1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十三日(金曜日)
午後二時三十九分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 志賀健次郎君 理事 篠田 弘作君
理事 薄田 美朝君 理事 松浦周太郎君
理事 松田 鐵藏君 理事 竹谷源太郎君
理事 渡辺 惣蔵君
伊藤 郷一君 植木庚子郎君
川村善八郎君 笹山茂太郎君
南條 徳男君 林 唯義君
本名 武君 渡邊 良夫君
小平 忠君 芳賀 貢君
門司 亮君 森 三樹二君
岡田 春夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
長 田上 辰雄君
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益太郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(銀行局特殊金
融課長) 加治木俊道君
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三月二十日
委員大坪保雄君、櫻内義雄君及び山本正一君辞
任につき、その補欠として林唯義君、瀬戸山三
男君及び渡邊良夫君が議長の指名で委員に選任
された。
同月二十三日
委員首藤新八君辞任につき、その補欠として植
木庚子郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/0
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001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
北海道開発公庫法案を議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから、これを順次許します。芳賀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 本日は北海道開発庁長官に対し、北海道開発公庫法案に対する質疑を行いたいと思います。
まず第一にお尋ねしたい点は、今回北海道開発公庫法をお出しになったわけですが、その基礎をなすものは、本日まで進行しておるところの第一次北海道開発の五ヵ年計画の成果というものが、この基礎条件になっておるというふうに考えるわけであります。この五ヵ年計画の内容は、正力さんも御承知の通り、主として公共事業関係の未開発地域の基礎的な施設を整備するというところに尽きておるわけであります。これが前提になって、今後北海道の産業開発、経済開発を進めることになるわけでありまして、この基礎施設の整備の上に立って開発公庫法をお出しになったわけでありますが、この公庫法の一番重点的に行おうとする点はどの点であるかというところを中心にしての、具体的な、いわゆる正力構想を通じての御説明を願いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/2
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003・正力松太郎
○正力国務大臣 公庫法を作りました趣意は、要するに北海道の産業開発をやるためでありますが、長期かつ低利の投融資をやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 この投融資が、長期かつ低利のものであるということは一応わかるわけです。ただ北海道開発の一環として、このような新しい試みとしての投融資を行おうとする三街基礎をなす、その構想はどこにあるのか、聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/4
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005・田上辰雄
○田上政府委員 私からお答えいたします。北海道開発公庫は、お話の通り北海道の総合開発上、第二次の計画としておそらく取り上げられなければならない産業開発、その使命を果すべき一つの機関でありますことは申すまでもないと思います。このことにつきましては、ただいま正力大臣からお話しの通りに、今後「北海道における産業の振興開発を促進し、国民経済の発展に寄与する」と、第一条に目的がうたってある通りであります。この公庫法案ができましたいきさつが、また別にありますことは、この委員会でもしばしば話に出ました通りに、北海道に対しましては長期にわたる低利の資金が必要であるにかかわらず、昭和三十八年には、従来そうした使命を果しておりました北海道拓殖銀行が一般銀行になってしまった。そういうことから、ここ三年にわたりまして、北海道開発公庫が、長期の資金を供給するためにも必要であるということで、別な理由から北海道開発審議会がこの問題を取り上げまして、今日に至っておるのであります。しかしながら、そのねらいといたしましては、あくまでも産業の振興、開発を促進するにあるのでありまして、具体的な事業といたしましては、公庫法案の第十九条に掲げてありますように、石炭または可燃性の天然ガスの利用度の高い工業、農林蓄水産物の加工度の高い工業、それから鉱業及び製錬業、産業の振興開発にかかる交通運輸業、なおそのほかに、産業の振興開発のために特に必要な事業で、主務大臣か今後指定していくものというふうに、事業内容を十九条に示しておるのであります。こうした事業が今後北海道開発の一つの中心の問題になるのであって、この種の事業は、当然第二次の北海道開発五ヵ年計画の線に乗ってくる事業であり、この線に乗って民間の企業が出てくることを期待し、それに対しまして呼び水的な役割をこの公庫によって果していこう、こういうことがこの公庫の主たるねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 私のお尋ねしている点は、今田上次長もお述べになりましたが、北海道の開発計画は、昭和二十七年度から昭和三十六年度までの十ヵ年計画を、前期、後期に分けておのおの第一次、第二次五ヵ年計画が策定されることになっておるわけです。第一次の五ヵ年計画は、今年度をもって一応終ることになっておるわけですね。その場合には第一次五ヵ年計画は、産業振興の基盤となる基礎施設の整備に重点を置くということになっておるわけです。第二次計画に対しましては、先日正力長官も、第二次五ヵ年計画を策定する場合においては、産業の飛躍的発展を正力構想を通じて考えておるというようなことをお述べになったわけでありますが、いわゆる公庫法なるものは、結局第二次五ヵ年計画と不可分の関係の上に立って作られておるというふうに考えておるわけであります。ですから、この公庫法たけを切り離して、この公庫の投融資だけを切り離して考えるわけにはいかぬのであります。それですから、第二次区五ヵ年計画との関連の上に立ってこの投融資首回をどうするか、という輪郭をこの際お示しになる必要があると思いますが、その点に対しまして、長官はどういうようなお考えを持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/6
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007・田上辰雄
○田上政府委員 お話の通り、公庫が今後運営されていきます上におきまして、第二次五ヵ年計画が緊密な関係にありますことは、申すまでもないと思います。芳賀委員のおっしゃる通りであります。しからば、第二次の五ヵ年計画はどうなるかということにつきましては、すでにしばしはお話が出ております通りに、第一次五ヵ年計画の延長といたしまして、従来の産業基盤であります電源開発、道路、河川、港湾等の公共施設をますます強化していく、それと同時に、新たに産業の飛躍的発展を期すということでありまして、この産業の飛躍的発展につきまして、公庫は大きな役割を示すということになっておるのであります。しかしながら、第二次五ヵ年計画はただいま検討中でありまして――検討中と申しますよりも、むしろその準備といたしまして、いろいろな資料を収集いたしまして、急速にこれを確立しなければならない。その立て方につきましては、国の経済自立五ヵ年計画の線にも沿い、同時にまた北海道の総合開発の計画もございますし、また現地の開発局のいろいろ検討いたしております資料等もございますので、これらの資料を集めまして十分な検討を加え、近く、少くとも公庫が出発をいたします八月までには、これを整備いたしまして、その五ヵ年計画の線に沿うて、これが運営をそごなく進めていきたい、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 それでは正力長官にお尋ねいたします。ただいま田上次長がお述べになったわけでありますが、結局この開発公庫法に基く投融資なるものは、もちろん投融資計画というものが立てられるわけであります。これは第二次五ヵ年計画と密接な関連を持っておるので、第二次五ヵ年計画が明確に策定されて、それとの重大なる関連の上に立ってこの公庫の運営に当る、そういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/8
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009・正力松太郎
○正力国務大臣 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、第二次五ヵ年計画が具体的に策定されるまでは、一応この公庫法なるものは成立いたしましても、実際その業務の運営に入るのは、第二次五ヵ年計画が具体的に策定されてから以後になるというふうに解釈していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/10
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011・正力松太郎
○正力国務大臣 この公庫を作りましたのは、なるほど第二次計画も考えておりますけれども、第一次計画のまだ完成しておらぬ部分に対しても必要なんです。これはでき次第即刻働かせたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 それでは、第一次五ヵ年計画との関連もあるので即刻やりたいということになると、政府の趣旨説明の中にも、公庫の行う投融資あるいは債務保証の対象を大体五つに区分しておるわけでございますが、そのうち今長官のお考えになっている点は、これは第一次五ヵ年計画の公共事業的な性格に重点を置かれておるという場合においては、「産業の振興開発に係る交通運輸業」というのが一項ありますけれども、これらの点に対してとりあえず投融資を行いたい、そういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/12
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013・田上辰雄
○田上政府委員 先ほど申しました通りに、公庫は第二次五ヵ年計画の線に沿うて活動すべきものではありますが、また一面、公庫が長期資金を得て、そして北海道の産業開発に資していかなければならぬという必要性は、大臣のお答えいたしました通りに、これはきわめて緊要をなる事業でありまして、一刻も早くかかる機能の活動を必要といたしておるのであります。従って公庫は、第一次五ヵ年計画、あるいは第二次五ヵ年計画と関連を持つまでもなく、できるだけ早く活動を開始しなければならないのであります。ただ五ヵ年計画がちょうど第二期にきておりますので、その計画の線に沿うて活動いたしますことが、将来の北海道におけるきわめて重要な、しかも重点的なねらいでありますから、その線に沿うて公庫を十分活動させていきたい。それには、まだ五ヵ年計画はきまっておりませんけれども、先ほど申しました第十九条にありまする五つの号に掲げてありますようなことは、当然五ヵ年計画の線に沿うて出てくるものだということは、一般の考え方として間違いないと考えられます。従って、この五号の各事業を中心といたしまして、今後公庫が活動していきたいと申すのでありまして、これは第二次五ヵ年計画とも矛盾をいたしませんし、また同時に、第一次五ヵ年計画が公共事業を中心としておりますにかかわらず、今の時期では、この公庫が産業開発のために活動することが必要であるという事実を、特に主張申したいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 私のお尋ねしている点は、これは長官にお答え願いたいのですが、北海道開発の今後の方向に対してこの投融資計画というものが相当の寄与をするということは、われわれも同様に期待を持つわけです。もちろん第一次五ヵ年計画と関係かないというわけではないのですけれども、密接な関係があるのは、何としても今後の第二次五ヵ年計画というふうに考える。そういう場合においても、やはりこの法律を作る場合においては、当然この投融資に対する具体的な計画というものは、あわせて用意されておられると考えるわけです。ところが、今日まで資料等を要求いたしましても、この投融資に対する具体的な計画案というものは全然示されてないわけです。そういうことになりますと、どうしても一応は危惧の念を持たざるを得ない。なぜかと言うと、今日までの北海道の開発の諸般の動きを振りかえってみましても、そこには多分に政略的な動き等かあったということは、これは否定することができないわけです。そういう過去を持っているわけです。ですから、今度の公庫法等に対しても、われわれはやはり一まつの危惧を抱かさるを得ないわけです。何ら具体的な投融資計画も持っておらぬし、また第二次五ヵ年計画の策定も行われていない。そうして、ただ投融資だけを行うということになりますと、巷間伝うるところによれば、すでにこの投融資も、どこへこれを向けるというような、ひもつきにさえでっち上げが行われているというようなことも、流布されているわけです。ですから、純粋な立場の上に立って、提案者である政府当局は、この法案を通じて具体的な投融資計画等が用意されているとするならば、その大綱的なものをお示しになる必要があるわけです。ですから、私はその点に対しまして正力長官に、どこに重点を置いて運営されようとするかということをお聞きしているわけでありますが、その点に対する長官自身からの具体的なお答えがまだないわけです。その点はぜひ長官を通じてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/14
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015・正力松太郎
○正力国務大臣 この公庫は、先ほど申し上げました通りに、第一次計画をまだ完成しておりませんから、あれを完成する上にこれは当然必要なんです。もちろん先ほど御注意のありました巷間いろいろ風評があり、注意すべきことは、それはごもっともな話です。その点については十分注意いたします。しかしながら、第二次計画を完成する上にやはりこれは必要だ。大した額でもありません。第一次計画の完成には当然要るのです。元来北海道の大路は拓殖銀行がないということです。その拓殖銀行にかわってこれができたのでありますから、その意味においてもけっこうである、こう思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 それはだいぶずれた答弁というふうに考えるのですが、もちろん、北海道開発に伴って財政的、経済発な裏づけとしての投融資が、今まで非常に貧弱であったということは、事実なんです。ですから、これに対する期待をわれわれは持っているわけですが、ただこの法律の中にも示している通り、この投融資の対命になるものは、ごく限定された範疇においてこの投融資を行おうとするところに問題があるわけです。しかもこの計画を行い、また運営をやる場合においても、地方公共団体との密接なつながりというものは、この法律を通じては全然見受けることができないのであります。たとえば北海道等のごとき、地方自治体と緊密なる連絡あるいは協力のもとに置かなければ、地方の総合開発というものが十分感果を上げることができないんで しかし今日まで北海道の開発に対しては、その点に欠陥があったことは長官もお認めになると思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/16
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017・田上辰雄
○田上政府委員 この開発公庫が八十億の運用資金をもちまして活動していく上につきましては、ぜひ具体的な投融資計が必要だというお説は、ごもっともだと思います。しかしながら、公庫はあくまでも金融あるいは出資をいたします金融機関でありまして、事業機関ではないわけであります。直接に公庫自身が事業をするというわけではないのであります。従いまして、ほかの事業のように具体的に全体計画を立てまして、それに必要な予算というものを立てて、これを実行していくという性質のものではないわけであります。政府が考えておりますような民間の事業、具体的に申しますと、第二次五ヵ年計画の線に沿うた各種の事業が北海道において活発に出てくることを期待し、その事業の要求がありました際に、それに対して必要な融資なする、あるいは特に出資をいたしますにふさわしい事業であります際には、それに出資をいたす、というふうな調子で投融資を進めて参る次第でございます。あらかじめこの八十億の運用資金を決定しておくという性質のものではないわけであります。しかしながら、これが投融資を行なっていく一定の方向といいますか、政府が期待しております方向は、十九条の各号に掲げてあるものであります。さらにもう少し具体的には、業務方法君を制定いたしまして、業務を公庫が開始いたします際に主務大臣の認可を受けまして、これを公庫が作っていくわけでありますので、その際に、必要な、具体的な条項を示すことができるわけであります。さらに公庫が運用を開始いたしまして、出資あるいは融資をいたしますにつきましては、二十三条にありますように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作らなければならぬわけであります。その際に具体的な指示を、認可権を持っております主務大臣が、いたしておるわけでございます。こういうふうにして、公庫ができましてから具体的に事業を拾って参るのであります。ただ方向だけを示しまして、その法律に示すところ、あるいは業務方法害に示すところに従いまして、公庫が運用されていきますので、そのときに具体的な計画が立つということであります。どうかさよう御了承いただきたいと思います。
なおもう一点の、地方公共団体とのつながりがきわめて必要であるという御意見でございましたが、この御意見もごもっともなことでありまして、今後この公庫が運用されていきますにつきましても、中央官庁のみならず、地方公共団体との連絡ということは、仕事の上にもいろいろと起ることであろうと思うのであります。ただ公庫は、独立したこの公庫法案によって設立したものでありますから、公庫は公庫自体の目的に従って進んでいかなければならないと思いますので、特に法律上この関係をはっきりしていく必要は、私どもは認めておらないのであります。実際の運営上、各種の連絡を十分とっていく必要があるだろうとは考えておりますが、法律上、ここに主務大臣との関係だとか、あるいはその間の連関などを条文に掲げる必要はないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 ただいま田上次長から、公庫の場合はこれは金融機関であるから、あらかじめ具体的な計画を立てて、その投融資計画に基いてやるほどのものではない、一つ一つの事業を拾い上げて、その適否を検討した上に立ってやればよいということでありますが、それは一般の民間金融機関であれば、別といたしまして、これは政府機関としての金融機関です、たとえば農林漁業金融公庫と同じ性格のものです。多分に公共性、国家性というものは持っておる。ですから、そういう政府機関の公庫のごときは、やはり年当初にそういう投融資計画というものを立てて、それを分類して、配分のワク内において投融資をするということがこれは当然のことなのであります。ですから、公庫においてそういう計画というものは当然持たれるべきものであって、それは必要に応じてきめて貸すというようなものではないと思う。次長はそれに類したような説明をされましたが、そういう考え方は若干間違っておるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/18
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019・田上辰雄
○田上政府委員 お話の通り、北海道開発金融公庫はきわめて公共性の高い、国家性があるものであります。従って、他の金融機関とは性質は全く異なるものでございます。しかし、ただ金融をやるという性質につきましては、他の国家的事業と異なるということを申し上げたつもりでありまして、公共性が強いゆえに、この法律にありますように、各種の必要な制限を加え、また主務大臣が各所におきまして指導し、認可をしていく、監督をしていくということになっており、主務大臣は必要な監督命令もいたしていくのであります。その点は全く他の金融機関に見られない公共性の高い本質を持っておるのであります。しかしながら先ほども由しました通りに、一定の方向は必要でありますけれども、個々にどういう事業をどうしてやるということは、今後四半期ごとの事業計画を立て、その資金計画を立てて進んでいかせるのでありまして、その計画を、作られまする第二次五ヵ年計画の線に乗せていこうというわけでありますから、今日公庫ができます前に、どういう事業をどれだけ実施をし、どういう会社ができて、それにはこれだけの融貸をするのだという具体的な計画を、今日お示しいたすわけには参らない、こう申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 その点が変じゃないですか、まだ構想かないというのは……。そういう構想の上に立って、必要性のしに立ってこの法律が生まれるのじゃないですか。ですから、当然この法律案の審議をする場合においては、投融資計画の大綱のごときものはお出しになるのが、政府の義務だと思うのでありますが、全然示してないじゃありませんか。何も出てないじゃありませんか。しかも出ておらぬ半面においては、たとえば公庫の融資を通じて、どの産業に対しては大体融資が可能であるとか、不可能であるとかいうことまでも伝わっておるわけです。たとえば一例をあげて申しますと、先般の委員会におきまして高碕経済企画庁長官は、今後の北海道の第一次産業開発の中においては、特に農業部面においては、北海道の農業の中においてテンサイの一大増産をはかって、そうしてテンサイ糖の生産を高めて、国内糖業の振興をはかりたいというようなことをお述べになっておったのです。ところが、このテンサイ糖の振興の問題に対しては、現在たとえば農林省が中心になりまして、北海道にテンサイ糖工場を新設するというような動きが、非常に濃厚になってきておるわけです。これは本年の余剰農産物の見返り円資金のうちから大体十五億円程度をさいて、これをテンサイ糖工場の新設の資金に充てようとする点が一つ。もう一つは、この公庫法が成立した場合においては、この中からもビート工場の建設に対する融資を行うというような計画もあるやに私は聞いておるわけです。もしそういうことが行われるとするなれば、すでに構想の中に投融資計画がないということではないのです。ですから、そういうものがあるとするならば、この法案の審議を促進する意味においても、これは明確に、正直に御説明になる必要があるのじゃないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/20
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021・田上辰雄
○田上政府委員 芳賀委員の御要求になりまする点は、同じことをもう一度繰り返してお答えしなければならぬような結果になって申しわけないのでありますが、ただいま具体的なお話が出ましたテンサイ糖の問題でございますけれども、高碕大臣がここでお話しになりましたことも聞いております。そうして一般的に、テンサイ糖の問題が今日北海道において大きな問題になって、そういう話が進んでいるということも承知しております。しかしこの公庫との関係につきましては、先ほど申しましたように、公庫が出発してからきまるべき問題であります。ただ、かりに申し上げられますのは、ここに第十九条に列挙されておりまする五項目の中の第二の「農林蓄水産物の加工度の高い工業」というものには、テンサイ糖業のようなものは入るということを申し上げられるのであります。そのほか木材糖化の工業だとかいうふうなものも、これに入りましょう。そうした例示は申し上げることができますけれども、具体的に、全般的に八十億の運用について、どういう事業をどういうふうにやるかということは、今日立てるわけにはいがない事情なんだということを、申し上げているのでおります。それは金融機関でありまして、事業機関ではないので、こういうふうな法律にきめられました制限、あるいは業務方法書に今後示されていきまするその条件、あるいは今後きめられていきます四半期ごとの事業計画、資金計画の制約、そういう制約を受けながら、進んでいくということでございますから、どの事業に対してはどういう出資、融資をやるということを、今日あらかじめ申し上げることはできないと申しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/21
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022・廣川弘禪
○廣川委員長 それではこの際、社会党の申し出がありますので、暫時休憩いたします。約一時間の予定で休憩いたします。
午後三時十六分休憩
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午後五時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/22
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023・廣川弘禪
○廣川委員長 休憩前に引き続き会議を聞きます。
質疑を継続いたします。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/23
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024・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 一番論議になるところが第十九条と思いますが、これは先ほど芳賀正委員からの質問にもあったので、どういう種別のものに貸し与えて北海道の開発をするかということが、一番主要目的だと思うのであります。そこで第一条の目的にあるごとく、この公庫は北海道の開発のために長期の資金の供給をするということになっております。この項目に表われておる通り、第一、第二、第三、第四、第五となっており、このうちには、社会党の意見とわれわれの意見と同じようなものもありますが、ただ社会党のは割り切つていないというところに差があると思います。たとえば、先ほどのビート工場に対する融資というようなことは、これは余剰農産物の金をもって出すことになっている。自己資金がまたそれに加わる。北海道の農業政策からいって、この工場が立つことにたよって農民に非常な利益をもたらすという意味から、そういう足らない施設に対して融資をするという考え方であっていいか悪いか、この点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/24
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025・田上辰雄
○田上政府委員 公庫は出資並びに融資、債務保証しという三つの仕事をいたすのであります。ただいま松田委員の御指摘になりましたような、たとえばテンサイ糖工業について、ほかのいろいろ資金があるが、なお足らない資金についての融資を公庫に負うことができるかという話でありますけれども、ただいま御例示になりましたような事業、十九条の各号に該当するような事業であって、事業の設備をこれから作るのだというふうな具体的な要請があります場合に、それに対して長期の資金を供給するのが公庫の仕事でありますから、ただいま御例示のような場合には、この公庫が融資をいたすということになろうかと思うのであります。これについては先ほど申し上げましたように、第二次五カ年計画の線に、テンサイ糖の問題等は当然取り上げられる問題であります。しかもこの十九条の二号の「農林畜水産物の加工度の高い工業」ということに当りまするから、ただいま御指摘のようなものに対して足らない資金を融資する、つまり一般の民間の企業を増進するために、公庫が呼び水的に働きをするのを使命といたします。ただいまのお話のような場合は、きわめて適切な事例であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/25
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026・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次に、農業及び水産業という第一次産業に対しての融資が、農林漁業公庫との関係からできなくなったのは、非常に残念だと思っております。土建業者が今盛んに考えていることは、北海道における土建業者は非常に機械力が足りないので、機械を買うと、そこに資本が固定する。固定すると、結局内地の業者に非常に圧迫されるというような意味合いで、北海道開発のために土建機械を買いたいということから、新たに資本金を出して会社を作り、それに対して融資をなし得るのではないかという考え方で、案を練っているようであります。農業における深土耕が非常に重要なものであり、それがスムーズにいっていないので、農業協同組合なり、また町村なりに、春早く、また秋おそく、土建事業をやる時期が迫ったり、また始まらない前に、深上耕をやるために、ブルトーザーのようなものを貸し与えるという計画のように思われますが、こういうものも北海道開発のためには非常に有意義なことだと思いますけれども、こういうものに対しても融資が可能であるかどうか、この点も承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/26
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027・田上辰雄
○田上政府委員 ただいまお話の土建関係の機械、農業関係の深土耕の機械、ああいうものを一緒にして北海道開発のために働かせるような一つの会社ができましたならば、現在の北海道開発上、公共事業の推進の上に、また農業上、土地改良に大きな貢献をなし得るものであろうと考えられるのであります。それは北海道の産業開発上、きわめて必要な事業であろうかと思いますが、ただいまの事例につきましては、第十九条の一号、二号、三号、四号の場合には必らずしも適切に当てはまる事業ではなかろうと思います。従ってその場合には、第五号の「前各号に掲げるもののほか、産業の振興開発のため特に必要な事業で主務大臣の指定するもの」、これに該当するのでありまして、これは主務大臣におきまして具体的な指定をいたせば、この第五号に該当するものとして融資の対象になろうかと思います。ただいまお話の出ました事業は、北海道開発上きわめて重要な事業の一つとして、その対象として考えらつれることでありますが、なお具体的には主務大臣の指定をいたす必要がありますので、各省と協議して指定をいたす必要があろうかと思うのであります。ただいまの答弁といたしましては、一応第五号に該当する事項としてその指定をすることにして、十分敬意を表して検討を進めたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/27
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028・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次長の答弁は、北海道開発のための呼び水的な事業に対する融資または投資をするというように考えられて、御答弁になっておりますが、それでけっこうでございます。ただ、今ここで社会党の方から質問があるので、私の質問はまた次会にでもすることにして、社会党に敬意を表して譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/28
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029・廣川弘禪
○廣川委員長 芳賀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 休憩前に引き続いて質問いたします。先ほどの田上次長の説明によりますと、投融資の対象の中で、特に二号の農林畜水産業の融資対象の問題にやや具体的に触れられておったわけであります。たとえば今松田委員からも、北海道におけるビートの耕作増大とあわせて、テンサイ糖工業の発展のために、これらを公庫融資の対象にすべきであるという発言もあったわけであります。そういうふうに次々に具体的な事例をあげた場合、それに対して的確な説明をなされるようでありますが、そういうものを総合した場合においては、これは一応公庫の投融資の大綱的な計画が持たれておるというふうにも判断されるわけですけれども、われわれはどうしてもこの審議に当つては、その計画なるものが必要であるということを繰り返して申し上げておるわけなんです。この際率直に、一応の構想あるいは計画なるものをお示しになってはいかがですか。これは特に正力長官にお尋ねしたいのです。あなたは当委員会に出席はされておるけれども、また私は本日努めてあなたに対して質問をしておるわけですが、委員長はどういうわけか長官に対して発言を許さないのです。次長あたりに許しておるようですが、今後委員長におかれては、私は長官に対して答弁を求めておるのですから、その点を十分留意されて、議事の進行をお願いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/30
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031・正力松太郎
○正力国務大臣 今の点は、私より事務当局が詳しいですから、事務当局から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/31
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032・田上辰雄
○田上政府委員 十九条の各号につきましては、たとえば二号の場合におきましてはテンサイ精工業が考えられるとか、あるいは本材糖化工業が考えられることは申し上げたのでありますが、ほかの場合におきましても、一つの例としましてこういうものが考えられるという程度ならば申し上げられるのでありまするけれども、しかし、たびたび申し上げますように、この公庫がどういう事業に対してどいう程度の貸付をするのだという具体的な計画というものは、公庫が金融機関である性質上、今日の段階では持ち得ないわけでございます。従って、これは公庫が出発いたしまして、その際に第二次五ヵ年計画というものができ上って、その線に沿って、公庫が仕上ぐべき具体的な計画というものはでき上るものである、こう考えるのでございます。ただせっかくのお話でございますので、十九条の第一号の「石炭又は可燃性天然ガスの利用度の高い工業」というものについて、たとえばどんなものが考えられるかというふうな例示を申し上げますと、それは低品位炭を利用いたしまして製塩工業を起すことが期待できるとか、二号につきましては、先刻申し上げましたように木材糖化工業、テンサイ糖工業が考えられるんではなかろうか。それから三号につきましては、たとえばチタン工業のようなものが期待できるのじゃなかろうか。四号の「産業の振興開発に係る交通運輸業」としましては、かりにあげますならば――これはまだ検討の余地もありまして、先ほど来申しまするように、公庫ができてからの問題でございまするが、たとえば北海道における離島航路の事業等を振興しなければならぬという世論もございますので、それがたまたま四号に当るのではなかろうか。五号につきましては、先ほどもお話のありました機械を貸し付けるような事業もこれに当りましょう。あるいはそのほか、たとえばPSコンクリートというものの論議がされておりますが、そういうものが具体的に発生した場合に、融資の対象になるのじゃなかろうか。その程度のことは私ども一応検討したりしておりますが、お話のような全体計画というものは、どういう事業があって、それに対して八十億をどう割り振るんだというような計画は、今日立てておりません。また立てることができない段階であるということを、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/32
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033・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、具体的な問題になりますけれども、たとえば八十億程度の、非常に投融資の総額においても少いわけであります。しかし、これをもって北海道の産業開発の一つのてこ入れをするという場合においては、最も有効に、高度にこの投融資を活用するということが一番大事だと思う。ところが先ほどの説明によりますと、非常に大産業というべき、大企業というべき、たとえば北海道においてビート工業を興す、さらに増設しようとする場合において、同じ政府機関の投融資の形が、二重的な性格を帯びるということまでも、次長の説明によると是認したようなことになるのです。見返り円資金の場合も、政府が特別会計をもってそこから融資を行うわけなのです。ヒート工業の場合は、見返り円資金の特別会計からの融資を行うと同時に、さらにそれ以外に、公庫からも融資を行うということが適切と認める、というようなことを言っておられました。これは実際問題に当面しなければ、まだ未知の点があるわけでありますが、そういうことが具体的に今後公庫の業務の中において行われるとするならば、これは重大問題であるというふうに考えるわけです。なぜかというと、第一次産業の面におきましても、これと類似の国の融資機関があるわけです。たとえば農林漁業金融公庫なるものがあって、この第二号に掲げるようなものに対しては、当然融資が行われることになっておるわけです。そうしてその画からもさらに融資を受け、この公庫からも融資ができるということになると、この融資の範囲、あるいは対象になる産業というものは、まだまだ御説明よりも拡大されなければならぬというふうに私は考えるわけですが、その点はいかがですか。一方においては強い規制を与えながら、一方においては大企業に対しては二重投融資の形さえも認めるというようなことに対しては、大きな矛盾がこの中にあるというふうに考えるわけですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/33
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034・田上辰雄
○田上政府委員 仰せの通り、この北海道開発公庫の運用金は八十億で、きわめて小さいのでございます。従って、この公庫が北海道閉路のために十分に役立つためには、むしろ今の段階では、みずから出資をするというふうなこともできるのでありますが、それに多くを費すべきではないのであります。できるだけ各民間資金を北海道の方に持ってくるような、誘い水的な役割を果すべきであると考えるのであります。なおそのほかに、御承知のように北海道におきましては、一般市中銀行初め、あるいは御指摘になりました農林漁業金融公庫もありますし、中金等もありまして、今日いろいろ融資をいたしております。これらの調整の問題は当然起るのでございます。公庫といたしましては、できるだけほかの市中銀行等に融資の活動をしてもらいまして、市中銀行その他の銀行で、どうしても、北海道開発上、重要な事業であるにかかわらずこれに融資をしてもらえないという場合に、公庫がその補完的な役割を演じまして、その事業の促進をはかっていきたいというのが、第一条にもありますように、この公庫の本質でございます。従って、できるだけ他の金融に有効に働いてもらうように、公庫自身が他の金融の妨げをするようなことがあってはならないと考えております。従って、できるだけほかの金融の活動に待つのであるけれども、その他の金融をもってしても、どうしても融資ができない、しかもこの事業が北海道開発のためにきわめて緊要であるというものに、十分公庫が活動していかなければならないのでございます。具体的に御指摘になりました二重投資のお話でございますが、これらにつきましては、実は今後業務方法書に具体的な場合を掲載して、その方針をきめるべき問題でありまして、今ここで具体的なお答えをするわけには参りませんけれども、しかし、ただいま申し述べましたような方法で、他の融資を待っても、どうしてもその事業が十分にやっていけないという場合に、開発公庫としては、十分その事業の達成のために、特別な考慮を払うべきであると考えるのであります。具体的にどの程度にするかということは、今後業務方法書等におきまして、その制限を規定していくべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/34
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035・芳賀貢
○芳賀委員 これは根本的な問題になるわけですが、公庫の目的が、北海道におけるあらゆる資源を活用して、そこに新たなる、しかも強い産業を振興させるということのねらいですね。それに寄与するためのてこ入れになるわけですね。そういう場合においては、北海道における後進的な産業条件の上に立って、後進的な地域の中において非常に不利な条件の中から、今後の産業発展を期待するわけでありますから、当然かかる投融資は必要となるわけでありますが、ただ政府機関の資金の流し方が、二重な姿をとってもかまわないということであれば、これは、たとえば農林漁業金融公庫の融資もあわせて、この公庫は行えるというような、そういう形をとっていかなければ、ひとつビート工業だけに対しては、大きな製糖資本が北海道に利潤追求のための工場をさらに増設しようとする場合において、一方においては有利な見返り円資金を与え、しかも乏しい公庫の資金源の中から、さらに貸し与えるというようなことは、全然筋が通らないわけです。しかも、そういう点に合後公庫の投融資の方針が重点的に行われるとするならば、これは今から問題として取り上げておく必要かあるわけなんです。 この点は長官におかれても――あなたは実業界に身を置いておられるのですから、こういう形というものが、真に政府の金融機関としての性格の上に立った場合において、果して筋道の立つものであるかどうかという、こういう点に対しての御見解は述べることができると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/35
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036・正力松太郎
○正力国務大臣 すでにある政府機関から融通しておるものに対しては、この公庫はやりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/36
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037・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、たとえばビート工場の場合に、見返り円資金特別会計から工場新設のための融資が行われるような場合においては、この同一の対象になお工場あるいは会社等に対しましては、公庫の融資は行わない、そういうふうに確認して差しつかえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/37
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038・正力松太郎
○正力国務大臣 原則としては融通いたしませんが、金が足らぬ場合には、あるいは融資する場合もあり得ますけれども、この点についてはなおよく考究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 これは、今後公庫の業務運営が総理大臣と大蔵大臣の共管ということになっておるので、もしこの点に対して今正力長官から明確な御答弁ができないとすれば、次の機会に委員長におかれては、大蔵大臣並びに総理大臣をこの席に出席させて、こういう基本的な問題に対しては、やはり法案の審議の中において明らかにしておかなければ、後日問題が出てくると思う。こういう点が非常に危惧されておるわけです。今日までの北海道の開発方式の中において、これか非常に政略的に用いられているという点に、北海道の開発のおくれておる重大なる原因の一つがあるわけです。ですから、この北海道の開発公庫なるものが、純粋に今後の北海道の産業開発に寄与するという目的の上に立っておる場合においては、この法案の本旨、あるいはねらいとするところを、提案昔であるところの政府当切においては、何としても明らかにしておくべきであるというふうに私は考えるわけでありますが、長官におかれてこの点に対して明確な御説明ができないとすれば、これは後日に譲るわけであります。
次にお尋ねしたい点は、同じ農林畜産関係の融資でありますが、この公庫の融資を行う場合の一つの制限としては、民間産業のうちでも特に協同組合、あるいは農民団体の出資等による――かかる団体に対してはこれを融資の対象にしないというふうなお考えのようでありますが、この点に対する具体的な御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/39
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040・柏原益太郎
○柏原政府委員 実は、農林漁業金融公庫とか、あるいは開発銀行とか、あるいは中小企業金融公庫とか、政府関係の金融機関がございます。それで北海道開発公庫も政府関係の金融機関でございますので、従来の政府関係金融機関の融資対象としているものにつきましては、できるだけ開発公庫からは資金を供給しない。いわゆる政府資金が政府の各金融機関から流れるということを防ごうという意味で、対象を異にしていきたいという考えを持っておるのであります。そういった点につきましては、これから業務方法書等によりまして十分検討いたしていきたいと考えております。
なおこの業務方法書は、御承知のように公庫が発足いたしましてから、公庫の役員等におきまして十分検討を加えまして、主務大臣の認可を受けて、その方法書に基いて業務が実際に行われるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/40
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041・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、今の説明によりますれば、政府が出資するそういう金融機関の貸付対象になる企業あるいは団体等に対しては、重複を避けるために、系列化を繁雑にしないために、これを対象から除くということになると、それらの機関の融資対象にならない産業あるいは会社等はいかなるものであるかということを、お尋ねしなくちゃならぬわけです。たとえば政府機関といいましても、開発銀行もありますし、農林漁業金融公庫もあるし、中小企業の公庫もいろいろあるわけです。ですから、これらの公庫等からの貸付を受けられるというものは、これは非常に幅が広いわけですね。しかも、この対象にならないものということになると、たとえばどういうものが対象にならぬか、その点に対する具体的な事例をあげて御説明願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/41
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042・柏原益太郎
○柏原政府委員 この開発公布から融資いたしますのは、対象は法人に限るのでございまして、協同組合その他につきましては、融資の対象にしないことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/42
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043・芳賀貢
○芳賀委員 法人格のあるものに限定して、特に協同組合のごとき、そういう法人格を持ったものは対象にしないということになると、今度はその対象の範囲というものは非常に狭められるわけですね。では、その狭い範囲内において、どういうものが対象になるかということをこの際一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/43
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044・田上辰雄
○田上政府委員 ただいまお話しになりました融資の対象等は、業務方法書によって具体的にきめられるのでございます。従って業務方法書にきまるまでは、ただいま具体的なことは申し上げられないのでありますが、大体の考え方として、対象はやはり法人に限らなければいかないのじゃないか、そして個人に貸すというわけにはいかない。これは公庫の本質上、また対象といたしておりまする北海道開発上、大いに産業の振興を効果あらしめるという建前から、当然であろうかと思うのであります。そしてその法人にいたしましても、ある程度まで資金というものに制限を置く必要があろうかと思うのであります。資本金が、相当な事業を達成し得る程度のものでなければ、あまりに小規模なものに貸し付けるというわけにもいかだいのではなかろうか。しかしこれらにつきまして、しからば資本金はどれくらいにしたらいいかということは、今後検討をいたしまして、そして公庫が業務方法書の中にうたうべき事項であると考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/44
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045・芳賀貢
○芳賀委員 政府は、法案を提出される場合は、その法律に付随して必要になるような、たとえば政令とか、業務方法書の大体の構想とか、そういうものは、あらかじめ用意しておくのが順当だと思うわけです。正力長官はそういうことの必要性を感じておられませんか。感じておれば、そういうことを指示されて、法案の審議に当ってはそういうものを出せると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/45
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046・正力松太郎
○正力国務大臣 大きなことは十九条に示してありますから、それでやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/46
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047・芳賀貢
○芳賀委員 大きなことの内容が若干問題になるわけです。おわかりにならぬとすれば、いたし方がないことですが、そういうことになると、この法案というものは、相当まだ未熟なものを包蔵しておるということになる。そうじゃないのですか。これが議員立法であれば別でありますが、政府提案と銘打って出す場合において、一切の準備が整っておらないこういうなまぐさい法律案を出して、いろいろな大事な点に対して質問した場合においても、なかなか明快な答えがない、そういうところにいろいろな疑点があると思うのです。もう少し内容を固めて、この公庫法案の内容を明確にしておく必要が、どうしてもあるのではないかと思うのです。特に協同組合のごとき、公庫は全然融資ができないというようなことでありますか、北海道の一つの産業の中において、今後協同組合等が中心になって、原料を第二次的に加工するというような、そういう段階は、どうしても付随して必要になってくるわけです。ところが、単に中金であるとか、農林漁業金融公庫だけの資金に依存しているだけでは、なかなか十分なことはできないのですね。ですから、北海道の産業開発の中において占める協同組合の組織等の役割に対しても、やはり特に一つの目的と使命を持った公庫等の融資が行われるという道を開いておかなければ、これはむしろ協同組合の事業等に対抗して、それを場合によれば、圧迫するような傾向ができぬとも限らぬと思うわけです。そういう点に対する危惧はいささかもございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/47
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048・田上辰雄
○田上政府委員 たびたび申し上げますように、公庫の基本的な事項といたしまして、事業、業務については第十九条があり、そのほか必要な各規定を法律上きめてあるのでありまして、法律できめるものというのは、およそ基本的な限界があろうかと思うのでございます。従いまして、お尋ねのような具体的な貸付の対象、範囲であるとか、あるいは事業内容、あるいは貸付の諸条件といったようなものは、この二十条に掲げてありまする業務方法書においてきめられるものであります。一切を具体的にきめて、そうして、それを全部法律に盛り込むということもできないのでありまするし、同時に、公庫の出資をいたしまする本質からいいまして、たびたび申し上げますように、公庫自身が事業を具体的に営むというのではなくて、金融機関でございまするので、ここに法律に掲げてございますようなことで、十分この公庫の使命が果されるのであり、この案は、私ども決しておっしゃるような未熟なものではないのであって、完備した法案であると考えておるのでございます。なお今日まで説明をいたしました事業の例示等におきまして、大体この公庫がどういう方面に向うかということも、この程度で御了承いただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/48
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049・廣川弘禪
○廣川委員長 明日午後一時から理事会を開き、各持ち時間を決定し、そうしてなるべく早く本法案が上るように皆さんで協力いたしていきたいと思います。
本百はこれにて散会いたします。
午後五時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01019560323/49
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