1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月十五日(火曜日)
午前十一時五十一分開議
出席委員
委員長 松原喜之次君
理事 有馬 英治君 理事 小山 長規君
理事 藤枝 泉介君 理事 石村 英雄君
理事 春日 一幸君
大平 正芳君 奧村又十郎君
杉浦 武雄君 竹内 俊吉君
内藤 友明君 中山 榮一君
夏堀源三郎君 坊 秀男君
前田房之助君 横川 重次君
有馬 輝武君 石山 權作君
平岡忠次郎君 横山 利秋君
石野 久男君
出席政府委員
大蔵政務次官 山手 滿男君
大蔵事務官
(主計局次長) 宮川新一郎君
大蔵事務官
(管財局長) 正示啓次郎君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主 計 官) 上林 英男君
大蔵事務官
(管財司計官) 上東野正二君
専 門 員 椎木 文也君
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五月十日
委員古川丈吉君辞任につき、その補欠として千
葉三郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月十四日
委員坊秀男君辞任につき、その補欠として小川
半次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員小川半次君辞任につき、その補欠として坊
秀男君が議長の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員柳田秀一君辞任につき、その補欠として横
山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十二日
労働金庫に対する資金運用部資金の長期融資に
関する請願(田中彰治君紹介)(第二一四六
号)
余剰農産物見返円の貸付に関する請願(遠藤三
郎君紹介)(第二一五九号)
中小企業等協同組合法の一部改正に関する、請
願(遠藤三郎君紹介)(第二一六〇号)
信用保証協会に国家財政資金導入等に関する請
願(櫻内義雄君紹介)(第二一六四号)
運動員に対する物品税撤廃に関する請願(内藤
友明君紹介)(第二一七七号)
桜島の噴火降灰によるたばこ耕作被害措置に関
する請願(山中貞則君紹介)(第二二一〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十日
在外資産補償に関する陳情書外二件
(第六五四号)
同外一件(第
七〇一号)
中小企業等協同組合法の一部改正に関する陳情
書(第七一〇号)
同(第七三三号)
物品税撤廃に関する陳情書
(第七二八号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
連合審査会開会申入れの件
物品管理法案(内閣提出第九七号)(参議院送
付)
国の債権の管理等に関する法律案(内閣提出第
一四九号)(参議院送付)
接収貴金属等の処理に関する法律案(内閣提出
第一四八号)
外国為替に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/0
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001・春日一幸
○春日委員長代理 これより会議を開きます。
まず最初に、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りをいたします。商工委員会において審査中の繊維工業設備臨時措置法案は、当委員会の所管と密接な関係がありますので、同法案について商工委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと任じますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/1
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002・春日一幸
○春日委員長代理 異議なしと認めます。よってさよう決しました。
なお連合審査開会の時日つきましては、商工委員長と協議の上、追って公報をもって御通知いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/2
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003・春日一幸
○春日委員長代理 次いで物品管理法案及び国の債権の管理等に関する法律案の両法案を一括議題として、質疑を続行いたします。石野久男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/3
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004・石野久男
○石野委員 物品管理法案のいろんな問題点については、各委員からの質疑が出ておりまして、いろいろな点で解明されるところがありましたが、特に最近におけるいろんな問題の出ている観点から見まして、物品を収得する間におけるいろいろな問題点を、どのようにこの管理法案は縛っていくかということで、私は一応この法案についての疑義を持つわけですが、こういう問題点はどのようにして取り締ろうとしておるのであるかということを、一応御説明願いたいと思うのです。たとえば最近特に問題になっておりまする、防衛庁の中古エンジンなど、ああいう問題は、その取得者の名におけるところの価格の問題だとか、あるいはその調達の表面的な問題としては、公的には問題がないのだろうと思います。けれども実際には、取得価格と原価との間における非常に大きな利ざやがあるということに問題があるわけです。これは、一面からすると、その点は商行為だから、幾らもうけたっていいという、ことも成り立つわけだけれども、一般の国民からすると、非常な不当利得をそこでとっているということになると思う。もちろん不当利得一をとれば、それから税金をとればいいのだということに結論はなるかもしれませんが、しかしそれは普通にはなかなかわからないわけです。しかも今度のような、ああいう世間を騒がすような問題が出ているわけです。こういう問題点を、この監理法案はどのようにして押えていこうと考えておられるか、その点を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/4
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005・宮川新一郎
○宮川政府委員 御質問の点でございますが、御承知のよりに、この法律は契約担当職員を規定いたしませんで、物品管理官、供用官、出納官を拘束しているものでございます。今回のような事案に対しまして、どの程度この法律が有効なチェックができるかという点でございますが、たとえば通産省で、これはおそらく払い下げを目的とした中古エンジンだと思いますが、その目的が払い下げにあったといたしましても、同じ役所でたくても、たとえば防衛庁というようなほかの役所で必要な場合には、これを管理がえした後において、管理がえする必要があるか。どうか検討した上におきまして、これを処分するようなことになっておりますので、各省との連絡が十分につきますれば、今回のような事件はある程度——民間に払い下げて、また政府の他の部局が買うというような措置は防止できるのじゃないかと思う次第でございます。
なお契約担当職員につきましては、この法律の適用外でございますが、物品の供用官がございまして、これが契約担当職員と緊密な連絡をとるようなうに規定いたしてございまするので、その意味からもある程度の善処ができる余地が生まれてくると存じます。それから契約担当職員につきましては、この法律で特別の定めがございませんか、予算執行職員等の責任に関する法律がございまして、これが予定価格を適正に定めて物品の買い上げをやる。もしその買い上げが不当に高いものを買って国に損害を及ぼすというような事態が生じました場合には、この予算執行職員等の責任に関する法律の定めるところによりまして、弁償責任を課せられる、こういう法の仕組みになっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/5
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006・石野久男
○石野委員 この法律が、直接そういう問題はなかなかチェックできないというような何は大体わかるのですが、しかし事実は、この物品の管理を、特に今までは予算執行官とか契約担当者等が、今までのいろいろな法律に従って、その業務をやつてきたと思うのです。しかしその業務をやつている間にいろいろな問題が出て参りまして、今日騒いでいるように、われわれの税金が変な方に変に使われたという結果が出ていると思う。今度の物品管理法というものを作った最大の原因は、従来ある法律の盲点がそのようにしてつかれておって、そうしていろいろな弊害が出ておるから、こういう法律案が作られなければならない事態が出てきておると思います。われわれもそれに非常に同感をしておるものであります。しかし今のような問題は、物品調達官とか、あるいは予算執行官員、予算執行職務にある人々がやることであって、この法案自体はそれに対して何も触れることができないのだということになりますると、せっかくいい意図をもって作られるこの法案も、結局形を作って魂が入らないような結果になって、依然として従来のような弊害が残っていくのでないかということを憂えられるわけです。たまたま今度は、ああいう事件が何かの調子で表に出たからいいようなものですけれども、おそらくは、あれに類似する多くの問題がやみからやみへ葬られてしまっておるだろうと思います。そうなりますると、やはりこの法案を作ろうとするわれわれの意図が、そこでは何の役にも立たなくなってしまうということになりまするので、われわれとしては、やはりこの法案を作るこの機会に、そういう問題点をもうまくチェックできるようなことを考えるべきではなかろうか。そういうような点について、すでに政府の方では一応考えてはおるのだろうと思いまするし、先般来聞いておりますると、あれやこれやのたくさんの政令ができると私聞いておるわけです。それらできる政令の中で、そういう問題をどこかでチェックするようなことが考えられておるのだろうかどうだろうか、その点をもう一度お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/6
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007・宮川新一郎
○宮川政府委員 お話しのように、この法律を作りまする以上、今まで会計検査院等で批難されましたような半旗をできるだけ網羅いたそうと思いまして、先般の当委員会にも御説明いたしましたように、各般の検査院不当事項に対処できまするような規定を置いた次第でございます。ただ、今御指摘になりました中古エンジンの事案につきましては、遺憾ながらこの法律自身におきましては、チェックする道はないわけであります。かりにもしあの中古エンジンというものに防衛庁が一台千二百万という巨額の金を出しまして、さほど必要でないところに、あるいは初めからそういう使用目的かなかったようなところに使う場合でありましたら、この法律によって供用計画を定めまして、供用計画の範囲内において、物品供用官というものが、会計職員と申しますか、調達官に買い取りを請求して初めて物品調達官か契約担当官が買うことになっておりますので、そういう事態は、この法律によってチェックできると思います。ただ、高い値段で買ったのではないかというような問題に相なりますると、これは現在執行されておりまする予算執行職員等の責任に関する法律によって規制を受けるわけでございまして、国に損害を及ぼした場合には、契約担当職員といえども、物品品管理法にあらざる、今申しました予算執行職員等の責任に関する法律によって弁償責任を課せられるわけでございまして、その点はチェックできるかと思うわけでございます。そういうわけでございまして、ただいま考えておりまする政令の中において、こういうふうなことをチェックするというようなことは考えておりませんか、私どもが一応この法律を作りまして、各般のことを考えまして、まずまずこの法律の成立を願いますれば、相当いろんな不当事項が解消できると期待しておりますが、なお運用してみて粗漏がある場合におきましては、なおまた法案の改正等について配意をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/7
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008・石野久男
○石野委員 大体今御説明のことはよくわかるのですが、私の聞きたいことは、国の意図する方向とは違う不当な方向で調達をするような場合は、この法案で取締りができるけれども、価格の面で、不当に高いかどうかという問題の査定はなかなかできにくいから、そういう問題は、予算執行職員等の責任に関する法律で縛るんだという意図はよくわかるのです。しかし、かりにそういうようなことにしてありましても、今度の中古エンジンのような問題がまた再び出るということになりますると、やはりこれも、物品管理のどこかの一部分に相当する部面での不当な事件たということになっております。そういう問題は別だからということで、触れないという立場に立つてこの法律を作つておるのか、それらのものも今の段階で一応考えるんだという立場に立っておるのか。その政府の着眼点がどこにあるかということについて、はっきりさせておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/8
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009・宮川新一郎
○宮川政府委員 御指摘の点は先ほど御説明申し上げましたように、物品管理法は物品を管理する立場で規定してございます。契約担当官が物品を買い入れる場合の規定は、別個の法体系がありまして、会計法と申しますか、こちらの方で規制すべき問題と考えております。従いまして、先ほど御説明申し上げましたように、現行法におきまして、予算執行職員等の責任に関する法律の中で弁償責任も課しておりまするので、物品管理法におきまして、契約担当職員について特定の規定を置く必要はない、こういう考え方に立っておる次第でございます。もちろん物品管理と契約担当職員との間には脈絡がございます。非常に緊密な連絡をとるのでなければ、法体系が別で、それぞれの分野において規定があるからといつて済ませる問題ではございませんので、このつながりの問題につきましては、物品管理法におきましてもある程度の規定をしておるわけでございますが、契約担当職員が高く買って国に損害を及ぼしたような場合どうするかという点につきましては、あくまでも会計法の中で規定して参りたい。もしかりに会計法の規定が現在十分でないということに相なりますれば、会計法の改正を持ち出す、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/9
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010・石野久男
○石野委員 出納官が物品管理官の命を受けて受け入れ、かつ保管いたします。その場合に、保管するということはわかりますけれども、受け入れるということは、やはり物品管理官からの命令によって受け入れるわけですね。その場合の受け入れということについては、出納官は、金銭の授受という問題は全然関係ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/10
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011・宮川新一郎
○宮川政府委員 受け入れという関係におきましては、金銭の授受は伴いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/11
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012・石野久男
○石野委員 それは完全に会計法に規定する別途な形で、出納官の業務範囲外になるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/12
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013・宮川新一郎
○宮川政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/13
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014・石野久男
○石野委員 金銭的な授受の問題が、一応やはりこの今度規定しようとされるいろいろな法案に基くそれぞれの職責にある人々の範囲外になる、それはよくわかりました。そうした場今日に、現在その中古エンジンなどによって出ておる非常に不当な利益を中間でとっているというようなものを、やはり今の物品管理法の問題で、もう一度お聞きしますけれども、一応やはり別途なものとして、別な部門で取り締るという考え方に立っているということを確認してよいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/14
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015・宮川新一郎
○宮川政府委員 取締りと申しますか、今回のような事案につきまして問題があると思うのであります。通産省かあの値段で払い下げたのは適正かどうか、防衛庁があの値段をもつて買い上げたのは適当かどうかという問題があると思うのでございます。が、これは同じことを御答弁申し上げることになりますが、前者につきましては、供用計画というものがございまして、かりにあの中古エンジンが、たとえば高速救命艇とかなんとか船の機関として使うということになっておりました場合に、通産大臣の承認を受けまして、不要の決定をしなければこれを売り払うことはできない、それからまた調達に当りましても、かりに不急不要なものを買うという場合におきましては、この物品管理法によって規制を受けるわけでございます。しかしその中間におきましてだんだん値が上ってきて高くなっておる、それを買う場合どうかという点になりますと、物品管理法のらち外でございまして、やはり会計法の範疇に入ってくる、会計法におきまして、先ほど御説明申し上げましたように、不当に高いものを買って損害を受けたということになりますと、当該調達の衝に当った官吏が責任を問われるわけでございまして、そうなりますと、果して数年の間に値段が上ってきたのは、修繕等を加えたように聞いておりますが、適正な値段かどうかという点にかかってくると思うのでありまして、そうなりますと、やはり物品管理法とは別の問題としてその点は検討すべき問題だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/15
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016・石野久男
○石野委員 政府の考え方は大体よくわかりましたが、しかしこの立法の理由の中には、物品調達の上における供用上の不適当という問題の範疇の中に、その金額の問題は入らないというふうに理解されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/16
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017・宮川新一郎
○宮川政府委員 過大調達、あるいは不急の物品の調達というようなものを押えようということでございまして、価格の点については、この法律には立法の際に考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/17
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018・石野久男
○石野委員 わかりました。それじゃ政府は、今のこの法案とは別途に、そういう価格の問題で出てくるところの、今日の中古エンジン等における非常に不当ないろいろな利害関係の介在しているという問題は、また別途何か新しくそれを取り締るような法案を考えておられるか、それとも現行の法案でよいといりふうにお考えになって発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/18
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019・宮川新一郎
○宮川政府委員 高い値段で買いましたり、国に損害をかけないようにするというためには、根本原則といたしまして、現在の会計法におきましては、一般競争入札によって買うという建前にいたしております。予定価格を立てまして、リミットに達しました一番安いところから買う、そうすることが国に損害を及ぼさないゆえんかと考えます。そういう仕組みになっておりまして、その法律あるいは予算執行職員等の責任に関する法律をもちまして、御承知のように会計法におきましては、一般競争入札を原則といたしておりますけれども、特定の場合に随意契約でもって買い入れることかできることになっております。随意契約でもって買い入れて、その値段が非常に高かったというような場合におきましては、その辺のところを判断いたしまして、予算執行職員等の責任に関する法律でもって当該職員は責任を問われるわけでございます。一応今の法体系をもちまして十分でないかと考えております。なお将来、こういう問題につきましてさらに検討を加えていきたいと考えておりますが、ただいまのところ、会計法等につきまして特別の規定を置こうという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/19
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020・石野久男
○石野委員 今の中古エンジンの問題は非常に問題になっておるわけですし、われわれから見ましても、あれは非常に不当な買付をしておるように思われるわけです。こういう問題も、同時に会計検査院の決算報告の中で出てくる一つの問題点になってくると思います。先ほど説明のありました物品管理法案の企図するところは、過大調達であるとか、不適当な物品調達ということであって、調達金額の問題については別途会計法にまかすんだという意味はわかりましたけれども、しかしそういう問題も、同時にこの法律案を作ろうとする内応の一部を構成しておると思うのです。しかしたまたま取扱いは別途になるんだというふうにわれわれには考えられるし、しかも現在出ておる中古エンジンなどは、どのように説明を開いても、これは非常に不当なものであると考えられる。しかも、その不当なものが現行の会計法関係法観では取り締れなかったから、ああいう事態が出てきたのじゃないかと考えられるので、そういう問題について政府は十分だと言うことは、われわれにはちょっと解せないのです。そういう問題を私は理解できないんだが、しかしあなたはそれを十分だとおっしゃる。それならば、ああいう不当な問題は、会計法規関係の問題で十分処理できるだけの自信と、現在までなぜそういうことを処理しなかったかという問題が一つ出てくるわけです。こういう問題点についてどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/20
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021・宮川新一郎
○宮川政府委員 私も中古エンジンの詳細な内容は承知いたしませんので、あるいは的確な御答弁をいたしかねるかも存じませんが、今御指摘の点につきましては、問題は果して一基千二百万円というあのエンジンの購入価格が不当であるかどうかという判断にかかつてくるわけであります。この点につきましては、会計検査院におきまして判断いたしまして不当であるということになりまして、これくらいが適正であるという価格が出ますならば、現在の予算執行職員等の責任に関する法律によりまして、当該職員は罰を受ける、のみならず弁償責任を負わされるわけでございまして、一応チェックする法体系は整備されておると見ていいんではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/21
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022・石野久男
○石野委員 これは、この法案のらち外になりますけれども、今の問題についていま一つ聞かしていただきたい。現行の会計法規では、予算執行職員の行き過ぎであるとか、取り扱い上の不備はチェックできるようになっている。しかし同がそれによって損害を受けたと思われる面を、その職員は全部国に対して弁償するだけのことになりますかどうか。たとえば今度の中古エンジンのような場合になりますと、その金額の福は非常に大きい。それじゃこういうものを会計検査院が不当であるというふうに認識して、七万円か十万円で買ったものだから、どんなに高くたって百万かそこらでいいんじゃないかということになった場合、一千数百万というものをその予算執行職員が弁済の責めを負い得るかどうか、そういうことにまで十分国の損等を補てんするだけの法体系になっておるか、もしそれか法体系になっていないとするならば、当然そういうことを考える法律案を必要とするのではないだろうかというふうにわれわれは考えるのですが、政府はどういうふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/22
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023・宮川新一郎
○宮川政府委員 むずかしい問題でございまして、一応法律はそうなつておるけれども、現実の問題として、千二百万円というものを一人の役人が払えないじゃないかという問題は確かにあろうと思います。言い忘れましたか、予算執行職員等の責任に関する法律におきましては、重大な過失あるいは故意に基く場合に損害賠償の止めに任ずることになっております。その他の場合におきましては、これは公務員法上の懲戒処分というふうなことで規制されるわけでありまして、公務員法上の懲戒処分を受けないように当該会計職員が適正な事務を処理していくという仕組みになっておるわけであります。一応それによりまして、軽過失の場合も懲戒処分に問われる、重過失の場合は弁償もしなければならぬということによりまして、その衝に当っておる官吏をして、十分戒心をして仕事に当らせるという仕組みになっておるわけであります。一応考えられる体制としてはできておると思うのでありますが、なおさらに、もっと根本的に、そういうことのないようにするためにどうしたらいいかという点になりますと、よほど慎重に考えねばならぬ問題でございまして、今ここでこういうふうにしたいというようなところまで申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/23
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024・石野久男
○石野委員 これは基本的な問題になると思いますので、法律を作ろうとするほんとうの基本的な政府の考え方が、どこにあるかということを私ははっきりしたいわけなのです。それは、たとえば中古エンジンのように非常に高く買い上げたもの、しかも一千万もというような金は、とても個人の弁済はできないのだという問題が出てきた場合に、あなたのおっしゃるような、その方が意識的にそういうことをやったんじゃないというような場合は、責めはそこまでいかないのだということになると思うのです。しかし法律は、ただこれを管理する人々の過失をとがめようとするだけで作られておるのか、それとも国に損害を与えないようにするためにこの法律を作ったのかという問題点があるわけです。もし国に損害を与えないようにということであるならば、国がそれだけの不当な損害を受けておる場合には、その損害を排除するように、法律はそこまで手を差し伸べなくちゃならぬのではないかということになろうかと思うのです。そういう点になりますと、あなたの説明だけでは、ただ公務員の過失をとがめるだけであって、そういう国の負うところの損害というものについては何も触れないということになってくる。しかもまたそのことを、こちらの物品管理法案の問題にもし援用するとすれば、やはりそのことが言えると思う。物品管理法もやはりそういうような考え方で、ただ公務員の過失をとかめるというだけで作られておるのであるか、それとも国の財産上あるいは物品上の非常に不当な損失をなくしようとするためにこの法律を作っておるのであるか、どちらでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/24
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025・宮川新一郎
○宮川政府委員 この法律の制定に当りましては、会計検査院で批難されましたいろいろな物品の調達、保管、出納に関連いたしまする不当事項がある、これはひいては国に損害が及んでおるわけでございまして、これを適正にいたすために当該物品管理のよるべき基準を定めまして、適正に物品の管理、処分を行わしめよう、これが本法制定の根本趣旨でございまして、それにあわせまして、もちろん国の損害をば補てんという面も加味しておりますが、国の受けた損害をば補てんすることを第一義的に考えたものではございません。従いまして、今申しましたように、いろいろなよるべき基準を定めまして、そうしてそれに違反した場合には、故意または重大な過失があった場合には損害賠償の責めにも任じなければならぬということでもって、当該職員に戒心の気持を持たせて当らせよう、こういうふうにした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/25
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026・石野久男
○石野委員 管理法案についての大体の考え方はわかりました。たまたま中古エンジンの問題に関係して調達の問題が出て、それの不当大利得がある特定の人々に出ておる。そこから国が非常に大きな損失を受けたというような問題を、どのようにして法律的に縛るかという問題については、今会計法上の問題だけでは不十分なような気が私はするのです。そういう問題について、将来また別途に政府が考えられるような意図かあるかどうかということを、一応あらためて聞いておいて私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/26
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027・宮川新一郎
○宮川政府委員 先ほども申しましたように、確かにあれだけの値上りがいたしておりますので、中間にもうけておる人があるわけでございますが、今日の段階におきまして、防衛庁が一基千二百万円余であの機械を購入する必要があり、またそれが適正な値段であるということになりますれば、これは会計法上の問題はないわけであります。しかしながら、もし値段が不当であるとかいうようなことになりますれば、その間におきまして、ああいうふうなことになることをチェックするためにはどうしたらいいかという点につきましては、なお本件の実情をさらに究明いたした上におきまして考えたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/27
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028・春日一幸
○春日委員長代理 次に、接収貴金属等の処理に関する法律案ご議題となし、質疑を続行いたします。小山長規君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/28
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029・小山長規
○小山(長)委員 接収貴金属についての質問をなすに当りまして、この接収された貸金属のよって来たる原因等についていろいろな疑問もありますので、まず第一に伺っておきたいのは、この接収貴金属法で返還を予定されておる団体は、私の今この法案で調べたところでは国、地方団体、日銀、交易営団、日本専売公社、日本国有鉄道、日本電電公社、それに社団法人中央物資活用協会、社団法人金銀運営会、社団法人金銀製品商聯盟、金属配給統制株式会社、軍需品の製造に従事しておった者、大体これだけは法律の上に出てくるのでありますが、それ以外に返還を受ける団体もしくは個人というものがあるのでありますか。その点を第一番に明らかにしていただきたい。
〔春日委員長代理退席、石村委員
長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/29
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030・上東野正二
○上東野説明員 接収賃金属等の規定につきましては、終戦後連合国占領軍か国内の貴金属等の所持者から強制的に連合国の管理に移したわけでありますが、先ほどお話しのありました通り、大体日本政府、日本銀行、交易営団、中央物資活用協会、金銀運営会等から接収したわけでございますが、ただ先ほどのお話でございますと、返還の対象になっておるのがこれ以外にあるかというお話でございましたが、この法案におきましては、ただその中において返還の対象になっていないものか第二十条関係にございます。ただそのほかに個人あるいは法人等に対しまして、返還の対象になっておるものはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/30
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031・小山長規
○小山(長)委員 その大体のことでいいのですが、ただいま読み上げた法律で名前が書いてあるもの以外の法人、あるいは個人で返還の対象になるというのはどんな人たちがおるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/31
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032・上東野正二
○上東野説明員 これは、戦時中に貴金属等を取り扱っておりました貴金属商、あるいは戦時中におきまして金属配給統制会社等から貴金属を購入いたしました会社等がございます。それからそのほかに、個人等におきまして家伝来の貴金属を持っておった者というようなものか対象になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/32
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033・小山長規
○小山(長)委員 いずれその明細はまたあとでお聞きとするといたしまして、大体この法律に書いてある以外にも若干法人あるいは個人がある、こういうことに了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/33
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034・上東野正二
○上東野説明員 そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/34
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035・小山長規
○小山(長)委員 それから第二は根本の問題ですが、連合軍の接収は没収じゃないか、こういう議論があるのであります。政府の見解は、これに対して、どういう見解を持っておるのかということと、政府が没収じゃないのだということでこの法律を出しておりますが、その理論的な根拠、これはぜひとも明らかにしておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/35
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036・上東野正二
○上東野説明員 連合国占領軍が終戦後貴金属等を強制的に取り上げました経緯につきましては、これは一般の国内の管理方人によりますと、日本政府にこれを命じまして、しかる後に日本政府がこれを行うというのが通常の形でございますが、この場合におきましては、連合国占領軍が直接行動をもちまして貴金属等を取り上げたわけでございます。ただこの点につきましては、降伏文書あるいは講和条約等の条項にも別に触れておりませんし、その他明確な指令もございませんわけでございます。従って一般の陸戦法親等に照らし合せますと、このようなものを没収するというようなことには解せられないわけでございまして、しかも平和条約の発効とともに日本政府に引き渡してきておる次第もあるわけでございまして、従って、これらの貴金属等は没収するものではなくて、強制的に管理を移したものである、かように解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/36
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037・小山長規
○小山(長)委員 私は、政府がそういうふうな解釈をとられるに至ったその憲法上の根拠、つまり、たとえば内々この接収の問題については没収だということを言っておる憲法学者もおれば、没収でない、行政管理だというふうな憲法学者もおるわけなのです。その没収だと称する憲法学者の議論は間違っておるのだということは、一体どこから出てきておるのか。政府がそれをとるに至った基本的な考え方、それはただいま上東野さんから言われたところでは、ちょっとこれは論拠が薄弱なような気がする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/37
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038・山手滿男
○山手政府委員 御承知のように、連合国占領軍は、進駐の直後におきまして、日本政府に貴金属の保有高等の報告を求めまして、政府側の方から口頭で報告をいたしたわけでございますが、その後占領運は直接行動によって接収をいたしました経緯は、皆さん御承知の通りでございます。すでに戦争状態は一応の終結をいたしまして、国内に平和的に進駐をして参った占領軍が、なぜこのような行動をとったかということについては、もちろん日本側においては、その真意が那辺にあるのか推測しがたいところがございました。しかしながら、その間の経緯を見ますると、これは、一部には終戦処理戦上戦後において賠償に充てるというふうな意図があったようにもうかがえまするし、独立後日本政府に返還をしてきておる経緯等もあわせて考えてみますると、今担当官から申し上げましたように、いわゆる緊急の事態でこういう接収をいたしましたけれども、単に没収をするというようなことでやったとは考えられません。所有権を認めないような強行措置をとりまするためには、戦時中戦地においては別でありまするけれども、内地等におきましては、いわゆる公共の福祉のためとか、あるいは緊急の事態というふうな差し迫ったことがあって、特別の措置がとられることは間々あるのでございますけれども、すでに占領軍の進駐後におきましては、そうした特別の必要があったとは思われませんし、その間の賠償等に対する配慮、あるいはその後の返還の状況等から考えてみまして、政府側においては、ただいま担当官から申し上げましたような結論を見出しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/38
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039・小山長規
○小山(長)委員 これは明らかにしておきたいのですが、没収だと議論をする憲法学者の議論は、どういう見地に立ってやっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/39
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040・山手滿男
○山手政府委員 私どもは、これを直ちに没収だと断定をする学者の根拠がどういう点にあるのか、よく承知をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/40
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041・小山長規
○小山(長)委員 そうすると、連合軍は、戦時国際法上、あるいは一般国際法上、私人のものの所有権を奪い取る権限はないのだ、こういう見地は、憲法学者において確定されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/41
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042・山手滿男
○山手政府委員 もちろん戦火のもとにおきまして、軍が戦時法規等の建前によって、所有権を没収という形で剥奪し得ることはあると思います。ただしかしながらこの際特にわれわれが注意をいたしますことは、占領軍も接収のときには、その大部分については受領証等を渡したりいたしておりまして、そのやり口を、私どもは単なる戦争の目的のための没収とは解釈をいたしておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/42
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043・小山長規
○小山(長)委員 その点はまた他の委員からもいろいろ御質問がありましょうから、私は先を急ぎますが、それじゃいよいよ本文に入って、本文の中で疑問の点を二、三尋ねてみたいと思うのであります。
第一は、連合軍に接収された貴金属、これは客観的なものですよ、それと現在政府保管中の貴金属、これは食い違いがあるのだろうと思うのであります。総数量あるいは種類等においてその食い違いはどの程度にあるのかということは、政府においておわかりになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/43
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044・上東野正二
○上東野説明員 連合軍占領軍によりまして接収されたとする数量につきましては正確には、この法案が成立いたしまして、それによりまして慎重に処理を進めた上でなければわからないわけでございますが、ただ昭和二十七年におきまして、接収貴金属等の数量等の報告に関する法律という法律に基きまして、接収の事実、数量等の報告を徴した経緯がございます。それによりますと、現在保管いたしておりますところの数量とほぼ一致しておる種類のものもございますし、食い違っておるものもございます。たとえばこの食い違いにつきましては、連合軍占領軍が貴金属等を接収いたしまして、保管の便宜上、各人別にこれを整理保管するという建前をとりませんで、金たら金、あるいは銀なら銀という工合に種類別に保管いたしまして、かつまた保管の便宜上これを溶解して保管しておく、かような溶解、混合というようなことが行われておるわけでございますから、従つてこの点につきまして、報告と現実の数量と食い違っておる点がございます。なおまた連合国の占領軍の管理中におきまして、旧南方地域等から略奪してきたと認定いたしました貴金属等につきましては、これを返還いたしておる状況でございますので、従ってこの点等につきましても若干の食い違いがあるかとも存じます。なおまた連合国占領軍の管理中に、一分の貴金属等につきましてはこれを売却処分いたしまして、そのかわりの金とかあるいはドル、小切手等を日本政府に引き渡しておりますので、その点につきましても、やはり食い違いか若干ございます。なおそのほか、日本経済の復興のために一部の貴金属等を解除いたしまして、そのかわりの金、銀等を組み入れておりますので、従ってこの点につきましても、接収当時そのままの状態にはなっておらないわけでございます。
以上のような大きな点におきまして、接収されました数量と現在保管いたしておりますところの数量と食い違いがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/44
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045・小山長規
○小山(長)委員 その明細については、むろん実際処理してみたければ、どれとどれとが食い違うということは、明確な数字はわかるまいと思いますが、私がお伺いしたいのは、個人の財産は任すことができないんだという建前のもとにこの法律を作つておる以上は、接収はされた、現物はない、これは一体どういうふうな救済手段を、講ずるのかということです。個人の財産はあくまでも尊重するという建前で法律を作っておる以上は、接収されたことは証拠によって明らかである、しかしながら現物はない、かわるべきものも何もないという場合に、その個人はいかなる方法によって救済されるのか。あるいは連合軍が保管中に略奪した、あるいは紛失したというものもありましよう。そういうものは、接収されたことだけは証拠によってはっきりしておるのに、現物がないというものは、どういう救済手段を受けるかということがこの法律に書いてないのは、一体どういうわけでありますか、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/45
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046・山手滿男
○山手政府委員 そういう差額ができた場合に、それがどういうことになるかということでございますが、平和条約の第十九条におきまして、日本政府は、連合国占領軍が占領期間中に行いました行為に対する請求権をすべて放棄をいたしております。この接収は、日本政府が直接接収をいたしたものではございませんので、占領軍が直接接収を行なったものでありますから、そういう建前でこの法律は作っておりますけれども、その差額についての賠償問題になりますと、当然にはこの賠償をしなければならぬという義務は生じてこないと解釈しておるわけであります。ただしかし、法律上当然の義務としてではなくて、相当大きな開きがあるような場合に、今後の問題としまして、他の戦争損害等の例に準じまして、今後これをどういうふうにするかが議論として起きてくると思いますけれども、これは、ただ単にこれだけの問題でなしに、ほかにもいろいろ戦争による損守が国民に与えられておりますので、そういう問題と同列に考えて処理さるべき問題であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/46
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047・小山長規
○小山(長)委員 そういたしますと、連合軍がやった不法行為である、その不法行為に対する損害賠償の請求権は、平和条約で日本政府は放棄しておるから、国としては連合軍に請求できない、こういうことですね。そうすると、個人の財産は侵されないという建前からいうと、その個人は政府に対する請求権はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/47
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048・山手滿男
○山手政府委員 ただいま申し上げましたように、これはそのほかにも占領軍の平行動等によっていろいろ国民に迷惑をかけておりますが、そういう場合の例に準じまして、今後これをどうするかが決定されるわけであります。当然損害賠償の責任が生ずるということではなくて、そういういろいろな軍行動によって起きたものに対する損害をどうするかということできめていくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/48
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049・小山長規
○小山(長)委員 私が伺いたいのは、日本政府はアメリカ政府に対して請求権は放棄しておる。しかし個人の所有権は侵されないという建前をとる以上は、個人は政府が損害請求権を放棄したことによって救済されないのでありますが、その他人は政府に対して請求権があるかどうか。たとえば在外資産ならば、これは所有権ですから時効の…題は起らない。しかし請求権である以上は、債権ですから時効の問題が起ってくるはずなんです。だから請求権があるのかどうかということと、あるとするならばそれはいつ時効にかかるのか、この問題はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/49
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050・山手滿男
○山手政府委員 この問題は、今も申し上げましたように、軍の直接行動によって起きたものでございますから、政府は当然には賠償の責任は生じないと解釈をいたしておりますけれども、しかし甲の面接行動によって起きた損害といえども、民間に損害を現実に与えておるわけでございますから、そのほかのいろいろな問題と同じように、政府が今後当然法律的にこれは処理をしていくことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/50
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051・小山長規
○小山(長)委員 そうじゃなくて、元来個人の資産は侵されないという建前をとる以上は、連合軍がやった没収行為あるいは略奪行為は、これは不法な行為なはずですね。それで現物が残つておる限りは、返すべきものは返すから、個人の資産は侵されなかったということになるけれども、接収中に紛失したり、あるいは向うの軍人が略奪したというものは、これは個人の財産を侵し、しかもその人は、本来ならはこの法律によって返さるべきものが、実際は返ってこないという結果になる、そうですね。しかしながらその請求権は、平和条約によって、日本政府はアメリカに対して放棄しておる。だからアメリカに対しては、連合軍に対しては、請求権は国としてないということになるのですが、しかしその請求権を放棄した責任は政府なんですね。その政府に対して個人は訴求権はあるのですか、ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/51
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052・山手滿男
○山手政府委員 連合軍のやりました直接行動を、直ちにそれだからということでこれを不法行為ときめつけるわけには参らない点がございます。そういう点いろいろございまして、今申し上げましたように、日本側は向うに請求権を放棄をいたしておりますから、そういう点に立って、国民に現実の損害を与えた場合には、政府がこの賠償について、当然ではございませんけれども、その連合軍に対する請求権の放棄そのほかという面から、政府の賠償責任が出てくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/52
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053・小山長規
○小山(長)委員 それじゃその点については、他の委員からもまだあと議論があるそうですから、私は、どうも今の政府の説明には納得できないけれども、またあとでやることにいたしまして、次に移ります。法文上の問題ですが、法文によると、被接収者と所有者とが両方とも権利がある場合に、まず法律上は被接収者が請求するということになっておる。ところがこの問題は、この法律に書いてありますが、所有者の方が二人も三人もおると主張しておる場合、この法律によれば、最初は被接収者に返すことになっておるので、被接収者が請求すべきである。ところが被接収者か訴求しないときには、所有者が請求するということになっておりますね。その所有者が二人も三人もおるとき、二人も三人も自分が所有者なりと主張する場合の規定は、この法律に書いてありませんが、その場合にはどういうふうにして処理しようとお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/53
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054・正示啓次郎
○正示政府委員 お答え申し上げます。ただいまの御質問の点は、所有者が二人以上、すなわち共有のような……。(小山(長)委員「共有じゃないんだ、所有権に争いがある場合だ」と呼ぶ)その場合は、争いがありますれば、最終的には話し合い、あるいは訴訟等によって決定して、所有者ということになるわけでございますが、争いのある状態のものにおきましては、二以上の所有者が請求をするということもあり得るわけでございます。結局どの所有者が正当な所有者であるかということは、私どもの方でも、請求書に添付されました資料その他によりまして判断ができる場合もあります。それによって決定を見ない場合におきましては審議会等にかけまして、いわゆる紛争がある場合として処理することも考えられます。なおまた最終的に当事者間におきまして折衝いたし、あるいは訴訟等によって決定をするということも考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/54
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055・小山長規
○小山(長)委員 それはその通りでしょうが、そういうことは、法律のどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/55
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056・正示啓次郎
○正示政府委員 この法律案は、御承知のように一般民事関係のいろいろの法律によって律し得ない特別法の関係を定めたわけでございますから、この法律に規定のない、ただいま申し上げたような関係につきましては、一般民事の法制によって律せられるものと心得ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/56
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057・小山長規
○小山(長)委員 民事で解決するとすれば、裁判所の決定を待つてから所有者が確定するのだ。所有者が二人以上あることは理論上ないのですから、その一人に確定するまでの間は、大蔵大臣は一体どういうふうにしておればいいかということは、この法律のどこに書いてあるのですか。ペンディングにしておくということはどこに書いてあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/57
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058・山手滿男
○山手政府委員 所有権について争いがあるような場合には、そのどの人からでも請求をしておいて差しつかえはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/58
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059・小山長規
○小山(長)委員 どうも私この法律を読みますと、所有者なりと称する人が出てきて、そうして返してしまえば、それで大蔵省の責任はなくなるように読めるのです。Aが被接収者だ、この人か本来ならば請求をすべきなんですが、Aなる被接収者が請求しないので、その場合には所有者が請求することができると書いてある。そうすると、甲という所有者が請求した。ところが証拠によって、どうもあなたの方では、この人が所有者らしいという認定をされようとしているところに、乙という所有者が現われてきた。そういうときにどう処置するかということは、この法律のどこに書いてある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/59
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060・山手滿男
○山手政府委員 正当な所有者であれば、当然請求をし得るわけでございまして、第六条に書いてありますが、「大蔵大臣は、前条第一項又は第四項の規定により接収貴金属等について返還の請求があつた場合には、返還請求者がその請求をすることができる者であるかどうかを審査し、権利者であると認めたときは、」云々と書いてありまして、だれでも請求をすることができますし、大蔵省の力では、そういう請求がございましたならば、この審査を行いまして、正当な者であれば、当然いろいろな手続を進めるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/60
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061・小山長規
○小山(長)委員 そうすると、裁判所の役目を大蔵省はやるということになるのです。そうすると、甲が正当な所有者なりや乙が正当な所有者なりやを、大蔵大臣が確定するということになってしまう。その場合に、大蔵大臣はその問題から離れて、争いが起ったら裁判所に戻して、裁判所で所有者が確定するのを待っているべきではないですか。この法律をすらっと読むと、大蔵大臣が所有権まで認定するように書いてあるように見える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/61
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062・山手滿男
○山手政府委員 大蔵省が審査をいたしまして、そういう決定をいたします。その決定に不服がある者は、当然大蔵大臣に不服の申し立てをして、さらに慎重な審査を請求することができるわけでございます。しかしながら、その大蔵大臣がさらに決定をいたした場合に、そのさらにした決定に対しても絶対に承服できぬという場合は、当然これは一般の裁判に持ち込む以外には方法はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/62
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063・小山長規
○小山(長)委員 不服の申し立てがあったときに、大蔵大臣は、甲が所有権者である、いや乙であるという所有権の認定までするのですか、裁判所がやるようなことまで……。認定そのものがいけないのだという争いを所有者はやれるのか。つまり大蔵大臣が最後の相手なのか、裁判所なのか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/63
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064・山手滿男
○山手政府委員 この手続としては、真の所有者がだれであるかということを認定することは大蔵大臣がやって一向差しつかえないわけでありますが、とことんまでいって不服を申し立てて、大蔵大臣の段階において決定されたことについてもなお不服があるときは、やはり通常の裁判所に不服の訴えをして、正式な裁判を仰ぐ必要があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/64
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065・小山長規
○小山(長)委員 そこで、これは山手政務次官にはちょっと無理かもしれませんが、大蔵大臣の裁定に不服があるということだと、最後は行政裁判になる。しかし所有権の争いを行政裁判に持ち込むということはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/65
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066・正示啓次郎
○正示政府委員 やや専門的でございますので、あるいは私の答えも不十分かも存じませんが、先ほど政務次官から申されましたように、第六条によりまして「権利者であると認めたときは、」という表現になっておりますが、これによりまして、諸般の資料等から正当なる権利者であると認めたときは、これに対して返還をすることに相なるわけであります。この認定に対しまして異議のある方は、不服の申し立てをするわけでありますが、そういう所有権の主体の認定に対しましての訴訟は、一般民事訴訟であるか、あるいは行政訴訟であるかという御質問のようでございますが、行政処分に対しまする訴訟でございまするから、行政訴訟ということも考えられます。しかしながら、所有権の争いといたしまして、民間当事者同士の争いは、これは御承知のように民事訴訟によるべきであると心得ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/66
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067・小山長規
○小山(長)委員 それではこういうことですね。つまり大蔵大臣が所有者なりと認定した、不服を申し立ててみた、なおかつ大蔵大臣は甲が所有者だと認定する、そこで行政裁判所に持っていって、大蔵大臣の認定が門迷いだといっても、なおかつ行政裁判所でも、大蔵大臣の裁定は間違いでなかったといって返した。そうすると、大蔵大臣は甲にその金銀を渡す。その甲に渡すものについて所有権の争いが起ったら、これは民事裁判に打っていくのだ、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/67
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068・正示啓次郎
○正示政府委員 大体そういう筋道のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/68
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069・小山長規
○小山(長)委員 大体ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/69
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070・正示啓次郎
○正示政府委員 大体と申しますのは、実は現実にそういうことに相なるのか、あるいはもはや行政訴訟等を行わずして、いきなり当事者同志の争いとして民事訴訟に神える場合もあろうかと思いますが、筋道としては今小山委員が仰せられたような筋道だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/70
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071・小山長規
○小山(長)委員 それからこの法律によりますと、不特定物資についてはいろいろな手続を経て返還するごとになっておりますが、その返還が開始されるのは、請求の期限がすべて経過してから一般的に返還を開始するのか、それともただいまのような最終的な紛争が解決するまで待たなければ不服のない者にも返せないのか、その点は、この法律上はどうなっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/71
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072・山手滿男
○山手政府委員 これは御承知のように、請求期間内に請求していただきまして、一応返還の要求が全部出そろいましてから、いろいろな問題をよく精査し、片方に現品のあるものは、特定をされたもの、不特定のもの、いろいろございますから、そういうものをにらみ合せた上で、手ぬかりないような万全の処置を確認した上で、順次返還の手続を始めていくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/72
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073・小山長規
○小山(長)委員 特定物資については、むろんそのつど返してよろしいが、不特定物資については、たとえば銀なら銀グループ、金なら金のグループについて、一つでも紛争がある場合には、それが解決しなければ金のグループ、銀のグループには返さないのだ、こういう建前ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/73
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074・山手滿男
○山手政府委員 現在ありまする金なら金のグループ、銀なら銀のグループの数量をはるかに超過をしたような返還の請求等がございました場合に、一一確定したものからどんどんやるというふうなことでは不測の事態を起しまするので、総ワクの数量そのほかについても十二分に見通しを立てた上で、返還の手続をすることになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/74
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075・小山長規
○小山(長)委員 交易営団や金銀運営会その他、ここに法律で書いてありますところの団体が所有しておる貴金属は国に帰属する、こういうことになっておりますが、これは憲法違反じゃないかという議論があるのです。なぜ国に帰属できるのか、その根拠は一体どこにあるのか、これを一つ明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/75
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076・山手滿男
○山手政府委員 交易営団等が回収をいたしましたものは、交易営団等が相当な代価を払って買い入れたものでございますので、その当時一応相当の代価は支払われたものと私どもは解しておるわけでございますから、単に領収書だけをとって接収されたもの等と同一ではないと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/76
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077・小山長規
○小山(長)委員 その次に伺いたいのは、これらの人たちには、貴金属の取得代金や取得にかかる手数料、また加工費、こういうようなものを返すことになっておりますが、これは借入金利息も含まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/77
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078・上東野正二
○上東野説明員 貴金属を収得するための借入金の利息といたしましては、これは、たとえば交易営団がその下部機構の中央物資活用協会から買い入れた場合には、取得の代金の中に一部利子は含めて計算されているわけであります。ただ金銀運営会等におきましては多少違うわけであります。この点につきましては、なおよく検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/78
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079・小山長規
○小山(長)委員 借入金の利息については、個々のケースによって違うといりわけですね。それと、交易営団との他に返します場合の法定の理由がついているわけです。第二十条の第一号によりますと「戦時中」ということを「政府が決定した金、銀、白金又はダイヤモンドの回収方針に基き、」ということと「政府の委託により、」ということ、こういう条件のもとに取得した貴金属となっている。それから第二号の方では、「金属配給統制株式会社が、交易営団又は社団法人中央物資活用協会から取得した貴金属」となっておる。それから第三項には、「社団法人金銀運営会が、戦時中」ということと、それから「政府の指示に基づき、」ということと、それから「旧日本占領地域へ金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から取得した」と、こういうふうになっております。こういうふうにすベて一つ一つ条件がついておりますが、この条件以外のものがあるのかどうかということ、つまり、こういうものは国に帰属するけれども、これよりもほかに、この条件がないために個人なり法人に返さなければならぬ貴金属というものがあるかどうか、これを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/79
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080・正示啓次郎
○正示政府委員 ただいまの御質問の通りでありまして、ここに列挙いたしましたような条件に該当するものを国に帰属させるわけであります。この条件に欠けまして、ということは、すなわちこれらの機関がこういう条件のもとに収得したものではなく、その他の正常な営業の行為といたしまして取得したようなものは、これは所有権があるわけであります。そういうものを国に帰属させるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/80
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081・小山長規
○小山(長)委員 最後に「軍需品の製造に従事していた者」の中には「戦時中、」ということと「軍需品を製造又は修理する」ということと「その材料として旧陸軍省、海軍省又は軍需省から収得した貴金属」こういう条件を満たすものだけが国に帰属するのであって、もしかりにこれ以外の条件があった場合にはこれは返すのだ、こういう法律でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/81
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082・正示啓次郎
○正示政府委員 さようであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/82
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083・石村英雄
○石村委員長代理 次に外国為替に関する件について質疑を続行いたします。春日一幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/83
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084・春日一幸
○春日委員 まず最初に申し上げたいことは、ただいま接収貴金属の法律案について、小山理事から質疑が長時間にわたってなされておりましたが、私はこの際特に政府並びに与党に対して警告を申し上げておきたい。
やぼなことを申し上げるわけではないけれども、少くとも現在の政治は政党政治、政府は正統によって組織されておる……。(小山(長)委員「記録に残さなきゃならぬことがある」と呼ぶ)そんな八百長だったらやるな。速記録に残すんだったら別の機会に……。与党が政府みずから提案したところの法律案に対して、本委員会を通じて質疑を行わなければわからぬような、あるいはそんなにもたくさんの質疑の含まれておるような法律案、そんなものは責任政治の建前からいって、きわめて不完全な法案と言わなければならない。聞かなければわからないような、あるいはまた疑義があるような、そんな法律案ならば、これはすべからく撤回して——少くとも与党が提案者の政府に賛同しなければならないような状態でわれわれに対して審議を求めるということは、不穏当きわまることである。従いまして、私はこの際この法律案を不確定議案として撤回されたいという動機を出したいところだが、一名足らないからこの動議は出しません。(笑声)今後このようなことで一時間も二時間も食われるということであれば、われわれは重大な決意をし人なければなりません。
そこで私は、本日沖縄におきます日本法令の適用に関して重大な質問をせなければならない。と申しますのは、聞くところによると、大蔵省ではこの一連の法律について、今省議で検討されておるということでありますので、少くとも時を争ってこの疑義を明らかにしなければならないのでありますが、しかしながら、今時間がすでに一時を過ぎて、各党においては代議士会も開かれ、さらにまた本会議が二時と予定されておる様子でありますので、時間がありません。そういうような倉卒の間にこの問題について質疑を続けるということは、不適当だと私は考えますから、この際、次の委員会の冒頭に沖縄における日本法令の適用に関する質問をすることにいたしまして、本日は、私の質疑はそういうことを条件として留保いたしますが、今後政府並びに与党におかれては、十分委員会の審議の促進方についてさらに検討をされることを強く要望いたしておきます。はなはだ遺憾にたえません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/84
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085・石村英雄
○石村委員長代理 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
午後一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404629X03619560515/85
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