1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月八日(木曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 小山 長規君 理事 藤枝 泉介君
理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君
淺香 忠雄君 遠藤 三郎君
吉川 久衛君 杉浦 武雄君
内藤 友明君 福田 赳夫君
古川 丈吉君 坊 秀男君
前田房之助君 森山 欽司君
山本 勝市君 山村新治郎君
有馬 輝武君 石山 權作君
井上 良二君 木原津與志君
竹谷源太郎君 田万 廣文君
平岡忠次郎君 横錢 重吉君
横山 利秋君 石野 久男君
出席政府委員
外務事務官
(アジア局長) 中川 融君
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(主計局次長) 宮川新一郎君
農 林 技 官
(水産庁次長) 岡井 正男君
委員外の出席者
外務事務官
(アジア局第五
課長) 針谷 正之君
大蔵事務官
(主計官) 鳩山威一郎君
大蔵事務官
(主計官) 上林 英男君
農 林 技 官
(水産庁漁政部
漁船保険課長) 中村 正路君
専 門 員 椎木 文也君
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三月六日
委員坊秀男君辞任につき、その補欠として中村
梅吉君が議長の指名で選任された。
同月七日
委員遠藤三郎君及び内藤友明君辞任につき、そ
の補欠として石田博英君及び木村文男君が議長
の指名で委員に選任された。
同 日
委員石田博英君及び木村文男君辞任につき、そ
の補欠として遠藤三郎君及び内藤友明君が議長
の指名で委員に選任された。
同月八日
委員加藤高藏君及び中村梅吉君辞任につき、そ
の補欠として森山欽司君及び坊秀男君が議長の
指名で委員に選任された。
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三月六日
昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じ
た国家公務員共済組合法等の規定による年金の
額の改定に関する法律案(内閣提出第一〇〇
号)
物品管理法案(内閣提出第九七号)(予)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
賠償等特殊債務処理特別会計法案(内閣提出第
一三号)
漁船再保険特別会計における給与保険の再保険
事業について生じた損失をうめるための一般会
計からの繰入金に関する法律案(内閣提出第三
七号)
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三八号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四五号)
余剰農産物資金融通特例会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
国家公務員共済組合法第九十条の規定による公
務傷病年金等の額の改定に関する法律案(内閣
提出第四九号)
特定物資納付金処理特別会計法案(内閣提出第
六〇号)
食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失
をうめるための措置に関する法律案(内閣提出
第六一号)
厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八四号)
船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じ
た国家公務員共済組合法等の規定による年金
の額の改定に関する法律案(内閣提出第一〇〇
号)
物品管理法案(内閣提出第九七号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
一昨六日、当委員会に審査を付託されました昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案及び同一予備審査のため本院に送付され、当委員会に予備付託となりました物品管理法案の両法律案を一括議題として審査に入ります。
まず収府側より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/1
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002・山手滿男
○山手政府委員 ただいま議題となりました、昭和二十三年六月三十日以前に組付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案外一法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
まず、昭和二十三年六月三十日以前に組付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案について申し上げます。
国家公務員共済組合法及び旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の規定による年金のうち、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じたものにつきましては、昭和二十三年六月三十日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の特別措置に関する法律の規定により、恩給の例に準じて昭和二十八年一月分からの年金額を改定支給して参ったのでありますが、この度別途本国会に提案されました昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じた恩給等の年額の改定に関する法律案により、再び恩給の不均衡是正措置が行われることとなりましたので、共済組合年金についても、前回同様恩給の例にならって是正措置を行おうとするものであります。
今回の年金額改定の措置は、年金額算定の基準となった仮定俸給が、二万九千五百円以下のものを対象に、恩給の場合と全く同様、一号俸ないし五号俸の調整をいたしました。なお、この措置により増加する費用は、一般的原則に従いまして、国庫と地方公共団体または公社が按分して負担することといたしております。
次に、物品管理法案につきまして御説明を申し上げます。
国における物品の経理は、物品会計規則により規制されているのでありますが、この規則は明治二十二年に制定されたものでありまして、すでに多年を経過し、その内容も、近年とみに膨大かつ複雑になった国の行政事務に対応する物品経理の基本法規としましては、必ずしも適当であるとは申しがたい状況にあります。一方、毎年度の会計検査院の決算検査報告におきましても、物品の過大な、または不適当な調達や、不適当な管理、保管の事例が相当みられるのでありまして、金銭の経理、国有財産の管理と並んで物品経理の制度をさらに整備する必要に迫られたのであります。
このような情勢にかんがみまして、物品の供用は、各省各庁において作成する需給計画及び供用計画に基き、または物品の分類の目的に従い行われるべきこと等物品の管理の方法及び基準を定めるとともに、国の物品管理機関を整備し、その責任を明確にすることにより、物品の適正かつ効率的の供用をはかるために、今回、ここに物品管理法案を提出いたしました次第であります。
以下この法律案の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一に、この法律の適用を嘆ける物品は、国が所有する動産のうち、現金、日本銀行に得託される有価証券及び国有財産法の適用を受ける動産を一除いたもの並びに国が使用するために保管する動産であります。
第二に、各省各庁の長は、予算及び事務または事業を勘案して、毎会計年度、重要な物品の需給計画を作成するほか、物品管理官においても、供用計画を立てて、物品の調達及び共用は、この計画に基いてなされるべきものとし、もって物品の過大または不適当な調達を防止し、計画的かつ効率的な調達及び供用をはかることとしております。
第三に、物品を供用の目的に応じて分類することとした点であります。物品会計規則のもとにおきましても、各省大臣が定める取扱い規定において分類が設けられておりましたが、その大部分は、供用の目的及び予算の目的とは無関係に、単に名称または性質による分類にすぎなかったため、物品の調達については厳重な予算の規制を受けるにかかわらず、物品としてはその規制が必ずしも十分でないような事態を生じ、物品の合目的的な供用のための方法となっていないうらみがあったのであります。よって、この法律案におきましては、物品の分類は、原則として、予算の目的に反しないように設けるものとし、物品の使用は、この分類の目的に従って行わるべきものといたしました。これによって、予算が執行されて物品になった後においても、その物品について予算目的が追求され得ることとなり、物品の合目的的使用が確保されることとなる次第であります。ただし、所要の場合には、物品の分類を変更することを認める等物品の供用の効率化、円滑化をはかることもあわせて配慮いたしております。
第四に、物品の管理機関といたしましては、各省各庁の長が所管物品の管理の責めに任ずることはもちろんでありますが、その下に、物品の管理事務を行う物品管理官、物品の出納保管事務を行う物品出納官及び物品の供用事務を行う物品供用官を設けることといたしました。また、物品を管理する職員が、故意または重大な過失により、法令に違反して物品を亡失損傷する等国に損害を与えたときは、会計検査院の検定に基いて、及び物品を使用する職員は、故意または重大な過失により、物品を亡失または損傷した場合には、それぞれその損害を弁償しなければならないこととし、その責任を明確にいたしております。
第五に、その他物品の出納保管、処分、検査及び報告等物品の管理の基準及び方法を規定いたしております。
以上、この法律案の提案の理由及びその概略を申し述べた次第であります。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。両法律案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/3
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004・松原喜之次
○松原委員長 次に、漁船件保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案、食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案の両法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/4
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005・春日一幸
○春日委員 漁船再保険特別会計に関する法律案について、二、三の問題について質問をいたします。
第一は、この給与保険の再保険事業の将来性、特に明年度における見通しについてお伺いをしたいと思いますが、大体現行のままでこの保険事業を進めて参るといたしますと、明年度においてさらにどの程度の赤字が生ずるのであるか、その見通しをこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/5
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006・岡井正男
○岡井政府委員 お答えいたします。御質問は、特に李承晩ラインをはさんでの問題であろうと想像いたしますが、拿捕保険につきましては、前年度までは非常に国費の方の支出が余儀なく多くなっておりますが、現段階におきましては、幸いにしましてそう大きな穴にはなっていない。明年度予算は、やはり本年までの通りで、同様な率をもって計上いたしております。今後の見通しにつきましては、中共関係においては、昨年の六月民間協定が成立いたしまして以来、幸いにして一船の拿捕もございませんし、いわゆる台湾の国府政府関係におきましても、幸いに拿捕がございません。ソ連地区におきましては、非常に近接した地区に漁船が立ち入りました場合、おそらくこれは防牒関係であろうかと想像せられますが、若干拿捕がございますが、これはその容疑が晴れますと、直ちに送り返されているような現状でございますので、問題になるのは、結局李承晩ラインをはさんでの漁船関係であろうと思いますが、今のところは前述のような経過でございますので、明年度は、やはり本年度と同率の予算計上をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/6
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007・春日一幸
○春日委員 これは任意加入の制度に相なっておりますが、お伺いしたいのは、被保険者と、それからこういう関係船員の総数との間の割合、これは一体どんな工合に相なっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/7
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008・岡井正男
○岡井政府委員 約七割程度でございます。危険区域へ入って操業している者で、いわゆる特殊保険に入っている者……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/8
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009・春日一幸
○春日委員 具体的に数字を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/9
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010・中村正路
○中村説明員 現在韓国に抑留されております船員の数は六百九十名でございます。そのうち持株保険に入っている数は四百七十四名、約七割であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/10
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011・春日一幸
○春日委員 私のお伺いをしておりますのは、常時保険に加入をいたしておりますところの、いわゆる保険加入の船員の総数と、それから当該海域で大体この保険の対象となる漁撈に活動しております船員の総数との間において占めております度合い、これをお伺いいたしております。度合いと申し上げましたから、あるいは私の聞き方が間違っておったかもしれませんが、その総数がどのくらいであって、保険に加入している人員がどのくらいであるか、この具体的な数字をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/11
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012・中村正路
○中村説明員 現在危険水域に出ておりますのは、情勢のいかんによってはそういうところに非常に出なくなってしまうものでありますから、常時どのくらい出ておるかということは、普通のところわかりにくいのではないかと思います。それでわれわれといたしましては、一応つかまった人の数字について、そのうち幾らが保険に入っておったかということから逆に推定をするよりほかに、適当な数字の捕捉の仕方がないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/12
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013・春日一幸
○春日委員 私はこの際お伺いをしておきたいと思うのでありますが、この保険事業は、もっぱら乗組員が抑留された場合に、その抑留期間中に船主が支払うべき給料の全部もしくはその一部をこの保険会計から払っていく、こういうことであろうと思うわけであります。そこで問題になるのは、抑留されるとおぼしき海域についてでありますが、ただいま岡井さんの御答弁によりますと、中共については、民間漁業協定がすでに中共との間に成立をしたから、従って中共海域については、もはや拿捕はないと聞いております。従いまして、中共海域で拿捕されるという漁船並びにその船員の関係については、おそらく協定違反の形に相なるであろうと思います。それからまたソビエト関係につきましては、現在日ソ関係の友好親善も次第に高まっておりまして、現地におけるいろいろな紛争も次第に跡を断って参っておると思うわけでありますし、大体その拿捕の実績等から考えましても、向うの領海に近接した場所に、故意か、あやまってかで立ち入った場合の処分、こういう形に相なっておる。それから国府関係については、もうかってもないし、今後もおそらくはあるまいということであります。そこで朝鮮海域の問題でありますが、この問題は、実に大きな問題でありますけれども、いずれにしても李承晩が、ここから入ってきたら拿捕するのだ、こういうことを明らかに宣言をしております。そしてわが国政府は、これに対して適切な措置を講じておりません。これを黙認したわけではないでしょうけれども、向うとこういうことに対する外交的な、あるいは実質的な措置を全然完了いたしておりません。またそういう保障の態勢もでき上ってはいないのであります。従って、ここに来たら拿捕するという所に入っていけば、やはり拿捕されるにきまっているのであって、これはあたかも鉄道自殺者、あるいは火炎の中に飛び込んでいくと同じことです。こういう工合にわれわれが分析して参りますと、他の三地域については拿捕される心配はないし、拿捕されるとするならば、それは協定に違反をするか、あるいは防諜上国際的な約束を犯した場合という形になっていき、最も危険率の高い朝鮮海域については、みずから火中に身を投げると同じようなことになるのであります。私考えますのに、そもそも保険というものの性格は、はからざる事故によって生じたところの損害、これをやはり償うという制度であろうと思います。ところがはからざるところの事故という考え方が、その後における国際情勢の推移にかんがみて、ずっと変ってきておるのではないかと私は思うわけであります。従って、私はこの保険制度そのものの根本に触れて今や検討を必要とするのではないかと思う。今回の法律案の中においても、六千数百万円のとうとい国費の支出を必要といたしておりますし、さらにわれらの他の調査によりますと、これに伴って見舞金だとか、補償金だとか、差し入れ金だとか、その他外交措置を通じて消費されております費用というものは莫大なものであります。そこで私は考えますのに、現在外交交渉が的確なる解決を得るまで、そういうような保険制度という問題については、危険なところに立ち入らないという方針を確立し、そういうような指導方針をとるべきであって、拿捕されたらいつでも国家が補償していくのだという態勢は、この現状に即してさらに検討を必要とするのではないかという疑義を私は持っておるのでありますが、所管責任者でありますあなたは、これに対してどういうような見解をお持ちになっておりますか、この機会にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/13
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014・岡井正男
○岡井政府委員 お答えします。ただいまの春日先生の御示唆は、非常にごもっともだと思う点が多々あるわけでございます。他面関係漁業者の方からも、保険制度という制度で自分らの苦痛をカバーするのでは、とても徹底しないのだから、自分らが生きるためにやむを得ず拿捕されたという結果が出ているということについて、国としてももう少し根本的な考え方をしてほしいという要望はしばしばございます。われわれも、その点については慎重に検討はいたしております。ただ外務当局等ともしばしばこの問題について非公式に会合を狩って検討するさなかにおいていつでも困る問題は、あの区域は外交上判り切れぬということにいたしまして、危険区域へ立ち入りをしてはならぬという前提を作ってということになりますと、将来国として李承晩ラインを何か認めたというような形になっても困るというようなこともありますので、非常に問題がむずかしい。非常に御好意のある質問として私どもはありがたくちようだいはいたしますが、しばらく検討さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/14
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015・春日一幸
○春日委員 私は、別に好意も何も持っておりません。ただ問題は、ここから立ち入れば拿捕するということを向うが一方的に宣言をしておるのですよ。そして日本政府は、拿捕するならしてみろ、承知しないぞという実質的の措置もできていないし、そういうことは明らかに国際法上間違いだからといって、相手に翻意せしむところの外交的な努力もしていないし、かつその成果はあがっていないわけだ。従ってそこへ行けば必ず拿捕されるのですよ。そこで拿捕された結果は、国民の血税によってかくのごとく年々歳々一般会計からその保険経費を補填していかなけばならぬ。こういうことは、政治的な立場から考えれば、少数者が犠牲になって抑留されて、その損失は一般国民の血税によってこれを補うて、そしてわが国自体としては、この李ラインなるものを認めていないという実際的な意志の表示を行うということであるならば、またそれだけのこと大いに役立っておるというのならばこれは別でありますけれども、そういうような李承晩ラインを否認するわれらの意思表示として、そのほかに道はないものかどうか、私はこのことを今申し上げておるのです。とにかく一年間に、すでにここにおいても七千万円近い国費がその方面に支出されるわけですけれども、この七千万円というとうとい血税を支出するを余儀なくせしめられておるという状態について、私どもはもう少し根本的にこの際検討してみるべきものではないか、このことを主張しておる。と申しますのは、この制度が創設されました当時と今とは、客観情勢がぐんと変ってきております。中共との問題においても、漁業協定がなかったので、やはり漁民たちが、拿捕されないであろう、ここで漁地には従事しても差しつかえあるまいという想定のもとに漁撈に出かけても、そこで拿捕されたり何かする場合があって、それは全く不慮の災害であるから、やはりこの保険によって、その損失を補償するということはあり得ることなのです。あるいはソ連との間においても、国交の調整が何ら行われていなかった。今もなお戦争状態ではありますけれども、その後における現実の事故というものは発生してはいない。いずれの場面においても問題が解決しつつあるわけなのです。
そこで、残されております問題は、この朝鮮海域だけの問題であるが、朝鮮海域は、ぼうぼう火が燃えておると同じである。そこへ漁船が入っていくこと自体は、これはわが国が認めていないのだから、とらまえるならとらまえろというようなことで、その費用を堂々と大いばりでこの法律で定めて支出てしいくというあり方は、あまりにも芸がなさ過ぎる、頭がなさ過ぎると私は思う。こいうような問題に触れて、あなたの方では、何か検討しておられるようなことはないか。これにかわって、何らか根本的な解決をはかるべき段階にはきておられぬかどうか、この点をお伺いしておきます。もう一ぺん御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/15
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016・岡井正男
○岡井政府委員 先ほども申し上げましたように、漁船に、この区域からは危険だから立ち入ってはならぬという縛り方をする以上は、操業すべき区域に一種の制限を与えることになりますので、漁業者としては、それについて黙って禁止区域が設定せられたことを了承するわけはございません。従って、それに対しては、反対給付的な考え方を国としてもしてやらざるを得ぬのだというような関係もございますので、これは今の特殊保険制度で、不法拿捕でございますから、必ずしも李承晩ラインに入ったものだけがつかまえられているわけではございませんので、李承晩ライン以外でも不法拿捕されておるようなものもございます。従いまして、春日先生の御示唆がありましたような点は、われわれとしては十分まじめに検討する。現に内部的にはいたしておるわけでございまして、今私の方がこういうふうにするのだ、こういうふうな確信のある案を持っているというようにお答えする段階にまで至っておらぬことを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/16
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017・春日一幸
○春日委員 もう一ぺんだけお伺いいたしますが、ここへ入れば拿捕すると向うは宣言しております。入れば必ず拿捕される。なるほど彼らは、公海であるから漁撈の権利があるという主張をしておりますけれども、その権利を行使するためには、直ちにそれだけの災害を受けるということが目に見えておる。それで金銭上の補償をすれば、本人はあるいはそれによって一応は償われるかもしれないけれども、有形、無形の損失というものは膨大なものである。ここへ入れば捕えると向うが言っておるところに、本人たちが権利があるからと主張した結果、みずからその災害を受けるという現実の事態に立って、あなた方はうんとやれやれ、とらまえられたらその月給はみなこちらで払ってやるのだ、こういうあり方が最善の方法と考えられておるかどうか、この点をもう一ぺん伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/17
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018・岡井正男
○岡井政府委員 みすみす入ればつかまえられるが、公海の自由だから行けというように、私の方は決して勧めておるわけではなくて、むしろ李承晩ラインに入ってはならぬとはっきり私の方は言っておりませんが、私の方が出しておる船、あるいは海上保安庁の船ともども、適当に保護的な見回りもしておりますので、不法拿捕を免れるため最善の努力はいたしておるわけであります。たまたま漁船が拿捕されるような経緯を見ますと、李承晩ラインの中で操業する目的ではなく、むしろ中共寄りの方の漁船に行くために航行中であった、あるいはまた漁船が不幸にして方探その他の設備が不十分なために、自分は李承晩ラインまで入っていないつもりであったのが、たまたま李承晩ラインの中に入っておるというような向きが多いのでございまして、最近は、漁業者も特殊保険にかりに入っておりましても、その保険金をもらっただけではとうてい償いがつきませんので、非常に警戒をしながら操業をして、なおかつつかまえられる船があるというような実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/18
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019・春日一幸
○春日委員 この際外務省にお伺いをいたします。日韓交渉の問題について、ときどき断片的に新聞でその経過の報道がされておりますが、こういうような問題も含めて、一体今日韓交渉はどういう工合に進められておるのであるか、この点をとりあえず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/19
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020・針谷正之
○針谷説明員 お答えいたします。日韓交渉は、昨年の八月以降、はっきり申し上げれば全くデッド・ロックに乗っておりまして、全然進行しておりませんが、この際アメリカのあっせんを頼んで何とか打開策を講じたいと思って、その方にただいま努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/20
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021・春日一幸
○春日委員 おかゆを食ったみたいで、腹ごたえのない答弁で、私はまことに残念に思う。
そこで私は、岡井さんにもう一つお伺いをしておきたいのでありますが、この保険制度があるから、万が一拿捕をされても、これによって船員の給料はもらえるし、漁船の損失は補償されるから行け行けというて、この保険制度自体が日韓の間に新しい紛争をさらに惹起する要因になっておるような面はしないかどうか。もしも保険制度がなかったら、とらわれ損だ、大へんなことだ、こういうようなことで、あるいは行かないかもしれない。けれども、万が一拿捕されても、船の損失も船員の給料も全部相手が日の丸だから行けよ行けよというようなことで行く形になって、よってもってそういうよな拿捕の件数を加えるような原因になっていはしないか、そんな傾向がありはしないか、これはあくまで御答弁を願っておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/21
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022・岡井正男
○岡井政府委員 人情味豊かな春日先生に似合わぬ御質問だと思います。というのは、拿捕されておる船員が非常にみじめな生活をしておるというので、過般国会の御承認を得て、特に差し入れの処置もとりましたし、また民間の浄財を集めて、差し入の手配は国の方がめんどうをみたということが再三再四にわたっておるような状況であります。乗組員のいずれもが口にして、李承晩ラインに行ってつかまえられたら非常に悲惨な目にあうというような気持を持っておりますので、拿捕保険というものがあるから、安易に向うへ行ってやろうというような乗組員は一人もないので、非常に戦々きょうきょうとしておりますが、さつき申しましたように、自分の方は入っていたい、大丈夫だというのでやっておりましても、天候の関係、潮流の関係、あるいは方探の方が不十分であったというような関係で拿捕される、また操業していない航行中のものまではまさかつかまえやせぬだろう、こういうので航行しておったらつかまえられたというようなことで、最近の拿捕されている実情はそういうケースが多いのでありまして、魚群を追って深く突っ込んでいって拿捕されたというようなのは、ほとんどないわけでございますから、保険がいわゆる李承晩ラインに突っ込んでいくという一つの示唆的な役目をしていると、ますます李承晩問題を中心にした外交折衝がむずかしくなっていくという原因を作る、それが保険制度であるというお言葉は、いささか私の方は感じとしてはズレがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/22
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023・春日一幸
○春日委員 それではお伺いしますが、もとより私どもは、そういう国家的な犠牲者に対するいろいろな救済的な制度を後退せしめようなんということはみじんも考えてはおりません。ただ私どもの主張することは、国の権威があまねく尽されずして、そうしてそういう犠牲者が起きた場合に、これを保険制度によるか、あるいは別の国家保障制度によるか、このいずれによるかという問題なんです。問題の核心はそこにあるわけなんです。そこで私は現在のこの保険の性格——本来の性格からかんがみまして、その事故の原因が不慮のものであるか、要するに突然予期せずして起きるような事故を対象とするのが保険の本旨であるとするならば、だんだんと変ってきている中共、ソ連、それから国府関係も全部もう変ってきて、正常化されてきて、そうしてその被害が、事故の発生が朝鮮海域に局限されてきたとするならば、朝鮮に対していまだ外交交渉による成果が得られていない。この犠牲者に対しては、こういうような保険制度によらずして、これはすなわち国家によるところのその犠牲の損害の救済、こういう制度に切りかえるべき段階ではないか。かくのごとくに考えておるのだが、これはいかがなものでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/23
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024・岡井正男
○岡井政府委員 お答えします。その点でございまして、そういう点を、われわれとしてはうまく合法的な線に乗るような道はないものかということを研究しておるという意味で、先ほどから、内部的には検討を加えつつありますというお答えを申し上げた次第であります。御質問の趣旨は全く同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/24
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025・春日一幸
○春日委員 それでは、さらに進んでお伺いをいたしますが、ただいまの御答弁によりますと、現在抑留されております船員は七百七十一名でありますが、このうち保険加入者は四百八十二名、そういたしますと四百八十二名の諸君については、保険によって給料が支払われ、それぞれの補償が行われておると思うのでありますが、この保険に加入していないところの人々の救済は、どういう方法で行われておるか。その給料並びにその遺家族に対するところの国家の措置はいかに講じられておるか、この点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/25
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026・宮川新一郎
○宮川政府委員 お答えいたします。保険米加入寺に対する措置といたしましては、昨年十二月に七百六十九万円お見舞金として支給しております。その算出根拠は、一人当り一万円といたしまして、抑留期間に相応いたしまして二カ月ないし六カ月の計算をいたしまして、百七十三人分として七百六十九万円を支給いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/26
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027・春日一幸
○春日委員 この七百七十一人の被抑留者のうち、保険によってカバーされておる者は四百八十二人ですね。そういたしますと、四百八十二人に対する給与その他の保険料の赤字が今回ここで六千三百万円ですか、これが補てんされようとしている。そうすると、この七百七十一名から四百八十二名を引くと二百八十九名ですが、この二百八十九名に対する国家の救済措置の総額は、今お伺いいたしまりとかれこれ四、五百万円のものになると思うのでありますが、これははなはだ額において隔たりが大き過ぎると思うが、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/27
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028・宮川新一郎
○宮川政府委員 ただいま御説明申し上げました数字を合計いたしますと、約千四、五百万円くらいになると思います。そのほかに、これは三十年十二月の支給でございますが、その前に二十八年にも同じような金額を支給いたしておりまして、千八百万円ばかりを支給しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/28
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029・春日一幸
○春日委員 私の申し上げるのは、ただいまの質疑によって明らかになっております通り、これは保険に加入しておる者と加入しておらない者とを問わず、いずれにしてもその国の権威が十分対外的に尽されずして、これらの船員がこういう災害を受けておるのです。従いまして、保険に加入しておる者と加入していない者とでは、その経済的な一つの資金源等の立場から多少の開きがあることはやむを得ないかとも思うけれども、やはり保険に加入していないということで、そんな大きな隔たりがあってはならぬと思う。もちろん保険制度というものが、この保険について特殊の意図を持っておるのであるから、従ってこれによって問題の解決を百パーセントはかり得るものではないと思う。従って保険に加入していなかった者、加入する必要がないと思っても、すでに拿捕された岩に対するこういう救済は、ある均衡をはかった順においてあまねく救済される必要があると思うのです。従いまして、私はこの保険に加入していないところの三百名近いところの諸君があるから、政府はかつて予備費等において相当額の支給もしておるようでありますから、今岡井さんが言われたように、事ほどさように彼らの生活が惨たんたるものであるならば、さらに政府は涙をしぼって、必要にして十分なる財源措置を講ぜられることを私は強く要望いたします。
それから外務省にお伺いをいたしますけれども、これらの抑留されておる人々、さらに船、これの返還交渉は、それぞれどんな工合に進めており、その見通しはどういう状態にあるのか、この際伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/29
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030・針谷正之
○針谷説明員 お答えいたします。船及びその乗組員の償捕されるごとに、厳重な抗議を突きつけておりますが、韓国側は、何しろこの問題は日韓全般の問題に関連して解決するという強い意思をかねてから示しておるものですから、この見通しは、残念ながら日韓の全般的の解決が進まない限りは、解決できないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/30
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031・春日一幸
○春日委員 あなたに伺ったのは、今抑留されております抑留船員、それから船——船は韓国、中共、ソ連、それから国府と、ずっとまたがってあるわけですが、各国における交渉の経過並びにその見通し、これを聞いておる。だから、そういう質問に対して的確な答弁をしなければなりません。あなたは何だかわけのわからないことを言っておるけれども、もう少し……(「大臣大臣」と呼ぶ者あり)大臣といっても、来ないものはしようがないじゃないか。課長さんは御存じなければ、そういう事情が答弁のできる方をここに出席せしめるのでなければ、私どもは審議を尽すことができません。あなたは知らなければ知らないとおっしゃいませ。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/31
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032・針谷正之
○針谷説明員 抑留漁民の返還につきまして、去年の八月以来向うは帰さないようになっておりまして、これについて在京韓国ミッションと交渉を続けてきておりましたところ、大村にいる韓国人の収容者のうち、約三百人ばかり刑事犯罪人がおりますが、その国内における即時釈放をしない限りは抑留者を帰さないという態度を、去年の八月以降はっきり示しました。そこで外務省及び法務省と協議の上、何とか解決をしようと思いまして、来年の十二月まで個々に折衝を続けてきましたところ、われわれの立場といたしますと、そういう悪質な犯罪者をすべて野放図に出すということは、国内治安上非常に困るという問題が出てきておりまして、今まだその解決の点まで達しておりません。しかし大村の収容所におきます刑事犯罪者の釈放という問題が解決しますれば、それに従いまして、抑留者も刑期を終えた者は適時帰すということを向うは言っております。抑留者の返還の問題につきましては、そういう交渉を続けております。
それから船の問題につきましては、絶えず返せということを言っておりますが、これについては、向うは全然応じてきてはおりませんから、交渉の内容は出てきてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/32
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033・春日一幸
○春日委員 実は理事会のお約束で、この問題を質疑をして法律を通す約束になっておりましたが、与党の諸君も御承知の通り、私が同じ質問を二回いたしておりましても——今御承知の通り、抑留されております漁船が一百九十六隻あって、ソ連関係四十七隻、韓国百十四隻、国府三十隻、中共百五隻、こういう工合になっている。従って各国との間の返還交渉がいかに行われ、その見通しはいかんといったところで、同じことを言っておって、われわれがこの法案に関係する事態を把握することができない、これはまことに困った状態であります。そこで、適当な責任者に外務省からあらためてここにお越しいただいてわれわれの疑義をただすか、あるいはこの議案を上げることをしばらく延ばしていただくか、何とかするのでなければ、私どもはその職責を尽すことはできないと思う。しかし若い課長さんですから、今私どもがあまり手きびしいことを申し上げてもかえってどうかと思いますので、そこへ現われております山手政務次官以下政府関係責任者の中で、この消息に通じておられる方があったら、代理の御答弁でもけっこうでありますから、われわれが審議を尽すに必要なる資料の開陳、資料の展示、これをしていただくのでなければ困ると思います。山手政務次官いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/33
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034・山手滿男
○山手政府委員 ただいまの問題は、ただこの法案の問題だけでなしに、日本の内政上からも外交上からも非常に重要な問題でございますし、できますならば外務大臣なり外交の責任者の方方が出て、率直なお答えをされることが好ましいと思いますが、この法案につきましては、予算の措置そのほかの関係もございますから、できれば委員会においてお取りきめをいただきまして、それはこの法案とは別個に御説明を申し上げることとして、この法案は御審議をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/34
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035・松原喜之次
○松原委員長 関連質問の申しがあります。これを許します。有馬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/35
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036・有馬輝武
○有馬(輝)委員 先ほど春日委員の質問に対しまして、外務省の課長から冒頭で、アメリカとの折衝については鋭意努力しておるということであります。またアメリカを仲介に立てて韓国との問題を解決するように努力しておるというお話でありますけれども、御承知のように、西日本の水産業者の代表の諸君が昨年暮れ参りましたときに、アメリカ大使館に参りまして、そのときモルガンとかいう参事官に会いましたら、この問題に対しては重大な関心は持っておるけれども、責任はないというようなことを言っております。それで、少くともこの問題が発生したのは四年ほども前であって、今ごろそんなことを言ってもらっては困ると言って突っ込むと、今度は、私は来てからまだ一年ほどにしかならないからというようなことを言っておるのであります。今あなたの答弁を聞いておりますと、アメリカに対しましても鋭意努力しておるということでありますが、日本政府の意向がどのようにそこへ伝わっておるか非常に疑問に思うのであります。先にどの御答弁では非常に抽象的に過ぎますので、今政務次官から、また機会を改めて責任者からということでありましたけれども、その事務的な折衝の経過について、いま少し詳しくお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/36
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037・針谷正之
○針谷説明員 今事務的の折衝といたしましては、まだ具体的の段階に立ち至っておりませんで、東京におきまして外務大臣か適時アメリカ大使と意見の交換を行なっている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/37
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038・春日一幸
○春日委員 それは全くなっておりません。実際問題といたしまして、少くとも私どもは誠実に質問たいたしております。今大蔵政務次官は、別個の問題として別個の取り計らいをしてくれということでありますけれども、一体拿捕されておるところの船がいつ帰るか、あるいは抑留されておる人々がいつ帰されるか、こういうような問題が本保険会計の根本に触れる問題なんです。そうして、今こういう措置をする必要がありやなしやという問題も、これは重大な関連事項であって、従って、こういう場において、この問題は的確なる答弁を国民にしてもらわなければならぬ。こういうような委員会の質疑を通じて、抑留者並びに抑留者の家族たちが、この問題の見通しについて全くかたずを飲む思いでその成り行きを見つめておるのです。だのに、今外務省の代表であるところの課長さんは、まるで何を言っておられるのか、あいまいもことして捕捉するところを知らずというような状態であります。これで問題の解決にはなりません。申し上げておるように、ソ連四十七隻の返還交渉等が、松本・マリク会談において何ら触れられておらないはずはない。不肖私が先般中国等に参りましたときにおいても、われわれは議員団として、外交の職権はないけれども、むろんこの問題等に触れてブルガーニン、フルシチョフと十分な話し合いをいたしてきておるわけなのであります。特に中共との問題については、漁業協定の成立に伴うこれの善後措置も相当進んでおるわけであります。そういうようなことについて何らかの問答ができないじゃありませんか。ちまたに、外務省の人々は、ダンスを勉強すればもって能事足れりというような悪い批判すらあるのだが、私は、アジア局の何たる課長であるかは知らないけれども、少くとも課長の責任にあるあなたが、外務省の責任を負って本委員会に来て答弁するからには、もう少し見識のある、あるいはもう少しボリュームのある答弁があるかと思っておったのだが、はなはだ失礼であるけれども、私どもの党の給仕よりも劣るようなものである。そういうような人にこの国家の大事をまかせるということは、私は国民とともに全く寒心にたえない。(「失言々々」「取り消せ」と呼ぶ者あり)失言ではない。これが失言であるならば、今私が二回も三回も質問したことに対していかなる答弁がなされておるか、諸君は速記録によってこれをながめられたらよろしい。わが党の給仕といえども、その程度の答弁ならばいつでもできる。こういうような人々に日韓交渉の大事がゆだねられておるということは、全く私は寒心にたえぬ。
昨年の秋でありましたか、朝鮮国会の外交委員長黄成秀君が参りまして、私どもと日韓交渉の問題についていろいろ話し合いました。そのときに彼らの言うところによると、久保田発言の取り消し、あるいは朝鮮におけるわが債権のいろいろな処理の宣明あるいは大村における捕虜の釈放等と関連をして、向うにおいては米が一年間に三十万トンとか申しましたが、いずれにしても買ってもらいたいのだ、外国へ売っておるのだ、こういうものは日本で買ってもらうことになるならば、有無相通ずる年間一億ドルの商売もできるのだ、そして彼ら韓国の国民も日本との友好親善を欲しておるのだ、ところが政府がかたくなにして問題の解決ができないのだ、また解決をしようとする努力を示さないのだといって、韓国国会の黄成秀君は口をきわめて慨嘆をしておりました。私は今外務省の課長の答弁を聞いて、まさに黄成秀君の言葉をここに思い起すわけなのであります。
こういうような質疑の状況において、拿捕された漁船並びにその船員の釈放の問題等の外交交渉の見通し等が何らここに明らかに答弁されずして、この保険経理の現在並びに前途をわれわれは十分に審議することはできません。従いまして、私は外務次官もしくは関係責任者が当委員会に出てこられて、これらの問題を明らかにされるまで、この法律案はしばらく審議を留保されたいと思います。これ以上質問をいたしましても無益なことであり、要領を得ないことになりますから、これをもって私の質問を留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/38
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039・山手滿男
○山手政府委員 この保険の対象になっておりますのは乗組員の給与の保険でございますので、春日委員のお話のように、船、そのものについての返還を要求するとか、損失を補てんするとかいうような問題もいろいろ考慮する余地もあろうかと思いますが、この法律自体としては、乗組員の給与の問題が保険の対象になっておりますし、この法律は全く事務的、技術的とも申すべき部分も多うございますから、さっきから御質問のありました外交交渉経過等につきましては、いずれ外務大臣なり外務省の政務次官なりが出て御説明を申し上げると思いますけれども、この法律については、一応それらの交渉経過の説明とは切り離して御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/39
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040・春日一幸
○春日委員 それは、せっかくの次官の御意見でありますけれども、応じかねます。と申しますのは、私どもは、この法案を審議するからには、関連事項を十分調査して参っておりますが、二十九年、三十年度において発生いたしました再保険の事故が——その当時の抑留は平均三年六カ月でありましたか、三年三カ月でありましたか、ところが最近においては、六年をこえる長期にわたっておる。従って抑留されておる限りにおいては、その船員の関係給与というものは、保険会計から払っていかなければならないわけです。そういう意味で、この七百何十名の諸君がいつ釈放される見通しになっておるのであるかという事柄は、これは船員の再保険の事業そのものとして、十二分にその外交交渉の経過と、その見通しについてわれわれは把握するところがなければならぬ。従いまして、それに対する的確な答弁なくして、どうしてわれわれは結論を下すことができるでありましょうか。私は無理なことを申し上げておりません。従いまして、私は本委員会の権威のために、外務大臣あるいはそれにかわるところの政務次官、そういう責任者にぜひとも一つここにお出まし願って、そうしてともにこの問題を案ずる、こういうことにお願いを申し上げたいと存じます。重ねて私は私の意見を強調いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/40
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041・松原喜之次
○松原委員長 なお石野委員より関連質問の申し出がありますから、これを許します。石野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/41
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042・石野久男
○石野委員 春日委員がすでに質疑を留保されておるので、ここで関連質問をするのはどうかと思いますけれども、一応ただいままでの質疑応答の中で持ちます疑問について、二つほどお聞きしておきたいと思います。
今日抑留されておる人たちに対する保険における補償の問題は、すでに春日委員の言っておられるように、保険のらち外にある国家補償の全面的な立場で補償されるべき質にまで発展しておる。このようにわれわれは考えるものだが、この点について政府はどのような考え方をしておるか。これを一つお伺いしたい。
それから第二点としまして、先ほどの御答弁の中に、抑留されておる船員あるいはまたこれらの脅威を受けておるところの日本の漁船、こういう諸君に対して基本的に政府の施策を考える場合に、当然李ラインだけの問題ではなくして、むしろ漁船の作業区域を中共の地域だとか、その他の地域へ持っていきたいという意味が言われておりました。それと関連して、同じように李ラインの問題を含んでおるところの朝鮮の沿岸公海の問題について、さきに三十八度線の北に独立国としてある北朝鮮へ参りました私たちが、金日成氏から、とにかく日本の漁船にできるだけ私たちの沿岸に来て、公海で仕事をしてもらいたい、こういう話がありました。そうして、そのために今季ラインの脅威がわれわれの沿岸公海まで来ておるので、そういう問題については両国の間で話し合いをして、脅威を取り除くための協議をしたいということの申し入れがあったわけです。こういう問題について、政府はどういうような考え方をしておるか。この二点を一つお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/42
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043・岡井正男
○岡井政府委員 お答えをいたします。前段の御質問の拿捕保険に関連する乗組員の問題については、保険制度以外の適当な方法による救済というようなことを至急考えるべきではないかという御質問につきましては、春日先生にもお答え申し上げた通り、われわれとしても決して等閑に付しておりません。まじめに内部検討を始めておりますということで御了承をいただきたい。
後段の北朝鮮において招いているのに、なぜ漁船をやらぬかという問題につきましては、これは国際関係がいまだ北鮮とは正常に復しておりません。従いまして漁業関係においても何らかの交渉を持つということにならなければならぬと思いますが、その点につきましては、これはむしろ国の大きな問題と考えますので、われわれが御即答を申し上げるのにはあまりに問題が大き過ぎると思います。事務的には、われわれは外務当局などと連絡を保ちつつ、将来相なるべくそういう日の一日も早いことを希望しておるという程度にお答え申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/43
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044・松原喜之次
○松原委員長 石野君、外務省関係は後ほど来られますから、そのときに春日君とともに関連質疑をして下さい。その他の問題で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/44
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045・石野久男
○石野委員 ただいまの問題については、ただいま委員長からの話のように、外務省から関係の方が来たときに関連してお尋ねしたい。
ただ一点、農林省に対してお伺いしたい。現にその漁業者自身が現場の方へ行って交渉したいというような意向を持って、すでにそういうような計画までして行こうという方々がおるのに対して、農林当局はどういうように考えるか、その問題についてのお考えを一つ披瀝してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/45
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046・岡井正男
○岡井政府委員 そういうふうなうわさを、耳にはいたしておりますが、私たちの方で真正面からそういう話をキャッチはしておりません。しかし、それは後ほど外務省の方からお見えになるそうでございますので、民間の方が国がどうあろうとも勝手にやるんだといようなケースについては、政府としてどういうふうに考えるべきかというようなことは、私の方でお答えするのは適当でないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/46
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047・石野久男
○石野委員 では、その点はまた外務省から来たらお聞きしたい。
ただ、先ほど春日委員から、大村収容所におる約三百人くらいの国内釈放の問題を韓国から要請されておると言われたときに、外務省の方から、政府としては、このような悪質な犯罪人を野放図に釈放することはできないというお話でございました。しかし、すでにこれらの人々は刑期を満了して、一応犯罪人ではなくなっていると思うのです。こういう人々に対して、先ほど外務省の方の言った御答弁は非常に礼を失する、また考え方の点で非常に違いがあるように思うのですが、その点について、私が聞き違いであるか、もう一度承りたい。(「いないんだよ、」と呼ぶ者あり)それでは留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/47
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048・松原喜之次
○松原委員長 それでは、後刻あらためて御質問を願うことにして、引き続き賠償等特殊債務処理特別会計法案外主計局関係九法律案を一括議題として質疑を続行いたします。横錢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/48
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049・横錢重吉
○横錢委員 賠償等特殊債務処理特別会計法案が出ましたことにつきまして、若干御質問いたしたいと思います。
賠償は、平和の回復に伴って当然日本の行わなければならない問題であるけれども、またこの総額の決定の仕方、あるいはまたこの扱い方いかんによっては、日本の大きな問題となってくるわけであります。従って、この問題に対して現在日本に対して請求をしている国、あるいはそれらの金額、こういうような点で、大体どのくらい来ておるのか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/49
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050・山手滿男
○山手政府委員 賠償の問題は、すでに解決を見たビルマ等の問題もございますが、そのほか今進行中のフィリピンの問題、インドネシアの問題、あるいはヴェトナムの問題、あるいは連合国財産に関係をいたしまする問題等々いろいろこまかいあれもございまするから、私は事務当局の方から答えていただきますが、それらのことにつきましては、まだもちろん賠償の交渉を全部始めたわけでございませんから、いわゆる見込みといいますか、風評といいますか、概算と申しますか、きわめてばく然としたもので、あることをつけ加えておきたいと思います。と申しますのは、賠償に関係をいたします問題は、事務当局の方なり私どもから申し上げますと、いかにもそれが、日本政府がそういう金額で対インドネシア賠償をのみ込んでおるとか、あるいはそういうふうに考えておるとかいうふうに不用意に伝わって参りますと、これはいろいろ影響するところも大きいものでございますから、その取扱い等については、政治的にも十分注意する必要がありまするから、今事務当局からその概要の説明をさせますけれども、そういう点をお含み置きの上でお聞き取りをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/50
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051・宮川新一郎
○宮川政府委員 ただいまの御質問でございますが、いろいろ外交上の関係もございまして、詳細な内訳を申し上げるわけにも参りませんが、賠償その他いろいろなクレーム、連合国財産の補償等を合せまして、おおむね七千億程度になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/51
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052・横錢重吉
○横錢委員 今私の質問したのは、請求をしている国の数、それから請求をしているその金額、日本として請求を受けている国とその金額、これらは一体どの程度になっておるのかということを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/52
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053・鳩山威一郎
○鳩山説明員 簡単に概数を申し上げますが、賠償につきましては、御承知のようにフィリピンとインドネシアがまだ未解決になっております。ビルマにつきましては一応交渉は完結いたしまして、ヴェトナムにつきましては、沈船の交渉は一応仮調印なでいたしましたのですが、向うはまだ本賠償につきまして要求をいたしておりまして、完結いたしておりません。インドネシアにつきましては、相手方は非常に莫大な数字を言っておるわけであります。まだ本格的、事務的折衝に入っておりませんので、総額が国別に幾らになるということは、相手国の真意を確かめて事務折衝の段階で幾らということを申し上げる段階にないのでありますが、外務省におきまして一応作りました資料に基きまして、賠償とか戦時クレー人、連合国財産補償その他一切を合せまして、約七千数百億円というような金額に上るものが一応要求並びに確定も入れました数字になっております。これの内訳の詳細な数字につきましての資料をお出しできるかどうかということにつきましては、外交上の問題もございまするので、外務省の方ともなお打ち合せをした上でやりたい、こう思っておりますので、政府の間で検討をしてからにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/53
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054・横錢重吉
○横錢委員 表題には特殊債務という言葉が使われておるが、特殊債務とは一体どういうものを考えられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/54
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055・上林英男
○上林説明員 お答え申し上げます。特殊債務の範囲につきましては、特別会計の法案の第一条に規定がございます。第一に賠償でございます。第二が連合国財産の補償でございます。第三に「その他本邦が連合国その他の国及びこれらの国民に対し、戦争の遂行の結果又は戦争の遂行若しくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務で平和の回復に伴いその支払を要するもの」、そういう範疇ございます。要しまするに、賠償と連合国財産の補償、それから戦争の遂行または戦争の結果もしくは連合国の軍隊の占領に関して負いました外国及び外国人に対しまする、こういう戦争に関連する特殊な臨時的な債務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/55
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056・横錢重吉
○横錢委員 今財産の補償あるいは国民に対する補償、こういうようなものが特殊債務だというふうに言われていますが、賠償等の等はどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/56
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057・上林英男
○上林説明員 お答えいたします。等と申しまするのは、今申しました連合国財産の補償それから戦争または占領に関連して負うことになりました——もちろん相手方は外国または外国国民でございますが、それに対する債務ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/57
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058・松原喜之次
○松原委員長 横錢委員の質疑は一応留保いたしまして、外務省の中川局長が見えておりますので、先刻の春日委員の質疑を続行することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/58
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059・春日一幸
○春日委員 この漁船再保険の法律に関する問題をたださんとして、私はこの危険海域に関する外交交渉の状況、それから抑留者の返還並びに拿捕漁船の返還の外交交渉の経過並びにその見通しについて、外務省の責任者の所見をたださんとして、次官もしくは局長の出席を求めたのであります。ところが局長は、その出席に応じられなかった。従って議事は著しく渋滞したのであるが、何がゆえに出席しなかったのであるか、またいかなる理由でただいま出席したのであるか、その理由を一つ御答弁願いたい。応じられなかったというのは、事実上出席がなかったので、これは応じなかったものという現象が生じたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/59
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060・中川融
○中川(融)政府委員 本日は、議院の予算委員会、衆議院の外務委員会において出席を要求されておりまして、私は参議院の予算委員会に今までおったのであります。本委員会からの御要求も承知しておりましたので、係官を代理出席させていたのでありますが、ぜひ私に出頭せよという御通知を今実は受け取りまして、さっそくこちらに飛んで参った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/60
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061・春日一幸
○春日委員 おおむね了承。
そこでお伺いをいたしますが、この漁船再保険の一般会計からの損失補てんに関する問題として、次の事柄が重要な案件に相なっておるのであります。すなわち中共との間の漁業協定の締結に基いて、今後中共海域においてこういうような漁船拿捕の事故が発生する心配があるかどうか。さらには国府との関係はどうなっておるか。さらにはソ連との関係において、松本・マリク会談において、漁業協定についてどの程度の話し合いが進み、それがいかなる妥結をする見通しであるか。それから特に韓国関係について詳細なる御説明を受けたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/61
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062・中川融
○中川(融)政府委員 日本の近隣国との間に、水産、漁業の問題でいろいろ意見の対立がありまして、日本側の公海自由の原則の主張がこれらの隣接国によって阻止されまして、そのために日本の漁船が操業上非常な障害を受けておるという事実は、まことに遺憾のきわみであります。これにつきまして、もちろん政府はできるだけの努力をもってこれを打開に努めてきておるのでありますが、何と申しましても、国交未回復の国が大部分でありまして、そのためになかなか交渉も思うにまかせないのであります。
御承知のように、昨年中共につきましては、民間漁業団体の御尽力によって、中共の民間団体との間に協定ができまして、それによって、実際上の取りきめの形で操業が行われておるのでございます。それ以前においては、中共海域におきましても相当拿捕の事実があったのでありますが、昨年協定ができまして以後は、拿捕の事実がないのでありまして、この協定は一年の期間で、たしかことしの六月で切れますが、さらにこれを延長するという措置をとることによって、この拿捕は今後とも阻止し得るられると考えております。
台湾の国民政府との関係につきましては、国民政府は軍事上をの他の理由によって、やはり公海に、相当広い海域にわたりましていろいろの意味においての権利を主張しておるのであります。しかしながら、最近におきましては、国民政府との間に日本の漁船が拿捕されてたというような事態はないのでございますが、御承知ようのに一昨年の暮れ、第三十一、第三十二屋山田丸が大陳島沖において撃沈された、こういう事態が起きたのであります。この例以外においては、最近に国府との間に漁船関係の問題というのは起きておりません。
日ソ交渉におきまして、日本は太平洋、オホーツク海方面において漁業の問題をぜひ解決したいと考えております、この方面におきましては、依然としてなお若干の漁船が拿捕されておる実情が続いておりますが、日ソ交渉を妥結することによって、日ソ間の漁業問題を根本的に解決したい、日本の漁船が安心してこの海域におきまして操業できるよりにいたしたいと思って、努力いたしておるのであります。
一番の問題は韓国との関係でございますが、韓国は、御承知のような李承晩ラインというものを設定いたしまして、ここに入る日本の漁船を拿捕いたしております。また日本の漁夫もこれを抑留いたしまして、刑に処した上、さらに刑を終えた者まで最近は返さない状況が続いておるのであります。この事態はまことに遺憾千万でありまして、政府はあらゆる努力を傾注してこの事態の改善是正に努めてきておるのであります。李ラインの問題は、これは韓国側としても相当強い主張をしておるのでありまして、結局いわゆる日韓会談の大きな題目になっておるのであります。従って日本側は、この李ラインの問題だけは取りはずして単独に交渉、解決しようということで、何回となく申し入れておるのでありますが、先方は、これは他の日韓間の諸懸案——そのうちの一番大きなものは財産の問題でありますが、他の諸懸案と一緒でなければ会談には応じないという態度を固執しておりまして、そのために漁業の解決は、結局日韓会談自体の解決をはからなければ促進し得ないというのが、遺憾ではありますが現実の状態であります。それでは、日韓会談の見通しはどうかということになるのでありますが、これは、韓国側としては財産請求権につきまして、日本側がかつて朝鮮に持っておりました財産に対する請求権を放棄せよ、これが前提である、そういう意向を表明すれば、会談再開に応ずるという態度を従来まで固執し続けてきておるのであります。日本側としては、そういう問題は会談の過程において論議さるべき問題であって、交渉の初めにまず日本側が権利を放棄するとかなんとか、そういうことには応じられないということで、これまた行き詰まっておるのでありますが、しかしながら日本側といたしましては、道理のあるところを、単に韓国側のみならず、広く世界にこれを訴えまして、また日韓双方について非常な関心を持っております、また双方非常に友好関係にありますアメリカというものが中にありますので、このアメリカをもまた動かして、これによって韓国側の態度の反省を求めて、何とか日韓会談をできるだけ近い機会に再開いたしまして、抜本的にこの漁業問題も片づけたいという考えを持っておるのであります。この会談に当りましては、日本側としても相当の柔軟性を持って当りたい、問題を解決するという方向に向って努力したいという考えでありますので、会談再開の機が熟せば、根本的解決は必ずしも困難ではない、かように見ておるのであります。一方日本の漁船が拿捕されますと同時に、その乗員も抑留されておるのであります。その韓国側に不法抑留されております漁民の方々の数が、すでに六百名をこえておるのでありまして、これらの方々につきましては、この根本的な漁業問題の解決を待たず、これだけは切り離して、人道上の問題として解決しようじゃないかということを申し入れておるのであります。この根本的な扱い方については、先方も異存はないのでありまして、漁業問題は片づけたいということは、先方も了承しております、しかしながらその片づける条件として、日本側で大村収容所に入れております韓国籍である強制退去者、この人たちを日本側が同時に国内で釈放せよというのが先方の全部ではありませんが、終戦前からおりました人たちについては、これを釈放せよというのが先方の主張であります。従って、その主張と、今の日本漁民の方々を返すという問題とが、いわば交換条件の形に先方の態度としてなっておるのでありまして、この点につきまして日本側としては、これまた柔軟性をもってこの交渉に当りたいという気持で交渉は行なっておるのでありますが、先方の態度がいかにも頑強でありまして、従って今交渉は必ずしも円満に進んではおりませんけれども、これまた人道上の問題として広く世界の世論に訴え、かつ日韓双方の共同の利害を持っております米国の協力も求めて、この漁夫問題も何とか近いうちに解決したいと考えて努力しておるわけでございます。要するに、日韓問題の打開ということは必ずしも不可能ではない、何とかこれを打開するべく、かつ実現すべく努力を続けたいというのが政府の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/62
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063・春日一幸
○春日委員 だいぶ御親切な御答弁を得たかのごとくではありますけれども、しかし要約すれば、十年間の保守政権を通じて、いわゆる柔軟性ある努力を何とか鋭意続けてきたということで、的確なる見通しというものは何ら示されてはおらず、さらに結果的に見ますと、アジア外交においては何ら成果がおさめられてはいないのであります。そこで申し上げたいことは、結局この近隣外交は、あげてあなたの双肩にあるのです。特にいろいろな大きな問題等が介在をいたしておりますけれども、しかし一つ一つ的確に物事を解決願わなければならない。ただ一つでもいいから解決をしていただかなければ相ならぬのであります。特に問題となっておりました中共海域の問題の解決、これなんかも、これは政府が無能であったのか、あるいはその努力を払わなかったのか、結局政府の力によっては何らの解決がなされずして、御承知の通り当事者間の協定によって問題の解決がはかられておる。
この際ついででありますから、ちょっと政府関係者にお伺いをしておきますが、この協定の成立に基いて、日中相互間に漁業問題としていろいろわだかまっておりました問題の解決、将来の紛争の発生というものが未然に阻止されました、ところがこの協定の円満なる運営のために、業者はたしか六百万円か何かの負担をしておると私は思うのでありますが、これは、当然国においてなすべきことを、業者間でみずから進んでその生活権防衛のためにやったのだから、これは当然他の漁船保険等のいろいろな経費の支出等とも権衡をはかって、この六百万円の業者負担の金は政府において弁償するか、あるいは何らかの形で助成する意図がないか。これは私の聞き違いであればよろしいが、もしもそういう負担が行われておったならば、これに対する善処方についての御見解をまず承っておきたい。
次は本論でありますが、今いろいろたくさん言葉を並べられたが、結局は政府とあなたの努力では、何も成果が現段階においては得られていないということです。ことに韓国との問題について、これしきのことは何とかはかられないものであろうか。これはひとり私のみならず、全国民あげての疑問であろうと思います。政治体制の異なっておる中共、あるいはソビエトにおいても同様の状況下にはありますけれども、少くとも韓国については、ともに民主主義陣営あって、アメリカとは特別のつながりを持っておる立場にあるわけです。この十年間韓国との問題が何にも解決しない、よってもって北鮮との問題も、あるいは他の問題も、韓国の問題すら解決ができていないのだからということで、結局じんせんその日をけみしておるという状態なんです。
私ただいまちょっと触れたのでありますが、今あなたのおっしゃった朝鮮にありますわが邦人財産の所有権に対する問題等につきまして、実は先般朝鮮国会の黄成秀という人の来日したときに、いろいろと社会党の立場で話し合ったのでありますが、そのとき黄成秀氏は、これは御承知でありましょうが、プリンストン大学を出て、日本の東北大学を出て、またクリスチャンとして教養高き近代紳士であります。彼が言いますのには、日本は財産権を強力に主張しておるのだが、しかし私は、クリスチャンとしての良心に訴えて申し上げるが、あのようなローラー戦術で何回か戦争をやってしまって、たとえばそういうような財産と覚しきものは、ほとんど戦災の廃墟となって、もはや残存していないのだ。日本政府は残存していないということを知りながら、なおかつその問題を主張しておるので、これはちっとも解決がつかなくて困っております。だから賀川さんでもだれでもいいから、ほんとうにそういうような財産が残っておるかどうか、それを日本人の良識に訴えて見てもらいたいのだとすら言っておりました。あるいはただいま労農党からも触れられましたけれども、犯罪者釈放等についても、ヒューマン・ビーイングの立場から彼らはその主張を述べておりました。私は問題の解決をしようとするならば、十年間に少くとも同じ民主主義陣営にある韓国と何らの協定にも達し得ない、一条一句の妥協点をも見出し得ないということがあり得るでありましょうか。その政治体制の異なる中共とすら、あるいはまたソビエトとすら友好親善の機運が次第に高まってきております。マリク会談によりまして、あるいは日ソの平和条約が回復し得るかもしれないという段階にありまするときに、韓国との間において話し合いもまだスタートを切っていないということで、あなたは何のかんばせあって国民にその職責を尽したということを言い得ることができるのでありましょうか。あなたがもう少し責任を感じられまするならば、この漁業協定の問題だとか、あるいはいろいろな捕虜釈放の問題だとか、抑留者の釈放だとか、あるいは抑留物件の返還だとか、こんな解決ぐらいできないということでは、あなたは高い禄をはんでおられるけれども、顧みて国民に恥ずるところがないかどうか。私は実際あなたの良心を疑いたくさえなるのであります。
そこで私は申し上げますが、今あなたの申し述べられた範囲内においては、お互いに主張して譲らない。すなわち朝鮮にあります財産権等の問題についても、向うは放棄宣言をすれば会談に応ずると言うし、あなたの方は会談の過程においてその問題を処理していく、こう言っておるのですから、少くとも政府の責任者がともかく単身乗り込んで、あるいは適当な代表を選んで、現地においてこういう財産があったがどこだというて見せてもらって、なければこれはないから放棄せなければならぬという一歩踏み出した交渉をして、国民の前にその誠実を尽される必要があるのではないか、今やその段階にきておるのではないか私はこのことを申し上げたい。ただいま岡井水産局次長の答弁によりますと、七百名近いところの漁民が、それこそ残酷な凄惨な生活を向うでなされておるということであります。こういうような問題の解決。なお国民は、給与の処理のために一年間について巨額の血税を支払っておるが、あなた方は他もやっていない。そうしてこういう法律だけをここへ上してくる。今課長が答弁されましたが、あなたは後刻その答弁を読んでごらんなさい。あなたの部下が、こういう国会の質問に対してどういう答弁をするかということは、はっきりわかる。問題を勉強をしていない。私は全く国民とともに怒りが全身にたぎる思いがする。私は、この際あなたに申し上げておきたいことは、七百名をこえる同胞があの異国の牢獄に呻吟しておる、国民はその月給を払うために税金を納めるそうして何も成果が上っていない、しかも十カ年間の長い月日をけみした。こういう立場において、私はもう少し責任的な情熱を注いで、勇気を持って問題の処理のためにあなたがからだをぶっつけていくという、こういう当然にして必要欠くべからざる努力をしてもらうのでなければ私は困ると思う。
いろいろ申し上げたいことは多々ございますけれども、いろいろ与党との話し合いもあり、これだけ申し上げれば、幾ら外務省の方々でも、幾らかはその肺腑にちっとはこたえるところがあると存ずるので、私はこれで質問をやめますが、しかし特に黄世秀氏が言われたことは、私は何ら余分のことは言っておりません、そのままをお伝えしておりますから、いろいろ参考になるところがあれば、一つ十分に外交の方針の上にも参考に供せられて、ほんとうに国民のために努力をされんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/63
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064・岡井正男
○岡井政府委員 先ほどの御質問の中で、農林省関係についてお答えいたします。先ほど中共等の民間協定についての経費の問題について、国の方はどうかという御質問でありました。あの際にも、そういうふうな話が一部からあったわでありますが、国と国同士の契約でないのでまことに気の毒ではあるが、民間の方で見てもらおうということで、両者だけでなく、関連産業の方も協力いたしまして、あの際の経費は一応民間の方で償ったと記憶いたしております。いずれ六月には際協定の時期がきます。そういう場合は、やはり民間の方でやるか、あるいは将来この種のことがあるという場合には外務当局ともよく相談いたしまして、一つ適当に処置いたしたい、かように考えたおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/64
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065・春日一幸
○春日委員 至らざることばかりであり、全くそういうことはあり得ません。現実に国がなすべきことをなし得ずして業者が問題の解決に成功して、そうして、一切の紛争が未然に阻止された、よってもって国費の無用の支出がこれによって節減された、そういうような必要な経費を国が何らかの方途を講じてやることは当然ですよ。それを、乏しき漁民に財布をはたいて出さしめるということは、今あなたは私に対して、やさしい春日さんが手きびしい質問をするというようなことを言っておりますが、あなたの方には一向に涙もないではありませんか。もう少し攻撃的な答弁をされたその心境を考えられて、その六百万円をすみやかに補てんされることを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/65
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066・松原喜之次
○松原委員長 次に石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/66
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067・石野久男
○石野委員 中川局長に、先ほど残りました問題を二点ほどお聞きしておきたい。あなたがおいでになる前に、針谷第五課長は、大村の収容所の問題についてこういうことを言っておられます。韓国から大村収容所の三百人の国内釈放を要求しておるけれども、これは非常に悪質な犯罪であって、これは野放図に釈放できないということを言っております、これはわが国の法治国の建前からすれば、一応刑期を終えた諸君に対してこういう言葉を使うことは、国際的にもまた日本人の常識からいっても行き過ぎた答弁だと思う。そういうふうな考え方が今なお政府並びに外務省の考え方であるかどうか、はっきりこの点は確かめておきたいと思います。私は、むしろこういう答弁は取り消してもらうべきだと考えるが、中川局長の御意見を承わりたい。
それからもう一つの問題は、先ほど中川局長からも話があったように、日中貿易協定は非常に成果を上げております。そうして今日問題になるような、こういう漁船再保険に対する損失補てんというような問題をなくするようないい成果を上げておるわけであります。こういう問題をわれわれは見て、この李ラインの問題に関連する他の面での、いゆる北朝鮮との関係がここに非常に大きな意義を持ってくるように思います。すでに中川局長には、前にも話したことがありますが、金日成氏は北朝鮮の近海の公海において、なるべく日本の漁船が来て操業してもらいたい、これについては李承晩並びにアメリカとのいろいろな関係があって危険な場がある、そこでそういう危険な場を双方の間で打開するために話し合いをしたい、こういうことを私どもがさきに朝鮮に参りましたときに話しておりました、この問題は、日本の漁民のために、また今日あるこういうような問題の根本的な問題を解決するために、私たちも早急にこの話し合いに乗るべきだと思います。しかもその問題については、日中漁業協定がすでに偉大な業績を上げておるという事実をあなたも認めておられる。そこで私は中川局長にお尋ねいたしたいのですが、こういう北朝鮮の意向に対して、政府は、その話し合いに乗る意向があるかどうか。それから現に業者の間では、その話し合いに乗って、中国との間に結んだと同じような漁業協定を北朝鮮との間にも結びたいという意向を強く持っております。こういう問題に対して、政府並びに外務省はどういう考え方を持っておるか、こういうことをこの際明白にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/67
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068・中川融
○中川(融)政府委員 ただいまの御質問につきまして、まず第一点でありますが、大村収容所にいる終戦前から日本に居住しておる韓国人大体三百五、六十名と思いますが、これを日本で無条件に釈放しろというのが先方の言い分であります。これにつきまして日本当局の意見は、この人たちは出入国管理令という日本の法規に基きまして強制退去を命ぜられておる者であります。出入国管理令によれば、強制退去の命令を受けた者が現実に退去を実施し得る時期が来るまでは、これを収容することができるという規定があるわけであります。その国内法規上の規定に基いてこれを大村に収容したのである、これをどうしても釈放しろということは、韓国側としても法律的に理屈がないじゃないかというのが日本の法務当局の意見であります。しかしながら、そのうちで、たとい仮釈放をいたしましても現実に比較的害が少いと思われる性質の人たち、つまり犯罪の経歴その他から見て、そういう害がないと思われる人たちは、これは事実問題としてある程度釈放の要求に応じてもいい、こういうのが今の法務当局の考え方であります。その意味で、従来までも相当多数の人たち——数百人に達すると思いますが、その人たちを仮釈放しておるのであります。しかしながら、どうしてもこれを送り返えさないと困る人たちにつきましては、法務当局も、これは韓国側のいかに外交上の要請があるといっても、無条件に釈放するということは、国内法規の建前上困るというのが法務省の見解でございます。外務省としては、何とか抑留漁民の人たちを一日も早く日本に返したいという偽わらざる考え方でありまして、この目的を実現するために、できるだけ国内の意見を調整いたしまして、その方向に持っていきたいということで、今に至るまで努力を続けてきたのであります。目下国内法規上の原則問題ということとこの外交上、人道上の要請というものの調和点が、なかなか韓国側の言う通りの線でまとまらないのでありまして、この点につきまして今後も努力は重ねていきたい。一方には国内の調整をはかるとともに、一方には韓国側に何とかもう少し合理的な態度をとらせるように努力したいと考えておる次第でございます。
なお朝鮮人民共和国と日本との水産業の提携の問題についてのお話でありますが、これは先ほどるる申し述べました通り、日本としては、何とか韓国との関係を打開いたしまして、今の李ライン問題を解決して、日本の漁民の方々が安全にあそこで操業できる、また抑留漁夫の人たちも無事に早期に日本へ帰っていただくということを何とか実現したいと思って努力をしておるのであります。これにつきまして、今までのところわれわれの成果が現われていないということはまことに遺憾でございますが、これについては、あらゆる努力を重ねて実現したいと思っておるのであります。この目的を達成するためには、今韓国といわば敵対関係にある北鮮との間に、漁業取りきめをたとい民間ベースでも作るということは、これは韓国の従来の態度から見まして、非常に支障を来たすということは疑い得ないのであります。これについては、韓国側からも内々いろいろ自分の方の考え等も言ってきております。北鮮と日本が何らかの意味の関係を持つ、たとえば民間ベースでも関係を持つことは、韓国としてこれに関心を持たざるを得ないということを言ってきておるのであります。何とか韓国との間の関係を打開するということに主力を注ぐ関係上、北鮮との関係はたとい民間べースのものでも御遠慮願いたいというのが、ただいまのわれわれの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/68
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069・石野久男
○石野委員 ただいまの私の質問に対して答えておりませんが、針谷君の言っていることについてどう考えるかということが一点。それからもう一つは、今の局長の話では、たとい民間ベースでも朝鮮人民共和国との間の話については、韓国との関係上そういうような話し合いはさせない、こういうふうに受け取りました。そのことの意味は業者が今そういう交渉に応じようと言っておる、その考え方を政府としては阻止する、それはやめてもらいたいというふうに考えているのだと理解してよろしいのですか。この点についてはっきり説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/69
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070・中川融
○中川(融)政府委員 第一点でありますが、針谷課長が申しましたことは、私が御説明いたしましたわが司法当局の考え方と、その底に流れておる考え方と申しますか、現実に害があるような人はやはりどうしても強制送還しなければいけない、従って強制送還するとすれば、やはり大村収容所においておかないと困るという考え方を述べたのだと私は考えております、
なお第二の点でございますが、民間の方々が交渉されることを政府として制肘することはできないのでございます。そういうことで、話し合いができました結果を政府として取り上げてこれを承認するというようなことはできないという意味にお聞き取り願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/70
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071・藤枝泉介
○藤枝委員 動議を提出いたします。ただいま一括議題となっております十二法律案中、漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業について生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案及び食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案の両法律案につきましては、その質疑も大体尽されたと存じますので、この程度にて質疑を終了し、討論を省略して、直ちに採決せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/71
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072・松原喜之次
○松原委員長 ただいま藤枝君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/72
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073・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
これより採決に入ります。まず漁船再保険特別会計における給与保険の再保険事業に生じた損失をうめるための一般会計からの繰入金に関する法律案について採決いたします。
お諮りいたします。本法案を原案の通り可決するに御異議はありませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/73
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074・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よって本法律案は、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
次に、食糧管理特別会計の昭和三十年度における損失をうめるための措置に関する法律案について採決いたします。本法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/74
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075・松原喜之次
○松原委員長 起立多数。よって本法案は原案の通り可決いたしました。
この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/75
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076・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。
本日はこの程度にとどめ、次回は明九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X01519560308/76
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