1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十三日(木曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
理事 高橋 等君 理事 保科善四郎君
理事 宮澤 胤勇君 理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 大村 清一君
小金 義照君 辻 政信君
床次 徳二君 粟山 博君
山本 正一君 横井 太郎君
飛鳥田一雄君 石橋 政嗣君
稻村 隆一君 片島 港君
西村 力弥君 細田 綱吉君
森 三樹二君
出席国務大臣
内閣総理大臣 鳩山 一郎君
文 部 大 臣 清瀬 一郎君
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
法制局長官 林 修三君
防衛庁参事官
(長官官房長) 門叶 宗雄君
防衛庁参事官
(防衛局長) 林 一夫君
防衛庁参事官
(経理局長) 北島 武雄君
委員外の出席者
議 員 古井 喜實君
議 員 山崎 巖君
専 門 員 安倍 三郎君
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二月二十二日
委員中村高一君辞任につき、その補欠として西村
力弥君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
憲法調査会法案(岸信介君外六十名提出、衆法
第一号)
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四三号)
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
憲法調査会法案を議題とし質疑を続行いたします。通告がありますのでこれを許します。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/1
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002・受田新吉
○受田委員 鳩山内閣総理大臣は、すでに戦前より民主主義を理解するきわめて有名な政治家でいらっしゃったし、今日内閣の首班として祖国の再建を担当していらっしゃるので、その点に対しては深く敬意を表しております。一昨日私がお尋ねしたことに関連してお答えを願いたいのでありますが、憲法を改正するというかかる重大な国家の施策に関しまして、国際的にいかなる遠慮深謀を有せられるかという点であります。ポツダム宣言には一昨日林法制局長官は米英中ソ仏と仏を入れておられましたけれども、このフランスは林長官の言い間違いではないかと思いますが、これは四カ国の共同宣言でありまして、この四カ国は不可分の関係で共同宣言を発したのか、あるいは何分し得るものかという論点があるのであります。アメリカと中国とそしてイギリスにおきましては、すでに平和条約締結によって甘木の独立を認めた。しかしソ連は日本に対して依然として占領の継続が続いておると、ソ連の共産党大会においても、またソ連の首脳者たちも日本に対する態度ははっきり言うておる。この点において先般総理も林長官の言明を了承せられたのでありますが、ポツダム宣言は日本に対しては平和条約が締結された以上、ソ連においても何ら拘束を受けるものではないというこの言質を、あくまでも固執せられるかどうかを御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/2
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003・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ポツダム宣言の約束は、とにかく四カ国の共同の宣言でありますから、四カ国の共同の意思として認められる限りにおいて効力があると考えます。それがゆえに他の国との平和条約ができた今日、ソ連との戦争状態は当然にないものと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/3
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004・受田新吉
○受田委員 ソ連との戦争状態がないものと考えておるという御言明であります。しかしソ連当局は日本に対して平和条約を締結するまでは依然として占領が続いており、戦争状態にあると言明しておるのでありますが、日ソ両国首脳部門に見解の差があることについてはいかなる解決をはかろうとせられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/4
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005・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私の言葉が足りませんでした。四カ国の共同宣言であるから、四カ国の共同意思として認められる限りにおいて効力があると申したのでありまして、ソ連との戦争状態が終結したというのは私言い過ぎでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/5
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006・受田新吉
○受田委員 ソ連との戦争状態は続いておると総理も言明されました。私はこの点についてポツダム宣言には明らかに侵略戦争を阻止し、非武装国家の建設を日本に要望しておるのでありまして、その精神から言うならば、憲法第九条を改正して再軍備国家として再出発をしようという立場からは、戦争状態の続いているといわれるソ連との間においては、これは日本がソ連と終戦宣言とかもしくは平和条約を締結しない限りにおいては、ソ連に対して憲法改正のごとき日本国の基本政策を、ソ連の意思の加わらない現在の立場において改正をするということは、これけ非礼的ではないかと考えるのでありますが、総理はいかがお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/6
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007・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はそうは考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/7
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008・受田新吉
○受田委員 いま一つ突っ込んでお尋ねしたいのですが、四カ国宣言は、三国が平和条約を結んだから一国はもう効力がなくなったということではなくして、依然として戦争状態が続いておるという拘束はあるのだという、今言明があったのでありますが、ソ連と日本との関係において、三国条約が締結された効力が影響をしていないという解釈をされておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/8
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009・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 この点は法制局長官から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/9
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010・林修三
○林(修)政府委員 ただいまの御質問、ちょっと私意味をとりかねたところがございますが、ポツダム宣言は、御承知のように、米英中ソ連の四カ国の共同宣言でございます。この前フランスを入れて申し上げましたのは、私ついうっかりいたしまして間違いました。訂正いたします。この四カ国の共同宣言でございますが、四カ国としての共同の意思に共いてやったものでございまして、それに対して日本は降伏文書において。ポツダム宣言を受諾したわけでございます。従いまして、日本との関係においてはこの降伏文書を通じて日本には拘束力があったわけでございます。この降伏文書の中には実はいろいろの内容がございます。一つは休戦と申しますか、無条件降伏するということをうたっておるわけであります。それから休戦を約束した。それから。ポツダム宣言に基くいろいろの降伏条件、こういうものが入っておったわけです。休戦関係はこれは個々の国との間の状態だと私は思います。現在も日本とソ連との間は戦争状態は続いておると思いますけれども、ポツダム宣言に課せられたところのいろいろの降伏条件、あるいは日本の履行すべき条件、これは四カ国の共同宣言でございまして、日本がそのうちの三カ国と平和条約を結んだということは、すでにこの四カ国の共同の意思がくずれた、かように私どもは考えておるわけであります。日本に関する限り、この四カ国に対してポツダム宣言に基く拘束は、法的には拘束力はないものと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/10
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011・受田新吉
○受田委員 総理は在日ソ連代表部のドムニッキーの書簡をお受け取りになられております。重光外相はこれを拒否されておるようでありますが、総理はお受け取りになられておるようでありますが、これはいかなる立場で、ソ連代表部とお認めになられたのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/11
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012・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ドムニツキーから公文書を私が受け取ったということの記憶がないのですが、ただ、とにかく会いたいと言ってやってきて会ったことはありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/12
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013・受田新吉
○受田委員 それはいかなる資格でお会いになられたのでしょうか。ドムニツキーとはいかなる資格において、ドムニツキー−いかなる資格としてお会いになられたのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/13
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014・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ドムニツキーはソ連の代表者とは考えませんでしたけれども、とにかく適当な人が間に入ったと思いますが、会ってくれというので一応会いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/14
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015・受田新吉
○受田委員 その点あいまいなお答えであります。適当な人が間に入っておるということに対しては了解に苦しむのでありますけれども、ソ連は依然として戦争の状況が続いている国家と日本は見ている。こういう際にそのソ連のある種の意思をお伝えになられるドムニツキーに対しては、何かの資格をお考えになられてお会いになられたとわれわれは見ざるを得ないのでありますけれども、これけいま一度はっきりした御言明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/15
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016・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 全く私的の資格で、公的の資格とは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/16
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017・受田新吉
○受田委員 私は、ソ連当局がポツダム宣言の効力を依然として有することを言明しており、また目下日ソ交渉が進められておる段階において、少くともポ宣言を完全に任務終了に導くための平和条約が締結しておらない限りにおいては、ソ連に対しては日本国としては被占領国としての責任があると思うのです。その占領下において憲法を再び改めるようなやり方は、日ソ交渉の上に非常に阻害があると思うが、いかがお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/17
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018・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ただいまソ連と日本との戦争状態が終結確定したとは蓄えないと思います。言えないとは思いますけれども、ソ連の占領のもとにあるわけではなく、日本はソ連に対してそういうような制限を受けていない。国民は自由なる意思を持っておるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/18
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019・受田新吉
○受田委員 ソ連に対しては何ら拘束を受けない、占領されていないという形にも解釈できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/19
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020・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 占領は受けていないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/20
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021・受田新吉
○受田委員 占領を受けていないソ連に対して、また拘束を受けてないソ連に対しては、遠慮会釈なく憲法改正を意図してよいとお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/21
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022・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 国民の自由意思をとうとんで憲法を改正することは、日本国民の権利だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/22
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023・受田新吉
○受田委員 総理の意思がきわめてはっきりしたので、残された、平和条約の締結されてないソ連に対して遠慮会釈なくやることは、国民の自由意思だという御答弁をいただいたのでありますが、日ソ交渉の前途に非常に暗影を投ずるものだと私は心配するのであります。少くともソ連と交渉が成立して、ソ連との間に平和条約が確立されて、しかる後に憲法改正を意図されてもおそくはないじゃないか。憲法改正をなぜこんなに急がれるのですか。日本が完全独立になる日までなぜ政府はお待ちにならないのですか。われわれは条約が締結せられない、占領されている国がまだあるというこの国際情勢の段階で、何を急いで憲法改正をなさるのか、総理のそのお気持を私は了解に苦しむのです。少くとも終戦直後とは国際情勢が変ったと総理は番われておりますが、終戦直後においては連合国ははっきり一本になっておった。今日はむしろそれが二分されておる。国際情勢は当時よりもっと複雑になっておるはずです。その複雑になった段階で、何をあわてて憲法改正をかくもお急ぎになるのか。もっとゆっくり、ソ連との交渉が成立し、平和条約が締結された後に憲法改正を意図すべきだというお気持はないか、お確かめ申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/23
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024・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ソ連を初めいろいろの国々におきまして、日本の国民が憲法をその自由意思によって改正するということについて、反感を持っている国はないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/24
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025・受田新吉
○受田委員 質問を次に移しますが、憲法を改正するに当りまして、憲法の基本的性格の部分までを改正することができるか、あるいは基本的性格の部分については改正をなし得ない、無制限には改正できないという立場をとられるか、御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/25
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026・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 たびたび申しました通りに、新憲法の基本事実たる民主政治だとかあるいは平和宣言あるいは基本的人権というようなものは、変更する意思は持っていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/26
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027・受田新吉
○受田委員 国民主権の線はきわめて重要な民主政治の基本線であると思いますが、この国民主権の線は変更される意思がありますかありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/27
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028・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 変更する意思はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/28
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029・受田新吉
○受田委員 国民主権を存置すると御言明に相なったことは総理の意図を十分了承し得ると思います。ところがここでさらに問題になる点は、この憲法の解釈に当っていろいろ意見が出て、各個々の条文でなくして憲法そのものに対する、基本的な問題に対するいろんな論争がされる場合に、これに対して最終的な審判を下す憲法裁判所のごときものは、改正しようとする総理の意図のある憲法において、取り上げようとされておるのかどうか、お尋ね申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/29
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030・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 その点についてはいろいろの議論がありますので、憲法調査会において十分検討をしてもらいたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/30
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031・受田新吉
○受田委員 いま一つ、憲法改正案を提出されるのに、内閣にも国会にも、両方に発議権があると申されたのでありますが、私は内閣法第五条を読むときに、憲法七十二条の規定は、内閣に憲法の改正議案を提出する権能なしと認めざるを得ないのです。この点「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、」とありますが、これはいかように解釈したらよろしいか御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/31
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032・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 その他の議案の中にこの憲法改正の議案を出してもいいというように解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/32
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033・受田新吉
○受田委員 憲法改正のごとき重大な基本的議案を、一番最後のその他の中に入れるというように解釈できるとお思いになりますか。冗談じゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/33
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034・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 とにかく国民に対する発議は明瞭に規定されてあるものでありまして三分の二以上の国会の議員がなければできないというように、明白なる制限がついておりますから、その制限を厳守すればただいまのような解釈をいたしましても、別に差しつかえはないと考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/34
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035・受田新吉
○受田委員 私はこの提出権の問題を申し上げておるのであって、「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案」と書いてある。憲法改正案とは書いてないのです。法律案が一番最初にあって、最後に「その他の議案」と書いてある、その他の中に憲法改正のごとき基本的議案を含むなどという心得違いの総理がおられるということは、はなはだしく憲法を無視したものといわざるを得ないが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/35
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036・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はそうは思いません。憲法改正の案を作るということは適当だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/36
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037・受田新吉
○受田委員 民主主義を尊重せられる鳩山総理としては、法律、予算その他の議案の、その他の中へ憲法改正案をお含みになるというような驚くべき発言をされたことに対しては、私ははなはだ心外です。この点については十分御検討いただいて内閣法第五条の精神がどこにあるか、憲法七十三条を受けて内閣法第五条がどういう精神で書かれたか、あなたは十分研究していただかなければならぬと思うのです。内閣法第五条は、総理は内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を提出しとあるゆえに、内閣の議案の中にはこういうものが含まれておらぬということははっきりしておるじゃありませんか。この点においては総理の詭弁であると私ははっきり断定をいたします。
なおいま一つ、昨日ここにおられる山崎先生は、憲法九条を改正するに当って、総理がしばしば自衛のための軍は持ってよいと言われることに対して、自衛行為の限界はどこにあるかとお尋ねをし、関連して大東亜戦争は、自衛の戦いであったか、侵略の戦いであったかお尋ねしたら、最初は自衛であったが、途中から侵略に変ったと答弁されたが、総理もこれを確認せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/37
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038・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 山崎君の土われた自衛のための戦いであった、その後に変更したという意味は正当防衛という形に変更したものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/38
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039・受田新吉
○受田委員 大東亜戦争は正当防衛であったと解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/39
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040・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 正当防衛の範囲を越えたことは否定できますまい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/40
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041・受田新吉
○受田委員 ポツダム宣言には、はっきり、日本は軍国主義によって侵略しているということを規定してある。そのポツダム宣言に日本は無条件降伏した以上は、侵略戦争ということに了承したと私は解するが、これに対して総理はいかようにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/41
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042・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ただいま申しましたように、正当防衛の範囲を晩脱したということはいなむことはできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/42
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043・受田新吉
○受田委員 すでに昨日提案者も侵略戦争を肯定し、またポツダム宣言の侵略意思を認めて、無条件降伏した日本として、今さら侵略でなかったということは言えないということがはっきり言えると思うのでありますが、それに対して自衛のための軍隊であったのが途中から侵略に変ったというのは、これは戦争の勢いです。従って総理が侵略のための軍隊ではない、自衛のための軍隊だとしばしば言われても、自衛のためといいながら侵略に変ることは、これが戦争の趨勢じゃないですか。大東亜戦争がはっきり物語っているじゃありませんか。この点において自衛の軍隊の兵力その他の限界点というものについても十分検討した上で自衛の解釈を下すべきだと思いますが、総理はいかようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/43
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044・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 それは軍制軍令の規定が間違っていなければ、そういうようなことは間違いなく進み得るものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/44
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045・受田新吉
○受田委員 最後にいま一つ。総理はこの憲法改正を非常にお急ぎになり、しかもその目的が憲法第九条であるということをきわめて明瞭にされているのでありますが、大東亜戦争で悲惨な運命にあった日本が、再び昔の悲惨を繰り返そうとする大きな逆コースを政府みずからが動いているということを、はっきり物語ると私は思うのです。この点において総理の侵略か自衛かという大きな解釈の相違については、詳細なる御説明をいただかなければならぬと思うのです。自衛の限界はどこにあるか。少くとも総理として自衛の軍と侵略の軍の差別を設けておられる以上は、自衛軍の限界線を明瞭に御答弁いただいて私は質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/45
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046・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 日本は他国からの不法なる侵略を防衛することを自衛と言って差しつかえないと思います。他国からの不法なる侵略がなければ自衛という問題、自衛の軍隊の必要はないはずであります。他国の軍隊の不法なる侵略を予期して、それについて自衛の軍隊を準備する必要があると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/46
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047・受田新吉
○受田委員 そうしますと今は近代戦でありまして、武器なども、他国から面接無電誘導弾など日本に来る場合がありますが、こういう場合にこれを受けて立つだけが自衛ということは、私は非常に問題だと思うのです。その場合に敵の基地へも空襲をしなければならぬという場合には、海外派兵もあると考えられるのであるが、海外派兵などは全然ない自衛であるのか、この点も御答弁願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/47
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048・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 海外の派兵ということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/48
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049・山本粂吉
○山本委員長 次に保科君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/49
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050・保科善四郎
○保科委員 私は現行憲法は、国民の自由意思によらざる占領悪法であるということは、何人も否定することはできないと考えております。もちろん民主主義と平和主義あるいは基本的人権の尊重に対しては、これは当然だとは考えますが、その権利あることのみを強調いたしまして、義務に関することを落している京、特にソ連や中共ですらも憲法に明記しているような国家を守るというような義務を規定していない点は、非常に遺憾であると考えております。従って私は独立した今日、この現行憲法を毎検討すべき時期に当然到達しているという見解を持っているものであります。私は以下二点につきまして総理大臣に対し、その所信を伺いたいと存ずるのであります。
第一の点は、国際協力のための軍隊に関することであります。総理大臣はしばしば、自衛のためには現憲法でも防衛力を持てるが、疑義があるからして憲法を改正してはっきりさせたい、こういうように申しておられますが、私もこのこと自体には全く同感であります。しかしこれでは国際協力の精神がどうも出ていないように思われるのであります。現憲法は御承知のごとく、民主主義、国際主義、平和主義ということを非常に強調いたしております。このうちで平和主義は、これを広く解釈すれば、国際主義の範囲に入るものと考えられますが、これは現在並びに将来の人類社会においての基本的重要命題であると私は信じております。この自由民主主義及び国際平和主義は来たるべき憲法改正においても、必ず踏襲すべきものと信ずるものであります。現在の憲法の前文にあります「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたい」ということが書いてありますが、私はこの名誉ある地位を国際連合の中で占めるようにすることが、具体的に最も大切なことであると考えているのでありますが、それには国際連合の中で重要視している義務を果すことが当然必要になるわけであると考えております。国際連合加盟国の義務の最も重要なるものの一つとして国際憲章の第四十三条に次のようなことを書いてあります。「国際の平和及び安全の維持に貢献するため、すべての国際連合加盟国は、安全保障理事会の要請に基き且つ一又は二以上の特別協定に従って、国際の平和及び安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を安全保障理事会に利用させることを約束する。」こういうことが書いてあるのであります。ここに兵力提供の義務というのは、これを原文を拾って見ますと、アームド・フォーセズ・アシスタンス・アンドファシリティズと書いてあります。すなわちオアではないのであります。オールなのであります。軍隊か、援助か、便益のどれかを提供すればいいのではなくてその三者を提供することが一つの義務になっております。すなわち国連加盟国は国力相応のことをやる義務があるということになるのであります。わが国は人口九千万、国民総生産が八兆円に達し、東洋においては第一等の科学技術力並びに工業力を持っておりますから、相当の寄与をすべきであると考えるのであります。しかるにわれわれは軍隊を出したくないとか、あるいはそれはほかの国々で出してくれ、われわれは援助と便益を提供するくらいでごめんをこうむりたいというようなことでは、世界の常識は決して許さぬと考えます。私はこういうような意味からいって、わが国の持つべき軍隊というものは、第一義的にはもちろん自国の防衛が目的でありますが、同時に国連に加盟して、国際の平和及び安全の維持に貢献するためにも必要であるということを、政府が月民に対してはっきりと納得させる必要があると私は信じておるのであります。鳩山総理の従来の言明は、このような意味も暗々裡には含んでおるものと私は解釈してもおるの、ありますが、この際いたずらに一部の世論に迎合することなく、はっきりと国連に加盟して国際協力をするためにも軍隊が必要であるということを、わが民の前に明言される御意思があるかどうか、それをまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/50
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051・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 軍隊の程度につきましては疑問があると思います。国際協力のための軍隊という程度です。国際協力のための軍隊というのをどの程度持つかということは、これは問題しなると思いますが、とにかく国際連合の加盟の必要条件としては、私は議論の余地はない。国際連合に加入するのには、自衛のための軍隊だけでもって十分だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/51
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052・保科善四郎
○保科委員 次に私は軍隊の指揮権に関する明確化の問題について、総理に御質問いたしたいと思います。この調査会におきまして、当然軍隊に関する規定の明確化が問題になると思います。ところが軍隊ということになると、国民には直ちに昔の軍隊の復活を連想させがちになり、それだけの理由で憲法改正に反対を唱えるものがかなり多いと私は見ておるのであります。そこで旧軍隊は何ゆえに悪かったかということを、その急所を一言で私は申しますならば、これは統帥権の独立ということがその重大なる原因であったと考えるのであります。私はこれに対しまして、政府はその方針をはっきりさせておく必要があると考えておるのであります。昔いわゆる軍部と称せられるもの、並びにこれに同調いたしました学者とか言論人が、あまりにも統帥権の独立ということを国民に対して吹き込み過ぎたということが、今日なお軍隊というものは、統帥権の独立が必要であるというような錯覚に陥っておるように考えておるのであります。ところがアメリカやあるいはイギリスなどのような先進民主主義国家におきましてはもちろんのこと、いやしくも民主主義国家と名乗っておる国家では、わが国のような旧軍部の主張したような形での統帥権独立なんということはないのであります。それでも軍隊は厳然として存在をし、その価値を発揮いたしております。ことに今日のような国際協力軍隊というようなことまでなりますような情勢におきましては、行政権を離れまして、軍隊指揮権というようなことは考えられません。科学資源等の全面的な動員がなければ、軍隊などは動きがとれないまでになっておる現代社会におきましては、一般行政権と独立をした軍隊指揮なんというものはとうていあり得ないのであります。従って私は軍隊指揮権を厳に行政権の一部に属するものとして取り扱わなければならないと信じておるものであります。もちろんこのほかにシビル・スプリマシーというような、きわめて重要な問題もありますけれども、それを別にいたしましても、現代の軍隊指揮権の性質はそうなってしまったと信ずるのであります。ところが従来鳩山総理大臣や、あるいは政府当局の答弁等を見ますと、どうもこの点がはっきりしないように思われるのであります。それだから国民に軍隊を警戒させておるように私は考えております。その上国民は天皇制の復活にも警戒的であることは事実であると私は思います。これもやはり最大の原因は統帥権と天皇との結びつきを恐れるからだと私は思います。もし現憲法のように行政権は内閣にあるということを明らかにし、かつ軍隊指揮権も行政権の一部であるからして軍隊指揮権は当然内閣に属するものだということをはっきり納得させますれば、国民の疑問は大いに減ずると考えるのであります。これに対して総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/52
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053・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 この問題は非常に重大な問題であります。もちろん憲法調査会で慎重に検討してもらわなくてはならない問題でありますが、私自身がどういうように考えているかという御質問に対しましては、自衛力に対する最高指揮権は国会に対して責任を負う内閣が持つべきものであると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/53
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054・保科善四郎
○保科委員 私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/54
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055・山本粂吉
○山本委員長 次に飛鳥田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/55
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056・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 時間がありませんので、二、三お伺いをいたしますが、問題をそらさずに簡明直蔵にお答えをいただきたい、こう思います。
まず第一にお伺いいたしたいことは、現行憲法について、今までの質疑その他の討論を伺っておりますと、あなた方は押しつけられたものだと言う。私たちはなるほどアメリカの示唆はあったけれども、押しつけられたものではないと言う。この二つの議論が対立をいたしております。この二つの議論の対立を解決するために、鳩山総理はあらゆる民主的な手段、方法をとらるる意思があるかどうか、これをまず第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/56
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057・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 民主的な意思によってきめる意思があるかどうかということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/57
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058・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/58
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059・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 もちろん民主的にきめなくてはならない問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/59
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060・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 民主的にきめるということになりますならば、民主的な方法というのは、あらゆる資料を提出して、あり得る十分なる資料を検討した上で、このことを決定していかなければならないことだと私は解釈をいたしますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/60
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061・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 お考えの通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/61
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062・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それならばこの押しつけられたか押しつけられないかということについて、われわれは重大な資料を持っているはずです。それはすなわち現行憲法制定の際に行われました議事録であります。この議事録のうちの相当な部分は秘密議事録になっております。この秘密議事録をもし公開するならば、押しつけられたか、押しつけられないかということについては十分な光を与えることができるはずであります。当然議事録の公開については議長の権限でありましょうが、このことについて与党の総裁であり、しかも本案の提出について全面的な賛意を表しておられる総理が、秘密議事録を公開することに賛成をし、そのことを議院に向って求められる意思があるかどうか、これをお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/62
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063・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は秘密議事録を読んでおりませんし、どういう性質のものが書いてあるかも知りませんので、ただいま発表してもいいかどうかという御返事はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/63
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064・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 少なくとも現行憲法制定の際になされた議事録であります。かりにあなたがその議事録を読んでいないか読んでいるかということについて、あなたのお説の通りだといたしましても、この中にこの問題を解決すべき重大なものが含まれているであろうことは推定にかたくない。いや推定だけでなしに、現行憲法制定に関する議事録であります。現行憲法の制定に関する議事録は一切公開して、そしてこの同心の資料となすべきが、もしあなたが民主的な方法をとらるるという限りにおいては、当然なことだと思う。読んでいないからわからない。こんなばかなことはありません。少くとも今われわれが変えようとしている、あなたが変えようとしている憲法の制定に関する議事録であります。この議事録を全部公開することは当然のことだと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/64
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065・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ただいま私にはそれに対して判断がつきません。御返事はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/65
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066・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 これは非常に不見識なことを伺う。現行憲法を改正することに賛意を表しておられるあなたが、現行憲法の制定の際に行われた秘密議事録があるという事実を御存じないはずはない。もしそれをしも知らぬとおっしゃるならは、これはあなたは内閣総理大臣の職責は勤まりませんよ。これがあるとするならば、当然公開せられるということについてあなたの内閣なり、あなたの与党の中で討論をせられ、態度を決定せられて後、この法案を提出してこられるのが当然であります。知らなかったなどとは言わせない。現に二十二国会の憲法調査会法案審議の中において私に悪法の秘密議事録を公開せよという動議を提出いたしております。二十二国会の中で行われた事実を鳩山総理は知らぬとはおっしゃるまい。そんな不見識なおっしゃり方をして私たちが納得できるか。いや私たちだけではありません。そんなばかなことを言えば、国民はみな笑いますよ。はっきりした答弁をして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/66
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067・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 山崎君から答えてもらった方が明瞭になると思いますから、山崎君から答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/67
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068・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ちょっと待って下さい。私はこの問題は技術的な問題だとは思いません。純粋な政治的な問題だと思います。このことについて鳩山総理がみずからの判断を持たれないということ、それ自身が私は不見識だと思うのです。このことについて、どうぞ一つあなたから御答弁をいただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/68
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069・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は秘密議事録を見ませんでも、占領中になしたる憲法の実情、それらを見まして改正の必要ありとする判断をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/69
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070・山崎巖
○山崎巖君 現行憲法の制定当時の議事録が、秘密会の議事録でありますために公開せられておらないことは、ただいま飛鳥田さんの仰せの通りであります。また二十二国会におきまして飛鳥田さんから公開をすべしという動議が出ておりますことも、速記録によって私どもはよく承知いたしております。私どもはこの速記録の公開につきまして、別に反対をするという意思は毛頭ございません。ただこの問題は、国会の問題でありまして、申すまでもなく内閣の問題でないことは御承知の通りであります。従いましてこの問題の取扱いは、お互い与党と野党の皆さんとの間でよく相談をしまして、議院運営委員会等に持ち込みまして、そこで御決定を願う性質の問題であろうと思いまいす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/70
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071・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 私も初めからこの問題を内閣の問題だとは申し上げておりません。ただ憲法調査会という、こういう法案を提出せられる以上は、これに対する十分なる資料をととのえて、国民の議論を巻き起すような準備をなさる義務がある、こういうことだと思うのです。従って提案著たるあなた方、及び与党の総裁であられる鳩山さんは、当然この問題について、この法案を……。(「総裁じゃない」と呼ぶ者あり)間違いました。四分の一総裁の鳩山さんがやられるなら、当然この問題についてそういう準備をなさって、その上で法案を提出せられる義務があったと思うのです。今のお説で、私もある程度了承いたします。
それならば伺いますが、提案者たる山崎さんほか自民党の方々は、即刻秘密議事録公開の申請をなさる意思があるかどうか、このことを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/71
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072・山崎巖
○山崎巖君 実は飛鳥田さんの二十二国会におきまする動議の関係もございまして、私どもはこの法案の提出前からこの問題は慎重に検討いたしております。これは旧帝国議会時代のことでありますし、その当時の国会法によるものでありますか、あるいは衆議院規則によるものでありますか、そういう点もあります。あるいは現在の国会法によってやるべきものかというような問題も残っておるわけであります。従いまして法律的にもよく研究しませんと、果して簡単に公開ができるかどうかという法律論も残っておるわでありますから、慎重に検討いたしまして、何ら差しつかえないということになりますれば、与党としましてはぜひ公開の方に持っていきたい、こういうふうに考えております。そういう場合には、社会党におかれましてもぜひ御協力をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/72
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073・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 議院の継続性について、旧憲法時代の議院と今の時代の現行憲法との間の継続性について疑義があるというお話でありましたが、しかしこれは疑義を持つべき筋合いはありません。と申しますのは、明治憲法の改正手続に従って現行憲法はできておるのでありまして、議院の同一性は当然保たれているのでありまして、この点についてそのような御疑問を持たれることは、私といたしましては非常に不可思議だと思います。むしろこの議事録を公開することによって、立場のお困りになる方が皆さん方の中にたくさんおられるために、こういう形が出ているのではないか、こう私は邪推いたしております。私は今の御説明をお約束として伺いますから、どうぞ一刻も早くそのような手続を、少くとも本法案の審議に間に合いますようにしていただきたいと思います。
第二に、時間もありませんので、簡単に伺いますが、今の憲法は押しつけ憲法だとおっしゃる。それならば私の方でさらに伺いたいのですが、現在の憲法改正論こそアメリカの御要求じゃないか、こういうふうに私は思うのであります。現行憲法が押しつけによってできたことだけを強調なすって、今の改正論そのものがアメリカ直輸入であるということを隠されるのは、私は非常に当を得ないものだと思うのです。こういう点について総理の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/73
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074・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 憲法改正について、アメリカからは何らの要請はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/74
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075・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 時間がありませんからあまり詳しく申し述べませんが、まず現行憲法の改正論が出て参りましたころからの問題を振り返ってみますと、一九四八年一月十六日に、アメリカのロイヤル陸軍長官は、日本を広範囲に非軍事化しようとする当初の方針から、今後極東に起るかもしれない新しい全体主義の脅威に対して、陸軍の役目を果すに十分な、強力な武装をした民主主義を日本に築き上げるという演説をしておられるのであります。さらにまた朝鮮戦争がぼっ発をいたしますと、アイケル・バーカー中将はニュース・ウイークの中で、私としてはアメリカ連隊に日本軍大隊を付属させるのがよいと思うが、さらに研究して、現在の朝鮮動乱でアメリカ正規兵に朝鮮人を使用しているごとく、一そう優秀な日本兵士の合同を実行すべきである、イギリスは数年来この方法によって兵力を補充している、アメリカの兵隊は世界で一番高くつくが、日本の兵隊は安価なものである、日本では天皇陛下が命令すればたちまち二、三百万の精鋭なる軍隊ができる、こういうふうに述べておられるのであります。さらに越えて、一九五二年五月二十三日になりますと、キンボール米海軍長官はルイジアナ州議会で、日本の憲法は日本が軍備を持つことを禁止しているが、日本は太平洋の自由主義国民を守るために、陸海軍を持てるよう、この憲法の規定を修正すべきである、こう言っております。さらに越えて五三年の十月になりますと、アイゼンハワー大統領は、アジア人にはアジア人で戦わせるという約束をいたしまして当選をいたしました。さらに五三年になりますと、ニクソン副大統領がやって参りまして、日本に再軍備をさせないような憲法を押しつけたことは、アメリカの誤まりであった、こういうふうに言明をいたしました。こういうことで、米官辺の考え方をたどって参りますと、改正論を盛んにこちらへ押しつけてきていることが明白になる。こういったことについて、あなた方はどう考えられるか。もしそれが明白なことだとお考えになるならば、これらの米国の相当重要な地位を持っておられる人々に対して、そういう言説は内政干渉である、こういうことをはっきりと申し述べられる意思があるかどうか、このことを私は伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/75
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076・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 アメリカの人が、どういうような考えをだれが持ついたかということについては、私は存じませんが、とにかくアメリカの政府、あるいは要路の人から日本政府に対して正式に憲法を改正をする方がよかろうというような要請は、断じてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/76
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077・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 正式にあろうとなかろうと、少くとも責任のある地位にある人たちが、このような放言をどんどんなさるということについて、あなたはどうお考えになるか、これを伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/77
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078・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 迷惑だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/78
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079・山本粂吉
○山本委員長 次に石橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/79
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080・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私は、時間の関係もありますので、なるべく簡潔に質問をいたしたいと思いますが、今飛鳥田委員からも言われましたように、総理は、現行憲法は占領軍に押しつけられた憲法だということをしょっちゅう言っておられるわけであります。押しつけられた憲法だからよくないというのであるならば、なぜあなたたちはこれを無効と宣言するだけの勇気を持たないのか。少くとも、もし押しつけられたということを推し進めていくならば、当時の占領軍が押しつけるだけの権力を持っておったというふうに、私は認識いたします。その権力がどこから発生したかというと、結局日本がポツダム宣言を受諾して降伏したというところにさかのぼっていくと思う。そうするなら、少くともわれわれはポツダム宣言を守る義務を持っておったし、占領軍もまたポツダム宣言のワクの中で権力を持つということにならなくちゃならないと私は考えます。そういうふうに考えていきますと、ポツダム宣言を日本が受諾したとき、向うからきた回答の中に、少くとも最終的の日本国の政府の形態は、ポツダム宣言に従い、日本国国民の自由に表明する意思により決定せらるべきものとすというふうに書かれてありますし、国民が新憲法の制定者であるということもはっきりうたわれてきておる。もしこのポツダム宣言のワクをはずれて押しつけたというならば、ポツダム宣言違反だといって無効を唱えればいい。何はともかく占領中に押しつけられたのだからいかぬというならば、あなたたちのいう講和発効のとき、独立の時期に無効の宣言をすればいい。押しつけられた憲法だからいけない、いけないと言いながら、これの無効をもあえて宣言する勇気を持たない。ここに私は問題があると思う。結局あなたたちは、押しつけられた憲法だから改正する必要があるのだというふうな言いまわしで、国民の通俗的な民族意識に、訴えようとしている。しかし、ほんとうのあなたたちの本音というものは、そこにあるのじゃない。そういう民族的な感情に訴えて、実はこの現行憲法に流れておる三原則、民主主義と平和主義と本的人権尊重主義のこの三原則を後退させようという意図に基くのじゃないかと考えるわけでありますが、この点まずお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/80
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081・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 形式的には明治憲法の改正手続によって行われましたものでして、現行憲法が無効になるものとは考えません。なお最後に、三原則に対して考え方を直していったらいいじゃないかというような御質問がありましたが、三原則は変更する意思はないということは、たびたび申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/81
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082・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そこの矛盾を私は指摘しているわけです。押しつけられた憲法だからときいながら、それは認めていこうという。実際おかしいのじゃないか。押しつけられた憲法でよくないならば、なぜそんなものはつまらぬ、無効だと言わないのか、その矛盾にお気づきにならないのかということを私は申し上げておるのであります。この点についての再度の御説明を私聞きたいと思う。御承知の通り、憲法制定の当時、当時の幣原内閣を中心にして、最後まで抵抗した問題がありました。それは何かというと、一つには天皇を象徴とする、いわば祭り上げるような形にされることは困るという一点、もう
一つは、軍備と戦争を放棄するというようなことは困るというこの二点であったと思う。しかしながらこれがいれられなかった。そこで、今あなた方が、当時こういう反動勢力があえてやろうとした抵抗、失敗した抵抗を、十年後の今日再現しようという意図じゃなかろうか。三原則を守っていくのじゃなしに、こういう線を、再び復活させて後退せしめようとする意図じゃな
いかということを私はお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/82
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083・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 そういうような考え
は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/83
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084・石橋政嗣
○石橋(政)委員 この点でさらにお尋ねいたしましても、おそらく明快な答弁は得られないと思いますので、しからば現行憲法の原則を尊重するというあなたのその言葉が本ものか、口先だけのものか、それをただす意味合いも含めて今後の質問を続けてみたいと思います。その第一は、三原則の第一の原則、民主主義と天皇との関係についてであります。前にもちょっと申し上げましたが、新しい憲法は帝国憲法とは関係なく、ポツダム宣言受諾の結果、新たに憲法制定権を獲得した国民が独立にこれを制定したものであるというふうに、私どもは考えております。そして憲法の前文に高らかに「ここに主権が国民に存することを宣言し、」とうたい上げているのは、御承知の通りであります。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」——なぜに戦争の惨禍を避けるために、国民主権と新憲法の制定とを必要とするのか、それはあなたも御承知の通り、旧憲法のもとで天皇がすべてを総擁しておった、ところがこのまわりにおる一部側近がこれを乱用すると申しますか、利用いたしまして、誤まった戦争を引き起して、日本を、日本の国民を塗炭のどん底にたたき落したこの誤まりを再び起してはならない。そのために私は国民主権というものがはっきり打ち出されてきたと思うのであります。これは革命であります。天皇の主権が国民の側に移った、主権が国民に移った、主権の存在が移行したということは明らかにこれは革命であります。そして天皇は、日本国の象徴でありそして日本国民統合の象徴であると新健憲法で位置づけられました、しかもこの地位は、御承知の通り、主権者である国民の総意に基くものというふうに規定づけられておるのであります。ところがこのような位置づけは、実はわかったようでわからない部分が相当にある。なぜかといえば象徴という言葉が法律用語として、法令の中で使われたということが、ここに初めてであったからであると私思うわけであります。そこで現行憲法を検討するこの際に明確にしておきたい。なぜならば、この位置づけを誤まると、解釈を誤まると、民主主義そのものが破壊されるおそれがある、そういうように私が考えるからであります。こういう意味でお尋ねする第一点は、現行日本国憲法のもとにおいても天皇はなお君主たるの地位を保有しておるのかどうかということ、第二は、もし国の政体というものを君主制と共和制とに分けた場合、現行、憲法のもとにおける日本の位置づけはどちらに入るのかということ、これをまず明確な総理の答弁を得ておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/84
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085・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 むろん憲法調査会において君主の表現の仕方などはきめることが当然なことでありますけれども、私はどういうようなことを考えているかといえば、主権在民をくつがえすような考え方は、毛頭持っていないということだけは明瞭にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/85
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086・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっと誤解されておると思うのです。憲法調査会で検討するとおっしゃいますが、それは新しく作ろうとする憲法草案のことであろうと思います。私は現行憲法のことを聞いておる。現行憲法で象徴とされておる天皇は、これは君主としての亀住を保有しておるのかどうかということ、もう一つは、日本の現行憲法のもとにおける政体というものは、君主制に属するものか共和制に属するものか、現行憲法のことについて総理はどういうふうに考えているかという答弁を求めておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/86
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087・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 現在の憲法においては君主政治ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/87
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088・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは共和制ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/88
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089・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 民主政治です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/89
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090・石橋政嗣
○石橋(政)委員 非常にあいまいもことしておる。少くとも民主政治という形の中にいろいろなものがあるということは、あなたは御承知じゃない。民主政治というものをあなたは口では言っておるけれども、それはほんとうに民主政治を理解したものとは考えておりません。そういう単純な言い回しをされることは、ほんとうにこれを理解しておらないことだと私は思う。しかしこの点についてもここで水かけ論をやっておるわけには私参りません。そこでそれでは今後改正をなさろうとする場合にも、あくまでも現行憲法のこの点についての精神は貫いていく、天皇の地位にも変化を与えない、そうした方がいいというふうにお考えになっておるかどうか、この点について御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/90
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091・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はたびたび申しましたように、民主政治を、主権在民の制度を変更する意思はないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/91
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092・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ところが往々この憲法改正を主張される方の中には、天皇の地位の強化ということを意図する人たちが多いわけであります。かつて自由党の憲法調査会が作った草案なるものによってみましても、現在の象徴である天皇を元首に改めるというようなことをはっきり打ち出しておりまして、それだけにとどまりません。憲法改正の発議に、天皇の認証を要するものとするとかいうふうなことをも規定いたしております。私はこういう点をさして、まことに危険だ、だから少くとも鳩山総理がこのような点について天皇の地位を強化するというようなことは絶対にないのかどうかということを、再度確言していただこうと思って質問をいたしておるわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/92
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093・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 たびたび私が今までお話ししたことによって御了解を願います。少くと司憲法調査会はそれらの点について慎重に検討をして日本のために間違いない方向に出るものと確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/93
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094・石橋政嗣
○石橋(政)委員 すべて憲法調査会で憲法調査会でとおっしゃいますけれども、現に憲法を改正しようという意図のもとに調査会法案なるものが出てきておる。あなたはもう昔から一番に熱心な首唱者なんです。その総理が、この大切な問題について、一応の見解を持たないということはないと思う。今われわれのこの質問にお答えになることによって、そして世論を巻き起すならばより正当な意見もここに浮び上ってくるだろうと思う。なぜ勇気をもってこの点についてのあなたの見解を述べようとなさらないのか、それをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/94
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095・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 たびたび私は明瞭にそういっております。民主政治をくつがえす意思はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/95
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096・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは天皇の地位を強化するというような考えもないというふうに了解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/96
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097・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 現在の憲法においては、総理の権限が少し大き過ぎるというような論もあるのです。それですから、そういうような天皇の権限を一歩も前進はさせないというようなことを明言するわけには参りません。憲法調査会において慎重に審議をして、民主政治をくつがえさない限度におきましては、幾分かの変更はあるかもしれませんから、その約束は私はただいまはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/97
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098・石橋政嗣
○石橋(政)委員 少しずつ本性を現わしてきておるようです。少くとも民主主義、主権在民というこの大原則を動かさない動かさないと言っておりながらこれと矛盾する天皇の地位の強化ということについて、絶対にやらないという明言をしない。私はここに何かしら不明朗なものがあると思う。国民に率直に訴える勇気を持たない原因があると思う。しかしあなたがここでそれ以上のことを言わないならやむを得ません。一つだけこの点に関して質問をいたしておきましょう。それは憲法改正を意図されておるこの際、皇室典範をもあわせて検討する必要があるというふうにあなたは考えておるか、またその場合に、この皇室典範を現在のように一般法令と同列に扱うことを一改めようという意図があるかどうか、この点お尋ねいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/98
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099・林修三
○林(修)政府委員 この皇室典範は、御承知のように、ただいま普通の法律の形で出ておるわけであります。それを改めるということは今議になっておらないように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/99
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100・石橋政嗣
○石橋(政)委員 だからあなたに聞いておらないのです。総理にあなたはどうする見解かということを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/100
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101・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 この変改するということについてただいま意思を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/101
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102・石橋政嗣
○石橋(政)委員 皇室典範を改正するということを考えておらない。また一般法令のワクからはずして特別なものにしようということをも考えておらないということなんですね。了解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/102
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103・山本粂吉
○山本委員長 石橋君にちょっと御注意申し上げます。お約束の時間が迫っておりますから、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/103
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104・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは第二の原則である平和主義と軍備の問題について、若干お尋ねいたしておきたいと思います。総理は在野当時から、憲法改正を盛んに主張されておる。それは主として憲法の第九条というものに対する疑義から発しておったと私は思います。先日、一月の三十一日でしたか、参議院において、日本が陸軍を持たない、海軍を持たない、飛行機を持たない——なぜ空軍と言わずに飛行機と言ったか、私知りませんけれども、飛行機を持たない、そういう憲法に反対だと、つい本音を吐きまして物議をかもしたのでございますが、こういった軍備を持ちたい持ちたいという考え方と、平和主義という大原則とどういうふうにつながっておるのか、私非常に疑問を持っております。しかしこれも水かけ論になりますから、本日はあらためてここでお伺いすることはやめておきましょう。そこで一点だけお伺いするわけでございますけれども、しからばこの憲法第九条の前段の分については、全面的に賛意を表しておられるかどうか。ここで読み上げる必要もないと思いますので、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/104
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105・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 前段とは第一項のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/105
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106・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/106
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107・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 第一項については賛成であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/107
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108・石橋政嗣
○石橋(政)委員 国の交戦権はこれを認めないという点についても、同様御賛成ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/108
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109・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 国際紛争を戦争によって解決するというような主張には、賛成はしない。自衛のためには陸軍、海、軍、空軍を持ちたいということを言っておりますので、誤解のないようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/109
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110・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そのただし誰きがいつもくせ者なんでございますが、これも論争になるから本日質問の際には差し控えましょう。ところが、先ほど申し上げたように、軍備を持つということと平和主義というものとの間には、非常に矛盾があるというふうに私は考える。あなたはおそらく自分の国を守る程度の自衛力を持って初めて世界の平和は維持されるんだと、いつも言われるような答弁をここでされるでありましょう。ところが、御承知の通り、現在の世界は二つの陣に分れておる。その際総理が厳然たる中立政策を維持していくというならば、私はわかる。しかし片一方の陣営に属して、しかも軍備を強化していくということは、残る片一方の陣営を刺激することになっても、決して平和を維持するということにはならないと思うわけです。それでお尋ねしますが、将来の問題についてだけお尋ねしておきましょう。少くともあなたが憲法を改正して、名実ともに軍隊を持とうというふうに考えているわけです。その段階には、おそらく米軍にも帰ってもらおうというふうにも考えておられるのでありましょう。しからば、そのときに一方の陣営に属するような形の、何らかの条約を締結するなどという意思があるかどうか。自分で守れる、だからアメリカさんにも帰ってもらう。日米安全保障条約はここで解消する。そしてあらためて東南アジア防衛機構とかいったようなもの、こういうふうな一方の陣営に属するような形のものに入り込んでいくというようなことが、そのときに絶対にないというふうに断言できるかどうか、お尋ねいたしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/110
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111・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 世界の平和を維持するためには努力をしたいと思っております。世界の戦争を誘発するような行動には絶対に関与したくないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/111
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112・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは時間がありませんので、端的に二、三の点を簡単に御質問いたしますが、この際再軍備にも関連してくるのでありますけれども、あなたは新しく作ろうとされる憲法の中で、国防の義務とか、国家に対する忠誠の義務とかいうようなものを規定する考えがあるかどうか。これも先ほど申し上げたように、自由党憲法調査会案なるものに、はっきり打ち出されておりますのでお尋ねしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/112
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113・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 それらの点については、憲法調査会において慎重に検討すべき問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/113
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114・石橋政嗣
○石橋(政)委員 総理自身としてはそういうことが必要だとお考えになるかどうか。非常に大切な問題ですから、再度お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/114
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115・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 一体われわれは日本の国を作ってるというのに、基本的の権利ばかりを書きまして、義務の方は少しも書かないというのは、手落ちだろうと思います。やはり権利も主張し、義務も持つというような憲法の書き方が、適当な書き方だという考えを抽象的に持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/115
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116・石橋政嗣
○石橋(政)委員 その義務の中に、国防の義務とか、国家に対する忠誠の義務というようなものも、当然含まれていいというようにお考えかどうか。再度お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/116
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117・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 これは憲法調査会において審査すべきことでありまして、私の自分の考えはただいま申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/117
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118・石橋政嗣
○石橋(政)委員 大切なことになると憲法調査会、憲法調査会と逃げてしまう。そういうあいまいな総理の態度、そういうものを聞いておると、私はこの際政治家停年制を作った方がいい、だから憲法改正をするというような提案なら、国民の大部分が賛成するかもしれぬと思う。いっそ公共の福祉のために政治家は六十才以下でなくちゃならぬというような、そういうものでも作ったらどうかと思う。しかしお答えがないのでやむを得ません。少くともこの点が明確にされないと、あなたがいつも徴兵制度はやらない、やらないと言われるけれども、それも当面そういうふうに言ってるだけだというふうにとられても、やむを得ないということになるわけですから、その点は十分覚悟しておいていただきたいと思う。
それでは最後に、基本的人権主義というものについて、一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。あなた方はアメリカに押しつけられた憲法だから改正しなくちゃならぬという勇しいことをおっしゃっておる。ところが、いかにもアメリカに対して日本は自主性を発揮しているんだというような思いに陥るような言い回しをしておりながら、全然アメリカに対して自主性を発揮しておらないという例が、寿に山ほどある。しかし私時間がないから一つ一つ例を取り上げてそれを申し上げようとは思いませんが、駐留軍が直接雇用しておる、あるいは日本政府が雇用して提供しておる駐留軍労働者というものが、現在全国で二十万もおる。この二十万の労働者が基本的人権を無視されておるという例が、たくさん出てきておる。例をあげれば枚挙にいとまがない。しかし極端な例を一つあげると、勝手に首を切る、理由もないのに米軍が首を切る。やむを得ず日本の準司法機関である労働委員会あたりに問題を持ち込む。そうすると労働委員会で、明らかに不当労働行為だと救済命令が出る。しかし米軍はこの救済命令に対して一顧だに与えようとしない。こういう例がどんどん出てきておる。また最近では板付あたりで文化活動をやってる者を、思想調査をやって二十名から出勤を停止してしまったりしておる。こういう問題に対して、何ら自主性を発挿して駐留軍に働く日本人労働者の基本的人権を守ってやっておらないような例が、幾多あるのでありますが、これでもアメリカに対して自主性を持っておるとおっしゃるのか。今までこういった問題に対して日本政府がどれだけの熱意をお示しになったか。今後どういうふうにしてこういう問題を積極的に解決して、日本人の基本的人権を守ってやろうというように考えておられるのか、明確に答弁を願いたい。それが願えない以上は、あなたの言っておる基本的人権の尊重などというのも、非常にあいまいなものである。またアメリカに対して自主性があるかのごとき態度をとっておるのもまやかしものであるというふうに理解したいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/118
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119・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 法制局長層から答弁させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/119
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120・林修三
○林(修)政府委員 私、一々の具体的事実は存じませんけれども、一般的に申せば、この労働条件については、特別の協定がない限り当然日本の労働関係のことによるということが行政協定にうたってございます。従いまして、それが順守されないということについては、合同委員会等を通じて米軍に要請するということは当然尽しておらるべきものだと私は存じております。具体的のことは存じませんから、一般的な問題についてお答えいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/120
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121・山本粂吉
○山本委員長 石橋君に御注意申し上げます。もうすでにあなたの時同は超過いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/121
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122・石橋政嗣
○石橋(政)委員 わかりました。もう二、三点だけ。
今の点、最初から私は通告もしてあるわけでございますが、日米合同委員会に持ち出す持ち出すといっているけれども、過去にこういう問題が累積されていっている。少しも解決しておらない。その原因は行政協定そのものにあるわけなんです。日本の法律を守るといいながら、ある場合には基地管理権というものを発動する。こういう矛盾したところに問題があるわけです。だから、積極的にほんとうにこの問題を解決しようと思えば、行政協定を改訂しなければならないと思う。少くとも、ほんとうに日本人の基本的人権を守ろうと思われるならば、行政協定を明確にするということが必要だと思いますので、特に私は総理にお尋ねをいたしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/122
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123・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 行政協定を改正する必要があるということは私も同感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/123
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124・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは一点だけ最後にお聞きしておきます。
憲法改正草案ができて、実際に国民の投票を仰ぐというような段階になりましたときに、新たにこの投票の方法その他を規定する法律を作る意思があるのかどうか。そうして、その場合の投票の方式というものは、改正全文にわたっての一括投票の形式をとられるのか。それとも、改正個々の点についての個別的な投票の方式をとられるのか。これは非常に大切な問題でありますので、特に明快にここで御答弁願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/124
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125・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 法制局長官からでいいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/125
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126・林修三
○林(修)政府委員 悪法改正案を問題といたします場合には、当然第九十六条に従って、国民投票に関する法律を整備する必要があることはおっしゃるまでもないことだと思います。その場合において国民投票のやり方をどうするかという今おっしゃった点ですが、憲法自身においては、一括するかあるいは個々でやるかという問題については直接触れておらないのであります。これは直接国民投票の法律できめるか、あるいはその議案の審査をいたす国会の意思できめるか、こういうことによってきまるべきだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/126
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127・山本粂吉
○山本委員長 暫時休憩いたします。午後一時三十分より再会いたします。
午後零時二十四分休憩
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午後一時五十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/127
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128・山本粂吉
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題となし、質疑を続行いたします。通告がありますので順次これを許します。受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/128
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129・受田新吉
○受田委員 この防衛二法案につきまして具体的な質疑に入りたいと思います。政府は毎年のごとく防衛庁設置法の一部改正案を御提出に相なりまして、漸次兵力の増強をはかっておられるのでありますが、この間ちょっと触れておいたのでありますけれども、防衛庁設置法のうちの第七条第二項の陸上兵力十五万人を十六万人にという、このきちっとした一万人という増員はどういう根拠からなさったのであるか、御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/129
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130・船田中
○船田国務大臣 ただいま受田委員の御質問の点につきましてお答え申し上げます。陸上自衛官の増員の理由でございますが、現在陸上自衛隊は六管区隊及び二混成団を編成し、北海道に二管区隊及び一混成団、九州に一管区隊及び一混成団を、その他の本土に三管区隊をそれぞれ配置しておりますが、防衛力漸増の方針に従いまして、三十一年度においては新たに混成団一を編成し、長官直轄部隊として、これを東北地方北部に配置し、また所要の特科、特車部隊並びに補給処等の後方業務関係の部隊及び機関を増設または強化する必要から、今回の増員を行うことになったわけでありまして、その増員の内訳を次に申し上げます。その内訳は主動部隊たる混成団、これは約六千人でございますが、その混成団、特科大隊、空艇大隊、特車中隊、観測中隊、ヘリコプター隊の新設等に伴う増員が合せて約八千四百人、その他後方部隊の増強分が六百人、その他補給処、地方連絡部等で約一千名、計一万名が増員されることになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/130
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131・受田新吉
○受田委員 海空軍部隊は非常に半端な数字を出しておりますが、陸上部隊だけこうしてきちっとした数字に合せるような御計画があるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/131
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132・船田中
○船田国務大臣 ただいま内容を申し上げましたような編成の都合上こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/132
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133・受田新吉
○受田委員 編成の都合で初めに一万という数字を出して編成されたのか、それともやってみたら一万人になったのか、一万は偶然であるのか、あるいは一万という前提のもとに部分的にやられたのか、そのいずれかを御答弁願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/133
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134・船田中
○船田国務大臣 先ほど増員の内訳を申し上げましたが、そのうちに主動部隊たる混成団、これは従来約六千名でございます。それを中心にして考えますと、ただいま御説明申し上げましたように、ちょうど一万ということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/134
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135・受田新吉
○受田委員 ちょうど、一万に偶然なったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/135
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136・林一夫
○林(一)政府委員 ただいま長官から御説明がございましたように、必要なる部隊を編成しましておおむね一万になりましたものですから、一万人ということで増員いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/136
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137・受田新吉
○受田委員 おおむね一万人というのはどういう言葉でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/137
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138・林一夫
○林(一)政府委員 ただいまのおおむねの言葉づかいはちょっと悪うございましたが、一万人になりましたので一万人の増員をお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/138
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139・受田新吉
○受田委員 一万という数字は、混成団とか、ヘリコプターとか、後方部隊とか、いろいろなものをあわせてたまたま一万になったという場合ね、これは非常に確率がはなはだ大になってくるわけですが、一万という計画のもとに、その一万を各部隊に計り振りをするという考え方ではなかったのか。たまたまやってみたら一万になったという考え方か。一万という増員計画のもとに各部隊にこれを配分するという計画であったのか、いずれであったかをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/139
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140・林一夫
○林(一)政府委員 主動部隊初めこれらの各後方部隊を増設する場合に一万人に達したのであります。大体目標も一万人見当とつけておったのです。両方からこのような数字が出てきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/140
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141・受田新吉
○受田委員 前回の改正のときに十四万から十五万になったと記憶しておるが間違いでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/141
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142・林一夫
○林(一)政府委員 前回の改正のときには——前回と申しますと昨年度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/142
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143・受田新吉
○受田委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/143
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144・林一夫
○林(一)政府委員 昨年度は二万人増であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/144
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145・受田新吉
○受田委員 昨年はかっちり二万人ですか。あるいは二万人を前後しておりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/145
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146・林一夫
○林(一)政府委員 かっちり二万人の増員ということです。これは制服部隊です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/146
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147・受田新吉
○受田委員 昨年はかっちり二万人、本年はかっちり一万人、各部隊の編成人員を総計するとたまたまきちっとした数字に一致したというこの御説明は、私はまことに了解に苦しむのであります。二万人、一万人という増員計画のもとに、その人員の配分を考えるという形式をとられたならば、率直にそれを申していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/147
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148・林一夫
○林(一)政府委員 先ほど申しましたように、両方の意味があるのでございまして、これだけの部隊を増員する場合は一万人、また一万人程度増員するというような目標も大体あるのであります。両方の意味から二万人ということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/148
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149・受田新吉
○受田委員 海上部隊とか空軍部隊は一万九千三百九十一人を二万二千七百十六人、あるいは二万三百四十六人を一万四千四百三十四人と、まことにこまかい数字が出ております。陸上部隊と海上、空軍部隊との——このこまかい数字の後者の部隊と、きちっとした数字の前者の部隊と、これはどういう関係があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/149
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150・林一夫
○林(一)政府委員 海空についてこまかい数字が出ましたのは、やはりその部隊の編成なりその他の点について非常にこまかい点がありますので、従ってこまかい数字が出たのであります。海空の方はその主力と申しますのは艦艇であり、航空機でありますから、その訓練の計画に基いてあのような数字が出てきたのであります。その点いささか陸の方とは違った点があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/150
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151・受田新吉
○受田委員 これは、ここに保科先生もおられますが、従来陸海軍が戦前編成されていたときは、陸軍は海軍、空軍よりは大ざっぱでよかったが、海空軍はこまかく数字が出ておったというような形であったとは私は記憶しておりません。この点は海軍と空軍は非常にこまかい内容を持つ部隊が多いのでそのようになったのだという御答弁は、何だかこじつけに感ずるのであります。少くとも陸海空軍は同じ基準で増員計画を進めるべきではないか。昨年は二万人にかっちり一致し、本年は一万人にかっちり一致した。偶然の一致がしばしば起っておる。ここにわれわれは疑義を感じておるのであって、それぞれの部隊に必要な人員は、ほかの官庁でも定員法によって、増員計画あるいは減員計画のある場合はこまかい数字が出されておるのでありますが、自衛隊のみは二万、一万ときわめて明瞭な教字で陸上部隊がふえておることに対して非常に疑義がある。この疑義は今の御説明では納得できないのでありますが、二万、一万という数字は偶然の一致であると、もう一度答弁をされますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/151
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152・船田中
○船田国務大臣 受田委員の御質問のことでございますが、陸上自衛隊につきましては人が中心になります。もちろん装備がこれに伴いますけれども、いわやるマン・パワーというものが主体になりますところが海上自衛隊及び航空自衛隊におきましては、艦船または飛行機、すなわち海上であればどういう船を持つか、それに対してどういう人員を配置しなければならぬか、また航空自衛隊につきましては飛行機を主体にいたしますから、従いましてそれに配置する人員の上において、端数といいますかラウンド・ナンバーの数字でないものが出て参ります。ところが陸上部隊につきましては、先ほど申し上げましたように、マン・パワーが主体になりますから、従いまして先ほど申し上げた混成団六千人というものを主体として編成をいたしますと、そういう一万という単位がラウンド・ナンバーで出てくることになります。艦船、飛行機を主体とするものとマン・パワーを主体とするものとの違いから、今の御疑問が起ったものと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/152
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153・受田新吉
○受田委員 私はこの部隊の編成の上に、少なくとも地上部隊が、今御答弁があったにもかかわらず、はっきりと基本的な数字を出して、それによってそれを配分するという計画を立てられたとしか思えないのです。少くとも本年は二万入を増員する、昨年は二万人増員するという予定の計画があったのではないか、この点そうした最初からの目標ができておったのかどうかをもう一度お確かめ申し上げたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/153
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154・船田中
○船田国務大臣 防衛庁試案といたしましては、これも予算委員会あるいは当委員会においてもたびたび申し上げておりますように、六カ年計画によりまして昭和三十五年度の最終年度におきまして陸上自衛官十八万、艦艇十二万四千トン、飛行機約千三百機というような目標を立てておりますので、大体それを目標といたしまして一万、あるいは昨年度において二万、こういうことになっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/154
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155・受田新吉
○受田委員 しからば防衛局長のお言葉の中にあった偶然の一致でなくして年次計画の段階における数字だと了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/155
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156・船田中
○船田国務大臣 これもたびたび申し上げておることでありますが、政府の確定した長期防衛計画というものができますれば、それについてはっきりした年次であるということが申し上げられると思いますが、大体目標を防衛庁試案に置きまして、そしてそれを達成するように年度の財政状況を見まして計上した、こういうことでありまして、寸分たがわず年次計画になっておるということは申し上げかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/156
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157・受田新吉
○受田委員 申し上げかねる程度でありますね。私は申し上げかねない程度で一つお答えいただきたいのですが、十八万という目標、これはこの前もちょっと触れたのですけれども、目標を達成するのにはまだあと五年あるのに、昨年二万ふやした、今年一万人ふやす、こういうことになると、もう二万人ふやすのは二年で済むわけです。防衛の漸増計画を三十五年に十八万に置かれておるならば、国の財政状況などから考えてもう三万であるならば三万を五つに分けて六千ずつ増員という計画にされるのが国家の財政状況とにらみ合せた一番まじめなやり方であると思うのであります、これを一万人というところに置かれて、急ぎ兵力増強計画をお立てになるという意図は、防衛庁の考え方としては五カ年計画より少し急がれる方針を持っておられるのではないかと考えるのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/157
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158・船田中
○船田国務大臣 このことにつきましても前にも申し上げたと思いますが、アメリカの方の駐留軍がだんだん撤退して参りますが、それも地上の戦闘部隊がまず引いていく、大体こういう計画になっておるようであります。従いまして、必ずしもそれに見合ってということは申し上げられないのでありますけれども、陸上自衛隊を整備するというところにどうしても急がなければならぬ事情がございます。そこで陸上自衛隊につきましては、昨年二万、三十一年度において一万、こういうことになっております。そしてその一万というラウンド・ナンバーの数字の出ますのは、先ほど申し上げましたように、編成上の都合からくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/158
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159・受田新吉
○受田委員 アメリカとの話し合いで、アメリカの意思によってその数字が特に陸上部隊にウエイトを置かれておるということになっておることを、今御答弁いただいたのでありますが、そうしますと、アメリカとの話し合いでこの十八万というものは常に日本の自主性が失われるような形で決定されるのじゃないか、こういう不安を抱くのでありますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/159
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160・船田中
○船田国務大臣 わが国の自衛体制をどれだけに増強するかということはもちろん日本の自主的にきめることでありまして、ただアメリカの駐留軍、ことに陸上戦闘部隊がだんだん引いていくということを考慮のうちに置いて編成を考えて、その予算化をはかっていくということにいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/160
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161・受田新吉
○受田委員 空軍と海軍は依然として薄弱である。これは今後年次計画においても、この薄弱な傾向が続けられるということになると思うのでありますが、日本の国はアメリカの駐留軍の撤退の関係もありますけれども、陸軍に重点が置かれ、海空軍に大きな弱点といいますか、軽視の傾向があるというような解釈をしてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/161
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162・船田中
○船田国務大臣 そういう解釈をされることはまことに困るのでありまして、そういう趣旨ではございません。先ほど申し上げましたように、駐留軍の陸上における戦闘部隊のだんだん引いていくということをもよく勘案いたしまして、陸上部隊を、多少海空軍に比較いたしますれば、偏重的に増強を急いでおるという事情はございますが、しかし海空の方を軽視しておるというようなことは絶対にございません。ただ御承知の通り、海空におきましてことに空におきましては相当財政負担が重くなるものでありますから、その財政状況をも十分勘案をいたしまして、三十一年度の予算を計上しておるという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/162
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163・受田新吉
○受田委員 ヘリコプターにどれだけの人員が割り当てられておるか。こまかい数字を言っていただきたい。またヘリコプターはどれくらい増強するようにしておられるか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/163
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164・船田中
○船田国務大臣 これは政府委員の方から御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/164
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165・北島武雄
○北島政府委員 ヘリコプター隊員は大体百人予定しております。機数につきましては昭和三十一年度に四機大型ヘリコプターを購入いたします。現有ヘリコプターは私の記憶によればたしか六機、昭和三十一年度におきまして新規に六機購入いたしますから、合せて十二機をもちまして百人の編成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/165
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166・受田新吉
○受田委員 今までに六機しかない。今度六機作るということですが、私ここで防衛長官にはなはだお気の毒な発言をしなければならぬのです。去る一月九日であったと思います。朝日新聞に出ていたのですが、長官がヘリコプターにお乗りになられて郷里栃木県の、先生が御経営なさる私立学園の校庭におり立たれ、多数の生徒並びに選挙民をお招きになられて、防衛庁長官の威容を示しあそばされたと聞いておるのです。これにお用いになられたそのヘリコプターは、防衛庁予算の中に計上された六機のうちの一機であったかどうかをお尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/166
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167・船田中
○船田国務大臣 その六機のうちの一機であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/167
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168・受田新吉
○受田委員 大臣は防衛庁長官としての誇りを持って故郷へお帰りになられ、また軍事思想普及の具にするといいますか、とにかく防衛の趣旨を徹底するために生徒やら選挙民にそれをお見せになったのが何が悪いかというお言葉があったと伝えられておりますが、この間の事情は、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/168
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169・船田中
○船田国務大臣 それは一月九日ではございませんが、私が就任後宇都宮に参りますときにヘリコプターに乗りまして、私が理事長として経営いたしております学校法人の作新学院というのが宇都宮一ノ沢にありますが、その校庭におりまして、そこには作新学院の児童生徒父兄、その他近所の私立の中等学校、高等学校の生徒、教師あるいは宇都宮の市民の多数がそれを見に来ておったということは事実でございます。私はそのことについて御批評をいただくことは、いかなる御批評をいただきましても、もしそれがどうしても悪いということでありますれば、十分私の行動に対しましては責任を負います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/169
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170・受田新吉
○受田委員 長官の今のお言葉で、この問題について自粛的な御見解をいただいたと了承するのでありますが、私たちは、船田先生を防衛庁長官としていただいておられる防衛庁の職員にいたしましても、また一般の国民にいたしましても、公私の別を明らかにされる長官の御行動を期待しておると思います。従来陸海軍があった戦前でも、陸軍海軍の軍人——私の関係者も当時幾人もおりましたけれども、そういう幹部軍人にいたしましても、大臣にいたしましても、公私の別を明らかにするという点においては、軍国主義の時代であっても非常に明瞭であったと思うのです。特にこれが、長官が防衛庁長官であり、かつ国務大臣であるというこの官職の立場から、そのお仕事を分離して、国務大臣の立場では政治活動は自由である、また国務大臣をもって兼ねることのできる防衛庁長官としての政治活動は自由であるということになるわけでありますけれども、防衛庁長官という職務は陸海空の三幕僚部を握られて、かつ直属の文官を持たれた公務員法でいう一般職の職員よりももっと厳格なワクを、防衛庁職員の法規のもとに制約を受けておる、これはきわめて厳正な政治活動の中立性というものが保持されておるのです。その規律の特に重要な防衛庁の最高指揮者でいらっしゃる船田防衛庁長官が、ひとり軍の用いておる、わずが六機しかないヘリコプターを一機お用いになって故郷ににしきを飾られたというこのことは、国内に与える影響がきわめて大きく、これがすでに新聞に報道されておったので、こうした委員会においてはまだ正式には取り上げられてなかったのですが、私そのときにひそかに、船田先生の御人格に敬意を表してきた私としては遺憾の意を表したのですが、特にわざわざ御郷里にこのヘリコプターをお飛ばせにならなくても、陸上自衛隊の部隊が近くにあるということも聞いておりますので、そこへおおりになられて、あらためてそこへいらっしゃるというのでありましたならば、これは公私の別が明らかになっていいと思うのでありますが、防衛庁長官は選挙運動をやっているということになったならば、防衛庁の職員並びに自衛隊の隊員に対して非常に影響を及ぼす、かように考えるのでありますが、部下職員、隊員に影響力があるかないかということについてのお考えをお伺い申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/170
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171・船田中
○船田国務大臣 ただいま御注意の点は十分自粛して参りたいと存じます。私は公私を混淆するような考えを持ってヘリコプターに乗ったものではないのでありまして、先ほども申し上げましたように、たまたま郷里に帰りますときに、ことに若い青少年がぜひ見たいということでありましたので、参りましたのでありまして、それについての御批評は十分承わり、またただいま御警告いただきました点については、今後十分自粛して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/171
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172・受田新吉
○受田委員 長官のお言葉を了として問題を避けますが、防衛庁の事務当局としては防衛庁所管の兵器を一般に公開するという推計をとっておられますか、軍事思想普及の目的をもって兵器の公開ということをしばしばやられる御計画があるかどうか、御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/172
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173・門叶宗雄
○門叶政府委員 ただいまの受田委員の御質問でありますが、防衛庁といたしましては、あらゆる機会をもちまして防衛庁の実情を知っていただきたいというふうに考えております。各公共団体その他から展示会その他に協力を求められる場合もしばしばあります。防衛庁の訓練上支障のない限りは、そういう御要望にはぜひこたえていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/173
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174・受田新吉
○受田委員 さらに問題を本論に返しましてお尋ね申し上げたいのでありますが、今の防衛庁設置法の中の調達関係の分は後日お尋ねすることにして、急ぎ関連する自衛隊法の改正の中で、今度増強せられますとこるの混成団と航空団の具体的な内容について触れていきたいと思います。第八混成団を熊本に置かれ、また第九混成団を青森に置かれようとしておる。この熊本と青森との——熊本は先般一応できたのでありますが、今度加えられた青森と熊本とにわざわざ混成団を置かれたその趣旨はどこにあるのか、地理的事情及び防衛計画全般から見て御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/174
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175・林一夫
○林(一)政府委員 部隊の配置はいろいろの点から考慮して配置を考えておるのでありますが、まず現在の一般的な状態から考えまして、北海道、九州方面あるいは東北方面に順次配置していくという計画で配置いたしておるのであります。今後増強する分があるとすれば、さらに本州の方に配置するという計画を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/175
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176・受田新吉
○受田委員 防衛計画の中に北海道及び九州に重点を置かれる理由はどこにございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/176
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177・林一夫
○林(一)政府委員 北海道、九州は何と申しましても中央より離れておる地点でありますし、また地理的環境から申しまして諸外国に近い、また交通の点から考えても非常に不便なところであります。そういうような方面から配置するということが、たとえば外部から侵略があったとか、あるいは国内に暴動が起ったというような場合を考えましても、やはり遠く離れた方面から配置するのがいろいろの点から好都合であるというような見地からいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/177
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178・受田新吉
○受田委員 国内の暴動は人口の少い、交通の不便なところには起らない、そうしますと、中央から遠く離れた僻辺の地域にいたずらに軍隊を増強して暴動に備えるという御趣旨は、はなはだ私は解せないのでありますが、暴動は人口がまれで交通不便な地域に起ると御想定になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/178
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179・林一夫
○林(一)政府委員 私が申しましたのは、暴動というものはもちろんたくさん人口が固まっておる集団地域に多いのでありますが、やはり直接侵略、間接侵略あるいは治安関係はいるいろの関連において起るのでありまして、なるべく交通等の点を考えまして、北海道とか九州にまず先に置くというような考えから、そのような配置をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/179
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180・受田新吉
○受田委員 設置の理由がはなはだあいまいもことしておるようであります。昔は九州に防人がおって太宰府がその中心であった、それは西方及び南方の国々に対する防衛の態勢であって、国内の暴動という意味ではなかった、こういう点を考えますと、今局長の申されましたお言葉の国内の暴動に備えて僻辺の地に部隊を増強するということは妥当でないと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/180
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181・林一夫
○林(一)政府委員 私が申しましたのは、ただ国内の暴動ということだけからそういうような配置を考えたということではないのでありまして、外部からの侵略ある、は国内治安の関係あるいは国内の交通状態、いろいろの点から考えまして、このような配置を考えておると申したのであります。国内の暴動ということだけからそのような考えを持っておるという一わけではございません。その点を一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/181
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182・受田新吉
○受田委員 国内の暴動ということだ叩けではなくて、いろいろ列挙されたわけでありますが、国内の暴動の場合にはもっと中央に必要であるということにならないですか、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/182
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183・林一夫
○林(一)政府委員 国内治安という関係のみから申しますれば、確かに中央の方が重要性があるという考えは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/183
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184・受田新吉
○受田委員 北海道及び九州は諸外国の関係で特に重要だと言われたが、諸外国というのはどういうものでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/184
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185・林一夫
○林(一)政府委員 自衛隊というのはわが国を自衛するために設置しておる部隊であります。自衛するというのは自衛隊法にあります通り、直接侵略並びに間接侵略に対処するということであります。直接侵略と申しますと、やはり外部からの侵略ということになります。そうすると海外の国々に近いところの方がまず上陸の公算が大きい、こういうふうに私どもは一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/185
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186・受田新吉
○受田委員 外国に接近した地域を特に選んで部隊の増強をはかるという御計画の趣旨ならば、ある特定の国も考えられると思うのであります。諸外国の中で北海道はどこが当り、九州はどこが当るという御計画でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/186
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187・林一夫
○林(一)政府委員 北海道はどこが当るとか九州はどこが当るということは別に想定しているのではないのでありまして、一般的にやはり外国に近い。(笑声)どの国が近いということは——どことはっきりしておるのでありますが、外国の近いところから配置する。直接侵略に対処する意味におきましても、どうしても上陸の公算の大きいところ、これはやはり諸外国に近いところというふうに考えるわけであります。その点は一つ御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/187
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188・受田新吉
○受田委員 自衛隊が設置される前は保安隊であり、その前は警察予備軍であった。ところが北海道や九州の方は警察予備隊の当時から部隊が作られておったので、そのころは直接侵略というものは考慮されない法律であった。そのときから依然として今の御計画が進められておったというならば、その御計画の遠謀深慮の実に大いなることに敬意を表するのでありますが、直接侵略という言葉が入ったこの法律案改正の以後においてならば、今の局長のお言葉で説明できると思うが、その以前北海道、九州に置かれた当時の事情はどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/188
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189・林一夫
○林(一)政府委員 当時はやより国内治安ということに重点をにいておったのであります。そのような意味で北海道あるいは九州にまず置いたのでありましょう。(笑声)これは先ほど申しましたように、交通その他の点を考慮してのことだろうと考えております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/189
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190・受田新吉
○受田委員 交通その他を考慮の末に予備隊のころから置かれたとなるとこれは非常に問題が大きい。交通だけならばもっと交通の便利なところから国内治安の方へ振り向けるべきで、国内治安の目的で交通不便のところにわざわざ部隊を置く必要はない。これは私の見解の方が正しいのではないかと思うのですが、局長、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/190
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191・林一夫
○林(一)政府委員 当時やはり国内の治安上必要ある場合には、警察予備隊が出るということでありました。そのような場合、交通とか通信連絡肉係、いろいろの点を考えまして、やはり中央から離れたところはいざとなった場合の協力関係、出動関係がはなけだ不便であるという考慮もあったようでありますが、その点が考えられたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/191
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192・受田新吉
○受田委員 防衛庁の幹部になられた方は最初からその職におられたわけでありますが、予備隊、保安隊、自衛隊と発展した過程において、今局長さんの御説明のような形でなくて、終始一貫したものが北海道や九州にあったのではないか。国内の治安が維持されないような状況が起ったという場合に、北海道や九州の方から中央へかけつけるのには間に合わないのです。ヘリコプターや飛行機がおっても間に合わないのです。従って国内の治安の維持という問題については、中央にはアメリカの駐留軍がおる、あるいは占領軍がおるから、まん中の方はそれしまかして、端の方だけをやっておこうというような趣旨であったのかどうか、いかがでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/192
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193・林一夫
○林(一)政府委員 私の説明が悪いのか存じませんが、先ほども申しましたように、いろいろの点を考えまして、警察予備隊当時そのような配置をしたと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/193
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194・受田新吉
○受田委員 説明をしていただくことがはなはだお困りのようでありますから、これ以上追及いたしませんけれども、われわれはこの法案を出していただいて審査をする責任者なのです。従って今度新たに青森が入ってきた、このことはどこに政府の考えがあるのか。国会で法案の審査をする以上は大事な問題で、国防会議等ができて、そこで防衛の大綱をきめて、そして国会に諮らなくて済むような独裁政治でもやるなら別ですけれども、民主主義の政治においては、すべての母隊の配置等についても、国会に相談するという産前をとられておる。従って私は御答弁が苦しくても重大な法案審議に当って、しかも部隊の配置の基本的な内容が法案の中に盛られて、国会の審査を要求しておられる以上は、徹底的にその根源をついて、国民をして安んじさせなければならない責任がある。従ってこういう部隊の配置等についておろそかにされて、国民が知らざる間に国会を通過されるということはあり得ないことなんです。私はその問題については、すでに船田長官から申されましたところの既存の各部隊の配置についても、一々その設置の理由をお尋ね申し上げて、その上に新たに入った青森の特殊事情を御説明いただかないと納得できない。これはきょうあすか、あさってで委員会を通過してもらいたいという政府の御要求があるようですが、各管区の全部をそれぞれここにおられる方にお尋ねすると、非常に長期に時間がたつのでありますけれども、今の局長の御答弁では、一々お尋ねしなければ、われわれは納得できない点があるのでありますので、この審査に長期を要してお尋ねすることに対し
て、当局としては十分説明をしていただけましょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/194
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195・林一夫
○林(一)政府委員 部隊の配置の原則は、やはりまず防衛的な見地ということが第一でありますが、もう一つは訓練等のために必要な演習場とかあるいは射撃場というもののあるなし、便、不便、あるいは、御承知のように、現在は新しい施設を作る場合においては相当の金がかかるというような点から考えまして既設の建物を利用するというような点、いろいろな点を考慮しまして配置しておるのであります。大体そのような考慮のもとにやっておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/195
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196・受田新吉
○受田委員 青森市にはいかなる既設の建物がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/196
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197・林一夫
○林(一)政府委員 私がただいま申しましたのは、一般的な方針でございましてもちろんその地方に利用し得る既設の建物等がない場合は、やむを得ずこれは新しく作るということになるのであります。なるべく既設の建物のあるところはそういう点も考慮する。いろいろな点を考慮しまして設置するというようなことを申したのでございます。——青森の部隊の施設でございますか。——これは新設の建物でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/197
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198・受田新吉
○受田委員 ここには自民党の方は床次先生ただ一人です。午前中の理事会で、全員出席して審査するから、午後も午前もやるというので、われわれは
一週間連続てやろうという熱意を持って、昼夜を分たず勉強しておる。そのときにこういう状況では国会軽視もはなはだしい。みな出るというからわれわれの党では定足数出ておる。それがこちらはただ一人、委員長、これで審査せいというのははなはだ片寄ったことになると思います。もう一つ、私が今御質問申し上げる防衛二法案は非常に重大な段階で、特に国防会議構成法案などが出ることになれば、これは特に慎重を要する関係で関連するのでありますから、防御二法案だけを先に通してあとから国防会議構成法案を審査するのでは筋が通らないのですが、このままで審議を進めることが国民の期待にこたえ得るかどうか、委員長の御見解を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/198
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199・山本粂吉
○山本委員長 受田委員にお答え申し上げます。与党議員の少いことはまことに申しわけありませんが、他にいろいろ委員会等の事情があるとは存じますけれども、督促いたしまして順次出席されるようにいたしますから、どうぞ御質疑を御継続願います。(「休憩休憩」と呼ぶ者あり)今国会対策委員会の方で極力出席するように督促しておりますので、順次入っていると思いますから、御了承願いまして、しばらくの間御継続を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/199
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200・受田新吉
○受田委員 私どもはみな出席してこうして真剣に国民の期待に沿いたいと思って質問を用意しているわけなんですが、同僚諸君のこの熱情にこたえるための措置ができないで審議を進めるのは、ほんとうに同僚諸君にも済まないし、また委員長としてもはなはだ面はゆい気持がなさるだろうと思うのです。私は今実はこの法案をつまびらかに検討しておるのでありますが、現在における国の防衛の配置などを見ておると、どういう意味でここにこういうものが出たのかを考えざるを得なくなるのです。十分審査する余裕のある措置を委員長においてとっていただけましょうか。今お尋ねしておることだけでも、政府の御答弁の中にはさらにたっ込んでお尋ねしなければならないほどの、現防衛隊の配置等についての質問が残されているのですが、委員長においていかなるお取り扱いがなされましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/200
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201・山本粂吉
○山本委員長 お答えいたします。審議は十分尽して、国民の負託にこたえられるように進めていきたいという念願でございますから、審議については時間を理由なしに制限して早く上げようなどという気持は持っておりません。与党議員の少いことは申しわけありませんけれども、どうぞそのお心持で審議を御継続願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/201
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202・受田新吉
○受田委員 ただいまの委員長のお言葉で、委員長の公平な態度に私は敬意を表しますとともに、先ほど委員各位を加えた理事会で、みな出るからすぐ始めてくれと行った諸君が、一人も出ておらぬ。この驚くべき裏切り行為に対しては、われわれ信義を重んじて審査を進めようとしている立場からは、絶対に承服できない。少くとも与党の諸君は誠意をもって出席して静かに審議をしようとあれだけ言うており、明日は法案を通してくれるようにという要望もあったのであるから、われわれは党のいろいろな都合を差し繰って今こうしてやっておる。ところがこういう状況で、あす法案を上げてくれなどという無謀なる要求に対して応ずることはできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/202
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203・山本粂吉
○山本委員長 ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/203
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204・山本粂吉
○山本委員長 速記を始めて。受田君にお諮りいたします。まことに申しわけありませんが、今極力出席を要望しておりますから、しばらく御継続願って、なお委員のそろわない場合には委員長はしかるべく措置しますから、どうぞしばらく御継続下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/204
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205・受田新吉
○受田委員 それではもう一、二問質問することにして来なければ委員長宣言によって閉会ということにします。
私続いて浜松に航空団を置かれた理由をお尋ね申し上げたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/205
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206・林一夫
○林(一)政府委員 浜松に航空団を置きましたのは、あそこには整備学校とか通信学校というような設備もございます。またいるいろの点から考えましても都合がいいというようなことで、あそこに置いたのであります。特に考えましたのはF86というジェット戦闘機の基地は、現在のところでは浜松が一番適当である、こういうふうに考えてあそこに配置することになったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/206
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207・受田新吉
○受田委員 戦略上の目的をもってF86の活躍に便利がいいという意味であったということを聞きまして、それでやられたというのが主目的で、そのほか今までの既設の部隊やいろいろなものがあるというのが従目的ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/207
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208・林一夫
○林(一)政府委員 今ジェット戦闘機は訓練の時代でございまして、しばらくの間訓練の時代が続くのであります。訓練というようなことを主として考えますときは、通信学校あり、整備学校もありといったような点から考えまして、また滑走路の工合から申しまして、現在のところでは一番都合がいい、こういうふうに考えまして、あそこに設置することにしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/208
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209・受田新吉
○受田委員 浜松に第一航空団を赴き、次いで第二航空団を置いておられるわけでありますが、航空団の計画は過去及び現在、将来にわたってどういうものがあるのかお尋ね申し上げたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/209
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210・林一夫
○林(一)政府委員 現在のところは第一航空団及び三十一年度に設置を予定しております第二航空団であるのであります。今後漸増方針に従って航空機をふやしていった場合は、そのような部隊がだんだんふえるという結果になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/210
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211・受田新吉
○受田委員 質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/211
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212・片島港
○片島委員 議事進行について。この内閣委員会は非常に重要な委員会であるのに、しかも一番責任を持たなければならぬ与党の出席が非常に悪い、今委員部を総動員いたしましてようやく二人集まりましたが、それまでは床次先生がいった一人、発言はせられないが静かに一人すわっておられた、こういうような状態ではこの重要な法案を審議していくことは私は困難だろうと思います。この内閣委員会の重要性にかんがみて、今後は定足数に足らないような、しかも与党の出席が悪くて定足数に足らぬ、こういうような場合には委員会は開かない、そういうような考え方で、今後は委員長がもっと情勢を見て与党のかり出しというものに責任を持ってもらいたい。私たちは質問をすることはたくさんありますが、本日は質問を保留いたします。どうか今後の委員会運営についてはそのようにお取り計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/212
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213・山本粂吉
○山本委員長 ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/213
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214・山本粂吉
○山本委員長 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01119560223/214
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