1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十一年二月十六日(木曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 松前 重義君
理事 秋田 大助君 理事 小泉 純也君
理事 早稻田柳右エ門君 理事 松井 政吉君
理事 森本 靖君
川崎末五郎君 竹内 俊吉君
濱地 文平君 松浦周太郎君
山本 利壽君 佐々木更三君
志村 茂治君 杉山元治郎君
八木 昇君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 村上 勇君
出席政府委員
郵政政務次官 上林山榮吉君
委員外の出席者
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 松田 英一君
専 門 員 吉田 弘苗君
—————————————
二月十五日
当日に特定郵便局設置の請願(草野一郎平君紹
介)(第六〇三号)
上前木に無集配郵便局設置の請願(内海安吉君
紹介)(第六〇四号)
公衆電気通信法等の一部改正に関する請願(中
村梅吉君紹介)(第六四三号)
仕七川郵便局存置に関する請願(小泉純也君紹
介)(第六四四号)
小規模郵便局制度改革に関する請願(佐竹晴記
君紹介)(第六四五号)
向鎌田郵便局開設の請願(助川良平君紹介)
(第六八一号)
の審査を本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
小委員及び小委員長の選任
電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第三一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/0
-
001・松前重義
○松前委員長 これより会議を開きます。
前回の委員会において、その選任につき委員長一任となっておりました電波及び放送に関する小委員会の小委員及び小委員長をただいまより指名いたします。電波及び放送に関する小委員として
愛知 揆一君 秋田 大助君
小泉 純也君 竹内 俊吉君
早稻田柳右エ門君原 茂君
松井 政吉君 森本 靖君
八木 昇君 橋本登美三郎君
を指名いたします。右小委員長といたしましては、早稻田柳右エ門君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/1
-
002・松前重義
○松前委員長 次に電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、審査を進めます。この際、松田電気通信監理官より細目説明を求めます。松田電気通信監理官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/2
-
003・松田英一
○松田説明員 御指名によりまして、電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する法律案の細目につきまして、各条ごとに簡単に御説明を申し上げたいと思います。
第一条は、加入申し込みの場合の負担を定めている規定でございまして、これはこの法律の期限がことしの三月三十一日で切れますので、先般大臣から御説明申し上げましたような理由によりまして、五年間これを延長するということでございまして、加入申し込みの場合の負担を三十六年三月三十一日まで延ばすということが、改正の内容でございます。
第二条につきましては、これは負担金の返還の規定でございまして、今度この法律の改正によりまして、加入電話の種類の変更の場合の規定が加わりましたので、それに対応いたしまして、従来の規定に付加をして、その場合に加入電話の種類の変更に伴って、あるいは負担金を追徴いたしました場合に、その初めの加入のときに納めました負担金と、それから加入電話の種類の変更のときに納めました追加の金と、その合計額を返す。それに対しまして差し引く方も、従来はそういう必要はなかったのでございますが、今度は加入電話の種類の変更によりまして、途中で公社から加入者へ支払う場合がございますので、その支払ったものは差し引いて返すという内容にいたしまして変更をしたわけでございます。
第三条は戦災電話の復旧の場合の負担でございまして、それは内容といたしましては、現在の法律の期間を五年間延ばしたことに伴って、五年間その負担の規定を延ばすという内容であります。
第四条は同じく復旧された戦災電話につきましての返還の規定でございまして、これも第二条の場合と同様に、加入電話の種類の変更の場合の規定が加わりましたために、そのために納めた金を合計して、返す額を計算するという意味の改正でございます。
次に第四条の二でございますが、これは旧電話規則によって受理された加入申し込みにかかる電話の設置の場合の負担の規定でございますが、これも五年間この規定を延ばしていくという意味の改正でございます。
次に第四条の三でございますが、これが加入電話の種類の変更の場合の負担等について定めました規定でございまして、この規定の内容といたしますところは、加入電話の変更をいたしました場合に、変更後の加入電話の種類と同じ種類の電話の加入申し込みをした場合に支払うべき額、つまり共同から単独に変ったという場合に、単独として納めなければならない負担金の額、その額から共同でありましたその電話の種類をそのときに申し込んだと考えましたときに納めなければならない負担金の額を引きまして、その差額を納めていただくという内容でございます。ただその場合に、幾たびかこういうような加入電話の種類の変更があったということを考えますと、そのときにこの規定によって追加して納めた負担金の額というものの合計を考えていきまして、同時にまた第四条の四によりまして、ある場合には加入電話の種類の変更のときに返還をする場合がございますので、その返還をする額を引き、それとどちらか納めていただく大きい額を引き、その残りを納めていただくという規定になっておるわけであります。
それから第一項の規定は、負担金の方の規定でございまして、第三項は債券の引き受けに関する規定でございます。これにつきましては、昭和二十七年十二月三十一日までに加入申し込みの承諾の通知を発したものにつきましては、実は負担金だけが取られておりまして、その間は債券の引き受けの規定はなかったわけであります。債券引き受けは、二十八年の一月一日からそういう債券を負担していただくことになっておりますので、その間に負担金だけを納めた電話につきましては、あとで加入電話の種類の変更の問題が起りましても、また債券を新たに負担していただくということはすべきでないだろうと思いましたので、債券につきましては、二十八年一月一日以降の負担金も債券も取られたという加入者に対しましてだけ、債券の方はやはり同様な意味の差引額を納めていただくという規定になっております。
第四条の四の規定は、やはり加入電話の種類の変更がありました場合に、第四条の三の規定は、たとえば共同電話から単独電話に移るというような工合に、高い負担金あるいは高い債券の額を引き受けなければならないものに変った場合には、当然追加して納めなければならないという場合の規定でございますけれども、第四条の四は、むしろ単独から共同に変るというに低い負担金の額を納めることとなる場合には、その差額を、大体差額と考えていいわけでありますが、それを返還するという意味の規定でございます。ただし返還につきましては、その変更の請求に応ずべき旨の通知を発した日前五年以内にその加入電話の加入者が最初に加入電話の申し込みをして負担しました額、あるいはまた第四条の三の規定によって加入電話の種類の変更の場合に追加して負担した額、そういうものは五年以内のものは返さないという建前にしております。これは従来の法律の規定が、最初に納めました負担金を五年たったあとでは返さないということになっておりますので、その趣旨をずっと貫いたわけでございます。従いましてそこにそういう返さない額があるものですから、今まで公社がこの規定によりまして支払いをしているときには、その支払った額の合計額を差し引きますともう返す必要がない。あるいはかえってマイナスの数字が出てくるという場合もございますが、そういう場合には公社も返還をしないということになるわけでございます。
第四条の五の規定は、以上申し上げました加入電話の種類の規定を戦災電話——第三条第一項の規定による支払いがあった加入電話というのは戦災電話でございますが、その場合に準用する場合の読みかえ規定でございます。その読みかえ規定の内容といたしましては、結局五年以内のものだけ返す。五年たったら返さないという規定が戦災電話についてはございませんので、その趣旨に合せたのでございます。
それから第四条の五の第二項は、既設電話と申しますか、第四条の二の旧電話規則によって受理された加入申し込みにかかる加入電話につきまして、その趣旨を適用しました読みかえ規定でございます。
第五条は、構内交換電話の加入申し込みの場合の負担の規定でございまして、これはやはり期限を五年間延ばすということがその改正の趣旨でございます。
第五条の二の規定の改正も、構内交換設備の増設等の場合の負担につきまして、五年間延ばすということに基きまして必然的に起ってくる条文修正の規定でございます。
第五条の三の規定もやはり同様、五年間延ばすということによるだけの改正でございます。
第五条の四の規定は、単に字句の修正、日本電信電話公社とありますのを公社というふうに読みかえていくために起った修正でございます。
それから第六条は改正がございませんで、第六条の二の規定は、債券引き受けの免除の規定でございますが、これは今度第四条の三の第三項によりまして、加入電話の処理の場合の債券の追加引き受けの規定ができましたので、その場合もやはり債券の引き受けを免除すべきであろうというわけで、そのことを追加しております。それから従来抜けておりましたのですが、第四条の二の加入申し込みにかかる電話の場合におきますものも、理論的には当然あるべきだろうと思いますので、その規定をここにつけ加えおります。
大体以上がこの法案の各条の趣旨でございます。簡単でございますが、一応御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/3
-
004・松前重義
○松前委員長 御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/4
-
005・森本靖
○森本委員 この改正案の単独加入から共同加入、これはまたいよいよややこしい条文の並べ方にしたものだと思います。これを一々聞いてみても、大臣が満足に回答できぬのじゃないかと思います。この条文の内容については先ほど来監理官の方からも説明がありましたけれども、これは一つもう少しわかりやすく、何かデータでも出して——ここにきょう初めて出てきましたが、こういうような説明の仕方をしないと、この解釈にはなかなか困難が伴うと思うのです。これはためしに、一大臣に聞いていってみたら、必ず私は詰まると思う。そういう法案の提案者が初めからしまいまできちんと説明ができないようなややこしい法案の内容については、もう少し具体的に説明ができるような資料を出して、その上において一つ説明願いたいと思います。
それからこの電話設備費負担臨時措置法の今度の改正ですが、この改正案の前に、いわゆるこの法律を設定した趣旨というもの、それからこの法律の性格というもの、そういう基本的な問題について、一つはっきりした御答弁を願いたいと思う。と申しますのは、きのうの委員会でも問題になりましたいわゆる負担金と申しますか、納付金と申しますか、この問題に関連をしてくるわけですが、この法律の基本的な精神と申しますか、それを一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/5
-
006・松田英一
○松田説明員 お答え申し上げます。この負担法は昭和二十六年に制定せられました。そのときの情勢といたしまして、とにかく電話の発達というものは日本では非常におくれている。これに対して急速に電話の設備を拡充していく必要がある。そのためにはどうしても電話の加入者に、加入申し込みをされました場合にある程度の負担をしていただいて、その金を拡張の方に使いまして、どんどん急速に拡充して参りたいというわけで、一応五年間としてこの法律ができたわけでございます。そしてその趣旨に従いまして、昭和二十八年から第一次五カ年計画というものが設定せられまして、公社としては鋭意拡充に努めてきたわけでございます。三十年の末で、ちょうど三年間経過したわけでございまして、相当に電話もふえて参りました。お手元に配ってあります資料にもその状況が大体載っておりますが、一応かなりに加入電話もふえましたし、また基礎設備もできておりますのですが、まだしかし現在の状況をもってしては、世界各国の例と比べましても、非常に低位にありますし、また現在の加入電話の需要というものと比べましても、毎年新たな需要が加わって参りますために、大体十八万あるいは十九万という電話をつけましても、同じ程度あるいはそれ以上の需要の申し込みがございまして、年度末には大体数十万の電話が積滞として残っていくという状況でございます。これからのある程度先の状況を考えましても、当分その状況は続くだろう。その資料はやはりお手元に、配ってございますものによって見ていただくとわかりますが、そういう状況におきまして、この三月三十一日で一応この臨時措置法の期限が切れますけれども、きのう大臣からの提案理由の説明のときにも申し上げましたように、実際に今後毎年六百億くらいの拡充計画というものを考えていかなければならないところに、自己資金として考えられるものは三百五十億くらいのところが限度であるし、また公募債等によりまして得まする外部資金も、大体今までの実績から考えましてあるいは七十五億、あるいはことし三十一年度にいたしましても八十五億という状況で、思うような額の公募債のワクがなかなか得られません。そういう状況でこの三月三十一日にこの法律が切れてしまいますと、大体加入者の方に負担していただきます負担金とか、債券とかの年間の額は、ほぼ百億くらいになるのでございますが、この百億の財源が減るということは、電話の拡充に非常に大きな影響を来たしまして、その拡充が縮んでくるということになりまして、電話事業の将来に対しまして非常に不安定であり、また日本の経済の状況にも追いつけない状況になってくるということから、やはりここ当分の間は、加入者の方々にそういう資金を負担していただく必要があるだろうと考えまして、あと五年間この法律を延長していただくことを考えまして、ここに提案をしたわけでございます。大体の趣旨はそれでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/6
-
007・森本靖
○森本委員 相当詳しい説明がありましたが、私がお聞きしておるのは、この法律は電話設備費負担臨時措置法という、あくまでも臨時の措置法であるわけですね。そこでその当時電話の普及ということを考えた場合には、やむを得ずして加入者にこれだけのものを負担させるという趣旨で、これはできたわけであって、それがために時限立法として、一応今年の三月三十一日で終りである、それ以降は公社なり、あるいは国が責任を持って、電話の普及についてはやる、とりあえず臨時にこれだけの負担をしてもらいたい、こういう趣旨でこれはできたわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/7
-
008・松田英一
○松田説明員 確かに今森本先生のおっしゃいましたような理由でできたわけでございますが、電話事業の現状というものは、そのときの状況から若干よくなっておりますが、そのときと根本的に状況が変っていないという状況にあると思いますので、現在においてのいろいろな数字的なデータによりまして考えましたところでは、やはり昭和二十六年の状況と同じように、当分こういった意味の加入者に対する負担をやっていただく必要があるという結論になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/8
-
009・森本靖
○森本委員 ただいま私の言っているのは、二十六年にこの法律を制定したときには、一応その当時の見通しとしては、電話の復旧については五カ年計画を立てて、それ以降はこういう負担を加入者にしてもらわなくてもかまわぬという精神で、この法律ができたのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/9
-
010・松田英一
○松田説明員 昭和二十六年のときには、まだ現実には五カ年計画はできておりませんで、大体そのときの状況から、まず五カ年ということを仮定いたしまして、この法律ができたわけでございます。その後二十八年から本格的に五カ年計画を作りまして進めて参った。その実績と、それから現在における電話の需要の状況、今後二カ年間、五カ年計画が終りましたときの状況、そういうものも考え合せまして、やはりまだ当分の間はこういう負担をしていただく必要があるという結論になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/10
-
011・森本靖
○森本委員 私の聞いているのは、それはずっと前のことですから、むずかしいかもわかりませんが、今の問題を言っているわけではありません。あなたの今の答弁を聞いてみると、こういうことになる。この法律を制定したときには、あまり具体的な計画も何もないけれども、五年間くらい負担をしてもらったら、そのうちに電話も復旧するであろう、そういう軽い気持でやったという答弁にしかとれぬ。そういうことでなしに、この法律を制定したときは、三月三十一日までこれだけ負担をしてもらえば、日本の電話はこれだけ復旧する、将来については国が責任を持って行える、こういう自信のもとにこの法律を制定したということを聞いているのです。そうじゃないのでしょうか。それともこの法律を制定したときは、五カ年くらいやれば何とかなるだろうという安易な気持でやったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/11
-
012・松田英一
○松田説明員 実は私、その当時にこの仕事をやっておりませんでしたので、よくは知らないわけでございますが、大体推測いたしますと、とにかく加入者に対して負担金をしょっていただくということは、なるべくならばそうしたくはないのだ、従って五年間やってみて、その間に電話の復旧をし、需要をできるだけ拡充しよう、そしてある程度目安がつけば、五年間でなくされればなくしたいものであるという考えだったのではないかと推測されます。しかし現実にやってみて、現在の状況になってみますと、まだとてもなくするわけにはいかないという状況だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/12
-
013・松井政吉
○松井委員 関連して。あなたの説明はよくわかりますよ。現実がそうなっているということはよくわかるのですけれども、問題はこういうところにあるのです。要するにこの設備負担に関する臨時措置法が出たときには、これによって大体どれだけの建設資金が得られる、建設資金がそれだけ得られれば、どれだけの電話サービスが国民にできるか、こういうところを押えたわけなんです。そうするとそのほかの建設資金をどこに求める、こういうことになったときは、その当時は政府から預金部資金が出ておったわけです。それと公募債が出ておったわけです。そういう全体の建設資金を含めて、五カ年計画を立てたわけなんです。ところがその建設資金でその通り五カ年でいけば、この臨時措置法も要らなくなる事態が五年間でくるだろう。これは数字的に見通しを置いたのです。ところが政府の予算の中から預金部資金は削られた。それから公募債のワクは減らされた。こういうことになってきて、五カ年計画の当初計画は変更のやむなきに至った。経過を説明すれば、こういうことです。それで結局自己資金でまかなうところの建設資金のウエートが大きくなった。だから、成績は上げておるけれども、当初の五カ年計画は変更のやむなきに至った。政府は預金部資金はもぎ取った、公募債のワクは減らした、自己資金でやれ、こういうことでやってきたために、予定の建設計画がおくれてきた。五年間を七年にしてみたり、六年にしてみたり、あるいは数を落してみたり、われわれはずいぶん数字をいじってみたのです。数字をいじくった後、当委員会で全会一致の建設計画の決議もしているのです。その経過を経て今日に至っておるわけなんです。そこで、そういう形で来たが、現実はこうだから延期をしなければならぬ、こういうことになっている。その経過から見れば、公社の組織の建設資金は、いつの場合でも加入者とか、利用者に負担をさせればいいのだという根本精神が、この法律を再び出さざるを得なくなった考え方になっているのか。コーポレーションにおいて、国民にサービスする企業体の建設資金は、利用者のみに負担させないでいける方法があるならば、その方がよろしいのであって、そのものの根本的な考え方がこれを出すに至った。内容としてどうだ、これを聞いているのですよ。だから、公共企業体であり、国民全体を利用の対象として、公共性を保持しながらサービスの上昇をしていかなければならない企業の建設資金は、どういう形で求めるのが理想か。公社そのものの企業形態、経営形態から割り出して、郵政省はどう考えているかという基本を説明してくれ、こういうことなんです。その基本について、あなたが自信がなかったら、大臣に説明してもらう。事務当局はそういう基本的なものはわからぬというなら、これは郵政省であるから、大臣から答弁願いたい。一体公社組織の建設資金、今の電話関係の建設資金というものは、どこに求めるのが本筋であるか。それを一つ明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/13
-
014・松田英一
○松田説明員 一応事務的に私の見解を申し述べまして、もし違っておったり足りないところがございましたら、大臣からお答えしていただくことにいたします。確かに今おっしゃいましたように公社として電話事業を伸ばしていくために、本来どういう工合にしてどういう資金で伸ばしていくかという点は、なかなかむずかしい問題でございまして、ことにそれは学者的な理論構成ということだけでは、現実の日本における状態では、その通り動かないということもまたやむを得ない状況であると思うのであります。そこでもちろん前の負担法のときにも、当時の関係者から説明しておりましたように、本来の電話事業というものの性質から考えれば、電話を拡張していくということについては、一般の借へ金なりあるいは公募債なりというようなもの、それに当然減価償却とかその他の自己資金から生み出されるものは入るわけですが、そういうものと、そういった一般的な借り入れ資本によって伸ばしていくというのが筋だろということは、当時の関係者からも説明しておりますし、私もまことにそうだと思うのであります。しかし現在の日本の経済あるいは財政というものは非常に苦しくて、なかなか本来思うような工合に動かないというのが現状でございますので、その意味においては公募債というものあるいは借入金というものも、ある意味では非常に制限をされてくる。国における投融資計画というものがそこにやはり云々されるのも、そういう国全体の経済状態から生じてくると思うのでございまして、そういう苦しい間隙を縫って電話を発達させていかなければならないのが、われわれの苦しい立場だろうと思うのであります。そういう意味で、しかし何としても、とにかく電話がそういう状態だからがまんをしていようということは言っておれないのだと思いますので、だからそれによって現実に利益を受け、便益を供される加入者の方々にまあとにかく一部を負担していただいて、それによってよけい電話が広がるということになれば、それは電話事業のためにもなるし、またその加入者のためでもあり、日本経済全体のためでもあるという点から、この前の臨時措置法もできたと思いますし、また現在も私どもやはりそういうような意味で、当分の間はその状態というものを維持していくことが電話事業のためでもあり、日本経済のためでもあるだろうというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/14
-
015・松井政吉
○松井委員 そんなことを聞いているのじゃない。問題は、本年度の予算を見て下さい。要するに建設資金が五百五十五億ですか、そのうちで自己資金が三百七十一億でしょう。そうすると外部資金というものは百八十三億でしょう。そのうち公募債が八十五億でしょう。それで、今出ている法律が通るものと見て組んでいる予算は、債券が五十五億でしょう。負担金が四十三億でしょう、これは加入者が負担するわけですね。こういう形で建設資金が組まれているのですよ。そこでたとえば民営の場合だったら、この建設資金というものは自由に民間金融機関との間に、資産その他の、担保条件は何でも金を借りてくることができるのですから、全部自己資金でまかなうでございましょう。民間企業体ならばそうでございましょう。ところがコーポレーションのために、経理財務の自由が認められておらないのですよ。そうでございましょう。そうして経理財務の自由が認められておらないで、自分勝手に建設のための自己資金を利息を払って単独で、自由に金融機関とつながりをもって金を借りてきて建設することができない企業体でしょう。そうじゃないですか。そういう場合におけるコーポレーションの建設資金というものは、一体どういう形で集めてくるのが妥当かということになるわけですよ。もしこの加入者に、ただいま言ったように再度建設資金の負担をさせて、政府みずからがその建設資金の手伝いを——預金部資金の投融資なりあるいは公募債の手伝いをするなりということをやらないとするならば、これは公社としての性格じゃないのですよ。従って今の公社の性格、今の公社の経営形態において建設資金を求めるとするならば、要するに臨時的な立法の継続によって、加入者に負担をさせて建設資金を集めることが、経営形態から見て妥当と考えて、この法律を出したのかというところを聞いているのです。一体どういう性格のコーポレーションだと考えているのですか、その本質を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/15
-
016・松田英一
○松田説明員 松井先生のおっしゃるところは非常によくわかるのでございますが、公社というものが非常に公共性が強いために、いわゆる現在の公社の形式がとられているということからいたしまして——ところが一方国というものは、その財政計画が現在の状況において非常に苦しんでいるということと考え合せますと、確かに問題としては、そういうふうな公共性というものからくる国の政府機関といいますか、公社形式にしているということに伴ってくる国のこれに対する関連の仕方というものが、そういう財政的に苦しいというふうな状況からくる国のタッチの仕方と矛盾してくるということがございますので、場合によってはそれならもっと民営の方が楽でいいのじゃないかということも、同時に問題として考えられてくることになりますけれども、しかし電話事業といたしましてはその公共性から考えまして、どうしても民営でなく、やはり公社のような格好である意味では活動する企業性といいますか、そういうものは取り入れていく必要がある。しかし公共性という点から考えれば、やはり国と密接な関連を持った形態の方がいいというわけで、公社という形が望ましいとされておるわけでございますから、現在の状態のもとにおける日本の経済の苦しさを、国がどう処理していくかという問題にある程度制約されてくるというのは、そういった意味で公社の形式をとった以上いわばやむを得ないじゃないか、その間に何か電話事業としてその間隙を縫って発展していく道が講ぜられないかということで苦心惨たんした結果が、この設備負担金の制度だろうと思いますので、その意味では今のところこれにたよっていくということも、やむを得ないのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/16
-
017・松井政吉
○松井委員 いや、現在のところやむを得ないのじゃなくて、これは大臣からお答え願いたいのですが、要するに問題はさらに計画を進めなければならない、さらにサービスを向上しなければならない、さらに能率を上げなければならぬ、そのためには建設が必要だ、建設資金は五百五十五億で、こうやって内容を打ちあけて出しているけれども、おそらく実際の計画上公社が必要なのは、六百億ほしいのでしょう。しかし五百五十五億という予算をもっていかなければならぬ。しかし自己資金としては、これは公社で民間経営ではございませんから、たとえば成績を上げて持ってくる自己資金しかないわけです。勝手気ままに金融機関から担保を入れて借りてくるという資金は求めることができないという経営形態です。そういうところにコーポレーションと民営との差があって、そういう場合の建設資金等は、ほんとうをいえば国の財政投融資の関係から出すべきが当然なんです。当然なんだが現状においてできないので、加入者負担にするというのは筋じゃないけれども今回出したとい説明ならば、これは、まだわかるのですよ。はっきり言えばまだわかるのです。だから加入者に負担させることは一日も早くやめて、加入者をふやして、公社そのものが政府の厄介にもならずに、自己資金で建設のできる態勢が望ましいのだが、公社であるために自己資金等はかせぎ出した金以外に建設資金には回せないのだ、といって政府の財政投融資計画その他の経済の実情から、政府がこれを背負うことも不可能だ、従って再度加入者にもう五カ年間負担してもらわなければならぬという説明なら、賛成反対は別だけれども、これはまだ筋が通る。今のように現状はこうだからしようがないということでは、公社そのものの性格からいって、この法律案を提出した理由にはならないのですよ。それは、そういう考え方でこの法律案を出して、この法律に基いて再度五カ年間、年間百億くらいの建設資金を加入者に負担してもらうことが、日本の電信電話事業のためにもなるし、同時にそのことが国民へのサービスの向上であるし、ではその資金をどこに求めるかといえばこれ以外に方法はない、これなら賛成反対は別として筋が通ると思うのだけれども、そういう説明がないと、この法案の審議をするかしないかというところでつかえてしまうのです。だからその点は政府の方で提案した理由を明らかに説明してもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/17
-
018・村上勇
○村上国務大臣 大へん松井委員にお骨折りを願ってどうも済まないのでありますが、松田説明員の説明も理論的にはやはりただいまあなたの御指摘の通りに話しているようであります。私は全く松井さんの御趣旨と同じでありまして、政府ができる限りの財政投融資なり、あるいはまた公募債券等をふやして、でき得れば加入者に負担をかけないようにというのが公社としてのあり方だろうと思いますが、あなたのお話のような状態でありますので、しばらくの聞こういう法律の延長を願って負担をしていただく。このことが妥当かと申しますと、私は妥当ではないと思います。一刻も早く、一年でも早く加入者からこういう負担金を取らないような状態になるように努力したいと思っております。従い暫してこの五年延長についても、私どもはでき得れば三年くらいで何とかならないかとも考えましたが、現下の情勢ではどうしても五年は延長しなければ、国民、いわゆる加入者に対するサービスもできないだろうというので、かような法案を提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/18
-
019・八木昇
○八木(昇)委員 ちょっと森本委員の質問に関連して簡単にお伺いいたしますが、私もしろうとで詳しいことはわかりませんけれども、特に電話加入申込者に対して電電公社の債券を買わせるという措置は、私は実はまことにけしからぬ措置だ、こう思っているわけです。というのは、こういうことはどの事業を見てもほとんど例がない。たとえば電力なら電力の場合に、自分のところにモーターを取りつけたい、そのモーターの取りつけの許可を得るためには、電力会社の株券を五万円だけ買わなければならぬ、こういうことと類似しておるのであります。しかも電話というものは電電公社の独占事業になっておる。従ってそういう独占事業の有利な点を利して、しかも国家が一つの権力を背景に、需要者から一種の恐喝というのですか、そういう形で金を取り立てておる。非常に露骨に言えばそういう格好だと思うのです。結局平たく言えば、あなた方電話を引きたいならばおれのところに金を五万円借せ、こういうことでしよう。これは質問というよりは、意見にわたっておりますけれども、こういう措置は戦後のある一定期間の、ごく暫定的な期間ならば、あるいはやむを得ないということが言えるかもしれませんが、これがさらに五カ年間も継続される、そして五カ年たった上でまた模様の見てあるいは延ばすかもしれぬ、これは一体どういうことであろうかと私は思うわけです。それでこれをたとえば電力事業なんかに比べてみますと、これは公社ではなくて民間会社がやっておるにもかかわらず、現在電力を復旧し、しかし国家的な見地から開発をどんどん促進しなければならぬという意味で、電源開発会社あたりには出資金だけで一千億近くの金を最近二カ年半の間に国が出しておる。しかも年々金融措置で資金運用部から膨大な金を出しておる。一切需用者に負担をかけておらぬ。この電信電話に関してとられておる措置は、そういうのと比べてあまりにも見劣りがする。戦後非常に急速に電話の復旧をはかるために資金が要るとならば、今日の電力問題と比較してみてもとるべき措置はあるはずだ、こういうふうに私は思う。そこでお伺いしたい点は、先ほど松井委員の御質問にもありましたが、これは五カ年間延ばすことになっておるのですが、一体五カ年やった後になお模様を見てから次の措置をきめようというのか、あるいはできれば五カ年たたないでも急速にこういう制度を廃止するというお考えに基いておる提案なのか、そういう点をはっきりしておいてほしいということです。
第二の御質問申し上げたい点は、買ったところの電電公社債券の売買が行われております。これは無理やりに買わされておるのだけれども、電電公社の債券なんかを持っておるほど、金の余裕があるような人は少いわけです。そこで額面五万円の債券を買わされたが、それを三万五千円あるいは四万円で他に手放しておる。そこで一部の金を持っておる方々が、これは配当が何分なのか知りませんが、それを買って専門のブローカー化する。こういうふうな不明朗なことが行われておるが、こういうふうなことについていかなる御見解をお持ちになっておるか、この二つの点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/19
-
020・上林山榮吉
○上林山政府委員 先ほどから松井委員も指摘せられた通り、またただいまあなたも指摘された通り、この制度を永久にやっていくという考え方は公社の性格からして妥当でないということは、大臣の答弁された通りでありまして、私どもといたしましてもできるだけ早く、できるだけ多くの需要者の希望に応じたいという建前上、暫定措置としてのこの法案を審議しなければならない羽目に陥ったということを、すなおに認めて御了解を得たいと考えておるのでございますが、ただいま御指摘の債券の売買が行われておるが、これは不明朗じゃないか、こういう点については、それぞれ考えようもあるかと思いますが、これは社債市場に当然出し得る性質の株でございますので、これを現在は禁止していないわけであります。なおこれに対する補足的な説明は公社側からしてもらいたいと思いますが、そういう意味で御了解を願いたいと思っております。決してこの制度が最善な方法であるということは、どの点から考えても正直のところ考えておりません。だから五年という期限を限っておりまするが、その途中において、あるいは三年くらいたった後に、法案の条章をごらん下さればわかる通り、これはある程度是正をし得る案文になっておる点等も考慮して下さいますならば、さらに御理解いただけるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/20
-
021・森本靖
○森本委員 それではもとへ戻って私の方から質問をしていきますが、まあこの問題については、あまりいいことではないけれども、電話事業の復旧については万やむを得ずこういう措置をしていかなければならぬから、御了解願いたいというのがあなた方の答弁の内容です。それでは今八木委員からもお話がありましたように、財政投融資の問題についても私は非常に大きな意見も持っておりまするけれども、ここでその問題を論じたところでやむを得ないと思いますが、ただ問題は、あまりいいことではないけれども、やらなければならぬという考え方に基いて、やむを得ずこれをやる、また将来永久的にやるというのではないということも明確になっておるわけです。ところが、それほど建設勘定において困難なこの電電公社の予算の内容において、きのう来も論議せられたように、片一方では固定資産税の振りかわってきたような納付金制度を公然とあなたたちが認めるということについては、これははなはだ矛盾撞着した政策であって、どこを突いたところで、継ぎはぎだらけの政策であるということしか私たちには考えられぬわけです。この辺の関連について大臣はどうお考えですか。こういう問題があるからこそ、私たちはいわゆる公社に対する固定資産税の課税の問題については、前々からこの委員会においても大臣にとくと注意もし、警告もしてきたわけですが、これはいいことではないけれども、万やむを得ずやる、一つぜひ御了承願いたい。金が足りないからこういうことをやりたい。ところがその反面、片一方で、大した金持でないにもかかわらず、しかも困っておるにかかわらず、地方財政の赤字を救ってやらなければならぬという理由によって、固定資産税と同じような納付金をとるという理屈については、一体大臣はどうお考えですか。何もかもいかぬけれども、一つ御了承願います、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/21
-
022・村上勇
○村上国務大臣 納付金の問題につきましては、昨日も論議が尽されておりますので、これを繰り返すことはむだだろうと思いますが、私も森本委員と同じような考え方で、でき得ればかような今建設途上にある電電公社に対して納付金等をかけないで、それを建設貸金の方へ回して少しでも貨担を軽くしていく、サービスの面をよくしていくというように振りかえていくのが当然だとも思います。しかし翻って国全体の財政から、どうもかような措置もまたやむを得ないのだ、国の全体の財政からやむを得ないことでありまして、電電公社の性格からこれを判断いたしますれば、あなたのお考えと私は全く同じであります。さような意味で一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/22
-
023・森本靖
○森本委員 電電公社を監督する立場にある郵政大臣としては、われわれの言っていることが正しい、こういうふうに考えるけれども、鳩山内閣の一閣僚として、現在の内閣の政策そのものからする場合には、これまたやむを得ぬ措置である、こう考える。そういうことになると、結局これは現在の内閣の政策そのものになってきて、逓信委員会の分野でございませんけれども、一応その内閣全体の破綻した今日の経済政策というものの一つのきずといいますか、矛盾というものが、国民大衆にあまねくサービスを提供しなければならぬ電話というところにまで、ひしひしと迫ってきておるということも事実なんです。これは大臣も認めざるを得ないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/23
-
024・村上勇
○村上国務大臣 その御意見については、必ずしも私はあなたと同じ意見は持っておりません。国の全体の財政から、特に地方財政の窮状をいかなる方法によって打開するかという大きな問題に直面した場合に、こういうような措置もまたやむを得ないのではないか、かように思っております。しかもかりに電話の問題等も、これは加入者の相当利益の面からも考えて参りますと、電話を架設された人たちのいささかの負担も、これは申込者の膨大な数と比較いたしますと、これまた多少はやむを得ない点があるのではないかと思っております。しかし私としては、郵政省の立場から申しますならば、でき得る限り早くこういうような納付金を出さないような立場において、その金を少しでも建設方面に回して、サービスの面をよくして参りたいということは、私の希望するところであり、この点だけはあなたと全く一致しているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/24
-
025・森本靖
○森本委員 だから私が言っているのは、そういうことについては大臣も私の意見も一致している。それができぬということについては、これは内閣全体の今の政策そのものについての、今回の予算の組み方からも、そういうところのしわ寄せがこういう電話にまできていると率直に言っても間違いないでしょう。地方財政がどうのこうの、そういうややこしい答弁をしなくても、私が率直に言っている理屈というものは当然のことでしょう。そういう内閣全体の政策のしわ寄せというものが、やはり電話の加入そのものについてもきているということは言わざるを得ないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/25
-
026・村上勇
○村上国務大臣 国全体の財政をどこまでも立てていく意味から、地方財政の赤字救済の財源をどこに求めるかということについては、これはいろいろ議論のあるところだろうと思います。それを一部この三公社に求めることが是か非かということについては、これはいろいろ議論はあろうと思います。しかしこの場合、こういう納付金の形で一応一部の納付をすることもまた、これ国家財政の立場からいえばやむを得ないのではないか、私はかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/26
-
027・森本靖
○森本委員 ちょっと係官の方にお聞きしますが、こういう法律が一切ない場合においては、東京において電話を加入する場合の設置料は幾らでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/27
-
028・松田英一
○松田説明員 四千円の装置料と三百円の名儀料、それで四千三百円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/28
-
029・森本靖
○森本委員 そこで大臣に聞きたいのですが、電気通信法にもはっきりありますが、公社というものによってそうして電信電話事業の発達を行うということは、国民大衆の一人々々にあまねく電信電話事業の利益を供するという趣旨の目的に従って、この公社が今日事業を運営しているということは事実でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/29
-
030・村上勇
○村上国務大臣 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/30
-
031・森本靖
○森本委員 そういうことになると、先ほど八木委員も言われたように、電力とか水道、そういうように日常非常な必需品と、今日電話が一般の国民に普及しているところの差というものをお考えになったことがありますか。そういう法律の趣旨からいって、国民の一人一人にあまねくサービスを提供しなければならぬという一つの定義のもとに、こういうものはやっているわけです。その場合、他の生活必需品と比べて電話というものがどういう格好になっているかということを、あなたは考えたことがあるのですか。たとえば今日の電話というものは、農村等においては中産階級以上でなければつかないという状態である。もっとも都会にくれば、ある程度のサラリーマンにおいてもつけるという段階にあるけれども、まだまだ電話をつけるということは非常に困難な情勢です。私らみたいな国会議員でも、これは財政上非常に困難な状態であって、まだ電話もようつけぬという状態です。そういうような状態からすると、一般の国民の今実際に収入の非常に少いような大衆に至っては、電話が自分の生活必需品になるということは、まだまだ遠い将来のことなんです。そういうことについて、大臣は電気等の一般の生活必需品なんかと比べて、電話の差というものについて考えてみたことがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/31
-
032・村上勇
○村上国務大臣 国民一人々々にまで行くような福祉国家に何年か先にはしなければならぬと思いますが、現在の段階においては、一人々々にというようなわけにもいかない性格のものではないかとも思います。電気の場合とはいささか趣きを異にして、大した必要のない人が料金をかけて電話を求めることもないのではないか。電話はすぐに需要供給の面が出て参ると思いますが、今日の場合何十万という需要者があるにもかかわらず、それを満たすことのできないような状態でありまして、公社におきましてはこれが需要を満たすために、鋭意あらゆる努力、またあらゆる方法を講じておるような次第でありますが、私は現段階において国民一人々々に電話が必要であるということは、電気の場合と比べたときに、その必要度というものはいささか趣きを異にしておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/32
-
033・森本靖
○森本委員 大臣の言われる点について私も異議を言うわけではないのですが、ただその普及の度合いというものが、諸外国から見た場合に、われわれの方が非常に劣っておるということは事実なんです。一人々々にということは今日の段階においては語弊があるにしても、今日の電話の利用者というものが一定の有産階級に限られておるということも、これまた事実なんです。そういう点から見ると、今説明があった四千三百円いう程度ならば、これは相当広範に行くわけです。それから今積滞数が何ぼあるとか言ったのですが、要するに中都市で大体六万円程度になると思いますが、その程度のものを納めても加入できるという、それだけの収入もあり、資格もある人はおります。ところがそれ以外に、私も電話を取りつけたい一人ですが、財政的に困難だから取りつけないわけですが、こういう大衆というものがまだ相当あるわけです。そういうことを考えた場合に、こういう負担法というものを将来ずっとやっていかれるということになると、一部の限られた者にこの電話の利用が許される、許すよりほかに仕方がないようなことになるのではないか、その点を私は言っているわけです。こういうものを負担できないけれども、大いに利用するだけの価値もあるし、また利用しなければならぬという商売をやっておる人たちがこの積滞数以外にたくさんあるということを、あなたはお考えになったかどうかということをお聞きするわけです。単に積滞数がこれだけでないということを私は言っておるわけです。私なんかも申し込んでないから結局、積滞数以外の人間になるわけですが、そういうものがたくさんおるということを、大臣は念頭に置いておられるかどうかということをお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/33
-
034・村上勇
○村上国務大臣 これは負担法というものがあって、六万とか八万という金を負担しなければ電話が架設できないにもかかわらず、まだ電話要求に応ずることのできないものが何十万もあるという状態でありますから、これを四千三百円というような安いものにすればこれの数倍の需要者があることは、これはあなたと同じように認めます。しかし今日これだけの負担というものがなければ、現在の国家の財政状態から申しまして、かりにこれを三十万ふやそうと思っても十万しかふやせない。ですから、どうしてもこの程度の負担を願って、そうして今一応数字に現われている電話の需要の問題を、何とか片づけていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/34
-
035・森本靖
○森本委員 もうこれ以上この問題をやっても、あまり進展しないようでありますが、ただ大臣にそういうことを知っていただくだけでも効果があると思ったので、今質問したわけです。これはまたこの次に譲りたいと思います。
この法案の細部についてちょっとお聞きしておきたいと思います。第三条に戦災により滅失している加入電話の加入者の件が出ておりますが、これは電信電話公社の御努力と国民の協力によって、相当なくなってきたと思いますけれども、今日戦災電話でまだ未復旧の電話が全国で幾らありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/35
-
036・松田英一
○松田説明員 現在残っておりますのが七万七千ほどでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/36
-
037・森本靖
○森本委員 この七万七千という数字が、どの通信局管内にどれくらい残っておるかということは、あとで資料でお出し願いたいと思います。
そこで七万七千残っておるということを今初めて聞いたわけですが、これもその他と同じように取るいうことは、この法律では前から規定しておったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/37
-
038・松田英一
○松田説明員 前からの規定のまま延ばしますので、料金といいますか、負担する額は若干安くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/38
-
039・森本靖
○森本委員 戦災で未復興の電話については、やはり加入権というものは前からずっと続いておるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/39
-
040・松田英一
○松田説明員 加入権は続いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/40
-
041・森本靖
○森本委員 そうすると加入権が続いておるにもかかわらず、しかもこれは復旧する権利が一番多くある人なんですが、自分は何にも希望しないけれども、戦争ということによって犠牲をこうむった一つの犠牲者ですね。そういう場合に六万円というのを四万円に下げておるけれども、こういうふうに、なおかつ従来と同じ負担をさせていくということについては、あなたたちはちょっとおかしいというふうにお考えにならないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/41
-
042・松田英一
○松田説明員 確かにおっしゃるような感じのところはございますが、何分この負担をしていただくということは、そのこと自体としても先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、あまり感心したことではないのですが、建設を伸ばしていくためには仕方がないということでやっておりますし、また戦災電話につきましても、現実にはすべて焼けてしまいまして、新しく作るのと全く同様な状態で復活していかなければならないものでございますから、若干その額を安くいたしまして御負担願っているというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/42
-
043・森本靖
○森本委員 これは常識でわかることですから、大臣にお聞きしておきたいのですが、その電話は戦争がなくてその町が焼けなかったら、今日そのままあるわけですね。そのようなものを今日四万円も出して取りつける必要はないわけです。戦争があったからこそこれが焼けてしまって、いまだに復興しておらない。それをたとい二万円程度下げても、それだけ金を取るということはちょっとおかしいのではないですか。これは常識でわかることですから、常識で御回答を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/43
-
044・村上勇
○村上国務大臣 常識はそうでありますけれども、戦災によって何もなくなってしまったのですから、また電話を新しく作っていくということになると、そこにはやはり資材その他が相当必要になって参りますので、これはやむを得ないのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/44
-
045・森本靖
○森本委員 戦災で何もなくなったから、それと同じように考えろということなら別ですけれども、しいて理屈を言えば、土地なんかそのまま残るわけです。だからあなたが言うように、簡単にみんななくなったのだから、これもしんぼうしてもらわなければならぬということじゃない。これは先にそれだけの権利がはっきりとあるわけです。だから常識的に考えたら、やはりそういうふうに優遇し、優先的に取り扱うのが妥当じゃないですか。それで大臣、常識で考えて、常識で判断して正しいというのなら、しいて要らぬ理屈をつけずに、常識で正しい回答をした方が間違いないのです。この前の郵便貯金の問題でもそうでしょう。正しいと言っても間違った回答をされていることがある。正しいと言っておいて、われわれからあとになって追及されると、その方が正しいのでありますということがあった。常識的に正しいなら、常識的にやはり正しいと言うのが正しいのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/45
-
046・村上勇
○村上国務大臣 それはまああなたの御推察におまかせいたしますが、とにかく戦災電話については、電話加入申し込みの際の順位について相当考慮が払われておるようでありますので、その点だけは御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/46
-
047・森本靖
○森本委員 それではこれも一つ大臣の頭の中に入れておいてもらって、ここで論争をやったところでコンニャク問答ばかりになりますので、次のときにまたやりたいと思います。
それから第六条であったと思いますが、「免除することができる。」という免除規定の内容を、一つ係官の方から説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/47
-
048・松田英一
○松田説明員 今度改正いたしました趣旨は、従来新しくつけますときにやりました債券の引き受けの免除に対しまして、加入の種類の変更をやった場合にもやはり同じ趣旨の免除をすべきだろうということを考えまして、加入電話の種類の変更の場合にも、債券の引き受けを免除するということをつけ加えたわけでございます。それとあわせまして、従来観念的に申し上げますと、実際の例はほとんどないことなんでございますけれども、一応第四条の二の第一項の場合の加入電話につきましてもつけ加えたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/48
-
049・村上勇
○村上国務大臣 この際、昨日の本委員会において、森本委員より大蔵省説明員の説明に関連し、NHKの性格についてお尋ねがありましたのに対してお答えいたします。
私はかように考えております。すなわちNHKは、全国民があまねく放送の利益を享受するために、特に法律をもって設立したところの、国民の利益に奉仕することを唯一の目的とする一切の営利性を排除した非営利の公共的放送企業体であると考えます。なおNHKが以前は社団法人であって、その財産が現在のNHKの基礎になっていることが、国有国営形態から現在の姿となった三公社と相違していること、また予算及び財務、職員の身分、労働関係等に関する法律上の制度がNHKと三公社の間に相違のあることは、森本委員のよく御存じの通りであります。大蔵省の説明員の説明も、趣旨においては私の以上の見解と同じことを述べようとしていたもののようである、こう考えております。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/49
-
050・松前重義
○松前委員長 他に御質疑がなければ本日はこの程度とし、次会は二十二日水曜午前十時より開会いたします。
これにて散会いたします。
午後零時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404816X00719560216/50
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。