1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十七日(月曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 加藤鐐五郎君
理事 青木 正君 理事 大村 清一君
理事 小金 義照君 理事 杉浦 武雄君
理事 淵上房太郎君 理事 井堀 繁雄君
理事 島上善五郎君
相川 勝六君 足立 篤郎君
大坪 保雄君 小山 長規君
薩摩 雄次君 内藤 友明君
古井 喜實君 星島 二郎君
山本 勝市君 山本 利壽君
鈴木 義男君 滝井 義高君
竹谷源太郎君 森 三樹二君
山下 榮二君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁選挙部
長) 兼子 秀夫君
委員外の出席者
参議院議員 伊能 芳雄君
総理府事務官
(自治庁選挙部
管理課長) 桜沢東兵衛君
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二月二十七日
委員井出一太郎君及び平野三郎君辞任につき、
その補欠として内藤友明君及び山本勝市君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提
出、第二十三回国会参法第一号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/0
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001・加藤鐐五郎
○加藤委員長 これより会議を開きます。
この際都合により暫時休憩いたします。午後一時三十分より会議を開きます。
午前十時四十四分休憩
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午後二時十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/1
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002・加藤鐐五郎
○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
前会に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案に対する青木正君外十五名提出の修正案を議題として、残余の質疑を継続いたします。井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/2
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003・井堀繁雄
○井堀委員 前回お尋ねをいたして参りました後段の分について、一、二お尋ねをいたしたいと思います。
公職選挙法の改正原案については、提案者側の御意向をただしまして、ある程度明らかになったわけであります。修正案は一、二、三の三つに分れて、それぞれ御説明を伺いましたが、第二の、すなわち「第二百一条の五第四項の改正規定中「三以上」を「二以上」に改める。」ということの、この「「三以上」を「二以上」に改める。」ということは、申すまでもなく、選挙活動に一つの団体以上に帰属して、またその団体がその選挙活動のためにフルに活動することが阻止される、禁示されるということが、前回の提案者に対する私の質問でやや明らかになったところでありますが、この点をいま一度明確にしていただいて、さらにそれに基いてお尋ねをいたしたいと思います。前回提案者の方の御説明では、その点がきわめてあいまいだと思われる御答弁が何回か繰り返されておりまするので、まずこの点に対する正確な御答弁を伺って、さらに進行いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/3
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004・小金義照
○小金委員 一の公職の候補者は、一つの政治団体の所属候補者としてだけしか計算されないということですから、他の政治団体からは候補者として取り扱われない。その意味において、候補者を持たない政治団体が他の候補者を自分の方の公認候補者としては取り扱えないという意味で制限をされます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/4
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005・井堀繁雄
○井堀委員 そこで明らかにされましたように、一つの団体ということになりまするから、今日の場合におきましては、常識としておおむね政党の公認を受けて立候補されるのが慣例であります。そこで、今日の現状は二大政党への成長が急速に推し進められておりますから、この二大政党については、それぞれの政党の支持を受けて一応選挙が行われるものという前提におきまして、この種の制限は、全体の団体というように抽象的には表明されておるのでありますけれども、ただいま前提といたしました日本の政党運動やあるいは選挙活動にそれぞれ予定されます団体はいろいろあるのであります。この規定を設けようとした提案者側の意図は、具体的には、労働団体の政治活動に対する制限を意図したのではないかと、私どもには察せられるのでありますが、この点に対する率直な御見解が伺えますならば、私の質問を進める上に非常に便宜だと思いますので、どうぞ歯にきぬを着せないで率直に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/5
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006・小金義照
○小金委員 労働組合の組織する政治活動のみを目標としたものでは決してありません。しかしながら、それも一つの場合であるという立場から立案いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/6
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007・井堀繁雄
○井堀委員 前回、私との質疑応答の間で、多くの政治結社としての選挙活動に参加する実情を漏らされておりましたが、おおむねこの場合労働団体が取り上げられておったようであります。また、私は、実際問題として、過去の実績からいってそうであることを認めたいと思うのであります。そこで、一人の候補者に政党のほかの労働団体が折り重なって応援することは公平を失するという意味の御答弁が前回ございました。さらに、これは、原案をお作りになった参議院側の方の御意見の中にも、選挙運動の公正を期する意味で、多くの団体が一人の候補者のために選挙活動をやることは適当でないという意味の御趣旨が述べられておる。原案は、申すまでもなく、「三以上」ということでありますから、政党のほかにこの種の団体の活動は認めておるわけであります。それを、無制限ではなしに、数の上で制限を加えようということであります。修正案は全然これを禁止するという結果になるわけであります。そういうことになりますと、原案者側の方では明らかに言っておりますように、混乱を避ける、選挙の公正を期するとかいう主張はございましたけれども事実の上におきましては、労働団体のそういう活動を制限しようとする意図はもう明らかになったわけであります。この点に対して、修正を出されようとしております側の御意向は、この考え方とどういうふうに違いがありますかについて、もう一度明確に御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/7
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008・小金義照
○小金委員 改正案に対する修正を提出したときに、趣旨弁明の際に申し上げました通り、選挙の公正を期するという立場からこれを提案したのでございまして、それには、もうすでに大体において二大政党――緑風会のような政治団体もございますが、二大政党というような立場で選挙をするのであるから、一人の候補者はいかに多数の政治団体に所属してもよろしいが、選挙に際してその政治団体の候補者として数えられるのは一つでよろしいではないか、こういう意味で、労働者が作った政治団体のみが制肘を受けるのではなくして、政治活動を目的とする趣旨で作られた政治団体でさえも、自分の候補者として他の党に所属する候補者を数えることができないという制限を受けるのですから、これはひとり労働者の作られる政治団体のみが目標であったということは、私どもにはどうしても受け取れないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/8
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009・井堀繁雄
○井堀委員 もちろん、この法律の文章から申しますれば、特殊の団体ということは表現されておりません。もちろん政治結社としてすべての団体を言うのだろうと思うのです。そのことは私もよく理解をしておるわけであります。しかし、具体的な問題として、前回も例をあげましたように、参議院の選挙の場合においては、衆議院と多少性格を異にしております。具体的に一、二の例をとりますならば、衆議院が政党政治の性格を明確に打ち出して、党の政策の上で国政が処理されるということは、これはもう申すまでもないわけであります。二院制の参議院の一つの大きな使命としては、職能的な性格がにじみ出ておるわけであります。言うまでもなく、それを表明させていこうとすれば、これはまあ選挙の際に最も直接的で、最も効果的な、国民の意思を政治に反映せしめる適切な措置だと考えられるのであります。こういう意味で、参議院の選挙の場合におきましては、職能的な性格を政治に反映せしめるに最も妥当で、しかも、その道を選ぶ以外に、私は、政治にそり意思を正確に反映することが困難だ、かような意味からして、参議院のような場合におきましては、政党の意思を反映せしめると同時に、職能的なもしくは国民の社会的、経済的あるいはその他の意思を政治に今里的に表現せしめる道をこれはふさぎ、もしくは制限を加えることになると思うのであります。この点では、参議院の提案者側についてはこの前別お尋ねを漏らしておりましたから、参議院が原案をお作りになります際にこの種の議論が出たと思うのでありますが、これに対する御見解を、こちらに関連いたしますので、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/9
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010・伊能芳雄
○伊能参議院議員 ただいまの御質問でございますが、私の方で審議しているときに、参議院が職能的な機能を発揮するために、二つの団体に数えられなけばならないというような問題は、問題になっていなかったように思うのであります。従って、この問題は、参議院の審議の過程においては論ぜられなかったと記憶しております。お言葉のような問題もあり得るとは思いますが、二百一条の五、六で、この確認団体しかできない政治運動が規定されておりますが、それ以外の選挙運動は十分できるので、多分その問題に触れなかったのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/10
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011・井堀繁雄
○井堀委員 それじゃあなたのお考えを伺いたいと思うのですが、さっき申し上げたように、選挙に限ったことではありません。政治的自由は大幅に憲法その他の法規で保護を加え、あるいはその機会を十分与えるということは、民主主義の当然の原則であります。しかし、先ほど来申し上げておりまするように、選挙を通じての国民の政治に対する意思表示というものがきわめて重要であることは、政党政治を首肯する者としては疑う余地のないところであります。ところが、政党だけでは不十分ではないか、参議院の場合のごときは、職能的な色彩を反映せしめる道をもっと積極的に講ずべきではないか。私どもは、これは二院制度における参議院の一つの特徴として考慮されるのであるが、提案者側はこういうものに対して御配慮なさっておるか、また、こういう制限によってそういう道が大幅に妨げられたり、あるいは、修正案になりますと、全く禁ずるわけでありますが、こういった点に対する提案者のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/11
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012・伊能芳雄
○伊能参議院議員 一人の候補者が幾つかの団体に数えられるという考え方は、本来、二百一条の五及び六の精神からいえば、どうも筋が通らないのではなかろうか。そこで、一ぺんにあまり少くするのもどうかという程度が、参議院の三以上はいけない、二まで認めるということになったものだと、私自身では考えております。その他の団体は特例に認めない。いわゆる確認団体でないものでも、職能的な選挙運動、政治運動というものは十分できる余地はかなり広く残されておるのでありますから、その一人の人が幾つもの団体に計算されて確認団体の資格を得るというような考え方からすれば、その確認団体の規定の精神は、むしろ一人が一つの政党、政治団体ということは、この二百一条の五、六の規定ができたときに、そういうことは当然予見された問題ではなかろうかと私どもは考えるわけであります。しかし、そんなことをそのときに私ども審議の過程ではやったわけではありません。私としてはそんなふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/12
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013・井堀繁雄
○井堀委員 参議院の原案については、一応各派の同意を得て共同提案という形で取り扱われておりますから、それぞれのお考えが総合的に出ておると思うのでありますから、そのことを一々お尋ねすることは御迷惑だと思うりでありますが、以上私のお尋ねいたしましたことは、参議院の特殊性を選挙法の中では当然生かしていくべきではないか、それをそこなうようなことをわれわれがやってはならぬからと思いまして、お尋ねしたわけであります。格別そういう問題がこの法案の審議の過程においてなされなかったという御答弁でありますから、そうだとすれば、これはおのずから考え方の軽重になると思うのであります。さらに、こういうふうに、参議院の場合においては、そういう特徴を国会に反映する道は、今さら説明するまでもなく、選挙を公正に行うとか、公明に行うとかいうことの具体的な内容は、選挙民すなわち国民の意思が選挙という方法を通じて直接政治に反映する唯一の道であることは、申すまでもないわけであります。でありますだけに、この方法は、その本質をそこなうようなことのないように、最善の注意を払ってわれわれとしては決定しなければならぬ、かように考えてお尋ねをしたわけであります、明確な御回答をいただけませんことは残念に思うものであります。
そこで、修正案の問題であります。参議院については問題を残すことになりますが、その問題と全然離れて、これは、参議院の選挙だけでなく、衆議院の選挙その他の選挙にも当然適用されるわけです。そこで、私は、一応衆議院の立場だけにワクを狭くとりましてお尋ねをいたすのであります。これは、前回もちょっと触れましたように、この修正案が法律となって効力を発揮するようになりますと、実際的に、候補者は、政党を通じて選挙活動の中から国民の意思を取り上げていくということは、もちろん妨げられないのでありますが、そのかわりに、従来他の団体に深いつながりを結んで選挙活動をやってきたことが、ここではばまれる。そうすると、一番問題になるのは、私は労働組合の場合だと思うのです。そこで、私は、事を労働組合の門戸にしぼってお尋ねをいたしたいと思うのであります。なぜかと申しますと、日本の置かれておりまする現状からいたしまして、国民全体の意思が政治に正しく反映していくという民主主義の現状を貫く、それがまた直接選挙運動の中においてそのまま反映してくることが理想の姿であることには、御異存はないと思うのであります。そこで、その選挙活動が公正であるかいなかということは、それに国民の総意が全く自由な形で反映するかしないか――それが特殊な意図のもとに妨げられあるいは反映すらできなくなることは、本末を誤まるわけであります。そこで、政党政治ではありまするが、政党だけでは今日不十分だ。不十分と申すよりは、今言うような正常な国民の意思が選挙に反映しがたい。それはなぜかというと、前回もちょっと触れましたが、近代社会の人格を把握する上に――民主主義の基本原理は、万人の人格を尊重して、その上にあらゆるものが許されるわけでありますから、その人格の尊重が政治の場すなわち選挙の場でそこなわれることがあってはならない。そこで、万人の人格の問題でありますが、雇用関係のもとにおいて経済生活、社会生活を営んでおりまする雇用労働者の場合には、団体的な、すなわち組織的な人格というものが認められなければ、その自由もその人格の尊厳も保障できないというのが、近代社会の概念であります。この概念が許されるとするならば、組織的な人格は、この選挙法の改正によって選挙に反映することが阻止される。もちろんそれを構成している個人は何ら制約を受けないことは私もよくわかります。この場合に、組織的人格が、社会的地位や社会的価値が評価されているにかかわらず、切りくずされてくる、選挙法の改正によってその基本的な問題がくずされてくると思うのでありますが、この点に関する提案者側の御配慮、あるいはこれとの関係について御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/13
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014・小金義照
○小金委員 これは先日もお答えしたと思うのですが、労働組合が作る政治団体が、他の政党に所属する候補者を自分の政治団体の候補者として数えることができないというだけで、労働組合等が作った政治団体以外の他の政治団体の受ける拘束――拘束という言葉が適当かどうか知りませんが、それと同じ立場に置かれるのでありますから、ひとり近代社会の組織労働者だけが、政治活動というか、選挙活動の際に、他の政党あるいは政治団体に所属する候補者を自分の政治団体に属する候補者として数えられなければ不便だということは、これは公平の見地からいってもどうかと思われるので、全段の受ける制肘だと私は考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/14
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015・井堀繁雄
○井堀委員 私の質問の趣旨を御理解になっていないと思いますので、重ねて申し上げます。今日の社会構成、すなわち民主主義の自由と人格の尊厳、雇用労働者の場合においてはすなわち団結権、団体行動権、こういうものが憲法で保障されていることは、私が説明するまでもないと思うのであります。現代社会においては、そういう組織的な措置を講じて人格の尊厳と自由とを確保せしめようとする。その必要性は提案者もとくと御案内の通りと思います。そうすると、その基本原則がこの場合くずされるのではないか。この点についてお尋ねをいたしておるのであります。くずれないというのであれば、どうしてくずれないかということを御説明願えば、けっこうだと思うのであります。くずれても仕方がないというのも、また一つの見方であります。その点一つはっきり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/15
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016・小金義照
○小金委員 そこは、見解の相違かもしれませんが、私どもは、選挙とか選挙活動とかいうものは、公平に、あるいは公正に行われればよろしいのであって、また公正に行われるように規定するのが当然であって、そのためには、いろいろな今までのしきたり、あるいは今まで制肘を受けていなかった点が受けても、これはやむを得ないじゃないか、ひとり何々の人たちが作った団体だけ、こういうことを例外的あるいはまた権利としてやってよろしいというようなことよりも、公平、公正という立場からこういう視定を考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/16
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017・井堀繁雄
○井堀委員 まだ徹底せぬようであります。それではもっと角度を変えてお尋ねいたしましょう。御案内のように、組合の団体により多少相違はありますが、大体日本の労働組合は政党支持の自由を建前にしているわけであります。これは、言うまでもなく、その団体を構成しているメンバーの政治的な自由を保障する意味で、そういう配慮が加えられ、そういう方針が立てられているわけであります。何々労働組合は民自党、何々労働組合は社会党ということで、団体がその政党の支持を決定しておる場合、イギリスはそういうやり方をしておりますが、そういう場合には比較的問題はないのであります。ただ、政党の中において、一個の国民と同じ立場で、その組織が政治的な活動をするわけであります。しかし、日本のように、政党支持の自由、政治的の自由をせっかく団体が確保しておるにもかかわらず、この場合になりますと、その労働団体が、政治的な、特に選挙のように直接的な――政党が政策やあるいはその性格を国民に明らかにして支持を日ごろから受けますとともに、選挙になりますと、政党と同時に個人の政見並びに人格その他が批判の対象になってきて、それをそれぞれ批判していくわけであります。その場合に、今言う団体構成が今日社会における一つの基礎的条件になっておることは憲法の示すところでありますから、その組織的人格を是認するということになって、あなたが言うように選挙の公正を期するというならば、この団体がどの政党かを一支持するという意思決定をなされてこないと公正にならなくなる。その点をどういうふうにお考えになりますか。これは非常に重大なことだと思うのであります。何も、私は、社会党の議員で労働団体と深いつながりを持つから、そういう立場において議論を進めておるのじゃなくて、せっかく日本のように政党支持の自由を表明しておる労働団体を、一つの政党の支持に決定的に追い込むおそれも生じてくる、こういう点について一つ御見解を明らかにしておいてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/17
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018・小金義照
○小金委員 特定の政治団体あるいは政党が候補者を支持するとかなんとかいうことを決定することは、私はもちろん差しつかえないと思います。ただ、自分に所属する候補者だとして、他の政党の所属候補者を取り扱えないということですから、一つの政党に所属する者が他の政治団体に支持されるということもあり得るのです。あり得るが、もう一つの政党や政治団体の候補者として数えられないということだけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/18
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019・井堀繁雄
○井堀委員 私の質問の要旨が御理解いただけないようです。これは私の質問の仕方がまずいのかもしれませんので、くどくなりますが、もう一度お尋ねします。政治行勅をする場合に前提になるものは個人と団体があるのです。これはお認めになっておると思います。団体があるとすると、そういう組織的人外というものは、現状においては政党の支持については自由になっておるわけなんです。個々の人々の政治活動はもちろん制限はありません。そうすると、団体的に政治行動をするということの自由――自由というよりもその必要がある。これは、あなたも御案内のように、労働法を審議されたときでも明らかだし、新憲法を審議されたときでも明らかなように、近代社会における労働者の団結というものは、その人たちの生活を擁護し、経済的地位や社会的地位を擁護するための組織であると同時に、公的な性格を期待しておるわけです。それは、日本の民主主義を施行していくために、労働団体に分けの義務が課せられておるわけなんです。だからこそ、労働団体は自主的なもので、労働者自身が勝手にやればいいのだけれども、それが、社会的に、やれ政治偏向がいかぬとか、もっと民主的なものでなければならぬとかいうような批判が、日本の場合においては大きなウェートを占めていることは御案内の通りであります。一方ではそういう労働組合の民主的な成長を祈願し、あるいはある場合にはそのことを強く非難もし、攻撃もし、そして育てていこうとする声は、私はとうといことだと思うのです。そういうように、一方では要請しながら――それは、言うまでもなく、労働者が個々の形において政治を施行するということでは、民主政治というものは達成されない。すなわち、組織的人格が組合されてこそ、初めてそれが平和勢力にもなれば民主主義勢力にもなるということは、これは私どもの独断的な解釈ではなくて、世界を通ずる、民主主義を貫く一つの原理なんです。要するに、そういう前提の上に立って、こういう民主的な動きというものを機械的に制限するということがありますと、大きなあやまちを残す、こう言っているのですから、どうぞ誤解のないように……。私どもは、階級的な立場に立って議論するとか、利害関係の立場に立って議論するというのではなくて、日本の民主主義をやはり育成していこう、公正な民主主義の成長をわれわれはいつの場合にもはばまないようにしなければならぬという立場から、これができるとそういう障害が起るのではないかという危惧を持つので、提案者側にお尋ねをするのでありますから、どうかそういう意味で御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/19
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020・小金義照
○小金委員 御趣旨の点はよくわかる。民主主義の政治を発達せしめる意味において、いろいろな人が、政治団体または政治結社を作られて、いろいろな決議や支持等のことをなされるのは、もちろん差しつかえないのです。ただ、他の党派、団体の所属の候補者を自分の候補者としてやれないというだけだから、その点は何べん繰り返しましても同じになって、答弁が下手かとかいうことになるかもしれませんが、これで日本の民主主義の発達を阻害するには至らない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/20
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021・井堀繁雄
○井堀委員 これは、民主主義を阻害するとかしないとか、思うとか思わぬとか、見解が違うとか逢わぬということではなしに、組織的人格が認められている現世社会においては、厳然たる事実なんですね。だから、その団体が選挙活動に入ることができないという制限は明らかなんですから、その制限が結局そういう事実をはばむことは、何も見解の問題ではないでしょう。そこまでお考えをいただいておるかおらぬか。思うとか思わぬとかいうことでなしに、それぞれ提案者の御意見が違うようですから、どなたでもけっこうですが、大事な点ですから明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/21
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022・青木正
○青木委員 提案者の意見は別にそごはないのであります。ただ、外堀さんのお話はよくわかるのでありますが、私どもの考えておりますのは、端的に申し上げますならば、この公職選挙法の二百一条の規定は、政治団体も選挙運動をやってはいかぬというのが一つの大きな考え方であって、ただ、しかし、二十五名以上の候補者を持っている政治団体は、これこれの政治活動だけはやってよろしい、こういうことになっておるわけであります。そこで、端的に申し上げますならば、これにもあげておりますように、たとえば、選挙に際してトラックを出してやるとか、あるいはポスターを出すとか、こういうことは二十五人以上の候補者を持っている政治団体だけやることができるわけであります。そういう選挙運動の観点からいたしますと、選挙の場合に、一人の候補者がいろいろな団体に所属しておりまして、そうしてそう所属団体がこの規定によってみなトラックを出して選挙運動をやるということになりますと、選挙運動というものが、極端にいえば無軌道と申しますか、そういうふうになるおそれがある。そこで、選挙の際における政治団体の活動というものは、トラックを出すとかなんとかいうような、これだけのことが許されておりますが、その場合やはり一人の候補者は一つの団体に属すということにして、みな同じ状態において選挙運動をやることが最も公正ではないか。それが、一人の候補者が一つの政治団体以外に二つに属す、あるいは三つに属すということになりますと、どうも選挙運動という面から見るとおかしいのではないか。これだけの観点から、私どもはこの修正をいたそうとするのでありまして、決して、労働団体の地位とか、そういうものをどうしようという考えではなしに、全く純粋に選挙運動という面から見まして、一人の候補者が同時に二つの政党に所属するという格好になって、トラックを二台出す、あるいはポスターも余分に張るというようなことは、選挙運動の公正を害するのではないか、これだけの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/22
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023・井堀繁雄
○井堀委員 今青木さんの御説明は私もよく了承しておるわけです。選挙の混乱をなるべく正常な姿へ戻そうという努力には、私どもも決して人後に落ちないと思います。また今日の選挙法は決して完全なものではありません。改めなければならぬ数々の点があることも承知しております。それで、今あなたのあげられた二つの政党の支持を受けるということは、これはあり得ないのが常識なんです。政党の問題は私はこれでいいと思う。一つの政党に候補者が所属して、その一つの政党の支持のもとに選挙活動が行われる、また政党が選挙活動を行う、こういうことについて私どもは何の懸念も持っていない。ただ、先ほど来申し上げておりますように、近代社会の構成の実態をどう見るかということについて、私の方は言及しておるのですが、答弁者の方はまだ言及されていないのであります。その前提になりますのは、今日の政治活動というものの中には、個人としての政治活動と、組織的な人格を構成して活動するものとが、憲法では規定してあるのですよ。これは、皆さんから言うと、労働者だけになぜ団結権を与えるか、団体行動権を保護するか、こうおっしゃる議論はあってもいいと思う。しかしそれはもうすでに決定的な姿になっている事実なんですからね。その団体の政治活動、特に選挙ということになると、国民の総意ができるだけ積極的に反映することを期待していることは間違いない。今言うそういう構成がなければ、それは個人が一人々々でやればいいわけです。あるいは政党を通じてやればいい。しかし、政党のほかに、団体的な政治流動すなわち選挙活動をいうものがあり得るのです。そのあり得る現実になぜこの法律だけが制限を加えるかということを、私はお尋ねしておるわけです。その点に対する御答弁が今までいただけない。おわかりにくければ何ですが、その点に対して明確な御答弁をいただいておきませんと、これは、憲法の基本権ともからまってくる問題で、非常に重大になると思いますので、私ども、責任がありますから、提案者にくどくお尋ねしておるわけです。どうぞその辺を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/23
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024・青木正
○青木委員 平行線になるおそれがあるかもしれませんけれども、しかし、この二百一条の規定に、はっきりと、衆議院議員の総選挙におきまして、政党ばかりでなしに、その他の政治団体におきましても、「その政治活動のうち、政談演説会及び街頭政談演説の開催並びに宣伝告知のための自動車の使用、ポスターの掲示及びビラの頒布については、その選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、これをすることができない。」つまり、労働団体のそういう政治活動の一般的のことは認めておりますが、しかし選挙運動についてはこういうことをしてはいかぬ、ただし、二十五人以上の所属議員を有するものは、これこれのものだけ認めるということになっております。そこで、一般的のものを制限しようとかどうとかいうことではなしに、選挙運動に当って、やはり一候補者については一つの政治団体がそういう政治活動をやる、こういう姿の方が選挙運動としては公正じゃないか、こういうことなんであります。選挙運動という観点にしぼって私は考えておるのでありまして、その点については一般的のことを申しておるわけでは決してないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/24
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025・井堀繁雄
○井堀委員 今の青木さんの御説明は、私は了承しておるつもりなんです。それはよくわかっておる。その通りなんです。その通りであるけれども、問題になりますのは、一般の政党のほかの政治結社――今結社は自由でありますから、だれでも政治結社を作れるわけでありますが、そんなものがむやみに出てきてやったのでは困るというお考えについては、私も了解ができるのです。しかし、そのことをさしておるのではない。この間もありましたけれども、医師会とかいうような職域団体がありますが、医師会は、御案内のように、政治活動をするために、医師会のほかにわざわざ別個の組織を持って活動されておるわけです。これなんかもそれだと思う。だから、参議院の場合にこれを阻止しては、私は、参議院の本質というものがそこなわれるだろうと思って、原案についてお尋ねをしたのですが、原案においては全くこれを禁止していないで、参議院の方は三になっておりますから、政党のほかにもう一つの団体を認める、一つにしぼったところに私は無理があると思いますけれども、道は開いておるわけです。道はふさがない。修正の方はそれをふさぐのです。そういうものは、参議院はあっていいが、衆議院は要らぬとおっしゃる議論もあるが、それはそれでいいと思う。しかし、その場合であっても、労働組合というものに対する認識が問題になるのではないか。(「労働組合は経済活動をする団体だ」と呼ぶ者あり)だから、今言うように、比較的狭い解釈をしている人は、労働組合は狭い意味の経済活動しか認められていないという解釈はあり得ると思う。だから、それは否定するとおっしゃるなら、そう言っていただけばいい。そうすると、提案者側は日本の労働組合には政治活動は許さないという見解が明確に出てくれば、それは一つの答弁になる。どっちでもけっこうです。私は何も私の方に引っぱってこようと議論しておるのではない。その辺は大事なところですから、わからなければどうぞ相談して答弁願ってけっこうですから、その点明確に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/25
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026・青木正
○青木委員 労働組合が政治結社を作ります。そうして、特定の候補者を推薦するなり、あるいは個人演説会に行って推薦の演説をやるなり、そういう活動を抑えるという考えは一向ないのであります。ただ、たとえばトラックを出して選挙運動をやるとか、こういうようなことは、一候補者については一団体とすることが公正じゃないか、こういう考え方なんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/26
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027・井堀繁雄
○井堀委員 そのことは何回も御答弁をいただいてわかっているのです。ですけれども、大事な点について、今さっきどなたからか雑音が出たのですが、ああいう御答弁をしていただけばいいのです。労働組合は、経済的な団体で、経済活動には組織的人格を認めるけれども、政治活動、ことに選挙のような場合においてはそれは否定するのだとおっしゃるならば、これは一つの考え方です。いい、悪いは別として、議論は討論のときにするのですけれども、その辺をあいまいにしてこの法案を審議することは困難ですから、私はお尋ねしているのです。その点を一つ明確に答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/27
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028・青木正
○青木委員 お話はよくわかります。しかし、労働組合そのものは政治結社ではないのでありまして、労働組合が政治活動をやる場合は、現在もそうやっておりますように、政治団体としての届を出して別にやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/28
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029・井堀繁雄
○井堀委員 だから、届を出してやるという手続を踏めば、今日当然政治活動は許されるわけです。それが選挙のときだけなぜ制限を受けるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/29
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030・青木正
○青木委員 その場合に、自分の候補者であるならば、そうしてその政治結社がこの法律によってこれだけの許された政治活動をやることは、一向差しつかえないのであります。ただ、しかし、その人が、同時に二つの団体に所属して、端的に言うならば、一人の候補者にトラックを二台出すという行き方はおかしいじゃないか、こういうことなんであります。
〔「はっきりしているじゃないか」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/30
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031・井堀繁雄
○井堀委員 そこで、はっきりしたところをはっきりしてもらえばいいのだ。だから、一人の候補が幾つもの団体の支持を受けるということは、非常に混乱を招くから、制限しようというのが参議院の案なんです。だから、政党と政党以外の団体については原案は認めているのです、三ということは。ところが、修正案は、制限がいいか悪いか今ここで議論はしませんが、片一方はそれを禁止するのですよ。だから、禁止するには、提案者としては禁止する理由を明らかにする義務があると私は思いますから、お尋ねしておるわけです。禁止するというのには、今言う労働組合は特殊ですから、労働組合に対して答えていただかなければならぬわけです。労働組合は政党を通じて選挙活動をやる以外にはやらせないということに、これはなるわけです。そういうことを言うについては、そういうところまでお考えになって、労働組合の選挙活動は禁止するというあなた方の方針がはっきりしておれば、そのことをはっきりここで御答弁をいただけばいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/31
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032・青木正
○青木委員 それは、労働組合が政治結社として届出をする場合は、一向それを禁止しようという考えはありません。それから、参議院の考えと私どもの考えは、考えとしては同じじゃないかと思います。つまり、無制限になっておりましたのを、参議院は、無制限はいかぬ、やはり一人の候補者が幾つもの団体に所属するような格好の選挙運動はいかぬから、二つだけにしぼろうというので、同じような考え方に立って、私どもは、その後の政治情勢から見て、二大政党の対立の時代でもありますし、五十歩百歩だから、どうせしぼるならば、きれいに一候補一団体とした方がすっきりするじゃないか、無制限のものを二団体にしぼろうという考え方と、無制限のものを一団体にしぼろうとする考え方は、その基本的な点において、参議院側の考えと私どもの考えと一向違っていないのだ、かように考えるのであります。程度の相違であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/32
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033・井堀繁雄
○井堀委員 そういう御答弁をいだくものですから、私は質問を続行するわけなのです。参議院の考え方については、先ほどもただしたように、五を三にするとか、二に制限するというのは、これは程度の問題です。これをあなたの方はすっきりととおっしゃるけれども、この場合は禁止です。一本になる。一つしかない。(「それは政治団体だ」と呼ぶ者あり)政治団体でもけっこうです。しかしこれは二大政党を指向する現実をはっきり把握しての常識です。三百代言的の議論ならそれでいい。政党とその他の政治団体とがおのずから違うことは、私が説明するまでもないでしょう。だから、政党以外のものは政党に所属したらこれを許さないということになるのじゃないか。そうすると参議院の解釈とあなた方の考えとは非常な違いになってくる。片方は制限、片方は禁止、これは非常に大事なことです。そこのところをもう少しはっきり答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/33
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034・青木正
○青木委員 私どもは、一人の候補者が政党に所属した場合、二大政党になった今日、やはり政党と政党同士のフェアな選挙をやる方がいいのじゃないか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/34
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035・井堀繁雄
○井堀委員 政党と政党とのフェアな戦いをやるということは、政党政治の当然な常識です。それに対して私は何ら疑うのではない。だから、今言う労働団体という存在を皆さんが認められるならば、選挙活動という部分でだけその団体的な人格を無視するということは、どういうわけかということを聞いている。その点をはっきりして下さい。(発言する者あり)保守党とか社会党とか、何も労働組合は社会党の専売じゃありませんよ。政党支持を自由にしているのですから、どこを支持してもいいわけです。これはさっきから言っている。それはひがまないでいただきたい。労働組合が正常な政治行為、政治行動の上で一番重要なのは選挙ですから、何か政治と選挙を別に言っておられますが、そういう議論はそれこそ混線するのです。だから、正常な、すなわち民主的な労働組合の政治行動というものを許す限りにおいては、それをはばんではならぬのでないか。これははばむことになる。その根本的な問題についてそれを否定するか是認するか、こういう点についてあなの御答弁ではそれがあいまいになっておるから、否定するなら否定するといえば、一つの考え方になる。それは見解の相違、意見の相違ということになればいい。その点を御答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/35
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036・青木正
○青木委員 何度繰り返しても同じようなことになるのでありますが、私どもは、決して、労働組合が政治結社を組織して政治運動をやること自体に対して、否定するとか、それを制限しようというのではないのであります。ただ、選挙運動としては、一候補者一政党という姿がいいのではないか。何度繰り返しても同じでありますが、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/36
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037・井堀繁雄
○井堀委員 何度お話ししても同じことを繰り返すだけでありますから、私はこういう工合に理解して質問を打ち切ろうと思います。一つの団体にしぼったということは、要するに、政党に所属した場合は政党一本でいく。常識としては政党と政党との立場において選挙を戦うべきものだ、こういうことは私どももわかる。次に、労働組合という憲法でいう組織的人格を、選挙の場合にはその参加をこの法律ははばむ。そのはばむことを承知の上で……。(「ちっともはばんでいないじゃないか」と呼ぶ者あり)はばむことを承知でなければ改めていただきたい。許さないというふうに見解をとってよろしければ、私はこれで質問を打ち切ってけっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/37
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038・加藤鐐五郎
○加藤委員長 島上善五朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/38
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039・島上善五郎
○島上委員 先日小金義照君に質問しましたが、不得要領で納得しませんから、きょうは青木君に質問したいのであります。
この修正は、属する政党を一団体に限定してしまう、こういうことのようですが、そういたしますると、参議院の選挙では、自由民主党と社会党と緑風会、さらに想像すれば共産党も十名以上立てるかもしれませんが、共産党、この四つの政党及び政治団体に限定してしまう、そういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/39
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040・青木正
○青木委員 私どもは、決して、四つの政党に限定するとかしぼるとか、そういう考えではないのであります。一つの例を申し上げますならば、かりに労働組合が政治結社として届出を出し、二十五人以上の候補者をその団体から出します場合は、当然にこの法律によって同じような政治活動ができるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/40
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041・島上善五郎
○島上委員 私はここに書いてある政党と政治団体というものは違うと思うのです。たとえば社会党に属し自由民主党に属するということはあり得べきではない。そんなでたらめな政治家というものはないのです。しかし政党と政治団体とは違うと思うのです。ですから、私は、ある一つの政党に属しある一つの政治団体に属するということは、あり得ることだと思うのです。あってよろしいと思うのです。そういうことを否定する思想の上に立っているように思われるが、その点一つお考えを伺いたい。それは選挙運動をしてはいけない、こういうのか。政党及び政治団体にとっては選挙運動は一番重要な活動なんです。その一番重要な活動は封殺してしまうということは、とりもなおさず一つの政党に属したら他の政治団体に属してはいけない、こういう思想の上に立っていると断定せざるを得ない。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/41
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042・青木正
○青木委員 前に御質問になったそうで、重複になるかもしれませんが、また先ほど井堀さんにも答弁申し上げたのですが、決して、一人の候補者が一つの政治団体に属し、またもう一つの他の政党に所属することを禁止するという意味ではないのであります。そういうことではなしに、この選挙法の規定は、一つの政党もしくは一つの政治団体に所属する候補者が二十五人以上の場合は、その政党もしくは政治一体はこれこれの政治運動をやることができる、つまりトラックを出すとかポスターを張るとか、こういうことができるということになっておるのであります。そこで、そういう選挙運動、この法律でいけば政治活動でありますが、そういう政治活動をやる団体――一人の候補者がそういう政治活動をやる団体の幾つにも所属しておりますと、選挙運動の公正を害する、こういうことで、選挙運動、この法律でいえば政治活動を制限しようというだけのことであります。所属する団体を制限しようというだけのことでありまして、決して、一人の候補者が一つの政党また他の政治団体に所属する、そのこと自体を禁止しよう、こういう考えでは毛頭ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/42
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043・島上善五郎
○島上委員 この政党及び政治団体の選挙期間中の活動は、本人の選挙活動でないことは青木君御承知だと思うのです。私なら私の選挙活動ではない。そういう団体を作っている、その団体の政治活動である。国民は、個人として、政治活動、特に政治活動のうちの最も重要な選挙活動をする権利があると同様に、ある団体を作って政治活動をする、選今日活動をする自由も当然あるべきものだと思う。(「公平に制限するのだよ」と呼ぶ者あり)公平に制限と言われるが、二団体にしても同じです。これは、社会党のみが享受する特別の権利でなくて、自由党さんも緑風会さんも同様に、参議院の回付通りにしましても同じ権利を受けられる。ですから、これは社会党だけだというひがみはまず取り去ってもらいたい。国民はそういうふうな権利があると思うのです。その権利を今度は非常に制約するのです。一団体にしてしまう。権利の制約であることは事実明白なんです。小金さんに聞きましたが、制約しなければならぬ積極的な理由、われわれを納得せしめる積極的な理由が一つも明らかにされていないのです。これは国民の権利を大きく制約することなのです。そうしなければ、選挙の公正が保たれない、あるいは選挙に非常に大きな弊害が伴う、不当不正な選挙が行われることになるという積極的な理由が何も示されていない。ただ抽象的に、選挙が混乱する、こう言う。一体どのように混乱するか、積極的な理由を明示されなければ、われわれが賛成するにしても、反対するにしても、なかなか態度をきめかねる。積極的な理由を示されてわれわれが納得したら、あるいは賛成するかもしれぬ。その積極的な理由をわれわれが納得できるように示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/43
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044・青木正
○青木委員 現行法におきましても、二百一条の考え方は、明らかに、やはり各政党もしくは政治団体が、いかに政治活動だからと申しましても、無制限に何でもかでもやっていいということになりますと、選挙運動の公正を害しますので、現行法においても同じような考え方に立って一般的にやってはいけない、これだけはやってよろしい、こういう規定をいたしておるのでありまして、現行法の規定と私どもの改正案と少しも変ってないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/44
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045・島上善五郎
○島上委員 さっぱり要領を得ないですね。現行法で制限していることはちゃんと知っているのですよ。これだけ制限しているのに、その制限からさらに締め出ししなければならぬ理由がどこにあるかということを聞いておるのです。制限しているのです。野放しじゃないのです。これとことれこれだけしかできない、演説会と街頭演説、ポスターとチラシ、それだけしかできないと制限を加えてある。野放しじゃないのです。これだけ制限を加えてあって混乱を来たさないようにできているのに、またその上に国民の基本的な権利に重大な制約を加えるということは、よほどの積極的な理由がなければ、われわれも納得できないし、国民も納得できない。その積極的な理由をお示し願いたいと言って、せんだってから質問しているが、何ら積極的な理由を示されていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/45
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046・青木正
○青木委員 理論からでなしに、現実問題として、私どもこの前の選挙の経験から見ましても、やはり一人の候補者がいろいろな団体に所属しておる、これを縛ろうという考えはありませんが、実際問題として、選挙運動になりますと、所属している団体がみなトラックを出して一人の候補者を応援する。名前は書いておりませんが、実際の選挙運動を見ますと、ある候補者については一候補者のために何べんもトラックが出る。一人の候補者には一台しか出ない、こういうような現実面から考えまして、やはりこれはどちらも立候補者は一政党に属するような格好にして、同じような状態において選挙するのが一番よいのではないか。おそらく、この選挙法を規定いたしました当時の考え方からいたしますと、まさか、一人の候補者が二重、三重の政治団体に所属して、その政治団体からみなトラックの応援を受けるというようなことを、立法当時は予想しなかったのではないかと思うのであります。ところが、実際の選挙になりますと、いろいろそういうふうな弊害も出てきますので、さっそく改めた方がよい、そうすることが選挙運動の公正を保つゆえんではないか、こう考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/46
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047・島上善五郎
○島上委員 私は今の答弁者と多少考えは違いますが、かりに、百歩譲って、野放しにすれば若干の弊害があるといたしましても、今度の参議院から回付されたのは二団体ということにしぼられておる。野放しが二団体になっておる。この選挙法に政党及び政治団体、こういう言葉があるのは、政党と政治団体は違うということで、これはその通りなんです。これは、さっきも私が言ったように、青木君が、自由民主党に属しながら、同時にまた一つの政治目的を達するための一時的な政治団体に属することもできるのです。また必要な場合が往々にしてある。(「問題はトラックさ」と呼ぶ者あり)そういう団体がトラックを出してはいかぬということなら、そういう一時的な政治団体に属することができて、またそれが当然必要であるということが認められていながら、その政治団体が自分に属する所属員の応援ができない、選挙期間中の選挙活動ができない、どうしても禁止しなければならぬという理由がわれわれには納得できない。(「個人の選挙運動はできるのだ」と呼ぶ者あり)個人ができるのだから、団体ができないということは――かりに百歩譲ってあなた方の理由を認めるとしても、今度は二団体にしぼられている。ですから、そのことを別の観点から見ると、個人も、一つの政党に属したら、他の政治団体に属したらいかぬという思想に立っているのではないか、こう思われる。それと結局同じなんです。結果はそうなんです。そういう思想の上に立っているとしか思われない。積極的な、われわれを納得せしめる理由がなければ、そう判断せざるを得ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/47
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048・青木正
○青木委員 政治団体が、特定の候補者に応援するために、演説会に行って推薦演説をやったり、あるいはその団体が決議をしたりすることは、それを一向押さえようとするものではないのであります。ただ、この二百一条に規定してあるようなポスターを張るとか、トラックを出すとか、こういうことは一候補者、一政党という考え方に立っておるのであります。それから、参議院の側の二つをどうして一つにしたか、これは、私たびたび申し上げましたが、参議院がこれを御決定になった当時は、いわゆる二大政党時代ではないのでありまして、今日はそのときからだいぶ情勢も変っておる。今日では、むしろ二大政党の姿をはっきり出し、そうしてお互いに選挙をフェアに戦う、こうするためにはむしろ一候補者、一政党の方がよいのではないか。それから、政治結社政党の違いはその通りであります。緑風会は政党ではございませんので、それは、政党に限らず、こういう表現を用いておるものと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/48
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049・島上善五郎
○島上委員 これは、私は、そういう抽象的なあいまいな議論は納得できない。納得できないが、今の問題はそれでよろしい。それに関連して他の事項を質問する。
御承知のように、今度の改正では参議院は二団体としてきましたが、かりに二団体が一団体となりましても、所属候補者の推薦、支持ができるというふうになっておったのを、今度は自分の政治団体に所属しない他の政治団体に所属する候補者の支持、推薦もできるのです。それから、もう一つは、これは改正ではありませんが、現行法百九十九条の二のただし書きに「政党その他の政治団体又はその支部に対し骨付をする場合は、この限りでない。」すなわち、この法規によりますれば、自分の所属しない政党や政治団体及びその支部に対して寄付ができる。こういうふうに、反面において、かなりらゆるやかと申しますか、幅を広げているのに、片方で一団体しか所属することができないというふうに締めるのは、どうも私は矛盾があるような気がしますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/49
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050・青木正
○青木委員 たびたび申し上げましたように、私どもは政党なりあるいは政治団体なりの政治活動を制限しようという考えは毛頭ないのであります。従って、参議院側の修正のごとく、できるだけ、そういう点は、ある程度広く運動を認めるということなんでありますが、その選挙運動のやり方としては、これに規定しておるようなトラックを出すとか、あるいはポスターを張るとかいうことは、一候補者、一双党というふうにした方がすっきりする、こういう考えなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/50
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051・島上善五郎
○島上委員 それはわかっておる。僕の聞いておるのは、ある政治団体が、自己の団体に属しない候補者の応援もできるし、また候補者は自分の属しない政党に寄付ができるというふうになっておる。私はこれに賛成ですよ。属しない候補者を応援できるのに、実際は自分の政治団体に属しておる候補者の応援はできないという……。(「応援はできるよ」と呼ぶ者あり)そうじゃない。トラックが使えない、演説ができない、ポスターが張れない、チラシがまけない、ということになったら、一体どういうことになるんですか。(「街頭もできるよ」と呼ぶ者あり)街頭はできないよ。自分の党に属しない候補者を片方では応援できるようにし、片方では自分の角しない政党や政治団体に対して寄付ができるように広げておきながら、反面においては自分の属しておる政治団体の応援ができない。(「できますよ」と呼ぶ者あり)それは、できるとおっしゃるけれども、その団体。個人はできないんですよ。よそへ行って、よその団体に便乗してやるとか、あるいは個人としてやるということしかできない。これは大きな矛盾なんですよ。あなた方の常識では、そういう矛盾を矛盾として感じないかもしらぬけれども、これは大へんな矛盾ですよ。(「根本は理解しまいという意図なんだよ」と呼ぶ者あり)根本は、要するに選挙期間申そういうふうに政治活動を抑えつけてしまおう、こういう思想があるから、今の結論が出てくると思う。私は討論の機会にまた言いますけれども、選挙というものは、不正不当な方法による選挙は取り締らなければならぬけれども、そうでない選挙は、国民に自由に伸び伸びとやらすべきものだと思う。その自由に伸び伸びとやらす方をぎゅうっと抑えつけておいて、連坐制は強化しない。これはこの次の問題だから言わぬけれども、連坐制は強化しない。立会演説はやめてしまう。ああいう勝手なことをして選挙をますます陰性なものにしてしまう。買収、饗応は大いにやりなさい、そういったような思想が残念ながら諸君の考えの中に流れておると思う。私は、この点の矛盾をどうしても明確にしてもらわないと、納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/51
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052・青木正
○青木委員 私どもはその点ちっとも矛盾とも考えていないのでありまして、ただ選挙の公正をどうして保つかというだけのことであります。それ以上の点は見解の相違に属するのではないかと思いますので、何度繰り返しても同じじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/52
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053・加藤鐐五郎
○加藤委員長 これにて本修正案についての質疑は終了いたしました。
ただいまより参議院提出原案及び青木正君外十五名提出の修正案を一括議題として討論に付します。討論は順次これを許します。青木正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/53
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054・青木正
○青木委員 私は、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、青木正外十五名提出の修正案、並びに修正部分を除く参議院提出の改正法律案に賛成するものであります。
賛成の理由につきましては、すでに提案理由の説明等におきましてるる申し上げておきましたので、ここで重ねて申し上げることを省略いたしますが、要するに、選挙の公正を保とうというだけの考えであります。しこうして、先ほど来、社会党の皆様から、労働組合の政治活動を押えるのではないかというような、いろいろな御疑念がありましたが、私どもはさような考えは毛頭ないのでありまして、全く選挙運動の公正を確保する、これだけの考えに立って、今回の修正案を出したのであります。しこうして、参議院側の提案の趣旨には全面的に賛成でありますが、その後の政治情勢から考えまして、この点だけは、私ども提案のごとく修正することが、現在の政治情勢から見て最も適当である、かように考える次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/54
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055・加藤鐐五郎
○加藤委員長 井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/55
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056・井堀繁雄
○井堀委員 私は、社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供されておりまする公職選挙法の一部を改正する法律案、すなわち、原案に対する修正案につきましては、次の理由で反対をいたします。
修正案は、大体一、二、三、四の趣旨によるものであります。すなわち、第一の八十七条の二の改正、二の八十九条第一項第一号の改正、さらに附則第一項の改正につきましては、格別反対はございません。四にあげられておりまする法第二百一条の五第四項の改正中に、原案は「三以上」とありますのを「二以上」に改めんとする修正案につきましては、きわめて悪質な、民主主義に逆行するおそれのあるものでありまして、次の理由によって私は断固反対いたしたいと思います。
その一つは、この参議院原案なるものは各派共同提案になるものであります。この各派共同提案になるものが――衆議院、参議院の形に分れておりまする点についてはもちろんでありまするが、少くとも今日の二大政党確立を指向いたしまする趣旨は、政党政治、すなわち政党政治は責任政治であり、国民に対する政党の責任というものは一段と強化されて参っているのでありまして、ことに二大政党が理想の姿を築こうとする努力は、ひとり政党を構成する人のみではありません。これは、日本の民主主義政治、議会主義政治を確立する上において最も重要な事柄であります。それが、たまたま参議院と衆議院という構成の相違の中で、政党は一本に貫いていることは申すまでもありません。参議院の側の方できめたことが衆議院の方の側にきて、その趣旨をじゅうりんするがごとき修正が行われるということは、政党政治の基本的な責任政治それ自身をみずから乱すものでありまして、最も遺憾な行為であると思うのであります。私どもは、民主政治確立の責任ある立場において、この種の扱い方に対してまことに残念に思いますと同時に、反対の第一の理由にあげなければならぬと思います。
第二の反対の理由は、すなわち法第二百一条の五第四項の修正であります。これは最も重要なことでありまして、提案者側の説明を伺いますと、選挙の混乱を避け公正を期するためと修正の趣旨を弁明されましたが、その弁明の中で明らかにされておりまするように、政党に所属いたしまする候補者が政党を通じて選挙活動をやるということは、これは当然の常識でありまして、このことは法律に規定する必要のないきわめて平凡な常識であります。この法律、すなわち選挙法の二百一条に規定されておりまする精神は、選挙にできるだけ国民の総意を正しく反映せしめようとする民主主義を指向するところの選挙目的であります。そこで、問題になりますのは、修正案は原案と著しく異なる点をあげなければなりません。すなわち、参議院各派共同提案なるものは、これは、申すまでもなく、大幅に制限を加えた点においては、私はその責任重大であるといわなければなりません。これは制限でありますから、通俗な言葉をもってすれば五十歩百歩であり、その限度の問題であります。しかし、修正案はこれと異なりまして、政党によって選挙を行おうとすることについては私どもも全く同感であります。しかし、選挙活動であるからということによって、国民の基本的な人権として保護し規制しておりますところの、雇用労働者、労使関係に置かれております近代社会の労働者の団体行動、その団体行動は、言うまでもなく、正しき民主政治を育成し、平和主義を育成していくところの公けの使命を持って、日本の労働運動は世界中から期待されておる。われわれもまたこれを希求しておるわけであります。このことを達成せしめようとすれば、労働組合というものが、ややともすれば、功利的な、すなわち目前の利害関係を経済的の狭い範囲において争うということは、これは一世紀前の労働運動の思想であります。今日の労働組合は公的な性格を帯び、国際的な視野において民主主義を指向し、平和主義を指向する重大使命を期待しておりますことは、憲法の精神にも明らかであります。こういう労働組合の公的な民主的な成長を期待しております際に、たまたま、選挙の活動を狭い意味に限定して、いわば角をためて牛を殺すあやまちを、ここに見出さざるを得ないのであります。私は提案者側の猛省を促したいところであります。かかる法案がばらばらと部分的に出てくるということは、その意図するところが、民主主義に逆行せず、反動的な傾向をとるものでないと百万言の弁明をいたしましても、(「ノーノー」)この厳然たるところの修正案の精神というものは――私は、それをもしノーノーと言われるならば、それは無意識のうちに、しかし無知であるということの責任はおおうことができないのであります。意識的にやるとするならば、これはおそるべき民主主義の逆行でありまして、まことに近代社会における二大政党の成長をはばむ法律として、遺憾ながら、私は、かかる法案がこの議会に出てきたことを遺憾に思うと同時に、撤回されんことを切に要望しながら、本案に対する反対の意思表明を明らかにいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/56
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057・加藤鐐五郎
○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
まず、青木正君外十五名提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/57
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058・加藤鐐五郎
○加藤委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま修正に決しました部分を除いて、原案につき採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/58
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059・加藤鐐五郎
○加藤委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては、全会一致をもって原案の通り決しました。
この際、本案の委員会報告書の作成についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/59
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060・加藤鐐五郎
○加藤委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。
次会の開会日時は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404219X00619560227/60
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