1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月十四日(水曜日)
午後二時一分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 篠田 弘作君 理事 薄田 美朝君
理事 松浦周太郎君 理事 松田 鐵藏君
理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君
伊藤 郷一君 川村善八郎君
瀬戸山三男君 田中 正巳君
南條 徳男君 林 唯義君
本名 武君 渡邊 良夫君
小平 忠君 芳賀 貢君
門司 亮君 森 三樹二君
岡田 春夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
官 田上 辰雄君
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益太郎君
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三月十四日
委員植木庚子郎君辞任につき、その補欠として
田中正巳君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/0
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001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
北海道開発公庫法案を議題といたして質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。渡辺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/1
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002・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 委員長に、質疑の冒頭に当つて特にお願いをいたしておきます。国会が非常に重要な段階にきておりまして、党といたしましても真剣に国会闘争を続けております時期ですから、この際一つ委員各位を督励いたしまして、成規に委員会が成立いたしますように、格段の委員長の御尽力をお願いいたしておきます。
実はこの委員会で、国土開発に関する基本的な構想や問題点について、高碕国務大臣に質疑を継続して参ったのですが、なお数名の者が質疑をいたしたいということで、委員長にお願いを申し上げておるわけであります。きょうは高碕長官がお見えになりませんので、次回の委員会には再び高碕長官においでを願うように委員長に御尽力をお願いいたします。
きょうはこの委員会といたしまして、正力国務大臣に対しまして初めての質疑を行うことになるわけでありますが、私ども今までの高碕国務大臣に対する質疑に関連いたしまして、国土開発に関する基本的な考え方と、北海道開発に関する問題との関連がなお明らかになっておりませんので、この際その点につきまして、大臣から明確な御答弁をお願いするわけであります。今まで質疑で明らかになっております点は、高碕国務大臣の立場にいたしましても、国土の全体の総合的な開発の一環として北海道の開発を考える、こういう点を一応明確にいたしておるわけであります。そこで、これは高碕さんの領域にやや関連をいたしますけれども、主管大臣として御答弁を願いたいのですが、国土総合開発法の第七条に「内閣総理大臣は、関係各行政機関の長の意見を聞き、国土総合開発審議会の調査審議を経て、政令の定めるところにより、全国の区域について、全国総合開発計画を作成するものとする。」さらに第七条の二には「内閣総理大臣は、前項の規定による報告を受けた場合においては、これを国土総合開発審議会に諮問するとともに、関係各行政機関の長に送付しなければならない。こういう条項があるわけです。主管大臣として、北海道総合開発計画と国土開発計画について、どういうようにこれを統合し、まとめていくように努力をされてきておるのか、それについて所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/2
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003・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道の開発計画を立てますときには、まだ審議会ができておらなかったもので、単独でやったわけであります。その後国土開発審議会というものができましたから、今後はそういう点によく注意してやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/3
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004・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 質問の焦点からつずれておるようでありますが、明らかに北海道開発法が先に出てきておることは間違いないのです。しかし大臣は、国土総合開発法の中に北海道に関する規定があることを御存じかどうか、ちょっと承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/4
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005・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほど申し上げました第一次計画を立てましたときはまだ国土全体の計画が立っていなかったわけですが、今度はよく調整をしてやることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/5
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006・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 こういう質問をいたしますと、非常に意地の悪い質問をするように思われる。しかし意地の悪い質問をしているのではないのです。国土総合開発法と北海道開発法の根本が理解されないと、どの問題を討議しても、わからないことになります。その混迷を明確にしますために、特に質問を申し上げるのですから、大先輩、悪く思わないで、誠意をもって御答弁を願いたい。
それではおわかりにならないようですから、申し上げます。国土総合開発法と北海道開発法との関連は、本法の上においては、第五章補則「北海道総合開発計画との調整」というところにあるのです。事務当局もついておって、この程度のことを大臣に示唆しないのは手落ちだと思うのです。第十四条に「北海道総合開発計画と総合開発計画との調整は、内閣総理大臣が北海道開発庁長官及び国土総合開発審議会の意見を聞いて行うものとする。」こういう規定があるわけです。そこで、一般法律の中には「都道府県」と「道」が必ず入るのですが、この国土開発法の場合は、北海道総合開発法が別個にあるために、「道」を抜いて、「都府県」とした特殊な法律として、法の構成が行われている。そこで道の関係について北海道総合開発が別個に行われておるけれども、その北海道開発法と国土開発法との関連を、この五章補則第十四条において規定しておる。従って、国土総合開発の立場から見ますと、この第十四条の運営がどうなされておるかによって――国の総合計画と北海道総合計画との関連は、たった一点に集約されるわけです。従って、北海道開発庁長官はどういうように第十四条を生かしておられるか。この関連について一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/6
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007・正力松太郎
○正力国務大臣 仰せの通り十四条にちゃんとありますから、この規定に基いて調整をやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/7
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008・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 この第十四条の規定に基いて運営をいたします。こうおっしゃるわけですが、そういたしますと、ここでは特に「内閣総理大臣が北海道開発庁長官及び国土総合開発審議会の意見を聞いて行うものとする。」こういうことになっておる。そこで国土総合開発法には国土総合開発審議会があり、北海道開発法には北海道開発審議会があるわけですが、こういうところで策定したものを、過去において内閣総理大臣がどういうように調整しておられたのか、この点についてその経過を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/8
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009・正力松太郎
○正力国務大臣 過去のことは私まだよく知りませんので、一つそれは事務当局からお答えをさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/9
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010・田上辰雄
○田上政府委員 ただいまの北海道の総合開発計画と全国的な経済企画庁のいたしております経済五カ年計画との調整の問題は、仰せの通り総合開発法の第十四条によりまして、内閣総理大臣が国土総合開発審議会の意見及び北海道開発庁長官の意見を聞いて調整をはかっていかなければならぬのでございます。しかしながら、第一次の北海道の開発五カ年計画につきましては、ただいま正力国務大臣からお答えいたしましたように、その当時はまだ総合開発計画もできておらない際でありましたので、北海道開発庁といたしましては、北海道開発審議会の意見を徴し、その議決を経まして、昭和二十七年度から五カ年計画を始めますことを、二十六年にきめたわけでございます。従って、御指摘のように、北海道開発五カ年計画というのは、全国的な総合開発計画とは無関係で樹立されたのでございます。まことに不都合ではありますが、ただいま申したようなやむを得ない事情から、五カ年計画を立て、従って、これは閣議決定も経ずに北海道開発庁としての計画を一応立て、その計画の実施に努力して参つたような次第でございます。しかしながら、昭和三十一年度におきましてすでに第一次の五カ年計画が終りまして、第二次の五カ年計画を近く樹立いたすような運びになっておりますので、第二次五カ年計画につきましては、十分全国的な五カ年計画との調整をはかり、正当な手続きを経ましてその間の調整をはかつていくように、経済企画庁とも連絡をいたしまして、目下資料の収集そのほか計画の調査を協力して進めておるような次第でありますので、今後は十四条の規定によりまして、十分調整の成果を上げ得るものと信じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/10
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011・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 もう一つ根本問題ですから、話を戻して大臣の答弁をお願いいたします。国土総合開発法の基本目標、この法律の目的ということがございます。この法律の目的という第一条では「この法律は、国土の自然的条件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上上に資することを目的とする。」と明確に規定をいたしております。同じ精神に従って生まれております北海道開発法の第一条にいきますと、これとだいぶ違ってきております。第一条「この法律は、北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事事を規定することを目的とする。」第二条「国は、国民、経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業を」云々、こういうことに規定されておるのです。そこで国土総合開発法の場合におきますと、法律の目的が社会、文化、経済全般にわたって規定され、あくまでも国土の総合的な開発が何のためになされなければならぬかということに対する明確な規定をし、特にその中で、そういう総合開発の諸条件、究極的にそれを総合した結果として現れるものが、あわせて社会の福祉の向上に資することを目的とする、こういうことが明らかになっておるわけです。従って、単に特定の経済利潤を追求したり、あるいは経済的な利潤を高めたりするために、国土を開発するのではなくして、そのあらゆる施策の集約するところは社会福祉の向上に資することを目的とする、こういう点を明確にいたしておりますが、北海道開発法については、そういう観念が明白に規定されておらない。(同じことだ」と呼ぶ者あり)同じことかもしれせんが、なぜそうなっておるかということについて、私は疑問があるので質問するのですから、この点について主管大臣の解釈を一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/11
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012・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道開発法と国土総合開発法とは、形式が表面からいいますと多少違つておりますが、精神は同じであります。いずれも社会の福祉増進であります。ただ、ここにちょっと文句が違つて見えますのは、北海道はり特に資源が多い、のみならず、北海道は一番開発されていない。開発されていないつということと、資源の豊富であるということに重きを置きまして、北海道の方は特にこのように規定した次第でございます。 (「その通り」)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/12
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013・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 その通りとおっしゃる人がありますが、不思議に思うわけです。この程度のことを理解されないでおられるのはおかしいと思うのですが、大体御存じの通り北海道の開発は、従来植民政策として取り上げられてきておるわけであります。その観念をここで明確にしなければ、今後の北海道開発の問題がゆがめらつれてくるから、この点を申し上げておるのですが、御存じのように明明治二十二年に憲法が制定されて、翌二十三年に日本の国では帝国議会が設立され、他府県では国会議員を選出しておるわけです。ところが北海道では、その後ずっと官治政策を施行して、明治明地三十正五年になって、初めて北海道で衆議院選挙が行われておるのです。まさに他府県と十二年の差をもって官治政策が行われてきたわけです。こういう点から見ましても、北海道は明治維新以後、久しい間官僚の直接支配のもとに置かれてきて、そうして北海道の開発というものは、そういう官治政策のもとに利権の収奪がが行われてきておつたということは、あらゆる事実がこれを証明しておるわけです。もしそれがおわかりにならなければ、ここで幾らでも申し上げますけれども、大臣はそういう点は御了承だと思うのです。そこで終戦まで、あるいは終戦後においても、北海道の開発計画というものは、間々そういう観念の延長として行われておるわけなんです。たとえば、従来は北海道拓殖計画とか、開拓計画とかいう言葉が行われたのですが、今度は北海道庁というので、また昔流に、開拓庁という明治時代の名前が復活してくるというような考え方が残存しておる。その観念が根底に置かれて北海道開発が行われるということは、非常に危険であるということが問題の中心であるのです。大臣は北海道の開発については、国の総合開発と関連してどういうようにこういう点を考えておられるか、その点を一つ観念を明確にしてもらいたいと思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/13
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014・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道については、先ほど申し上げました通りに、また内地と違つて、開発する余地が非常に多いのです。従って内地のような開発方法ではいけません。でありますから、私は今度長官になりましても、今まで、の計画と多少違った計画を立てなければならぬと思っております。ただ先ほど、北海道は資本家の資源か何かになるようなお話がありましたが、そんなことではいきません。北海道については、どうしても北海道の大衆のためにもっと根本的の案を立てなければいけない、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/14
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015・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 正方国務大臣の決意の片鱗をを伺ったわけですが、問題の中心は、開発計画というものは、国が必要な国土開発の面から策定して開発をするという、上からくる開発の方式が場合によってはあり得るわけです。しかし開発それ自体の目的は、その開発の対象になる地方住民の生活や文化を向上上させることでなければならないわけです。ところが、北海道における開発方式というものは、入植したりして入っておる者は、ほとんど放置の状態に置いておいて、ただ特定の資源だけを追求する開発の方式が、今日まで進められてきておるわけです。 この点が北海道における地方住民が、いつも僻地、寒冷地の生活の中におりながら、生活の向上がちつとも行われないで、その生活の犠牲の上に、資源だけの開発を特定目標のために行われてきておるというのが、過去における開発方式だったわけです。このことは、今度の場合において、もしそれをさらに延長した考え方でいきますと、北海道における地域住民は、さらに大きな犠牲を負担しなければならないことになるわけです。こういう点について長官ほどう考えんておられるか、明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/15
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016・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道の開発は、申し上げるまでもなく北海道の住民を主として考えなければならない。北海道の住民の利益を第一に考えます。そうして北海道の資源を開発するということは、それによって北海道の住民が利益を得ることでなければなりません。従って開発方法については、今までよりもっと進んだ開発方法をとらなければならぬと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/16
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017・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そこで、北海道の開発計画というものは、やはり地域住民の開発とつながらなければならないということが明らかになって参りますと、少くとも国の開発でも、全国開発方式と、府県を中心とした開発方式と、地方総合開発の方式、特定地域の開発方式と、四つの形に分けられて、それぞれ策定されておるわけですね。ところが北海近間発については、そういう地域的な開発策定と、総合開発をどういうように関連して進めていかれるか、その点を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/17
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018・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほども申し上げましたように、北海道と内地と多少違うのです。従って、北海道は北海道としての開発方式をとりたいと思います。今までは内地も北海道も同じ開発方式だったと思うのです。あれではいけない。北海道には特別の開発方式をとらなければならぬ。そうして北海道の住民の利益を増進することが第一です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/18
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019・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大臣のおっしゃる、北海道には特別の開発方式がなければならないという、その特別がわからないので、それをもう一度お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/19
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020・正力松太郎
○正力国務大臣 特別の方法は、申し上げますと長くなりますが、私は北海道開発については、北海道の住民の交通の便利をはかることが第一であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/20
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021・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大へん卓見を承わりました。確かに開発するには道路が必要だと思いますが、大臣は道路政策について格別の御理解と造詣を持っておられますというので、道路が重点となりまして、どういうふうに道路施策をするか、そういう点について御構想をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/21
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022・正力松太郎
○正力国務大臣 私は道路が必要だと言いましたが、道路ばかりではありませんので、第一開発するには、やはり北海心にたくさんの資金を入れなければなりません。それを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/22
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023・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 それで、北海道の総合開発は、住民の幸福のために開発を進めなければならぬという点は、よくわかりました。そうしますと、北海道の住民が開発を希望しておる積極的なそれぞれの意見を受け入れて、開発を進めていただかなければならぬ、こういうことになるわけですね。道民の世論や希望も、そういう開発方式の策定の中に十分取り入れなければならない。これは当然のことだと思のですが、国務大臣は、北海道開発審議会というもの――特に国会から選ばれる若干の人のほかに、北海道の知事並びに道会議長等の北海道の機関を代表する者、もしくは学識経験者等を選任されて構成されておる開発審議会の意見というものについては、これを十分尊重する用意を持っておるかどうか。この点について承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/23
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024・正力松太郎
○正力国務大臣 それは申し上げるまでもなく、そういう審議機関がある以上、その意見を十分に尊重いたしますし、またしなくてはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/24
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025・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 その点、大臣から尊重するという意向は明らかになりましたが、この問題については、尊重するという御意見だけちょうだいして、尊重したか、しないかという事実について、他日質疑をすることにいたします。
そこで、開発のいろいろな方式についてここでお伺いしますが、二十六年から北海道開発第一次五カ年計画がスタートして、この第一次計画が今年終るわけです。大体この第一次五カ年計画の開発計画は、予定に対してどの程度進展しておるのか。それはどういう事情でそうなっておるのか。そういった開発の経過についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/25
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026・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道の第一次計画は二十六年に立てまして、二十七年から三十一年度までやります。その基本は、第一には電源の開発、その次は道路、河川、港湾の整備にかかっております。第三には食糧の増産、第四には基本的開発調査、こうなっております。ところが電源開発は約七割二分なされております。道路、港湾は五割二分できております。食糧は五割五分できておる。こういうふうにできておりましてまだ達成されぬものは、今後ぜひ達成したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/26
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027・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大体第一次五カ年計画は、当初計画の四割前後という状態になっておるのがわれわれの承わる常識でありますが、特定の電源開発等のぐんと進んでおる面もあるし、それと同じ歩調で進んでいない、進度の非常にゆるやかな部分もあるわけです。そこで問題は、北海道の公庫法案等を審議するに当って一番大事なのは、そういうような第一次五カ年計画の状態に対する一つの厳正な批判と、第二次五カ年計画の策定がどういうふうになっておるのか、これが明らかにならなければ、それを対象として今後運営される法の審議に入ることは非常に困難なので、第一次五カ年計画に対する進行の度合いの状態と、第二次五カ年計画の策定について、この際明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/27
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028・正力松太郎
○正力国務大臣 第一次計画の進行程度は、先ほど申し上げた通り、三十一年度までにあそこまでいきます。つまり四割ではありません。電力は三十一年度までにほとんど全部いきます。それから食糧の万も三十一年度に完成するとしまして、五割五分いくことになります。港湾の方は五割二分いっておるわけであります。しからば三十二年度にはどうするかといえば、三十一年度以降のことは八月までに立てます。これは私は飛躍的に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/28
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029・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そうすると、これから出てきます公庫法案というものは、そういう策定なしに、空間のところへ架空な計画を立てて出されるわけですね。第二次五カ年計画の策定がことし八月とすれば、公庫法は、もし法案が通過するとすれば、その前にスタートするのですが、そうすると、そういうような基本的な計画やあるいは産業振興方策、あるいは投資対象等が不明確なままにこういう問題をここに出そうとおっしゃるのか、その矛矛盾を一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/29
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030・正力松太郎
○正力国務大臣 公庫法は決して無鉄砲にやったものじゃありません。ただ私遺憾に思うのはあまり小さい案だったので、これは予算上はなはだ残念に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/30
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031・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 小さいか小さくないかは、計画の対象によってきまるので、小さいかゼロか、その対象に対して、今度の公庫法の融資対策だけが大がかりで不足だという認定は、まだ私ども理解できない。それが理解できれば、私ども大賛成なんですが、その点の対象が明確でない。第二次五カ年計画の策定が明確でない。従って第二次五カ年計画の策定ができて、あるいはその案がここに示されて、初めてそれに対する投資、融資の規模として、これが非常に少いか大きいかということが言えるのである。従って私どもは、ここに第二次五カ年計画の策定をしておる進行状態において、どういう計画があるか、あるならば、明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/31
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032・正力松太郎
○正力国務大臣 この公庫案というものは、御承知の通り百二十億も政府に要求したのですが、それが八十億に減ったようなわけであります。その公庫案というものは、三十一年度に完成するに上においても、この程度の金はむろん要るのです。だから今度私の立てる飛躍的計画は、とうていそういうものではいきません。いずれかの機会に、私の飛躍的案について御批判を仰ぎたいと思うっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/32
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033・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 私ども、もとより尊敬する正力さんでありますから、飛躍的な、あるいは革命的な大構想を温存されておるということを期待しておるのです。しかし、そういう大臣の構想は、科学的にきちんと裏づけられたものでなければならぬと思います。原子力の爆弾を落すような景気のいい話では、私どもは了承できないのです。それは積み上げた資料と科学的な研究調査の上に立って、どういう角度から見ても正しいという判断を土台にした計画でなけれげならないわけです。そこで私どもは、北海道総合開発の場合も、もっとそういう科学性を動員した正確な調査を特に望むわけなんです。大臣もそう飛躍的に大構想を発表される必要はございませんから、堅実な、ほんとうに地についた開発計画を一つ押し進めていただきたい。これを特に希望するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/33
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034・正力松太郎
○正力国務大臣 飛躍的の計画と申し上げましても、そういう夢を説いてはいけません。ただ大きなことを言ってはいけません。もちろん大きな科学的な基礎というよりも、むしろ経済的の基礎を立てなければだめです。私は大体大きく言うのですが、とかく今まで、日本政府の案というものは、経済的観念を幾らか軽視しておりはせぬか。すべての事業というものは、そろばんが基礎になければいけません。従って私どもが今度計画を立てても、ただこれが国家のためだからといって、そんなことでやつても、金は入りません。結局この事業を完成すれば、そろばんが立つ。いかに大きな計画でも、そろばんの立たぬ計画は夢です。国家に迷惑をかけます。だから私は、そういう架空の案はむろん立てません。一つ一つ基礎を持って立てます。それですから、私は案を作るたびに、お前これは架空じゃないか。これはどうしてそろばんを立てるか――経済的基盤がなければ、できませんよ。この点は一つ案を申し上げるとき御批判を願います。それですから、私はたとい案を立てても、北海道開発審議会の十分なる審議をしていただきたい。しかもその案を立てるについても、僕はぜひ一つ調査費を何とか北海道庁で出してもらいたい、こう考えておるわけであります。調査もしないで、ただ大きなことを言っても何にもなりません。正確な基礎の上に立ってやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/34
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035・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 大構想を承わって、大へん力強く思うわけでありますが、ただ正力大臣の過去の御経歴が示しますように、やはり大構想けっこうでありますけれども、それは今世の中が資本主義の経済機構ですから、当然もうからなければ、やらないというものの考え方、これが地方住民の利益であっても、投資の利潤が上らなければやらないというような考え方が、どこにでも出てくると、非常に危険だと思うわけです。そこで私はそういう開発の窮極は、地域住民あるいは国民全体の社会福祉の増進になるということ、特定の、資本を投下した人々の利益でなく、それを受ける側の、地方住民全体の幸福になるということが、開発の根底の理念でなければならない、にもかかわらず、いたずらに単に経済効率を高めることだけを急にするために、地域住民の生活を犠牲にしてしまって資本主義的な資本の投下率だけを先に考えるというような危険のないよう、特に注意していただかなければならぬと思うわけです。こういう点について、一つ大臣の十分の配慮を希望するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/35
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036・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道の開発をして資本家にもうけられるなら、私はやりません。大衆にいかに利益を与えるかということです。私が利益とか経済的ベースと言うのは、経済的ベースを無視してやりますと、結局税を重くします。国家に負担をかけさせる。税を軽くするのが国家の政治の根本です。大衆の負担をどうしても軽くしなければならぬ。それだから、北海道の開発は、すべて大衆の負担を軽くするための計画でなければならぬ。そうして先ほど申し上げたように、これは私は気炎になっていけませんが、さっきどなたか委員の人が言いましたけれども、私はいまだかつてほらの吹きっぱなしではありませんよ。従来言うときは、ほらだとみな思っておる。 これがみな実現されておるじゃありませんか。だから、これは少し気炎になりますが、事実基礎のないことを私は申し上げませんということを申すと同時に、資本家の利益のためじゃない、大衆の利益である。ところが、よく世の中には間違った考えがあって、何か公社式でやると――公社はもうけなければいけない。それはみんなの租税の負担でやるのですよ。資本家をもうけさせるためにはやりませんよ。大衆の負担を軽するために公社でやる。これは役人の考えですが、公社というものは悪いことをしなければいい。しかし、もうけなければ、国家に利益を与えなかったら、国家に損を与えたらどうです。その負担をだれがします。国家に利益を与えてこそ、国民の負担が軽くなるのです。だから、どうぞこの点は御安心下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/36
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037・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 あんまり最初第一回に正力大臣が見えて、少し大臣の怪気炎を承わって……。あと門司君の質問があるそうですから、あとはこの次に譲って、門司君から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/37
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038・廣川弘禪
○廣川委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/38
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039・門司亮
○門司委員 この機会にごく簡単に二、三お聞きしておきたいと思います。今大臣の御答弁を聞いておりますと、例の北海道開発法との関連性が渡辺君からも聞かれましたが、私にはよくわかりませんので、もう一度聞いておきたいと思います。それは北海道開発法の三条には、明らかに地方の団体の意見を聞くことができるということになっております。ところが、地方産業を開発しようとするこの公庫法は、地方の公共団体にきわめて密接不可分の関係を持つ一つの法案であります。いわゆる具体的の産業開発をしようというのでありますから、計画ではございません。ところがこの公庫法案の中には、地元の一番関係のある地方公共団体の意見が開かれなくても済むようになっておりまするが、この点はどういうことになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/39
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040・正力松太郎
○正力国務大臣 この第三条に書いてありますのは、内閣に対して意見を申し出ることができるだけであります。それだから、これを聞くというわけではありませんが、とにかく申してよろしいということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/40
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041・門司亮
○門司委員 私は今法文の解釈をお聞きしておるのじゃございません。少くとも北海道を開発しようというについては、地方の自治体の要求を開くことができるということが、開発法に書いてある。この法案のいわゆる親法に書いてある。これは親子の関係だと思う。そうしていよいよ実施の段階において、実施に移そうという場合には、やはり地方自治体というものはこのことのために――産業開発は、国の角度から見れば、大きな産業開発でありますが、地方の自治体に対しましては、負担の増加になります。同時に、この地方の状態というものが産業開発にはきわめて重要であることは、地方住民の協力を得ないでできる仕事はないからであります。従って、もしこの法案を立てられますならば、やはり地方自治体のそれらの産業に対する融資その他についても、一応私は意見を聞くということが正しい今日のあり方だと考える。地方住民の意見を聞かないわけには参りません。従って、その関連を開いておるわけでありまして、地方自治体に何らの意見を聞かないで、産業開発を進める、それは事業主と政府との個で話し合いをすればいいのだという考え方であるかどうか、ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/41
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042・田上辰雄
○田上政府委員 失礼でございますが、お許しを得て、私から今の点にお答えいたしたいと思います。北海道開発公庫法案を出します前には――これが北海道の世論からそもそも出発いたしておることは、この法案関係者の全部がよく承知しておるところなんであります。なおこの法案は、決して開発庁が単独に出したものではないのでありまして、北海道開発審議会がむしろ中心になり、この法案をしはしば審議をいたし、いろいろ法案の作成についての積極的な努力をいたしておるのでございまして、この北海道開発審議会の中には、北海運知事あるいは北海道の道会議長も構成員に入っております。なおそのほか、北海道の道庁のみならず、各方面のいろいろな意見を、各種の努力をいたしまして実際的に徴しており、なおその調査には御協力を願つておるような次第でございまして、関係の公共団体の意向は相当しんしゃくをいたし、もともとその世論に基いて、この北海道開発公庫法案を作り上げたと申しても、過言でないと信ずるのであります。従いまして、ただいま門司委員の御質問のような、公共団体の意見をあまり徴せずして単独に作ったというふうな事情でないことを、御承知願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/42
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043・門司亮
○門司委員 私はそんなことを聞いておるわけじゃない。何も政府が北海道開発審議会の意見を聞くとか聞かぬとかいうことは、政府の自由であります。正力さん考えて下さい。政府は今まで内閣の持っている審議会の意見なんでほとんど聞いていないでしょう。(「この審議会は聞いているよ」と呼ぶ者あり)この審議会は聞いておるか知らぬが、一般にそういう答弁はできないと思う。今やろうとしている選挙法も、内示された通りにいかないで、何か自民党の党内で内示されたものが取り入れられるということを、新聞紙を通じて聞いている。内閣が国の費用をかけてこしらえた審議会、国家の法律に基くこれらの審議会の意見を取り入れておりますか。政府は、都合のいいときは審議会を利用し、自分の不利益なときは審議会の意見を聞かないで、今ごろそんなことが言えた義理ですか。私の聞いておりますのは、そういう法案に対する考え方でなくて、金融関係を実施しようとするならば、地方の状況というものはかなり大きな問題でありますから、地方自治体の意見が開発法の三条には取り入れられているか、実施に移すこの法案の中に、当該自治体の北海道の意見を聞く必要がなかったかということであります。総合的に産業開発をしなければならぬということは、一応言えるのであります。ところが、一つ一つの産業の将来を考えて参りますと、きわめて大きく立地条件というものが左右して参まりす。そのものをなす立地条件を完全にこれとマッチさせていくためには、地方公共団体の協力を得なければできないことであります。従って、こういう産業計画を国が立てられるとするならば、そこにはやはり地方の自治体の意見を入れた一方がいいじゃないかということを大臣に聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/43
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044・正力松太郎
○正力国務大臣 公庫については、私は確かにそれはごもっともと思います。今のお話は全部そうだと思います。それから審議会もある以上、私は審議会の意見は必ず尊重しなければならない、またしますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/44
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045・門司亮
○門司委員 もし大臣がそういう御意見なら、これを実施に移す場合には地方自治体が相当これに協力する必要が生まれてくるので、この法案の中には、どこかに、地方自治体の意見を聞くことができる、あるいは聞かなければならないというのは少し拘束するかもしれないが、そういうふうにしなければならぬと思う。今日の日本の行政、財政、産業計画というようなものが、自治体の意見をあまり聞かないで、資本家資本家で勝手なことを考え、事業の開発に努めていく。事業開発だけを見ればけっこうでありますが、それが地方団体に及ぼす財政上の影響はほとんど考えられていない。一方そういう国の計画が進められると同時に、これに協力する地方団体の意見が現実の姿の上で加えられていくということが、少くとも国が関係する開発法案等については必要でないかということで、今大臣にお聞きしたのであります。大臣がもしそういうことに賛成であるとするならば、今すぐ法案を訂正せよとか、改正せよとかいうことはここでは申し上げませんが、十分考慮していただきたいと考えております。
次に、この法案で聞きたいと思いますことは、私がこの前の委員会で、当局に、この法案を提出される産業の大体の規模及びその状態について数えてもらいたという資料を要求しております。政府は、こういうものを出すからには、法案の中にずっと羅列して書いてありますこれらの産業についても、大体どのくらいの規模で、どのくらいのものが適当であるかということがわからなければ、投資の数字は出てこないと思う。だから、どの産業についてはどの規模で、どの程度で行うのだということについての資料を、この法案を出される前に要求していたのでありますが、まだ出ておらない。どういうことをお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/45
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046・田上辰雄
○田上政府委員 門司委員が前回御要求になりました資料につきましては、御要求にぴったり合ったものを用意いたしておらなかったのでありますけれども、その線に沿いまして御参考になろうかと存じまして、実は資料を配付してあるのでございます。まだお手元に参っておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/46
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047・門司亮
○門司委員 手元にきておりますのは「北海道における適地工業について」という資料であります。北海道における総合的な一つの調査された基本の数字であります。基本の数字と、実施されようとするこの公庫法案の基礎になる数字は、おのずから違うと思う。どの産業をどの程度に開発するつもりで、これだけの資金が要求されておりますか。これは単なる開発法案ではありません。実施法案であります。資金を要求している。従って実施をしようとするものは、実施計画がなければ承認するわけには参りません。従ってこの規模を聞いているのであって、石炭、可燃性天然ガスの利用度の高い工業とは何をさすか、その産業規模はどの程度のもので、どれだけの資金が要るかということであります。この産業計画に、われわれが無批判に何でもかんでもよかろうということでやれば、国費の乱費になるおそれを持っておりますので、その点を明確にしておかなければならぬ。法案を出される場合に、その基礎数字があいまいであった場合には、行く先が不明にならざるを得ない。だからこの場合に、林業、畜産、水産物の加工度の高い工業というだけでは十分ではありません。どこにどれだけ使われるかわからない。こういうものについても十分な基礎調査がなされて――具体的にこれらのものが一銭一厘違わぬ数字とは申し上げませんが、一応これを開発するには、この程度の資金が要るので、これを国会に要求したのだという線がなければならぬ。従って、この規模及び状態を示してもらいたいということを要求している。これがないことには、ただこれだけ金をよこしてもらいたいと言われても、いずれの諸君も同じと思いますが、これを始末するわけにはいかぬのです。さっき大臣の言われたように、民間資金から借り入れたものを国が元利金を保証しておりますから、ばく然としてこういうものを出していると、その行く先は、どこでどういうかうに使われるかわからない。従って出される以上は、その数つ字の基礎はあるはずだと思う。概念的にも考えられていると思う。従って、それをすみやかに示しておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/47
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048・正力松太郎
○正力国務大臣 今の御心配の点はまことにごもっともで、私も公庫についてはその点は十分考えなければならぬと思います。その計画の詳しいことは事務当局から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/48
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049・田上辰雄
○田上政府委員 御要求の点ごもっともであると存じますが、ただ御要求のような具体的な規模、あるいはどういう会社に対してどれだけ融資をいたすかということは、公庫自体がやる仕事なんであります。しかしながら、仰せのように大体の方向、公庫が実施いたすにいたしましても、融資あるいは債務保証をするにつきましても、大体の大きな基本方針、あるいは重要な条件等は、当初において当然計画されなければならぬのであります。その御要求のような方法は、どこできめられるかといいますと、第二十条に業務方法書という規定があるのでありますが、業務方法書を作成するときに、お話のような大体の出資及び融資、債務証保になりまする事業の種類だとか、あるいはそれに対しまする重要な条件、貸付の期限だとか、利率といったようなものままでも、この業務方法書にはきめるのであります。ただ大体申し上げられますのは、大さく第一にきめられますのは、北海道産業開発振興の促進になるべきような事業は、これは第二次五カ年計画等にきめられますので、その線に沿うてこれを運営していかなければならない。それからあとは、第十九条にありまするような条件が入りまして、その対象は、そうした北海道開発上重要な諸産業の事業であって、設備の取得、改良または補修に伴って長期の資金を必要とするものである。これにつきましても、具体的に五項目があるわけでありまして、これらの仕事のどういうものに貸すかというのは、現に民間でこの種の事業ができまして、その事業が必要とする資金を供給するというのでありますから、最初からこちらで、具体的にどういう仕事をどうやるかというふうなことを決定いたすわけでないのであります。期待はいたしまするけれども、これをあらかじめ決定するというわけには、いかないのでございまして、一応それについても北海道におきましてどういう仕事が適地工業であるかというので調べた資料を、ほんの御参考までに差し上げましたのが、この間配付したものなのでございます。あとは、相当具体的なものは業務方法書できめる。この業務方法書につきましては、実は関係方面も非常に広いものですから、たとえば大蔵省、農林省、通産省あたりの関係当局と今協議をいたしまして、近くこれが具体的な案のようなものを作り上げたい、こう考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/49
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050・門司亮
○門司委員 政府はそういう答弁をしない方がいいんだな、これは。二十条に書いてあることは、わかっています。事業の内容その他についても、そういうものかなければならぬことはわかっている。私の聞いているのは、この法案が出された根拠です。根拠がばく然としておる。ただ単なる開発法案というような法案ならば、これでもよろしい。しかし公庫法案というものには、金がついておる。従って、金を要求している以上は、およその基礎数字がなければならぬ。ばく然と、このくらいあったらよかろうということで、書かれているということになると、政府の構想というものがないと、今度はこの金の取り合いができてくる。そして、そういう産業にたくさん力を持つ人のところに資金が流れる傾向ができて参ります。政府はここに五つあるいは四つの具体的な工業の種目をあげておりますが、少くともこれらの問題と、大体、どれくらいの規模で、どれくらいの資金を必要とするというくらいのことは、委員会で一応御報告を願わぬと、何が何だかわけかわからない。大体このくらい要るだろうというような、腰だめでやられることは非常に迷惑です。他の金融関係なんかのように、金融の今置かれている情勢がこれくらいだから、これくらいでよかろうというのでは、だめなんで、実際に金か出て、それが使われるような、そうした場合に、国の持っております計画というものが、おのずからそこに出て参るのでありまして、たとえば、石炭なら石炭を一体どういうふうに、どれくらいの規模で開発しようとするか、あるいは農林水産というものについては、どれくらいの規模で、どれくらいに開発しようとすれば、どれくらいのできないと思う。もし政府に、こういうはっきりした企画というものがなくて、ばく然としてこの法案が出てごらんなさい、八十億という金の取り合いが必ず行われると思う。政府は何らの基礎的数字も持っておらない。政府は何らこれを規制すべき確信を持っておらない。私は、政府が出されるからには、そういう一つの確信がほしいのである。そうしてそれに割り当ててこの資金が使われていくところに、やはり計画性がある。だから、今のようにただ単に事務的の御答弁だけを承わっても始まりません。大臣も先ほどごもっともだと言われておるから、至急それを出してもらいたい。そうしませんと、資金の取り合いでも行われた日には、あなた方がお考えになっておるような満足な開発はで寺ませんよ。政府に腹があって、それを公けに示されて、これだけのものをこういうふうに開発するには、これだけの資金が要る、だからこれだけの税金を回してもらいたいというので、国民を納得させなければならぬでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/50
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051・正力松太郎
○正力国務大臣 それはいかにももっともなことで、これはちゃんと作つてあるのです。実は前長官のときに、一つの公社の仕事だけでも五十億というものが立ててあるのです。この公庫はもっと大きな仕事をやるので、一つの公社ですらも五十億要るのだから、百二十億立てておるわけでして、その大体の案については、いずれ事務当局から御説明すると思います。私かそれよりも憂えておるのは、ほんとうにお話の通り、公庫にやれば取り合いになるおそれがある。この点は厳重に考えなくちゃならぬと思っております。だから、これは法文上じゃだめなんで、全く局に当る人の問題になってきます。これかまずかったら、長官である私の責任問題です。また責任をとらなくてはなりません。そういうまじめな考えを持って、公庫を考えておりますから、どうぞ一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/51
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052・門司亮
○門司委員 大臣の答弁は一応了承をいたしますが、それだけ大臣がお考えをお持ちになっておるなら、ことさら基本だけは示しておいて下さい。そうして大臣が責任を負えるようにしておいてもらいたい。このままの姿では、大臣は責任を食えない。取り合いになって、どこにどれだけ行くかわからない。ここに書かれておりまして、四つか五つの項目をあげられておりますが、この中で、どこにどれだけ行くのかということは、やはり政府は大体基礎的のものは持っておると思う。そういうはっきりした腹が政府にすわっていないと、取り合いになって、しまいには、だれの責任だかわからなくなってくるということが必ずできると思う。だからこの点については、後日でよろしゅうございますから、一応この法案の審議の過程に、もう少し明確な――私は必ずしもごくこまかい明細書まで出せとは申しません。大体、どのくらいの計画を立てておるという範囲のものでよろしゅうございますから、一つ出してもらいたいと考えております。その他の各条におきまする審議も、いろいろな問題点がございます。たとえば出資はどうするか、産業の開発はどうするか、そうしてその開発された産業に対する規制の方法等は、あまり講ぜられていないようである。大臣は住民のために開発するのだと言われるが、そこから開発されたもの等についても、ある程度抑える――資本家だけに暴利をむさぼらせないというようなことが、やはりこの法案の中には必要かと存ずる。これは普通の金融関係とは違いますので、そういう点について、あとで十分聞きたいと思いますが、本日の質問はこの程度で終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/52
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053・廣川弘禪
○廣川委員長 実は社会党から、きょうは三時までにしてもらいたいという申し出があるのですが、どういたしますか。――それでは、きょうはこの程度にとどめまして、明後日午後一時より開会することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00719560314/53
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