1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十一日(火曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長代理理事 春日 一幸君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君
淺香 忠雄君 大平 正芳君
奧村又十郎君 加藤 高藏君
川島正次郎君 竹内 俊吉君
中山 榮一君 古川 丈吉君
保利 茂君 坊 秀男君
山村新治郎君 有馬 輝武君
石山 權作君 井上 良二君
木原津與志君 竹谷源太郎君
田万 廣文君 横山 利秋君
石野 久男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(主計局長) 森永貞一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(理財局長) 河野 通一君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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二月十七日
大蔵省関係法令の整理に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三号)(参議院送
付)
在外公館等借入金の返済の準備に関する法律を
廃止する法律案(内閣提出第四号)(参議院送
付)
特定物資納付金処理特別会計法案(内閣提出第
六〇号)
食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失
をうめるための措置に関する法律案(内閣提出
第六一号)
同月二十日
互助組合掛金の非課税に関する請願(春日一幸
君紹介)(第六九九号)
関税定率法の一部改正に関する請願(田原春次
君紹介)(第七〇〇号)
同(松原喜之次君紹介)(第七〇一号)
同(大西正道君紹介)(第七三九号)
果実エッセンスに対する物品税撤廃に関する請
願(上林與市郎君紹介)(第七〇二号)
津山市に国民金融公庫支所設置の請願(大村清
一君紹介)(第七〇三号)
同(小枝一雄君紹介)(第七八二号)
ビール税率引下げに関する請願(塚原俊郎君紹
介)(第七三八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
大蔵省関係法令の整理に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三号)(参議院送
付)
在外公館等借入金の返済の準備に関する法律を
廃止する法律案(内閣提出第四号)(参議院送
付)
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八号)
賠償等特殊債務処理特別会計法案(内閣提出第
一三号)
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一九号)
国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
案(内閣提出第二九号)
昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十
年度における国債整理基金に充てるべき資金の
繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出第三二号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第三
七号)
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三八号)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第三九号)
関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四〇号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四五号)
余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
国家公務員共済組合法第九十条の規定による公
務傷病年金等の額の改定に関する法律案(内閣
提出第四九号)
特定物資納付金処理特別会計法案(内閣提出第
六〇号)
食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失
をうめるための措置に関する法律案(内閣提出
第六一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/0
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001・春日一幸
○春日委員長代理 これより会議を開きます。
本日は委員長に差しつかえがありますので、不肖が委員長の職務を行います。
この際御報告をいたします。当委員会において予備審査中でありました大蔵省関係法令の整理に関する法律の一部を改正する法律案及び在外公館等借入金の返済の準備に関する法律を廃止する法律案の両法律、案につきましては、去る十七日参議院において可決され、同日本院に送付されて当委員会に本付託となりましたので、御報告いたしておきます。
次に去る十七日当委員会に審査を付託されました特定物資納付金処理特別会計法案及び食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案の両法案を一括議題として審査に入ります。
まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/1
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002・山手滿男
○山手政府委員 ただいま議題となりました特定物資納付金処理特別会計法案外一法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
最初に特定物資納付金処理特別会計法案について申し上げます。
今回政府は、バナナ、パイナップルカン詰等その輸入が制限されるため、国内の需給の不均衡が著しく大きくなり、その輸入によって通常生ずる利益を越えて異常な利益を生ずると認められる特定物資につきまして、その輸入により生ずべき利益の一部を徴収するため、別途特定物資輸入臨時措置法案を提出をいたし、御審議を願っているのであります。この法案によりますと、特定物資の輸入について外貨資金の割当を受けた者は、適正な利潤を越えて生ずべき特別輸入利益を国庫に納付する義務を負うことになりますので、政府におきましては同法の制定に伴いまして、その特定物資納付金を徴収し、これをもって産業投資特別会計からの投資の財源に充てることといたし、これに関する政府の経一を明確にするために特別会計を設置し、一般会計と区分して経理することが適当であると考えまして、ここに特定物資納付金処理特別会計法案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。この会計は、通商産業大臣が管理することとし、特定物資納付金及び付属雑収入をもってその歳入とし、産業投資特別会計への繰入金、事務取扱い費及び付属諸費をもってその歳出としております。またこの会計から産業投資特別会計への繰り入れの方法につきましては、毎会計年度の歳入の収納済み額から事務取扱い費及び付属諸費の支出済み額等を控除した金額を限度として、予算で定めるところにより、随時繰り入れることとし、その他この会計の予算及び決算等の作成並びにその手続等に関し、特別会計の運営上必要な事項を規定いたしているのであります。
次に、食糧管理行別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案につきまして、御説明を申し上げます。
食糧管理特別会計の昭和三十年度当初予算におきましては、この会計の昭和三十年度末における損失を昭和二十九年度からの繰り越し損失を含め、約百億円と見込んでいたのでありますが、その後において、内地産米で約百八十八億円余、内地産麦で約十億円及び米の集荷数量の増加等に伴いまして、三十億円余、合計約二百二十八億円の損失が増加することが見込まれることとなったのであります。一方利益についてみますと、外国食糧の売却益七十一億円余、酒米等の売却益約二十一億円、内地産米の希望配給による益五十三億円余及び雑収入その他による益約十七億円、合計約百六十二億円の利益の増加が見込まれることとなり、差引当初見込みに比べ六十六億円余損失が増加し、昭和三十年度末におきましては約百六十七億円の損失が生ずるものと予想されるのであります。
この百六十七億円の損失のうち、百億円は、昭和二十六年度において一般会計から繰り入れましたインベントリー、ファイナンス百億円に見合いますので、今回この百億円に相当する金額につきましては、一般会計に繰り戻さなくてもよいこととし、また、六十七億円につきましては、一般会計から食糧管理特別会計に繰り入れることとしてこの会計の損失を補てんし、もってこの会計の今後の健全な運営に資しようとするものであります。
以上特定物資納付金処理特別会計法案外一法律案についてその提案の理由を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/2
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003・春日一幸
○春日委員長代理 これにて提案理由の説明は終りました。引き続き両法律案及び所得税法の一部を改正する法律案外十五法律案を一括議題として質疑を許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/3
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004・井上良二
○井上委員 議事進行について。ただいま山手政務次官から食糧管理特別会計関係の法案が提案されてきましたが、一体政府は、本法案を今ごろ何ゆえに本委員会に出されたのです。それに関係する予算は成立してしまったではないか、こんなばかな話はあるもんじゃない、何をしている。あなたの説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/4
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005・山手滿男
○山手政府委員 予算を提出いたしておりますこと、御承知の通りでありますが、その前に当然出すべきでございまして、用意をいたしておりましたが、いろいろ法案も輻湊いたし、御審議を願うのが今日に至りまして、多少おくれたこと申しわけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/5
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006・井上良二
○井上委員 かねて政府の法案提出に対して、国会としてはその促進を常に要求してきました。特に予算関係の法案は、予算の成立以前に提出することを内閣官房長官を通して強く政府当局に要求してあります。それが大蔵省には通じておりませんか。通じてないとすれば、本日議運において官房長官を呼んで、その責任を追及したいと思うが、通じてないのですか。どういうわけでかようなことが——ただいま御説明願った三十年度における損失を措置するための法律案については、この内容は予算委員会でも相当問題になって議論されてきておるのです。それを、一体どういうわけで今ごろまで提案がおくれたのですか。おくれた理由は何です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/6
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007・山手滿男
○山手政府委員 御指摘のありました官房長官からは、予算に関係する法律案につきましては、できるだけ早く出すようにということで、いろいろたくさんございますのですが、大蔵省においても鋭意準備をいたして参っておりました。この法案も、日にちは忘れましたけれども、先般国会の方に提出をいたしておったわけでございますが、いろいろ法案が錯綜をいたし、すでに約二十もの法案が、この委員会にかかったなどの関係もありまして、直接に御審議をわずらわすことが非常におくれたことと思いまして、遺憾に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/7
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008・井上良二
○井上委員 ただいま三十一年度予算案を審議中でございますが、本予算に関係のありますところの法案は、全部出せる見込みですか、それともおくれるんですか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/8
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009・山手滿男
○山手政府委員 先ほど申し上げましたように、官房長官から、できるだけ早く出すようにという督促もございますし、まだ一、二残っておりますけれども、大部分のものは、一両日うちにも全部この国へに提出をする段取りでございます。この法案は、だいぶ前に出ておると思っておったのですが、法案がこの委員会に軸湊をいたしまして、御審議を直接願うことがおくれましてまことに遺憾でございますけれども、どうぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/9
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010・井上良二
○井上委員 幸いに与党は出席数がきわめて少いですから、ただいまこの法案審議拒否の動議を出して、採決に訴えるかもわかりませんが……。
〔「委員長、委員長」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/10
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011・春日一幸
○春日委員長代理 発言は許しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/11
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012・井上良二
○井上委員 すでにただいま申し上げました通り、この法案に関係のあります予算案が成立した後に、予算に関係のある重大なものを出すという不手ぎわはありませんよ。こんなべらぼうなことはないです。(「二、三日前に出ているよ」と呼ぶ者あり)かりに二、三日前に出しているなら、政府は直ちに委員会の開会を要求して、法案の審議をみずから推進すべきです。それを全然やらずに、予算は通ったから、ここで一つ通してくれ、そんなむちゃな話はありませんよ。この法律案が通らなければ、予算案は通っても役に立ちません。どうですか、これを否決したら困っちゃうでしょう。採決しましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/12
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013・春日一幸
○春日委員長代理 ただいまの井上委員の発言はきわめて重要でありますから、この問題につきまして、政府当局からさらに重ねて責任ある御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/13
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014・山手滿男
○山手政府委員 この法案は、先ほどから申し上げておりますように、予算の通過前に出して御審議を願うように段取りをしておったのでございますが、先ほども申し上げましたように、この委員会に法案が輻湊いたしまして、委員長あるいは皆さん方に直接内容について御審議を願うことがおくれて、今日に至ったわけでございます。非常に遺憾でございますが、事実は非常に明瞭でございまするので、何とぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/14
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015・井上良二
○井上委員 もう一ぺん私はっきり言っておきますが、もし本委員会でこれが否決された場合には、予算措置は一体政府はどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/15
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016・山手滿男
○山手政府委員 否決などということのないように、御審議をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/16
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017・春日一幸
○春日委員長代理 この際委員長より発言をいたしますが、本問題はきわめて重要な事柄を含んでおりますので、この際大蔵大臣よりも一つ所信の御披瀝を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/17
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018・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ただいま政務次官から御答弁申し上げた通りであります。言うまでもなく、法律案を先に出して、それから予算というのが私も順序かと思います。それがあべこべになっておくれましたことは、非常に遺憾に思います。私もよく事情をただしますが、どうぞ御審議を御継続願いまして、通過いたしますように私からもお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/18
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019・井上良二
○井上委員 政府みずからそのことを知っておりながら——予算案よりも法律案を先に審議しなければ、予算案が成立したって予算の執行はできません。もしこの法案が本委員会で否決された場合は、これは問題ですよ。そういうことを知っていながら、予算案の成立した後に出すというようなことはもってのほかである。われわれはこの法案をこのまま——政府が責任を感じないのに審議をやるなどということは、そう心やすくはできない。与党の方で委員もたくさん出てきて、多数の上にあぐらをかいて強引に押し切ろうというならまた別です。それも今はできないのだ。それだから、政府に重大な警告を発しまして、今後再びかようなことのないように十分注意を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/19
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020・春日一幸
○春日委員長代理 この際古川丈吉君より発言を求められておりますから、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/20
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021・古川丈吉
○古川委員 ただいまの井上さんのお話で尽きたようですが、この問題は、前国会において私からもそういう意味のことをお願いしたのであります。予算を伴う法律案は、少くとも並行的に審議のできるようにしてもらわなければ、お茶の出がらしのようなことをこの委員会で審議するのでは意味がないし、また予算案が通過すれば、われわれとしてもある程度精神的な束縛を感じて、十分な審議ができないのであります。この前は、大蔵大臣は見えておられなかったが、幸い本日は見えておりますが、私はこの法案については、社会党の言い分が正しいと思う。少くとも並行的に審議のできるように法律案を出していただくようにお願いいたします。
それからこの際ついでに——というよりも非常に大事なことですが、幸い大蔵大臣が見えておられますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/21
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022・春日一幸
○春日委員長代理 古川君に申し上げますが、他の問題でありますれば、質疑の通告順に従ってやっていただきたいと存じます。関連と考えまして発言を許しましたが、関連以外の事柄は、通告をされて、順序を待って発言を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/22
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023・古川丈吉
○古川委員 それでは、黒金君の質問の、順序を変更してもらいまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/23
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024・春日一幸
○春日委員長代理 黒金君の発言は、本日はまだ通告されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/24
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025・古川丈吉
○古川委員 大臣のおられるときに、ほかの人の質問が済みましたら、一つお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/25
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026・春日一幸
○春日委員長代理 委員長において十分考慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/26
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027・井上良二
○井上委員 私、最後に大蔵大臣にお願いを申し上げておきたいのですが、やむにやまれぬ事情で非常に提案がおくれたという御釈明でございました。政府もいろいろ取り込んでおりますから、努力されたけれどもやむを得なかったと一応私は了承いたしますが、本件を了承するに当りましては、三十一年度予算に関係のある予算関係の法案は、予算審議の終ります前におくれずに出す自信がありますか。それとこれと交換にしましょう。あなたは、必ず予算関係の法案は、予算審議以前に出すという確信がございますならば、私どもこの法案の審議に応ずる。大臣、その点はっきり責任が持てますか。それを明確にしていただきたい。その上で本案の取扱いに対する態度を社会党としてはきめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/27
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028・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私も今の井上さんのお考えと同じような考えを持っておりますので、極力事務当局を督励いたします。法制局の関係も、あそこに事務が非常に輻湊している関係もありまして、大蔵省だけというわけにもいかぬと思いますが、極力事務当局を督励いたしまして、貴意に応ずるようにいたします。
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029・春日一幸
○春日委員長代理 この際大蔵行政一般に関する総括質問が残っておりますから、理事会の協定に従いまして、これを通告順に許します。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/29
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030・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵大臣の本会議における財政演説を見ますと、三十一年度の予算で、財政面からのインフレ要因を厳に排除することを目途として編成したという御説明でございますが、インフレ要因というものについては、いろいろ議論もあると存じます。たとえば軍事費のようなものは、それだけを取り出せばやはりインフレ要因だと言わざるを得ないのではないかと思います。お金をどぶに捨てるならば、ただ通貨が減るというだけですが、金を使っていろいろむだたものを作るということは、やはりインフレ要因に結局なってくるということが言われると思います。しかしながら、おそらく大蔵大臣は、現在の千四百七億程度の軍事費は、日本の経済能力から見て、そういう点については余裕が十分あるのだというお考えではないかと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 防衛費でありましょうが、こういうふうなものに対する支出がすぐインフレとは、私思っておりません。インフレ的な要因、傾向を持っておることは私もそうだと思いますが、しかし今回の予算編成は、御承知のように直接間接の税金によって歳出をまかなうという形におきまして、私はインフレ的ではないと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/31
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032・石村英雄
○石村委員 少くともインフレ的な傾向を持つという御答弁でございますが、大体大蔵大臣は、どの程度なら防衛費、軍事費というものがインフレ的傾向を著しく持つようにならない、どの程度までなら差しつかえないというようにお考えか、お示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/32
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033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 その点は、やはり基本的に政治の体制といいますか、それがどうであるかということが大きな要因である。従って、そういう政治体制からどういう経済機構になっているか、あるいは財政経済政策にたっているか。たとえて言いますと、非常な専制政治もやり得るような政治体制下においては、国民の生活は、そのときの権力者が自由によくもしといいますか、豊かにもし、またこれを圧縮することもできる、こういうような政治体制では、私は少々あると思う。たとえば防衛といいますか、あるいは普通の言葉でいえば軍事ということをやりましても、その反面において、国民生活を圧縮していくと私は思う。従って、これは非常に政治体制によりますが、日本のような民主的な、しかも経済の基調としては、いわゆる言葉の意味の自由主義経済ではありませんが、本質において資本主義であり、そこに制約を受けているが自由主義をとっている国においては、やはり何といっても国の総生産、あるいは国民所得というものについて、ある程度の比率を持つことがどうしても必要じゃないかと考えておりますが、その比率がどれほどか、これは私むずかしいと思っております。今日日本のような状況下におきましては、その率は低くあるべきだというように考えておるわけですが、今のところは、国民所得に対しまして二%か三%というところがぜいぜいのところではないか。しかしそれだからといって、それだけのものを出していいというのではありません。いいか悪いかは具体的に検討を加えなければならぬが、せいぜいそんなところではないだろうか。これは、たとえば五カ年計画の策定に当っても、経企長官あたりもそういうようなところをお話しになっているように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/33
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034・石村英雄
○石村委員 大体二%ないし三%という大蔵大臣のお考えのようですが、いつか大蔵大臣が週間朝日で徳川夢声氏と対談していらっしゃる中で、かつて井上準之助氏があの金解禁をやったが、あの金解禁を強行した理由は、軍部が横暴をきわめる、軍事費の増大というような言葉があったかどうか忘れましたが、そうしたことを押える意味で、日本においてそうした大きな軍事力を持つことは不可能だ、やらせないという考えから金解禁をやったのだという一萬田さんのお話が載っておったのです。それで、日本の軍事費は、昨年は一萬田さんの御努力で、一昨年と同様千三百二十七億、予算外国庫負担はくっつきましたが、それを除きますれば千三百二十七億と、一昨年と同様に三十年度はなったわけですが、三十一年度は八十億ふえてきている。共同声明なんかを見ると、今後さらにふえていくのではないかということが予想されるわけですが、一萬田さんは、井上さんのように、これを抑えるために決意というか、何か処置をおとりになるお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/34
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035・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、私がここで申し上げるまでもありませんが、井上さんが大蔵大臣をなさっているときと今日の日本と国情が違うのは、むろんであります。さらにまた防衛という問題自体をとりましても、非常な相違があるのであります。井上さんの当時は、いわゆる満州事変前後のときでありまして、日本が大陸まで軍隊を進めていくというような状況下にあったけれども、今日の日本の防衛は、全く日本の国を守るという意味の防衛体制だと思うのでありまして、それすらおそらく今日ではなお不十分で、それで政府としては、今後なお国力に応じて防衛力は増強していく、こういうふうになると思います。これはいろいろ見解がありますが、今のところそれでいいのですが、ただ私としては、やはり防衛という以上は限界があると思います。ある一定のところに整備されれば、それからさらに拡大するという必要は、防衛という以上はないと思います。今後それをどういうふうに政策的に時の政府が変更していくかは別として、私自身としてはそういうふうに考えます。従いまして、あるところに達すれば、そう防衛費は、それから先はどうか知りません、それから先は維持ということにおのずからなると思います。こういうふうな考え方が私の持っておる考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/35
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036・石村英雄
○石村委員 一定限度に達すれば、それを拡大する必要はなくなる、こういうことですが、しかしその一定限度と言ったって、諸外国がそういう考えに立つとして、攻撃力というものが大きくなれば、自然こちらも大きくしなければならぬということに理論上なってくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/36
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037・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 単に三段論法的な、理論的に言えばお説のようかもしれません。しかし、今日ほんとうの意味で戦争をし得るというものは、いわゆる原子兵器を持っておるところ以外はないのじゃないか、それがやはり決定的な支配力を持っておると私自身としては考える。別にこれは、政府の見解でも何でもありません、私の見解でありますが、私はそういうふうに考える。そうしてみると、防衛というものは、相手が非常に強くなるから、それに対応してこちらがやっていくという意味合いは考えていない。そうなれば、日本がいわゆる原子兵器というものを自分自身で生産をする、こういうことにならなくちゃならぬと思うのでありますが、そういうふうなことは日本は考えてもいないし、またその力も、私は非常な何千年先は別として、考えられる限りにおいては困難じゃないか、こう思っておるので、むしろこれは、世界平和という方向に持っていくべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/37
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038・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣の世界平和への御期待と御協力を信頼いたしまして、このくらいにしておきますが、次に大蔵大臣は、一部には公債発行によっても財源を調達し、積極的に各種の経費の増額をはかるべきであるという声もないではないが、いまだその時期にあらず、こういうお話でございます。ごもっともだお考えだと思うのですが、しかし実態を見ると、ほぼ公債発行と同様のことに三十一年度においてもなっておるではないか。大体この考え方は、一萬田さんの本来の考え方に沿わぬ予算が組まれておるのではないかと思うのですが、この始まりは、昨年の補正予算のとき、当時の自由党と民主党とで、足して二で割ったときから発生した傾向でありまして、たとえば今まで民主党時代の経済五カ年計画か何かでは、一般会計からの投資も二百億か三百億計画には予定されておったのが、あの補正予算でそうした一般会計からの投資は大部分削ってしまって、ほかに振りかえられたということから、また昨年の一月二十三日かに、当時の自由党を代表して水田さんが、公債を発行して一千億減税をやれという代表質問もあったのですが、そういうことが現われてきたのではないかと思うのですが、今度の予算を見まして、予算の説明によりますと、財政投融資関係で一般会計の投資は二十億に減らされておりますが、公募債借入金は非常にふえてきておる。昨年に比べると約四百億からふえておると思うのですが、この予算の説明に載せられておる九百億という公募債は、いずれも政府保証のものであろうかと思います。これ以外に日本航空の社債の十五億、借入金の十七億何ぼ、あるいは東北興業の債券の九億というものも、やはり予算総則を見ると政府保障になっておる。これらはいずれも国債ではないが、実質的には公債だといわざるを得ないと思いますが、昨年よりも四百億からふやされておるということは、現在の資金状況からいえば四百億くらい大して問題じゃないということも言われるかもしれませんが、少くとも公債によって事業をやっていこうという傾向が強く現われてきたのではないか、こう判断いたしますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/38
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039・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の財政演説には、公債財源等によって財政規模を拡大することは今その時期でない、こういうふうな意味を申し上げたと思うのですが、民間の資金を、それだからといって活用といいますか、従来民間資金ではなかった投融資を民間資金を用いてやるということは、私は差しつかえないと思うのでありまして、お示しの、たとえば公団等が公団債を出す、あるいはほかのもので公募債を発行する、それはどうか、こういう意味のお話でありますが、私は、やはり公債といえばこれを政府の財政財源にしまして、そうしてこれはある意味においてどこでも使える、これは限界はないように思うのです。しかし公団債になりますれば、そこが違うのでありまして、ある特定の事業、その特定の事業は十分採算ベーシスの上にある、そういうふうな公団が、その公団だけで所要する資金のある部分を民間資金によるというので、ちょうど民間の会社が社債を出すのを、ただ企業主体が民間であるか政府であるかという相違があるという意味において、公債とははっきり区別をいたすべきで、今日の金融行政あるいは財政金融を通じての問題と考えれば、その程度の民間資金の活用は、今日の情勢で適当である、こういう考えからしておるわけでありまして、これはそういう意味からも、公債とはよほど性格といいますか、本質を異にしておる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/39
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040・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣の言われるのは、赤字公債のことを問題にしていらっしゃるのではないかと思うのですが、しかしこの場合、公募債もそれならどういうわけで政府保証を必要とするか。政府保証をするということは、実質的には公債であるということも言われる。もちろんその使途というものは、あるいは公団とか特定のものに限られておるのでございましょう。しかし、それは一般的な公債でも、予算でちゃんと総ワクはきめられている。公債は、何でも予算なしにでたらめに使えというような公債が発行されるわけではありません。やはり予算にちゃんとこの使途というものは、直接この金ということはないにしても、総ワクにおいてはきめられる。で、公団債で電源開発の七十億、あるいは北海道開発公庫の四十億、こうしたものを政府保証でしなければならないという理由がそれならどこにあるか、それをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/40
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041・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 その点は、先ほど私がまず第一に申し上げました通り、公債等の発行によりまして、これを財源にして財政規模を拡大するのは今その時期でない、かように私は財政演説で言うてあるのであります。民間資金を財政資金として使うこと、そのこと自体が必ずしも悪いとは言い切れないと思う。そういうようなことをやり得るように、民間の金融情勢も成熟しておるか、要件を備えておるか、またそういうことをする妥当性が財政面からも考えられるか、同時にまた国民生活なり、そのときの経済一般の情勢も考えた上で判断しなければならぬことでありますし、そういうふうな総合的な見地に立った場合に、今許される段階は、私が今申しましたように、公団等で採算の立つものにおいて民間資金をある程度活用していく、こういうことは、従来でも、たとえば電電公社あるいは国鉄というようなものにおいては公募債の利用をやっておるのでございまして、ただその程度がどういうふうにあるか、その程度がどういうふうにあるかということは、そのときの客観情勢に左右される、こういうふうに私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/41
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042・石村英雄
○石村委員 どうも御説明がはっきりのみ込めないのですが、これらに政府保証をしなければならぬというその理由を、はっきりおっしゃっていただきたい。程度がどうとかこうとかいろいろお話しになりますが、これらに九百億、日本航空なんか含めれば九百億以上になると思いますが、それを政府保証でやらなければいかぬというその理由を、ごく簡単に、われわれの頭でものみ込めるように御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/42
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043・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ごくおわかりになりやすく申し上げれば、娘を嫁にやる場合に、きれいな着物を着せてやるのにほぼ似ておると思う。いわゆるなじみをつけてやる、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/43
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044・石村英雄
○石村委員 そうすると、きれいな着物を着せて娘を嫁にやるというような意味で、政府保証があることによってこれが消化されるということに結局なるわけなんですか。政府保証がなかったら、電源会社にしろ、北海道開発公庫にしろ、あるいは道路公団にしろ、これらの金は調達できない、普通の着物では娘を嫁にとってくれないから、一つごまかして売りつけようというお考えで政府保証をなさるのか、その点をはっきりおっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/44
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045・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 決してそういうわけじゃないのでありまして、やはり一応そういうものを一般に持っていただきます場合には、そういうふうな債券になれる——これは実際そういうことをおやりになればよくわかるのでありますが、なれるということです。消化の本質からいうと、政府保証がない債券の方が売れることは間違いない、ただしかし、売れるように持っていくために政府保証をする必要がある場合もある、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/45
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046・石村英雄
○石村委員 どうも政府保証があるとその債券がなれるということがわけがわからぬのです。一般の人が、政府保証があると、これは債券だということがわかるというのか、なれるとかなれぬとかいうのではなくて、もっとわかりいい言葉で御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/46
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047・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私どもは従来そういうことを言っておりまして、そういうような言葉が一番わかりやすい、普通に使われておる言葉であるのであります。これはあまり長くいろいろ説明いたしますと、かえって混迷いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/47
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048・石村英雄
○石村委員 これは、結局政府保証がないと売れないということになるのではないか。なれるという言葉が適当であるかどうか知りませんが、少くとも九百億というものは、政府保証がないと消化できないのだということに結果においてなるのではないかと私は判断いたしますが、そうではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/48
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049・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういうような考え方よりは、私どもは売れよくするという意味において政府保証をしておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/49
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050・石村英雄
○石村委員 売れよくするということは、同時に売れないと考えているということが言われるのではないですか。よりよく売れるということは、それをしなければ売れない。まあ全然売れないということもないでしょうが、あるいは利子をうんと高くするとかいうような方法をすれば売れるということはあるかと思いますが、この一定の条件のもとでは、政府保証をつけて初めて消化ができるのだということに結論としてはなるのではないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/50
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051・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これはいろいろ言葉のマジックになってはまずいですが、結局においては、お考えのようにおとりになってもよかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/51
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052・石村英雄
○石村委員 えらい回りくどくなって、最後に同じことになってしまったのですが、ついでにお尋ねいたします。
大蔵大臣は予算委員会での説明で、財政との関係で千三百九十七億民間資金の活用をはかっている、こういう御説明でございました。ところが予算の説明では、ただいま申し上げました九百億及びほかに予算総則を引っぱり出して見た関係で、日本航空の十五億あるいは借入金の十七億、東北興業の九億というものがあるのですが、その差の民間資金の金をどこにお使いになることを予定されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/52
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053・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 民間資金の活用は広い範囲を持っておるのでありまして、政府の策定しておる五カ年計画等を具体化していく場合、たとえば電源開発にこういう程度の資金、あるいは造船にこう、あるいは製鉄の合理化資金を初めとして設備資金等にこういうふうにやる、いろいろ策定される、そういう場合におきまして、財政資金からはそれに対してこういう程度出すが、それに不足する分は民間の資金による、こういう意味において民間資金が出ているわけであります。いわゆる財政資金で足らないところが差額になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/53
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054・石村英雄
○石村委員 これは理財局長から具体的に数字をあげて御説明願いたいと思います。財政関係の投融資は二千五百九十二億六千万円、ほかに民間資金千三百九十七億、七億ということまではっきりと大蔵大臣は予算委員会で説明していらっしゃる。この千三百九十七億のうち九百億と、またこれに載っていないさっき申しました日本航空あるいは東北興業の金があるのですが、それを引きましても、約四百億というものは民間資金をもってどこにどれだけの金額をおやりになるお考えか、一向はっきりいたしません。単に千五百億程度とか千六百億程度というならば、見当ということで話はわかりますが、千三百九十七億というような精密な金額が出ているのですから、政府としては具体的な計画があると思います。これを各用途別に金額をあげていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/54
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055・河野通一
○河野政府委員 あらかじめお断わり申し上げておきたいのでありますが、いわゆる民間資金の活用といいますものは、実はまとまった定義があるわけではないのでありまして、民間資金の活用ということを広く言えば、政府の金を出す以外のものはすべて民間で調達されているわけなので、そこをどういうふうに定義づけるかということは、いろいろな考え方が実はあると思います。一応私どもがここに数字をはじき出しましたものについては、千三百九十七億という数字が出ておりますが、これは積み重ねて参った数字であります。それでお手元にお配りしてありまする三十一年度の予算の説明書の中に載っておりまする数字の内訳ということに相なるわけでありますが、大体私どもが千三百九十七億ということを出しました内訳を申し上げますと、まず第一に、開発銀行の関係で新たに民間資金に移されたものが約二百九十億ある。それから電源開発の関係で七十億、北海道開発の関係で四十億、石油資源の関係で十億、輸出入銀行で四十六億、住宅公団で約百億、道路公団の関係で五十億、帝都高速度、いわゆる地下鉄でありますが、これで十六億、金融債の関係で百六十億、国有鉄道で二百四十億、電電公社で八十五億、地方債で二百九十億、一応こういうふうな数字を出しまして、その合計が千三百九十七億になっておるということでありまして、このほかに、先ほども御指摘のありましたように東北興業についても、同様の問題もありましょうし、日本航空についても、民間資金はどういうようになるかというような問題もありましょう。もっと正確に言えば、そういうものを全部入れなければならぬのかという問題もあるかもしれない。ここでとりましたのは、一つは開銀とか、あるいは輸出入銀行等のように三十年度の当初に比べて、大体政府資金に期待をいたしておりましたものが、金融情勢の推移に対応して、民間に移し得るものがどのくらいあるかという考え方が一つ、もう一つは、たとえば北海道開発公庫でありますとか住宅公団でありますとか、そういういわば政府事業的な性格の強いものの資金の調達が民間に期待されるものがどのくらいあるか。そのうちには、やはり地方債の公募分というものも当然それに類するものとして私どもは考えております。そういう二つの大きなカテゴリーに分けて考えていただきたいと思うのであります。開発銀行及び輸出入銀行等につきましては、結局産業資金になるわけでありますが、その産業資金としては三十年度の当初において政府の資金、つまり開銀あるいは輸出入銀行に期待されておった資金であって民間に移すことができるものを民間へ移した。従って、それだけが民間資金の活用としてふえてきた、こういう立場をとって計算いたしたわけであります。具体的に申し上げますと、たとえば開発銀行の場合において、船の問題をとってみますると、三十年度におきましては、開発銀行は船に対して八と二、八割を政府資金でまかなって、二割を民間資金でまかなっておる。それを三十一年度の計画におきましては、民間資金と政府資金とは大体五と五という程度のものという計算をいたしたわけであります。それによりまして、三十年度に比べて民間資金に移される金額というものがその差額として出てくるわけであります。それから電気については、従来、昭和三十年度におきましては当初二百八十億の資金を開発銀行から出しておる。それが三十一年度におきましては百二十億という数字に押えたのであります。従ってその差額が民間へ移されるわけです。こういうふうな計算をいたしております。
その他今申し上げましたような計算に準ずるやり方を輸出入銀行についてもいたしたのであります。そういった結果から出て参りまする民間資金へ移された金、ということは、民間資金の活用ということに期待される資金というものは、開銀について二百九十億、輸出入銀行について四十六億というような数字が出ておるわけであります。
それから電源開発会社につきましては、それと同じように、従来民間資金から電源開発への資金の調達ということは考えられておりません。少くとも三十年度当初においては考えておらないのであります。それが三十年度途中において、若干の民間資金の活用ということをいたしましたが、少くとも三十年度、初においては、そういうことを予定しておりませんものに対して、三十一年度においでは、七十億の電源開発の債券を民間によって消化してその資金を調達するということにいたしましたので、七十億民間資金の活用というふうな数字を上げたわけであります。その他今申し上げましたようなことに準じてずっと数字が上っておるわけです。そういったことで千三百億という数字が出ておるのでありまして、これは見方がいろいろございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/55
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056・春日一幸
○春日委員長代理 河野君に御注意いたします。御答弁は簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/56
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057・河野通一
○河野政府委員 でございますから、必ずしもこれが絶対で、ほかの計算方法がありませんとは申し上げません。私どもが考えた計算はそういうふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/57
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058・石村英雄
○石村委員 詳しいことは、また河野さんに別の機会に十分お伺いいたしたいと思うのでありますが、そういたしますと、結局これは必ずこれだけが民間資金の活用になるのかならぬのか。政府保証の分は、これは嫁に行く話まで出たのですから、おそらく行くのでしょうが、それ以外は、開発銀行にいたしましても、それだけ民間資金に回したという政府の腹だけ——これは大蔵大臣にお尋ねいたしますが、民間がそれを貸してくれるやらくれぬやらさっぱりわからぬということになると思いますが、民間資金に回すと一応予定された分について、政府として何か特殊な措置をおとりになりますか。これは行政的な措置で、政府保証というわけにはいかないと思いますが、ただこれは民間に回したじゃ、そういうことになるのかならぬのかわからぬですが、千三百九十七億のうちの政府保証を除いた金額について、その民間資金が政府の所期したところに流れるように、何か特殊な行政的な措置をおとりになるお考えがあるのかどうか、この点を御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/58
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059・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 別に行政的な措置をとる考えはいたしておりません。ただいま理財局長からお話し申し上げました千三百九十七億の内訳は、従来の実績から見まして、さらにまた今日今後の金融情勢から見まして、これは確信を持って、必要とあればこの資金の調達といいますか、調達というと語弊があるかもしれぬが、金融機関等から自主的にこういう資金が供給されることは、これはほとんど疑う余地はない程度に今日の金融情勢はあるのであります。これは、今日の金融情勢の分析から始めなくてはなりませんので、時間がかかりますからそれだけにとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/59
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060・石村英雄
○石村委員 そうすると、千三百九十七億なんというような数字をおっしゃる必要はないのじゃないかと思うのです。政府保証ではこれだけやるのだというだけでよくて、あと何十何億までこまかな数字を出して言ってみたって、何のことだかわからぬと思う。
この機会にさらに続いてお尋ねしますが、大蔵大臣は、財政金融の一体化ということをおっしゃっていらっしゃる。財政金融が一体化するということは、これはソ連かどこか社会主義の国ならば一体化すると思うのですが、資本主義の国で財政と金融がほんとうに一体化し得るものでございましょうか。もちろん財政と金融との関係が切り離せないということは言えると思います。しかし、これが一体化といえば、金融についても明確な政府の計画があって、個々の企業等について、この企業については幾ら融資する、それから銀行から融資させるならさせるというはっきりした計画がなければ、一体化ということにはならないのじゃないか、言葉だけで一体化々々々と言ったってとうていできないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/60
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061・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、あるいは言葉の上で、一体という意味にいろいろまた解釈があるかと思いますが、むしろこれは総合的に、財政は財政、金融は金融という形でなくて、財政と金融とを総合的に運営をして、そうして日本の経済の安定、拡大をはかり、国民生活の安定をはかっていく、こういうふうな考え方であるのでありまして、特にこの機会においてそのことが強調されるゆえんのものは、御承知のように、終戦後におきまして資本蓄積がほとんどなくなってしまった状況で、従ってこれはインフレの関係もありまするが、資金としては主として税金によった。これが非常に税が重かったということになるのでありますが、主として税金によって資金を集めて、そうしてこの資金に経済面もよっておったことが非常に多いということは、これはもう復金以来のことを御想像下さっても明瞭なんです。しかし、それが最近に至りまして、おかげさまで物価も安定をし、輸出も好調を続け、あるいはまた米の豊作というものも手伝って資本蓄積が民間に非常に多くなった。それで、従来国でやらぬでもよかったところまでやっておった、復金なんかきわめて著しい例でありますが、ああいうふうに、国が非常に経済面に資金的にいっておった部分を民間に返していくというとわかりいいのでありますが、民間の力でやらせる、そういうようないわゆる転換、新しい段階の状況下に今日きておる。そこで特に金融と財政というものの一体的、総合的な運営が必要である、こういうふうに言えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/61
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062・石村英雄
○石村委員 そうすると、総合的に運営するということは、御説明を聞くと、従来財政でやっておった部面を民間に返した、それが総合的にやることだ、今まで財政でいろいろやっておったが、そうしたことは漸次縮小して民間に回す、民間にまかなわせるということが、総合的、一体化という意味だ、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/62
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063・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういう点が一つあるのでありますが、それだけではなくて、これは、特に政府においては前からもそうであったと思うのでありますが、経済に計画性を——これはむろん計画経済ではありませんが、経済に計画性を与える意味から、いわゆる五カ年計画というものも策定しておりまして、今後の経済のおおよその発展の規模というか、あるいはそのテンポについての目標を与えております。従いまして、それを具現するに必要なる資金について、財政と民間金融というものが総合的に運営されて目的を達するということが必要である、こういう事柄もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/63
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064・石村英雄
○石村委員 われわれの考え、理解する一体化という言葉とまるで内容が違うわけですから、それでこの点がはっきりいたしました。われわれの理解する一体化とは全然違うのだということがわかりましたから、これはこれでおきます。
次に、大蔵大臣は、金融機関のあり方について、業務分野の調整をはかるというお考えを述べられておりますが、分野の調整は、大体構想としてどの程度お考えになっていらっしゃいますか。あるいは一般の市中銀行は商業的業務に限って、設備投資とかなんとかいうものは、ほかの長期信用銀行にやらしてしまうとかいうふうな分野の調整をお考えになっておるのかどうか。もちろんこれは、委員会か何かお作りになるのだということですから、その答申を待ってはっきりしたものは出るでしょうが、大蔵大臣の構想はどんなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/64
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065・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今お話のありましたように、御質問の点につきましては、近く法案の御審議を願いまして発足をいたします、金融制度調査会にかけまして十分検討を加えなくてはなりません。従いまして、その検討を待って、大蔵大臣としては自分の意見をきめるのが筋だと私は思っております。しかしごく大まかに申せば、私の考えでは、今日多くの金融機関があまりにも同じような——たとえば無尽にしても、あるいは信託にしても、それぞれの分野があったのでありますが、むろんそういう分野が今日ないとは申しませんが、すべてが銀行業務を営んでおる。若干の制約はありますが、そういう形になっておる。これを今どうするということを私は言うのじゃありませんが、そういうふうに非常にばく然としておる。これは終戦直後の混乱、特にまた経営が非常にむずかしかったこと等から、そういう困難な時期を経過する意味においていろいろな事業をやらした点もあろうと思いますが、こういうふうないろいろな点を今後整備いたしまして、やはりそれぞれ特色を持った形において——これははっきり区切ることもむずかしいかもしれませんが、少くともそれぞれ特色を持たせて、金融のいろいろな分野を担当するのがよかろうかと思います。どういうようにするかということは、調査会にかけた上できめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/65
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066・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣の構想をもっと具体的にお示し願いたいと思ったのですが、委員会でやるのだからということなら、それまででおります。今度の財政投融資の関係でも、例の国民金融公庫なんか、三十年度では減らされたが、五億という一般会計からの出資があったのですが、今度はそうしたものは一切なくなった。農林中金も去年三十年度は十億あったが、今度は産投会計の十億に振りかえられた。あるいは中小企業金融公庫についても、一般会計からの出資はやめたということになってしまってきておるわけですが、これはわれわれの主張では、こういう金融機関には一般会計からの金を回すべきだというように考えております。政府は昨年の補正予算からこういう考えを捨てられたわけですが、一つ小さなことですが、この国民金融公庫の政府出資をやめたにもかかわらず、一方納付金を一億五千万円ですか、とろうとしていらっしゃる。政府出資をやめたら——やめることにはわれわれ不満ですが、少くとも納付金までとらなくてもいいのじゃないか。これは何か適当な方法で、納付金をとらずに、国民金融公庫の資金をふやすという方法をとられべきではないか。これは金額というよりも、むしろ考え方が大きな問題だと思うのでお尋ねするわけですが、大蔵大臣は、こうした国民金融公庫なんかの一般会計の出資はどんどんやめてしまう、納付金はもうけが出てくればどんどん取り上げていく、社内留保に回さないというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/66
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067・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 社内留保を納付金でとってしまうという考えは持っておりません。それは必ず適当な割合を持っていると思うのですが、こまかくなりますから政府委員に答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/67
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068・石村英雄
○石村委員 政府委員に説明させるというお話ですが、金額の御説明を受けようとは思いません。これは予算にもはっきり出ておりますからわかっておりますが、大蔵大臣は、こういう国民金融公庫のようなものに一体どれだけの愛情を持っていらっしゃるかということです。その考え方を聞いておるのです。大蔵大臣は、富士の八合目でミルクを飲ましてやるという大へんな愛情を持っていらっしゃるが、一般の国民金融公庫を利用するようなものは、富士のすそ野でもうなだれて死んでおるような連中なんです。これに対しては、ミルクなんかは全然飲まさずに、少し余裕があれば取り上げてしまおうという、その考え方を私はお尋ねしておるわけで、専門家の方の御説明の必要はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/68
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069・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 しかし、そういうことは専門的に具体的なことをよく検討しないと——これはおそらく国会の御承認を受けたあの銀行法に基いて、剰余金が生じた場合には納付させる、こういうふうになっておるのだと私は思うのです。これは、国会でも十分御審議を願っておるものと思っております。従いまして、なお具体的にどういうふうになっておるか、一応事務当局から説明をお聞きになるのが一番よろしい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/69
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070・森永貞一郎
○森永政府委員 ただいま御指摘のございましたように、国民金融公庫は、三十一年度は一億五千万円の納付金をいたすことになっております。これは、公庫法の規定によりまして、政府出資をいたしておりまする各公庫につきまして、剰余金が出ました場合には、一定の利益処分の方法が一応ございますが、貸し倒れ準備金等を積み立てました後に、なお残っております剰余分につきましては、これを国庫に納付するという規定になっております。その関係で、国民金融公庫並びに中小企業公庫等につきまして、さような納付金の歳入予算を計上いたしております。おそらくお尋ねの趣旨は、今年政府出資を減らしたから、もし剰余金があるくらいなら貸付金利を下げるべきではないか、そういう政策論だと存じます。政府出資は減らしましたが、資金コストはあまり上らないという公庫の実情にかんがみまして、今回は従来通り納付金を計上いたしておるわけであります。なお貸付金利の低下に今後も極力努力したければならぬという点につきましては、私ども全然同感でございまして、その努力をないがしろにするつもりは全然ございませんから、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/70
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071・石村英雄
○石村委員 大蔵大臣もお聞きの通りだと思います。私も、実は国民金融公庫法をいろいろ読んでみまして、現在の規則では、そういうことに結論はなっておると思うのですが、しかし運用において、納付金で取らなくても済むのではないかということと、どうしても今の規定では納付金として取らなければならぬということなら、国民金融公庫という性質から考えて、これを取らなくて済むような改正法をお出しになってはどうか。そういうお考えが大蔵大臣にあるのかないのかということをお尋ねしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/71
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072・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは、私は利益処分の方法が適当であるかどうかということだと思います。適当な利益処分法がきまっておって、なおかつ余剰が生ずれば、私は公庫の性質から、政府が全額出資とかその他のいろいろな関係から見ても、これは納付さしていいと思います。ただ問題は、そういうふうな余剰ができる前の利益処分について、もう少し社内留保をふやすようにした方がいいのじゃないかということはあり得ると思います。これは十分検討させるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/72
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073・石村英雄
○石村委員 どうも大蔵大臣は、国民金融公庫などというものに非常に冷淡であるように考える。われわれは、現在いろいろ政府の金融機関で一番一般の低所得者の役に立っておるのは、この国民金融公庫だと思います。これは、全国に直接出張所なり支所を作って、末端まで非常にめんどうを見てやっております。中小企業金融公庫も、ねらいはけっこうですが、現在のところ代理貸付がほとんど全部に近いものになっておって、まだ十分所期の目的を達しておるとは思いません。しかし国民金融公庫は、多くの支所を持ち、出張所を持って、まずまず、いろいろ時間がかかるとかなんとかいう一般の国民の不満はありますが、相当の効果をあげておる政府の庶民機関だと思います。これに対して政府出資をやめるということなら、納付金を取らない方法を大蔵大臣としては考えられるべきではないかというのが、私の質問の要点なんです。規則でそのようになっておるんだから取るんだというのは、あまりに冷淡な態度ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/73
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074・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、考えは同じだと思っております。ただ形をどういうふうにするのが合理的か。利益金が、余剰というものが出ておるにかかわらず、なおかつ政府がこれを取らぬという形にするのがいいのか。そうでなくて、政府の出資も今後なかなか望み得ないとすれば、政府の出資は一般会計からできませんが、預金部その他産投あたりから将来はいかぬとも限らないのであります。問題はそういうふうな余剰が少く出るように、従来の社内留保に何パーセントという、そこのところを資金供給の状況の変化に応じてもう少し社内留保を多くすれば、余剰は出ないのですから、そういうような考え方、それは私は合理的で、他との関係においても公平じゃないか。余剰が出ていて、それを取らぬというのはちょっとおかしいことになりはせぬか、こういう考え方で、お考えは同じでして、そういう点については今後検討を加えさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/74
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075・石村英雄
○石村委員 考えが同じだとは大へん光栄の至りですが、しかし、実は考えが同じではない。私は、この三十一年度の予算で一億五千万円という納付金を見積っていらっしゃることが、大蔵大臣としての御配慮が足りないことだ、こう考えておる。この一億五千万円をゼロにして、社内留保するなり何なりにして運用させるべきであるという趣旨の御質問をしておるわけなのです。考えが同じなら、三十一年度の予算に一億五千万円という納付金が載ってくるはずはありません。同じでないからこそ載ってきておるのではないか。大蔵大臣は、これを同じだと言われる。一億五千万円だけは少くともはっきり違うわけたのです。いかがですか。同じには絶対にならないと思います。現在の予算そのものを私は問題にしておるのです。どこか予算修正でもしてお出しになるお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/75
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076・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 話の食い違いというのは、要するに国民厚生金庫というようなものに対する考え方のお話でありまして、国民厚生金庫は非常に業績を上げておるのにというお話ですから、私は同じような考えである、ただし一億五千万円納付させる、これは、今の規定に基きまして、そのくらい納付させても適当と思って歳入に繰り込んでおる、これはもうその通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/76
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077・春日一幸
○春日委員長代理 委員長より大臣に御注意申し上げますが、ただいま議題になっております金融機関は、国民厚生金庫でなくて国民金融公庫でありますから、御注意申し上げます。
それでは、続いて石山權作君の質問を許します。石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/77
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078・石山權作
○石山委員 大臣が本会議で財政演説をやった順序に従っておおむね質問してみたいと思います。
大臣は非常に自信がおありであったとみえまして、鳩山内閣に列して以来、私大臣の演説を三、四回くらい聞いておるのですが、今回は一番張りもあったし、内容も演説のうまい鳩山さんよりはうまかったような気はしております。その中で一番彼はやっぱり気が強いなと思ったのは、「今や、われわれが、かねて強調しておりましたインフレなき経済の拡大が実現しつつあると言っても、決して誤まりではありません。」ここのところで、彼はちょいと胸を張ったくらいに大いに強調したわけなんですが、このインフレなき経済の拡大というものは、実体は何をさしておるのか、ここに私は疑問を持った。われわれは、よく均衡予算あるいは健全財政とかいろいろ聞くのでありますけれども、要するに経済の安定というふうなものになりますと、大体生活が不幸よりも喜びが多いような感じ、隣り近所を見回しても、去年から、大学を出たけれどもまだ就職もないというような声もあまり聞かないというふうな時代だろうと思う。日雇いの労務者が一カ月二十日も働かれないというような声ではないと思う。そういう点から見ますと、大臣が胸を張って、インフレなき経済の拡大とおっしゃっておりますが、一体これは、実体は何をさしておるのかという疑問が起きたものですから、それを一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/78
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079・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 その点につきましては、まず第一に、生産が増大しておりますことは、御承知の通りであります。それから内外の取引量、特に輸出は非常な伸張をしました。こういうことに基きまして、幸いに国民所得は増大をいたしておる。それから雇用の点も、これはいろいろと御意見もありますが、私は、やはりいろいろな失業統計から見ると、一番悪いようなときは一応越えたのではないかというような考え方をいたしておる。しかるに、一方物価は横ばいになっておる。これは、私はいわゆるインフレなき経済の拡大と申し上げて少しも差しつかえない、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/79
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080・石山權作
○石山委員 インフレなき経済の拡大の中で、前にはよく均衡予算というふうなことを言われた。それが、今は均衡予算という言葉がなくなりまして、財政の健全化という言葉に置きかえられてきておりますが、これは、何か特別なあなたの経済学説とか一萬田流の財政経済の考え方が、前の小笠原さんと違うのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/80
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081・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の気持を率直に言えば、いわゆる緊縮面が非常に強く出ておるのとは、若干情勢の変化で違う。しかし均衡予算であり健全財政である点においては変りはない、かように御了承願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/81
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082・石山權作
○石山委員 大臣は、非常に経済が安定しつつあり、国民の所得もふえた、こういうふうなことを言われておりますが、国家が健全財政であり、国民の所得がふえたということと、国家の予算は均衡がとれておるけれども、地方の赤字財政はおおうべくもないという現象は、どういうふうな説明をなさるのでありましょうか。地方財政というものは、国家の全般の経済のうちに含まれていないものかどうか、切り離したものの考え方でそういうふうなみえを切ってよろしいかどうか、国民所得はたしかふえたでございましょう。ふえたでございましょうけれども、生まれる人口あるいは稼働人口の増加よりも吸収率が少なかった。そして特定の大法人がたくさんの収益を上げた。私の調べた一流会社になりますと、自己資本の大体五〇%以上の利益を得たという会社は十指に余る、こういうふうな状態が総計をされて国民の所得になるのでございますけれども、一萬田さん流の財政的な金融的な帳面づらの結末だけの黒字であっては、私は富裕階級と一般の国民大衆の生活が大よそかけ離れたところにあるのではないか、こういうふうに思っておりますが、そういう点は大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/82
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083・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは大へんな、戦争に負けたというような大きな原因から来た国家の衰退といいますか、そういうことがあります。従いまして、この再建は、一時にまんべんなく同時にはできない、どうしてもやはりその国柄によりまして、まず中心のところが再建を始めて、それが全体に及んでいく。日本の場合においては、経済は、敗戦後の日本の国の条件からいたしますれば、どうしても貿易に依存せざるを得ない。従って、こういうふうな貿易ということを中心として、日本の経済が再建の緒についていく。そうしてそれが経済全体に及び、さらにこれが雇用に及び、国民生活の安定に及ぶ。またそういうふうになるように、国の政治やあるいは財政経済政策が行われなくてはならぬということにあると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/83
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084・石山權作
○石山委員 日本の経済が、特需依存の状態から自立経済達成に近づきつつあることの内容が、貿易を拡大するということになりそうでございますが、私は、一萬田さんの貿易を拡大するということにあながち反対をするのではないのでございますけれども、何でもかんでも貿易が中心でなければ、日本の経済の再建、日本の経済の自立は不可帳だというふうな考え方が強いように見受けられますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/84
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085・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、日本の経済の再建は、やはり一は貿易に依存し、他面においては国内資源の開発にある、こういうふうに考えているのであります。しかし、まず行わなくてはならないのは、やはり貿易の伸張だと思います。そして、それに基いて資本の蓄積が増強されて、ここに国内資源の開発に要する資金の供給源ができる。そういうふうに二段がまえには必ずしも参りませんが、程度的に申し上げれば、私はかような考え方をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/85
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086・石山權作
○石山委員 私は貿易そのものを否定するのではないのですが、今のガットの問題等をからみ合せて見た日本の立場、資源の少い日本の立場において、貿易のみに非常に経済のウエートをかけていくとするならば、いわゆる飢餓輸出、出血輸出を余儀なくするのは当然だと思う。国際市場の自由市場において勝ち抜こうとするならば、やはり国民生活というものが向上し得ないままに貿易というものが振興されていく経緯を、われわれは見のがすことができない。やはり日本の将来を考え、日本の自立経済というものを念頭に置くとするならば、私はここら辺で政府諸公の頭の切りかえが求められる時期ではないか。たとえば原子力もあるでありましょうし、電源開発もあるでありましょうし、新しい人造繊維の問題もわれわれに対しては大きくクローズ・アップされているのでございますが、こういうふうな新しい面にあまり口を向けないで、貿易のみに依存するとするならば、後進国の日本としては、外国の生活、外国の文化などにはとてもとても、何十年たっても追いつけないという現象を見ざるを得ないのではないかと私は思うのですが、この点、大臣はどういうふうに考えているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/86
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087・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、国内資源の開発、特に電源の開発、あるいは食糧の増産、こういうものを大いにやることにやぶさかではないのであります。ないのでありますが、ちょっと一例をとってみますと、今日食糧は、私の推定では二千万石から二千五百万石ぐらいのものをときによると輸入しなければならない。しかも年々百万人近い人口の増加というものを考える場合に、この食糧を輸入に仰がずして自給するということは容易なことではございません。せいぜい人口増加の分の食糧だけでも増産ができれば、相当な成績ではないかと思うぐらいに実は心配をいたしているわけであります。今日日本の産業で一番方の強い紡績にいたしましても、綿花は全部輸入しなければなりません。日本には綿はございません。綿花の輸入代金をかせごうとすれば、軽工業ではいけません。造船にしても、鉄を使わない産業はありません。ところが粘結炭にしても鉱石にしても、全部輸入しなければならぬ。朝鮮を持ち、台湾を持ち、満州を持っている——満州を持っているといえば悪いですが、満州に勢力を持っている情勢とは、日本の経済情勢は一変している、こういうふうに考えておるわけであります。これはどうしても輸出の増大をはかりつつ、同時に国内資源の開発をやっていく、こういう以外に行く道はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/87
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088・石山權作
○石山委員 特需依存を廃して自立経済に達するための貿易の増大。そうしますと、文化と経済は国境を越えるし、思想を土台にしないものであるという在来の考え方からすれば、特需依存を廃していくなら、なぜ近隣の国々と貿易をはかろうとする努力をしないか。特に日本の財政経済——大臣は大へん御自慢なさっているけれども、これは、小さい目の前の範囲を見て言っておることでございまして、終戦のあの窮乏を体験したからこそ言える言葉であって、一つのレベルから経済、財政を論じてみたならば、日本はやはりそんなに優位なものではない、比較論にすぎないと思います。そうしますと、この窮乏に目をふさいで、近隣の大きな国々との貿易の拡大をはからないようなそぶりは、少くとも財政経済を担当する大蔵大臣としては努力が足りないように私は思うのでございますが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/88
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089・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 大きな国との貿易の拡大をはからないのはどういうわけかという、その大きな国とはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/89
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090・石山權作
○石山委員 お隣です。あの大きなお隣の国が目につかないから、私は困ると言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/90
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091・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今日、共産圏の国国ですか、こういうふうに世界が分れていることは、私自身としても人類の不幸と思います。従いまして、ほんとうにみんなが仲よくして商売もできることが望ましい。ところが、今日はそれがあまりにも政治的にある。いわゆる政治的に解決しないと容易にそういうことが行えないという事態にあるのでございます。今後ソ連なりあるいはまた中共なりの国際的な情勢も変り、日本との関係も今後政治的に変ってくれば、これは別ですが、ただ現実のところとしては、なかなか思うようにいかないというふうに申し上げるよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/91
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092・石山權作
○石山委員 私もう少し伺いたいのでありますが、時間がないそうで、一つくらいで終りにしますけれども、政府の財政投融資に対する腹がまえと申しますか、総合的な国土開発に対する腹がまえと申しますか、こういうことをお聞きしたいと思います。たとえば東北及び北海道は、日本の中でも恵まれない地域である。そのために、北海道や東北には特別な半政府機関を置いて開発の用意を示しておるのでございます。特に電源開発の場合は、国土総合開発の基幹をなすものだとわれわれは解釈しております。その場合において、たまたま実例があるのでございます。東北電力の場合は、日本で一番安い電力料金でございます。そのために、最近東北には割合に工場誘致が進んでおるようでございます。これだけがおくれた東北としては恵まれていると思うのでございますが、最近聞くところによりますと、大蔵当局ではこれに対して河流増と申しますか、安い電力のある東北その他に対して、大きなダムから流れてくる水の余分を税金化しよう、こういうふうな案が出そうだ、出つつあるというふうな風聞を聞くのでございます。そうすると、片一方で少しよくなったと思うと、その芽をすぐつんでしまう。それでは、東北、北海道というふうな一ぺんしか耕し得ない土地は、一生かかっても二生かかっても、こっちの関東以南の人々と同じ生活はできないと思います。しかも政府は、そこが悪いといって、そこが均衡を欠くからといって、財政投融資その他の形を見せておきながら、ちょっと何かいい芽が出ると芽をつんでしまう。そうしますと、形の上ではいかにも不均衡をならしてあげるのだ、そういう言い分を形では見せておくけれども、すぐその舌の根のかわかぬうちから、養分を吸い上げていく。それでは、東北、北海道のようなところはいつまでたっても総合開発も国土開発も有名無実に終るのではないか。その件に関しまして、一つ御所見を聞きたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/92
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093・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今の税金でとるということは、固定資産税ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/93
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094・石山權作
○石山委員 流量でとる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/94
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095・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私はよく聞いておりませんが、一方で財政投融資等で、たとえば東北というような特殊な土地についてやりながら、それで若干よくなれば、すぐ芽をつむ、そういうことは避けなければならぬことは、私も同じ考えです。今の具体的な税のことは私存じませんので、調べてみましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/95
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096・石山權作
○石山委員 河流増の問題は、御調査をすればちゃんとあるわけでございます。そういう風評があるだけに、政府が形だけを見せておいて、すぐに芽をつんでしまう、こういうことを私は申し上げるので、これは案文としてまだ出ておりません。ですから、皆さんがどういう名称で、どういう考案で出すかは知りませんけれども、そういうことであってはならぬと言うのでございます。たとえば電源開発に例をとっても、せっかく政府では開発してやろうと言いながら、芽が出ると、つむ、こういう態勢を悪いと見るのでございますから、それを称して、大蔵官僚は無情であるという風評がもっぱら出る一つのゆえんだと私は思います。ですから、そういうことのないように、一つよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/96
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097・春日一幸
○春日委員長代理 大臣に対する一般質問はひとまずこれにとどめ、ただいまより税法万般について質疑に入ります。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/97
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098・横山利秋
○横山委員 最初に大臣にちょっと二、三点だけ伺っておきたいと思います。先般来より税の問題について継続して聞いておるのでございますが、大臣に二、三点重要な点だけを質問して、あと事務局にお伺いいたしたいと思います。
私が先般来質問して参りましたのは、大臣のお約束を中心にして、そのお約束に準拠して質問をしてきたわけです。そのお約束というのは、一つには税の公平税の簡素化、それから中小企業に対する減税、こういう点について質問を継続して参りました。そうして先般行き着きましたのが、具体的な問題としては軽油税であったわけであります。その軽油税を大臣の公約に関連をして考えますと、まだ簡素化という点については、用途別免税という点において非常な食い違いを見せるのであります。ある業界なり、あるところからは税金をとらない、たとえば農業用機械からはとらない、あるいはまた輸出用川からはとらない、こういうふうにとらない分と、一キロリットル当り六千円とる分と両方できます。それによって、石油業界の特約店、そこからとるのだそうでありますが、そこは非常な問題点が起るところであります。切符の横流し、免税軽油の横流し、こういう問題が必ず発生をする、そうして税の徴収は非常に困難になるという点は、技術的に、あなたが先般来約束せられたところとずいぶん逆行をいたします。この点について大臣はどうお考えになっておるか。まさに戦争中の問題が、さらにここに十年たって重ねて発生するということであります。
それからもう一つは、不公平という点であります。この不公平という点については、自動車用の税金を下げるから、ここで公平が期せられるのだという累次の答弁もありました。しかしこの問題については、二十八年の答申によって、不公平があるというために片一方の自動車税を上げ、そこで国会は解決をしたとしております。従って不公平論は一たん国会において解決をしております。今回の国税及び地方税を通じて一番直接に増税になるのが、この軽油税であります。三公社五現業に対する固定資産税とか、そのほかの問題については、これは間接的増税というものであります。しかしただ一つこれだけが中小企業家に対する増税なのであります。先般あなたに御質問をいたしましたときに、私は中小企業に対する減税問題については何一つできておらない、こう言って切言をいたしました。あなたもその答弁に迷われたのであります。しかしながら、そこにお互いの意見の加速があるにいたしましても、中小企業の増税という問題が、軽油税に関してだけは、明確にあなたのお約束に反して参ったわけであります。この点について、あなたは言って参られた責任をどういうふうにおとりになるか、この点についてまず大臣からお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/98
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099・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 公平ということが一つですが、これもできるだけ公平にしたわけで、従いまして農業用、漁業用のものについて保税をしないとか、あるいは税額については、一方ガソリン税との間の公平を考える。むろんこういうように公平を考えると、どうしてもこれは特殊的な考え方になるものですから、簡素化という点とは矛盾する場合もあり、これについてよほど苦心が要るところであります。いずれにしても、一方非常に特殊性を認めていけば、どうしても若干はある程度簡素化とは反するようになろうかと思います。これはやむを得ないところだと思います。なお中小企業の問題でありまするが、これについても、できるだけ努めておるわけでありますが、何分今日ディーゼル車の軽油の使用量は非常に多く、遊覧バス等をごらんになってもおわかりの通りであります。従いまして、この程度の課税はやむを得ないところであろうというふうに考えておるわけであります。
なお詳しいことは主税局長がおりますから、そういう点について、こまかく御説明申し上げた方がよいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/99
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100・横山利秋
○横山委員 詳しいことはまさに主税局長にお伺いいたしますけれども、しかしものの考え方、あなたのお約束の趣旨に準拠して僕は質問をしているのですから、さよう御承知置き願いたいと思うのであります。簡素化という点と公平という点については矛盾するところあり、こういうお話は、論理としてはもっともであります。しかし現実の問題としては、公平論という点については、もう国会は解決をしておる、たとえばディーゼル自動車とガソリン自動車については解決をした、こういう点は一つの解決があるわけであります。それからガソリン税と軽油税については、昨年本委員会において非常な討論を行いまして、そうしてガソリン税は値上げをしない、こういうふうに満場一致国会は議決をしまして、そうして議決したあとで附帯決議をつけて、道路の予算は確保されているから既定方針通りにやるのだ、こういうふうにもなっておるわけであります。従って、ここに軽油税を創設されるというのは、どういう面から見ても理解ができないのであります。ことに一番理解ができないのは、あなたが大臣におなりになってから、中小企業には減税をする、こういう固いお約束をされたことが、今日減税ができていない。昨年あなたの意思に反して、国会は小企業に対して、所得五十万円以下を三五%にしました。あなたが大臣として中小企業に対する税制をいじるに当って、一番最初にやられたのは増税であるのです。しかもそれが、軽油あるいは自動車産業並びに交通業界に与える影響というものははかり知れがたいものがあるので、その点について、あなたは責任をおとりにたらなければならないと私は思うのであります。中小企業の減税ということをほんとうにあなたがおやりになるつもりであるならば、増税よりもほんとうの減税をやらなければならぬ段階であるのにかかわらず、どうしてこれをおやりにならぬのか、方法がないのか、道路を直す税金がないのかという点が最後の問題点になろうかと思うのでありますが、この点は、本委員会は、昨年道路の財源ありということを明確に数字をもって論証をいたしました。しかも二十九年度は、われわれ国会が判断いたしました以上に、五十五億円という自然増収をガソリン税は生み出しておるわけであります。しかもなおかつ三十一年度は——三十年度は、自然増収はそんなにはないのでありますが、三十一年度の自動車の増加状況から考えましても、自然増収の余地はあるのであります。道路に関する予算については確保される見通しがある。しからば一体何のために軽油税をここに創設をされなければならぬのかという点について、全く判断に苦しむわけであります。具体的な数字の面については、また別の議論がありますが、ものの考え方として、大臣のお約束と重大な矛盾があるので、大臣の所信を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/100
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101・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 主として中小企業と税との関係と思いますが、中小企業については、思うようにいかなかったにせよ、できるだけ税の軽減について努力をいたしてきたのであります。
なお軽油税につきましては、これは地方税になりますが、地方の財政の非常な窮迫、これに対して財源を考えてあげなくちゃならない。そしてこれは間接税でありますから、企業自体というよりも、むしろこの企業といいますか、バスであれば、バスに乗る人にこの税が転嫁されていく、こういうような考え方も間接税としていたしておるわけでありますが、決して中小企業に対しての税を等閑に付しておる、あるいは冷淡であるというわけではないということだけは御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/101
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102・横山利秋
○横山委員 もう一点だけ大臣にお伺いをいたしておきたいと思います。今の大臣の御説明によりますと、地方が赤字であるからということと、間接税であるから転嫁できる、こういう二点にあるわけであります。その御発言はまことに重要な御発言で、私が先般の当委員会においても、これに対してだめを押した点であります。もしも一般財源を地方の赤字に対して回すのであるならば、何がゆえに目的税としなければならぬか、また中間答申は、これを目的税でないという立場において明確にしておるのである。明確に、これは地方財政の赤字対策として出しておるのである。地方財政の赤字ならば、何がゆえにこれを用途別免税にしたか、目的税にする必要があるかという点が、あなたのお考えとは全く矛盾をいたします。第二番目の間接税であるから転嫁できるという点は、まことにこれも重大と言わなければなりません。大臣はバスの運賃を上げる、ディーゼル・トラックの運賃を上げることを期待し、かつ希望しておられるのでありましょう。このことは、すでに先般来の国鉄運賃の問題についても、しばしば各委員会並びに予算委員会においても重大な問題を起しておるのでありますが、転嫁をするとすれば、何に転嫁をされるのか。旅客に転嫁をされるということは、とりもなおさず運賃を値上げしてよろしいというのか、またそういうことをあなたが希望しておられるのか、その点について明確に御答弁を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/102
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103・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一つは、なぜ目的税にしたかという御質問と思いますが、これは、私はやはりガソリン税と同じように取り扱うべきだという考え方であります。なおこれは、いろいろ税の上からも問題があると思いますが、これについては、主税局長から詳しくお聞きを願いたいと思います。私は、これはいろいろ意見があると思います。また運賃費にも必ずしも影響ないとも私申しませんが、運賃に影響させずして若干軽油で税金を納めるということよりも、道が悪いために車体がいたむ、スピードが出ない、事故が起るという方がむしろ会社等のコストを高めるゆえんであると思います。りっぱな道ができれば、別に運賃を上げなくても、会社の経営は十分できる。もしも会社の経営が十分にいかぬとすれば、軽油に税金がかかるということよりも、むしろ会社自体の経理といいますか、言いえれば会社が非常に数が多過ぎるとか、いろいろなむしろ他の方面の経済的要因も、私はやはりあるんじゃないかと思っております。そういう点は、やはり十分今後考えていかなくちゃならぬと思います。こういうような考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/103
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104・横山利秋
○横山委員 何をおっしゃるのかさっぱりわからぬのであります。だって、第一のことは、さっき地方財政が赤字であるからこれをとるんだ、こうおっしゃったから、そんなら何で目的税にするんだ、こう言ったら、今度はがらりと話が変って、ガソリン税と同様目的税なんだというて、前の地方財政の赤字だという論拠を翻されたのであります。今度は、間接税でこれは転嫁できるからいいだろうと思いますとおっしゃったので、それじゃ運賃値上げをするんですかと言ったら、転嫁しなくてもいいだろう、これは道が悪いからなどと、とんでもない話に移ってしまったのであります。今後考えるとは、また何を考えられるのでありましょうか、もう一ぺん時間をかけて、主税局長とよく相談してお答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/104
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105・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えいたします。あるいは私の言葉がわかりにくかったかと思いますが、私は矛盾しているようには思わないのです。それはやはり地方財政の強化になるのですし、他の財源で道を作れば、それが浮いてくるんですから、それを他に回せばよろしい、決して矛盾しておるわけではないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/105
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106・横山利秋
○横山委員 第二番目の転嫁の問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/106
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107・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは税の方の議論になると思いますが、私はそう税理論に自信があるわけではないのですが、間接税といえば、大体そういうふうに転嫁をされるというのが、普通の税の理論になっておるように私は考えております。しかしながら、いわゆる中小企業の今日の苦しさというものは、単にそれだけからきているのではないと思う。それからだけでくる問題なら、比較的簡単に片がつくんですが、中小企業の今日の困難性は、非常に複雑多岐で、いろいろの原因があるから、そちらも取り除かなければならぬだろう。このことだけを取り上げて、中小企業を非常に苦しめるというふうには私は考えない。他の方を取り除けば、こういうことはやってもいける、こういうことにもなるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/107
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108・横山利秋
○横山委員 大臣不勉強のようでありますので、きょうはお帰りになったら、一つ奥野部長によく聞いていただいて、もう一ぺん適当な機会に御答弁を願いたいと思いますが、そのために私は若干意見を述べて、一つ御記憶にとどめてもらいたいと思うのです。それといいますのは、今それを直接に支払いますのは、結局はトラック業者、バス業者、税金を納めるのが、軽油を扱って経営しております特約店であります。このバス、トラック等の軽油を扱う交通業界が、今公定の運賃通りで輸送しているかといいますと、決してそうはなっていないのであります。その料金以下で大へんな競争をしているわけです。従って、その中で運賃値上げをするということは、公定料金通りに輸送すること自体も今日問題なのでありますから、それはなかなかできるものではございません。事実できないのであります。
それでは、その企業の利益でこれを食いとめられるかといいますと、去年当委員会に提出されましたガソリン税に関する政府の資料の中から判断をしても、これはなかなか困難であります。かてて加えて、交通労働者の労働条件を切り下げられるかという点になりますと、他の産業に比較して、トラック業界なりバス業界なり、そういうところの労働条件は低いのであります。従って、これはどうしても運賃の値上げをするわけにもいかぬ、企業の中で食いとめるわけにもいかぬというので、こんなに問題になっているのであります。従って、この転稼論という問題は、ここではちょっと不可能であります。どうしてもやるならば、これは運賃値上げという方向へいってしまいますが、もしあなたが最初ひょっと言葉を出されたように、運賃値上げを政府が予期しているとするならば、政府のかねての、今年は物価が横ばいであるという判断と見込み違いを生ずる。表と裏と違うということになるわけでありますから、この点は一つ御勘考を願わなければなりません。特に大臣に気をとめてもらいたいのは、何回も申しましたが、これ一つが大臣におなりになってから出される増税という点であります。これは間接税であるといっても、直接に業界から取ることになりますよ。従って、これ一つがあなたの減税という約束に明快に反する増税であるという点であります。これがなければ道路が直らないかという点であります。道路に関する財源はないかという点であります。道路は悪い、だから、直そうと思えば幾らもやることはあります。道路財源はあればあるに越したことはないということをあなたもおっしゃるだろうと思うけれども、それには負担能力の限界というものがある。しかも受益者負担税を強化しても、道路は道路を使う業界なり、あるいはそれらだけが銭を出して、あとは負担しなくてもいいという議論にもなりますまい。昨年のガソリン税の問題のときに、いろいろと数字の話をして、道路は、少くとも政府が計画をしている道路五カ年計画は、完全に実行し得るという判断を当委員会は下しました。しかもその自然増収は、われわれの予期に反してなおかつ多かったのであります。今後もまた自然増収が出るという見通しがあるのであります。従って、道路に関する予算というものは、確保できる。少くとも政府が今まで約束し、かつ実行して参ろうとした計画は、実行し得るという段階にあるのであります。従って、この軽油税については、あらゆる観点からきょう大臣のお話を伺いますと、どうも御勉強が不足のようでありますから、十分に御研究を下さって、適当な機会に御答弁を願いたい。大臣にはこういうふうにお願いしておきます。
次に、簡単に主税局長に一、二点お伺いします。今度国鉄から電気ガス税をとることになりました。御存じのように、私鉄は前から無税であります。この機会に、偶然にも交通関係の燃料については軽油税を取ることになるわけであります。これは、いろいろな経過をたどってきた。偶然とは言えましょうけれども、一般庶民から見ますと、理屈が合わない、こういうような議論が起っておるわけであります。この点についてどういうふうに御説明をなさるか、まずお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/108
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109・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 電気ガス税につきまして、みんな問題が地方税でありますから、あるいは自治庁の奥野税務部長からお答えした方がいいかと思いますが、一応私の御指名がありましたから、お答えいたします。電気ガス税につきまして、今度改正案を出しておりますのは、私鉄の使う電気で、交通機関のための元気は従来免税になっております。今度改正しようとしますのは、国鉄の使う電気でありまして、交通機関のための電気といいますか、電車を動かすための電気については、電気ガス税を取るのをやめようという改正案が出ているわけであります。噴気ガス税の課税をどういう対象に持っていくかという点については、いろいろ議論のあるところでございますが、従来私鉄について負けていた、従って同じような意味において、国鉄についても、電気機関車を動かすための電気は、電気ガス税の対象からはずそうという改正をしているわけであります。
もう一つの問題としてお話しになっております軽油税、これは先ほど大臣に対していろいろ御質問があり、大臣からもお答えいたしましたが、われわれは、やはりこれが地方財政の窮乏に対して非常に大きなプラスになるのではないか。その意味は、現在片方でわれわれの方は、道路の五カ年計画を持っていまして、揮発油税の財源をこれに充てている。揮発油税の収入がふえますれば、この仕事の量はどんどんふえていくわけです。現在の状況でございますと、どうしてもそれの見合いになる分としまして、地方財政としては自分の独自の財源——従来の地方道路税だけでは足りませんで、独自の財源を使いまして、それを穴埋めしなければなりません。さらに地方といたしましては、五カ年計画以外の道路についても、やはり仕事をしていかなければならないので、そのために、一般会計の方から相当大きく道路財源に金をつぎ込んでおります。従いまして、軽油税によってそこばくかの財源——まだこれでも金が足りるわけではございませんが、そこばくかの財源を得ますれば、一般会計の方はそれだけ道路につぎ込む財源が少くて済むわけでありますから、あえて目的税にしましても、地方財政がそれによって一応従来の窮屈さが緩和されるということは、当然考え得ることではないかと、かように考えております。同時に軽油税を課税することにつきましては、従来揮発油税について相当論議があり、その揮発油税を課税していたものと権衡をとる意味において、軽油税をやはり課税していいのではないか。横山委員は、一昨年の自動車税のあれでもって、バランスは両方にとれているという御意見のようでございますが、必ずしもそうとも考え切れないようでございまして、やはり軽油税を相当取るという問題があっていいのではないか。あのとき政府提案の額が、自動車税としましては相当国会でもって修正されまして、減額されましたので、そのときの話としましては、どうしてもやはり自動車税を取りますと、動かない自動車と動く自動車とそのバランスがとれない、こういうような御意見が相当強かったように伺っております。従って、やはり軽油税といったような関係でないと、どうも揮発油の場合とバランスがとれないのじゃないか、こういったような結論から、今回のような御提案を申し上げたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/109
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110・横山利秋
○横山委員 経過がどういうふうになったかについては、あなたも私もよく承知をしておりますけれども、国鉄、私鉄については、燃料の電気ガス税の税金がただである、バス、トラックの燃料については増税をする、こういう点については、一般国民としては納得ができないという言い方は、もっともなことであります。それからあなたの権衡論については、私議論がございますが、今ここでは申し上げません。ただ一般会計からこの目的税創設によってつぎ込みが少くなる、こういう議論であります。それだったら、目的税をふやしただけ一般会計からつぎ込みが少くなるということであったならば、道路はよくならない。つぎ込みの方がつぎ込みの程度を少くすれば、ともかくそれでは道路はよくならない。こっちをふやしても、こっちを減らすのですから、そこで無職論が成立しないのであります。
〔春日委員長代理退席、小山(長)
委員長代理着席〕
きょうは奥野さんにいろいろ御質問をしたいことがございますが、おそくなりましたから、またの機会にして、一つ資料の提出をお願いしたいのでりあります。それは、ガゾリソ税の歴年並びに三十一年度の予算に関連して、その予算の算出の数字であります。ガソリン税の今日までの状態と、三十一年度の予算の数字の根拠になった消費見込み、同じく軽油に関してそうであります。それから道路予算、国の計画と、その歴年の状況と、それに対して収入の比較表、最初に五カ年計画を設定しましたときの道路は、どういうふうに直し、それに対してどのくらいの金が要るかという計画と、その銭をどういうふうにまかなうかという計画、それから先ほど大臣が言っておられた、これがどういうふうに転嫁されるかという点について、業界なり、どこへどういうふうにこの税金が吸い込まれていくかというあなたの方の具体的な見通し、たとえば運賃値上げにいくとか、そうでなければこれが企業内で吸収できるか、できるとするならば、どうしてそれが吸収できるかという点についての見通しを出してもらいたいと思います。どうもお話によると、転嫁できるという議論と、もう一つは、もうかっておるからこのくらいは大したことはないというのと、再論あるようでありまして、政府の立場が明確ではございませんが、どこかこの税金を結果において支払う結果になるのか、その点について実態的な見通しを数字をもって表わしていただきたい。
本日は私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/110
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111・小山長規
○小山(長)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十三日午前十時から開会することとしまして、これにて散会いたします。
午後零時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X00919560221/111
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