1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年二月二十四日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 眞澄君 理事 大平 正芳君
理事 高橋 等君 理事 保科善四郎君
理事 宮澤 胤勇君 理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 小金 義照君
薄田 美朝君 田村 元君
辻 政信君 床次 徳二君
福井 順一君 眞崎 勝次君
横井 太郎君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 石橋 政剛君
稲村 隆一君 片島 港君
西村 力弥君 細田 綱吉君
森 三樹二君
出席国務大臣
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
総理府事務官
(調達庁不動産
部長) 大石 孝章君
防衛庁参事官
(長官官房長) 門叶 宗雄君
防衛庁参事官
(防衛局長) 林 一夫君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
防衛庁参事官
(経理局長) 北島 武雄君
防衛庁参事官
(装備局長) 久保 亀夫君
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二月二十三日
東北地方に薪炭手当支給に関する請願(根本龍
太郎君紹介)(第八一七号)
同(保科善四郎君紹介)(第八四九号)
同(松浦東介君紹介)(第八六九号)
金鶏勲竜年金復活に関する請願外三 件(八木
一郎君紹介)(第八一八号)
愛知県形原町及び西浦町の地域給引上げの請願
(八木一郎君紹介)(第八一九号)
恩給加算年数に関する請願(床次徳二君紹介)
(第八五〇号)
京都府久御山町の地域給指定に関する請願(川
崎末五郎君紹介)(第八七〇号)
旧海軍特務士官等の恩給不合理是正に関する請
願(保科善四郎君紹介)(第八七一号)
神奈川県藤沢市の地域給引上げの請願(森島守
人君紹介)(第八八七号)
京都府奥丹後地方の地域給指定等に関する請願
(柳田秀一君紹介)(第八八八号)
京都府奥丹後地方の寒冷地手当引上げの請願
(柳田秀一君紹介)(第八八九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第四二号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
四三号)
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。飛鳥田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/1
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002・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 一昨日防衛庁の方にお願いしておきました資料をいただきまして、今この資料の数字を当っておりますので、とりあえず資料の数字にわたらない範囲で質問をさせていただきます。
まず第一に伺いたいのは、砂田長官時代に御選任になりました防衛庁のいわゆる顧問団というのですか、砂田顧問団と申しますか、この顧問団を一体どうなさるおつもりか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/2
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003・船田中
○船田国務大臣 砂田前長官のときに、長官個人の顧問として置かれたものがございます。これは何ら制度的のものではございません。従って特にあらためてお願いをするということがなければ、そのまま自然消滅ということになるわけでありますが、軍事専門家、ことに旧軍人の貴重な体験あるいは知識、そういうようなものを将来の防衛計画を立てる上において活用するということも、私はよいことであると思います。しかし旧軍人の方々ばかりでなく、あるいは教育、技術、言論機関、そういう方面の方々の御意見も承わるようなことにしたらよいかと私は考えておりますので、これにつきましては目下せっかく検討をいたしていることでございまして、長官の個人的な顧問を置くか置かぬか、あるいはどういう範囲の人を置くかということについて、まだ結論は出ておりません。今申し上げたようなことで検討を加えているという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/3
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004・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、砂田さんが大臣をおやめになると同時に、この顧問団は解任されたという形になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/4
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005・門叶宗雄
○門叶政府委員 ただいま長官からお話がありました通り、砂田防衛庁長官の長官としてのお仕事をやられる上において、種々助言をいただく、こういうことと存じております。従って今長官のお話にありましたように、制度的なものでありませんので、今仰せになりました通り、私たちも了解いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/5
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006・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、制度的なものでなく、砂田個人の顧問であった、こういうことに了解いたして同違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/6
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007・門叶宗雄
○門叶政府委員 ただいまもお答え申し上げました通り、砂田防衛庁長官の長官として仕事をやられる上に、いろいろな助言をいただく顧問、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/7
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008・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、砂田個人ではなく防衛庁の仕事をする、いわゆる制度としての顧問というふうに伺えるのですが、個人ですか、制度ですか、この点はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/8
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009・門叶宗雄
○門叶政府委員 政府としては制度としての顧問とは考えておりません。ただ砂田長官が長官としてお仕事をやられる上の顧問、こういうふうに解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/9
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010・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうもその辺明瞭にわからないのですが、それでは長官としての砂田さんというのは一体どういうことなんですか。もう少し詳しく言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/10
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011・門叶宗雄
○門叶政府委員 言葉をかえて申し上げますと、砂田長官が長官である限りにおいての顧問である、こういうふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/11
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012・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、それでは砂田さんがこの顧問団を任命なさるについての法規的な根拠がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/12
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013・門叶宗雄
○門叶政府委員 これは先ほど来申し上げております通り、制度としての顧問でありませんので、任命というような形をとっておりません。口頭でお願いしまして、随時自分に対して助言、意見のあるところを申し述べてくれ、こういうふうにお話になっておられますので、任命とか、あるいはその他正式な手続は一切とっておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/13
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014・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは個人じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/14
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015・門叶宗雄
○門叶政府委員 やはり長官としてお仕事をやられる上に必要と考えております。顧問という名前も私どもばとらないので、防衛に関する顧問というようなことを申している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/15
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016・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうもその辺がわからないのですが、結局あなたのお話をせんじ詰めていくと、砂田さんが自分の仕事をやっていく上についてある程度の知識を個人的に吸収されるための顧問、こういうふうにしか思えないのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/16
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017・門叶宗雄
○門叶政府委員 私どももさよう了解いたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/17
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018・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでわかりましたが、砂田さんが個人として防衛に関する知識を吸収していくためのブレーン・トラストだということにもしきまるといたしますならば、この方々に対する手当、それから会議費、こういうようなものはどこから支出をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/18
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019・門叶宗雄
○門叶政府委員 今申し上げました通り、制度的なものではありませんので、報酬とか、あるいは手当というような性質のものは支出いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/19
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020・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 会議費はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/20
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021・門叶宗雄
○門叶政府委員 随時会議をやられるのでありますが、これはたとえば外来の講師の方をお招きしてお話を聞くというのと同様な取扱いを考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/21
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022・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、これは砂田長官の交際費の中から出ている、一口に言えばこういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/22
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023・門叶宗雄
○門叶政府委員 大体そういうような性格のものと了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/23
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024・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは次のことを伺いますが、やはり砂田さんの構想の中に郷土防衛隊というのがあったのですが、この郷土防衛隊について今後どのような方針をおとりになるか、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/24
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025・船田中
○船田国務大臣 郷土防衛隊の考え方は私は大へんいいことだと思います。防衛体制を整備していく上におきまして、第一線に立つ自衛隊の後方を守る、そしてそれぞれの郷土において自分の郷土を守る青壮年の組織ができるということは大へんけっこうであると存じます。しかしこれにつきましては十分検討を加えまして、ことに国防会議もできることでございますから、その長期防衛計画、国防体制をいかに整備するかということとともに、これを国防会議においても十分審議をしていただいて、なるべく早い機会に実現をするように運びたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/25
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026・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、この郷土防衛隊について今は具体的な案をお持ちになっていらっしゃらない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/26
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027・船田中
○船田国務大臣 前長官のときに一応考えられた案はございます。しかし私が就任いたしましてからそれを再検討いたしまして、まだ結論に達しておりません。先ほど申し上げました通り、国防会議ができましたときにこれに審議をしていただくようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/27
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028・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それではおそれ入りますが、砂田さんの時分にお立てになりました郷土防衛隊の構想を一つお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/28
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029・林一夫
○林(一)政府委員 ただいま長官から申し上げたように、郷土防衛隊の構想はいろいろ検討して参ってきておるのであります。あの当時に作った案もまだまとまってはいなかったのであります。検討の過程におきましてはいろいろの考え方が出てきておるのであります。その検討の過程におけるいろいろの構想と申しましょうか、そういうことでよろしかったら申し上げてもよかろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/29
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030・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうぞ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/30
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031・林一夫
○林(一)政府委員 いろいろ意見がありまして、人数の点とか、どういう層を対象にするとか、あるいはどういうようなことを目的とするとか、いういろいろの点が考えられて、そういうような点について検討を加えてきておったのでありますが、結局まだ最終案はできていなかったのであります。たとえば人数につきましては、最終目標を三万人あるいは五万人、十万人、いろいろの考え方もあります。その訓練の期間についても、あるいは月あるいは二月間というような考え方もありました。いろいろの点について検討を重ねて参ったのでありますが、まだ結論は出ておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/31
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032・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、国防会議ができてその後でなければ具体的な案を国会に提案をするというようなことはない、こういうふうに伺っておいてよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/32
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033・船田中
○船田国務大臣 大体今飛鳥田委員の仰せの通りでありまして、これはもちろん予算を伴いますので、三十一年度の予算には計上いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/33
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034・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは次に伺いたいと思いますのは、ジェット機の生殖の協定が日米の間にできておりますが、これは第一次協定ができて、まだ第二次協定はでき上っておらないように伺っております。この第二次協定ができ上っておるかどうか、もしでき上っているとすればどういう内容のものであるか、もしでき上っていないとするならばどのような点ででき上っていないのか、これを伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/34
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035・船田中
○船田国務大臣 本件につきましては政府委員の方から詳細説明させますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/35
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036・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 ジェット機の生産協定につきましては、第一次については仰せのように昨年成立いたしております。目下実行中であります。それに続きます第二次の継続生産に関する協定につきましては、その予算は三十一年度の今回提出いたしております予算並びに予算外で御審議を願っておるわけでありますが、協定につきましては、それと並行いたしまして現在米側と交渉中でありまして、予算の成立する前後までには交渉は成立する見込みで進んでおります。今回の交渉は主として第二次生産でございますから、機体あるいは装備等の国産化の問題が非常に具体的な問題でございまして、私ども目下予算の範囲内でどういうものをどの程度にいつごろから国雄化をするかという点が、主として話し合いの中心となっておりまして、最近では大体結論に近づきつつある、かような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/36
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037・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうするとジェット機生産の第一次協定における米側負担金はどのくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/37
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038・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 米側の負担金は協定の面にももちろん現われておりませんし、現物で第何機まではこういうふうなものをよこす、第何機からこういうふうなものをよこすということでご、さいまして、これは金額で表示しておりませんので、私ども単にいろいろのプライス・リスト等から推測いたしておるのでありますが、大体この推測によりますと、第一次の分で米側の持ちます金額は百億ないし百二十億程度、百十億前後ではないかと推定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/38
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039・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 第二次協定の場合の米側負担金はまだ未確定でしょうが、大体の御推測はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/39
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040・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 これは全く推測でございまして、向うから供与を受けるものの範囲、それから価格等を大ざっぱに推定いたしておるのでありますが、概数は一億弱でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/40
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041・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 このジェット機生産について、防衛庁側では新三菱重工あるいはその他に注文をせられます場合に、駐在監督官を設けられて、その生席について監督をなさる、こういうようなお話を伺ったのですが、この駐在監督官制度についてはどのような方針でおられますか、これを伺わしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/41
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042・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 方針と申しますか私どもの仕事のやり方といたしましては、米軍側から部品の供与を受けまして、これを一応私どもの帳簿に入れまして、これを会社側に支給する、それを材料といたしまして組み立てあるいは一部生産も含みますが、いわゆる調達契約を会社側と結ぶわけでございまして、この調達契約を実行するために契約担当官といたしましては、中間の検査監督をしていく、あるいはでき上りの検査をする、この中間検査は非常に技術的要素もあるわけでございますから、調達実施本部の係官及び専門の技術を持ちまする幕僚監部の技術官を現地に置きまして、中間検査並びにでき上りの検査をさせる、こういうふうな仕組みにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/42
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043・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 さらにこのジェット機生産については、アメリカ側からも工場監督官がやってきておるように伺っておりますが、これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/43
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044・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 たとえば規格の統一あるいは互換性といったようなことで、技術の援助を受けるためにアメリカ側からも参っております。しかしながら、検査の責任はあくまで日本側担当官にあるわけでございまして、必要に応じてアドバイスは受けておりますが、日本側の検査を確定したものでないと受け取らない、あるいは中間検査において合格しない、かような仕組みにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/44
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045・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、米側監督官と日本側監督官との間には、別に組織的にも制度的にもつながりはないというふうに了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/45
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046・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 仰せの通り実務の土では非常に密接な連絡がございますが、制度もしくは組織の上におきましては直接に連絡はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/46
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047・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 このジェット機生産について、米側監督官と日本側監督官との間で、命令服従とかその他制度的な関係はない、しかも実務の上で連絡はある、こういうお話であります。この間で実際に生産を指導しておるのは日本側の駐在監督官であって、米側監督官はただアドバイスをするだけだ、こういうふうに私としては伺えたわけですが、その点間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/47
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048・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 一言で申しますとさようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/48
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049・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 大体第二次ジェット機生産協定ができ上るのは、ほぼいつごろですか。予算の成立前にということでありましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/49
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050・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 予算の成立前にできれば協定をまとめまして、予算成立後直ちに実行できるようにいたしたいと希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/50
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051・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 このジェット機生産協定というのは非常に重要な問題でありまして、このジェット機生産第二次協定について、事前に国会の人々に大体の輪郭を報告して、その審査を受ける意思はありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/51
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052・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 第一次の生産協定につきまして、概要をさきの通常国会で御報告いたしたわけでありますが、第二次協定につきましては、協定そのものの様式あるいは全体の構成等ほとんど第一次協定と同じであります。ただ違いますのは国産化の程度が進むということでありまして、第一次協定について概要御報告いたしましたのと大差ほございません。もちろん御要望に応じて協定の概要をある時期に申し上げることはできるかと存じますが、大体第一次協定と協定の形としてはほとんど同じであるというふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/52
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053・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ジェット機生産の第一次協定については、前の国会で、たしか私からお願いして交換公文その他を発表していただいたと思います。しかしあれには漏れているところがあったはずです。たとえば米側負担金について、イタリアに比べると日本の方が率がよい、あるいは諸外国とのそうした関係で、そういう負担金の部分が漏れておって、御発表にならなかったはずだと思うのですが、そういう発表のせられ方をまた今度もせられるおつもりかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/53
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054・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 先ほども少し申し上げましたように、協定の上に分担金の割合というものは一切書いてございません。第一次協定もさようでありますし、第二次協定もさようでございます。ただこうこうこういうもの、たとえば組み立てに要する軸は供給するといったようなことを協定に書いているだけでございまして、ただいま仰せのような分担金等実は書いてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/54
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055・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 その点は水掛け論になりますが、速記録を調べていただきますと、協定に至る議事録をも御発表願いたいと私はお願いしたはずです。その議事録の中にそういう部分が当然あるはずです。従って、この点については、外国との振り合いで故意にお省きになった、こういうふうに私は解釈をしておるのですが、その後第二次協定を発表せらるる場合にも、米側負担金というのは非常に重要なものです。従って、この部分を省かずに御発表いただきますよう今回は特にお願いをしておきます。
次の問題でありますが、先日いただきました資料の中に「昭和三十一年度防衛庁施設整備費一覧表」というのがあります。そのうちの一、陸上自衛隊、この部分で二番目の項目に米軍施設改修というので三億円計上せられております。備考を見ますと八カ所分と書いてありますが、これはどのような米軍施設の改修であるのか、そのできるだけの内容を長官に一つお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/55
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056・北島武雄
○北島政府委員 米軍施設改修といたしまして三億三百万円程度予定してございますが、米軍施設改修と申しますのは、三十一年度におきまして米軍から提供の解除を受ける施設を予定いたしまして、それに改修を加える経費でございます。と申しますのは、米軍が使用いたしましたものを接収解除になりまして自衛隊が使用いたします場合におきましては、生活様式が違いますので、そのままでは使用できない点が多々あるわけであります。たとえば風呂場の問題とか、厨房等改修を要する点がございます。主としてこういう面の改修費でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/56
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057・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もし米軍施設が接収解除になって日本に戻ってくる、こういうことで日本に戻ってきたものを自衛隊がもらい受けてそれを改修するというのならば、わざわざ米軍施設改修費として計上なさる必要はないじゃないですか。これは自分のものになったものを直されるのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/57
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058・北島武雄
○北島政府委員 それは言葉の上の問題でございまして、旧米軍施設で自衛隊が接収解除を受けて使う建物の改修、こういう意味でございます。特に現在米軍が使用しているものを自衛隊において改修する、こういうわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/58
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059・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それではその八カ所分というものを、一つ場所だけでもお聞かせいただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/59
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060・北島武雄
○北島政府委員 ただいま予定いたしておりますのは、東北地区におきまして川内、それから神町、苦竹、中部地区におきまして相模原、関東地区で相馬原、南富士あるいは尾島、それから近畿地方で信太山、そういった施設でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/60
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061・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 その分についてはまた調べてお伺いをいたします。
それでは次に伺いますが、アメリカ側に対する施設提供諸費を見て参りますと、本年度は百五億になっておると思います。これは聞くところによりますと、百二十億をアメリカが要求をしてきたぶ、百五億で妥協がついた。その妥協の条件としては立川、横田、小牧、新潟、木更津などの演習場の施設費は一応施設提供諸費の中に織り込まれているが、もし不足する場合には防衛庁費から流用するというような話し合いがあったというふうに伺っておりますが、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/61
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062・北島武雄
○北島政府委員 施設提供等諸費は御存じの通り大蔵省所管でありまして、この予算につきましては、大蔵省と調達庁との間におきまして、来年度における計画を検討して必要な限度を見積りまして、百工億と算定いたしている由でございます。私直接にはその内容について承知いたしておりませんが、大蔵省と調達庁との間におきまして、百五億で大体はやっていける、こういうことで日本側として百五億として決定した、こういうふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/62
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063・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、もし足りない場合には防衛庁費から流用するというようなことは絶対ございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/63
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064・北島武雄
○北島政府委員 施設提供等諸費が足りないから防衛庁費から移用する、こういう関係のことはございません。ただ予算総則の二十二条に、ちょっと宙で覚えておりませんけれども、防衛庁の施設設備の必要と、それから米軍に対する施設提供との関係から、必要あるときには防衛庁から防衛支出金へ移用することができる、予算総則にこういう規定がございます。この趣旨の京でございますが、実は昭和三十年度におきましては、たしか予算総則の十六条に掲げてあったかと存じますが、この考え方は昭和三十一年度におきましても、前年度に引き続きまして、自衛隊といたしましては営舎あるいは演習場等施設の新設あるいは拡張を計画いたしているわけでありますが、御存じの通り、土地の取得等につきましては目下非常に困難なる事情がございまして、その場合におきましては、現在米軍が使っているところの施設に追加的な施設を加えることにいたしまして、今まで使っておった他の米軍の施設が返還になって、それが自衛隊で使える、こういうことも想定できます。あるいはまた現在米軍が使っておる施設の中に、また追加的施設をすることによって米軍と自衛隊とで共同使用ができる、こういう場合もあるわけであります。この場合におきましては、施設提供に関する経理を明確にいたしますため、これを施設提供費の方で移用いたしまして、そうして自衛隊においてもその目的を達する、こういう考え方で予算総則の二十二条におきまして移用の規定ができているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/64
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065・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ちょうどそのことを次に伺おうと思っていたところで幸いでございますが、それでは三十年度における移用額を一応お示しいただき、そのおもなるものをお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/65
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066・北島武雄
○北島政府委員 昭和三十年度におきましてはただいままで移用したことはございません。これは万一を想定した場合の規定でありまして、三十年度におきましては、目下のところ実績がございません。おそらく年度内におきましてもその必要が起らないのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/66
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067・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうすると、三十一年度において、これから先のことでありますが、移用せらるるであろうと予測せらるるものは、あらかじめわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/67
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068・北島武雄
○北島政府委員 実はあらかじめ想定しておるわけではございませんので、いろいろ施設の計画からいきまして、こういうふうな事態が起った場合に対処できるように移用の規定を設けているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/68
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069・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 予算の話が出て参りましたので、ついでに伺っておきたいと思いますが、防衛庁の最初の予算要求額は千三十三億であったということでありますが、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/69
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070・北島武雄
○北島政府委員 当初大蔵省に概算要求いたしました数字は千三十三億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/70
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071・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それが大蔵省の査定で八百九十億に減縮をせられ、やがて九百二、三十億に復活をして、最後に九百六十四億で大蔵省と防衛庁との間で話がついたというのは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/71
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072・北島武雄
○北島政府委員 予算の折衝の過程におきましてはいろいろ経緯があるわけでございますが、実は三十一年度の当初の大蔵省の査定は、私どもが思っておりました以上に実にきびしい査定でございましたので、これではとても防衛庁の三十一年度の計画を遂行できないということで、逐次折衝を重ねました結果、最後におきまして千二億ということで妥結いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/72
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073・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうすると九百六十四億で一応妥結したというのはうそですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/73
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074・北島武雄
○北島政府委員 いろいろ三十一年度の防衛計画を検討いたしまして積み重ねて参りますと、千二億が絶対必要である、こういう結論に達しまして大蔵省もこれを承認いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/74
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075・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは続いて次のことを伺いますが、重光さんがアメリカに行かれましていろいろと相談をなさった中で、日米軍事混合委員会という言葉が出て参りました。日米軍事混合委員会を設置して、今後の軍事的なことの話し合いをするということが出て参りましたが、その後伺っておりましても、これがどう進展しておるか全然わかりかねます。この日米軍事混合委員会というような委員会を設置することについて、その後の状況はどうなっているのか、設置せられたい意思であるかどうか。これは大臣に一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/75
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076・船田中
○船田国務大臣 これは今御指摘のような形において委員会というものは構成されておりません。ただアメリカ側とは随時折衝、接触をして意見の交換をし、あるいはアドヴアイスを受けるというようなことはございますが、委員会としては設置されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/76
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077・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 私の伺っているのは、今後そういうものを作っていくお気持がおありかどうか、もし作っていくとすれば、どういう任務をこの軍事混合委員会に与えるつもりか、そしてまた重光さんがそういうものを作るということを約束してこられたかどうか、これを一つお伺いしてみたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/77
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078・船田中
○船田国務大臣 重光外務大臣がそれを約束されてこられたとは私聞いておりませんし、防衛庁といたしましては、そういう委員会を今作ろうという考えを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/78
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079・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もしアメリカ側が強く要求をしてこられるならば、あなた方は応じる意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/79
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080・船田中
○船田国務大臣 今のところはアメリカ側と随時折衝をするということで十分足りると私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/80
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081・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 あなたは大臣に就任をせられる早々、アメリカ側と軍肝的なことについて、防衛についてもっと話し合って、その上で密接な関係をとっていきたい、こういうようなことをたしか談話でも発表をせられ、新聞などを拝見いたしますと、三木さんにアメリカに行ってもらいたいというような考、え方をお持ちになっていらしたようですが、この点についてそのお気持を進められておるのかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/81
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082・船田中
○船田国務大臣 私といたしましては、日本とアメリカとは共同防衛の責任者であり、いわば━━━━を結んでおる間柄でありますから、常に米側と緊密な連絡をとりましてわが国の防衛体制を整備することを考えていくことがよかろうと考えております。しかし今御指摘になりました三木氏をアメリカにやる方がいいかとうかというようなことは、私新聞記者の諸君にも話をしたという記憶は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/82
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083・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ちょっと派生的なことですが、今日本とアメリカが━━━━を結んでいるというお話でしたが、━━━━とはとういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/83
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084・船田中
○船田国務大臣 実は日米安保条約のことを指したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/84
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085・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 私たちの常識では━━━━というのは、お互いに助け合って、向うが攻められればこっちも助けに行ってやる、こっちが攻められれば向うが助けに来てくれるというものを指すと思うんですが……。ところで安保条約にはそういうような義務は規定してないと思うんですが、安保条約を━━━━と今後あなたは呼称をせられて差しつかえがないかどうか、もう一ぺん明確に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/85
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086・船田中
○船田国務大臣 先ほど私が申したのは、いわば━━━━を結んでおるような関係にあることを申したのでありまして、その内容はただいま御指摘のように、日米安保条約を言っておることなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/86
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087・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 いわば━━━━と、いわばという言葉をつけ加えられましたけれども、いわばという言葉をつけようと換言すればという言葉をつけられようと、私は━━━━という概念とこの安保条約とは全然違うと思うんです。━━━━という考え方は、一つここで取り消していただくなりなんなりしていただかなければ、これは大へんなことになるんじゃないかというふうに私は思います。もしいわばという言葉をつけても、あくまでも━━━━だとおっしゃるのならば、私たちもそのつもりで今後考えていかなければなりませんので、意地が悪いようですが明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/87
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088・船田中
○船田国務大臣 いわば━━━━のような関係ということがそういう誤解を生ずるようでございますから、先ほど申し上げましたことは取り消します。日米安全保障条約ということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/88
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089・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 あなたが今後アメリカと連絡をとって考えていきたいとお考えになる最も重点的な部門は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/89
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090・船田中
○船田国務大臣 ただいまの御質問の趣旨が私によくわかりませんが、とにかく日本とアメリカとは、日米安保条約、行政協定等によりまして、日本の防衛についてはアメリカがその責任を持っておるという関係にあります。従いましてわが国の防衛体制を整備していく上においては、やはりアメリカ側と常に密接な連絡をとっていくことがよかろう、かような考えを持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/90
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091・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 きょう朝からの私の質問を聞いていただきますとわかりますように、決して意地の悪いことは申し上げておりません。ただ事実だけを伺っておるのですから、一つ明確にお答えいただきたいと思います。相互に連絡をとってきめていきたいというその中には、たとえば日本の防衛六カ年計画とか、あるいはMSA援助の長期的な見通しとか、あるいは防衛産業の問題とか、あるいは特需に対する計画とか、こういう問題を含んでおりますかどうかを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/91
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092・船田中
○船田国務大臣 先ほども申し上げましたように、わが国に防衛力というものは実はなかったのであります。それが五年前に警察予備隊が発足して以来、漸次防衛体制ができてきつつあるのでありますが、それにつきましてはアメリカ側の艦船、兵器、飛行機等の供与を受けなければならない。それの取得調弁というものは、アメリカの供与されるものにたよっておるわけでありますが、現在日米が協力関係にありますこの際に、できるだけアメリカ側の供与も受けまして、日本の防衛体制を、わが国の国力及び国情に沿うように、できるだけすみやかに整備していきたい、かような考えをもって進んでおるわけでありまして、これを実現するためには、やはりアメリカ側と十分連絡をとって、向うの考え方も聞き、またこちらの希望も述べ合っていくことが適当であろう、こういうふうな趣旨において今御指摘のようなことを申しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/92
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093・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうしますと艦船、兵器、技術、こういうものをどの程度アメリカが提供をしてくれるかということをもっと具体的に知りたい。そうしてまた、それを知ることによって防衛計画が組まれるのだ、そういう必要上米軍あるいは米国とのより以上密接な交渉を望む、こういうふうにおっしやるのですか。
〔委員長退席、保科委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/93
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094・船田中
○船田国務大臣 供与兵器、艦船、飛行機ばかりでなく、できればアメリカから進んだ技術も入れ、あるいはわが方においていい考えがあれば、それを資金的に助けてもらうというようなことによりまして、なるべくい機会にわが国が独立国として、自分の国は自分の手で守り得る能勢に一日も早く持っていきたいというのが私の考えの根本をなしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/94
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095・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうしますと、結論的にいえば日米軍事混合委員会というようなものは今後作る意思はない。だがしかし、防衛計画、軍需生産、こういうようなものを決定していく上に当って、米軍とより一層密接な連絡を保っていく必要がある。そのためにはもっとひんぱんに意思の交流をはかりたい、こう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/95
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096・船田中
○船田国務大臣 大体今お話しのようでございまして、日米軍事混合委員会というようなものを早急に作らなければならぬという必要は、私は今のところは認めておりません。事実上において連絡をとって参っておりますから、それで私は足りると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/96
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097・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは次に伺いますが、米軍の軍事顧問団の現在人員及び自衛隊別配属、地域別人員については先般新聞に御発表になりましたので、これはわかりましたが、そこでこの顧問団の費用の問題、すなわち交付金の問題について一、二伺いたいと思います。それは昭和三十一年度を見ますと増額をせられております。この増額の理由及びこの米軍顧問団に対して現物提供をなさった物件あるいはその理由、こういうものを一つ伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/97
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098・船田中
○船田国務大臣 これは数字にわたりますので、経理局長から御説明申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/98
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099・北島武雄
○北島政府委員 軍事援助顧問団関係の経費は昭和三十一年度は前年度に比較いたしまして二千万円増加しております。昨年度が実行五億九千万円、昭和三十一年度が六億一千万円であります。この増加いたしました理由は教育訓練等の計画が進むにつれまして、顧問団員の渡航回数が増加するという点、それからもう一つは、移動訓練隊の一部が任務終了によって帰国いたしますので、その帰国旅費の増がおもなる原因でございます。
現物提供につきしましては、具体的に申しますと、現在浜松の基地におきまして、自衛隊が米軍の移動訓練隊の訓練を受けております。この移動訓練隊に宿舎を提供いたしております。この宿舎の光熱水料で、三十年度におきまして二百七十万円という金額を、現物といたしまして日本が負担する、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/99
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100・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 昭和三十年度の交付金を二千八百万円増額せられておりますが、その理由と流用の財源について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/100
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101・北島武雄
○北島政府委員 これは大蔵省所管の防衛支出金でございまして、実は私は正確には存じておりませんが、私の承知している範囲におきましては、施設提供等の諸費の中でやりくりいたしましてそちらに回されたようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/101
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102・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 事実を伺う最後として、ジェット機の生産計画がどの程度に進行しておりますか。さっき聞き漏らしましたので伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/102
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103・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 昨年の夏に協定を締結いたしまして、予算の成立と同一時に実行に着手したわけでありますが、九月ごろに米側から供与を受けます部分品、と申しましても大部分組み立てたものでございますが、九月の中ごろに第一船が入りまして、昨年末現在で約四千トンばかりのものが部品及び治具を含めて両工場に入っておるのであります。大部分はT33の関係でございますが、T33につきましては先般第一号機を社内テストいたしまして近く私どもの方で正式の領収検査をいたす段取りになっておりまして年度内に数機続々と竣工する予定になっております。F86の方につきましては治具が主として入っておりまして、これはことしの十月から第一機が出ることになっております。目下治具の、組み立て技術指導等着々と進めております。なおつけ加えて申し上げますが、T33につきましては先般防衛庁と川崎航空機との間に契約が成立いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/103
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104・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 T33及びジェットのF86は年度内に何機くらいできる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/104
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105・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 F86につきましては、先ほど申し上げましたように、年度内には一機も予定はございません。十月から一機、それからT33につきましては予定は九月でございまして、今その目標で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/105
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106・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 大体先日いただきました資料を拝見して、数字的なものは別にして、事実についてわからなかった点をお伺いしたわけですが、大体数字を除けば、防衛庁の皆さん方のお考え方がわかりました。次会には数字に対していろいろ伺わしていただきますが、ここで事実に関する御質問を打ち切りまして、次の質問に移らせていただきます。
先日、日時は忘れましたが、たしか林統合幕僚議長が、四国だったと思いますがお出かけになりまして、そこで、自衛隊は、原子戦争を前提にしてその訓練及び装備をしなければならない、編成をしなければならないというような談話をなすっていらした。およそ原子戦争を前提にして編成装備をするということ、戦術を作るということは、今までのあなた方がしばしば自衛と言っていらっしゃるものとは相当変ると思います。その心構えと変り方を一つ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/106
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107・船田中
○船田国務大臣 ただいま飛鳥田委員の御質問でございますが、統合幕僚議長の林君が四国において新聞記者の諸君と話し合ったということは、ただいま御指摘のようなこととは非常に違っておるようでございます。原子戦争を前提として自衛体制を整備するというようなことは全然言っておりません。原子爆弾でも持ってくるようなことがあったらどうするのかというような質問に対して、それについては外国の防衛関係の雑誌、新聞等を研究しておるところだといったような返答をしたようであります。それが誤まり伝えられたものと思います。私は直接林議長と話をして事実を確かめたのでありますか、原子戦争に協力体制を整備するなどということは毛頭申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/107
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108・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうも何か伺うと新聞が誤まり伝えたということで問題が解決をいたしますが、これは新聞記者諸君としてはずいぶん迷惑なことだと思います。しかしそのことを水かけ論をしても仕方がありません。
そこで米国の最近の発表を見ますと、米国は局地戦争でも原子兵器を使う、こういうことを声明いたしております。そうなりますと、日本の国内だけの防衛というあなた方のお説をとって考えてみても、原子兵器というものを頭に入れないではできないのではないか、こういうふうに私は思うのであります。むしろ林統合幕僚議長の原子戦争を前提として考えるということの方が、もし軍隊を置くとするならばノーマルな考え方じゃないか。局地戦争でも原子一兵器を使うということを声明しているアメリカのこの段階において、あくまでも原子兵器について全然対処しないというような御答弁は少しおかしいと思うのですが、こういうこともどういうふうに自衛隊の運営の中に織り込んで考えていらっしゃるか伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/108
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109・船田中
○船田国務大臣 原子戦争に対していかに守るか、わが国の防衛体制を整備するかというそこの研究までは遺憾ながらいっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/109
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110・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 原子戦争について全然研究をなすっていらっしゃらない、で、防衛々々と常日ごろ叫んでおられるのはどういうわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/110
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111・船田中
○船田国務大臣 航空機のレーダーの施設、あるいはGMの研究とか、そういう方面においては研究をいたしております。またアメリカで原子戦争についての演習があったというようなことも聞いておりますが、そういうようなことも十分研究いたしましていかに防衛体制を整備するかということも今後の研究に待たなければならぬと者、えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/111
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112・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 原子戦争を局地戦でもやるとアメリカの方は言っているわけです。もし片方でそうだとするならば、他方もやってはいけないという理屈も出てこないわけです。従って局地戦でも原子兵器を使うという段階に世界の戦略的な水準がきた、こう考えても差しつかえないかと私は考えておりますが、もしそうだとすれば、原子兵器に対して何ら考慮の施されていない自衛隊が、自衛隊とお名乗りになるのはおかしいんじゃないですか。私たちは国を守りますとはっきりおっしゃれるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/112
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113・船田中
○船田国務大臣 この問題は、たびたび申し上げておりますように、わが国の国力及び国情に沿う自衛体制を整備するということでございまして自衛隊を漸次増強して参るということが目下の急務であると考えまして、並々その方向に進んで努力しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/113
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114・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 あなたは原子戦争の時代に、今の自衛隊が役に立たないということを今間接にお認めになった。そうして着々これから自衛隊を増強して完全なものにしたい、こう御答弁になられたわけです。そういたしますと、自衛隊の終局の目的は、原子戦争もやれる自衛隊ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/114
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115・船田中
○船田国務大臣 ただいまのところ、さようなことを考えてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/115
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116・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 あなたの御説明の論理をたどっていけば、そこへ行かざるを得ないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/116
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117・船田中
○船田国務大臣 わが方といたしましては、もちろん侵略的な軍備を持つというようなことは毛頭考えておりません。ただしかし相手が、ただいま御指摘のような方法をもって、あるいは原水爆をもってやってくるというようなことが将来起り得るかもしれませんからしてそれらの研究は今後十分やって参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/117
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118・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 しかし原子兵器を国内にあって守るということが果してできますか。そんなことをできますかと簡単に聞くのも失礼ですが、世界の今の常識からいって不可能ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/118
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119・船田中
○船田国務大臣 どうも御質問を伺っておりますと、原水爆をもってする戦争が起るかもしれないというようなことを前提としておられるようでありますが、私は第三次世界大戦がそう急に起るとは考えておりません。しかし部分戦争、冷戦というものが絶対になくなったとも考えられませんので、そこでわが国の国力の限度において最小限度の自衛体制を整備するということに努力しつつあるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/119
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120・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 くどいようですが、第三次世界大戦がそう簡単に始まらないということは私も賛成なんですが、局地戦争はあり得るかもしれないとあなたは今おっしゃった。しかもその局地戦争には米軍は原子兵器を使う、こういつているのですから、原子戦争というものがあり得ることは当然だと思うのです。こういう場合には、日本の自衛隊が全然役に立たない自衛隊のままでいるわけにいかないとあなたはおっしゃるのですか、その点をはっきり伺わしていただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/120
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121・船田中
○船田国務大臣 自衛体制を整備するということはただいまの段階においてはやはり必要である、原水爆が発達したから、地上兵力あるいは火砲というようなものが、全然いらなくなったということには私は考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/121
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122・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうしますと、自衛隊は今後原子兵器を持つ希望はない、こういうふうに伺っていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/122
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123・船田中
○船田国務大臣 今自衛隊が原水爆を持つなどということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/123
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124・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もう一つ念のために伺いますが、そういたしますと、海外派兵とか日本の自衛隊員を海外に大量出張せしめる意思はない、こういうふうに伺ってもよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/124
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125・船田中
○船田国務大臣 現行憲法の許す範囲内において自衛体制を整備するということを考えておるのでありまして、従って今直ちに海外派兵をするというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/125
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126・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 今おっしゃるのは鳩山総理がしばしは言っておられることと同じですな。しかし現実に自衛隊の整備を見ていきますと、必ずしもそうだとは思えない。自衛隊の昨年度の発注を見ますと、三菱日本重工業に三十五トン戦車を発注せられておる。ところが日本の国内を見ますと、六トン以上の重みに耐え得る橋梁というのは全国で一四%しかない。これはたしか建設省の方で発表しておられると思います。六トン以上の重みに耐える橋は一四%しかない、こういうことがわかって参りますと、三十五トン戦車などというものは国内で使える筋合いのものではありません。これは当然外国へ持っていって、朝鮮で走らせるか、どこで走らせるか知りませんが、外国で使うということを前提にしなければ、三十五トン戦車の注文をせられたということを私は理解できないのであります。このように、あなた方が海外派兵の意思はない、あるいは自衛隊公務員を大量に海外出張せられる意思はない、こういうふうに言われながらも、実はどんどん海外派兵のできる装備を持たれている。うわべに言われることと現実に行われていることとうらはらじゃないかということを私たちは感ずるわけですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/126
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127・船田中
○船田国務大臣 海外派兵というようなことは今のところ全く考えておりません。今御指摘になりました三十五トンの戦車というようなことも、これは試作の時代でありまして、それの製作を命じておるというような事実もまだないのであります。研究をしておる。ただ御承知の遜り、たとえば侵略軍が上陸をしてくるというような場合に、上陸軍の舟艇なり戦車なりの装甲がだんだん厚くなって参りますから、それに対しましては、国土を防衛するためにも相当大きな火器を持たなければならぬ、こういうことになりますので、それらの点を今十分研究をしておるということでございます。海外派兵というようなことは全く考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/127
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128・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 使う見込みがなければ何も試験で注文をなさる必要はないと思うのです。三十五トン戦車を二台注文せられたということは明確になっております。しかも上陸してくる場合に、これに対して相当大きな火砲を必要とするという御説明でありましたが、それは三十五トン戦車を注文するという理由にはならない。この戦車を見ますと、スピードにして大体四十五キロですか、行動半径百キロということになっておるそうですが、行動半径百キロの戦車を、かりに敵がどこかべ上陸してくる場合に急速にその上陸地点に回していくなどということも非常に不便な話であります。上陸軍に対して大きな火砲が必要だという御説明では結局三十五トン戦車を注文なすった理由にはならない。この十五トン戦車が今申し上げたように、くどいようですが、日本国内でその威力が発揮できないことは軍事専門家も——また自衛隊の内部にも疑問があるそうですが、そういうようなものを注文せられることは頭隠してしり隠さずで、海外派兵をする意思は現在のところございません、とあなたが何べん御説明になったところで、この事実が外へ出ていくということを証明している、言明よりも事実の方が重要です。国民もまたあなたの御説明を何べん聞かされるよりも事実を知りたい、そしてまた知ればはっきりとした意識を持ちます。こういう点で自衛隊は純粋に国内防衛だと言いながら現実には海外派兵の準備をしているのです。
さらにもう一つ例をあげてみますならば、落下傘部隊であります。落下傘部隊を先般北海道に行われた演習でお使いになったそうでありますが、この落下傘部隊に対してフィリピンの軍人さん力は歴然と攻撃のための武器としてこれを理一解せられたというようなことが新聞に出ております。これは、落下傘部隊の使い力については、日本国内でだけ使うということをきっと御説明になるだろうと思いますが、しかし世界の今の常識といたしましては、落下傘部隊は攻撃用の武器であります。ことに海外派兵のための一つの武器であると私たちは理解できる。また世界の人々もそう理解するに違いありません。頭隠してしり隠さず、こうして落下傘部隊を作られるということによってその状況がはっきりと出た。またF86ジェット戦闘機の生産をなすっていらっしゃることはさっきからの御答弁でわかりますが、このF86ジェット戦闘機にしてもまた攻撃用の武器ではないか、こういうふうに私は考えるのであります。が、こういう点についてあなたの御意見をもう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/128
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129・船田中
○船田国務大臣 ただいま御指摘のように、戦車が相当重い重量を持ち、大きなものになるということは作戦の必要からそういう要求が出てくるわけでありますが、しかしそれができたからといって直ちに海外派兵を考えておるのだということとは全然別個でございまして、自衛隊の体制を整備するということはどこまでも国土の防衛、自衛体制を整備するということでありまして、今御指摘のような、F86Fというような戦闘機ができましても、これはわが国の防衛のために必要なことでありまして全然海外派兵というようなことを念頭にしいてやっておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/129
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130・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ただいたずらにあなたの主観的な海外派兵を考えておりませんという説明だけでは、現実にこういうふうに着々海外に出ていける軍事体制を整えておられることについての弁明にはならないのです。
さらにもう一つつけ加えて申しますならば、今度自衛隊では潜水艦を御注文になった。海上自衛隊が初めてシュノーケル潜水艦一隻を建造するということを私たちは伺っております。これによりますと排水量千トン、水中速力一九・五ノット、安全潜行深度百五十メートル、魚雷発射管二門を装備する優秀な性能を持つものだということであります。外へ出ていく必要のない軍隊がどうしてこのような潜水艦などをどしどし注文されていくのか、これもすなわち外へ出ていく準備体制だと私たちは考えないわけにいかないのであります。こういう点についても御説明をいただきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/130
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131・船田中
○船田国務大臣 御承知の通り、わが国は四面に海をめぐらしております。しかも食糧の約二割は海外から輸入しなければならないというようなことでございますから、一朝有事の際におきましては、護送船団というものがきわめて大切な役割をいたします。それらのことを考えますと、平素から外国の侵略軍の攻撃、ことに海上の補給路を断たれるという心配もございますから、それらに対する訓練といたしましては、やはり潜水艦のようなものによって水中索敵のようなことの訓練をしていく必要があるわけであります。三十年度においてアメリカ側から潜水艦一隻の供与を受けておりますけれども、一隻では訓練が十分にできませんので、三十一年度においてはもう一隻わが国において調達いたしまして、訓練用にいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/131
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132・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 多分そうおっしゃると思ったのですが、この前の国会でも私申し上げたのですが、現実に潜水艦をあなた方はどう使っておられるかと申しますと、ちょうど総選挙の始まる前後でありました、九州から台湾に向って船団護送の練習をなさっていらっしゃる。向うからこちらへ来るのならば話はわかるのですが、こちらから向うへ向って船団を護送なさった、これに潜水艦が参加しておるのであります。九州から台湾に向う船団護送の演習に潜水艦を参加させておるというのは明らかに海外派兵用として——あなたは先ほど船団護送というお言葉をお使いになりましたが、船団護送をなさるために、しかもその船団護送は九州から台湾に向っていくのに使われるということを事実が証明しておると思うのであります。言葉だけの弁解でなしに事実でお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/132
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133・船田中
○船田国務大臣 今御質問にありましたのは、これはどこまでもやはり護送船団、輸送商船を護送していくという訓練でありまして、兵隊を送っていく護送をやっているのではございません。自衛隊といたしましては護送船団の編成をやったり、その訓練をやったりということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/133
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134・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それならばなぜ九州から台湾に向って送っていく練習をなさるのか、こういうことを伺わざるを得ないわけです。ですがこの点については水かけ論でしょう。
次に伺いますが、オネスト・ジョンが日本にやって参りましたときに、砂田防衛庁長官は、日本にも持ちたいとアメリカ軍に申し込んで、日本でもこれをもらい受けるというようなことを再三言っておられたのであります。現実にもうもらい受けてしまわれたかどうか私はわかりませんが、オネスト・ジョンを受け取ってその研究をするということは、少くとも日本の国内だけに戦局を限定して考えない一つの証拠ではないか、さらにまた防衛庁の本年度の予算を見ますと、スイスですかの会社にエリコンを何機か注文しておられます。無線誘導弾を注文をしておられる、こういうことであります。これもまた日本の国内だけにとどまっているのならば私は必要がないと思う。これもやはり海外に向って戦力を伸ばしていく、こういうことの下準備としか私たちは受け取れないのですが、この点についても御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/134
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135・船田中
○船田国務大臣 合御質問にありましたが、スイスのエリコン会社からエリコンの輸入を計画しておるということでございます。これは御指摘の通りでございますが、今日の非常な兵器の発達からいいますると、どうしてもだんだんロケットとかあるいは無人飛行機とかそういうようなものがございます。従いましてことにGMの発達が著しいのでありましてこのGMにつきましては、やはりこれをわが国といたしましても、防衛生産の上において独力で作っていくことができるようになることが必要だと思います。これはどこまでもわが国の国土の防衛の目的でございまして、たびたび申し上げておりまするように、侵略的な意図を持っているとか、あるいは海外派兵をするとかいうことは全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/135
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136・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 時間もちょうど十二時になりましたので、事実を中心にした伺い方でなしに、この次に私の意見を交えた御質問をさせていただく、こういうことを申し上げまして、一応私の質問を終りたいと思いますが、くどいようですがもう一度最後に、三十五トンの戦車を日本国内で十分に使えるとあなたはおっしやるのかどうか。これを最後に伺わしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/136
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137・船田中
○船田国務大臣 現在持っております特車も相当大きなものもございます。これが三十三トンないし五トンになったからといって日本国内においてこれを走らせることが絶対できないとは考えません。小さな河川は渡れます。また日本の自衛隊の持っております施設部隊の架橋等の援助がございますれば、国内においてこれを使用することは可能と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/137
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138・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは私の質問をあとに残しまして一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/138
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139・保科善四郎
○保科委員長代理 片島君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/139
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140・片島港
○片島委員 私は主として防衛庁関係の予算の非常に不正、不当あるいは乱脈的に使われておるような問題について二、三お伺いをしたいと思うのです。
最初に船田国務大臣にお尋ねしておきたいのは、予算が成立をしました年度の中途において、アメリカの軍隊から相当のいろいろな物品が供与せられる場合があるのでありますが、そういう場合に予算は不用になってくるのでありますが、その調整はどういうふうにしておられるかというのが第一。
それから毎年々々防衛庁の予算は繰り越しが非常に多いのでございます。年度内に使わないで翌年度に何百億という繰り越しをやるのでありますが、繰越金を幾らかでも少くするために、まだそんなに早く必要もないようなものを年度内に何とかして買っておこう、繰越金の額を少くするために無理をして必要のない支出をする、こういうようなことが私たちからは考えられるのでありますが、この二点について最初に大臣の御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/140
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141・船田中
○船田国務大臣 アメリカからの供与兵器、艦船、飛行機等がありましたときに、予算との調整をどうするかということでございますが、これは供与品を前提として予算を組んでおるのでありまして、大体におきましては、初度調弁に属するものは、従来はほとんど全部アメリカの供与に待っておったわけであります。ただその供与されるものが年度半ばにおきまして非常に予想よりもおくれるというような場合がありまして、これが第二の御質問の繰越金がふえるということの一つの原因にもなっておるようなわけであります。
それから防衛庁費につきまして例年繰越金の多いことはまことに遺憾なことでございまして、私も就任後この予算の執行ということについては、たとい一銭一厘といえども間違いのないように、適正に、しかも防衛の目的を達成するように、効率的にすみやかに予算目的にこれを使うことを進めておるわけでございますが、従来防衛庁の予算におきまして繰り越しが多かったことは、その大部分をなしますものが器材費、施設費等でございますが、ことに器材につきましては、十年の空白があったというようなことで、一つの警備艦を作るにいたしましても、予算をとりましてからそれの計画を立て、青写真を作ってそうして注文をするというために、非常な長い時間を要します。それからまたこれの基本設計ができましても、それをいよいよ造船所に持ち込みましてそうして細目の設計をする、実設計をするということに相当な時間を要することがございます。それから施設につきましては、先ほど来の御質問の中にも出ておりましたが、演習場の土地の獲得というようなことについて非常に時間を要する。こういうようなことがございます。で防衛庁の予算は、器材費、施設費等がおもな内容をなしておりますために、今申し上げたようなことでおくれますと、それが重なりまして前年度におきましても二百数十億円の繰り越しを生ずるというようなことになるわけなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/141
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142・片島港
○片島委員 非常に長く答弁されるけれども、少しも答弁になっておらないのです。アメリカの方からこちらが予定しておらない物品を年度の途中においていただきました場合に、その予算はどういうふうにされるのかということと、第二番目は、繰越金が多いからどうじゃというのじゃありません。繰越金が多いから、それを責めておるんじゃなくして、無理をして必要のないものを年度内に買い込むということはないかどうか、これを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/142
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143・船田中
○船田国務大臣 第一段のことは、三十年度以降においてはございません。繰越金を少くするために無理な買い越しをするようなことはないかという御質問であつたように思いますが、さようなことはいたしておりません。先ほども答弁申し上げましたように、効率的に使用するということについては、特段の注意を払い、そして十分これを監督をいたし、間違いのないようにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/143
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144・片島港
○片島委員 もうこれははっきりと外部に出た問題でありますから、ここで御披露申し上げますが、昭和二十五年に入隊をしたものが、その被服が三十一年度において耐用期限がくる。三十一年度になって初めて必要なものを二十九年の十月に七万着用意をしておられる。三十一年度で必要なものを二十九年度の半ばにおいて、製品としてできたものが四万五百着、生地で二万九千五百着を購入、しかもその生地はすぐに請負いに出しておられる。合計七万着、これは三十一年度になって必要なものであります。ところが、二十九年の十月に購入をしておられるが、二十九年の八月にはアメリカの顧問団から、約七十万着分の生地を交付されるという連絡があり、しかもまた、これは三カ月前です。七万着を作られる二カ月前に口頭ではありますが、七十万着の生地をお前の方にやろうといってきた。そして、一カ月たった九月には、文書をもって同趣旨のことがまた連絡がきておるのであります。そして、その生地七十万着は、昭和三十年の二月から五月までの間に到着をしているのであります。三十一年度に必要なものを、前もってこういう七十万着もくれるという連絡があるにかかわらず、二十九年の十月に七万着作っておられる。これはどういうわけでこういうことをやっておられるのでありますか。あるいは業者などとの前から話合いがあって、早くこれを買ってやらぬと、工合が悪いということになっているのかどうか。この点については、私はこの法案が審議されるうちに資料をいただきたいのでありますが、いかなる業者とどういう契約をしておられるかという資料を本委員会に提出を要求するものであります。このいきさつについて船田長官が御存じないならば、経理局長からでも御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/144
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145・北島武雄
○北島政府委員 ただいま御質問ございました中で、まず予算の立て方から御説明申し上げた方が御了解いただけるかと思います。昭和三十一年度に必要なものを二十九年度の中で買った、こういうお話でありますが、予算の立て方といたしまして、こういう被服については、耐用命数分の一率の予算を組みまして毎年将来の更新に備えまして、補給計画を立てて、予算もそのように耐用命数分一率に計上されているわけであります。ところで、この冬服の問題につきましては、結果から申しますと、私は実は不幸なことであったと思います。ただいきさつをよく申し上げますと、昭和二十九年の夏ごろ、当初口頭でもって、場合によると自衛隊に譲渡できるかもしれないという話がございました。しかしその当時は、有償という話であったようであります。有償ではこれは問題にならないということで、折衝いたしておりますうちに、大体無償になりそうだということになったわけであります。そこで無償だというので、自衛隊においても極力折衝に努めまして、一体その規格はどんな規格のものであるか、それからいつ、どのくらいのものがくるかということについて、極力先方の係官と折衝いたしたのでございますが、残念ながら米給与品の中で、大体こういうふうに臨時に給与されるというものについては、いつくるかということが実は最後のぎりぎりの段階にならないとわからないというのが実情であります。これはアメリカの方の組織もございましょう。あらかじめいいかげんなことを言えないということもございましょう。そこで秋に非公式であるが、文書でもってやるということが言われたと言われますが、文書でもってやるというようなことはなかったのであります。アメリカ軍の内部におけるところの通報としましてこういう服がお前のところへ保管転換になるぞという、米軍内部の通報であった。それがこちらの関係官に、この分がどうもお前のところへくるのではないかというお話があったようであります。そこでさらに具体的に、ほとんど毎週一回くらいずつ担当官が先方の担当官と会いまして、規格その他について極力情報の入手に努めたのでありますが、やっぱりいざとなってみると、これはわからぬという状況でありました。そういたしまして、じんぜんと日を送っております中に、三十年の二月には新隊員が入る、これに冬服を着せなければならぬ。こうなってきますと、補給調達の責任者としまして不確定な分子をもとにして計画を立てるわけにはいかない。やむを得ず契約を起すというのが実情でございます。しかるにその後になりまして二月から五月に現実に現品が日本側に供与されたというのが実情でございます。当時の担当者の心情を考えますと、実に迷ったようでございますが、既定の調達計画を実行するに至った。私は調達の責任者としてはもっともな点があるのではないかと思うのであります。ただ結果におきまして相当大量の被服が米軍から供与されましたので、当初買いましたものがむだだったのではないかというおしかりを受けるわけでありますが、その点につきましては当時の調達責任者としまして事情まことに了とすべきものがあった。もしかりに確かでないものを当てにしまして、じんぜんとしておりますならば、補給にも差しつかえるわけであります。事情を考えますと、私どもといたしましてはまことに情状御了察願える点があるのではないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/145
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146・片島港
○片島委員 この七万着分というのは昭和三十年度に新たに入る者の被服ではないでしょう。昭和二十五年に入った者の耐用年限が三十一年度になってくるからというのではありませんか。三十一年度の冬のものならば、何もあわてて二十九年の秋にやらなくても、三十年度の秋にやってもまだ一年間あるわけです。そんなにあわてなくても三十年の二月から五月までの間に、その十倍の七十万着分が到着するという見通しは、そのときぽっと来たのでなくして、昨年度の八月、九月のころからそういう予定がせられておったのでありますから、二カ年間も年限があるのに前もってそう迷ってからにあわてて買う必要はないのじゃないか、こういうわけです。それからこの七十万着もらったものはどういうふうにされるのでありますか。その後の予算等で、これは七万着の十倍でありますが、それをずっと年度的に落すようにしてありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/146
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147・北島武雄
○北島政府委員 これは先ほど申し上げましたように、所要の定数が幾らときまっておりますと、それに対しまして耐用命数分の一率予算が配分になっております。実行上といたしましては、必ずしも耐用命数の至らざるうちにだめになるものが相当あるわけであります。その更新の予算、私どもリプライス予算といっておりますが、そのリプライス予算をもちまして毎年買っております。これは何も三十一年度に必要であったというものではないのであります。現に会計検査院の御指摘の中でも、七万着全部買わなくてもよかったのではないか、差し当り七万着の中から三十年の二月に入れるところの二万着分だけ買って、あとの五万着は差しひかえたらいいのじゃないか、こう言っている状況でございましてこの七万着が三十一年度に必要だというものばかりではないのであります。既定の調達計画に備えまして毎年更新に備えて、耐用命数で購入いたしている、予算もそういうふうになっている、こういうわけであります。なおこの冬服は昨年の二月から逐次入手いたしましたので、三十年度予算におきましては陸上自衛隊の冬服につきましては予算は計上いたしておりません。それからなお三十一年度の予算におきましても、米軍からの被服をもって充てる分につきましては、これを予算に計上いたしておりません。ただ米軍の被服につきましては、そのまま規格が一致いたしておりませんので、これについて改造しなければならぬ、こういうことになりまして、自衛隊の制服に合うようにこれを仕立て直しましてその上で使うわけであります。なお足りない点は装備局長から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/147
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148・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 ただいまの答弁に関しまして補足いたします。事実上三十一年度用でないということを申したようでございますけれども、つまり九月から十月に新入隊員がかなりあり、一月、二月にさらに新入隊員がある建前になっております。そうして十月の隊員に配給した残額を申しますと、約三万着、今度それに一月、二月に一万数千人入ります。そうするとこれに二着ずつ配給すると大体とんとんになる。そのほかに再製いたしましたもので、だんだん小さくなるものですから、規格外のものが約一万数千、これは毎年少しずつ消化されておるということで、大体三十一年度中には所要するということは御了解願えると思います。それから、米軍から供与を受けたものについては、三十一年度から使うべきでありまして、若干の費用をかけて目下七万着ばかり改造中でございまして、これを年度内から来年度にかけて入ります来年度の者に使う、こういう計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/148
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149・片島港
○片島委員 先ほど船田長官のお話では、年度内に無理をして買うようなことはない、予算の執行は厳重にやっておるというようなお話でありましたが、今でもちゃんと明瞭なように、二万着くらいはこれはもうさっそく要るものであった、三十年度の新入生から必要であった。しかし五万着くらいはまだあとに延ばしてもよかった、こういうようなのを、しかもそういう七十万着が入るということが予定されておるにもかかわらず、やっておられる。それから三十年度の十月から要る冬服を二十九年度中に——これはどういうふうになっておるのでありますか。あなたの方は金さえあればずっと先のものまで買っているのでありますか。ほかの一般会計予算の使用計画というものは、予算の編成というものは、そうなっていないのです。三十年度に必要なものは、三十年度の予算の中で計上する。実際上準備をやらなければならぬというならば、その準備的な費用は必要でありますが、被服などのごときものはそういう必要はないと思う。しかしながら、三十年の十月から必要になる冬服を、昭和二十九年の二月に契約をして、そうして二十九年度内、すなわち三月の末日までに全部を購入しようとして非常にあせった。ところがその当時は春物、夏物というのを一生懸命やっておるときでございますから、冬物というのは業者の方としてもどうにもならないというので、いろいろと業者と打ち合せをした結果、三月末まででなく、五月までといって、二カ月延伸をして四万千七百着を作らせておる。そういうふうに無理をしたために——おそらく五月というのは、予算の支出整理期間として二十九年度内の予算が使えることになっておるのでありましょうが、二十九年度から三十年度への繰り越しを少しでも少くするために、三十年度の冬すなわち十一月か十二月ごろになって必要なものを、二十九年度の年度末になって無理をして、その年度内の予算で買おうとしたあせりが、結局高い生地と高い工賃をもって仕上っておるということがここに明瞭になっておるのでありますが、船田長官はこれでも予算の繰越金を無理をして少くするようなことはやっておらぬと言われるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/149
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150・船田中
○船田国務大臣 先ほど答弁申しましたのは、私が就任以後、予算の経理について厳重に監督もし、一銭一厘たりともむだのないようにせよという指図をたびたびいたしておるということを申し上げたのでありまして、今御指摘のように、会計検査院から指摘された不当な事実があったということを否認しておるのではございません。そういう事実に対しましては十分反省し、戒飭をしていかなければならぬというふうに考えて、その手続をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/150
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151・片島港
○片島委員 船田長官が就任せられてからはそういうことがないようにしておると言われる。また船田長官はそうであるかもしれませんが、あなたはいつまでもやっておるわけではない。それで実際の調達事務をやるのはあなたがやっておるのではない。あなたが監督しておる下の人たちがやっておるので、こういう人たちはなかなかわからない。
それで私はここでまた問題を次々に皆さんに御披露しなければならぬのでありますが、昭和二十九年度におきまして、初め空包発射補助具というのを一組三千百七十円で契約をして購入しておられる、ところがせっかく購入をいたしましたものが役に立たぬということがわかったために、前の一組で三千百七十円という契約をして注文した同じ品物を、数量をきわめて少くして単価を八千八十三円という今度は高い契約に切りかえてこれを買うておられる。品物は最初に予定をした三千百七十円の品物であった。ところがこれを間違えて自分たちが注文したもんだから、役に立たぬ。役に立たぬからといって業者を困らせてはかわいそうだということで、数量を減らして約二倍半になる八千八十三円でこれを購入しておられる。しかしながら役に立たぬものでありますから、直ちにこの分についてはもとの契約よりも——三千百七十円であったものを一組について三千四百七十円という修理費をかけて実用に供するようにしておる。八千八十三円で買うてそれにまた三千四百七十円の修理費をかけて、三千百七十円の品物一組に結果としては一万円以上かけておる。そのために役に立たないこの補助具を改造したために、せっかくそれに合うように用意をしておった空包は、今度は補助具が修理されたもんだから全然役に立たぬようになった。これはそのまま保存してあるということだが、役に立たぬからのちには捨てられるのでありましょう。そういうような事実があるのでありますが、これは事務当局にお願いいたします。最初に契約をせられた三千百七十円の契約書、それから数量を減らして単価を上げて八千八十三円の契約をせられたその両契約書、それから修理に三千四百七十円かけられたその修理の契約書、この三つを本委員会に資料として提出をしていただきたい。そうして最初に三千百七十円で契約をせられたものと、あとで八千八十三円で契約をせられたものには、おそらくちゃんとどういう品物を作れという設計図か模型か何かがついておるでありましょうから、図面でも何でも、それはどういうふうに品物が変っておるからこういうふうに単価が上ったのか、同じ品物であるのにこういうふうに単価を上げたのか、契約書に付随する設計書によって拝見したいと思うのでございますが、それは資料を提出していただけましょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/151
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152・北島武雄
○北島政府委員 ただいまの御質問は会計検査院の「実用に供することができない口径五〇空包発射補助具を大量に発注したもの」という案件であろうと存じますが、この件につきましては、実は自衛隊におきましては、空包によるところの発射の訓練が喫緊の要務である、こう考えておったわけであります。そこで当時の技術者といたしましても、衆知をしぼりまして当時としては一応技術的に満足できるという結論に達しましたので、当初の補助具を注文いたしたのでありますが、残念ながらある気温の条件においては当初の発射補助具はよかったのでありますが、それが気温の変化によりますと、条件が変って、実は工合が悪くなる、こういう問題であります。そこでさらに研究を急ぎまして改造の課程を研究いたしたのであります。当時の発射補助具を研究して一応完成いたしましたときにおきましては、現在の技術水準においては実によくできたというふうに技術者の仲間においては言われておったようであります。ところが空包発射補助具というのは、私はしろうとでよく存じませんけれども、終戦前におきましても実にむずかしいものであったそうであります。昔は研究に十年の月日を費してやっと完成されたような品物であったそうであります。遺憾ながら戦後は長い間の空白がございますし、その後の武器の進歩等からいたしまして新たにさらに空包発射補助具を研究して完成しなければならぬ、しかもそれを急いでやらなければならぬというところに本件の問題点があるかと存じます。結果におきましては、当初技術者仲間におきましてよくできたと言われたものが役に立たない、これはもう御指摘の通りでありまして、申しわけないのでありますが、その当時の過程におきましては、全員一致しまして発射補助具の最も能事的なものを研究いたしておったのであります。結果においてはまことに片島さんの御指摘の通りになっております。なお、契約書等につきまして資料を提出せよということでありますが、これにつきましては、調査いたしまして、後日お示しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/152
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153・片島港
○片島委員 最初に一組単価三千百七十円で契約をしましたものと、それが役に立たないので解約をして一組八千八十三円で購入をいたしたものの品物は同じ品物でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/153
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154・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 正確に申し上げますと、空包発射補助具と申しますのは、御承知かと思いますが、機関銃の連発のために、実包でありますと、実包の発射のガスの反動によりまして作動しますが、そのために使用するものでございまして、最初に技研でやりましてそれがどうもうまくいかぬということで、別に研究しましたものをようやく自信を得て注文に出したわけであります。ところがただいま経理局長が申し上げたような点で、やはりうまくない点もあるというので、技研の研究もあわせて新しいものを作り上げた。改二型と称しておりますが、物は似た分もありますが、かなり改造を加えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/154
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155・片島港
○片島委員 そうすると、その三千百七十円で契約した物そのものではなくして、これはやはりかっこうが悪いですから、どうも形式上都合が悪いというので、多少手を加えて八千八十三円で買われたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/155
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156・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/156
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157・片島港
○片島委員 いろいろと研究を加えて八千八十三円で購入せられたものを、それが役に立たないのでまた一組当り三千四百七十円の修理費をかけてようやく役に立つようになったのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/157
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158・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 さようであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/158
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159・片島港
○片島委員 最初に一組三千百七十円で契約したものを八千八十三円という約二倍半以上の価格をもって購入せられておるのであるが、おそらくこれは相当の改造といいますか、改良をして品物の手直しをしなければ二倍半という単価にはならぬと思う。そうして八千八十三円というものを作っておって、それがもとの契約の三千百七十円よりも上回る三千四百七十円の修理費をかけなければまだ使えないというような、そういうむだな金をかけて、これを最初の二倍半にも単価を上げて買うたのでありますか。大体どの程度の手入れをしてこの二番目の契約をし、それから三番目の修理となったのか、その段階はどういうふうになっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/159
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160・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 先ほど申し上げましたように、第一回に研究所の一型というものができまして、これがどうもうまくないということで別の型を作りまして、それがどうにか自信がついたということでやりました。それから先ほど経理局長が申しました気温の関係等、いろいろな理由でどうもうまくいかないので、さらに両方合せて改造いたした、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/160
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161・片島港
○片島委員 これはまことに重大な問題ですよ。これはほかにもこういうことはあり得ると思う。最初に三千百七十円で契約をした——これは設計はおそらく防衛庁がやられたのでありましょう。そういたしますと、これが役に立たなかったが、解約をするのは業者にも悪い、しかしそれはあまりよけい買うても役に立たぬでは因るというので、部数を三分の一くらいに減らして、単価を約三倍くらいまでまた引き上げて買うおられる。これには手入れというものはほとんどしていない。これはおそらくあなたの方の設計間違いであったために、業者にも工合が悪いからというので、部数を三分の一に減らし、単価を三倍にして損のないようにして——いらぬものはよけいはいりませんから、数量は少くてもいい、ゼロでもいいが、ゼロだったらあなた方がまたほかの方から怒られますから、三分の一くらいにして、単価を三一倍に上げて購入しておられる。これは最初からあなたの方は役に立たぬことはわかっておった。それは形式上多少の手入れをされたかもしれない。しかしこれはほとんど手入れはしてない。手入れがしてないから、第一回の契約のときの三千百七十円を上回る三千四百七十円という三百円もまた単価の上った、修理費だけでそれだけのものを払わなければできぬというようなことになっておるのであります。これがどうしても私ども納得できぬのであります。
その他についてもこれと同じようなケースが出ておるじゃありませんか。弾薬運搬用の電動式フォークリフト、これはまた膨大なものです。二十七台を四千七百万円で購入しているが、これを全然使用しておらない。これは使用するつもりがあって買うたのかどうか。この電動式フォークリフトというものは、あなたの方が買うてみたけれども、実際上これは使えない。金があるなら何か新しいものを買うてみたい、また予算には組んでおった。——予算を編成せられるときなんか、あなたたちは使う予定のないようなものでも何でも予算に計上するのでありますか。この電動式フォークリフトというものはあなたのところでは全然使いようにならないで、そのためにほかの方法を講じておられる。こういう予算はどうして計上せられるのですか。今年度の千二億の予算の中にもこういうものがないとはいえない。これは私どもは三十年度の決算はまだ見られないから、二十九年度のものを資料にしているのであります。しかもこれを担当しておる人たちは皆同じメンバーの人たちが担当しておるので、船田長官がかわってまたほかの長官が来ても、船田さんもそのまた前の長官も実際は知られない。だから、今でも一般会計における各省の予算の使用というものと防衛庁における予算の使用というもの、また予算の編成というものは異なって、非常に特異性を持っておると思っておりますが、この問題についても御答弁を承わりましょう。使わないものを四千七百万円も買っておるが、これはどうするつもりか。使うつもりですか、払い下げるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/161
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162・北島武雄
○北島政府委員 私から御答弁申し上げます。本件につきましては、昭和二十九年の九月ごろから三十年の六月までの間に、米軍から十二万七千トンの弾薬を防衛庁に引き渡すから緊急に引き取るようにという話があったのであります。この十三万七千トンという弾薬の受領というものはなかなか容易ならぬわざでありまして、これを円滑に弾薬庫にまず弾薬庫の選定が大へんでありますが、どの弾薬庫を選定させましても、短時日の間に緊急に大量を格納いたすためには、電動式のフォークリフトを使った方が早いという点で、実は購入いたしたのであります。ただ残念ながらフォークリフトの使い方につきましては、技術的に十分部隊に徹底しておらなかったようでありまして結論におきまして電動式フォークリフトの使い方が実際の部隊にはよくわからないで、人力をもって、大ぜいの人数を使ってこれを急拠搬入したというような実情であります。従いましてこの弾薬の緊急受領におきましては、このフォークリフトは残念ながら使用されなかったのでありますが、このフォークリフトは、現在は補給所に保管転換をいたしまして、補給所におきましてこれを支障なく使っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/162
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163・片島港
○片島委員 この電動式フォークリフトというのは、どこから購入せられたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/163
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164・北島武雄
○北島政府委員 神鋼電機株式会社外一社。外一社はちょっとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/164
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165・片島港
○片島委員 これもまた押しつけ論になりますが、アメリカから無理をして押しつけられたというのならば、なかなかアメリカに腰の低い防衛庁でありますから、納得がいくのでありますけれども、国内においてこういうものを作る場合には、これは相当な金額であります。わずか二十七台で四千七百万円もする品物でありますが、これがあとで使えるか使えないか一これはなかなかいいようだから作らしてみようといって、あとになったら多少使いにくいというなら何だけれども、全然これを使わないでおる。予算を編成する場合に、思いつきでそういうものをやったにしても、途中において必ずしも使ってしまわなければならぬことはない。使えないものを購入する必要はないではありませんか。こういうものは今後どういうふうに処分せられるのでありますか。今どういうふうにして、どこに置いて、何の用に供しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/165
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166・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 ただいま各補給所で十分活用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/166
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167・片島港
○片島委員 それはどこでどういうふうなところに使っておられるか、一つ資料を提出して下さい。これは現実に私どもが調査してみればわかるのでありますが、ほかの方であなた方が今運搬をしておられるという事実をちゃんと調べ上げてから、皆さんに質問しておるのです。それをただこの委員会でちょっとそういうふうに言っておけば、納得をするだろうというのでは済まない。だからどこでどのような使用に供しておるかを、明瞭に資料を出していただけば、私どもは現地に調査に参ります。
さらに私は質問を続けたいのでありますが、防衛庁のエンジンの冷却水が濃度が薄いために、非常に無駄になったという例があるのでありますが、エンジンの冷却水の濃度が非常に薄いために、役に立たないので、さらに追加をしなければならぬということになった。試験をした場合には、それが適格品であり、納入をした納入品は不適格品であるという場合には、一般官庁においては解約をすることになっておりますが、防衛庁は試験をした検定合格品と間違った品物を納入しておっても、これを解約せずに、新たにまた予算を追加をして購入しておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/167
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168・北島武雄
○北島政府委員 不凍液の事件につきましては、当初検収の際、所定の抜き取り方法によりまして、検査いたしました。検査の際におきましては、支障なかったのであります。途中においてすりかえられたと思われる節がある。そこで実際に使ってみますと、不適格なものであった。この点につきましては、国といたしまして損害賠償の請求をいたすつもりで、目下法務省と打ち合わせて提訴いたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/168
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169・片島港
○片島委員 これは何か検定をした場合の品物と、納入をした場合の品物との開に食い違いがあった場合には、解約することに契約書はなっておらぬのでありますか。ただそのまま納入をしてその損害の賠償をするというのは、非常に手ぬるい。ほかの各省におけるこの調達の契約関係は、契約書の中に、必ずこれが試験をして適格品でない場合には、解約をするという一項目が入っておるのでありますが、防衛庁の関係契約書には、そういう項目をうたいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/169
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170・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 もちろんうたっておりますが、この場合には一応検査した分が合格いたしましたため、全軍受領した。ところが中にすりかわったものが事実上あったということで、この場合はすでに金を払っておりますから、解約ということでなくて損害賠償というふうな手続にならざるを得なかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/170
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171・片島港
○片島委員 そうしますと、納入をした品物が適格品であるかどうかわからない前に、金だけは払っておられたということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/171
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172・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 それは抜き検査で、ある程度の数量を検査いたしましてそれが合格いたしましたので、もちろん受領する各部隊では詳細な検査設備を持っておりませんから、それは全体として合格品であるということで、受領しておりますわけで、その点は一応検査をいたしましたので、その辺はむしろ会社の誠意ということになりますので、部隊としては一応受け取ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/172
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173・片島港
○片島委員 まことに予算の潤沢なる防衛庁はうらやましい限りであります。ほかの各省においてはこういう予算のきわめてルーズな使用はやってはおりません。私も官庁関係におりましたから、よくわかっておりますが、わずか百万円、二百万円という予算といえども、これは厳密な調査をして、納入をさせておるのであります。防衛庁における物品調達関係はどういう機構によってやっておられますか。経理局と調達本格というものがありますが、この関係と、それから本庁における調達基準と地方にまかしておる調達の基準、こういうものがありますならば、これも一つ書類をもって本委員会に資料の提出をお願いいたします。経理局と調達木部との関係は口頭をもって御説明を願います。あとの関係の、本庁においてはどういう基準によってどういう品物を調達しておるか、あるいは地方にはどの程度の権限を委譲しておるかということは、これは資料をもって提出をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/173
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174・久保亀夫
○久保(亀)政府委員 調達要求の調達の関係だけについて簡単に申し上げます。現在は経理局から予算の示達を各幕僚幹部にいたしまして、各下僚幹部でその予算の実行計画を立てましてそれによって具体的各品物のスペックといいますか、規格仕様書を作りましてそれに予算をつけて調達実施本部に提出いたします。調達実施本部はその調達要求と予算を受けまして、個々に審査をいたしまして、まず第一に原価計算をいたします。それからこれはどういうふうな契約方針にすべきかということをきめまして、随意契約あるいは一般競争、指名競争等にいたしまして、競争もしくは随意契約で契約をいたします。そうして契約をいたします場合には、検査の方法等をきめまして、同時に検収あるいは領収の場所、芥部隊とか補給所とかいうことをきめまして、契約をいたします。その契約書によって各部隊、補給所においては納入し、検査をする、かような仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/174
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175・片島港
○片島委員 予算の使用について、これは新しい官庁でもあり、また機構、やり方等が、日本における従来の官庁のやり方でなく、主としてアメリカのやり方をまねしておられる。しかも予算を十分に持っておるああいう国のやり方をまねしておられるために、こういうことが出てくると思うのであります。調達庁の職員がほかのところの職員より非常に低能が集まっておるわけでもないのに、こういう事実が起っておる。現に部隊の給排水工事をやる場合に、琵琶湖の水が下の方からわいてくるだろうというような簡単な考え方で、二千八百万円もの、工事を終ってしまったところが、そこの水が非常に悪い。これは飲料水ばかりでなく、ほかの水にも使えない。洗い水にも使えない。近所の部落民に聞いてみたら、はい、この当りでは井戸を掘って飲む人は一人もおりません、みな琵琶湖の水を引いて、ここでは飲料水にいたしておりますと言っておる。その近所の部落の人たちが、どういう水を飲んでおるかということも調査をしないで、二千八百万円の給排水工事を全部完了した後になってこの水は洗たく水にもならぬということがわかったために、この工事に費した金は全部どぶに捨てたと同じである。そうしてまた琵琶湖から水を引く装置を新たな工事としてやっておられる。これなんかも非常にずさんな予算の使用をやっておられる一つの大きな例であります。またさらに北海道の安平弾薬庫工事にいたしましても、こういう何にも知らない兵隊というか施設部隊、そういう人たちがじゃんじゃんやっておる。やるのはいい。ところが山にあまり穴を掘り過ぎて、またこれを埋めるために莫大なる埋め戻しの予算を使わなければならぬ。設計を持ってだれか一人ついておるならば、そういうむだな汗を流さないで、またむだな金を使わないでできるのでありますが、防衛庁のやり方はえてして一般官庁のやり方と非常な特異なやり方をやっておられるということが、これらにおいても非常に明確になっておる。特に防衛庁の補償関係のごときは、私はいろいろな調査をしてみましたけれども、補償基準というものは見当らぬのでありますが、いろいろなあなたの方の施設を作る場合に、補償をする基準というものはどういうことによってやられておるのでありますか。地元が反対すればよけいやる、反対しないところは安くして買う、こういうような行き当りばったりのやり方でやっておられますか、この点を私はお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/175
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176・北島武雄
○北島政府委員 用地の取得につきましてその代価あるいは補償金の算定につきましては、防衛庁内部におきまして補償基準要綱というものを定めまして、各項目ごとにその算定の要領をきめております。実際に用地を引き取ります場合におきましても、もちろんこの補償要綱に従いまして単価を積算いたして交渉するわけでございます。現在の情勢下におきまして、とにかく御納得をいただいて両方とも円満に妥結するという方針のもとに、もちろん予算の制約もございますが、ただいまの補償基準の要綱の許す限りにおきまして円満な交渉妥結をはかっているのであります。決して無方針のもとにでたらめなことをいたしておるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/176
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177・片島港
○片島委員 補償基準があると言われるのでありますけれども、北海道の然別の土地を買収せりれる場合あたりでも、自然林の立木は直径一寸から二寸くらいの雑木でありますが、そういう一寸、二寸の自然の雑木に対して行当り千三百二十一円から千六百一円という一般のりっぱな材木と同じ価格によって補償をしておられますが、こういうところはどういうふうな御説明になりましょうか。さらに全くの泥濘地、クマザサ地になっておるところを一般の牧車地と同じ単価をもって補償しでおられるのでありますが、こういう点は補償基準からいきましたならばどうなるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/177
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178・北島武雄
○北島政府委員 その然別の演習場の土地の買収につきまして、会計検査院の御指摘になっていることにつきましては、私の調べましたところによれば一部確かな点もあるようであります。もちろんこの点につきましては、現地における官公署の資料に基きまして、積算いたしてやっておるわけであります。ただ率直に申しますと、まだ防衛庁の機構が十分に整わない当初におきましては、一応積算したとはいえ、最後のところは市町村長さんと総額においてきめるというようなことが間々行われたような形跡がございます。その一つの事例かと思うのであります。ただし総額におきましては本件についても決して高い買収価格ではなかったように私ども聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/178
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179・片島港
○片島委員 こういうふうに、行当り幾らとか坪数幾らとかいって、全体としての単価を決定してやられるようなことをやるかと思えば、旭川燃料弾薬虚及び訓練場のための敷地六十八五四千坪については、一つも資料も持たないで個別折衝をやっている。そのために、同じ条件の土地を、安いのは坪当り百三円、高いのは四百十円でやっている。それをやりますと、四百十円で買うてもらうた人は、場合によれば何とかお返しでもするのではなかろうかという邪推をせられるかもしれません。六十八万坪というこれだけの土地を買われる場合には、一応一回りは同ってみて、この土地はどういう条件であるかということを調べなければならぬ。百三円と四百十円という四倍もの値段で買っておられる。こういうアンバランスができておりますと、防衛庁の方にうまいことをいうて何か手を打った方が衝く買われる、こういうことになるのであります。個別折衝で坪当りをきめてみたり、あるいは総括的に平均の価格を出して、これを全部の住民に分けてみたり、こういう得手勝手なことをやってあなた方は土地の折衝をやられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/179
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180・北島武雄
○北島政府委員 本件の旭川燃料弾薬庫の件につきましては、米軍より弾薬引き取りの要請を受けて、弾薬庫を早急に整備する必要に迫られたこと、もう一つは地元側との折衝に際しまして、当初強硬な反対がありまして、交渉の面前においてやっと初めて測量ができるような状態であった。従いまして、実際の交渉の過程におきましては、本件につきましては、実は十分なる資料に基くことが遺憾ながらできなかった。さらに地元側におきましては、代表者によるところの価格折衝を拒否されましたために、やむなく個人別交渉によったのであります。本件につきましては、まことに不手ぎわなやり方であると私どもも考えております。ただ総額におきましては、ほぼ適正な線は維持できたのではなかろうかと考えております。このような個別の折衝によりまして、不均衡を来たすというようなことにつきましては、防衛庁におきまして厳に戒心をいたしておるところであります。本件につきましては、おっしやる通り不均衡を生じた、これはいなめない事実だろうと思います。まことにこの点は遺憾であると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/180
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181・片島港
○片島委員 それでは私は午前の質問はこれで終ります。最後に、これらの問題はそれぞれ遺憾の意を表せられたものが多いし、私から考えましても、違法でなくとも不当なる案件であるというふうに考えておる。これらの申し上げました各事項については、今一々答弁をされたのですから、記録もそちらでわかっておりましょうが、これに対する責任者はいかように処置せられておるか、全然処置されておらなければそれでよろしゅうございます。これらの案件に対していかなる責任者の処置をしておられるか、資料がありますならば、次の委員会に、先ほどまで申し上げました資料とともに、本委員会に提出をしていただきますよう要求をいたします。
なお残余の問題は次の委員会でご質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/181
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182・保科善四郎
○保科委員長代理 暫時休憩いたします。午後は二時より再開いたします。
午後零時五十九分休憩
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午後二時四十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/182
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183・保科善四郎
○保科委員長代理 休憩前に引き続きまして、会議を開きます。
委員長不在でありますので、理事の私が委員長の職を行います。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。横井太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/183
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184・横井太郎
○横井委員 先般来いろいろ質疑応答を承わっておりますと、とりょうによりましては、今にも戦争があって、その戦争の準備をやっているような質疑応答があるようでございます。自衛隊法を見ますと、出動には防衛出動、治安出動、災害派遣というような三つの使命を持っておるように思いますが、防衛当月はこの三つの使命のうち、どれを重点に考えておられるか。それともみな並行に考えておられるか。その考え方を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/184
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185・船田中
○船田国務大臣 ただいま横井委員が御指摘になりましたように、「自衛隊は、わが国の喜平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と書いてあります。この自衛隊法の趣旨に従いまして編成もし、組織もいたし、また訓練もいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/185
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186・横井太郎
○横井委員 主たる任務は防衛でございますけれども、治安の面が、今日の防衛庁の考え方で非常に軽視をされておるのじゃないか、こういうことを考えるのでありますが、その点はどうお考えになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/186
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187・船田中
○船田国務大臣 治安問題につきまして、決して軽視はいたしておりません。ただこの問題は、先般来当委員会においても御質問があり、また予算委員会等においても問題になりましたように、たまたま労働争議等と混同されるということになりますと、まことに遺憾に存じますので、私どもといたしましては、きわめて慎重な態度をもって、この治安問題に対しましては対処していきたいと考えておる次第でございます。決して怪祝いたしておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/187
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188・横井太郎
○横井委員 来年度で陸上自衛隊を一万名ふやされる。このことにつきましては、実はいろいろな見方もあり、議論もあると思います。科学戦争という言葉がいいかどうか知りませんが、とにかく時代が非常に変って参りました今日、人間ばかりふやす必要はないのじゃないか、こういうような意見もあるのでございますが、この隊員をふやしていかれることは、何か意味があることか、それとも行政協定等におきまして特に話し合いの上こうしなければならぬのか、その意味を一つお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/188
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189・船田中
○船田国務大臣 三十一年度におきまして陸上自衛官一万名を増加するということにつきましては、昨日詳細実は御説明申し上げたのでございますが、ただいま御指摘のように、海空の関係におきまして、やや陸上の方に重点を置き過ぎるではないかという御批評もあるかと存じますけれども、これは現在駐留いたしておりまするアメリカの地上の戦闘部隊がだんだん引いて参ります。これが一番先は引いて参りまするので、それらのことも見合いまして、陸上の自衛隊を増強するということを計画いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/189
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190・横井太郎
○横井委員 陸上の自衛隊をそうしてふやしていかれることは、治安の面にもいざという場合に出動ができる、そういう考え方もあって、陸上の面において隊員をふやしていかれる、こういう意味ではないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/190
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191・船田中
○船田国務大臣 もちろん治安の問題も考慮いたしつつ増強計画を立てておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/191
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192・横井太郎
○横井委員 この陸上自衛隊の配置の問題でございますが、編成の問題といいましょうか、これは行政協定の関係から、米軍との話し合いで、どの方面はどう、どの方面は自衛隊を置くというようなお話し合いがあるものかないものか。あるとすれば、一体どういうような観点に立って配置を考えておられるか、その点を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/192
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193・船田中
○船田国務大臣 わが方におきまして、自衛隊を増強し、またこれをいかに編成配置するかということは自主的にきめて参っております。部隊の編成の方針といたしましては、部隊の運用に当り、命令の徹底、部隊の掌握、緊密なる連絡等を確保するとともに、兵器の運用等を適切ならしめ、その総合力を十分発揮せしめるよう編成することといたしております。配置につきましては、防衛、警備の観点、演習訓練の便宜等を勘案いたしまして、決定をいたしております。それから治安対策の面からのみ申せば、都会に重点配置するということが適当かと存じますけれども、自衛隊は防衛目的を主たる任務といたしておりますので、この点を重視いたしまして、あわせて治安警備の点を考慮いたし、適当なる配置をするという方針をとってやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/193
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194・横井太郎
○横井委員 自衛隊の配備を自主的におやりになることはまことにけっこうだと思います。防衛というものが主たる任務であるから、従ってその方面に重点を置いてやっていくということもあり得るかもしれませんが、それにいたしましても、配備の状態を見ますと、あまりにも治安ということを度外視しておるのではないかという面が見えるのであります。本日ちょうだいいたしました書類の面につきましても、たとえば大都市を中心としたところにおいては、ほとんど部隊の配置はおろそかになっておる。東京には練馬というようなものがありますが、名古屋を持った愛知は、名古屋市からはるか遠方の豊川というところに若干ある。横浜には特科がわずかにあるだけで、兵庫県には伊丹に若干、京都府には福知山等にあるが、大阪市にはこの表なんか見ますと全然ないのでございますが、こういうものを見ますと、治安上の問題、天災地変の起った場合に出動する任務を持ったこの自衛隊は、あまりにも都市をおろそかにし過ぎていやせぬかと考えるのでありますが、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/194
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195・船田中
○船田国務大臣 大都市を軽視しておるなどということは毛頭考えておりません。ただこれも昨日防衛局長から答弁申し上げたことでございますが、施設を使います場合におきまして、大都市及びその付近にはなかなか適当な施設が得られない。特に相当大きな部隊がおりますれば、訓練に必要な演習場がなければならぬ。そういうような点を考慮いたしますと、なかなか大都市には適当な部隊を置くことができないというような非常な制約を受けておるわけであります。その点はまことに遺憾でございますが、しかし大都市の治安を全然考えずに配備しておるわけではございません。できるだけそういう点をも考慮いたしつつ編成及び配備をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/195
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196・横井太郎
○横井委員 施設を得ることが困難であるからというようなお答えでございますが、なるほど都会のまん中に自衛隊が入るような施設を得ることは、今はなかなか困難であるとは思いますが、少くとも大都市もしくは都市の周辺部あるいは近距離において、そういう施設を求めることは必ずしもむずかしいことではないと思うのでありまして、こういう治安ということを考える度合いと、施設を求める度合いとのかね合いだと私は思うのでありますが、熱意があるならば、この方面についてもう少し考えてはどうか、こういうように考えるのでございます。これは意見でございますが、天災地変というものはとかく大都市にも起りやすいものでございましてしかもこういうのは、かねてから計画があってそういう問題が起るというよりも、突発的に起る場合が多いと考えるのでございます。施設を求めることがむずかしいからというお答えでございますが、一体防衛庁においては、施設を求めることがむずかしいから仕方がないという、そういうなまぬるい考え、それとも必要は必要だけれども、現在の段階においてはそういう熱意は持っているが、なかなかできないというのか、その点もう少しはっきりさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/196
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197・船田中
○船田国務大臣 治安の問題を決して軽視はいたしておりません。その治安の問題に関連いたしまして、大都市及びその付近に相当な部隊を配備しておくことは必要であると考えて、その努力はいたしておるのであります。しかし先ほども申し上げましたように、なかなか大都市及びその付近に適当な部隊を配備する施設が得られないという実情にございます。それからなお申し添えておきますが、戦前と違いまして今日の部隊は非常な機動力を持っております。従いましてただいま横井委員が御指摘になりましたような問題の起りました場合に、不幸にしてそういう場合がありましても、この機動力を発揮することによりまして、十分その任務を遂行し得ると私は考えております。しかし今後におきましても、ただいま御指摘のような点は十分考慮いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/197
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198・横井太郎
○横井委員 今度一万名増員されるのは一応青森、熊本だと聞いておりますが、こういうように増員をいたされますと、全体におきまして相当の数になるのですが、この機会にある程度のものを大都市の周辺部に回すお考えはございませんか。もう一度承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/198
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199・船田中
○船田国務大臣 一万名の増員につきましては、実は昨日も申し上げたのでございますが、その内訳をさらに申し上げますと、指導部隊たる約六千名の混成団、それから特科大隊、空挺大隊、特車中隊、観測中隊、 ヘリコプター隊の新設等に伴う増員を合せて約八下四百名、そのほか後方部隊の増強のため約六百人、そのはか補給所、地方連絡部等で約一千名、合計一万名を増員する、こういうことになっておりまして、この中には大都市に配備されるものは今のところございませんが、ただいま御指摘のような点は、今後の配備につきまして十分考慮いたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/199
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200・横井太郎
○横井委員 くどいようですがもう一度最後にお尋ねを申し上げます。現在の治安対策と申しましょうか、そういうような不慮の事故が起った場合にこれに処する体制というものが完備しているかいないか。先ほどのお言葉であるとまだ完備していないようなお言葉でございますが、今後においてあくまでも完備するという御熱意があるかどうかということを最後に承わり、またこの配備の点においても十分それを考慮していくという御確信のほどを一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/200
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201・船田中
○船田国務大臣 この点は、ただいま御質問にもございましたが、十分考慮いたしております。警察力をもってとうてい間に合わないというような事態が起りまして、自衛隊法の命ずるところに従いまして治安出動をするというような場合にいかにすべきかということにつきましては、十分平素からその用意を整えておるわけでございまして、不時の場合にまごつくようなことのないようにいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/201
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202・横井太郎
○横井委員 この問題はこの程度にとどめまして、一つ今度は自衛隊の士気と申しましょうか、自衛隊員の現在のあり方というものについて一、二お尋ねをいたしたいと思っております。
そこで自衛隊は世の中からあたかも日陰者のように思われておるのでございますが、今日一般の自衛隊員にしろあるいは幹部にしろ、あるいは防衛大学というような方面において、志願者が相当多いようでございます。そして現在自衛隊幹部の採用をいたしておられるようでございますが、大体現在の状態を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/202
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203・船田中
○船田国務大臣 今御指摘の点はまことに重要な点でございまして、私も過去三年半内閣委員をやっておりまして、できるだけ自衛隊の視察もいたしましたが、実は率直に申し上げますと、最初内閣委員になった時分に練馬その他の部隊を視察し、直接隊員からいろいろ話を聞いてみたときと、みずから防衛の責任者となって隊を見ておる今日とはだいぶ違っております。ことに自衛隊法が一昨年の七月から施行になりまして、直接侵略に対しても日本の独立と平和を守り、国土の防衛に当るという義務が課せられたということによりまして自衛隊員の気持も非常に違ってきておると思います。もちろん十分これでよろしいという満足をするほどの状態になっておるとは、私もうぬぼれるわけではございませんが、とにかく筋金が通ってきておるということは私は認め得ると思います。また私みずからも軍隊の生活をした経験を持っておりますが、その当時のものと比較いたしまして精神的には今の自衛隊が劣っておるとは考えませんし、また訓練等においてもかなりよくなってきておる。今後この士気の高揚、精神訓練の点におきましては、十分注意をいたして参らなければなりませんが、まず現在のところにおいては相当満足すべき状態にある、また進みつつあるというふうに私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/203
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204・横井太郎
○横井委員 今お尋ねした前段のお答えがございまして、そうあれば非常にけっこうでございますが、なお今質問を申し上げました一般の自衛隊員、それから幹部候補生、防衛大学の志願の状況を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/204
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205・加藤陽三
○加藤政府委員 一般隊員の募集の状況について申し上げます。昭和二十七年度からの資料しか持っておりませんが、昭和二十七年度は応募者が十九万九千五十九名に対しまして六万四千九百十名を採用いたしております。約三倍でございます。昭和二十八年度は、補欠採用を入れまして採用者も六千七百三名ございましたが、この際応募者は五万七千三百三十八名で、約八倍余り。昭和二十九年度は約四万四千名採用いたしましたが、この応募者は十二万九百二十六名、二・七倍。昭和三十年度は、三月末までに採用いたしますので、最終的な数字はまだ出ておりません。三万一千九十一名を採用する予定でございますが、応募者は十二万五千六百七十八名、約四倍になっております。これは陸上関係であります。海上関係の方は、昭和二十八年度に第一回募集をいたしましたが、二千九百三十五名の採用に対しまして一万三千三百四十二名、約四倍半でございます。昭和二十九年度は、五千二百五十五名の採用に対しまして二万八千九百五十九名、五倍半でございます。昭和三十年度は三千九十五名採用する予定でございますが、応募者が三万二千七百五名、約十倍。以上でございます。
空に方について申し上げますと、昭和二十九年度は千二百二十名の採用に対しまして二万五百四十九名、十七倍、昭和三十年度は二千二百五十九名の採用予定に対しまして、四万三千七百四十三名、十九倍になっております。幹部候補生の方でございますが、手元にありますのは、昭和三十年度の数字だけでございますが、昭和三十年度は、一般及び技術、陸海空を合せて、新制大学卒業者を九百三十名採用する予定で、ただいま選考を進めております。応募者は五千百九十六名、五・五八倍ということになっております。防衛大学校は五百三十名を採用する予定でございますが、これもただいま選考中でございますが、応募者は七千百九十八名と相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/205
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206・横井太郎
○横井委員 だいぶ士気も上ってきたというお話でございますが、実際におきますと、必ずしもそうばかりでない面も実はあるわけです。これは私は昨日聞いた話でございますが、私の友人のむすこが自衛隊へ行っている。そのむすこがたまたま帰郷をいたしますときに、途中で親戚に寄って自衛隊の服を菜っぱ服にかえてうちに帰ったということです。現在においてもなおかっそういう卑屈な行動があるように聞いている。しかし、大ぜいのことですから、そういう人も中にはいるかもしれませんが、いずれにいたしましても、まだまだそういう気分が残っておると思うのでありまして、そういう現在においてかような志願者があるということは非常にけっこうだと思うのであります。そこでそういう世間からあまりよく見られない、一言にいえば今までは日陰者であったというような、そういう応募者が逆に非常に多いというのは一体どういう現象でありましょうか。どう見ておいでになるか、一応あなたの御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/206
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207・加藤陽三
○加藤政府委員 これは簡単に申し上げることは困難でありますが、やはり防衛庁設置法、自衛隊法ができましてから、青年が祖国の防衛の重要な一員であることを自覚して全市が全部集まってきていると思いたいのですが、そう一がいに断定することも現在の状況では困難のようにも思われます。ある者は技術を学びたいという者もございます。規律ある生活を経験したいという者もありましょう。一時応急的に、職業を得るまで数年の間そういう団体生活を経験しておきたいという者もありましょう。そういういろいろな事情があるのでございまして私は一がいに言い切れないと思います。ただ申し上げられることはいろいろな動機で入りましても、自衛隊に入りましてからは、自衛隊の隊員としての使命を自覚していざという場合には法律に示してあるような任務を十分に遂行することができるように教育すること、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/207
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208・横井太郎
○横井委員 何新聞でございましたか切り抜きを持っておりましたが、きょう忘れて参ったわけでございますが、防衛大学の生徒は中途退学が多いというので、三段抜きか四段抜きででかでかと出ておったのを見たのであります。防衛大学というのは少くとも相当思慮のある者が受験をして、今おっしゃった通りの相当応募者のある中から採用された者で、中途退学をするというのは一体どういうことなのでありましょうか。ことに防衛大学は学校に入ると同時に相当の給料がもらえて、寝具から食費から一切・がっさいを向うに持ってもらって、しかも科学技術を習得して、卒業してからは何も義務的なものがない。こういうりっぱな学校に入って中途退学が多いというのはどういうことなのでございましょうか。現在の事情はそうでないというのか、新聞記事が間違っているというのか、この点を一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/208
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209・加藤陽三
○加藤政府委員 ごもっともだお尋ねでございますが、今まで防衛大学校には三学年おるのであります。その三学年の間で退学をいたしました者が九十七名です。これはいろいろ原因があるのでございますが、まず一番多いものは学校へ入りましてすぐ一カ月、二カ月の間にやめる者が非常に多いのであります。こういうふうな学校だとは思っていなかった、自分の考えと変っていたというものもありましょう。あるいは規律ある団体生活にはとうていついていけないということで、入って一、二カ月の間にやめる者が非常に多いのであります。その後におきまして健康上の理由でありますとか、あるいは家庭の関係でありますとか、いろいるなものがあるのでありますが、私の方で正確には断定をしにくいと思うのでありますが、大体その九十七名についてどういう理由かということを一部推定も加えまして調べたものがございます。それによりますと入校した後におきまして将来自分は幹部自衛官官として立っていくということについての自信を失ったという者が三十八名でございます。その次には健康上の理由で入った後におきまして、病気になった者及び病気になりませんでも、こういう強度の訓練には耐え切れないというわけでやめた者が十七名、その次には現在防衛大学は主として理工科系の学問をやっているのでございますが、初め防衛大学の性格そのものについて十分なる知識を得ずして入ってきた者で、こういう理工科系の学問については自分はついていけない、そういう教科内容自体に自信を失いましてやめていったと認められます者が二十四名おります。そのほか父の死亡でありますとか、家庭の事情でやめたいと申し出た者、あるいはまたわれわれがさように推定している者が十八名であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/209
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210・横井太郎
○横井委員 最高幹部を養成している防衛大学で失望した者が三十何名いるというお話でありますが、中へ入って最後まで残っている者は、それは大多数でございましょうが、そういう幹部になる生徒の最後における考え方、それは実際において防衛大学に入って、国防の任に当るのだという筋金がほんとうに入るものかどうか、見たところでは入ったとおっしゃるかもしれませんが、この間どこかの大学生と防衛大学の生徒の座談会がありまして、それを読んだことがございます。これはいろいろ受け取り方はあるのでございますが、幹部としての教育というものに徹した場合に、ほんとうに幹部としてやっていけるように筋金が入っていくのかどうか、それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/210
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211・加藤陽三
○加藤政府委員 この点はもちろん教育の重大問題でございまして、さようであらなければなりませんし、学校当局におきましてもさような方針で学生を指導しておるのであります。若い諸君でございますので、個人々々につきましてはいろいろ深刻な悩みもあるようでございますが、大観いたしますれば、明年の三月に第一回の卒業生が出ますけれども、第一回の卒業生は十分な自信を持って幹部自衛官の道を進んでいけると確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/211
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212・横井太郎
○横井委員 先ほど長官もだんだん筋金が入ってきたというお話でございますが、それはまことにけっこうなことだと思います。とにかく一千何億という金を毎年注ぎ込んでいるのであります。自衛隊がいいか惑いかということは議論があるでございましょう。私どもはあるのが当りまえだと思いますが、せっかくこういう国費を使っておって、筋金の入らないような自衛隊では何にもならないと思います。そこで自衛隊の指導精神というものがあるはずだと思いますが、その指導精神は何であるか、一つ最後に承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/212
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213・船田中
○船田国務大臣 それは自衛隊法にございますように「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛する」こういうことを主たる指導精神とし、それを任務としておりますから、これを各部隊長が適当に自衛隊法の精神を砕いて隊員の指導精神といたしております。すなわち愛国、愛民族、一致協力、団結というようなことを隊の中心の指導精神として訓練をするということになっております。大体簡単に申しますれば、愛国、愛民族という考え方を徹底していきたいと考えております。またそういう訓練をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/213
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214・横井太郎
○横井委員 指導精神は愛国、愛民族ということでございますが、それだけでございますか。それとも普通の隊員にはいろいろな者がおりますが、もっとかみ砕いたようなものはないのですか、それだけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/214
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215・船田中
○船田国務大臣 それは自衛隊法の中にも服務につきまして「隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもって専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託にこたえることを期するものとする。」こうございますので、この要領によりまして適宜部隊長が隊員の指導に当りましてそれを指導精神として訓練をやっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/215
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216・横井太郎
○横井委員 どうか、自衛隊というものがある以上は、あくまでも国土防衛の任に任ずるんだという筋金は通して、それが自衛隊員一人々々に徹するように、一つお願いいたしたいと思います。
それからもう一つ最後にお尋ねをいたしたいのは、防衛施設の問題でございます。これは直接の防衛施設のことではございませんが、だんだん駐留軍が都市から郡部と申しましょうか、市外地に移動をされるように決定をした、そういうことが新聞紙上にも、またこの資料にも書いてございますが、そういうような話し合いがアメリカ当局と行われて移動しつつあるかどうかということと、もう一つ、これは行政協定でございましょうか、それと同時に、大都市の中心部にあります進駐軍が今まで使っております諸施設、こういうものを順次移動をしていくという方針がきまったというように、新聞の報道にもありますし、これにも書いてございますが、それはどういうことになっておるか、また実態において今どういうふうに進行しておるか、概略でよろしゅうございますから御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/216
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217・船田中
○船田国務大臣 前段の問題につきましては、ただいま横井委員御指摘のように、数年前から米駐留軍は、漸次郡部の方に移動するという方針によって配置をいたしておるのでございます。後段の問題につきましては、調達庁の方から答弁申し上げるようにしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/217
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218・大石孝章
○大石(孝)政府委員 ただいま御質問の米駐留軍が、都心部から郊外の方に移転するという計画は、講和発効後直ちに日米間の政府において了解せられた事項でございます。その移転計画は、大体におきまして東京、それから横浜、名古屋、大阪といったような大都市における都心部にあるいろいろな施設を周辺の方に移す、そうしてその趣旨は、大体におきまして民有財産等、国民にいろいろ御迷惑をかけているようなものにつきましては、国有財産等をおもに使うことによりまして目的を達成しよう、それから建物等につきまして、もし適当な施設がなければ、これは国費を投じまして、その施設を作るということによって目的を達成するという計画でございます。
概略を申し上げますと、東京地区におきます状況は、市ケ谷のパーシング・ハイツ、旧赤坂一連隊跡のハーディ・バラックス、代々木練兵隊跡のワシントン・ハイツといったような場所に、建設省の営繕局で建設工事を完了いたしまして、都内の大きなビルディング十四ほどの施設が、順次返還されつつある状況でございます。すでに野村ビル、味の素ビル等のビルディングは返還されまして、またごく最近、一カ月ほど前でございますが、大蔵ビル、霞会館、有楽ビルといったようなものが返還されておる状況でございます。横浜地区におきましては、代替施設の工事の大部分が完了いたしているので、本年三月までには相当量の施設が返還になる見込みです。新山下等の代替施設は若干おくれていますが、七月ごろまでには、中心部にあるものが返還になる予定でございまして、着々進んでおるわけでございます。その中で大きな施設は、岸根の地区に代替宿舎の建設工事をいたしておるわけでございますが、土地等の取得で若干おくれましたので、この工事は三十一年十月ごろまでかかる予定になっております。また名古屋地区におきましては、小牧、守山に建設されました代替宿舎の施設完了に関連しまして、すでに千種倉庫、中村倉庫、滝兵ビル等が返還されておりまして、残りの大半のものも、大体二月から三月ごろの間に解除になる予定でございます。以上が、都心部から米駐留軍の施設を周辺部に移すという計画の概略でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/218
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219・横井太郎
○横井委員 だいぶ進んでいるようでございますが、まだ相当残っているものもあるようでございます。従ってこれが完了は一体いつを目途としておられるか、それを伺いたいと思います。それから、特に名古屋方面の、もと市営でございましたが、観光ホテルというものは、海外のお客さんのためにぜひともはしいというので、相当運動をいたしているようでございますが、これはどうなっているか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/219
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220・大石孝章
○大石(孝)政府委員 完了の時期は、当初は大体三十年度をもって完了するという予定で進んだわけでございますが、先ほど申し上げましたように、土地の取得それから建設工事の遅延等いろいろな事由がございまして、だいぶおくれました。現在の段階では、私ども関係各省がそれぞれの方面から、この促進方をはかっておりますが、三十一年度中におおむねの完了をしたいというふうに考えております。
それから、御質問の名古屋における観光ホテルにつきましては、今申し上げました小牧、守山地区の施設の完了とともに、移転する予定の計画の中に入っているわけでございます。ただ現在の段階では、まだ返還期日を予報いたしておりません。いろいろな観点から当ホテルは重要でありますので、早く日本側の力に返還になるようにということで、鋭意米軍側とも折衝中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/220
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221・横井太郎
○横井委員 聞くところによりますれば、この大都市のまん中にあります、いわゆるアメリカ村というものが、横浜にも、名古屋にも、大阪にもあるのでありますが、このアメリカ村というのは、一口にいうと居留地のような格好のものでありまして、大都市のまん中にこういうものがあってこれがまだいつ移転するかわからぬ、アメリカとの交渉で、これはどうなるかわからぬというようなふうに聞くのでございますが、それはどうでありますか。そういう交渉はあったかなかったか、そういうものは移転しないかどうか、そういうことを承わりたいと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/221
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222・大石孝章
○大石(孝)政府委員 御質問の、アメリカ村と称するものは、おそらく先生の御質問にございましたように、名古屋地区における中区等の施設、それから横浜におきます山下公園、あるいは大阪の浜寺公園の、米軍の家族住宅施設のことを称しているものであろうと判断するのでございますが、これは先ほど申し上げました、日米間の移転計画の中には入っていないのでございます。おおむねは、終戦処理費を投じまして米軍の家族住宅の施設を作るという要請に基いて、占領期間中にやった施設でございまして、講和発効後も引き続き米軍側に、行政協定上の施設及び区域として提供中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/222
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223・横井太郎
○横井委員 たやすく入っていないとおっしゃるのだが、一体駐留軍が郡部へ移動するなら、こういう住宅も当然移動されてしかるべきじゃないか、こういうように考えるのであります。これは一つの例をもって申しますならば、名古屋にありますアメリカ村というのは、五万六千坪あるのでありましてしかもそれは大都市の中央商業地帯、繁華街のどまん中にある。しかもこの五万六千坪に約八十戸の建物があるのでありますから、一戸当り七百坪の土地を持っておるわけでありまして、これはまことにぜいたくな牧地でございます。しかも今申しました通りに、商店街の中央にある。しかも百メートル道路がそこを通るのでありますけれども、その場所のために、東西からやってきて途中でとぎれておるこういうような状態であります。私はこういうものがあることがいかぬと言うわけじゃございませんが、現在のわが国の状態から考えて、駐留軍がいなかへ引っ越したならば、当然いなかべこれは持っていくべきではないか、こういうように考えるのでございます。これは日米関係の感情上からも非常におもしろくないことも出て参っておるのであります。そこでこういうようなことは一体交渉なすっていらっしゃるのか、向うが言う通りに黙って聞いておるのか、この点を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/223
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224・大石孝章
○大石(孝)政府委員 御質問の御趣旨私どももごもっともと考えられる点が多々あるのでございまして、一般的にはこういったような施設については、配置計画なり、移転計画なりによりまして早く明け渡すということにつきまして交渉した実績は何回もございます。ただ米軍側の方におきましても、相当この家族住宅の数は制限されておりまして、占領期間中も終戦処理費によりまして約一万戸近く建てました。それから連合国軍住宅公社というものによりましても、二千戸近く建てておるわけであります。ただ講和発効後、民間の財産で政府と賃貸借契約をやっておったものにつきましては、おおむね返還を終りまして、現在はほとんど全部国の施設でございます。そういったような関係から、今一ばい入っておるといったような状況でございましてその点から実際問題としては非常に困難な事情があるのでございます。しかしながら、お話のように、大都市の中心街あるいは市民の行楽地帯といったような場所につきましては、でき得る限り米軍側のやりくりによりまして、それを明け渡すということが趣旨であろうと存じましていろいろ交渉した実績はあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/224
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225・横井太郎
○横井委員 これはもう大都市で名古屋も大阪も横浜もみんな問題になっておる問題でございまして交渉した形跡があったというぐらいでは承服ができないわけであります。一体あなた方はこれを移転せしむる熱意があるのかどうか、さらに交渉する気持があるのかどうか。ただ向う様がおっしゃるから、このままでほうっておくというのでは、私はどうも承服ができないのであります。のみならずこういう大都市のまん中に置かれることは、住宅としてはあまり適していないところなのでありましてこういう駐留軍の家族の側からいっても、住宅としてふさわしくないと私は思うのであります。都市側からもいけないし、またこういうところに住むこと自体も僕はどうかと思うのでございますが、これは対米感情上も非常によくないのでございます。名古屋の例をたびたび申し上げまして恐縮ですが、たとえばこの五万六千坪でございますと、その一方に学校がある。せめて小学校の生徒が朝の学校へ行く時間だけでも、その駐留軍のアメリカ村の道路を通らしてくれ、こういう交渉をいたしましても これは通らせないそうでございます。このいたいけな子供が大回りをして学校べ行かなければならぬ、この寒いときに、夏の暑いときにもそうしなければならぬ、こういうような実情でございます。こういうとこるから、対米感情がよくないのでございます。こういうことを勘案いたしますと、私は、極力アメリカ側と折衝せられて、移転せられる方が双方のためによいと思いますが、もう一度あなた方の考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/225
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226・大石孝章
○大石(孝)政府委員 ただいまの問題は、御趣旨の遜り、私ども今後も米側とは熱意を持って折衝を継続すべきものと判断いたしております。ただケースごとに事情が違いますので、米軍側の現在収容されておるような状況も判断いたしまして、実現するような方途に持っていかないと、単なる議論に終るのではないかと心配いたしておる次第であります。
この名古屋の中区にありますアメリカ村は、お話にございましたように、約五が六千坪ほどの土地に国有財産の百棟近くの建物がございます。そのほか民有の建物も若干ございますが、内訳に、この土地は国有が八千五百坪ほど、それから民有地が二万三千坪ほど、市有地が二万四千坪ほどでございます。これは昭和二十一年に終戦処理費によって一億数千万円投じて建設いたしたのでございますが、先ほども申し上げましたように、講和発効後も施設及び区域といたしまして米舷側に提供中でございますので、これを実際問題として移転させるということは、先ほど申し上げましたように、当初の移転計画の中にも包含されていない事案でございますし、それから今後も、現段階においては莫大な財政負机等を要するといったような事由もございますので、なかなか困難なものと判断しておるわけでございます。ただ熱意におきましては、今後もこういったような事例を打開することには努力いたしたいと存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/226
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227・横井太郎
○横井委員 もう一つだけ承わっておきたいのであります。今移転がなかなか困難な事情というのは財政上の負担もあるとおっしゃるのでありますが、この困難なる理由というのは、財政上だけの面でありますか。アメリカの方でいやだというのか、困難だという理由はどこにあるか、こういうことを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/227
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228・大石孝章
○大石(孝)政府委員 財政上の理由が当面の重大なる理・由でございます。そのほかにアメリカ側でも、なるほどアメリカの兵力は漸減をいたしておりますが、地区的に状況が違うのでございます。名古屋の地区におきましては、大部分が空軍でございまして、空軍の火力は、私ども伺うところによりますと、むしろ増強するといいますか、相当あの周辺に集中されているような傾向があると判断されるわけでございます。従いまして現在守山、小牧地区にいろいろな施設を作りまして、移しておるのは、主として独身の将校あるいは単身営外居住者でございます。家族持ちの家族住宅につきましては、相当数不足の状況でありますので、向う側においてもなかなか困難な事情があるものと判断しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/228
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229・横井太郎
○横井委員 とにかく困難な事情は一応わかりますが、しかしこれは大都市共通の悩みであり、問題でありますので、この上ともうんと折衝をしていただきたい、こういうことをお願いいたしまして、質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/229
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230・保科善四郎
○保科委員長代理 次会は来たる二十七日午後一時半より開会することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X01219560224/230
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