1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月三日(火曜日)
午前十時五十三分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 長谷川四郎君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
内田 常雄君 大倉 三郎君
菅野和太郎君 椎名悦三郎君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
田中 角榮君 田中 龍夫君
中村庸一郎君 野田 武夫君
南 好雄君 森山 欽司君
山本 勝市君 伊藤卯四郎君
加藤 清二君 佐竹 新市君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
帆足 計君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
出席政府委員
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(通商局長) 板垣 修君
通商産業事務官
(通商局次長) 樋詰 誠明君
通商産業事務官
(鉱山局長) 松尾 金藏君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 爲治君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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三月三十一日
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
同月三十日
中国における日本見本市開催の陳情書
(第四六〇号)
コカコーラの輸入反対に関する陳情書
(第四六一号)
対共産圏に対する輸出統制緩和に関する陳情書
(第四七五号)
下請代金の遅延等防止措置に関する法律制定
に関する陳情書
(第四八九号)
石炭産業振興対策確立に関する陳情書
(第五一三号)
外産こんにゃく原料の輸入促進に関する陳情書
(第
五一四号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六八号)(参議院送付)
バナナ等の輸入問題に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/0
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
この際理事会の申し合せにより、バナナ等の輸入問題に関し調査を進めることとし、石橋通商産業大臣に対する質疑を継続いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/1
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002・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よってバナナ等の輸入問題に関し、石橋通商産業大臣に対する質疑を継続いたします。佐竹新市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/2
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003・佐竹新市
○佐竹(新)委員 先般私はレモンの問題に対しまして通産当局に質問いたしたのでありますが、その後の通産当局の事務的な報告がなされておりませんので、それをこの機会に簡単に御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/3
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004・樋詰誠明
○樋詰政府委員 その後の調査に基きましてレモン輸入の経緯について申し上げます。
この発端は、二十八年の十一月三十日付のバーター契約の許可に基きまして、牛、豚類を輸出し、柑橘類、アズキ、ピーナツといったようなものの輸入をするというバーター契約の許可を受けたわけでございます。これに基きましてバーターに伴う——これは輸入先行の円山エスクロー方式という形式のバーターであったわけでありますが、このバーター契約に基きまして、無為替輸入の円エスクローでございますので外貨を必要としないということで、無為替輸入の許可を同日付でいたしたわけでございます。その際に通産省の万といたしましては、バーター・ライセンスというものが常にこの無為替の書類について回る。そこで両方足してみた場合には当然、輸出先が香港ということになっておったわけでございますが、物資も当然そこのものが入る、そういうふうに考えたわけでございます。この際に見返りの輸入物資の中に柑橘類というのがございましたが、これは植物防疫の関係で、北緯二十三度以南の地域からは柑橘類を入れることはできないということになっておったのでございまして、これははなはだ申しわけない事態で、私も今はなはだ遺憾に存じておりますが、そういう片方で植物防疫の取締りの規定でひっかかるということがあるにもかかわらず、その間の審査不十分ということで一応バーター物資の中に、柑橘類というものが入ったバーターの許可をしたというのがそもそもの発端であったわけであります。その後先ほど申し上げましたが、ホームCと称します無為替輸入の輸入関係の書類というものには、特に原産地中共といった規定がなされておらなかったということに、また行政上のミスがあったということでありまして、それに基きまして、アメリカ産の柑橘類が二十九年に到着したわけでございます。この際税関といたしましては、一応輸入許可書の条項そのものには直接に反しないということで、米国産の通関ということが二十九年になされたわけでございます。ところがその中に相当腐っておるといった品物があったということのために商業上のクレームが生じまして、そのクレームに基いて当然腐った分は金として受け取らなければならないということになったわけでございますが、金でなしに物で回収するという方法を認めてございますので、それをわれわれの方では債権の回収免除、こういっておりますが、クレームによる債権の取り立てを免除いたしまして、金で取ることを免除いたしまして、物を入れるということを許可したわけでございます。それが二十九年の十二月のことでございます。二十九年十二月に許可いたしまして、そして当初は三十年の二月までに入れるということで、債権回収を認めたわけでございますが、二月までには全額回収できないということで、一心三十年の六月までさらに四カ月延はしてもらいたいという延長の申請が出て参りました。これを許可したわけでございます。ところが六月に至りますまでの間に、さらに四月に至りまして、現地におきますレモンの作柄が必ずしもよくない、適品が集まらないといったようなこと、あるいは輸送関係が非常に窮屈だといったような理由もありまして、さらにそれまでの四、五カ月の間の実績に照らして、この程度しか持ってこられないのだということで、三十二年、来年の六月まで二カ年間延長を許可してくれという申請が出たわけでございます。われわれの方といたしましては、原則として債権の回収でございますので、これは全部とらなければ日本の損になるという立場から、一般的に債権の回収というものは全額とるまで認めるということでやっております。実際の問題といたしまして、たとえば発注者が内地において非常に金繰りに困っている。今すぐ持ってこられても国内需給上必ずしもその生産品をそれだけ必要とするかどうか急にわからないといったような特殊な事情で、注文先に対しまして、少し生産を待ってくれといったようなことからいろいろ影響するといったようなことはございますが、一般にはそういう二カ年にもわたる回収免除の延長をしたということはほかに例がないわけでございます。この点は事実の調査、果してほんとうにその理由がそうであったかどうかということに関しまする実情調査という点においてはなはだ不十分な点があったということは、率直に認めざるを得ないのでございまして、この二カ年間にもわたる延長を認めたということが、その後のいろいろの混乱ということを来たしたのではないか、こう感じますので、その点事務処理の衝に当っております通産省といたしましては、はなはだ申しわけないと感じておるわけでございます。たまたま国会におきまして、この問題をお取り上げになりまして、いろいろ御質問等もいただきましたので、先週この委員会のあとで急遽当初からの書類全部に当りまして自分で調べてみました。その結果、さきにも申し上げました二年間延長しなければならぬというものが相当に怪しいのではないかというような点を認めると申しますか、発見したわけでございまして、この点につきましては、先週末直ちに産地であるアメリカの太平洋岸の四つの総領事館に、当時の生産状況あるいは輸送状況といったようなことについての調査を現在依頼してございますので、一両日中のうちにはその調査結果が来るのではないか、こういうふうに考えております。さらにこの申請されました際の単価そのものが、これはほかに比べて非常に安いといったような点等もございますので、あわせて当時の価格その他についての調査を依頼してございますので、その調査の結果が判明次第——場合によってはこれは虚偽の申告というようなことに基いて役所を錯誤に陥れてこれだけの行政処分をさせたということにもあるいはなるかもしれませんが、まだそういうふうな調査の結果がわかりませんので、その結果が判明して、かりに不幸にしてそういう事実がはっきりわかったということでありましたならば、さらに輸入の許可期間というものは現在も続いておるわけでございますが、今後の分につきましては、政府といたしましてできるだけの善処をさせていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお債権回収額と申しますもののうち大部分はそのまま債権として残っておる格好になっておりますので、もしも今の事情が判明いたしましたならば、残りの分につきまして、役所としての善処をさせていただきたいと思います。そもそも植物防疫法の関係で輸入できないといったようなものについて、その関係の調査不十分というようなことから、これは最初から事務的にも相当、ミスを重ねております問題で、これは事務をおあずかりしております通産省通商局といたしまして、はなはだ申しわけないと思っておりますが、今後の分につきましては、できるだけ善処するということで本件は御了承をいただきたいというふうに思っておりますが、調査結果につきましては判明次第またあらためて御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/4
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005・佐竹新市
○佐竹(新)委員 樋詰次長はその当時の担当官でなかったのであなたに責任があるとは思わない。しかしながら、こういうような動植物の検査の法律があるにもかかわらず、そういうものに気がつかないということで輸入の許可をしたということは、常識上どう考えても納得がいかない問題です。しかも私は、名前は申し上げませんが、某有力者が当時山口県の関係で通産省に運動しておるのです。これは政治家であります。その結果がこういうことになっておる。だから通産省のいわゆる輸出入の問題に対しては、そういうような政治的な圧力を加えて無理をさせておる。この問題は通産省の責任のみならず、またそうした政治的な圧力を加えた某代議士などはけしからぬ、こういうように思うのでわれわれは追及しておるのであります。そういうことが行われると、幾ら法律を作っておいても通産当局が強い政治力によって圧迫されて無理をやらされることになる。それでそのことが成功したとき、そこに何が生まれるかということははっきりしておるわけであります。この点に関しまして、こういう法律を犯してまで、しかも二カ年間処長するというようなことは、今樋詰政府委員から申されたように、こういうことはほとんど行われていないのです。こういうものにまで一商社に特点を与えておる。今の馬の問題でも非常にデリケートな問題がある。まだ馬の問題は解決していないのでありまして、これは掘り下げるほど問題がうるさくなっていくと思います。そういうことに関しまして通産大臣はどのようにお考えになっておりますか。どのように責任を感じておりますか。何といっても結論的には大臣の決裁を経なければこういうことはできないのだから、そうすると今まで判を押されたのはめくら判を押されたという結果になると思います。これはよく考えてもらわなければならぬ。この点を大臣はよく考えていただかぬと、今後に問題が残ると思いますので、この際大臣から明快なる御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/5
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006・石橋湛山
○石橋国務大臣 樋詰次長がその当時の係でなかったと司様に、私もその当時は多分関係しておらなかったと思いますが、この具体的な問題それ自身は初めて聞いたわけであります。しかし通産省がそういう輸出入の物資についてもこまかい制限、許可その他があるために、ややもすればいろいろの問題を起しかねない立場にあることは非常に残念であります。ですから根本から申せば、そういう制度がなるべくないように、そんな問題が起らないようなすっきりした制度に早く変えたいというのが私の現在の念願でありますが、そうかといって、すぐにこれをどうするというわけにも参りませんので、私の時代になりましてから、断じて外からのいろいろの運動に動かされないようにちゃんとやっていくよう、ある代議士から頼まれたからといってそのために事を曲げるということは絶対にしない方針でただいまやっております。過去の問題につきましては、もし以前に起ったことで誤まりがあるならばこれから訂正します。将来においては、もちろんお話のようなことで法規その他を曲げて勝手なことをするということは絶対にやらない方針でありますから御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/6
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007・佐竹新市
○佐竹(新)委員 通産大臣にこの機会にお伺いしますが、ホテルに、やはり化粧品であるとか、あるいは今のレモンであるとか、オレンジであるとか、洋酒であるとが、いろいろな、われわれから見るとこれも一極の特定物資ですが、そういうものは年間百万ドル以上、百何十万ドルというものが割り当てられておる。帝国ホテルだけでも二十五万ドルです。しかもこれはホテルが輸入するのじゃないのです。みんな輸入許可証をいわゆる権利をつけて特定の商人に売っておるのです。そういうようなことをやっておくところに通商大臣はいけない点がある。ホテルは輸入したものを成規の手続を経て買うたらいいのだ。ホテルに特殊な権利を与えて、しかも百万ドル以上の外貨の割当をやって、そしてそれがホテルのぼろいもうけになる。だから国内の市場へ流れればどうしても目の先にちらつく。一体通産大臣はレモンをどのくらいと思われるか。レモンは大体われわれの話でいったら三百五十個入りで六ドルぐらいです。もうすでに輸入許可証が一箱何千円で取引されておる。その大切な外貨を使ったレモンが神田の市場へ出たときにはどうなるか。このレモンというものは映画俳優やら外国人やら、高級のいわゆる令嬢淑女がふろの中に入れて化粧用にしている。高級美容料に使っている。だから高くなる。三倍になるんですよ。そうするとかりに外貨を割り当てられたときには十二ドルにしても、向うで買い付ければ六ドルぐらいで買われる。そして国内へ持って帰れば一箱一万五、六千円もするというべらぼうな値段になって神田の市場へ出る。どうしてそういうことをやられるか。成規な輸入業者がちゃんと輸入して、それでホテルへそれだけのものは優先的に何するとか、そういう一つの秩序を立てたルートを通じてやられたらいいと思うが、こういう点については通産大臣はどのように考えられるか。
ついでに政府委員にお聞きしますが、ホテルとかそういうような特殊な割当をせられるものの総額は全体でどのくらいでしょうか、それを数字的に示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/7
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008・石橋湛山
○石橋国務大臣 数字的のことはお話の通りあとから事務的に説明をしてもらいますが、ホテルに割当をやっておるということがいいか悪いかということは、なお町検討いたしますが、今までの考え方は、つまり観光事業というものに結びつけて、外貨獲得というようなことから、外人を取り扱うホテルには外人向きの必要品を使わしてやらなければならないというようなところから特に外貨割当があったと思います。それを今後なお続けてやるのがいいかどうかということは、お話もありますから検討いたしましょう。これは車なんかでもそうなんです。何も外国人の観光だからといって、アメリカの車でなくたってよかろうといいますが、これもしろうと論で、商売人から言わせると、やはり外国人の観光客のためには、道路も悪いからせめて自動車ぐらい高級車を入れてほしいという希望が、これはことに運輸省の方から非常に強くある。こういうようなことから、車などでも相当処置に悩んでおる点もあります。同じようにレモンその他の、あるいはウイスキーとかなんとかいうものもあるのじゃないかと田ふうのであります。しかしこれをこのまま今後続けていいかどうかということは再検討いたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/8
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009・樋詰誠明
○樋詰政府委員 ホテルに対します外貨の割当というものは、フレッシュ・フルーツのほかに、化粧品その他いろいろ御指摘のような品物について割り当ててあるわけでございますが、われわれの方といたしましては全体で大体三十年度三百万ドルばかりある、こう考えております。これは大臣からも今申し上げましたように、またこの前申し上げましたが、外貨獲得のためということで、外人がホテルに払った代金の五分の一程度を目標に運輸省と相談してやっておるわけであります。われわれの方といたしましては、これが市中に横流しされて、そして割当を受けた人間が反射的に、(「ただもうけをする」と呼ぶ者あり)ただもうけをするというようなことは、これはもちろん絶対にさせないということでございまして、現に観光収入も五千万ドルを越えるといったような格好にもなっており、片方に非常に大きな外貨の獲得ということをやっておりますので、一部にはあるいはそういう悪徳なことをやる業者もおるかもわかりませんが、われわれの方といたしましては、常に運輸省の方に対しまして、ホテルからの横流しというものがあるのであるならば、せっかくのわれわれの外貨の割当といったものが——これはほんとうの外貨獲得で、道路が悪い、自動車が悪い、ホテルは世界一高いといわれておるときに、ただでさえ高いというホテルでさらに物資を非常に窮屈にして、向うで非常に安く食えるものが高かったり、向うで安く手に入るものが日本のホテルでは何倍かするというようなことでは、ますます外客が日本を敬遠する、そういうことがないためにホテルで使われる限りにおきましては、やはりできるだけ外人が来やすいようにという方向で進むべきじゃないかということで、このホテルに対する割当をやっておるわけでありまして、いろいろ横流しといったような点がございますれば、この点につきまして今後さらに主務省でございます運輸省ともよく相談いたしまして、この横流しというようなことのないように取り締っていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/9
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010・佐竹新市
○佐竹(新)委員 外貨獲得はホテルだけじゃない。中小企業なんかどれだけ外貨獲得をしておりますか。これに対してこの間たった四億じゃないですか。そんなことではあまりに中小企業に対して酷だ。ホテルだけが外貨獲得をするのじゃない。そういうところに優先的なことをやって持たせるところが悪の温床を生みつけるという結果になる。そこで私は言っておるのですが、話を元に戻しまして、問題の藤井商店ですが、この藤井商店は債権のこげつきが総額どのくちいあったのですか。そしてそれはどういうケースになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/10
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011・樋詰誠明
○樋詰政府委員 当初債権というものは六万三千ドルあったわけであります。それに対しまして品物が到着いたしまして破損品があったというようなことから、結局問題になりました残った債権というものは四万七千ドルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/11
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012・佐竹新市
○佐竹(新)委員 われわれが聞いておるのは十二万ドルというように聞いておるが、それは違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/12
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013・樋詰誠明
○樋詰政府委員 これは先ほども私ちょっと申し上げたのでございますが、一箱三ドルという非常に安い価格でやっておりますので、税関を通関いたします際には税関の方でその三ドルを十ドルなりあるいは十二ドルなりという、そのときの普通の適当であると思われる価格に評価いたしまして、それに対して関税その他をかけるというようなことをいたしておりますので、税関の方を通りますときは税関の評価額ということでこの何倍かになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/13
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014・佐竹新市
○佐竹(新)委員 大体ホテルの外貨を割当されるときに、これは総額の中でなんですが、われわれが聞いておるのは一箱大体十二ドルということなんですが、そうするとそれが三ドルということはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/14
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015・樋詰誠明
○樋詰政府委員 これも先ほど申し上げたのでございますが、大体サンキスト・レモンの最近におけるシフ価格を調べますと、昭和二十八年には一箱大体七ドルないし十ドル、二十九年にはハドルないし十二ドル、三十年は十ドルないし十五ドルというふうに上っておりまして、最近では二月が十四ドル、三月は若干下りまして十二ドル、こうなっておりますが、お説のように大体十ドルはするという格好になっております。従いまして先ほど私おわび申し上げましたときにも触れたのでございますが、三ドルといったような値段そのものが果してほんとうに正当な値段であったかどうかということにつきましてこれは相当の疑問がございますので、果してこれがほんとうに向うの事情がどうであったかということにつきまして、今四つの総領事館を通じまして当時の事情並びに最近の事情というものの調査をいたしておる次第であります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/15
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016・神田博
○神田委員長 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/16
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017・佐竹新市
○佐竹(新)委員 私はここに問題があると思うのです。そういうようなことは普通の商社ではできないことです。それをかような特定の商社で、しかも今河野農林大臣と馬、河野農林大臣と、バナナ、河野農林大臣とレモン、これは馬とバナナとレモンと河野農相というパンフレットにしてもよう売れます。その馬の問題にせよ、バナナの問題にせよ、レモンの問題にせよ、この委員会でついてみて——馬はまだついておりませんけれども、これからつこうと思っておるけれども、これを見ると、だれが見ても、保守党の諸君といえどもあまりにもむちゃくちゃなんですね。私たち商工委員会ではこの輸入秩序を乱すという点についてはっきりとした回答をしていただかなければ了解できないわけです。まことに奇々怪々なんです。これをただ事務当局の責任だといって済ますというわけにはいかない。事務当局はもちろんよくなかったかもしらぬが、しかしこれに対する通産省並びに農林省関係も、これは動植物検査法を侵されておる。馬にいたしましても通産省との関係があり、バナナにしても今度の市場法との関係がある。こういうような政治的な責任はよけておいて事務当局があやまって非常に不注意でありましたということでは、この委員会では済まされないと思う。それに対する大臣の責任をはっきりと御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/17
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018・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は率直に申してレモンのことも馬のことも知りません。知りませんけれども、それは職責上責任をとらなければならぬ場合にはむろん責任をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/18
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019・佐竹新市
○佐竹(新)委員 話を返すようですが、これはバナナから発展しておるのですが、通産大臣も先般言われましたが、バナナはそういうふうにして多くの者に入札さして市場価格を安くする、これは川野政務次官も言われたし、河野農林大臣も言われましたが、逆に今日はどうですか、市場相場はもう一万円に近くなっております。せっかく外割をした華商も、あるいは全芭連にいたしましても、市場価格が非常に高くなっておるということは、いまだにLCも開設しておらぬ、台湾ではことしは豊作なんです。そうして入れておるものは何かというと、大体今月は八万かごぐらい入るのが例年の通例ですが、三万かごぐらいしか入れない。そうすれば市場価格は高くなる。台湾では出荷してくれ、出荷してくれというのに入れられないでおる。これは一体何をしておるのですか。国民に安いものを食わすというて反対に高いものを結局食わしておる。これはなぜかというと、そういうような無理が行われておるからである。こういうことは、通産大臣は幅の広い実力のある方ですから、あなた自身で抑えてもらうよりしようがない。できた始末をつけるということについてよほど考えていただかなければならぬと思うのです。私は他の委員諸君から質問があると思いますので、関連質問はまだいたしますが、これ以上追及することはいたしませんが、通産大臣はこういうことについていかにお考えであるか。市場価格を安くしようといっておきながら、結果においては高くなっておる。きのうの相場、きょうの相場は一万円に手が届くようになっておる。そうすると一体だれがもうけることになるか。結局国は差益吸収で吸収できるということになるかもしれないけれども、その結果は大衆が高いものを食わねばならぬ。あなた方が料理屋へいかれて料理屋でバナナを食べた場合に、前には一本が百円についたのが、今度は三百円ぐらい料理屋では取りますよ。それだけあなた方の財・布にこたえますよ。われわれはバナナを食うような何はないのですけれども、結局あなた方のふところに響く問題である。(「見たこともないし、値段も知らないよ」と呼ぶ者あり)こちらは追及しようと思ったら、市場を調べてきているからわかっておるのだ。こういう点について大臣はどう考えておるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/19
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020・石橋湛山
○石橋国務大臣 いろいろお話がありましたが、バナナにつきましては、日台協定が延び延びになっておりますので、暫定的に今までの協定をとにかく延長しました。従って必要があればバナナはいつでも輸入を発表することができます。価格等調べました上で必要と認めればバナナの輸入を発表したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/20
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021・山本勝市
○山本(勝)委員 関連して簡単にお伺いいたしますが、実は佐竹君が今触れられましたけれども、先般来の質問を承わっておりまして、佐竹君としては、現在の通産当局が特に失態をしておるように聞えるような口調で質問をされたように私は受け取ったのであります。しかしこの問題は、私は現在の通産当局が特にまずかったからこういうふうになったとは断じて思いません。私もしばらくでありましたが通産政務次官をいたしておったことがございますので、この問題を知っておりますが、現在の外貨割当制度をとっておる限りは、何人がその局に当ってもただいま申したような問題は免れないところだと思う。これは外国においても割当制をしいておるところでは必ずそれが起っておるのであります。私はそういう点について通産大臣はどうお考えであるか。つまりこういったことは、なお考慮する余地がないとは申しませんけれども、そもそも外貨割当制というものにおいて避けられない、ちょうど米の統制をやっておりますときに、(伊藤(卯)委員「君は関連質問をしておるのか、反対討論をしておるのか、そんなことは質問の要旨にはなっておらぬじゃないか」と呼ぶ)今質問中です……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/21
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022・神田博
○神田委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/22
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023・山本勝市
○山本(勝)委員 米のやみが避けられないと同じようなことだと私は考えておるのでありますが、さらにこの問題が特に現在の通産事務当局の失態であるとお考えになるか、それとも根本的に何人が当ってもある程度避けられないところの現象と認められるか、それについて通産大臣の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/23
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024・石橋湛山
○石橋国務大臣 山本君の御質問はごもっともでありまして、これも私も前から常々申しておりますように、それは今の貿易制度そのものに欠陥があるのです。ですからそこに無理があるからどうかするとそれが悪用されたり、あるいは悪用されないまでも誤まったことになる、バナナなどの問題も同様だと思います。ですから根本はどうしても、今の貿易制度をもっと自由化するかあるいは思い切って統制してしまうか、どっちかにしなければいけない。そこで今は通産省の方針としては、できるだけ自由化する方へ持っていきたいと存じまして、三十一年の外貨割当についてもその方針で金額もきめましたし、またできるだけAA制に移すように努力しているわけです。根本はそこへいかなければならぬと思います。しかしながら、現在ある制度が悪く運用されているということは、むろん事務当局においても、あるいは政治的に申しましても責任がないとは申せないのでございますから、これは責任を負うべきものはいさぎよく負います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/24
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025・田中武夫
○田中(武)委員 先ほど来の質疑に関連してお尋ねいたしたいと思うのですが、先ほどの山本委員のような意見が出ますと、もう一度十日ほどかけて初めからやり直さなくてはならない、このように考えます。
そこで通産大臣にお伺いいたしたいのですが、先ほどの御答弁の中で大臣は、私になってからは、外部から何とか言われたようなことで態度を変えるというようなことはやらない。もしやったことに誤まりがあるなら、直ちにこれは訂正したい、このように御答弁なさっておる。そこでお伺いしたいのですが、まず先刻来問題になっておりますバナナの輸入の問題でございますが、このたび特別な方法をもってあの入札制度にしたということは、これは先日来質疑応答の中にも現われておるように、輸入秩序を乱し、また市場秩序を乱すものであった、こういうように思っておるのでございますが、これについては、大臣はそんなことはなかったと確信しておられますか、それとも、ある程度そういうことがあったと考えられておりますか。しかもこれが農林省の横やりと申しますか、農林大臣の、市場法第十七条に基くところの市場業務規程の改正を命ずるところの命令が出たというようなことによってそういうようなことをやられておるのであります。従ってこれは、大臣が先ほど言われましたように、私になってからは外部からとやかく言われて云々ということとはいささか違うように思いますが、それらの点についてどのように考えられておるか。またこういう方法によっていささかでも輸入秩序及び市場秩序が混乱した、こういうことをお認めになるならば、それを今後どのように変えていきたいと考えておられるのか。もう一つは、先ほどの御答弁に、次期のバナナの外貨の割当発表は、やろうと思えばいつでもできる、このようにお答えになったようであります。そこで具体的に、次期外貨の割当は四月にやる、あるいは五月のいつごろやる、こういうような、抽象的ではなく、具体的な御答弁を願いたいと思います。
もう一つさらに、もしかりに第一点に私が言いましたように、若干でも市場秩序を乱し、輸入秩序を乱した、こういうことをお認めになるならば、これによって起った混乱に対して、大臣並びに関係者はどのように責任をおとりになると、考えておられるか。以上三点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/25
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026・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは外部の強要によって云々ということはありません。しかしながら、外からいろいろこういう問題があるから、これを考慮しろとかいうことは、合理的なものなら、むろん考慮を全然しないわけでもない。バナナの問題にいたしましても、輸入のできる資格者をふやすということも一つの理屈があることであります。今まで通りのものだけに許して、新しいものには許さないということもいかがかと思いますから、そこで全芭連そのものに許したわけじゃありませんが、いわゆる全芭連なるものに属しておる一種のバナナ業者にも輸入の資格を認めた。そのときには、その認めたということは、決して無理に認めさせられたのではなくて、そういう希望があったことは、確かに希望を受けましたが、これはある程度それでやっていいんじゃないか、何もそれを除外する理屈はないじゃないかということで許したわけであります。その結果、皆さんから御批評のあるように、多少の混雑があったことも事実です。従ってその混雑に対しては、これを防ぐために、この間の入札で輸入を許可された者には、その資格はあのとき限りであって、今後それを続けて実績として見るか見ないかということは、これはこっちの勝手であって、実績としては必ずしも認めませんよということをあらかじめ断ることによって、いわゆる輸入秩序の維持をはかるというようなことを今までもとったわけです。今後においては、さっきから御質問にあるように、バナナの値段が非常に不当に高くなるといった懸念がありますれば、これはできるだけ輸入をして、そういう悪い影響を除きたい。今台湾との交渉が暫定的にとにかく今までの協定を延長いたしましたから、輸入をしようとすればできるわけであります。しかしこれもやはり相手があることで、価格等は台湾と交渉をしなければならぬのでありますから、ただむやみにこちらで輸入を許すということも、不利益な貿易をしなければならぬようなことにもなりますから、十分それらの貿易上の利益のことも考えまして、悪くないように措置をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/26
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027・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの大臣の御答弁いささか私は不満であります。第一点にお伺いいたしたいのですが、先日来樋詰政府委員も、今回のバナナに対する措置は異例中の異例である、こういうように言われておる。今また大臣は、今回の分は実績として認めないと言われた。これはけっこうだと思うのですが、異例中の異例であり、実績として認めない、こう言われることには、言外に、今回の措置はよくなかったと申しますか、そのようなことをお考えになっていると思う。誤まりがあったということなら、はっきりと誤まりがあったとお認めになったらいいじゃないか。
第二点は、次期外貨の割当発表は具体的にいつごろにできる、あるいはいつごろやる、あるいはいつごろやるつもりである、こういうような時期を、すみやかにとか、できるだけ早くとかいう抽象的な言葉でなく、具体的に日時を示していただきたい、このように申し上げているわけです。その日時がはっきりと言えなかったら、何日ごろやる、こういうことは言えると思う。
第三点は、第一点においてまずかったとお認めになるならば、どのような関係者の責任と申しますか、どのような反省をしておられるか、この三点なんです。具体的にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/27
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028・石橋湛山
○石橋国務大臣 いわゆる全芭連に属する人たちに今度のバナナの輸入資格を認めたことは、それを認めた場合においては、決して誤まった措置とは思ったおりませんでした。ただその結果が、何か入札に際してのいろいろな動きがあるということを耳にしましたので、そういう妙な動きをされたのでは困る。従ってその動きを抑えるために、今度のものは将来実績として認めない。それから実は入札を願うについて、ある一定価格に調整するはずでありましたが、その調整についても前に発表したのを取り消したというような周到な措置をとった。ですから、決してあのこと自身が間違っておったとは思わなかったのですが、結果においてその業者の間にいろいろの一種の動きがありました。その動きを見て、これは困るというので、その動きに対しては手を打ったつもりです。それが第一点。
次に今後の輸入につきましては、先ほど申しましたように、いつでも発表できるのでありますが、現在台湾ととにかく価格その他の交渉をいたしておりますから、その様子をもう少し見たいと思います。ただ早まってこっちが輸入を許可するというようなことは、貿易の上においては必ずしも得でないと思います。ですから幾月幾日というようなわけにいきませんが、四月中には相当に許可できるようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/28
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029・永井勝次郎
○永井委員 大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、この委員会におけるバナナの問題、レモンの問題、この二つの問題を取り上げましても、前者の問題は、非常に不公正な不当な条件がいろいろある。それから後者の問題については取り扱いの上に不備があったということを陳謝的な答弁があったわけでございますが、事柄はバナナであり、レモンであり、問題は小さいと私は思うのですが、少くとも外貨割当の問題については、長年にわたっていろいろ風評が高かった。しかしなかなか具体的に問題をつかめないというところもありました。そこで、われわれがこの委員会において審議しますことは、間違いは間違いである、白は白、黒は黒と真実を究明して、それに対して当面の事件について善処するとともに、これらの運営について将来間違いがあれば、どの点が間違いであるかということについて是正していくことの資料として、われわれはまじめに国政を処理していかなければいけないと思うのです。ところが不正が合法化されるような措置がとられたり、間違いを正当化するような答弁がなされたり、あるいは大臣の家庭の事情でこの委員会の審議や行政の実行の上に影響を与えるというようないろいろな事柄については、われわれは断固これを除去していかなければならいと思うのであります。
為替の外貨割当の問題については、あるいは輸入をする価格の問題、それから輸入した場合における検査の問題とかなんとかいうことは日常茶飯事の事柄であって、少くも事務を担当している者にとっては、こういう問題でミスを犯すということはほとんどないのであります。ほかの問題については、これは当然考慮してもいいと思われるようなことでも、こういう関係がある、こういう法律関係があるといって、しさいにわたって日常常識では判断がつかないような事柄まで適用して、これを阻止するというようなことが行われておるにもかかわらず、たとえばこのレモンの場合について考えてみますと、もう常識では考えられないような、一箱三ドルというような価格に気がつかなかった。それから無為替許可の関係におきましても、最初の二十九年十二月の許可から考えますと、実に三年六ヵ月の長期にわたってこれに許可を与える、こんなことは常識上、普通の場合あり得べからざることとわれわれは思うのであります。特にレモンの問題は、そういうふうに長期にわたって何しなければ回収できないというような特殊の条件でもあれば別でありますが、しかも最後の何は、三十年六月から三十一年六月まで、二カ年間の長期にわたってこれを延長するという、これは普通あり得べからざることである。こういうことから見ても、レモンなどは小さな問題だから問題にはなるまいというのであっさり扱ったために、それがたまたま現われてきて動きがつかなくなってきておるのだと思います。もっとこれは正当化され、合法化されなければならない。事実において不正が行われておる部面については枚挙にいとまがない。一々これをひっくり返して家宅捜索的なことをやらなければ事実が現われてこないと思われるような事件がたくさんあると思うのであります。これらは事柄は小さいのでありますが、レモンのように、いかにもある力によって不当に動かされて、こういうとんでもないことをやっているのだという顕著な、常識上考えられないような間違い——間違いといえば間違いですが、こういう不当については大臣はどういうふうにお考えになられるか。常識上こんなものは間違いでも何でもない、これは当然最初から仕組んだやり方だと思うのでありますが、一、二現われた問題でもこれだけある。馬がある、バナナがある、これがある。しかも最近においては、通産当局は、農林関係の、ことに食品関係の事柄については全く食われてしまっておる、こういう事態でありますが、これは契機といたしまして、一度外貨割当の問題は徹底的な究明をして明らかにして、そうして、二、三の実例をここに示したわけでありますから、積極的にこれらの問題について究明をして、適当な機会に議会に対してその立場を明らかにするというような責任のある措置がとられてこそ、国民に対する通産大臣の先ほど来申し述べました責任を明らかにするということの答えであろうと思う。ただここにおいて、責任を明らかにする、責任は感じている、こういう答弁だけでは問題になりません。その具体的な裏づけとしてこれを徹底的に調べる、そして少くも会計検査をして、何月何日という締め切りをして、ここまでは不正がないというような明確な裏づけをする決意があるかどうか、これを承わっておきたい。
〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/29
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030・石橋湛山
○石橋国務大臣 永井君の御説明はごもっともで、まことにありがとうございます。そういう質問が出るということは私も大いに歓迎するところであります。そういうことが起ったことは残念でありますが、しかし、もし間違ったことがあり、不正があるならば、それが明らかにされることによって将来が是正されるのでありますから、それは私としてはむしろ歓迎するところであります。従って、レモンの問題にいたしましても、さっき樋詰次長からも申しましたように、ただいま調査いたしております。その調査の結果によって、確かにどこかに誤まりがあるということでありますれば、これは訂正をいたすつもりであります。(永井委員「レモンばかりでなく、一般に外貨政策について」と呼ぶ)一般にその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/30
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031・小平久雄
○小平(久)委員長代理 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この際大臣にお尋ねしておきたいのですが、特定の業者を輸入に参加させる。これは何も輸入の場合だけではないのですが、あらゆるものの許可を与える。こういうときに、一般に現在の法規——これは法律だけではなくて、都の条例を含んであらゆる法規に違反しない範囲で許可を与えるのが普通であろう、こういうように私は考えるわけです。現在の法規を直してまで許可を与えるということでなくて、現在の法規の範囲内で許可を与えるというのが行政の措置として妥当である、かように私は考えるわけですが、大臣はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/32
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033・石橋湛山
○石橋国務大臣 御説の通りであります。わざわざ変えてまでやろう——これは変えてやる方が正しいと思われるときにはむろん変えることもいたさないではありませんが、そうでなくて、いたずらに法規を変えて輸入輸出のルートを作るということはむろん今までやっておらぬつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣はやっておられないという確信を持っておられるでしょうが、実は、大臣がお休みになっている間にこの問題がこの委員会で大きな問題になったわけです。大臣がおられるから私からそれを説明いたしますが、実はバナナの輸入方式に関して、加工業者に輸入に参加する許可を与える権利はあるということで、現在の大きな意味の法律の上ではできなかったわけです。そこで農林省といたしましては、通産省と話し合いの結果、加工業者については輸入に参加せしめることになったのであって、そういう前提がある。ところが現在の法規ではどうにもならないから都の条例を変えてもらいたい、中央市場の業務規程を変えてもらいたい、そうしなければ加工業者でありかつ仲買人である加工業者に輸入の参加を認めるわけにいかない、こういうことで、一応参加するという前提のもとに立って、そういうことが合意できまったからお前のところの条例を直せという命令を大臣名で出しているのです。ところがこの問題は、バナナだけではなくて、条例を変えるのですから、あらゆる物資に適用がある。そうすると市場の混乱が起き、のみ行為を公然認める、市場法の精神に反するという問題が出たのです。しかし農林省としては、通産省との話し合いの結果、仲買人である加工業者にも輸入の参加を認めるということが決定したから都の条例を直す、こういうようにやってきた。そこで私はどうも今までの行政管理庁としての認可及び許可の考え方と違うというように考えるわけです。そんなに、法規を変えてまで認可するというような問題ではないし、特定の業者のために条例を変えたり、あるいはのみ行為規定を変えさせる命令を出すということは、どうも私はふに落ちないわけですが、大臣はどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/34
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035・石橋湛山
○石橋国務大臣 その問題は私も聞いておりますが、最初われわれは、いわゆる全芭連と申しまするあのバナナの加工業者がバナナを輸入するということは当然できると思っておった。ですから通産省としては、ただそれだけのことで、輸入業者の数をふやしたということだけでありますが、ところがそのあとで農林省側で調べてみると、何か市場の法規上工合が悪いというので、農林省が市場の法規についての都条例なんかの変更を要求をしてこれをやったということですが、これは私ども知らないことです。私ども関係のないことです。輸入の方はもう都条例なんぞの問題は実際われわれ率直に申して知らなかった。そういう制限を彼らが受けているということを知らなかった ただ彼らが輸入がしたいという希望がありますから、それはその希望にある程度応じてやるのは当然だろうというので応じた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 通産大臣の方は御存じなかったというのですが、御存じなかったが要するにそれを認められた。ところが御存じなかったということは農林省の方は隠して、とにかく通産省も認めたじゃないか。これを通産省が認めたからそれに合わすためには都の条例がじゃまになるから都の条例を変えた、こういうことを言ってきておるのです。農林大臣名の命令書はその通りです。しかもこれは大正十二年市場法ができてから初めて監督命令を発動するわけです。しかもその命令は、この命令を聞かぬ場合は許可を取り消す、業務の停止を命ずる、役員の罷免をするという強大な命令権、やってもやらなくてもいいというような性格のものではない。ですから都においてもこれだけ大きな権限を持つ命令ですから仕方がないということでそのままになった。ところがその命令がいい命令なら私は何も言うわけがないのですが、きわめて市場法の精神に反して、市場を混乱するような命令なんです。たとえば仲買人が輸入業者になった。輸入業者になった仲買人が今度は輸入してきます。そうして輸入したものを委託販売する。そしてその卸売人がその市場に行って品物を売る。みずから仲買人がそれをせって買う、こういう一連ののみ行為を命ずるような命令を出した。要するに市場法の精神に今全く相反する命令を出しておる。お前のところの都の条例はよ過ぎるからけしからぬ、むしろ悪いようにせよ、こういうことを政府が命令しているのです。ですから私はどうも通産省ではそれは知らなかったということだけでは済まないと思う。知らなかったのでしょうけれども、大臣の方でとにかくそれに判を押したということで、農林省の方はそれに合わすように都の条例を変えさせておるのです。こういうことに対して一つ大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/36
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037・石橋湛山
○石橋国務大臣 それはさっき申しましたように、あれ以上の御答弁を申し上げる知識は私はないのです。これは輸入の場合は、われわれの方としては、とにかくバナナに関係をしておる専門家でありますから、それらが輸入に関与したい、こう言うのですから、それを除外するというのもかえって不公平であろうから、公正を期するためにそういう希望者には輸入ができるような参加の機会を与えてやろうということだけのことでやった。ところがその参加の機会を与えられてみると、実は参加できる資格がなかったということをあとで発見したのであります。そこで多賀谷君の御質問のような事実が起ったことは私はあとで聞いたのであります。それだけのことで、それに対して通産省あるいは政府としてはそう初めから市場法の変更を命じてまであれをやろうというような、最初から研究をして考えがあってやったわけではない、自然の結果がそういうことになったというだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 この際議事進行で一つ委員長にお願いいたしたいと思います。と申しますのは、先日来本委員会で問題になっております、ただいま多賀谷委員が質問いたしました農林省の出しております昭和三十年農経五〇四二号、これが問題になっておるわけです、これにつきまして、先日農林大臣及び農林省関係の人に尋ねた場合は、通産省と合意だということでありましたが、今大臣の御答弁によるとどうもそうでもなさそうだ。ここにこのバナナ輸入をめぐって通産省と農林省の答弁の食い違いが前からあるわけです。だからわれわれは一応農林大臣と通産大臣の二人列席の上で質問したい、このように希望しておりました。ところが前週においては不幸にして通産大臣が入院せられたためにその機会がなかった。従って最後に本問題の終止符を打つためには、農林大臣に来ていただきまして、農林大臣、通産大臣二人から責任ある答弁を求めたい、このように思います。お諮り願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/38
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039・小平久雄
○小平(久)委員長代理 田中君の御発言ですが、本日の委員会は理事会の申し合せによって進行していますので、また特にただいまの御発言ですが、それは後ほど理事会に諮って決定いたしたいと思います。加藤清二君。
〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/39
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040・加藤清二
○加藤(清)委員 私は先日の質問に引き続きましてサンキストのレモンの債権の問題に集約いたしましてこの際質問したいと存じます。従いましてこの問題については大臣から最大漏らさずはっきりと御答弁が願いたいのでございます。まず承わりたいことは、先ほど来お話の出ておりまするアメリカのサンキストのレモン輸入についてでございますが、これが普通の外貨割当でなくして、債権回収延期の措置であるという御答弁が先日なされたわけでございまするが、この債権の回収延期措置が起る前の債権の発生の理由を承わりたいのでございます。債権がどうして発生したか、この点をまずはっきり承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/40
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041・石橋湛山
○石橋国務大臣 私はその経緯は存じませんから事務当局から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/41
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042・樋詰誠明
○樋詰政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、二十八年の十一月三十日付のバーター許可によりまして、日本から牛、豚を輸出して、その見返りにアズキ、ピーナツ、柑橘類を輸入するという許可に基きまして、二十九年にサンキスト等を含むくだもの等が入ってきたわけでございます。ところがそのくだもののうちの相当部分が腐敗しておりましたために、商業上のクレームが起りまして、そのクレームに基いて四万七千ドルの債権が発生いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/42
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043・加藤清二
○加藤(清)委員 まことに明快にお答えいただきましてありがとうございました。それで承わりたいことは、牛、豚とアズキ、柑橘等のバーターという言葉でございまするが、これは取引の場所はマカオと聞いておりましたが、これは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/43
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044・樋詰誠明
○樋詰政府委員 向うの荷受人並びに見返りの輸入をいたします場合の住所は一応香港になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/44
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045・加藤清二
○加藤(清)委員 アズキ、柑橘のたぐいは香港から輸入される、こういう例が過失にあったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/45
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046・樋詰誠明
○樋詰政府委員 私も正確には存じませんが、今まで中共産のものが香港経由で入ってきたという例はあったというふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/46
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047・加藤清二
○加藤(清)委員 中共産の緑樹ですね。あれやアズキが香港を経由して入った事実はある。ところが中共産の柑橘が日本へ輸入されたという例が戦前はいざ知らず、終戦後にございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/47
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048・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/48
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049・加藤清二
○加藤(清)委員 私ども社会党は、柑橘も何もすべてのものが許されるように、非戦略物資だけは許されるようにということを政府に向って再三話し合いをしてきたつもりでございます。ところが私の知る範囲においては、中共から柑橘が許されたというためしは終戦後ないはずであります。さきにこの事件が発生する前にそれはなぜかということを尋ねたら、あちらのものはばい菌の検査等々が不十分であって衛生上芳ばしくない、従って柑橘類は許されない、こういうことになっておったと思いますが、私の記憶違いか、その当時のお役人さんの私に対する答弁が間違っていたのでございますか、いずれでございますか。通産省の方針としては柑橘類を中共から入れるということをいつ許されることになったのでございますか、その点が聞きたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/49
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050・樋詰誠明
○樋詰政府委員 柑橘類につきましては、たしか北緯二十三度以南ということで、今お話のありましたような柑橘類は植物防疫法の関係で入れないという方針はずっと堅持されておる、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/50
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051・加藤清二
○加藤(清)委員 その方針が通産省では堅持されてきたはずでございます。にもかかわりませず今承わりますと、債権の発生は牛、豚とアズキ、柑橘その他のバーターが焦げついたからである。こういうことでございますが、そうならば、すでにここで異例な措置がとられたといわざるを得ませんが、大臣、こういう措置がどういう理由でとられたのか。中共からの輸出輸入の物資にはそれぞれの規格と規約があって入れることができないことになっているにもかかわらず、柑橘を入れるということになっておるが、これはどういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/51
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052・石橋湛山
○石橋国務大臣 そういう問題は突然お尋ねを受けましても私からお答えすることはできない、いずれ調べましてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/52
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053・加藤清二
○加藤(清)委員 これは異例な措置と思うわけです。通産省の基本方針がここで狂っておりますから、こういうことが許されるとするならば、パリ・リストも要らなければココムの緩和なんというあほうなことを頼まぬでも済むわけでございます。ここに許されている事実が発生している。そうでしょう。
そこで引き続いて承わりたいことは、このバーターによって牛、豚は向うへ送った、ところが入ってきたところのものが腐っていたということでございます。そのために発生したという御答弁でございますが、アズキの腐るためしがございますか。香港から日本へ運ばれる途中でアズキが腐った、グリン・ピースのあんなほしたからからか腐ったというためしが過去にありましたか。何が腐ったのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/53
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054・樋詰誠明
○樋詰政府委員 これは当初のバーターの許可の際には、柑橘類、ピーナツ、アズキというふうになっておりましたが、この腐りましたものは、レモンとブドウとオレンジとでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/54
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055・加藤清二
○加藤(清)委員 そうなるからよけい大へんなことになります。柑橘とブドウ、そういうものが中共から輸入されることをいつの日に許されたことがありますか。(「中共からじゃないよ」と呼ぶ者あり)冗談でしょう。そういうことを言ったらよけい突っ込まなければならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/55
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056・樋詰誠明
○樋詰政府委員 先ほども申し上げたのでございますが、一応フォーム・Cという無為替の輸入許可証それ自体に、中共産に限るという特別の条件を付するということまでやれば、これは一番万全だったのでございますが、そこに事務上のミスがありまして、一応柑橘類という格好で特に原産地の指定ということをいたしておりませなかったために、税関はアメリカ産の許可されたものだというふうに見まして輸入させたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/56
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057・加藤清二
○加藤(清)委員 そこで香港からものを輸入するに当って、香港以外の国から買うてもよろしい、こういうことに相なりますと、それは完全に三角貿易を認めたということになりますが、大臣、さよう心得てよろしゅうございますか。これは大臣だ。三角貿易は基本問題だから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 そういうことを聞かれても私には答える資格がありませんが、まあ三角貿易は認めておらないと思います。従ってこれは事務的のミスでしょうと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/58
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059・加藤清二
○加藤(清)委員 私はかつて大臣に、三角貿易をしなければあなたのおっしゃる一枚看板の拡大均衡ができないのだ、だからこれを許さるべきであるということを再三再四本委員会で話をしておるのだ。にもかかわらず大臣は、それはできないことだと言うて、過去において何回かお断わりになった。ところが今承わってみると、この柑橘類は中共産でない、アメリカ産のものを香港から輸入させるということになれば、これは完全なる三角貿易である。(「間違いだと言っておるじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、そういうことをいつ許されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/59
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060・石橋湛山
○石橋国務大臣 今後においてもそういう貿易は当分許す見込みはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/60
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061・加藤清二
○加藤(清)委員 これだけを特殊ケースで許された、こういうふうに解釈していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/61
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062・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは先ほども申し上げましたように、そういうことがたまたま起ったということは、当時の事務上の、ミスであったと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/62
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063・加藤清二
○加藤(清)委員 そこでこの債権の焦げつきが今度アメリカから直通に輸入してよろしいというふうに切りかえられているようでございますが、たとえばAの国に生じた債権の焦げつきをBの国から回収してよろしいということがいつの日から許されることになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/63
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064・樋詰誠明
○樋詰政府委員 先ほどから私申し上げたのでございますが、(加藤委員「これも大臣に聞きたい」と呼ぶ)この件に関しましては、当初からいろいろと事務上のミスがございまして、そうしてまず第一回目に中共産でない、アメリカ産のものが入ってきた。それがしかも腐っておったので、クレームが起った。そのクレームはこれを当然債権として送ってきた人間から回収するわけでございますが、その際に債権回収という免除をいたします。その際に特にアメリカのものはいけないといったような限定をせずに、それは一番最初のミスをそのままその後の人間に引き継いでおるわけでございまして、アメリカから入ってきたものであるから債権回収でかわりのものを入れるという場合にも、アメリカから入ってくるのは別に不思議はないのじゃないかといったような、非常に調査不十分であったということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/64
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065・加藤清二
○加藤(清)委員 Aの国に発生したところの債権の回収をBの国からの物件によって許すということは、これは私はいまだかつて聞いたことがない。そういうことが許されるとするならば、過去の焦げつきは一切がっさい解消して起っていないはずである。にもかかわらず朝鮮にはどえらい債権の焦げつきが生じております。それでその問題をお尋ねする前に、先ほど同僚委員からちょっとお話のありました、かりにそれが許された——まあサンキストが腐ったとかなんとかいうことは、こんなばかなことは常識では考えられないですが、そのこともありますけれども、それを、事務当局のおっしゃることを額面通り受け取って腐ったとして、それで債権が発生した、こういうふうにしても、なおAの国に生じたものをBの国からの物によって許すということは、これはちんぷんかんぷん、妙ちきりんな話なのだ。次に持ってきて時期の問題でございますが、万やむを得ざる天然現象等によって債権の延長、輸入許可権の延長をはかられる場合、通産省としては、過去においては当初の外貨割当は六カ月、それから延ばす場合も最長六カ月であって、普通の場合は二カ月か三カ月くらいで早期に片づけよ、これが今までの基本方針と承わっておりますが、一体柑橘で債権を回収する場合に三年間も長く許さなければならないというその理由が私にはわかりませんし、そういう例がほかにございますか。ございますならば私は引き続いて質問したいことが出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/65
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066・樋詰誠明
○樋詰政府委員 今加藤先生のお話にありましたように、われわれの方といたしましては原則として三カ月ということで回収するようにということにいたしております。ただ債権の回収でございますので、どうしてもその期間内にできないというときには、とらなければ国全体のマイナスにもなるということから、ある程度理由が妥当であると認めました場合には延長いたしておりますが、お話のレモン、それは三年というお話でございましたが、二年半でございます。二年半にもわたる回収というようなものを認めた例はほかにございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/66
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067・加藤清二
○加藤(清)委員 その通りでございます。事務当局としては非常に正直にお答えになっていますので、私は事務当局を責めようという気持はつゆさらございません。債権の回収に当って当然長い時期を要する物件である場合はやむを得ませんが、柑橘というものは一年に一回ずつ実るものだと心得ておりますが、アメリカのサンキストは二年、三年かからぬと一回実らぬ、こういうことでございますか、大臣この点はおわかりでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/67
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068・石橋湛山
○石橋国務大臣 まあ多分一年で実るでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/68
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069・加藤清二
○加藤(清)委員 しからばこの債権の回収も、それが非常に数量的に多いという場合ならばいざ知らず、四万七千ドルの柑橘は当然与えられた短かい期間にカリフォルニアから輸入できるはずでございますにもかかわりませず、三年近くも延ばされなければならないという理由ですね、ここが次の三ドル評価で入ってくるというところに影響してくる。それは経験者ならすぐおわかりでございましょう。大臣この点おわかりになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/69
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070・石橋湛山
○石橋国務大臣 私はレモンの経験者じゃありませんけれども、どうも二年、三年は少し長過ぎるようですね。それはおかしいですよ。だからそれは事情を一つ調べてみるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/70
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071・加藤清二
○加藤(清)委員 それでは承わりまするが、こういうケースがもしかりに許されたとする——まず第一番に債権の発生がすでにおかしい、それから回収するために国が移された、しかも期限はうんとこさ延ばされた、こういうケースがもしかりに許されたとするならば、それにはそれ相応の理由がなければならぬと存じます。特別なケースですから、特別の理由があるでしょう。理由はありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/71
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072・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは調べてみなければなりませんが、おかしいことでありますから、調べて一つ理由があるかないか確かめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/72
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073・加藤清二
○加藤(清)委員 私はこの理由がほんとうに適用されるものならば、柑橘どころの騒ぎでない、適用してもらいたいものがたくさんにあるのでございます。朝鮮において焦げついた債権は、日本の、あなたのおっしゃるところの拡大均衡を著しく阻害しているのでございます。同じ問題がインドネシアに起っていることはよく御存じのはずでございます。アルゼンチンしかりでございます。香港に近いところの朝鮮の債権回収の問題と、かつて本委員会は取り組んだことがありましたが、その折にはノリとスクラップを輸入するということでありましたにもかかわりませず、これが許されなかった。そのおかげで債権保有者はついに倒産のうき目を見なければならなかった。こういうことがたくさんにございまするが、一体柑橘だけ許されなければならない理由、これが承わりたい。それも言えなければ、朝鮮の債権回収とこの債権の回収とは、片や莫大なものであるにもかかわらず許されず、片やこんなちっぽけなものであるにもかかわらずこんな長い期間を許された、その相違性をここではっきりしていただきたい。そうでなければ朝鮮の債権のためにぶっ倒れていった方々は浮ばれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/73
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074・石橋湛山
○石橋国務大臣 私まだ詳しいことはわかりませんが、どうも朝鮮の債権と今のサンキストの問題は若干違うようですね。朝鮮の焦げつきの方は、個々の商社としては決済がついておるのではないですか。朝鮮に国全体の勘定でオープン・アカウントで債権がある。だから個々の商社としてはそれぞれ円を支払ってもらっているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/74
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075・加藤清二
○加藤(清)委員 そういうふうにお答えになるだろうと思った。それは象をなでた場合に、しっぽだけなでて、これはヘビみたいなものだという答弁と同じなのです。通産大臣のお答えでなければ私は笑って帰るのです。しかしかつて朝鮮と行われた貿易において、個人的に許されたもので、あなたの方の門司、福岡等々の通商局が許されたところのこのアロケーション、それがいろいろめぐりめぐってついにはこれが禁止になったということを通産省の通商局等では御存じのはずなんです。その折のスクラップとノリの問題で、松野何とやらという人が一挙に二億とかをどうとかしたということであった。その他のものはこれは許されなかった。切られていったのです。それをものの間違いだということで、通商局の担当係官までがついに首になった。そういう事実を大臣が御存じないはずはないのだ。だから比較するならば一番近似値と比較して答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/75
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076・石橋湛山
○石橋国務大臣 どうも御質問の御趣旨もよくわかりませんので、いずれ調べてお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/76
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077・佐竹新市
○佐竹(新)委員 これは質問をやればきりがない。しかしながら、これはもう結論的には、検察庁なり警視庁が一生懸命調べておる。この間も馬と一緒に帰るかと思って横浜の埠頭で待ったが帰らぬ。飛行機で帰るかと思って飛行場で待っておったが帰らぬ。これはつかまえてねじ込んだら何が出るやらわからぬ。これが一番早い。この商工委員会がつかまえることはできぬ。これ以上は検察庁にやってもらうほかはない。通産当局があやまっただけでは責任は済まぬ。これからあとヘビが出るか蛇が出るか。これは検察庁が発動している。アメリカから帰らぬものだから、いずれ法務委員会にでも持ち出して、早く召喚してもらって、それからきれいに洗いましょう。そうすることが一番手近かだ。ここで樋詰君をいじめても、樋詰君は平あやまりにやまって、悪かった、済まぬ済まぬと言うばかりで、のれんに腕押しです。これはレモンだけじゃない。これから外貨の割当についていろいろな問題が出てくる。この機会に私は、通産大臣は党内において勢力があるのだから、通産大臣としてこういうことは徹底的に粛正して、輸入秩序を維持してもらいたい。こういうことがバナナ問題に関連して十幾日にわたる審議で明らかになった。これは石橋通産大臣のときかどうか知らぬですが、その以前の通産省はくされきっておる。みんな政治的に手入れしては往生してやっておる。これをわれわれはこの機会に徹底的に直すということです。だから通産大臣は加藤君の質問に対しても、そのときにいいかげんな答弁をしておけばいいということでなしに、ほんとうに通産大臣に考えてもらわなければならぬ。外貨の割当に対してこの秩序が乱れては、せっかく外貨獲得外貨獲得、輸出輸出といっても、今度御承知のように非常に大きな外貨割当をされておるが、これがことごとくこういう裏におけるところの実力で、そういうものが通産省の窓口で動くということになれば、これは大きな問題になる。だからこの問題は通産大臣は相当考えてもらいたい。われわれとしてはこの際徹底的に粛正しなければならぬ。しかしレモンの問題に限っては、藤井が検察庁で調べられておる。何が出るかということ以外にはない、悪い者はあっさり法の裁きを受けたらいい。ただし聞くところによると、また指揮権発動で検事を押えるという手が使われておるそうです。(「そういうことはない」と呼ぶ者あり)いや、ないことはない。これもわれわれは聞いておる。そういうことになると、鳩山内閣は綱記粛正内閣だと言われるが、どこが綱記粛正かということになる。もうひそかに検察庁にも行っておる。これは昨年砂糖の問題でも、調べておる最中に検事を宇都宮の方に転勤させておる。そういうことをわれわれは考えなければならぬ。造船疑獄で指揮権発動をやって佐藤、池田に対して——少し大きいものが何かおかしいことになると、すぐと指揮権発動だ。これが問題だ。これでやみからやみに葬られてしまう。この点は、沖田委員長は非常に名委員長であって、輸入秩序の維持のためにやらせていただいて、私はありがたいと思う。問題はまだまだ、外貨割当で、この委員会で明らかにしなければならぬことがあるけれども、いつまでもバナナ法案でもないが、その点だけは一つ言っておきたい。これでわれわれは外貨割当の全般に対してここで納得したんじゃない、これからまだいくらでもやるということを申し上げて、次の加藤委員に質問してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/77
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078・加藤清二
○加藤(清)委員 佐竹君の発言で大体結論が来ておりますので、私もバナナ法案を上げるということに協力をいたします。そうして残余の外貨割当の質問については、別な時間をぜひもうけてもらいたい。こういうことで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/78
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079・神田博
○神田委員長 それでは理事会の申し合せにより、バナナ等の輸入問題に関する質疑は、すべて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/79
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080・神田博
○神田委員長 去る三月三十一日、参議院より送付され、本委員会に付託されました輸出保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/80
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081・神田博
○神田委員長 本法案は参議院において修正の上本院に送付されたものでありますので、参考のため、参議院の修正部分について念のため概略委員長から申し上げておきたいと存じます。
まず第一点は、第十四条の三第一項中、海外投資保険における政府のてん補すべき率を、原案では百分の五十の範囲内とありましたのを、百分の六十の範囲内といたした点であります。
第二点は、附則の施行期日を、原案では昭和三十一年四月一日とありましたのを、公布の日といたした点であります。
それでは質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐竹新市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/81
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082・佐竹新市
○佐竹(新)委員 この機会に私は、ちょっと申しおくれましたが、大体今のバナナのところでやるべきなんですが、輸出保険法の問題と関連いたしまして、通産大臣に一言お聞きいたしたいと思います。先ほども通産大臣から御答弁なさいましたように、次のバナナの外貨の割当は四月、五月中になさいますか、これを御明言をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/82
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083・石橋湛山
○石橋国務大臣 できる限り早くやります。できれば四月中にやりたいと思いますが、どんなにもたもたしましても、五月の半ばくらいまでには片づけたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/83
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084・神田博
○神田委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/84
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085・神田博
○神田委員長 速記を始めて。先ほどの山本勝市君の発言中、不穏当な言辞があれば、委員長において速記録を取り調べの上善処いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02619560403/85
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