1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月十四日(火曜日)
午後一時三十五分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君
理事 古井 喜賢君 理事 吉田 重延君
理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君
青木 正君 木崎 茂男君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
灘尾 弘古君 丹羽 兵助君
加賀田 進君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 櫻井 奎夫君
西村 彰一君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 圓地與四松君
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二月十四日
委員門司亮君辞任につき、その補欠として山花
秀雄君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭に関する件
入場譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二六号)
昭和三十一年度地方財政計画に関する件
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
まずお諮りいたします。国体開催の地方財政に及ぼす影響につき、さきの委員会において亀山委員より参考人の意見を聴取するようにとの要求がございました。本件について神奈川県副知事矢梨信雄君、横浜市第一助役田中省吾君、日本体育協会国内部長吉田清君、水泳連盟会長田畑政治君、日本体育協会総務主事東俊郎君、以上の五名の万方を参考人として意見を聴取いたしたいと存じまするか、御異議ありませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/1
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002・大矢省三
○大矢委員長 御異議なければさよう取り計らいます。なお、日時は来たる二十日午後一時といたしたいと存じますので御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 それでは地方財政計画を議題として質疑を行います。通告の順によって中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/3
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004・中井徳次郎
○中井委員 きょうは大臣が参っておりませんから、総括的なことはちょっとあとにいたしまして、財政部長に一、二疑問の点だけお尋ねしてみたいと思います。第一には地方財政計画書の一ページにありまするAの歳出のうちの(ハ)警察職員でございます。その警察職員につきましては、一昨年の乱闘の原因になりました警察法の改正の説明のときに、時の政府はあの警察法の改正をやりまするというと、大体今後二年間に七十億の節約ができるというふうなことでありました。それには人員の整理もやるというふうなことで、昭和三十年度におきましては、多小の整理をやられたと私どもは承わっております。私どもの立場は別といたしまして、先般来のこの地方財政計画の御説明を伺いますと、昭和二十一年度においてはこの整理はやらない、こういうなことであります。そうなりますすと、あの七十億を節約するといふのが一体どの程度に少くなったのであるか、その辺のところを少し伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/4
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005・後藤博
○後藤政府委員 警察の整理は、来年度三十一年度の整理をやらないということになっております。従って現在の状況では三十一年度のやるべき分を繰り延べているとい格好になっておりまして、三十一年度にやるべきものを全然やらないという建前にはなっておらないと私ども伺っております。従って当初警察費の節約が府県警察になった場合に相当できるということは、やはり従来の数字が節約になると考えております。三十二年度以降どうなるかということにつきましては、まだ確定を見てないので、一応やはり三十一年度分を三十二年度に送っている、こういうふうに私どもは観念しております。またそういうような政令が出ることになっているように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 今の御説明、非常にお上手ではありましたが、しかし現実には一年節約をやめたということになるのであって、要る金は同じであります。一体幾ら要るのであるか、私どもはあの当時からそういうことはできないことであるという建前において争ったわけでありますが、できるといっておやりになって——まあ内閣は違いますから、特にまた後肝君には責任がないかもしれませんが、できるといって国家意思を一応決定して、一年だけやったわ、二年目からもう繰り越すというのは、どうも私は納得できないので、それにはそれの理由があるであろうと思うのであります。特に申し上げたいのは、ことしは給与費その他におきまして、実態にやや似た数字を出してきた。この点はこれまでよりは私どもは進歩だと考えております。ところがその中にありまして、やはり人員整理ということは考えられておりまして、この間からお話のように一万名ですか、一万五千名ですか、そういうことを考えておられた。しかるに特に警察だけは前から約束をしておきながら、これをとめたというのには、何らか特殊事情がなければならぬと思うのであります。この点を一つ伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/6
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007・後藤博
○後藤政府委員 警察費の問題につきましては、昨年もそうでありましたが、三十一年度の計画では、大体整理によって浮くところの給与費と退職金との額が同じくらい、整理計画を実施した場合よりも今度の繰り延べをした場合の方が約一億くらい下回る、その二億くらいの差の問題なのであります。財政計画上は三十一年度は大した問題ではなくて、三十二年度以降をやるかやらぬかというのが非常に大きな問題であります。三十二年度以降にやらないということになりますと、十三、四億の金がふえて参ります。これが問題なのでありまして、われわれといたしましてはやるのかやらぬのかはっきりしてもらいたいということを警察当局にお願いいたしましたところ、一応三十一年度だけ整理を繰り延べるのだ、こういうふうなことになったのであります。従って、先ほども申しました、節約が当初の計画通り実施されるかどうかということは、やはり三十二年度の整理を行うか行わないかということを見なければ、私どもははっきりしたことを申し上げられないということなのであります。それから本年度、三十一年度に整理をしないで、むしろ整理をした上で増員をしたいという要求をわれわれは初めから聞いております。大体三千八百人程度の増員を整理とは別個にいたしたい、こういう要求があったのであります。その内容は交通警察及び外事警察等が主たるものであったのであります。その後売春取締りの法律が出まするのでそれに関連してさらに三千人以上の警察官が必要であるということを申しておりました。その辺あわせて考えて、一応三十一年度だけの整理を見送る、こういうことに政府としては決定したようであります。整理すべき人間は大体四千百人程度の警察官だったと思います。その警察官を一応繰り延べたということなっております。事務職員は当初の予定通り千二百人整理をするという建前になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 なぜ繰り延べたかという理由については、後藤君の説明ではわからなかったのでありますが、これは委員長、他日警察関係の方を呼んでいただきたい。
私は今非常に重要なことを聞いたわけでありまして、売春禁止法その他のために増員を必要とする。実際問題といたしましては、警察は大都市に非常に定員が多いのであります。その比率は、いなかにおいては六百五十人あるいはずっといなかでは千人に一人、大都市ではひどいのは二百五十人とか百八十人に一人というふうなことであります。そしてそのときにはまだ自衛隊がなかった。従ってそういうものを含めての定員でありました。それが今日、自衛隊があのような形でことしもまた増員をするというような中にあってさらにまた増員を必要とするというようなことは、一体何をしておるのかと思いますが、この点は本日は警察、の方が見えておりませんからあとに譲ります。
次に一、二お尋ねいたしたいのは、このAの(4)の「その他」のところで、そのうちの(ロ)でありますが、これの内訳を見ますと昭和二十九年度の実績よりも一五%節約しているというふうなことでありますが、これは実際できますか。それから一五%の節約が正しいかどうか。私ちょっと拾い読みした程度でありますから、その辺のところ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/8
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009・後藤博
○後藤政府委員 物件費につきましては昭和二十九年度決算をとったのであります。しかし三十年度の財政計画で御存じの通りに国にならいまして府県一五%、市町村一〇%の物件費節約をいたしたのであります。従って二十九年度の決算からそれぞれ市町村及び府県のその分だけ落したものをもって二十一年度の財政計画を立てるということが、三十年度の財政計画との関連上必要である、こういう意味で落したのであります。三十一年度に落したのではなくて三十年度に落しております。二十九年度の実績からはじいて落したので、三十一年度は全然節約計画を立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/9
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010・中井徳次郎
○中井委員 その点はわかりまりた。そうすると総体の額において二十年度と同じであるということですが、人口増その他は見てあるのですかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/10
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011・後藤博
○後藤政府委員 人口増は別なところで見ております。下の方に「人口等増加に伴う経費の増」というのがあります。これは二乗分見ております。二百三十万人の人口増というのを見ておりまして、ここで二年分見ておりまして、別個に立てておりますので、これで数は合うのではないかと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/11
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012・中井徳次郎
○中井委員 次にもう一つ事務的なことを伺いますが、投資的経費の中の単独事業費でありますが、その中の一般事業費六百七十三億円の内容について御説明をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/12
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013・後藤博
○後藤政府委員 単独事業費の内訳について今資料を持っておりませんので、こまかいことがわかりませんからあとから御説明いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/13
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014・中井徳次郎
○中井委員 持っておらなくてもわかる程度のことだと思いますが、これは二十九年度と比べてどういう数字になっておりますか。ふえているのか減っているのか、またその率はどの程度であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/14
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015・後藤博
○後藤政府委員 単独事業費は一億五千万円ばかりふえておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/15
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016・中井徳次郎
○中井委員 それは何年度に比べてですか。二十九年度ですか三十年度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/16
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017・後藤博
○後藤政府委員 三十年度と比較いたしまして単独事業費はたしか一億五千万円はかりふえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/17
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018・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと奥野君に伺います。まだよく調べてないのですが、入場譲与税の問題についてお尋ねいたしたい入場譲与税の問題で、不交付団体の収入になる、べき入場譲与税の計算ですが、それを返す計算に、その譲与額の二割という数字を出されておったと思うのですが、これの根拠をちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/18
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019・奥野誠亮
○奥野政府委員 今度の税制改正によりまして市町村税はかなり増強されたわけでありますけれども、都道府県税につきましはそれほど見るべきものがないわけであります。そうしますと、東京都の場合には二十三区にかかります市町村税相当分の増収がかなり出て参るわけであります。けれども、他の道府県につきましてはそれほど収入の増額を来たさない。そうしますと、東京都の分につきましては、入場譲与税の収入額を他の団体に振り向けていただくのもやむを得ないのではないかというふうに思われるわけでありますけれども、不交付団体であります大阪府や神奈川県につきましては、ある程度入場税収入額につきましても残さざるを得ないわけです。そういうようなことから考えて参りますと、超過額の二割という線が、東京都については全額が譲与されない、大阪府や神奈川県につきましては若干制限される、こういう結論になるわけであります。そういうところからおおむね二割程度がよろしいのではないかというふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/19
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020・中井徳次郎
○中井委員 今の説明では二割の理論的根拠がちっともはっきりしないのだが、あなたの説明を聞くと、東京においては全額もらっておる。ところが大阪や神奈川においてはこれはもっとよけいにやってもよろしいという気になるが、それを一律にしてやったというところに非常に問題があると私は思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/20
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021・奥野誠亮
○奥野政府委員 基本的に交付税の計算上収入超過額が出ましても、それが即財源の余裕を示すものではないということは御承知の通りでございます。そうしますと、もともと財政調整的な性格を持っております入場譲与税につきまして、どの程度譲与額を制限するかということは、それぞれの団体の財政実態を見きわめた上でしなければならないだろうというふうに考えているのであります。そうしました場合に、今度の制度改正によって相当ふえてくる部分については、ある程度弱小の団体に対しまする財源増強額が少いだけに遠慮してもらわざるを得ないのじゃないだろうか、そういうところから東京都については全額を制限せざるを得ないのじゃないだろうか、こういう結論を持ったのであります。そうしますと、今申し上げましたように、超過額の二割、そのことが他の府県にどのくらい影響を及ぼすかということを同時に考えて参らなければならぬのでありますけれども、大阪府や神奈川県につきまして、昨年の制度改正によりましてたばこ消費税の増率を行なっております結果、相当の増収が得られる。従ってそれと両方相互に勘案をいたしまして、二割程度という線をきめておるわけであります。なお今後の推移も見きわめて処理していかなければなりませんので、この部分につきましては固定をいたしませんで、政令で率を定めることにすることが適当だろうというふうに存じておりまます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/21
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022・中井徳次郎
○中井委員 今のお話では、やはり最後まで二割という理論的な根拠は明らかでありません。ただ話の中で察するに、逆算をして現実に不交付団体はこの程度でどうだというので妥協をしたのだろうと思います。従って政令でやったということになれば、この率は毎年々々変るわけですか、その根拠をちょっと確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/22
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023・奥野誠亮
○奥野政府委員 いろいろと地方税収入の将来の見通しなり、あるいは歳出の変化なりをにらみ合せて考えていかなければならないだろうというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/23
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024・中井徳次郎
○中井委員 その場合に交付団体と不交付団体とを一律にやらずに、東京都のごときは特殊な自治体でありますから、東京だけは別というようなことを考えておられるかどうか、念のために伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/24
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025・奥野誠亮
○奥野政府委員 入場譲与税の譲与額の制限につきましては、やはり全都道府県に一律に適用されるような考え方でいかざるを得ないのじゃないだろうか。しかしもともと東京都は特殊な性格を持っておりますので、税制面において特殊な性格を出すことが適当ではないというふうに考えているものではございません。道府県一律に適用されるべき率をきめていくべきだというふうに思うわけでありますけれども、それぞれの個々の団体の実態に合わないような結果を来たしてはいけませんので、その点は十分考慮して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/25
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026・中井徳次郎
○中井委員 将来は別の率をきめていくということにならざるを得ないと私どもとしては思うのです。裏を返せば、東京都の犠牲のために、ほかの都市が低い率をきめていくというようなことがあってはならぬと思いますので、その点を研究問題として大いに研究をしておいていただきたい。同時に基本的な問題としましても、こういう資本主義の国柄でありますから、今の形におきましては大都市に税源は集まるでありましょう。しかしそれと同時に、これは同僚の門司委員がいつも言うのでありますが、中小都市あるいは農村と比べて大都市は特殊のものが非常にあるわけであります。現に教育施設そのままだけを申しますというと、貧弱な府県にありましても、今日二部教授をやっているというようなことはほとんど見受けられませんが、大都市においては依然としてあるというようなわけです。こういうことは各都市の政治のやり方に影響されることもありましょうけれども、しかし一般論として、何年たってもそういうものが残っているというところに大きな盲点があるように私は思うのでありますが、そういう点について、今回の地方財政計画の決定に際して私が一番遺憾に思いまするのは、お前たち地方団体内部においてできるだけ吟味しろということ、これはど地方団体をばかにした意見はなかろうと思います。東京の金を九州に持っていく、東京の金を北海道に持っていく、東京は日本の首府だからというならば、大阪の金をなぜ北海道に持っていくかということになるだろうと思うのでありますか、このような調整を永続すべきものであるかどうか、私どもは非常に疑問に思っておるのでありますけれども、一つ見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/26
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027・奥野誠亮
○奥野政府委員 中井さんのお考えの基本的な部分につきましては私も同感でございます。ただ入場譲与税の制度は他の独立財源とは若干違った機能を営んでいるのではないか、こういう気持もございますので、今回いろいろの事情から改正案を提案するに至ったわけであります。しかしできますならば、入場譲与税制度につきましても、その本来の譲与額を持ち続けていくということでありたいものだということは考えているわけであります。将来なおいろいろと税制改正の問題も起って参るわけでありましょうけれども、そういう機会ごとにすっきりした形で税制等を見詰めていくべきではないだろうかというふうに思っておりますし、そういう方向で努力して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/27
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028・中井徳次郎
○中井委員 努力するだけではなくて、できるだけ一つがんばってもらわないと困る。これははっきり言えば、自治庁と大蔵省で意見が違っておったのだろうそ、うして大蔵省の意見にやはり押し切られたのだろう、かように判断をしておるのですが、その辺のところはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/28
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029・奥野誠亮
○奥野政府委員 必ずしも私たちそうとは思っていないわけでありますが、今度の案がきまりますまでの過程におきましては、いろいろの具体案がいろいろの方面から出されたわけであります。この入場譲与税の問題につきましては、大蔵省の事務当局では、入場税を国税に移管してもらいたい、さらに具体的に申し上げますと、入場税の全額を地方交付税財源にしてもらいたい、こうりうことを言っておったわけであります。それに対しまして今の地方財政の見通しを考えて参りますと、将来伸張性のあります税源を地方財源からなくしてしまう、地方財政かほんとうに立て直った形においては別であまし、ようけれども、現状においてはそういう措置をとるべきではない、こいう考え方を強くとったのでありまして、大蔵省の事務当局から提案されました案を協議いたしました。しかし今回の税制改正が主として市町村税の増収に充てられる。その場合には東京都の二十三区分につきましても相当の増収がある、そういうところから入場譲与税といたしまして今回の案を立案したのであります。大蔵看の事務当局から出された案ではないのでありまして、いろいろ紆余曲折は経たわけでありますが、今申し上げたような程度のことはやむを得ないのではないかと思ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/29
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030・中井徳次郎
○中井委員 入場譲与税について、今の問題はあとまだ残っておりますが、もう一点お尋ねしておきたい。あの制度が行われましたときに、私どもはこういう税制について国家が徴収の手数料をとるのはけしからぬ、しかも府県が市町村に対して出しまする手数料が四%、上がるに国は非常に簡単にとれるものを一割もとってけしからぬということをきびしく申し上げたつもりであります。その一点は今回直されまして、全額回してこられたという点については、私どもも実は非常に賛意を表しておるのでありますか、これかまた元へ戻って、地方は財源が少しよくなったから、ちょっとこっちへ回せという話が出るのか出ないのか、その辺のいきさつ、あるいは全額地方税の方に回りましたいきさつを一つ聞かせてもらいたい、それからそういうおそれは将来今の内閣が続く限りなというふうに断言できるかどうか、その辺のところをちょっとお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/30
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031・奥野誠亮
○奥野政府委員 政府当局がどう考えておるかということよりも、国会で御制定いただきます法律の条文で御判断いただくことが一番よろしいのではないかと思います。入場譲与税法の一部改正法案におきましては、別に期間を限っているわけではございませんで、入場税の全額を入場譲与税にするのだというふうに書いてあるわけであります。もとよわ事務当局におきまして も、恒久的にそうするということで出えておるわけでございます。この全額を芸与するか、あるいは従来通り十分の九相当額を譲与するかということにつきましては、実は最後まで大蔵省との間でいろいろ議論を続けて参りました。予算案ができ上りますころにおきましては、大蔵省はまだ十分の九を固執しておったわけでありますけれども、最後に、今回の改正案をもっても、なお地方財源は十分でないのだというようなところから、全額を譲与することに大蔵省も同意いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/31
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032・加賀田進
○加賀田委員 譲与税について御質問いたしたいと思います。これは御存じのように、以前は地税として地方が徴収したわけでありますが、これが国税として譲与税にかわったときには、大体この税金は都市に偏在しておるので、全国的に平均にいかないということと、税の徴収率が非常に悪いので、国税として政府がこれを担当すれば、祝の徴収率がよくなるであろう、こういう二つのことが大きな提案の理由たったとぶいます。そこでお尋ねしたいのは、これが国税に移管されてから大体の徴収成績はどうか、二十六年度から現在までのお調べがあったら一つ御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/32
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033・奥野誠亮
○奥野政府委員 入場税の国税移管に当りまして、入場税の徴収成績が悪いからといふうには私どもは了解していなかったのでありますが、国会の審議の過程で、そういうことを申される方もあったことは事実でございます。しかし政府案をきめますまでの過程におきましては、そういう論議はなかったのでございます。なお、入場税はそれまでは府県税であったものでありますから、府県によりまして徴収成績にはかなりの差がございました。従いまして私たちが徴収成績が悪いと考えておりました県におきましては、かなりな向上を見せております。しかし大部分り県におきましては、私たちは大同小異ではなかろうかというふうに思っております。幸いにして、その後漸次成績も同上してきておるようでありまして、一般の消費税とあわせまして収入額がだんだん上って参っておりますことは御了解いただけるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/33
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034・加賀田進
○加賀田委員 本年度の計画を見ますと、大体十二億程度の増税を見込んでおると思います。これは九〇%と計算いたしましてそういうことになると思います。これは三年度の見込みを基礎として出されたものかどうか、またそれだけの増額が確実にあるのかどうか御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/34
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035・奥野誠亮
○奥野政府委員 今お話になっております十二億という数字は、昭和三十年度の当初に見込んでおりました額よりも結果においてはそれくらいふえるでありうという数字でございます。なお三十年度の補正後の数字よりも、さらに三十一年度は若干増額を見込んでおるわけであります。三十年度の補正額百四十七億四千三百万円に対しまして、三十一年度の収入は百六十二億二千百万ということで四億七千八百万円という増額を見込んでおるわけであります。従いまして当初と比べますと二六億余りの増額を見込んでおるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/35
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036・加賀田進
○加賀田委員 そういたしますと、今質問した通り、三十年度の見込み額を基礎として出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/36
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037・奥野誠亮
○奥野政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/37
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038・加賀田進
○加賀田委員 もう一点お尋ねいたしたいのは、富裕府県の頭を削って貧困府県に委譲するという問額が出ておりますが、この二割の財源を他の府県に委譲する基礎として、前年度の基準財政需要額と収入額との差の二割、こういうことになっておるわけでありますが、不交付団体ではやはむその財政計画に従ってその年度々々に変ってくると思います。前年度不交付団体であっても本年度は不交付団体でないという立場をとってくるのでありますが、そういう場合も、やはりこういう制度を適用されるのかどうか。これは逆の場合も起ってくる思といますが、なぜ前年度を基準にしたのか。当年度を基準にするのが私は財政的には正しいのじやないかと思いますが、そのいきさつ論理を一応御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/38
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039・奥野誠亮
○奥野政府委員 入場譲与税需要の額を制限する場合に、前年度の交付税の計算の結果を使うか、当該年度の交付税の計算の結果を便うかとということにつきましては、私は一長一短があると思います。なるだけ各府県に対しまして、自分のところに来る財源がどのくらいであるかということは、年度当初の予算を編成しますときから明確にわかっておることが理想じゃないか、こう思っております。しかしその結果は加賀田さんがおっしやいました通り、当該年度の実態に沿わないような需要額の制限というようなこともあり得るのじゃないかと思います。この点についてはいろいろ制度的に基準財政需要額や基準財政収入額が変って参ります場合には前年度の計算の基礎を補正することができるという視定を設けておるわけであります。もう一つは、財源補償といいましようか、財源調整といいましようか、そういう制度はなるべく地方交付税財源によって最終的に地方調整することが一番適切じやないだろうか。何でもかんでもいろいろなもので調整をするということは避けた方がよいだろう、こういう考え方を持っておるわけでありまして、二つの理由によって前年度の計算を基礎にします弊害というものが相当是正されるのじゃないか、こういう結論から提案しておるような方式を採用したいと考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/39
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040・加賀田進
○加賀田委員 実は私はそういう弊害が起ってくるのじゃないかと思って心配するわけでありますが、いわゆる当年度において交付団体になった交付団体——事実は赤字であるかないかということは別問題でありまして、交付団体でも現在赤字を出して悩んでおるところもあると思いますが、一応そういうことは別として、今年度交付団体であったが前年度は不交付団体であった、そのために当年度の財源を一部他府県に渡さなければならないような弊害が後日起るのじゃないか。また逆の場合も起ると私は思いますが、政府としては三十二年度は抜本的な財政敗軍をやると言って力んでおりますから、そういう頭が起る懸念があるとすれば、そういう当年度の財政上の調節が必要じゃないかと思いますが、もしそういうことができれば法規としてそ、いうふうに修正をするのが正しいのじゃないかと思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/40
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041・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話の趣旨はよくわかります。しかし各団体に、年度の始まります前から得られる収入額を自分で見当をつけておかなければいけないじゃないか、こういう必要が非常に起るだろうと考えておるのであります。ことに地方交付税の計算の固まりますのが八尾であります。そろすると、年度が開始になりましても、当分の間どういうように制限されるのか、きっぱり見当がつかないわけであります。これはやはり望ましくない。そこで制度改正が行われます場合にご指摘のように、かりに三十二年度から地方税制にも改正が加えられるということになりますならば、当該年度の収入が変って参るわけでありますから、前年度の基準財政収入額に補正を加える、こりいうことになろうかと思うのであります。現在も、三十一年度からは、府県の警察費が前年度は九カ月分であったのが、十二カ月分になりますから、従ってこの三カ月分だけは、三十年度の基準財政需要額に加算する予定をいたしております。そういう計算をいたしますならば、御心配になりますような点は相当部分解消してししまうのではないかと思っておるわけであります。自然増減の問題はございましょうけれども、これはあまり最後までわからないままにしておきますと、当該団体の財政運営がかえって非常に決定しがたくて困ってしまうのではないかこういう弊害の方が多いわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/41
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042・加賀田進
○加賀田委員 そうすると、当該年度にそういう特殊な事態が起った場合には、この問題は調整するという方法はきまっておりますか。今警察の問題を例にあげられましたけれども、それ以外の問題も起る場合がある。そういう調整処置を講ずるという趣旨のもとに提案されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/42
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043・奥野誠亮
○奥野政府委員 制度的な改正の部分については、おっしゃる通り改正するということで法案を作っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/43
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044・五島虎雄
○五島委員 後藤さんに二、三点質問しておきたいと思いますが、不足財源に対する措置という項目の中に、受益者負担の項目があるわけです。金額は五億円程度になっておるようですが、この説明の中に、高等学校の授業料二割引き上げを含むのだということの説明があったわけですけれども、文部大臣は、高等学校あるいは私大の授業料の値上げはやらないのだというように、ききに言明されておったように伺っておるわけです。そうすると、文教関係と自治庁との考え方の関係は、どういうような関連でこれが五億円の中に算定されたのかということを聞いておきたい。従って、文部大臣の意向にかかわらず二割を値上げされる気持なのかということを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/44
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045・後藤博
○後藤政府委員 雑収入の増のうち、受益者負担金制度の充実の五億という中には、高等学校は入っておりません。従来受益者負担金制度がいろいろな形であるのでありまが、この五億を見ましたのは、漁港とか港湾関係で受益者負粗金制度というのがあるのでありますが、従来各地方でまちまちになっておりましたのを、今回は法律でもってはっきりする、そういう建前で受益者負担金の増を立てたのであります。当初大蔵大臣はもっと非常に大きいのだということを言っておりましたが、われわれは初年度でありますから五億ぐらいしかないのじゃないかということで、五億と押えたのであります。その他の方の中に、おっしやいますところの高等学校の授業料の二割引き上げの部分が入っております。約二十億ばかりでありますが、私もお話のよりなことを先日お聞きしたのでありまして、国立学校の授業料が五割上って参りますので、私の方の地方団体におきましてもやはりこの際二割引き上げる、また地方団体の側でも、全国的な地方団体の会合におきまして、大体二割くらい上げるという申し合ぜをいたしておりますので、二割の引き上げをここに考えたのでございます。文部省の方もわれわれが二割上げるということは、事務当局は知っておったはずだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/45
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046・五島虎雄
○五島委員 そうすると、事務当局の連絡のみによってこれが見込まれた。二十億というようなことならば、この方針が変更すれば、これは変更する場合があるわけですね。それだけ聞いておいたらいいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/46
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047・後藤博
○後藤政府委員 これは私ども大蔵省とも話し合いもいたしましたし、閣議でも大臣から話があったと思っておりますので、何かの間違いじゃなないか、文部大臣は何か勘違いをされておるのではないか、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/47
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048・五島虎雄
○五島委員 そうすると、新聞の発表は文部大臣の勘違いだと考えたらよいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/48
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049・後藤博
○後藤政府委員 さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/49
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050・五島虎雄
○五島委員 それから同じく三ページの歳出の同じ項目の中で、都道府県及び市町村教育委員会委員の公選制の廃止ということについては、これは文部関係との関連の中から、この五億円程度の措置が見込まれているのかどうか、そうしてこれは不足財源に対する措置の観点の中からのみこれを考えられたのか。あるいは地方教育委員会制度が必要であるとか不必要であるというような観点の中から、十五億円が措置されたのかどうかという見解についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/50
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051・後藤博
○後藤政府委員 教育委員会関係の公選制の廃止の十五億は、これは文部省でも公選制の廃止をやるという考え方になっております。ただ問題は事務局をどうするか、こういうことだけが問題になっておりますので、その問題は一応はずして、きまっておるところの方針公選制の廃止だけを財政計画上取り入れた次第であります。もちろんわれわれといたしましては、教育委員会制度全体につきましていろいろ改正をしていただきたいという希望は題し述べておったのでございます。この点だけは一致しておりますのではっきりしたものだげを財政計画上財源にあげたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/51
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052・五島虎雄
○五島委員 ところが五億円程度の財政上の措置という点については、自治庁からこれを発案されたのか、文部省から発案されたのか、どっちなんですか。財政が困るからこの公選制を廃止するという考え方になったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/52
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053・後藤博
○後藤政府委員 財政が困るということでなくて、やはり教育委員会制度自体につきまして改善を要すべき点があるという点から出発いたしまして——もちろん財政の問題も含んでおりますけれども、教育委員会制度自体の問題からこの措置という本のが出てきたのでありまして、私どもとしては一応三十一年度の現行制度の場合には掲げておりまして、そうして大体の方針がきまっております限度におきまして、それを財源的な措置というふうに最小限度のものだけをここに見たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/53
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054・五島虎雄
○五島委員 それから給与費の問題で、定期昇給は例年二・五%であったが、三十一年度は四%含んだその四%を考えた理由というものを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/54
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055・後藤博
○後藤政府委員 たしか二九年の財政計画であったと思いますが、国が二・五%であるから、地方も二・五%、こういうことでわれわれも財政計画を組んだわけであります。その後われわれの方からいろいろ実績を見ておりますと、どうも国の方が二・五%以上になっておるというので、最近の実績を人事院その他で調べました。それから大蔵省に聞きますと、大体四%になっておりますので、国と同じ程度にまた引き戻す、そういう意味で四%に変えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/55
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056・五島虎雄
○五島委員 そうすると、定期昇給は行うが、給与ベースの改訂、賃金の改訂の要求が、各地方団体の組合から行われているわけですが、これは絶対に行わない、絶対という言葉がついて何か説明があつたように記憶しているわけなんです。この賃上げの要求に対する考え方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 私どもが財政計画を作ります場合には、賃上げの問題は全然別個に考えて居ります。従つて従来国との間で、国と同じ程度の昇給を見ていこうという建前にっております。それが達って廃ったので、元に戻して国と同じにしたというだけでありまして、別に賃上げ要求とは何らの関係がないのであります。国の方がもしも賃上けを認めるということであれば、同時に地方団体も同じようにしてもら、いたいということは、前々から崩しておりますけれども、賃上げ要求そのものとの関連は何もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/57
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058・五島虎雄
○五島委員 そうすると、今新聞で非常に騒がれておる、たとえば違法の行為があったならば自衛隊を派遣するんだとかなんとかいって、非常に国民の注視を集めている記事が盛んに打ち出されておるわけです。張る十一日にも政府が、今度の春季賃上げ闘争に対する見解というものを発表されたし、閣議で十三日に何かの方針が出るという新聞の記事も出ましたし、そうしてきのうの朝日新聞の夕刊を見ると、官公労の組合の闘争に対しては勧告文を出した。そこで今度は地方公務員の組合の賃上げ闘争に対しても同じく関連があるから、従って自治庁長官は——これは長官がおられぬからしようがないのですけれども、自治庁長官は、知事会議を招集して、これに対する警告を行うという記事も載っておったように記憶します。これらの賃上げ闘争について、どういうように解釈ざれるかということをここで後藤さんに質問しても何もならないと思いますから、何もならないことを言ったってしようがないから、これは保留しておきたいと思うのです。
そうすると、この定期昇給四%の点については、賃上げの問題については全然方針に載せていないんだ、国がやったら何か措置するんだということだけを聞いて終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/58
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059・大矢省三
○大矢委員長 他に御質問はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/59
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060・北山愛郎
○北山委員 入場譲与税について一点だけ伺いたい。要するに、今度の改正によれば総額として十六億円ふえる。ところが一方では七億幾らの大都市の、大都市というか収入超過団体の保留される分がふえるから、そこで結果としては、その他の府県については従来よりも多少減るということになりますか。大体従来と同じ金額になると思うのですが、多少ずつ減るというような結果になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/60
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061・奥野誠亮
○奥野政府委員 御質問の趣旨を取り違えているかもしれませんが、その場合はお許しいただきたいと思います。入場譲与税の総額は三十年度の当初よりも十二億円くらいふえると考えております。さらに今回の改正で入場税の収入額の金額を譲与いたしますので、その額を三十年度の補正後と比べてみますと十四億余りふえます。合計いたしまして二十六億円余りになっておりまして、これは全都道府県についてふえる額であります。そのほかに三団体について制限を加えられます額が十七億余りと考えます。この十七億円余りが三団体を除きます他の道府県に再譲与されるわけでありますから、その部分がさらに三団体以外の道府県については増額になっていくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/61
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062・北山愛郎
○北山委員 よくわかりました。入場税についてはその程度でいいのですが、この際税務部長にお伺いしておきます。
新聞の伝えるところによると、この前の二十二国会で修正通過しました遊興飲食税の公給領収証制度、あれを与党では——全体の意思、最終的な意思ではないかもしれませんが、廃止をするというふうに決定したいと伝えられているのであります。われわれは公給領収証制度がしかれて各府県の状況を見ると、大体において所期の目的を達しているように感じているわけです。それは不平不満の分子がもちろんあるに違いありませんが、大体において当初ねらっておった趣旨が実現されているというふうに見ているのです。与党の方でそういう話が持ち上がっているという程度でありますから、最終的にどうなるかまだわかりませんが、自治庁としては、特に税独部長としては公給領収制度が非常にいい、少くとも改善であるという考え方をお持ちであったように思うのでありまして、政府としてはこの制度を維持する、今回のこの通常国会で改正するというようなことは考えない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/62
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063・奥野誠亮
○奥野政府委員 公給領収証制度は地方財政の問題であります。地方税法につきましては若干の改正と考えているわけであります。そしてまたその内容は先般閣議決定になったわけでありますので、数日のうちには国会に提出できると思っております。その中には公給領収証制度廃止の点に何ら入っておりません。従ってまた政府としては公給領収証制度を廃止しようという意思は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/63
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064・北山愛郎
○北山委員 もう一つ地方税法の問額ですが、自治庁の税務部では消防施設税をやろうというような計画があったように聞いております。ところが改正案には盛られていないというふうに伝えられておりますが、どういうわけでおやまになったか、その経過についてお伺いしておたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/64
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065・奥野誠亮
○奥野政府委員 消防施設税を目的税として設けたらどうかという考え方は昨年秋の地方制度調査会の答申に由来しているわけであります。自治省事務当局といたしまして、やはり消防施設税を設けたいと考えております。ところが損害保険事業を所有しております大蔵省の方では、この考え方に対しまして終始反対でありまして、自治庁と大蔵省との間でたえず論議を繰り返しておったわけでありますが、政府部内の考え方が一致いたしませんために、最終的には取りやめることにいたしまして、将来なお研究することにきめたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/65
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066・北山愛郎
○北山委員 大蔵省の反対の理由はどういう点でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/66
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067・奥野誠亮
○奥野政府委員 消防施設税を設けると損害保険事業を行なっている者は、結局これを抜書保険に加入している者に転嫁をすることになるじゃないか、将来なお払害保険料は下けるべきものかもしれないけれども、少くとも下げるものが下げられないことになるのじゃないか、受益者負担とする場合にその流失の負担をするところは、結局保険契約加入者じゃなかろうか、これはむしろそういう税を設けるよりも、そうだとするならば保険料を下げたいのだ、これが第一点であります。
もう一点は消防費のような全体的で負担しなければならないものについて、保険加入者だけが負担するということは理屈が通らないじゃないか、これが第二点であります。大蔵省の考え方の基本はそこでありまして、それに対しまして私たちの考えておりますのは、保険契約に入っている人たちが支払います保険料というものは、ある一定の危険度を基礎にしてきめられておるものだと考える。ある一定の危険度を基本にして保険料が定められておるけれども、そこで消防施設が充実してくれれば、危険度が少くなるわけだから、その保険料をきめた場合の予定収益というものはふえてくるのじゃないか、予定収益がふえてくれは、それは消防施設の恩恵だから、その部分似さらに消防施設税として負担しても差しつかえないしじゃないか、将来危険度が下ってきて保険料が下げられることはけっこうだ。しかしその場合でもまたそこで予定されておる危険度を基本に考えると、消防施設が充実してくればさらに危険が少くなり、保険料決定の基礎になった予定収益がふえてくるのじゃないか、予定収益がふえてくればその部分は消防施設税として負担して差しつかえないのじゃないか、受益者負担として成り立つのじゃないか、こういう私たちの論拠であります。私たちは直ちに消防施設税が加入者に転嫁されるものだとは考えていない。かりに転嫁されるものとしても、なおそれのみてもって別の存立を否定すべきものでないと思っておるのでありまが、大蔵省のそういう考え方にまず反対なのであります。すでに保険料をきめるときには一定の危険度を基礎にして保険料がきめられておる。この危険度は未来永劫変わらないものじゃないのでありまして、消防施設が充実すれば、そこに危険が少くなって、支払い保険金が減って予定収益がふえてくるじゃないか、予定収益がふえてくれば、受益者負担として一定の消防施設税を支払っても差しつかえないのじゃないか、こういう考え方であいます。この二つの論争が結局最後まで片がつかなかったために将来に見送ることにしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/67
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068・北山愛郎
○北山委員 よくわかりました。いろいろ論争の結果、伝えるところによれば、消防と損害保険の関連性、これについては今お話の通り関連性はある。そこで税を取るよりも二、三億くらい寄付金をもらうことで間に合せようじゃないかという結論になったやに問いておるのでありますが、そういうことはあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/68
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069・奥野誠亮
○奥野政府委員 消防施設税を立案しております過税におきまして、損害保険協会の万が消防施設税は自分たちとしては理屈に合わぬと思っておる。しかしある程度寄付金をするということなら、自分たちは承知してもよろしいのだ、こういうことを直接私も聞かされておりました、しかし私たちは筋の通った消防施設税ならばぜひ作りたい。それ以外のものにつきましては、私の側からいえばわけのわからぬ意味の負担はもらいたくない、こういう気持を持っておるものですから、その話がどう進行しておるのかということについては全然承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/69
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070・中井徳次郎
○中井委員 ちょっと議事進行ですが、先ほど御答弁をいただきましたのに関連がありますが、警察の関係を次会にもう少しつつ込んでお伺いしたいのです。もう一つ最近の官公労の闘争等に対する警察の態度というものについてお尋ねしたいと思いますので、次の地方行政委員会にぜひ警察関係、警視総監も加えて呼んでいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/70
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071・大矢省三
○大矢委員長 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/71
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072・中井徳次郎
○中井委員 なおこの機会に伺いたいのですが、今度の地方税制の改正の問題には、木材取引税のことはでていないだろうと思うのであります。これは去年も非常に問題になりまして、今年も私どもも非常に大ぜいの陳情に悩まされておるのでありますが、私どもは去年から、木材引取税というものは、本質的には唯一の残っておる流通税的なものであって、あまり感心した税金だとは考えておりません。実際取っております状況を見ますと、ほんとうにまじめに引取税を取っておるのは国有財産関係で、その他のものについては各地方団体において非常にまちまちである。とういうものは財源としてどうもあまり感心しない。しかし現在の地方財政の困難な状況か山、見ヅ実はやむを得ない面もあるというふうな判断をしておるのでありますが、将来木材取引税にかわる何かいい財源、がおれば、こういうものは一刻も早くやめてもらいたいという考え方を私どもはしておるのでありますが、税制関係の専門家である奥野君のこの問題についての見解を一つ参考までに聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/72
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073・奥野誠亮
○奥野政府委員 木材取引税あるいは立木伐採税、木材移流税とか、いろいろ名目はございましたが、明治の初年から相当多くの市町村において行われておった税でございます。戦後地方税法の中にはっきり木材引取税として府県税としさらに市町村がこれに対して付加税を取れるようにし、さらにまたこれを市町村だけの独立税というふうに変って参ってきておるわけであります。明治の初年からの沿革がございますように、山村においは目ぼしい財源はない。同時にまた木材の伐採等に当りましても道路その他に相当の損傷を受げる、そういうよう、なところから、木材関係からある程度の収入を得たい、これが税を設けてきている事由だと考えておるのでございます。総額はそれはど大きな額ではありませんけれども、個々の山村にとりましては非常に有力な財源でありまして、町村の税収の五割以上を占めておるようなとこるも相当数ございます。やはり木材との受益関係等を考えて参りますと、木材を伐採したときにある程度の財源を市町村に残していくということは必要でやなかろうか。山林が成育していく過程におきまして、相当の財源を得ようとすることは、これは森林の経営というものに対しまして非常に悪い影響を与えるのじゃなかろうか、そういう意味で、また山林に対する固定資産税につきましては立木価格というものを課税標準に入れないようにいたして参りまして、今後もそういうやり方はすべきでない、そのかわり木材が伐採された機会にはある程度財源をその町村に残すべきでないか、しかもその木材引取税というものが、山村におきましては相当な財源に、今日においてもなっているのじゃないだろうか。これをやめて、そのような町村に独立財源を与える道は、実際問題としてなかなか見つからないのではないか、こういう考え方を持っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/73
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074・中井徳次郎
○中井委員 今のお話しを承わりますと、奥野君は残しておきたいということであります。残しておきたいということになれば、現在のようなやり方では断じてならぬというふうに私は考えるのであります。地方によって取り万も千差万別であって、財政計画に出ておったものは十九億くらいであったと思うのですが、十九億ばかりの金を取るのに何といいますか、率直にいえば非常に出たらめである。ある村にいくと自分の村におる材木屋さんの材木引取税は取らない、よそから来るやつから取るというふうな形が出ております。そこで政府当局としては残すとすれば率をうんと下げても、今の数字くらいのものは厳格に取れば集まる。そうしてみなあまり不平なく集まりはせぬかということが一つと、もう一つはどうですか、そういうふうな全国的に非常に偏在はいたしておりますけれも、金額は大したことはないのであります。これはこれまで原野あたりの固定資産税ですね、山林原野の固定資産税の率をごくわずかだけ上げるだけでそれくらいな数字が私は出てきやせぬか、かように思いますが、こういう二つの見方についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/74
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075・奥野誠亮
○奥野政府委員 第一点の、木材引取税の運営がうまくいっていないじゃないかという点につきましては、われわれも深く責任を感じておるわけであります。そういうようなところから、二十八年の暮れでございましたでしょうか、農林省の林野庁と話し合いをいたしまして、木材引取税の基礎における樹種別の石当りの金額が幾らになるはずであるか、こういうことをきめまして、市町村に指導的な意味の通達を出したわけであります。そのことは、市町村によりましては非常に増額になったところもあったようでございまして、そのことが今日本材引取税の存廃をめぐりまして争いになっておる一つの原因であると、われわれは推察をいたしておるわけであります。これが適当であったか、適当でなかったか、いろいろ議論はあろうと思うのでありますけれども、やはりよるべき基準というものを各市町村を通じまして歩調を合せていく必要があるじゃなかろうか、法律の趣旨に即しましてあまり混乱した姿において運営しないように持っていかなければならない、その解決を今申しましたような道に求めたわけでありまして、今後なおこれの基準を適正にして参りますとともに、市町村によくこれを承知してもらうように努力していかなければならない、かような行き方をしておるわけであります。
それから第二点の問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げたわけでありますが、なるたけ山林の撫育、育成を阻害しないような形において是正していけたらいいじゃなかろうか、そういうような意味におきましては山林に対しまする固定資産税の負担を増額するよりは、伐採の機会において負担をしてもらうことがいいじゃなかろうか、非常にむずかしい問題でありますけれども、私はなおそういうような考え方を持っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/75
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076・中井徳次郎
○中井委員 どうも結論的ですが、木材引取税のことについてあなたからお話があったが、私は甘いと思います。こんなことでほっておいてはいけません。これは政府の責任において少くとも来年は抜本的な解決をしてもらいたい。私は方法はないとは言わせません。どうも地方財政はこれまで実際の税の取り方に非常な不均衡がありまして、それをほったらかしておきまして、そうして総体的に財源不足、赤字という話が非常に多いのであります。従って、そういう性格の地方団体が多いのでありますから、そういう余裕のない税制はぜひ直さなくてはいけない。去年からことしにかけて非常な運動がありましたが、それを今日わずか二十億ばかりの問題のためにはっておくというのは、私は政府の怠慢だと思いますので、これはぜひとも抜本的な考え——あなたは特にいつも明治以来の税制というが、そういうことを言っておってはいけない。やはり世の中の進展とともに変えなければいかぬ。私どもは自転車税や荷車税というものは毎年廃止を叫んでおる。こんな大衆の悪税はないと考えておる。諸君は二、三年前に固定資産の税率を二分下げてそ、して評価を二割上げるというふうな非常に乱暴なやり方をいたしましたが、あの二割上げたということです。ああいう行政的なことができるのならば、自転車税とか荷車税とか木材引取税とかいうようなものは、地方団体全体の財源としてこれは大した影響はないというふうに考えております。そのことだけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/76
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077・大矢省三
○大矢委員長 それでは本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00619560214/77
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