1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十日(火曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君
理事 高見 三郎君 理事 石村 英雄君
理事 春日 一幸君
生田 宏一君 奧村又十郎君
加藤 高藏君 川島正次郎君
木崎 茂男君 吉川 久衛君
杉浦 武雄君 竹内 俊吉君
内藤 友明君 夏堀源三郎君
濱地 文平君 古川 丈吉君
坊 秀男君 前田房之助君
山村新治郎君 有馬 輝武君
石山 權作君 平岡忠次郎君
横錢 重吉君 横山 利秋君
石野 久男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大蔵事務官
(大臣官房長) 石原 周夫君
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
大蔵事務官
(管財局長) 正示啓次郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
大蔵事務官
(為替局長) 石田 正君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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三月十六日
委員有馬英治君、安藤覺君、生田宏一君、臼井
莊一君、二階堂進君、濱地文平君及び山本猛夫
君辞任につき、その補欠として志賀健次郎君、
坊秀男君、仲川房次郎君、大島秀一君、福田赳
夫君、小西寅松君及び遠藤三郎君が議長の指名
で委員に選任された。
同日
委員大島秀一君、志賀健次郎君及び仲川房次郎
君辞任につき、その補欠として山村新治郎君、
有馬英治君及び生田宏一君が議長の指名で委員
に選任された。
同月十九日
委員山本勝市君辞任につき、その補欠として田
中久雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員田中久雄君辞任につき、その補欠として山
本勝市君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員淺香忠雄君、遠藤三郎君及び福田赳夫君辞
任につき、その補欠として濱地文平君、重政誠
之君及び木崎茂男君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
理事有馬英治君同月十六日委員辞任につき、そ
の補欠として同君が理事に当選した。
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三月十六日
国有財産法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)(参議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
金融制度調査会設置法案(内閣提出第七六号)
国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
案(内閣提出第二九号)
閉鎖機関令の一部を改正する法律案(内閣提出
第七二号)
旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内に
ある財産の整理に関する政令の一部を改正する
法律案(内閣提出第七三号)
印刷事業に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。理事であります有馬英治君が去る十六日委員を一たん辞任いたしたことがありますので、理事が一名欠員となっております。この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は、先例によりまして委員長において御指名いたすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/1
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002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。よって委員長におきましては、理事に有馬英治君を再び御指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 この際御報告いたします。当委員会において予備審査中でありました国有財産法の一部を改正する法律案につきましては、去る十六日参議院において可決され、同日本院に送付されて当委員会に本付託となりましたので、御報告いたしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/3
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004・松原喜之次
○松原委員長 次に、金融制度調査会設置法案、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案、閉鎖機関令の一部を改正する法律案及び旧日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令の一部を改正する法律案の四法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。夏堀源二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/4
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005・夏堀源三郎
○夏堀委員 国際金融、国内金融、海外投資、こうした問題について若干質疑を行います。与党として質問することを遠慮をしておりましたけれども、事重大な問題でありますので、簡単に質疑の形で、建設的意見も加えてこれから申し上げてみます。きょうの新聞に発表になっておりました世界移民問題、これは、私もう一カ月も前からこのことを考えて、大蔵大臣にもいつかそういうふうなことを申し上げたことがありましたが、ダレス長官がお見えになるというので、政府にその要領を意見書として提出しておきました。たまたまそれは政府の意見と私の意見と合致したことであるかもしれませんが、私の意見通りのことが新聞に発表になっておりました。世界銀行の、そして国連の関連において、世界を対象とした移民政策を行わなければならない、こういうことを理由を付して意見書を提出しておったのであります。その通り、ダレス長官に何か意見を出したということがきょう新聞に書いてありましたので、私は喜んでおります。そこで、現在日本は、貿易によってどうにか外貨が獲得されて、順調にいっているようには見えますけれども、これは世界の、特にアメリカの景気に乗って、日本もこうした恵まれた境遇にあるということは、その通りであろうと思います。しかし、十年先に日本の経済は一体どうなるであろうか、このことについて、非常に私は心配なのであります。平和、原子力という問題が大きく発展され、後進諸国に設備の充実が行われ、資源のたくさんある国がその設備によって自給自足が行われる、そうした場合に、日本の経済は、現在のように貿易によって立つということが果してできるかどうか、こういうことに対して非常に憂慮せざるを得ないのであります。まあこうした大きな問題は、現在は幾らかよいようであるけれども、十年後あるいは二十年後に、一億あるいは一億以上の人口になった際のことを今日から考えておくことは、必要ではないかと考えられますので、この点に対して、大蔵大臣はどのようなお考えを持っておられますか、簡単でよろしゅうございますから、御意見の発表を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/5
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006・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御指摘の点につきましては、まず一つは、人口問題に取り組まなければなりません。他方また、増していく人口に対して、移民等を考えていかなければならぬ、これに適切な施策をしなければならぬことは、これは言うまでもありません。私の直接の関係といたしまして、貿易の点について申し上げれば、私は、どうしても日本は今日の国柄で一と申しますのは、国の諸条件から申しまして貿易に依存していかなくてはならぬ、かように考えておるのであります。そうして世界の大勢を見ますと、どうしても世界平和というものはどこの国もこいねがっており、今日のいろいろな兵器の進歩といいますか、大へんな兵器ができておるというようなことから考えても、私は、世界平和というものはだんだんと確立していくという希望、あるいは期待を十分持ち得ると考えておるのであります。なぜ貿易に依存するかといえば、今日日本の国だけではどうしても人口を養っていけない。第一米にしても、むろん国内資源の開発ということがありますが、なかなかこれは急速にいくものではないのであります。どうかして人口の所要する分だけでもこれを補っていくというのも、大へんなことです。今日の不足分は、依然として私は輸入に仰がなくてはならぬ状況ではなかろうか。今後こういう点に一そう努めなければなりませんが、見通しとしては、そういうことであります。その他、たとえば軽工業にいたしましても、重工業にいたしましても、原料というものはほとんど輸入に仰がなければならない。従って、この国の生産条件である限りにおきましては、私はやはり貿易によらなければならぬ、それが今言った国際情勢から可能である、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/6
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007・夏堀源三郎
○夏堀委員 お説の通りであります。ただ私の心配することは、貿易に重点を置いてやる政策は、今後十年、二十年後において、後進国が設備が充実し、しかも資源がどっさりあるから、日本の貿易は現在よりももっと退歩するのではないか、これを心配するのでお伺いした次第であります。
しかしそれに対する見通しは、なお貿易によってやらなければならぬということはわかりましたが、しからば貿易をやる、あるいは海外投資をやる、こういう方法に対して、特に海外投資の面において、将来の貿易に関連することでありますから、大蔵大臣は何か具体的な御構想がありましたならばお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/7
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008・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 若干補足いたしますが、貿易に依存しなければなりません。ところが今後十年、またその先を考える場合に、後進諸国がいろいろと工業化してくる場合において、日本の貿易というものは一体どうなるのかという御心配が一つあったようであります。むろん私は、そういうふうな状況で、安易に日本の貿易が拡大していき得ると考えておりません。おりませんが、しかしやはり私が希望の持てる点は、非常に未開発の地域が広大で、ここには相当大きな資源もあります。それから人口自体も非常に大きい。従いまして、こういうふうな地域が購買力を持ち、生活が向上してくる。こういうことになれば、物資に対する需要は大きなものになるのでありまして、ただその現地で供給し得るというのにはとどまらない、日本の産業あるいは製品が十分こういう方面に伸びる余地がある、私はかように考えておるのであります。むろん楽観はいたしませんが、そういうふうなことを考えて対処していく。従って、さらに今の具体的な御質問の海外投資ということになるのでありますが、私は、そういう状況下において、日本の経済力が許せば、海外投資をやるべきだという考えを持っております。ただいかんせん、戦争によって非常な荒廃に帰して、自分自身の自立ということも十分ではない、そこに持ってきて、賠償は今後具体的に払っていかなければならない、増大する人口も考える等々してみると、なかなか余力に乏しいというのが今の当面の悩みであります。それで考えておりますことは、できるだけそういうふうな海外投資について、日本も積極性を持っていってよろしいが、しかし力の制約がある。それで今日の世界平和というものは、一国のよく期待し得るところでもないし、世界は互いに有無相助け合うというのが、私は本筋と思うのであります。従って、アメリカ等の裕福な国にこの資金を東南アジア諸国に十分回してもらって、日本の工業力、技術等をこれと相牽連させるという行き方が、最も適切ではなかろうかという考えで、そういう方向にできるだけの力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/8
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009・松原喜之次
○松原委員長 議事進行について、発言を求められておりますので、これを許します。春日委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/9
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010・春日一幸
○春日委員 衆議院規則第百六条によりますと、その定数を欠くに至った場合、委員長は休憩を宣告し、もしくは散会しなければならぬことが規定されておるのであります。従いまして、この際委員長は、第百六条に基きまして、適法の処置をとられることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/10
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011・松原喜之次
○松原委員長 ただいま数えましたら、十五名ですが、一つできるだけ招集してきて下さい。
暫時休憩いたします。
午前十一時十分休憩
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午前十一時十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/11
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012・松原喜之次
○松原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
金融制度調査会設置法案外三法案を一括議題として質議を続行いたします。夏堀源三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/12
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013・夏堀源三郎
○夏堀委員 ただいま私の質問に対して、何か遠慮をせよという御意見もあり、また社会党の方からもいろいろ御意見があるそうですから、私はきょうはこれで質疑をいたしません。社会党の方にお譲りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/13
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014・松原喜之次
○松原委員長 次に、石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/14
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015・石野久男
○石野委員 大臣にお尋ねします。金融制度調査会設置法案の提案理由の説明の中に「市中銀行の日本銀行依存の状態も改まるなど、正常化の進展を見た二面、種々新しい問題も現われて参りました。」ということを言われております。この法案を制定するに当って、種々新しい問題が現われてきたという意味の問題はどういう問題なのか、この点を一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/15
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016・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御承知のように、金融情勢が正常化いたして参りまして、市中銀行の日本銀行依存がほとんどなくなった、今後においては、ただ季節的に日本銀行の資金を使う、こういうことになると思うのであります。そうしますと、従来のように、日本銀行が貸し出しを締めたり、あるいはまた金利の操作によって金融に調整を加えるという機能が全然ないとはいえないが、非常に乏しくなります。従いまして資金がだぶつく、言いかえれば、インフレ的な傾向を金融面から持つ場合に、これを調整するのに新しい考え方が要る、ごく具体的に言えば、これは支払い準備金制度というような制度を新しく創設するような事態が起っておる、こういうふうにお考え下さっていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/16
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017・石野久男
○石野委員 ただいまの大臣のお話によると、今の日本の情勢のもとでは、いわゆる急激なインフレの危険がある、そういうような新しい情勢が出てきたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/17
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018・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 インフレの危険が現われたというのでは毛頭ありません。中央銀行の流通通貨の量を調節するその道具といいますか、機能が今度は違った方向に向く、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/18
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019・石野久男
○石野委員 流通通貨を調整するという機能が、日銀でそういうことをする情勢でなくなる、そういう新しい状態が出てきた、この金融調査会というものの設定されるという意味の中に、政府は、この調査会でどういうようなことを一応調査させようとしているのであるか、その点について一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/19
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020・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 まず第一に日本銀行法、これは金融に関する最も基本法になります。この日本銀行法は、戦時立法そのままに大体残っておるのであります。ただ今日、実際客観情勢に適応しないものは死文となっておるというだけであります。法律自体は残っております。従って、こういうものをまず根本において再検討といいますか、新たに考え直してみなくてはならぬ。それから市中銀行法も、やはり考え直してみなくてはならぬと思うのであります。さらにまた、たとえば金利というようなものについても、今日では臨時資金調整法というふうな法律によりまして金利をきめる、こういうことになっておりますが、こういうようなのも、やはり今後において再検討する必要がある。それから、これは金融三法の改正ということになりますが、さらに金融制度自体についてどういうふうにあるべきか。さらにまた、証券市場等のあり方についても検討を加えていかなければならぬというふうなことが、今最も大きな問題であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/20
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021・石野久男
○石野委員 ただいまこの調査会設定についての政府のお考え方の中に、日銀法の改正、あるいは市中銀行法の改正等のことがありましたが、そのうち日銀法の改正ということの中で、これは特に戦時状態のもとの立法であって、今では非常にそぐわないものがあるからということですが、この調査会に命じて政府が意図する方向の調査問題点というものは、まず何であるかということが一つ。それから市中銀行法の改正という問題は、大体支払い準備制度の設定というようなことを意味しているものと思いますが、大体そういうことなのかどうか、その二つの点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/21
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022・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 日本銀行法を今後どういうふうにやっていくか、これは、金融制度調査会に一つ御審議を願って考えていただく。それから市中銀行法の方の改正について、ただいま支払い準備制度ということを言われましたが、これも当然委員会でお取り上げになると思います。しかし、さらにまた今日の市中銀行のあり方、たとえば具体的問題についていえば、貸出先に対しての貸出限度、あるいは特定の法人、個人に対して無制限に貸すのは適当か、どういう程度を貸すのがいいかというようなことが今問題になっておりますが、そういうようなこともおそらく取り上げられると思いますので、それらは金融制度調査会の御審議に待ちたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/22
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023・石野久男
○石野委員 調査会を設定するのだから、そこでいろいろの問題を審議してもらうつもりでありましょうけれども、今ここでこういう調査会をあらためて設置されるのは、政府はやはり問題点があるからだと私は理解しますし、またそういうことも先ほどおっしゃられました。そこで日銀法の改正という問題について、政府として今一番調査会に検討してもらいたい点はどういう点であるかということを、ここで一応明確にお話しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/23
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024・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御承知のように、ただいま申し上げました金融に関する三法は、いわゆる旧日本——と言いますと悪いのですが、戦前のあるいは戦時中の立法で、客観的条件が全く違う、またものの考え方も違うのであります。従いまして、そういう新たなる諸条件に適応するような立法にしたいというのが眼目であるのであります。まあそれにつれましてどういうことをする、こういうことをするといういろいろな具体的な問題がここに現われて参りますが、それは、やはり私は調査会にまかしていきたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/24
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025・石野久男
○石野委員 調査会にまかすというようなことだけでは、やはりこの法案の提案をなされる意味も私たちなかなか理解しにくいのです。その市中銀行法の改正に伴って、支払い準備制度の創設の問題を一応考えておられるわけですけれども、日銀法の改正もまたそれに関連するものを多分に含んでおるものというふうに思いますし、またそれが主たる指向点であろう、かように考えますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/25
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026・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは私の考えでは、中央銀行というものの中立性といいますか、そういうふうなものがいかに確保されるか、同時にそういう中立性を持ちつつ、国の考えておることに適応して中央銀行というものが運営されるには、一体どういうふうな機構でなければならぬかとか、いろいろ具体的な問題があると思います。ごく端的にいえば、今日アメリカの考え方を入れまして。ポリシー・ボード、いわゆる日本銀行の政策をきめる委員会があります。こういうものが適当であるかどうかというようなことも、これはやはり取り上げて考えてみなければならぬ。なぜかというと、アメリカでは中央銀行が十二もあります。これが意思を何らか統一する、あるいは方向をきめる一つの機関が要ることは明白でありますが、日本では中央銀行が一つであります。そうすると、やはり中央銀行のボードというものがどうあるべきかという問題もある、屋上屋を架するような仕組みが必要であるかどうか、こういう点が、私今どうするというのではありませんが、やはり十分考究いたしたい、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/26
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027・石野久男
○石野委員 日銀政策委員会の存続の問題等も、この中で非常に重大な問題だというふうに蔵相は考えておる、そういうこともあろうかと思います。私は、やはり支払い準備制度の設定が今きわめて必要だというふうに理解される。日本の経済構造やあるいは財政、あるいは経済の問題等から考えて、特にその支払い準備制度をここで必要としなければならない意味——支払い準備制度というのは、本来の考え方からすれば、これは預金者保護の建前に立っておるものである。しかし最近ではそうでなくて、むしろこの中で、いわゆる金融操作の問題が非常に重要な問題になってきておるように考えます。政府が今その支払い準備制度を、特にこの市中銀行法で考えるなら、問題点はどういう点にあるのか、これを一つ説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/27
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028・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私の考えでは、この支払い準備制度というのは、御承知のように民間の蓄積資金が豊富になりまして、これが勝手に流通市場に出ては困る、こういう場合に、中央銀行にある一定の率で預けさせる、こういうことであります。むろん中央銀行に預金勘定を置くのですから、その限りにおいては預金者保護になりますが、しかし、そういうことをおもな目的とすべきものでもなかろうと思うのであります。これは主として流通資金量の中央銀行の調節機能、こういうふうに考えるのが正しいと思います。むろん中央銀行の流通資金量の調節については、いろいろあります。金利の問題もあるし、いわゆるマーケット・オペレーション毛ありますが、資金量が豊富な場合における調節機能としては、マーケット・オペレーションである。これをやるのには、同時に金利体系というものがやはり秩序を保って、りっぱな適正なものが確立されておらないとなかなか容易でない、こういうふうに考えておるのであります。今後金融市場が正常化を保っていくのには、資金量がふえる、金利も下っていく、そうして金利間の関係が秩序を保つ、たとえば国債、地方債、貸付金利、これらが一定の秩序を保っていく、こういうふうな段階、そこに短期証券というものが現われて、この短期証券も主として資金量を調節するために市場に売り出す、こういうことがあるのでありますが、どうも私は、そういう行き方では日本の金融市場を正常化して行く上において必ずしも十分ではないのじゃないか、場合によっては、中央銀行に預け入れをさせるという行き方がむしろ適切であるというふうに考え、そうして支払い準備制度は今後日本にどうしても導入する必要があると考えますから、私は早目にこういうものを作っておいて、そして必要があればいつでもこれを実行に移し得るというような態勢を整えておくのがよかろうと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/28
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029・石野久男
○石野委員 今、金融操作の問題については、少くとも準備制度を確立することによって金融の円滑化をはかりたい、またそういうような必要性が出てきておる時期だ、こういうようなお話でした。さきに自民党の政策小委員の高橋氏が、自民党は財政金融の一体化政策として、今度の調査会法案、特に支払い準備制度の問題を取り上げるんだというようなことを言ったことがございますが、政府も大体そういうような考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/29
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030・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一国の金融制度全体を考える場合に、金融と財政との関係を考慮に入れて考えていくことは、これはもう申すまでもありません。しかし当面の財政と金融との一体化の運営というような意味合いの具体的な問題については、むしろ資金委員会にいろいろと相談をしていくのがよかろうと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/30
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031・石野久男
○石野委員 この金融制度調査会設置法というものができました場合に、資金委員会というものはやはり依然として存在するのですか。残すつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/31
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032・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは、私はむろん残ると思っております。金融制度調査会は、根本的な日本の金融制度自体をどうするかという問題を考えていく。それから資金委員会は、当面の資金運用についての基本方針を考えていく。これは全く違った使命を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/32
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033・石野久男
○石野委員 資金委員会が依然として残るという問題と関連して、さきに日銀法の改正の中で、資金委員会の存続なり日銀の政策委員会の存続の問題については疑義を持っているという話でした。そうこととの問題、いわゆる屋上屋を架するという問題が、この資金委員会の問題と、日銀の政策委員会の問題との関連性において、同様な意味にとれるような気がするのです。やはり日銀の政策委員会というものをやめたいという意向がある場合に、この金融制度調査会の設置がなされたときには、資金委員会との問題を特にまたそこで重要視して考えなければならぬという問題点が出てくるのじゃないだろうか、どうだろうかという疑義を持つのですが、そういう点、どういうようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/33
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034・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 日本銀行の政策委員会は、日本銀行の意思決定の最高機関、会社で言えば重役会に当る、日本銀行の意思をきめる最高機関であります。資金委員会はそうではないのでありまして、大蔵大臣として、たとえば資金の蓄積についてはどういうような方針をとったらよかろうかとか、金融一般について大蔵大臣の相談相手をするのが資金委員会で、諮問機関であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/34
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035・石野久男
○石野委員 今、資金委員会と日銀の政策委員会との問題が、相違がはっきりしておるというお話があったのでありますが、実際日銀というのは中央銀行で、むしろ金融操作の問題などは、非常に重要な位置において操作しなければならない機能を持っておるものと思います。しかも日銀は、常に政府との連係の中でそういうことをやっておるものと考える。それで私は、今の蔵相の説明についてはまだ若干の疑義を残しております。ここであらためてもう一度聞いておきますが、日本銀行法の改正といいますか、三法改正についての問題点として、政府はやはり政策委員会の廃止ということについて相当重要視し、またその問題をこの調査委員会に付託しようという意図を持っておるものと理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/35
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036・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 日本銀行の政策委員会を廃止するという意図を持っているというのは行き過ぎであります。日本銀行の意思を最終的に決定するその最高機関がどうあるべきか、どういうものがいいのかということを考えてもらう。それで、政策委員会はいいという結論が出れば、それもいいでしょう。それがどうあるべきかを考えてもらおうということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/36
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037・石野久男
○石野委員 きわめて巧妙に答弁を逃げられておりますけれども、やはり政府の意図するところは、その問題点を追及するということにあると思います。しかもまた、従来たびたびこういう委員会を作っても、なかなか政府がその答申をまともに受けて政策の上に表わさないということなどを考えますと、この調査会設定の意図というものが、なかなか政府の言うようにはまともな仕事ができるものじゃなかろうと私は思うのです。しかし一応そのことは聞いておきます。
そこで、私はもう一つ、先ほどの問題点についてお聞きしておきたいのですが、支払い準備制度というものを考えます場合に、当然やはり日銀の中央銀行としての機能が、この問題との関連性の中で重要であると思います。先ほども言ったように、日銀の政策委員会が持つ機能の重要性と、この準備制度の設定された後における日銀の持つ重要性との問題は、相関連しているものであって、しかも私どもの考えでは、この支払い準備制度ができたときに、その準備資金として持つものの中で、果してこの前の委員会のときに大蔵大臣が言ったように、現金だけでその準備制度をするか、あるいはまた、そこに公債を認めるかという問題がきわめて重要になって参ります。それからまた、そういう準備制度をしたときに、その準備率の決定について、それの決定権をだれが持つかということなんかもきわめて重要であります。政府としては、この問題についてどういうような考えであるか、決定権などは、政府としては持たない方がいいというように考えておるのかどうか、この点を一つはっきり御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/37
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038・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一つの点の、支払い準備制度ができた場合に、中央銀行たる日本銀行と非常な関係を持ってくる、これは申すまでもありません。それ自体が日本銀行の流通通貨量を調節をする機能になるのでありますから、これは重大な関係という以上のものがあると言うていいでしょう。それからそういう支払い準備制度に預金——いわゆる預金勘定以外に、その預金でさらに国債を持つかどうか、こういうふうな御質問でありますが、私の今の考えでは、支払い準備制度の本質というものは、そういう有価証券を持つ制度ではないのです。言いかえれば、流通通貨の量を調整する機能ですから、同時に流通するであろう資金を中央銀行に預金させるという制度であります。従いまして、有価証券という考え方は、少くとも第一次的には入りません。
それからもう一つの準備率をどうするか。これは、私は今ここでかれこれ言うつもりはないのでありますが、この調査会で十分審議してもらわなければならぬポイントであります。しかし、総じてこの準備制度自体が、また日本の全体の金融情勢を大きく規正するという点は、やはり見のがしてはならぬのでありまして、これは、政府としてもまた重大なる関心を持ちます。従いまして、一つの考えとして、準備率は大蔵大臣がこれをきめる、しかし、それには幅を持っておる、ある一定の幅の範囲内において中央銀行が適切な操作をする、そういうふうなのがむしろ穏やかな考え方であるかもわかりません。これらについては今後十分な検討を加えたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/38
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039・石野久男
○石野委員 この支払い準備率の問題について、その準備率の決定権を政府が持つということは、これは非常に直大だと思うんです。日銀当局の方でも、この準備率の変更などについては、あくまでも日銀が持っておるべきであるという考え方が非常に強く出ておるように思っております。もし政府がそういうような準備率の決定などをなさいますと、この問題は必然的に日銀の金融の中立性という問題に触れて、日銀の自主性というものがその点からくずれていくんじゃないかと考えるが、その点について大蔵大臣の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/39
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040・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 準備率の点につきましては、先ほど申しましたように、ただこういうふうな考え方もどうだろうかということを率直にちょっと申し上げたんですが、これはまた同時に申し上げましたように、審議会で十分御検討を願う。あくまでもこれを全部中央銀行の権限にするのがいいということになれば、それもいいであろう。こういうものはほんとにすなおに、客観的に真実性に基いて決定せられればいい、私はかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/40
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041・石野久男
○石野委員 その問題は審議会にかけるんだから、それはそれでいいんです。政府の見解はそうだということがわかった。けれども、そういうことをしますと、先ほど政府は、なるべく国債は準備制度の中で持たせないようにしたい、現金でやるのだということを言ったけれども、実は高橋衛参議院議員も言っているように、財政と金融の一体化政策をこの中で実現していきたいということの意味、それから今の支払い準備率の操作変更権というものを政府が持つということ、そういうようなことをからみ合せて考えていくんだというと、これは多分に政府与党の意向を金融界に積極的に反映させるという意図がここへ出てくるものと考えざるを得ない。この手柄は、今日の財政の規模の中から必然的に出てくることであるし、隠すことのできない問題であると思います。そういう結論として、それでは日本におけるところの、たとえば日銀の機能というものは、その自主性を確保できるかどうか、金融の中立性がそこで確保できていくかどうかという問題を私は聞いている。蔵相はそれに対してどういう見解を持っておるかということを聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/41
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042・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 支払い準備制度と国債の問題は、これは別個の問題ですね。国債を発行するかせぬかは、一に財政的見地で、税収のいわゆる通常歳入で歳出がまかなえぬ場合に、国債に財源を求めるか求めぬかという同地でありまして、支払い準備制度から当然国債という問題が起ってくるものではごうもありません。むしろ私は、支払い準備制度について考えねばならぬ点があるとすれば、これは政府との関係ではなくて、市中銀行が無利息預金を日本銀行に預けなければなりませんから、一方金利は下る、そうすると銀行の経理は一体どうなるであろうかという点から、私はむしろ考えていかなければならぬ点があるだろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/42
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043・石野久男
○石野委員 公債を発行するかしないかという副題とは、一応直接には関係はないのです。しかし財源の調達のために、国債あるいは公債を発行しますると、その公債は当然市中銀行にやはり背負わすことになってくる。そういう問題と、いわゆる準備率変更権を政府が握って、しかもその上に今度は日銀の政策委員会を廃止する——その機能あるいは権限を縮小する、廃止というところまでいかないなら、機能権限を縮小する、こういう態勢とは三位一体となって、これは必然的に日銀の自主性というものをなくしてくることなんです。金融の中立性をくずしていくことになると考えるが、蔵相はそれに対してどうだというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/43
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044・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは、なるほどそういうふうにお考えになれば、いかにもそういうふうになるかのように考えられるのでありますが、それは、私に言わせれば思い過ぎなんです。なぜかといいますと、第一に、政策委員会がなくなれば中央銀行の中立性がなくなると考えるのは、これまた一つの独断です。問題は、中央銀行の中立性を保たせるためには、どういうふうにするのがいいかということなので、今の政策委員会というものでなくてはならぬのか、あるいはそのほかにあるのか。それは、世界において中央銀行はどこの国にもあるのですけれども、こういうふうな政策委員会制度があるのは、十二の中央銀行のあるアメリカに限られておる。イギリスにしてもどこの国にしてもそういうものがなくして、なおかつ中立性を保ち得ておるという点を頭に入れてほしい。一つのものにとらわれる必要はない。そういうものは、中立性が無視されると思うからそうなってくるのです。
それから支払い準備制度というものは、公債を持たせるために作ると言われるが、そういう極数のものではない。むしろ将来における財源として、公債発行がよろしいというときがあるかもしれない。あった場合は、公債を発行した後に市場資金量が一体どうなるかという問題で、支払い準備制度が活用できるのです。そこで金をすくい上げて、その上に持たせようということは、金融のテクニックからいってもあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/44
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045・松原喜之次
○松原委員長 関連質問の申出がありますので、これを許します。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/45
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046・春日一幸
○春日委員 ただいまの石野君の質問に対する大臣の御答弁の中で、日銀政策委員会がいかにあるべきかということを検討してもらうのが、今度の調査会の任務の一つであると言われております。そうしますと、日銀政策委員会は、現在現実に存在する委員会であります。ところがこれを考え直してみるということについては、現行の制度の中において何がしかの行き過ぎか、あるいは足らざるものか、あるいは中央銀行としての意思決定機関として何らか考え直さなければならぬところの要素がなければならぬと思うのであります。そのほかのものであるならば、いかにあるべきかということをさらに考え直す必要性は生じてこないと思う。そこで、今の石野君の質問に対して、日銀政策委員会がいかにあるべきかということを、この調査会において検討を願うのだということでありますが、現在日銀政策委員会によって意思決定をされておりまする過程の中において、いかなる事柄が疑義として発生をいたしておるのであるか、この点について大臣から御答弁を願いたい。これが第一点であります。
それから他の一点は、ただいま銀行の支払い準備金を日銀に預託するこの支払い準備制度について、第一次的には、公債あるいは有価証券は考えられていないということでございました。ところがあなたが語るに落ちられた通り、第一次的には、できるだけ現金によって流通通貨の調節を行なっていくという任務をここにゆだねんといたしておられる。ところが第二次的には、あなたがおっしゃった通り、財政と金融との一体の立場において、公債を発行するという政策決定が行われ、この公債の消化をいかにするかという問題が発生したときに、初めていろいろと個々との間に操作をしていくのだということを言っておられました。そうすれば当然考えられることは、日銀に預託されております現金を、現金にかわるところの有価証券、公債ならばいいということが自然発生的にここから生れてくる。先般私があなたにお伺いしたときには、第一次的だとか第二次的だとかいうようなお言葉ではなくして、支払い準備制度は現金に限る。有価証券、公債、こんなことは全然考えておりませんという御答弁がありましたが、本日の石野君に対する御答弁によりますと、第一次的には現金だと言われる。そうすると、第二次的には有価証券、しかもただいまのさらに踏み込んでの質問に対して、公債発行の政策が決定され、そうしてその消化の問題が論ぜられるときにどういうふうになっていくか、それは今後の問題だ、こういうふうに言っておられる。そうしますと、準備率によって、発行された公債が消化されるという窓口がここにできるわけです。そうすると、公債発行を通じての財政インフレというような、いろいろな問題も生じてくるわけであります。
以上の二点について明確に後答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/46
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047・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 第一の政策委員会についての考え方の点ですが、これは先ほどちょっと申しましたが、日本には中央銀行は一つなんです。その意思決定が、幾つかの重役会があることは必要としないだろう。これは私自身の率直な見方であります。ドッジが来ましたときに、実をいうと私は反対したのです。中央銀行が幾つもあれば、その上に一つのボード、アメリカ式のボードを作ることはいいが、中央銀行一つでこの上にあるというような国は一つもない。これは私の私見ですが、それで押し切るわけではありません。率直に申しますと、昔の英蘭銀行等が——日本が貿易に依存する国柄、いろいろの点において似通っておる、そして英蘭銀行が非常にうまくいっておる、こういう点から、むしろ英蘭銀行式の市役構成にされていいのじゃないか、それに日本式のものが加味されればいいという意見は当然あり得ると思う。これは私は強く主張したがいれられなかった。
それからもう一つは、こういうこともお考え願いたいのです。私は今政策委員会を廃止するというのではありません。しかし政策委員会について考えなければならぬ点がありはせぬかという御質問に答えるのですが、それはこういうことです。日本銀行には重役会がある、総裁、副総裁、理事がおそらく全部で十幾人おる、これは朝から晩まで中央銀行の業務をやっておるのです。ところがこの連中は、日本銀行の政策決定には何もあずからない、そうしておいて、別に一週間に二回、金曜日と火曜日に来られる方が中央銀行の政策を決定している。これは、形はいかにも何ですけれども、やはり私はよほど考えるべき点がある。これは、ほんとうに力を持って、ほんとうに仕事に携わっておる者を政策決定に参加させるが、同時にそれでは一方に偏するから、たとえば民間の産業人とか、あるいはそのほかの方々に行ってもらって、ともに決定するという考え方は、私はいいんじゃないかという見解を持っています。しかし私は今大蔵大臣だから、そういうことを言うと、またえらい影響力があると思われる——影響力を持たれてもいいのですよ。私の一つの私見でいいんです。私に言わせれば、それはやはりほんとうにこの委員会で検討を加えてほしいのです。何も政策委員会をやめるとかなんとか、けちくさいことは考えていませんよ。中央銀行の意思決定機関がどうすればりっぱなものができるかということを、ただこいねがっておる、それだけ申し上げておきます。
それから準備率につきまして、一次的という言葉がありました。これは私の言葉が悪かったので、一次的ということは、私の考えでは、本質的という意味だったのです。そういう公債というふうなものをそれに関連させるのは、私の考えでは邪道だという意味であった。従って率直に言えば、私としては、支払い準備制度をやる場合に、それで公債を持つということは考えておりません。それだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/47
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048・春日一幸
○春日委員 ただいまの御答弁によりますと、日本には中央銀行が一つだから、日本銀行には重役会があり、屋上屋を重ねた政策委員会があるということについてあなたは個人的に疑義がある、こういうことなんですね。ところがわれわれの理解するところは、日本銀行というのは政府が出資いたしておりますけれども、民間側もこれに参画いたしておるわけなんです。中央銀行としての任務と、やはり商業——と言うと言い過ぎかもしれませんけれども、経済ベースの上に立っております。国策的の立場と同時に、経済的な立場と両方の性格を持っておると私は思うのです。それで、日銀政策委員会は主として中央銀行としての、すなわち金融政策上の判断、意思決定を行う、こういう意味で、これが各界各層の代表者によって構成されておる、こういうところに特殊の意義を持っておると考えております。従って、この運営によって本日まで大体その機能は円満に果してきて、しかも完璧が期せられておるとわれわれは理解しておったわけです。ところが英蘭銀行の例を引かれて、他のそういう中央銀行が複数であるところの制度と、それから日本のような一つである場合の制度について検討せなければならないというお説でありますけれども、われわれは、日本銀行がただ一つの金融政策だけで、国策だけで、そうして百パーセント国家出資でできておる銀行ならば、あるいはそういう説が成り立ち得るかもしれませんけれども、結局現実に二つの任務、性格を持っておる場合において、日銀の重役会の意思決定と、さらにまた国策的な面についての政策委員会の意思決定とがそこに二つ行われて、さらにそれが調整されて運営されておるという現行制度には、別に支障があったということを今までわれわれ聞いておりません。そこでお伺いをしたいのは、あなたも長年総裁として、現実に日銀の事務を把握しておられると思いますが、支障となるような面があったならば、この際それを具体的に御明示を願いたい、これであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/48
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049・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ちょっとお考えを補足といいますか、お聞きしたいことがあるのですが、政策委員会はかりにどうなるにしても、民間の意見をいれぬというのじゃないですよ。民間からも今度入れ、やはり政策委員会——極端に言えば、今の政策委員会をそのまま置いてよろしい。ただ政策委員会というものを全然分離しまして、全然日本銀行の本来のプロパーとは分離した存在として、日本銀行のプロパーの方の意見はもう何もいかぬ、お前はただ執行、仕事をすればいいのである。ところが金融というものは、自分で実際朝晩仕事を見詰め、金の動きというものをよくにらんでいる人でないと、やはり政策は立ちにくいのです。それはもう理屈は抜きにして、ビジネスというものは大体にそういうものです。やはり自分が仕事をせぬでおって、なかなかああすればいい、こうすればいいという政策は立てにくい。そこで私は、今のが必ずしも悪いと言うのではありません。だから残しておいてもいいと考える。しかしよりよい制度がないかということを、この際金融制度全般を考えるときに考えることがなぜ悪いか、なぜこだわるか。結論として今の政策委員会の制度がいいとすれば、そのままにすればいいじゃありませんか。何かそれにこだわって、それよりいい制度があるかもしれぬのに、それよりいい制度を研究するのは相ならぬ、こう言うのはおかしいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/49
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050・春日一幸
○春日委員 一つの例として申し上げるのだが、たとえば現行の天皇制ですね、天皇制について考え直すということは、天皇自体に疑義を差しはさんでおる者の言う言葉、こういう考え方であろうと思うのです。日銀の政策委員会というものに対する疑義を、所管大臣である大蔵大臣からさらによりよきものがないか、こういう考え方をお持ちになることは、これは問題が重大なんです。現実に現在の運営のあり方になお足らざるものがあるから、従ってなおプラス・アルファのアルファを考えてみよう、こういうことであろうと思うのです。それを、私ははっきりと言われたらいいと思うのです。日銀政策委員会が足らなければ、こういう点が欠点だから、この点を中心として検討すべきであるというので、国民に問題の在所を指摘されて問題にされたらいいと思う。あなたのように、日銀政策委員会の制度も是認するかのごとく、なおかつこれを足らざるもののごとく、あいまいもことした表現は、関係者に対して疑惑を植えつけるだけであって、何のプラスにもならないと思う。欠点があるなら、こういう点が欠点であった、私どもの理解で言えば、日銀の重役会なり政策委員会があるが、それは、一つはやはりコマーシャル・べースにおける日銀の企業上の意思決定、それから各界各層から出てきたところの日銀政策委員会の構成、これはやはり中央銀行としての超経済べースにおける政策を中心とするところの意思決定、こういう工合にいっていると今まで私どもは理解しているわけなんです。そして日本の金融行政は秩序を保って前進してきたと思っておる。ただ私が今関連質問で特に大臣にお伺いをしたい点は、とにかく七カ年間にわたる実績を通じて、ほんとうに欠点があるならその欠点をお示し下さい、こういうことなんです。そしてその制度に触れて問題を検討するならば、関係者に問題の在所を明確にされることが、所管大臣として、かつは日銀の長いエクスペリメンターとしてのあなたの責任ではあるまいか、こういうことなんです。一つ明確に答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/50
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051・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 春日さんのおっしゃることはごもっともですよ。ごもっともですが、しかし私は、少し御無理をおっしゃっていると思う。日本銀行法を今度改正するという場合に、その一番大事な日本銀行の意思を決定する機関がどうあるかということが一応検討の対象になるということは、これは常識でしょう。日本銀行法をいやしくも改正をしようというのですから、その場合に、日本銀行の意思決定機関がどうあるべきかということを考えて悪いことはないので、現在のものがどうあるとかこうあるとか、そういうことまでおっしゃらなくても、一ぺん考えてみることは当然ですよ。だから、私は何も……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/51
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052・春日一幸
○春日委員 日本銀行法を改正するということは、決定しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/52
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053・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いや、これは金融制度調査会に——それは先ほど言うたように、これは戦時立法ですから、金融制度調査会ができて日本の金融制度をどうするかという問題になれば、日本銀行法に手をつけることは、これはもうどうしてもそうお願いをしなくちゃならぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/53
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054・春日一幸
○春日委員 それでは、現在の日本の金融行政が円満に運行されるためには、現在の日本銀行法を改正しなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/54
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055・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それはそうですよ。日本銀行法をお読み下さるとおわかりになるように、あの日本銀行法は、大蔵大臣の命令通りで、日本銀行は何でも金を貸さねばならぬようになっておる。国家目的のために、日本銀行は大蔵大臣の命令によって融資をしなければならぬという戦時立法がそのまま残っておる。そういうことは客観的情勢が許さぬですから、大蔵大臣もそういう条文は考えておらぬし、日本銀行としても、事実上の問題ですといわゆる死文になる。ところがそれは重大な条文ですよ。こういうものに手をつけぬという手はないと私は思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/55
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056・春日一幸
○春日委員 私は、日本銀行法を今ここに持っておりませんし、あなたと比べればとても問題にならないくらい経験も知識もございません。けれども、われわれが今まで理解をしておりまする範囲内では、現在の日本銀行法の制度は、大体政治的中立性というものが守られておる。それはすなわちクッションとして、ここに日銀政策委員会があって、そうしてこれは大臣の任命によるといえども、やはりこれが自主的な意思決定を行なって、それによって運営をされておる、こういう工合に理解をしておるわけなんです。そこで政治的中立性をなくする心配が一番あるのは、この日銀政策委員会の権能を剥奪することにある。こういう工合に考えておるのですが、問題は逆なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/56
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057・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 中央銀行が当然あるべき、ごく端的に言えば中立性、これをなるべく保つように努めよう、それには一体どういう制度がいいか。これは社会も動いておりますし、それからいろいろな客観的条件も違ってくる。そうすると、常に検討を加えて、よりよいものを作るにはどうすればよいか。特に基本法を改正するような場合には、そういうことをやはり考えてみる、何も現状々々というふうに考えなくてもいい、研究の結果現状がいいというならば、現状をとっていけばいい。何も、たとえば政策委員会を廃止するということを前提にしておるのじゃないということを、私は明確にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/57
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058・石野久男
○石野委員 ただいまの春日氏の質問に対して、なかなか要領よく逃げておられます。結局は大蔵大臣としては、日銀の政策委員会というのは屋上屋を架するから、これはやめた方がいい、こういうふうに私たちは理解しているわけですが、ただ蔵相は、何も廃止しようというのじゃないと言う。しかし廃止しようというのじゃないと言うけれども、片方には重役会があって、その上政策委員会があるのは屋上屋を架しているじゃないか、これは要らぬじゃないかというのが大蔵大臣の意見です。だから結局廃止しよう、こういうふうに考えておるというふうに了解していいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/58
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059・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それはまた、なぜそういうふうにすなおにおとりなさらないかと思うんですよ。そんな無理を言うことは何もありません。そういう点もあるから検討を加えることがいいんじゃないか、それが決定的な要因とは、だれも言うんじゃありませんよ。政策委員会という名を残しておいてもいいし、今のような形でもいいが、さらにそのメンバーをどうするかという点も考慮になるかもしれません。そういうふうにすなおに、よりよくするにはどうしたらよいか、こういうふうにお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/59
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060・石野久男
○石野委員 なるべくすなおに聞いておるつもりですが、しかし政策委員会がなくなったって、その人はどこかに残っておればいいじゃないかということを言ってみても、そんなことはだれも理解できない。重役会の中に入って重役と一緒にやれと言っても、ちょっとできないから、そういうことはわれわれは考えられないというわけです。それは、あとであなたが調査会にかけるのだから、あなたの意向がそうだというふうに理解しておればいいわけです。
私は、この機会に一つ大蔵大臣にお聞きしておきたい。旧台湾銀行の在外資金を基礎にして、東南アジア対象の貿易投資会社を作るという計画がある、こういうことを聞いておりますが、そういう構想があるのかどうか。
特にこれと関連して、海外投資機関を作るということについて、最近ダレスさんがおいでになった。その問題等を大蔵大臣がダレス氏との間で話し合いをするというようなことを、事前に新聞などでも散見しております。今度ダレス氏が参りましたときに、大蔵大臣はそういう問題について話し合いをしたのであるかどうか、海外投資機関について、アメリカの資本がそれに参加するというような問題などもお話しになられたかどうかということを、一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/60
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061・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一つは台湾銀行の在外財産、これは具体的にまだ何も聞いておりません。
それから東南アジアについての開発会社といいますか、この構想については、私多年の自分の考えでありまして、ここ数年来そういうことばかり考えておりました。最近まではそういうことがなかなか実現が困難で、もっぱら世界銀行等の融資を東南アジアにできるだけ多く配分をしてもらうということに努力をして、若干ずつ成功を見ておるのでありますが、しかしなかなか思うようにいきません。そこで今日の国際情勢から見て、東南アジアのこの貧乏な、しかも民族意識の強い、こういうふうな地域の生活を向上させる、あるいは経済を発展させて安定させるということが、アジアの平和を確保する上に最もいいという見地に立ちまして、何らかここに一つ、そういうような国際的な意味を持った国際的な機関で、東南アジア諸国の民族意識を十分考慮に入れて——私は、できれば国連というような機関を通じての開発計画が最もいいんじゃなかろうかという考えで実はあったのですが、日本は国連にも入っておりませんので、実はそこまでできなかったのであります。それで、今は主としてアジアに関係のあるアメリカ、それからコロンボ会議、こういうものは、それぞれのお立場があって勝手なことは言えませんが、こういうふうな日本を初めアジアの国々一緒になって、そうしてここで一番困っておるのは、貧乏しておるから、アジアの経済をよくしなければならぬが、よくするには、資源があるから、これを開発しなければならぬ、あるいは農業も開発しなければならぬ、ところがそれには資金がないというのが一番悩みでありますから、その資金を、そういう国際的な力で注入をして、そうして日本あたりの技術、あるいは工業力をなるべくその方面に動員していこう、こういう構想は、ダレス氏にも、あるいはダレス氏に限りません、あるいはアメリカから来られる人、あるいはまたアメリカだけじゃありません、東南アジア諸国の代表者にも1先般トルコに行った場合も、東南アジアの大蔵大臣の方々とも話し合って、私はそういうふうにして、ざっくばらんな話ですが、あらゆる機会にあらゆる関係者に接触しまして、そういう構想の実現を今努力しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/61
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062・石野久男
○石野委員 MSA第四百二条による余剰農産物受け入れ問題について、在日米大使館から非公式な打診が政府にあったということを聞いておる。政府は、それについて非常に慎重な態度をとっておられるというように聞いておりますが、政府はその問題について、どういうふうな検討をなさっておるか。特に現在パキスタン向けの米綿委託加工が同国への通常綿製品輸出の障害となっておるというふうにわれわれは見ておるのですが、今度のアメリカの非公式のそういうMSA第四百二条の問題に関連する余剰農産物を受け入れる、これに応ずるということになると、わが国の輸出が全般的にそういうような点で侵害されるというようなことになりはせぬかという危惧を持ちますけれども、大蔵大臣はその点はどういうように考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/62
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063・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この余剰農産物のことにつきましては、今政府でも慎重に考慮を加えております。これには、やはり非常にいろいろな問題がありますから、慎重な考慮が必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/63
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064・石野久男
○石野委員 それは慎重に考慮しているということ、それからどういうような点を検討しておるのかということを聞いておるのだし、特に今のそういう問題と関連して、アメリカの米綿加工という問題が出てくるわけで、米綿委託加工というものがわが国の輸出をかえって侵害するような結果になりはせぬかということをわれわれは心配する、それと四百二条の問題に関連するいろいろの問題点がある。そういう問題をどういうふうに考えるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/64
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065・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 御説の通りでありまして、この余剰農産物の受け入れ、このことはやり方いかんによっては、たとえば貿易にも関連します。貿易に関連すれば、国際収支にも関係をしてくる、その他どういう品目であるとか、いろいろな問題があります。従いまして、今申し上げたようないろいろな点から検討を加えておるわけです。(「いろいろが聞きたいのだ」と呼ぶ者あり)いろいろのうちでも、一番重大な分は今申し上げたのであります。これからまたいろいろと派生が出てきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/65
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066・石野久男
○石野委員 いろいろな点があるから、そのいろいろな点のうちで、私は具体的に一つ出しているわけなんです。この余剰農産物の受け入れの問題に関連して、いわゆるアメリカの綿花を委託加工しなければならないような条件が出てくるわけです。そういうことでわれわれがやる場合に、やはりわれわれの輸出がその面から非常に優等を受けるじゃないかということを私は聞いておるわけです、だからいろいろな問題でごまかさないで、私の聞いておる問題に、ずばりそのもので答えてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/66
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067・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お答えします。委託加工とおっしゃいますと、これは、委託加工というのは、余剰農産物と関係なくしておる部分もありますが、かりに余剰農産物というものを東南アジア諸国で受け入れた場合に、これを製品にする工場がない、日本に一つ加工してもらっていこう、日本は加工賃だけをもらうとか、こういうふうなこともあるかもしれません。あるかもしれませんが、やはりそれは量にもよります。しかしそういう点は考えなくちゃならぬ点でありますから、今検討を加えておる。問題はそれだけにとどまらずに、いろいろとまた大きな問題があるから、まだ結論が出ない、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/67
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068・石野久男
○石野委員 先ほど海外投資機関の問題で、アジアにおける未開発地の開発のために、特に金融面で、資金の問題で困難をしておるから、日本はその金融の面で、資金の問題について、アメリカやあるいはコロンボ会議に関係するいろんな諸国と協力して、そういうものを一つめんどうを見てやりたい、こういう折だった。めんどうを見てやるということは非常にけっこうなことです。けっこうなことでありますけれども、しかしわが国の財政自体が、非常にめんどうを見てもらわなければならぬような状態にあると私は思う。そういうときに、われわれの輸出が、かえってこういうMSA四百二条の問題に関連して障害が出てくるということが心配だから、私は言うわけなんです。ことにあなたは、今加工工賃をもらうとか言うけれども、加工工賃をもらう以上に、日本の輸出されるべき製品がそれのためにストップされたり、あるいは受け入れられなかったりすればかえって損になる、そういう問題を私は聞いておるのです。特にパキスタンなんかでは、昨年から綿糸が非常に過剰ぎみになっておると思うのです。設備拡充なども非常に手控えられるような状態になっているというふうにわれわれは見ているわけです。わが国の繊維機械の輸出というようなものも、そういう意味から頭打ちをしておるというような状態になっておるし、特にインドでも、西欧各国から非常に鉄鋼価格が引き下げされてきて競争が強化してきております。最近では、レールの国際入札なんかで、日本の業者は全くみじめな負け方をしておるというのが実情であります。ことに最近では、インドだってセイロンだって、インディアニゼーションあるいはセイロニゼーションというような、こういう形の政策が非常に強く出ておると思う。私はこの機会に、東南アジア放棄ということについて、これらの後進国諸国が非常にそういうような態勢を強めてきているということ、ことにソ連や中国がその中に割り込んでどんどん入ってきておるというような情勢があると思うのです。こういう中で、貿易についての問題、あるいはまた援助についての問題も、政府の施策というものは非常に大声になってくると私は思っております。先ほどの海外投資の問題もそうでありまするし、また今の日本の財政とか、あるいは経済の政策が非常にアメリカ依存の形が私は強いと思うのです。こういうような状態の中で、私たちが少しでも、そういうアメリカ依存の形をとりつつも、やはり国家財政の中から少しでもそういうようなものへどんどん金を出そうというような形で東南アジア政策を進めていっているのでは、まずいのではないか。やはりこの際に、経済外交というような回顧は、むしろソ連や中国がやっているように、政治的な面からも積極的に発展さしていくような態勢が必要ではないかというようなことを、私は東南アジア政策の問題で大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。これは、もちろん外務大臣やあるいは通産大臣の問題点にも触れると思いますけれども、この機会に一つ大蔵大臣から見解を聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/68
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069・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 余剰農産物に関係する点についての御意見、お考えは、私どももやはりそういう意見がなかなかあるのです。そういう点を十分考えていかなければならぬ。従いまして、御意見の点は、十分私どもがこの問題を決定する場合に参考にいたしたいと考えておるわけであります。
それから東南アジアの開発といいますか、東南アジアに対するわが国の投資、これは今お話しのように、財政からということは、なかなかこれは困難です。財政から金を出すというのはなかなかむずかしいわけです。少くともまず賠償問題を解決しなければならぬ、これが当然財政からです。この賠償を解決するだけの財政負担も、これは容易でありません。その上に次々と財政からいくということも、なかなか困難であります。ですから今後におきましては、一方において国際的な資金を動員をするとともに民間的にも東南アジアの開発には協力してもらう、こういうふうな形にいかなくちゃならぬだろうと思っております。むろんそれだからといって、政府がなすべきことをなさぬわけではない。たとえば三十一年度の予算でもおわかりのように、輸出入銀行等の資力は増大をして、そしてプラントの輸出に貢献していく、こういうふうな形をとりますが、財政というのは、要するにビジネスなラインにおいて可能の財政資金と、民間資本を動員していきたい、かように考えております。
それからもう一つつけ加えておきますが、当面外貨が要らぬから輸入をしておく、将来に外貨支払い延ばすといいますか、こういうふうな考え方は、やはり私は注意しなくちゃいかぬ。たとえば今円で輸入ができるから円で輸入する、しかし将来これをドルで返さなくちゃならぬというのは、やはり国の負担からいえば、今日のやすきで将来に禍根を残すおそれがないとも限らない、これは、今後の国際収支というものも十分見なければならぬ。従いまして、そういう点を安易に考えてやっていないということだけを申し添えておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/69
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070・松原喜之次
○松原委員長 次に、印刷事業に関する件について春日委員より発言を求められております。これを許します。春日君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/70
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071・春日一幸
○春日委員 大臣にこの際お伺いをいたします。あなたの所管にありまする印刷局において、今回大疑獄事件が発覚をいたしました。国民は驚愕し、はなはだ憤激をいたしておるのであります。当然大臣は、責任を痛感された立場におきまして、本件事犯の内容についてすでに十分真相を御調査に相なっておると思うのでありますが、この際、管財並びに印刷局に関連をいたしまするこれらの大疑獄事件の真相は一体いかようなものであるか、本委員会を通じて、一つ国民の前にこの真相を明らかにいたされたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/71
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072・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 印刷局の事件として新聞等に報ぜられておりますが、ただいま捜査当局で取調べ中でありますので、実は私もその取調べの詳細については、なお報告を受けておる段階になっておりません。問題については、今ここに調べたものがありますから、問題の点を私申し上げます。私が報告を受けておりますところでは、次のようであるのであります。
一つには、当初印刷局の外郭団体であります朝陽会に対しまして、印刷局の不用物資の払い下げを受けますのに際しまして、談合行為をなし、不正を働いているとの疑いをもって関係者が取調べを受けたのでありますが、これは調査の結果、関係者はいずれも起訴猶予となっております。
次に、朝陽会関係とは別に、滝野川工場の不用物資の払い下げ及び印刷局関係の工事施行に関係をいたしまして、贈収賄が行われたとの疑いで取調べられた者は、印刷局関係者九名、業者七名となっております。印刷局関係者九名中、すでに起訴された者が二名、処分保留釈放中の者が二名、目下勾留取調べ中の者が五名であります。
三、なお関東財務局職員で、国有財政の払い下げにつきまして不正があったとの疑いで取調べ中の者が一名おります。
これが今私が報告を受けておりまする全部であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/72
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073・春日一幸
○春日委員 大臣の御答弁は、私はまことにおそるべきものがあると思う。ただいまの御答弁によりましても、国民の前に、所管大臣として責任を感ずる言葉が一言も述べられなかったのであります。私は、少くとも新聞が報道いたしておりまする通り、まるで国有財産をわがもの顔にして、調べていけば、まるで泥沼のように果ても知らぬと伝えられております。ただいま御発表になりました経緯と新聞の報道するところには、若干の食い違いはありまするけれども、いずれにしても調査の結果、ここに報道しておるところによりますと、印刷局の職員十名、外郭団体である朝陽会二名、関係業者九名、合計二十一名、少くともあなたの部下がこんなにも多数国有財産を瞞着したり、あるいは自分の職権を乱用してこの腐臭にまみれておった、こういうような事件に対して、私が本委員会を通じて国民の名において質問をいたしたのに対して、あなたは済まなかったとか、責任を感じておるとかなんとかいう言葉が一つも述べられておりません。私のここに書いてあるところによれば、その内容は次のごとくであると言って、てんとして恥じるところがない、一体こんなことでよろしいのか、あなたはこの問題について何ら責任をお感じになっておりませんか、私が当然こういうような質問をするからには、所管大臣として、国民の前に、その監督の至らなかったこと、それから大蔵省官吏全体として、こういうようなでたらめな、腐臭にまみれたことについて、私は誠心こめての陳謝の意思表示があるものと思っておったが、何らそのことについて一言も触れておらない。あなたはその点について、何も責任をお感じになっておらないのか、この点をまずもって伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/73
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074・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 とにかく自分の部下が検察当局の疑いをかけられるということ自体について、私もはなはだ相済まなく思っております。しかし、今なお事はお取り調べを受けておる途中であるのであります。疑いがあるからということでありますから、私衷心遺憾には存じまするが、まだ事件の過程はそういうところであるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/74
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075・春日一幸
○春日委員 驚くべき御答弁です。今の御答弁をお聞きしまして、さらに憤激を深めました。と申しますのは、私がここで論ずるのは、裁判所、すなわち刑事事犯をせんさくするところの法廷でも何でもない、われわれは政治道徳として、政治問題として論じておるのです。あなたの御答弁によりますると、これはまだ取り調べ中だから、いいとも悪いともわからないので、ただ事務的に事柄を報告して、事態の推移をながめておるという御答弁であります。あなたは所管大臣といたしまして、当然事件の真相というものを把握されないはずはない。そこで私はお伺いをいたしまするが、私は、まだ事件がなお当局の手によって調査中でありますので、なお新聞の報道するところも、あるいはどの程度核心をうがっておるかということについても確信を得ておりません。そこで、私はあなたにお伺いをいたしまするが、その某局長なるものが、かつて前任地でありましたところの関東財務局長の立場を利用して、山階宮でありましたか、その国有財産として物納いたしました不動産物件を、不当にその払い下げを行なった。しかもそれは、国有財産を規定いたしておりまする法律に基けば、少くともその職員は、そういう国有財産払い下げの対象となってはならぬ、こういうような法律に違反をして、そういうような事柄が行われておった。そういうような法律が全然無視されて、退任後わずかに二カ月かで、不当にめちゃめちゃな価格でこれが払い下げをさしておるというような事柄は、これは当然あなたがその事件の真相を今お知りにならないはずはないと思う。国有財産の問題については、みんなこれは国民の血税であって、とにかく国の財産、こういうようなものが、倉庫番がどろぼうをしたというような形になってみれば、国に対する国民の信望はどうなるか。これは、とにかくあなたが責任を感ずる立場において、この問題を峻烈に処理されるということによって、こういうような問題に対する所管大臣の国民に対する態度というものはあらねばならぬと思う。私の質問に対して、こういうような問題に何ら触れられないのみならず、問題を一切裁判所にゆだねて、裁判所の決定がなければ政治的責任がないかのごとき御答弁であるが、そうでありますか。一体私がお尋ねいたしたいことは、裁判所は裁判所として独自の立場で、これはそれぞれ法律に基いての執行がなされるでありましょうが、あなたは所管大臣といたしまして、しかもこういうような、法律に触れざるといえども、あるいは起訴猶予になるといえども、すなわちその衝に当る者の態度として、こういうような事柄ができたときに、一体国民の前にどういう態度をもってこの問題の処理をされようとするのであるか。すなわち大臣として、いかなる態度をもってその責任を果さんとされるのであるか、この点、一つあなたの所信のほどを明らかにいたされたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/75
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076・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 先ほどから申し上げましたように、自分の部下が不正があったというようなことで疑いを受けたということについても、私ははなはだ相済まなく思っておりますということは申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/76
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077・春日一幸
○春日委員 私は、この際管財局長にお伺いをいたします。少くとも大蔵省の局長がこういうような事犯の当事者になられ、犯罪嫌疑の当事者になられたということについては、私はまことに重大な政治問題であろうと思うのであります。従いまして私どもは、この新聞によって報道されておる通りのことであるのか、あるいはまた違った内容のものであるか、この際事務的にありのままを、調査されておりまするところを御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/77
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078・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいま大蔵大臣からもお答え申し上げましたように、私どもの部内からかような不祥事件の疑いをかけられました者を出しましたことを、まことに遺憾に存じております。つきましては、この事案の関係することについて、ただいませっかく調査をいたしておるのでありますが、まだ実は一部書類が捜査当局の方に渡っておるというふうなこともございまして、完全に調査を終っておりません。ただ、ただいま御質問の点につきましては、一応この新聞の報道と多少の違いがございます。かつて関東財務局におきまして宿舎として使用しておりました建物、これを印刷局に転任後払い下げを受けておるという事実はございますので、その価格その手続等につきまして、せっかく調査をいたしております。新聞には物納財産とございますが、この点は、私どもの調査では物納財産ではございませんで、関東財務局におきまして宿舎として買い上げました物件につきまして、印刷局に転任後払い下げを受けておるという事実は、一応その通りでございますが、ただいま申し上げましたように、その手続その価格等につきましては、目下せっかく調査中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/78
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079・春日一幸
○春日委員 私は、この事件が新聞で頭を出しましてから、すでに二週間、三週間くらい経過いたしておると記憶をいたしております。あなた方がもしもほんとうに責任を感じられますならば、国民の血税で買った国有財産、物納であろうと収買いたしましたものであろうと、これは国民共有の財産であることに何ら変りはございません。そういう貴重な財産が不当な価格で払い下げをされたということについて容疑があるならば、この問題は、もうすでにこの二週間、三週間の期間内において、あなた方の独自の責任において、十分調査がなされておってしかるべきだと私は考えます。しかるところ、今正示さんの御答弁によりますると、今調査中であって、報告の段階ではないということでありますが、一体それが責任のある態度でございましょうか。警視庁にそういうような問題をあなた方が刑事事犯としてゆだねられると同時に、政治的責任において、当然その所管局長として、または大臣として、この二週間の間において、そういう財産がいかなる価格で、すなわち時価幾らのものが、不当にいかなる価格で売却されたかというぐらいの調査が本日本委員会に報告でき得ないということは、ともに問題を隠蔽せんとする魂胆であるのか、それとも国民に対して責任をとられる態度であるのか、私は判断に困ります。当然その三週間の時間の中において、そういう財産が不当に安く払い下げられたものであるのか、すなわち国有財産管理に関する諸法令に違反をして処分がされておるのであるのかどうか、この点ぐらいのことは御答弁なされなければ、責任ある態度とは言えないじゃありませんか。ほんとうにその調査ができていない、ことほどさようにあなた方の管理監督はずさんなものであるのか、あるいはともにこの問題を隠蔽して、くさいものにふたをせんとする態度であるのか、どちらですか、私は重ねて御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/79
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080・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、ただいまこの評価がどういうことであって、適切であるかどうかという点について、せっかく調査をいたしておるのでありますが、一実はすでに判明いたしておりますから、その事実をちょっと申し上げます。先ほど申し上げましたように、東京財務局におきまして買収をいたしました当時の価格は、土地は二十五万五千五百円、建物が二十六万四千六百円ということになっております。これに対しまして、先般財務局におきましての払い下げをいたしました価格でございますが、これは土地が二百三十三万円、建物が十万八千三百六十円、工作物が二万二千四百円、立木竹が一万七千三百七十三円、合計二百四十七万八千百三十三円、こういう価格になっております。これをどういう評価でいたしたかという点につきまして、先ほども申し上げましたように、関係書類が捜査当局の手に渡っておる事実がございまして、ただいまその方に連絡をとりまして取調べをいたしておるのであります。なお御参考まででございますが、この土地の処分は、関東財務局の職制上目黒出張所の所管になっておりました関係がございまして、ただいま申し上げたように、取調べの関係に意外に時日を要しておるのでありますが、これはさっそく取調べをいたしまして別に御報告申し上げたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/80
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081・春日一幸
○春日委員 ただいま局長の御答弁によりますと、当時安い価格で買ったものを、それに何倍かする価格で払い下げられておる、こういうようなことで、国はこれによって何も損をしていないかのごとき印象を与えられますので、私はさらに問題を明らかにしておかなければならぬと思うのであります。新聞の報ずるところによりますと、問題の物件は、評価額が一坪当り三万八千円、税務当局の不動産の評価台帳によりましても八千円をこえておる。それが、問題の目黒出帳所の所長に命じて、わずか三千円の不当な価格、税務署がその公正な立場で評価しております額の何分の一というような安い価格で評価されておるというところにその不当性がある、こういうことで問題が起きておるのであります。いずれにいたしましても、書類がどこにどうなっておろうとこうなっておろうと、国有財産を管理する立場において、あなた方が職責に忠実であり、なおかつ問題を明確に処理せんと欲するならば、こんな物件はいかなる時価で、いかなる評価額で払い下げするか、公正な価格がどんなものだというくらいのことが本委員会において御答弁でき得ないというはずはございません。少くともこれらの問題については、もっと事務的に、責任を感ずる立場において公正な発表を私はなされなければならぬと思う。正示さんは非常に公正な方だとわれわれは今まで御信頼申し上げてきたが、今の御答弁は、はなはだ作為的である。二十何万何千円で買ったものを二百何十万円で売ったんだからというような御答弁ですが、貨幣価値の単位の変ってきたインフレーション高進の過程において、この答弁だけを聞くと、国民は錯覚に陥る。二十何万何千円で買ったものを二百何十万円で払い下げしたのだから、国損はないのではないかというような誤解を生ずる、そういう誤解を発生させるような作為的な御答弁をされることは遺憾千万に存じます。いずれにいたしましても、この問題は重要な問題であり、しかも国民ははなはだ憤激をいたしておるのでございますから、当然大蔵省当局は、事務的にもっと厳粛な態度で事の真相をつまびらかにされまして、その資料を本委員会に提出されて、その資料に基いて、われわれはさらに質問を展開いたしたいと存じます。従いまして、本日はその資料がなおそろっておりませんので、私の質問を留保いたしまして、次の機会に譲りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/81
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082・正示啓次郎
○正示政府委員 一言申し述べさせていただきますが、私は決して作為をするために先ほどの数字を申し上げたのではございません。私はただ事実を事実として申し上げたのでございます。
なお春日委員の御要求のございました資料は、至急に作成いたしまして、当委員会に提出をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/82
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083・春日一幸
○春日委員 それでは重ねてお伺いをいたしますが、要するにあなた方が買われたときの価格、これは事実が述べられました。払い下げられた価格、これも事実が述べられました。ならば、当然あなたは事実についてあらゆる調査が行き届いておると思うのだが、当該不動産物件は時価は何ほどのものか、並びに税務当局の評価額は何ほどのものであるか、これをあわせて述べていただかなければ、事実を完全に述べられたことには相なりません。この二つの問題をこの際御答弁を願っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/83
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084・正示啓次郎
○正示政府委員 ただいま重ねての御質問の点につきましては、調べ中でございますから、あとで資料として提出いたしたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/84
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085・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明後二十二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02019560320/85
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