1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十六日(木曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 長谷川四郎君 理事 中崎 敏君
理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 大倉 三郎君
菅野和太郎君 椎名悦三郎君
篠田 弘作君 島村 一郎君
鈴木周次郎君 田中 角榮君
田中 龍夫君 中村庸一郎君
野田 武夫君 南 好雄君
山本 勝市君 佐々木良作君
佐竹 新市君 多賀谷真稔君
田中 武夫君 田中 利勝君
帆足 計君 松尾トシ子君
松平 忠久君
出席政府委員
総理府事務官
(公正取引委員
会事務局経済部
長) 坂根 哲夫君
総理府事務官
(経済企画庁計
画部長) 大來佐武郎君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(繊維局長) 小室 恒夫君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 爲治君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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四月二十六日
委員水谷長三郎君辞任につき、その補欠として
八木昇君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
電源開発促進法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四四号)
繊維工業設備臨時措置法案(内閣提出第八三
号)
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。田中利勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/1
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002・田中利勝
○田中(利)委員 下流増の問題について長い開十分審議されてきまして、その審議の過程に疑問の点があるのでその点明らかにしていただきたいと思うのでありますが、御承知の通り下流増のこの問題について、たとえば問題の一番多い東北地方において、特に東北の一般佐川との利害関係の深い東北電力、こういう問題が大きな一つの政治問題として今日起っていることは事実であります。従って政府の提案されておる下流増の問題が、このまま委員会を通過するといたしますならば、実際問題として東北電力の問題に限ってみまして、それがやがて電気料の値上げの問題として尾を引くようなことがあり得るのかどうかというこの一点を明確にしていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/2
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003・川上爲治
○川上政府委員 下流増の問題につきましてはこれは全国的な問題でありますので、私どもはこの法律によりましてこういう原則をどうしても立てなければならないというふうに考えております。東北だけの問題ではありませんで、全国的な問題でありますので、さように考えておるわけであります。しかしたとえば東北というような特別な地域におきましてどうしても電気料金が高くなってはその地方の産業が伸びないというような非常に特殊なケースがありまして、国としてどうしてもその地方の電気料金は安くしなければならぬというような場合におきましては、私は電気料金の問題として将来調整をしなければならないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/3
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004・佐々木良作
○佐々木(良)委員 関連。今の田中委員の質問は、一般にこの問題が直ちに電気料金に関係するがごとくに地方に流布されておる向きが多い、従って例を東北電力にとった場合に、本来ならばこれだけ金がふえてくるのだから、従って上げなくてもいいのだけれども、これがふえなくなると、つまり下流増を支払わなければならないようになると、電気料金を上げなければならないだろうという話が出ておるが、それが面接そういう関係にないものと思うがどうか。そういう質問ですから、下流増の問題と電気料金の値上げという問題が地域的に結びついて流布されておる話があるということを聞いておるわけでありますからその点もう一回はっきり答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/4
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005・川上爲治
○川上政府委員 将来下流増を払うということになりまして、そのために東北地方におきまして特別に料金を上げるというようなことがあるかどうかというような御質問だと思うのですが、私どもの方としましては、この問題につきましては、必ずしも東北についてそのために特別に料金を上げるというようなことは今のところ考えておりません。ただ東北地方におきましては、その他のいろいろな問題がありまして、あるいは将来料金については改訂しなければならぬ面があるかもしれない、その点については現在いろいろ検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/5
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006・神田博
○神田委員長 次は中崎敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/6
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007・中崎敏
○中崎委員 下流増の問題に関連いたしましてお尋ねしたいと思うのでございますが、現在政府の方で下流増として出てくると予定される区域並びにその下流増の数字を一つ示してもらいたいと思う。現在並びに今後予定し得る範囲において生まれてくる下流増の、水系から見たものを中心にして御説明を願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/7
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008・川上爲治
○川上政府委員 これは前に一ぺん御説明申し上げたと思うのですが、大体今予想される地点といたしましては、全国で約三十くらいに上っております。これは、たとえば水系としましては只見川水系、庄川水系、それから栃木県の男鹿川水系その他全国的に約三十くらいあるわけでございます。それからそのうちでどれくらいの下流増が生まれるかという問題につきましては、これはいろいろ計算の仕方もあるわけでありますが、実は合計幾らというのは出しておりません。このうちのおもなるものについて、たとえば田子倉にダムを作りますとその下流においてどれくらい出る、あるいはまた、栃木県の男鹿川において川治第一を作るとその下でどの程度の下流増が出るというのは、一応私の方としましては作っておりますが、実はその全体の計算の表として出しておりませんので、おもなるものについてはまた資料としてお配りしてよいと思いますが、一々ここで申し上げましょうか、どういたしましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/8
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009・中崎敏
○中崎委員 たとえば今クローズ・アップされている只見川水系のものと、それからこれとウエートが同程度であるかどうかわかりませんが、庄川水系、この程度について一つ数字を示して御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/9
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010・川上爲治
○川上政府委員 たとえば田子倉につきましては、キロワット・アワーで申し上げますと、下流増が一億八千七十万キロワット・アワー、それから庄川系の御母衣につきましては二億八千二百九十万キロワット・アワーというような下流増が出ることになっております。現在の設計を上の方でいたしますとそういう下流増が出ることに一応なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/10
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011・中崎敏
○中崎委員 それではもう少しつっ込んでお尋ねいたしますが、たとえば田子倉、御母衣、ここにおいて発生すると見込まれる下流増がそれぞれ一億八千万キロ、二億八千万キロということになっておるようでありますが、これから下流において発電する業者が今度受けると思われる利益、これをかりに金額に直して、たとえばこれについてはさらに受け入れ態勢のためにある程度の必要な施設等の行われるものもあり得ると思うのですが、そういうものも一応計算の中に入れて、その概算がざっとどのくらいになる見通しであるか、これをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/11
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012・川上爲治
○川上政府委員 これは計算のやり方によりまして非常に大きくもとれますが、たとえば田子倉について申し上げますと、送電端でそれを計算することにいたしますと、おそらく年に十億以上の利益が上ってくるのではないかと考えます。しかし発電端でとりますと、それよりもある程度少くなると思うのです。六億か七億というようなことになるのではないかというふうに考えております。もちろんこれは下の方の発電所のいろいろな施設等も差し引いて計算してそういうような数字が出るのではないかというふうに考えております。これはその地域、その水系、その発電所、それによっていろいろ違いますので私どもの方といたしましては、それでは全国的に幾ら出るというようなものはまだ作っておりませんけれども、今たとえて申し上げますれば、その程度のものが年額として増加利益となって現われてくるのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/12
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013・中崎敏
○中崎委員 将来この法律業が法律となって、業者間における具体的な話し合いとなっていくと思うのですが、その際における一つの基準となるものは、これは私の考えですが、送電端よりも発電端によって負担金を決定する一つの要素といいますか、一応基準にすべきだと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/13
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014・川上爲治
○川上政府委員 その基準につきましては、私どもの方でもかつていろいろ検討したことがございますけれども、今先生がおっしゃいましたように、送電端でとりますといろいろ計算もむずかしくなって参りますし、そういう関係がありますので、ある程度きちんとして出るものはむしろ発電端でとった方がよくはないかというふうにも考えられますし、一応私の方としてかつて研究した過程におきましては発電端を基準としてとった方がよくはないかというふうに考えていたのでございます。それで、この法律によりましては別にそういうようなこともありませんし、基準というようなものも私の方では別に作っておりませんので、今もしお前の方でどういう基準でやった方がいいかというようなお話であれば、私はやはり今先生のおっしゃったように発電端でとった方がよくはないかというような気持を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/14
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015・中崎敏
○中崎委員 そうしますと将来関係者間において協議をすべき一つの基準といいますか、その際における話し合いの一つの土台となるものは、一応発電端によるところの下流増の金額を最高限度として、その範囲において諸般の事情などを考慮して、これを一ぺんにということでなしに、考え方としては負担金というものはまず総額をきめられて、これを何年後に払うとか、あるいはどういうようにするかというようなことにもなると思うのでありますが、その総額というものは毎年生まれてくるであろう下流増による発電端を最高限度として、その範囲内において話し合いが進められるものと見ていいと思うのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/15
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016・川上爲治
○川上政府委員 先生のおっしゃる通りに考えるわけですが、ただこの法律によりましても、この工事の負担といたしましては、利益の額を限度とするということと、それから工事の費用を限度とするということになっておるわけでございまして、実際問題といたしましては、どういう程度の額をどういう方法で払うかという問題につきましては、すべて協議でやるということになっておりますので、業者の間に一ぺんで全部払うということになればそういうことになりましょうし、あるいは発電端でとるということになれば、それを基準としてやることになりましょうし、その辺はもう少し業者間のいろいろな話し合いをやってみて、私どもの方といたしましては、何が最も妥当な方法であるかということを、必要によりましてアドヴァイスするなり、あるいは行政指導というのはどうかと思うのですが、そういうことをしてやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/16
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017・中崎敏
○中崎委員 下流増によって受益者が負担する金額の決定いかんによっては、必ずしもこれを受けて送電して営業する電力会社のコスト引き上げの理由にならぬのじゃないか。従って電気料の値上げの理由にならぬのじゃないか。言いかえれば、将来受ける利益の範囲内において負担をさせられるのだから、たとい下流増の負担をしても、それが適正な金額である限りにおいては電気料値上げの一つの根拠にはならぬのじゃないかというように考えるのでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/17
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018・川上爲治
○川上政府委員 その点全く同感でありまして、下流増を支払うがゆえにその電気料金を上げるということには、私は全然ならないというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/18
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019・中崎敏
○中崎委員 将来、いずれにしてもそういう利益があるのにかかわらず、現実的にこれを負担する側においては一つの負担であり、苦痛であるに違いはないのであります。従いましてできるだけ少く払いたいという考え方もあるし、同時にまた一ぺんにこの負担をして金を出すということになると、金融の問題等にも関連をすると思うのであります。一体そういう際においては、政府としてこの負担金の限度における金融措置の点について、どういうように考えておるかをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/19
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020・川上爲治
○川上政府委員 これは支払いの方法なんですが、十年間で支払うあるいは十五年間で支払うというようなことにもなりましょうし、あるいはかりに余裕がありますれば、二年くらいで支払うというようなこともあると思います。これは会社の事情によりまして、ゆとりのあるところは、これは一年、二年で支払うこともありましょうし、ゆとりのない場合におきましては、十数年にわたって支払うということもあると思いますので、特別に私どもの方として下流増のために金融の便をはかるという必要はあるいは起らぬのじゃないかというようなふうに考えております。もしこれが非常に大きな額であって、かつまたどうしても特別なめんどうを見ていかなければならぬということであれば、私の方としましては、なるべく考慮したいというふうに考えますけれども、特別に私は今のところそういう事態は起らないだろうという、ふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/20
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021・中崎敏
○中崎委員 この電力料金の問題等もある意味においての関連性があると思いますが、いろいろ政策上の問題については、通産大臣に対する質問を保留して、一応私の下流増の事務的な問題についての質問はこれをもって終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/21
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022・神田博
○神田委員長 八木昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/22
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023・八木昇
○八木(昇)委員 私は下流増の問題を判断するについては、今後の電源開発の進め方の基本方針、並びに電源開発会社の性格、運営の規定を、どうするか。それと電力会社との関係、それから電力会社相互間の諸問題、こういうふうな問題についての明確なる方針というものが打ち出されないと、実を言うと正確なる判断を下し得ない、こういうふうに考えておるものでございます。ところがその問題については、本日大臣の御出席もありませんので一応さておきまして、技術的な点についてお伺いを本日はいたしてみたいと思います。
まず最初の点は、今至急にこういう下流増の法案を提案されたのですが、近々のうちに実際に下流増の利益を伴うような電源開発の実際の地点というものが一体どれだけあるか、そして予想せられておるのはどこどこであって、それらの発電所が実際に完成をして運転を開始するというのはいつであるかということについて、まず大まかに御説明をいただいておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/23
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024・川上爲治
○川上政府委員 大体三十一年度から三十二年度の終りごろまでに完成されまして、そして問題になりそうな地点というのが大体七つございます。たとえば具体的に申し上げますと、群馬県の赤谷川、これは県の発電とそれから東京電力との関係、それから栃木県の男鹿川の川治第一、これが東京電力と関係を持っております。それから東京の多摩川第一の発電所と下流の東京電力と関係がございます。それから大分県におきまして芹川第一発電所、これと九州電力と関係があります。それから福井県におきましては真名川中島発電所と北陸電力と関西電力、これが二つ関係しております。それから兵庫県の揖保川、これは原という発電所と関西電力と関係がございます。それから秋田県の雄物川の鎧畑発電所と東北電力と関係がございます。それからこれは三十三年の初めになるのじゃないかと思うのですが、長野県の天龍川の美和発電所と中部電力とが関係あるというように、近いうちに約七つぐらいのものが具体的に出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/24
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025・八木昇
○八木(昇)委員 大よその点の御説明がありましたが、このダムが完成した後の年間の電力量として、ざっと計算せられて、下流増利益をどの程度と予想されておるか。キロワット・アワーにしてどのくらいであるか。その中において田子倉並びに奥只見の占める割合はどのくらいになるのか。たとえば今の七つの地点で全体として何億キロワット・アワーの下流増利益を予想せられ、その中で田子倉と奥只見は一体何億キロワット・アワーの下流増を予想せられたかという点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/25
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026・川上爲治
○川上政府委員 これは先ほど実はお尋ねがございまして、全国的な総計で幾らということはまだ計算をやっておりませんけれども、実は発電所別には私どもの方としての一応の計算はやっておるわけなのであります。たとえば田子倉につきまして申し上げますと、この上の発電所におきまして約五億五百二十万キロワット・アワー、年間に出るわけなんですが、下の方におきましての下流増が一億八千七十万キロワット・アワーという、これは相当大きな下流増があることになっております。その他御母衣につきましても計画としましては、上の方で五億八千八百万キロワット・アワー出ますのが、これは年間ですが、下の方におきましては二億八千二百九十万キロワット・アワー、これは田子倉よりもずっと大きいのですが、そういう大きな下流増が出るということになっております。先ほどお尋ねの、じゃこういう大きなところが全体の割合として大体どれくらい占めておるかという問題なんですが、これは実は全国的な計算を合計してやっておりませんので、はっきりした数字は申し上げかねますけれども、田子倉とか御母衣、こういうところが相当大きな量にはなっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/26
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027・八木昇
○八木(昇)委員 私の大体予想しますところでは、十年も先になれば別ですけれども、近々数カ年の間においては、大体今の二つの地点が下流増利益の問題を論ずるに足るだけのほとんど九割近くのキロワット・アワーを占めるのじゃないか、こういうふうに予想せられるのです。それで現実にいろいろな地点を開発しましても、現在直ちに下流に発電所のないところにおいてはまた別の問題でしょうから、そういうふうに一応予想するわけです。それならばその一番ウエートが当面圧倒的に高い田子倉はいつ完成するかということですが、私の聞き及んでおりますところでは、昭和三十四年にまず七万五千キロワット、それから昭和三十五年にさらに七万五千キロワット、さらに将来二十二万五千キロワットにまでこれを及ぼしたい、こういうようなことであろうと思うのです。そうしますと、これは私の意見ですが、電力行政についての基本的な方針というものがいまだ確立をしておらない現在、一体なぜこんなに急いで適用対象も少く、当時はいまだ問題にならないという状況なのにこれほど問題の法案を立法化する必要があるのかという、その根本趣旨をよくわれわれの納得のいくようにこの際明快にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/27
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028・川上爲治
○川上政府委員 なるほど田子倉とかあるいは御母衣とか、そういうところが全体の中で非常に大きなウエートを量的には占めておることは、おっしゃる通りでございます。しかし私どもの方としましては、その他の約三十と申し上げましたが、いろいろな地点におきまして、いろいろ下流増の問題についてトラブルなり問題があるわけでございまして、しかも来年あるいは再来年完成するものにつきましては、この計画をするときにもうすでにこういう問題について大体話し合いがついておりませんとなかなか計画もできない。また話がつかないと計画が非常におくれるというような問題がございます。私どもの方としましては、なるほど量的には田子倉とかあるいは御母衣は大きいですけれども、その他のところにおいても非常にトラブルの多いところがあるということと、それから計画を進める際にすでにそういう問題について大体話し合いがついておりませんと、なかなか進まないというような問題もありますので、実は急いでこの問題についてはやはり解決しておいた方がいいというふうに考えまして、この法律を立法したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/28
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029・八木昇
○八木(昇)委員 それならば、私一つどうもふに落ちない点があるのは、電源開発会社が設立せられた当初から下流増利益というようなものについては、利益を受ける者から工事費の一部を支出せしめるというような考えがあったものであるかどうかという点です。いかにも今になりますと、そういう考えは当初からあったかのごとく言われるようでございます。それならば今まで開発をせられた地点について今日までなぜそういうことが問題とせられ、政府として何らかの法的手続をとるようなことがやられなかったのであるか。今になって急に思いついたかのごとくこういうことをやられて、しかも実際起る現象は、現実に起るのは数年先だというのに、今にわかにこれをやられる。しかも本法案の公布以前の部分につきましては適用しない、この法律ができて後の下流増利益の分についてこの法の適用をする、これは立法技術士からそうせざるを得なかったのかもしれませんけれども、そういうことになっておる点についてどうもふに落ちかねるわけです。当初からそういうお考えを持っておられたのか、そうでなくて今突如としてそういう必要が起きてきたのか、起きてきたとすれば今直ちにそうすることについてもう少しく納得のいく説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/29
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030・川上爲治
○川上政府委員 この問題につきましては、電源開発会社ができました直後から問題のありましたことは事実でございます。その時分から下流増返還の問題について、電力業者間にもいろいろ相談をしていたことは事実でございます。ただ、実はその時分に、話がまとまりそうで現実の問題としてはなかなかまとまらないというような問題でございまして、今日まではっきりと、では返還いたしますかというような、そういうことが必ずしもはっきりきまっていないようにも私の方では聞いておるわけでございます。従いまして、また最近におきましては、だんだん電源開発が進みまして、方々に帯電所ができるというような情勢になって参っておりますので、私どもの方としましては、前からこういう法律なりこういう制度ははっきりと作っておきたいと思っておりましたが、この際やはり早急にこれをきめておいた方がよくはないかというふうに考えまして、実はこれを提案したわけでございます。従来からもこの問題はいろいろ云々されておりますし、また必ずしもはっきりとそうきまっていなかった問題でもありますし、それかといって電源開発はどんどん進みますので、この際どうしてもこれははっきりさした方がいいというふうに考えまして出したわけでございます。
なお、この問題については電源開発会社ができる以前、すなわち旧日発時代におきましても、法律によりまして下流返還の規定は実はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/30
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031・八木昇
○八木(昇)委員 さらに追及をする点はあとに残しまして、次にほかの問題をお伺いいたします。
実際にこれから下流増利益を受ける電気事業者から工事費を電源開発会社に納めさせる、こういう場合のその工事費の負担額の算定の仕方についてお伺いをいたします。両当事者間において協議をするということを建前としておられるわけなのではありますけれども、法案の立案当局としては、こういうふうなやり方でもってその算出のやり方はしてもらいたいという考え方は、当然立てておられることと思いますので、その点についてお伺いをいたします。やはり私ども考えまして一番困難に感じます点は、なるほど上流に大きなダムができた、従って従来下流にありました発電所が、非常な豊水期あたりにはオーバ・フローをして水が流れておった、捨てておったというような点が非常に少くなってくる。利益を受けるということはこれはあり得ると思う。あり得ると思いますけれども、下流にある発電所は、新しい発電所もあれば、もう古い発電所もある。近いうちにはその発電所はもう寿命が尽きてやめる寸前にあるというような発電所もある。それで五年後にその発電所がやめたというような場合、今度はさらに新しく下流の発電所の建設をやらなければならぬ、こういうふうなことにもなってくる。それからまた現在のところは全然下流に発電所がないのであるが、電力会社が将来下流に発電所を新設するという場合がある。いろいろとケースが違うわけでございます。それぞれ違ったケースに対しては、どういうふうに対処すべきであるという考え方をお持ちであるかをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/31
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032・川上爲治
○川上政府委員 この基準につきましては、私の方としましても一応いろいろ検討してあるわけでございますが、ととえば一案としましては、ダムの工事費をCといたしまして、それから上流のダムの直結発電所の利益をAとし、それから下流の発電所の増加利益をBといたしますと、上流の直結しておる発電所の負担分は、CかけるAプラスB分のA、それから下流の負担分につきましては、CかけるAプラスB分のBというようなふうに一応方程式としては考えておるわけでございます。このA、Bの定義につきましても、Aにつきましては、上流発電所の常時換算出力及び換算電力量にそれぞれの単価を乗じたものから経費を差し引いた額、それからBにつきましては、下流発電所の常時換算出力及び換算電力量の増加分にそれぞれの単価を乗じたものから、それらの増加を乗ずるために必要な経費を差し引いたもの、こういうような点を考えまして、一応の方程式というようなものは考えておるわけでございます。なお、たとえば米国におきましてやっておるような例もとりましたり、あるいは従来からいろいろ業者間におきまして相談をいたしましてやっておるような例もとりまして、いろいろ検討いたしまして、一応今申し上げましたような、これはきわめてうつなことを申し上げましたが、そういう方程式というものを作って、それを基準にしてやってもらうというような気持を持っておるわけなんですが、ただ、ところによりまして今先生からおっしゃいましたように、いろいろなケースがあるわけでございます。そういうケースにつきましては、あるいはこれよりももっと低く増加利益を算定すべきだというような問題も出てきましょうし、あるいはもっと大きくやるべきだというような問題も出て参りますので、私どもの方としましては、あまりしゃくし定木の基準を提出して、それによってとにかくやれというようなことは、これは行政指導としてはあまりやりたくないのでありまして、むしろ業者間におきまして過去の例とかあるいは今申し上げました私どもの方の一案とか、そういうようなものをいろいろ参考にして相談して、すなわち協議してきめていただこうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/32
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033・八木昇
○八木(昇)委員 私のお伺いしたかった点は、まだ建設されて間もない新しい下流の発電所は、下流増の利益を受ける期間が将来にわたってずっと長いわけですね。ところがもう何十年も前に建設された下流の発電所は、今後利益を受ける期間は廃止になることがあり得ますからわずかですね。ですからそういうものについて差を設けるといいますか、そういう考え方があるかどうかという点と、設けるとすればその差の設け方について、先ほど方程式みたようなものがありましたが、差の設け方についても方程式みたようなものを何か考えておられるかという点、これが一つです。
それからもう一つ、現在下流に発電所がないが、電力会社あたりが下流に新しく発電所をこさえようという場合も、上流に何年か前にできておったダムの工事費の一部として、やはり追加してあとから金を納めさせる考え方か、この点を聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/33
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034・川上爲治
○川上政府委員 最初の問題につきましては、これは先生のおっしゃる通り、私はもうそうあと幾ばくも余命がないというようなものについて、非常に大きな下流増を負担させるというようなことはどうかと思いますので、やはりそういうものにつきましては、耐用命数あるいは最近の実際の状況というようなことを考えて、特別な措置をすべきであるというふうに考えております。ただそれについてどういう方程式でいくのだという点につきましては、実は私の方ではこまかくはそういう方程式を作っておりません。ただ今後、どの程度下の古い発電所が長持ちするのであろうかという、そういう耐用命数というのを十分検討いたしましてやりたいというふうに考えています。それからさらに下の方へ新しい発電所ができた場合にどうするかという問題につきましては、私はやはりその際追加して処理すべき問題ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/34
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035・八木昇
○八木(昇)委員 その点は私どうも少しく納得がいきかねるわけですが、上流に電源開発会社が、たとえば昭和三十五年に一つの大きなダムをこしらえた。そして電力会社が、その後昭和四十年ごろ下流にみずからの発電所をこしらえたという場合、その場合にももう五年も六年も前に完成してしまった上流の電源開発会社のダムの工事費と称して金をとるということについて、どうも理解できがたいのです。しかも上流のダムができてから、またさらに相当長期間を置いて二十年も後に下流に発電所を新設したという場合は、ことさらその感が深いわけです。それは一体どういう根拠からそういうお考えを持っておられるか。またそういうことをするということは、どうも新規水力の建設ということについて、一つの意欲をそぐ結果にもなりはしないか、大体現在そういうダムの下流にいまだ発電所がないという地点は、相当に技術的には発電所新設がむずかしい地点なんだろうと思うのです。そういう点についてもう一度御見解を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/35
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036・川上爲治
○川上政府委員 大体上の方で大きなダムを作りますときにおきまして、下の方におきましても大体どの地点に発電所が将来新しくできるであろうということは、一応計算に入れまして考えているわけでございまして、私どもの方としましては、たとい下の方で将来できましても、上の方で今作るものについてそういうのを予想して作っていくというような考えを持っておりますので、私はやはり将来、下の方でそういうものができましても、計算に入れてやるべきではないだろうかというふうに考えております。ということは、どの河川におきましても大体どういう地点におきまして、将来どの程度の発電所ができるであろうということは、一応大体の調べをしておりますので、もちろんこれは十分調べのついていないところもたくさんあるわけでございますけれども、少くとも現在予想しておりますような地点につきましては、そういうことも計算に入れまして検討をやっておりますので、私はたとい将来におきまして、下の方で新しい発電所ができましても、私はやはり計算に入れてやるべきではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/36
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037・八木昇
○八木(昇)委員 そういう点はおそらく両当事者間に将来いろいろ問題になって、そうにわかに結論は出ない問題だと思いますが、その点は疑点として残しておきます。
もう一つお伺いしたい点は、工事費の一部を下流の発電所を持っておる電気事業者からとるというのですが、元来電源開発会社というものをこしらえて、国家的な大きな投資をして、そして電源開発を利害採算はある程度度外視してでもやらなければならぬという考え方に政府がなったのは、電源開発というのは一時に巨大な資本を必要とするというところからであろう、こう私は思うのです。そうすれば、すでに下流にあるところの発電所の所有者である電気事業者に、上流ダムの工事費の一部を負担させるといいましても、一ぺんに金を納めるなんということはとうてい不可能なことなのです。たとえば田子倉なら田子倉のダムが三百六十億——三百億円なら三百億円の建設資金を要する、それによって下流の電力会社が下流増の利益を、上のダムが発生する、五億キロワット・アワーのうち二億キロワット・アワー下流が利益を受けるというわけなので相当部分工事費の一部を分担させるということで、下流の発電所には三百億のダムそのものの建設資金の中の、たとえば一割なら一割、三十億を分担させる。こういう計算がかりにでき上ったといたしましても、下流の電気事業者が一時に三十億なんという金を納め得る道理がない。その辺についてはどういう考えを持っておられるか御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/37
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038・川上爲治
○川上政府委員 これはやはり法律によりまして当事者間の協議ということになっておりますし、もし私どもの方に話がありまして、役所の方で何とか行政指導なり何なりで仲へ入ってくれというような場合におきましては、私の方としましては、そういう多額の金を一ぺんに払わせるというようなことはなるべく避けて、下流増が毎年大体どれくらい出てくるということになりますれば、出てきた年から、あるいはその翌年からなしくずしに、十年払いあるいは十五年払いということで、だんだん返していくように持っていった方がよくはないかと考えておりますが、これは結局、具体的に上の方の発電所と下の方の発電所との間で、額をどの程度にきめ、支払いの方法はどの程度が自分の方としては一番妥当であるということを話し合い、それで話がつかぬときに私の方が仲へ入りまして、そういうような行政指導をやりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/38
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039・八木昇
○八木(昇)委員 そこはいろいろなケースがあって一律にはいかぬでしょうが何カ年払いぐらいのところを適当と考えておられるか。それはなぜかといいますと、工事費の一部負担という形で取るということになりますと、そこら辺が非常に問題になるわけです。むしろそういうふうに年々どれだけのキロワット・アワーの利益を受けたかということに基いて、年々電発側の卸売料金、これによって操作するということであれば、むしろそれは技術的に割合に簡単だ。ところが工事費の一部を負担させるということでもって行きますから、その年限をどのくらいにするかということが非常な大論争になる。そこでそれは一体お考え方としてはどのくらいの考え方を持っておられるか。元来上流ダムそのものの建設資金の元金を取り返すのに一体何年ぐらいを考えているか、これとの見合いがあると思いますので、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/39
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040・川上爲治
○川上政府委員 私は額が非常に大きい場合におきましては、これは先ほども申し上げましたように、一年や二年で一ぺんに返すということは非常に問題でありますので、なるべく長期で返すように持っていった方がよくはないか、しかもその年その年の利益の中で返していくように持っていった方がよくはないかと考えるわけですが、それでは具体的に大体何年ぐらいというふうに考えるかとおっしゃいますと、これは非常にむずかしい問題で、個々のケースによってきめるべき問題と思うのですが、大体十年か十五年ぐらいで処理した方がよくはないだろうかと一応考えております。これは深く検討して、じゃこういう基準でやるんだということではございませんが、大体そういう、ふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/40
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041・八木昇
○八木(昇)委員 その点、これは下流発電所の所有者である電気事業者は、これまたいろいろ資金計画もあって、電力の需給関係のいろいろな計画もあって、自分で必要として、そこに発電所なんかを建設したり必要な経費をそこへつぎ込む、その発電所の施設、容量の大きさも、みずから必要とする大きさにするという場合とはこれは異なるわけですね。むしろ他力的な要素で自分の下流発電所の出力が増大をして発生電力量が増大をして、その分は工事費の分担として納めろというて、やや強圧的に金をよこせよこせ、こうやられるのですから、その辺のところは実際問題として行政指導をせられるときも、相当うまく指導をせられないと私は困ると思います。一応その点は若干希望的意見として申し上げておきたいと思います。
それから今度の法案そのものについて疑義の点をちょっとお伺いしておきたいと思います。今度の法案によりますと第六条の二のところに「政令で定めるものにより著しく利益を受けるとき」こう書いてありますが、著しいというのは法律としてあまりけっこうな文句でないと私は思う。著しい利益とは一体どういうことか、著しい利益の限界についてのお考えを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/41
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042・川上爲治
○川上政府委員 一がいに限界点をどの程度ということは、先ほども申し上げましたように個々のケースによりまして非常に違いますので、一割なら一割あるいは二割なら二割ということは私の方としても実はきめておりません。ただ社会通念的に見まして、非常にその利益が大きいじゃないかというようなものにつきましては、政令の定めるところによりまして指定をする、そういうものについては行政的にやるというふうに考えておりまして、それ以下のものにつきましてもある程度の利益がありましてどうしても上の方との話し合いで何とか下の方の利益をある程度返してもらいたいというようなものにつきましては、私どもの方としましてはなるべく行政指導でそういう措置がとれるようにしたいと考えております。著しいというのを、限界として一割である二割であるということは、場合々々によりまして違うケースが非常に多くありますので、私は何とも言えないんじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/42
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043・八木昇
○八木(昇)委員 それだけは私はどうも納得がいきませんので、もう少しく明快な表現の仕方に法律の条文はしておいていただきたいと思うのです。それで著しいと一口に申しましても、上流のダムの大きさによって——大きなダムによって下流が利益を受ける場合、上流ダムの発生電力量の総量に対する利益を受ける割合は、少くともダムそのものが大きい場合には電力量としては大きい、こういうことになります。今度はダムが小さい場合はその逆が言えることになるわけで、下流にかかっておる発電所の数によりましょうし、従っていろいろな問題を生むと思います。ここいら辺はどうも法律の条文として明快を欠く、私は実はこう思います。
そこで「政令で定めるものにより著しく利益を受けるときは、」と書いてありますから政令で定められるようであります。そこの政令で定める場合、ここは著しい利益を受けておる、これは著しい利益を受けていないんだから除外する、こういうような認定をする認定者は一体だれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/43
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044・川上爲治
○川上政府委員 今の問題につきましては、たとえば道路法におきましてもあるいは都市計画法におきましても、やはり著しいという文句が入っておるわけなんです。これは先ほど申し上げましたように、通常の利益を非常に越しまして相当利益がある場合、こういうふうに考えるべきですが、その意味で道路法も都市計画法も運用しているのです。だれが政令について認定するかという問題でありますけれども、これはやはり政令で——政令を作りますのは通産大臣でありまして、通産省につきまして大臣の責任において政令で定めることに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/44
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045・八木昇
○八木(昇)委員 それはわかっております。それを聞いておるのじゃないので、実際の認定者、実質的の認定者、こういうことを聞いておる。公益事業局長あたりが勝手に御判断になるのか、何か第三者的な機関というか、そういうような方策を講ぜられるのかどうかという点を聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/45
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046・川上爲治
○川上政府委員 今特別に法令によりまして何か特別の機関を設けるということは実は考えておりませんが、これをやります場合におきましては業者間の意見も十分聞きまして、あるいは電源開発でありますとか、電気事業者でありますとか、あるいは県営電気事業者でありますとか、あるいは学識経験者もたくさんありますので、そういう人たちの意見を十分聞きまして、そうしてきめたいというふうに考えております。ただそのときの構成機関につきまして特別なあるいは政令なり省令というようなものを作ってやるかということは今のところきめておりませんが、私どもの方としては少くとも臨時にそういうような機関を作りまして、そこでいろいろ相談をいたしまして、そうしてその意見を十分尊重して通産大臣がきめるということにしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/46
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047・八木昇
○八木(昇)委員 考えようによれば小さな問題でありますが、また考えようによれば大きな問題になります。これは各局長が合同して、それで局長会議というか、そういうものにも諮られるわけでしょうか。こういうようなことに関しても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/47
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048・川上爲治
○川上政府委員 質問の御趣意がよくわかりませんが、各局長が集まってという意味は、たとえば建設省の関係局長であるとか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/48
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049・八木昇
○八木(昇)委員 通産省内です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/49
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050・川上爲治
○川上政府委員 もちろんこれは最後は政令をきめますときは省議というのがありますので、その省議で十分諮りますし、その前に課長会議でも相談をし、先ほど申しましたような民間の臨時機関でも設けまして、いろいろ検討をした上で措置したいというふうに考えております。これは私どもとしましては慎重に決定いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/50
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051・八木昇
○八木(昇)委員 一応それは承わりましたが、単に電気事業者相互間の問題だけでなく、関連するところはあらゆる産業にも及びますし、その地点の周囲のいろいろの点に影響を及ぼしますので、そういう点は一つ慎重に配慮願いたいと思います。
そこでこの政令で定める場合の定め方ですが、どこどこのダムというふうにダムを指定し、それから下流の発電所、こういうようなものも具体的に指定をするような考え方であるかどうか、そうしてそれは一体ダム建設計画が始まってからどのくらい期間を置いてそういうものをやろうとしておられますか、まず政令で地点を定められてから当事者間の話し合いが始まるのだろうと思いますが、その辺を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/51
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052・川上爲治
○川上政府委員 この政令につきましては地点、たとえば何々川のどこどこの地点のダム、それからそのダムの内容につきましてはどこどこのダムというふうにはっきり私の方ではしたいと思うわけでございます。もちろんこれはこの政令で定めました後に、その当事者同士で話し合いを進めることに相なるわけでございますけれども、その以前におきまして、先ほども申し上げましたように、当事者の意見も十分双方から聞きまして、その上でその地点のダムにつきまましては指定をいたしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/52
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053・八木昇
○八木(昇)委員 これはまた先ほどの問題に少しく逆戻りするわけでありますが、もう一つお伺いいたしておきます。下流増利益を受けるところに上流ダムの工事費を分担させる場合、幾ばくの金を分担させるかという場合に、たとえば十億円なら十億円、それを十五年払い、こういうことになれば、当然将来物価の州変動があってもその通り、たとえば十億の十五分の一ずつを十五年間にわたって納める、こういうことになるのは当然だろう、こう思うのです。ただそうではなくて、五年か十年か前に上流にダムができ上っておった。その十年も前にでき上っておったところの下流に新規水力を作った、こういうふうな場合に、上流ダムの建設費というものは、それができ上ったときの金額といいますか、そういうものに基いて算定をするわけでしょう。その点をお伺いするわけです。と申しますのは、こういう資本主義経済機構下においては、若干の上り下りの波があっても、必ずインフレ経済ですから、必ずそういう変動があります。その点を明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/53
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054・川上爲治
○川上政府委員 これはやはりそういう変動がありましても、そのときダムのでき上ったその工事費によりまして私どもの方では計算してやりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/54
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055・八木昇
○八木(昇)委員 もうだいぶ時間がかかりましたので、あと一、二点だけお伺いしておきます。
これは少しく根本問題にもなってくるのですが、局長のお考えとしては、現在の電源開発はいろいろな要素からなかなかうまく進まない。電源開発を阻害する要素はいろいろあると思うのですが、現在の日本において電源開発を阻害しておる最大の要素は一体何か。それからそれぞれの要素のウエートといいますか、こういうものについてお伺いいたします。と申しますのは、この法案提出の根拠の一つとして、こういう下流増利益金あたりを相当取らぬと電源開発を将来どんどん進めていくについて一つの阻害をもたらすという趣旨の御説明があったのであります。その点をお伺いいたします。一体補償関係か、土地の収用関係か、水利権の関係か、それとも下流増の問題はそれよりももっと大きな問題であるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/55
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056・川上爲治
○川上政府委員 この電源開発は、それを実行するについていろいろな障害がありまして、なかなかうまくいかない点がある。それはどういう点かというようなお話ですけれども、私はこの下流増につきましても、やはりいつまでもこういう問題がはっきりしないできまらないというふうなことになりますと、結局上の方でどういう規模のどういうダムを作るかというような問題がはっきりしませんし、そのために非常におくれてくるという問題がありますし、またいろいろその間におきましてトラブルがありますと、実行するになかなかひまを要するという問題がありますので、下流増の問題についてはこういう法律をお願い申し上げたのですが、私はこの下流増が電源開発について最も大きな障害になっておるということはあえて申し上げませんが、その中の一つであるということは申し上げてもよいと思うのですが、それよりももっと大きいものがこれ以外にもあるのじゃないかと思います。たとえば今お話のありました水利権の問題とか補償の問題とか、あるいは金の問題などというものは、私は電源開発について相当大きな障害になっておるというように考えますので、これは先般大臣からもお話がありましたように、何とかこの補償について一定の基準を設けて、それによって補償がうまく解決するように、また水利権につきましても、いろいろ手続その他の問題で長引かないように処理するとか、いろいろなそういう問題について何とか早急に解決したいということで、法律もわれわれ内部におきましては一案を作りまして、関係各省との間でいろいろと相談したのですが、どうしても今度の国会には間に合わないというようなことになりまして、一応土地収用法の一部改正ということも電源開発促進に若干役立つと思うのですが、それだけをやることにいたしまして、そういう問題につきましては今後にいたしまして、なるべく早くそういう問題を解決したいというように考えておるわけでございます。従って下流増の問題も、電源開発促進についての一部の問題ではあるけれども、ほかにもいろいろ問題があって、そういう問題も私どもとしても早急に解決したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/56
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057・八木昇
○八木(昇)委員 これは実は参考人がおいでになったときに、特に民法上の問題とかその他について論議をされたときに欠席をしておりましたので、あるいは私聞き漏らしておって、こういう点についてはすでに議論が尽きておるのかもしれませんが、最後に一点だけお伺いしておきます。
というのは、新聞その他で報ぜられておるところによりますと、最初この法案は、当事者間に話し合いがつかない場合の処置のやり方について条文が明記してあった。当然法律としては通常そうあるべきである。ところがそれが削られてしまって、法案としてここに出て参りましたために、ある意味では非常に奇妙な格好にもなっておるわけです。従ってどうしても両当事者間に話し合いがつかず、紛争が続くという場合に、これに対する裁定もしくは訴願の規定がないわけですね。そこである法律専門家に私聞いてみました。こういうような法律でどうしても話し合いがつかない場合、たとえば電源開発会社が電力会社を相手取って訴訟を起した場合に金を取れるようになるだろうかと聞いたところが、いやそれはやりましてもこの法律の条文では取れぬでしょうなあという話でした。それではどうも、この法律の趣旨に賛成するといなとにかかわらず、法律そのものとしての価値というものについて非常な疑いを私どもは持ちます。そこでどうしても話し合いがつかない、二年も三年も両当事者間で突っぱり合ってどうにもならないという場合には、一体どうするおつもりであるか。このままこれは仕方がない、メイファーズということなのか、何かその場合に効果的な打つ手があるのであるか、その辺のところを一つ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/57
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058・川上爲治
○川上政府委員 まことに先生のおっしゃる通りでありまして、法律的には、やはり話がなかなかつかない場合におきましてはその金が取れないということに相なるわけですが、これは私の方といたしましては、この際は一極の原則といいますか、憲法的な規定にしておきまして、そうして工事費の一部を負担しろ、その次は協議をそれについてはしなさいということにしまして、なるべく民主的に話し合いがつくように一つしていきたい、そしてなかなか話がつかない場合におきましては、行政的といいますか、私どもが中に入りまして一つ話をつけるように御協力いたしたいというふうに考えております。将来、どうしても話がつかなくてどうにもならないというような場合におきましては、私どもの方といたしましてはまたお願いをしまして、裁定の規定でも作ってもらうよりほかない。そのときはどうぞよろしくお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/58
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059・神田博
○神田委員長 次に繊維工業設備臨時措置法案を議題として審査を進めます。
質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿左美廣治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/59
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060・阿左美廣治
○阿左美委員 この繊維工業設備臨時措置法案に対しましては、業界におきましても非常に賛成しておりますし、私どもも適切な法案と考えまして賛成をいたしておるのであります。しかしながらこの法案の裏づけを見ますといかにも貧弱でございまして、この予算の範囲内において果して業界が救われるかどうかということにきわめて疑問を持つものでございます。御承知の通り繊維工業者は、戦争中、国の要請によりまして全部設備を供出したのでございます。戦後、現在の設備は一切その自己資金においてその設備をいたしたのでございます。そして戦前に供出した設備については、国から特殊預金をもらいまして、その特殊預金は五万円で打ち切られてあるのでございます。業者といたしますと、戦前の設備というものはほとんど国の要請のもとに全部供出して、その資金はただになった、こういう状態であるのでございまして、その後の設備に対しましてはどこからも融資を受ける道がありませんで、これは結局運転資金の名のもとに現在の設備をいたしたのでございます。その資金が現在こだわりまして、現在の業界というものは資金的に非常に苦しんでおるというのが事実でございます。そういう点から考えてみて、現在の設備が過剰しておるということは、一応戦後業界が無計画に設備をしたというようなそしりもありますけれども、私は業界が積極的にその設備をしてすべての繊維を増産したということが、今日国民の衣料も何不足もなく、むしろ海外まで発展いたしまして、御承知の通りアメリカにおきましては日本製品を駆逐しなければならぬというような状態にまで発展したということは、これは業界が非常に努力した結果においてこういうことができましたので、業界人が今日まで努めてきたということは国家の経済にも大いに貢献しておることじゃないか、こういうように考えます。そこで、現在設備が過剰したとは申しますけれども、現在の設備はもはや老朽化いたしまして、その設備は入れかえなければならぬという状態になっておるのであります。むしろ現在の設備は、老朽化したのみならず、非常に幼稚な設備でありまして、現在は非常に優秀なる設備が必要になって参ったのであります。製品にいたしましても、今までは量において生産されたのでございますが、今後は質において生産しなければなりませんので、大いに技術を要するのでございます。やはりその設備といたしましても、非常に内容のあるところの高級な設備を必要とするような状態にあるのでありまして、この法案に対しまして、一部織機メーカー、紡績メーカーの反対等も聞いておりますが、これは本法案を理解しないものでありまして、決してこれはそういうものではございません。むしろメーカーはこの法案を歓迎すべきじゃないか、そして織機の入れかえをする、現在の織機ではとうてい業界は立っていかないのであります。そういうような点から考えてみますと、私はどうしても買い上げについての予算が貧弱である、こういうことをいわざるを得ないのでございますが、これは一応予算に計上されておりますから、本年度どうこうということもいかがかと思いますが、業界の負担において現在の過剰したる設備を整備するということはなかなか困難でございます。こういうような状態におきまして今後この法案が通過いたしますれば、業界において整備しなければならぬと思いますが、そういう際に資金面で、国のあっせんまたは融資の道を講じられるようなことができるかいなかをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/60
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061・小室恒夫
○小室政府委員 ただいまの阿左美委員の御質問一々まことにごもっともでございまして、終戦後非常な困難を押して、今日まで織布部門も復興して参ったのでありますが、一面その内容において非常に機械が老朽化しておる、あるいは近代的でない、能率的でないというような点がございまして、従来中小企業に対する補助金も、こういう絹、人絹織機などにある程度重点を置いてやって参ったのであります。今回の法律が通りますと、こういう織機の過剰なものを処理する、またこの内容をできるだけ能率化していくということが、これが最大の眼目でございまして、そういう際に一億二千万円程度の補助金ではなかなか十分な効果を上げ得ないということは、私どもも承知しておるのでありますが、何分財政上の理由もありますし、本年度はそういうことに相なったのであります。この補助金と並行して、設備金等でできるだけ効果の上るように側面からこれを運用して参りたいと考えております。同時にまた、必要な範囲で金融の措置も講じなければならぬということは考えております。本法律案が通りまして、施行になりますと、実際の施行後の本年度の錘数がどのくらいになりますか、その辺もよくにらみまして、また補助金額や処理さるべき織機の台数、それから設備等その他いろいろな点をにらみ合せまして、必要な金融等であっせんしなければならぬという点があればできるだけ善処して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/61
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062・阿左美廣治
○阿左美委員 大体において、絹、人絹と綿との話し合いは業界におきまして、一億二千万円のうち、七千万円を綿に、また五千万円を絹、人絹にということに聞いておりますが、五千万円の金で絹、人絹の織機を買い上げまして、これが業界のためになるということは、全く考えられないのであります。
〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
大体において本年度の絹、人絹の織機の買い上げ計画が一応五千台くらいということをいっておるのでありますが、五万台を過剰しておる織機におきまして、五千台を買い上げたということにつきましては、実際その過剰したところの設備において一割にも当らぬというような織機を買い上げて、効果があるかないかというようなことは、きわめて疑問でございます。でき得れば、本年度においては実際五万台買い上げるというような案を立てる必要があるのではないかというふうに考えます。ことに繊維製品というようなものは、国民の必要なる生活衣料品でございますので、長い期間、五年とか七年ということになりますれば、これは業態が変って参るのであります。その企業整備の計画というものは、そう長年かかってこれをやるということはどうかと思うのであります。とりあえず現在過剰しておるのでありますから、そういう場合に、やはりこれは即刻にそういうような過剰した設備を整備するということが必要だろうと思うのであります。私はどういたしましても本年度内にもう少し多数の織機の整備ができ得るような方法を講ずる必要があるのではないかというふうに考えますときに、どうも現在の予算面ではどうにもならぬ。そこで一つ御考慮をいただきまして、何とか整備において融資の道を開いていただきたいということを私は強く要望するわけであります。これは局長にお願いをいたしましてもなかなか無理かもしれぬと思うのでありますが、やはりこの法案の審議に当りましていろいろまた大臣にもお願いをいたしまして、こういうような法案を通過させる上におきましては、どうしても予算面におきまして何とか御心配をいただかなかったならば、せっかくの法案もやはり効果がないじゃないか、こういうふうに考えますので、本日は時間も非常に過ぎておりますから、後日大臣の出席のときにいろいろまたお願いをすることにいたしまして、本日はこれをもって私の質問は打ち切ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/62
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063・小平久雄
○小平(久)委員長代理 本日はこの程度にとどめます。
次会は明二十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X04019560426/63
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