1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十二日(木曜日)
午前十一時二十分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君
理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君
理事 春日 一幸君
淺香 忠雄君 奧村又十郎君
竹内 俊吉君 内藤 友明君
中山 榮一君 夏堀源三郎君
保利 茂君 石山 權作君
井上 良二君 竹谷源太郎君
平岡忠次郎君 横錢 重吉君
横山 利秋君 石野 久男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 一萬田尚登君
出席政府委員
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(銀行局長) 東條 猛猪君
委員外の出席者
中小企業金融公
庫総裁 坂口 芳久君
専 門 員 椎木 文也君
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四月十日
委員池田清志君、内田常雄君及び山本勝市君辞
任につき、その補欠として遠藤三郎君、淺香忠
雄君及び中山榮一君が議長の指名で委員に選任
された。
同月十一日
委員田中織之進君辞任につき、その補欠として
竹谷源太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
委員下川儀太郎君辞任につき、その補欠として
石村英雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事石村英雄君同月十日委員辞任につき、その
補欠として同君が理事に当選した。
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四月十一日
関税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一七号)(参議院送付)
物品管理法案(内閣提出第九七号)(参議院送
付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
金融制度調査会設置法案(内閣提出第七六号)
財政法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
五八号)
国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出第一五九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/0
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001・松原喜之次
○松原委員長 これより会議を開きます。
まず理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。理事であります石村英雄君が一昨十日委員を一たん辞任いたしたことがありますので、理事が一名欠員となっております。この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は、先例によりまして委員長において御指名いたすに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/1
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002・松原喜之次
○松原委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、石村英雄君を再び理事に御指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/2
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003・松原喜之次
○松原委員長 この際御報告いたします。当委員会において予備審査中の関税法等の一部を改正する法律案及び物品管理法案の両法律案につきましては、昨十一百参議院においてそれぞれ議決され、同日本院に送付されて当委員会に木付託となりましたので、御報告いたします。
なお物品管理法案は参議院において修正いたしましたので、その修正部分について参議院側の説明を聴取することといたしたいと存じますが、その日時等につきましては、委員長に御一任を願つておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/3
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004・松原喜之次
○松原委員長 次に去る九日、委員会に審査を付託されました財政法の一部を改正する法律案及び国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案の両法律案を一括議題として審査に入ります。まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。大蔵政務次官山手滿男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/4
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005・山手滿男
○山手政府委員 ただいま議題となりました財政法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
最初に財政法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申し上げます。
政府は、行政機構の改革及び行政運営の改善をはかる目的のもとに、別途内閣法、国家行政組織法の一部改正等を今国会に提案し、御審議を願っておりますが、本法律案は、これらの諾法律案と並んで、予算編成に際しまして、あらかじめ予算編成方針を作成すること及び予算閣僚会議に関する制度を設けることにつきまして、財政法に所要の改正を加えようとするものでございます。
以下その内容について申し上げますと、まず、政府が予算を編成するに当っての基本的な方針となります予算編成方針に関する規定を置いたことでございます。
すなわち、毎年度の予算編成方針は、大蔵大臣が作成をし、前年度の七月中に閣議の決定を経るのを常例とすることとし、各省各庁の長が歳入歳出等の見積りに関する書類を作成し、また、大蔵大臣が歳入歳出等の概算を作成する場合には、この予算編成方針に従って行うことといたしておるのでございます。
次は、予算閣僚会議に関する規定でございますが、内閣がこの予算編成方針及び歳入歳出等の概算の閣議決定をするに当りましては、閣議による審議の過程におきまして、内閣総理大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官及びその他内閣総理大臣の指定をする二人以内の国務大臣の会議、すなわち、予算閣僚会議によりまして審議を進めることができることとし、もって閣議における予算審議を一そう円滑ならしめることといたしておるのでございます。
次に、国家公務員のための国設宿舎に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その内容の概略を御説明申し上げます。
今次の行政機構の改革に伴いまして、従来内閣総理大臣の所轄のもとにありました宿舎審議会を、国設宿舎に関する事務の処理上、その事務を総轄する大蔵大臣の所轄のもとに移しますとともに、この審議会の会長を大蔵事務次官とすることといたしたのであります。また、ただいま別途御審議を願っております国家公務員法の一部を改正する法律案、内閣法等の一部を改正する法律案及び近く提案することを予定しております内政省設置法案等による機構改革に伴いまして、必要な規定の整備をはかることといたしたのでございます。
以上、財政法の一部を改正する法律案外一法律案につきましてその提案の理由と内容の概略を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/5
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006・松原喜之次
○松原委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
両法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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007・松原喜之次
○松原委員長 次に、金融制度調査会設置法案を議題として、質疑を続行いたします。横錢重吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/7
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008・横錢重吉
○横錢委員 大臣に伺います。現在の金融機関の重立ったものは、大蔵大臣の免許になっているわけでありますが、この免許になっている金融機関を、大臣としてはいずれも健全に育てたいと考えているかどうか、この点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/8
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009・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 むろん、いずれも健全にやっていくように監督をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/9
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010・横錢重吉
○横錢委員 大臣は健全に育てたい、こういう御答弁でございますが、そうすると、健全に育たないところの理由が政府にある、大蔵大臣の考え方にある、こういう点があった場合、これをどういうふうに処理をされるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/10
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011・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そういうふうなことがあつてはならぬと考えております。結果的に見て金融機関で不健全なことがありますれば、それについて適当な処理はやらなくてはならぬ、また金融機関の健全について、一体どうすれば健全になるか、これは政策として考慮していかなければなるまい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/11
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012・横錢重吉
○横錢委員 政府のとっている金融機関の対策が平等でない、片方に対しては厚い手当をし、片方に対しては薄い手当をしている、そういうようなところがあるために、平等に健全に育たない、この点に関してはどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/12
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013・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それぞれの業態、あるいは事情に応じて公平を期しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/13
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014・横錢重吉
○横錢委員 公平にされるというのは、今まであった欠陥を順次直して、今後その取り扱い方を全部同じにしていく、こういうふうな考え方でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/14
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015・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 全部同じというか、これはいろいろ御説明を聞かなければわからないのでありますが、いわゆる事情に応じ業態に応じて公平になるように、特にある金融機関を不当に保護し、他のものをおろそかにする、そういうことはいたしておりません。それぞれの目的にかなうように公平に育成していく、かようにいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/15
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016・横錢重吉
○横錢委員 それじや具体的に伺っていきますが、現在の金融機関のうち、普通銀行と、中小企業を対象とした銀行との間には、金利の上についてはなはだしい差がある、この差について、大臣はどういうふうに考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/16
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017・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 中小企業と大企業についての金利でありますが、これは私としましては、金利であります以上、いずれもなるべく事情が許す限り低い金利で資金の融通ができ、また受けられるようにいたしたいと考えておるわけであります。これは事務当局からも説明をさせますが、今日中小企業の金利がいろいろな関係で、若干市中では高いと思っております。これを今どうやって引き下げるかということについて努力を払っておるわけであります。原因その他について、あるいはどういうふうに差があるかについては、政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/17
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018・横錢重吉
○横錢委員 金利は安いほど日本の産業の安定のためにも、あるいはまた国際貿易の競争に勝つためにもいいということは、大臣も私も見解は一致していると思うのです。ただしかしながら、現在普通銀行と中小企業を対象としたところの金融機関との間では、貸し出しの金利に相当の開きがある。この開きというものは、決してよいものではないと私は思う。大臣は今公平に育てるということを言うておりますが、大臣のとっておる政策が公平に育成しておらないから、この差が出ておるのじゃないかと考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/18
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019・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 そうではないのでありまして、終戦後におきまして、中小企業等の資金の融通は非常に苦しく、かつ金利も高かった。それが漸次その後の政策によりまして、中小企業向けの資金も豊富になり、かつ金利も低下いたしておる、かような情勢であります。ただお話しのありましたように、その他の特に大企業あるいは大きな商業資金等に比較すると、資金源あるいはまた取扱いの手数、いろいろな関係から、中小企業の資金の方が金利が高いだろうと私は考えます。どれほど高いかは政府委員に説明をさせますが、それをさらに是正していきたい、かような努力を今払っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/19
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020・横錢重吉
○横錢委員 その是正するという努力は、具体的にはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/20
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021・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 たとえば一例をとってみましても、商工組合中央金庫の金利が一番中小企業向けの金利で下り方が少かった。あるいは高いと申していいと思います。それで、この商工組合中央金庫の金利は最近二厘五毛引き下げる。さらに商工組合中央金庫は、資金源を債券の発行によっております。従いまして、今後この金融債の条件、あるいはまた金利の高い旧債の借りかえ等について考慮を加えまして、さらに金利の低下もはかりたい、具体的にはそういう措置をとりつつあるわけであります。その他につきましても、なるべく資金源をふやしまして金利の低下をはかっていきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/21
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022・横錢重吉
○横錢委員 今の大臣の具体的な考え方というのは、決して今日の当面している中小企業を対象とした金融機関の金利の引き下げ策ということには、私はなっていないと思う。今日の中小企業を対象とした金融機関は信用金庫であります。それから相互銀行であります。こういうものが中枢的な役割を果しているわけであります。この相銀、信用金庫と普通銀行の金利の差というものは、現在当局がとっておる金利の引き下げということによって、全面的なしわ寄せを受けておるのです。従ってこの問題に対しては、当局として、これらの金融機関の金利の引き下げに対する具体的な対策を何らかの形で私は出さなければならぬと思う。長い間金融機関に対しては権威を持っておられる大臣であるから、当然このことはわかっているはずであります。何らかの対策を持っておるのではないかと思います。従いましてそれらの方向なりあるいは大きな構想でもけっこうですから、この際なお具体的にお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/22
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023・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 少し具体的に御答弁を申し上げますが、今御指摘のたとえば相互銀行、これは申すまでもなく、従来無尽を営んでおつたのが、銀行業務を悩むことができるようになりまして、相互銀行になった。本来、これは相当長期の資金を出しておる。従いまして、相互銀行から出る資金がある程度金利の高いということも、これは長期的な関係からやむを得ない。しかしこれらにいたしましても、今後資金量がふえて参ります。従いまして、やはり金利は安くなる。むしろ今後、資金は借手市場になっておりますから、借りる方の人から見ればよほど楽になっていくし、一そうそれが助長される。そういうように金利が下った場合に、むしろ銀行の経理あるいは銀行の資産内者等を健全に保持していくのには一体どういうふうにすればいいかという方に悩みが多かろう、かように考えておるわけでありまして、そういう点について今具体的に、たとえば銀行経営の一そうの合理化とか、あるいはまた一体預金コストをどういうふうに考えていくかというような点について具体的に話し、あるいは研究を進めておる、かような状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/23
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024・横錢重吉
○横錢委員 今日一般的な見方として、普通銀行には金が余ってきておるといわれておる。また現実にそういう現象が出ておる点が、幾つかの点で指摘をされておる。その反面に、中小企業金融機関というものはきわめて金融が逼迫して苦しい。これは大臣が御承知のように、二月、三月の不渡りは非常に小口であった。しかもこれがわが国における、最高の件数を示した、こういうように報道されているわけですが、こういう現象については、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/24
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025・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは中小企業金融の点もありますが、中小企業一般の問題になると思います。従来中小企業が社会的な構成の上で力が弱い、これは私率直に認めなければならぬと思うのですが、その結果、いろいろの関係からこれにしわが寄ってきて、中小企業が格段にお苦しみになっておるという事情があったと思います。従いまして、中小企業の対策というものが常に問題になるのでありますが、しかしそれが先ほど申しますように、第一に金融が非常に緩和して、大企業というものが資金的にも融通を受けやすくなり、金利も低下して負担が軽くなる。そうなると、中小企業に対しまして、それらの製品の納入等について長い手形を出しておる、あるいはひどいのになると未払いにしておる、こういうのが、私の考えではある程度現金取引で払える、また手形を渡す場合にしても、なるべく割引がしやすいように、短い期日の手形を渡す、こういうことを指導し、また可能になると思っております。こういうふうにすることによって、中小企業は自分の作った製品がすぐに売れる、あるいはまた自分が商売用に仕入れておる商品がすぐに売れていって現金化する、こうなると、金融は非常に楽になる。私は今後そういう方向にできるだけ金融面においても持っていくべきなんで——むろん商売ですから、借入金がなくて済むというわけではない。仕入れ資金その他はむろん要る。それについては、先ほど申しましたように、できるだけの手を尽しつつ、今までほんとうに中小企業を苦しめておった資金面、そこにメスを入れていきたい、かように考えて今日解決をはかっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/25
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026・横錢重吉
○横錢委員 答弁が少しくそれておるように感じておったのですが、ただ最後に、中小企業にメスを入れていくという御答弁があったのです。メスを入れていくというならば、問題点に向って率直に入っていくのが一番いいと思うのです。この場合、わが国最高の不渡り件数が出ておるということは、とりもなおさず中小企業における金融が逼迫をしておって、これらを扱っておるところの銀行、金庫から、これらの関係に回し得る資金が少いことからきている、こういうふうに見ておるわけです。従ってこの問題解決のためには、大臣が本腰を入れてこういう機関の問題の解決に具体的に乗り出していかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけです。この点についての御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/26
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027・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 お説の点につきましては、なお十分実地について調査もし検討も加えますが、私は中小企業行きの資金量が少くなったから不渡りがふえたとは考えておりません。私は、今日やはり一般の金融情勢が漸次中小企業にも及んでいって、徐々にではありましよう、幾らかおくれておりますが、中小企業金融も楽になりつつある、かように考えておる。従いまして、そのために不渡りがふえるとは思いません。不渡りの起る原因は、単に金融ばかりではありません。その原因はもう少し深いところにある。企業自体の本質に関する点から起っておるものも少くないのでありまして、私はそういう点にやはり今日考えを及ぼして、一体中小企業をどうするかという点に本式に取り組みたい。ただ中小企業は因っているから、それなら借金をふやしていけばいいというのでは、中小企業の解決はとうていできない、これは一時を糊塗ずることになる。本来必要とする金は円滑にしなければなりませんが、因っているから金利で助けていくという考え方は、かえって中小企業を一そう因らせることになるのではないか、こういうふうに考えるが、中小企業については問題が複雑多岐で、特に非常に競争が激しい、転換もしやすい、経済的に見ていろいろ困難な問題を含んでおると思いますが、要点は、やはりマーケットを与えてやることが一番大事だと思う。言いかえれば、中小企業の製品が売れるという市場を内外にわたって確保してやる。市場を確保したらそれが円滑にいくように——私は現金取引をあまり好まない。大体手形取引でいいと思うが、中小企業なんかには、ある程度現金で取引をすることも考えていいんじゃないか。また手形でやる場合は、中小企業は金額も小さいので、長い手形でもらっておつたのではどうにもならぬから、手形期日もなるべく短かくする、そういうような商習慣も漸次導入していきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/27
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028・横錢重吉
○横錢委員 中小企業の全般論としては、なお私は多数の意見があると思うのです。ただ、今は金融制度の問題だからして、全般論についての意見は差し控えますが、問題は、今日これらの中において具体的に回っている金が少いということ、少いがためにいろいろの現象が出ている。しかもこれに対して、当局は手を打たれていないではないか、そこに私は問題があると思うのです。金融制度の改革案を出されたとしましても、これは、本質的には日銀の問題であり、あるいは普銀の支払い準備金の問題であり、政策委員会の問題である。こういうような点だけに対する解決が出ておつて、今日当面している普通銀行と中小企業を対象とした金融機関との金利の大きな開き、この面について何ら対策が出ておらぬ。あるいはまた、これらの銀行は資金量が非常に少く、コストが高いので、こういう面を解決してやれば、わが国の中小企業は相当潤ってくるが、これまた何ら手を打っていない、ここに問題がある。従って、この問題に対する大臣の根本的な考え方を聞きたいと思う。大臣は、金融機関を通じてこれをどういうふうに解決づけようとしているのか、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/28
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029・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 一応現状から申しますれば、最近中小企業金融機関も資金量においてはそうお困りにならない。これは従来、たとえば今御指摘の相互銀行にしても、これは最近相互銀行になりまして銀行業務を営み、資金量も相当ふえております。従来無尽という形でやっておりましたが、無尽によっての金融よりも、今日の相互銀行になっての金融の方が、中小企業に与える資金量が現実にふえていると思います。しかもこの相互銀行の預金額というものは、やはり年々金融業務を営む関係から増加をいたしております。だからテンデンシーとしてはどうしてもそうなる、それで果して十分なりやいなや、私は十分とは思いません。そこでいろいろと苦心して資金量をふやしていく道をとる、かように考えているのであります。そういう点、資金的にはやはり大企業あるいは中小企業、あるいはまた産業別で言うと、いろいろな基礎産業とか、あるいはその他の小さい部分品等を作る工業、これらを全体的に見て資金の流れ方を考えていく、かようにも考えておりまして、今後資金量が増えれば、大銀行にしても——地方銀行はある意味において中小企業を専門にやっているといってもよろしいのでありますが、地方銀行等にも、金が余った場合、それらの金がある程度、あるいはなるべく中小企業の方に流れていくような道をいかにして発見するかということについて、今いろいろ考案をめぐらしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/29
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030・横錢重吉
○横錢委員 普通銀行は今日金が余ってきている現状である。戦後長い間普通銀行も資金の不足では苦しんできておる。特に日銀からは相当の援助を仰いできておる。ところが今日に至っては、その援助の必要もなくなってきた。この現状と、これらに対して日銀からは全然援助の方法がない、あるいはまた当局も援助育成の策がない、こういう問題に関して大臣はどう見ておられるのですか。各金融機関を公平に健全に育てるというふうな御答弁と実際のやり方は違っておる、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/30
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031・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 今私が申し上げましたようなことを実際に私どもはやっておるのでありまして、たとえば中小企業に対する金融機関である相互銀行等も、日本銀行と漸次取引をしていく数をふやしつつある。これも、やはりこれらの銀行の資金の需給について発券銀行の機能を利用できる、活用できる、かように考えている。まあしかし、これには中央銀行としての立場もありまして、漸次妥当なところへいかなければなりません。必ずしも思うようにはいかぬかもしれませんが、しかしふやしつつあることけ事実であります。同時に、また大銀行等の資金が今後相当ゆっくりしてきますから、それが中小企業の方に回るように、そういうふうなことは当然考えていくべきだ。これは、今ここで具体的にいろいろ申すこともまだ時期ではありませんが、そういう点も具現をしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/31
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032・横錢重吉
○横錢委員 普通銀行が資金が豊富になってきても、中小企業や劣悪産業に対してなかなか金を回さぬことは、大臣がよく御承知の通りだと思う。特に金利の引き下げをやったならば、客を選んでくる。安い金利でも引き合うような客だけを選ぶということになるので、その結果は下へ下へとしわ寄せされてくる。従って、現在信用金庫とか相互銀行とかが持っておるところの比較的いい客層というものは、現在の金利を引き下げるようになってくると、普通銀行にとられてしまう。普通銀行がこれをだんだん相手にしてきてとってしまう。その結果、これらの機関はますます悪い客層だけをつかんで運営せざるを得ないということに落ち込んでくる、この点に関していかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/32
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033・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 その点につきましては、私も先ほどちょっと申し上げた通りでありまして、むしろ今後における大きな関心事は、むろん資金を借りる方の問題もありますが、大体金融市場が借手市場になっておるのですから、むしろ貸す方の金融機関自体に、今度はいろいろな困難な問題が生ずるだろう。従いまして、今後金融機関をどういうふうにやっていくか、これをとくと考えていく必要がある。そういう意味におきましても、金融制度調査会というようなものをこの際設けまして今後の金融機関のあるべき姿を十分お考えを願う、あるいは衆知を集めるというのが適当であろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/33
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034・横錢重吉
○横錢委員 金融制度調査会では、金利の引き下げについては、具体的に、今私が質問申し上げたような点について何らかの対策をとろう、こういうふうに考えておいでですか。たとえば相互銀行や信用金庫、こういうものに対して、どうしたならば金利を下げてやることができるかという点について、もう大臣の構想はおありだ、こういうふうな御答弁なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/34
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035・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 金利を下げるというよりも、金利が下る情勢に対しまして、相互銀行や金庫はどういうふうに対応できるだろうかという点について考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/35
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036・横錢重吉
○横錢委員 金利というものは、大臣がよく御存じのように、下げる政策をやらなかったならば一厘といえども決して下らない。一厘の金利というものは、その銀行の余剰利益の全体を支配するだけの力を持っておるのでありますから、従って金利というものは、一厘下げようと思っても、政策としてこうしてやるというだけの強い政策を打ち出さなかったならば、決して下るものじゃない。このことは、私が言うよりも大臣がよく御存じの通りなんです。従って、具体的にこういうふうに下げてやる、たとえば今の相銀なり金庫なりに資金量が足らない、コストが高い、従ってこれは貸し出しの金利が高いのだから、これをどういうふうにしてやったならば、どの程度に金利が下るかということは、大臣がよく御存じなんです。従って今の点で、調査会の中で考えようというだけの考え方があるならば、大臣としてどういうふうに思っているか、一つここで教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/36
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037・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 金利の低下あるいは金利の引き下げということは、そう人為的にやるべきじゃないというのが、私の考え方であります。これにはいろいろ御批判があるかもしれません。ただ、まず第一に金利の下る環境ができなくてはならない。今日そういう環境ができておりますから、金利を下げる指導をいたしておる、こういうわけであります。またこういうものを一時に急速にやっていくのがいいか、十分将来を見通して、すなおに金利が下っていくのがいいか、下るかと思えばまた反騰するというようなことではいけないので、そういう点、皆さんと相談をして無理のないようにして、しかも金利が下っていく、こういう方向に進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/37
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038・横錢重吉
○横錢委員 金利の下る環境というのは、どういうふうにしたらできるのですか。また大臣としては、その状況はどういうふうにしたら出てくるとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/38
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039・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 いろいろありますが、大まかにいえば、物価の安定と経済の拡大にあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/39
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040・横錢重吉
○横錢委員 今日の情勢からいって、物価の安定あるいは日本全般の安定というもの、そういう状況は、見方はありますが、一応できてきているのじゃないか。そういう問題よりも、もっと日本全体の金利を下げなければならぬ、また国際的に見ても、日本の金利は高いということがいわれておる。従って、これはどうしても自然に下ってくるのを待つよりも、金利政策を優先して、もっと下げよう下げようというものが絶えず出てこなければならぬ。そういうような現われが、普通銀行に対して金利引き下げになってきておるのだが、ただ普通銀行だけの金利引き下げということでは、迷惑を受けるものが先ほど申し上げたようにいるのです。普通銀行で下げられるならば、相互銀行、信用金庫は客をとられて、迷惑を受ける。従って迷惑を受けないような全体的な金利引き下げを必要とするのではないか。大臣はそれに対して、環境である、また故意に下げるべきものではない、こういうように言うておるが、実際には当局がもう少してこを入れて、金利引き下げの方法を打ち出すべきでないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/40
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041・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 表現の仕方は、言葉の上でいろいろありますが、大体お話のように現実がなりつつあるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/41
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042・横錢重吉
○横錢委員 現実がなっておるという点ですが、大臣、それは普通銀行が下る、それからその他の次のクラスの金融機関はそれをかぶっておる、これが現実の姿なんです。これを大臣が認めていいというふうにお考えならば、私が最初に質問したところの、金融機関を公平に健全に全部お育てになるのかということに対して大臣はそうだと言っておるのだが、結局その結果は、具体的になるとそうではなくなってきておる。いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/42
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043・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 これは今日の経済的な機構の問題、それから経済についての主義といいますか、フリー・プリンシプルの上ではどうしても競争が行われますから、ある程度いろいろと問題はあります。それは私率直に認めますが、今後そういう点で十分留意しまして——金利が下ると貸し出し競争も起ってくるでありましょう。またほかの分野を侵すということもあり得ることです。ですから、金融機関の業務分野の調整ということを今日取り上げておるわけでありましてこれらも調査会ができますれば、調査会にかけまして、十分衆知を集めてやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/43
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044・横錢重吉
○横錢委員 資金量をふやすということ、それから金利を下げるということ、このことの具体的なものとして、歳入代理店を認める、あるいは日銀との取引をさせろ、こういう道を相銀それから信用金庫の連合会に対して開くならば、大臣が苦労しなくても、打ち出したところの対策でもって金利は自然に下ってくる、こういうふうに私は考えるのですが、これをやった場合に、これらの金利は下りませんか、どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/44
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045・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 それは、たとえば終戦直後のような情勢ではそういうことは言えます。なぜかというと、市場金利に対して日本銀行の金利は安いから、日本銀行から安い金を借りて、それを運用資金にするのですから安く貸します。ところが最近はそうではなくて、むしろ市場金利の方が安くて、中央銀行の金利を高く持っていく、こういう政策をとっておるのでありますから、日本銀行から金を借りても、それを運用して利益が上るというふうには考えない方がよかろう、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/45
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046・横錢重吉
○横錢委員 日銀から金を貸しておるのは幾らでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/46
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047・東條猛猪
○東條政府委員 お説のように、日本銀行の手形の貸付の金利はいろいろでありますが、典型的なものといたしまして商業手形割引の場合を申し上げますと、現在は二銭であります。それから横錢委員の御質問の中にあり、今大臣の御答弁になった通りでありますが、たとえば国庫制度の改正と申しますか、現在の制度を改めますような預託金の方法ということになりますならば、これはまた国庫制度の問題として、そういう観点も十分に検討いたさなければならぬ問題であります。現在の預託金を、中小企業の金融関係の資金コストを下げる目的のためにだけ問題を限定いたしまして、国庫制度に影響を及ぼしますような問題を考えることもよほど問題であろう、こういうように考えてます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/47
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048・横錢重吉
○横錢委員 手形の取引は二銭と言われたのですが、もっと安いのがあるはずだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/48
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049・東條猛猪
○東條政府委員 それは貿易関係でありまして、たとえば外国為替引き当て貸付制度でございますれば、これはロンドンやニューヨークの市場金利というものを目安に置いておるわけでございます。それから輸出の関係でございますれば、一銭六厘あるいは一銭七厘というものがありますが、これは先ほども申し上げましたように、いわば貿易に伴います特殊の金利、かように御承知をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/49
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050・横錢重吉
○横錢委員 まだあるでしよう。二銭よりも安いものはまだたくさんあるでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/50
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051・東條猛猪
○東條政府委員 私が申し上げておりますように、外国為替引き当て貸付制度でありますとか、あるいは輸出でありますとか、そういう特殊の貿易関係のみでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/51
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052・横錢重吉
○横錢委員 市中銀行が金が足りなくなって日銀から援助を仰ぎますと、この場合にいろいろ段階がありますが、これは幾らでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/52
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053・東條猛猪
○東條政府委員 むしろ横錢委員のお話でありますれば、高率適用制度のお話かと思いますが、それは逆に二銭よりはむしろ高くなるわけであります。もっとも今行われておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、貿易関係を除きますれば、二銭の適用があるわけでございまして二銭以下の貿易関係でないものはちょっと私申し上げかねます。ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/53
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054・横錢重吉
○横錢委員 これらの金利の引き下げ、あるいは資金量をふやすということ、こういうことのためには歳入の代理店あるいは日銀との取引を行うならば、具体的にこれらの問題は解決がつく、こういうふうに思っておるわけです。ところが当局の方としては、なかなかこれを認めようとしていない、これはなぜ認められないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/54
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055・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 日本銀行から金を借りて金融機関が金を貸そうなんということ自体が、大へんな間違いなんです。そういうことをやれば大へんなことです。なぜ大へんかということは申し上げるまでもありませんので申し上げません。
国庄制度等については、これは先ほど局長からお話がありましたように、国庫制度としての問題がまた多々ありますから、十分検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/55
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056・横錢重吉
○横錢委員 日本銀行から金を借りるという精神がよくないというふうに言われましたが、戦後十年の間、それでは日本の金融というものは一体何をやっておったか、十年間というものを二千億三千億という金を日銀から出して、これで今日の普通銀行というものの基礎を作ったのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/56
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057・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 私はあまりこういうことでいろいろと申し上げたくないのでですけれども、それなら敗戦後一体日本の国情はどうてあったのでしよう。私はあまりいろいろこういうことについて申し上げたくないのであります。これは御承知のように、ああいう戦争をしましてああいう負け方をして、資本は一切ふっ飛んだ。しかも人間はやはり生きていかなければならない。それなら一体国民は食わず飲まず働かず、それでいけたでありましょうか。これはやはりやむを得ないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/57
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058・横錢重吉
○横錢委員 今大臣は、敗戦の責任がさながら私個人にあるようなことを言われましたが、それではなくて、問題は、十年間日銀が当局と一緒になって、日本の普通銀行の基礎というものを強力に築き上げてきた、そうして今日これができ上ったところ、今度はもう日銀から金を借りるなどという精神はよくないというのは、これは少し勝手過ぎるんじゃないですか。そうではなくて、銀行というものは大臣が全部これを免許している、信用金庫に至るまで大蔵大臣の免許だ。しからば免許をするならば、私は公平に全部の機関というものを育てなければいかぬのじゃないか、その点についてどうだと言ったところ、大臣は健全に育てたい、こういうふうに言っておる。ところが現在の姿というものはどうだというと、十年間普通銀行に対しては常々として日銀から援助をつぎ込んで、今日もうみな一本立ちになって、金はあり余っているというところまで来たならば、今度は金を借りる政策などというものはけしからぬ。こういうふうな考え方は、少し勝手過ぎる見解じゃないですか。大臣が免許をしたその免許の当事者に対して、もう少し政策というものは公平にしていただきたい。その政策というものが今度は全国民に対する対策となって、金融制度が私は円滑に流れる理由だと思う。ここが非常に問題点だと思うので、大臣、焦点をはずさずに御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/58
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059・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 この日本銀行との取引関係は、申すまでもありませんが、金融機関等の一時の資金の過不足を調整する意味におきまして一時借り入れをする、こういうことで、大蔵大臣が一々金融界に認可を与えているではないか、むろん認可したのはその通りであります。しかしその場合も、認可するのには、銀行であればこういうふうにして預金を取る見込みがある、この預金を資金としてこういうふうに運用して、こういうふうな経理が成り立つ、その見込みだからやってくれ、日本銀行から借り入れをするなんてありはしません。そういうふうにすべて預金銀行は預金、債券を発行する銀行は債券、かようにいたしまして、それが実現するように大蔵省としては指導もし、監督もいたしておるわけであります。またその後ほかの事情でいろいろと金融界に支障がある場合に、それをどういうふうにするか、これは具体的な場合において、あるいは将来すでに見通しがつくことにおいては、一般的な問題として金融機関をどういうふうにすべきかというような問題を取り上げていくのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/59
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060・横錢重吉
○横錢委員 大臣は一時の借り入れだというふうに簡単に言いますが、日銀との間の当座貸し越しの制度を認めておるということ、これは銀行にとっては重大なる血路ですよ。普通銀行というものは、現在支払い準備金を一銭も持たないで、それでもし支払いに事を欠くような場合には、当座貸し越し制度というパイプを通じて生きていくことができる。ところがほかの銀行にはこれを許さぬでしよう。相銀には許さない、信用金庫には許さない、このことのために、大体三〇%を支払い準備として残しておかなければならない。従って三〇%を別にいたしまして、あとの七〇%で回転していかなければならぬ。ここにコストの高い理由が出てくる。それはお説のように、免許をする場合には、こういうふうな地域でこういうふうなものを対象としてやれということを理由にして免許しておるのだから、それはそれなりで私は意義があると思う。あるのはあるけれども、今日の政策というものが、金利引き下げをする、そのためにしわ寄せがぐんぐんと下に来て、相銀や信用金庫が苦しくなる。しかも苦しくなっておる原因というものは、日銀が今日まで戦後十年間というもの常々として普通銀行を育てて、普通銀行というものがしっかりした巨大なものになって、その結果今日こう苦しくなっているとしたならば、これは相銀や金庫に対して何らかの道を開くのが当然であります。もし大臣が言うように、あれは一時の借り入れだというふうな、こともなげな問題であるならば、これらになぜ認めないのですか。もし相銀や金庫に三年間貸し越しの制度や日銀との取引を認めたならば、これはりっぱに立ち直るし、しっかりとしたものになって、日本の金利政策の上に貢献することが大きい、私はそう考える。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/60
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061・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 むろん日本銀行と取引先の間に貸し越しはあります。それも一時なんです。この貸し越しが利用される、昔は内国為替取引の場合において大体使われておつたのでありますが、今日では、内国為替取引が集中決済になっております。従いまして、各地でいろいろと取り立てが行われておる、それが手形交換に回ってくる、予測し得ない。そうすると交換じりは、当然日本銀行の当座預金を通じて落さなければならないが、足らぬ場合がある。落さぬと手形交換をやり直さなければならぬ。手形交換は全体の金融機関に効力がある。そうすると、その不足分を一時貸し越しで落させる。そうすると一方、金があれば持ってこさせるし、ないなら一方普通の貸し出し、いわゆる貸し出しを起して、その金でその貸し越しを落させる。落さぬと、貸し越しは日歩も高いですから、もしもこれをそのままにしておくと、日歩四銭くらいまでもとられる。非常な罰金制度にもなっておりますから、決してこの貸し越し契約があって、貸し越しでどしどし金を出しているという事実はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/61
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062・横錢重吉
○横錢委員 植木を植えた場合にも、根がまだつかない間は、添え木をして雨風から防ぐ方法をとっている。大きな木になって、もう何年という成長をしているものに対しては、そういうような添え木をする必要はないというのが、植木を植える場合の常識です。ところが金融機関の場合には、普通銀行のような百年の歴史を持っているものに対して、日銀の給血路を開いておいて、相銀とか信用金庫のような五、六年の歴史しかない、植木で言うならば植えたばかりで、根のついていないものに対して、添え木を許さないということですね。これではものの順逆というものが立っていないではないか。しかもこれを許さない理由というものは、明確なものが私はないと思う。法律にもない。当局の方の考え方だけで現在普通銀行だけを育てて、その次のものはもうお前ら勝手次第に何とかやっていけという政策であって、助成策というものを積極的に講じない。これではいかぬ。今日の金融制度調査会に当っても、具体的にこの問題も出しておらないし、解決策ももとより握つていない。そうでなくて、もっとこの問題は、今日の日本の金利をどうするか、日本の金融制度をどうするかを考えるならば、当然この問題に対して解決点を出すべきだ。これが簡単なものであったならば、なぜ日銀の当座貸し越しをこれらの機関に認めない。認めたらいいじゃないか。そうすると、りつぱにこの日本の金融制度というものは前進しますよ。さらに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/62
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063・一萬田尚登
○一萬田国務大臣 何だか中央銀行論みたいになりまして、非常に恐縮します。であるのでありまするが、御承知のように中央銀行は発券銀行でありまして、日銀の出すお札に、すべて日本の価値というものが表現される。われわれがこの頭で働き、足で働き、手で働いても、結局は一日の労働価値といいますか、報酬というものは、日本銀行券で評価する。そうすると、日本銀行券の価値が動かない、絶大な信用を持つということ、これがすべてにある意味において優越する。金融問題では優越する一番根本問題。そうしますと、この日本銀行がどういうものと取引をしているかということは、これはまた重大な問題。ですから、中央銀行というものはどういうふうに取引を持つべきかという基本問題、それについてはいろいろ意見もありましようよ。ありますが、これはもう各国どこの常識においても、そういうふうな別個なものが困るからこれをいかにするかということは、別個な政治問題だ。それを救済してもよろしい、あるいは財政的措置をとつてもよろしいが、それを中央銀行に持ってくることは、私は非常に慎重に御考慮をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/63
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064・松原喜之次
○松原委員長 ちょっと横銭さん、大臣は閣議が始まっておるので出たいと言っておられますから、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/64
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065・横錢重吉
○横錢委員 またあらためて質問しますが、大臣、今の大臣の答弁は、普通銀行に対して二千億も三千億も融資をしなくて、どこの銀行に対してもこの当座貸し越しなんかはやらないのだということならば、私はその意見はりっぱな意見だと思う。ところが普通銀行に対してはそういうことをして十分な援助をして、その日程が終ったら、今度はこういう道は開かないのだというのでは、大蔵大臣の答弁としては、私はちょっとへんぱに過ぎると思う。そうではなくて、そういうふうなことをやって、今日の普通銀行が立ち直ってりっぱな金融機関になった。だとするならば、他の金融機関にもなぜやらないか。日銀との取引ということはきわめて大へんな問題だとおっしゃるけれども、大臣はこの金融機関の免許に対して二つに分けておる。日本の国にとって大切な金融機関は、大蔵大臣の免許にしておる。その次の地方的な、位の低いといってはちょっと語弊がありますが、その次のクラスのものに対しては、府県知事の免許にして、これは明確に区分しておる。従って大蔵大臣のこの免許した機関というものは、日銀と取引して何ら差しつかえない。差しつか、えないということを認めるからこそ、大蔵大臣が免許しておるはずなんだ。従ってそういうものに対してこれは免許したけれども、お前は私生児であって、普通銀行だけが嫡出子だというような取扱いをするということは、私は少しおかしいと思う。この点は一つ、最初の質問で承わったように、公平に各金融機関を取り扱うという点でもって、大臣の再考慮をわずらわしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/65
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066・松原喜之次
○松原委員長 横錢君の大臣に対する質問はなお留保することにいたしまして、次に春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/66
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067・春日一幸
○春日委員 中小企業金融公庫の問題につきまして、坂口総裁にお伺いいたしたいと存じます。申し上げるまでもなく、あなたの公庫は、国の財政資金によってその事業が行われておるのであります。従いまして、当然資金の貸し出し……。(発言する者あり)委員長、本日は散会願いましようかね。騒擾にたえないのです。一つ静粛にやつてもらわぬと、こういう環境のもとにおいては、僕は質問を続行できませんから、僕は動議を出す……。国の財政資金によって弁ぜられておりまする立場において、むろんその貸し出しについては峻厳にお取り扱いを願わなければならぬが、同時にその業務の運営もまた特に厳粛に管理がなされなければならぬと私は存ずるのであります。ところが私どもが権威ある筋から受けたところの陳情によりますると、必ずしも公庫の内部の、すなわち運営管理、人事管理というものは適切に行われていないかのごとき印象が強く受けられるのであります。
そこで私が最初にあなたにお伺いをいたしたいことは、少くとも最近において、職員組合から、これらの人事問題あるいは給与問題等について、何らかの要請を受けられたことがあるかどうか。あらば、その内容はどういうものであったか。さらにそれに対していかなる回答をなし、処理がなされておるのであるか、まずこの一点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/67
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068・坂口芳久
○坂口説明員 私どもの公庫の職員組合は、昨年の十一月ごろにできたのじゃないかと存じております。十二月に年末の資金等につきまして陳情がございまして、大体組合側とよく話し合いまして、それは片づきましてございます。その後本年になりましてから、今お話しのように、公庫が円満にりっぱに育っていきますように、人事につきましても、諸種の点について注意を願いたいという意味の数項目にわたる要求がございまして、これにつきましてもよく話し合いまして、書面をもって組合の方にも回答いたし、組合の方も十分了解してくれたように考えております。ただいまでは、私どもの職場に不明朗な点はなく、むしろ非常に明朗な職場だと私も信じておりますし、組合の方も信じておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/68
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069・春日一幸
○春日委員 私どもは、単なるデマゴギーや、単なる風説にのっとって、この権威ある席において発言をいたしておるのではありません。職員組合がはなはだ満足して、不平なく、その問題について了解しておるとあなたは独断をしていらっしゃるけれども、このことこそが最も危険なことであり、この点についてあなたの重大なる反省と考慮をわずらわさなければならぬことと存ずるのであります。あなたのそういう答弁にもかかわりませず、権威ある筋の申達によりますると、職員組合は二月三日、そういう問題について要求を行なったが、その回答は不誠意きわまるものである、こういう工合に言っておるわけでありますから、あなたが釈然と了解し、円満に人事が把握されておるという理解と全然相反する現状が彼らの側において行われておるというふうにわれわれは考えなければならぬと思うのであります。
そこで私は、まず具体的な事柄をお伺いいたしますが、当然あなたの機関は全額財政資金によって弁ぜられておるわけでありますから、これは純粋の官公庁と同じ性格を有する機関であります。そこで他の国家機関が行なっておりますと同じように、給与については、何らかの給与体系、あるいは給与の決定基準となるようなものが、制度として設定されたものがあるかどうか、まずこの点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/69
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070・坂口芳久
○坂口説明員 私どもの公庫は、御指摘のように全額政府出資でございまするが、公務員ではないのでございまして、その意味で、公務員の方でとっておられますように、号俸制とか、ああいうものはいたしておりません。大体普通の金融機関がやっておりまするように、何号俸々々々というのでなくて、月俸幾らというふうにきめております。そういう意味では号俸制というものはない、そういう意味でお尋ねがあったのじゃないかと思うのですが、これは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/70
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071・春日一幸
○春日委員 私は、別に官公庁の公務員の給与制度にそのまま格順した給与制度を設けたかどうか、そんなことを聞いておるのじゃない。もとよりあなた方は、純粋に国家機関ではありましょうけれども、公務員ではあるいはないかもしれない。従って公庫自体の給与体系、給与決定基準が設定されてしかるべきではございますけれども、しかし現実にその基準となるべきものがあるかどうか、独自のものがあるかどうか、それを伺っておるのであります。私が冒頭申し上げました通り、これは百パーセント国民の血税によってまかなわれておるところのものでありますから、そこに採用される者が、何らかの基準によって処理されるということは当然のことである。従って公庫の独自の基準となるべきものがそこに設定されておるかどうか、この点を伺っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/71
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072・坂口芳久
○坂口説明員 先ほどのお答え、少し間違っていたようであります。基準といたしましては、給与の最低、最高、その間の昇給の基準、それから私の方は本俸と職務手当、勤務地手当と分れておりますので、たとえば職務手当につきましては、どういうふうにというような基準を設けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/72
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073・春日一幸
○春日委員 そういう基準が設けられて、しかもそれは全従業員に公開告示してあるかどうか、それとも、それは秘密で、あなたの手元に蔵せられているのかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/73
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074・坂口芳久
○坂口説明員 ある程度従業員は存じているはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/74
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075・春日一幸
○春日委員 ある程度とは一体何でありますか。ある者、たとえば理事とか監事とかいうような重役的立場にある者は知っておって、他の一般従業員は知らないのであるか。ある程度知らしめて、ある程度知らしめられていないという必要は一体どこにありますか。なぜそれが公開告示されて従業員の給与の基準となるものが彼らに示されないのであるか。示すとどういう弊害を伴うものなのか。申し上げるまでもなく、政府出資の金融機関は、どこでもおおむねそういう給与体系、給与決定基準というものは公開告示されているのであつて、あなたの機関だけがそれが公開されてはいない、そこに従業員の不満が存する。不公平人事とか、総裁独占人事とか、日銀閥人事とか、商工閥人事とか、そういうようなことで、内部はハチの巣をついたような形といっても極言ではないくらい、乱離骨灰の状態であると極言をいたしている者すらあるのであります。他の関係金融機関は、それらの諸君の給与基準はおおむね公開告示されておりますのに、あなたの機関だけそれが全般に告示されていない理由について御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/75
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076・坂口芳久
○坂口説明員 普通金融機関の中で、はっきり全部を示しているところとそうでないところと分けてみますと、大体において金融機関は、はっきり官庁のそれのごとくやっているところは少いのではないかと私ども考えております。ある程度と申しましたのは、昇給のこまかいこととか、あるいは組合員の中には知らない者があるかもしれませんが、全体の構想につきましては、組合員は存じているはずであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/76
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077・春日一幸
○春日委員 組合がそういうものを示されれば、それを基準としての団体交渉もいろいろ行われるわけですが、団体交渉を行おうと思っても、そういう共準がないから、結局こういうように意見がもたらされて参るのであります。果してあなたは、その給与決定基準はこういうものだということを組合にお示しになったのかどうか、責任ある御答弁を願いたい。公庫における給与体系と給与決定の基準はこういうものであるということを、正式に組合に示された事実があるかどうか、責任ある御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/77
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078・坂口芳久
○坂口説明員 大体の方向その他は十分に組合と話し合いまして、円満に話し合ったつもりであります。書面でも出しました。書面の回答の中で、質問を受けました点については、十分に組合に話しまして組合の方は十分に了解していると思います。しかし組合の中には、あるいけ多少意に満たない人もあるかもしれません。その点私どもも、そういうお話がございましたら、なお十分組合とも話し合ってみたいと思います。なおまだ団体協約もできていないので、その点につきましても、組合とただいま相談中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/78
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079・春日一幸
○春日委員 あなたは今、金融機関において人事管理の基準や給与制度が公開されておるものは半々くらいであろう、こう言われておりまするけれども、私どもの調査したところによりますと、政府の機関——開発銀行、国民金融公庫、輸出入銀行、商工組合中央金庫と、あなたの方の機関をあげることができると思うのでありますが、これらのあなたの機関以外の金融機関は、私が今申し上げましたような給与体系については、あるいはまたその決定基準その他については、すべて一般に公開をいたしまして、こういう処理がなさるべきものという工合で、みんなそれがまた団体交渉の基礎ともなっておるわけであります。今半数くらいしかそういうものが発表されてはいないというのは、一体何を根拠にそういうことを言われるのであるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/79
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080・坂口芳久
○坂口説明員 半数とまでは申し上げなかったのでございますが、お尋ねの点が、大体組合側から出ました書類をお待ちのようでございますので、それだと、組合から私の方に要求されましたのと少し違うような気がいたすのでございますが、いろいろお話しもござ
いますので、なおよくその辺は研究いたしてみたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/80
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081・春日一幸
○春日委員 あなたは失敬千万なことを言われる。われわれ国会議員が質問しておるのに、組合から出た書類をお持ちのようだというような、そういう独断とか、また勝手な推測を下すということは越権である。のみならず、それは侮辱である。われわれがどういう資料に基いていかなる検討を加えようと、これはわれわれの自由自在な独自の権限であって、あなたは組合からもらった資料に基いてやっておるが、あなたの方の資料は私の資料とは違っておるとは何事であるか。私の資料が組合から出た資料である、そしてあなたの資料と違っておるというようなことは、一体どういうことであるか、どういうわけだ、取り消しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/81
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082・坂口芳久
○坂口説明員 私の言葉が悪かったと思います。私が今申そうと思いましたことは、給与の公開のことのように思いましたのです。組合から出ましたときの給与の公開については、一人別に詳しいものを公表しろというふうな御要求がありましたので、それに対しましてそれはちょっと今の段階では、かえってそうしない方がいいのじゃないか、こう思いましたので、その点について話し合って了解を得た、こういうつもりで私申し上げたのでございます。大へん失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/82
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083・春日一幸
○春日委員 聞き捨てならぬです。少くとも私は、私の独自の資料に基いて質問をしておる。ところが総裁は、あなたの資料は組合から出された資料であるようだが、組合から私に出された資料とあなたの資料とは違っておるからということで、こういう私の資料に対し、また私の質問に対して誤解であるという断定のもとにそういう答弁をなされるということは、私ははなはだもってけしからぬと思う。私の資料が組合の資料であるや、あるいは間違った資料であるや、そんなことは要らぬことじゃありませんか。あなたは私の質問に対してのみ答弁すればよいのであって、そういう失敬千万な、あなたは間違った資料に立って質問しておるというような罵言を浴びせることがあるか。取り消しなさい。(「みんながわかるような質問をしろ」「もう一ぺんやり直せ」と呼ぶ者あり)
それではさらにお伺いをいたしますが、あなたの方の出向職員の身分関係はどうなっておるのでありますか。これらの諸君は、日銀あるいは商工中金、興銀その他から出向されておると思うのでありますが、ようやくあなたの機関もよわい三年を加えて基礎が固まつて参っておると思うのであります。わけて今回の予算によりまして、幾つかの支店を拡充しなければならないような段階にもなっておるわけでありますが、この出向職員と個有の職員との身分関係において、いろいろと問題が介在いたしておると思うのであります。こういうような出向職員の身分関係は、一体どういう工合になっておるのか。その籍が日銀にある者はやがて日銀に帰っていくのであるか、あるいは帰らないで、将来ずっとその公庫の仕事に専念していくのであるか、この点どういうふうであるか、ちょっとお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/83
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084・坂口芳久
○坂口説明員 私どもの出向職員は相当多数おります。急速に専門の人を集めようと思いましたので、専門の金融機関等から出向していただきましたのですが、それぞれ人によりましてお約束が違っておりまして二年ぐらい拝借できる者、あるいはもう少し長い者とか、人によってそれぞれ違っております。従って私どもの出向職員にいたしておりますのは、その金融機関で本来もらっております給与との関係上、正式にこちらで職員にいたしますにはいろいろ不便な点がございますので、出向をいただいておりまする金融機関の御好意も受けるつもりでやっておりまして、人によりまして年限等は非常にまちまちになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/84
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085・春日一幸
○春日委員 私は中小企業に対して、その金融を政策的に拡充強化しなければならないという立場において、この公庫の使命を最も重く見ておるのであります。こういう意味において私は質問しておるのでありますが、日銀からあるいは通産省から、商工中金から、一年、二年というようなちょっと借りでそういう人々を借りるということは、公庫の事業の独自性を特に尊重するという立場から考えても、これはやがて自分はそれぞれの親元へ帰るんだからということで、ほんとうに終生をあげての情熱を事業そのものに傾注でき得ないのではないかということを案ずるのであります。今や三年たって、あなた方の資金量も大へん大きくなってきて、これが暫定的な機関ではなくて、恒久的な国家機関であるという立場から、当然主要人事はもとよりのこと、末端人事に至るまで終生をこの公庫にささげる、こういう立場から公庫固有の人事管理がとられなければならないのであり、これが事業草創のときならば、人材を急に集めることの困難性等から考えて、特に他の機関からの出向人事ということも当面やむを得ないことであったかもしれませんが、二年、三年とたった本日、なおこういう事柄がもう慣例的に行われておるということは、私は非常に疑義があると思う。出向人事を今後いかに処理されていくつもりであるか。特にお伺いをいたしたいことは、三十一年度予算に基いて、高松、広島、金沢、仙台、四支店が設けられて、相当新規の人材を必要とするであろうと思うが、こういうような主要人事の任命は、今までの方針によって、出向人事にウエートを置くか、それとも固有人事をとるか、総裁の決意、方針を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/85
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086・坂口芳久
○坂口説明員 私も今春日さんのおっしゃったように、固有の職員をもってやるようにいたしたい、全体についてそういう方向に持っていきたい、こう考えております。ただこれまでは、固有の職員を養成していく関係からも、他の金融機関からの援助を受けるというような方法をとって参りましたが、なるべくこの固有の職員を早く養成していくことに全力を注ぎたいと思います。今回四支店を作りますにつきましても、固有の職員のうちにその適任者を見ますれば、その適任者をこれに充てていきたいと思いますが、何分にも全部にこれを充てることは困難じゃないかということも考えておりますので、ただいまその研究をしておる間でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/86
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087・春日一幸
○春日委員 私は、あなたが初代総裁としてずっとこの困難な事業をやってこられた功績には、私は敬意を表するにやぶさかではありませんけれども、しかし寄り合い世帯で当面の仕事をするのはやめて、もう三年たっているのだから、本腰を入れてその仕事に徹するということでなければならぬ。私は、適当な機会にあなたの方針も転換がなされなければならぬと思う。それで今の御答弁によりますと、なかんずく、固有人事は得られないものについてはやはり出向人を仰ごう、こういうような腰のすわらないような御答弁でありますけれども、あなたに国家が負託いたしておりますところの内容は大へんに大きい。そういう大きな重責を果すためには、まず人事の管掌ということが特に重大であろうと私は思う。そういうようなときに、よそから人を借りてくる——今日本は朝鮮銀行も整理されるし、あるいは台湾銀行も閉鎖機関になり、朝鮮殖産銀行も閉鎖されて、人材は雲のごとくにうようよしている。金融に経験のある者はたくさんいる。なければ、私が三百人くらいはあっせんしてあげるのだが……。こういうようなときに、あなたがあくまいで日銀から引っぱってきたり、あるいはまた通産から引つぱつてきたり、あるいは商工中金から引っぱってきたり、こういうような自分の気にいった部下を使おうというところに、派閥だとか、セクトだとか、そうしてそういうような争いから、ごつごつした経営という非難が生れてくるわけなんです。私はあなたが公庫の使命の重大さを痛感されたならば、よそから人を借りるようなそんなことでなく、特に固有人事、すなわち公庫の主体性を明確に打ち出す、そういう人事管理がなされなければならぬと思う。この点は一つ十分御考慮を願いたいと思います。のみならず、この資料に基いて警告をいたしておきたいのでありますが、こういう出向人事の弊害がどういう面に現われてくるかと申しますと、私の資料によりますと、通産省の元課長補佐で、当時の公務員一般職俸給の十級四号俸、二万二千円であった者が、出向人事であなたの方へ来ると、一躍本俸が四万九千円になって手当を入れると手取りは七万円近くになる。すなわち二万二千円であった者が、あなたの方へかわってきただけで、結局手取りが七万になる。こういうようなわけで、日銀閥、通産閥、商工中金閥というような連中ははなはだ優位な立場に置かれ、そうでない者はいつまでも下積みであって、なおかつ低給に甘じなければならない、こういうような状況もこの資料は訴えておるのであります。こういうような這般の情勢から判断いたしますと、あなたが国家から背負っておるところの責任というものは、むろん公正にかつ能率的に金の貸し出しもしてもらわなければならぬけれども、その業務成績以前に、まず人事管理、運営管理、これをもっと円滑に行なってもらわなければ私は非常に困ると思う。なおこの資料の中には、不当な貸付や渋滞やその他いろいろな問題がありまするけれども、これらの問題については、事個人に関する問題だから、いずれこれに日を改めてさらに検討を加えることといたしまして、本日は触れませんけれども、公庫総裁坂口君が今果しておられるところのその業務成績というものは、必ずしも国民の信託にこたえるものではない。少くとも労働組合に対して、他の金融機関かなし得るところの給与体系の明示ができ得ないというはずはない。公正にして、妥当なものを出せば、どのような交渉があろうとも、それに対する応対の根拠があり得るはずと思うのだが、そういうものを示せと言っても示さない。大体の方向だけ示した——大体の方向を示すというようなことでなく、三年たてばそんな基準ができてもいいと思うし、また作らなければならぬ。作ることがあなたの責任である。だから私は、そういうような立場から、公庫の人事管理というようなものが、もう少し適切に公正に妥当にされることを強く要望いたしまして、本日は時間でもありますから一応終って、私の質問を留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/87
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088・松原喜之次
○松原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明十三日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X02819560412/88
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