきでなかったかと思うが、何か建設省に、間接補償に対する考え、研究、用意、これだけじゃとても済まされぬと思うが、この次にやるとするならば、どういう点という構想があったら、一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/122
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123・町田稔
○町田政府委員 土地収用をいたします際に、被収用者に対しまして十分な補償をいたすべきことは、お説の通りでございます。現在の土地収用法におきましても、物質的損失につきましては、これを完全に補償すべき原則に立って規定ができておるのでございますが、今お話のありましたような間接補償の点につきましては、規定がございません。これはなかなか困難な問題でございまして、たとえば物質的な損失につきまして支払いを受けた補償金をもって新たに生業の立て直しをしなければならない者に対しましては、補償金の使途に関する指導とか、かえ地の取得の円滑化とか、農林業その他の生業指導、国有公有財産の払い下げその他各種の方策によりまして、援助措置が必要であろうと思います。この点につきましてはお説の通りでございまして、私たちも関係各省といろいろ協議いたしまして、検討をいたして参ったところであります。しかしながら、これらの点につきましては、なかなか適当な法制化がむずかしいのでございまして、今後も関係行政機関の協力によるこれらの指導に大いに力を入れたいと思いますが、なお法制化すべき点につきましては今後検討いたしまして、法制化も考えていきたいと考慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/123
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124・日野吉夫
○日野委員 むずかしいということは必ずしも不可能じゃないのであります。今日本に間接補償を規定した法律が一つある。これは、日本国に駐留するアメリカ軍隊の使用による特別損失の補償法という法律です。この法律は間接補償を認めておる。これは防潜網であるとか、あるいは演習地、こうしたところの補償を規定するために作った法律でありますが、今盛んに各地で軍事基地を日本の政府が収用している、それと同一形式です。同じケースでありながら、一方は間接補償の法律でもってやられるし、一方は何らの間接的な補償がなく、この土地収用法でやられているという一つの不公平がある。これはやはり次の行政措置としては、間接補償を認めた単行法が作られなければならぬ。そういうことになれば、今まちまちにやっている各省の補償基準なんというものも、石田君の言われるような、方程式のような一つの基準を示して、それを今やっておる土地収用委員会というようなのが、特撮法ともいっておるが、この法律では、従来不動産審議会といったものを補償審議会という機構に改めたはずだ。補償審議会を作って、そこで方程式を各地の実情に照して算定すれば、補償というものが出てくる。これが決定された場合、もし不服があれば訴訟をやる道を開いてある。これは大体法文には、通常生ずべき損失、こういう規定で、その内容は相当因果説の建前をとる、こういうことにきまって審議会が出て訴訟の途が開けるということになれば、今あなた方が適用してる閣議決定要綱、これを中心にする、その他精神的な慰謝料的なもの、転業資金、そうしたものを加えたものをつけて、そうして一つの単行法に作れば、それほどむずかしくなく出ると私は思う。そういう方向に進む話になって補償が中心になっていたのを、これはめんどうだ。それはめんどうです。めんどうだということは必ずしも不可能だということじゃないので、これはやるべきです。そうしないと収用法だけでは依然として収用法の欠点が救済できない。今後やる場合、しかも収用法の対象になるものは善意無過失の国民である、農民であり漁民であり、何らの過失のない者から国の必要、公共の福祉というようなことで憲法が保障した権利を取る以上は慎重な手続をしなければならぬ。こういうことで新しい法律を作る用意があるのかどうか、もしそういう考えがあるならばこの収用法の一部改正を撤回して、完全に国民の権利を擁護するところの単行法に作りかえて再提出する御意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/124
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125・前田光嘉
○前田説明員 間接補償という概念はいろいろ解釈できると思うのでありますけれども、特損法にございますような通常生すべき損失という損失につきましての補償は、収用法にも八十八条に規定がございまして、「土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。」ということがございます。問題はその土地所有者または関係人でない者が受ける損失をどうするかということでございます。これにつきましては土地収用法にも九十三条に規定がございまして、特定の場合に土地所有者または関係人でない者が損失を受ける場合、その範囲が明確にわかる場合には補償するようにしております。ところが法律によります場合には土地所有者、関係人は別でございますけれども、それ以外の者につきましてはよほど慎重に規定を置きませんと、だれが一体その事業に、よる損失を受けるか、それは収用によって受ける損失であるかあるいは収用じゃなくて事業そのものによって受ける損失であるかどうか、たとえば道路事業によって受ける損失であって収用による損失でないというようなことも考えられます。そんなこともございますので、関係行政機関に検討させておりますけれども、現在までのところ妥当な結論が出ておりませんので、今回の改正には出なかったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/125
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126・日野吉夫
○日野委員 今の相当の損失、このことは立法技術としてやむを得ない、ほかに表現のしょうがないから、従って通常生ずべき損失の範囲を相当因果説の建前で押えて、そこへ規定をすればよろしいのであって、立法技術としてそういう言葉が使われておるということを私は申し上げたにとどまるわけであります。とにかくこういう一つの工夫をしてやって、こういう不完全なものを出すよりは、完全なものにして出してもらいたいということと同時に、もう一点、時間の制約がありますから簡単に申し上げておきますが、この改正ではこの法律の悪用を防止する配慮が一つもされてない。これは非常に悪用される危険がある。さっき川俣君から指摘があったように、この法律を事業会社が利用しようと思えばどうにでも利用できるということになる。こうした点に対する配慮が一つもされていないということはまた一つの大きな欠陥であろうと思います。こういう点は一つ十分配慮してやってほしい。私たちはこの法律にうかつに賛意を表するわけにいかぬ。これはすべからく撤回して今の単行法で間接補償のみっしりした規定を持った法律にかえて公共事業の運用をやるべきだという意見を述べて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/126
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127・徳安實藏
○徳安委員長 連合審査会はこれにて散会いたします。
午後一時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404179X00119560420/127
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