1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十一日(水曜日)
午後二時二分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 志賀健次郎君 理事 篠田 弘作君
理事 薄田 美朝君 理事 松田 鐵藏君
理事 竹谷源太郎君 理事 渡辺 惣蔵君
伊藤 郷一君 植木庚子郎君
川村善八郎君 笹山茂太郎君
南條 徳男君 林 唯義君
本名 武君 町村 金五君
神田 大作君 小平 忠君
田中幾三郎君 永井勝次郎君
芳賀 貢君 森 三樹二君
岡田 春夫君
出席国務大臣
農 林 大 臣 河野 一郎君
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
長大蔵事務官 田上 辰雄君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
委員外の出席者
総理府事務官
(北海道開発庁
企画室副主幹) 桑原 幸信君
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四月十一日
委員首藤新八君、三宅正一君及び門司亮君辞任
につき、その補欠として町村金五君、神田大作
君及び田中幾三郎君が議長の指名で委員に選任
された。
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本日の会議に付した案件
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
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001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
北海道開発公庫法案を議題とし、前会に引き続き質疑を行います。河野農林大臣が出席いたされておりまするので、重点的に御質疑を願いたいと思います。なお、河野君は今いろいろなことで時間が非常に制約されておるそうでございまするから、なるべく簡潔要を得てお願いいたします。芳賀君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/1
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002・芳賀貢
○芳賀委員 河野農林大臣は当委員会に今日まで出席しないので、この法案の審議が非常におくれておつたということをまず申し上げておきます。
北海道開発公庫法に対しては、農林大臣は直接の主務大臣の責めには任じておらぬわけでありますが、これは何といたしましても、今後の北海道の総合開発の一環として、非常に後進的な北海道の産業を今後開発するための、財政的、呼び水的な役割を果す公庫ができるわけでありますから、農林大臣として、北海道における今後の農業開発との関連において、この公庫に対しては重大なる関心を持っておると私は推察しておるわけでございます。
そこでお尋ねしたい点は、この法律案の政府原案によりますと、これはもちろん第二次産業に重点を置くことになっておるわけであります。しかし、これをしさいに検討した場合においては、第一次産業の関連の上に立って第二次産業は振興しなければならぬわけでありますが、それらの関連性が非常に弱いわけであります。ですから、その点に対しまして、農林大臣といたしましては、この公庫法案に関連して、今後の北海道の農業開発、あるいは漁業等に対しましても、どういうような基本的な方針を持っておるか、今後北海道の第一次産業の開発を積極的にやられる御意思であるか、その点をまずお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/2
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003・河野一郎
○河野国務大臣 ただいまお示しになりました通りに、私の直接所管ではございませんが、こういう公庫ができますれば、今、芳賀さんのお話の通り、呼び水的な役割を果して、北海道全体の開発に非常に役立つ。全体の開発が進んで参りますれば、そこにわれわれ所管いたしておりまする農林、水産業についても、もちろん非常に役立ってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/3
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004・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣も御承知の通りに、北海道の総合開発計画は、第一次五ヵ年計画は当年度をもって一応終るわけであります。ところが、この開発計画の進捗の度合いは、非常に遅々として進んでおらぬわけであります。農業関係の場合においては、主として公共事業費の中において、食糧増産費あるいは漁業関係等の問題が、この開発の予算の中に仕組まれておるわけでありますが、これとても、ことさらに北海道の第一次産業の推進を重点的にやつておるというふうには、われわれは考えておらないわけであります。明年度からは、当然第二次開発計画を策定して、その実行に入るわけでありますが、今日の農業等の諸般の実情を考えると、北海道の農業は、日本の農業の経済の中においても、非常に恵まれない地位に置かれておるわけであります。たとえばバレイショ——澱粉にしても、豆類等にしても、水稲以外の農作物に対しては、経営が非常に危機に頻しておるというような状態であります。ですから、これらの原料生産に対しては、やはりこれを原料としての第二次産業との密接な関連の上に立って、北海道の農業を今後育成するという措置がどうしても必要になると思うのでありますが、その点に対して大臣はいかに考えておるか、お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/4
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005・河野一郎
○河野国務大臣 今お話の通りでございますが、政府といたしましては、たとえば機械化公団を作りまして、機械をもって大規模な開墾をいたしますとか、その他水産におきましても、山林におきましても、もちろん十分とは申し上げかねますけれども、できるだけの施策、施設はいたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 答弁が非常に抽象的ですが、そこで、時間がないといわれるので、具体的な問題に入ります。この法案によると、十九条の規定の中には、業務の範囲が定められておる。第十九条の二号には、農林畜水産物のこういう企業に対して公庫の融資を行うことになっておるわけです。この点に対しましては、主務大臣であるところの大蔵大臣の出席を求めて、農林水産関係の企業に対して公庫はいかなる重点的な配慮をしておるかということを、ただしたわけであります。その答弁の中で、どうしてもわれわれの了承できない点は、この農林水産物の原料生産の上に立って、それを原料として企業を行うためには、いろいろな方法はあると思いますが、その一つは、協同組合のシステムの上に立って、農民あるいは漁民資本の形成の上に立つた産業の振興を、農林当局としては何としても重点的に考えなければならぬと考えるわけです。ところが、これらの協同組合、いわゆる農民資本による法人格に対しては、この融資は行わないということが一つの基本的な原則になっておるわけです。そういたしますと、今後の北海道における農業あるいは漁業方面の資本が企業を起して、この公庫の有利血条件による融資を受けることができない場合においては、これは将来非常に問題があると思うのです。私企業の法人に対しては、企業べースに乗らないような弱い産業に対しても融資を行うことになっておるけれども、農業団体が出資する法人格に対しては、融資を行うことができないということであるならば、これは重大問題であると考えます。この関連の上に立って、農林大臣としては当然御意見を持っておられると思いますし、農林当局としても、この原案決定等に当つては当然関心を持っておられると思いますので、その点に対する御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/6
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007・河野一郎
○河野国務大臣 今お話の、農民の組織であります協同組合につきましては、御承知の通り、たとえば中央金庫を通じての資金も、必要とあれば、流すわけであります。またさらに、そのほかに農林漁業金融公庫を作っておりまして、この方面の金融につきましては、この北海道開発公庫に先だちまして、農村に関しましてはやっておるわけでございます。従いまして、農村関係といたしましては、まずそれで——まだ不十分な、行き足らないということでもあれば、それについて農林省としても考えなければならぬと思いますが、今お示し申しましたように、中央金庫を通じて協同組合に資金が参りますし、特殊のものにつきましては、農林漁業金融公庫の資金がいくことになっておりますから、これを十分活用してやって参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 農林大臣には少し誤解があるのです。これはもちろん協同組合に対しても、政府機関の金融の道は開かれております。それと同時に、協同組合以外の私企業に対しても、あるいは開発銀行の融資であるとか、あるいは中小企業金融公庫の融資であるとか、これらの道は開かれておるわけです。ただ問題は、北海道開発公庫というものを作って、しかも北海道に本店を置いて業務を開始するということになれば、今日まで行われておるところの諸般の政府の金融機関の投融資以外に、北海道の産業の後進性を認めて、そうしてこの公庫融資というものが、いわゆるプラス・アルファの形で投融資されるということによって、初めてこの公庫の目的あるいは使命が達せられるということになると思う。ところが、農業協同組合等の法人格に対しては、この公庫の融資は行わないということであれば、ここに問題があると思うわけです。もちろん中金の融資は、これは系統機関が自分の系統内に資金融資を行うのは当然でございます。農林漁業金融公庫の場合は、これは政府機関の融資でありますが、これらにしても、今後北海道の農業開発のために、公庫の投融資計画を重点的に北海道に行うというならば、それは話がわかるわけでありますけれども、ことしの農林漁業金融公庫の融資計画等を見ても、何もことさらに北海道に対して、これだけ積極的な計画を持っておるということは、いささかも見受けることができないのであります。ですから、この公庫の融資とあわせて、既存の政府機関の農林漁業等に対する金融機関が、さらにプラスになるという形の運営というものは、どうしても必要であるというふうに考えるわけでありますが、その点に対する大臣のお考えをさらに明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/8
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009・河野一郎
○河野国務大臣 御意見はよくわかるのでございますけれども、何分御承知の通り、現在の政府の財政計画その他からいたしますれば、すべてを十分にということは、なかなかいきにくいわけでございます。そこで、必要性によってこれを補っていくということになりがちであることは、御了承いただかなければならないと思うのであります。そこで、今ここに御審議願っておりまする北海道開発公庫法案なるものは、北海道で一番弱い面、一番必要度の強い面はどれだというところ、これはまず第一にどうしてもやらなければいかぬというところに、この線が入っていった、こういうことになっておるように私は了承するのであります。でございますから、今御指摘になりますような面にまず一本入れてみる。その次に、またそういう問題が起きてくれば、また入れてみる。そういうところに計画性を持ちつつやっていくということで、すべてにわたって十分にということは、なかなかいきにくいのでございますから、ここに今せっかく開発公庫法案なるものをもって実施しようとするものは、あまりに範囲を広げますと、これがかえって所期の目的の達成が困難になり、非常に薄くなってしまって、ゴマ塩をまいてしまったようなことにもなるので、最小限度の資金をもちまして、これを有効適切に使っていこう、こういうことに政府としては考えてやったわけでございます。私ども農村関係が十分とはむろん考えておりませんけれども、今申し上げましたように、中央金庫、これも資金がないわけではありません。ありますから、まず必要なものは中央金庫から農村の協同組合系統に流していく。さらにまた別途のものにつきましては、先ほど申し上げたように、農林漁業金融公庫からやる。これで一応やっていくということに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 私の指摘している点は、北海道農業の一つの特性は、今日においてはとうてい原料生産だけの経営の形では、農家の経済安定というものを期することはできないということが、もう明確になっているわけです。ですから、これはやはり協同組合等の力によってさらに原料を加工する、みずからの力によって、第二次産業の中においてこれを処理するというところまで、形態を一歩前進させなければ、北海道農業の安定化というものは期することができない。そういろ形態ができなければ、今後北海道の未開発地帯に対して、農民をさらにそこへ入れて、北海道の開発を進めるという、そういう一つの見通しというものも立たない。計画だけ作っても、安心して北海道に行けないということになる。ですから、そういう点に対しては、どうしても協同組合等に対してこの資金が相当流れていって、その中から一つのやや近代的な企業が運用できるというような形にまで育成する必要があるという場合には、この公庫というものは、そういう目的を持って生まれているのですから、もちろん私企業の株式会社等に対して有利な投融資を行おうとすれば、弱い協同組合の組織形態に対しましても、同じような扱いをするのが当然でないかというのがわれわれの見解です。これは農林大臣としても、大臣の立場から見た場合には、当然そうすべきであるというような判断に達すると思うのですが、そういう必要はないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/10
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011・河野一郎
○河野国務大臣 これはいろいろ見方もあるかもしれませんが、御承知の通り北海道の協同組合の組織は、私は実に強力に、りっぱにできていると思います。雪印のバターにしましても、産業組合の発展があれまでいきまして、内地の方で見られない、いわゆる明治、森永を凌駕しているあれだけのりっぱなものになっている。その他のものにつきましても、漁業にしても内地の各県の漁業協同組合に比べて、道漁連が実にいろいろな大事業まで手をつけておられるような現状でございまして、そういう今お話の点とはいささか違うのじゃないか。しかも、これらの強力なる組織が、合理的運営上、一たび資金が必要であるということになりますれば、中央金庫からこれに向っては相当の資金がいっていることも、御承知の通りでございます。なおそのほかに、金融公庫の資金もいくのでございます。この点は、決して十分である、これ以上やる必要はないとは申しませんけれども、必要度に応じての最小限度のものはいっておるのじゃなかろうか、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、農林大臣の北海道の協同組合等に対する価値判断は、これは全国的に見ても相当経済的な力も強い。経済的な力が強いということは、信用度が高いということですね。信用度が高いということは、これは中央等の融資機関から、安心して資金が流せるという条件が具備されているということになると思う。そうなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/12
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013・河野一郎
○河野国務大臣 御承知の通り、それは事業の計画内容によると私は思います。事業の計画は、普通の企業の組織形態と違いますから、内容が何であろうと、資金は流してやるということではない場合が多少ある。計画されます事業の内容を検討した上で、それが妥当であるという場合に、むろん必要なものは流れていく、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 今、一つの事例の中に、北海道における雪印あるいは道バターは、明治、森永を凌駕するような力を持っているということを言われましたが、これは全く認識の違いなんです。しかも、大臣も記憶にあると思いますが、先般公取の委員会が、北海道バターに対して独禁法違反の審決を下しているわけです。それは、この雪印にしても北海道バターにしても、名前は株式会社の形成でありますが、これは全部が農民資本なんです。しかも協同組合の単協が出資している資本形成にはっているのです。それでこの会社が、中金の有畜農家創設の資金に対して、一部の利子補給を行なって、そして単協に信連から金が流れている。これは系統機関が、組合員の生産した農産物を協同組合に出荷して、その協同組合が自分の系統内においてこれを有利に処理するということは、これは何も違法じゃない。適法なんです。当然そうしなければならぬことです。そういう形に対して、独禁法違反であるというような、そういう審決が下っている。私はここで公取の問題を云々することは避けますが、ある見方によると、明らかにこれは協同組合等の組織に対して、一つの威圧を加えておるようにもわれわれは考えるわけです。こういう点に対しましては、先般公取が下した審決等に対して、農林大臣はどういうようなお考えを持たれたか、もし知らなければそれでいいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/14
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015・河野一郎
○河野国務大臣 よく内容を検討いたしまして、後日またお答えをいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、今後の北海道の農業開発の一環として、政府当局においても、あるいはこの公庫の計画の中においても、北海道においてテンサイ糖の生産を一大飛躍的発展をさせるというような構想を持っておられるようであります。それで、今後北海道の畑作農業の転換というような意味からいたしましても、われわれといたしましても、北海道の農業の中においてテンサイの耕作が農業経営を安定するという基本的な立場の上から、計画が確立されて、増反増収が行われて、それを処理するためにビート工場等が次々に建設されるということは、非常に望ましい点であるというふうに考えるわけです。ところが、今日までこの北海道農業の一つの転換を含めて、ビートの耕作等に対する具体的な今後の計画が全く示されていないわけです。そういうものが示されておらなくて、二面においてはこのビート工場の建設ということが、これは昨年の秋以来非常に世上をにぎわしておるのでありますが、それが前後しておる。ですから、今後の北海道の農業の中において、わが国の糖業政策というものを速急に立てる必要があるとするならば、その一番原料の主産地である北海道の今後のテンサイの耕作、あるいは栽培とか、農家経営の安定と結びつけたその施策等に対して、農林大臣はいかなる見解を持っておるか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/16
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017・河野一郎
○河野国務大臣 テンサイ糖の奨励は、北海道の畜産奨励の上から参りまして、ぜひ必要であるというような見地に立ちまして、せっかくこれの分布等につきましても検討中でございます。これが経営の形態につきましても、協同組合その他私企業等を取り入れまして、十分検討を加えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 テンサイ糖問題に対しては、私は農林大臣は専門的な権威者であるというように考えておるのです。今日までの農林大臣の行動を見ると、事務当局以上に相当深い造詣の上に立って、あるいは工場の適地の選定であるとか、いかなる企業形態にこれを行わしむべきであるかということを、実にたんねんに、精密に検討されておるというように、われわれはいささか敬意を表しておるわけです。ですから、もう少し具体的なお考えがあるというようにわれわれは思っておりますので、今日までのこの公庫法案の審議を通じて、あるいは大蔵大臣、あるいは経企長官、あるいは北海道開発庁長官の出席を求めて、いろいろわれわれは質問したのですが、意に沿うような答弁は全く行われていないのです。ですから、この際せめて農林大臣からでも、今後の北海道開発に対して具体的な自信のある説明をぜひともお願いしたいと思いますが、特に糖業問題等に対して、もう少し詳しく、現段階において農林大臣の考えておる構想をお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/18
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019・河野一郎
○河野国務大臣 私は実はあまり専門に勉強したわけではございませんが、客観的に北海道にテンサイ糖の奨励をする必要がある、糖業政策から必要がある、これが一点。一つは畜産振興をいたす上から参りまして、テンサイ糖の増殖をする必要があるという、この二つの観点からいたしまして、北海道全道にわたって相当数のテンサイ糖工場を散布する必要がある。その適地等につきまして、どういう方向にどうやるかにつきましては、今せっかく事務当局をして検討させております。しかもこれは御承知の通り、余剰農産物の見返り資金をこれに充当してやろうということを考えております関係からいたして、最初は一工場を作る程度の資金をまず考えたのでございますが、その後だんだん勉強して参りますと、一工場の必要はない、二工場でいいじゃないかということになりまして、道南一カ所、奥地一ヵ所いとうように考えております。ところが、その後またぜひ自分もやろという適格面希望者もございますので、それでは政府の出しまする金は、全体で大体七億ないし七億五千万予定いたしておりますけれども、これを三カ所に分けて、そうしてやってもらうことはどうだろうかというので、今三ヵ所に分けて、三工場を同時に始めるということについて、希望しておられる方々とせっかく話し合い中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 そこでテンサイ糖の問題ですが、ここで長々と私は述べる考えはありませんけれども、今日まで北海道においては、約三十年の歴史を経て、そしてなおかつ、ビートの耕作面積は一万七千町歩くらいしかないわけです。今日日本甜菜製糖株式会社が三ヵ所の工場を操業しているのですから、一工場を経営する場合においては、おおむね五千町歩の原料の耕作反別がどうしても必要になるわけです。ところが、ビートの耕作というものは、直ちに増産をするということは、いろいろな条件があって急速にはいかぬわけです。漸進的に伸ばすということは可能でありますけれども、簡単にビートだけをすぐ増反することが非常に困難であるということは、御承知の通りでございます。ですから、そういう今までの歴史的なものの上に立って、しかもわが国の糖業生産の一環として、北海道の農業もさらにこれによって高めるというような、全体の総合性の上に立った政策というものを、一日も早く立ててもらいたいと私は考えておるわけです。そういうような施策がなくて、ただ単に工場だけを何ヵ所建てるとか、どの会社にやらすということだけが先行しても、ほんとうに農民がビートを進んで耕作するというような条件が具備されなければ、これは全然製糖というものはできないと思う。その点は農林大臣も御承知だと思います。そこでお尋ねしたい点は、今の答弁の中にもありましたけれども、余剰農産物の見返り円資金特別会計の中から、ビート工場の建設のために相当額の融資を行うということでありますが、これは先般農林委員会においても、実は森林開発公団法案を審議したとき、これもまた十億円の見返り資金特別会計から事業費を出すということになった。ところが、この内容というものは、今日においても明確でないのですよ。本年度の予算の中においては、見返り資金の特別会計の計画が示されておるけれども、農業関係の具体的な配分というものは、今日においても固まっていないのです。たとえば食糧増産関係以外の四十一億五千万にしても、昨日の政府当局の答弁によっても、このうち十億円だけは、森林開発公団という法律を通す関係があるので、固まっておるけれども、残余の分に対しては全然わからないのです。そうなると、農林大臣以外には、この見返り円資金の配分は、だれにもわからないということになる。しかもこの北海道開発公庫の中でも、ビート工場とか、あるいはブドウ糖工場に対しては融資が行われるということになっておる。見返り円資金の特別会計からもビート工場には金を出して、それからこの北海道開発公庫の融資も行うというような、いわゆる政府機関の二重投融資が、このようなテンサイ糖工場等において考えられておるということなんです。ですから、この点に対しまして、農林大臣は四十一億五千万の中におけるその配分として、テンサイ糖工場に対しておよそどれだけの融資を、今年度あるいは将来に行おうとするか、その点をあなたから直接お伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/20
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021・河野一郎
○河野国務大臣 これは、いろいろ見返り資金を四十一億でしたか、これをどういうふうに幾ら使うかということにつきましては、なるべく有効な、しかも農民に一番裨益するものを重点的にとって考える必要があるということで、大ワクは大体分けて、事務当局がそれぞれ検討しております。私が一人で握っておって、一人でやるようなことは決して考えておりません。すでに大ワクは、大体計画があります。水産に大体どれくらい、畜産にどれくらい、それから今申しますような森林に十億、これは案がまとまっております。それから今のテンサイ糖は、大体七億から七億五千万ということで限度を大体きめ、大ワクをきめておるわけでございます。しかし、そのこまかいことは、せっかく今申し上げます通り、事務当局で検討中なのでございます。大体最初は、一工場を作るのに十五億とかかかるから、その半額を出して一工場を作るのがよかろうじゃないかということで、七億ないし七億五千万という見当で案を立てましたが、その後だんだん検討いたしてみますと、御承知の通り七億ないし七億五千万は、二カ年で十五億、工場建設は二カ年かかるということでありますから、しからば二ヵ年でやれば、一ヵ年半額でいいじゃないかということで、七億を二工場に分けてやったらどうか、その方が効率的でいいじゃないか。お前は、五千町歩のビートの作付が、無から有が生ずるわけじゃない、ただ机の上で計算してもいかぬ、むろんその通りであります。しかし、これは地元の農村から熱烈に御要望がございまして、そういうものを自分のところで作りたいから、ぜひやりたいという要望があるわけでございます。(「農民は知らない、営利会社だ」と呼ぶ者あり)しかもこれは、営利会社とおっしゃいますが、そうじゃございません。先般北海道連の会長さんがお見えになりまして、詳しい計画表も拝見しております。そういうことで、これはほうはいとして、北海道全土にこれを基礎にして畜産振興をやろうという声は、世論としてあるわけでございます。それによってやるわけでございまして、(「北連にやらすか」と呼ぶ者あり)今お話の通り、連合会もぜひ一カ所やっていただくということに考えておるわけでございます。そういうふうに、せっかく今話し合い中でございます。そういうことでございますから、その点は——今お話の、しかも二重投資になる、これにつきましては、私の方はこれを基礎にして計画しておりますが、その上に北海道開発公庫が投資をなさるか、なさらぬか、それは別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 大分詳しいことを言われましたが、それで四十一億五千万のうちで、大体わかっているのは、森林公団はもう十億ということが条件に明らかになったので、それできのう法律を通したわけですね。そのほかにテンサイ糖工場に対しては大よそ七億五千万、それから北海道関係でもう一つは、ブドウ糖の製造に対して大体二億円の融資を行うということが計画にあるようですが、これも間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/22
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023・河野一郎
○河野国務大臣 今のブドウ糖という話は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 それでこのビート工場は、農林大臣の構想から言うと、今後北海道においてビート工場を起す場合においては、いわゆる製糖資本、二十幾つある日本における精製糖を中心にした糖業資本のみが北海道に進出して、ビート工場を起すべきであるというお考えはないのですね。そういうような系列の資本も妥当であるかもしれぬけれども、もう一つは農民出資によるところの、たとえばそれを代表する北海道経済連のごときも、先ほど言われたように、これは全国随一の経済力も実行力も持っておるということになると、相当大きな企業をやっても心配がないということが、農林大臣から折紙づきになったわけです。ですから、今後テンサイ糖工場を作る場合は、資本形態としては、一つは農民出資によるところの資本にもやらす、もう一つは、今までそういう経験とか実績のあるところのそういう資本、あるいは中央におけるところの有力なる糖業資本等の中からこれを選定して、一番最適と思われる地域にこれを決定するというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/24
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025・河野一郎
○河野国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、今までの事態の中においては、いまだどの企業体にこれをやらすということや、どの場所にこれを行うべきであるというところまではいっておらぬわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/26
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027・河野一郎
○河野国務大臣 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/27
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028・芳賀貢
○芳賀委員 そこで農林大臣にお伺いしたい点は、実はもうきまっておるというようなことが北海道においては非常に伝わっておる。一例をあげますと、これは北海道における各有力紙あるいは中央の新聞にも出ておるわけでありますが、三月二十一日の北海道の有力新聞はこういうことを伝えておるのです。これは自民党の所属代議士でありますが、松田鐵藏君が地元の北見市に帰って、北見市の市議会に出席して、芝浦精糖に対してもう余剰農産物の見返り資金を貸すことにして、北見市に芝浦の工場を建てることにきまった。実は認可書の控えを持ってくればよかったけれども、間に合わなかったので、持ってこられなかった、というようなことを松田君が堂々と報告をしておる。これは信頼すべき良識を持った、しかも与党の代議士が、この公的な市の議会に現われてこういう報告をされたのです。もう一つは、芝浦精糖を北見市にやることがきまったんだ、あるいはまた台糖の場合には、道南の倶知安なら倶知安にきまったんだ、というような印象を強く道民に与えておるわけです。それと、ただいま大臣が説明された、まだその段階に行っておらぬ、しかも今後の適格条件というものは、単に台糖であるとか、あるいは芝浦であるとか、日甜であるとか、こういう糖業資本だけに限るということではなくて、それと同じように、北海道の農民資本によるところの経済連等も適格者であるというふうに考えておる、というような説明を今聞いたのですが、こういうことが、一つの既成事実のようにもう北海道の道民の中には伝わっておるわけであります。これに対して、もう少し明確な、農林大臣としての責任ある御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/28
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029・河野一郎
○河野国務大臣 今私がお答えいたしましたことは、責任を持ってお答えいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/29
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030・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、松田君の報告は、全く事実無根の、ただ単なる、自身の一つの幻想の上に立った、空虚なる政府与党議員としての市議会に対する発言であった、これは何ら取り上げるべき根拠がないというふうに考えて差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/30
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031・河野一郎
○河野国務大臣 松田さんがどういうことをおっしゃったか、おっしゃらぬか、私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/31
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032・芳賀貢
○芳賀委員 いや、そういうことを伝えたとすれば、これは公的な農林大臣、あるいは個人としての河野一郎氏において、何ら無縁のものであるということをあなたは明らかにできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/32
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033・河野一郎
○河野国務大臣 おっしゃったか、おっしやらぬか知りませんが、一つの候補地として研究されておるということだけは間違ありませんけれども、決定はまだいたしておりません。私がお答え申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/33
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034・芳賀貢
○芳賀委員 そういたしますと、農林大臣としては、このビート工場建設に対しても非常に不明朗な動きがあるというようなことは、これは大体そういうことではないというようなことがおよそ明らかになったので、非常にけっこうであります。今後の方針は、ただいまの委員会で言われたことをわれわれは信ずるわけです。ですから、今後のビート工場の建設等に対して、あるいは見返り円資金の配分等に対しては、ただいま明確に示されたそういう一つの構想の上に立って処理されると思うのでありますが、この場合一番大事な点は、北海道開発等に対しても、現地のあるいは道庁だとか、そういう地方公共団体との密接な連絡とか協調というものが、やや欠けているように考えておる。ややもすると、時の天下が政略的に北海道の開発問題を扱おうとするような、非常に量見の狭い動きがわれわれには常に見受けられるわけでありますが、そういうことでなくて、やはり北海道の農業開発にしても、第二次産業開発等にいたしましても、北海道における地方公共団体等の十分なる意見を徴して、それを重要なる資料として政府の施策をおきめになることが、一番正しいのではないかというふうに私は考えるわけであります。農林大臣の考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/34
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035・河野一郎
○河野国務大臣 私もその通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 これは当りまえのことなんですが、ここで念を押しておきます。ですから、今後たとえばビートの耕作計画とか、あるいは工場建設等の計画とか、北海道農業を今後いかにすべきやというような点に対しましては、今後といえども、やはり地元の地方庁であるところの北海道庁であるとか、あるいは北海道の各係機関等の意見を十分徴されまして、そうして最終的にはそういうような処理方針をもってきめた方が、北海道民も納得するし、今後の、たとえばテンサイ糖の場合においては、国の糖業振興のゆるぎない基礎を確立するためには、いかにすべきやというような結論も生れると思いますが、農林大臣としては、すなおにおおらかな気持で、そういうようなことをおやりになれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/36
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037・河野一郎
○河野国務大臣 私はそういう気持でやっておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/37
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038・廣川弘禪
○廣川委員長 芳賀さん、なるべく本法案について直接関係ある点から御質問をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/38
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039・芳賀貢
○芳賀委員 これは非常に重大な関係がある。——それでその次の問題は、テンサイ糖の場合には御承知の通り、これは昭和二十七年の暮れにテンサイ糖の生産振興臨時措置法案というものが成立した。これは十年間の時限立法で、今日まだ生きておるわけです。ですから、昭和三十七年までは、この法律によって北海道において生産されたテンサイ糖は、全量政府の買い上げということになるわけです。そういうような一つの保護政策というものが今日講ぜられておるわけでありますから、これを基礎にして、さらに糖業振興法であるとか、あるいは一番原料を直接生産しておる農家経済を安定させる意味からしても、原料生産というものが農業経営の上において非常に有利なものである、そういうようこなとを明確にするために、もう少しビートの原料の買い上げの価格決定にしても、あるいは製品の買上げ等にしても、さらに具体的な検討を加える必要があると思うのですが、そういう点に対してはどのような考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/39
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040・河野一郎
○河野国務大臣 十分検討してやっておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/40
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041・廣川弘禪
○廣川委員長 最初に申し上げた通り、時間が制約されておるようですから、なるべく要点をつかんでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/41
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042・芳賀貢
○芳賀委員 委員長は何か見当違いをして、要点をはずれておるというようなことですが、これは北海道開発のためには一番大事な問題ですよ。
そこで農林大臣にお尋ねいたしますが、このビート工場の問題は、最終的にはいつごろ具体的な決定をなさるお考えであるか、その点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/42
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043・河野一郎
○河野国務大臣 なるべく早くきめたいと思っておりますが、先ほど来申し上げます通りに、ただ簡単にきめるわけに参りません。十分検討を加えまして、基礎的に案を立てていかなければなりません。従って、ここでいつまでとおっしゃっても期日はちょっと申し上げかねます。しかし、あらゆる角度から検討して、たとえば先般まで北海道の経済連のお申し入れがなかったのでありますが、経済連からお申し入れがございました。これは有力なる候補として、対象に取り上げて研究をしておるというようなことになりましたから、これも先ほど申し上げた通り、最初は一カ所の予定であったのが、二工場がよかろう、さらに希望者があれば三工場でもいいのではないか。ただ、そういうふうにいたしますと、三工場では私はやらぬという人ができるかもしれない、そういう場合にはさらに考え直さなければいけない。初めは七億金がかかるつもりであったが、三工場ということになれば、一工場当り二億円、二億五千万円ということになります。そういたしますと、二億や二億五千万円の融資ならば、いやだという人があるかもしれません。そういうようなことで、いろいろ調整をする必要がありますから、早くはやりたいと思っておりますが、結論がなかなか出にくいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/43
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044・芳賀貢
○芳賀委員 工場問題は、そういうことになると具体的に早晩きまる。あわせて工場を建てるには、どうしてもそれだけの原料がいるわけです。原料の増産対策というものは、むろん工場建設より先行して立てる必要があると思うのですが、これは農林省だけが中央でデスクの上で計画を立てようとしても、なかなかできないと思うのです。これもあわせて事務当局に命じて、これは農林大臣だけの構想でなくて、先ほども言われた通り、工場問題にしても、ビートの耕作計画等の問題にしても、やはり事務当局に責任を背負わして、そして具体的な案を作らせてから、農林大臣がそれを決済してやるということにしてもらわぬと、どうも農林大臣のいわゆる政治力が強過ぎるから、農林大臣のやることは、いいことでも悪いことでも、何か暗い影がつきまとっておるというような、そういう疑惑が今日深いわけです。これは老婆心ながら申し上げておきます。今後の農林大臣としての諸般の行動をとるに当りましては、どうかそういう点も十分考慮に入れられて、そしてわが国の農民の福祉のため一そう努力された方が私はいいと思うのですが、農林大臣はどう思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/44
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045・河野一郎
○河野国務大臣 これは芳賀さんも、農林省の内部のことはよく御存じだと思うのであります。私はこの工場計画等を自分で立てるわけではございません。全部、改良局長以下、課長と相談しております。先般も実はある議員から、ある会社の願書は出しても、それを大臣に取り次がないじゃないか、そして自分たちの好きな願書だけを上に取り次いでおるじゃないか、というようなおしかりを受けたことがあります。決して私は頭から、どの会社がよかろう、この会社がよかろうということをきめたこともございませんし、私が意識してやったこともないのであります。全部下の方で一応案を立てて、どの会社が適当でございましょう、どれがどうでございましょう、ということでやっておるのでございます。一工場にしたらよかろう、またその事情を調べて、こういう希望がある以上は、道南と道北の二工場を考えたらどうかとか、さらにまた新しく希望が出て参りまして、これを加えてやった場合にはどうなるだろうかということで、十分の資料を整えた上で、私が最後の決定をするということにしておるのでございまして、今芳賀さんのお話しになるようなことのでき得べき筋合いでもなし、そういう事務の処理はあり得べからざることでございます。その点は一つ御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/45
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046・廣川弘禪
○廣川委員長 渡邊さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/46
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047・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 河野農林大臣には、芳賀君から主として財政経済問題を中心として質疑があったのであります。私はこの際農林大臣河野一郎氏でなく、行政管理庁長官河野一郎氏に一、二質疑をしておきたいと思います。それは実は、こういう公庫法案がここに提出されるまでの経過について、十分おわかりだと思うのですが、もともと自民党の廣川委員会と称せられる北海道開発特別委員会というものが、この公庫法案を提出するに当って、北海道の分県問題であるとかあるいは機構改革の問題とか、その他の問題も含めて、そういう問題と関連の上でこれが提出されてきたわけなんです。従って、今ここで主として公庫法案だけが先行して審議をされておりますけれども、特に北海道の道民にいたしましても、また日本全体の問題にいたしましても、当面の行政機構がどう関連して発展するかという問題については、かなり注目をいたしておるところだと思います。特に北海道には、いろいろ北海道開発庁とか、あるいは北海道開発局だとか、複雑怪奇な機構が現存しておりますので、この点について一応河野大臣の所見を伺っておきたいのですが、一体河野大臣は、北海直分県という問題について御存じであるかどうか、どうお考えになっていらっしゃるか、これに関連して意見を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/47
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048・河野一郎
○河野国務大臣 北海迫は、私が申すまでもなく、私、あなた方のように北海道に住居を持っておられる方と違いますから、考えておりますことがはずれる場合があるかと思いますが、あれほど広範な地域、しかもその中の人口といい、各種の文化といい、相当に進歩いたして参りました今日、適当の時期に、これを分県いたして内地同様の施策によって行われるという時期が、いつかは存じませんが、そういう時期はくるものだと私は考えております。しかし、それは今すぐにやるがいいか、将来数年もしくは数十年先がいいかということは、道民各位の御決定に待つべきものだと出思いますが、私は私なりの考えは今申すように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/48
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049・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 今の河野さんの御意見は、その時期が数十年後に実現するかどうかというお話で、実に雲をつかむような話なんですが、自民党はそう考えておりませんので、自民党の諸君は、この年内にも参議院選挙にからんで住民投票で事を決定しようということで、もっぱらそういう方針を打ち出して参ったのです。(「そういうことはない」と呼ぶ者あり)そういうことはないことはないので、大いに松田鐵藏君以下そういうことについて宣伝をしてこられたわけですが、そういうことは現段階で妥当かどうか、この点を一つ承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/49
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050・河野一郎
○河野国務大臣 これは先ほど来申し上げますように、党の意見がまだ決定しておりはせん。党の意見が決定すれば、私はそれを推進するということになると思います。しかも私自身よりも、この問題について専門的に研究しておられる人、十分勉強しておられる人は党にたくさんおいでのことでありますから、ことに委員長の広川氏初め、専門的に研究されている人がおありでございますから、それらの研究、検討の結果を待って私はやりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/50
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051・廣川弘禪
○廣川委員長 先ほどから何回も言うように、時間が非常に切迫しておるようでありますから、どうぞなるべく簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/51
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052・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 先ほど河野さんの発言の中に、十分住民の意思を尊重するという言葉がありました。これはどういうように受け取っていいのか、私はよくわからないのですが、住民の反対があればそういうことはしない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/52
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053・河野一郎
○河野国務大臣 これは住民の投票できまることであって、住民の意思のないところに決定はない、こう私は考えておりますから、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/53
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054・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そうすると河野さん、そういうお考え方の根底にあるものは、中央集権をはかるというのではなくて、地方自治を十分尊重する、こういう考え方が根底にあっての御発言かどうか、この点をはっきり伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/54
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055・河野一郎
○河野国務大臣 今日中央集権をはかろうという考えは、むろん全般的に政治の上にあろうはずがございません。しかし事と事態により、ものの行政の必要度におきましては、またこれはおのずから特別なものがあると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/55
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056・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 従来北海道開発の経過から見まして、昭和二十四年に北海道開発庁が出現し、二十六年以降に北海道開発局が出現したという経緯をよく御存じだと思いますが、これらのことは非常に政治的な意味を含んでいる。たとえば北海道の田中知事を拒否するためにということを意図に抱いて、そういうような北海道における行政機構の改革をやられた歴史があるわけです。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)ないないと言っている人が、そういう発言を北海道に帰って大いにしやベって歩いているわけですから、どうにもならないのですが、行政管理庁長官はそういう不遜な孝久方をお持ちになっておらないと思うのですけれども、この点について所見を同っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/56
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057・河野一郎
○河野国務大臣 そんなことは考えるべき筋のものじゃないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/57
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058・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そうしますと、非常に公明な立場から、国としての必要な行政機構を整えようというお考えの模様であります。今行政機構をあなたの手元でいろいろ審議しておられると思うのですが、一体どういうことになっておるのですか。漏らしてもいいところは、一つ簡単に聞かしていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/58
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059・河野一郎
○河野国務大臣 はなはだ勝手でございますが、大体の見当はきめておりますけれども、ちょっとここに書類も持っておりませんし、どうせ法案を御審議願うのでございますから、そのときに一つお譲りをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/59
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060・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 それはいつごろ法案が出て参りましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/60
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061・河野一郎
○河野国務大臣 もうすぐ出すつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/61
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062・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 すぐというのは、いつのことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/62
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063・河野一郎
○河野国務大臣 大体金曜日の閣議あたりには決定して、議会へ提案したいと思っております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/63
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064・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 それは行政機構全般に関する問題でありますか、それとも、かねてうわさの北海道開発庁云々の問題ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/64
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065・河野一郎
○河野国務大臣 全体の問題は、むろん今順次提案しつつあるわけであります。それと一貫いたしまして、北海道の問題も提案するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/65
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066・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 そうすると、北海道の行政機構については、伝えられるところによると、北海道開拓庁設置の法案で提出されると伺っておりますが、そういう形で提案されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/66
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067・河野一郎
○河野国務大臣 そうじゃございません。これはまた間違いますといけませんし、書類を今持ち合せませんので、書類をもって正確に御答弁した方がよろしいと思いますから、それまで一つ御猶余いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/67
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068・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 金曜日に閣議に出すというのに、ここでわからぬという話は、行政管理庁長官として受け取れないから、どういうことになるか、大臣もう少し親切に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/68
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069・河野一郎
○河野国務大臣 決して不親切にしようと思うのじゃ、ございません。私が十分責任を持って書面の上で答弁をした方がよろしいと思いますから、先ほど申し上げたのであります。御承知の通り北海道開発関係の機構は、いろいろな角度から検討をいたしましたので、これを第一集、第二案、第三案と、いろいろ考えたわけでございます。そういうわけでございますので、私の頭の中で、ちょっと書類を持ちませんから、整理が困難でございますので申し上げたのでございますが、なおまだ閣議も決定いたしておりませんので、これは閣議決定として、金曜日には大体決定するつもりでございますから、最終的に決定した上で申し上げた方が正確であろう、こう思って申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/69
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070・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 これが最終の質疑で、これで打ち切られることになるのですから、大臣も妙に引きずり回して、かえって審議をおくらすようなことのないように、今のようなところははっきりと言って、今日上るのに、あなたも協力されるようにされたがいいと思います。そういう点で、私が今質疑しておるのは、あなたの時間の都合もありますから、私はここの委員会に関係のない全体のことを伺おうというのではないのです。しかし北海道開拓庁設置法案というのが出るといわれてきたので、開拓庁法案として出るのかどうかということを聞いておるのですから、この点を話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/70
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071・河野一郎
○河野国務大臣 それはやりませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/71
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072・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 質疑を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/72
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073・廣川弘禪
○廣川委員長 ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/73
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074・廣川弘禪
○廣川委員長 御異議なしと認めまして、質疑は終了いたしました。
暫時休憩いたしまして理事会を開会いたします。
午後三時一分休憩
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午後三時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/74
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075・廣川弘禪
○廣川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより討論に入ります。松田鐵藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/75
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076・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 北海道開発公庫法案につきまして、私は自由民主党を代表いたしまして賛成いたすものであります。
この法案は、北海道開発に対する重要な産業の呼び水的な役割を果すという建前から出たものでありまして、これが成立の暁においては、北海道において産業の画期的な発展が期待されるものと私どもは信じておるのでありまして、まことに北海道のために喜ばしきことと思います。この点満腔の敬意を表して、賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/76
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077・廣川弘禪
○廣川委員長 渡邊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/77
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078・渡辺惣蔵
○渡辺(惣)委員 北海道開発公庫法案の審議に当りまして、四十数日にわたって、委員長のもとに非常に民主的な運営でこの審議が進んだことを、委員長並びに委員各位に敬意を表する次第であります。北海道開発公庫法案が上りましても、その他に自余の関係法案が多数ありますので、一つ委員長以下委員諸君は、この公庫法案に慎重審議、野党の発言も尊重された建前を今後とも継続されて、自後の案件もこれ以上に慎重審議されるように特に希望いたしておく次第であります。
もともと北海道開発公庫は、開発公社として原案が盛られてきておりましたものが、数次にわたります北海道開発審議会の過程を通りまして、公庫法案として提出されるに至ったわけであります。しかし私どもは、まず第一に、関係大臣である正力国務大臣自身が、北海道の住民の意思を尊重するということを強調され、また国の法律によって選ばれております北海道開発審議会の意見を十分尊重すると、言葉の上で強く言っておられながら、しかもみずから大臣の立場において、一月十一日北海道開発審議会に対して諮問をいたし、一月十六日の開発審議会において答申をいたしておりますその原案を、全くじゅうりんして、大蔵省の鼻息だけをうかがって、法案の内容をすりかえて、政府提案といたして提出されたということは、大臣の言明にもかかわらず、住民の意思を軽視、あるいは開発審議会の意向を無視した措置であり、非常に遺憾にたえないわけであります。今後こういうことのないように、あくまでも開発審議会の議決については尊重していただきたいと思います。大臣は御存じございませんけれども、そのために、先ほど開かれました理事会におきましては、特に開発審議会の委員として選ばれ、この原案作成に参与した松田鐵藏君以下の諸君は、陳謝の意思表明をいたしたくらい、非常に政治的責任が重大に問われておるわけであります。これらの諸君がこういう窮地に追い込まれたということは、一にかかって大臣が開発審議会の意向を尊重しなかったためであって、委員諸君には非常に気の毒でございますが、今後こういうことのないように、十分一つあなたの御発言にはあくまでも責任を持っていただきたい。できれば、ここで重ねて大臣みずからも陳謝の意を表してもらいたいと思うわけであります。
次に、この公庫は、最初自民党の廣川委員会、及び政調では、当初百二十億を出資する、こういう宣伝をいたしましたので、北海道では開発のために非常に大きな期待をかけました。それが五十億に減り、三十億に減って、しまいに、たった十億の金でお茶を濁そうとしておるのであります。そこで、もし当初の百二十億もしくは五十億という金額が支出されるとすれば、これは公庫的性格よりも、公社的性格になってくるわけです。ところが、そういうように、法案を作成する過程において、政府出資の金額をどんどん予算を落していったために、いつの間にか、これを公社的な性格から、純然たる金融機関的性格に追い込んでいっているわけです。そして当初要望された開発審議会の意向と、全く変貌した形で、ここに出てきておる、こういう点はきわめて重大な問題だと思うわけであります。従って、このことは、北海道の今後の開発にも重大な影響を及ぼしますので、私どもは今後すべからく、次期国会におきましても、政府は政府出資分をさらに増額するということが前提とならなければならない、こういうことを強くここで強調いたしたいと思うわけです。そういたしまして、順次出資分が多くふえて参るということになりますと、必然的に、公庫はその内容において経営に直接関連を持って参りますので、公庫の性格が質的転換をせざるを得ない条件になっていくわけです。そういたしますと、この法の制定せられると同時に、当然企業経営に直接関連を持ってくるところの金融機関でありますので、ここには当然これを運営し、あるいは管理する機関が明確にされてこなければならない。大臣は、多分、その必要が生じた場合においてはこの法律を改正すればよい、こういう考え方を持ち、そういう見解であると思いますけれども、われわれは法律をここで制定します以上は、あらかじめ予測される事態に対して、当然最初からそういう規定を明確にすべきにもかかわらず、これが今日の段階においては、公庫的性格であって、金融機関の性格が強いからという意味において、審議会では管理委員会制度を決定しておりますのに、この管理委員会制度を削除されたということにつきましては、今後ともその責任が十分追及されなければならない。このことを一つ政府として十分配慮をしていただきたい。こういうことを申し上げておきたいと思います。
さらに、このままでいきますと、この公庫というものは、やはり大企業中心のものになっていくと思います。弱小産業、中小企業の方はそれは開発に直接関連があるといなとにかかわらず、こういうものを追い落して、大企業中心にこの公庫が運営されていくということは、非常にわれわれは危険を感じておるわけであります。ことに中小企業が今日の金融難から、農林中金や、あるいは商工中金であるとか、あるいは開発銀行とかというところからそれぞれ融資を受けておりますが、こういう関係の融資については、この公庫が協調融資になるから資金を出さぬということになりますと、非常に金融の対象が制約されてしまって、勢い八十億の投融資というものは、特定のものだけに投下されていくということになりますので、この点につきましては非常に警戒を要する問題である、こう私は考えるのであります。従ってわれわれは、この際そういうような制度を撤去して、北海道の開発に必要なものに対しては、広く投融資を行う道を早急に行わなければならぬ、このことは特に強調されなければならないことと考えるわけであります。ことにこの問題を中心として、北海道では非常にいかがわしい風評がたくさん出ております。この国会におきましても、岡田春夫君が具体的な実例をひっさげてこれを摘発されておりますが、岡田君が取り上げられました以外においても、すでにたくさんのいろいろな醜聞が伝えられております。全然企業的条件を現在なお具備しておらないところの企業に対しまして、木材とかその他に対しても、何千億という金を出してやるから仕事の準備をしろ、こういうようなことで、すでに公庫に対する窓口業務を開業しておる私設公庫ができておるわけであります。私設理事長もできております。この法案がきまらぬうちに、だれも任命しないうちに理事長候補ができて(「やみ理事長」と呼ぶ者あり)やみ屋の理事長が窓口を開いて、融資のあっせん業をやっておるという事実が出てきておるのであります。これは風評であろうとも、少くともまじめに北海道の開発を考える者としては、非常にありがた迷惑なことでありますので、こういう点につきましては、特にこの公庫の持つところの、温存するところの危険性というものを十二分に理解されまして、厳正な運営の方式をお考え願いたい。このことは非常に重大であります。大臣、やがて、きっとこの公庫を中心にしてスキャンダルが続出いたしますから、このことのないように、事前に警告を申し上げておくわけであります。従ってこの公庫ができます暁におきましては、公庫の役員になる人物が非常に問題になって参ります。もちろん法の規定によって、政党の役員たる者あるいは国会議員等は公庫の復員になれないと、明確に規定いたしております。しかし、それは表面のことであって、裏のひもつきを登場させますれば、一連の関係でこれがやみ金融の場になるということは、おのずから明らかになって参りますので、こういう点につきましては、いささかもそういうような政治的な動きを排除して、適正妥当な運営の方式を講じてもらいたい。このことを特に私どもは強調せざるを得ないのであります。
私どもは昨日以来修正案を提出する準備をいたしました。正力国務大臣みずからが諮問され、また開発審議会が答申いたしました意思を尊重いたしまして、他のこまかな部面についての一切の修正を排除して、特に原案の第二章、管理委員会の制度をこの際復活をして、これを原案尊重の建前で入れることを、自民党の諸君としばしば折衝を重ねましたけれども、ついに非常に窮地に陥られて、陳弁陳謝これを努めたので、私どもは公党の面子もありますから、この際了承いたしたわけでありますが、そのかわり、私どもは強い附帯決議をここに提出をいたしまして、この附帯決議の完全な実施を前提として、この法案に賛成をする決意を固めました。しかし私どもは、この強力な附帯決議をこれにつけることを提案しながらも、なお将来に対して大きな不安があります。この附帯決議をその通り実施していただいたとしても、なおかつ大きな疑問が多数横たわっておりますので、本案が通過をいたしました暁におきましては、委員会で議決をせられまする附帯決議の趣旨を十二分に尊重されて、これの完全なる実施を約束していただきたいと思うのであります。このことを前提として、私は本案に賛成をするものであります。この際附帯決議を朗読いたします。
政府は次の事項について適当の措置を講ずべきである。
一、北海道開発公庫の投融資計画は不明確である。政府は速かに北海道総合開発第二次五ヶ年計画を策定し、開発公庫の対象となるべき投融資計画を明確にすること。
二、開発公庫の投融資対象は資本金の規模によることなく、中小企業に対しても開発に必要な事業に対しては投融資すること。
三、開発公庫が投資に重点をおき、且つ、低利な資金供給を可能にするため、次期国会において出資金を増額すること。
四、開発公庫役員の選任に当っては、公庫業務の適正を期するため慎重な配慮をすること。
五、開発公庫の業務運営に当り、有効適切且つ公正妥当な執行を期するため、理事長の諮問機関として、現地に学識経験者その他を以つて構成する運営協議機関を設置すること。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/78
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079・廣川弘禪
○廣川委員長 岡田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/79
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080・岡田春夫
○岡田委員 私も討論をさしてもらいたいと思いますが、私はこの法案については、率直に申し上げまして、幾多の点に不満があります。しかしながら、本日友党社会党より附帯決議が出されまして、この附帯決議が忠実に履行されるものと信じて、この法案に対して賛成をいたしたいと思います。
私の不満の点について一、二申し上げますが、しかしこれは、今後においてぜひとも正力国務大臣において実行をしていただきたい意味において、申し上げるのであります。それは、あまりにも開発庁という役所は無計画であり、無能である、この点であります。少くともこの開発公庫法を出す限りにおいては、北海道の開発の計画の大まかな実体だけでも考えて、その実体の上に立って、この開発公庫というものがどのような役割を果さなければならないか、この点の検討の上に立って開発公庫法が出されなければならなかった。北海道庁では、第二次五ヵ年計画の構想だけはすでにできているにかかわらず、企画官庁といわれる開発庁が、いまだに第二次五ヵカ年計画の構想すらできておらない。その第一点である人口の計画についても、六百万にすべきものか、五百五十万にすべきであるか、あるいはその他の人口にすべきであるかという計画すらも立っておらない。このような全く無計画の上に立って、無能力な上に立って開発公庫法というものが出されても、これが実際に正しく運営できるかどうかということについて、われわれは心配をいたしております。この点については、先ほど渡邊委員の言われた通りに、今後の運営については十分留意をお願いいたしたいと思います。
第二の点は、これまた渡邊委員がお話の通りでありますが、この公庫法を運営するに当って、業務方法書なるその実行の内容が具体的にされた。これによると、幾多の点において制限が加えられておる。融資の場合においては一千万円以上の会社でなければならない、あるいは、投資の場合においては五千万円以上の会社でなければならない。その上に、すでに政府金融機関、特殊機関から融投資を受けたものに対しては、これは投資並びに融資の対象にならない、このようなことが実は規定されておるのであります。とするならば、現実に北海道の内容を見ると、一千万円以上の会社は、おそらくこの公庫法に該当するものでは二百五十社程度であろうと思う。この二百五十社のうちで、すでに政府金融機関から融投資を受けている——このような会社は、ほとんど大半の会社が融投資を受けているのではないかと思う。そうするならば、現実に開発公庫法が実行されても、実際に投資の対象になるような会社が出てこないということになってしまうのではないか。ところが半面においては、これは北海道庁案でありますが、本年度の設備投資の大体の見通しを見ると、大体設備投資は、五百億円くらいの設備投資を要求しているといわれている、これは算定であります。この設備投資の五百十七億円のうちで、内部資本、いわゆる自己資本によって設備投資をされるものが、大体四割、その他の投資を二割と見て、外部投資いわゆる銀行からの投資その他を見ると、大体三百億円くらいが外部投融資として要求されているものである。ところがこの三百億円の外部投融資の対象になるべきものは、今申し上げたように一千万円の会社ばかりじゃない。中小企業の面においてこのような要求が強く起っていることを見なければならない。とするならば、このよな制限を設けて、一千万以上、あるいは五千万、あるいはまた、中小企業公庫からの金融を受けたものに対しては投融資ができないということになるならば、そのような投融資の要求があるにもかかわらず、この開発公庫法というものが投資をすることができないという結果になってしまうであろう。そこで、この開発公庫法を動かしていく場合にどうなってくるか。これも渡邊委員の言われた通りに、今申し上げたような制限ができるからして、当然ここに生まれてくるのは、この公庫を動かすために、やっていかなければならないのは、幽霊会社のような、泡沫会社のような会社を作って、そのインチキ会社の運営によって、この中に金を入れていくという結果になるであろうと思う。すでに仄聞されているのによると、たとえば苫小牧の海岸の埋め立ての会社を作るとか、地下資源の何だかの会社を作るとか、いろいろな会社を作るとかいっているのだが、こういう会社についても、今後の運営を十分にお考えにならなければ、こういう会社自体が利権化する危険性が非常にあると思うわけであります。こういう点からいっても、投融資の問題については、十分慎重なるお考えをいただきたいと思うわけであります。
第三の点は、経営の民主化の問題です。これはこの開発公庫法が最初に開発審議会並びに開発庁で検討されたときは、経営委員会というものが設けられることになった。この経営委員会を設ける理由として、開発庁の担当の責任者は、経営委員会を設けるのは経営の民主化のためである、投融資を民主的に行うためであるということの説明をやっている。それなのに、この民主的な運営であるところの経営委員会の制度というものを、いつの間にか政府自身、正力国務大臣自身が放棄して、経営の民主化でない方法で運営をしようという危険が出てきつつあるわけであります。こういう点から見ても、この附帯決議の実行については、ぜひとも正力国務大臣が十分注意をされるようにお願いをいたします。この委員会の運営上において、あなたもしみじみ痛感されたと思うが、官僚の独善化というものがいかにはなはだしいものであるかということは、あなた自身が率直にお感じにならなければならない。あなた自身が資料として提出をすると言ったことについて、官僚の代表の方は、資料として出さないと言って、がんばり抜いたじゃないか。しかしながら、正力国務大臣が危うくもがんばったために、最後に資料が出ることになったのであるが、このようなことを通じて、官僚の独善化という問題についても、あなた自身ははっきりと政治力を持ってやっていただかなければならないと思います。正力国務大臣に多くの人が期待しているのは、あなたのたくましい政治力を期待している。官僚になめられるような政治力を期待しているのじゃないはずなんです。この意味において、あなた自身がこの官僚独善を押えて、ほんとうの北海道の開発をやるんだとするならば、それは、この附帯決議が実行できるかいなかにかかっていると思う。附帯決議が実行できないような正力国務大臣なら、直ちにみずからの能力のなさを悟って、やめるべきであると私は考えるのだが、この意味においても、この附帯決議はきわめて重大であります。特に中小企業金融公庫等の協調融資その他の点についても、附帯決議に述べられておりますが、これは事務次官会議によって、このような制限が決定されているそうであります。附帯決議においては、このような制限を撤回すべきであるという附帯決議でありますから、事務次官会議の決定を、あなたの政治力によって御破算にして、この附帯決議を忠実に実行されんことを特に要求いたしまして、私は賛成の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/80
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081・廣川弘禪
○廣川委員長 これにて討論は終局いたしました。
次いで採決に入ります。北海道開発公庫法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/81
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082・廣川弘禪
○廣川委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
先ほど渡邊君の提案された附帯決議について、御意見があればこの際承わっておきます。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/82
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083・廣川弘禪
○廣川委員長 別に御意見もないようですから、採決いたします。渡邊君提案の附帯決議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/83
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084・廣川弘禪
○廣川委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。
この際本附帯決議につきまして、政府より発言を求められております。正力国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/84
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085・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいまはまことにありがとうございました。附帯決議の趣旨につきましては、十分尊重いたしまして、実行いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/85
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086・廣川弘禪
○廣川委員長 ただいまの議決に伴う委員会の報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/86
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087・廣川弘禪
○廣川委員長 御異議なければ、さよう取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X01819560411/87
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