1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月十八日(金曜日)
午前十一時二十分開議
出席委員
委員長佐々木秀世君
理事 大坪 保雄君 理事 中川 俊思君
理事 野澤 清人君 理事 藤本 捨助君
理事 滝井 義高君
植村 武一君 内田 常雄君
小川 半次君 荻野 豊平君
大橋 武夫君 加藤鐐五郎君
亀山 孝一君 草野一郎平君
熊谷 憲一君 小島 徹三君
小林 郁君 田中 正巳君
中山 マサ君 八田 貞義君
古川 丈吉君 眞崎 勝次君
出席政府委員
厚生政務次官 山下 春江君
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部長) 楠本 正康君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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五月十五日
委員赤松勇君、石橋政嗣君、受田新吉君、勝間
田清一君、楯兼次郎君、松尾トシ子君及び横山
利秋君辞任につき、その補欠として風見章君、
井堀繁雄君、阿部五郎君、山口シヅエ君、岡本
隆一君、栗原俊夫君及び吉川兼光君が議長の指
名で委員に選任された。
同月十八日
委員荻野豊平君、川崎秀二君及び三宅正一君辞
任につき、その補欠として内田常雄君、眞崎勝
次君及び横山利秋君が議長の指名で委員に選任
された。
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五月十六日
へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第一二〇号)(参議院送付)
採血及び供血あっせん業取締法案(内閣提出第
一二二号)(参議院送付)
同月十七日
最低賃金法案(伊藤好道君外四名提出、衆法第
三七号)
同月十五日
国立療養所の付添廃止反対に関する請願(世耕
弘一君紹介)(第二二三四号)
韓国抑留漁船乗組員家族の生活援護に関する請
願外一件(池田清志君紹介)(第二二三五号)
日本赤十字社法の改正に関する請願(中原健次
君紹介)(第二二三六号)
あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法
の一部改正に関する請願(受田新吉君紹介)(
第二二三七号)
同(坂田道太君紹介)(第二二三八号)
教護院の国営化に関する請願(伊瀬幸太郎君紹
介)(第二二五一号)
同(前田正男君紹介)(第二二九九号)
同(植村武一君紹介)(第二三〇〇号)
療術既得権存続に関する請願(加賀田進君紹
介)(第二二五二号)
同(纐纈彌三君紹介)(第二二九八号)
衛生検査技師の身分法制定に関する請願(細迫
兼光君紹介)(第二二五三号)
水道金融公庫設置の請願(西村彰一君紹介)(
第二二六六号)
健康保険における医療給付費の二割国庫負担に
関する請願(西村彰一君紹介)(第二二六七
号)
アフター・ケア設置に関する請願(八木一郎君
外三名紹介)(第二二九四号)
清掃事業に伴う財政措置に関する請願(八木一
郎君外三名紹介)(第二二九五号)
国民健康保険事業費国庫補助増額に関する請願
(八木一郎君外三名紹介)(第二二九六号)
千島列島戦没軍属の遺家族援護に関する請願(
大坪保雄君外一名紹介)(第二二九七号)
民間電気治療営業禁止反対に関する請願(芦田
均君紹介)(第二三〇一号)
保育所措置費に関する請願(八木一郎君外三名
紹介)(第二三〇二号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
国民健康保険事業の育成強化に関する陳情書
(第七四九号)
内地死没軍人軍属遺家族の処遇改善に関する陳
情書(第七七
五号)
駐留軍及び特需産業関係離職者対策確立に関す
る陳情書(第七八六
号)
水道金融公庫設置の陳情書
(第七九三号)
戦没者遺族の処遇改善に関する陳情書
(第七九六号)
健康保険法による被保険者負担反対に関する陳
情書(第七九七
号)
国民健康保険事業強化に関する陳情書
(第七九八号)
福祉事務所の人件費全額国庫負担に関する陳情
書(第七九
九号)
労働者の生活保障等に関する陳情書
(第八〇〇号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
小委員及び小委員長の補欠選任
参考人出頭要求に関する件
連合審査会開会申入れに関する件
寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(井手
以誠君外十六名提出、衆法第三二号)
寄生虫病予防法の一部を改正する法律案(内田
常雄君外三名提出、衆法第四九号)
へい獣処理場等に関する法律の一部を改正す
る法律案(内閣提出第一二〇号)(参議院送
付)
採血及び供血あっせん業取締法案(内閣提出第
一二二号)(参議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/0
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001・佐々木秀世
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。現在商工委員会において審査中の繊維工業設備臨時措置法案について連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/1
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002・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。なお連合審査会は午後一時より開会いたしますから御了承願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/2
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003・佐々木秀世
○佐々木委員長 この際小委員及び小委員長の補欠選任の件についてお諮りいたします。去る四月七日、五月十一日及び十四日における委員の異動に伴い、薬価基準等に関する小委員会におきまして小委員及び小委員長に欠員を生じましたが、その補欠選任に関しましては委員長より指名するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/3
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004・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、再び委員に選任されました熊谷憲一君、八田貞義君、岡良一君及び山口シヅエ君を小委員に、熊谷憲一君を小委員長に指名いたします。
なお今後委員の異動に伴い小委員会に欠員を生じました場合におきましては、その都度委員長より指名すべく御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/4
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005・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/5
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006・佐々木秀世
○佐々木委員長 この際お諮りいたします。放射性物資に対する許容度の問題について参考人を招致し、その調査を進めたいと存じます。参考人の選定及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/6
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007・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認めそのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/7
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008・佐々木秀世
○佐々木委員長 内田常雄君外五名提出の寄生虫病予防法の一部を改正する法律案、井手以誠君外十六名提出の寄生虫病予防法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。まず提出者より趣旨の説明を聴取することにいたします。内田常雄君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/8
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009・内田常雄
○内田委員 ただいま議題となりました衆法第四九号、寄生虫病予防法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
この改正法律案の趣旨とするところは、現行寄生虫病予防法におきまして、法定寄生虫病として指定されておりますところの住血吸虫病のうち、地方的に最もしょうけつをきわめておりまして、かつ重篤な症状を呈し、一番厄介な日本住血吸虫病につきまして、これが計画的の根絶をはかろうとするものであります。この日本住血吸虫病については、すでに関係地方の諸君は十分御承知のように、他の寄生虫病などと違いまして厄介なことに、医学や薬学の進歩した今日におきましても、これを予防しまたは治療する的確な方法がないのであります。しかもこの病気は、その病原虫の微細なる幼虫が特定地域における穀倉地方の田畑の間の小溝などに発生浮遊いたしまして、人間はむろんのこと、牛馬などの哺乳類の健全なる皮膚を通して体内に侵入いたし、肝臓や血管を侵して、勤労不能の状態に陥らしめ、ついには死亡せしめるという恐るべきものでありまして、山梨や、広島、福岡、佐賀などの各県を初め、有病地方におきましては、農民や学童などその罹病率がきわめて高い状況にありまして、まことに悲惨のことでありますのみならず、農耕その他日常生活に重大なる障害を与えているのであります。
このような事情に対処いたしまして、数年前から政府におかれましても、現行寄生虫病予防法の規定を適用して、病原虫生息地帯の公共団体とも協力して、この病気を撲滅いたすために、その病原虫の中間宿主である宮入貝と申す特定の巻貝を根絶する方策を講じ、その方法として国費の補助によりまして、これが生息地帯における溝渠のコンクリート化を行わせて参ってきておりますことは各位のすでに御承知のところと存じます。しかしながら、この数年の経過にかんがみますと、この病気が地方病でありますこと、また財政支出などの関係に災いされまして、さきにも申し述べましたように、この病気がゆゆしいものでありまして、放置することを許し得ないものであるにもかかわりませず、このままの状況では本病の撲滅も百年河清を待つのたとえの通りでありますので、ここに今回寄生虫病予防法の一部を改正いたしまして、法律上明確に本寄生虫病の撲滅対策を取り上げ、昭和三十二年度以降おおむね十手を目標としてこの病原虫の生息地帯において施設するコンクリート作りの溝渠新設の基本計画並びに各年の実施計画を国において定めることといたすとともに、これがための公共団体の費用に対する国費負担の割合を要すれば政令をもって引き上げることができることといたしたいと存ずるものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/9
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010・佐々木秀世
○佐々木委員長 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/10
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011・滝井義高
○滝井委員 寄生虫病予防法の一部を改正する法律案衆法第三二号につきましてはその提案の理由はただいま内田君から御説明のありました衆法第四九号とおおむね同趣旨でございますので、その説明を省略いたしたいと存じますから、御了承をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/11
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012・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。
次に両案はいずれも予算を伴う法律案でありますので、この際内閣に御意見があれば発言を許します。山下政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/12
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013・山下春江
○山下(春)政府委員 ただいま議題と相なっております法律案につきましては今後の財政負担の問題もあり、国庫負担率の引き上げについても慎重に検討する必要がありますが、住血吸虫病の被害にかんがみ、計画的にその予防措置を講じようとされる御趣旨は了とされますので、やむを得ないものと認めて善処いたしたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/13
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014・佐々木秀世
○佐々木委員長 次に質疑に入ります。眞崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/14
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015・眞崎勝次
○眞崎委員 今回政府が日本住血吸虫病の予防、撲滅のために当該公共団体と協力されて来年度以降十カ年にわたりコンクリート溝渠新設の基礎計画を定むべきことを法定するに至りましたことは、同病害の惨状にかんがみましてまことに時宜に適した措置と考えまするが、さらに政府は地方財政窮乏の現状に照らしましてこの際本改正法律の規定に基き国庫負担率の引き上げを行なって、これが完全実施を敢行すべきものであると考えますが、これに対する政府の御所信を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/15
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016・山下春江
○山下(春)政府委員 ただいまの眞崎先生の御質問にお答え申し上げます。本改正案によりますと、補助率は政令で引き上げることができるように相なっております。補助率の引き上げにつきましては慎重に考慮いたさなければならない問題であると存じますが、御趣旨を尊重いたしまして、厚生省としてはできるだけ努力いたしたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/16
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017・滝井義高
○滝井委員 政府にちょっとお伺いしたいのですが、日本には非常に多くの寄生虫によりますところの伝染病があるわけです。今回幸いこういう疾病に御理解のある議員諸君の力によりまして寄生虫予防法の一部を改正する法律ができようとしておるわけでありますが、一体この日本住血吸虫病のほかにいろいろ寄生虫による病気があるわけであります。それらの病気は一体政府はどういう考えを持っておられるのか、その取扱いについてこの機会にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/17
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018・山下春江
○山下(春)政府委員 この住血吸虫病のほか寄生虫の蔓延により人体が害されておる点は、滝井先生と私全く意見を同じゅうするものでございまして、とかく寄生虫の予防に対しましては厚生省も全力を傾けてはおりますが、まだ十分とは言えない面が多々ございます。今後こういう問題につきましては十分な検討をいたしまして、これの対策を確立しなければならないものと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/18
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019・滝井義高
○滝井委員 政府の方でその他の寄生虫につきましても御努力をいただくということでございました。幸いこの日本住血吸虫病というものは比較的人口に膾炙をしており、特殊な地帯に発生する風土病的な性格を持ってはおりますが、比較的名の売れたものがクローズ・アップされて、その他のものがそのためにみな縁の下の力持ちになるというようなことがあってはならぬと思うのです。一つこの寄生虫予防法の一部を改正する法律案を契機として、さらに政府は来年度全般的な寄生虫病予防のための対策をやはり立てるべきであると思うのです。その点に対して政府の御所見をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/19
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020・山下春江
○山下(春)政府委員 滝井先生の御心配と私もしろうとでございますが全く同じ心配をいたしておりまして、たとえば十二指腸虫病のごときは、むしろ日本の肺結核の温床とさえ私は考えておるのでございまして、来年度等には予算措置をいたしまして十二分にこの点について努力をいたしたい覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/20
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021・中山マサ
○中山(マ)委員 関連してちょっと伺いたいのでございますが、これによるところの死亡率でございます。私がいつか厚生省におりますとき山梨に参りましたときに、ある農夫は私に、自分の家内はこれによって三人、今もらっている嫁は四番目の嫁である。三人ともこの病気で死なしたというので、その位はいを見せていただいたのでございますが、年間どのくらいの人が死亡しておりますか。一人の人の家内が三人も死んだということは、ある意味では非常に死亡率が高いものであると思いますが、参考までに一つこれによる死亡率とほかの寄生虫による死亡率との比較を一つ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/21
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022・楠本正康
○楠本政府委員 お答えを申し上げますが、まず日本住血吸虫病によります死亡につきましては、率としては必ずしも精細に計算ができませんが、死亡者は年々直接住血吸虫で死亡いたします者は七十人ないし八十人を数えております。しかしながら実際にはこの病気は慢性あるいは肝臓障害等を伴いますので、間接的に死亡いたすものにつきましてはおそらく相当の数に上るものと考えられております。
なお第二点に他の寄生虫の死亡率でございますが、これも御承知のように感染率、発病率というものが必ずしもはっきりいたしませんので、率として計算いたすことはできませんが、たとえば回虫の障害によって直接死亡いたします者は年々約六千人に達しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/22
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023・中山マサ
○中山(マ)委員 そういたしますると、当節ラジオの放送を聞いておりますと、肝臓のお薬というものの宣伝が非常に激しいのでございますが、今のお話を聞いておりますと、これは間接に肝臓病にいって死ぬ人が非常に多い。今肝臓病で死んでいる人はどれくらいあるでございましょうか。肝臓のお薬が非常に宣伝されております。商業放送を聞いておりますと、薬の宣伝の八〇%くらいは肝臓の薬の宣伝だと私は思います。これによってそこへくるというような詳細なお調べはついておりますでしょうか、どうでしょうか。また肝臓病で死亡している人の数はどんなものでございましょうか、お聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/23
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024・楠本正康
○楠本政府委員 肝臓の障害が最近いろいろ言われておりますが、しかしながら私ども専門的に考えますと、最近特に肝臓病が多くなったものとも考えられません。つまり以前からあったものが、最近診断の進歩、治療の進歩、薬剤の進歩等で表面に出てきたものと存じます。なお最近非常に問題になりますのは、ただいま御指摘のように商業放送の宣伝の結果がかなり力があるものと、かように考えられます。なお住血吸虫病と肝臓の関係につきましては、もちろんこれは至大な関係がございますが、ただ住血吸虫病は何と申しましてもきわめて局所的な流行病でございますので、必ずしも全国の肝臓疾患と関係あるものでは毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/24
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025・亀山孝一
○亀山委員 今度の内田君等の提出されました法案は、まことに時宜を得たものと思うのでありますが、先ほどの滝井委員の御質問にも関連いたしましてお伺いしたいと思うのであります。それは従来寄生虫予防の問題が、不徹底に終ったということは、一に国庫補助が少いということでございまして、これに伴い府県市町村等の負担が非常に多かった、これが寄生虫病の予防、ことに今問題になっております住血吸虫病等についても遺憾な点があったと思うのですが、今回の改正案によって、内田君は、地方の負担をなるべく軽減されて、大いに国の費用を出さなければならぬということをお考えになっておることと思いますが、それに対します御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/25
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026・内田常雄
○内田委員 厚生省の政務次官以下がおられますが、御承知のように現在寄生虫病予防法でこの対策としてもっぱら行われておりますところのコンクリート溝渠を作る、これの予算が一番多いのでありますが、これに対しましては、現行法では施設をする末端の市町村が全経費の三分の一を負担する、それからこれに対して関係の都道府県が残りの三分の二を負担する。都道府県が三分の二を負担したうちの二分の一を国が見てやる。結局市町村が三分の一、府県が三分の一、国が三分の一ということになっておりますが、ただいま亀山君から御質問のように、この計画を十カ年で推し進めて参りますと、私どもの考えでは、どうしても現在やっておる仕事の三倍ぐらいの仕事をやらなければ十カ年ではこの仕事はできない。そうなりますと、全体の費用が三倍になるわけでございます。その際に、現行の補助率で申しますと、府県、市町村のそれぞれの負担が非常にふえて参りますので、それをどうしても国でカバーをしてやらなければならぬ。そのためにこの法律案を提出したおもな理由があるのでありますが、その際私が考えますのは、一ぺんに国の補助率を引き上げるということも、財政事情から——仕事もふえることでありますから大へんでありますが、少くとも市町村並びに府県の負担率を現行の三分の一から四分の一あるいは五分の一あるいは社会党の御提案のようにできますならば六分一程度に減らして、その反面国が負担する分を四分の二なりあるいは五分の三なりあるいは六分の四なり、こういう方向にぜひふやして参るように政令を、これは厚生省に御尽力を願って作っていただきたい、かようなつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/26
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027・亀山孝一
○亀山委員 ただいま内田君の御希望の点は全く同感です。ことに今御案内のように、地方財政が非常に窮乏しておる、そのときに、この有効な施設をやっていただくあるいはどうしても国の費用を相当にお出しにならなければ、実行できません。従ってこの地方団体の経費をなるべく少くして実行のできるようにやっていただきたいと思うのでありますが、一般の寄生虫病の国庫の補助率を大いに増すという以外に私の記憶ではこの住血吸虫病に対してはかって他の寄生虫病に使った補助率の規定があったと思うのです。ほとんど半額以上国庫で負担した例があると思うのですが、今回はそういうようなお考えはあるのかないのか、一つ厚生当局にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/27
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028・楠本正康
○楠本政府委員 現在住血吸虫につきましては、その重要性にかんがみまして、特に従来といえども、現行法の範囲内において単独で国庫補助をいたしております。ところが他の寄生虫対策につきましては、以前から地方交付税の計算の中に組み入れられておりますために、ややもすると組み入れただけが使われないといううらみはございますが、予算措置はさような方式で実施をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/28
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029・亀山孝一
○亀山委員 今楠本環境衛生部長の御説明にありましたように、この寄生虫予防法の国庫補助が地方交付税に繰り入れてあるということが、結局寄生虫病が撲滅できない原因の大なるものであると思うのであります。この点は幸いに提案者である内田君が大蔵省系統の御出身でありますので、よくその点はお考えになっていただきたいということと、もう一つは先ほど申し上げたように、往年山梨の住血吸虫病に対しては特別の補助をしたことがあるのです。その点も一つお考え合せになりまして、従来のような一定の寄生虫病のワクの補助金ではとてもこういう事業はできません、そういうことを提案者である内田君によって、さらに今後努力せられることを希望いたしまして、私の質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/29
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030・中山マサ
○中山(マ)委員 私この寄生虫病に悩まされておる県を考えてみますると、山梨県、佐賀県、いわば日本の貧乏県であると思うのであります。御承知の通り、佐賀県も——私、九州の人間でまことに失礼なことを言うようですけれども、大阪府あたりとは違いまして、日本の気の毒な貧乏県であると思うのであります。ことに私が知っている範囲内では、婦人だけが非常に死んでおるという面も考えまして、これは婦人対策でもあると思いますので、一つ貧しき者を助けるということは最もいいことだと思いますので、どうぞ一つこの貧しい県を助けていただきたい。私が佐賀に行ってみましても、あまりに産物がなく、山梨県も山国でございますのでブドウくらいを作っているのが山梨県のありさまであります。私は政令をもってしかじかするという点におきましては、厚生省のがんばり方一つであると思います。環境衛生部長が一生懸命にやっていただきますれば、私は何とかなるのではなかろうかと思いますので、貧しき者を助けるという経済面でも、一つぜひ格段の御努力を願いたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/30
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031・八田貞義
○八田委員 この法案に関係いたしまして、質問いたしたいと思いますが、先ほど提案者の内田さんから十カ年計画をもって撲滅対策を考えておるのだ、こうおっしゃったのでありまするが、その十カ年計画の基本でありますが、内田先生は山梨県の御出身でございまするが、山梨県の有毒地域、これは一体何万町歩くらいあるか。市と町村に分けられて、何市何町村ということをはっきりおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/31
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032・内田常雄
○内田委員 先ほど私の提案理由の説明でも申し上げましたが、この寄生虫病は地方病でありまして、山梨とか佐貫、福岡、広島などに最も多いと思うのでありますが、そのほか岡山県とか三重、千葉などというように、地域は散在しまして、全国の有毒地の面積は私の手元にあります資料によりますと約二万町歩、しかもこれがおおむね水田地帯、穀倉地帯でありますから、二万町歩とは申しますけれども、限られたところのほとんどその地方全体という数字になっております。そのうちで自分の県のことでありますけれども、わが山梨県が二万町歩ばかりのうちで一万五百町歩くらいを占めておりまして、山梨県の耕地面積は御承知のように三万町歩余りでありまして、そのうち水田は一万二、三千町歩でありますけれども、その水田のおおむね九割というところが、いわゆる有毒地域ということになっております。それに次いで多いのは、福岡、佐賀、広島等で、それぞれ一千町歩近い有毒地帯を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/32
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033・八田貞義
○八田委員 山梨県の持つ水田の九割近くが有毒地域である、大体一万五百町歩というお話があったのでありますが、私の知るところでは、一万町歩ぐらいであって、一市五十八町村が有毒地域である、こういうように聞いております。そうして全国で二万町歩ですね。それで、この説明の中にありましたが、これを予防し治療する適当な方策はないと書かれているのでありますけれども、私は予防にはいろいろな方法があると思う。それで今のこの提案は、単に溝渠のコンクリート舗装ということだけが予防の唯一の措置であるかのごとく了解するのであります。この点につきまして楠本部長に、予防としてただ溝渠のコンクリート舗装だけが唯一の方法であるか、これが一番決定的な方法であるかということについて、参考までに一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/33
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034・楠本正康
○楠本政府委員 現在予算といたしましては、溝渠のコンクリート化に最も莫大な経費を要しておりますが、しかしそのほか薬剤による宮入貝の撲滅を実施いたしております。これらは主として石灰窒素等を使用いたしております。その他雑草の整理、あるいは特に雑草のアセチレンによります焼却、あるいは糞便による虫卵の散布を防ぎますために肥料として用いる糞便はできるだけ腐熟してから使用するというような方法を用いまして、総合的な予防対策を立てている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/34
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035・八田貞義
○八田委員 それからコンクリート捕装をすればどうして宮入貝を生息できないようにできるのだという理由を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/35
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036・楠本正康
○楠本政府委員 宮入貝の生息上の習性から考えまして、草むら——草がはえたり、ヨシがはえたり、あるいは土砂がまじっているようなところに、しかもそういう水たまりに好んで繁殖いたしますので、溝渠を作りまして流れをよくし、しかも雑草等のはえないようにいたしますと、やがて宮入貝というものの生息ができなくなってくるという成績から、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/36
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037・八田貞義
○八田委員 雑草の汚染はもちろん考られますが、コンクリート舗装だけは雑草のやぶ、そういったものの撲滅ができないわけでありまして、これは火炎放射をして焼き払うという方法をとらなければならぬ。そこで私はコンクリート舗装をするのは流速、水量を加減するのが一番大きな目的だと考える。ところが実際にこの二つの目的が正しく実行されてない面がたくさんある。それを厚生当局において、単にコンクリート舗装をすれば宮入貝の発生を防ぎ得るのだということで指導されていくと、間違った指導方法になります。実際の目的は水量と流速にあるのでありますから、この点を正しく地方に、その有毒地域に御指示下さることをお願いするのであります。
それからもう一つ治療問題でございますが、治療問題について、ここにも適当な方法がないと書いておられるのでありますが、私はそういうふうに了解しておらぬのでありますけれども、これについて厚生省で現在治療方法についてどういう方法があるか。もちろんこれは急性症の場合と慢性症の場合とに分けなければならぬのでありますけれども、急性症よりも慢性症の方が多い。しかも慢性症の場合には作業能力を減弱するので、治療方法も違った方法をとらなければならぬのでありますけれども、現在どのような方法が学界において、また治療界において用いられて、どれくらいの効果を上げているかという点についてお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/37
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038・楠本正康
○楠本政府委員 第一番の御指摘の溝渠の流速その他については全く御指摘の通りでございまして、要はせっかく作った溝渠が宮入貝の生息のできないように維持管理することがきわめて大事でありまして、今後はかような維持管理の面で一そう地方の指導を徹底いたしたいと考えております。
なお治療につきましては、いろいろ目下研究もされておりますが、現在卵保有者につきましては、主としてアンチモン製剤を授与して駆虫いたしております。その他現在試験的にはいろいろな方法が行われておりますが、いずれにしてもいまだ卓効のあるものをつかみ得ない現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/38
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039・八田貞義
○八田委員 この問題はそれくらいにしますが、最後にさらにお願いしておきたいことは、ただいまの維持管理という面が一番大切だということです。単に国庫補助をふやすといっても、地方財政との関係もありますので、これが百パーセント効果を上げるためには、維持管理という面が一番大切なことでありますから、この水量、流速という点についてはっきりとした指導をされることをお願いいたします。それとともに、これは宮入貝ばかりではございません。人糞の処理問題、それからいろいろな哺乳動物の糞便の処理問題について、さらに厚生省で考えられておる現在の方法でけっこうでございまするから、指導を一段と強化されんことをお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/39
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040・佐々木秀世
○佐々木委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑は終了したものと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/40
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041・野澤清人
○野澤委員 ただいま議題となりました両案は同一趣旨の法律でありますので、これを併合して一案となし、題名は両案の通り寄生虫病予防法の一部を改正する法律とし、内容はお手元に配付いたしました通りでありますので、内田常雄君外三名提出の案と同一といたしまして、修正議決せられんことを望み、動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/41
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042・佐々木秀世
○佐々木委員長 それでは両法案及び野澤清人君提出の併合修正の動議の三条を一括して討論に入ります。
これらの討論に関しましては通告もありませんので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/42
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043・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、討論は省略することに決しました。
これより採決いたします。野澤清人君より提出されました併合修正の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/43
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044・佐々木秀世
○佐々木委員長 起立総員。よって動議の通り両案はこれを併合して一案となし、題名は両案の通りとし、内容は内田常雄君外三名提出の案と同一として修正議決すべきものと決しました。
なお両案に関する委員会の報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/44
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045・佐々木秀世
○佐々木委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/45
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046・佐々木秀世
○佐々木委員長 次に日程を追加して、へい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律案並びに採血及び供血あっせん業取締法案を一括して議題とし、審査を進めます。
趣旨の説明を聴取いたします。山下政務次官。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/46
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047・山下春江
○山下(春)政府委員 ただいま議題となりましたへい獣処理場等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
最近、市街地または住宅地域等における養豚場及び養鶏場等のいわゆる畜舎が、蚊やハエの発生の根源地となり、あるいは飲料水を汚染し、または悪臭を放つ等環境衛生上きわめて好ましからざる状態を現出していることがしばしば指摘されるのでありますが、政府が昨年来三カ年計画で提唱して参りました蚊とハエのいない生活実践運動をさらに実効あらしめるためにも、これらのいわゆる畜舎の指導取締りを強化することが各方面より強く要望されているのであります。政府といたしましては、これらのいわゆる畜舎についての指導取締りを適正化するとともに、へい獣処理場等の施設の構造設備について具体的な基準を設けることによりまして、これらの施設の適正なる運営を期し、もって環境衛生の改善向上をはからんとした次第であります。
これがこの法律案を提案した趣旨でありますが、次に改正のおもな点を申し上げますと次の通りであります。
第一点は、清掃法で規定いたしております特別清掃地域のうちから、都道府県知事が指定する一定の区域におきまして、一定数以上の牛、馬、豚、綿羊、ヤギ、犬、鶏、アヒルを飼養する施設を設けた者に対しまして、届出義務を課することとしたことであります。
現行法におきましては、牛、馬、豚等の獣畜の飼養または収容施設については単に衛生措置等の規定が準用されることになっており、これらの施設の指導取締りの面において必ずしも十分とは申しがたい点がありましたので、今回、さらに、犬、鶏、アヒルをも含めて、これらの動物を一定数以上飼養または収容する施設については、届出制を実施することとしてその指導取締りの徹底を期することといたしたのであります。
第二点は、へい獣処理場及びいわゆる畜舎の構造設備の基準を政令で明確に規定することといたしたことであります。
現行法におきましては、へい獣処理場の構造設備に関する明確な基準がないために、これらの施設の維持管理について適正な指導取締りができ得ない実情であったことにかんがみまして、今回、構造設備の基準を政令で定めることといたし、施設の衛生的管理を十分ならしめることにより環境衛生の改善向上をはかろうとするものであります。なお、いわゆる畜舎につきましても届出制を採用する機会に、右と同様の措置をとることといたした次第であります。
以上がこの法律案の提案理由及び概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に採血及び供血あっせん業取締法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
人の血液から製造される医薬品である保存血液、人血漿その他の血液製剤の品質等につきましては、薬事法の規定によって指導取締りが行われ、また、患者に対して輸血を行う場合の保健衛生上の危害防止につきましては、これを行う医師、歯科医師の責任において行うよう、医師法、歯科医師法に基いて指導がなされているのでありますが、血液製剤の利用が盛んになるにつれて、その原料となるべき人血が血液製剤以外の物に利用されるため、医療上不可欠の血液製剤等に不足を生じることのないよう規制するとともに、たとい血液製剤等の原料とする場合でありましても、採血という行為が行われる機会が必要以上に多くなりますと、被採血者の保健衛生その他の保護に欠けるおそれがありますので、これを防止する必要も生じて参りました。また、輸血のための血液を提供する者については、これを病院等に対してあっせんする業者がありまして、これに対しては、昭和二十年に輸血取締規則が制定せられていたのでありますが、独立命令でありましたために、昭和二十二年に失効し、その後は、これらの業者に対する取締り法規がなく、全く放任ざれた状態にありますために、とかく供血者に対する搾取、その他の弊害が起っている実情にかんがみまして、これらについても、開業に当って許可を受けさせ、あっせん手数料を制限する等、ある程度の取締りを行うことが必要であります。これらの必要性を考慮いたしまして、人の血液の利用の適正、血液製剤の製造等に伴う採血に当っての危害防止及び供血のあっせん業等における被採血者の保護を目的として、本法案を提出いたしました次第であります。
次に、この法案の大要について、御説明申し上げます。
第一に、採血及び人の血液を原料とする物の製造の制限であります。本来、採血という行為は、医療等やむを得ない目的のため以外には認めないようにすることが保健衛生上必要でありますし、従って、血液を原料とする物の製造についても、これが血液製剤等不可欠な物の原料に限らなければならないのでありまして、その意味で、医療、学術研究または血液製剤等の原料とする目的以外の採血を禁止するとともに、血液を原料としての物の製造は、原則として血液製剤等に限ることといたしております。
第二に、血液製剤等の原料とする目的で採血する業者については、その業務所ごとに厚生大臣に申請させ、一定の条件に適合しないものについては、許可を与えないこととし、さらに必要に応じて採血量、血液の買い入れ価格等について指示することができることとして、血液の利用の適正及び被採血者の保護をはかっております。
第三に、供血あっせん業の取締りであります。輸血の用に供する血液の提供者をあっせんする、いわゆる供血あっせん業者は、現在、何ら法的規制の対象となっておりませんために、とかく血液提供者に対する搾取その他の弊害を生じている傾きがありますので、これを都道府県知事の許可にかかわらしめ、悪質な者に対しては許可を与えないこととし、また、許可を受けた者に対しても、あっせん手数料の制限、業務上守るべき義務等を規定して、弊害の防止をはかっております。
第四に、血液製剤の原料としてまたは輸血のために人体から相当多量の血液を採取する者につきましては、事前の健康診断及び貧血者等から採血してはならない旨の義務を課することによって、被採血者の健康の保護をはかることといたしております。
以上が、この法律案を提案するおもな理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられるよらお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/47
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048・佐々木秀世
○佐々木委員長 以上で説明は終りました。
なお本案に関する質疑その他に関しましては、後日に譲ることといたします。
次会は明十九日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404410X04619560518/48
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