1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十二日(木曜日)
午前十一時四十分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 黒金 泰美君 理事 小山 長規君
理事 高見 三郎君 理事 藤枝 泉介君
理事 石村 英雄君 理事 春日 一幸君
淺香 忠雄君 伊東 隆治君
生田 宏一君 遠藤 三郎君
岡崎 英城君 荻野 豊平君
奧村又十郎君 加藤 高藏君
吉川 久衛君 杉浦 武雄君
竹内 俊吉君 内藤 友明君
中垣 國男君 福田 赳夫君
古川 丈吉君 保利 茂君
坊 秀男君 堀内 一雄君
前田房之助君 山村新治郎君
有馬 輝武君 石山 權作君
井上 良二君 木原津與志君
竹谷源太郎君 田万 廣文君
平岡忠次郎君 横錢 重吉君
横山 利秋君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大藏政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(主計局次長) 宮川新一郎君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
大蔵事務官
(為替局長) 石田 正君
委員外の出席者
専 門 員 椎木 文也君
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三月二十日
委員山本勝市君辞任につき、その補欠として薄
田美朝君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員木崎茂男君、重政誠之君、薄田美朝君及び
濱地文平君辞任につき、その補欠として福田赳
夫君、遠藤三郎君、山本勝市君及び淺香忠雄君
が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員大平正芳君、川島正次郎君、中山榮一君、
夏堀源三郎君及び山本勝市君辞任につき、その
補欠として伊東隆治君、岡崎英城君、中垣國男
君、堀内一雄君及び荻野豊平君が議長の指名で
委員に選任された。
同日
委員伊東隆治君、岡崎英城君、荻野豊平君、中
垣國男君及び堀内一雄君辞任につき、その補欠
として大平正芳君、川島正次郎君、山本勝市君、
中山榮一君及び夏堀源三郎君が議長の指名で委
員に選任された。
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本日の会議に付した案件
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三八号)
交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改
正する法律案(内閣提出第四五号)
余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第四六号)
特定物資納付金処理特別会計法案(内閣提出第
六〇号)
厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八四号)
船員保険特別会計法の一部を改正する法律案(
内閣提出第八六号)
関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第四〇号)
金融制度調査会設置法案(内閣提出第七六号)
国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律
案(内閣提出第二九号)
国有財産法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一一八号)(参議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
補助金等の臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案、余剰農産物資金融通特別会計法の一部を改正する法律案、特定物資納付金処理特別会計法案、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案、船員保険特別会計法の一部を改正する法律案、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、国有財産法の一部を改正する法律案、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案の九法律案を一括議題として質疑を続行いたします。平岡忠次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/1
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002・平岡忠次郎
○平岡委員 私はただいま上程になっておりまする国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案並びにこれに関連いたしまして、政府の貿易、為替政策等につき御質問いたしたいと思います。
まず最初に、この国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律案について御質問いたします。これは御承知の通り、一九四四年七月にハンプシャーのブレトン・ウッズにおきまして、まず国際通貨基金協定が成立し、前後しまして国際復興開発銀行、すなわち世界銀行に関する協定が結ばれました。この二つをブレトン・ウッズ機構の一要素といたしておりますが、今回の国際金融公社は、ブレトン・ウッズ機構における三位一体の一つとして、ここに顔を出してきたのかどうか、この点につきましてまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/2
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003・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 さようにお考え下さってけっこうであります。むしろ、さらに世界銀行の活動を補完をするというようにお考え下さった方がわかりやすいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/3
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004・平岡忠次郎
○平岡委員 世界銀行の資金の方は、たしか百億ドルであったと思います。それから通貨基金の方も八十七億ドルと記憶いたしておりまするが、今回のこの公社につきましては、授権資本がわずかに一億ドルでございます。こういう資金的に非常に低い額が規定されておりまするが、果して中南米あるいは東南アジアの開発に価する機能がこれで期待できるかどうかについて、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/4
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005・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 仰せのように、資本金はわずか一億ドルでありますが、これは主として民間資金を導入していこう、従って融資形態も民間資金と協調融資といいますか、必ず民間資金と協力関係で融資をやっていく、かようになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/5
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006・平岡忠次郎
○平岡委員 そうしますと、この資金一億ドルはむしろ呼び水であって、協調融資としてこの公社の機能を発揮していくことが予期せられるという御所見でございますが、さすれば、この金融公社の融資の対象と申しましょうか、その一つになっておりますわが国自身における開発の問題、この点につきまして、この公社は利用価値があるかどうか、この点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/6
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007・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 開発銀行、いわゆる世界銀行は、相手国の保証をとる、こういうふうな非常に厳格な方針で融資をいたしておりますが、今回のこの公社の方は、そういうふうな国家保証をなくして、融資形態も、今度の公社の方は直接株主になる以外の点では、多方面であらゆる融資形態をとっていく、こういうふうになっているのであります。私はこの資本金が、これで十分とは考えておりませんが、これでスタートいたしまして、今後この資力の増大も期待いたしますが、今のところはそういうふうな行き方で、世界銀行の融資の足らないところを補うのによほど役立つ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/7
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008・平岡忠次郎
○平岡委員 私は、有効な融資が、国内開発の問題につきまして期待できるかどうかをお伺いしているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/8
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009・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私は、日本が直接これから融資を受けるとも考えておりません。主として東南アジアの未開発、こういう方面に融資をすることによって日本の経済が発展をしていく、こういうふうに考えていいと思います。むろん日本としても、融資を受けないというのじゃありませんが、今言うた資力関係その他から見ましても、日本としては、むしろ東南アジアの開発ということにやはり重点を指向する、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/9
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010・平岡忠次郎
○平岡委員 そうしますと、国内開発と言わんよりは、むしろ東南アジアの開発におきまして日本にとってこの公社の利用度があるという点が、むしろ大蔵大臣としては期待できる、かようにお考えなのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/10
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011・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私としては、直接と申すよりも、むしろ間接の効果が日本の経済にある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/11
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012・平岡忠次郎
○平岡委員 そこでお伺いいたしますが、蔵相は過般東南アジア諸国を回られてきたわけでございますが、私はアジア諸国自身が、二つの課題を持っていると思います。それは、今政治的な機構といいましょうか、防衛的な機構といいましょうか、SEATOの機構がございます。他にアジア・アフリカ会議、これがございます。私どもは、このSEATOにアジア・アフリカ諸国が大きな期待を持っておるか、それともアジア・アフリカ会議の精神を強く支持しているか、この実際の動向を判断することが必要であります。日本が東南アジアにおける経済指導とか、いろいろなイニシアチブをとろうとしても、この判断が間違っておれば、有効適切に所期の目的は達せられぬと思うのであります。まず大蔵大臣のSEATOとアジア・アフリカ会議に対する評価につき、お考えをお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/12
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013・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私はいずれをいずれというわけではありませんが、アジア諸国の国々が親善関係を結びまして、経済的には協力態勢にある、あるいは協力態勢を強化していくということが望ましい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/13
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014・平岡忠次郎
○平岡委員 私の質問が少し足らなかったと思うので申し添えますが、大蔵大臣も御存じの通り、アジア・アフリカ会議は反植民地主義の精神をもって貫かれております。SEATOの方は、反共産主義をもって貫かれております。そこでアジア・アフリカの諸国、特に東南アジア諸国が、このSEATOにおいて反共産主義陣営に参加するという意欲が強いか、それともアジア・アフリカ会議を支持して、この植民地主義から脱却せんとする意欲が強いか、この点に対する大蔵大臣の判断をお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/14
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015・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 SEATOにおいても、これがアジア諸国の反植民地性と矛盾するものでないと思っております。アジア諸国は、いずれも今日民族意識を強く持っている、そしてそれぞれの国が自分で自立していこうと考えておる、これは私は間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/15
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016・平岡忠次郎
○平岡委員 アジア・アフリカ会議を貫く精神は、反植民地主義でありまして、かつての支配者であるイギリス、オランダ、フランス等の支配を脱却せんとする強い民族の怒りをこめて発足した機関であると私どもは考えております。しかもこのアジア・アフリカ会議の精神は、これらの旧支配者にかわる新支配者の出現を快く思っておらぬはずであります。私どもはこうした立脚点から、今回議題になっております国際金融公社自身の効果に対して非常に疑問を持っておる、こういう点につきまして、御所見をもう一回お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/16
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017・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それでありますから、この公社もインターナショナルといいますか、いわゆる国際的な性格を持って――単にだれがだれというわけじゃありません。そういうふうな点を十分配慮した機構であると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/17
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018・平岡忠次郎
○平岡委員 まりよくわかりませんけれども、それでは、少し論点を変えてお尋ねいたします。
ダレスがこの間参りましたが、その訪日ステートメントにおきまして、東南アジアにおける政治的、経済的、戦略的な発展に対し、日本がなし得る貢献をアメリカはよく知っていると述べまして、戦略と表現したことが波紋を投げかけましたので、十八日の午後の会議では、むしろこれは根本的という意味だとの説明を加えたのであります。これについては二十日の読売新聞が「うるさい日本の国内への反響を思いかえしたためだけで、その言葉に間違いのあろうはずもない。」といみじくも論評を加えておるのであります。いずれにしましても、ダレスのこのステートメントに表現せられているアメリカの東南アジア政策は、戦略第一主義をもって推し進められまして、政治も経済も、はたまた金融政策も、この戦略態勢を補強するためのささえであることは間違いのないところであろうと思います。
私どもは、この金融公社が、たった一億ドルの資本金をもってしては、実質的な経済開発に対しての寄与はあまり期待できないと思う。これは、むしろソ連の東南アジアに対する経済金融政策、このソ連の経済援助政策の活発化に対抗する一つのゼスチュアの方が多いように考えるのでありまして、もし日本が、こうした東南アジア諸国のほんとうの気持ちというものを理解せずに、この金融公社を通じて、日本があたかも昔のイギリスのコンプラドールであったような立場において、アメリカの東南アジア支配の走狗的な役割をするようなことであるならば、むしろ反撥されると思うのであります。
そこで大蔵大臣、現実に東南アジアにおきまして、この公社に出資せんとしておる国はどのくらいあるかを御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/18
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019・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この公社には、世界銀行に加盟しておる国々が加盟ができるのであります、出資ができるのでありまして、全部がかりに入れば五十六ヵ国ぐらい入ることになります。今現実にどの国がこれに加盟しておるかは、後ほど調べまして国の数を申し上げますが、非常に多数の国であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/19
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020・平岡忠次郎
○平岡委員 東南アジアだけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/20
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021・石田正
○石田政府委員 今のお尋ねは、新しい国際金融公社に東南アジアで入るものがどれだけあるかということだと思うのでございます。すでに加盟に必要な措置をとりました国の一つの例を申しますれば、セイロンは、すでに加入するに必要なる措置を完了いたしております。それから手続は完了いたしておりませんけれども、加入の意思表示をしているものは、たとえばタイのようなものがある、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/21
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022・平岡忠次郎
○平岡委員 総じて私の質問の核心に触れる回答がいただけませんので、非常に残念でございます。私がかようなことを申しまするのは、戦後の世界の貿易の自由化という大きな方向に沿いまして、ヨーロッパ諸国におきましても、その地の地域におきましても、決済同盟的な形で経済交易問題を処理してきております。日本も、でき得るならば、アジアの野心のない友好的な立場におきまして、アジアの人たちの期待に沿うアジア決済同盟的な組織にまで持っていって、そして一つもアジア諸国から不安を抱かれずに、ほんとうに平和的な友好的な立場においてイニシアチブをとっていくということが望ましいと思うのであります。それにもかかわらず無批判的に、しかも一億ドルかそこらの資金量をもって、開発それ自体も実が期待できないような機構に何でもかでも盲目的に入っていくことに対して、自制をしていただきたいと考えるのであります。
次に、為替問題に移ります。貿易の自由化、正常化という政府の施政演説の一課題は、当然為替の正常化の企図と努力なしには解決し得ないと考えるのであります。といいましても、為替の正常化も、決して戦前の自由為替への単純な復帰ではないことは確かであります。戦前にはいろいろな短所がありましたので、戦後国際通貨基金という新しい機構が生まれたと思うのであります。従いまして、戦後における為替の正常化の正しい意味としては、国際通貨基金の機構で考えられているような理想的な為替制度への接近というふうに解するのが、一番現実的な無難なことではないかと思っております。ですから、通貨基金制度それ自身に私は反対も何もないのであります。ただ無批判に、何でもかでもくっついていくという自主性のない政府の政策に対して批判せざるを得ないのであります。
さてこうした前提に立ちまして、日本の現状を西欧諸国に比べてみますと、為替正常化の歩みでは大へん立ちおくれになっておると思うのであります。少くとも為替制度において西欧並みのところまで追いつくことが、当面の問題と言えると思うのであります。日本の特殊事情、アジアにおける日本の立場というものを顧慮しながら、貿易や為替に固有の国際性にも合致せしめるような方策が、今こそ真剣に考えられなくてはならないと思うのであります。
以下私の質問は、以上申し上げた戦後の為替自由化の限度を限度として認め、この限度内にある最良の為替の正常化方式を進めていくために、政府はいかなる企図を有し、いかなる努力をしておるかをお伺いしたいのであります。
まず第一に、決済方式において改めらるべき問題は何であるか、この点についてお伺いします。これは具体的に申しますれば、米ドル、英ポンドのキャッシュ決済は問題はございません。オープン勘定が問題でございます。この方式の改善につきまして、具体的な御問答を承われれば幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/22
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023・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 オープン勘定は、漸次廃止していきたいと考えて、そういう施策をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/23
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024・平岡忠次郎
○平岡委員 それではお伺いしますけれども、三十一年度の外貨予算の概要を一つご説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/24
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025・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 三十一年度の外貨予算は、上期についてただいま関係各省の間で検討を加えておるので、まだどういうふうにするか結論を出しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/25
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026・平岡忠次郎
○平岡委員 私がそれをお伺いしたかったのは、今あなたのおっしゃることが、現実の外貨予算のうちにどういうふうに現われておるかをお伺いしたかったからであります。まだその素案すらもできていないというのでは、この点に関する限りは質問を保留いたします。――大臣がほかのスケジュールがあるなら、やむを得ませんから、あえてお引きとめしようとは思いませんが、私の質問は、まだ緒についたばかりです。この法律案に関しまして、また大臣に次の早い機会に御出席願って、私の質問を続ける、こういうことに御了承をいただけるのでしたら、次の機会でよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/26
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027・松原喜之次
○松原委員長 それでは、大臣はほかに都合があるそうでありますから、平岡君の質問は保留することにしてもらいまして、なお関連して質問の申し出がありますから、横山君にだけ許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/27
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028・横山利秋
○横山委員 簡単にお答え下さればいいのですが、この問題について、今平岡委員の質問に関連してのみお答え願いたい。この九億九千万の金を日本が出資する、そしてその代償を何に求めるかという点について、大臣は先ほど、東南アジアの開発について金を日本が貸してもらうのであって、国内についてこの金を貸してもらうということではないとおっしゃいましたね。そういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/28
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029・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 ないというのではありません。むろん借りる必要があれば借りる機会もあると思うのですが、この機関の目的とするところは、やはり未開発の国の開発ということを主眼にいたしておりますから、そういうことになると思います。そのこと自体は、日本に何も不利なことはないのでありまして、今日東南アジアについては、日本自体としてもできるだけの資本を持って行って、そしてここを開発して、日本の経済をこれと連係させて発展を期そう、この九億は、おそらくそれ以上の大きな形になって東南アジアに注ぎ込まれる、それから受ける日本の経済の利益は大きい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/29
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030・横山利秋
○横山委員 お答えによりますと、今日ただいま直接に日本に金を借りるというのではなくて、今日の問題としては東南アジアを対象にする、そういうふうに承わったわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは申すまでもありませんが、私どもとしては、世界銀行に対しても同じ態度をとっておるのでありますが、できるだけ東南アジアにこういう国際的な資金を注入するようにしたいと思っております。むろんこの金融機関にしても、東南アジアに限りません。これは国際的なものでありますから、たとえば中南米その他いろいろなところに行くかもしれません。私どもとしては東南アジアに持ってきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/31
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032・横山利秋
○横山委員 この間、三月十三日の外務委員会の記録を見ますと、高岡委員の質問に答えて、高碕大臣はこういうことを言っておるのであります。ただいまの国際金融公社が今度できようとしているわけでありますが、これは従前の世界開発銀行と同じ性のもので、これをもっと簡単に取り扱いできるようにしようということで計画されている金融公社であります。さしあたり現在私どもの考えておりますことは、日本の国内の開発に必要な場合にこれを使うのであります。そういうような考えで、これを国際的に使うということはまだ考えていないわけであります。将来はあるいはそういうような方面に持っていくことに相当なるかとも考えるわけであります。きわめて明白に高碕大臣は答えておるわけであります。ここで私はとか言うならいざ知らず、少くとも私どもは、つまり政府を代表して「日本の国内の開発に必要な場合にこれを使うのであります。」と言っておる。なるほど国際金融公社の規定なりあるいは条約なりを見ますと、大臣が今言おうとしておることは私はわからないではない。しかしながら、高碕さんが外務委員会で、この条約を審議する委員会で、さしあたり国内に使おうと私どもは思っておる、こう言っておるのであります。この点について、閣内における意見の不統一とあなたはどういうふうにお話しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/32
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033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、日本としてもそういうふうな、借りることができないとか、借りないという意味ではない。しかし、この機関の大きな目的としておるところは、かような点をねらっておるということを申しておるのであります。具体的なことを今ここで申しておるわけではございません。おそらく高碕君は、比較的具体的なことを考えて、特に電源開発等についてこれはどうかと考えておったと私は思いますから、何も意見の不統一はないと思います。
〔「了解」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/33
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034・横山利秋
○横山委員 了解はいたしません。なぜならば、高岡委員の質問はきわめて具体的にわたっておるわけであります。この金を出してどういうところに使うのか、国際的に海外投資に使うのか、国内に使うのか、その計画はどういうふうになっておるかということに対して、さしあたり私どもは、日本の国内の開発に使いたいと大臣が言っておるのですよ。金を出すのはあなたかもしれぬけれども、使う方は向う様です。向う様が国内に使おうと言っておるのに、あなたが、それは国際だ、東南アジアだと言っておることは、どうも納得ができません。あなたの意見ではなくて、政府を代表する意見として一つ説明をしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/34
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035・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 何も意見が相違しているのではないのであります。私は、今回の国際金融公社の最も目的としておる性格的なところを申し上げておるのでありまして、それだからといって、何も日本は借らぬとかいう必要はないので、日本も必要があれば借りるといってもちっとも差しつかえない。これは国際的なものであります。しかしただ日本が借りるというか、これは国際的なものだから、大きな見地から考えた場合は、この公社の性格は私が言うたように考えるのが適当ではないか。加盟している国は、どこも借ろうと思えば借ろうという意思表示をして差しつかえないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/35
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036・横山利秋
○横山委員 それは私も額面通り受け取れば、理論的には国際金融公社は後進国の開発のために使うことになっておるということについては、了知をいたしておるわけです。しかし実際その金を借りて、具体的に使う人、その担当者である大臣が、私どもは国内の開発に使いたいと言っておる。それならば政府に、この高碕さんの言葉を裏づける計画というものがあるかどうかということなんです。一方外務委員会では、国内に使いたいと言い、あなたはここで、いや国際的だと言う、こんな食い違い、政府内部における不統一で、この審議はできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/36
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037・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 非常にポイントをたがえてお話しになっておるように私は感ずるのであります。私は、国際金融公社の立場、その性格から言っておる。借りる方から見れば、日本としても、日本が借りたいといってちっとも差しつかえない、そういう加盟しておるところには貸す義務もあるし、また貸すこともあるのでありますから、かりに日本が借りたいといっても、ちっとも差しつかえないと思う。しかしこの公社から見た場合、この公社の本来の性格からいうと、おそらくアメリカも出資するけれども、アメリカがこれを借りることはありますまい。やはり本質からいうと、未開発――いわゆるこの金が最も有効に開発に使われる度合いに応じてこの公社の運営がなされるのであろうということを、私は申し上げておるのでありまして、アメリカが借りたいなら、おれにも貸せといってもちっとも差しつかえない、ちっとも矛盾しないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/37
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038・横山利秋
○横山委員 ぼくがおかしいと思うのは、なぜかというと、後進国開発のために使うことになっておる、それは私も了承しておる。日本は後進国とは私は思っていないから、日本はまず借りられないだろうと思っておるのです。これが間違いなら訂正してもらいたい。あなたがそう思っておられるのに対して、高崎さんは、国内で使うのだということを言っておる、あなたは国内でも使えるのだと言う、それだったら、あなたにお伺いしたいのは、国内で使える根拠はどこにあるのか、後進国開発のために使うと書いてあるが、日本は後進国であるかどうか。(「高碕を呼べばいい」と呼ぶ者あり)高碕さんがこう言っておるから、高碕さんに聞けばいいということにはならぬ。あなたは政府を代表してここで答弁しておられるのだから、この政府内の意見の不統一についてどういうふうにお考えになるか、この点を明確にしてもらわなければだめなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/38
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039・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 高碕大臣が、短かい言葉でもあるようでありますから、それにどういうような御意図であるか、私ここでそのお考えを注釈するわけにいきませんが、しかし私が繰り返し申し上げますように、これは国際的な金融公社であります。しかもこういう国際金融公社をなぜ作るかという理由を考えてみた場合、この公社の性格、公社の運営というものはかようになるだろうということを私は申し上げておる。しかしそれだからといって、たとえば日本なら日本が借りたいという意思表示をしても矛盾はしない。ただそういう場合に、この公社が果して日本に金を貸すような決定をなされるかどうか、これはまた別個の問題ですが、日本も借りたいということを、たとえば日本の事業をなさる方や、あるいは政府機関において言っても、ごうも差しつかえないので、ちっとも矛盾しておらぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/39
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040・横山利秋
○横山委員 少くとも二つの点においては矛盾を感じます。一つは、この金は後進国開発のために使うことになっておるのだが、それにもかかわらず、日本で借り得るという根拠は、どういう法理的な根拠をもって言われるかという点が私には不明確です。それからもう一つは、この金を具体的にどういうところに使うかという実際問題について、あなたと高碕さんの間に意見の相違がある、この二点については私は納得ができません。次の機会に明白にしてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/40
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041・松原喜之次
○松原委員長 それでは、大臣に時間の約束があるそうでありますから、退出してもらいまして、この点に関する質問は横山君において保留してもらいます。
次に、平岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/41
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042・平岡忠次郎
○平岡委員 通産省通商局長はおられぬようですが、通商局長はアルゼンチンから帰ってきて、向うでの折衝の結果を、すでに為替局長にお伝えあったと思う。そこで五千百万ドルのいわゆるオープン勘定のしりの問題につき、先方に出向きましての折衝経過等をお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/42
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043・石田正
○石田政府委員 通商局長の一行がアルゼンチンに参りましたことは、御承知の通りでございますが、この点につきましてここではっきり申し上げておきたいのは、通商局長の一行は、アルゼンチン政府と交渉するということを目的として行ったのではございませんので、いろいろな情勢の変化もございますので、調査を目的として行ったわけでございます。もちろん調査といたしましても、向うといろいろ話し合いがありますことは当然でございまして、大体そのときに、向うの方とこちらと意見が一致いたしました点は、すでにこの間申し上げたのでありますが、現在の貸し越しというものは、当時五千万ドルに近いものでありまして、だんだんふくらまして、最近は五千百万ドルくらいになっておりますが、そのほか既契約、その他を含めますならば、将来の日本側の貸し越しは九千万ドルないしは一億ドルに上るのではないか、そういう点について、一体われわれの方としても、そう貸すばかりでもいかぬじゃないか、向うはそれをどう考えるのかということを話し合いましい結果、大体向うといたしましては、できるだけ向うの品物を、しかも各国からほしがっているものをできるだけ日本に出そう、こういうふうなことでございまして、具体的に申しますならば、羊毛であるとか、あるいは小麦とか、そういうふうなものをできるだけ日本に供給する。そういうふうな話し合いをいたしまして、それによって日本の貸し越しというものはふえないようにいたしたい、こういうことでございます。現実の結果を申し上げますと、大体その当時から参りまして、現実の貸し越しというものはだんだんとふえて参りました。二月末では、ちょっと減ったところもございますけれども概数からいいますと、月百万ドルくらいの見当でふえておる。しかしながら、プロスペクティヴのバランスと申しますか、信用状から見ましたものはだんだん減っておりまして、現在では八千三百万ドルくらいの見当になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/43
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044・平岡忠次郎
○平岡委員 わざわざアルゼンチンまで出かけていったほどの結果を持って帰られないことに対して、われわれは不満であります。これは板垣さんが後日見えられましたならば、私なおゆっくり御質問するつもりでありますが、私は為替局長には、この問題に関連して次のことをお聞きしたいと思います。
羊毛と申しますか、いろいろなものを入れる、それによって決済をしていくというのも一つの方法であります。しかしそのことは、向うの一方的な建値によって買わされるという危険があります。それ以外に、為替そのものの決済についてなおやる手が残されていないかどうかであります。たとえば日本がポンド資金の不足のときに、国際通貨基金から借り入れた事実がございます。国際通貨基金はおそらく出資の倍までは貸すのであります。しかもそれが、輸出入あるいはサービスなどのいわゆる経営収入の赤字を埋めるためには貸し得るはずなのです。そういう点で、おそらくアルゼンチンには、ドルはなくてもペソの積み立てはあるはずだと思います。アルゼンチンの政府か、中央銀行において、今五千万ドルとか九千万ドルとかの貿易じりに見合うところのペソの積み立てがあると思うのです。そのペソを国際通貨基金の方に回しまして、エクィヴァレントのドルを借りるということができるわけです。そういう点まで調査してこなければ大して意味はないと思うのですが、その点につきまして、羊毛等を輸入する前に、為替のしり自身を直接に決済する方途が究明されたかどうか、この点につきましてはお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/44
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045・石田正
○石田政府委員 アルゼンチンの外貨の保有状況というのは非常に悪うございまして、そういうふうな貸金をもって返すことが遺憾ながらできないというような事情になっております。貸しましたものはひとり日本だけではございませんで、ドイツにいたしましても、フランスにいたしましても、イタリアにいたしましても、みなもう貸し越しがあって困っておる。それがアルゼンチンといたしましても、従来のやり方によりましてこういったことになったので、これは新しい手段を講じてすっかり直さなければならぬ、こういうふうなことで、せっかく今新しい政策を立てておる状況でございます。日本だけが向うの持っておるところの外貨資金をこちらへよこせといいましても、実際問題としてできがたい、こういうふうな状況になっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/45
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046・平岡忠次郎
○平岡委員 昨年末の対アルゼンチンのバランスが五千百万ドルであって、それがなお漸増しているという、こういう事態は、昨年末をもってよくわかっておったはずなんです。ところが日本の業者は、売らんかなの商魂をもちまして、国の利害等に関係なしに一応契約して、RAづきの契約に対してじゃんじゃん出していくということをやっている。これは、業者としてはある意味では当然かもしれない。しかし、それは為替管理におきましてチェックできるはずであります。そういう点を見のがして、なお不渡りばかり出してよう払い切れないアルゼンチンに対する輸出を許可していたその責任は、だれにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/46
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047・石田正
○石田政府委員 先ほど申しました既契約と申し出すか、それは、ただ単にコントラクトができているというばかりでなく、RAもきておりまするし、それから通産省におきましても、すでに輸出承認をしたものである、かようなふうにお考え願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/47
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048・平岡忠次郎
○平岡委員 あなたRAに権威を認めますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/48
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049・石田正
○石田政府委員 現在のオープン協定というものが続きます限りは、向うがRAを出せば、これは記帳してよろしいとするわけであります。権威があるかどうかということは、要するにそういうものにたよってそのまま輸出を認めていってよろしいかどうか、こういう問題であります。輸出の方にいたしましては、先ほど申しましたように、その実態といたしましては、これは輸出承認もいたしておるものでございます。もしそれに対して手を打つということはどういうことかということになりますれば、オープン協定を廃止するということが第一、それからオープン協定存続のままに、日本銀行をして、政府の名前におけるところの買い取りをとめさせてしまう、この二つしかないわけでございます。従いまして、われわれの方といたしましては、そういうことでアルゼンチンが困っておるときに――日本もそれは困っておりますけれども、それを日本がほかの国に先がけてやることがいいか悪いかというふうなことも考えまして、その点についてどう処置すべきかということを調査してもらうために、板垣さんなどの一行が行ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/49
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050・平岡忠次郎
○平岡委員 その行った結果が、羊毛でも入れたらいいという、行かなくても同じような見当のつく回答だけ持ってきたというのでは、非常に不満であります。
さて、それはそれといたしまして、もう一つお伺いしたいのは、ポンドが非常に楽観を許さない状態にある、日本の外貨手持ちのうちポンドはどのくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/50
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051・石田正
○石田政府委員 大体二月の二十九日、つまり二月末でございますが、このときにおきまして、政府の勘定といたしまして一億四百万ポンドございます。それからまた日本銀行の保有分といたしまして千二百万ポンドあるわけでございます。従いまして、町方を合せますと、一億一千六百万ポンドになるわけでございます。ただ、これにつきましては、為替銀行の方が赤払いになっておりますので、その関係が大体千八百万ポンド、大体そういう数字に相なっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/51
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052・平岡忠次郎
○平岡委員 一億一千六百万ポンドを抱いておる日本政府といたしまして、あるいは日本銀行をも含めたものでありましょうが、政府当事者といたしまして、これをもっと安定した通貨にかえておくような処置、それをお考えかどうか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/52
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053・石田正
○石田政府委員 お話しの点は、きわめてデリケートな問題になると私は思います。というのは、日英の関係におきまして、これはトランスファーラブル・アカウントということになっておるわけであります。それかららまた、これは今のお話の中にあるいは内包されておるかと思いますけれども、これをドルにかえておいたらいいではないかというようなお話しがかりにあるといたしますれば、それは、日英協定上、そういうふうにポンドをドルにするということはできない、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/53
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054・平岡忠次郎
○平岡委員 さて、特別会計法上、ドルとポンドだけを政府は保有できるということになっておりますね。たとえば、私が申しますのは、マルクにかえるというようなことはできないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/54
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055・石田正
○石田政府委員 これは、大体今政府のやっておりますことは、ドルとポンドとそれからオープンと、この三つになっているわけであります。そのほかにマルクにかえるとか、あるいはこれをスエーデン・クローネとか、あるいはスイス・フランというようなものにかえるかかえぬかという問題でございますが、これは、今そういうふうなものに表向きかえるということは、日英交渉全般の上からいって適当でない、かように感じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/55
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056・平岡忠次郎
○平岡委員 それでは、ポンドの相場の下落だけは、座して損のままにまかせておく、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/56
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057・石田正
○石田政府委員 これは、ポンドが一体いつどういうことがあるかということは、わからぬわけでありますが、しかし、政府が持っておりますところのポンドというものは、ある程度これは今のように政府が全部集中するというふうな――あるいは現実にまだそれを集中しておりませんでも、銀行が持たないというような状況のもとにおいては、やはり政府がある程度のポンド資金を持つということは、全体の貿易その他の関係をやることにおいていたし方がないことではなかろうか、そういうふうな大きな金額につきまして、今お話しのように、ほかの通貨にかえるということはなかなかむずかしいことではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/57
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058・平岡忠次郎
○平岡委員 あとは大蔵大臣にお聞きしたいことばかりなんですが、なほ幾つかをお尋ねいたします。ただし後日また大蔵大臣に重ねて聞いてもいいということに、一つ委員長の方で御了承いただいておきます。
さて政府の方としましても、オープン勘定方式はなるたけ圧縮したい、しかし騎虎の勢いでそういうことをやめられたら、これは国内でも、オープン地域への輸出が全然できなくなるということで、反対が起ると思います。そういう国内的支障もありますが、国際的に見て、オープン・アカウント方式を急に取りやめできない一番の理由はどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/58
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059・石田正
○石田政府委員 これは、御承知の通りにオープンの決済方式は、こちらと相手国との間におきまして協定をいたしておるわけであります。従いまして、日本側の方にいろいろむずかしいところがある、これはなるほど平岡先生の御指摘の通りでございます。それにいたしましても、われわれはできるだけやめるようにいたしたいと思っておりますが、相手方にいたしましても、オーブンがあるから、そこで日本が物を買ってくれるのだ、こういうふうな気持の国も多いわけでございます。従いまして、そういう点から申しまして、国によりましてはやはりオープンを存続してほしい。日本政府といたしましては、大体オープンは異例なものだから、できるだけ廃止する方向で考えておるのだということは、あらゆる機会に各締約国に話しておるわけでありますけれども、国によりまして、たとえばドイツのごとく、あるいはイタリヤのごとく、すでにその廃止に同意した国もございます。またスエーデンにつきましては、最近それが可能だと思います。それからタイのごときは今交渉中でございまして、近々廃止できるのじゃないだろうかというふうに思える国もございますけれども、たとえば例をあげてみますれば、中華民国政府のごとく、この廃止には賛成しないという国もあるというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/59
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060・平岡忠次郎
○平岡委員 それは相手国があることですから、なかなかうまくいかぬ、こういうことに尽きると思うのですが、もう一つIMFの規定のうちに――これは正確な条文は私覚えていませんけれども、ある通貨で対外決済をする場合は、その同じ通貨で決済する相手各国に対して差別待遇を与えてはならぬという規定があります。いわゆる最恵国待遇でありますが、この規定が相当制約になりはせぬか。たとえば貿易の自由化をヨーロッパ諸国並みに日本に与えよという口実を作られては困る、こういうことがあろうと思う。そういうときは、このIMFの規定にもかかわらず、何か除外例をもってそこを緩和して、何とか調整する方法がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/60
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061・石田正
○石田政府委員 質問の御趣旨がちょっと把握できないのでありますが、われわれといたしましては、大体IMFの根本的な精神は、やはり双務協定式に特定の国だけが特別の利益を受ける、そういうことは望ましくない、大体多角的な方式に持っていくべきである。決済方式も多角的な方式に持っていくべきであるし、輸出入も多角的にいたすべきである、これが基本方針であろうと思います。そういう点からIMFは往々努力をいたしておるわけであります。わが国といたしましても、できるだけそういう方向へ持っていきたい、これが大蔵省の考え方でございます。それからまた、よその国と今のようなお話、オープンの話等をいたす場合におきましても、やはりIMFの精神はこういうことであり、日本としてもそういう方に持っていきたいのであるから、従ってそちらも廃止に同意してほしい、こういうふうな意味の話はいたしております。それと逆に、何か双務協定存続の理由はないかという御趣旨の御質問でございますれば、私の答弁は間違っておるかもしれませんけれども、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/61
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062・平岡忠次郎
○平岡委員 そうじゃないのです。オープン・アカウント方式が悪いから、逐次キャッシュ・ベースに変えていく、こういうふうに日本としては当然考えていくわけです。その際IMFの規定を逆にとられて、日本とキャッシュ・ベーシスの関係に入ってもいいけれども、しかしこのIMFの規定があるためにこれはままならないのだというような理屈をもって、新方式に切りかえることを拒ばんでくるような国があると思うのです。そのときに、その中間をとって、IMFの規定にもかかわらず、何とかそれを緩和すればキャッシュ・ベースに入り得るかもしれない、こういうことをお伺いしておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/62
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063・石田正
○石田政府委員 大体お話の趣旨は、オープン協定というものは変なものであることはよくわかっておる、しかしながら、こちらがオープン協定を廃止するということになると、オープン協定があるからこそ、日本をディスクリミネートできておったのだ。今度オープン協定を廃止すればディスクリミネートができないから、その点からいってオープン協定の廃止は困るのだ、そういう国があるのじゃないか、そういう場合に、一挙に平等待遇を受けずに、中間的な方法を考えたならば、もっとスムーズにオープン協定の廃止ができるのじゃないか、こういうお話であろうと思います。まさにその通りでございまして、そういうふうな考え方を頭に入れながら、実際問題として交渉すべきだと思うのであります。しかしながら、その場合にどうしても考えなければならぬことは、オープン協定はやめる、しかしながらディスクリネーションの方は同じにやっていく、こういうことをそのまま認めるというわけには日本政府としていかぬ、こう思います。従って、それは程度の問題で、どういうふうに落ちつけるかという現実の問題として処理すべきじゃないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/63
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064・平岡忠次郎
○平岡委員 次に、インドネシアの一億八千万ドルの帳じりにつきまして、日本政府は結論的にどう処理されようとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/64
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065・石田正
○石田政府委員 インドネシアの焦げつき債権につきましては、これはできるだけ回収したい、もちろんのことだと思います。しかしながら、過去におきましてなかなかそれがうまくいかなかった。現在におきましても、要するに輸出入調整措置を講じまして、その債権がふえていかないようにする、同時に、できれば輸入の方を多くいたしまして、それを幾らかでも消すようにする等努力をいたしておるわけであります。御趣旨の点は、そういう状況につきまして、それがなかなかうまくいかない問題につきましては、賠償その他の関係がこんがらかってきておる面が実際問題としてあり得ると思うのでございます。そこらのところをどういうふうに解決するか、どういう腹であるかということにつきましては、今はっきり申し上げることがなかなかできがたい、こういう事情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/65
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066・平岡忠次郎
○平岡委員 今局長から、賠償にそれを振りかえる、こういう示唆といいましょうか、そういう言葉がございましたが、これは日本とすれば、一億八千万ドル以上の賠償を払うということにきまれば、これを引き当てにするということ、でも差しつかえはないと思うのです。ところが相当国が少しひれくれて考えてくると、オープン・アカウントのしりは戦後の問題だ、賠償は戦争中のことなんだから、賠償は賠償で払ってもらわなければ困る、そういうことで、賠償の問題と戦後の帳じりの問題は別だ、こういうことで交渉を保留されたら、元も子もなくなる可能性があろうと思う。日本としては、どっちみち同じだということになりますが、すなわち賠償を支払うという建前から振りかえることは、日本の立場からは可能だと思うけれども、相手国はそうはいかぬ。賠償は戦争中の賠償なんだ、オープン・アカウントのしりは別だということで突っぱられる可能性が多いのじゃないか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/66
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067・石田正
○石田政府委員 私の言葉が非常に悪くて、この焦げつき債権は賠償のときに一緒に整理するのだ、こういうふうにおとり願いましたら、私の甘い方が悪かったので、訂正さしていただきたいと思うのです。この問題がなかなかうまく処理ができないということは、賠償問題とも関連が実際問題としてあって、処理しにくいのでございますと、こういうことを申し上げたのでございます。
それから一番最後に、何とも申し上げかねるということは、それでは、前段のことを前提にいたしまして、賠償を片づけるときに政府は一体どうするつもりなんだ、賠償とそれを差し引きずるとか、あるいは別々に引き離すというようなことになるのか、どういうふうなことかということにつきましては、今の段階では、私として何とも御答弁のしようがございませんということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/67
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068・平岡忠次郎
○平岡委員 結局インドネシアの一億八千万ドルと、アルゼンチンの約一億ドルに近いもの、それから韓国との通商じりの四千七、八百ドルですか、あなた方は、これの解決まで、時間的にどのくらいかかるか。見通しを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/68
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069・石田正
○石田政府委員 われわれといたしましては、現在のところできるだけ努力をして、なるべく早く解決したい、こういうことは申し上げられますけれどもも、一体どれくらいの期間を考えておるかというような具体的な問題になりますると、答弁がいたしかねるというふうになると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/69
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070・平岡忠次郎
○平岡委員 一億八千万ドルにしても、それから五千百万ドルのアルゼンチンの問題にしましても、このドルに見合うギルダーとかペソはやはり預託されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/70
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071・石田正
○石田政府委員 これは、オープン協定によりますると、要するにそういうものは、中央銀行の勘定に、日本側に対する債務として記帳はされておると思います。しかしキャッシュは、おそらく用意されていないのではないかという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/71
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072・平岡忠次郎
○平岡委員 そうするとこの協定では、そのしりは必ずドルで決済するということになっている、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/72
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073・石田正
○石田政府委員 協定の表面は、米ドルで決済するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/73
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074・平岡忠次郎
○平岡委員 払われざる場合においては、相手国の通貨によって決済してもよろしいというふうにクローズを差しはさんでおるかどうか、あるいは差しはさむことができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/74
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075・石田正
○石田政府委員 差しはさんでないと思います。それから差しはさむことがいいか悪いかということは、そういう問題が起る国は非常に通貨の不安定な国である。もしこれが通貨価値の安定した国ならば、その国の通貨で決済して差しつかえないわけであります。それを特に米ドルで決済するという点から言いましても、そうやすやすと通貨にかえ得べき状態ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/75
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076・平岡忠次郎
○平岡委員 要するに為替を集中的に握っている政府としては、外貨管理において欠くるところがあるということであります。この問題は相当真剣に考えるべき段階にきておると思うのです。アルゼンチンのごときは、十二月の末における帳じり五千百万ドルに加えて、なおメーカーの方はじゃんじゃん出していく、そういうことは許さるべきでないと思うのです。今あなたは、そういう地域自身の通過は非常に不安定だということをおっしゃるのですが、それがわかっているなら、盗人に追い銭的な輸出許可の行き方は厳に慎まなければならぬと思うのです。そういう根本問題につき、今までの私の質問とあなたの答弁の中からは、今後大丈夫という保障が何もないのです。私はこれを非常に残念に思いますが、大蔵次官どうでしょうか、将来におけるこの問題の解決のためにもご意見をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/76
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077・山手滿男
○山手政府委員 アルゼンチンのように、相当な国との国際貿易におきまして、当初からアルゼンチンの通貨がどうなるだろうかというようなことを一一腰だめ的に調べてやるわけにもいきませんし、日本も大いに輸出をやらなければならぬということで、不幸にしてこういう事態が起きたわけでございますが、今後におきましても、長期にわたりいろいろ契約等もございますし、多少無理な点もございますが、順次引き締めまして、さらにこういう金額が膨大な数字になって焦げつかないように十二分の注意をし、いろいろ対策を研究しておることでございますので、御趣旨の点は今後もよく注意していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/77
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078・平岡忠次郎
○平岡委員 もう一つだけ伺います。次官は輸出を大いに伸張せんがために……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/78
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079・松原喜之次
○松原委員長 お静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/79
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080・平岡忠次郎
○平岡委員 輸出を伸張せんがためにこれもやむを得ない、こういうお言葉でありますが、その不渡りが輸出業者にリファンドを求められるならば、これは業者の損になるのです。そうすれば、鉄鋼メーカーにしても紡績十社にしても変な国、変な相手には売らぬということになろうと思うのです。ところが為替集中制度が行われておる日本におきましては、その点に対する考え方が非常にルーズになっておる。それを規制する必要があろうと思うのです。業者の道義的な責任とか、そういうものに期待しても効果はありません。制度の上において、そのことをもっと強くきめておく必要があろうと思うのです。結局一億八千万ドルといえば、邦貨換算六百五十億、これは、結局結論的には国民の血税をもって補われるわけです。アルゼンチンに対する五千百万ドルも、鉄鋼三社に補助金を与えていると同じです。そういうことを許されてはならぬのです。そういうおそれが現実に出てきているのですから、この経験を契機として、政府としても敢然この問題の処理を考えるべきです。外貨の管理、為替の管理につきまして、もっと政府自身は慎重に再考しなければいかぬと思うのです。以上意見を申し述べまして与党席がうるさいから一応これで私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/80
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081・横山利秋
○横山委員 私先ほど大臣に質問をして、それが重要な本法案の問題としてまだ残っておるわけですから、与党の皆さんも、一つくれぐれもその点については……。理事の方は先ほどはお見えにならなかったのですが、政務次官もおいでになりましたから、もう一度私はこの際質問をして明確にしてほしいと思うのです。
先ほど大臣に質問をいたしましたことは、大臣としてお答えを願ったのですが。為替局長、あなたはこの国際金融公社協定をごらんになっておると思うんですが、国際金融公社協定のどこに、この国内において今すぐにこれが利用できるということが判断ができますか、事務的にあなたはお答えを願いたいと思います。大臣はああいうことを言ったけれども、あなたは何条のどこに――今直ちにこの改訂ができるということを考えておられるか、事務的に一つ返事をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/81
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082・石田正
○石田政府委員 事務的な話になりますと、これは世界銀行ができましたときにおきましても、こういう趣旨でできるんだということはあります。そうすると、その後世界銀行が動き出した場合に、どういうふうに、その金が現実問題としてはどこに行くんだ。日本が入るのか入らぬのかということは、これは事務的には前もってわからないという性質のものだと思います。国際金融公社につきましても同様でございまして、こういう趣旨の機関ができる、それに対して日本が参加することが適当であるか適当でないかというような判断はありますけれども、しかしそれじゃまだ動き出さない前に、これが一体日本のどういう事業に金が借りられるのかということを事務的に答えよと言われましても、なかなかできないというのが実情だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/82
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083・横山利秋
○横山委員 だから何条のどこに、どういうところに金が使われるか、どういうところへ融資が行われ、援助が行われるかということが書いてあるかと言って聞いておる。できない前にどこへ動くかわからぬと言っておるのだけれども、いやしくも公社の協定ができて、どういうところへ金を使うかということが第一の問題ですよ。どういうところへ金を使うということが書いてない協定がありますか、あなたは手に持っているのでしょう。持っているなら出して言ってごらんなさい、この金をどこに使うかということを、責任をもって答弁しなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/83
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084・石田正
○石田政府委員 これは、先ほど来大臣がお話しになりましたような工合に、この公社がやるところのものは、低開発地域の開発に対しまして、世界銀行の足りないような方面をやるためにやる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/84
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085・横山利秋
○横山委員 それで合格ですよ。ところが、あなたが事務的に誠意をもって答弁したにかかわらず、高碕さんは、低開発地域が日本であるかのごとく、こう言っておられる、もう一ぺん読みますよ。「さしあたり現在私どもの考えておりますことは、日本の国内の開発に必要な場合にこれを使うのであります。」こう言っているのです。今後本法案が通過するに当って、九億円の金を出してどこに使うかについて、閣内において重要な二つの意見がある、この見解がきまらないで、二人の大臣がいいかげんな話をしておるのにこの法案を出すというのは、おかしいじゃないですか。
それでは政務次官にお伺いします。高碕さんは、国内にさしあたりこれを使うのですとおっしゃる。大蔵大臣は、国外に使うと言われる。それを局長は文書をもって「低開発地域における生産的民間企業の成長を助長することにより」このように言っている。三つの意見があるのです。政務次官はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/85
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086・山手滿男
○山手政府委員 この公社は、御承知のように、世界銀行等の役割でうまくいかないところを、補完的にこの役割を果させようということで作るわけでございまして、その意味から言えば、相当広範囲に貸すことになるだろうと私は思います。ただ、今お話しのように、開発のおくれておる国々に貸そうということであり、かつ政府保証や何かを要求する建前の融資では困るということもあって、そういう面から、この後進国にさらに積極的にいろいろめんどうを見ようということでございますから、やり方によれば、日本にも無理をすれば借りられないことはない。しかし付も日本が定義として、この後進国というか、低開発地帯の中に割り込んでいって、それを借りてくるほどのことがあるかどうか。まず東南アジア地方の国が借りて、それを間接的に日本が恩恵を受けるというふうな程度でも、この公社に日本が加入する意味は十二分にある、こういうふうな考えでございまして、局長が今お話しを申し上げましたように、それじゃ事務的に今どことどこに金が出るのか、こう言われましても、私は日本には出るとか出ないとか、そういうことをいきなり断定をうるのは、必ずしも賢い言い方ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/86
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087・横山利秋
○横山委員 そうしますと、そのあとにこうあるのです。
○高岡委員 そうするとただいま議題になっております国際金融公社の金は、日本国内を目的としたものだけだ、現在のところはこれだけだという解釈をしてよろしゅうございますか。
○高碕国務大臣 私はただいまそういう考えでおるわけであります。
こう言っているのです。このことは、大蔵大臣及び政務次官、為替局長は、この高碕さんの答えは間違いである、こういうふうに言っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/87
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088・山手滿男
○山手政府委員 私は、高碕さんがどういうふうに御答弁を申し上げたか、よく知りませんけれども、特に日本に金を出してはいかぬということではないと思います。だから、企画庁長官が特に日本にもこの金を出してきたいというふうな熱意を持っておって、働きかけようとする等のことがあって不当ということではないと思うのですが、一般的には、大蔵大臣がお答えしたように、日本に来る利益というものは、反射的な利益が多かろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/88
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089・横山利秋
○横山委員 二つの問題があります。一つは法理論の上において、これがどちらに使われるかという問題、一つは政策の問題として、日本政府がどういうふうに考えているかという問題、この二つがあるのです。法理論の問題については、為替局長が答えられたように、特に「低開発地域における生産的民間企業の成長を助長」云々というふうに文章通りに言っておるのだから、間違いはないと思う。従ってこの法理論に関する限りは、高碕さんの答えは間違いではなかろうか、こう言って聞いておるのです。さはさりながら政策の問題として、日本政府としてはこの金をどこへ使いたいかという政府の考え方、できるできぬはともかくとして、日本政府としてはどこに金を使いたいかについては、大蔵大臣と高碕さんとは重大な食い違いがある、大蔵大臣は、アジアの開発に使いたいと言っておる。高碕さんは、政策の上としてはただいまそう考えておると言って、高岡委員の質問に対して、日本国内に使いたい、こう言っておるわけなんです。従って、この法理論の問題と政策の問題と二つとも重大な問題であって、この法案を通すにおいては、一つ政府部内の意見を統一してもらわないと、われわれの審議のしようがないではないか、こう言っておるのです。おわかりになっていますか、わかっているならば、その意味において法理論の問題と政策における両大臣の食い違いについて、一つさっぱりした答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/89
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090・山手滿男
○山手政府委員 第一の点は、この解釈の問題であって、いわゆる事務的には、日本を低開発地帯というふうに見ていくのかどうかというふうな問題だろうと思います。
〔委員長退席、春日委員長代理着席〕
そういうことでありますが、この公社の話は、多分に政治的な意味で作られた公社でございますから、私はやはりほんとうに日本がこの公社の金を借りたい、そういう意欲を特に持つのであれば、話はいろいろできていくのであろうと思いますが、しかし今としては、大蔵大臣が申し上げましたように、まあ低開発地帯の方に一応回るというのが筋であろう、こういうことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/90
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091・横山利秋
○横山委員 そういたしますと、第二番目の政策面としては、高碕さんはああ言っておるけれども、大蔵省としては、東南アジアの開発に使いたい、こういうふうな考えであるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/91
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092・山手滿男
○山手政府委員 大蔵大臣が言ったのは、私どう言ったか知りませんが、一応筋は東南アジア地方の開発に行くことになるであろう、そういうふうに私は言ったものと思います。ただしかし、高碕さんのように、特に日本にもこの金をひっぱってきたいということであれば、話のやりようによっては日本にも来る、日本には出してはいかぬということではないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/92
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093・横山利秋
○横山委員 そこでまた為替局長に戻らなければならぬ。なぜかというと、法理論上公社の規定の上からいって、低開発地域における産業の開発と、こう為替局長は言っておる。ところがそれにもかかわらず、政策面から日本国内でもやりたい、こう言っておる。そこに矛盾がある。この公社の協定は、東南アジアの開発なり未開発地域の開発に対して銭を出し合って、融資し合う、間接的に日本にいいところがあるようにするというのがねらいだろうと思います。そこのところを、政策面としてちっともごまかすことなく、為替局長の言葉がその通りだと言ってもらえばいい、法理論はそこで片づく。ところが政策面になると、できもしないことを一方の大臣ができると言ってておる、そこがおかしいではないか。それは政策だから、何とか努力してできないことはない、こういうふうにおっしゃるかもしれません。しかしながら、それでは一体この公社の協定の中で、日本がある程度努力すれば借りられるという確信のある答弁がもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/93
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094・石田正
○石田政府委員 この国際金融公社のあれについては、やはり加盟に貸すのだ、しかし特に低開発国に対して貸すのだ、こういうことになっているわけです。それで、これは世界銀行でも同様でございますけれども、世界銀行の目的とするところも、低開発国の開発、それと一時的でございましたけれども、戦後の復興を促進する、こういうような目的でできたわけでございます。そこで、一体いろいろのお話のもとになりますのは、加盟国はもう絶対に貸せないのだということはないと思います。ただ低開発国ということの意味に関連いたしまして、低開発国の意味が、何か国ごとに、この国が低開発国である、この国はもう低開発国ではないのだということがきまっておらぬと、そこのところが一つの論点だと思うのでございます。それから国によりましては、部面によりましてある部面は発達しているけれどもある部面にあまり発達しておらぬ、こういう問題もあるわけであります。過去の世界銀行の例に徴しまするならば、世界銀行といたしましては、運営上低開発国に対してやるけれども、現に日本が借りておることも現実問題としてあるわけでございます。そういうふうなもので、これは何と申しますか、ある意味から言いますと、むしろ常識的に使われておるものである、常識的に処理されておる。従って今度の公社ができるにつきまして、一体これがどこへ出されるだろうかということは、資金的にも、先ほど、平岡委員からお話がありましたように、世界銀行とは違うほかの目的のものである。ほかの目的のものだということは、どちらかと申しますと、基幹産業的なものじゃなくして、そうでないところの部面まで手を伸ばしたい、こういう面もあるわけでございます。従いまして、ではどういうふうに動かされるかということは、事務的に申し上げますれば、できまして、その運営の結果を見なければわからないということがほんとうではないか、かように申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/94
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095・横山利秋
○横山委員 言うならば、日本が低開発地域であるかないか、それはわからぬというようなあなたの答弁であります。それは加盟国、特に低開発地域における生産的民間企業の成長を助長すると書いてある。そこで、加盟国は日本であるから、日本も貸してもらえるという理屈で、あなたが日本に貸してもらえるらしいとおっしゃるならば、僕はあなたの法律的常識を疑う。それから低開発地域に日本が入るか入らぬか取りきめがないとおっしゃる。しかしどの地域を押えて、日本が低開発地域だと言えるのでありましょうか、私は、これこそまさに三才の子供じみた話だと思う。そうすると、どうしてもこの金は東南アジアに行くんだ、ないしはそのほかのほんとうの意味の低開発地に行くんだということは、これはもうだれが見てもわかる話なんです。だれが聞いても納得のできる話なんです。私はいい悪いということでなくて、文章の正当の常識的な解釈をもってして、これは話が違うじゃないか。そういうできもしないことを片一方の大臣は政策面として言っている。そうして片一方の大臣はいやこれは東南アジアその他だと言っている。従ってあなたの方で確信をもって、高碕さんの話は間違いです、私どもの言うことが正しいのだ、こう言ってもらえば僕は納得できるのです。それを政務次官や大臣がいいかげんに高碕さんを助けようと思っているから、こういうことになる。高碕さんの言うことは間違いである、われわれの見解が正しいということを言ってもらえば、私はこんなに多くをしゃべらぬ。そういういいかげんなことを言うから私はいかぬと言うのです。
〔春日委員代理退席、石村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/95
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096・山手滿男
○山手政府委員 私はまだいろいろ研究しなきゃいかぬと思っていますが、第一条の目的のところにこう書いてあるのです。「公社は、加盟国特に低開発地域における生産的民間企業の成長を助長することにより」云々と書いてあるのです。私は、加盟国には原則としては貸せる、しかし特に低開発地帯に貸すということであって、何も加盟国には全然貸さないということじゃないと思っていますが、重点的に主力を置いて貸すのは低開発地域だ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/96
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097・横山利秋
○横山委員 私の言うことがあなたはわかっていながら、そういう答弁をされている。先ほどこちらから借りられないということを言う必要はないと言われたが、私はその通りだと思う。しかし私の聞いているのは、そういうものじゃない、政策としてどこへ銭を借りるという点について、私は、東南アジアの未開発地域の方が中心でありますと、こういう政策として一本重点を置ければそれでよろしい。私は、何も借りる必要はないということは毛頭言いません。借りられたら借りたらいい。しかし、日本の政策面として、国内にほしいのか、それとも東南アジアそのほかへやってもらいたいのか、その重点について高碕さんと大蔵大臣の話が違うから、そこのところをはっきりしなさい、高碕さんといえども、東南アジアヘやっても何でもいいとか、一萬田さんといえども、国内に借りる必要はない、こういうことを言っているのではない。(「両大臣を呼んだらいい」と呼ぶ者あり)だから、両大臣を呼んで下さいよ。あなた方の考えていることはわかるから、この点を明らかにして下さい。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/97
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098・石村英雄
○石村委員長代理 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/98
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099・横山利秋
○横山委員 そういう重要な点をはっきりしないで――皆さんの考え方はわかるが、この点だけははっきりしてもらいたい。もう一ぺん言いますけれども、借りる必要がないとは私は言っておりません。高碕さんは、国内を主とした目的で借りたいと言っておる、それが法律的に誤まりである、政策的にも誤まりであると私は言うのだ。だから、高碕さんの言うことは間違いであります、こう言ってもらえばそれで話は済む、こういうのです。そうでなくして、いいかげんのことを言うからもめるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/99
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100・山手滿男
○山手政府委員 御承知のように、世銀の場合、融資を受けますと、政府保証とか何とかいうものがございまして、これはいろいろ国民感情にも反するし、それを補完する役割でこういう金融機関を作ろうというわけでございます。日本にも、御承知のように、火力借款そのほかで世銀の厄介になっておりますが、世銀の金を使おうと思うと、そういう条件がついていろいろ問題になる。問題になるものだから、こっちは手が出ないということでございますから、そういうものの考え方からいたしますと、政府保証とか何とかいうやかましいことを言わないで貸すような金融機関というのが、日本としてはほしいわけであります。ほしいわけでありますが、この中には、特に低開発地帯に命を出そうというふうなことなどもあって、そういうふうな条件というものは特に低開発地帯というか、後進国の方面に、いろいろ国民感情なんかで、世銀の融資なんか適当でないものもあるというような事情から、こういう特に低開発地帯に貸そうというふうな書き方がなされておるものと思いますし、世銀の貸付の条件等から言うと、日本にもそういう金がほしいところでありますが、しかし私どもは、この公社の性格からいたしまして、重点的にはそうした東南アジアのようなところに行くものであって、日本がいきなり公社の金をどんどん借りてくるというふうなことではあるまい、こういう考えを持っておるわけであって、借りられないというものでもないということで御了承を願います。
〔石村委員長代理退席、春日委員
長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/100
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101・横山利秋
○横山委員 あなたがあまりさっぱりしたものの言い方をしませんと、もう一ぺん大蔵大臣と高碕さんに出てきてもらって、どちらの言っていらっしゃることがほんとうですかと言って聞かなければならなくなる。そのためには、この法律案については、それが解決いたしますまで保留をしてもらうということになれば、私は納得いたします。そうでなければ、この法律案の十億になんなんとするお金を出して、その金がどういう利益をもたらすか閣僚の中において食い違うというような法案に、賛成だ反対だというその対照ができないではありませんか。この法律の解釈に重大な食い違いがありながら――だから私はあなたに援助しておるのだ。率直に言うならば、大蔵省の言うことが正しいと僕は思っておるのですよ。思っておればこそ、それならそれでよろしいと言いたい。言いたいけれども、片一方の大臣は、政策として国内に銭は使うのだ、こう言っておると、あまりにも話がおかしい。しかも外務委員会で、この条約の公社の規定を承認するということをおめおめ言っているのですから、これは聞き捨てがならぬ。だから、この点をはっきりしてもらえば私は次の質問に移り得る。ところがあなたは、そこをちっともはっきりしないから、両大臣にここに来てもらって白黒をつけてもらうまでは、この法律案についてはまかりならぬ。これはだれだってわかるところであります。そこでどうなさいますか、あなたは、ここでさっぱりと、高碕さんの言葉に誤まりありと言うてくれるのか、それとも両大臣がここに来て、そうしてこの問題の整理がつくまでは法案の審議を保留してもらうか、どちらでありますか、はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/101
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102・山手滿男
○山手政府委員 さっきから御答弁申し上げておる通りでございまして、あるいは高碕大臣が、特にこの資金を日本に引っぱってきたいという熱意を持っておられるかもしれないと思います。しかし大蔵大臣が御答弁申し上げた通り、われわれとしては、特に低開発地帯に出すのだということが書いてあるので、当然東南アジア地方が主力になって借りるものだと考えております。大蔵大臣の御答弁申し上げた通りでありますが必ずしも両大臣の言っていることは矛盾はしておらない、こういうことでごかんべん願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/102
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103・横山利秋
○横山委員 あなたの御答弁は、今のところでは、高碕さんの言葉は間違いであるとは絶対におっしゃらないから、それではわれわれとしては納得ができません。従って、次回の委員会に高碕さんの御発言と大蔵大臣の発言の食い違いについて、法理的な問題についてはそれに関連はありますが、為替局長の発言について間違いがないかどうか、その二つを明確にしてもらいたい。
次の問題について一つだけお伺いしたいのですが、これだけの金を出して東南アジア開発に使うということでは、私と大蔵省の考え方が一致するわけでありますが、向う側に五ヵ年計画なり六ヵ年計画というものはある。日本には日本の経済五ヵ年計画があるらしいのでありますが、はっきりいたしません。一体向うの計画に見合う計画がこちらの方にできているかどうか。それがなければ絵にかいたぼたもちで、金は出すけれども、どうなっているのか全然わからぬということでは話にならぬのでありますが、向うの国における五ヵ年計画、六ヵ年計画に対応するこちらの考え方があるのかないのか。政府の経済五ヵ年計画の中において、東南アジアの規模に対応するものの考え方ができているかどうか、その辺を回答してほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/103
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104・山手滿男
○山手政府委員 その点につきましては、御承知のように、先般もコロンボ計画についてもわが国から代表団も行って、各国の計画、コロンボプラン等については政府は承知いたしておりますから、そういうこととにらみ合せてわが国の計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/104
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105・横山利秋
○横山委員 それでは、今具体的に私どもがお伺いする向うの計画に対応するこちらの計画というものはないのでございますか。向うの五ヵ年計画、六カ年計画に対応するこちらの計画は、今私がお伺いできるような内容はあるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/105
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106・山手滿男
○山手政府委員 今申し上げましたように、東南アジア諸国、パキスタンは六カ年計画、インドは五ヵ年計画、あるいはコロンボ計画に参加している国は、コロンボ計画のそれぞれのワクの中でいろいろなことをやっておる。そういうようなことがよく内容的に政府の方にもわかっておりますし、そういうことを勘案をした上でわが国の経済計画というものが今度作られておる、こういうことでございますから、対応しておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/106
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107・横山利秋
○横山委員 それではあまり具体的な内容がないと私どもに感ずるわけであります。この金を投資するについては、相当向うの計画に対応した計画があって、その計画に順応してこういう方向にやりたいというふうな考え方がなければならぬと思うわけです。従って先ほどの高碕さんのような、国内に対して使いたいという意見と国外に対して使いたいという意見があるような状態では困る。加盟するということだけで、将来の日本経済にどういうような影響をもたらすか、またもたらそうとするかという点についてあまりにも考えられていない。いま少し政府としては具体的でなければならぬと思います。この点について、ないようでありますから、これ以上賛同するのは避けますが、早急に政府としては、これをやるならやるような経済計画を立てなければならぬということを私は意見として申し述べて、次の方と交代いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/107
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108・春日一幸
○春日委員長代理 横錢重吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/108
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109・横錢重吉
○横錢委員 補助金等の臨時特例の法律改正に当って、一、二点伺いたいと思います。国の財政の中から相当の部分をさいて補助金という制度で出しておられますが、これはどういう考え方の上に立って出しているか、まず最初にこれを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/109
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110・宮川新一郎
○宮川政府委員 補助金は三千余億の巨額に達しておりますが、各省所管の事につきまして、国の純然たる事務でなく、地方公共団体の事務、あるいはその他の団体の事業につきまして、その事業の普及、奨励、促進をはかるという見地に立ちまして、必要なものに対して、国がいろいろなバランスを考えて補助率をきめて予算措置を講ずるような考え方でやっている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/110
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111・横錢重吉
○横錢委員 そうすると補助金を出す場合は、国固有の仕事ではなく、府県等が主体となってやる事業で、この場合に国の方としては補助金として出す、その実施主体は府県である、こういう考え方で出しておられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/111
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112・宮川新一郎
○宮川政府委員 大体さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/112
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113・横錢重吉
○横錢委員 現在出している中で、性病関係、精神衛生関係、児童福祉法関係というようなもの等も補助金で扱っておりますが、これはやはり国の固有の仕事ではなく、府県の仕事であるという考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/113
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114・宮川新一郎
○宮川政府委員 そこのところは、截然と国の事務とか地方公正団体の事務とかいうような観点のみから実施しないで、たとえば公共衛生とか社会福祉というような仕事は、一面国がめんどうを見なければならぬ面もありますけれども、他面地方公共団体につきましては、当該公共団体に所属している住民の衛生問題であり、社会福祉問題でありますので、相協力してやっていくべき問題ではないか。従ってそれに要する費用を全部国が持ったり、あるいは逆に地方が全部持つというような考え方ではなくて、事業主体は地方公共団体としてそれに行わしめまして、それに所定の補助金を出していく、こういう考え方でやっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/114
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115・横錢重吉
○横錢委員 今のお話だと、中心というか、主体は府県にあるというような考え方ですが、実際にはそうではない。実際には国で法律を作って、実施を府県の方にやらせている。この場合に、国の補助金を何分の一にきめて、あと府県の方にやらせるという考え方に立っているのではないですか。たとえばこの前作られた社会福祉司のような場合にしても、府県の方はまだ十分な態勢ができておらないのに、それに対して国の方は法律を作って実施をする、その予算はというとほとんど回さない。そのために府県の方は、従来持っておった県費をどんどん食われて、府県の赤字というような形になって出ている。これは必ずしも今のお話にあったように、府県が住民のためにやるべき仕事というのではなくて、二大亡国病のうちの一つである性病にしても、あるいはこの精神衛生という問題にしても、国はこれを等閑に付しておれない立場にある、そのために、これらの団体に対する法律がいろいろな形で制定をされている、またこの実施は国の方が現に法律で縛ってやっている、それで、なおかつ財政の上だけは府県の方に主体があるんだというような考え方は、ちょっとおかしいのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/115
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116・宮川新一郎
○宮川政府委員 法律は、お説のように政府が作ります。法律を作りまして、当分そういう事業を執行いたします場合に、これに対して国がいろいろな補助金を出しておる。ところが今お話もございましたような社会福祉司でありますとか、児童福祉司これなんかにつきましては、年間にわたりまして国が相当補助金をおろしまして、それは当該地方公共団体におきまして相当恒例的なものとなりまして、経常的な事業になりました。そうなりますと、それに対しまして国が補助金でやるよりは、むしろそういう職員費等につきましては、地方公共団体の財政の範囲内においてまかなっていく。その所用の財源は、地方財政計画におきまして地方の財政需要等を見積りまして、これに対して国が交付税等を回していく、こういうふうな考え方をとっておりまして、地方の職員費を地方の自己財源でまかなうというようなことがまだ早いというものにつきましては、国が補助金制度を続けていく、こういう考え方に立って補助金の事柄を律しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/116
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117・横錢重吉
○横錢委員 今の考え方で、府県の方では非常に迷惑をしておると思うのです。たとえば補助率にしても、最初二分の一というように法律が出た当時はきめるのです。それが府県の方ではなかなかやらない。やらないのに対して、二分の一の補助金が出るんだからどうだ、やれというので勧奨して無理にやらせる。やって出たと思うと、予算が苦しいから今度は三分の一に減らす。その次には、またなくなったからといって四分の一に減らしていく。これは通常今まで国が府県に対してやってきた手でしょう。このために府県の方では、やるときにはだいぶもらえるからというので始まったのだが、だんだん県費持ち出しという格好になって、固有の仕事ができなくなってくる、こういうような実情にあるのです。だから、もし補助率というものをやるのだったら、当初にきめた補助率というものは下げるべきではない、ところがそれをどんどん下げておる。このために、府県の方の赤字というものはどこから出ているのかわからないような形になって、だんだん府県の赤字が出て、この累増が今日大きく行財政の問題で取り上げられているわけですが、この補助金に対する考え方一つをとってみても、このあり方が適当であるか適当でないかというところに問題がある、こう私は見ておるのです。従って、これは今出ている法案とは直接関連しないかもしれませんが、この補助金に対する全般の考え方が、今おっしゃられるように三千億にも達しておる、これが府県との間に密接な関係がある。府県の方では、今度補助率を減らされるから苦しい。苦しいから部を廃止しよう、課を廃止しよう、この仕事をたな上げしようというと、今度は中央から猛烈な圧力がかかって、そうなればこっちの方を出さないぞ、あっちの方を出さないぞと圧力がかかって、このためにできない。こういうふうな実情なんです。従って、補助金に対する考え方も、その仕事の内容、あるいは法律の制定の仕方、こういうものと密接に関係があるのです。今までとってきた方法は、府県いじめのような方法になりはせぬか、こういうふうに考えておるのですが、この今までの傾向に対して、どういうふうな考え方を持っておいでですか。従来と同じような態度を続けられるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/117
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118・宮川新一郎
○宮川政府委員 補助制度を創定いたしまして、その後、たとえば二分の一補助であるからやってくれ、こういうふうに地方公共団体にやらして、そうしてある期間過ぎたら、これはなくすとか何とかいうようなことをいたしますと、地方の公共団体が非常に思惑はずれということは御承知の通りと思います。私どもといたしましても、軽々に補助率をいじくるべきものではないと思います。法の制定の趣旨、あるいはその事業の内容等に応じまして適正に補助率をきめていきたいと考えております。なお先ほども御説明いたしましたように、補助制度を廃しまして、これを地方の固有財源でまかなうシステムに直したものにつきましては、地方財政計画の上におきまして財政需要を適正に算定いたしまして、財政の歳出と歳入とのバランスを見まして、それに対する不足額は交付税をもって埋めていく、こういう考え方をとりまして、補助率が減率されたために、それだけのものが地方の負担になりっぱなしになるということがないように配慮いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/118
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119・横錢重吉
○横錢委員 それならば、補助率が低くなって府県の方がやりくりがつかない、国の方ではこれをやってほしい、府県の方では財政的にできない、この場合に府県が返上した場合どうなるか。たとえば精神衛生なんかの場合にしても、あるいは性病予防なんかの問題にしても、国からの補助率が低くて、府県としては財政赤字でやれない。財政赤字に対しては、今度は他の方からの圧迫が加わっておる。だから、これをやっておったのでは府県の持ち出しが多くてできぬから、この仕事は返上したい、こういうようなことが現実に言われております。これが行われた場合にはどんなふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/119
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120・宮川新一郎
○宮川政府委員 せっかく補助制度をきめまして特定の事業をやろうということでございますから、地方が財政難のために補助金を返納するというような事態がないことが望ましいと思います。地方財政問題がやかましくなった昨年の秋あたりにおきましては、補助金を返納しなければならぬというような声も地方公共団体の中にはございましたけれども実際問題といたしますと、あまり補助金を返納するというような例はございませんで、もしかりにそういうような事態がはっきりわかって参りまするならば、補助率の問題、あるいは地方の財政計画の見方等につきまして、さらにそれを調整していく必要があるかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/120
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121・横錢重吉
○横錢委員 それでは、補助金の問題を終って、次に若干金融制度について伺いたいと思いますが……。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/121
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122・春日一幸
○春日委員長代理 それでは、この際金融制度調査会設置法案をあわせて議題に供し、質問を許します。横錢重吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/122
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123・横錢重吉
○横錢委員 先日日銀のあり方に対して、大蔵大臣に各位から質問があって、その答弁等が行われたわけですが、若干それをお聞きしておきたいと思います。日銀の中央銀行としての性格は、市中銀行とか日銀との関係において日銀があるのか、あるいは全金融機関との関係において日銀を作っておるか、この点に関する御説明をいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/123
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124・東條猛猪
○東條政府委員 やはり日本銀行は、一国の中央銀行でありますので、全金融機構の統括的な中心機関であるべきだと思います。しかしそのことは、直ちに日本銀行が全体の金融機関との具体的な取引を開始しなければならぬ、さような結論は相なりませんが、日本銀行としては、やはり日本全体の金融機構のあるべき姿を十分念頭に置いておくべきだ、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/124
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125・横錢重吉
○横錢委員 金融機関との関係であるということがわかったわけですが、しからば、現在の制度においては日銀との取引、具体的な当座の開設、あるいはまた歳入代理とか、こういうような事項、これはすべて一部の銀行だけに限られているわけですね。銀行も全部には取引が許されていない。あるいはまた信用金庫等の金融機関に対しては、これもまた許していない。こういうような点で、これはどこまで日銀が相手にするかということになると問題はあると思うのですが、ただもう少しこれらの点に関して、全金融機関の中央銀行であるならば、それらの点の責任を果すべきだと思うのです。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/125
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126・東條猛猪
○東條政府委員 日本銀行は、中央銀行といたしまして、十分日本全体の金融機構のあり方を頭に置きながら、日日の業務の運営に当っていると思います。ただ具体的な取引を開始するということになりますと、相手方の金融機関の金融機構内における位置と申しますか、そういうものを十分審査の上、具体的取引は行なっておると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/126
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127・横錢重吉
○横錢委員 今度の支払い準備制が制定されたとしても、これはどの程度になるかわかりませんが、おそらくは一%から五%程度が支払い準備になってくるのではないかと思うのですが、市中銀行の場合に、日銀に対して支払い準備金を預入する、こういう格好になると思うのです。しかしながら、普通の信用金庫であるとか、あるいは相互銀行であるとか、こういうふうなところでは、今度は三〇%を普通の市中銀行に対して支払い準備金を納めていなくちゃならぬ、こういうような格好になって、いわゆる資金の回転率ははなはだしく悪くなる。そうでなくても預金コストというものが非常に高いので、なかなか低金利の政策に追いついていかれない、こういうような状況のときに、単に日銀と市中銀行との関係だけを是正するのではなくして、相互銀行、それから信用金庫、これらの面に対しても、これをたとえば全相連であるとか、あるいは信用金庫連合会ですか、こういうものを通じて取引をする何らかの道を開いていかなければ、せっかく法の改正をしよう、あるいは制度を改革しようとしても、実際には市銀と日銀だけの関係で、全金融機関の日銀ということにはなってこないと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/127
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128・東條猛猪
○東條政府委員 ただいま横錢委員の御発言の趣旨にもあったと思いますが、現在相互銀行におきましては、いわゆる信用保証協定というものが結ばれまして、各相互銀行の預金の支払い準備には遺憾のないように、自発的な協力措置がとられております。また信用金庫につきましては、今回信用金庫連合会におきまして、やはり各金庫の預金をプールいたしまして、ある程度いろいろな事態に即応いたしますようなかまえができ上っておるわけであります。私どもは、これらの方向は方向として助長、育成していくべきだと考えております。そこで、今度金融制度調査会ができまして、支払い準備預金制度の問題がこの調査会で審議の対象になると思うのでありますが、その場合におきましても、もちろん現在のそういう制度を十分頭に入れていただきまして、この調査会の各委員に支払い準備預金制度はどうあるべきかということは御審議を願いまして、いろいろと立案もお願いすることになるわけでありますが、私の個人的な気持からいたしますと、さような場合におきまして、相互銀行あるいは信用金庫は、今申し上げましたような制度がありますから、もちろんそれらの制度も審議の対象にはなりましょうが、重点は、やはり現在においてはそういう備えのないと申しますか、そういう機構のない一般の市中銀行についての支払い準備預金制度がどうなるか、かようなことが中心の議題になるのではなかろうか、こう思います。しかしいずれにいたしましても、これらの点は金融制度調査会ができまして、そこで十分御審議をいただく予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/128
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129・横錢重吉
○横錢委員 大蔵省の現在の金融機関に対する態度というのは、指導の面、それから監督の面、取締りの面、こういう面があるのです。指導、監督、取締りはやっているけれども、助成策は考えていないでしょう。たとえば銀行なんかの内容が少しどうかなってきているというような場合においても、助成策は具体的には出していない。これは取締り、監督の面を通じて行なっていると思うのですが、この取締り、監督なんかの前に、たとえば歳入代理店であるとか、あるいは日銀との当座貸し越しの問題だとか、こういう道を開いて、具体的に金利も下げさせてやる、それからまた信用もつけさせて営業の成り立つようにしてやる、こういうような政策が出てこなければならぬと思う。たとえば現在の相互銀行で割り引いたところの手形というものは、今度それを市銀が持っていっても、日銀は再々割も認めない。このために、普通の市銀における再割というものは相互銀行の場合には行われない。こういうような、普通の市銀には再々割も認めておいて、相互銀行にはこれを認めない、こういう制度上の現在のものが、たとえば準備率においても三〇%もかかる、再々割も許さない、歳入代理店も認めない、こういうようなことにしておいて、これで全金融機関の日銀であるということにはならぬと思う。この点は、単に指導監督ということだけでなしに、もっと積極的に助成策というものが入ってこなければならぬと思う。その助成策というものは、全金融機関を対象として道を開くべきだと思うのです。その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/129
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130・東條猛猪
○東條政府委員 助成という言葉の使い方の問題もあると思いますが、やはり大衆の預金を預かりまたその健全な運用に当って参るのは、十分信用の高い金融機関でありますので、その信用度にふさわしいような健全な経営をしてもらう、そういうような方向に誤まりなきを期してもらうということが金融期間に対する助長と申しますか、あるいは監督と申しますか、そういう行き方が本来の行き方であろうと思います。日本銀行の取引の相手方、あるいは国庫資金の預け先というようなものは、やはりいろいろほかの観点をも加味して考えなければならぬと思いますので、具体的な問題といたしますと、個々の金融機関のあり方なり、その地位に応じた取扱いがいたされることはやむを得ざるところであろう、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/130
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131・横錢重吉
○横錢委員 今のその考え方が、各金融機関を平等に扱っていない、こういうことに言えると思うのです。日銀と市銀とがあって、その市銀を通じて相互銀行、信用金庫、というものはまた存在する、いわゆる次級機関のような格好にしているわけです。このために預金コストが高い、信用度が落ちる、そのために今度歳入の取扱いもさせない、こういうような取扱いになっていると思うのです。この点もう少し従来の考え方を改めてほしい。これはせっかく連合会もあるのですから、そういうものを通じてでもやるか、あるいは、たとえば信用金庫とか相互銀行でも、預金量が地銀に劣らない程度で多くなってきているものもあるが、そういうものに対しては、やはりこの道を開くべきである。何らかの助成策について、もう少し御考慮をいただきたいと思います。単に今までの態度のことが御答弁の内容のようですけれども、今までの態度ならば、何も金融制度の改革ということも出す必要はないのでありまして、これは、日銀の政策そのものを全般的に改めようというところに今日来ておるのだからして、この際には、こういう一連の金融機関の問題について考えていただきたい。なぜ日本の金利に対する問題が解決がつかぬか、これは、単に低金利政策を現実の段階で実施をされたならば、各方に行かなければならぬという格好になってくると私は思う。従って、市銀と日銀との関係、全金融機関と日銀との関係について、これは今の御答弁であるいは私の望むものを得られないと思うんですが、今度の改革に当って、ぜひこれは一つ考えていただきたい。これは要望として申し上げておきまして、なおこの問題については、今日時間もたっておりまするし、後日またやらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/131
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132・春日一幸
○春日委員長代理 この際石村君から質疑の通告があります。これを許します。石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/132
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133・石村英雄
○石村委員 ただ一点だけ為替局長にお尋ねいたします。特定物資の関係については、明日また通産省の方に来ていただいてお尋ねしたいと思うのですが、一つお尋ねいたすことは、為替の割当ですが、この割当書または内示書ですね、これは大蔵省とも関係していることですが、これは譲渡できるかどうかいう法律的な問題を一点だけ御返答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/133
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134・石田正
○石田政府委員 外国為替予算の問題につきましては、御承知の通りに、貨物関係のことは通産省の方で所管いたしております。それから貿易外関係の方は大蔵省で所管いたしております。全体の取りまとめは大蔵省がやりまして、全体の総額は幾らということはきめますけれども、実行の段階につきましては、通産省の方におまましてやることでございますので、今のお尋ねの点は、一つ通産省の方へお尋ね願えれば幸いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/134
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135・石村英雄
○石村委員 具体的なことでなしに、法律的にそういう譲渡が許されておるかどうかということを、為替局長として御存じじゃないかと思うのですが、法律には何ら規定はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/135
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136・石田正
○石田政府委員 外国為替の割当、これを割り当てられたものを譲渡できるとか譲渡できないとかいうような規定はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/136
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137・石村英雄
○石村委員 そうすると、法律的には規定はないそうですが、性質から考えると、これは譲渡できるものとは考えられないと思うのですが、大蔵省の所管でないからと言われればそれまでですが、解釈はどうなんですか。ある物資をその人に輸入させる権利を与えたわけですが――事実上権利になっておるのですが、それができる、できぬが法律ではきめてないにしても、性質から言えば、だれがそれを買ってもいいというようには、ちょっと常識的には考えられぬのですが、解釈上いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/137
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138・石田正
○石田政府委員 法律の明文については、今申し上げましたようなことであります。ただ常識的なことに考えますれば、外貨の割当は、その特定の人に割り当てる、こういうことが筋だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/138
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139・石村英雄
○石村委員 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/139
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140・春日一幸
○春日委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十三日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02119560322/140
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