1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年四月十三日(金曜日)
午前十一時五分開議
出席委員
委員長 大矢 省三君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 中井徳次郎君
唐澤 俊樹君 木崎 茂男君
纐纈 彌三君 櫻内 義雄君
渡海元三郎君 中嶋 太郎君
灘尾 弘吉君 丹羽 兵助君
堀内 一雄君 山崎 巖君
山中 貞則君 加賀田 進君
川村 継義君 五島 虎雄君
坂本 泰良君 櫻井 奎夫君
西村 彰一君 門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
出席政府委員
自治庁次長 鈴木 俊一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 後藤 博君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政部
財政課長) 柴田 護君
専 門 員 円地与四松君
—————————————
四月十三日
委員坂本泰良君辞任につき、その補欠として原
彪君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第五〇号)
地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫
負担等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第
八一号)
地方財政法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一〇八号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/0
-
001・大矢省三
○大矢委員長 これより会議を開きます。
地方交付税法の一部を改正する法律案、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律案及び地方財政法等の一部を改正する法律案の各案を一括議題として質疑を行います。
この際太田国務大臣から発言を求められております。これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/1
-
002・太田正孝
○太田国務大臣 昨日中井委員から御質問がございました。その趣旨はこういうように了解しておりました。定期昇給及び昇格を実施していない地方団体がきわめて多いが、昭和三十一年地方財政計画につきましては、給与費において大幅な是正が行われ、昇給財源も十分見込まれているので、政府はこのようなゆがんだ姿を昭和三十一年度において解消するよう、積極的に指示すべきであると思うがどうか、こういうように存じます。三十年度の問題につきましては、私の御答弁申し上げたあとで、財政部長からその状況を御説明申し上げます。今の御質問に対してお答えいたします。
地方公務員の定期昇給及び昇格の取扱いは、現行法制上におきましては、地方団体の条例で定めることとされていることは申すまでもございません。いわゆる定期昇給及び昇格が、条例定数及び予算の範囲内で、かつ勤務成績の不良であるものは除外するという基本原則のもとにおいて規定通り行わるべきことは、政府としてもちろん期待するところでございます。御指摘の通り昨年度におきましては、昇給を十分行なっていない地方団体も遺憾ながら相当数にわたっていたのでございますが、その後年末における財源措置等によって、政府委員から説明いたしましたように、その状況は相当改善せられております。また昭和三十一年度の地方財政計画におきましては、給与実態調査を基礎として、国家公務員の給与単価に準じて給与費を是正し、これを基礎として国家公務員並みの定期昇給を実施できるよう措置せられておるので、この状態はさらに改善の度を進めると考えるのであります。政府としては御趣旨を十分尊重の上、指導に遺憾なきを期したいと考えておるのでございます。またこの御趣旨につきましては関係方面に通知を出すことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/2
-
003・後藤博
○後藤政府委員 昨日申し上げました給与の昇給、昇格の実施状況、三十年度分でありますが、申し上げますと、一月になりますと、一月分はやらないところと不明なところと合せまして五県くらい、ですからそれ以外の県は昇給を実施いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/3
-
004・中井徳次郎
○中井委員 今承わりますと、大臣のお話で大体了解はできるわけですが、最後に関係方面に通知するということでございますが、関係方面と言われますと関係の府県、市町村、そういう自治体の理事者に通知を正式にお出しになるのであるか、その点を一点念のためにお伺いいたしておきますことと、それから今の後藤君の御答弁でございますが、一月には五県くらいを残してやっておるというが、それは過去のたとえば昇給ストップとか昇格というものを全部一月において整理をしてしまったのであるか、その辺のところをはっきり承わっておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/4
-
005・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げました趣旨は、お話のごとく都道府県、市町村に通知をいたす予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/5
-
006・後藤博
○後藤政府委員 今申しました一月の昇給分は、県によりまして、過去の分まであわせてやったところとそうでないところ、それから条例を改正して昇給期間の延伸をはかったところ、それからある程度の全体のパーセントをきめてやったところ、そういうものがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/6
-
007・中井徳次郎
○中井委員 今の後藤君の御答弁ですが、ちょっと表に作って出すというのは、あるいは少し技術的に困難な面があるかもしれませんが、できれば一覧表にでもして、この委員会にお出しをいただきたいということをお願いいたしておきます。
それから府県、市町村に対して通知をお出しになることでありまするが、この問題は、御案内の通り数日前から、全国から地方公務員が大ぜい出かけて、私ども陳情を受けております。そういう意味からいいまして、私はこれはできるだけ早期にお願いをいたすべき筋合いのものであろうと思いますし、またできれば、そういう基本的な勤労者の権利でございまするから、基本的なこととして十分な力強い勧告の内容にしていただきたい、かように私は希望いたしておるものでありますが、その点について、時期等について一つ御回答をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/7
-
008・小林與三次
○小林(與)政府委員 ただいまの全国都道府県並びに都道府県を通じて市町村に出す通知につきましては、できるだけ早く、できたら、きょうじゅうにでも出したいと思っております。それで自治庁として許される限度で、御趣旨に沿うような趣旨で通知を出したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/8
-
009・大矢省三
○大矢委員長 よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/9
-
010・中井徳次郎
○中井委員 それじゃ一応今の問題については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/10
-
011・大矢省三
○大矢委員長 ちょっと私から聞きますが、人事委員会は各府県で大体直接選挙で独立しておるような格好ですが、特に関係の深い各府県の人事委員会に、そういう政府の方針を通達する御意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/11
-
012・小林與三次
○小林(與)政府委員 通知は知事の方と人事委員会の両方へ出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/12
-
013・大矢省三
○大矢委員長 それじゃよろしゅうございます。
質問は通告順によってこれを許します。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/13
-
014・川村継義
○川村(継)委員 大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、実は一昨日の委員会でお尋ねしたいと思っておりましたが、大臣が途中でどこかへおいでになりましたので、お聞きすることができませんでした。それは今議題になっております地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律案と直接は関係ないと思いますけれども、やはり地方の負担になっていくのじゃないかというおそれを非常に持っておりますので、この前からお聞きしているわけです。内容については次長及び財政部長からいろいろお聞きいたしましたが、まだ私としてはどうしても納得のできない点がありますからお聞きするわけです。
それは大臣も御承知だと思いますが、本年度政府の一つの重要施策として、農山漁村の建設総合対策というのが立てられておるはずであります。その中で、新農村建設という名目で国から補助をして、この目的を達したいというような問題があるわけですが、私の知るところでは、何べんも申し上げましてくどくなりますけれども、大体次のようになっておるようであります。すなわち全国の市町村に年次別に計画を及ぼすという構想のもとに、本年度は全国市町村の中から五百町村だけ指定いたしまして、これに補助を出して、今申し上げます新農村の建設をやろう。この五百町村の指定にはいろいろ方法が考えられておると思いますが、財政面であります。つまり指定された町村には、完成年度をニヵ年と見て、一千万円を予定する。本年はとりあえず六百五十万円ということで考えておるようであります。ところがこの補助率は大体三割から五割ということで、平均四割と見ておるようであります。そうすると、指定された一町村の補助金は、四割といたしましても二百六十万円という国から補助が行く。ところがそうなりますと、残りの三百九十万程度のものは、その指定された町村が負担しなければならない、こういう結果になると思うのです。ところがこれは財政計画の面ではもちろん考えておられないし、本年度はこれが五百ヵ町村でありますけれども、全国の市町村に及ぼそうということでありますから、当然われわれとしては問題として考えなければならない、こういうふうに考えるわけです。これについて市町村が負担する財政関係がどういうふうになっていくのか、この前の次長及び財政部長のお答えでは、この補助対象は農村あるいは漁村の団体で、農業団体であるから、直接市町村は負担しないというような意味の御見解がありましたけれども、私はどうしてもそのまま受け取りにくいのです。大臣としては、閣議でもいろいろの決定された問題でもありましょうから、大臣のそれらについての御見解をとくと承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/14
-
015・太田正孝
○太田国務大臣 川村委員にお答え申し上げます。御指摘の農山漁村建設総合事業費補助金は、その十分の四に当る十三億を国費で出すことになっております。残りの十分の六の問題でございますが、事務当局から申し上げました通り、農業団体等においてこれを出すことになっておりますので、町村関係としてはこれを負担しない、こういうことにしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/15
-
016・川村継義
○川村(継)委員 大臣の今のお答えは、次長及び財政部長のお答えのお言葉と同じなんですけれども、農業団体が負担すると申しましても、果して実際そういうことになるのかどうか。一体農業団体といっていろいろありましょうけれども、かりに農業協同組合にそういう負担ができるのかというと、おそらく私は不可能じゃないかと考えるわけです。特に今大臣、及び先日次長からもそういうお話がありましたけれども、農林省が説明いたしております説明の内容から見ると、やはり私が申し上げておるような疑念がどうしても去らない。農林省の説明いたしております言葉の中にも、前文を略して申し上げますと、市町村の樹立する振興計画に基いて、年次を追ってその達成をはかること云々、そうして助成をやる、こう書いてあるのです。この前申し上げましたように、かりに青年団なら青年団——何かしらん、ちょっと仄聞するところでは、計画の懸賞募集をやって、これを指定しようというようなこともある。まさかそんな子供だましのようなことはなさらないと思うが、そういうことをやった場合に、ある青年団が指定された場合には、決して青年団は負担はできないわけです。また農業協同組合が負担するということになりましても、これはそのまま農業団体が負担するからということで納得はできません。当然これは市町村にかぶっていくのではないか、そういうことは長官としてもしっかり把握ができるのではないか、こう私は思うのです。確かにそういうふうに市町村には全然負担がないのか、どうも私としてはその点納得参りませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/16
-
017・太田正孝
○太田国務大臣 この振興計画の実行につきましては、いろいろな経過をたどりましたが、四月六日の閣議におきまして新農山村建設総合計画の要綱をきめたのでございます。その振興計画の趣意は、農山漁村に関する生産設備の整備、農林漁業の経営の改善及び技術の改良、農山漁村民の生活の改善及び農林水産物の生産及び販売の調整等について、これらが相互に有機的に関連を持ちつつ総合的な効果を上げるよう樹立すること、こういうことになっておりますので、相当農林漁業関係のお方々に利益と申しますか、有利になって参りますので、こういう意味から申しましても、団体の費用にこそはなっても、市町村が負担するということにはならないのでございます。六割の団体負担のうちでもって四割が融資で、二割が地元の負担になっております。さよう御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/17
-
018・川村継義
○川村(継)委員 今の御答弁で相当はっきりしてきたように思いますけれども、せっかく本年度は大臣が苦労なさって財政計画をお立てなさった、しかしこういうような事態が一応閣議決定ということでそうなっておりましても、実際それが施行される場合には、思わざる負担を市町村にかぶせていったならば、とんでもないことになる。せっかく当委員会でも地方財政の打開のために、長い間努力せられたことが水泡に帰するのではないか、こういう心配をするわけです。先には消防団員のああいう法律案ができまして、四千万円というようなことがぽこっと飛び出してくるというようなことがあったりいたしまして、非常に残念に思ったようなことがあったのでありますが、ただこういうような問題を政府として今農村計画に手を打つと、あるいは失礼な言葉かもしれませんけれども、一つの選挙対策みたいな考え方で、こういうことをただおやりになって、それが地方財政の負担にはね返っていくような事態ができては、大へんなことになるのじゃないかと思うのであります。もしも将来そういうことが起きた場合には、五百町村というものが指定されましょうが、起きた場合には大臣としてはどういうふうに対策を立てていかれるおつもりか、その辺も一つあわせてお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/18
-
019・太田正孝
○太田国務大臣 御忠告また御心配の点につきましては、私も深く心に刻んでおきます。万々そんなことのないように善処していきたい、また指導していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/19
-
020・中井徳次郎
○中井委員 私はきょうはちょっと特殊なことであとでお尋ねしますが、その前に今の川村さんの御質問に関連してですが、後藤君もまた今大臣も、地元負担の関連におきまして、市町村には——特に町村でありますが、ほとんど負担がかからないというふうに楽観的にお考えになっておると思うが、現実には私は非常にかかってくるように思えてならないのです。今のように技術の改善ということになりますと、やはり道を直すとか排水をどうこうするということになりますと、一つの部落について考えてみましても、だれがそれを負担するかということがはっきりわからない面が必ず出て参ります。そういう場合にはこれまでの長年のしきたりで、やはり町村にそれがかぶさってくる。この点は自治庁が——農林省が予算をとったときに抜からずやはり自治庁も、これは地元負担にあるとすると五分や一割は市町村にかかるということで財源をとってもらいたかった、こういう意味で尋ねておるというふうにもとれたものですから、この点一言申し上げておきます。
それからこれはちょっと緊急なことなんですが、実は福岡県におきましては県会が非常に理事者と対立いたしまして、この三月三十一日に流れてしまいました。そうしてすべての議案が流れてしまいまして、県知事は予算なんか強制的に専決処分か何かでやっておる。それに関連しまして、九州地方では四月一日から俗に言う宝くじを発行しておるそうであります。この宝くじはおそらく自治庁の認可を必要とされるのでありましょうし、また県の内部においては県会の議決を必要とする。そうでなければ私は無効であるのではないかと思います。有価証券みたようなものでありますから、現地におきましてはこの点について、非常に法制的な疑問が巻き起っておるように私はけさ承わったのであります。これについて自治庁側の見解を伺って、そうして現地の紛争の調停の資料にしたい、かように存じて私はお尋ねするのでありますが、これはどうでございましょうか。福岡県単独ではなくて、九州全体としてやっておるようであります。それはどういう組合でやっておるのであるか、その法制的な組み立てばどうか、その場合に福岡県の知事はどういう関係にあるか、これをちょっと御回答願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/20
-
021・太田正孝
○太田国務大臣 第一の問題につきましては、地方市町村の負担にならないように十分注意申し上げます。
第二の福岡の問題につきましては、財政部長よりお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/21
-
022・後藤博
○後藤政府委員 福岡の宝くじの問題でありますが、私どもの方針といたしましては、各県別にやるのを建前にいたしております。しかし小さい県でやりますと、賞金の額が非常に小さくなって参ります。そうすると売れ行きに非常に影響がございますので、各府県からの要望でもってブロツク別にやらしてもらいたいという要望がございますので、そうとう方式も認めております。それから全国一斉にやるのも何回か認めております。ブロツク別にやります場合に、もちろん個々の団体ごとにそれぞれ議会の承認を得てやるのでありますが、今回の福岡の場合にはその承認が得られない状態にあるものではないかと思います。われわれの方といたしましては、協議会に対して許可をするという方式をとっておりますので、事後において県会に諮って承認をすれば、やはり福岡県で販売したものに対するところの収益分は県に入ってくる、こういうふうに考えたらいいのではないか、そういうような事後承認の措置をとって福岡県分を福岡県に回すようにしたらどうかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/22
-
023・中井徳次郎
○中井委員 その団体の名前は何と言いますか。それから自治庁はその団体についていつ認可をしたのか、そういう点をちょっとお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/23
-
024・後藤博
○後藤政府委員 団体の名前は今正確に覚えておりませんが、宝くじというのは法律用語はむずかしいのでありまして、その下に九州地区協議会というのがついておるのであります。これを認めましたのは、大蔵省から宝くじの仕事の引き渡しを受けました二十九年ごろからたしかやっておると思います。全国的にやったのではありません。初めは東北とか特殊な地区だけでやつたのです。それを全国的に希望がございましたので、昨年からは全国的にブロック別に認めております。認可というのではなくて、あれはたしか一部組合の形になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/24
-
025・小林與三次
○小林(與)政府委員 その具体的な組合の名前はよく知りませんが、自治法上では都道府県の協議会の形でやっておるはずであります。それでありますから、協議会の規約そのものは議決できめまして、こちらの認可は要らぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/25
-
026・中井徳次郎
○中井委員 そうしますと、協議会を作ったときには、協議会は自治庁において認めますが、その協議会が個々に宝くじを出すというときには自治庁はもう経由をしないのですか、そのときは一々大蔵省でございますか。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/26
-
027・小林與三次
○小林(與)政府委員 協議会の設置は、その宝くじを発行する事務だけを共同処理するということで、自治法に基きましてその関係団体が、議会の議決で規約を定めて、作りまして、自治庁の承認は要らぬのです。宝くじ発行は今の宝くじ発行の法律の規制によって、これは中央の承認か許可が要ることになっておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/27
-
028・中井徳次郎
○中井委員 この宝くじの発行について、組合が自主的にできて、決定をする。しかしそうなりますと、一部組合の内部において、たとえばちょうど学校組合を作って、一つの新制中学を作るという決議をその組合でもってして、学校がいよいよできる、ところがそのうちの一つの村は村会においてその学校の建設というものについて否決をする、そうして非常な紛争を巻き起すというような事態と、法上は私は全く同じだと思うのでありますが、そういう場合の理事者の責任、それからその村あるいは——今の場合は福岡県と組合との関係、この法律的な関係はどういうふうになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/28
-
029・小林與三次
○小林(與)政府委員 ちょっと具体的な事件がよくわかりませんから、正確には申し上げかねますが、今お尋ねのように、組合と協議会と似たようなものでございます。そこでその協議会では経費支弁の方法というものを規約できめておるわけでございます。規約で定まった範囲内では、それぞれの団体が一種の義務的支出として、負担することになるだろうと思います。それでその団体の経費負担は、もちろん団体の議会の議決が要るわけでございまして、その団体では、規約で定まった義務費をいわば支出すべき義務を負っておる。今度の場合は、その予算が通らなかったわけですが、それがおそらく先決処分で予算全体をやったとすれば、その先決処分をやられた予算の中に、協議会の負担金の経費も計上されておるんじゃないか、こういうふうに想像されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/29
-
030・川村継義
○川村(継)委員 私がお尋ねいたしておりました問題は、大臣から答弁をいただいたのですが、今度国庫負担の負担率等を引き上げたりして、非常に御努力下さったのですけれども、今の新農村建設の問題につきましては、一応大臣としては、市町村は負担できないという御見解のようでありますけれども、実際末端市町村で生活しておりますものの立場からすると、いろいろなものがおおいかぶさってきているのは事実でございますから、その点は一つそういう結果にならないように、さっき大臣の御答弁がありましたように、御努力願いたいと思います。それから私はほかに二、三概括的なことをこの際お聞きしておきたいと思うのです。一つは地方財政法の一部改正についてでありますが、第三十三条の地方債の特例を削除されましたその理由を、少しこまかに御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/30
-
031・後藤博
○後藤政府委員 三十三条を削除いたしましたのは、地方財政法の第五条の改正のときに、本来は削るべきものであったのであります。ところがその中に自治体警察の規定がございましたので、自治体警察が存置いたしました間は、この規定を存置いたしておったのであります。従って実質的には第五条の改正で働かなくなっておった規定を、自治体警察の関係でもって、今まで残しておりましたのを、自治体警察の関係で今度は逆に全面的に削除しよう、こういう建前をとったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/31
-
032・川村継義
○川村(継)委員 三十三条の削除は、自治体警察の問題があったから、今度まで残ったということでありますが、第三号の「消防の強化に伴う施設の建設費」というのも削られておるのです。これが削られたことは、つまり地方債としての特例を認めない。こういうことは、どういうような理由、見解からこの消防というものを削ってしまったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/32
-
033・後藤博
○後藤政府委員 第五条の規定の改正がかつてありました際に、こういうものは全面的にやめるような文句に直ったのであります。五条の、前の文章と比較するとよくわかりますが、土木施設等の公共施設又は公用施設の建設事業費の財源とする場合この中にみな入っておる。公用施設の建設事業費の中に消防ももちろん入るということでありまして、別にここであらたまって書く必要はないということになっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/33
-
034・川村継義
○川村(継)委員 そうすると、消防施設強化促進法に基いていろいろ施設をやりたいというような場合には、起債というものはできるわけですね。
それでは次にもう一つ、概括的な問題でありますが、交付税の問題につきまして一つお聞きしておきたいと思うのです。交付税法の一部改正で、測定単位、それから単位費用の改正がなされておりますが、経費の種類ごとに一べついたしましても、単位費用の額を見ましても、ずいぶん問題になるような点があるようでございますが、特に都道府県分の土木費関係で単位費用が相当下っておる。道路費にいたしましても橋りょう費にいたしましても、たとえば橋梁の費用のごときは百三十七円六銭、それが八十四円というように、ずいぶんっ下いる。全部下げている。この辺の見解をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/34
-
035・柴田護
○柴田説明員 土木費につきまして、単位費用が結果的には下っていますが、下っておりますのは、軽油引取税が新たに設けられることになりましたに伴いまして、軽油引取税は目的税でございますので、そのものにしか使えない。従ってこの引取税は基準財政収入の計算には入れません。そこで、基準財政収入の計算に入れませんので、軽油引取税の約半額程度を基準財政需要額の中から特定財源として控除いたしたわけであります。従いまして反射的に単位費用が落ちておりますけれども、給与費の是正等の措置は計算に入れておりますので、軽油引取税を考慮しない場合においては、単位費用は上っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/35
-
036・川村継義
○川村(継)委員 軽油引取税は道路に使うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/36
-
037・柴田護
○柴田説明員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/37
-
038・川村継義
○川村(継)委員 そうするると、今度の土木費は道路、橋梁、河川、港湾、みな下っているでしょう、今の説明どうもはっきり納得できないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/38
-
039・柴田護
○柴田説明員 私説明を漏らしました。そのほかに土木費につきましては、国庫補助負担率が非常に上っております。国庫補助負担率が上りますと、国庫補助負担金が標準団体の標準行政費の計算の場合にふえて参りますので、その分は特定財源として控除されるわけであります。従いまして国庫補助負担金のふえました分だけ特定財源としてふえて参りますので、結果的には若干下っておるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/39
-
040・川村継義
○川村(継)委員 今度の交付税の大臣の説明を聞きますと、こういうような投資的な経費には相当大きな突っ込みをしたいというような意味の説明があったと思うのです。今の投資的経費が多くなったから単位費用を下げてしまった、どうもまだぴんとこないのです。この単位費用を見てみますと、ここにあげてある費用の数字は、第二十二国会で改正された数字の費用に近い。特に昨年度末の臨時地方財政に関する特別措置法というような名前の法律案が出たときには、今度大臣が説明されたような趣旨にのっとって相当単位費用が上げられたはずであります。そのときの説明で、その積算の基礎などを見ましても、相当そういう面が上っておる。それがそこに出ておる。たとえば道路費であれば六円九十四銭、橋梁費であるならば百三十七円六銭、こういうふうになっております。二十二国会の税法改正のときの単位費用に非常に近い数字が出ておるのに、今度急に下げられたということは、負担率の云々という問題と考え合せましても、どうもはっきり納得いかないのですが、たとえば橋梁費なら橋梁費という一例でいいですから、もう少しその積算の基礎等を明らかにして説明していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/40
-
041・柴田護
○柴田説明員 道路費について簡単に申し上げますと、府県の場合、標準団体の道路面積は千五百五十六万平方メートル、従いまして測定単位の面積は千五百五十六万平方メートルでありますが、経費総額は二億二千四百万円と考えております。これに対しまして特定財源を二億一千六百万円というように計算いたしまして、結果的に一般財源は七百万円で済む、この七百万円を測定単位の数値で割りますと、消費的経費の方の測定単位当りの費用は四十六銭になります。これに対しまして別に投資的経費の一平方メートル当りの一般財源を計算いたしまして、測定単位の数値で割りますと、三円四十六銭、これで両者合せまして三円九十二銭、三十年度に使いました例の臨時特別法に基きます計算の場合の単位費用は、消費的経費は二円六十銭、投資的経費は四円三十銭であります。従いまして、三十年度の最終に使いました単位費用の合計は六円九十四銭になりますが、これに対しまして三十一年度が若干下っておりますのは、この中には軽油引取税の部分の大体六割程度が特定財源として道路費並びに橋梁費に使われるという計算をいたしておるわけであります。従いまして、もし軽油引取税がないといたしますならば、六円九十四銭は若干上る、給与費の是正分だけが、つまり〇・二五の期末手当の上りました部分の平年度化いたしました部分だけが上った、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/41
-
042・後藤博
○後藤政府委員 こまかい点を今説明しましたが、総額で申し上げますと一番わかりいいのではないかと思います。標準団体の経費の総額を上げておるのであります。道路費につきましては昨年の標準団体の経費総額は二億二千二百四十五万円、こういう計算をしております。それを三十一年度は二億二千四百万円にしております。従いまして百五十四万円だけ経費税額を上げております。あとの計算は今申しました国庫支出金が多くなって参ります。それから税がありません。そういう関係を差引いたしまして、特定財源を落して参りまして、残ったものを数値で割っていきます。そういう関係で下っておりますが、総題は上っておるのであります。従って全体から見ますと、経費の総額を多く見積っておる。従って昨年よりも改善されている、こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/42
-
043・川村継義
○川村(継)委員 いろいろこまかな数字を説明いただきましたけれども、なかなか一回ではっかめないのです。今の説明の中に、標準団体における所要の一般財源を、財政課長は七万幾らと説明したようでしたが、つい昨年末には九万八千五百四十四円と算定しているようで、標準団体における所要の一般財源額というものが七万幾らとなった、そこのところを一つもうちょっと説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/43
-
044・柴田護
○柴田説明員 道路費の一般財源の計算をいたします場合には、経費の総額を標準団体について計算いたします。それから国庫補助金、道路の場合で言いますと道路占用料、それから目的税でございますので揮発油譲与税、それから今度は軽油引取税ができたのでありますが、そこで軽油引取税のできません場合には、国庫負担金と受益者負担金、雑収入というものだけを引いたのが、一般財源になるわけでありますが、今度の場合は軽油引取税が入っておりますので、その六割程度を道路費と橋梁費に投入するようにして計算している。従って一般財源額はそれだけ少くて済む、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/44
-
045・川村継義
○川村(継)委員 こまかなことはなかなか詳しくつかめませんが、単位費用と今のような説明を項目別に表にでもして説明していただきたいと思いますけれども、それは相当時間を要する問題でありますから、これらの経費の種類の中から一つだけ抜き出して、もうちょっと御説明願いたいと思いますことは、教育費の中に高等学校の費用がありまして、生徒一人について九千八百十円となっております。これらの積算されました基礎を、なるたけわかりやすく説明していただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/45
-
046・柴田護
○柴田説明員 お手元に実は「各行政項目別単位費用算定基礎」というものを、すでに提出いたしておりますので、詳しくはそれでごらん願いたいと思いますけれども、御質問のありました点を簡単に御説明申し上げますと、高等学校につきましては道府県の標準の施設は生徒大体七百五十人、教職員は三十三名。校長一人、教諭三十名、事務職員二名、雇用員三名、こういう計算をしております。この道府県の場合におきましては、人件費と維持費が入っておるわけでありますが、この標準団体の経費総額は今申し上げました教職員につきまして、それぞれ給与を計算し、その施設についてそれぞれ維持費を計算し、生徒経費を計算いたしまして、そしてその団体の経費の総額を出すわけであります。三十一年度の単位費用を出しました標準団体の経費の総額は千二百九十一万円で、この千二百九十一万円に対しまして、国からの支出金が三百三十万円ある。それから高等学校の授業料が五百五十五万七千五百円ある。差引いたしますと、一般財源に求めるべき額は七百三十五万円である。そこでこの七百三十五万円を標準団体測定単位の数値の七百五十で割るわけであります。そうして計算いたしますと、九千八百十円という単位費用が出てくるわけであります。この場合の標準団体の高等学校の単位費用というのは、普通課程の高等学校の規模を想定いたしておりますので、基準財政需要額を計算いたします場合には、この普通課程の単位費用の九千八百十円を基礎にいたしまして、商業課程、工業課程、農業課程、それぞれ課程別に種別の補正をいたしまして、そして計算していくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/46
-
047・川村継義
○川村(継)委員 今の積算の基礎は、これを見れば大体わかりますね。それで九千八百十円から今度は通常課程であるとか定時制であるとか、そういうものが補正係数で出していかれるわけですが、補正係数は通常課程あるいは定時制課程でどういうふうになっているか、ちょっとお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/47
-
048・柴田護
○柴田説明員 昭和三十一年度の種別補正の係数は試算中でありまして、まだこれは申し上げるまでの数字が出ておりません。便宜昭和三十年度の臨時特別措置法によりまして計算いたしました場合の補正係数を説明させていただきたいと思います。
昭和三十年度において使いました補正係数は、普通課程を一といたしまして商業課程が一・一〇、農業課程が一・七二、工業課程が二・四九、水産課程が一・八五であります。定時制につきましては独立校と併設校と分けております。それから県立学校の生従の場合と市町村立学校の生徒の場合と分けております。県立学校の生徒の場合におきましては、普通課程は〇・七七、商業課程が〇・八四、農業課程が一・二九、工業課程が一・八二、水産課程が一・三八、また市町村立学校生産の場合におきましては、普通課程が〇・七二、商業課程が〇・七七、農業課程が一・〇四、工業課程が一・二一、水産課程が一・一二。定時制高校の場合におきましては併設校がありますが、併設校の場合におきましては経費がさらに安くなりますので、補正係数は、県立の場合におきましては、普通課程は〇・六〇、商業課程が〇・六六、農業課程が一・〇一、工業課程が一・三六、水産課程が一・〇七、市町村立学校の場合は、普通課程が〇・六六、商業課程が〇・七一、農業課程が〇・九七、工業課程が一・一三、水産課程が一・〇一であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/48
-
049・川村継義
○川村(継)委員 この補正係数は、ずいぶん考えてもらわねばならぬ問題点があるのではないかと私は思うのですが、その前に、この中に算定されます給与単価と財政計画上の給与単価とは違っておるのではないですか。それはどういうふうになっておるか、ちょっとお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/49
-
050・柴田護
○柴田説明員 ちょっとこまかい資料を持ち合せておりませんけれども、大体の考え方を申し上げますと、単位費用を計算いたします場合には、従来は従来は級別の職員数を考えておりまして、つまり先ほど申し上げました高等学校の場合で申しますと、三十何人の教員が、校長先生は何級、それから十二級職員は何人、十一級職員は何人というふうな計算をいたしておりましたが、その結果計算いたしました平均単価が、財政計画の給与単価とだいぶ違っておる。そこで今回の計算では、それを財政計画の給与単価を直しましたのに合せまして、平均単価におきまして財政計画の平均単価にほぼ見合うように改定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/50
-
051・川村継義
○川村(継)委員 私たちが考えてみるのに、都道府県の財政は相当窮屈になっておる。昨日から大臣に対して同僚委員から昇級昇格の問題等いろいろ質問があったわけでありますが、昇級昇格がストップされているという県もたくさんあるし、三十一年度自治庁としてできるだけの処置をしてやろうということでありますけれども、これはなかなか困難な状態にあろうと思うのです。特に財政再建促進法の適用を受けようとする団体等においては、御存じだと思いますけれども、今給与の昇級昇格分はほとんど予算に見ておらないとか、あるいは五百人、六百人の人員整理が要求されておるとか、非常に憂慮すべき事態がそれぞれの団体に起きてきておるのも数少くありません。都道府県の教育費がこの財政に相当大きなウエートを占めておることは当然のことでございますが、その中で義務制は国庫半額の負担があったり、あるいは交付税の算定で見合っていくというようなこともありますが、高等学校はやはりいわば純県費でやらねばなりませんので、県費の持ち出しというのが相当大きくなっていくことが考えられるわけであります。そこで高等学校の単位費用の算定にいたしましても、特に今課長から説明いただきました定時制等の係数については、私はもっともっと御研究していただきまして、そういう事態の起らないように一つ御配慮を願いたい、こういうことを思うわけです。特に定時制は近ごろ教育の上において、少しまま子扱いを受ける傾向が出てきたような感じを受けるのですけれども、これは勤労青年の教育を受け持つ大事な機関でありますから、今の独立学校における普通課程の場合でも〇・七七というのは果してそれでいいか。幸いにして三十一年度の係数は今研究中であるということでありますから、この〇・七七という係数をもう少し大きくしていただいて、定時制のこれがほかに食われないようにお考えはできないものか、その辺のところを一つ課長からでも部長からでもお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/51
-
052・柴田護
○柴田説明員 定時制課程の問題につきましては、かねてから文部省方面からもやかましく言われて私たちも去年文部省と共同調査をしまして近県を見て歩いております。その結果本年度の補正係数をきめます場合におきましては、御趣旨の点を尊重して十分検討していくということに相なっております。そのつもりで作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/52
-
053・川村継義
○川村(継)委員 私今概略一つの問題をお聞きいたしましたが、その点につきましては地方の都道府県の財政の問題と考え合せまして、また教育の重大な立場を考えて一つ十分御配慮願いたいと思うわけであります。
それから交付税の問題につきまして、これはいつか同僚委員から質問があったのじゃないかと思うのですけれども、今後国有資産等の法律が通りまして、いよいよ三公社等の固定資産等から納付金として入ってくるわけですが、これだけその地方団体の財政収入と見なされる、そうしますと一応財政需要額は動かないと仮定いたしました場合——これは当然動くでしょうけれども、動かないと仮定した場合には、そういうような納付金や交付金の収入が増加して参ると、それだけ財政収入がふくらんでくるわけですから、交付税は当然それだけ減ると考えるのは間違いございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/53
-
054・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいますように、交付金がふえて参りますとそれだけ交付税が減る、総額じゃありません、七割だけ減る、こういう計算になります。ただ国有林野につきましては、かつて交付金がございましたので、国有林野の分だけにつきましては、今回の増額する分だけについてその取り扱いをする、過去に受けた額の同額については交付税の差し引きはしない、こういう建前にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/54
-
055・川村継義
○川村(継)委員 今財政需要額をかりに動かないものとした場合には、財政収入が増していけば、今説明のように交付金はそはだけ少くなっていく、そうするとその団体は結局財源の不足額というのは当然減ってくる。それを全国的に見ていきますならば、相当不足額というものが少くなっていくのじゃないか、こういうふうに一応私としては考えてみるのですが、その場合交付税額というものは、国で予定しておるものだけが配分される場合にどういう結果になっていくだろうか。たとえば三十年度の都道府県の財源不足団体の数字を見てみますと、基準財政需要が千八百八十七億一千万円余りになっておるようですが、基準財政収入が八百五十九億四千万円余りになっている。財源不足として一千二十七億六千万円余り出ておりまして、それに財源不足額に対する普通交付税が同じように一千二十七億六千万円余り交付されておる。そうしますと今の財政収入が増していけば不足額というものは少くなる、そうすると交付する金が少くて済むんじゃないか、こういうようなことを考えるが、そこのところは運営上どういうような関係になってなされるのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/55
-
056・後藤博
○後藤政府委員 交付金が出ます関係で、個々の団体別に見ますと、交付税の額が減るということはあり得ると思います。これは財源の総額がふえるのでありますから当然で、つまり交付金が税に振りかわるわけであります。しかもその団体は交付金の三割分はやはり余裕財源として別に回し得るという利益があるのでありまして、交付金は減りますが財源全体はふえる、こういう格好になります。これを市町村を通じて見ますと、三十年度市町村に参りました交付税の総額は四百八十五億でございます。三十一年度を現在試算して参りますと、大体それに近い額、四百八十二、三億になりはしないか、こういう計算を私どもはしております。これはもちろん見込みでありますから正確な計算をしなければわかりませんが、大体昨年度と変りないだけの交付税が参るのではないか、かように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/56
-
057・川村継義
○川村(継)委員 では次にもう一つ別の問題をまた概括的にお聞きいたしますが、これも国庫負担の法令と直接関係はないのじゃないかと思いますが、いろいろ国が補助をして仕事をやらせておる場合に、特に補助金の公共事業関係については、今度率を引き上げてもらうことになっておる。一般の公共事業以外のものでも、補助金関係のものがたくさんあるのですが、その中で国からの補助事業をなす場合、市町村なら市町村に補助金が行ってその仕事をさせる場合に、県なら県にいわゆる監督あるいは指導と言いますか、そういう意味の手数料というのですか、そういう補助も行くんじゃないかと思うのです。ところがどうもそこに均衡のとれていない問題があるように思うのです。たとえば、小さい例ですけれども、文部省によく聞けばわかると思いますが、危険校舎の改築というようなものがありますね。市町村で補助を受けて危険校舎の改築をやる、あれは三分の一の補助だったと思うのです。ところがそれをやらせる場合に、県の教育委員会にそれを指導し監督して事業を完成させるまでの手数料というのですか、名目はよく知りませんけれども、とにかくそういうものが行くわけだ。これも三分の一じゃないか、これは政令か何かできめておると思う。ところが今都道府県は非常に財政が窮屈なために、せっかく三分の一もらっても、わずかな金ではありましょうけれども残りの三分の二の手当が完全にできなくて市町村の危険校舎改築の十分なる監督指導ができないという事態も起きているようであります。ところがうっかりしてやっておりますと、昨年通りました補助金等のあの特別の法令にひっかかって結局罰を受けなければならぬ、こういうようなことで非常に問題が考えられるのですが、その辺の状態がどうなっておるか。それからこれについてほかの補助事業については、県なら県に行く、その手数料というものは、まるまる補助されているのがあるようであります。ところが危険校舎等の問題については、三分の一しか補助がない。そこのところを一つお知らせいただくと同時に、どうしてそういう、ふうになっておるか御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/57
-
058・後藤博
○後藤政府委員 おっしゃいます危険校舎の分は、たしか監督事務費ではないかと思います。これは三分の一くらい出ておるようであります。これを出さないでやっていくようなことは私どもはない。もちろんその補助金を受ける場合には、それぞれの補助金の指令に基きまして支出して、そのまま会計検査を受けておるわけでありますから、そこの関係で私は別に不正があるとは考えておりません。ただこれは市町村に参ります危険校舎のいろいろな補助金の手数料的なものではないのであります。別途に出ておるのであります。これは委託費になりますれば全額を国が出すということになりますが、委託費の格好ととらないで補助金の格好をとっておりますので、そういう意味で地方団体、県に負担を負わしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/58
-
059・川村継義
○川村(継)委員 わかりました。今のその監督事務費ですか、たしかそういう名前だと思うのです。委託関係の事業は全部出しておる。今の補助事業のものは三分の一、今までは私も県なら県に不正なことをやっているとは思いませんけれども、三分の一の監督事務費というものをもらう。それにやはり三分の二の裏づけをしていかなければならぬということがある。当然なことです。ところが完全にそれをやっておるかおらないかということは、この問題について考えるときに、少しは疑惑が生じないでもないわけです。完全にそれは裏づけをしてやらなければならぬと思う。ところが今県の財政がいろいろ逼迫しておりますので、そういうものでも非常に心を痛めておる。ところがうっかりしてその三分の二の裏づけをしないときには、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、あの法律の適用を受けなければならぬというので、戦々きょうきょうたるものがないでもない。そこでそういうような個々の問題がありますから、せっかくこの公共事業関係等にそういう率を引き上げたりする努力をなさったのでありますから、そういうような県負担のささいな事務費というものは、市町村が仕事をやるのを監督してやる。見てやることですから、これは県なら県にやはり全額出してやって——大したものではありませんでしょうから、出してやって、完全に市町村のそういうような仕事、さっき申し上げました危険校舎の改築等の事業が進捗するようにやらせるということが考えられるのではないか、必要じゃないか、私はこう思うのですが、長官のお考えいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/59
-
060・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 補助金で危険校舎に対する補助金の地方負担分を、全部地債その他の財源で確実に見れればいいのでありますが、見れない場合におきましても、地方団体として、ことに首長あるいは議会方面においては、やはりその市町村としては校舎の改築をいたしたい、こういう強い希望がございますれば、若干一般財源の方は無理をしてもこれをやる、こういうのが、今までの少くとも傾向であったと思うのでございます。そういうようなことがまたある意味において、市町村における赤字の一つの原因でもあると思うのでございます。従いまして私どもといたしましては、今回補助率を高めましたことも、そういう一般財源の負担になります分をできるだけ減らしていこう、こういうところから出ていったわけでございますが、将来におきましては、今回補助率を高めたことも十分各団体としては考えてもらいまして、やはり一般財源の裏打ちが十分できる見通しが立つ場合において、補助金を受けてその事業をやる、こういう考え方に立ってもらいたいと思うのであります。補助金さえもらえば、一般財源の方は多少無理をしてもこれをやっていくという傾向は、なるべく是正をしていくようにして、健全財政の措置をとっていただきたい、こういうのが一般的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/60
-
061・川村継義
○川村(継)委員 私のお尋ねしたのはそうじゃないのですよ。大違いなんですがね。市町村なら市町村が危険校舎の改築をやるでしょう。その場合に、今次長のおっしゃったようにして下さればこれ以上はありませんが、そうじゃなくて、その改築をやる場合に、県の委員会なら委員会が事業を監督するわけですね。指導するわけです。そこでさっき部長の言葉にありましたように、監督事務費というものが出てくる。これを考えると、国が当然監督しあるいは指導していかなければならぬ問題でもあろうから、県が監督事務費としてもらっているその事務費くらいは、国から全部出してやって、県の監督指導が完全にいくように考える必要があるのではないか。私県の受ける監督事務費のことを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/61
-
062・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 これは額としては少額のものだろうと思うのでございますが、交付税の算定の基礎におきましては、三分の一の補助金の部分は、これは特定の財源として抜きまして、それ以外の三分の二の地方負担に属します分を単位費用の上において計算をして、交付税の財政上の算定の基礎に入れているわけでございますから、三分の一の補助金に対応するものは、一応計算上は出ているわけであります。それを思い切って補助を全部やめて、全部その地方の一般財源でやるということになりますれば、単位費用を三分の二にするなり、補助金分の三分の一を上げて高めるということになりますれば、その方が筋がはっきりするかと思いますが、しかしいずれにしましても、これは財政上の負担の関係においては、実質的には団体としては変りがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/62
-
063・中井徳次郎
○中井委員 川村君がお尋ねしているのは、国の市町村に対する補助金に対して、県が中間にありましてこれを監督するとかなんとかいうことでありますから、国が多少の金を出す。しかしその監督に要する不足の部分は、義務的に優先的に実は府県が出さにゃいかぬのです。にもかかわらず、ここ数年来の府県の赤字のために、府県は市町村を踏み台にしているということを私はしょっちゅう言うが、そういうことなんであって、この残りの三分の二を府県が出すのを惜しいもんだから出さない。兵庫県におきましては、選挙に対する経費まで西宮だとか芦屋とかいうところには、お前のところは金持だからお前のところでやっておけといって、国から市町村に渡してくれといってよこした金さえ兵庫県は横取りをしておった。こういうものは全国至るところにあるわけです。そこでおそらく川村君の御質問は、熊本県の現実に即応して、名前は上げられぬが、熊本県のある小学校で危険校舎だから修繕しよう、その監督は県にある。県にも補助金が来ているから、県に行ってお願いしても、設計ができないとか、なかなかぐずぐず言ってやらない。しかしよくお調べてみると、経費は三分の一であと三分の二は県で出してくれない、こういうことだと私は思う。そういうことについては、私は自治庁としてほっておかれるべき筋合いのものではないと思う。そういうことをするのは、県が国にかわって国の委託事務としてやっていることであるから、どうしても県は義務的な経費として計上すべきであるというふうなことを、自治庁から強力に指導をすべきものと私は思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/63
-
064・後藤博
○後藤政府委員 お話を承わりますと、二つ問題があるようでございます。一つは、こういう少額の補助金は、当然に府県のやることでありますから、これを一般財源で、こういう補助金の形をとらないで、委託費の形をとるか、もう一つ別に一般財源の中で税源を減らすとか、他の方法でふやしていくかどうか、こういう形をとるのをやめるかどうかという問題が一つ、それも一つのお考えだろうと思います。われわれも少額補助金は、できるだけ整理したいという気持を持っております。従ってどうせこまかい補助金でありますから、こまかい補助金に見合う負担分を足しても、なおかつ指導費が足りない場合があります。従ってそういうものは一般財源としてやはり見ていくという格好をとるべきものと私も考えております。
もう一つは、今度は各市町村に参ります補助金の配分の問題に関連する問題であります。これは別な形で補助金が市町村に参っております。それの配分についての仕事を府県でやっておるわけでありますが、その配分について十分な指導が行われていない、配分について不親切だ、こういう問題がやはりあるだろうと思います。これはやはりもとにあるところの指導監督費と申しますか、指導的な補助金の絶対量が少い。絶対量が少いから負担量も少くなるし、事務費も少くなる。その関係で市町村に来いといってもならなか見に行けない、十分に指導ができないということが出てくるのじゃないかと思う。従って根本にさかのぼって、そういう補助金を基礎にした事業費を組まないで、一般財源でやるか、それとも別な形でもっとたくさんふやしてきたものを委託費の形でやって指導をさせるか、どちらをとるかという問題に私は結論はなると思う。そういう方向に私どもは持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/64
-
065・川村継義
○川村(継)委員 今危険校舎を一例にとって私は申したのです。今度長官が、国庫負担率等を引き上げるよう努力されたことは非常にいいことだと思うのです。こまかいことかもしれませんが、今申し上げたような問題がたくさん出てくるわけです。結果としては中井さんも言ったような結果が出てくるし、これはやはり自治庁もぜひお考えいただきたい問題だと思う。そのままで委託事業だから全額国で事務費を出してやる、補助事業だから三分の一だというふうに言われますと、さっきのような状態になってくる。特に今度は自治法の改正とか、教育委員会の公選を廃止するとか、非常に首長の権限が教育面に入って参りますと、今ですら教育委員会は財政的に非常に窮屈でありまして、常に平身低頭して、一銭でも大事に使わねばならぬ状態に追い込まれているときに、大事な市町村の校舎建築などというような指導監督はできない。その結果変な事業になっていったら困るというようなことも当然心配していかねばならぬ。そういたしますと今のような問題は、結局市町村の事業を国にかわって県が指導監督するのですから、そういう部面については、ぜひ自治庁としては、そういう監督事務費のごときは、県が自腹を切ってやらぬでもいいように御配慮願いたいという意味合いであります。私二、三の問題を大ざっぱにお尋ねいたしましたが、他の委員の御質問もあると思いますので、一応きょうはこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/65
-
066・門司亮
○門司委員 一番先に交付税に対する大臣のお考えを、この際この委員会ではっきり承わっておきたい。と申しますのは、現在の百分の二十五という数字は、国の三大税の四分の一を地方にやることはあまり望ましいことではないというような大臣の御発言がしばしばあったと思います。もしそうだといたしますならば、将来の地方交付税の率を自治庁長官がきらうのではどうにもならない。大蔵省はくれないということにきまっている。従ってそうだとすれば、どういう形で地方財源をまかなっていかれるお考えか、この機会に明らかにしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/66
-
067・太田正孝
○太田国務大臣 最も地方財政の根本的な問題になりますが、本年におきましても、私の記憶するところでは、交付団体に千六百二十億円でございますか、これに対しまして三大税が六千四百六十四億円だったと思います。その比率を見まして、しかも自主財源を引くとかいろいろなものを引いてみて、六千四百六十四億と交付団体にやるものとの割合が二五%に出た。これだけの方程式をながめてみますと、国の財源で三大税の中の四分の一に当るという事柄は、国の目から見た一つの問題でございます。しかし一方におきまして、地方財政そのものはいろいろ手を加えては参りましたものの、まだほんとうに落ちつくところに行くのには、自主財源をどうしたらいいかという大きな問題があります。ただ国から出す金が多くなったということは、非常に私は強く見ております。しかし多いからそこで切ってしまうというようなことは、地方の自主財源がそこにすぐ発見できるかという問題もございますので、これは地方財政全般にわたりまして、その財政計画でいえば、需要面も収入面も根本的に考える問題も残っているように思うのでございます。いわゆる人件費にしても物件費にしても、経費の面において考うべき問題もありましょうけれども、私どもとしては、微力ながら相当にこういう方面にも気を配ってできるだけのことをしてきたのでございますが、そういう歳出というか、歳入というか、基準財政収入というか、基準財政需要といいますか、そういう面を十分に掘り下げてやっていかなければならぬ。ただし国から出す金として三大税の四分の一に当るということは、非常に大きな支出だということはいなめないと思う。ただしこの三つの税の本質を、国税の面から見ましても、景気の関係も最も強く現われるものであるし、また物価の点も最も強く現われるものでございまして、それが非常に増すという場合におけるこの比率の問題もまた考えなければならぬと思います。私は固定的に四分の一以上出してはいかぬという意味合いで申し上げたのではなくて、四分の一がいかにも大きいということを申し上げたので、よく引き合いに出される防衛費の関係等を見ましても、この四分の一の額は相当な額になります。防衛費を減らしたらいいではないかという国家財政上の議論もありましょうが、これを逆に申し上げますならば、幾ら増しても国家が地方のために出さなければならぬという議論のときには、この四分の一というものは一応も一応も考えておかねばならぬ問題ではないか、かような意味で申し上げたのでございます。結局するところ、自主財源の問題、また地方事務のものに対して、国がどういうふうに考うべきかというその問題からくることと思うのでがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/67
-
068・門司亮
○門司委員 きわめて抽象的でわかりませんが、問題になりますのは、いわゆる地方財政規模と財政構成の問題だと思います。現在の地方財政規模に対する地方の財政構成は、大臣十分御承知のようにきわめて貧弱な状態でございます。そしてこれをカバーするために唯一の——と言っては怒られるかもしれませんが、地方の自治体の現在の段階では、少くとも私どもから申すならば、正しい意味の自主財源ではないと思いまするが、それにいたしましても赤字が年々ふえで参りますところの今日の情勢から見ますと、財政構成の面からいえば、地方の自治体としては唯一のたよりになっておる一つの構成分子だとこれを考えております。これに対して大臣が今のようなお考えだといたしますると、率直にお伺いいたしますが、しばしば三十二年度の税制改正でと言われておりますが、税制改正によってもこれはなかなか解決することは事実上困難だと思っております。やはり交付税のあり方自身を、どう変更していくかが内容的には非常に問題になってくると思う。もし税制改正が完全に行われて、今国が出ております問題の一つとして手のつけられると考えられますのは、地方に国が今持っておる税財源を与えて、そのかわり国が行政機構の改革を根本的に行なって、地方の今のような補助金による財政的の指導でなくて、行政指導の立場に立っていくということで補助金を一応整理する。そうすると、現在出しております補助金約二千八百億の中で、やむを得ざる警察あるいは教育というような補助金だけを除いて、相当額のものが地方に、国が行政指導という立場を明確にするならば譲れると思う。そうなって参りますると、今持っておる国の税財源を地方に移譲することはそう困難ではないと思う。どうしても今の大臣のお考えだといたしますと、三大税の中の四分の一というもが非常に大きな問題のように思うのであります。地方と国との間における財政の総額から見て参りますと、実際国が使っておる金は六千億ないし七千億であって、地方が一兆の金を使っておるということはいなめない事実であります。従ってこの財政規模と財政構成との間における不均衡を直そうとするならば、今の大臣の御答弁では非常に抽象的であって、これを改革していこうとするには、一つには交付税を思い切って上げることによって片づける。上げると同時に今の配分の方法を変えていく。各自治体の自主的の財源になるような形にこれを改める。現在の交付税は国から見れば地方自主財源でありますが、個々の自治体から見れば調整財源であることは間違いないのでありまして、この矛盾性に対して、どこで自主財源というような形を織り込んでいくかということの方の技術的な問題があると思う。技術的な問題が解決するとするならば、交付税の額は、もう少しふえても国家財政については大して影響はない。税種目が完全に地方に移譲することができればけっこうです。たとえばたばこ消費税のように、全額地方に出してしまうというような思い切ったことが、国でできればけっこうです。しかしできないとするならば、やはり一部調整財源としての国の行き方、一部自主財源としての地方の財源付与のために、この交付税は交付税率を上げて内容を改正していくという方向の方が、やはり自治体にとってやりいいのじゃないか、また国としてもやりいいのじゃないかというふうに考えるのですが、この点に対するあなたのお考えがございますならばお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/68
-
069・太田正孝
○太田国務大臣 お示しの問題の材料につきましては、私も大体同じような材料のもとに議論を組み立てております。ただ交付税の税率がきまって参りますという点におきまして、非常な大きな意味を持っておることは、平衡交付金時代と違っておることは申し上ぐるまでもございません。問題は、今門司委員の申されました各方面からの問題を整理していかなければならないので、率がきまって国庫支出がきまってくる、この交付税制度だけを取り上げていくというのには、まだ踏み切りができないのでございます。先ほどお示しの補助金の問題その他地方事務の問題全部にわたりまして考えていかなければならぬ。かつ税制につきましても、口先だけでなく真剣にどういう財源を国と地方との間に振り当てていくかという問題になりますので、ただ交付税率をまず上げるという議論には、私としてはまだ踏み切りができない。問題のいろいろな点につきましては、門司委員の言われた材料を私もいろいろ組み合せて考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/69
-
070・門司亮
○門司委員 はなはだ抽象的な話で、これ以上お話する必要もないかと思いますが、そういたしますと、ちょっと交付税の関係とは別でありますが、税制全体、財政全体の問題に関係いたしますけれども、大臣がしばしば言われ、本会議でもしばし答弁されております三十二年度において国、地方を通ずる税制改革を行う、そして地方財政に対する考え方をはっきりしたいということについては、今のところはっきりした構想はないというように承わってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/70
-
071・太田正孝
○太田国務大臣 材料としてはいろいろなことを考えておりますが、確定的にこの財源をこう持っていくかという問題については、まだ検討中と申しますか案を練っているときでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/71
-
072・門司亮
○門司委員 もう十月あるいは十一月になれば、次の三十二年度の予算の編成にかからなければならぬのに、今まだはっきりした構想がないということになりますと、来年度の地方財政計画についても、私どもははなはだ心細いという以外に実はないのであります。
それで、もう一つ大臣にこの機会に承わっておきたいと思いますることは、大臣のこの説明要旨の中に、各都道府県並びに市町村の態容補正という言葉が使われております。そして、その次には、「市町村の都市化の程度により、行政の質の差を測定している補正でありまして、」こう書いてあります。このことは、地方行政から考えて参りますると非常によろしいことであって、ぜひこういう形でやってもらいたいという考えを持っております。私は非常に構想はいいと思いますが、ただ問題になるのは、今度は国と地方ではございません、おのおのの地方自治体の財政規模と財政構成からくる一つの債務、それからもう一つ問題になりまするのは、行政に対する構成がどうなっておるかということであります。個々の自治体とこれは違うのであります。このことをさして大臣はこういう都市の伸びていくことについても十分考慮されるという御配慮だと、私は解釈しておるわけであります。従って、この面につきましては大臣の御答弁に非常に私は賛意を表するのでありますが、実際上の問題として、交付税の配分に対するこれらの要素が十分に織り込まれておるかどうかということについての多少の疑問を持つのであります。そこで、これは事務当局でよろしゅうございますが、このことは十分事務当局は御承知と思いますので、たとえば、町村あるいは市、県の財政の算定の基礎になっておりまするものを算定されるときの現段階における自治体の規模は、どこを基準にして一体出されておるのか、その点を一つ明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/72
-
073・後藤博
○後藤政府委員 府県市町村の標準団体をきめます場合には、県は百七十万の人口を持っております県を標準にいたしております。具体的な県ではなくて、百七十万の人口を包容しております規模の団体を想定して、その標準的な経費を見ておるわけであります。それから市町村は十万の人口を持つ市町村を想定しておるのであります。ここにありますように、市町村につきましては人口の小さい団体、非常に大きい団体の差別があります。それから行政権能の差異もあります。従って十万の人口を基礎にして出しました標準団体の標準施設の標準経費を基礎にいたしまして、それを二十段階の都市種別に分類するわけであります。従来は十段階でありましたのを二十段階に直しまして、二十段階に行政権能の質の差を考えておるわけであります。従ってそれぞれの団体の態容補正の点数を基礎にいたしまして、どれかの種別の団体に入る、その団体に入れば行政権能はやはり上っていくという考え方でもって一種から二十種地までの間に各種の市町村を入れまして、行政経費の、財政需要の増額を見ておるわけであります。そういう計算をいたしまして、歳入の差額を補正で出す、こういう考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/73
-
074・門司亮
○門司委員 今の当局の答弁でありますが、もしできますれば、今のお話の各団体別の基準をどう定めておるかという資料を出していただきたいと思います。
そこで私は行き方自身が正しいかどうかということについてのもう一応の当局の御答弁を願いたいと思いますが、御承知のように府県が百七十万という数字でありますが、具体的にどの県というのではなく、人口段階によってという、ここに私は大きな矛盾がありはしないかと思うわけであります。実際上の問題としては、やはり、財政的に見ても、あるいは行政的に見て参りましても、日本の四十六都道府県の中で、一応今日の法律の範囲内においてやっていける、この程度のものが日本における標準化されたものではないかというような一応の目安を当局は持つべきではないかということを考えております。そうしないと、実態に沿わないものが今日でき上っておる、こう私どもは言えると思うのであります。問題は非常にむずかしいと思いますが、府県においてもそういう考え方が出てくる。ことに町村におきましては、最近町村合併その他が行われて市が非常にたくさんふえております。その関係から十万以下の市がたくさんある。一応十万という数字を押えることも必要かと思いますが、問題になりますのは、十万から十五万、同時に三十万からそれ以上の市との性格が全然違うということであります。十万までの都市が一つの都市という形を示しておりますが、その地域における密集した市街地というものはごく小部分であって、今日たくさんふえております自治体の中では、そう大きな問題にはならないと思う。ところが三十万あるいは五十万、それ以上になって参りますと、これは純然たる市街地としてのすべての態様を備えておるし、同時にこれらのものは、やはり文化その他の向上が、他の都市と全然違ったものになってきているということが考えられます。それから行政その他の関係から行きましても、それらの都市とは全然異なったものをここに持たなければならないということが出て参ります。御承知のように政令の市というようなものがこれ以上の市に大体当てはまってくる。それから十万以下の都市では問題にはならない、たとえば塵芥の処理であるとか、屎尿の処理であるとか、そういう費用を出さなければならない。十万までの都市くらいならば、私もおそらくその必要がないと思う。これはだんだん大きくなればなるほど非常に大きな数字になってくる。その他の一切の施設にしても、道路等の整備にしても、十万の都市までは県道で事は足りると思う。ところがそれ以上の都市になりますと県道、国道だけでは足りないで、いわゆる市道と称されるもの、県道より以上の効能と力、範囲、重要性を持った市道というものができなければならない。従って今の自治庁の考えております地方交付税を通じたものの考え方の中には、この点非常に大きな誤まりがあると思う。従って、これを是正される御意思があるかどうかということを、この機会にもう一応聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/74
-
075・後藤博
○後藤政府委員 お話の第一点の標準団体の行政規模につきましては、先ほど申しました「各行政項目別単位費用算定基礎」というのをお手元に配付しておると思いますが、これの一番最後のところに府県の標準団体の財政規模の内容、それから市町村の標準団体の行政基準につきまして、こまかく表にして出してありますので、ごらんをいただきたいと思います。それから標準団体を一応十万にしておりますが、これをもっと上げて考えるか、下げて考えるか、これはいろいろ御意見のあるところだと思います。私どもは一応十万の都市というのが都市的な性格を一応持っている標準団体である。従ってそこを中心にして考えていくのが、全体の市町村を考えます場合にいいという建前をとって、ずっとやってきておるわけであります。お話の通りある一つの市町村で人口がふえて参りますれば、行政内容も変質して参ります。量から質に移ってくる、こういうことも考えられますし、また現実にもやはりそういうこともわれわれ承知しております。従ってどの団体から質的変化を来たすか、県の行政の内容が質的変化を来たすかということにつきましては、非常にむずかしい問題があるわけであります。単位費用を考えます場合に、常にこういうことを考慮しながら上の団体の方に補正係数がかかりまして、財政需要が伸びるような格好になるようにしてきております。ただそれは交付税等の総量の関係があります。総量が相当伸びる場合には、財政需要の全体を考えまして、ある程度そういう質的な差を強く出していきたいと考えております。本年も昨年から見ますと多少ふえて参っておりますので、この機会にさらに従来のような考えをもちまして、財政需要につきまして検討していきたいと考えて、現在研究をしておる次第でございます。考え方といたしますれば、おっしゃいます方向に私どもは徐々に向って行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/75
-
076・門司亮
○門司委員 もう一つこの機会に聞いておきたいと思いますことは、交付税のここに書いてあります経費の種類、測定単位あるいは単位費用、この問題でありますが、この問題について、自治庁はどれを一番地方自治体の平均したものとして取り扱っておるかということであります。従ってこれも資料として出していただきたいと思いますが、ここに府県の場合は一から七までずっと書いてあります。これらに対する一応のパーセンテージももしできますれば一応書いておいてもらいたい。それから市町村に対しましても一から七までの間の配分の割合を一応ここに出してもらいたい。私がこういう資料を求めますのは、さっき申しました各自治体の行政内容というものはおのおの違っておるのであります。従ってここに書かれておりますもので、そのおのおのの配分基準の見方によって多少問題が違って参りますと、行政内容のおのおの異なっております地方自治体は、たまたま配付の基準に適合した行政内容をたくさん持っているところは、非常にたくさんの交付税が行くかもしれない。しかし少いところはその割合が割合に少くなってくる、こういうことが一応言えるかと私は思うのであります。従ってこれらについて一体どの程度に配分の方法をきめられておるかということを、一応お聞きしておきたいと思うのであります。私がこういうことを申し上げますのは、たとえば市町村の場合の教育一つを見て参りましても、児童数の一人一人について幾らという数字はわかるのであります。その次の学級数に至っては、これは実際はわからぬのであります。学級数は、御存じのように三十五人で一学級を編成しているところもありましょうし、場所によっては八十人以上詰め込んでおる学級もありますので、それを学級が同じような単価できめられておるということになると、ここにも非常な不公平が出てくる。学校の数も同じであります。こういう形が、今日の交付税からくる地方の個々の自治体に対します財政内容とマッチしないところがある。ある団体は交付団体であっても非常に財政が苦しい。ある団体は交付団体になっておって、交付金だけもらえば、その村からあまり税金を取らなくとも何とかやって行ける、こういうことが出て来はしないか。だからそういうものは、国が調整財源として見ていこうとする税の本質から考えて参りますると、当然これらについての多少でもアンバランスがございますなら、これを是正することがやはり私は必要かと考えます。従ってこれらの点について、もし御答弁ができまするなら、今お考えをお伺いして、さらに資料を提出できるなら、一応資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/76
-
077・後藤博
○後藤政府委員 実際の各団体の需要額と、交付税で見ております財政需要額との間の相関の関係につきましても、私ども調査いたしたいと考えておりますが、全国的なものでありますので、なかなかこれは比較がむずかしいのであります。でき得るならば御趣旨の通り、調査をいたしたいと思います。
もう一つのお話で、各団体の単位測定の数値に、うまくはまる数値がないために、市町村に参ります交付税が、必ずしもうまくはまっていないというお話ですが、私どもがいろいろな団体について見ますると、やはりそういう実例があることも承知いたしております。しからばそのほかの方法でもって、どういう全国的な測定方法をとったらいいかということになりますと、なかなかいい手段がないのであります。お話のように小中学校の経費を見ます場合に、生徒数だけをとって参りますれば、学級数の非常に多いところ、お話の通り三十五人で一学級を編成しておるようなところは困るのであります。従って分校の多いところは非常に困って参ります。そこで学校の生徒数を一方でとりながら、学級数を測定単位に入れまして、分校等の多いところ、一学級当りの人数の少いところを学級数でもって見ていこう、こういうことに直したのであります。それからもう一つ、分校の多いところは、やはりそれでも抜けるのであります。そこでまた今度は学校数というものも考えていこう。こういうことで三段かまえでやりまして、この合わしたものをもって、その市町村の小中学校の教育費、こういうふうに見ておるわけであります。さらにその上にいろいろな補正係数を加えて参りまして、その補正によって測定単位費用で出たものを直していこう。こういういろんな操作をやりましてやっておるのであります。もちろんお話のような点もございますので、毎年各団体の実情を聞きまして、合理的な標準がありますればそれをとって、全国的に試算をしてみて、そう大した変動がなければ、そういう方式に移していくという改善の手段を講じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/77
-
078・門司亮
○門司委員 この問題は、特別交付税である程度私は考えられると思いますが、この前の税制改正のときにも申し上げましたように、駐留軍の駐留しておることによる市町村に及ぼす被害、これは被害といった方がはっきりしていると思う。この被害の状況について特別交付税というようなあいまいなものでなくして——日本に今駐留軍のおります都市は非常にたくさんあります。従ってやはりこれらの問題も、地方交付税の配分の一つの基準にこの際入れた方がいいのではないか、それの方が実質的ではないかというふうに私は考えるのでありますが、この点についてのお考えがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/78
-
079・後藤博
○後藤政府委員 駐留軍関係の財政需要につきまして、これは毎年問題があるのでありますが、これは現在特別交付税でやっております。われわれが非常に残念に思いますことは、この場合に歳入の問題と歳出の問題がございます。歳入と申しましても固定資産税の問題でありますが、固定資産税の減をどういうふうに見るかという問題と、逆に歳出の方を、一体どの程度の歳出が必要であるかという問題と二つあるのであります。歳入の方の問題につきましては、もちろん取れないという建前でもって計算をしておりますので、交付税の計算には入れておりませんから、一応問題はないということで、歳出の方の関係を特に重点を置いてわれわれは見ているわけであります。そうしますと、渉外関係経費でありますとか、それに伴う失対の経費であるとか、生活保護とか、そういうものが関連して出てくるわけであります。そういうものをどういう測定の単位で見るかということになると、非常にむずかしいのであります。一定の基準がございますれば、私どもははっきりした形で見たいと思っておりますけれども、今のところいろいろ検討しておりますが、なかなかいい標準がないのであります。そこでやむを得ず特別交付税の中で、数字にまるをつけてやっております。これが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/79
-
080・門司亮
○門司委員 なるほど取れないものは取れないとして見れば、それでいいかもしれないが、そのことによって地方自治体のこうむっております被害というものはかなり大きい。もし必要があるならば、きわめて詳細な資料を私の方から出してもよろしゅうございますが、神奈川県における昭和二十五年くらいから昭和二十九年までの、国あるいはその他の団体に何ら関係しないと思われる渉外活動としての県の持ち出し分は、約二十億ございます。十九億四、五千万円でございます。それを二百種類ぐらいにこまかく分けて調べたものが、私のところにあります。これはやはり、県がそれだけ出しておりますれば、横浜も出しておりましょうし、横須賀も出しておりましょう。これがためにおのおのかなり大きな被害をこうむっている。それは表面上の固定資産税が取れるか取れないかということじゃない。いわゆる財政需要がそれだけふくらんで来ているのですが、神奈川県には、御承知のように他府県にはない渉外事務局というものがございます。そごに渉外課があって、渉外課の中には幾多の人間がおって仕事をしている。こういうものは今のものさしで、はかれない一つの特殊のケースを持っております。これらについては、やはり今までは特別の一つの地方団体としての取扱いをしておったと思いますが、こういうふうに財政状態が非常に逼迫してくれば、やはりこれを一般の交付税の算定の基礎の中に取り入れて、常時これを見てやるというような建前に立つべきだと私は思う。これはやはりどこまで使い分け制度で行くと、やかましく言ってくれば幾らかかげんをしてやって、言って来なければかげんしないということになると、どうしても陳情しなければならぬというようなことになる。現在駐留軍のおりますところは、府県別にして十六ぐらいありましょうが、こういうものについて、一体交付税の算定の基礎の中に、そういうものを入れるという考え方はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/80
-
081・後藤博
○後藤政府委員 交付税の建前といたしますれば、全国的な、普遍的な経費を見る建前になっております。特殊なケースの財政需要につきましては、特別交付税でやるという、基本的な考え方はそういう形になっておりますので、どうしてもわずかの団体に関係があります分については、やはり特別交付税で見るという建前になるのであります。その特別交付税で見ます場合に、一定の計算方式で見るという、ほんとうにうまくできますところの測定の単位がありますれば、私どもはそれをとって行きたいと思っております。また関係の団体に対しても、何か明確な測定単位を作ってもらいたい、そういうことであれば、われわれも考えましょうということで話し合っておりますが、この駐留軍関係の財政需要を見ておりますと、いろいろのものが入っております。われわれが従来考えておらなかった、たとえば補償的なものが入っております。財政需要と申しましても。従来の交付税の観念の中へ入れていないような財政需要ももちろん入っております。それから駐留軍のおりますところによって市町村の財政需要のあり方が違っております。非常に異なったものがありますので、なかなか統一したものができないのであります。何とかいたしまして統一的な測定単位を探し出して、公平につけるようにいたしたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/81
-
082・門司亮
○門司委員 もう一つ、もとへ戻りますが、大臣の説明書の中に、例の都市化の程度というような言葉が使われておりますので、この機会に、もう一ぺん聞いておきたいと思います。
この税は明らかに地方の赤字といいますか、不足分を補う補完的の役目をすることに今日使われておって、調整財源であることに間違いはない。しかし本来の姿からいうならば調整財源だけであってはならないのではないか。もし大臣がここで御説明になっておりますようなことをお考えであるならば、当然おのおのの自治体の伸びというものを一応見る必要がありはしないか、いわゆる文化的に向上しております向上の度合いというものを見ていく必要があるのではないか。そういたしますと、人口団体等による基準がおのずから変っていって、今自治庁がとっております計数等についても、そういうことが十分加味されて配分されるべきではないかと私は思います。
そこで、そういう問題について自治庁は、都市のあるいは自治体の都市化というか、発展性に伴う財政規模というものが大きくなって参りますので、それらに対する勘案もしなければ、ただ単に調整財源だけの役目を、この税に果させるということは——実際の姿は今調整財源という形をとっておりますが、国から見た地方の自主財源としてこれが取り扱われるということになると、やはりそれぞれの自治体の財政というものも、そこに加味していく必要があるのではないか。従ってその配分方法についても、かつての配付税のような形で配付できないとするならば、この基準財政需要額の中に、基準財政を測定する単位の中に、ある程度そういうものが織り込まれてしかるべきではないかというように私は考えるのでありますが、この点に対するお考えがあるならばお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/82
-
083・後藤博
○後藤政府委員 先ほども申しましたように、私どもは都市化の程度によりまして、二十段階の都市に区分しておるわけであります。その中に見ます財政需要は必ずしも十分には見ていないかもしれません。しかしこれは市町村全体の財政需要と、府県を合せての財政需要の現在の見方そのもの、政府で保証いたします最小限度の標準的な経費という考え方に立っております関係から、現実の財政需要とは合っておらないのであります。これは交付税の総量が関係がありますので、総量がふえた場合に逐次都市化の程度の現実に近ついていきたい、かように考えておるのであります。そういう方式をもって逐次都市化の程度の差を、もう少し財政需要の上に表わしていくような方式を将来とも考えていきたい、かように考えておるのであります。そういたしますれば、おっしゃいますように、現実の財政需要に漸次近づいていくということになりはしないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/83
-
084・門司亮
○門司委員 地方財政法と地方財政再建の問題について、一つだけ大臣に聞いておきたいのでありますが、これは例の国庫負担金あるいは補助金等の関係でございますが、これが先ほどからしばしば議論になっておりましたが、実態は各都道府県、それから市町村に参ります場合に、非常に時期はずれになって参ります。地方財政法の十九条にはそういうことをしてはならないとはっきり書いてある。とにかく年度内に使用した場合に遅滞なく支出せよと書いてある。地方財政法の十九条にはそういうことを規定いたしておりますが、実際は年度を越えております。実例をあげよと言われれば実例をあげてもよろしゅうございますが、ここに東大教授の鵜飼信成氏を中心とした実態調査報告書が参っております。東大のこれに関する学者諸君の検討した書類を読んでみますと書いてあります。はなはだしい例は、会計年度を越えて、五月を越えて六月ごろになって、前年度の補助金が行っております。こういうことはやはり地方自治体の赤字の一つの原因なのです。地方財政法にそう書いてあっても、実行されなくてはどうにもならない。書いてあるからいいというのではなくて、実行される方法はないか。問題は、国あるいは府県にいたしましても、補助金というものは、その事業が完成して支払うものであるから、基礎的の計数がはっきりしてこないと出せない、だからお前の方でおくれているのだというようなことを、しばしば言われるのであります。実際町村はこういう目にあっておりますので、法律的に何か改正する必要があるのじゃないか。また改正すればできるのではないか。たとえば概算払いもできるというようなものの中にこれを入れていくか、あるいは分割払いが完全に行われるということにしていくか、進行程度に応じて逐次支払いができるようにしていくか、地方財政法の十九条が空文にならないで、地方に迷惑をかけないようにすることが法律的にできると思いますが、こういうことをお考えになっていただけますか、この際大臣に聞いておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/84
-
085・太田正孝
○太田国務大臣 その前に先ほど来のお話の標準の地方団体の姿のお話は、私も同じように感じておりまして、今の百七十万に及ぶ府県の住民というような単位については、やむを得ず人口以外にとるところがないからやっているのでございますが、御趣意の点はなお進んで検討したいと思います。
第二の点は、早く出すべきことは当然のことでございまして、ただこの一、二年来暫定予算を作る関係から大へんおくれて参りましたことは、まことに法律の趣意からいってもいけないことだと思います。少くとも今年に関しましては、地方財政法上の規則を変えるということでなくとも、御趣意に沿うようになるべく早く補助金を出すようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/85
-
086・門司亮
○門司委員 私は今の大臣のお言葉を返すようですが、御趣意に沿うと言いましても、何とか解決をしなければならないことなのです。府県では一つの事業は完成しなければいけないのだという考え方を強く持っております。それから統計が集まらなければ分配ができないというような考え方を強く持っております。そこで国がかりに適当な時期に出しておりましても、それが末端の市町村に行く場合にこういう結果が出てくる。だからその間の調整は、私は法律の中に概算払いができるとかなんとかいうことが明確になっておれば救われると思う。
もう一つ悪いのは、市町村にあまり早く補助金をやると、その補助金をその目的に使わないで、ほかへ使う危険性があるからというものの考え方があると思う。そういうことがかりにあったといたしましても、事業をやっていることが事実であるならば、その事業に差しつかえのないように府県から末端の市町村に、ということは規則でもよければ、何か自治庁からの通達、それは会計の問題であるからあるいはできないかもしれませんが、政令で分割払いができるようにしてもらわないと、財政法の十九条には、国は支払いをおくらせていかぬということがはっきり書いてある。だから一つそういうことだけでなくて、何とかはっきりした処置をとるということにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/86
-
087・太田正孝
○太田国務大臣 これは各省にもわたることでございますし、また法律なり規則をどう変えようとも、心がまえが一番大きな問題と思いますから、さしあたりはその方面におきまして遺憾なきを期するようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/87
-
088・大矢省三
○大矢委員長 それでは午前の会議はこの程度にして、暫時休憩いたします。
午後一時十一分休憩
————◇—————
〔休憩後は開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404720X03619560413/88
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。