1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二十三日(水曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 笹本 一雄君
理事 中崎 敏君 理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 大倉 三郎君
椎名悦三郎君 島村 一郎君
鈴木周次郎君 野田 武夫君
前田 正男君 森山 欽司君
山本 勝市君 加藤 清二君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
田中 利勝君 帆足 計君
松尾トシ子君
出席政府委員
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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本日の会議に付した案件
機械工業振興臨時措置法案(内閣提出第九八
号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/0
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
去る四月二十日参議院より送付され、本委員会に付託された機械工業振興臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。
本案につきましては、すでに予備審査の際にその趣旨の説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。田中武夫君。
〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/1
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002・田中武夫
○田中(武)委員 ただいま議題になりました機械工業振興臨時措置法案につきまして、若干の御質問をいたしたいと思います。
まず最初に、この法案が出る前に、当局としては機械工業事業団という考え方を持っておられて、最初の本年度の予算として三十億円でしたか、そのための費用として予算に計上して要求せられたと聞いております。ところが本年度の予算折衝の際にこの予算が削られたので、今提案になっておるような機械工業振興臨時措置法案というように変った、こういうように考えられるのですが、この予算折衝におけるいきさつ、及び機械事業団という考え方からこの法案に変ったということで、当初当局として考えておられた考え方なり、あるいは計画なり等について相違ができているかどうか、もし最初の予定と今回のこの法案との間に考え方の相違があるとするならば、どういう点に現われておるものか、そんなことについてまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/2
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003・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この法案の成立いたします前に、実はお話の機械工業振興事業団という構想で予算折衝をいたしました。この考え方は、やはりこの法案に盛られている考え方と根底は同じでございますが、機械工業の基盤を強化するために、立ちおくれております基礎部門、あるいは部品部門を大いに伸ばそう、かようなわけで、事業団という構想で、それが貸与べースで民間に機械設備の更新、あるいは近代化を大いにやらせよう、こういう考え方で出発したわけでございます。ところがそれは予算の折衝の最終段階におきまして、やはりかような事業団というふうな新しい特別の団を作るよりは、金融ベースでいった方がいいんじゃないかという意見になりましたので、資金面といたしましては開銀の特別融資というふうな形で、金融ベースで近代化を促進していく、かような構想に変ったわけでございます。また金額は、実は当初予算としましては、事業団構想の場合は三十億ないし三十五億ということでございましたが、最後の金融ベースの話し合いのときに、開銀の特別融資として三十一年度は十五億ということできまったわけでございます。しかしながらこの特別の融資は、事業団の構想にありました点をある程度実現いたしておりまして、金利も六分五厘という非常に低利である。それから償還期限も、場合によっては十年程度の長期のものも認める。それから担保の問題にいたしましても、持ち込み担保と申しますか、機械それ自体を担保に取って、それ以外に開銀が担保を要求する場合は、当該の企業が民間からの金融に差しつかえない程度に要求するというふうな非常に緩和的な措置をとられております。また機械それ自体につきまして幾割金融するかという問題も、企業の実態によって違いますが、場合によっては使用設備の全額の貸付もできる、かような、事業団の構想にありましたような、ある程度の構想を取り入れまして、近代化を大いに促進しよう、かような考え方になっております。またこの法案に盛られておりますカルテルの結成の問題その他の問題につきましては、従来から考えておりましたものをそのまま取り入れたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/3
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004・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの御答弁によりますと、最初の事業団の構想と今回のこの法案との間において、いわゆる考え方というか、構想においてはあまり変りはない、こういうことであります。しかしまず金額の面をとらえても、最初は三十億ないし三十五億を考えておった。今度は金融ベースによって開発銀行の方から十五億、六分五厘、こういうことになった。そういたしますと、金額の面で半額になっている。それなら最初考えられておったよりか計画においても初年度は半分の構想になるんじゃないか、こう考えられます。また最初の事業団であれば、その場合は貸付だったんじゃなくて、補助金だったんじゃないですか。いわゆる借る方からくるところの金利の点とか、償還の点その他において若干違ってきているんじゃないか、このように思いますが、そのよろな点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/4
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005・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 お尋ねの金額の点でございますが、実は事業団構想の場合に、大体三十億当初要求いたしましたが、その事業団で折衝しております段階におきまして、中途でやはり事業団は一年間というふうなベースでなしに、この法案が通り発足するには若干ひまがかかるので、初年度としては少し少くてもいいんじゃないかという考え方で、二十億程度に最後の折衝では減額したわけでございます。それが金融ベースに変りましたときに十五億に変りました。それから事業団の構想は、当該企業に近代化のための機械を貸与する形でやるわけでありまして、貸与でございますから貸与料を取るわけでございますが、そのべースとしては金利にいたしまして年六分程度というふうなことを考え、また償還期も十年程度だというふうに考えておりまして、若干それと違っておりますが、大体その趣旨が到達されておる、かように見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/5
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006・田中武夫
○田中(武)委員 この法案の名称を見ましても機械工業振興臨時措置法となっており、第一条の目的を見ましても合理化を促進する、そうして国民経済の健全な発展に寄与するんだ、こういうことでありますから、この法案の趣旨なり目的等についてはわれわれ何ら異議はないわけなんです。けっこうだと思う。しかしながらいつも申し上げることですが、中小企業の問題に当りましては前の中小企業振興法あるいは百貨店法、下請にいたしましても、同じ言葉を使いながら羊頭狗肉の感があるように考えられる。これもなるほどいいことを掲げておりますが、内容を検討した場合に、今申しておりますように予算折衝において最初の考え方より、後退と言うのはどうかと思いますが、後退せざるを得なかったというような点を考えた場合、やはり当局なり政府が、こういう問題についてどれほど本腰を入れて今後もやっていくかということについて、若干危惧の念が起るわけなんです。そこできょうは大臣が見えていないので次官にお伺いするのですが、こういう問題、ことに中小企業等の関係の問題につきまして、政府はもっと力を入れる必要があると思う。なるほど政府が発表しているところはいいのです。いいのですが、内容がもう一つだという点において、ことにこの場合は最初に当ってちょっとけつまずいたといいますか、構想が若干変らざるを得なくなり、計画も変えなくちゃならない、こういうことになったについては遺憾だと思うのです。今後こういうことについて政府はどう考えておるのか、通産省を代表して次官からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/6
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007・川野芳滿
○川野政府委員 ただいまの御説のように、予算折衝の経過におきまして、初めは政府が予算をとりまして機械をこっちで貸与する、こういう計画だったのでありますが、先ほども御説明申し上げましたように借入金でやる、しかもその金額は十五億、こういうことに計画が縮小いたしましたことはまことに遺憾に思っております。しかし来年度の予算におきましては、さらに思い切った予算を請求いたしまして、計画が縮小いたしました点につきましては、来年度においてさらにカバーいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/7
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008・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの次官の御答弁によると、来年度はより一そう資金の確保に努めてやりたい、こういうことなんですが、しかし最初の事業団の考え方とこの法案とでは根本的に非常な差異がある。この場合は金を貸してやり、経営者の責任において更新していくということになるので、政府が機械を買い取っておいて貸してやろうという行き方とは相当考え方が変ると思うのです。従って来年度から本年度より以上の予算を立てたとしても、これはあくまでも金融ベースによる予算であって、財政投融資の点からくると思うのです。そうするとあくまでも企業者といいますか、経営者の責任において更新していく、こういう格好になる。かりに本年度は予算が少くなったとしても、最初の事業団の考え方でいくならば、そういう責任というか危険は政府が負って機械を貸していくということになるので、その根本的な考え方が違ってきておる。最初の考え方は、結果的に見た場合にはなるほど重工業局長が言われたように同じ結果になるかもしれませんが、事業団、いわゆる政府が責任を持ってやるという考え方からいくと、経営主が責任を持ってやることになれば、まじめにやる企業もあるがあるいは借りた金を他の方へ融通するということも考えられ、所期の目的の達成という点からいくならば大きな違いが出てくると思う。来年度はもっと本腰を入れたいという次官の答弁でありますが、これはこの法案に基いていわゆる金融ベースのワクを拡大するように努めるという意味なのか、あるいは考え方をもっと飛躍させて、もとの構想のような事業団に戻るという考え方なのか、その点はどうでありますか。まさか後者じゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/8
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009・川野芳滿
○川野政府委員 この計画は実は先ほど局長から御説明申し上げましたように、事業団をもってやる、こういう計画であったのであります。ところが事業団をむやみに作ることはどうであろうかという意見も出まして、そういう点の調整の結果事業団を作ることをやめまして、融資をもってやる、こういうことに最終目的がなった次第であります。来年におきましてもその最終目的の線に従いまして、融資の線でやる、こういうことにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/9
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010・田中武夫
○田中(武)委員 事業団をあまり多く作ることはどうかと思う、こういうことで変ったようにおっしゃったのですが、事業団についてはいろいろ問題もあるかもしれません。しかしこの目的にうたっておるように、国民経済の健全な発達のために寄与するというものなら幾らあってもいいじゃないのですか。おかしなものなら困るけれども、この目的のためになるものならいいのじゃないでしょうか。しかも通産大臣も通産行政の一般説明のときに言っておったように、本年度は新たな観点に立って中小企業の問題を取り上げるのだ、こう言っておられるわけなのです。そういう観点に立つならば、幾らあってもかまわないと思う。かりに本年度の予算の点においていろいろ問題があったとして、三十億のものが十億円になろうが、十五億円になろうが、目的が変らぬといえば将来への期待は変らないと思う。しかしながら出発に当って、最終的な目的が同じであったとしても、その行き方に大きな変更を生じたということは、われわれうなずけないと同時に、それだけ政府は本腰を入れてこういう問題と取り組む気概があるのかということを疑うわけです。もう一度政府の御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/10
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011・川野芳滿
○川野政府委員 通産省といたしましても、田中委員の御説と同様に、実は事業団でやろう、当初こういう計画をもって進んで参ったのであります。しかし政府部内のいろいろの関係等もございまして、ただいま申しましたように、最終結果は事業団でやらない、融資でやる、こういうことになって参りましたので、政府の意見に従って融資、こういうことにして今回の計画を立てた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/11
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012・田中武夫
○田中(武)委員 通産省関係の政府委員の方はまじめな人が多いと見えまして、今の答弁も実にまじめな御答弁だったと思います。しかしながらその一面通産省の弱さを現わしておるのじゃないかと思う。通産省の考え方はこうであった、われわれはそれを支持いたします。ところが予算折衝において政府の方針云々というなら、どこかの圧力といいますか、どこかの力に通産省が屈したのではないかと思う。その相手というのはおそらく大蔵省あたりではないかと思うのですが、一つ本日は何ですけれども、大蔵大臣、主計局長を呼んでいただいて、こういう問題について政府全体としてほんとうにどう考えておるかということをお伺いいたしたいと考えます。それでその点はあとへ回しまして質問を続けたいと思うのですが、通産省を代表しての次官の御答弁は、最初の考え方は正しいし、現在も正しいと考えておる、こういうように承わってよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/12
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013・川野芳滿
○川野政府委員 実は最終目的を達すれば、初めの計画はいろいろありましても同じであろう。こういうことに相なりますれば通産省としてもけっこうではないか、こういうことから当初の計画を変更いたしましても最終目的を達する見込みがつきましたので、政府内の意見に従ったわけでございまして、通産省の弱腰のために政府の部内の意見に負けた、こういうわけではございませんから、その点御了承していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/13
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014・田中武夫
○田中(武)委員 最終的な目的が達せられるならばかまわぬ、そういうことだと思うのです。しかしながらそういう目的を達する間における具体的な手段といいますか、これが変ってくるわけです。従ってそうであるならば、果して最終的な目的に達し得られるかどうかということをわれわれは懸念するわけです。こういう法律、これだけじゃないですが、こういうような一連した中小企業の法律ですね。こういうことについてはいいことはうたっておるが、どうも詳細に検討すると、われわれとしては最終的な目的を達するためにこれでいいのか、こういうことに対していろいろと考えざるを得ない点が出てくるわけであります。つきましてはこれはまたあらためて大蔵省あるいは大臣が見えておるときに質問をもう一度やるといたしまして、この点につきましては、最初からこういうようなことであるならば、次官は言われておりますが、最終的な目的が達せられるかどうか、こういうことにわれわれは一つの疑念を持ちますので、一つこの法律の運営という点について、十分な強力な施策をお望みいたしまして質問を続けていきたいと思います。
次に機械工業関係は合理化がおくれている、こう一般に言われております。つきましてはなぜこの機械工業関係が他の一般産業に比べて合理化がおくれておるのか、あるいはこれに対して従来まで政府としては、どのような施策あるいは指導をなされたか、こういうような点について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/14
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015・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 機械関係の合理化がおくれているという理由にはいろいろあると思います。まず考えてみますと、機械としては現在の日本の機械工業は、やはり設備が非常に悪いということが言えると思います。戦後長い間非常に商況が不振でありまして、業界の設備更新というものがおくれております。従いまして非常に悪い設備を持っておる、かような関係で相当合理化がおくれているということが一つだと考えます。それから次に何と申しましても国際的に技術がおくれているという点が第二と思います。それから第三番目は専門化がおくれている。何でも多種類のものを一つの工場が作っておる、かような関係で専門化というふうなものが非常におくれておる、かような点が第三点だと思います。それから特にこの法案で取り上げておりますような、これをわれわれは基礎部門と呼んでおります、たとえば工作機械、工具とか、あるいは部品部門と呼んでおりますネジとか歯車、こういうふうなものが諸外国に比べて非常に立ちおくれておる、かような状況であります。これにつきましては機械工業として従来どういうふうな対策をとってきたかと申しますと、われわれとしましては輸出対策あるいは国産化対策、技術対策、かような点でいろいろやってきております。まず輸出につきましては、海外市場を開拓するために特に市場開拓とかいろいろの措置を講じてきております。また国産化の処置といたしましては、試作奨励とかあるいは研究補助とか、さようなことをやってきております。また技術の問題も、国産化に関連しておりますが、試作奨励あるいは研究奨励というようなことをやっております。同時にいろいろ性能解析とかあるいは試験所、研究所における研究を奨励するとか、あるいは中小企業に対しては開放研究所というようなものを設置して、これに対する研究を奨励するとかいろいろやってきておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/15
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016・田中武夫
○田中(武)委員 合理化がおくれておるということについていろいろの御説明を聞いたわけですが、機械工業において、たとえば工作機械とか工具とかいうものをとらえてみても、大は軍艦と言いたいのですが、今の日本では船舶と申し上げますが、船舶から小はミシンの針に至るまで、いいものを作るためにはやはり工作機械なり工具がよくならなければならないと思うのです。そういう観点から他の産業に力を入れられるより先に、そういう基礎的な工作機械とか工具に力を入れるべきじゃなかろうか。また当局としても指導をすべきでなかったかと思うのです、どうなんでしょう。今ちょっと話を伺いましたが、そういうことを取り上げて特に何らか今までやられたかどうか、もう一ぺんお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/16
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017・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 設備の合理化の問題だと思いますが、従来通産省といたしましても、大企業については、開銀等の融資のあっせんによりまして、年によって違いますが、年に十億とか、さような額をあっせんしまして合理化に努めております。また中小企業につきましても、中小企業金融公庫等を通じてこれに努めております。また市中銀行のあっせん等もいたしております。しかし従来の金融諸対策では十分この目的を達することができません。今回はかような新しい法律によります開銀の特別融資というふうな方策をさらに強くする意味で取り上げたわけであります。それからこの一、二年は、実は競輪関係の資金で年々二億あるいは一億程度中小企業に対する設備の合理化というふうな資金の補助をいたしたことがございます。かようなことで、設備の合理化としては十分だとは申し上げられませんが、努力をして参っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/17
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018・田中武夫
○田中(武)委員 機械工業の現況といいますか、これについては若干の資料もいただいたかと思うのですが、戦時中は無理をして機械を使った。そうして戦後は、いろいろの経済状況等でその日その日に追われて、工作機械等を入れかえるということにもあまり余裕を持たなかった。従ってこういう設備が老朽しているといわれておるわけです。現在の日本の機械工業の現況といいますか、これを諸外国と比べてどういうような状態にあるか、若干資料はもらったとは思うのですが、簡単に一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/18
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019・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 日本の工作機械の古さでございますが、これは種類によって違いますが、総じて見ますと、十年以内の新しい機械と申しますか、比較的いい機械は、大体全体の三〇%程度になっております。ところがアメリカあたりの例をとってみますと、十年以内の機械は五、六〇%、かように新しい機械の程度が違っておるわけであります。また日本の工作機械の種類は、たとえば旋盤のような能率的でないものの比率が多いのでございまして、たとえばグラインダーとかブローチ盤とか、さような能率的な機械の割合の占め方が少い、かように申していいと思います。従って設備も古いし能率的な機械も諸外国に比べては劣っている、かように申してよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/19
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020・田中武夫
○田中(武)委員 昨年でしたか開かれた国際見本市、あれをわれわれ見学に行きましてずっと回ったときに特に感じたのですが、他の面においては日本の製品もそう外国に対して落ちているとは思わなかったのですが、工作機械の大きなのはスイスとかドイツあたりにいいのがあるなという感じを受けたわけです。こういうようなことはどうでしょう。日本の技術がそれだけまだおくれておるのでしょうか。それとも他に何らかの原因があってああいうものが日本にできないのか、この点はいかがですか。
〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/20
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021・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいまの点は、やはり何と申しましても日本の機械工業の歴史が浅い。従いまして技術がある程度劣っておるのだと思います。しかし技術関係については、われわれとしても大いに業界の御努力を願い、工作機械は最近三カ年間に試作奨励をやりまして、相当日本の工作機械のレベルも上ってきておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/21
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022・田中武夫
○田中(武)委員 一般的に考えて日本の技術は私はそうおくれておるとは思わぬのです。個人々々にはいい技術を持ち、いい学理を研究しておる人があると思うのです。ところがそれをマスプロの生産過程に入れていくことは、いろいろな経済的な事情等で実現していないのじゃないか、このように考えるわけです。この法案の中にも、技術の点なんか若干うたっておるようにも思うのですが、特に技術がおくれているということについて、技術的な面からこれの育成向上といいますか、このような点についてどのように考えておられるか。また過去においてどのようなことをやられたか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/22
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023・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 日本の技術も相当よくなってきております。しかし先ほど来申し上げております通り、個々にはいいものもございますけれども、総じては国際的に比べて機械工業の歴史が浅うございます。さような関係から劣っている点が多いと思います。過去においていろいろなことをしてきておりますが、先ほど申し上げました技術関係の研究奨励でございますが、昭和二十五年から三十年までに工業化試験補助金と応用研究補助金を国から出しております。金額は約十億円機械工業に出しております。これは大体八百三十五件になっておりますが、さようなわけで全体の工業化研究奨励金あるいは応用研究補助金の中の相当の割合を機械関係が占めております。工作機械につきましては、昭和二十八年から三十年度の三カ年、年々一億円程度、合計で二億八千五百万円になりますが、六十九件工作機械の試作奨励をしておりまして、国産化に努力しております。そのほか先ほど来申し上げました外国から機械を取り入れまして、それと国産との比較をするという、ばらして性能解析をするというふうなものも、この二、三年来とっておりまして、ミシンであるとか、エンジン、双眼鏡、カメラ、さようなもについて従来やってきております。また自動車等についてもやってきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/23
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024・田中武夫
○田中(武)委員 従来までもこの面の研究補助のためにいろいろと施策を立てた、たとえば工作機械に対して十億円程度、八百三十五件あった、こういうお話なんですが、十億円を八百三十五で割ると、平均大した金にもならぬと思うのです。他の面においてはもっと大まかに金も使われている。こういう例は出したくもないのですが、防衛庁関係なんか見ますと、相当勇敢に金を使っておられるようなんですが、そういう金があるなら、もっとこういう面に使われたらどうか。ことに今のお話では、技術面において劣っているのだ、こういう点も指摘せられておりますし、病人の診察をした場合に、原因はわかっているのですから、そこをなおすならばよくなることはわかっている。しかも日本の国民性から考えて、決して世界水準から、そういう技術を習得するという点、あるいは学理をきわめるという点において劣っているとは考えられない。問題は当局の指導とこれをバック・アップするところの予算だと思うのです。つまらぬところへ使う金があるならば、そういう面へもっと使ってもらいたい。このように思うのですが、次官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/24
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025・川野芳滿
○川野政府委員 通産省に御同情のあるお言葉を賜わりまして、まことに感謝にたえない次第であります。通産省としても、今年度の予算折衝においてもそういう面について強く大蔵当局にも実は予算の折衝をいたしたのであります。幸いにして昨年度よりは本年度においては相当額の予算の増額を見た次第であります。しかしまだまだ予算が非常に少いのであります。さらに来年度は予算の折衝を行いまして、予算をとりまして、予算面からも技術の向上にさらに努力をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/25
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026・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの次官のお言葉通り、今後より一層の努力を続けていただくようにお願い申し上げます。
重工業局長にお伺いしたいのですが、世界の輸出市場の趨勢から見ました場合に、今後日本の工作機械その他機械工業の面は相当伸びる余裕があるのじゃないか、このようにも考えられるのですが、現在の機械工業関係の輸出の状況及び将来有望であると考えられる業種等について御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/26
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027・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 いろいろ数字の点でございますが、従来の輸出実績とそれから認証ベースと両方ございますが、認証ベースで申し上げますと、最近は非常にふえてきておりまして、二十八年度がたしか一億ドルの輸出認証がございました。二十九年度は三億二千万ドルの輸出認証でございます。本年度はそれが急激に増加いたしまして、三十年度全部でおそらく六億ドル程度の認証になっているのではないかと存じます。しかし六億ドルの内容を見ますと、現在では造船が大部分でございまして、おそらく造船が五億近いのではないかと存じます。そこでわれわれとしましては将来有望のものといたしましては一つはプラント輸出がございます。これは造船が現在は主でございますが、そのほか鉄道、車両いろいろございます。ただこれはやはり先進国との競争が非常に激しいものでございますので、これにつきましてはわれわれとしましては輸出金融の問題あるいは市場開拓というような問題で、輸出金融につきましては輸出入銀行を通じてこれに対する金融をやる。それからまた市場開拓については日本輸出プラント技術協会というようなものを作らして、これに対して国から相当の補助をいたしましてコンサルトの仕事と市場開拓の仕事をさすようにいたしております。重機械以外の軽機械等についても相当有望なものがございます。これは先ほどから問題になりました繊維機械もそうでございます。またミシンあるいは軽機械の中でも双眼鏡、カメラ・かようなものは有望だと存じます。そのほか軽機械については今後相当新しい有望なものも出てくるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/27
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028・田中武夫
○田中(武)委員 今のお話によりますと、この三年間に輸出の認証額は約三倍になっている。しかしそれが大体重工業機械の関係であって、軽機械の方はそう伸びてないと思うのでありますが、日本の国民性は特に手先が器用だといわれているわけでありますが、軽機械関係は将来なお有望ではないかと存じますので、なお一そうの施策を推進していただきたいと考えます。
大体こういう機械関係のものは相手国はどこになっておりましょうか。将来輸出が特に伸びると思われる面は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/28
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029・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 これはいろいろ市場がございますが、重工業関係ですとやはり東南アジア、中南米で、まあ東南アジアでも中近東まで行くかと思います。それから軽機械関係になりますとドル地域、アメリカあたりにもたとえばカメラとか双眼鏡とかミシンとかそういうものが相当出ているわけでございます。われわれとしましては軽機械の重要性も非常に重く考えておりまして、たとえばミシン等は実は年に昨年は四千万ドル、輸出でいきますと造船の次ぐらいの額でございます。これは輸出認証額でございます。さようなわけで軽機械についても非常に重要視しているわけでございます。さような次第で実は昨年もカメラにつきましてはニューヨークのカメラ・サービス・センターに資金補助をする、あるいは農機具の輸出につきましてビルマに農機具のアフター・サービスのための施設の補助をする、かようなことでいろいろ考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/29
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030・田中武夫
○田中(武)委員 こういう点を重工業局長にお伺いするのはどうかと思うのですが、私は実は電気機械関係の出身であります。ラジオとか真空管等に関係を持つのですが、こういう真空管を一つとらえまして、中国あたり、前から話がありまして、送信管の見本なんかも送ったことがあるのですが、いまだにその貿易が実現していないわけです。これはいろいろと中国貿易についての基本的な問題があるとは思うのですが、貿易のことは通商局ですかがやるのだから、重工業局としてはそういうことはあまり関係がないというように傍観しておられるのか、それともこういうような問題について重工業局も特に関心を持っておられるか、この点についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/30
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031・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 もちろん重工業局といたしましては、輸出もわれわれの責任でございすので、輸出についてはできるだけ伸ばしたい、重工業関係の重機械といわず軽機械といわず、先ほど御指摘の電気機械、弱電関係の機械、さようなものについてできるだけ輸出いたしたい、かような気持でいつも考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/31
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032・田中武夫
○田中(武)委員 いつも考えておると言われるけれども、現実に三年も五年も前に見本を送ったことがあるのです。そうしてバーターの対象物資があるとかないとかで何か送ったきりで今日に至っておるという実情でありますが、これは別に戦略物資でもないと思うのです。まあ通信機関係になりますと若干そういうことにも関係があると思いますが、これはやはりココムの関係とか対アメリカの関係があって行き悩んでおるのでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/32
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033・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 御質問の点の具体的ケースが私にはよくわかりませんので、はっきりした間違いない答弁ができるかわかりませんが、おそらく実現がおくれておるとしますならば、やはりココムとかさような関係だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/33
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034・田中武夫
○田中(武)委員 この問題につきましてはまた他の機会に譲ることにしまして、次に進みたいと思います。先日来繊維機械のことについて審議を進めた際にも大きく問題になったのですけれども、政府は一つの法案、一つの施策をお考えになる際に、そのことが他に及ぼす影響、関連して起ってくるような影響について、考え方が十分ではないのじゃないかというような点が、先日繊維の関係で指摘せられたわけでありますが、今度この法律をかりに実施した場合、この法律によって圧迫を受ける面、影響を受ける面というようなものが現われてくるのじゃないか、こう思うわけです。もう少し具体的に言うならば、これの二条による指定を受けた特定機械の企業内においても、この指定から基準に入るのと入らないのとが出てくる。そうすると入らないところはより圧迫を受けるのじゃないか。むしろ入らないところはより零細なところだろう、こう思うのですが、そういう一つの法律実施に当って、他に及ぼす影響あるいはそれによって圧迫を受けるというような面についてどの程度の考慮を払われておられるか、この法律についてはいかように考えておられるか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/34
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035・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この法律の適用を受けます業種は、お話の通り第二条によって、政令によって業種を指定するわけでございます。それからその業種につきまして機械工業の審議会に諮りまして合理化計画をきめて、それによる設備の近代化あるいはカルテルの結成、技術の向上、かような措置をとることになるわけでございます。そこで特にこの法律のねらっております目的は、やはり何と申しましても機械工業の国際競争力を付与して、できるだけ一つ精度のいい機械を作っていこう、かような意味で、特に立ちおくれております基礎部門あるいは部品部門を取り上げて、これに対して措置をするわけでございます。さような次第でございまして、特にこれはさような競争力を付与し、それによって機械工業全体を伸ばして、新しく輸出市場を開拓するなり、あるいは輸入を防止するとか、さようなことで市場を広げて、需要を拡大し、雇用を増大していく、かような観点に立っておるわけであります。それから同時にこの対象となります業種が、先ほど申しました基礎部門とかあるいは部品部門でございますと、その中には例外的には大企業もございますが、大部分は中規模の中堅機械企業でございまして、さような観点から、この法案自身がむしろ中小企業の対策である、かような見方もできるわけであります。それからそれ以下の零細産業に対する対策が落ちておるのじゃないか、かような御議論だと思いますが、それにつきましては、もちろん従来通産省といたしましても、中小企業金融公庫の資金なりあるいは中小企業の近代化の補助施設等、それによって中小企業を大いに伸ばしておるわけであります。機械関係が従来利用しております度合いも、これらの中小企業関係の資金あるいは助成金を利用している額も非常に多うございます。今後もそういうようなものをできるだけ利用して、さような零細企業の方もやはり振興をはかっていきたい、かような考え方でございます。同時にこれは、この法案全体を通じまして特に整理するとか落すとかいうふうな思想はございませんで、できるだけ上に伸ばしていく、かような思想で貫いておるつもりでございます。と申しますのは、実は機械工業それ自体が今後経済六カ年計画でも現在を中心として一六〇%に上る、かような観点に立っておりますし、また先ほど来申し上げております通り、輸出市場の開拓等によりまして輸出も相当伸びる、かような観点で、全体のマーケットが広がっていく、さような部分に特に国際競争力を付与して、精度の比較的高いものをこの法律によって助成していく、それから普通のものにつきましては、やはりこれも機械工業全体の需要において相当伸びを見られますので、さような零細なものにつきましては、投資金額等も少いものですから、かような場合には従来の中小企業金融公庫なりあるいは中小企業の近代化補助金のような措置によりまして十分助成をしていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/35
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036・田中武夫
○田中(武)委員 この基準に漏れたところといいますか、そういうより零細なところは、中小企業金融公庫あるいは前に通過いたしました中小企業振興法等によって救済できる、こういう御答弁であります。先ほど局長も、この法律は考え方によっては中小企業振興の法案だ、こうおっしゃいました。私もそう考えたいのです。もっと強く、これは考え方でなしに、真正面に中小企業の振興法案だ、こう考えたいわけです。と申しますのは、なるほど機械工業の合理化設備等がおくれている、しかしながら大企業であるならばこれは自分で何とかやっていけるのじゃないか、特に政府が法律を設け、これに対して助成をしようというのは、一人歩きができない面にそれを行うのが正しい行き方じゃないか、こう考えるわけです。そういう面から見ました場合に、これは考え方でなく、真正面に中小企業の振興法案であると理解したいわけです。また当局においてもそういう頭をもって運営していただきたい。今までよくわれわれから政府に対して申し上げているように、上に厚く下に薄くでなく、この法律によって行われるところの政策はすべて下に厚くやっていただく、それがほんとうのこの法案の目的を達するゆえんじゃないか、このように考えますので、この点特に要望いたします。
それから資金の面ですが、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、これはこの法律自体が五カ年間の時限立法で、五年間の計画において九十六億円、うち八十一億円は開銀の融資を受ける、そして初年度が十五億円だ、こういうような資料をもらっているのですが、その通りでありますか。——そうしますと九十六億円と八十一億円の差の十五億円は開銀以外のところからということになるのですが、これは中小企業金融公庫とか、そういう面をお考えになっておるのか、その点どういうような計画になっておるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/36
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037・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 今お読みになりました数字は当初の事業団の構想のときの数字かと思います。数字は多少違いますが、大体その構想と違っておりません。われわれとしましては全体の金額で三年間で百億、それから使用設備八十億程度、かように考えております。そこでそのバランスをどうするかというお話でございましたが、これについては使用設備はできるだけ開銀の特別融資でやりたいと思いますが、一部付帯工事とか、さようなものについては自己資金を予定する、あるいは市中金融その他を予定する、かような考え方に立っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/37
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038・田中武夫
○田中(武)委員 本法案の五条の資金の確保の点を見ました場合に、「設備の設置に必要な資金の確保に努めるものとする。」こううたってあるわけなんですが、これはあくまで政府に対する注意規定というように考えられるのですが、五条にこのように努めよとうたってあっても、努めなければ何にもならないわけです。そのような点について、先ほど次官からも強い決意のほどを示されたわけなんですが、私が先ほど読みました資金計画は事業団のときの計画だそうですが、大体こういう構想でいかれるとするならば、大臣にかわって資金確保についての次官の決意のほどを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/38
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039・川野芳滿
○川野政府委員 先ほども御答弁申し上げました通り、来年度の予算折衝に当りましてはできるだけ多くの資金を確保して、そうして目的を達成いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/39
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040・田中武夫
○田中(武)委員 この計画の金で貸付をやるわけなんですが、貸付の条件といいますか、基準といいますか、どういうところに貸し付けて——これは二条との関係になりますが、どういう選考をやって、そうして貸付の条件、金利は六分五厘ということも今伺いましたので、担保の点だとか期限の点だとかいったような面について具体的な計画を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/40
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041・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 政令で指定されました各業種につきまして、機械工業審議会に諮りまして大体合理化目標をきめ、どの程度の精度のもの、あるいは性能のものをねらい、どのようにコストを下げるという目標を立てまして、それによって近代化の設備の内容とか、あるいは技術向上の目標とか、専門分野をきめるための目標とかいうものをきめるわけであります。そこでそれがきまりますと、あと当該企業の選び方は通産省が合理化計画に基きまして、それに該当しているものを選択いたしまして、それを開銀に推薦して開銀が調べて金融をする、かようなことになります。
そこで条件といたしましては、先ほど長期と申しましたのは大体償還期限十年程度までこれは認められる。それから機械設備につきましては、場合によっては使用機械の全額にまで融資が認められ得るということでございます。それから金利は先ほど申し上げました年六分五厘でございます。担保につきましては、機械それ自体——持ち込み担保という言葉があるそうでございますが、機械それ自体を担保にとる。しかしそれを厳格に——それはそれだけではいけないかもしれませんが、それ以外に担保をとる場合でも、それは融資を受けます企業が市中銀行等から金融を受けるに差しつかえないように非常に過酷な条件をつけないというふうなことに、開銀当局との話し合いが大体できておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 今局長から御説明を願った点が、最初の構想である事業団で出発した場合とこの法律と具体的に違った面が現われてくるのはこのところじゃないかと思います。たとえば通産省が推薦をして開銀が貸し付けるということになるのですが、通産省が推薦した場合、開銀は無条件で貸し付けるかどうか。やはり開銀の立場からいろいろの調査なり、あるいは一つの政治的な動きというような点もありまして、十分推薦通り貸付が行われるかどうかということも保証できない。そういうような点はどうなんですか。
また一例をあげますと、担保の点なんですが、最初の事業団でいった場合は、機械を貸し付けるのですから、担保はそれにとどまって他に及ばない、この場合は大体それでいきたいと思うが、それで十分でない場合はというような御説明がありましたが、他の自分の持っている従来の財産にいわゆる開銀の債権が及んでいくということも考えられる。こういう点が最初の事業団との違いが直接具体的に現われてくる点じゃないかと考えております。そうしますならば、今度受ける方の側からいうならば、事業団の場合と違って非常にめんどうくさい手続なり、非常に神経を使わなければならぬとかいろいろな面が出てくると思うのですが、ここをどのようにうまく運営していくかということが、最初出発に当ってけつまずいたといいますか、変更せざるを得なかった点をどうカバーしていくかという点にかかってくると思うのですが、そのような点はどういうふうにお考えになり、当局としてどうやっていこうと考えておられますか。そこをうまくやることによって最初の計画が一歩後退したこの点をカバーできると考えられるのですが、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/42
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043・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 確かに当初の事業団構想に比べますと、若干その点では弱いところもございます。しかしながらわれわれとしましては運用において御指摘のようにできるだけ努力しまして、この目的を達したいと考えております。開銀関係も、それは確かに金融でございますから、選択することは自分で選択するわけでございますが、通産大臣のもとに機械工業審議会に諮ってきめた計画によって通産省が推薦しますものはできるだけ尊重してもらうというようなことで話し合いをしております。さようなことでわれわれとしましても運用については万全を期したい。特に中小企業の方が多うございますから、これらの関係で開銀とのあっせんについてできるだけ間違いのないようにわれわれも努力いたしたいと思いますし、それに必要な措置も実は目下研究いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/43
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044・田中武夫
○田中(武)委員 その点について十分考えていただきたいと思うわけです。でなければ、その点がうまくいくかいかないかによって、この法律が目的を達するかどうかという点にかかってくると思う。もう一度繰り返して申し上げますと、この事業団ということで出発するならば、これは通産省の外郭団体といいますか、機関で、ここを通ればすぐ設備が更新できるということになると思う。ところがこの場合は通産省で一応試験を受けて推薦をもらったならば今度は銀行に行く、開銀はやはり金融機関の立場からいろいろ折衝する。従って推薦通り金が借りられるかどうかということは疑問だと思う。そこで通産省の方から十分開銀の方に折衝もしてもらい、またバック・アップもしてもらう必要がある。最初の考えであるならば、関門は一つ、そうして、でき上がった機械を貸してもらえるということになっておった。この場合は関門は二つ、三つあるわけです。そうして借りたものが金であって、自分の方の責任により、自分の方の危険において更新していく、この点が大きな相違になって現われると思う。つきましては、ここの点をどれだけ強く通産省で開銀その他の金融機関にがんばって折衝していただけるかということが大きな問題であると思います。ぜひ一つお考え願いたいと思います。
それからもう一つは、そのことによって基準からはずれて推薦されなかったという面はやはり見殺しになるのじゃないかと考えるのです。先ほどのお話では中小企業振興法、中小企業金融公庫等の資金ということが考えられるが、そういう点、もし推薦せられたものがかりにうまくいくと仮定いたしましても、今度は推薦を受けられなかった点について、この機械は推薦を受けていないからお前の方はおしまいだ、こういうことでなく、他の面から救済する、あるいはその希望を達成できるような方法を講じてやることが大事じゃないかと思う。この推薦という点を基準にして、受けられたものについての事後のいわゆる通産省のあと押し、それから受けられなかったもののその後の保護といいますか、これらについてもう一度簡単でけっこうですから決意のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/44
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045・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいま御指摘の第一の推薦の問題、その事後の処理、さようなことについてはわれわれも運用についてできるだけ努力をいたしまして万全を期したい。開銀との関係のあっせんにつきましても、実は先ほどちょっと申し上げましたが、何らか必要な措置が要るのじゃないか、かように考えて、今その点を研究しておるところであります。それから推薦に漏れた企業の問題であります。これは先ほど申し上げております通り、この法案の指定されます業種のうち、特に性能等の目標を掲げてやるものでございますから、従ってそれを担当いたす企業も、われわれとしては画一的に数を幾つというふうにきめておりませんが、ある程度おのずからきまってくる、かように存じます。しかしながら、これに漏れた企業が将来、たとえば第一年目には間に合わないが、第三年目に間に合って大いにやりたいというときには、第三年目にはこれは取り上げることも考えております。それから現状のままでいく場合にも、先ほど申しましたように、中小企業金融公庫の近代化補助金によって、中小企業庁とよく連絡いたしまして、遺憾ないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/45
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046・田中武夫
○田中(武)委員 重ねてその点について強く要望しておきます。
一、二条文の具体的な点についてお伺いいたしたいと思います。第一条に「機械工業の合理化を促進することにより、」云々とあります。これはけっこうなことなんですが、いつかも私本委員会の席上で生産性本部の問題に関連して申し上げたかと思うのですが、労働者なり労働組合は、今まで生産性の向上とか合理化という名のもとに首を切られた例が多いわけです。従って、合理化ということを言うと、どうも首切りということを連想しがちなんです。つきましては、この合理化実施によって、そのような労働問題は起きるおそれはないかどうか。この共同行為とかあるいはいろいろな点を見ますと、そういう面も心配があるのですが、そういうような点につきましては、どのような見通しを持っておられるか、かりに起きるとするならば、どういうような救済方法を考えておられるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/46
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047・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この法案のねらいは、合理化を促進することによって、国際競争力を付与して輸出市場の開拓をし、あるいは輸入を防遏する。それによってむしろ雇用を増大するというような考え方に出ておるわけであります。従いまして、この法案の措置によってただいまのような失業というような問題は、われわれは予想いたしておりません。むしろ機械工業全体は伸びる。かような観点から見まして、ある程度能率が向上いたしましても、もし経済五カ年計画の数字をとりまして相当生産能率が上りましても、五年後にはある程度、二十万人なら二十万人というふうな雇用の増大が機械工業全体を通じてできる、かようなことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/47
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048・田中武夫
○田中(武)委員 なるほどこの法律の目的達成のときにはそうなるし、またそうなるための法律だと思うのです。ところがこれは先日来の繊維のときと同じ論法を繰り返すことになるかもしれませんが、やはりこの実施直後といいますか、これによって若干——あの際に谷間という言葉が出ましたが、雇用についての谷間ができるのじゃないか、こういうようなことも心配するのですが、そういう点はどうでしょう。どうも局長の考えは少し情勢分析が甘いのじゃないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/48
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049・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この点は繊維の場合と違いまして、設備を制限するとか、不況カルテルを作るとか、さような思想になっておりませんので、伸びる点だけ見ておるわけでございます。従いましてこれができましても、これはむしろ新しい事業分野に入るような部門のための設備投資になるわけでございます。いろいろ数字がございますが、たとえば工作機械で申し上げますと、現在年産が五十億、それから輸入が五十億、それが今後伸びて参りますれば、輸入も減ってくるし、さらに輸出も相当伸びる、かような事態になるわけであります。そのほかこれらの適用を受けておりますダイカストとか、あるいは標準鋳鉄とか、そういうものも相当飛躍的に、ものによっては二倍、三倍というふうな生産額を五年後に上げることになりますので、さような観点から見ますと、全体が上ってくる、しかも精度のいいものができてくる、かようなことで、さような御懸念はないのじゃないかとわれわれとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/49
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050・田中武夫
○田中(武)委員 人生すべからく理想を持てで、明るい面ばかりをごらんになることはけっこうです。しかしながら、なおそれに関連して起ってくるであろう暗い面を考えることも、重要じゃないかと思うのです。今局長が申されたように心配がなければけっこうです。またそうであることをわれわれは願うのですが、そういうことも労働者は考えると思うのです。そこでこの実施に当ってそういう面のないような強力な指導、行政措置をあわせてお考え願える、こういうように理解して、そういう問題が起きないように、もし起きるようなおそれがあれば、十分一つそういうことのないように指導していただきたい、このように思います。
次に第二条の特定機械の指定ですが、本年は十八品目を予定しておられる、こう聞いております。大体この指定を行う場合、どういう観点に立って指定をするのか。また今十八種類を考えておられるが、これも事業団の考え方以来半年、相当事情も変っておるのではないかと思うし、先日来の繊維機械の問題等においても、紡績機械等もあがっておりましたので、そういう点も加えて、もう一度十八種目について再検討なさる用意があるのかどうか、あるいは追加せられる用意があるか、そういう点もあわせてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/50
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051・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 大体この指定をいたします業種は、機械工業のうちで特に重要であって、しかも立ちおくれのはなはだしい部分という観点から、基礎機械部門と部品部門を中心として指定いたしたい、かように考えておるのであります。その内容はいろいろございますが、事業団構想の当時ありました大体十八業種を中心として考えておる次第であります。しかしこれはもちろん全体の資金の額の関係もございますが、実行によりまして必要な業種はどうしても盛り上げなければならない、かような観点から、盛り上げなければならぬものにつきましては取り上げていきたい。繊維機械等につきましても需要の関係、輸出の伸び、かような点がはっきりして、業界で合理化をしたいということになりますれば、部品部門等はこの法律によって大いに伸ばしていくことが一、二年先に考えられると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/51
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052・田中武夫
○田中(武)委員 この機械の指定ですが、これはそのつど行われるのか、一年なら一年の年度初めに、本年度はこれとこれということで出発せられて、そうして年度の途中でいろいろな情勢によって必要なものが出てきても、それは来年度ということになるのか。この指定の時期はどういうことになりますか。さらに本年度なら本年度十五億の開銀のワクの中で、十八なら十八の指定をした場合に、この種目に幾ら、この種目に幾らというように、最初にあらかじめ予定しておいて、それでやっていかれるのか。十八種目の必要なものへは幾らでも十五億のワク内ならやれるというようにやっていかれるのか。その指定の時期なり、指定と予算といいますか資金の計画との関連性等についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/52
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053・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 指定の問題は大体十八業種につきましては、できるだけ大部分を登録指定いたしていきたいと考えております。しかし将来の問題として新しく追加するものにつきましては、年々そのつどその必要なものがございますれば、資金とにらみ合せて追加していきたい、かように考えております。それから資金計画につきましては、実は十八業種でございましても当初の計画が百億、主要設備が八十億、かようなもので十八業種でございます。また第一年度ばかりでなく、第二年度、第三年度と続くわけであります。従いましてこれをどういうふうに分けるかということは、合理化審議会の計画の早くできる業種とおそくできる業種とございます。かような観点から、合理化審議会に諮りました結果によってきめていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/53
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054・田中武夫
○田中(武)委員 第二条あるいは第三条にしても、機械工業審議会の意見を聞いて、こういうことになっておるので、これの運用はあげて機械工業審議会の動きにかかっておるとも言えると思う。そのことについては十三条以下に規定してあるわけです。指定のことを今もお伺いしておりますが、年々そのつどというふうに言われたわけですが、年の初めに審議会の方で、本年はこれとこれとこれというように言われたならば、その年はそのままいくのか、必要が途中で起ってきた場合、これは審議会の方で特にそういうことを言った場合は入るのか、あるいは審議会が言わなくても、当局の方で必要があると見たら諮問という格好をとられるのか。審議会の性格からいえばこれはあくまでも、受身でございますので、諮問があって初めて動くということになると思うのですが、そういうような点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/54
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055・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 一応当初にきめますが、年度内におきましても、事情の変更等がありまして、特に追加したいというようなことがございますれば、これは委員会から意見がございます。審議から意見がございましても、あるいは政府が取り上げましてもさようなことはできると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/55
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056・田中武夫
○田中(武)委員 その審議会ですが、これについては先ほど言ったように十三条以下に視定があるのですが、その構成についてです。これはいつもこういう審議会のときにわれわれ申し上げるのですが、関連するところの中小企業といいますかの代表とか、労働者の代表を入れてくれ、これはいつも申すことなんですが、そういうような点についてはやはりお考えになっておりますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/56
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057・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 委員会の構成は最終的には具体的の人選をきめておりませんが、考え方としましてはやはり機械工業全般のよくわかっている方、それから特に指定されました機械工業のよくわかっておられる方、それから金融界の関係、それから学者、さようなものを主として予定しておりますが、関連の中小企業の方も考えてみたい、かように思っております。それから労働関係は、これは組織というふうな考え方でなしに、むしろこの機械工業の審議会の受け持つ部分は相当専門的なものでございまして、生産能率とか、さような点に関係がございますので、さような関係から労働関係で適当な方があって、この審議会のために必要である、かように考えました場合に十分考えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/57
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058・田中武夫
○田中(武)委員 生産の向上とか合理化とかということは、今日もう労働者の意思を無視してはできないことです。そういう面からいっても、ぜひ労働代表等も考えていただきたい、このように考えます。それから第四条の計画の変更という点を見ましても、一度立てた計画が「経済事情の著しい変動のため特に必要があると認めるときは、機械工業審議会の意見をきいて、」こういうことになるわけなんですが、そういたしますと、この著しい経済的な事情の変化ということは、これはいわゆる当局が認められて、初めて先ほど言ったように審議会に諮って、審議会がよろしいでしょうということになるのか、審議会の委員の一部なり、ある特定の人がこの状況なら変更の必要がある、こう考えたときに審議会の方から自発的に変更を答申するということもできるのですか。この審議会の性格からいえば受け身であると考えられるのですが、そういうような点はどうなんですか。それがあくまで受け身とするならば、事業計画の変更はあげてやはり当局の考え方にかかってくる、こういうことになるのですが、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/58
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059・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 形式からいえば政府側からのことになりますが、実質的には審議会におきまして事情が変ったという御意見がございますれば、政府がそれを取り上げて変更することができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/59
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060・田中武夫
○田中(武)委員 次に六条、共同行為の関係ですが、やはりわれわれが考えがちになるのは、こういう共同行為、カルテル行為が行われた場合は、これによって圧迫を受ける面が出るのじゃないか、このようにも考えますが、そのような問題は前にもちょっと申しましたが、そんことはないのか。あるいはアウトサイダーというか、共同行為からはずれてくるものに対しては、どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/60
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061・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この共同行為を大体合理化カルテルということで貫いております。従ってここに掲げてあります四つの共同行為、「品種の制限」、「品種別の製造数量の制限」「技術の制限」、「部品又は原材料の購入方法」とございますのも、合理化カルテルの見地からやりますもので、従いましてわれわれとしましては、特に大きな影響というようなものをほかに与えるようには考えておりません。それからアウトサイダーの問題は、これは立法論としてはアウトサイダーを強制するということも考えられないではございません。これはやはり不況カルテルと違いまして合理化カルテルでございますから、アウトサイダーに対する法規による処置というものは考えておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/61
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062・田中武夫
○田中(武)委員 この共同行為、カルテル実施の場合は、あとの条文によりまして独占禁止法からはずされる、こういうことになると思います。やはりこの共同行為の実施に当っては、十分そういう面を御配慮願わなければまた問題が起ると思いますので、強くこの点も要望いたしておきます。
それから第六条の第一項の三号、技術の制限ということになっておりますね。これはどのような方法でやられるのか、どういうようなことをお考えになっておられるか、ちょっとカルテルに関連して御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/62
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063・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 技術の制限と申しますと非常に言葉がわかりにくいのでございますが、ここでねらっておりますのは、大体部品とか原材料の規格の統一、かようなことをねらっておるわけでございます。これはちょっと言葉から見てまずいのでございますが、独禁法でも従来かような言葉を使っておりますので、そのような表現を用いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/63
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064・田中武夫
○田中(武)委員 これに関連して、A工場とB工場というものとの技術の交流、そういうような点、大体工場は自分のところの技術は隠したがるので、そういうような点についてこれを全般的の水準を上げていくというためには、技術交流等も必要になってくる。そういうような点をこれによってお考えになりますか、またできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/64
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065・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この点は、この技術の制限の範囲内ではなかなかむずかしいのじゃないかと思います。技術の公開も場合によっては必要だと思いますけれども、これはまた個人々々の、各会社々々のそれぞれの特色にもなりますので、技術の公開等は企業同士の理解ということが必要でございますので、かような問題は慎重に考えていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/65
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066・神田博
○神田委員長 この際暫時休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後二時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/66
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067・笹本一雄
○笹本委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
機械工業振興臨時措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。松尾トシ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/67
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068・松尾トシ子
○松尾委員 午前中重工業局長が御説明になりましたように、わが国の機械工業、特に基礎機械部門とか、部品部門とかは非常におくれておりまして、わざわざ海外からこれらのものを高価な値段で購入したり、あるいは輸出振興ということを声高に言っておりましても、なかなか国際市場の争いの中に立って推進していくことができないという事実はほんとうだと思います。そしてそういう現在並びに過去の状態の上に立って、政府が今回機械工業輸出振興を強く叫んでいらっしゃいます実情もわかるし、この法律自体が善意の方針から出ているものですから、私はいいものだと思ってはいるのですが、賛成しているような考えの上にのっとって少し研究していきますと、まだ不安があるような感じがいたしますので、二、三点お尋ねいたしてみたいと思うのであります。
政府のおっしゃるように、機械または部品の品質とか、あるいは性能、あるいは生産費、その他の合理化目標を定めまして、これらの実現をはかるために、設備の近代化とか、生産性の確立とか、規格の統一とか、あるいは生産技術の向上の措置をとるとか、こういうことを言っておられます。しかしこの法律は五年間の時限立法であるし、また予算の面で田中委員も相当詳細にお尋ねをいたしておりましたけれども、その予算の面を見ますと、このような小さな予算で目的の貫徹ができるかどうかということを私は考えるのであります。特に申し上げたいのは、今年度は十五億の投融資計画の中に入っおりますが、仕事をやり始める初年度というものは比較的金がかかるものであって、政府の御答弁を聞くと、来年度、再来年度と順次予算を増額してとるようにするとおっしゃっているのですけれども、この自信がおありになるかどうかをお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/68
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069・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 資金の問題でございますが、初年度は、実は若干法律の施行もおくれ、あるいは審議会等の関係で計画を作るにひまがかかる、かようなことも考え、十五億あれば十分やっていけるのじゃないか、こう考えたわけでございます。しかしながら三カ年の計画といたしまして、実は午前中も政務次官がおっしゃいましたように、われわれとしましては最善の努力を尽して、来年度、再来年度の財政資金の確保の際に全力をあげて努力をいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/69
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070・松尾トシ子
○松尾委員 三年間の予算が総ワクとして一百億円を予定し、そのうちの八十億を産業投融資の中に予算を組んで、開銀を通して融資のあっせんをする、こういうふうになっておりますし、その条件は返還十カ年、あるいは年利が六分五厘とか、持ち込み担保というのは、コマーシャル・ベースからいうと比較的いい条件で、他の方法ではこんな好条件で借りられないことは私よく承知いたしておりますけれども、大体この法律の目的にうたっている高邁な理想を実施していくのに、総予算百億とか、あるいは時限立法で趣旨が徹底していかれるかどうかという、この辺の確信をもう一たびお尋ねをしたいし、あるいは一応このワクはきめているけれど、もっともっとふやすお考えがあるかどうか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/70
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071・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この法律で指定されます業種は、基礎部門と部品部門を主としております。従って機械工業全体のものではございませんで、非常に重要ではありながら立ちおくれておる部門、かような部分でございます。これ以外に実はいろいろ機械工業としましては資金面においても施策がございまして、従来からたとえば大企業を中心にいたしまして、開銀融資というものが年々十億程度ございます。そのほか設備投資といたしましては、各企業が自身でやられる、市中銀行から借りられる、これが相当大きな額でございます。それからそれにあの中小企業金融公庫等に期待する中小企業、零細企業の部分がございます。これらを総合いたしますと相当な額になるわけであります。従いましてこの法律で期待しております業種だけでなしに、やはり機械工業としては、ここにいろいろな施策がございます。これは従来の施策に加えまして、特に基礎部門と部品部門、それも大部分は中規模程度の中堅機械工業でありますが、これらに対する特別措置としてこの資金を十五億出していきたい、かようなわけでございます。
それから時限立法といたしまして、一応経済自立五カ年計画に即応いたしまして五カ年にいたしまして、その間最善の努力を払って目標を達成するようにいたしたい、かように考えております。それ以後どうするかということは、今後の状況に応じまして施策を講じていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/71
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072・松尾トシ子
○松尾委員 その点はわかりました。
次に移りますが、御説明あるいはいただいた資料を拝見いたしますと、十八品目を先に指定しておやりになる、その業種の生産を高めていくとか、あるいは技術の向上、合理化をはかっていくと申しますけれども、その十八品目の業種の年間の総生産高というものは八百億円とか、そうしてこれに該当する、工場は二千六百工場とかで、そのうちの今申しました八十億円に当てはめられるものは約一割であって、生産高から比較すれば、八百億円の半分はその一割の工場が占めているというふうに伺っておるのですけれども、こうしたデーターに基いて考えなければならないことは、残りのこの法律の適用を受けないところの中小工業が九〇%あると思うのです。この九〇%の人たちは、この法律によっては何ら恩典も受けていないし、またそこに少数企業が特定の保護育成をやられるために技術的な較差が非常に大きくなるんじゃないかということを非常に心配するわけです。それと同時に、これがだんだんと政府の考え通りに遂行できまして、能率並びに技術の高度なものが日本全体の産業を占めるというような時期も来るであろうし、またその九〇%の工場というものも、このままにしておかれたんではいけないので、何らかの手を打つ方法、私をして言わしめますと、それらのものにいわゆる共同施設の援助とかそういったようなものも必要じゃないかと思うのです。そうしないときにはそこに失業問題も起きてきますので、その共同施設の指導ということをやるお考えがあるかどうか、それともう一つは、その間にいろいろギャップがありますから、その間に起きてくるところの失業対策なんかもいささかお考えになっておかなければいけないんじゃないかという感じがありますのですけれども、その辺を一つ御説明を願えたらけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/72
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073・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 御質問は、指定される業種のうちでこの法律によってあるいは近代化設備の資金の融通をする場合に、それから漏れたところの企業をどうするかというふうな御質問かと存じます。この法律でピック・アップされます業種、それにつきましてこの法律に基きます機械工業審議会におきまして合理化計画を立てるわけでございますが、その目標としますのはやはり日本の今後の機械工業に要請されます精度の高いもの、あるいは性能のいいもの、コストを安くするためのもの、かようなものが目標として選べるわけであります。従いまして選ばれます企業もこれらを担当するような企業が大体選ばれるわけでございます。われわれとしましては半数にこれを切るとか、幾つにしなければいかぬ、こういうことはございません。できるだけ担当できるような企業についてはこの法律に基く資金の融通なりあるいはカルテルの結成なりを考えていきたい、かように考えておるわけでございます。従って今の業種に属する企業の数のうちどのくらいのものが適用を受けるかという点はまだ今後の検討に待たなければならぬと存ずるわけでございます。しかしながらこの法律でねらっておりますのは、大体この業種に該当しております企業が中規模程度のものでございまして、従来の中小企業の施策ではなかなか伸ばしにくい。この業種に属しております中規模あるいは小規模程度の企業が新しい近代化設備を機械工業の今後の技術向上の要請に応じていたします場合には、規模に応じましての相当の金額が要るわけでございます。かような点を考えて、本法による資金の特別融通の方策が考えられておる次第でございます。さようなわけで従来のものにプラスしてやっている中小企業対策である、かように申してもいいわけでごさいますが、そこで従来の方策でございます、あるいは中小企業金融公庫とかあるいは中小企業の近代化補助金、かようなものを通じまして、この適用を受けない企業につきましてもできるだけ輸出の増進に寄与するとか、あるいは輸入防遏に寄与するものあるいは必要な生産に従事するものというふうな企業に対しましては、できるだけ国として助成をしていきたい、かように考えておる次第でございます。それから次にこの過程において何か失業者等が相当できるから、それに対して対策は要らないかというような御質問でございましたが、機械工業は輸出も非常に伸びてきております。今後も非常にわれわれとして期待しなければならない業態でございます。また国内関係から見ましても、経済自立五カ年計画で予想しておりますのは、現在から一六〇%の上りを見ております。さようなわけで、事業としては今後伸びる趨勢にあるわけであります。従いまして精度の高い、この法律でねらっておりまするものばかりでなく一般のものも相当の伸びを見ております。かようなわけでありまして、適用される業種も伸びますが、適用されない業種につきましてもある程度の伸びを見ております。従って失業者とかいうことでなしに、むしろわれわれにとっては新しくこの法律によって輸出市場を開拓し、あるいは輸入を防遏し、雇用の増大をはかる、かような観点に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/73
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074・松尾トシ子
○松尾委員 そういう点はそのような答弁をするより仕方がないと思う。やってみなければわからないということも言えるのですけれども、それでは今お答えになりましたように輸出市場を新しく開拓していくという問題について一つお伺いをいたします。それより前にこういうことを一つお尋ねしておかなければならぬと思います。それは結局この法律によって指定されました十八品目の人たちが近代化や専門化することによってコストが安くなって大へんよくなる、こういう点からは輸出振興がはかれるだろうということもわかるのですけれども、一体この指定をされたときに当ってその十八品目が全部が全部、通産省の言うことだからあるいは審議会が言うことだからといって、その意見に沿ってこない場合がきっとあると思うのです。その沿ってこない場合というのはやはり従来からのいろいろのしきたりとか採算性とかいうことも考えるからだと思うのです。それと同時に、合理化されて、よいものが作れるようになることは喜ばしいと思うのですが、完全にこれらの人たちが、いわゆる満足な市場計画がない限りは通産省が指定したからといって、すぐ乗りかえて技術の振興をはかるというようなものに、気乗りがしないのではないかというふうな感じがするのですけれども、そういうときには強制的にはやれないし、どういうふうにするのですか。そういったケースが起ったときの不安がありますから、一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/74
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075・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 お話の点でございますが、この法案で考えておりますのも、やはり業界が自主的に計画を立てるのを待つわけでございます。従いましてこれは強制いたしまして、無理にやらせるというふうなことにはいかないわけでございます。しかしながらこの法案で考えております特別資金の問題にいたしましても、あるいはカルテルの結成にいたしましても、かような措置によりまして業界を刺激し、かような方向によって業界が出てくるのを待つ、それによって設備の近代化をはかりあるいは専門製作の態勢を整える、あるいは規格の統一をはかり技術の向上をはかる、かような方法で奨励政策としてこれを取り上げる。業界が大いにこの制度を活用して出てくるのを待つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/75
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076・松尾トシ子
○松尾委員 従来の紡績機械メーカーなんかの例をとって見ておりましても、一工場で何種類かをやられる、中にはなかなかほむべきような技術を持ったものもあると思うのですが、それは採算が合わなくて、他のもので採算を合せていく。言いかえますと、危険を分散している格好があるので、この点はなかなか業界からの自主的な行動を待つといっても、それではなかなかこの法律の推進がはかれないと私は思うのです。ですからそのときはいつの場合にでも見られるように、御説明はかなりやわらかくおっしゃっているけれども、通産省から相当強い意思をもって、勧誘するんじゃないかと思うのですが、そういう場合に通産省が言うからといって、勧誘されてやりますけれども、たとえばわかりやすく言うと、ここで五品目を作っておってそのうちの二つが合理化、技術の向上、そういったものに指定になり、あとの三つはやめたという場合に、その転換のときに融資だけじゃなく、特に何か助成みたいなものを出すなりして、はっきりした保護政策を発表しておかないと、裏づけがないとやらないと思うのですけれども、こういう点はどういうものですか。それが国際市場に大きく歓迎されるのもすぐというわけには参らないだろうし、そのような時期的なギャップの間をどういうふうにするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/76
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077・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 御質問の点は、各機械メーカーが品種を整理したり、あるいは専門製作をやるというふうな問題かと存じます。この点につきましては機械工業の審議会でいろいろ計画を立てて、それによりまして通産大臣が業界に指示する規定がございます。もちろん指示でございますから強制的なものではございませんが、指示という規定がございます。それからやり方でございますが、これは運用の問題になりますが、非常にむずかしい問題も含んでおります。一つ例を申し上げますと、従来ベアリングについて大体これに似たような合理化カルテルというものを作っております。これによりますと、やはりある程度の品種につきましてお互いに相談しまして分野をきめている、こういう現状況にございます。しかしながら従来の方法によりますとなかなかこれが徹底いたしませんので、この法案では従来の独禁法によりまして認められている合理化カルテルをもう少し広めて規定いたしております。従来ではただ分野の協定しかできませんが、この法案によりますと、分野以外に生産数量の協定が分野の協定に必要な限度においてできるということになっておりまして、過渡的にさような方法も講じまして専門製作を目標に進んでいきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/77
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078・松尾トシ子
○松尾委員 何にしてもこの点はむずかしいことだと思いますから、一つよく研究して指導をしていただき、この高邁な理想を貫徹することは私は賛成ですから、一つ努力を要望いたします。
次に法律案の中の機械工業審議会の点についてちょっとお尋ねをするのですが、この機械工業審議会は当面まずどういうようなことをおやりになるおつもりですか。と同時に、私の聞きたいのは、この審議会が開銀からの融資を受ける場合のいろいろなあっせんとか手続とかいうものまで指示をするのかどうかということを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/78
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079・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この機械工業審議会は、法律の第二条に書いております通り、各業種の合理化の基本計画を定めるわけでございます。この基本計画には、指定されました業種につきまして昭和三十五年度における機械類の性能または品質、生産費その他の合理化の目標をきめる、それから新しく設置すべき近代化設備の種類とか資本の額について、あるいは古い設備の処理をどうするかというふうなこと、それからそのほか生産技術の向上とか能率の増進とか、その他合理化に関する重要事項について審議して決定するわけでございます。先ほど御質問の開銀との関係の手続とかあっせんとかいう問題は、この機械工業審議会では扱いませんで、これは通産省なりができるだけさようなことについて措置を講ずることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/79
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080・松尾トシ子
○松尾委員 そういたしますと、通産省ができるだけ資金のあっせん方を努力するということになるのですけれども、その場合に、開銀といえども、これはコマーシャル・ベースでやっていることですし、開銀の納得するところでなければなかなか貸さないという時期も出てくると思うのです。その一つで、一番われわれが仕事をやって困るのは担保なのですけれども、御説明によれば持ち込み担保でまことにいい条件なのですが、もしこの担保が足りない場合には他のものもというような御説明もあったやに覚えているのです。そういう場合に、他のものが、もし従来経営しているときに当って、資金融通の面から、よその銀行に入ったり何かしているときにはどういうふうになるのだろうか、またコマーシャル・ベースからいうと、それをちゃんと抜いて持っていかない限りは、なかなか金も出さないということもしばしば民間では経験もしております。そういう場合には、特別今度の法律によってやろうという意気を強く生かして、緩和策を講ずるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/80
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081・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 初めの問題は、開銀が金融ベースであるからという御質問でございました。確かに金融べースではございますが、この法律による機械工業審議会でいろいろ練って出た結論に基きまして通産省が企業を選び、それを推薦するわけでございますので、開銀としてできるだけこれを尊重していただくようにわれわれとしては話し合いをしております。それから担保の問題はできるだけ緩和していく、それの方法としましては、機械それ自体を持ち込み担保としてとるほかにいろいろ担保をとる場合には、開銀は、その融通を受けます企業がほかの市中銀行等から受けるのに差しつかえない程度にできるだけ緩和して担保をとる、かようなことに話し合いはなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/81
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082・松尾トシ子
○松尾委員 たとえば今やっている経営で、今日の面では、十八品目に該当するもので、ぜひ通産省が指定をしたい、あるいは機械工業審議会からの推薦があって、したいという委員に、経営面がそんなにりっぱでなくともその技術そのものが将来性があって基礎産業につながるものであればいいのですか。変な言い方ですが、そこらじゅう借金だらけという、それでもそれ自体が将来の日本産業の合理化に適しているものの場合には特にめんどうを見る、こういうふうにとっていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/82
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083・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 技術はいいが経営が非常に悪いというのはどうするか、こういうお話でございましたが、これは通産省がよく判断いたしまして決定することになると思いますが、結局最終的には、やはり金融ベースで開銀がどのように経営状況なりを見るか、かようなことになると思います。しかし極端に悪いものは私ども非常にむずかしいのではないかと思います。しかしやはり技術が非常に優秀で経営について少し問題があるという場合に、われわれとしましては、その企業自体に経営の改善方法等も考えていただき、それを開銀が納得していただくならば取り上げてもよろしいのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/83
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084・松尾トシ子
○松尾委員 次に第四条の計画の変更のところなのですが、通商産業大臣は、特定機械工業における云々と書いてありますけれども、この項目をお入れになるときに、今から何か変更しなくてはならないだろうという事態の予測はどんなものを推定してこういうものをお入れになったのでしょうか。
〔笹本委員長代理退席、鹿野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/84
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085・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 われわれとして特に具体的に予想しているものはないわけでございますが、ここに書いてあります通り、経済事情の著しい変動のため必要がある場合ということで、やはり実施してしばらくたちましたときに、状況によってはいろいろ変更しなければならないという事情があると思います。そこら辺の事情でありますが、具体的に特定してこれこれの事情というふうに考えておりません。われわれとしては変更しなければならないような大きな事情があった場合には、これは変更しなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/85
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086・松尾トシ子
○松尾委員 どうも質問が飛び飛びになって、順序正しくしてありませんで恐縮ですが、この場合に、技術の向上をはかった上、目的は輸出振興にあるとおっしゃっております。資料を見ますと、東南アジア貿易の推進というようなふうにも見られますけれども、聞くところによりますと、東南アジアなどというものは、まだ工業的知識が非常に微弱で、低いものですから、一等品のようなものを買う時期は当分ないように聞いております。むしろそんなに性能の高いものでないものを買い入れて、そうしていわゆる東南アジアの経済をやらなければならないということに、じき気がつくのではないかというふうに外部から見られているということです。現在としては、東南アジアの貿易は、ちょうど子供がおもちゃを何でもいいものがほしいというふうに、一流品を購入しているけれども、事実東南アジアの実態からいえば、二流品の方がいいというような批判をしている人がたくさんございますけれども、この十八品目の中で、向上させて輸出がねらいだということになりましたときに、必ずしもそれらが東南アジア貿易の増加に持っていかれるかどうか、お考えがございましたら、この際お示し願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/86
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087・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この十八業種は、完成している機械といいますよりは、部品部門あるいは基礎部門でございますので、それを使って完成された機械が伸びる直接のものもございますけれども、間接的なものが多いわけでございます。たとえて申しますと、ネジとか歯車というのはいろいろな機械類に使われまして、これが物がよくなり安くなれば、機械全体として安くなり、よくなる、そういうことを通じまして輸出に益をするというようなことになるわけであります。
それから東南アジア関係は、現在も相当日本に対し機械の引き合いも来ております。農業関係の機械とか発電機械とか、あるいは産業用機械とか鉄道車両とか、いろいろのものが来ております。それから先般問題になりました繊維機械等の需要もございます。われわれとしては、できるだけ輸出市場開拓方策を考えて、これらについて伸ばすように考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/87
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088・松尾トシ子
○松尾委員 これは将来のことですけれども、一つお尋ねしておきたいことは、日本の場合には非常にネジでも歯車でも種類が多いのですけれども、こういったようなものを遂行していって、将来は日本全体の、いわゆるそうした部分品の規格を統制というか、もっと少くして、どれにでもはまるような規格に統制するお考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/88
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089・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 ただいまおっしゃいました点はまさにその通りでございまして、ネジとか歯車とかいうような共通的部門は非常に種類が多うございますので、規格をある程度単純化するというようなことを考えております。この法案でも共同行為の場合は、さような規格の統一とか単純化ができることの共同行為ができると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/89
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090・松尾トシ子
○松尾委員 それはこの法律に該当しない、いわゆる適用を受けない九〇%の人たちにもやるおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/90
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091・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 この法案でねらっておりますのは、やはり関係した共同行為をする人だけの規格の統一でございます。しかしながらそれに関連しまして、たとえて申しますと、部品についての規格統一をする場合、その部品を使用するメーカーの方でも規格を統一する道を開いております。そういうふうなものができますと、そのほかのものにも適用される可能性がございます。
それからこれとは別に一般に従来規格の統一ということは別にやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/91
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092・松尾トシ子
○松尾委員 私は機械のことはあまり明るくないのですけれども、政治的にこれを見ましたときに、日本としてはけっこうだからこれを推進していくことは必要だと思いますけれども、法の精神からいうと、一部の人たちが非常に恩典を受けて、他のものたちが何ら恩典を受けるどころか、非常なしわ寄せを食うというようなことでは、法の精神としてはりっぱではないと思うのです。ですから、これの法律外の関連産業やその他の諸問題についてもとくと別の方法でも対策をお考えになりながら、日本産業全体として推進、向上を進めていくようにお願いをいたしまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/92
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093・鹿野彦吉
○鹿野委員長代理 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/93
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094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず私は経済五カ年計画に基く機械生産並びに機械の輸出規模の拡大の問題についてお尋ねいたしたいと思います。あなたの方から出されております資料によりますと、一応昭和二十九年度は二億二千四百八十万ドル、三十五年度の目標は五億二千七百万ドルとなっております。しかし先ほどもお話がありましたように、まさに昭和三十年の輸出の認証額は六億ドルという飛躍的な増大を見ておるわけですが、これは船舶がほとんどであります。そこで特殊的な事情によるものであると思いますが、三十五年度における経済五カ年計画における機械の輸出規模の内訳、すなわち機種別の内訳をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/94
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095・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 機種別の内訳はできておらないと思います。しかしもう一ぺん資料のデータのバック・グラウンドを見まして、ございましたら別に説明させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/95
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096・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は三十五年度の目標を立てるときには、あるいは積み上げた方式ではなかったと思うのです。機種別をずっと積み上げて、三十五年度の目標ができたものでは必ずしもなかったと思いますけれども、一応目標ができますと、それに相応いたしまして、当然私は政府では重点的に政策を行う意味においても、その必要性からも、やはり機種別の目標が必要ではないかと思うのです。そうしなければ、一体たとえば光学あるいはその他のミシンのような軽機械でいくのか、あるいはプラントとでいくのか、プラントの中でもどういうものに重点を置いてやるのか、あるいは五カ年間の目標の中でこの二、三年はこれに目標を置き、さらにその二、三年の間に国内的な生産において培養をして、輸出はさらに三、四年後にこの分は伸ばす、こういう政策がなくては、機械の輸出の政策をいろいろ立てる意味において非常に不便であるだけでなくて、政策の遂行そのものができないと思うのです。そこで私は機種別にどういう点に重点を置き、その五カ年計画の内訳はどういうように考えられておるか、これをお聞かせ願いたかったわけですが、全然資料がないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/96
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097・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 輸出の問題は実は五カ年計画作成後におきましても状況によって相当変化ができております。われわれといたしましても、今年度の目標については輸出会議に目下諮ってきめようと思ってやっておるわけでございます。今後の問題についてもできるだけ実際的な計画を立てたいと考えております。五カ年計画の今まで作成しましたもののバック・グラウドがどうなっているか、これは資料を調べまして、ございましたら別に御説明させていただきと存じます。それからどういうふうな機械に重点を置くかということでございますが、今後機械は全般としましてわれわれとしては重点的に取り上げて推進していきたい。従いまして重機械類ももちろんのこと、軽機械類もともどもに伸ばしていきたい。もちろん市場によりまして、午前中も御説明申し上げましたが、東南アジアとか、さようなところでは経済開発が非常に多うございますので、発電機械とかあるいは産業機械とか、農業用、灌漑用のものとか、さような産業関係、経済開発に役立つ機械、あるいは鉄道車両とか、さようなものの需要が相当多うございます。しかしながらドル地域、ことにアメリカ市場あたりになりますと、ミシンとか双眼鏡とかあるいは写真機とか、このような軽機械類も相当期待されるわけでございます。さようなわけ合いでございまして、市場別に見て軍機械、軽機械と、相手国を考え、今後目標を立てて大いに伸ばしていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/97
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098・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうもそういうことでは重化学、ことに機械の生産は十分な目標を達することができないと思うのです。政府がまだ十分な計画を持たないという状態において、政府にコンサルタントの機関でも設けてよく相談をしろとか、あるいは相談機関を設けるといいましても、政府自身の計画が十分ない、こういうことでは機械の輸出の振興という目的は十分達し得られないと思う。なるほど五カ年計画のバック・グラウンドがあったかなかったかということを私は言っておるのじゃないけれども、五カ年計画ができた以上、あるいはバック・グラウンドでなくても、それに基いて一応政府としては政策を樹立されるというのが、ことに私は当局の当然しなければならない作業であると思うのです。それがまだできておらない。行き当りばったりだということではなく、今後どういう機械が海外に伸びて、どういう機械の生産に重点を置くか、こういう施策がなければならぬと思うのです。機械は全般的にやるといえばそれまでですけれども、やはりそのうちでも超重点的にはどういうものをしなければならぬ、あるいはさらにこの部分についてはかなり進んでおる、あるいは日本の技術でもこれはポピュラーな製品であり、そう型も変らないから、日本でも価格さえ安くすれば、あるいは大量生産をすれば伸びていく、こういう政策がなければならぬと思うのです。それで私はそれを聞いておるわけですが、一体その計画がないというようなことでは役人としての務めが勤まらないと思うのです。一体政務次官は、各機種別ごとの計画がないという状態でこの重工業局の役目が勤まると思いますか。電力のように一本であれば別ですが、機械という場合は多種あるわけです。ですからどういう機械を伸ばしていくかということがやはり考えられ、また海外の市場はどういう状態になるだろうかという一応の計画がなければならぬと思うのです。そうしなければ民間の指導ができぬじゃありませんか。一体政府はどういうふうに考えておるか、これを政務次官から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/98
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099・川野芳滿
○川野政府委員 機械類等の輸出に関しましては、輸出会議を開きまして、そうして輸出目標を定めて現在やっておるような次第であります。今後さらに具体的な問題につきましては検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/99
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100・多賀谷真稔
○多賀谷委員 重工業課からかなり膨大な資料が出ておるのですけれども、過去の資料ばかりであります。統計も過去の統計ばかりでありまして、一応の目標というものが全然掲げられていない。三十五年度の目標が一つ掲げられておるのみであります。これは繊維についても言い得るのでありまして、繊維のあれだけの設備制限が出れば、時限立法ですからその時限立法の期間内には一応どういうような推移をたどるであろうというくらいの計画が立てられてしかるべきである、これもまた同じであります。なるほどこれは共通の部分品の部門だけでありますけれども、機械工業全般の政策の中の一つとして、その一つの柱として出されたものでありますから、私たちはやはりその政策の全貌を知りたい、全貌の上に立ってこういう政策をわれわれは審議していきたいと思うのであります。しかるに繊維工業におきましてもその五カ年計画というものが出されないで、過去の実績ばかりを統計に出されておる。また今日この機械の振興法案をわれわれが審議するに際してもその通りであります。われわれは計画の上に立って審議をしておるのです。なるほど経験主義でいけばわかるかもしれませんが、そうまではいきません。やはり政府としてはいろいろな情勢を判断されて、あるいはいろいろ調査をされ、研究をされて、少くとも機械については大まかな機種だけでもやはり計画を立てるべきが至当であると考えるのであります。それがなければ、私はかなりの質問を用意しておるのですが、できないのです。たとえば、今後政府としては超重点的にはどういう機械を伸ばしていくがいいか、あるいは日本はいわば中進段階にある国であるが、こういう国にはどういう機種がいいだろうか、あるいは東南アジアの状態はこういう状態であるが、それにはどういうような機械がいいだろう、どれが伸びるのだろう、こういう質問をわれわれはしたいと思うのですけれども、根本的な五カ年計画の計画がないというようなことでは、私たちは残念ながら審議をするわけにいかない。私は本日は審議をやめます。ですからあす、こういう機種について、大まかでもけっこうです、私は必ずしもそれが絶対不変であるということを要求しておるのじゃないのです、大体でよろしゅうございますから、第一目標はこれ、第二目標はこれ、あるいは最終的な目標はこれと、どちらでもいいのですから一つ出していただきたい。そして輸出はどのくらいになるのだ、生産はどのくらいになるのだ、こういう内訳を出してもらわなければ、過去の資料を幾らもらいましても、われわれは今後の政策を審議しておるので、審議の材料にならないわけですから、それをお願いいたしたい。そこで私は本日の質問を以上で打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/100
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101・鹿野彦吉
○鹿野委員長代理 次会は明二十四日午前十時より開会いたすことにして、本日はこの程度で散会いたします。
午後二時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X05519560523/101
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