1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十四日(金曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君
生田 宏一君 大平 正芳君
奧村又十郎君 加藤 高藏君
小西 寅松君 竹内 俊吉君
内藤 友明君 中山 榮一君
夏堀源三郎君 古川 丈吉君
前田房之助君 有馬 輝武君
石山 權作君 木原津與志君
竹谷源太郎君 平岡忠次郎君
横錢 重吉君 横山 利秋君
石野 久男君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁税務
部長) 奥野 誠亮君
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
大蔵事務官
(主税局長) 渡邊喜久造君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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二月二十三日
委員今澄勇君辞任につき、その補欠として井上
良二君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十三日
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七一号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内に
ある財産の整理に関する政令の一部を改正する
法律案(内閣提出第七三号)
同日
酒税率引下げに関する請願(中馬辰猪君紹介)
(第八二六号)
同(中馬辰猪君紹介)(第八五三号)
元中野電信隊跡敷地の開放に関する請願(菊池
義郎君紹介)(第八八四号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
八号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一八号)
関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一九号)
租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第三九号)
関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四〇号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七一号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内に
ある財産の整理に関する政令の一部を改正する
法律案(内閣提出第七三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
昨二十三日当委員会に審査を付託されました租税特別措置法の一部を改正する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案及び旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題として審査に入ります。まず政府側より順次提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官、山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/1
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002・山手滿男
○山手政府委員 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案について、提案の理由を説明申し上げます。
最初に租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、日本に住所を有しないが、日本に一年以上居住している者、すなわちいわゆる居住外国人の所得税について従来設けられておりました特別措置法の適用期間が、昨年末をもつて満了したのに伴いまして、その税負担の急増を避けるために、暫定的な経過措置を講じようとするものであります。
終戦後当分の間は、当時の連合国軍最高司令官の覚書によりまして、外国人がドルやポンドのような円以外の通貨で合法的に取得した所得につきましては、所得税を課税することができないこととなっていたのでありますが、昭和二十五年五月二十七日付の覚書により、それ以後は、このような外国人の非円所得についても所得税を課税することができるようになりました。その際、いわゆる居住外国人につきまして、以下に申し述べるような二つの特別措置が講ぜられ、その税負担を軽減することとされていたのであります。
すなわち、特別措置の一つは、通常半額課税の特例と呼ばれていたものでありまして、指定重要産業を営む法人が招聘した技術者、銀行保険等の特定事業を営む法人の従業員、新制高校以上の学校の教員、牧師等の給与所得につきまして、その収入の半額、最高三百五十万円を非課税とし、また、弁護士業、公認会計士業等の特定の事業を営む個人の事業所得につきましても、その半額、最高三百五十万円を非課税としていたものであります。
いま一つの特別措置は、国内払い課税方式とでも呼ぶべきものでありまして、居住外国人の給与所得または退職所得につきましては、日本国内で支払われた額と日本へ送金された額との合計額のみについて所得税を課することとし、ただ、その額が日本における生計費相当額に達しないときは、生計費相当額に達するまで、海外払いの部分をも課税対象に取り入れることとしていたものであります。
以上申し述べました二つの特別措置は、いずれも昭和三十年末をもってその適用期間が満了したのでありますが、この際何らの措置をも講じないままにしておきますと、居住外国人の税負担は一挙に急増することとなりますので、暫定的に経過措置を設け、経過措置の満了を待って本来の課税に復することが最も適当であると考えまして、今回この法律案を提出した次第であります。
この法律案におきましては、まず、従来ありました二つの措置のうち、半額課税の特例は、昭和三十一年分以降は廃止することとしておりますが、いわゆる国内払い課税方式につきましては、その一部に次のような所要の改正を加えまして、昭和三十五年まで暫定的にこれを存置することといたしております。
すなわち、第一に、従来の国内払い課税方式という特別措置は、居住外国人の給与所得及び退職所得の全部について適用されてきたのでありますが、今回、その適用対象を、居住外国人が支払いを受ける給与所得のうち、日本経済の健全な発展に資する事業として大蔵大臣の指定するものを営む法人等から支払いを受けるもの、大蔵大臣の指定する国際文化団体などから支払いを受けるもの、新制高校以上の学校の教員として、あるいは牧師として支払いを受けるもの等、日本の経済文化の向上に役立つと思われる特定のものに限定することといたしております。
第二に、昭和三十二年以降におきましては、このような給与のうち国内払い額と送金額との会計額が、その給与に一定の割合を乗じて得た金額に満たないときには、その一定割合を乗じて得た金額によって課税を行うこととし、この割合は、昭和三十二年においては百分の六十、昭和三十三年においては百分の七十、昭和三十四年においては百分の八十、昭和三十五年においては百分の九十というように漸増することといたしまして、昭和三十六年以降は本来の課税に復することとしているのであります。
次に、閉鎖機関令の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
閉鎖機関の特殊清算につきましては、昭和二十年九月以来、鋭意その処理を進め、当初千八十八に上った閉鎖機関のうち、現在までに千五十五機関が特殊清算の結了をみるに至ったのであります。従来、閉鎖機関の特殊清算は、その本邦内にある財産について行われ、在外店舗にかかる債権債務は特殊清算の範囲外とされておりましたのを、さきに第十九回国会で閉鎖機関令の一部が改正され、それまで未処理のままとなっていた未払い送金為替及び外地預金にかかる債務を弁済する道が開かれたのでありますが、今回さらに、在外債務のうち外地従業員に対する債務及び本邦を履行地とする債務につきましても弁済の道を開くとともに、特に閉鎖機関である朝鮮銀行及び台湾銀行につきましては、これらの銀行が発券業務を営んでいたという特殊性にかんがみまして、その残存資産のうちから納付金を政府に納付せしめる等、閉鎖機関の特殊清算を促進するために必要な措置を講ずることを目的として、この法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案のおもな内容について、その概要を御説明申し上げます。
まず第一に、閉鎖機関は、その在外店舗にかかる債務のうち、外地従業員に対する退職金等の債務及び本邦を履行地とする債務につきましては、本邦内に住所を有する個人及び法人、その他の閉鎖機関並びに在外会社に対して、現在残存している国内資産の限度内で支払いをし得ることといたしました。
第二に、閉鎖機関である朝鮮銀行及び台湾銀行につきましては、特殊清算の目的である債務を弁済し、在外債務が在外資産を超過する場合には、その超過額を引当留保した後の残存資産の中から、朝鮮銀行及び台湾銀行法に規定されている納付金制度に準じて算出した金額を国に納付せしめた後において、新会社の設立等残余財産の処分を認めることといたしたのであります。
最後に、旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の管理に関する政令の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
旧日本占領地域に本店を有する会社、いわゆる在外会社の特殊整理につきましては、従来、その本邦内にある財産の特殊整理を実施して参りまして、約千二百五十社のうち、本邦内に資産がないため指定を解除したものが、六百二十社、整理完結したものが四百二十社で、現在未整理のものは約二百十社となっておるのであります。
在外会社の在外店舗にかかる債権債務は特殊整理の対象外とされておりましたのを、さきに第十九回国会でこの政令の一部が改正され、それまで未処理のままとなっていた未払い送金為替及び外地預金にかかる債務を支払う道が開かれたのでありますが、今回さらに、在外債務のうち外地従業員に対する債務及び本邦を履行地とする債務につきましても弁済の道を開くとともに、閉鎖機関令の規定に準じて、在外負債超過額に対する引当財産の留保及びその管理に関する規定を設ける等、在外会社の整理を促進するために必要な措置を講ずることを目的として、この法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案のおもな内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一に、在外会社は、その在外店舗にかかる債務のうち、外地従業員に対する退職金等の債務及び本邦を履行地とする債務につきましては、本邦内に住所を有する個人及び法人、その他の在外会社並びに閉鎖機関に対して、現在残存している国内資産の限度内で支払いを行い得ることといたしました。
第二に、特殊整理人は、特に必要がある場合には、大蔵大臣の承認を得て、在外財産の管理、処分等をなし得ることといたしました。
第三に、在外会社は、その在外店舗にかかる負債の総額が、資産の総額をこえる場合、その超過額を整理財産の負債として処理しておりますのを改めまして、超過額に相当する額を国内財産のうちから引当財産として留保せしめることとし、当該引当財産の管理について所要の規定を設けました。また、在外資産負債が不明な場合には、国内負債を弁済後国内資産に残余があるときは、日本銀行に預託することとなっておりますのを改めまして、さきの引当財産の管理に準じて管理せしめることといたしました。
第四に、在外会社の負債の弁済及び残余財産の処分に当って、供託による履行のほかに、信託によっても債務を免れることができることといたしました。
以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の理由と内容の概略を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成をいただきますようにお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。これら三法案のうち、閉鎖機関令の一部を改正する法律案及び旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案に対する質疑は、後日に譲ることとし、引続き租税特別措置法の一部を改正する法律案及び所得税法の一部を改正する法律案外税関係四法律案を一括議題として質疑を続行いたします。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/3
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004・横山利秋
○横山委員 本論に入ります前に、ちょっと主税局長にお伺いいたします。この間もちょっと質問したのですけれども、勤労所得税が国税で下る。それでオプション・ワンを採用しております市町村民税の収入が自動的に減るというわけで、全国各地で、本年は市町村税を少し上げるという事態が起って、それが各地方でトラブルになっておるわけであります。ことし再びここに、大蔵委員会に七月から勤労所得の特別控除を上げて税金を減らすということが出ておるわけですが、これが必然的にまた来年地方税の減収となって参るわけです。このことを、それが正しいのだ、そういうふうに減収になるのを引き上げるという地方における結果はやむを得ないのだというように、あなたはお考えになっておられるのであるかどうか。政府の勤労所得税軽減に対して一般勤労者が期待しておりますものは、国税と地方税との区別は考えておらないのであります。両方とも下る、あるいは片一方が下っても片一方は上らない、それを常識として考えておるわけであります。政府の施策と勤労者の間に非常にずれが起って、各地方で今市町村民税に対する増税反対の運動がずっと出ておるのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておるのか、勤労所得税を減税する立場から一つ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/4
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005・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 昨年所得税の一般的な減税をいたしました機会におきまして、オプション・ワンの市町村民税の率を引き上げましたのは、前会も御答弁申し上げましたように、地方財政が非常に苦しいのでございますから、普通率を直しませんければ、国税が軽減されれば市町村民税が軽減される。そうなりますと、市町村の財源が足りなくなりますので、市町村民税については、所得税が軽減される前の額程度を負担していただきたい、こういうような考え方に基きまして、市町村民税をふやすよりも減らさないといったような立場に基きまして、従って所得税が軽減されるだけ率の上からいいますと引き上げの結果になるわけでございますが、そういった改正をしていただいたわけでございます。今度の給与所得控除の引き上げ、これは一般的な減税と違いまして、いわば所得バランス、各種の所得負担のバランスをとろう、こういう考え方で出ておりますので、この分につきまして、あるいは勤労者の市町村民税だけを従来通り据え置くとか、あるいは一般的にはほかの方の人まで及ぼすとすれば、他の所得者の場合はむしろ増税といったようなことになるということもございますので、今度の措置につきましては、昨年の措置とだいぶ事情が違いますので、オプション・ワンの率を上げるような方法で動かすといったようなことは、今度の場合は全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/5
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006・横山利秋
○横山委員 そうしますと、今度この大蔵委員会に出ております二〇%にするという考えの骨子は、オプション・ワンを動かして、今年の税収と同じような額を確保する、こういう考えはないということでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/6
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007・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 自然増収とかいろいろな問題が別にございますが、一応昨年と本年の所得税の税額が全然同じだということを考えて、同時に今度の減税によってそれだけマイナスが出るということを考えた場合、市町村民税の減収によって市町村の財源はそれだけ少くなりますから、他の方途によりましてそれは補填するというふうに、一応財政計画も考えまして、その分だけ市町村民税が減らないように特別な法律改正をお願いするということは考えていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/7
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008・横山利秋
○横山委員 私の聞いているのは、たとえばことし二〇%の法律が通りますと、来年減るわけですね。三十二年に自動的に減るのを、市町村民税のオプション・ワンの税率を上げてカバーするという気持はない、ほかの方で補填する。——わかりました。議論はまだ少し残っておりますが、それだけ伺って、この間の続きに移ることにいたします。
私が地方税についていろいろと御質問をいたしますのは、本来からいいますと、本法案は、地方行政委員会の所管に属するものでありますから、いささかいかがかとは思われるのでありますが、根本的に税制のあり方の点が第一点。それから第二点は、当委員会の所管に属しますガソリン税について、昨年の当委員会の結論から言うならば、このような必要はない。このような観点から出ておるのでありますから、このように御理解を願って御答弁をいただきたいと思うのであります。先般の当委員会において、財源の問題についてはいささか触れたわけでありますが、どうしてもこの税金を取らなければ道路財源はないのであるかどうかということが第一番の問題であります。
それから第二番目の問題は、これが目的税という建前において臨時税制調査会が答申したのではないということ、これは答申においてもう明瞭なる問題でありますが、その第一点と第二点との矛盾を内蔵しておるという点であります。昭和二十九年九月に道路整備五カ年計画が設定をされたその際に、閣議の了解事項として、本道路整備五カ年計画中、地方負担の増加を来たす部分については所要の財源措置を講ずる、そうして地方負担が増加しないようにと閣議は決定をし、同五カ年計画においては、揮発油の税収が千四百三億に対し、約二割の二百八十億を一般財源から繰り入れることを見込み、そういう想定のもとに委員会は了解して五カ年計画が推進されて陥るのであります。今年揮発油税の収入は三百七億見込んであるわけであります。ところが一般財源から道路に入っていくのは、私の承知しているところでは〇・八八億、八千八百万円、当時の閣議了解事項の二割一般財源から繰り入れるという想定に対して、実に三百分の一になっておるわけであります。このことは、当時道路整備五カ年計画を推進するに当って立てて参りました構想がすでにくずれて、目的税は、私が累次申しておりますように、創設いたしますと、それがぶくぶくふえるばかりであって、一般財源から繰り入れるということはだんだんなくなってしまって、目的税一本で道路を直すという結果になる。従って目的税をふやして、ガソリン税なり軽油税をふやしていっても、ふえた部分に相当するだけ道路はよくならない。こういう結果をもたらしていると私どもは痛切に感じておるわけであります。税を徴収いたしますときには、道路が悪いのだから、あなた方が道路を使うのだから銭を出しなさいといっておりましても、実際の問題として、増加した部分だけ道路はよくならない。従ってその部分は何に使われておるか。一般財源から繰り入れられるものが少くなっていくという格好になり、ひいてはこれが、先般主税局長が言いましたように、間接的に一般財源の補填をする結果になる、こういう言葉を裏書きしておるわけであります。もししかりといたしますならば、答申にありますように、地方財政の赤字を補填するためにこの軽油税を創設するのだという本論に近づくことに相なると思います。それならば、それで答申通りに一般財源がどうしても足りないということでやるならば、なぜすなおにそういうふうにやらないかと、私は答申の立場に立てば考えるわけであります。その意味では、今回のこの措置は実にごまかしである。歴史的な道路整備五カ年計画の基本方針がごまかしで税金を取る結果になっておる。道路はそれほどよくなっていない。という点について、関係者の痛憤やる方ないところがあるのです。この点について奥野さんの御答弁をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/8
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009・奥野誠亮
○奥野政府委員 最初に、なぜ地方財源の不足を補うために軽油に財源を求めたかという御質問であります。地方財政は、御承知のように非常に窮乏いたしております。しかし一般的な増税ということは、今日の国民の租税負担から考えました場合には非常に無理だと思うのであります。そこで、一つには非課税規定を整備しながら増収をはかる。もう一つは、受益者負担の制度を拡張していきたい。こういう見地から今回税制改正を考えたわけでありますが、その意味で第二の受益者負担を拡張する、こういう見地で揮発油税との関連を考慮しながら、新たに軽油引取税を設けたい、かように考えたわけであります。
第二の目的税にする問題でありますが、私たちは臨時税制調査会の答申に至りますまでの議論を拝聴いたしておりました。目的税にして悪いのだ、こういうことはむしろなかったのでありまして、どちらかといえば、自動車の使う軽油に局限する、こういう方向に最終答申の段階においてきまったものでありますから、目的税にするということははっきり出ておりませんけれども、議論の過程から言えば、むしろ目的税が予想されておったのではないだろうかというふうに存じております。しかし答申はいかがなものでありましても、主として自動車の使う軽油に限定して参りますならば、なるたけそれらの人たちに利益を還元していくようなやり方、言いかえれば財源は全部道路に充てまして、自動車の負担が道路がよくなった結果から軽減される、こういう方向に持っていった方が理解が得られやすい、協力が得られやすいのではないか、こういうふうに存じて参ったわけであります。五カ年計画との関連においていろいろ御議論があったわけでありますが、私たちは、これは大蔵省の問題でありますので、ただ個人的な見解としてお聞き取りいただきたいのでありますけれども、事業分量を達成するところにねらいがあるのであって、またそれを達成するためには、揮発油税だけでは不足だから、一般財源からある程度繰り入れなければならない。しかし特定財源がふえてくれば、全体として財源が確保されればよろしいのではないか、こういう考え方が立つと思うのであります。私は、実はあの閣議決定はそういうふうに了解しておったのでありますが、この点につきましては、大蔵省なり建設省なり、そういうところからお答えいただけばよろしいだろう、こう思います。
地方財政の面で申し上げますと、きょうお手元にお配りいたしましたように、三十一年度の計画をとって参りますと、地方道府県と五大市で行います道路事業費の総額は四百九十四億であります。これに対しまして、そのために国から支出されます額が二百八十四億でありまして、差引道府県と五大市の負担に属しますものが二百二十八億円であります。これに対します財源として、特定のものが地方道路譲与税としまして七十四億円、軽油引取税として二十四億円、差引なお九十八億円は一般財源から持ち出していかなければならないわけであります。反面また軽油引取税が、あるいはその他の道路の特定の財源がなお増額いたしまして、一般財源の持ち出しが非常に苦しい状態になっておりますので、肩がわりするなり、あるいは積極的にそれをふやして道路を充実するなり、そういう必要がそれらの数字からもうかがわれるのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/9
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010・横山利秋
○横山委員 あなたの話は自治庁としてであると思うのですけれども、お話の中心をなすものは、道路が作られるべき財源があればいいと思う、それはどこから持ってこようといいのではないか、道路さえ作られればいいのではないかというふうにちょっと聞えるのであります。それだったら、税を納める者としては、ずいぶん話が違うという議論が起ってくるのは当然であります。なぜならば、道路整備費の財源等に関する臨時措置法が改正されましたときに、「政府は本法立法の趣旨たる道路整備五カ年計画完遂のために必要な財源として揮発油税収入以外の一般収入を毎年度の道路整備費に充当すること。」と決議をいたしておる。この決議は、あなたは毎年出しているという事実さえ残ればいいではないか、まさかそうはお答えになるまいと思うのであります。先ほどお話しをしたように、五ヵ年計当初では千四百三億に対し二百八十億、二割一般財源からの繰り入れを見込んでおるのであります。この一般財源の繰り入れが年々歳々目的税が増加し、それからふえるに従ってだんだん少くなっていくという事実に対して、いや、銭さえあればいいという議論は成り立たないのであります。従って自治庁としては、なぜ大蔵省にこの決議を実行を迫って参らないのか、自分たちばかり増税していやな顔せんならぬ、そんなばかなことはないという立場になければならないのであって、銭さえあればどうでもいいということにはならない、いわんや銭はふえても道路は直っておらぬ、ふえるだけ一般財源からの繰り入れが減ってしまえば、道路はちっともよくならぬの、であります。そういう点に対して、大蔵省はこの決議を履行しておらない、道路整備五カ年計画の最初の見込み額を実行しておらない、こういう非難に対して、大蔵省は何と答えられるのか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/10
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011・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 五カ年計画の関係で、経費の計上の問題を主として御議論になっておりますので、これはそちらの方を担当しております主計局の者を呼びまして御答弁申し上げた方がいいと思いますが、私一般論として考えて参りますと、一応相当の一般財源を繰り入れるという必要があるのではないかと考えてやって参りましたが、しかし揮発油税がやはり相当の税収をあげておりますので、整備の法律によりますれば、あれを下らない範囲内でといったようなことにもなっておりますし、従いまして、一般財源からの繰り入れをしませんでも相当の道路費が計上できる、本年の公共事業費のいろいろなものを御比較願うとおわかりと思いますが、一般財源に余裕があれば、さらに一般財源から揮発油税以外の部分を繰り入れる、これも考えられるわけであります。一般財源の方から全然繰り入れ存をしませんでも、公共事業費の全体のバランスを見て参りますと、道路の方はむしろ相当ふえておりましても、他の方の公共事業費はある程度減らさざるを得ない、あるいは全然ふえない、こういったような全体のバランスになって参りますので、さらにそれ以上に一般財源を道路に与えるということになりますれば、公共事業費の中の治山治水とか、その他の分とのつり合いの面から言いましても、いささか道路の方に行き過ぎの格好がございますし、さらに予算全体の組み方からいたしましてもバランスがとれない、こういったような関係からいたしまして、一応一般財源からの繰り入れの方は他の経費に充てざるを得ないということによりまして、道路整備の法律にあります、特定されているあの費用以外の費用については一般財源から繰り入れる、その程度にとどめていいものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/11
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012・横山利秋
○横山委員 主計局がいなければわからないそうでありますが、しかしあなたの話を聞いても、当時そういう約束をしたけれども、国に銭がなくなったからつり合い上しょうがない、こういうことに尽きるわけであります。そういうことであるならば、一体五カ年計画を設定し、これによって税金をとるというときに、それだったらやむを得ないと納得した国民の立場というものを全然お考えにならないということにひとしいのであります。それでは、あなたの方の立場としては済みますまい。当委員会なり国会といたしましても、それによって国民を納得させた立場というものをお忘れになっては困ると思うのであります。従って、約束通り一般財源から道路整備費に繰り入れるという約束を履行しなければなりません。履行してなおかつ銭が足らないというならそれはやむを得ない、しかしその約束を全然履行もせずに、こちらの方でだんだん増税しておいて、こちらの方を少くしておいて、そして銭が足らないから増税ですということは言論道断だと私は思うのであります。
それから第二番目に伺いたいのだけれども、ことしガソリン税が三百七億、これは一体ガソリンの課税引き取り数量をどのくらいに見積っていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/12
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013・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 本年の見積りにおきましては、ガソリンの一応の消費量を三百万キロリットルと見積りました。その中から非課税ガソリンといいますか。航空機用等で非課税になっているガソリン、これを約十万キロリットル見積りまして、残った部分につきまして、欠減の歩合がございますが、これが三・七%、これを差し引いて課税標準になっておりますが、それを一応とりまして、従って税率の適用されます数字自身は二百七十九万三千トン、こういうふうに見積ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/13
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014・横山利秋
○横山委員 三十年度の課税引き取り数量を言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/14
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015・渡邊喜久造
○渡邊政府委員 三十年度の引き取り数量につきましては、まだ実績がはっきりきまらないわけでございますが、一応見込みとしましては二百七十五万、これは先ほど言いました三百万キロリットルに見合う分でございます。非課税分が約十万、差引課税分が二百六十五万でございます。課税標準になります分は、三・七%引きますので二百五十五万、大体この程度のものを見込んであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/15
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016・横山利秋
○横山委員 そのガソリン税収の見込みについても、実は私議論があるわけでありますが、あまりこまかくなりますので申しません。しかし少くとも昨年この課税引き取り数量について大論戦をいたしまして、結局相当額の——二十数億でしたか、相当額の見込み違いが生じた。それによって、このガソリン税については増税は廃止せられたことを、御記憶を新たにしてもらいたいと思うのであります。その数字から申しますと、課税引き取り数量の見通しが少きに失すると思うのです。しかし、かてて加えて、本年は二十九年度の五十五億になんなんとするガソリン税の自然増収が法律上増すわけであります。それによって五十五億の金が、本年かりに政府の見通しの三百七億にプラスをいたしましても、実に三百六十二億、これだけの揮発油関係の税収がある。道路整備五カ年計画の、昭和二十一年度の道路整備に充当する揮発油税額は二百九十億であります。差引七十二億という金がそれの勘定からでも浮いてくるわけであります。こういう点についてはどういうふうにお考えになるのか。道路が悪いから直すんだ、こう言っておられるが、この間新聞を見ましたら、こういうような事が出ていました。それは、自衛隊の特車が道路をこわし過ぎて困るということについて、自衛隊と自治庁が交換覚書をしておる。この交換覚書を見ると、まことにばかばかしい話であります。道路をこわしたときは、自衛隊は費用の負担、補修方法等について都道府県と協議決定する、こわれたら修繕をいたします、こういうのであります。しかし自衛隊の特車なり戦車が道路を通って、ああこわれた、こわれた、これは特車がこわしたんだと言って一々点検ができますか。だから、こういうこわれたときにその補償を相談するというばかばかしいことでなくて、一番道路をこわす自衛隊になぜもっと年間の負担額をきめて取るということをなさらぬのですか。特車がこわしたか何がこわしたかわからぬ。こわれるといったって、一ぺんにこわれるわけじゃないのです。その点について奥野さん、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/16
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017・奥野誠亮
○奥野政府委員 自衛隊に限りませず、それ以外の国の施設が地方団体の施設に対して経常的な損傷を与える、そういう問題も実はたくさんあるだろうと思います。従いまして、自衛隊その他国の施設が地方団体にある程度の負担を間接的に負わせる。そういう問題があって、また国は地方団体の財源不足額を地方交付税あるいは国庫補助負担金というような形で莫大なものを支出しているではないか、こういうことも言えると思うのであります。しかし直接的な関連におきましては、横山さんが御疑問になられる通りだと思います。従ってまた自衛隊が、あるいは地方団体が道路工事をやる、あるいは橋梁工事をやる、そういう場合に、地方団体からの要請に応じまして相当多数の人員を出動させております。自衛隊の訓練というような名目のもとに、地方団体の工事に対しまして協力しておる面もずいぶん多いのであります。直接的な結びつきはございませんが、そういうふうに間接的には自衛隊も地方団体に密接に力を貸している面もあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/17
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018・横山利秋
○横山委員 そういうことを言われるのは、実にもってのほかであります。目的税だというならば、道路をこわす度合いが多いというならば、あなたは自転車には税金をかけぬ、自動車には税金をかけるというが、そうして道路をこわす度合いが多いというならば、特車にもっと税金をかけるのは当りまえのことじゃありませんか。何です、あなたは今まことにばかばかしいことを言った。それは、市町村の土木事業に自衛隊が協力しているというのですが、あなたは実態を見たことがありますか。なるほどそれは安いのですよ、安いのだけれども、最近土木事業をやっておる自衛隊に対して非難ごうごうたるものがある、なぜかというと、毎日飲めや歌えの大騒ぎです。私の知っておる岐阜県で、四十数日自衛隊がおって、二十日間も飲めや歌えの大騒ぎをやっておる。そうして婦人会に洗濯物をやらせる、婦人会はそれに対してやるといいました。けれども、どっちが先に言い出したかといったら、よごれて困る、よごれて困るということを盛んに自衛隊の幹部が言う、それで洗濯物をやらざるを得なくなったというのであります。さらに退屈で困る、退屈で困るということを言い出した。そこで、今度は町内会で雑誌の寄附というのであります。まさに少し金は安いけれども、その接待費たるものは莫大なものだということは、岐阜県でしかり、愛知県でしかり、さすがに本家の豊川ではうるさいからやっておりません。あなたの聞いたようなことを言って、自衛隊が協力していると言ったって、自衛隊が下で何をしているかわかりません。これはもってのほかです。ですから、自転車が道路に対する税金を出さぬというのは、道路をこわすのは自動車である、その自動車の中でも、特にガソリン車よりも自衛隊の方がこわすというならば、こわす度合いの多いのは自衛隊の特車です。自衛隊のガソリン税をもっととりなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/18
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019・奥野誠亮
○奥野政府委員 自衛隊の出動につきましていろいろお教えをいただきまして、ありがとうございます。自衛隊出動の場合にも、地方団体が要請することになっておるものですから、地方団体が好んでやるのだろうと思います。そういう弊害の問題につきましては、われわれといたしましてもよく研究して善処していかなければならないと思います。なお自衛隊も国でございますので、国の持っております自動車に対しましては自動車税を課さないことにいたしておるわけであります。しかし、今回設けます軽油引取税につきましては、自衛隊の使います軽油でございましても、引取税は課することにいたしておるわけであります。そういう意味においては、新たな負担を国においてするんだということにはなって参るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/19
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020・横山利秋
○横山委員 ちょっと聞き漏らしましたが、何が自衛隊にはかかっていないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/20
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021・奥野誠亮
○奥野政府委員 国の持っております自動車に対しましては、自動車税が課されていないわけであります。従いまして、自衛隊の持っております大型のトラックにつきましても、自動車税は課されていない、そういうふうな国と地方団体の関係におきまする課税関係になっているんだ、こういう意味で申し上げておるわけであります。しかし軽油につきましては、そういう工合にはいたしておりませんので、自衛隊の車の使いまする軽油に対しましては、新たに軽油引取税が課されることになりました。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/21
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022・横山利秋
○横山委員 ますます聞き捨てならぬことだと私は思うのであります。自衛隊がどんどんふえて、自衛隊論争は当委員会のあまり関係したことでないにしても、道路をこわす一番重量物である自衛隊に自動車税がかかっておらずに、そうして道路がもしこれによってこわれたら、府県と相談をする、協定が成立するというようなばかなことは、全く私はあり得ないと思うのであります。この際一つ自治庁は、これだけやかましい軽油税に対して、自衛隊から自動車税をとりなさいよ。同時に、こわれたらでなくして、こわれる率を見はからって、年間にこれだけ道路費を出せと自衛隊に主張しなさいよ。これは当然のことです。あなたの話からいっても、あなたは腹の中ではそれは当然だと思っておる。そうしたいような話なんです。やりなさいよ。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/22
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023・奥野誠亮
○奥野政府委員 御意見はよく将来検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/23
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024・横山利秋
○横山委員 それでは、この点についても自治庁の今後の方向を厳重に私どもは監視をいたしたいと思います。今一番問題になっておる軽油税で、しかも政府が増税はしないとあれだけ固い約束をしながら、これが間接税だといいながら、事実は、業者に対して直接にかかって、転嫁ができないものだ。この唯一の増税について、これだけ世間から、業界から、あるいはその傘下にあります労働者から、関係の諸団体からこれはやめてくれといっておるときに、たまたま出ましたのがこの自衛隊の道路破損問題です。どうして自衛隊の自動車税はとっていないのか。道路がこわれたらそのときに見つけたらとる、こういうばかばかしい話というものはあるものじゃありません。従って、この点については早急に何らかの措置をとってもらいたい。一つ当委員会へ、その交換覚書の内容と、どのくらいそれをとる見込みがあるのか、将来自衛隊の道路破損に対してどういう措置をとるかという点について、政府の数字と意見を提出を願いたい。
それから今度道路公団に政府の投資が二十億、揮発油税から財源を充当するそうであります。一体何のためにこういうことをするのでありましょうか。ただでさえ道路の予算がないといっている。道路というものは本来無償道路だ、だれが通ってもいい道路だ。有償道路というのはこれは特別の制度であって、道路整備費の財源の不足を補填し、なるべくすみやかに道路整備の実をあげたいための便法にほかならないのであります。従ってこういう公団を作って有料道路を作り、そこで金をとるなら、そこだけでなぜやらせませんか。この点について大蔵省の意見をまず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/24
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025・原純夫
○原政府委員 今般いろいろな観点から考えまして、有料道路を相当大規模にやっていこうというのは、従来のガソリン税を充当いたしまする道路整備五カ年計画と並んで、実は一部は実質的にはダブるものがあるわけでありますが、並んでやって参ろうという考え方をとったわけであります。その際有料道路のスケール等から考えて、いろいろその資金源を心配いたしたわけでありますが、もちろんいわゆる民間資金の投資ということにも相当力を注ぐ。しかしながら、やはり財政資金というものを預余部から、あるいは一般会計からある程度つぎ込まなくちゃいかぬだろう。これは道路公団というもののスタートにおいて、どういう種類の資金をどの程度といういろいろなさじかげんがあると思いますが、そういうふうに直接一般会計から、あるいは預金部から出す金が要るだろうということを考えたわけであります。そこで一般会計から出します分については、おっしゃる通り、ガソリン税収の外からという考え方もないわけではありませんが、何分一般会計の中が非常に苦しい事態でありますし、それにただいま申したように、有料道路の整備によって実質上道路整備五カ年計画が促進されるという面があるわけでありますから、そういうようなことから、一般会計からも交付金二十億を出すということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/25
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026・横山利秋
○横山委員 これによって五カ年計画が推進されるという議論は当りません。なぜならば、道路財源がない、だから苦労をしているときに、この二十億を有料道路に向けることによって正常な道路整備をおくらせる結果になるのです。あなたの議論は、この二十億を有料道路に向ければ正常な道路整備五カ年計画が推進されるというのだが、こういう議論はどこから出てきますか。このガソリン税なりあるいは地方道路税によって五カ年計画が推進されていくものを、二十億削って有料道路に向けて、五カ年計画が推進されるという議論は納得できません。
ついでに、先ほど一つ質問したのですが、あなたがお見えにならなかったのでお伺いいたします。道路整備五カ年計画の中で、最初二十九年のときに千四百三億揮発油税からとろ。その際に二百八十億、二割は一般財源から各府県に振り向けろ、こういうことで各方面が納得したのです。ところが本年揮発油税三百七億に対してわずか〇・八八億ですか、数字ははっきりわかりませんが、非常な激減であります。目的税を創設するに従って、だんだん一般財源からの繰り入れがなくなっちゃった。だから目的税を創設したほど道路はよくなっておらぬ、こういうことがけんけんごうごうたる非難の声です。この二つについて御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/26
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027・原純夫
○原政府委員 最初の点でありますが、二十億の交付金の問題は、やはり道路公団というものを作りました場合に、全部借金だけでやれというのは、御存じの通り、道路公団のやります道路に経済性と申しますか、償還性と申しますか、あらゆるニュアンスがあるわけであります。償還能力の非常にあるところと、それからそうでないようなところとあるわけであります。そういうようなことも考えて、公団の資金的、財政的な基礎をきちんとしつけてやるというつもりで、何か出資的な金を出してやりたいと考えたわけでありますが、それの財源が、一般財源がなかなか苦しいところから、このガソリン税財源から二十億を交付金として出すということにいたしたわけであります。やはり非常に突っ込んだ考えでは、道路全部についてすべて受益があるからというようなことから、有料制というものを全部というてはいけませんけれども、相当有料制のとり得る範囲というものは、だんだんとニュアンスによって——全部が全部というわけには参りませんが、道路公団のやるものだけで有料制が切れてしまうということはない。ということは、道路公団のやる道路の中に、やはり道路整備五か年計画のねらっているところがあり得るわけであります。そういう意味で、両面からこれを出すということなんで、ぜひ御了承をお願いしたいと思います。
それから、次に道路整備につきまして、ガソリン税のほか一般財源を出すという話が実行されてないというお話は、まことにおっしゃる通りで、そうおっしゃられて私どもも非常に心苦しく思います。あの計画を立てましたときに、極力一般財源を出すように、できるだけ出しましょうということで始めたのでありますが、これは一に全体の財源が苦しい、今回も一般会計の総ワクが四百億くらいふえ、その上にいろいろと減があって、新規にいろいろなことができるという余裕が一応六、七百億考えられたわけでありますが、残念ながらそれらが、あるいは地方財政の交付税なり、あるいは軍人恩給なり、あるいは防衛なり、いわば既存の法律により、あるいは御承認願いました条約によってどうしてもかかるというようなことになって、ほとんど新規につけ得る余地がなくなった。これは累年そういうことが続いておるわけであります。おっしゃるお気持はよくわかるのでございますが、どうにもならないというところなんでございまして、一つごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/27
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028・横山利秋
○横山委員 要らぬところに金を使うから、そういうことになるのですよ。要らぬところに金を使って、自衛隊は道路をこわす。自衛隊にどんどん銭をやって、その銭をやった自衛隊は道路の修理費を出さない。修理費を出さないから、また軽油税で相殺する、こういうことになっておるのじゃありませんか。今のお話については、根本的にその見解を異にいたしますけれども、時間がございませんから、次の質問に移ります。
奥野さんに伺いますが、この法律の内容につき、ちょっと時間を拝借いたします。この軽油引取税については、私がこの前申し上げたように、切符の横流れとか、あるいは免税軽油の横流れが横行して罪人を作るであろうと私は予測いたしておるわけでありますが、その予測があなたの方でも同様だと見えて、まことに手きびしい罰が各条にわたって徹底的に作られておるわけであります。たとえば七百条の二十六を見ますと、「軽油引取税に係る自治庁職員の検査拒否等に関する罪」として五万円以下の罰金だ。しかもその三号に「前条第一項の規定による自治庁の職員の質問に対し、答弁をしない者又は虚偽の答弁をした者」には五万円の罰金だ、こういつている。自治庁の職員が行って黙っておったら、お前は五万円の罰金だ、こういうのですよ。憲法の三十八条だって「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」となっていうのですよ。この黙っておったら五万円の罰金だというのは、どこから出てくるのですか。これをちょっと説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/28
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029・奥野誠亮
○奥野政府委員 罰則は、一種の例文的な規定でありまして、あらゆる租税法規にこういう規定が入っております。憲法のいう黙秘権は刑事事件に関することを規定したものであって、こういう租税行政についての問題では、租税行政の秩序を保っていきますためにやむを得ないということで、ずっと容認されて参ってきておるわけであります。もとよりこういう規定を働かせなければならない事態のないことを期待しておるわけであります。また実際問題としては、答弁をしなかったからといって、こういう規定を発動したことも実は聞いていないわけであります。一応秩序を保つためにこういう規定を置かざるを得ないのじゃないか。それがまたいろいろな租税法規に設けられている規定でもあるのだ、かようにお答えいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/29
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030・横山利秋
○横山委員 そんなばかな理屈はない。あなたは例文的な規定だから、こんなものはないだろうと言うけれども、これほどてんやわんやの大騒ぎをしておる税金について——税金を納める方は一生懸命ですよ。税務署が来た、自治庁の職員が来た、それ何しに来たと思ってびくびくしている。そのびくびくしていろ者に対して、あんた黙っていろと七百条の二十六で五万円の罰金ですよというのです。法律に違反したことを、あなたは自治庁の職員にやらせるつもりですか。黙っていると罰金ですよ、五万円ですよと言ったっていいじゃありませんか。あなたの方はやらないのですか。やらないとここで誓いますか。これは例文的であるから実行しないと言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/30
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031・奥野誠亮
○奥野政府委員 自治庁職員が質問をする権限を法律で認めております場合には、それが守られないときには裏づけの規定が要るのだ、これがこういう規定になっていろのだと思うのであります。そういう意味でこの規定があるのであって、実際問題としては、こういうような規定を働かさなくてはならないような事態は予想していないのであります。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/31
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032・横山利秋
○横山委員 おしやつんぼはどうするのだというこちらの方の意見ですが、憲法の三十八条の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」というのは普遍的な権利です。かりにこういう規定が今まで方々にあったところで、この七百条の二十六はこれから実行されるのでありますから、これがあってもいいという議論は成り立たぬのであります。あなたがそんなことを言っても、実際はないのだと言ったって、おしやつんぼはどうなるのだという意見もあるわけでありますから、こういうばかげたことまでして、こういうばかげた条文を作って軽油税を取り立てるということが、私にはどうしても納得できぬのであります。しかも今度は七百条の二十一と、最近問題になっています遊興飲食税法の百二十二条の二を比較してごらんなさい。七百条の二十一では、担保を提供したときには二ヵ月以内の期限を限って徴収を猶予すると書いてある。遊興飲食税法百二十二条の二では、全部または一部を納入することができないと認める場合には、担保は要らぬらしいのであります。今問題の官給領収証問題について、この間市町村税課長ですか、自民党が何と言おうと官給領収証は強行いたしますというおそるべき答弁をい たしました。そうしてこの法文には、そのかわり担保は要りません、三カ月も待ってあげます、こうある。片方の軽油引取税では、担保を出さなくては二カ月待ってやらぬ、こういっているのであります。一体どういうふうにこの二つの条文を理解したらいいのです。それほど軽油引取税は手きびしく取らなければならぬのですか、いかがなのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/32
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033・奥野誠亮
○奥野政府委員 軽油引取税の中には、担保を提供すれば当然徴収を猶予するのだといっております。税務当局が徴収猶予をしないわけには参らないのであります。遊興飲食税の場合には、領収証制度を励行すれば、売掛金が明確であります。明確であるかないかの判断は、税務当局にゆだねておるのでありまして、徴収猶予をすることができると書いてある。軽油引取税と遊興飲食税は取引の実態がかなり違っておりますので、こういうような差別をつけておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/33
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034・横山利秋
○横山委員 取引の実態が違うのはどこだって一緒であります。一緒でありますが、全文を通読してみますと、この軽油引取税の罰則はまことに過酷であると痛嘆せざるを得ない。こういうことまでやらなければならぬ。
それからおかしなことがあります。七百条の二十七を見ますと、百万円をこえた部分だけは全部または一部をただにしてやる。どうせ脱税するなら百万円以上の脱税をした方がよさそうであります。これは一体どういうことなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/34
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035・奥野誠亮
○奥野政府委員 これは、実際問題としてどこまで納入能力があるかというふうな問題にもかかってくるわけでありますが、罰金というのと税金というのはその性質が違っておりますので、言いかえれば、できない義務を課しましても、実際問題として払えない場合には意味を持たないし、税は税として別に追徴するわけですから、罰金刑としての限度を脱税額に正確に合せまして押えるというやり方を、この税に限りませず、こういう式の税についてはとっておるわけでありまして、もっぱら法務省の見解に従いまして、こういう刑罰を定めていただいたわけであります。他の量刑との均衡からこういう規定の仕方をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/35
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036・横山利秋
○横山委員 この辺になると、あなたの答弁はだいぶあやふやになってくるようですけれども、しかし軽油税の罰則については、もっと常識を働かせてもらわなければ困ります。今まで官給領収書の問題で全国的に大騒ぎを演じて、あなたの方としても何とか措置しなければならぬとして、百二十二条の二という条文ができたと思うのであります。今回軽油引取税をかりに創設いたしたところで、まだ幾らでも私が今例示したような問題が出てくるわけであります。とにかくこういう重い罰則を設けなければならぬところに問題がある。なぜそういうふうにしなければならぬか。片方は一キロリットル当り六千円の税金を取り、片方は取ら ない。これはみすみすそこに犯罪を構成する要素を含ましめるものであります。しかし、あまりこの委員会で具体的な内容に入って御質問するのはいかがかと思いますから、いずれ日を改めて、奥野さんとは地方行政委員会で対面をいたすことになろうと思うのでありますが、もう一ぺん思い直していだかなければならぬ。私が今まで数回にわたって、税全体の立場並びに政府が公約をいたして参りました立場、あらゆる観点からいって、本軽油引取税は矛盾撞着もはなはだしいことを重ねて強調しておきます。幸いに二、三日前に地方行政委員会に提案せられたので、地方行政委員会で具体的に討論をせられると思うのでありますが、その討論をするに際しては、奥野さんも、一つ率直に今日までの質疑応答を顧みられて反省せられんことを要望して、私の本件に関する質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/36
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037・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01119560224/37
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