1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十五日(土曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 北山 愛郎君
青木 正君 川崎末五郎君
木崎 茂男君 渡海元三郎君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
山中 貞則君 川村 継義君
五島 虎雄君 坂本 泰良君
櫻井 奎夫君 中村 高一君
門司 亮君 横山 利秋君
出席政府委員
自治政務次官 早川 崇君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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二月二十五日
委員西村彰一君辞任につき、その補欠として横
山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律案(内閣提出第六四号)
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
六九号)
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
地方交付税法の一部を改正する法律案、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案、地方税法の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題として前日に引き続き総括質疑を続けます。質疑の通告がありますので順次これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/1
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002・横山利秋
○横山委員 私は地方税の改正法案、特にその中における軽油税を中心として質問をいたしたいと思います。
まず最初に政務次官に、問題がたくさんありますのできわめて簡潔に伺いたいと思います。税制について政府がかねがねお約束なさってきた諸般の問題について、早川さんはこれを順守せられるつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/2
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003・早川崇
○早川政府委員 御質問の具体的内容はわかりませんが、もちろんその方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/3
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004・横山利秋
○横山委員 それでは第一にお伺いいたしますが、税制につきまして、政府は先般の衆議院の総選挙及び今次鳩山内閣の新しい組閣に際して重ね重ね言ってきたことがございます。その一つを取り上げてみますと、まず中小企業の減税ということが想起されるのであります。中小企業に対する減税措置は、国税の方では政府はこれをやる必要がないという建前を貫き通して参りました。しかし政府の予期に反しまして、与党は所得五十万円以下を三五%にいたしたのであります。その後におきましても政府みずから中小企業に対する減税を公約通りにいたしたことは今日までなきにひとしいのであります。今回ここに軽油税を創設いたしましたゆえんのものは、どういう理由であれ明らかに増税であります。しかもこの軽油税は徴収をされる該当者が減税をせられておるところにまた、間接税とは言いながらきわめて明確に増税であります。かねての政府の中小企業の減税と明らかに矛盾をいたします点について、どうお考えでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/4
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005・早川崇
○早川政府委員 全般的な税制改革の基本方針は、減税と同時に所得税のような直接税主義をできるだけ間接税に移したい、こういうことも選挙の税制改革の一つの大きいスローガンであって、その線から申しますと確かに間接税主義の方へ一歩前進したということができるかと思うのであります。同時にこの問題は地方税でございますので、なるほど間接税であれ直接税であれ、ある意味では増税でございまするが、もしこういう軽油課税というものをやらない場合を考えたならば、それだけ地方財政に赤字がふえるわけであります。ふえた面をどうするかということになりますと、どうしても何らかの補てんをしなければならぬ。その場合に府県民税なり市町村民税というような直接税による補てんよりも、このような特に遊覧バスその他ガソリン税等からいいまして、少しアンバランスであります軽油税という方法をとりまして、税負担の最大限度の公平をはかる、こういう趣旨でございますので、従来の党の基本方針からそう逸脱するものでないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/5
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006・横山利秋
○横山委員 私は、地方財政の赤字をどういうふうに解決するかという点については、別の議論にいたしたいと思うのであります。しかし、かりにあなたの議論をとってみましても、地方財政が赤字であるから今日までの政府の中小企業に対する減税公約を破ってよろしいという議論にはならないと思うのであります。もしそういう議論が了承されますならば、今後とも政府の数数の公約というものは、情勢の変化によってこれはだめである、こういう議論が、政府側としては常に用意されることに相なりましょう。いわんや地方財政の赤字は今日に始まったことではないのです。すでに鳩山内閣成立の際に現存し、昨年の総選挙に際し現存をいたしておる事実でありまして、これが予測できなかったということはないと思うのであります。従って、今日この税を出さなければならない関係の諸団体、それから業界が、政府に対して約束に反するではないかと言っておることに対しまして、これでは明確なお答えにならないことを私は申し上げておきたいのであります。
第二番目に、重ねて約束についてお伺いいたしたい。それは、第二の政府の公約である税制の簡素化ということであります。今日税金が重いということ、不均衡だということ、むずかしいということ、この三つが普遍的な国民の声であります。従って、鳩山内閣は税制の簡素化を重ね重ね言って参りました。ところがこの軽油税はどうでふりますか。用途別免税であります。きのうも大蔵委員会で奥野さんに少しその点について質疑を重ねたのでありますが、用途別免税の結果は、実におそるべき事態を私は想定いたしておるのであります。政府の閣僚の中で力の強い人が、おれのところだけは免税をしてくれ、業界で力の強い者が、おれのところだけは免税をしてくれ、こういうふうに免税が一つ一つふえていって、最後に残っておるのが本税であります。そうすれば、免税証を発行して、これによって六千円の違いが出てくるのでありますから、片一方では六千円安い軽油を、片一方では高い軽油を買う、これだけ明確な事実が出て参りますならば、免税証の横流し、免税軽油の横流しが天下を往来することは火を見るよりも明らかなことだと思うのであります。それなるがゆえにこそ、政府は地方税の軽油に関する条項において、実に細密にわたってその罰則を強化せられておるのだと私は思うのであります。この税制の簡素化ということに全く逆行いたします点について、政務次官はどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/6
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007・早川崇
○早川政府委員 横山さんのアイデアに一つ承服しかねるのは、用途別免税というやり方は、単に大臣の力、そういうものじゃないのでありまして、われわれの願うのは、たとえば軽油を使っておる一本釣の漁師というものを考えた場合に、現在の国民の中でこれほどみじめな生活をしておる方はないのでございます。そういう漁民用の軽油が今よりも四割高くなるということは忍びがたいことなんで、全体の社会政策から申して、この面においてはとらないるただし、たとえば観光バスとかいうものは、これは観光会社が負担するのではなくて、受益者負担、消費者負担ということになりますので、六千円軽油が高くなりましてもやむを得ない。そういう大きい社会政策的立場から分けておるのでありまして、その結果若干販売手続上の複雑さが加わりましても、国の政治全体として考えまするならば当然忍ぶべきじゃないか、いわんや社会党の立場から申しましても御賛成願えるのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/7
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008・横山利秋
○横山委員 第二の御答弁は…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/8
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009・早川崇
○早川政府委員 今の答弁のように、若干複雑さが加わりましても、社会政策全般の立場からいってやむを得ない、それは税制の簡素化という趣旨を別に犠牲にするものでは く、もっと高い立場で是認さるべきものだ、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/9
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010・横山利秋
○横山委員 それでは先ほどの私の意見をあなたはますます否定なさるわけであります。三大公約ですよ。低額所得者の減税をする、中小企業の減税をする、それから税制を簡素化する、これは政府が選挙において掲げた三大スローガンですよ。その三大スローガンの中小企業の減税は、地方財政が赤字だからやらない、税制の簡素化は、これまた今あなたのお話ですと、高い目的からやむを得ないではないか。一体それでは政府の公約はどういうふうに理解したらよいのでありましょうか。高い目的のために、今後すべての庶民が喜びあるいは業界が期待するものは、あなたの答弁ではことごとく破れざるを得ないと思うのであります。それではなりません。私ども野党ではありますけれども、政府与党が一たんスローガンを掲げ、多数を占める。そうした以上、私どもの議論も展開をいたしますけれども、国民になりかわって、政府が公約をいたしました点について、そういうことがまじめに行われることを監督批判する必要がございます。その批判に対して、いや、約束はしたけれども高い目的のためにやらないのだとするならば、これまた何をかいわんやと言わなければなりません。
第三番目の政府が公約いたしました点について御質問をいたします。道路整備五カ年計画の問題であります。過ぐる二十九年五月二十二日、政府は閣議了解事項をもって、本道路整備五カ年計画中、地方負担の増加を来たす分については所要の財源措置を講ずることといたしました。しかも同五カ年計画によりますと、揮発油税が、千四百三億の収入見込みに対し二百八十億、二割は一般財源から繰り込むことを予定し、これをもって各委員会の討議にゆだね、これをもって国民を納得せしめておるのであります。しかるに本年揮発油税三百七億の収入見込みに対し、一体一般財源の繰り込みはどのくらいでありますか。その比率は何者になっておりますか。これまた大蔵委員会で大蔵省に質問をいたしましたところ、まことに相済まぬと言っておるのであります。この揮発油税の二割は一般財源から繰り込もう、といつも言っておったのですけれども、諸般の事情からいって一般財源からの繰り込みが少くなっているのはまことに申しわけない、これもいろいろな方向へお金を使うからやむを得ないと言っているのであります。大蔵省はやむを得ないと言っているのだが、あなたの方は一体どういうおつもりでありましょうか。重ねて第二の質問をいたすのでありますが、これではあなたの言う道路をよくするということ、あるいは地方財源の問題についても、よくならないのであります。この点について政務次官の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/10
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011・早川崇
○早川政府委員 道路五カ年計画は直接こちらの所掌ではありませんので、現在問題になっております軽油課税という目的税に関しましては、御趣旨の線に沿いまして、道路の整備府県の単独工事あるいは市町村の単独工事、主として府県でございますが、そういった財源に充当いたしたいと考えておりますので、今御心配の点は行政実施上心配はなきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/11
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012・横山利秋
○横山委員 私の言うことがあなたにはよくおわかりにならない。といいますのは、本来目的税というものは創設さるべきものでないということは、各国税制学者の圧倒的な意見であります。目的税を創設いたしますと財政の上に弾力性が失われる。今度政府は目的税をまた二つ地方税におきめになるようでありますが、それによってだんだん地方財政は弾力性を失ってしまう。この金はこれに使わなければならぬ、この金は他に使ってはいかぬというわけで弾力性を失ってしまう。従って世界各国の税制の学者は目的税はあまり創設するなという点で全く一政をいたしておる。しかるにここにガソリン税が五カ年計画でひもつきになって、地方譲与税が創設になった、軽油税がここに創設される、都市計画税がここに創設される、あるいは水利税、消防施設税と最近においてはどんどん目的税が創設される段階にある。この議論については私は根本から意見を異にするものでありますが、かりに目的税を創設するにしたところで、ガソリン税、地方譲与税それからここにいう軽油税、この三つを各方面から税金を増税してとって、それだけ道路がよくなっていくかということであります。私の聞いているのは、そうではなくして、税金を取りあげるときに内府があって、お前の方からばかりとるのじゃない、一般財源からも必ず二割を繰り込む、こういう約束があったのにかかわらず、増税はする、しかし一般財源の二割はだんだん減っていってしまって跡形もなくなろうとしている、従って増税をした分ほど道路はよくなっていない、こういうことを私は言っている。あなたはいやこの点についてはおれの方の所管でない、こうおっしゃるかもしれぬ。しかしあなたは税金をとる建前において、これは道路がよくなるのですから納得して下さいと言うけれども、道路はよくなっていない、ほかの方へ使われてしまっている。一般財源の繰り込みはだんだん減ってくる、かてて加えて道路公団へ優良道路でことしは二十億もガソリン税をつぎ込む、正規な道路の整備をまだまだやらなければならぬときに、道路公団へ二十億もガソリン税の中からつぎ込むというのです。持ってくるどころか持ち出しになっている、こういう点についてあなたはどういう御説明をなさいますか、こう言ってお答えを求めているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/12
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013・早川崇
○早川政府委員 これは自治政務次官の所管外ではありますが、私個人の所見を求められましたのでお答えをいたします。本来目的税というのは、アメリカのガソリン税がそうでありますけれども、完全に実施されればこれはおもしろい税だと思うのです。全般的に目町税が税法上問題があるという御所見は、確かに承知しておりますけれども、特に道路をよくする効果を発揮しておるのは、アメリカのガソリン課税たと思うのであります。その線から申しまして、日本でガソリン並びに今度は軽油で員内税が道路のために作られるということは、私は必ずしも反対すべきものじゃなかろうと思うのであります。問題はその結果道路がよくばったか、ならぬかということで、これは総体的な問題でございまして、もしそういうものがなかったならば、どの程度道路に予算がとれるかという見込みと比較して論じなければならないのでありまして、私は横山委員のようにガソリンが目的税になったために、道路がよくなるのがかえって悪くなつたとは考えておりません。もしガソリン課税というものがなかったら予算はもっと苦しくなり、そうなると道路に充てられる一般の財源がもっと少くなるのじやないか、かように思っております。従って客観的、総合的にながめたならば、現在の日本のような財政状況からいって、目的税のガソリン税が非常に道路に貢献しておるということだけは、疑う余地のないところだ、かように考えております。そういう趣旨からいって軽油課税その他も目的にかなうように実施いたしたい、こう申しておるのでありまして、決して矛盾したことを申しておるのではないということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/13
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014・横山利秋
○横山委員 話をあまり誇張しないで下さい。私は道路が悪くなったと言っているのではないのです。あなたの方でいろいろと目的税を創設されて道路を直す、それだけ、増税されて出した税金の総額に比例するだけ道路はよくならない、こう言っているのですよ。そこでなぜよくならないかというと、一般財源からの繰り入れができていない、だんだん減るばかりであります。それからさらに重ねて持ち出しがある、さらに加えて去年の本国会の問題になりました、その道路財源を警察費に出したりほかの方に使っている県がある。そういうばかげたことがあって、どうして一体あなたはその税を納める人に納得させることができるか。増税するなら増税しただけきちんと道路がよくなるように、あなたの方は監視する義務があるではないか、それを今度また軽油税を創設して、道路がよくなるのだからといったところで、今日までの状況では納得ができないではないか、無理があるのではないか、こういうことを申し上げておるのです。道路整備費の財源等に関する臨時措置法が制定されましたときに、こういう決議がされております。政府は本法立法の趣旨たる道路整備五カ年計画完遂のために、必要な財源として揮発油税収以外の一般税収を毎年度の道路整備費に充当すること、こういうふうに決議がなされておる。まさかあなたは一銭でも一般財源から回っておればこの決議に沿っておる、こういうばかなことをおっしゃることはなかろうと思うのであります。明らかにこの決議というものはその当時の約束をそのまま続ける、こういうことをいっておると私は理解しておる。これが普遍的な常識だと思うのです。この点について私は先ほどから言って参りましたが、第三に、政府は国民に対する公約に反しておるではないか、増税をかりにするにしたところで、この問題については政府は十分にそれぞれの関係各省の間で反省をしてやらなければだめではないか、こういうことを申したいのであります。
次にお伺いいたしたいのは、一つ率直にそのものずばりでお答え願いたいのでありますが、この軽油税は一体いかなる理由から設定されるものであるかというのであります。伝え聞くところによりますと、またあなたの先ほどからの答弁によりますと、いろいろなものがありますが、たとえばこれは揮発油との均衡から取るということなのか、それとも地方財政が赤字だから取るというのか、それとも道路の銭が足らぬから取るというのであるか、このいずれであるか。あれやこれやでなくて、一つそのものずばりでお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/14
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015・早川崇
○早川政府委員 今申されました点全部を総合して新設をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/15
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016・横山利秋
○横山委員 そういう御答弁があるかと思ってそのものずばりでやってくれと言ったのに、そのものずばりにみんなだ、ういう点については少しおかしいのであります。それでは三つの点について、長くなって恐縮でございますけれども、一つ一つ御質問を申し上げたいます第一に、不均衡是正からだとおっしゃる。不均衡の是正については、二十八年の税制調査会はこういう答申をしておる。自動車の性状、揮発油税の負担等を考慮し、高級大型乗用車及びガソリンを使用ないバス、トラック等について相当大幅に引き上げることが適当であると答申しておる。それによって本委員会は軽油自動車の税金をガソリン自動車に比べて五割方上げた、これによってこの答えが出たのであります。答えは出た。税制調査会の言ったことについて国会が答えを出したのであります。それにもかかわらずあなたはその国会の答えがなまぬるい、こういうふうにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/16
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017・奥野誠亮
○奥野政府委員 横山さんのおっしゃっておる問題は、現在すでに自動車税におきまして、軽油自動車の税率を上げることによって、揮発油自動車との間の不均衡を是正しているではないか、こういう御意見ではなかろうかと思うのであります。この経緯は二十九年に揮発油税の税率一キロリットル一万一千円であったのを二千円上げて一万三千円にしようとしたところに起った問題であります。揮発油を使っておるとどんどん揮発油税がふえてくる、軽油を使っておるとその面の負担がないではないか、そこでどうするかという問題から軽油課税をすべきではないか、こういう議論もあったわけでありますけれども、先ほど政務次官からお話のありましたように、漁業をやっているもの、あるいは農業をやっているもの、そういうものにさらに負担をさせることも適当ではないということから行き悩んで、結果的に軽油を使っている自動車税の税率を上げよう、こういうことで政府から国会に提案をしたような次第でございます。しかしながら軽油を使っている自動車でありましても、自動車税の形で参りますと、使用している軽油の量なり、あるいは自動車の道路に与えまする損傷度なり、そういうものとは必ずしも正確に比例しないわけであります。しかしながら不十分ながらこういうことで一応の解決をはかったわけでありますが、もともとこれがいい方法じゃございませんし、また直接負担の形で参りまするよりは、間接的な負担、揮発油税的な形で参った方がよろしいのではなかろうか、こういう考え方もありまして、自来ずっと懸案の問題ではあったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/17
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018・横山利秋
○横山委員 それでは奥野さんに逆にお伺いしますが、この不均衡という点は、目的税であるという意味において、道路を損傷する度合いによってとろうというのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/18
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019・奥野誠亮
○奥野政府委員 その得られた財源を、そのまま特定の事業に充てるというふうな連関を考えて参りますならば、なるべく受益の程度に応ずるような工夫ができた方がその趣旨に合うのではなかろうか、こういうふうには一般的に申し上げられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/19
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020・横山利秋
○横山委員 道路をこわす度合いにおいてとるというならば、私は今日日本の道路を一番こわしておるのは自衛隊だと思うのであります。自衛隊から自動車税をとっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/20
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021・奥野誠亮
○奥野政府委員 自衛隊も一つの国の機関でありまして、国と地方とは相互に課税をしない、こういう一つの大きな建前をとっておるものでありますから、そういう意味で、自衛隊の自動車であるから、あるいは自治庁の自動車だからということでは課税をしない、こういうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/21
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022・横山利秋
○横山委員 道路をこわす度合いが一番多いのは自衛隊だということは、あなたもお認めですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/22
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023・奥野誠亮
○奥野政府委員 自衛隊の大型の自動車でありましたら、それは相当道路をいためるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/23
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024・横山利秋
○横山委員 相当どころではありませんよ。ここに二月十二日の毎月新聞がございます。これによりますと、建設省と防衛庁とで交換覚書を書いている。「北海道富良野、帯広などの七カ所には特車大隊が駐とんし、全部隊でM24型(二〇トン)約五百両、M4型(三〇トン)約百両を持っている。そのほか一五五ミリカノン砲などの各種大砲、七、八トンもある架橋トラック、二〇トンのクレーン車など重車両が全国的に配置され、将来協定によって重車両がさらに増強されようとしている。このような装備で部隊演習、管区演習、大演習など作戦行動をした場合には、演習地までの道路の損壊、損傷はひどく二〇トンの重さに耐えるコンクリート舗装路(厚さ二〇センチないし二三センチ)にヒビが入ったり、六、七トンの重さならもつアスフアルト舗装路(厚さ五センチ)もキャタピラでこわされたりする。さらに木橋のケタがまがったり、手すりが折れたりするし、砂利道などはひとたまりもない。」補修は容易に行われない、こう言っている。それでようやく最近この覚書ができて、この最後の文章にありますことは「道路をこわしたときは、自衛隊は費用の負担、補修方法について都道府県と協議して決定する。」と覚書が出ているのであります。道路をこわしたときには相談をするといっておる。銭は払うとは言っていないけれども、たれが自衛隊のあとからのこのこついていって道路をこわしたのを監視する人がありましょうか。どうしてこれほど道路をこわす自衛隊から自動車税をとらないのですか。自衛隊が一番こわすとみたら、自衛隊からどっと税金をとって、それで道路を直しなさい。早川さんいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/24
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025・早川崇
○早川政府委員 それは先ほど部長から言われましたように、税制巨体の御認識が根本的に違いますので、そういうわけには参らない建前に現在の税制はなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/25
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026・横山利秋
○横山委員 今の法律なり今の規定がどうのこうのというなら、軽油税は今までないのですよ。これから作るものです。それをあなたは不均衡だ、不均衡だということをおっしゃる。不均衡なら、今最大の不均衡で、しかも政府までが気がついて、こわしたら相談するといっているのだから、どっととることが何が悪いか。これからおやりになるなら、そうなるかならぬかということを言っているので、今までがどうだ、こうだということを聞いているのじゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/26
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027・早川崇
○早川政府委員 各国とも軍隊とかあるいは警察とかあるいは行政官庁とかいうものに対しては、たとえば普通のバス会社に軽油引取税の関係で税負担をさすということとは、根本的に問題が違いますので、残念ながら横山委員のお説には賛成できないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/27
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028・横山利秋
○横山委員 それならば自衛隊からなぜガソリン税をとっているのですか。これはとっているのですよ。またそれならばなぜ今度この法案と同じように出る固定資産税を都道府県にもかけるんです。あなたの言うのは矛盾しているじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/28
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029・奥野誠亮
○奥野政府委員 直接税につきましては、国に対して地方が原則として課税しない、こういう建前をとっております。間接税につきましては、地方税も電気ガス税は自衛隊のみならず各政府機関の使用します部分につきましても市町村の収入になって参ってきているわけであります。従いまして、今回創設しようといたしまする軽油引取税につきましても、自衛隊の使います軽油につきましては軽油引取税がかかることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/29
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030・横山利秋
○横山委員 私はあなたが不均衡だという議論を重ねるからこういうことを言うのです。不均衡だったら、一番道路をこわす自衛隊からもっと均衡のとれた税金をとりなさい、自動車税をとりなさい、こう言うのです。これは地方税ですよ。国税じゃない。自動車税を自衛隊からとりなさいと言っておる。そうしてまたガソリン税にしたって、道路をこわす度合いが不均衡だったら、自衛隊からもっとたくさんガソリン税を特別にとりなさいと言っておる。だから不均衡論をあなたが言われるなら、私は不均衡論はまだほかに幾らでも議論がある。あなたの言う不均衡論はどうも論理に不均衡があるような気がする。この点は間違いです。だから、今回軽油税をとるという理由にはならぬと思う。
第三に、あなたは地方財政が不足しておるから軽油税をとる、こうおっしゃったのでありますが、この論理にあなたは確信を持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/30
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031・早川崇
○早川政府委員 地方財政の赤字ということは横山委員も十分御存じと思います。その点、地方財政の赤字のためにこの軽油課税がなされる。その結果、二十数億の道路用の目的税が入るということは、むろん地方財政の財源に役立つ、また必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/31
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032・横山利秋
○横山委員 地方財政の赤字を埋めるということであるならば、なぜ特定の人たちからとるのですか。地方財政の赤字を埋めるというならば、全面課税にしても決して差しつかえない。そもそも目的税のゆえんのものは、全般からとって一部の人に、一部の問題に使うとか、一部からとって一部の受益者に対して使うとか、こういうことが目的税のゆえんでありましょう。これは釈迦に説法で恐縮でありますけれども、今地方財政が赤字で、地方財政の赤字に協力してくれというなら、何も軽油からばかりに求める必要はない。軽油に求めるにしたところが、用途別免税で特定のところにしわ寄せする必要はない。これは論理的な問題と現実的な問題と二方面から、あなたの地方財政が赤字だからとるという論理に対してはあなたに間違いがある、こういりふうに申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/32
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033・早川崇
○早川政府委員 非課税規定の整理とか、あるいはまた受益者負担というのは、政府の方針の一つに入っているのでございます。それからわれわれの言うのは、ガソリンを使っているものが一キロリットル一万数千円を払う、軽油を使うディーゼルのバスなんかのものは全然引取税を払わない、ただ自動税だけを払うということの不均衡を是正したいと言っているのでありまして、その点は地方財政の赤字ともにらみ合せて総合的にこういう制度を設けよう、こう考えておるのでありまして、単に地方財政の赤字だけでないということは、最初に申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/33
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034・横山利秋
○横山委員 その辺で話をそらしてもらっては困るのです。今は地方財政が赤字だから取るというあなたの論理に対して、私は質問をいたしておる。その辺に急に不均衡論が入ってきては、話が横へ行きます。地方財政が赤字だから取るというのであるならば、何も目的税にする必要がないではないか、目的税にしたところで、半分ぐらい用途別免税にする必要はないではないか、こういうことを私は質問をしておるのであって、そのものずばりに答えてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/34
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035・早川崇
○早川政府委員 もし横山委員の言われるように、地方財政の赤字は十分認めるということであるならば、ほかの方ということになれば、一般的増税による以外にはないのであります。しかし非課税現定を整理し、直接それによって受益者が負担するという方法でやる方が、ガソリン税その他等とにらみ合せた場合に、税制改革上ベターである、こう考えただけであります。もし横山委員の言われるように、一般的増税によって地方財政の赤字を埋めるのがベターだという御意見であるならど、そこではまっこうから対立するわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/35
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036・横山利秋
○横山委員 地方財政の赤字を埋める方法については、私どもは私どもなりの意見を持っておる。増税をする必要はない。政府のほかの支出を減らせばよろしい。一番道路をこわす自衛隊をなくしていけばいいのです。これは一石二鳥か三鳥くらいになる。しかしこういう議論を今ここでしょうとは思わないのです。しかし、かりに取らなければならぬということであるならば、論理の筋を追っていったらどうか、こう言っているのです。ところが地方財政が赤字だから取るというから、その論理では矛盾するということを申し上げているのです。地方税の赤字がこの軽油税を創設するゆえんであるというならば、この目の前にある法案は矛盾もはなはだしいではないか、こう言っているのです。あなたの言う地方財政が赤字だという議論は、臨時税制調査会の答申に実は合っている。臨時税制調査会は、地方財政が赤字だから、これを徴収すると言っている。同時に臨時税制調査会はその裏では目的税にせよこは言ってない。都市計画税は目的税にせよと書いてある。しかし軽油税は目的税にせよとは書いていない。その点について、あなたの方に論理の矛盾がある。答申も尊重していない。答申も尊重していずに、目的税で地方財政の赤字の財源を埋める、こういう点にあなたの方の致命的な論理の矛盾がある。これは国民も納得するわけにはいかぬ、こう言っているのです。
それでは、あなたはだいぶ首をひねられたから、次に第三番目の矛盾点に移ります。道路財源がまだ足らぬから、あなたは銭をほしい、こうおつしゃるのが第三番目の理由であります。道路財源は真に銭がないのであるかという点であります。これは日本の道路がまだ悪い。だからやろうと思えば幾らでも仕事はある。申すに及ばないところであります。しかし、それにはやはり担税能力という問題の限界があります。第二番目には、政府が道路整備五カ年計画を設定したときの、こうやりますという約束がある。この二つのしがらみが、あなた方が仕事を実行していく上において、尊重されなければならぬところであります。担税力の限界はもう来ておる。すでに臨時税制調査会が、この際増税をすることは、もう一般的にこれをやめるべきだ、そして支出を少くすべきだということを言っておる。国民もまた今増税の時期にあらずと言い、政府また減税をすると今日まで言ってきた。従って担税力のいかんという点については、これはやめましよう。問題は、政府の道路整備五カ年計画の設定によって収入が減っておるかということであります。昭和三十一年度の国庫支出金道路財源として二百九十億が予定されておる。ところが今年のガソリン税の収入は三百七億です。二十九年度のガソリン税の自然増収が五十五億あります。この五十五億は当時の約束によって三分の二が国の道路に回され、三分の一が地方の道路に回される約束になっております。それによって国の道路の方へは三十六億行く。合計いたしますと三百四十三億になって、二百九十億を超過することまさに五十三億、国の方はまさに一ぱいあるのであります。ないとは絶対に言えぬのであります。同時に地方の方へもその三分の一が行くのであります。従ってもしここで政府が当時の約束通り一般財源から繰り入れを実行しておれば、軽油税創設の必要はないのであります。道路財源がないからというあなたの方の論理は、あなたの方が約束をそのまま実行しておれば、これは取る必要はないのであります。約束が実行されないから取るということになるのであります。この点についてどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/36
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037・奥野誠亮
○奥野政府委員 もっぱら道路費に必要な国の財源の面からお話があったわけであります。この国の事業に伴いまする地方負担額が別途にあるわけでございまして、目的税がございませんと、普通税の収入がその財源に回っていくわけでありまして、これは別にひもはついていないわけであります。しかし地方財政の推移を見て参りますと、給与費であるとか、あるいは地方債の元利償還費であるとか、こういうものが年々非常な増勢をたどっておりまして、これに一般財源が振り向けられるといたしますと、道路に従来与えられておった一般財源のその割合において少くならざるを得ないわけでございます。そういたしますと、やはり関連いたしまして、道路費のための財源を確保するという必要が生じて参るわけでございます。地方財源全体をふやすのも一つでございますけれども、道路を重点的に考えました場合には、道路にひもをつけた財源をふやしていった方が、道路の整備のためには沿うのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/37
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038・横山利秋
○横山委員 私はあまり幅を広げないで、あなたの方のおっしゃることをそのままずっと追っていくわけでありますが、あなたは追われると、ほかの問題をお取り出しになる。そうなりますと、これは水かけ論になるおそれがあります。自衛隊がいいの悪いのという議論にまで発展いたしますと、この審議は非常に幅が広くなって、抽象的になりますから、あなたのおっしゃっておったこと、約束されておったこと、こういうことを中心にして、私は狭く質問をしておるのでありますから、そのつもりで一つお答えを願わなければならぬのであります。今言っていますのも、約束通り一般財源から道路整備費に投入があったならば、こういうことにはならぬのだということを申し上げておる。それに対してあなたの方は、その約束が諸般の事情から実行できい、こういうことを今間接的におっしゃっておるのであります。そういうことであるならば、先ほどから幾つも幾つもあなたの方の約束なり公約なりを取り出して質問したのでありますが、みんな当時の約束は諸般の事情からということとになってしまうのであります。それでは政党政治として、民主政治として、あなたの方のこれからお約束をされるころに対しても、どうもこれは納得ができない、こういうことにならざるを得ないのであります。悲しむべきことといわなければなりません。従ってかりにむずかしくても、一回約束したこと、一回設定したことについては、これを破ってもらっては困る。いわんやこれが増税をすべからざる今日の事態のときに、増税によってこの約束を破る。しかもその増税は特定のところであります。特定のところにしわ寄せされてくるのであります。そういう点をお考え願いたい。その特定というのは一体何か、これは間接税でありまして直接税ではないからそう心配なさることはないとおっしゃるかもしれぬ。しかしこの軽油税を負担しますのはバス、トラック等の交通業界であります。それを他に転嫁ができるかと・いうことであります。交通業者が負担をいたすこの軽油税、本年度二十四、五億、来年度は三十六億になるのでありますが、その負担を交通業者は他に転嫁できるとお思いになりますか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/38
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039・奥野誠亮
○奥野政府委員 横山さんはもっぱら道路整備五カ年計画の対象道路について御論議になっておるのでありますけれども、五カ年計画の対象になっております道路は国府県道のうちで一割に満たないわけであります。非常に大きなものが地方団体の単独事業として残されておるわけでありまして、これらの道路も当然に整備して参らなければならぬわけであります。地方財政が苦しくなれば苦しくなるほど、それらの予定されておる財源というものはなかなか回ってこないわけであります。その面からもやはり道路財源を充実しておきますことが、道路整備に役立つのではないか、あるいは他の財政窮迫から障害を受けないことになってくるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
第二の問題でありますが、揮発油を使っている自動車と軽油を使っている自動車との間には、やはり燃料費において不均衡があると考えておるわけであります。従いまして軽油引取税が課されることになりましても企業努力によってぜひ吸収してもらいたい。また軽油を使用している自動車と揮発油を使用している自動車との関係をコスト計算をしてみますならば、それは可能ではなかろうか、こういうふうな考え方を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/39
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040・横山利秋
○横山委員 道路をよくしなければならぬ、道路をよくしたいということは何人も異存のないところであります。これは先ほど言った通りであります。従ってやろうと思えば幾らでも仕事があるということもあなたに同感するにやぶさかではありません。しかしながらこれは一つには、この増税をされる者の担税能力に限界がある、一つには五カ年計画を設定したとき、これは国ばかりでなく、地方も相当議論になったのでありますから、そのときの約束という二つの問題について考えなければならぬ、こういうふうに私は申し上げておるのです。道路をよくするためにどんなことをやってもいいということには相ならぬと思います。そこで今質問をいたしておりますのは、この担税能力という点について、交通業界が他に転嫁をすることはあなた方としては考えておられないようです。これはけっこうなことです。バス運賃なりトラック運賃なりを上げ得るということをあなたは期待していらっしゃらない、これはけっこうであります。しからば企業内においての利益でこれが食いとめられるかという点であります。御存じのようにすでに交通業界にかかっております税金を考えてみますと、ガソリン税あり、物品税あり、自動車税あり、道路損傷分担金あり、地方道路税あり、先般設定せられました損害賠償保険の掛金があり、有料道路の間接税あり、事業税あり、法人税あり、寄付金あり、こういう格好であります。交通業界が今日の経済情勢の中で十分な利益を持っておるというふうにあなたがお考えになるならば、これはまことに認識不足もはなはだしいといわなければならないのであります。交通業界の労働者が他の産業に比べて賃金が高いとでもおっしゃるならば、これはあらためて一つ労働省へ行って賃金状態を勉強してもらわなければならぬと思うのであります。今料金というものは公定料金の制限下にありますが、なおかつトラック業界というものはその公定料金を割って輸送せざるを得ない激烈な競争状態にあるのであります。それはおそらく自治庁としては御存じないところでありましょう。そういうような料金を割って輸送しておる中で、企業内で利益を食いとめろというのはまことに軽率なお言葉と言わざるを得ないのであります。こういうことであなたは企業内の利益で食いとめられると言っておるのだけれども、その根拠を一つ示してほしいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/40
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041・奥野誠亮
○奥野政府委員 昨日大蔵委員会で軽油業者と揮発油業者とのコスト比較の表をお配り申し上げたわけでありますが、私たちも自動車業界の非常に苦労なさっておることを知らないわけではございません。非常にむずかしいだろうと思うのでありますけれども、揮発油を使っている自動車においては相当な負担をなさっておるわけだし、またそれとの関連において軽油を使っておる自動車にある程度軽油引取税を負担してもらっても、やはり比較した場合には軽油を使った場合の方がコストが高くなるのだ、こういうような計算にはなってこないものでありますから、何とかそこを企業努力によって吸収していただけるのではないだろうか。こういう期待をいたしておるわけ
であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/41
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042・横山利秋
○横山委員 その点抽象的なお話で、何とかなるだろうということでは納得できません。きのう拝見いたしました軽油引取税創設に伴うトラック、バス燃料等の調査、これはどういうふうな点から調査なさったか知りませんが、修繕費一つ取り上げてみても、かかる低廉な修繕費で、このガソリン車なり軽油車なりを修繕できると、あなたはお考えでありましょうか。いわんや軽油車の方が修繕費が安いのであります。大型の軽油車を一ぺん修繕したら、どのくらいかかるとあなたはお思いですか。これはどういうおつもりでこの算出をせられたのか。先入主が軽油引取税を創設してもいいのだという根拠をお作りになったとしか思えないのであります。これはあまりこまかくなりますから、本委員会でいっかこの関係の人が公述をするでありましょう。そのときにあなたも一つついでに、この数字であなたの方は修繕をやっておりますかと聞いてもらいたい。これをあなたは政府の出された資料として天下に公表されるならば、ひが目かもしれませんが、岡目八目かもしれませんが少し軽率に過ぎる。もう少し十分に調査をしてこの比較を出してもらわなければ困る。こういうふうに特に私は申し上げておきたい。
一方これは運輸省が出した資料でありますが、これを見ますと、バス運賃の方は昭和十二年を一といたしますと、二十六年以降一二〇がずっと続いておる。トラック運賃の方はどうかというと、昭和十二年を一といたしますと、二十六年以降一二五であります。ハイヤー、タクシー運賃がやっぱり昭和十二年を一といたしますと、二十六年以降二六八・八であります。車両価格はどうかといいますと、昭和十二年を一といたしますと、二十六年が二五三・七、二十九年においては二九四・八であります。揮発油はどうか。昭和十二年を一といたしますと二十六年は一〇六・八六、二十八年に至っては一五七・一八、こういう数字を運輸省は発表いたしておる。なるほどこれだけでは議論ができないかもしれない。しかしながら先ほど言ったように料金は据え置かれておる。そうして物価がずっと上っている。その上っている中で料金が公定料金ではやっていけない。公定料金を割って輸送しておるのが今日のバス、トラック会社であります。従ってこの企業内努力でこれが食いとめられるということは、軽油引取税だけ見れば、あなたはそうお考えになるかもしれない。しかしながら本年二月より創設されましたあの損害賠償保険を考えてみましょう。あるいはまた先ほどるるお話をした諸税を考えてみましょう。一体どこに企業努力で食いとめられるという確信と自信をあなたの方はお持ちでありましょうか。これは疑わざるを得ないのであります。従ってこの点についても、もう一回よく自治庁の方としてこれを取るというならば、これであなたの方がやっていけるはずだというもの、企業内努力でこの税は食いとめられる、今トラック会社なりバス会社はこれだけの利益あり、従って間違いないという証明を本委員会に提出を願いたいと思うのであります。
次に質問いたしますが、これは当委員会の所管ではないのでありますが、この税を創設するに際して忘れてならぬ政府の立場というものは、日本の自動車産業の問題であります。経済五カ年計画の中で、政府はこのディーゼル車の発展ということに非常に注目をいたしまして、そしてディーゼル車こそ日本の自動車産業が伸びる道である、こういうふうに予期をいたしまして、通産委員会においてはいろいろな角度から議論をされ、その輸出を増進するという立場をとったものであります。この政府の育成助長の方向によりましてディーゼル車は非常な発展を見せました。ガソリン車との輸出状況を比較してみますると、二十七年においてガソリン車は六百八十六が三十年においても六百八十六にとどまっておるのであります。ところが政府の育成助長の方策を受けたディーゼル車は、二十七年が百七十三台であるにかかわらず、三十年は四百五十二台、三十一年はさらに飛躍的に増加する見通しが今立っておるのであります。生産実績はどうだろうか。生産実績も、ディーゼル車は、トラックの方で二十二年が五百九十二台だというのに、今や七千三百十三台の生産実績を見せるに至りました。バスの方も二十二年には三十一台、二十五年には三千二百十二台、二十九年にはまさに五千四十七台という生産実績を見せるに至りました。この結果輸出が伸び、同時に国際的水準において日本のディーゼル車は非常に優秀なことが明確になって参りまして、この分でいけば世界一を争う段階が近い将来において展望される状況になって参ったのであります。こういうような状況の中で、いま一歩というときに何がゆえにディーゼル車を目のかたきにしなければならぬのであろうかということであります。これは明らかに通産省における自動車産業育成の方向と、税制における方向との矛盾がここに現われて参っておるのであります。この軽油車から税をとることによってすぐにディーゼル産業に重大なる影響を与えるというふうに簡単に言うわけには参りません。しかしながら、政府の一貫した方向というものについて、ここに通産省と自治庁との間に何を一体話をしておるのかということを考えざるを得ないのであります。一歩ここで税金をとるということになれば、税金は減ることはない。いわんや目的税は減ったことはない、ふえるばかりであります。こういう中から通産省と自治庁との間に重大な矛盾が起きる。政府の経済五カ年計画の中に入っておりますディーゼル車の発展について、どうお考えでありましょうか、この点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/42
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043・早川崇
○早川政府委員 もっと大きい、地方財政をこえた産業あるいは貿易政策としてディーゼル車の発展ということは御同感でございます。さればこそ、部にはガソリン税一万三千円というものと差をつける必要なしという極端な議論もありましたが、われわれはその二分の一以下のキロリットル当り六千円という大きい差をつけておるのでありまして、そういう面からディーゼル車というものが引き合わないというような姿にならないように、それはひいてディーゼル産業が発展するように、特に配慮いたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/43
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044・横山利秋
○横山委員 あなたもそういうことを御存じであれば軽油税という名前は出てこないと思うのであります。もしも政府の五カ年計画の中におけるディーゼル車の発展ということが、政府の一貫した方向として策定をされたものであるならば、自治庁はそんなことは聞いておりませんとは言えないはずであります。もしもそういう方向を自治庁の中へ入って了承いたしたといたしますならば、一キロリットル当り六千円という数字は少くとも私は出てこないと確信をいたしております。今日この六千円という額によって、総額二十四、五億でありますが、それを負担をいたします業界は限定された数字でありますから、一社なり一企業なりに当る税は決して少くはないのであります。そういうことは、ひいてはこのディーゼル車の発展に対して影響を与えることは、火を見るよりも明らかなことといわなければなりません。その点については、自治庁として、政府としてもう一歩お考えになるべき重要な点であるということを私は警告をいたしておきたいと思うのであります。
私は今日いろいろと申しました。しかし、私が言っておりますことは、社会党の今までの議論を繰り返しておるのではありません。ことごとく政府が今日まで言って参りました点を中心にして、その基盤に立って質問をいたしておるのであります。私どもの立場からいうならば、もっと果敢な、根底の違う議論から出発をしなければならぬのでありますが、それでは議論の中心がしっかりと結び合いませんから一私の意見の土俵場を、あなた方が今までいっておみえになりました土俵場に入って、議論をいたしておるということを忘れないでもらいたいと思うのであります。しかもその土俵場に入った質疑応答において、明らかにあなたの方としてはまことに苦しい御答弁のように承わります。この点については、大体増税をするということが実は苦しいのであって、そういうことさえたかったらもっと楽な議論になるかもしれません。けれども、一つ一つの問題を取り上げてみると、どうしても、この軽油税については再考慮をお願いをするべきことだと思うのであります。
最後に私はこの法案の若干の条文を取り上げて御質問をいたしたいと思います。昨日奥野さんとの話が十分にできておりませんから、もう一度早川さんにも十分に一つ聞いてほしいと思います。これが用途別免税であるという点から発する問題であります。税を負担いたしますのは交通関係である。しかし、税を担当いたしますものは軽油特約店であります。全国にあります軽油の販売をする業者が、この税を特別徴収者として扱うことになるのであります。それによって、先ほど申しましたように、六千円安く売る者と高く売る者の二つができて参ります。人情として安い軽油がほしいのはだれでも首肯し得るところでありましょう。法律を破ってまでという人間はないと、あなた方は思ってはおいでになりませんか。これは、用途別免税の弊害によって、必ず問題が起るであろうということが予想できるのであります。さればこそ、この軽油引取税の七百条の条文の中で圧倒的に書いてあることは、一キロリットル六千円とるということでなくして、これを破った者をどうするかということばかりであります。こういう法律は私はあまり見たことがない。しかも一番ぎょっといたしますものは、七百条の九並びに二十六であります。七百条の九を読みますと、「次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。」と書いてある。その三号に、前条第一項の規定による徴税吏員の質問に対し、答弁をしない者または虚偽の答弁をした者は五万円以下の罰金だ。七百条の二十六には、自治庁職員の検査に対して、自治庁職員の質問に対し答弁をしない者があったり虚偽の答弁をした者はこれまた五万円の罰金だ、こういっておるのであります。黙っておったら五万円の罰金であります。おしやつんぼはどうなるかといって、昨日話がありました。自治庁や大蔵省の職員、徴税吏員が特約店に行って、あなたのところは何しているかと言って、それに黙っておったら五万円の罰金を課する、早川さん、どうですか、この点は早川さんに一つ聞きたい。黙っておったら罰金を五万円とるつもりですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/44
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045・早川崇
○早川政府委員 税務部長からかわってお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/45
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046・横山利秋
○横山委員 ちょっと待って下さい。これはちゃんと法律に書いてあるのですよ、早川さん。七百条の九、七百条の二十六を見て、あなた自身から一つ答弁を願いたいのです。書いてあるから書いてある通りでありますと言えば、いいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/46
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047・早川崇
○早川政府委員 これは各税みなそうですが、この権限の裏づけになっておりますので、これだけを例外にしない、こういう建前であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/47
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048・横山利秋
○横山委員 では、ほかの税になきにしもあらずということについては、首肯をいたしましょう。しかしこれは軽油引取税、軽油に対する税金ですね、ほかに例があるからこれに入れたということでは、私は納得ができないのであります。これほど問題になっておる軽油引取税ですから、これは各地において当然波乱が起ると思うのであります。軽油特約店に対して自治庁の職員ががんがん行くということは想像にかたくないのであります。おそらく自治庁は、この法律が通ればいろいろと細目規定をお出しになっておやりになると思うのでありますが、どんなものをお出しになろうと、これを持って自治庁の職員が特約店へ行って、どうだお前のところはごまかしておりはせんかと言ったときに、黙っておったら五万円の罰金が課されるのは厳然たることであります。もしその特約店の大将がおしであったら、何もしなくても五万円の罰金がとられるのであります。ここにおしとつんぼは但し税金はとらぬと書いてあれば別であります。あなたの方は、今早川さんは困っておるようだけれども、こういうことはしないと約束できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/48
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049・早川崇
○早川政府委員 これは裁判所で罰金なんかは課するわけですから、五万円払えとは言っていない。五万円以内でしかもそれぞれの情状がございますので、横山委員も御承知のように、今申し上げましたような非常識な事態は起らない、これは一般の従来の例から起らないと確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/49
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050・横山利秋
○横山委員 そういうことはよく間違いが起るものであります。非常識だといっているけれども、世の中の人の話を聞くと、私は大蔵関係におるのでございすから、まあまあそう言うなというのでありますが、税務署と警察署へ行くのはほんとうにいやだといっている。警察官が家にくる、税務吏が家にくると、ほんとうにひやっとすると人が言うのであります。その税務署の人、自治庁の人が来て、お前さんのところはどうだと言ったときに、私のところはこれこれでございますと言って、自分のところがどんなに白であっても、何か探りはせぬかと思って言葉が少くなるのは、これは当りまえのことであります。その当りまえのことに、税務署の人、自治庁の人が最初から、これは五万円だけれども三万円くらいだぞ、一万円くらい罰金をとるぞ、こん一なことを言いますよ。五万円と法律に書いてあるよ、こう言うでありましょう。こういう点については、学者である早川さんにお伺いしたいのでありますが、憲法三十八条に何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」ということがある。これは黙秘権と称するやつであります。これは法律の学説に二つある。これは刑法だけに適用するのであるという学説もある。しかしながら、現に刑法に触れたような人ですら黙秘権があるのに、軽油引取税をとられるのに黙秘権がないというのは、常識では考えられぬのであります。自治庁は、そんなことは知らぬ、この法律を法制局に回したらちゃんと書いてくれた、おれの方では担当でないというなら、もう一ぺんこの条文についても考え直さなければならぬところであります。
私はここに一例をとりました。さらにもう一つ例をとってみましょう。七百条の二十一にこういうことがあります。軽油引取税を全部または一部を納入ができないと認めたときには、担保を提供したときに限って二カ月待ってやる、こう書いてあるのであります。ところが一方同時に、地方税の改正案の過ぐる国会から問題になりましたあの官給領収書というやつであります。官給領収書がてんやわんやの大騒ぎをして、ここに解決案があなたの方から提案されている。この解決案によりますと、この遊興飲食税については担保は要らないのであります。しかも三カ月待ってやるというのであります。飲んだり食ったりする方は担保なくして三カ月待ってやる。軽油引取税の方は、担保を出せ、二カ月しか待ってやらぬ。一体どうしてこういうことになるのですか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/50
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051・早川崇
○早川政府委員 前段の黙秘権の問題、これは刑事事件に限ることは御承知の通りでございまして、行政的な質問に対してこれを答えないというような場合に、公共の福祉の上から申しまして罰則があるということは、単にこの軽油引取税の法律に限らないのであります。従って全然憲法のその問題とは無関係であります。次の問題は税務部長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/51
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052・奥野誠亮
○奥野政府委員 軽油引取税の場合には、担保を提供すれば当然の徴収猶予になります。遊興飲食税の場合には、これは公給領収書の制度に従いまして、売掛のものも明確に記入していればその実態に従って徴収するのですが、法文の上では徴収猶予することができる。いずれもその間の取引の実態に従いまして、その間の差別、あるいは揮発油税との関連がございまして、こういう建前にしているわけであります。実態的にはどっちに有利にしているというわけではないのでございまして、実態が違うから違う実態に応じて徴収猶予の制度を設けている、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/52
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053・横山利秋
○横山委員 早川さん、誤解をしないようにしていただきたいのですが、憲法第三十八条が刑法だけに適用するというのは、私たちが言っているのではありません、一部の学者がそう言っている。しかし多くの学者が、刑法のみならず一般的に適用し得べき問題であって、被疑者だけが黙秘権がある、般の国民や、民法とかそういう関係の刑法以外のところには黙秘権がないのだ、こういう議論というのは、憲法の論理を離れて常識として成立しない。どろぼうしたと疑われてっかまった人が黙秘権があるのだ、そうして自治庁の職員が特約店に行ったときには、特約店の大将に黙秘権がない、どうしてもしゃべらなければならぬ、うそを言ったらそれ五万円以下だ、こういうばかげたことは私はないと思う。いわんや税制についてはもう少し親切さというものがなくてはならぬと私は思うのでありまして、この点誤解を解いてもらうと同時に、軽油引取税が軽油特約店は犯罪をするであろうという観点に立って作られているということを、指摘をしなければならぬと思うのであります。
最後にまた七百条の二十七であります。この二項を見ますと、「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金若しくは科料」となっておるのでありますが、その三項を見ると、百万円をこえる額でその百万円を罰金がこえたら、こえた部分だけ、たとえば百五十万円の罰金だというと、百万円まではきちんととる、あとの五十万円は全部か一部をまけてやると法律に堂々と書いてあるのであります。そうすると、どうせやるならでかいことなされて、三百万円か四百万円の罰金を課せられても、百万円は確実に取られるけれども、あとの二百万円か三百万円はまけてもらえるぞ、自治庁がいけないと言うたら、何を言っているか、七百条にまけると書いてあるじゃないかというわけで、重い罰ほど軽くなるというのはいかなることでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/53
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054・奥野誠亮
○奥野政府委員 これはもっぱら量刑の問題でありまして、他の罪との均衡からこういう罰金のきめ方をいたしておるわけであります。今のお話は、脱税をした税金が免れるのじゃないかという誤解を持っておられるのじゃないかと思いますが、脱税をしました額だけは当然別に追徴されるわけであります。税金ではなしに罰金の金額の問題でありますから、量刑の均衡の問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/54
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055・横山利秋
○横山委員 他との均衡だとおっしゃるが、軽油引取税それ自体について、そんなに均衡を考える必要があるかどうか、私はそれを言いたいのです。明らかにあなたの方は、この軽油引取税によって犯罪者の切符の横流しや、あるいは免税軽油の横流しが天下に横行するであろうという予測のもとに作られ、それなるがゆえに、軽油を他の何と比較されたか知りませんが、軽油引取税ということ以上に、この犯罪攻勢に対して万々遺憾なき措置を講じておると思わざるを得ないのであります。こういうことが一体何を意味するものであるか、もう一ぺん沈思反省をしてもらいたいと思うのでございます。時間が長くなりまして、ほかの委員の方の御質問もありますので、この辺で私の質問を打ち切ることにいたしますが、いずれにいたしましても、この軽油税というものは、あなた方政府としてあるいは与党として今日までよって立っていた意見、公約に対して、私はきょう一時間ばかり御質問をいたしましたが、その立場に立ってこれは首肯しがたい問題であります。従って私は本委員会へ提案をされましたこの問題について、政府自体としてももう一回御勘考を願いたいと思う。同時に与党の皆さんにもお願いをしたいのでありますが、条文それ自体の個々の中にも多くの矛盾をはらんでおるのであります。いわんやこの軽油税創設それ自体にも、論理の上からも問題がある。今日石油の関係業者あるいはまた交通業界の業者、あるいは自動車産業を担当しておる業界及びそれらの下にある全国の石油、交通、輸送等の労働者が、あげてこれに反対しておるということをぜひとも十分に御記憶になって、本法案の中のこの問題について、再検討されることを特に望みまして、私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/55
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056・大矢省三
○大矢委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/56
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057・門司亮
○門司委員 今横山君からいろいろ質問がございましたが、きょうは大臣おいでになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/57
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058・大矢省三
○大矢委員長 大臣はちょっと差しつかえがあるそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/58
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059・門司亮
○門司委員 私は地方交付税法の一部改正に関する法律案で、大臣の説明の内容について少し聞いておきたいと思うのですが、それは大臣の内容の説明の中には、二番目に「道府県分態容補正につきまして新たに投資的経済にかかわる補正を行うこととしたことでございます。」これはいいと思いますが、「御承知の通り現在の態容補正は、市町村の都市化の程度により、行政の質の差を測定している補正でありまして、道府県分については、」と、こう書いてあります。問題は、「市町村の都市化の程度」という言葉を使っておるのでありますが、これは一体何を意味するか、これを一応聞いておきたいと思いますが、これは何を意味する言葉でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/59
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060・奥野誠亮
○奥野政府委員 私から申し上げて誤解を生じてもいけませんから、財政部の方へ連絡をしておきまして、この次の機会に最初にお答えするようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/60
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061・門司亮
○門司委員 この次の機会といっても、総括質問は月曜まででしょう。あと小委員会に移すということになっておるので、一応聞いておきたいのだが、そうすると、きょうは大臣もおいでにならないしするから、早川さん御存じなら、その点一つ大臣にかわって答弁してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/61
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062・早川崇
○早川政府委員 ちょっと私正確な大臣の御説明の内容、御質問の趣旨がわかりかねますので、後ほど大臣から別にお答えする機会を作りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/62
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063・門司亮
○門司委員 それならば奥野君からでも次官からでもいいから、大臣に一つ話しておいてもらいたい。
その意味が、もし都市が非常にふえてきて、そうして従来町村であったものが新しい市になって、——御存じのように市の数は今日五百を数えております。新しい市というものは、御存じのように町村合併に基いてできた市でありまして、新しい構想のもとに都市化そうとする一つの意欲、そういうものが条件です。従ってそれをさして特別の交付税をやるというのか、あるいは実態から言えば、新しくできた各市は、特に多くの負債を持っております。それは合併された町村の負債が全部集まって参りますので、たくさんの借金を持っておる。これをさして言うのか、一体どちらがここに上げられておるのか。これは基本的な一つのものの考え方でございます。大臣のこれを読んだだけではちっともわからぬのですが、いわゆる都市化というのは、一体どちらを意味しておるのか。その点が明確にならないと、この交付税の基準になる単位というものが非常に違って参ります。実際論から言いますと、町村合併による新しい都市、さっき申し上げましたような都市化による一つの意欲と希望を持って伸びようとしておるものには非常に金がかかることは事実であるけれども、同時にそれらのものを期待して集まった新しい都市というものは、たくさんの借金を持ち寄っておる。この問題の二つが解決しないで、もしこれを大臣が考えられておるとすれば、交付税の考え方は、おのずからこの法律に書いてあるような配分方法ではいけないことが出てくるのであります。従ってその点を一つ大臣にお伝え願っておきまして、この次に間違いのない御答弁を願いたいと思います。
それからあとは国有鉄道の問題等につきましても、これは税金とは違いますが、きのうでありましたか大臣にも一応よく話は聞いたのでありますが、政府がこういうことを一応考えた基準はどこに置かれておるかということであります。これは私有の鉄道その他との均衡を保つために考えられたのか、あるいは財源だけをお考えになってこういうことをされたのか、その点どちらをこの政府側の意見に取り上げていいのですか。ただ漫然としてこれをきめられたわけじゃないと思う。どこかに基準があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/63
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064・早川崇
○早川政府委員 私有の鉄道その他とのバランスということが主の目的ではございませんで、アメリカその他で、公社その他の固定資産税が市町村の自治体でも課せられるという前例にならいまして、それ自体に対する財源を徴収するというのが主目的であります。あと、それの率は、私有のものに対する二分の一、本年は四分の一、その点におきましては私有とのバランスということも考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/64
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065・門司亮
○門司委員 これも大臣の話の中にわからぬところが一カ所ある。いわゆる沿革という言葉を使っている。だから歴史的の過程がなければならぬと私は一思う。だから今のような質問をしてみたんですが、歴史的の今までの過程から来る一つのものの考え方でとられるということになれば、中には私鉄との関係、私企業との関連性というものが生まれてくる。こういう場合は一つの業態を中心にしたものの考え方である。もう一つの考え方は、そういう税金を納めない一つの公社のあることによって、地方の自治体が非常に迷惑をしておる、だから税金をかけて、地方の自治体の財政的の負担の軽減をはかってやろうという考え方、そのどちらに主体を置いてきめられたものであるかということであります。自治庁の考え方はどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/65
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066・早川崇
○早川政府委員 自治庁の考え方は、やはりそこに所在する市町村にいろいろな関係が出てくるということが納付金制度を必要とする、あるいは固定資産税を諸外国で課しておる、という趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/66
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067・門司亮
○門司委員 あとはきのうの質問の続きになりますので、大臣がおいでになってから一応聞くことにいたします。
それで問題は地方税の問題ですが、今軽油の問題でいろいろ問題がありましたが、今度の地方税の改正を見てみますと、条文は非常にたくさんいじられておりますが、実際にこれが地方財政にどれだけプラスしておるかということは、新税による約百十二億くらいのものしか考えられない。政府のものの考え方は、地方財政が非常に逼迫しておるので、新しい財源に基いて地方財政を何か考慮するということのように私には見受けられます。
そこで問題になりますのは、地方財政に対する財源の付与についての一つのものの考え方であります。少くとも今度の問題は増税による地方の財源の付与であります。よく政府は地方に対して、財源を付与する、付与すると言っておりますが、その付与は多くは国民の犠牲に基く一つの付与であって、国と地方との財政計画に基く問題ではないと思う。従って問題は国民の税負担という一つの犠牲に基いた地方財政の充実化ということを、政府はお考えになっているということに解釈していいかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/67
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068・早川崇
○早川政府委員 今の御質問は、実は問題の本質に触れると私は思うのであります。というわけは、従来自主財源を作るというのはおもに増税による場合が多かったのであります。また富裕県と貧乏県との財源調整とよく言われましたが、問題は今門司委員の指摘されるように、国の財源と地方の財源の根本的な調整という新たな問題を私は提起しておると思うのでございます。
すなわち国の方は所得税、法人税あるいは一切のいわば非常によき財源をほとんど独占しておりまして、地方はそういう点では非常に冷遇された税源、むずかしい税源にたよらなければならない。これは従来からの長い国家財政第一主義の偏見でありまして、根本的に来年度税制改革をやる場合には、問題の重点は国の税源と地方の税源を根本的に調整するという点にかかってくると思うのであります。現在まではその調整は交付税という方式で所得税、法人税、酒税の二割五分で行われておりますが、まことに不十分でありますし、税種の配分においても地方財政のわれわれ責任者としては非常に不満足な面が多いのであります。従って本年度の地方財政改革は主として自主財源を新たに設けるという点に問題が集中されましたが、三十二年度の根本的な税政改革におきましては国の税源と地方の税源の再配分、再調整ということに主眼を置いて考えなければ根本的な地方財政の建て直しはできぬ、私個人としてはかように考えておるのでございます。御質問の御趣旨は確かに問題の重点に触れた問題だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/68
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069・門司亮
○門司委員 これはこの委員会でも、また国会の、ことに本年度の予算の当初における内閣総理大臣の演説の中にもしばしば触れられております。地方財政の根本的建て直しをするということに触れられておりますが、どういうはずみか三十一年度にはできなかった、そして政府は三十二年度にやるという、しかし政府は三十二年度にやるという方針を立てられるなら、ここで増税されることはおかしいと思う。国民の犠牲に基いて地方財政を充実させるという行き方は実におかしな話であって、今国と地方との財政関係はどういう比率になっているかということは政府当局の方がよく知っておると思う。
御承知のように財政の計画内容からいえば、地方の財政はかりに手数料その他を含めましても、ほんとうの自主財源というものはわずかに四六%あるいは四七%程度しかないはずだ、そうすると残りの五三%ないし五四%というものは依存財源だと言える、そういう形に財政調整の上ではでき上っておる。ところが支出の面を見ると、政府は自主財源と言っておるが、実は自主財源の様態を整えていない。交付税、これは明らかに調整財源です。個々の自治体は何らこれをもって自主財源とは言えない。従って国から見た姿は一応地方の自治体の自主財源のような形はいたしておりますが、個々の自治体においては決して自主財源ではない、どこまでもこれは調整財源です。この千六百億と約二千八百億の交付金、補助金を差し引いて参りますと、国と地方とのバランスは大体本年度予算でも地方は約六千億、中央が約一兆、従って税収入の形と自主財源の形と、使用する部面というものは全く逆な形を持っておる。だからほんとうに国が地方の自治体に対して自主財源を与えようとするならは、やはり国自身が持っておる財源を地方に委譲することによって、そして自主財源を与えるという形でなければ、正しい意味の国と地方との税調整にはならないのである。毎年毎年新しい税金ができてきて、そして国民の負担によってのみ地方財政をカバーしていごうとしている。しかし国民の負担には限度がある。これ以上税金を取られてはおそらく日本の国民はかなわぬと思う。政府は少しものの見方に間違いがありはしないかと思うので今のような質問をしたのでございますが、そうすると政府の腹は三十二年度には必ず国と地方との財源の配分の方法を考えるということに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/69
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070・早川崇
○早川政府委員 その問題は富裕県、貧乏県の財源調整のときにも問題になりましたが、従来大蔵官僚といわれる方々は財源調整といえば自治体独自の財源調整、われわれは国と地方との財源調整を主に考えなければならぬ、そこに根本的な食い違いがありましたので、この問題は昭和三十二年度の総合的な税種の再配分のときに考えようじゃないかということでございました。
しかし門司委員の言われました中でちょっと私が気がかりになりましたのは、地方財政を国民の犠牲において再建するわけにいかない、増税がいけないと言われますけれども、国から財源を委譲されましても国の方がそれだけ赤字になりますと、今度は国税の増税ということになるのでは、同じ財布の国民は結局犠牲になっておるということになりますので、問題は公債政策をあわせ考えまして、地方に国の財源を委譲するならば、同時に地方はそれだけ充実するわけでありますから、国の引でも公債によるべき部面があれば小債政策をあわせ併用することによって、国の税の増税という方法によらないで財源調整をしていくという結果にならざるを得ませんので、税源調整の問題は国の中央、地方を通ずる公債政策に一つの新しい考え方をしなければ、門司委員の言われるような国民の税負担によらないで、地方財政再建ということは実は水が漏れることになりますので、税源調整は同時に起債政策の再建ということとあわせ根本的に考えなければならぬ。しかしそれはあまりにも重大な問題でありますので、昭和三十二年度における問題として持ち越したような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/70
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071・門司亮
○門司委員 むずかしいお話になってくるようですが、公債政策まで持ち出されてくると私の方でも公債政策を言わなければならぬことになる。私どもが申し上げておりますのは、国と地方との財源調整をはかっていくことによって、何も増税をしなくてもわれわれはやれる部面がかなりあるのではないかという考え方がおのずから出てくるのであります。このためにはどういう措置がとられるとかいうことはいろいろな問題もございましょうが、たとえば今公債の問題をお出しになっておりますが、公債についても、政府が今のような公債に対する態度をとっておるならばこれはどうにもならぬでしょう。地方財政というものの解決をするには、もちろん財政上の個々のこういう税金をどういうふうに配分していくか、いわゆる財政をどういうふうに調整していくかということも一つの大きな問題でありますが、今次官の方から言われた、公債政策に手をつけない限りは地方財政の建て直しというものはできないのであります。
私はここで国のそれらの公債政策というものを一応たな上げして、もう一度税金の問題を聞いておきますが、税金の問題につきましても、直接国民の生活に関係のある、一つの税金の体系を持っておりますいわゆる収益税に主を置かれるのか、あるいは国民の財産として持っておる固定資産税その他、一つの固定されたものによって税源を得られようとするのか、あるいは流通税によってそれらの調整を行おうとされておるのかというようなことは非常に大きな問題であります。来年度の税の調整の中でそういうことを一体どの程度あなた方はお考えになっておるか、こういうことが一応考えられる。それから同時に、私の心配しておりますのは、それらの問題をずっと考えて参りましても、一年でこういう財源の調整ができるなどということは考えられないのです。三十二年度でできると言っているけれども、三十二年度ならことし出ていなければならない。三十二年度で一体調整ができますか。三十二年度で調整ができるなら、ことし、三十一年度の地方財政をまかなうことのためにこういう新税を作る必要はなかったのじゃないかというように考えるが、さっき申しましたような三つの体系について政府はどういうようにお考えになるか。一体どこを中心にしてお考えになるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/71
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072・奥野誠亮
○奥野政府委員 御承知のように昭和二十五年からわが国の税制が直接税中心主義になりまして、英米の系統に属するようになって参ったと思います。一般的には欧州大陸のような、もう少し間接税に比重を置いた体系に移した方がいいのじゃないかという議論も出ておるように思います。さらにその後の諸改正ではだんだん直接税の比率が下ってきているようであります。しかしこれをどうするかということは非常に重要な問題でありまして、現在臨時税制調査会におきましてももっぱら門司さんの御指摘になりますような問題を中心に論議がなされておるわけであります。従いましてまだ政府としてはどうするのだという結論は持っていないわけであります。答申を得て十分考慮されることになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/72
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073・門司亮
○門司委員 答申を得てと言いますが、答申はいつあるのかわからぬのに架空の議論をあなたとしても仕方がない。
その次に早川さんにちょっとお聞きしたいのですが、公債政策については政府はどういうようにお考えですか。現在のままでよろしいとお考えですか。もし公債に手をつけるとすれば、どういう形で公債に手をつけたらいいとお考えですか。それをはっきり聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/73
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074・早川崇
○早川政府委員 本年度の一つの考え方はこれは前進をしたと思います。というのは一般会計では本来起債によるべからざりしものまで起債によっておった面もありましたので、本年度一般会計の起債額は減らした。それから借りかえをかなりやりまして、金利も非常に低下さす、これは本年度において実現をしたことであります。さらに根本的な問題は、先ほど申し上げましたように、国が本来起債によるべかりしものまでも、ドツジ・ライン以来超均衡財政の名のもとに一般の税金によってまかなって参った。参ったばかりではない、さらにインベントリー・ファイナンス、公債の元利支払いまでも税金でやった。ところが地方は、先ほど申したように起債によるべからざりしものまでも、財源がないので起債によらしめた。こういう根本的なプリンシプルを変えなければ公債問題は解決しない。従ってそういう基本問題にメスを加えていくことが来年度の根本的対策だと思うのであります。従って本年度も少くとも利子の面におきまして半額国庫負担という案を出し、ましたが御承知のように交付税をもらっておる団体に対しては交付税形式によって元利六百三十億というものを見るという程度にとどまりまして、制度としては利子半額負担ということはできませんでした。
さらにもう一つ考えられるのは、かつて地方が外債を背負ったことがありますが、それを国で借りかえをいたした前例がございます。そこまで進めばこれは非常に大きな改革でありますが、同時にそれは各自治体同士の不均衡という問題ができますので、あの場合のように果していくかどうか、財務当局がそういうことに賛成するかどうか、実は自信はないのでございます。いずれにいたしましても中央地方を通ずる総合的な起債政策、公債政策という方針さえ確立するならば、公債問題による地方自治体の負担は非常に軽減されるのではないか、かように私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/74
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075・門司亮
○門司委員 その点は非常に重要な問題ですが、借りかえをするということは、私は政府が腹さえきめればやれると思います。外貨公債の借りかえをやったことがありますが、たとえば米貨公債であるとか、フランスからきておった仏貨公債を一億五千万円も借りかえした事例があります。ずっと昔の話です。私もその渦の中におったから事実よく知っております。今のお話の程度では、公債政策に対するいわゆる将来のものの考え方としては私はそれでよろしいかと思う。しかし現実に持っておりまする地方の公債を一体どうするかということは非常に大きな問題です。本年度の財政計画を見ましても、御承知のように七百十億の起債を認めております。その内容は、今次官のお話のようにしたいということでありますが、いずれにいたしましても内容のいかんにかかわらず公債費が七百十億出ておる。これが借りられることになっておりますが、一方地方の財政計画からくる公債費、いわゆる元利の償還額というものは六百二十三億になっておる。従って七百十億を貸してやるといっても取り上げられる金が六百二十三億あるのでありまして、地方の自治体は起債によって一体どれだけほんとうに仕事ができるかどうか、六十億の首切りの起債もこの中に入るかもしれない、これもあるでしょう。さらに八十億そのかわりに借りかえてやったではないかという話も出るかもしれません。しかしこれは単なる資金繰りに多少役立つということであって、公債政策の根本に触れてないと私は思います。少くとも公債政策の根本に触れようとすれば、この際日本の公債政策の中で最も悪い点である、償還期限が非常に短いということを問題としなければならない。地方は借金を返すことのためにまた借金をしなければならぬという根本的な悪循環がここにありはしないかと私は思う。ことしはまだ幾らかいいのでありますが、来年再来年になりますと、結局元金の方をよけい払わなければならぬ。利子の方は下ってきて支払いは少くなってくるが、元金の方の支払いがふえてくるという現象が、三十二年度にはもうくると思う。それがきましたら公債政策というものは、もう今のような資金繰りだけのものの考えでは役に立たなくなってくる。少くともこれをどこで調整するかということが、今日非常に大きな問題だと私は思う。だから十年先の公債政策に対する方針は、今お伺いしました方針でいいかもしれない。しかし現実の問題として、今起っておる現象をどう解決していくかということが一つの問題であります。次官も御承知だと思いますが、地方が借りております公募債は、わずか五年か六年しか償還期限がないという非常に窮屈なものであります。一般の公債にいたしましても二十年が最大の限度であります。かりにこれを、地方財政がきわめて豊かとは申し上げませんが、充実しておると考えられるイギリスあるいはアメリカの例をとってみましても、地方の起債に対する償還年限というものは非常に大きな開きがある。イギリス等のごときはほとんど借りっぱなしで返さなくてもいいと考えられるような、はっきり償還の期限がきめてないようなものもある。はっきりきめておるところも六十年ないし八十年の、しかも繰り上げ償還を許さぬというようなことになっておって、割合に緩慢にできておる。アメリカにおいても大体同じような歩調をとってきておる。従来日本の国家財政の上から資金繰りというものが非常に忙しい状態にあったときは、政府が一応こういう政策もとるべきではなかったかということを——われわれは百歩譲っても、今日の状態はそういう必要はないと考える。それほど急速に地方に出した金を取り上げて資金繰りをしなければならないほど、政府も困ってはいないんじゃないか、また市中銀行もそういう事態じゃないと思うんです。十分資金繰りはっくはずだと考える、こう考えて参りますと、少くとも当面の地方財政を救済する一つの策としては、この公債に対して資金を回収されまする時期を延期する、いわゆる公債償還年限を延期する、あるいは元金の償還を一応たな上げにする、そのいずれかの方法をとらなければ、今日の段階ではもはや公債政策はどんなに理論的に将来の問題がきれいな姿で片つけられようといたしましても、現実の問題としては地方財政は行き詰まるんじゃないかというふうに考えられる。御承知のように本年度の未償還額は五千億をこえておるのでありましょう。五千億の借金を持っている地方はこの五千億に対する処置を先に早く明確にしてやらないと、将来こうしてやるとかこうする考え方だというだけでは、地方財政の今日の救済はできないと思います。この点についての政府のお考えを、もしお考えがあるならばはっきり聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/75
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076・早川崇
○早川政府委員 門司委員の御心配の点で私が多少意見を異にするのは、地方の公債は少くとも全地方財政の一割程度は持ってもいいと私は思うんです。従って一千億以内、現在公益事業債も入れますと一割八分から八分五厘になっておりますが、問題は公債の内容の構成なんです。公益事業とか電源開発とか、あるいは漁業とか林業とか水道とかいうような面の公債が相当ふえましても、問題はないと思うんです。従って一般会計の問題になるんですが、その中でもむしろ利子だと私は思うんです。アメリカの起債は御承知のように利子が二分五厘でございまして、かつて日本でも地方債は三分五厘だったんです。現在は六分五厘というべらぼうな——般の市場利子から言うと安いんですけれども、国際的な利子また過去の日本の利子から申しますと非常に高いんです。この問題は全般的な銀行行政、金利行政と関連いたしますので、今のままの六分五厘あるいは一般公募債の一番低いのが七分三厘ですか、それでも七分三厘という状態がここ三年、五年、十年と続くのではやっていけないと思う。しかし私は今の情勢から申しますと利子はどんどん下っていくんじゃないかという非常な期待を持っておるのでございまして、その点は自治庁だけではどうにもならない全般の大蔵当局の利子政策に関連いたします。さらに今お申し越しの借りかえにつきましては、ことしは少し金額が少いんですけれども、御承知のように借りかえ債は考えておりまして、長期、低利という方向に持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/76
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077・門司亮
○門司委員 どうもそういう通り一ぺんの答弁じゃ困るんです。そんなことは百も承知しているんだ。それならば私ははっきり言うけれども地方債の内容ですよ。たとえば昭和十年ごろから昭和二十四年ごろまで、ずっと内容を見てごらんなさい。その当時の内容はどういう形になっておるか、今の内容よりもはるかに今お話になった公営事業の方が多かった。従って借金の率は多かったのであります。借金の率が多かったけれども、借金が苦にならなかった。それは内容がよかったから苦にならなかった。最近は内容において悪いから、いわゆる地方財政計画に対する総体の金高からいけば少い金高でも、地方の財政が行き詰まっておるということは、内容が悪かったからということははっきりしておる。従ってこれは改めようというあなた方のお考え、このお考えについても、一応の私ども質問の考え方としての行き方からいえば、どの程度に一体貸し出しをされようかということも質問したいのです。それは従来地方から申請をされた一般公債というものについての政府の許可額というものが、大体申請した額の五二形から六三%になっておる、それから公営企業の申請額に対する許可額というものが二二%か二三%しか今日まで許可しておらない、これは今まで次官も承知しておるような資金繰りの誤まりがそこにあったと思う。これを是正されようということは一つの方法であります。私はそれについて思いつきをきょう言っているのじゃない、借金というものは幾らふえたところで、それを償還する能力が出てくればこわくないのです。また地方の自治体に公債がなくなるなんということはあり得ない、これはできることなのです。ただ問題になりますことは、終戦後の六三制あるいは道路の拡張その他で非常にたくさんの財政を必要とする地方の自治体に対して政府から貸し出した公債が、少くとも耐用年数の半分以下になっているのがたくさんあるということであります。これは次官の方がよく知っていなければならぬと思うが、公債の原則としては少くとも償還年限というものが耐用年数と相一致するということであります。従って学校の校舎を建築するに借りた金は、校舎の耐用年数、少くとも政府は三十五年ないしは四十年を老朽校舎と見るならば、四十年のうちに返せばいい、それが十五年ないし二十年、短かいのは十年くらいで返せという。ここに非常にたくさんの新たなる経費を要するときに、一般財源に起債をたくさんつけたいということはわかるのであります。わかるがしかしその起債のつけ方というものが、そういう非常に短かい年限に無理があるのであります。従って政府はこの際これをはっきりしようとするならば、金利を下げることも一つの方法でしょうが、少くとも公債の償還の年限をこの際十年なり十五年なり延ばしてやるという一つの形がとらるべきだ。そして一般の財源についての公債を抑制していくということにならなければ、地方財政の確立というものは困難だ。これは非常に大きな問題であります、しかし政府は思い切ってこれをやらなければならない。この間大蔵大臣と一時間半くらい議論しておりましたが、大蔵大臣もなかなかうんと言わない、大蔵大臣は高利貸しのような考え方をして別の考え方だ。自治体の味方としての自治庁の考え方は一体どうかということを、この際もう一つ賢明な次官からはっきりしてもらいた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/77
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078・早川崇
○早川政府委員 義務教育の施設の起債に対しては、全く門司委員のお考えに私は同感なのです。耐用年数、それから金利が六分五厘という、そんなばかなことは私はないと思っております。ただこれは自治庁だけの問題ではなくて、一般の金利政策と関連いたしますので、なお御趣旨の線に沿いまして最善の努力をいたして検討いたしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/78
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079・大矢省三
○大矢委員長 大臣がきょう出席できないようですから、本日はこの程度にいたしたいと思います。
次会は二十七日午前十時半から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01319560225/79
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