1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月十七日(金曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 北山 愛郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
櫻内 義雄君 渡海元三郎君
灘尾 弘吉君 丹羽 兵助君
森 清君 加賀田 進君
川村 継義君 五島 虎雄君
櫻井 奎夫君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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二月十五日
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
同月十六日
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二
号)
同月十五日
公衆浴場業に対する事業税軽減に関する請願(
亀山孝一君紹介)(第六〇八号)
同(丹羽兵助君紹介)(第六六九号)
同(渡海元三郎君紹介)(第六七〇号)
公衆浴場業に対する固定資産税軽減に関する請
願(亀山孝一君紹介)(第六〇九号)
同(丹羽兵助君紹介)(第六七一号)
同(渡海元三郎君紹介)(第六七二号)
公給領収証の交付制度廃止に関する請願(中村
三之丞君紹介)(第六一〇号)
消防法の一部改正に関する請願(椎熊三郎君紹
介)(第六一一号)
公衆浴場営業規制の市委譲反対に関する請願(
丹羽兵助君紹介)(第六七三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
昭和三十一年度地方財政計画に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
地方交付税法の一部を改正する法律案を議題として、提案理由の説明を聴取いたします。太田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/1
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002・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま提案いたしました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして、簡単に御説明申し上げます。
御承知の通り、昭和三十一年度地方財政計画の策定につきましては、今後地方財政に赤字の発生を見ないよう、その合理化をはかることを根本方針といたしたのでございますが、その前提となる地方行財政制度改正の一環といたしまして、地方交付税の所得税、法人税及び酒税の収入額に対する率を現行の百分の二十二から百分の二十五つまり三%の増率になりますが、二五%にすることとしたのでございます。これに伴いまして、地方交付税の総額の所得税、法人税及び酒税の収入額に対する率を改正する必要がありますとともに、教育委員会の委員の公選制の廃止等地方行政制度の改正、昭和三十年度予算における国庫補助負担率の改訂、期末手当〇・二五カ月分の増額等に伴って単位費用について所要の改訂を行う必要がありますのと、地方債の配分の合理化とも関連し、道府県について投資的経費の財源を確保するため、新たに道府県の態容に応じて投資的経費を割り増しする補正を行うことができるものとする等、地方交付税法に所要の改正を加える必要が生じてきたのでございます。これがこの法律案を提出する理由でございます。
次に改正の内容につきまして、その概略を御説明申し上げます。
第一は、交付税の総額に関する事項でございます。所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十二を百分の二十五に改めることとしたのであります。この結果明年度における交付税の総額は昭和二十九年度分の精算額十二億余円を加えまして千六百二十八億余円となるのでございます。
第二は、基準財政需要額の算定方法に関する事項であります。
その一は、単位費用の改訂でございます。1、教育委員会の委員の公選制の廃止等、明年度行われる予定の地方行政制度の改正のこと。2、軽油引取税、都市計画税の創設、国庫補助負担金の補助負担率の改訂、使用料単価の改訂のことなど特定財源の増減でございます。3、期末手当〇・二五カ月分の増額等に伴いまして、各経費ともそれぞれ積算の基礎に所要の改訂を加えるほか、給与実態調査の結果をも勘案いたしまして単位費用積算の基礎となった標準県における職員構成の適正化をはかる等所要の算定がえを行なって単位費用を改訂したのでございます。
その二は、道府県分態容補正につきまして新たに投資的経済にかかわる補正を行うこととしたことでございます。御承知の通り現在の態容補正は、市町村の都市化の程度により、行政の質の差を測定している補正でありまして、道府県分については、管内市町村の態容の積み上げ方式によっているのでございますが、地方債の配分方法の合理化とも関連して財政力の貧弱なる道府県については、公共事業費等投資的経費の財源を確保する方途を講ずることが必要と考えられるのでございます。このため、従来の態容補正の方法に加えて、投資的経費にかかわる行政水準の標準化に必要な行政の質及び量の差に基いて新たに道府県の態容による補正を行うことができるものといたしたのでございます。
第三は、基準財政収入額の算定方法に関する事項であります。
その一は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度の創設に伴う改正でございます。普通税の場合と同様に、その収入見込額の都道府県交付金及び都道府県納付金にありましては百分の八十、市町村にあっては原則として百分の七十の額を基準財政収入額に算入するものとし、あわせてその算定方法の基礎を定めることといたしたのでございます。
その二は、入場譲与税の譲与方法の改正に伴う改正でございまして、従来入場譲与税の基準税額の算定は、人口によっていたのでありますが、今回単純に人口によることができなくなりましたので、入場譲与税法第二条の規定によって算定した額を用いることとしたのでございます。
その他端数計算の方法についての規定を設ける等所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上がこの法律案の内容の概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを希望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 本案に対する質疑は後日に譲りまして、本日はこの程度にとどめておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/3
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004・大矢省三
○大矢委員長 次に昭和三十一年度地方財政計画に関する件を議題といたします。質疑がございますからこれを許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/4
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005・北山愛郎
○北山委員 大臣はお忙しいようでありますが、なかなかお見えにならぬものですから、この前に関連した重要な問題を一つお伺いしておきたいと思います。
それは今度の財政計画では、昭和三十一年度におきまして六十億の退職手当の起債を用意して、そして相当な地方公務員の退職というものを見込んでおるわけであります。大臣の御説明では、大体九千人くらいを予定しておるといいますが、六十億の退職手当債は、九千人どころじゃなくて、大体それに倍するような財政計画になっておる、こう見られるのであります。ところがこれに関連をいたしまして停年制の問題があり、政府は地方公務員法の改正によって停年制を地方団体において実施ができるような道を開こうといたしておるわけでありますが、もしも停年制を適用する、実施ができるということになりますと、大体どのくらいの人員が、地方公務員の中で該当者になる予定であるか、どういうお見込みであるか、その数字等につきましてお伺いしておきたいのであります。一説によりますと、七万人くらいがこの停年制の該当者になるのではないかという説もございますが、その点について明確にしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/5
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006・太田正孝
○太田国務大臣 ただいまの六十億円の数字の基礎、及びどのくらい停年制によりまして整理する予定であるかということは、数字のことは財政部長から御説明させてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/6
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007・北山愛郎
○北山委員 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/7
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008・後藤博
○後藤政府委員 六十億のうち三十億は九千人の退職に大体見合うものと考えております。そういう計画になっておりますが、あとの三十億分は、従来財政計画で一般職員が千分の十五、それから教員が千分の二十五程度自然更新があります。つまり新陳代謝があるという計画に前からなっておりますので、その分に充てるというふうな計画にしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/8
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009・北山愛郎
○北山委員 停年制の実施という点についての大体の見通しというようなものは、何もないのであるかどうか。かりに五十五才以上の一般の公務員がこの停年制にかかるということになれば、現在の地方公務員の中で何人くらいがそれに該当することになるか、そうしてそのうち何人くらいが整理の対象になるかというような点について見通しがなければ、停年制などを実施させるような法案の提出はできないと私は思うのです。これがやはり地方財政の計画等にも関連して参りますので、重要な問題でありますから、もう少し詳しく御計画等を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/9
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010・小林興三次
○小林(興)政府委員 停年制を作り得る法律の提案を考えておりますが、具体的には御承知の通り条例にまかせておりまして、停年制をとるかとらぬかも必ずしもわかりません。年令をどうするかということも団体においてだいぶ違うと思うのであります。それでございますから、あれによって当然人員がどれくらい出るかという数字の測定は、今ちょっと私どもとしてもできかねるのであります。ただ現在の職員の年令別構成の実態は、この前の給与実態調査の結果でわかっておりまして、これは年令ごとの資料を今ここに持ち合せませんが、その数字は多分あの当時配ってあるはずだと思いますが、数字だけは幾ら以上のものが幾らおるということはわかっておるのであまりす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/10
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011・北山愛郎
○北山委員 この点は地方公務員法等の改正もございますから、その際になお詳しくお伺いしたいと思いますが、きょうはせっかく行政部長がお見えでありますし、大臣もお見えでありますから、そこで当面しておる一、二の問題を簡単にお伺いしておきたいのです。一つは現在行政管理庁の管轄下において行政審議会が行政機構の審議をいたしておるわけであります。その中に伝えられるところでは、自治庁と建設省とを大体一本にして内政省にするというような案もあるやに伝えられているわけであります。ところが中央の地方行政に関連する行政機構でありますから、地方制度とも密接な関連があることは当然なことであります。しかも地方制度調査会からは、たしか中央機構についてもやはり一つの提案がなされ答申が出ておるわけであります。ですからそれらとの関連をどうするか。中央機構でありますから、行政審議会で答申したところに政府は従うのであるか、あるいはまたすでに地方制度調査会で出された答申に従うのであるか。あるいはまた行政審議会から出されたものをさらに地方制度調査会にかけて、そうしてその答申を求めた上でやられるのであるか。どうもそれらの問題が簡単に考えられておるようでありますから、この点を一つお伺いしておきたい。それからなお行政機構に関しては、北海道を特別行政区にし、これを郡県にするという案も進んでおるやに聞いておるわけでありまして、われわれとしては、この地方制度の改革という問題が、根本方針を議論されないで、部分的にどしどし進められていくという点については、非常な関心を持っているわけであります。ですから自治庁長官としては、これらの問題についてどういうお考えを持っておられるか、問題をどういうふうに処理されるのであるか、この際お示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/11
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012・太田正孝
○太田国務大臣 ごもっともな御質問かと思います。一方に行政審議会の方で政府の三大方針と言われる全般的な行政機構の改革を考えております。他方において地方制度の関係から、地方制度調査会の答申及び今後どうするかというお言葉でございますが、地方制度調査会は中央機構を強化しろとありまして、具体的のことは出ておりません。またお示しの北海道の問題についてもまだきまっておりませんが、行政機構の改革そのものについては中央で今考えている案によりまして、地方制度の関係の調整をはかりつつやる考えでございますが、地方の問題は地方制度調査会に諮って、今回の行政機構の改革と別にやっていく考えでございます。すなわち中央できめたこの改革案と地方の今後の問題とは別に考えていきたい、こう考えております。もちろん今度の改革が地方自治のために妨げになるような場合におきましては、私としてもどうしても承知できないことでございますから、二本建と申しますか、ただいまは行政機構改革の意見を中心として考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/12
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013・北山愛郎
○北山委員 しかし問題はやはり地方制度に関連する重要な中央機構の改革であります。なるほど地方制度調査会においては中央の自治関係の機関を強化しろという答申は出ておるけれども、その中に建設関係を入れるか入れないかは重大な問題でありまして、地方と国との事務配分にも関連する問題であります。従ってこれは自治庁長官としては無関心ではおれないと思う。この際もしもお考えがありますならば、建設省と自治庁を一緒にして内政省を作るというような格好は好ましいかどうか、大臣のお考えを承わっておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/13
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014・太田正孝
○太田国務大臣 実は新聞なりあるいは世間の声でも、ただいまお示しのような問題が出ております。私といたしましても、建設省を今の自治庁と一緒にする、こういう問題は非常に関心を持っておりますが、ただいま踏み切ってどうこうというところまで私は行っておりません。ただ自治体というものは非常に大きな関係を地方の土木事業に持っております。自治体は人の集まりではない、歩く道に、川に…。こういうような考えを持ってきますと、かつて内務省時代に土木局というものにおいて発展していったこの行政部面の地方自治体との関係というものは深く考えなければならぬと思います。しかし建設省関係における技術の発展あるいは技術の利用という問題になりますと、私のまだ考え足らぬ点もございますので、ただいまは言いのがれでなく、ほんとうに研究中と申し上げて差しつかえないと思います。ただし案が出ましたときには、踏切って自分の考えもよくまとめてみたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/14
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015・北山愛郎
○北山委員 今申し上げましたように、北海道の行政機構及び内政省等の問題は、地方行政、地方制度全般につながる大きな問題でございます。従って、これは単に行政審議会なりあるいは行政管理庁等にまかして傍観しておるというのではなくて、私は、大臣としてはむしろ地方制度調査会等を招集いたしまして、これらとの関連について答申を求めるべきである、こういうことを要望したいのでありますが、この点について大臣はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/15
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016・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま考えておりますのは、国の機構としての行政審議会の試案が作られようとしておるのでございまして、もちろん地方制度調査会におきまして、新市町村ができましたあと府県制の問題、道州制の問題あるいは北海道の問題等全面的に実はお願いしておるわけでございます。それを待つ問題と国の機構という問題と二律的に考えていっていいんじゃないか、私はそう思います。もちろんすでにお願いしておるわけであり、地方制度調査会の答申も早くやっていただきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/16
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017・北山愛郎
○北山委員 少くとも北海道等の問題は府県制度なり都道府県制度の根本に触れる問題であります。従って一方においては、地方制度調査会の府県制度についての答申を求めており、その作業も過程にあるわけです。そういうことをやっておりながら、その結論の出ないままに、北海道についての特別な行政機構を考えるというようなこと、これはだれが考えても間違いであると私は思うのですが、大臣はどのようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/17
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018・太田正孝
○太田国務大臣 地方制度調査会の方は、中央機構に関しましてはただ強化しろ、こう答申されておるのでありまして、ただいまの各地方別の問題につきましては、今国家の機構をどうする、ことに内閣の機構を強化する、こういうような問題とは別に考えていきたい、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/18
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019・北山愛郎
○北山委員 私の伺ったのは、北海道の問題が、政府としてはあるいは正式には取り上げていないかもしれないけれども、与党の間等において、それぞれ計画が進んでおるやに聞いておるのです。これは道府県の制度につながる問題でありますから、この点につきましては少くとも地方制度調査会の答申の結果を待ってやるべきがほんとうであると思うのですが、この点についてのはっきりしたお考えを聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/19
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020・太田正孝
○太田国務大臣 北海道その他各地方の制度の改革につきましては、御指摘の通りに進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/20
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021・北山愛郎
○北山委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/21
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022・大矢省三
○大矢委員長 ほかにありませんか。——それでは、ほかにないようですから本日はこの程度にいたして、次会は公報をもってお知らせいたします。
これにて散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X00819560217/22
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