1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十三日(木曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君
理事 春日 一幸君
生田 宏一君 奧村又十郎君
加藤 高藏君 吉川 久衛君
内藤 友明君 夏堀源三郎君
古川 丈吉君 坊 秀男君
前田房之助君 有馬 輝武君
竹谷源太郎君 田万 廣文君
横錢 重吉君 横山 利秋君
石野 久男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局長) 森永貞一郎君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
大蔵事務官
(理財局長) 河野 通一君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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二月二十二日
委員井上良二君及び横山利秋君辞任につき、そ
の補欠として河野密君及び矢尾喜三郎君が議長
の指名で委員に選任された。
同 日
委員河野密君及び矢尾喜三郎君辞任につき、そ
の補欠として井上良二君及び横山利秋君が議長
の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員井上良二君辞任につき、その補欠として今
澄勇君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一九号)
科税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第三九号)
関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四〇号)
賠償等特殊債務処理特別会計法案(内閣提出第
一三号)
昭和二十八年度、昭和二十九年度及び昭和三十
年度における国債整理基金に充てるべき資金の
繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律
案(内閣提出第三二号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第三
七号)
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三八号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四五号)
余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
国家公務員共済組合法第九十条の規定による公
務傷病年金等の額の改定に関する法律案(内閣
提出第四九号)
特定物資納付金処理特別会計法案(内閣提出第
六〇号)
食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失
をうめるための措置に関する法律案(内閣提出
第六一号)
日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内
閣提出第一五号)
国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
案(内閣提出第二九号)
大蔵省関係法令の整理に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣拠出第三号)(参議院送
付)
在外公館等借入金の返済の準備に関する法律を
廃止する法律案(内閣提出第四号)(参議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
まず連合審査会開会の件についてお諮りいたします。農林水産委員会より関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について連合審査会開会の申し入れがあります。これを受諾して連合審査会を開くことに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/1
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002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
なお連合審査会開会の日時につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案外十七法律案を一括議題として質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/3
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004・春日一幸
○春日委員 渡邊主税局長にお伺いをいたします。それは、青色申告書提出者に対する専従者控除の控除額に関する問題であります。現行制度によりますと、専従者控除額は八万円ということに相なっておりまして、これを月額に直しますると、六千何百円という少額に相なるわけであります。そもそも専従者控除を認めておりまする理由は、やはり帳簿を的確に、すなわち収入と損金を明確に記録にとどめていくところにあるわけでありまして、しかも徴税行政を明朗かつ合理的に行わしめていくという徴税行政の指導的な考え方から申し上げまするならば、将来相当事業量の大きい企業体に対しても、青色申告をできるだけ多く普及していくというところに当局の目途があると思うわけであります。そういたしますと、六千何百円の経費では、十分そういう帳簿上の記録を明確に残していくということが困難ではないかと私は思うわけであります数年来労働者のベース等を見ましても、相当これが上げられております立場において、この際専従者控除についても、やはり一人の男が文字通り専従できる、それに見合うところの賃金ベースということも考え合せつつ、控除額というものが決定されてよろしかろうと思うわけであります。従いまして、すでに八万円というのは、二、三カ年これで据え置かれておると思いますから、この際賃金ベースの全体的な動向、さらには青色申告を普及せしめるというような徴税行政の指導的な目的と意図とから考えまして、これの八方円を上げるべきであるというのが私どもの主張であります。今回いろいろと税制の改革が行われておりますが、専従者控除の控除金額をこの際引き上げる意思はないかどうか、その点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/4
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005・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 専従者控除の問題についてお話がございましたが、八万円の所得控除を行なっている。これは三十一年度分から平年度化するわけでありまして、三十年分は七万五千円、その前は七万円で、これはここ数年据え置かれているというお話でございますが、春日さんの思い違いだと思います。基礎控除が上るにつれまして、毎年それに応じた額だけは上げている、これは御承知の通りでございます。同時に、六千円という数字を御指摘になりましたが、これはどういう計算かわれわれはよくわかりません。所得額で控除いたしますから、いわば上積み計算になるわけでございまして、適用税率の関係があります。たとえば所得が相当大きくて、その人の適用を受ける最高の税率が五割である場合におきましては、八万円の額は税額にしても四万円になるわけであります。さらに六五なんという税率を使われる場合には、これはもっとふえる。そのかわり、下の方の税率を使われる場合におきましては、これはもっと小さくなるわけであります。そういうふうに、これは所得控除の制度になっておりますから、税に換算します場合には、その人の所得額がどれくらいであって、最高税率がどれだけ適用されるか、これによってきまるものだと思っております。
元来この専従者控除の制度は、現在の税法の建前といたしましては、事業所得の場合、営業の場合を例にとっていいますと、結局その世帯主の所得を中心にものを考えておりまして、家族に賃金を払うという形態がよしあったとしても、それは世帯が全然別になっていれば別の考え方ができますが、むしろそれは一個の世帯であって、従ってその場合につきましては扶養控除が認められる、しかし賃金を払った形態は認められない、また実態もそういうことはめったにない、こういったことから、実際賃金を払う形態をとりましても、それは認められない。これが現在の建前になっております。しかし、青色申告の場合におきましては、いろいろお話のような点もございますし、青色申告を普及するという建前からしまして専従者控除を認めてきた、従いまして、その願をどの程度に押えるかということについては、いろいろ議論のあるところだと思います。基礎控除の額と大体同じ額にしていくというのが従来の考え方でありまして、将来の問題につきましては、さらにもう一ぺん検討し直してみる、果してそれでいいのか、あるいはこの額が多過ぎるのか、少な過ぎるのか、いろいろな議論もあろうかと思いますが、一応白紙に返ってよく検討してみたいと思っております。従来は、一応基礎控除の額にそろえてきた、従って、基礎控除の額を上げた場合におきましては、それに応じて上げてきた、全体的な問題につきましては、さらに今後の検討に待ちたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/5
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006・春日一幸
○春日委員 私は、専従者控除というものは、青色申告の簿記をしていく上におきまして、結局専従する者に対する労働賃金に見合う経費であると理解をいたしておるわけであります。そういたしますと、私の主張が、とにかくその経費を見ていく、専従するに必要なところの労働賃金を損金として特に認めていく、こういうところにあるといたしますれば、やはり一人の帳簿係がそれに専従する場合において支払い得るところの賃金というものがここに確保されることが必要ではないかと思うわけであります。そうしてこの八万円という形になりますと、これは税額に換算いたしますと、高額所得者、低額所得者によっていろいろ変っては参るでありましょうけれども、八万円というものを月額に割りますと、月給として大体六千何百円になりはしないか、六千何百円の労務賃金ということでは、果して的確な帳簿を記録するだけの技能者が雇用できるかどうかというところに問題があるわけであります。せっかく税法上準法人としてこれを認めていくならば、他の法人体においては、給料というものは経費として損金に繰り入れられることが認められておるわけでありますから、私はこの帳簿をきちっとやっていく、またやれるという能力者を雇うに足るところの経費、そういうものがやはり法律の上において認められていくことが、この専従者控除の制度というものに対して、その趣旨を明確にするものではないか、完璧を期するものではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、なまじっか八万円というようなことでは、とても十分なものが雇われない、あるいは家族が従業した場合でも、特に認めるという点等もありましょうけれども、要するに不完全なものは結局不完全なものであって、せっかく特別こういう制度を認めるならば、きちっと専従者が専従して、そうしてその経費は、税法上に認められた損金によってこれが支弁できる、こういう態勢を確立することが、より合理性のある税法ではないかと私考えるわけでありますが、この点御所見いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/6
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007・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 先ほど私お答えしましたのは、多少春日さんの御意見を誤解しておってお答えしたようであります。六千円というのは、八万円を月額に直してという御趣旨があるようで、私の先ほどの答弁は一応取り消します。
それで、今帳簿をつけるに必要なものを雇うには、六千円では雇えないのではないか。これは、御承知のように人を雇いましてそれに給与を払う、これは六千円ではなかなかそれに適当な人は雇えない、これはわかりますが、しかし人を雇って帳簿をつけさせれば、これは、御承知のように別に経費に落ちるわけでございますから、従って、この場合に考えられておりますことは、人を雇って帳簿をつけさせるという問題とは多少問題が違ってくるのではないかというふうに思っております。現在の税法の建前が、先ほど申しましたように、家族に払う賃金は原則としては経費に認めないのだ、ただ青色申告の場合におきまして、特例に今言ったようないろいろ手数もかかりますし、これを奨励したいという考え方もございますので、専従者控除を認める、そうすると、白色の場合との権衡問題も当然そこに出てくるわけでございます。そうしますと、大体基礎控除の金額である八万円くらいが適当ではないかというのが、現在の八万円の根拠になっている、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/7
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008・春日一幸
○春日委員 これは、家族従業員、あるいはその細君がそれに携わった場合もこういう工合に認めていくことでありますし、また家族としての生活費もその企業的において見られているから、八万円ぐらいでもいいのではないかというお説でありますけれども、局長も今申しておられます通り、これは腰だめ的な金額であるわけであります。他に労働者のための控除率等も、今回の改正によりまして二〇%に上げられている。零細所得者に対する減税が、相伴って逐次されております。こういう場合に、主として中小企業者が行なっております青色申告、こういうものの専従者の控除率も、やはりこれに見合って逐次上げていくことによって、低額所得者の税負担を軽減する、こういうことが全般的に均衡のとれた措置ではないかと私どもは思うわけであります。そういうような意味合いにおいて、私は、結局家族従業員がその帳簿をさらに的確ならしめるためには、その帳簿にかかる労働の密度とでも申しましょうか、そういうことにさらにより多く専従しても、やはりそれに必要なところの償いが税法上つけ得る、すなわち青色申告の帳簿記載をさらに的確たらしめるためにも、私はこの金額が八万円より、九万円より十万円と逐次高められていくことによって、青色申告をしておれば、そうしてその帳簿が完璧であればあるだけ、そういう報いが受けられるという税法上の体制を逐次確立していくということが必要ではないかと思うわけであります。これは私どもの主張であり、なおかつ青色申告をいたしております諸君がそういう記録をしていく上においては、実に煩瑣にたえず、しかも家族の何者かがそれに専従しなければならない。それで、そういう場合ほかの仕事ができないので、税法上そういうような損金繰り入れ額をさらに高くしてくれという強い要望かあまねくあるわけでありますから、この点を十分検討されまして、一つ機会を得られて、この控除金額の調整についてさらに根深い御検討を願いたいと思うわけであります。
それから次にお伺いしたいことは、先年来しばしば私どもが主張いたしております、中小企業者に対する特別勤労控除、これを新しい制度として設ける意思はないかどうか、これであります。勤労者につきましては、勤労控除というものが制度化されておりますが、この中小企業者は、事業所得を得ておりますけれども、商売によって利潤を得るその所得は、純粋に営業上の利潤、営業による所得であるとは言い切れないのでありまして、そこには相互のパーセントにまたがって、労働力の対価としての営業所得というものが私はあるであろうと思うわけであります。そこで、私どもの主張を端的に申しますならば、私どもはこの特別勤労控除の制度を設けることとして、その控除率を営業所得の一〇%以下、最高限度額を四万円、この程度のものを認めてやることによって、零細所得者たちが労働力を提供して得る営業所得ならざるところの勤労所得の分に対する、勤労に必要なところの経費を損金として認めてやるべきであるというのが、私どもの主張であるのであります。これは先般も申し上げました通り、中小企業者たちは、休日は休日出勤をし、あるいは早朝あるいは夜間、そういうような比較的密度の高い労働力を提供することによってあれだけの所得が得られておるのだから、従ってその所得の中については、大企業だとか、あるいはその他勤労所得者が収得をする密度と違った密度によって、その労働力がその中に貢献しておる、その中に含まれておる、その含まれておる労働力に対して、やはり必要な経費を見てやるべきだ、こういう考え方をもっておるのでありますが、この点どういうように検討されておるわけでありましようか、一つ御所見を伺っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/8
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009・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 事業所得につきましても、勤労控除を認めたらいいじゃないか、認める必要があるのじゃないかという御意見のように伺います。われわれの方でもいろいろ検討はしてみたわけでありますが、御承知のように、所得はその性格からいって、非常に大きく分けますと、これは財政学者の点見でございますが、勤労所得、それから財産の所得、それから勤労と財産と両方が重なり合った共同所得、財政学者はよくこの三つに分けます。勤労の方は、その性質からしまして担税力が弱いのだ、こういうことをよく学者が言うことは御承知の通りであります。現在日本にありますそうした意味の控除制度は、一番最後のものでありますが、それも必ずしも勤労所得といったような考え方でございませんで、給与所得だけについて言っている。給与所得控除を行なっている理由につきましては、これはこの委員会でもいろいろ御議論がございますが、大きく考えまして、幾つかの点があるのじゃないか。一つは、まずもって現在給与所得控除を行なっておりますのは、収入金額に対して行なっている。現行法でございますと、それが一割五分、今度改正案で収入金額の二割。御承知のように、営業の場合でございますと、収入金額から所得を得るに必要な経費を差し引いた残りが所得になっている。給与の場合におきましては、やはりこれも全然必要経費がないわけじゃない。従いまして、必要経費はどれぐらいか、しかしこの場合における必要経費というのは、どうも営業の場合と違いまして、なかなか的確にはっきりつかみにくい。従ってそれを大きくつかんで一割五分差し引く、こういったような考え方が多分にあるわけであります。今度給与所得控除を二割に上げるにつきましては、これは現実の情勢の実態というものもにらみ合せますと、現在において源泉徴収されているといったようないろいろな点を考え合せますと、どうも全体としての負担が非常にバランス的に重いのじゃないかという意味におきまして、いろいろ御批判がございますので、この際二割に上げたらどうかという案を御提案申し上げている次第であります。給与所得につきましてたとえば五%上げるならば、同じような意味において事業所得についても五%の特別勤労控除を作ったらどうかという案も一応検討してみたことがございますが、そういうふうに控除を上げて参りますと、結局残るのは資産所得でございます。基礎控除を上げますと、資産所得についても軽減が及びますが、資産所得者と申しますものは、数から申しましても非常に少い。そうしますと、減税財源を作ってある程度の減税をします場合におきまして、そうした控除を上げるのがいいか、あるいは基礎控除そのものを上げた方がいいか、こういう二者択一に実は迫られるわけであります。従来の考え方としましては、まだ基礎控除の額自身がかなり低うございます。従いまして、たとえば春日さんのおっしゃる一割にいたしましても、二十万円なら二万円、三十万円なら三万円、所得の大きいほど控除が大きくなる、こういったような結果になりますので、そういうふうな格好で税負担の軽減をするよりは、基礎控除を何万円に上げるという方向でやる方が、むしろ少額所得者には減税のフェーヴァがたくさん行くわけでございます。そうした考え方は絶対間違いだとは言いませんけれども、現在の段階においては、基礎控除を上げるという方向に進んでいった方がいいのではないかということで、現在までは考えてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/9
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010・春日一幸
○春日委員 この際お伺いをいたしますが、ならば、基礎控除現行八万円を引き上げるという意図が政府にはおありかどうか。上げるとすれば、いつごろ、どのくらい上げるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/10
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011・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 われわれの方で、具体的に基礎控除をいつの時期に幾らにするかということを申し上げる段階には、遺憾ながら至っておりません。ただ一般的に申しますと、現在税の負担が全体として互い、特に直接税において負担が重い、こういうふうな批判があるわけであります。そうした場合にどう対処していくか、幾つかのことが考えられるのでございますが、どちらにしても、直接税の負担を何とかして軽減していくということになりますれば、もちろんその対象になりますのは、大きなものは所税であり、法人税である。所得税について負担軽減していくということになりますれば、基礎控除の問題は当然取り上げられるべき問題の一つと思っております。しかしどの時期において、どの程度の基礎控除の引き上げというようなことを含めた直接税の軽減を行うか結局——税負担を軽くしようとすれば、自然増収といいますか、あるいは税収の中からそれだけ減税財源を考えて出すという方法、直接税だけでありますれば、間接税だけに財源を適当に求めまして、直接税の負担軽減をする、こういう幾つかの方法が考えられるわけでありますが、そうした財源調達のできます程度というものを考え合せながら、やはり基礎控除の問題も考えていくべきではないか。現状の八万円でいいんだという結論を持っておるわけではございません。といって、いつの時期にどの程度上げられるかという点につきましては、遺憾ながらまだ見通しを申し上げる段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/11
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012・春日一幸
○春日委員 ただいま直接税の軽減をはかる、そういうような場合には、やはり基礎控除の引き上げを最優先に取り上ぐべきであり、そういう方向へ向って検討を進めておるという御答弁でありました。いつ、どのくらいという重ねての質問に対して、それは、いつごろであるか、どの程度であるかということはまだ全然見当もつかないという御答弁でございます。もちろんあなたは主税局長であって、政治家ではないわけでありますから、こういう政策論について深い論議をすることは、むしろむだではないかと思うわけでありますが、ただ私が、徴税学者としてのあなたにお伺いいたしたいことは、たとえば低額所得者は、低額所得者であればであるほど、その所得の中に含まれておる労働力、すなわち勤労所得的な性格を持っておるところの度合いはより強いのではないかと思っておるわけであります。所得が多ければ多いほど、それは事業所得ということによる面がより多く、低額所得であればであるほど、これは勤労所得的な部面が相当大きく包含されておる。そういう立場から、現在国税庁で通達していろいろな処理が行われておるということは、あなたの御承知の通りであります。特にこの際私が、この特別勤労控除の問題と比較しつつ一つの例として申し述べたいことは、現に大工、左官植木屋、あれなんかは事業所得ではあるけれども、これは労働の対価として得た所得が相当含まれている。事業所得プラス勤労所得がそういうものの所得であるから、こう言うのですが、これは別に地方税等とのにらみ合いもありまして、特別区分の長官通達が行われて、救済措置が行われておるわけであります。その趣旨にのっとって特別勤労控除を広く一般の零細所得者にも及ぼすべきではないかというのが、私どもの提唱の理論的根拠になるのであります。低額所得者が労働を提供しておる、私は重ねて申し上げますが、その労働の対価に対する経費というものは、営業主そのものに対しては何ら認められてはいないわけであります。たとえば休日に働いたからといって、休日出勤の特別の経費というものは認められていない。勤労者であるならば、二割増しとか五割増しとか、特別の所得が発生してくるが、この低額所得者においては、そういうような特別の労働力を提供して得た所得それだけである。だとすれば、低額所得者は特別の勤労を提供しておるのだから、そういう者に対してやはり税法上特別の経費を見てやることは、他の所得者、たとえば勤労所得者、法人所得者等との権衡、振り合いから考えても、むしろ妥当なことではないか、徴税理論上むしろその方が公平なやり方ではないかと考えておるわけでありますが、あなたの御意見はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 事業所得のように、財産と勤労とがともに働いて生まれた所得という限りにおきましては、所得額が小さい方が勤労分が比較的大きいというのは、私も普通の姿じゃないかと思っております。その場合における勤労部分について特別な配慮を払って、そしてそれに特別勤労控除をやったらどうかというのが、春日委員の御意見のように伺いました。現在日本の税法でやっておりますそうした控除は、勤労控除という名前も誤解を招きますので避けまして、給与所得控除という名前にしておりますが、これは、必要経費とか、いろいろ各般の点も考えまして加えている控除である、これは先ほど申し上げた通りでございます。同時に事業所得におきましては、別送必要経費があれば、これは全部差し引いておるわけであります。それはそれとして、とにかく勤労部分に対する税金は、勤労部分というのは負担力が弱いのだから低下したらいいのじゃないか、これは、一応学者の説にそう離反するとも思っておりませんが、ただ先ほど申しましたように、現在のように所得税がかなり所得の低額な人にまでかかっている時期におきまして、そういう特別功労控除をやるのがいいか、基礎控除を上げるのがいいかというふうな場合になって参りますと、結局減税財源が限られておりますから、特別勤労控除をやれば、もう基礎控除の方は上げられなくなる、基礎控除の方を上げれば、特別勤労控除はできなくなる、こういう二者択一に立つものでございますから、現在の段階におきましては、やはりわれわれは基礎控除をもう少し上げていくという方向の方が、むしろこれは個々の具体的なケースをお当り願うとわかりますが、その同じ低額所得者の中でも、より低額所得者の方に大きなフェーヴァーが行く、その負担がより大きく軽くなる、そういう方向の方を考えていくべきじゃないか、少くとも現在の段階ではそう考えていくべきじゃないか、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/13
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014・春日一幸
○春日委員 私は、あなたが申されることはどうもちょっと合点がいかないのです。と申しますのは、所得税における基、礎控除は、給与所得者に対しても事業所得者に対しても行われる。私の主張は、給与所得者に対しては給与所得控除というものがあるわけです。それから給与所得者の所得は、たとえば現在のいろいろな労働協約によりますと、時間外出勤、あるいは休日出勤、深夜作業等には、それぞれ割増しの所得が発生して参る仕組みに相なっておるのであります。ところが、個人営業者の営業当事者の必要とする経費、これは何ら認められてはいない。たとえばとうふ売り、あるいは牛乳配達というような人が朝六時ごろに起きて、そういうものを売って歩く。これはまさしく時間外勤務であり、あるいは早朝勤務でありましょう。そういうものに対する経費というものは、当人に関する限りは、何ら特別の経費というものは認められていない。非常に密度の高い労働力が提供されておるわけなんです。片一方の給与所得者は、そういう高い密度の労働力を提供すれば、それだけ所得が多くなる。ところが低額所得者の実態においては、かくのごとき労働力を提供することが普通である、そうして、それによって得てきた所得がこれである。従って私は、そういう高かりし密度によるところの所得の中には、余分の経費というものが認められていい、報奨というものがあっていい、こういうことなんですね。従って私どもは、高額所得者においては、事業の面によるところの所得が相当多いから、その面に対しては最高金額を四万円に抑えて、たとえば年間所得四十万円程度にのみこの制度を及ぼすことにして、勤労所得の経費を見る。百分の二十のこの特別勤労控除率と見合うところの経費を低額事業所得者に見てやる。こういうことが均衡のとれた、かつ合理的なあり方であろう。こういうことで、わが党は、特にこの低頭所得者に対して、最高四万円を限度とし、所得の一〇%を特別勤労控除として積金に認める制度をすることが税法上の不権衡を是正するものではないか、こういう主張をしておるわけなんです。この点について、一つあなたの御意見を特に重ねて承わりたい。要約いたしますると、低額市業者たち、零細業者たちの経営当事者に対する勤労上の特別経費というものは、何も認められていない。その認められていないものをこの際見てやってはどうか、こういうことなんです。基礎控除を引き上げた方がいいということは、基礎控除を引き上げれば、給与所得者に対しても事業所得者に対しても、基礎控除は同じように引き上げられるから、それはすなわち均衡をとる、税負担の軽減ということには相なるでありましょうが、労働力の対価としての賃金報酬が制度として得られない、確保できない場合においては、国全体の立場から税法上においてさらにそういう所得を見てやる、国民はあまねく一視同仁の立場においてこれを見ていくという立場におきまして、そういう激しい労働といましようか、そういうことによって辛うじて生きていっておる人々、そこから生じてくるところの所得に対しては、税法上の救済をこんな方法で行なっていく、こういうのでありますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/14
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015・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 春日さんのお話しになりますところによりますと、そうした事業所得者の中でも、主として勤労部分の大きい人、しかもそれは労働の密度が高い、そういうものについては何か特別な経費を見てやったらどうか。これは、従来使われている経費という言葉でございますと、事業所得であれば、全部必要経費として控除しているわけでございまして、結局経費という名前でお呼びになっていらっしゃいますが、それは経費というものではない、要するに労働の密度の高いその高さについて、何か考えてやったらどうかというような御主張のように思います。そこで、お引き合いに出されました給与所得者の場合におきましては、残業をやり、夜業をやる、そうしたら、それに対しては別に所得が生まれるではないか、こういうお話でありますが、税法におきまして労働の密度の強さというものを負担の中へ取り込んでくるということは、各国の税法を見ましても、なかなかそういうことはむずかしい例だと思いますが、実際問題として、これを取り入れるのはむずかしいのじゃないか。給与所得者におきましても、残業手当、夜業手当、これはみんな所得の中に合算されておりまして、それが非常に密度の高い労働でありましても、やはり一応所得の中に合算されて、所得税の課税対象になっている、こういうことは御承知の通りでございまして、結局相当密度の高い労働によって得た所得、しかしその所得も、やはり一応は所得税の課税対象になる、その点は同じことだということになっているわけでございまして、それをさらにつっ込んで、密度の高さによってかげんしたらどうか。これは具体的に見まして、たとえば二十万円の所得があった、これが密度の高い労働による二十万円か、あるいはそれほどでない労働の二十万円か、なかなかそれはむずかしい問題で、少くともそれを現実の税制の中に真正面から織り込むということは、ちょっと至難なわざじゃないか。そういったことを考えながら、一体税制をどういうふうに作っていけば、まともにそれにぶつからないにしましても、そういった方面の負担は何とか権衡のとれた格好になり得るかといったような点は、検討していい問題だというふうにわれわれは思っております。
給与所得と事業所得のバランス問題、ここが基礎控除では解決できない、それはまさにその通りでございますが、ただ従来われわれが社会党の委員の方々からも聞かされておりました問題としては、どちらかといえば、給与所得者の方が負担が重い。二割に控除を上げましても、まだこれでバランスを得ているか、二割五分くらいに上げる必要があるのじゃないかというふうな御意見も聞かされているわけでございまして、そういったような点を考えて参りまして、特別勤労控除というような点がすぐこの際取り上げらるべき問題であるかどうかという点については、われわれとしても相当慎重に検討してみる必要があると思いますが、にわかにそれに賛成するという方向には、ちょっといけないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/15
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016・春日一幸
○春日委員 局長は、私の主張をストレートに御理解になってないと思うのです。と申しますのは、給与所得者が深夜業やあるいは休日出勤して得たそういう密度の高い所得も、総合所得として課税の対象になるというようなことを言っておられる。これは私も理解しておるのです。私の申し上げるのは、とうふ屋さん、あるいは牛乳配達、そういう仕事をやっておる人が、朝の六時にいでたってそういう作業をしても、所得が特別膨大になるというわけではない。八百屋さんが朝早く車を引いてそういうものを仕入れてきても、それは八百屋さんとしては当然の労働であって、またそのことを行わなければその所得が出てこないのです。要するに私の言うのは、その零細な低額の所得者については、その報酬は、労働力というものが非常に度合いが多いということと、その労働力たるや、おおむね非常に密度の高いところの労働力が提供されて初めて得た所得である。余分にもうかるわけではない。牛乳配達が、とにかく朝の四時に起きて牛乳配達したところで、牛乳配達によって蔵が建ったというわけではない。八百屋さんが、とにかく朝六時に起きて市場に車を引いていって仕入れてくる。そうして仕入れてきたところで、その八百屋さんというものは、いつまでたっても前だれがけで、別荘ができるわけでもなく、おめかけを置くというわけでもない。結局そういう密度の高い労働力を提供することによって得た所得が、なおかつ低額所得である。こういう低額所得者に対しては、やはり特別の勤労に対するその経費を見合うために、控除をしてやるということが適切ではないか。それが、給与所得者たちが、そういう高い労働力を提供するときに企業主から高い報酬が得られるということと見合う形になりはしないか。すなわち企業主のかわりに、国がその分に対して一視同仁の立場からその費用を見てやっていくべきではないか、負担を軽からしめていくべきではないか、こういうところに私の主張があるわけです。ところが低額所得者というものは、全部そういう密度の高い労働力を提供しておるかどうかということは、なかなか捕捉いたしがたい、こういうことを言っておられまするけれども、それならば、逆説的に、勤労所得者においても高額所得者があるわけです。そういうような人々において、おそらくは、そういう給与所得を得るに必要なところの経費が、全部その会社あるいは企業体において見られておる向きも相当あると私は思うのです。たとえば会社から自動車の送り迎えもありましょうし、あるいはバスの発着もありましょうし、あるいは交際費によるいろいろな支弁等もありましょうけれども、一がいにそういう給与所得を得るに必要なる経費として捕捉し得ないところに対して百分の二十という、もっとも最高限度率はありますけれども、そういう制度があまねく行われておるのだから、大づかみに、低額所得者に対してはおおむねその労働の密度が高いであろうから、その高い密度に対して、必要なる経費は当然かかるのだから、あるいはまた当然の報奨があってもいいのだから、他との権衡上、これに対して特別勤労控除を限度額四万円、すなわち四十万以下の所得については、おおむねこれは激しい労働で、労働者ともつかず、商売人ともつかず、それで得た所得だから、ここで均衡をはかるのだ、こういうことは、私はきわめて合理的な内容を含んでおると思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/16
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017・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 前に申し上げたことを繰り返すようになって恐縮でございますが、春日さんのおっしゃっておるのは、労働力の密度が非常に高い労働力を提供しておるのだから、その密度の高いことに応ずる特別な経費は見てやっていいのじゃないか、こういうお話でございますが、しかしそれは、おそらく経費といいましても、普通税法でいっておる経費という意味の経費じゃないと思っております。普通税法にいっている経費ならば、これは所得を計算する前提において差し引かれておるので、従ってその経費に応じてとおっしゃるのは、お気持としては、一応経費という言葉をお使いになっていらっしゃいますが、これは税法にいう経費じゃなくて、密度の高さによるそれについて特殊な配慮をしてやったらどうか、こういうふうな御意見のように承わるわけですが、そうすると、結局労働の密度が高いか高くないかという点は、これは税制なり税務行政の実際にいって、それを区分して見分けるなんということはなかなかできない。春日さんの今こういう案として御提案になった、四十万円を限度として一割、最高四万円という場合におきましても、たとえば同じ四十万円の所得のある人でも、とうふ屋さん、牛乳配達屋さんのように、朝早く起きて四十万円、あるいは三十万円の所得の人もありましょうし、そうでなくて、普通の商売をしていて、そう別に朝早く云云ということもなくて、三十万、四十万という人もありましょうし、結局そうなりますと、やはりその辺は、大部分がそういう人だろうからというところで、ある程度大きく割り切って、そういう御提案をなさっておられるのじゃないかというふうにわれわれは思っております。従いまして、結局そういうお考えがわれわれも一応の考え方としてあり得るとは思います。別に、それを税法の理論からいっておかしいという意味で申し上げておるわけでは決してないのです。ただ、繰り返して申すようでございますが、現在のように基礎控除が比較的低いような時期におきましては、まず基礎控除を上げるという方向へ行く方が、むしろ低額所得者の方には大きな負担軽減になる。そうなると、その問題は、給与所得者と事業所得者とのバランスの問題はどうだというような御意見のように伺いますが、この問題については、むしろ給与所得者の方が、これは税務執行の問題もありますが、負担が重いじゃないかというようなことがいわれてる現在の状況におきましては、やはりそういう点を見合いながら一応考えていかなければならぬ。こういう段階におきましては、にわかにどうも春日委員の御意見をそのまま税制の上に移していくという時期ではまだないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/17
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018・春日一幸
○春日委員 ただいま局長から、そういう理論もあり得ることであって、適当な機会に十分考慮しなければならぬという強力なる御支持を得ましたので、いずれ適当な機会に一つ政府に強力にアッピールしていただいて、これが実現化されんことを強く要望いたしまして、この問題は、この程度にとどめます。
次は、多年の懸案になっております物品税の問題について、この際一応論議を行なっておきたいと思うわけでありますが、局長は、物品税は、一応本質的に再検討すべき段階に至っているとはお思いになりませんか。これは、自由党内閣における小笠原大蔵大臣、その後の一隅田大蔵大臣等と私どもとの間において、物品税を廃止すべしとの論議が行われたことは、局長もすでに御承知の通りであります。これは、早晩抜本的な解決をはからなければならない、近き将来における税法の根本的な改正のときにこれを取り上げていきたいということは、そのつど大臣たちが答弁をしておる通りであります。一方業者たちは、各地において大会を開いて、何千何万種類と商品が製造されておる現段階において、七十数品目の業者だけが二百数十億の重き荷物を背負って歩かされておることの不当性を強調いたしまして、その救済を訴えておるのであります。私は、今やこの物品税というものは、従来の本委員会における論議の経過にもかんがみまして、最もすみやかにこれが調整をされなければならない段階だと思うが、局長はこれに対してどういうような見解をお持ちであるか。さらに、政府部内においてこの問題はどの程度に取り扱われておるのであるか一つ御意見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/18
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019・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 物品税につきましては、ここ数年間絶えずいろいろな論議のあることは、お話しの通りであります。物品税を全然撤廃すべしという声がある。また片方には、奢侈品についてはむしろ相当税金を大きくとったらいいじゃないか、こういった議論も相当あると思っております。あとの方の御議論では奢侈品とは何ぞやという問題がありますが、そうした奢侈品、あるいは高級品については、それを買う人は相当の担税力があるのだから、相当高い税金をとったらいいじゃないか、こういう御意見もあるわけです。しかし、その考え方をもってして現在の物品税がそのまま是認されていいかどうか、これは、私はいろいろ議論があるところだというふうに思っております。従いまして、物品税問題は、われわれもいろいろ検討はしてきておりますが、なかなかまだ簡単に結論は出ておりません。しかし、明年の全面的な税制の改革を考える場合におきましては、この問題も当然一つの大きな課題としまして整備され直していくべき問題じゃないか。全然物品税のような性格の税金をやめてしまいまして、あとに何も残さないという姿は、われわれはあまり考えておりませんが、しかし、いわゆる奢侈品課税、高級品課税といったような角度でものを考えていく場合に、現在の物品税のようなものがそのまま是認されていいかどうかということには、いろいろ議論があるだろうと思います。そういった意味におきまして、物品税の問題は再検討さるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/19
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020・春日一幸
○春日委員 税法全般についてなおたくさん質問をしなければならぬと思いますが、大臣が見えられて、総括質問がございますから、私の質問は一まずこれで打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/20
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021・松原喜之次
○松原委員長 次に、古川丈吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/21
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022・古川丈吉
○古川委員 大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、御承知のように、人間の寿命も、人生五十年から十数年長生きできるようになったようでありますが、生命保険料率の問題につきまして、関係者には議論がなされております。先般来大蔵大臣の意見というようなものを新聞で拝見したことがございますが、料率を引き下げるという考え方と、また加入者に配当金でこれを埋め合せるという考え方があるようでありますけれども、大蔵大臣としては、この問題に対してどういうお考えを持っておられるか、この際伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/22
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023・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御承知のように、年払いの保険料が今まで三十三円八十銭でありますが、これを今回三十円九十銭にいたした。この三十円九十銭にいたしましたにつきましては、むろん保険料を三十円九十銭にする、それから場合によっては配当金をふやす方法で、実際の契約者の負担が三十円九十銭になるということでよかろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/23
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024・古川丈吉
○古川委員 けっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/24
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025・松原喜之次
○松原委員長 石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/25
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026・石野久男
○石野委員 大臣にお尋ねします。実はいろいろと尋ねたいことがたくさんありますが、ちょうど同時に海外同胞引き揚げの問題で私に関連する事項があるので、きわめて簡単に、一、二のことをお尋ねいたしまして、また他日に質問いたしたいと思います。
本年度の予算編成に関係する問題については、いろいろと同僚議員からも質疑が行われました。今度の予算が、全体として歳入の面で頭打ちになっており、歳出の面が非生産的な部門で拡大している。こういうようなことが特徴的なことだと思います。そういうことで、いろいろな面で予想外に弊害が出てきているのだと思うのです。特に中企業金融等の問題については、そういう点で顕著に弊害が出てくるのではなかろうか、こういうふうに思います。同僚議員からの質問も行われておりますように、中小企業やあるいは国民金融公庫等に対する財政投融資の問題が、一般会計からの出が削除されてなくなっておるという点は、今後のこれらの機関の運営について、私たちの想像以上にまずい点が出てくるのじゃなかろうかと思うのです。特に運営の面で苦しいものが出てき、それがやがてこれを利用する民間の中小企業者に対して弊害が出てくるというふうにわれわれは考えるのであるけれども、そういう点については、大臣はどういうふうにお考えになっているかということを、もう一度御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/26
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027・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 中小企業金融について、具体的には、所要する資金を供給することが一つと、なお御意見のように金利をなるべく安くする。この金利を安くするという点につきましては、私はいろいろな考え方が今の段階にはあると思うのです。それは、ことに中小企業の金融がいかにも名目金利を下げないといけないようでありますが、かりに政府機関を除いたものを見ますと、高いと思うのです。これはいろいろな形で、おそらく日歩五銭とか四銭というものも相当あるのじゃなかろうかと思うのです。従いまして、こういうような金利を下げていくということが、やはり今の段階では一番有効的ではないか。むろん政府関係機関の中小企業に対する融資の金利を下げることは申すまでもありません。
これは、政府としてできるだけいたしておるのでありますが、私は、全体の中小企業金融について金利を下げることに、もっぱら力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/27
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028・石野久男
○石野委員 全体についての金利を引き下げるということを期待することが、今度の財政投融資の面で、ことに一般会計からこういう政府機関である国民金融公庫や中小企業金融公庫への投融資を削除するということとは、逆になるというふうにわれわれは考えるけれども、それはいかがでしょうか。ということは、その結果として資金操作が非常に困難になってきて、むしろこういう機関の金利を高くしなければ維持できないという実情が出てくると思うのですが、大臣はそういうふうに考えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/28
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029・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今のところ、政府機関の中小企業関係の金利もある程度引き下げております。むろん一般会計からこれに入れるということになれば、一そうその点はいいと思うのですが、これは財政全体の立場からも考え、なおまた政府機関には資金部等の資金から比較的安い金も回しております。こういうふうなところで、今のところは中小企業金融の金利としては支障なくうまくいく、かように考えております。なお将来にわたりましては、いろいろな点から、先ほども申し上げましたように、中小企業全般の人が比較的安い金利を享受できるようなあり方を考えてみたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/29
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030・石野久男
○石野委員 どういう説明をなさっても、とにかく利子のつかない投資を減らしてしまって、利子のつく金を持ってくれば、利子が高くなることは当然なのです。運営費がかかってくるということは当然なのですから、大臣の今の言い方は、とてもそれでは納得できないと思うのです。同じように財政投融資の問題で、住宅公団に対して、あるいは住宅金融公庫等に対する財政的な処置の問題なんかでも、やがて一年か二年くらいたつと、この住宅金融公庫なんかを使っておる一般の人々に対する家賃というものは、上ってくるという見通しが立つけれども、これについては、大蔵当局はそういうふうに考えませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 住宅公団等につきましては、資金関係から特に家賃が上るとは考えておりません。資金関係で家賃が上らない程度に、産業投資特別会計あたりから特に出資をいたしているわけであります。総じて考えまして、すべて経済的なものの考え方が金融ということにあまり偏重があり過ぎはせぬかというのが、一つの私の意見であります。むろん金利の安い、あるいは金利のつかないような金が出て、それが使えれば、これほどけっこうなことはありませんが、これはある意味において、補助金を出すのとちっとも変らないと思います。そういう行き方で果して日本の経済が健全にうまくいくか、これはやはり考慮する必要があると思う。そういうことは、ごく特殊な方面あるいは関係において考慮さるべきで、国全体の経済の健全性から見れば、もう少し総合的に、ことに中小企業等については、むろん資金面が、特に終戦以後は資本の蓄積状態その他からいろいろ負担が多かったのでありますが、今後においては、なるべく値入金に依存しないような方向に持っていく、同時にそういう中小企業の商品が十分円滑にはけていき、従って売却代金というものが常に手元に返ってきて回転していく、同時に利潤が蓄積されるという方向も考え、それを助けていく意味において、安い金利も考えていく。こういうふうにして、何でもかんでも金利々々、金融々々というのは、私は必ずしも健全なやり方とは考えない点もあります。しかし、そういうことから見て、中小企業の社会組織、あるいは経済構造の上で弱いところは私はほんとうに同情するのでありまして、これに対してできるだけの手を差し伸べてやるということは、ぜひともやらなくちゃならぬというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/31
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032・石野久男
○石野委員 今中小企業の弱い面に対して同情的な発言がありましたが、そう言われるならば、次の補正等で、特に財政投融資のうち削除した面を復活して、一般面における中小企業のめんどうを従来のように見てやる考え方を持っておられるかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/32
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033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 財政的に一般会計から特に中小企業向けの金を出すということは、今考えておりませんし、また今その必要がないと言えば言い過ぎるかもしれませんが、そういうことをしなくてもやれる。むしろ私は、もう少し今後において中小企業対策というものを本質的に解決していくように持っていかなくてはならぬだろうというのが、やはり私の立場であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/33
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034・石野久男
○石野委員 本質的に中小企業対策を持たなくてはならぬということを言う反面において、財政的にはその処置をしないんだということになれば、どこでめんどうを見るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/34
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035・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 財政的に一般会計からいわゆる金利のつかない金を出すか出さぬかという点について申し上げたのでありまして、たとえば資金運用部資金等は、むろん原資関係もあるのでありますが、今回はできるだけ中小企業方面には出しているわけであります。私の言うのは、もう少し中小企業に対して総合的に、たとえば従来一番困っておったのは中小企業の製品、あるいはまた下請工場が大企業に物を売っても代金を払ってもらえないというようなこと、あるいは非常に期間が長く、その割引が非常に不便である。これは今公取まで出ているような状況であり、こういうことがあってはならぬので、今日の金融情勢からすれば、もはやそういうことは経済的に許せない、公取なんか出る必要はむろんありませんで、一切の経営取引の上において、そういう代金はスムーズに決済されていく。そうすると、自分の物を売った代金が払ってもらえる、もちろんそこには利潤も入っている、従って手元が楽になる、そういう解決に今後十分に力をいたす。従来そういうことをほうっておいて、すべて借入金借入金という形で中小企業がいったために、借入金が多いばかりでなく、金利負担も大きかった。むろん今後経済の正常化につれて、中小企業のあり方も正常的に施策すべきであるという考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/35
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036・石野久男
○石野委員 非常にけっこうなお話です。とにかく借入金を借りないで、自前で資金回転を多くして、経営を正常化させるということはけっこうなんです。しかし、それはもしやろうとすれば、大企業に対してそういうことを可能にさせるような何かの処置を、あなたは大蔵大臣として講じようということを裏づけとして言われるのであるか、それとも財界なら財界、また産業界の自発的な意図においてそれをやらそうとするのかということによって、その言うことが全く違ってくると思うのです。あなたの言われることは、将来大企業の中小企業に対する代金の支払い等の法的な措置を、何か政府の力によって規制しようという意味で言われているのですか、どういう意味で言われているのか、そこをはっきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/36
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037・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 先ほど申しましたように、今日の金融情勢から、そういうことを法的にしなくとも、当然そういうふうになる。いわゆる経済の正常化ということは、それを指しておるのでありますが、なおそれを裏づけるために、漫然と申しているのではないのでありまして、今日金融機関では、中小企業に対するさような決済を潤滑ならしめるために、金融機関が大企業に金を貸した場合に、その大企業が中小企業に支払いを怠っているもの、その一覧表を一つ持ち、その一覧表に基いて、むしろ中小企業に振りかえようというようなことを具体的に今日考えておるような情勢にあるのでありまして、これは金融機関と中小企業、大企業三者が十分話し合い、そこで中小企業、特に下請工場等の納入の商品の代金支払いはきわめて迅速にやろう、こういうふうなことを具体的に考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/37
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038・石野久男
○石野委員 そういうような点を、あなたは大蔵大臣として指導していこうという意味を今申しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/38
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039・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、そういうふうなことが望ましいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/39
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040・石野久男
○石野委員 大臣は、大体そういうような方向でこれから大企業を指導し、また産業界における不正常なものを正常化するように努力しょう、こういう意味であると理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/40
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041・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 よろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/41
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042・石野久男
○石野委員 大臣は、とにかくそういう点については政治力を発揮されるとおっしゃるのですから、これは私は見ものだと思っておるのです。そのようにやって、中小企業がほんとうに借入金をしなくてもいいように、大企業の収奪を受けないでやっていけるように、十分な御指導を願いたいと私は思っております。それは口では言うけれども、おそらくなかなかできないと私は思いますが、その点は時間がございませんから、これでやめておきます。
あともう一つ私はお聞きしておきたい。今後の予算では歳入の面が非常に頭打ちしておって、支出が非常に非生産的な部門に拡大していっている。こういう点から政府当局においては、特に予算を担当しておる大臣としては、将来は早急に公債発行の方向にまでいかなくてはならないという観念を持っておるのではないかと私は思う。おそらく支払い準備制度などは、そのような意図を持っておるものと思うのですが、そういう点について、大臣はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/42
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043・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、さように考えておらないのでありまして、それがゆえに、行政機構も根本的に検討を加える必要があるし、税制についても、根本的な改革を今考えておるわけでありまして、漫然と従来あったままのものを基礎にして、財政需要が大きいから公債でも発行してこれに充てよう、そういうふうなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/43
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044・石野久男
○石野委員 そういうことにならないために、税制改正やいろいろな点の金融制度の問題等も考える。この税制の問題は、あとでまた質問する機会があると思いますので除きます。いずれにいたしましても、今日政府が考えておる支払い準備制度などの問題は、こういう財政のもとにおける支出、あるいは歳入の面におけるきわめて不均衡な状態を近い将来においてカバーするための準備工作だ、こういうふうに私は見ておるわけです。そういう点の見解はあとでもう少し掘り下げて質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/44
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045・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今の御意見は、私は非常に重大な点を含んでおると思いますので、一言申し上げておきます。
それは、支払い準備制度についての問題ですが、これはいかにも公債発行の予備行為であるかのようなお考えがあるいはおありになるのじゃないかと思いますので、申し上げますが、そういうことは絶対にありません。これは単なる金融の調整、いわゆる中央銀行が流通通貨量を調整する、その働きをするためのものであります。御承知のように、中央銀行に対する民間の借入金というもみは、ほとんどゼロに近いのであります。従いまして、今後資金量を調整する中央銀行の機能としましては、いわゆるマーケット・オペレーション、あるいはまた支払い準備制度、こういうものによらざるを得ないのでありまして、これは、むしろ資本の蓄積が今後増大するであろう、そういう場合に対処して支払い準備制度を置くことがよかろう、こういうような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/45
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046・春日一幸
○春日委員 今大臣の御答弁によりますと、支払い準備制度と公債発行の事柄とは全然別個のものであるということでありました。この際重要でありますから、私特に明確にしておきたいと思いますが、そういたしますれば、後日支払い準備制度が制度化されて、地方銀行が日銀に預託をいたします場合、これは公債発行の端緒を作ってはならぬので、全部現金でなければならぬ、すなわち現金にかわる公債の預託等は決してこれは認めない、こういうことでありますか、あるいはまた、現金にかわる公債の預託をも認めるのであるか、この支払い準備制度について、信用の供与と申しましょうか、確保と申しましょうか、現金以外の預託は認めないのであるか、この点一つ明確に御答弁願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/46
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047・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、私は現金以外は言えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/47
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048・石野久男
○石野委員 この問題については、まだたくさん質問があるのですが、ほかの委員会との関係がありますので、あとでまた質問をすることにいたします。
もう一つお聞きしておきたいことは、今度の予算の中で生産性本部の金が約十億あります。昨年は一億五千万使っておるわけであります。二問お聞きしたいのですが、昨年度の一億五千万の金は、まだ使い切っていないと私は思っております。この点がどういうふうになっておるかという点を、一つ明確にしてもらいたい。
それから第二は、十億の金は、本年度は商工中金を通じて貸し出しをするということに大体予算上はなっておるようです。この場合、まず第一番に、どうしてこういう金を商工中金を通じて貸すのかという意味がわからないということ。第二番目には、商工中金を通じて生産性本部の金を貸し出す場合は、特に貸し出しの条件の中に何か特別なものを持つのであるかどうか。
これらの点について一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/48
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049・森永貞一郎
○森永政府委員 本年度の一億五千万円の使い残りがどのくらいあるか、その点につきましては、目下手元に資料がございませんので、あとで調べて申し上げることにいたしますが、来年度の問題でございます。補助金といたしましては、政府の一般会計から生産性本部に七千五百万円を出しております。そのほかに、余剰農産物の特例会計から生産性本部に十億円貸し付けるのでございますが、これはそのまま素通りいたしまして商工中金に貸し付ける。商工中金からは、これは何らの貸付のひもがつかないで一般の資金として貸し出されるわけでございまして、いわば余剰農産物の資金を生産性本部を通すことによりまして、生産性本部の資金繰りを楽にするというそれだけの意味のものでございます。商工中金から貸し出されます場合には、商工中金の一般資金と一体となって運用せられるということになっておりますので、その点御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/49
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050・石野久男
○石野委員 一億五千万円の金については、あとで明確な資料をもらいたい。
それからただいまの十億の金には、何にもひもはつかないというが、生産性本部の資金繰りということは、利子かせぎをするという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/50
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051・森永貞一郎
○森永政府委員 つまり余剰農産物特別会計から四分で借りまして、それを商工中金に六分五厘で貸し付けるわけでございまして、生産性本部もそれだけ余剰農産物の資金の恩恵を受けまして、そこで二千五百万円資金繰りが楽になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/51
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052・石野久男
○石野委員 大臣にお尋ねします。余剰農産物については、いろいろと問題があります。アメリカで余ったものを一本が買うわけです。もっと端的にいえば、アメリカの百姓を日本の百姓と日本の国民が総がかりで援助するということです。そういう金を借りてきて、その中から十億の金が生産性本部へ回ってくるんだ、そこでまた生産性本部にさやかせぎさせたものを中小企業に充てる、これはまさに自民党の政策をそのまま打ち出しておる。中小企業者に対して何で二つも三つも段階を越えて、さやとりをさせた高い金を貸さなければならぬのか、大臣はどういう意図でそういうことをするのか、余剰農産物の金を貸すなら、直接同工中金へ貸すようなことをしないのかということを私は聞きたい。そんな生産性本部がさやかせぎをしたものを、また二度借りをするというような中小企業者対策なんということはもってのほかだと思うんだが、それはどうか、これは大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/52
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053・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、いずれ詳しいことは主計局長から答弁いたしますが、余剰農産物の資金の用途については、アメリカ側とも話し合いがあるわけであります。その点もあろうかと思います。しかしこの問題の点は、直接商工中金なら商工中金へ出せば、それだけ商工中金の金利の負担が安くなるじゃないかということがおそらく一番の眼目であると思いますが、その点につきましては、商工組合中央金庫の金利全体について下げる方向を考えておるわけでありまして、むろんごく小部分ですが、その分がかりに安くなってどれほどの影響を与えるか、幾らでも安くなるならいいというお話でありましょうが、そういうものをくるめて商工組合中央金庫の全体の運用資金の金利低下を具体化しておるわけで、近いうちに相当な幅の金利引き下げが実行できると思っております。同時にまた、生産性本部にそういう資金の受け入れをして、ある程度の資金が生産性本部に落ちる、これも生産性本部の資金繰りの上において、あるいはまた一つの財源として必要である、どちらかというと少し欲ばって、一石何鳥といいますか、そういうことになると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/53
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054・石野久男
○石野委員 余剰農産物の金の使い方で、一石何鳥かで高い金を中小企業者に使わすのだ、こういうことは私は理解できないのです。あなたは銀行屋さんだし、なるべく資金コストは安くしなければ経営というものはやりにくいということは、わかっておると私は思う。かりに一厘でも利子が高ければ、大きな金を動かせばずいぶん大へんなことになることは、私たちよりもあなたの方が知っておるはずだ。それを承知で、こういうふうに二重、三重の段階を越えて、一石何鳥かの政策をとるという意味がどうも私はわからない。もう一度その意図が那辺にあるか、詳しく大臣から御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/54
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055・森永貞一郎
○森永政府委員 大臣のお答えの前に、事実の問題を申し上げたいと思います。余剰農産物の資金の使途につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、向うから借りる際にある程度話し合いをいたしておるわけでございます。何にでも使えるというわけではないはずであります。そういう事態を受けまして、余剰農産物の資金の運用につきましては、直接これを商工中金では運用できないようなことに相なっておるわけであります。商工中金に今政府から出ております資金は、預金部の資金、すなわち六分五厘の利子の資金でございまして、その以下に預金部から貸すというわけにもいかぬし、また余剰農産物の資金は貸すわけにはいかぬわけであります。そこでちょっとひねりましてという言葉が悪いかもしれませんが、諸外国における実例等も参酌いたしまして、生産性本部の目的のためにこの余剰農産物の資金を活用する、それだけでなくて、さらにその資金を一般のと申しますか、資金運用部資金と同じ利率で商工中金にこれを運用するという、生産性本部の事業の目的も達するし、また商工中金としても資金運用部資金並みの安い金利の金がよけい借りられるという、大臣のいわゆる一石二鳥というようなことに考えたわけでありまして、これは西独でございましたか、そういうところでもそういうような運用の仕方をしておる実例もあるようでございます。そういう例も参考といたしまして、今回の運用方法を計画いたしたようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/55
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056・石野久男
○石野委員 今ちょっとひねって活用するのだという話ですが、とにかく余剰農産物の協定の中では、直接商工中金では使えないのだというところに問題があるわけです。直接使えないものを商工中金で使う以上は、やはり何かのひもがついてくるに違いないと思うのだが、その点についてははっきりしてもらう必要がある。私は、商工中金へ金が多くくることはちっとも悪いと思ってない。これはうんときて、それを中小企業者にどんどん使わせることはいい。いいのだけれども、そういう安く借りられるものを高くして、ほかの部門の利子まで提供するような形にさせなくてもいいじゃないかというのが私の理屈なんです。しかも、そういうことをよその国の例を見てとかなんとか言うことは、これはそういうことをやる政府のやり方、そういう政策の持ち方、この政治の貧困さの方に問題があると私は言いたいのです。こういう問題について、私は先ほどから、大臣はどういうふうな考え方を持っているかということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/56
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057・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今の具体的な問題について、私は一石二鳥であるとか言いましたが、それについては、今の説明で十分わかると思います。要するに私どもとしては、比較的に安い金利の中小企業向けの資金を信義に反して——そういうことがほかの国にも慣行があるから、若干の無理はあっても、中小企業に向けてあげようという特別な配慮からやったわけでございます。ただそういうことを回りくどくせぬでもいいじゃないかと言われるが、私も、そういうことを回りくどくせぬでも済めばその方がいいと思っておりますが、それが世の中ではないかと思っております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/57
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058・石野久男
○石野委員 回りくどくしなくてもいいけれども、回りくどくするのが世の中だと言うが、それはむしろ世の中ではなくて、あなた方の政治が貧困だということなんです。それが世の中だというように言われたらたまったものではない。アメリカの余ったものを買ってきて、日本がそれのために奉仕せねばならぬ、その結果が、逆に日本のタバコ耕作者だとか、あるいは米の耕作者をみな苦しめるような、そういう金を、それが世の中なんだと言うような考え方の中に日本がだんだんと深い泥沼の中に入っていくという実情を、大蔵大臣はもうちょっと真剣に考えてくれなければいかぬと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/58
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059・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは、とりようによっては言葉が悪かったと私は思う。私は何もそんな宿命論者ではない。宿命論者ではないけれども、ポリシーを行ってもなおかつ及ばない、そのときどきの客観的な条件が許さない場合がある。それなら、そんなものはけとばしてしまった方がいいという一つの議論もあるでしょうが、けとばさずに、そこの環境においてやむを得ず満足するということもまた一つの行き方である。そういう意味において申したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/59
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060・石野久男
○石野委員 ポリシーを行なってもなおできないものはやむを得ぬ、こういうことだけれども、そこまで言うなら、私は大臣に聞きたい。あなたが今世界的な諸情勢の中でやっておる政治は、どこのだれのためにやっておる政治なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/60
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061・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一番基本的には、人類のためですね。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/61
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062・石野久男
○石野委員 一萬田さんは、基本的には人類のためと言って問題をぼやかしている。日本人のためということをよう言わない。あなたは日本の国の大蔵大臣です。世界の問題を考えてもいいけれども、その前に、日本のことをもう少し考えてもらいたい。そういうことをもうすこしはっきり言えるようにしてもらわなければ、この問題の解決はできない。私はそういうように思っている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/62
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063・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私どもが日常の生活において、日本人をまず考え、日本国を考える、これは言うには及ばぬことだという意味でそう申したのであります。これは、もうそうでないとすれば政治もやれませんし、常識も持たぬということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/63
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064・石野久男
○石野委員 とにかくいずれにしても、あなたは日本人を考えているだろうけれども、それ以上に人類のことを考える非常に高邁な政治家です。しかしそのことの意味は、むしろ日本よりもアメリカのことを考えているということだと私は思っている。しかしそれはともかくも、余剰農産物の問題については、いろいろな問題があります。特に二十九年度の余剰農産物の中で、新三菱あるいは川崎等に出ておりますいろいろな設備資金の問題がある。この中でいろいろと政府資金として出ておる金があるわけです。これらの金について、新三菱や川崎等の業者と、たとえばノース・アメリカンだとかロッキードとかの間に企業間の契約があるはずです。ここで使っている金は、少くとも一応政府資金になっておると思うのです。こういう政府資金を使っておる場合に、アメリカの企業家とそれから日本の企業家との間に約束した契約の内容というものについては、国民はこれを知らなければいけないと思っているのです。そういう問題について、あなたはこれを公表させる意図がありますかどうか、それだけ一つ聞いておきたい。
余剰農産物については、あとまだいろいろな問題がありますが、この問題を、生産性本部の問題とからみまして、そのことだけをお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/64
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065・河野通一
○河野政府委員 はなはだ失礼でありますが、質問をちょっと聞き漏らしましたが、余剰農産物の関係から、新三菱その他に出ておる資金に関する契約の内容を公表せよ、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/65
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066・石野久男
○石野委員 二十九年度の三十六億円のうち二十五億円が、十八億円と七億円という形で新三菱と川崎に出ているはずです。これは設備資金のうち、三分の二は政府資金という形になっているはずです。こういうものがやはり政府資金ということになれば、国氏が非常に関心を持たなくちゃならない問題なんです。そういう問題については、いわゆるロッキードだとか、あるいはノース・アメリカンなどの間には、それぞれの会社のいろいろな企業間の約束があると思うのです。そういう約束、契約の問題で、特に設備資金として政府資金が出ている問題に関する限りでは、一応われわれは知っておかなければならないというふうに考える。そういう問題について、一萬田さんはわれわれに公表させなければいかぬと思うけれども、それについてどうだということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/66
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067・河野通一
○河野政府委員 政府資金でありますから、その資金によって出されておる先についての大要については、お話はできると私は思います。ただこの問題は、具体的な契約内容その他につきましては、通産省が担当の方でありますから、よくあちらの方の事情を聞いた上でなければ、今私ここでにわかにお答えできませんから、よく通産省の方と相談した上でお答えをしていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/67
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068・石野久男
○石野委員 今通産省の関係だからということで、あなたは答弁を逃げられるのでありますが、それは通産省との話し合いでもよろしい。確実に、今でなくてもよろしいから、必ずそれは大臣から答弁してもらいたいということを、私はここで申し上げておきます。
なお私は、まだいろいろ質問したいことがあるのですけれども、海外引揚委員会の方で実は私に関連する問題があるものですから、これで失礼さしていただきます。終らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/68
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069・松原喜之次
○松原委員長 関連質問を許します。春日君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/69
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070・春日一幸
○春日委員 ただいま森永主計局長の答弁によると、これは向うとの協約があって中小企業者に貸すことができない。従ってこういうようなひねった貸し方をした、こういうことではありますが、これは当然約定書を見せていただけば明確になると思いますけれども、われわれが昨年でありましたか、一昨年でありましたか、この法律を審議した場合、この特別会計の金の使途については、本委員会においてきわめて熱心なる論議が交えられておるのであります。私はそれを記憶いたしております。その法律の第一条の中に、電源の開発、それから農地の開発という条項がありましたがさらにこれは一般的な事柄として、わが国の経済の発展、こういう一項目の中に、当然中小企業の向きにも金を貸し与えらるべきものであるという事柄をわれわれは強く主張し、時の大臣は一萬田さんではなかったかもしれぬが、とにかく大臣から、中小企業にもその金が貸し与えられるのである、こういう了解のもとにわれわれはこの法律を通しておる。これは当時の速記録を見れば明確な事柄である。しかるに、ただいま森永さんの御答弁によりますと、これは中小企業に直接貸せないのだ、こういうことでありますが、私はなおさら協約事項をこの際明確に見せていただかなければならぬと思うのです。さらに、委員会のそういうような質疑応答と相反する、少くともわれわれの主張に対して、大臣が明確に中小企業にも金は貸し得るのだという答弁をしておいて、貸せないような協約が結ばれておるのである。これは重大な問題であると考えます。従って、私はその協約が中小企業に貸せない協約になっておるのかどうか、この際河野さんなり大臣から明確な答弁を願っておきたい。そして私は、この際その当時の速記録を取り寄せて、大臣と本委員との間にかわされたそういう質疑応答等を参考にいたしまして、私はこの問題をさらに抜本塞源的に検討しなければならぬと思う。果してそういう協約がされておりますかどうか、この際河野さんから御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/70
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071・森永貞一郎
○森永政府委員 三十一年度に余剰農産物金融特別会計で受け入れまする円資金は、昨年の七月でございましたか、基本的に米国との間に了解ができまして、つい先般それの借り受けについての本調印ができたわけであります。これは借ります際に、やはりどういう使途に使うかということを両方で大体相談をいたしておるわけであります。昨年の本委員会における審議の結果、あるいは農林委員会等における審議の結果もございまして、農業関係に使用し得る資金のワクを極力ふやそうということで努力をいたしました結果、本年度は、農業関係のワクはふくらんでおる。狭い意味の農業開発だけでなくて、もう少し広い意味での農業関係に参ります金額は、相当ふやされておるわけでございまして、残余の資金については、電源開発とかその他の生産性本部ということで考えておるわけでございますが、そういった交渉の経過から考えまして、これを何にでも使っていいということではないわけでございます。やはりある程度資金の使用のめどがつけられておるという点を、まず御了承いただきたいと思うわけでございます。
もう一点は、先ほどの御答弁の際に抜かしましたが、実は商工中金に参ります金は、資金運用部から参ります金も、中小企業金融公庫を通じておるわけでありまして、商工中金の性格から考えまして、今直接には貸せないということになっております。こちらの方は、もちろん利ざやは同じでないわけでございますが、そういった商工中金の性格から考えまして、資金運用部から出すものも、そういうふうな形式になっております。今回米国から借り受けました余剰農産物関係の円資金につきましても、先方との交渉の経過その他から考えまして、まず生産性本部に貸して、生産性本部でも生産性本部としての活動の資金をこれに一部依存する、そしてまたその資金を商工中金に預託されまして、商工中金で中小企業のために活用される。そういうことでありまして、私どもとしては、これについておかしいというような御非難を受けるような点は何らないと実は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/71
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072・春日一幸
○春日委員 それでは伺いますが、この法律によりますと、この資金の運用管理ですね、その利率その他条件については大蔵大臣がこれを決定するという形になっております。私は、アメリカとの間に、この金の使途について一一その協約をするとか、あるいは承認を求めるとか、別にそういうようなひもつきのものではなくて、これは日本の財政投融資を通じて日本政府の自主的な処理によって行われ得るものである、こういう工合に当時の質疑応答を通じて明確になっておったと思います。ところがただいまの答弁によりますと、すべてこれが協約になって、一々アメリカの了解を求めて、それから使途を決定しておるのだ、こういうことでありますが、一体いかなる法律に基いてアメリカの了解を得なければならぬのであるか。少くとも国民の前に示されたところのこの運用管理のあり方は、大臣がこれを自主的に決定するということが法律に明確になっておる。施行細則の中にも、あるいは附則の中にも、これはアメリカの協約を得るとか、あるいは合同委員会においてどうこうするということは、一つもこの中に明確になっておりません。にもかかわらずそういうような事柄が行われておるということは、一体どういうわけでありますか。どういうような法律上の根拠によってアメリカの了解を得ておられるのであるか。その点、一つ明確にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/72
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073・森永貞一郎
○森永政府委員 もちろん日本政府としては、自主的にこれを決定いたしておるわけでございます。余剰農産物の資金を借ります場合に、たとえばその何パーセントはこれを米側が日本で使うとか、あるいは残りについては、どの程度のものは農業関係に使うというようなことについての話し合いをしながら、これを借りることを日本政府が決定したわけでございまして、決定そのものはもちろん自主的に決定しておるわけでございますが、借りる際にそういう話し合いが行われておる、それがいやなら借りないということで、その意味で自主的になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/73
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074・春日一幸
○春日委員 この問題は重要な事柄であり、はからずも本委員会において惹起された疑義でありますから、当然これに基いてわれわれは正確な誤またざる判断をしなければならぬと思いますので、後刻さらに機会を得て質問いたしたいと思います。
ここにその協定の全文も参りましたが、私この際明らかにしておきたいことは、それは商工中金に直接貸しができない、公庫に貸して、そこからトンネル式に中金に流された、このいきさつはわかっておりますが、われわれの主張は、当時この法律案が新しく設けられまする場合、これはただ単に電源開発や農地の造成のためのみこれがひもつきに縛られるというのではなく、当時から引き続いて非常に困難な状態にありまする中小企業等についても、この金がその困難克服のための資金源として活用されることを強く期待し、そうしてこれがわが国の経済の発展のために寄与する資金として、こういう状況の中にからめて、当然これが中小企業にも正当に流されることが、委員会の論議を通して明確にこれは保障されておるわけであります。だとすれば、中小企業金融公庫で、当然これはその特別会計から流されるべきものであり、そういうことは、その法律ができる当初からすでにあらかじめおもんぱかって論議し尽されておる事柄であります。しかるに、そこへ二千数百万円でありまするか、中小企業者がそれだけの重い負担を背負わされておるというこの資金操作のあり方は、これはこの法律に違反をすることであり、当時かわされておるところの論議から考えても、これは食言するもはなはだしいものであると考えます。しかしながら、これは協定のできた当時の速記録等を確かめまして問題の所在を明らかにして、さらに法律違反であるとか、あるいはいろいろな委員会の審議の経過等にかんがみて不当なものである場合においては、さらに私どもはこの問題について論議を展開いたしたいと思います。資料が不十分でありますから、本日の私はこの程度に質問をとどめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/74
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075・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十四日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01019560223/75
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