1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十九日(水曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 纐纈 彌三君
渡海元三郎君 徳田與吉郎君
灘尾 弘吉君 丹羽 兵助君
森 清君 山中 貞則君
加賀田 進君 川村 継義君
北山 愛郎君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 櫻井 奎夫君
西村 彰一君 門司 亮君
横山 利秋君
出席国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
日本専売公社総
務部長 小川 潤一君
日本国有鉄道理
事
(経理局長) 石井 昭正君
日本電信電話公
社副総裁 靱 勉君
参 考 人
(大宮市財政課
長) 井上 好道君
参 考 人
(秋田県地方課
長) 大塚 達一君
専 門 員 円地与四松君
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二月二十八日
委員青木正君、田村元君、濱野清吾君、松岡松
平君、島上善五郎君、田中織之進君、三鍋義三
君、門司亮君及び八木昇君辞任につき、その補
欠として逢澤寛君、纐纈彌三君、櫻内義雄君、
渡海元三郎君、加賀田進君、北山愛郎君、西村
彰一君、河野密君及び川村継義君が議長の指名
で委員に選任された。
同 日
委員逢澤寛君及び河野密君辞任につき、その補
欠として青木正君及び門司亮君が議長の指名で
委員に選任された。
同月二十九日
委員坂本泰良君辞任につき、その補欠として横
山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
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二月二十七日
町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四七号)(参議院送付)
同月二十八日
地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫
負担等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第
八一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二
号)
町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案(
内閣提出第四七号)(参議院送付)
地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫
負担等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第
八一号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律案について参考人より意見聴取
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/0
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001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
本日は国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について、参考人より意見を聴取することといたします。本日御出席の各位は、ただいま委員各位のお手元に配付した名簿のとおりでございます。
参考人の皆さんに一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず、遠路本委員会のために御出席いただきましたことをありがたく思います。
それではこれより順次参考人の意見を承わることにいたしまするが、まず参考人よりの意見を聴取し、あとで委員各位の諸君よりの質疑をしていただくことといたします。
まず参考人大宮市財政課長井上好道さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/1
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002・井上好道
○井上参考人 ただいま御紹介いただきました、大宮市の財政課長井上好道でございます。今回本法律案を御提出になりまして、地方財政の非常に窮迫いたしておりまする都市といたしまして、旱天に慈雨のありがたい法律を御提案下さいまして、まことに感謝感激をいたしておる次第であります。
大宮市は御承知の通り、国鉄の町と申しまして、全国で代表的な市でございます。市街の大半を広大な鉄道操車場、工場等に重要な地域を占められておるところでございまして、鉄道によって発展をいたしたわけでございますが、今日人口の一途増加をたどっております現状で、非常に地方財政が窮迫を告げて参ったわけでございます。過去何十年となく、この施設に対する立場から、何とか国から恵みをいただければというようなことが、年来の希望でございましたが、今回ありがたいこの法案を御提出いただきまして、非常に財政面におきまして、ありがたくお受けするわけでございますが、さて本日ここに市といたしましての参考意見を申し上げる機会を得ましたことは、まことに光栄に存ずるところでございます。しかし年来、私ども市といたしましては、本法律案が納付金、交付金という形で参りましたので、願わくは地方税法の改正によって、税としての考え方に立っていただくのが、本来の私どもの念願でございます。しかし形は違うものの、本質的にやはり税と同じお立場で地方財政をお考え下さるというようなことにつきましては、まことにありがたく存ずるわけでございます。しかしながら税という本質と、納付金及び交付金という本質とは、法案自体といたしましても、そこに性格を異にしておるように見受けられるのでございます。それは交付金納付金というものが、一つの配分交付という形で参りますので、いわゆる自治体の長に直接課税客体の調査評価、そうした権限がないのでございまして、もちろんこうした資産は個人資産と違いまして帳簿上はっきりいたしておることは、これはだれしも認めておるところでございますけれども、一応は自治体といたしますと、地方税法の第二条、税としての課税権というものをまず考えてみなければならないと考えたわけでございます。それによって、地方税法の別の法律といたしましても、姉妹法として考えて、本質的に税に考えていただく、こう考えるわけでございます。よって徴税吏員の立場といたしましては、質問調査権というものがやはり考えられていいではないかと一応考えられたわけでございますが、これは本案の条文にも、台帳の閲覧を求め、なおかつ記録することができるという条項で表現されておりますが、なお自治体といたしますと、直接御質問を申し上げ、なおそうした調査のお許しをいただけるというふうなことがお認め願えるならば、まことに幸いかと存ずるわけであります。
それからなお税率と申しますか、算定標準額につきまして、地方税法の税の率による、標準税率に三十一年度は十分の二・五、三十二年度には十分の五というのがございますが、これは地方税法の方の三百四十九条の三の特例の場合と同じように、平年度化を全両的にお認めを願うというふうな考え方で実はおったわけでございますが、本案を見ますと、平年度化が二分の一であるというようなことで、私どもは期待が幾分はずされたような感がいたすのでございます。経過規定といたしまして、せめて五カ年以後には全面課税にでもなるような方向に一つお考えをいただきまして、特に東京近郊の都市としまして、なおかつ中心街の広大な地域を擁しております大宮市といたしましても、特に財源の確保のために、この法案に依存せざるを得ない立場になっておるわけでございます。そういう立場から、ぜひとも全面課税という方法によってお救いをいただき、なお本案の提出理由が末尾にございますが、これにおきましても、固定資産税相当額という表現を盛っておりますが、一つこの提案理由の通りに、この条文をぜひとも御高配を願いたいと思うわけでございます。
それから最後に、地方交付税との関連性でございますが、現在のこの配分交付率から見ますると、私どもは交付税に影響をもたらさないものという考え方で見ておるわけでございますが、これはぜひとも交付税には別にお考えをいただくというふうな方向に確立を願いたいと存ずるわけでございます。まあ非常にありがたいおぼしめしをいただきまして、ここに賛意を表するのでございますが、ぜひとも地方財政確立のために、一つ自主財源をお与え下さいますようお願い申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/2
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003・大矢省三
○大矢委員長 では次に秋田県の地方課長大塚達一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/3
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004・大塚達一
○大塚参考人 私はただいま御紹介にあずかりました大塚でございます。このたび国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案の御審議をせられるに当りまして、われわれの御意見を徴していただきますことは、まことに心から感謝にたえません。
私は県庁の地方課長という立場で質問を受けました関係上、市町村の財政あるいは税制を指導しております立場といたしまして、つまり市町村の立場から、この法案につきまして考えたわけでございます。結論といたしましては、この法律案は私どもが多年念願いたしておりました点をお認めいただきました点において、ありがたい法律であるというふうに考えております。従ってこれについて、積極的に賛意を表するものでございますが、ただ幾つかの点におきまして、なお御参考にしていただければありがたい点が二、三あるのでございます。
第一点は、簡単に申しますと、今度の国有資産等所在市町村交付金、つまり交付金の関係でございます。この交付金の創設につきましては、自治庁長官のこの提案理由の御説明を見せていただいたのでございますが、この中でもはっきりと、この交付金については、税金という考え、固定資産税という考え方が基礎にあって、その上で、国と地方公共団体という特殊な関係からして、固定資産税の形式をとることがどうかと考えられるので、交付金という形をとった、かように仰せになっております。かつまた地方制度調査会あるいは臨時税制調査会の御報告におきましても、大体そういう線を考えておられるということを聞いておりますので、そういう根本的に固定資産税相当のものという考えをさらに貫いていただきたいという点でございます。
秋田県におきまして、各市町村で特になじみの深いのは、国有林野の関係でございます。秋田県は、現在林野面積が約七十八万町歩ございます。そのうちの三十九万一町歩は、国有林野になっておるのでございます。これらはいずれもその大部分旧藩時代の藩有の山林でございまして、木山方がこれをつかさどっておったわけでございますが、なおその少からぬ部分が、旧部落の自由にされておった山林でございます。昔ながらの山村の住民の考えによれば、やはりわれわれの山というような気持が非常に強いのでございます。そうして、そういう山に対して非常に愛着を感じておるわけでございます。これが地租改正の際において、いろいろ税金の関係等をおそれまして、これは国に渡してもどうせわれわれのものには違いないのだというような素朴な考えから、国有財産に編入され、それが今日の国有林野として非常な利益をあげているわけでございます。従いまして、そこにはえております天然杉等も、いわゆる天然杉と称せられております部分につきましても、中には旧藩時代に植えた植林木がかなりあるというように承わっておるわけでございます。このような山におきまして、従来国有であるというだけの理由で、一般の民有林につきまして当然に賦課されております固定資産税等々のものが、ほとんど入らない。特に個々の山村につきましては。自分の家とたんぼのほかはほとんど山は国有だというような地域もございます。ほかの周辺町村に比較いたしまして、非常に不利な立場に立っておったのでございます。これらの山林につきましても、やはりその所在する関係上、当然にいろいろの利益をこの市町村から受けておりますし、さような関係に特に目がつけられまして、従来からもこの国有林の所在市町村に対して、交付金が農林省の告示によって配付せられておったわけでございます。これがこのたびはっきりと割り切られた形において、交付金制度が立てられますことにつきましては、心からこれについてありがたいと感謝しておりますが、ただそういたしました場合に問題になりますのは、これらの国有林の評価、国有財産の評価につきまして、それぞれの台帳価格によるということになっております。ただし各省各庁の長が通知した額がある場合はその額によるということが、第三条の規定に書かれておるのでございます。そうしてそういう通知された額が著しく不当な価格である場合に、市町村の側から第九条の規定によってそれを異議を申し立てることができることになっておりますが、それについて各省各庁が認めない場合、これに対して市町村がさらに自治庁長官にその旨を申し出られる。しかしながら、自治庁長官がその申し出を受けて正当と認めた場合においても、なおかつ単に各省各庁の長に意見を申し出るというにとどまりまして、最終的にこれが意見の調整という点におきまして、最終決定が確保されていないようなうらみを感ずるのでございます。これを特に強く感じます。結局そういう国有林地元の市町村におきましては、いろいろの面でやはり国のお世話になっておりますし、いろいろ行政面でもお世話になっております関係上、個々の市町村と各省各庁の関係において事を処理していくということになりますと、いわば相当の圧力というようなものを受けまして、市町村の側で屈服する点がかなりあるのではないか。特に三公社につきましては、自治庁長官がその価格を通知するという制度がとられておりますこともございますので、そのような点を御考慮いただきまして、この価格の決定につきまして、何かもう少しはっきりと、最終的にいわば利害関係者がきめるということでないような制度が打ち立てられていいのじゃないか。そういう点を考えていただくと非常にありがたい、かように感ずるわけでございます。
それから第三に、附則の十三項の点でございますが、附則の十三項によりますと、「当分の間、国有林野事業特別会計法の規定による国有林野事業特別会計において、第二条第一項第二号の土地につき第三条第一項の規定によって算定した交付金額の財源に不足を生ずる場合における交付金額の算定については、同項の規定にかかわらず、政令で特例を定めることができる。」というふうに書いてございまして、この財源に不足を生じた場合における交付金の算定については、この法律通りに行われない場合が規定されております。しかもそれが当分の間ということで、日限も何も切っていない。かような点について実は多少の不安を感ずるのでございます。もちろん国家の事業でございますから、予算面の制約を受けるということは十分わかるのでございますけれども、この法の趣旨が自治庁長官の御説明のごとく、固定資産税に相当するものを税の形でなく表わそうということであるならば、その実質はやはり税である。そうすると一種の経費として考えられてしかるべきじゃないか。従って予算についてはこういう経費を先に支弁して、その後にそれよりも弱い面に金が向けられていっていいのじゃないか、そういうような点を感ずるのでございます。従いましてこの点について、いわば予算面だけの制約で自由に額が制限されるというようなことでなく、制度的にこれをはっきりと確保していただきたい。かように、いわば隴を得て蜀を望むような言い分になりますけれども、この点をさらに確保していただければ非常にありがたいのでございます。
国の交付金につきまして、特に秋田県として関係のありますのは以上の点でございますけれども、さらに考えまするに、これらの国有の資産につきましてこういう交付金制度を立て、公共企業いわゆる三公社に対して納付金制度を立てる、その基本が固定資産税相当という考え方から出ているものとするならば、さらに国有の財産につきましても三公社に匹敵する種々の事業がございます。いわゆる現業部門の官公庁、さらに特にこの林野関係で申すならば山林の土地のみならず、そのほかの軌道あるいは建物等もございます。かような点について、この法案ではいわば除外してあるのでございますが、その点につきましてさらにこれらの運用の幅を広げていただくことができますならば、地方財政の現況からいたしますると、まさにありがたいと感ずるわけでございますし、またその基本的な考え方から申せばむしろそうなるべきではないかというような考えを持つのでございます。
なお三公社の納付金に関しましては、この法律で納付金という名前を用い、その理由といたしましては国に準ずるるものであるから、かような理由で納付金ということにしてございます。しかしながら、これも基本的に固定資産税という考え方を貫くならば、その対象はあくまで国あるいは政府にあらずして、一つの国以外の公社でございます。従いましてこれらに全面的に固定資産税を賦課するという考え方に立っていただいても間違いではないんじゃないか、特にその点をはっきりと割り切っていただきたい、かように感ずるのでがざいます。と申しますのは、そのようないわゆる納付金という形の制度は、一面においてそういう事情であるということも理由はわかるのでございますけれども、同時に逆に、いわば猜疑心をもって申せば何か現在の地方財政の窮乏の状態のみに目をつけて臨時的にそれを救ってやるというような恩恵的な色彩、においを何となしに感ずる。これはいわばひけ目でございますけれども、そういう感じがありますので、基本的に観念を割り切っていただければ非常にわれわれといたしましてはありがたいのでございます。ただこの税率を一・四にいうふうに全国的に一律にして、いわゆる市町村の税に入れてそれぞれの市町村の賦課率にまかせないという点につきましては、従来からも公益事業等につきましていろいろ問題がございますので、私どもそこについては必ずしもはっきりと考えを打ち立てておるわけではございませんけれども、ただ観念としてこういう別建ての法律でなく、何と申しますか、はっきりした固定財産税という観念を立てていただきたい、かように考えるのでございます。
以上簡単でありますが、四つの点につきまして私どもの考えを申し述べた次第でございますが、何らかの御参考に供していただければ仕合せと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/4
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005・大矢省三
○大矢委員長 これにて御意見の開陳が終りました。委員各位の参考人に対する質疑の通告がありますから、これを許します。亀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/5
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006・亀山孝一
○亀山委員 ただいま井上、大塚両参考人から本税の創設についていろいろ積極的に賛成するというお言葉をいただきまして、この問題が与党におきまして非常に努力をいたし、またこれまでになりますについてはいろいろお話のありました納付金の言葉の問題につきましても、非常に苦心のありましたことを御推察願いたいと思います。
そこで二、三お伺いしたいと思いますことは、まず井上参考人に、先ほどのお話で一歩進めて、市町村側の方から一つ調査をしてみたい、こういうようなお話がありましたが、三公社の固定資産についての調査をどういうような意味で、どういう方法でおやりになるのが御趣旨であるのか、その点をお伺いしたいと思います。
それから次に大塚参考人にお伺いしたいのは、今お話になりました三公社以外にこれと同じような団体があるのじゃないかというお話でありまして、多少現業官庁その他のことをおあげになりましたが、もう少し詳細にゆっくり一つお示しを願いたい。この二つを御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/6
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007・井上好道
○井上参考人 お答え申し上げます。私は税務担当でありませんので、税務の本質的なことを、担当課長の意見等をお聞きしたわけでございますが、ここに公簿上の閲覧記録という点、納付配分されるものについての異議の申し立てという観点から、やはり根本は税としての考え方であったろう、そういう立場が、ただその間のいろいろな過程から納付金、交付金という制度に変ったといたしましても、本質はそこにはなかろうか。そうしますとやはり地方税の考え方と同じ考え方で進まれることが望ましい、こういう考え方でござまいす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/7
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008・大塚達一
○大塚参考人 ただいま三公社以外の現業の点についてもう少し詳しく話せというお話なのでございますが、私どもの県といたしましての直接の関係は先ほど申し上げました通り林野の関係でございますが、この法律の趣旨を考えますると、結局そうい固定資産を所有しているものについての負担の均等というような観念が相当強くあるようでございます。その場合にそういうことから結局三公社の事業に対して他の同種事業との均衡と申しますか、そういう面からしても当然固定資産税が課せられてしかるべきなんだ、そういう観念からこの法律が出発しておるといたしますれば、国家の行なっております諸種の事業がございますが、その中でもいわゆる五現業と称せられております印刷それから造幣あるいは郵政、さらにはアルコール専売というような現業につきまして考えますると、大体その経理につきましても特別会計をもって行われあるいはその事業の内容は主としていわば経済的な行為である。しかもその構成しております要素は、いわゆる純然たる行政事務というよりは、むしろ筋肉労働的な色彩の強い事業でございますので、そのような点に着目いたしまして、一般の企業が負担しておりますと同様な、いわば労働関係も考えられて公共企業体等労働関係法の適用を受けておるということも聞いております。従いましてそういうような三公社と同様な事業のやり方が要求せられているという点から考えましても、その税負担というような面につきましても、同等の負担があってしかるべきじゃないか。かような基本的な考えでございます。ただそれについてその事業が結局公共企業体というような公社の形に移行できないいろいろの行政内容を持っており、あるいは国家目的との関連性もあるという点は考えられまするので、そういうような点については基本的にこれを税として割り切った上で、いろいろ方法があるのじゃないか、たとえばこの法律においても、その評価額の何分の一というように評価額の面において、その公共性を含んで解決していくというような点も考えられておりますので、そういうような方法をあるいは考えられてもやむを得ないと思いますけれども、基本的にはいわば課税対象にして考えられていいのじゃないか、そういうような意味で申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/8
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009・亀山孝一
○亀山委員 大体御趣旨はわかりましたが、この際幸いに奥野自治庁税務部長が見えておりますので、今の二つの問題について自治庁の御所見を伺うことが両参考人も御参考になろうし、われわれも参考になると思いますから、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/9
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010・奥野誠亮
○奥野政府委員 第一点は市町村がみずから課税客体を調査したいという点であったかと思います。この問題につきましては、国や三公社に対しまして市町村が直接課税をしていくのか、あるいは国や三公社の特殊的な性格を認めまして、交付金並びに納付金の制度にするか、ここに問題が始まっているのじゃないか、かように考えているわけであります。国や三公社に対しましてはことさらに税を課するという形にいたしませんでしたのは、国と市町村との関係を考えてみますと、単純に課税をする、課税をされるという形はどうも沿革的に考えてみました場合になじめないのじゃないかと思うのであります。そもそも市町村が課税権を持っているのを国において承認されて初めて円滑に行使していくことができるのじゃなかろうか、そういう国と市町村との関係にありますものを、ことさらに課税するという形をとるということは、いろいろの点において問題が出て参ると思うのであります。つこで税相当額でありますけれども、国からそれだけのものを市町村に交付する、こういう形にしていきたい。国と市町村との関係でありますから相互信頼の形においてこの問題を運営していった方が、いろいろな部面におきます国と市町村との円滑な関係を保持していくことができるのじゃなかろうか、国はもとよりその財産台帳に載っけます価格をことさらに不利に登載することによって交付金を免れよう、こういうことは国については考えられないのじゃなかろうかという気持を持っておるわけであります。そういたしますならば国と市町村とが相互に調査し調査され、煩雑な手数を経るということよりも、自分でこれが評価額であると考えられるものを市町村に通知していく、それによって市町村に請求書を出していく、そういう姿の方が円滑にいくのじゃないか、しかしそれだけでは最終的に保証されないという心配があるかもしれないから、従って市町村は国や三公社に対していろいろと異議の申し立てに準ずるような変更の請求をすることができるようにする、しかしそれで解決されないものはさらに中央までその問題を持ってこれるようにする、あくまでも相談ずくで問題を円満に片づけていきたい。これがことさらに地方税法に規定いたしませんで、交付金及び納付金に関する法律を作りました趣旨にも合致しておる、かように考えておるわけであります。
第二点のさらにもっと現業的な部門にまで交付金及び納付金の対象を広げていったらいいだろう、こういうお考えであります。どこまで広げていったらいいかということにつきましては、必ずしも明確な線はないように私は思います。今回考えましたのは、国の持っておるものについてはまず貸付資産、これについてはもともと貸し付けておりまする相手方から使用料等をもらっておるわけでありますので、それだけのものは当然負担してもらってもいいのじゃないだろうか、使用者に転嫁していくこともできるのじゃないか、こういう考え方が一つあったわけであります。しかしながらさきの国会におきましても、国有林野の交付金が、これは多年にわたって続けられておるけれども、どうも内容が適正でないように思われるということがございましたし、また国有林野は非常に多数の市町村に関係のある問題でございますので、これはぜひ合理化したい、こういうことから貸付資産ではございませんが、特に交付金の対象に取り入れて参ったわけであります。その際に考えられますものは、一般に三公社五現業という言葉で言われておりますその三公社五現業のうちの三公社と国有林だけにこの対象を広げたわけであります。あともう四つの現業部門、その一つは郵政部門であり、第二は造幣の部門であり、第三は印刷の部門であり、第四はアルコール専売の部門でありますが、これらにつきましては、従来から何らこういう関係の制度がございませんで、ただ林野につきましてだけは、今までから若干曲りなりにも予算補助的な、恩恵的な意味で交付金制度がございました。これを是正したい。しかもこの関係の部門は非常に広いではないか、こういうことからあえてこれを取り上げたわけであります。しかし、他の四つの現業部門に広げていきますについては、若干問題があるのではないかというように思われるわけであります。しかし、絶対にこれを広げてはいけないのだ、こういう考え方は持っておらないわけであります。多年の懸案をこういう形においてようやく解決できたわけであります。あとの四現業部門については、将来の問題として、なお研究をしていかなければならないのではないかというように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/10
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011・亀山孝一
○亀山委員 よくわかりましたが、大塚参考人がもう一つおっしゃったことのうちで、国有林野の交付金が政令にゆだねられておって当てにならないというようなお言葉があったのですが、その政令の内容というものは現在まだ地方にはおわかりになっておらないのでしょうか、もしおわかりになっておらないとするなら、一応奥野税務部長からその点も、もし伺えるなら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/11
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012・奥野誠亮
○奥野政府委員 この交付金及び納付金に関します法律の精神からいきますと、ただいま御指摘になりましたように、当分の間政令で特別な定めをすることができるという規定を、国有林野に設けておりますことが納得されがたい点ではなかろうかというふうに私も考えるのであります。しかしながら国有林野につきまして、こういう交付金融度を作ろうとすることにつきましては、当初農林省におきましては強い反対がございました。その強い反対について、論拠とされておる点、これはいろいろ伺っておりますうちに私たちもだんだんよくわかってきたのでありますが、国有林野は林野企業というよりもむしろ国土保安といいましょうか、そういう見地を強く打ち出して経営していくのだ、また国有林野に関します特別会計法の中に国が国有林野特別会計でどんどん保安林を買い込んでいく、これはやはり一つの保安林制度、これがまた国土保安に連なっていく、これを積極的にやっていく、その結果特別会計の財源に不足を生じた場合には、一般会計から林野の特別会計に繰り入れをすることができるという規定も置いておるわけであります。そういうような林野の特別会計の性格から考えていきますと、やはり特別会計において財源不足が生ずれば一般会計から補足をしてまで国会林野の特別な事業の達成に助成していく、そういう事態が生じたときに、なおかつ交付金についてだけは従来と同じような形において運営をしていくのは、どうも困るのだというようなお話があったわけであります。その際つけ加えてここ一、二年の間にこんな問題は起らないのだ、こういうお話もございました。それなら政令でそういう場合には特別の定めをすることができるという規定を設けて置くだけで解決ができるのではないかということで、あの附則の規定を入れることにいたしたわけであります。そういう場合には、まず予算を作るときに農林省の方から自治庁の方へ連絡をしてもらって、そうして自治庁の方でもそういう事能の起らないように、言いかえれば一般会計から不足額相当分だけを繰り入れてもらって、交付金に必要な額を確保していくことが可能である。従ってそういう事態がかりに起る場合には、事前に自治庁の方へ連絡してもらって、そうして自治庁も一緒に努力して、そういう無理な予算にならないようにしようじゃないか、そういう話し合いになっておるのであります。しかし、林野の特殊の性格から見て、その性格だけは持たしてもらいたいということで、当分の間ということでそういう規定を入れたわけであります。しかしかりに不幸にしてそういう事態が起ったといたしますならば、交付金に出し得る額だけを、交付金に関します法律で定めております額の所要額を按分して、交付するということにならざるを得ないのではないかというふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/12
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013・亀山孝一
○亀山委員 もう一点お伺いしたいと思いますが、井上参考人に、この二公社の納付金によりまして市の税収入がどの程度増すかということ、もしおわかりになれば、それをお聞きしたいと思います。また大塚参考人に、秋田県においては国有林野の交付金あるいは他の納付金が予想されますが、それがおよそどのくらいの御見当になりますか、概数でけっこうですから、ちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/13
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014・井上好道
○井上参考人 お答えいたします。大宮市の状況でございますが、先般大体の試算の状況を伺ったところ、約四十億とお聞きしたのでございます。しかしこれとてもまだはっきりした数字をお聞きしたのでないのですが、推定を申し上げておるのでございます。それで償却等考えますと、大体三十億という見当をつけたわけであります。そうしますと、一・四の四千二百万ですから、この法案で参りますと十分の二・五でございますから一千五十万円、大体一千万、こういう推定をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/14
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015・亀山孝一
○亀山委員 市の全部の年収入の何%でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/15
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016・井上好道
○井上参考人 全固定資産税の八%か九%かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/16
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017・大塚達一
○大塚参考人 私の方は実はまだこの法律によって試算したことが全然ございませんし、試算の明細もけさ見ましたばかりで、まだはっきりとした数字をつかんでおりません。従いましてお答えいたしかねるのでございますが、従来農林省の告示による交付金として秋田県に回っておりましたのが約二千万、全体で約三億のうちの二千万程度が秋田県の町村に配分になっております。それの比率から申しますと、大体今度これの総額が四億程度と聞いておりますから、それを多少上回る程度ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/17
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018・大矢省三
○大矢委員長 中井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/18
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019・中井徳次郎
○中井委員 亀山さんがお尋ねになりましたのと重複を避けまして、お尋ねいたしますが、私は大宮市の井上さんにまずお尋ねいたしたいと思います。大宮市は人口はどれぐらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/19
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020・井上好道
○井上参考人 十四万四千五百人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/20
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021・中井徳次郎
○中井委員 それで先ほど今度の税制改革、政府の案によると、一千万ぐらいの増収になるということであるが、大宮市の税収入は全部でどのくらいになりますか。それから一年の予算をちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/21
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022・井上好道
○井上参考人 税収は市民税、固定資産税を合せて二億五千万円、それで予算は、来年度予算を申し上げますと、六億一千九百万で編成いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/22
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023・中井徳次郎
○中井委員 決算も大体その程度になる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/23
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024・井上好道
○井上参考人 決算は、昭和二十九年度が五億五千万円でございます。三十年度の見込みが五億七、八千万円と大体推定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/24
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025・中井徳次郎
○中井委員 税収の決算です。税収入は三十年度はどのくらいありますか。二億五千万円とはどうもちょっと少いように思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/25
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026・井上好道
○井上参考人 数字を持って参りませんので、ちょっと失念しておるわけでございますが、本市の税収は大体その程度でございます。非常に税収の少いところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/26
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027・中井徳次郎
○中井委員 人口十四万人で、二億五千万円と言いますが、交付団体ですか、不交付団体ですか。交付団体であれば、交付税はどのくらいもらっておるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/27
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028・井上好道
○井上参考人 交付団体でございます。交付税はただいま三千五百万円交付を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/28
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029・中井徳次郎
○中井委員 先ほどあなたの御説明の中に、この制度が実施されましても、できれば交付税に関係のないようにというふうな御意見でありました。あなたは税務課長ですから、税金はよけいもらったという考えはわかるわけでございますが、今伺いますると、四千万円程度の交付税——まだ特別交付税はきまっておりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/29
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030・井上好道
○井上参考人 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/30
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031・中井徳次郎
○中井委員 そういうことになりますと、どうですか、現実の市の財政は、過去において赤字ですか、黒字でやっておられるんですか。その金額等も一つお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/31
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032・井上好道
○井上参考人 大宮市は昭和二十七年から赤字を続けて、二十九年で四千五百七十二万円の赤字を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/32
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033・中井徳次郎
○中井委員 今伺ってみますると、今全国の、ことにあなたのところのような十四、五万の都市でありますると、大てい赤字です。そうしてその金額はあなたの方の四千万円などという甘いものではありません。私どもはこれは抜本的に大きく改正をしなくちゃいかぬ。きょうおいでを願いましたのは、三公社から税金をとるということになりますと、大宮は鉄道の町であります。私は、一挙に数千万円の増収になって、赤字は一ぺんに解消すると思いますが、今伺うと、わずか一千万円ということであると、赤字はあまり多くないけれども、しかし大宮市のあの鉄道の町が国有鉄道から納付金をもらってもまだまだ足りない、今の状況はこういうことですな、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/33
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034・井上好道
○井上参考人 財政から見ますと、なおかつ非常に不足をいたしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/34
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035・中井徳次郎
○中井委員 それでそれが入りますと、あなたはその交付税の算定の基準にしてもらいたくないという御意見でしたけれども、そういうことは現実に行われますか。考えておりますか。これはもう当然計算しなくちゃいかぬというふうにわれわれは考えておるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/35
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036・井上好道
○井上参考人 希望を申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/36
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037・中井徳次郎
○中井委員 最後に大宮市のことにつきまして、いいことか、悪いことかは別といたしまして、あなたの方で四千万円赤字があって、非常に税金が少いというふうなお話ですが、一方大宮市では市民税その他につきまして上手な税金の取り方をしておられる。非常にでこぼこがあるという御判断のもとに、市当局におかれまして市民税の取り方等について、ほかの都市と変った取り方をなさっておる、あるいはまた集まりました税金のうち一部分を還付という、形式的にはどういう形か知りませんが、実質的にはそういう形になるような方法をとっておられるということも私ども伺ったのでありますが、その辺の実情をできましたらお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/37
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038・井上好道
○井上参考人 ただいま御質問の市民税は納税奨励という方法で取り上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/38
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039・中井徳次郎
○中井委員 どのくらいの率ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/39
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040・井上好道
○井上参考人 三%程度だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/40
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041・中井徳次郎
○中井委員 金額にいたしますと総計でどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/41
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042・井上好道
○井上参考人 二百万円ちょっとになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/42
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043・中井徳次郎
○中井委員 それでは秋田の地方課長の大塚さんにお尋ねいたしますが、三十九万町歩に及ぶ国有林について交付金の制度ができると、秋田県の市町村としては非常に助かるというお話であります。しかし伺うと金額が四千万円程度でございます。この国有林につきましては現在でも林野庁から適当な方法で地元の市町村に多少の金は行っておるように私どもは伺っておる。これを実施するということになりますると、その問の関係はどうなるんですか。どのように了解されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/43
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044・大塚達一
○大塚参考人 従来からの林野庁の方から行っておるというのは、おそらく国有林野の所在市町村交付金のことじゃないかと思いますが、それは現在まで毎年ずっと配付されております。これについて地元町村といたしましてはこういう制度ができましたについては、この固定資産税相当の交付金が配られた後においても、そういう地元交付金は別個にいただきたいという希望を申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/44
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045・中井徳次郎
○中井委員 今秋田県地方課長の回答に関連しまして税務部長に伺うんですが、この制度ができますと、先ほどから話の林野庁から各地方に交付をいたしております金額がそのまま残るんですか、それとも廃止になるんですか、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/45
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046・奥野誠亮
○奥野政府委員 今までの国有林野所在市町村交付金という予算補助の性格を持っておりましたものはなくなりまして、この法律に基きます制度的な交付金に変って参るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/46
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047・中井徳次郎
○中井委員 そうしますとその金額はどれくらいふえてどうなるんですか。ちょっと聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/47
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048・奥野誠亮
○奥野政府委員 今まで交付しておりましたのが三億二千万円でありまして、今度この制度によって交付されます額が四億五千万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/48
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049・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと、はっきり言うと大したことはないな。ただやり方その他について変ると思うんですが、今大宮市の財政課長、この人の数字も正確であるかどうか知りませんが、天下の鉄道の町の大宮市が大騒ぎをして、はっきり言えば国有鉄道から金を取って、しかもその金はわずか一千万円程度で一向赤字の足しにもなりゃせぬ。またこの林野庁の関係は交付金にしたけれども、実際は三億二千万円か五千万円出しておったのが、四億五千万円程度になって実質はあまり変らない。今度の地方財政の抜本的な対策の一環としておやりになったと言うが、実質はどうもかけ声が非常に大きくて、そうして鉄道関係なんかも大問題で、昭和三十一年度は値上げをしませんといったからいいのでありますが、こういう形勢でいくと三十二年度には税率も上るからやらねばならぬというふうな遠因になりそうに思うのです。しかも各地の地方団体に対する影響というものは、焼け石に水といいまするか、その程度であるということになると、だいぶ看板に偽わりがあるように思うのですがどうですか。大臣に一つ伺ってみたいと思います。大臣は途中でいらっしゃったから、ちょっとなんですが、今いろいろ参考人から伺いました。大宮市なんというのは非常に鉄道によって栄えた町でありまして、納付金ができると私はもう一挙に黒字に転換して不交付団体くらいになるのではないかと考えておりましたところが、わずか一千万円か一千二百万円で交付金が四千万円を突破しておる、そうして赤字は四千万円から五千万円あるということなのですが、この辺のところどうでございましょうか。私どもは実際率直に申し上げまして、国会議員の一人として、そういう鉄道の町、大宮くらいの町は全国に十や二十はあろうかと思いますが、これによってせめてそういう町だけでも助かるというのなら、これはまあまあというふうな感じを持っておったのですが、現実は非常に少いので実はびっくりしたのです。そこまでお調べになってお作りになったのでしょうか。大臣のその点における認識を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/49
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050・太田正孝
○太田国務大臣 今回の自主財源等についてとりました考え方が抜本的でないというお言葉であり、かつ個々の町につきまして、たとえば大宮市のごときもっと救済できるような方法はなかったかというお言葉でございますが、私どもといたしましては今回の自主財源で、財源の偏在など直す意味におきまして百数十億円に上る総額においての今までにない考え方を実行せんとしておるのでございます。口には三公社課税と申しまするが、この課税も長く唱えられ長く行われなかった問題でございまして、百数十億円に上る、また平年度においては相当多額に上るものと思っております。個々の町につきましての御指摘でございますが、なるほど一つの町にこの税に類するものをやったならば、それで赤字が消えるかということでございますが、御指摘の通り大宮市等においてその事実が上らないという事実は認めなければならぬと思います。しかし全体としての自治体の姿をながめまして、そこに今までの非常に困っている点を除くためにかような税制をしこうとするのでございますから、不十分な点はございますが、ここに抜本的な方法の一歩を踏み出してやっておるという意味におきましては御了承を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/50
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051・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁その通りだと思いますが、最後に奥野さんにちょっと伺っておきます。今大宮の財政課長は、こういう収入増になっても非常に欲の深いお望みであろうかとも思いますが、交付税に関係のないようにしてもらいたいというふうなお話がありました。私どもは、大宮のような鉄道の町さえそういうことを言うということ、そうなれば、この三公社の施設のないところというふうなものに多少均霑をするという考え方から、これは交付税でもちろん計算しなければいかぬと思いますが、むしろそういうことであるならば、一括交付税の中にぶち込んで、そうして今の二十五というのを六にするなり七にするなりやった方が、案外公平ではなかろうかという考え方も今ちょっとするのでありますが、そういう点について事務当局としての技術的な見解を、一つ伺ってみたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/51
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052・奥野誠亮
○奥野政府委員 お話しのように地方団体に財源を与えまする方法には、地方交付税のような財源もありますし、地方税のような財源もあろうかと思います。しかし地方自治の立場から考えて参りますと、できるだけ自主的な財源で確保さしていった方がよろしいんじゃないかと思うわけであります。それがまた一般的な考え方だろうと思うのであります。そういう意味におきましては、三公社課税の分も地方交付税にぶち込まないで、やはり自主的な性格のもとに、今回提案しておりますような納付金にした方がよろしいじゃないか、かように存じておるわけでございます。ことに、三公社の納付する金というものは、やはり当該固定資産所在の市町村の関係において、当該固定資産所在の市町村に納付することで初めて意味があるのでありまして、地方交付税にぶち込むというのでは、何のために三公社が負担するのか、ちょっと理由が立ちにくいのじゃないか、こういう考え方も持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/52
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053・中井徳次郎
○中井委員 私の意見は非常にとっぴのようでありますが、しかしそういうふうに一刀両断に解決されると、私は言いたくなるのでありますが、そうあなたのように各地方々々によって自主的にやるのがいいということになれば、私は全国一本でこういうものを計算することについて大いに疑義を持っているんです。全国一本でやるということになると、どうしても金額は少くなります。これはもう過去におきまして、名前はあげませんが、たくさんあります。私鉄関係の固定資産は一括して東京で自治庁が査定をなさる。もらう方の市町村では大いにのどから手が出るほどで、自分の方で計算をすると、この鉄道なら、現在の施設では一キロどうしても二億かかるというふうな計算をしてやっておりますると、それの十分の一くらいの金しか来ないというのであります。従いまして、理論はあなたのおっしゃることも何だか、一括東京でおやりになるならば、これはもう交付税の中へぶち込んだ方があっさりしていいんじゃないかという、実際面の考え方を私は持ちます。そこでちょっとお尋ねをしたのでありますが、そういう点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/53
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054・奥野誠亮
○奥野政府委員 理論を突き進めて参りますと、中井さんがおっしゃいますように、所在の市町村がそれぞれの固定資産を評価した方がよろしいと思います。しかし実際問題として、技術的に国有鉄道のようなものをこま切れで評価をして正しい評価ができるかどうか。そういう意味でできませんので、鉄軌道等の評価は、自治庁長官が行うことにしておるわけであります。
そういう意味でまた償却資産の評価につきましては、御承知のように最低限度額の規定も置いておるわけでございまして、そういうようなことをあわせて御指摘のようなことのないように今後も努力して参りたいと思います。ただ率直に申し上げまして、中井さんが御指摘になりましたような考え方も、ある程度理屈に合うものなら取り入れたい。そういう意味で国有鉄道の軌道敷の土地などは一括して評価をいたしまして、軌道の延長によって按分する。そういたしますと弱小の町村に割合に土地の評価額が多くいくそれはまたそれで一つの評価としては、理論的に成り立つのじゃないかというふうにも考えられるわけでございます。こま切れにした評価が必ずしも正しいのじゃない、全体を一の資産として評価して、それをまた軌道の延長に応じて按分して参りますれば、弱小の町村も救われて参るんじゃないか。この辺になって参りますと、中井さんのおっしゃっておりますような点を現行制度の中に、理論的に矛盾のないように取り入れていきたい、こういうふうになるんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/54
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055・中井徳次郎
○中井委員 これで質問をやめますが、こま切れのようになっては評価ができない、そんなことはありません。中央で、一定の基準をきめてさえもらえばちゃんとこれはやりますから、そんなことは心配要らぬと私は思います。いずれにしましても、こういう特別課税のような形のものがたくさん出て参ると、結局のところが交付税にぶち込んだらどうかという意見が、私は必ず出てくるように思いますので、その点だけをちょっと最後に申し上げて、これでお尋ねを終ります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/55
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056・北山愛郎
○北山委員 今のお話しに関連してお伺いいたします。結局今度の措置による交付金なり納付金というものは、やはり交付税の算定の際の基準財政収入に見込まれるということになりますと、大宮の場合でいえば、一千万円の収入が上る場合に、七百万円だけは基準財政収入に見込まれて、その分だけは交付税から減額になる。普通のほかの条件が同じであればそういうことになって、大宮がもうかるのは三百万円だけだ、こういうことに了解していいわけですね。それからまた同時に国有林野については、従来は基準財政収入の中には見込んでなかった。今度は増額にはなったが、見込むということによって、逆に交付税が減ってくる、こういうふうな結果になるということははっきりしておりますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/56
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057・後藤博
○後藤政府委員 前段はおっしゃる通りになります。しかし別の財政需要を延ばしていきますから、必ずしもそうぴったりと数字が合うわけじゃございません。
後段の方の問題は、かつて交付金をもらっておりますので、そのもらっておるものをさらに計算の中に入れるということはどうかと思いますので、増額分だけを計算の中に入れる、こういうふうに政令でもって率を定めるということになっておりますから、増額分の七割だけを計算に入れるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/57
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058・北山愛郎
○北山委員 国有林の方はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/58
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059・後藤博
○後藤政府委員 今の話は国有林でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/59
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060・北山愛郎
○北山委員 そうすると、今度の措置の結果として一番得をするのは国の方じゃないかと思う。普通からいえば交付税をそれだけふやさなければならぬ状態にあるのを、このような措置によって大部分は交付税を減らせるわけです。そういうふうな結果になるのじゃないか。あるいはまたよその方に回るということも考えられる。ですから先ほど中井君が言ったように、やはり交付税として全体に分けた方が合理的ではないかということにもなってくるのではないかと思うのです。結局今度大宮市でとれる鉄道の用地に対する納付金ですか、それが今申し上げたような計算で結局交付税の方が減額になるというようなことになれば、そういう結果にならざるを得ないのではないか、その七百万円というのは結局よその方に配分される。総額は減らなくても、これが回らないとすれば、国としてはそれだけの金額を交付税としてふやすべきが当然だったわけです。それをふやさないでこういう措置によってごまかす——というわけじゃありませんけれども、こういう措置によって間に合せた、こういう結果になると了解していいのじゃないかと思うのですがどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/60
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061・後藤博
○後藤政府委員 私どもは地方に財源を与えます場合に、交付税の方式でやるか、独立性の強い税でもってやるかということのどちらをとるかという場合には、やはり独立性の強い自主財源を与えるのが筋論ではないか。地方団体の財源から申しましても、独立性の強い自主財源を与えていくという筋に立たなければならない。そういう建前から交付税の制度よりも、独立性の強い自主財源であるところの交付金とか納付金の制度の方がいいのではないか、こう判断をしておるわけであります。しかし、おっしゃいますように交付金の中にぶち込んで分けるということも一つの考え方だと思いますけれども、先ほど奥野君から申しましたように、納付金の性質から申しましてやはりその団体との間の問題がございます。従って交付税になりますと、必ずしもその団体に参っていくものではございませんし、それから交付税の中にぶち込んで参りますと一般財源でありますから、これが幾らきたのかはっきりしないのであります。そういうことから申しまして、その点をはっきりさせる意味でつまり地方税の性質の中に公益的な性格もあるということを、前からわれわれ申しておるのでありますが、そういう性格を独立財源の形で生かすためには、やはりこういう格好の交付税の方式の方がいいのではないか、かように考えておるのであります。しかしお考え方も一つの考え方であり、やはりそういう意見もこの制度を作りますときにあったことも私ども承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/61
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062・大矢省三
○大矢委員長 それでは、他に御質疑がなければこの程度にいたしておきます。
参考人の皆さんに委員会を代表して一言お礼を申し上げます。今後の本案の審議のために大いに参考になったことと存じまして、厚くお礼を申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/62
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063・大矢省三
○大矢委員長 それでは次に、町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案を議題として、提案の理由の説明を聴取いたします。太田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/63
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064・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま議題に供されました町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びに内容の概略を申し上げます。
町村職員の院職年金及び退職一時金につきましては、昭和十八年来、各都道府県ごとに、地方自治法上の一部事務組合として町村職員恩給組合が組織され、町村職員の退職年金及び退職一時金に関する事務を共同処理して参ったのでありますが、昭和二十七年には、町村職員恩給組合法が制定され、恩給組合の法的並びに財政的基礎が確立いたされました。かようにして恩給組合の制度は、市町村職員の福祉に寄与いたしているのでありますが、さらにその運営の合理化をはかりまするため、組合の財務に関する制度を整備いたしまするとともに、職員の福祉を増進するため、組合は一定の福祉事業を行うことができることとする等の必要を認めまして、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の内容につきまして、その概略を申し上げます。
第一は、恩給組合の経営の実態を明らかにし、会計の適正を期しまするために、組合の財務につきまして地方自治法の財務制度につき特例を設け、企業会計と同様の原則による会計経理の制度を採用することとしております。
第二は、恩給組合は、健全な保険数理を基礎といたしまして、将来の給付に充てまするため相当額の責任準備金を積み立てなければならないのでありますが、これが運用の一方法として、職員の福祉を増進するため、一定の福祉事業を行うことができることとし、福祉事業を行うに当っては、市町村職員共済組合と共同して行う等職員の福祉を増進する事業が総合的に行われるように努めなければならないこととしております。
第三は、恩給組合におきましては、従来監査委員の設置は任意とされているのでありますが、組合の財務に関する制度の整備と相待って、組合の事業運営の適正を期するため、監査委員を必置とすることといたしております。
第四は、恩給組合に属する町村の区域の全部または一部が市の区域となった場合における退職年金及び退職一時金に関する事務の引き継ぎにつきましては、昭和二十八年十二月の町村合併促進法の一部を改正する法律の施行の日前にかかるものは、従来規定が、明確を欠いておりましたので、所要の規定を整備することといたしたのであります。
以上本法律案を提出いたしました理由並びに本法律案の内容の概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/64
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065・大矢省三
○大矢委員長 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、政府当局より提案理由の説明を聴取したします。太田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/65
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066・太田正孝
○太田国務大臣 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律は、都道府県及び市町村の選挙管理委員会が管理する国会議員の選挙、最高裁判所裁判官の国民審査等の執行について国が負担すべき経費の基準を定め、もってその適正かつ円滑な執行を確保することを目的とするものであります。今国会において審議中の公職選挙法の一部改正案に伴いまして、この法律の改正を必要とするに至ったのであります。
改正について申し上げますと、第一点は、衆議院議員及び参議院地方選出議員の個人演説会告知用ポスターの制度が廃止されることに伴い、個人演説会告知用ポスターの経費に関する規定を削除することであります。第二点は、候補者が使用する選挙運動用ポスターの枚数を、衆議院議員の候補者については、現行二千枚を五千枚に、参議院地方選出議員の候補者については、現行二千枚を八千枚に、参議院全国選出議員の候補者については、現行二万枚を五万枚にそれぞれ増加することに伴い、ポスターの経費の額を改訂いたそうとするものであります。第三点は、参議院地方選出議員の期日の告示が、現行三十日前を二十五日前に行われるようになり、選挙運動の期間が短縮されることに伴い、都道府県及び市町村の選挙管理委員会において選挙事務に要する経費を減額するため、都道府県及び市町村の事務費の額を改訂いたそうとするものであります。
以上がこの法律案を提出いたしました理由及び内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/66
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067・大矢省三
○大矢委員長 次に、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律案を議題として、政府当局より提案理由の説明を聴取いたします。太田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/67
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068・太田正孝
○太田国務大臣 ただいま提案いたしました地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律案の提案の理由及びその内容の概略について、簡単に御説明申し上げます。
申し上げるまでもなく、政府は、地方財政の窮状を打開し、その再建を推進するため、今般地方行財政制度の全般にわたって、あとう限りの改革措置を行なったのでありますが、その一環として、国または地方公共団体が行う公共事業にかかる国の負担または補助の割合を引き上げることにより、地方負担の軽減をはかることとし、公共事業等にかかる国の負担または補助の割合について特例を規定するとともに、受益者分担金の徴収及び公共事業費の補助負担算定の基礎について特例措置を設けることといたしたのであります。ただ、公共事業等にかかる国の負担または補助の割合等は、いずれも慎重な検討の上、定められているものであり、軽々しく変更すべきものではありませんので、今回の措置も一応地方財政が立ち直るまでの臨時的措置として三カ年間に限ることといたしたのであります。これが本法律案を提案する理由であります。
次に、本法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
第一は、公共事業にかかる国の負担または補助の割合の特例に関する事項であります。今回の公共事業関係費の補助率等の引き上げは、地方公共団体の財政負担の軽減をはかり、地方財政の再建を促進するという意味において行なったものであり、地方公共団体が管理の責任を負う河川、砂防、治山、道路、港湾、漁港等の公共施設の整備のための事業に限ることとし、これらのうち、各法律において補助負担割合について規定のあるものについて、特例規定を設けることといたしました。従って、道路その他政令で補助負担割合の定めのあるもの等については、本法案に規定を設けておりませんが、これらについては、いずれも、政令等で所要の特例を定めることといたしております。
第二は、受益者分担金等についての規定であります。地方公共団体が実施する公共事業によって利益を受ける者から、その利益を受ける限度において分担金等を徴収することができるということは、地方自治法、道路法等に規定されているのでありますが、現在、この制度は、地方公共団体ごとに運用が区々であり、その運用も明確を欠いている面もありますので、その本旨に従った運用を確保し、収入の充実をはかるよう政令でそのおおよその標準を定めることができるようにいたしますとともに、都市計画税、軽油引取税の創設等、受益者負担制度の拡充の措置と相待ちまして、地方公共団体は努めて受益者分担金等を徴収するよう努力すべきことを規定したのでございます。
第三は、事業費の算定の特例に関する事項でございます。現行制度によれば、補助金等の額は、その事業に要した費用から、地方公共団体が徴収した受益者分担金等の額を控除した額に一定率を乗じて算出することとされているのでありまして、分担金等を多額に徴収すれば補助金等の額が減少することとなっておりますが、今回これを改めまして、地方公共団体が徴収した受益者分担金等の額は、負担金または補助金の算定の基礎となる事業費から控除しないものとし、受益者分担金の制度の活用をはかり、地方財政の負担の軽減をはかることといたしたのであります。
以上が、本法律案の内容の概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/68
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069・大矢省三
○大矢委員長 ただいま説明を聴取いたしました三案に対する質疑は、いずれも後日に譲りまして、本日は説明の聴取にとどめたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/69
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070・北山愛郎
○北山委員 大臣はめったにお見いにならぬものですから、この際ちょっとお伺いしておきます。新聞によりますと、三十一年度の地方債の計画がきまったようでありますが、この機会にどういうふうに発表するか、どういうふうな内容であるか、ちょっとお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/70
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071・後藤博
○後藤政府委員 資料をもって説明した方がよろしいと思いますので、この次にいつでもやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/71
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072・北山愛郎
○北山委員 きょうは時間もないようですから、この程度にいたしたいと思いますが、ただ何しろ今まで委員会がたびたび開かれましたが、自治庁の特に財政当局が、ずっと一貫してお見えになって、財政計画なり、あるいは税法なり、あるいは再建促進法の実施状況等について、まだ十分お伺いをしておらないのであります。そこでいろいろお聞きしたい点がたまっておりますので、一つ委員長におかれましても、あるいは大臣におかれましても、その機会を作っていただくようにお願いをいたしておきます。今の地方債の問題などもまだ問題としては残っておるわけであります。お願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/72
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073・大矢省三
○大矢委員長 承知いたしました。
それでは午前中の会議はこの程度にいたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時二十四分休憩
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午後二時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/73
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074・大矢省三
○大矢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案について意見を聴取いたします。
なおお手元に配付いたしました名簿では、日本電信電話公社秋草経理局長となっておりますが、本日は靱副総裁がお見えになっております。また日本専売公社内藤審査部長となっておりますが、こは総務部長の小川潤一君が出席になっております。それでは順次意見を承わることにいたします。小川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/74
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075・小川潤一
○小川参考人 参考人として専売公社総務部長が呼ばれておりまして、意見を聴取したいとここに書いてございますので申し上げさせていただきますと、このたび三公社にも固定資産税をかけるというお話でございますが、なるほど各地にかなり大きな資産を持っておりまして、それぞれ地方公共団体に御迷惑といいますか、かなりの地位を占めておりますので、これを無税ということもいかがかと思いますので、ある程度税金が課せられるということはやむを得ないのじゃないかと思っております。ただこのために非常に事務に忙殺されても公社の性格上できるだけ少い人間でやりたいと考えて、その点は一つ考えていただきたいと思っておりましたところ、幸い初めと案が違いまして、中央で一括して評価して、中央で額をきめて、それぞれの出先——私の方でいえばそれぞれの地方局あるいは出張所というものに、お前のところではどこの町村へ幾ら納めろという額を中央からきめてやるというふうになりましたので、その点は非常なる進歩と思いますが、できますればもう一歩御考慮願えればと思う点が一点ございますので、意見として申し上げたいと思うのでございます。
それは今度かかる部分については、私が今申し上げましたように、中央で一括評価、税額を決定されるということになっておるのでございますが、従来われわれ公社の方には、固定資産税が若干かかっておりました。御承知のように、それは事業本来の資産ではなく、厚生施設と申しましょうか、たとえば宿舎あるいは病院、グラウンドとか、こういうような本来事業そのものではないというものには、従来から固定資産税がかかっておりまして、この事務はそれぞれ地方で評価され、地方で税を納付しておりました。それが今回、それ以外に事業本来のものにも課すということになりまして、その分は中央で評価するということになって、二本建になっておりますので、この点一つ、せっかく法案をお作りになるなら、従来の分も一つ中央で査定していただいて、自治庁と私らの方と相談して税額をきめて、地方に通知してやるというふうにしていただければということを申し上げたいと思っております。
その他の点に関しましては、私らの方としては大体原案について異議がございません。問題をここまで御研究になった以上は、協力すべきであると思っておりますか、できれば今言いました点を、一つ再考をお願いしたいと思いまして、参考人の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/75
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076・大矢省三
○大矢委員長 それでは次に日本電信電話公社副総裁靱参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/76
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077・靱勉
○靱参考人 ただいま御指名のありました靱でございます。本日この法律案につきましてお呼び出しがありまして、私見を述べる機会を得させていただきましたことを御礼申し上げます。
実はこの法律案に対しましては、公社としましては、電信電話事業の現在におきまする特質と申しますか、そういう点から、実はごかんべん願いたいという意見を持っておったのでありますが、地方財政の再建と申しますか、強固にするという意味合いで、国全般の見地から、政府において御決定になりましたので、私どもももちろんそれに従いまして、納付金を納付するという考えに立っておる次第でございますが、せっかく意見を求められましたので、この機会になお今後において御考慮願いたい点を率直に申し述べさせていただきたいと存じます。
まず第一に、わが国におきまする、特に電話事業、これは近代の世界における発達した国家に比しまして、非常にまだ普及してない事業でございます。戦前におきましても六十年間経過しましてようやく電話の数が百万をこえたという程度でございまして、明治、大正に申し込んだ電話もつかないという現状でございましたが、戦災でそれも半分以下になくなってしまいました。戦後十年間のうちに、これは戦災当時の四倍にふえております。従いまして戦前より倍以上に相なった次第でございますが、依然として電話に対する需要は高いのでございまして、毎年需要の三〇%弱しか充足しておりません。すなわち申し込んでから三年間はつかない、簡単に計算すればそういう状況でございまして、なお現在におきまして以前に申し込んだ電話がついてないという現状でございますし、実は昭和二十八年度を第一年度としまして、相当規模の大きい電信電話拡充五カ年計画を作りまして、すでに第三年度を終り、三十一年度予算で第四年度に入ろうといたしておる次第でございますが、この三〇%弱しか充足できない状態は、ここなお当分、数年、あるいは七年くらいは解消できない、こういうような状況にあるのであります。しかしながらこの三ヵ年間におきまして、毎年二十万程度の電話を増設して参りましたので、大都市の中心部においては、一応申込んだら間もなくつけるこういう状況でございますが、東京におきましても一歩郊外に出ますれば、二、三年電話がつかないというのがたくさんございますし、なおこの五カ年計画におきましては、やはり一番戦災を受けまた需要の非常に高い大都市中心ということにならざるを得なかったのでございますので、地方の都市、農村におきまする電話は、今なおよくない状況でございます。そこで三十一年度、三十二年度におきましてはその方面にも重点を移して参りまして、第一次五ヵ年計画を終りますと同時に、さらに第二次五ヵ年計画におきまして、全国的にバランスのとれた電話の発達を期そうというような状況でございます。これはどうしてこういう状況になったかと申しますと、御案内のように、戦前におきましてもほとんど国の資金の御援助がなかったのでございまして、加入者、申し込む人がほとんど全額負担した。昭和の中間期におきましても、千五百円から千円という負担金をいただいた、今は三百倍と計算いたしますと、四十五万円から三十万円の金を出さなければ電話がつかぬ、全く電話というものは、ともかく富裕階級で金がなければつかぬというような状態であって不自然に押えられた普及率は、今戦前の倍になりましたが、まだ人口比を見ますれば、人口百人当り三五を満たしておりません。それは世界における二十二番目で、イスラエル、スペインというような国と同じでありまして、西ドイツを例にとりますれば、私ども現在直ちにこの倍にしなければ追っつかぬ、英国並みにするのには四倍にしなければならぬ、こんなような状況になります。市外通話をかけるときはもう待つのが当然だというようにいわれておりますが、電話はそういうものではないので、どこでもすぐ出るようにならなければならぬ。東京、名古屋、大阪は今ようやく準即時になりましたし、仙台もそういう状況になりまして、さらに来年度におきましては、広島、福岡、札幌等もそういう状況になって参りますが、近距離にかける場合におきまして、まだ電車で行った方が早い、あるいは農村におきましては、二、三時間も待たねばならぬ、こういうような現状にありますので、日本がいかに電話においてはおくれておったかということは御承知願えると思います。しかも需要は非常に強いのでございます。これがわが国の電話の特徴でございます。
第二段としまして、わが国の電話の特徴は、これは世界にあまり例のないことでございますが、現在東京あたりは、負担金として三万円ちょうだいし、さらに六万円の社債をお引受け願う、すなわち九万円あまり持たなければ一応電話はつかない。しかもただいま申したように、年々その申し込みは、そのたまりというものはくずれない。六十万くらい申し込みがある。そのうち二十万は解消してまた翌年になると六十万になる、こういう状況でございます。従いまして電話の売買というものが栄えておるわけで、これは世界各国の例があります。これは結局電電公社になりましてから、どうしても過去六十年、七十年にわたるところの日本の国の電話をもっとサービスをよくしなければならぬということで、公共企業体が占領軍の指示でなく、占領後におきまして十分検討して作られた次第でございますけれども、どうしても政府資金の援助を仰ぐことができない。結局加入者の方に持っていただく受益者負担の観念でございまして、それからあと一般公募社債で、最近この五カ年計画発足以来、全然政府から資金をちょうだいできない状態であります。しかもこの負担法というものはこの三月三十一日で期限が切れる時限立法になっております。これを引き続き五年間延ばしていただきたいということで、政府においてもそういう法案を現在提出されておるような状態であります。利用者側からみますれば、もう少し安く電話をつけられないものか、こういう希望は非常に強いのでありますけれども、それだけの負担を課してもなお需要があるのですから、やむを得ず私どもとしては延長を一方においてお願いしておるような次有であります。そういう負担をしなければ電話がつかないという反面におきまして、私どもは何としてもこれは建設資金さえ確保できますればそういうことがないで済む。その際に税金等非常に公社としましては免除の特典を持っておるわけでございますが、ここにまた税金がかけられますと、それだけ私どもは、利益の上ったものは全部建設資金に投ずる、こういう態勢でやっておりますので、その点は非常に困ったものだと私どもは実は感じた次第でございます。
さらにもう一つ問題は、町村合併促進法によりまして、全国におきまして非常に町村が統合されて参った。ところが同じ都市、同じ町で電話局が三つも四つもある。せっかく新しく市ができたが、その中の連絡が市外電話でなければできない。こんなばかな話があるかというので、これは全国的に陳情がございまして、早く電話を一本にして整備して市内電話のサービスを与えよ。ところがその対象局というものが全国に六千局もあるのでございまして、これをやるために相当莫大な金がかかる。一方大都会、都市等におきまする電話の普及は非常に悪いので、今後さらに相当の資本を投下していかなければならぬ、こういう状態でありますので、町村合併におきましては、本年度におきましても特に政府にお願いしまして政府資金でも拝借したい、こういうことでお願いしましたら五億認められた。それも公募社債でやれということに落ちつきました。三十一年度におきましてはそれがようやく倍になりましたが、その程度でいきますと十年、二十年では解消せられないということでありますので、この問題につきまして本年度八億程度、来年度十五億から十六億程度を納付いたさなければならぬわけでございますが、これを一つ市町村の電話の整備に充てたいということもお願いしたのですけれども、先ほど申し上げましたような次第で、これは私どもも努力しなければならぬ、こういう結論になった次第なのであります。
一方におきまして、先ほど負担法の問題がありましたが、本年度におきまして、すでに全国の公社が直接やっている局が約八百ございますが、そのうちの百四十局というものは電話が一本もつかない。新しい局を作らなければ一ぱいになってしまった。年々五、六十局新設しましても一ぱいになった局は三年間一本もつかない、こういう状態にございます。そこで地方におきましてはそんなにほおっておかれては困る、自分の方で局舎の費用くらいは社債をもってやってもいいから作ってくれ、こういう陳情が非常に多いのでございまして、現に二十九年度におきましてはそういうふうに地方の方でお持ちを願った社債の額が十二億に達しております。本年度におきましても約六億に達する見込みなのであります。要するに金を少しは負担をしてもいいから、われわれの方の町の電話をよくしてくれ、あるいは二つ、三つに分れておるのを一本にしてもらいたい、こういう御要望があるので、私どももまことにお断わりするのに困るような事情になっております。その七億とか十五億とかいう金は決して私ども小さな金ではないと思っているわけであります。そういう事情でございますが、公社は全くの独占企業でございますので、今後におきまして農村の電話も、市町村につきましても十分これはバランスをとってサービスを提供していかなければならぬと思っております。もちろん一挙に千億も二千億も投ずるわけには参りませんので、私ども大体五百五十億前後というものを三十一年度、三十二年度に実行しますとともに、その後の五ヵ年間におきましても五百五、六十億の大体計画が安定したところでもってやっていきたい、こういう考えでございます。
一方電電公社は最近業績がよくて、相当に収支も上って、本年度あたり百三十億くらいある。それを三十一年度の建設勘定に回していいのじゃないか、こういう御意見もあるかと思いますが、これは私どもの計算ではだんだんと減って参ります。実は戦後、ことにここ数年というものは、非常に電話の収入はよかったのであります。たとえば特急通話というものがございますが、これは普通通話の三倍ちょうだいしておる。だから線路が少くてサービスを悪くしておきますと、実は私どもの方はもうかるのでありますが、こんなばかな話はないのでありまして、従って即時に支払うとその料金はガタッと落ちる。ですから通話量はふえて参りましても、一個当りの電話の収入というものは決して増してこない。これがほんとうなんでございます。世界で一個の電話局で一番電話を使っておるのは日本でございます。だから話中が多いし、市外通話がかからなければやむを得ず至急通話、特急通話をかける。英国あたりの六倍一個の電話を使っておる。こういうことは決して常態ではないのであります。電話というものは過去において非常にぜいたくなものに思われておりましたが、農村といわず都市といわず、いかなる商売におきましてもこれがなくしては商売できない、産業活動ができないのであります。地方の産業の開発、地方の企業の発展のためには、電話というものは日本はもっとやっていかなければならぬ。世界で二十二番目、十年たったってとうてい欧州各国には追いつきません。アメリカの例は引いてもしょうがないのですが、ちょうど私どもが七十年でやって参りました二百万の電話を、昨年一年で作っておる。あれだけ普及しておる。要するに人口百人当り三十幾つという電話機がある。一家に一個そういう形でございますが、わが国は百人について三ちょっとという状況、どうも過去におきましてはむしろ電話というものはみんな加入者が負担せい、負担を廃止したいと思いましても、なかなか政府でも経費多端でございまして、そういうようなこともできない。できるだけ計画を安定するようにしていきたい、こういうわけであります。
これは電話の状況でございますが、一方電信はわが国は非常に発達しておりまして、どこの村でも、山間僻地でも必ず電報を打てまして、必ず配達を受けるようになっております。ところがそういうところは一日の夜中に一通来るか二通来るかわかりませんが、そういうようなところでもやはり完全なサービスを提供しなければならぬということで、しかもわが国は、電話が発達しておりませんので、国民にできるだけ安い電気通信サービスを与えて、病気とか危篤という場合に——過去においては電報というと悲痛な感も家庭においてはしたのでありますが、そういうふうに明治以来非常に電信は発達した。そのかわり現在ちょうど収入の倍支出になっておりまして、年間の赤というものは百億という状況でありますので、非常に情ないことを申して恐縮でございますが、私どもできるだけこれは自己資本でやる。ともかく金がありさえすれば設備の拡充に回していきたい、こういう考えでございます。もちろんこの法律案を出すことを政府としては方針を決定されておりますので、将来においてまたなお御考慮願えればけっこうだと存じますし、願くは時限立法にしていただいて、なお事業の実態もお考え願えましたらというようなことでございます。
先ほど専売の方から申されましたが、私ども施設というものは、鉄道よりもっとこまかく網の目のごとくなっております。従って町村にどれだけということを各地域で評価するということは非常に困難であります。従ってそれを完全にやるということになりますと、非常によけいな人員も要りますし、経費を概算しましても、一億くらいかかるのではないか、こう私ども考えますので、できるだけ簡単な方法でお世話させていただきたい。それで私どもの方も評価につきましては財産目録によるのですが、年々五、六百億の投資を要する一方、収入は減ってくる社債も返さなければならぬ、元金を返すというようなことを考えてみますと、結局料金というものは公定でございますから、勝手に料金を引き上げていくわけにはいかぬ。将来この情勢が非常に悪化して参りますれば、さらに料金を値上げしなければならぬのですが、私ども過去において料金値上げを二割程度しましたが、その際もずいぶん非難を受けたわけであります。幸いにしてそういう利益金を上げて施設拡充に充てられるというような状況になっておりますが、ただいま申したように、世界各国に比べて電話料金は一方において安い。そのかわり負担金をちょうだいいたしておる。しかしこれは私ども非常にむちゃなことをしておりませんので、負担金三万円は五年以内に電話をやめれば全額返す、それから社債の六万円につきましては十年間にお返しするということになっておりますが、六分五厘の利子をお願いしておる。この計算で見ますと、一個当りの電話としましては、年に四万円くらいの収入がなければ困るのですが、これから伸びて参りますと、郊外あるいは地方におきましては、月大体千円くらいではないか、そうすると年に一万二千円、それに対して六万円の六分五厘の利子を払いますと、四千円くらい利子だけで終る、あと元金もお返ししなければならぬ、なかなか今後の見通しは立ちません。これを何で解決するかということになりますと、私ども料金値上げをするわけにいかないので、結局技術を進歩させなければならぬ。例のマイクロウエーブ・テレビの中継にも使用できるものは、数百回線は安くとれる、こういうふうに技術が進歩して参りまして、私ども料金値上げをしないでいきたい。そういうところに逃げ道を考えておりますが、今度のこの法案を見ますと、教育機関については免除されておりますが。研究施設については免除になっておりません。そういうこまかいことを一々申し上げても、いかがかと思いますが、そういうふうに今後技術の進歩によって経済的発展をはかって参りたいと考えております。
以上、はなはだ率直に申し上げて恐縮であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/77
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078・大矢省三
○大矢委員長 次に、日本国有鉄道経理局長石井説明員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/78
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079・石井昭正
○石井説明員 今回政府の御提案になっております私どもの方の納付金に関する法律案について意見を申し上げる機会を得ましたことは、大へん幸せだと思っております。何分にも税金をお取りになる方と、私ども取られる方の立場でございますので、若干お耳ざわりになるようなことを申し上げることになるかとも思いますが、あらかじめ御了承願いたいと思います。私どものこの公社法ができましたときには、御承知のように地方税の問題は本質的に私どもの公社法の中に規定されておりました。それがいろいろの経緯がありまして、地方税法の方に統括されて、公社法からはずれて参ったわけであります。これはもちろん地方税法ですから、税体系をごらんになればそういうことかと存じますが、私どもの方といたしましては、公共企業体というわれわれの企業のやり方またそれに対してどういう使命を持っておるかという観点、ほかの施策とあわせて税金というものをどういうふうに課すかということが御決定されてしかるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。結局簡単に申しますと、われわれのような公共企業体はもちろん純然たる民営企業ではない。さりとて純然たる官営企業でもない。その中間で大いに企業性を生かしつつ公共的な使命を全うしていくということだと思うのであります、従ってその性格に応じていろいろの諸施策があり、また政府なり国会の考えもあるのじゃなかろうかと思っております。従ってそういう全体の一環として課税問題をお考え願いたい。こういうような考え方で、私どもの方は固定資産税を課するということにつきましては、今回政府でこういう法律案を御提出になりましたので、正面から反対だということは、私ども政府の一機関でありますので、申し上げかねるのでありますが、本来の精神としてはできるだけそういうものを免除していただいて公共的な使命を達成したい。ただいま電電公社の方からるるお述べになっておりましたと同じ状況に私どももあるかと思います。特に私どもの方の固定資産は非常に膨大なものでありまして、これをほかの交通機関と比較いたしますと、ずいぶん性質を異にしておる。たとえば道路交通にいたしますれば、道路、橋梁その他の設備は国費または地方費でこれを建設するわけであります。そうして油の税金その他でもって道路の損傷その他に対するものは補っておるのかもしれませんが、とにかくほとんど国費でやっておる。港湾またしかりであります。また最近発達いたしました航空でもしかりでありますが、鉄道は発達の歴史が非常に古いもので、鉄道が発達をいたしました当時は、陸上交通の完全なる独占機関でございましたので、率直に言えば相当独占的な料金を収受することができた。その結果としてそれだけの全部の負担をかぶっても発展して行けたわけでありますが、今日では非常に状況が変化しておりまして、一方の対抗と申しますか、競争関係にある交通機関については、私どもの方から見れば、線路、工作物というようなものに該当するものは、むしろ公共的な費用で御負担になっておるという関係がございます。率直に申しますれば、私どもから見れば、むしろ逆に地方から補助計いただいてしかるべきものじゃなかろうかというような程度に情勢が変ってきておると思います。そういたしますときに、私鉄などは税金がかかっておるということをよく引き合いに出されるのでありますが。私鉄は御承知のように——もちろん私鉄も公益事業の一種でありますが、運賃率につきましても独自の観点で、企業経営の内容からしての検討のみで、政府の認可だけで運賃を変えることができる。それからまたいわゆる自分の企業としてやりたくないような路線はやらないでよいわけであります。しかし国鉄としては、そんな気は毛頭ないのでございまして、もうからない線であるからといってその線路を放棄するとか、あるいはサービスを落すとかいうようなことをするのではなくして、むしろそういう交通不便なところに大いに力を注いでサービスを改善しなければならないということが使命であると考えております。それがまた国鉄の公共的な使命のゆえんであろうと思います。その結果といたしまして、どうしてもそういう線は営業採算から言えば悪いわけでございまして、そういうところは経費が収入の二倍くらいになるのはまだよい方でありまして、三倍、四倍にもなっておるところが多々あるわけであります。しかもそういうところに対して、今日地方の御要請はどうであるかと申しますと、もっと線路を引いてもらいたい、あるいはもっと駅を増設していただきたいというようなことから、小さいのに至りましては、あるいは跨線橋と申しますか、そういうものを作れとか、あるいは裏口を開設しろとかいうようにいろいろな御要求が非常に山積しておりまして、私どもとしても事情の許す限りは、ぜひこの御要望に応じたいとは考えておるわけでございますが、何分にもそういうことは企業の立場からいうと、いたずらに負担を増すということになって参るわけでございます。
そういうわけで、私どもの方の資産が非常に大きいために、今回の納付金の額におきましても、御承知のように私どもの方は平年度にいたしまして約七十二億円、本年度は半額といたしまして三十六億円という非常に膨大な金額を負担しなければならないような状態になっておるわけでございます。一方、私どもの方の固定資産、これは公共事業の特質でございまするが、固定資産に対する収益率、売上高でございますが、結局回転率と申しますか、そういうものを見ますると、わずかに〇・二五%でございまして、いかに私どもの固定資産が膨大であり、かつまたそれに対する収益力が少いかということが御了解願えると思うのでございます。日銀の調査によりますと、日本の全産業平均では二・一%になっております。その十分の一程度になっておるわけでございます。ほかの各種の産業と比較いたしましても、国鉄の回転率が一番低いわけでございます。この点はわれわれの仕事をしていくに、いかに設備がかかるかということと、また収入面の料金面で、公共的な建前からいろいろ抑制を受けておるということを物語っているものではないかと思うのであります。実際問題として現在の運賃率で見ましても、いろいろの公共的な使命のために、普通の企業と比べた場合において割引されておると申しますか、負担しておる運賃額は、旅客、貨物合せて、おそらく三百億をこすのではないか、かように考えられておるわけでございます。
大体そういうような観点から、できれば私どもとしてはこういう税金あるいは税金にかわるような納付金は、なるべくごかんべん願いたかったのでございまするが、これも地方財政の観点その他からやむを得ないということでございますれば、私どもといたしましてお願いを申し上げたいのは、全く私どもの方も赤字であるという点においては同様なのでございますから、少くとも私ども国鉄に対しましては、財政が立ち直るまででも、こういうお考え方を延ばしていただくわけにはいかないかということでございまして、結局これだけの大きな額が重なって参りますと、これは当然運賃の更正ということと同じことになるのではないかと思います。しかしそれを一般の経費の方で先取りをされますと、結局響いて参りますのは、減価償却費が計上できないという結果になっておりまして、来年度の予算案につきましても、この点につきましてはなかなか満足を得るような数字の計上ができないわけでございます。先ほど電電の方からは設備の改善のための資金というお話でございまして、実ははなはだ電電さんの方には恐縮でございますが、まことにおうらやましい話だと聞いておったわけでございまして、私どもの方は設備の改善どころか、自分の現在持っております資産を維持していくこともできない。資産の食いつぶしによってどうやら現在つじつまを合している。それにさらに三十六億も拍車をかける結果になる現状は、これは何としても御理解、御了解願って、ごかんべん願えるものならばごかんべん願いたいという気持は十分あるのであります。そういうわけでございますが、しかしこういうふうに政府の方で御決定になったのでございます。そこで私どもの方として、なお多少御希望申し上げることを許していただければ、こういう制度をおとりになるといたしましても、ぜひ金額は一括納付という形でやっいただきたい。承知のように私どもの方の資産は全国に散在いたしておりますのみならず、車両のごときは全国を共通でぐるぐる回っておるわけでございまして、どこの市町村に幾ら幾らというようなものではないのであります。そういうような事務的な問題もありますし、その他から考えましても、ぜひこれは一括納付ということにしていただきたい。もちろんこれは私が申し上げるまでもなく、御承知のことでございますが、英国におきましても——英国は御承知のように私鉄から国有鉄道と申しますか、現在の日本のような制度になっておるわけでございますが、その結果として、沿革的に地方の財政を負担しておる、こういう実情はあるわけでございますが、その際に個々に納めていくということが、非常にトラブルも多いし、不公平もあるということで、結局一九四八年でございますか、税金にかわる納付金を一括納付するというふうに改めておるようでございますが、これは実際に当って苦しんだ国の実例もあることでございますので、やはりそういう諸外国の先例なども十分御検討の上、一括納付という線でやっていただきたいということでございます。もう一つは、私どもとしては、ぜひ一つ現在の財政状態の窮乏を御同情願って、できるだけ予算の範囲内で処理できるような保証をしていただきたいということでございます。現在のような非常に苦しんでおる財政状態からこれだけの負担をする。さらに、それは一応の概算額にとどまって、なおこの上にもなるかもしれないというようなことでは、私どもほとんど経理のやりくりがつかないわけでございます。それから税率につきましては、これは公共的使命にかんがみて二分の一というふうな——これは評価額でございますが、結局税率と同じことになるかと思いますが、そういうお考え方で、その点は非常に御親切に願ったようでございますが、しかし先ほども申し上げましように、固定資産の回転率をお考え願いますと、これは二分の一でも、ほかの場合と比較して、決して公共性をお認めになって御勘案になった措置ということも言えないんじゃないか。そういうことをお考え願うならば、この固定資産の回転率等もお考え合せになって、おな公共性という観点から軽減ということについて、一段と御心配を願いたいということでございます。
それからもう一つは、これは地方などでも、公共的な、工場誘致その他では一定の免税的な処置をとられておるようでございますが、これは固定資産税でないので、一括納付でございますから、必ずしもこういう議論が成り立つかどうかわかりませんが、しかし今後私ども新線を建設して、地方の御便益を増す。その線路はもう経済的に、収益的に見るとほとんどマイナスばかりである。しかもその金利は払って、元金も償還しなければならぬ。こういうのは、私ども率直に申しますとやりたくないのであります。しかしこれはやはり地方の開発その他の公共的な使命からぜひやれという政府並びに各方面からの御要望で実施するわけでございます。また地元も熱烈に御要望になるわけでございます。そういうものにつきましては、やはり免税と申しますか、今後こういうものの対象にしないという措置を講じていただけないものかどうか。そういう措置を講じていただけなければ、私どもはほんとうにつらい思いをして、借金の利子を払う金でもうからない線路を引いた上に、さらに税金を負担しなければならぬというような格好になるわけでございます。はなはだどうも何と申しますか、取るものだけ取り上げて、やるものはやらぬというような不公平なことになるのではないかという感じをいたしておるわけでございます。
なおその他、専売の方でも御発言があったかと思いますが、過去におきまして、いわゆる事業用以外の固定資産税を別に支払っておりますが、これもいろいろ地方的にトラブルが多いようでありますので、こういう新制度ができましたら一括してこれに吸収していただきたいという希望を持っておるのであります。どうも大へん勝手なことばかり申し上げて恐縮でありますが、考え方を御参考までに申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/79
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080・大矢省三
○大矢委員長 それでは委員諸君より質疑を承わります。中井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/80
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081・中井徳次郎
○中井委員 今専売公社、電電、国有鉄道とお話を承わりましたが、承わりました印象では、専売公社が一番楽で、その次は電電、国有鉄道が非常にお困りになっているというふうにわれわれは拝聴したわけであります。そこで専売公社に、御意見を述べられました順序で一、二点ずつお尋ねをいたしたいと思うのであります。
ここ二、三年来たばこの問題につきましては、どうも地方税との関係においてしばしば問題になりましたたばこ消費税の問題、私どもはたばこの専売益金ということから判断いたしまして、これは相当多額のものを地方税としていただかなくてはいかぬという主張を、実は前から強くいたしておるのであります。今回のこの処置は、結局のところ地方財政の赤字を何とかしたいというのが根本原因でありまして、そういう面から専売公社の皆さんのこれまでの行き方を拝見しておりますと、どうも非常に出し渋っておられる。ことに一昨年のごときは、私どもは百分の十とか百分の五とかいうまことにわかりやすいラウンド・ナンバーでもって政府の原案を作ったにもかかわらず、専売公社の皆様の御意見によって、百十五分の十とか実際は八・七%とかいう非常にむずかしいことでありましたが、今回は非常に気分転換をなすったとみえてお変りになりました。そこで察するに、これは金額が大したことではないというので承知されたのではないかと思うのでありますが、今専売公社の資産の総計はどれくらいでございましょうか。それからこの法案が実施されるといたしまして、どれくらいの御負担になりますか、それをちょっと承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/81
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082・小川潤一
○小川説明員 ただいまの御質問の数字にお答えする前に、地方税の方に出し渋っているというようなお話がございましたが、実はこれは私ら専売公社といたしましては、ありていにいいますと、私らはウ飼いのウみたいなものでございまして、実はたばこの売上金をぱくっとのみますが、それは私どもの食道を通らずに国庫の方へ参りますので、その国庫の方へ行くときに地方税へ横道するか、直接大蔵省の国庫側に行くかの差でございまして、その点私らは正直なところどちらへ行ってもというので、大した熱意がないことは確かでございます。しかし公社のために出し渋いってるという誤解だけはとっておいていただきたいと思います。私らは安いうまいたばこを供給するという一つの使命と同時に、非常に大きな負担金を国庫納付金として納める。たとえばことしの予算では地方税と国庫へ納めるのを合せますと千五百億内外になります。これは御承知のように、日本全体の会社が納めます法人税が合計して千八百億か九百億だと思っております。こういうふうに会社全体がもうけて納める金と同じものを——同じとは言いませんが、大体近いものをたばこでもって納めておりますので、私どもは全くウ飼いのウの仕事をしておりますので、その点一つ誤解のないように。私らの使います——私を初めとして給料、葉っぱを買うお金というものは、皆さんが国会で別にお定めになり、全く入口と出品は別なんでございますから、その点一つよろしく御了承願います。
それから御質問の数字は、再評価を今やっておりまして、今年の三月末に再評価ができ上りますので、それによりますと、私たちの固定資産は三百七十五億になります。今度この法案が成立いたしまして地方へ納めます固定資産の税金は一億三千百万円という数字を予算で考えております。本来はこれだけ従って国庫へ納付する額を少くすべきなのでございます。従いましてうちとしては利害関係がないものでありますから、比較的楽な気持でいるわけであります。ただ手続は、先ほど申しましたように非常に厄介なものでありますから、これは自治庁さんにお願いして、この法案をできればさっきほかの二公社の方もおっしゃたように修正していただいて、今までの分と今度の分を一括して中央において一本に納めることを、ぜひやっていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/82
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083・中井徳次郎
○中井委員 今ウ飼いのお話で、非常にけっこうなお話でありましたが、この地方税の問題はのみ込んで吐き出すだけじゃなくて、やはり一応胃まで行ってしまうのじゃないですか。先ほどのたばこ消費税の問題はおっしゃる通りでありますが、この問題は経営のいかんによりましては金額は減ったりふえたりするであろうと思うのでありまして、そういう意味において、同じように金額は少いからといって簡単に異議なしとおっしゃったことについて、ちょっと私は疑問を持つ。これは経営という面をまじめにお考えになれば、益金の一部を出すんじゃございません。皆さんの経営の一部として純経費だろうと私は思うのであります。そういう点において、これはそう簡単にお考えになったら怠慢じゃないかと実は思いますが、この程度にいたしましてあとで総括的にまたお伺いをいたします。
次に靱さんにお尋ねをするのでありますが、御説明にありましたように、日本の電信電話は、世界で二十二番目である、あるいはイギリスの四分の一でドイツの二分の一、特にアメリカあたりと比べると、ニューヨーク一市の電話だけ日本全体でないという、まことに醜態であります。そういう点においては、これまでの歴代の政府が非常に甘い考え方をいたしておる。特に電話に値段がつなくんということは私は絶対反対で、これは世界に類のないことである。そういう意味からいいまして、私どもは実は一昨年の電信電話の料金の値上げについては、国鉄の値上げほど世間では問題にはなりませんでしたが、しかしあの値上げの率は非常に高いものであって、これは当時の社会党といたしましては、当然反対しなければならぬことでありましたけれども、そういう日本の電信電話の持っております特殊事情を私どもはよく納得をいたしまして、そうしてあれをのんだと記憶いたしておるのであります。従いまして、その後この困難の中にあって電信電話は大都市を中心として急激にふくれて参りました。この意味においては、私は電電当局のこれまでの二年間の努力については大いに敬意を表したいと思うのでありますが、しかしおっしゃる通りまだまだ不足ということになる。この中で、今度は先ほどの経営論になりますが、ほんとうの経費としてこういうものを出していく、特に建設がどんどん進んで参ると、この金額は国鉄のような老世帯といいますか、これからは大いに自動車とか道路の方に転換していくのと違いまして、毎年々々電々公社といたしましてはどんどんふやしていかなければならぬという面においては、この実質上の地方税であります納付税はまことに痛い制度であろうと思うのであります。そこでお尋ねするのでありますけれども、あなたの方では技術の進歩によって値上げをせずにやっていきたいとおっしゃるけれども、実際そういうことはできましょうか。それと、先ほど専売公社の方にお尋ねしたと同じように、現実の面といたしまして昭和三十一年度、三十二年度はどれだけの負担になるのか、この二つをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/83
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084・靱勉
○靱説明員 全くただいまの御意見のような次第でございます。そこで御質問の第一点でございますが、技術の進歩で将来料金値上げをしないでできるかとおっしゃられますれば、実はこれは非常にむずかしいのであります。何と申しましても機械設備は世界各国と同じようなものを使っておりまして、日本だけ安くできるというものではないのでございます。ただ技術は欧州並びにアメリカと比べても非常に進んできておる。これはできるだけ安くしていかなければならぬと思います。それでもなおわが国におきましては、負担力の問題から私どもはなるべく料金の値上げということは避けて、皆さんが使えるようにしていきたい、これが私どもの理想でございます。しかし今おっしゃったように、技術の進歩で果して今後大丈夫かと言われますと、これは非常に困難があると申さざるを得ない。私どもの努力をそこに持っていかなければいかぬというふうに考えておる次第でございますが、来年度はまだそれほどまで参りませんが、三十二年度から、さらにその後の第二次五ヵ年計画の五ヵ年間にはだんだんと収益性の少いところ——大体加入者が五百人ぐらいのところにおきましては、電話は現在全然赤字なんであります。先ほども申し上げましたように、一年に四万円程度入ってこないとまずいことになりまして、ペイしないのであります。電話料金は、世界各国に比べて安いといえば確かに安いのでございますけれども、負担力から考えてそういう事態になっております。私ども今利子だけ一応お払いして行けばいいというのでありますが、公募社債も七年たちますとお返しせねばなりませんし、これは政府資金の応援でも得まして、借りかえするとか何とかいたす手もあるかと思いますが、全部そういうわけには参りません。加入者に御負担願っておるのが、すでに二百億近くになっておるかと思いますが、これは十年たてば必ずお返しせねばならず、借りかえられるものではないのであります。そういう次第でありますから、料金につきましては今私どもみずから第二次五カ年計画とにらみ合せて検討しておりますが、絶対に値上げしないで行けるということは、遺憾ながらまだ申し上げられません。
それから第二段といたしまして、三十一年度はどのくらいになるかと申しますと、予算で七億七千七百万円ということになっております。これの対象となるものとして大体二千二百億程度、私どもは再評価いたしておりますので、その点はかなりはっきりいたしておるのであります。三十二年度におきましては少くとも倍になるということで、およそ十五億から十六億というところかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/84
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085・中井徳次郎
○中井委員 あなたのお話を聞きますと、料金は世界の他の電話に比べてそう高くはないということでありますが、それと同時に、靱さんにはしかられるかもしれぬが、これまでの逓信関係というのは三等省と言われまして、職員の待遇も日本の官公労のうちで一番悪かった。これは皆さんの努力でだんだんと改善されてきておると思いますが、そういうことのために私は相当支出が要るであろうと思いますし、それからこの点でもう一つ、今でも東京で電話をつけますのに三万円とか四万円とか、大体十万円金が要ると言われますが、これはついた電話は電電公社に所有権があるだろうと思うのであります。従いまして純理論から言いますと、これは実は固定資産の中に入っているわけでありますから、これはもう長期資金でもって大蔵省なり、市中銀行から借りてやるのがほんとうの筋だろうと思います。そのことについては先ほども御説明もありまして、大蔵省当局に交渉するがどうもいけないというお話がありましたが、どうも出す方の金はずいぶんお弱い、十四億といいましたら相当な金ですが、お出しになる。どうですか、大蔵省の預金部あるいは市中銀行等から建設資金をもっと思い切って大量に借りる、こういう考え方、その考え方について政府は耳を傾けたり何かしたことがありますか。私はどうもこういう点が——ちょっとこれは脱線するのでありますが、今回この税制の審議にも関連を持つと思いますので、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/85
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086・靱勉
○靱説明員 御承知のように戦争で非常な破壊を受けましたので、全く電話に対する非難はもうごうごうたるものでございました。その当時できるだけ建設資金を確保しまして、すみやかに復興しなければならぬ、こういう立場で逓信省から電気通信省になって参りましたが、容易にこの資金は得られない。国全体の財政の問題でございまして、私どもはこの予算を得るための非常な努力をしたのでございますが、十年間におきまして、ともかく戦前の倍になった。ことに公社になりまして、先ほど対絶反対であったがとおっしゃった料金値上げ等の問題も済みまして、さらに政府資金だけでなく、一般の公募の社債も発行できる、こういうことになりましたので、在来の政府機関と違いまして、そういう方向に資金を集める方向ができたわけでございましたが、一方二十八年度以来というものは、全く資金運用部資金を拝借できない、あるいは簡易保険積立金等も、できるだけ長期に低利にお借りしたいと思いましたが、これはやはり御承知のように財政投融資は非常に引っぱりだこで、とにかく社債でもって行けるところは行けということでございましたが、二十八年度スタートしますと、二十九年はデフレということで、大体外部社債として公募いたしましたのは四十二億程度のものでございまして、あとは加入者に御負担願った分、これが約九十億くらいございましたが、それとあと収支の差額でやった。それで本年度はようやく市場もよくなりましたので、七十五億ということに相なったわけでありますが、来年度としましては、八十五億、これは認められまして、結局町村合併の方に十億、無電話部落の解消に二億、これも外部社債、あとは加入者のお引き受け願う社債、こういうことになるわけでありまして、私どもこの計画が非常に不安定ということは、非常な設備を長期に寝かすものでございますから、計画的にやらなければならぬ点においては、できるだけ安定した資金をちょうだいいたしたい、こういう意味合いで、非常に変動の多いものにたよるということは、あまり感心しないのでありますか、そうかといってこれだけの建設を、毎年五、六百億やって行かなければならぬものを自己資金で全部できるということは、ある意味においてはべらぼうにもうけ過ぎるということでありまして、そういうことは許されない次等であります。どうしても自己資金と借金でうまくバランスをとっていく。そこで今おつやしったように私どもの考えといたしましては、年々五百五、六十億から六百億の間で安定してやっていきますと、計画が非常に経済的にできる、こう考えております。一挙にただとるというわけにも参りません。それから財政投融資も毎年どうもなかなか御満足になってないような次第でございまして、これは国の財政全般の問題としてたかなか困難な問題だというふうに私どもは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/86
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087・中井徳次郎
○中井委員 今のお話は今後大いに努力をお願いしなければいかぬと思うのですが、これは参考までに申しておきますが、地方財政なんかにありましては、数年来非常に起債の額がふえまして、ことしあたりから押えにかかっている。そして政府の方針としては、ことしあたりからは採算性のある、いわゆる公企業的なものについては積極的に貸すということ、今のお話を聞くと、鉄道や電気通信の公益性、そういうものから考えて、地方財政についてはこういう転換をしているのです。特に電信電話は非常な黒字でありますから、私はこの点においては大蔵省当局の考え方が首尾一貫しておらぬと思う。ことしはそういうふうに水道だとか、あるいは電車だとか、交通関係に積極的に出しております。あるいはまた電力関係にも出している。ひとり電信電話、国鉄については非常にいじめられているというのは、どうもことしの今の内閣の方針としては、私は首尾一貫せぬように思います。
それから関連しまして、町村合併のことでありますが、町村合併の促進法案の中には、電電公社その他も積極的に町村合併の推進力にならなければならぬという一条がございます。その点について、実は昨年の委員会でありましたか、そのときはまだ逓信委員会になってなかったと思いますが、出まして、町村合併について電電公社はどれくらいなものを考えておられるかと聞きましたところが、中山君の返事であったと思いますが、これはほとんど国から起債その他をもらわないことにはできないという話でありました。あなたのお話からいいますと、これこそ不採算性的なものでありましょう。そういう意味で、私はどうもこの点は納得できないのであります。もう一つ、今回の十四億あるいは本年度は七億七千万円と、これだけの納付金を納められるに際しましては、町村合併に伴います電信電話の増設分と振りかえて、多少それを削りまして、こちらに回したというようなことを私は伺っておりますが、その辺の真相を一つお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/87
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088・靱勉
○靱説明員 町村合併につきましては、今お話の通りでございまして、私ども公共独占企業を担当しているものといたしましては、これのサービス改善、整備、統合ということは、われわれの責任でございます。しかしながら、大都会あるいは中都市等の付近にありまして、その局が新たに自動式になるとかいうような場合においては、その付近を統合していくということで、これは私ども大体第一次五ヵ年計画の中にも織り込んでおった次第でございますが、全面的に、それに関係なく、ともかく同じ行政区域のものはなるべく統合していく、こういうことになりますと、どうしてもこれは別ワクでちょうだいしなければならぬということで、年々三十億程度お願いしたい。かつて衆議院の電通委員会において、三十億なんというんじゃ、一体何年かかるのだ、七十億くらいにしたらどうかというような意見もあったのでございましたが、私ども、予算的には三十億程度をいつもこの二年間お願いしたのでございます。しかしながら、本年度は五億、来年度は一応十億、こういう形になっておりまして、これはちょっと未練たらしいことでございまして、今どうということではないのでございますが、七億七千七百万円取られるなら、これをひもつきで町村の電話整備にさらにプラスをしてもという、私ども勝手な意見を先ほど申し上げたわけでございますが、それとあれとを取引きしまして、十億になったということではないのでございます。税金と言っては語弊がありますが、この納付金は納付金、それからさらに町村合併としてはこれも長期のものは貸せぬので、一般の公募社債でやれということで十億程度プラスされた、こういう形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/88
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089・中井徳次郎
○中井委員 今非常に上手な御説明をなさいましたが、やはりどうもこの納付金と町村合併のことは関係があるように私どもは疑っております。
そこで次にお尋ねしたいのですが、この七億七千七百万円の納付金が大体どういう分布で配付されますか。やはり固定資産のあるところに配付されるということになりますと、たとえばこの七億七千万円の中で東京都にどれくらい納付されることになりますか、それがわかっていると思いますから、ちょっとお話を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/89
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090・靱勉
○靱説明員 これは実は自治庁の方からお答えをあとでお願いした方がよろしいかと存じますが、どういうふうな基準で配分するかということは自治庁、郵政省等が御相談になって政令をお作りになることのように私どもは拝聴いたしております。ただ電信電話の固定資産というものがどこに多いかという御質問ですと、これは明らかに大都市に多いのでございます。それで中都市あるいはもう農村に行きますとあまりない。今後この方面に施設が伸びていくという形になります。それと同時に、私ども全国に約八百の公社の電話局なり電報局がございますが、小さな電話交換局というものは、全部郵政省にお願いしております。そうしますと、その中の機械は私どもの所有でございますが、その土地なり建物は郵政省の所有でございますから、これにはまあそういう税金はかからぬという形になりますので、各地方自治体に配分される場合には、できるだけ簡単な方法でお願いするように、郵政省、自治庁の方にはただいまお願いに上っているような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/90
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091・中井徳次郎
○中井委員 今のお話で具体的な数字はわかりませんが、これは奥野君どうですか、大体のところあなたわかっていると思うが、あなたから返事して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/91
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092・奥野誠亮
○奥野政府委員 これはいずれ総理府令で総価額をどう配分するかということをきめなければならないのでありますが、目下郵政省と話し合いの最中でございまして、従って結果的にどういう金額になるか、総額はわかっているのでございますが、団体別のところはちょっとまだ今のところ申し上げるわけには行きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/92
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093・中井徳次郎
○中井委員 それ見なさい。だから私ども言うのです。これを固定資産の額によって分けましたならば、赤字解消のために今回の法律案を出したと言いますが、実際金が行きますのは、赤字ではない、いわば不交付団体、東京とか大阪、そういう大都市にほとんど行ってしまう。それが交付団体でありましたならば、回り回って全国の府県市町村に非常に影響があろうと思いますが、現実の問題といたしまして、国鉄でも同じだろう、特に専売公社に至ってはいなかには何もありゃしません。まあそう赤字の出ていない、地方財政の非常に困難の中にあって、まあまあましだというようなところにこの本年の四十六億四千四百万円が行ってしまう。来年は九十二億になる。そういうふうな非常な矛盾が出てくると私は思うのであります。この点はきょうはこの程度にいたしておきますが、私どもといたしましては午前中に申し上げたように、従ってこれは交付税にぶち込むとか何とか、そういう形が望ましいように実は思います。この点は政府のこれまでの考え方が非常に甘かったということを申し上げ、また三公社の皆さんも、せっかく非常に苦しい経営の中から税金をお出しになるのですが、それが国鉄なんかよりも非常にゆうゆうとやっておる東京都に大挙税金が行くのですよ、この点はよくあなた方も覚えていてもらいたいと思うのです。まことにどうも私は今の改正案については疑問を持っておるのです。
それで次に国鉄さんにお尋ねするのですが、これは私どうもはなはだ不勉強で申しわけないのですが、国鉄の一年の収入はどれくらいでございましょうか。三十一年度の予算でお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/93
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094・石井昭正
○石井説明員 大体三十年度の実績の見込みは、概数で申し上げますと、二千六百億というふうにお考え願ってけっこうかと思います。来年度は大体百億程度の増収を見込んで二千七百億、かようにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/94
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095・中井徳次郎
○中井委員 そういたしますと七十二億円という数字は相当な数字になりますが、大体三%か四%ぐらいになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/95
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096・石井昭正
○石井説明員 二千七百億のうちには、運賃収入以外の収入もございます。運賃収入にいたしますと約三%は確実かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/96
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097・中井徳次郎
○中井委員 今年の予算委員会におきまして私どもの同僚から質問があって国鉄は三十一年度は料金を値上げしないという運輸大臣の回答があったように伺っておりますが、しかしこうはっきり三%上がる——これまで地方財政でもっていろいろ税関係の検討をいたしまして、参考までに申しまするが、二、三年前に電源開発関係の固定資産についてわれわれは審議をいたしました。その際に電気料金の値上げの原因の一つといたしまして、膨大なる固定資産税のことがいわれました。そこで私どもは調査いたしましたところが、現実にはこの電気料金の値上げに影響を及ぼしますところの固定資産税というのは、実に千分の一の比率でありました。それに比べるとこれは三十倍でございます。まことに大きな負担である。その千分の一の比率にもかかわらず時の政府はそれに藉口いたしまして、電気料金を値上げした一つの理由としたのです。今日あなた方は三%をおのみになって、そして三十一年度はおやりにならぬというが、この形勢では三十二年度はどうしてもこれをやらなければと、先ほどからのいろいろなお話を聞いてよくわかりました。私は多少違った意見も持っています、たとえば地方鉄道をふやすということ、その線だけの収支を計算すると赤字になるでしょう、これは電電公社でも同じだろうと思います。それは東海道は黒字になってあとは赤字になる。東京都や市外回線でも中心部だけは黒字になるが、しかしその培養線はやっぱり要るわけであります。そういう意味からそういう意見も持っておりまするけれども、しかしこの三%というのは実に——これまで私も、日本のいろいろな各種の税法改正で、これほど原価に影響する大きな改正はちょっと見当らぬのじゃないかと思うのです。そういう意味から言いまして、三十二年度は好むと好まざるとにかかわらず、何らか運賃値上げの問題が起ってこなければならぬように私ども考えますが、経理局長としての率直な、政治的な御答弁はいただかなくてけっこうですから、御意見を伺ってみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/97
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098・石井昭正
○石井説明員 実は先ほど私どもの意見を申し上げる際に運賃問題に触れたかったのでございますが、触れますといろいろ差しさわりが出てくるかと思いまして詳しく申し上げなかったのでございますが、現在私どもは運賃値上げをしなければならぬということは、ここ三年間毎回いろいろお願いしてきたわけであります。その理由は経営費が増加するということでなくして、経営費の方は何とか努力して合理化でやって参りたいが、原価償却費がどうしても不足して施設の維持ができない、輸送の安全度が目に見えてむしばまれていくということでございます。そういう観点からは今日でも、今ただいまでも運賃値上げの必要性はあると存じており、本年の予算編成に当っても政府にお願いいたしまして、現在でもそう考えているわけであります。なおこの上に税負担をいたしましたならば、この輸送の安全を確保することか非常に力弱くなって参りまして、地方財政の方へ応援申し上げることの方が先になり、これはむしろ重点が違うじゃないかという感じを持っております。三十二年度のみならず本年度におきましても、私どもはそういう観点から機会あるごとに運賃値上げをしていただきたいという気持は切でございます。しかしこの点は政府の方でも物価政策その他いろいろの御事情からお許しになりませんので、私どもも与えられた予算の中で最善を尽して何とか輸送の安全をまがりなりにも確保してやって参りたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/98
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099・中井徳次郎
○中井委員 もう一つ裏から聞きますが、国鉄の経理については相当ずさんだとか、あるいは国鉄一家とか、いろいろの批判があるのであります。従ってもっと節約をしろという話もずいぶんあるようでありますが、今回さらに七十二億という経費が出てきましたが、この七十二億を新しく節約する方法、具体策というふうなものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/99
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100・石井昭正
○石井説明員 私どもの経理内容についていろいろ御批判もあり、行政管理庁等からもいろいろ意見があったのでございます。その内容をいろいろ御検討願いますればわかりますように、私どもとしても努力の足りない点おしかりを受ける点は多々あるかと思います。これは公共の企業を預かっている私どもの心がけもまことに申しわけないという点はございますが、額といたしましては、いろいろの御調査になりましても、過去数年間私どももずいぶんまがりなりにも力の及ぶ限り努力して参りましたので、そう大きな額でないという点であります。とてもこの七十何億というような額の節約はできないのであります。ただ幸い今日経済界が好況でございまして、貨物輸送なども伸びておりますので、来年度は若干増収が期待できますので、その増収分を見合いに予算が組まれているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/100
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101・中井徳次郎
○中井委員 私これで質問を終りますが、私ども先ほどから伺いましてごもっともかと思いますのは、回転率の問題でございますが、国鉄は非常に回転率が悪い。それから車両の問題であります。この点は技術的なことを言うようになりましょうが、ついでに一つ電電公社の方の回転率、それから専売公社はちょっと比較にならぬと思いますが、専売益金の総額を引いたあとのものとしての回転率、こういうものを御存じでありましたら、一つ大要でけっこうですからお聞かせ願いたい。それから最後に奥野君から、車両を除くという問題について、私鉄も含めましてそういう問題について検討されたことがあるか、その辺のところも参考までに伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/101
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102・石井昭正
○石井説明員 こちらに副総裁がおられるのに電電の回転率を申し上げて恐縮でございますが、私の方でその事業報告書を勝手に計算いたしますと〇・三九になっております。これはあるいは間違いかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/102
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103・奥野誠亮
○奥野政府委員 私鉄事業に使っております車両に対しまして固定資産税を課しておる問題でございます。私鉄につきましては、車両を走行キロ数に按分して評価額を市町村に示しているわけでございます。日本国有鉄道の場合には、単線キロ換算によります軌道の延長、これに按分したらどうかというふうに運輸省との間では話し合いをいたしておるわけであります。やはり償却資産全体に対して固定資産税を課す、その一部はいろいろ理由をつけて対象からはずしていくというふうなことはいろいろ問題が起ってくるのじゃないか、全体を公平に扱っていった方が、固定資産税の運用を円滑ならしめるゆえんではなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。従ってそれもやはり課税の対象にした方がいいのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/103
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104・靱勉
○靱説明員 今国鉄の方からお答え願いましたが、私どもの概算では大体〇・三というふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/104
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105・小川潤一
○小川説明員 専売はちょっと計算があれでございますが、大体売り上げが二千百億ですか、さっき申しましたように税金部門を除きまして、いわゆる電電、国鉄と同じように、ほんとうにものを買ったり作ったりするという点は約六百億になっておる次第であります。これが先ほど申しました固定資産が三百七十五億ですから、二回転弱、一・八回転と概算していただけば、けっこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/105
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106・大矢省三
○大矢委員長 亀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/106
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107・亀山孝一
○亀山委員 先ほど来靱副総裁及び石井国鉄経理局長のお話を伺いまして思い出すことは、先般この三公社の課税問題がきまりました際に、ある村長が参りまして、どうもこういうふうに課税をせられる結果は、先ほどちょうどお二人がお述べになりましたように、今後いろいろな施設をお願いする、ことに国鉄並びに電電公社にはお願いすることが多い場合に、納付金を出しているからというので、外様扱いという言葉は少しどうですか、少しそでにされはせぬか、本来ならば、これは先ほど中井委員からちょうど適切な御意見がありましたが、むしろ大蔵省が出すべき金を三公社にぶっかけたので、大蔵省が出しておいてくれればこんなことはなかったにというぐちを実はこぼされたのを思い出しますが、今お二人のお言葉を伺いますと、今後の合併市町村は別として、地方団体から両公社にお願いするときに、固定資産税にかわる納付金を出しているからというので、どうも何かとそでにされるというか、いやみをおっしゃるようなことがあっては、われわれとしてはまことに遺憾千万だと思うのでございますが、お言葉のうちにちょっとそういうことが示唆されたような気がいたすのでありますが、そういう点をこの際そういうことのないようにお願いしたいと思いますが、お二人から一つお話を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/107
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108・靱勉
○靱説明員 決してそういうようなことを暗示するような言葉を申し上げてないことは、速記録を見ればわかると思います。また私どもはほんとうの独占企業でございまして、これは国民のために奉仕する機関でございますから、いずれにしても法律でそういうふうにきまり、政府の御方針もきまっておるのですから、そういうものにいやみを言うような考えは毛頭ございませんから、その点はどうぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/108
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109・石井昭正
○石井説明員 実はそういうふうな気持に、私どもがかりにならなくても末端で仕事をしております者がなりはしないかということを、私どもも公共性の立場から非常に心配をいたしております。その意味でも一括納付ということで、中央で経費として落してしまうというやり方をいたしませんと、私の方は地方ごとに独算制を部内ではございますが、しいておりまして、地方ごとに営業計数を示してやっておりますから、従いまして個々の現場におきます課税ということよりは、一括納付の納付金あるいは交付金財源というような御処理の仕方をしていただく方が、そういう御心配はよけい少くすることになるのじゃないか、こう思って一括納付制度ということをお願いをいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/109
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110・亀山孝一
○亀山委員 今石井局長のお述べになりましたことは、午前中にも同じような問題に関連して中井委員から一括交付金への繰り入れということが出たのですが、結局は自主財源を地方団体に与えるということから今のような制度になったのでありますが、靱副総裁からはっきりとそういうそでにするようなことはないという御言明を得まして、何ですか石井局長はまだ奥歯にもののはさまったような言い方をされたので、どうかそういうことのないようにくれぐれも御注意を願いたいということを、特にお願い申し上げたいと思いますが、この際もう一度伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/110
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111・石井昭正
○石井説明員 どうも亀山先生におっしゃられて大へん恐縮でございます。実はそういうお感じを持たれたとするならば、これはただ両公社の経理状態の相違が御反映になったのではないかと思うのでございまして、私どもも十分公共的な使命を達し得るための財政力がございますれば、決してそういうことを申し上げるようなことはないということは確信を持って申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/111
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112・亀山孝一
○亀山委員 それでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/112
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113・大矢省三
○大矢委員長 横山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/113
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114・横山利秋
○横山委員 まず専売の方にお伺いしますが、先ほど私もやはり同じような印象を受けたのです。三公社の中で金額も少いかもしらぬけれども、あまり大したこともない、それで取るなら便利な方でやってくれ、こういう軽い印象を受けたわけでありまして、その点意外な感じをしたわけであります。なぜかと申しますと、ついこの間の大蔵委員会でピースの値下げその他についての法案の説明を承わりまして、大蔵委員一同、専売の売上収入が非常に激減をいたし、来年度の予算についても実に大わらわの苦心の状況が見えたわけであります。そういう状況の中でたばこを値下げして、何とか販売をたくさんにして、収支を償おうという議論の中で、一億円の固定資産税を支出することについて案外に簡単なお話でございます。考えますに、なるほどそうかという感じが今したわけであります。それといいますのは、あなたの方としては一億円をかりに出しても、それが損金に算入されて、国庫納付金がそれだけ減るのだから、もともとだというお考えがおありなんでございましょうか。その点を一つ承わらしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/114
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115・小川潤一
○小川説明員 どうも額が一億三千万円なものですから、軽い印象を与えたのでございます。私が言いたかったのは、先ほごある先生から言われた、たばこ消費税の問題に重点を置いて申し上げたかったのでありまして、たばこ消費税はなるほど一応経費の形をとっておりますが、それが多くなればそれだけ国庫納付金が減るという契約が大蔵省の方とできておりますので、このどっちへいっても問題ないという気持を説明したかったことから、そういう印象を与えたのでございます。実はきょう問題になっております固定資産税というのは、両先生のおっしゃるように私らとしても大へんな問題なんでございます。確かにことしは予算といたしましても、予定より五十億も穴をあけて補正予算の審議をお願いしたというようなことになりまして、私らは確かに一億でも五千万円でもこれを少くしなければならない。特にこの固定資産税の方は、一億三千万円お前の方で自前で持てというふうに来年度、三十一年度予算では、私ら自身でこの経費の節減を考えなければならないことになっております。しかも地方税と国庫納付金の両方を合せまして、私らかなり自信がなかったのでございますが、千五百二十五億というものを押しつけられているやさきでございます。従ってその中で一億三千万円というものを経費で出さなければならないことになりますので、私の表現が若干悪かったのでございますが、確かに公社としてはこの捻出には今後非常に真剣に考えていかなければならないと思っております。幸い明日からピースも値下げしまして、もう少し皆さんに吸っていただくという方向もとれるのじゃないかと思いますし、新製品も出しまして、何とかしてこの売り上げを伸ばして、売り上げさえ伸びますれば——私の方は実は御承知のように明日から値下げします四十五円のピース四十円が、原価はただの九円何がしであります。従いまして売り上げさえ伸びれば問題は解決いたしますので、経費の節減はもとより、同時に工夫と品質改善によって何とかこの点を御期待に沿うようにしたいと思っております。反面一億三千万円の捻出につきましては、今も行政管理庁に毎日研究をしていただいておりますが、いろいろ皆さんの意見を聞いて経費の節減、合理化というラインに驀進いたしまして、この点を醵出いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/115
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116・横山利秋
○横山委員 わかりましたが、一つ今度は形を変えて、三公社の皆さんのうちどなたでもけっこうでありますが、お調べ願っておるところにお答え願いたいと思います。それは三公社が公社になりました際は、たしか私の記憶によりますと、税金が一文もかかっていなかったように思うのです。その後年年歳々何の税金、何の税金というふうにいろいろな税金が三公社にかかって参りました。それで今どんな税金がかかってどのくらいあるかということと、それから根本的に公社設立当時に税金がかからなかった、税金はかけないというふうになっておったゆえんのものはどういうものであったか、どういう理由であったかという点について、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/116
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117・靱勉
○靱説明員 公社ができましたときに、私どもも相当大幅の免税の特権を得たわけであります。しかしながら過去におきましては明治時代の電信電話建設条例等がございまして、なお非常な特権を持っておりましたが、これは民主政治の原則からいっても、そう特権ばかりの上にあぐらをかいてはいかぬということで、公社法におきましても公衆電気通信法におきましても、かなり特権を剥奪されました。しかしながら今の固定資産税等につきましては、先ほどちょっと御説明申し上げました通り、これはやはり国としてこういう施設を国民の福祉増進のために施設するということであり、できるだけ安く、あまねく国民の利用に供するというような意味合い、ことに私どもの事業におきましては明治以来官営独占で参っておりましたので、どうしてもこれは民営か、公共企業体に変えなければならぬということで、全く占領当局の指示ではなく、国会においても特に御検討がありましてそれで公社ができたのでありますから、そういう意味合いで税金を課していないのであります。なおこれは政府の全額出資でございまして、もちろん個人の所有でも何でもない、やはり国の財産でございます。そこでただいまは、当時からまたかかっておるものもあります、その後追加されたものもありますが、あるいは不動産取得税、固定資産税につきましては事業の用に供しないものにはかけられておりまして、これが大体現在一億三千万円程度ですか、年にお払いしております。その他乗用自動車あるいは自転車、こういうものについては税金がかかっておる。さらに御案内かと思いますが、かつては民有地に電信柱を立てましても年にたしか一本四銭とか二十銭とかかかるというのがずいぶん長く続いたのでございますが、現在は大体電灯会社と同じように、民有地につきましては一本四十五円以上かお払いしている、これは税金ではございませんが、そういうような状況に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/117
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118・石井昭正
○石井説明員 大体のお話は今靱副総裁からお話がございましたが、なお国鉄にとって特別にかかっております税金を申し上げますと、ただいまお話のありました不動産取得税あるいは自動車税、直接事業の用に供しないものの固定資産税、諸車税のほかに、私どもは電気ガス税、これは来年度からは交通の用に供するものは除かれることになっておりますが、現在は払っております。それから鉱産税、木材引取税、それから来年度の予定としては軽油税、これは鉄道関係にはかかりませんが、自動車関係にかかります、あるいは都市計画税というようなものもかかることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/118
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119・横山利秋
○横山委員 靱さんにお伺いしたいのですけれども、今のあなたの話の中に気になる言葉が一つあります。あなたの御説明と、それから簡単に表現された言葉との間に食い違いがあるようであります。それは公社が設立された当時の趣旨をお話になった、そして特権という言葉をお使いになったのですが、本質的に政府の全額出資する公共企業体に対して税を免除することを特権とあなたはお考えでございましょうか、税を課するのがほんとうであるか、税を課さないのがほんとうであるか、公共企業体の本質論からいって、あなたはどちらを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/119
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120・靱勉
○靱説明員 少し言葉が誤まっておったかもしれませんが、一応特権と申しますと一般の国民に対していろいろな義務を強制するとかなんとかいうことについて、前の電信法においてはずいぶん特権があったわけでありますが、その中に課税は一切されぬというようなことがありましたので、おしなべて特権という言葉を使ったのですけれども、ただいま御質問のように内容について正確にいうとなりますと、実は公共企業体の本質というのは学者の間にもなかなか説がまだ分れておるのでございまして、公の所有である、すなわち政府の全額出資あるいは公の支配がある。しかしながらこれは企業的に独立採算で企業性を発揮していく、こういうところにあるという説明が一応通説でございますが、そういうものはほかにもまだあるのであって、必ずしもそれが公共企業体の本質ともいえない。しからば私ども電電公社をどういうように見るか、これは明らかに公の所有でありますし、また国の支配を受けていることは、予算面ほかすべてそういう形になっております。それから企業性の点につきましてかなりここに弾力性が加えられておりますが、一方から見ますれば必ずしもまだ十分でないという批判もあるかと思いますが、やはり企業としての独立性というようなものを考えていかなければならぬのじゃないか。公の所有であるが、そこに企業としての独立性を考えていく、もっと率直に申しますれば、独立採算制であるし、またかなり独立の形態として事業を経営していくということで、その点は政府機関とは違う。すなわちある意味においては経営者がある程度安定していかなければいかぬというような、いろいろな本質があるわけであります。ともかくこういう一つの企業をやっておるという場合に、これに課税すべきかどうか。政府としては現物出資でもちろん一文の配当も受けてない、これはやはり事業の発展段階にえいて考えらるべきものではないか。日本の電話は非常に普及発達していないために、国民は非常に不便を感じておる。だから公社に大いに経営能力も発揮させよう、それから資金もできるだけほかのルートも作ってやろうということであって、先ほど申したようにそれがまだ十分達成せられていないという場合において、政策的に考えれば、これに課税する価値というものは出てくるかと思います。公共企業体の本質で果して課税できるかできないか、私はこれは課税すべからずという本質にあるというふうに断言はできない。ただ国の政策としてどうかという議論はこれは大いにあるかと存じます。公社であれば、必ず課税免除であるべきだという通説なり本質というものは、私は肯定できないんじゃないか、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/120
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121・横山利秋
○横山委員 議論はまた別の機会にいたしまして、奥野さんにお伺いしたいのですが、先ほど各公社から共通的に出た意見でございますが、それはこれから課税する固定資産税は一四の税率だけれども、しかしながら今までの非事業用については各市町村ばらばらで、まことに困ったものだ、トラブルがある。こういうことで、できるならば取るにしても今回の一・四なり一定の税率で一括してやるように、一緒にしたらどうかという意見は、まことにもっともな意見だと思います。それができない理由はどういう理由でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/121
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122・奥野誠亮
○奥野政府委員 これは御承知だと思うのでありますが、三公社の持っております固定資産で、本来の事業の用に供していないものにつきましては、二十八年であったと思いますけれども、国会修正で固定資産税を課するものと定められたわけであります。この部分につきましては、課税上の負担を緩和するという趣旨の規定を置いておりません。今回新たに本来の事業の用に供する資産でありまして、全面的に固定資産税を課そうというような問題になりましても、果して本来の事業の用に供するものについても、固定資産税の形で行った方がいいのか、あるいは国会へ提案しておりますような納付金の制度で行った方がいいのか、本来の事業の用に供する資産、これにつきましては別段固定資産税の課税方式が悪いのだ、こういう議論もなかったわけでありまして、法律案に制定されているようにわれわれも考えております。またもしこれを納付金制度ができました機会に、納付金の方に移すといたしますれば、この部分について特に負担を緩和しなければならない理由があるかどうか、いろいろな問題が起って参ります。すでに課税しております市町村の財政状態につきましても変化を与えることにもなって参りますし、そこまで考えなくてもよろしいのじゃないだろうか、こういうことで、本来の事業の用に供します固定資産に課しますにつきましては、公社の事業の特殊性を考えまして、特別な制度を別に定めたわけであります。従いまして、また従来からの制度には何らの変更を加えない、こういう考え方に立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/122
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123・横山利秋
○横山委員 あなたのおっしゃる話では、絶対に今までの固定資産税の方式を今回の交付金及び納付金に関するやり方に変えてはならぬと思う、そういうことはできないのだという議論ではないようでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/123
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124・奥野誠亮
○奥野政府委員 さようでございます。また本来の事業の用に供するものに対しまして、固定資産税を課してはならないのだ、こういうことも言えないであろうと思うのです。ここは先ほど電電公社からお話しになりましたように、一つの政策、方針をきめる問題ではなかろうかというふうに存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/124
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125・横山利秋
○横山委員 ちょっとそこに誤解があるようだけれども、今回のこの交付金及び納付金の方式に、今までやったものも合せてしまって、各市町村でこちらは一・四%だ、向うは二・五%だ、こういうやり方で自治体とそれぞれの公社の間におけるトラブルをなくしてしまって、ここで一本に吸収をすることは不可能であるか、よほど重大なる支障があるかということを聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/125
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126・奥野誠亮
○奥野政府委員 不可能ではございません。しかし立法政策として考えました場合にどちらがいいかということになって参りまするならば、やはり従来通り市町村が従来の固定資産に対しまして固定資産税を課していく、これが二十八年二十九年、三十年とすでに三年もたってようやく安定して参っておりますので、これをことさらくつがえさないでやはりそこに市町村の自主性といいましょうか、独立財源という形をなお維持していった方が地方自治の立場からは非常に望ましいのではないかというふうに考えておるわけであります。また公社においてもできる限り固定資産所在の市町村の自治運営につきましては関心を持っていただきたい、また税を通じてそういう意見も積極的に言っていただけないものだろうか、そこの結びつきは私たちはやはり期待いたしたいものであるというふうに存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/126
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127・横山利秋
○横山委員 二十八年からやってもうすでに安定をしておる、こうおっしゃるのでありますが、私はどうもその点について見解が異なるのであります。先ほどの今度の納付金の配分方法における問題点がありますことは、今までの問題についても共通な問題だと私は思うのです。その点について公社側のどなたでもけっこうですけれども、今奥野さんのおっしゃるような、もう安定してしまっているというような御意見について、出す方の公社側としてどういう御意見をお持ちであるか、どなたからでもけっこうですが、お話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/127
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128・小川潤一
○小川説明員 私は皮切りに統一論をお願いしたのでございますが、今奥野さんもできないわけではないと言われるのでありますが、これは熱意があればやっていただけると思うのですが、どうも拝見いたしますと、法案も活版刷りになっているので、今さら手おくれではないかというのが実情のような気がいたします。しかしせっかく問題にしてわれわれの意見も聞いていただいたんだから、これを直すぐらい——どうもこれは本質論ではないらしいので、有能なる方々のおそろいの自治庁ですから直していただいたらいかがであろうか。税率を減らせとは申しません。確かに地方自治と関係しておる問題で、今までとっていた町村が減るというのはお気の毒ですから、そこらは私どもは譲歩してもいいのであります。金額の点は減らなくてもけっこうですから、手続きをこの際一本にしていただきたい。二本建てというのは本質論からいってどうもおかしい。手おくれを何とかしていただきたいものだと思っております。安定しているとおっしゃいますけれども、これは案外地方でトラブルが起きているようにも聞き及んでおります。たとえば公社の方で固定資産の方の帳簿整理をしていなくても、公共団体の方では、いやこれは固定資産だ、課税対象だとかいうので、かなりの見解の相違があっちこっちで行われているということを私聞き及んでおりますので、お互いに政府関係の役所なり公社がそんなことでトラブルを起して時間を費すのははなはだ残念でございますので、どこの公社も本社にちゃんと台帳というものがございまして、バランス・シートがはっきりしているのでございますから、一つもう一回御考慮をわずらわす方がいいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/128
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129・中井徳次郎
○中井委員 関連して、今の話ですが、いずれ事務的なことだろうと思うが、筋としては奥野さんの言うことが私どもわからぬわけでは決してありません。私はむしろ全部切ってしまえという考え方もしておる。国鉄や電電は非常にお困りでしょうけれども、一定の基準をやって全部やってしまえということですが、ただこの二つに分れているというのは、一方が非常に金額も大きく重要でありましたならば、それはその筋は通さなければならぬと思うが、現実には日本全国できわめてわずかな金額ではなかろうかと思うのですが、それはわかっておりますか、どれくらいの金額でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/129
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130・奥野誠亮
○奥野政府委員 税額にして五億円くらいのものであります。ただ固定資産税と納付金制度との間には、いろいろな面において違ってくる点は御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/130
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131・中井徳次郎
○中井委員 五億円程度ということになりますと、これは私ども委員会で研究をさしてもらって、特に自由民主党の皆さんに大いに研究していただきたいと思うのだが、先ほどの話にもありましたが、国鉄はとにかく七十数億の金をとられるので、この際電気ガス税だけは免除になったようです。そういうことはこの制度をきめる経過におきましてちゃんとやっておるのですから、私は今の問題は当委員会においても十分研究をしていくべきだ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/131
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132・横山利秋
○横山委員 それではその点についてはそういうふうにお願いをいたしまして、次に国鉄と電電にお伺いをしたい。
先般衆議院は、国鉄の政府からの貸付金の返済を一年二カ月延ばすという法律案を満場一致通過をいたしたわけであります。電電の方も何かそれと関連する問題が今ございますか、ちょっとお尋ねいたします。貸付金の返納の問題はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/132
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133・靱勉
○靱説明員 貸付金と申しますと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/133
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134・横山利秋
○横山委員 借入金やなどです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/134
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135・靱勉
○靱説明員 これは大体政府の方から拝借しておるものにつきまして、どの程度償還していくかという問題なんでしょうか。私どもはあんまり……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/135
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136・横山利秋
○横山委員 いや、わかりました。それではその点は関連がないのでございましょう。
それでは国鉄を中心にお伺いをいたします。ことし三十億の返す金を延ばしてくれと国鉄が要請し、それを政府が了承をした。その点については、国鉄には金がないという意見の一致があったにかかわらず、今回三十億、来年は七十億、これを国鉄が出すという、その気持が私にはわかりかねる。どんなに政府機関の一部であろうともその点がわかりかねるわけです。金が足らないから、今非常に財政が窮乏しておるから、三十億を一ぺんに返すのを待ってくれといいながら、その一方、それじゃ三十六億納付金を出しますということは、一体どういうことなのでございましょうか。その点国鉄の財政的な基本方針は、どういうふうになっておるのかをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/136
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137・石井昭正
○石井説明員 御指摘の通りはなはだつじつまが合わないような考え方でございますが、むろん私どもは固定資産税が課せられることは、現状の財政をもってしては不可能であるということは再三申し上げておりますが、政府においてこういうふうに御決定になったのでやむを得ず承服いたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/137
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138・横山利秋
○横山委員 先般日本国有鉄道経営調査会が答申した内容を見ますと、税制調査会がすでに答申をしたあと、つまり国鉄に固定資産税を増徴するという答申をしたあとのこの経営調査会の答申でありますから、その点を含んでおるわけでありますが、それによりますと、第一案では、国鉄は現行の運賃の一一%を運賃改訂によって調達せよ、そうしてもしも固定資産税増徴の場合は、その増徴分をその一一%に加えろ、こういっておるわけです。第二案は、現行の一五%を運賃改訂によってやれ、そうしてまたやはり固定資産税増徴の場合はその増徴分を入れろと、こういっている。そうしますと、どうも三十六億なり七十二億を出すということは、あなたの方としてはこの問題についての考慮を腹の中に入れておられるのか、それとも考慮なしで、何とか経営合理化によってこの納付金が生み出せる、こういう立場におられるのか、その点の見解を率直に述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/138
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139・石井昭正
○石井説明員 先ほど中井先生の御質問にお答えしたかと思いますが、私どもとしては単に税金の問題ばかりでなく、いわゆる老朽施設の取りかえあるいは施設の改良等の資金として、どうしても現状のままではならないから運賃の改正をお願いしたいということは常に申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/139
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140・横山利秋
○横山委員 その点についてはきわめて重大な問題でありますから、また別の機会に御質問をしなければならぬと思っております。
最後にちょっとお伺いしたいのですけれども、この三十六億なり七億なり一億ということが予算に計上されておるわけであります。奥野さんにお伺いしたいのは、各全国の公社の資産を評価し、それによって税率をかけるのだが、この額を越すことがあり得るのか、それとも予算に計上されておるこの額をもって最高額としておるのか、その点についてどういうふうにそろばんをおはじきになるおつもりかお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/140
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141・奥野誠亮
○奥野政府委員 固定資産の評価額を基礎にいたしましてこれに税率をかけるわけでありまして、予算には拘束されない。しかし予算は、大体評価額を基礎にして税率をかけた場合の金額であろうというふうに現在考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/141
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142・横山利秋
○横山委員 私の質問はこれで終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/142
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143・靱勉
○靱説明員 先ほど御説明した中にあやまちがございまして、はなはだ恐縮でございますが、訂正させていただきます。
現在かかっておりますのは、事業の用に供しないものに対して不動産取得税とか固定資産税、自動車税、自転車税がかかっている。それからそのうちで、固定資産税の事業の用に供しないものでかかっている年額は、三千万円に訂正願いたいと思います。はなはだ失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/143
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144・大矢省三
○大矢委員長 他にございませんか。——それでは本日はこの程度にいたします。
次会は明三月一日午前十時半に開くことといたします。本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X01519560229/144
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