1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月十七日(金曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
理事 保科善四郎君 理事 宮澤 胤勇君
理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 大村 清一君
薄田 美朝君 辻 政信君
床次 徳二君 福井 順一君
眞崎 勝次君 粟山 博君
山本 正一君 横井 太郎君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
石橋 政嗣君 稻村 隆一君
片島 港君 西村 力弥君
森 三樹二君
出席国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
内閣官房副長官 田中 榮一君
総理府事務官
(調達庁次長) 丸山 佶君
委員外の出席者
会計検査院事務
総長 池田 直君
専 門 員 安倍 三郎君
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本日の会議に付した案件
総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四三号)
駐留軍立川基地問題に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/0
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。質疑はございませんか。——なければこれにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入ります。通告がありますのでこれを許します。石橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/1
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002・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております総理府設置法の一部を改正する法律案について、反対の意見を述べんとするものであります。本法案の目的は、政府の説明によれば、売春問題の重要性、複雑性にかんがみ、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問に応じて、売春対策に関する重要事項について調査審議させるため、総理府の付属機関として売春対策審議会を設置するにある、というのでありますが、果してこのようなことは時宜を得た措置といえるでありましょうか。私は次に述べる三つの理由から、残念ながら、いなといわざるを得ないのであります。
理由の第一は、この審議会なるものが、売春問題を根本的に解決しようという強い意欲のもとに作られるものでなく、ただ単に責任回避と延引策とに利用されようとしている事実であります。政府は法律の根拠に基く審議機関をまず設置し、その審議機関の手によって初めて行政、立法、予算措置等総合対策を策定せしめるのだというのでありますが、果して現在はそのような悠長なことを言っている段階でありましょうか。牧野法務大臣は、審議会で種々論議している間に、新聞雑誌はもちろん、あらゆる方面からよい意見が出てくるだろうなどと申しておりますが、今までに相当論議は尽され、意見は出されているのではないでしょうか。わが党にいたしましても、りっぱな成案をすでに持っておるのであります。政府においても甲案、乙案と称するいわゆる売淫防止法案を用意しているということを聞いております。あなた方は今まで行なってきた論議では不十分だと言うのでありますが、それは論議が不十分なのではなく、世論が自分たちの意図する方向に進んでいないということだと思います。
私はこの段階に立ち至って審議会を作り、さらにりっぱなものを作るのだと言っても信用いたしかねます。結局は引き延ばしに終るであろうことは火を見るよりも明らかなのであります。二十二特別国会において売春禁止法が否決され、次期通常国会に政府案を提出するよう決議されて、すでに半年も経過していることに気づかなくてはなりません。この六カ月の間に政府は一体どれだけの情熱を本問題に傾けてきたのでありましょうか。
昨年十月、確かに政府部内に売春問題連絡協議会というものが設けられました。そして付帯決議の線に沿うべく法案の検討に入り、一つには売春の取締りと防止を、一つには今後の保護更生と転落防止を基礎とした成案を得たことは認めます。しかしながらこの結論も、ついに日の目を見ることはできなかったのであります。いざ予算ということになるや、十五億円の要求に対し、認められたのはわずかに五千万円、その率実に三%という情ない仕儀に立ち至った次第であることは御承知の通りであります。そのため肝心の保護更生に関する法案は一切これをとりやめ、法律とせずに厚生省、労働省の行政措置にゆだねることとしたというのでありますから、全くあいた口がふさがらないというべきであります。このような実績を振り返ってみるとき、審議会を作って今さら何を論じ、何をしようとするのかと、あらためてたださざるを得ないのであります。
自民党の諸氏が、昨年七月売春禁止法に反対した理由の中で大きな比重を占めていたものが、実にこの保護更生施設の不備であったことを思うとき、かかる予算を認めずして何の審議ぞと言うのは当然であろうと思います。それこそ、先に述べた通り、本法案の目的が、事態の引き延ばしにあることの証拠にほかなりません。そうしてこのことはそのまま反対理由の第二でもあるわけです。なぜかなれば、予算を持たない、今後もほとんど増額の見込みのないとき、この審議会がりっぱに運営され、着実に実績を積み上げていくことは毛頭考えられないからであります。金をかけない名案などというものがそうあるはずは絶対にありません。
総理府はこの審議会に要する費用として百五十三万七千円を要求いたしております。ところが認められたものはその三分の一、わずかに五十三万七千円にすぎません。また売春対策に必要なものとして査定された額は、前にも述べた通り、驚くなかれ要求額のわずか三%なのであります。これでも政府には売春問題に真剣に取り組んでいると言う資格があるでありましょうか。熱意ありとするならば、このように予算上の制約を受けた審議会の設置等に逃げ込まずに、まず禁止法案そのものを提出すべきであります。
最後に、私が反対する理由の第三は、今までの実績から推して、審議会がかりにりっぱな答申案を作ったとしても、これを尊重しそのまま採用するような政府ではないということであります。政府の意図するものと一致しない限り、答申を顧みないであろうことは、過去が十分に物語っております。先ほど触れました売春問題連絡協議会の結論が実を結ばなかったのがそれであります。犬養法相当時に作られた売春問題対策協議会が、昨年九月二日付で行なった総理大臣に対する答申も同様に葬り去られているのであります。審議会を作ったり、協議会を設けたりして、種々と衆知を集め、苦心惨たん成案を得ても、一向に用いなかった政府が、今度だけは違うなどとうそぶいても、だれが信ずるでありましょう。審議会が必要ならば、禁止法の中で設置し、明確な任務を付与すべきであります。とにかくこの売春問題は、もはや形式にとらわれている段階ではありません。要するに、必要なものはこの問題に取り組む誠意と熱意であります。問題の所在をあいまいにすることは許されないのであります。政府は直ちに売春禁止法そのものを提案し、公聴会その他の方法も考慮しつつ行われるであろう国会の慎重なる、一に、問題をゆだねるべきであることを、再度繰り返し勧告しつつ私の反対討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/2
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003・山本粂吉
○山本委員長 これにて討論は終結いたしました。
これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/3
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004・山本粂吉
○山本委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。
なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/4
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005・山本粂吉
○山本委員長 御異議なければさよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/5
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006・山本粂吉
○山本委員長 次に防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/6
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007・受田新吉
○受田委員 政府は防衛庁設置法の一部改正法案と自衛隊法の一部改正法案を御提出に相なっておるのでありますが、このいわゆる防衛二法案の改正の意図は、政府が企図する防衛六カ年計画の前進を物語るものであることはきわめて明瞭であると思います。ところがすでに防衛六カ年計画の一年は過ぎ去りまして、第二年度に入っておるわけで、今回の防衛庁設置法の改正案を拝見しますると、その中には第七条の二項に、陸上部隊の十五万人を十六万人にふやすという案が示されております。この一万人をふやしたということは何を基準にされたのか。ことに政府は昭和三十五年をもってこの防衛六カ年計画を終って、陸上部隊十八万という目標を持っておられるが、三十一年度に二か人の比率でいくならばもうあと二万人増員すればいいわけなんです。この今年度一万人を増員したという理由はどこに根拠があるかをお示し願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/7
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008・船田中
○船田国務大臣 陸上自衛官の増員につきまして、ただいま受田委員から御質問がございましたが、陸上自衛隊は現在六管区隊及び二混成団を編成いたしまして、北海道に二管区隊及び一混成団、九州に一管区隊及び一混成団、その他の本土に三管区隊をそれぞれ配置しておるのであります。それで、これはこの前御説明申し上げておりますが、この防衛力漸増の方針に従いまして、昭和三十一年度におきましては新たに混成団一を編成いたしまして、長官直轄部隊としてこれを東北地方北部に配置し、また所要の特科、特車部隊並びに補給処等の後方業務関係の部隊及び機関を増設または強化する必要がある。こういうことから一万人が増員されておりますが、その増員の内訳について申し上げますと、主動部隊たる混成団、これは約六千人であります。それから特科大隊、空挺大隊、特車中隊、観測中隊、ヘリコプター隊の新設等に伴う増員が合せて約八千四百人、その他後方部隊の増強のため約六百人、その他補給処、地方連絡部等で約一千名、合計一万人、こういうことになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/8
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009・受田新吉
○受田委員 一万人増員の内訳は御説明で了承するのでありますが、昭和三十一年度に一万人を増強するということになりますならば、三十二年度、三年度、四年度、五年度というそれぞれの計画が一応示されなければ、その本年度増強の基礎というものが明瞭にならないと思うのです。三十一年度にこれだけの部隊を増強する、三十二年度はこれだけ、そうして三十五年度において十八万の陸上部隊を完成する。いわゆる海軍は十二万四千トンの艦船を持つというような、こういう構想が示されなければならぬと思うのでありますが、政府の年度計画において本年度これだけのものを増強するというならば、来年度はどういうものを増強しようというお考えがあるのか。再来年度はどれだけあるか、こういうところを一応構想としてはお持ちいただいておると思うのであります。御説明いただくのに何か事情があるならば別でありますけれども、少くとも国民は政府の三十五年度をもって完了する防衛計画については、その年度別計画というものをある程度了承したいという気持が多分にあると思うので、この点当面の年次計画をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/9
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010・船田中
○船田国務大臣 ただいま受田委員の御質問の要旨は、おそらくこの防衛庁試案、すなわち三十五年度においてただいまお示しのような目標を達成するための年次計画を示せ、こういう御質問の要旨であると存じますが、その点につきましては、たびたび予算委員会及び当委員会においても申し上げておりますように、年次計画というものはまだできておりません。私ども防衛の責任者といたしましては、これもたびたび申し上げておることでございますが、すみやかに国防会議の設置を期待いたしまして、この国防会議に諸般の材料を提供いたし、そうしてわが国の基本的な国防計画等について御審議を願う、そうして政府案としてこれを確立するようにいたしたい、かように考えておりますので、現在におきましては、防衛庁の試案といたしましても、年次計円というものをまだ作成しておらないのであります。その点はどうぞ御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/10
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011・受田新吉
○受田委員 計画のないところに政府の施策を進めることは非常に困難であると私は思うのです。まだ先は立てておらぬということでありますが、無計画のままに仕事を進めていくような国家事業ということはあり得ないことなんです。国防会議の構成に関する法律が出て後にしたいというお言葉でありますが、これは国会がまだそういうものをきめておらぬのであります。それができる以前においては、防衛庁自体がその計画をお進めになるべきだと思うのですが、少くとも来年昭和三十二年度の計画ぐらいは、もう差し迫った問題であるから立案されつつあらねばならぬと思うのであります。ここへお出しいただいた改正案だけの御計画で、それから先は全然考えていないというような場当り的なものであっては、国家事業としてはなはだずさんであると思いますので、一応政府は少くとも昭和三十二年度の計画の大綱ぐらいはお持ちになっておられると思うのでありますが、これはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/11
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012・船田中
○船田国務大臣 御質問まことに、ごもっともでございますが、三十一年度の予算につきましては、財政状況あるいは経済事情、今日のわが国の国力、社会情勢、あらゆる情勢を勘案いたしまして、ただいま提出をいたしておりまする予算に決定をし、従って先ほど御説明申しました陸上一万の増員というようなことを中心に計画を立てておるのでありますが、しかし三十二年度の計画になりますと、これはアメリカからの初度兵器の調弁ということにつきましていろいろ折衝をして、向うからもらうものも相当に見積りを立てていかなければなりませんし、また経済、財政各般の事情も勘案して参らなければなりませんので、従いまして三十二年度の予算につきましては、本日ここにお示しするほどの具体的なものがまだできておらないのであります。その点は御了承をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/12
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013・受田新吉
○受田委員 本日ここへお示しいただくほど具体的なものがなくとも、大綱ぐらいはお持ちであろうと思うのです。その大綱すらもお持ちでないかどうかをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/13
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014・船田中
○船田国務大臣 昭和三十五年度に最終目標を達成するというためには、ある程度の増強をしていかなければならぬということはもちろん考えておりますけれども、これをどういうふうに予算化するかというようなことについては、まだ計画を持っておりませんので、ここにお示しをするという段階にはまだ達しておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/14
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015・受田新吉
○受田委員 もはや一年後に迫る三十二年度の大綱すらもお持ちにならぬということになるならば、国家事業の遂行の上に非常に大きな支障があり、いわゆる場当り的な施策としかいえない。われわれは政府がある程度の構想をお持ちになって——その構想の具体化に困難はあるとしても、大綱を持って進むということはきわめて重要だと思うのです。すでに三十五年度に十八万の地上自衛官の目標を持っておられるとするならば、まだ三十二年、三年四年、五年と四カ年間あるのでございますから、ことし十六万にしなくても、五カ年計画で十八万ということになるならば、一万ずつの増強をはかると仮定するならば、五カ年の間に二十万になってしまうのです。それほど年次計画の初めのころにスピードを上げなくとも、年次計画的に十八万を五カ年に分けて、十五万から十八万に至る間を五段階くらいに分けて、漸進主義で増強していくというのが常識ではないかと思うのであります。場当り的施策として本年一万を増強して、あと四年間にわたって残り二万を増強するという結果になると思っておるのでありますが、この点本年の一万増強というものは度に過ぎたものではないかと思いますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/15
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016・船田中
○船田国務大臣 三十一年度におきまして一万人を増員するということは、先ほど御説明申し上げましたような理由であり、その内容はこれまた先ほど御説明申し上げた通りでありまして、三十五年度に十八万ということになりますと、三十一年度の増強が少し多過ぎやせぬか、陸に少し偏重しやしないかというようなただいまの御質問の御趣旨であったと存じますが、これまた予算委員会でも御説明申し上げましたように、アメリカの駐留軍の撤退していきますのも陸上の戦闘部隊から早目に撤退していく、こういうようなこともございますので、それらの事情も見合いまして、三十一年度においては陸上一万人の増員をやる、こういうことに計画を立てた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/16
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017・受田新吉
○受田委員 政府の企図する三十五年度の防衛計画完了のときの数字は、アメリカ合衆国との間において了解された数字でありますか、あるいは政府が内部的に独自の立場で立てられた案でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/17
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018・船田中
○船田国務大臣 この数字は、もちろん日本が自主的に政府としてきめておる数字でありまして、アメリカから強要されたとかあるいはアメリカから注文を受けたとかいうような事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/18
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019・受田新吉
○受田委員 陸上に重さが片寄り過ぎているということは、これはもう衆目の見るところでありますが、このところで明らかにしておきたいと思うのですけれども、艦船の数字、飛行機の数字で目標が立てられておりますので、ここに示された海上及び空の方の最終目標の人員は幾らでありますか、それをお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/19
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020・船田中
○船田国務大臣 最終目標は、陸上につきましては、今まで申し上げておるように十八万ということになっておりますが、海上及び航空自衛隊の人員につきましては・まだそれだけの人員の方についての計画がはっきりしておりません。海上艦艇大体十二万四千トン、飛行機につきましては、航空自衛隊、練習機を加えて千三百機ということになっておりますけれども、それに見合うところの空及び海の自衛官、及びそれのシビリアンを加えてどれくらいになるかということについての予想は、まだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/20
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021・受田新吉
○受田委員 それははなはだ不可思議なことであって、艦艇と飛行機がどれだけ増強されるかがきまっている以上は、その乗員の目標ぐらいできてないということははなはだこれは了解に苦しむわけです。この点、政府独自の考えをもってすれば、大よそどのくらいのものになるかというくらいの目標はわかると思うのです、海空の人員の上においても。この点、大よその目標くらい打ち立っておられると思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/21
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022・船田中
○船田国務大臣 これはたびたびのお尋ねでありますけれども、まだそれだけの数字の根拠をお示しするところまでいっておらないのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/22
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023・受田新吉
○受田委員 まことにこれは防衛計画としては驚くべき無秩序、無計画といわざるを得ないのであります。陸上の人数だけわかった、あとは軍艦のトン数はわかった、飛行機だけは目標がわかっておる、しかし海空の人員はさっぱりわからないのだ、こういう御答弁でありますが、これは政府としてははなはだふまじめな考え方だと思うのです。少くとも目標を立てて、艦船飛行機数をどれだけとする以上は、それに勤務する軍人が幾らおるか、シビリアンが幾らあるかというくらいの大綱だけは示していいと思うのであります。この点、大よそ軍艦一万トンにつきどのくらいの人員が所要である、飛行機一機につき平均どのくらいの乗員をもってするという算定基礎だけはわかっておると思いますが、これらはどういう形になって算定されておるのか、そしてそのほかの勤務者を合せてどのくらいになるのだという、そのくらいのことはわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/23
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024・船田中
○船田国務大臣 先ほど来受田委員は政府案として持っているかということをたびたびおっしゃっておるのですが、このことは、当委員会におきましても、予算委員会におきましても、私及び大蔵大臣からもたびたび答弁申し上げておりますように、政府案としては長期防衛計画を持っておらないのであります。今までおあげになりました三十五年度の陸上十八万、艦艇十二万四千云々という数字は、防衛庁の試案として一応の目標を立てておるということでございまして、その年次計画、それからまた海上においてどういう艦種のものを持つか、あるいは飛行機につきましてもどういう型の、どういう性能のものを持つかということにつきましては、今具体的にきまっているわけでも何でもございません。またこれは国際情勢にもよることでありますので、それらの問題はあげて国防会議が設置されましたときに、これらの資料を提出いたしまして国防会議において十分案を練ってもらい、そして政府の長期防衛計画として確立をして、確認をするように進めて参りたいと考えておるのでありまして、先ほど来政府案としてというお言葉がございましたが、私の説明が足らなかったかもしれませんが、政府案としては、先ほどお示しになりましたような、最終目標についても確定した案を持っているわけではございませんで、これはどこまでも防衛庁の試案ということで御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/24
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025・受田新吉
○受田委員 防衛庁が政府部内のお役所であることはきわめて明瞭なのであって、防衛庁試案なるものは政府の役所の試案としても政府の責任のある試案といわざるを得ないのです。
かつてあなたの前任者の砂田防衛庁長官に、その試案なるものを国防省設置をやるということによってお示しいただいたことがあります。少くとも一国の国務大臣で防衛庁長官を兼ねておられる立場で試案を有せられるということになれば、政府の責任ある一試案と私は断じていいと思うのです。それが、防衛庁長官が交代して船田さんにかわったとなると、前の砂田さんの示されておられた国防省の設置というものも立ち消えになるというようなおろそかなことでは、一貫した内閣の信念にも非常に大きなひびが入るものだと思うので、大臣がかわることによって防衛庁の試案が右往左往するというようなことはけしからぬことだと私は思うのでありますが、ここで関連して、前砂田防衛庁長官のあの国防省設置の案なるものはいかなる形で示されたものであるか、またその案は今の大臣はいかようにお考えになっておられるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/25
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026・船田中
○船田国務大臣 今受田委員の仰せられたお言葉の中に、大臣がかわるごとに防衛庁の試案がかわるでないかということがございますが、先ほどお示しになりました三十五年度に達成いたしたいという、防衛庁の持っております試案は、大体これを踏襲して今日においても試案として持っておるのであります。
次に国防省設置の問題でございますが、これは前長官のときにも、庁議を決定して世間に示したというものではないのでありまして、これも全く前長官の私の案として、そういう意味の試案としてお示しになったことはあるようでありますが、政府として決定した案ではないのであります。政府として決定するまでの過程におきましていろいろ意見が出るということはあり得ることでございまして、それをお取り上げになりまして現在変ったじゃないかと仰せられても、それは少し無理ではないかと思います。ただ国防省の設置につきましては、私ども防衛の責任者といたしましては、国防省あるいは防衛省と申しましても差しつかえありませんが、一省になることを希望はいたしております。しかし現在行政改革の問題も論議されており、予算の関係あるいは一般の行政機構の問題等を勘案して最終決定をしなければなりませんので、検討はいたしておりますけれども、政府としてはまだ成案を得ておらないというのが今日の実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/26
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027・受田新吉
○受田委員 船田現長官も国防省の設置は希望しておるという言明をしていただいたわけなので、それを実現するために、これからいろいろ努力をしていこうという気持を持っておられることと了承させていただきました。
私はいま一つだけお尋ねして質問を終りたいのですが、この防衛計画の来年度の要求の中には、英豪軍は含まれておらぬと私は了解いたしますが、今日本国内に英豪軍なるものが相当数なお残留しております。これはどういう性格で在留しておるか、また防衛庁の御計画の数字の中にはこれはどういう形で考えられたのかお尋ね申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/27
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028・船田中
○船田国務大臣 三十一年度の予算の中には英豪軍の関係は何もございません。ただいま御質問のありました英豪軍が日本に駐留しておる関係は、むしろ外務省当局から答弁申し上げるのが適当かと思いますが、これは国連軍の一部として日本に現在まで駐留いたしておるのでありまして、その根拠は日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の署名に際し、吉田内閣総理大臣とアチソン国務長官との間に交換された公文と、それからもう一つ、それに基きまして日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定、こういうような協定が結ばれておりまして、その根拠に基いて現在もなお駐留しておるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/28
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029・受田新吉
○受田委員 英豪軍は今国内にどのくらい駐屯しておりますか、英豪軍の数をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/29
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030・船田中
○船田国務大臣 正確なことはわかりませんが、数千名ということに私は承知いたしております。なおこれは関係の筋によく確かめまして、正確なことを答弁申し上げた方がよかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/30
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031・受田新吉
○受田委員 これで質問は終りますが、英豪軍が日本国に駐屯しておる理由は、国連軍の一部としてというお約束によって、そうされているのだということでありますが、このようなものが今日本に駐屯しておるというのは、はなはだ了解に苦しむのであって、少くとも日本とアメリカとの間にいろいろな取りきめをする際に、国連軍までここへ持ち込んでお世話になるような必要は私はないと思う。さしあたり防衛庁としては関与しないところだということでありますけれども、船田さんは国務大臣として国政全般を担当しておられる立場上、英豪軍に対する対策を、次の委員会において御説明いただくよう御用意を願いまして、私の質問は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/31
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032・山本粂吉
○山本委員長 両案に対する残余の質疑は次会に譲ります。
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033・山本粂吉
○山本委員長 次に調達業務に関し西村委員より発言を求められておりますのでこれを許します。西村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/33
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034・西村力弥
○西村(力)委員 時間が少ししかありませんが、本日で審議が終了しない場合には次会に必ずやっていただきたい、しかもその際には調達業務の担当大臣である倉石忠雄氏の出席を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/34
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035・山本粂吉
○山本委員長 西村君にお答えいたします。御趣旨了承いたしましたから、本日はお約束の通り十二時ちょっと前までに質疑をお打ち切り願うようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/35
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036・西村力弥
○西村(力)委員 委員長のお言葉了承いたしました。前々から問題になっておりました砂川の基地拡張に対するいわゆる条件派に対しまして、政府側としましては切りくずしのような意図をもって協力謝礼金というものをかざして、そうして何とか基地拡張を成功に導こう、こうやっておったようでございましたが、十五日の新聞によりますと、十四日には条件派が倉石労働大臣と会って協力謝礼金の額最低五万円、最高五十万円を、一率十万円ずつプラスして、最低十五万円、最高六十万円にしてもらいたい、こう要請した。ところが大臣はこれはできない、今までやったのが最大限の努力である、だから地元民もこの点で納得してもらいたい、こういうことを言った。そうしてそれに答えて条件派は会議を持った結果、この協力謝礼金の何をのんで、そして土地提供に応ずる、こういうことになった、こうなっておりますが、この記事から見ますると、いよいよ政府側としては協力謝礼金を出すという最後的な腹をきめられたように受け取るのですが、さように調達庁の方においては協力謝礼金を出すことに最後的な決定をなさったのかどうか、その点をまずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/36
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037・丸山信
○丸山政府委員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/37
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038・西村力弥
○西村(力)委員 この協力謝礼金を出すか出さないか、あるいは出し得るか出し得ないかという問題については、相当の疑義があるところでございまして、この国会においても法務委員会においてこのことが論議になったはずでございます。それで皆さんが出されるということを決定なされたその裏づけはどういうところにあるか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/38
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039・丸山信
○丸山政府委員 裏づけと申しますのは、その法律あるいは予算上の性質のお尋ねだと存じますが、その点に関しましては、一言にしていえば、行政上の措置である、つまり法令に政府がぜひやるべしというものはございませんが、国の政府の施策といたしまして必要なことである。そしてそのことが予算上にも認められておる、こういう事情で行政上政府が必要な処置としてこういうものを出し得る、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/39
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040・西村力弥
○西村(力)委員 いろいろ苦心なさってへ理屈をつけられたのだろうと思うのですが、しかしながら土地物件等の収用に伴う補償というものではなく、はっきり協力謝礼金という別個なこういうものを出し得るという工合に考えた、すなわちそれは補償金ではなく別個の謝礼金、こういう性格分けをして、しかもその協力謝礼金は出し得るんだ、こういう工合な法的な、あるいは財政的なその根拠を築き上げたのかどうか、その点を一つお尋ねをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/40
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041・丸山信
○丸山政府委員 お説の通り土地物件、これに伴いますところの適正な買収価額、あるいは補償費以外に別個に考えたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/41
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042・西村力弥
○西村(力)委員 その点は後ほど大臣にも詳しくお尋ねをしなければならない、こう思うのですが、ただいまの御答弁を聞きますと、政府は法律を尊重してやるのだ、順守する、格守する、こういう建前をとって、行政措置としてそういう操作が可能だ、こういうような意味の答弁をなさいましたが、あなた方は、やはり政府のなさる行政というのは、すべて法律を順守し恪守して進むべきであるという建前ではなく、ある程度尊重すればよいのだ、あと行政というものは独自な相当な幅を持つ権限はあるのだ、こういう立場をとっていらっしゃるのでございますか。そこのところはどちらでございますか。今のような御決定がどちらの立場から生み出されたものであるかということを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/42
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043・丸山信
○丸山政府委員 関係法令にありますことは、もちろんその通り順守いたしますが、法令にたといないものでありましても、政府の一つの施策上非常に必要なことである、こういうことはやって差しつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/43
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044・西村力弥
○西村(力)委員 しからばこの際その準拠せられた法律を御明示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/44
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045・丸山信
○丸山政府委員 協力謝金に関しましては、先ほどからのお話で御承知だと思いますが、法令にはございません。それを別の行政措置として考えてやっておる次第でございますが、これの裏づけと申しますか、これは予算でございまして、防衛支出金という一つの予算がございまして、この予算項目は、御承知の通り、大まかに分けますと、米軍に対する交付金と施設の提供関係のものと大きく分けられるものでございますが、その施設の提供に関する措置と考えました場合に、もちろん通常法令上当然必要とするところの買収費あるいは賃借料、その他の補償費も計上いたしましたが、この飛行場問題に関しましては、格別に重大な事項であり、しかも緊急のものであり、またこれの影響する範囲も非常に大きいものでございますので、この施設の提供とういものができるだけ円滑にいくように、何らか特別に措置を考えなければいけない、こういう意味合いからこの提供を円滑にするための経費を考えておったのが、やはり防衛支出金の中に含まれておるわけでございまして、それを具体的にいかに支出すべきか、これに関して検討、研究を重ねられましたあげく、協力謝金というやり方でその方途をきめていこう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/45
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046・西村力弥
○西村(力)委員 ただいまの支出は、財政法の第三十四条ですか、支払い計画の承認、そういうような財政法に基いて事前に大蔵大臣の許可を受けていることであるかどうか。私はこの財政法の第三十四条に基く支払い計画承認を求めた、その承認書を御提示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/46
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047・丸山信
○丸山政府委員 これの関係は、先ほども申しました通り、予算といたしましては防衛支出金という項目一本になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/47
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048・西村力弥
○西村(力)委員 それは項ばかりでなく目まで示してやるべきことになっているはずですが、その通りにやっておられるかどうか。その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/48
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049・丸山信
○丸山政府委員 重ねて申し上げますが、これの関係は予算としましては実は項一本になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/49
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050・西村力弥
○西村(力)委員 しかし財政法第三十四条には項目まで明示すべきであるということが義務づけられておる。項一本で出すならば、あなた方は財政法に違反し、これを承認するならば、大蔵大臣は財政法に違反しておる。こういうことを私はしろうと観測を持つのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/50
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051・丸山信
○丸山政府委員 先ほど若干言葉が足りなかったかと思いますが、予算として出しましたのは項一本でございますが、お説の通り、これを支出する場合には目を立て支出するわけでございます。従いまして、これを実際に支出する場合には、大蔵大臣の承認を得まして、目を立て、そういうものを盛りまして支出することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/51
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052・西村力弥
○西村(力)委員 その目の場合に、その目はどういう名称になっておるか。ただいま言われておる支出金額の目はどういう名称になっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/52
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053・丸山信
○丸山政府委員 その目は特別施設区域等提供協力謝金となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/53
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054・西村力弥
○西村(力)委員 協力謝金ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/54
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055・丸山信
○丸山政府委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/55
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056・西村力弥
○西村(力)委員 それはいつ支払い計画を提出なさったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/56
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057・丸山信
○丸山政府委員 十二月の二十日過ぎかと思いますが、先ほど申しましたように、大蔵省に特別施設区域等提供協力謝金ということで、大蔵大臣の承認を得てあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/57
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058・西村力弥
○西村(力)委員 それはもっと前から進んでおったはずなんでございますので、その前には支払い計画は全然項を立てられなかった。この飛行場の拡張については、去年の当初からの計画でございますので、その支払い計画はもっと前からあり、そうして大蔵大臣の承認を求めていたはずじゃないかと思う。それを今度取り消して、新しく十二月にそういう支払い計画の承認を求めた、その通りでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/58
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059・丸山信
○丸山政府委員 御承知の通り、飛行場関係の仕事は非常に予定よりおくれてきております。実際に支払い計画を立て、承認を求めるのは、ほぼ支出の見通し等が確定になる時期にいたしております。従ってお話のように、別に前の云々を、取り消して、十二月になって新たにこういうものを求めたということではございません。測量等も十一月にほぼ完了いたしまして、調査が具体的にできまして、いよいよこれから値段等の交渉その他の話し合いの段階になる、こういうことで予定が立ちましたので、そこで初めて支払い計画を作りまして、大蔵大臣の承認を得た次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/59
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060・西村力弥
○西村(力)委員 時間がありませんので、あなたの方に対する質問は後日大臣に直接お聞きしなければならないかと思うのですが、ただいかに窮すればとはいいながら、市井一般のブローカー的な取引を政府自体がやり、われわれの血税をそのように使うということは、まことに心外しごくなんだ。しかも憲法第二十九条には、財産権というものは絶対に侵されない。侵す場合は公共の福祉、こういうことであります。しかもそれには正当なる補償という裏づけをもって、私有財産を侵害するということになる。その私有財産が侵害される正当なる補償というものは、ただ一つであるはずなんだ。正当なる補償が二つも三つも四つもあったら、正当という言葉が泣くではないか。それを一般のブローカーのような方法でもってやろうとするようなことは、これは明らかに憲法の精神に違反するものであるとわれわれは考える。しかもそのようなことが可能であるとするならば、今まで土地を提供したすべての者に協力謝礼金を今から出すべきである。あるいはまた最後的に土地収用法にかけて無理やりに土地をとったような場合には、その協力謝礼金をもっとよけいにやるべきだ。何がゆえに砂川の反対派が最後まで反対かということは、条件派と違って、土地をとられることによる被害というものが、直接自分の生活、生命に影響するからこそ反対しておる。それを思うならば、それを侵す国家は協力謝礼金というものはもっともっとよけいにやるべきである。それを条件派だけにああいうブローカー的な、包み金的なそういう謝礼金を出すということは、国家行政としてはまことに非難さるべきことであると思う。若松条件派の会長は砂川の地域拡張によって一体どれだけの被害を受けたか、次長は御存じですか。あの人の被害が実質的にどれだけあったか、お述べを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/60
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061・丸山信
○丸山政府委員 私ども別に条件派だけに出そうとは考えておりません。砂川で申しますならば、関係の土地所有者その他権利人全部に出したいと考えております。われわれの申し出にぜひ応じて下さることを希望しまして、応じて下さる方にはどなたも差別なく出す方式を考えておりまして、現在もなお都知事のあっせんによりまして、調達庁の買収価格なり、あるいはそれに対する御協力に対しての今のようなものなり、こういうことで全員お話し合いに応じて下さるようにお願い申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/61
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062・西村力弥
○西村(力)委員 そんなことを聞いているのじゃない。若松条件派の会長があの砂川の飛行場滑走路拡張によって、どれだけの実質的に被害があるか、それを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/62
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063・丸山信
○丸山政府委員 若松前町長は、私の知るところでは、関係の土地の所有はないと思います。従って若松さんには協力謝金を差し上げるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/63
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064・西村力弥
○西村(力)委員 若松会長は自分が実質的に被害がないのにかかわらず、協力謝礼金を盛んにあおって、そうして被害の少い人々を結集しておる。そういう事情の人はそれでも生きられるでしょう。それが協力だという国家の考え方はおかしいじゃないか。
ではもう一つお尋ねしますが、すべての人に出そうと思っておるのなら、土地収用法によって収用された人間にも差別なく、最後には協力謝礼金を上げるのだ、そこに差別をつけないのだ、こういうお考えのように御答弁いただきましたが、その通りであるかどうか。そうでないならば、私たちの言うところの国家権力に従ったものだけは、それはかわいいものであるから、協力謝礼金を与える、こういうふうに聞えるが、そういうようなものは結局その人の持っておる権利というものが侵されたことに対する代償である。国家権力に従う従わないということは問題ではない。その通り土地収用法にかけて最後的に取った場合においても、最後的には協力したということは客観的にはなるのであるから、協力謝礼金は出すのである、こういうお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/64
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065・丸山信
○丸山政府委員 収用委員会にかけて最後的に土地収用してしまう、こういう方には協力謝金を出す考えは持っておりません。そういう土地収用等の強権発動と申しますか、そういうことによって無理やりにその土地を提供していただく、こういうことを避けまして、むしろ話し合いでなるべく早く円満に事を運ぶために必要なものと考えたのが協力謝金であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/65
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066・西村力弥
○西村(力)委員 まあそんなところでございましょう。ただ私はずっと考えてみると、これはしっかり担当の大臣あるいは法務大臣と話をしなければならぬと思うが、国家権力と個人の権利というものは対等でなければならぬ。ところが今のあなたの理屈というのは、その民主主義国家の国家権力と個人の権利は対等だということをあなた方は侵しておる。これは民主主義の基礎を破壊するものだ。国家権力になびけば協力謝礼金が出る。自分の権利を主張すればそれは不当な取り扱いをする。こういう国家はファッショ国家だ。これは民主生誕の原則に反するのですよ。今のあなた方は、せっかく敗戦によって取った日本の民主主義をくずそうとしている。この協力謝礼金は、私はまことにゆゆしい問題であると考えておる。国家権力がすべて優先していくような形になっておるのですよ。
それではあなた方に対する質問はそのくらいにしまして、会計検査院にお尋ねしますが、このことはとにかく憲法第二十九条に反することである。あるいは財政法、会計法の上からいっても非常に疑問がある。その点についていろいろ検査院の方に来ていただいて、また会計検査院にも参って申し上げました。ところがそういうような工合になれば違法だというような工合になるかもしれない。よく調達庁とも連絡して、というような話でありました。あなたの方では、今申されたような国費の支出は、これは正しいと思われるかどうか。これは検査院の総長に一つお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/66
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067・池田直
○池田会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査院といたしましては、予算の執行につきまして予算に違反しているかどうか、並びに法令に準拠して予算が執行されたかどうかという問題を検査いたしますわけでございます。御承知の通りでございますので、私が特に付言する必要もございませんが、ただいま問題になっておりまする協力謝金を防衛支出金から支出する問題であります。会計検査院の方では皆様方からいろいろ御意見を伺ったことは、これは今お話しの通りと存じますが、国会の委員会あるいは検査院においてお話を伺っております。その当時といたしましては、防御支出金の方から協力謝金を出すことが適法かどうか、従来協力謝金なるものが前例として支出されたかどうか、そうした関係を主として御意見を伺ったように承知しております。当時は、今調達庁の方から御説明があったような予算的措置はなかった次第でございます。防衛支出金は、もちろんこれは国会で御審議、成立いたした予算でございますが、防衛支出金の経費から支出できるような条件になりますれば、会計検査院といたしましてはこれは特に予算に反することにもなるまい、また具体的に申し上げますと、当時は協力謝金という目がなかったのでございます。ところが先ほど来調達庁の方から御説明がありました通り、昨年の十二月、予算総則の第三十二条でございましたか、その規定に基きまして、大蔵省所管に計上いたしました防衛支出金の一部を、総理府の調達庁の方に移しかえをいたしました。その移しかえまする際に、特に協力謝金という新たなる目を設置いたしまして、それによりまして、会計検査院の方にも通知を政府の方からいただいております。従いまして会計検査院といたしましては、国会で審議に相なりました予算総則の規定並びに財政法、会計法等の規定に基きまして、目の設置を特にいたされて、そして防衛支出金の性質等から考慮いたしますと、その目を設置いたしましたことにつきましては、特にこれが予算に反するとか、あるいは違法であるということまでは、会計検査院としては言えない関係にあると考えます。なおその協力謝金なる目から具体的に支出いたしました場合のこれが適法であるか、あるいは当不当であったか、少し会計法に違反しておるかという関係につきましては、会計検査院といたしましては、現実に支出しましたあとによく慎重に検査をいたしまして、その当であるか不当であるかを判定する、こういうふうになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/67
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068・西村力弥
○西村(力)委員 会計検査院は内閣に対して独立しておるはずなのでございますが、どうも内閣が行政措置をする・国会の意思いかんにかかわらず目の設定は自由だというような御答弁をされておるようでございますが、そういう場合において独立したあなたの方は、やはりその国費の支出が正しいか正しくないか、この行政機関が独自に立てる目に対しても、その正否というものは検査をする機能を持っていなければならぬのではないか、そういう工合に私は考えるのです。しかももう一つは、会計検査院はこのような明々白々たる疑義を持つ支出が行われようとしておる、そういう場合において、検査院の立場から事前にその防止の、あるいは是正の措置を何らか合理的にでもなさることが必要ではないか、そういう考えは少しもございませんですか。やはり支出を見た結果、その結果に基いて妥当、非妥当ということを判定する、これだけの機能しかないのか。しかしこれは、やはりそういう明々白々たる事実が今発生しようとしておるのだから、それに対して事前の措置をやるということは、検査院の機能の十分なる発揮としてむしろ賞賛せらるべきではないか、そういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/68
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069・池田直
○池田会計検査院説明員 お答え申し上げます。御意見の御趣旨のほどは私もよくわかるのでございますが、現行の会計検査院の制度の建前といたしましては、今お話しのような段階におきましては、会計検査院といたしまして、これを当不当として直ちに決定をして、適切の処置を講ずるというような権限は持っておりませんので、さよう御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/69
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070・西村力弥
○西村(力)委員 私は会計検査院審査規定に基いて審査をあなた方に提起しようと思っているのです。これを受け付けてもらいたい。これは、
一、要求の要点及び理由
東京都下砂川町の米軍航空基地拡張に伴う土地買収に関し、同町基地対策連盟(いわゆる条件派)に対し、政府は、憲法第二十九条第三項の規定の正当なる補償の範囲を逸脱して不当なる支払をなさんとしている。
すなわち、土地、物件等の買収費及び損失補償等の支出の外に、一般市井の売買行為に見られる包金的意味において、協力謝礼金一戸最低五万円、最高五十万円の支払を行おうとしている。
このことは明らかに国費の不当使用というべきであり、砂川町基地反対同盟の人々は勿論、納税者である国民に重大なる損失を与えるものと思料される。
よって、会計検査院の審査を要求するものである。
二、訴訟又は訴願提起の有無
現在なし
こういうようなことで、私の名前であなたの方に審査要求を出そうと思うが、これを受け付けてもらいたいのです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/70
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071・池田直
○池田会計検査院説明員 ただいまのは、院法第三十五条の規定によって審査請求をお出しになるという御趣旨だろうと私思いますが、ただいま問題になっておりまする事態が、たとえば協力謝金が出されましたあとで審査請求の申し出がございましたら、私の方といたしましても受理いたしまして何らかの措置を決定いたさなければならないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/71
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072・西村力弥
○西村(力)委員 実際にこれが行われればわれわれが損失を受けるのです。だから事前に出して受けられないということはない。必ず受け付けてもらいたいが、どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/72
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073・池田直
○池田会計検査院説明員 御趣旨のほどはよくわかりますが、会計検査院の現行の建前が、現段階においては審査請求を受理することができるような建前になっていないことを、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/73
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074・西村力弥
○西村(力)委員 とにかくきょうは大臣がお見えにならないので、大臣がおいでになったときに、また根本的にお話し合いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/74
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075・山本粂吉
○山本委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時三分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X00819560217/75
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