1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月九日(木曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 春日 一幸君
淺香 忠雄君 大平 正芳君
奧村又十郎君 加藤 高藏君
川島正次郎君 吉川 久衛君
小西 寅松君 杉浦 武雄君
竹内 俊吉君 内藤 友明君
夏堀源三郎君 古川 丈吉君
保利 茂君 坊 秀男君
前田房之助君 山村新治郎君
山本 勝市君 井上 良二君
木原津與志君 竹谷源太郎君
田万 廣文君 平岡忠次郎君
横山 利秋君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 森永貞一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(理財局長) 河野 通一君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
大蔵事務官
(為替局長) 石田 正君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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二月七日
炭鉱医療施設の敷地払下げに関する請願(松井
政吉君紹介)(第三二四号)
揮発油税率引上げ反対に関する請願(田中利勝
君紹介)(第三二五号)
ビール税率引下げに関する請願(横川重次君外
三名紹介)(第三五三号)
同(今井耕君外一名紹介)(第三五四号)
同外二件(福田赳夫君紹介)(第三五五号)
同(横路節雄君紹介)(第三九二号)
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法
律の実施に関する請願(塚田十一郎君外二名紹
介)(第三八八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
小委員長の補欠選任
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八号)
製造たばこの定価の決定又は改正に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
賠償等特殊債務処理特別会計法案(内閣提出第
一三号)
日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の
延期に関する法律の一部を改正する法律案(内
閣提出第一四号)
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一九号)
大蔵省関係法令の整理に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三号)(予)
在外公館等借入金の返済の準備に関する法律を
廃止する法律案(内閣提出第四号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
所得税法の一部を改正する法律案外八法律案を一括議題として質疑に入ります。質疑は通告により順次これを許します。横山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/1
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002・横山利秋
○横山委員 ただいま提案になっております諸法律案について、大蔵大臣に御質問を申し上げたいと思います。
顧みますと、一萬田さんが大臣になられましてから、税制の改正はすでに再び三たび、今また行われようとしております。これを当初のあなたのお始めになりました公約からずっと通観をしてみますると、第一次にあなたが公約をされたものは、大幅減税であります。昨年の総選挙においては、鋭く三つのことが言われておるのであります。この三つのことは、中小企業に対する減税であります。第二番目には、低額所得者に対する減税であります。第三番目については、租税がむずかしいから、これをわかりやすくする、法律を合理化するという公約でもあったわけであります。今ここに提案をされております法律案は、主として勤労所得税の軽減というものに対する見返り財源、こういうのが現実の問題であり、そうして租税の根本的改正は、あげて三十二年度にあなたは見送ろうといたしておるわけであります。この累次にわたるあなたの御説明と、それから実際に行われております税制の改革に非常な懸隔があるということを、私どもは見るがすわけには参らないのであります。この点について、まず従来の経緯、並びにどうしてこういうことになったかという点について、大臣の所信を明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/2
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003・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、自分の申しましたお約束は、順次果しておると確信いたしておるのでありますが、特に減税につきましては、御承知のように、戦後における財政需要は非常に大きいのであります。しかも日本の経済を拡大していくためには、どうしても財政の健全ということが必要で、御承知のように、すでに二カ年にわたって一兆円の規模の予算を組み、さらに三十一年度も健全な予算を細む、こういうふうな基本的な制約がある結果、あるいは十分なる減税をそう急速にやり得ないということは、これは私はやむを得ないと思います。しかしながら、すでにそういう苦しい財政下におきましても、毎年減税をいたしておると申しても差しつかえないのでありまして、特に低額所得者に対しては特別の配慮をして、今回はまた、月額二万円余の所得については、所得税を課さない。これは、同時にまた中小企業の方々にもみんな均霑をいたすと私は思う。ひとりこれは勤労者だけではないのであります。なお中小企業について、税の上についても、先般配慮を加えておるように思うのでありまして、またこの中小企業については、単に税ばかりでなくして、もう少し基本的な点において、中小企業対策というものを立てていかなくてはならない。それからまた、税の根本的な改革を三十二年度に持ち込んでおる、こう申しておりますが、税の根本的改革となりますと、これはなかなか容易でありません。どうしても時間をかけて、そうして慎重にやらなくてはならない。そういう意味におきまして、根本的改革は三十二年度に譲るということになったわけでありまして、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/3
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004・横山利秋
○横山委員 今のお話は、大臣が経過を思い出されないか、それとも実情を御存じないか、二つに一つではないかと私は考えざるを得ない。何とならば、今お話になった今回の減税が中小企業に何とかなるというようなお話は、いささか意外なお話でありまして、どういうところが今川中小企業に減税になるか、一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/4
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005・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 直接の中小企業についての減税は、先ほど申しましたように前回あったのですが、私は、特に低額の給与を受けている人が、中小企業に関係しておる人に非常に多いと思う。そういう意味において、直接に中小企業というわけではありませんが、中小企業に関与している人にやはり多く均霑するだろう、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/5
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006・横山利秋
○横山委員 中小企業の定義について誤解をしておられはしませんか。企業を経営している人を中小企業といって、中小企業に働いておるひとは、勤労者と称するのであります。勤労者に対する給与所得控除が今回行われたにすぎないのでありまして、中小企業に対する減税は何ら今回行われていないのであります。かてて加えて、先年の中小企業に対する減税は、政府提案ではなくて、議員の手によって行われたのであります。所得五十万円以下についての減税が行われたのであります。こ点のについては、先般の自民両党の提案者の御説明によりますと、今回は中までは行かなかった、小企業に対する減税であるといわれておる、その中小企業の中に対する減税はこれを次回に譲る、こう答弁をせられておるわけでありまして、この点については、大臣が昨年の総選挙においてお約束をなさいました中小企業に対する、特に中というところに対する減税いうものは、今日何ら行われていないのであります。もちろん中小企業に対する援護、援助と申すものは、単に減税にとどまるわけではございません。金融にあり、あるいはそのほかの方面にありとは申しながら、大臣が強く約束をされました中小企業全般に対する減税というものは、ほとんど見るべきものがないのであります。この点についてどういうふうにおやりになってきたか、今後どういうふうにしようとするのか、この点を重ねて明らかにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/6
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007・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 中小企業につきましては、今回の予算では、特に私は金融的措置をとっておるのでありますが、中小企業はむろんのことであります。減税一般についての、あるいはまた税制一般についての基本的な点は、今せっかく調査会で、御検討、御審議願っております。その結論を得まして、三十二年度に断行したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/7
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008・横山利秋
○横山委員 重ねて御質問をいたしますが、臨時税制調査会に対して諮問願っておるということは、これは民主的なやり方で、けっこうであります。問題は、大臣が中小企業に対する減税を強く約束せられ、中小企業に対して今まで何もしなかったことに対して、これからどういうふうにしようとするのかという点を、あなたの所信を明らかにしてもらいたいというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/8
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009・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 従来とても中小企業に対しての税の軽減をやらなかったわけではないのでありまして、事情の許す限り、やはりやっておるのであります。なおこれ以上につきましては、先ほどから申し上げますように、三十二年度において断行したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/9
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010・横山利秋
○横山委員 それでは、三十二年度においてあなたは中小企業の減税をなさるというわけですね。昨年及び本年の両年において、先ほどるる私が御説明をして大体御了解がついたと思うのでありますが、この二カ年については、中小企業の減税はできないということになるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/10
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011・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 先ほどからしばしばお答え申しましたように、そのときの財政状況等が許す限りにおきまして、あるいはまた他との均衡において適当である限り、中小企業についても減税をやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/11
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012・横山利秋
○横山委員 お声が少し小さいようでありますけれども、その点については、あなたのお約束を誠実に実行されなければならぬと私どもは思っておるのであります。ことに昨年の所得五十万円以下、三五%という数字につきましては、提案せられた自由党、民主党の御両者とも、これについてはやや低きに失するというふうなお話を承わり、将来への期待を与えられたようなことであります。大臣としても、中小企業に対する減税を、この際すみやかに先行されるようにお願いをしておきたいと思うのであります。ついては、それに関連をいたしまして、大臣は本会議におきましても、三十二年度においては税の根本的改正をなさると、こう言って、本年度の税制については、勤労所得税の控除率の引き上げということにとどめておられる。あげてこれを来年、再来年に期待を持たせようとしておられるわけでありますが、それでは全く先年来のあなたの御説明に対して期待を持っておった国民としては、ふんまんやる方ないところがあります。一体三十二年度に何をなさろうとしておるのか。どういうことをもってその期待にこたえられようとしておるのか。その点、あなたの考え方を臨時税制調査会に藉口しないで、こういうふうなことをするということを、この際明確に示してもらいたい。それが示されなければ、われわれが今提案をされておりまするこのほんの少しの所得税法の改正ないしはその他の税法の改正というものは、根本的な議論の立場がないのであります。今回はこの不均衡の是正ぐらいだ、次は大きくどさんとやるというのならば、そのどさんというのは一体何であるかということを、一つ明確に示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/12
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013・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 税制の大規模な、あるいは根本的な改革は、これは申すまでもなく国民生活並びに経済に及ぼす影響というものは非常に大きなものだ。従いまして、この改革については、非常に慎重な研究、用意が必要であると考えております。従いまして、きわめて有力な調査会の審議にかけまして、十分各方面の意見も聞いて、その上でやりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/13
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014・横山利秋
○横山委員 それでは、あなたは大蔵大臣として、来年度の税制改革の方向を何らお持ちになっていない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。まことに失礼な質問でございますから、私はそういうことに考えたくないと思うのであります。大臣としては、今年度はこの程度の不均衡是正にとどめて、来年度は根本的な改正をなさるとしばしば明言をなさり、本会議においても、間接税を減らす方向にやるとか言われ、そういうふう言っておられるのでありますから、この際、所管する大蔵委員のわれわれに対して、来年度からはこの方向に原則を置いてやるという納得のいく御説明をぜひとも願いたいと存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/14
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015・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私が今ここで具体的に言わないから、大蔵大臣は税制の改革について何らの意見を持たない、そういうふうな筋合いのものではないと思います。これは、先ほど申しましたように、非常に重大なる影響を与える。必要な時間の限度において、虚心たんかいに各方面の多くの意見を聞くということは、少しも差しつかえはない。問題は時の問題であるのでありまして、税制の改革ができるまでの間に十分の——たとえば今お話がありましたように、間接税と直接税との割合をどうするか、こういう点については、むろん若干の考えを持っております。やはり直接税から間接税に比重を移していくのがよかろう、私はこういう考えを持っておるのであります。しかしこれも程度の問題で、よくつぶさにいろいろな情勢を検討した上で、どうするかという具体的なことを考えていきたい。また特に税の公平を期するというようなことも、具体的に各税にわたって、それぞれの関係において十分なる調査を必要とする、かように考えておるわけであります。なおまた税の簡素化をする。だれが見てもよくのみ込めるような税制にするというようなこと、これはまた非常に技術的な点にもなるのでありまして、こういう点も、やはり専門家の十分な検討を待つということは適当と思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/15
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016・横山利秋
○横山委員 今お話の分では、慎重を期するということと、不公平を直すということと、それから税の簡素化をするという三つに尽きるようであります。その三つでは、大蔵大臣としてわれわれに法案を本年度いろいろ提示して、来年まで待ってもらいたい、根本的な論議は一つ来年に延ばしてもらいたいという立場からいうならば、きわめて不親切であるか、あるいはあなたが無計画であるか、どちらかであると私どもは判ぜざるを得ないのであります。そういうことではならぬのであります。私どもは、ぜひとも本年度において税の全般的な改正をいたしたいものだとかねがね痛感し、それなればこそ、昨年においても、租税改正のときにもあらゆる問題をひっさげて、政府の皆さんに、あるいまた与党の皆さんに、準与党の皆さんにお願いをして、その際、臨時税制調査会にも諮問してあるから、三十一年度においてはということを、繰り返し答弁を承わっておるのであります。ところが何ぞはからん、臨時税制調査会は、大臣の意向を受けられたかは知りませんけれども、三十一年度は適宜な手直し程度で、三十二年度にあげて送ってしまったのであります。もちろん臨時税制調査会の委員諸君が客観的に見て審議をしたものだと私どもは思います。思いますけれども、その客観的な判断の基礎になっておりますのは、ある程度は、やはり大蔵省の事務当局なり大臣の意向がそこに反映しておるものと私どもは推察するにやぶさかではないのであります。しかりといたしますならば、国民の期待を裏切り、あるいは大蔵委員のわれわれの期待を裏切って、三十二年度にすべての期待を持たせようというについては、それだけの理由がなければなりますまい。また三十二年度においてかくかくのことをするからという問題がなければならぬと思うのであります。しかも現にあなたが、そういう三つの答弁をなさいますけれども、臨時税制調査会の中間答申にある程度もたれて勤労所得控除の引き上げをするというならば、この臨時税制調査会の中間答申の中に含まれる諸問題が三十二年度の税制改革の基礎になる、こういうふうなお答えでもあるかと思いますと、それもないのであります。しからば、この中間答申案に含まれる将来の諸問題について、あなたは一体これをどうお考えになるのか、それを伺っておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/16
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017・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 三十二年度に税の根本的改革を持ち越した、これは先ほどから申しますように、いろいろな準備が要るということが一つありますが、同時にまた、こういう根本的改革をするについては、わが国の経済の情勢ということもやはり他方で十分にらんでやらないと、税の根本的改革といってもなかなかうまくいかない、そういうふうな諸般の情勢を考えまして、三十二年度が適当、こういうふうに私は考えたわけであります。なおその間においてやり得べきこととして、給与所得者の税負担はだれが見ても重い、これはほとんど一致した見解であろうと思いますので、財政の許す限りにおいて、中間的に控除額を引き上げるという措置をとった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/17
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018・横山利秋
○横山委員 大臣は一体何を言っているのですか。私の質問と全く見当違いな御答弁をなされているのです。私の質問をいたしておるのは、この中間答申案でことしやれといっていることを、あなたはやろうとなさっておる、しからば中間答申案を尊重しようとしたのか、しからば、中間答申案の内容に含まれる来年度に対する影響ある重要な問題について、あなたは尊重しようとしておるのか、しておられないのか、尊重しようとしておるならば、それがあなたの三十二年度の税制改革の基本にならなければならないじゃないか、それについてどう思うかと質問をしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/18
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019・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今回給与所得者の控除を引き上げたのは、先ほどから言いますように、調査会の中間報告にもありましょうが、しかしかりにそういう報告がなくても私はやるというわけであります。調査会の方からは、結局最終的な報告が出るわけでありますから、十分それについて検討を加える、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/19
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020・横山利秋
○横山委員 大臣はどうも中間答申をお読みになっていないと思うのです。三べんも御質問するのはいかがかと思いますけれども、もう一ぺん御質問いたします。この勤労所得控除を今回やろうとするのは、ここに書いてあろうと書いてなかろうとやるのだとあなたはおっしゃる。そういうことは私の質問と逆の意味で、中間答申案なんか問題でない、おれの信ずるところをやるのだ、こういうふうな御答弁ならばそれでよろしい、私はそれで納得します。しかし中間答申を尊重する建前から勤労所得控除の引き上げをやるというならば、そのあとに控える中間答申がいっております重要問題について、あなたはやろうとしておるのかいないのか、三十二年度にそれをやるのか、こういうことをお伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/20
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021・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 少しく話に食い違いがあるようでありますが、私が先ほどから言います給与所得者の控除の引き上げということは、ほとんどだれが考えてもそうすべきだという考え方があるという意味においてこれをやる。従いまして、むろん税制調査会の中間報告等においてそういうことが取り上げられることも、私は当然であろうと思います。それから、それならその他の中間報告に書いてあることはどうするか、これは調査会としての結論が出ますれば、私は十分尊重をして考えていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/21
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022・横山利秋
○横山委員 最後のところが、やや私の質問に近寄ってきたように思うわけでありますが、まだどうも私の聞こうとしているほんとうのことについて、あなたはお答えになっていないようであります。私は、中間答申案が絶対だという建前で質問しておるのではありませんけれども、三十二年度に何をあなたがおやりになろうとしておるのかという点について、今回出ております法律案の根底をなす税制についての考え方をあなたに聞こうとしておるわけです。その意味では、勤労所得控除を今回取り上げてやられたのは、中間答申案を尊重なさった、こう見る。しからば、また答申案が将来に尾を引いて投げかけている問題についてやろうとしているのかと言って聞きますと、あなたは最終答申に出ればやる、こう言っているのです。しかし、ここにあります重要な将来に与える示唆というものは、最終答申によってひっくり返るようなものではないと私は理解しておるのであります。もしそれがひっくり返るようなことでありますと、ここに書いております今年度やることについても、基礎がくずれてくるのであります。従って大体最終答申については、ここにあります重要な問題の具体的な答えになってくると思うのですが、その具体的な答えになってくると予想せられる諸問題について、あなたは三十二年度においてやろうとなさつておるのか、なさっておらないのか、それともはっきりいえば、まだ何も考えていないというのか、そこを一つ明確に削り切って答えていただければ、この項に関する質問はこれで終るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/22
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023・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の答弁は、あるいは御意に満たないのかもしれませんが、私は、やはり中間報告は一応問題を提起しておるが、結論を出していないと思う。それは結論になって出ますれば、先ほどからしばしば申し上げますように、いやしくもりっぱな調査会を作りまして、そうして事が重大であるから特に御審議を願って、その結論が出るのですから、これを私は尊重いたすべきであろうと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/23
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024・横山利秋
○横山委員 どうもあまりこの問題について時間を食いますから、簡単にこの問題についての私の意見を申し上げて、大臣に一つお考えおきを願いたいと思うわけであります。
少くとも私どもは、本年度に根本的改正をしたいもの、こう考え、それが国民の期待に沿うものであり、また大臣初め政府が国民に公約をされてきた道に従うものだと確信をいたしておるわけであります。それなるがゆえに、今回かりに政府が提案をいたしております手直し程度の税制をやるにしても、その背後には、来年にはこういう筋とこういう筋とが税制改正として行われるんだということを、大蔵委員会の討議を通じて明らかにする義務が、野党にも与党にも政府筋にもあると私は確信をいたすのであります。これがなくて、単に手直しの税制改正をこの大蔵委員会がやって、来年はどうなるかわからぬ、こういうことであれば、私どもはきわめて国民に恥かしく思わなければなりません。従って機会を別にして、大臣は税制改正の方向を国会を通じて、来年やるというならば、その方向について明らかにする義務があると私は思うのであります。大臣が、どうも中間答申を十分にお読みになっていないといってはまことに恐縮でありますが、もしもずっと考えておられるならば、このような私の質問に対して、ここを通じて国民に明らかにされる必要があり、またそういうことができるのでございますから、私のこの問題についての質問はここでやめますけれども、その点について、一つ次会に明らかにしてもらいたい、こういうふうに要望をいたしておきます。
それから第二番目には、今回出ましたのは、今御説明になった勤労所得税の軽減であります。この軽減について議論になりました臨時税制調査会では、直接税のうち、給与所得者の負担は他の所得者の負担に比べて特に重いと認められるから、この点に関する不均衡の是正は、あとう限り三十一年度において行うことが望ましく、間接税の増徴によってでもやれという、口をきわめてこの問題に重点を注いでおるわけであります。昨年の暮れ、何か与党内で一八%とか一七%とかいう数字が出ましたから、それではあまりにもいかぬぞというふうにお話を申し上げておいたところ、今回二〇%という数字が出ました。御存じのようにシャウプ勧告以前は二五%であります。この二〇%におきめになつた根拠は、一体どういうものであろうか、それは、たとえば財政の収支の状況とか、あるいはまた負担率が重いとかいう議論がございましょうが、まず第一に、私は二つの質問をしたいのです。一は、勤労所得者の税負担が重いとここではいっておりますが、政府内ではどういう数字をもって重いと判断をされたか、それがどうして二〇%という数字に適合しておると思われたのか、そのほかどんな理由があって二〇%になったのか、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/24
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025・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 多少問題が技術的になりますから、私から御答弁申し上げる方がいいと思います。勤労所得者の負担が重い、これは世間でよくいわれておることであり、当委員会でもしばしば言われておるところであります。この点について、数字的にどれだけ思いかということになりますと、実は問題がかなり複雑になってくるのであります。と申しますのは、単に税制の上というだけでなしに、執行の問題ともからみ合いまして、総合的な結果において、現在の能力をもってしますれば、やはり勤労者の所得税が思いというのが、世間一般の声だというふうに私は考えております。税制調査会におきましても、大体そういう御議論がありました。源泉で徴収されるがゆえに、先払いになるのじゃないかとか、いろいろこまかい技術的な点もございますが、その点になれば、他の所得者にも同じような問題があるわけでございますが、主としてはやはり決行の問題とからみ合いまして、源泉で徴収される場合におきまして、相当的確に把握されるという問題も見のがし得ない事実でありまして、他の申告所得税におきましても、この点については公正を期してやっておりますが、相対的に考えますと、やはりそういった点が残るというところに一つの結論があるように思います。同時に、五%上げるのがいいかというような点になりますと、今言ったような理由によりまして、はっきり五%程度上げればこれで均衡を得るのだという数字は、なかなか見出しがたいようでございますが、一応各方面の御意見を伺いまして、せめて二割ぐらいというところに持っていくべきじゃないか、こういうような御意見が出まして、二割という数字を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/25
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026・横山利秋
○横山委員 今のお話を聞きますと、大体こんなことだという御答弁に尽きるようであります。そういうことでは水かけ論になるおそれがありますから、先般の大蔵委員会で、私から、その負担が重いと判断をせられた資料を当委員会に提出していただくように願つてありますから、あらゆる角度から、どう重いかという数字を提供していただいて、それを中心にして議論をいたしたいと存じます。勤労者は、ぱっと考えますと、昔二五%であったということであります。特に重いということは、大臣は臨時国会において、参議院、衆議院の本会議、委員会を通じて、何回も何回も強調せられたところでありますから、勤労者が期待をいたしましたのは、昔に返るのか——昔というほどでもありません。また数年前に返るのかと考えたのであります。従って、その点については、二五%がどうしていけないかということを、あなたにおいても明確にしていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。大蔵大臣として、この二〇%の問題についてどういうふうに判断をせられたか、それを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/26
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027・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 二〇%が適当であるか、これはいろいろと数字的な根拠もあると思いますので、主税局長からあとで答弁させますが、何も私は二〇%に限れという意味でもないと思います。これは、今日財政の許す限りにおいて、同時にまた他の税負担との公平というような見地も入れまして二〇%を適当とする、こういう判断でおるのでありまして、今後の税の改革の次第によりまして、あるいはまた財政の許す限りにおいて、さらに私ども考えた方がよろしい、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/27
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028・横山利秋
○横山委員 私が大臣にお尋ねしたいのは、こういうことなんであります。それは、中間報告で、勤労所得税が特に重いから、これをできる限り三十一年度にやれと言っておりますことは、私は暫定措置として言っておると理解しているのであります。根本的に不均衡を是正するという立場ではないと私は考えているわけであります。大臣の今のお話では、二〇%が必ずしも適当であるかどうかについては明言ができない、従って、これを根本的に是正するにおいては、二〇%というようなことはさしあたりの問題であって、シャウプ勧告以前の二五%に戻すのが妥当ではないか、そう私は考えるのでありますが、大臣は、二〇%をもって勤労者とその他との負担の不均衡の是正と考えられるのか、それとも暫定的な問題として考えられるのか、その点をお伺いして、その答弁によってもう一ぺん質問したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/28
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029・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういう点は、私の考えでは、なるべく固定をして、それが永代不易になる、そういう考えはちっとも持っておりません。ただ私は、シャウプ勧告前に返ることがよいか悪いか、それを今約束し得るかどうか、これは今税制全体にわたっての改正をせっかく考えておるのでありますから、その際にぜひ検討を加えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/29
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030・横山利秋
○横山委員 わかりました。大臣は、まず暫定的に勤労所得税の軽減をする、根本的には、さらにこの問題も含めて議論をすべきではないか、こういうふうに御答弁をせられたと理解をいたします。
そこでもう二、三質問があるわけでありますが、どうしてもその質問の前に、恐縮ですが、もう一ぺん聞いておかなければなりません。質問をする土俵があなたと私と違いますと、先ほどのようなことが起りますから、もう一ぺん念のためにお伺いしておくわけでありますが、あなたは、中間答申案を尊重せられておるかどうか、これだけ一つ聞いて、それから土俵を一緒にして質問をいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 こちらか審議をお願いして、その結果中間の報告もあったのでありますから、そういう中間報告でありましょうともできるだけ尊重いたしますことは、申すまでもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/31
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032・横山利秋
○横山委員 わかりました。それでは一つ御質問をいたしたいと思います。最初は、非常にこまかい問題で恐縮でありますが、この中間答申案に、地方財政の赤字を解消する措置として幾つかの項目をあげているわけであります。その中にこういう文句があります。「揮発油との均衡を考慮し、自動車用に対し消費税を課税する。」その前の項に、「受益者負担の趣旨を徹底するため、目的税として都市計画税を創設する。」とあります。都市計画税は目的税だ、受益者負担の趣旨を徹底する、こう言っておるのであります。第二番目は、その前文がなくて、いわゆる消費税を課税する、こう言っておるのであります。常識的に考えまして、前者は目的税、後者は一般税、つまり軽油税は一般税だ、こういうように言っておるのであります。大臣はそのように理解していらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/32
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033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は必ずしもさように考えておりません。なお主税局長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/33
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034・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 軽油課税の問題につきましては、揮発油税がございまして、それに対して地方道路税、これが道路のための目的税といったような格好でできております。従いまして、それと同じような趣旨によりまして、道路財源ということを考えまして、軽油税を作ったらどうか、こういう話が出ておりまして、それが今の中間答申案の骨子になっておる、私はそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/34
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035・横山利秋
○横山委員 経過がどういうふうであったか今伺って経過としてはわかりました。しかし、この本文に出ております言葉は、目的税としてすでに都市計画税にありますような文章と同じように前文に並ぶか、前文があって、イ、ロと並ぶか、どちらかにしなければならぬことは、法律の大家である渡邊さんもよく御存じのことだと思うのであります。ここにありますことは、これはやはり一般財源として軽油税を取るのだ、こういうふうにだれしも理解するのが当りまえのことだと私は確信をいたします。それにもかかわらず、あなたの方では、この軽油税を道路財源として、目的税として、今回地方税の改正としてお取りになるようでありますが、この点は中間答申案の趣旨に非常に反することになるわけであります。大臣はこの点を御理解しての上でありますか、それとも別な立場からなさったことでありますか、それを大臣にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/35
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036・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 経過というふうな意味で申し上げましたが、私中間答申の御審議の際に出ておりましたが、確かに横山委員のおっしゃるように、目的税ということをはっきり書いてはございません。委員方の趣旨は、軽油税は、地方道路税あるいは揮発油税と同じような考え方において目的税とすることについては、何ら差しつかえないというお考えであるようにわれわれは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/36
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037・横山利秋
○横山委員 われわれ国会議員並びに国民は、経過は知っておりません。中間答申案をすなおに見て、すなおに考える、こういうことであります。法律についても同じことでございましょう。従って、この点については、中間答申案として天下に公表せられた内容と、政府がおとりになった措置は、重大な食い違いがございます。この食い違いによって生ずるもろもろの問題があります。従って、この軽油税の問題については、非常な発展を見せることと推察をいたすわけでありますが、この矛盾の根本原因は、政府のおとりになった措置が、中間答申案のこの文章から起る解釈と明らかに違う点によって生ずるものだと思うわけであります。従ってこの点については、大臣に一つ再考慮を求めなければならぬと存じます。軽油税の討論につきましては、また別な機会に譲るといたしまして、この点について、中間答申案を尊重なされておらないところをまず指摘しておかなければならないと存じます。
それから同じような問題でありますが、中間答申案の中に、国鉄を初め、三社に固定資産税をかけるという問題が出ておるのであります。これは単に固定資産税であろうとなかるまいと、すでに三公社はほかにいろいろと税金を出しておりますが、かてて加えて、数十億という税金を取ることについて、大蔵大臣として、税と公共企業体の問題についてどういうふうにお考えでありましょうか。公共企業体というものの公共性というものが、その立法の措置、でき上った立場からいうならば、税はまず取らないというふうに法律にも書いてあり、明文化されておったところでありますが、その後ちょこちょこ取られて、今度は国鉄を例にとりますと、平年度で三十六億を取るというのであります。一方においては財政投融資を、あるいは建設公債を国鉄へ流し込んでおられるのであります。このような公共性ある企業体である国鉄なりあるいは電電公社に対する、大蔵大臣としてのものの考え方の基本を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/37
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038・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 公共企業については、いろいろ性格の相違もあると思いますが、今回三公社に固定資産税といいますか、あるいはほかの方法、交付税になりますか、税的な負担をしてもらうことにいたしたのであります。これは、そういうものまで税を課さずに済めばそれはそれでいいと思いますが、今日の地方財政の状況から見まして、どうしても地方に財源を与えて、これを充実する必要がある、これはだれも御異論はないと思う。そうした場合におきまして、これは企業体になっておりますので、ある程度の負担をさせることは私差しつかえない、こういうふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/38
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039・横山利秋
○横山委員 今の大臣の答弁は、少し要領を得ないのであります。公共企業体というものの各国における基本的な考え方を調べてみますと、官庁経営を能率的にするということに尽きるようであります。企業的なよさというものを官庁経営の中において取り上げるというところに問題の焦点があるのでありまして、そこに考え方の基本を置かなければなりません。しかも公共性というところを中心にして新線開発をやり、あるいは運賃の値上げを抑えるというのであるならば、そこに大筋を立てなければならぬ、ところが今回三公社から平年度七十億に余る税金を取ってやろうというのは、公共企業体の独占性というものを今後は一つなくして、競争性というものを認めようというのか、私営企業と同じようなレベルに置こうとするのであるかどうか、これがまず一つの質問であります。
もう一つの質問は、今国鉄なりあるいは専売が非常に赤字で、専売も今度たばこの値下げをして増収をしようとしておるときに、そこへ税金を課するということはどういう意味であるか、ちまたの人が言ってておるのを聞きますと、この三十六億を国鉄から取るかわりに、政府は参議院の選挙が済んだら運賃値上げを認めてやる、こういう密約をしたと伝えられておるのであります。もしそうであるならば、これはきわめて矛盾もはなはだしい問題といわなければならぬと私どもは思うのであります。常識的に考えて、三十六億を取って、そのかわりに運賃値上げをしてやるということならば、それを差し引いたらどうだという議論も出ておるわけであります。これだけ多額の税を取って、公共企業体に対してどういうやり方をさせようというのであるか、運賃値上げを認めてやろうということにあなたは腹を据えられたのか、それとも、公共企業体の独占性を廃止して、私営企業と同格の地位において経営をさせようとするのであるか、この点について大蔵大臣としての財政上の所見を一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/39
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040・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は公共企業を私企業と同じに考えてここで税負担をさせようと、さようには考えておりません。ただこういうふうな企業体におきまして、この企業体のよって存在しておるそのまた地方の公共団体の関係において、公企業という性格を何もそこなわぬ限りにおきまして、その地方公共団体にそういう企業が寄与することは差しつかえないので、私そういうところの調整はとり得る、かように考えておるわけであります。なお御意見の点は、私そういうお説のような考え方も立ち得る、かように考えるのでありますが、しかしそれだけではないという考え方を私はいたしております。
運賃につきましては、これはしばしば運輸大臣が予算委員会等で御答弁になっておる通りと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/40
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041・横山利秋
○横山委員 不幸にして私は、運輸大臣の答弁を聞いておらないのであります。また私は、運輸大臣の答弁を要求しておるのではないのでありまして、大蔵大臣として、この三十六億の税金を取るかわりの問題として、運賃値上げということを認められたのか、また将来やろうとするのか、この点を一つ明確にしていただきたいことと、先ほど私の質問をしたことについて誤解があるようであります。あなたのような意見もあるようでありますがというお話を承わったわけでありますが私はそういう意見という意味で申し上げたのではない。あなたがお取りになろうとしておる措置が、そういうふうになってしまう可能性があるがいいかという意味で聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/41
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042・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、運賃を引き上げるということを考えて固定資産税を考えておるのではありません。運賃の値上げはしないということは、政府として運輸大臣がすでに御答弁なさっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/42
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043・横山利秋
○横山委員 時間がありませんから、また別の機会に譲りますけれども、今の運賃の問題については、運輸大臣が要求はしておるけれども、大臣としてはそういう考えはない。今年度中においてもやる考えはない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。これを最後の質問といたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/43
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044・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、今のところ運賃を値上げすることは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/44
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045・横山利秋
○横山委員 では、多少問題が残っておりますものの、次会に譲りまして、次の質問にかわります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/45
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046・松原喜之次
○松原委員長 次に平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/46
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047・平岡忠次郎
○平岡委員 現在日本の国民大衆に対しまして、税負担の軽減のための絶対的回答は、軍事費の削減削除に帰着すると考えます。私は、第二十二国会の当委員会の反対討論のときに、この点を主張いたしておったのであります。このことは、党の基本的な主張でございまするがゆえに、私はここに重ねて大蔵大臣に対し所見をお伺いする上におきまして触れたいのでありますが、しかし本日この委員会においては、租税制度のらち内におきましてこれが軽減の相対的回答を求めることが課題であると思います。そこで昨年もこのことに触れたのでありまするが、私は、大衆のための租税軽減の相対的回答の主軸をなすべきものは、明らかに租税特別措置法等によって庇護せられておるところの特定階級、または特定大企業のための偏向減税制度を廃止することであると考えております。年間六百億前後に上る恩恵減税を取り戻して、生活苦にあえぐところの低額給与所得者、中小企業者等の恵まれざる階層の税負担軽減の資に回す措置こそ、当面の大きな課題であると考えております。そこで、今回、われわれ野党の主張に耳を傾けて下さいましたか、この租税特別措置法の課題につきまして、退職手当引き当ての非課税積立金の限度を、現行許容の半分にするということで政府は応じてきておるのであります。私は、この傾向は非常によいと思うのでありまするが、これは予算作成に当って、財源が取り尽されてやむを得ずここに触れたという消極的政府の態度を意味するのか。それともこれをきっかけとして、現在の六百億の偏向減税に対して逐次斧鉞を加うるべき先触れとこれを考えてよろしいかどうか、この点につきまして、まず大蔵大臣の御所見を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/47
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048・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御質問の退職手当引当金につきましては、従来は全員一度に退職した場合を想定しておったのでありますが、そうまで考えなくてもよかろう、大体半分くらい考えたらよかろうというふうな考え方から、今回やったわけであります。むろんそれによりまして、若干の財源にはなりましたが、考え方としては今申した点にあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/48
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049・平岡忠次郎
○平岡委員 私はその内容は知っております。内容を聞いているのではなく、政府はいよいよ腹をきめて、この特定層に与えるところの不当な恩恵に対して見直すというように、態度を変えてきたのかどうかを聞いておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/49
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050・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 従来何も不当に恩恵を与えておったわけではないのでありまして、この辺でそういう程度の改正を加えてもよかろうかという意味合いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/50
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051・平岡忠次郎
○平岡委員 私は野党の立場としまして、この大蔵大臣の御所見に対しては完全に対決する立場にあるのであります。むしろ私は、大蔵大臣の今のお答えによりまして、この恩恵措置に対する取りくずしは大蔵大臣自身においては消極的だということを聞きまして、非常に遺憾に存ずるものであります。それから問題の取り上げ方につきましても、退職手当の引き当ての半額を限度とするということよりなお先に取り上げなければならぬ特別措置項目がたくさんあると思います。たとえば貸し倒れ準備金、あるいは価格変動準備金に対する恩恵措置等の存続は、今日ナンセンスであると思います。大蔵大臣は、物価の横ばいという点を強調されて、物価安定に資した政府の施策のよろしいことを呼号いたしておりますが、二律背反ともいうべきところの価格変動準備金非課税のごときものがまだ存続するということがおかしいではありませんか。私どもは、大蔵大臣の物価横ばいの御主張と背反するところの、価格変動準備金に対する恩恵措置のごときものは、一番先に抹殺してほしいと考えております。大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/51
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052・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 非常にごもっともな御意見のように感ぜられるのでありますが、物価の横ばいと申しておるのに、一般物価を言っておるのであります。価格の変動は、側々のものについては非常に変動するものがあるのであります。そういう意味合いにおきまして、これはやはり慎重に考えなくてはならぬ、かように考えております。特に私ここで申し上げておきたいのは、こういうふうにいたしまして、経済が安定すること自体が実は非常に重大なんで、これがすべての国民経済の基礎をなしておる。雇用にしてもそうあってこそ初めてふえる、そこで勤労大衆も恵まれてくる、こういうことであります。これは、総合的に全体としてよしあしを御判断願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/52
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053・平岡忠次郎
○平岡委員 数年後の国民経済の安定を目ざし、そのためには国富を増さなければならぬ。そのためには貿易振興もしなければならぬ。そのためには資本蓄積もしなければならぬという御所見はわかりますが、しかしそうしたすべての施策は、しょせん国民生活安定のための手段でございます。目的は国民の生活の安定であります。しかし現在では、そういう手段自身が国民生活そのものを危殆に瀕せしめておるという点に問題があるのであります。これはあなたと私の考えの相違であるかもしれませんが、私は、これは客観的に言えると思うのであります。それで租税特別措置の諸恩恵をやはりこの際洗い直してみるお考えはないかどうかをお伺いしたいのであります。私は、租税制度においては、公平の原則は基本的命題として尊重されなければならぬと思う。経済政策とか産業政策がこれにオーバーウェルムするようなことは、時限を切っての例外としては認められるとしても、根本的には許されぬことであり、これは考え直してもらわなければならぬということを強調いたしたいのであります。ただ、私どもも偏見とか先入主を除きまして、対外的な競争力培養というがごとき国民経済的見地から、租税政策の上においても、経済政策を取り入れることの必要を消極的には認めます。この点に対しまして、これはまるきりいかぬということは申しておらぬのであります。そこで、恩恵諸措置を一応洗い直して、現在の六百億というような大きな額を恩恵措置のために持たせずに、むしろそれを逐次四百億とか三百億に漸減していくということは、政府でお考えがないかどうか。これに関連して一つ私の御示唆申し上げたいのは、スエーデンの協同組合のことでありまして、いわゆるフェーデレーション組合連合会、KFといっておりますが、この協同組合の連合会での取り扱いは、食糧に関する限りはスエーデン全体の三三%、普通の生活物資に対しまして、全国総所要の一七%を満たしているほどの大組織であります。この協同組合の組織のうちに、われわれが注目すべき機関があります。それはホスピタル・コーポラティヴというものであります。私は初めそれを組合病院であるかと思った。ところがそうではなしに、いつでも単位組合の欠点というものに対しましてメスを加えて打診して回る回診班なのであります。この組織によりまして、スエーデンの協同組合というものの根本が徹底的につちかわれておるのであります。私はこの事例にかんがみ、国の経済発展のための非課税ワクを三百億とか五百億の限度内でプールして、それを国家が持ち、そして国際競争力から見て弱体な企業を強化するために、二年とか三年とかに限って租税上の軽減恩恵を施していく。プール的に租税特別措置のための資金を持っておるといふ建前に立つことが望ましいと思うのです。措置法を存続するなら、そのように変えていかなければならぬと思う。申請、陳情したやつが得をし、恩恵を継続独占するというような現在の偏したやり方は、この際改めるべきだと思うのです。私は二十幾つかの租税特別措置法の恩恵を受けておる項目を洗ってみまして、このことを痛感いたします。私は政府におかれましては、三十二年度には税制の抜本塞源的な手入れをするということを聞き及んでおりますので、この際やはり政府としましては、この問題に対しましてメスを入れてもらいたい。私はその点につきましての大蔵大臣の御所見を重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/53
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054・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 税法上でいろいろと特別措置がありますが、これは主として私の考えでは、敗戦後の日本の国情なり、あるいはまた国民生活なり、あるいは経済が非常に得意な状況にある、こういうところにやはり原因がある。従って、こういうふうな情勢が正常化するにつれて、そういうふうなやり方については常に再検討する、これは当然私はあるべきだと思っております。そうして、やはり税は税としての正常な姿に帰っていく。私は特別な場合を除いては、税で経済政策をやることについては、公平というような見地から、必ずしも賛成しかねる。そういう点については、十分検討を加えていくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/54
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055・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 御承知のように、現在特別措置法によって、各種の産業政策的な目的に出ました税の軽減なり、あるいはある意味において軽減というよりも、むしろ納税の延期といいますか、種類によってはその方が多いと思いますが、たとえば償却を早くさせるとか、これは後には税金が入ってくるわけでありますが、ただしかし当初において税金は払わなくて済む、そういうような各種の措置が行われていることは、御承知の通りであります。税は何と申しましても、負担の公平を中心に課せらるべきものだ。われわれも平岡委員と同じような見解を持っております。同時に産業政策的に、ぜひとも必要な場合において特別な措置がとられるということも、またあっていいのじゃないか。ただその場合におきまして、そのとられた措置の効果と同時に、負担の軽減あるいは延期というもののマイナス、それだけの値打があるかどうかという問題が、やはり当然検討さるべきものではないかと思います。同時に現在の措置の中には、期限を切ってなされておるものがかなりあります。それがかなりの部分が三十二年の三月といったような時期を期限の最終にしておるものがございます。従いまして、全体にわたりましてもう一ぺん再検討をしてみて、そうしてぜひ続けるべきもの、あるいは残すべきもの、この際もう整理すべきもの、こういったものを分けて考えるべきでないか。税制調査会におきましても、同じような観点をとっておりまして、個々の措置について全部検討してみようということになっております。税制調査会の結論も得、同時にわれわれも別途検討を重ねまして、明年の税制改正の場合におきましては、その辺の点ははっきり残すべきもの、あるいは続くべきものと廃止すべきものとを区別した上で、案を提案したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/55
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056・平岡忠次郎
○平岡委員 この問題は、大蔵大臣並びに主税局長から消極的ながら再検討するという御見解を承わりましたので、今後監視しつつ、大いにその方向に進んでいかれるように強く希望いたしておきます。
次に、横山君が触れましたが、今回の税制改革の中で、勤労所得税の現行重税を是正する意味で、基礎控除率の一五%が二〇%に上った。この五%を上げた数字的な根拠に対しましては、政府側の答弁は満足できるほど明確なものではございません。私は次にこの問題に対しまして、逆説的に質問したいと思うのであります。というのはどういうことかといいますと、昨年末におきまして、年末賞与非課税問題の論議の際、黒金委員とのやりとりにおきまして、黒金委員は独身者の例をとり、十五万円の勤労所得者は八千五十円の税がかかっておる。ところが事業所得者は同じ十五万円の所得の場合一万三千円の税金を納める。だから、これは勤労者にフェーヴアが行き過ぎておって、事業者自体に対してはむしろ重くなっておる。こういう事態において、勤労者だけに年末賞与の非課税を主張するのはけしからぬという一くだりがあったわけであります。ところが今度勤労所得税の基礎控除率が五%上った。そうするとこの乖離はいよいよ大きくなっていく道理でございます。ところが税制調査会初め全国的な世論は、勤労所得税の非常に重いということを指摘して、その調査会の答申に基いて、大蔵大臣は今回の改正において、勤労者のために軽減措置をされたのであります。はなはだ矛盾でございます。これは申すまでもなく、純理論的な立場と課税の実態の立場との差でございます。要するに把握率の問題になります。私は、この点につきましてわれわれの主張がかなり取り入れられて、勤労者のために税金が軽減されたことは歓迎いたしますが、問題は、これだけで落着しておらぬという点を指摘せざるを得ないのであります。端的に申し上げますならば、この度の改正は、極論すれば所得の把握をめぐっての行政上の失敗を、立法措置によってしりぬぐいしたとも言えるのであります。課題の重大な半面が解決しておらぬのであります。要するに、現在の徴税制度におきまして、把握が完全にできておらぬということを暴露した以外の何ものでもないと思います。私は、三十二年度を期して根本的な税制改革をするに当っては、やはり所得の把握というものが決定的な要素となろうと思います。こういう点に対しまして、政府は今後いかなる御処置をされるか、この点につき御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/56
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057・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 税法の上に現われた負担の問題、それから実際の負担の問題、いろいろな話があるわけでございまして、その点に、今平岡委員のおっしゃいましたいわゆる把握の率といったような問題があることはわれわれも認めております。従いまして税務行政におきましては、納税者に正確なる所得を申告をしていただく。同時に税務署においても、それによって正確なる調査をし、その実態をつかむ。その努力は、将来とも続けていくべきものと思っております。ただ現在の税務機構なり税務行政の実際を見まして、すぐにそれが理想的な姿になるということは、非常にわれわれも遺憾に思いますが、現実の事実として、やはり相当の時日をかしていただかなければならぬというのが実態であると思います。従いまして、その場合において一応税法の表に現われた負担というものだけにこだわって、現実の事実に目をおおっていくという税制がいいかどうかという点に、われわれは多年批判を受けてきたと思います。従来は、とかくまずもってそうした税務行政の実態を直すという方向に全体を考えていくべきである、そしてそれを税制自体の上に考えていったらどうかといった考え方が実は強かったのでございますが、やはりやってみましても、その方向の努力はもちろん続けていくべきでありますが、相当の時日が必要であるとすれば、現実の負担というものを頭に置い て、勤労控除を二割に上げるという程度のことは、少なくとも考えていくべきじゃないかというのが、われわれが今度この案を御提案申し上げた理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/57
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058・平岡忠次郎
○平岡委員 結局行政上の失敗、あるいは欠陥を立法措置で補ったということを御是認なさったと私は了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/58
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059・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 行政上の失敗と言われますと、少しどうかと思いますが、現実の税務行政、これは税務官庁の側の問題もございますし、納税者の方に御自覚を願う問題、両方あろうと思いますが、とにかく現在の税務行政が理想的な姿で行われているということは、われわれも考えておりませんし、今後大いに改善の余地がある、その方にさらに努力しなければならぬということをわれわれとしても考えております。従いまして、十分その改善の成果が上る期間までは、やはりその現実の事実を見た上で税制としても考えていくべきじゃないか、こういう考え方に立っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/59
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060・平岡忠次郎
○平岡委員 私がこの点を強調するのは、単なる国税としての所得税だけではなしに、勤労所得者が地方住民税を払う場合に、オプション・ワンとかオプション・ツーの区別はあります、ニュアンスに違いはありますけれども、やはり大体所得税に教わってその税額がきめられます。つまり初めの所得の把握、従いまして所得税の不均衡がありますれば、地方税におきまして拡大再生産される。しかもその問題は、住民税ばかりではなしに、現在国家がやるべきものを地方自治体にまかしておる国民健康保険の掛金の問題、こういう問題にも影響してきます。実際に地方の自治体におきまして、今までの国保の保険料というような行き方をやめて、これを社会保障税に切りかえようとして、各地方において盛んに今検討が行われていますが、そのときにぶち当る問題が、結局給与所得者がほとんどそれを負わなければならぬという事態が起きておることであります。要するに住民税のみならず、社会保障税におきましても、最初の所得税における不均衡が拡大再生産されておるという事態、この点が重要であります。ひとり社会保障を完全に遂行する上においてのみならず、あらゆる分野で、ここから重大な障害が起ることをおそれるのであります。政府が三十二年度を期して根本的な税制度を作るという際には、徹底的にこの問題に対しての反省と検討を加えてほしい、このことだけを申し上げておきたいのであります。
次に、大蔵大臣に御質問します。大蔵大臣は、税制問題はあまり好きではないらしいようですが、為替政策につきまして御所見をお伺いしたいのであります。大蔵大臣の財政演説の中に、貿易為替制度の正常化、自由化を推進したい、こういうようにうたってございますが、この内容についてお聞かせ願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/60
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061・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 貿易為替の自由化は、これは財政演説にもありますが、具体的には、私は第一に外貨予算の編成についても考慮を加えてよかろう、かように考えております。それは、やはりむろんこういうふうなことを考える場合に、国際収支の将来の見通しというものをはっきりさせなければならぬ。大丈夫と見えるのか、警戒を要するのかということが判断の前提にはなりますが、一応今のところにおきまして、私はやはり輸入を将来ふやすというような方向、またたとえば自動承認制、こういうものをできるだけふやしていく、拡大していく、こういうこともよかろう、あるいはまた商社等に最近実行いたしましたが、外貨の手持ちをさせる、メーカーでありましたものを同社に外貨の割当をしてこれを保有させるというような、言いかえれば貿易を自由にし為替管理を徐々に緩和していくといういろいろな方向をとることが望ましい。むろんこのことについては、やはり今後の国際情勢を十分把握しまして、日本の貿易の推移、国際収支の見通しというものに注意を払って、弾力性を持たしていかなければなりませんが、そういう考え方で申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/61
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062・平岡忠次郎
○平岡委員 私はもっと具体的な点を聞きたかったのであります。たとえば昨年の末一部廃止をしましたが、LUAの完全撤廃というようなことを考えているかどうか。この前提が作られますれば、外銀のMOF勘定、これは整理できる。われわれは、日本経済の自立性を取り返すために、このことは急務であろうと思います。こうした具体的な問題につきまして御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/62
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063・石田正
○石田政府委員 今LUAのお話がございました。これは平岡委員よく内容を御存じのことかと思うのでございますが、要するにいろいろな経済の正常化が行われております場合におきまして、やはり為替の方も正常化ということを考えなければならぬ。そのときに為替の正常化の中で、これは解決していきます難易はございますけれども、しかしながら日本の為替銀行というものが全部政府の信用にたよっておる。それで為替銀行がもし間違いを起せば、それに伴うところの外貨というものは政府の外貨預金から落されてしまう、こういうことは異常ではないか。従って為替銀行の力がついていくに従って、そういうものはなくすることにいたしていきたい。それからまたそれに関連いたしまして、今お話のございましたようなMOFの預金を外銀に置いておかなければならぬ、こういうような問題もなくなってくるということにも相なるわけであります。これは進めていきたい、かように考えております。ただ問題は、やはり日本の為替銀行の信用、それから日本の為替銀行が自力で外貨を持ち得るところの力というものとのにらみ合いがございますので、その方向は今のような方向で進みたいと思いますけれども、実際といたしましてどういうふうなときに、どういうふうにやっていくかということにつきましては、やはり槙重に考えなければならぬ、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/63
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064・平岡忠次郎
○平岡委員 石田局長のお話で、日本の経済自立のために、為替の正常的な運営を推進するという言葉で、私は満足します。しかしその過程におきましては、政府の庇護のもとにノー・リスクで為替の利ざやだけをかせいでおるところの、いわゆる財閥銀行を首唱者とする反動的な陳情等が引きも切らず行われておるように聞いております。私は、しかしながらそうした声に惑わされずに、徹底的に所信を実行していただきたい、かように思います。しかもこの実態を見ますと、二十九年の八月、為替ができまして、これが発足のときに、量的なカバー・アップはするけれども、質的なカバー・アップはせぬというようなことで、大蔵省として一本とられておった関係から、この点が今でも根を引いておる。私はこういう点につきましては、倫安の夢をむさぼらんとするための俗論とか、我田引水的な陳情というものは無視してかかってもよろしいと思っております。特に外銀がMOF勘定を持っておって、日本の甲種銀行——為替銀行が従属的コレスに堕して、非常に安易な現在の立場に固執しておることは間違いであると思います。この点は大蔵大臣自身、日本の貿易を伸張していくということを言いましても、技術的な為替政策の面において弊害があるならば、この国策は貫き得られないと思います。この点は貿易政策の上におきまして重大な問題であると思いますので、これは単に為替局長だけでなしに、大蔵大臣がどのようにこれを処置なさんとするか、基本的な態度、お考えにつきましてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/64
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065・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 先ほど為替局長からもお話がありましたが、むろんこの日本の為替銀行を強化いたしまして、そうして同時に為替銀行は、やはり国際的な競争に耐えるように、自分からこの荒波にさらされて鍛えられていくという行き方が私はいい。そういう意味におきまして、国家がいたずらに今後庇護するということはむしろだんだん少くしていく。為替銀行自体に為替をやらせる。従って、外貨等もその責任において持つようにやっていく、かように私考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/65
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066・平岡忠次郎
○平岡委員 次に、先ほど大蔵大臣の触れられました輸入外貨の問題につきまして、政府が為替管理をしておって、この割当の権限を握っている点に自戒しなければならぬ問題がたくさんあると思うのであります。率直に申し上げまして、輸入外貨の割当によりまして、政府は特定のメーカーを不当に肥やしておると言えると思うのであります。今回は大蔵省におきましても、AA制度を拡大して外割の方を縮小していくという方針を打ち出しておりますから、私どもは大いにこの方針でやっていただきたいと思うのでありまするが、しかし往々にしてゼスチュアに終りまして、実際にはこの弊風を打破する勇気があるかどうかにつきまして危惧を持つのであります。それから、やはり今回の政府の政策といたしまして財政演説でうたわれておりまするのですが、オープン勘定をやめて、キャッシュ・ベーシスに逐次移行していくという方針が打ち出されております。しかし現実には、オープン勘定の焦げつき債権というものはずいぶんあると思うのです。予算委員会における政府の答弁で、昨年の十二月末現在の外貨保有が十三億千七、八百万ドルと発表されておりますけれども、その中には焦げつき債権が相当あると思うのです。それを一つお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/66
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067・石田正
○石田政府委員 御質問が二つあったかと思います。初めの御趣旨は、AA制その他の問題につきましてやる自信があるかどうか、これは大臣からお答えを願った方がいいかと思っております。
あとの方の焦げつき債権の問題でございますが、これは御承知かと思いまするが、大体インドネシア関係におきまして一億八千万ドルに近いものが現に流動的な形でない、そういうふうな形になっておるわけであります。それから韓国関係におきまして四千七百万ドル、五千万に近いものが流動性を欠いておる、こういうことが言えると思います。それからなお最近の事例といたしましてはアルゼンチンでございますが、このアルゼンチンにつきましては、現在五千万ドルちょっとこえるところの黒字になっております。これもなかなか流動化ができなくなるおそれがあるのではないかということを非常に心配いたしておるわけであります。これは通商局長その他各省の関係宮がアルゼンチンへ参りまして、そうしていろいろと調査いたしまして、つい最近帰ってくることになっております。これにつきましては、羊毛の輸入とか、あるいは小麦の輸入とかいうふうなことによって消すということにつきましても、いろいろ調査して帰ってくるわけでございます。それらの結果によりまして、適当な措置をそれぞれ打ち合せて講じたい、こう思っております。しかしながらそれが今申すところの五千百万ドルという金額を全部消すに足るほどの効果がなかなか上りにくい。それによりまして、今御指摘がありましたうちのいわゆる非流動的な債権がさらにふえていくという危険があるのではないか、こういうふうなことになるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/67
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068・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 AA制の点についてお答えしますが、これは、国内産業に及ぼします影響を十分考慮いたしまして、AA制は私はやはり拡大していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/68
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069・平岡忠次郎
○平岡委員 ただいまアルゼンチンの問題が出ましたが、そこへ通商局長が行っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/69
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070・石田正
○石田政府委員 通産省の通商局長と、それから各省の課長クラスが向うへ行って調査して、大体この中旬に帰ってくる予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/70
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071・平岡忠次郎
○平岡委員 アルゼンチンというのは、これは日本との貿易において踏み倒ししたばかりでなしに、ドイツとかそのほかの国も相当やられているはずです。そういうことは大体予見し得ると思う。さて、メーカーの方は売りたいですから、じゃんじゃん売っていきます。政府はすべて為替の面でそれをカバーしています。ですから、結局このオープン勘定における焦げつきは、商社にとってはリスクはありません。たとえばインドネシアの一億八千万ドルの焦げつきというものは、紡績会社に補助金をやっている結果と同じなんです。それからまたアルゼンチンの場合は鉄鋼だと思いますが、これは鉄鋼三社に不当に国民の税金のうちから政府が払ってやっているという結果と一緒です。私はこういう弊害が累積することをおそれるのでありまして、この問題につきましても、為替の損とか、あるいは不渡りというものをすべて政府がカバーしていくというような体制は、一日も早くやめるようにしてほしいのであります。結局オープン勘定をやっている国は、どっちかというと、借りて借りて借りまくって踏み倒してしまった方が得だというような考え方だろうと思います。それからアルゼンチンの問題で、五千万ドルが回収不可能だという見通しだとするならば、これは普通に決済を求めていくという行き方のほかに、日本の移民を受け入れるために、それを利用せしむるとか、そういう政治折衝もできると思います。焦げつきでとれなければ、それを高利貸しのようにふんだくるよりも、やはり角度を変えて、この損をどこかで埋めるというような実際的な方法も考えなければならぬと思うのです。非流動性という表現でなされましたが、これは、はっきりいえば焦げつき債権に違いないのでありますから、これに対しまして、できるだけ損害を少くするように声処するということが要望の一つ。それから、こういう原因を根本的にさん除するために、紡績とか、あるいは鉄鋼とかいうようなメーカーの損をそのまま政府が必ず自動的に背負うというような現在の制度を徹底的に変えてもらわなければならぬと思うのが二であります。この点に対して大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/71
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072・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 せっかく輸出をして、その代金が円滑に回収できないということは、これは非常に注意を要するのでありますが、これにつきましては、たとえば今アルゼンチンの問題があります。これは今人をやりまして向うとも折衝をし、調査もいたしておるのでありますが、なるべく輸入をふやして、あるいはまた債権が固定した場合に、単に固定したという形で置かずに、また場合によっては先方の国において資金を活用するというようなことも考えられるのじゃないか、こういう点について今後十分に検討を加えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/72
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073・平岡忠次郎
○平岡委員 もう時間がありませんからやめますが、要するに、日本の自立経済は貿易に依存する度合いが非常に強い。そのために、大蔵大臣は種々御苦心なさっておると思うのであります。しかし、こうした為替の運営につきまして非常に欠くるところが多いのであります。自立経済を推進する上において、いわば明治時代の横浜の外商、外銀に握られておるような占領下の遺物と申しましょうか、遺制を払拭することも緊急な課題の一つと思います。この点につきまして、果敢な政策の御実行を強く希望しまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/73
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074・松原喜之次
○松原委員長 次に春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/74
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075・春日一幸
○春日委員 金融問題につきまして、当面いたしております具体的な問題について二、三お伺いをいたします。
大臣は二十三国会の衆議院の予算委員会におきまして、わが党の久保田委員の質問に答えまして、中小企業の金融資金を充足するために中小企業金融公庫、国民金融公庫に対して金融債を発行せしむる、このことを検討し、至急実施に移したい、こういう答弁を行われておるのであります。従いまして、これに対する必要な法律案は、当然今国会に御提出にならなければ実現に移すことはでき得ないと思うのでありますが、この予算委員会において答弁されました中小企業金融機関に対する金融債発行に関する大臣の抱負経綸は、一体いつ実現に移されるのであるか、またどういうような構想を持って実施されるのであるか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/75
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076・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今の御質疑は、若干考え方の相違があるように思いますから、この際はっきりしておきますが、あのときの御質疑の趣旨並びに私一の答弁の本旨は、民間資金を何らかの債券の形で利用するような場合がありといたしますれば、そういう場合は中小企業という方面に打っていく、そうすれば、たとえば債券を発行するようなことがありとすれば、中小企業の関係の金融機関、こういうところに持ってくるのがいいじゃないか、こういうのでありまして、何も今すぐやるという意味ではなかったのであります。これはなぜ私がそういうふうな答弁をしたかといえば、私の考えでは、やはり地方銀行等は、中小企業金融と申しても差しつかえない程度のことをやっておるのであります。特に大銀行は、たとえば中小企業専門の店舗は前あったのでありますが、これは、業態からして中小企業金融をやるということはほとんど言うべくして行われない。それだからといって、大銀行等もやはり中小企業というものには全然無縁のものだというような考え方も不適当じゃないか、そういう意味におきまして、中小企業金融というものは資金の金額等において制約もありますし、大きな金も要るのであります。ですから、そういうふうな大銀行の資金も利用したいという考え方がもとになって、ああいう答弁をいたしておるわけであります。今すぐ発行するというわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/76
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077・春日一幸
○春日委員 申し上げておきますが、理事会の決定によりしまして、一時までということに相なっておりますので、私もできるだけ意見を述べないようにお伺いをいたしますから、あなたも一つ明確に、ありのままに御答弁願うことによって、問題の所在を明確にしていきたいと考えるのであります。
今あなたのおっしゃったことは違います。私も大臣に質問をいたしますからには、前後の事情を十分速記録に基いて調査をいたして質問いたしております。すなわち前提がまさしく大臣の御答弁と違っておるのであります。速記録をごらんになればよくわかることでありますが、私が抜萃してここに記録をいたしております。これは当時商工常任委員会が金融問題について八項目にわたっての決議を行なっておるのであります。なかんずくその決議の中の第五項目に、すなわち「中小企業に対する融資を、積極的に行わしめるため必要な措置を強力且早急に採ること。」を決議しておるが、大臣はこれに対していかに処置するか、こういう笠岡をいたしておる。それに対してあなたの御答弁は、今後中小企業金融機関が資金を調進する場合には債券を発行して、その債券を市中銀行が打って、すなわち市中銀行の金を中小企業専門の機関に集めてめんどうを見る、この構想を大臣は持っておる、従ってこれを実施に移したい、こういうことをあなたは答弁をされておるのであって、質問の前提となるものは、すなわち委員会の決議第五項目であります。すなわちそれは、単なる抽象論議としてあなたの概念的な考え方を伺っておるのではなく、これは決議の中に明確に示してあるように、強力かつ早急に行うためにはどうしたらいいか、こういうふうに質問しておるのであって、あなたは金融債を発行せしめる、こういう答弁をされておる。従って早急かつ強力ということであれば、今次国会においてその法的措置がなされなければならぬことは申し上げるまでもないことです。今あなたは漫然と、中小企業金融問題を解決する場合は、こういうようなことで答弁されておるが、これはその質問の行われた背景の中において、まさしくあなたの答弁と違っております。あなたは明確にこの予算委員会において、両公庫に対して金融債を発行せしむること、これを実現に移したいということを述べておられるのだから、これを述べられた以上は、今次出会においてこそその立法措置をなされなければならぬと思う。本日今にしてそのことがなされておらないことはどうしたことであるか、これを伺っておるのでありますから、一つそういう実情に即した、そしてまたそのいきさつを尊重した答弁を願わなければならぬ。当時はそういうように答弁したのだが、その後考え方が変ったなら変った、そのときは心にもないことを失言して、大へん申しわけないなら申しわけない。国会における言動に責任を持ってもらわなければならぬ、そういう意味において上ねて御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/77
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078・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 簡単にお答えしますと、まだその時期にあらずということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/78
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079・春日一幸
○春日委員 私が今申し上げたように、久保田委員の予算委員会における質問は、特に党を代表してこういう重要な問題について、所管大蔵大臣の責任ある答弁を求めておる。それは強力かつ早急ということがその前提条件になっておる。この質問に対して、ただいま申し上げたように、金融債を発行するといっておられる。この金融債発行の事柄は、ただ唐突にその委員会においてこれが問題になったというのではなくして、中小企業金融機関に対する政府の財政投融資が、理解少くして十分の措置をなされていない。そういうような限られた一兆円内外の予算の範囲内において、結局資金源のめんどうを足ることができないとするならば、その方途いかん。そのためには、金融債発行の道を一つ講じてもらいたいというような意見が、中小企業者の中においてこれが強く述べられ、しかもそれが世論となって高まり、あるいは本委員会等においても、累次にわたってそのような主張が行われておる。そういうような背景の中に立って質問したら、あなたは、早急かつ強力という、こういう委員会の決議にもこたえて、金融債を発行すると自分で答弁しておきながら、わずか二、三カ月をたたざる本日、いまだその時期にあらずとは何ごとであるか。いまだその時期でないということを、なぜそのときに言っておかれなかったか。そういう考え方もあるかもしれないが、私は今その時期ではないと思うと答弁しておけばいいことか。委員会においてはこれを実施に移したい、こういうことをあなたは言っておられる。首尾一貫しないではありませんか。そのときに言われたことと、本日ここで答弁されておることとはまさしく違っておるが、一体どちらが正しいのであるか。でたらめを言って申しわけない、そのために誤まって大きな誤解を与えたことは申しわけないと、ここであらためて釈明をしてもらいたい。それでなければ、あなたの言うたことを一々当てにしてわれわれはいろいろな政策論議をすることはできないじゃありませんか。私はもう少し言動に責任をとる立場において、この前の答弁は一体何であったか、このことを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/79
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080・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 長くなりますとまたいけないのですが、趣旨は先ほど答弁した通りであります。特に中小企業金融については、できるだけいかに資金を確保すべきかという点について、先ほど御指摘のように、私は民間資金を金融機関の債券発行という形で導入する場合は、まず中小企業金融というものに入れるべきだ、こういう意味で答弁をいたしておるわけであります。そうして今回三十一年度の予算におきましては、中小企業金融については特に配慮を加えて、財政資金からほかに比べて配慮を加えてやっておるわけでありまして、これで中小企業金融の資金としては十分やっていける、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/80
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081・春日一幸
○春日委員 大臣は責任を明らかにされない。男らしくないと私は思います。帰られてからよく速記録を読まれて、そうして何であんなことを言ったのかしらと、顧みてやましいところがあったら、次の委員会にて釈明していただきたい。
そこであなたは財政投融資——今年度は投資がありません。融資ばかりでありますが、これでおおむね本年度の中小企業金融機関に対する資金手当はできた、こういう理解をなされております。これは私はまことに変だと思う。当然あなたの方にも資料はあろうと思うけれども、われわれの調査によりますると、国民金融公庫においては、十月、十一月の申し込みとその貸し出しのいろいろな対比比例を調査してみましたが、これは詳細は省略をいたしますけれども、これによりますと、国民金融公庫においては、借り入れ申し込みに対する実際貸付額は、わずかに三〇%ないし四〇%程度にしか達してはいない、まさしくその需要を満たし得るだけの資金手当というものはなされてはいない。あるいはこれをずっと計数的に見て参りますると、国民金融公庫の新規貸し出し増加額はずっと累年減って参っております。二十七年度は最高百億円であったものが、これが二十九年度は九十億に減り、三十年度は七十億に減り、特に本年度においては、資金運用部資金への返済六十億があるから、従って本年度の貸し出し増というものは、これはもっとさらに六十数億も減ってしまうのです。これは本年度の融資額百五億を加えても、なおかつそれだけ減ってきてしまう。すなわち需要はだんだんとふえていく。そうして資金手当はだんだんと減ってきておる。すなわち本年度の、いわゆるあなた方の資金手当をもってしては、その需要を満たし得ない状況にあるということは、これは十分理解をしていただかなければならぬと思うのです。これは見解の相違とかなんとかいうような問題ではなく、現実にこれはその数字が示しておるところでありますから、当然そういう理解の上に立って施策を講じていただかなければならぬ。しかるに、これはどういうような方法を講ずるか。これは金融債発行の方法より私はないと考えており、大臣もそのことを答弁されたのでありますけれども、しかし本日の御答弁によりますると、今その時期ではないと言っておられる。だとするならば、その時期は一体いつであるか。どういうような機会にそういうような方途を講せられんとするのであるか。もはやこれは時間的な問題になってきたと思うが、大臣の考えておられる、すなわち両公庫に金融頂を発行せしめるその時期、これをいつごろとあなたは予定されておられるのであるか、これを一つお伺いをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/81
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082・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いつそういうふうな金融債を発行するかということは、今のところ私考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/82
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083・春日一幸
○春日委員 まことに驚くべき事柄でございます。私はあなたの御答弁を聞いておりまして、大体あなたは国会を何と心得ておられるか。現在金融債の当行の問題について、少くとも金融についてこそは、全生涯を捧げられておるわが国における屈指のオーソリティであるあなたが、たとえば税制問題については、あなたはしろうとで何も知らぬからということで、同情を持ってわれわれは踏み込んで強くは追及はしない。これは武士の情である、あなたは、金融問題についてくらいは、これは大胆率直に自分の抱負経綸を述べ、そうしてその確信の上に立ってこれを施策に移していったらどうですか。現在あなたが言われておる通りに、将来民間資金を中小企業金融機関に導入するという場合があるとするならば、まず第一番に中小企業金融機関、こういうものに導入すべきであると、あなたは今答弁したばかりである。今別途に資金委員会法とか、あるいは金融制度調査会法とか、いろいろなものを今度出そうとしておる様子であるが、その事柄と関連をして、今や中小企業資金源を調達するための時期はまさに迫っておると見なければならぬ。だとするならば、それはいつごろであるかということを御質問申し上げたのでありますから、いつごろであるというくらいのことは、私は述べていただくべきであると思う。なお御答弁できませんか。あるいはできるならば一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/83
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084・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いや、時間の関係で、ごく簡潔に答弁せよという御要求ですから……。ここで中小企業金融をいかにすべきかというようなことを長長しく申し述べさして下さるならば、それは申し上げるのであります。ただ私の考えますことは、こういう政府の中小企業金融機関が債券をある程度発行するということだけが、中小企業金融のおもな点でもないと私は思う。そういうことも必要があればむろん考える、考える場合に、特に中小企業金融機関についてまず考えよう、こういうことを私は考えておるのでありまして、中小企業金融については、債券を発行しなくても、どうすればいいかということについて、実は今いろいろと具体的にも考えております。これは今後なお検討を要しますが、中小企業等について、たとえば工場をどうするとか、不動産の金融について何か考える必要がないか、こういうことも今検討を加えておるのでありまして、むろん私はこれをやると必ずしもここでお約束もできませんが、いろいろと検討を加えて、今後中小企業金融についてはできるだけ——完璧と言えばまた言い過ぎますが、できるだけ手を差し伸べるように考えております。どうぞ単に債券発行だけにこだわらぬでほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/84
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085・春日一幸
○春日委員 考えるということでありますが、私が申し上げたいことは、税制問題についても考えると言っておられる。過ぐる第二十二国会において税制論議が行われましたときに、あなたはいずれ抜本根塞的な税制の大改革を行わなければならぬ、それは次期国会でやる、従ってそのときまでというので、そのとき深い論議をすることを次に繰り延べておる。ところが本年度に至ると、さらにこれを三十二年度に繰り延べようといたしておる。本日この金融の問題についても、現実にあなたの方は、資金委員会法を閣議決定による資金審議会に変更するかのごとき新聞報道が行われておるが、このこともあとでお伺いをいたしたいと考えておるけれども、そういうような金融規正の立法を行おうとする現段階において、問題となっておる中小企業金融の問題を、あわせて政策的に政策金融のベースにこれを乗せていくことのための方途が講じられてしかるべきであると私は思う。
そこでこの問題はこれといたしまして、時間の関係がありますから、中小企業金融の金利について、あなたの具体的な施策をお伺いいたしたい。今日大体金融が次第に正常化しつつあり、しかもその影響を受けて、金利が一般に低下しつつある。この際商工中金、これは大へん高いことはあなたも御承知の通りでありますが、これは、当然中小企業を保護育成するための大きな任務を負っておるのだから、やはり助長金融として、その金利を低下せしめなければならぬことはあなたも御理解になっておると思う。そこで商工中金のこの貸し出し金利を低下せしめることのためにどんな方法を考えられておるのであるか、まずこれが質問の第一点。
それから第二審は、国民金融公庫の金利、これも昨年の八月でありましたか、一割から九分六厘に下げたが、こんな四厘くらいで問題の解決にはなっておりません。これは庶民金融であり、社会政策的金融であるから、金融ベースに乗らずとも、零細金融の使命を果すために、当然もっと大幅に引き下げられる必要があると思うし、今やその段階であると思う。国民金融公庫の金利を引き下げるためにどういうような方針をとらんとしておられるのであるか。それから中小企業金融公庫、これなんかも設備改善の大使命を持っておる政策金融だから、一連の中小企業政策並びに金融状態のあり方と見合せて、当然これを下げるための相当の措置が行われなければならぬと思う。大きな企業を相手にする開銀ですら、現在の金利は九分になってきておる。いずれも困難にあえいでおる中小企業の人々を対象とするものが、これを上回っておるというこの状況は、何らかの形で政策的に問題の解決がはかられなければならぬと思う。大臣はこの問題について相当御造詣も深いようであるが、この三つの金融機関に対し、どのように金利引き下げの措置を講ぜんとするのであるか、その具体的施策についてこの際お述べを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/85
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086・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 中小企業金融の金利につきましては、これは一般的のものと、特に政府関係の金融機関とあるのでありますが、一般的のものにつきましては、一般の金利低下に順応しまして、それぞれ金利の引き下げが行われておるわけであります。徳に私が中小企業金融について留意をしておりますことは、単に借入金の金利が安いということよりも、自分の方の製品の売却代金が順便に入るということがやはり一番大きな点ではないか。言いかえれば、従来大企業が、金融が不円滑であった点もありましょうが、そういうようないろいろな理由から、中小企業等には長い割引の非常に不適当な手形を渡すとか、あるいはまたひどいのになると、長々と代金の払いを怠る、これが中小企業の大きな負担になっておった。これを今後においては、今日の金融情勢からして、問題なくして順便ならしむることが可能である。それについては、金融機関等を通じて、大企業との関係において特別な措置をとって、この払いを順便にしよう、こういうふうに考えております。
それから政府金融機関の金利については、やはり資金源等のコストの関係から制約も受けるのでありますが、できるだけ金利も下げております。商工組合中央金庫は、政府関係ではありません、民間の金融機関と見てよろしいのですが、これを除いては、ほかのものはやはりそれぞれ金利を下げております。今後とも経営の合理化、あるいはまたこういうふうな機関にはできるだけ財政出貸金とか安いコストの資金を入れて、努力させるつもりであります。商工組合中央金庫につきましては、これは金利が下っていないのでありますが、これについては、中間のたとえば組合が手数料をとる、この手数料等は引き下げをはかる、あるいはまた一般の金融機関とも相談をいたしまして、前の高い商工組合中央金庫の債券が出ておりますが、その債券をなるべく現在の金利で借りかえるというような措置をとる、そうしてここで貸し出し金利を下げる財源を与えていく、こういう措置も講じて、金利を下げることに努力をするつもりでいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/86
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087・春日一幸
○春日委員 今私は金利の問題についてはお伺いをいたしました。それに対して金利問題だけでは中小企業の困難を救済するという目的は達しがたいので、資金の流通を促進する、回収を促進するための別途の方途も講じておるということでありますが、そういうような問題は、他にわが党において、下請関係調整法その他いろいろな法律を議員立法の形で上程しつつ、いろいろな総合施策をもなお推進せしめておるのでありますが、私はこの際あなたの所管として解決をさせなければならぬ問題は、とにかく政府関係の三つの金融機関の金利については、やはり金利対策そのものずばりの施策が行われなければならぬと思うのであります。そこで私どもの主張は、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とか、こういうようなもっぱら政策的使命を帯びておりまする金融機関にしては、資金運用部から貸し出しが行われれば、これは結局六分五厘という利子がついて、その上に、手数料を独立採算制でやっていけば、資金コストはおのずから高くならざるを得ない。だからこれを低めるためには、私どもの主張は、年来これを一般会計からの投資、すなわち金利のかからない金、こういうことを強く主張して参ったのでありますが、政府は、本年度においては一銭も投資していない。これでは資金コストが高くついて、こういう金利に対する政策として実情に沿わない形になっている。当然何らかの対策を講じなければならぬと私は考える。そこでこの問題は、私が次に申し述べようとする問題と関連をして、一つ厳重に御検討を願いたいと思うのでありますが、商工中金の金利を下げるためには、これは結局造船利子補給の前例等もあることでありますから、こういうようないろいろな国策的な使命、性格を持っている金融ということであれば、時に臨んでこの利子補給の措置を講ずるのもまたやむを得ないのではないか、あるいはまたこのことを行うことなくしては、問題の解決はなし得ないのではないかと私は考えておる。これについて大臣の御答弁をお伺いをいたしたいと思います。現在金融債、割商などを引き受けまする場合、これは先般三銭が二銭九厘に下げられましたが、なお七分五厘という高い資金コストについておりまするから、この金を運用して貸し出しを行おうとしても、これでは結局一割以上の金利についております。国際的な利率をはるかにこえ、国内においても一般の金融ベースよりその利率がはるかに高いものについておる。これを解決するためには、私は十億か十五、六億の利子補給が造船利子補船と同じようなテーマによって行われさえすれば、現在の七分五厘のこの金融債の利率を五分五便くらいに引き下げて、そうして七分とか六分五厘とかの低率で貸し出しも行えるような方途も、私はそこから出発できるのではないかと思います。従いまして、今や問題の核心は、三つの金融機関の金利を下げなければならぬとするならば、その方策は何であるか、結局この利子補給という事柄に一つの方法として帰着してくるのではないかと思うが、この問題について大臣はどういうようなお考えをお持ちであるか、これをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/87
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088・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、金利につきましては、今後とも今日の情勢が継続していきますれば、日本の金利もよほど国際的な水準に近寄っていくであろう、かように考えておるのでありまして、社会政策というような見地に立てば別でありまするが、やはり金融ベースといいますか、経済という一つの原則に立つ以上は、金利自体が本質において下る方法を政策としては推し進めていくべきである、利子補給というような形はとるべきではないというのが私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/88
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089・春日一幸
○春日委員 造船融資だって、これは当然経済融資であるので、当然金融ベースでやってやれないことはないのでありますけれども、それでは問題の解決ができないというので、あのような膨大な造船利子補給が一般会計から行われておる。従って、私が主張をいたしておりまする中小企業金融であるが、商工中金の使命は、いろいろあるけれども、これはまさしく中小企業の保護育成という助長金融である。国民金融公庫は、庶民階級の零細な金を弁じていくというところの社会政策的金融である。それからまた中小企業金融公庫は、設備の改善というところの、また合理化するための政策金融であって、これはやはり金融ベースだけでは解決ができないからこそ、三つの金融機関がここにできておる。こういうような機関に対して、金融ベースの一つの制約を特に一歩踏み切って、そういうような利子補給の道を講ずる、そうして問題の解決をはかるということは、造船利子補給の前例等もあることだから、これは法律上あるいは政治上私はごうも問題のないことだと思うのです。問題は、こういうような公的資金に依存をいたしております金融機関は、法的措置を講ずることなくしては金利の低下をはかり得ない。今や一般の金融界は一つのコマーシャル・ベース、金融ベースにより金利が低下しつつある。これに見合うための措置をあなたの方で講じなければならぬ段階にあると思う。私が提唱したところの利子補給の方途が適当でないとするならば、利子のかからないような、たとえば低金利の資金をこれらの金融機関が充足するための何らかの他の方策が講ぜられなければならぬと思うが、一体それに対して何らかの具体策をお持ちであるかどうか。それとも現状のままこの三つの公庫の金利は据え置いて、高ければ高いで仕方がないではないかというような状態で捨て置かれるのであるかどうか、この点を重ねてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/89
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090・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この中小企業の金融につきましては、要するにいろいろな意味において、中小企業が所要する資金のコストが下っていけばいいのではないかと思っております。それから私が申し上げましたように、中小企業で一番大きなのは、やはり従来自分の製品の代金の回収ができない、固定した。私ども実際中小企業の人に聞いてみても、それが一審大きな障害になっている。これは取りのけるという政策をとっておりまして、銀行それから大企業それから大企業の下請等の中小企業、こういうような関係において、中小企業にずっと代金としての資金を回す、こういうふうにして解決していきたい。これは、具体的に従来もやっておったのでありますが、さらにこれを私は強化していきたい。これでほんとうに金利の要らない、借入金でない自己資金が中小企業の手に入ってくる。従来はその金が入らずに、借入金をしなくてはならなかったというので金利がふえた、こういう負担は私は今後なくなっていくと思います。それから先ほども私が申しますように、金利自体もやはり今下りつつある段階なんでありますので、今後一そうこれは下る。特に比較的長期の金利は、まだそれほど下っておりませんが、これがずっと下っていく。それから政府機関については、先ほどから繰り返し申しましたように、できるだけの金利低下をはかっていく、そういうふうに非常に動いておる今日の情勢下に、総合的に、従来の支障になっているあらゆるところを解きほぐしていかたければならない。そういうふうなことをやって、なおかつある具体的なことについて政府として格段な措置を資金的にも講じなくてはならぬとなれば、それは私は何も具体的な問題としてそれを拒否するのではないのでありますが、ただ慢然と、どうも金利が少し高いから、政府で金利を補給してはどうかというふうな考え方には賛成しかねる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/90
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091・春日一幸
○春日委員 現在中小企業の金融難の要因となっておりますものは、自分の売掛代金の回収が困難であるということも一つの大きな要因ではありますが、経済秩序が回復されるに従って、売った代金がもらえるという態勢が確立されることは当然のことだが、しかし別途考えていただきたいことは、大企業は増資もできる、あるいは社債発行もできるが、そういうような金融によらずして、自己資金の充足もできるけれども、中小企業においては、もっぱらそういうような事柄が意のごとく運ばない。結局時に臨んでこういう金融機関の世話にならなければ経営を進めていくことができない。こういうハンディキャップをよく考えて、中小企業金融については甘い措置を講じていただかなければなりません。昨年度予算委員会に提示された大蔵省の調書によりますと、概略四千三百億ですか、中小企業金融機関として資金が必要である、こう言われておるが、本年度この三つの公庫がおおむね中小企業を対象として融資し得る資金源というものは、八百億かれこれのものでしかありません。いずれにしても、この三つの機関が中小企業金融のために果しておりますその効率というものは非常に高い。だから私は、今この三つの機関がその金利を下げますれば、市中金融もやはりそれに刺激を受けて金利が低下されていく。そして中小企業の負担を軽減していくという結果になる。だから、私はただいま申し上げましたように、あなたは金融関係や大企業に促進方のいろいろな通牒を出すことによって別途の成果を上げろと言っておるが、それは何も金を出さないで、相手に花言葉でもって効果を上げようとしておるのだが、そのような程度の措置で問題の解決ができるなら、私はかくのごとくくどくは主張いたしません。そういうことでは問題の解決ができない。一定の財政資金を投入してこの資金コストを下げるというための一例をあげますれば、これは利子補給の方途を講ずれば、それが全般的な大きな刺激剤となって、中小企業の金利を下げる上に大きな効果を及ぼすということを強く提唱しておるのでありますから、一つあなたもこのことを強く御検討願って、最もすみやかな機会に、中小企業者の金利の負担の重いこの問題解決のために、一つ適当な措置を講じていただきたい。
まだ七分ばかりありますから、問題を先に進めますが、この間大臣は財政方針の演説の中で、金融と財政の一本化ということを特に強調されておる。これは一体具体的にはどういうことを差し示しておられるのであるか。特に本年度においては千三百六十九億円、この資金運用を民間資金にとにかく期待をされておられる様子であります。このために必要な措置を講ずるということを言っておられるのであるが、その構想はいかなるものであるか、この具体的な政策がどういう形で実現に移されていくものであるか、それからさらにその構想に基いて融資されようとするところの民間の事業とは一体どのようなものが対象にたるのであるか。さらにこの金融と財政との一体化によって、あなたの方は三兆何千億と称せられるところの民間資金に対して、何らかの法的規制を打たしていかれようとするのであるか、その結果これは財政インフレの要因となるような事柄はないかどうか。以上四つの点について大臣の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/91
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092・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 財政と金融の一体化というのは、今回の予算編成の一つの特徴であるのでありますが、これは御承知のように、経済の拡大につきまして、経済的な原則に立って金融一面からこれを円滑にやっていこう、こういうことで、言いかえれば予算を膨張させて、いわゆる財政の資金をもって経済の拡大をはかっていくというのではなくて、財政は非常に健全な財政であるとともに、経済の拡大については、経済原則に基いて、金融面で補完をして、財政金融一体となって日本の経済規模の拡大を健全にはかっていこう、こういうことにあることを御了承を願いたい。そこで民間資金の活用ということが具体的に取り上げられておるのでありますが、これにつきましては、私は何も統制的な、あるいは規制的なことをしなくても、今後の金融情勢から見て、この所要資金の調達を十分可能ならしむると考えておるのでありますが、しかし国家目的を民間資金の運営の上により、よく反映させるためには、私はやはり大蔵大臣としても、政府の施策等からくる資金の用途あるいはまた、五カ年計画に基く政策的な資金、こういうものを十分民間に示す必要がやはりあるだろうという意味におきまして、大蔵大臣の諮問機関として資金使用に関する委員会を作って万全を期していきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/92
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093・春日一幸
○春日委員 前国会に上程されました資金委員会法、それと命脈を通じておりまする今回の資金審議会ですか、これは法制によらずして、何か閣議決定で云々ということを新聞で承知をいたしておるのでありますけれども、これはいずれにしても、今の大臣の御答弁を伺っておりますと、やはり民間資金にその財政資金的な性格を負わしていこうというところにねらいがあり、民間融資に対して政府の行財政、これのひもをつけていこう、何らか法律によって規制をしていこう、拘束力を持たしていこうというねらいがあるのであって、これは私は非常に深遠な問題であると思うのであります。しかしながら、本日はすでに約束の時間の一時に参っておりまして、この問題について今論議を展開いたしましても、時間内において結論を得ることは困難でありますから、この問題は次の機会に時間をかけてしかるべく御答弁を願うことにいたしまして、私の質問は本日はこれをもって終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/93
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094・松原喜之次
○松原委員長 午後三時まで休憩いたします。
午後一時休憩
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午後三時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/94
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095・松原喜之次
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際小委員長の辞任についてお諮りいたします。専売事業に関する小委員長内藤友明君より、小委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/95
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096・松原喜之次
○松原委員長 異議なしと認めます。よってさように決しました。
引き続き小委員長の補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は、先例によりまして委員長より御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/96
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097・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員民におきましては、専売事業に関する小委員長に小西寅松君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/97
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098・松原喜之次
○松原委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外八法律案を一括議題として質疑を続行いたします。井上良二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/98
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099・井上良二
○井上委員 非常に時間がおそくなりまして、大蔵大臣連日の御奮闘で非常にお疲れでございましょう。本大蔵委員会へ大臣の出席もなかなか容易ならぬ予算審議の状況でございますが、幸い時間をやりくりしていただきましておいでを願ったのでありますから、こまかい問題はいずれまた他の法案等の審議の際に事務当局から伺うことにいたしますが、私本日大蔵大臣に伺いたいと思いますのは、御存じの通り、国会の審議の中心が、国民の負担をいかに軽減していくか、そうして国民が苦しい生活の中から国の政治、国の行政に非常な理解と自覚を持って、住みよい、暮しよい日本をみずから協力して作るという立場から税金を納めた。その税金が果してどう効果的に自分たちの生活を高め、また全体の社会の秩序を安定さして世界の平和を維持する方向に活用されておるか、つまり税金の使途が効率的に使われておるか、このことが国会の審議の上では一番重要な問題でございます。そこで、私ども税の問題を本委員会が審議をいたすに当りまして考えなければなりませんのは、ただいま申しましたようなものの考え方から、歳出面における税金がどういうふうに使われておるかということが非常に重要な問題になってきますが、これは予算委員会等においてそれぞれの議員から、それぞれの角度から質問をされていかなければならぬ問題でございます。特にこの際私が大蔵大臣に伺いたいのは、さような見地から、現在政府が国会に提出しております予算案を私どもが拝見いたしまして考えますことは、終戦以来ずっと続けられて参りました予算各款項目の費目がほとんど毎年同じ方向に繰り返されておる。何ら新しい財政規模の上に立った目新しい国家再建への重要施策を基礎にした予算の編成というものが行われてない。つまり具体的に申しますと、たとえば政府の政策のよしあしの例としまして、人口増に伴う国民生活の現状から、いろいろ社会保障その他に毎年所要の経費を累増して計上していく、あるいはまた防衛庁の経費が毎年積み重ねられていく、あるいは公共事業費とか、また地方に対する補助関係の経費とかいうものが、いろいろな名目でふやされていくということだけでございまして、少しも新しい世界の情勢に立った、また一本のこの限られた国土に、かかえられぬ人口増加の将来を見通して、わが国の経済を不動の態勢に立て直していくための基本的な産業経済に対する所要の財政的な施策というものが講ぜられてないような印象を私ども受けるのでございます。説明が足らぬようでございますけれども、私自身の考え方からいたしますれば、少くとも日本が平和で豊かな生活をやるためには、何と申しましても毎年八十万から新しく就職を希望する雇用人口がふえて参ります。そこへ持ってきて、わが国の産業水準というものは、飛躍的に高まりつつあるといえども、世界の科学と技術を土台にする生産力、工業力に対抗するためには、なおなかなか容易ならぬ状態に置かれておるのでありまして、さような諸情勢を勘案をいたします場合、従来のマンネリズム的な予算の積み重ね式なやり方ではなしに、もっと産業経済を根本的に立て直して、世界の態勢に対応でき得る態勢を作り上げていく方向に予算編成の考え方を立て直す必要がありはせぬかと私は考えますが、この点に対して大蔵大臣はどうお考えになっていますか、予算編成の根本的な問題について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/99
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100・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 税金でとった金が予算でどう使われておるか、非常に大切じゃないか、全くその通りで、私も非常に御声援を得たような感じで、ありがとうございます。それから、予算が非常に性格がはっきりせぬかのようなお話でありますが、そうじゃないのでありまして、この予算の編成について基本になっておるのは、どうして敗戦後のあの日本の経済を再建をして、堅実な基礎の上に拡大をしていくかというところが、予算編成の一番基本になる。同時に他方、そういう方向に向いつつ民生の安定を実現をしていこうというのが、予算のずっと引き続いての性格であります。そしてそれは、自画自讃じゃありませんが、公平に見て、今日大体実現をいたしつつあると私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/100
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101・井上良二
○井上委員 日本の経済を建て直す方向に予算が、いわゆる税金が重点的に使われておる、こういうお話でございまするけれども、総予算一兆三百四十九億のうちで、その約半分というものが、御存じの通り地方に対する補助金、交付金でございます。さらにその上に人件費及び物件費というものを合せますと、これが約三千億円ほどに達しておるのであります。そうすると、この上に社会保障関係の経費を差し引き、防衛関係の経費を差し引きますと、一体政府はどの面の産業に、どの面の経済に非常な力を入れて、世界情勢に対応するわが国の財政を進めようとするか、私どもそういう点で、非常にどうも従来の単に積み重ね式の予算であると思う。なるほどあなたのおっしゃいますように、文教関係へも、社会保障関係へも、あるいは住宅関係へも、恩給関係へもそれぞれまあない財布をひねくり回して、そこそこに金を使っておるから、きわめて公平に使っておると言うけれども、私は単に公平に金が使われておるということを非難しておるのではなしに、もっと予算の重点的な編成ということが必要じゃないか、こういうふうに考える。そこで政府は、どうも財政投融資その他においても思うように資金源がないというところから、本年は民間資金を活用して、これに肩がわりをするような方向を打ち出そうとしておる。このことからしても、予算面においてそういう方面の重点が足らぬということを物語っておりはしませんか。そういう見方ははなはだ片寄った見方ですか、この点お伺いいたします発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/101
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102・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 予算を重点的に、効率的に使う、そういう基本的考え方は、私全く同じであります。ただ日本の予算において最もやはり必要なこと、特に日本の経済の基盤を固め、これが健全なる発展するために必要なことは、何をおいても物価の安定、言いかえれば通貨価値の確立維持といいますか、通行価値を安定させて、言いかえればこれは物価が安定する、そこに重点がある。予算からいけば、これは何というても国が一番大きな消費者で、従って予算において緊縮的な、健全な予算を組むことが従来必要であったということが第一。そういう前提に立つと、そうあれもこれもなかなかやれません。従って重点的にやらなくちゃならぬが、またやりたいこともやれなかったということもやむを得ない。特に健全なる予算を組む以上は、税収入、いわゆる普通歳入によらなくちゃなりません。今日しからば税が軽いかといえば、まだタックスペーヤーからいえば税が重い、これ以上税をとられてはかなわぬ、この面からの制約をやはり受けなければならぬ。そういう意味において予算の編成が行われて、そうしてその乏しい資源の中からできるだけ重点的にするということは、私ども全くその通りと思います。ただ果して重点的にいっておるかどうかという点については、いろいろな御意見もありましょう。またこれがいろいろな国家の利害関係、予算の面にも錯雑、交差しておりますから、思うようにいかぬ点がある。いろいろな原因から、できるだけ心がけておるのでありまするが、若干満足のいかない点があることも、私ども率直に認めていいと思います。大体そういうふうなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/102
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103・井上良二
○井上委員 問題は、これから一番あなた方にお考えを願わなければならぬのは、政府みずから考えられて、経済五カ年計画を実施に移されておりますが、そのねらいとするところは、一つは雇用量の増大、そのための産業施設の拡大、貿易の振興ということに重点を置いてやる、こういうことでございます。そういうことがほんとうに国民に理解されるよりに、政府はもっとわかりやすく説明をすべきであろうと私は思う。われわれは、われわれの住んでおるこの国がさらに住みよい、よい国になることのために、われわれの分相応の負担をすることに反対をしておるわけではありません。問題は、分相応に負担した金が一体正当に使われておるか、使われてないかということであります。従ってその金が生きて使われて、三年後にはこういうことになってわれわれにはね返ってくる、生活がこの程度上昇し、また病気になればこういうことになる、子供の教育はこうする、年寄りは年金制度によって老後を保障してやるということならば、元気で働いておるときにそれ相当の負担をして国に納めることは、相身互いの、自分の住んでおる世の中をよくすることですから、そういう方向に税金が正しく生きて使われていくということが大切なことであろうと思います。だから、やはりそういう筋道を国民に明確に知らすことが必要であります。そういう点で、これは卑近なことではなはだおそれ入りますけれども、今税金の負担の中で一番問題になるのは、御承知の通り直接税であります。紙一枚を配ってきて、いつまでに税金を納めろというやつです。この直接税をめぐっていろいろ問題がございます。全くこの直接税の徴収は、国民は自分の持っておる物をもぎ取られるような気持でおる。そこに少しも国の政治、国のやっておる行政に対する理解と自覚というものがありません。いわゆる税金の使い方が少しも納税者に理解をされていないということです。ここは施政者として考えなければならぬことじゃないかと考えます。そういう点で、たとえば徴税令書の裏に、この税金はこういうこととこういうことに使います、そうしてまたこれはこれだけの効果を上げてきますということをわかりやすく書いて——この税金は何日までに納めなければ差し押えをするの、何日までに郵便局に納めろの、そういう注意も必要かしらぬけれども、もっと大事なことは、せっかく納めてもらった税金がこういう工合に生きて使われます、こういう効果を上げておりますということ、自分の納めた税金がいかに世の中のために生きて使われておるかということを納税者自信が知る方向に、またそれが非常に期待される方向に知らすべきではないか、大蔵省の方でもいろいろその点について御努力されて、たとえば税金の行方、その他のパンフレットを出される、あるいは新税等についてもいろいろのこまかい出版物、リーフレット、新聞等を出しておるようでございますけれども、これは納税者全員に配られるものではありません。だから少くとも徴税書の裏は白紙でありますから、その裏くらいにあれだけの経費をかけてやれば、大蔵省はああいうそれぞれりっぱな関係官がおりますから、要点をよく名文を一つお作りになって、そうして納税行をして、なるほどこういう方向に使われるのか、やはりこの税金は納めなければならぬという、みずから納税に協力し得るような方向に私は狩っていくべきであると思うが、大蔵大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/103
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104・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 税金がいかに有効適切に使われておるかということを国民に知らせることが必要なことは言うまでもありません。特にその点については、国家としては予算を通じて国民によく知らせることをしておる。予算委員会並びにこういう委員会で、皆さんが御熱心に御質問をする、それは刻々に国民によく了解が願える最もいい機会となると私は思っておるのでありまして、これは申すまでもありません。たとえば今回の予算にしても、いろいろ言い分はあります。けれども、たとえば社会保障にともかく千百三十四億ですか、千百億以上のものは、むろんこれは人口の自然増とかいろいろあるからというようなお話もありました。しかし今回の予算で、五百億くらいが新しく使える財源に一応出たのですが、そのうちともかく百二十二億は社会保障に入れております。原因は自然増であろうと、これは人口増加という人口問題が根本に横たわっておるのですが、とにかく社会保障に現実にそれだけいっていることは間違いないのでありまして、そういうことに、これは国民にはっきり御了解を願っておきたい。なおいろいろの機会に、税金を納めて下さる方について、こういうふうにやっているのだということをお示ししたい。しかし最も具体的に示されるのは、現実に日本の経済がよくなり、国民所得がふえる。そうしてお互いの生活が少しでも向上していくという現実が一番いい証明になるのじゃないか。そういうふりになるように、予算も編成し、執行いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/104
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105・井上良二
○井上委員 いま一つ伺いたいのは、大蔵大臣の本年度の予算編成に対する財政演説を聞いておりますと、予算規模は一兆円を越して三百四十九億ふえた。これはおそれる必要はない、国民所得がこれこれ上昇をしておるから、国民所得からにらみ合してもそう大きな負担とは考えない、こういう御説明のように伺いました。そこで、私ども税の負担を軽減するという大蔵委員会にかけられておりまする立場から考えていきますと、大蔵大臣のお考えでは、今後五カ年間の予算規模は一体どういう方向にお考えになるといいますか、たとえば経済五カ年計画が順次実施されて、国民所得が上昇していったとかりに仮定いたします。そうしますというと、その上昇に相呼応して予算規模はやはり大きくなっていきますか。そうなった場合、税収との御関係はどういうことになりますか。やはり歳出の面で相当重要な点についてメスを入れなければ、新税を今日の状況で求めることは容易でありません。そうすると、歳出のどこかを整理しなければ、片っ方の税制はなかなか改正はできません。そうでなしに、全体の国民所得が上昇するからというて、予算規模をどんどんその比例で大きくしていくということになりますと、現在の税制というものは、そんなに大きく改正ができないことになりはせぬかという、ここにいたちごっこの関係が起ってきますが、大蔵大臣は、今後経済五カ年計画とにらみ合せて財政規模に対する年次計画はどうお考えになっておりますか。これは税制を検討する上においてきわめて重要でありますから、お考えになっております構想だけでけっこうですから御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/105
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106・一萬田尚登
○一萬田大蔵大臣 私が何か予算規模の大きくなることを望むかのような印象がちょっとありましたが、これは私のはなはだ不本意とするところであります。はっきり申し上げますが、一兆三百四十九億、これは私はむしろ押えたいのだが、このくらいはやむを得ないのだろうということで、楽観をしておる数字ではありません。ただ、それでは一兆三百四十九億をどういうふうに見たかというと、大体国民所得からいえば、昨年の二兆円と同じように一三・八%であります。それから総生産に比べると、総生産の増加率が約四・二%、それから予算の増加率が実は四・四、大体物の生産との比率もまあいい。ですから、この辺までが、二回一兆円で緊縮予算を組んだあとの健全財政として、しかもそれが一般歳入で全歳出をまかなっているとすれば、まあやむを得まいかというので——ここでほんとうをいうと、もう少し小さい数の方が私どもの方も望むところであったのですが、これもやはりいろいろな関係で、この辺はいたし方なかろうかというのが、率直に申し上げてのところであります。その点ははっきりいたしておきます。
それから、それならそういうふうな考え方からして、国民所得がふえ、あるいはまた国の総生産がふえれば、それに比例して増加させるか、私は必ずしもそういうふうには考えません。国の予算というものは、できれば小さいのが、それで実際やっていけるのならよろしいと思うのです。ただ実際の問題といたしましては、今後賠償というふうなものも、これからほんとうに行われていく、それから戦後におけるいろいろの国内的の跡始末も、なかなかたくさん財政需要になるのが多いのであります。従いまして、今後はよほど財政を締める、いわゆる財政規模をなるべく小さくするという態度を大蔵大臣が強く持っておってはどうかというと、やはり膨張傾向を余儀なくされるのではないだろうか。そういう場合に、やはりどうしても今申し上げたような国民所得というものに対するある一定の割合はやむを得ない。ただ国民所得がふえて、その割合をふやしていったら、財政は膨張する一方でありますが、一方国民所得はふえるが、比率もあるところに安定させる、こういうふうな考え方で財政の膨張を防いでいきたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/106
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107・井上良二
○井上委員 原則的には、予算規模は、国民所得なり生産指数なりがかりに上昇しても、そう野放しに上げるわけにはいかぬ。できるだけ緊縮してやりたいというお話ですが、それは表向きの御説明ですね。そう考えて間違いはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/107
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108・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私には裏も表もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/108
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109・井上良二
○井上委員 そう言いますのは、現に政府は、本年与党側の非常な圧力で、大蔵大臣の言葉を借りますと、諸般の事情のもとやむを得ず一兆円を突破した、しかもこれも、いろいろ財政当局の苦心の結果こうなったのです。ところが、このワクでどうしても所要の財政資金がまかなえないというところから、いわゆる民間資金活用ということを考えて、これで財政要求をカバーしておることをお気づきになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/109
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110・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、その点についてはこう考えておるのです。終戦以来国があまりにもこれは悪いのじゃありません。当時の資本の蓄積の事情、国情その他のしからしむるところでありますが、国があまりにも経済行為に手を出し過ぎておった。そうせざるを得なかった、余儀なくされたという事情があります。それが経済の正常化が進むにつれて、徐々に民間でやれることは民間でやるように移していく、こういうことになると御了解を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/110
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111・井上良二
○井上委員 民間は民間でやらしたらいいことですが、それなら何で資本活用計画をお立てになったのですか。しかもこの資金活用は、単に民間産業に対する政府の意図する方向に資金の流れることを望むだけならいいのです。できるだけその方向に民間資金を活用していくということに政府の指導のよろしきを得ることは当然でありますが、ところがこの民間資金活用の見込みを大蔵省から出しておりますが、それによりますと、住宅公団に対して百億、道路公団に対して五十億、国有鉄道に対して二百四十億、さらに北海道開発に対して四十億等々の支出項目がこの中にはまっております。住宅政策は一体だれの政策であるのですか。それから道路をよくする、あるいは北海道を開発する、鉄道の赤字をなくする、そして正常な運転をやるようにするということは、これはいずれも政府の政策です。政府の財政規模においてこれは考えなければならぬことです。政府の財政規模において考えなければならぬ問題を民間資金にたよって、この資金をその方に動員するということがかりに行われましたならば、予算は一兆三百四十九億でありますけれども、これらの資金を加えれば実質的に予算は大きなものになるじゃありませんか。そういううまいことを隠しておいて、それでいかにも緊縮だ緊縮だと言ったって、これでは天下は通りませんぞ。こういううまい手を講じてやろうとしておるけれども、一体これがうまくいくとあなたはお考えになっておりますか。そうして、それが財政全体の均衡のとれたものであるといえますか。反対にトンネルを作ってこっちへ逃げておいて、それでもって肝心の本体はこれだこれだと言っておる。人をごまかすもはなはだしいじゃないですか。あなたはそうお思いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/111
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112・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ただいまの御質問の点につきましては、民間資金の活用のところは、大体におきましていわゆる採算ベースに乗っておる、一つの経済行為をやる、ごく大ざっぱに一言えば、私は企業体と見てよいと思う。そこに民間資金を入れていく、こういうことであるので、いわゆる予算における一般の歳出というようなものとは意義を非常に異にいたしております。そういうふうなものも、私の考えでは、行く行く経済が正常化してくれば、ほんとうに民間の手にゆだねてもいいものが少くないだろうと思っております。ただ戦後のいろいろな不安定というもの、あるいはいろいろな混雑の事情から、やはり国が手を出さなければならないような事態からきているものも少くないのであります。本質から言うと、これはやはり経済行為に属する、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/112
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113・井上良二
○井上委員 大蔵大臣は、千三百六十九億の民間資金の活用を本年度計画しているようですが、これだけの資金がこれだけの費目に、民間金融機関が政府の意図する方向に了承していただいて、ここへ資金がこれだけ投下されるというペーパー・プランじゃないでしょうね。ペーパー・プランならこれは非常に簡単だけれども、民間金融機関は営利を目的にしているのです。公共的なものとして一定の制約はされておりますけれども、営利団体である。営利を目的としているのですから、そんな金融機関が、どういううまい話ができているか知らぬけれども、道路にしても住宅にしても北海道開発にしても、相当長期の資金を一体どう動員しようというのです。資金統制を積極的に法律で規定してやろうとするなら別ですが、法律的強制を加えずに、単に政府の勧奨だけで、営利採算をもってやっておる金融機関がそううまく応じてくれるとお考えになりますか。私はそういう甘い考え方は危険であると思うが、この資金をどう動員して活用しようというのです。具体的にその方法をお教え願いたい。それで、千三百六十九億という資金は市中銀行ですか、あるいはその他どこの銀行の資金がこれだけ寝ておるというのです。具体的に説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/113
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114・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 大体三十年度の金融機関等の預貯金の増加は、当初の目標が八千億でありましたが、これを突破いたしております。三十一年度も、私の考えでは、この八千億をむろんこえるというふうに考えておるのでありまして、この情勢からいたしまして、産業資金全体の供給量もおそらく一兆はむろんこえましょう。一兆何千億になるか私今ここで正確に申し上げかねるが、一兆をこえることは間違いありません。そうしてみると、約一割に当るものであります。この程度の金は、今日この金融機関の自主的な立場からもむろん十分供給ができる、こちらから言えば、その調達はむろん可能であると思うのでありますが、しかしなお国家のいろいろな政策が実現できるように、これを反映せしめるために適当な機関、たとえば大蔵大臣の諮問機関として資金運用に関する審議会を作って、十分国家の考え方も反映させる。しかし、これは何も資金統制ではないのであります。あるいはまた法律をもって命令的にどこに融資をしろというようなことは毛頭考えておりません。そういうことをしなくても十分資金の調達は可能であり、確信が持てるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/114
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115・井上良二
○井上委員 最初大蔵省は、資金委員会ですか、そういう構想で新聞にも数回報道されたことがありますが、これに対応しまして、民間金融機関があげて反対の意見を表明しておることも、新聞で報道されております。そうしますと、実際政府が意図しておった資金委員会というのは、何も統制を加えるとか、強制力を持つとかいうのではない。できるだけ話し合いで、一つ政府の意図する方向へ資金を投入してもらいたいという話し合いを進める機関のようにわれわれは了承しておったのです。そういう民主的にしてかつ具体的に運用されようとする機関でさえ、何か統制を加えられるような印象を持って反対をしておりましょう。だから、名前は金融機関資金審議会ですか、そういう案も一部考えられておるようですけれども、これは資金委員会とあまり変りのない委員会になりはせぬぬかと思うのです。そうすると、あなた方がそういう委員会を作って、資金をできるだけ国の意図する方向へ流してもらいたいということを考えただけでも、民間金融機関がピリッときて、だめだと言っておるのだから、なかなかそうあなたの思うように資金は活用できぬではないかと考えるのであります。特にお話のように、民間資金が非常に蓄積されてきておるという理由には、いわゆる預貯金に対する利子課税を免除したということが非常に響いておる。反対に郵便貯金はどんどん少くなってきておる。政府の郵便貯金の資金の油川は、非常に困難な実情に追い込められておる。現に起債その他これを見返りとするところの資金運用部資金というものは、非常に操作が困難な実情にあるのであります。これは全く政府の金融政策のよろしきを得ないからであります。みずからが十分に活用できる資金源はどんどん減らす政策をとって、自分から十分に活用できない資金源はどんどんふえていく政策をとっている。そうお思いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/115
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116・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 郵便貯金の伸びが予定よりも若干悪いということは事実であります。しかしまた反面、従来郵便貯金の伸びがよ過ぎたとも言えるのです。郵便貯金の金と民間の金とそう区別することはない。これもやはり国民がみんな働いて、消費を節約してためた金です。これが国家目的に使われることは当然なことなんであります。郵便貯金に国家目的、民間の金はそうでなくていいというような考え方は、私はいたしておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/116
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117・井上良二
○井上委員 少くとも国会に対して、政府が民間資金はこういう工合に活用するんだという以上は、この千三百六十九億という資金は、金融協会等と一応話をされまして、これだけはこういう項目に融資してもよろしいという大体の話がついておるのですか。まだこれからつけようというのですか。少くとも国会に対して、かような資料を提出する以上は、政府当局としては金融機関と話をして、今お話の通り約一兆円になんなんとする資金源の、約一割三分でありますから、そのくらいならそういう方面に出せぬこともないから、これだけの項目に対してぜひ一つ長期、短期の融資をやってもらいたい、よろしゅうございますという大体了解済みの上の数字ですか。それともこれはまだ海のものとも山のものともわからぬ、いわゆるペーパー・プランですか。その点明確にされたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/117
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118・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 金融関係は協力すると言うておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/118
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119・井上良二
○井上委員 金融機関が協力するということですから、私どもはあとで実績を見てのことにしなければなりません。
そこで、私はさらにもう一点念を押しておきたいのですが、これらの住宅、道路、国有鉄道、北海道開発に対しましては、今後は政府としては、財政投資をもって充てずに民間資金の活用をもってこの面に充てていって、財政負担はできるだけ軽くするという方向に持っていこうとするのですか、いや、そうはいかぬのじゃ、また来年は来年で別に考えるというのですか。と言いますのは、さいぜんも申します通り、財政全体の規模の問題がございますし、国民負担の問題もございますから、特に私ども住宅とか道路、あるいは国有鉄道とか北海道出発とかいうようなものは、国の責任においてやるべき問題であって、民間の資金の多い少い、時の経済情勢に左右されてやるべきものではありません。少くとも国の政治政策として、これらの問題はそれぞれ解決していかなければならぬ問題でございますから、そういうものを民間資金というきわめて不確定な要素にたよってまかすわけにはいかぬことになりはせぬか、こう考える点もございますから、こういう点に対しましての大蔵大臣の明確な御所見を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/119
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120・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 国の施策として、民間にやらせることが不適当であったり、できなかった、こういりものについては、政府が財政資金をもってやることは当然であります。これはそういう方向にいかなければならぬ。従来はそうでなくして、そういう範囲を非常に越えまして、むしろ財政資金が主となってやっておったという点が、そうでなくて、重点が民間に移っていく、そうして財政は、むしろ私が言ったような意味はおいて、補完的な作用をしていくのがよかろう。同時に、そうしないと、せっかく物価も安定し、国民も非常に働いてくれ、消費の節約をして資金が民間に非常にたまっており、そうして金利も非常に安くなっていく。これを経済に使わずしておくという手は絶対にないのでありまして、当然経済活動の大きな部分が民間資金に依存するのは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/120
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121・井上良二
○井上委員 わかりました。私は、将来政府が財政投融資はできるだけやめる、やはり民間資金を政府の方でいろいろ活用を計画して、財政投融資に肩がわりさしていくというのならば、現在のような状態では、なかなか意図する方向には活用できぬじゃないかということを杞憂いたしております。もしやろうとするならば、少くとも国家統制的な方向へこれを持っていきませんと、政府の意図する方向に資金が計画的に導入できないことになるということを心配するのです。
時間がありませんから、私はこれ以上申し上げませんけれども、私どもが予算全体を見まして、特に本年新しく予算に当然盛らなければならぬ問題が民間資金に肩がわりされて、実質的にはインフレの様相をこの面で高めてきておるこの事実を、私どもは見のがすわけには参りません。だから、こういう点で予算がごまかされるということについては、何としても私どもとしては納得がいきません。たださいぜん大蔵大臣は、将来予算規模はできるだけ縮小して、国民負担を軽減していく、そうして実際歳出の面においては、できるだけ効果の上る方面に主力を注いで編成をするという御答弁がございましたから、私どもその大臣のまじめな財政的態度に対して、野党といえども私どもその立場では一応協力を申し上げますが、なおこの際、はなはだくだらぬことでございますけれども、一応御注意を申し上げておきたい点は、私ども、これから日本がこの狭いところでこれだけの人口をかかえて、少くとも国際的な競争に太刀打ちいたしますためには、いろいろむずかしい財政経済なり、産業貿易政策なりを論議しておりますけれども、問題は、やはり米英その他重化学工業等に非常な飛躍をいたしております国々と、今後わが国としては一体どういう面で市場を争うか、一体どういう輸出を中心にして日本の国際収支を確保するか、そういう点を考えますときに、何としてもわが国といたしましては、科学枝術の飛躍的向上をはかって、世界の市場に日本の商品の真価を高める政策が強力にとられませんと、日本としては太刀打ちできなくなってくる。こういう面に対して、大蔵大臣としては確固たる方針を御検討下すって、少くとも次年度予算の編成においては、十分注目をしていただかなければならぬと私どもは考えておるわけであります。
なお、これはあなたにお聞きするのは工合が悪いですが、また機会がございませんから申し上げておきます。これは大蔵大臣の監督ができるだろうと思いますが、専売公社の問題です。この専売公社の秋山総裁かだれかしらぬが、あの総裁をたびたびここへ呼び出しておりますが、あれがなかなか出てきません。それで、実は最近専売公社から売り出しておるたばこが非常に品質が悪い。それから中には本数の足らぬやつを売っておる。これは実にけしからぬことで、政府が専売で一手に独占して販売しておりながら、中身をごまかしをするというようなことを平気でやっておる。そうして当りまえに、すました顔を現実にしておるというのはもってのほかです。事は小さい問題ですけれども、国の信用にかかわる重大な問題でありますから、この点は、大蔵大臣は専売公社の実情を十分調査させて、一体どこの製造工場でさような不良な機械を使い、不良の品を出しておるかということをお調べになって、本委員会に責任ある者からの御答弁を要求いたしまして、私は、本日の質問はこの程度で保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/121
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122・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00419560209/122
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