1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十二日(木曜日)
午前十時三十六分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 長谷川四郎君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 内田 常雄君
大倉 三郎君 菅 太郎君
菅野和太郎君 椎名悦三郎君
島村 一郎君 首藤 新八君
鈴木周次郎君 田中 角榮君
田中 龍夫君 中村庸一郎君
淵上房太郎君 前田 正男君
南 好雄君 森山 欽司君
山本 勝市君 石田 宥全君
伊藤卯四郎君 加藤 清二君
佐々木良作君 多賀谷真稔君
田中 武夫君 松尾トシ子君
松平 忠久君 八木 昇君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
経済企画政務次
官 齋藤 憲三君
総理府事務官
(経済企画庁計
画部長) 大來佐武郎君
総理府事務官
(経済企画庁開
発部長) 植田 俊雄君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 昭彦君
通商産業事務官
(通商局次長) 樋詰 誠明君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 為治君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
―――――――――――――
四月十二日
委員帆足計君及び北村徳太郎君辞任につき、そ
の補欠として石田宥全君及び篠田弘作君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
三号)(参議院送付)
電源開発促進法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/0
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
去る六日、参議院より送付され、本委員会に付託されました計量法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑に入ります。質疑の通告がありますから順次これを許します。田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/1
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002・田中武夫
○田中(武)委員 計量法について一、二お尋ねいたしたいと思います。まず最初に、本法は昨年の二十二国会で一部改正せられたのでありますが、あのときに問題になりましたいわゆる計量検査の地方移管といいますか、手数料の地方移管の実施後の状況について、われわれあの当時若干心配もしておったのですが、どういうような経過をたどっておるか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/2
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003・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 昨年の国会で通過いたしました手数料の地方委譲につきましては、それによって地方の計量行政に対しまして円滑な事務が施行されるような運びになっております。いろいろその後地方にお参きまして、あるいは地方財政の整備等によって問題がございましたが、計量関係の人員等につきましては、事業の執行に必要な程度が確保されておりまして、計量行政の施行に役立っております。
それから、その当時御質問といろいろ御心配がございました地方の差というものにつきまして、これも十分われわれ見ております。が、今日までそういう事態は起っておりませんので、今後もそういう点については十分注意して参りますが、施行については円滑にいっていると私どもは信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの局長の御答弁によりますと、改正後の実施に当っては支障がない、こういうことでけっこうだと思いますが、あの当時地方差ができないようにというような附帯決議をつけたと思うのです。それのことについて、何か特別な行政措置が講じられたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/4
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005・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 附帯決議につきましては、地方差の問題については触れておりませんが、いろいろ御審議の際御注意がありましたので、その点については十分注意して、われわれとしましては常時監視を怠らず、こういうことのないように努めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 計量法の趣旨は、あらゆる計量器についての統一的な規定だと思うのです。従ってこの前の改正にもホーンですか、騒音の規定が入ったと思うのです。今日では電気のメーター、ああいうものも一つの計重器だと思うのですが、あれはこの計量法には入っていないわけです。あれは別に何か明治何年かの古い規定によってなされているようです。それからもう一つは今時代の脚光を浴びておるところの放射能の、ガイガー測定器など、これも一つの計量器だと思うのですが、そういうようなものを統一した一括的規定をするということは考えておられるのか、あるいはこれは特別なものとして考えておられるのか、そういうような点を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/6
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007・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 電気関係の計量につきましては電気測定法がございまして、これによってやっております。御指摘の通り現在の計量法とは別個にできております。これは非常に長い間の歴史的な事実によるものでございまして、そういうふうなことになっておりますが、今後こういうものはできるだけ統一的見地から見たいということで現在研究を進めております。放射能の問題も新しい問題でございますから、今後十分に研究いたしまして、どういうふうに取り扱うかということを慎重に研究して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 電気測定器、ガイガー測定器についても将来考えるということですが、原爆実験の問題に関しまして、御承知のように衆参両議院において反対の決議もありましたけれども、アメリカはこれを強行しようとしている。従って現在表日本の方はアメリカの放射能の雨が降っており、裏日本ではソ連の灰が落ちる、日本はこういうような谷間にあるわけです。従って生水もうっかり飲めない、魚も食えないというような実情で、このことに関しましては先日も科学技術振興特別委員会の方で、今後こういうようなものの測定についての科学的な組織、方法等について論議せられたわけなんです。そういたしますと、やはりガイガーというものが大きな役割をしてくるわけです。現在はこれらの測定の基準がまちまちのようです。そういたしますと大きな不安を国民に与え、またこれがどのような被害を現実に人体に及ぼすかということははっきりしないとしても、ある説によると遺伝がある、こういうようなことも言われておりますから、この測定は相当重要な問題だと思います。それが一つの基準もなく、まちまちにやられている実情でありますので、早くこういうようなものも統一をすることが必要じゃないか、ぜひそうしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/8
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009・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいまの点はよく科学技術庁と相談して研究してみたいと思います。現在でも電気試験所である程度そういう問題の研究は進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 それは電気計量器の方でしょうか、これは別個の規定があるわけですか。前にもちょっと問題になったわけです。これらなんかはすぐ一緒にできるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/10
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011・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 これは先ほど申し上げました通り、統一するような目的で現在研究いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/11
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012・佐竹新市
○佐竹(新)委員 議事進行。委員長にお尋ねするのでありますが、通産大臣は病気で出られないということを委員長が言われたけれども、先般健康保険法が本会議に上程されたときに、この委員会に出席されなかった通産大臣が本会議に出席して投票をされております。こういうように本委員会には病気で出られぬと言いながら、本会議には出るということになると――この審議を進めます上に通産大臣の出席がないということは非常に考えなければならぬことだと思いますから、委員長からいかような事情で出られなかったか、御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/12
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013・神田博
○神田委員長 委員長からお答え申し上げます。先般の当委員会で午前中にもちょっと私申し上げたつもりでありましたが、午前中大臣は病院の方で診察を受けておるから、午後からは委員会に出る、こういうことを申し上げておったと思いましたが、御承知のように、午後から当委員会の方は休憩のまま散会になりまして、本会議が午後ありましたので、大臣は登院されておりまして出たようなわけであります。決して当委員会を軽視して出ないというようなことは毛頭ありませんから、これは少し誤解があったかもしれませんか、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/13
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014・佐竹新市
○佐竹(新)委員 そういたしますと、きょうは出られますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/14
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015・神田博
○神田委員長 きょうも病院に回っておりますが、病院が終り次第こちらへ出るという連絡であります。多分出られると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/15
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016・佐竹新市
○佐竹(新)委員 通産大臣が出席されないと、今後の質問が残っておりますし、どうも事務当局だけでは聞きっぱなし、答弁しっぱなしになります。やはり通産大臣によって責任を持った答弁をしてもらわないと委員会の審議をちょっと進めにくい、でありますから、通産大臣の出席されるまで暫時休憩されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/16
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017・神田博
○神田委員長 佐竹委員の御発言はまことにごもっともでありまして、委員長も同感であります。大臣が出席するという連絡になっておりますので、さよう御了承願いまして、同時にまたせっかく政府委員も出ておられますから、大臣でなければ間に合わないところはいたし方ありませんが、政府委員でもよろしいというようなことは一つこれによってお進め願う、こういうことにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/17
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018・中崎敏
○中崎委員 実は通産大臣はかねがね病気々々ということを言っておったのですが、今佐竹君の話のほかに、きのうも中小企業の政治連盟にも出ておられるし、この委員会においては下流増の電気に関する問題は相当重要なる問題であるのでありまして、政府、ことに通産大臣の考え方、御方針なども聞かなければならぬ重要なる問題でもあるわけです。ことにきのうの理事会においても、この法案の審議についてもできるだけ早く促進することにわれわれも協力してという上に立っておるのでありますから、従って重要なる問題を論議するのに大臣が出てこないということになると、勢い審議がおくれるということになるのじゃないかと思います。それを野党の責任だということでなしに、やはり大臣も責任を感じてもらいたい。委員長においても審議の促進が円滑にいくように、みずから努力していただきたい。そういう意味において引き続いて電気問題は論議されるのでありますから、一応委員長の方から通産大臣に対してあらためて出席力を要請されて、そうして進行方向がうまくいくように努力願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/18
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019・神田博
○神田委員長 中崎委員の御趣旨まことに同感でありまして、さっそくさらに大臣の出席を要求いたします。御了承願います。
これにて質疑は終局いたしました。引き続き討論に入るわけでありますが、討論の通告がありませんので、これを省略するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/19
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020・神田博
○神田委員長 御異議なしと認めます。よって討論は省略することに決しました。
それでは計量法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/20
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021・神田博
○神田委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/21
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022・神田博
○神田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/22
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023・神田博
○神田委員長 電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますので順次これを許します。ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/23
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024・神田博
○神田委員長 それでは、通告の順によりまして佐竹新市君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/24
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025・佐竹新市
○佐竹(新)委員 元来通産大臣が出席しておられて質問をするのが本筋でありますが、高碕国務大臣はかつての電源開発の総裁でもありますし、電気全般のことについては非常にその道の達人でありますから、主として高碕国務大臣にお尋ねしたいと思います。
この電源開発促進法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、私が質問いたすことは、この一部改正は主として受益者負担の第六条を改正するのがねらいであります。そこで私が質問いたしますのは、いわゆる受益者負担の方でなくして、要するに損失の方の負担について高碕国務大臣にお尋ねしたいと思うのでありますが、それは電源開発のダムとそれから流れる水の関係でございます。いわゆる農業用水の水温の関係に対してお尋ねしてみたいと思うのであります。水温の問題は、各学者の間におきましても、あるいは農林省当局におきましても、今日まで十分に研究もいたし、またその研究の結果の結論も出ておるのでありますが、電源開発会社は、どうしたものか、この問題を一向に取り上げようとしない。たまたま下流でその水温の影響を受ける、冷害の影響を受けるということで農民が立ち上った場合に、電源開発の方ではいろいろ協議をされて、そこの施設を一部改善されたところもあります。全体の、全国的なダムの施設というものは、この水温に対しての施設がまだ十分行われていないのであります。政府の方では、このダムと水温の関係に対して、どのようなお考えを持っておいでになりますか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/25
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026・高碕達之助
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。一つの河川を処理いたします上におきましては、これを水力電気という方面から見ることも一案でありますけれども、川全体の有効利用という点から見ますと、水力電気というものは川の利用の一部分にすぎないのでありまして、重大なる目的は、この水を完全に利用して灌漑及び工業用水に使うことであります。その意味から申しますと、農業用水としてこのダムによって貯水されたる水を利用する場合における水温というものは非常に重要な問題と存じまして、農業用水として需要があるたびごとに、あるいは取入口を考えてやらなければならぬとか、そういう施設が作られなければならぬと思っておるわけなんでありまして、重要度に準じまして逐次その施設を作っていきたい、この方針で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/26
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027・佐竹新市
○佐竹(新)委員 ただいま高碕長官の御答弁になりましたように、農業用水とは重要な関係を持っております。私が今ここで申し上げましたように、学界においても十分研究を発表されております。それからまた、農林省半川においてもこれはやっております。総合的に、今日までいろいろ会合も持たれたはずであります。しかしながら、壷源開発法の資料を見ますと、遺憾ながらこの問題は隠そう隠そうとしておるような状態であります。私はそういうことではなしに、この際電源開発も、水温の問題に対しては十分に考えていただきたい。と申しますことは、今農民は水のことに対してはとにかく非常に無関心であります。しかしながら、ダムから流れてくる水の温度の関係によりまして、わが国の水稲に対しまして非常に影響のあるということは、専門家も言っておるわけであります。このことをまだ農民が知らないからということで、ひた隠しに隠して、何ら既設の施設を変えようとしない。ここに専門家が発表したものがありますが、これによりますと、水稲と水温の関係は、冷水温の場合、摂氏一度の相違は収穫量に大へんな影響を与える。すなわち、大体二十度を境として、それ以下では収穫皆無に近く、二十度を越すと急激に作柄の好転を示す。二十二度近くでおおむね標準区に比べて半作に近くなる。二十四度では標準と差のなくなるまで上昇しておる。すなわち平均水温で二十度から二十四度というわずか四度の間に、水稲の作柄は著しい変化を万しておる、いかに水温の水稲育成に及ぼす影響が大きいかを物語っておるということを学者が発表いたしております。かように水温と稲作という関係は重大な影響がある。すなわち今国務大臣の言われたように、ダムの取水品の高さによって、落差によって水温が冷たい、暖かいということがきまるわけであります。しかしながら既設のダムはほとんど底からとっておるます。ため池なんかを作りますのでも、上の水は暖まって暖かいから、上に取入れ品を作ってため池の水を下流に流して農業用に使っておるわけであります。しかしダムはほとんど既設のものは下からとっておる、こういうことになりますと、農民の知らず知らずのうちに受ける稲作への影響は大きいし、食糧増産の上に相当大きく影響するのであります。こういう点を考えてみますと、わが国は人口が多くなって、食糧が不足なんです。外国から食糧の輸入をしなければならぬというときに当りまして、電源開発という大きな使命を持って、電気を起すということがわが国の産業に寄与し、その上わが国の生産が上昇していくということはわれわれはもちろん賛成であります。しかしながら一面、農民が食糧を生産するということも、国家にとって大きな問題であります。こういう問題に対しまして、今高碕長官はお気づきになっておるけれども、どういうものか農林当局も電源開発もこれをひた隠しに隠そうという。私は特に電源開発の資料をいろいろ見ておりますが、この水温の関係に対してはあまり触れていない。こういうことに対して、農林省はもちろんのことでありますが、電源問題の主管省であるところのあなたの方と通産省は、なぜ十分な施設をやるような指示をし、また協議を行われないのであるか、その点について御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/27
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028・高碕達之助
○高碕国務大臣 御質問の点につきましては、私自身といたしましては、東北及び北海道の方が稲作と水温の関係が非常に多いだろう、こう存じまして、猿ケ石の発電所に参りまして――これは私電源開発会社を退いて後でありますが、いろいろ調査いたしました結果、ただいまのお話のごとく、どうも取入れ品が下である関係上、水温が下る。それで稲作に重大な影響を及ぼしているという話を聞いたのでありますけれども、お話のごとく東北地方になりますと、あのダムを作っていけば、下の万は摂氏十五度以上には上らないのでありまして、十五度だからマスが飼えるというくらいになっておりまして、非常に冷たいということは事実でございます。できるだけ水をある時期日に当てて灌漑をするというような方法を講ずるとか、何かそういう方法を講じてやる必要があるということを注意いたしたようなわけでございますが、お説のごとく電力会社といたしましては、そういう問題に触れれば自分の方がすぐに負担が多くなることだ、こういうことを考えまして、できるだけ等閑に付す、こういうことであったのであります。これを使う農民がよくわかった人ならば、これはわかるでしょうけれども、知らず知らずのうちにそういうことになっていることは、はなはだおそるべき現象と存じまして、そういう点は政府としても十分注意をしてやりたいと存じております。特に東北地方、北海道におきましては、その点を考慮いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/28
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029・佐竹新市
○佐竹(新)委員 この問題は、日本の水温の大家であります参議院議員の溝口氏が参議院で質問をされております。これは、北海道にダムができるについて、その取水口の問題について政府の者が答弁したのに対して、溝口氏はこういうように言っておられます。「私詳しい事情は知らないのでございますが、ただいま電源開発の方から御答弁がありました。はなはだ心もとない御答弁があったので、私この機会になお念のために申し上げておきたいと思いますが、糠平ダムが完成して、堤防の高さ七十四メートルと書いてありますが、取水塔の水頭は何メートルのところに置いてあって、潅漑期間に何トンの水を出すとか、そうして今まででも完成しておりますから、およそ垂直水深に対する水温も観測してあると思う。ただいまの御説明では何度になっているかもわからないし、適当な施設を下流の元小屋の調整池で上層の水をとるような施設をしているから、そう大した影響はないだろうというようなお話でございましたが、北海道土木部長もいられますが、およその想定していられる水温低下の将来の状況について具体的に説明をお願いいたしたいと思います。私は現状を知りませんからわかりませんが、先ほど三十メートル以下から出水をしておるというようなお話があった。表面水が夏おそらく北海道においては二十二、三度だろうと思うが、三十メートルも下の水温は十二、三度になっていると思うのです。十二、三度ではもうこれは稲は生育できない温度でございますが、下流の調整池と逆調整までの距離もわかりませんが、逆調整が何時間ぐらいの水量を逆調整するか、それによって水温がまあどの程度に上界するのか、十二、三度の水温の低下したものを逆調整でもとに戻すというようなことは、大体私は不可能だろうと思っているのです。冷水温障害を大規模に起すようなことに私はなるおそれがあると思う。電源会社が許可されているから、適当な収支計算が合う程度までなら補償の工事はするが、そうでなければそのままやらせそうな説明をされておうたが、これは下流の者としては重大な問題であり、何か具体的に今まで御相談があったのはどの程度までなっておるか、御説明をお願いいたしたい。」ということなんです。こういうように一つのダムを作られるならば、必ず水温という問題は――農民は、今長官のお話にあったように、水のことについてはあまり学者でないですから、徳川時代からずっと百姓で水がありさえすればというのが定説でございます。しかしながら水温の稲作に及ぼす影響というものは非常なものである。今溝口氏の言われるような、またここにいろいろな学者の学説があります。これらで詳しく統計をとってみますと、日本の食糧問題はこういうものが解決するならば非常なものであるということも言っておられる。電源会社は、今言ったような法律を国家が作って第六条を改正して、そうして取ることは考えるが、出すことに対してはひた隠しに出さないようにしている。このままに置いたら重大な問題が起ると私は思うのであります。かく言う私も日本農民組合の中央執行委員をしております。これは研究すればするほど重大な問題である。またこれを日本の農民に呼びかけるならば、一度に立ち上るというような問題にもなってくる。だから私は日本の工業生産に寄与する発電というものに対しましては賛成する一人でありますが、同時に自己の独占利益のみを考えて、そういう日本の稲作に影響を及ぼすことに対して一つも考えていないことに対して政府が今日まで等閑視され、農林省も研究はしているけれども、しからはこれを具体的にどういうふうにさすか。言いますなれは、既設のダムの取水品が非常にダムの底の方にあるのを上の方に変えさして、暖かい水を下に流すというような設備をやるべきである。電源開発に対して国家がこれだけ莫大な投資をしている。国家が投資するその金はすなわちこれは農民も含めたところの国民の金であります。その国民の金が一部に潤って、いわゆる大部分の農民がこれによって知らず知らずのうちに大きな影響をこうむっているということに対しまして、国は食糧増産という上から考えてみても、外国米を輸入するという考え方から見ても、これに対するところの施設について指示をされるとか、あるいはまた単独立法でも作るか、この再源開発促進法に損失補償のあれがあるのですから、これなんかに対して一部法の改正をやるとかいうような指示がなぜなされないのでありましょうか。この点に対して国務大臣の御答弁をお願いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/29
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030・高碕達之助
○高碕国務大臣 政府といたしましては、その点は決して等閑に付しているわけじゃありません。特に政府が発言力を持っております電源開発会社に対しましては、北海道の糠平のダムにつきましてはこの問題は相当重要視いたしまして、三十一年度は暫定的に水温低下についての処置を講じたのでありますが、永久的な問題につきましてはまだ解決の緒についておりません。どうしてもこれは下流に貯水池を作って、そこにある一時期水をためておいて水温を上げるという方法をとることが一案だろう、こういうようなことが今研究されているわけであります。また東北の胆沢、猿ケ石の問題につきましては、これは元来多目的ダムで作ったところでありますから、農村に水を供給するというように、そういうような温度の点等も考慮してやっているわけでありますからすから、断じて政府は等に付しているわけではございませんけれども、その重要性についてはさらによく検討いたしまして、必要に応じて施設を変えるとかあるいは補償の方法を考えるとか、いろいろな点につきまして考慮したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/30
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031・佐竹新市
○佐竹(新)委員 高碕国務大臣の御答弁を聞いておりますと、政府は決して等閑に付しているのではないというような御答弁であります。しからばお尋ねいたしますが、農林省の出しましたこのいわゆる研究の結果は、二、三私も資料において見ております。しかしながら遺憾ながら通産省ないし経済企画庁においてこの問題がそれほど今長官の言われるように重大な問題であるならば、何らかそれに対する研究結果の資料というものがわれわれの口につくはずであります。しかしながらここに集めております膨大な資料は、みな私があらゆる方面をかげ歩いて集めた材料でございます。結局政府では高碕長官の言われるようなことがすでに考えられておるなら、何らかの形において現われておらなければならない。この現われないということが私は電源開発と政府の関係――電源開発という問題はわれわれは非常に注目して見ておるのであります。電源開発そのものに注目するのでなく、国家予算を投下されて、佐久間ダムのごときにおいても当初の予算よりも百三十何億上回るところの予算がまた出ておるというようなことになる。こういうようになりますと、ますますわれわれはこういう大きな事業に国家資本を投下するのであったならば――損失の補償ということがこの促進法の中にはっきりとうたわれておるのであります。電源開発促進法が制定せられてからもう数年を経ておる今日であります。この促進法の第七条の損失補償、「電源開発等により生ずる農地、林野、家屋等の水没、かんがい水、飲料水又は工業用水の不足、木材の流送の支障、さく河魚類の減少その他の事由により損失を受ける者があるときは、当該電源開発等を行う者は、その者に対し、公正な補償をすることに努めなければならない。」。これはダムの下流の農民がまだ損失の補償の強い要求の運動を全国的に展開しないから然っておられるのであります。これに一たび火がついたならば、当然政府はこれに対して計数的に資料をとって、そうして農民が電源開発に対して要求をすることに対して、政府の方ではその資料に基いて――われわれの方には今日までの資料の結果においてこういうような実情になっておるという資料がなければできるものではありません。その資料があるなら一つそこでお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/31
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032・川上為治
○川上政府委員 北海道の糖平のダムの問題につきましては、先ほどお話がありましたが、私どもの方としましては、経済企町庁あるいは北海道開発庁あるいは建設省、農林省、通産省みんな集まりましてこの問題につきましては何回も相談をしまして、そして下流の方に損害を与えないようにいろいろ方策を今日まで講じておるわけでございまして、さしあたりの措置としましては、やはり表面水をとるような措置を講ずるようにしてありまして、三十一年度におきましてはそれによって損害がないようにしたいと考えております。現在それにつきましては電源開発の方でも具体的にいろいろ措置をとっておるわけでございます。
それから今後の問題につきましては、先ほど長官からお話がありましたように、恒久的な方法としてあるいはその流域の変更でありますとか、あるいはその調整のダムを作るとかいうようないろいろな方法によりまして、今後下流の方にそういうような損害がないようにしたいということでいろいろやっておるわけでございます。各発電所のダムについてそういう措置をとっておるかどうかという点につきましては、これは最近できますものにつきましては私どもの方としましては、施設をしますときのその認可のときにそういう措置をとるようにということで、もしそういう措置をとらなければ認可をしないというようなことでやっておりまして、極力そういう損害がないようにやっておるわけでございます。ただ既設のものにつきましては、そういうような措置をとっていないところもあるかと思うのでありますけれども、これにつきましては今後施設をある程度かえるなりして、そういう損害がないように極力いたすように指導はいたしております。
なおこの問題につきましては、もし下流において損害が起きる場合におきましては、電発法の第七条においてもやはり適当な補償は絶対にしなければならぬということになっておりますし、また民法によりましても損害賠償の規定がありますので、その規定によりまして損害の賠償を現在いたしておるわけでございます。そういうような補償につきましては、実は従来よりも非常に金額がかさんでおりまして、いつかお話し申し上げましたが、佐久間の建設費の二割近くは補償費になっておるというふうなことで、そういう点については私どもの方としましても気をつけてやっておるわけでございます。何分既設のものにつきましてはそういうような問題もあるかとも思いますので、今後十分気をつけて指導をしていきたいと考えております。今お話のありました、それでは具体的にはどの発電所についてどうなっておる、どの発覚所においてはどうなっておるという資料につきましては、別に本日持って参りませんが、そういうものにつきましては資料もあると思いますので、御必要によりましては提出をしたいと考えおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/32
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033・佐竹新市
○佐竹(新)委員 ただいまの局長の答弁ですが、北海道の糠平ダムあるいは岡山県においても下流農民が相当この問題を重要視して、寅源開発に対して要求をいたしたということで、取入口を上につけたということを聞いております。しかしこれは農民が冷水の影響を受けるということを相当に知ってきて、問題を起したところにおいてはそういう施設をやられるようになったのであって、これはほとんど下流の農民の強い政治的な要求でできておる。それでなければダムの建設はできないからできておるのであります。今局長の言われますような、既設のダムはまだ農民の水に対する認識が浅かったものでありますから、いわゆる湖底に取入口があるわけであります。現にこれらの農民が非常にその影響を受けておることは御承知の通りでございます。現に補償をなしつつあるということも由されましたが、私はどこにどの程度の補償をしておるということは政府の方の資料の中にありませんから、ここにつまびらかに知ることはできませんが、もしありましたならば既設のダムの湖底に取入口がつけてあるダムは本体全国にどのくらいあるか、そうしてそういうような補償を政府が具体的にやらしたのかどのくらいあるという資料を、今でなくてもよろしゅうございますから後刻各委員に資料としてお王渡上をいただきたいと考えるのであります。
私はなぜこの問題をかように重要視するかというと、これは実験によりまして、稲作を実際にそういう温度によって植え付けてみまして統計をとったりしておるものが相当あるのでございます。そういう実験や統計や学説の上から、私はこれは等閑に付すべき問題ではないという根拠をもちまして政府に要請をするわけでございます。水稲はどんな水温が問題となるのかということになりますと、水稲の適温は一十二度だそうであります。温度は大体二十度を境としてそれ以下では収穫は皆無になり、二十度をこすと急に作柄がよくなり、二十度で半作、二十四度で標準作に近くなる。水温が二十度から二十四度までの間で水稲の作柄は大へんな変化を示すものです。この研究は三十近くも結果が発表されておるのであります。そこで日本の河川の水温は夏には上流より下流にいくに従って次第にあたたかくなって参ります。最上流では十一度から十五度ぐらいで、二十度から三十度近くで海に入っていることから、ダムを作らない状態の河川でも、上中流部では中国や四国のような気温の高い地方も冷水の被害を常時受けておるのであります。その川の途中にダムを作るのですから、ダムはたいてい河川の上流に作りますから、流れ込む水は相当冷やいわけであります。水をためれば冷やい水ほど下層にあることは私がさっきも申し上げた通りでありまして、それが発電用のダムですと何十メートルも深いものでありますから、表面の温度よりか十度以上も低温になるといわれております。経費の関係もあり、現在まではほとんど水の底に放水路を設ける仕組みになっているのであります。この研究はすでに二十あまりも研究がされておるわけでございます。こういうような状態でございまするから、湖底に持っていって取入口を作るのと、それからずっとダムの上に取入口を作るのとでは水の温度がかように違うわけであります。その湖底の水が下流に流れてきて一番ダムの上の方の温度になるというまでには大へんな太陽の光線を受けなければならない。こういうような結果になるわけでございます。だからこの湖底と一番ダムの上の水を流すということは非常な影響がある。これをこのままにしておくことは日本の稲作に非常な影響をし、取入口を上につけさしたならば食糧の増産になるということは学者が言っている。今の局長の御答弁では、はなはだ失礼な言葉でございますが、出たとこ勝負で、ここで答弁をすれは――事務当局として答弁をのがれるために間に合せ的にといっては失礼でございますが、とにかく言っておけばあとは野となれ山となれ、こういうようなことではわれわれ国民を代表する国会議員が、しかも商工委員として商工面を担当するわれわれ委員が、特に電源開発に関係があることをここで発言をしましても、あとは実際に何もやっていない。だからあなたの方ではこれに対するところの別個な研究所でも設けて、そういう資料の発表もやり、そうして研究もやって、あるいは農林省と共管でもよろしい、国の費用を出してそうして電源開発に対してこういう点をやらなければ稲作の増産に対して影響があるのではないか。こういうようなことをこれまでやっておられない。やっておられないということは電源開発が独占資本の大きな資本家である。農民は一人々々は弱い農民である。しかも水のことについてはあまりに知らない。だからこれをほったらかしておいて、農民は知らず知らずのうちに大きな損失を受けておるという結果になる。この結果は国が食糧増産の上に対して損失をしておるという結果になるわけであります。こういう点に対してあなたの方ではそういう研究でも設けてやられる御意思があるのかどうか。今までは私は失礼ながらないといっても差しつかえないと思う。そういう権威者の発表なんかもあなた方読まれたこともないのではありませんか。そういう点に対してどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/33
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034・川上為治
○川上政府委員 私の方としましては現在特別に研究所を設けましてそういう研究を特別にいたしておるわけではございませんが、先ほども申し上げましたように、発電所なりあるいはダムを作ります場合に、いわゆるその設備についての認可というのがございますので、その際そういう問題につきましては、いろいろ各省の意見も聞き、相談もし、特に農林省関係とはいろいろ相談もいたしまして、そうして下流の方に損害がないような措置を講じつつあるわけでございます。先ほども申し上げましたように、既設のものにつきましては、これはそういうことをやっていませんでした関係上、いろいろそういう問題が起きておりますことは、私もよく知っております。今後の問題としましては、私どもは何とかしてそういうような研究費等を予算で取ってやりたいというふうに考えておりますけれども、さしあたりは電発でありますとかあるいは各電気事業者、そういうものに対しましてそういう調査を十分するように措置をとっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/34
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035・佐竹新市
○佐竹(新)委員 通産当局はさっきも私が言いましたように、この場の答弁だけでなしに、この問題は農林省ともよく打ち合せをされまして、よほど考えておかれないと、今言ったようにその下流の農民が政治的に大きく強く当局に要求したり、発電所に要求すると、そういうような――これは岡山県の一例であるが、取入口を上の方につけた工事をやっておる。これは何かというと岡山県の下流の農民が非常に団結力を強くして、もしこの施設をやらなかったらダムを作らせないということを言った結果こういうのができた。だから今後のダムにおいては、これは開発促進法の第七条の損失補償の中に明らかにうたわれておるのだから、農民がそういうような政治的な要求を起してこなくても、政府なり電源開発会社はこれに対して適当なる研究なりいろいろな調査をしてやらなければ、これは弘は全国的に大きな問題になってくると思う。これは電源開発会社に対して農民がほんとうに十分な資料を持って、そして裁判でも起したら電源開発会社はひっくり返ってしまいます。ですからそこに私は声なき農民の声を――声がないからというので、事務的にすっとやっていこうという考え方を持たれたりしてはいけない。政治というものはそんなものではない。あなた方は行政を担当される立場にある方であるから、いつどのようなことがあっても――そこに日本の一番大事な電源開発と農民との間に摩擦を起してダムを作らせないというような大きな政治運動に展開してどんどんやって、そしてそれを国会に陳情してみなさい。農民の数の方が多いんだから、選挙の札はその方からもらいたいからせっかくダムを作ろうと思っても、ダムを作れないという結果になりかねない状態が、今後くるということをあなた方は考えて、声なき農民の問題であるからこれはほったらかしておいてもよろしいというような考え方で、これに何らの関心を持たれぬということは、今後の日本の政治の上に大きな失敗を繰り返すという結果に私はなろうと思う。そこでこの際通産大臣がおられませんから、通産大臣も国務大臣もより以上に電気の方のことについては専門家であられる高碕さんに、この際御答弁を願って質問を打ち切りますが、私はこういうような問題に対しまして、今後いろいろな経済計画を打ち立てられる点において、特に電気の問題に対しましても、こういうダムと下流の水温の問題というようなことに対しまして、私が今申し上げましたようなことに対しまして、今後政府としてはいかなる処置をとられる方針であるか、また政府の内部にこういうような問題に対して何らかの機関を設けて十分にこれと取り組んで、声なき農民の政治的な要求の起らぬ前に納得のいくような一つの方途をとるというお考えがありますかどうか、この際御答弁を願いまして私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/35
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036・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお説の問題につきまして、従前の電力会社のダムの建設のやり方につきましては、農民の立場あるいは水の温度の調査ということについて、等閑視されておったことは事実であります。戦後多目的ダムが計画されまして、特に電源開発会社を私どもが引き受けてやりましたときには――胆沢のダムを作るときは、この農民に対する下流の水温ということが非常に重要なポイントとして検討されておったわけでありますし、これは私は非常に大事な点だ、こう存じまして、佐久間のダムの建設をいたすにつきましても、また糠平のダムを建設いたすにつきましても、その点は相当考慮するように電源開発会社に命じまして、水温等の研究もするようにやっておったわけでありますが、今後のダムの建設につきましては、水力電気も必要でありますが、より以上に食糧増産ということも必要でありますから、その点は十分考慮いたしまして検討いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/36
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037・中崎敏
○中崎委員 この農業用水とダムの水温との関係については、いろいろ質疑応答がかわされたのでありますが、私今高碕長官なりことに川上局長の答弁としてはどうもまだ不徹底であるというふうな印象を強く感じましたので、関連して質問をしたいと思うのであります。ことに川上局長は、こうした問題について、今後ダムの建設をされるものについては、許可の際において一応考慮する、これは今日まで、最近のものについては考慮もしておるようなことでありますが、今後についてもそうだというのでありますが、そうしてまた調査については電発会社あるいは民間の電気会社に調査させるというふうな、お茶を濁すような不徹底な態度であります。また過去のものについては、電発会社についてははっきりと補償の規定があるからそれはする、民間の場合においては民法の損害賠償の規定に準拠すべきものであるというような答弁がされたのであります。この点について私申し上げてみたいと思うのであります。
まず第一に許可をする際の基準としてダムと水温の問題を考えるというのでありますが、その前にこうした問題をもう少し統一的、基本的に十分の調査をする、その際においては一つの調査委員会とでもいいますか、通産省はもちろん、建設省、農林省あるいは企画庁などを含めた、権威あるエキスパートの意見を十分に取り入れるような、そういう態勢を作って、そしてさらに、たとえば法律の中にこれを織り込む必要があるのかどうか、言いかえれば食糧増産というような大きな使命を持つ個々の農民の生活をどうするか、あまりに低温のために稲もできないというような、直接生活につながってくる問題でもありますから、そうしたような大きな問題を、国家が一般行政方針を立てる上において、軽く見ることはできないということは高碕長官も言われたのですが、そういう重要な問題であるから、一つの大きな問題として取り組んで、十分にその調査をして許可基準を立てる、その基準を立てる上におけるところの、基礎的なものを作る委員会を作り、さらに、調査研究を継続的に広範囲にやらなければならぬ場合、もし予算が足りないという場合には、そうしたような機関の意見も聞きながら必要な時期においてこの予算を計上するということは当然なのでありますが、ただ民間の会社にやらすとか、電発に調査させるというような、なまぬるいことではなしに、政府かもう少し積極的に取り組んで法律的に必要な措置はやる、さらにまたこの基準によってこういうふうにやらせるのだというような、もう少し全般的、総合的な考え方の上に立ってこの問題を処理すべきじゃないか、ことにそうした調査機関などを設けた場合においては、たとえば民法上の損害賠償によるというが、そういう不徹底な、農民が黙っておる場合においてはほったらかしにすればいいのだというのでなしに、国家的見地から食糧増産をし、より利用度を高めるという上において、過去のものについてもこういうような方法によってこうやれば割合経費も少くて、それだけの目的を達するのではないかというものも十分あるわけなのでありますから、そういう場合においては事前にさらに調査する、そういう民間の電力会社にも一つの方針を示してこれにやらせるような道もあるのではないかと思います。従いましてもう少し積極的に、政府はこういう方針でいくというところの熱意と誠意を持ってこの問題に取り組むべきものだと考えておるのでありますが、これらについて一体どういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/37
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038・川上為治
○川上政府委員 今のお話はまことにごもっともなことだと考えます。従来におきましても、実はそういう特別な機関を設けてやっておるわけではございませんけれども、個々に具体的な問題が起きましたときは、農林省あるいはその県あるいは建設省その他各方面といろいろ相談をいたしまして、そのダムなりあるいは発電所について詳細な検討をいたしました上で、下流においてそういう損害が起きないような措置を従来も一応とって参ったわけでございますけれども、しかしこれをもっと積極的に本格的にやる必要はあると私は思うのですが、それにつきまして調査機関をこの際経済企画庁あたりに設けるかどうかという問題につきましては、いろいろ検討しなければなりませんけれども、本年度から実は水力調査を根本的にやることにいたしまして、予算につきましても相当の額が計上されてこれを実行することになっておりますが、その水力調査の場合におきまして、今の問題につきましては十分調査をし、検討をしていきたいというふうに考えております。今おっしゃいましたいろいろな方面の者が集まりまして恒久的な調査機関を作つて検討する問題につきましては、私の方としましても十分研究したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/38
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039・中崎敏
○中崎委員 今川上公益事業局長から答弁があったのでありますが、私は一局長のお考えを聞くというのではなしに、さらに通産大臣を含めた通産省生体としての最高方針が聞きたいと思うのであります。従いまして私は必ずしも恒久的な調査機関を要求しておるのではありませんで、まずこうした大きな問題は、今日まで十分に対策も練られていないし、いわばある意味においては軽く扱われておったのだから、この問題は経済企画庁を含めた通産省、農林省、建設省というふうな関係官庁の間でもう少し真剣に取り組んで一応検討してみて、そこにおいて恒久的な機関が必要であるというならやる必要があるし、さらに予算を多くとる必要があれば予算をとっていく、こういうふうな意味においてもう少し問題を真剣に大きく取り上げてもらいたいということを言うのでありまして、この点についてはまず高碕長官のお考えを聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/39
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040・高碕達之助
○高碕国務大臣 先ほど来の御質問は非常にわれわれの参考になったと思うのであります。これはすぐに実行に移したいと思いますが、これにつきましては御承知の電源開発審議会というのかございまして、これは各省の大臣及び各方面の権威者が寄ってやっておるわけであります。今度は四月なり五月、五月には開きたい、こう思っておりますので、その題目の中にさしあたりきょうの御質問の要旨を取り入れまして検討いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/40
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041・中崎敏
○中崎委員 その中に、たとえはことに関係の深い農林省関係のそういうものに造詣の深い人-どういうふうな人間であるかよくわかりませんが、そういうふうな者の意見を十分取り入れるような心がまえの上に立って、機関が一体何であるかということは問うところではございませんので、ほんとうに実情に即した、しかも実行に移し得るような態勢の上に立って一つ進めてもらいたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/41
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042・神田博
○神田委員長 次は松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/42
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043・松平忠久
○松平委員 水の利用ということにひっきょうなるわけでありますが、この水の利用に当っていろいろな利害関係の錯雑ということかある。そこで今のような問題が出てくると思うのであります。そういう錯雑したところの水に対する利用をどういうふうにしていくかということの一つとして、多目的ダムということを強調されておるわけでありますが、この多目的ダムの建設ということに当ってもいろいろな障害が出てきておる。その障害を克服するという一つの考え方として、電気を主力として、電源開発というものができてきたわけであります。この電源開発ができてきても、電源開発が自分の職責を遂行する上において、いろいろな困難が出てきていると思うが、その困難の最も大きな理由は、やはり日本における政治の貧困というか、今までの官僚政治の悪弊というか、すなわち官庁のセクショナリズムというものがありまして、これが非常に大きな悩みの種になっておると私は思うのであります。従って電源開発というものを中心として考えてみても、その方面のセクショナリズムというものを、いかにして克服していくかということが重大なる。ポイントになってきていると思うし、また電源以外の水の利用ということを考えて、農業用水あるいは工業用水、その他の治山治水という関係から考えるなら、は、なおさらに、これは各省のそういうセクショナリズムというものを打破していかなけれ、ばならぬ、こういう、ふうに考えておるのであります。
そこで第一点として伺いたいのは、経済企画庁というものは、その点もう少し努力をして、そうしてそれらのセクショナリズムを打破して、ここに一つの根本的な指導方針というものを立てていって、水というものをうまく利用して、その利用の結果が全部にその利益が公平に分配できる、そうしてその反面におけるところの水による損害、水による被害というものを克服していくということをされなければならぬと思うのであります。従ってこれは今回政府においても、行政機構の改革等が行われるということで、目下研究中であるという新聞発表もありますが、これに関連して、たとえば現在の公益事業局であるとか、あるいは建設省の河川局、あるいは農林関係の農業用水を担当している部門というようなものを、もっと一カ所に総合的プテンを立て、しかも実施していくというところにポイントを置いてやっていかなければならぬと思うのでありますが、これについて高碕国務大臣はどういうお考えをもってそれを実行しようというのか。ただおざなりの御答弁ではなくて、ほんとうにあなたの事直なお考えを一つ聞かしていただきたいものと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/43
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044・高碕達之助
○高碕国務大臣 昭和二十七年に電源開発会社が創立されましたときと相前後いたしまして、電源開発審議会というものが設けられておるわけであります。これは経済企画庁が幹事役になりまして、開発する地点を幹事においてきめたときに、これをその審議会にかけるということになっておるわけでありますが、この審議会のメンバーは、運輸省それから農林省、通産省、建設省、こういう各関係の省がこれのメンバーに入っております以外に、農林省の方の関係といたしましては、荷児先生とか、あるいは電力の方はどなたという工合に、専門の方々も委員として入っていただきまして、十分検討を加えて、今後のダム建設等はやらなければならぬというような組織ができておるわけであります。本日の御質問のごときは、非常に重大な点と存じまして、こういう点はそういう審議会にかけて、今後の開発等はやっていきたい、こういうふうなことを考えておる次第であります。またそれにおいて、幹事役といたしまして、この審議会にかける上におきましては、さらに実質的に深く検討を要するというふうな点があれば、これは別にまた考慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/44
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045・松平忠久
○松平委員 長官の御答弁は、昭和二十七年にできた審議会のことについて強調されたわけですが、昭和二十七年に審議会ができたころには、そういう考え方で発足して、熱意があってこれをやっていくということであっただろうと思うのであります。しかしながらその後の運営等を見ましても、また一方においては総合開発審議会というものがあるというようなことで、電源開発の審議会と総合開発の審議会がダブっているような格好になっているというところから、初めは非常に熱心にやろうとしたでありましょうけれども、そのうちに、やはり従来からの官僚制度というものの勢力が温存されておりまして、セクショナリズムがだんだん出てくる。そこで初めは、電源開発審議会ができた当初においては、それらを利用して一本化してやっていくということが可能でもると考えたかしらんけれども、だんたん時がたっに従って、今日やはりその通弊というものが出てぎているわけです。電源開発の会社自体が非常に困っているという状況があるわけです。だから私は、その審議会というものを利用してやっていくという考えもいいでありましょうが、もっと下部機構を集約していくという考え方で、もっと指導力をどこかで持たなければならぬ。その指導力を持つのはどこか、総合的な企画庁であろうと思うのでありますが、そういうところでもう少し権限を持って、実行力を持ってやっていかなければ、審議会が浮いてしまうことになるのではないかということを私はおそれているわけであります。従ってその点についてのことを私は先ほど伺ったわけでありますが、あらためてその点についての御見解を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/45
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046・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のごとく、初めああいった審議会を作るときは相当熱意をもってやっておりますが、日がたつに従ってこれがだらだらになってしまう、そうして各省のセクショナリズムが働いて、ここに大きな国家全体としての損失を来たしているということは事実でありまして、これを調整するのが経済企画庁の役だと私は痛感いたしておるわけであります。国土総合開発にいたしましても、電源開発にいたしましても、各省とのつながり、各省との連絡をとって、経済の企画をする、電源開発の企画をする、ダム建設についての企画をするというふうなことの韓事役を勤めているわけであります。今後経済企画庁といたしましては、十分その点を留意いたしまして、各省と連絡をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/46
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047・神田博
○神田委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/47
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048・神田博
○神田委員長 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/48
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049・佐竹新市
○佐竹(新)委員 今中崎理事がおりませんけれども、われわれの方といたしましては、やはり通産大臣と高碕長官のお二人がおられて質疑を続行したい、こういうような申し合せになっておりまするが、いつでも慣例によれば午後やると言っておいてそのままやらないことがあるのです。そうすると、だんだんと審議の日にちが長くなる。それで午後には、本会議終了次第両大臣出席の上で続行するということにきめておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/49
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050・神田博
○神田委員長 ただいま佐竹委員から、午後の本会議散会後必ず委員会を開くように、なお両大臣、関係政府委員が出席をして議事を進行させるようにということでございましたが、政府側も御異議がないようでございますので、本会議散会後まで暫時休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後二時三分間議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/50
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051・神田博
○神田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/51
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052・松平忠久
○松平委員 午前中の委員会でお尋ねした点についてお尋ねしたいわけですが、高碕国務大臣は見えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/52
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053・神田博
○神田委員長 お答えいたします。高碕大臣は目下のどの治療に行かれて、もうじきお戻りになりますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/53
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054・松平忠久
○松平委員 それでは高碕さんに対する質問は昭保いたしまして、次に移りたいと思います。
この法案に関連しまして、著しい利益を受ける者が工事費の一部を負担するということになっておるのでありますが、総合開発並びに多目的ダムというようなことになりますと、治山治水あるいは農業川水、あらゆる面で利益を受ける者が出てくると思うのでありますが、そういう総合開発、多目的というようなことからいいまして、一般の受益者負担というような原則からいくならば、ただ単に水を電気に利用するといり電気事業者だけではなくて、水をあらゆる面に利用する者がやはり応分の負担をするということが建前ではないかと私は思うのでありますが、こういう点については、この法案では全然触れていないわけでありますが、一体これはどういう理由で、根本的にはどういう法理念というか、そういうことによって省いてあるのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/54
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055・川上為治
○川上政府委員 この法律では、電気事業者だけに限定をしておるのでありますけれども、普通多目的のダムを作りました場合におきましては、その利益を受ける者につきましては、総じてやはり上のダムに対しまして協力なり、あるいはその負担なりをするのが正しいことではないかというふうに考えるわけでありますけれども、法律でこれを規制するにつきましては、やはり電力業者と一般の者とは違うのではないかというふうに私どもは考えるわけでございます。下流増に対しまして、電力業者のみに限定しましたのは、これは電力業者というものが、上のダムの建設あるいは発電に対しまして、協力しなければならぬ一つの義務を持っておるのではないかというふうに考えますので、そういう義務を持っておる者に対しましては、法律で強制し得るのではないかというふうに考えます。しかし、たとえば自家発でありますとか、その他のものにつきましては、そういう義務を持っておりませんので、そこまで強制するということは非常にむずかしいことではないかというふうに考えるわけでございます。ただ実際問題としては、そういう利益を受けるほかの者について協力させるということは、話し合いによってやらせるように行政指導して参りたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/55
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056・松平忠久
○松平委員 現在行なっておるところの多目的ダムの中には、治山治水というものを当的としてやっておるようなダムもあると思うのでありますが、その水を電気に利用するという場合には一つの方式をもってアロケートしておると思うのであります。従って法の精神から言うならば、これをただ単に電気だけで負担するということは筋が通らないのじゃないか。ことに先ほどからの説明を聞いておっても、だんだん多目的ダムの方向に行くのであって、従って電気オンリーの場所が少いということから、自然治山治水というような考え方、そういう目的を多く持ってやる場合が多いと思います。従って電気だけについてそういう立法化をやり、その他の面は省いていくということは、一体法律的にはどういうことになるのか、その根本的な理由が私にはわからないのです。現在の多目的ダムのやっておる実情から言いましても、アロケーションをしておるところが非常に多いのであります。それを今度の法案では、そういうことに全然触れておらないということの根本的理由がわからない。あなたのおっしゃることはどうも納得ができないのですが、もう一度その点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/56
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057・川上為治
○川上政府委員 ただいまの御質問は、電力業者以外の、たとえばその水によって非常な利益を受けるであろう農業者とかその他の者も、やはり下流増としてこれに対し応分の負担をすべきであるというお話であろうと思うのですが、先ほども申し上げましたように、私どもの方として、電力業者のみにこの法律によりまして限定をしましたのは、たとい多目的ダムでありましても、電力業者というものは、電力の豊富な、あるいは低廉な開発に協力すべき義務を持っておるんじゃないかというふうに考えますので、法律によってそれを強制して規制することは差しつかえないけれども、それ以外のものにつきまして法律によってこれを規制する、そこまでいくということはいかがかというふうに考えましたので、実は入れてないのであります。
それから、農業関係とか、そういうふうなものにつきまして、果してどの程度の下流の増があるか、利益があるかという問題につきましては、これは計算の問題にしましても、いろいろむずかしい点があると考えますので、私どもの方としましては、法律では一応規制しないことにいたしたわけでございます。しかし実際の話し合いとしましては、多目的ダムの場合におきましては、電力業者もまた農業関係その他のものにつきましても、利益を得るものにつきましては、上流のダムの建設につきましては、いわゆるアロケーション・システムとして、一定の下流増を見込んだ、利益を見込んだ措置をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/57
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058・松平忠久
○松平委員 そういたしますと、結局その農業用水あるいは灌漑用水、治山治水というような面については、非常に受益の部分が複雑である、あるいは少いというような理由でこの法律の中には入ってないということに解釈していいわけでございますか、それが第一点。
それから多目的ダムが将来は続々と出てくるわけであります。現に県営、国営等でやっておりますダムの中には、公共事業費として、治山治水の部分の負担金が幾らである、農業用水としては幾らである、そうしてそのほかの下流増に対しては幾らかけるということでやっているわけでございます。そのやり方は現在行われておるのであるが、これらの行われておることは、今度の法律によりますと、それはもう立法化ではなくて、話し合いでやっていくんだというように今あなたはお答えになったわけだが、その法律の中に入れないという理由は、複雑であるから入れないというのか、あるいは農民やその他の住民については、もうそういう負担をさせなくともいいんだ、あるいは公共事業かなんかでそれを見ていくんだ、こういう考えでこれを入れないというのか。あるいは将来多目的ダムがだんだん出てくる場合には、電気というようなものではなくて、むしろ多目的の中の、治山治水の目的が非常に多くなったダムが出てくると思うのですが、そういう場合でも、そういう負担金というものは入れないのかということを私は聞きたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/58
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059・川上為治
○川上政府委員 この法律の場合におきましては、豊富低廉な電源の開発というのに主点を置いているわけでありまして、それはたとい多目的のダムでありましても、あるいは単独の場合のダムでありましても、電源の開発ということに対しまして主眼を置いておるわけなんですが、その電源の開発に対しまして、少くとも下の方の利益を受ける電力業者というものは、当然これは現在の公益事業会なり、あるいは電源開発促進法なり、そういう法律の趣旨に従いまして、豊富低廉な電力を上の方で出すことについて協力をする、あるいは下流増に対しまして協力をするというような義務を持っておるとわれわれは考えておりますので、そういうものに対しまして、強制的な法律によって下流増の利益を出して、そうして上の工事の一部を負担するということは当然なことではないかというふうに考えましてこの法律を作っておるのでございますけれども、それ以外の、農業用水とかその他のものにつきましては、その利益が非常に顕著な場合におきましては、いわゆるアロケーション・システムによりまして下流増の利益を見込んだ措置をとっておりますけれども、それらにつきましてこれを行うということ、あるいはまたこういうものについても法律によってそれを強制するということはいかがかと考えますので、この法律におきましては、単に電力業者間の利益の調整、それは電力業者そのものが当然公益事業者として、電力の豊富、低廉な開発に対しまして協力すべき性格を持っておるというようなことから、これだけを特に法律によって規制をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/59
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060・松平忠久
○松平委員 その点については、局長の言われたことは前の意見をただ繰り返しておるわけであります。あなたの説明では、下流増はもっぱら電源開発のために協力させるんだ、こういうことを言われておりますが、多目的ダムというものはいわゆる多目的なんだから、いろいろな目的があるわけであります。そういたしますと、電源だけではなく、農業潅漑用水その他の面で利益を受けるものが拠るが、そういうものをこの法律の中に入れるのはいかがかと思われるので入れ大かった、こういうわけでありますが、いかがかと思われるというのはどういうことなんですか。それは判定がむずかしいとかあるいは少いとか、あるいはそういう部分は将来公共事業でめんどうを見るんだとか、そういうようなことを意味しておるのか。あなたの言われるいかがかと思われるということがちよっとわからない。その点を一つ私は聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/60
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061・川上為治
○川上政府委員 普通多目的ダムの本きな開発につきましては、主として県なり国なりがやっておるわけでございますが、これは最初から共同建設的なやり方で現在やっておりまして、それについてのいわゆるアロケーションシステムでこれを負担をさしておるわけなんです。まあそういう意味合いでやっておるのでありますけれども、上の方で大きなダムを作って、そのために下の方が相当の電力が出るというような場合におきましては、電力業者というものは先ほども申し上げましたように、豊富低廉な電力の開発をしなければならぬという一つの公益的な義務を持っておりますので、私どもの方としましては、法律によってこれを強制することは差しつかえないんじゃないかというふうに考えます。それ以外のものについては、先ほど申し上げましたように法律で強制することはいかがかと思いますけれども、現在多目的のダムにつきましては、大体共同建設でやっておりまして、そうして下流増の下の方の利益も含んだアロケーションをやっておりますから、私はそれでやっていっても差しつかえない、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/61
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062・神田博
○神田委員長 ちょっと速記をやあて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/62
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063・神田博
○神田委員長 速記を始めて。松平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/63
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064・松平忠久
○松平委員 高碕国務大臣にお伺いしたいと思いますが、ダムの負担ということと同時に、ダムの維持管理ということが経済上きわめて重要な問題になっております。おそらく今日のダムは、初め計算したところに基いて計画を立ててダムを作ったという場合において、大体二十年、三十年持つものはない。ほとんど五、六年たっとどんとん埋まってきてダムの価値はほとんどなくなる、こういう現状であります。おそらく全国至るところこの傾向が現われておって、木曾水系のようなところは国有林地帯でありますから、ダムの埋没ということは比較的少い。しかしそれでも三浦ダムのごときは初めの予定よりもかなり埋まっておるということになっておるのであります。従ってダムの維持をするということが多目的ダムの建設と同時に非常に重要な問題である。従ってこのダムの上流地点に相当造林をするとかいうことによって、いわゆる涵養林、保安林というようなものに砂防をするとか何とかいうことによって、ダムの埋まることを相当国家は考えなければならぬと思うと同時に、これはダムを管理しておるところの電源開発なりあるいは各電力会社は考えておられるだろうと思うのでありますが、そういう場合におきまして、この法律の概念からいいまして、それらの造林計画というものに対して下流増になるわけでありますから、電発会社なりあるいは電力会社というものは、それに対してやはり一部の負担金を持って官行造林、県行造林その他の造林の費用を負担しなければならぬと私は思うのでありますが、そういうことについてどういうふうにお考えになっておるか。また現にそういう法律はありませんけれども、そういう事実があるかどうかということをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/64
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065・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のような工合に、ダムを作りまして、従前の流れ式のダムになりますと、これは年々ダムは埋まってくるのであります。これはお説の通りでございますが、今後の分につきましては、相当ダムの規模も大きく、また貯水池も大きくというような関係上、そう一年二年ということはありませんが、しかしながら上流地点における山林の状況によりまして、土くずれ、山くずれが多い、これを防ぐためには、どうしてもそこで植林しなければならぬ。ダムを管即する上におきましては、単純に山くずれだけでなくて、山に木を植えるということは、木そのものが水を貯蔵するダムの役割をするわけでありますから、どうしても電源開発としては上流に植林するということが絶対必要である。それがために今後はダムの管理等につきましては、従前電気の技術者等がダムの管理をやっておりましたけれども、むしろダムの管理は山林の経験者が当るべきものだろう、こういうようなことを私ども電源開発会社におる場合には言っておったわけでございまして、ただいまもそれを実行しておるはずだと思いますが、ただいまの御質問の、その場合に下流増によって得た受益者がその山林の植林等について協力するというふうなことは非常にいいことだと思いますけれども、まだそこまでは考えていないので、下流増においての利益というものは、利益を得る限度においてある程度負担するということになっておりますわけですから、積極的にそこまでは考えておりませんか、今のお考えのごとく、下流においてその恩恵を受ける者は、ダムの山における植林をすることによって協力されるというようなことが、お互いの話し合いの上でできることを非常に希望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/65
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066・松平忠久
○松平委員 当然そうあるべきであって、この法律案の精神からいいましても、ただ単にダムの構築について費用の一部分担ということではなくて、その概念を広めていけば、その上の、ダムの上流地帯の森林の造成についても、当然電力会社なりあるいは電発は費用の一部を負担しなければならぬ。これは当然でありまして、私はむしろこういう法律案を通すというならば、それもあわせて考えなければいけない問題じゃないかというふうに思っておるわけであります。そこで会度は逆に、ダムのために上流地帯がかえって多年にわたって損害をこうむるということがあるわけであります。すなわち埋没地帯に対する一時的な補償という問題ではなくて、ダムができたために年々少しずつ埋まってくるとしますと、上流地帯の堤防をかさ上げしなければならぬとか、あるいはそのために付近が冠水するということが非常に多くなってくるわけであります。そこでその被害であります。受益者があると同時に、一方においてはそういう被害が出てくる。しかもそれはダムを作るための一時的な被害ということではなくて、ダムがあるために長きにわたって被害が増強してくる、こういう現象が全国各地にあるわけであります。従って、ダムを作るときの分担金のことを考えるとともに、うらはらになりますけれども、その逆に被害地帯のことをあわせて考えなければならぬというふうに思っておるわけでありますが、そういう点については、一体どういうことを政府は考えておられるのであるか。現在まではただ一時的に包み金々やるというような――電力会社から、堤防をかさ上げするときに協力費を若干出すというような程度でありまして、これもなかなか思うように実行ができておらない。そして結局国の費用でそれをやらなければならぬという現実の状態である。こういうことに対上て、恒久的に何らか措置をしなければならぬと弘は思うのでありますが、その点については、政府はどういうお考えをもってこれに対処せんとしておるのか、お伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/66
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067・川上為治
○川上政府委員 ダムの設置によりまして、上流あるいは下流におきまして損害が生ずるというような場合におきましては、現在民法の規定によりまして、現実に損害賠償の措置をとっておるわけであります。しかしながら、そういうものについて、そのつどそのつどではなくて、恒久的に何らか対策を講じておるかという問題につきましては、別に現在のところは法律的ににやっておりません。ただ具体的な問題としまして、特にその被害の大きい沖方におきましては、具体的な措置によりまして恒久施設をするように、現在いろいろ指導をいたしております。たとえば宮崎県の轟ダムの問題等につきましては、これを今後具体的にどうするかという点につきましては、いろいろ相談をいたしておりまして、何とかしてこういうものにつきましては恒久的な措置をとりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/67
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068・松平忠久
○松平委員 今の御答弁は、そのつどでもって、恒久的なことはやっていない、将来考えるという御答弁であったわけであります。そこで議論を変えてお伺いしたいのは、現在の九分割後における電力会社おのおのの間に、私企業的な競争ができました結果、いろいろな経済上の強弱というものが現われたわけであります。その結果、料金等についてもまちまちであるということになっておって、日本の産業形態から申しまして、いろいろな問題がそこに発生してくると思うのでありますが、この電力の各会社間の地域荒料金というものが現在出ておることについては、大臣はこれはやむを得ない、私企業者間の競争であって、資本主義の現在の機構下においては、名前だけは公益事業であっても、やることはやはり営利を目的とするということであるから、やむを得ぬというお考えであるのか、あるいは地域差というものを将来はなくしていこうというお考えであるのか、その点についてまず伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/68
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069・石橋湛山
○石橋国務大臣 電力料金の地域差の問題は根本的な事柄でありますか、現状においては地域差のあることが必要な場合もあるというふうに考えます。たとえば東北等のある地域において電力がもし安いとするならば、そこに工業が興る。東京とか大阪とかいうところに集中させないようにするという面においては、何らかの地域差ということも考えなければならぬかと思うのですが、しかしこれは日本の工業、産業政策全般と見合って、電力のごときは、地域差なくして、しかも日本の産業政策をやっていくか、あるいはそういう電力の価格の相違があるということをてこにして日本の産業政策をやっていくかということでありまして、これは根本的には今後なお研究しなければならぬ問題と考えております。今どっちとも――地域差をやめる方針であるとはっきり申し上げることもできないし、また地域差の永久にあることを欲するとまではっきり申し上げるまでの意見は固まっておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/69
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070・松平忠久
○松平委員 ただいまの御答弁によりますと、ある場合には地域差があった方がいいというふうに受け取れるわけでありますが、それは日本産業構造全般を考えて、産業の分散体系を作る方がよいということであるならば、考えなければならぬというような御趣旨のように私はとったのであります。そこで私も今の資本主義経済のもとにおいては、おのずから一つの地域差ができるのは当りまえの話である、企業努力によってそういうものができるのは当りまえの話であるから、現在の状況下においてに当然そうなっていくと思うのであります。
しからばここに、先ほど申しましたところのダムの障害と申しますか、そういうことを上流地点等におきまして恒久的に考えなければならぬということになりますと、一つの電力会社の中にまた地域さという問題が出てくると私は思うのであります。そこで地元といいますか、発電所の付近においては安く、遠くへいくほど高く売るというのが一つの地域差でありますが、そういう政策をとっていくならば、今申しましたところの恒久的なダムの損害に対する補償ということも解決の道があると私は思うのでありますし、また現在の送電線の関係からいたしますと、一割なり一割五分というものがロスになっておる。そうすると、全部にプール計算になっておりますから、使わないものまでロスの分を払っておるというのが現状である、私はそういうふうに考える。のみならず今の送電線の関係から申しますと、送電線の建設費用並びに管理維持費用というものも全部ひっくるめて、電気料金の中にプールとして入ってきておる。そうすると、送電線を全然使わないところのものが送電線の費用まで払っておるというような実情であろうと私は思うのであります。今日本の国有鉄道、その他の鉄道にいたしましても、キロ数によって大体料金はきまっておる。ものを送る場合においても大体そういう工合にキロ数によってきまっておる。電気だけはそうではなくて全部一連にやっておるということであるから、送電線を使わないところのものまで送電線を使ったような料金を払っているということになるので、そこに私は非常な不合理があると思うのであります。従ってこの不合理を何らかの措置によって是正していかなければならぬと私は思うのであります。そういうことによって電力に地域差をつけることになりますと、そこに工業の分散体系というものも起って参ると思うのであります。工業の分散体系が起ってくると輸送の問題その他もいろいろと形が変ってくると思うのでありますが、日本の過度の工場の集中傾向と申しますか、こういうものはやはり将来直していかなければならぬという観点に私は立っておるのであります。従ってそういう意味からも一つの地域差を設ける必要がある、その方が理論的根拠もあるし、また実際的だというふうに考えておるのですが、その点に関してどういうふうにお考えになっておるか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/70
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071・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいまの松平さんの御意見は、私個人としては大体同感であります。しかし今わが国としてその通りの政策を直ちに実行していいかどうかということについては、なお十分検討しなければ、私一個の意見だけでどうこうするわけにはいかないから、検討を加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/71
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072・松平忠久
○松平委員 個人的には同感であると言われますので、その通りに受け取りますならば、これは担当大臣としてぜひ実行していただきたい。電力会社もこの道理については全面的に反対をするという態度にはならぬと思うのであります。ただしかし電力を使う方面の消費者から申しますならば、大都会においてはいわゆる独占資本がくっと握っておるということからそういう方面の圧力があってとうしてもなかなかうまくいかぬということがあり得ると思うのであります。しかし電力会社の社長に会って話を聞いてみると、個人としてはやはり賛成だというようなことを言っておる、どこかに障害がある、その障害はやはり大きな独占資本が大都会におって、それらの消費者がぎゅっと握っておるというところにむずかしさがあるのではないかと私は思うのでありますが、そういう点はぜひ一つ政治力をもってこれを解決していくことに努力をしていただきたいと私は思うのであります。
この問題に関連いたしまして最近現われている現象は、こういう問題がなかなか解決できないから、それではしようがないというので、発電県においては発電税を創設するという動きに今日なっておる。地域差のこともなかなか思うようにできない、水利使用料を上げることについてもこれまた非常な障害があって、水利使用料を上げられないということであるから、それでは発電税でも設けて、そうしてそれの損害に対する補償的な意味でそれをやっていきたいという考えに私は動いていると思うのでありますが、しからばその発電税に対して政府は一体どういう考え方を持っておるか。通産行は反対であるけれども、自治庁は賛成だという者もある。ところがある人から聞くと、自治庁の長官も賛成していないという情報も流れておるのでありますが、政府自体としてはこの発電税問題についてどういうふうに考えておるか、これは両大臣の所見を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/72
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073・石橋湛山
○石橋国務大臣 まだ発電税の問題を政府として検討はしておらないと旧います。だから今政府の意見がとうということは、私の知っておる限りでは多分ないと思います。従って私もこれについての知識がほとんどありませんから、今発電税かいい悪いについての判断をつけることが困難でありますが、ちょっと私がこの同じゅうから新聞などでこの問題を見ました感想を申しますと、果してこの発電税というようなものが、今お話の電力の地域差から~るところの経済的の動きというものを発電税の創設によって入れかえるような働きをなすだろうかどうかということについて疑惑を抱いております。そうして発電税を起すということが、多くの発電力を持つところの地方にそれたけの経済的利益を与えるという意味になるかどうか、もしそれが地域差を設けるかわりになる、このような働きをするのであればこれは研究の価値があると思いますけれども、まだそこまでは私としては研究しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/73
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074・松平忠久
○松平委員 高碕長官にお伺いしたいのですが、先ほどこの機構の問題について質疑応答があったわけであります。最近行政機構の改革が政府において論ぜられておるわけでありますが、実際問題としてこの行政機構の議論の中に、電力開発というものを中心としたところのいわゆる総合開発という観点に立って私が先ほど午前中伺いましたところの審議会というようなものではなくて、もっと下部機構を強力にしていくということについて何らかのお話し合いがあったのかどうか、あるいは具体的に率直に申しますと、企画庁の仕事の面を強力にしていって、そうして強い発言権、強い推進力を持っていくということになるわけでありますが、そういうことについて具体的に何かあったかどうかお伺いしたいと同時に、具体的にはどういうふうにそれを考えておられるか。ただ単に今の状況を続けていっていいというふうに考えておられるのかどうか。その点をもう少しはっきりとお聞かせ願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/74
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075・高碕達之助
○高碕国務大臣 電力開発につきましては電源開発審議会がありまして、その審議会の幹事役を経済企画庁がやっておりますことは、この問題は農林省、通産省、運輸省、各方面に関係するところが多くて、このままほっておけばいろいろセクショナリズムによって一定の方向に総合的な計画が立たない。この意味におきまして電源開発審議会の幹事役をやっております経済企画庁におきましては、ここに計画部というものを作り、そこにおきまして事務的に各省とも検討をしつつ計画立案をしておるわけでもりまして、総合経済開発をいたします上におきましては、ひとり電源開発の人ならず、全体の国土開発を総合的にやるということになりますと、一つの河川の問題にいたしましても、治山治水という方面と、あるいは工業用水をとるという方面と、あるいは飲料用水をとるという方面と、こういう方面は、あるものは通産省に属する、あるものは農林省に属する、あるものは厚生省に属する、こういうふうなことで各自の計画が区々別々になれはこれは間違った計画になるだろう。それを総合するためにはどうしても総合調整の役目といたしまして経済企画庁の内部を拡充していきたい、こう存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/75
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076・松平忠久
○松平委員 そのお考えをもう一歩前進いたしますと、電源開発の審議会というもの、それから総合開発の審議会というものがあるわけであります。両方とも必ずしも内容は一致しておりませんが、多目的ダムというものを両方ともやることかおもになっております。電源の方はむろんそうでありますが、片方の建設省関係の総合開発もやはり多目的ダムというものが大部分であろうと思う。ダムのない総合開発もむろんあると思うのでありますが、そういう場合においてすでにそこに二つの審議会があるということなんで、どうもわれわれ外海から見ておっておかしいように思うのであります。こういう多目的ダムを中心にしたところの開発であるならば、それが電源を主目的にしようが、あるいは治山治水というものを主目的にしようが、いずれも多目的であるという立場からはむしろこれは一本にまとめていく方がいいのではないか、また現に地方公共団体等のやっておりまするところの総合開発のダムの建設についても、電源開発が請負っていくというような段階まできておるというところから申しますと、これはやっぱり一本にしておった方がよろしい。少くとも多目的ダムを中心とするところの開発については、どちらか一本にしていくということが必要であると思いますが、そういうことについては何らお話し合いにならぬのかどうか。相かわらず二本立でやっておるという状況であるわけであります。それらはどういうふうに将来お考えになっているか、その点もあわせて伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/76
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077・高碕達之助
○高碕国務大臣 御説のごとく、国土総合開発のごときは経済企画庁でこれをまとめておりますが、その計画は各府県にあるのであります。それから参りますものをよく検討いたしまして、関係各省との間に連絡をとってこれを国土総合開発審議会にかける、こういうような方針をとっておったのであります。電源開発の分につきましては、通産省の方で計画いたしましたこと、これをもって電源開発審議会にかける、こういうふうな方針をとっておりますが、いろいろ審議会の運営につきましてはお話の建設省は建設省の審議会でやる、こういうふうなことのために間違いがあるようでありますから、できるだけこれは総合的に、経済企画庁の方にでも持ってくるか、何か話し合いをつけたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/77
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078・石田宥全
○石田(宥)委員 ダムの構築に関しまして関連してちょっと御質問を申したいと思うのでありますが、ダムを建設されますれば、当然沿岸に対しては、あるいは水温低下の問題があり、あるいは水温上昇に伴う被害等が必ず出て参るわけでありまして、既設のダムの建設に伴いまする各種の被害はすでに調査が行われておると思うのでありますが、おもなるどういうふうな被害が関連して起っておるか、その調査の状況を一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/78
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079・川上為治
○川上政府委員 これは従来私の方としましてもいろいろ調査をしてわりますが、とにかく農業関係で申しますれば、上の方にダムを作って、そのためにそのダムから取り入れる取入日のやり方がまずかったために、下の方で水が冷たくて、そのために農業関係に被害を与えておるというような例が比較的あるわけなんです。そういうものについて、一々ではどこのダムについてどうなっているという資料についてはここに持ち合しておりませんけれども、一応私の方としましては、どういう川において、どういうダムにおいて大体そういうものがあるという点は調べておりますが、これは他日持ってきまして御説明申し上げたいと思っでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/79
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080・石田宥全
○石田(宥)委員 先ほど松甲委員の質問に対する答弁の中に、従来の被害については民法の規定に基いてそれぞれ賠償することになっておる、そのように処理をしておる、こういう答弁であったわけでありますが、実はなるほど民法の規定によって被害を受けた場合は賠償しなければならないことにはなっておるわけでありますが、しかし実情は必ずしもそうではないのであって、今後のダムの建設に対しては当然起ることの予想される問題について、実は既設のダム建設に伴う被害の実情を一つ申し上げてその対策を伺い、同時にこの法案との関連においてお伺いをしたいと思うのでありますが、新潟の阿賀野川の流域の問題ですが、御承知のように今度只見の電源開発が行われますと、当然下流増の問題が起って参るわけであります。そこで従来の一番下流は鹿瀬の発電所でありますが、鹿瀬の発電所ができたために起った被害でありますが、第一ここには逆調整の施設が実はないのでありまして、一日のうちにときによると二回ぐらい一メーターぐらいのピークの水が出て参ります。それがために河水の流域が変更したりいろいろいたしまして、第一荷船の運航が全く不能に陥り、荷船業者がお互いに全部出合って掘さくをやる。掘さくをやって辛うじてその荷船を動かしておったわけでありますが、もちろんそれに対して最初は会社がその人夫賃について若干の補償をやっておったのでありますが、その後いろいろ理由をつけまして、必ずしもピークの水によるものではないというようなことに籍口しまして、だんだん補償をいたさなくなってしまった。今日では船乗りの業者はだんたん転業いたしまして、ほとんど営業にたえられなくなって転業してしまっておるわけであります。この補償には私も実はタッチしておりましたが非常にむずかしい議論であって、なかなか会社が強硬に出るとやれない。そこで裁判を起すといいましてもお互いに経済力のない業者でありまするから訴訟費用等をどうするわけにもいかないので、泣き寝入りで全部転業してしまっておる、こういう実態にある。その次にば漁業の被害でありますが、これはもう当然その被害が起ることを予想されて魚梯というものを作った。その魚梯かあれば、当然サケ、マスも何も上るのだ、こういうことで沿岸の漁民はだまされた。ところがダムができて魚梯ができたけれども、その魚梯へは魚はほとんど上らない。ダムの下にはもう数百貫のマスが――マスが一番被害は大きいのですが、数百貫のマスがそこへ集中しておるけれども上流に上れない。マスというものは御承知のように上流の谷間に入って産卵するものであり存するが、それがダムで押えられてしまって、全然上流に上ることができないものでありまするから、五、六年の同に阿賀野川におけるマス漁業というものは全滅してしまって、今では一尾もとることができない。それがために神田委員長の郷里の近くの部落でありますが、二、三の部落は生計を絶たれて他に転業するというような被害が現実に起っておる。それからざらにもう一つは水温上昇の被害でありますが、渇水時になりますと水の量が非常に少い。そこで発電の施設がありますると、それがために水温が二、三度上昇するのです。水量が少いからそこで水温が上昇したところで――まだこの点は科学的に立証されませんけれども、どうも渇水時に水管に付着するところの貝類とか虫類を殺すために薬剤を使うのです。清掃のために薬剤を使う。その薬剤のためにここ二、三年間は毎年上ってくるアユが全滅するのです。数千貫のアユが一晩のうちに死んで流れてしまう。私のところなどは発電所から六、七里下流ですが、河の面がまつ白になって流れてくる、そういうふうに徹底的な打撃を受けて、やがては阿賀野川のアユは全滅するのじゃないかということが憂えられておる。ただいまだ科学的に立証されないことに籍口いたしまして、会社は一銭の補償も出しておらないのです。こういうふうな問題について今盛んに交渉はしておりまかけれども、明確でないということを理由にこの会社は補償をしておらないのであります。
それからもう一つは、やはりピークの水の関係で、私が今管理しております土地改良区でありますが、ここで灌漑用水の取り入れをやっておる、それがピークの水の関係で二尺も三尺も増減をするものでありますから、当初設計いたしました取入口のポンプの運営が不能に陥るのです。そういうふうな数々の被害が現実に起っておって、私どもも通産省にもこの実情を訴えて、善処方を訴えて参りましたけれども、いまだにそれに対する何らの対策が行われておらない。県の当局はこの発電所を許可する際に、そういう被害は会社が補償をするという書類をとってあるということをいっておるのでありますけれども、以上申し上げましたような荷船の運航の問題、それがために川を掘さくをする人夫賃の問題等は、数年前にきわめてわずかほど補償された例ばありますけれども、だんだん出なくなっておる。そこでそういう場合に民事上の損害賠償でやればいいじゃないか、さっきの答弁だとそういうお話なのですけれども、荷船業者や沿岸の漁民や、われわれ土地改良区として、会社に対して損害請求の訴訟などということは、これは理屈の上ではできるけれども、事実そんなことは行われるものではないのです。できませんよ。ダムを作れば、これはどこかに湧水、漏水等が必ず起るわけでありますし、水温が低下しても被害が起るし、上昇しても今申しますような被害が伴うのです。今後そういうふうな問題を予想されまして、そういうものに対して一体どういう対策を考えておられるのか、私はこの下流増の問題というものを、直ちに発電施設をやるところの発電会社に帰属せしめるというよりは、むしろそういう沿岸民で著しい被害を受けて、他に転業をすでにしておるような状況でありますけれども、この下流増の問題を、何らかの形で国なり県なりの公共団体がそれを吸い上げて、そうしてそういう沿岸の被害を受けておる人々に対する対策に充てるべきではないかということを考えるのでありますが、そういう面について十分検討されたかどうか、承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/80
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081・川上為治
○川上政府委員 下流増の利益をそうした方面に使うということにつきましては、私はなお相当検討の余地があると思うのですが、しかしお話のありましたように、上流のダムのために、下流で漁業問題とかあるいは船の問題とか、そういう問題で被害が起っておりますならば、これは私はどうしても適正な補償をすべきだというふうに考えておりますし、また法律によりましてもそういうふうになっておるわけであります。そういう問題を民法で、訴訟をしてやれというようなことは、私はやはりどうかと思うのでありまして、訴訟の問題というのはやはり最後の問題でありますので、私はやはり事前にそういう措置はとるべきだというふうに考えるのですが、今お話の問題につきましては、実は私も十分知ってないのですけれども、もしそういうふうな問題がありまして、そうして電力会社の方で補償を適正に行なっていないというようなことでありますれば、私の方としましては十分行政指導をして、そうして補償をするようにしたいと思うのであります。ただ補償問題につきましては、実はそういう場合もたくさんあろうかと思うのですが、逆に非常に補償費がよけいにかかるというような問題がありまして、私どもの方としましては、何かこの際この補償問題についての特別な立法なりをいたしまして、そして補償が適正に行われるようにする方法はないかというふうに脅えまして、いろいろ立法措置についても現在検討をいたしておるような次第でございます。今お話がありました具体的な問題につきましては、さっそくその関係の会社に話をしまして、適正な補償が行われるように措置をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/81
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082・石田宥全
○石田(宥)委員 係の人たちがそれをまだ知らなかったということば私ははなはだ怠慢だと思うのです。これは非常に大きな問題で、私自身もかつては通産省に何回も来て対策を要請し、県に対してもしばしばこれを言っておったのですが、会社が、合併等の関係がございましたので、以前の会社の契約であって、われわれはタッチしておらないというように責任を免れようとしておるのでありますか、そういうことは許さるべきではないと思うので、これは一つ大臣もよく留意されまして、すみやかに適当な対策を講ぜられるように希望いたしまして、関連でございますのでこの程度としておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/82
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083・神田博
○神田委員長 次は佐々木良作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/83
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084・佐々木良作
○佐々木(良)委員 先ほどの議事進行の発言によりまして、きょうはなるべく両大臣に集中して、大臣に答弁を求めるような質問をせよというようなお話であります。断わっておきますけれども、大体電力行政というものは今まことに産業の根幹をなす問題でありまして、世界の一つの中心であるソ連におきましては、マレンコフという一番偉い人が発電所相を勤めておるわけであります。従いまして、電気の問題になると、事務当局にまかせて、考えますとかなんとかいうことで大臣の答弁がなさそうでありますので、私は原則としてすべて大臣が答弁されることを求めまして、そうしてきょうは大臣がよくわからぬとかなんとかで答弁できなくて事務当局に答弁をゆだねられるならば、その部分はあと回しにしながら質問を続けたいと思いますので、御了解をお願いいたしたいと思います。
議題になっております電源開発法の一部改正法案の質疑でありますが、これは正直なところ、私どもが本気になって一生懸命審議をしようとすればするほど、これほど審議に迷惑な法案はないのでありまして、通産大臣がよく御承知のように、今電気事業の基本的な問題がほとんど未解決のままに放置されておる。本来ならば一番先に電気事業法の構想を考え、それと電源開発促進法の本格的修正を合せてそうしてここに電力行政の基本を確立するのでなければ、今電気事業の行政はまことに混迷その極に達しているといっていい状態であります。その間において、こういう事業者間の問題であるから大したことはないみたいでありますけれども、この法律の見方あるいは読み方によりましては、非常に新しい権利義務を設定することにもなり得ますし、その意味では相当に関係の深い重要な問題であるわけであります。これの意図しておる方向は、必ずしも私どもが意図しておる方向と違うのではないし、帯に短かしたすきに長しで、まことに審議に困惑を感じておる次第であります。従いまして、これまで数日問続けられました審議の過程を通じての質疑応答の内容を見ましても、問題の本論がどこにあるのかわからないような、たとえば東北を振興するために、この法律はけしからぬという議論があるかと思えば、電源を開発するためにこの法律が必要なんだ、つまり質疑と応答と、議論と議論とがちっとも商店が合わないままに、あっちをつっつき、こっちをつっつく、こういう格好の審議が行われているのが現状でありまして、私はこのままでこういう審議が続けられることに対して心から遺憾の意を表するものであります。従いまして私は、もし時間が許されまするならば、この法案の基礎になりまするところの、一つ一つ電気事業関係の矛盾を引き出しまして、そしておそらく近いうちに作られるべき電気事業法の根本的な制定並びに促進法の根本的な改正の方針を承わらなければ、本来であるならばこの法律に対して私どもば賛否をきめがたい状態にあるわけであります。時間の関係がありまするから、どこまでやれますかしれませんけれども、そのようだ意味でなるべくこの二、三項目の、改正法律案と関連させながら、基本的なお考えをお聞きいたしたいと思います。これは他の問題の場合にも私たびたび発言をし、そして所管大臣の御考慮を求め、所見をただしたわけでありまするが、いまだに一向にその方針が出て参らないのでありまして、おそらくまた似たようになろうかと思いますが、まず承わりたいと思います。
今の電気事業のいろいろな問題の中で最大の問題は、国民経済の要請はあくまでも電源を早くたくさん開発してくれろ、電力を豊富にしてくれろという強い要請が一方にある。そして一方におきましては、今の電気事業内におきまして、原則的に原価主義の方針をとっておられまするがために、そして最近におきます地点が非常に困難な地点であったり、採算上高くなる地点であったりしますために、国民経済はなるべくたくさんの電気を早く作ってくれという、発電所を作れば今の電力原価の高騰を来たして、料金を上げろなり何なりという措置をとらなければならぬ、ここに最大の矛盾があって、この最大の矛盾を克服するところに現在における電気事業の、特に冠源開発の基本的方針がなければならぬわけであります。本来、私どもが今改正法案の対象になっておりますところの電源開発法というのを審議しましたときの意図は、明らかにそこにあったわけであります。御承知のように、今電気事業者――電源開発会社を除く九電力会社を中心とする電気事業者は、法的には私企業であります。私企業でありますがゆえに、あくまでも採算を立てた建設しかできないはずで、あります。従ってこれを補うために、大規模にして困難なる地点、それから電力の需給上どうしても必要な地点あるいは国土総合開発上必要な地点というような地点の、普通の採算ではできないような地点であって、しかも国民経済上はその電源開発が必要なる地点を、国家財政資金を投入して電源を開発しようというのが、電源開発会社の明らかな任務であったわけであります。その任務が端的に行われておりまするならば、私は電源開発をめぐってのいろいろな問題は出ないかと思います。にもかかわらず、この方針が明らかに遂行されにくい状態にだん、だんとなりつつあり、電源開発会社の方におきましては、御承知のようにコストの問題だとか、あるいは補償の問題等々で予定よりも非常に高くつくような形でなければ、これが開発ができないような方向に向いつつある。一方におきましては、九つの電力会社を中心として先ほど松平さんからお話がありましたように、電気会社の中に非常に格差が出て参って、たとえば東北、北陸寅力でありまするならば、ほとんど苦しい経営状態であるにもかかわらず、一方の東京電力でありますならば、相当な余裕資金をもって開発に乗り出すことができる。つまり九つの電力会社の中に企業の格差を生じた。その力がまたそのまま建設能力の相違となって現われてきて、そうして東京電力なり関西電力であれば可能であることが、東北電力や北陸電力ならば、常識的に見て不可能だという状態が出てくる。にもかかわらず、観念的には九つの電力会社という事実によって、そうして力のあるものもないものもひっくるめてこれをやりたいという。片方の電源開発会社の方は、だんだんコストがあぶない状態になってくる。そうすると、十の会社がこれをめぐって、共通な共同なベースの上に立って、何かこんがらかって、けんかをしてくるという状態に見えるところに、つまり最大のおかしな問題があろうと思うわけであります。
従いまして私は、まず第一にお伺いいたしたいと思いますのは、この改正法案を出されるに当りまして、通産大臣は今後の電源開発の方針について、明らかに九電力会社等が担当する採算ベースに乗る建設と、それから電源開発会社でもって、国家資金をもって担当しなければならぬような、そういう地点の開発と、明らかに開発方針を区別されて、今後対処される方針をもってこの改正法案を出されたかどうか、まずその点からお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/84
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085・石橋湛山
○石橋国務大臣 今回のこの法案が、御指摘のように非常に徹底しない点があることは、私どももこれを認め遺憾とするものであります。この電気事業の根本方針をきあるということは、これは実は昨年来やっておるのでありますが、国会が終りましてから時間が比較的短かく、またその手間が十分の時間をかけることができずに、中途半端に終っております。従ってここで急速に値本方針をきめてその法律案を作って審議をわずらわすというところまで準備が至っておりません。そこで今回の国会においてはとりあえずこの法案を、さしずめその必要を感じておりますところだけのものを取り出して御審議を願いたい、かように考えてやったわけであります。従ってこれは事務当局を督励して、ぜひとも次年度の通常国会ごろまでには必ず電疑事業法の根本案が提出できるようにしろという意気込みで研究を進めております。その場合に、今お話のように、電源開発と九電力会社との担当部面をどういうふうに考えるかということも、むろん検討いたしたいものと考えて、研究を進めている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/85
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086・佐々木良作
○佐々木(良)委員 そうでありますならば、今申し上げましたように、少くとも現在電源開発促進法という法律が現存しているわけであります。従いましてこの現存している電源開発促進法によって生まれたところの電源開発会社が担当すべき任務につきましては、あの法律に書いてある通りの、先ほど申しましたような特別な三つの種類に属するそういう地点を、国民経済的な観点からこれを担当して、そうして低利資金でこれを開発するのだという方針は、お変りありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/86
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087・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいまのところ、むろんそのつもりで進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/87
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088・佐々木良作
○佐々木(良)委員 そういたしますと、この方針は明らかでありますので、私はその方針に従って一、二の点を例示的に伺っておきたいと思います。
今度の改正法案の中で一般の問題としては、下流増問題だけが云々されておりますけれども、御承知のように、改正法案の一つの条項に電源開発会社の社債の政府保証というものが今度くっついて出ております。この政府保証という問題について私は伺いたいのでありますが、今申し上げましたように、普通の私企業の立場ではそろばんに乗らない、つまり採算に合わないような地点を開発するために生まれた電源開発会社、それが何でそんならそろばんが合うかといえば、御承知のような国家資金が投入されるという点でそろばんが合うことになっているわけであります。国家資金は、ご承知のように、本来でありますならば、利子のつかないところの投資を中心として、そうして足らず前を勇氏で補っていくという方針でこれが打ち立てられておるはずであります。建設資金の質の問題を今あげましたけれども、量の問題もこれと同じような意味で、市中銀行でもってまかない得るかどうかという限度がありますので、量の問題も同じようにくっつくわけでありますが、今の政府保証という問題がありますので、私は質の問題に一応限定してお伺いいたしたいのでありますが、これはそこに高碕さんがおられますから、十分苦労されまして御承知のことと思いますが、この電源開発会社の任務をスムーズに担当せしめ、遂行せしめようとすればするほど、これは明らかに国家財政の資金がその裏づけになっておらなければ遂行できないものでありまして、もしかりにそれをその他の借入金に求あるものでありますならば、新しい電源開発会社を作ってやる必要はないのであって、ほかの電力会社におきましても同じような措置をとれば十分できる話であります。従って問題の重点は、あくまでも国家財政資金、平均しての低利資金、格段の低利資金というものが電源開発会社の裏づけとならなければ、開発会社の存在の理由を失うと思うのであります。この間同僚議員の要求によりまして出された資料によりますと、電源開発会社の金利予想は、三十年度末で三・三%、三十一年度から三・九%、三十六年度には五%ということになっておるらしいのでございますが、これはおそらく今の新しく政府保証条項を裏づけとした社債を含めての金利たろうと思いますが、そのように解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/88
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089・川上為治
○川上政府委員 私が答弁していいでしょうか。先ほどそういうお話がありましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/89
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090・佐々木良作
○佐々木(良)委員 補足的な簡単な御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/90
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091・川上為治
○川上政府委員 これは含めております。これはここにも書いてありますが、出資金を毎年三十億ずつ、それから社債につきましては毎年七十億ずつということにしまして、それ以外のものにつきましては、政府資金、あるいはその他のきわめて低利の金を借りるというような計算にいたしましてやった計算でございます。しかしながら、だんだんふえていきますのは、これは従来の借入金が積み重なっていくわけでございますので、いわゆる政府出資の無利子の金というものが大体年々三十億ずつというような程度にいきますと
〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
結局それ以外のものを資金を出すということになりますれば、こういうような結果になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/91
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092・佐々木良作
○佐々木(良)委員 通産大臣の常識的な御答弁ななるべくお願いいたしたいと思います。
御承知のように、今の建設の料金原価の大体の見当は、その金利配当分が七〇%程度のものです。現かの中に金利配当分が七〇%も占めるというところに、この七〇%を下げることによって、電気料金をうんと下げることもできれば、くぎづけすることもできる、ここに電源開発会社の生まれた最大の理由があるわけでございます。今お話によりますと、だんだんと金利が高くなって、しまいには五%くらいになるという話でございますが、これは高碕さんの胸算用をもってしても、電源開発会社の任務を一達成するとするならば、少くとも金利分は四%以下に押えられるくらいの程度でなければできない。そうでないならば、こういう特殊会社みたいな、監督は受けるし、ややこしいものにやらせるよりも、民間にやらせる方が、能率とプラス、マイナスすれば、いいかげんになるだろうというくらいの判断だったろうと私は思います。高碕さんのその判断も加えまして、おそらく石橋さんも事業を承知しておられますから、御存じだろうと思いますが、現在御承知のように、市中におきましても、金融が緩慢な状態からして、金利は次第に低下の方向をたどっておると思います。しかも東京電力並びに関西電力というようなものは、相当な社内留保も行なって、従って建設資金の金利は相当引き下げ得る見込入で私は対処し得るんじゃなかろうかと思います。従いまして平均してみても、市中の一般の企業でありますところの九つの電力会社は、今後これと相応するような格好で将来五、六千を見た場合に、どのくらいな金利の金で建設するとお考えになりますか。そうしてそれに対して電源開発会社仕合の措置をもってしてもこれくらいだとするならば、これば存在価値があるかどうか、あげ足は取りませんから、常識的な御答弁を私はお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/92
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093・石橋湛山
○石橋国務大臣 私も金利の問題を研究しておりませんが、どうも民間の九電力会社が建設資金を平均五%でまかなえるというところまでは、今の金利状態でもなかなか容易にいかぬのじゃないかと思います。しかし御指摘の通りだいぶ安くなることは事実でありますから、今のやり方でもう少し政府あ資金を電源開発の方に入れませんと、九電力会社との差か減ってくるということだけは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/93
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094・佐々木良作
○佐々木(良)委員 金利の問題はあとに問題を残しまして、それならば私はもう一つ重ねて伺っておきたいと思います。
電源岡発会社が今のような困難な地点とか、大規模な地点とか、あるいは需給上必要であるという、普通のそろばんに合わない地点を担当して工事をするようになりましてから、電源開発会社の行う開発工事につきましては、従来の電力会社がやっておったのと比べものにならないほどの多額な補償賞がついております。先ほど来の同僚の質問によりましてここに出されております佐久間の例をもってしても、こればまことに予想外な補償の費用がくっついております。従いまして今の金利がたとえば一%そこらの相違でありますならば、この公共事業補償を中心とする補償費でもって補って余りがあるほど私は高くなってしまうと思います。そうでありますならば、これまた電源開発会社の存在の理由にないわけであります。私は今電源開発会社をどうのこうのと言うわけでありませんけれども、一つの政策をきめて行う限り、その任務をはっきりと達成させるか、させられない見込みがつくならば、これはやめてしまう、いずれかの方針をとらなければ、ますます問題を混迷化するものだと思います。従いまして普通の原価中で六、七割を占める金利を、開発会社がやる場合はどこまで下げて、従って今のようた補償を行なってもなおかつ電源開発会社がやりた方かいいという理由がつくかつかないか。従ってそのことはまた電源開発に対する補償の基本的な問題にも触れてくると思うわけであります。私聞くところによると、今度のこの法案と並行して事業法を研究された段階におきましても、補償立法というものを考究されたそうでありますけれども、これまたとうとう提案されないままに今の部分的な改正案だけが出て参っております。従って矛盾をそのまま残したままで出てきているということになっていると思いますけれども、この補償につきましても、先ほど来佐竹さんからも御質問があったようでありますが、電源開発法の七条によりますと、一般補償については、これは普通の見方をしても、これは注意を喚起する規定だと思いますか、なるべくこれは普通でもそうやらなければならぬのだけれども、なおかっこれは忘れておっては困るから、等閑に付される危険性があるからというので、この七条の補償の規定を挿入したことを私どもは覚えております。このような一般補償の注意を喚起したかたわら、現実にやってみた場合には、佐久間のここに出されておる例を見ましても、公共補償というものの金額はまことに膨大なものになっております。これは一般補償の場合のむずかしい問題と比べて見た場合には、金額的に見るならばおそらく建設原価あるいは電力原価の比率で見る場合には、田子倉の補償がどうのこうのというお話がおりましたけれども、一般の補償なんかは問題にならないほど大幅の公共補償が含まれておるわけであります。これに対しましての御方針、御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/94
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095・石橋湛山
○石橋国務大臣 電源開発の補償の問題は御指摘の通り非常に困った問題であります。何とか早く処置いたしたい。先ほどお話のように、この国会に何らかの法律でこれの規制が行い得るようにしていただきたいと思いまして研究したのでありますが、ついにその結論に達することができず、やむを得ず十分なる法律の御審議をわずらわす段階にならずに、できる点だけの法律の御審議をわずらわすことにとどまったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/95
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096・佐々木良作
○佐々木(良)委員 それではまことに困るのでありまして、いつでも基本的な考え方なり政策が抜きになりまして末端だけ出てくるということでは私ども審議ができないのであります。現実に電源開発の行なっておる公共補償全部でおそらく原価の一割五、六分を占めているはずです。従来の電気会社になりますと低いときには二、三%、何ぼ高くても一割程度のものであります。それが急激に電源開発の会社の場合は公共補償がふえまして原価中の一割五、六分になってきている。片一方の方には最初のうちは金利の低下をねらって、利子のつかない国原投資を行うことを原則として、少しくらいは仕方かないわいと思っても、金利は少くとも四%程度にはとどめられるであろう。それでありますならば、この補償をやってもまだ少くとも筋が通る建設にはなり得るわけであります。ところが片一方の金利は今のを見ましてもだんだんふえていく。金利は高くなる、一方補償の関係は考えなければならぬけれども、まだ考えておらないという格好で捨て置かれる。それでありますならば、私が先ほどから繰り返して言うように電源開発の存在理由は完全に失われるわけであります。今にそうは思ってもできないというたらば、いいことであってもやる行政能力かないというならば、これはやめた方がいいと思う。それの方が次善の策ですよ。狂いましていずれにしましても金利と新たに出てきた公共補償という問題と、この二つの方針が明らかにならない限り電源開発会社の方針は失われる。今下流増の問題が出てきて、あとで述べたいと思いますけれども、下流増の問題などが今ころこういうところでこういう格好で出てきたということは了解しかねる。もっと根本的な問題があるはずです。それほどの根本問題が捨て置かれたまま出てくるのは困るのでありますが、重ねてどういう形で公共補償を扱われようとひそひそ考慮中であるか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/96
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097・石橋湛山
○石橋国務大臣 公共補償等の問題は特別の法律によってこれの規制をいたしたいと考えて立案をしたのでありますが、これは例の建設省関係等の問題がありまして国会に提案するまでの運びにならなかったことははなはた遺憾に存じます。しかし捨てたのじゃございません。続けて研究をし、ぜひともできるだけ近い機会に立法措置を講じたい、かように考えております。従って今度の国会に出ました限りにおいては御指摘のように根本問題に触れずに、わずかな枝葉の問題だけに触れて法律の御審議をわずらわすことになりましたのは私としてもはなはだ遺憾であります。捨てたわけじゃないんで、これはこれだけでもやって、続けて根本問題に入りたい、かようなわけで鋭意根本問題の解決に努力しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/97
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098・佐々木良作
○佐々木(良)委員 重ねて承わりますが、電源開発会社が行なっておりますところの、たとえば佐久間関係でありますとか、あるいは田子倉関係でありますとかの鉄道の問題なり、道路を作る問題なり、あるいは農業用水を引っばってくる問題なりというものは、本来の性格から申しますと、公共専業として財政資金が出ていってやって少しも差しつかえないわけであります。ところが電源開発会社も資金のソースかそこにあるならば、国家資金が電力会社に向って出るものでふりますならば、これは役所の窓口の形式的な相違でありまして、国民の税金かそこにいくのでありますから、これは避けるべきものではないと思います。そういう意味の公共補償の仕事は一地帯におけるその総合開発なり総合建設という理念からいくならばむしろ歓迎すべきものであって、回避すべきものではないと思います。ところが問題はこの経費がそのまま電力の原価に織り込まれるところにある。これの区分をどうされるか、今この補償の問題は考究されるというお話でありますけれども、基本的な電力開発、これは必ずしも電源開発会社でなくても、総合的な建設をしようとすればするほど、お話のようなセクト主義で――同じ田子倉にダムを作るにでも、一緒に鉄道を作りさえすれば、道を作らずに、鉄道で資材を運んで、もっと効率的に建設ができると同時に林道を作ればもっと総合的に建設ができる。ところが農林省の序列によると、あすこの林道の建設はあと三年後か五年後に順序がくる。鉄道省の方針によれば三年、五年あとでなければあすこの建設の順序はこない、ところが電源開発は今年が順序になった、たまたま今年にたったから、それにかぶせろかぶせろというみたいな話で、そっちにかぶせて施工する。同時にやらなければない、これが必要なのです。ところがそれが最初やったものに電力原価をかぶせることでは、一番最初電力開発会社が国民の負担にこたえ、普通のそろばんでは合わない、普通の企業では集中できないような大量の資金を使って、電源の開発ほしようという任務がそのまま横に向いてしまうわけであります。従って私は総合開発の根本的問題になると思いますけれども、これは従来私が参議院議員でおった時分から何ぼつっついても、高碕さんがやっておられる経済企画庁め前の安本を何ぼつっついてもできなかったことであります。従いまして現実にダムならダムを作る権限を持っておる通産大臣がそこでやられるならまだ少しは話はわかろうと思うわけであります。従ってどういうような根本方針を考えられるか、田子倉と佐久間と両方合せまして鉄道の費用、道路の費用をお考えになっていただきたい。佐竹さんが一生懸命怒った、石田さんも怒ったところの一般補償の経費に比べて見ていただきたい。あんな公共補償のものが電力原価に入らないのであれば――そうすると迷惑をかける。一般補償などというものは一割や二割ふやしてみても原価に響くものはほんのわずかな部分であります。そうすると話は非常にすっきりするわけであります。御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/98
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099・石橋湛山
○石橋国務大臣 鉄道のごときものは電力原価の中に加えない方針で、通産省としては強く今交渉いたしております。そういう話をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/99
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100・佐々木良作
○佐々木(良)委員 それはほんとうですか。――その方針によって今後努力されるということであります。ならば応了解しておきまして先に進みたいと思います。問題は今言いましたように明らかなのでありますから、なるべく筋を通しまして、それができないくらいならやめた方がいいくらいに私は考えておりますので、そういう方針で臨まれたいことを強く要望しておきたいと思う。
それからこの佐久間の工事費用がふえた理由を見ますと、今問題にしました公共補償の問題が一番の中心になっておりますが、その次に上っておるのは外国の技術援助の問題であります。これは今の根本的な質問の問題から横にそれて付属的になるわけでありますが、念のために伺っておきたいと思います。これは工事費のふえた理由になっておりますけれども、当時やられたのは高碕長官でありますが、この外国の技術援助が明らかに、工事費を増加せしめた原因の一つになっておる。このことにつきまして、高碕長官並びに石橋通産大臣は、これがふえたところの効果を現実に認めておられるか、おられないか。同時に、最近におきまして、これをまねするという意味じゃないと思いますけれども、御承知のように庄川の奥に御母衣という地点があります。これも二十万キロになんなんとする大地点でありまして、この開発がすでにことしの課題に迫っておるわけであります。それでこの御母衣地点の開発について、外国の技術援助を求めようとする動きがあるとか広間するわけであります。今私どもが間接に聞いておりますところの御母衣の技術援助を求めようとする計画というか、一つの考え方は、コンサルタントを連れてきて設計面のサゼストがほしいということらしいのであります。佐久間の場合にはむしろ工事施工に対する機械力の輸入であったと思います。従いまして私は、明らかにふえた十一億円の技術援助費の効果があったかなかったか、これは結果が出ておると思いますから、その所見を伺うと同時に、この面とは少し違う御母衣の技術援助の問題について、これはどうせ外貨割当の問題が出るわけでありますから、その立場から現在のお考え方を付属的にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/100
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101・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は佐久間の工事費の増加の理由ということを今初めて聞いたのですが、工事費が十一億円ふえた、こういうことでありますか、初めの原案というのを二十七年に若いておりますが、これは電源開発株会社が創立する前に中部電力が設計しておった案であります。これでやりますと、どうしても工事が六年かかる、あるいは七年かかる、こういうことになっておりまして、これを一年早くやれば五十億円の違いがある、それだけ収入もふえ、また電力も早く供給できる、こういう意味からアメリカの技術者を連れてきて、たしか十一億と聞いておりましたから間違いないと思いますが、それだけの金を払ったことだと存じております。これを払って一年早くなれば、元が十分とれて補っておる、こう考えておりますから、これはちっとも失敗じゃない、こう存じております。
それから御母衣の工事につきましては、アメリカのコンサルタントを連れてきて、これに設計せしめて工事を監督せしめるという案があるように聞いておりましたが、そういうことは政府としては考えておりません。この佐久間のダムのように、あんな大きなむずかしいダムでも、設計から全部日本の手でやったわけでありまして、そのときにわずかばかりの技術援助をしてもらうためにサベージという博士を呼んで、一日に百ドルか払ったが、わずかの期間日本へに来てもらっただけで、これは全部日本でやったのであります。ただ工事をやりますときにはあれだけの工事でありますから、工事の施工についてはアメリカの技術の援助を借りた、こういうことはありますから、御母衣もその程度でいいと存じますが、何せ御母衣は、ロックフィルダムで、日本で初めてのものであります。設計、工事監督は日本の手でやりますが、この施工については万全を期するために、できればアメリカなりイギリスの経験のある人の技術を借りたい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/101
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102・佐々木良作
○佐々木(良)委員 それなら問題を本論に戻しまして、今度の改正法案のもとになりました電源開発会社の性格、並びに電気会社の性格、そしてそこから出てくる矛盾の一つの現われが下流増を中心とする紛糾になっておるように存じますので、これについて伺いたいと思います。先ほど申し上げましたように、電源開発会社の方の任務を端的に遂行するための資金の質的な措置並びに補償の基本的な措資、この二つが行われますれば電源会社の方ははっきりしてくる。ところが今の下流増の問題等についてすっきりした結論が出ないのは、電力会社の方の問題があるからでありまして、先ほど松平さんがここで大臣に質問をされておった点も私はそこにあると思います。私は先ほどの大臣の答弁があまりよくわからなかったのでありますが、端的に言いまして、九つの電力会社が今非常に大きな企業の格差ができておる。つまり会社の経営の差異が非常に大きく出ておるということは了承されると思います。この大きな格差はどこから出たとお考えになりますか。これはえらい遠回しに言うようでおかしいのですが、端的に言って、この下流増の問題は、東北電力が苦し過ぎる、東京電力は打過ぎる、そこに持ってきて、只見の水源のあの電源をにらんで、電源開発会社と三つどもえの主導権の争奪に一番根本的な問題が出ておるわけであります。従いまして、東北を振興するために、ありてこの電気は全部だだでもらわなければならぬということが出てみたり、それかと思うと、片一方では電源を開発するためにどうのこうのといって、ちっとも焦点の合わない議論が行われるからであります。従って東北電力が今のような苦しい状態であり、それに比較して、なぜ東京電力が東北電力の垂涎おくあたわざるところの経営状態になっておるのか。御承知のように電気会社の収入というのは、原則として電力料金収入だけであります。しかもその電力料金を規制しておるものは、事業法がまだ出ませんから、旧事業令でありまして、旧事業会によりますと、料金は認可制になっておる。しかも認可の基準は、一般に役所でもって電力原価のこういうものをこういうふうに織り込めという標準の方程式ができておって、その方程式によって申請してきたものを――二つ三つの条件はついておりますけれども、それがその通りの標準によっておるものであるならば、通産大臣は認可したければならないのです。話を非常に縮めて言いますれば、電力料金ば原価主義の建前をとっておって、そして原価が適正に言われてきたものでありますれば、特別な考慮なしに大体そのまま認可しなければならない原則になっておる。会社の収入が一本であって、しかも基準の標準原価というものが引いてあって、そしてそれをそのまま出してくるならば認可しなければならない権限であるとするならば、なぜ東京電力と東北電力の格差がこれはほ大きくできてきたか、ここに私は根本的な矛盾と問題があると思うのでありますが、どういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/102
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103・石橋湛山
○石橋国務大臣 専門的な問題は、私もあまりよく存じませんが、これは東北電力が水力であって、東京の方は火力を相当利用しておって、しかも石炭の値が下っておるというようなことが業績に大いなる相違を来たしておる原因だろう、こう思っております。
それからもう一つ、料金のきめ方が二段料金とか何とかで、東北の力が少し先に進んだ料金のやり方をやっておる、つまり東京の方が少し高い、そういうようなことから、ここへきて一、二年の間にだいぶ業績に相違を来たしておる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/103
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104・佐々木良作
○佐々木(良)委員 専門的なことになって云々というお話がありましたけれども、先ほど申しましたように、世界の一等国みたいになっておるところのアメリカとソ連の例をごらんなさい。電気に関する重大な権限を持った大臣が君臨しておる、そうしてかっもり見ておりますよ。しかし今申し上げておるのは、専門的な問題じゃないのですよ。現実に原価主義という建前をとっておって、電力料金以外に収入がなくて、あれほどの格差が普通に出るとお考えになりますか。この根本にメスを入れぬ限り、たとえば下流増を吐き出せと東北電力に言っても、下流増を吐き出したら、そのかわりに料金をまけろと言ってくるし、どこをつついたってこの根本的問題をほうっておいては解決の道がないのですよ。もうちょっと相談してよろしいから、もう少ししゃんと答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/104
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105・石橋湛山
○石橋国務大臣 はなはだ恐縮ですか、電力相でございませんで、通産でございますから、残念ながら電気のことだけをやっていられない。決してすてばちなことを申すのではありませんが、実際において電気の問題だけについてそういう通暁しておらないことは事実でございます。ですから、たとえば電力料金の問題などもずいぶん無理があるように思います。なお、これらについては研究いたしたいと思います。(「内閣が作ることはない、事務当局にやらしたらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、事務光局にはやらしておりますが、返答は大臣がやらなければなぬといいますから、大臣として出ますが、実情を申せばその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/105
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106・佐々木良作
○佐々木(良)委員 ともかくここで焦点だけでも明らかにしておかないと、先ほど、この次に事業法を出すなどと言うわれますけれども、おそらくできやしません。この問題は大臣自身がははあというくらいのところまではこなければ、絶対に事業法はできません。それにくっつけて電源開発法の根本的改正なんかできるものではありません。それならば、通産大臣の身がわりとして川上局長さんは、かりにどういう原因であるとしましても、どういう方法でこれが調整できるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/106
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107・川上為治
○川上政府委員 今の格差の問題につきましては、最初噴気料金の現在の制度を作りますときは、実はあれほど私は予想してなかったのですが、結局石炭の織り込みの単価が、最近の石炭の価格と非常に開きが大きくなっておるということが、一つは非常に大きな問題だと思います。もう一つは、非常に豊水に恵まれた。そのために火力をたかなくてもよかった。これがまた、石炭の節約という面において相当のプラスとなって出てきた。これが東京とか関西において非常な利益が出てきた大きな理由だろうと思います。それからもう一つは、東北あるいは北陸においては、火力発電所というものは全然持っていない。しかも豊水がありましても、それが非常な大きなプラスにならぬということ、それから現在の料金制度が、東北とか北陸についてはいわゆる一段料金制をとっている。それから東京、関西におきましては二段料金制をとっている。こういうようなことが、この格差が非常に生じてきた大きな理由だと考えるわけでございます。今後この格差をどういうふうに調整するかという問題につきましては、私はいろいろ考えなくちゃならぬ問題があると思うのですが、まず第一に、この三十一年度において、果して従来のような様相で進むであろうかどうかという点については、やはりもう少し時を待たなければいけないのじゃないだろうか、すなわち豊水が従来と同じような程度であろうかどうか、あるいは石炭の価格そのものがどういうふうになっていくか、その点につきましては、十分今後の状況を見た上で検討すべきじゃないかと考えるわけでございます。従って、格差の問題についても、料金の問題についても、私はもう少し様子を見て措置をすべきじゃないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/107
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108・佐々木良作
○佐々木(良)委員 川上さんはそういうふうに見ておられるかもしれませんけれども、正直なところ、それはあきません。かりに東北電力の実情から見まして、あの二十六年に料金をきめたときの普通の平均からいくと、東北電力はだいぶ下です。それを平均並みに上げようと思ったら、あのときに今よりも四〇%くらいふやしておかなければならなかった。かりに四〇%ふやしたとしましても、入ってくる収入はプラス十億くらいですよ。十億ということは、御承知のように、今あなたの方で認可される基準原価の中の償却を見ましても、東京では明らかに六・数%の償却費をちゃんと入れてあるわけです。先ほどの東北電力に四〇%の値上げをしておっても、おそらく三・六%くらいの償却費しか織り込めぬでしょう。しかも法律とあの省令の建前は、均一の償却、東京電力も、東北電力も同一の償却をしなければならぬ建前になっておるのですよ。こんなものは、少しくらい雨が降るとか降らぬとか、石炭の値上りがとうのとかこうのとかいうような問題では、とても解決ができない根本的な問題があると私は思うのです。きょうは大臣に対する質問ということでありますので、またあと回しにいたしておいてもいいと思います。
今度は別の角度から承わりたいと思いますけれども、下流増の問題がかりに法案通りに通過するとしましても、おそらく東北電力としては、それじゃおれの方が持てないから、電源開発会社から東北電力への卸売料金については考慮してくれなければ困るということにならざるを得ないと私は思います。そこで、これは先の話でありますけれども、建前だけを伺っておきたい。電源開発会社の卸売料金は何を基準にして決定されますか。電源開発会社も電気事業者であるとするならば、一応電気事業会によりまして、先ほどの方式に従った標準原価主義をとらなければならない。しかも電源開発促進法には、卸売料金を決定するについては審議会の議を経るべしと書いてある。審議会はどういう観点から、つまり電源開発会社の生まれた任務にかんがみて、相当政策料金を織り込む建前でこれを審議するつもりかどうか、その建前を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/108
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109・石橋湛山
○石橋国務大臣 その点もまだ何もきめておりませんが、しかしながら下流増の問題は必ずしも東北だけのごとでなく、全国的に――先ほどからいろいろなお話がありましたが、多目的ダムなどに関連して起ることでもございますので、ここで下流増の問題は下流増の問題として一つ話し合いができるような制度にいたしておきたい。
それから東北の場合に、電力料金の話がどういうことに出るか知りませんが、それは出たらそのときの話であります。しかしながら、実際東北振興等のために、何らか電力料金の上で考慮をしなければならぬということがあれば、電源開発会社の性質上この考慮はいたすべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/109
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110・佐々木良作
○佐々木(良)委員 大臣は電力相でないから、従って仕方ないと言われるかもしれませんけれども、下流増の問題などというものは下流増の問題だけ切り離すから話ができないのです。電源開発合会社に聞いてごらんなさい。もうすでに、これをやるのなら政府は料金を負けてくれるかという話をしている。その問題は知らぬと言ったって、それは知らぬでは済まぬですよ。それと関連してのみ、やっぱりこの下流増の問題も出てくる。下流増の問題がんがらがるのはそこに建前がある。和は建前だけでも基本的に伺っておきたいのですが、電源開発会社の卸売料金については、やはり原価主義を建前とされますか。それとも基本的に政策料金を多額に織り込む方針をとられますか。これは下流増の問題と同時的な問題です。すでに始まっている問題です。佐久間におきましては、すでに料金決定がされて始まっている問題です。方針なしに始めるものだから、ずるずる話がおかしくなる。大体いずれにウェートを置いて考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/110
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111・石橋湛山
○石橋国務大臣 建前はやはりあくまでも原価主義でいかなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/111
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112・佐々木良作
○佐々木(良)委員 原価主義というのは個別の原価と総括の原価とあります。発電所を作っている、その発電所から出ていく原価を見る場合と、電源開発会社に全部投資してあるところのその金の原価を見る場合と、その二つがあります。電気会社の方は、東京電力でありまするならば、そのうちの須田具なら須田貝の発電所を作っても、須田貝の原価ではなくて、東京電力管内の全部の総括原価を基準としてあるわけです。その場合に電源開発会社は、只見川のたとえば田子倉の発電所の電力原価を基準にするのか、これに佐久間も含め、北海道の糠平も含めた、電源開発会社に全部投資されたその原価を基準とするのか、いずれを中心にされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/112
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113・石橋湛山
○石橋国務大臣 これは電源開発会社といえども一つの会社としてそろばんをとっておるのでありますから、これはその商売の上でどういうふうな料金をその場合々々にきめるかということは、一概に型にはめられないと思います。しかしながら今のところは大体一つの水系と申しますか、佐久間にしても秋葉と両方加えた原価で料金を考えたい。今後とも同様に佐久間なら佐久間だけと、こう厳格にやるのも少し狭過ぎる。その水系における適当な原価を基準として考えていくというのが建前であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/113
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114・佐々木良作
○佐々木(良)委員 水系における原価、そうですか。そうすると只見の場合には、下流の東北電力の十あるいはそれ以上の発電所が同一水系に並んでいる、この原価を見るわけですか、それともその上の開発会社で作った発電所の原価だけという意味ですか。これは少しこまかくなりますから大臣に答弁は無理かと思いますが、電源開発会社法を作ったときの根本的な問題があったわけです。それは開発困難にして、大規模にして、総合開発性の必要なる地点、こういう場合には初めからそろばんは合わないわけです。そのそろばんの合わない地点をやるとしてみましても、われわれが見ましてもふらっとできるのは数カ地点にきまっている。早い話が西の方にはあまりありません。相当あとにならなければできない問題なんです。そうしてかりに西の方の九州なら九州の一地点をとった場合には、その水系であろうか、その発電所であろうが、おそらく水系といいましても電源の場合には単独か二つくらいの発電所にしかなりません。その場合には、たとえば今九州の球磨川が始まっておりますけれども、この原価は相当に高くなる。九州が一番安い電気のほしいときに、せっかく国家資金を使ってやろうと思っても、今の個別原価主義でいくとそこだけは高くなってしまって、先ほどの電源開発会社の任務とちっとも合わない結果になってくるわけです。むしろ今の田下倉みたいなものは、これは資金の量さえあれば電源開発会社がやらなくても、資金の確保が今の東北電力に可能であるならは、やってもそろばんの合うものなんです。ところが九州なりあるいは四国の吉野川なり、中国の江川なりというのになってきますと、これはとてもじゃないが、そこらの金を集めたようなことではそろばんにも何にも合いっこない。しかも西の方の人たちがこの法律を作り、そうして期待しておるものは、この辺のほんとうの電気が供給される需用家の立場に立って、料金を上げずに、需用家の立場で干ろばんが合うような格好に電力が供給してもらえるということを一番期待してこの法律に望みをかけておったわけです。それがナンセンスなってくるわけです。そうであるならば、これだけでももうこの法律の存在の基礎は失われてくると思いますが、御所見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/114
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115・川上為治
○川上政府委員 現在電発の卸売の料金につきましては、実は暫定的な措置をとっております。その暫定的な措置と申し上げますのは、先ほど大臣からお話がありましたように、たとえば佐久間の料金につきましては、佐久間、秋葉を入れての原価主義でやっております。それから北海道の糠平につきましても、やはり原価主義でやっておるわけでございます。今お話のありましたある地方において非常にコストが高くて料金が高くなるおそれがあるというようなものにつきましては、これは将来やはり調整をしなければならない。言いかえますれば、やはり電発全体としてプールして政策料金をきめていくというようなことをとらざるを得ないと思うのですが、今のところは、今申しましたように暫定的な措置として、原価主義でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/115
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116・佐々木良作
○佐々木(良)委員 先ほど一番最初に私が問題を提示いたしましたように、現在において国民経済が要求するところの電力に対する期待は、たくさんの電気を、しかも値上りがせぬように、でき得れば料金が下るような形で作ってくれろというのが基本的な命題でありまして、それに向って今の電源開発会社なりあるいはその他の電力施工者を指導するところに、電力行政の建設についての基本命題があるわけです。従いまして、問題は今言いましたように、次々に波及するわけです。今の下流増の問題一つとりましても、問題は東北電力の基礎をどこに求めるかという方針がきまらなければどうしようもありませんし、そして東北電力の基礎をどうするかということを考えれば、そうすると今度は電源開発会社の卸売料金をどういう基準できめらるべきかという問題になりますし、従いましてこういう問題の部分的な提示ということにつきましては、私ども審議に非常に困るわけであります。従いまして、私は一日も早く根本的な方針が次々に立てられながら、問題の前進されることをごいねがうわけであります。
もう時間もないらしいのでありますか、ただ私はこの際ちょっと申し上げておきたいと思います。先ほどの局長のお話でありますが、東北電力と東京電力の差額をどうにか見込みをつけなければ、かりに下流増の問題を解決しましても、根本的な問題の解決にならない。しかもこの解決は、今言ったような格好の料金調節では不可能です。四〇%上げても東京とどうしようもない。今東北電力傘下のあの産業基礎と、あの地帯の国民生活の状態を見たときに、現在以上の料金値上げというものは不可能です。もっと下げなければならない。そこに東北を振興しなければならない一番のもとがあるならば、なおさらその要請は強くなってくるわけであります。従いまして東北電力と東京電力との格差をどうして縮めていくかという問題は、電力料金の問題以外に、他に求めざるを得なくなってきておる。端的に言えば、私はそこに二つでも三つでも問題があり得ると思います。たとえば東京電力から電気を持ってこいという話があります。東京電力から電気を持ってこいといいましても、東京電力自身が私企業であります。その私企業が、みずからの会社の犠牲において、こっちに持ってくるということは許されるわけがない。株式会社の株主が許さないと思います。そうしてみると、だんだんと問題はせんじ詰まってきます。そうすると今の一つのよりどころとしては、やはり電源開発会社の卸売料金の調節ということが一つの可能なめどになってくる。ところがそれを今言いましたように、個別原価主義とかあるいはそれに相当するようなもので縛るとするならば、それの幅もほとんど不可能になってくると思う。そうすると最後に残った問題は、あそこで東北電力に対して補給金でもやるという以外に手はなくなってくるように私は思うわけであります。従いまして、今日はこういう根本的な問題は問題の提示だけにとどめておきますけれども、あまり通産大臣お忙し過ぎるならば、電力省でもこしらえられまして、電力大臣でも置いて本気に当らなければ、とてもじゃないが、今の段階でこの次の国会に事業法を出すとか、そのときに根本的な解決をするとかいってもできる問題じゃない。問題は非常に複雑に山積しておることを申し上げて一応質問を打ち切っておきたいと思います。
ただこの下流増の問題につきまして、問題があまりにも広範に扱われ過ぎておる。そのために私どもは非常に迷惑しておる。早い話がこれは局長ならばすぐ直感されるように、端的に電気会社だけの話でしょう。これに無理な法理論を、たとえば受益者分担であるとか、あるいは公喜平の原則であるとか、あるいはまた不当利得の原則であるとか、こういう無理な既成概念の法理論を当てはめようとするものだから、そうするとほかの利益はどうするのだ、それはこつ然として電力設備以外から上ってきた利益のような錯覚に陥ってみたり、まことに奇妙な問題にまで次々に発展していくわけであります。私は本来ならば――この問題はもっと前に具体的にわかっておるわけでありますから、田子倉のダムを作ることを予想して設計された下流の発電所、これは通産省で認可されなければ建設できなかったはずです。
〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
そうしてその認可するときには、ちゃんと上流のダムの効果を計算に入れて下流の発電所の設計がされておるはずです。この法律の意図しておるものが必要であるならば、本来ならばその認可されるときにこの上のダムを当てにして作る発電所だからその費用の一部分担なり、それから出てくる利益を吐き出すなりということを行政措置としてその当時すでにさるべきものであった。それがされなくて、今これをやろうとするものだから、しかもそれを法律論の一般原則に求めようとするものだから非常にはた迷惑になってくる。それでありますから、どの理論をもつてしても、この下流の特定の発電所だけに費用の分担を命ずるという理屈はどうしても成り立ちがたい。理屈はどうにでもつきますよ。金沢さんの理屈もなるほどいいと思います。妥協してもいいと思いますが、少し考えてみれば、発電所のことだけを考えて、ほかの下流の方の利益はほうっておくということはどういうものか。これはどうも頭を痛める、非常に今困っております。これはあくまでも基本問題をほうっておかれて、しかも前にやるべき行政措置を怠っておったことからこういう結果になってきた。私をして言わせるならば、東北電力があんなことを言うならば、その前にはあれは日発が建設したものではないかということになる。そういうふうに経過的に見れば、まことに問題の多いものであります。私はおそらくこれは行政的な方法によってなさるべきものたと思います。しかし行政的措置でもって措置されるとすれば、当然に卸売料金をどうしてくれるという問題が必ずくっついてくる存です。同時に御承知のように、これを吸収する法律を作りましても、田子倉の発電所の発生電力を電源開発会社は東北電力に卸売しなければならぬという義務を負っておるのではありません。かりに電源開発会社が居直って、おれはやらないといったらどうします。それも法律に書いてもらわなければだめだということになる。従いまして私はきょうのところはこの辺でとどめておきますが、電力問題の基本につきまして、どうか一つ事務当局だけでなくて、専任の大臣でも作って、ほんとうにことしの暮れくらいまでに措置をとられない限り、事業法とかなんとかいうものにまで発展しにくい、それほどややこしい状態になっておることを御忠告申し上げまして、一応質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/116
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117・神田博
○神田委員長 次は多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/117
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118・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一昨日の質問に続いて質問いたしますが、その前に局長に一言苦言を呈しておきたいと思います。それはこれだけ大きな問題を出すのに、私は金利のことを聞いたが、金利はだんだん安くなるはずだ、こういってぬけぬけとして抗弁したのですが、出された資料は御存じのように金利はどんどん高くなってきておる。しかもこれは累積した累計を出しておられるからこの程度ですけれども、新たに社債その他資金を求めて、年度別のそのときの金利を見ますと、これは著しく高騰しておるのであります。少くとも所管の局長ですから、金利が方向として高くなるか安くなるかくらいは一つ十分あらかじめ知っておいていただきたい。これは答弁は要りません。
それからこれは大臣にお尋ねいたしますか、昨日参考人に来ていたたいて学者にも若干の意見を聞いたわけであります。金沢さんは、大体行政法の立場から、これは公用負担の一部である受益者負担である、公用負担というのは公益事業には全部課せられておるから、受益者負担だけを排除する理由に乏しい、こういうような理論づけであったのであります。私は本人を前に置いてあまり悪口を言うのを好まないので言わなかったのでありますが、行政法というような学問は、学問でも雑学ですから、どちらかと言えば民法のように原則や条文があって行われるのではなくて、国会や政府において勝手気ままに法律を作ってそうして出しておる。それを何とかしてその原則を見出そうというので、いわば帰納法的に公用負担の原則を見つけた。その原則を見つけて、今度はそれを演繹して、そうして演繹的な考え方によって導いて、これも学理に入るだろうということで理論を立てられておるので、いささかあれには承服しかねるのでありますが、とにかく非常にむずかしいということはよくわかるわけであります。今佐々木委員からも発言がありましたが、かようにむずかしい法案をなぜ出すのか。これは電気事業者間の問題である。しかもこのダムを作るときに、今まで予見しなかったところの下流増の問題が今度初めてやってみたところが出てきたというような問題ではないのであります。初めから下流増を予見し計画の中に入れて作っておる。これは立法当時から十分わかっておることなのですから、なせこの下流増の問題を解決しておかなかったのか、その理由はどういう点にあるのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/118
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119・高碕達之助
○高碕国務大臣 大体私といたしましても、田子倉を開発するときは、それによって下流の方の利益が増すということははっきりわかっておるわけでありますから、東京電力と東北電力と電源開発会社との間には申し合せをしてわったわけであります。また今度の御母衣のダムにつきましても、元来があり庄川水域につきましては関西電力が持っておるわけでありますが、それを電源開発会社が発足いたしまして、御呼衣のダムは非常に大規模であって困難である、だからできるだけ安い金利のものを使わなければならないということで電源開発会社がやるが、あのダムの建設によって下流の方で受ける利益は非常に大であるということを見込んで、建設の原価によって全体を関西電力に渡すというふうなことになる、場合によればあの御母衣のダムの経営を関西電力にまかそうではないか、そりときの状態によって話をしようといり覚書が交換されておるわけでありまり。こういうような問題につきましては、おそらく別に法律を作らなくともよいのではないかというような考えで進んでおったのでありますが、だんだん電源の開発をすべき個所がふえて参りますことと、それを建設する人たちか、あるいは公共団体であるとか、あるいは農林関係の方であるとか、あるいは地方庁であるとか、あるいは電源開発会社がやるとかいうように、いろいろ変って参りますから、そういう場合をおもんばかりまして、当然下流に起る利益で上流の建設費の一部も負担するという意味において、こういう法律を出した方がよいだろうということから今日提案申し上げておるわけであります。
〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/119
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120・多賀谷真稔
○多賀谷委員 田子倉とか御母衣とかは話し合いかついておるということで、むしろいろいろな人がダムを作るということになりますと、電気事業者以外で作るのは県営です。そうすると主として県営のダムのためにこの法律を作るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/120
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121・高碕達之助
○高碕国務大臣 現在のところ、愛知公団が作りますダムだとか、いろいろな場合を想定いたしますと、必ずしもこれは県営ということに限らないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/121
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122・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今後作るダムということになりますと、私は、こういうむずかしい法律を生み出すべくわれわれが苦労するような条文を何も作らなくてもいいと思うのです。なぜかというならば、六条にすべて多目的ダムの費用負担の問題が書いてある。これに、下流増もその二部のように条文をちょっと訂正すれば済むんです。そうして政令も出ておるのです。電源開発促進法の六条二項の規定による費用の負担の方法及び割合の基準に関する政令というのですから、これを若干訂正されれば、これほどむずかしい法律をわれわれがひねくり回さなくてもいい。今からやろうという、まだ建設ができてないという場合なら、私は当然この点の条文を改正をされて、要するに共同施設でおやりになればけっこうだ。何も下流増なんという、しかもそれを受益者負担であるとか、費用を義務的にとるんたとか、しかし持ち分をやらないんだ、こういう議論をしなくてもいいんだろう、私はかように思うのです。ですから私は事前に解決すべきだ、かように考えるのですが、一つどちらでもけっこうですから、国務大臣としての答弁をお願いします。条文を申しましたので、どうも面くらっておるようですが、条文はけっこうです。要するになぜ共同施設としてしなかったか。下流増という問題も、多目的ダムといえば一つの用途であり、一つの目的になるのですから、やはり灌漑水とかいうのと同じように、その上流だけの電力でなくて、下流の増の電力も、多目的ダムの一つの目的と考えれはいいんじゃないか、こういうことを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/122
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123・石橋湛山
○石橋国務大臣 最初から電源と、それからそのほかの電力会社なんかと共同施設すれば、それは問題ないでしょう。しかしそういう場合を予想したんじゃないのです。そうかといって、東北電力の田子倉の問題だけをねらったわけでもないのでありまして、とにかく電源開発会社としてはやらなければならぬ工事をやる、そのために下流の方において相当大きな利益を他の電力会社に与えるときには、その利益を与える限りの範囲において、ある程度の費用の分担をしてもらってもいいんじゃないかという、ごく常識的な考え方から出ております。そのほかに特にむずかしいことを考えたわけじゃないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/123
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124・多賀谷真稔
○多賀谷委員 電力以外の下流の利益というものは、これは法律によってとるというふうにはしないんだ、こういう御説明でしょう。ところがこの分は私は問題にはしていないんです。上流のダムを作ることによって、ほかの用途にも使われる、ほかの方でも利益を得るという場合には、多目的ダムとして費用負担を命じており、そうして共同施設になっておるんだ。そうすると下流増の電力もほかの灌漑水に使うとかあるいはほかに使うということを一つの用途の中に入れてもいいんじゃないか。そうすれば共同施設としていけるじゃないか。なぜ下流増の電力だけを、そういうように特別に扱われるのか、これを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/124
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125・石橋湛山
○石橋国務大臣 こまかいことは存じませんが、とにかく下の方の農地から何から受益者がたくさんある。かりにそれと話し合いを初めからして、そうして上のダムを作るか作らないかということをきめるのは、実際問題として容易でないだろう。そうかといってダムができてから、今度農業者に幾ら負担させるとかなんとかいうことも、なかなか困難な問題でありますし、ことに通産省が電力関係について考える場合には、そこまでなかなかいき得なかったものですから、そこで理屈を言えばいろいろ理屈は立てられますが、とにかく電源開発会社がこんなダムの必要があるというところに、会社独自の見解によって、他の会社の協力とかあるいは参与を求めずにこれをやって、そのやったあと、その利益が明らかに電力に関係する会社にある場合には、その一部の負担を冠力会社に限って話し合いでやるということは、今までもありましたし、今まで話し合いをしておりましたその話し合いを、法律によって円滑に進めるようにこの法律を作りたい、かように考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/125
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126・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも私の質問が悪いのか、あるいは知っておってそういう答弁をされるのかわかりませんけれども、多目的ダムのときは、地方公共団体が主としてその一方の相手方になって費用の負担をするだろう、かように考えるわけです。ですからそれは何も、農民一人一人からとってくるわけでもないし、そういう問題は地方公共団体が当事者となって、その施工についての責任を一部負うわけです。下流増の場合は、そういうふうに幾らも相手がおるんじゃありませんし、初めから電気だけ、しかも電力会社、こういうことに限っておれば、相手は一人です。ですから地方公共団体と下流の電力会社とその主たるダムの建設者、こういうのが話し合って、そうして共同施設にされれはいいじゃないか。法律もすでに地方公共団体の場合は、電力以外の用途に使う場合に認めておるじゃないか。ですからそういう意味において費用負担をお考えになった方が適切である、かように申しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/126
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127・川上為治
○川上政府委員 この共同建設というふうな場合におきましては、電発が下の方と一緒になって共同建設ということになりますれば、これはよくわかるのですけれども、そうではなくて、電源開発につきましては、非常にむずかしい地点について、電源開発が安い国家資金をもって特別に一本で開発するという方針で、今までずっとやって参っておりますので、最初から共同建設ということになっておりませんから、共同建設の振り分けの規定の適用ということにならないわけでありまして、結局電発がそういう方針で従来からやっておりますので、それに対しまして、下流増が生ずるならば工事の一部の負担をしなさいというようなことにしてあるわけでございます。
それから多目的の場合におきましては、多くは一種の共同建設的なやり方をとっておりますので、その負担につきましても振り分けの規定をやっておるわけなんですが、そうでないものについては、今申しましたように、やはりその下流増の方から利益がありましたならば、その工事費の一部を負担するというこの法律を適用していくべきではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/127
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128・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも局長もぼけられたのか、とんでもない発言をされておりますよ。あとの発言は、電気以外でもこの法律を適用する――これはとんでもない失言ですよ。訂正されたらいいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/128
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129・川上為治
○川上政府委員 電気以外ということを実は申し上げなかったつもりなんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/129
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130・多賀谷真稔
○多賀谷委員 下流増でほかに益があったら、これはこの法律を適用してとるんだ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/130
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131・川上為治
○川上政府委員 もしそういうふうに聞えましたら、それは私の間違いでありまして、電気以外のものにつきましては、私どもの方としては法律で強制的にとるというふうには考えないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/131
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132・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ですから私はこういうむずかしい法理を出さなくても、多目的ダムと同じように、下流増である電気が出るということはあらかじめ予定され、すでにその最初から計画をされておるんだから、下流増の出る電力会社と共同施設の形においておやりになればいいではないか。これはすでに地方公共団体においても、電力以外の用途に使う場合においては共同施設になっておるのです。そうして多目的ダムといっておるのですけれども、そういう場合には多目的ダムとして政府としておやりになればいいではないか。しかもこれは過去のものをとろうというのではなくて、今後のものをとるというのです。三半だって何も今から法律が若干改正されたから改めるというのではなくて、費用の分担とそれから今まで単独でいくというのを共同にやるというのに変えれはいいのですから、私は今改正をされても間に合うのではないか、かように聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/132
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133・川上為治
○川上政府委員 この法律は、もちろん今おっしゃいましたように、今後のものについて適用するわけですが、今後のものにつきましてもすべて共同建設でいくというのはなかなかむずかしいのではないか。たとえば電発につまましても、電力会社と共同してそう開発をするということにいろいろな点からむずかしい点が出てくるのじゃないか。やはり電発は電発で非常にむずかしい地点について国家の資金をもって開発していくということの方が、私は運営上よくはないかというふうに考えますので、今後のものについてはすべて共同建設にして、費用振り分けの措置をとればいいじゃないかということだけではなかなか私は律し切れないのではないかというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/133
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134・多賀谷真稔
○多賀谷委員 何がむずかしいのですか。これは電発たけでなくて、ほかの電力会社がやる場合にも、上流の場合にもこの法律を適用しようというのですから、何も電発だけじゃない。この電発が主でありましょうけれども、しかしそのダムについては国家資金を投入してもいいのでむずかしいところは一つもない。むずかしいのはあなたの方で出される法律の方がむずかしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/134
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135・川上為治
○川上政府委員 これは共同建設ということになりますと、何方いろいろな点についてよく話し合いがついて、そしていろいろな義務的な問題につきましても、責任の問題につきましても、十分話し合いがついたその上でやるということになるかと思うのですが、そうしますとなかなかその話し合いがつかぬというような場合も私は起ると思いますので、急速に大きな地点について電力を開発する場合におきましては、なかなかそういう話し合いがつかないままに共同建設ということは、私はなかなかこれはむずかしいことではないかというふうに考えるわけでございます。これは多賀谷さんがおっしゃいますように、行政指導で一つできるだろうというようなことかもしれませんけれども、なかなかそういうような点になりますと行政指導でもむずかしい点があると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/135
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136・佐々木良作
○佐々木(良)委員 これは今一般論の話が出ているからむずかしいのだけれども、本来、今高碕さんは話し合いができると言ったけれども、御承知のように事の起りは、私どもの了解しておるのでは、只見川のあの只見並びに奥只見の建設については、最初電源会社と東北電力と東京電力と三者の協定ができておったのです。できておったけれども最近東北電力の先ほどの格差の問題を含めてどうしようもない事情から、何とかどこかに食いつきたいというのでその協定を破棄しようということが出てきたわけです。破棄してこれはもうあくまでもけんかをしようという方針が出てきした。そうすると話がそれでつかなくなってくるということに最大の危険があったわけです。その場合に今お話があるように、共同工事の建前をとって、あとから参加する形でも法理論的には成り立つのであります。あとから共同工事に参加してもいいのたから、共同工事にあとから参加する建前をとった場合には、当然法理論として発展するものは、そのダムについての持ち分権並びにダムの操作に対する管理権というものがくっついてくる。ところが御承知のように田子倉並びに奥只見、ほかのことはちょっと預けておいて、そこについての操作権あるいは管理権というものを、下流の東北電力だけに全部電力を供給し得るような形で、一方管理権、強大な発言権をそこに占められては困る。御承知のように、あそこの電気は四分六分くらいで東京の方に来ることになっておる。その辺がくずれることの危険を感じられて、従ってこの問題が出てきたものだと感じております。従って先ほど高碕さんが言われたように、大体一本水系の電気が全部同じ地域の電力会社に流れるというところでは本来大して問題はない。御母衣の電気もそれから下流の旅原も、あの辺の電気は一括して関西霊力に流れるわけです。かりに管理権だけ行ったところで大したことはない。ところが今の只見の場合は四分六分くらいの振り分けになる。しかもその操作をめぐって今後非常な問題が起き得る。端的に言うならば、その管理権は電源開発会社の本来の目的であるところの国家的な目的に使えるように留保しておかなければならないというところがほんとうのところで、そいつがどこもむずかしそうで困るからというのが私は正直なところだろうと思う。
〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
その辺をはっきり打ち割らなければ、法理論を展開したらとても無理です。私はそう思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/136
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137・川上為治
○川上政府委員 そういう具体的なところまで申し上けることはどうかと思いましたのですが、佐々木さんからそういうようなお話もあったのですが、私はやはりそういうきわめて複雑な問題もあるし、なかなか共同建設というのはむずかしいという面もありますので、やはりこういう規定は必要ではないかというように考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/137
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138・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも政治的ないろいろ込み入った話をされても困るので、やはり筋を通してこの法案の、審議をいたしたいと思うわけです。そこで共同施設ということを今ごろ言ったって困るじゃないかと言われますけれども、工事は主体的に工事をして、あるいは今お話がありましたように持ち分の問題とか、こういうのはあとからつけ加えてもいいのですから、これはあなたの方は今から法律を作ろうというのですから、われわれはそういう立法的な立場から免ればその方がより賢明である。それはAなる会社とBなる会社とが非常にいざこざを起して、それを国会に持ち込まれたら大きな迷惑です。だから筋を通した場合、あるいはAには不利であるかもしれぬ。しかし長い目で見ると、結局公平にいくのですから、私はやはり筋を通した法案の審議をいたしたい、かように考えるわけです。そこでこの前も若干話をしたのですが、公益事業ということを盛んに言われるのですが、公益事業ということになれは、たとえばこういう場合には共同施設にせいということがすでに第六条に書いてある。ですからこういう命令的な条文を書くことは、何も今の法概念では珍しいことではなくて当りまえのごとですから、そういう下流増のあった場合には、その下流増による利益の範囲内において、また所有権の一部を持たすとかあるいは共有にするとかいうことが建前であって、むしろ当然の原則である、かように考えるわけですか、あまり政治的な考慮をなさらずに事務当局は事務当局らしくすっきりした答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/138
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139・川上為治
○川上政府委員 やはり多目的ダムというような場合におきましては、そういうような措置もできるかと思うのですが、先ほども申し上げましたように、相手が公益事業者でありましてもなかなかそういうふうにできないような場合もありますので、やはりこういう法律は要るんじゃないかという、ふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/139
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140・多賀谷真稔
○多賀谷委員 かりに下流増で利益がある。そうして下流の方でもぜひ上流に作ってもらいたいというのは、一つの目的になるでしょう。結局公共事業かそれだけ益するということだから、公共事業としては一つの目的が入ってくる。下流増の方も一つの目的が入ってくるのですから、同じ電力でも、多目的ダムというように考えても、私は費用の負担の場合はできる、かように考えるのです。あなたの方は無理があると言われますけれども、お前のところは利益を得たからよこせといって、勝手にダムを作っておいて、利益を強制的によこせといって取り上げる権限を与える方が、理論としては無理がありますよ。御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/140
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141・川上為治
○川上政府委員 その点私も十分考えられますけれども、たとえば多目的ダムの場合におきましても、なお下流増の問題も十分考えて、費用の振り分けということはいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/141
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142・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今のは、全然答弁の趣旨がわからないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/142
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143・川上為治
○川上政府委員 結局共同建設的な命令をそういうものに出したらいいじゃないかということなんですが、先ほど来申し上げますように、一方においては資金その他の面からしまして、すぐ共同建設に応ずるというような場合がないことも十分予想されますので、やはり電発なら電発で開発をして、あとでとにかく下流増については、利益がありましたらその負担をしてもらうということにした方がよくはないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/143
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144・多賀谷真稔
○多賀谷委員 資金額のことは別として、現在あなたの方で出されておる法案も、工事費の一部を負担するわけでしょう。同じことじゃないですか。共同経営じゃないけれども、工事費を出すということは同じことです。一つも違いませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/144
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145・川上為治
○川上政府委員 金を出すといいましても、やはり下流増についてはその利益の限度というものもありますし、共同建設の場合におきましては、またその資金額そのものについて、今の限度という問題と違った、それ以上に非常に大きい建設費を出すという場合もありましょうから、共同建設でいく場合と、こういうような共同建設にいかないで、電発なら電発あるいはその他のものにやらせて、下流増益がありましたら、あとでそれから金を負担させるというような方法と、やはり並行していくべきじゃないだろうかというふうに私は考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/145
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146・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは下流増が予定される範囲内において持ち分といいますか、負担金というものを持たせていい、その点は何ら変りはありませんよ。あなたの方は工事費としてとられるのでしょう。ですから、その後だんだん下流増がふえる、そのふえた、現実に上った益金だけを毎回入れろ、こういうならば別ですけれども、初めから工事費の一部の負担ということになるのですから、その点は同じじゃないですか。一つも違わないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/146
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147・川上為治
○川上政府委員 これは非常にむずかしい問題ですけれども、これは工事費そのものと申し上げるのですか、一応金額につきましては、算定の基礎にはしておるのですけれども、やはり下流増について、一部の利益の限度において負担をしなさいということにわれわれは考えておりますので、若干その点は違うのじゃないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/147
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148・多賀谷真稔
○多賀谷委員 若干違うのではないかというけれども、気持は違うかもしれませんが、条文は同じですよ。要するに、設置に関する工事の費用の一部を負担しなければならぬ。これはあなた方が受益者負担であるということでとられるからです。道路法でも都市計画法でも、やはり工事の費用の一部、こういうことになっておる。ですから、気持が違うといいましても、毎年々々現実に下流増があって、それによって益金が出る、それを返すということとは違いますよ。この点ははっきりしてもらわなければ困る。あなたの方は、建設のときに工事費の一部としてとるという、資金繰りは実際はあるいは年賦で何年か後に返すかもしれませんけれども、実際は工事費の一部としてとるわけでしょう。ですから初めから予定されるのですから、下流増がどの程度予定されるということになれば、その予定をされる下流増の範囲内において工事費の一部を負担する、しかしそれはその範囲において持ち分なら持ち分を許す、こういうことでいいじゃありませんかと、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/148
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149・川上為治
○川上政府委員 その点につきましては、私はそういうことも十分考え得ると思うのですが、ただ最初から工事費を負担することについて、先ほども申し上げましたように、金繰りの問題とかいろいろな問題からその工事費を幾ら負担して幾ら出す、それからまたそれをいつまでに出すという点についても、なかなかむずかしい、両方で話し合いがつかないというような問題もあるかと思いますので、その下流増が出ましたならば、その利益についてあとでとる、しかも出す方法についてはいろいろ両方で相談してやるということの方がいいのじゃないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/149
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150・多賀谷真稔
○多賀谷委員 資金といいましても、何も電源開発が今持っておる資金じゃないのです。これは政府が出資するなりあるいはどこか借りてくるなりこういう資金ですから、この点は電力会社かやっても、あるいは現在多目的ダムの場合は地方公共団体が参加するのでしょう。ですからこれは地方公共団体が参加できるのですから、電力会社が参加できぬはずはない、私はこれを言っておるのです。またこの電源開発促進法という法案は電源開発株式会社だけの法案ではない、電力会社も電源開発をしても適用があるのですから、何らおかしいことはない、おかしいところがないのを、あなたの力がおかしくして国会に出されることが間違いです。大体通産大臣は、あなたの所管の範囲内の紛争を、むずかしい法案をもってわれわれ国会議員に迷惑をかけさそうとしておる。大体電力会社と電力会社の話でしょう、そうして一般の国民から受益者負担をとるというなら、これはまた別の問題です。しかもこの関係電力会社の調整をしておかなければ、絶対にほかの方法では調整がつかないというわけじゃない、これは電気料金でつくのです。あなたの方は認可権を持っておるのです。通産大臣はそういうような強力な権限を持ちながらこの調整ができぬくらいでは、われわれはなはだ迷惑しごくです。しかもこの法案については私たちは次のような憂いを持っておる、駅がでぎて、そうしてその土地代が高くなった、それを受益者負担で引き上げる、徴収をする、こういうことがこの法の概念からいえばできないことはないのです。少くも国有鉄道ですよ、電源開発株式会社よりもより政府的です、政府機関ですよ。しかも地方鉄道法による私鉄だってこれはやはり公益事業です。地方鉄道法によっておるのです。ですから私たちはこういう心配が幾らでもある。さらにこれは電気だけでなくて、一般の灌漑用水その他の場合もとり得る法理が生まれるわけです。日本の今の法体系にない新しい法理を今生もうとしておる、ですからわれわれは簡単に承服することができない。こんなむずかしい法律案を国会に出されるよりも、みずから責任を感じて、事前に解決される方法があるだろうと思う、かように考えるのですが、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/150
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151・石橋湛山
○石橋国務大臣 私は実はそうめんどうに考えない、先ほど局長からも申したように、なるほど下流増で利益のある会社があるとすれば、あらかじめそれと話し合いをして、工事費の一部を分担させるというようなこともできましょう。けれども実際の例として、そういうことをやっておれば工事が進まない。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはないと言うが、ある場合があるのです。現に鉄道との間に話し合いがつかなくて、なかなか工事が進まなくて困る場合も起っておる。ですからとにかく電源開発なりあるいはその他の電力会社でも必要と認めた場合には幾らでも工事が独自の方法でできる。工事はやれる。やれるがあとで実際に利益場がある場合には、その上で一つ利益を受ける会社と話し合いをして、適当な利益の範囲内において――名前は何といいますか、補助を分担するということになるかもしれないが、結果においてはとにかく工事難の一部を負担してもらうということにした方が実際的だ、こう思っておるわけです。ですからほかに何にも他意はないし、また特に東北電力だけをねらったことでもないのであります。そういう内輪話は実は知らずにおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/151
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152・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は他意があろうとなかろうと、そういうことを言っているのじゃないのです。またそういうことを聞いておりません。しかし鉄道という話が出ましたが、鉄道と電力会社とは違うと思う。鉄道の場合は鉄道をつけなくても何も不便じゃない。だから時間がかかる。鉄道の方は新線を建設しても必ずしもプラスにならない、新線だから赤字が出るかもわからないから遠慮をするかもしれない。向うでわざわざ作るものをこちらは見ておればいいのですから、鉄道との話し合いのようにむずかしくはない、かように考えるわけです。あなたの方は、両方の電力会社を握っておる。ですから私は通産大臣が、従来のあれだけのいろいろな敏腕を振うならばこれは立ちどころに解決すると思うのですがね、どうですか。私は法律なら法律でもいいのですが、事前に解決するような方法を考えたらどうか、かように考える。事前というのは、今申しましたように、共有をするなりあるいは持ち分を許すなり、そういう方法で解決するのが至当ではなかろうか、かように考える次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/152
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153・石橋湛山
○石橋国務大臣 お話のように事前でできることなら、事前でやることはあえて拒むわけじゃございませんが、私どもの考えでは先ほど申しますように、まず事前に話をして、それから工事に着手するということは、実際時間の上においてむだをすると思うのです。ですから今申すように、国会には御迷惑かもしれぬけれども、この法律を出したわけであります。しかしあなたの言うように、事前に話し合いをすることと、この法律によってあとで話し合いをするのとではそう差が起るかどうか、私は別段差がないと思うのであります。事業は事業としてどんどん始められる、そうして受益者負担か何かしらぬけれども、とにかく利益の負担については工事の進みつつあるとき、あるいは工事をした後においても話し合いをしても差しつかえないと思う。特に法律をもって幾らでも負担をしろとはいってない。だから一定のある範囲内において当事者同士で話をしろということなんです。話し合いをして話し合いのつかない場合に通産大臣が裁定をするかしないかということも問題にはなりますが、一応裁定をする云々ということは落してある。ですから話し合いをしろということでありますから、その方が実際の面においては適当すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/153
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154・多賀谷真稔
○多賀谷委員 事前につきとましても、私は必ずしも時間的なことを言っているのじゃないのです。要するに工事がどんどん進められてもけっこうだけれども、工事施工後でもけっこうですから持ち分を持たす。要するに負担はさせるけれども、持ち分を持たすということになると、所有権の問題ですから、これはやはり法律段階とすれば、前の段階で解決できるじゃないか。何もむずかしい法理を持ってこたくてもいいじゃないか、こういうことを私は主張しているわけです。この点を一つもう一度、御迷惑でしょうけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/154
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155・石橋湛山
○石橋国務大臣 そのことはわれわれも考えないのではございませんが、その話し合いにより、どういう条件でどれだけの利益と見て、その利益の中のどれだけの割合を下流増から支出してもらうかという具体的の問題は、これは当事者同士の話し合いできめようということで、その場合に話し合いになれはあるいはその結果持ち分とか何とかいうことになっても差しつかえないと思います。そこまでわれわれは法律をもって強制するということはこの際実際問題として、そこまでいってはかえってよくない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/155
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156・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この法理論から持ち分という問題は大体起らないわけですが、私が申しましたのも、法律によって工事費の一部を負担をする、これはけっこうです。しかし持ち分、これについては話し合いによってでいいです。要するに協議の結果、負担した分については持ち分を許す、こういうことならなおさらけっこうだ、こう言っておるの一です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/156
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157・川上為治
○川上政府委員 この法律では持ち分という問題は起きない、しかしながら話し合いによりまして、その管理権なりあるいはその持ち分をもって、その所有権の一部に参画するということは差しつかえないということを大臣もおっしゃったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/157
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158・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは当事者がやるというのではなくて、法律ではっきりしなさい、こういうことを言っておる、それがもめるもとです、あなたの方で。私はどうもこの点は、また後ほど大臣が少し頭が涼しくなったとき聞きますが、よく研究していただきたいと思います。
もう一つ局長に聞いておきますが、この法律で、協議に応じぬとかあるいはがたがたしたら金がとれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/158
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159・川上為治
○川上政府委員 その点につきましては、これはそういう事態になりまして、がたがたしてどうしてもその話し合いがつかぬという場合におきましては、この法律からはとれません。ただわれわれの方としましては、これは極力そういうような問題が起きないように、一つ行政指導によって何とか話はつけたいというふうに考えております。ただこの法律におきましては、やはり下流増については、その利益がありましたならば、利益の限度において上の工事費を負担しなさいということでございまして、それは一つの大きな原則でございますので、その次はいろいろ協議をしまして、額の問題になるわけですが、額についてはこれは今おっしゃいますような事態が生じないことも考えられませんけれども、これは私どもは一生懸命行政指導して何とか調整したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/159
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160・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ちょっとおそれ入った答弁ですが、あなたの方では今まで指導してきたけれどもどうもうまくいかない。しかし法律に書いて、しかし書くけれども協議がととのわなければやはりとれない、これでは一体何のために法律を出すのですか。これはいかに書いてでも協議がととのわなければとれない、こういうのでしょう。こういう法律を書くのは、やはり協議がととのわない場合にはあるいは裁定をする、その裁定は契約と同じ効力を有する、そこで民事的にも訴訟によってとれる、こういうところにこの法律の値打がある。こういう法律体系というものは、それを全然とれないようにして、しかも協議がととのわない場合はどうするかといえば、それは行政指導でやる、行政指導でできるくらいなら、あなたの方は今行政指導でおやりになって話し合いをつけたらいいじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/160
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161・川上為治
○川上政府委員 実はこの問題につきましては、これは第一その下流増で利益があったならば、その利益の限度において上の工事費を負担しろという、そういうこと自体について、その事業者間において、いや払う必要はないとか、いろいろな問題がありましたので、やはりこの際は法律ではっきりとそれは負担すべきだという原則を打ち立てるということが一番大事なことではないか。一種のこれは憲法と申しますか、そういうふうに思った方がよくはないかと思いますが、その額の問題につきましては、なるべく民主的に相談してもらって、すなわち協議によってやってもらって、そして極力話をつけてもらいたい。もし話がどうしてもつかないときには、今おっしゃったような問題がありますけれども、私どもとしましては、行政指導によってそういう額の問題についてはあるいはその支払いの方法については、われわれの方で何とか一つその話をまとめたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/161
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162・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも質問をする勇気に欠けて参ったような気持がするわけですが、それはいやしくも権利義務を律する法律を作って、そうしていざというときにはとれないというような権利義務の制定の法案ってありませんよ。宣言的な規定じゃないんですよ。これはなるべく順守しなさいという規定じゃないんです。明らかに一部を負担しなければならない、こういう義務の設定をしておきながら、いざというときにはとれないような法案を書くというのは全く不見識である。第一、その六条の二が新たに制定をされて、その一項が日本の法体系にない新概念を持っておりながら、第二項がまた全然とれないような、これまた新概念です。こういうような法案の連発では、われわれはこれ以上質問をしてもどうも気抜けがするばかりなので、一つ日をあらためて質問をいたしたい、かように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/162
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163・佐竹新市
○佐竹(新)委員 議事進行について。おそらくもうこれで委員長は終られると思いますので、この際議事進行について一言申し上げたいと思います。先般佐久間ダムの資料をわれわれはいただいたのでありますが、かような、株式会社の決算報告にもこういう資料は珍しいような資料を出されておるので、私はあらためて通産当局に資料の再提出を求めます。第一番は、年度別の工事費の明細書、これを一つ出していただきたい。その二は、工事費の支払い先別、これの明細書、その三は、請負代金、材料代の支払い先の明細書、これは契約全部を年度別にし、並びに金利を出していただきたい。四は、工事の工程表を出していただきたい。これだけ要求いたします。委員長からもしかるべくお取り計らい願って、ぜひあの資料ではちっともわかりませんので、再提出をお順いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/163
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164・神田博
○神田委員長 佐竹君の資料の要求については了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/164
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165・多賀谷真稔
○多賀谷委員 資料に関連して、実は金利の問題ももう少し明細に出していただきたい。借入先はどこであるか、あるいは政府資金はどの程度であるか、こういうのを年次別に、もう少ししろうとにもわかるように出していただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/165
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166・小笠公韶
○小笠委員 ただいまの佐竹委員の資料要求に関連して、年度別の支払い状況、いわゆる項目別の状況で金利状況というのは全体的な金利でありますか、過去に支払ったものの金利負担状況を要求しておるのでありますか。概念が明確でないようであったのでその点もう一度はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/166
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167・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今の金利の問題は全然別個であります。最初金利の問題と佐久間ダムの別々の資料の要求をいたしましたので、前者の方の資料の要求をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/167
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168・神田博
○神田委員長 本日はこの程度にとどめます。次会は明十三日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後五時四分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X03119560412/168
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