1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十七日(火曜日)
午後二時八分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 志賀健次郎君 理事 薄田 美朝君
理事 松浦周太郎君 理事 松田 鐵藏君
伊藤 郷一君 植木庚子郎君
川村善八郎君 瀬戸山三男君
南條 徳男君 本名 武君
渡邊 良夫君 北山 愛郎君
小平 忠君 芳賀 貢君
三宅 正一君 岡田 春夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
長 田上 辰雄君
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室主幹) 柏原益太郎君
委員外の出席者
総理府事務官
(北海道開発庁
経済課長) 桑原 幸信君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/0
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001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
北海道開発公庫法案を議題とし、審査を進めます。
この際お諮りいたします。本案について、来たる三月三十日に北海道開発審議会々長黒澤酉藏君、元北海道拓殖銀行頭取永田昌綽君、経済評論家稻葉秀三君、四月二日に北海道知事田中敏文君、北海道議会議長荒哲夫君、以上五名の諸君を、本委員会の参考人として意見を聴取するのに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/1
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002・廣川弘禪
○廣川委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/2
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003・廣川弘禪
○廣川委員長 前会に引き続き、本案に対する質疑を継続いたしますが、理事会の申し合せもありますので、努めて本法案の内容、逐条にわたっての質疑をなされるようにお願いいたします。通告順にこれを許可いたします。小平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/3
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004・小平忠
○小平(忠)委員 ただいま委員長から、理事会の申し合せによりまして、努めて本法案の内容について質疑をしてもらいたいとの御発議がありましたが、これはたびたびの審議会におきまして、すでに一般問題の質問は終っておりますから、私はその趣旨に沿いまして、本法案の内容について若干質問をいたしたいと思います。
そこで私は本法案については、北海道開発審議会の委員である関係上、この法案の内容についても、細部に関しましては重複してお伺いいたそうとは思いません。そこで、ただ本法案の具体的内容の審議を進めていきます際に、その前提となるべき問題についてまずお伺いいたしたいのでありますが、その第一点は、本委員会開会劈頭、すなわち三月七日の本委員会において、与党、野党の両委員から、本法案に関する資料の提出を政府に要求いたしております。このことは速記録にもございますように、廣川委員長は全体に諮られて、全員異議なくこれを政府に要求することに決定願い、政府もこれに対して了承されておるのであります炉、今日すでに提出された資料を見ますと、三月七日のこの委員会の決定に従いまする資料は出ていないのであります。この公庫法を審議するに必要な、また北海道開発公庫の設立に伴いまして、最も重要な関連を持つ公庫の資金計画であるとか、投融資計画であるとかいうものが、ここに提出されていないということは、この法案を審議していきます際に、非常に問題があるのでございます。このことは、過日の門司委員の質問に対しましても、政府の方からはすみやかに提出するという御回答があったわけでありますが、その点はいかがになっておりますか、まずお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/4
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005・田上辰雄
○田上政府委員 ただいま重ねて御要求になりました公庫の資金計画あるいは投資計画の資料の問題でございますが、これは先般もお答えいたしましたように、各具体的な公庫の投融資、どういう業種に、どういう程度やるかということは、公庫が設立されまして、業務方法書あるいは四半期ごとに作成をいたすことになっています事業計画、あるいは資金計画において具体的に定められ、さらに民間の業者からこの線に沿うて資金融資の請求がありました際に、それを具体的に公庫が取り上げて投融資をいたしますので、事前にこの計画を具体的に立てていくわけにいかないと存ずるのでございます。それで一応御参考にと思いまして、「北海道における適地工業について」という資料を提出いたしておるわけでございます。それは、ただいま御要求になりましたような資金計画の資料と申すわけにもいきませんが、御参考になろうかと存ずるのであります。すべて北海道の産業開発のために、今後作られます第二次五ヵ年計画の線に沿い、また第十九条に掲げてありますような各要件に沿うたものに対しまして投融資をいたす。その内容は、十九条の各号に掲げてありますような種類の事業に投資あるいは融資、あるいは債務保証をするのだということになっておりますので、さように御了承いただきたいと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/5
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006・小平忠
○小平(忠)委員 開発庁長官もそのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/6
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007・正力松太郎
○正力国務大臣 私も同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/7
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008・小平忠
○小平(忠)委員 ただいま次長の説明によりますと、全部ではないけれども、そういった資金計画等に関連する事項として、「北海道における適地工業について」という資料を出してあり、このことは第二次五ヵ年計画の策定とも関連して進めているということであります。第一次五ヵ年計画は、政府は大体どのような考え方で、またどの程度作業が進められておりますか、長官に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/8
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009・正力松太郎
○正力国務大臣 第二次計画につきましては、今計画しつつあり、八月までには大体でき上るつもりでおります。目下資料を集めて研究しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/9
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010・小平忠
○小平(忠)委員 三十一年度は第一次五ヵ年計画完了の年であります。すでに本年予算委員会や内閣に設置されている北海道開発審議会においても、その実績について伺いましたが、きわめて遺憾な数字であります。そこで三十二年度からは、この第一次五ヵ年計画の実施の経験に基いて、最も適切な計画を立てて、国の経済六ヵ年計画ともにらみ合せて進めなければならぬ問題でありますが、このことは単なるペーパー・プランに終ってはいけない。この計画を着々実行していくためには、国の予算と十分な関連をもってそれを実現に移していかなければならぬ。予算の編成は一体いつからなされるか。予算に対する作業は事務的にはいつから始められるか。三十一年度の予算は本日国会を通過するが、それから直ちに準備を進めて、八月ごろまでには、例年の場合には、基本方針を閣議決定をして、作業を進めるというような段階でいかなければなりません。そこでこの第二次五ヵ年計画については、もうすでにある程度の構想ができ、作業を進めていないと間に合わない。その原案ができて、審議会に諮問をすることになりますから、相当の期日を要します。資料を集めて着々準備を進めているというのだが、一体どの程度の進捗工合であるのか、この際的確に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/10
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011・正力松太郎
○正力国務大臣 お言葉を返すようですが、第一次計画はあまりうまくいっていないのではないかというお話でございましたけれども、第一次計画は、御承知の通り第一に発電であります。発電につきましては七割四分いっております。その次は道路、河川です。これは五割四分いっている。こういうふうにして、完全にいかなかったことは残念とは思っておりますけれども、着着進めてきたわけであります。従って今度の公庫法案を出したということも、何としても北海道には拓殖銀行がないのでありまして、長期かつ低利の銀行がないから、それゆえに、こういうものを作って、今言われた計画を早く実施に移したい、こういうことになっておるのであります。なお計画の詳しいことについては、次長からも申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/11
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012・田上辰雄
○田上政府委員 第二次五ヵ年計画がきわめて緊急を要するということにつきましては、小平委員のお話の通りでございます。しかしながら八月までに第二次五ヵ年計画を樹立いたしますならば、この公庫の運用につきましても、また今後三十二年度以降の五ヵ年計画の予算編成についても、私どもは間に合うものだと信じております。ただいまこの第二次五ヵ年計画の資料を相当集めておりますが、それにつきましては、大体経済企画庁の経済自立五ヵ年計画の線に沿うて編成されなければいけないという要請もございますし、さらにまた第一次五ヵ年計画を作りました際に、第二次五ヵ年計画に関連いたしまして、すでに大きな方向というものを一応うたってあるのでありますけれども、これは御承知の通り、第一次五ヵ年計画において各種の産業の基盤となる基礎施設を整備するのであるが、それを第二次五ヵ年計画においてもさらに拡充強化する、それとともに、新たに各地の産業の飛躍的発展を企図する、これを重点に取り上げるのだということをうたっておるのでございまして、この線に沿うて具体的な第二次五ヵ年計画を作ろうといたしておるのでございます。従って資料につきましても、従来の公共事業の資料だけでなく、産業関係の資料を新たに取り入れ、なお全体計画に必要なデータといたしましては、具体的には経済企画庁の応援を受けまして、それに必要ないろいろな調査をだいぶん前からいたしておるのでございます。従いまして、大体それらの資料によりましてこれを積み重ね、あるいは検討を重ねまして、北海道開発審議会にかけ、そしてこれを閣議決定に持っていくというような手順も考えつつ、大体おもな資料は作りつつあるのでございます。大臣からお話がありました通り、八月に間に合うように作りたい。できれば七月中にそれを完了いたしたいという目途で、目下努力いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/12
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013・小平忠
○小平(忠)委員 ただいまの大臣並びに次長のお説のような計画でこれを進めていけるという、開発庁の機構、人員等はいかがですか。自信がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/13
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014・田上辰雄
○田上政府委員 陣容につきましては、ただいま御承知の通り、北海道開発庁はきわめて少人数で、五十人足らずの人員しかおりませんが、しかし相当エキスパートをそろえておるつもりでございまして、全力をあげてこの陣容で五ヵ年計画を整備するほかはないと思います。しかしながら、なお専門的な方面、いろいろな地域、あるいは他官庁の方に依存をしなければならないようなデータの必要もございますので、これらにつきましては、それぞれの関係各省の協力も得まして、進めていきたいと思います。なお現地の開発局は、御承知の通り三千人以上の人員もおりますし、なお北海道庁の方にも総合開発本部もございまして、これらにつきましても、北海道全体の五ヵ年計画という観点から、いろいろな資料をそれぞれ要求しておるのでございます。これらの協力を得まして、全力を尽しまして、できるだけりっぱな第二次五ヵ年計画を立てたい、こういう構えでおりますので、私どもは五ヵ年計画を作成するについて、今日の陣容をもって必ず作り得ると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/14
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015・小平忠
○小平(忠)委員 私があえてこの問題をお伺いしたのは、次長から第二次五ヵ年計画の問題に触れられたから、この際承わっておきたいと思ったのですが、率直に申し上げて、私はまだ何ら具体的に手をつけられていないと思うのです。これからやって八月までに完成したい、できれば七月、これではおそいのです。実は大体の骨子はもうできていなければならないのです。それには学識経験者なり、あるいは各界の知識を動員して、そうしてりっぱなものにでっち上げていってこそ、実施に近い計画ができる。先ほど大臣は五ヵ年計画は非常に好成績である、それは電源とか道路等、一部についてはその実施のパーセンテージも非常に高いでしょうが、全体的に見て、まず五ヵ年計画の第四ヵ年の実績を見た場合において四二%、それを五ヵ年全部見ましても、まあまあ大体半分、よくできたというのでも、まあ大体七、八十パーセントまでいけばいいという一つの見方ですけれども、半分くらいの実績で非常によかったというようなことは、私はどうかと思うのであります。同時に第二次計画につきましても、率直に申し上げて、これは現在の開発庁の企画室なり、あるいはそれぞれの担当の課がありますが、これを有機的に総動員して、同時に現地居たる開発局の協力も得るならば、私は現在の陣容でできないことはないと思うのですけれども、現在の開発庁は、実施官庁ではないのです。やはり一種の企画庁なのです。ですから、そういう計画に、調査に重点を置いてやっていただきたいと思うのですが、率直に言って、こうもしたい、ああもしたい、それは構想だけであって、考えておられるだけで、具体的にこうだという作業が進んでいない。これは私は公庫法なり、さらに今度の北海道の総合開発において大事な点でありますから、特にこの点を強く要請しておきます。
次に最初のことに戻りまして、大体公庫ができてから資金計画なり、あるいは投融資計画なり、そういうものを作っていくのだ、これは私はとんでもない話だと思う。そういう公庫を作って、どういうところに融資する、投資をする、資金計画はこうだというような構想がなくて、国会の審議を仰ぐということは、私は不権威きわまるものだと思うのです。だから、冒頭に、この委員会の開会劈頭に、まずそういう計画はどうなっておるか、ということをお伺いいたしたい。同時に、このことは昨年の春以来、審議会において特に小委員会を作って――当時は開発公庫じゃなく、北海道産業振興開発公社で、名前は変りましたけれども、中身は大体同じです。そういう形で審議し、さらにこの最初の構想でありまする北海道産業振興開発公社が北海道開発公庫に名前が変った際、現に政府からはその資料として、審議会に資金計画なり投融資計画が提出されております。その当時審議会ではそういう資料をわれわれの手元に配付されましても、国会の審議にはそういう資料の配付はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/15
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016・田上辰雄
○田上政府委員 公庫ができてから資金計画あるいは事業計画を立てるのだ、ということを申したつもりはないのでございまして、これは具体的な事業計画、資金計画を四半期ごとに作るというのが二十三条にございますので、いよいよこのときに具体的な計画がきまるのだ、ということの説明をいたしたつもりでございます。むろん公庫ができます前に、こうした法律を制定いたしまして、大きな方針を法律によってきめるわけでございまして、第一条の北海道における産業の振興開発を促進するという、大目的のために沿う事業でなければならない、そうしてまた、第十九条にありますような五号にわたるこの種類の事業を期待をいたすのだ、さらにまた、第二十条にありまする業務方法書に具体的なことをきめていくのでありまするから、公庫の設立前に、一応公庫が資金を運用していきまする方向なりワクなりを、そこできめていかれるわけでございます。それに関連しまして、具体的な運用の資料を提出しろというお話が重ねてあったのでございますが、具体的な資金の運用計画を今日提示いたすわけにいかない性質のものであることを、重ねて申し上げるのであります。公庫が事業主体でありますならば、この事業を一応予想しまして、それについての具体的な事業内容だとか、あるいはそれに必要な資金というものが具体的に予想されるので、一応の予定した計画というものは立てられるのでありますが、この公庫は金融機関でございますので、事業主体を今から予想しまして具体的にきめるわけにいかないということを、御理解いただきたいと思うのでございます。
北海道開発審議会におきましては、さきに小平委員がおっしゃいました通りに、一応の事業を書きつらねた参考資料を提示いたしました。その当時、どういうふうな事業があるか、こういう事業をやるためにはどのくらいの資金が要るか、というふうなことをかりに計算してみたのでございます。しかしこれはあくまでも参考資料でございまして、今日法案がきまりまして、具体的に公庫は八十億の運用資金をもって将来これこれの事業にこうやるのだということになりますと、事情が全然違うのでございます。審議会におきまして提示いたしました場合におきましても、一応の参考資料として、こういう適地工業が北海道産業開発のために予想されるという意味におきまして、仮定をいろいろ置きまして作った資料を提示いたしたのでございますから、場合が違うのであります。内容もそういう意味であるということを、御理解いただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/16
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017・小平忠
○小平(忠)委員 とても理解できませんね。この点も特に審議会で問題になりました。そこで、この第十九条は、公庫の業務の範囲を書いてあるのだ。これは公庫の資金計画とか、投融資計画じゃないのです。それから、公庫は金融機関だから、そういうものは持てない、これも田上さん、あまり納得できない御意見です。一体金融機関だから、資金計画は持てない、投融資計画は持てないなんということはございません。それじゃ、かりに参考資料といえども、北海道開発庁の名前で審議会に出されたこれは何なんです。これが当時の開発庁の構想で、大体政府出資の総額を五ヵ年間に七百億、三十一年度まで百億です。今日政府出資は十億しかない。資金運用部資金その他民間資金を動員したり、そういう形において構想が変りましたが、もし今日政府出資が三十一年度百億という計画ならば、私はこの内容についてお伺いしたい。ところが、構想が変ったからというので、一体これにかわるべき資料はできないのですか。これにはちゃんと北海道開発公庫投融資計画表として、具体的に投資すべき対象なり、融資すべき事業の対象は一応出されておるのです。ですから、今日、参考資料でも、計画の予定でもいいのですよ、こうやるのだという資料ができないはずはない。この問題につきましても、当時審議会においては、今後国会に上程されて審議されるまでには、具体的にこれらの計画も相当コンクリートになるだろうと、説明されておったのであります。だから私は、当然こういうものがなければならぬと思いますが、それができませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/17
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018・田上辰雄
○田上政府委員 重ねての御要求でございますが、御要求になるような資金計画を作りましてお渡しするというわけにはいかないと思うのであります。公庫は理事長がきまり、理事ができまして、これが責任を持って将来運営していくのでございます。それについての運用の方法なり、あるいはワクなりを法律できめることはできますが、しかし、将来こういう事業とこういう事業にこれだけ運用しろ、こういうことで一切を事前に縛るということは、公庫の金融の性質上とうていでき得ないことであるという本質を、まず御理解いただきたいと思います。この公庫法案を出します前に、審議会にかけまして、それに出しましたいろいろな開発庁の資料がございます。これはお話の通り、御指示になりましたのも一つの資料でございますが、これらは法案を作る前に、一体実体的にどういうものが北海道の産業開発上期待されるだろうということを、ばく然と、できるだけ列挙してみるといいますか、そういう意味で、列挙してそれに多少の説明を加えたのでございまして、これは、その金額でこういうふうに公庫を運営していくのだ、という意味の資料ではございません。今後一応この法律できめられたワクに従いまして、その線に沿うて公庫自身炉具体的に四半期ごとに事業計画と資金計画を立てていきまして――それも一応の計画でございます。実際貸し付けるということになりますと、またその計画とは多少の狂いが生じることは当然であろうかとも思うのでございます。そういうわけのものでございますから、御要求になりまするこの八十億の運用資金をどう使うかといった資料を、今日ここで提出するわけにいかない、このことをどうか御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/18
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019・小平忠
○小平(忠)委員 とんでもない話です。これは農林漁業金融公庫の場合でも、その他金融公庫の場合に、法案審議の際に、資金計画なり投融資計画のない法案提出は、ほとんど例がございません。これは重大問題ですよ。一体出すわけにはいかぬとか、そんな理由は成り立ちません。同時に、これは計画でありますからその通りいくとは何も限らない。だから、そういう百パーセントその通りいくとかいうものをわれわれは希望し、または提出方を求めているのではなくて、一体その八十億の資金をどう使うのか、これは公庫ができて、そうしてできた役員が専断的にやられたんじゃたまったもんじゃない。だから、日銀でさえも政策委員会というものがあって、その資金運用の適正を得てるわけなんです。当然こういう構想がなくてはならないものなんです。だからこそ、かつて当初の七百億という計画の際にも、一応これは参考資料でしょう。一応こういうふうな計画をお立てになった。今度の場合も国家財政の許す範囲において、とりあえず――われわれは当時審議会の最後の審議をいたします際に、希望条件を付しまして、政府出資が十億やそこらでは、どうしても公庫の運営上なかなか大へんですよ、だから少くとも政府出資五十億以上でなければ、この運営はできませんよ、結果は御承知のように、政府出資が十億、あと預余部資金なりその他の資金によってまかなわれるという結果になった。だから、そういう面においても特に必要であります。
私は、さらにこれに関連しまして、きわめて重要なる問題がある、と申しますのは、これは長官にお伺いいたしますが、開発庁長官は内閣に設置されておりまする北海道開発審議会というものを尊重されるのですか、あるいは審議会というものをどのようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/19
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020・正力松太郎
○正力国務大臣 申すまでもなく審議会は尊重いたします。しなければなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/20
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021・小平忠
○小平(忠)委員 そうでしょう。そういたしますと、これは北海道開発庁から北海道開発審議会の議事録として、ここにまとめてあるのでありますが、この審議会で、実は昨年の春以来きわめて慎重に取り扱われた問題は、公庫の運営についてのことであります。これは公社の場合でもそうであります。公庫の場合もそうでありますが、運営、経営の適正を期するために、最初は参与というような問題がありましたけれども、これではいかないというようなことから、経営委員会というものに変りまして、この経営委員会についてはずいぶん長日月論議いたしまして、最も公庫の運営適正を期するために、この経営委員会の制度を設けたのであります。ところが、これに対しまして一月の十一日に、北海道開発庁長官は北海道開発審議会会長あてに、六月十日付をもって貴審議会より建議があったこの北海道開発法案については、いろいろの事情から、建議の趣旨を尊重して一部修正を加えて、別冊の通りさらに諮問いたしたいというわけで、今度は北海道産業振興開発公庫と、公社というものが北海道開発公庫法に名前が変り、さらにその内容としてここに具体的になったのは、当時経営委員会という名前が管理委員会という名前に変って参りました。名称は経営委員会から管理委員会に変りましても、中身は大体同じでありますから、この点は問題ないことであります。この管理委員会というものを、これは長官が北海道開発審議会に諮問した。さきに六月に建議があったやつは、その後いろいろ修正して、最終案としてこういう形になったから、これを一つもう一ぺん審議してくれという諮問を受けたわけです。審議会は、これは慎重審議とは言えないかもしれない、いろいろ国会予算の提出等の時期がありまして、非常に急いでこの内容を検討して、審議会は希望意見を付しまして、全会一致、あなたが諮問されたこの公庫法案に対しまして同意を与えて、そうして答申をしたわけであります。ところが今度国会に提出された法案を見ますと、この管理委員会なるものはどっかへふっ飛んじゃって、ないのです。これはどうしたんです。大事なことは、審議会が政府からの諮問を受けて政府に答申をする。その答申をされたものが、政府の意向によってこれは一部修正なり――今回の公職選挙法の一部改正について内閣選挙制度調査会から答申したような、ああいう大きな変更なんというものは例外ですけれども、大体答申というものは非常に尊重される。審議会というものは政府の諮問機関ですから、修正されるということは、これはあり得ることであります。私の指摘しているのは、そうではないのです。何回も何回も議論を重ねて、さらに政府が内容も名称も変えて、こうしたいといって出してきたものを、これを今度勝手に変えるということは、これはあまりにも、あなたが先ほど言われた審議会というものは尊重しますという御意見とは違います。これは断じて違います。これはどうしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/21
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022・田上辰雄
○田上政府委員 北海道開発審議会におきまして長日月を費して研究しました結果、管理委員会を置く案になっておりましたことは、小平委員のお話の通りでございます。しかし管理委員会の制度につきましては、これは大蔵省当局でもこの必要がないという意見がありましたが、むしろ法制局が各法案を審議いたしておる権威でありますけれども、法制局の意見といたしましても、管理委員会は必要でない、他に、この法案をごらんになっておわかりになります通りに、この公庫は政府の相当徹底的な監督を受けることになっております。主務大臣は監督上必要な命令を出すこともできますし、そのほか公庫の設立、それから業務の方法につきましても、ごらんになります通りに、主務大臣の認可を要すことになっておりますし、あるいは理事長、監事は主務大臣が任命をする、理事の任命につきましては認可を受けるというふうに、非常に監督が徹底しておりますので、管理委員会の必要はないという強い意見でございまして、私ども開発庁といたしましても、その意見に同感でございましたので、原案の通り修正をいたしたのでございます。なお管理委員会を使っております他の政府機関もございますが、順次管理委員会をやめて、そうして理事長に責任を持たせよう、それによって一そう責任の帰属がはっきりするというような点もその理由になっておるのでございます。かくして変更はいたしましたけれども、この変更の休養につきましては、北海道開発審議会にも連絡をとっておるのでございます。北海道開発審議会は、御承知の通り北海道開発庁長官の諮問を受ましてそれに答申をいたし、また北海道開発審議会自体が審議、調査をいたしまして、建議をいたすことになっておりますが、法制上から申しますと、必ずしも審議会の決定した通りを北海道開発長官が実施しなければならないといった窮屈な規定はないのでございます。北海道開発長官としては、また長官としての責任を持った処置を十分いたすのが、むしろ本筋でございまして、この場合におきましては、北海道開発審議会の意向を十分尊重いたし、なおそのできました案につきまして、本筋を変更することなく、この運営が一そう改善されると信ずる点を北海道開発庁といたしまして修正をいたしまして、そしてかくのごとく提案をいたしておるような次第であります。
なお審議会に対しましては、北海道開発長官としましては、従来とも御承知のように、むしろ審議会と一体になりまして、いろいろな事柄を運んで参っておるのでございまして、決して審議会を軽視するというふうなことはありません。なお将来にわたりましても、同じように緊密な連絡をとって進んで参りたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/22
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023・小平忠
○小平(忠)委員 長官はこのことを御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/23
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024・正力松太郎
○正力国務大臣 北海道開発庁長官に違いありませんが、実は正直なことを申し上げますれば、私の赴任前のことでございますから、詳しく聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/24
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025・小平忠
○小平(忠)委員 それはきわめて大事なことであります。長官が諮問をして、長官に答申しているこの公庫の法案について、去年の春以来ほんとうに何回――この速記録をごらん下さい。これだけ審議している重要な問題点を、長官どうなんです、あなたは御存じなんですか。それから知らないとすれば、これはきわめて重大な責任問題です。それをまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/25
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026・桑原幸信
○桑原説明員 今の点について御答弁申し上げますが、正力大臣になりましてから黒澤審議会会長に対して、公庫法案の管理委員会のついているものは諮問をいたしました。その後において政府の案として出す場合において、管理委員会というものを削除いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/26
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027・小平忠
○小平(忠)委員 審議会がその答申をしたものを、政府がいろいろな都合によって変えることはあるのです。ところが私の言っているのは、これは正力長官の前任者かもしれない、その六月に答申したときの内容には、経営委員会というものがあったのです。それを今度正力長官が再びさらに検討を加えて、一部修正を加えて、別冊の通り諮問をするというその内容は、経営委員会が今度管理委員会に名前が変っておる。これは相当検討しておるはずです。それで特に問題になった点であるし、十分検討した点を、政府の原案として審議会に諮問したものを変えるということは、これはほかの問題とちょっと違います。これはいかに詭弁を弄してもだめです。少くとも次長は審議会に連絡したと言うが、こういう重大な問題について連絡しなかったならば――先般このことをわれわれが審議会で決定をして、政府に答申してから審議会を持たれたか、審議会の黒澤会長から本件に対する何らの説明もございません。また文書による報告もございません。これはきわめて重要な問題なので、私は大臣に伺います。あなたはこのいきさつについてどういうふうに考えて処理されたか、あなたが審議会に諮問したものを、どういう理由によってこれを変えられたか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/27
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028・廣川弘禪
○廣川委員長 正力国務大臣に申し上げますが、先ほどの答弁中御訂正される点がありますれば、あらためて御訂正なさった方がよろしいと思います。明らかにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/28
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029・田上辰雄
○田上政府委員 正力大臣が前大臣のときの事項であるとおっしゃいましたことは、私どもの補佐の誤まりでございまして、まことに申しわけない次第であります。しかし小平委員のおっしゃいました管理委員会を訂正いたしましたことについての審議会との連絡は、資料によりましてもう少し詳しく調査をする必要があろうかと思いますが、しかし実際上は審議会長並びに理事の方には十分連絡をいたしたと記憶いたしておりまして、その後も何らその点については支障なく、審議会と会長の間は取り運んで参ったものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/29
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030・小平忠
○小平(忠)委員 私は審議会の理事でありますが、何らの連絡も受けておりません。会長からも連絡を受けておりません。とんでもない話です。これは審議会から答申をした後における問題であって、その連絡とかそれはいいのです。それを言っておるのではなくて、開発長官が六月に、すでに前長官のときに、この審議会から建議を受け、それを検討して、さらに当時経営委員会であったものを、今度は管理委員会と名前を変えておる。それで、原案として開発庁長官が諮問してきたものをどういう理由で変えたのですか。これは審議会を尊重しますとか、審議会の意見を十分に聞くとかいうことではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/30
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031・田上辰雄
○田上政府委員 これは、先ほど申し上げましたような理由で変更いたしたのでございます。この北海道開発公庫法案につきまして、その本質を変更するようなものではなく、内部の一つの機構として、これを改正した方が適正であると考えまして変更したのでございまして、そのことが審議会の意向をはなはだしく尊重しないということではないと思うのであります。それにつきまして、今連絡をどうやったかというお尋ねでございますが、私どもとしては、審議会とは始終連絡を密にしておりますことは、小平委員のよく御承知のところであろうかと思うのでございます。その審議会との連絡の具体的な方法をどうやったかということは、少し調査をいたしまして、また別の機会にお答えいたしたいと思いますが、連絡につきましては、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/31
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032・小平忠
○小平(忠)委員 その連絡云々を私は言っているのではないのです。最初に六月に審議会から建議して、それに基いて政府もずいぶん検討して、当時、北海道産業振興開発公社なるものが、北海道開発公庫に名前が変った。その過程において、政府の方でたびたび問題になった例の経営委員会を取り下げ、管理委員会と名前を変えた。政府の原案として審議会に諮問してきたものを――別な事項を審議会に諮問をして政府が変えるならばいいですよ。政府から出してきたものです。ずいぶん議論をして……。それをなぜ変えたかということが一点なんです。
その次は、これはどうしても長官なり次長から、私が理解できる責任ある御答弁を願いたい。この問題については審議会に諮ってありますと言いますが、審議会にこれを削除したことについては、正式に何ら諮られていない。と同時に、この問題は、審議会全員、昨年の春以来、参与制とか、経営委員会とか、管理委員会とか、名前は変りましたけれども、ぜひこういうものは置かなければならないという強い意思のもとに設置された。現に日銀といえども政策委員なるものがおるわけです。その他日本の政府機関の公社、公庫等においては、この運営の適正を期するために、こういう経営委員会、運営委員会的なものがあります。鉄道にもあります。現にその資料はこの速記録についているではありませんか。そういう点を十分に検討した結果設けられたものを、どういう理由によって廃止したかということと、これを廃止するということについて、審議会には今まで正式にかけられておりませんから、これは審議会において必ず問題になります。おそらく私は多数の人がこれについては理解できないと思う。この点について責任ある御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/32
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033・田上辰雄
○田上政府委員 経営委員会または管理委員会の制度は、お話のように国鉄にもございますし、電電公社にもございます。しかしながら、公庫としてはそういう制度はないように思うのでございます。大蔵省、法制局におきましても、この点を指摘いたしまして、これはむしろ公庫自体の運営上、責任の帰属を不明瞭ならしめるというような説明もございまして、他の公庫と同じように、この管理委員会をよした方がよいということでございました。そのかわり、と申しましたらどうかと思いますが、この法案でごらんになりますように、公庫に対しては主務大臣が厳重な監督をいたし、理事長、理事に全責任を持たして運営の万全を期しようという建前になっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/33
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034・小平忠
○小平(忠)委員 それは次長、当りまえのことですよ。少くとも政府機関たる公庫の運営については、監督規定において、理事長なり理事に十分な責任と、また主務大臣が監督するなんということは、どんな法律でも少くとも政府が出資する機関においては、これは当然なことです。先ほどの説明によりますと、まだ資金計画、投融資計画もできていない。そうなってくると、昨年の春以来検討した経営委員会とか、参与制とか、そういう運営の適正を期するための処置というものは、全く抹殺されたことになるのです。これはどうするのです。すべての政府機関、公庫とか公社とかいうものの監督の強化でありますとか、あるいは理事長なり総裁に対する主務大臣の監督権限の付与、これは当然のことなんです。そういう点はありましても、配付された資料にもありますように、公社等においても経営委員会があって運営の適正を期することをはかっている。法制局がいけないというから、大蔵省からいろいろ意見があるから、それでは私は納得で誉ない。少くとも開発庁が、開発公庫は北海道総合開発のために、国の産業開発のために、経済自立のために必要だと確信を持って出し、審議会もその決意を持って出したからには――別にこういう公庫が、管理委員会とか経営委員会を持っていけないという憲法の規定はありません。どこにそんなものがありますか。これはやはり信念を持ってやるべきである。ましておや、今日そういう計画がないとすれば、資金計画なり、投融資計画がないとすれば、なおこういう、経営の適正を期するための委員会というものが必要になってきます。政府原案にあったやつを、審議会で審議して、そうしてそれを答申したのです。それを削ってしまった。そこに問題がある。ずいぶん繰り返して申し上げましたが、この点について正力国務大臣はどのようにお考えでありますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/34
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035・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいま御質問の点は、まことにごもっともなことでございます。私も御趣意には賛成であります。先ほど私が答弁いたしましたのは誤まりでありましたので、ここであらためて訂正いたします。いかにするかということについては、なお慎重に考えまして研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/35
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036・小平忠
○小平(忠)委員 本案の主務大臣である長官が、本件に対して、私の意見がまことにもっともな意見であるという。従って、これについてはさらに慎重に検討してお答えする。そのことは、そうおっしやるのですから、一つ十分に慎重にお考えいただいて、その上で私はさらにこの法案の審議を進めることに応じたいと思います。
同時に冒頭に申し上げた、本委員会の開会劈頭であります三月の七日に、与党も野党も一致して本案を審議するために最小必要限の資料を要求した。特に公庫の運営について、まずさしあたり本年度はこういう計画で行くのだという、資金計画なり投融資計画というものは当然あるべきであり、その資料はこれは当然御提出願わなければならぬ。そういうものを検討した上でなければ、この公庫を作って、法第十九条のかくかくの業務をやるのだ、そこに八十億の金を投資なり融資してやるのだ――これで国会で法律を審議する。委員長どうなんです、御無理でございましょう。とてもこんなことで法案の審議なんかできるものじゃないですよ。私はこの機会に申し上げますが、この公庫法案については、北海道の開発は、日本の経済自立のために、日本の復興のために、どうしても必要であるという見地から、特に国土開発委員会ができて、この委員会の冒頭に提案されてやっておるのであります。これは与党も野党も一致して、すみやかにこの法案を審議をして上げようという気持については、われわれ野党といえども何ら変りありません。積極的に協力いたします。しかし、そういう重要なる問題をあやふやにして、中途半端にして、その点を明確にたださないで、そうしてこの法案の審議を進めるということについては、われわれは協力できない。これはきわめて重要なる資料でありまして、特に三月七日の委員会においても、委員長が委員の全員の承認のもとに政府に要求されておるのでありますから、どうぞ委員長からも提出方を要求願いまして、これに対する政府当局の回答を伺いまして、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/36
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037・廣川弘禪
○廣川委員長 正力国務大臣から何か発言ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/37
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038・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほど申しましたが、御意見はまことにごもっともと思います。しかし、この法案でできると政府の方では思うておりますから、どうぞよろしく審議を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/38
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039・廣川弘禪
○廣川委員長 小平委員の申し出は、政府の方になお伝達いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/39
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040・小平忠
○小平(忠)委員 大臣、去年かおととしのことなら、忘れて、その発言の内容が変ることもあり得るけれども、今あなた言ったばかりじゃありませんか。一国の大臣として、あなたの意見はまことにごもっともな意見で私も賛成いたします、従ってこれはきわめて重要な点であるから、十分に研究してその上で御返事します、こう言った。今何分たったのです。それがもう心変りされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/40
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041・田上辰雄
○田上政府委員 私からちょっとその点に関して申し上げたいと思うのでありますが、管理委員会の問題は、過去におきまして審議会で審議いたしました際のいきさつの問題でありまして、今日ここに提案している本案におきましては、ただいま正力大臣からお答えのありました通りに、この法案で十分公庫の監督もできるし、これで十分であると思うのであります。私どもも管理委員会の問題につきまして、別に法制局がこう言ったから、大蔵省がこう言ったから、こういうことだけで、変えているのではないのであります。一応いきさつを申し上げたのであって、あくまでもこの原案の通りに、管理委員会でなくして、この法律による主務大臣の監督で十分だと信じまして、この法案を提出しておるのでありまして、この点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/41
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042・小平忠
○小平(忠)委員 次長は非常に苦しい答弁をされておる。ということは、長官は非常に正直な人のいい方でありますから、ほんとうにまじめに質疑応答を通じて、陰の声ではなくて、真実そう思ったことを、責任ある大臣として答弁された。これが正しいのです。あなた方も、ほんとうは公庫の運営はそうありたいと念願しておるのだけれども、やはりある方面の圧力もあって、困ったものだと腹では思っておるのでしょうが、そんなものは別におそれることはないのです。私は、関連質問も同僚委員からあるようでありますから、これでやめますが、最後にこのことだけは、二点について、きょうの質疑を通じて了承できません。これは党としましても十分に協議しなければならぬ点であります。私は、法案の逐条については、冒頭に申し上げましたように、審議会において一応その委員の一人として審議に加わった立場から、細部に関するところの質問は、他の同僚委員に譲りたいと思います。きわめて重要なる点についてお伺い申し上げまして、私のきょうの質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/42
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043・廣川弘禪
○廣川委員長 小平委員の質問に関連して、北山委員から発言を求められております。これを許します。北山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/43
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044・北山愛郎
○北山委員 ただいまの質疑をお伺いしたのですが、私は、国土開発審議会の方の答申のいろいろな経過とか、そういうものもよく知りません。また北海道の出身でもございませんから、比較的公平な立場から、ただいまの質疑に対しましてちょっと感じましたので、お伺いしたいと思うのですが、小平委員の言われる、これだけの公庫を作って、そうして相当大幅な政府資金、公共的な資金というものを使用する権限をそれに与える。かりに大臣が監督をするからいいんだということだけでは、これは納得ができないと思うのです。政府主務大臣が監督をすれば何でもいいというならば、これは予算などは要らないのでありまして、政府に執行させる予算を、相当こまかい点まで国会においてきめなければならぬということは、政府がかりに監督、運営をするとしても、やはりそのワクというものはおのずからきまっているだろう、こういう趣旨において、いろいろ今の小平氏の意見等があると思うのです。私がちょっと感じましたのは、この八十億なら八十億のワクの資金を北海道のいろいろな事業に投融資するというのですが、この十九条には大体大ざっぱな案が出ております。しかし、これだけの説明では、八十億なら八十億という金、あるいは二百億の債券発行を予定しておるのですが、そういう数字がどうして出てきたのかわからない。これはやはり、それだけのものが必要であるという基礎の上に立って出てきていると思うのです。従って、ただ腰だめ的に八十億ということだけでは、納得できないと思います。やはり北海道の今置かれておるいろいろな資源あるいは産業等の事情からして、この第一条に書かれておる、一般の金融機関が行うことを困難とするような長期資金、こういうものとしては、大体八十億なら八十億というものが必要であるという計算があるのじゃないかと思うのです。その計算はやはりお示しを願わぬといかぬ。ただ、めくらめっぽうに金が要りようだから出しておけばいいということでは、納得できないと思う。だから、まず八十億というようなワクが生まれてきたその基礎になるいろいろな資料、そういうものを聞いていると思うのです。何も具体的な、特定の企業に出すのか、出さないのか、そういうことを聞いているのじゃないと思う。少くともそういう資金のワクを設定する以上は、この基礎になる資料があるはずである。これをお示しを願わぬと、やはり審議がむずかしいということは、これは当然だと思う。ですからその点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/44
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045・田上辰雄
○田上政府委員 北山委員のお話の、八十億の何か目当てがあっただろう、こういう御質問は、ごもっともでございます。しかしながら、先ほど来申し上げますように、八十億の内容はどうなのかということは、実はきまっておりません。それでは八十億になったいきさつはどうであったか、こういうことになりますが、その点は実は予算の折衝の過程におきまして、先ほど小平委員からもちょっとございましたかと思いますけれども、三百億という数字は、一応出ておるのでございます。しかしそれは、一応いろいろ予想される事業を積み重ねますと、三百億という数字が出たのでございますが、それは折衝過程におきまして財政……(「三百億じゃないだろう、二百四十億だろう」と呼ぶ者あり)その三百億と申しますのは、大体北海道の適地工業と考えられるものをいろいろ計算しまし
て、かりにこれらをやるとすれば、三百億くらいになるのではなかろうかという程度の資料でございまして、これも審議会には一応出した資料でもございますが、しかし折衝の過程におきましては、この八十億をどういうふうに使うという具体的な内容を持っておらない金なのであります。腰だめというふうな言葉をお使いになりましたが、腰だめという言葉が、もしその内容のはっきりしない金だという意味でございますならば、やはり八十億の、そうした内容のはっきりしない金額であるということになるわけでございます。従ってその八十億の内容は、先日御説明いたしましたように、産業特別会計から十億と、預金部資金の方から三十億、民間資金を債券発行の関係で四十億、というふうなワクをきめられているだけでございまして、それを使う用途というものは、全く法律によってきめていこうということになるわけでございます。北海道の産業開発促進の大目的に沿うた事業でなければならないということが第一条にございますし、さらに事業の設備の取得、補修、改良等に伴う長期の資金を必要とするものでなければならないという制限があり、さらに石炭または可燃性天然ガスの利用度の高い工業、以下五項目の各条項に当るものに対しまして投融資等を行うということで、ワクがきめられるわけでございます。もう一つ申しますならば、業務方法書の制定に当りまして、相当具体的な額がこの線に沿うてきめられていくわけであります。こういう意味の運用資金でありますのは、金融機関としてやむを得ないことであろう、こう考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/45
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046・北山愛郎
○北山委員 金融機関が業務をやる場合にはやむを得ないと言うのですが、しかし、少くともそういうふうな金融機関を作り、一定の仕事をさせるために、北海道の産業開発のための使命を帯びた機関を作るという立場からいえば、ここに第一条に抽象的に述べられた諸条件、これに当てはまる適地産業というものは、おのずから北海道という現実のこの事態において出てくるのではないかと思う。そうして出てきたものが、今お話になった三百億という所要資金であったのではないか。従ってこの案の計算の八十億なり、あるいは二百億の債券発行の基礎になるものは、やはりその三百億というものではなかったのですか。それを全然別個のものであったとは言えないと思うのですが、ただいまのお話でも、やはりこれだけの金が要るというそのもとになった算定の基礎というものは、やはり三百億という当時のものが前提になった、その基礎になった、こういうことは言えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/46
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047・田上辰雄
○田上政府委員 三百億というのは、いろいろな種類の事業を、いろいろな資料によりまして出したものもございますが、同時に、単にいわゆるその方面の実業家の意見によりまして、こういうものが予想される、こういうことで掲げた内容のものもございます。従って、これらをざっくばらんに申し上げますならば、その事業内容、こういうものが将来果してできるであろうかどうか、これはいろいろ技術的な問題もあるし、あるいは将来北海道に持っていっても、企業採算上できるかどうかというふうな点について、どうかと思われるものも、中にはあるわけでございます。従ってこれは、公庫ができたならば、これこれをやるものだという性質の事業とは、確信を持って言い得ないものも入っておるわけでございます。そういう意味の資料でございますので、ここで、この公庫の融資対象と混淆されることを私ども非常におそれるわけでございまして、公庫の対象の事業としては、また新たな観点からこの法律の各条項に従ったものが北海道に生まれてくることを期待し、それに対して融資が個々に行われていく、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/47
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048・北山愛郎
○北山委員 これはやはりこういう機関を作り、そして政府資金も使って産業を振興するという以上は、やはり北海道に適した産業を振興させたいという一つの政策があると思うのです。従って政策がある以上は、しかも実際の条件があるのですから、こっちがいかにこういう産業を振興させたいと思っても、許さない、できない産業はしようがありません。これは考えるだけむだですが、そういうふうな両方の条件をにらみ合せて、政府としてはやはりこういう政府機関を作って、そうして金を流して、この産業だけは振興させたいし、北海道の立地条件から見て、これならば振興できるというめどがついておらなければ、これは計画的な開発とは言えないのではないかと思うのです。私は、その程度のどういう産業が――あるいは木材の糖化工業であるとか、いろいろあると思う。そういうものの種別――個々の具体的な企業じやありませんよ。企業じやなくて、産業だ。そういうものが、ある程度はなければうそだということが一つ。
それからもう一つは、これは、やはり一般の道路や港湾、あるいは河川等の公共事業とマッチしたものでなければならぬはずです。従って、やはり地域的に、この地区はどういう産業というような産業立地と、その他の公共施設の計画とマッチしたものでなければならぬはずだから、そこから見ても当然ある程度の産業の種類くらいのもの、あるいは規模というような程度のものは、なければうそだと私は思うんですよ。今それを示すと、あとで差しさわりがあるというので、出したくないんだろうと思うんですけれども、しかし、これはどうしてもほしい。こういうものを国費を使い、あるいは政府の資金を使ってやらせるんですから、ある程度のめどをつかまなきやいけない。もしも公庫の性質上、そういうものをあらかじめ示すことができないというならば、やはり国会としては、こういう初めから計画のわからないような事業にたくさんの金を出すことは危険であるから、そこで、これはただ政府にだけ一任するわけにもいかない。従って民主的な運営をはかる上においても、どうしても公庫の中に経営委員会等を設けなければならぬというのは当然だと思う。住宅公団あるいは住宅公庫のごときは、住宅を作るんだということであり、しかもあらかじめある程度の計画がきまっておるから、まかせておいても差しつかえないとも言える。ところが、この公庫というものは、いろいろ雑多な企業に対して融資をしたり、債務保証をしたりする。だから、あらかじめある程度の計画があるならば、こういう仕事をやるんだなということができる。それがわからないとなれば、やはりそういう機関を設けて、そこで一つの調整をやっていかなければならぬ。これは当然のことだと思うんです。従ってそういう意味において、私は、先ほど正力大臣が、ずいぶん検討しなければならぬと、こう申されたのは、おそらくその間のことを考慮して言われたんじゃないかと思んです。こういうふうに私は考えて参りますと、先ほど小平委員が言われた、やはり管理委員会なり経営委員会というものを、この機会に公庫の中に設けなければならぬというのは、もっともだと思うし、またこれに対する大臣の答弁も、これはやはり当然のまじめな考えを申されたのだと思う。しかりとすれば、まだ時間が早いのでありますから、政府としてはお考え直しをして、その上で修正をしてお出しになれば、国会はおそらく承認するだろうと思うのです。そういうお考えがあるかないか、これを承わりたい。それから、そういう意味合いから、経営委員会のごときものが必要であると思うが、これに対する考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/48
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049・田上辰雄
○田上政府委員 お話の、地域的な、立地的な計画があるべきだという点は、ごもっともでございまして、私どももその地域的な立地計画を作るために、第二次五ヵ年計画を急がなければならない、こう申しておるのでございます。しかし公庫といたしましては、具体的にその産業をきめるにつきましても、いろいろ公庫らしい考え方が必要なのでございまして、第一には、申すまでもなく五ヵ年計画に沿うて、北海道開発のためにぜひ振興させなければならない産業というものは、お話の通り五ヵ年計画で具体的に出てくるわけでございます。しかしながら、公庫としましては、その計画ができ上っても、民間にその事業が起ってこなければ、融資の活動はできないわけでございます。また公庫といたしましては、他の金融機関に、あるいは一般市中銀行において融資炉できるものは、できるだけその方でやってもらう。そうして実際上採算が合わないけれども、国家的に考えて非常に重要だという事業が、北海道にはいろいろと予想されるのでございますが、そういうものに対してこそ、この公庫が真に長期の融資をして、育て上げてくれなければほらないのでございます。従って、いろいろな要素がございますので、北海道開発の五ヵ年計画に必要なもの全部をこれが取り上げるというわけでもないのであります。ただ全体的に、従来の地域的な条件を考えまして、そうしてある地方にはチタンの工業を起すべきである。ある地方には木材糖化の仕事も必要であり、テンサイ糖の事業も必要ではないかというふうなことが、順次考えられていくわけでございます。従ってそういう意味におきまして、この十九条にあげております各号につきまして、先日例として御参考までに申し上げましたが、第一号としましては、低品位炭の利用による製塩工業だとか、あるいは第二の場合においてはテンサイ糖工業であるとか、三の場合はチタン工業というふうに、多少例示を申したような次第でございます。その辺が、これにつきまして具体的に申し上げられる限度でございまして、これ以上のことは、公庫ができまするまでに、北海道の第二次五ヵ年計画も整備され、業務方法書も具体的にでき上る、従って公庫としましては、それによって具体的に事業計画なり、資金計画を自主的に作っていこうということでございまして、それを主務大臣が一々認可をして、その内容を検討しながら、監督を加えていくということでございます。そのほか監督としましては、役員の第十条には、理事長及び監事は、主務大臣が任命をする。そうして理事は主務大臣の認可を受けて理事長が任命するというふうな規定がございますし、さらに十九条におきましても、五号は主務大臣が指定することになっております。業務方法書は主務大臣の認可を受けなければならないことになっておりまして、ここに主務大臣の監督の条項が、この法案については相当多いのでございます。そして総括的には、主務大臣が監督上必要な命令を出すことができるということを、三十三条の第二項に規定をいたしております。こういうふうに主務大臣は、これらの条項によりまして、十分公庫に対して監督を加えていくのでございますので、特に経営委員会を置く必要はないと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/49
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050・小平忠
○小平(忠)委員 議事進行。先ほどの長官の御答弁の次第もあり、さらにまた、私の質問に対して北山委員から関連しての質問がありましたが、その御答弁も、きわめてこれは重要なる政府の答弁でなかろうかと思います。このような重要な審議を進めておる際に委員の出席は、御承知のような状態でございます。今後この委員会でわれわれはすみやかにこれを審議して上げようということに積極的に協力するという立場からも、私はこの際委員長において委員の出席を督励せられて、真剣にこの法案の審議に当っていただきたいと思います。従ってこの場合、国会法第四十九条の「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決をすることができない。」という規定によりまして、この際暫時休憩されて、委員の出席を督励されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/50
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051・廣川弘禪
○廣川委員長 それでは休憩いたしまして、督励いたします。
午後三時四十一分休憩
――――◇―――――
午後四時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/51
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052・廣川弘禪
○廣川委員長 これより再開いたします。
本日はこの程度で散会いたしまして、明日午後一時より開会いたします。
午後四時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01119560327/52
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