1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月二十四日(火曜日)
午前十時四十四分開議
出席委員
委員長 山本 粂吉君
理事 江崎 真澄君 理事 大平 正芳君
理事 高橋 等君 理事 保科善四郎君
理事 宮澤 胤勇君 理事 石橋 政嗣君
理事 受田 新吉君
大坪 保雄君 北 れい吉君
薄田 美朝君 高瀬 傳君
田村 元君 辻 政信君
床次 徳二君 福井 順一君
眞崎 勝次君 粟山 博君
山本 正一君 横井 太郎君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
井手 以誠君 稻村 隆一君
片島 港君 西村 力弥君
細田 綱吉君
出席国務大臣
内閣総理大臣 鳩山 一郎君
外 務 大 臣 重光 葵君
国 務 大 臣 船田 中君
出席政府委員
法制局長官 林 修三君
防衛庁次長 増原 惠吉君
防衛庁参事官
(長官官房長) 門叶 宗雄君
防衛庁参事官
(防衛局長) 林 一夫君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
委員外の出席者
防衛庁課長
(長官官房法規
課長) 麻生 茂君
防衛庁課長
(装備局航空機
課長) 黒津兆太郎君
専 門 員 安倍 三郎君
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四月二十日
委員茜ケ久保重光君及び西村力弥君辞任につき、
その補欠として坂本泰良君及び島上善五郎君が
議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
委員坂本泰良君辞任につき、その補欠として原
彪君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十四日
委員長原彪君及び島上善五郎君辞任につき、そ
の補欠として茜ケ久保重光君及び西村力弥君が
議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
国防会議の構成等に関する法律案(内閣提出第
八七号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/0
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001・山本粂吉
○山本委員長 これより会議を開きます。
国防会議の構成等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。通告がありますので、順次これを許します。床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/1
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002・床次徳二
○床次委員 すでに国防会議に対しましていろいろ質疑応答があったのでありますが、なお若干最後に私総理にお伺いしておきたいと思うのであります。
第一に、防衛問題に関しまして、国民の間に次第にその思想が浸透して参ったことは、まことに喜ばしいことと思うのでありますが、しかしながら、この国民の間にわき起って参りましたところの防衛思想に対して大きな障害となっておるというものが、むしろ政府側に原因があるのであります。これは現在の防衛庁におけるところの会計上のいろいろのいわゆる不当事項と申しますか、次々と現われておる問題なんであります。この点に関しましては、すでに大臣からも御答弁がありましたが、いろいろ慎重にそれが対策を講じておられるのでありますが、その中の一つの原因といたしまして、防衛庁の職員が比較的この事務に経験が乏しい。新設時代でありますので、事務に経験が乏しいということが一つありますが、同時にその幹部職員が各省からの寄せ集めであり、一定の時間がたちますとすぐまた各省に復帰するというような習慣が、今なお残っておるかのように見えるのであります。やはり防衛の重大要務であるということにかんがみ、今後防衛庁の事務が堅実に国民の期待に沿うがごとく行われるという趣旨におきまして、やはり防衛庁の職務に専念できるがごとき人事をなす必要がある。特に主要幹部においてこれが必要なことであります。現在防衛庁の問題が特に注目を引いている際におきましては、政府においては特別な戒心をしていただきたいと思うのであります。この点特に総理に御意見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/2
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003・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 御質問の趣旨はごもっともと思います。よく検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/3
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004・床次徳二
○床次委員 次にお尋ねいたしたいのであります。あわせてこれは要望といたしておきたいのでありますが、国民に防衛思想を徹底するということは、現在非常に努めておるところであります。防衛力というもの、自衛という問題、これは単に憲法第九条においては否定せられていないのだという消極的な弁明を今日多く聞いておるのでありますが、そうではなくして、むしろ積極的に、今日独立国におきましては、必要最小限度の自衛力というものを持たなければならないのだということが、当然この半面においてあるわけであります。このことはもちろん国民に対して徴兵の義務を要求するものではありませんが、国民の方から申しますと、国を防衛する義務があるのだということを、やはりはっきりする必要があるのではないかと思うのであります。特に国の平和と安全を保障するということに対して、政府は当然責任があるわけでありますから、この行政上の立場からみましても、国民に対して国を防衛することが必要なんだという防衛思想の普及に対しましては、格段の努力をする必要がある。自衛隊が違法でないという消極的な弁明ではなくして、むしろ国家といたしまして、国民といたしまして、当然自衛はしなければならないのだということに対して、積極的な思想の普及ということに努める必要があるのではないか。この点に対して今日憲法問題等におきましても論議を重ねておりますが、政府の立場というものは比較的消極的な弁明に過ぎると思うのであります。この点特に政府に対して積極的な今後の活動を要望いたしたいと思うのであります。この点に対して総理の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/4
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005・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 国土を防衛するに必要な最小限度の実力を保有すべきは当然であります。それで私は今まで憲法九条はこれを否定していないという消極的な答弁をして参りました。しかしそれは、あなたのおっしゃる通りに不足しております。国民はみずから自分の国土を守らなければならないという気持を持つことが大切であるということは、私も考えます。そうでなければならないと思います。このことにつきましては、国民に十分納得してもらう必要がありますので、そのために政府としては将来積極的に努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/5
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006・床次徳二
○床次委員 次に承わりたいのは、わが国の防衛というものは必要な最小限度の自衛であるのであります。従ってこの必要な最小限度の自衛であるということをやはり国民に徹底せしめる。そうして国民も安心をすると同時に、積極的にこれに対して協力をする体制が必要だと思う。この点においてすでに論ぜられております本案のいわゆる国防会議は、きわめて意義が深いものでありまして、すみやかにこの国防会議法の制定を得まして、そうしてこの防衛計画並びに将来の防衛産業というものに対する態度を明らかにしてもらいたい。国民の負担というものは決して過重ではないのだ、しかし国家として必要最小限度の防衛をやるのだということを明らかにする。同時に防衛産業に対しましてもやはり将来の計画を樹立いたしまして、国民の必要の限度において、また負担し得る限度において、国家として相当の関心を持たなければならぬ、国民としても協力しなければならないという基礎を持たなければならないと思うのです。この点に対しまして国民に理解と安心を与えるというごとくお努めをいただきたい。すでにこの点に対してはこの委員会の審議においてしばしば論ぜられておるところでありますが、最後に特に総理大臣に、この最小限度の防衛達成のために、国民の協力に対する御所見を重ねて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/6
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007・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 国防計画の大綱並びに防衛産業の育成の根本方針につきましては、国防会議が設けられました暁にはこれに諮問いたしまして、成案を得たならば適当な周知の方法を講じまして、国防問題について国民の理解を得て、その協力を求める覚悟をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/7
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008・床次徳二
○床次委員 次の問題として伺いたいのですが、いわゆる米軍の基地の問題につきまして、今日幾多の紛争が出ておりますることに対しましては、はなはだ遺憾に思うのであります。本来基地なるものは単に米軍の利益のためにのみ使用せられるのではなくして、わが国の安全確保のために設けられておるのであります。将来におきましては、将来拡充を予期されておりますところのわが国の自衛隊の使用する部分、あるいは国際安全保障機構というものによって使用されることもありましょうし、あるいは双務的な安全保障条約によっても使用せられる。しかしいずれにいたしましても、必要の最小限度にとどまるべきものであろうと思うのであります。同時に、その程度のものはわが国においても必要だということが明らかであると思っておるのであります。この点におきまして、現在の基地に対しましては、やはり国民に対しまして十分な理解を得なければならない。わが国の安全のためにやはりこの基地を確保することは必要なことであるということを、よく国民に徹底せしめることが必要だと思うのであります。この点今まで政府のとりました米軍基地に対する態度は、あまりにも消極的でありましたがために、かえって反米思想の醸成に利用せられ、悪用せられざるごときこともなくはなかったということを、私はおそれておるのであります。従って今後におきましては、防衛計画がはっきり確立せられると同時に、基地に対しましても必要最小限度の基地の予定ができなければならないのじゃないか、そうして基地の設定に対しましては、国民に対して積極的なる協力を仰ぐことが必要なのではないかと思うのであります。かくすることによって国民の防衛観念もはっきり確立いたします。同時に米軍に対する不必要な反感もなくなる。またアメリカ軍自体も日本国民に対してよけいなことのないように反省をしなければならないし、わが国といたしましても、米軍に対して反省を要求してよいのではないか、かように私どもは基地の問題に対して考えておるのであります。この点に対して総理の御所見を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/8
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009・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 基地の設定または拡張につきましては、従来もわが方としては、わが国の防衛のために必要性ということを考えて米側と話し合いを進めてきました。もちろんその通りでなければなりません。今後もこの点についてわが方の主張すべきことは十分に主張していきたいと思っております。またこの趣旨を国民に徹底させていくことが必要だということは、床次君と同じ考えを持っております。憂いを同じくしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/9
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010・床次徳二
○床次委員 最後に伺いたいのでありますが、今回のこの国防会議は、わが国の防衛上きわめて重要なる役割を有する機関であると考えておるのであります。現在は防衛庁設置法によってこの会議が設けられることになっておるのでありますが、その性質が重大でありまする関係上、たとえば政治優先という立場を確保する、また、将来絶対に平和を守るという見地から申しましても、この国防会議なるものは、憲法の改正が行われます際におきましては、むしろ憲法の中にこういうことを規定いたしまして、わが国民の平和を確保する必要があるのじゃないかと思う。その他、自衛隊の問題に関しまして、将来におきましては、その指揮命令系、昔の言葉で申しますれば統帥というようなことも、わが国の政治優先を確保する意味におきましても、また絶対に戦争をしないということを明らかにする意味におきましても、非常に大切なことであるのではないかと思うのであります。繰り返して申しますが、現在国防会議は防衛庁法規によってできておるのでありますが、将来はもっと慎重な手続においてあるいは憲法改正等の暁におきましては憲法等においても、当然考慮すべきほどの重要な事柄ではないかと思うのであります。この点に関する総理の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/10
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011・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 床次君の言われる通りに、憲法改正に当りましては、もちろんこの点を重視いたしまして研究していきたいと思います。国防会議に関する規定を憲法に取り入れるかどうかは、憲法調査会に検討してもらいたいと思っております。自衛隊に対する指揮監督につきましては、政治優先の原則を確立していかなければならないのは当然であります。従って最高指揮権は、国会に対して責任を負う内閣が持つべきであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/11
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012・山本粂吉
○山本委員長 次に稲村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/12
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013・稻村隆一
○稻村委員 私は総理大臣にアメリカ軍撤退の時期と条件についてお聞きしたいと思うのです。アメリカ軍は、日本が防衛をある点までできれば撤退するといっているのですが、それはいつごろであるか、どういう条件のもとに撤退するのか、そのことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/13
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014・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 アメリカ軍の撤退する時期は、日本の防衛が漸次整備してきたときにくると思いますけれども、具体的な撤退の時期は、防衛が整備せられたる後に、アメリカと相談をしてきめることになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/14
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015・稻村隆一
○稻村委員 これは外務大臣にお聞きしたいのですが、安保条約第一条の中に、米駐留軍は極東における国際平和と安全に寄与するために使用することができるとあるのです。結局米国駐留軍は、極東全体に対する戦略予備のために駐留していると思うのです。日本だけの防衛のためじゃないのです。そこで、米国は日本が極東における戦略予備に任ぜられるだけの能力を持つに至ったときに、初めてアメリカ軍を完全に撤退させるものであると考えるのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/15
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016・重光葵
○重光国務大臣 米国電の撤退の時期は、むろん米国電が駐留をする必要のなくなったときに判断せられることだと考えます。従いまして、日本の自衛軍の充実及び極東の国際情勢をも考えた上で、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/16
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017・稻村隆一
○稻村委員 それで日本軍が日本の自衛ばかりじゃない、つまり安保条約第一条の中にある極東における国際の平和と安全に寄与するために使用することができる、このアメリカ駐留壁にかわって、日本が極東における戦略予備軍としての任務を果し得るようになって初めて撤退する、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/17
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018・重光葵
○重光国務大臣 私は日本の自衛軍は日本の自衛のために設けられ、充実され、強化されるものだと思っております。そうでありますから、アメリカ軍の撤退は日本の自衛軍の充実ということが一つの目安になることは当然だと思います。しかしここに極東における国際情勢の緊張緩和ということもさらに考えなければならぬ、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/18
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019・稻村隆一
○稻村委員 それなら、あなたが去年渡米されたときにだいぶ問題になり、むろんこれはあなたも否定されたしアメリカ当局も否定されたのですが、しかし西太平洋の安全に寄与するということをあなたは言われた。それからダレス氏もこの間おいでになって、日本の西太平洋の戦略的な寄与という言葉を使ってだいぶ問題になったわけです。しかしそれはあとで海外派兵を意味するかといったところがそれを否定されたわけでありますが、結局極東におけるアメリカ軍にかわって、日本が極東の安全に寄与するとニューヨーク・タイムスなんかが解釈するのは当然であって、これは海外派兵をも認めたのだ、こういうふうにとるのは当然だと思うのですが、その点に対しまして外務大臣の意見をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/19
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020・重光葵
○重光国務大臣 その点につきましては、私渡米直後にいろいろ国会においても御質問がございましたので、詳細かつ的確にお答えをいたしております。それでさらに繰り返して申し上げます。日本の自衛軍は、今も申し上げました通りに、日本の自衛のためにできておる、こう解釈すべきであり、私はそう解釈しておるのであります。従いまして海外派兵ということは問題が起りもしませんし、また今日起ってはいないのでございます。そこで日本が日本の自衛を全うすることになれば、これはおのずから極東、西太平洋方面における平和安定に寄与するということに当然なって参ります。海外出兵なんぞをしなくても当然そうなって参ります。それが大きな平和に対する寄与であって、日本としてはまず自分から自衛の道を講ずるということも必要であるというのが今日の段階である、こう考えるわけでございます。そこで極東における国際の平和と安全の維持に寄与する、その通りでございます。それはここでは米国軍が直接寄与する、こういうことになっております。日本は自衛を強化していく、自衛軍を増強していくという義務を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/20
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021・稻村隆一
○稻村委員 もう一つ外務大臣にお尋ねしたいのですが、これは産経時事の三月二十一日の記事です。外相が渡米のときダレス氏と会談した際にダレスが、もともと安保条約は暫定的なものであり、いずれ改訂すべきものであると述べた、こういわれておるのですが、その際あなたは防衛計画を持っておいでになって、この安全保障条約を双務的な条約に改訂してもらいたいという話をしたというふうなことが、新聞に出ておるのですが、そういう事実があるかどうか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/21
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022・重光葵
○重光国務大臣 その通りの事実があったと申し上げるわけには参りません。しかし安保条約、これに基く行政協定、これらが戦後における日本の独立完成前の産物であるということもまた争い得ないことでございます。従いまして暫定的というような観念で出ておることも事実でございましょう。それでありますから、これらの問題は将来日本が十分に独立を完成していった後において、これを改訂をいたしたい、こういう気持はあったのでございます。しかしそういうことに対する具体的の話はございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/22
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023・稻村隆一
○稻村委員 今度は総理大臣に聞きたいのです。これは見解の相違かもしれませんが、私どもは今日本がかような膨大な自衛軍を作るということは、これは非常に財政上の困難から日本の再建はほとんど不可能だと思うのです。それを無理して今の政府は自衛隊を作っておる。自衛隊をある点まで完成すればアメリカ軍が撤退する、日本にはほんとうの独立の軍隊ができて、そうして日本の主権も守られて、日本はほんとうの独立国家になる、こういう見解を総理大臣はとっておられるようですけれども、しかし私はそれは非常な間違った観念に立っておると思うのです。そこでアメリカの戦略態勢の問題になりますが、これはよほどみんなが冷静にもう一度過去を考える必要があると思う。軍隊というものはむろん防衛のための軍隊である。どこでもそうなんです。それは初めから侵略のための軍隊を作る者はだれもいないわけです。ただ防衛の目標をどこに置くかということ、それが非常に大きな問題になる。むろん日本の防衛はアメリカやイギリスを目標に自衛隊を作り、再軍備をするわけじゃない。かつて日本の海軍はアメリカ、陸軍はソ連を仮想敵国として、そうして日本の軍国主義が破綻したことは総理大臣も御存じの通りだと思う。そこで非常に考えなければならぬことは、今日の国際情勢の分析であります。これはだれでも知っておる戦略でありますが、私は日本は今米ソの両方の戦略の立場をごく常識的に検討して――私は軍事専門家じゃないから軍事専門家のようなことを言うのじゃないのです。もちろん首相も軍事専門家であるはずはない。しかし政治家は――総理大臣は大局を把握して、その立場から防衛とか軍備とかいうものを決定する必要があると思うのです。そこで米ソの戦略の問題ですが、私はソ連あるいはアメリカいずれに対しても冷静な判断からこれを考える必要があると思う。朝鮮事変であそこでいざこざがあってから、日本の再軍備は問題になったわけですが、しかし、それじゃアメリカとソ連のどちらが攻撃的な態勢をとり得るかという問題なんです。もし第三次大戦があった場合に――あるいは第三次大戦ならずとも極東における局地戦争でもそうですが、私は今日の戦力からいって、ソ連はそのイニシアチブをとることができないと思う。かりにアメリカの鉄の生産を見ても、一億数千万トンであります。それに西欧側を加えれば大へんな数になる。それから石油だってむろんアメリカ並びに西欧の方が何倍も上です。ソ連は、共産圏があったところで、近代工業を持っておる国はチェコスロバキアくらいのもので、中共は問題にならない。たとえば鉄の生産でも年間四千五百万トン、石油は問題にならない。そういうときにおいて積極的な攻撃の態勢をとれないのです。それは独ソ戦においても同じです。それだからソ連は防衛の態勢をとらざるを得ないのです。今日戦争の勝敗を決定するものは何といっても物量ですが、その物量においては問題にならない。そこでソ連は、その欠点を補うためにジェット機とかあるいは無線誘導弾に全力を注いで、わずかに西欧側と均衡を保とうとしておるのが現状だと思うのです。そこで私は、ソ連は積極的な攻撃の態勢をとれないと思う。とったら負けますから……。そこで守勢の態勢をとっておる。守勢ならばある程度まで守り得る、対等の戦争ができるかもしれない、こういう立場だと思う。そこで私は、ソ連から日本を侵略するとかあるいは積極的な攻撃をするというふうなことはないと思うのです。そういう場合において、日本が今アメリカの極東戦略の二部として再軍備をするということは非常に危険なんです。いかに首相が自衛軍であると弁明しても、それは弁明にならぬ。まず私は、そういう立場から、一体日本では近い将来に独立した海軍ができるかどうか、それから守るに足るだけのジェット戦闘機ができるかどうか、これを総理大臣にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/23
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024・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は、あなたと根本の理想において少し違うようです。ソ連が戦う意思は、戦争を始める意思は絶対にないということが確実ならば、非常にうれしいことだと思いますけれども、戦争というものはいつでも始まらないと思ったときに始まるものなんです。それですから、始まらない間に始まることを予想して日本としては相当の経済と――あなたの御心配になっておる言葉をかりて言えば、経済と見合う自衛軍を持っておるということが、平和に貢献するゆえんだと私は考えるのです。経済と見合う自衛軍を持たない、自衛軍は一つも持たなくても世界の平和は確実だというような保障は、どうしても私は考えられないのです。それでやむを得ず経済と見合うというか、自衛のための最小限度という言葉を使うか、あるいは急迫不正の侵略に対する応急の施設と言おうか、そういう最小限度の自衛隊を持っておきたいという考えをしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/24
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025・稻村隆一
○稻村委員 私は、日本が真に独立の行動ができる空軍、海軍を持つことができるかということ、日本は地上軍だけで独自で防衛できる力を持てないから、それをお聞きしているのです。この間ジェット機を製作したそうですが、一台で費用はどれだけかかっているのですか、それを防衛庁長官に聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/25
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026・船田中
○船田国務大臣 ジェット機にいたしましても、練習機、実用機、それからまたそれよりも大きなもの、それぞれ機種によりまして違いますが、一億数千万かかることは事実であります。先ほど稻村委員の御質問の中に、日本独力で海軍、空軍というようなもの、しかも日本の自衛のために必要な海軍、空軍を持ち得るかということがございましたが、これは総理大臣の今御答弁になりましたように、われわれといたしましては、国力と国情に相応する陸海空の自衛隊を整備いたしたい、現在のような国民所得に対して二%強というくらいの防衛費を負担するということは、決して国民生活を脅威するものではない、かように私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/26
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027・稻村隆一
○稻村委員 今の防衛庁長官のお答えでもわかる通り、日本では、日本独自で外国の侵略から守ることのできる空軍は当分作れないのです。経済問題からいっても、われわれの生きている間はおそらくむずかしいかもしれぬ。むろん航空母艦なんかできやしません。そうすれば、結局日本の地上部隊というものは、アメリカ戦略の一部にならざるを得ないのです。ここに危険があるのです。よく反米と言うが、私個人のみならず、社会党は絶対に反米ではありません。これは公平に見てやらなければいけませんよ。(「親ソか」と呼ぶ者あり)親ソでなんか絶対にありませんよ。(笑声)現在アメリカは日本の地上部隊を急いでいるのです。海軍は急いでおらない。急いだところでそれはなかなかできないのですよ。だから地上部隊だけ完成させることを急いでいるわけなんです。こんなことは、あなた方はすぐ知らぬとおっしゃるが、小学生だってたれだって知っていることです。たとえばアメリカの戦略は、かりに局地戦、朝鮮事変のようなことがもう一度起きた場合に、中共を徹底的に空爆でやっつけようと、これははっきりしているのです。またそれは可能である。しかし、航空母艦からの散発的な原爆攻撃ではだめですから、どうしても地上部隊の援護が必要なんです。爆撃機一つ動かしたって、動かすのは少人数でできるかもしれないが、動かすためには整備員その他相当の人数が要。大型炉、機一機動かすためにはおそらく百人くらいの人が必要でしょう。そうすれば中共を一挙にして屈服でしめることができます、アメリカの力をもってしては。それにはどうしても地上部隊の援展がなければできないのです。そこでアメリカの雑誌なんかが書いている通りに、巷間伝えられているような三十万ないし四十万という地上部隊が必要だということになってくるわけです。日本の地上部隊を増強させることは、アメリカは極東の安全と平和に寄与するため日本に駐留していると言っているが、中共との局地戦でも起きた場合においては、日本の地上部隊というものはアメリカの戦略の一部として動かざるを得ないような結果になるのです。地上部隊の増強ということは、アメリカが中共に対する空爆をする客観的情勢ができる、そういう場合非常に危険なんです。そういうことはないとあなた方おっしゃるだろうけれども、それを一番われわれは心配するのです。だから当分空軍も海軍も充実できない日本が、地上部隊だけ増強する、海空風はそう急いでおらない――現にこの間来朝されたウェイランド米戦術空軍司令官も、日本の空軍は当分できないから、日本には十五年ぐらいはアメリカ軍は駐留しなければならぬと言っておる。地上部隊も四万ぐらいの地上部隊を撤退させるだけの話であって、海空玉は相変らず駐留するのです。そうしてアメリカの戦略の一部として日本の軍隊が極東の事変に利用されるということは、私は日本を非常に危険な道へ追いやると思う。そういう点に対して総理大臣はどうお考えですか。日本の防衛になりませんよ、地上部隊の増強は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/27
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028・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 先刻申しました通りに、日本は、日本の経済と見合いまして、日本を守るだけの最小限度の自衛隊を作りたいというにとどまっておりまするアメリカと協力をして日本が何かアメリカの戦争に巻き込まれるというような防備をするわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/28
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029・稻村隆一
○稻村委員 時間がありませんから、私はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/29
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030・山本粂吉
○山本委員長 次に井手君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/30
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031・井手以誠
○井手委員 私は総理大臣に対して、ただいま稲村委員に対して経済に見合う自衛力を作るんだという点を強調されましたが、その経済に見合う自衛力の計画についてお尋ねいたしたいのであります。
防衛庁長官の答弁によりますと、国防会議ができますれば、まず国力に相応した防衛計画を立てるということをおっしゃっておりますが、総理もさようにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/31
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032・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/32
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033・井手以誠
○井手委員 この防衛六カ年計画、すなわち地上十八万、海上十二万トン、航空機千三百という防衛庁の六カ年計画試案というものは、総理は御承知でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/33
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034・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 防衛庁の試案でありまして、きまったわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/34
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035・井手以誠
○井手委員 よく聞きとれませんが、その試案は御承知でございましょうか、防衛庁の試案でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/35
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036・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 詳しいことは存じませんが、大体知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/36
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037・井手以誠
○井手委員 その六カ年計画の試案が相当膨大な経費を要することは、おそらく御承知であろうと思うのであります。当委員会でも等分があったように、この六カ年計画を達成するには八千三百億円を要するということは、大一体その数字は御承知でございましょうか。六カ年計画をご承知であるならば、経費の点もおそらく御存じになっていなくてはならぬと私は思っておりますが、いかがでございましょう。詳しいことは聞きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/37
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038・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 詳しいことは聞いておりませんが、しかし先刻防衛庁長官が申しましたように、日本の収入の二%程度のものは国防費に使うことはできるというようなことを申したと聞きました。その程度をこゆるものは、甘木としては実施に移すことはなかなかできないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/38
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039・井手以誠
○井手委員 六カ年計画にいう地上十八万、海上十二万トン、航空機千三百、これだけの試案の目標を達成するには膨大な空用が要ることは総理は御承知でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/39
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040・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 相当大きな費用がかかるということは想像ができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/40
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041・井手以誠
○井手委員 最近の新聞によりますると、アメリカから来るはずの対潜機などの兵器が予定通り入っていない。またジェット機や地上兵器の国内生産も始めなくてはならぬ。従って防衛六カ年計画の試案による費用がさらに増大するであろうという新聞の報道や防衛庁内部のお話をお聞きになったことがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/41
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042・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私からでなく、船田君から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/42
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043・井手以誠
○井手委員 私は総理に聞いております。本日は特に総理に出席を願っておるのであります。国防会議がいよいよできますれば、総理、あなたは国防会議の主宰者として国力に相応した国防計画をまずお立てにならなければならぬ人であります。従ってこの程度のことは御存じにならなくてはならぬと思いますから、総理みずから御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/43
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044・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 国防会議が成立しましたならば知ることになります。ただいままだできておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/44
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045・井手以誠
○井手委員 そんなばかげた話は聞きません。そういう重要な任務を持っておる国防会議、その法案あなたは御提出になっておる。しかも現在は防衛庁を指揮監督する立場におありになる。それが現在は知らないなどとおっしゃることは、とんでもない話ですよ。
そこで続いてお尋ねをいたします。先刻も申しますように、六カ年計画の試案を達成するには、当初の計画によっても八千三百億円が必要である。ところが先刻総理が御答弁になりました経済力に応じたいわゆる国民所得の二・二%の問題、あなたのお作りになった経済五カ年計画によりまするとやや違って参るのであります。私は数字をお尋ねします前にまずお聞きしておきたいことは、総理は、防衛庁が持っておる防衛六カ年計画の試案を三十五年度までに達成する――今の国力に応じてですよ、達成するお見込みをお持ちでございましょうか、その点をまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/45
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046・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 防衛六カ年計画は、国防会議で財政経済当局の意見を聞きまして、そうして経済力と見合いの上調整していくわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/46
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047・井手以誠
○井手委員 それではほかの方面からお聞きいたしましょう。あなたのきめられた、本会議や予算委員会で強調された経済五カ年計画、あの計画によりますると、今後五カ年間の一カ年の予算総額一兆一千三百二十億円、その中に防衛費を含めたその他の項において、一カ年平均が四千四百六十七億円になっておるのであります。社会、厚生、文教、あるいは公共事業関係、地方財政関係、その次のその他の項において、防衛庁関係あるいは行政費、国債費、農業保険費、予備費、対外支払い、そういったその他の項の中に防衛庁の費用が含まっておりますが、その最高度の一兆一千三百二十億円の予算を組んだ場合における防衛庁などの費用は四千四百六十七億円になっておるのであります。このあなたの金科玉条となさっておる、一枚看板のようになさっておる経済五カ年計画によりましては、三十一年度より数百億円も防衛費がふえる余地はないのであります。ところが一方防衛六カ年計画によりますと、かりにジェット機の国内生産などは別といたしまして、八千三百億円を一応仮定いたしますならば、今後毎年六百億円から七百億円よけいに組まなくては防衛六カ年計画の達成は困難であります。防衛支出金は別にいたしまして、毎年今後二千億円近く――よくお聞き願いたい。大事な点であります。総理が強調されておる国力に応じた防衛計画の一番肝心な点でございますからお聞きを願いたい。毎年二千億円近くの防衛費をかけなくては防衛六カ年計画の防衛庁の試案は達成できないのであります。おそらくこの試案は国防会議にかけられるでありましょう。先刻あなたは国民所得の二・二%とおっしゃった。国民所得は毎年ふえることに経済五カ年計画はなっておるのであります。最終年度の三十五年度には八兆円、その二・二%に対して防衛費の最高限度は千七百億円だと、あなたの内閣の高碕経企長官はおっしゃっておる。あなたもおっしゃっておる。最終年度の最高の国民所得の場合において、最高の防衛費の限度は千七百億円、しかるに一方防衛六カ年計画によりますると、今後毎年六百億円前後の費用をふやして、二千億円近くの費用にならなくては、防衛庁の考えておる六カ年計画の達成は困難でありますが、この点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/47
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048・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は先刻申したような工合に、日本の経済と見合いをしていきまして、自衛の設備をしていきたいと思っておるのであります。それ以上きまってはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/48
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049・井手以誠
○井手委員 あなたが非常に御心配になっておる国力に相応した点についてお尋ねをいたしておるのであります。何も一々ささいな問題をお尋ねしておるのではございません。経済関係といわゆる国力に応じた防衛計画、政府が考えられておる経済五カ年計画と防衛庁が考えられておる防衛六カ年計画、これがこんなに食い違っておるではございませんか。そこを総理は知らずしてどうなさるのですか。私は国力に応じたものを国防会議できめます、そんな話ではたれも承知いたしませんよ。その国力に応じた国防計画、防衛計画、この数字が一番肝心ではございませんか。もう少し具体的に御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/49
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050・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 これは防衛庁からも原案ができ、大蔵省からもそれに対する案ができて、これを調整していくのが私の務めだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/50
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051・井手以誠
○井手委員 もう大体案はできておるから私はお尋ねしておるのであります。いやしくも国会に対して政府は経済五カ年計画を立て、この計画に基いて予算を編成いたしましたと答弁なさっておる。間違いないはずであります。一方防衛庁においては、試案ではありましょう。工合が悪いから試案とおっしゃっておりますが、すでにその試案をもってアメリカに交渉されておる。それによって防衛庁は逐次計画を増強されていっていることは、防衛庁長官しばしば御答弁なさっておるところであります。すでに国会に出されたこの計画に対して、それをほおかぶりして、あとで国防会議ができましたならば、国力に応じた計画を立てましょうなどとおっしゃっても、私はそれでは納得できません。現にあなたは、先刻申しましたように、防衛庁を指揮官督するいわば総大将ではございませんか。そのくらいの数字がわからないでどういたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/51
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052・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 防衛庁はまだ年次計画というものはできていないのです。年次計画ができてからそれを調整していくのが私の任務だと思います。それ以上の答弁はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/52
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053・井手以誠
○井手委員 もちろん年次計画ができていないことは――経済五ヵ年計画においても防衛六カ年計画においても、かりにできておっても、できていないということを私は当局から承わっておるのであります。従って私はこの際ここで年次計画を承おっているのではございません。そのトータルを、結末を私は承おっているのであります。何年にどうなろうと、それはかまいません。防衛六カ年計画ご達成するには八千何百億円の経費が要るということを防衛庁は考えている。一方経済五カ年計画においては、国民所得が最高度にふえる最終年度の三十五年度においてさえ、防衛費の限度は防衛支出金を加えて千七百億円だと強調されている。この食い違いをどのようにお考えになっているか。現に出ているではございませんか。どっちの計画もそんなでたらめなことを国会に説明なさっても、私はそんなことは聞きたくはございません。これほどまでの数字の食い違いをどのように総理はお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/53
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054・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 防衛庁の試案と経済五カ年計一画と、この間を調整していく上り仕方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/54
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055・井手以誠
○井手委員 経済五カ年計画によりますと、あなたが常々強調なさっている民生安定の費用、それから公共事業、地方財政、そのほかに対外支払いとか、防衛費関係などというその他の項の四つに分れているのであります。もし防衛六カ年計画の試案、陸上十八万を達成なさろうとするならば、内政は極度に圧迫しなくちゃならぬという経済五カ年計画が出ているのであります。この経済五カ年計画はさほどずさんなものであるとは私は考えません。この防衛六カ年計画はまだ正式にはこちらに示してはありませんけれども、経済五カ年計画はすでに示されている。この経済五カ年計画によりますと、防衛計画はとうてい六カ年、七カ年、八カ年ではできないのであります。この食い違いができました以上、防衛計画は根本的に修正するか、あるいは十五カ年計画くらいにお直しになる必要があろうと私は思うのであります。この点についてのお考えを承わりたい。ただ国防会議ができてから研究するということでは私は承知いたしません。このように数字が明らかになっておりますから、一つ具体的に計画にお答え願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/55
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056・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 とにかく防衛庁の原案というものが提出されなければ、調整の方法はございません。ただいまどういうように調整するかということは、私には現在はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/56
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057・井手以誠
○井手委員 そういたしますと、国力に相応した防衛計画ということになりますれば、総理いかがでございましょう。やはり経済五ヵ年計画――すでに確信を持って国会に出されました経済五カ年計画が主体になると私は考えるのでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/57
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058・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 これはやはり経済五カ年計画の責任と防衛庁の責任者と話し合って、そうして調整していくよりほかに方法はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/58
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059・井手以誠
○井手委員 国力というものが話し合いで、五のものが十になるものではないと私は思うのです。具体的には御存じないかもしれませんけれども、国民所得も詳細な資料によって大体毎年二%の増加、それによって三十五年度には国民所得総計八兆円が予定されておるのであります。この詳細な基礎の上に立った五カ年計画を、防衛庁と話し合って中間をとるということがあり得るでしょうか。国力というものは、そんなふうにどうにでもなるものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/59
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060・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 今 あなたのおっしゃったのも、きまっておるわけじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/60
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061・井手以誠
○井手委員 それは御存じでしょう、あなたはこれに基いて三十一年度の予算を編成されたはずだ。そのように言明をされております。ただ今後のことですから若干の移動はあるかもしれませんけれども、政府の現在見通し仕る計画としては、これ以上のものはないはずであります。この国力と防衛庁が持ってこようとする六カ年計画と調整しようとする場合に、歩み寄りというものができるものですか、(「それは試案だ」と呼ぶ者あり)それをまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/61
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062・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ただいまそこで問答がありました通りに、その案というものは防衛庁の試案でありまして、確定してないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/62
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063・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私ちょっと関連してお尋ねいたしたいと思いますが、現在の日本の国防の基本方針というものについて質問した際に、船田長官は国力、国情に相応する最小限度の防衛力を整備して米軍の撤退を期する、その段階までは日米共同の防衛体制をとる、これが現在の日本の国初の基本方針だということを御説明なさっておるわけなんです。その基本方針に基いて、防衛庁では六カ年計画というものが策定されておると私は思います。総理はこれから調整するんだとか、話し合いをするんだとかおっしゃいますけれども、では防衛庁の六カ年計画というのは、日本の国情を無視して策定されておるとあなたはおっしゃるのですか。経済企画庁で作られた現在の経済六カ年計画と関係なしに、こういう試案が防衛庁で勝手にできたとあなたはおっしゃるのですか、その点御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/63
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064・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 これは防衛長官から答弁いたします、私のあれでないものですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/64
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065・船田中
○船田国務大臣 防衛庁の試案を経済五カ年計画といかに調整するかということにつきましては、これは防衛庁の試案を達成するためには、その前提として米軍から相当な供与を受けなければなりません。ことに初度の調弁に属するものは、火器にいたしましてもあるいは艦船、飛行機等、相当米軍の供与に待たなければならぬものがございます。従いましてしばしばこの委員会においても申し上げておりますように、三十五年度において達成すべき最終目標につきましても、飛行機の機種、艦船、数量等について全体の数字は申し上げてありますけれども、それをいかに区分けするかということについてはまだきまっておりませんし、また年次計画ができておりませんので、そこらの検討は今後十分検討し、ことに国防会議が設けられましたならば、あらゆる資料をそろえまして、十分これらの検討を具体的にやって参りたい、かようになっておるのであります。この経済五カ年計画の中においてこれを十分調整するように一それは先ほど来総理大臣が御答弁になっておるように調整をしていただく、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/65
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066・石橋政嗣
○石橋(政)委員 時間がありませんから端的に質問しますが、経済五カ年計画と関連なしにあなたの方で防衛六カ年計画を作ったとおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/66
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067・船田中
○船田国務大臣 大体防衛関係の費用を、国民所得の二%強というところに目安を置いて考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/67
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068・石橋政嗣
○石橋(政)委員 すると十分に経済五カ年計画というものを勘案して、これとの調整を行いつつ防衛計画は作ったということになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/68
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069・船田中
○船田国務大臣 一応考えてはおりますけれども、それをいかに調整するかということは今後の問題でございまして、今後年次計画または先ほど申し上げましたように、米軍側からの供与ということも勘案いたしまして十分に調整をして参りたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/69
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070・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっとおかしいと思うのですよ。国防の基本方針は何かと言われれば、あなたははっきり言うでしょう、国力、国状に相応する最小限度の防衛力を整備することだ。国力とは何ぞやですよ。そういうりっぱな経済計画ができておる、それを無視してあなたの方で勝手に防衛計画を作って、国力を勘案したということが言われますか。それでは国防の基本方針と防衛計画との間に、ずれができるではありませんか。そこのところ、矛盾があるとお考えになりませんか。
それから重光外務大臣にちょっとお尋ねしますが、そういう総理や船田長官が言うようなあいまいな防衛計画であるならば、なぜそんなものをアメリカにあなたは説明なさるのですか。昨年あなたがアメリカに出かけていってダレスさんと会談をやった。そのあとで共同声明を発表しておりますが、その共同声明の中に、明らかに外務大臣は、日本の防衛当局によって最近策定された防衛増強に関する計画を説明したと発表しておる。今論議されておるようなあいまいなものなら、国会のわれわれに対しても自信を持って説明できない。今から調整を必要とするというようなあいまいなものを、なぜそれでは外国に発表なさるのですか。あなたの言うことは矛盾しておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/70
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071・重光葵
○重光国務大臣 その点は少しも矛盾はいたしておらないのであります。私は渡米をいたしましたときに、日米関係の基本問題についていろいろ話をしました。日本側では、日本の国防につきましては、安保条約に基いて十分に自衛軍備というものを増強するという考え方を持っておる、国防当局はその決意は持っておるということを私は十分に向うに伝えたのであります。そのために国防当局においては将来増強をする計画を持っておる、こういってそれを説明したのであります。しかしこれは繰り返して私がその当時国会にも報告いたしております通り、私が持っていった計画というのは大よそのところであって、そのときにはまだそう詳しいことはむろんできておりません。大よそのことであって、地上軍備もこれぐらいに増すつもりであるということを説明したのであります。それによって日本の国防に対する意向、誠意というものを十分に向うに反映させて、日米の関係をごく密接にするということに努力をいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/71
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072・船田中
○船田国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、経済五カ年計画と防衛庁の試案とを具体的にいかに調整するかということは、十分今後検討を加えてやって参りたいと思います。しかしながら先ほど申し上げましたように、初度調弁に属しまするものはアメリカの供与に待つものがございますから、それらを十分具体的に検討した上でないと年次計画も立ちません。また最終の目標を達成するにつきましても、機種、艦船の種類、そういうものにつきまして今後十分検討を加えた上で、先ほど来申し上げておるように、国力、国情に相応する自衛体制を整備するということに努力をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/72
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073・石橋政嗣
○石橋(政)委員 関連ですからこの一点だけ明確にお答え願います。そらさないように御答弁願いたいのです。それではこの防衛六カ年計画を作るとき、この国力を勘案するという点は、一体何を勘案なされたのですか。国民所得の約二・二%という数字にしたって、それをはじき出すためには、経済五カ年計画を基礎にしなければできないでしょう。あなたが六カ年計画を作られたときに、しからば国力というものはどういうふうに勘案されたのか、それだけ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/73
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074・船田中
○船田国務大臣 大体国民所得の二%強ということでございまして、二・二%ということに固定しておるわけではございません。二%強ということで勘案をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/74
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075・石橋政嗣
○石橋(政)委員 その国民所得はどこから持ってきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/75
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076・船田中
○船田国務大臣 国民所得は、もちろん経済企画庁において作られたものを基礎としておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/76
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077・井手以誠
○井手委員 それでは総理に続けてお尋ねいたしますが、その前に若干防衛庁長官にお尋ねをいたします。
ただいま国民所得のことをお答えになりましたが、三十五年度には、先刻も申しますように、経済五カ年計画では八兆円の国民所得を予定されておるのである。二七強になりますれば一千七百億円。これは防衛六カ年計画の最終年度に当る年であります。ところがあなたの方で計画されておる試案によりますると、修正は別にいたしまして、八千三百億円のうちから昭和三十年度、三十一年度の二カ年分のきまった予算、使った豊川を差し引きますると、今後六千四百三十億円の費用がかかるのであります。それを四カ年で割って参りますると、防衛支出金の点をも考えますならば、二千億円近くの金がかかることは、これは聞いただけでもわかるはずであります。経済五カ年計画によりますると、毎年所得がふえることは計算済みであります。その経済五カ年計画では、ただいまの私の簡単な説明だけでも、防衛六カ年計画はとうてい達成できないはずであります。その点は長官はお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/77
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078・船田中
○船田国務大臣 それは先ほど来申し上げておりますように、米軍側の供与兵器、艦船、飛行機等の具体的な検討を加えないと、はっきりしたことは申し上げられません。従って年次計画も、今のところはまだ立たない、こういうことでございますが、方針といたしましては、どこまでも国民の所得に見合う、国力に相応する最小限度の自衛体制を整備するということにいたして参る方針でございまして、それを経済企画庁において立てられました経済五カ年計画の中でいかに調整するかということは、今後十分検討をして、その中で調整をするようにして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/78
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079・井手以誠
○井手委員 あなたがおっしゃっておる供与分でありますが、それは新聞の報道によりますると、予定通り入らないと書いてある。せっかくの御答弁でありますけれども、むしろマイナスの面でございます。
そこで、総理も大体今までの質疑応答でおわかりだろうと存じますが、経済五カ年計画と防衛庁の六カ年計画試案とはだいぶ食い雇いがあるのであります。総理は先刻、両方話し合って歩み寄るとおっしゃいましたが、経済五カ年計画が防衛六カ年計画に歩み寄る余地はないと私は思いますが、歩み寄る余地がございましょうか。調整する余地がございましょうか。すなわち言いかえますならば、国民所得をうんとふやすとか、そうでないならば内政費をうんと圧縮するというふうにして、防衛六カ年計画と調整なさる御意思でごいざいましょうか。これは国防会議の主宰者となられる総理の重大な責任でございますが、あなた自身が調整せられなければならない立場でございますので、特にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/79
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080・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は先刻申しました通りに、日本の国防計画は日本の経済と見合せて立てていかなくてはならないという考え方をしておりますので、国防会議においては、そういう方針において調整をして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/80
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081・井手以誠
○井手委員 そういたしますと、政府の策定した五カ年計画に、よりますれば、いかに甘く見ましても、防衛庁が立てておる六カ年計画の試案は、どうしても六カ年では達成できないのであります。これはだれが見てもわかるはずであります。従ってあなたが指揮監督なさっておる防衛庁の試案である防衛六カ年計画は、当然修正されるか、十カ年計画、十五カ年計画に変更されねばならぬと私は存じますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/81
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082・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 先刻船田長官も説明しております通りに、アメリカの供与によって防衛の完成ができるわけでありますから、それが確定してたいときに、日本の防衛計画というものが具体的にきまるはずはないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/82
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083・井手以誠
○井手委員 総理はよく質問をお聞き願ってから御答弁をいただきたいと思う。防衛庁はアメリカの供与兵器を計画に入れて防衛六カ年計画を立てておるのであります。その予定に入れたアメリカの兵器が、予定通りに入らないということを防衛庁は発表しておる、新聞は報道しておるのであります。入らなければなおさら日本の防衛費はふえるではございませんか。防衛六カ年計画を達成するにはふえるではございませんか。もう少しはっきり納得できる――立場は違いますけれども、悪い点は悪い、違うなら違う、その点をはっきりしてもらいたい。これだけ数字をあげて私は聞いておりますから、具体的に御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/83
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084・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は大体において日本の経済と見合いをして調整をしていくという以外には答弁のしようがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/84
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085・井手以誠
○井手委員 そんな答弁でよろしいのですか。鳩山さん、あなたは友愛精神とか盛んにおっしゃっておりますが、いやしくも国会に対してそんな答弁でお済ませになるおつもりでございますか。私はこれだけ詳細な資料をもって、具体的な事実をあげて、しかも国会に責任を持って出された経済五カ年計画を基礎にしてお尋ねをしておるのであります。数字がはっきりしておるものに対して、私はわかりません、そんな答弁で済むのですか。経済五カ年計画ではとうてい防衛庁の試案は達成できないということを、私は数字をあげてお尋ねしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/85
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086・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 防衛計画は、確定したものを私はまだ見ておりません。確定はまだしてないはずであります。(「試案だから……」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/86
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087・井手以誠
○井手委員 試案は御存じでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/87
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088・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 試案は、詳しくは知りませんけれども、大体は知っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/88
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089・井手以誠
○井手委員 詳しくは知らないが、大体御承知になっておる。陸上十八万、飛行機千三百くらいは御存じなはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/89
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090・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/90
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091・井手以誠
○井手委員 それならば、それに応じた経費が要ることも御存じでございましょう。そのくらいがわからぬ総理ではないと私は思う。(「主管大臣がいるよ」と呼ぶ者あり)防衛庁はあなたが総大将ですよ。経済五カ年計画でこのくらいしか達成できない、しかし防衛計画はこんなふうになっておる、この食い違いはどうしますか。防衛六カ年計画をもう少し延ばされるおつもりですか。私は数字をあげて聞いておりますが、いかがですか、お延ばしになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/91
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092・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は先刻申しました通りに、日本の経済と見合せて国防計画を立てたいということを言っておるのでありまして、そういう方針で国防会議できめていくのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/92
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093・井手以誠
○井手委員 先刻も総理から御答弁がありましたが、いわゆる経済五カ年計画を中心として国防計画をお立てになることは間違いありませんか、念のためにお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/93
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094・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 日本の経済と見合して国防計画を立てたいということが私の希望であります。違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/94
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095・井手以誠
○井手委員 国力が――先刻申しました経済五カ年計画でありますならば、これに見合わない防衛計画というものは、これは立て直さなくちゃならぬということになりますが、この点はおわかりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/95
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096・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/96
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097・井手以誠
○井手委員 それではその点がおわかりでありますならば、八千数百億円を要する防衛六カ年計画の試案は、これは根本的に訂正しなくちゃならぬという結論になりますが、これはおわかりでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/97
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098・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 その数字はまだきまっていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/98
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099・井手以誠
○井手委員 おかしいじゃございませんか。それは端数はわからぬかもしれ一ません。端数はわからぬかもしれませんけれども、陸上十八万、海上十二万トン、飛行機千三百という数字は御存じだということをおっしゃっておる。それにはそれに応じた費用がかかることはわかっているはずであります。八千数百億円の金がかかることはおわかりのはずであります。それがわからぬで、防衛庁を指揮監督される地位にあられるとはおかしいじゃありませんか。その八千数百億円が経済五カ年計画では達成できないということであれば、当然先にずっと延ばさなくちゃならない、そういうことになることは私はおわかりであると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/99
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100・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 米国から供与される兵器もその中に入っておりますので、まだ数字はきまっているはずがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/100
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101・井手以誠
○井手委員 おかしいじゃありませんか。新聞あるいは防衛庁からお聞きになったでしょう、新聞の報道もお読みでありましょう、お読みでありますか。予定通りアメリカの供与兵器が入らないと書いてある、だから国内生産を急がせなくちゃならない、それでいろいろ防衛庁自身もその点を心配されておるのですよ、それがおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/101
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102・船田中
○船田国務大臣 アメリカからの供与に期待いたしておりまする艦船、飛行機あるいは火器類につきましては、それは一部新聞の報道にあります通りおくれておるものもございます。しかしながら多少の時期はおくれましても、順次計画に従って入ってきておるのでございますから、従ってこの防衛六カ年計画を遂行する上におきまして非常な大きな支障かくるとは私今日考えておりません。しかし具体的にどういうものがどういう時期にくるかということは、今後十分米側とも検討を加えまして、そうしてこれらの問題を全部勘案をいたしまして適当なる案を作って参りたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/102
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103・井手以誠
○井手委員 総理今お聞きの通り、アメリカの供与兵器は予定通り入っていないとおっしゃいました。おくれておるとおっしゃいました。おくれておることは予定通り入っていないということと同じことだ。予定よりも多く早く入るならばプラスの面がありましょう。しかし予定よりもおくれておることは、これはマイナスですよ。あなたがおっしゃっておる国力に相応した防衛計画は国防会議の一番肝心な点でございます。私はただいままでの答弁では絶対に納得いたしません。総理は明日もおいでになるそうですから、私はきょうはほかの質問者もなお残っておりますのでこれ以上申し上げませんが、明日さらにあなたに対して質問を続行するつもりであります。どうか国力に相応した防衛計画という点について、数字をあげて私はあなたにあらためて追究をいたしたいと思いますので、十分御研究を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/103
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104・山本粂吉
○山本委員長 次に受田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/104
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105・受田新吉
○受田委員 私は総理に対しまして単刀直入に国防会議に関連する諸問題と、あわせて、きょうは特に防衛庁の内部の汚職旋風を量後に提示いたしまして当局の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
総理が国防会議構成法案を御提出になられた際に、総理は民間人を入れるかどうかでずいぶん苦労された。特に二十八年以来、三回もこの国防会議構成法案については紆余曲折があって今回は民間人を削って提出されておるのでありますが、総理としては、民同人のない国防会議というものは、結局関係閣僚会議によるところのいわゆるインナー・キャビネットという性格を出ないことになって、何ら特色ある機構としての権威を発揮することができないとお考えにならないか。あなた御自身はこの国防会議の構成法案に民間人を入れるかいなかによってずいぶん苦労されて結論を自分ではよう出さぬからというので、官房長官にもその意見を問われたようでありますが、最後にいやおうなしに押しつけられて、あなたは悲壮の決意で断を下されたということを私は伺っておるのです。この提出の理由と、あなたの御見解、民間人を入れてもっと大きな立場から国民のあらゆる階層の代表の意見を聞くということをお考えにはならなかったのか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/105
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106・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は、インナー・キャビネットとあなたはおっしゃいましたが、インナー・キャビネットというような制度は非常に巧妙ないい態度だと思いましてその方をとりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/106
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107・受田新吉
○受田委員 あなたは民間人を入れる案を昨年お出しになられ、自由党の諸君の協力を得なければ法案の成立がむずかしいというので、ついにこれを削って昨年は曲りなりにも衆議院は通過した、これはあまりにも政府のだらしなさを物語っておるのでありますが、それが今回は少数である自由党が今度党へ入ったので、そのごきげんをとるためにこの民間人を削る案をお出しになったと社会は見ておるのでありますが、さように心得てよろしゅうございますか。信念を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/107
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108・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 修正可決せられたら、それを尊重するということは、政府としては当然とるべき方法だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/108
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109・受田新吉
○受田委員 当時自由党は少数党です。多数党の民主党が出した案を少数党に曲げられた。その曲げられたものを、今回国会の意思を尊重するという意味でお出しになったということは、自民党の中の多数を制しておった民主党の総裁としては、まことに信念のない、ぐらぐらした総理であると断定せざるを得ない、かのように考えます。御所見を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/109
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110・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はインナ一・キャビネットの形は非常にいいと思いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/110
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111・受田新吉
○受田委員 私はもう一つ、この国防会議の構成になる議員の諸君が、会議をやる際に秘密を保持しなければならぬという既定があるのですが、これには全く罰則が掲げてないのです。こういうところにも非常な大きな欠陥があると思うのですが、さよう心得てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/111
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112・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は国防会議の構成員を信用いたしまして、罰則を作らなかったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/112
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113・受田新吉
○受田委員 秘密を保持しない閣僚があった場合にはこれを罷免しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/113
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114・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 これは閣議の場合でも同じことで その重大性のいかんによりましては適切なる処置をとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/114
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115・受田新吉
○受田委員 私はここで関連して、船田防衛庁長官の発言とあなたの発言との食い違いがあることを指摘したい点があります。船田さんは二月の末のこの委員会で、急迫不正の侵害があった場合に敵の基地を空襲できる、飛行機によって攻撃を加えて引き揚げるというのは、海外派兵の意味には解しない。従って敵基地をたたくということの中に航空機爆撃ということを含む概念を考えておられる答弁が、はっきり速記録に出ております。あなたはこれに対していかなる御見解をお持ちですか。敵基地をたたくという中には航空機による攻撃が入るかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/115
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116・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私が答弁いたしましたときには、それ以外にはわが国を侵略する急迫不正の侵略をとめる方法がない場合においては敵基地をたたくことができるという答弁をいたしました。船田君もそういうような条件の場合、つまり敵基地に飛んでいって敵基地をたたく以外には、日本に来たる侵略を防ぐ方歩がない場合その方法をとろう、こういうのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/116
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117・受田新吉
○受田委員 敵基地をたたく方法について、理論的な立場においても、飛行機による爆撃ということがあり得るかどうかということをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/117
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118・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はどうも戦争のことをよく知りませんから、その場合について適切な処置をとる以外には方法はないと思います。仮定の質問に対して答えをするとえて誤解がありますから、仮定の質問はやめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/118
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119・受田新吉
○受田委員 仮定の質問ではないのです。つまり敵基地をたたく方法に航空機の爆撃が含まれるかどうかということは、仮定の質問ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/119
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120・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 具体的的には考えていない問題です。とにかくそれ以外にはわが国を守る方法がない場合においてはやむを得ないでしょう、こう言ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/120
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121・受田新吉
○受田委員 そのときに敵基地をたたく兵器の中に航空機による爆撃が含まれているという船田さんの答弁があった。これはきわめて明瞭なんです。速記録を読めばはっきりわかるのです。つまりやむを得ず敵基地をたたく場合に、航空機に乗って爆撃してすぐ引き返すという場合にも、これは海外派兵ではないということを言うておる。さよう了承してよろしょうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/121
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122・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 そうなると、どうもやはり私は仮定の質問だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/122
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123・受田新吉
○受田委員 私の質問は、つまり敵基地をたたくたたき方です。あなたはたたき方はどういうことを考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/123
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124・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 たたき方については、私は具体的に答弁ができません。たたき方につきましては、その場合によって専門の人が考えることでありまして、私としてはどういう方法があるか実際は知らないのですから御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/124
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125・受田新吉
○受田委員 専門家の船田さんの御意見では、飛行機による爆撃が考えられておる。このことについて三光外務大臣にお尋ねしますが、国家の領十権が空にまで及んでおるのは国際法ではっきりしておるのです。敵の領空の中へこちらの飛行機に乗った搭乗者が攻撃を加えに行った場合に、これを海外派兵ということができるかどうか、海外派兵の概念とあわせ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/125
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126・重光葵
○重光国務大臣 海外派兵ということは、実は私は言ったことはないのでございますが、海外派兵というのは、自分の領土の陸以外の土地に海を越えていくならばそれはそういうことになりましょう。今領空の問題がありましたが、領空というのは領土または領水の上空のことであります。それで御承知を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/126
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127・受田新吉
○受田委員 あなたの御答弁によると、領域の上の空ということになるわけです。これにはエア・スペース、空気のあるところと空気のないところとあるわけです。これがあなたの御答弁では問題になると思うのです。空気圏でない空は領空になるかならないかということになるのです。その議論は国際法上の学問的な非常にめんどうな議論になりますからやめますが、そこでお尋ねしたいことは、敵の領空の中へ日本の搭乗者のおる飛行機が爆撃に行った場合に、それは海外派兵といえるかいえないかということを、真珠湾攻撃の飛行機の空襲と同じような立場で私は今お尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/127
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128・重光葵
○重光国務大臣 今申した外国の領空に飛行機を出すということは、日本領土以外に飛行機が行くということに違いはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/128
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129・受田新吉
○受田委員 日本の領土以外に日本の飛行機が行くということを確認されたわけです。従って外国の領空の中へ日本の飛行機が行ったことは、海外に日本の兵隊が派せられたと解してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/129
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130・重光葵
○重光国務大臣 それはどういう御趣旨でございますか、それが自衛権の行使であるとかないとかいう御議論でございますが、海外というのは海の外と書いてあります。(笑声)だから海の外に行ったことには違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/130
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131・受田新吉
○受田委員 外務大臣は海の外に日本の兵隊が派せられたと解釈をせられておると私は了解せざるを得ないが、さように心得てよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/131
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132・重光葵
○重光国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/132
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133・受田新吉
○受田委員 しからば航空機により敵の領空に侵入した場合には、上陸をしなくとも海外派兵と外務大臣は御答弁になったと了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/133
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134・重光葵
○重光国務大臣 今あなたは敵の領土に入ったというのですが、それは敵ということになれば敵味方の関係でありますから、これは問題はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/134
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135・受田新吉
○受田委員 まことに御名答です。これで一応外国である場合でも海外派兵、海の外に行くから海外派兵、それから敵国であればきわめて明瞭だということであります。こういうことになると、船田さんの御答弁では、外国に武力行使の目的を持って上陸するということをおっしゃっておられる。上陸しないでも空に行けばもう海外派兵だと重光さんはおっしゃる。これは自衛権の範囲内であっても、その敵基地を空襲するために出かける空軍部隊というものは海外派兵という結論になると私は了承せざるを得ないのであります。さよう了承してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/135
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136・重光葵
○重光国務大臣 私は海外派兵ということは少しも申しません。私の言ったのは日本の飛行機が海の外に行ったということになる、こう申しておるだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/136
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137・受田新吉
○受田委員 しかし今私が海外に日本の飛行機が行った場合には海外に兵を派したと了解してよろしいかと言ったら、兵を派したと了解してよろしいと大臣は答弁されたじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/137
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138・重光葵
○重光国務大臣 それは海外、日本の領土以外に日本の飛行機が行ったということに了解してそう申し上げたわけでありまする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/138
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139・受田新吉
○受田委員 領土以外に日本の兵が行ったという海外派兵という意味で私の質問に一応答えておられますから、これは念を押さないことにいたします。従ってここで問題になるのは、あなた方政府は、外国の基地を攻撃する場合に海もあれば空もある陸もあるという意味で、土地に上陸しなければ海外派兵でないと最初言われたのをだんだん変更され、鳩山総理は、海外派兵はそのときの専門家がはっきり断定するのであってとおっしゃるので、今専門家にお尋ねしたわけです。外務大臣や防衛庁長官は専門家です。その専門家にお尋ねしたところ食い違いがある。こういうところにおいて政府の意図はこの防衛計画において、はなはだまだあいまいな点があると了承せざるを得ない。しかももう一つ、今鳩山総理が井手君の質問に答えてしばしばお答えになられたように、また船田さんがお答えになられたように、防衛計画においても、アメリカとの間においてあちらさんの指図に従わなければならぬという、日本の自主性を全然失った見解を持っておられる。私はここでもう一つそれにつけ加えてお尋ねしますが、ジェット機のような戦闘機に維持費が相当いるということをあなたの方も説明しておられるのです。一機の維持費年間五、六千万円といわれておる。この五、六千万円の飛行機が、五年後の昭和三十五年には千三百機用意されるという。千三百機の五、六千万円の維持費だけで計算して、およそ六、七百億じゃないですか。この維持費は日本が負担しなければならぬ。維持費まで向うに負担されるということはないということでありますが、この維持費が五年後に大幅に増額されることを思うときに、防衛費というものが、さっきの国民の所得総額とのバランスにおいて、非常にふえるということの一例を申し上げて、あなた方の一つの御反省に資したいと思うのですが、さよう考える場合に、防衛五カ年計画の完成の後における日本の防衛費というものは非常にふえて、国民所得の二・三%をはるかに上向るという事態が司ることは御覚悟でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/139
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140・船田中
○船田国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますように、年次計画及び最終年度において達成すべき目標の内容がきまっておりませんし、米軍側の供与の兵器、艦船、飛行機等についても、まだはっきりきまっておりませんので、それらは十分検討、いたしまして、国力に相応する、総理大臣が言われておるように、経済と見合う防衛計画を立てることに努めて参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/140
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141・受田新吉
○受田委員 米国のやり方によって、日本の防衛計画が最後には決定されるということに、それでしたらなるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/141
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142・船田中
○船田国務大臣 米軍から艦船、飛行機あるいは火器類の供与を受けますけれども、わが方の防衛計画はどこまでも自主性を持っていくのであります。もちろん日米安保条約の規定によりまして、暫定措置ではございますが、わが国の防衛につきましては現在米軍側の協力に待っておるわけでございます。日米協力して日本の国土を守っておる、こういう実情でございますから、それはもちろん考慮しつつわが国の防衛体制を整備するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/142
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143・受田新吉
○受田委員 日本はあなた方の目標で、昭和三十五年の一応の努力目標がはっきりしておる。またアメリカは日本に対して、あなた方のお考えとは別の案を用意して迫っておると思うのでありますが、アメリカは日本に対する兵員の増強計画は、一体どういうところの線が今まで出てきたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/143
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144・船田中
○船田国務大臣 アメリカ側からは、いかなる要請も受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/144
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145・受田新吉
○受田委員 鳩山さん。ここで一つ問題が起るのですが、前の木村保安庁長官は、昭和二十九年の内閣委員会におきまして、日本の兵員増強の計画が漸次進められておるが、大体二十二、三万人までは志願兵制度で間に合うが、それを過ぎたならば徴兵制度をしがなければならぬと答弁をしておるのでありますが、この点あなたは、責任者としての木村さんの当時の発言、これはある程度了承せられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/145
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146・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 ただいまのところ徴兵制度をとる意思はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/146
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147・受田新吉
○受田委員 二十二、三万が志願兵制度の限度であるということはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/147
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148・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 それについては私よりは防衛庁長官が適役です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/148
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149・船田中
○船田国務大臣 現在におきまして自衛官を募集するにつきましては、海陸空、いずれも数倍の応募者がございます。現状をもって判断いたしますると、今御指摘のような二十二、三万人にふえましても、志願兵制度で十分やっていけると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/149
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150・受田新吉
○受田委員 そうしますと、二十二、三万人以後徴兵制をしがなければならない限界というものがどの辺に置かれるか、木村前保安庁長官とあなたの意見の食い違いを一つお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/150
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151・船田中
○船田国務大臣 現在徴兵制度を施行するという必要を感じておりません。またそういう意思は政府として持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/151
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152・受田新吉
○受田委員 木村前保安庁長官の計画は、あなたはこれを無視して問題にされないことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/152
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153・船田中
○船田国務大臣 当時の計画につきましては私も内閣委員として直接聞いておりますから、十分それらのことも考慮いたしております。しかしながら現状におきまして募集の状況等から見まして、二十二、三万の要員を募集するにつきまして志願兵制度で十分間に合うと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/153
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154・受田新吉
○受田委員 今あなたのお説は、日本の失業状況あるいは待遇改善等に対する防衛庁の努力、その他のいろいろな宣伝の妙味によってこれがなされておるのであって、公平なるあり方で志願兵制度の限界はどこにあるかということは、木村前長官の意見が一応筋が通ると思う。あなた御自身も先般のこの委員会で、現在のところでは昭和三十五年の防衛五カ年計画の完成年度までは、徴兵制度をしがなくてもいいと思うということで、三十五年を目標にして志願兵制度の限界があるかのごとき答弁をしておられる。この点についても時勢と募集状況というものをいろいろ考えて、あなたにはだんだんと徴兵制度をしく限界がおくれてきたと了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/154
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155・船田中
○船田国務大臣 徴兵制度につきましては現在の政府は考えておりません。また募集の状況から見ますれば、徴兵制度をしがなければならぬという必要は感じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/155
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156・受田新吉
○受田委員 防衛大学の学生募集をこの間見に行ったのでありまするが、これによると、幹部自衛官になる人物を、ことし五百三十名募集している。ところがこれは卒業して役に立つのは五年先ですから、昭和三十五年の計画完成以後の問題になるわけです。そのころ、今ごろ大量の学生を募集するというようなことを見ると、十八万という限界を乗り越えて、幹部と兵員とのバランスからいったら、相当大きな計画を持っているのじゃないかと思いますが、防衛大学の幹部自衛官の募集状況は、昭和三十五年の以後になって役に立つ自衛官であることを思うときに、それらのバランスはどう考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/156
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157・船田中
○船田国務大臣 防衛大学校の卒業生は来年は出ることになるわけであります。その募集状況は現在におきましてもきわめて順調でありまして、そうして自分の国は自分で守るのだという防衛意識がだんだん向上いたしております。従いまして今後におきましても幹部将校として十分間に合う者が、防衛大学校にどんどん入ってくると私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/157
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158・受田新吉
○受田委員 今年入った学生は、五年先でしか役に立たぬのです。卒業してでなければ、自衛官の資格はないのですから、従って五年先の計画は今立てられておるとわれわれは了解しておるというのです。防衛大学の学生は、五年先に役に立つものを新規に募集しておるのだから、全然幹部を減らしておらぬのじゃないか。そうすると十八万を目標にして、それを押えようという考えではなくして、それからもどんどん増強しようという意図があるということが、大学の学生の募集状況とあわせて考えられる。それを御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/158
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159・船田中
○船田国務大臣 三十五年度以降において、非常に膨大な自衛隊を持つというような前提を置いておるわけではございません。毎年の更新を考えまして、逐次毎年それを補充し、多少の増強をしていくということを目標にいたしまして募集人員をきめておるわけでございまする。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/159
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160・山本粂吉
○山本委員長 受田君に御注意申し上げます。そろそろ結論をお急ぎ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/160
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161・受田新吉
○受田委員 今国連に日本が加盟する道が開けておるわけですが、国連に加盟する場合に、日本の立場は現在軍隊がない、従って軍隊なくして国連に加盟できるという原則は確立されるわけでありますが、国連の集団安全機構の中に日本が入るという場合に、一方的に日本が何ら軍備を持たないでこれへ入っていけるという道が開けた場合に、あなたには非常に不安がありますか、あるいはそういうことは考えないで、自衛冠を何かの形で国連の警察軍などに見てもらえば済むとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/161
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162・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 今ちょっとよくわからなかったので私から伺いますが、国連に加入するのに軍隊を持つということが条件になっておるかどうかということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/162
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163・受田新吉
○受田委員 今はなっていないわけです。なくても入れるわけだけれども、それが自衛軍を国連警察軍などに充当する意味であなたはこれを考えていきたいと思われるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/163
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164・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 今は国際警察軍もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/164
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165・受田新吉
○受田委員 そういうものへ将来考えられるような形で自衛隊を考えていきたい、全然軍備なしで国連へ入るということでよいとあなたはお考えですか、あなたの立場から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/165
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166・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 現状においてはそれでいいと思います。しかし理想を言えばもっと機構が完備せられまして、紛争が国際連合において裁判がされて、それできまっていくというようなことまで達すれば、世界の平和が確保せられるので、夢を言えば現在の国際連合で満足はできないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/166
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167・受田新吉
○受田委員 どうもはっきりしないのでありますが、結局あなたの御見解では軍隊はなくて国連に入れる、それで国連の集団安全機構における日本の責任はあなたの立場でどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/167
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168・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 それは国際連合の規約で相談によってきめていくより仕方がないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/168
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169・受田新吉
○受田委員 もう一つ、あなたの常に言うておられることで、原水爆実験に対してわれわれはこれを拒否したいという気持がある、けれどもやむを得ない、被害がないという限度において了承するということを言うておられるのですが、国際的に見て非常に重大な原子兵器の使用において、日本におる米軍だけはせめて原子兵器を持たないということを、アメリカに申し入れるほどの勇気を持っておるかどうか、これを一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/169
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170・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 米軍でもイギリスでもどこでも日本において原水爆を使用しないようにしてもらいたいということは、すでに外務省から向うに申し入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/170
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171・受田新吉
○受田委員 そのことじゃない、兵器を絶対に日本に持ち込まないという約束をさせられることができるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/171
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172・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 現在におきましてはそういう事実はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/172
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173・受田新吉
○受田委員 私はこの間SEATOの会議から戻ったダレスなどとの会談においても、こういう問題がある程度論議されたのじゃないかとも心配しておるのですが、日本におる米軍にだけは、日本の責任において原子兵器を断じて使用せしめず、また持ち込みもさせないというくらいの強硬な態度をもって、日本政府が平和愛好の立場から主張することは私は正しいと思うのですが、この点勇敢に申し入れる用意があるかどうか、外務大臣とあわせ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/173
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174・重光葵
○重光国務大臣 私がしばしば御答弁いたしております通り、安保条約のときには原子爆弾は十分発達しておるものではございませんでした。従って普通兵器とは考えません。考えませんからこれを持ち込むという場合においては、向うから連絡あり相談のある筋合のものでございますので、そのときにわが方の意見をはっきり向うに通告してやります。しかし私はそれはそのときの情勢によりはせぬかと思う。それが果して日本の防備のために、自衛権行使のために必要であるかないかということが大きな標準になろうかと考えますけれども、それはそのときに十分に日本の国の利益を勘案して返答をする覚悟をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/174
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175・受田新吉
○受田委員 あなたはそのときにおける情勢によって態度をきめるとおっしゃられておりますが、日本政府としては事前に十分こういう問題について日本の信念のあるところを申し述べて、そういう事態が起らない前にはっきりした日本の態度をきめておくという必要がある。そういう事態が起ってからやったのではいつも手おくれになるのである。この点事前にそういう態度をきめておかれる用意をあなたは持っておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/175
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176・重光葵
○重光国務大臣 私は空理空論をここで言っておるわけじゃございません。原水爆の使用は国際的に禁止せらるべきものであるという考え方は、国会においても表示せられたと思う、また日本政府としてもその方針をもって進んでおります。しかしこれはこちらの信念であって、国際的にまだきまっていない原水爆の使用禁止ということを実現させたいと思うことによって、これを進めておるわけでございます。しかし実際問題として戦争でも起った場合にどうするかというときには、そのときに考えるよりほかにしようがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/176
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177・受田新吉
○受田委員 私は原子爆弾を使うという意味じゃないのです。こちらに持ち込むということをお尋ねしておるわけです。絶対に持ち込まさないという決意を持っておるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/177
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178・重光葵
○重光国務大臣 その点については先ほどはっきりと御答弁した通りであります。そういう話があったときにはっきりときめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/178
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179・受田新吉
○受田委員 私はもう一つ防衛関係で総理の御答弁を願っておきたいが総理大臣は自衛隊法の規定に基きまして、三軍の指揮官として防衛出動をなし得る責任者である。同時に行政協定二十四条による日米共同作戦の場合における協議の対象になる人である。こういうことからあなたに与えられたる権限はまことに強大であって、あなたと船田さんとが現在の日本の三軍を自由に動かし得る非常に高い地位にあられるのです。従ってあなた方がもし判定を誤まったならば、これは日本の国の滅亡にも至るという重大な力をあなた方が持っておられる。しかしそれを非常に不用意に考えておられるようです。国防会議というものができたらそれへみんな持ち込んで、そこへ相談して防防衛出動などの決定もるのだからと、国防会議に非常にウエートをかけておられますが、これは今まで国防会議がなかった時代は重大な問題を全然相談をしなくて沈むかというと、そうじゃなくてやはり船田さんを中心に閣内でいろいろな取りきめをされておったのです。従ってあらためて国防会議をここに置かないでも、今までのようなやり方で筋を通してやっていくならば十分できると思うのでありますが、屋上屋を重ねた国防会議をわざわざここに作って、そしてその費用もかかることだし、機構の上においても複雑になることをあえてなさろうとすることを、おやめになる考えがないかということ、この点についてお尋ねすることと、もう一つ、しからば国防会議が通らなければおれはやめるといって、前の杉原防衛庁長官は、遂に国防会議の法案が流れた日に、即時辞表を書いて鳩山さんに申し出、鳩山さんはこれをやめさせられたが、国防会議がもし通らなかったという場合に、船山さんは辞職するほどの決意を持ってやるかどうか、これに対する御見解もあわせ御答弁願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/179
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180・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は杉原君の辞職には反対したんです。どうしても君がやめることには――君が悪いんじゃない、君が悪いわけで国防会議が通らなかったわけじゃないんだからやめないでくれ、としきりに説いたんですけれども、あの人は非常に潔癖な人でしてやめちゃったんです。大いに私は不満でした。ですから船田君の場合にそういうことが起こらないように、ぜひ通したいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/180
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181・山本粂吉
○山本委員長 受田君に重ねて御注意申し上げます。約束の時間ですから結論にして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/181
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182・受田新吉
○受田委員 それでは結論に入りますが、総理きょうは非常に楽な気持で御答弁になっておられるから、少々一分や五分くらいおくれてもよろしゅうございますか。――それじゃ一つがまんして下さい。
最近の防衛庁内におけるいろいろな批判があって、会計検査院の検査のみでなく、人事的な関係においても、また調達の関係においても出入りの商人との間における不正の取引がされているという声が、しばしばちまたに流されておる。日本の国軍再建を企図される政府としては、意外にも自衛隊に対する不信行為が積み重ねられていることを、総理としてもお考えになっておられると思います。従って、自衛隊はまだ生まれて間がないのであるから、というごまかしでこれを見のがすわけにはいかない。しかも戦後アメリカとの関係で、占領時代からのつながりもあって、今の自衛隊の兵器の中には、アメリカの古物あるいはあちらから部分品を持ってきてひっつけたようなものとか、とにかく寄木細工的な兵器が非常に多いんです。ところがこの自衛隊の新兵器、装備というものの実態を、最近においていろいろな角度から調べられた結果、決算委員会でも吉田君から関係者にそれぞれおいでをいただいて質問をして、ある程度の材料が集まっておるのでありまするが、その一つだけをきょうは申し上げておいて、あとから別にこの委員会でお尋ねさしてもらいたいと思うんです。
きのうの朝日その他の新聞に出ておりました例の高速救命艇の件を一つ最初に取り上げます。この高速救命艇は海上幕僚監部に納められたアメリカのパッカード会社の製品でありまするけれども、これがわずかに十万円のエンジンを千二百五十万円で防衛庁が買い受けたというのですが、これはもう決算委員会で一応結論が出ております。ところが問題は、そのエンジンは防衛庁の内部において、二様の見方をされているという点であります。北島さんあるいは関係課長からの御説明によったときには、中古品であって中古品に部分品などをくっつけてやり直したという意味のことを言うておられるのでありますが、しかしこの点につきましては、一方において防衛庁の艦船課長はこう言うておる。このエンジンは、非常に優秀だから今後も購入する予定である。空幕も買いたいと言っている。エンジンは中古品だというのはうそだ。ただ米軍から払い下げを受ける際、新品としてはだめなので、わざと部品をはずし使用できぬようにしたのである、という意見を述べておられる。ところがこれに対して、エンジンの購入の際調査に当った調達実施本部の課長はこう言うておる。中古品であった。修理費は一台数百万円かかっておる。スクラップとして業者が払い下げを受けたのなら、使用目的違反じゃないか、いろいろと因縁のついたエンジンと聞いておる、ということを言うて、部内で新品であるという意見と中古品であるという意見と対立して、それぞれの責任者が自己の主張をしておる。こういうような一台十万円のものを千二百五十万円で買い、その間に間組のような民間業者が、必要もないのにこの中に介入しておるという事態は、そこに何か非常に汚れた風が吹いておることをわれわれは了承せざるを得ないのであります。こういう事態は、防衛庁としては、責任者たちの間において、新品であると言い、中古品であると言って、見解の相違しておるようなものを組み立てて、われわれの高い血税をこれに振り当てておるということははなはだ了解に苦しむのであるが、これについて総理は、こういう事態が起っておると確認された上においては、防衛庁の内部において一つ思い切った粛清をされるところの決意を持たなければ、自衛軍の再建ということは不可能であると思うのですが、御見解を向いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/182
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183・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私は初めて伺うのです。よく検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/183
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184・受田新吉
○受田委員 総理大臣、このような問題が、自衛隊の内部に、先般から相当に暗い影がひそんでおって、すでに責任者を処断された事実もあるのです。特に自衛隊の内部において詳細に実態調査をやって、国民の疑惑を一掃するような決意をもって当られんことを私は総理に厳として要望するものであります。御決意のほどを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/184
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185・鳩山一郎
○鳩山国務大臣 私はそういうようなことのないようにと考えまして、特に防衛庁長官には杉原君を選任し、船田君を選んだ次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/185
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186・船田中
○船田国務大臣 ただいま受田委員の御指摘になりました問題は、現に決算委員会でその真相を究明中でございます。ただ新聞記事にありますように、十万円で払い下げたものを千何百万円で買った、こう一口にそれを比較しますと非常にそこに疑惑が起るのでございますが、払い下げは極東空軍が持っておったものを払い下げたのであります。自衛隊で買い上げたものは、民間で持っておったものを財務局の評価に従って、それも勘案いたしまして適正価格で買い上げておるのでございます。ただ民間で、払い下げた後に転々といたしておりますときに、価格が高くなっておるということの事実はあるようでございます。その真相は決算委員会で今やっておりますから、その方の究明を十分お願いいたしまして、ただいま御指摘がありましたように、自衛隊にいやしくも疑いがあるということは、まことに私責任者として遺憾に存じまするので、その真相をはっきりさせまして、もし責任の所在が自衛隊の中にあるということであれば、それはもう断固として処断をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/186
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187・山本粂吉
○山本委員長 暫時休憩いたします。
午後は本会議終了後再開いたします。
午後零時四十九分休憩
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午後二時四十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/187
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188・山本粂吉
○山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。稲村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/188
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189・稻村隆一
○稻村委員 アメリカ軍事顧問団がたくさんおるようですが、アメリカ軍事顧問団というのはどういう仕事をしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/189
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190・船田中
○船田国務大臣 在日日米軍事援助顧問団は日米相互防衛援助協定に基いて供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を日本国の領域において遂行し、かつ援助の進捗状況を観察する任務を持って日本におるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/190
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191・稻村隆一
○稻村委員 これは私の非常に心配するところですが、日本の軍隊が外国の軍隊に指図を受けたりするようなこと、また容喙されるようなことがあるとこれは非常に危険だと思うのです。そういう例は歴史上幾らもあるわけです。たとえばポーランドにいたしましても、ソ連の元帥がポーランドの国防相であったりしているし、またイランの例をとりましても、モサデグ首相が米英に非常に反対であった、極端な国粋主義であったというときに、アメリカ軍事顧問団の一部がそこの軍隊を動かしてモサデグ政権を倒したというふうなことがあるのです。南米なんかでもそういうような事実があるわけです。ここではいろいろ言っても時間がかかりますので申しませんが、非常にこれは気をつけなければならぬことだと思うので、特に気をつけてもらいたいのですが、その顧問団はMSA協定に基いて自衛隊あるいは国防会議を指導するようなことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/191
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192・船田中
○船田国務大臣 ただいま稻村委員の仰せられた外国における防衛につきましては、御意見の通り行き過ぎますとその国の国軍の成長にも非常に大きな影響を与えることになるのでございますが、今わが国におりまする米軍事顧問団は、わが自衛隊に対しましてそういう御懸念のようなことは全くございません。自衛隊を指導するとか、あるいは指揮するとかいうようなことは絶対にやっておりません。先ほど私が申し上げましたような任務を持ってやっておるのでございまして、今御懸念のような点は全くございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/192
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193・稻村隆一
○稻村委員 軍事顧問団以外に航空自衛隊に顧問団的な仕事をしている米人のグループがいるようですが、それは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/193
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194・船田中
○船田国務大臣 今御指摘の点は、おそらくわが航空自衛隊の隊員の訓練につきまして、その訓練の指導をやっておる者だと思いますが、これは浜松等におります。つまり航空自衛隊の先生になっているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/194
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195・稻村隆一
○稻村委員 それは何人ぐらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/195
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196・船田中
○船田国務大臣 約四百五十人おります。これは一定の期間訓練をいたしますが、訓練が終りますれば漸次引き揚げていくものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/196
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197・稻村隆一
○稻村委員 これは顧問団以外にそういう米軍の何と申しますか、グループがいるとすればどういう法的根拠によるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/197
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198・船田中
○船田国務大臣 これは御承知の通り、日米の相互防衛援助協定第七条の第一項に基きまして供与される装備、資材及び役務に関するアメリカ合衆国政府の責務を、本邦において遂行するアメリカ合衆国政府の職員でございます。従いまして日本国政府との関係におきましては軍事援助顧問団の臨時の職員、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/198
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199・稻村隆一
○稻村委員 それはどうもおかしい。軍事顧問団以外に臨時顧問というようなものを法律的にいって置けるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/199
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200・船田中
○船田国務大臣 これは日米相互防衛援助協定第七条の規定によるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/200
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201・稻村隆一
○稻村委員 その次に国防会議事務局のことについてお伺いしたいと思うのですが、国防会議というものは参謀本部的なものになるのではないかというふうに私は疑っているのですが、どういうものであるか、その構成についてどういう案を持っているかお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/201
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202・船田中
○船田国務大臣 国防会議事務局の任務は、国防会議が正確な資料に基いて的確な結論を出し得るよう補佐することが事務局の任務でございます。事務句自体が独自の意見を持って行動することはございません。従って事務局の構成運営に当りましては、事務局の本来の任務を逸脱して独自の意見を持って行動することのないように、十分注意をして参りたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/202
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203・稻村隆一
○稻村委員 これはおそらく軍の問題は秘密を要することが多いだろうし、過去のことでも独断的な行動があったわけです。そこでこれは具体的に詳細に内容をきめておく必要があると思うのです。そうでないといろいろな弊害が起ると思うのです。それでそういうふうな具体的な事務局の任務、仕事というものに対する明確な規定がないと、非常に危険な問題が発生する。これは軍隊のことはほかのことと違うと思う。過半においていろいろ苦い経験をわれわれは持っているわけなんで、それに対してはああいうはく然たるものではいけないと思う。何か詳細な案というものは全然お持ちでないのですか、試案でもよろしいが、あったらお開かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/203
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204・船田中
○船田国務大臣 事務局の構成につきましては、かつてここで御説明は一応申し上げたわけでございますが、事務局には局長を置きますが、局長はおそらく十五級の次官級の者が置けるようになると思います。その他事務局の職員は大体予算定員として十五人取ってあります。そのほかに関係の深い各省庁から関係官を兼任させることになっております。それは十五人程度にはなると存じます。従いまして事務局の職員は大体三十人程度ということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/204
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205・稻村隆一
○稻村委員 内閣調査室を国防会議の事務局として使うという話があるのですがね。新聞か何かに出ておったんですが、あれはほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/205
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206・船田中
○船田国務大臣 内閣調査室の調査研究しておりまする資料は、国防問題を討議して参りますのにはきわめて大切な、また密接な関係を持っておりますから、内閣調査室というものは十分事務局として活用していくことがよかろうと思い、またそのつもりで考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/206
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207・稻村隆一
○稻村委員 内閣調査室はそういう機関ではないと思うのです。だからそういうものを作るならば、総理府令ではなく、単独の立法として国会の承認が必要じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/207
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208・船田中
○船田国務大臣 ただいま私申し上げましたように、内閣調査室をその方面に――国防会議の事務局の方において連絡をし、またその資料等も活用することに努めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/208
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209・稻村隆一
○稻村委員 どうもそれはおかしいと思うのですがね。これはかなり重大だと思うのですが、そういうふうなものは私は単独立法として国会の承認を得るのが妥当だ、こう思うのですが、そう思わないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/209
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210・船田中
○船田国務大臣 内閣調査室はもちろん事務局の内部に入るわけではございませんが、同じ総理府の中にある機関でもあります。そうして常に各般の情勢を調査いたしておるものでございますから、国防会議事務局としても十分連絡をとり、その資料等の活用をはかって国防会議の機能を十分発揮するように利用して参りたい、かように考える次第でございます。そういう意味において答弁を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/210
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211・稻村隆一
○稻村委員 それから私最後ですが、この間防衛庁長官は非常に私どもがびっくりするような答弁を受田委員との間にされておるのです。これは十九日の日ですが、その中で受田委員が「千三百機の内訳について触れておられて約半数を練習機とおっしゃったんですが、練習機のようなものが半数で制空権確保が可能でありますか。」という御質問に対して長官は「わが領空に侵入してくる飛行機に対しましてわが国土を守り、制空権を敵に渡さないようにするということにつきましても、もちろん今日の場合は航空自衛隊の力だけでは足りません。従ってそれらにつきましてはアメリカ側の援助を受けるということになると存じます。」ここまでは無難としても、次に「また今御質問のように、侵略の度合いが非常に大きくて、いわゆる第三次世界大戦になるような場合でありましたならば、それはとても日本の独力でわが国土の防衛というものはできないと思っております。」そういうふうな御答弁を見ますと、日本が第三次大戦が起きた場合に関与するがごとき答弁をされているのですが、これは私は大いに防衛庁長官としてはとんでもない御答弁だと思っているのです。第三次大戦でなくたって、たとえば中共とアメリカとが空爆戦をやる、そういう場合においてこれは必然に原爆戦になるのだから、これはアメリカは局地戦でも原爆を使うと言っている。そういう場合においてまっ先に犠牲を受けるのは日本であって、われわれはアメリカが勝っても、地獄か極楽でアメリカの勝報を聞かなければならぬということになるのです。そういう場合において、いかなる場合でも、第三次大戦だけではない、原爆等を使う戦争には関与しない、特に中共とアメリカとの間にそれが可能性があるわけですから、そういう場合において、現にダレス氏はせとぎわ政策でいったのであって、台湾問題のときには現に原爆を積んでアメリカの第七艦隊は台湾海峡を遊よくしておったのですから、そういう場合においてわれわれはそれを絶対に避けることが日本を守る道であって、その中に入ってくるというふうなことは、これはおそろしいことだと思うのです。しかるに不用意のうちではあるが、受田委員との質疑応答の中に第三次大戦になるような場合でありましたならば云々というふうなことを言って、あたかもアメリカと一緒になって行動をともにしなければならぬような答弁をされているということは、私はこれは船田長官の考え方、日本の再軍備に対する考え方を表現するものだと思うのですが、そういうふうなことに対して私は船田長官の考えを聞きたいのです。そしてそういうふうなことを考える長官であるならば、私は日本の運命のためにやめてもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/211
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212・船田中
○船田国務大臣 ただいま稻村委員から御指摘になりました点は、先般の受田委員との間の質疑応答の全般をお読み下されば、私の申し上げている趣旨ははっきりすると存じます。ただいま御懸念のような点は私は毛頭ないと思いますが、なお繰り返して申し上げますと、私は国際情勢の見方といたしまして、今直もにあるいは近い将来に原水爆をもってするような第…次世界大戦が起るとは考えておりません。しかし、さればといって部分戦争なりあるいは冷戦が全く終息してしまったといって安心するわけにも参りません。従ってそういう国際情勢の前提のもとにおいて、わが国といたしましては国土を守るために最小限度の国力、国情に相応する自衛体制を整備いたして参りたい、かように考えて、またその努力をいたしておるわけでございます。もし現状におきまして日本の区域に侵略が不幸にして起るというようなことがございました場合には、これもたびたび申し上げていることでございますが、行政協定の二十四条によりまして、直ちに日本政府とアメリカ政府との間において、いかにわが日本の国土を共同で防衛するかということについて協議をすることになっております。またおそらくそのときには日本政府としては直ちに国連に提訴いたしまして、その侵略を防止するという有効な臨機の措置をとってもらうことになると存ずるのであります。従いまして私の今御指摘になりました答弁うちに申しておりますることは、全面的に日本の地域に対して第三次世界大戦が起るというような場合がありとすれば、それはとうてい日本の独力で防ぐことはできないということを申したのであります。そういう戦争が起るであろうということは、私は今日予想しておらないということを前提としてそういう答弁を申し上げておるわけでございまして、先ほど来申し上げておるように、国際情勢の見方において、私が今申し上げたごとを前提として防衛体制を整備しつつある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/212
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213・稻村隆一
○稻村委員 さっき首相との質疑応答の中に申し上げたことを繰り仮すようになるかもしれませんが、今第三次大戦が起るといったようなことはむろんないだろうけれども、しかし問題はアジアでは何といっても中共とアメリカとの間の問題だと私は思うのです。そういう場合においては局地戦でも原爆を使うことになる。その場合に、日本にアメリカの軍事基地があるということが危険なのであります。これは巻き込まれないといっても、どうしても巻き込まれざるを得ない。だから、できるだけ早くアメリカの軍事基地をなくするということ 撤退してもらうということ、これが絶対に必要な条件だと思うのです。そこで私は、船田長官にお尋ねしたいのですが、日本が自衛隊を充実すればアメリカ軍は撤退する、こういうことをしばしば言っておられる、しかし撤退する時期はわからない、こういうふうに言っておるのです。それで私どもが一番心配するのは、できるだけアメリカ軍に早く撤退してもらいたい。アジアにおける局地戦に巻き込まれないというがためには、アメリカ軍に撤退してもらうこと、アメリカの軍事基地ご撤去してもらうこと、これが最も必要な条件でございますが、そういうふうなことは一体いつどういうふうなときに来るか、実現できるかということです。この間も受田委員の質問に対しまして、かりに日本の防衛体制が実現されたとしても、アメリカ軍はそう急には撤退しないだろうということを船田長官が言っておられた。ラドフォード統合参謀本部議長が一月来られたときに、これは新聞によるのですが、日本の防衛がかりに極東の安全に寄与できるように達成されたからといって、在日米軍が完全に撤退するとは限らない、また計画そのものも国際情勢の変化によって再検討されるべきであるということを言ってラドフォード氏は日本における駐留軍の撤退、に対してあいまいな表現をしておられるわけです。船田長官もラドフォード統合参謀本部議長と同じようなことを言っておられる。そこで私は、いやしくも日本の防衛に任ずる船田長官が、アメリカのこの統合参謀本部議長と同じようなことを言うのでは問題にならないと思う。向うの言う通りになる長官である、こういうことになるわけです。そこで、防衛をこの程度にしたらどうしても撤退してもらいたい、こういうことを強く要求することが、日本の防衛庁長官の立場ではないかと私は思うのです。そういう点に対しまして、一つあなたの御意見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/213
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214・船田中
○船田国務大臣 日本の防衛体制の整備とアメリカ軍の撤退の時期との関係でございますが、これもしばしば申し上げておりますように、防衛庁の試案として持っておりまする最終目標、すなわち昭和三十五年度における陸海空の目標を達成し得た場合におきましては、米軍撤退の基礎はでき得ると思います。しかしその米軍が現実にいつ撤退するかということは、この長期防衛計画の達成と必ずしも見合っているわけではございません。これは国際情勢ともにらみ合せまして、日米両国政府の合意によって米軍の撤退が行われるということになるわけでございまして、その時期は今これを明言することはできないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/214
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215・稻村隆一
○稻村委員 アイスランドのようなああいう小国でも、強力に米軍の撤退を要求しているわけでありますが、私は日本が真の独立国になるためには――むろんフィリピンでもなるほどアメリカの軍隊はおるけれども、それは日本と条件がだいぶ違いますよ。どこでも軍事基地を要求できるなんというものではないので、あなたも御承知の通り厳重な制限が加えられているのです。ところが日米々全保障条約、行政協定によれば、アメリカ軍はどこでも好むところに基地を要求することができるわけです。そういう場合におきまして、常にいろいろなむずかしい基地の問題が起きて、私の県なんかにおきましても現にその基地の問題にぶつかっておる。そうしていろいろな土地の問題、農民の生活の問題がそこに出てくるわけであります。幾多の悲劇がそこに生れるわけです。そういうときに、私はできるだけ早く撤退を要求するということが、日本政府の任務じゃないかと思うのです。それをいつ撤退するかわからぬというふうなことでは、私どもは実に納得いかぬ。現にアメリカの戦略の一部に日本の軍備が属しておるというふうなことは危険きわまることなんです。そういう点に対しまして、アメリカに対して強い要求をしないで、ただアメリカの言う通りにあいまいなことを言っているというふうなことは、日本の政府の代表としてのあなたの意見に対して、私は実に残念に思う次第です。ある点まで日本が非常に苦しい思いをして、アメリカの要求に近いように自衛隊を作るなら、アメリカに対して早急に期限を切って撤退を要求するのが当然なので、いつ撤退するかわからぬというふうなことでは、これは問題にならぬと私は思うのです。その点に対してあなたの方では、ただ長いものに巻かれろ主義であってはいかぬのです。私がこんなことを言ってもしようがないかもしれませんが、アイスランドのような小国でももっとしっかりした態度をとっているのです。とにかく日本は少くともアジアの大国ですから、先進国家ですから、独自の断固たる立場に立ってアメリカと交渉せられて日本の独立を一日も早く回復する、私はそれがあなた方の任務じゃないかと思う。いつ撤退するかわからぬというふうなことでは問題にならぬので、もう少し期限を切って、アメリカに対して具体案を示して、そうしてはっきしりこういうふうになったから撤退しろと要求することはできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/215
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216・船田中
○船田国務大臣 日米安保条約というものは、これはもちろん臨時的の措置でございます。従いまして、将来国連において警察軍というものができて、日本の安全がその警察軍によって保障されるという国連の措置が講ぜられるか、あるいは日本の自衛体制が整備されてこれなら安心だという日米両国政府の合意が成立いたしますれば、米駐留軍の撤退ということは実現するわけでございます。従ってわが方といたしましては、できるだけ国力、国情に相応する自衛体制をすみやかに整備いたしましてただいま申しあげておるような米駐留軍撤退の基礎を早く作りたい、こういうことで努力いたしておるわけであります。しかし現状におきましては、何と申しましてもその自衛体制がまだ整備されておらないのでありますから、今直ちに米軍撤退を要求し、あるいはそれを前提とする日米安保条約の改訂を提案するということは、その時期でない、かように私は考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/216
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217・稻村隆一
○稻村委員 具体的にこっちから案を持って、そうして期限をくっつけて、そういうことを交渉すべきじゃないですか。ただばく然と充実したら撤退するであろうというふうなことは、これは少くとも日本政府を代表する政治家の態度じゃないですよ。そんなことを言えば、私かさっきの質問のときにも申し上げたように、実際上日本が空軍を完成するとか、あるいは海軍を完成するとかいう、ふうなことは――地上部隊は簡単にできるでしょうが、そういうことはなかなか時間を要する問題なんです。しかしそういうふうな独立の軍隊を作ることができるまでというようなことでは、永遠に、私どもの生きている間は、アメリカ軍が撤退することにはならぬだろうと思う。実際問題として日本の財政からいって……。そこでやはりある点まで日本の防衛計画というものを、何カ年計画というものがあるそうですから、そういうはっきりした計画を提出してそうしてこういうものがこういうふうになったならば、アメリカ軍は撤退するということに目標を置いてやらなければ、私はだめだと思うのですよ。いつだかわからぬというふうなそんなことでは、日本がいつ独立目になるかわからない。実際問題としていろいろな干渉を受けますよ。そういう点に対して、あなたは具体案を持ってアメリカと交渉することが私は至当じゃないかと思うのです。向うがそれはできない、ラドフォードができないというふうなことを言えば、それでそのまま追随するということでは、アイスランドやビルマの政治家の前に恥ずべきことだと思うのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/217
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218・船田中
○船田国務大臣 今稲村委員の御指摘のようなことで、できるだけ早い機会に米駐留軍の撤退ができるようにしたい。それには何と申しましても、長期防衛計画を具体的に作案をいたしまして、そしてこれを着々実現していくことがまず前提として必要である、かように考えております。従って国防会議構成法案も提出しておるような次第でございますから、どうぞすみやかに御審議を願って御協賛をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/218
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219・稻村隆一
○稻村委員 国防会議法案だけではわからないのですよ。それであなたの試案でもありませんか。どういうふうな防衛計画を持っておるかということを、具体的に示していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/219
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220・船田中
○船田国務大臣 防衛庁の試案としては、もうすでに御承知の通りの案を持っております。これが実現をいたしますれば、米駐留軍撤退の基礎はできると存じます。現に先ほど御指摘もありましたが、米駐留軍の陸上戦闘部隊というものは、予定に従って順次撤退をしておるのでありまして、今年中にはおそらく一万一千くらいのものは撤退することになるわけであります。そういうことも見合いまして、わが自衛隊におきましては、まず陸上自衛隊の整備を急いでおる、こういう事情になっておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/220
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221・稻村隆一
○稻村委員 日本の陸上自衛隊ができれば、アメリカの陸軍が撤退するということは、常識上当然ですよ。これは必要はないし、なるべく自分も置きたくないのです。しかし空軍と海軍は、これは実際問題としてなかなか撤退しませんよ。アメリカが空軍と海軍を置いて、日本か陸軍だけ持つというアメリカ軍との共同作戦、それからアメリカ軍は極東の防衛のために日本に駐留するということは、明瞭に安保条約の中にもいっているのですから、そういう場合においてアメリカのアジアにおけるいろいろな紛争、たとえば中国あたりと紛争した場合には、日本が巻き込まれる危険性は十分だと思う。そこで私はアメリカの空軍と海軍を撤退することが、絶対の条件だと思う。それに対してあなたはどういうふうな考えを持っておりますか。陸軍部隊の撤退は、これは当然ですよ。アメリカは、陸軍部隊なんか一日も早く帰したいのですから、それは当然のことです。しかし海軍と空軍は、これは当分とどまるものと思わなければならない。それに対してあなたの考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/221
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222・船田中
○船田国務大臣 海上及び航空自衛隊の整備につきましても、もちろん今後非常な努力をして参らなければならぬと存じます。しかし米駐留の海空軍が撤退し得る基礎を作るということは、なかなか一朝一夕にできません。何と申しましても過去十年の空白を持っておりますし、これをまず第一線の訓練をするというだけでも相当時日を要するのでありまして、今直ちに、いつになったら米空軍、海軍が完全に撤退をするかという、その時期を明示するというまでには至っておらないのであります。これは遺憾ながらここに明言はできかねる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/222
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223・井手以誠
○井手委員 ちょっと関連して。長官は先日来しばしば、防衛五カ年計画が達成すれば米駐留軍が撤退する基礎ができるということを御答弁になっておりますが、そうしますと地上部隊は、陸上十八万が達成すれば撤退するのですか、陸海空に分けて一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/223
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224・船田中
○船田国務大臣 陛上自衛隊十八万という目標を置いておりますのは、先ほど来申し上げておりますように、アメリカの陸上戦闘部隊が順次撤退しつつありますから、そこでそれに見合って、なるべく早い機会に陸上をまず整備するということで、多少陸上に重点を置いているということは、従来申し上げている通りであります。従ってこの陸上十八万というものが整備されましたときには、おそらく米駐留の陸上戦門部隊は撤退することになるかと思いますが、その時期をここに明示するということは、今日の場合はまだできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/224
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225・井手以誠
○井手委員 思うのでありますがということよりも、何回も折衝されていると思うのでありますから、その点についていま少しはっきりしたことをお伺いしたいのであります。達成したら、その口に撤退してしまうというわけには参らぬでしょうが、大体十八万を達成すれば、陣上部隊は撤退するという約束に話し合いが進んでおりますか。その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/225
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226・船田中
○船田国務大臣 その問題について、話し合うまでには、至っておりません。まだ話し合いはいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/226
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227・井手以誠
○井手委員 全然話を進めておりませんか。結論に至っていないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/227
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228・船田中
○船田国務大臣 長期防衛計画につきましては、これは午前中の外務大臣の答弁でも申し上げておりますように、外務大臣が渡米の際に口頭で説明されたということを聞いておりますけれども、この数字の基礎をもって米側と交渉したという事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/228
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229・井手以誠
○井手委員 従来国会で行われた答弁によれば、何回もここで申されたように、一日も早くアメリカの駐留軍に帰ってもらうためには防衛計画を速成しなければならぬということをおっしゃっておられる。ところが今の御答弁によると話し合いもされていない、はなはだ不可解千万でございますが、この点についてあらためてお尋ねしたいと存じます。
続いてお尋ねいたしますが、海、空軍について防衛庁長官の撤退する見通しについてはいかがでございますか。先般外国電報の報道によりますると、アメリカの責任ある当局の発表によりますれば、今後十カ年ないし十五カ年間は駐留するということを発表しておったのであります。この海、空軍の駐留は、わが国の自衛力の漸増とは関係なく駐留するというような記事でありまするが、その点についての見通しを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/229
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230・船田中
○船田国務大臣 ただいま御指摘になりましたようなことは、私は何ら承知いたしておりません。米駐留軍の撤退の時期につきましては、先ほど来申し上げておりますように、防衛庁の持っておる試案、この最終目標というものが実現いたしますれば米軍撤退の基礎はできるのでございますから、その後において日米の間において政府の合意成立すれば、米軍は撤退するということになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/230
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231・井手以誠
○井手委員 少し話に食い違いがあるようでございますが、あなたと外務大臣は去る予算委員会におきまして、米地上部隊は撤退するであろう、しかし海、空軍についてはわからないというような御答弁があったと私は記憶いたしておるのであります。従って私が先刻来お尋ねしておるのは、地上部隊と海、空軍分けてお尋ねを申し上げておる次第であります。地上部隊については、大体十八万を達成すれば撤退するであろう、しかし海、空軍についてはいかがでございますか、こういうことを私はお尋ねしておるわけです。分けて一つ御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/231
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232・船田中
○船田国務大臣 従来外務大臣も私も、陸、海、空を分けて答弁申し上げておるということはないと記憶いたしております。すなわち昭和三十五年度に達成すべき防衛庁試案が実現をいたしますれば、それによって米軍の撤退の基礎はできる、しかしその時期がいつであるかということは、これは両国政府の合意によってきまることでありまして、今ここでその時期を明言するわけには参らぬのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/232
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233・井手以誠
○井手委員 基礎ができると何回もおっしゃいますが、基礎ができても撤退するか撤退しないかわからぬならば基礎にならない。撤退するという基礎を作ることが、いわゆるあなた方のおっしゃっておる自主的防衛計画じゃないですか。先般の日米共同声明によりますると、米地上軍ということが発表されております。従来は米軍とありましたけれども、先般の日米共同声明によりますと、米地上軍だけに限定されておる。防衛分担金を減らせば、その倍額を日本の防衛努力に向けなくてはならぬ。その内容について、それは米地上軍だけであると限定されておる。外務大臣の等分によりますれば、地上軍と海空軍と別になっている。その点があればこそ私は申し上げておるのであります。
時間もありませんし、きょうは関連質問でもありますので、あらためて防衛長官に瞬間を十分持ってお尋ね申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/233
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234・山本粂吉
○山本委員長 飛鳥田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/234
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235・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 時間がありませんので、ジェット機の第二次国産化の問題についてだけ伺わせていただきます。
ジェット機の第二次国産化の問題で、新聞に発表になりました細目取りきめを拝見いたしますと、「一、(イ)F86Fについては米国政府は当局間で別途合意される「F86F計画のための供給表」の定めるところに従い、」こういうふうに出ておりますし、さらに続いて「上記供給量に相当する一年間分の予備品並びに治具の一部を無償で日本国政府に提供する。」こういうふうになっておりますし、さらに(ロ)の項目を見ると、「T33A計画のための供給表」に従い無償で日本国政府に提供する。こういうふうになっておりすます。ところが、いわゆる無償供給表については全然発表になっておりませんが、これを発表をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/235
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236・船田中
○船田国務大臣 別表につきましては、詳細な部品についての品目が並べられてありますが、従来NATO諸国におきましても、それは全部発表しないことになっておりますので、なおよく研究してからはっきりした答弁を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/236
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237・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 なぜ発表できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/237
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238・船田中
○船田国務大臣 これは諸外国の間の慣例に従って発表しないことに従来取り扱っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/238
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239・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 別に諸外国の慣例に日本も従う必要は私はないと思うのです。当然秘密はないはずですから。この場でたくさんのリストをお沈み上げいただくことは、これは時間的にむずかしゅうございますから、次の委員会にその資料を持ってきて発表をしていただきたい。何か発表を妨げるべき理由があるのならば、その理由を明白にお話しいただければ、それについて私の方は質問をいたします。ただ単に諸外国の慣例になっておるからということでは、あまりにも不見識だと考えます。発表をしていただける用意があるかないかということだけ承わらせていただいて、その用意ありとするならば、次回の委員会で発表していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/239
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240・船田中
○船田国務大臣 この問題は国際関係のあることでございますから、今直ちにここでもって必ず発表するということをお約束はできかねますので、十分政府としては研究をいたしまして、支障のない限りはできるだけのことをいたしたいと思っております。飛鳥田委員 国会で少くとも私たちが審査の必要上発表を要求いたします場合口に、秘密協定なり何なりに相当しておって、その項目を表示せられるとか何とかいう法律上の手続をお踏みにならない以上は、当然発表せられる義務があると考えるのですが、この点はいかがでしょうか。ただ発表できないというだけではだれもうなずく人はないだろう。これこれの理由で発表できない、しかもそれはこれこれの合法的な手続がとってあるから発表できないのだ、こういうお話なら私たちもある程度うなずけますが、もう少しその点を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/240
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241・船田中
○船田国務大臣 ただいま御質問の点をも含めて十分研究いたしまして、なるべく御要望に沿うようにしたいと存じますが、今日ここですべて発表いたしますということは、お約束はできかねるということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/241
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242・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それではくどいようですが、これを発表しない場合には、発表をしない法律的な根拠を明確に示していただきたいと思います。
時間もありませんので続いて伺いますが、この第二次国産化の協定によって受ける飛行機の部品、装備品、治工具、こういうものは使用の用途が変りましたときにMSA協定第一条第三項の規定が準用せられるものかどうか、こういう点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/242
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243・船田中
○船田国務大臣 説明員から説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/243
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244・麻生茂
○麻生説明員 一般の原則が適用になるものと了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/244
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245・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 一般の原則って何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/245
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246・麻生茂
○麻生説明員 第一条の三項にこう書いてあるわけであります。「各政府は、相互間で合意する条件及び手続に従い、他方の政府に対し、この協定に基いて供与される装備又は資材で使用に供される当初の用途のために必要でなくなったものの返還を申し出るものとする。」こうあるのです。これに関連いたしまして返還に関する協定がもう一つあるわけでございます。従いましてこの一般原則にのっとってやるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/246
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247・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そうすると、第一条第三項の規定が準用される、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/247
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248・麻生茂
○麻生説明員 MSA協定の援助でございますから、それがそのまま働くということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/248
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249・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、この第二次国産化のジェット飛行機は廃棄その他について米軍の許可を必要とするということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/249
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250・麻生茂
○麻生説明員 それは先ほどちょっと申し上げました日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第一条に基く装備の返還に関する取りきめにのっとってやるわけでございますから、従ってこちらが要らなくなった場合に対しては、向うに返還を申し出るわけであります。向うがそれを受領しない場合においては、相互に合意するところに従って適当な処分をするということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/250
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251・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 ジェットの第二次国産化について、日本も相当のお金を出してこれを国産化するわけです。ところが日本が大事なお金をたくさん出して国産化したこのジェット飛行機について、用途の変更が出た場合には、MSA協定の第一条の第三項に従って、一々アメリカさんの御許可をいただかなければ廃棄もできなければ何もできない、要らなくなった場合にはお返しする。こんなばかばかしい協定って一体どこにあるのですか。ただもらったものなら要らなくなったら返すとか、廃棄するときには許可を受けて廃棄するということはあるのです、ややうなずけるのですが、日本の予算を相当つぎ込んで――われわれのお金です。税金で取り上げたやつを相当つぎ込んででき上ったジェット飛行機について、用途変更するときも向うの許可が要るし、廃棄するときも向うの許可が要る。こんなばかな協定をどうして結ぶのですか。その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。これじゃまるで奴隷――隷属とよく私たち言いますが、それの最もはなはだしいものだといわざるを得ないと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/251
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252・船田中
○船田国務大臣 飛行機はもちろん日本側のものになるわけですが、今御指摘の治具、工具というものでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/252
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253・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 航空機の廃棄も含まれていますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/253
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254・船田中
○船田国務大臣 ですから、日本の自衛隊でもって使わなくなった場合においては相談をしてきめる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/254
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255・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうして相談をする必要があるのですか。こっちで金を出して作っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/255
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256・船田中
○船田国務大臣 これは米側でも負担をするわけでございます。そこで米側と日本側と出し合って作ることでございますから、従ってそれを廃棄する場合においては向う側と相談をして廃棄をする、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/256
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257・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと国産化といいながら、実は制約をたくさん受けておる国産化だということにならざるを得ないと思うのです。それならもう一つ進んで伺いますが、ジェット飛行機のF86のいろいろな規格は、日本人の体格に合っていない、こういうことを一般にいわれております。たとえば操縦士が飛行機のギアを踏もうとしても、アメリカ人に合せて作ってあるから足が届かない。仕方がないからげたをはいてギアを踏んでおる、こういうことだそうです。国産化とおっしゃる限りは、当然日本人の体格に合せて作るべきものだと思うのです。ところが一ミリでも一センチでもその規格を変えることを向うは許さない。こういう話を伺ったのです。一体これが国産化でしょうか。日本に相当な負担をさせておいて、いざ必要になったら向うが日の丸を星に塗りかえて持っていってしまう、こう勘ぐっても仕方がないじゃないか、こんなふうにさえ私たちは考えるわけです。国産化とおっしゃる限り、なぜ日本人の体格に合せたものに改造をして設計を変えてお作りにならないのか。こういう点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/257
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258・船田中
○船田国務大臣 今飛鳥田委員の御質問にありましたように、げたをはいて操縦するというようなことは事実やっておりません。アメリカの特許を使うものもございますから、従って今お店もありましたように、その特許を勝手にこっちが変えるというわけには参りません。しかしながら日本の操縦士が十分操縦し得るように設計され、またできておるわけでありまして、決してアメリカの設計そのままで日本のパイロットが使えないというようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/258
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259・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 これはここで議論しておっても切りがありません。今後何らかの機会に見せていただいて、足が届かないものであるか、体格に合わないものであるかは調べてみれば一目瞭然です。しかもちょっと不便だというだけの問題ではございません。当然このジェット飛行機というものは戦闘に使うのです。そこでちょっとした不便さがあったとするならば、それはもう勝敗の分れ目を示すだろう、こう思っておるわけです。少し窮屈だがこの洋服でがまんしておこうというのと違うわけです。戦闘に使う道具ですから、ちょっとでも窮屈な点があり、ちょっとでも不便な点があれば、これは勝敗を分けてしまうかもしれない。そういう重大な問題であるにもかかわらず、アメリカ人のからだに合せて作ってあるF86を、日本人のからだに合せて設計し直しあるいは作り直すということがなぜ許されないか。今長官は向うの特許を使うから仕方がないのだと言いましたが、だからこそ双方で相談をするわけでしょう、だからこそ双方で協議をするわけでしょう。向うの特許を使わせてもらうにしても、その特許を日本人に合うように直さしてほしいということを交渉するのが折衝のはずです。あなたのお説では折衝などというものは何にも存在しないことになってしまう。飛行機だけではありません。M三十五トン戦車でもその大きさが違うでしょう。この点についてもいずれ飛行機を見せていただいてから、この問題を決定いたしましょう。
それでは続いて航空機生産があなたのおっしゃる六カ年計画を終りまして維持段階に入りました場合に、航空機生産の従来の規模を維持するとすると、飛行機が余ってしまう。すなわち維持段階においてはF86は月産九機、T33は月産二機でいいはずです。ところが現在のジェットその他の計画段階ですと、F86は月産十五機、T33は七機作っているはずです。そうすると自衛隊で使う以上に余ってしまうわけです。これは将来外国へ輸出するおつもりなのかどうか、この点も伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/259
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260・船田中
○船田国務大臣 今F86を外国に輸出するというようなことは考えておりま
せん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/260
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261・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 しかし今あなた方が考えておられる計画段階における飛行機の生産数、この生産数と六カ年計画終了後の必要機数とは相当な開きがあります。どうしても余らざるを得ない状況になると思うのですが、そうした場合に外国へ輸出するおつもりがない、こういうお話ですが、それでは余ったものをどうするつもりなんですか。さらにまた計画を増大して、六カ年計画完成後ももっと機数をふやしていく、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/261
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262・増原恵吉
○増原政府委員 御質問の点は、初度整備の段階において多少機数が多くなるということは、現在の整備状況からいって望ましく、またそういう計画を立てております。それをいつまでも続けなければならぬという建前をとらないように、現在のものは三十三年の六月まででありますが、あとわれわれの希望としては三十五年度末に大よそ千三百という目標を持っておりまして、多少の増強を希望いたしておるのでありますが、三十五年度末に一応希望が達成せられましたあとにおいては、維持段階としてのもので何とかやりくりをする、そのためには治工具類は無償貸与のものも相当ありまするが、若干有償で作らなければならぬものもあります。そういうものは最初のある段階の機数で償却をしてしまうという形で、生産をしていくという、かうにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/262
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263・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 どうもこの問題も、そんなに簡単に生産規模をすぽっと縮めていけるかどうか、非常に疑問に思います。あとでゆっくり伺わせていただくつもりですが、問題をあとに残しまして最後にもう一つ、供与された部品等には米国の会社の特許のあるものがあります。こうした無償供与を受けた部品を将来国産化していく場合に、日本の会社が特許料を払わなければならないかどうか、この点も伺わせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/263
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264・黒津兆太郎
○黒津説明員 最初にございました向う側から無償で参りますものにつきましては、それを国産化いたします際には、本来このF86F並びにT33Aの機体を作る会社で持っておりまする関係につきましては、米側で全部これを負担いたします。それ以外の関係につきましては、技術導入が必要なものについては特許料を支払う、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/264
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265・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、将来国産化いたします場合には、当然特許料を払うということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/265
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266・黒津兆太郎
○黒津説明員 今申し上げました通り、アメリカ側のF86F並びにT33Aの生産会社に属するものにつきましては、特許料を支払うことを必要といたしません。それ以外の部品について特許料を支払う、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/266
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267・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 もう時間がありませんから、これで取りやめますが、供給表を見せていただいたり、ジェット飛行機を現実に見せていただいたりしてまたこの質問を続けることをお許しをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/267
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268・山本粂吉
○山本委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404889X03819560424/268
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